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谷本巍君 そこで、最後に大臣に伺いたいんです。
お聞きのとおりでありますが、ウルグアイ・ラウンドをめぐる
状況というのは、音といいましょうか以前と比べれば複雑な形態をとりながらも、かなり変わった様相を見せるような
状況になってまいりました。この後私は構造政策問題について大臣に伺いたいことが
幾つかあるんですけれども、午前中の論議を見てみましても、新
農政なるものというのはやっぱりガット体制ということを前提にして描いているというふうに私には思えてしょうがないんです。だから、
答弁にしたって極めて歯切れの悪い
答弁にならざるを得ない。どうも基本的問題は私はそこにあるのじゃないかというふうな気がしてならぬのであります。
さてそこで、午前中も問題になったのは、
環境問題とそれから
農業問題、この絡み問題がかなり
議論になったわけですね。そこで、貿易問題を見てみますというと、例えば
農産物の輸出国で言うならば、有名な言葉というのはアメリ側の学者が言った言葉ですよね。穀物一トンの輸出というのが二トンの肥沃な土を輸出するに匹敵をするというような
状況があり、輸入国で言うならば
農業の基盤が破壊されるだけじゃなくて、国土そのものが汚染されていくと。畜産公害なんか典型ですよ。そういう
状況等々が出ているわけですね。
他方、二十一世紀に向けて地球上の大きな問題になってくるのは食料問題だと、こうされているわけです。例えば、大臣も御存じでしょうけれども、二〇二〇年になりますというと米の生産は現在の二倍にしなきゃならぬという試算だって今出されてきているわけですね。こういう
状況を控えてみれば日本国のガットに対する外交というのは大胆に切りかえた展開が私は必要だろうと思うんです。
例えて言うならば、食料安保の問題にしましても、これまで日本
政府が示していたような食料安保論、つまり日本一国の食料安保論ではなくて、世界全体の食料安保をどうしていくかというような問題ですね。大臣がお示しになっておる国際食料援助基金構想というのは、私、大変残念だが詳しい中身は存じないんですが、大臣がそういう構想をお持ちだという話を人づてに聞いております。
そういうふうなものが、中身を実は知りませんけれども、例えば世界の食料安保をどうしていくかという問題や、それから経済優先じゃなくて
環境優先でいく。去年の十一月に開かれた列国議会同盟の会合でも最終文書にはそれが載っていますよ、全体の合意事項で。私は
質疑しておるんです。もう世の中変わっちゃっているんです。でありますから、地球全体をどうするかということについての哲学を持った外交を展開すべきときに来たと思うんです。
そして、さらにもう
一つ申し上げておきたいのは、米の市場開放などをやることによって自由貿易体制を守ろうというのは、これは幻想だということが極めてはっきりしてきているんじゃないでしょうか。そういうもとで、ECについて言うならばさらに市場統合を進めていくという
方向であり、そしてアメリカで言うならば今話を出しておきました北米自由貿易協定、これをもっと
拡大していこうという動きがあり、そしてアメリカはさらに三〇一条をもって管理貿易体制を一層強めるというような
方向を出してきているわけであります。
そういう中で、日本の経済界が言う米の市場開放をやって、不採算部門の思い切った切り捨て、
合理化でさらなる国際競争力をつけていこうというのは時代錯誤ですよ、これは。そうでなくたって日本の貿易黒字が一千億ドルから一千三百億ドルを超えるような
状況になって、これは孤立無援になっていきますよ。日本が憲法を
改正して軍事大国にでもなれば、あなたの党の小沢さんが言うようなことにでもしなきゃ今の体制は維持できませんよ。これは、私は去年ヨーロッパなどを回り、それからまたブラジルの列国議会同盟、各国の皆さんと話し合ってしみじみとそれを感じました。貿易市場における日本の富の独占というのは、やっぱり話し合うとその問題が出てきますよ、恨まれています。
そして、日本の貿易のあり方、これはお互いに世界各国の持っている特技を生かし合って有無相通ずるということじゃなくて、一貫した製品をつくって、それでもってやっていくというわけですから、これは失業の輸出ですよ。こういうやり方をしていきますと、経済侵略的な性格を多分に備えてくるということになってくる。でありますから、そういう問題などを踏まえてみますと、この辺でそろそろ私どもは転換をしなきゃならぬと思うんです。
転換をしていく節目になってくるのは何なのかというと、重要な節目になってくるのはこれはウルグアイ・ラウンドですよ。そこで日本が外交的に思い切ったイニシアチブをとる力を発揮することができるかどうか、そこのところが私は重要な節目になってきたと思うんです。
私の意見はそういうことでありますけれども、大臣の所見を承りたいんです。