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1993-03-25 第126回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年三月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  二月十七日     辞任         補欠選任      吉岡 吉典君     聴濤  弘君  二月十八日     辞任         補欠選任      聴濤  弘君     吉岡 吉典君  二月二十二日     辞任         補欠選任      山田 健一君     三重野栄子君  二月二十三日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     山田 健一君  三月二十四日     辞任         補欠選任      山田 健一君     渡辺 四郎君  三月二十五日     辞任         補欠選任      渡辺 四郎君     山田 健一君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野末 陳平君     理 事                 竹山  裕君                 藤田 雄山君                 鈴木 和美君                 前畑 幸子君                 及川 順郎君     委 員                 河本 英典君                 北澤 俊美君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 楢崎 泰昌君                 藤井 孝男君                 久保  亘君                 志苫  裕君                 本岡 昭次君                 山田 健一君                 渡辺 四郎君                 牛嶋  正君                 寺崎 昭久君                 吉岡 吉典君                 池田  治君                 島袋 宗康君    国務大臣        大 蔵 大 臣  林  義郎君    政府委員        大蔵政務次官   片山虎之助君        大蔵省主計局次  竹島 一彦君        長        大蔵省主税局長  濱本 英輔君        大蔵省関税局長  米澤 潤一君        大蔵省理財局長  藤井  威君        大蔵省証券局長  小川  是君        大蔵省銀行局保  鏡味 徳房君        険部長        建設大臣官房会  木下 博夫君        会計課長        自治大臣官房審  松本 英昭君        議官    事務局側        常任委員会専門  下村 純典君        員    説明員        厚生省社会・援        護局施設人材課  大田  晋君        長        運輸省鉄道局国        有鉄道清算業務  鶴野 泰孝君        指導課長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国の補助金等整理及び合理化等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○平成年度における一般会計承継債務等償還  の特例等に関する法律案内閣提出衆議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 野末陳平

    委員長野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、山田健一君が委員辞任され、その補欠として渡辺四郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 野末陳平

    委員長野末陳平君) 国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案及び平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。林大蔵大臣
  4. 林義郎

    国務大臣林義郎君) ただいま議題となりました二法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、累次の臨時行政調査会及び臨時行政改革推進審議会答申等趣旨を踏まえ、財政資金効率的使用並びに国及び地方財政関係安定化を図るため、これまで累次のいわゆる補助金一括法において暫定措置が講じられていた国の補助金等について、国と地方機能分担費用負担あり方等を勘案しつつ、一体的総合的な検討を行い、補助率等恒久化等所要法的措置を講ずるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、公共事業等に係る補助率等については、平成年度の国の補助金等臨時特例等に関する法律に基づき、平成年度までの暫定措置が講じられておりましたが、これを、体系化簡素化等の観点から、直轄事業にあっては三分の二、補助事業にあっては二分の一を基本として恒久化し、平成年度から適用して、暫定措置を解消することとしております。また、これとあわせて、直轄事業負担金のうち、維持管理費に係る地方負担割合を引き下げる等の措置を講じることとしております。これらの措置は、河川法等三十本の法律にわたりており、これらの法律について所要改正を行っております。  第二に、義務教育費国庫負担金に係る経費のうち共済費追加費用等については、平成年度において、同年度から六年度までの三年間で段階的に一般財源化することとされておりましたが、これを平成年度において全額一般財源化することとし、義務教育費国庫負担法及び公共養護学校整備特別措置法の二法律について所要改正を行っております。  第三に、一般会計から特別会計への事務費繰り入れを規定している地震再保険特別会計法及び自動車損害賠償保障法の二法律について、引き続き当分の間の措置として繰り入れ特例を延長することとしております。  次に、平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成年度予算の編成に当たっては、税収が前年度当初税収を下回るという異例に厳しい税収動向財政事情のもとで、景気生活大国づくりへの配慮など社会経済情勢推移に即応した財源の重点的、効率的配分を行う一方、特例公債を再び発行するような事態は厳にこれを回避するため、既存の制度、施策や歳出の徹底した見直しを行ったところであります。  本法律案は、こうした努力に加え、一般会計において承継した債務等償還延期及び政府管掌健康保険事業に係る一般会計からの繰り入れ特例について所要法的措置を講ずるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、一般会計において承継した債務等償還特例についてであります。  交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち一般会計に帰属したもの並びに日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団の債務のうち一般会計において承継したもののうち、平成年度において償還すべき金額については、それぞれその資金運用部に対する償還延期することができることとし、当該延期に係る金額については、五年以内の据置期間を含め、十年以内に償還しなければならないこととしております。  第二は、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れ特例であります。  平成年度における一般会計から厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れについては、健康保険法に定める額から千三百億円を控除して繰り入れるものとするとともに、後日、政府管掌健康保険事業の適正な運営が確保されるために、各年度当該勘定の収支の状況等を勘案して、繰入調整分及びその運用収入相当額合算額に達するまでの金額一般会計から繰り入れるものとしております。  以上が、二法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 野末陳平

    委員長野末陳平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 本岡昭次

    本岡昭次君 今の読み上げられました法律に対する質問も用意しておりますけれども、その質問に入る前に、どうしても大臣に伺っておきたいことがあります。質問の通告もしておりませんけれども、今から私が申し上げることは、大蔵大臣として当然一定の見解を持っていただかなければ困ることでありますし、そのことについて何にも言えないということであれば、私は大蔵大臣失格ではないかと思うのであります。  以下申し上げます。  それは、ゼネコンにまつわる問題であります。毎日毎日新聞ゼネコン初め建設業界からの金丸氏への寄附、献金の問題が出てきております。もう見るのが嫌になります。これは言葉を返して言えば、国民税金ピンはねやということに結論はなってくる。税金を集めてそれで予算を組んでおられる大蔵大臣にとって、これはもう重大な関心を持ってもらわにゃいかぬ問題だと思うんです。  要するに、公共事業の入札に関して、金丸さんに寄附、献金するためにその寄附分を上乗せして入札するということは、公共事業費国民税金でもって予算に組まれているんですから、これはもうはっきりと私はピンはねだ、言葉は悪いけれどもそれ以外にないと思うんです。また、そんなことをやる業者はこれはもう許せぬと思うんです。そうして集めた金を蓄財するのに無記名の債券のところでやって、そして所得隠しを行っている。そして多額の脱税をやる。所得税法違反。本来国税庁に入るべき税収をそういう形で脱税をやるという、重ね重ね許しがたい行為が行われているわけであります。  しかし、これは金丸氏が非常に特別な人であって、特別なことをやっているというふうに思えないんです。やはり自民党政治の恥部であると私は思います。それは個々人の政治家云々じゃなくて、やはり今の政治がそういうことを許す一つの仕組みがある、こう思うのであります。だからこそ、これは野党も含めて、国民政治不信というものが極限にまで達しようとしているんですね。  そこで、大蔵大臣、これは税金に絡まる問題であり、あるいはまた国民が、血税と言われるように、納めてきた税金の使い道にかかわる大きな問題であり、そしてそれが自民党政治という根っこのところにそうした金が動いてきたというこの事実が明らかになったわけでありますから、大蔵大臣自民党から出られた大蔵大臣であります。いろいろとこれについては思い悩んでおられる面もあろうと思うんですが、大蔵大臣として腹を据えてひとつ御見解をここで述べてもらいたいと思います。
  7. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 本岡議員からの今の御指摘でございますが、新聞で報ぜられておりますような、金丸さんの事件が今いろいろと言われておりますが、私は、その具体的な事実につきましてどうだこうだと言うのは、現在司法当局で捜査中でございますから、その内容についてどうだと言うことは、コメントをすることは差し控えたいと思いますが、新聞で書いてありますようなことがもしも事実であるとするならば私は大変遺憾なことだろう、全くそう思うわけでございます。  御指摘のように、公共事業というのはまさに国の税金または国民からの借金、建設国債等によりまして公共事業を営んでおるわけでございまして、これが厳正に執行されなければならないということはもう当然のことであります。公共事業執行に当たりましては、予決令その他の会計法規に従いまして厳正に行われなければならないというのはこれは当然のことだと思いますし、いろんな点で抜かりがあってはならない、こう思っております。今後とも、公共事業執行につきましては、担い手であるところの建設業界の健全な発展、また建設業界におけるところの節度を私は期待しながら、公共事業が適切かつ厳正に行われるということを期待している、こういうふうに申し上げたいと思います。  特に、今お話がありましたように、私は政治家の中でいろいろあったということは非常に残念なことであります。この前もテレビをちょっと見ておりましたら、政治家は皆こんなことをやっておるんじゃないかなというようなことがありまして、九九%もそんなのが出ていたという数字を見まして、私も本当に愕然としたところであります。私も大蔵大臣というよりは一政治家としまして、こんな形で国民に思われたんじゃこれは非常に悪い、やっぱり本当に襟を正していかなければならないと思いますし、またいろんな点で改善を図っていかなければならない、こう思います。  先ほど申しましたように、会計法規の適正な運用であるとか、また昨日も予算委員会お話がありましたけれども、公正取引委員会による独禁法の運用、これも直接には関係ないかもしれませんけれども、公正な競争によって行われるということは大変大切なことでありますから、そういった点でいろんなことを考えていかなければならない問題だろうと思っているところでございます。
  8. 本岡昭次

    本岡昭次君 大蔵委員会が開かれるたびにまたいろんな立場で今の議論があって深められると思いますので、私は、きょうは主として自分の意見を述べて見解を伺ったということでとどめさせていただいて、また次の機会に御意見を申し上げたいと思います。  次に、不況対策景気浮揚のための所得税減税問題がやっと議論が俎上に上ろうとしておりまして、聞くところによりますと、四月の五、六、七あたりで与野党協議をやって、九日には党首会談でこの所得税減税問題をまとめたいというふうな状況に現在あるようであります。  そこで、所得税減税という問題がその中でどういうふうに取り扱われるかということはまだ定かでありませんし、ある意味では非常に悲観的な情報の方が多いわけなんです。それは主として自民党皆さんの反対なり、また大蔵省自身所得税減税に消極的であるということが原因なんですが、今日まで、所得税減税不況対策景気浮揚のために我々は有効な政策だと言うし、大蔵大臣は、いや、それは有効でない、こうおっしゃるわけですね。そして、有効でないという理由に、減税してもそれは消費に回らない、貯蓄に回るだけだということが一番我々聞いていてわかりやすい所得税減税をやっても意味がないという理由のようなんですが、なぜそういうふうに減税しても貯蓄に回るだけだというふうにおっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  9. 林義郎

    国務大臣林義郎君) たびたび予算委員会衆議院の方その他でも申し上げておりますけれども、所得税減税という形で単に消費を刺激するというだけであるならばいろいろ私は問題があるということを申し上げているところでございまして、昨年の八月につくられました総合経済対策、また今お願いをしております平成年度予算におきまして、やはり公共事業中心としたことによって景気を刺激していくことの方が費用効果関係からいたしましても私は望ましいことである、直接的に消費を刺激するというのは一体どういうものだろうかというような考え方で今までずっと貫いてきておりまして、その延長線上にあるわけでございます。  やはり景気をよくしていかなければならないというのは一つの大きな宿題でありますし、国民的な期待でもありますから、そういったことをやっていくために、一体公共事業がいいのか所得税減税消費を拡大するのがいいのかという議論だと、こう思うのであります。  特に、消費がどうだということでありますけれども、私は、言われておりますようなお話で四兆何千億円もの金を所得税減税でやると。そうするとその財源をどうするか、こういう問題が出てくるわけでございまして、この財源赤字国債でもってやるということになるならば、それをだれが負担をするのか。結局我々の子供や孫たち負担をしなければならない。一体そういったことを今の段階において我々としてやっていいのかねという私は問題があると思うわけであります。  それから、税制全体として考えまして、一体今の所得税がどうなっているかといいますと、この前の抜本改革のときに相当所得税減税というのは行ってきたところでございまして、欧米に比較いたしましても課税最低限その他は非常に高いところに置かれておるところでありますし、また一般国民といたしましてもサラリーマンを中心としたところの減税対策というのはやってきているわけでございます。その上にさらにやるということが一体どういう効果を持つんであろうかなというような諸問題があるということで、広範な検討をしていただきたい、こういうふうな私たち気持ちを持っておりまして、率直にお前の意見はどうかと聞かれるとネガティブである、こういうふうな感じを持っているところであります。  ただ、御指摘のように四党でお話し合いをしていただくということになっておりまして、お話がありましたような日程になるのかどうか、私もちょっとつまびらかにいたしませんが、いずれにいたしましても、本予算を成立させていただきましたならば、その後で当然にそういった今のお話し合い与野党間で持たれるということでございますので、そのお話し合い推移を見守ってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  10. 本岡昭次

    本岡昭次君 論点をはっきりさせたいんですが、要するに、所得税減税景気浮揚あるいは不況対策に有効か有効でないのかという議論を我々は明確にしなければいかぬと思うんです。  今の大蔵大臣の話を聞いておると、公共投資とそれから減税というものがあるけれども、公共投資の方が有効ではないかと。それならなぜ所得税減税が有効と言えないのか、効果があると言えないのかというと、一つ貯蓄に回るからだ、あるいはもう一つ財源をどうするんだと、こういうこと。  そうなると、財源がそれではきちっとあれば、財源が納得できるものであれば、もう一つ貯蓄に図らずに消費に回るということであれば、所得税減税も有効な手段であると言えますわね。
  11. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 減税をしたときの効果とそれから公共事業に使ったときの効果とを比較したならばどうかという議論だろう、こう思うんです。  減税というものは、国民だれも増税をするよりは減税した方がいいというのはこれは明らかなことでありますから、一体それが景気にどんな影響を及ぼすんだろうかということで考えていかなければならないだろうと思うんです。減税をいたしましたときに、その分が貯蓄に回るんじゃないかということでございまして、過去の例を見ておりましても、貯蓄率相当に上がってきている。それから、今の段階におきましては資産価額が下落をいたしまして、貯蓄動向貯蓄がますますふえてきているというような感じもあります。  そうしたいろんな点からいたしまして、例えばこれが耐久消費財や何か新しいものが出てくるとか、そういったもので消費がふえるというような話であれば別でありますけれども、今のところなかなかそういったようなことも考えられない。そうすると、せっかく減税をしても皆貯蓄に回ってしまう。皆とは申しませんけれども相当なものが回ってしまうんではないかという形で、消費刺激策としての効果が十分な期待ができないというふうに私どもは考えている、こういうことでございます。
  12. 本岡昭次

    本岡昭次君 余りにも消極的だと思うんですね、大蔵大臣の今の立場は。そしてまた、何も大蔵省先頭に立って景気を引っ張っていけとか不況対策に有効な手段を出せとは言いませんけれども、やはり不況対策あるいは景気を浮揚させるために政府が、内閣がどういう責任を持つんだというふうな意気込みが感じられないんですね。減税しても、耐久消費財が大体行き渡っているから使われないんではないんでしょうかとかね。  じゃなくて、私は今景気を浮揚させなきゃいかぬ、この不況というものに対して何とか手を打たなければならぬという状況を目前にしたときの政府の対応というのは、例えば今おっしゃるように減税しても貯蓄に回るという心配があるならば、これはあなた、大蔵大臣先頭にして、国民に対して、皆さん不況対策を皆で一緒にやろうじゃありませんか、景気回復を皆で一緒にやろうじゃありませんか、そのためには、できれば皆さん方貯蓄されているそのお金を少し出して、こっちも減税するから、それでちょっと背広のそでがちぎれそうだがもう一年もつというやつでも今買うてくださいというふうに、政府みずからがそういう訴えを国民に対してしていくということがなければ私はいかぬのじゃないか、こう思うんです。  私が大蔵大臣だったらそうしますね。逆に国民に対して訴えますよ。こうしたらこうなるんではないか、こうしたらこうなるんではないかというふうに、経済が動くに任せた中での議論じゃなくて、積極的にある種の訴え、主張をして、そして国民政府の思っていく方向に動いてもらうような努力、汗をかくというんですか、そういうことをしなければ、やはり気持ちの上でどんどんどんどんと私は心理的な面で景気というものがさらに落ち込んでいくんではないか。  今、春闘の答えが出ております。しかしそんなにぱっと明るいものじゃない。こういう状況の中にあって、だれが一体それでは景気浮揚のための先頭に立っていくんだということになれば、私は政府が、特に大蔵大臣がこの減税という問題等を前面にひっ提げて、貯蓄という問題の現状、経済に及ぼしている状況というものを国民皆さんに率直に訴えて、景気浮揚の問題についての国民総行動みたいなものを訴えていくというふうにすべきではないかと私は思っておるんです。私が大蔵大臣ならそうしたい、こう思うんです。  後の質問がありますから、きょうさん言ってもらわぬでもいいから、一言だけちょっと。
  13. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 私も消費は悪だとは一つも思っておりません。しかし、消費を大いにやれと言って、一体どういうことになるか。  私は、財政が安定をいたしまして、そして将来の見通しがはっきりしてくる、経済見通しもはっきりしてくる、そうするとおのずから生活も安定をしてくる、それによって給料も上がってくる、こういうふうな安定的な経済成長をもたらすということが政府としては一番大切なことだろうと思うんです。決して、何かをやって、これを買ったらどうだこうだなどというような宣伝をするよりは、持続的な経済成長をもたらしていくということが国民安定感を与える。それがやはり本当の意味での消費刺激策になるんだろう、そういうふうに考えているところでありまして、まさに平成年度予算はそういったことをねらいまして不況に配慮した予算でいろんなことをやってきておるところでありますから、そういった形での私は持続的な安定成長というものをこれからは考えていかなければならない。落ちついて私たちはやっていきたい。  本岡さんのおっしゃるように、何かキャンペーンでもして、宣伝をして、服を買えとかなんとかというのは一体どういうものだろうかなと私は疑問を持っているところでございます。
  14. 本岡昭次

    本岡昭次君 まあそれは見解の相違でいいですよ。国の財政が安定をして、国民生活は苦しくともそれはそれでいいとおっしゃるならそれでいいが、私は、政治というものはそこらのところは機敏にあるべき状態に対応していくということであろうと、こう思うんですよ。  だから、もう四月、五月、六月とこうなって、一体景気浮揚がどうなるのか、あるいは不況対策が本当に効果をあらわすのかという問題は、やがて答えが出ますから、そのときは大蔵大臣も覚悟してひとつまたいろいろ対応していただきたいと思います。私が頭を下げるかもしれぬ、あなたのおっしゃるとおりだったと言ってね。そういうものだと思うんです、政治というのは選択やからね。いずれを選択するかという問題の判断をきちっとやって、ただ大蔵省、財布だけ握っておったんではあかぬだろうと私は思うんです。  そこで最後に、きょうも予算の公聴会が行われております。参議院では予算審議年度末に向けて最後の締めくくりの段階に来ておるんですが、何か衆議院から参議院へ予算が移ると、政府は、もうこれで予算は終わったんや、けりがついたんや、さあ補正予算も考えにゃいかぬなとか、すぐそういう話になるんですよ。  そうすると、我々参議院は一体何をやっているんだというふうに、こう思うんですよ。そうでしょう。参議院の予算審議が終わってから、本当に予算が終わったんでしょう。ところが、参議院の予算審議中に、政府のいろんなところから補正予算の問題が出てくる。こんなことでは、参議院はあってもなくてもいい、第二衆議院だ、盲腸だ、無用だという、そういうことに私なってくるので、こんなことは厳に慎んでもらいたいと思うんです。一言ちょっとおっしゃってください。
  15. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 今お話しいたしましたが、私も参議院で予算案というのは当然に御審議をしていただかなければならない問題だと思いますし、制約はありますけれども、参議院の御審議をいろいろとやっていただくということを切にお願いをしているところでございます。  ただ、お話のようなことが新聞等で報ぜられておりまして、自民党の首脳がいろんなことを言ったとかこうだとかというような話がありました。しかし、それも私は新聞で承知しているだけでありまして、直接に私の方にどうだこうだというような話ではないわけであります。政府の方は、一括して予算をお願いしているところでありますから、政府の方からはそういった話は出てない。これは私はそういうふうに考えていただいて結構だと思います。  いろんな点につきまして景気の問題に配慮をしていかなければならない。それは景気の問題でございますから、今本岡さんおっしゃったように、将来どうなるかわからない、将来頭を下げるかもしれないし、おまえ頭を下げなくちゃならぬかもしれない、私は、景気の問題というのはそういうふうに常に考えておかなくちゃなりませんけれども、やはり参議院で十分な御審議をいただくというのはやらなくちゃいけませんし、現在の立場は、私の方では現在の予算でやっていくならば、必ずや平成年度中には安定的な経済成長の方へ持っていけるものだ、こういうふうなことを考えているからいろんなところでお願いをしている、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  16. 本岡昭次

    本岡昭次君 今ここにいる先輩が、そんなことあるかい、政府が決めておるわと、こう言っている。やっぱり我々そういう不信感を持っているんですよ。  それで、参議院が予算の結論を最終的にどう出すかということもまだわかってないわけでしょう。そうでしょう。その結論を見た上でどうするかという、参議院の結論と衆議院の結論とを踏まえて次のことを考えるべきで、何もことしに限ったことじゃない、いつもこういう仕打ちを我々衆議院に受けておるんですよ。これ自民党皆さんどう思っているか知らぬけれども、一体参議院は何だと、こういうことになるわけですよ。だから、もう厳にこれは慎んでもらいたいし、ある種の政府のこれは責任問題にかかわることだと思いますので、厳しくひとつ指摘をしておきたいと思います。  次に、補助金の法案に入らせていただきます。  この補助金の制度というのは、いろんなプラスマイナス、功罪があると言われているんですね。プラス面としては、一定の行政水準を維持する、それから特定政策を奨励していくための政策手段として非常に有効な機能を持っている、私はこう思っているんですが、一方マイナス面として、地方行政の自主性を損なう、あるいはまた財政資金効率的使用を阻害する要因というふうなものももう一方にあると思っています。そして他方、最近は地方の時代、地方分権というふうなことがいろんな形で出されているわけで、地方公共団体や地方住民の自主性を尊重する行政というのは時代の要請であると言われております。  大臣、こういう状況の中にあって、この補助金制度の今後のあり方、これをどういうふうに考えておられるか、一言聞かせていただきたい。
  17. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 補助金制度のメリット、デメリット、今本岡議員からも御指摘のように、全く私も同じように考えているところでございまして、そういった中でこれからの補助金というものは常に見直しをし、常に新しくしていく、こういうことを考えながらやっていくということが必要だろうと思います。社会情勢、経済情勢というのは変化してきているわけでありますから、そうした中で不断の見直しをやっていくということはやっぱり必要なこと。基本的な考え方は全く今議員の御指摘のとおりだと思っております。
  18. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、この補助金制度を改善というのか改革というのか改悪というのか、いろいろ変えていかれるその根拠に、第三次行革審というものが一定の役割を占めていると私は思っています。  行革審の責任者であります鈴木会長と宮澤総理が私的に一対一で懇談された中で、鈴木会長が、総理は行革審の役割をどういうふうに考えておられますかと言って聞いたところ、総理が、行草の根本は地方分権と規制緩和だと、こうおっしゃったということが新聞の記事として載っているんです。総理が行草の根本は地方分権と規制緩和だと言われたことに、私も根本はといえばそうじゃないか、こう思うんですが、大臣はどう思われますか。
  19. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 私も、行革というのはやはり規制緩和、要するに政府がいろんなコントロールをするのをだんだんやめてくるということ、それから、地方自治の精神に基づいて、憲法にもそういうふうにありますし、それから地方自治法その他ありますから、そういった精神でやっていく。これは私は二つの大きな流れだろう、こう思っております。今、行革審が鈴木さんのところでいろんなことをやっておられますから、そういったものを検討されました結果を見て私たちもいろんなことをやっていかなければならない。  もう一つ行革をなぜやるかと申し上げますならば、やはり社会経済情勢が随分変わってきておりますから、戦後の時代、また高度成長の時代、その後の時代、それぞれに時代が変わってきておりますから、それに合うような行政組織、またもう一つ言いますと、政治組織もその中に入るんだろうと思います。そういったことも積極的に変えていって、よりよきものにしていくということは、お互い政治家としてやっていかなければならない話だろう、こう思っているところであります。
  20. 本岡昭次

    本岡昭次君 兵庫県の貝原知事なんかも、中央政府の権限を制限する法律、中央政府の強力な権限を制限する法律というようなものを提唱されているんですよ。ある意味ではこれは地方分権を確立せよというのを逆の意味でおっしゃっているわけです。中央政府の権限が余りにも強過ぎて地方自治体がうまく機能しないから、それを制限するという意味法律を提唱されているんです。我々は逆に地方分権とか地方の力を強めなさいと、こういうことを言うんですが、貝原知事なんかもそういうことをおっしゃる。なぜおっしゃるかというと、知事をやっていて、彼も自治省におられた方なんですが、地方自治体に実際入ってみると、余りにも中央の権限が強過ぎるんではないか、それで地方自治体がうまく機能しない、こう判断されてそういう提唱をされております。  そこで、行革審も、今おっしゃったように、地方分権と、そういう視点があるんですよ。それで、地方自治体では、そういうふうに大幅な権限の移譲と、それから権限だけ移譲されてもお金がついてこなければこれは何にもできないわけですから、地方財政を遂行していくに必要な地方財政を確立させていくというふうな提案がどんどん行われている。  私も、これからの日本の政治、行政の向かうところはこういう方向に向かっていかなければならぬのじゃないか、こう思うんです。そうしなければ、先ほど冒頭に言いました金丸さんの問題でも、結局縦割り行政の中から、また、自民党皆さんには嫌みごとに聞こえるかもしれぬが、族議員とかというのが生まれるのも、要するにそういう中央集権、中央政府の権限が余りにも強くて、そこで何かボタンを押せば全部下までいく、それでお金もついて回るというところに起こった一つ政治的な行政の仕組みの上の弊害だ、こう思うんです。  だから、補助金制度をこういうふうに次々と変えていく方向が、私の言っているような方向へ行くのかどうかということなんです。ただそのときそのとき、お金がないから少しずつ圧縮していこう、つまみ食いをして、国の方にちょっと地方へ回す金をこうするとか一般財源に回すとか、そういう小手先の手直しになってはいかぬ。やっぱりそういう向かうべき方向に正しく、こういう補助金制度の整理をするのならしていくべきではないかというふうに私は思う。だから、この法案に対しても、向くべき方向、将来どちらへ向いていくのかということについて、非常に大きな私は関心を持っておるんですよ。  だから、最後に結論として言わせてもらうならば、地方自治体への大きな権限移譲とそれに必要な財政基盤の強化というところへこういうのが向かっていくならば私は大いに賛成である、こういうふうに申し上げたいんですが、一体どんなものでしょうね、これの方向、やっていく行く先というのは。
  21. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 地方分権というのは、いろんな国が持っています許認可権限、地方が持っています許認可権限というのがありますから、それの再配分というような調整を図っていかなければならない。そのときにやはり地方の力をふやしていく。今先生も御指摘になりましたように、地方の方から国の権限を制約してやるという考え方も私は一つの方向だろうと思うんです。地方分権、国の力を地方に持っていくというんじゃなくて、地方の方から国の力をこれだけに制約してしまえと、こういうふうな発想も私は一つの発想だろうと思います。  そうした中で、国と地方とが財政的にいろんな形で絡み合っていることも事実であります。現実の問題として、現在いろんな財政収入というのは国が非常に大きなウエートを占めている。それを実際に使うのはどこかといえば、この周辺で使うわけじゃなくて、全国で使うわけでありますから、それが地方が使うような格好のものをどうしてやっていくかというのが私は地方分権の一つの大きな問題だろうと思うんです。  今回のこの補助金の整理法におきましても、今までいろいろな議論がありました。議論がありまして、直轄事業あるいは補助事業という形でやっておりましたけれども、そこで一つのルールをつくってはっきりしていきましょう、そのかわりルールをつくって地方でやるようなものについては国の方が補助を出します、これはどちらも半分半分にしましょう、それから直轄事業であればそれは三分の二は国の方で出しましょうと、こういうふうな形で一つのルールをつくってその中でやっていけば、おのずからはっきりしてくるじゃないか。いつも、その率をどうしましょうか、暫定的にどうしましょうかこうしましょうかなどと言っておったんでは、いつまでも国の財政になってくるわけでありますから、私はそういったことのないような形のものをつくっていこうという一つのねらいがこの法律の中には込められているだろう、こう思っているところであります。  これも、今もお話のありましたような地方分権の確立を目指しての一つの私はあらわれだろう、こういうふうに思っておるところでございます。
  22. 本岡昭次

    本岡昭次君 地方自治体の方から見ればそれがどう受けとめられるかということは、後ほど渡辺さんが地方行政委員会の方から来ておられますからそこで詳しくやっていただくことにしまして、私は義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法に係る問題に絞ってしばらく議論をさせていただきたいと思っています。  それで、今言いました義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法に係る問題としては、共済追加費用等を一般財源とするという措置を三年間でやろうとしておったのを、来年ではなくて一年繰り上げてことしじゅうにやってしまおうと、こういうことが今回の措置なんですが、この共済費追加費用を一般財源化するという、三年間のものを何で二年間でしなければならないという緊急の理由があったのか、伺っておきたいと思います。
  23. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘のとおり、昨年、三年間で段階的に一般財源化させていただくという法律を通していただいているわけでございますが、その後、五年度予算編成をめぐりまして二点ございました。  一点は、過去同様に補助金の一括法等で規定されておりました共済費の追加費用につきまして、公共事業の補助率が、お願い申し上げておるとおり、これも暫定期間一年を残しまして簡素化、効率化を図って恒久化するということで関係省庁の話、地方公共団体の意向も踏まえましてまとまりましたので、お願い申し上げているわけでございますが、そういったことが片や起きたということ。  それからもう一点、共済費追加費用自体につきましても、これは三年間ということで始めたわけでございますが、おかげさまで何とか地方の方でそれを一年前倒しして実行しても支障はないだろうという御理解も得られた。その背景には当然国の厳しい財政事情というものがあったわけでございますが、そういった二つの事情を考慮いたしまして、この際、国と地方財政関係安定化を図るという意味で、補助率の話と共済費追加費用の話、両方を一緒改正をお願い申し上げているということでございます。
  24. 本岡昭次

    本岡昭次君 地方自治体の方が支障がないと判断されたということは非常に大事なことだと思います。それはそれで、一年繰り上げただけだから結果は一緒だということですから、そこのところは深く議論いたしません。  そこで、今回の改正の対象となっているような共済費追加費用等が発生する職員は、小中学校の教職員以外にも当時都道府県に在職していた官吏、吏員、それに警察官というものが対象としてあったと思うんですが、それではその教職員以外の人たちは、共済費追加費用に係る費用の国と地方負担関係は基本的にどういうふうになるんですか。
  25. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 地方公務員の人件費につきましては一〇〇%地方公共団体が負担をするというのが原則でございまして、いわば義務教育費国庫負担法における教職員の人件費の二分の一国庫負担というのは例外的な位置づけにあるわけでございます。  したがいまして、今御指摘の中にございました警察官につきましては、これは同じような費用が必要でございますけれども、地方公共団体が一〇〇%負担しておるということになっております。ただし、警視正以上の警察官の場合には、これは警察法の規定によりまして国が一〇〇%持っておりますが、それ以下の警察官の場合は一〇〇%地方団体が追加費用等を含めて負担しておるということになってございます。  それから、いわゆる地方事務官と言われる方々の中で、例えば職業安定法の施行に要する事務に当たられている方々、これは都道府県の職員でございますけれども、これも地方自治法の附則八条に基づきまして当分の間国家公務員ということにされているために、共済費追加費用を含めまして人件費は国が一〇〇%負担をしておる。いずれもこれは例外的な措置であるということでございます。
  26. 本岡昭次

