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説明員(栃本道夫君) お答えを申し上げます。
先生御
指摘のとおり、水際の取り締まりというのは非常に重要でございまして、私
どもも鋭意いろいろ
改善を図ってまいらなければならないというふうに
考えているわけでございます。
まず、取り締まりの現状から説明させていただきたいと存じますが、関税定率法の第二十一条の第一項第四号におきまして、商標権、
特許権等の
知的財産権を侵害する物品は輸入してはならない旨規定されておりまして、税関ではこの規定に基づきまして水際での取り締まりを行っているところでございます。現在、
我が国におきまして存在する
知的財産権というのは、登録がなされているものだけでも約二百四十万件という大変膨大な数に上っているわけでございますけれ
ども、水際取り締まりの実効を期するために、
知的財産権侵害物品に対する輸入差しとめの申し立てという
手続を活用すること、それから全国の主要官署におきまして不正商品取り締まりを
専門に担当する担当官を配置して勉強させているというふうなことで、いろいろな措置を講じて輸入貨物の重点的な
審査、検査を行っているところでございます。
それで、先ほど御紹介がありましたようにいろいろ侵害物品の認定の
手続等につきまして御
議論をいただいておったところでございまして、またこの問題につきまして取り扱いの
改善を図る必要があるということで、私
ども実は不正商品の取り締まりにつきましての通達を
改正したところでございます。昨年九月からこれを実施してございます。
これは、先ほど先生からお話がありましたように、
ウルグアイ・ラウンドのTRIPの方でもいろいろな御
議論がございますが、そういうものの趣旨もできるだけ生かしながら、この
議論をある程度
現行法令の範囲内で先取りできるものは先取りしようという
考え方でございまして、取り締まりの重点化を図る。それから、特に先ほど御
指摘がありましたような認定の
手続につきまして、輸入者、権利者、双方の
立場が十分反映されるように透明性のある
手続を通達で明らかにするということで
改正をいたしました。また、侵害物品の処理につきまして、より一層厳格な処理が望まれているというところでございましたので、この侵害物品の処理を厳格化する、こういうような
観点で通達を
改正したものでございます。
より具体的にもう少し説明させていただきますと、まず現在の税関におきます水際の取り締まりというのは、
現行法令上は基本的には職権に基づきまして税関の方がそういう
意味では能動的に取り締まるわけでございますが、何といっても権利者自身から輸入差しとめをしてほしいという御要請のありますものをやはり重点的に取り締まるべきであろうという
考え方に立ちまして、輸入差しとめの申し立てをいただいているものを優先的に取り締まるという
方針をまず明確にしたという点がございます。
それから、この
知的財産権の侵害物品につきましては、疑義のある物品を発見いたしましてから、これを権利者、輸入者双方に必要に応じいろいろ問い合わせしたり照会したり
関係資料をいただいたりというようないろいろな
手続がございますが、そういう
手続を明確に定めまして、こういう
手続でございますよというのを明らかにしたということ。
それから三番目としまして、侵害物品として認定されたものにつきまして原則没収するという厳格な取り締まりを行うこととしたところでございます。
また、輸入差しとめとしてどういうものが申し立てをされているかということを
一般の方にやはり前もって知っておいていただいて、そのようなものについて輸入がされないように予防するということも非常に重要でございますので、この輸入差しとめの申し立ての
内容を公表するというような措置も導入したというようなことで、私
ども税関といたしましては侵害物品の一層効果的な水際取り締まりに努めてまいっているところでございます。
その結果、著名なブランド品のコピー商品を主体といたしました侵害物品の輸入の差しとめ件数でございますが、昭和六十一年には百件だったわけでございますが、
平成元年には一千件、それから
平成三年には約一千三百件というふうに輸入差しとめ件数が増加してまいりました。逆に
平成四年には、先ほど申し上げました通達
改正を通じまして取り締まりを強化し、それを私
どもとしては精いっぱいPRもさせていただいたというようなことで、そういったことの抑止効果、特に原則没収という取り扱いを世の中に明らかにさせていただいたというようなことがいろいろ効果があったと思っておるんですが、そういうことで輸入者の侵害物品に対する意識というものも高まってまいったようでございまして、差しとめ件数が七百六十件というようなものにとどまっているところでございます。
我が国におきます
知的財産権の侵害物品の取り締まり実績というのは……