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1993-03-10 第126回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年三月十日(水曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月九日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     木庭健太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 井上  裕君                 石川  弘君                 上杉 光弘君                 柳川 覺治君                 角田 義一君                 村沢  牧君                 山本 正和君                 白浜 一良君                 寺崎 昭久君     委 員                 井上 章平君                 石井 道子君                 岩崎 純三君                大河原太一郎君                 大島 慶久君                 下稲葉耕吉君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 林田悠紀夫君                 星野 朋市君                 前田 勲男君                 松浦 孝治君                 穐山  篤君                 翫  正敏君                 及川 一夫君                 久保田真苗君                 櫻井 規順君                 清水 澄子君                 種田  誠君                 堂本 暁子君                 肥田美代子君                 三重野栄子君                 山口 哲夫君                 猪熊 重二君                 木庭健太郎君                 広中和歌子君                 長谷川 清君                 上田耕一郎君                 吉岡 吉典君                 磯村  修君                 乾  晴美君                 島袋 宗康君                 武田邦太郎君    国務大臣        内閣総理大臣   宮澤 喜一君        法 務 大 臣  後藤田正晴君        外 務 大 臣  渡辺美智雄君        大 蔵 大 臣  林  義郎君        文 部 大 臣  森山 眞弓君        厚 生 大 臣  丹羽 雄哉君        農林水産大臣   田名部匡省君        通商産業大臣   森  喜朗君        運 輸 大 臣  越智 伊平君        郵 政 大 臣  小泉純一郎君        労 働 大 臣  村上 正邦君        建 設 大 臣  中村喜四郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣          (国家公安委員        会委員長)    村田敬次郎君        国 務 大 臣          (内閣官房長官) 河野 洋平君        国 務 大 臣          (総務庁長官)  鹿野 道彦君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)              (沖縄開発庁長        官)       北  修二君        国 務 大 臣          (防衛庁長官)  中山 利生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長          官)       船田  元君        国 務 大 臣        (科学技術庁長          官)       中島  衛君        国 務 大 臣          (環境庁長官)  林  大幹君        国 務 大 臣          (国土庁長官)  井上  孝君    政府委員        内閣法制局長官  大出 峻郎君        内閣法制局第一          部長       津野  修君        公正取引委員会          委員会      小粥 正巳君        公正取引委員会          事務局審査部長  糸田 省吾君        警察庁刑事局保          安部長      中田 恒夫君        総務庁長官官房          長        八木 俊道君        総務庁行政管理          局長       増島 俊之君        総務庁行政監察          局長       田中 一昭君        防衛庁参事官   高島 有終君        防衛庁参事官   三井 康有君        防衛庁参事官   太田 眞弘君        防衛庁長官官房          長        村田 直昭君        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛庁教育訓練          局長       諸冨 増夫君        防衛庁経理局長  宝珠山 昇君        防衛庁装備局長  中田 哲雄君        防衛施設庁総務          部長       竹下  昭君        防衛施設庁施設        部長       江間 清二君        防衛施設庁労務          部長       荻野 貴一君        経済企画庁調整          局長       長瀬 要石君        経済企画庁国民          生活局長     加藤  雅君        経済企画庁総合          計画局長     田中 章介君        経済企画庁調査          局長       土志田征一君        科学技術庁科学          技術政策局長   長田 英機君        科学術庁原子        力局長      石田 寛人君        科学技術原子           力安全局長    佐竹 宏文君        環境庁長官官房          長        森  仁美君        環境長官官房           会計課長     小沢 通成君        国土庁長官官房        長        藤原 和人君        国土庁官官房        会計課長     藤田  修君        国土庁計画・調        整局長      糠谷 真平君        国土庁土地局長  鎭西 迪雄君        国土庁大都市圏        整備局長     内藤  勲君        法務大臣官房会        計課長      永井 紀昭君        法務省民事局長  清水  湛君        法務省刑事局長  濱  邦久君        外務大臣官房審        議官       津守  滋君        外務省アジア局        長        池田  維君        外務省北米局長  佐藤 行雄君        外務省欧亜局長  野村 一成君        外務省経済局長  小倉 和夫君        外務省経済局次        長        林   暘君        外務省経済協力        局長       川上 隆朗君        外務省条約局長  丹波  實君        外務省国際連合        局長       澁谷 治彦君        大蔵大臣官房会        計課長      中川 隆進君        大蔵大臣官房審        議官            兼内閣審議官   永田 俊一君        大蔵省主計局長  斎藤 次郎君        大蔵省主税局長  濱本 英輔君        大蔵省理財局長  藤井  威君        大蔵省証券局長  小川  是君        大蔵省銀行局長  寺村 信行君        大蔵省国際金融        局長       中平 幸典君        国税庁次長    瀧川 哲男君        文部大臣官房長  吉田  茂君        文部大臣官房会        計課長      佐々木正峰君        文部省初等中等        教育局長     野崎  弘君        文部省高等教育        局長       遠山 敦子君        厚生大臣官房総        務審議官     瀬田 公和君        厚生省健康政策        局長       寺松  尚君        厚生省保健医療        局長       谷  修一君        厚生省薬務局長  岡光 序治君        厚生省保険局長  古川貞二郎君        厚生省年金局長  山口 剛彦君        農林水産大臣官        房長       上野 博史君        農林水産大臣官        房予算課長    堤  英隆君        農林水産省経済        局長       眞鍋 武紀君        林野庁長官    馬場久萬男君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        細川  恒君        通商産業大臣官        房審議官     清川 佑二君        通商産業省通商        政策局長     岡松壯三郎君        通商産業省貿易        局長       渡辺  修君        通商産業省産業        政策局長     熊野 英昭君        通商産業省機械        情報産業局長   坂本 吉弘君        資源エネルギー        庁長官      黒田 直樹君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        末広 恵雄君        資源エネルギー        庁石油部長    林  康夫君        中小企業庁長官  関   收君        運輸大臣官房会        計課長      楠木 行雄君        運輸省運輸政策        局次長           兼内閣審議官   和田 義文君        運輸省鉄道局長  秦野  裕君        運輸省自動車交        道局長      土坂 泰敏君        郵政大臣官房長 五十嵐三津雄君        郵政大臣官房財        務部長      新井 忠之君        郵政省貯金局長  山口 憲美君        労働大臣官房長  七瀬 時雄君        労働省労政局長  若林 之矩君        学省労働基準   石岡慎太郎君        労働省婦人局長  松原 亘子君        労働省職業安定        局長       齋藤 邦彦君        建設大臣官房長  望月 薫雄君        建設大臣官房会        計課長      木下 博夫君        建設省建設経済        局長       伴   襄君        建設省道路局長  藤井 治芳君        建設省住宅局長  三井 康壽君        自治大臣官房長  吉田 弘正君        自治大臣官房審        議官            兼内閣審議官   小川 徳治君        自治省行政局選        挙部長      佐野 徹治君        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  滝   実君    事務局側        常任委員会専門        員        宮下 忠安君    参考人        日本銀行総裁  吉本  宏君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成五年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成五年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成五年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付)     ―――――――――――――
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成五年度総予算三案の審査のため、本日の委員会に、日本銀行総裁吉本宏君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 平成五年度一般会計予算平成五年度特別会計予算平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、総括質疑を行います。穐山篤君。
  5. 穐山篤

    穐山篤君 最初、政治姿勢の問題について伺います。  きのう、この場におきまして金丸議員に関する質疑が行われました。十分状況はきのうのところは明らかになりました。一晩たちますとまた新しい問題が出てまいりました。巨額な現金が発覚をした、あるいは金の延べ棒が出てきた。国民は非常に驚いている。  総理、この事態をどう考えますか、まずお伺いします。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 検察、国税当局から所得税法違反の容疑をもって捜査が行われたということ、逮捕に至ったということは極めて遺憾なことであります。関係当局が十分に厳正に事態解明をするであろうということを信頼いたしております。
  7. 穐山篤

    穐山篤君 今のところはとりあえず東京にかかわっている諸問題でありますね。これ以外に、山梨県内金丸議員の地元の資産なりあるいは現金というものが当然あります。それから海外にも同様のものがあって、いずれはこれはお調べになることだろうと思うんです。この一連の状況を見 てみますと、新しい問題がさらに出てくるものと思うわけです。  そこで、この経緯をよく考えてみると、党利党略はもちろんですが、派利派略私利私欲、全部をまとめて金丸議員がこの道をひたすら歩いていたことになるわけです。国民の目から見れば、国会議員は全部そういうものかという疑いを持たれる。いや、もっと縮めて言えば、自民党側の各派閥の領袖は少なくともそういう疑いを持って見られていると思うんです。こう考えてみますと、断じて許せない問題だというふうに思います。  総理は今、取り調べの状況を静観をしたいと言っているんですが、今の国民政治に対する不信を非常に持っているわけですが、それではそれを解消することは不可能だと思うんです。改めて決意と、あるいは具体的な実行の考え方があれば伺っておきたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 司直を信頼して、厳正な解明をするということが何よりも大切なことと思います。さらにさかのぼって考えるならば、政治家倫理の問題、あるいはその倫理が十分担保されますような制度上の問題等々、いわゆる政治改革の問題は、過ぐる国会におきまして緊急改革をさせていただきましたが、この国会におきましてさらに資金関係を初めとする諸問題についての抜本改正をぜひ法律として成立をさせていただきたい、それによりまして政治改革の抜本的な実を上げなければならないと思っております。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 いずれ集中的に審議はされると思います。しかし、選挙法改正だけで済まそうと思いますのは、これはもう間違いてあることは当然です。政治改革の第一は倫理の問題、腐敗防止の問題から入るべきだ、こういうことを強く主張しておきます。  次に、具体的な日米関係について伺います。  総理は来月訪米をされるようでありますが、その際、当然念頭に置かなければならない問題が数々あると思いますが、総理はどういう認識をお持ちでしょうか。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 両国都合がつきまして国会のお許しをいただけるならば、四月のある時点で訪米をいたしたいという希望を持っております。と申しますのは、新大統領が誕生されましたので、日米間の問題あるいは日米両国が共同して果たさなければならない世界に対する責任、あるいはなさなければならないいろいろな具体的な貢献、また場合によりましてはサミットが東京で行われますのでそれに関する問題等々、御相談をいたしてみたい、そういう考えを持っております。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 その点について、外務大臣として所管範囲で、どういうことを念頭に置きながら日米関係を保っていきたいと、その点についての外務大臣の御意見を伺っておきたいと思うんです。
  12. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) この間私が訪米をいたしまして新政権指導者と会談をいたしましたのは、本来、総理大臣訪米すべきところでございますが、国会都合等で来られません。いずれにいたしましても、その露払いといいますか、そういう意味で私が訪米をしました。  そして問題は、あそこは政権がかわると、本当に自民党政権から社会党政権になったぐらい、あるいはそれ以上かもしれませんな。自民党から社会党政権がかわっても役所の局長部長がみんな首になるということはありませんでしょう。しかし、向こうの場合は局長から部長ぐらいまではだれもいなくなっちゃうわけですから。だから全く、革命じゃありませんが、がらっとかわっちゃう、人脈が。  そういうようなこともありまして、我々は十二年間共和党政権とつき合ってきたんだけれども、今後民主党政権とつき合っていくことになる。ついては、日米関係というものは安保条約によって非常に長い間結ばれてきておる国柄でありまして、これをどういうふうに見ているのか。我々はこうこうこういう考えであるけれども、新大統領はどういうお考えかということをまず確認しなければなりません。これについては全く意見が一致しておるわけであります。ということになりますと、やはり世界の平和と安定のために、また繁栄のためにも、日米両国は相提携をして今後も進まなければならない。  やり方につきましてはいろいろこれはございましょうし、個々の問題になりますと意見の違いもございます。しかしながら、大同小異でありまして、やはり細かい点でみんな一致するはずがないわけだから、それはそれとしてお互いに認め合うべきものは認め合っていかなければうまくいくはずがないんですから、尊重し合うものは尊重し合うということで、しかしながら大きな点では同一的な行動をとっていきたいというようなことなど、大きな道筋について話をしてきた。  大臣考えはどうだといえば、今、私が言ったように、日米関係は今後も今まで同様によく話し合いをしながらやっていかなければならぬ、そう思っております。ただ、新政権選挙中にいろいろ言っていることは、それはどの政党も同じで、全部一挙に実現できるかどうかは別としても、それは選挙中に言ったことと今後のことは別よというわけにはいきませんから、やはり厳しいことを対日関係に言っておりますので、それらについては対等のパートナーとして厳しい要求もそれはあるでしょう。それはそれなりにやはり今後腹を決めてこなしていかなきゃならぬ、そういう印象を受けて帰ってまいりました。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 通産大臣通産関係日米貿易では非常に深いかかわり合いを持っているんですが、所管範囲内で、どういうことが現在問題で、これから新たに紛争になるような可能性を持った問題は何かという点について明らかにしてもらいたいと思います。
  14. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 今、外務大臣から御答弁がございましたが、端的に申し上げて、例えばカンター通商代表あるいはブラウン商務長官は御就任にはなっておられますが、その後を支えておられますいわゆる政府の幹部といいましょうか、我が国でいえば局長クラスといいましょうか、そういう皆さんがまだ完全に全部そろっておられないわけでございまして、そういう意味でまだ対日政策あるいは通商政策貿易政策全体にどのような、具体的にどういう方向をとっていこうかということなどは明らかになっていない、私どもそういう見方をしておるわけでございます。  しかしながら、大統領周辺といいましょうか、あるいは議会におきましては、三〇一条の問題でございますとか、また新たないろんな問題を提起するなど、あるいは自動車に対するいわゆる関税の問題など、いろんな問題は出ておりますけれども、これは私どもの知る範囲におきまして、選挙がございまして、その選挙の際あるいは選挙後のそれぞれ支持された方々などの要望などがいろんな形で外に出ているというふうに私どもは見ております。  私どもとしては、日本アメリカ関係というのはまさに兄弟のような関係でございますから、アメリカアメリカ経済を活性化させていくということは、やはり日本協力体制があって初めてそれがなし得ることだと思います。同時にまた、日米が協調して初めて世界経済に対して貢献ができる。このように私どもは承知をいたしておりますから、そういう意味ではいろんなチャンネルを通じて、そしていろんな角度から円満に話し合っていくということが大事だと考えております。  今、さきに申し上げましたさまざまな問題が提起されておりますけれども、それに対しましては一方的な措置あるいは保護貿易的な措置をとられるということについては、私どもは恐らく政府はもっとやはり柔軟な考え方をなさるものであろうというふうに期待もいたしておりますし、また、先般フォーリー下院議長ども来日されました際、私は個人的にお目にかかりまして、できる限りそうした問題については冷静な対応をしてほしいということも申し上げておるところでございます。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣日米関係数字の上で すぐ明らかになりますのは貿易収支経常収支。それの解消をどうするかということが日米関係では重要ですね。最近数年の経常及び貿易収支状況について数字であらわしてもらいたい。
  16. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 穐山議員の御質問は、日米間の貿易収支その他の問題、こういうことでございますが、ちょっと私の手元に今、日本経常収支貿易収支全体の数字はございますが、アメリカとの関係数字は持っておりませんので、事務当局の方から答弁させます。
  17. 中平幸典

    政府委員中平幸典君) まず、我が国全体の国際収支から申し上げて、そして日米のことを申し上げたいと思います。  我が国国際収支全体といたしましては、昭和五十六年度に経常収支黒字に転じました後次第に黒字増加をいたしまして、昭和六十一年度には九百四十一億ドル、GNP比で四・四%というピークに達しまして、貿易黒字も一千十六億ドルに達したわけでございます。八〇年代前半の貿易収支経常収支黒字幅拡大は、振り返ってみますと、輸出数量が非常に大きく伸びたということが主たる要因でございました。  その後プラザ合意というのが昭和六十年にございまして、それ以後の円高進展製品輸入拡大現地生産化進展など輸出入構造に変化が生じましたことや、投資用金輸入でございますとか乗用車、美術品等高級品輸入増加をするといったようなことで黒字は減少いたしまして、平成二年度には経常黒字は三百三十七億ドル、これはGNP比で一・一%でございますけれども貿易黒字も六百九十九億ドルというところまで縮小いたしました。  その後、最近になりまして再び黒字拡大をしておりまして、平成三年度に経常黒字は九百二億ドル、貿易黒字は一千百三十七億ドルとなっております。またさらに、これは暦年ベースでございますけれども、昨年、平成四暦年には、経常黒字は千百七十六億ドル、貿易黒字は千三百二十六億ドルというふうになっておりますが、これは従来の投資用金ですとか高級品輸入といったようなものの減少に加えまして、内外の経済動向による影響、それから円高進展をしておりまして、それに伴って一時的には輸出価格がドルベースでは上昇するというようなことが大きく影響しているわけでございます。  対米バランスにつきましては、一九八七年つまり昭和六十二年、これは通関ベースで申し上げますが、五百二十一億ドルの貿易黒字ということになりまして、それがだんだん減ってまいりまして、一九九〇年、九一年というところはそれぞれ三百八十億ドル、三百八十二億ドルということでございましたが、最近若干またふえまして、一九九二年、昨年でございますけれども、それでは四百三十六億ドルというふうに若干ふえておりますけれども、かつての一九八七年の五百二十一億ドルといったような水準からしますとかなり低いところにある、そういう状態でございます。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 当然アメリカは、アメリカの国内の再建策としては投資を拡大していかなければならないし、赤字を削減していかなきゃならぬ。そういう意味でいうと、この貿易収支あるいは経常収支というものが端的にあらわすわけですね。  さてそこで、この経常収支貿易黒字というものは国内のどこにたまっているのか。たまっていないとすれば当然還流をしているわけですね。どういう形でアメリカに還流をしているのか、具体的にお話を承りたいと思います。
  19. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 穐山委員の御質問にお答え申し上げますが、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、対外的な日本経常収支の大幅な黒字がございます。日米間の貿易収支の問題も若干減ったとはいえ黒字であるということでございます。私は二国間で貿易収支がどうだという話でなくて、日本世界に対して全体としての貿易収支、ないしは金の問題が今どこにたまっているかとおっしゃるならば、経常収支黒字の問題を議論すべきだろう、こう思うわけでございます。  しからばその金はどうなっているかといいますと、いわゆる広い意味での国際収支でいいますと、その勘定は原則としてはゼロになるのが当たり前である。そういたしますと、経常収支黒字になっていますから、そのほかの収支、いわゆる金融収支であるとか資本収支が赤字になっている。誤差、脱漏はあるかもしれませんけれども、そういった形になっています。  どういう形になっているかといいますと、現在のところでは今まで外国為替公認銀行等が金を借りておった、その借りておった金の返済が行われた、あるいはそのほか若干の今まで海外に対する資本投資、資本収支の赤字というものがあったわけでございまして、そういった形でもってバランスをしている、こういうふうな形になっていると御理解をいただければいいと思います。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 当然そういうことになると思います。短期の間にこの貿易黒字経常収支黒字を解消するというのは困難であるということはもう常識なんですね。  さてそこで、資金の還流の方法について通産大臣は、つい最近、いや五年間ぐらいかかって還流をしっかりやりたい、こういう話があったんですが、通産大臣大蔵大臣、もしそういう具体的な目標、具体的な政策があるならば明らかにしてもらいたい。
  21. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 今お話し申し上げましたようなことでございまして、いかにしてやるか、こういうふうなことはいろいろと考えていかなければならない問題でございます。  我が国といたしましては、開発途上国に対してさまざまなチャネルで資金のフローを確保しているということは日本の国際的貢献という観点から引き続き重要であろうかと思いますし、我が国としてふさわしい世界に対する資金協力のあり方につきまして、発展途上国のニーズなども考慮しつつ幅広く検討を今しているところでございます。
  22. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 今、委員から御指摘がございましたように、大幅な経常黒字を有しております我が国といたしましては、基本的には内需拡大あるいは輸入拡大輸入の促進に努めていくということが一番大事なことであるということは言うまでもございません。同時に、発展途上国等に対しまして、円滑な資金還流の促進を通じましてやはり国際貢献を果たしていくということが極めて重要だというふうに考えています。このため新たな資金還流策につきまして今事務方に検討をさせておるところでございまして、これはもちろん通産省だけではございませんので、それぞれ関係省庁においても検討が進んでいるところだろうというふうに思っております。  また、民間資金還流の促進を図るとの観点から、先般貿易保険法の一部を改正する法律案を国会に提出をさせていただきました。今後国会におきまして速やかに審議、可決されることを期待いたしたいと思っております。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 総理に伺いますが、貿易につきましては、政府が直接関与する部分もありますが、実際は民間がアメリカの民間との間に貿易をやるわけですね。貿易収支についてもそうですね。政府が旅行を奨励するにしてみても、実際に旅行するのは一人一人の日本人なんですよ。  そういう貿易収支問題は本来民間ベースの話なんですね。ところが、出るところに出ると国対国に変わってしまう。これを非常に私も、憂慮といいますか、問題意識を持っているわけです。国対国は貿易をやって黒字、赤字ならば解消の方法あるいは健全にする方法もあるわけですから、こういう問題について総理は長い間経済問題、貿易問題を勉強されているわけですから、どういうふうに認識をされているんですか。どうしたらよろしゅうございますか。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは確かに問題のポイントを突いておられるお尋ねであると思います。  沿革的に考えますと、国と国との貿易関係を円滑にするために、まず戦後最初に考えられましたことは関税率の引き下げということでございまし た。六〇年代のケネディ・ラウンド以来何回かラウンドがございましたが、これらは関税率というものをできるだけ引き下げて貿易の障害をなくそうということでございました。しかし、それだけでは十分ではないということで、関税以外の障壁についてもこれをできるだけ引き下げあるいは廃止しようではないかという動きが非関税と言われる御承知のような動きでございまして、これはただいまのウルグアイ・ラウンドにまで及んでおるところでございます。  それは国際的な動きでございますが、日米について申しますならば、そういう国際的な動きに加えて、いわゆる構造改善協議というのはこれは一種のやはり非関税障壁をなくそうという大きな意味でそういう努力の一つと言うことができると思いますが、日米両国にございますいろいろなその国特有の制度あるいは慣習等についてこれを改めることができるならば両国間の貿易がさらに自由になる、アメリカから申せば御指摘のように日本に対する輸出をふやすことができる、こういうことで十年に近い努力を両国間でいたしておるわけでございます。それらは御指摘のようにすべて国としてやれることでございまして、それは民間の貿易ができるだけ自由に行われるための障害を除去するという形でなされております。  それ以外に国としてできることと申せば、やはり経済政策の問題であろうかと存じます。それは両国のいわゆるマクロの経済政策の調整をするというふうにしばしば言われますが、例えば我が国の場合には内需をもっと振興することができないか。その内需の中には穐山委員の言われましたように旅行等々も広い意味で含みまして、内需を振興してもっと我が国輸入をふやすことができないかということ。あるいはアメリカにとりましては財政赤字を解消し、アメリカ自身の競争力をつけることによってもっと輸出力をふやすことができないか。そういったような両国間の政策上の努力というものがそれに加えてなされておるということが大体の問題の核心であろうかと思います。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 公正取引委員会が見えていると思いますが、当然日米摩擦がいろんな角度でありますが、どういう問題意識を持って日本国内では何を克服していかなければならないか、緊急的な課題と長期的な問題意識を明らかにしてもらいたい。
  26. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) お答え申し上げます。  日米経済摩擦に関連をいたしまして、私ども公正取引委員会所管しております独占禁止法の運用との関連で、当面の問題、それからやや長期的な問題、どのようなものがあるか、こういうお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、我が国経済力に見合った豊かな国民生活を実現する、それとともに我が国の市場を国際的により開かれたものとすることが大変重要な課題となっているわけでございます。  日米経済関係についての御議論がございましたけれどもアメリカの新政権の独占禁止法に関連する新しい政策スタンスは今のところはまだ具体的には明らかにされていないようでございますけれども、現在の日米間のただいま御議論がございました国際収支関係、この現状から申しますと、従来以上に我が国の市場を一層開放するように、こういう要請がアメリカの新政権におきましても当然強く意識されているということは間違いないだろうと思います。  私どもといたしましては、この問題には従来から取り組んできているわけでございますけれども、内外の事業者の公正かつ自由な競争を促進する、そのために独占禁止法の執行体制の強化あるいは運用の強化を図る、この課題が当面そしてまた中長期的にも一層重要になっているものと認識をしております。既に前政権のもとで両国政府間で行われておりました日米構造問題協議の最終報告書におきましても、御案内のとおり、公正かつ自由な競争を維持促進することは消費者の利益となるだけではなく外国企業を含めて日本の市場に新規に参入する機会を増大させる、こういう認識が明示されているところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、従来に引き続きまして、独占禁止法の違反行為が行われております場合にはこの排除に積極的に取り組んでいくということ、それから今後とも法の厳正な運用によりましていわゆるカルテルあるいは入札談合行為等の違反行為の摘発に努めまして、これによりまして消費者利益の確保、そして内外の事業者の公正かつ自由な競争の促進による我が国市場の一層の開放を心してまいりたい。これが当面の問題であり、また私どもが取り組んでおります中長期的な課題であると認識をしております。  具体的な取り組み方につきましてはまたお尋ねがございましたらお答え申し上げますが、とりあえず総論的にお答え申し上げます。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 ちょっと総理、急なお話で恐縮です。  私、外務大臣に来ていただきまして最小限度のお答えをいただいたわけですが、健康上のことを考えますとむちゃなことは私どもはやってはならないというふうに思います。一カ月の長丁場の予算委員会審議です。外務大臣にかかわる諸問題の取り扱いについて、今御返事は要りません、午後からでも結構ですが、どうしたらいいのか政府考えていただきたい。よろしゅうございますか。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わかりました。
  29. 穐山篤

    穐山篤君 日米経済問題の具体的な問題は次にも質問をしますが、きょう日銀の副総裁においでをいただいております。  つい最近、日銀短観が発表になりました。私どもも含めて日銀の短観というのは非常に重視をしなければならぬと思います。時間の御都合もあろうと思いますが、主要な点あるいは特徴点をとりあえず御報告いただきたいと思います。
  30. 吉本宏

    参考人吉本宏君) 私どもが最近取りまとめました短観調査結果について御報告を申し上げたいと思います。  今回の短観調査結果は、一言で申しますと足元の厳しい景気調整の実態を示したものというふうに見ております。第一に、企業の業況判断でございますが、主要企業の製造業で見ますと、前回の調査は三角の四四ということだったんですが、今回はこれが三角の四九ということで悪化をしております。これはいわゆるDI調査でありまして、具体的に申し上げますと、主要企業六百八十八社について、その中でよいと回答したのは五%、さほどよくないと回答したのは四一%、悪いと回答したのが五四%、この五四から五を引いたのが四九と、こういうことに相なるわけであります。かなり厳しい数字でございます。  その背景といたしまして、今年度の売り上げ、収益とも、前回調査に比べまして下振れをしております。また、企業の在庫過剰感も横ばいの状態でございます。また、設備投資は四年度実績見込みが下方修正されたほか、五年度計画も引き続きかなり慎重なものになっております。第五点といたしまして雇用面の指標でございますが、主要企業の人員過剰感が若干強まるとかあるいは中小企業の人手不足感が後退するということで、これも緩和方向へ一の動きが見られるのであります。  こうした反面、先行きにつきましては、企業がこれは若干期待感も込めているかと思いますが明るい材料も見受けられるのであります。例えば製造業の業況判断でありますけれども、在庫調整の進捗やあるいは公共事業の波及効果増大を期待いたしまして、年央にかけて業況判断も幾分改善するということであります。また、五年度の売り上げ、収益計画につきましても、上期は総じてなお停滞基調にございますけれども、下期には民間需要持ち直しへの期待もございまして、若干改善が見込まれておる、こういう状況でございます。  総じて申し上げますと、先ほど申し上げましたように、私どもとしては景気調整局面の厳しさを示したものというふうに考えております。
  31. 穐山篤