    本岡昭次君 私も勉強不足でちょっと理解がいきませんが、また改めて個人的に勉強をさせていただきます。  それで、義務教育費国庫負担法の中のいろんな項目が一般財源化されるということの中で、まず児童手当、それから旅費、教材費、そして今度は共済費と、順次一般財源化されていっております。そして、ここ十年来、事務職員、それから栄養職員も一般財源化をするというのがずっとありまして、毎年毎年年末になりますと年中行事のように、何とかそれをやめてもらいたいということをやっております。  どうなんですか、この義務教育費国庫負担法の中から一般財源化するというのは、今回のこの共済費の追加費用でもって打ち切るというふうになりませんか。またことしからずっと事務職員、栄養職員を一般財源化と言って大蔵省はやるおつもりなんですか。大臣、もういいかげんにやめられたらどうです。十年間ずっと毎年こうやって、まるでいじめですよ。こんなものは、はっきり言っていじめなんですよ。学校の栄養職員、事務職員は一般財源化する、しては困る、する、してもろうては困る。それで最後は、予算のときには、いや従来どおりしますと、こうなる。  いつまでこれをやっていくんですか。十年もたって一つ答えが出なければ、やっぱりそれは無理があるんだという政治判断というものをしなければ、一たん言い出したことは意地でもこれやってしまうのやなんというようなことは、私はそんなのむちゃだと思うんですよ。  事務職員、栄養職員を義務教育費国庫負担法の中で一般の教員と同じように負担をしているというのは、それだけの理由があって、根拠があってやってきているわけで、それを外そうとすると非常にトラブルが起こる、問題が起こる。ということは、やっぱりそこに無理があるということでしょう、十年間やってやれなかったということは。それをいつまでも続けるなんというようなことは、無為無策ですよ、こんなことはエネルギーの浪費ですよ。もうここでこの共済費で打ち切りという、そのくらいの英断を大蔵省やられたらどうですか。
  27. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 義務教育費国庫負担制度のあり方につきましては、過去、臨調とか行革審の答申等で何回も指摘されておりますが、政府といたしましては、義務教育費国庫負担制度の沿革、趣旨を踏まえまして、さらには国と地方財源負担あり方等々総合的に判断して過去もやってまいりましたし、これからもやはり状況に応じて必要があれば引き続き見直しを図っていくべきだというのが基本線でございます。  ただ、御指摘の中にございました事務職員とか栄養職員、これについてもかねがね財政当局としては意見を申し上げておりますけれども、具体的には平成年度予算におきましては従来どおり国庫負担を継続するということで決着を見ているわけでございます。  これらの問題も含めまして、最初に申し上げましたような一般的な方針のもとで、今後ともやはり文教政策全体との関係も考慮しながら検討をしていくべきだというふうに考えております。
  28. 本岡昭次

    本岡昭次君 必要があれば見直すというが、そのときどき必要が出てくるんですか。あるときは必要であったり、あるときは必要でなかったりするんですか。事務職員、栄養職員が義務教育費国庫負担法の中にちゃんと位置づけられているということがですよ。どういうときが必要でどういうときが必要でないんですか。
  29. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 事務職員 栄養職員に関しましては、その職員がやっておられるお仕事の必要性ということではなくて、その人件費の負担のあり方が今のままでいいのかどうかというのが論点でございますので、人件費を一体どこまで、国が二分の一負担すべきであるかという対象の問題でございますので、その必要性の対象は誤解のないようにお願い申し上げたいんですが、その人件費の持ち方につきましてはかねがね議論がある。やはり教職員の人件費とは、財源負担を論ずる場合に事情なり趣旨といいますか性格が異なるであろうということはございますので、それらを踏まえまして、将来の費用負担をどうするかというのは引き続きやはり検討課題になるであろうということでございます。
  30. 本岡昭次

    本岡昭次君 林大蔵大臣、よく聞いておいてくださいよ。検討課題とか、毎年毎年それを出してくるんです。毎年毎年出してくるんですよ、事務職員、栄養職員。十年間も続いておるんですよ。それで決着つかへんのをまだやるというんです。どこまでやるんですか。これは不見識やと私は思うんです。  そして文部省は、今彼は言いましたけれども、学校教育の中で事務職員、栄養職員がどう位置づけられているかということについて、歴代の文部大臣は、学校の中の基幹職員だと言っておるんですよ。教員と同じく、教職員ということで、教壇に立って教える教員も栄養職員も事務職員も養護教員もこれは基幹職員だと言って一くくりにしておるんです。それを大蔵省は割って、違うんだと、こういう主張をしておるんですよ。そんなむちゃなことないでしょう。  学校教育はどうするか、義務教育はどうあるべきかという主管は文部省ですよ。その文部省が基幹職員だと言っているものを、何で大蔵省がそうでないんだと、これは違うから人件費の方で負担を分けなければいかぬと、なぜそういうことを言うんですか。私は越権行為だと思うんです。負担の割合を下げるとかいうんならそれはまた別ですよ。そのときどき必要に応じて、ちょっと国のお金がないからしばらく地方が持っておいてくれというふうなことだったらいいんだけれども、切り離すというんですよ。これはもう絶対まずやめてもらいたい。  そこで、改めて見直すと言うたら、七十分もらっておるけれども、私質問終わりますから、何とかやってください。もう彼とやっておったら、何年来やっておるんだから、ちょっとここで大臣やってください。――ちょっと要らぬこと言わぬで、それは政治的な判断やないか。
  31. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 本岡さんのお話もよくわからないではありませんけれども、私は、義務教育費国庫負担法というのは、憲法で書いていますが、義務教育は無償とすると、こういうふうな規定がありまして、一体だれが負担をするのかというのはやはり考えていかなければならない話だと思うんです。臨調、行革審におきましても、その辺につきましてはさらに検討してやるという話になっておりますから、最初のお話にありましたが、やっぱり地方でどれだけ負担をするのか、あるいは国がどれだけ負担をするかという議論の中の一つの私は例だろう、こう思うんです。  そうした意味で、文部省の方は確かに基幹とおっしゃる。こちらの方はそうでないと、こういうふうな話を申し上げる。いろいろあるものですから、そういったような点でいろいろ今後考えていかなければならない問題だろう、こういうふうな認識を持っているところであります。今先生のお話だと、十年も同じことを言っているからお前と議論をしないと、こういうことでありますが、私はそれほど難しい一つの問題ではないか。これは地方財政あるいは地方行政、それと国の行政、財政とどう調整していくかというところの問題だからこういうふうになっているんではないか、こういうふうな認識を持ちます。私は、さらにそういった意味でいろんな角度から勉強させていただきたい、こう思っているところでございます。
  32. 本岡昭次

    本岡昭次君 それは大蔵省大蔵省としての、財布を握っている立場から難しい。大蔵大臣というのはやはり全体を見てある一つ政治的な判断を下していかなければ、十年間やろうと二十九年間やろうと、同じことを繰り返し繰り返しやっているなんていうのは、これはある意味では愚の骨頂ですよ。大体そういうことに手をつけた大蔵省の責任ですよ。十年たっても解決できないことに手をつけたという僕は大蔵省の責任やと思います、はっきり言って、こんなこと。  そして、義務教育費国庫負担法の中において、教職員というものを、文部省が基幹職員だと言っている中の事務職員、栄養職員を切って、それを費用の分担だということで地方にそのまま一般財源化したときに、基幹職員の一部を取ったら、その他の一般の教員も同じように地方負担だとしてもおかしくないという論理構成になってくるわけですよ。そうでしょう。学校における義務教育の担い手として、基幹職員だ。それを、事務職員と栄養職員だけ切って一般財源にできるということは、残りの一般の教員もできるという理屈に現場のことを全く無視すればいけるんですよ、今の論理であれば。だから、現場では、事務職員、栄養職員がなったら、次は一般教員だ、一般教員の方も一般財源化されるんだという危機感を持っている。  別の議論で、地方分権の立場からいったら、文部省なくてもいいと私は思うんですよ。そうでしょう、下に全部そうして権限を移譲するんなら。文部省をなくしなさいよ。教育は皆地方自治体に任しなさいよ、地方自治体に、教育委員会に。金だけはどんどんどんどん召し上げていって、下へおろして、権限だけはぐっと上が握っておるというような、さっきから言っているように、権限とお金というのは一体のものだという認識が現にあるわけでしょう。権限だけは強化するだけ強化しておいて、お金だけはわしら持ちませんよと言って、文部省がシーリングだか何だか知らぬけれども、削られたものがどんどん下の負担になっていく、現場の負担になっていくんでしょう。それなら、私は行政改革の最大のものは文部省なくせと、中央教育委員会を設置して、別の方式にしたらもっとすっきりする。そうしたら、この財源問題ももっと変わった方に私は行くと思うんですよ。  だから、そういう意味において、この問題の発展していくところ、そういうところへ行くから、事務職員、栄養職員の問題については、文部省が言っているように基幹職員の問題として、そこはもう大蔵省、この辺で決着をつけるというふうにしていただきたい。毎年毎年これをやらなきゃならぬ。何人の大蔵大臣とこれをやりましたか、こんなことを。大臣は来年もしやめられたら、一年で知らぬ、私は次々ずっとやっておらなきゃならぬ、国会議員でおる限り。もういいかげんにこのことはピリオドを打ってください、政治的に判断して。  もう一遍お願いしますわ、もうこれは頭を下げて。
  33. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 私も、大蔵大臣でもあると同時に国会議員でありますから、国会議員として私は考え方を申し上げておるわけでございまして、憲法で書いています義務教育は無償とすると、こういう考え方で一体どうするか。今まさに本岡先生いろんなお話がありましたような点があるわけでありますから、そういった点を含めて、私は行革審その他のところで御議論があるんだろうと思うんです。もう全部国の方に任しちゃえばよろしいという話だったら、私はそういうふうな議論はないと思うんです。  教育をどうするか、だれがやっていくか。教育の機会均等ということをやっていくのと、教育における地方分権の問題とをどう考えていくかという基本問題があるから、こういった問題になっているんだろう、こう思っているわけでありまして、いろんなことを考えていくというのが私は長い目で大切なことではないかな、さらにいろいろ検討させていただきたい、こう思っているところでございます。
  34. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう結構です。終わります。
  35. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大変失礼ですが、私、質問通告をしてなかったわけですが、実は予算委員会に傍聴に入りまして、各議員さん方から、金丸さんの甲府の、山梨のあの三億円の豪邸問題の質問が出ておりました。  私も自分で経験があるわけですが、私らが家を建てる場合には、まずもって建築許可書をいただいて、管轄の税務署に対して資金計画を出さなきゃいけない。私も余り金を持たぬものですから、配偶者と一緒に持ち分にしました。ところが、その持ち分についての配偶者の方に出してもらう金は一体どこから持ってきたのか、定期預金であればその証明を持ってこい、あるいは証書を持ってこいと。借金をすれば、例えば公庫から何ぼ借金をしたのか、あるいはそれ以外にどこから借金をするのか、手持ち金は何ぼあるのかという資金計画を管轄の税務署に出さなきゃいけない。  私、調査室の方にちょっとお願いをしたわけですが、なかなか調査室としてはやっぱり難しいということでありましたけれども、甲府の税務署で金丸さんの所得の申告が二千八百万程度だという。僕これ新聞で知りましたけれども、そういう中で三億円もの、戸田建設に頼んで坪二百万ですか、というような豪邸を建てられるということになれば、もうそれは最初の基礎工事のときからどのぐらいの費用がかかるというのはわかると思うんですね。  そうしますと、二千八百万ぐらいの所得しかない方が二億円も三億円もの家を建てるということになれば、資金計画は一体どうなっておるのか、金丸さんはどこから金を借りて、返済計画はどうなっておるのかというのを税務署は聞いてくると思うんです。あるいは関係自治体からも、実はそういう所得税関係のあれがありますからいろいろ質問も来るわけです。  そういう点で、夕べのテレビを見ておりましたら、もらった金をたんすか何かの中に入れておったという関係で、そういう部分から出していったかなというふうに私思いましたけれども、一体管轄の税務署関係はそういう部分についての資金計画について調査をする権限はないんですか。これは大臣じゃなくて事務局でもいいです。
  36. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 私から概略、私もそんな税の専門家でありませんから概略御説明申し上げます。  所得申告をいたしますときには、それぞれの給与所得その他の所得を申告しまして、大体自主申告というのが建前になっておりますから、どれだけの所得がありました、税金がこれだけかかりますよと、こういう形で申告をするわけであります。財産をそれだけ持っておったならば、たしか一千万円以上の方については資産報告というのを出さなくちゃいけない、こういうことです。私なんかも実は資産報告を出しまして、預金が何ぼありました、株が何ぼありましたと皆申告をするわけです。  だから、本当はそういったことがあれば、大体どのくらい持っておられるかというのはわかるわけでありますから、それで税務署が当然調べていいんだろう、こう思うんです。ただし、調べるときには、いや持ってないよ、どこにあるがということが相当わかっていないとなかなかすぐには調べられないということはあります。  だから、大体は自主申告ですから自分で申告をしていただく。その上でいろいろやって、いろんなところで、あと警察が調べたり検察が調べたりなんかしますとそこで発覚するということになりまして、新聞で報じられているような話でありまして、あれだけの話があれば、これはやっぱり秘匿をしておったという形に私はなるんだろうと思うんです。  これは事件の内容ですから、私が細かなことをどうだこうだ申しませんけれども、一般論として申し上げるとそういうことになるので、やっぱりやっていかなくちゃならないんだろう、こう思っています。きょうは別に金丸さんの事件がどうだこうだということではありませんけれども、個別の事項にわたりましては私申し上げるつもりはありませんけれども、一般論として申し上げるならば私はそういったことだろうと思います。  政府委員がちょっと来ておりませんので、何でしたら後でまた政府委員の方から詳しく説明をさせたいと思います。
  37. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 では、本題に入っていきたいと思います。  大臣、大変失礼ですけれども、私自身、地方行政委員会に長年おりまして、委員長もした経験もあるのですが、どうも近々の国と地方との財源配分問題、先ほど本岡委員からもありましたように、きょうの法案であります補助金等整理問題等についてもかなり私自身実は疑問を持った部分がたくさんあるものですから、まず大臣に、特に地方制度あるいは地方自治制度、こういう部分についてひとつ大臣の御見解を今からお伺いをしてみたいと思います。  平成三年十二月六日に、地方制度調査会が政府に対して次のような意見を提出をいたしました。これは特に財源問題についてでありますが、地方財政を単一の財政主体である国家財政と比較するには、地方財政が約三千三百の自治体総体であることに十分留意する必要がある。  この点について、大臣はどういうふうに受け取ったのか、あるいは認識をされておるのか。と申し上げますのは、この意見書を出した後九三年度予算編成に入っておるわけですから、その編成の中でこの意見が生かされたのかどうなのか、まず冒頭お伺いをしてみたいと思います。
  38. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 地方自治体が三千三百もあるということは私ももちろん承知しておりますし、またその中では財政力が強い自治体もあれば弱い自治体もある、いろんな格差があるわけでございます。  現状におきましては、こうした多様な自治体の中におきまして標準的な行政サービスの水準を確保できるように地方交付税制度が設けられておるところでありまして、従来からもそうやっておりますけれども、地方財政対策を講じるに当たりましては、多様な地方団体の全体として標準的な行財政運営を円滑に行っていくための必要な地方交付税総額の確保を図る、これは私はもう基本になっているんだろう、こう思っておるところでございます。
  39. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 今大臣からお話がありましたが、私先ほど読み上げました調査会の意見、私自身もあの委員の一人でありますけれども、討議の経過、それから自治省を中心に資料をたくさん調査会でいただきました。そういう中でいろいろ議論をしてまいりましたけれども、この意見の主張というのは、私自身がまとめましたんですけれども、大体次のような点にあるんじゃないか。  その第一は、何といっても政府大蔵省中心政府部内で、例えば昨年までは自治体財政の余裕論、富裕論ともいいますし余裕論ともいいますが、そういうことが唱えられてきたわけですけれども、今提案されております一九九三年度予算編成段階では公経済バランス論ということで、国と地方経済の車の両輪である、だから苦しいときには互いに協力をと、こういうことです。  私に言わせれば、地方交付税そのものは自治体の固有の財源である。これはもう何回も本会議の代表質問でも、私は竹下さんが総理のころ竹下総理からも、あるいは橋本さんが大蔵大臣のころも、当時の大蔵大臣も固有の財源だということは認めたわけです。そういう固有の財源であることを無視して、国の予算編成の際、交付税そのものをどうでも左右できるというような発想があるんじゃないか。これは余りにも地方自治体の財政状況を無視した、あるいは地方制度そのものを無視したやり方ではないかというのが調査会の中での意見なんです。  特に、交付税法の附則三条によって特例減額をまた今年も四千億円減額をするというふうに提起がされておりますが、これに対しても、実は私、古い委員会での資料を持ってまいりました。自分で質問したものですが、その当時参考人として服部さんという現職の市長さんが委員会に出てこられました。  地方財政に余裕はない、余裕があると言われる方々とは異なる意見だ、自治体財政は厳しく、公共事業や単独事業の補助単価等が実態とかけ離れ、そのための超過負担の解消のためまずはこれを改定してもらいたいというのが第一点。あるいは国民健康保険財政についても、若干減ったようですけれども、全国でその当時約二千五百億円を超すような一般財源からの繰り入れをやっておる。そういう国保会計の苦しさ等を述べられたわけです。  その附則三条による特例減額について、大臣はどういうふうにこの附則三条そのものをお考えになっておるのか、お聞きをしたいと思います。
  40. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 私ども、地方交付税につきましては、地方の固有の財源がどうかという御議論はありますが、それについては昭和四十四年の福田大蔵大臣の答弁でも申し上げて、それ以降一貫してそのスタンスをとっておりますけれども、一定の国税の一定割合はこれは地方交付税として地方に配分するということになっておりますので、その財源地方のものである。そういう意味では固有の財源であるという認識でございますが、ただ、今御質問にございました特例減額、特例措置につきましては、やはり公経済バランス論と言うとわかりがいいのでございますが、国と地方は公経済の両輪である、いろんな意味で連結されているわけで、その間の年度間調整をする必要性がありますので、その根拠として附則三条は置かれておる。  ですから、大きくは公経済バランス論に立ちまして、各年度において国の財政地方財政の円滑な運営が確保されるという大前提に立ちながら、年度間調整というのは現実問題必要でございますので、そういう意味で設けられている附則三条であるというふうに理解しております。
  41. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それは大蔵省の勝手な解釈かもしれませんが、石原信雄さんの書かれた「地方財政調整制度論」というのがあります。この内容では、経過は、昭和五十九年の地方財政対策のときに設けられた条文です。その趣旨は、交付税総額の安定確保のため、法律の定めるところにより、交付税の法定額について特例措置を講ずるものとして設けられたものです。その内容は、地方財源不足に対処し、総額安定確保のため、一般的には特例増額が前提とされているものですと、こういうふうになっておるわけです。  今おっしゃった調整の関係の部分ですが、これは交付税特別会計の借入金残高の軽減による交付税安定確保のため、必要な範囲内で特例減額を行うことも理論的にはあり得る。しかしこれはあくまで交付税特別会計の借入金の残高を見ながらやるべきだ。どう借入金そのものを減額するか、そういう範囲内でこの特例減額措置というのは認められておるんだと。  そうしますと、これから審議になりますけれども、今予算も出ておりますが、平成年度末の地方自治体の借入金というのが八十一兆一千億です。こういう莫大な公債を持った中で特例減額をやる、附則三条を適用する、四千億を減額するということについて私はどうしても納得ができない。  ですから、一番最初五千億の減額をやった段階で、これはもう本年度限りか、後はないのかという点まで地方行政委員会の中で当時の大臣に実は念を押した経過もあるわけです。ことしの場合も、最終段階予算編成段階で、最後は両大臣同士の最終的な大臣折衝の中で自治大臣が四千億を認めざるを得なかったという経過も聞きましたけれども、これは私は、後ほど申し上げますが、憲法論から見ても少しやっぱりおかしいやり方ではないかというふうに、どうしても納得ができないわけです。  ここらについて大臣、もう少し大臣の所見を聞かせていただけませんか。
  42. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 昭和五十九年度地方財政改革以降、御案内のようなことになっておりますが、私どもは、当然、年度間調整ということで附則三条で認められている措置を毎年度適用していくといいますか検討していくに当たりましても、地方財政がまず円滑に実施される、そういうことが必要なことであるという前提で物事を考えておるつもりでございまして、ただその逆として、増額はあるけれども減額はないということでもこれはない。やはり地方財政の中期的な運営を図っていく、中期的な健全性を確保していくという基本を忘れずに、しかしながら、公経済バランスに立って、やはり国と地方、その年度その年度財政状況等を踏まえまして、お互い相助け合うといいますか、そういったことも必要でございますので、そこはそういった考え方で設けられている条文であり制度であるというふうに考えております。  その特例措置の規模につきまして、地方公共団体の債務の残高が以内であるとか、私どもはそういった考え方はとっておりません。
  43. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 とっておりませんと言われますけれども、先ほど言いましたように、石原さんの「地方財政調整制度論」で私はそういうふうに実は読んでおるんです。ですから、調整ができるんだあるいは減額をできるんだという発想は、何のための差額、五千億ですね、法律で決まった。ですから、財政論の中には国の歳入歳出に入れるなという意見だってあるわけです。もともと外して考えるべきじゃないか。  そういう自治体固有の財源だという認識を、これは大蔵と私は意見が違うと言えばそうかもしれませんけれども、あの法律の建前からいって、あるいは後ほど申し上げますが、これは憲法上の問題もあります。憲法の第八章の地方自治制度の問題、九十二条から九十五条までありますけれども、その制度上の保障の立場からいってもやっぱり私は非常に問題があるという気がするわけです。これは後ほど申し上げていきたいと思います。  ですから、今も政府委員からお話がありましたように、自治体の財政運営の状況を見ながらいろいろと、こういうふうに言われましたけれども、先ほども申し上げましたが、政府は、今日まで国と地方自治体との財政比較を行う場合に、特に大蔵の皆さんに僕はお願いをしておきたい、大臣にお願いをしておきたいと思うのは、地方と国、あるいは国と地方自治体、こういう比較対照をやる場合に、約三千三百自治体の中のわずか五・四%くらいしかない不交付団体なんかを例に出してみたり、あるいは地方団体の財政を見る場合に平均値で物を言うわけです。そうしますと、そういう点から見れば、何か総体的に見れば自治体の財政には余裕があるかのように聞こえる雰囲気だってありますよ。  ところが、先ほど言いましたように、調査会の資料等も分析したわけですけれども、今地方自治体の財政力指数というのは、全国平均は〇・四六なんです。しかし、これを自治体の数で見てみますと、約三分の二の自治体が全国平均以下です。特に〇・三以下が自治体総数の四四・五%なんです。千四百七十団体も、〇・三以下が約四五%近く自治体数としてはあるというのが第一点です。  それから、歳入面で見てみますと、税収割合が全国平均は約四〇%です。ところが、歳入面で税収面の歳入が二〇%未満というのが自治体総数の何と半数以上、五二・一%なんです。千七百二十四団体もあるわけです。ですから、調査会としてもこれらの自治体個々の財政の実態を十分ひとつ留意してもらいたい、こういう立場で実はこの意見をまとめたんです。  今私申し上げましたけれども、大臣は読まれていないと思うんですが、そこらについてはどういうような御所見をお持ちかお聞きしたい。
  44. 林義郎

