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1993-05-12 第126回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年五月十二日(水曜日)    午後二時十三分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         浜本 万三君     理 事                 星野 朋市君                 藁科 滿治君                 横尾 和伸君                 長谷川 清君                 立木  洋君                 萩野 浩基君     委 員                 岡  利定君                 佐藤 静雄君                 関根 則之君                 田沢 智治君                 楢崎 泰昌君                 南野知惠子君                 矢野 哲朗君                 吉村剛太郎君                 大森  昭君                 久保田真苗君                 庄司  中君                 深田  肇君                 白浜 一良君                 吉田 之久君                 小池百合子君    政府委員        工業技術院総務        部長       松藤 哲夫君        資源エネルギー        庁長官      黒田 直樹君        資源エネルギー        庁石油部長    林  康夫君        資源エネルギー        庁石炭部長    稲川 泰弘君        資源エネルギー        庁公益事業部長  荒井 寿光君    事務局側        第三特別調査室        長        秋本 達徳君    説明員        文部省初等中等        教育局中学校課        長        河上 恭雄君        文部省高等教育        局専門教育課長  本間 政雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (エネルギー対策現状課題に関する件)  (エネルギー需給見通し省エネルギー対策  に関する件)     ―――――――――――――
  2. 浜本万三

    会長浜本万三君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、エネルギー対策現状課題に関する件について政府から説明を聴取いたしたいと思います。黒田資源エネルギー庁長官
  3. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 日ごろ産業資源エネルギーに関する調査会委員の諸先生方におかれましては大変エネルギー政策に関しまして深い御理解を賜り、また御指導、御鞭撻、御支援をいただきまして、心から御礼を申し上げます。  御指名でございますので、エネルギー需給現状あるいはエネルギー政策課題等につきまして簡単に御説明をさせていただきたいと思います。お手元に資料をお配りいたしておりますけれども、これに沿いましてポイントのみ御説明させていただきます。  まず一ページ、「エネルギー需給現状」でございますけれども、御案内のように一次、二次の石油ショックを経まして、我が国エネルギー需要は比較的落ちついた動きを示していたわけでございますけれども、八〇年代の後半以降、特に八七年度以降、お手元の表にございますように、内需主導型の好調な景気あるいは非常に低いエネルギー価格等背景増勢に転じてきております。八七年以降九一年度まで四年間、平均で四・一%の伸びというのが実情でございます。  先ほど申し上げましたように、八〇年代前半までは非常に落ちついた動きを示していたわけでございますけれども、特にこの間の牽引力というのは産業部門省エネルギーというのが非常に進んだということでございまして、産業部門も八〇年代後半以降また増勢に転じたわけでございますけれども、この統計にございます九一年度時点でも、ちょうど一九七三年のオイルショックのときよりは産業部門全体としてのエネルギー消費総量というのはまだ若干下回っているぐらいの状況にあるところでございます。後でまた今後の課題との関連がございますけれども、そういう意味産業部門が従来省エネルギー牽引力であったわけでございますが、何といってもまだエネルギー使用の半分強は産業部門でございまして、今後産業部門もさらに省エネルギーを進めなければいけないし、それから最近伸びてきております民生部門あるいは運輸部門伸びといった点にも御注目をいただきたいというふうに感ずる次第でございます。  他方で、供給の方でございますけれども、二ページにございますように、こちらも第一次、第二次のオイルショックを経まして、石油に対する依存と申しますか、一つエネルギーに対する過度の依存というのがオイルショックで影響が顕在化したわけでございまして、この表にございますように、一九七三年のオイルショックのときには石油に実に七七%依存していたわけでございます。したがいまして、この二十年間の供給面での一つの大きな柱というのは石油依存度を減らすということでございました。現在は、この表にございますように五六、七%あるいは八%といったところで推移をしているのが現状でございます。つまり、この二十年近くの間に石油依存度が二〇ポイントぐらい落ちたわけでございます。  では、これを何で賄ってきたかということでございますけれども、七三年、九一年の数字を比較していただきますとおわかりいただけますように、極めてラフに申し上げれば、天然ガス原子力がそれぞれ一割程度担っている。つまり、二〇ポイント下がった石油依存度天然ガス原子力で代替されているというのが極めてラフに見たクロスカウントでございます。しかし依然として我が国の場合、一次エネルギーの五六、七%は石油依存をいたしているわけでございます。  この二ページの下の表にございますように、全体のエネルギー自体も八四%が海外依存しているということでございますが、石油の場合にはもうほとんど一〇〇%、九九・七%海外依存しているわけでございまして、そういったことから非常に脆弱な供給構造であるということが言えるわけでございます。  それから三ページに移っていただきまして、今後の国際エネルギー需給見通しということでございますけれども、つい最近IEA国際エネルギー機関事務局が取りまとめました二〇一〇年の国際エネルギー需給見通しというものをここに掲載させていただきました。世界全体では二〇一〇年に向けまして大体五割増し、一・五倍にエネルギー需要はふえていくと。その中でも特に発展途上国エネルギー需要の増加が大きいわけでございまして、二・二倍になるということでございます。OECD諸国は一・三倍、それからいわゆる旧ソ連、中・東欧地域、この辺が産業構造変革等が予想される中で、こちらはそう悪くない。また、省エネルギーも進む中でそれほど伸びませんけれども発展途上国の爆発的なエネルギー需要増大背景に、これから二十年ぐらいの間に一・五倍ぐらいになっていくであろう、こういった見通しを行っております。  先ほどちょっと石油お話を申し上げたわけでございますけれども石油というのが今世界エネルギー需要の中でも大体四割を占めておりまして、これがまた需給関係価格に反映し、その価格が例えば天然ガス価格に反映するというようなことで、非常に国際エネルギー市場を考える意味石油動向というのは非常に重要なファクターになっているわけでございますけれども、今後の動向を考えますと、どうしても中東への依存というのがまたどんどん高まっていかざるを得ないだろうという見通しを行っております。  IEA見通しては、現在、中東及びベネズエラに三〇%依存している供給構造というのが二〇一〇年には五〇%に高まる。ベネズエラというのは、注のところにございますように、現在三・六%ぐらいでございまして、ほとんどが中東依存している、非常に中東依存度が高まっているということでございます。  これは皆様御存じのように、一次、二次の石油ショック以降、例えば米国の石油生産であるとか、あるいは新しいところで言えば北海石油生産とかいった中東以外の国の油田開発が進んだわけでございますけれども、御案内のように、アメリカの石油生産というのは非常に落ちているわけでございますし、北海というのもかなりもうピークを超えた油田が多くなってきているといったような要因も踏まえまして、かつまた、最近の旧ソ連地域での石油生産というのは非常に落ちてきているわけでございまして、どうしても世界石油埋蔵量の三分の二を保有する中東への依存がやはり高まっていかざるを得ない。中東、必ずしも危険ということではございませんけれども、いろいろ社会的、政治的等不安定要因もあるわけでございまして、そんなことから逼迫化を予想する声もあるわけでございます。  需給現状は以上のとおりでございますが、そういった状況を踏まえまして、四ページ以降にエネルギー政策課題を簡単に記しております。四ページの一番上のところでございますけれども、ただいま申し上げましたようなエネルギー需要増大傾向、あるいはそもそも我が国は非常に海外輸入依存度が高いという脆弱な構造、あるいは今申し上げました石油情勢中心といたします今後の国際エネルギー情勢といったものを考えますと、古くて新しい課題でございますけれども、我々の国民生活あるいは経済活動の血となっているエネルギー安定供給をいかに確保していくかというのがどうしてもエネルギー政策基本であり、またエネルギー産業基本的な使命であるかと思います。  と同時に、近年、地球温暖化問題を初めといたしまして、地球環境問題というのが世界的に大きな問題になっているわけでございまして、この問題、特に地球温暖化の問題あるいは酸性雨等の問題につきましては、エネルギー使用、特に化石燃料使用といったものに起因するところが多いわけでございまして、そういった面も今後のエネルギー政策を考えていく上で重要なファクターになってくるかと思います。  具体的には、四ページの下のところに「経済成長」、「環境保全」、「エネルギー需給安定」と書いてございますけれども、ある程度の安定的な経済成長を維持しながら、しかも環境に配慮し、環境と調和するような、そういったエネルギー需給構造を今後もつくっていかなければならないというのが基本的な方向ではないかと思うわけでございます。  こんなところから、七ページでございますけれども、主な課題ということで項目だけでございますけれども、第一にエネルギー安定供給確保という意味で、石油備蓄推進であるとか、自主開発推進であるとか、電力安定供給とか、石炭構造調整推進等々の課題を掲げております。  それから第二に、今申し上げましたように、かなり環境問題等も考慮しながら考えますと、どうしても当面の重要課題としては省エネルギー対策というのを徹底的に推進すること、そして環境にも調和するようなエネルギー供給構造を、安定供給には当然配慮しながら、そちらの面でも考えていかなければならないという課題があろうかと思います。  それから三点目に、特に最近、地球環境問題もそうでございますし、あるいは旧ソ連型の原子力発電所の安全の問題等にございますように、いろいろな意味でのエネルギー政策の面での国際協力というのが非常に重要になってきているかと思うわけでございます。こういった面でいろいろな課題推進していかなければならないということでございます。  特にこの国会におきまして、私ども省エネルギー対策あるいは今申し上げましたような国際協力中心といたしましてエネルギー関係二つ法律エネルギー需給構造高度化法及び略称でございますけれども省エネリサイクル支援法というのを成立させていただきまして、今後そういった法律の的確な運用に努めてまいりたい、そういう中でこういった課題も実現してまいりたいと考えているところでございます。  また、もちろん法律予算等にあらわれないいろいろな課題もあるわけでございまして、今申し上げましたような基本的視点に立ちまして、今後ともエネルギー政策の遂行に万全を期していきたいというふうに考えているところでございますので、ぜひ御理解、御支援を賜りたいと思います。  どうもありがとうございました。
  4. 浜本万三

    会長浜本万三君) どうもありがとうございました。  以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 深田肇

