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1993-02-22 第126回国会 参議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年二月二十二日(月曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員氏名     委員長         大渕 絹子君     理 事         沢田 一精君     理 事         鈴木 貞敏君     理 事         会田 長栄君     理 事         西野 康雄君     理 事         常松 克安君     理 事         高崎 裕子君                 尾辻 秀久君                 合馬  敬君                 鎌田 要人君                 佐藤 静雄君                 清水嘉与子君                 清水 達雄君                 椎名 素夫君                 永野 茂門君                 南野知惠子君                 真島 一男君                 守住 有信君                 矢野 哲朗君                 菅野  壽君                 中尾 則幸君                 西岡瑠璃子君                 堀  利和君                 村田 誠醇君                 森  暢子君                 木庭健太郎君                 山下 栄一君                 直嶋 正行君                 井上 哲夫君                 下村  泰君     ―――――――――――――    委員異動  二月十七日     辞任         補欠選任      下村  泰君     喜屋武眞榮君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大渕 絹子君     理 事                 沢田 一精君                 鈴木 貞敏君                 会田 長栄君                 西野 康雄君                 常松 克安君                 高崎 裕子君     委 員                 合馬  敬君                 鎌田 要人君                 佐藤 静雄君                 清水嘉与子君                 清水 達雄君                 椎名 素夫君                 永野 茂門君                 南野知惠子君                 真島 一男君                 矢野 哲朗君                 菅野  壽君                 中尾 則幸君                 堀  利和君                 村田 誠醇君                 森  暢子君                 木庭健太郎君                 山下 栄一君                 直嶋 正行君                 井上 哲夫君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   田名部匡省君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       北  修二君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     竹内  透君        北海道開発庁計        画監理官     戸島 英之君        沖縄開発庁総務        局長       永山 喜緑君        沖縄開発庁総務        局会計課長    棚原 国次君        沖縄開発庁振興        局長       渡辺  明君        農林水産大臣官        房長       上野 博史君        農林水産大臣官        房審議官     今藤 洋海君        農林水産大臣官        房経理課長    蛎灰谷 操君        農林水産省経済        局長       眞鍋 武紀君        農林水産省構造        改善局長     入澤  肇君        農林水産省農蚕        園芸局長     高橋 政行君        農林水産省畜産        局長       赤保谷明正君        農林水産省食品        通流局長     須田  洵君        食糧庁長官    鶴岡 俊彦君        林野庁長官    馬場久萬男君        水産庁長官    川合 淳二君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        厚生省生活衛生        局食品保健課長  織田  肇君        厚生省生活衛生        局食品化学課長  牧野 利孝君        自治省行政局振        興課長      滝沢 忠徳君        会計検査院事務        総局第三局長   佐藤 恒正君        会計検査院事務        総局第四局長   平岡 哲也君        会計検査院事務        総局第五局長   中島 孝夫君    参考人        農林漁業金融公        庫総裁      後藤 康夫君        北海道東北開発        公庫総裁     宍倉 宗夫君        沖縄振興開発金        融公庫理事長   藤仲 貞一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二年度一般会計歳入歳出決算平成二年度  特別会計歳入歳出決算平成二年度国税収納金  整理資金受払計算書平成二年度政府関係機関  決算書(第百二十三回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百二十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成二年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十三回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月二十一日、古川太三郎君が委員を辞任され、その補欠として井上哲夫君が選任されました。  また、去る十七日、下村泰君が委員を辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二年度決算外二件の審査並びに国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のため、必要に応じ政府関係機関等役職員参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  7. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 平成二年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省北海道開発庁沖縄開発庁農林漁業金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  8. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  10. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 森暢子

    森暢子君 私は、学校給食に利用されている米に関連いたしまして若干のお尋ねをいたしたいと存じます。よろしくお願いします。  一九五四年に成立いたしました学校給食法、これによりまして教育の一環として位置づけられております学校給食は、さまざまな紆余曲折を経て今日に至っております。文部省平成四年七月の米飯給食実施状況報告によりますと、学校給食米飯給食実施している学校は、平成三年度で全国三万一千八百二十八校、完全給食実施校の九八・四%にも上っております。昭和五十一年度の三六・二%に比べますと飛躍的に普及しており、米の消費拡大観点からは評価できますが、農水省学校給食四十年をどのように評価されていらっしゃるでしょうかお尋ねいたします。
  12. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 米飯によります学校給食につきましては、昭和五十一年度から政府助成を行うこと等によりまして、週三回程度実施を目標として計画的に推進してきたところでございます。その間、教育関係者、市町村、父兄あるいは文部省当局等の御理解と協力もありまして、先生が御指摘のような成果を上げるに至っております。  米飯学校給食自身は、米の消費拡大に寄与する、特に次代を担います層の米飯食に対する理解の深まりというようなこともありまして、私ども長期的な視点に立って米を中心とした日本型食生活定着を図るために極めて重要な役割を果たしているというふうに評価しておりまして、今後ともその推進定着に努めていきたいというふうに考えております。
  13. 森暢子