    国務大臣林義郎君) お話でございますが、地方自治体には非常に財政力の強いところもあるし、いわゆる不交付団体というのもありますし、末端にまいりますと非常に財政的にも苦しいところがある。私も代議士をやっておりますから、大変厳しい地方公共団体がたくさんありますし、そういったところからはいろんな御陳情もいただくわけでありまして、全体とすれば私は決して地方自治体が裕福だなどということは考えておりません。  ただし、全体としてもし議論をするということになっちゃったときには、その平均数値をとるというのも一つの考え方です。しかしながら、実態を見れば、平均数値でとったんじゃなかなかまずいというところも私はわかるわけでございます。  ただ、そうしましたときに、これからどうしてやっていくかというのは、地方自治体におきましても、また国におきましても、行政サービスをどうしていくか、こういうことだろうと思います。行政サービスというものは、地方財政需要、こういうふうな格好ではじきまして、その基本的なものについてはやはり国がいろんな形をやっていくというようなことでありますし、また地方の固有財源でもってそれをバランスしてやっていく、こういうことでございます。  そういった意味で、地方行政にいたしましても、また国の行政にいたしましても、まさに公経済でありますし、公経済がバランスをとってうまくやっていくということが必要だろう、こう思っているところでありまして、そういった意味で公経済論というのを私たちは考えていかなければならないと思います。  先ほど御議論ありました地方の独立、地方の独立と申しますか地方自治の原則をやっていくということを踏まえていかなければなりませんが、現実の問題としてこれをどう解決していくかというのも一つの観点ではないだろうかな、こういうふうに考えておるところでございます。
  45. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 後の方でまた少し憲法論議もしてみたいと思うんですけれども、まず法案の内容について若干質問してみたいと思うんです。  国の補助金等整理及び合理化等について、これは各省庁たくさんありますけれども、特に大蔵、建設、自治の各省庁に代表してひとつお尋ねしてみたいと思うんですが、従来の国の補助金等の臨時特例による平成年度までの暫定措置が、突然として、私に言わせれば突然として体系化、簡素化の観点からということで、そういう趣旨で一年繰り上げの実施が提案をされている。  問題は、公共事業直轄事業が三分の二、補助事業が二分の一を基本として恒久化するというふうに提案がなされております。お尋ねしたいのは、公共事業全般について、そのあり方を含めて、例えば補助事業、非常に小規模な補助事業だってあるわけですが、そういうものはやっぱり配慮をして、そして一般財源に打ち込んで、地方に権限も移譲した方がいいというような議論もずっとあります。ですから、そういう部分を含めて、あり方を含めてどういう議論がされてきたのか。その中での結論としての国の負担あるいは補助率の恒久化が適当だというふうに判断をされたのか、その経過について少し各省庁からお聞きをしてみたいと思います。
  46. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 公共事業の補助率につきましては、平成年度法律改正の際に、向こう三年間ということで現行の暫定措置が講じられたわけでございますが、その際、三年間ではあるけれども引き続いて関係省庁間できちんと議論をして、結論の出た場合には三年間待つことなく逐次実施をすべきであると、  その場合の基本的考え方は、これは行革審等でかねてから言われていることでございますけれども、複雑多種な補助率ではなくて、体系化、簡素化を図るべきである。具体的には、直轄事業につきましては三分の二、補助事業については国と地方折半ということで二分の一ということで、それを軸に考えてはどうか、こういう御指摘をかねがねいただいておったわけでございまして、それを踏まえまして関係省庁間の連絡会議を何回も開きまして議論を進めてきたということでございます。当然、その間におきましては自治省が重要メンバーに入っておられまして、地方公共団体の御意見も伺っております。  その結果、補助率、負担率につきましては今申し上げたとおりでございますが、関連いたしまして、かねがね地方公共団体の方から御要請のございました直轄事業負担金制度、その中の維持管理経費に対する地方負担という問題について改善をしてほしいということがございました。  これにつきましては、協議が調いまして、従来国が二分の一、地方が二分の一持っていただいておりましたけれども、地方負担を十分の四・五ということに減らすという措置を講じさせていただく。同時に、細かいことになりますけれども、地方負担していただく費目につきましても、これを減らすということを行っております。  それから、御指摘にございました補助対象事業の重点化という意味では、採択基準の見直しを行っておりまして、小規模のもの、地方のみずからがおやりになった方がいいといったたぐいのものにつきましては、今回あわせましてそういうものは地方に全面的にやっていただくということで、補助対象の重点化を行ってございます。  以上でございます。
  47. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) お答え申し上げます。  お尋ねは、特に自治省に対しては自治省並びに地方団体との関係だと思いますが、私どもといたしましても、補助率の暫定措置というのは一種の不安定な制度でございます。と同時に、後年度に国費とか交付税とかで措置をしていくという、延べ払いするような変則的な措置となっておりまして、今後、国、地方を通じて社会資本を充実していくという立場からは、この暫定措置というのはできるだけ早く、一年でも早く解消して、国と地方の安定的な、かつ健全な財政秩序というものを確立しておく必要があると考えていたわけでございます。この点につきましては、衆議院及び参議院の地方行政委員会におきましても、「早急に総合的検討を進め、速やかに結論を得る」こととの特別決議もいただいておるところでございます。  自治省の地方関係者とのアプローチといいますか協議につきましては、地方の市長さんの方々との意見の交換とか、あるいは六団体の要路の方々との意見の交換等を通じましてその意見を伺ってまいったつもりでございます。  具体的には、地方からの意見としては、地方団体の自主性を高めるという点にも留意しつつ、いわゆる体系化簡素化等の観点から総合的に見直して適切な補助率等としてもらいたい。そしてまた、見直しの結果生ずる地方負担については、地方財政運営上支障の生ずることのないよう適切な措置を講じてもらいたい。あわせて、かねてから、先ほども大蔵省の方から御答弁もありましたが、地方団体が強く要望いたしております維持管理経費に係る直轄事業負担金の見直しなど、国庫補助負担制度の改善合理化も図ってもらいたい。そういうような意見が出ていたわけでございます。  そういう意見等を先ほど大蔵省の方の御答弁もありました検討委員会において私どもとしては主張いたし、今回のような結論を得ることができたというように考えているわけでございます。
  48. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) ただいま大蔵省、自治省からお答えいただきましたが、事業執行立場から多少補足させていただきたいと思います。  御案内のとおり、現在私どもは国土の均衡ある発展あるいは生活大国という大きな目標に向かって所管しております事業を担当しております。道路、河川、公園、下水道と大変多岐にわたっておりますので、私どもはそれぞれの事業がバランスよく執行されることを常々考えておるわけでございますが、若干数字で申し上げますと、現在私どもが所管しております事業は大体十五兆円ぐらいございますが、そのうちに補助事業で約八兆担当しておりますから、半分強は私どもの所管しております事業の中でも補助事業が占めておるわけでございます。言うまでもなく、そういう大きな数字の中で補助事業というのは大変重要な役割を果たすということで、我々は真剣に取り組んでおりますことは言うまでもないことでございます。  先ほど来大蔵省、自治省からお答えいただいた経緯でございますが、事業執行立場から多少ざらにつけ加えさせていただきますと、各事業のやはり受益の範囲、あるいは緊急性、さらにはそれぞれの工事の規模等を勘案いたしまして、答申等で出ております直轄三分の二、補助二分の一という原則の中で、各事業が執行するに当たっていかがかという点検をさせていただきましたし、一部にはやはり事業の必要性から、多少それに補足的な補助率もつけさせていただいておりますが、我々はこれらの事業について、今回御審議いただいております補助率の中で遺漏のない執行をさせていただきたいと思っております。  また、重ねて権限移譲等の問題がございましたが、細かくは申し上げるまでもないと思いますが、現在やはり私ども補助事業についていろんな事務的な手続の中で本省で審査等も行っておるわけでございますが、度の過ぎた手続といいますか、というのは必要ないと思っておりますので、日ごろから事務的な簡素化、こういうものについては我々も最近特に指摘もございますので、改善、工夫を続けております。  細かい話になりますが、例えばヒアリングだとかあるいは提出いただいている書類等につきましても、我々としては工夫、改善をしておるところでございます。
  49. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 自治省も建設省の方もそういうことを言われましたが、確かに国会決議等もありまして、国の負担率、補助率問題については一九八五年以前に戻せというのが再三にわたって議論され、あるいは特別決議もなされてきたわけです。そういう中で六十一年、福祉関係、厚生省関係中心に若干の改正がなされました。それはそれで恒久化していくという方向が出たわけですけれども、あとの部分についてはやはり八五年以前の負担率、補助率に返せというのが六団体含めて非常に強い要請でもありました。国会の中でも再三にわたって特別決議も実施をしてきた経過があるわけです。  そういうことを踏まえて三分の二あるいは二分の一という水準で恒久化していくんだと。今建設省の方から、若干の部分については別の措置があるようですけれども、そういう水準を決めた基礎といいますか基本といいますか、そこらについて、今日までの国会の議論等を踏まえて、どういうふうな各省庁間、大蔵を含めて議論がされてきたのか。私はどうも国会の議論が余りにも無視をされておるんじゃないかという気がしてなりませんが、お尋ねしたいと思います。
  50. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今回の見直しは、暫定から恒久化を図る、恒久化措置に移行させていただきたいということでございまして、そういう意味でやはり国と地方負担関係のいわば基本に立ち返るというそういった観点から検討させていただいたわけでございます。そういう意味で、直轄事業は国の直轄事業であるというところから三分の二、それから補助事業はやはり国と地方が折半すべきものであるということで二分の一という、いわばある意味では常識的な数字というものを基本にいたしまして、それぞれの事業によってはそれだけではだめだと、もうちょっと高い補助率も必要であるというのが例外的にございますけれども、やはり基本は恒久化措置としてあるべき負担率、補助率ということであったわけでございます。  過去の補助金の一括法等の御議論では、この暫定措置が始まります前の昭和五十九年度の水準、それと比較してそこに戻すべきであるという御議論も確かにございましたし、いろいろな経緯があったことは承知しておりますが、暫定措置の補助率が推移してまいりまして、現行の暫定措置では六十一年度水準というところに戻っているわけでございます。  その経緯は経緯で私ども十分に認識しておりますけれども、今回はそういう流れの中でもやはり恒久化という観点から、いわば簡素化、体系化と言われるにふさわしい体系を考えたということでございまして、五十九年度のあるいっとき、一年度の水準がこれが今後とも正しい水準であるということでは必ずしもないと思いまして、これから先を考えた場合に、国と地方財政関係安定化という意味でも、またわかりやすい簡素化という意味でもこういったことにいたしまして、それでなお必要となってまいります地方財政措置は、今度の基本スキームに即しましてまた講じていくということでございますので、地方に過大な御迷惑をおかけするとか、そういったことにはなっていないというふうに考えております。
  51. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 恒久化することについては私は何も反対をしていない。あるいは簡素化することについてもそれは賛成なんです。ところがその中で、それを何か表に出しながら、五十九年度水準に戻せという従来の議論を、国会議論なんかあるいは決議なんかを私に言わせれば全く無視をしたのではないか。  ですから、今度も予算措置はされておりますが、先ほど申し上げましたように、補助単価の実態等も猛烈に違う。だから地方の持ち出しがたくさん要るんだというようなこともありますが、五十九年度水準でいつでも六千九百億円のいわゆる自治体の超過負担があるんだ、負担増になるんだということがしばしば言われてきたわけです。  ですから、確かに今回の場合は公共事業の臨時特例債六千九百億円予算措置がされておるようですけれども、これは私自身は、こういうことを続けていけば、逆に言ったらもう自治体の主体性はなくなってしまうのではないか、国の下請みたいな格好になってくるんじゃないか。  ですから申し上げたいのは、毎年毎年今あります六千九百億円という差は、自治体の段階ではやっぱりはじいてくるでしょう。しかし、補助率、負担率が恒久化してくれば、五十九年度というのは対象にならないというふうに政府は言うでしょうけれども、やはりことしみたいな格好で臨時特例債でも出して何とかしてくれないかという、あるいはそういう要望だって出てくるかもしれない。しかし、私はやっぱりこれはやめて、もう九四年度以降の予算編成段階では負担増に該当する部分、ことし六千九百億円特例債でやったわけですから、そうすれば交付税の総額にプラス大蔵から新たな財源として各省庁が要求をして、その部分を交付税プラスいわゆる負担増に見合う部分だという、そういう財源費目を設けるべきじゃないかという気がするわけです。  素人の考えかもしれませんが、そこらについてはどうでしょう。
  52. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 私どもは、補助率、負担率につきまして恒久化をいたしますということになりますと、やはり負担関係地方負担もこれは基本ルール、恒久措置として通常の地方債なり交付税なりでそれが手当てされるというまさに基本制度そのままの適用になるべきものであるというふうにまず考えるわけでございます。  そうは申しましても、現実には平成年度平成年度地方財政の補助裏の持ち方というものに激変というようなことが起きてもこれはまずいものでございますから、補助率、負担率はこういうことで恒久措置に変えますけれども、それに伴います地方財政措置については激変緩和措置暫定措置といたしまして、今委員指摘のように連続性を持つという意味で、昭和五十九年度の水準と比べて地方が持つことになる六千九百億円程度のものにつきましては、特別の地方債ということで暫定的に財源措置を見ていきましょう、各事業が地方財政の裏負担のあり方によって円滑な施行ができないというようなことのないようにいたしましょう、こういうことでございますので、これは何年度までというようなことを具体的に申し上げられる状況にはございませんけれども、やはりいずれは補助率の恒久化に即しまして本来の姿に持っていかれるべきものであるというふうに考えております。
  53. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 わかりにくい方法で対策を講ずるのではなくて、そうすれば負担率、補助率を若干でも上げて解消するという方が非常にわかりやすいんじゃないか。だから、冒頭申し上げましたけれども、余りにも地方自治体の財政問題について、大蔵省、もう少し私は認識を深めてもらいたいと思うんです。なかなか自治省は大蔵省に対しては弱いようですから。  ここに三月十一日の毎日新聞を私は持ってきておりますが、「「借金」増やして景気対策」「苦しい自治体の台所 地方債が大幅アップ」というふうに出ております。ちょうど今地方では三月議会の最終段階に来ておるわけですが、その中の内容をちょっと見てみますと、こう書いてありますね。  「予算の中で目立つのが借金に当たる地方債の大幅アップ。それは長引く不況地方税収入は落ち込み、国からは公共事業拡大でハッパをかけられ、自治体では借金をふやして景気浮揚対策をする悪循環の状況が出ている。」と、地方の現状をこう述べられておるわけです。  もともと景気対策は本来国の仕事じゃないか、しかし自治体も、マスコミが言いますように中央からハッパをかけられる。特に昨年度から積極的に取り組みを起こしてきたわけですが、こういう中で、大幅な税収減の中で、これは自治省から数字がわかれば聞きたいわけですけれども、九二年度決算を見ても、今三月議会のさなかで年度末が迫っておりますけれども、相当額の財政調整基金を取り崩しておるわけです。  これにありますが、富山県では史上初めて基金のほぼ全額を取り崩した。こういう状況も出ておりますし、それから兵庫や宮崎県では過去最高額を取り崩した、こういうことまで出ておるわけです。一方収入面の方でも、税収の落ち込みが非常に大きくて、減収補てん債が一兆三千億ぐらい、あるいはそれ以上減収補てん債を各自治体はお願いしなきゃいけないという状況になってくるんじゃないか。そういう中でも特に大都市圏で目立ったのが、税収の落ち込みの中で法人事業税などが、特に兵庫県が前年度に比べて一三・八%、全国の最高。そしてあとが大阪、京都、愛知、こういう大都市が一〇%以上の税収の落ち込みです。  そういう状況の中で、今自治体の場合も必死になって国と一緒になって九二年度総合経済対策の一環として地方単独事業を起こしながら頑張っておりますが、九二年度地方単独事業の財源は、一兆八千億円はすべてこれは公債に頼っておるわけです。全部借金なんです。  そうしますと、九三年度地方単独事業を見てみますと、国の伸び率が五・七%です。これに対して自治体の場合は一一・五%の伸びを示しておる。しかし問題は、先ほど申し上げましたが、その財源の充当の内容なんです。公債費率が前年比で一八・四%も伸びたわけですよ。その中で地方としては単年度では初めて十兆円、約十一兆の公債発行になったんです。ですから、先ほど申し上げましたが、地方の公債総額は既に八十一兆円、莫大な公債額になってきちゃったんです。  これは国の建設国債と違いまして、建設国債であれば六十年償還だ、地方の場合は公債発行でも非常に厳しい制限があるわけです。公債費率が例えば一八%以上ぐらいになるといった場合には自治省から赤信号が出されまして、この事業を落とせ、ここの人間は削れというようなことで公債費率を上げないために大変な経営努力を強いられるわけです。それでもなおかつ公債費率が三年間一〇%ですか、続きますと、再建団体に落ち込むわけです。国の場合は再建団体がないわけですから。そういう非常に厳しい中で、先ほど言いましたように本年度の場合は一八・四%も公債費率が伸びている。  そういうことになりますと、これは特に大蔵省よりも自治省の方にお尋ねしたいわけですが、僕自身も地方債そのものは地域づくりのためには欠かせない、あるいは依存することについては何も反対をするものでないわけですけれども、将来的に債務償還が非常におもしとなる。  私は福岡の出身ですけれども、一九六〇年代の列島改造からいろいろありました。大きな箱物をつくったり、財政とは無関係にやっていってたくさんの自治体が再建団体に落ち込んでいった経過を知っておるものですから、それが住民にその部分に対してのしわ寄せが非常に行ったわけです。そういう状況等を知っておるものですから、ことしの場合で地方地方債依存度が八・一%に既にもう達しておるわけでしょう。こういう点から見て、自治省の場合、八・一%というのは過去から見れば最高というか、一回はありましたけれども、大体どの程度までであればこれから先の自治体運営に余り支障がないというふうに思っておるのか、ちょっとお聞きをしてみたいと思います。
  54. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) 先生御指摘のように、我が国の今大変厳しい経済状況の中で、昨年来の総合経済対策、そしてまた平成年度景気対策等で地方公共団体が景気対策にも一役を果たしているということは御指摘のとおりでございまして、また、それに伴って地方債で対応がふえてきているということも事実でございます。  お尋ねの問題は、一つ景気対策と地方財政のかかわりの問題、そして二つ目は、それに伴います地方債の活用とその償還の問題であろうかと思います。  その大前提といたしまして、私どもは、今先生も御指摘のように、地方団体が自主的、主体的な活動を行っていく際に、地方が単独で創意工夫を凝らした事業を行っていく、そしてまた住民に身近な社会資本の整備を進めていくということはこれは非常に必要なことであろう、また現実に地方団体からもそういう強い要望がございます。  そういうことも踏まえまして景気対策と地方財政のかかわりを申し上げますならば、確かに景気対策というのは国の役割が主流だということも言われておりましたけれども、現在の地方団体の、地方財政の役割というものを考えてみますと、公共投資の約七五%を地方団体が実施し、その約六割が地方単独事業となっている現状でございます。そういうことを考えますと、今日、景気対策において地方財政の果たす役割は従来にも増して大変大きなものであると考えているわけでございまして、そういう意味から積極的にその役割を果たしていかなきゃならないだろうと思っております。  このことは、平成年度予算編成に向けての地方制度調査会の意見におきましても、「国と協力して景気対策にも配慮する必要がある。」という意見をいただいているところでございます。そういうことで、平成年度地方財政計画で積極的な地方単独事業の推進を前提とした計画を組んだわけでございます。  そこで、このような地方公共事業の推進に地方債を活用することとその償還の問題でございますが、やはりこのような公共投資の推進のためには、一つは、地方債本来の持ちます、公債本来の持ちます世代間の受益と負担のバランスをとるということからもございますが、特に景気対策のような場合は、御指摘のように地方税収入、あるいは地方交付税もその一環でございますけれども、税収入というものが落ちるわけでございまして、そういうことからやはり地方債の活用というものを行っていかなければならないわけでございます。しかしながら、御指摘のとおり、将来の地方財政の健全性には十分配慮し、やはり節度ある対応が必要であると考えております。そのことはやはり地方財政全体の仕組みを通じてその節度を守っていかなければならないだろうという考え方でございます。  今委員の御指摘のように、いわゆることしの地方財政計画におきます地方債依存度八・一%というのは昨年よりもかなり高くなってはおりますけれども、実は昭和五十九年度以降の地方債依存度の平均的な数字でございまして、同時にどこまでが適切かと言われますと、なかなかそれは大変難しいわけでございますが、私どもとしてはやはり一つの節度の範囲内ではないだろうかというように考えているわけでございます。
  55. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 景気対策の問題を含めて国からハッパをかけられて自治体が努力をしておる。  前の島根の知事でありました恒松先生は、「本来、景気対策は国の仕事で、地方にシワ寄せするのはおかしな話。地方債の増額は将来のツケとなる。地方自治体はもっと自主的な財政運営を進めるべきです」、景気対策か健全財政かというようなことで恒松先生はこういうことを語っておるわけです。  そこで、私は、冒頭憲法論議の問題点も少し申し上げましたけれども、大臣地方自治制度について日本国憲法は、御承知のとおり立法、司法、行政という三権の分立をされておるわけですが、それと同時に憲法第八章は、制度的保障としては基本的な政治制度として地方自治体、地方自治を位置づけしておるというふうに私自身は信じておるわけです。ですから、当然論理的にも制度的にも国の政治においてはまず地方自治が制度的に先行するんだ、先行する運営が実は保障されておる、そこで初めて日本の民主主義が確保されるものである。  だから、いわば地方自治は民主主義の根幹であるということをよく言われますけれども、この憲法第八章の制度的な位置づけについて私自身はそのように解しておりますが、大蔵大臣、どういうお考えでしょうか。
  56. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 日本国憲法、私からもう言うまでもありませんけれども、平和主義、民主主義、基本的人権、こういうふうな形と並んで地方自治の制度がうたわれておるということは先生御指摘のとおりでございまして、地方自治の本旨に基づいていろんな内容法律で定めるというふうに確かに書いてある、こう思います。そういった精神、私は一つの大きな精神だろう、こう思いますから、それを具体的にやっているのが地方自治法その他の関係の問題だろう、こう思っておるところであります。  私たちは、先ほど本岡さんからお話もありましたけれども、やはり地方分権というか地方自治の問題というものと、あるいは規制緩和というようなことを行政制度としても考えていかなければならない、私はそういうふうに思っておりますし、また、これから日本の国がどう変わっていくか別にいたしまして、やっぱり憲法に書いてあるところの地方自治の精神というのを忘れないでいろんな形の改革を図っていくというのは、私たちに与えられた、政治家に与えられた役割でもあろうかな、こう思っておるところでございます。
  57. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大体のところ私と余り相違はないようなお考えを持っておられるようです。  実は自治法の一番最初にも載っておりますが、昭和三十八年の三月二十七日の最高裁の制度保障の判例として、「地方団体の実態を無視して憲法で保障された地方自治の機能をここですね、「地方自治の機能を、法律をもって奪うことは許されない。」、こういう判示がされておるわけです。この判決文の中の「地方自治の機能」、この機能というのは、地方自治が機能を果たすためには権限問題もありますが、その裏づけの財政も当然の問題として一緒にあるんだというふうに、素人の考えですが、私自身はそういう考えを持っておるわけです。  そうしますと、いろいろやりましたが、先ほど言いましたように、制度的にはやはり政治制度として国よりも先行して運営が保障されておる、こういうふうに解釈を整理していきますと、先ほども若干申し上げましたけれども、交付税法の附則三条の問題、立法当時の状態とかあるいはその趣旨からして、三条の特例措置による交付税の減額カットというのはどうしても私自身は納得ができない。憲法違反だというふうに私は言いたいわけですが、それは大臣はとても口が裂けても憲法違反とは言えないでしょう。ですから申し上げたいのは、ぜひひとつここだけは聞いてもらいたい。  五千億から始まりまして八千五百億、ことしの場合は四千億円というふうに特例によるカットをやってまいりました。将来的には今度法律をもって返還しますというふうに、こうなっております。しかし、これも非常に長期にわたっておるわけです。返す予定の部分もまた延ばしてくださいというふうに来たわけです。しかし、一般的なところで、非常に俗人的で申しわけありませんが、他人から金を借りて、人様から金を借りて金利を払わぬというのは、やっぱりこれは世の中では通用しないと思うんです。  そうしますと、この特例的な運用のカット部分については国は金利を払ってくれないわけでしょう。元金だけは返済をする計画を持っているが、金利償還がないわけですよ。と私は思いますが、私が間違っておれば訂正しますけれども、私が調べた範囲内では金利償還はない。そうしますと、先ほど言いましたように、この部分はやっぱり返済と同時に、自治体が国から金を借りた場合には一部を除いてはいや応なしに全部金利は取られるわけですから、公経済論、バランス論を言うならば、借りた金については金利を払うというのが、憲法問題いろいろありますけれども、最低これは国として守ってもらわなきゃいけない問題ではないかというふうに私は思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  58. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 今、金を借りて利子を払わないのはおかしいじゃないか、こういうふうなお話がありました。  一般論としては私はそういうことだろうと思いますが、先生、今のお話にありました特例措置の話でございますが、憲法の条文からいたしまして、憲法の条文でそういったことが、金利を払わないのはおかしいとは書いていないと私は思っているんです。憲法に書いてありますのは、地方自治の本旨に基づいてやれ、こう書いてありますし、地方交付税法の附則の三条の問題でございますけれども、これもやはり附則にまさにこう書いてあります。ですから、ここでは「必要な特例措置を講ずること」、こう書いてあるわけでございまして、減額するとかなんとかというのはおかしいという話じゃない。  私たちの普通の法律的な解釈からすれば、「必要な特例措置」というのは、まさに必要な特例措置でありまして、プラスにもマイナスにも働くのをこう書く。それでなかったらわざわざこういったことを「必要な特例措置」などということを書くはずはないわけでございますから、そういったようなのがこの附則の中に書いてある。また、本則で書いていないところにもやっぱりもう一つ意味があるんじゃないかなと思います。  それから、今の金利の話でございますけれども、金利の話につきましては、中長期的に見ましたならば、地方交付税の総額の安定的な確保をするということが必要なことでございまして、国が地方から借りて後で返すという場合もありましょうし、逆に地方が国から借りてやるということもあると私は思うんです。いずれの場合におきましても、後で利子を付さない、こういうことでございますから、お互いの貸し借りの中では確かに一般的な、余り知らない人ならばそれは利子をつけないのはおかしい、こういう話でしょうけれども、利子をつけないでやるというようなお互いの関係だってないことはない。まさに法律でそういうふうに決めているから私はそれでいいんじゃないかな、こういうふうに考えているところであります。  一般論という話と、財政の話でございますから、財政の中では利子をつけない云々ということはあってはならないなどということではないんだろう、こう思っておるところであります。
  59. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そこは大臣とはもうやっぱり基本的に私と違いますね。ですから、先ほど申し上げましたように、公経済論から言った場合では、減額ができるできないというのは、私はわざわざ石原信雄さんの説まで出して申し上げたわけです。  そういう中の問題ですが、確かに自治体が国から面倒を見てもらうときに金利を払わなくていい部分もありますよ。これはしかし国の責任で税収見積もりを誤った場合に、例えば減収補てん債なんかについては自治体は金利を払わなくていいという、そういう一部分もあります。しかし、そういう部分をのけた以外のあとの部分というのは、大概もう借りた分は全部金利は取られるわけです。しかし、もともと国が自治体に金を借りるということはないわけでしょう。余りもともとないですよ。こういう減額措置以外にないわけです、交付税から金を借りるということは。  ですから、そういう部分については、これは確かに憲法上の問題じゃありませんけれども、たとえ国であろうと自治体であろうと、片一方が借りたときには払わなきゃいかぬ。自治体が借りたときには金利を払わなきゃいけない、国が借りたときには払わなくていいというような私は理屈は成り立たない。理屈じゃない、法律で云々と、こう言う。それは三条によって減額ができる、できないという問題だとおっしゃる。しかし、その附則三条の問題については石原さんの私は説を出しておるわけです。それはあくまで最終的に各自治体の借金がずっと減っていった段階ではそういうことだってあり得るんだという、そういう解釈だというふうに立法段階での考え方としては出ておるわけですから、そういうことを私は申し上げておきたいと思います。  時間が間もなく参りますから、それは以上で終わりたいと思います。  最後に、大臣、いろいろ地方財政の厳しい状況を申し上げてまいりました。これは自治省にも大蔵省の方にもお願いしておきたいと思いますが、先ほどから私、公債費率の問題なんかもたくさん申し上げてまいりました。今、全国の都道府県を含めて、人口減が進んでおる自治体数の方が多い。そうしますと、税収もどんどんどんどん落ち込んでいくわけですね。これが続いておる。こういう情勢をひとつ頭に置いてお話し申し上げてみたいと思うんです。  私は、国政の立法府の一員として、少し中長期の立場でぜひひとつお願いを申し上げたいというふうに思うわけですけれども、財政力の弱い自治体ほど過疎が進み、高齢化が進んだ場合、ところがこういう地域ほど日本の国土から見た場合、非常に大切な役割があると思うんです。山野を持ち、段々畑を持つ。そういう点から見れば、今までは自治体と残った高齢者を中心とする地域の皆さんたちが大変な努力で何とか営林をしてきたわけです。私自身山が好きなものですから、ちょいちょい登ります。森林組合の皆さんたちともいろいろお話をするわけですが、もう限界に来たというふうに町村長含めて言い出した。とても経済的には森林なんか採算に合わない。どんどんどんどん円が上がっていきますから、余計にその格差が開いてくるわけです。ですから、もう限界に来たというふうに言い出したわけです。  そうしますと、これをこのまま放置をすれば大変なことになるんだというようなことで、九三年度交付税の中でありますが、森林対策関係の分として千八百億円創設をしてもらいました。私は三千億円ぐらいあるいは五千億円ぐらい最初からお願いをしたいというふうに思っておりましたけれども、初めて千八百億円これは創設をしてもらったわけですが、これでは少しやっぱり足らないんじゃないか。ですから、私は今思い切って国の政策の大きな柱として、国有林を含めて、国有林も特別会計ですからいろいろありますが、そういうのは抜きにして、国費を投じてでも、国土を守るという立場から早く手をつけなければ大変な惨事を引き起こすんじゃないか。  私の思い過ごしであればいいわけですけれども、私もみたいに幾らか山を知っておる人間は、今山に行って、山に木が立てばいいということじゃないんです。木を間伐をして根がどう張っていくかというふうにしなければ、雨に対しても風に対しても山肌を守るということはできないわけです。もう植えたままの木が倒れてしまう、根が張り切らずに少し大きい雨が降ればもう一目散に木材ぐるみ、立木ぐるみ崩壊するんじゃないか。こういう危険な状況が国有林を含めて各所にあるわけですから、ぜひひとつこれは国の政策の大きな柱として、中長期の展望に立って私は投資的経費でも打ち込んででもやっていただきたい。  ですから、千八百億をつけてもらいましたけれども、交付税の中でなくて、新たな財源として、これ各省庁一緒になっていただいて結構ですけれども、大蔵が中心になっていただいて、ぜひひとつ最後にお願いを申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。  最後に、大臣の御見解を伺いたい。
  60. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 渡辺委員はたしか日田の御出身だったと思っておりますが、一昨年でしたか、大変な風倒木のようなことがありました。私もお向かいの方でありまして、大変な窮状だということもよく知っておりますし、私たちのところでもそうでありますけれども、やっぱり山間部では大変過疎が進んできておる。山林の手当てをすることがなかなかできない。今御指摘のように、一遍さっと雨が降ってくるともう大変な被害になるという可能性が非常にあるんだろう、こう思います。  そういったことを含めまして、過疎地帯に対しましてはいろんなことをやっていかなければならない、こう思います。それはやはり今までの基本的な考え方からすれば、治山治水事業という公共事業でやってきておったところでありますから、そういった国土保全の観点からのいろんな施策というのが十分今までも配慮してきたところでありますし、これからもまた配慮していかなければならないと思いますし、また、御指摘のように、毎年の地方財政計画を講ずるに当たりましても、国の公共事業を実施するための地方負担も含めまして、地方財政計画の策定を通じまして、円滑な財政運営ができるようにこれからも努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  61. 野末陳平

    委員長野末陳平君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ――――◇―――――    午後一時開会
  62. 野末陳平

    委員長野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案及び平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案の両案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  63. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、一番最初に大臣にぜひ御記憶をいただいておきたいと思うことがございます。  それは、言葉を選んでしゃべってまいりますと、所信表明が行われて、林大臣のこれからの財政政策に関するお考えを本当は先に聞かにゃいかぬのですが、それが、大臣からお話は聞きましたけれども、質疑のないまま、きょうこれが本番の委員会みたいになっているんです。そういう意味では、せっかくの質問時間を持てない私どもとしては林大臣に大変申しわけないという気持ちもあるんです。  同時に、裏を返せば、そういうことの時間のとれないような運営をなさっているような場面というのもあるわけですね。これは自民党さんに聞いてもらいたい話なんです。野末委員長、どうしても日切れたからといって理事懇を開いて、こういう運びになりましたので、野末委員長に、大臣からどうもありがとうという気持ちもあらわしていただきたいと思うんです。これは私の気持ちです。  さて、質問に入りますが、午前中の質問に関連する部分もございますが、まず第一に私が聞きたいのは、感想で結構ですから、予算編成期とか箇所づけとか、そういう時期になりますと全国からわいわいわいわいおいでになりますね。その行動そのものに私は原則的には否定的には考えません、それは地方政治行動ですから。けれども、あの時期にあれだけおいでになるということは、地方財政でも大変な経費です。また、経費もさることながら、あれだけおいでになるということは、この補助金という問題についての抜本的な改革がないと、従来のような形式をずうっとたどっていけば、陳情、そして午前の話じゃないけれども族議員の発生とかというようなことにつながっていって、大変私は不祥事が出る温床みたいなところになっているんじゃないかと思うんです。  したがいまして、ああいう陳情がおいでになるということと、これからの補助金のつまり枠組み、午前の話によれば分権という話もあった。権限をもう少し地方に緩めろというような話もあった。そういうことなどなどとも関連いたしまして、あの陳情という問題についてどういう御感想をお持ちか、まず聞かせてください。
  64. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 年末や、また箇所づけの際の陳情の話を申し上げます前に、最初にお話ありました、私もうっかりしておりまして、委員会で所信表明を申し上げましたが御質問がない。その話は一般質問か何かでぜひやっていただいた方が、やはり議員でございますし、政治家としていろんなお話を申し上げるような機会をぜひ私もつくっていただきたいな、こう思っておるところであります。  ただ、一つには、日切れ法案でございますので、恐らく委員長のお計らいでこれに間に合わさなくちゃならない、こういうことでもございましょうから、一遍そういった機会は私も持っていただいた方がいいんじゃないかな、こう思っていることを申し上げておきたいと思います。  それから、毎年陳情がありますということでございますが、確かに国にいろんな権限が集中しております。国の補助金であるとか、いろんな金の配分をめぐりまして陳情がある。それは地方にとりましては大変なことだと私は思いますし、余りああいった形で仰々しくやるというのはいかがなものかと私も思っておりますが、現実にはやはり金をもらわなくちゃと、こういうような形で来られちゃうもんですから、ああいったことになっておりますが、別に陳情があったからそこへつけるとかどうだというような話はない。国のお金でございますし、税金でありますから、適正に執行していかなければ、公正にやっていかなければならない、私はそう思っておるところでございます。  陳情があったから余計つけるとか、ないからつけないとか、そんな話ではあってはならないものだろう、こう思っております。一般のムードというか風潮でございますから、やはり直すような努力は私たちも考えていかなければならない。政治というものは資源の権力的配分と申しますけれども、やはりそこは公正に行われるということが望ましいあり方だろう、こう思っておるところでございます。
  65. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一つは、私は、林大臣恐らくむずがゆいと思っていると思うんです。今回のこの補助金の法案を審議するに当たって、大蔵大臣林さんが非常にむずがゆい気持ちじゃないかということを私は先に結論から申し上げておきます。  なぜならば、今回のこの一括法案というのは、公共事業などの補助率の暫定措置の恒久化という問題が一つあります。それから、午前のお話じゃないけれども、小中学校職員の退職年金等の国庫負担の一般財源化という問題があります。それから、公的保険の事務取扱費の一般化。どっちかといえば非常に恒久的なことをこれから考えていこうということでしょう。  しかし、考えてみると、この三つの問題はそれぞれの歴史的な審議の経過、背景というのがあるわけです。ところが、今度それを一本にまとめてここで何か審議しようというやり方でしょう。例えば補助金の見直しという言葉を使うのであれば、これは言いかえれば行政の見直し、行政領域の見直しといってもいいかもしれません。補助金の見直しというのは私はそういうふうに受け取るんですよ。  ということだとすると、関係のこの法案は関係省庁の大臣のところですべて議論されてきたわけでしょう。だから、何で性質の違うものを一発で補助金だからといってまとめて林大蔵大臣が文部省の大臣のことまで語らにゃならぬ、ほかの自治大臣のことまで責任を負わにゃならぬか。そういう意味ではあなた自身はむずがゆいんじゃないですかと私は言うんです。本来であれば、関係大臣が出てきてそれぞれ関係委員会でやるべきなんです。だからこういう法案の出し方というのはおかしいよというのが言いたい一つです。  もう一つは、そういういきさつがあって審議してきたものを一括でやるということは、国会の審議権というものを軽視しているんじゃないか。もっともっといろんな角度から議論したいと思っているものを、短時間でここで議論するというのはどうも問題がありはせぬかなと私は思うんですが、これに対する見解を聞かしてください。
  66. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 各省でそれぞれ出しています補助金等につきまして、それはやっぱり各省大臣の話ではないかという御議論。それだから各委員会でやったり、また各省大臣ここへ来てやったらと、それを私が引き受けてと、こういうふうなお話でございますが、実は補助金とか負担金というのは、一つには財政上の措置、こういうふうな形でもくくられるわけでございまして、実態的な効果というのは各省にまたがるかもしれませんけれども、補助金、負担金ということだけでとらまえますならば、それは財政上の措置という形でくくられるんだろう、こう思います。そういった意味一つのことにまとめていこう、こういうことでありますから、立法の趣旨としては私は一つ法律にまとめてもいいではないか。  そうすると、どこでやるかということになりますと、財政上の措置でありますから、当大蔵委員会でやっていくことが適当なことではないかな、こういう形で一体をなしている、こういうことで御提案を申し上げたものでございます。
  67. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 税の問題とか補助金の問題に関係するものはこの委員会でまとめてやった方が効率的であるし、そういう意味で一括法案に出したという御説明でしょう。  ところが、同じ性格のものであってもこの一括法案に組み入れられていないものがございますね。例えば道路整備緊急措置法、これは補助率を改善するんでしょう。それから国民健康保険法の一部改正、こういうものはここでは何の一括もなさらないで各省庁の委員会で議論するようになっていますでしょう。だから、今大臣のおっしゃっている趣旨と対応というのが一貫性がないんじゃないですか。まとめてやろうというのならまとめてやればいいんであって、そういうときに各法は別の省庁のほかの委員会でやる。これは一貫性ないんじゃないですか。いかがですか。
  68. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘国民健康保険法、道路整備緊急措置法、これは別に今国会に出さしていただいておりますが、その事情は、国民健康保険法につきましては、国保財政安定化と保険料負担の平準化のため当面緊急に必要な一連の措置といったもの、国庫負担だけでなくて今言ったような措置についても法律に盛り込まれているということで、これは今お願い申し上げていますこの補助金等整理合理化法案といういわば横断的な面で一括をさしていただいているという事情からしますと異なる事情にあるために、むしろ国民健康保険法ということで、そちらの個別の体系で御議論いただく方が適当であろうということで別途出さしていただいているわけでございます。  それから、道路整備緊急措置法は、確かに公共事業の補助率が入っておるわけでございまして、今お願い申し上げております法律と極めて密接な関係がございます。確かに補助率に関しましては直轄三分の二、補助二分の一を基本とするという横断的な基準をそのまま適用して道路に関する補助負担率についても決めさしていただきたいという御提案を申し上げておりますが、道路に関しましては、これ以外に道路整備五カ年計画がたまたま改定年度に当たっておるという事情がございまして、それらはやはりこの一括法にはなじまない内容でございますので、道路に関することを補助率とそれ以外、プロパーの問題とを別々にするというのもあるのかもしれませんが、私どもとしてはそれは道路整備法の世界で一覧性を持って御審議いただいた方がよろしいであろう、こういう判断から道路整備緊急措置法も別個に国会に提案さしていただいている、そういうことでございます。
  69. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 大臣、私は事務屋さんの話の方は話で聞きますけれども、ああ言えばこう言うたぐいの答弁なんです。  だから、閣議で分けるときに、やっぱり公正、適切、円滑に、みんな相互関連を持つんですから、年金の問題にしても事務経費の問題についても。ただそれは補助率だからといってここでやればなじむんだなんというのは事務屋が言うことなんであって、だからそういう意味では法案の提出の問題と審議という問題については、過去の経過を精査されながら十分なる審議ができるような法案の出し方をぜひこれからは考えていっていただきたいということだけ申し上げておきたいと思うんです。  そこで、もう一つの問題は、午前も議論がございましたが、補助金という問題で分けますと、直轄事業補助事業、それから地方で単独でやるのがありますね。つまり直轄事業というのは国がやるわけです。直轄事業は国がやるということは、各県の所得の差があるから、国が公共的に社会的に見て責任を持ってどの県に下水道をどうしたらいいかとか、橋をどうしたり河川をどうしたらいいかということでやるわけでしょう。だから、本来は直轄事業というのは国が全部負担すべきなんです。三分の一とか三分の一とかなんか言わないで、直轄事業というのは国が全部負担すべきなんですよ。  そうすると、恩恵を受けたところと受けないところと差があるじゃないかという議論があるんだけれども、それは時系列の問題でしょう、いずれは全部に行くんですから。だから、恐らく私は自治大臣でもう少し力のある人がおったら大蔵省にかみつくと思うね。直轄事業というのは全部おまえのところが持つべきだというぐらいのことを言う大臣があらわれるんじゃないかと思うんですよ。  けれども、そういう論旨からいうと、私は直轄事業補助事業と県でやるもの、つまりこれの量の問題、権限移譲とか、これは分権でそっちにやらせようというようなことを真剣に議論していかないと、私はどうも、後から申し上げますけれども、三塚さんが今えらい勢い込んでやっているあの話の問題も、結局は補助事業というものがくっついているときに、金丸さんの事件というのは何のために起きてきているかというとやっぱり全部中央で縛っちゃうからですよね。  だから、直轄事業というのは基本的に大蔵省が全部持つ、国が持つものだと決めておいて、そうでないものは全部地方に権限を移譲してやるというような構造的な問題のことを考えないと、補助率の率の問題がどうだこうだというみみっちい話じゃ、私は問題は解決しないんじゃないかと思うんです。  こういう私の考えに対して、御見解いかがですか。
  70. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 公共事業も含めまして国ないし地方公共団体が行うべき事務事業、それをどういうふうに分担するかというのがまず基本にあるというのは御指摘のとおりでございまして、それについて大きな流れは、国から地方へということであろうかと思います。  先ほども申し上げましたように、公共事業の世界でも採択基準をだんだん引き上げてまいりまして、地方に責任を持っていただく事業をふやしていくということ、それから権限もあわせてそういう意味では地方の方に移っていくわけでございますが、一般財源化というような形で補助金を地方の方に移していく、そういったこともやってきているわけでございまして、そういった国と地方の基本的な事務事業の分担を前提にいたしまして、じゃ財源的にどうするのかということでございまして、それが今お願い申し上げています直轄負担率なり補助率をどうするのかということだと思っております。  そういう認識のもとに今お願いを申し上げているということでございます。     ―――――――――――――
  71. 野末陳平