    深田肇君 持ち時間が十五分しかありませんので、大変意識しまして質問の方も二つだけにしておきまして、質問の仕方ももう端的に事務的にどんどん質問しまして、率直な御意見を例えればありがたいというふうに思っておりますことを冒頭に申し上げておきたいと思います。  ここに今新聞があるんですけれども、五月七日ですけれども、「CO2抑制目標達成黄信号」という大きな見出し新聞がばっと出まして、「進まぬ省エネ対策 原発立地の遅れも一因」とあるんです。これを見て、たまたまこの委員会に所属しておる関係上いろんなことを少し関心持って勉強させてもらったりしたんでありますが、この記事の中がどこまで本当のことが書いてあるかわかりません。権威ある新聞記事ですからそれなりに尊重したいんでありますが、とにかくこの達成が危ないよ、黄色いよと。いろんな要素があるが、一つ省エネが進まないんだ、もう一つ原発立地がうまくいかないんだと。この二つがあって、まあ驚くなかれ、これはそんなことはないという否定の文章もあるし、同時にもう一方では、このことは書かれているんですが、水面下では政府が公約したCO2を二〇〇〇年に向けてという押さえ込みは不可能だから、この目標を変えなきゃならぬ、水面で今もう再検討が始まっておると、こう載っているんですが、そこまで実際政府当局お考えなのかどうかということも伺いたいところでありますが、それを聞いておりますと時間がありませんから、そんなことも関心があるということをまず申し上げて、次々と入っていきたいと思います。恐らく想像するところ、原発立地がおくれていること、省エネが入ったばかりでありますからまだ成果が上がっていないこと等がたくさんあるだろうと思うんです。  そう思っておりましたら、こんなのが出ましたね。福島原発の中で被曝を受けた人が出て、そして労災認定した、初めての労災認定だとこう書いてあるんですが、ばっと出まして、そしてあれあれと思っていたら、次のほかのところでは、これまたすごい見出しですね、PKOと違うんですが、「原発労災 息子の死、無駄にせぬ」、こういう見出しで、今度は浜岡の方で原因を究明してもらいたいといって親御さんが労災申請をしている、こういったのが出てきたんです。  時間がありませんから、もう恐らく当局は皆読んでおられると思いますから言いませんが、これを見たときに私、しかもこういう解説が下についているんですよ。これも見出しですよ。「認定基準おかしい」と中部電力が言っているんです。認定基準というのは、要するところはこれ以上はだめですよという放射能の問題を設定した国際的認知と、我が国が決めた認定基準はおかしいんだと中部電力が記者にしゃべっている。あげくの果てが、中部電力浜岡原発事業者の方では、ここはちょっと読んでおいた方がいいと思いますけれども、固有名詞は別にしまして、「被曝線量原子炉等規制法などで定められている量の十分の一程度で、」、自分たちがやっているのは十分の一程度で、「業務との因果関係はない」、そして孫請をしている会社からそういうふうに聞いているんだということを中部電力は言われている。だから、亡くなった方は孫請の方らしいんですね。今度はその中部電力浜岡広報室お話が書いてある。「どこの発電所でも、法律に定められた線量を下回る環境下で働いてもらっている。」法律よりも低いところで働いてもらっているんだから、「労災認定基準の方がおかしい」、これを労災だと言うことがおかしいんだと、こう言っている。だから、労働省労災に決めたことがまずいのかと。被曝ではないのかといえば被曝であることは事実らしい。しかし、私の方の企業から言わせてもらえば、政府等々が決めたものよりも低いところで働いているんだから、働いてもらっているんだと丁寧な言葉で書いておられますね、働いてもらっているんだから問題ないじゃないかと、こういうふうになるんですから。これも時間がありませんから、ここで論争する暇がありませんから、私の見解を言いますが、こうなると、原発というのは不安だし、どうなるのかなという感じがすると思うんです。  私は八九年に参議院に当選して以来、ずっとこの委員会に所属させてもらっているものですから縁がありまして、浜岡原発も見せてもらいました。せんだって、社会党の中の専門のメンバーと一緒になって柏崎原発に行って、企業別に見せてもらいました。それを見ている限りにおきまして、私たちは、たまたま議員になる前は市民運動としてどんどん現場へ行っておりますから、そのときに現場の人の訴えだとかそのときの出てこられる方の、会社の余り偉い方は出てこないですよ、そういうときは、ぼんぼんぼん話す話を聞いている限りにおいてはどうも不満だなと。今度二回浜岡柏崎に行って、奥の奥へ入らせてもらって、会社側が丁寧に説明する話を聞いていますと、なるほどな、日本技術は大したものだなと素人ながら思いますし、それからこれなら本当に大きな事故も起きないだろうし、どこかの国、よその国の話をする必要はありませんから言いませんが、よその国のようなことは起きないなという安全みたいなものもできつつあったことは正直なところです。ところがこういうことが出てきて、しかも中部電力浜岡さんが違う話をわざわざされる。やりとりのことは省略いたしますけれども、どうも聞いていると、原発はやっぱりまだ危ないぞと。立地がうまく進まないのは当たり前のことだし、そしてまた同時に、危ないところじゃなくて、こういう説明までわざわざするのであれば、不信感をお互います持つようになっちゃうんじゃないか。現場不信感を持つんじゃないかと。しかし、お話がありましたように、石油の減る部分を補っているのは天然ガス原発だということは明らかでありますから、今日のこのようなぜいたくとまでは言いませんが、いい生活をしている状況原発の存在を認めざるを得ないというふうに私どもは考えるんですね。  そうなりますと、大変信頼したり安心したり、絶対大丈夫だと思っていたのが被曝が起きた。一人の人が死んだ。一人だからやむを得ないと言えないわけです。時間があれば氷山の一角ですかと聞いて、それで今までの経過の中でどのくらいの方が被曝で亡くなっていますか、もう労災認定じゃなくて、被曝で亡くなっていますか、被曝で死ななくても、病院に通った方はどんな方がいらっしゃいますか、その方の年齢構成はどうですかと聞いてみたいですよ。しかも、電力下請下請と言われる孫請までいくと、どういう労働条件で働いているんですか。その人のところへ私たちが、議員が行ったときに、その現場までもちろん入れてもらっていないわね。  この前、柏崎に行ったときなんか、ありがたいことにね、先生、心配要りません。ここで洋服なんか着がえる必要はありません。こうおっしゃって、このまますっと入って、見て出てきたときは、ぱっとこうやって、全く心配ありませんと。ところが、その裏では人が死んでいる。その死んだのは、労災認定労働省の方がどうもおかしいんじゃないか、これは被曝かどうかわからぬと。あげくの果てが、降ってくる雨の中にも放射能が入っているんだよと、こういう説明までされちゃうと、何をかいわんやじゃないかというふうに思います。そうなってくると、これからの我々のエネルギー問題はもう少しいろいろと考えていかなきゃいかぬじゃないかと思います。  ここから質問です。一言で結構なんですが、中部電力浜岡のこの記事が正確なものであるとすれば、こういったものについて国民が持っている不安や不信感、こういうものがある限りだめなんだと思いますから、その点の行政当局としての御説明をいただいて、これからどういうふうに指導をしてもらえるだろうかというふうに質問をしておきたいと思います。  その質問に関連して、こんな話もあるんですよ。  私どもいろんな意見をこういうことで聞かせてもらっていますと、基準を何ぼつくってみても、今のようなことで、国がつくった基準よりもっと下の基準で働いてもらっていてもこういうことが起きているんだというふうに電力会社がわざわざ説明されるとすれば、基準とはどういう役割になるのかということを素朴に感じますよね。  それから同時に、従来のとにかく被曝を受けて高い量を浴びている人たちはどうも下請の方々に集中しているとなると、労働省仕事かもわからぬけれども、いわゆる親と下請との関係、親子の企業関係はどうなっているのか。この辺のところをどこまで、エネ庁仕事じゃないのかもわからぬけれども、これは本格的に調べないといけないのじゃないかなという感じもします。  同時にまた、放射能に当たっちゃ危ないよということの教育だとかいうものは、やっていることは今までパンフレットで見たり、現地視察に行って会社の方の説明を聞いて納得して帰ってきた私でなおかつその程度じゃこれは危ないんじゃないかと。それで、行ったところでは今までそういう申請は出ましたという話は聞いてないわけだからね。だから、そうなると、我々に言わない話があるのかなと思ったりします。どういうふうな教育労働日程をつくっているのか。心配ありません、ここは七人が皆向こうを向いてやっています。それでちゃんと時間交代をしてやっています。説明だけ聞いて帰ってきたけれども、それで安心なのかなというふうに率直に思います。同時に、立入検査というものがあるようだけれども、本当に立入検査をやっているんだろうかなという感じがしますよ、それは率直のところ。  そういうことを全部申し上げた上で、どのようなこれから指導や、そして全国民に対して原発に対してのいろいろ安全性確保の問題や、そしてその意味における理解を高めるためのことだとか不安を解消するためにどうあるべきなのかということについての御説明をいただきたいと思います。  もう続いて第二問もやっちゃいます。  そういうことを申し上げた上で、なおかつ省エネをやらなきゃいかぬ、しかも新しいエネルギーも開発しなきゃいかぬと思うんです。日本社会党はまだまだ完全な理論化をしておりませんが、脱原発社会を目指そうというんですから、原発社会から脱却しようというわけですから、こうなると省エネだとか新エネルギーのことがあります。  そこで、いろんなことをここで勉強させてもらいました。きょうもお話がありましたように、天然ガスの問題にえらい関心があるんですね、私は。この天然ガスの問題ではっと心が動いたのは、後でいろいろ聞かせてもらいますと、私の心の動いたのは夢物語であってなかなかできない話らしいんです。国内で天然ガスのパイプを埋めたりすることはできても、ここで先生がおっしゃったような北から南まで他の国から持ってくるなんて理想的だし、アジア全体が日本のノウハウで、技術で、資金で、そしてアジア全体が仲よくて協力関係というものをつくって、うまくいけばいいなと思うけれども、心配だなという御質問もありました。もしどこかの国とおかしくなるとどうなるかという御質問がありましたが、うまくいくならば、我々の平和的なあり方として言うなら、大変いいなと思ってたら、これはなかなか先の先の話で夢物語で、そんなことは今のところまだ長官の頭の中ではだれか担当者を決めて仕事をしていくような状況になってないらしいんですが、私はこれはひとつ本格的に政府として、原発の問題は別に置いたとしても、積極的に我々がアジアと仲よくやろうということと経済協力とアジア外交を進める観点も含めて、天然ガスのパイプラインの構想問題については積極的にやったらどうかなと。なかなか大変なことのようですね、資金的に言っても、技術的に言っても、それと政治的にも大変だと思いますが、そういうことをこの間ここで聞いただけに関心があります。政府はそのことについては本当に冷たい反応なのか、今はできないけれどもやろうという気持ちをお持ちなのか等々を含めて、率直な感想を伺っておきたいと思います。  以上で終わります。
  6. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 二点ということでございますが、まず第一点の原子力発電所の放射線管理の問題でございますけれども深田先生非常によく御案内のように、もう細かいことは要らないということでございましたが、放射線管理につきまして国際的な場での国際放射線防護委員会、ICRPと称しておりますけれども、ここでの検討結果をもとに法的な基準を今設けているわけでございます。  ただ、原子力発電所におきましては、何といっても広い意味での安全性確保というものが大前提でございます。これはもちろん人の問題もありますし、物の問題もあるわけでございますけれども、安全確保が大前提でございます。そういった観点からこの作業をできるだけ自動化する、あるいは遠隔化する、水質管理をする、機器の改良をするといったようないろいろな放射線の被曝の低減のための対策を講じると同時に、出入管理とか、個人個人の線量管理等を厳重に行いまして法令に定める線量当量限度を下回ることはもとより、被曝をできるだけ低くするように努力をいたしているところでございます。そういったデータももちろんあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしましてもより一層の被曝低減のため、これはもうできる限り少なければ少ないにこしたことはないわけでございますから、今後とも法令に基づきまして原子力発電所の放射線管理を厳重に規制すると同時に、電気事業者に対しましても厳しく指導監督をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、第二の天然ガスのパイプラインの構想、私が別に批判的だということではございません。ただ、当然のことでございますけれども天然ガス需給という問題、それから経済性の問題というのは当然考えていかなきゃいかぬわけでございまして、今先生から御指摘のあった構想も私よく聞いております。ただ、これは非常に遠大な構想でございまして、シベリアあるいはトルクメン、中国あるいは朝鮮半島、日本あるいはもっと東南アジアの方までといったような大構想があるわけでございますが、ただ現実は今国内におきましても幹線パイプラインを引くべきかどうか、これも細かく話していくとあれでございますけれども日本の場合には御承知のように、天然ガス、国産というのは五%ぐらいしかございませんで、ほとんど海外から輸入している。島国でございますから、今はLNGという形で持ってくるわけでございます。これを国内でもパイプラインを引くのがいいのか、今のような基地方式の方がいいのか。というのは、パイプラインにつながる需要がどれぐらいあるかといった経済性もございますし、それから今のような大構想になりますと、供給サイドの問題があるわけでございまして、そういった構想の中に例えばヤクーチャなんというのも入ってくるわけでございますけれども、その辺音調査をしたことはございますけれども、本当にあるかどうかというのはこれからの話でございまして、そういったいろんな要因があるわけでございますから、今後とも私どもよく勉強してまいりたいと思います。  天然ガス需要世界的にふえてきているわけでございますけれども、一方で供給サイドというのはだんだん難しい条件になってきているわけでございまして、そういった状況もございますけれども、いずれにいたしましても需給状況、経済性等を総合的に勘案してやっていく必要があると思いますので、あるいは今のような大構想になりますといろんな国が絡んでくるわけでございますから、そういう意味で別に消極的という意味ではなく、よく勉強してまいりたいと思います。
  7. 深田肇