    穐山篤君 この数字を見ましても非常に力の弱い状況が明らかなんですね。  そこで、この短観の報告から新しい事態として考えなければなりませんのは、プラスの面では公 定歩合二・五%ということにしたのも一つの今後の課題でしょう。それから、数週間で相当円が上がりました。これもプラスマイナス要因として考えなければなりませんが、この日銀の短観にそれを加えますとどういう状況になるか、御意見を伺っておきたいと思うんです。
  32. 吉本宏

    参考人吉本宏君) ただいまのお尋ねでございますが、私どもはただいま御説明申し上げましたような景気の現況を踏まえまして、二月四日に公定歩合を〇・七五%引き下げまして、二・五%ということで、史上最低の水準まで引き下げを行ったわけであります。  円高につきましては、これはまだ為替相場の展開が今後どういうふうになるかということについて十分見きわめなければならないと思っておりますが、一口に申しますと、輸出採算の悪化という点から見ますと企業収益についてマイナスの影響を与えるわけでありますが、一方、輸入価格の下落あるいは原料コストの低下につながる面もございます。そういったことで、やや長い目で見れば円高というのはプラス要因とも見られると思っております。  それから、今後の施策というお尋ねでございますが、私どもとしては既に六次にわたる金利の引き下げをやっております。これが市場金利あるいは金融機関の貸出金利にかなり波及をいたしております。金利が下がってきております。そういった実情を当面見守りたいというのが私どもの現在の考え方でございます。  景気は現在そういうことで厳しい局面にあるわけでありますが、財政支出の効果等はむしろこれから出てくる。来年度の上期に向かって昨年度の総合対策の効果あるいは来年度予算が執行された場合の効果、そういったものが累積的に出てくると思いますし、金利引き下げの効果も十分出てくるというふうに見ておりますので、下期に向かってはむしろ景気は民需の拡大等も期待できるのではないか、このように考えております。
  33. 穐山篤

    穐山篤君 経企庁長官、今の日銀副総裁の発表されたもの、景気の見通しについてどういう御意見をお持ちでしょうか。
  34. 船田元

    国務大臣(船田元君) お答えいたしますが、今副総裁から御報告申し上げましたように、先般の三月八日の二月短観、確かに総じて厳しい調整局面に置かれております現在の我が国経済状況を率直に反映した結果だなというふうに感じております。しかし同時に、一方で、いわゆる先行きの六月の予測でございますが、これについては今後の回復の見通しを示す材料というのも若干ではありますけれども見受けられるという点が特徴的であろう、こう思っております。  私どもとしては、昨年八月の総合経済対策、それから今御審議をいただいている平成五年度の予算、それぞれの中において景気に十分に配慮した手だてというものを考えております。そして、この一-三月から特に総合経済対策は本格的にその効果が出てくるということでありますし、また、五年度予算も一日も早く成立させていただくということであれば、五年度前半にかけましては公共投資あるいは既に回復の動きが見られている住宅投資、そういったものが引っ張るような形で成長が見込まれますし、また、こういう中で個人消費、設備投資についても徐々にではありますけれども回復に向かっていく、こう考えております。そういう過程の中で企業の業況感というものも徐々に回復していくものと、こう考えております。  しかし、今回の景気の低迷は、やはり従来の在庫循環という原因だけではなくて、いわゆる資産デフレというものによる逆資産効果等の新たな要因もございます。ですから、私どもとしては、ここしばらく景気の状況を注目をいたしまして機動的に今後とも対応をしていく必要があるだろう、このように考えております。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 去年の春先に経企庁から発表をした景気の見通しというのは結局甘かったんですね。これは、不況の原因について循環的な不況という認識が非常に強過ぎた、構造的なバブルの崩壊というものを甘く見た、そういう意味数字が具体的にあらわしているわけです。  もう一度日銀副総裁にお伺いしますが、中小企業は数字では相当弱い、弱いといいますか非常に低下の数字になっていますが、これからの見通しはいかがでしょうか。
  36. 吉本宏

    参考人吉本宏君) 御指摘のとおり、先ほど主要企業について申し上げましたが、中小企業におきましても大体同じような傾向の数字が示されております。したがいまして、この業況感、あるいは売り上げ、収益、あるいは来年度にわたる設備投資、こういったものもかなり厳しく見ておる、このように私どもは理解をしております。  ただ、先ほど申し上げましたように、全体として景気が来年度に向かって財政支出をてこにする一つの展開を示し、さらに下期に向かって民需が復活する、こういうことになれば全体として景気が安定成長路線に乗り、中小企業にとっても十分今後の展望を期待し得るのではないか、このように考えておるところでございます。
  37. 穐山篤

    穐山篤君 経企庁長官、過去二十年の間に五回不況というものがありましたね。イザナギ後、第一次石油、第二次石油、円高、そして今回と。この数字を見ますと、今回の不況の回復というのは非常に足が長いというふうに数字上では見るわけです。  過去五回の経験から考えてみまして、どういうふうに分析をされますか。
  38. 船田元

    国務大臣(船田元君) お答えいたします。  確かに、今、穐山委員の御指摘のように、過去といいますか、戦後十回あるいは十一回景気循環ということがあったわけでございます。これは、自由主義経済といいますか市場経済をとっている限りはある程度やむを得ざることであろうというふうに思っていますが、そういう中で、私どもとしては景気の悪い時期というものをできるだけ短い期間に解消させる、あるいは景気が過熱ぎみというときにはそれをやや是正させる、こういうような政策というのが経済政策の基本ではないかというふうに考えております。  そこで、過去の例を今お挙げになりましたけれども、確かに今回はそういう過去の五回の例などと比べましてやっぱり原因の点で、先ほどもちょっと申し上げましたが、いわゆる在庫がたまり、そして生産が減少して、そして不況に入る。そして、いずれはその在庫がはげて、そしてまた生産が回復をする、そういう従来型の経済循環、そういう原因だけではなくて、今回はやはりバブルの発生から崩壊、そしてそのバブルの崩壊が資産デフレということを発生させ、そしてそれが個人の消費を冷ます逆資産効果を生じたりあるいは金融機関の貸し出し能力を弱めてしまう、こういうようなこともあって、景気の回復、普通循環的な要素のみであればそろそろという気持ちもあったわけでありますが、しかし新たな要因という部分が景気の回復の足を若干引っ張っているというふうには理解をしております。  しかし、先ほど申し上げたような景況感の将来予測、そして政府の政策、こういったものがきちんと実体経済に反映をするということであればそろそろ回復をしていくであろう、このような期待を持ちながら今注目をし見させていただいているという状況であります。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 この問題については後ほども伺いますが、今のお話によりますと、ことしの四-七のところで明るくなって下期で上向きになる、こういうお話でありますが、これはもう単純な公共投資でなくて総合的なものを全部加味して私は多分そういう上向きになるものと思いますが、その点は後ほど質問をしたいと思います。  大蔵大臣、次に財政問題について伺いますが、とりあえず特例公債九〇年度発行をやめるというのが実現をしましたね。第二、第三の財政再建の目標あるいは手段というものをまず第一にお伺いをしておきたいと思うんです。
  40. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 穐山議員の御質問にお答えを申し上げます。  今、先生から御指摘がありましたように、長年 の悲願でありました赤字公債の脱却を果たしました。今後におきましては、財政体質のいろんな改善を図りまして再び赤字公債の発行をしないようなことを第一に考えていかなければならない。これは当然でございますし、もう一つ申し上げますならば、財政の依然として巨大な赤字、巨大な国債を抱えております、百八十二兆円も抱えておりますから、これが増加しないような形のものを考えていかなければならない。こういった形で今政府の方としても中期財政計画ということを国会に御提出を申し上げ、頑張っておるところでございます。
  41. 穐山篤

    穐山篤君 第二段階というのは公債依存度を五%に下げる、こういうことなんですが、決算ベースで最近数年の一般会計と公債依存度、当初予算でなくて決算ベースでどういう割合になっているかということを明らかにしてもらいたい。
  42. 斎藤次郎

    政府委員(斎藤次郎君) いわば平成三年度までということでございますが、平成三年度の公債依存度は九・五%、二年度は一〇・六、元年度一〇・一、六十三年度一一・六、六十二年度一六・三というような推移になっておりまして、だんだんと依存度は下がっております。
  43. 穐山篤

    穐山篤君 私の計算でいきますと、依存度がそういう格好になっていない。これは数字のとり方の違いだろうと思いますが、公表されている数字からいいますと、平成二年当材予算で八・四が補正後一〇・五、以下それぞれ補正後非常に上がっておりますね。  あと二、三年で五%にするためには、来年も再来年も国債を発行しないという相当具体的な数字が出てこなければ五%にならないんです。その点、どう考えておりますか。
  44. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 先ほども御説明しましたように、努力目標を掲げてやっておりますけれども、財政でございますからそのときの経済情勢や財政状態に応じましてできるだけやっていかなければならないというのが今の私たちの考え方でございます。大変難しい時期でございますけれども、そういった目標を掲げておりますから、その目標に向かって一生懸命努力をしてまいる、一刻も早くその目的を達成したいというのが私たちの希望でございます。
  45. 穐山篤

    穐山篤君 五%にするためには税収を上げる、歳出を抑える、その具体的な数字が明らかにならなければ五%という話は信用できないんです。その点、いかがですか。
  46. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 今お話がございましたように、増税をするとかいうような話になりましても、この景気の悪いときに増税ができるかというような問題ももちろん委員の御指摘のようにございます。私は、そういった中でやはり一つの目標をつくってこれからやっていかなければならない、そういった苦しい大変厳しい状況に財政が置かれるというところの問題だろうと思っております。  いろんなことを考えまして、単に増税ではなくて、経費の節減を図るとかいろんな形をやり、しかも景気をよくしていって一般的な増収を図っていくというようなことを考えてやるのが今の財政に与えられたところの私は課題であろう、こう思ってせっかく努力をしているところでございます。
  47. 穐山篤

    穐山篤君 大蔵大臣、しばしば話に出ております隠れ借金ですね、やっぱり国民の皆さんに明らかにする必要がある。どういうもので幾ら、どういう関係でこうなっていますと、改めて内容を明らかにしてもらいたい。
  48. 林義郎

    国務大臣林義郎君) いわゆる隠れ借金と、こうお話がございましたけれども、別に隠しているわけでも何でもございません。この問題につきましては国会に対しましていろんな点で資料の御説明を申し上げ、また、これについてどうするかということにつきましては別途法律案をもちましてお願いをしておるところでございまして、詳細につきましては事務当局の方から数字その他を御説明させたいと思います。
  49. 斎藤次郎

    政府委員(斎藤次郎君) いわゆる隠れ公債と言われるものにつきましては、「今後処理を要する措置」ということで、予算委員会の資料として毎年御提出しておるわけでございます。一番大きいのは国鉄の清算事業団の長期債務というものでございまして、これが約二十六兆円あるわけでございます。その他で申し上げますと、過去、いわば歳出の削減措置ということで法律で定められているような措置としてやっておりますものでございまして、いずれも国会の御承認を得ているわけでございます。  具体的に申し上げますと、国民年金特別会計への国庫負担の繰り入れの平準化措置というものが五年度末累計で八千億余残高がございます。それから、あとは地方財政対策に伴うものというものがございまして、これが相当大きな額でございますが、かれこれ約八兆、正確に申しますと七兆九千九百九十億ぐらいございます。それからもう一つは、日本国有鉄道とか国鉄清算事業団から一般会計が承継しました債務の繰り延べということを去年の補正でお願いしておるわけですが、そういうものが二千八百二十七億ございます。  そのほか、今度お願いいたしております政管健保の繰り入れ特例措置千三百億というのがございますが、そういうものを含めまして政管健保に対する繰り入れ措置の残高が五千九百億余ございます。そのほか、政管健保のいわゆる棚上げ債務というのがございまして、これが約一兆五千億、こういうようなものが一応「今後処理を要する措置」ということで予算委員会への提出資料として整理いたしているものでございます。
  50. 穐山篤

    穐山篤君 この財政再建の中には当然今の隠れ借金の扱いも入れなければならないと思いますが、これは総理大蔵大臣、計画的に対応措置国民の前に明らかにする必要があると思う。私も関係しましたが、例えば清算事業団の赤字の問題、これをそのままにしておって最後国民に全部ツケが行くということになりますと、昭和六十一年の十一月の改革特別委員会の約束と変わってくると思います。その当時、宮澤さんは大蔵大臣だった。私も質問して十分に承知しています。そういう経緯からいってみても、これを真剣に解消するためにはどうしたらいいのか、とりおえず大蔵大臣、そして総理から伺っておきます。
  51. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 穐山議員の御質問にお答え申し上げます。  お話のありましたようないわゆる隠れ国債と言われているものでございますが、別に隠しているわけても何でもない、しかしながら特定されているところの債務でございまして、これはやはり真剣に考えてこの返済をやっていかなければならない。国鉄の二十六兆円というような債務がありまして、清算事業団が引き受けておる、こんな話でございますけれども、これをどうするか。国鉄の持っている土地を売却いたしましたり何かいろんなことを考えてやらなければならない。しかしながらまだその話のめどもついていない、そういった段階でどうするかという計画を出すわけにいきません。  しかしながら、私が思いますのに、先ほど局長から御説明しましたように、それぞれのものにつきましてはそれぞれの理由があってなっているわけでございます。そのときそのときの事情に応じましてどういうふうな形でやるかということは、単に政府が自分で勝手にやるわけじゃありませんので、恐らく国会に出しまして法律をもって、また一般の国民の御理解をいただけるような格好で処理をしていく、個々別々にやっていかなければならない。  もう一つ申し上げますならば、そういった問題を解決するときに、先ほど御説明しましたように、大変難しい財政状況にある。その財政状況の中でこうしたことをやっていかなければならないというので、今一律にこれからどうしようかこうしようかということはなかなかできない。個別具体的に私は解決をしていかなければならないものだというふうに考えております。
  52. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国鉄の問題につきましては、まさに穐山委員の仰せられましたように、 過去にもお尋ねがございました。当時国鉄としてはそれなりの資産を持っておりますから、その資産を処分することによって債務の解消に努めるということが考え方でございました。  今日でもそうでございますけれども、御承知のような事情から国鉄の持っております不動産を処分することが、最初の段階は土地の値上がりに火をつける、そういうことから予定のとおりのことができないことになりまして、その後は今度は逆に土地が下がってまいりましたので、当初どおりの歳入が得られるかどうかという問題を持っておるということで、これはただ考え方としては、債務は資産に見合ったものというふうに考えてまいったわけです。  ですから、これは一つ別のケースでございますが、後のいわゆるやりくりと申しますかどう申しますか、これは過去においては、昭和六十二、三年のころ税の自然増収が順調にございました段階において、かなり実は解消することができた、返すことができた部分でございますが、その後こういうことになりまして、また財政当局がいわば苦しいやりくりをしなければならないことになった。ですから私は、基本的にはやはり経済運営が正常になって、そして税収が上向いて、それによって処理をしていくというのが本当であると考えております。  そのやりくりでございますが、確かにこれは借金には違いございません。しかし、これを赤字国債のような処理をするということをせずに、何とか短期の処理をしていこうという気持ちの中には、機会があれば必ずこれは優先的に解消していこう、そういうやりくりの苦しさみたいなものがございまして、そういう意味国会には御報告しながらやりくりをさせていただいて、そしてできるだけ早くこれはやはり正常化しなければならない。借金は幾らしても、もうこれだけ何百兆ございますからというような態度ではやっぱりいけませんので、できるだけ早く処理できるものは早く処理をするという気持ちでおります。
  53. 穐山篤

    穐山篤君 景気対策といえば、すぐ財政の出動になりますね。公共工事が中心になる。しかし、今はそれだけでは十分でないという認識はきのうも議論されている。ほぼ政府も認められました。  そこで、各省庁全部に伺いますよ。一極集中排除、分散ということを念頭に置きながら、道路だとか空港、港湾の建設というものなどを除いて、公共的工事、幅の広いものを意識して、おれの省庁ではこういうものを中期的にこうやりたい。きのう文部大臣に対してコンピューターソフト関係の話が出ました。それも私は全面的に賛成です。  そういう意味で、一極集中排除を念頭に置きながら、さらに公共的な幅広い景気浮揚策について各省庁に全部、一つか二つ挙げてもらいたいときのう通告をしてありました。順番はどちらでも結構ですから、全部出してもらいたいと思います。
  54. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 穐山議員の御質問に対しお答えする前に、私から一般論を少し申し上げさせていただきたいと思っております。  今のいろんな問題がございますが、財政法四条で建設国債の発行は例外として認めると、こういう形になっております。  それで、そこで公共事業費ということでございますが、その公共事業費というものは、今まではやっぱり資産見合いのものである、そういったものであって、その資産によって国民全体に利益をもたらすということができるというような形のものになって、そうしたものは予算総則の中に書いてございまして、国会の議決を要する、これは財政法四条の中に書いてございますから、そういった形でのもので今までお願いをしておるところでございます。以上申し上げておきます。  ついでに申し上げますが、大蔵省関係であるということならば、いわゆる宿舎の関係あるいは庁舎の関係というものは、私はこの中には入るんだろうと、こう思っております。
  55. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) お答えをいたします。  先生御指摘をいただきましたように、東京一極集中は深刻な事態になってきております。東京、神奈川、千葉、埼玉、一都三県で人口が三千百八十万人。これは、わずか国土の面積の三・六%にこれだけの人間が住んでいるということでございますので、人口分散をするということは非常に緊急のテーマであると考えております。  建設省といたしましては、まず当面する問題といたしまして、下水道の整備、高規格道路の整備、こうしたことをやっていく。あるいは業務核都市の整備、これは国土庁と共管をする問題でございます。そして地方拠点都市を整備していく、このことも今実施中でございますので、これをさらに強力に推進していかなきゃならない、このように考えております。  また、これは建設省ということよりも国会とのお話し合いの中で決めなきゃなりませんが、政治経済、教育、文化、すべてが東京に集まっている現状の中で、国会移転という問題が国会の中でコンセンサスが得られるならば、ぜひそうした問題も長期的な課題として取り組んでいかなきゃならない、このように考えております。また、社会資本の整備を行ってまいりますと有効需要の創出にもつながってまいりますので、景気対策としてはとりあえずことしの予算を早期に成立をさせていただきたい。切れ目のない景気対策を建設省としては推進してまいりたいと、このように考えております。
  56. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 与野党の理事、委員長のお許しをいただいて十五分に少し退席をさせていただきますので、その前に私からお答えをさせていただきます。  当委員会総理もきめ細かく御答弁をなさっておられますように、今回のこの景気低迷の特色というのは幾つかございますが、我々通産省の立場で考えてみますと、どうしてもハイテク型産業あるいは自動車、家電というような日本経済を牽引していった、引っ張っていった産業がやはり大きな打撃を受けているということでございます。  もう一つは、資産価額の大幅な下落がございました。そのために、実体経済から見てどうも企業マインドが先行きに不安感を持っているということはございます。  もう一つは、消費者や今申し上げました企業がどうしても全般的な冷え込みというものを感じておりまして、先ほど日銀の副総裁からも御答弁ございましたように、それがどうも景気全体から見て、最終需要の約四分の三を占めております個人消費と設備投資の低迷によって非常に厳しい状況にある。したがって、日銀の短観によりましても、私ども通産省としましてはまだ産業界全体に非常に厳しい状況が続くだろう、こう見ておるわけでございます。  そういう意味で、私はきのうもここで新しい社会資本の整備ということを申し上げたちょっと言い出しっぺで恐縮でございますが、今建設大臣御答弁をなさいましたように、日本の国の社会資本はまだやらなきゃならぬことがたくさんございます。道路も河川も無尽蔵にあるとは思いますが、公共事業費のこの五年度の予算を見ましても、全体としては公共事業費七兆一千四百四十六億円でございますが、いわゆる公共事業関係としての多くは土木関係が占めておりますのが六兆九百九十八億円ございます。  したがいまして、その他の施設、つまり公立文教や国立病院や社会福祉、公務員宿舎のようなものを合わせまして一兆四百四十八億というふうになっておりますから、そういう面から見ますと、景気浮揚、先ほど前提として申し上げました最終需要が動いてくれるということから見ますと、私はやはり少しまだ懸念されるところがあるんではないかなということを実は心配いたすものでありますから、少し幅広く、今までの社会資本の整備にプラスをして、もう少しすそ野の広がりのある、産業界に波及効果のある、そうした公共事業というものは考えられないだろうか。つまり、いわゆる建設国債としての対象としてお考えいただくことができないだろうか。  もう少し簡単に言えば、建設国債の発行対象の 弾力化というものをぜひ考えてみる必要があるのではないか。そういう中に情報通信基盤や教育の情報化やあるいは行政の情報化などというものを、これはもちろん他省庁にまたがるものでございますが、ぜひお考えをいただいた新たなやはり公共事業というものを追加的に準備をしておく必要があるのではないか、このように私は申し上げておるところでございます。  通産省といたしまして、東京一極集中にどう取り組むのかということでございますが、これは従来からテクノポリス施策等あるいは産業再配置施策を講じてまいっておりますし、さらに近年の東京一極集中が産業業務機能の過度の集中に起因しているということから、いわゆる拠点都市法の中にございますが、産業業務施設の地方分散を強力に図っていきたいなどが通産省としては考えているところでございます。
  57. 穐山篤

    穐山篤君 途中で済みません。何か午後のテレビの放送のこともあるようですから、全部一つ一つ各省庁に、私のアイデアも言うつもりだったんですが、時間がございません。しかし、私の意味するところは、一例を申し上げます。  先日、私は、予算委員会で宮崎へ行ってきました。宮崎県です。降雨量は日本平均の三倍のところです。ハウス農業が非常に多いんです。で、若い人が土曜日、日曜日を休みたい、こう言っているわけです。そのためにどうするかというと、コンピューター農業というものが発明をされているわけです。ここでは単純な公共投資ではないんです。しかし、ビニールも使うしコンピューターも使う、いろんなものが全部そこには装置としてあるわけです。波及効果は非常に多いんです。  したがって、ノウハウなり技術なりあるいは材料なり、そして財政上の援助というものを加えるならば各省庁相当のことができるはずなんですね。そういうことを一々聞こうと思っていたんですが、時間がありませんので後刻また改めて質問をします。  そこで大蔵大臣、次に、財政再建の問題では、第二、第三の予算として特別会計、財政投融資があると私は認識しますが、どうですか。
  58. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 特別会計の問題は、まさに特別の会計でございまして、それぞれの会計が特別の目的を持って、あるいは事業を行うため特別に経理をする、こういう形でやっておるところでございます。  こうした運用につきましてもいろいろと考えていかなければなりませんが、私は今すぐにこれをどうするかこうするかという話は今はないんではないか。むしろいろんな点を、これから考えてやらなくてはならない点はあるだろうと思いますが、今すぐに私はどうだこうだということは特に考えておりません。
  59. 穐山篤

    穐山篤君 特別会計について言えば、昭和五十八年臨調から厳しい指摘を受けました。その後、ずっと十年間調べてみました。慢性的に不用額あるいは剰余金を出している特別会計があります。そうかと思いますと慢性的に赤字を出している特別会計がある。私どもが非常に心配をしておったことがそのまま現実に出ているわけです。手放しでいるわけにいかないと私は認識をするわけですが、いかがでしょう。
  60. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 御指摘のように、それぞれの特別会計におきましてはいろいろな問題を包蔵していることは事実でありますし、また先生御指摘のように臨調で御指摘のあったこともございます。特別会計はまさにそれぞれのところで生きてやっておるわけでございますから、やっているところの事業がうまくいかなくなるとか、事業で相当な金が出てくるとかあるいはやり方がどうだと、一つ一つの問題は常に考えていかなければならない、また見直しを図るべきものは図っていかなければならない、こういうふうに私は考えておるところでございます。
  61. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、総理、特別会計については五十八年に臨調から指摘をされて、事務的なことと政策的なことが指摘をされているんです。直っていないんですよ、何にも。時間の都合で一々全部特別会計を言いませんが、これはひどいものがある。したがって、これは抜本的に改正をいたしますというぐらいの決意を総理に示してもらわないとおさまらない財政状況にあるということを申し上げて、総理の認識を聞いておきたいと思います。
  62. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題についての問題意識は、穐山委員と同様に私どもも持っております。特別会計にはそれなりの意味があることはもうくどくど申し上げるまでもございませんけれども、しかしたくさんの特別会計ができますと、財政のいわば一覧性といいますか、そういうものが非常にわからなくなる。これは財政全体にとっては大きな問題でございますので、特別会計の設置については現在も簡単には認めないという態度をとってまいっております。  また、既存のものにつきましても、もう社会情勢の変化で任務を終わったと申すものにつきましてはやめてもらう、あるいは新しいものがどうしても必要な場合はスクラップ・アンド・ビルドをするというようなことで、どちらかといえば特別会計につきましては御指摘のように制限的にこれからも考えていくべきものと思います。
  63. 穐山篤

    穐山篤君 特別会計で言いますと、一番から四十九番まで番号が打ってあるわけですが、そのうち公団、事業団などについては予算書も出ていないんです。だから金が適正に、あるいは政策的に考えてどういう金が有効に使われているかも我々は審議のしょうがないんですよ。しかし膨大なお金が出ているわけです。時間がありませんから私は特別会計についての総ざらいをきちっと要請しておきたいと思います。  財政投融資についても同様なんですね、大蔵大臣。かつてつくったときは一般会計に対する割合は二〇%、しかしもう今や四〇%を超えているんですよ。全然性格が変わってきています。時間の都合で残念ながらそこの点を細かく審議ができないわけですが、資金運用部資金のあり方、財投の問題についても国会で議論にたえられるような制度に変えてもらいたいと要求しておきますが、いかがでしょうか。
  64. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 委員御指摘の問題、先ほどの特別会計の問題もそうでございますが、私たちも、これは総理から御答弁申し上げましたように、常に見直し、いろんな点を考えていかなければならない。財政の効率化というのは、一般会計だけじゃなくて特別会計の問題も当然でございますから、私どもはそれを常に考えてやるということが必要だと思います。  財政投融資につきましても、当初発足のときには国の財政との比較は一対四ぐらい、今や一対二ぐらいの形になっています。大変大きな金額になっておりまして、財政投融資などにつきましても国の方にいろんな形で資料等を御提出して御審議を賜るような形になっております。  ただ、財政投融資の規模がそれだけ大きくなりましたし、この問題は確実かつ有利な方法で運用するというのが私は基本だろう、こう思っております。  そうしたもので、有償で集めたもの、それに加えましていわゆる無償の、これは税金でありますけれども、税金と組み合わせを図りながらいろいろな政策需要をも果たしてきているということが事実でございますし、その政策需要を果たすというのはやっぱり社会情勢その他が変わってくれば当然にいろんな形で変わってくる。新しいものも出てくるし、また古くてやめなければならないものもあるわけでございますから、常にやはりその活用を図るとともに、そういった意味での見直しは従来からもやってきておるところでございますし、今後とも引き続き努めてまいらなければならない、こういうふうな問題だろうと考えておるところでございます。
  65. 穐山篤

    穐山篤君 一般会計で出動できない公共投資を全部財投にみんな節度なく持っていっているんです。ですから、そういう問題も含めて特別会計それから財投について国会審議にたえられるような、資料はもちろんですが、制度に変える。今の 大蔵大臣の答弁を信頼して次のときに具体的に議論をしていきたいと思うんです。  次に、防衛庁長官に伺います。  中期防の見直しについて、過日、内閣委員会では私どもお伺いをしましたが、国会ではきょうが初めてであろうと思いますので、具体的な中身及び特徴点について改めて伺いたいと思います。
  66. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 今般行われました中期防の修正は、同計画が策定をされました後の内外諸情勢の大きな変化を踏まえまして可能な限り早期にこの計画を修正しなくてはならないということで、中期防に定めてありますように三年後の修正を待たずに一年早めまして修正を行ったわけであります。  これは防衛計画の大綱あるいは中期防の基本的な考え方を踏まえながら、しかし情勢の変化を勘案いたしまして装備その他をスローダウンさせるという形で、経費的には正面事業を中心に抑制を図っていったわけでありまして、期間内の防衛関係費総額の限度を、平成二年度の価格でございますが、当初計画の二十二兆七千五百億円から二十二兆一千七百億円に減額をしたところでございます。  また、情勢の変化を踏まえまして、防衛力のあり方等につきましてもこの中期防の計画の期間内に見直しを行っていくという方針でございます。
  67. 穐山篤