    森暢子君 しかし、学校で使用されている米がいわゆる政府米が主流である、やはりコシヒカリとかブランド米は高いということで使われていないのが現状であると思いますが、その政府米が将来的に在庫不足になるようないろいろとその実態が上がっているわけですが、これについてどのような状況でしょうか、お答えいただきたいと思います。
  14. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 御指摘のように、スタートしましたのが五十一年でございまして、当時の米需給実態から見まして政府米を主として供給して今日に至ったわけでございます。ただ、最近自主流通米供給に対する要望が一部地域でございますので、平成元年度から生産者団体等からの自流米供給の道を開いたところでございます。しかし、大宗は政府米が担っているというのは今日も変わりませんし、将来ともやっぱりそういうことではないかと思います。  昨今、御指摘のように、良質米志向を背景にしまして産地で良質米への作付転換が進展いたしまして、全体に占める良質米のウエートが高くなっている。そういう中で、私ども、国、県あるいは系統団体を挙げまして、そういう学校給食用の米でありますとかその他の根強い需要があります政府米確保につきまして、現在努力いたしておるところでございます。  そういうことは別にいたしまして、いずれにしましても学校給食に充当する米につきましては優先的に必要な量を確保していきたいというふうに考えておりまして、今後ともその供給に不安がないようにいたしていきたいというふうに考えております。
  15. 森暢子

    森暢子君 学校給食のお米については不安がないように確保していきたいというふうなお考えでありますが、その政府米不足の原因の一つ政府がこれまで行ってきました米価政策にあるということを思うわけでありまして、これは農水省が昨年六月に発表なさいました「新しい食料農業農村政策の方向」という関係資料の中に、「現行価格は、総じて五十一年当時の水準となっている。」、こういうふうに書かれているわけですね。  もっと具体的に言いますと、お米の場合、五十一年に六十キログラム当たりが一万六千五百七十二円、それが平成三年もほぼ同額の一万六千三百九十二円。この十七年間に物価とか賃金、生産資材、そういう経費が上昇している中でお米の価格が実質的に引き下げられては農民の生産意欲が減退するのは当然でありまして、政府米より高価な自由米生産に熱が入るのが当然ではないかと思いますが、このことについてお伺いいたします。
  16. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 米価につきましては、食糧管理法に基づきまして生産費その他需給事情あるいは経済事情を勘案しまして、米価審議会でいろいろ御論議をいただいて決定しているところでございます。  実質的な米価は今先生指摘のようなことになっているのは事実でございますけれども、その間、生産者団体あるいは行政、県当局等指導等によりまして規模の拡大あるいは生産性の向上が図られている、それからまた一方、内外価格差といいますか、そういう点への配慮が強く消費者側から求められているというようなこともあって今日に至っておるわけでございます。いずれにしましても、価格自身は法律に基づきまして適正に決定しているところでございます。  最近、特に政府米不足ということが出てきましたのは平成年産米が不作である、作況指数で九五ということになったわけでございます。そういう中で一方、良質米に対する根強い需要があるというようなことから現在のような状況に至っているというのはこれは否めない事実でございますけれども、そういうことを受けまして四年産米につきましては減反緩和により供給の増加を図りまして、四年産米は千五十万トンという生産を一応上げられたわけでございます。  そういうことも含みながら来年度から始まりますポスト後期対策につきましては、さらにそういう作付緩和を図る。それから、そういう中で余り良質米を志向いたしますと、良質米自身もおのずから需要の幅があるわけです。米は、私が言うまでもありませんけれども家庭用、比較的うまい米を食べたい家庭用あるいは業務用、それから加工用、それぞれの用途があるわけでございまして、その用途を余りに離れますとそれぞれの価格形成にいろいろ問題が起きる。現に良質米につきましても過剰傾向があるわけでございます。  そういう点を踏まえましてそれぞれの用途に合った生産をやっていこうということで、来年度から新しく稲作の米をつくるという観点に立ってポスト後期対策推進していくということで、それぞれ用途に合った米の供給確保していきたいというふうに考えてやっているところでございます。
  17. 森暢子

    森暢子君 私がなぜ政府米在庫管理問題を取り上げるかといいますと、他用途利用米というのがございますね。自主流通米よりも三〇%程度価格が安い政府米外食産業を初めみそとかそれから米菓とかいう食料産業に大きな需要があるということで、その政府米不足になるとやはりそういう人たちは安い外米を輸入するんではないか、そういう危険性を感じているわけであります。また、国内において商品価値の高い米をこういう原料に使うとそれが食品価格にはね返ってまいりまして国民生活に大きな負担を強いることになるのではないかということで、物価政策の面からも問題があるということで政府はお米の管理、特に日本でとれた安全なお米をどのように国民に提供していくかということが大事だと思うわけであります。  それからもう一つ学校給食用に使用するお米について政府昭和五十一年から値引き措置をしていらっしゃると思うんですが、最近この値引きをカットされるのではないかということで、保護者とか学校関係者、そういう人たちが大変不安を感じているという現状がございます。政府米値引き措置は引き続き行うのか、それから自主流通米を使った場合の助成はどうか、以上二点について答えていただきたいと思います。
  18. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 先ほど申し上げましたように、米につきましても、若干高くても味のいい米を欲する需要もございますし、またむしろ価格が問題だという需要者もあります。特に加工用米につきましてはそういうことが強いわけであります。そういうことを頭に置きながら県あるいは生産者団体ともよく意思の疎通を図りながら、それぞれの需要に合った米づくり供給というものに努めていきたいと思っています。  それから、学校給食用値引き措置でございますけれども、五十一年度から引き続きやっているわけでございます。現在、御案内のとおり、新規に米飯給食実施する学校につきましては六〇%、週三回以上米飯給食実施する学校につきましては五〇%、その他については四五%ということでございます。来年度、五年度予算につきましても現行と同じ水準助成措置を継続するところでございます。今後とも米飯給食重要性にかんがみ、その推進定着に努力していきたいというふうに考えております。
  19. 森暢子

