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国務大臣(
森喜朗君) お答えを申し上げます。
このところ鉱工業の出荷あるいは乗用車販売、マネーサプライなどに、今
委員から御
指摘ございましたように、一部には回復の兆しを示す
動きが徐々にあらわれてきておりますことは御
承知のとおりでございます。しかし、私は常々この
商工委員会でもあるいは
予算委員会でも申し上げてまいりましたけれ
ども、通産省といたしましては
産業界全体の動向をやはり注視をしておかなきゃならない、特に
産業界全体から見てまだその業況感は必ずしも皆さんのそういう晴れやかな
状況であるということにはかなりほど遠いという、そういう感じを私は持っております。
したがって、工業生産指数も確かに二月一・九とプラスに転じておりますし、三月の予測も二・三というふうに我々見ておりますけれ
ども、これはやはり年度末の決算対策ということもございましょうし、そういう
意味での押し込み的なものもあるでしょうし、自動車の場合はちょうど
ヨーロッパヘの輸出が一応解禁をされたといいますか、そういうこともございますでしょうし、いろんな
要素がありまして、逆にそういうことの反動で四月にはマイナス三・一になるのではないかというふうに我々は見ておるわけでございます。
そのほか、業界の動向を見るには在庫調整を見るのが一番いいわけでありまして、そういう点では生産財も消費財も耐久消費財もまだまだいまいちということで、かなり私
どもとしては先行きまだ不透明だ、こういうふうな見方をいたしておるわけです。
今マネーサプライの御
指摘もございましたけれ
ども、確かに六カ月ぶりには増加に転じておりますが、対前年比でいきますと〇・二%増でござい
まして依然として低い伸びである、こういうふうに見なければならぬと思っております。特に、GNPの四分の三を占めております個人消費の低迷、設備投資の減少が依然として続いておりまして、そういったいろんな角度から見て私
どもは依然厳しい
状況に推移している、このように見ておるわけでございます。
そこにさらに最近の急速な円高が景気に与える影響は、これはまた懸念せざるを得ない
状況でございまして、我が国
経済はまだまだ予断を許さない
状況にある、このように私は認識をいたしておるところでございます。
このため、今松谷さんから御
指摘ございましたように、政府として四月十三日に総合的な
経済対策を決定いたしました。今回の
経済対策は総規模で十三兆円を上回るものでございまして、前回の十兆七千億を超える史上最大のものであるとともに、これは
内容的にも、この
委員会でも与野党の皆様からいろんな御
意見をいただきながら私も申し上げてまいりましたが、従来の公共事業に加えて、さらに波及的
効果が広がるようにということで新社会資本の整備も盛り込ませていただいたという、そういう特色を持っております。
このような社会資本整備の新たな展開によって、その需要拡大
効果が各方面に広範かつ速やかに浸透することが期待をされるわけでございます。もちろんいずれ補正予算というのはお願いを申し上げるということになるかと思いますが、昨年のいわゆる総合
経済対策、それを裏打ちいたしました補正予算、さらに皆様のおかげで二十二年ぶりに年度内に成立をいたしました
平成五年度の予算、こうしたものと連続いたしまして、さらに今回のこの対策が
産業界全体、あるいはまた消費者全体のマインドにいい
効果をあらわしていくというふうに私
どもは見ておるわけでございます。
そういう措置と公共投資の拡大、さらに減税、政府系金融機関の活用による設備投資の
促進、さらにはきめ細かい
中小企業対策等の措置が相まって景気の早期回復に寄与するものであろう、このように考えております。
何といいましても自由主義
経済でございますから、こうした措置を政府等が一体になってやったわけでございますが、同時に
民間企業に対しても、経営基盤の強化、そして新しい需要に即応した戦略を立てるということも極めて重要なことでございまして、そうしたことを
民間企業においても積極的な経営
努力を行っていただきたい、このように期待をいたしておるところでございます。