○星川
保松君 私は、きょうとあさってと三十五分ずつの質問時間をいただきましたので、きょうは総論的な質問をして、あさっては各論的な質問をさせていただきたい、こう思っております。
今、
日本の
農業あるいは食料問題について何が一番大切かといいますと、国民の
合意、これが最も大事じゃないか、私はこういうふうに思うわけです。といいますのは、食料のあり方、
農業のあり方についていろいろな方が、学者の
皆さんからマスコミの
皆さんから各界の
皆さんが全くさまざまな論を述べていらっしゃるわけです。
例えば食料については、食料は
自由化した方がいいんだという強力な意見を吐く人もおります、学者もあります。それに対していわゆる食料安保論というものを唱える人があります。
食料自給率をもっと向上しなくちゃいけないんだと言う人もありますし、食料一つとってもガットをめぐっていろんな論が国内に展開されておるわけでございます。
それから、
農業それ自体に対しても、私が子供のころは、農は国のもとである、こういうふうに教えられたわけでございます。今ではもう
農業なんというのは、
日本は工業立国でいけばいいんだと国際分業論なんという論を唱える人もありまして、
農業なんか発展途上国の方へ任せればいいんだというような主張も行われております。さらには、今度は農村という
地域社会についても、これは国土・環境保全の面から再認識しなければならないという論も展開されておりますけれ
ども、それを一向に
理解してくれない人々もおるということなわけです。
それから、
経営の主体としての農家についてもいろんな論が展開されております。今までは家族労働の小規模
経営ということでやってきたわけでありますけれ
ども、それではだめだと。新
農政というのもその一つでありましょうけれ
ども、もっと
経営を大きくしなくちゃいけない。それには
経営主体を家族労働に限らず法人にしなくちゃいけないんだと。きょうも問題になっておりますけれ
ども、中には、
日本の経済を今日まで発展させたその功労者は株式会社だ、だから、家族
経営なんというところに
日本の
農業経営を任せておかないで株式会社にやらせたらどうなんだなんと言う人もいろいろあるわけなんです。
まず、食料をめぐって、
農業をめぐって、農村をめぐって、農家をめぐって諸説紛々として、もう国論の統一がどこにも出てこないということ、このことのために農家の
皆さんから
農業関係者はもう何が何だかわからなくなっているわけです。そういう中で
農業を取り巻く環境というものは日増しに厳しくなってきておるんです。
リンゴの
輸入の
自由化、あるいは肉の
関税の引き下げによる牛肉の
輸入とか、いろんな点で畜産農家が悩む、
リンゴ農家が悩むというような状況になってきておるんですね。
それで、今、本当に
日本の
農業・
農政にとって必要なことは、国民的
合意の形成、これを急がなければならないと私は思うんです。これを何とかしなくちゃならない。いつまでも百花斉放みたいに、百家争鳴というか、そんな状態にして、迷い、混沌の中に
日本の
農業・
農政を置くということは避けなくちゃならないと思うんです。
それで、
日本の今後の食料をどうするのか、
農業をどうするのか、それは
国会で決めるんだろうなということを私は農家の
皆さんから言われるわけです。私は、そのとおりですと、こう言っています。それで、この前はPKO
国会というのであなた方は三日も四日も徹夜したそうだ。それはPKOも大事でしょう。でも、
日本の
農業、
日本の食料をどうするかということはもっと大事じゃないか。三日も四日も徹夜しなくてもいいから、一晩ぐらい徹夜するつもりで
日本の
農業のことを考えてほしい、
国会で論争してほしいと。そうしましょうと私は約束をしているわけですよ。
どういう形で論争をしていくかということになりますと、それは私は、三十年前の
農業基本法、この基本法の見直したと思うんです。だから、
農業基本法の
改正案でも出してもらって、それをめぐってひとつ
国会で国論の
一致を見るような大論争を展開しようじゃないか。そして農家の
皆さんに、
農業関係者の
皆さんにこたえようじゃないかと私は思ってきたわけです。
それで、今までは別の方の常任
委員会をずっと回ってきておりまして、ようやく農水に来たものですから、ですから
農業基本法の見直しみたいなのが出てくると思って待っておった。いつまでたっても出てこないし、そうしたら新
農政というのが出てくるというんですね。今度は来たなと思って、これは徹夜してでもみんなで論争しなくちゃならぬと思っておったところが、新
農政というものは名前ばかりで我々のところにはさっぱり出てこないんです、これが。これは一体どうしたことかと私は思うんですよ。
ですから、いわゆる国民的なコンセンサスを得る場というのは
国会なんです。だから、
政策の
方向というものを決めるのは国民なんですよ。
政策を決めるのは
農水省の
皆さんです。
方向というのはレールですから、国民がレールをつくって、そのレールの上を能率のいい汽車を走らせるのが
農水省の
皆さんの役目だと思うんです。ところがそれが出てこないんですね、ここに。
そして、いわゆる
農政の基本法の見直しに匹敵するものだと私は思うんですね、この新
農政というのは。その肝心なもの、
国会でやるべきもの、国民が決めるべきものが出てこないで、その後のそれに基づく
政策、この
政策は
農水省の
皆さんがやることなんですよ。もとの方が出てこないで、それに基づく
政策がここに出てきているわけなんですね。これでは私は本末転倒ではないかと思うんです。
それで、私は前から、何で
法律案でこれを出してくださらないのか、それでは国民的コンセンサスを得る場がないではないかということを言ってきているわけなんです。これについてひとつ考えを、まず
大臣から。