    森暢子君 それじゃ、値引きカットはしない、引き続き助成していくということでございますね。  今までの話し合いの中で、ひとつ農水大臣、何かお言葉がいただけたらと思いますが。
  20. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) おっしゃるとおり、いろいろと難しい問題があるんですね。一方では米の自由化はしないという中で国民要求にこたえる。どうしてもやっぱり農家皆さんは高いものをつくって売りたいという気持ちが非常に強いものですから、良質米がもう八〇%にも到達したと。そこまでいきますと政府米が今度不足をする。あるいは、おっしゃるように他用途利用米、これを今度バランスよく生産してもらいたいということでお願いしております。また、いろいろとこの助成措置考えながらやってもらうということでありますが、なかなかそこは非常に農家皆さんも割り切りがたいものは持っているわけですけれども、しかし国民全般に責任を持つという気持ちでおやりいただかないとこれはなかなか難しかろう、こう思いますし、その中で学校給食、これは日本型の食生活というのは非常に健康にいいということでありますからこれからも進めてまいりたい、こう考えております。
  21. 森暢子

    森暢子君 それでは次に、学校給食に提供される食料品安全性の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  言うまでもなく、我が国は世界の先進国のうちで最も多く外国から食料を輸入している国であるということは御承知だと思いますが、学校給食においても多くの輸入食品現場に入っているということであります。そこで、ポストハーベストなど農薬問題で食料安全面対策を度外視することはできない。特に成長過程にある子供たちが食べる学校給食でございますので、これはもう安全性をとりわけ重視しなければいけないと思います。  そこで、農水省厚生省、どちらでも結構なんですけれども農水、厚生が学校給食に提供する食料品について現在安全性の面からチェックをしているかどうか、その辺を説明していただきたいと思います。
  22. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 十分いたしておりますし、今度も新しい食料農業農村政策視点に立って発表いたしましたことは、従来以上に消費者観点ということを強く打ち出しておるわけであります。特に、新鮮、良質、安全な食料ということを基本として位置づけております。  そのためには、さらに国民の信頼でありますとか安心、こういうものが農業政策としてなければならぬものですから、そういうことから考えますと、農薬を適正に使用するということは今まで以上に強く求められるというふうに考えておりますし、そのようにしなければならぬ、徹底してまいりたい。あるいは生産から消費の段階に至るこの間の調査点検体制をやっぱり整備していかなきゃならぬ。あるいは食品安全性についての相談体制、こういうものを整備するということを明確にして、生産のみならず流通消費、こういうことにもしっかりとした対応をしていきたいというふうに考えております。
  23. 牧野利孝

    説明員牧野利孝君) 農産物に残留する農薬につきましての検査結果でございますけれども、私ども都道府県から御報告いただきましたものを集計してございます。  手元の数字で申し上げますと、平成三年に報告されましたものは、報告件数四千二百十四件のうち農薬が検出されていない検体数が四千百六十六ということで、全体の九八・九%を占めております。また、平成四年の報告分につきましては、三千八十八件につきまして集計してございますけれども、やはり農薬が検出されていない検体数は三千五十検体でございまして、九八・八%でございます。
  24. 森暢子

    森暢子君 今お話をお聞きして、安全性を求めてやっていらっしゃるということなんですが、この食料品にかかわる農薬問題は学校給食のみならず国民全体の生命とか健康を守る上からも大変重要で、安全性確保というのは急務だと思います。  そこで、厚生省は、水際での輸入食品チェックでございますね。例えば、検査全国に二十二の港と空港でなさっているということでございますが、その検疫所状況についてお知らせを願いたいと思います。
  25. 織田肇

    説明員織田肇君) 輸入食品監視体制につきましては、従来からその整備、充実に努力してきたところでございます。  現在、輸入食品届け出受理検疫所といたしましては三十カ所で検査等を行っておりますが、平成五年度予算におきましては、検疫所食品衛生監視員の大幅な増員、これは百六十五名から百九十五名ということでこの増員を図りますとともに、高度な検査を集中的に行う横浜及び神戸の検査センターにおきます検査機器拡充等を図ることにしております。  今後とも輸入食品安全確保に努めてまいりたいと考えております。
  26. 森暢子

    森暢子君 今の、ちょっと詳しい数字がよく聞き取れなかったんですが、輸入届け出件数というのが、九〇年の資料しか私ないんですけれども全国で六十七万九千件あったということなんですね。そのうち検疫所で現物を調べたのは二万五千件、全体の三・七%にすぎない。サンプルを抜き取って、試験室で分析した例はわずかに一%にすぎない。つまり書類審査中心となっていると。わずか百四十四人ですか、の監視員の配置ではこうなるのは仕方がないと思うんですね。これでは国民生命、健康は守られないと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
  27. 織田肇