    穐山篤君 今も説明がありましたが、この前提条件は国際情勢の変化あるいはアジア地域の情勢の変化が背景になっていると思うんですが、具体的にその点について明らかにしてもらいたい。
  68. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 大きな変化といたしましては、御承知のように、ソビエト連邦の崩壊、それに伴う東西冷戦の解消ということが非常に大きな画期的な変化であったと思いますし、その後もSTARTⅡ条約の締結等、平和に向けてのいろいろな大きな努力がなされている。そういうことで、総じて世界の情勢は平和と安定に向けて進んでいるという一つの見方がございます。  また、冷戦という東西二大超大国の重みという一つの抑止力というものがなくなりまして、それに伴って御承知のような旧ユーゴスラビアに見られますようないろいろな紛争、またその他の各地で行われております歴史的、民族的、宗教的その他いろいろな紛争が起き上がっていることも確かでございますし、またイラクのように地域における覇権をねらっている国もある。また、我が国の周辺でございますアジア・太平洋地域におきましても、依然として旧ソ連、現在のロシアが持っている大きな軍事力という存在も無視することはできませんし、朝鮮半島あるいは中国の動向、あるいはASEAN諸国その他の軍備拡張、あるいは地域間の国と国との間の複雑な組み合わせ、関係というものを考えていきますと、まだまだ不安定要素がたくさん残っている。  もう少し冷戦解消後のアジア・太平洋地域の安全保障関係、それぞれの国々のポスト冷戦の考え方というものがはっきりしてきてから、それをある程度中長期的にとらえることができるようになってから、次の大綱を修正、その他次の時代の防衛力、安全保障のあり方というものをやはり真剣に考えていかなくてはならないというふうに考えているところでございます。
  69. 穐山篤

    穐山篤君 昭和五十一年、三木内閣のときに決めました大綱ですね。これはもう超大国が対立をしている。核の抑制力である意味では抑えておった。そういう状況を見てハイレベルの専守防衛の計画が昭和五十一年に構想されたんですよ。ハイレベルの水準なんです。  本来ならば、これだけ情勢が変わったわけですから、もっともっと専守防衛という問題についてあるいは基盤的防衛という考え方について修正をする必要があるというふうに我々は考えるわけですが、その認識はいかがですか。
  70. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先生のお考えのような考え方もあるわけでありますが、防衛計画の大綱をつくりましてからかなりの年月がたっておりまして、その間における国際情勢の変化というのは確かに大きいものがあったわけであります。今、先生おっしゃいましたように、基盤的防衛力、我が国にある程度の最小限の防衛力というものを備えて日本国民の防衛に対するきちっとした決意というものを形の上であらわしておく。これで戦争をするとかそういうことではなくて、そういうことがやはり我が国の安全を守り、また周辺諸国の平和と安定にも大きな力があるんだという防衛大綱の考え方というものは今なお大きな意味を持っているのではないかと思っております。  先ほどお話し申し上げましたように、これから大きな変化、安定についての大きな変化があれば、またそれに対応していかなければなりませんけれども、現在持っているあるいは現在備えようとしている基盤的防衛力というのは、これからのアジア・太平洋地域の安定についても非常に重要な意義があるというふうに現在のところまだ考えている次第でございます。
  71. 穐山篤

    穐山篤君 中期防の見直しといえば、少なくとも最小限度陸海空の戦力ですね。人員それから装備の水準、それから練度、そしてそれぞれの師団、旅団の編成の問題、それから細かいようですが、演習場をどういうふうに縮小していくかという問題も全部その見直しの範囲に入れなければこれは見直しとは言えないと思う。一つ一つについて考え方を述べてもらいたい。
  72. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 昨年実施いたしました中期防衛力整備計画の見直し、これにつきましては、ただいま大臣からもお話しございましたように、基本的な考え方を示しております防衛計画の大綱、これを維持しつつ、その枠内でいわば防衛力整備のテンポを定めております中期計画、それの数量的なテンポの調整ということが基本的な考え方として実行されたわけでございます。  ただいま御指摘の人員、規模、装備のあり方、あるいは駐屯地のあり方等につきましては、それらを含めまして先ほどもちょっと大臣からもお話がありましたように、この中期防期間中、平成七年度までの間に実施すべきとされております防衛力のあり方検討という中で十分な検討をした上で結論を出させていただきたい、かように考えているところでございます。
  73. 穐山篤

    穐山篤君 安全保障会議の本部長総理大臣です。最高責任者ですが、今私が申し上げた一つ一つの問題についてどういう認識をお持ちでしょうか。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三木内閣の時代に防衛計画の大綱がつくられましたときは、私も多少関係いたしましたので事情を知っております。  その点では、いわゆる基盤的防衛力を整備するという、ただいま中山長官からお答えを申し上げましたような、つまり仮想敵ということではなくて、日本程度の経済力を持った国として最低限何を持っていなければならないかという思想で書かれておりますので、そのことが国際情勢の変化によって簡単に変わるものではないだろうという、そこは私は考え方としてそれでいいと思っております。  ただ、普通常識的に考えますと、あれから十六、七年たっておるばかりではなくて、世界の情勢はこれだけ変わったわけでございますから、この情勢の変わり方は願わくばこの方向へ流れていってほしい。それはまあ安心するわけにはいかないけれども、やっぱり変わっているということは、これは大事なことでございます。  そこで、中期防のことはこれでよろしい、これは中期防の見直しをいたしておりますから、できるだけの節約をこれはやるのはそれでよろしゅうございますが、中期防が済みました後、後のことをどう考えるかということになれば、それはやっぱり昭和五十一年に考えたことはもう一度、今の世界の情勢に照らしてもう一遍考えてみたらいいじゃないか。あるいは同じ結論になるかもしれませんけれども、そうかもしれないが、しかしこれだけ世界の情勢が変わりつつございますから、それは落ちついて時間をかけて考えてみればいい。同じ結論に仮になるかもしれないが、しかしやっぱりそれは情勢が変わっているんですから、そういう目で考えてみるということは私は大事だ、こ ういうふうに思っています。
  75. 穐山篤

    穐山篤君 時間の関係で、E2Cを日本が導入した背景、それからE2Cが今果たしている役割、これはどう認識し、評価をしておりますか。
  76. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 御承知のように、我が国の防衛というのは専守防衛、最小限度の防衛力で効果的な防衛の責務を果たさなくてはならないということがございまして、それにはやはり早期に情報を得る、そしてその最小の防衛力で適切に対処していくというのが考え方でございます。そういうことで、最初は陸上にあるレーダーで海上あるいは上空の警戒をして、しかもバッジシステムというようなものも導入をしてきたわけでありますが、その後の航空機の進歩等によりまして今お話がありましたE2Cというものを導入しまして、またレーダーでは届かない地域の情報を収集するということをやってきたわけでありまして、それはそれなりに私は大きな効果を上げていると。  しかし、御質問にはありませんでしたけれども、それだけではその後の例えば湾岸戦争などでごらんのようなミサイルであるとか航空機であるとかピンポイント爆撃であるとか、そういうような技術の発達がありまして、E2Cでもなおカバーができない範囲ができてきたわけであります。まさに総理がおっしゃるようなウサギの長い耳、まさに専守防衛的な装備ということでAWACSを導入して万全を図るということにした次第でございます。
  77. 穐山篤

    穐山篤君 国防会議設置法の責任者は、その当時、後藤田大臣。そのときの説明は、ミグ21が函館に不時着をしたことを含めて、専守防衛の立場からいえば、こういう国防会議を設置する、それから早期警戒機としてはE2Cが最高のものですという説明で国会予算を承認したわけです。  さて、AWACSが急にあらわれてきた具体的な理由は何でしょう。
  78. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) E2Cの導入のときの経緯につきまして、理由につきまして、若干補足してまず御説明を申し上げます。  これは、低空侵入ですと地上レーダーサイトが把握ができないということから、専ら低空侵入を捕捉するため、そこのカバーできるためという必要性からE2Cを導入したものでございます。その当時はまさに低空侵入を発見でき得るという要求性能といいましょうか、そういう必要性のみがありましたので、それに対応するに必要かつ十分なものとしてE2Cを導入することを決めたものでございます。  それに対しまして、その後航空技術の進歩がございまして、航空機の航続性能が非常に著しく高まった。長くなった。それからまたミサイルの航続距離が伸びたということがございまして、そうなりますと、これは一般的に洋上遠く離れたところからのスタンドオフ攻撃というものが可能になる。そういう事態に対しては早くからこちら側もそういう情報をキャッチしないといけない、そのためにはE2Cでは不十分であるということから、いわば世界的な国際的な航空軍事技術の向上に見合った、それに合わせたものとして必要だということからAWACSの導入をお願いしているところでございます。
  79. 穐山篤

    穐山篤君 かつてこの予算委員会で、矢田部議員からAWACSの問題について質問をしました。そのときの答弁は、AWACSのような足の長いものあるいは空中給油ができるような仕組みをつくったものは必要がないと、そういう御答弁であったわけです。これは議事録にちゃんと残っている。急に、三機か四機かわかりませんが、買うことになったもう少し背景があるはずなんですね。具体的に言ってください。
  80. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 具体的な事情というお話でございましたけれども、私が先ほど御答弁申し上げた航空軍事技術の向上に見合った対応をするということが一つと、それから各国とも、各国というほどでもございませんが、かなり多くの国においてそれに見合ったAWACSの導入を行っておるという事態がE2Cの導入当時と比べまして大きな変化である。そういう世界的な技術の変化、そしてそれに対する各国の対応ぶりに合わせて我が国もAWACSを必要とするようになった、こういうことでございます。
  81. 穐山篤

    穐山篤君 このAWACSと言われているもの、今持っているのはアメリカ、イギリス、フランス、サウジアラビアだけですよ。東南アジアで持っている国はないですよね。ごまかしをしてはいかぬと思うんです。時間ありませんから言うつもりはありませんが。  海部内閣のときにこれは売り込みに来たんです。その前までは日本政府は断っていた。そういういきさつの品物です。  さてそこで、このAWACS全部がアメリカでつくられて日本が購入するというものではないわけですね。胴体は日本で旅客用につくったものをアメリカに持っていって、全部窓をつぶして、しかるべき施設を全部これに搭載をする構造になっているんです。それに間違いありませんか。
  82. 中田哲雄

    政府委員中田哲雄君) 機体の一部につきましては、日本でボーイング767の一部といたしまして製作する部分がございます。汎用の旅客機として製作いたしまして、これをアメリカに持ってまいる、こういうことになるわけでございます。
  83. 穐山篤

    穐山篤君 私の指摘したとおりですね。汎用品を持っていって軍事機材に切りかえて日本が購入する。これは過去、汎用品の問題について国会の中でも随分議論になりました。軍の施設に転用されるものについては武器輸出三原則に抵触をする、そうやって皆さんの方は答弁をされた記憶をみんな持っているわけです。これはそれに該当しませんか。総理大臣、いかがです。
  84. 中田哲雄

    政府委員中田哲雄君) ある貨物が民生用途に使用されております場合には武器に該当しないというふうに承知をしておるわけでございまして、そのような貨物の輸出につきましては武器三原則には抵触しないというふうに考えております。
  85. 穐山篤

    穐山篤君 私は、意見が違うからけしからぬと対立をするわけじゃないです。ちゃんと今まで武器輸出三原則というものが議論をされ、経過も知っています。今回はAWACSに必ず改造されて日本が購入する軍用機なんですよ。そういうものを承知で日本が輸出を承認するわけですね。値段のことは別にしますけれども。  これは非常に重要な統一見解を必要とする問題です。私は、今の事務当局の説明では、これは今まで国会で決めてきました、あるいは政府が答弁をした武器輸出三原則に抵触をする、こう理解をします。いかがでしょう。(「政府の統一見解を出してもらいたい」「休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  86. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ちょっと静かにお願いします。
  87. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) お尋ねの件につきまして、後刻、政府といたしまして統一見解を出させていただきたいと思います。
  88. 穐山篤

    穐山篤君 この予算の中にはAWACSを購入するお金が入っているんです。それとの関係考えると、私はここで時間を残して、質問を全部残します。その間に、予算上の取り扱い、三原則、関連をする事項について全部まとめて勉強しておいてください。具体的に後刻質問します。  終わります。
  89. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 以上で穐山君の質疑は本日のところ終了いたしました。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ――――◇―――――    午後一時開会
  90. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成五年度一般会計予算平成五年度特別会計予算平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。木庭健太郎君。
  91. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党・国民会議を代表いたしまして、総括質問をやらせていただきたいと思います。  まず冒頭、総理に、金丸前副総裁の脱税問題が起きまして、そのさなかにNHKが世論調査をした結果が本日の朝報道されておりました。私も見ましたら、第一点は政治の満足度という問題で、不満と答える方が八一%、これは過去最高だそうでございます。もう一つは、内閣支持率二丁・六%、これも宮澤内閣始まってから二番目に低い数字だそうでございます。こういった数字をどう総理としてとらえられるか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  92. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 直接それは私聞きませんでしたけれども、民意の動向には十分謙虚に耳を傾けなければならないと思います。  やはり、政治についての国民疑いというものがかつてないほど深刻なものでございますし、また不況もなかなか簡単に直らないと。背景はいろいろあろうと思いますが、十分謙虚に耳を傾けなければならないと思います。
  93. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 やはり私は、金丸氏の脱税問題というのがある意味じゃ非常に大きな影響を与えたと思っております。  私たちから見れば、非常に想像を絶するような額の問題が出ているわけです。午前中も話があっておりましたけれども、金塊、株とか含めて五十億とか七十億とか、まさに国民からすれば想像を絶する話でございます。ある意味では国民にとってみれば、自民党の実力者というのは、一方では政治に金がかかって大変だ大変だと言いながら、その裏では一生懸命公私混同で蓄財をしているということをまさに裏づけたような結果になっているんじゃないかなと私は思えてならないわけです。  この問題に対する総理の見解というのをもう一回きちんと伺っておきたいと思います。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先日まで国会議員であられた方のことでございますので、余計に極めて遺憾なことだ、残念なことだと思っておりますが、捜査、調査はおのおのの関係当局が厳正にやっていくものと信頼をいたしております。
  95. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、私はちょっとそのお言葉では筋が違うと思うんです。  もし私たちの党で党内で最高実力者なりある程度の人がもしこういう問題を起こしたら、我が党はどうするか。まず一番最初にやらなくちゃいけないのは国民に対する陳謝ですよ。同じ仲間内からこういう問題を起こしまして国民の皆さんまことに申しわけありません、ぜひ一からきちんと出直して、政治と金の問題、党内において二度とこういうことが起こらないように一生懸命努力してまいります、これが党を代表する人の話じゃないんでしょうか。  一般の会社だって同じですよ。副総裁といえば、宮澤総裁、そして金丸総裁だったわけでしょう。その片方の方がそういう問題を起こしたならば、普通、企業でいえばトップの責任まで問われる問題じゃないんですか。私は、それくらい深刻な問題だと思っているんです。それについて総理から出てくる言葉は、残念だ、遺憾に思います。私は、そうじゃなくて、やはり国民に向かって、まず、申しわけありませんという言葉が必要じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 公の捜査が司直によって行われているわけでございますから、その結果を待つことが私は正しいだろうと思います。  ただ、昨日も山本委員からお尋ねがございましたときに、これは税金との関係でのお尋ねであったわけですけれども、やはり国会議員の一人として考えますと、こういうことは非常に申しわけないことだということは申し上げておりますけれども、公の立場で申しますならば、やはり捜査、調査が厳正に行われるということがただいま何よりも大事なことだと思います。
  97. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もちろん、捜査が厳正に行われることは大事でございます。  ただ、いつも私たち総理に一貫して、党の自浄能力というのは何でしょうかということを何回も何回も前国会からも言ってまいりました。もちろん捜査の結果は待つ必要もある。しかし、じゃ党内でこういうことが本当に全般広がっている問題なのかどうか。やっぱり党としても一つの反省というのが私は要ると思うんですけれども、その点はいかがですか。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 竹下議員の問題がございましたときに、ある段階において党といたしまして事情を御本人から直接お聞きをしたというようなことは、やはり党としての立場からいたしております。  金丸議員は、今、党員ではいらっしゃいませんけれども、党とは縁の深い方でございまして、捜査、調査の終了、あるいはしかるべき段階において必要があればどういうことであったか党としても当然高い関心は持っておることと思いますけれども、これはしかし、事態の推移をもう少し見てまいらなければならないと思います。
  99. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは検察当局に伺います。  既に逮捕されて以来さまざまな報道がなされております。国民にとってみれば、もうこの問題は、単に四億円とか二億円の脱税じゃなくて、既に七十億円のお金というような話も出てきております。検察当局に容疑の概要と今の捜査の進展について御説明をいただきたいと思います。
  100. 濱邦久

    政府委員(濱邦久君) お答えいたします。  まず、去る三月六日に所得税法違反の事件によりまして金丸議員及び生原元秘書を逮捕したわけでございますが、その逮捕事実の骨子をまず申し上げますると、金丸議員及び生原元秘書は、共謀の上、金丸議員昭和六十二年及び平成元年の雑所得につき、収入を除外して簿外資産を蓄積し、虚偽過少の確定申告を行うなどの手段によって所得税数億円を免れたというものでございます。このほかに生原元秘書につきましては、自己の昭和六十二年から平成三年の雑所得につき、収入を除外して簿外資産を蓄積し、虚偽過少の確定申告を行うなどの手段により所得税数億円を免れたというものでございます。  検察当局におきましては、特に逮捕事実中、昭和六十二年分の所得税の逋脱につきましては公訴時効が切迫していることもございまして、国税当局とも連絡をとりつつ、金丸議員らの取り調べ、押収した証拠書類等の分析検討、関係者からの事情聴取など真相解明のために必要な捜査を鋭意行っているところでございます。
  101. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今回、金丸氏が六十二年、平成元年の所得税の脱税で逮捕されているわけでございますけれども、時効になっている部分も含めて、これ以外に所得税法違反金丸氏が問われたものもあるんでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
  102. 濱邦久

    政府委員(濱邦久君) 法務当局の方で報告を受けておりますものは、先ほど申し上げた逮捕事実についての所得税法違反事件でございますけれども、現在捜査をいたしている段階でございますので、それ以上のことはここでお答えできる事柄はないわけでございます。
  103. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今この問題で一番国民の皆さんが関心を持っておるのは、割引金融債を買った原資というのが一体何だったろうかという問題でございます。これも今現在捜査中でございます。ただ、報道を見る限りは政治資金の流用という報道がほとんどでございます。  検察当局は、こういう報道に留意をしながら、原資についてどのような捜査をなさっているのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  104. 濱邦久

    政府委員(濱邦久君) お答えいたします。  いろいろな報道がなされていることはもちろん承知しておりますし、検察当局においても十分承知しておるところと思うわけでございますが、今、委員のお尋ねは要するに所得の原資に関することでございますので、これは当然検察当局において捜査を行うものと考えているわけでございます。
  105. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つぜひ検察にお伺いしておきたいのは、こんな七十億とか五十億という金 を何もないのに突然金丸さんに渡すはずはないという疑いをだれでも持つわけでございます。単に脱税だけの問題なのか。やっぱりそこには贈収賄、金丸氏の収賄ということはどうしても念頭に置かなければいけない、私はそう考えます。検察当局はこういう収賄罪の視点も含んだ上で捜査を進められるお考えなのかどうか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  106. 濱邦久

    政府委員(濱邦久君) お答えいたします。  これはもう改めて申し上げるまでもないことでございますけれども、検察当局におきましては、いかなる場合にも、どのような犯罪の嫌疑があるかどうか、犯罪の嫌疑があると思料いたします場合には厳正に捜査を行うわけでございます。したがいまして、今、委員お尋ねのいろんな犯罪をも含めまして、犯罪の嫌疑があると思料いたしますれば当然捜査を行うということでございます。
  107. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いつもこういうやりとりになるのでありますけれども、それでもやはり国民の関心というのは、確かに報道でそういうものは載っているにしても、一体本当に検察は今何をやっているのかなというのを実質こういうテレビの画面を見たりいろんなことで知りたいというのは、事実なんですよね。  法務大臣、よくわかっていながら腕を組んでいらっしゃるんだろうと私は思いますけれども、ある意味ではそういう、どこまでぎりぎり説明ができるのかということも私はぜひ検討していただきたいと思うんです。国民は検察に対する非常な不信感を一時持っていた。ところが、今回こういう問題に踏み込んでいただいた。非常にまた検察に対する期待も高まっている。その中でどれだけ、どんなことが行われているかという一部でも知りたいというような気持ちは間違いないと思っておるのであります。  検察当局は昨日の審議の中で、金丸氏が最初に渡邉元社長からもらった五億円についてだけは今回の問題と関係ないというふうに、その問題だけは明確に否定をされたように思いますが、しかし、この五億円についても所得税法違反でやっぱり調べているということであるならば、関連というのはどうなるのかという問題、疑問が残ります。なおかつ、このほかに渡邊元社長から金をもらっているんじゃないかなという疑惑はもともとございます、十億渡ったんじゃないかという話が最初からあったわけですから。この点についての見解を検察当局から求めたいと思います。
  108. 濱邦久

    政府委員(濱邦久君) お答えいたします。  これはもう委員十分御案内のとおり、金丸議員に渡されたとする五億円につきましてはいろんな告発がなされておりまして、その告発のうち、なお政治資金規正法上の収支報告書不記載罪、さらには所得税法違反の告発事件がございまして、これについてはなお現在捜査を東京地検において続けているところでございます。したがいまして、先ほどお答え申し上げました現在逮捕しております所得税法違反の事件をも並行して捜査を進めている段階でございます。  したがいまして、その捜査の中身については現段階でお答えすることはいたしかねるわけでございますけれども委員が御指摘になっておられることをも、これは十分検察当局として捜査する過程において厳正な捜査を行うものというふうに考えているわけでございます。
  109. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 どうせなかなかお答えにならないでしょうけれども、もう一つだけお聞きしておきたいと思います。こういう問題に関心を持っているかどうかという問題でございます。  それは何かというと、この日債銀になぜ金丸氏、生原氏が口座を開設したのか、だれの勧めによるのかという問題は、これは佐川事件とも絡みいろんな事件とも絡む重大な問題でございます。日債銀については我が党の草川議員が一生懸命調べた際に、非常に前総理竹下氏と関係が深いというようなことを調べてきた事実もございます。新聞報道によると小針氏の名前も出てきております。  検察当局にお伺いしておきたいのは、そういう口座開設の問題についても関心を持ちながら捜査をしていただけるのかどうかということを聞いておきたいと思います。
  110. 濱邦久

    政府委員(濱邦久君) お答えいたします。  委員のお尋ねは捜査の原資に関する事柄だと思うわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、所得税法違反の事件を捜査する場合には、一般的に申しましてその所得の原資等は厳正に捜査を行わなければ解明できない事柄でございますので、当然捜査を進めるものと考えているわけでございます。
  111. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 こういうやりとりをしてしまうと、さっきも申しましたけれども、やっぱり国民にとってはどうなんだろうなという思いにもなってしまう面もあると思います。 そこで、法務大臣に一つ聞いておきたいと思うんです。  この問題について検察は今一生懸命やっています。先ほど申したように、これでようやく検察もまた動き始めたなという期待感が高まっているのも事実でございます。また、佐川事件の問題もまだまだやらなくちゃいけないことがあると法務大臣は以前おっしゃっておりました。この政治と金という問題について、それを指揮すると言うとまた誤解が招かれますから、そうではなくて、法務大臣の立場として今後どう進めていく御決意なのか、これだけは国民の前にきちんとお話をしていただきたいと思うんです。
  112. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今回の金丸、生原両氏の所得税法違反容疑の捜査については、今捜査が始まったばかりでございますから、私は、検察当局としては刑事事件として厳正にこの処理をしておるものと、かように考えます。  大臣としましては、これは大変な遺憾な事件でございます。事件も、刑事事件として捜査当局が解明するのは、これは当たり前の話。しかしながら、私どもの立場としましては、こういった不祥事件がしょっちゅう繰り返されるということは、これはお互い、それぞれの政党にとり、またそれぞれの政治家にとっても私は大変なことだと思います。したがって、こういった事件の再発をないようにするのには一体お互いがどう考えたらいいんだろうか。いわゆる広い意味での政治の抜本改革、こういう問題につながっていかなければいけない課題ではないかなと、かように考えているわけでございます。
  113. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それではちょっと視点を変えまして、今回の問題では割引金融債の無記名制というのが脱税の温床になっているのではないかという問題が指摘をされているわけでございますけれども、これまで割引債の脱税事件というのはどれだけあったのか。件数、額、そういうものがわかっているならば明らかにしていただきたいと思います。
  114. 瀧川哲男

    政府委員(瀧川哲男君) 割引金融債を用いた脱税事件というのは、収入を除外するなどの不正手段によりまして得た資金を割債の購入に充ててこれを秘匿していたこと、こういったこととして理解させていただきます。  現状についてお答えしますと、まず件数でございますが、国税犯則取締法に基づきまして査保察、調査を行う平成元年度から三年度に検察官に告発した脱税事件、これは合計四百九十四件ございます。そのうち当該脱税資金が割引債ないしは利付債、実は私どもも割債と利付債の区分をして統計をとっておりませんので合計で申しわけないんですが、そういった形で留保されていたものの件数は合計百五件でございます。  次に、脱税資金が割債ないし利付債として留保されていたものの金額でございますけれども、元年度が八十七億円、二年度が五十四億円、三年度が六十九億円、合計二百十億円となっています。これは元年度から三年度の三年間の告発事件の脱漏所得二千二百十三億円の約一〇%を占めるという.ことになっております。
  115. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 やっぱりこれ、大蔵大臣、こういう匿名制というか無記名制というのが温床になっているんではないかと考えるんですけれど も、どうですか。
  116. 林義郎

