○
政府委員(三井
康壽君) 建設省の住宅
局長でございます。
建設省から住宅と道路につきまして御
報告をさせていただきますが、まず住宅の方から御
説明をさせていただきたいと思います。
初めに、
国民生活に関する
調査会の諸先生方におかれましては、日ごろから住宅・建築行政につきまして大変な御
指導、御支援を賜っておりますことを心から御礼申し上げます。ありがとうございます。
資料の一ページをごらんいただきます。時間の都合もございますので、要点で御
説明をさせていただきたいと思います。
まず第一に、
高齢者世帯の
状況でございます。
高齢者人口につきましては恐らく
厚生省初め御
報告ございましたと思います。私
ども住宅政策といたしましては世帯数が一番の問題でございます。したがいまして、
厚生省あるいは総務庁の
調査をもとにいたしまして、
高齢者世帯が現在どうなっているのか、今後どうなっていくかという
資料でございます。
ちょっと見にくいんでございますが下のグラフをごらんいただきますと、
昭和六十年、これは一番直近の国勢
調査でございます。全国の世帯数は約三千八百万世帯、三千七百九十九万世帯でございますが、このうち六十五歳以上の
高齢者のおられる世帯数が右にございます九百二十八万世帯で二四・四%、約四分の一ということに相なっております。その内訳は、左から単身世帯、それから夫婦のみ世帯、同居世帯、こうなっておりまして、単身世帯と夫婦のみの世帯、いわゆる本当の
高齢者の世帯が
昭和六十年は足し合わせますと約三〇%、三割でございます。
高齢者世帯の中の三割。それが二〇〇〇年になりますと、これは推計になるわけでございますが、全世帯四千五百十四万世帯に対しまして
高齢者世帯は千三百九十三万世帯、三〇%を超えるわけでございまして、このうち単身と夫婦のみ世帯は足し合わせますと四〇%に引き上がります。
昭和六十年より一〇%引き上がるわけでございます。また二〇一五年の欄をごらんいただきますと、全世帯四千七百十九万世帯の推計でございますが、そのうち三七・八%、千七百八十六万世帯でございますが、すなわち四割弱は
高齢者世帯と相なりまして、その
高齢者世帯のうち単身あるいは夫婦のみの純粋の
高齢者世帯が約五割に達する、こういった
状況に相なるわけでございます。
二ページ目をおめくりいただきまして、それでは
高齢者世帯の住宅事情がどうなっているか。これは五カ年ごとにやっております住宅統計
調査というのがございます。
昭和六十三年の住宅統計
調査、一番新しいものでございますが、これによりまして御
説明をさせていただきます。
まず①でございます。
高齢者世帯の住宅の所有関係がございます。ここも先ほど申し上げましたように
高齢者単身、
高齢者夫婦、
高齢者を含む全世帯と分けて書いてございまして、まず全世帯は一番下の欄でございまして三千七百万世帯、このうち
高齢者世帯が九百九十万世帯あるわけでございますが、これを持ち・借別に分けてございます。持ち家につきましては
高齢者世帯は八五・四%、かなり
高齢者世帯の場合は持ち家率が高いというふうになっております。それから借家をごらんいただきますと、公的借家と民営借家とあるわけでございますけれ
ども、これにつきましては、民営借家は全体の四分の一の二五%でございますが、民営借家につきましては
高齢者単身世帯の
割合が多くて二七%、こういう
状況でございます。
そして②でございますけれ
ども、
高齢者世帯と、住宅政策で行っております最低居住水準未満世帯率というのを比較してございます。最低居住水準未満と申しますのは、住宅政策上この水準以下にはどうしてもなっていただきたくないという最低居住水準を設けておりまして、四人世帯の場合は五十平米となっておりますし、二人世帯の場合は、これは夫婦御一緒の場合は約三十平米、こういった基準を設けているわけでございます。これを世帯別に見てみますと、全体では九・五%が最低居住水準未満の世帯でございます。そのうち
高齢者世帯は五・九%ということでございますから、全世帯から比べますと
高齢者世帯の最低居住水準未満率は低いということになるわけでございます。
それから、全世帯のうち持ち・借を見ますと、持ち家の方が最低居住水準未満率が低い。全世帯で二・七%、
高齢者世帯でも二・九%でございますが、借家が最低居住水準未満率が非常に高こうございまして、全世帯で二〇・九、