    深田肇君 どうもありがとうございました。
  8. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 楢崎でございます。  私は、戦争中にエネルギー問題を本当に死活の問題として受け取ってきた世代の人間でございますけれども我が国は資源小国と言われ、かつエネルギー、原材料等を輸入し加工して立国をするというようなことで立国をしている国でございます。特にエネルギーは、伺いますと全エネルギーの対外依存度がどこに比べてもはるかに高く、八四%とこの資料にお書きになっておられますが、さらに私は経済家でもございますので、国際収支という点から見ても我が国の輸入が今年間二千三百億ドルぐらいですか、その約四分の一がエネルギーということで大問題だなというぐあいに考えておるわけでございます。  そういう意味では、エネルギーの量を確保するということは第一我が国の繁栄にとって必要なことであるというぐあいに存じますけれども、同時に重要な問題として地球環境の問題が出てきた、いわゆるCO2の発生ということでございます。これはIPCC等でいろいろ研究をなさっておられて結論をお出しになったのだと思いますけれども、一九九〇年に政府地球温暖化防止行動計画というのをおつくりになって、一人当たり二酸化炭素の排出量を二〇〇〇年以降一九九〇年レベルで安定化を図るということで閣議決定までなされたというぐあいに承知をしているんです。これはまた国際公約のようなものでもあるわけですけれども、これを現在お伺いするところでは自然体というんでしょうか、化石燃料を今のままでどんどんふやし続けるというようなことにすると、二十一世紀末には地球の温度が三度上がっちゃう、六十五センチ海面が上がるぞといって、かもしれないというようなこともついていますけれども、大変なことだなと。我らが、我が世代の者が未来の地球人類の将来に残すべきものとして最大の地球環境問題であるというぐあいに認識をしているわけです。  第一にお伺いしたいのは、政府はこの行動計画がどの程度重要なものと考え、かつ実行をするという覚悟を持っておられるかということです。先ほどもお話がございましたけれども、どうもうまくいかないぞという話がこのごろ横行しているわけですけれども、それをまず第一にお伺いしたい。  それから、第二にお伺いしたいのは、結局行動計画では化石燃料からの脱却ということが一つの大きな課題としてとらえられているわけですけれども、これには、先ほどもお話がありましたけれども原子力発電とかあるいは省エネとか非常に困難な問題を含んでおり、国民理解と協力を得なければ全く進まないという問題が含まれているわけでございます。したがって、政府としてはどのような国民にこれをおわかりいただくような政策を講じているんだろうか。どうもCO2ふえているぞという話が時々新聞に出るけれども国民はリアルなものとしてなかなか受けとめていないような気がするんですね。一  さらに申し上げれば、じゃ国民がどの程度理解しているのかは通産省あるいは政府としておわかりになっているのか。例えば世論調査みたいなことをやって、どの程度国民にこの問題が理解されているかということがおわかりになっているのか。もし世論調査をやっていないとすれば、国民にこの問題点を喚起するために世論調査をやり、それについて国民にアピールするというような行動が必要と思いますが、いかがでしょうか。
  9. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 御指摘の地球温暖化に絡む炭酸ガスの問題あるいは地球温暖化防止行動計画でございますけれども、私どもも、先ほどの資料の四ページにも書いておりますように、これは当然実現していかなきゃいけない、それから他方でもちろんある程度経済成長も実現していかなければならない、そしてエネルギー需給構造もうまくやっていかなきゃいかぬということで、三位一体ということで、実は昨年に私ども通産大臣の諮問機関でございます総合エネルギー調査会と同時に産業構造審議会あるいは産業技術審議会、いろんな分野にまたがるものですから、合同の審議会を開いて半年間ぐらい御議論をいただきまして、その結果といたしまして一つの具体的な方途として、先ほど申し上げました省エネ等を中心とする法律案を今国会にも提出させていただきまして、成立させていただきましたので、今後それらを中心に実行をしていかなきゃいかぬ、こういうふうに考えているわけでございます。    〔会長退席、理事藁科滿治君着席〕  今の楢崎先生あるいは先ほどの深田先生の御質問でもなかなか難しいんじゃないかというお話がございました。時間もございませんので詳しくは省略いたしますけれども、確かに省エネルギーあるいは供給構造の方の環境調和型の供給構造の実現というもの、いずれも難しい課題は抱えておりますけれども、とにかくそういった方向で私ども最大限の努力をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。  それから、国民理解ということでございますが、地球温暖化防止行動計画を知っているかというようなことではやっておりませんけれども、私ども省エネルギーにつきましては、総理府でも国民の世論調査をやっております。この中では地球環境問題については八七%の人が知っていると回答いたしておりますし、また地球温暖化の防止のために省エネルギーが重要であると答えていただいているのが八一%ございます。ただ、これは単に頭の中で知っているという面もありましょうし、それから今先生御指摘ございましたように、地球環境問題の難しさというのは、公害問題ですと直接的に被害があるとかいろんな影響が出てくるわけでございますけれども、先ほどの先生の御質問の中にもございましたように、非常に長い間かかって影響があり得るというような問題でございますので、いわばあすの問題というふうになかなか肌身で感じない点はあろうかと思います。  私ども今回予算の中でも省エネルギー対策推進していく上で広報予算を相当増額いたしておりますので、先ほどの法律の運用と同時に、広報には今後とも全力を挙げてまいりたいと考えているところでございます。
  10. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 この問題は国民理解と協力がなければ到底達し得ない問題だというぐあいに思います。事あるごとに国民に対してアピールしていくことが必要であろうというぐあいに思っております。  今御説明ございました資料の六ページに一次エネルギー供給目標が示されていますね。この計画は供給目標をいかにして非化石化していくかということと省エネ二つに大きくかかっているわけでございます。時間がございませんので、新エネルギー、水力、地熱等々についてもお伺いしたいことはあり、また、なかなか難しいねという感じがあるんですけれども、時間がないので原子力についてだけちょっと御質問をしたいというぐあいに思います。  原子力発電は、先ほど申し上げましたエネルギーの量的確保という問題、それからさらに技術的にも経済効果的にも既に開発安定をしていまして、まずは地球環境という点からいえば最もクリーンなエネルギーということで期待がされているものというぐあいに思いますけれども、この表を見てみると、二〇一〇年に一九八九年の二・六倍の発電量をやるというような、これは期待を込めての数字かもしれませんけれども、現在の立地予定地等々のいろんな地元との経緯を見てみますと、なかなかできないな、できるのは難しいなというぐあいに思っているんです。  もちろんのことながら電源立地に際して、先ほど深田委員の言われましたように、その安全性についての十分な確保ということ、そしてそれに対して地元住民が納得をしていただくということがもちろん前提であるわけですけれども原子力発電というものが地域開発と深くかかわり合いがあるんだということも十分御説明をすると同時に、また政府は施策としておやりをいただく必要があるんじゃないかというぐあいに思っています。電源立地、それは原子力発電だけやればいいんだというんじゃなくて、同時にこの地域も一緒に開発していこうじゃないかというような意気込みが政府になければぐあいが悪い。  今見ていますと、周辺市町村に対して条件、条件というんでしょうか期限つきで電力料金を少し低減するよというような施策があるようでございますけれども、私は、何も期限つきじゃなくて、二十年だって三十年だって随分長い間電力料金を低減して、そしてその地域を開発していこうじゃないですかというぐらいの意気込みというんでしょうか、配慮というんでしょうか、そういうものがあってしかるべきではないかというぐあいに思うんですが、電源立地に際して一つ安全性一つはその地域をそのことを契機として開発していこう、こういう意気込みが必要だと思いますが、特に電力料金の低減についてどういうお考えなのか、地域を開発しようということについてどういうぐあいにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  11. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 御指摘ごもっともだと思います。安全性確保は当然の大前提でございますけれども、同時に地元、その立地する地域でやはり原子力発電所に来てもらってよかったなということが重要だというふうに私どもも思います。  そういうことから、従来から電源三法に基づきまして電源立地促進交付金によっていろいろ公共施設を整備したり、あるいは今先生お話ございましたような原子力周辺施設も電気料金を割り引きしているわけではございませんけれども、交付金を与えることによって実質的に低減するような制度をつくっております。今年度におきましても、当面五年間でございますけれども、新増設する地域につきましては実質五割引きにというような制度も創設したわけでございます。  今先生、恒久的にしたらいいじゃないかと。意気込みとしては私どももそういうことでございまして、よくその辺の効果なんかを見ながらまたいろいろな施策の強化拡充に努力をしてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  12. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 暫定的に五年間なんというんじゃなくて、それを呼び水にすれば地域開発できるだろうなんというのではとても地域開発はできないと思います。もう少し性根を据えて地域開発に取り組んでもらいたい。  三番目に伺いたいのは、原子力発電を一生懸命立地を進めていただきたいのはもちろんなんですけれども、同時に、先ほど深田委員が言われた天然ガスの問題を十分考えなきゃいけない。化石燃料の中でもCO2の発生度が石油に比べて約六〇%ということのようですから、クリーンエネルギーと言っていいでしょう。さらに石油の発電を抑制するという政策、現在やっておられるのは結構だと思いますが、そうなってくると、あと、逃げ道というんでしょうか、膨らんでいくところは石炭天然ガスになるんですね。  残念ながら天然ガスの方が発電コストは安いわけですよ。安いんでしょうね、あとでまたこれは御答弁を願いますけれども。どうも計画は天然ガスをがあんと伸ばし、石炭は一時的には伸びるけれども、それ以上はやらないということのようですけれども、これは政府が相当誘導的に天然ガスの方に志向をしませんと、今の経済原則からいえば、経済原則の方が貫徹しちゃうんじゃないかという気持ちが非常に強いので、その辺についての御見解を願いたいというぐあいに思います。
  13. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 天然ガス、大体四分の三が電力で使われておりまして、あとの四分の一がほとんど都市ガス中心、こういうことになっているわけでございます。  今の電力の面につきましては、確かにそのときどきのコストによっていろいろ変わってきますし、規模等によっても変わってくるかもしれません。それからだんだん天然ガスも、先ほどちょっと申し上げたわけですけれども供給条件が厳しいところになりつつあるわけでございまして、そういう意味で、おっしゃるように一定の認識というのが必要かと思うわけでございます。ただ、例えば平成五年度の電力各社が出してまいりました施設計画によりますと、現在、全発電設備の中でのLNGのシェアというのは二二%でございますけれども、これを将来的には二五%ぐらいまで上げていこうという計画を持っておられるようでございます。いろいろ電力会社各社においても、先ほど先生御指摘のございました地球温暖化の問題というのは当然大きなファクターとして頭に入れておられて、できるだけクリーンにというのは考えておられるようでございまして、その辺は軌を一にしてやっておられるのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、LNGの場合には、先ほどお話のありました、仮にパイプラインなんという話になってきますと非常にコストの面では大きな問題がございますので、そういった面で必要な支援政府としてもしていきたいと思っております。  それから、あと四分の一ぐらいが今都市ガスを中心に使われているわけでございますけれども、都市ガスの天然ガス化というのも今全国の八割程度進んでいるわけでございまして、この一層の推進のためにもまた政策的な支援をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  14. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 公明党の横尾でございます。  私は、資源エネルギー庁がつくられた資料で、きょうお配りの中には入っておりませんけれども省エネルギーに関する資料を読ませていただいて、少し気になる点がありました。というのは、特に民生家庭部門における対策について大変消極的といいますか、遠慮のし過ぎという気がしております。もちろん民生の家庭部門、これを強制をすることがあってはならない。当然でございますけれども、とはいえいろいろやることはあるかと思うんですが、どうもその辺のところが少し私の考えと違っている部分があるように思います。その点について、特に限られた時間でございますので、絞って質問をさせていただきます。  民生部門のうちの、特に家庭レベルでの省エネルギーの問題というのは、今後長期的に着実に成果を得るという観点からしますと、国民一人一人の間に浸透していくという意味で、大変大切なことだと思うんです。一人一人のライフスタイルの変更が不可欠であって、その上に省エネルギーという大きな流れが出てくるんだと思うんです。これが五年、十年というだけではなく、もっと長い目で見た場合には大変大きな要因になると思っております。現在でこそエネルギーの中の一三%前後だと思いますけれども、家庭部門、そういう中でのシェアですけれども、実質的には大変重要なものだと思っておりますが、民生家庭部門というんですか、分類の名称がどうかわかりませんけれども、この分野における省エネルギー対策の効果が上がっていないと思うんですけれども資源エネルギー庁のこれに対する評価をまずお聞きしたいと思います。
  15. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 今までの民生家庭部門での省エネ対策ということになりますと、一つは広報ということでございまして、私どももあるいは外郭団体としての省エネルギーセンターといったような団体を通じまして、いろいろなパンフレットあるいはラジオ、テレビ等々による広報を実施してきているわけでございます。  同時に、昭和五十四年にできました省エネルギー法に基づきまして、特に住宅の断熱化の問題については法律に基づきましてガイドラインをつくると同時に、これを住宅金融公庫の融資制度とリンクさせていろいろな助成をいたしておりますし、それから個人の家庭ということになりますと、意識と同時に実際に使うハードの省エネというのが重要でございまして、そういう意味で電気冷蔵庫であるとかルームクーラーであるといったような機器の効率の改善ということにつきまして、省エネ法に基づきまして施策を講じてきているところでございます。  これが、じゃそういう施策の効果はどうだったか。なかなか難しいところでございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、確かに産業部門の目覚ましい省エネの進展に比べますと、先生消極的とおっしゃったわけでございますけれども、個人の価値観あるいはライフスタイルとも密接にリンクする問題でございまして、なかなか難しい問題であったわけでございますけれども、そういった施策の拡充については今後大幅に拡充を検討いたしているところでございまして、冒頭に申し上げましたように、従来過半を占める産業部門中心になって省エネが進んできたわけでございますけれども、今後また国全体としての省エネを進めていこうということになりますと、おっしゃるとおり家庭部門についてもできる限りの省エネ推進することが重要であるというふうに考えておりまして、今後いろいろ施策の拡充に努力していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  16. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 先ほど言いました気になる部分というのをちょっと紹介しておきますと、「国民一人一人の自由意思による省エネルギー行動の実践を誘発せしめる」ということが大事である、こうおっしゃっているんで、これをもっとしっかりやっていただければというのが結論ですけれども、実はこの今の文章の前段には、「需要増につながる諸要因を受け入れつつ」云々ということで、国民が望む需要増については、これは抑制してはいけないんだということをまず前提に置いてのお話だったものですから、方向として間違っているとは思いませんけれども、家庭レベルでの省エネルギーについての力の入れ方、これはすぐにやって、強制をすることができないしすべきでないだけに、これは即効性があるというふうに考えてはいけないと思うんです。逆に相当時間がかかると思わなきゃいけないんで、それを前提にしますと、今から相当な力を入れてやっていくべきだ、こういう視点でございます。念のために申し上げておきます。    〔理事藁科滿治君退席、会長着席〕  それで、少し具体的になりますけれども地球温暖化防止行動計画、この中では我が国の一人当たりのCO2排出量について二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化を図るという趣旨の目標達成することとしているわけですけれども、この目標がもし本物であるならば、これを達成するためにブレークダウンしまして、家庭レベルではどういう目標をあるいは目標値を持つか、一定の考え方がそういった点であるのかどうか。また、もしなければ今後そういう目標目標値を定める考えはあるのかどうか、この点についてお伺いいたします。
  17. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 各家庭というのは本当に千差万別でございまして、家庭家庭の目標値というのはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。  ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、もちろん先生のおっしゃるように意識の改革は大変重要でございまして、私どもも心して努力していかなければいけないと思っておりますけれども、同時に、最近のエネルギー需要伸び一つは非常に世帯数がふえてきているということがございますけれども、それと同時に家電製品等の普及率の向上なり、あるいはその大型化といったようなものが非常に大きな要因としてあるわけでございまして、私どもできる限りそういったハードの面からもできるだけエネルギー使用効率のいいものをつくっていただくようにというような省エネ法の運用というのを今後心がけてまいりたい。意識の改革と同時に、したがってソフトと同時にハードといった面でできる限りの努力をしていきたい、こういうふうに考えているところでございまして、そのハードの目標それぞれについてはいろいろな専門家の方々の意見も聞きながら、目標値といったものを決めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  18. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 今申し上げたいのは、ハードの面で御努力されているというのは私もわかるつもりでございます。一部はわかるつもりでございますが、実は申し上げたいのは、ソフト面なんです。ソフト面を家庭レベルにどうやって浸透させていくかということが、これが本来的に日本における省エネを定着させるかどうか、流れができるかどうかの境目だと思っております。  そういう意味で、ソフト面、具体的に言うと例えば教育面をしっかり押さえる、押さえるという言葉はよくないんですが、教育面で省エネルギーを勉強できるようにするというようなことで、省エネ対策マニュアルのようなものを少し政府として例えば省エネのレベル、つまり地球温暖化ということを厳しく考えていけば、今のペースで便利きだけを追い求めていいものだろうか。今のエネルギー使用レベルをむしろ減らさなきゃいけないというようなことになって、その認識がもっと強くなった場合には、その強さに応じて省エネの意識も変わってくるかと思います。  ですから、そういった要請の強さも、例えば何段階があるかもしれない。その段階に応じていろいろな対策をメニュー化するということも研究する価値があるんではないかと思うんです。ちょっとイメージ的に言いますと、別に今申し上げることをやってくれというふうに具体的には申しませんけれども、マニュアル化の一つの例として個別の家庭用電気使用量を月別に一年分だけグラフでわかるようにする。我が家庭はどのくらい使っているのかということをわかるようにして、それを家庭で議論できるようにする材料とする、あるいは家庭用の電気料金の制度を逓増性にする、今もなっていると思いますけれども、その程度を政策的に強くする。これはなかなか省エネのレベルが相当強くないとできないことかもしれませんけれども、そういったメニュー、議論ができる材料を政府が、これは電力会社やガス会社みずからは仕事がしにくくなるので、収入が減るのでやりづらいかもしれませんので、それこそ政府が率先してそのマニュアル化、メニュー化をしてそういう情報を提供する、あるいはその一部はあるときは教育面で役立たせる、こういったことが必要だと思うんです。もう時間を過ぎておりますので、一言方向性だけお答えいただけたらと思います。
  19. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 省エネというのは本当に一つで決め手ということはないわけでございまして、いろいろな工夫、努力の積み重ねだと思います。  今いろいろな御示唆をいただいたわけでございますけれども、よくそういった点も踏まえながら、今後の施策に活用させていただきたいと思います。
  20. 長谷川清

    ○長谷川清君 ちょうど今横尾委員の方から省エネの話が出ておりましたから、引き続きまして私もこの点から入っていきたいと思うんです。  省エネというこの言葉の響きからしますると、何かしら電気を消していけばいいんだ、節約をしていけばいいんだといったような響きがございまして、いささか暗いイメージが伴うのでございますけれども、もう少し言うならば、効エネというか、省エネルギーというこのエネルギーそのものがぽんとあるんではなくて、それは一定のいろいろの大自然の燃料をたいているというもとの原子がございますね。したがって、これが地球環境、自然に優しいという、そういう精神と理念から出てくる省エネということだと思うんです。  それを構造的な部分で自動車の燃費を改善していくとか、あるいは建築物の断熱材というんですか、そういった構造的な部分で寒いな暑いなということを防御していくことによって省エネルギーの実効を上げていく。そういうものに個々人の家庭の中における一人一人の地球環境に優しい精神をうんと引っ張り出していって、そういう形で社会全体の中におけるエネルギー一つのもとになっておりますけれどもエネルギー以外の分野においても省エネ的精神というものを持続せしめていく、それが次世代に好ましい結果をもたらす、こう考えるのでございますけれども、そういう視点についていかがであるか。時間が本当に限られておりますので、簡単にお答えをいただきたいと思うんです。
  21. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 御指摘のとおりだと思います。  不自由な生活を強いるという意味での省エネということではなくて、エネルギーを大事に使う、効率的に使うというのが省エネの重要性だ、こういうふうに考えております。
  22. 長谷川清

    ○長谷川清君 そこに一つの方向性というか出発に当たっての起点をはっきりとこれから中央、地方、各産業産業、それぞれの立場において私は出発をしていけばその延長線上には非常に大いなるものが期待できると思うんです。  次に、それとも関係いたしますが、きょうは文部省にも来ていただいております。私は、供給安定、安定的な供給体制をつくっていくにはどうしても設備という部分と、いま一つが優秀な人材の確保という点がございます。それとまた、今も話が出ておりますように、国民的な全体的なコンセンサスという中のエネルギー政策でなければならぬと思います。そういう点において、小中高校においてエネルギーというものをカリキュラムの中に、教師が教えるんではなくして民間のエンジニア、技術者が授業の中で教えていくようなことなどやあるいは小中学生に発電所の見学をしてもらうとかといったような普遍的にずっと実行が継承されていけるような分野というものが必要だと思いますが、そういう点について文部省の現状と見解をお聞きしたい。  いま一つは、特に大学の理工系の部分について、相対的に理工系というのは普通の大学よりは下にあるんだというイメージがございます、いろんな意味において。しかも、量的にこれがだんだん理工系の技術労働力が数の上で少なくなってきております。そういう点において、これがもし損なわれてまいりますというと、次世代における本当の意味安定供給という体制は一つの柱が崩れていくわけでございますから非常に不安になっておると思うんです。そういう点における総合的な、今はどちらかといいますと原子力の「げ」を聞いただけで反対、そういう社会的な背景というものが一つにはございます。そういう意味において、そこで働いております、いろんな多くの複合的な産業が集まっておりますが、そういう人々が本当に夢と誇りを持って、よし、おれたちが担っているんだという、こういう状況下には置かれていない今日を考えますと、その傾向がますますそういう悪いイメージの方向に、マスコミもそこには一つ責任があると思いますけれども、そういったコンセンサスを得ていこうとする場合の学校教育という点についてこれらのエネルギーテーマを一つ取り上げていただけないかそういう点についての現状をお聞きして、私の質問を終わります。
  23. 河上恭雄

    説明員(河上恭雄君) お尋ねの学校教育の小中高等学校の問題でございますが、原子力を含むエネルギーの問題につきましては、小中高等学校の児童生徒の発達段階に応じまして従来から社会科とか理科の時間を中心指導をしているところでございます。学校のカリキュラムあるいは教科書の編集の基準になります学習指導要領というのがございまして、これが平成元年の三月に改訂されまして、昨年度から小中高と順次実施されているわけでございますけれども、その中で、社会科、理科、それぞれこの問題につきまして記述がございます。  例えば小学校の四年生の社会科で、ちょっと長くなりますけれども、「地域の人々の生活にとって必要な飲料水、電気、ガスなどの確保及び廃棄物の処理についての対策や事業が計画的、協力的に進められていることを見学したり調べたりして、」云々というような記述がございます。  それから、中学校におきましても、例えば社会科で「資源やエネルギーの有効な開発・利用などが必要であることを理解させる。」こと、あるいは理科で「日常生活では、科学技術の成果として様々な素材やエネルギーが利用されていることを知ること。」、あるいは「人間が利用している資源やエネルギーには、天然資源、水力、火力、原子力などがあることについての認識を深めること。」というような記述がございます。  さらに、高等学校におきまして、公民でございますが、「資源・エネルギー需給、」や「環境保全の重要性」などを理解させるというようなこと、それから理科で「資源・エネルギーの有限性や再利用にも触れること。」としています。こういうことで、これをもとにしまして教科書がつくられ、またカリキュラムが編成されているということでございます。  実際の指導に当たりましても、先ほど見学と申しましたが、地域や学校の実態に応じて見学などの体験的な学習を導入するというようなことが配慮事項として書かれております。現実にそういうことで見学が行われているわけでございます。  また、民間の技術者の導入のお話でございますが、文部省では、学校教育におきまして社会人の活用という観点から、社会にいらっしゃる方を講師にお招きして教えていただくというようなこともできるような仕組みになっているわけでございます。そういうことで、今後ともこういう資源・エネルギーの問題が学校教育の中で十分に指導されますように配慮してまいりたいと思っております。
  24. 本間政雄