    委員長野末陳平君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、渡辺四郎君が委員辞任され、その補欠として山田健一君が選任されました。     ―――――――――――――
  72. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 次長が答えるのであればそういう答えしかできないんですよ、主計局次長ですもの。私が今大臣に申し上げていることは、そういう次元の話じゃないんです。  午前中に本岡さんからも指摘があったと思うんですが、第三次の行革審、私と同じ鈴木さんが今苦労してやっていますが、そのところで、いわゆる私が言うた直轄事業補助事業と各県でやるような事業の領域をどういうふうにするのかというようなことを議論してもらわなきゃいかぬと思うんです。そういうことを積極的に閣僚の一員として申し述べてもらいたい。それでないと、単なる技術論だけやったんでは私は問題解決にならぬじゃないかという意味で申し上げておるんです。  今次長の答弁を何も不満とするわけじゃないんですが、そういう気持ちでございますので、御見解いかがですか。
  73. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 補助金を出し、また直轄事業で仕事をやる、こういうふうな話でありますが、私は、いずれにいたしましても、大変大切な仕事だから国の補助金がついたり直轄事業でやっているんだと思うんです。  そこで、補助事業と申しますのは、やはり府県を中心にして、地方公共団体を中心にいたしましてやっている事業である。そのときに補助金を国の方でどのくらい出すか、こういうふうな話でありまして、どちらかというと、地方公共団体が中心に考えているような事業というものは本来は地方公共団体が全部負担したらよろしいだろう。しかしそうも言われないから、補助金として半分出しましょう、折半で出しましょうと、こういうことだろうと思うんです。  逆に言いますと、直轄事業というのは本来国が全部やるんですから、お話しのように全部国が持って私はしかるべきであろう。しかしながら、同時に、その仕事をやれば、例えば大河川の改修をやれば、その地域の人々にとっては大変に裨益するところが大きいことにもなるわけです。そうすると、やはりそれだけの受益がありますから、その受益の負担をどうするか、こういうふうな形になって、そこで三分の二というような大ざっぱなラインが出てきて、これをひとつ公共的なものとして、基本的なものとして考えてやったらどうだろうかということでございます。  あといろんな形のもので整理をして、それで全部線を引いて、これからびた一文まけられないぞということになっちゃったらまた非常にぎすぎすいたしますから、それを動かすたびにいろんな特例的な措置を講じたりなんかして順次やっていきましょう、こういうことでございまして、そこはやはりある程度まで整理をしていかないと、いつもがたがたやって、これはどうだこうだと細かなことで議論しますと、それだけでもさっき先生がおっしゃったような東京に出てきて何だかんだ一々陳情しなくちゃならない、こういうことにもなるわけでありますから、大ざっぱなラインをさっと引いて、その上で動かしていってみたらどうだろうか。金の話でございますから、一銭一文という話じゃないんだろうと思うんです。大ざっぱなラインを引きまして、その上でこうやっていくということが私は必要なことじゃないだろうかなと思っています。  もう一つ申し上げますならば、直轄事業でやるというような仕事、確かにこれは絶対に必要な話だろう、こういうことであります。けさほどもありましたけれども、地方で治山治水をやるというような話、なかなかこれはできませんから、国でやろうというような話が私はあるだろうと思うのです。ありますが、そういったところのその地域の裨益ということを考えるとどうかな、本当にやるのは一体どういうことだろうかということは考えていかなければならない問題ではないかと思いますし、また行革審なんかでも恐らくそういった点を中心にいたしまして御議論がされているものだというふうに聞いておるところでございます。
  74. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 余り時間がないのでこればかりやっているわけにいかないんですが、大臣の答弁を聞いていると、結局私の言っているのと同じようなことを言ったと聞いておったら、しりがまたばたっと違うんです。直轄事業というのは本来国がすべて持つべきであるという考えは同じだとあなた今おっしゃったんです。しかし、そのところで利益を受けるところもあるから、そのところは応分の負担をやってくれたっていいじゃないかということで三分の二という問題が出たんですよとおっしゃっているわけです。そうでしょう。  私が言っているのは、直轄事業というのは本来、前段の方の国が全部見るべきじゃないんですかと。それから後段の方の利益を受けるというところは、多少時系列的に時間的に間は違うかもしらぬけれども、四十八都道府県同じようなことがずっと循環していくわけでしょう。例えば河川一つとっても、同じような一級河川のところがあったとします。どこを先にやるかということで、一回やったところをもう一回やりますということはないでしょう。一回やったらその次は次の県だというようになっていくんじゃないですか。  だから、基本的にはやっぱり国が直轄事業というのはすべて見るという原則に立った上で、それを当てはめるとき多少問題があるなら手直しというならわかりますけれども、そういうことの考えで今やっている行革審などに物を言っていくべきじゃないのかということを申し上げているんです。三分の一であるか三分の二がどっちが正しいかというようなことを今議論するつもりは私はないんです、基本的に。そこのところは事務屋さんの話じゃなくて、大臣の頭のどこかに入れておいてもらって、そういうことをまたしかるべきところで話をしてくださいということをお願い申し上げているんです。  さて、今度は事務屋さんの方にお尋ねしますけれども、法的補助と予算補助というのがありますね。法的補助の方は八二%ぐらいでしょう。それから予算補助というのが約一七%だ。それで、予算補助というのは、早い話がこれはつかみ金だ。法的補助の方は法律で決まっているんです。これを、一七%というものを、不透明になっていかぬので、法律補助の方に入れることはできないのか。  それからもう一つ予算補助の対象というものを全部補助金の便覧で見てみたんです。そうしたら、特殊法人から社団法人からたくさんあるんです。こういうものはいずれ整理統合するというふうな考え方はありますか、ありませんか。
  75. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘のとおり、補助金全体を分類した場合に、法律に基づいて補助している法律補助約八割、それ以外の予算補助二割ということになっているのは御指摘のとおりでございます。  予算補助を法律補助にできないかということでございますが、それは歴史的にそういうふうになっていった補助金もあろうかと思いますけれども、やはり予算補助として残っておりますのは、どちらかというと奨励的な補助金。ある制度があって、それに基づいてかくかくしかじかの場合は幾ら国が補助することができるとか補助しなければならないというものではなくて、技術開発でありますとか、何といいますか、国と地方のバランスをとるような、国と地方といいますか地方の格差是正といいますか、いろんなケースがございますが、そういった場合にモデル的ないしは奨励的に財政資金を補助いたしましてインセンティブを与える、こういった行政手法がありまして、これは予算補助で行われる場合がある。  したがって、そういうものは恒久的というんじゃなくて、そのときそのときに応じまして、やはり時限的な考え方を持って行っていくというのが一般的、基本的な考え方だと思うのでございます。したがって、全部が全部法律補助ということではない。やっぱり性格に応じまして法律予算ということにならざるを得ない、そういうふうに思います。  私どもは、法律補助も含めまして、補助金全部が既得権化するようなことのないように、使命が終わったものはきちんと整理をする、または削減をするという補助金の整理合理化ということをずっとやってきております。その場合に、予算補助も当然厳しく見直しをしておるということでございますので、中身の入れかえもあるわけでございますし、量的にも削減に努力してきているということでございます。  それで、後段の予算補助の削減のことを御質問ございましたんですが、今申し上げたようなことでもございますので、絶えずその必要性があるかどうか、十分な効果を果たしているかどうかということをチェックしながら、全体としては縮減をしていくという方向に今後とも持っていきたいというふうに考えております。
  76. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今お話しのように、法律補助というのは歴史的な経過から見ると約八割で、予算補助の方が二割でしょう。それが現実の数字を見ると、平成五年では法律補助が八四・四%、それから予算補助は一五・六%ですよ。昭和五十七年度あたりは八二%の一七%だったんです。だから、そういう意味ではずっとこの予算補助の枠組みのところが数字が少なくなってきているから、それだけ努力しているということはこれは認めるんです。  ところが、法律補助の中を見てみると、負担するというのと、もう一つ負担できるというのと、こう二つ分かれているでしょう。負担するというのと、できるというのとこの予算補助は時々関連してくるんですよ。だから私は、論理としては予算補助というのは逐次法律補助の方に切りかえた方がいいんじゃないのか、それから、切りかえるに当たっては、予算補助の方の便覧を見てもここでやる必要もないんじゃないかというのもあるんですよ。だから、そういう意味を含めると、これから整理統合の努力はしてもらえるかということを聞いているんで、中身の問題よりも姿勢の問題を聞かしてください。
  77. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) まず、予算補助の方は、先ほども申し上げましたとおり、これは今後とも削減に努力していきたい、こういうことでございます。  それから、法律補助と言っても負担すると負担できるという二種類があって、できる方は予算補助と近いんではないかという御趣旨がと思いますけれども、そういう意味予算補助を法律補助の方に持っていった方がよろしいという御判断のようでございますが、これは必ずしもそれが何といいますか、私どもあるべき姿だとは思っておりません。  やはり補助金というのは、性格に応じましてきちんとした制度があって、社会保障の世界はそれが多いわけでございますが、そういったものと、そうじゃなくて、技術開発とさっき申し上げましたような、あるときは必要だけれども必ずしもそれは何年も続くものではないというものがございますので、そういったものを法律でやらなきゃならないのか、そうじゃなくて、それは必要に応じて予算補助というものもやっぱり存在は認めていくべきであると考えておりますので、削減の努力はいたしますけれども、予算から法律へというものを今後とも追求していけという御趣旨であれば、それは私どもはむしろそうじゃない考えでやっておりますということでございます。
  78. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 また時間をとって議論させていただきます。  もう一つの法案がかかっていますから、一般会計承継債務の方に移らせてもらいたいと思うんです。  俗称いわゆる隠れ国債というのがありますね。これは赤字国債と同じじゃないかというように私は理解しているんです。大蔵省は、赤字国債を出すことはもう懲り懲りだ、平成年度にようやく脱却したんだからもう赤字国債を出すのは嫌だという主張をずっと貫いているんです。だけれども、この隠れ国債というのを見ると、赤字国債と同じじゃないですか。償還期間何もないじゃないですか。これは金がないから払うべきところを払わないでどんどん繰り延べしていくだけのことでしょう。だから、そういう意味では赤字国債と私は同じじゃないかというふうに考えているんです。  別の表現で言えば、赤字国債から脱却した、赤字国債は出さないという大蔵省は、平成年度から赤字国債を出したようになったと言われたっておかしくないんじゃないですか。隠れ国債、そのときからどんどんおくらせているんですから。赤字国債にしろこれにしたって、出すものを出さなきゃならぬのだけれども、お金がないからこういう措置をとっているだけのことでしょう。方法論として違うのであって、性格は同じじゃないですか。  建設国債は担保してあるから話は違うんだと言うんだけれども、その点の解釈、見解について聞かせてください。
  79. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今お願い申し上げております承継債務の繰り延べというような措置を講じた場合と講じない場合で比較して、講じなければそれは特例公債の発行になったではないか、なったはずであるという、そういう前提で、機能として実質的に同じではないかという御議論であれば、そういう見方も、考え方もあるのかもしれませんが、私どもが肝心だと思っていますのは、いかに財政支出の財源を確保するか、調達するかということだというふうに考えておりまして、そういう意味から申しますと、特例公債とお願い申し上げていますような承継債務の繰り延べといったものは、それを含めまして今御指摘の隠れ公債というような御表現がありましたけれども、それとは違っているんだと。  先生も既におっしゃったわけでございますけれども、特例公債の場合は、これは言ってみると経常部門の収支がいませんと、合わなかったものはもうこれは金額にかかわらず特例公債ということでございますので、そういう意味の歯どめがないわけでございます。収支じりイコール経常赤字イコール特例公債ということで歯どめがないということでございます。  それに対しまして、いわゆる将来措置を要する事項ということで、隠れ公債云々と言われているたぐいのものは、これはそれぞれの経費の性格それから制度からの制約を受けておりますし、そういうことで工面するお金の限度についても制限がある。例えば平成年度償還すべき元本、その金額という意味で歯どめがあるということで、性格、金額両面から歯どめがあるというふうに考えております。  それから、これは資金の調達関係から申しましても、国の中で一般会計特別会計との間のやりとりの調整という意味で、特例公債のように国と市中との資金のやりとりということではないといったような違いもございまして、いずれにしても、財政節度の面からいいまして特例公債とは違った歯どめがあるというところが特に重要である。重要ということを強調するのはいかがかと思いますけれども、そこがポイントであるというふうに考えておりまして、財源調達の方法がまさに大事であるというふうに考えておるわけでございます。
  80. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 理解できません。  まず一つは、赤字国債にしろ建設国債にしろ、六十年償還ということはあるわけでしょう。ありますね。
  81. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) はい。
  82. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 ただ、赤字国債の場合には、六十年償還ということはあるんだけれども、なかなか財源調達するのに難しいというような問題もありますわ。片一方、建設国債は物があるからという、そういう違いというのは認めます。それからもう一つは、国債ということであれば、市場性がある。だから私はこの繰り延べの問題はいわゆる隠れ国債と、こう言っているんですよ。市場性があるかないかという点が違うことは確かにあります。  けれども、今次長の話では、元本があるから、元本のあることを、返さなきゃならぬのだから担保されているとあなたは言うんです。それはちょっと理屈に合わぬのじゃないですか。元本があるからとかないからは関係ないですよ。問題は、償還計画がどういうふうに組まれているのかということが担保されているか担保されていないかの最大の問題じゃないですか。このいわゆる隠れ国債というのは、その償還の担保がないじゃないか。だから私は同じような性格じゃないのかと言っているんですよ。  これ償還計画はきちっとしていますか、どうですか。
  83. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 先ほど元本のことを申し上げました。これは金額の歯どめがあるという意味で、赤字公債との違いを申し上げた際に、歯どめとしてあるということを申し上げたわけでございます。  それから、償還の担保という点でございますけれども、それぞれ承継債務によって違います。それから、将来措置を講ずべきものということでお出ししているいわゆる隠れ公債的なものにつきましても、区々でございますけれども、法律をもって何年度までに幾ら幾らずつ返済をいたしますということを書いたものとそうでないものと二種類ございます。しかしながら、いずれもそれぞれの経費の特性に応じましてきちんと将来措置をしなければならないという意味では法律的にコミットをさせていただいているということでございまして、償還について担保がないという御指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。
  84. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 あなた、十二月八日にうちの党の前畑さんから質問を受けて何と答えた。私は会議録をここに持っているけれども、いわゆる隠れ国債は残額幾らございますかと質問したんです。そしてあなたの答えは、三十六兆円です、そのうち国鉄の清算事業団の方の二十六兆を引くと約十兆ぐらいじゃないでしょうかと答えているわけです。十兆というのは何をもって十兆と言うんですか。  それからもう一つ。その十兆のときに、あなたのところが最近予算委員会へ提出した「今後処理を要する措置」というのがありますね、別表で。その中には、法律事項で返すというのではっきりしているのは、国民年金特別会計への国庫負担金の繰入れの平準化八千二十三億円、それから地方財政対策の改革による交付税借入、それから地方財政対策に伴う後年度負担日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団から承継した債務償還延期、これはきちっと法律化している。  その次、「その他」というところはどういうことでありますか。政管健保の国庫補助の繰入れ特例五千九百三十九億、それから政管健保の棚上げ債務一兆四千七百九十二億。そして3として、日本国有鉄道清算事業団長期債務二十六兆円。そして「参考」と書いてあるのは、厚生年金国庫負担金の繰入れ特例、二番目に国債費の定率繰入れ停止、三番目に地方交付税年度間調整としての特例措置に係る後年度要精算額一兆五千七百二十二億。  これはあなた方が提出した書類ですよ。この表を見たときに、あなたが答えた十兆円というのはどれとどれとどれを言うんですか。
  85. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今御指摘の「今後処理を要する措置」ということで国会にお出ししている資料、先生のおっしゃったとおりなのでございますが、これはそのときも申し上げていますように、いわゆる隠れ公債と言われるようなものは、別にこれは全部法律をもって国会の御承認をいただいて進めておるという意味でなく、隠れという言葉がいいかどうかというのは、ふさわしくないとは思いますが、通常そういうふうに言われておりますものは、内容は区々でございまして、それで、私どもは今後処理を要するという意味でまとめてみますとこういうことでございますという資料をお示ししているわけでございます。  そういう中で、三つのグループがございまして、端的に申し上げますと全体で約三十七兆円、そのうち国鉄清算事業団の長期債務二十六兆円を除きますとそれ以外が約十一兆円ということになっておりますというのは、まさにこの表に基づきまして数字が入っているものを足し上げたら約十一兆円になるという、単純に足し上げるとそういうことでございますということを申し上げたわけでございまして、それ以上の意味のあることを申し上げたわけではございません。
  86. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 答弁全然私納得がいかぬですよ。議事録であなた大体のことなんか言ってないんです。「ですから清算事業団の長期債務を別にいたしますと十兆円ぐらい」と、こう言っているんです。十兆円ということを言ったことは間違いないんですよ。  そこで、「今後処理を要する措置」というこの表で、「後年度の処理方法が法律で定められている措置」というのがありましょう。ここはこれでわかるというんです。その次、「その他」というのがあります。「その他」とそれから「参考」、これはどういうふうな理由で区別されているのか。  もっとはっきり聞くと、例えばここの「法律で定められている措置」(3)「地方財政対策に伴う後年度負担」とありますね。これは二兆五千五百七十三億でしょう。それで、今度「参考」と書いてある方の「地方交付税年度間調整としての特例措置に係る後年度要精算額」一兆五千七百二十二億。何でこれ分けなきゃいかぬのかということです。これ何で分けているの。
  87. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) まず、最後にお尋ねの、上の方の「後年度の処理方法が法律で定められている措置」というところに出てまいります「地方財政対策に伴う後年度負担」二兆五千五百七十三億円、これはまさに地方交付税関係法令におきまして、平成年度から何年度までは各年度幾ら幾らということで書かれているものでございまして、これはいわゆる法定加算等の金額がここに入っておるわけでございます。  それに対しまして、下の方の「参考」欄にございます「地方交付税年度間調整」というところで一兆五千七百二十二億円というのがございますが、これはいわゆる本来法律で決まっていた償還を変えるということではなくて、まさに交付税年度間調整を図っておるという、繰り延べとは違うという意味で、ちょっと役所的で厳密過ぎるかもしれませんけれども、そういう意味で性格は繰り延べではない、年度間調整で将来はこれは交付税の方に返さなきゃならぬものであるけれども、繰り延べとは違うという意味でこういうふうに分類して掲げてあるというものでございます。  それから、最初の方にございました「その他」のところで、政管健保というのが二つございますが、これはまさに2として、1とは別にしてある趣旨は、これは法律で何年度に幾ら返すということが決められていないから第二グループで書いてあるということでございます。
  88. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 しつこいようですが、地方税のところだけとって言いますと、地方交付税の附則四条、それで、平成年度から十三年度までの地方交付税の加算額というのが出ているわけです。平成年度は三千九百四十五億でしょう。ずっと約四千億から五千億積み上がってきて、そして十三年度には五千九百二十六億、合わせて四兆一千二百九十五億でしょう。その中で、こっちの法律で定めているというのは二兆五千五百七十三億円。それで片方の「参考」で書いてある方は一兆五千七百二十二億。これで数字が合うわけですよ、四兆円。  したがって、こっちの法律で書いてあるものは返すことははっきりしてます、こっちは年度間調整だからいつ返すかわからぬということでこっちの枠に入れているんじゃないですか。これは地方から見たら、返ってくるか返ってこないかわからぬという不安感を持つのは当然じゃないですか。だから、私は償還計画がないというように規定づけているんですよ。償還期限がないというものは、赤字国債と隠れ国債だって性格が同じじゃないのかということを認めなさいということを言っているんだよ。
  89. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今先生御指摘地方交付税法の附則第四条で掲げられています金額は、この二兆五千と一兆五千、両方足したものでございます。こちらで分けてありますのは、これは性格が繰り延べじゃなくて、上の方の二兆五千というのは実は繰り延べなんでございます。ことし払わなきゃならぬものをおくらせていただいている。繰り延べです。ところが、下の一兆五千につきましては、繰り延べではなくて年度間調整ということで、性格が違うという、それだけのことで分けてあるわけでございまして、いずれにしても、両方合わせまして全体で四兆一千二百九十五億円でございますけれども、これはまさに地方交付税法の附則に書いてありますように、平成年度から平成十三年度まで幾ら幾らお払いしますということが書かれているという意味で、償還期間もこれに関してははっきりしているわけでございます。  「今後処理を要する措置」の方の2のグループの政管健保が二本ございますが、これはこういうふうにはなっておらぬ、償還期限が法律上明示されておらないということでございます。
  90. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 二番目の政管健保のところは、償還期間が明確でないというからこれ第二の分類に入れてあるわけですな。  だから、今私が延べたことは、最初地方税の方は、四兆一千億はこれ足したものだから、それはそれで理解できるんです。けれども、返すとはっきりしているのであれば、何も「参考」なんかには書かないで、きちっとこれ入れておいたっておかしくないんですよ、これは手続上。こういうふうに書くから、これは返さないんじゃないかとか不安定だとかいう不安要素を与えるんであって、誤解を生ずる。  それから、政管健保の方は償還計画がまだないんですよ、上の二番目の方は。これはまさに赤字国債と同じなんだよ。だから、国は赤字国債を出さないと言っていながら、自分の御都合でこういうふうに送り送りすることはよろしくないんじゃないのか。だから、償還計画というものをきちっとすべてについてつくるべきであるということを最後にこの点では主張しておきますから、頭に入れておいてください。  それじゃ、その次に大臣にお尋ねしますけれども、今、自民党さんが三塚さんを頂点にして、経済対策というのか新しい宮澤さんの生活大国の実践というのかわかりませんけれども、新社会資本整備事業というのをばんばん打ち上げていますね。これは御存じでしょう。そのときに一番私が気になることは、この新社会資本整備事業というものについて建設国債、赤字国債とは違った何か短期の国債を財源とするというようなことが新聞でも書かれているし、そういう報道をされているんですが、それは事実でございますか。
  91. 林義郎

    国務大臣林義郎君) いわゆる新社会資本整備というようなことでいろいろな話が新聞で出ておるということは、私も新聞読んでおりますから知っておりますが、この中はどういうものを指すのかというのは説明を受けたこともありませんし、極めて漠然としたものだと私の方では受け取っておるところでございます。  私たちの方では、現在でも文教施設であるとか社会福祉関係の施設であるとか、そういった施設につきましては、現状におきましても建設公債の発行対象経費ということで考えているところでございます。  ただ、新しいものをいろいろ言われましても、建設国債には建設国債としてのおのずからなるルールはあるのが当然のことでございまして、もしもそれ以外のことを、今までの考え方を変えて新しい国債を発行するということになりますと、それは財政法の規定を変えるという形になる、あるいは財政法を曲げて運用する、こういうことになるわけでございまして、今まで我々が建設公債原則をとってきたその原則を放棄するということになるということでありますから、それは我々の方としてはできない話ではないか。それこそ、先生先ほどからいろいろお話ししておられますけれども、赤字国債とか何とかありますが、まさにそういったことになると私は非常に問題があるんではないかな、こういうふうに考えておるところでございます。
  92. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 短期国債になるのかどういう国債になるのかは別にいたしまして、新社会資本整備というような事業というものをやろうということは、経済対策というか、冷え切った景気を浮揚させるというような意味合いの資本整備事業なのか、不況と特別関係なくて恒常的に、宮澤さんの言う生活大国というんですか、その路線を走っている一つの政策というように見るべきなのか、どっちに見るべきなのですか、これは。
  93. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 私が先ほど申しましたのは、現在予算案を参議院で御審議をいただいている途中でございまして、私どもは現在出しておりますところの予算案が一番いいことである、こういう形で景気対策でやる、こういうことでお願いをしているところでございまして、償還期限の短い建設国債とかいろいろなことが言われておりますが、それはまさに新聞で承知しているだけの話でありまして、私どもの方といたしましてはそういったことは今のところ考えていないと申し上げるよりほかに方法がないわけでございます。  ただ、いろんな話はあるのでございましょうが、私は公共事業費というものは今までの事業で十分やってきておりまして、そういった形でやっていったならばいいんではないかな。今まででも、公共事業費は長い目で見ましていろんなところから変わってきておるわけでありますし、中期、長期的に言いましたならば相当に社会経済の実態に応じて変わってきたような運用をやってきている。そういった中で、今回の予算におきましても、いわゆる生活関連化枠というような話でやってきたものについて重点的にやっておるところでございます。
  94. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 予算審議中ですから、現役の大蔵大臣が、補正予算とかその他について大臣として言うことはなかなかそれはおつらいでしょう。おつらいでしょうと言った方がいいんだと思うんです。  私、はっきりしておきたいことは、今いろいろささやかれているけれども、新社会資本整備事業というものを興すことによって、建設国債、赤字国債、つまり国債の考え方とか哲学とがあり方とかというものを変える意思はないということを今お答えになっていますか。
  95. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 私どもが考えておりますのは、建設国債というのは財政法四条に基づいてやっておるわけでありますから、そういったものの考え方、伝統的な考え方でございますから、それを今変えてどうだこうだということは考えておりません。
  96. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 それでは別な角度から。  建設国債というものがございますが、建設国債と赤字国債ということを議論するときに、建設国債は物の担保があるということで赤字国債と違うんだということをよくおっしゃられますね。つまり担保されていると。ところが、最近、公共事業みたいな、橋とか道路とかというものが担保されているというだけでは、建設国債としての性格が非常に狭義、つまり狭い考え方じゃないかというのがあるんです。例えば教育とか福祉とか、そういうソフトの面に対しても建設国債の対象にしてはどうかというような意見があるんですが、それは大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  97. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 人のサービスとか何とかというものを建設国債にするというのは、私はやはり財政法四条の言っておりますところの公共事業費というものの中には入らないんではないか。これは、これを公共事業と言ったら、何もかも皆公共事業になっちゃうということがありますから、公共事業と書いてあります以上は、おのずからなるそこの中に制約がある。伝統的にはやはり今先生のおっしゃったような話でありますとか、まさに公共的な仕事でやってあるものであるし、資産として後に残るものであるというようなのが公共事業であろう、それのための費用であろう、私はそういうふうに考えております。  ただし、公共事業費ですから、公共事業をやるためにいろいろな人手がかかったりなんかいたします。それは公共事業をやるためにやるんですから、事業費ということの中には入るんだろう、こういうふうには考えております。
  98. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一つ確認させていただきたいんですが、この新社会資本整備事業として今三塚さんが大分演説して回っている中では、特徴的なのは三つですわね。例えば今までの公共事業のほかに、学校などの教育施設の整備、二つ目には社会福祉施設の整備、三番目に光ファイバーケーブル網などについて、これは基盤整備をしていかなきゃならぬ、そういうことをするために、その財源として、例えば従来なら建設国債じゃなくてもう少し短期のものであってもいいじゃないかというようなことを言われているわけです。  しかし、今大臣はこういうものは既に建設国債の対象となっていると。私もそう思っているんですよ。学校だって社会福祉施設だってなっているんです。改めて何もそんな事業のために現在の国債の対象を縮めるというような必要はないんじゃないかと私は思っているんです。だから、大臣も今述べられているような、新社会資本整備事業の目玉というのは建設国債でもうやっているんだから、改めて短期の国債を発行するようなことは考えなくてもいいんじゃないかという見解に今立たれているというように理解していいですか。
  99. 林義郎

    国務大臣林義郎君) まだ今予算案をお願いしているところでありますから、私から新しいいろんな発想についていろんな解説を申し上げたりなんかするのはどうかと思いますが、私思いますのに、今までやっている範囲内の中でありますならば、施設費だとか何とかというような話でありましたならば、今までもやっている範囲内と同じようなことであるならば、私はそれでできるんじゃないかな、こう思っておるところであります。  ただ、いろんなこと、光ファイバーとか何とかと言われておりますけれども、これはいわゆる民間の事業者がやっておられる話でありますから、それまで入るのかどうなのかというのは私は極めて否定的に考えているところでございまして、一体その辺をどうするのかというのは、民間が本当はやる話じゃないかねというような感じを持っていることを申し上げておきたいと思います。
  100. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私も一番最後のところはそこなんですけれども、つまり私流に新社会資本整備事業というものの中身を見てみますと、中身をそんたくしますと、景気刺激の一つの側面というのも当然あると思うんです。同時に、公共事業予算というのは、全部年間を通してずっと、年間というよりも最近ずっと拾ってみると、そんなに各省庁別の公共事業に関する予算というのは変わってないんですね。各省庁別ですよ。そういう省庁別に公共投資予算が変わっていないものだから、そうすると、そこのところを彼らにゃならぬ。例えば、通産省でもいいや、そういうことを考える人は、つまり新しい事業の中でこういうものを建設国債の対象にしろとか何とかと言っておいて、結論は既存の決まった枠組みを変えようというところに一つの目標なり方針があるとうかがえるんですが、うがった見方でしょうか。
  101. 林義郎

