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政府委員(山口剛彦君) 公的年金制度の一元化の問題につきましては、
政府としては、
平成七年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了すると。いう目標のもとに今鋭意
作業を続けておるところでございます。この
作業のスケジュールといたしましては、私
どもとしては、まず年金制度は過去にいろいろ経緯のあることでございますので、それぞれの制度がこの一元化についてどういうふうに
考えるかという方針を決めまして、その後
政府全体として一元化の方向づけをしていこうという段取りを
考えております。
したがいまして、現時点で一元化についての私
どもの確固たる方向というものを持っているわけではございませんけれ
ども、基本的な
考え方としましては、一元化がなぜ必要か、どういう理念を持ってこの問題に取り組むかということを申しますと、
一つは、やはり公的年金制度が全体として長期的に安定したものでなければいけない、そのためには、産業構造だとか就業構造の変化に耐え得るようなそういう保険集団をつくりたいというのがまず第一点でございます。それから、制度が分立をしておりますと、加入した制度によって給付、負担、それぞれ両面にわたりまして、例えば成熟度の差というようなことで不公平、不合理が出てまいりますので、そういった不合理な格差が生じないような給付と負担の両面にわたって公平な制度をつくっていきたい、またあわせて、国民への
サービス、業務の効率化というものがより発揮できるような制度にしていこうという
観点でございます。
したがいまして、今御
指摘のございました年金数理部会が三つのモデル案ということで御提言がありますけれ
ども、そのそれぞれにつきましても、今申し上げましたような
観点からこの三案についてどういうような評価をしていくかということだろうと思います。これは、先ほど申し上げましたような段取りを私
ども考えておりますので、今軽々にこの三案について確定的な、断定的な評価をするということは必ずしも適当でない、これから大いに議論をしていくべき問題だと思っております。
非常に単純化をして申し上げますと、三つのモデル案というのは、
一つは、制度を統合して、財政運営を一本化していく方式、それから二番目が、制度を統合整理し、複数の制度に集約をしていく方式、三つ目が、制度を分立したまま、財政面において制度間で
費用負担の調整を行っていくという三つのモデル案の提示がございました。
それぞれにつきまして、本当に簡単にその特色等を申し上げますと、統合、一本化をしていくという方式につきましては、先ほど申し上げましたような一元化の理念、必要性というようなことから
考えますと、そういう方向に一番近い方式ではなかろうかというふうに
考えております。ただ、この統合、一本化方式というのは、従来からの経緯、歴史がございます各制度を一本にまとめてしまうということでございますので、具体的には、それまで各制度が積み立ててきている積立金、あるいはそれぞれが行ってきました業務、
施設等も含めまして原則的に新制度へ移行する、移管をするということになりますので、これは制度間の
関係者の合意が得られるかどうかという点ではかなり大きな問題があろうかと思います。
それから、二番目の複数の制度に集約をする案、例えば官民別建てにするというような御提言だと思いますけれ
ども、そういう方式につきまして
関係者の、特に国民の目から見たときに、そういう二本立てにしていくというようなことがいいのかどうかという合意の形成、あるいはその二本立てにしました制度間の調整をどうしていくかというような問題があろうかと思います。
それから、財政調整でやっていくという三番目の方式につきましては、これは各制度は分立をしたままということでございますので、各制度の長期的な安定という面から若干問題があるのではないか。あるいは、
費用負担の面につきましても必ずしも同一なものになりませんので、先ほど申し上げましたような給付、負担面の公平化というような
観点から問題を抱えているかと思います。
いずれにいたしましても、以上のようにそれぞれの三万式につきましてもメリット、デメリットがございますので、先ほど申し上げましたようなスケジュールに従いまして、この数理部会の御提言も参考にしながら
政府全体としてこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。