    説明員(本間政雄君) 続きまして、大学関係の点につきまして考えを申し述べたいと思います。  先生案内のとおり、資源・エネルギーに乏しい我が国でございます。二十一世紀を迎えまして科学技術立国を標榜する我が国といたしましては、次代を担う、特に理工系分野の人材育成が非常に重要であるということは先生案内のとおりかと思います。そういう人材養成を担っておりますのは大学、とりわけ理工系の大学ということになろうかと思いますが、各経済関係の提言にもございます、あるいは私ども文部省の学術審議会の昨年の七月の答申、「二十一世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」というようなものの中でも指摘をされておりますが、先生御指摘のとおり、急速に進みます技術革新、技術の進歩あるいは国際的な動き、社会の高度化、複雑化というような大きな流れに対応するような大学の施設や設備の更新というのが大変おくれておりまして、これが世に言うところの大学、特に理工系の大学の老朽化あるいは施設の狭隘化、設備の陳腐化ということでございまして、私ども文部省といたしましては、科学技術立国を標榜する我が国にとってこれはゆゆしき問題であるというような認識を持っております。  こういう状況を踏まえまして、平成四年度の当初予算におきまして国立学校特別会計でございますが、国立大学の施設の狭隘化、老朽化対策ということで二百億円の予算を計上いたしましたし、設備関係につきましても、大学院を中心といたしまして教育研究用の設備の更新のための予算増額を図っております。文部省といたしましては、引き続き財政状況、厳しい状況でございますけれども、理工系を中心といたします大学の施設設備の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
  25. 立木洋

    ○立木洋君 私も質問時間十分なので一問しか聞けないんですけれども、先ほど長官が述べられたエネルギー政策の重要な課題の中で原子力立地推進の問題というのを若干述べられたので、それに関連してちょっとお尋ねしたいと思います。  御承知のように、一九八八年の三月にイタリアでIAEAの国際原子力安全諮問委員会専門グループの会議が開かれまして、スリーマイル島だとか、それからチェルノブイリの問題を踏まえて、こういう過酷な事故が起こった場合にどういう安全対策をとるべきかということが検討されて、原子力発電所基本安全原則という文書を採択されたのは御承知のとおりだと思うんです。これは、重大事故が起こり得るということを前提として安全対策、それから防災対策の充実強化が勧告されているわけです。ところが、日本の代表はこの勧告の主要な部分に当初反対されたというふうに私たちは承知しております。  私、ほかの委員会でこの問題を取り上げてお尋ねしたことがあるんですけれども、四年たって去年になって日本原子力安全委員会でこの問題が検討されて、そしてそこでは国内原子力のリスクは十分低いというふうに述べながらも、一層のリスクを低減することが必要だ、こういう見地に立って関係省庁や電力会社に検討を指示したという文書が去年の五月二十八日に出されているわけです。これについて資源エネルギー庁として原子力安全委員会のこういう勧告、検討の指摘をどのように受けとめておられたのか、その後どういう検討や対策などについての検討が進められたのか、その内容について御説明をお聞きしたいと思うんです。
  26. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 先生御指摘のとおり、昨年の五月に原子力安全委員会におきまして、原子力発電所におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントについて決定をいたしたわけでございます。  先生今御指摘ございましたように、現在の原子炉施設の安全性につきましては、工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性がシビアアクシデントについて十分小さいものになっているわけで、その意味で、原子炉施設のリスクというのは十分低くなっていると判断されるわけでございます。当時の原子力安全委員会におかれましても、さらにこの低いリスクを一層低減するという意味で、いわゆる効果的なアクシデントマネージメントを自主的に原子炉設置者が整備する、それを実行する、こういうことが奨励されたわけでございます。私ども、この決定を踏まえまして、昨年の七月に各電力会社に対しましてシビアアクシデント対策の検討を行いまして本年末までにその結果を報告していただくように通達をいたしているところでございます。先ほど申し上げましたように、この原子力安全委員会の考え方も自主的なマネージメントということであるわけでございます。  これからの話でございますけれども、私ども原子力発電のいろいろな審査に当たりまして、専門家のグループをいろいろ持っておりますので、そういった専門家の意見も聞きながら技術的な妥当性について評価することになろうかと思いますし、今後とも電気事業者において、冒頭から申し上げておりますように、原子力発電所安全性の問題というのは大変重要な問題でございますので、念には念を入れてということで、シビアアクシデント対策が適切に進められるように今後とも指導してまいりたい、このように考えているところでございます。
  27. 立木洋

    ○立木洋君 以前の場合には、こういう過酷事故を前提とするようなことについては、政府の方としてはそういうことは日本では絶対起こり得ないという安全神話的な考え方というのが相当強調されてきたという状況から見れば、より念には念を入れるというふうな考え方をとられたということは、私は一歩前進だろうと思うんです。もちろん、この文書の中で、安全というものは幾ら努力しても絶対ということはないということも書かれてありますから、四年間かかったにしろ、それを受けとめて検討される方向を進められたということは非常に大切な点だと思うんです。  しかし、二〇一〇年までの政府が出されている計画を見てみますと、原子力の発電の量というのを現在の大体倍にすると。そうすると、今四十一基ある原発がさらに百万キロワット規模の原発を大体四十基ぐらい新たに建設しなければならないということになるんですね。そうすると、今の地震大国の日本なんかの場合、そしてまさに今老朽化してきているような原子炉の実情や、人口密度がこんな状態になっているのに、そういうような目標を掲げるということが現実に果たして合うんだろうかどうだろうかという抜本的な問題にまで立ち至って検討することが必要ではないだろうかと思うんですが、そういう問題まで含めて今回の検討というのは立ち至った検討がなされるのかどうなのか。計画は計画として絶対に変更しない。検討は検討として進めるが、計画は計画でそのままに進めるんだというお考えなのか。検討した結果、ことしの年末に報告書が出されるということですね。検討した結果そういう計画を変更する可能性もあり得るというふうな、そういう立ち至った検討にまで至るのかどうか、そこらあたりはどうなんでしょうか。
  28. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 若干私の申し上げていることと食い違いがあったかもしれませんけれども、とりあえずは現在動いている発電所のシビアアクシデント対策ということになろうかと思います。と申しますのは、新しくつくるという問題についてはその段階でまた審査するということになろうかと思いますので。  それで、先ほどの二〇一〇年の目標ということになりますと四十基ということなんですが、先生も御案内のように、現在建設中のものが既にあるわけでございまして、現在建設を既に行っておりますものを現有の約三千四百万キロワットにプラスいたしますと、四千五百万キロワットぐらいの容量は運転中及び建設中のものということで確保されるはずでございます。したがって、あとは幾らかということになると、それでもかなりの量になるわけでございますけれども、その辺はもちろん個々の原子力発電所立地地点あるいは計画ごとに十分な安全審査も行っていく必要があるというふうに考えているわけでございまして、総論があるからやるということでは全くございません。そういう意味で、先ほど来御議論ございましたようにいろいろな地元との、その地域地域での立地の問題もございますし、それから今申し上げましたような安全面での審査というのは十分行いまして、一件一件判断していく、こういうことになろうかと思うわけでございます。
  29. 立木洋

    ○立木洋君 一九八八年の三月に行われた専門家グループの勧告の文書、これはある意味で言えば今まで世界的に存在した安全性に対する過信の状態、これを克服していく非常に大きな契機になったと思うんです。  だから、こういう大きな流れに対して、四年間たったにしろ、そういう検討という重要な問題が安全委員会として提起されたわけですから、私としては今稼働しているものについても十分に検討し、問題があり得るならば停止するだとか、その他の重要な緊急措置をとる必要があるだろうと思うんです。今後建設される内容についても、そういう内容を含めて今の原子炉のあり方というのは平和的な完全利用についてはまだ未完成だというふうなことが専門家の中でも言われているわけで、そういう点を含めた検討が抜本的になされることを私の方としては特に要望しておきたいので、検討の際にはぜひ考慮していただきたいということだけを申し述べておきたいと思います。  私の質問は終わります。
  30. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 私は、本調査会でこれまで有識者の方々から伺ったお話、それからまた本日はエネルギー庁の長官から伺った話を聞いておりまして、エネルギー問題というのは地球レベルということから考えまして、これは抜き差しならない状況にあるということを強く認識しておるものであります。特に日本のように大変エネルギーの自給率が低い国におきましては、特に二回経験しているわけですけれども、そういう経験をもとにかんがみましても安定供給ということについて我々は真剣に考えていかなければならない。さらに、今やエネルギー問題は地球環境に直結する人類の共通の課題であるというこの認識はだんだん広がってきておると思います。そういう観点から幾つか質問を準備したのでありますが、どうも時間が余りないようなので、一点、二点お尋ねいたしたいと思います。  そこで、これからのエネルギー対策に欠かせない視点というものを考えてみますと、我々の時代のエネルギー安定供給をどう図るかということではなくて、これも今までの議論の中にも出てきたんですが、私はやはり未来の世代にいかに有用なエネルギー、または良好な地球環境というものを引き継いでいくかという、特にこういうエネルギーの問題に関しましては長期的な視点というものが最も重要じゃないかと思います。  そういう点から考えまして、地球の温暖化防止行動計画あるいは石油の代替エネルギー需給目標というようなものが合しきりに言われております。だけれども、これは二〇〇〇年をどうも念頭に置いてのデータというものがなされております。私はもっと長い目で考えていく、これが我々の使命ではないか、そのように強く感じております。  新エネルギーの基礎的な研究開発のために果たして十分な予算措置を講じてあるかというと、私はこれはないと言わざるを得ない、こう思っている一人なんであります。特に未来のことを考えますと、太陽エネルギー、水素エネルギー、こういった技術にもっと積極的に取り組まなければならないときに来ているんじゃないかと思います。  二十一世紀を担う世代に夢を与えるためにも先ほども出ておりました若者たちがどうも理科系に行かないというのはここでも何度も議論に出ました、私も言いました。そういう点から考えましても、その辺に予算措置がしてないと若者たちも目を向けない。そういう点から考えまして、二十一世紀を担う世代に夢を与えるためにも十分なる新エネルギー、太陽エネルギー、水素エネルギー等の研究、こういうものにぜひとも多くの者が取り組むようにしていただきたい。また、我々もそれに努力しなきゃならないと感じておりますけれども、通産省の御所見を伺いたいと思います。無理に長官でなくて結構でございます。
  31. 松藤哲夫

    政府委員(松藤哲夫君) 新エネルギーあるいは省エネルギー技術の開発及び普及というのは、先生御指摘のように大変緊急かつ重大な課題であると我々も認識しておりまして、新エネルギーにつきましては昭和四十九年からサンシャイン計画ということで太陽エネルギー、風力、水素エネルギー、地熱エネルギー等の開発をやってまいりました。また、省エネルギーにつきましては昭和五十三年度からムーンライト計画ということで燃料電池、スーパーヒートポンプ・エネルギー、超伝導電力応用技術、セラミックガスタービン等の技術開発を鋭意やってきておるところでございます。  今まで具体的な成果といたしましては、例えばソーラーシステム、これは大幅にコストダウンができ、また相当普及いたしましたし、太陽電池の製造コストなどもこの計画を始める前に比べますと三十分の一までコストが下がってきておりまして、かなり実用化に近いところまで見えてきたという感じが我々いたしております。  また、省エネルギー技術につきましては、例えばヒートポンプシステムは家庭のエアコンを中心に広範にその技術が利用されておりますし、ガスタービン複合発電システムも開発、実用の段階に来ております。さらにまた、燐酸型の燃料電池につきましてもほぼ実用の段階に来ておりまして、そういう意味では我々皆様方の御支援によりまして一定の成果を上げてきているという感じはしております。  しかし、御指摘のような状況を踏まえまして、今後一層この努力を強化しなきゃいかぬということで、平成五年度からは新エネルギー省エネルギー、それから地球環境技術を一体化いたしまして、これを一体的、総合的に推進するということでニューサンシャイン計画という旗印のもとにあらゆる技術を統合して先生御指摘の新エネ技術省エネ技術をさらに加速的に推進すべくシステムを変えまして、また、予算も過去よりは大分手厚い措置をお願いしておりまして、今後とも新しいシステムのもとで新しい技術の開発普及に努力してまいりたいと考えております。
  32. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 もう時間がほとんどなくなっておりますので、あとはひとつ要望にしたいと思いますけれども、さらに重要と思われますのは、エネルギー対策というのは先ほど申し上げましたとおりに人類共通の課題であると。これを考えるときに、発展途上国の問題がどうしても我が国だけでは解決できない問題がたくさん出てまいります。  そうした点で日本はほかの国に、私も中国だとか東南アジアを歩いてみましても日本はダントツに進んでおりますよね。そうした点で蓄積したこの我々の技術をNEDOのこうした業務というようなものにもっと積極的に拡充することにおいて日本の国際貢献、国際協力というような点に今後我々の任務を果たしていく、そういう面で果たしていくというようなことを特にお願いし、もう時間が来ましたので、これは要望にかえさせていただきます。  終わります。
  33. 小池百合子

    小池百合子君 よろしくお願いいたします。  改めて申すまでもなく、我が国エネルギー供給構造は諸外国と比べて対外依存度が非常に高い。石油もそうですし、輸入依存度が高いということで、極めてブラジャイルな状況はずっと続いているわけでございますけれども、そこで時間の関係もありますので、二点だけ伺いたいと思います。  これは、対外依存度ということから、環境問題も含めて中国、ロシア、こういったところを、中東以外に日本との関係を考えていかねばならないと思うんです。  まず対中国でございますけれども、ここで酸性雨の問題、CO2の問題など出てくるわけでございます。政治的な問題もあるんでしょうけれども、改めましてエネルギーの面における対中政策について伺わせていただきたいと思います。
  34. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 今中国とのエネルギーの問題ということで酸性雨等々のお話があったわけでございますけれども、私どもも、御案内のように、中国の場合に大体八割ぐらいが石炭ということで、しかも環境対策が不十分というような問題があると承知をいたしているところでございます。そういったことから、発電所の脱硫の対策であるとか、発電所だけではなく一般産業省エネであるとか、環境対策等について実は昨年度から原発あるいは今年度、先ほど申し上げましたエネルギー関係法律を改正いたしまして、NEDOにそういった業務を行ってもらうことにいたしておりまして、今後ともそういったことで当面はモデル事業というような形になろうかと思いますけれども、充実を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。  また、恐らくエネルギーということになりますと、そういった問題だけではなく、と同時にエネルギーの開発といったような問題も今後出てこようかと思います。既に、例えば石油で中国で開発している例もございましたり、あるいはいろいろな要請もこれからあろうかと思います。資源需給の問題、エネルギー需給問題等考えながら、いろいろな協力関係を築いていきたい、このように考えているところでございます。
  35. 小池百合子

