○
会田長栄君 今、
カンボジアの四派に、とりわけこの
ポル・ポト派と言われている
集団に武器が続々と入っているというのは、現地からの報告でしょう。続々入るというのは、自分のところで生産する力がないんだから、それは他国から入っているんですよ。これは
一つ認識する際に非常に重要な課題です。
せっかくとうとい命を投げ出して今日の
PKO活動をやっている
方々がいるわけですからね。これはあなた、一方で武器を売って一方で仲よくなるようなことを言う、とても私どもには想像もつかないようなことで、実は
国際社会、国連の中で一番先に手をつけなきゃならないことなんですよ。ところが、この問題について
日本政府は、武器を輸出してはならぬ、売ってはならぬ、これをきちっとさせようという主張をしていることはわかりますよ。しかし、えてして国際舞台の中では、国連の中ではこれは最重要課題としては取り上げられないという現状にある。そういう中にある今日の
カンボジアの
情勢でありますから、
日本の派遣されているPKOの活動などというのもそれは生易しいものではないということだけは事実なんです。
これだけで時間をとれませんから、最後に意見だけ申し上げておきます。
五月十一日、後藤田副総理・法務大臣が閣議後の記者会見で次のように言っている。
カンボジアでの
日本人
文民警察官殺傷事件に伴って、
PKO活動から撤収するかどうかについて、「撤退ということは、この時点においてやるべきことではないと確信している」、特に問題は、「もともとPKOは絶えず危険と隣り合わせの極めて厳しい活動だから、場合によっては避けられない犠牲が起こり得ることは、やむを得ない面があるのではないか。
政府としては安全について万全の対応をし、不幸にして避けられなかった事件の後始末については、
遺族、関係者に対して十分な対応をしなければならない」と述べたと伝えられているんです。
私は冷静だと思いますよ、その
意味では。PKOの法案
審議の際にこれだけの冷静さがあったらもっと違ったものになったんではないかという
気持ちを私は持っているんですよ。犠牲が出て初めてこういうことが表面に出るというのは私は残念でたまりません。紛争地域に最前線も後方地域もないんです。ましてや
東南アジアの地域というのは戦闘全面展開なんでいうことば歴史上あり得ない、常に局地なんです。
そういう
意味から言えば、私もその一人として実に甘かったし、本音を出して議論しなかったことが今日の犠牲を生んでいるんだと、こう思う。これは至ってはっきりしています。
カンボジアの最高国民評議会、
SNCでもこの事実を認めていますから。同時に、国連のガリ事務総長も、
カンボジアにおける
UNTACの活動は厳しい、
情勢分析、認識、これは甘かったんだという自己
評価を下しているんですよ。国連もそういう
評価をしている。
カンボジアの最高国民評議会、
SNCもそういう
評価をしている。
日本に来るとその危機感がなくなっちゃう。もっと率直に、国民にそういう点では共通認識が得られるように、
政府が正面から当たるべきだと私は思うんです。
宮澤総理が五月十一日に同じく言っている。こんな認識ではどうにもなりませんよ。
カンボジアの
情勢について、局地的な停戦違反はあるが全面的に戦闘が再開されたわけではない、
パリ和平協定の基本的
枠組みは維持されており、停戦
合意を含む
政府の国連平和維持活動、
PKO活動の参加五原則は満たされている、
集団撤収を検討すべき時期とは考えていないと言っている。だからガリ事務総長の認識とも違う。
SNCの作業部会の
情勢認識とも違う。
何で
日本政府だけがこれだけの甘さがあるんですか。何か国民に本当の
気持ちを訴えるというその誠実さがないんじゃないですか。私はそう思う。これだけお願いしておきます。三たびこういう紛争が起きないように派遣部隊の安全というものをやってください。
最後に、もう一言だけ言っておきます。
故
高田警視の派遣されている文民警察隊長は何とおっしゃっています。派遣された以上私はこの任務は果たします、しかし今回の殺傷事件、故
高田警視の痛ましい、命をなくしたことで、みずからの生涯の責任として帰国したら私は警察官をやめますと言っているんです。こういう
言葉を聞かせられればもっと慎重に、
日本政府が国連の舞台でもあるいは
アジアの舞台でももう少し先頭を切って認識を正しく国民に訴えながらリードすべきではないんですか、こういうことが言いたかったことなんです。