    説明員織田肇君) 検疫所検査につきましては、危険性の高いものにつきましての検査ということを重点的にやっておりますが、例えば継続的に輸入されるようなものに関しての検査書類等で行っているところでございます。いずれにしましても、食品安全性確保するという点では食品衛生監視員業務というのは非常に重要でございますので、先ほど申しましたように、この間増員を図ってきたところでございますし、またその業務充実に努めているところであります。
  28. 森暢子

    森暢子君 増員を幾ら図っても足りないのではないかぐらいに思いますので、私どももぜひそういうところはそれなりに要望していきたいというふうに思っております。  それから、学校給食に使用される食器についてなんですが、毎日子供たちが使っている食器、例えばメラミンとかポリプロピレンなどの食器に、有害化学物質が混入されるおそれのある食器とか器具とかいうふうなものがあるわけですが、これについては排除してほしいという要望学校現場から上がっておりますが、この現状についていかがですか。
  29. 牧野利孝

    説明員牧野利孝君) ただいまメラミン等御例示がございましたけれども合成樹脂製の容器、食器などにつきましては、科学的根拠に基づきまして重金属の含有であるとかあるいは溶質等、食品衛生法によります所要の規格品を定めまして安全性確保を図っているところでございます。  今後とも食器など食品用の器具、容器包装の安全性確保に努めることとしております。
  30. 森暢子

    森暢子君 それじゃ、最後になりますが、今後学校給食にいろいろと政府は給与してくださっているようでございますけれども、まだまだ国民または消費者の間では、米または食料に対する不安というのはたくさんあるわけですね。特に学校給食の中で安全な国産米の確保であるとか、それからいろいろな新鮮な野菜とかそういうものを地場産業、つまりその地域での生産物として新鮮な野菜とかそれから山菜とか水産物の利用を活発にするようなことを考えて指導なさってはいかがかと思うわけです。  現にいろいろその地域の新鮮な食料品を使っている学校もたくさんございます。そして必要に応じては財政措置などもしてはいかがかと思いますが、お尋ねいたします。
  31. 須田洵

    政府委員(須田洵君) 今御指摘ございましたような学校給食用に、特に野菜、山菜につきましてより新鮮な、かつより安全なといいますか、そういうものを供給する、そういうことの重要性につきましては私どもも認識しておるところでございます。  私、担当の関係で野菜中心になりますけれども、野菜につきましても、流通全体につきまして単に市場流通だけではなくて、やはり地場流通といいますか、そういうものの必要性ということ、これは学校給食に限らずでございますけれども、そういうものをやはり促進すべきかというふうに考えております。  私どもで、平成五年度の予算でございますけれども、既に盛り込んでおりまして、地場野菜の地域流通促進対策ということで、その中には当然のことながら学校給食も十分にシェアに入れながら、こうした事業を活用しながら今御指摘の点につきまして私どもも努力をしていきたいというふうに考えております。
  32. 森暢子

    森暢子君 これまでの輸入自由化のいろいろな現状と貿易黒字解消交渉のそういう経緯なんかを見て、仮に米の輸入が自由化されましたらこれまでの学校給食用政府米、国内米に対する補助も困難になるのではないかという心配もありますし、また給食用の米も入札などの手続によって調達しなければならないのではないかという不安もあったり、また安い価格の外国米が学校給食の中に使用されるのではないか、そういうことも考えられます。  今、外国米が本当に安全かどうかはみんな不安を持っておりますので、こういう中で、児童生徒の健康に対して大変危険なことになるのではないかこういう不安を学校現場保護者もみんな持っているわけであります。  そういうことで安全な米飯給食を継続するためには、国内米の必要量の確保と適正価格の維持も不可欠だと思いますが、ひとつ最後に農水大臣、一言お願い申し上げます。
  33. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) おっしゃるとおり私どもも有機農業というものを推進しながら、とにかく安全なものを供給したいということでやっております。特にアメリカやあるいは外国のものは押しなべてそうでありますが、これは非常に危険だという不安というものは常にあるわけでありまして、何としても国内で自給できる体制というものはぜひとり続けていかなきゃならぬということで、ウルグアイ・ラウンドにおいてもそういう主張を実はいたしておるわけであります。  いずれにしても、化学肥料あるいは農薬、そういうものをもっともっと減らす努力というものをしていかなきゃならぬわけですけれども現状では労力でありますとかあるいは収益という面でいささか問題がありまして、全部できるかというとなかなか難しい面があります。ありますけれども、国内の自給を確保すると同時に、安全な食料というものを責任を持って私ども供給していかなきゃならぬということにおいては常に心がけてこれからも取り組んでまいりたい、こう考えております。
  34. 森暢子