    小池百合子君 特に、最近中国の経済発展が目覚ましいだけに、それだけ中国でのエネルギー需要というのもふえていく。そこで石炭の利用もさらにふえていくということでございますので、ぜひ石炭の問題については、特に日本技術的な支援等ができるようにしていただきたいという要望を申し上げたいと思います。  それから、一方ロシアでございますけれども、最近新聞を開きますと過去の宇宙開発での惨事であるとか、それから原子力関係の不要なものを日本海に捨ててしまうとか、冷戦が終わりますとこういったいろんな情報が漏れてというか、見えてくるたびに何だか背筋がぞっとする思いがするわけでございますけれども、このロシアの問題、何だか日本海がごみためのようになっているようなそんなイメージさえ抱いてしまいます。  さらに、そういった環境の面からの対ロシア、それから同時にやはりシベリアであるとか、それからこれはロシアではございませんが、旧ソビエトのいわゆる中央アジアの国々は天然ガスども非常に豊富であるということから、こういった旧ソビエトとの関係というのはこの辺も政治的な面もいろいろあるかとは思うのでございますけれども、これからの対ロシア、対旧ソビエト諸国という、その長期的な対策もしくは政策について伺わせてください。
  36. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) これも非常に幅広い問題でございまして、一言でお答えするのは難しいわけでございますけれども、前段でおっしゃいました放射性廃棄物の投棄等に関する問題、これはいろいろ情報を収集すると同時に、実態をよくつかんだ上で対応を考えていかなければならないと思っているわけでございます。  また、関係省庁も非常に私どもだけではなく、いろんな省庁にまたがる問題でもございまして、例えば今の海洋投棄の問題につきましてはちょうど今ロシア側と日ロ作業部会というのの第一回を開催いたしているところでございまして、とにかくまず実態を究明し、そういったものを踏まえながら調査をするなり、あるいは対応を考えていくといったようなことで一つ一つ片づけていかなければならない問題というふうに思っているわけでございます。  それから、同様にエネルギー資源開発の問題でございますけれども、当面倒案内のように大変旧ソ連石油生産というのは落ちているわけでございまして、これに対する協力という問題は国際的なエネルギー資源の需給の安定化という意味でも重要でございますし、またロシアのあるいは旧ソ連の国々の経済再建といったことからも重要であろうかと思っているわけでございます。  ただ、これは確かにエネルギー資源があるんではないかということで言われるわけでございますけれども、大ざっぱに言えば短期の問題といいますか、当面の問題と長期の開発問題と恐らく二つに分けられるんじゃないのかなという感じがいたしております。当面は減退する例えば油田の維持、補修と申しますか、生産が落ちていくのを食いとどめる、あるいは回復する、そういった努力、こういった面で例えば資機材の輸出をバックアップしていくという意味で、我が国も貿易保険等の特別の枠をつくってやっているというのが実情でございますし、長期的には新しい資源の開発というのも重要になってこようかと思います。ただ、この前提といたしましては制度的な環境と申しますか、そういった面でやはり外国からの投資というのが安全に受け入れられるような環境というのが整備される必要もあろうかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、そういった長期の問題も重要な課題でございまして、私どもも必要な情報収集に努めると同時に、環境整備あるいは必要な支援策、そういったものを検討していく必要があるだろう、こういうふうに考えているところでございます。
  37. 浜本万三

    会長浜本万三君) 私、一つだけ長官にお尋ねしたいんですが、四ページの「経済、環境エネルギーそれぞれの政策目標」というところ。これでちょっと伺いたいんですが、西暦二〇〇〇年でもよし、二〇一〇年でもいいんですが、それを目標にいたしまして経済成長を遂げていくと石油に換算いたしましてエネルギーの量は大体どのぐらいになるのかということが一つ。  それから次は、環境保全という国際的な約束によっていろいろ制限される、その制限される量は石油に換算してどの程度になるのか。それを恐らく省エネと新しいエネルギーの開発によって補って経済成長を目的どおりやろうというお考えなんでしょうが、その省エネと新しいエネルギーの開発をどの程度の割合に考えておられるのかわかりますか。そういう点、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  38. 黒田直樹

    政府委員黒田直樹君) 五ページに「最終エネルギー消費の見通し」、これは代エネ供給目標ということで書いてございますけれども、ちょうどこの代エネ供給目標というのも九〇年の十月に決定をいたしておりまして、そういう意味環境保全のための地球温暖化防止行動計画とも整合性を持ったものとして定めているわけでございます。この数字自体を決めているということではございませんけれども、その見通しては、ここにございますように、一九八九年の実績でエネルギー消費が原油に換算いたしまして三億三千六百万キロリットルというのが、二〇〇〇年には三億九千百万キロリットル、二〇一〇年には四億三千四百万キロリットル、こういうことで消費を見通しているわけでございます。  それで、その下のグラフでございますけれども、この見通しをつくりましてから二年たちまして一九九〇年と九一年の実績が出たわけでございます。そのグラフが、下にございますように三四九、三五八ということでプロットしてあるわけでございますが、この勢いを伸ばしていきますと、ちょっとラフな予測でございますけれども、昨年、先ほど申し上げました私どもの審議会で試算していただいたところによりますと、二〇〇〇年の三億九千百万キロリットルの予測に対しまして四億二千万ないし四億三千万、ちょうど斜線で囲った部分でございますけれども、こういうような勢いで伸びていくのではなかろうかと。  したがって、この四億二千万なり四億三千万のレベルを三億九千百万のレベルに下げないといけない、これが省エネの必要性ということでございまして、これを数字にいたしますと、原油換算で三千万キロリッターから四千万キロリッターぐらいになり、これを実現していかなきゃいかぬ、こんな感じでいるわけでございます。
  39. 浜本万三

    会長浜本万三君) ありがとうございました。  それでは、他に発言もなければ、本件の政府に対する質疑はこの程度といたします。  政府委員の方は退席していただいて結構です。御苦労さまでございました。  なお、本日、政府から提出されました参考資料のうち、説明内容把握のため必要と思われるものにつきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 浜本万三

    会長浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  41. 浜本万三

    会長浜本万三君) 次に、本調査会資源エネルギー問題についての初年度におけるテーマであるエネルギー需給見通し省エネルギー対策に関する件につきまして、自由討議の形式で意見交換を行いたいと思います。  議事の進め方といたしましては、まず各会派に配分いたしました時間内で意見を開陳していただきます。そして、意見開陳が一巡いたしました後に、各委員において補足意見等ございましたら御自由に御意見をお述べいただくという方法で進めたいと存じます。  それでは、まず意見開陳を行います。  御意見のある方は順次御発言を願います。  お座りの上で結構でございますから、今からお座りの上で意見を述べていただきたいと思います。
  42. 藁科滿治

    藁科滿治君 今日までの審議とそれから視察の経過を踏まえまして、若干意見を申し上げたいと思います。  今会長からお話がありましたように、私ども十分党・会派として練り上げてはおりませんので、足りない点は各委員から彼ほど補強もしていただきたいと思っております。  近年のエネルギーの消費の伸び環境問題への対応から見ると、これからのエネルギー対策は、供給重点から需給両面に軸足を置いたものに転換しなければならない。そのような視点に立ちまして、七項目にわたって簡潔に意見提起をさせていただきます。  まず第一に、今次国会で成案を見た省エネルギー・リサイクルに関する法案は消費対策の強化という面で期待されているが、それを効果あるものにするためには、積極的かつ継続的な行政面、中央、地方自治体両面の啓蒙、情報宣伝活動などを進める必要がある。  第二。エネルギー消費の伸びが著しいのは民生、交通の分野である。特に、交通分野については石油依存度が高く、また排気ガスによる環境への影響が大きいことなどから、環境保全の面では交通部門への対策は最大の課題一つである。今、米国ではゴア構想に基づく全国的データ・ハイウエーの展開が注目されているが、我が国においても、交通渋滞、騒音、事故、そして公害などの障害を総合的に改善、整備するためには、全国的規模での社会資本整備など大胆な対策が必要である。  三。省エネルギー、リサイクル対策の推進に当たっては、産業企業と消費者各層の責任と行動の醸成や高揚が不可欠であり、そのための教育システムの確立や情宣活動が必要である。  四。エネルギーの利用効率の向上と未利用エネルギーの有効利用のシステムを全国的規模に拡大させるためには、インフラ整備を初め都市計画、地域開発など関係省庁、地方自治体など、行政面の条件整備が必須の条件である。  五。エネルギー供給の安定確保の面では、太陽エネルギーを初めとするクリーンエネルギーの開発を、特に財政的な裏づけのある、より積極的な形で進める必要がある。当面は供給安定、環境対策、民意の動向などから天然ガスへの転換が期待されるので、パイプライン構想の展開をめぐる法制度の検討を早急に進めるべきである。  六。地球規模での温暖化、酸性雨など環境への影響はもはや放置できない状況となっている。その対応は、南北問題など開発と環境のはざまの中で容易なことではない。しかし、我が国省エネルギー・リサイクルの環境技術の移転や国際間での環境をめぐる情報交換のネットワークの形成、さらには国際会議の開催など、我が国環境に関する国際貢献としての役割は極めて大きい。  七。最後に、本年度の審議、視察を通じて痛感させられたのは省エネルギー、リサイクル先進国の情報収集の必要性である。今後、諸外国の現地視察、資料収集について努力されることを特に要請申し上げたいと思います。  以上でございます。
  43. 星野朋市

    ○星野朋市君 私は、今までの議論を十分わきまえた上で、自民党としてのエネルギーに対する基本方針というものが策定されております。その抜粋を申し上げます。  近年、原油価格世界的な需給緩和により、安定的に推移しておりますが、旧ソ連の社会主義体制の崩壊により、世界最大の産油国である同国からの石油安定供給が不安定なものになっております。また、一九八六年以降、世界石油需要は増加に転ずる中、OPECへの依存度が再び高まりつつあります。こうした中で我が国は、石油依存度石油輸入の中東依存度の高いエネルギー供給構造が主要先進国に比べて極めて脆弱であります。  エネルギーは経済社会及び国民生活の維持発展のための最も基本的な要素であり、我が国が今後とも順調に経済発展を遂げ、国民福祉を向上させていくために、エネルギー安定供給確保することが極めて重要な政策課題となります。また、アジア・太平洋地域については今後ともエネルギー消費の高い伸びが見込まれることから、本地域におけるエネルギー需給の安定化を図ることは、世界全体のエネルギー需給の安定化にとって極めて重要であると考えられます。  また、国際経済社会への貢献の最重要課題一つに地球的規模の環境問題があります。近年、CO2などの温室効果を有する気体の濃度の上昇に伴う地球温暖化問題、酸性雨問題など地球規模の環境問題への対応が課題となっており、我が国においても一九九〇年十月、地球温暖化防止行動計画が閣議決定されたところであります。したがって、エネルギー政策上も本問題の重要性がますます高まっております。  これらのことから、セキュリティーの確保を第一としつつ、さらに今後、国民生活経済活動にかかわるニーズの多様化、高度化が予想されることから、地球的規模の環境問題をも含めた国際経済社会への貢献を図ることを基本的な目標とし、省エネルギー推進石油代替エネルギーの開発及び導入、石油安定供給確保を三本柱とする総合的なエネルギー対策を着実に推進していくことが重要であると考えます。  本日は、省エネルギーの問題についてのみ意見を申し上げます。  我が国省エネルギーは、国民挙げての努力により、これまで多大な成果を上げてまいりました。省エネルギーは、エネルギー制約の緩和、コストの低減などを通じた経済全体の活性化に資するのみならず、地球温暖化問題への対応にも資するものであり、今後世界経済の成長に伴ってエネルギー需要も着実に増加すると見込まれることを踏まえ、積極的にその推進を図る必要があります。  このため、省エネルギー意識の一層の定着を図るため、普及・広報活動を行うとともに、中長期的な観点からエネルギー使用の合理化、効率化のための技術開発を推進しなければなりません。  産業、民生、運輸の各部門の特性に応じた実効性のある省エネルギーを協力に推進するため、エネルギー使用の合理化に関する法律の積極的な運用及びその必要に応じた見直し、省エネルギー設備導入促進のための金融、税制上の助成措置の一層の拡充、省エネルギー技術の研究開発の促進、未利用エネルギーの活用など地域省エネルギー推進省エネルギーに関する広報・啓蒙・普及活動を実施するほか、発展途上国に対する省エネ技術移転などの国際協力を図ることが重要であります。  我が国は、世界有数のエネルギー消費国であり、また、エネルギーの相当部分を石油輸入に依存しています。我が国エネルギーの安定確保を図っていくために、これまでのような過度の石油依存を抜け出す必要があります。そのため、二〇一〇年までに石油依存度を五〇%以下にするための需給見通しが平成二年十月に資源エネルギー庁において策定されましたが、そのための方法として、石油にかわるさまざまな新しいエネルギー、代替エネルギーの開発とともに、エネルギーを有効に使用する省エネルギー推進が重要な一つとして考えられます。また、我が国全体の熱効率が三五%にとどまっており、六五%が廃熱となっている現状を踏まえ、エネルギーを使うところにさまざまな技術的工夫を取り入れていくこと、つまり省エネルギー技術の開発が必要であります。  我が党はこのような考えに基づき、ムーンライト計画を強く推進しています。  ムーンライト計画とは、省エネルギー技術の研究開発を国が中心となって総合的、計画的に推進するために昭和五十三年度から通商産業省工業技術院で進められているプロジェクトでございます。現在、需要量に応じて効率的に発電でき、熱利用も可能な燃料電池発電技術エネルギーを高効率に増倍して高密度に蓄熱するスーパーヒートポンプ・エネルギー集積システム、電力系統の高効率化、安定化を図る超電導電力応用技術、コージェネレーションに応用できる高効率なセラミックガスタービン、電力の負荷平準化機能を持ち電気自動車にも適用可能な分散型電池電力貯蔵技術の大型省エネルギー技術の研究開発を国の試験研究所、民間企業、大学などの力を結集して進めていることを改めて述べさせていただきます。  ムーンライト計画は、既に工場などの廃熱を回収し、有効利用をする廃熱利用技術システムや燐酸型燃料電池のように研究開発を終え、既に普及段階に入るなどの成果が上がっているものもあります。また、地球的規模の環境問題への貢献も含めて今後の展開を期待したいと思います。  さらに、先ほども説明ありました平成五年からのニューサンシャイン計画を積極的に推進してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  44. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私の方からは、会派としての意見の取りまとめにちょっと不十分な点もありまして、後ほど自由討議の際に補足等があるかもしれませんので御了承いただきたいと思います。  私の方から四点にわたって意見を申し述べさせていただきます。  まず第一に、長期エネルギー需給見通しの改定についてでございます。  エネルギー資源が極めて乏しい我が国にとって、経済社会の発展及び国民生活の向上のためにエネルギー安定供給確保と有効利用の推進基本的な課題であります。しかしながら、最近は石油価格の安定化等に伴って、再びエネルギー需要が大きく増大しております。仮に現在のエネルギー消費水準のまま推移するならば、現行の長期エネルギー需給見通しで予測している需給バランスについて相当のギャップが発生することが予想されます。したがって、エネルギー政策を進める上で基本となる同見通しの改定について検討することが必要であります。  これは、単に予想以上に増大するエネルギー需要供給を追いつかせるということだけではなくて、エネルギー需要増大に問題はないのかという観点も十分踏まえるべきだと思います。  第二番目に、地球環境対策の促進という面から申し上げます。  現在、主要なエネルギー源となっている石油石炭などの化石燃料は、その使用によって必然的に炭酸ガス等の温室効果ガスを発生し、この結果、海面の上昇、気候変動の激化等地球環境に深刻な影響をもたらすと言われ、その対策の確立が世界的な重要課題となっております。  したがって、我々はこうした地球環境問題に十分配慮しつつ、持続的発展が可能な社会の形成を目指してエネルギーの効率的な利用を図る必要があります。それには、産業、民生、輸送のすべての部門にわたる省エネルギー促進のための誘導政策の実施、太陽光発電を初めとする再生可能なエネルギーへの転換を促進する等の対策が不可欠であります。  また、特に急を要する課題として、炭酸ガスの排出量が石油の約三分の二、石炭の約半分と言われている天然ガスへの燃料転換を促進する必要があります。ヨーロッパ諸国においては、既に国境を越えた天然ガスの広域的なパイプライン網の整備が進んでおります。我が国も、国内はもとより、ロシア、中国、東南アジアにまたがる広域パイプライン網の整備を急ぐべきであります。それにより、国内における燃料転換だけにとどまらず、例えば石炭中心の中国が天然ガスに転換しやすいような条件を整えることにもなり、地球環境対策上こういった効果も重要であると考えます。こうした広域的な天然ガスパイプラインの計画を促進するための諸施策について検討する必要があると思います。  なお、化石燃料は、炭酸ガスばかりでなく、SOx、NOxなどの酸性雨の原因となる物質をも排出します。我が国は、これらの公害物質の除去のためのすぐれた技術を持っており、発展途上国における公害防止及び地球環境対策の一環として、これらの技術発展途上国等への移転を促進することも重要であります。  第三に、省エネルギー対策の促進について申し上げます。  最近、我が国では、冒頭で申し上げましたように、再びエネルギー需要増大が始まっており、一層の省エネルギー化のための努力が望まれる現状にあります。  まず第一に、現在、我が国全体でのエネルギー利用効率は三五%程度にとどまっておりまして、残りの六五%が廃熱として捨てられていると推定されております。このため、この廃熱部分をいかに有効に利用するかが省エネルギー対策基本的な課題であると言えます。  そのための具体的方策として考えられるものに、まず熱電併給のコージェネレーションシステムがあります。すなわち、都市のビルの地下などに都市ガス等を燃料とするタービン発電機などを設置し、電気を地域に供給するとともに、その廃熱を利用して給湯や冷暖房を行うもので、これによりエネルギーの有効利用率は現在の三〇%台から七〇%台に引き上げられることが可能となります。これはエネルギー量にすると、同量の燃料で倍の有効エネルギーが得られるということになるわけであります。  次に、熱の多段階利用、すなわちカスケード利用があります。  これは工場団地などで高い熱を必要とする工場から低い熱で十分な工場まで段階的に廃熱を利用し、最後に家庭用給湯などに用いることにより、一たん発生させた熱を徹底的に利用しようというものであります。  さらに、ごみを燃料とする発電や河川水、下水、地下鉄構内などの熱をヒートポンプでくみ上げて地域冷暖房などを行う未利用エネルギーの活用も積極的に推進する必要があります。  一方、こうした省エネルギー社会を実現するためには、長期的、総合的な観点に立って省エネルギー型の都市計画、自動車交通制御システム等の社会システムの構築に取り組む必要があります。その際、各地域の実情や行政の縦割りの弊害の除去等も考慮した施策の実施が重要になります。  また、省エネルギー社会の形成のために、国民が自主的に省エネルギーに取り組むことが期待されます。したがって、国民に対し省エネルギー等についての情報の提供、啓発、教育、こういった面での充実を図ることも極めて大切な点であります。  先ほども政府に対して質問しましたが、今後の効率的な省エネ基本は、国民の一人一人にどれほどその意識が定着するかであると思います。その意味で、家庭レベルでの省エネ思想の定着こそ最大限に重視すべきものと考えます。  ところが、この最も大切な一人一人の日常生活レベルでの努力がまだまだ不十分であるということがわかりました。この反省に立って、今こそ地に足のついた省エネ対策推進に取り組むべきです。家庭レベル、生活レベルでの自主的な省エネの流れをつくるべきです。これが成功すれば、国民一人一人の心の中で省エネの思想が省資源の思想につながり、それがやがて個人レベルからライフスタイルの変革を促すことになると確信するものであります。  我が国は、かつて石油ショックによりエネルギー価格が高騰したときには、産業部門中心省エネルギー化によりエネルギー需要量が減少し、それがまたエネルギー需給の安定に貢献した経験を持っております。我々はこの貴重な経験を十二分に生かして省エネルギーに今後とも国を挙げて取り組むべきだと、このことを強調しまして、私の意見表明を終わります。  以上でございます。
  45. 長谷川清

