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国務大臣(森喜朗君) 幾つか今お尋ねのポイントがあったかと思いますが、円高差益の還元につきましては、国民が円高のメリットを速やかにかつ十分に享受し得る
状況を醸成するために
政府が一体となりまして現段階での方策を示すことが今重要であるという認識から、先般、先月二十一日でございましたが、物価担当官会議が開催をされまして円高メリットの物価面への浸透
状況の把握等について申し合わせを行ったところでございます。
内容は御
承知だと思いますから省かせていただきますが、今いろいろ
委員からお話しございましたように、長い時間をかけていけば、まさに我が国の経済のファンダメンタルズを反映していくということであれば我が国の経済が極めて基礎的に強くなるということかと思いますが、今、大蔵
大臣からお話しございましたように、思惑等で激しい動きをするということについては、私
ども産業界を所管しておりますだけに、特に今お話もございましたように景気の回復のまさに胸突き八丁というところでございますだけに、この円高が企業全体のやはり不安感を大変助長しているということは私は否定できないのではないかというふうに心配をいたしております。
先般、緊急調査をいたしておりますが、約五割の企業が経営が苦しくなるというふうに答えておりまして、特に輸出比率の高い自動車、電機等の業種では深刻な影響があると。特に影響はないという企業が約三割ほどございますが、これもそのうちの約四割は為替リスクをヘッジしていることを
理由として挙げておりまして、もう一度戻ってくれるだろうという、そういうやはり希望を持っておるわけでありまして、このままずっと急進していくということになれば極めて困惑した
状況になると言わざるを得ないというふうに考えております。そういう面で私
ども景気の見方はもう少し推移を慎重に見ていく必要があるということで、御
承知のように景気回復については通産省としては慎重に見たいという
考え方をしておるのはこうしたところを
理由にいたしておるわけです。
さて、もう一つのお尋ねは、何か緊急的なということでございますが、数字を見てまいりましても、やはり基本的には景気を回復させる、回復して輸入を促進していくということがやっぱり基本的な方法だろうと、こう私は考えております。先般、予算
委員会でも、やはり景気を回復して輸入拡大をしていくということが黒字を減らしていく対策として王道であると、このように総理も
答弁しておられましたが、私もまさにそのとおりだろうと考えます。
ただ、輸入の促進につきましてはいろんなことをやっております。もうそれこそ細かく申し上げますと
先生の時間をとっちゃいますが、とにかくこんなことまでしなきゃならぬのかなと思うくらい細かくやっておりまして、簡単に言えば、ジェトロなんというのは昔は
日本がどう輸出をしていくか、どう投資をするかということを考えたわけですが、最近ではもうジェトロがそれぞれの外国からどうやって
日本に投資させるか、どうして
日本に品物を入れるかということを、表現がやや適切じゃないかもしれませんけれ
ども、まさに手とり足とりむしろお教えを申し上げておるというぐらいいろんな仕組みを考えております。
また長期派遣事業などという、国でお金を出してそして商社のOBの
方々などに世界の国々にそれぞれ二、三年滞在をしてもらって、そして特に地方の、ヨーロッパやアメリカの中小企業などに、どうしたものが
日本に好まれるか、どのような形にした方が付加価値がついていくだろうかということな
ども教えるなど、本当に細かな対策をとっているわけでございます。何といいましても、国民がそれを買い求めるということが大事でございますので、基本的にはやはり景気を回復させるということであろう、このように考えております。