    国務大臣林義郎君) そこまで考えれば、いろいろ物の考え方はあるわけでございますから、役所なり、また政治家で自分のいろいろ応援しておられるところの話をやる。それは確かにそういうことになるかもしれませんけれども、私はもっと純粋に考えて、本当にこれからの日本の整備をどうしていくか、生活大国をつくっていくためには何をしたらよろしいかな、そういったことで考えてのお話がいろいろあると思うんです。  ただ、それがすぐに公共事業に結びつくかどうかということになればまた別な話でありまして、先ほどちょっと申し上げましたように、それは民間でやっておられるんですから、民間のいろんな形の資金という形でいろんな調達をしてやってやればいいわけでありますから、別に公共事業費という形でやらなければ全然できないという話でも私はないんだろうと思うんです。そういったことをいろいろ考えてやるということは、これは全然財政とかなんとかというものを離れましてやるというならば、私は一つの方法だろうな、こう思っているところです。  ただし、一つのこの公共事業の中の枠をずっと何か抜けてやろうという話になりますと、これはまた各省の権限争いの話になりますから、私はそんな各省の権限争いというような話ではなくて、本当にどうしてやったらいいのかなということで考えるべきだろうと思いますし、公共事業というのはやっぱり公共事業としての筋を通したものでなければならないんじゃないかな、こう思っているところでございます。
  102. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 最後の質問ですが、今お話のあった件はそれはそれなりに理解しますけれども、各省庁からいうと、よく私は冷やかすんですけれども、大蔵省以外の省の役人と話をすると、最後は大蔵省が悪いという話で終わっちゃうんです。どこの省の役人さんと話しても労働組合の役員と話しても、最後は呉越同舟になっちゃって大蔵省が悪いと言うんです。予算をよごさないと言うんですね。  つまり、それは既存の各省別の枠とかシーリングとかがあるから、まあ仕方ないことだと言えば仕方ないことなのかもしれませんけれども、公共事業に関する枠組みというのは、いい悪いは別にしても根本的に見直す時期に来ているということは確かだと思うんですよ。だから、こういういろんなうがった見方ができるようなことが出てくるんじゃないかと思うんです。それは根本的には各省庁別の公共事業の枠が決まっているからだと思うんですね。  だから、これは根本的にこれからの二十一世紀を展望した政治構造の中でやっぱり枠組みを変えなきゃいかぬなということは私は一バッジ屋として考えます。そのときに、大蔵省がうんと言うわけはないけれども、大臣に聞いておきたいんですが、俗称言われるのは、大蔵省が全部各省庁別にこういうことをやるから問題が出るんであって、それならば内閣の中に予算局をつくれ、そこで内閣予算局で調整、検討しながらやっていったらどうか、大蔵省からそこの部分は外したらどうかというような意見があるんですが、これに対しては大臣はどういう見解をお持ちですか。
  103. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 最後は大蔵省が皆悪いんだと、こういうふうな話であります。金を配るところというのは悪口を言われるのが大体普通でありまして、金をもらう、持ってこいと言う方が皆文句を言うのは、金を出すところが文句を言われるわけでありまして、それはやっぱり大蔵省立場として受けて立たなければならない、甘受しなければならない。それだけにこそやっぱり公正な分け方をしていかなければならないと思うんです。  それで、公正な分け方をするときに、やはりそのときそのときの社会経済情勢がありますから、その情勢の変化に応じて、これは公共事業だけじゃありません。ほかのいろんな予算につきましてもやはり社会経済の情勢に応じた金の配分、要するに予算というものをつくり上げていくということが私は大切なことだろう、こう思っています。  そこで、先生からお話がありました、予算編成権を移したらどうかというようなお話がありました。ちょっと私もこれまだ確かめておりませんけれども、臨調なんかでもそんなお話が出ているというような話は聞いておりますが、予算の編成ということは、やはり金の問題でありますから、単に配るだけじゃないんで、どれだけの金っこを集めてくるかということも一つ必要なんですね。それから、国際化の時代でありますから、それをどういうふうな形で国際的に運用していくかというようなことも、国際貢献をどうするかというようなこともございます。  金が入る方、入る方は税金が入ります。それからもう一つはこのごろは財政投融資で、要するに郵便貯金かなんかで金が集まってきます。その金の配分と一緒になってやらなくちゃならない。こういうこともございますから、入る方があって、それで出る方とどうしてやっていくかというようなことを一体的に管理した方が財政という立場からすれば私はより効率的ではないかな、こういうふうに考えておるところでございます。  私は今そういうふうに思っておりますけれども、これは基本問題だろうと思うんです。国というものの、または国の財政というものの基本問題、先ほど来ありましたような、地方公共団体との配分の問題とかいろいろ言われますけれども、そういったものが、大問題でありますが、少なくとも国の財政というものは、財政運営というのは、金融とか財政収入、財政支出、一体的に運営した方が私はいいんではないか。  特に、私はこの前も蔵相会議がありましてロンドンに行ってきました。また今度もありますけれども、蔵相会議なんかでも、各国とも財政、金融の一体的な運用というのを非常に言っておるわけでございまして、そういった意味で、私は、現在の体制で、今のような形でやるのがいいんじゃないかな、こう思っているところでございます。
  104. 牛嶋正

    牛嶋正君 初めに、国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案を取り上げまして、特に私は、地方自治の推進、それから地方分権の推進と関連づけまして、大蔵省及び自治省のお考えを幾つかの質問に分けてお尋ねしてまいりたい、こんなふうに思っております。  国の補助金等でありますが、普通国庫支出金制度と言っておりますが、これは国と地方財政調整制度の一つとみなすことができます。そうだといたしますと、国の補助金等の見直しに当たりましては、国の立場からだけでなく、地方立場からも考えていかなければならないのではないかというふうに思います。  また、この制度が国と地方財政調整制度の一つであるといたしますと、他の地方交付税制度あるいは国と地方との財源配分に関連して国と地方の税制のあり方等についても一緒に考えていかなければならないと思いますが、これまで国の補助金等整理合理化を進めるに当たりましてそういった観点をおとりになってきたのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  105. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 御指摘のように、地方公共団体に対する補助金等につきましては、国と地方が協力して事務事業を実施する上で重要な機能を持っておるものでございます。社会経済情勢の変化に応じまして不断の見直しを行っていかなければならない、そしてその整理合理化に常に心を用いていかなければならないと思っておるところでございます。  補助金等の一般財源化等整理合理化をするに当たりましては、地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのないよう、地方財政また地方行政の実情にも不断に心を配りながら、毎年度地方財政計画の策定を通じまして適正な措置を講じてまいったと思っておりますし、これからもまた講じていかなければならない、そういうふうに考えております。
  106. 牛嶋正

    牛嶋正君 この見直しは昭和六十年以降行われているわけでございますけれども、これを振り返ってみますと、当初は財政運営の基本方針でありました増税なき財政再建を推進するための一方策として国は歳出の削減合理化を行われたわけですが、その一環として進められてきたというふうに理解できるわけでございます。  しかし、国の財政は増税なき財政再建が進みまして、平成年度で一応赤字国債といいますか特例国債の発行ゼロということで、増税なき財政再建の目標が達成されたというふうに考えるわけでありますが、しかし、その後もやはり歳出の削減合理化という考え方は私は変わっていないのではないかというふうに思っております。  今回の法律提案趣旨の中でもやはりそのような表現をされているわけでございまして、平成元年十二月二十九日の閣議決定、「国と地方関係等に関する改革推進要綱」等において示された具体的な改革方針に基づき、引き続き徹底的な見直しを行い、その整理合理化を積極的に推進することにより、その総額を抑制する。こういうふうな方針のもとで今回の国の補助金等整理合理化もなされたというふうに思うわけでございます。  今私が申しましたように、一応増税なき財政再建の目標は達成できたわけでありますので、若干この見直しにおきましても、先ほど私申しました地方立場というふうなものもやはり考慮していかなければならないのではないかと思いますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  107. 林義郎

    国務大臣林義郎君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、平成年度予算におきまして特例公債依存体質からの脱却を図ってきたとはいえ、巨額の公債残高を抱えておりますし、平成年度末におきましては百八十二兆円というような大きなことになってきておるわけでございまして、国債費が政策的経費を圧迫するなど、依然として構造的な厳しさが続いておるところでございます。行財政改革を引き続き推進する観点からも、補助金等整理合理化については今後も精力的に進めていかなければならない、こう考えておるところでございます。  さはさりながら、やはり地方財政につきましては十分な配慮をしていかなければなりませんし、特に国と地方機能分担費用負担のあり方などにつきましては十分な配慮をしていかなければなりません。地方財政事情につきましても十分配慮しつつ、地方の自主性、主体性の尊重や財源の重点的、効率的な配分というものも考えていくことが私たちに与えられたところの役目でもあろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
  108. 牛嶋正

    牛嶋正君 今のようなお考えというのは、結局は非常に国の立場というのが前面に出ているように思うんですけれども、こういう立場をとり続けられるという背景には、今おっしゃいましたように国は一応特例公債の発行は回避できてはいるけれども、まだまだ借り入れの依存度というのは高い。そういうふうな状況のもとで、地方財政はといいますと、順調な税収の伸びに支えられて比較的財政状況がゆとりがあるというふうなお考えのもとで、そういう考え方が生まれてくるのではないかというふうに思うわけでございます。  そんなことで、財政状況地方財政の方は割合改善されてきている。だから、ここで国と地方の間の財源配分をもう少し見直して、もう少し国の方へそれを移して、そして地方財政、それから国の財政ともに改善の方向に協力をしていくというふうな私はお考えが国の方にあるんではないかと思うんですが、最近の地方財政状況に対しまして、国の方はどんなふうにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
  109. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 私どもは、決して地方財政が楽だというふうには考えておりません。地方財政も八十二兆円というふうな債務を抱えているわけでありますし、国が百八十二兆円、地方相当大きな額を抱えておる。全体の財政規模からすれば大体同じようなことでありますけれども、年間の財政規模以上のものを抱えておるということは容易ならざる私は事態だと思うんです。民間企業でありましたら、年間の売り上げ以上の借金を抱えているということになれば、それは相当なことだと思いますから、やはりそれはそれなりに考えておかなければなりません。  しかしながら、地方財政にいたしましても、国の財政にいたしましても、いわゆる公経済でございますから、その公経済は国の経済を運営していくために非常に大きな役割を果たしておるところであります。別に非常に大きなということじゃありませんけれども、それは相当の果たしておるものもあるわけでありますから、特にこうした不況に配慮しなければならないというときには、国の財政だけの出動でなくて、地方の単独事業その他の格好で財政を出動させていただいて景気対策をやっていただくということも私は必要だろうと思います。車の両輪というような格好で私はこれからの運営をしていかなければならないと思っております。  国の財政を預かる立場といたしましては、地方のいろんな財政需要がございますから、その財政需要なり地方行政の自主性の尊重というようなものにつきましては、十分な配慮をしながら、社会経済情勢の変化に応じましていろんなことを考えていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
  110. 牛嶋正

    牛嶋正君 今、国の財政地方財政は車の両輪だとおっしゃいましたけれども、恐らくそういう見方のときには、国の財政に対して地方財政を全体として私は見ておられるんではないかと思います。しかし、地方財政、三千三百以上の地方公共団体に分かれているわけでございますので、それぞれの団体に応じましてかなり財政状況に格差がある、差がある。例えば財政力指数で見ましても大変な格差があるわけであります。  ですから、地方財政の方は、そういう地方公共団体間の財政力の格差、財政状況の格差、こういった問題を実は抱えているわけでございます。ですから、国の財政地方財政は車の両輪だと言いましても、私は地方財政の方により大きな問題が、今申しました格差というふうな問題を抱えているわけでございます。  ですから、全体で申しますと、今回の補助率の合理化、恒久化によりまして、率はわずかの引き下げの部分が出てまいりましたけれども、それでも地方公共団体によってはそれがかなりの財政負担になるということだって僕はあり得ると思うのでありますが、その点について国は、特にこの地方公共団体間の財政力の格差、財政状況に大きな差があるということについて、どういうふうにお考えになっておるのか、お聞きしたいと思います。
  111. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 地方公共団体、三千三百ありますけれども、確かに御指摘のように格差が相当あることも事実でございます。そうしたところで一律的なことをやりましたならば、財政力の非常に乏しいところには悪影響を及ぼす、いい影響が得られないということでございますから、それはいわば地方交付税等によりまして、いわゆる財政調整制度というような格好でもって地方交付税の配分を行ったりいたしまして、そういったところにも配慮をしているところでございますし、地方財政の円滑な運営に支障を生じることのないように、地方財政計画の策定等を通じまして今後とも適切な配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  112. 牛嶋正

    牛嶋正君 次に、この問題を地方立場に立って少し考えてみたいと思うのでありますが、国庫支出金制度を地方立場から見ますと、この財源の性質からいいますと、依存財源であり、そしてまた特定財源であるわけです。ですから、地方債と同じように非常に拘束の強い財源であるというふうに思います。ですから、地方が独自の財政あるいは行政を展開していくためには、できるだけ一般財源あるいは自主財源というふうなもので財源を確保していきたいというのは、これは当然のことではないかと思うのであります。  それでいきますと、今回のこういった国の補助金の整理合理化というのは、それなりに特定財源であり依存財源というものがその場合小さくなっていくわけでありますから、それだけ独自の行財政を展開するということができるように思うんです。そのためには、その整理合理化して財源が減らされた分だけできれば一般財源というふうな形でやはり手当てしていくということが求められてくると思うのであります。  この場合に、国が補助金等整理合理化を進めていかれるに当たりまして、そういった一般財源化というふうなことが同時に考えておられるのかどうか、その点について少しお尋ねしたいと思います。
  113. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今回の公共事業の補助率に関しまして、一般財源化というようなことは考えておりません。今回、補助率は恒久化をさせていただく。そういう意味で、地方財政負担は当然地方財源で、基本的な財源、すなわち交付税等の一般財源それから地方債ということで賄われるべきだというのが基本的な立場でございますが、そうはいっても継続性がございますので、暫定的に公共事業等臨時特例債というものを発行いたしまして、それてそれぞれの公共団体が公共事業補助事業を行うのに困らないようにいたします、しかも、それの臨時特例債の将来の元利償還費、これは基準財政需要額に全部算定いたしますということでございまして、そういう意味で、個別の地方公共団体が補助事業を行っていくに当たってはきちんと手当てがされておる。それも全体の交付税の中ではございますけれども、基準財政需要額に全額算入という意味で手当てをされておるところでございまして、そういうことで十分円滑に事業は進められていくというふうに考えております。
  114. 牛嶋正

    牛嶋正君 今申しましたように、地方財政立場からいいますと、できるだけ一般財源あるいは自主財源というふうな形で財源確保をしていきたいと思うのでありますが、その場合に、現在の国と地方財政調整制度、先ほど申しました国庫支出金制度、地方交付税制度、それから国と地方の税源配分、これがやはりいろいろな立場に立って考えますと、あるべき姿というふうなものが一つ考えられるんではないかと思うんです。  国の立場で、今のこの制度、国と地方財政調整制度はこれでいいんだというふうにお考えなのか、あるいはもう少しある方向にそれは変えていかなければならないというふうにお考えなのか、この点について大臣のお考えを少しお聞きしたいのであります。
  115. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 確かに、国と地方関係は、税源配分とかそれから補助金でありますとか交付税でありますとか、いろんな形でもって財政調整が行われているわけでございまして、それのどういうバランス、組み合わせが一番いいのかというのは大変難しい問題であるとともに、そのときそのときのやはり状況に応じまして考えていかなきゃならぬと思うんです。ただそうはいっても毎年毎年変えていくようなものではない、やはりそこはきちんと安定性を持った制度の運営を図ることが必要だと思います。  これは結局は国と地方の事務事業の責任分担というのがまずあっての話でございますので、そこが変わればそれに変わってどうしていくのか、もしも基本的な流れが国から地方へということでございましたら、それはそれに伴って税財源配分等の問題というのは理論的には起きてくるわけでございますが、少なくとも現状においては事務事業の分担関係、特に不安定だというふうにも思っておりませんし、それに伴います財政調整機能が国と地方でぎくしゃくしているというふうには思っておりません。  ただ、基本的にはやはり世の中の基本的な分担関係の変化に応じましてそれは考えていかなきゃいかぬというふうには認識しております。
  116. 牛嶋正

    牛嶋正君 今のお話にありますように、やはりこういった国と地方財政調整制度というのは、その前提に国と地方の役割分担というふうなものがあるんではないかと思います。  しかし、今の事務事業の配分を見ましても、必ずしもあるべき姿に今の状態があるというふうには私は思っておりませんで、ですからこの補助金等整理合理化でも、特に公共事業等に係る補助率の統一それから恒久化を進められたわけですけれども、私はこの合理化を進めていくに当たりましては、もっと大事なのは補助対象事業の範囲、これをやっぱり同時に見直していかなければならないのではないか。そのことが、国と地方の役割のあるべき姿というものにできるだけ近づけていくためには、そういうような見直しも必要ではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでございますか。
  117. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘のことにつきましては、公共事業補助事業の補助対象につきましても採択基準を引き上げるというような形で、比較的小規模のものはもう地方単独事業の方に回っていただくというような整理をしておりますし、それからいわゆる一般財源化ということでも、そういった国から地方へということで措置を講じているわけでございます。これからもそういった分野については引き続き努力をしていく必要があるだろうと考えております。
  118. 牛嶋正

    牛嶋正君 今申しました補助対象事業の範囲の見直しですけれども、これにつきましては地方財政法の第十条の一、二、三、四で補助対象の事業が列挙されておりますけれども、これを見てまいりますと、私は今の国の補助金等が担っている役割というのを大体四つぐらいに分けることができるのではないかと思います。  一つは、先ほどからの議論にもありましたように、できるだけサービス水準を全国的に統一する、そのために財政力の弱い団体がそういった統一されたサービス水準を維持できるような、そういうような財政的な援助をしていくということが一つあろうかと思います。  それからもう一つは、個々の地方公共団体が行う事務事業の中で、行政区域を越えてスビルオーバーしていく部分があるわけですが、こういったスビルオーバーを考慮して最適なサービス水準を維持するために国が補助金等を通じてある程度支えていくという役割がもう一つあろうかと思います。  そしてもう一つは、災害等の場合、地方公共団体に対しまして国が財政援助を行うという役割。そして最後に、奨励的補助金があるかというふうに思うんです。  先ほども奨励的補助金というのは予算補助というふうなことで議論がありましたけれども、私は、補助対象事業の範囲を検討するに当たりましては、この奨励的補助金の部分、この部分からまず見直しをしていくべきであるというふうに思っておりますけれども、この点について自治省の方はどういうふうにお考えでしょうか。
  119. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) 御指摘のように、地方財政法十条から十条の三までに、十条におきましては、ただいま先生サービスの統一といいますかサービス水準の維持というふうにおっしゃいましたが、例えば義務教育とか生活保護というようなことにつきまして国の負担事業として規定をしております。  それから十条の二には、先生はサービスのスビルオーバーという言葉でおっしゃいましたが、法律に沿って述べさせていただきますと、「地方公共団体又は地方公共団体の機関が国民経済に適合するように総合的に樹立された計画に従って実施しなければならない」事業、すなわち道路、河川とか、あるいは重要な都市計画、その他公共事業的なもの、これが十条の二に規定してございます。  それから十条の三に、今の「災害に係る事務に要する経費」というのが規定してございまして、これらは、私ども十条から十条の三は、いわゆる国庫が一定の関心のもとに進んで経費を負担すべきあるいは国と地方が経費を負担し分かち合うべき性格の事業ではないかというように考えておるわけでございます。  それに対しまして、十六条には、いわゆる「補助金の交付」といたしまして、「特別の必要があると認めるとき又は地方公共団体の財政上特別の必要があると認めるときに限り、当該地方公共団体に対して、補助金を交付することができる。」、これがいわゆる奨励補助金と言われているものでございます。そういうことで、今先生御指摘のように、私どもも負担金的性格のものとそれから奨励補助金的性格のものとはやはり区別をして考えていかなければならないということは同感でございます。  ただ、負担金的なものならば、それじゃ一般財源化等に全くなじまないかということになってまいりますと、負担金的なものの中にも既に地方の事務事業に同化定着しているようなものもあるならば、それはやはり適宜見直して一般財源化等をしていくこと、これは適切ではないかと考えておるわけでございます。  そういう意味におきまして、先生のまず十六条の補助金的なものからというそのお考え、それは一つの考え方として、奨励補助金的なものはその奨励補助金的な役割というものが終わったときにはこれを廃止、整理縮小する、あるいは一般財源化していくということは適切なことではないかと考えておるわけでございます。
  120. 牛嶋正

    牛嶋正君 私は、この補助対象事業の範囲をできるだけ見直して、できればそれは狭めていってむしろ一般財源化すべきだという考え方を持っておりますけれども、これは結局地方自治の確立あるいは地方分権を推進していくということを考えた場合に、国の補助金等による国から地方への財源移譲というのは、それに対して私は阻害的な要因になっているように思うからでございます。  と申しますのは、地方自治の確立の条件というのは、これまで自主財源の確保ということが言われてまいりましたけれども、私はこれからはそれに加えて行政能力の向上というのが地方公共団体側に求められていくのではないかというふうに思っているからであります。  国から地方へ権限を移譲するというふうに言いましても、それを十分受け入れるだけの受け皿が地方公共団体の側に用意されているかどうかということが一つ大きな問題であります。この受け皿、これを私は行政能力というふうなことで申し上げているわけでございます。  もっと砕いて申しますと、与えられた財源を使って地域住民のニーズにこたえていくわけですけれども、そのためには地域住民がどのようなニーズを持っているかということを正確につかんでいかなければなりませんし、そのニーズにこたえるためにどのようなサービス水準で個々の行政サービスを供給していけばいいのか、こういったことを議論していくに当たりましては、相当やっぱり行政能力が要求されてくるのではないかというふうに思います。  こういった考え方については自治省はいかがでございましょうか。
  121. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) 基本的に全く同感でございます。最初に先生おっしゃいました、補助負担金というものがとかく地方の自主性を阻害するという点につきましては、多々指摘を受けているところでございます。  ただ、先ほども私申し上げましたが、補助負担金の中には、先ほどのように国と地方の相互の利害に関係をして相互に負担を分かち合うべきような性格のもの、これもあるわけでございますので、直ちにすべての補助負担金がそういうふうな評価をすべきとは考えておりませんけれども、補助負担金問題に係るいろんな自主性の阻害とか行政の簡素効率化を阻害するというような問題は、やはり私どももそれを除外するように今後も努力をしていかなければならないと考えているわけでございます。  そこで、先生おっしゃいましたが、やはり行政能力の向上ということが自主財源の確保ということとあわせて非常に必要でございまして、そういう意味で、受け皿である地方公共団体の側がその財源を使ってそれぞれの地域の住民のニーズを的確に把握するとともに、それへの対応を適切に行っていく、そしてまた、創意工夫を凝らして地域の振興、活性化に資するようにしていく。そのことは非常に重要でございまして、そういうためにもやはり国庫補助負担金制度も地方の裁量の余地、そして弾力性というようなものがより必要である、そういうふうに私どもも考えておるところでございます。
  122. 牛嶋正

    牛嶋正君 その行政能力ですけれども、これは財政力と同じように、やっぱり地方公共団体間でかなりの格差が見られるわけです。ですから、地方財政議論するときには、全体ももちろんそれは考えなきゃいけませんけれども、こういった個々の地方公共団体の財政力の格差とかあるいは行政能力の格差というのを見ていかなきゃいけない。  ところが、財政力の方は地方交付税制度などで国から財源を移譲するときにある程度調整ができるわけですけれども、行政能力の方はこれは結局は自助努力で高めていかなければならないわけであります。自助努力で高めていくという場合に、個々の地方公共団体がどういうふうなことで行政能力を高め得るのかということを見ますと、私は個々の行政サービスを執行していくに当たりまして二つの段階に分かれて事務が行われていると思うんです。  一つは、その行政サービスの水準の決定、どういうふうな水準で、そしてどういう方法で行政サービスを地域住民に供給しているか。その行政サービスの水準の決定に当たっては、地域住民のニーズを十分に正確に把握をしていかなければなりません。この事務を行うときに実は地方公共団体の行政能力というのは高まっていく、向上していく、こういうふうに私は考えているわけです。  行政サービスの執行に当たりまして次の段階は、これは実施事務というふうに私呼んでいるんですけれども、計画事務で決定された行政サービスをそのまま実行していく。ここの部分というのは比較的技術的な問題なんですね。ですから、先ほど言いましたような分析力とかあるいは計画、企画力、あるいは総合力、こういった行政能力よりもむしろテクニカルな技術が要求されてくる部分だと思うんです。  ところが、補助金等で行われる補助事業というのは、重要なこの計画事務のところをかなり国が決定されてしまう。地方公共団体がそこに入っていく余地が非常に狭い。全くないとは言えませんけれども、狭いわけであります。そうだとすると、こういった補助対象事務が多い、ここのところを整理しなければ、いつまでたっても私は地方公共団体の行政能力というのは高まっていかないんではないかというふうなことから申し上げているわけでありますけれども、この点についてはいかがでございましょうか、自治省のお考えをお伺いしたい。
  123. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) 先生御指摘のように、地方公共団体の中で行政能力というものにかなりいろいろ差がある、それはもう全く御指摘のとおりであろうかと思います。財政力のように数字であらわれないものですから、これはなかなかはかるわけにもまいりませんけれども、それぞれの地方公共団体、努力はいたしておりますが、能力にいろいろ差があるということは甘んじて私どもも認めざるを得ないと思うわけでございます。  先生今おっしゃいましたように、そういう地方団体の能力というものを高めていく上におきまして、それはもちろん職員の研修とかそういうことも必要でありましょうけれども、何よりもやはりみずから企画し、計画していく、その能力をつけていく。これが非常に重要なことでございまして、そういう点から私ども地方の単独事業を通じて、例えばふるさとづくり事業だとか地域の総合整備の事業だとかいうような形で、地方が企画し国が支援するというようなことで単独事業を地方公共団体に推奨しているわけでございます。  最近はそういう点でかなり地方の方にも意欲ができ、また企画、計画の力も平均的に水準も上がってきているように思っておりますが、やはりより一層そういう点で今後とも私どもも努めていかなければならないというふうに考えておるところでございます。  補助事業に絡みます、そういう点でございますが、やはり補助事業の中には、企画、計画段階から補助の対象にしていく、そして企画、計画段階から国のいろんな指示等を仰いでいくというようなたぐいのものも少なくないわけでございますが、今後とも補助金のあり方としては、今先生がおっしゃいましたように、できるだけそういう企画、計画段階地方が少なくともより選択の幅を持って対応できるような補助金のあり方というものが私どもにとっても非常に望ましい、そういうふうな考え方を持っているところでございます。
  124. 牛嶋正

    牛嶋正君 今、国が目指しておられます生活大国づくり、この推進を考えましても、やはり生活者としての地域住民と密着している地方公共団体の役割というのは非常に大きいんではないかというふうに思います。ですから、その場合に、地方公共団体がそういった補助事業を通して国の決められたサービス水準に基づいてただ実施していくだけということになりますと、私は真の生活大国というのは実現しないんではないか。むしろ、地域住民のいろんなニーズを一番容易にキャッチできる地方公共団体が、あわせてその地域の実情を加味しながら計画、企画を行い、そしてそれに基づいて事務事業を実施していく、こういうことにならなければならないと思うんです。  そうなりますと、やはり今の国の補助金等が担っております役割が一方であるわけでございますから、その役割を果たしながら、同時に地方の公共団体も計画事務に参画できるような、そういう工夫が私は本当の合理化といいますか見直してはないかというふうに思うわけでございます。例えば補助金のメニュー化というのも一つだと思います。そうしますと、ある程度これは地方公共団体の方に自主的な判断というのがゆだねられるわけでございますから。  こんなふうに考えていきますと、何か工夫すれば地方公共団体の計画事務への参画の余地というのはまだまだつくれる。しかも一方で、補助金等のこれまで担ってきた役割も果たすことはできるというふうなことを思っております。それじゃ、どういう方法があるのかということは私はまだわかりませんけれども、自治省あたりでこういった点について何かお考えでしたら教えていただきたいと思います。
  125. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) まず、生活大国の話からでございましたので、そちらの方から申し上げさせていただきますと、私どももやはり一定のミニマムの水準というものを確保する時代というのは、一応そういう時代は終わっているだろう。これからは多様でそして選択の幅の広い、質の高い行政の水準がより求められているというふうに感じているわけでございまして、やはりそういうことを通じて初めて生活大国というものは実現できるのではないかというように考えているところでございます。  そういうためには、やはり地域地域がそれぞれの特色を生かしてそれぞれの地域づくりにみずからの創意工夫を生かした施策を展開していける、そういう施策を展開するためには、今先生御指摘のように、地域の参画した計画といいますか、地域がみずからむしろ主体的になった計画に基づいて事業を進めていけるような仕組みというのが非常に必要だろうと思っております。  先生、今一つ例としてメニュー化というようなこともおっしゃいましたが、私どもも補助金のメニュー化ということは大変重要なことだろう、一つの方法だろうと思っております。そういうことで、毎年の概算要求の時点におきましては、私どもの次官名で各省に補助金のメニュー化を進めていただきたいというようなことを申し入れを行っているわけでございます。  また、これ一つの例でございますが、例えば昨年成立いたしました地方拠点法などにおきましては、これは地域の創意工夫を生かして、計画は地方が共同してつくる、そしてそれに対して国は必要なそれぞれの手段をもってそれぞれの各省が支援をしていく、こういう仕組みの法律を昨年つくっております。運用がそのとおりいっているかどうかということはいろいろあろうかと思いますが、そういうのも一つの前進ではないかというように考えているところでございます。
  126. 牛嶋正

    牛嶋正君 最後に、大蔵大臣にお聞きしたいんですが、先ほど財政力の地域間格差についてお尋ねしましたが、今私が申し上げました行政能力の重要性、それからまた行政能力についても地域間格差があるというふうなことについて、何か御意見がございましたら最後にお聞きしたいと思います。
  127. 林義郎

    国務大臣林義郎君) お話を聞いておりまして、地方財政というか地方行政、いかにあるべきかということで、真剣にお考えになっていることに対しまして心から敬意を表したいと思います。  行政サービスでありますから、役所のためにあるのではなくて住民のためにあるものでありますから、いかにして住民のニーズをとらえてそれをいい方向に持っていくかということを考えていかなければならない。そのためには企画能力も必要でありますし、また分析能力、計画能力というようなものも必要だろうと思います。末端のところへいきますとそういったところがなかなかないわけでありまして、言いますと、いわゆる小役人根性みたいな話にどうしても流れがちであることも私は率直に言って事実だろうと思います。  いろんなことをやっぱり考えていかなければならない。そういった研修とかなんとかというようなものも自治省の方でいろいろお考えだろうと思いますが、そういったことをときどきやって、あちらでこうやっている、こちらでこうやっているからというようなことをやって、それで一つの思いつきでありましても、思いつきがだんだん出てきて体系化していくということもあるだろうと思いますから、そういったことをやっていったらどうかなという感じを持っています。これも先ほどお話がありました補助金のメニュー化であるとかなんとかの一環じゃないかなと思っております。  ちょっと古くなりますが、かつてふるさと創生計画というので金を配ってやったことがあります。あのときも、何か金の延べ棒を買ったとかなんとかというようなこともありました。ありましたが、私はそれぞれのところで割とうまく皆さんやっておられた。住民のニーズがどこにあるかということをああいった形のものによって吸い上げることができた。あるいは吸い上げることができないから金の延べ棒になっているのかもしれません。しかし、そういったような格好で住民のいろんな要望を取り上げていくということは、ゆとりある社会をつくり上げていく上において大変大切なことじゃないかと思っております。いい御着眼をいただきましてありがとうございました。
  128. 牛嶋正

    牛嶋正君 次に、平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案について御質問したいと思いますが、この問題につきましては、後の方で資金運用部の機能、役割、これについて少しお尋ねをいたしまして私の考え方を述べさせていただきたい、こんなふうに思っております。  その前に、そもそもこういう法律が出てきたのは、先ほどの大臣の御説明にもありましたように、平成年度予算というのは非常に重要な三つの課題を掲げて編成されているわけであります。すなわち、景気の速やかな回復、それから生活大国づくりの推進、そして特例公債の発行回避の三つの課題であります。  これは、三つそれぞれ見ておりますと非常に結構な課題ということになるわけでございますけれども、この三つの課題を同時に実現していくということは、今の財政状況から考えて非常に大変なことではないか、こういうふうなことを思うわけであります。そういうことから、既存の制度、施設や歳出の見直しを通じてできればこの三つの課題を同時に実現しよう、そういうふうに努力されているわけでございます。  例えば景気回復のために不況対策を行う、ところが一方で特例公債の発行を回避しなきゃいけないということで積極的な対策が打ち出せないというふうなことになったといたします。そして、今彼に回復がそれだけずれてきたということになりますと、恐らく税収の見込みというのが狂ってくるのではなかろうか。そうしますと、またまたことしも減額補正というふうなことで、場合によっては特例公債の発行も余儀なくされるのではないかというふうに思うわけです。また、景気がおくれるとそれだけ成長率も鈍化するということになりますので、生活大国づくりもおくれる。生活大国五カ年計画の初年度から狂いが生じてしまう。  こういうふうなことが懸念されるわけですけれども、このあたりの見通しについて、大蔵大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  129. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 今、予算案を出しておりまして、長く続いた不況に対して適切な対策を打っていかなければならない。昨年の八月以来、総合経済対策も実施して十兆七千億にも上るようないろんな追加的な支出を出したわけでありますし、平成年度予算におきましても不況に配慮した、景気に配慮したところの予算案をつくってお願いをしているところであります。  御指摘のように、特例国債を出さない、こういうことになれば、なかなか難しい、もう一つも二つも足らない、それから税収も上がらない、こういうことであります。しかし、税収というのは、やはり景気がよくなって経済が順調に発展していかなければなかなか税収の伸びというのはないんだろう、こう思います。かつてのバブルのような形でわあっと伸びていくというような話というのは私たち期待すべきものではない。順調な経済の発展によって税収が伸びていくことを期待していかなければならないと思っております。  そうした場合に、いろいろ考えていかなければなりませんときに、一つ考えられますのは、財政投融資の役割を相当大きく考えていくことだろうと思います。国が安易な借金を負ってやることではなくて、国民から預かっておる金でありますから、有利確実な運用をこれは図っていく。有利確実な運用を図ると同時に、相当な金を国は国民からお預かりしておるわけでありますから、これを本当に有効に使っていくということが私は一つの大きな方向ではないかなと思います。  と同時に、地方におきましても単独事業を相当やっていただいておりますから、地方、国一緒になりまして景気回復の方向へ持っていくということは一つの方向ではないかな、こう思っているところであります。  財政におきましても、やはり歳出を相当削減していろんな投資的な経費、景気に向かうような格好でのいろんなことはやってきておりますが、それにはおのずから限界がありますから、総合的な対策を考えていかなければならないんだろうと思います。  と同時に、私はあえて申し上げたいのでありますけれども、単に財政だけでどうだこうだということじゃないと思うんです。一つには、民間のいろんな力をおかりしなければならない点があると思います。それは、今回のこの不況は、単にいわゆる景気循環的な不況ではなくて、バブルによりまして資産デフレを起こしました。これはやはり金融なり証券について非常な悪影響を及ぼしていることも事実でありますから、その金融なんかの秩序を回復していく、金融のあるべき姿に帰っていくという形で、例えば不良債権の買い取り会社をつくりましたりいたしました。  それから、言っちゃなんですけれども、住専という住宅専門金融のいろんな形を民間の御努力によりまして対応する措置をとってきたところでありまして、そういったようないろんな御努力をいただいたことによりまして景気の回復を図っていく。やはり、金融がしっかりしていないと、金融というのは日本経済の血液みたいなものでありますから、血液がよく流れなければ件もよくならないということも事実でありますから、そういったことをいろいろとやっていくというようなことを考えておるところでございます。  以上、いろいろ申しましたけれども、そういった形によりましていろんなことをやっていくことが必要だろう、こう思っておるところでございます。
  130. 牛嶋正

