○渡辺四郎君 今運輸省の方のお話を聞きましたが、羽田の飛行場の拡張工事も運輸省なんですね。きょうの昼のニュースで、運輸
大臣が成田の二期工事問題で白紙に返す、そういう状態で話し合いをするんだというお話がテレビに出ておりました。私、現にある羽田の拡張工事問題については後ほど話をしたいと思っています。
同じ運輸省の中にありながら、航空局がやっておるかどうか知りませんが、羽田の飛行場の拡張工事の
現場の実態なんかももう少しやっぱり頭に入れてお話をしなければ、
関係省庁という六省庁じゃなくて運輸省の牛そのものが守られてないわけですから、そういう視点を忘れちゃいかぬと思う。何か一般的に各省庁が協議をして、ないように努力をしますということで今まで過ごされてきたから、冒頭申し上げましたように、二十七、八年間あるいは三十年間近くこういう状態が続いておるんだということを実は申し上げてきたわけです。
ですから、それだけでやりとりが終わるということでは、五年、十年先また同じことで
警察は罰則強化する以外ありませんということで道路
改正法を出してくると思うんです。そうではなくて、どうすれば解決をするかということをお互いにやっぱり考えなきゃだめだということです。
ここに、四月十八日にNHKが放映をされました、これは現に今あなたがおっしゃった羽田の飛行場の拡張工事の
現場での過積載の実態のテープなんです。先生方も見られたと思うんです。
大臣、これは見られたですか。長官も見られたと思うんですけれ
どもね。栃木県から、朝零時ごろから一人一車の所有者の運転手さんは行って、そして砕石場から買い取りまして、そして羽田に朝四時半ごろ着いて、それにNHKの記者がずっと同乗するわけですが、最終的に羽田で売り渡した。積んでおったのが三十五・二五キロだと。十トン車でしょうから、約三・五倍あるいは三・六倍の積載量があった。
なぜそういうことまでしなければ
生活ができないかということを今私は運輸省なり建設省の方にも申し上げましたが、建設省の方のお答えでは何か元請業者を含めて指導しておると。このテープに入っておるでしょう。おたくの直轄事業で、千葉の道路建設事業のいわゆる廃土の問題で千六百数十万円で元請には契約をした。ところが、本当に仕事をしたダンプの運転手の四人の
方たちに聞いたら二百八十六万円ぐらいです。千六百数十万円の請負金額で、具体的に仕事したのは二百八十万円近くでやっておるわけです。だから、業者を指導したというふうに言いますけれ
ども、一番あえぎ苦しんでおる一人一車のダンプの労働者というのはそういう実態でしょう。
この間ありました過積載によっての鉄道事故、あの成田線の踏み切り事故の
資料をちょっと見させていただきました。この方は山砂を運んでおりますけれ
ども、山砂なんかは山元で売る場合には一トン幾らじゃありませんね。車一台幾らということで売るわけですから、そうすれば適正に積載量の十トン車に十トンを積んでも例えば一万五千円あるいは二万円払わなきゃいけない。三十トン積んでも四十トン積んでも一万五千円あるいは二万円。それを今度は売りに出すわけですから、そうすればやっぱり余計積んで一台幾らの単価を落としていくということで売りに出ると思うんです。
この方の計算を見てみますと、十トン車で適正の積載量でいった場合に一台運んで五十円にしかならない。東京二十三区の一立米当たりの単価が二千百五十円。十トン車で無理して七立米積んだというような計算をしても、山元に一万五千円を払いますと五十円にしかならぬ。その中でやっぱり三倍から四倍という積載量を積んで、そういう中で
生活をするという実態なんです。
NHKのこのテープに入っておりますのが先ほど申し上げましたように栃木県からの問題ですが、それをお聞きをする前に私は私自身が浅い経験があるものですから建設省なり各六省庁にお尋ねをしたわけです。例えば成田なら成田で使用する砕石なら砕石、山砂なら山砂の単価の積算はどういうところでやっておるのか。もう少しわかりやすく言いますと、運搬距離なんかを見ておるかどうかということを実は聞きたかったわけです。
