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国務大臣(
中山利生君) お答えを申し上げます。
今回導入をしようとしておりますLST、輸送艦でございますが、先生からいただいた
資料にありますように、これまで二千トンクラスの輸送艦を六隻保有していたわけであります。今回一隻が退任をするということを機会に、これまで我が国の防衛力の中で輸送力というものが少し欠けていたということもありまして、御承知のように我が国は三千キロ近い細長い島国でありますが、この島国を最小限度の装備と人員で守っていくというためには、事に応じてその
部隊を移動させるようなそういう輸送力というものが非常に大事になってくるわけでありまして、そういう
意味で今回、今までと違った、今までは海岸に直接接岸をして前のドアをあけて装備をおろすという船でございましたが、今回はもう少し速力の出る、収容能力もある、また我が国の海岸線のいろいろな
状況に応じてエアクッションで積載物を運ぶというような新しい型の輸送艦を導入しようとしているわけであります。
しかもこれは、今までの輸送艦はこの間のカンボジアからの輸送の帰りに向かい風に遭ってスピードが全然出なくなってしまったというような欠陥もありますので、少なくとも
民間のフェリー並みの速力が出せる、しかも先生の
資料にありますように、乗員等につきましても今の二千トンクラスの船と同じぐらいの人員で操作ができるというような将来の人的資源の制約なども配慮をして、どうしても今回この輸送艦が必要であるということで導入を図ったわけであります。
今、この中身についての積算をということでございましたが、衆議院の
予算委員会におきましても宇都宮
委員の御
質問がありまして、我々としても、まさに国政
調査権といいますか
予算委員会でございます、そういうことでありますので、
予算の御審議をいただくためにもできるだけ詳しい内容、
資料というものを提出しなくてはならないということでできるだけの
努力をしているわけでありますが、何分にもこういう装備といいますものは、また特にこの輸送艦等非常に大きい高価な装備品でございます。しかも、大量生産とか定価とかがあるわけではありませんで、この価格の
決定にも非常に苦労をしている。
これから入札というようなことになろうかと思いますが、余り詳しくこの積算価格を
発表いたしますと、入札によって国に対する損害が大きくなるのではないかというようなことで、国政
調査権、私も
国会議員の端くれでありますから、国政
調査権というものをできるだけ発揮するということは先生と同じ
意見を持っておりますけれども、しかし片っ方では今申し上げたようないろいろな規制がありますし、公務員としてのいろいろな制約があるわけであります。
そういうことで、宇都宮先生とも長い時間、言え言えないということで、結局最後に宇都宮先生にも納得をいただけないまま終わってしまったわけでありますが、これは今回初めてこういう議論が始まったわけではありませんで、もう議会が始まってからずっとこういうことの議論が行われてきまして、議会なり
委員会と役所の間でいろいろと工夫を凝らして今日まで来ているものと思っておりますが、これからもなお一層そういう研究を重ねて国政
調査権の方でも満足のできるようなそういう
体制が、両方の面目が保たれる、
立場が保たれるというようなことになれば幸いなんではないかなと思っております。