    牛嶋正君 今お話しのように、特例公債発行の回避ができるかどうかというのは、私はやっぱり税収の見込みが非常に重要な意味を持っているんじゃないかというふうに思っております。  今度の予算では、平成年度の当初予算に比べますと減額、一兆二千十億円の減収ということになっておりますけれども、補正予算に比べますと三兆六千七百二十億円の増額になっているわけです。今の景気見通しからいいますと、これは少し過大の見込みになっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、その算定の根拠みたいなものがどうなっているのかちょっとお教えいただきたいと思います。
  131. 濱本英輔

    政府委員(濱本英輔君) お尋ねは、五年度税収が四年度の当初予算に比べると低いが補正予算に比べるとかなり高いものになっている、全体としては見通しとしてかなり高目の見通してはないかと思うが算定の根拠いかんという意味かと存じます。  まず、四年度税収は、さきの補正予算で御審議をいただきましたように、金利の大幅な低下でございますとか企業収益の減少でございますとか、そういった影響が大きなものになってまいりまして、あわせて四兆八千七百三十億円の減額補正をお願いし、補正後予算額といたしましては五十七兆六千三百十億円というレベルにさせていただいたわけでございます。こういったものを四年度一つの土台と考えまして、その後の状況も加味し、五年度税収を見積もります際には、五年度経済見通しを軸にいたしまして、足元の課税実績や個別税目ごとのいろいろな要素、税収見積もりをいたします上での要素を組み合わせまして税目ごとに見積もりをいたしました。  その結果が平成年度予算の六十一兆三千三十億円というレベルに達したわけでございますけれども、この六十一兆三千三十億円という税収見積もりの中には、平成年度に税制改正を行いまして、税制改正の結果として上乗せになりました税収増が多少ございまして、これをはぎ取りましたところのそれ以前の既往税制によります収入見込み額といたしましては六十一兆一千九百六十億円、これがいわば実力の伸びということであったわけでございます。この六十一兆一千九百六十億円という実力の伸びというものを平成年度あるいは四年度予算と比較してみました場合に、平成年度の当初予算が六十一兆七千七百二十億、それから平成年度の先ほど御指摘ございました当初予算が六十二兆五千四十億円というレベルでございますから、この平成年度の実力の水準六十一兆一千九百六十億円は、平成年度の当初はもちろんのこと、平成年度の当初をも下回るレベルになっておる、これは私の知る限り近年例がないことだというふうに思います。  そういうレベルのものでございますけれども、なお、牛嶋先生の御指摘は、平成年度の補正後から比べて勢いがよ過ぎるのではないかという御指摘かと存じます。これは今申し上げました要素を組み合わせて計算しました結果がこうなるということではございますが、なお別の側面からこの大きさをチェックしていただきます意味で、GNPの成長に対します例の弾性値が幾らになっておるかということを見ていただぎますと、この六十一兆一千九百六十億相当の、つまり実力の伸びの弾性値は一・一程度でございます。  一・一というのは、財政当局が例えば中期展望を試みますようなときに過去の平均的な弾性値としてよく用いたりする数字でございます。御承知いただいておろうかと存じますけれども、景気が落ち込んでおります段階から少しずつ回復に向かっていきます段階、これを経験的に過去の幾つか我が国が近年経験しました事績でとりましても、景気が落ち込みましたときはもちろん弾性値がどんと落ちますけれども、そこからの回復というのは意外と弾性値にあらわれてくる数字というのは大きな、つまり弾性値をかなり押し上げる形で回復してまいるということが言えるわけでございまして、そういうことから申しますと、この一・一という弾性値は比較的過去の事績に比べれば控え目の見通しになっているということも言えるのではないかなという気がいたしております。
  132. 牛嶋正

    牛嶋正君 次に、承継債務についてお尋ねしたいわけですが、先ほど隠れ借金というふうな言葉も出まして、承継債務が赤字公債であるのかどうかという御議論がありましたけれども、私はその問題よりも、国が、大蔵省が今進めようとされている財政改革の中でこの承継債務の残高をどのように取り扱っておられるのか、このことの方が重要な意味を持っていると思いますので、これについてまずお尋ねしたいと思います。
  133. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 財政改革を進めていく上で、承継債務を含めまして今後処理を要する経費につきましては、当然その視野に入れて、ただ一つ、その中で大きな二十六兆円余の国鉄清算事業団の債務につきましては、これは丸々その対象になるとは思っておりません。それはそれ独自で土地なり株なりの処分によって最大限努力をするということになっておりますので、一般会計の方でそういった大きな金額を処理しなきゃならぬというふうには考えておりませんが、いずれにしても、残ったものにつきましては今後の財政運営において視野に入れていかなきゃならぬ。百八十二兆円の公債残高がございまして、その中で六十兆円強の特例公債の残高もございますが、これの早期償還という問題もございますけれども、それらとあわせまして、将来処理を要すべきものも視野に入れて考えてまいりたいと思っております。
  134. 牛嶋正

    牛嶋正君 納税者の側から見ますと、こういった隠れ借金というのが、一般会計とそれから資金運用部資金特別会計との間のやりくりということで、言ったら非常にわかりにくい部分があるわけでございます。何か同じ財布の中でただ置き場所を変えているだけじゃないかというふうな感じを受けるわけでありまして、特例を設けてその借金の返済を延期する、こういうふうなことが余りにも安易に行われ過ぎている。こういう状況のもとで果たして財政改革なるものがきちんと進んでいくのかどうかということが非常に心配されるわけであります。  この資金運用部特別会計ですが、これからの公的資金の役割というふうなものを考えていきますと、経済運営の中でも非常に重要な役割を担っていかなければならないというふうに思います。しかも、今でも郵便貯金や年金等の原資が毎年三百兆ぐらいでございますか、そういった規模にまで拡大をしてきているわけであります。  公的資金の役割の重要性を考えますと、民間の資金も含めまして資金全体の効率的な配分というふうなことを考えた場合に、今は財政投融資計画をきちっと立てられて行われておりますけれども、財政投融資計画に出てこない部分もあるわけでございます。そうしますと、資金の流れが資金運用部の中を通してどういうふうに流れていくのか、そして民間資金も含めて全体の資金の効率的な配分がうまくいっているのかどうかというふうなことをやはりもう少しはっきりさせる必要があるのではないか。  そうだといたしますと、今の特別会計というふうな形での取り扱いでは、私は、そういったこれからかかってくる役割、機能というふうなものを考えた場合に、十分に受けとめることはできないんではないかというふうなことを考えておりますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  135. 藤井威

    政府委員藤井威君) 先生のおっしゃいます財政投融資に関する物の考え方、財政投融資は、郵便貯金であるとか年金のお金であるとか、いわば国民からお預かりしておる有償の資金、これを使いましていわゆる金融的手法によっていろんな政策手段として政策目的を実現していこうと、こういう手法でございます。それ自体が金融的手法による資源配分機能、あるいは先ほど大臣からも申し上げましたが、金融的手法による景気の調整手段、そういう意味で非常に大きな意味を持ち始めておる。最近のことでもございませんで、やや中期的に見ますと、この財政投融資が財政の中に占める地位あるいは機能、役割、そういったものの重要性は少しずつ増してきているというふうに考えるべきであろうと私も思います。  そういうことから、広い意味での財政の一翼を担う財政投融資という形で、長い歴史の中で、例えば先生のおっしゃいました五年以上の長期運用の部分につきまして、予算に含めて国会の御承認をいただくというようなことにいたしております。確かに五年以内の運用部分が当然これは金融的手法によるものですから出てまいります。長期運用に至るまでの間のつなぎ、あるいは当初予定していたよりもやや余計に資金が流入してきた場合、あるいは逆の場合もあり得るわけでございまして、資金の流入がそれほどではなかったというような場合に備えるということもございまして、相当部分の短期の運用資産も持っております。そういうものもできる限りオープンにして開示していくという政策を我々も今までとってきておりまして、「資金運用部月報」等でそういうことに対応してまいっておるわけでございますが、今後ともいろいろそういう点も考えていきたいというふうに思っております。
  136. 牛嶋正

    牛嶋正君 今この資金運用部資金というのは、理財局の中の一課ですか、それぐらいの規模だと思うんですが、取り扱っている資金の大きさから言いますと、むしろ私は機構としてもできれば大蔵省と独立した形で機構をきちっとすべきじゃないか。そうでないと、公的資金の量から言って、どうもそれが財政運営と何かごっちゃになっていて、財政運営の逃げ場がそこにあるような、ですから結局財政改革を進めると言ったって、逃げ場がありますので、そこにどうしても問題が行ってしまうというふうなことなんです。  この際、これからの生活大国づくりの中で公共事業をどんどん進めていかなければなりませんし、そういうことを考えますと公的資金をこれだけの量取り扱っている機関でありますので、独立したきちっとした機関にすべきではないかというふうなこと考えておりますが、これについて大蔵大臣の御見解は。
  137. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 理財局長は担当ですから私からお答えした方がいいんだろうと思いますが、先生も御承知のとおり、郵便貯金というのは、私はそれだけとったら世界で一番大きな銀行だと思うんです。これは大変なことだと思うんです。恐らく世界にはそんなことをやっているところはないと思うんです。  日本に郵便貯金というのは明治時代にできましてやってきた。本当は、郵便貯金というのは民間の銀行の補完的な機能を果たすべきであろう、こう思うんです。しかしながら、やっぱり国に預けている方がいいと、こういうことでありまして、集まってくる。しかし、そのお金は有利確実に運用するということが必要だ、こう思いますから、その金をどう使っていくかというのは、すぐれて税金を集めてくるのと同じように私は考えてやっていかなければならない。今まさにそこを一体的に運用しているところであります。  国会でも最初のころは余り財政投融資というのは問題なかったんですね。最初は復金とかなんとかというような格好でやりました。見返り資金なんかありましたが、だんだんだんだん郵貯中心の形になってきましたので、財投資金というものをどうするかというのは国会でもいろいろ御議論があって、国会にもいろんな形での御報告を申し上げて御審議をいただくような格好になってきております。  そういった意味で、取り扱いとしては一体どうしていくのか。これを全部民間にばらしてしまうのがいいのかどうかというのは、正直に申しまして私はこれは一つの大きな問題だと思うんです。別に今郵便貯金を分解しろとかなんとか申しませんけれども、一つの大きなこれは問題ではないかな。  しかし、今やっていますのは、郵便貯金なり年金という形で金を集めているわけでありますから、それをいかに有利に、かつうまいこと運用していくか。国がお預かりしているわけでありますから、うまいことどう運用していくかというのは、私はすぐれて全体の中で考えていくことが必要じゃないかな。また、それを分けるというのも確かに一つの方法かと思いますが、一般の税収があります。それからこちらの方があります。そういったものと一体的な運用というのが私は望ましい方向じゃないかな、こう考えていることを申し上げておきたいと思っています。
  138. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 地震再保険及び自賠責再保険に係る事務費の国の負担に係る繰り入れ特例の延長、この法案に関して質問をいたします。  この両再保険に係る事務費一般会計からの繰り入れ停止というのは、昭和五十七年以来十一年になるわけですが、その繰り入れをしなかった金額も、地震の場合には十億、自動車の場合にはおよそ百億という多額に上っているわけでございます。  そこで、最初に質問をいたしますが、この両保険に対して今回特例措置を講じようとされる理由、それから特に今回、「当分の間」とされた理由についてお尋ねいたします。
  139. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘のとおり、五十七年度以来措置を講じさせていただいておりますが、これは昭和五十六年の七月の臨調の答申がスタートでございまして、「各種公的年金に対する事務費国庫負担の保険料財源への切換えを図る。また、医療・年金保険以外の公的保険に対する事務費国庫負担についても、同様の観点から逐次改善を図る。」という答申がございまして、それを受けまして各保険の事務費について検討が行われました。  その結果、地震と自賠責につきまして、事務費繰り入れを停止いたしましても積立金の運用益によって事務費が貯え、本体の事業の円滑な運営に支障はないであろうというふうに判断されたために、今日まで暫定措置として事務費一般会計からの繰り入れが停止されてきているわけでございますが、今回この法律によりまして、さらに当分の間同じように繰り入れの停止措置を講じさせていただきたいといたしましたのは、現在もなお積立金がございまして、その運用益で事務費を賄えるという状態でございまして、このような資金的な余裕というのは今後当分の間続くというふうに予想されますので、それを踏まえまして当分の間同じような措置を続けさせていただきたいという趣旨でございます。
  140. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 改めて伺いますが、政府の保険に係る事務費を国庫負担とするかあるいは特別会計の中で持つようにするのか、その際の基準。今、積立金があるとかあるいは運用益で云々というお話が若干ございましたが、もう少し具体的に御説明いただけませんでしょうか。
  141. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) この事務費につきまして、保険料財源で賄うかどうかというところがポイントであろうかと思います。保険料財源で賄うといたしますと、まさに保険料、保険本体の設計にかかわることでございまして、いろいろな各方面からの慎重な検討が必要であるということで、そういったところにまだ踏み込めていないのが実情でございます。  ただ、そういう意味では若干便宜的という御批判を受けるかもしれませんけれども、自賠責と地震につきましては幸い運用益でもって本体事業に支障がないということでございますので、基本的な問題意識は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、現在はこの二つにつきまして事務費繰り入れを停止させていただきたいということでございます。
  142. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ということは、今回の特例措置というのはやむを得ざる措置なのか、本来あるべき姿を具体的に特例措置ということにしたと考えるべきなのか、いかがでしょうか。
  143. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) これはそれぞれの保険事業の性格、またそれの財政基盤の強弱によって違うのかと存じますが、臨調答申は、まずこれは保険料財源で賄われるべきものであると、こういう基本的認識に立って答申が行われているわけでございます。私どももその考え方に即しまして、それぞれの保険事業の事務費につきまして検討していただいているわけでございまして、本来であればそういう姿、すなわち事務費はそれぞれが自賄いをするというのが一つの基本的な方向であろうというふうに認識しておりますが、この自賠責につきましてもそうだということでもって、まだその本体の改正をしようというところまでは議論が済んでおらないという段階でございます。
  144. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 先般の大臣所信表明の中に、歳出の徹底した見直し、合理化への積極的な取り組みというくだりがございましたが、それと今回とは余り関係ないということでしょうか。
  145. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 予算を編成する場合に、歳出の徹底した合理化、見直しということとの兼ね合いでございますが、それとこの繰り入れの停止措置の継続というのが関係がないということもないかもしれませんが、それよりは、歳出の徹底した見直しという場合にはもう少しほかの、社会保障を含めました全体の一般歳出の世界でそれぞれ歳出の削減努力をしなければならない、またそれに最大限努力をした、こういうことだというふうに思っておりまして、この自賠責なり地震の事務費繰り入れ停止がそのあかしであるというふうには認識しておりません。
  146. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 特例措置を講ずるかどうかの判断として、財政基盤の強弱ということをおっしゃられましたけれども、例えば自賠責保険というのは、昭和五十七年以降料率の値上げを見てみますと、六十年に二九%という大幅な引き上げを行っているんです。そういうことが現在の収支安定に寄与していると判断できるわけでありますけれども、ほかの保険のこういう引き上げ状況がどうなっているのか。私は詳細に今調べてはおりませんけれども、ほかの保険が例えば料率などを据え置いたまま、自賠責は裕福であるから事務費は自分で持てということだと、結局取りやすいところから取る、その分一般会計負担を軽くする、こういうふうに見られてもいたし方がないんではないかと思うんです。  それからもう一つ、あるべき姿であるということを先ほどもちょっとおっしゃられたと思いますが、そうだとすれば、現在自動車なんというのは六千万台以上走っているわけでありますから、この事務費相当分というのは言ってみれば別の形の税制と考えてもいいくらいの適用範囲、広がりを持っていると思いますので、もう税制上の措置に切りかえるか、あるいは地震と自賠責に係る法律本体を変えるというのが筋道じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  147. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘のとおり、本体を含めて議論がなされて、その中で事務費財源手当てがどうあるべきかということが解決されていくというのが望ましいわけでございますが、残念ながらそこまで議論が詰まっていないというのが現状でございます。基本的問題意識と現実に解決されている事柄につきまして格差があるわけでございますが、そういう実情にあるということをぜひ御理解をいただきたいというふうに考えます。  それから、取りやすいところから取るということになるではないかということでございますが、御指摘はわからないではないのでございますけれども、やはり基本的には自賠いというものを今後ともあるべき姿として描きながら努力をさせていかせていただきたい。地震と自賠責につきましては、とにかく本体事業に御迷惑をかけず、また保険料率についてもその後は見直しをされて引き下げ等も行われているという努力も行われた上での話でもこれあり、全体として今回の措置の継続についてはぜひ御理解をいただきたいというふうに存じます。
  148. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 そういう努力の結果が健全な財政を維持しているとすれば、それに甘えて、「当分の間」というように決めるのは、私はいかがかなと思うんです。従来も適用期限を決めていたわけですから、今回も一年とか二年にするというのが本来の姿じゃないでしょうか。どうでしょうか。
  149. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 事務費が保険料財源で賄われるということがいつ実現できるのか、これはわかりませんけれども、やはりそういった問題意識を持っておりますので、それまでの間、この運用益で事務費が賄われる限り、物理的にそれが何年間ということはちょっと予想できませんけれども、私どもとしましては、現在の積立金からいってまさに当分の間は大丈夫であろうというふうに判断されますので、一年とか二年とか三年とかいうことではなくて、制度改正ができるまでの間、当分の間継続させていただきたいということでございます。
  150. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 それではほかの特別会計との関係でお尋ねいたします。  事務費一般会計から繰り入れている特別会計というのは今十五ございます。先ほど御紹介ありましたように、昭和五十六年の臨時行政調査会の答申の中では、医療・年金保険以外の公的保険に対する事務費国庫負担についても保険料財源への切りかえを図るとされております用地震と自動車に関しては保険料財源化が図られたわけですが、ほかの十五がそのまま置かれているのはなぜか。  余り抽象的でもわかりづらいので、農業共済再保険特別会計それから労働保険特別会計、これが今どういう状態になっているのか、なぜ事務費の保険料財源化が進められないのか、御説明いただきたいと思います。
  151. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 農業共済再保険特別会計事務費繰り入れが行われておりますが、これは自然の影響を受けまして作物が不作になったような場合に共済金が支払われるというものでございますけれども、いかんせん、この特会の経営基盤が弱い。農業者から掛金を集めまして、その掛金にも国庫補助をしてようやく本体が成り立つというような保険事業でございまして、残念ながら現行では掛金にまで国庫補助をせざるを得ないような状態でございますので、事務費について一般会計からの繰り入れをしないわけにはいかないという実情にあるということでございます。  それから、労働保険特別会計につきましても、事務費といたしまして五年度の場合八億五千万円が繰り入れられているわけでございますけれども、失業という保険事故に対して国もその責任の一端を担うという観点からこの事務費繰り入れが行われておるということでございます。  そういう事情でございまして、自賠責とは異なった扱いになっておるわけでございます。
  152. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大臣に所感をお尋ねしたいと思いますけれども、今回の地震、自賠責再保険に係る特例措置と、十五特別会計ではそういうことを行わないということでの整合性、あるいはこの十五特別会計の今後の保険料財源化についてどのようにお考えなのか。
  153. 林義郎

    国務大臣林義郎君) この問題につきましては、昭和五十六年の臨時行政調査会の答申で、「各種公的年金に対する事務費国庫負担の保険料財源への切り換を図る。医療・年金保険以外の公的保険に対する事務費国庫負担についても同様の観点から逐次改善を図る。」という旨の提言が行われておりまして、やはりだんだんと移していけ、そういった経費節減、経費というか、そんなことを改善していかなければならないんじゃないか、こういう方針がございましたものですから、そういった積立金から生じます費用が出てくる場合におきましては、事務費がもしもそれで負担をすることができるということがあり、また、それによりまして事業の運営上も差し支えないというふうに判断されましたときには、事務費繰り入れ停止ということの措置を逐次とっているというのが今までの考え方でございます。  したがいまして、先生御指摘のように、今までずっとお話しありましたように、なぜ二つだけやっているんだ、ほかの方はやっていないじゃないかという御指摘はあると思いますが、私は臨調の考え方からすれば、できるものからだんだんやっていくというふうな考え方でありますので、無理をしてというか、一生懸命努力をしてここはやっているものだろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  154. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 やはり考え方とか、納得性がないとせっかくいい保険をつくっても支持が得られないということも考えられますので、ぜひその間の整合性とかバランスについてお考えをいただきたいものだと思っております。  それから、補助金に関して一点だけお尋ねいたします。  本法律案でも公共事業に係る補助金の水準の整理をしているわけでありますけれども、整理をしているということであって、とても抜本的な改革とは言えないんではないか、そんなふうに受けとめております。今後、補助金について抜本的な見直しをやっていただきたいという意味意見を申し上げるわけでありますけれども、今後、補助金についての見直しを行う際、三つの点から御検討をいただいてはどうかと考えるわけです。  第一は、補助金は、もうすべてと言っていいと思いますが、期限つきにして定期的に見直す、いわゆるサンセット制度とするということが大事なんじゃないか。要すればまた延長するというくらいの補助金であるべしと考えるのが第一点です。  それから第二点は、補助金の地方一般財源化ということであります。例えば少額の補助金の廃止あるいは人件費補助の廃止、こういったものを進めて補助金制度を圧縮するということにお取り組みいただいてはいかがでしょうか。  それから第三点目は、普通建設事業費の補助金を国庫補助金の体系から外す、そしてこれを例えば第二交付税として地方に一括交付するというような視点から補助金の整理をされてはいかがでしょうか。  地方自治の確立が急務であるということを言われておりますけれども、この補助金行政の見直しというのは中央集権政治の見直しにもつながる大事なポイントであろうと考えるんですが、御所見を賜りたいと思います。
  155. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) まず第一点のサンセット方式でございますが、これは私どもも既にそういう考え方でやっておりまして、今は特に新規の補助金につきましては原則として五年以内の終期を定めるということでやっておりますし、既存のものにつきましても終期の設定に努めておる。今後ともそれはやってまいりたいというふうに考えております。  それから二点目の一般財源化。零細補助、人件費補助の関係でございますが、この一般財源化につきましてもここのところ毎年のようにやっておりまして、事務事業が地方に同化定着しておるということで毎年自治省との間でお話し合いをいたしまして一般財源化に努力してございます。それから零細補助につきましても、零細補助金の基準というものを設けてございますので、それの定期的な引き上げ等を図りまして、その趣旨で進めております。  それから最後に、第二交付税的なお話がございました。これはかねてから御議論のあるところでございまして、地方の自主性という観点からは魅力のある仕組みかとは存じますけれども、補助金というものはないのが正しいんだと言うわけにもまいりませんで、やはり補助事業としては補助事業のまさにプラスの機能というのがございますので、それを認める限りにおきまして、一括しまして第二交付税的に財源をぽんと渡すということになりますと、これはまさに補助事業のプラスの面が没却されてしまうという問題がございまして、なかなか第二交付税的な構想につきましては政府部内でも意見が合わないわけでございますけれども、そういったやはり補助金の特性も生かしながら今後ともやっていかなきゃいかぬ。  ただし、地方の自主性にも配慮しなきゃいけませんので、その辺のバランスは難しいわけでございますが、大ざっぱにといいますか、大胆に分けてしまうということではなくて、やはりもう少しきめ細かい取り扱いが必要なんであろうというふうに考えております。
  156. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 先ほど自賠責のことをお伺いしましたので、これと密接な関係にある任意自動車保険制度について若干お伺いをいたします。これは言うまでもなく大蔵省の管轄にある保険でございますので、関連するものと思われますので質問をいたします。  先般、自賠責は一三%引き下げられましたけれども、任意保険は逆に一〇・七%引き上げられることになりました。この任意保険の方は平成三年の七月にも料率改定が行われておりますので、この二年間で約五〇ポイント引き上げられたことになります。これはもう大変な引き上げ幅なわけであります。  いろいろ原因はあるんだと思いますが、大蔵省から見て、なぜ二年間で五〇ポイントも引き上げざるを得なかったのか、御説明いただきたいと思います。
  157. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 任意の自動車保険につきましては、損害保険協会におきまして中立的な料率算定機関であります自動車保険料率算定会が毎年検証を行っておりまして、事故率等の推移に基づいて適正な料率の設定に努めているところでございます。  今お話がございましたように、自動車保険につきましては、収支の悪化に伴いまして平成三年七月に保険料率の引き上げが行われたところでございます。  その後の推移を見ますと、先ほど自賠責保険の引き下げというような要因がございましたが、同じような理由で、対人賠償保険あるいは搭乗者傷害保険といった対人の保険につきましては損害率の良化が見られてまいりまして料率の引き下げが可能になってきたわけでございますが、車両保険とか対物賠償保険の損害率は依然として悪化というような傾向にあったわけでございます。  このような車両保険とか対物賠償保険の収支悪化の要因といたしましては、車両保険の事故率が上昇傾向にあること、あるいは支払い保険金の大宗を占めます修理費の高騰による平均支払い保険金の上昇、こういったものが要因だろうと考えられております。  このような状況の中で、損害保険業界では、樹脂バンパーの補修推進キャンペーンを行う等収支改善のための努力を行ってきたところでございますが、この自動車保険の収支状況が今申し上げましたように極めて厳しいところから、このたび、車両保険の免責金額の引き上げ等、修理費高騰に対応した料率制度の改定を行うとともに、保険料率の改定を行ったものでございます。  ちなみに、料率改定の状況は、先ほど先生からお話がございましたように、平成五年四月からの改定を予定しておりますが、自家用自動車で平均で一〇・七%の料率の引き上げになるわけでございますが、その内訳を見ますと、対人賠償につきましては一・五%の引き下げ、対物賠償につきましては一六・七%の引き上げ、搭乗者傷害につきましては八・七%の引き下げ、それから車両につきましては二一・四%の引き上げとなっておりまして、これと自賠責保険と組み合わせたところが実際の負担額になるわけでございますが、車両保険をつけないで対人、対物、搭乗者傷害まで合わせたところになりますと、自賠責保険が一三%下がっていますので合計で一・〇%の引き上げ、それから車両保険をつけますと合計で八・三%の引き上げ、こういうような料率改定になっているわけでございます。
  158. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 こうした大幅な保険料率の引き上げというのは、保険加入者に過度な経済的な負担を強いるだけではなく、急激な引き上げというのは、本当にそれが正しいのかどうかというような意味も含めて、保険制度に対する信頼感を失わせかねない大事な問題ではないかと私思うんです。  そういう意味では、今後保険制度に対する信頼性をさらに高める、あるいは保険本来の趣旨である低料金で必要なサービスが安定した状態で提供できるような制度として今後も充実させるという観点から、関係者の御努力を一層お願いしたいと思いますし、その一環として、大蔵省としても関係業界あるいはユーザー、団体と言っていいんでしょうかユーザー個人と言っていいのか、そういうところにも働きかけ、また低料金で必要なサービスが提供できるような仕組みを維持するために、関係者による定期的な協議の場を設けるということも考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  159. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 今先生から御指摘があった点は大変重要なことでございまして、実は先ほど御説明しました対人賠償等の対人関係につきましては、医療費の高騰を抑えるとか認定の適正化を行うとか種々の努力が行われてきまして、料率につきましても引き下げの方向でいろいろと改善が図られてきているわけでございます。  ただ、車両保険とか自動車そのものに係りますものにつきましては、今申し上げましたように修理費の上昇等の問題がございますものですから、こういった問題につきましては、先生の御指摘のように、自動車保険の国民生活に占めます重要性を考えますと、やはり損害保険業界初め自動車保険の関係業界の参加を得てこういった車両とか対物保険につきましての収支改善策について検討する場を設けられるのが望ましいわけでございまして、私どもとしましても現在そのような場が設けられるように努力をしているところでございます。  その結果として自動車保険の収支改善策についての検討の場が設けられますれば、関係者間においてこの問題について真剣な検討が行われることを期待したいと考えておる次第でございます。
  160. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 その関係者による協議の場というのはある程度定期的に行われると考えていいのか。それから、今の御説明の中には関係業界ということがあったんですが、やはり保険に加入している人も大事にしてもらいたいと思うんです。そういう意味では保険加入者の代表とかそういう団体も加えた場にしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  161. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 具体的な検討の場のあり方につきましては、今、関係業界及び関係者にいろいろと検討を依頼しているところでございまして、私どもとしては、何らかの形でそういった今先生から御指摘のあったような関係者の参加を得た検討の場が設けられて、その場におきまして真剣な検討が行われることを期待したいと思っている次第でございます。
  162. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 保険というのは一度払ってしまいますとどう使われているかというのは余り気にされていない方が多いと思うんですが、そういう状態を放置しておきますと、どんどん保険料率を上げざるを得ないという状況が生じると思いますので、どこが悪いとかだれが努力不足だとか、そういうところに原因を求めないで、関係者がそれぞれ負担し合うとか痛みを分け合うという中で保険制度本来の機能が発揮できるように御努力をぜひお願いしたいと思います。  それに関連して若干御意見を伺いますけれども、それは保険にも競争原理の導入をぜひ進めていただきたい。今も部分的にあるわけでありますけれども、昨年六月に出されました保険審議会の答申によれば、やはり競争原理の導入を提起しております。各社の経営効率等の差異が料率に反映され、各社ごとにいろんな保険商品が開発され、料率、商品、両面で選択肢が広がるという状況をつくることは国民も望んでいるところであるというように私は判断いたしております。  純保険料、付加保険料を含め、保険料率を一括して料率算定団体が算出する、そしてそれを認可申請するという現在の制度も少々見直す必要があるんじゃないかというようなことも、その必要性を感じております。  大蔵省はこの競争原理の導入ということについてどのようにお考えになっておりましょうか。
  163. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) おっしゃるとおり、保険市場におきまして競争原理の導入というのは重要なことでございまして、安定的な保険の供給というようなことと相まって、競争原理が働いていくということが重要だと思っております。  お話しのように、昨年六月に出ました保険審議会の答申におきましては、そういった趣旨で損害保険料率につきましても、現在の損害保険料率算定会法にありますように、料率すべてにつきまして遵守義務を課すということでなくて、保険契約者の保護に欠けない、そういった十分手当てができるような保険種目につきましては、徐々に付加料率につきましてアドバイザリーレートみたいなものを導入していくとか、そういった形で競争原理の導入を試みていくようにというような趣旨の御答申をいただいておりまして、現在私どもはその答申の法制化に向けまして鋭意検討を行っているところでございます。先生から御指摘のあった点も踏まえながら、さらにこの制度の改善に努めてまいりたいと思っております。
  164. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大臣一つお伺いいたします。  一月二十九日の衆議院予算委員会で、民社党の米沢書記長が大臣質問をいたしました。これは行財政改革と財源問題の関係でございますが、その質問に対して大臣は、行革と財源問題は別の話だという御答弁をされております。  私どもは、行財政改革で国が自由に使えるお金が少しでもふえれば景気対策にも回すことができるし、いろんな使い方もできるんではないかという観点から従来より行政改革を進めてもらいたいということを主張しているわけで、ちょっと大臣のお答えには違和感を感じているわけでございます。  先日、米国のクリントン政権が、ホワイトハウスや行政府の人員削減あるいは経費節減などで四年間で三千二百五十億ドルの財政赤字削減を打ち出しているわけでありますけれども、私もぜひ大臣には、何年間で幾ら削減するぞというような具体的な目標を掲げて行財政改革の促進について側面的な強い役割を果たしていただきたいものだと考えているわけでありますけれども、行財政改革と財政展望について、国民がわかるように御説明いただきたいと思います。
  165. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 民社党の米沢書記長の御質問予算委員会でございまして、そのとき私も御答弁したことは記憶しております。  実は、御質問がありましたのは、四兆何千億円の赤字国債を出すかわりに行財政改革云々というようなお話がありましたものですから、いきなり言われてもすぐに四兆何千億の行財政はというような頭が私もあったものですから、行政改革と財政の話というのはすぐになかなか結びつかないんじゃないかなと、こういうことを私は申し上げたつもりでございまして、行政改革は常にやっていかなくちゃなりませんし、またいろんな経費の節減という形で行政改革はやっていかなければならない。これはもう当然のことだ、こう思っています。不要なものは切っていかなければならない。それには財政の削減も必要でありますし、行政の整理も必要であろう、こういうふうに私も考えているところでございます。  ただ、いきなりぱっと言われて、できなかったということで、私の方で舌足らずの点があったと思いますから、その点は御容赦いただきたいと思いますし、また先生から米沢さんによろしくお伝えのほどをお願い申し上げたいと思います。
  166. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ありがとうございました。終わります。
  167. 野末陳平

