○長谷川清君 この
地方分権につきましては、この間の
予算委員会でここにもいらっしゃる山口
委員の
質問を聞いておりまして、本当にもう私も同
感だなと。あのテープをここで回してもらった方が早いような感じがしておるぐらいでございます。
私流にこれを解釈いたしますと、一、二分で戦後から今日までを振り返ってみますると、あの焼け野原の中から、まず十数年かけて食う時代がございました。食って生きる、この時代があったと思うんですね。その後は、食うだけではといって、では物をつくろうと、これまた十数年。それからだんだんつくれるようになりまして、生産力を高めて追いつけ追い越せ、十数年。トータル四十数年たって振り返ってみますると、物をつくってそして輸出をしていこう、こういう時代には、権限を集め、金を集め、能力を中央に集め、一点集中型でやることがスピードが高まる、そういう
役割を果たしてきたと思うんです。だから、本当は
地方にある権限を
運用上どんどん絞り上げていったという経緯をたどったと思うんです。
しかし、今になってみますると、では、この追いつけ追い越せ路線をこれからもずっと道なり運転するのかと。ちょうどそこに新しいテーマのこれからの十年、二十年の国としての進むべき進路という問題、こういうものとのリンクがある。ところが、残念なるかな、それは今のところ指し示されていないと思うんです。混迷の中にあると思うんです。世界も変わり、国内も変わり、そしてもう弊害の方がたくさん出てきた。
今、
大臣がおっしゃるように、もう十年間ざっと見ましても許認可権はどんどんふえております。昨年と一昨年の比較でももう二百何件もふえている。一万飛んで幾らか数字が出ていましたね、一万九百四十二件ですか、非常に高まっています。ですから、一番新しいところで法制化されました拠点法にしましてもあるいはパイロット自治法にしましても、形の上では移行しているかに見えますけれ
ども実際やはりそこに中央における承認権が働いておりますから、私はそういう発想というのは、
地方分権、分け与えるという発想、枝葉に移るというこんな感じに見えてならないのでございます。
したがいまして、
地方分権は国の方針、進むべき進路、これからはやはり国際
社会の中から日本人が尊敬される、国内にありましては、とにかく生まれながらにしてハンディを持った人々にあるいはお年寄りに、子供に、いろんな意味における
個人ではなかなかでき得ない分野を
社会的システムでそれをつくり上げていく等々、いろんな仕組みを変えていかなきゃいけない。そういうところに私は今急がれるこの
地方分権という問題がつながってくるんではないか、このように考えるのでございます。
そういう点について、自治省あるいはまた
自治大臣は見識を持ってそのようにおっしゃっていただきますけれ
ども、特に大蔵を中心とするそれぞれの省庁にはまた事情がございまして、なかなか
現実はそれを全部トータルしながら、どうしても権限を移行できない省庁もあるかもしれませんけれ
ども、それが足を引っ張る状況ではなくて、良貨が悪貨を駆逐するという感じのものにいくためには、やはり前提になっている
議論が不足をしているのではないか、このように私は思うんですが、いかがでしょうか。