高齢者世帯では二四・〇というふうになっております。特に民営借家の木造・設備共用と書いてございます、木造住宅でトイレですとかおふろですとか、そういうのを共用しているような、いわゆる木賃住宅と言っておりますが、こういった木賃住宅に入っておられる
高齢者単身世帯が非常に多うございまして、この
方々の最低居住水準未満率は七四・六という
状況になっているわけでございます。
そこで、住宅
対策といたしましては五カ年計画に基づきまして
施策を進めさせていただいているわけでございますが、三ページに特に
高齢化対策につきましての部分を抜き出して書いてございます。
第六期の住宅建設五カ年計画は
平成三
年度からの五カ年計画でございます。この五カ年計画には四本の柱がございまして、居住水準の向上
対策、より広い家、より環境のいい家、そういうのが第一、それから第二が大
都市の住宅
対策、第三が地方の活性化といいますか、地方の住宅
対策、第四が
高齢化対策でございまして、その四本柱のうちの
一つが
高齢化住宅
対策でございます。
考え方の基本は(1)に要点を書いてございますが、
高齢者が可能な限り住みなれた
地域社会で安心して生活できるようにするというのが基本的な目標でございます。このために、
施策といたしましては、親族との同居、近居等の
高齢者の多様な住まい方に応じた住宅供給、特に公共賃貸住宅の的確な供給等によりまして
高齢者住宅
対策を進めていくというのが第一。第二は、公的住宅も
民間住宅も同様でございますが、設計、設備の面で、いわゆるバリアフリーと言っておりますけれ
ども、
高齢者に
配慮をした住宅の設計、設備を備えていく。それから
三つ目が、
高齢化されまして自立しておられる間は当然住宅政策の
対象になるわけでございますが、自立ができなくなった場合に備えまして、医療・
福祉施策との連携をとりつつ住宅政策を進めていく。以上申し上げました
三つの点が五カ年計画におきます
高齢者対策の基本的な
考え方でございます。
三ページの以下の欄は住宅宅地
審議会の答申を書いてございますので、後ほどお読みいただきたいと思います。
次に四ページに移らせていただきます。大変恐縮でございますが、横書きでございますので横に向けてごらんいただきたいと思います。ここは公営住宅、公団住宅、公庫融資という
施策関係をやっております、
施策住宅と言っておりますけれ
ども、これをそれぞれ設計・設備等々ごとにまとめているわけでございます。
まず、設計・設備につきましてでございますが、公営住宅の欄をごらんいただきますと、
平成三
年度すなわち第六期五カ年計画の初
年度でございますけれ
ども、公営住宅を建てる際にはいわゆるバリアフリーというのを標準設計といたしまして義務づけをいたしました。公営住宅にお入りになるのは
高齢者に限らないわけでございますけれ
ども、いずれ
高齢化になっていくという前提で、今のうちから段差をなくすとか、手すりをつけるとか、あるいはいざというときにトイレ等に非常用の電源設備というのを設けておく、それを簡単にバリアフリーと申しているわけでございますが、それを標準設計に組み入れまして、すべての公営住宅は
平成三
年度からバリアフリーで実施をしているわけでございます。
それから
二つ目は、老人同居世帯につきまして、これは六人以上の世帯でございます。これは三
世代一緒という場合もございますが、二
世代あるいは三
世代の老人の多家族世帯につきましては、住宅の規模を八十から八十五平米ないし七十五から八十平米と規模を引き上げて、なるべく広い家に住んでいただけるようにしたい。さらにまた、従来の公営住宅は大体三階ないし四階あるいは五階建てでございますが、エレベーターなしでつくってまいりました。しかし、だんだんと入居者の方も
高齢化しておられますので、エレベーターの設置というものに対しまして、住戸を改善する際も補助をする、新規の場合は当然補助する、こういったことを
平成三
年度から予算化をいたしております。
公団住宅についても
考え方は同じでございまして、既設の公団住宅につきましては
昭和六十二
年度からバリアフリー化に取りかかりました。新設につきましては、先ほど公営住宅で御
説明いたしましたように、第六期住宅建設五カ年計画に合わせまして
平成三
年度からほとんど全部の住宅をバリアフリー化いたしております。また、エレベーター付の中層住宅、これは三階ないし五階建てでございます。これを六十三
年度からいたしております。
また公庫融資は、これは
民間の方がおやりになる場合に援助するわけでございますけれ
ども、
高齢者に備えてあるいは
高齢者のおられる家をお建てになる際に、
