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説明員(
峰久幸義君) 公共工事につきましては、物品の購入等と異なりまして現地の組み立て作業でありますとかあるいは単品受注等そういうような特殊性がございますので、特に所定の期限内に良質な工事を施行していただくと、こういう建設業者を指名して質の確保を図ることができる指名競争入札方式を公共工事に関する運用上の基本としているところでございます。
一方、一般競争入札制度につきましても昔から種々御
議論がございます。それで、中央建設業審議会等からの
答申におきましても、不誠実な建設業者を排除することが極めて困難で、不良工事、工期の遅延などを発生させるおそれが非常に大きいということ、それから審査、施工、監督等の
事務量が膨大になるということ、それから過当競争いわゆるダンピングの発生を招来するおそれが大きいということ、それから公平な受注機会の確保ということの
観点が薄くなるということ等の問題があるということで
指摘されております。
それで、欧米の主要国について見ましても、例えばアメリカでは一般競争入札方式を採用しておりますけれ
ども、イギリスでは指名競争入札を採用しておりますし、またフランス、ドイツでは指名または公募を行いまして、そこで技術審査を経て入札参加者を選定するという方式が見られるところでございます。各国各様の方式が採用されているところでありまして、必ずしも一般競争が主流ではないということでございます。
建設省におきましては、指名競争入札を採用しているところでございますけれ
ども、これの運用に当たりましては、特に指名については指名
基準に従いまして、かつ合議制の指名運営
委員会の議を経て業者を選定するということとか、あるいは入札結果等につきましては指名業者名を含んで公表していること、こういうことによりまして厳正かつ公正な入札契約
事務の執行に努めております。
それから、一般競争入札方式を採用しておりますアメリカでも年間数十件の入札談合に対する刑事訴追が行われているということも聞いておりまして、必ずしも入札方式と談合というものが直接結びつくものではないと考えております。したがいまして、指名入札制度が談合、やみ献金の温床とは言えないと考えております。
ただ、御
指摘のように、指名競争入札制度についても手続のより一層の透明性を高めるとか競争性を確保する、こういうことが非常に
指摘されていることでもございますし非常に重要だと我々考えておりまして、五月の初めにもいろんな改善策を発表させていただいたところでございますけれ
ども、その中におきましては、一般競争の有する長所を最大限に生かすため、広範な参加機会を確保するということと同時に、技術力を重視する新たな入札契約方式の導入とかあるいは指名
基準の運用
基準を具体化していくとか、こういう形での現行の入札手続の大幅な改善に取り組まさせていただいているところでございます。今後ともこういうことで全力で取り組んでまいりたいと思っております。
それから、雑誌で指名競争入札がゆえに価格が高いではないかという御
指摘でございます。一六%から三三%指名入札の制度のために高くなっているということでございます。御
指摘の数値は外国人の寄稿によりますものであると思われますけれ
ども、当該数値と申しますのは、一般競争と指名競争とを問わず、談合が行われる場合とそうでない場合の差を単純化された前提のもとで、かつまた数学的モデルによって推測されたようでございます。ですから、こういうことから実証的な
結論を導くことは非常に難しいと思いますし、特に
公共事業一般につきましてこういう形で高くなっているとは言えないというふうに思っております。
申し上げるまでもございませんけれ
ども、公共工事の発注に際しましては、予算決算及び会計令に従いまして取引の実例価格等を考慮して適正に予定価格を定めることとされております。その予定価格というのは、工事を行うに当たって必要な材料費、労務費、それから機械経費等から成る直接の工事費、工事の準備費、機械の運搬費等の共通の仮設費、それから工事を管理するために必要な
現場管理費、それと一般管理費とを合計して定めておりますが、この算定に当たりましては、直接工事費については工事の実態に基づきまして労務費、材料費や作業の所要人員等を定めておりますし、また共通仮設費とか
現場管理費についても同様に工事の実態調査に基づいて
基準額を定めて行っております。また、一般管理費等については財務諸表等を分析して適正に定めているところでございます。
このような予定価格は指名競争入札と一般競争入札を問わず同様に採用されるものでありますけれ
ども、今申し上げましたように、予定価格の算定に当たりましては予算決算及び会計令等に基づきまして適正、厳正に定めさせていただいております。それと同時に、先ほど申しましたけれ
ども、アメリカでも一般競争入札方式を採用しておりますが、談合のケースもあるということ等から考えますと、指名競争入札制度のために
事業費が一六から三三%高くなっているというふうな雑誌の
指摘というものはあり得ないことだと考えております。
積算につきましてはそういうふうなことでございますけれ
ども、なお、諸経費が甘いのではないかとかあるいは算定方式、積算方式がわかりにくい、こういうふうな御
指摘もございます。そういうことにかんがみまして、建設大臣のもとに
検討委員会を設置しまして、市場の実勢ですとか施工形態の変化、こういうものに機動的に対応できる積算でありますとかあるいは透明性の高い会計をつくるという
観点から、第三者の方々の目も入っていただきまして、そういう形で評価、
検討を行うということも行っていこうとしております。
いずれにしましても、今後とも予定価格の設定に当たって適正、厳正に行うよう努めてまいる所存でございます。