ところが、建設省の方にも後ほどお聞きをしますが、二通りの見方がある。運輸省からもらった
資料の中に、私ちょっと頭にきたわけですが、羽田空港の拡張工事に伴う砕石、山砂等の積算単価は公益法人による実勢
調査価格、これは工事
現場着に基づいているというふうに言い切っておるわけです。なお、資材の積算単価については予定価格の構成要素となっており公にすることはできない。砕石、山砂の工事使用実績では、砕石は主に東京都多摩地区、栃木県等の関東一円産であり、また山砂はそのほとんどが千葉県産である。ただし、工事発注に当たっては資材の産地の
指定はしていないと、運輸省の方はこういうふうに言ってきておるわけです。
私は少しの経験があるというふうに言いますが、例えば砕石なんかの場合、その用途によっては強度を要求する部分があるわけです。安山岩のばらばらになったような部分でいいのか、あるいは花南岩質で余り風化をしていないそういう岩石をクラッシャーにかけてやった方がいいのか、あるいは安山岩みたいなものをクラッシャーにかけたそういう砕石がいいかというのは、その用途用途によって基岩の強度の性質を問うことがあって、強弱によって問うこともあるわけですが、これではそういうふうに
指定はしていないというふうに運輸省は言っております。
問題はここにあります実勢
調査価格です、公益法人が出しました。これは実は
大臣それから長官の特にお二人にしてもらわなければ、公共事業
関係で積算する方はそれはなるべく安くという感覚がありましょうけれ
ども、これをこう抑えていった場合に私はいつまでたっても直らないということが第一点あると思うんです。
トラック一台でいい少量のバラスか砂、あるいは多くて十トンあるいは二十トンまでぐらいのその
程度の骨材であればある
程度の距離から搬入できるでしょう。ところが、羽田の空港の拡張工事とか高速道路の建設工事とかいった場合には、大量の砂が要るし大量の砕石が要るわけです。そうしますと、今、日本の半分以上を砕石しておるという栃木県の砕石場に
指定をするわけです。山砂であればやっぱり千葉に
指定をするわけです。
そうしますと、先ほど言いましたように、公益法人による実勢
調査価格に基づいてやっておりますと言いますけれ
ども、ここにもありますが何も運搬距離は見ていないわけですね。東京都内の取引価格は幾らでございますというふうになっておるわけですよ。そうしますと、三立米か五立米ぐらいでいい、使用量はそれでいいという部分と、羽田みたいに何万立米と要るあるいは何百万立米と大量に使う場合は遠距離から運ばなきゃいけない。ですから、先ほど申し上げましたこのテープに入っておるダンプの運転手さんは朝の午前零時から。
NHKの記者が何でこういう深夜からやるんですかと。もちろん流れがいいでしょう。それも一つありますが、それは
警察だって夜の夜中まで私はしないと思う。やっぱり
警察の取り締まりも夜中になりますと薄くなる。何で自分で違反と知りながらもそういうふうにダンプの労働者はやらなきゃいけないのか。私は陳情を受けたときにこう言われたのが非常に印象に残って、ここで皆さん方に発言したいと思うんですが、こう言われたわけです。
今、一番過積載をなくしたいと願っているのは、ほかでもないやっぱり働いている私
たちダンプ運転手の労働者です。運転者が法定積載を守り人並みの
生活が営まれる
状況であれば大賛成です。ところが、問題は先ほどから私が言いますようにダンプの運転手個人の意思の届かないところで運送賃が決められたりあるいは単価が決められておる。受注する方としては言われた金しかもらえないわけですから、そうしますと、さっき成田の事故の問題も言いましたけれ
ども、三倍四倍の過積載をしなければ
生活ができないという実態がある。
だから、そこに原因があるというのを私は冒頭申し上げましたけれ