    国務大臣林義郎君) お答え申し上げますが、無記名制というのは、割引債に限らずその他につきましても、利付金融債、国債、社債でも発行されているところでありますし、大体がそういったことになっている。こういうことでございますから、これは特に割引債で最初に源泉徴収する、こういうふうな形でもありますし、私はこれと今の問題とはちょっと違うんじゃないかな、こう思っておるところでございます。  ただ、いろんな点で御指摘ありますけれども、今のところ、私はこれを直したからどうだという話ではないんじゃないかなという感じを持っております。
  117. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 実はこれ、大蔵省さんは通達出されて、三千万以上の取引でしたか、これについては本人確認をして記録を保存するようにたしかなっていると思うんですけれども、今回の金丸氏の場合は記録は保存されておりましたか。どうでしょうか。
  118. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 今回のケースは個別の事案でございますし、現在、司法当局及び税務当局から捜査が進められている段階でございますので具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、この本人確認は、平成二年六月に当局から通達を出しまして、平成二年十月から金融機関におきまして新規の預金口座を開設する場合、あるいは保護預かりを行う場合、それから三千万以上の大口現金取引を行う際には本人確認を実施しようということにしたものでございまして、これは麻薬等の不正取引にかかわるマネーロンダリングを防止する観点から行われた措置でございます。これは割引金融債だけでなくて、すべての国債、あるいは社債預金取引でも三千万以上の現金取引にかかわりましては本人確認をするようにということを通達を出して、現在実施しているものでございます。
  119. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 個別事案ということで、その額まで言うとこれいろんな捜査上の問題が出てくると思うんですけれども、あったかなかったかということも言えないということでしょうか。
  120. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 個別ケースでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  121. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そこまでやられると少しどうなのかな。個別ケースの場合はどんなケースであってもすべて出せないという考え方ですか。
  122. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 金融機関とそれからその金融機関の取引先との具体的なケースにつきましては今まで国会の場で、個別問題でございますので、私どもは職務上知り得たことでも御説明をしたケースはございません。
  123. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 こういうやりとりになるんでしょうけれども、捜査に直接影響がある、また個人のプライバシーが非常に傷つく、いろんな問題があると思います。その辺もぜひ今後私たちは検討させていただきたい問題だなと思います。  ところで、金丸氏は第三次中曽根内閣で副総理でありまして、六十一年八月当時、閣僚の資産公開をしておられます。そのときの金丸氏の個人資産は幾らだったか明らかにしていただきたいと思います。
  124. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) お尋ねの金丸氏が閣内にいた昭和六十一年当時に公開された金丸氏の資産によりますと、これは六十一年七月の第三次中曽根内閣発足時における金丸氏の資産公開によるわけですが、土地及び建物で二千八百六十六万円、預貯金で二千二百万円、有価証券で額面価格で七千七百五万円、その他ゴルフ会員権、自動車等となっております。
  125. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今のを大体合わせると一億二千七百万ぐらいだったと思います。  ところで、お聞きしたいのは、閣僚の資産公開の対象である有価証券というのがございますが、これには今回問題になった割引金融債、これは含まれておるんでしょうか。
  126. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 割引債につきましては、資産公開制度、これは昭和五十八年十二月にスタートをしたわけでございますが、発足時より有価証券の一部として資産公開の対象として含まれているということになっております。
  127. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、先ほどのを詳しく見ますと、金丸氏が資産を投入して購入をされたとするワリシンというのは資産公開のどこにも見当たらないわけですね。これは結局、虚偽の資産公開をしたというふうに、捜査段階だということもございますけれども、そうとらえてよろしいんでしょうか。
  128. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 先ほど申し上げました中曽根内閣当時、すなわち昭和六十一年当時に金丸氏が割引債を所有していたかどうかは定かではございませんから、現在は何とも申し上げようがございません。
  129. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それはぜひ捜査の進展に従ってきちんと調べていただきたいと思う。私たちは、これは当然あるものだと思っておりますけれども。  ここでちょっとお聞きしておきたいのは、仮定の話だから答えられないとおっしゃるかもしれませんけれども、やっぱり聞いておきたいのは、これは閣議了解で資産公開を決められた、これがもし虚偽であった場合は内閣としての責任というのはどういうふうに考えればよろしいんでしょうか。
  130. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 閣僚の資産公開は、閣僚の申し合わせによって資産を公表しているものでございます。それぞれの閣僚が御自身のお気持ちにおいて御自身の行政の長としての責任を明らかにするという点で公表をしているものでございまして、私はこの公表に間違いがあるとは思っておりません。
  131. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 あった場合は、これから進めていく上でもしあった場合またお聞きしますけれども、やはり私は道義的責任はどうしても残ると思う。  また、もう一つこの際お聞きしておきたいのは、今回の宮澤内閣の資産公開というのを見させていただきました。見させていただくと、その中で割引金融債という言葉は私が見落としたのかもしれませんけれども、閣僚全員の方たちを見たんですけれども、割引金融債という言葉は一言も出てこないんですね。ということは、本当に皆さん持っていらっしゃらないのかどうか。それをきちんと国民の前に、何か閣僚ぐらいになればみんなこんなものはいっぱい持っているんじゃないかと思っていらっしゃる国民はいっぱいいらっしゃると思いますよ。その意味でも官房長官、まとめて、持っていらっしゃる方が本当にだれもいないのか、持っていらっしゃる方がいらっしゃるならどれくらい持っていらっしゃって、もちろん申告はされていると思いますけれども、その辺を含めてきちんと御説明をいただきたいと思います。
  132. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 委員御指摘のように、閣僚は資産を公開いたしておりますから、資産公開の表の上に割引金融債という欄がございますからそこをお調べをいただけば直ちに一目瞭然でございますが、念のため私から各大臣に確認をいたしましたが、この宮澤内閣において割引金融債を所有している閣僚は一人もおりません。
  133. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういうきちんと今お調べいただいたわけですから、それはそれできちんと受けとめておきます。今後まさかそういうことにならないように。ないとおっしゃっているわけですから、確信をしておきたいと思います。  私が今回のこの金丸氏の脱税問題を極めて重要視しているもう一つの面は、佐川の事件との関係でございます。金丸氏は、衆議院の臨床尋問でしたか、そこで佐川から五億円以外にもらったものはないのかという尋問に対して、「一文もない。」というふうに証言をされているわけです。今後の捜査の中でもしそういう問題が出てくれば、まさにこれは偽証の疑いが出てくるという問題が一点ございます。  もう一つは、生原氏の問題でございます。生原氏は、衆議院予算委員会の証人尋問で、これは金丸氏との個人の金銭関係を問われたときに何と おっしゃっているかというと、「私は、政治資金の管理運営、政治団体の方の責任は私がいたしておる認識でございます。」、ただ「個人と申しますと、言うなればそれは家庭生活も含めてということでございましょうから、それは私は関与いたしません。」というふうにおっしゃっているわけです。この問題も今後この捜査によって偽証なのかどうかという極めて大事な問題にも絡んでくるというようなこともあるということを指摘させていただきたいと思うのです。  そういう話はまた別といたしまして、この問題で総理にもう一つ最後にお伺いしたいのは、先ほど法務大臣から今後やっていかなくちゃいけないのは抜本改革だというお話がございました。まさに今回の金丸さんの脱税事件というのは、政治資金規正法のずさんさですかね、やっぱり政治倫理をどう確立するかというそういう問題がまさに浮き彫りになったと私は思っております、今回の事件は。ですからこそ、政治資金の抜本改正というのに本当に総理が先頭に立ってやっていただくという決意が、こういう事件が起きたからこそなおのこと決意したというような気持ちが本当におありになるのかどうか、総理に今後どうお取り組みになるかの考えを聞いておきたいと思います。
  134. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ほぼ三月の末までには自民党としての案をまとめまして国会に御提出いたしたいと思っております。各党もあるいは案をお出しになるかと思いますが、どうぞ速やかに御審議の上、この国会において成立いたしますようにお願いをいたしたいと思っております。
  135. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ところで、話を変えまして、衆議院の予算委員会で我が党の市川書記長から総理に対しまして、竹下元首相から自民党として事情を聞いた際の役員会の議事録はあったのかというお尋ねがあったと思います。それに対して総理は、あったかどうか確認をしてみたいという答弁をなさっていたと記憶しております。  今お伺いします。議事録はあったんでしょうか。あったならばぜひ公開をしていただきたいと思います。
  136. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 議事録はございませんでした。ただ、当時の竹下議員との問答を党の副幹事長が克明に記録をいたしまして、それを記者会見において新聞に発表いたしております。
  137. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 どうしてもだからその辺が、総理はおっしゃっていましたね、自民党もれっきとした公党だと。記者会見をするときはきちんと内容を精査してやるんだとはおっしゃっているんですけれども、やっぱりこういう問題をやるときというのは本当にどういうやりとりがあったのかというものを残しておくのが当然であり、ある意味ではそれがないということに対しては私たちは非常に不信感を持たざるを得ない面も正直ございます。  ただ、そんなことを言ってもしょうがないので、総理にお願いをしたいのは、竹下元首相に関しましては平和相互銀行事件に関する問題でも名前が登場しております。新たな疑惑が出ているとも私は思っております。そして、今回の金丸氏の問題がございました。こういう国民政治不信とか怒りに対して、自民党として今後どうお取り組みになるのかをはっきり聞かせていただきたいと思います。
  138. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 自民党といたしましては、党員に党規に反するといったような疑いのある事案がございましたときには、党の立場におきまして、その事実を調査いたしております。
  139. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 確かに調査されている。今後もそういう方向で、先ほども御答弁ありましたけれども、個々具体的、もしこの捜査が進んでいってまたある一定段階になったら、やらざるを得ないならばきちんとお取り組みになるということですか。今後もきちんとそういう問題について取り組んでいかれるということでしょうか。
  140. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 党には党紀及び党規違反に関する党としての定めがございますので、党員につきましてそういうことが起これば当然に党則に従ってそのようにいたします。
  141. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、衆議院では今野党が竹下元総理に対する辞職勧告決議というようなことを取りまとめをいたしておるわけでございます。  私どもも一連三回の証人喚問を聞いてまいりました。その中で、竹下元総理がさまざまなことをおっしゃっておりましたけれども、私自身は、竹下さんはこれで疑惑が晴れる、やればやるほど晴れるとおっしゃったけれども、なかなか晴れない、かえって疑惑は深まるばかりだというのが正直な感想でございます。  なおかつ、先ほど話がありました平和相銀の金屏風事件その他、この前は竹下元総理は、青木秘書が関与してきた、そういう事実はお認めにもなっております。そういう意味では、やはり竹下氏の責任は重いと考えております。やはりみずから辞任をなさるというのが私は一番の、今政治がこれだけ不信を持っているときのけじめのつけ方としてはそのやり方しかないんじゃないかと考えますが、総理から改めて見解をお伺いしておきたいと思います。
  142. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題につきましての私の考え方は何度も申し上げました。  なお、国会におかれましてどのようなお考えをなさるかということにつきましては、私から申し上げる限りではないと思います。
  143. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理総理は一回、世論に押されてやるのはどうかという御発言をされたことがございます。昭和十五年の例でしたかを引かれまして、除名された議員がいると。ある意味では世論だけでやっていい問題なのかどうかという問題提起をたしか社会党の喜岡議員に対してなさったと思います。私も昭和十五年というのは一体何が起こったのかと思って、総理がおっしゃるから調べました。当時、一人の議員がある意味では軍部の圧力によって除名されるという結果になってしまったという事件は確かにありました。  ただ、私が今回言いたいのは何かというと、当時はある意味では証人喚問というのはございませんでした。国民に向かって語す場は全くなかった、その中で除名という問題に進んでいった。今回、どうなんでしょうか。竹下元総理は三回国民の前に立たれました。立って国民に向かって自分は疑惑はない、こうおっしゃっていた。しかし、国民がどう受けとめたか。私が一番言いたいのは、三回目の証人喚問が終わってもなおかつ辞任を求める声がまだ六割、七割、疑惑は晴れたと思う方はほとんどいない、この現状をやっぱり認識しなくちゃいけないと思うんです。  私はこういう世論に対しては真摯に耳を傾けるべきだと思いますが、これについても総理の見解をお伺いしておきたいと思います。
  144. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 世論は大切にしなければならないことはもうもちろんでございます。国会にはまた国会としてのお考えがおありになるであろうということもまた事実と思います。
  145. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 なかなか総理の顔がよく見えてこないんですよね。  私ども公明党は、まだこの佐川急便事件はいろんな意味解明されてない面があると思っております。そこで委員長にお願いをしたいのでありますが、私ども、証人喚問、昨日も社会党から御要請があっておりましたけれども、以下の六人の証人喚問を求めたいと思います。  一人は金丸信前衆議院議員、次は竹下元総理、魚住衆議院議員、伊坂元平和相互銀行監査役、真部八重洲画廊社長、佐藤川崎定徳社長、以上六人の証人喚問を要求したいと思います。委員長の方でお取り計らいをお願いしたいと思います。
  146. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 後ほど理事懇並びに理事会で協議いたしたいと思います。
  147. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 関連がありますので、かわりたいと思います。
  148. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 関連質疑を許します。白浜一良君。
  149. 白浜一良

    ○白浜一良君 まず総理に、私、木庭委員の質問を受けまして、政治資金につきまして若干お伺いをしたいと思うんです。  自民党案を三月めどにまとめていらっしゃると。それは存知しておりますが、総理ですから、総裁ですから、この一連の不祥事件を受けて大きな方向性を示してもらわなければならない。そういう必要性が私あると思うんです。  今回の問題で国民が非常に怒っているのは、政治資金で受けながらそれで私腹を肥やしているという、およそ国会議員、公僕の身としてあってはならないことが起こったという事実。そこで、政治資金と個人の収支というものを本当に今の法体系の中で区別する方法があるんですか、これ。自治大臣でも総理でも結構でございますが、答えていただきたいと思いますが。
  150. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 現行の政治資金規正法の仕組みにつきまして若干御説明をさせていただきたいと思います。  政治家個人の方が寄附を受けられました場合には、現行の政治資金規正法では、一つの方法といたしましては、それを全額指定団体に寄附をいたしまして、その指定団体から収支報告を出していただくという方法がございます。それからもう一つは、いわゆる保有金方式と言っておりますが、これは、政治家個人の方が寄附を受けられました場合には、保有金という形で個人の方が保有をされましてそれにつきましての収支を報告をしていただく、こういう方法があるわけでございます。
  151. 白浜一良

    ○白浜一良君 総理、建前はそうなっているんですけれども、それが全然働いてないんですよ。全く裏金で金の延べ棒までため込んでいるという本当にもうあってはならないようなことがあるわけです。  どうですか、総理、この政治資金と個人の収支というのはきちっと立て分けるような方向性を今度つくっていくべきだと、そのように思われませんか。
  152. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま政府委員のお答えいたしました制度はそういうことを目的としておるわけでございますけれども、なおそれが十分であるかどうかということにつきましては、私どもの党内でも先ほど申しましたようにやがて国会に案を御提出したいと考えておりますので、ただいまいろいろ中で検討をし議論をいたしておるところでございます。
  153. 白浜一良

    ○白浜一良君 いや、それはよくわかっています。だから、総理のお考えとしてそういう方向の改革案をつくらなあかんよという示唆はされないんですかということを言っているんです。
  154. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この取りまとめに当たっております幹部に対しましては私の意見も実は申しておりますけれども、取りまとめはまだできておりませんので、どういう結論になりますか、ただいま申し上げかねておるところです。
  155. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういう区分けをきちっとする案をつくってくださいよという提案をされているということですね、それをもう一度。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういう問題についても、当然のことながら賛成反対、甲論乙駁がございますから、よくそこらを議論した上で結論を出してもらいたいと思っています。
  157. 白浜一良

    ○白浜一良君 だから、総理、そうおっしゃったらよろしい。それを区別すべきだと。そういう方向で、いろんな調整する問題あるでしょうけれども、私としてはそうだというように言わないと、ここを国民は一番不審に思っているんですよ。みんな政治にお金がかかるという名目を言いながら私腹を肥やしている。それじゃ何に金がかかるんだと。納得しませんよ、これじゃ国民は。  もう一度答弁してください。
  158. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど政府委員が申し上げました現行の制度でもそれはそういうことを目的にしておるわけですから、それがきちんと利用されていないかおるかは別としまして、制度論としてはそういうことになっておるわけです。  ですから、さらにそれをもう少しいい方法で確保することがあるかどうかというのはやはりこれは議論をして、いいことがあればそれは私はやったらいいと思っていますけれども、その辺の検討を今いたしておるところです。
  159. 白浜一良

    ○白浜一良君 堂々めぐりなんですが、そういうところはやっぱり総理の指導性を発揮してもらいたいと私は思うんです。  もう一点、非常に今回の事件を通して不審に思っていることを確認したいと思いますが、要するに、いわゆる政治団体間で金を移動させても量的規制も何の制約も受けないという、ここが非常に不透明だと。だから、金丸さんがもらったという五億円を配ったと言っても、非常にそこが不透明であるというそういうことにつながっているんですね。だから、この政治団体間の金の出入りはやってはならないという方向性はどうですか。
  160. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 団体間がいかぬというんですか。
  161. 白浜一良

    ○白浜一良君 政治団体間で金を出し入れするということです。
  162. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政治家ですか政治団体ですか、どっちですか。    〔木庭健太郎君「両方です。政治団体及び政治家同士」と述ぶ〕
  163. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは二つ問題がありまして、政治家個人の間の問題というのと、団体間という問題が別の問題としてあると思っておりまして、政治家の間のやりとりというのをどうするかというのは、これも私どもの党内でただいま議論をしております。
  164. 白浜一良

    ○白浜一良君 議論をしているのはもう百も承知です。総理がどうお考えか。そういう問題を踏まえて改革せなあかんわけですから、問題が出た点だから、そういうことは事故につながるから禁止する方向だというふうに言っていただけないんですか。
  165. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これについても当然のことながらいろいろな議論があるわけですから、よく議論を尽くして結論を出しました上で国会に御提案をしたいというのが今私どもの党の検討過程の問題でございます。
  166. 白浜一良

    ○白浜一良君 だから、いろいろ意見があってまとめるのが総理のお立場じゃないんですか、総理総裁の、その方向性を言って……。まあこれは押し問答になるからやめます。  次に、ちょっと現行法制上の問題点を幾つかやりたいと思うんですが、現在の政規法でもいわゆる質的制限という項目がございます。質的制限とされている。これは要するに、国から補助金等の給付金及び出資または拠出金を受けた会社、法人、こういうところは献金が禁止されているんです。禁止されているんです、今の法体系でも。ところが、いろいろ実態を見ますと、具体的には例えば一つ申し上げますが、全国石油政治連盟というのがございます。自民党国民政治協会に一億一千万の献金をされている。ところが、この同種団体ですよ、全国石油協会。同種団体です。そこにはきちっと特会でいわゆる給付金がされているんです。  これは自治省、どうなんですか。関連性のある企業はだめなんじゃないですか、これ。
  167. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 政治資金規正法につきましてのお尋ねでございますが、政治資金規正法の二十二条の三の第一項におきまして、国から補助金等を受けている会社その他の法人は政治活動に関する寄附をしてはならないというようにされております。  御指摘の団体が政治活動に関する寄附を禁止されるものに当たるかどうかにつきましては、その団体が今申し上げました政治資金規正法第二十二条の三第一項に規定する補助金等を受けておるものに該当するかどうかで判断すべきものであると考えております。
  168. 白浜一良

    ○白浜一良君 それはどうなんですか、当たるんですか当たらないんですか。
  169. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 今申し上げましたように、補助金等を受けているかどうかということでございます。補助金等を受けていない場合には当たらないということでございます。
  170. 白浜一良

    ○白浜一良君 そんな。私、国語ぐらいわかります。要するに、いわゆる一体性のある組織なんです。これは要するにこの補助金を受けていると。  これはだれが判断するのか、自治大臣言ってくださいよ。一体性のある団体だから対象だと、これはだれが判断するんですか、そんなら。(発言する者あり)
  171. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 発言は白浜君以外許しておりません。
  172. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) まさに法律の規定、政治資金規正法の二十二条の三の第一項は、補助金等を受けておる会社その他の法人が寄附をしているかどうか、補助金を受けておるかどうか、その団体が、ということで判断をされるべきものであるということでございます。
  173. 白浜一良

    ○白浜一良君 だれが一体性のあると言っているんですか、それは。だれが決めるんだということを言っているんです。
  174. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 御指摘の質問に関係するかと思いますが、政治活動を行うことを目的といたしまして設立されました政治団体がその政治活動の一環として寄附を行うことにつきましては法令上制限は設けられていないわけでございまして、先ほど御指摘のございました法人なり団体が別のものでございます場合には、補助金を受けていない団体の政治活動に関する寄附は政治資金規正法上は禁止をされておらないところでございます。
  175. 白浜一良

    ○白浜一良君 ですから、これはいずれにしても統一的な見解を下さい。  確かに、政治連盟をつくって組織が違う。だけれども、実態は一体化されているんです、全国石油協会と全国石油政治連盟というのは。その協会の方はいわゆる補助金を受けている。一体性のある政治連盟をつくったら何ぼでも献金できる、こんなおかしい話はないわけで、一定の歯どめというのがあるはずなんです。要するに、そういう質的制限として禁止されているそういう法人、会社に当たるのかどうか、どこの部門でだれが判定するのかということも含めて、後日で結構ですからきちっと回答をいただきたいと思います。  じゃ、もう一点お伺いしますが、例えば公益性の強い電力会社がございますが、この電力会社は政治献金できますか。
  176. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 政治資金規正法では寄附の質的な制限といたしまして、先ほどいろいろ御議論のございました国から補助金等を受けている会社その他の法人、それから三事業年度以上にわたりまして赤字の会社、これが政治活動に関する寄附を行うことは禁止をされておるわけでございますけれども、これに該当しない限り政治活動に関する寄附を行うことは禁止されていないところでございます。
  177. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ちょっと答弁者に委員長から申し上げておきますが、今、質疑者は会社の名前を言って、これが政治資金を出せるか出せないかという質問をしているので、法の解釈ではないようです。そんな点を鮮明にお答えください。
  178. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 先ほど申しましたような政治資金規正法の禁止規定と申しますか規制規定に該当しない限り、政治活動に関する寄附を行うことはできるわけでございます。
  179. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 電力会社と言っている。電力会社。
  180. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 電力会社が先ほど申し上げましたような寄附の禁止規定に該当しない限り、政治活動に関する寄附を行うことはできるわけでございます。
  181. 白浜一良

    ○白浜一良君 総理、今の質問をどう思われますか。  電力会社というのは公益性が強い、そういう電力会社がいわゆる政治献金、企業献金ができますかどうかという、この質的制限の範囲の中ですかどうかということを私は聞いているんです。わかるでしょう、今の論議は。
  182. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 電力会社というそういった属性に着目をいたしまして政治資金規正法上規制があるかどうかということにつきましてのお尋ねでございましたら、これは政治資金規正法上政治活動に関する寄附に関する禁止規定はございません。
  183. 白浜一良

    ○白浜一良君 この電力会社もさまざまないわゆる補助金を受けているわけで、これも先ほどの例示と一体の問題で、これも含めて、後日で結構ですから回答をいただきたいと思います。  ただ、この電力会社も自主規制で献金されていないんですよ、実は申し合せで。それは承知しているんですよ。公益性が強いからね。だけれども、私、国民政治協会に、この実態を調べましたら、九電力会社ございますが、二千万以上のお金が国民政治協会に献金されているんです。それも個人献金の形で。企業献金じゃなしに個人献金の形でされています、実態を調べましたらね。ところが、これは不思議なことに、ある電力会社を調べましたら、会長と社長さんは三十三万六千円、副社長さんぽ全部二十六万四千円、常務さんは全部一律十三万二千円、こんなあほな話。  自治省、どうなんですか、きちっと調べているんですか。
  184. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 御指摘の電力会社の役員が政治活動に関する寄附を行っているかどうかにつきましては、自治省といたしましては承知をしていないところでございます。
  185. 白浜一良

    ○白浜一良君 大臣、もう選挙部長無理ですわ。こういう実態があるんですよ。先ほどの質問も含めて、きちっと統一の見解くれませんか。  不自然だ。これは常務以上ざあっと同じ比率で全役員されている。それは企業として出してないとは言うかもわかりませんが、個人献金にしては、全役員同率、余りに不自然さがあるわけで、自治大臣どうですか、私ずっと今、現法制上の問題点を言ったんですが、きちっと回答をくれませんか。
  186. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 先ほど来委員から御質問のありました政治資金の問題でございますが、実はこの根本には昭和四十五年六月の八幡製鉄献金事件というのがございます。これに対する最高裁判決は、政治資金規正法では企業等の団体が行う政治活動に関する寄附について、その規模に応じて年間にすることのできる総枠を定めるとともに、一つの政治団体や一人の政治家に対して年間にすることのできるいわゆる個別制限百五十万円等の規定を設けているが、この制限の範囲内において政党のほか政治団体や政治家個人に対して政治活動に関する寄附を行うことができることとされておる。これが根本でございまして、いわゆる企業等も社会的な存在でありますから根本的には個人献金ができるというのが原則でございます。  しかし、政治資金規正法というのは今までの制定の経緯から、先ほど来佐野選挙部長から詳細に御説明申し上げておるような規定になっておりまして、委員の御指摘になるような事案を果たして自治省で調べておるかとすれば、それは調べていない、こういう回答にならざるを得ないわけでございます。その点こそまさに、先ほど総理がおっしゃいましたように、自民党では既に方針を出し、それを連日討議をしていただいておるところでございますが、今後各党において政治資金規正法の根本問題について御議論をいただかなければならないと思っております。その御議論の結果を政府としては待っておる、こういうことであろうかと思います。
  187. 白浜一良

    ○白浜一良君 いずれにしても、私が問題提起した点は、自治大臣、きちっと回答くださいね。  それで、今、八幡製鉄の裁判の話が出ましたが、これも企業献金、地裁では違憲、最高裁で合憲判決されました。ところが、この判決文を見ましたら、いろんな要素で成り立っているんですが、これは政党に対する献金が問題にされているんですよ。なぜ政党に対する献金が足とされているかといいますと、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素であるし、同時に政党は国民政治意思を形成する最も有力な媒体である、こういうふうに政党の位置づけをされて、だからこの献金はできる、こう判決されている。  私はこれを読みまして、たとえこの最高裁判決を是としても、これに対しても疑義がございます。だけど、これを足といたしましても、ここで 言っているのは、国民政治意思を形成する最も有力な媒体である、これは政党なんです。じゃ、これ政治家個人の資金団体とか派閥への献金というのは、こういう最高裁の判例に当たりますか。これ、自治大臣
  188. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) その個別の問題について、それこそまさに自民党で昨年の十二月十日に一つの結論を出し、連日脚討議をいただき、各党においても審議をされておるところでございまして、つまり政治資金規正法による不透明部分、まだ法定化されていない不透明部分はまさに今後各党において御相談をいただくべきことであろうかという意味を先ほど申し上げたわけでございます。
  189. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういう質問じゃないんです。この最高裁の判決をベースとしても、これは政党に対する献金だけではないですかと私は聞いているんです。
  190. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 先ほど申し上げた八幡製鉄所の判決は、まさに政党に対するものでございます。したがって、先ほど来例としてお挙げになりました電力会社であるとかそういう個別の事案については、まだ法律で制定をされていない不解明部分と言った方がいいかもしれません。したがって、その問題はもう自民党では昨年の十二月十日に一応の結論を出し、それを連日のようにいろいろ協議をしていただいておるところでございますが、選挙区問題それから政治資金問題等々含めてこれを一括していろいろと各党間で御論議をいただき、そしてその御論議を待って政府としても、恐らくこれは議員立法として提出されるでございましょうから、それに対するいろんな結論を出さなければならない、こう思っておるわけでございます。
  191. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことを聞いているんじゃないんです。  総理、企業献金が合憲だと認定されているのは、要するに議会制民主主義においては政党は国民政治意思を形成する有力な媒体だと、こういうふうに規定されているんですね。  それじゃ、聞きますよ。自由民主党公認で宮澤総理と、こういうのはわかりますよ。じゃ、宮澤派に投票していますか、国民は。自由民主党じゃないんですか。いわゆる政治意思を形成する最も有力な媒体、こういうふうに書かれているのはそういうことなんですよ。派閥の宮澤派や三塚派やと、そういう選挙をしていますか、皆さん国民は。自由民主党公認に投票しているんじゃないんですか。だから、要するにこの最高裁の判決のベースは、政党に対する企業献金がベースになっているんです。総理、どうですか、これ。
  192. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その訴訟はたしか、ちょっと私の記憶が違ってなければ、有田と言われましたかね、ある弁護士さんが起こした訴訟でして、政党に対する献金についての争いであったと思います。ですから最高裁はそういう答えを出されたんだと思うんで、個人に対するものをいけないとかいいとかということを言っているのではない、個人に対する企業の献金はいかぬということを言っているのではないと思います。  ただ、先ほどから自治大臣の言っておられますことは、やはり政党を中心に政治献金というものは考えていった方がいいのではないか、個人というものが入ってくることにはいろいろ問題があるという、そういう問題意識が先ほどお話しになりました私どもの党内の改革の基本方針の中にもございまして、それをどの程度にまで絞ることがいいのかという議論を今やっておるところですと、こういうことを申し上げたわけです。
  193. 白浜一良

