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政府委員(中田恒夫君) 保
安部長の中田でございます。座って御報告させていただきたいと存じます。
昭和五十九年の国会だったと承知しておりますけれ
ども、従前の
風俗営業等取締法、風営法と略称しておりましたが、これにつきまして、その
内容について大きな整備充実を行いまして、あわせて題名につきましても現在のような
風俗営業等の
規制及び業務の適正化等に関する
法律と、風適法とか風営適正化法と呼んでございますが、この大改正を
内容とする風営法の一部改正の
法律が可決されまして、その翌年の
昭和六十年の二月十二日から
施行されたわけでございますが、当小
委員会は、そもそもこの風営法の改正を契機として
風俗営業に関する問題をより十分に御審議いただくということで設置されたものと承知しております。自来、当小
委員会の
先生方にはふだんから何かと御
指導、御
支援を賜っているところでございまして、この席をかりまして厚く御礼を申し上げたいと存じます。
早速でございますけれ
ども、最近におきます
風俗営業等の
現状と
課題について御報告を申し上げます。
まず
最初に、概況についてでございます。
今申し上げました風適法ないし風営適正化法でございますが、これが
施行されましてちょうど八年でございます。この間、
警察といたしましては、風営適正化法の目的でございます善良の風俗と清浄な風俗環境の保持及び少年の健全な育成に障害を及ぼす
行為を
防止するということのために必要な
指導、
取り締まりを
推進してまいりまして、
風俗営業の健全化に努めてまいったところでございます。この結果、各種の
風俗営業につきましては、それぞれの
規制がおおむね遵守されまして、強引な客引きとかあるいは卑わいな看板類が減少するなどの
成果が見られます。また、風俗関連営業につきましても、各種の
規制の
効果によりまして営業所数が減少するなどの風俗環境の浄化に前進が見られるところでございます。
しかしながら、その一方で、無許可の
風俗営業事犯あるいは十八歳未満の者を使用するなど少年の健全な育成を阻害する事犯あるいはゲーム喫茶などにおきます遊技機を使用しての賭博事犯等が後を絶たないほか、最近では深夜酒類提供飲食店等におきまして
外国人女性が関与する売春等の風俗
関係事犯が増加
傾向にございまして、風俗環境の浄化を図っていく上で看過できない
状況も見受けられるところであります。このため、
警察といたしましては、こうした風俗環境の
実態等を踏まえつつ、引き続き風営適正化法の趣旨、目的に沿って適正かつ妥当な
運用に努めるとともに、悪質な事犯に対しては厳正に対処していくということといたしております。
そこで、
風俗営業等の実情について御報告を申し上げますが、
風俗営業等の許可及び届け出の
状況について申し上げます。お手先に基礎的な統計を
資料としてお配りさせていただいておりますので、御参照いただければと存じます。
まず、
風俗営業の許可
状況でありますが、全体的には逐年減少
傾向にありまして、昨年の十月末現在の総数はここにございますように十四万四千二十営業所でございまして、五年前の
昭和六十二年末現在に比べますと五千七百八十二営業所、三・九%減少しております。中でも、料理店等の二号営業、それから七号営業のうちマージャン屋等及びゲーム
センター等の八号営業の減少が目立っておりますが、こうした減少
傾向の要因といたしましては、最近におきます
国民一般の娯楽の多様化が進んでいるということが影響しているのではないかと考えているところであります。
なお、こうした中で、七号営業のうちパチンコ営業につきましては毎年約五百店舗前後の増加を続けておりまして、昨年十月末現在では
全国で一万七千四百三十営業所となっておりますが、これはパチンコが大衆娯楽として多くのファンに受け入れられているためではないかと考えております。
次に、風俗関連営業の届け出
状況についてでありますが、御承知のとおり、個室つき浴場業のほかにいわゆるストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップ、個室マッサージ等の性を売り物とする営業を風俗関連営業として風営適正化法で必要な
規制を加え、営業を営もうとする者は公安
委員会への届け出が必要とされているものであります。これらの営業におきましては、売春やわいせつ事犯が敢行されるおそれがあり、善良な風俗にも大きな影響を与えることから、適正な行政措置と厳正な
取り締まりを講じているところであります。
昨年十月末現在の届け出数は総数で一万三千二百二十四営業所となっておりまして、五年前の
昭和六十三年末現在に比べますと千四百六十営業所、九・九%に該当いたしますが、これだけ減少しております。また、風営適正化法
施行前の
昭和六十年一月十二日現在の一万八千十九営業所に比べますと四千七百九十五営業所、二六・六%に当たりますが、減少となっております。
このように風俗関連営業が逐年減少してきていることは、風営適正化法による
規制と
取り締まりが両者相まって
効果的に作用しているためと考えているところでございます。