    ○長谷川清君 私は、エネルギー対策を考える場合に、一つの大きな前提があると思うんです。その前提は、これまで平成元年から平成四年までの三年間の需要伸び状況を見ましても、全国レベルで約二千四百七十万キロワット、関東ベースでいきますと大体千四十万キロワット、この千四十万キロワットというのは神奈川県一県に値する分が三年間で需要がふえているということなんです。そしてまた、先ほどから報告がございましたような展望をしていきますと、これはさらに確度が高くなって需要伸びていくと、こう読まれております。  私は、このことは国民の一人一人がやはり今よりももっと便利でもっと快適な生活をしたいという願望と欲望がそういうものにつながっている。このところを政治としてどう見るのか。一つには、それは誤った方向だから、グリーンピースのように原始に返る運動、これも一つの方策でしょう。あるいはそこまで極端ではないけれどもという幾つかのそこにはバンドと幅があると思うのでございますが、エネルギー日本の政策としての基本的な方向づけだけは一応各党会派やいろいろ国民レベルみんなで考えて、そこで一つの方向づけをしておく必要があるのではないか。このことがぐらついておりますから、いつも今後に起こってまいります需要供給関係に、必要なところに必要な立地ができないといったような状況が出てくると思うのです。  そういう点を前提にした上に立って、例えば一つこれからどうしても必要なことは、今まで皆さんがおっしゃったような省エネルギーを息長く健全に発展をさせていくことが日本の社会にとって私は必要だと思います。  第二には、非化石燃料というものに重点を置いて、石油のような有限でしかも悪さをする、そういう燃料はできるだけ閉じ込めていく。そして太陽エネルギーであるとか、風力、波力であるとか、あるいはLNG等々の拡大を最大限技術の開発とともに実用化を目指していく研究が必要である。  第三には、熱供給のようなコージェネという事業、これも今電気事業法で電力会社がやっておりますけれども、熱供給事業法というのが別枠で、これは別枠の収支決算を義務づけておるわけでありますが、これがまだまだ一人前になっていないわけでありますから、これを強化、育成し拡大をするという数字を求める。こういった新しいエネルギーや熱供給、コージェネのような、あるいは未利用のエネルギーの活用といったようなことなど、最大限目いっぱいに進めるべきである。ただ、その省エネを一〇〇%完成し、そして今言ったような項目を全部一〇〇%計画どおり進めたといたしましても、残念なるかな、需要供給が追いつかないというパワー不足が総量において生じるところにこれからのエネルギーの対策の悩みがあるんだと思うんです。  そこで、どうしても使いたくなくても原子力のようなみんなが怖いと思うようなところに、これを石油をやめていくことによって原子力だとかLNGの利用率を高めていく、それでバランスをとっておるというこの現状にぶつかってくると思うのです。  そういった点について、またもとへ戻るんですが、大前提というものが本当にどうかという点。私は、水力であるとか原子力であるとか石油であるとか、これから使うLNGであるとか火力であるとか、原子力だけが怖い、危ないのではなくして、すべて燃料の生の原子というものは非常にみんな危ないものであり、危険なものでございます。原子力で死んだ数よりは水力発電所をつくるダムの工事で死んでいる人の方が多いぐらいでございます。それは比較にはならぬでしょうが、原子力に対する怖さは、一たび何かあったときには人類全体にインターナショナルの問題として、という問題がありますだけに、これを今世紀最大の技術で、人間の創意と工夫と知恵で、そして今日本の中にあっては四十年原子力は安定的推移を保っております。したがいまして、私は、それぞれの燃料というものの短所をいかに閉じ込めて、そして長所を最大限に生かして、それぞれの長短の中の安全な製品にこれを製品化して、これからの人々の生活に役立てていくか、そういうところが最後には大事になってくるし、このベストミックスという考え方に、やはり総合的に一長一短を全部バランスをとっていくということではないかと思うのであります。  そして、これからの問題としましては、皆さんもおっしゃったような国際的な問題、どうしてもエネルギーは、特に原子力はインターナショナルでございますから、ロシアでまたいろいろ火を噴いたり放射能が放出するようなことがありますと、直接地球上に被害をこうむるわけでございます。特に、これからの開発で中国であるとか韓国であるとか東南アジア原子力について開発をし、平和利用していくという状況であるときの国際協力の壁になるのがどうしても言語の問題ですね。原子力が非常に高い技術というものを必要としておりますだけに、一つ一つの機器の名前にも専門的な用語がいっぱい出てくるわけでございますから、それをロシア語で通訳を的確にできるか、東南アジアでやる場合にうまくいくのか、韓国でという言語問題は非常に大きな壁になると思われますので、そういう点については、私はそういうことも含めた国際協力というものを一つ一つ組み立てる、そして、日本対ロシア、日本対韓国といったようなそれぞれの具体的なケース・バイ・ケースの中で確立をしていく必要があるんではないかと感じているわけでございます。  それから、さっき被曝の問題もちらっと質疑の中で出ておりましたけれども被曝の量というものが二百五十ミリのところまでいきますというと、それ以上になると白血病の発生率が心配される。しからば、それ以下ならば安全かというと、安全とも言いがたいというそれが現状のように聞いております。  したがって、今セッティングされておりますのは五十ミリ。二百五十のところ以上は危ないぞ。これ以下なら大丈夫なのか、いや、わからないから五十ミリと。それが先ほどの話にございました国際基準ということになっているんだと思うのですが、いずれにしても白血病、こういうものが放射能によってそれになったのか。遺伝的なものもございますし、お酒の好きな人ならばアルコールによってもそれはといったような、いろいろな医学的には因果関係がある。例えば、広島の原爆でというような場合にははっきりするんですね。といったような最終的なこの認定というところになっていった場合、今の場合にはその五十ミリよりも下に、実際は法律で決められたやつよりも何分の一かでやっているというのは、そこを言っているんだと思うんですけれども、いずれにしても、労働基準局あたりが労災適用しようかという場合には非常に具体的になりますから、その因果関係で本当に適用できるかできないかは、いろいろとそこには医学の問題や何かが介在をしてくるのであろう。したがいまして、単純にここならアウト、ここならセーフとはなかなか、これは裁判の判例と同じようなものではないのかなというふうに今感じましたので、その点も意見を言わせていただく中に一つ加えさせていただきたい。  いずれにいたしましても、いろんな意味において次世代の人々という視点に立ったときにはこれはもう十二、三年で供給力はマイナスに落ち込むというデータになっております。これは電調の報告で明らかに数字が出ておりますけれども、もう十二、三年で供給力はマイナスに転じる、こういう状況でございますから、むしろ供給力をどのように、もし需要がそうであるとするならば、それに対する供給力は一つの計画で大体十年かかるという、設備が。となりますと、そのことを予見しつつそれに対応していくという問題が出てくるんでしょうから、少しそこら辺の問題に不安が出始めている。そしてハードな部分の設備という部分と、先ほどもちょっと文部省に聞きましたような人材の確保という点では非常にまた心配であるのではないかというふうに感じておるところです。  以上でございます。
  46. 立木洋