    ○白浜一良君 もっと素直にそういう前向きの話をしていただいたらわかりやすいんです。  じゃ、また角度を変えまして、前国会で私はやみ献金の話をしたんですけれども、時間がなくて余りできなかったんですが、あのとき塩川さんが自治大臣でございまして、このように答えられました。要するに、やみ献金を前提に法律はできていないと。当たり前のことです。そうおっしゃったんですね。  ところが、実際は表に出てくる金というのはきちっと規制されているからそのルールにのっとりますね。ところが、そういうものよりも、いわゆる今回の金丸問題のように裏で動いているお金が非常に大きいわけです。たまたま発覚したと。じゃ、これを取り締まる、今回はそれは所得税法違反ですか、またそういうことになっております。しかし、ばっと発覚した場合に、政治資金規正法としては量的違反しかないと、こういう法律の不備があるんじゃないか、そう解釈していいですね。今の政規法では量的違反でしか考えられないということですか。
  194. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 政治資金規正法上、罰則との関係で御説明をいたしますと、特定の一人の人に対しまして百五十万円超の寄附をいたしましたとき、これは量的規制の違反ということで罰則関係の適用がございます。それから収支報告の関係がございます。これは収支報告を提出しなかったり、記載をしなかったり、また虚偽の記載をしたり、こういう場合には政治資金規正法上罰則の規定はございます。
  195. 白浜一良

    ○白浜一良君 だから、結局たくさんのお金が表も裏も出入りしている、判断するのは政治家本人だ、政治家というのはもう善意の人だという前提に立ってきちっと報告している、そういうことになっているんですよね。  ところが、あに図らんや善意でない方も、多いとは言いませんが、いらっしゃるからこういう事件になるわけで、そうすると、善意を前提とした今の法律は非常に機能していないというふうになるわけで、ですからそういう今の法体系の前提からいえば、もしそういうことが発覚して、発覚していなくてもしていても同じなんですけれども、その政治資金にまつわる問題というのは政治家本人が責任を負うべきである。そういう善意をベースに組み立てているわけだから、そういう問題が起こったときには当然政治家本人が一切の責任を負うべきであるとこれは解釈していいですね、自治大臣
  196. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) お答え申し上げます。  まさに法律的には御指摘のとおりだと思います。ただ、現在法律の制定せられている分野がそこまで行き届いていないと申しますか、今までの規定では規定をされていなかった部分があるわけでございまして、それがここ非常に政治改革として各党で議論になっておる中心点だと思います。したがって、白浜委員が御指摘になっておられる問題点は、まさにその問題点について御指摘をされたものでありまして、自民党では既にそれについて昨年の十二月に方針を決めておる。そして、それについての法制化、個別問題等について連日のように議論をしておられます。各党もそういった議論を積み重ねておるというふうに承っております。  私は、先ほど総理がおっしゃいましたように、そういったことが取りまとめられて恐らく議員立法の形で国会に提出をされ、これについての本当の意味政治改革ができるということが正しい今後の方向であろうかと、こういうふうに認識し、各党の結論が出てまいりますのを心から待っておるところでございます。
  197. 白浜一良

    ○白浜一良君 私がいろいろ指摘した問題点をすべて含めて自民党考えていただいているということでございますが、これは時間がないのでもう一々はやめますけれども平成三年のあの海部総理のときの案と比べたら随分後退しているんですよ。いわゆる政治団体間の金の出入りとか企業、団体の献金に対する方向性とか、そんなものが一切今度はないんですよ。ないけれども、きょういろいろ質疑しました。私、個々の問題点を指摘いたしましたが、自治大臣は全部ひっくるめて考えていくというふうに理解していいんですね。
  198. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 白浜委員の今御指摘されたこと、九増十減案等のいわゆる当面の措置その他の問題は解決をされて今実施をされつつあるわけでございますが、根本的な政治改革問題は私はこれからであると思います。まさに各党間の 問題であると思っておりまして、これは今後国会においてその中心点が審議をされ、そして二十一世紀のグランドデザインになるような政治改革がなし遂げられる、そういうことを強く要望をしておる者の一人でございます。
  199. 白浜一良

    ○白浜一良君 この点、最後に総理に私は伺いたいんです。  要するに、まあこれ何というかな、今回発覚したから所得税法違反ということで言われておりますが、本来はいわゆる政治倫理法なり政治資金規正法なりそういう法律で罰せられるべきなんですよね。  なぜかというと、企業だってお金を出すのにある目的意識を持ってやっぱりそれはされているんですよ。これは間違いないわけで、そういうものがきちっとしたルールにおさまらないからやみになるわけです。ということは、やみから明るみに出たということは、もうこれ、発覚したらということでございますが、当然現在のようなそういう何というんですかね、贈収賄とまでは言いませんが、何かの企業の目的意識を持ってされているわけだから、そういうふうに明るみになった場合は、当然、政治家本人はもっと重い罪、例えば公民権に対する規制を受けるとか、それは何年とかそんなことは言いませんが、もう少しそのこと自身が政治家として重い罪を受けなきゃならない、そういうものをつくらないといけないという方向性は私は正しいと思うんです。  総理、どのように思われますか。
  200. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ちょっと御質問の中心の部分が私にはわかりかねましたけれども、例えば今度の場合でございましたら、仮に容疑が事実でございますと所得税法違反によりまして所得税法に定める罰を受ける、これは相当重い罰でございますが、そういうことだと私は理解するのですが。
  201. 白浜一良

    ○白浜一良君 と同時に、政治家としてそういうお金にまつわるトラブルが起こったわけですから、七十億というふうに言われていますが、どこから持ってきたか知りませんが、出された方はある一定の目的意識で献金をされたんでしょう、金丸さんに。それ自身は今は所得税法違反で問題になっておりますが、そういうお金を受けたということ自体が政治家としての罪を問う、公民権を停止するとかそういうものにつながるんじゃないですか。そういう方向性が必要ではないですかということを私言っているんです。
  202. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政治上の資金援助を受けて、それが無論請託というようなことに関係あるときはこれはもう全く別の話ですが、そうでなくて、それが政治目的に正規に使用されたということであれば、それは現行法において特に問題とされることではない。それがそうでなかったというところが今回の問題点ではないかというふうに理解しております。法律家でございませんが、私はそういう理解をしております。
  203. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう時間がないのでやめますが、収賄罪というのは、これちょっと次回に延ばしますが、要するに非常に狭義に今は解釈されているんですよ。だから野党はかかりやすいんです、質問をしたとか質問主意書を出したとか。ところが、今自民党の政策決定システムというのは全くそうなってないんですね。だからより受託収賄罪というのが非常に狭義にしか解釈されてないけれども、そういう狭義の収賄罪の解釈でされるなら、たとえ立証できなくても、今回のような問題は、ある一定の目的意識を持って企業は金を出しているんだから、そういうことが大きなこういうトラブル、事件になった場合、要するに公民権も停止するというようなそういう方向性が必要じゃないかと私は思うわけでございます。所得税法違反だけじゃいかぬと、これは私のそういう考えでございまして、時間もないので、そのぐらいにとどめたいと思います。  総理、話題を変えまして、景気対策の話で、木庭委員に受け継ぎますが、ちょっと一、二点だけお伺いしておきたいと思うんです。  いわゆる資金還流の問題で、午前中も論議されておりましたが、衆議院の委員会で資金還流計画が必要だというふうに総理は述べられておりますが、これは今もそういう計画をつくるお考えですか。
  204. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる援助計画、ODAの計画がここで五年間を経過いたしましたので、新しい計画を立てなければならない段階に来ております。そういうこともございまして、全体として我が国がODAを含めましてどのような資金還流を国際的に今後何年間がで行っていけるかを、過去にもそういう計画を持っておりましたから、新しくする必要があるというふうに今でも考えております。
  205. 白浜一良

    ○白浜一良君 通産が千三百億ドルですか、資金還流計画を打ち出されたけれども、大蔵省の受けとめ方が冷ややかだ、こういう報道をされております。大蔵省が非常に冷ややかに受けとめていらっしゃる、これはどうなんですか。
  206. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 報道で冷ややかにということになっているかもしれませんが、私どもも、経常収支の大幅な黒字がありますし、また日本がそれだけの黒字を持っていることにおきまして国際的にどういう貢献をしていったらいいかということは、当然考えなければならない問題だと私は思っております。  ODA援助というのは一兆円にも上って、予算的には一兆円の金額になっておるわけですね。どういうふうな形でこれを使っていくか。どういうふうにしてやったらいいのか。発展途上国だけじゃありません、国際金融機関その他の問題もありますから、そういったことをどういうふうな形で方向づけしていくかというのは、いろいろ考えていかなくちゃならない話ではないかと思ったんです。  もう一つ申し上げますならば、かつて資金還流計画というのがありました。これは中南米諸国が大変なインフレやその他で困っておった、こういうところでありましたからそこへ金を出したのでありますが、今や中南米の方はそれだけの資金需要が余りないのではないかと私は見ておるところでありまして、どういうふうなことをこれから考えていくかというのを今検討しているところでございます。どういうふうなことをやったらよろしいのか、もう少し広い観点でいろんなことを考えていくことが必要だろうということでございます。
  207. 白浜一良

    ○白浜一良君 総理、四月に訪米されるということでございますが、この還流計画に関しまして、クリントン政権というのは、こういう計画よりも市場開放とか内需拡大の方がいい、そういうコメントも出しているというふうにマスコミ等の報道で承知しているんですが、そういうアメリカ・クリントン政権考え方に対して、またいつごろをめどにこういう計画をまとめようとされているのか、お教えをいただきたいと思います。
  208. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 市場開放も大事でございますけれども、資金還流ということも実は非常に大事なことでございます。  できるだけ早くと申しますのは、そう何カ月もかかっていてはいけませんので、各省庁の間で、どういうものを還流と言うかというようなことから実は始めるわけでございますけれども、定義をはっきりさせまして、そしてそう長くない期間に私はまとめたいなと思って督促をいたしておるところでございます。
  209. 白浜一良

    ○白浜一良君 先ほど大蔵大臣も申されましたが、民間資本の方が難しいんですよね。非常に難しい。そういう問題はあるんですが、早くとおっしゃいましたが、これは東京のサミットまでというような理解でいいんですか。
  210. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのころにはまとめて、実行しなければいけないと思っておりますものですから。
  211. 白浜一良

    ○白浜一良君 最近の円高の問題でちょっとお伺いをしたいと思います。  百十六円、百十七円を前後しておりますが、最近の円高の動向を総理はどんなふうに受けとめていらっしゃいますか。大蔵大臣でも結構ですが。
  212. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 昨今の状況は、この前から、もう一カ月ぐらいになりますか、アメリカ政府高官の発言等がありまして、二、三年間は安定してきた動きでありましたけれども、ちょっと動きが激しくなってきたことも事実であります。私は、こうした思惑的な動きは決して好ましいことではない、やはり為替相場というのは本来ファンダメンタルズを反映したもので、しかも安定的に推移すべきものだろう、こう考えているところでございまして、そういったことに対しまして注視をしながら、また各国の通貨当局とも連携をとりながら適時適切な対策をとってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  213. 白浜一良

    ○白浜一良君 先日新聞に、アメリカの国際経済研究所長ですか、バーグステンという方のコメントというかインタビューが載っておりましたが、あの方は、あと一〇%円高が必要だと。当然これは、貿易収支だけで見ると日本黒字たまりすぎているわけですから、輸入を促進して輸出を抑制するためには、円が高くなれば自動的にそういう調節が働くようになる。当然為替レートはそういうふうに機能する側面があるわけですよね。ところがやっぱり国内産業は、非常に輸出は打撃を受ける、輸入はもうかる、こういうふうになるわけでございます。どういう意味、背景でこのバーグステンという方がおっしゃっているのかよくわかりませんが、こういう主張に対して大蔵省はどのように受けとめ、対応されようとしていますか。
  214. 林義郎

    国務大臣林義郎君) バーグステンというのは、昔、財務次官補か何かやっていた男でありまして、たしか京都で、日本で、どこかのセミナーがあって、そのときに発言したという話であります。今の政府当局でもありませんし、私どもは、いろんな方が議論ありますから、それはそれでその人の発言をどうだということをコメントすることはありませんが、それは全く部外者の発言である、こういうふうに私どもの方は受けとめておるところでございます。  私ども考え方は、先ほども申しましたように、為替相場というのはファンダメンタルズを反映して安定的に動いていくことが望ましい、こういうことが基本的な考え方でございます。
  215. 白浜一良

    ○白浜一良君 最後に、もう時間ございません、公共事業の関連でいわゆる新社会資本の充実、総理も昨日から答弁されておりますけれども、一つ聞きます。  国立大学の設備が非常に悪いんですね。先日いろいろ報道発表されておりました。換気のない部屋とか、廊下に実験室があるとか、いろんな調査結果が発表されておりましたが、大学の研究室に対する設備投資というか、そういうものはいわゆる公共事業の概念に入るんですか、大蔵省にお伺いします。
  216. 斎藤次郎

    政府委員(斎藤次郎君) お答えいたします。  大学のいわば施設でございますね、建物とか、今おっしゃいました研究室とか、廊下が汚いとか、そういう施設については、これはいわゆる公共事業の概念に入っております。
  217. 白浜一良

    ○白浜一良君 最後に総理に御要望しておきたいんです。  きのうから具体的に出ておりますが、私はこれは具体的な問題として、大学が非常に、私の母校も含めまして、老朽化して劣悪なところで勉強しているわけで、今後追加公共事業を考えられる場合、具体的にこういう大学の問題。それから私、奈良で育ったんですが、平城京跡がございます。羅生門はつくろうというふうに言ってますが、大極殿もつくろうという話があるわけでございますが、そういう日本文化の遺産を残すという面では、もっとそういうところにどんどん公共事業の概念、建設国債の概念も拡大していただいて、十分そういうところに力を入れていただきたいということを最後に答弁求めまして、私、質問を終わりたいと思います。
  218. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨日も山本委員その他からお尋ねがございまして、やはりシーリングということの一つの結果でもございますけれども、文部省関連で非常に人件費が欠きゅうございますので、学術研究あるいは文化という面での施策のおくれがかなり目立ってまいりました。これはもう主計局自身が気がついていてくれまして、平成四年度でも国立学校会計に特別の勘定を設けたり、五年度はまた生活関連と申しましてそういうものを含めた特別の枠を設けたりしまして、何とかこれ百年の将来に関することでございますのでおくれを取り戻さなければならないと、一生懸命いろいろな知恵を働かせてやっております。  今度は朱雀門をお願いしたいと思っていますが、大極殿はちょっとまだ、大きくなりますのでまだ十分考えておりませんけれども、そういうことも含めまして、やはり国全体の文化、学術研究というようなことは大事にしていかないといけないということを強く考えております。
  219. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、景気対策について私の方からも何点かお伺いしておきたいと思います。  日銀からもわざわざお見えをいただきまして、まず一つ。地元を回れば回るほど感じるのは、六次に及んで公定歩合がずっと引き下げられている、ところが金融機関の貸出金利というのはなかなか下がらない。中小企業を回っていつも言われるのは、どうして中小企業に対する貸出金利というのは下がらないのだろうかという話をしょっちゅう聞かされております。今、中小企業を相手とする信用金庫、地銀の貸出金利というのは一体どうなっているのか、また、なぜ下げ渋っているのか、その原因と対策について大蔵省及び日銀からお伺いしたいと思います。
  220. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 金融機関の貸出金利につきましては、新規約定貸出金利はピーク時から比較いたしますとかなり低下をしてきておりますが、中小金融機関、例えば地方銀行でございますとか信用金庫の貸出金利は全体に比べますと相対的に下げ幅が小さくなっております。  これは実は業態によって非常にまちまちなんでございますが、一般的に申し上げますと、地方銀行とか信用金庫は資金調達面で定期性預金のウエートがかなり高いわけでございまして、調達コストの下がり方が比較的時間がかかる。そういうことの関係と、それから変動金利貸し出しというのが、今度は貸し出し面でございますが、都銀の場合は変動金利貸し出しがかなり多くて瞬時にして下がるわけでございますが、ある一定の期間をもって約定いたしておりますので下げ方が鈍いというような原因ではないかと思っております。
  221. 吉本宏

    参考人吉本宏君) ただいま、公定歩合が引き下げられたにもかかわらず金融機関、特に中小企業向けの貸し出しが低下していないのではないか、こういう御質問でございます。私の方から若干補足を申し上げます。  御案内のとおり、公定歩合は六%から二・五%まで下がりました。その下げ幅は三・五%ということになります。この間、短期プライムレート、短プラと言っておりますが、これは八・二五%から四%までその下げ幅が四・二五%ということになっております。また長期プライムレート、長プラと言っておりますが、これがやはりピークの八・九%から四・九%までその下げ幅が四%ということになっておるわけであります。いずれも水準としてはかなり低い水準になっております。全国銀行の新規約定平均金利でこれを申し上げますと、やはりピーク時から、これは新規の貸し出しの実効レートでございますが、三・二一八%と、こういう下げ幅になっておるわけであります。これはことしの一月の数字でございます。  ただ、ただいまも銀行局長からお話がございましたけれども、地方銀行の貸し出しの金利の引き下げ幅、これは都銀に比べて若干おくれぎみであるということは否定できないと思います。これも今御説明がございましたとおり、地銀は市場の調達割合が少ない。地元企業との関係もございますので、上がるときも若干タイムラグがおくれる、下がるときも若干おくれる、こういう関係がございまして、例えば都銀を一〇〇といたしまして、九三年、ことしの一月の時点で見ますと、ピークに比べて都銀を一〇〇として八八・三ということ で、九割近い追随率になっているということは申し上げられるかと思います。
  222. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大蔵省、対策についても聞いたんですけれども、どうでしょうか。
  223. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 二月の八日でございますが、公定歩合の引き下げを契機といたしまして通達を各金融団体に発出いたしまして、金利引き下げなど中小企業金融の円滑化について一層の配慮を行うように要請いたしました。  同時に、大蔵大臣から「所見」を公表いたしまして、特に金融機関の融資対応につきましてコメントをいたしまして、金融機関がバブル期における過剰融資の反省から融資審査の適正化を進めることは必要でありますが、過度に消極的な融資姿勢により健全な経済活動に必要とされる資金の供給が阻害されることがあってはならないといたしまして、本店、営業店を通じまして各金融機関に必要な資金供給を行うように、それからさらに、具体的に新規融資に対応する部門の体制、つまり融資体制の再構築を要請したというところでございます。  なお、ただいま日銀副総裁からもお話がございましたが、着実に中小金融機関の金利も下がっております。タイムラグはございますが、新規約定につきましてはかなり下がってきておりますが、まだこれからさらにその効果が発現していくのではないかと考えております。
  224. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃるように、下がっていけば確かに中小は助かるわけですから、そういう意味では、通達を出した後もぜひ監視の目をきちんとしておいていただきたいということをお願いしたいと思います。  日銀、せっかく来られているので、あと二点だけ副総裁からお聞きしたいと思います。  一つは、バブルが発生したのは超低金利の二・五%、今と同水準ですけれども、これが二年三カ月続いたことによるということも言われております。また、その後の対応も鈍かったというような指摘もございました。金融政策の機動性というのは極めて重要だと思いますけれども、これについての副総裁の見解を伺いたいと思います。
  225. 吉本宏

    参考人吉本宏君) いわゆるプラザ合意以降の経済情勢でございますが、円高が急速に進行するという中で内需主導型の経済運営ということで、これはいわゆる対外不均衡の是正という問題もあわせて解決しなきゃいかぬということで金融の緩和措置をとったわけでございます。これはもちろん財政措置とあわせて行ったわけでありますが、こういったことでそれなりに内需の拡大あるいは対外不均衡の是正という目的を達し得たと思っておりますけれども、その反面、実体経済の振れを大きくした、あるいはいわゆる資産価格の高騰を招いた、こういったいわゆるデメリットの面もあったわけでありまして、私どもとしては金融措置について反省するところも少なくないわけであります。今後とも十分その辺も反省材料にしていきたい、このように思っております。  ただいま委員御指摘の金融政策の機動性ということでありますが、これはまさに御指摘のとおりでありまして、私どもとしても今後適切かつ機動的な金融政策運営に努めてまいりたい、このように考えております。
  226. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一問。  この機動的という問題は、もちろん今からの問題で言えば上げるという話もあるわけですけれども、機動的にやるという場合、金利のもう一段の調整もあるというふうに考えておいていいのかどうか、御意見をお伺いしておきたいと思います。
  227. 吉本宏

    参考人吉本宏君) ただいまの御質問は金利の引き下げということに理解をさせていただきたいと思いますが、私どもは二月四日に第六次の公定歩合の引き下げを実施したばかりでございます。今後とも経済情勢の展開を慎重に見守ってまいりたい、このように考えております。
  228. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 どうもありがとうございました。  いっぱい聞きたいことがあったんですけれども、時間がせっぱ詰まりましたので幾つか聞きたいことに絞って、今度は経企庁長官にお伺いしたいんですけれども、たしか四年度の政府経済見通しは当初の三・五から一・六に下方修正されました、一・六の実質成長というのは第一次石油危機以降の最も低い伸び率なわけですけれども、あと三週間で四年度が終わりますけれども、この一・六%の成長率達成は間違いないでしょうか。
  229. 船田元

    国務大臣(船田元君) お答えいたします。  今、木庭先生からも御指摘がありましたように、現状の景気の状況は低迷が長引いているという状態が続いております。若干幾つかの指標において好転をするそういう部分もありますけれども、なお全体としては完全に底を打ったという状況にはまだないということでございまして、そのために政府としては昨年の八月の総合経済対策、あるいは先ほど日銀副総裁からもお答えがありましたように、公定歩合の最低水準までの引き下げ、さらには平成五年度の予算、現在審議をいただいておりますが、これもかなり景気に十分配慮をしたそういう内容で今御審議をいただいて、一日も早く成立をさせていただきたい、こういうお願いを申し上げているわけであります。  一・六%、これは昨年十二月に経済見通し、五年度の経済見通しとともに四年度の実績見込みということで発表させていただいたわけであります。現状において十-十二月期、それからことしに入ってからの一-三月、この辺のQEがまだ手元にはございません。確たることは申し上げられませんけれども、現状として確かに今の足元の景気の状況を見ておりますと、かなり厳しい情勢ではあるが、しかしながら現在がなり総合経済対策の効果が出つつあるという状況でございますので、私どもとしては何とか行きたい、こういうことで今必死に努力をしている最中であります。
  230. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 正直、やや厳しいですね。円高の問題も出てきたし、民間研究機関あたりもちょっと調べさせてもらうと一%どうにかという数字も出てきているし、実質的にはかなり厳しいと思っております。そういう認識をぜひ、修正したとしてもまた厳しい状況だというのをぜひ認識をしていただいて次へやるという作業が必要なんじゃないかなと思うんです。難しいことは難しい。ただ、それを今度は基準としてやるという政府のやり方にしないと、今までのやり方がどうしてもそういう後手後手になったような気が私はしておるものですから、どうしてもその辺を配慮していただきたいと思っているわけでございます。  何でこんなことを言うかというと、平成五年度の経済見通しなんですけれども、成長率三・三でしたかね、そうおっしゃるんですけれども、どうも私たちが回る実感と違う。例えば個人消費、これは平成五年度はたしか四・九パーセント増ですから四年度より一・四ポイント増加するという話なんですよね。ただ、例えば近く三越さんが閉店時間を短くしてみるとか、デパートの売上高は十一カ月間でしたか、ずっとマイナスが続いているとか。昔は何か高額商品がだめだと言ったけれども、今はそうじゃなくてスーパーさんも結構厳しいですよ。  私、実際に地元の商店街を回っていったら厳しいとおっしゃるわけですよ。どこから引っ張り出してきても一・四ポイントも増加するということがわからないし、逆に向こうから聞かれますよ。政府は何であんなことを言うんですかねということを逆に皆さんから聞かされる。だから、どうして四・九パーセント伸びるとおっしゃっているのか、これは根拠を何か実態に即して言ってくれませんか。中小企業のおやじさんたちにもわかるような形で説明していただくとありがたいですね。
  231. 長瀬要石

    政府委員(長瀬要石君) お答えいたします。  平成五年度の個人消費の伸びにつきましては、名目ではただいま先生御指摘のとおりでございますが、実質は二・八ということでございます。いずれにいたしましても、最近の消費は大変低迷をしていることは御指摘のとおりでございます。これは所得の要因と消費性向の要因と両方あるわけでございますけれども、所得の要因に着目をいたしますと、何と申しましても所定外労働時間 が大幅に減少をしている。この結果、雇用者所得の伸びが低下をしているということがあろうかと思います。  いま一つは消費性向という面でありますけれども、資産価額の下落によります逆資産効果でありますとか、あるいはまた耐久消費財のストックの調整ということでありますとか、そしてまた景気減速の中で消費者の心理が冷えてきている、こういったことが重なりまして消費の低迷という状況が生まれている現況だと思います。  平成五年度ということを考えてまいりますと、物価が安定をしている、こういう中にありまして、ただいま申しましたような所得の面からいいますと、何分にも何年かにわたって大幅に減少しております所定外の給与でございますけれども、これは徐々に生産が回復の方向に向かってまいりますと、やがてそれが雇用者の所得、所定外時間の徐々なる増加に結びつく、こういうような面があるかと思います。同時にまた、消費性向に着目をいたしますと、金融資産の伸びの回復というようなこともあるいはございまして、逆資産効果が次第に薄れていくということを念頭に置く必要があると思いますし、また長年にわたって続いてまいりましたストック調整も徐々に緩和していくということもあろうかと思いますし、さらにはまた、対策の効果もございまして消費者のマインドも次第に緩和し好転をしていく。  こういう中で所得、消費性向両面から今までの冷えてきた流れが逆に徐々に変わっていく、こういうことではないかと考えておりまして、一定の雇用者の伸びとそして一人当たり雇用者の所得の伸び、これが相重なりまして、そういうことを背景として消費がこの程度いくのではないか、そのような姿というものが来年度の後半から徐々に生まれていくというふうに考えているわけであります。
  232. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 すごい夢のようなお話を伺いました。  じゃ、雇用、所定外労働がふえていく。今どっちかというと深刻になっているのは何かというと、企業内の失業の問題であってみたり、内定者の取り消しがあってみたりと。  総理、この前、市川書記長が質問したとき、総理もやっぱり雇用のことを心配されていたんですけれども、当時の発言はまだ雇用は大丈夫だと。でも、それ以降何があったかというと、座間が閉鎖になる、それから内定者の採用取り消しがどんどんどんどん出てくる。私は、極めてそういう意味じゃ、雇用という問題にも本当にやっておかないととんでもないことになりますよと思っているんです。あのときの総理の認識、少し甘かったんじゃないかなと思うんですけれども、今、ずっと変化してきたのを見られて雇用情勢についてどんなふうにお考えですか。突然の質問ではございますけれども、聞いておきたいと思います。
  233. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あのとき雇用ということを私の方から申し上げました。多くの先進国が一〇%なんていう失業を抱えておるということから見れば、それはもう比べる必要もないことでございますけれども、しかしまず時間外手当が減っていく、パートがだんだんなくなっていくということからただいまお話のようなことも起こってまいりました。やはり、中央で始まった不況が地方にだんだん、また大企業から中小企業へと、そういう過程が進んでおるということは否定できないと思うんです。  ただ、幸いにして、失業保険の雇用調整助成金が十分な財源を持っておりますので、これは遅滞なく発動いたしておりますので、その点はせめてもでございますけれども、有効求人倍率がちょっとここで、反転をしたのですが、どうもこれもしかし、考えようによりましては求職をしなくなっているかもしれません。  ですから、それでよくなったともにわかには申しがたいので、これは幸いにして我が国の雇用の伝統が、レイオフというような厳しいアメリカのようなことが起こらずに済んでおります。これはもう非常に幸いなことで、それだけ企業も苦労しているわけですが、政府もしかし十分に注意をして見守っていかなければならない点であると思っております。
  234. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 経企庁長官に伺っておきます。  総理は、昨日この委員会の中で、景気回復のめどがことしの後半というようなお話でしたか、そういうお話をされたんですけれども、経企庁長官に伺いたいのは、では五年度の第何四半期から景気が上昇に転ずるというふうに判断しているのか。また、第何四半期から上昇に転ずれば三・三%を達成できるという見通してこの経済見通しを策定されたのか。現状はその予定線上できちんと景気は推移しているのか。その点を長官から伺っておきたいと思います。
  235. 船田元