次に、深夜における酒類提供飲食店営業の届け出
状況についてであります。
いわゆる深夜酒類提供飲食店営業は
昭和五十九年の法改正によりまして新たに届け出が義務づけられたものでございまして、昨年十月末現在の届け出数は二十七万四千百六十四営業所となっておりますが、これらの営業は、
国民の余暇が増大し、夜間における
活動範囲の広がりなどの
社会情勢を反映いたしまして、今後とも増加することが予想されるところであります。
引き続きまして、風営適正化法違反の
取り締まり状況について申し上げます。
資料の二ページを御参照いただきたいと思います。
昨年は、ここにございますように合計で二千四百八十四件、二千六百十四人を違反として
検挙しておりまして、五年前の
昭和六十二年中の四千九百八十八件、五千百七十六人と比べますと、
件数で二千五百四件、五〇・二%に該当いたします、人員で二千五百六十二人、四九・五%と、それぞれ半減いたしております。
風営適正化法違反につきましては、法改正以前の
昭和五十九年までは一万件台で
推移していたのでございますが、改正法が
施行されました
昭和六十年以降は年々減少
傾向にあります。これは法改正で、日常の営業
活動に伴って生ずるような軽微な違反であります例えば営業時間の制限でありますとか照度の
規制等の遵守事項違反につきましては、第一義的には指示等の行政措置の
対象とすることによりまして、営業者の自主自発的な努力を促すこととされたことが大きな要因ではないかと考えているところであります。
しかしながら、最近、深夜飲食店等の営業者が
外国人女性をホステスとして雇い入れ売春を強要するなどの事犯が目立ってきておりますし、またその背後には
外国人女性を供給する悪質ブローカーの存在や
暴力団の関与も認められるなど、風俗環境の浄化を図る上で看過できない
状況も見られるために、この種事犯につきましては今後とも徹底した
取り締まりを
推進していくことといたしております。
次に、行政処分の
状況についてでありますが、昨年中には風営適正化法に基づく営業の
取り消し、廃止及び停止処分は合計で六百八十七件、指示処分は二千六百四十一件となっております。また、改正法
施行後の処分
状況の
推移を見ますと、営業停止処分等は
昭和六十一年の二千四十六件が最も多うございまして、その後逐年減少を続けておりますけれ
ども、指示処分につきましては昨年若干減少したもののほぼ三千件台で
推移しているところであります。
これらの行政処分につきましてはその適正な
運用に努めているところでございますが、特に指示処分につきましては、先ほど申し上げましたように、
風俗営業等の健全化に向け営業者の自発的な努力を促すという点で法目的達成上重要な役割を占めておりますところから、今後ともその適正な
運用を図っていくことといたしております。
以上、最近におきます
風俗営業等の
全国的な
実態について御報告させていただきました。
最後に、本日脚視察をいただく予定でございます新宿の歌舞伎町地区におきます最近の風俗
実態について申し上げたいと存じます。これにつきましては、後ほど現地でも御報告申し上げる予定でございますので、簡単に概略のみ御
説明させていただきます。
新宿歌舞伎町地区におきましては、
昭和六十年の改正法
施行以前は強引な客引きのほか営業所から発する騒音や卑わいな看板類の掲出など風俗上多くの問題を抱えていたのでございますが、最近では当時に比べますとかなり健全化が進んだものと考えております。
この地区を管轄するのは警視庁新宿
警察署ではございますが、当署の管内におきます
風俗営業等の許可、届け出
状況は、昨年末現在で
風俗営業が千四百三十七営業所でございますので、都内全体の七・三%に当たります。それから風俗関連営業でございますが、これは二百十九営業所、これも同じく一五・七%でございます。これから深夜酒類提供飲食店が千八百六十営業所、これは四・七%となっておりますが、その約八割が面積わずか〇・三四平方キロという歌舞伎町に存在しているわけでございます。また、これを改正法の
施行直後の
昭和六十年三月当時と比べますと、各業種とも減少はいたしておりますけれ
ども、特に風俗関連営業につきましては三百七十八から二百十九営業所と大幅な減少を示しております。
一方、新宿署管内におきます風営適正化法違反の
検挙についてでございますが、改正法
施行直後の
昭和六十一年中は四十一件でありましたものが昨年一年間では十六件となっておりまして、客引き
行為とか年少者使用というものを
中心に全体的に減少
傾向にあろうかと思います。
しかしながら、何と申しましても歌舞伎町は我が国有数の歓楽街を形成しているところでございまして、無許可の
風俗営業なり飲食店における
外国人女性を使用した売春事犯とか、あるいはゲーム喫茶などにおきます遊技機を使った賭博事犯等が依然として後を絶たない
状況にございます。そういったことから、引き続き厳正な
指導、
取り締まりを
推進して同地区の風俗環境の浄化を図っていくこととしておるところでございます。
以上、最近におきます
風俗営業等の
実態について御報告申し上げましたが、よろしく御審議のほどお願いいたします。