    ○立木洋君 私は、これまでの調査を踏まえて、エネルギー問題の今日的課題について若干の考えを述べたいと思います。  これまでの膨大な化石燃料の消費によって地球環境への影響が極めて深刻な事態にあるということが明らかになってきております。このため、化石燃料の消費は可能な限り削減し、従来のエネルギーの効率的な利用と二酸化炭素を発生させない新しいエネルギー供給確保することによって地球環境を守っていくことが重要な課題になっていると考えます。  当然のことですが、世界的には開発途上国において、今後とも経済の発展によってエネルギー消費の増大はあり得るわけですし、先進国に我慢を押しつけて、生活水準を大幅にダウンすべきだということでは、もちろんありません。今日の日本社会でも、生産、流通、消費のあらゆる分野でエネルギーの浪費があるわけですから、これを改めることによってかなりの改善が可能になると考えます。  特に発電などのエネルギー転換段階や消費の段階で有効に利用されることなく、熱として自然界に還元されている部分は六五%にも上るというわけですから、この捨てられている部分の有効利用のための技術開発は極めて重視されるべきです。  また重要な課題は、地球環境に優しい低エネルギー社会への転換を図ることだと思います。一九九〇年秋に開かれた世界気候会議の科学者レベルの会議では、「先進工業国は二〇〇五年までに二〇%の二酸化炭素の削減を目指すべき」との宣言が行われました。これは積極的に対応すべきだと思います。  こうした点を踏まえて、次の幾つかの点に触れておきたいと思います。  第一の大きな視点としては、エネルギーを大量に浪費するような生産と流通、消費の構造を見直すという問題であります。  その一つは、依然として大企業の大量生産の問題があります。  日本全体で見ますと、エネルギーの大量消費は言うまでもなく営利企業の活動の分野であります。最終エネルギーの消費で見ると、全体の五〇・一%が産業部門で占められています。例えば鉄鋼におけるエネルギーの消費だけでも全家庭の一年分のエネルギー消費とほぼ同じ消費をしているわけであります。この点で、企業活動のエネルギー消費を抑える問題はこれまでも言われ取り組まれてきたわけですが、引き続き重要な課題として追求していくべきだと思います。  二つ目としては、今二十四時間社会と言われるような社会のあり方の問題です。昼夜交代での連続操業の生産や、流通の面で昼夜の別なく動いている状態があります。コンビニエンスストアや自動販売機の増加によって、いつでも商品が手に入る状態にあります。もちろん、これは利便性は向上しているわけですけれども、このことによって、多大なエネルギーの消費によってこれは支えられているという点は見直す必要があります。自動販売機の真夏の冷却あるいは真冬の加熱装置などのエネルギーの消費は膨大なものです。自動販売機一台で一般家庭一世帯よりも多くの電気を消費しています。今全国で五百万台の自動販売機があると見られますので、この消費量は軽視できません。当然この自動販売機の設置ルールも検討されるべきではないでしょうか。  三つ目の点は、商品生産構造の問題であります。  自動車産業でのモデルチェンジは、先般も申しましたように、欧米諸国と比較すると約半分の期間で行われていますし、家庭電気製品は毎年のように行われています。これは技術革新の成果を取り入れるためだけのモデルチェンジと果たして言い切れるのでしょうか。そうではないと思います。また部品がパッケージ化されて、故障したときに必要のない部分まで取りかえなければならなくなっていたり、修理用の部品の在庫が確保されていないために修理ができず、品物そのものが放棄されてしまうという事態もあります。こうした大量消費をあおる利潤本位の生産構造が日常生活の中に使い捨ての製品がはんらんするという結果を生じ、膨大なごみの存在は新しい問題を引き起こしています。資源・エネルギーの有効利用、そして環境を守ためにも、リサイクルを積極的に進めることがこの点からも重視されなければなりません。また、組み立て産業でのジャスト・イン・タイム方式や流通機構でのPOSシステムは、必然的に多頻度少量輸送となってエネルギーの消費増大となります。この見直しとともに、車優先社会の見直しも重要ではないでしょうか。これは地球温暖化防止の上からも、輸送のあり方、燃費改善などに取り組むことが求められていると言えます。  さらには、生鮮食料品の小分け販売に使われるプラスチックトレーの問題や大量消費を求めるダイレクトメールの増加の問題も当然考えられるべきでありましょう。  第二の大きな視点としては、エネルギーの効率的利用促進の問題があります。  産業部門にしても業務部門にしても、最終消費を用途別に見ると熱需要がその過半を占めており、民生部門は言うまでもなく圧倒的に熱需要が多くを占めています。そして、これらの熱源利用は特に低温熱が圧倒的です。製造業の低温熱と民生部門の冷暖房、給湯などのエネルギー需要を合計しますと、最終エネルギー消費全体の二四%、一次エネルギー国内供給に対する比率は一七%近くになっています。こうしたことを見るならば、地域単位において熱源供給のカスケード利用は十分に可能性があると見られます。  また、電気事業では廃熱として捨てられている問題はさきに述べたとおりですが、このために発電、変電、送電の各部門での効率化の研究開発の促進を図ることが大切だと思います。さらに、コンバインドサイクル発電、燃料電池など小型分散型発電、コージェネレーションの活用など積極的に追求すべきだと思われます。そして、家庭や団体で自然エネルギーを使って発電した電力が余剰になったとき、外国の例にも見られるように電力会社が適切に買い取るような法の検討も必要だと考えます。  第三の大きな視点としては、新しいエネルギーの開発利用を促進する問題があります。  さきに述べたように、製造業において二割近くを占める低温熱の一部、また熱需要電力需要のほとんどが低温や低圧を占めている家庭用のエネルギーなどは、太陽エネルギーや風力、地熱などの自然エネルギーの導入の可能性が大きいと言えます。自然エネルギーの導入を進めるためには、当面の経済的効率だけでとらえたのでは利用されません。この利用のためには、国が積極的に有効利用の技術開発を促進して、家庭用の設備投資についても税制、金融、財政上の優遇措置をとることが必要と考えます。  さて、新しいエネルギーと関連して、政府が二酸化炭素を排出しないエネルギーとして原子力発電の推進を図っていますが、これは国民の安全と環境にとって極めて大きな問題であるので、原発推進政策の根本的な転換を図るべきだということを強調したいと思います。  現在の政府の計画によりますと、原子力発電を二〇一〇年度供給目標として四千七百四十億キロワット時へ二倍以上にふやそうとしています。  原子力発電技術については、これまでの多くの事故が示すように、まだ未完成であります。スリーマイル島やチェルノブイリのような重大事故の後に、国際原子力機関の設置している国際原子力安全諮問委員会は一九八八年三月シンポジウムを開催して、重大事故を前提としての対策の充実、強化を勧告したことは、当初日本だけは例外だということでこれを受け入れなかったわけですけれども、これは日本に対する厳しい批判だと見ることができます。  今日、原発についてはあくまでも安全を最優先にして、検討が開始されたということも含めて、住民参加も含めて既存の原発を総点検し、その結果に応じて永久停止、改修、出力低下などの緊急措置をとるべきだと思われます。将来的にはエネルギー源としてもちろん利用できるよう十分な研究開発が必要であると考えますが、当面としての安全最優先は依然として強調されなければならないと思います。  以上述べたほかに、エネルギー政策について二つの点を強調したいと思います。  一つは、自主的なエネルギー供給基盤の確保の問題があります。一九六〇年代以降、アメリカ系メジャーの供給する中東石油の導入に道を開いてから、第一次エネルギー供給の自給率は大きく落ち込んできました。また、濃縮ウランもアメリカに依存しているという状態があります。当面、エネルギー供給の主流は石油になることが当然ですから、産油国との平等互恵の経済関係に立って自国の自主的な協力を基本としてエネルギー問題に対処すべきだと考えます。もちろん、この考えは他のエネルギーについても同様であります。また、可能な限り国内の資源を活用することであります。例えば国内炭についても、経済効率性にのみ依存するのではなく、資源の有効利用の視点を重視して検討されるべきではないでしょうか。さらに、環境と調和した小規模な水力発電や地熱、風力、太陽エネルギーなどの新しいエネルギー技術開発促進のために予算も前向きに対処すべきだと考えます。  二つ目の点としては、地球環境を守り、低エネルギー社会への転換が求められている今日、産業中心資源エネルギー庁や実質的な権限を持たない若干の省庁などの既存機構を見直して、地球環境を守るエネルギー政策推進する民主的な機構が必要になっていることを述べて、私の発言を終わります。
  47. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 これまでそれぞれ委員の方が意見を述べられまして、私言わんとしていたことはほとんどおっしゃいましたので、少し補足のような形で意見を述べさせていただきたいと思います。  私たちの会派としましては、地球に優しくて、そして安全でクリーンなベスト・ミックス・エネルギーというものを目指していくということでやっております。これまでこの調査会におきまして大変勉強させていただきましたエネルギーの問題、それはやがて省エネにも関係する、そしてそれは地球環境というこの二十世紀後半、二十一世紀の問題というような点にまで関係してくるというので、それぞれ有識者の方々から意見を聞き、またそのときに私なりに我々の会派としての意見も述べてまいりましたので、どこまでも補足的にさせていただきたいと思います。  以前にもちょっと述べたかと思いますが、エネルギーのコンセプト、エネルギーという概念と、それから熱という概念というものの違い。ともすると同じように考えられておりますけれども、大きいディメンションの違いがあるんではないかと思います。それは、熱というのは再生がきかないという点から我々は省エネということを考えていく必要があるのではないか。よく言われるとおりに、水は高さより低さへ流れると言われますけれども、水力発電の場合は、参考人の方から図で説明もありましたが、幾つかダムをつくって何回か有効に利用はできるが、最後は海に水は流れていくという例で説明があったと思います。熱も同じように、例えばエンジンでは千八百度ぐらいの熱が出るわけですけれども、我々の毎日使っておりますおふろとかいうようなもので常温になっていく。だから、最高の温度から常温までというのをいかに有効に利用するかということで、我々は英知を絞っていかなきゃならない。個々に省エネにつながり、また環境に優しいものにしていくということを考えていかなきゃならないんじゃないかと思います。熱の有効利用ということがとてもこれから大事なことになってくると思います。  そこで、二十一世紀に向けて先ほど発言われておりますけれども、カスケードやリパワリング、そしてまたコージェネレーションの普及啓蒙ということも特に大事だと思います。  それから次に、化石燃料の有限性ということはもう明白であります。だけれども、我々が抱く幸福観というのは、ともすると便利で能率的であれば幸せ、またそれが善だというような考えがいまだに我々の中にあるんではないか。省エネ環境問題を考えるときに、先ほど直言われましたけれども、我々の意識、もっと言うならば価値観の転換こそ大事であるし、その啓蒙のためにも省エネなり地球環境というものについての積極的な教育というものがどうしても大事じゃないかと思います。  それから、エネルギー対策というものは、先ほども申し上げましたけれども人類共通の問題でありまして、特に発展途上国とどのように我々日本がかかわっていくかということを真剣に考えなきゃならないと思います。その点から、特に日本の高度な技術を移転する必要があると思います。そうしたところで、NEDOの拡充ということが非常に重要になってくると思います。  最後にまた、日本の将来に向けて地球に優しいエネルギーというものとして太陽エネルギー、水素エネルギーの研究開発ということが大事でありますけれども、これも私、以前述べたことがありますが、この分野に積極的に取り組む若い研究者が非常に少ないというので、きょうも庁の方に私要望として申し上げたんですが、もっとこの辺に予算をつぎ込むことによって日本の将来、いや地球に優しいエネルギーの開発というような面で我々は長いスタンスで考えていかなきゃならないんじゃないか、そのように考えております。  以上でございます。
  48. 小池百合子

    小池百合子君 エネルギー需給見通し省エネ対策に関する件ということで、これまでの調査会でもさまざまな聴取であるとか、それから視察などを踏まえまして、私なりに考えることを述べさせていただこうと思っております。  エネルギー需給、それから新エネ、代エネの開発、コージェネを含むエネルギーの有効活用、省エネ促進、地球的規模の環境保全と非常にエネルギー分野というのは多岐にわたるわけでございます。また、その中でも基本的な経済活動をどのように維持発展させていくか、それから全く違う次元で地球の人口爆発の問題というように、まさにエネルギーは私たち日本、そして人間そのものにかかわってくる非常にエッセンシャルな問題であるということに意を深めたわけでございます。それだけにバランスのとれた方策、そして実行可能な対策を講じる必要があるということを痛感しました。  それで、エネルギー需給バランスなんですけれども、これまでさまざまな見通しを伺ってまいりましたが、幾つかのシミュレーションなども行われておりますが、それぞれが見通し可能な平時の数値ということで設定もしくはその対策が練られているようでございます。国を運営していくに当たって、また日本のようにエネルギーの非常に脆弱な国ということを踏まえますと、まさに危機管理と申しましょうか、数値にならないところでの予測をどのようにしていくかというのは、そのときになって初めて見直されると申しますかそういうことも出てくると思います。世界がひっくり返るというようなことが有事かもしれませんけれども、そういった最悪の事態をどのようにして設定していくかというのは、うまくいっているときは考えたくないものでありますけれども、こういった調査会ではむしろそういった最悪の事態をこそ考える必要があるのではないかというふうに思っております。また、それをするのは当然のことではないかというふうにも感じております。  その中で、これまでは原油の備蓄をどのようにするかそれにかかるコスト、これまで石油業界等にそのコストをかけてきたりしたわけですけれども、将来の有事に際してもっと石油備蓄が必要ならば国民としてどのような負担が必要になってくるのかというような現実的な問題ももっとはじき出していく必要があるのではないか。二度のオイルショック、さらに湾岸戦争とそれぞれが予測つきかねたようなことが既に起こった。さらには、これから旧ソ連の問題もございますし、それから北海等の油田の枯渇が現実のものになるとか、それにかわって天然ガスなどの有望な分野も出てきてはおります。  そこで一番肝心なのは情報ではないかというふうに思います。そういった対外依存度が高いということからも、諸外国とのいかに有効な外交ルートを維持していくかといったようなポイントもこれからさらに必要になってくるということで、情報の受信ということ、そのルートをどのようにさらに確保していくかということも考えなければいけないと思っております。  一方で、日本からの発信も必要かと思います。例のあかつき丸の問題にいたしましても、もちろんプルトニウムそのものを守るという点での情報を隠すということもわからないでもないですけれども、意外と諸外国の人々は日本がそんなにエネルギーが脆弱だということを知らない人だって多いわけでございますので、そういった点で日本としてのエネルギー状況などはどうなっているのかということなどももっと世界に発信していく必要があるのではないかというふうに考えます。  さらに、日本の公害防止、省エネ、そして省資源技術というのは非常に世界的にもかなりの水準をいっているものと思いますので、エネルギー多消費型文明の根本的な見直しを日本から発信していくとか、それから世界各国が経済発展と環境保全との両立ができるような形で日本もそういった面での支援を行っていく必要があろうかと思います。  持続可能な発展を支えるのに必要な技術の開発ですけれども、今申し上げました公害の防止、さらに新エネ、それから未利用とも言える海洋資源の利用などの各面でナショナルプロジェクトとしても推進できるのではないか。ODAといったような形も当然考えられるわけでございます。  それから、こういった開発された技術を全世界が利用できるように、むしろ日本側が開放していくことによって、世界が抱えている南北の対立、それから北の内部の問題などにも日本として寄与できる点は非常にたくさんあるというふうに思います。そして、その意味でもこういった地球環境保全対策のための基礎的情報を提供できるような学術研究体制の充実をもっと図っていく。人材の面での問題点などの御指摘もありましたけれども、そういった面も踏まえて日本として、我が国として地球規模での研究ネットワークづくりなども今後もっとリードしてやっていく必要があろうかと思いますので、その方策なども今後ぜひ、ともに練っていっていただきたいと思います。特にアジア・太平洋地域における日本の存在というのも、そういった地球環境保全の面での貢献ももっとできるというふうに感じております。  それから、太陽エネルギーなどの代替エネルギーの開発、実用化に積極的に取り組んでいく。その現場を見せていただいたわけでございますけれども、ついつい現時点で安価な火力、水力そして原子力との比較をしてしまうわけでございます。今の時点で比較をすればどうしたってコスト面では太刀打ちができない。無理やりそういった高いコストの新エネをある企業にあなた買いなさいというわけには、これは市場原理として無理なわけでございます。しかしながら、発想を変えて日本技術日本エネルギー状況、そういったことを考えたならば、先ほど申し上げた有事の際に瞬発力がつくような技術開発を常に継続しておかねばならないということで、ビジネスインセンティブを国としてどのようにつけることができるかということもさらに現実的に考えていく必要があろうと思います。そういった面で、国内での省エネ促進の面でも情報の発信ということも必要でございますし、またごみのリサイクルなどにつきましても、利便性などの面でもそういった消費者からの意見ども広く聞くということが必要かと思います。  そのリサイクルでございますけれども、ごみセロリサイクル型の社会システムを構築する発想をもっと確実なものにしていく必要があると思います。廃棄物の発生そのものを抑制防止して、また排出された場合にはそれを必ずリサイクルしていく。例えば用紙であるとかアルミ缶などが徐々に定着してそろそろコスト面でもカバーできそうなところにまで、ようやくスケールメリットによって出てきている分野もあるわけですから、決して不可能ではない。また、ヨーロッパ諸国などでは、それをしていない企業がかえって社会から白い目で見られるというようなところまで進んできておりますので、ごみリサイクルにかかるコストをネグレクトしていくことは、むしろその企業の社会的責任が問われるといったような風潮がこのボーダーレス社会のエコノミーを考えますと、近々日本においてもそういった流れになってくるのではないか。  いずれにいたしましても、エネルギー、そして省エネについて今回非常に印象深く思った、またその必要性を感じたのは情報の国内外における受信と発信の必要性、さらに発想の転換かと思います。  以上です。
  49. 浜本万三

    会長浜本万三君) どうもありがとうございました。  以上で意見の開陳は終わりました。各委員の皆さんには非常に見識の高い有益な御意見を御開陳いただきまして、まことにありがとうございました。  続きまして、各委員から補足意見等御自由に御意見をお述べ願いたいと存じます。なお、御発言をなさる方は私の方から指名させていただきますので、挙手をお願いいたします。  それでは、御意見のある方は順次発言を願います。
  50. 深田肇

    深田肇君 私どもの方の会派を代表して藁科理事からお話がありました七つの項目については全面的に賛成、支持をして、今から申し上げること、原子力中心の問題はこれにつけ加えてくださいという意味ではありません。その点は誤解のないようにまずもって申し上げた上で、実は先ほど先輩の長谷川委員の方から、私がたまたま挙げました福島原発における被曝労災認定の問題に関連しているかどうかわかりませんが、そのことについて、いわゆる一般論的な被曝状況は福島の原発被曝とはなかなか選定はしにくいんだと。あげくの果てが、白血病等々は高血圧でも出ることもあるしという格好でもし反論をされたんだとすれば、これは大変問題を残しますから、この委員会で調べることができるかどうかわかりませんが、何か措置を考えてもらわなきゃいかぬ。私はいろんなことを聞かされたり、それなりの調査をしたところによると被曝だ、そしてそれで命をなくされた、それで労災認定がおりた、こう思っているものですから、その点だけは、一般的なお話はよくわかりますけれども、もしそれに対する打ち消しとしてお話をされたんであれば、ちょっと私は困るんだと。  そのことで、もう一遍前もって申しますが、藁科先生の集約に対して一言原発をつけ加えてくれとか、原発我が国政府推進方針をこうじる、ああしろということを今の段階で言っているんじゃないんですということを申し上げた上で、一言だけお話ししておきたいと思います。
  51. 長谷川清

    ○長谷川清君 私が言っているのは一般論です。だから、浜岡と特定はしておりません。二百五十がこうなって今五十が百になっているという事実だけを参考までに。
  52. 星野朋市

