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政府委員(日出英輔君) 先ほどお話し申し上げましたように、
農林水産省としましては昨年の六月に「新しい食料・農業・農村政策の
方向」を世の中に
公表したわけでございます。従来でございますと、農業政策という中で食料政策なり農村政策を語るというのが大体常でございましたけれ
ども、今回の考え方は、一応食料政策と農業政策と農村政策の三つに分けまして私
どもの考え方を世の中に問うたわけでございます。その中で、先生今お話しのような、この御
提言にもございますような問題意識がこの食料政策の中に述べられておるわけでございます。
その裏づけとなりましたのが、先ほど私ちょっと簡単に申し上げましたけれ
ども、
世界食料需給モデルによる
試算をしたわけでございます。この結果は、逼迫基調で推移するというふうに私簡単に申し上げましたが、このシナリオとしまして、今までの単収の伸びでありますとか、今までの傾向が大体現状程度で伸びていくといういわば現状推移のシナリオと、もう
一つは
地球環境問題の制約等から単収等がなかなか伸びていかないといったようないわゆる
生産制約的なシナリオという二つのシナリオを描いた上でいろいろ
試算をしてみたわけでございます。私
どもは、この
地球環境問題等の制約から
生産が制約されるんじゃないかというところに気持ちとしてはあるわけでございます。この
生産制約シナリオの方によりますと、この逼迫基調の中身でございますが、穀物等の国際価格が現在の二倍程度まで上昇していく、あるいはこの結果逆に需要の伸びが抑えられていくといったようなこと、こうなりますと
開発途上国におきます一人当たりの穀物
消費水準なんかも実は現状より悪くなってくる、こういったような大変気持ちの悪いシナリオが描けるわけでございます。
そういうことで、先生のお話のように、
我が国では飽食の時代あるいはグルメといったようなことが言われておりますが、
世界的な目で食料問題を見ていく必要があるということで、私
どもとしますとこういった食料需給モデルをベースにした物の考え方を持ち、さらに
我が国の食料供給と食料輸入の
関係につきましても、食料輸入
発展途上国の食料調達を困難にするようないわゆる食料輸入の拡大というのはやっぱり好ましくないといったようなことをこの「新しい食料・農業・農村政策の
方向」で触れておるわけでございます。私
どもとしますと、こういったことにつきまして、これからも幾つかの事情が変わりますたびに、こういった需給モデルの勉強をして世の中に中長期の国際需給予測な
ども大いに打ち出していきたいというふうに思っておるわけでございます。これによりまして、
国民にわかりやすい形で中長期の需給見通し、あるいは
我が国の
役割といったことを訴えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
私
どもは、そういう考え方のもとに、先ほど申し上げましたように農業援助につきましても既に
世界最大の援助国ということでございます。
開発途上国の食料自給力を極力上げていくということが
世界全体の食料問題にも大いに役立つんだという観点で、FAOを通じ、あるいはいろんな多
国間協力等を通じまして引き続き
開発途上国の農業
生産力の
発展に努めていきたいというふうに考えている次第でございます。