    森暢子君 終わります。
  35. 会田長栄

    会田長栄君 会田でございます。  私は、前回の委員会でも質問していることでございますが、なかなか具体的に納得するような状況になっておりませんから、改めてきょう取り上げていくのが第一の木曽岬干拓事業の問題であります。  そこで、会計検査院にまずお尋ねいたします。  会計検査院の意見表示をこの事業についてされております。その点で、会計検査院とは、決算報告書を提出し、なおかつ意見表示が済めばその役割というのは終わってしまうのかどうかということについて、率直にお伺いします。
  36. 平岡哲也

    説明員(平岡哲也君) 会計検査院が意見表示をいたしますことにつきましてはこれは法律に根拠がございまして、本木曽岬干拓事業につきましては会計検査院法第三十六条に基づきまして意見の表示をしておるわけでございます。  これは、検査の結果改善を必要とするということが明らかになりました場合に相手省庁に対しまして意見を表示するものであります。これは会計検査院の中の最高意思決定機関であります検査会議の議を経まして、かつ必ず検査報告に掲記をするということになっております。そういう厳密な手続を経まして改善の意見を表示しておる、こういう性格のものでございます。
  37. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、これと関連してお尋ねいたしますが、会計検査院は昭和四十四年十二月一日に三重県知事と愛知県知事とが東海農政局長の立会人で覚書を交換していることは承知していますか。
  38. 平岡哲也

    説明員(平岡哲也君) 本件につきまして私どもが承知をいたしておりますものは……
  39. 会田長栄

    会田長栄君 承知していれば承知しているって言えばいいんだ。承知していれば承知しています、知らなけりゃ知らないで結構です。
  40. 平岡哲也

    説明員(平岡哲也君) その点については承知をいたしておりません。
  41. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、もちろんこの覚書と関連をして同様に具体的なメモまで交換されているということも承知していませんね。
  42. 平岡哲也

    説明員(平岡哲也君) 承知しておりません。
  43. 会田長栄

    会田長栄君 要するに、会計検査院が意見表示をしてもう既に五年目に入っている、こういうことでありますから改めて会計検査院の御指摘についてその後どうなのかという、これは会計検査院が院法に基づきまして内閣に対して報告していることでありますから、このことを処理していかないということは歴代内閣がそれを処理しないということになるわけでありますから、その点で確かめたわけであります。  そこで農林大臣、これは農林大臣はもう御承知だと思いますが、要するに昭和三十八年八月に三重県知事より申請が出てこの干拓事業というのが開始されたんですね。約三年半かかって調査を完了しておる。そして、昭和四十四年十二月一日にこの干拓事業について三重県知事と愛知県知事とが農水省の東海農政局長立ち会いのもとに実は覚書を交換しているんです。ところが、私は前回質問した以降わかったわけでありますが、この覚書というのはなるほど抽象的なところがあるんですね。なるほど五年ぐらいかかるのかなと、らしい文書でまとめたものだなと私も思いました。  ところが、これには附属文書がありまして、メモというのがあるんですね。このメモの内容を見る限り、どうも百五十八億円も金をかけて九四・一%まで事業を完了しておいて、いわゆる干拓事業の目的からすれば、そのことを達するためには残り本当に農業経営をやるためのかんがい問題、スプリンクラーなどの十億円弱に満たない金でありますが、残っているだけでありますね。そのまま今日に来ているわけであります。  したがって、平成元年度に会計検査院が意見表示しても、その後部長会議をやったの関係者会議をやったの、副知事会議を三回やったの四回やったの、結論は出ない。なぜ出ないかというのは、そこにメモによく載っているんですね。そのことがあるものだから改めて今説明をして、これほど国費というものを安易に使っていいものだろうかという視点に立ってお聞きするわけでありますから、その点、会計検査院から意見表示されて以降、この問題について農水大臣としての見解なり所見があったらまず聞かせてください。
  44. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 大臣の前にちょっと一言よろしゅうございますか。
  45. 会田長栄

    会田長栄君 知らないということはないだろう、大臣だって。
  46. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 昨年も先生から質問がありまして、以来私もどうしても気になっておりまして、何回かまとめるように努力をするようにということで実際やっていただきました。やっていただきましたが、両県ともなかなか解決の糸口というのは、全くないとは言いませんが、なかなか難しい問題があります。  平成五年の一月十三日に、今お話にありましたように、両県の副知事の間での協議にもあったわけでありますが、これでは知事レベルに上げるための条件整備をやろうということになりました。一応この土地利用についても県境と並行して検討するということ等も話し合いができてきた。これは一歩前進ではなかろうかと、こう思っておりますが、何か私は一任とったらどうか、こう言っているんですが、私の方で決めてやる、こう言っても、なかなか両県がうんと言わないとこれまたそれもできない。非常に難しい問題でありますけれども、この早期解決に向けてこれまで以上の努力をしてまいりたい、こう考えております。
  47. 会田長栄