ども、いろいろきょうはやりとりするということでなくて、問題点をお互いに探ってみたいという立場から一番大きな原因は私はここにあるという実は判断をしたわけです。
ところが、私自身も実はあきれ返っておるわけですけれ
ども、六省庁が先ほど言いましたように五十六年と六十一年にそれぞれ協議をして通達を出しました。その中で、いわゆる受取人側について、運んでまいります砕石を
現場で買う方について、五十六年の通達の中ではこう示されてあります。「建設業者に対し、過積載を行っていると認められる資材納入業者から資材を購入しないこと、及び資材の購入等に当たって資材納入業者の利益を不当に害することのないように」と。これは今度の場合も書かれてありますが、五十六年九月の分、「過積載を打っていると認められる資材納入業者から資材を購入しないこと。」と、こういうふうに二項めに六省庁の協議の結果出した。ところが、これは後の分では抜けておるわけです。
単価の問題は先ほど申し上げましたが、ここにも大きな問題があるわけです。過積載で持ってくれば、いやおれ
たちは違法だからそれは買えませんと。ところが、建設省でも運輸省でも同じことになると思うんですけれ
ども、運輸省の方は今羽田の飛行場の拡張工事をやっている。栃木から大体運んでおるダンプが一日に百数十台。これは営業車どうか知りませんが、大体やっぱり三倍ないし三・五倍ぐらいの積載量積んでおります。このテープを見ればそうなっておりますから、これを十トン車で適正な積載量でやった場合には三倍四倍のダンプが要るわけです。百台で済んでおるダンプでもかなり交通渋滞を起こす。
だから、ダンプの労働者の皆さんがなるべく交通のすいたときということで夜中を使っておる。それで三倍四倍のダンプが往復をすることになりますとかなりの交通渋滞も起こりましょうし、また、ダンプがあるかどうかも私はよく知りませんけれ
ども、そういう問題も出てくる。これは建設省、運輸省もそうですが、工期にも大きく
関係をしてくるわけです、工事の施工
期間そのものに。
ところが、施工
期間を契約で結ぶ場合には大体このことについてはこのくらいの
期間と、それそのものもダンプを何ぼ持っておるからということで恐らく建設省も運輸省も計算はせぬでしょう。何万立米、何十万立米要るからこの単価が幾らだとはじいて金額と数量だけ計算すれば設計はそれで済むでしょう。元請はそれを受けます。あるいはベンチャーを組みます。そうした段階では、工期も官公庁の方から、発注側の方からのやっぱり強い主張が通るわけですから、そうしますと、交通渋滞とかは別に考えずに受け側の方としてはやっぱり発注される側から要求されれば工期内で完成しなきゃいけないという状態が出てくる。そういうもろもろの問題を考えなければ、冒頭申し上げましたようにこれはやっぱり直らないという気がしてならないわけです。
もう一つお聞きをしたいのは、これは六省庁皆ですから
警察庁も含めてそうですけれ
ども、五十六年に先ほど言った「過積載を打っていると認められる資材納入業者から資材を購入しないこと。」、こういう行政通達も出して
関係団体を指導したわけですよ。それはもう古いわけですけれ
ども、六十一年にはそれが消えて、そして今度の
改正法にも載ってないわけです。これは
警察がやっぱり一番私は求めなきゃいけない問題じゃないかと思うんです。幾らやったって事業省庁というのは事業が完成すればいいわけですよ。
私は、やっぱり本当に交通渋滞をなくす、あるいは過積載をなくす、交通違反をなくすということになれば、この今申し上げた点というのは
警察庁が一番主張すべき点だというふうに思うんですけれ
ども、今度の
改正案には出てないから
警察庁にこれはお聞きをしたい。そして、建設省とそれから運輸省、私が言いましたように、積算単価についてひとつ各省庁の現にやっておる内容について、単価の算出方法についてお聞かせ願いたいと思うんです。