    国務大臣(船田元君) お答えをいたします。  私ども政府経済見通し、年度全体として従来からお示しをいたしている数字でございまして、第何四半期から上がるとかあるいは四半期ごとの計数においてそれを発表していると、こういうものではないということをまず御理解いただきたいと思っております。  ただ、私どもとしては、平成五年度全般にわたりましてGNPあるいはGDP、これはプラスがずっと続いていくということを前提としております。もちろん、年度の前半におきましては、その上昇の何といいましょうか、主役というのがやはり公共事業、これは政府経済対策、累次のものがございまして、その効果がやっぱりあらわれて、そして年度前半は公共投資あるいはそれに引っ張られた住宅投資というものが景気の全体を引っ張っていく。そして、年度の後半にはそれに影響を受けた個人消費あるいは設備投資というのが徐々に回復をしていく、こういう絵を描いているわけでございます。  年度後半のこの個人消費、設備投資、こういう景気のといいますか経済活動の主役でございますが、これがやはり回復をするということになりますと、広く一般の国民の景気の回復感、これが実感として感じられてくるんだろうというふうに思っております。数字の上では年度全体を通じてプラスたけれども、後半によりそれが国民の意識としてはっきりあらわれてくるといいますか実感として感じられる、こういうことを見込んでおります。そういうことを通じて三・三%という数字をお示し申し上げたということでございます。
  236. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 なかなかこれも難しい。私は、やはりそこまで本気でやるならば、もちろん予算を通すことは大事だということを何回も大蔵大臣から言われました。それだけではなくて、やはりそこまでお考えならば、今の状況を踏まえて追加的公共投資をどうするのか、もちろん所得減税どうするのかという問題をやっていかざるを得ないところまで私は本当に来ているんだろうと思っております。このまま推移をしたら、今言われた数字なんというのは本当に絵にかいたもちじゃないんでしょうかね。私はそんなふうに正直言って思っております。それが実際に生活している立場の私は実感だと思いますよ。  この所得税減税の問題につきましては、与野党間協議というお話もございます。総理にこの所得税減税についての考え方、参議院は参議院でございますから、ぜひどうお考えになっているかというのをこの際聞かせていただきたい。今の景気の動向を踏まえ、今からどう動かせばいいかということを踏まえた上で、この所得税減税という問題について総理からきちんとどうすべきかを伺いたい。私たちはもちろんやりたい、こう考えております。
  237. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これにつきましては前国会でもいろいろ御議論がございましたし、私ども予算編成の際にいろいろ考えましたが、結局、乗数効果として減税がいいのか公共投資がいいのかという問題、あるいは所得税の減税を考えますと、いずれ本格的な所得税あるいは税制全体の見直しをしなければならない。遠からない将来にそういうことになると思いますが、それとの関連で、一時的な所得税の減税というものはどういう地位に立つであろうかというふうなこと、ある いは何よりも財源をどうするかというふうなことから、この平成五年度の予算ではごらんのようなことで見送ったということでございます。  これを御指摘のように年度初めから施行させていただきたいと思って、御審議をぜひお願いいたしたいと思っておるわけでございますけれども、ただ何度もお話がございましたような普通の循環、経済循環の不況と違いますので、いろんなところで注意をしておかなければならない、機動的に対応しなければならない要素がたくさんあると思います。ですから、この景気の動きを見ながら十分に、まだ気を許すことができません、いろんなことを考えてまいらなければならないとは思っておりますけれども、たまたま衆議院におきましても各党いろんな問題について御協議があるということでございますので、そういうことも拝見しあるいは景気の状況も見ながら、将来の問題としてやはりいろいろなことを考えておかなければならないと思っております。
  238. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もちろん各党協議というものを大切にしていただきたいと思いますけれども、ある一定時期というのは、やはり総理がどう考え決断するかというようなものが私はぜひ見えなくてはいけないだろうと思うし、そういう決断をぜひする時期が来たならば、きちんとした形で我々の要求どおり所得税減税という問題について前向きに取り組んでいただきたいということを要望しておきます。  総括質問ですので、少し生活関連のこともお伺いしたいんです。  総理アメリカのクリントン新大統領が就任後直ちに署名して米国議会で成立させた法律というのを御存じなら、概要で結構ですけれども、どんなものだったか御説明いただけますか。
  239. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一つは、ファミリーなんとか申しました、あれは危急のときの給与をどうするかという法案でございまして、ブッシュさんが好きでなかった、これをサインをいたしました。  それから、軍隊における同性愛者を、本来ならばすぐに許すつもりだったわけですけれども、それは妥協をいたしまして、ことしの十月でございましたか、それまでちょっとおいておこうという、しかしこれも一つ進めました。  それから、妊娠中絶につきまして、連邦政府から補助を受けておる等々の医者あるいは連邦政府の補助金が事実上それに使われるようなことはあってはならないというのがブッシュさんの立場でございましたけれども、これは全部クリントンさんが撤回をしたと、十分記憶がございませんがそういうことだったと思います。
  240. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 三つあるうちの一つは実は介護の問題なんですね。家族が休業でき本人も休業でき、いろんな形の休業、これは産前産後の問題まで含んだような介護法案なんですけれども、ブッシュさんが嫌がったのをクリントンさんがぼっと決めたということなんですけれども、私はああいう姿勢を見ていると、何か自分がこれから一体何をするのかという意思表示みたいな、要するにある意味では国民にとって一番望んでいるもの、国民から声が上がってなかなかできなかったものをさっととらえて一つでもやっていこうという、何かある意味じゃ若さというんですか、一つ具体的に実現するというようなものが見える気がするんです。  総理、そんなふうに感じませんでしたか。
  241. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはいろいろ議論があったわけでございますね。結局、雇用者といっても、大企業もございますけれども中小企業もありますので、そこでそのバランスをどう打ち出すかという今の休業手当の問題でございますが、ブッシュさんにはブッシュさんの哲学があり、クリントンさんにはデモクラットの哲学があったと、これはこういうふうに考えるべきではないかと思います。
  242. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まさに私がブッシュさんからクリントンさんに移ったときに見たものは、生活大国づくりということをクリントンというのは考えたんじゃないだろうか、あの介護に取り組んだときに。いわば企業の立場よりはそこに働いている人の立場、まさに宮澤総理と一緒の考え方なんですよね、生活大国づくりなら。私はそう思ったんです。そうすると、宮澤総理にとって生活大国というものの具体的事例は何だろうかなと思うと、私は正直なかなか一つの法案なりそんなのでは思い浮かばなかったんです。  だから、私が訴えたいのは、もちろん私たち公明党、介護休業法という問題に取り組んでおります。もちろん所得保障の問題、アメリカの法律といろいろ違いはありますのでも、何か具体的に、働いている人たちから見て、あっ、生活大国ってこんなことだなという具体的な法律、そんなものにつながっていかなくちゃいけないんじゃないかなと私は思っております。  そういう意味では、介護休業法なりそういうものについて、総理、ぜひ何か国民に目に見える形で、ああこういうものを総理は目指そうとしている、やろうとしているというのをもうぜひやっていただきたいと考えている。特に介護休業法なんというのは、私たち野党が出すんじゃなくて、総理の方からどうだというぐらいの気持ちになっていただきたいと思うが、いかがでしょうか。
  243. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 生活大国という中で、これは下水とか住宅とかばかりを言っているんではもちろんございませんで、今お話しのことに関連して言えば、やはり就業時間の短縮、労働時間の短縮ということは労働大臣が大変に説得をされるのに御苦労されましたけれども、しかし私どものやはり生活大国の考え方の中から打ち出したものでございます。  それから、育児休業なんということも昔から考えれば私はやっぱり大したことだと。育児が男性の仕事でもあるということを法律でああいうふうに認めていくわけですから、やはり一つの大きな前進ではないか。  そこで介護休業、やはり介護ということも私はこれから家庭におる者の大きな負担になっていくと思います。それはどうしてもそうだと思うし、それはやはりどっちかといえば女性の負担になっていくだろうと思いますので、介護休業そのものは私はやはり慣行として育てていかなければならない。これは説得によってやはり経営者にもわかってもらわなければならない問題だというふうに思っておりますけれども、さて、それを法律にする、どの段階でどういうことでやっていくかというのは、もう少し事実問題としてそういう考え方が定着をしていくことがまず先ではないか。  事柄そのものに私は決して反対ではございません。そういう考え方が定着していくことはこれから社会が長寿化いたしますと殊に必要だと思っていますけれども、これを法制化することについてはもう少し事態の成熟さを見ていった方がいいのではないかというふうにただいまは思っております。
  244. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は総理とちょっと考え方が逆で、ある意味じゃ積極的に導入することで高齢化社会への対応ができるんじゃないかなという思いも正直ございます。  それと、そういう意味でいくと、もう一つ消費者にとって今一番必要法律ということであれば、製造物責任法の問題がございますね。要するに、消費者がいろんな商品事故に遭う、それをどう守っていくかという問題がある。これはずっと審議をしているんですけれども、去年一回とまって、ことし一月ようやく審議会が再開されたようでございます。この製造物責任法についての考え方は、総理、どうですか。これもやっぱりある程度定着するまで待つべき問題なんでしょうか。私はこの製造物責任法こそもう今すぐある意味では取り組んでいい問題だろうと思うんですけれども、この問題についてどうお考えですか。
  245. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 結局、終局の目的にしなければいけないのは、消費者というものが本当に保護されなければならない、あるいは病人、お医者にかかる人が本当に保護されなければならないということでございますから、それを中心に考 えていくことが大事だろうと思います。  それで、現実にアメリカの例とヨーロッパの動きとに多少違いがございます。それは、やっぱりアメリカはあるところでちょっと行き過ぎた。これは、行き過ぎた結果として消費者に本当に幸せなんだろうか。あるいは非常に問題のある病人はお医者が診てくれない危険がございますからといったようなところまでいくのはなかなか問題があるなということを私はヨーロッパの人たちが見ているんじゃないかと思いますので、究極的に消費者あるいは病人が一番どうしたら保護を受けるかということ、それにはどのような法律あるいはどのような制度をつくればいいかということになりますので、それで経済企画庁の国民生活審議会で一年間議論をしていただきました。  その議論の際には、各方面からいろんな意見が出ましたので、もう一年ひとつ議論をしていただくことはそうお願いしたいが、そこらあたりで結論を出していただきたいということを私は考えていまして、これはいろんな立場からのいろんな御意見があると思いますけれども、本当に現実に消費者が不幸にならないように、一番ここらあたりが消費者の幸せだという、そういうあたりをよく各方面で考えて結論を出していただきましたら、これは立法化をお願いしたいと思っております。
  246. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点、マルチ商法の問題でお聞きをしたいんです。  きのう警視庁がこのマルチ商法の問題で一件摘発をしておりますけれども、まず、どういう事案だったか説明をいただきたいと思います。
  247. 中田恒夫

    政府委員中田恒夫君) 御質問の会社に係る訪問販売法違反容疑事件といいますのは、警視庁において捜索に着手をいたしました事件でございまして、容疑内容は、商取引に関する知識経験に乏しい若者を対象にいたしまして浴用の気泡器やあるいは空気清浄器などの販売のあっせんをする者を勧誘するに際しまして、法律に定める書面を交付しなかったり、あるいはマルチ商法とは違う、入会すれば確実にもうかるなどと虚偽を告げたというものでございまして、警視庁におきましては昨日その容疑で同社の事務所など数カ所を捜索いたしております。  事件の詳細につきましては、現在捜査中でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  248. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ちょっともう一つ尋ねたいんですけれども、被害者は若者が多いんでしょうか。二十代ぐらいですかね。その辺ぐらいはどうですか。
  249. 中田恒夫

    政府委員中田恒夫君) 学生層を中心に若者が多うございます。
  250. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 マルチ商法はすごくバブル崩壊後ふえているんですよね。相談件数も多い。その辺どう認識されているか、通産省でも経企庁でも結構ですから御認識をお伺いしたいと思います。
  251. 細川恒

    政府委員(細川恒君) 現状でございますけれども平成三年度にいわゆるマルチ商法に関しまして当省に寄せられました消費者の相談件数ということで見てみますと、確かに前年度に比較して増加をしている実態にございます。  一般的にでございますけれども経済が低迷をしておりますときにはこうした消費者相談が増加する傾向にございまして、本件におきましてもそうした影響もあるかというふうにも考えております。ただし、これを詳細に見てみますと、マルチ商法やそれに対する法制度につきましての質問や業者の信頼度についての問い合わせ、こういったようなものも含まれておりますので、直ちに法律違反を形成するものでない事例もかなりあるのではないかというふうに私ども考えております。
  252. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 経企庁は。
  253. 加藤雅