    ○星野朋市君 私は、先ほどエネルギー需給見通しについてはわざとそれを省いたわけですけれども、若干補足してつけ加えさせていただきます。  各委員から二〇一〇年までの需給見通しについて非常に危惧の念が出されている、これは当然でありまして、実はきょう資源エネルギー庁も何%の伸びということで話をされておるんですけれども、もともと平成二年十月に資源エネルギー庁が策定した二〇一〇年までの石油代替エネルギー中心とした、これは二〇一〇年までに石油依存度を五〇%以下にするという最大の目的があったわけですけれども、これの需給見通しの根拠になっているところの説明が抜けているんです。  それは、その前の十年間の日本エネルギーのGNPに対する弾性値が実は〇・三八であります。これは、二度にわたる石油ショックを受けまして産業界が非常な苦心を払った省エネを実行したこと、それからもう一つ、この間に日本産業が重厚長大からかなり軽薄短小の部分に産業構造の転換を遂げたという視点が欠落しているんですね。これで、産業界の省エネを基盤とした〇・三八という弾性値をそのまま延長して、そして日本経済成長率三カ二分の一、いわゆる三・五%成長ということで需給見通しを立てて、そして石油依存度五〇%以下、こういう基本的な問題で策定しているわけです。  現に、今GNPに対するエネルギーの弾性値は恐らく一・一ぐらいになっていると思うんです。特に、これは民生用を中心とした伸びが非常に大きい。幸いなことといいますか、策定して二年半たったわけですけれども、この間に日本のGNPは昨年のようにほぼ〇%というような状態であったから、策定値と実際との間の乖離が余り目立ってないんですね。これが非常にこれからの問題になると思います。  私は、予算委員会の総括質問で、観点はちょっと違うんですが、森通産大臣にこのことを質問いたしました。政府答弁ですから、難かしいけれども何とか努力したい、こういう答弁であったわけです。そうすると問題は、熱効率をよくするための方策、それから徹底的な省エネルギーを行うか、さもなければこれから年間成長率三・五%というものを維持できるかという選択の時代にまさしく入ってきていると思うわけです。  それで、二年半で策定したものをまだ改定するというわけにはいかないんでしょうけれども政府の統計は常に数字のひとり歩きをしますので、もう少したったら的確な改定をすべきであろうし、それからCO2の問題とも絡んで、まさしく産業資源エネルギー調査会がもう一つやっている産業面の労働の問題も含めて日本のこれからのあり方というのはどうあるべきかというのは、今までのように政府が策定したものを国民一つ目標として押しつけるのではなくて、国民自身のコンセンサスはどういうところを選ぶのかという時期に差しかかっていると私は思っております。
  53. 岡利定

    ○岡利定君 大体、先般から皆さんおっしゃったとおりと思うんですが、それに加えてちょっと私自身感想なんですけれどもエネルギー需要見通し、それから供給、先ほど星野先生おっしゃいましたように、できておるんですけれども、何となく本当にできるのかなと。  例えばきょうのお話でも、原子力発電でいくとしたらあれだけできるのかとか、それよりももっと魅力的だと私も思ったんですけれども、パイプライン。これがまた深田先生お話ですと、やや夢物語的要素もあるというようなことで、長い将来を考えればまさに実現する手段かもわかりませんけれども、実現可能性という点になるといろいろとまだ問題を抱えておる。そういうことになってきて、従来どおりの需要見通しということでやっていこうとすると供給不足になるということであれば、真剣に省エネの問題というのをとらえる必要があるんじゃないんだろうか。  そうなったときに、前回藁科先生お話しになったような四分の一全部代替できるかどうかは別としましても、例えば新通信網の建設というのが今言われていることの中で、省エネ的にその利用というようなことももう一回都市計画も含めて考えてみたらどうかというようなお話もありました。あるいは産業面、さらには民生の部門でも、先ほどから諸先生方お話にもありましたけれども省エネの方策というのがあるじゃないかというようなお話が出ております。  そういう意味で、もっと具体的に省エネという観点でエネルギー問題を整理するというのでしょうか、具体化してやっていけるようなもの、それから、それに対して必要な手段、例えば教育まで含めてどうしたらいいのかというようなことを当調査会でも一つの具体的な結論を得るためのポイントにしたらいかがかなと思ったものですから申し上げさせていただきます。
  54. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 先ほど質問のときにちょっと申し上げましたけれども、この問題は確かに不確定な要素が多いんですね。実のことを言うと、三度、六十五センチですか、あれもまだ不確定だというお話であったわけです。いずれにしても、先ほど地球に優しいエネルギーということで、我々が将来の我々の子孫に残すべきものとして何かしらやらなきゃいけないことは間違いないと思うんですね。  そのときに経済成長率三・五%という問題がありますが、長谷川委員が言われたように、そこのところをどうするんだというのは性根を据えて考えなきゃいけない出発点だとは思いますけれども、その要素を除くと、地球に優しいという観点から言えば、エネルギー供給源の問題か省エネか、この二つしか手段がないわけですね。  そして、そういう観点からいうと、我々としては理屈はいっぱいあると思います。確かにいろいろやるべきことがあると思いますが、そのやるべきことをやって一体どういうぐあいになるんだということを頭の中に置いておかないと、先ほど実行可能性というお話がございましたが、どこまで実行でき、どこまで実行できないんだと。それはその方向に進めば幾つか役に立つことは間違いないんでしょうけれども、それだけで事が済むわけではありません。我々は、国会議員として国民に対して責任を持つわけですから、その責任が果たせるような計画あるいは実行可能な政策というものを持たなきゃいかぬということだと思うんです。先ほど長谷川委員が言われましたけれども、最後に原子力の問題が出てくるんじゃないか、別段好きこのんでやりたいと言っているわけじゃないんだけれども。これもいろいろ各会派によって御議論があると思いますけれども、やっぱり真剣に考えるべき問題。  従来はエネルギーの量的確保が国の死命を制するというぐあいにずっとエネルギー問題は言われてきたわけです。今もう一つ大きな要素として、地球に優しい環境ということがエネルギー問題に付加されているわけですから、そういう意味では化石燃料、特に石油の発電は今とめていて、先ほどの計画を見てみてもふえない。そうすると、もう出口というのは幾つしかないわけですね。それは省エネだけで片づけばいいんですが、省エネだって三千万キロリッターないしは四千万キロリッターですかというような約一割を省エネでやる。これすら非常に難しいんだねと一般的には言われているわけですから、供給源についてもきちんとした議論をして、逃げない方がいいと思うんですね。  天然ガスの話はもちろんあるんですけれども、実は天然ガスの発電というのは、ガス供給の方はさっきエネ庁長官言われましたが、これはずっと伸びていくと思います。しかし、発電の方は余りはっきり言われませんでしたけれども石油価格にリンクして少し高いんですね。ましてやCO2が出てくる、こういう状態ですから、それをもし伸ばすんだったらどういうぐあいにするんだというような議論を深く進めていく必要があるんじゃないか。こんな感想を持ちました。
  55. 浜本万三

    会長浜本万三君) 一言申し上げておきます。  最後に申し上げようと思ったんですが、小池委員から供給の問題が出されていたんですが、今年度のテーマは、皆さん御承知のように、需給見通し省エネ対策ということでございましたので、供給の問題について深くかかわっておりませんで、これはむしろ来年のテーマにしたいと思っております。そういう意味で今まで出ていなかったというふうに理解をいただきたいと思います。  ほかに御発言は。
  56. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 今熱心な委員の皆さんのお話、ちょっとそれと方向が違うかもわかりませんが、前々から思っておることなんで。  先ほど、やはり情報が非常に大事だというお話も出ております。これは会長さんにひとつ要望として申し上げたいんですが、私、今回この調査会に出させていただいて、国会というのは大変すばらしいことをやっていると本当に思ったんです。専門の有識者の方からも、私、大学の教師でありながら本当に勉強させられる感がありました。  これを、ただ国会議員の方だけに配る。確かに官報には出ますけれども、先ほど私言いました教育の面からしましても、こういうものをもっと教育の中とか国民全体に、参議院の存在意義というのは、ある意味ではこの調査会にもあると思うんです。だから、そういう意味で、将来の課題として、ここの場の討論とか質疑調査で終わるんではなくて、日本国民全体に渡るように我々として働きかけていく必要があるんじゃないかというのをとても感じておりますので、申し上げておきます。
  57. 浜本万三

    会長浜本万三君) 私、この会の会長はこれで二回目なんですが、一番最初のときには、今先生の御指摘の報告書も白い紙でまことにお粗末だったんです。これじゃ国民の皆さんに読んでいただけないんじゃないかということで、表紙もうまく今度やっていただくようにしました。第一回はそれでちょっと私不満だったものですから、わざわざ本を出しまして皆さんに見ていただいたということもあったわけです。ですから、皆さんに見ていただけるようなそういう形式の報告書にすると同時に、部数も少したくさんつくっていただきまして、学校であるとかマスコミとかというところにもお配りできるような、これは予算との関係がありますから、私がすぐ胸をたたくわけにはいかないのですが、検討をさせていただきたいというふうに思います。  何しろ、この会は参議院としては目玉の調査会でございますから、もし予算が不足ならば議長にお願いをいたしまして、例の海外旅行ができるようになったと同じように予算措置をしていただくように各理事さんと一緒にお願いに行きたいと思います。それはよく承知しております。
  58. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 ありがとうございました。
  59. 長谷川清

    ○長谷川清君 私は、もう一つの問題意識として、例えば平成四年がキロワットで一億五千三百七十九万キロワットアワー使われた、実績で。同じ数字でも、例えば一年三百六十五日のうちのただの一日でもぴっとピークが出ますと、このピークに備えるという、そのための計画である。ですから、また毎年毎年ピークは更新しているんです。一日の昼間の、ちょうど甲子園かなんかやるような、暑いものだから冷房をつけていて一斉にテレビをつけて甲子園を見るあの時期にぴっとピークが毎年更新ですね。これをもしシングルレート化できれば、つまり需要構造というものに変化が期待できるとすれば、これはぴたっとシングルレート化できないまでも、そのピークを少しでも抑えられれば、そのための設備の建設は防げる、そういう関係に相なるわけです。同じ一億何千万キロワットであったとしても、その年度のピークがどのぐらいであったかによって、かなり需要供給という関係因果関係は……。ですから、そこら辺は今どうやっているかというと、大手の工場とか、電気をたくさん使うところを駆けめぐって、何とか抑えてくれ、またピークが上がるからというのでお願いしたり、あるいは電力会社同士の融通、東京で足りなくなれば東北電力から今度は買ってこよう、東北がパンクしたらどうなるんだと。非常に不安なんですね。それで今このピークを補っているという現状。  そして、太陽熱とかいろいろなクリーンなエネルギーを、これはパワーが小さいけれども、最大限に活用してもらうことによってこのピークを平均的に抑えることに寄与できると。だから、原子力に全部取ってかわって太陽熱とか風力、波力でこの供給を賄えるかというと、これはもう逆立ちしても貯えない。残念なるかな、これはだれがどうやってみても、町内会の百軒ぐらいには供給できても。原子力の場合には大体一基で百万以上、百十万、百二十万、百三十万キロワットありますから、東京都内の四分の一ぐらいには供給が一基でできるみたいな、こういう点がある。ですから、このピーク対策ということも一つは……
  60. 浜本万三

    会長浜本万三君) だから、供給の問題は来年ひとつしっかりやりたいと思いますから。
  61. 長谷川清

    ○長谷川清君 需要構造が変化すればこのピークは抑えられるというわけです。
  62. 関根則之

    ○関根則之君 エネルギー需要の問題というのは、地域づくりとか町づくりとか、そういうものと基本的には相当大きくかかわってきている問題じゃないかというような感じがするわけです。発電所が遠くにあって送電ロスのようなことを考えますと、その地域地域で発電が行われるようなそういう地方づくりといいますか、地方の振興策というものも考えていかなきゃいけないだろうと思うし、また先ほどちょっと岡先生が言われましたけれども、情報インフラというものをうまく整備することによって、例えばサテライトオフィスをつくるというような手法によって余り通勤、通学需要というものを起こさない、交通関係エネルギー需要というものを抑えることができるというものとも関係してくるでしょう。いろいろなそういう町づくりの問題との兼ね合いというものを基本的に考えていく必要が、ストレートの効果をすぐにあらわすというわけにはいかないでしょうけれども、大きな時代的な流れといいますか、長期的な展望のもとにおける計画としてはそういうものを忘れるべきではないんじゃないか、そんな感じがいたします。  それから、これは直接的にはそれほど大きな問題ではございませんけれども、今地方団体がわりかし真剣に取り組んでいる課題として、ごみ発電とか小水力発電とか、こういうものを相当積極的にやっているわけです。特に技術的な問題がありまして、まだ確かにコストが非常に高いという問題があるわけですけれども、例えばごみ発電なんかは、いわゆるごみ発電のコージェネというものも考えていったらいいんじゃないか。発電をやって、その余熱を地域冷暖房に使っていくというカスケード利用も当然入ってくると思いますがね。ただ、今の時点では技術的な問題が必ずしも十分できていないものですから、いろいろロスも出ているんです。私の埼玉の越谷では、ごみ発電をやって年間三億ぐらい収入をもらっているわけです。そんなこともこれから特に技術の開発等、通産省でありますか、科学技術庁かもしれませんが、そういうところでもいろいろと集中的に力をぜひ入れていただきたいと思います。  それから、何よりもこういう問題を促進していくためには、いわゆる規制の緩和という問題をやりたがらないんですよね。電力系統でも細かい電力を売るといったって、質も余りよくないし、どうしてもコストが高くなるものですから、そういうことで嫌がるという問題。嫌がるからうるさく言うのかどうかわかりませんが、役所の方でのいわゆる許認可事項に絡むような問題につきましてもいろいろとうるさい問題があるものですから、その辺のところをできるだけ小さなものでもやりやすいような、やり得るようなそういう配慮をぜひ行政のサイドでもやっていただければありがたい、意見として申し上げておきます。
  63. 白浜一良

    ○白浜一良君 先ほど原発の話が出ましたので一言だけ私の個人的な考えですけれども。  決して原子力に全面的に反対なわけじゃございませんが、いろいろお話がございましたように、やっぱり安全管理というものは非常に大事で、安全管理というのは一つ技術的な問題がございます。もう一つは数量的な問題があるんです。余りふえると実際そういう管理がしにくいということがございまして、エネ庁の中期見通しも全部そうなんですけれども化石燃料に限界があるから全部原発で補足しているわけですね。実際今立地条件から見てそれだけできるのかということがあるわけで、確かに一基で百万キロ、百十万キロ、そのぐらいあるわけですが、考え方によりましては、今お話がございましたように、地域発電主義というか、それをもっと考えるべきだと思うんです。だから、千キロの燃料電池でも千あれば百万キロなんです。ですから、今お話がございましたように、例えばニュータウンをつくる場合に、熱と電力とを一体とした学者の話もございましたが、そういう考えもございます。それから、一定のビル、一定の容積以上は、そういう一体の発電体を持つべきだ、電力のいわゆるコージェネですね、要するに。そういうふうにしていけば、一個ずつ見れば非常に小さいかもわかりませんが、たくさん集まると非常に大きな……。一カ所で大きな電力をつくって、それを送電線で送るということも実際問題ロスが多いこともあって、やっぱり発想を変えるべきじゃないかということで、私個人的な意見として発言しておきたいと思います。
  64. 浜本万三

    会長浜本万三君) それでは、予定の時間になったようでございますので、これで御意見の開陳は打ち切りたいと思います。  エネルギー需給見通し省エネルギー対策についての意見交換はこれで終わりたいと思います。  本日は、各委員の皆様から貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げたいと思います。  それでは、本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時二十分散会     ―――――――――――――