○星川
保松君 大臣が私の言うことをよく
理解なさっておらないようですけれ
ども、私は五年ごとに変えるなんて言っていないんですよ。五年ごとにその基本法どおりに現状が動いているかどうかということを検討しろと、こう言うんですよ。
それから、何でもかんでも行政の方まで政治がやれなんというようなことを私は言っていないんですよ。いわゆる政策の
方向ぐらいは政治でやらなくちゃいかぬと言うんですよ。その
方向づけられた路線に沿って行政の方はいろんな具体的な施策というものを打ち出していくというふうにしてほしいと、こういうことですから、そこはひとつ誤解ないようにお願いします。
私も農水
委員会に来てから、農水大臣ほか農水省の
皆さんといろんな論議をやっているんですが、どうもかみ合わないんですね。それで、どうしてかみ合わないんだろう、農水省はおかしいんじゃないかと思っておったんですが、こうかみ合わないと私の方もおかしいのかなと思って、両方おかしいのかなと思うと私も少し自信なくなってきまして、実はきのう
参考人の方が
新潟の方とそれから熊本の方が来てくださった。それで、どっちがおかしいのかひとつ聞いてみようと実は思いまして、それで
一つ質問したんですよ。
それは、農水大臣は、嫁さんが来ないのも後継者がいないのも月給やらないからだと公休みをやらないからだなんて、こんなことをおっしゃるんだけれ
ども、あなた方はどう思いますか、月給やっていますかと、こういう端的な
質問をしてみたんですよ。
そうしましたら、
新潟の関川さんが、やっぱり嫁さんにも後継者にも月給はやっていないと言うんです。仲間もだれも月給出している人はいないと言うんですね。月給出すほ
どもうかっていない、赤字だと言うんです。だから、私は言っているんですが、
農家の後継者や嫁さんというのは、これは月給取りなんかと違いまして、会社の場合は何十年勤めたって会社が自分のものになるということはないんだ、ところが
農家の人は、勤めれば後で後継者として家屋敷から田畑まで全部自分のものになるわけですから、そこが違うんだ、だから月々の小遣いぐらいでやっていけるんだと、私がそう言ったら、やはりそのような考え方でしたよ。
それから、今度は熊本の山口さんに聞きましたら、山口さんは独身なんだそうですけれ
ども、私はいわゆる農村の嫁不足の犠牲者ではありません、私個人の考えで結婚していないんですと、こうおっしゃっていました。
それで、山口さんが非常におもしろいことをおっしゃったんですよ。
農家の休みというのは、あの人が言うには九カ月連続労働だ、休みなしだ、そして三カ月休みだ、こういうことをおっしゃったのでびっくりしました。それで、少し
計算してみますと、九カ月に三十日掛けますと二百七十日、それに八時間を掛けますと二千百六十時間、やっぱりぶっ続けというわけにはいかぬでしょうし、冠婚葬祭なんかもあるでしょうし、それで二十日分ぐらい、二十日ですと百六十時間、これを差っ引きますと二千時間なんですよ。そうすると、今のいわゆる千八百時間に向かっての時短とほぼこれが合うんですね。私は驚きました。
ですから、私は
農家の
皆さんと話をしますと話が合うんですよ。それで、
皆さんと話しても合わないというんですから、やっぱり農水省の
皆さんの方がちょっとおかしいんじゃあるまいかとまた自信を取り戻したんですけれ
ども。
それで、どうしてこういうふうに農水省の
皆さんが私らと違うんだろうなと考えますと、
皆さんは
現実に何もやっていないんですね。田の草取るわけじゃないし、稲刈るわけじゃないし、蚕置くわけじゃないし、それで、机の上ばかりやっているんですね。これが一番悪いんじゃないかと思うんです。
天皇陛下でも田植えなさっているんですね。皇后陛下は養蚕なさっているんじゃないですか。だから、農水大臣も農水省あたりに鶏でも飼ったらどうですか。本当に私はそんな気がするんです。鶏は飼ったことありませんか。——ない。私は卵をとる鶏を飼ったことあるんですよ。鶏の産卵率をあしたからぐんと上げる方法あるんです。これはどなたか御存じですか。——わからない。これは、卵を産まない鶏を判別してそれを淘汰しちゃうんです、いわゆる駄鶏淘汰なんですよ。産卵率の低い鶏を淘汰してしまう。大体、同じえさばかり食って卵を産まないというのは、これは栄養がついて肉としてはいいわけです。だから食っちゃうわけです。それはうまいわけですよ。
なぜ私がそんなことを言うかといいますと、今回の望ましい
経営体というものをつくるために、駄鶏淘汰みたいに
能率の悪い
農家を淘汰するようなことをやっていてはいけないなと思うわけなんです。兼業
農家だって、私、何回も言いますように、生産力としてはすばらしいですね、一千二百万トン片手間に
農業で米づくりながら生産する生産力を持っているんですから。その生産力はだれも非難するわけじゃないんで、その
生産性の問題、産卵率の問題なんですよ。
だから、
生産性が低いからといってこれを排除するというのは、それは鶏なんかはいいですよ、しかし
経営体は
農家ですから、これをそういうふうにして
生産性が低いからということで淘汰するような考えに立ってはいかぬ、こう思っているわけです。
余計なことばかり言っていたんじゃ時間がなくなります。望ましい
経営体、これは思い切った目標を立てたというふうに私も評価をいたします。問題は土地の集積の方法なんです。どういうふうにして土地を集積するかということでは二つの土地の出し手を想定しているわけですね。
その
一つは、いわゆる後継者のいない高齢者の
農家、その
皆さんは四十何万ヘクタールですか。それから、勤めをしてちゃんとした収入を得ている、あるいは兼業の何か営業をしているということで安定している兼業
農家、これは百四万ヘクタールですかを持っている。その土地を出してもらおうということなんですね。そこに私は難しさがあると思うんです。
それで、一番の難しさというのは、
農家を後継者として今やっている
皆さんというのは大概長男です。その兄貴は兄弟の
皆さんから相続の放棄をしてもらっているわけです。私も相続放棄しました。そうすると、兄弟の
皆さんは相続を放棄する際に、私の実家を守ってくださいよ、仏様を守ってくださいよ、年寄りを守ってくださいよという暗黙の約束があって、そうして放棄をしているわけです。ですから、兄貴が勝手に土地を売るということは問題があるんですよ。勝手に売ったりしますと、それは約束と違うじゃないか、だからその売った金を分けてほしいとかいろんな問題が出てくるわけなんです。
そういうことで、家を守る、墳墓のなにを守るというようなことからしますと非常に難しい、やはり先祖伝来の財産ということになっていますのでね。
この点についてはどう考えていますか。