    会田長栄君 それでは局長、覚書、メモ、これを一年間かけて本気になってやってもなおかつ解決しないというんだから、私らから見ればそう難しくないと、こう思うんだけれども、その後の取り組みなどを含めて聞かせてください。
  48. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 今、大臣から御答弁いたしましたとおり、昨年の会計検査院の指摘を受けまして、また大臣の指示もありまして、私自身両県知事にお会いしました。そして、覚書、メモ等がございますので、早期に解決しようじゃないかということで両方の言い分を聞く機会を持ったわけでございます。  その一つのステップといたしまして、今大臣から答弁しましたように、ことしの一月十二日に知事間の協議が行われまして、知事レベルで話し合いをしよう、それから土地利用についても県境と並行して検討するという合意がなされて現在に至っているわけでございます。
  49. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、具体的にお尋ねいたします。  私が気にしているところは、「国営木曽岬干拓事業推進に関する覚書」というのが昭和四十四年十二月一日にありまして、これは先ほど私が申し上げたとおり、しかし三項目で抽象的なところがある。したがって、これでは後ほど問題になるであろうと思って、要するに三重県農林水産部長、愛知県農地部長、立会人東海農政局建設部長というお偉い方々が三人でこの覚書に基づいてメモというものを交換しているんです。  ところが、ここで交換している中身の第一項、そして第二項。第一項はもうこれは両県とも意見がないんですね。ところが第二項のところに「前項の愛知県弥富町への配分面積については、三重県は十五ヘクタールを主張し、愛知県は六十ヘクタール以上を主張しているが、今後両県」、ここが大事なところ、「並びに農政局と協議のうえ定めるものとする。」というんです。こういうメモになっているんです。  そうすると、今のところ協議した、話し合いした、努力した、こう言っているけれども、それは三重県と愛知県だけなんですよ。東海農政局の建設部も入って相協議する、こういうふうなメモになっているんですから、その点は私はもう一歩積極的に出ていいのではないか、こう見ている。私自身は私見がありますよ。大体三重県がせっかく海の中に沈まっているところをせめて有効に活用しましょうといって自分が気がついて申請したんだから。愛知県の方は、どっちかというと埋まっているけれども、まあ水没してしまえば海岸でありますから本来であれば国有地なんですよ、海岸ですから。そういう当初からの経過があるけれども、要は、このメモによればもっと積極的に私は進むんではないか、こう思っているから実はお尋ねしているんです。農水省の対応がもう少し誠実で積極的であれば解決するのではなかろうか、こう思っているからお尋ねしているんです。どうして両県だけに任せて行司みたいにこうして眺めているのか、その点一言お聞きします。
  50. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 今の先生の御意見のとおりに、もっと積極的に適切な指導をしなくちゃいけないということで私自身両県知事と既にお会いしていろんな話し合いを始めたわけでございます。これからも積極的に対応していきたいと思っております。
  51. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、私はこう思います。  これがなかなか農水省が積極的になれない要因というのは、会計検査院が御指摘しているとおり、農業経営の可能性は一体あるのか、この干拓事業で。ここにあるんだろうと思うんですよ。それだけになかなか容易でない、その気持ちはわかりますよ。しかし、実際は農水省はこの意見表示に対してもっと親切、丁寧にこたえていかない限り内閣の責任を全うするということにはならないんじゃないか私はこう思っているから聞いているんです。  この農業経営の可能性という問題について農水省はどのように今時点で判断しておられますか、見解を聞きたい。
  52. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) この木曽岬干拓地におきましては従来から、御承知のとおり営農試験地を設置いたしまして営農試験をやっているわけでございます。そしてこの干拓地は、畑作営農を中心として、都市近郊でございますので、施設野菜等を中心とすれば十分に営農が可能ではないかという知見を得ております。
  53. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、その次にお尋ねいたします。  もう既にこの木曽岬干拓事業の三百ヘクタールの更地には、愛知県などを含めて道路公団が環状路線をここに引いて半島の開発の動脈にしたいという計画があると。この点についてどうお考えですか。
  54. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 愛知県の飛島村から愛知県の東海市までを伊勢湾岸道路として既に一部道路公団は整備中でございます。また、木曽岬干拓地にかかる愛知県飛島村から三重県の四日市市までの区間をその一部とする高速自動車国道近畿自動車道飛島神戸線につきましても、平成三年十二月に国土開発幹線自動車道建設審議会の審議を経まして、高速自動車国道法第五条の整備計画が定められたことは知っております。  ただ、建設大臣から日本道路公団への施行命令が出ていない現段階では、農水省に対して正式な協議等はなされていないという現状でございます。
  55. 会田長栄

    会田長栄君 わかりました。  農水省は建設省との間でまだ協議していない。しかし、建設省は既にそのことを承知している。私はそのことを問うつもりはありませんよ。要するに、もう既に木曽岬干拓事業の三百ヘクタールの問題については、今両県知事との相協議になっている。なかなか境界が決まらない。決まらないけれどもそこを別な目的に利用しようとしてもう既に計画が着々と練られている、こういう情勢でありますから、私はその点を踏まえれば一刻も早く農水省がこの問題に対応していかなきゃいけないんじゃないか、こう思っています。  これと関連をして、その次にお尋ねいたします。  この国営事業で農業基盤整備をやるたびに法律をつくって今日までやってまいりましたが、この開発事業に伴って、その事業が完成しないうちに他の目的に使われる、あるいは完成目前で用途変更をして他の目的に使う、こういう例というのは今日までどのくらいの件数おありなんですか。
  56. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 土地改良法第九十四条の規定によりますと、国営干拓事業によって生じた土地は農林水産大臣管理し、または処分するということになっておりまして、この処分につきまして、今先生指摘のとおり、農用地として利用することが不適当と認められる場合とかあるいは施設用地を他に求めることが著しく困難であると認められる場合のように、異例やむを得ない場合には他用途に転用して処分してもいいということになっておりまして、その例は多々ございます。農地以外の他用途に転用する場合には、適正な審査の上学校とか公園等、公共施設等の用地として地方公共団体に対して売り払いを行っております。  件数としては、他用途転用実績全体として地区数では三十五カ所、それから他転面積が三千四百四十二ヘクタールということでございます。
  57. 会田長栄