    政府委員(加藤雅君) お答え申し上げます。  マルチ商法につきましては最近件数が増加しておりまして、また二十歳代のシェアが多いということは御指摘のとおりでございます。  経済企画庁の関連では、現在、国民生活センターというのがございまして、この国民生活センターにおきまして調査、さらにこの関連の情報の提供、特に若い方にこの情報を提供いたしましてひっかからないようにしていただくということが非常に重要でございますので、情報の提供に努めておりますほか、学校等でもそういう情報をよく教えていただきたいということで、これは文部省とも関係がございますが、学校での情報提供指導等にも努めていただくことにしているということでございます。
  254. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今お話があったみたいに、ちょうどマルチ商法の被害に遭っているのが今若者、学生なんですよね。これはどういう人たちかというと、マルチ商法が社会問題化したのは昭和五十年代で、これを知らない世代が今育ってきて結局またひっかかっている、そういうことなんですね。いつもねらわれるのが若者だというところにも特徴がありまして、そういう意味では消費者教育というか、さっきもお話がありましたけれども、取り締まった数では学生が多いという問題も実際にございます。この辺、文部省としてもぜひこういう問題に対する消費者教育というのを御検討いただきたいと思っておるんですけれども
  255. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 経済生活が大きく変化しております中で、大学や短大の学生が消費者としての正しい態度や知識を身につけるということは大変大切なことだと考えられます。大学や短期大学によりましては、消費者保護論とか消費者経済学、消費者保護法などの授業科目が開設されまして消費者教育が行われるようになっているところもございますし、また、学生の生活指導の面から学生生活の手引とか新入生のオリエンテーションなどを通じまして、マルチ商法などの被害に遭わないように学生に対してかなり丁寧な指導がなされているところでございます。  文部省といたしましても、学生指導担当者の会議などを通じまして各大学に対して学生に対する指導を求めているところでございますが、今後とも学生がマルチ商法などの消費者トラブルに巻き込まれないように一層指導を充実してまいりたいと存じます。  なお、私の手元にございます平成五年二月二日までに消費生活情報ネットワークシステムに入力された件数によりますと、マルチ商法に関する相談をいたします人々の種類と申しますか、まあ若い人が多いんでございますけれども、学生よりは多少収入のある給与生活者の方が多いような数字もここにございます。
  256. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 経企庁の認識と通産省の認識、これちょっと違う気がするんです。通産省の方はまだまだこんなのは大したことないんだと、まだ余裕があるんだみたいな考え方を持っておるような気がどうもするんですよね。だから、通産省は本当に真剣にやる気があるのかなという気もするんですけれども、森通産大臣は一応何か衆議院の予算委員会では厳正なる指導をしてまいりたいとおっしゃっているから多分やられるんだろうと思うんですけれども、一体どんなことをやっていこうとするのか。かつてはやったことあります。危険な業者名を公表した。これを通産省はやりました。それから、例えばマルチ商法の問題ではいつも信販会社が問題になる。信用供与という問題ですよね、これに対して通産省が指導したこともある。こういうことをかつてやった。でも今は、一体この厳正なる指導というのは何をやっていこうとされるのか聞きたいですね。
  257. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 去る二月十五日の衆議院の予算委員会で私は、厳正なる指導をしてまいりたい、このように宮地委員にお答えを申し上げました。この趣旨は、現在通産省におきまして消費者相談から得ました情報などをもとに法定書面の整備、不実や虚偽のセールストークの是正、クーリングオフヘの対応など訪問販売法を遵守するようにまず業者に対して指導を行っております。今後こうした指導をさらに厳しく行っていくということを私は申し上げたわけでございまして、今幾つか挙げましたね、それを厳しく指導してまいります、こう申し上げたんです。  また、都道府県レベルの指導の徹底を図らなきゃなりませんので、既に本年度から同法の施行 事務を担当する都道府県の職員を対象として研修制度を発足させております。これも御答弁をその際申し上げたところでございます。  もう一点、御指摘の業者名の公表につきましても、昭和六十三年の訪問販売法改正によりまして主務大臣、これは現在都道府県知事に権限を移譲されておりますけれども、その主務大臣が改善指示に従わない事業者に対しまして業務の停止を命じた場合にその旨を公表することを法律上の制度としてございます。同法の要件に該当する場合には命令及び公表があり得ると考えております。  また、今お話ございました、文部大臣とのやりとりの中にございましたが、安場な信用供与の防止については、クレジット会社に対しまして、昨年五月にいわゆるマルチ商法を含め特殊な勧誘方法により商品を販売する加盟店について加盟店になる場合の審査を強化する、それとともに継続的に徹底した管理をするように通達を出したところでございまして、クレジット会社におきましては一層のきめの細かい加盟店管理に今努めておられるところでございます。  さらに、クレジット会社では、消費者トラブル等を起こした加盟店に関する情報交換を相互に行うように、そのためのシステムネットワークというんでしょうか、債務の多い人とかどの程度の預金があるとか、そういうのが大体わかるようにお互いの情報交換ができるようなそういうネットワークづくりを今進めておるところでございます。  今後とも、今いろいろと先生からも御指摘がございました悪質商法に消費者が巻き込まれないようにするということが一番大事でございまして、引き続き実態把握を行いながら、関係省庁とも協力しつつ消費者啓発教育を推進するとともに、法の厳正な運用及び関連事業者に対する指導に努めてまいりたい、このように考えております。
  258. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 病院赤字問題をやりたかったんですけれども、ほとんど時間がございません。厚生大臣に二点だけ伺っておきたいと思います。  この問題、衆議院で市川書記長が一生懸命やりました。厚生省としても調査に取り組むというお考えをお示しになりました。  病院の赤字経営の問題について調査されるということですけれども、一体いつごろどういう形でいつまでに結論を出すつもりでやられるのかということを聞きたい。特に、どういう点を聞きたいかというと、その調査を踏まえて、例えば病院経営のガイドラインをつくられる気ているのか、それから、その後の診療報酬改定の問題に当然その調査というのを役立てるおつもりでいらっしゃるのか、そういう視点について厚生大臣からぜひ見解を聞きたい。  もう一点お聞きしたいのは中医協の問題でございます。ここで診療報酬が決められるわけですけれども、この中医協の中には病院団体の代表が今入っておりません。こういう問題についても、現在の民間病院の厳しさを考えるならば中医協というところに病院経営の実態を知っている団体のメンバーを入れる必要があるんじゃないかと思いますけれども、この二点について答弁を求めたいと思います。
  259. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) お答えいたします。  まず、民間の医療機関でございますけれども、地域医療のために多大なる貢献をいたしておるわけでございますので、その経営の健全化というものは私どもにとって大変重要なことである、このように認識をいたしておるわけでございます。市川書記長からの御質問もございましたけれども、この経済実態調査でございますけれども、早急に行いまして夏ごろまでに結論を出したい、調査結果をまとめたい、こう考えているような次第でございます。  その中で、特に私どもが調査の対象として考えておりますことは、いわゆる病院の悪化の要因がどういうところにあるのか、例えば看護婦さんの人件費が大変上がっているとか、あるいは医薬品の購入状況であるとか、あるいは最近は大変高い医療機器を購入する病院がふえておるわけでございますのでそういったところにあるのか、あるいは経営のあり方そのものに問題があるのか、こういうものを含めまして総合的に調査を行っていきたい、このように考えているような次第でございます。  それから第二点目でございますけれども、診療報酬の改定に当たりましては従来よりいわゆる中医協に諮って決めてきておるわけでございますが、その前段といたしまして医療経済実態調査を実施いたしております。それとともに、物価や賃金の動向、医療を取り巻く環境、こういうものを踏まえまして、そして中医協の御審議を踏まえて決定をしていく、こういうような手順を踏んでおるわけでございます。  この中医協のメンバーでございますけれども、実は病院経営の代表者の方も、私も個人的によく存じておりますけれども、入っておるわけでございますので、病院経営の実態がこの診療報酬に反映しておらないというのは率直に申し上げてちょっと適当ではない、このように考えております。
  260. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後の質問をさせていただきます。最後は建設省に対してでございます。  これは心身に障害のある方々に対しての各種有料道路の割引制度の問題でございます。  この問題はもうずっと前からうちの党、例えば衆議院の日笠とかみんなが何回も何回も指摘をしておりまして、道路審議会建議は昨年六月にもう既に発表して、そういう方向で行けという話も既にでき上がっております。省内で検討されているという話も聞いております。やっぱり生活大国を実現していく上で、またこういう障害者の方々に対してもきちんとやらなくちゃいけない問題の一つだと思っています。いつまでも省内省議をしていてもしょうがないわけですから、いつまでに結論を出すつもりでいらっしゃるのか、それだけを答弁していただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  261. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) お答えをいたします。  先生から御指摘をいただきました身障者の方の高速料金の値下げについては五十四年度から実施しているわけでありますが、厚生省の調べで六十二年の段階で肢体不自由の方は百四十六万人おります。その中で免許取得者が二一%、約三十万人の方が免許を持っております。この三十万人の方々が、平成三年の段階でありますが、高速道路を利用した車が二十九億五千万台、その中で四百五十五万三千台ですと、一人平均すると大体十五回ぐらい高速道路を年間に利用するわけでございます。  こういうことになりますと、この負担を他の利用者の方々にお願いをしなければならないということと、もう一つは鉄道と違いまして車一台一台に対する値引きということになってまいりますので、この問題に対しましては、先生御指摘をいただきましたように道路審議会におきましてこの適用について具体的な要件も含めて検討するということでございますので、できるだけ関係省庁と身障者の方、介護者の方、自動車の要件、こうしたものも速やかに検討を進めて結論が出次第措置をとっていきたい、このように考えております。
  262. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  263. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 以上で木庭君の質疑は終了いたしました。(拍手)
  264. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 次に、寺崎昭久君の質疑を行います。寺崎君。
  265. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 最初に宮澤総理にお尋ねいたします。  今月六日に金丸自民党総裁が逮捕されたときに、総理は遺憾であるということをおっしゃられました。    〔委員長退席、理事井上裕君着席〕 そして、八日の朝も所感を聞かれまして、遺憾である、残念であるということを言われ、それ以上国民に言うことがないんですかという畳みかけた質問に対しても、それ以外にはないでしょう、こ ういうことをおっしゃったと報道されております。私は大変失礼ながら物足りなさを感じました。  確かに総理は、総理大臣という公職につかれた方でありますから冷静さは要求されると思いますが、同時に政治家そして国の最高のリーダーであられるわけです。リーダーというのは、国民の琴線に触れる言葉で今の立場や気持ちやこれからどういう方向へ行くかということをおっしゃらなければいけない、そういうときがあるんではないでしょうか。国民とともに怒り、国民とともに悲しむ、こういう面があって初めて国民がついてきてくれるんではないでしょうか。遺憾とか残念というのは、それこそ残念ながら私は外交上の言葉だと思うんです。これでは国民は納得しないと思います。怒っているんです。それに対して残念あるいは遺憾であるというのは、恐らくそらぞらしく聞こえるに違いないと思います。  金丸前副総裁宮澤総理が三顧の礼をもって副総理に迎えられた方であります。また、自民党の中で長い間一緒にかまの飯を食われた方です。また、先日の二十万円の件で政治不信をさらに高められた方です。いろいろ功績もおありだったかもしれませんが、問題を残された方です。その方と一緒に時の与党を組み今日までやられてきたんですから、総理は遺憾、残念と言う以外に、やはり国民にもっと血の通った言葉、琴線に触れる言葉で御自分の気持ちやこれからどうしたいということをおっしゃるべきそういう大事なときではないんでしょうか。  初日以来、この点については何度か皆さんが触れられましたけれども、やはり物足りなさを感じている、そのあらわれでもあると思います。再三にわたりますが、総理のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  266. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのような新聞の記事を見まして、ちょうどいい機会でございますので申し上げておきたいと思いますが、この逮捕の事実を知りましたときに私は談話を出しまして、極めて遺憾なことであって残念に思う、それから検察、国税当局において厳正な捜査が行われることを信頼していると、こういうことを申したわけでございます。  昨日もここでお尋ねがございまして、これは政治家倫理である、あるいは政治改革をどうしてもしなければいけないという、この事件の投げかける問題につきましては何度か申し上げました。  それからもう一つ、いやしくも国民の税金のことを議論する国会議員であった者の容疑、それについてどう思うかということについて、私は同じ国会議員としてその点は非常に申しわけなく思いますと、こういうことを申し上げております。私一人の人間といたしましては申しわけなく思うというのが私の偽らざる気持ちでございますけれども総理大臣という立場から申しますと、それは捜査が厳正に行われるということが極めて大切なことであって、いわば自分個人の問題として申し上げればともかく、公の立場としてはやはり遺憾である、残念であるというそういう表現が一番正しいのではないか、こう考えましていたしました。  しかし、国民に対してこういうことが起こっているということは非常に残念なことで、政治に携わる一人の者として申しわけないと考えておることには間違いがございません。
  267. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今回の金丸逮捕というのは、ただいま日本政治が抱えているいろんな問題を改めて浮き彫りにしたと思います。その第一は、政治家というのは政治に金がかかるのは政治活動のせいであるとか、選挙制度のせいであるというようなことを言うけれども、その実私腹を肥やしている人が大勢いるんじゃないかという国民の疑念をあたかも立証したような結果になったんではないかと思います。大勢そう思っているわけですから、あれは例外だと言っても、そうですかと通用するものではないように私は思います。  法というのは、モラルの最低限、倫理の最低限を示すものだと思います。とすれば、法を定める国会議員が事もあろうに所得税法違反容疑で逮捕されるというのは全く情けないことであり、高い倫理観が求められる国会議員がこういう状態であるとすれば法治国家は成り立たないと思います。民主国家にとって危機だと思いますしかるにこういう事件が起きてしまったわけであります。  考えてみますと、戦後政治の中で政治と金に絡む問題というのは幾度となく起こり、時の政権を担当される方の名前がその都度何人も挙がっているのが実態でございます。政治家が幾ら倫理倫理と鈴虫じゃあるまいし同じようなことを繰り返しても、国民の怒りはもう既に許容の範囲を超えている、限度を超えていると思います。そういう意味では、倫理も大事でありますけれども倫理を担保する法的な措置、つまり法を犯したら即座に議員辞職に追い込むというぐらいの法律の改正が必要だと思いますし、この際、政治改革に当たってはほかと切り離して、まず政治腐敗防止法を成立させる必要があると私は思いますが、総理いかがでしょうか。
  268. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政治資金規制につきましての強化が必要である、殊にこのたびの出来事がそれを示唆しているということは、私は御指摘のとおりであると思います。何としてもこれは取り急いでこの国会でお決めをいただかなければならないことである。そこまでは私も同じように思っております。  その次の問題は、しかしそうやって政治資金規制を強化して理想的な形に持っていきましたときに、そのこととの関連で、例えば選挙についてのあるいは政党に対しての公費助成といったようなことと恐らく考えていけばどうしても関連が出てくるということは、またそのことが選挙制度と関連をするというその関連というのは、現実の問題として考えてまいりますと、一つだけを取り出してそれで済むというわけにまいらないのではないか。  かたがた、その他の問題もやはり緊急性を要することでございますので、事は確かに急ぐわけでございますが、そういう状況の中で関連した問題はこの際思い切って政治改革全体として国会でお決めをいただくことがいいのではないかという意見、私どもの党内にもただいまのところ、間もなく考えをまとめなければなりませんけれども、その辺のところ意見の調整をいたしておる今日現在でございますが、私自身はやはり片っ方のことが、急ぐということは御指摘のとおりだと思っておりますが、さりとて他のものを切り離して後にしてしまうということも問題があるというふうに実は考えておるところでございます。
  269. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 総理考え方というのは筋道としては私はそのとおりだと思うんですが、国民の側からそれを聞いてももはや信頼できないというところまで来ているんではないでしょうか。私はそのことを大事にするべきだと思いますし、ですから政治腐敗防止法、違反した者はもう首だということをはっきりまず言うべきじゃないかと考えております。  今回の問題について言いますと、明らかに浮き彫りにされた第二の問題というのは政治資金の透明性ということだと思います。政治資金というのはいわば公のお金である、そういう考えから無税扱いになっているんだと思います。したがって、公のお金というのは公明正大に広く公表される必要があると思います。集め方にしても使い方にしても公明正大に公表されるべきだと思います。  そういう観点から民社党もこれまで、例えば政治献金の政治団体は一つにするべきであるとか、あるいは銀行口座を通じて授受されたものだけを政治献金とみなしたらどうかとか、究極的には団体、企業献金は廃止するべきだとかいろんな提案をしてまいりましたけれども、残念ながら今のところ与野党の合意も見ていないというのが状況であるわけであります。  政治資金の公明正大さを保つには、政治資金を取り扱う人、出し入れを透明化するだけではなくて、私は、だれから幾らもらったかだれが渡したかというのを明らかにするためにも、出し側の チェックも、あるいは公明性、透明性も増すべきだという考え方から、昨年の十二月の予算委員会において商法の二百六十条、つまり取締役会の権限に属する項、これを改正政治資金という項目を盛り込むべきである、つまり取締役会の承認のない政治資金を出せば商法違反である、これには特別背任罪を適用するというように改正するように提言をいたしました。  総理は、当局に検討させるというお話でございましたけれども、改めてこの二つの問題、つまり、政治資金にどういうことを盛り込む必要があるとお考えなのか、あるいはもう一つは商法の改正に踏み切るおつもりはあるのかどうか、お考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  270. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 寺崎委員総理のお答えになる前にお答えを申し上げたいと思います。  今、政治資金の問題その他政治改革について広範な御意見を述べられました。まさに同感でありまして、先ほども質疑の中でお答え申し上げたのでございますが、現在まだ政治資金規正法がいろいろ不透明な部分がたくさんある。したがって、今御提案になったような新法の提案、これもよくわかります。そしてまた、政治資金の規制というものはどういうふうにあるべきかということを十分に相談していただかなきゃならない。このことはもう既に数年来の懸案になっておるわけでございます。  御指摘の罰則その他の強化の問題は、イギリスでいう腐敗行為防止法、一八八三年法というのがございまして、これは公民権の停止とか非常に厳しい罰則を適用いたしました。それ以来イギリスの腐敗選挙は後を絶ったということでございますが、日本にも今やそういう時代が訪れつつあるんじゃないか。したがって、選挙制度の改正政治資金規正法の改正その他の部分を通じて全般的に政治改革をやらなければならない、こういう認識は寺崎委員と全く認識を一にしておりまして、当面の問題については、九増十減案その他各党が非常に真剣な討議を積み上げてしていただきました。  しかしまだ、例えば第三秘書の設定であるとかあるいは政治資金は党を通じてクリーンに透明にやっていかなければならないとか、そういう基本的な問題ははっきり決まっておるのでございますが、いわゆる罪と罰と申しますか、政治資金、政治の問題では、罪がいろいろ犯されるのに罰がまだ的確に決められていない。そこに私は基本的な問題があると思うのでございまして、先ほど二十一世紀のグランドデザインということを申し上げましたが、これは国会改革あるいは政治改革全般にわたって人間性の根本から考え直していかないと本当の政治改革はできないな、そういうふうに認識をしておるわけでございまして、個別的な問題についてはまだ御議論に応じて申し上げたいと思います。
  271. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御質問の御趣旨は、会社法の世界政治献金の問題についてもう少しきちんとけじめをつけるような商法改正といいますか、それを取り上げたらどうだと、こういう御質問だと思います。  前の田原大臣のときにたしかお答えしておることは承知をしておるんですが、私は会社法の世界ということを考えますと、会社は会社の仕事を推進するために必要な寄附をするわけで、その寄附の中にやはり政治献金ということがあってもしかるべきであると。これは既に例の八幡の最高裁判決がございますね。そういうようなことでございますから、私は確かに政治資金についてもう少し道筋をきちんとすべきであるということは全く賛成なんですが、果たしてそれが会社法の世界で処理するべきものなのか。私はやはりこれは政治資金規正法があるという以上は政治資金規正法の世界できちんとするか、それとも、今各党でどのような御論議があるのか私は聞いておりませんが、日本には政党法がないんですね、やはり政党法といったようなことを考えて、その世界でこういう問題はきちんと整理すべきではないのかなと。  したがって、私の所管世界で申しますと、ちょっと商法というのは、前の大臣がお答えはしてございますけれども、勉強はいたしますけれども、少し場が違うんではないか、こういうように私は疑義を持っておるわけでございます。
  272. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 法務大臣に重ねてお伺いしますけれども、企業というのは利益追求であることは間違いないと思います。会社の交際費もそういう意味で使われている分には株主は納得すると思いますけれども、一方、政治資金というのは特定の目的を持ってはならないお金であるわけです。そういうところにお金を出すということを考えても、株主の利益を守る観点からも、やっぱり取締役が公の場つまり取締役会において決めるというのが物の筋道ということなんではないでしょうか。現に使途不明金の中に紛れ込ませている政治資金というのは多額に上っているわけです。このこともわかっているわけです。  私は今の法務大臣のお答えではちょっと納得できません。
  273. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 会社がその会社の中の重役会の付議事項として会社内部の規律としてきちんとお決めになるということは、これは私はあってしかるべきだと思いますが、法律の制度としまして政治献金だけを取り上げて、それを会社法の世界できちんとやれ、そしてそれは重役会にかけなきゃこれは任務の違反になるんだといったような考え方は、考えられないじゃありませんけれども少し場が違うんではないかなと。それはやはり現在の法律では代表取締役というものが通常執行権を持っておるわけですから、会社の中の特別な規定があれば別として、その規定にない以上は私は代表取締役がきちんとおやりになればいいではないか。  それが別の世界政治世界政治資金規正法に違反をしておるとかそういったようなことがあり得るわけですから、あるいはまた政治資金規正法の世界で、これは企業献金というのはどう考えたらいいんだとか、あるいは個人献金をどう考えたらいいんだろうかといったような面をきちんと整理して処理していくべき筋合いではないのか、こういうことをお答えしているわけでございます。
  274. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 重ねて申し上げます。  今回、金丸さんの蓄財が七十億とか伝えられておりますけれども、個人が出したお金もあるでしょうが、恐らく団体、企業からのが多いんじゃないでしょうか。佐川事件もそういう中で起こったんじゃないでしょうか。ですから、取締役会の議事録としてきちんと残す、見たいときには株主は見られるということが金の出し入れを透明にする大事な方法なんじゃないかと申し上げているわけでございます。法務大臣におかれましては、また御検討をいただければありがたいと思っております。  それから第三は、政官財の癒着の問題であります。  金丸氏の蓄財の方法というのはおいおい明らかにされていくと思いますけれども、もしこの中に職務権限に絡むものがあれば、所得税法違反にとどまらず、言うまでもなく収賄罪に問われるわけであります。これは調査の結果を見なければわかりません。  ただ、金丸前副総理政治手法というのは、法律上の職務権限は有していないが影響力を発揮して政治目的を達するというように一般には理解されている、見られているわけであります。ということになりますと、実質的には明らかに収賄罪に該当することもやっておられるんじゃないか。現に昨年の十一月、我が党の中野議員金丸前副総理に対して臨床尋問をやったときに、東京佐川に何か世話したことがあるかという話をしたとき、道路調査会長をやっていたからそのときに世話をしたという話をされております。  そういうことを考えてみますと、私は収賄罪を適用する際の職務権限という幅をもっと広げるべきではないか。つまり、政党の役職者も含め収賄罪の対象に含めてはどうかと思うんですが、総 理、いかがでしょうか。
  275. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは刑法にも関係がございますので、法律に精通しておりません私がこれということを実はもっと勉強してからでないと申し上げてはいかぬと思っておりますけれども、一つ自分が前から思っておりますことは、政党というものがどうあるべきかということについてであります。  本来ならば政党というのはできるだけ自由にあるべきであろう。そして、議会政治が発達してまいりました歴史から申せば、いわゆる官憲というものの取り締まりからできるだけ政党というものは自由であるべきだというそういう歴史を歩いてきたと思いますし、またこれからも私はそういうことが望ましいのだろうと思っております。そういう点から申しますと、政党法というものをつくるということは政党を法の規制のもとに置くということでございますので、本来そのことが望ましいかどうかということにはいろんな議論があるであろうと思います。  ただ、また他方で、選挙についての公費補助というようなことは多くの方が入り用だというふうに考えておられるといたしますと、その補助の対象は恐らくいわば政党であろうと思われます。そうしますと、公費の補助を受ける対象が何ら法の規制を受けなくてもいいのかというそこに非常に難しい問題が出てくるのでは。なかろうか。  で、まあ考え方としては、ですから正面から振りかざして政党法というものを考えずに、むしろ公費を受けた場合の受けた者のいろいろな義務等々を、あるいは受けるべき者の定義と申しますか、そういうものをそういう形でつくっていった方がいいのではなかろうかと思っておりますので、おっしゃることはよくわかっておりますのです。わかっておりますのですが、政党法という形で政党の活動を余り厳しい規制のもとに置くというのは、いわゆる角を矯めて牛を殺すということにならないようにどういうふうにするかという問題を持っておるのではないかと、かねてそういうことを実は考えております。  しかし、実はお出しになった問題は刑法との関係のある問題で、昨日でしたか、国会における野党の質問云々というようなことのお尋ねがちょっとございましたのを記憶しておりますが、そういうこととの関係どもいろいろございますので、もっとよくこれは勉強いたしましてから申し上げなければならない問題であろうかと思います。
  276. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 何度も法務大臣にお出ましいただきますけれども、御意見ございましたらお願いいたします。
  277. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 確かに一つの御提言ですね。しかし、私は大体今の総理の御答弁で尽きておるのではないかと。  といいますのは、言うまでもありませんが、刑法というのは刑罰に関する一般法でございます。その一般法の中に政党とは何ぞや、政党の役員とは何ぞやといったようなものを書きまして、それにその政党の役員の職務云々について賄賂が云々といったようなことを一体一般法の中に書くべきかどうかということは、これは多少法体系上私は問題があるなど。やはりこれは、先ほどお答えいたしましたように、政治資金規正法の問題なり、あるいは今総理がちょっと申されましたが、国から公的助成を受けたといったようなこととの関連の中で、場合によればそういう法律の中でお書きになるとか、あるいは積極的に政党法というものができるんならそういった中でお書きになるのかといったようなことが法体系としてはいいのではないか、こう考えておるわけでございます。
  278. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 金丸逮捕が浮き彫りにした問題は、そのほかにも派閥の弊害ということがあると思いますが、時間の関係でこの点は割愛させていただきます。  第五番目の問題として、国政調査のあり方とさらなる証人喚問の必要性の問題でございます。  本日の予算審議に臨むに当たり、私はまず検察とか税務当局から事実関係を確認しようかと当初思っておりました。しかしながら、きのうきょうの質疑の中で明らかになったように、ほとんど事実らしいことは何もおっしゃっていただけません。それで、観点を変えて幾つか申し上げたような次第でございます。  国政調査と捜査権の目的というのはおのずから異なることは私も多少理解しております。国政調査というのは、もとより法と正義に照らして国家の秩序を守ること、また国民生活における基本ルールを決めて、もって国民生活の安寧と向上を図ることにあるんだろうと思います。  ということを考えてみますと、国会にはもっともっと情報が集まらなければいけないんですけれども、きのうきょうの審議でわかりましたように、ほとんど実質的には今どういう捜査の状況にあるとか脱税というのはこれぐらいありましたよという数字すら報告されていないのが実態なわけであります。別な言い方をすれば、こういう状況が続けば国会として司法とは別に捜査機能を持たなければいけないんだろうかというような思いに駆られるぐらいでございます。  そういう中で我々にできることといえば、証人喚問とか参考人招致ということであろうと思います。これとて決して今の状態で満足しているわけではありませんが、今回の金丸逮捕も含めまして、佐川問題の全容を何とか真相を解明したいということで証人喚問させていただきたいと思います。  既に社、公、民、改、四派で証人要求をしておりますけれども、本日のところ民社党としては、金丸前衆議院議員、竹下元総理、魚住衆議院議員、伊坂元平和相互銀行監査役、真部八重洲画廊社長、佐藤川崎定徳社長、この六名の方を要求したいと思います。委員長におかれまして前向きに対処していただきますようお願い申し上げたいと思います。  この際、総理にお伺いしたいんですが、国会の国政調査権の問題点をもしお感じでしたら総理のお考えをお聞かせいただけませんか。国会の国政調査権、私どもは大変不十分であると思っているんです。一番情報を集めなければいけないところに情報が集まるような仕組みになっていない。行政からも司法からも十分な情報が得られないそういう国政調査権のあり方について、あるいは問題点について総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  279. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨日も法制局長官からお答えを申し上げたところでございますが、いわゆる国権の最高機関たる国会と行政権、司法権との関連に関するお尋ねでございます。  今度のような場合、国会におかれまして国政調査権によって調査を行われる、あるいは証人をお呼びになる、政府にその所見をただされるといったようなこと、これは当然国会に与えられた職責であり、また権利であるというふうに考えております。  その際、政府との関連におきまして、時として政府側に法令の理由によって国会のお求めになる資料の提供ができない、あるいは関係についての答弁ができないというような問題に遭遇をいたします。過去にもそういうことがございましたが、基本的には国会の国政調査には最大限の協力をすべきものであるというのが行政の心構えでなければならないと思います。  ただその際に、例えば個人のプライバシーの問題であるとか、あるいは職務上知り得た機密に関する問題であるとか、あるいは司法、裁判所によって決定せられた裁判についての独立性の問題であるとか、こういうことから理由を挙げて資料の提供あるいは御質問に対する答弁が困難なことを申し上げることがございます。これらはしかし、結局、国政の調査によって得られる法益と資料提供あるいは答弁によって失われる法益、そのいずれが国家的見地から大きいかというような、抽象的には私はそういうことで行政としての態度を決めるべき問題であろうというふうに考えておりまして、できる限り国政調査に対しましては御協力をいたすべきことである。  ただ、これは申し上げるまでもないことでござ いますけれども、現に捜査中の犯罪の容疑に関すること等々あるいは直接関係のない個人のプライバシーに関すること等々につきましては、これは答弁を申し上げることのできないあるいは資料を提出することができないことにつきまして、御理解を得てその法益を守らなければならない場合があるというふうに考えております。
  280. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 国民生活に国会だけが責任を負っているとは思いませんけれども、いろんな法律をつくっているのは唯一国会だけなわけでありますから、十分な情報が得られないと的確な判断もできない、そういうことを申し上げているわけであります。国政調査権の問題については、また時間をかけましてゆっくり議論をさせていただきたいと思っております。  佐川問題、金丸逮捕の問題につきましてはひとまずおきまして、景気対策の問題について御質問させていただきます。  経企庁長官にお尋ねしますけれども経済の流れを判断する場合、変化と水準で見る必要があると思います。こういう観点から景気を見た場合に、現状と今後の推移というのはどういうふうに判断したらよろしいのか、お伺いしたいと思います。
  281. 船田元

    国務大臣(船田元君) お答えをいたします。  現状の水準、それからその推移と、確かに経済を見る場合に両方の要素があると思っておりますけれども、私どももちろん水準ということも大事であると思いますが、やはり推移ということ、このことにより注意深くそれは見ていかなければいかぬなというふうに考えております。  現状は、確かにQEというのが四半期ごとに発表されますけれども、昨年の四-六月期が前期に比べて〇・〇、伸びがないという状況、それから七-九月期がマイナス〇・四ということでマイナスの成長になった、こういう大変厳しい実情が明らかになったわけであります。現在十-十二月期の集計をやっている最中でございますが、まだ確たる数字が手元に入っておりません。また、一-三月期がどうなっていくのか、これも状況としてまだつかみ得ないことがありますけれども、いずれにしても今の景気の状況は大変厳しい状態が続いておりまして、今後ともさまざまな経済指標、特にその推移ということを十分注意して見守っていきたいと思っています。
  282. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 重ねてお尋ねしますが、昨日、答弁の中で、秋口には景気が回復するであろう、あるいは回復に向かうであろうという判断を示されましたけれども、となりますと経済の流れのターニングポイントというのは何月ごろと見ていいんでしょうか。
  283. 船田元

    国務大臣(船田元君) 昨日御答弁申し上げました中で、平成五年度の一年間、その前半と後半というふうに分けましてかなり図式的に申し上げた状況でございましたけれども、五年度前半は、これはこれまでの政府の累次の対策、特に公共事業を中心とした対策ということをかなり思い切ってやらせていただいている、その効果が出てくるのが五年度前半であると。前半は今申し上げた公共投資、またそれにつられる住宅投資、これが牽引力となって経済全体を引っ張っていく。そういう中で、徐々にではありますけれども、個人消費それから民間の設備投資、これが引っ張られてくる形で回復をしてくる。そして五年度の後半には回復感というものが国民全体に実感をされる状況になるのではないか、こういう感じできのうは答弁をさせていただきました。  ですから、後半が来るまで回復がないということではなくて、回復感が実感できるのは後半ごろであろうと。しかしながら、前半のうちから成長率はもちろんプラスでずっと推移をしてまいりますし、その主役というのは前半のうちは公共投資あるいは住宅投資である、このように御指摘を申し上げたわけであります。ただ、いつからかというのはまだ確たることを申し上げることはできないという状況であります。
  284. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 景気対策について質問と幾つかの御提言をしたいわけでありますけれども、その前に、国民の暮らし向きや雇用に重大な影響をもたらしている幾つかの問題を取り上げて、総理と労働大臣の御所見を伺いたいと思います。  このところ、連日のように就職の内定取り消しの問題だとかあるいは就職がまだ決まっていない学生のことが報道されているわけでありますけれども、不況風というのは新卒者だけに当たっているわけではなくて、リストラの名のもとに現に企業で働いている従業員にもいろんな格好で出ております。労働省の調査によりますと、九二年の暮れの統計で一五%の企業が出向であるとか配置転換であるとかあるいは一時休業を行うというようなことが行われているわけであります。  バブルの時代には過剰とも言える残業だとか休日出勤に耐え、歯を食いしばって頑張ってきた労働者がリストラの名のもとに心ならずも職場を離れるというようなことがあっていいんだろうかと胸を痛めている次第でございます。すべての企業がそういうことをやっているというわけではありませんけれども、余りにも情けのないというか、御都合主義の仕打ちではなかろうかと感じるケースもないではありません。もしそういうような状態が放置されるならば、労働の価値観も失わしめる、そういうおそれもあると思いますし、そのことが日本経済の成長をも妨げる大きな原因になるんではないか、そんなことを考えているわけであります。  総理はかねがね生活大国づくりということを言われておられますけれども、生活大国の中で人間というのはどう扱われるべきだ、あるいは働いている人というのはどう扱われるべきだとお考えなのか、御見解を承りたいと思います。
  285. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 我が国のように、ここまで進んでまいりました国といたしましては、人一人一人が自分の人生観を持って、そして他人に迷惑をかけることは許されませんが、自分の人生観に従い、自分の価値観に従って自分の生活設計をしていく、そういうふうな社会をつくっていきたいというふうに考えております。
  286. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 企業は社会的存在であるということもおっしゃられますが、社会的存在ということは社会的責任が伴うと考えてよろしいでしょうか。その社会的責任の中に、従業員の生活を守るとか雇用を守るということが含まれているとお考えですか、総理にお尋ねいたします。
  287. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私はそう考えております。
  288. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 不況とかインフレのしわ寄せというのは、いつの時代にも一番弱いところへしわ寄せされるものであると思います。新卒者や現に働いている人だけじゃなくて、既にシルバーと呼ばれている人のところにも今回の不況の波というのは押し寄せているわけでございますので、関連質問で長谷川議員からその問題を取り上げさせていただきたいと思います。
  289. 井上裕

    ○理事(井上裕君) 関連質疑を許します。長谷川清君。
  290. 長谷川清

    ○長谷川清君 私は、大きいテーマは一般の場に譲りたいと思いますが、きょうはシルバー人材センターの件についてのみ御質問をいたしたいと思います。  高齢化社会並びに人手不足、労働力低下、これが問題になってくる時代を迎えようとしておりまして、それに関連いたしますこのシルバー人材センターの現状につきまして、これは労働大臣でなくて結構でございます。省庁の方から現在の組織化されております数の問題、それから登録をされております人数の問題、発注量の総量の問題、そして契約金額がどの程度になっているか、また仕事の種類につきまして例を挙げて具体的にどの程度の職域であるかという点について現状を伺いたいと思います。
  291. 齋藤邦彦

    政府委員(齋藤邦彦君) お答えをいたします。  まず、シルバー人材センターの数でございますが、国の補助の対象となっております数は、現在、全国六百四十団体でございます。なお、来年度二十団体増設をする予定にいたしております。  それから、シルバー人材センターの会員数でご ざいますが、平成四年九月末現在、約二十七万人いらっしゃいます。  それから、受注件数でございますが、平成三年度シルバー人材センターが受注いたしました件数は、契約件数百三万七千件、契約金額にいたしますと九百億でございます。  それから、仕事の種類というお話でございましたが、平成三年度で受注いたしました仕事の種類を見てまいりますと、清掃等の軽作業の仕事が四三%、植木の手入れ等の技術技能系の仕事が三六%、事務整理あるいは公園、駐車場の管理等の仕事が一四%、このようになっております。
  292. 長谷川清

    ○長谷川清君 労働大臣にお尋ねをいたしますが、現在、これは大体十三年前から、昭和五十五年あたりから高齢化に備えまして、全国市町村約三千カ所に地域社会に密着をしたそういうセンターをつくりまして、六十歳以上、特に中小零細企業を卒業された方々がそこで働く、就業をする、こういう形でございます。  今現在の状況を聞いてみますると、このテンポでまいりますと、あと三十年たちましても完全に組織化、完成されないような計算に相なりますけれども、現在の年度別展開における今後の計画というものはどういうふうになっているか、この点が一つ。  いま一つは、これらの方々は政治に対して非常に声が上がってこない、雇用関係の成立しない方々でございます。労働にも大きく分けて二つございます。雇用関係が成立をしております分野の労働、連合に代表される人が八百八十万人以上ございます。しかし、こういう法律がない、言うならば労組法であるとか労働基準法であるとか福祉法であるとか失対であるとかあるいは職安関係であるとか、その他一切現行法に何ら抵触をしない人々でございますけれども、今このシルバーセンターの人々の労災適用につきまして現行法で何か機能している部分があるかどうか、この点を労働大臣にお伺いいたします。
  293. 齋藤邦彦

    政府委員(齋藤邦彦君) まず、今後のシルバー人材センターをどのように拡充していくかと、こういう御質問だというふうに思いますけれども、私どもとしましてはできるだけ多くの高齢者の方々が就業していただけるようにということで増設に努めてまいったつもりでございます。小規模の市町村に住んでおられる方でも、複数の市町村単位の地区を選定をいたしまして、そこを一つの単位にしてシルバー人材センターをつくると、こういうようなこともやってまいりました。  今後とも、だんだん数が多くなってまいりますと、事業の効率的な運営というところからいいますと困難なところも出てまいりますけれども、地域の会員数ですとか、事業規模等十分勘案いたしまして検討していきたいというふうに考えております。  それからもう一点、事故の問題でございます。  確かに、最近会員の方々の事故の問題が大きく取り上げられるようになってまいりました。私どもといたしまして、やはり安全な仕事をしていただくということが基本だというふうに思います。そういう意味で、仕事の選定に当たりまして安全な仕事をできるだけ選ぶようにということの指導をいたしております。それからまた、万一不幸にして事故に遭われた方の場合の補償といたしまして、民間の保険会社と契約をいたしました損害賠償保険契約を結んでいただきまして、その保険料の二分の一を補助する、こういう仕組みでやっております。  ただ、いろいろと補償金額等で問題があるということは十分承知いたしておりまして、今後さらにその給付の改善につきましては検討をしていきたい、このように考えております。
  294. 長谷川清

    ○長谷川清君 総理にお願いをしたいんですけれども、ただいまいろいろ聞きましたとおり、このシルバー人材センターは今現在地域社会の中で、非常に仕事がしっかりしているし、そして心があるし、工賃は安いし、本当に目立たない、非常に地味ではありますけれども社会の中に定着をし、しかも職住が一致しておりますからお年寄りにはいろんな意味で、なおかつこの人々が非常に一つの面においては所得という面もございますし、また健康でなければそういうところに登録し働くことができませんし、健康であるということはまた医療にも寄与しているわけでもございます。  また、今のお年寄りというのは、この時代を担ってまいりました方々でございまして労働というものに対する価値観は非常に高こうございます。そういうよき伝統というものをこれからの時代にも継承するという要素もございます。そして、お年寄りの生きがいに通じております。  でありますがゆえに、今現状はといいますと、私見ましても作業服が非常に暗いですね。それから高齢者という腕章、こういうものももっとカラフルでそのまま電車に乗っても胸が張れるような、あるいはよくゴルフにワッペンがありますね、ああいった胸が張れるようなそういう明るい雰囲気の、私は宮澤総理が生活大国という理念の奥の奥にはお年寄りというものがやはり尊厳を保っていけるような社会、そういうところに行き着くのではないかと、こう思うのでありますが、今日の現状というものはそうなっていないどころか、法律すら見放しておるという状況ですね。  私は、これはやはり無理もない、今の三法からあらゆる法律は昭和二十年あたりの状況でつくられておりまして、内容の改変はそれぞれ行われておりますけれども、これほどまでの急速な高齢化社会がここまで早く来るとは当時思っていない時代における法律でございます。いかなる理由があるにせよ、こういう人々が法で守られない、こういうところはやはりどう考えても私は法の不備であると思わざるを得ません。こういう六十歳以上のお年寄りでございますから、脚立に乗っかって植木をいじるという仕事もございます。もし仮に、足を滑らして落ちます、けがをしても労災適用がないのでございます。  こういう点について、これからの高齢化社会はただ金と仕事があればいいというのではなくして、尊厳の持てる社会の構成のために今から先行投資をしていく必要があるし、全国市町村は三千ほどあるわけでありますから、そこに設備ができていきますように、そのようにあってほしいし、今たくさんの支出を要する、お金はない、こういう状況でございますけれども、次世代によかれかしの社会を継承するために、どうか一つぐらいはいいことを次に送っていきたいものだ、こう思うわけであります。どうでしょうか。
  295. 村上正邦

