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国務大臣(林義郎君) 今お話がございました点につきまして、私から概論的に申し上げ、後で詳しくできましたならば事務当局から答弁をさせたいと思います。
所得税の問題につきまして、各種控除の引き上げとか課税最低限の引き上げでなくてむしろ累進税率構造の見直しであるとか最低税率の引き下げをやったらどうかと、こういうふうなお話でございます。
実は、この前の税制抜本改革のときに税率の構造を十五
段階ありましたものを五
段階にするというような形でやりましたし、最低税率の一〇%の適用範囲というものを相当大幅に拡大をいたしまして税率構造全体の累進性の緩和を図ってきたところでございます。また、今回も少しやっておりますけれども、特定扶養控除などというようなものも
考えてやっておるところでございます。
日本の税金の所得税の体系を見ますと、諸外国に比べまして課税最低限が非常に高いということである、それから最低税率も比較的低い、こういうことでございますが、中低位所得者層の負担が相当低くなっているとは思いますけれども、その辺をどう
考えていくのか、これは所得税だけでなくて住民税との
関係で
考えていかなければならない問題だろう、しかし、最高の税率は割と高い六五%、これは相当高いところにいっておりますから、その辺をどうしてやるかというのが
一つの問題だろうと思います。
むしろ、今御
指摘のありましたような問題は、どの階層の所得者に対して税の恩典を及ぼしていくか、特に中堅所得層の税負担感の問題をどうしてやっていくかというところに問題があるのじゃないかなという私も
認識を持っておりますが、今具体的にどうしたらいいかどうかということは申し上げる
段階ではないと思います。先生の御
指摘でございますから、十分頭の中に入れて勉強してまいりたいと思っておるところでございます。
第二番目の納税者番号
制度を導入したらということでございますが、これは税制調査会におきまして既にいろんな検討をしておりまして、ことしの五年度答申におきましては、現在、分離課税
制度というものをやっておりますけれども、この
制度を評価した上で背番号
制度につきますところのいろんな諸問題について検討をしたところでございまして、まだまださらに検討すべき点がある、こういうことであります。どの番号をとるか、要するに年金番号をとるのか、住民台帳をとるのかどうするのか、さらにはプライバシーの問題をどうするのかというような基本的な問題がありますので、この辺につきましても中長期的な
課題として検討していかなければならないんじゃないかなと、こう思っておるところでございます。
三番目の御
指摘のありました限界控除
制度の問題でございますが、これも先生先刻御承知のとおり、先般の
平成二年六月に設置しました税制問題等に関する両院合同協議会において与
野党で協議された上で、適用上限額の引き下げ、六千万円を五千万円にするということが
合意を得られまして、議員立法でできたところでございます。
この点につきましては、限界控除
制度というのは、どちらかというと中小零細企業者に対するところの事務費用が非常にかかる、これのコスト軽減を図っていかなければならない、こういったような観点もあったわけでありますけれども、それじゃ果たしてそのままでいいのかどうかということにつきましては、いろんな問題がありまして、その辺のバランスをよく
考えてやっていかなければならないものだろうと、こういうふうなことでの御
指摘を税制調査会でもいただいているところでございます。
限界控除
制度につきましては、今申し上げましたように特に中小企業者に対する配慮、こういうことでございまして、いわゆるインボイス方式云々、こういうふうな形でやります西欧的な付加価値税の方式でやる場合とやはり違っております格好を入れておりますから、そこはいろんな問題があると思いますけれども、そういった公平性というものと事務負担というものがあります。特に中小企業者の事務負担でありますから、そういったものとの配慮をどういうふうにバランスをとっていくかという問題だろう、こういうことで総合的に判断していかなければならない問題だろうと思っておりまして、御
指摘の点はよく勉強させていただきたい、こう思っておるところでございます。