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説明員(西方俊平君) 社債の引き受けにつきまして、
一つは量的な問題でどうかという御
趣旨と、それからもう
一つは大型起債があった場合に市場の能力を超えて社債が発行されるおそれはないかそうしたものを十分チェックする自動調節作用みたいなものが市場に備わっているのか、そういった意味の御質問が込められているんじゃないかというふうに伺っております。
まず自動調節的なものについてはどう考えたらいいかということでございますけれ
ども、今回の
商法の
改正によりまして社債発行限度規制が撤廃されるわけでございますが、これにあわせてより合理的、実効的な社債権者保護の仕組みといたしまして、社債管理
会社の
原則的な設置の強制とか、それから社債権者集会
制度の改善が行われることになりまして、
制度的にはそういったものについては大変一層強固な社債権者の保護が図られるというふうに考えております。
それから、市場
実態面について考えてみますと、そもそも社債の発行と申しますのは発行者が投資家が投資をしてくれるかどうかということについて十分念頭に置きながら発行すべきものでございます。そのためにはちゃんとしたディスクロージャーとか格付の充実という
ようなことで投資家の判断のための材料を提供する必要があるわけでございます。このため、近年、私
どもの方でディスクロージャー
制度の充実とか、それから
関係者の方々の御努力で格付の定着というものを進めてまいっているわけでございます。
それからまた、仲介を行う引き受けの証券
会社でございますけれ
ども、例えば大変規模が大きい社債が発行されるという
ようなことになりますとシンジケート団を証券
会社の間でつくるということが一般的でございます。そして、投資家の方々に発行条件等を提示しながら、どのくらいの発行が実際可能かどうかということをサウンドする、いわゆるマーケットリサーチ的なことを行いまして、これによって発行の規模というものを大体固めていくという機能がございます。
仮に証券
会社が引き受けを行った場合に、市場でもって十分売れないということになりますと、逆に売れ残った分というのは引き受けの証券
会社が背負い込まなければいけないというリスクがあるわけでございます。引き受けの証券
会社は、当然のことながら、そうしたリスクを負いたくない、回避しなきゃいかぬということでございますので、こうした引き受け
会社の
責任の機能ということでもって
一つは大きなチェック機能があるんだろうと。
それからもう
一つは、投資家のサイドでございます。これは当然のことでございますが、先ほど申しましたディスクロージャーとか格付といった判断材料をもとに、その発行
会社がどういう業績を上げているか、財務内容がどうだろうか、それから社債はどういうふうに流通性を持っているんだろうとか、それから金利等の条件、こういったことでもって対応するわけです。そこでは元利の償還が確実だということは当然審査の基準になるわけでございますが、そのほかにも他の金融商品への投資を行った場合との比較という
ようなことを勘案して当然合理的な判断を行うということでございます。私
どもはこうした市場
関係者の機能をマーケットメカニズムというふうに呼んでおるわけでございますけれ
ども、こうした市場のマーケットメカニズムが十分機能している、そういう
ような状況にあるというふうに私
ども思っております。
それから、第二点の量的な問題でございます。これは金融的な面でキャパシティーがあり得るのかどうかということでございますけれ
ども、最近の国内の社債市場というのは非常に大きくなっておりまして、
平成二年度の場合ですと四兆円を超える、三年度の場合は六兆円を超える、四年度でも五兆円を超えるということで、大変大きなものになっております。もちろん、発行する時点の金融情勢という大きな条件はございます。それからまた、最終的にはただいま申しました
ようなマーケットメカニズムにゆだねられるという面もあるわけでございますけれ
ども、現在の金融情勢のもとであればある
程度大型起債ということも可能なのではないか、こういうふうに考えております。