高齢者用のホームエレベーターあるいはキッチンユニットあるいはバス、そういったものに対しまして工事をされる際には、戸当たり百万円の割り増し融資、それから
高齢者同居につきましても戸当たり三百万円の融資、こういったことをさせていただいているわけでございます。
二つ目が、入居時の措置でございまして、入居される際に
高齢者を優遇する、そういった措置が必要になってまいります。公営住宅につきましては、
昭和三十九
年度から老人用のやや広い住宅を特定目的公営住宅としての位置づけをいたしまして、特別枠で募集をいたします。そういたしますと、
一般の
方々よりも十倍の倍率優遇、優先入居という
制度を設けております。さらに、単身入居につきまして、通常の公営住宅は単身の方はお入りになれないわけでございますけれ
ども、六十歳以上の男性、五十歳以上の
女性で単身の
方々は
昭和五十五
年度から公営住宅にお入りになれるようにしてあるわけでございます。同様の措置が公団住宅もございまして、倍率優遇とここに書いてございますけれ
ども、
昭和五十六
年度からこれも十倍の倍率で
高齢者の方はお入りになれる。また近居、親と子供がなるべく近くに住むという場合に、公団住宅で近いところに入ってこられる際にこれも倍率優遇をいたしておりますことのほか、特別枠で
高齢者用の規格の住宅をしているわけでございます。
それから、公庫融資につきまして、これは若干性格は異なるのでございますけれ
ども、親孝行ローン
制度というのを
昭和六十三年に設けまして、親と一緒に子供が家を建てる、その際に、通常は二十五年ないし三十五年の償還期間でございますけれ
ども、お子さんが債務を承継するという
考え方のもとに償還期間を五十年に延ばす、これを親孝行ローンと称しているわけでございます。こういった
制度をつくってございます。
また、家賃につきましては、公営住宅などで申し上げますと、建てかえをいたしますと規模が増加をいたします。したがいまして、当然家賃が高くなるわけでございますけれ
ども、その家賃の激変緩和措置。従来の家賃から毎年三%ずつは家賃を上げさせていただきますけれ
ども、通常五%で七年で打ち切るものを三%ずつ限度額家賃にすりつくまで、
高齢者の
方々には家賃の減免といいますか、をさせていただいておりますことのほか、
平成四
年度からは特に
高齢単身あるいは
高齢の御夫婦の
方々だけに対しまして、
福祉型借上公共賃貸住宅
制度というものをつくらせていただいております。公団住宅は、大型分譲住宅の利率や分譲住宅の一時金につきまして、六十五歳以上の
方々に
一般の
方々より優遇するという措置をとらせていただいております。
次に、
福祉政策との関係について申し上げますと、シルバーハウジング・プロジェクトという、公営住宅を
中心にいたしまして特定目的の公的賃貸住宅を建てまして、
厚生省からの補助金をいただきますライフサポートアドバイザー、これに管理人室へ入っていただいて
日常生活のお世話をするというシルバーハウジング・プロジェクトを
昭和六十二
年度からさせていただいております。
さらに、シニア住宅というのを公団の欄に書いてございますけれ
ども、これはさらに
福祉施設との連携をとりまして、建物の中に、日常の医療サービスを提供できる、緊急時に医療機関との連携がとれる等の日常サービス、基礎的なサービスをいたします
施設を含みましたシニア住宅。ただし、入居される際には一時金を年金という形で払っていただいていくという、シニア住宅というのを
制度化いたしまして、今
年度から着工いたします。
その他の措置といたしましては、各市町村ごとに
地域高齢者住宅計画というのを立てていただくようにお願いをしております。
地域でどういうふうに
高齢化が進んでいくのか、それに対して住宅政策はどうするのか、あるいは
福祉政策の連携をどうするのかという計画を市町村ごとに立ててい
ただこうというものでございます。
また、
平成三
年度からは、これは省内でも道路局と一緒になりまして、駅前でございますとかあるいは町の
中心部でございますとか、
高齢者や
障害者の
方々が相当出入りしていただくようなところで、このような
方々が余り無理なくどんどんお使いになれるような
施設、動く歩道とかあるいは建物の入り口なんかの改善とか、そういったことを、道路、歩道橋等々との総合的な計画に基づいた
福祉の町づくり
事業というのをやらせていただいておりまして、各地方公共団体にこれを御奨励をしているところでございます。
以上でございます。