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国務大臣(
宮澤喜一君)
我が国が、あるいは
我が国だけかと申し上げた方が適切かもしれませんけれども、非常に大きな
貿易黒字を持っておる、経常
黒字を持っておる、それもこの一、二年ということではなく恒常的にそういう
状況にあるということについて、これは
世界の
自由貿易がさらに大きくなるためにはやはりひとつ問題であるということを
各国が考えることは、私は無理からぬことであるというふうに思っております。
それでありますからこそ、不況対策もございますけれども、昨年以来、またただいま御
審議いただいております
補正予算におきましても、内需振興ということを考えておるわけでございまして、やはり
貿易黒字を減らすということは、基本的には内需が振興されて
経済のエネルギーが内需に向かうということ、その分だけ輸出が減っていくということ、それから、内需が振興される結果その分輸入がふえるということ、これがやはり基本的な私は方策であろうというふうに考えております。多少時間がかかりましても、これがやはりいわば王道というものであろうというふうに考えております。そのことは過般、クリントン大統領にも私から申し上げましたし、また今回の
OECDの
閣僚会議におきましても、
我が国を代表してそういう主張をいたしておるわけであります。
今度
OECDで
議論になりましたことは、
我が国の大きな経常
黒字、それからヨーロッパの失業、
アメリカの財政赤字、
貿易赤字といったような、従来からある
意味で言われておるその問題がなかなか解決されないでおるということが中心になりまして、
各国おのおのそれに対応することを求められたということであったように承知をいたしておりますけれども、他方で、そのようなマクロの政策をとります傍らで、
我が国の
経済の開放体制が十分でないという
指摘が御承知のようにございます。
アメリカが一番それを強く主張しておるわけでございますけれども、
各国いろいろおのおのの国がおのおのの問題を持っております。
我が国の場合には
黒字が大きいものですから、やっぱりその点を
指摘される度合いが強い。これも無理からぬことであって、そういう問題にどう対応するかということは、今度パリに
閣僚が行かれましたときに、いわゆる四極の
通商産業大臣会議というものがございまして、この中では、どっちみち
ウルグアイ・ラウンドが今年の末までには終局しなければならない、その中でしばしば御
議論のあります
我が国にとっての農業であるとか、
アメリカにとってのダンピングであるとか、いろいろ
各国基本的な問題意識を幾つか持っておって、その陰でダンケル・ペーパーをすぐには了承できないという問題がございます。
そのことはかなりこれからまだ
議論を要するものでございますから、サミットまでにはそれ以外のといいますか、つまり工業製品とサービス部門についてのアクセスをまだまだ
各国とも詰められる、詰めればもっともっと貢献ができる、交渉が進むわけでございますから、サミットまではその部分にひとつ精力を集中しようということで今度も
会議がございましたし、この二十三日、二十四日でございますか、東京で関係
閣僚がもう一遍寄られて、そしてサミットまでにその部分の詰めをしようと。これは言ってみますと、
我が国にとって言えば、いわば開放体制の推進ということになる、
各国ともそうでございますけれども、アクセスを詰めていってそして関税率を下げていって輸入をふやす体制に入ろう、そういう
努力が他方でなされておると。
でございますから、最後に結論として申しますと、サミットで
議論される問題は、
一つはそのようなマクロの問題である、
一つはそのような
ウルグアイ・ラウンドの推進の問題である、それに加えまして、
日米の間では先般私が訪米いたしました結果、両国の間でいろいろ、これ
貿易に限りませんが、お互いに推進をしたい問題があるので、そのためのフレームワークをひとつサミットまでにつくろうということになっております。そのフレームワークの作業は、実はおのおのの国で相手に対する提案、注文というようなものを
議論いたしておるわけですけれども、まだ両方が一緒になって案を交換して
議論をするというまでには至っておりません。近いうちにそれをいたしませんとだんだん間に合わなくなってくるわけでございますから、遠からずそういうことになろうと思いますが、フレームワークの合意があって、
日米としてはそのフレームワークに従ってお互いの問題の解決を図ろう、大体こういう構図でございます。
しかし、結論として、
松浦委員が言われますように、これだけ
黒字があるとやっぱりなかなか大変だろうとおっしゃることはそのとおりでありまして、そういう
意味からも御
審議を願っております
補正予算も成立させていただきまして早く執行を図りたい、こう考えておるわけでございます。