    委員長野末陳平君) この際、午後四時十分まで休憩いたします。    午後三時五十四分休憩      ――――◇―――――    午後四時十五分開会
  168. 野末陳平

    委員長野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案及び平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案の両案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  169. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 最初に、承継債務償還特例法案について一、二問行わせていただきます。  平成年度財政のつじつま合わせという点からは償還延期ということが必要だということかもしれませんが、将来に償還延期することは、それに伴う利子負担の増加という新たな問題が出てまいります。今回、六千九百八十三億円の償還延期を行いますし、昨年の補正でも約五千六百億円の償還延期を行っています。この延期後の償還計画は、五年据え置きの十年返済ということですが、これによる利子の負担増はどれぐらいになりますか。
  170. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 五年据え置き後五年で均等償還、全体で十年ということで計算をいたしますと、四年度分が約三千百億円、それから五年度分が約三千九百億円でございます。
  171. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 つじつま合わせということはやれても、合わせますと新しく約七千億円ですか、補正予算と合わせて一兆二千六百億円の償還延期に伴う新たな負担が七千億円ということになるということは、これはやむを得ないということで済ますわけにはいかない問題があるというふうに思います。  しかし、私は時間の関係でこの問題に時間をとるわけにいきませんので、補助金整理恒久化法案に関連して質問を行わせていただきます。  まず、きょうも地方分権の問題がここでいろいろ議論になりました。私は、地方分権と言うなら、その中身は地方自治体の財政自主権を拡大するということでなければならない、地方分権の名で地方負担を転嫁するとか、あるいは国のやるべき責任を放棄するということであってはならないと思います。そういう点で、本法案の中で論議されてきましたが、地方分権と言いながら実際はあってはならない国の負担地方に転嫁する、あるいは仕事を地方に押しつけるということになっているという気がいたします。  まず恒久化という問題ですが、恒久化と言っていますけれども、これは国の財政危機を理由にして最初は一年限りということで始まり、その後何回かの暫定措置をとってきた地方公共団体に対する補助金の削減、それを恒久化するというものであって、何か新しく制度が確立するというよりは補助金カットの恒久化ということに内容的にはなっています。経過的にもそうなっていると思います。  今回の恒久化というのは、そういうわけで発足する前の昭和五十九年度の水準と比較すれば増加する地方負担額は六千九百億円になる。これは大蔵省の資料でもそうなっているわけです。つまりそれだけ負担がふえる、それを恒久化するということになると思います。  地方団体の財政運営に支障のないように財源措置をとるということになり、そのための臨時の特例措置、激変緩和措置といわれるものが提案されてもいるわけですが、その激変緩和措置の中で国が直接に負担する部分はどれだけありますか。
  172. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 補助負担率の恒久化に伴いましてとられます暫定的な地方財政措置ということで、今御指摘のございましたように五十九年度の水準と比べまして影響が出てまいります約六千九百億円、これにつきましては暫定的に公共事業等臨時特例債という地方債を発行していただく。その特例債の元利償還に要する費用は全額それぞれの年度におきまして地方団体の基準財政需要額に歳入をする。三番目に、国が出てまいりますけれども、その特例債の利払いに要する費用の十分の九に相当する金額。その趣旨は、交付税交付団体に対する利払いに要する額は全額国が持つということでございますが、これは後年度におきまして地方交付税特例措置といたしまして国の一般会計から交付税特別会計繰り入れをするという形で国がかかわってまいるということになっております。
  173. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 その額は幾らになりますか。
  174. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) これはこれからの公共事業の額等がどうなってくるかによって変動してまいりますので、今その額について申し上げることはできません。
  175. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 概算でもできるわけでしょう、六千九百億円というもとがあるわけですから。利子を掛ければ計算できるはずですが。
  176. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 平成年度につきましてはこの臨時特例債は年度末に発行されるために利子の問題が発生しないわけですが、六年度以降につきましては、五年度の実績を踏まえまして、今申し上げました利払い費の十分の九という金額を国の方で考えていくということになりますので、まだ現時点では六年度以降の負担額について数字はお示しできません。
  177. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 どういうわけでおっしゃらないのかわかりませんが、事務当局の人の計算では、利子を〇・〇五として〇・九掛けると三百十億円だという説明を聞きました。ですから、六千九百億円の影響が出る、それについて今説明があった措置がとられるわけではありますが、その中で国が直接に負担するのはこの三百十億円だというふうに私はとらせていただきます。  臨時特例措置が終わった後、つまり成立したとして、今議案になっている法案に沿って補助金制度が適用されるというようになった場合、将来、その場合の国の負担、今言ったような意味の国の負担というのは残るのか残らないのか。私の考えるところでは、この法案が成立した場合には国の事情で補助金を減らしたという状況ではなくなるわけですから、そういうことに伴う国の負担というものも当然なくなるんじゃないかと思いますけれども、その点はっきりしてください。
  178. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 先ほど申し上げました公共事業等臨時特例債という名前の特例債をいつまで発行するかにつきましては、今現在具体的に決めておりません。それは状況を見ながら、本来の姿に戻ってもいいという段階ではそういうものはなくなってくるというふうにしか申し上げようがございません。  いずれにしましても、当分出すことになるであろう公共事業等臨時特例債の元利償還、それは基準財政需要額に算入するということでございますので、ほかのものと合わせまして将来各年度におきまして基準財政需要額全体で幾らになるかという計算をいたしまして、一方、基準財政収入と見比べて各年度所要地方財政措置というものの内容が決まってくるわけでございまして、そういった各年度の作業の中におきまして、地方財政が円滑にいくように各年度年度検討して適切な措置を講じていきたいということでございます。
  179. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 そういうふうに難解なる答弁をなさるわけですけれども、国の補助の削減に伴う臨時措置で行われたような意味での国の負担ですね、これが続くのか続かないのかということで、端的にお答えください。
  180. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) この恒久化ということでございますので、それがずっと補助率のカット、国がお願いしてカットした、よって国が持つという、そういった性格の特別の措置というものは将来にわたっては考えておりません。公共事業等臨時特例債というのはあくまでも激変緩和的な措置であるということでございまして、補助率を引き下げたという前提での措置ではございません。  確かに、経緯的には六十年度以降、補助率の暫定的な引き下げ、またその後引き上げというようなことで今日に至っているわけでございますが、今回はそれらの経緯を踏まえながらこれから先どうあるべきかということを議論いたしまして、直轄は三分の二を基本とし、補助は二分の一を基本とするというのが簡素化の観点からもよろしいということでございまして、そういうことでやらせていただこうとしているわけでございますので、補助率の引き下げというような問題意識に立って措置を考えているわけではございません。
  181. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 いずれにしましても、平成年度では六千九百億円の影響を受ける、そういう補助金の削減が行われ、それが恒久化するということになるわけです。  問題は、この法案が、衆議院段階の速記録を私、読ませていただきますと、竹島次長の説明では、これは国が一方的に出したものではなく、国、地方、双方合意の法案だという説明が行われております。国の補助金がそんなに恒久化という名前で減らされるということに地方公共団体が本当に積極的に賛成しているのかどうなのか。責任持って国、地方双方の提案の法案だというふうに言えますか。
  182. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今回の恒久化の中身といたしましては、補助だけじゃなくて直轄事業についてもございまして、直轄事業負担金と補助事業の補助率とそれぞれ見直しております。直轄は上げ、補助は下がるというような関係でございますが、全体として見ますと、国と地方財政負担は現在と変わらないということでございまして、地方に今回の特例措置がさらに何か従来とは上回って負担を求めるというようなものではないわけでございます。  いずれにしましても、国と地方の補助金、負担金をめぐる暫定的な関係というのはなるべく早く安定化した方がよろしい、その内容は簡素化、体系化ということであるということにつきましては、国も地方も同じ問題意識に立っておりまして、そこはよく協議を重ねまして、地方の御意見も踏まえて直轄事業維持管理費負担率につきましても見直しをしておりますが、そういうものをセットにいたしまして、地方の御理解を得てこういった案が政府としてまとまったわけでございまして、国が一方的にこの法律をお願い申し上げるということではございません。関係者の御了解を得ておるわけでございます。
  183. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 了解を得たということと、私はニュアンスとして国、地方合意で提案したものだということは若干ニュアンスが違うと思います。  それは置きまして、私は、地方がどういうわけでそれに合意したか、あるいは了解したかということについてやはりここではっきりしておいてもらいたい問題があるわけです。実は国の補助金が六千九百億円も影響が出るというほど削減されるわけですから、地方公共団体はどういうふうにこれを受け取っているだろうかということで、私は幾つかの地方へ出かけて直接いろいろ話聞いてみました。そして、ある知事さんにも会って聞きました。知事さんと言っても決して革新系の知事さんじゃない。沖縄までは行きませんでしたから、今ほとんどおりませんから。  しかし、その知事さんの話でも、結局国が補助金にかわる国の負担を将来とも続けてくれるということだから安心していると。担当者に至っては、国の負担が補助金から別の交付税にかわるだろう、だからむしろそれは一般財源化するからいいんだというような話もありました。私は午前からの論議を聞いておりまして、将来の問題で公明党さんの質問に対して、一般財源化しないんだ、本法案になればそれは当然国が賄うべきものだという答弁でございまして、やはり地方はそういう今の答弁のようにはっきりしたものとして合意しているのではないと私は思うんです。  そういう点で、例えばその証拠として地方で持ち出された問題の一つに、林大蔵大臣も署名しておられる七大臣の覚書というのも出てくるわけです。この七大臣の覚書の中で、一項目に本法案の趣旨が書かれ、二項で「補助率等の恒久化に伴う地方公共団体の負担については、事業の円滑な執行に支障を生ずることのないよう、適切な地方財政措置を講ずることとする。」と、こういうふうに書いてある。だから、将来とも適切な地方財政措置をとってもらえるから大丈夫だというふうに言われるわけです。  この覚書で言う「適切な地方財政措置」というのは、将来にわたっての措置のことなのか、平成年度にも提起されているような臨時特例措置のことなのか、こういう点をきちっとしておかなくちゃ将来混乱を生むと思いますので、お答え願いたいと思います。
  184. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘大臣間覚書にあります二項は、平成年度の、今回お願い申し上げております補助率等の恒久化に伴う地方公共団体の負担について、適切な地方財政措置を講ずるということでございますので、これは五年度につきましては具体的に公共事業等臨時特例債というのを発行いたしまして四年度までとの連続性を保つような措置を講じております。  そういう意味で、きちんと具体的な内容をお示ししておりますが、それ以降の、六年度に急に変わるということを申し上げるわけではございませんが、遠い将来におきましてどういうふうになるか。いずれにしましても、これは一般論にならざるを得なくて、こういった公共事業の補助の裏負担を含めまして、もろもろの財政事情に対して地方財政がちゃんと回るようにどうするかという問題になってくると思いますので、それはその都度具体的な答えを出していかなきゃいかぬ。いずれにしても、地方財政公共事業を含めて円滑に回らないということではこれはいけないわけでございますので、適切な地方財政措置というのは絶えず講じていかなきゃいかぬし、その意味では地方には御信頼をいただかなければならないというふうに考えております。
  185. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 「適切な措置」ということではなくて、極めて具体的な、国がどれだけ負担してくれるか、それは名目が変わろうと将来とも安心できるというのが地方での、すべてがそうとは言いませんけれども、多くの人から私はそういうことを聞きました。  先ほども言いましたけれども、補助金が減るのに対しての一般財源化はしないという答弁もあり、それだけじゃなくて、地方財源で賄われるべきだという答弁だったと思いますね。私も同じ主張をしようと思っていたら、さっき質問があってその答弁が出た。これは法律の建前から言えば当然そうなるだろうと思います。しかし、そうは地方がとってないんですよね。とってないところに私は問題があると思います。  それで、将来とも安心だというので、ある県の財政担当官が持ち出して読み上げてくれた論文があるんです。これは北陸のある県です。私、直接行っていろいろ話を聞いたときに、自治省の幹部が書かれた「地方財政」の二月号に出ている論文ですが、当面の臨時措置のことを書いた後に、将来の問題についてはこう書かれているんですよ。「将来的には安定的な恒久措置への移行が検討されるべきものである」と書いているわけです。  その担当者は、「安定的な恒久措置」ということは、当然補助金にかわって地方交付税で見てくれるということだ、そういうことをちゃんと論文で出ているから、我々は将来ともこの点で安心している、「適切な措置」で安心じゃなくて、こういうふうに「安定的な恒久措置」ということを言われているから安心だと、こういうふうに言っているわけです。  そうすると、これは、ある県の財政の担当者は、補助金にかわって交付税で見てもらえると自治省の幹部が書いている、だから安心だと言う。それが先ほどの竹島次長の答弁だと恐らく幻想を持たせることになる。やっぱりそこは将来混乱がないためには、議論はいろいろあるかもしれませんけれども、事実に即してきちっとしておかなくちゃならないと私は思うんです。これはどなたに答弁求めたらいいのかわかりませんけれども。
  186. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) 自治省の担当者の論文でございますので私の方からお答えいたしておきますが、私、その論文ちょっと今読んでないんですけれども、「将来的には安定的な恒久措置への移行」をするということは、今回の恒久化ということは、これは本来ならば公共事業の裏の地方負担でございますけれども、今回恒久化されました部分を含めて通常の財源措置、通常の財源措置と申しますのは地方債で一部をするもの、そして残りは一般財源部分を交付税の基準財政需要額に算入をして措置していく、こういうことになっているわけでございます。そういう従来からの負担部分と区分をしない措置に将来は移行していくものだと。したがって、その部分には通常の地方債及び通常の一般財源たる交付税措置が講じられていく、そういう性格のものだということを恐らくその筆者はそこで説明をしたものと考えているわけでございます。  ただ、先ほども御指摘ございましたように、今までの措置が、御承知のように暫定措置に係る地方負担額につきましてはその全額を臨時財政特例債という特別な起債で認めて、その元利償還金の元利償還金ベースで交付税の基準財政需要額に算入してまいったものでございますから、それを急にいきなり通常のものにかえていきますと、いろいろ地方の個々の団体の対応に困惑があるだろうということで、今年度は激変緩和措置として公共事業等臨時特例債というのを全額認め、その総額全体について基準財政需要額に算入していく、こういう措置平成年度はとったと、そういうことでございます。
  187. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 そのことを書いた後で、「将来は」云々と書いてあるわけです。  それで、私も地方財政法の専門家でありませんから、あなたのとり方では少し希望的観測にすぎないかということを問いただしましたら、地方財政担当者は、「安定的な恒久措置」ということを言われれば、それはもう交付税で見るという、今の暫定措置のときとられていることと同じことだととるのが当たり前です、僕の方が疑ってとり過ぎていると、そういって言っていましたよ。ですから、そこはあいまいさが残らないようにこういうときはしなくちゃいかぬと思うんです。  大蔵省の方から、ここらはそうとられていいかどうか、恐らく困るということだと思いますけれども。
  188. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 将来の元利償還費を基準財政需要額に算入するということは、それは算入されれば交付税で手当てされるということとイコールでございます。ですから、個別の団体にとってはその分は交付税が行くということでございますが、その話と、そういうことをやっていって、じゃ国全体としての交付税額はどうなるんだ、その分別枠で来るのかということになりますと、それは全く別問題でございまして、私どもはそういう別枠で交付税総額をこの関係で変えるということは考えておりません。  それはまさに別な次元の話でございますので、ひょっとして、その地方の方はどちらを意味して言っておられるのかわかりませんけれども、基準財政需要額にはきちんといたしますので、個別の地方公共団体が公共事業をやっていかれるに当たって心配のないようにいたしておりますということでございます。
  189. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 議論は別として、事実関係はきちっとしておかなくちゃいかぬというので、今きちっと明確にしていただいたと思っております。  それで、私は最初言いましたように、地方が全部合意してくれているというのには、そういう認識での合意があって、まことにこれは遺憾な事態が現に生じているという気がしているわけです。そして、さっき言いました知事も、国の負担が減るようなことになればそれは大変だと。これはそう遠くない地方の知事ですけれども、言っておりました。  なぜそういうふうに言うかというと、やはりこの九年続いた補助金のカット、削減というのは、地方財政に大きいいろいろな形でのしわ寄せをもたらしているからです。例えば地方債ですが、地方債についてお答え願いますが、警戒ラインと言われる一五%以上、それから危険ラインと言われる二〇%以上に達している地方自治体、どれぐらいありますか。
  190. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) お尋ねは恐らく公債費負担比率のことかと思います。  公債費負担比率の二〇%以上となっております団体は、昭和六十一年度の千八十二団体をピークに年々減少してきておりまして、最近の五年間の推移を見ますと、昭和六十二年度で九百六十九団体、昭和六十三年度で六百七十二団体、平成年度で四百三十七団体、二年度で三百十二団体、三年度で二百八十一団体となっているところでございます。  それから、一五%以上の団体数は、やはり昭和六十一年度の二千三十二団体をピークに年々減少してきておりまして、最近五年間の推移は、六十二年度で千八百九十三団体、六十三年度で千六百五十五団体、平成年度で千四百四団体、二年度で千二百三十二団体、そして三年度で千百六十一団体というようになっております。  ただ、この公債費負担比率でございますが、これはかつての昭和四十年代の後半と比べますと、やはり相当まだ高い比率であることには間違いございません。
  191. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 その高いときに比べて減っているから大丈夫だという認識だとすると、私は大変だと思います。  同時に、この八五年以来のカット措置地方財政に与えている影響のもう一つの問題として、国と地方負担割合がいろいろな面で変わってきている。児童保護負担金、老人保護負担金、生活保護費、この点を中心に八四年と九三年の対比で国と地方負担がどうなっているか、報告してもらいます。
  192. 大田晋

    説明員(大田晋君) ただいまのお尋ねにつきましては、身障、老人、児童保護、それぞれの措置につきまして、一九八四年度負担割合は国十分の八、地方十分の二でございました。今年度、一九九三年度負担割合は、国二分の一、地方二分の一ということになっております。
  193. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 そのように減っているわけです。地方の比率がふえているわけです。  もう一つ、時間が近づいていますけれども、地方負担だけじゃなくて地方住民の負担も大きくなっている、そういうふうに私は思います。そういう点で、老人福祉施設、身体障害者更生援護施設での総事業費に占める国の負担地方負担、利用者負担負担割合はどう変わったかということを、これも八四年と九三年の比較で報告してもらいたいと思います。
  194. 大田晋

    説明員(大田晋君) 最初に、老人関係でございますが、老人福祉施設の負担割合でございますが、一九八四年度でございます、国庫負担が七五・三%、地方負担が一八・八%、利用者負担が五・九%でございました。一九九三年度の場合は、国庫負担四二・九%、地方負担四二・九%、利用者負担一四・二%となっております。  他方、身体障害者の更生援護施設の場合は少し違っております。一九八四年度、この時点では本人負担費用徴収制度はございませんでした。したがいまして、一九八四年度時点では、国庫負担八〇%、地方負担二〇%でございました。他方、今年度、一九九三年度の場合は、国庫負担四六・〇五%、地方負担四六・〇五%、利用者負担七・九%でございます。
  195. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 このように、補助金のカットというのが地方負担をふやし、さらに住民、国民負担をふやしているということは、数字の上ではっきりしているわけですね。  それに加えて、今回それが恒久化するということですから、それに地方がもろ手を挙げて賛成しているというのは、それは地方の正確なこの法案に対する認識が欠けたままそうなっているのではないかというふうに私は思います。  もう一問、大蔵省にお伺いしますが、新聞報道によると、予算編成に当たって、市町村の小中学校の教職員の人件費、公立保育所の人件費などの全額地方負担検討しているということでした。ことしの予算には消えておりますが、こういう考え方というのは今もお持ちであって、また登場してくるか、もうこういうことは考えないということなのか、お答え願います。
  196. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 義務教育費国庫負担制度の中身につきましては、これは累次の臨調、行革審の答申で指摘されていることでございますので、今後ともその制度の沿革とか趣旨を踏まえつつ国と地方費用負担のあり方につきまして引き続き見直しの作業を進めていかなければならないと考えております。  ただ、具体的にそのうちのどれをどうするかということは今申し上げる段階にはございません。このことはほかの公立保育所等につきましても同じでございますけれども、一般論としてでございますが、やはり見直しは引き続きやっていかなきゃならないというふうに考えております。
  197. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 もう一問、最後に。大臣一つもあれじゃぐあいが悪いわけですから。  今言いましたように、やはり補助金カットが地方に非常に大きい影響を与えているということは、これは事実が示しているわけで、今後、この恒久化に伴う措置について中身をいろいろ論議する時間ありませんでしたけれども、地方分権と言うなら、財源保障抜きの、財源のない地方分権というのは私はないと思います。そういう点で、最後に大臣にその点でのお考えを伺いたい。
  198. 林義郎

    国務大臣林義郎君) いろいろとお話を聞いておりまして、地方自治ということをやっていくためには、やはり地方相当な金が要ることもこれは事実である。いろいろの地方行政というのをやっていく上におきまして、金がなかったらできないわけでありますから、それをどうしていくかというのはやっぱり考えていかなければならない。補助金の適正化を図っていくことであるとか、あるいは交付税であるとか、いろいろなことが私はあるだろうと思います。まさに公経済をどうしていくかということで考えていかなければなりませんし、その中で簡素明瞭な格好の線引きもしていくことが必要であろうと思います。  また、それぞれ今お話がありました学校の教職員の給与の話であるとかあるいは保育所の話であるとかいろいろな問題がありますけれども、そういった点も単に地方に押しつけたらいいという話ではないと思いますし、まさに公経済の両輪としていろんなことを考えていくといったことが私たちに与えられたところの役割だろうと思っています。さらにいろんな点で検討を進めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  199. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 終わります。
  200. 池田治

    ○池田治君 午前中の本岡議員質問に関連しまして、私も通告はしておりませんが、金丸問題を最初に質問させていただきます。  金丸さんが、公共工事の請負会社であるゼネコンや生コン会社等から請負金額の何%かの上納金を取っていたと、こういう報道でございます。この報道につきましては、午前中、事実だとすれば大変なことだということで大蔵大臣は遺憾の意を表されました。まことに当然なことであろうと思っておりますが、これにつきまして、こういう事実が再び発生しないということのために何か予算編成上も事務当局でもお考えがあろうかと思いますが、主計局、これについてはどう思われますか。
  201. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 公共事業関係につきましては、適正な入札等が当然必要なわけでございますが、これは会計法令に基づいた施行ということに尽きるわけでございます。  具体的には、そういうことで発注価格の適正さの確保のための労務費、原材料費等の実態調査というようなことも行われておりますが、何よりも、結局は予決令を含めました会計法規に基づいた厳正な執行ということではないか。そういうことで不十分な点があれば、これは審議会の答申もございますので、入札制度の中身につきまして、指定入札制度の十分の発揮のためにどうすればいいのかといったような点についても工夫をしながら進めていかなければならない、かように考えております。
  202. 池田治

    ○池田治君 入札制度そのものにつきましては、法規で定められておるとおりにやっていかれることは当然なことでございます。私がお尋ねしているのは制度そのものではございません、予算づけについてお尋ねをしたいと思っておるわけです。  これにつきまして、金丸氏の個人蓄財の原資の一部、または大部分が公共工事の請負代金の何%かを上納させたことにあるとすれば、これは大変な問題でございます。十五兆円の公共工事だとして、三%上前をはねれば四千五百億円というむだ金が使われることになります。これは消費税と同じような三%という数字でありますが、裏の消費税、表の消費税と庶民は言っております。こんな裏の消費税を認めたのでは、幾ら国民が血税を払っても足りないことになりますので、この点について厳しく大蔵当局としては審査をしていただきたい、こう私は切望をしている次第でございます。  これについて大蔵大臣はいかがお考えですか。
  203. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 表の消費税、裏の消費税というお話がありましたが、私も初めて聞かせていただきました。  新聞等の報道でございますから、私がその問題についてコメントをすることはあえてないと思いますし、今その辺につきましては司法当局において捜査が行われているところでございますから、その捜査の結果を待たなければならない、こう思っておるところでございます。  その問題についての私は答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、公共事業予算につきましては、事業官庁から事業費の見積もり等が出てまいりますし、その必要性その他につきまして、どのくらい実施することが適当かについて全体の事業費を決定をしておるところでありまして、公共事業費の発注価格についてはどうだということになりましたならば、先ほどからお話を申し上げていますように、会計法令により取引の実態価格に基づいて適正価格を定めることということになっておるところでございます。  その場合におきまして、労務費とか原材料費等につきまして実態調査に基づいた適正な単価査定を行った上でやっているところでございまして、いやしくも、そんなものが三%とか何とかというものを加算してやっているというようなことは、これは常識的に考えてもそんな予算がないことは明らかなことだろうというふうに御理解をいただきたいと思います。
  204. 池田治

    ○池田治君 大臣のようなお人柄のいい人はそのようにお考えでございましょうけれども、今新聞の報道するところによりますと、必ずしも大臣のような御説明では国民は納得しないんじゃないかと私は思っております。私も納得できません。  そこで、事実としては、金丸さんが何百億かの個人資産を蓄えられたということも事実でございますし、今問題になっているワリショー、ワリコーの問題でも、六十数億か七十億あるというのも事実でございまして、この問題は、この原資を今一生懸命検察当局はたぐっておりますが、やはり公共事業をめぐる入札制度の問題に起因していると、こういうことも新聞ででかでかと報道されております。事実、ゼネコンも二十数社調べられておりますし、山梨の生コンの方も相当調べられておるようでございまして、事実は明らかになってくることと思います。  もしこれらのことが事実だとすれば、この原資はどこから出てきたんだろうかということを考えますと、まず、請負代金の中から工事会社が手抜き工事をやってそれで原資を生み出した、これも一つ考えられます。一つは工事会社の利益の一部を上納した、こういうことも考えられます。しかし、工事手抜きにつきましては、厳しい検査もありますし、会計検査院の検査もございまして、なかなか手抜きということはできないだろう、こういうことが予想されます。そしてまた、利益の一部といいますが、一部は確かにあるかもしれませんが、公共工事を請け負って倒産したという会社も聞きませんし、ゼネコンもそのために赤字経営に転落したということも聞きません。ますます公共工事にはお互いが競り合って参加しているというのが実情である、こう思います。  そうすれば、何で公共事業に殺到してくるかといえば、建設省における工事の見積もり、積算基準、こういうものが甘い、もうけが出るように積算してある。それを大蔵主計局はうのみにしてそのまま予算づけをやるから、そこに問題があるんじゃないか、こう考えますが、主計局、どう考えますか。
  205. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 先ほどの大臣の御答弁にもありましたように、見積もりに当たりましては、実態調査等をいたしまして適正な見積もりに努めているわけでございますが、あとはまさに入札でございますので、そこが適正に行われるかどうかというのがポイントではないかと思います。  国の公共事業はいつもそういうことで、何か民間の注文に比べまして積算が甘いというようなことではなくて、私の聞きましたところでは、かつては好景気のときには公共事業の消化がなかなかうまくいかなかったということがありました。それは民間の方がより魅力があるということが大きな原因だったという、そういう時期もあったわけでございます。  いずれにしましても、予算に当たっての事業費の見積もりというのは、きちんとしたデータを踏まえて最大限の正確さを期しているということでございますので、やはり実行の問題であろうかと思います。
  206. 池田治

    ○池田治君 入札制度につきましても厳正にお願いすると同時に、建設省から上がってくる見積もり、積算基準、こういうものをもうちょっと大蔵当局でも厳しく見て査定をしていただきたい、これを要望しておきます。  次に、一般会計承継債務等償還特例の中には日本国有鉄道清算事業団の債務関係しておりますので、清算事業団のことについて若干お尋ねいたします。  今回の法案は、一般会計が国鉄清算事業団から承継した債務の繰り延べでありますが、清算事業団自体の長期債務もかなり重要な問題であります。事業団の長期債務につきましては、毎年提出される大蔵省予算委員会提出資料のうち、「今後処理を要する措置」というものではずっと毎年二十六兆円とされてきております。しかし、二十六兆円については、厳密には事業団が昭和六十二年に旧国鉄から引き継いだ長期債務は二十五兆五千億だったのが、平成年度には二十六兆四千億と九千億も増加していることが総務庁の行政監察で明らかになっております。  平成年度末の残高見込みは先日提出されましたが、「今後処理を要する措置」というもので二十六兆円とまたされております。この数字はちっとも変わりません。もっと正確に言うと、残高は二十六兆四千億からさらに増加するのではないかと思われます。過去には二十七兆のときもあったということで、ちょっとその数字だけでは信用しがたいんですが、これは大蔵ですか、それとも運輸ですか、まずお答え願えませんか。
  207. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) 清算事業団の長期債務でございますけれども、昭和六十二年度、国鉄改革のときに引き継ぎましたものが全体で二十五・五兆円でございます。それが平成年度首には、そこの間までに増加をいたしまして二十七・一兆円まで参りました。平成年度首でございますが、ここで二十六・二兆円に減りましたが、残念ながら平成年度首には二十六・四兆円になったところでございます。  我々といたしましては、この償還というのは国鉄改革の総仕上げという意味で非常に重要な問題だと思っておりまして、現在、不動産や株式をめぐる環境は大変厳しい中ではありますけれども、全力を挙げて土地、それから株についてはまだ残念ながら今年度は売却できませんでしたが、売却の準備を進めている。土地についてはいろいろと制度改正をして、それを活用しまして売却を進めているということでございます。
  208. 池田治

    ○池田治君 株については後でお聞きします。  二十七兆になったり二十六兆になったりするのは、この増減しているのは何が原因でございますか。
  209. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) それは年間に発生いたします利子と比べましてそのときに入りました収入がどうか、より多いかより少ないかということが効きましてふえたり減ったりしておるところでございます。
  210. 池田治