    会田長栄君 もう少しお尋ねします。  例えば他用途に使うというのは、それは最終的に農水大臣の認可がなければできないわけですけれども、各市町村、自治体からそういう要望なり申請が出て、そういう手続を経た上で最終的に結論を出されるんですか。
  58. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) そのとおりでございます。
  59. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、自治省来ておりますね。  最後に、これだけの中身があって、ネックになっているのは何だといったら、県境問題だと、こう言うんだ。私は県境問題ではないと見ているけれども、本音は。しかし、県境問題だとなれば、これは自治省もいつまでも知らぬ顔をしているわけにはいかぬだろうと私は思うんですよ。前回は、両県知事が今話し合いをしているからそれを見守っていますという返事でした。しかし、それからまた一年過ぎました。現在は話し合いが継続中ですと、こうなっております。  したがって、自治省としてこういう場合に該当県から意見がなければ意見を申し上げられないのかどうかということだけお尋ねしておきます。
  60. 滝沢忠徳

    説明員(滝沢忠徳君) 地方公共団体の境界に関する問題についてお尋ねがあったわけでございますが、一般的に申し上げまして、境界の問題といいますのは、事柄の性格上、地域的な問題でございますし、往々にいたしまして歴史的な経緯などもろもろの事情が複雑に絡んでおるわけでございますし、そしてまた住民感情にも深くかかわってくるわけでございます。  したがいまして、問題の解決に当たりましては、基本的にはまず関係する地方団体の間におきまして十分話し合いをしていただき、協議を進めていただくのが適当であるというふうに考えておるところでございます。  ただ、お尋ねがございましたように、その関係する地方団体の間で、どうしても話し合いがつかないという場合でございますが、そういう場合につきましては、争論があるものといたしまして地方自治法に定める手続があるわけでございますので、それによっていただくことになると思います。  ただ、ただいま申し上げました争論があるというのは、単に意見が一致しないということだけではないわけでございまして、話し合いがどうしてもつかず、もはや両者に妥協の余地が全くなく、上級行政庁に調停なり裁定を申請せざるを得ない状況になって初めてただいま申し上げましたような争論があるということになるわけでございますので、私どもといたしましては、現在、先生のお話の中にもございましたが、両県の間におきまして精力的に協議、話し合いをなされておるわけでございますので、その様子を見ながら対応してまいりたい。今後、両県の方から、何といいますか、話につきましてある程度煮詰まってまいり、あるいはまた両県知事からそろって私どもの方に具体的にお話があれば、その段階でまた必要な問題解決に向けての協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  61. 会田長栄

    会田長栄君 局長にお尋ねいたしますが、これは最後です。教えておいてください。  例えば、三百ヘクタールの総事業費十アール当たり、これは他目的のために転用するということが検討されているということを抜きにして、一戸当たり農家のいわゆる受益負担分、あるいは十アール当たりの負担分というのは仮に試算したら幾らぐらいになりますか。
  62. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 農家に土地配分する場合は県の負担が加味されるのが通常でございますけれども、この地区は土地の配分が決まっていない段階でありますので、県の負担を含めて未定であることから、現時点の農家の取得単価を明確にすることはできません。  しかし、仮に平成五年度に事業を完了し県の負担をゼロとして試算いたしますと、十アール当たりの地元負担金額はおおむね二百九十万円程度でございます。年償還額はおおむね二十五万円程度となります。それから、仮に平成五年度に事業完了し県の負担分を通常の四割、他地区の例から四割として計算いたしますと、十アール当たりの地元負担金額はおおむね百八十万円程度、年償還額はおおむね十五万円程度となります。
  63. 会田長栄

    会田長栄君 わかりました。  とにかく、もう既に十アール当たり年償還額、仮に十五万ずつ納めて農業をやろうかといったらそこから逃げる。だから、当初の目的からはもう大きく外れてしまったというところに来ておりますから、何となく両県に任せるというんではなくて、このメモを中心として誠意ある立場をとって話し合いをさせていけば私はまとまるだろうと思いますから、どうぞよろしくその点はお願いしておきます。前回の委員会で申し上げましたが、ちょっと待ってひとつも動かないで利子だけかさむ、負担金だけかさむというような状況をつくり出すという事業はないわけでありますから、その場合は、前回申し上げたとおり、決算委員会としても参考人に両県から来ていただいて、何とか進捗できるようにしていきたいな、こう思っているところでありますから、その点よろしくお願いしておきます。  二つ目の問題は、国営農地開発事業の問題についてお尋ねいたします。  特に、国営農地開発事業の実施状況というものを平成四年度までに完了したところは、どのくらいの地区数があって、面積は水田、畑地で大体どのぐらいになっているか、簡潔にお聞きしたい。
  64. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 国営農地開発事業と申しますのは昭和三十六年に国営の開拓地パイロット事業として発足しておりまして、平成四年度末までの完了地区数は内地で三十八地区、受益面積は、水田約四千九百ヘクタール、これは開田が千七百ヘクタールそれから区画整理が三千二百ヘクタールでございます。畑は約二万一千三百ヘクタールで、そのうち農地造成によるものは一万九千二百ヘクタール、区画整理によるものは二千百ヘクタールでございます。
  65. 会田長栄

