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萩野浩基君 私は、
都市に生活する勤労者への良質なる
住宅という観点から
質問をさせていただきたいと思います。
日本の今日の経済力に見合った豊かさというものをどうも実感できないと、多くの
国民の声なき声ではなくて声ある声が蔓延しているように思います。例えば、東京への人口、それから産業の集中によりまして、御案内のとおり職場と
住宅というものが大変離れてくる。そしてまた
住宅の取得難、そしてまたそれに追い打ちをかけるのが交通渋滞。こういった一極集中の問題から我々の
住宅、居住、すなわち生活というものが大変重大な、ある意味では本当に人間らしい生活ができないんじゃないかという面が出てきているんじゃないかと思います。この問題は、
地方におきましてもこういう問題を御案内のとおり生んでおります。著者を中心とするふるさと離れというものがどんどん進んでおりますし、ふるさとの町がだんだん活気のないものになってきているというような問題が生じております。
さて、このような
都市問題を
国民の生活という観点から見ますと、生活の最も重要な基礎である
住宅、
居住環境、こういうものが余りにも
日本においては貧弱になっているんではないかなと、どうも豊かさを実感できないのはここに大きい原因があるんじゃないかと思われます。現在、
都市に居住する勤労者を取り巻く環境というものを考えましたときに、
住宅宅地問題というものはすべての勤労者にとって非常に重要ではないか、このように私は考えております。
政府は、やっと重い腰を上げられまして、
生活大国五カ年
計画だとか、また年収五倍で家が持てるというようなことを打ち出したところでありますけれ
ども、具体的な実現の見通しというのはどうも出てこないというのが実際じゃないかと思います。
住宅宅地問題の解決のためには、さまざまな施策というものが総合的に取り組まれる必要があるわけなんですけれ
ども、そのうちで私は最も重要な施策の
一つが、単に
住宅を与えるというんではなくて、良質な
宅地の
供給という、この観点を逃してはならないと思います。
国勢
調査を見てみますと、
全国の人口集中地区の
面積は、
昭和六十年から
平成二年までの五年間に百六万ヘクタールから百十七万ヘクタールヘ約十一万ヘクタールふえております。しかしながら、
宅地の
供給量というのは、この五年間にたった五万ヘクタールでしかなく、無秩序なスプロールといいますか、こういうものがどんどん拡大しているんではないか、そのように見えます。したがって、良好な
住宅宅地供給をもっと積極的に
推進する必要があるんではないか。特にこの
住宅開発のための用地
買収が、地主さん方の
土地保有意欲が大きいためだんだん難しくなりつつある、こんなことを考えますと、全面的な用地
買収を伴わずに、面的に
基盤整備された良質な
住宅というものが
供給される
土地区画整理事業といいますか、こういう
手法がこれから先を考えますときに非常に重要な第一歩になってくるんではないかと思います。
ところで、
住宅宅地の問題につきましては、大
都市はもちろんのことなんですが、
地方都市においても魅力ある
町づくりというために一生懸命
努力をしております。
土地区画整理事業を
推進するに当たっても、そこで暮らすことの魅力づけといいますか、そういうものを考える必要があると思います。
私身近なところで、地元の仙台市をちょっと見てみましても、泉中央地区やまた富谷町の成田地区、こういうところにおきましてはとてもすばらしいことをやっているんですね。この豊かな暮らしというものを支えるために、地下鉄の駅の
整備、それから駅を中心とするセンター地区における商業、流通、生活、文化、そしてまた
行政のサービス、こういうようなものが非常に有機的に結び合って質の高い
市街地整備というのがあります。これはちょっと自慢になりますけれ
ども、本当にこれはすばらしいなと、これが何もそこだけにとどまるんではなくて、これが
全国に広まってほしい、そういうぐあいに願っておるわけです。
時間があれですから紹介はやめますけれ
ども、成田地区におきましても、ここには今度研究だとか開発、こういうようなものを取り入れたオープンスペースをゆったりと取り入れまして生活空間がつくられておる。
都市に居住する勤労者がゆとりと豊かさというものを実感できるような良質な
住宅の
供給というような面が、実験的ではありますがなされておる。これが
全国に広がらなきゃならない。そのときに、今申し上げましたような良質な
住宅それから
宅地供給、こういうことが豊かさというものを実感できる、公益的施設やまた職場がこれと組み合わされて総合的な
町づくりというものがこれから重要なんではないかと思います。
そのような私は見解を持っているんですけれ
ども、このような質の高い
住宅宅地を
供給するためにこの
土地区画整理事業というものを前向きに推し進めていくべきじゃないか、そういう観点におきまして今までの
質疑の中でいろいろ答弁されておりましたけれ
ども、もう一度この
建設省の考え方を、今回この
法案を出されたことに基づきまして簡潔にお答えいただきたいと思います。