    国務大臣(村上正邦君) 労働省所管の問題で私が全然御答弁しないということは誠意を疑われますので、お答えを申し上げます。  本格的な高齢化社会を迎えつつある中で、シルバー人材センターの果たす役割は、今、長谷川議員のおっしゃるとおり非常に重要であると認識をいたし、いろいろお話をお伺いしました。そうした重要性にかんがみ労働省としては前向きに取り組んでいきたい。意のあるところは十分承知をさせていただいております。    〔理事井上裕君退席、委員長着席〕
  296. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お年寄りにはぜひ元気で生きていただきたい、大事にして差し上げなければならないと思いますけれども、お年寄りの立場からいえば、ただ大事にされるということではなくて何か社会に積極的に貢献をしている、そういうことが私は生きがいの大事な部分であろうというふうに思っておりますので、そういう意味で、シルバー人材センターのようなところは、今、労働大臣の言われましたように順次設置を、今後とも規模あるいは会員数等心がけまして充実をしてまいりたいと思っています。  労災保険の適用がございませんでしょうから、今のようなお話の場合にはやはり民間保険会社と契約を結ぶというようなことでやっていく工夫が入り用だと思いますけれども、お年寄りが安心をして、しかも社会に貢献をしているという誇りを持って働いていただけるような大変に大事な施策であると思いますので、大いに重点を置いてまいりたいと考えております。
  297. 長谷川清

    ○長谷川清君 終わります。
  298. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 残り時間も大分少なくなってまいりましたので、大急ぎで景気対策についてスポット的に伺ってまいりたいと思います。  まず、所得税減税の問題であります。この背景につきましては何度も取り上げられておりますので、あえて繰り返しません。衆議院で紆余曲折を経て与野党の合意を見たわけでありますけれども、ぜひ早期に実現していただきたいものだと願っているわけであります。  総理は、この所得税減税の必要性についてどうお考えなのか、また、与野党の合意をどう受けとめられているのか、その辺からお尋ねいたします。
  299. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 委員御指摘のとおり、所得税減税につきましては先般の衆議院の予算委員会予算案が通過するに当たりまして与野党の合意ができました。その中で、税制については不況対策をやる、こういうことでございましたし、またこうしたことをいろいろやっていくのにつきまして各党で協議機関をつくって実行可能な案をつくっていく、こういうことで合意ができております。それに関連いたしまして、我が党の幹事長から、所得税減税につきましては前向きに検討をするというお話が出ていることも事実でございます。  ただ、私どもの方といたしましては、まさに実行可能な案、こういうことでございまして、しばしば衆議院の予算委員会でいろいろ申し上げているところでございまして、どういうふうにしてやっていくかというのはいろいろ問題があるということを繰り返し申し上げているところでございます。そういったことを踏まえていろいろな御討議がなされるものだろう、こう思っているところでございます。  第一の問題といたしましては、果たして所得税減税というのがいわゆる景気浮揚に対して効果があるかどうかと。我々といたしましては、この平成五年度の予算を編成するに当たり、またその前の総合経済対策を実施するに当たりまして、所得税減税ということをとらずに公共事業という形でやりましたのは、それの及ぼすところのいわゆる乗数効果というものはやはり公共事業の方が多いんではないか。そういったところで所得税減税という形のものが一体そういった効果があるのかどうかということが第一の問題でございます。  それから第二の問題といたしましては、それがどういった財源でもって賄われるかという問題がございます。相当大きな財源になるならば、いわば赤字国債を出さなければならない。そういったことにつきましては、我々財政当局としては非常に苦労をして赤字国債を出さないという形で今までも努力をしてきておるところでございます。今回の平成五年度予算につきましても、その辺につきまして大変努力をして赤字国債を何とか出さないで済むような予算の編成をし、しかもそれで景気に配慮したところの予算をやってきた、こういうことでございます。  そうした点を考えますと、私どもはいろんなことをまたこれから考えていかなければなりませんけれども、そういった二つの点を考えましても、現在のところではこの問題についていろいろな問題がある、こういうことを申し上げざるを得ないのでございます。  もう一つ私が申し上げておきたいと思いますのは、いわば戻し税減税云々、こういうふうなお話が所得税減税の中の一環として出てくるんじゃないかと思います。戻し税減税という形になりますと、私はそれはいわゆるばらまき的な減税にならざるを得ないのではないかな。そうしますと、税を払っている人と税を払わない人とのバランスの問題が出てくる。そういたしますと、一体払ってない方についてどうするか。その人たちにも何かのときに金を出したらどうだということになるわけでございまして、そういうことになりますと、これは税の話ではなくて一般の話になってくる。  私は、そういった点も考えていろいろとやっていかなければならない問題があるのだろう、こういうふうに思っておるところでございまして、私の方の立場としましては、今申し上げた点をはっきりと申し上げておきたい、こういうことでございます。
  300. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 戻し税減税を入れた場合に税を払っていない人の措置をどうするか、これはいろんな方法があると思います。例えば年金生活者にどう手当てするかというのはいろんな方法があるんで、頭から否定されるんではなくてぜひ御検討いただきたいと思います。  それから、財源のことを言われましたけれども、財源が足りないというのであれば、そのことをもっと国民に訴え、今どうしたらいいのか、例えば税制の改革が必要なのかどうか、あるいは行財政改革をどう進めるのかというふうなことをもっと真っ正面から取り上げて訴えられたらどうかと思うんです。  そういう意味総務庁長官にお伺いいたしますけれども、行財政改革を推進する担当省庁として、さらに行財政改革を断行して行政経費を一層削減するということの取り組みを強められたらいかがでしょうか。現状はどうなっていましょうか。
  301. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) ただいま先生から申された行政改革が財政的効果を生ずるものもありますし、また生じないものもあるわけでありますけれども、今日まで行政の簡素効率化ということを目指しながら、臨調、行革審の答申に沿いまして、例えば国から地方へという権限移譲なり、行政組織の再編・整理合理化あるいは補助金の整理合理化、そういうふうな問題等々行政全般にわたって改革を進めてきたわけであります。  さらに、平成五年度の行革大綱を策定いたしまして、昨年の十二月に閣議決定をいたしまして。さらにその内容につきまして鋭意努力をしてまいりたいと思っております。  また、今日行革審におきまして政府部門の役割の明確化という問題、あるいは縦割り行政の弊害の是正等々の問題にお取り組みをいただいておりまして、御審議をいただいておるわけであります。  いずれにいたしましても、行革審の答申に沿いまして、さらに行政改革推進にこれからも努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  302. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 総理にお伺いしますが、先日クリントン大統領は向こう四年間で三千二百五十億ドルの経費削減を行うということで具体的な案を示されております。日本でも行財政改革を行うということであれば、歳出削減をどれぐらい行うのかということをきちんと明示されて、具体的な内容を盛り込んだ新行財政改革五カ年計画といったものをつくり、国民も含めて協力してもらうということが必要なんではないかと思いますが、そういう取り組みをされるお考えはございませんでしょうか。
  303. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 以前にも民社党からそういうお話がございまして、御趣旨は私はよくわかっておるつもりなのですが、実際問題としてただいまの行政改革は取り上げていただきますテーマが決して一年限りのことではございませんで、その実行について何年かかかるというテーマを取り上げていただく場合が大半でございます。また、答申もしたがいまして政府に対して何年間かの努力を求めるというものが大半でございますので、そういう意味では一年こっきりでない、かなり長期にわたっての行政改革、それについての提言、実行をいたしておるというのが実情でございます。  なお、そり際に、それからの行政費の削減効果というのが出ますと非常にはっきりいたすのでございますけれども、実際問題としてそれはなかなか金額的にはじき出すことが難しゅうございまして、そういうことが常に伴っておるとは申し上げられませんのですけれども、計画そのものはかなり長期的にやらせていただいております。
  304. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大蔵大臣、建設大臣にお伺いいたします。  日本には四千万戸の住宅がございます。そのう ち建築して二十年を超えている住宅は四割あります。そうなりますと、おふろが傷む、台所が傷むという問題も出てまいりまして改造したくなるというのが人情であろうと思います。  そういうところに着目いたしますと、小規模リフォームに対して有利な条件でお金を貸すということを考える必要があるんではないか。例えば、四千万戸の四〇%の一割の人が三百万ずつお金をかけて台所を直すということになりますと五兆円の需要が発生するわけであります。そういうところに着目するとすれば、現在の住宅金融公庫の融資基準にもう少し刻みを細かくして低利で融資をするということを検討されてはいかがでしょうか。
  305. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) お答えをいたします。  先生から御指摘をいただきましたリフォームについての基準金利の引き下げということでございますが、規模の面から申し上げましても新築と比べましてまだ額も少ないわけでございまして、今御指摘をいただいたことについては建設省としても検討はしていかなきゃならないと思っておりますが、今すぐ御指摘をいただいたような対応をすることはいろいろな面でまだ難しいところがあると、このように考えております。
  306. 林義郎

    国務大臣林義郎君) いわゆるリフォームユーンというのはいろんな新しい改造をしていく、こういうお話でございますが、住宅改良融資につきましてはそれぞれ金利が決まっておりますので、一定の範囲内におきまして、新しいところの改良につきましては、大規模なものから小さなものまでいろんなリフォームを対象として平成五年度予算案におきましても貸付限度額の引き上げ等を予定をしておるところでありまして、十分に国民のニーズにおこたえできるものになるんじゃないかな、私らの方はそういった形で今回新しい改善を図ったと申しますか、そういったことをやってきたということで御理解をいただきたいと思います。
  307. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私が申し上げているのはもう少し小さいリフォームを申し上げているので、今政府の基準にあるのは、百五十平米を挟んで四・七五%と五%の金利でお金をお貸ししますという制度があるんですが、例えば十平米だとか十五平米に対しては三%の金利で貸しますよということをやれば借りる人が大勢出てくるに違いないと思いますし、景気回復にもつながるんじゃないですかと、そういうことを申し上げているので、ちょっと大蔵大臣の御認識とは違うように思いますが。
  308. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) ただいま大蔵大臣が申し上げましたけれども、工事費の大小によって差等をつけるというようなお話でございますが、借り入れ者の返済負担、これもまた大小ございますので、そういうことを考慮いたしまして現行の金利体系を設定しているものでございまして、この体系自体の変更を現在考えるのは困難ではないかと考えております。
  309. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 どうも私の質問していることとずれている答えしか返ってこないように思って不満に思っておりますが、要は三百万ぐらい借りて台所を直したいなという人が低利で借りられるような制度をつくられたらいかがですかということを申し上げているので、御検討いただきたいと思います。  大蔵大臣にお伺いします。  最近、株価暴落の懸念は去ったから、政府の施策は景気対策にとどめて、いわゆる株価操作、株価維持操作というのでしょうか、PKOはそろそろやめるべきだ、そうでないと株式市場の活性化は望めないと、こういうことを言う論者がふえているように思いますが、この点についてどういう御見解をお持ちか。また、株式市場の活性化対策ということで当面考えられていることはどういうことか。この二つ、お伺いします。
  310. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 言うまでもありません。株価というのは自由な市場で形成されるものであり、政府がその株価について積極的に関与したりなんかするようなものではない、私はこれが原則だとこう思いますし、今のお話のPKO云々、こういうふうな話がありますが、現在そういったことであっておりますのは、従来からあっておりますところの、簡保事業団を通じて指定単の中で行われているところの運用というのがございます。それが今回、証券市場の活性化に資するために、株式組み入れ比率の制限のない新たな指定単による運用枠を設けて昨年来やっておるところでございまして、このような指定単の運用というのは政府が指示をするわけでもございません。運用を受けました信託銀行がその責任と判断によって行っているものでありまして、株式に対する具体的な運用を国が指示するというようなことは一切ないわけでございます。  そのほかに、私は、一般的な問題といたしまして金融機関が大変な不良資産を抱えている云々ということがございます。確かに土地がこう落ちましたりなんかいたしましたので、いわゆる金融機関に対しまして不良資産の償却のための特別の会社を設けまして新しい形のものをやっていくことであるとか、あるいはいろいろと言われておりますところの金融機関の自己資本が足りないからという形での、金融機関がいろんなことをやっていくための劣後債その他の問題の措置などによりまして自己資本充実策をやっていくことであるとかということをやっておりますし、近々また、小さな形のものでありますけれども、株式を分割して買うというような形のものであるとか、そういった種々のことをやりまして、本当の意味での株式市場というものが立派に育成していくように、私たちもいろんな手段を講じているところでございます。
  311. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、何も大蔵省が株を買って株価を維持しているなんということは申し上げておりません。ただ、株式市場の活性化というのは、言うまでもなくまず市場のボリュームをふやすということが大事なんではないですかと。その点に着目して政策を打ってもらいたいということを申し上げているわけです。その一環としてPKOを廃止したらどうかということをお尋ねしたわけであります。  ボリュームをふやすという意味では、例えば社員持ち株制度、これの拡充を図るというのも一つの方法なんではなかろうかと思います。老後の資産形成を考えましても一つの方法だと思いますし、この際、財形貯蓄に株式貯蓄制度を導入するとか、あるいは米国でやっているようなESOP制度を導入して退職のときに退職金として払う、年金として受け取ることができるというような仕組みをすれば個人株主がふえるんではないでしょうか。大蔵省で御検討いただけませんでしょうか。
  312. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 御指摘の社員持ち株制度の拡大を図っていくというようなことにつきましては、まさに委員御指摘のように、個人投資家の長期的で安定的な株式をと、また、一般の個人が株式市場になれていく、全体としての株式の売買高をふやしていくというのが私は王道だろう、こう思いますので、そういった形で従業員持ち株制度の一層の促進を図るということもいろいろと努力をしてきておるところでございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げようと思ったんですけれども、株式の累積投資制度を実施していこうと。小さな金で集めますけれども、それで一緒になってやっていくというような、株式を購入するというような形のものを制度として導入して、今回、証券会社何社かにそれをやっていただくというような形のものもできております。  いろんな形でもってやはり株式に国民がなじんでいく。私は、どちらかというと、会社の投資家でなくて個人投資家がだんだんふえていって株式市場というものが国民全体のものになっていく、国民全体が親しんでいって株式市場が発展するというのが一番いい方向だろう、こう思っていますので、引き続いていろんなことを考えてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  313. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 時間も迫ってまいりましたので、防衛問題について具体的な話でお伺いしたいと思います。  先ほども中期防をなぜ一年早めて見直したのかというやりとりがございましたけれども、私もどういう理由で中期防の見直しを一年早めたのかというのがよく理解できないので、もう一度防衛庁長官から御説明いただけませんか。
  314. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、この中期防は平成二年の十二月に策定をされたわけでありますが、その後の国際情勢の大きな劇的な変化がございまして、いろいろな努力も行われておりまして、総じて平和安定の方向に向かっている。依然として我が国の周辺などには、またアジア太平洋地域にはいろいろな問題が残っておりますけれども、しかし、財政事情等も勘案をいたしまして、平成二年に策定をされました中期防の中でも、この中期防の五年間の中で三年後に見直すという条項もございましたし、大きな変化の中で防衛計画の大綱などもあわせて見直さなくてはならない時代に来ているのではないかというようなこともありまして、一年早めまして装備の調達のスピードをスローダウンさせる、そういう形でこの中期防の見直しを一年前広に行ったということでございます。
  315. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 東西冷戦体制が崩壊した、その他世界情勢については私も理解しているつもりでありますけれども、例えばロシアやアジアの動きというのは日本の防衛という観点からどう分析されているのか、そこにスポットを当ててお伺いしたいと思います。
  316. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 御承知のように、我が国の基盤的防衛力というのは、どこの国と戦うとか実際に侵攻を受けたときに正面からぶつかって戦うとかという考え方ではありませんで、そこに防衛力という一定のパワーを保有していること、そのことによって国民が防衛についてのはっきりした意思をあらわしていく、そういうことがこの地域の安定につながるというような考え方で、防衛力の大綱というものほそういう精神であるわけでありますので、いまだにその精神は変わっていないと思うわけでありますが、何分にもヨーロッパと違いましてこのアジア太平洋地域はそれぞれの国々同士の関係というものが非常に複雑であります。  特に、今御指摘がありましたような旧ソ連の大きな軍事力というものがまだ極東ロシアに、これはどういう動きをするかわかりませんけれども、実際に大きなパワーが存在するというのはやはり大きな課題であろうと思っておりますし、北朝鮮などにおきましても今核開発の疑惑が云々をされておりますし、しかも長射程のロケットの導入、開発なども行われているようなうわさも聞いております。また、南北朝鮮の関係どもいろいろ複雑なものがあるわけでありますし、中国におきましても、兵員の数はかなり削減をしているということを聞いておりますけれども、新しい近代的な装備に切りかえていくというようなこともございます。そういうことにつきましては、ASEANとか近隣諸国の大きな関心を集めているところでありますし、台湾とかASEAN諸国におきましても最近はそういう軍事力の近代化というものを進めているというふうに聞いております。  しかし、それが直接日本に攻めてくるとかそれに対応するとかという考え方ではなくて、そういう中で我が国も一つの安定的なパワーを持っているということがこの地域における安定化の一つの大きな要因になっているのではないか、そういうことで装備を進めているところでございます。
  317. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 AWACSのことについてお尋ねしたいと思いますが、先ほど穐山委員の質問に答えて防衛局長は、ほかの国も日本が買おうとしているAWACSと類似のものを持っているからというような説明をされたんですが、そのあたりを正確に説明していただけますか。
  318. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 私が申し上げましたのは、AWACSについて、五十四年度E2Cを導入した当時に比べて保有国がふえておるということを申し上げたわけでございまして、今回私どもが導入しようといたしております767型のAWACSをと言ったつもりではございません。  そういう意味で申し上げたわけでございまして、その当時に比べて、アメリカのほかにNATOとして導入しておりますし、イギリス、フランス、サウジアラビア、そのほかソ連が、これは機種は違いますが、メーンステイという形のAWACS機能を持っておるということを申し上げたものでございます。
  319. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今、ボーイング767を使われるというお話ありましたけれども、この767を使ったAWACSというのはこれから先どこかの国が採用するという見込みはございますか。
  320. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) アメリカの担当官と話し合いましたときに、そういう予定があるとは聞いておりません。
  321. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 これは大変高い飛行機なんですよね。一機五百七十億という予算計上がされているんです。  今、防衛局長の話にありましたように、この機種というのはこれから開発する機種なんです。アジアその他で配備しているというのは707に載せたAWACSなんです。日本が買おうとしているのは四機なんです。数が少なければコストが高くなるのは決まっているんです。これから開発するわけですから、開発コストも払わなければいけないんです。そうまでしてなぜ今買わなければいけないのかという疑問が私率直に言って疑問があるんですが、お答えいただけますか。
  322. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 我が国、専守防衛の立場といたしまして欠落している機能というものは、大綱に従ってもこれをなるべく早期に補完をしなければいけないということを考えております。これはいわば現在のいろいろな国際軍事情勢を想定いたしますと、やはり専守防衛の国としてなるべく早く情報をキャッチしなければならないということでございます。  さらに、より詳しく申し上げますと、やはり国際軍事技術の向上によりまして航空機のスピードがあるいは航続性能が伸びたあるいはミサイルの射程が伸びたということを受けて、そういう事情の変更を受けて、我が国としてそれに対応するためにはAWACS機能がぜひとも必要になったということでございます。
  323. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 よく意味がわかりません。  707というのは生産中止になった機種なんですね。ですから767を使って新しくAWACSをつくろうとしているんですけれども、まだその生産見込みが日本だけ、日本からのオーダー四機しか見込みがない。それも一番最初に開発をお願いして使うほどAWACSの配備というのは緊急性があるとはどうしても思えないんです。もう一回説明していただけますか。
  324. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 707のAWACSというものがアベイラブルなときにも、この機能が必要であるという観点から私どもはその導入を検討した経緯がございます。しかしながら、今お話にもございましたように、707の生産ラインが停止したということがございまして、それで再検討した結果、767というものをボディーといたしまして、そういう形でのAWACSの導入が可能になったということでございますので、もともと必要性については国際軍事情勢等の先ほどお話ししたようなことから、欠落機能を補完することが必要であるということから、従来から検討してきた結果、その767という形で整備が可能であるという結論を得ましたので、今回導入をお願いするということになっているわけでございます。
  325. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、国の防衛については人一倍熱心なつもりなんですけれども、どうして今五百七十億円もする飛行機を、しかも新しく日本が開発費まで出して買うのか、よく理解できません。  五百七十億円の中には将来の維持費は含まれているんでしょうか、伺います。
  326. 中田哲雄

    政府委員中田哲雄君) 平成五年度予算案におきましてお願いを申しております五百七十億円に は、取得後のメンテナンス費用は含まれておりません。ただ、航空機取得時に必要ないわゆる初度部品にかかる経費というものは含んでいるわけでございます。
  327. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 AWACSを一機維持するためには、部品代も含めて一年間どれくらいの費用が普通必要と予想されますか。
  328. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) これは費用対効果を計算しますときに、候補機種とともに十五年間にわたる総経費というものを計算した経緯がございます。そのベースで申し上げますと、維持経費としては十五年間で約千九百億円というオーダーでかかる見込みであるという計算をしたところでございます。
  329. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 このAWACSが決まるに当たっては、最初は三百六十億ぐらいで買えるんじゃないかとか四百億ぐらいで買えるのかといろんな話があって五百七十億という予算見積もりになったわけでありますけれども、この機種が日本に引き渡されるのは恐らく数年先なんだろうと思うんです。それ、確認しておきましょうか。
  330. 中田哲雄

    政府委員中田哲雄君) 五年度に契約を行うことができますれば、平成九年度に取得する予定でございます。
  331. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ということは、九年度になったら幾らになるかわからないというのを注文したというふうに考えるしかないと思います。  まあ余りAWACSの問題にかかわっているのもぐあいが悪いものですから、次を伺います。中期防を今回見直しをやったわけでありますけれども平成七年度までの計画期間中に再度見直すとかそういう考えはございますでしょうか、伺います。
  332. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 現在のところ、そういう考えはございません。
  333. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 現在のところというのはどういう意味ですか。計画は全くしていないということですか。
  334. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) これを再度見直すという計画は持っておりません。
  335. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、国際情勢を反映しながら例えば中期防を見直す、そういうことはこの計画が策定された当時から予定されていたことだから当然のことだと思っております。ただ、本来、こういう中期防を見直すというんであれば、国際情勢が変化したからというんですから、防衛大綱の方をまず見直すというのが筋ではないかと思うんですけれども、中期防の見直しの計画というのはいつまでやられる予定なんでしょうか、伺います。
  336. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 御質問は、大綱の見直しをいつまでにやるのかということであると理解するわけでありますが、大綱の見直しにつながり得る防衛力のあり方の検討については平成七年度まで、つまりこの中期防の期間中までに結論を得るということになっているわけでございます。
  337. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大綱というのは五十一年以来変わっていないわけでありますから、当然情勢を踏まえて適切に見直すことが大事だと思いますけれども、そのために時剛をかけるのも大事ですけれども、少し時間がかかり過ぎなんではないかと思います。もう少し早めるということはできないんでしょうか、お伺いします。
  338. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 平成七年度までに、つまり中期防の期間中内に結論を得るということでございますから、論理的に言えばもっと早くということもあり得るわけでございますけれども、二つ理由がございます。  一つは、検討するべき対象が非常に多い。例えば、自衛官の数をどうするか、あるいはまた装備品の体系をどうするか、さらには駐屯地のあり方をどうするかといったような抜本的な各種各様の点について十分に慎重に検討する必要がある。そのためにはやはり当然に必然的に時間がかかるという問題がございます。  それから、第二にというか、それより以前の問題といたしまして、やはり国際情勢の変化をどう見きわめるかという問題がございます。つまり、現在、確かに中期防作成後にソ連の崩壊ということに代表されますような大きな変化が起こったわけでありますけれども、なおいろいろな不安定要因が存在しておりまして変化が続いているという状態であろうかと思います。そうしますと、我が国の新たな防衛力のあり方について中長期的な視点から検討するためには、やはりそれらの国際情勢がどういうふうに変化をし続けていくのか、そこの辺を十分見きわめる必要がある。そのためには一定の期間を要するのではないか。  その二点から、やはり結果的に平成七年ぐらいまではかかるのではないかというふうに思います。  ただ、検討は既に始めておるわけでありますから少しずつだんだんと固まっていくわけでございまして、一気に平成七年にすべてのところから、ゼロから一〇〇%のところまで結論を得るということじゃなくて徐々に少しずつ結論に近いものになっていく、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  339. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 防衛庁長官に伺いますけれども、この大綱の見直しに当たって国際協力の任務を明確にすることが重要な柱になると思うんですが、この点について御見解を伺います。
  340. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) アジア太平洋地域の広い範囲での安全保障ということを考えますときには、やはり各国間の信頼関係、理解というものが私は必要になるのではないかと思っておりますが、なかなかそれ以上に踏み込むということになりますと、憲法の制約等もありまして、我が国がそういう方向でリーダーシップをとっていくということになりますと少し足かせになるのではないかなという感じを持っているわけであります。
  341. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 国際協力の任務をぜひ明確に打ち出すべきだと考えております。  それから、大綱については、これは政府自民党だけの問題ではなくて、野党も大いに関心を持っている問題であります。ぜひ中間報告を出してその段階から議論を始めるということを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  342. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先ほど防衛局長からお話がありましたように、三年の間に何かその大綱の見直しをしようというスケジュールでいっておりますので、もとより防衛政策につきましては国民の皆さんの御理解、御協力、あるいはもちろん国会、それから有識者という方々の広い御意見を承らないと、中長期の大綱でありますからこれはなかなか難しいと思いますし、そのようにこれからも努力をしていきたいと申し上げておるわけです。
  343. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 最後に、労働大臣にお伺いします。  労働基準法割り増し賃金率の問題でございます。  この賃金率については、労働基準法を改定して、何%にするかは政省令にゆだねるという方向で今検討が進んでいるようでありますけれども、一方、憲法第二十七条第二項では、労働条件に関する基準を法律で決めるというように決められております。そういう憲法の規定があるにもかかわらず基準を政省令にゆだねるというのは、憲法違反ではないでしょうか。どうでしょう。つまり、裁量幅を政省令、政府に任せるというのは、憲法違反の疑いがある。
  344. 石岡慎太郎

    政府委員石岡慎太郎君) 恒常的な時間外労働、休日労働を削減するため、時間外労働及び休日労働に対する割り増し賃金率を引き上げることについて検討していく必要があると考えておりますが、大部分の企業における時間外労働、休日労働に対する割り増し賃金が二五%にとどまっている現状から見まして、一定の政策目標を掲げ、今後実態を見きわめつつ、時間外労働、休日労働に対する労働者の意識の変化等に的確に対応してその段階的な引き上げを図っていくことが適切でなかろうかと考えております。  このような考え方に立って、今国会に提出した労働基準法の改正案におきましては、割り増し賃金率を命令で定めることとしております。  この点について法制上問題があるとの御指摘で ございますけれども、割り増し賃金率につきましては、二割五分以上五割以下の範囲内といった限定をつけていること、命令を定める場合の考慮事項として労働者の福祉、時間外または休日労働の動向その他の事情を総合的に考慮することが法定されていること、それから、命令を定める場合には公労使三者構成から成る中央労働基準審議会の意見を聞くことが予定されていることから、法制局にも十分相談いたしましたが、法制上は問題がないと考えております。
  345. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 これで最後にしますが、憲法が労働条件に関する基準を法律で決めなさい、つまり国会で決めなさいということを書いたのは、労働者の権利を保護するために特に設けた規定だと思います。それを行政の裁量権にゆだねるというのはやはり疑義がございます。この点についてはまだ法案が提出された段階でやりたいと思います。  ちょっと時間が超過いたしましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  346. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 以上で寺崎君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日の審査はこの程度といたします。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会