    ○池田治君 二十五兆五千億という昭和六十二年度債務額でございますが、このときには土地の処分で七兆七千億、株式売却で一兆二千億、新幹線保有機構の現在の鉄道整備基金からの収入で二兆九千億、残りの十三兆八千億はこれはいずれ国民負担、いわゆる税の中から大蔵省に面倒見てもらおうという考えであったと認識しております。  この土地について、バブルの時代には清算事業団が持っておって売りたかったんだろうと思いますけれども、大都市圏に集中している土地ということもあって、土地の値上がりになるのではないかということで売却を遠慮された。そうこうしているうちに、バブル経済が崩壊しまして土地の売買がなかなか難しくなった。一部、地方公共団体が引き受けておるようでございますが、一般にはなかなか土地の売買が思うように売れない、こういう事実になってきたのではないかと思いますが、今後七兆七千億という土地売却代金は確保できるとお考えになっているのか、また清算事業団の持つ土地の売却の方針はどういう方針であるか、お知らせいただけませんか。
  211. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) 今先生御指摘ございましたように、六十二年度におきまして精算事業団の土地については七・七兆円ぐらいであろうという評価をされておったところでございます。これがその後土地の値段が上がりまして、平成年度首にはそれまでに売却したものを除きまして約十五兆円ぐらいあるんではないかということを我々算定しておりました。それから四年度首にはこれがまた少し減ってきまして十二兆円ぐらいということになっております。  大都市圏のことを先生おっしゃいましたけれども、六十二年度の国鉄改革の後、地価の問題が片方で生じまして、清算事業団の一般的な売却方式であります公開入札が制限をされたということがまず一つございました。それからもう一つは、大規模な土地につきましては基盤整備工事が必要なものが多くて、これが最初のうち工事をしておりましたのでなかなか売却できないということでございました。  それで、その後実は地価が下がってきたりしてきたわけでございますけれども、我々といたしましては、地方公共団体に売却いたしますときの要件の緩和でありますとか、その辺を省令改正あるいは運用改善等いろいろいたしました。あるいは上限つきの入札制度の導入というようないろいろな工夫をいたしまして、現在厳しい中ではございますが、売却に努めているところでございます。
  212. 池田治

    ○池田治君 それでは、大蔵省にお尋ねしますけれども、土地や株式を売った残りの十三兆八千億というのはいずれは国民負担にということで六十三年に決定がされておりますが、この問題について、現在大蔵省としては六十三年から今日まで、もう八年ぐらいたっておりますけれども、この関係においてどういう処理をするというお考えでございますか。
  213. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 清算事業団の債務につきましては、まず土地と株式の処分をいたしまして、その結果残るものについてどうするかということが残っていたわけでございますけれども、今の段階ではまだ土地、株式の問題について決着を見ておらぬわけでございます。よって、それらを処分した後、残った事業団の債務につきましてどのようにするかという昭和六十三年一月の閣議決定の宿題は残ったままでございます。  これは、そういう事態といいますか、土地、株式の処分をできるだけ早く行いまして、残ったものについての処分ということになろうかと思いますが、その場合には新たな財源措置といったような問題もございますので、十分に検討させていただきたいというふうに考えておりますが、現状ではまだそこまで議論は至っておりません。
  214. 池田治

    ○池田治君 鋭意土地を売却するという運輸省の側の発表でございましたが、どういう方針でおられるんですか。毎年幾らずつ売るとか、買い手があれば幾らでもいつでも売るとか、ざっとした話で結構でございますが、教えてください。
  215. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) まず閣議決定がございまして、我々としてはそれをベースにいろいろやっておりますけれども、平成年度までに土地の実質的な処分を終えるということで今努力をしております。  それから、今お話のありました売れるものがあればいつでも売る、それはもちろん我々としてはそういうことでございまして、余りいいかげんなやり方はもちろんできませんけれども、要件をいろいろ緩和しつつ妥当な範囲で、かつできる限り早期に売るということで今努力をいたしております。
  216. 池田治

    ○池田治君 次は、できるだけ売るといいましても、初めは地方公共団体等の公共用地に限って売るという条件がついていたと思いますが、現在ではそいう要件はもう取っ払って、だれでも買い手があれば売るということでございますか。
  217. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) 清算事業団の用地の一番根本的な売却の方式は、先ほど申しましたが、まず公開競争入札でございます。ただし、特定の場合に随意契約で売却ができるということに規則でなっております。その特定の場合というのを、平成三年ごろからいろいろ努力をして、その前にも少しございましたけれども、制限を緩和してきているということでございまして、随意契約で例えばどなたにでも売れるとかそういうことではございません。
  218. 池田治

    ○池田治君 今度は株式の問題ですが、JR株式の売却についても、証券市場の低迷ということから見送ってこられまして今日になったわけ。ですが、ところが最近、四月か五月にはJR東日本の株式が上場されるんではないか、こういう専らのうわさでございますが、これはいかがでございますか。
  219. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) まず、証券取引所のお考えといたしまして、いろいろ上場について調べますときに、もちろん市場の動向を見るのが大前提でございますけれども、投資家の保護のために最新の財務諸表で行うということがございます。これが正式に確定いたしますのが六月でございますので、今先生がおっしゃった四月、五月上場ということはございません。  ただ、我々といたしましては、残念ながら平成年度は売却できませんでしたけれども、平成年度には証券市場の動向を見つつぜひ売却をしたいと思っておりまして、現在その準備をいろいろやっておるところでございます。
  220. 池田治

    ○池田治君 平成年度予算案では、四年度と同様にJR東日本の政府保有株の四百万株のうち約半分に当たる二百万株の放出を予定して、この価格といいますか、予算額は一千五百四億円と、こういう数字が出ておりますが、このとおりでございますか。また、JR株式についても当初予定の一兆二千億の売却収入を得ることができるのか。また、この金額に余りこだわり過ぎると、NTT株式の放出のように高く売ってまたどんと下がる、こういうふうなことも懸念されるわけでございますが、運輸当局はどういうお考えでございますか。
  221. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) 来年度予算につきましては、概算決定のときに、今先生おっしゃいました二百万株で千五百四億円ということを一応想定いたしております。ただ、この千五百四億円のベースになります金額というのは、JR東日本、JR東海、JR西日本という上場基準の主要なところを満たしている三社のそれぞれの発行価格というものがございますが、それの平均値というのをとっております。  それから、一・二兆円ということを今おっしゃったと思いますが、これにつきましては、実は六十二年度の改革のときに株等の処分で一・二兆ということが言われておりますが、〇・五兆円というのがJR株でございまして、正確に言いますと四千五百九十五億円、これはJR七社の額面全体でございます。それと〇・七兆円という営団に対する出資持ち分の評価額の相当分というのがございまして、合計で一・二兆ということになっておるわけでございます。  それで、我々、市場が価格を決めるものだと思っておりますので、幾ら確保できるのかということについてはなかなかお答えはできませんけれども、額面五千億円弱のものでございますけれども、そこは市場に決めていただかざるを得ないだろう、こういうふうに思っております。  それから、NTTのときのようなことが起こらないようにすべきではないかという御趣旨がと思いますけれども、それにつきましては、現在いろいろ準備を進めていきます中で、例えばあのときは入札比率が少し低かったんではないか、入札と売り出しと組み合わせで行っておりますが、入札に付したものが少し比率が少なかったんではないかというような御意見もありますので、例えばそこを少しふやすというような工夫をいろいろ考えておるところでございます。
  222. 池田治

    ○池田治君 その工夫といいますのは、入札に出す株式数を多くするということでございますか。
  223. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) 売却する全体の数の中で入札に付す比率をふやすということでございます。
  224. 池田治

    ○池田治君 余り多く株式数をふやして売却されますと、一株当たりの放出価格は安くなってくるんじゃないですか。
  225. 鶴野泰孝

    説明員(鶴野泰孝君) 予算上は先ほど申しましたように二百万株でございますけれども、実際にどうするかということにつきましては、証券市場の関係者の意見も伺いながら決めていかなければいけないと思っています。我々は、とりあえず予算上のあれであります二百万株ということで準備を今は進めております。
  226. 池田治

    ○池田治君 次は大蔵にお聞きしますけれども、残額の十三兆八千億の将来的な国民負担についてでありますけれども、土地や株式などの処分が当初の見込みからかなり後退していることも考えられるんですが、下がれば下がるほど国民負担は多くなる、こういうことも考えられますし、またこのまま置いておるとだんだんと利息も絡みまして国民負担率は高くなるだけだと、こういうことが考えられますけれども、大蔵当局はその点はどうお考えでしょうか。
  227. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘のとおりでございますので、とにかくできるだけ早く適正な価格で土地、株式の処分をやっていただくということに尽きるかと思います。
  228. 池田治

    ○池田治君 さらに、国鉄清算事業団の状況はいろいろ予算書を見てもかなり厳しいようなことになっております。平成年度の事業計画では、財政投融資で一兆八千四百億円を借り入れて、支出として債務償還諸費から二兆八千五百九十億円にもなっており、かなり台所は苦しい、こういうふうな状態であると思います。国庫補助と資金運用部からの借り入れによって初めて収支が均衡しているということも考えられますし、貸借対照表上では二十兆円を超える固定負債を抱え、さらに欠損金も生じておるようでございます。  こうした資金状況の中で、国民からの有償資金である郵便貯金や年金基金を運用することの当否を財政投融資の原資の立場からは検討すべきじゃないかという声も出始めております。これでは借金の利息をまた借金して返す、その借金の原資は国民の貯金や年金が原資である、借金の原資にも利息がついておる、こういうことで、利息また利息で雪だるま式に債務がふえてくる。いつまでもこういうことを繰り返しておると国鉄の二の舞になってしまうんじゃないか、こういう懸念の声も出ております。  政府は、清算事業団自体の問題、そしてまた財政投融資の融資する方から見た場合の、この問題点についてどういうお考えでおるか、お聞かせ願いたいと思います。
  229. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 御指摘の問題点がありまして、二十六兆を上回る債務が今後どんどん膨れ上がっていくということでは大変困るわけでございまして、これを何とか逆の方向に努力していかなきゃいかぬということで、先ほど来申し上げておりますような土地と株式の売却ということに当面全力を傾注するということだと思います。  それがなかなか、特に土地につきましては予定どおりの売却収入が上げられておりません。そういったこともございまして、どうしても運用部からの借り入れを続けざるを得ないという状態にございます。そういう意味で、毎年一兆四千億、一兆五千億円の利子が発生しておりまして、それを打ち消す、またそれ以上の収入を上げなきゃならぬという中で、補助金も出しておりますけれども、多くの補助金というわけにもこの厳しい財政事情でまいりませんので、とにかく先ほど来話に出ております土地と株式ということで努力していかなきゃいかぬ、こういうことでございます。
  230. 池田治

    ○池田治君 大蔵大臣はこの点について、大臣就任早々でございますので余り無理は言えませんが、どういう御見解でございますか。
  231. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 国鉄を分割いたしまして新しい会社になりました。旧国鉄の時代のいろんな債権債務整理して新しく発足をいたしましたが、新しい方は割と動き出していると、私はそういうふうな認識を持っております。ただ、やっぱり旧債務は依然として持っておるわけでありますから、それを早く整理をしていかなければならない。今政府委員から御答弁をしたようなことでございます。  しかしながら、早くやろうと言ってもこれなかなかすぐにできないということもまた事実でございまして、土地の問題一つとりましても、バブルの時代には一体そんな土地を売ってどうだと、こういうふうな話。またバブル崩壊後になりましたら、なかなか土地の買い手がつかないというような話もございます。株につきましても、発行できるかね、できてもこれだけの大きな株を発行したならばどうかなと、こういうことであります。  せっかくの国の財産でありますから、何でもかんでもいいからたたき売ってしまえなどということは私はできない問題だろうと思う。おのずからなる合理的な、国民の納得されるような価格でなければならぬだろう、こう思っておりますし、それでなければ相当、二十六兆にも上るものでございますから、どうしても後に残る。これは国民負担になるわけでありますから、その辺を考えながらやはり対処していかなければならないものだろう、こういうふうに思っておるところであります。  いずれにいたしましても、私は大変な大問題だと思いますし、国を挙げて、政府を挙げて取り組んでいかなければならない問題だろうというふうな認識を持っております。
  232. 池田治

    ○池田治君 次は、補助金適正化法の委託費について若干お尋ねします。  委託費というのは、補助金等と比較すると金額の上では非常に少ないですが、平成年度には一般会計で一千六百六十八億円、特別会計で二千百五十億円、政府関係機関で九百四十八億円計上されております。補助金の交付先は地方公共団体が大部分になっておりますけれども、委託費の交付先というのは民間団体、財団法人、社団法人等の場合がほとんどでございます。その内容も実態調査費、啓発普及費、講習会費、研修会費等の委託費で、実態や効果のほどが明らかではございません。地方公共団体に交付するのと比べて明らかではございません。  そこで、財団法人や社団法人等は、人事の面から見ますと外郭団体として天下り人事の多いところでございまして、これらの点からも委託費が少しおかしいんじゃないかという国民からの声も聞かれるわけでございます。これをディスクローズする意味からも補助金適正化法の対象に委託費も含めるべきではないか、こう考えますが、当局はどうお考えでしょうか。
  233. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 委託費に対する補助金適化法の適用問題でございますが、補助金適化法は、いわゆる「補助金等」ということで、中身は「補助金」、「負担金」、「利子補給金」、「その他相当の反対給付を受けない給付金であって政令で定めるもの」、この四つのグループを対象に適用されているわけでございます。  それで委託費でございますが、委託費の中には補助金的な委託費と、そうじゃない純粋と申しますか、反対給付を受ける委託費とございまして、例えば国が調査事務を委託するといった場合の委託費でございますと、相手方に委託費を交付するかわりに反対給付といたしまして調査事務の成果が返ってくるということでございますので、これは適化法の適用にはならないということでございます。補助金的な色彩のあるものにつきましては、これは個別に拾いまして補助金適化法を適用しているということでございまして、相手が公益法人であるから、地方公共団体であるからということで委託費の補助金適化法の適用があるかないかということを決めているわけではございません。
  234. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 まず、補助率の引き下げ分の財政措置についてお伺いします。  私は、昨年秋の臨時国会のこの場におきまして公共事業補助率そして負担率の問題を取り上げましたが、特に沖縄振興開発特別措置法の補助率が当初の補助率より切り下げられた、その部分に対する地方自治体の負担増の部分の取り扱いについてまだ問題が残っているように思うわけであります。現在は地方交付税などで補てんされているというふうに伺っております。しかし、それはいまだに明確にはなっていないように思いますので、その部分が現時点でどのように補てん措置され、今後はどういうふうになっていくのか、その辺を具体的にお聞かせ願いたいというふうに思っております。
  235. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今回の補助率、負担率の見直しに際しまして、沖縄に関しましては現行の暫定補助率を維持するということで、沖縄のいろいろな事情に応じましてそのような特例的な扱いをさせていただくということで考えております。
  236. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 じゃその部分はあれですか、今まで交付税で補てんするとかあるいは起債分についてはその起債分を利子補給するとかといったような流れがありましたね。その辺のことをもう少しお聞きします。
  237. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 失礼いたしました。  そのことにつきましては、沖縄につきましては補助率の高さは今までと違わないわけでございますが、したがって従来続けられておりました地方財政措置と同様なものが、今度の場合は公共事業等臨時特例債ということに名前はなろうかと思いますけれども、そういったことで裏負担が手当てされ、その公共事業等臨時特例債の元利償還については将来きちんと基準財政需要額に全額を算入し、その算入されたものについての利払いの財源については国の方で財源手当てをいたしますというスキームのもとで執行されていくというふうに考えております。
  238. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 自治省の方としてはどうお考えですか。
  239. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) ただいま大蔵省の方から御答弁がございましたが、沖縄につきましても、五十九年度時点の補助負担率と今回定まりました、恒久化されました補助負担率、その差額につきまして所要措置を講ずるわけでございますが、平成年度においては公共事業等臨時特例債で全額を措置して、その元利償還、将来の部分について一〇〇%交付税措置をしていく、こういうことでございます。  委員の御心配は、恐らくこの公共事業等臨時特例債が将来にわたってどうなるのかということではないかと思うんですけれども、その点につきましては、先ほど来御答弁を申し上げておりますとおり、この部分につきましては、恒久化に伴いまして本来ならば通常の地方負担と区分して措置する性格のものではないと私ども考えておるわけでございますが、そういたしますと、個々の団体におきまして、従来の取り扱いとの関係で円滑な事業の執行等に差しさわってはいけないということで、差し当たり平成年度は全額ということにいたしました。  今後の取り扱いにつきましては、ただいま御心配の沖縄等を含め、個々の地方団体の状況あるいは全体の地方財政状況等を勘案して適切に判断してまいりたい、かように考えております。
  240. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄第三次振興開発計画はことしからスタートするわけでありますけれども、今のいわゆる補助金整理法案ですか、これが改正されて、いわゆる恒久化というふうな意味も含まれておりますけれども、その恒久化という意味は、沖縄の第三次振興開発計画、沖縄のこれから行われるその期間ですね、その間に変動がないかどうか、その辺はどういうふうなお考えですか。
  241. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 第三次沖縄振興開発計画の計画期間中におきましては、公共事業の補助率につきましては今回の恒久措置をとるわけでございますので、いわば当然に補助率の変更というものは考えておりません。
  242. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄の当初の振興開発のスタートは十分の十というふうな非常に高率の制度があったわけでありますけれども、国の財政の事情によってそれが変更になって、今日これを恒久化していくというふうな制度に変わるわけでありますけれども、沖縄の今の実情というものは、まだ経済的にも自主財源もわずか二一・六%だったかと思いますけれども、その辺を推移している、県民所得も全国平均の七一・四%、そういうふうなことで、振興開発計画あるいはその高率補助というものがなおかつ非常に県民にとっては大事なことでありますので、恒久化することによってこれが従来と変わっていくようなことがあったら、それこそ県民にとっては大変なマイナスになると思いますので、今おっしゃるように、交付税で補てんするとかあるいはまた利子補給するとか、継続的になさるということでありますので安心しておりますけれども、ぜひこれからも、沖縄の今の現状というものは全国最下位であるというふうなこと、言いたくはないんですけれども、そういう状態にあるということだけは念頭に置かれて、ひとつ振興開発がスムーズに進行できるように御尽力願いたい、これまでもいろいろ御配慮いただいておるんですけれども、なおかつよろしくお願いしたいというふうに思います。  それから、昨日の予算委員会で総理それから大蔵大臣経済企画庁長官などに政府経済政策全般についてお尋ねしたわけでありますけれども、時間の都合でお聞きすることができなかった部分について再度、大蔵大臣おられますので、お尋ねいたします。  景気回復見通しについて宮澤総理にお伺いしたところ、恐らく遠からず影響があらわれるものというふうな答弁がなされておりました。船田経済企画庁長官は、平成年度の後半ごろというふうな答弁がなされておる。ちょっと食い違いがあるわけでありますけれども、これらの答弁は、私聞いたところではいささか具体性を欠いているように思われてしょうがないわけであります。これは非常に難しい問題だと思いますけれども、逆に国民の側からするとまさしくこれを早目に聞かせてほしいというような大きな関心事ではないかと思いますので、再度この場で林大蔵大臣景気回復見通し、その問題についてお伺いしておきたいと思います。
  243. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 昨日の予算委員会で島袋先生からもお話がありましたのでございますが、私は今回の景気の問題につきましては、複合不況と申しますか、いろんな問題があると思うんです。いわゆる実物的な経済景気循環的に返ってくる、そういったような問題が一つありますのと、それからもう一つは、いわゆる金融不況と申しますか、バブル崩壊後で資産デフレという形になっていますから、その影響をどうやっていくか、こういうふうな二つの問題がありますから、その二つの組み合わせでやっているものですから、はっきりした、いつこうなりますということを胸を張ってお答えするのはなかなか正直言って難しいことは御理解をいただきたいと思います。  いわゆる実物経済的な方向で申しますと、マネーサプライが相当に私は回復してきたということは事実だと思います。それから鉱工業生産の方でも機械の受注が相当にふえてきたという数字がございます。機械受注というのは実は相当おくれるところに出てくる話でありますが、私が見ておりまして、今回、割と出てきたというのは、政府関係の発注がいろいろ出てきた。そういった関係であるいは出てきたのかもしれませんし、いろんな設備投資についての動意があって、機械というのは設備投資に向かうものが多いですから、その辺の動意がある。それから自動車の販売なども相当に出てきておる。こういうことでございますから、これらは明るい私は指標だろう、こう思っておるところでございます。  それと同時に、資産価額の方の問題でございますが、正直申しまして私はこの三月末の状況を一月のころには大変心配をしておりまして、株価がまた低迷するんではないかな、こういうふうな心配を持っておりましたが、株式の問題もどうやら、きょうもさっきあれしましたら一万八千円だと、こういうふうな話でございまして、私はまずまずのところじゃないかな、こう思っておるところであります。  特に株式市場で私が心配をしておりましたのは、ニューヨーク株まではいかないとかなんとかという、要するに株の売買高がふえない、こういうことでありましたんですが、これが昨今相当ふえてきておる。これは私は非常に明るい指標だろうと思います。  それから、心配しておりました金融関係のいろんな不良債権、そういったような問題もありましたんですが、これも不良債権の買い取り会社ができまして、一応その方向がうまく順調な方向に行くだろう。  もう一つは、住宅金融関係の会社、ノンバンクの関係がありますが、その関係もまずは整理のめどが立ってきたというふうなことでございまして、その辺の心配もなくなってきた。こういうことでございますから、両々相まって私はいい方向に行くんじゃないかな、こう思っております。  もう一つ言いますと、もう一段何かしなくちゃならないというのは、平成年度のこの予算案が相当に出てくる。この予算案も、政府投資と申しますかIGというところが九・五%、災害入れますと一一・八%というような相当高い伸びをやっておりますから、それが間断なく続いていってくれるならば、四月、五月と私は相当な伸びが期待される。そうすると、やはり世の中も相当に明るくなってくるんじゃないかな、こう思っておるところであります。  もう一つ言いますと、先生はどこにお住まいか私ちょっとなんですが、東京でも実は最近、三月末になって相当に工事が方々で出ておる。よく三月末は工事出ておりますが、私は自分がやっているからそんなことを思っておるのかもしれませんけれども、ことしはえらいまた余計出ているなというふうな感じがしているところでございます。それは、恐らく昨年の暮れにやりました公共事業の追加で、早くやれと、こういうふうな話でみんな急いでやっている。工事が急いでやられれば支払いの方ももちろん早くやるし、それからいろいろな材料手当てその他も相当出てくるので、私は皆さん方言われるほどそう心配しておりませんが、まだ注意深く見守ってやっていかなければならない。正直申しまして、ことし平成年度の半ばごろには安定的なことに持っていけるのじゃないかな、そういうふうな期待を持っておるところでございます。
  244. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 新聞や雑誌などから見ますと、景気の回復しない原因などいろいろ分析されておりますけれども、政府景気浮揚策は現段階ではどれも決め手を欠いているというように言われているわけであります。  その中で特に評価の分かれるのは、所得税減税景気に与える効果というふうなものが何か分かれているような感じがするわけであります。先日の新聞を見ますと、日本経済研究センターの香西理事長の御意見は、景気の底入れの可能性がほのかに見えている今こそ、底固めをすべきだというふうな主張をなされて、有効な政策として所得税減税を挙げておられます。  大蔵大臣は、これに対してどのような御見解をお持ちですか。
  245. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 今せっかく平成年度予算をお願いしておりまして、先ほど公聴会は終わったようでございますが、この予算案の衆議院の通過に当たりまして与野党合意のお話ができました。その中で、不況に対していろいろなことで配慮をしてやらなければならない、協議機関をつくって実行可能な方策について検討すると。こういうふうなお話になっていますから、そういったことを踏まえましてやっていくということになりますが、所得減税につきましては特に検討するというような自民党の幹事長の話もありましたことも踏まえまして私は申し上げたいのでございますが、所得税減税というのはいろいろと問題があるというのは、たびたび私はこうした場で申し上げておりますけれども、いわば公共事業あるいは投資的なものよりは景気に対しては少ない影響しか及ぼさないのではないか。特に、所得税減税やりましても、今の状況で言いますと貯蓄に回る方の可能性が非常に多いんじゃないか。また、今までのいろんな数字を見ましても、どうしてもそういうことにならざるを得ないんじゃないか。  もう一つ、第二番目の問題として申し上げますならば、やはりその財源をどこでもって見出していくかということでございまして、四兆何千億というような話で赤字国債を出すということになりますと、これは今はいいかもしれませんけれども、将来我々の子供や孫たちにその負担を負わせなくちゃならない。果たしてそういったことが許されていいものだろうかどうだろうかという問題があるということでございます。  と同時に、もう一つは、所得税減税を一体どういうふうな格好でやっていくか。一般論として申し上げますならば、この前やりました税制の抜本改革でやったときには、相当所得税減税は大幅なことをやったわけでございます。欧米先進国に比較いたしましても日本の所得税課税最低限というのは相当に高いところの水準になっておりますし、また、この前やりました前の段階、高い水準の所得税の課税標準などというものに比較いたしましてまだまだそこの水準までいっていないというのが現在の状況でございますので、それ以上にまた所得税減税をやるというのは一体どういうものだろうか。むしろ、そういったようなことは、もう少し抜本的なことを考えまして、所得、消費、資産、こういった形に基づくところの問題の中で減税というものは考えていくべきものではないだろうかなというようなことを申し上げているところであります。  いずれにいたしましても、減税その他の問題をお決めになるのは国会でございますから、私は今そういうふうなことを考えておりますが、いろんな形でお話し合いが進められるということを待っておるというようなところでございます。
  246. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 さっきの香西さんは、「公共投資は、地方財政の悪化もあって、拡充にはおのずから限度がある」というふうなこともおっしゃって、多面的ないわゆる底上げをする必要がある、そのためどうしても減税が必要だというふうなことを強調されております。官民総力を挙げてこの今の不景気に対処していくというのが先生の御見解であります。  私もこういうふうな感じのもので景気対策、もっと浮揚させるというふうなことが必要じゃないかな、そのためには所得税減税というものも必要じゃないかなというふうに思ったので、再度質問させていただいたわけでございます。ひとつよろしくお願いします。
  247. 林義郎

    国務大臣林義郎君) いろんな御意見があることは私も承知をしているところでありますし、その意見を全然歯牙にもかけないなどということは私は申し上げるつもりはありません。皆さん一緒になってやっぱり不況をやっていく、こういうことでございますので、いろいろな御意見は聞かなければなりませんが、私が判断いたしますと、所得税減税というのは先ほど申し上げたような形でいろいろな問題がある。それよりは、やはりやるならば、同じ金を使うならば、公共事業でやった方がより効果的ではないかということを申し上げたところでございます。
  248. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 昨日の予算委員会で宮澤総理は、経済の変化には常に注意を怠らず、必要があれば時を移さず手を打たなければならないというふうに私に対して御答弁をなさっておるわけです。それは、聞きようによっては追加的景気浮揚策をお考えになっているんではないかというような立場に立って理解をしたわけでありますけれども、特にここで強調したいのは、新社会資本の整備が必要だろうというふうなことで、これは各省庁ともきょうの新聞によりますと出そろった感じがあるわけです。  これが本当に具体化していくと、それこそ生活大国といいますか、今までにない、従来にない新しい社会資本というふうなことになって、大きな国民期待するところではないかというふうに賛同するわけであります。例えば電柱を全部地下に埋めるとかといったような御提案が各省庁からいろいろとなされているようでありますので、その辺についてひとつ大蔵大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  249. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 実は私も当惑をしているわけでございますけれども、新社会資本整備というような名前でいろんなお話が出ております。今先生から御指摘のありましたようなお話も出ておりますが、私は、立場といたしましては、今予算をお願いしていると、その予算の中にはもちろんそんなことを考えているわけじゃありませんので、今の段階でそれをどうするのかというのはちょっと問題がある、こう思っております。将来的にはいろんなことを考えていかなければならないことで、いろんな方面の方々からこのお話が出ているんじゃないかなと思いますが、私どももまだそれを受け取って吟味をしているわけでも何でもないわけでございます。  いろんなことをやるに当たりまして、建設国債とか公共事業とかというようなことをいろいろ考えていくというお話があるんでしょうけれども、私どもといたしましては、建設公債をやっていますのは、先ほど赤字国債の話を出しましたけれども、建設国債の原則というものははっきり守っていくことが財政の節度の問題として私は大切なことじゃないかな、こう思っているところでございまして、今まで財政の原則としてありましたようなものについて、これを軽々に変えてまで私はやるつもりは全然ないわけでございます。  今のお話になりましたような話でも、例えば電柱、電線とかなんとかというような話でありましたらば、これは公益事業として電力会社がやっているところでございますから、これは個々の電力会社が自分のところでやるというような範囲の話だろう、こう思うんです。  それをなぜ、どういうふうな形でやるか、いろいろなことを言われたりなんかしているのは、あるいはそのこと自体が景気刺激になるのかもしれませんが、私は制度として申し上げますならば、いろんな点を考えていかなくちゃいかぬし、今のお話のようなことはちょっとなかなかいわゆる公共事業という中には入らないんじゃないかな、こういうふうな感じも持っておるところでございます。  公共事業も今までずっとやってきておりまして、長いことやっておりましたけれども、最初は土地改良であるとか道路であるとかというものを中心にしてやってきた。昨今は生活関連枠という形で、廃棄物の処理であるとか下水道であるというものが中心になっている。時代の要請によって変わってくると思いますが、プリンシプルだけは私は守っていかなければならない、これがやはり財政当局の節度だろう、こう思っておることを申し上げておきたいと思います。
  250. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 通産省の電線の地中化というのが目についたものですから挙げたものでございまして、誤解のないようにお願いしたいと思います。  先ほど牛嶋先生の御質問にあったいわゆる地域間所得格差、それが非常に今大きな問題になるんではないかというふうに思うわけです。北海道や沖縄は振興開発計画というものがされていて、それなりのいろいろな手当てをしておりますけれども、所得が地域格差があるというふうな、これも質問事項にはなかったんですけれども、ちょっと時間がありますから、あえてこのことだけをお聞きしておきたいというふうに思うわけです。  せっかくそういったふうな振興開発あるいは公共投資をして地域の底上げをなさっているように思いますけれども、依然として、地域間所得格差がだんだん広くなっていくというふうな状況であるわけですので、その辺は国として、大蔵省のみではないと思いますけれども、国としてこれから本当に日本全国が東京と同じ、本当は東京と同じレベルに生活ができるように、あるいは所得がまんべんなく地方まで行き渡るような政策がこれから必要じゃないかというふうに思うわけです。  沖縄は復帰してからもう二十年過ぎておりますけれども、依然として余り変わりはないというふうな状況があるわけです。離島に行けば行くほどその格差がまたひどくなっていくというふうな状況にあります。これは離島振興という法律もありますが、その辺の法律があったにしても、まだまだ及ばないというふうなところにあります。また、高齢化社会がどんどん進んでいきますと、離島に行けば行くほど、高齢の方々が住んでおられて生産も何もないというふうな状況で、だんだん日本の国が疲弊していく。逆に言うと地方に行けば行くほど疲弊していくような、これからさま変わりしていくんじゃないかというふうに私は大きな懸念を持っているわけです。  ですから、そういったふうなことが懸念されますから、国として、あるいは大蔵省としてその辺のもし展望がありますならば、ひとつこの際お聞かせ願いたいというふうに思います。
  251. 林義郎

    国務大臣林義郎君) 国土の均衡ある発展というのは、今までの総合計画、第三次、第四次計画ずっとやってきておりまして、その中でずっと追求してきた一つの大きなテーマだと私は思っております。  離島であるとか過疎地域であるとか、そういったところに対していろんな諸施策をこれまでも講じてきておりますし、また全体としての発展を図っていくためにそういったことをさらに強力に推進していかなければならないものだろう、こう思っております。  特に、そういったところはますます若い人が住まなくなる、ますます老齢化していく。そうすると、働く人がいなくなっちゃって年寄りばかりでどうするんだ、地域社会も崩壊してしまうんではないかなというふうな問題も新しく出てきておりますから、単にその地域についていろんな仕事を与えていく何をすると、こういう話だけでなくて、そういった生活というものについても問題を考えていかなければならないような時期に来ているんじゃないかな、こう思っておるところであります。  沖縄は、先生もおられますけれども、沖縄は特別の状況があり、戦後の復帰がおくれたとか、その後のいろんな状況もございますから、そういった問題につきましても、沖縄は単に過疎地だという話じゃなくて、離島だという話じゃなくて、沖縄としての問題につきまして私たちも十分配慮してこれからやっていかなければならない。沖縄振興計画などというものもありますから、そういったものについては格段に私たちも意を用いてやらなければならない、こういうふうに思っているところでございます。
  252. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 質問事項にはなかったんですけれども、非常に重要なことだと思いますので、これからひとつ各省とも打ち合わせをされて、このことだけはこれからの生活大国として欠かせない政策だというふうに私は思いますので、ぜひ特段の御配慮をお願いしたいというふうにお願いします。  質問を終わります。
  253. 野末陳平

    委員長野末陳平君) 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十四分散会