    会田長栄君 この国営農地開発事業にかかわった総事業費というのは、平成四年度までどのぐらいですか。
  66. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 今申し上げました三十八地区の完了地区の総事業費は三千九百六十億円でございまして、一地区平均百四億円でございます。
  67. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、完了した開発事業の例えば十アール当たりの農家の年償還額というものはどのぐらいになっていますか、最も高いところ、最も安く上がったところ。
  68. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 国営農地開発事業の完了地区三十八地区のうち、過去十年以内に完了したものを取り上げてみますと、二十一地区あるわけでございますが、その十アール当たりの農家の年償還額の平均は二万三千円でございます。最も低い額は一万六千円、それから最も高いところでは三万二千円ということでございます。
  69. 会田長栄

    会田長栄君 では、これと関連をいたしまして、国営母畑総合農地開発事業について幾つかお尋ねいたします。これは昨年私も一度農水委員会農水省からお聞きしていますからその点の前段のことは省略いたしますが、まあ気にさわらないで聞いてほしいんだよ。  一つは、この事業を出発するときにいわゆる受益農家人たちと一体どんな約束があったのか。とりわけその中心的な事業は千五沢ダムの問題ですね。そのダムの水没者との約束事、これが第一点。それからもう一つは、水田あるいは畑地開発事業にかかわるところの人たちとの約束事というのは、出発点はどういうものだったんでしょうかということを、二十五年も前の話ですから今に合わせろなんというのはどうかしているのではないかなんてお怒りなさらないで、ひとつ聞かせてもらいたい。
  70. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) なかなか古い話でございますので答えにくいのでございますけれども、この事業の中で千五沢ダムの工事に着手するに当たりまして、これは昭和四十五年当時でございますが、水没者がこの事業に参加した土地、水没地の代替として取得した土地の一部につきまして、水田として農地の整備を行うという約束が現地においてあったというふうに承知しております。  それからもう一つは、全体的な負担金につきましては、事業計画の概要の報告で示した事業費百五十四億円、これは昭和四十七年当時の単価でございますが、に対応する農家の十アール当たりの平均年償還額は約八千円だというふうに説明しているというふうに聞いております。
  71. 会田長栄

    会田長栄君 二十五年前の話でありますから、それはどうこうということを私もつけ加えませんが、いわゆる水没ダム農家の問題については水田の開発を約束する、これは確かなんですよ。いまだにその約束はおたくからは破棄されていないと、こう言っていますからね。それからもう一つは、開田、開畑含めまして、十アール当たり米一俵一万八千二百円、こういう約束で始まった、こういうことでありますから、とりわけこれは三年据え置き、十二年償還で始まった事業だと、こう言えます。  しかし、二十五年過ぎてみますと、これは大変な状況に実は先ほどからの意見の連続で来ているということであります。したがって、受益農家にとりまして十アール当たり平成元年度試算によれば四万四千円だということを聞かされたときに、受益農家人たちはまさしくショックを受けたわけであります。四万四千円と聞かせられればショックを受ける。もう国にその土地を買ってもらいたいと、こういう気持ちになるのも当然だと私は思います。  しかし、平成三年の十一月になりまして、この四万四千円というのは実は二万二千円まで皆さんの努力でおりてきた。ところが、これ率直に言いまして、二万二千円にはなったけれども、償還年限が三十五年、じいさまの時代から息子の時代、孫の時代までかかると。ましてや、今日的農業を取り巻く情勢でありますから、この点についてのショックもこれまた大きい、こう思わざるを得ません。  そういう意味では、この十アール当たり受益農家の負担金というものについて二万二千円というのは、私も前回申し上げたとおり、まだ高過ぎる。これは全国的な実施状況からいってもちょっと値が高い。何とか一万九千円台になりませんかということを私の御意見として申し上げて今日来ているわけであります。  これと関連をして二、三、小さい問題を三点ばかり聞きます。  この開畑問題のところで、例えばブドウ畑、ナシ畑、桃畑、こういう畑は従来からあったし、当然果樹園経営がされている。しかし、この事業の中で十アール当たりの受益農家の負担金としては、その果樹園を造成しないのに全く同額の負担金になるなどということはあるんですか。これはあるならある、ないならないと答えてくれれば親切です。
  72. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) イエス・オア・ノーでちょっと答えるのは不親切だと思いますので、少し説明させていただきます。  国営土地改良事業に係ります農家の負担金につきましては、土地改良法三十六条で、土地改良区は、定款の定めるところにより、組合員に対して、地積等の客観的な指標により、受益地が受ける利益を勘案して賦課徴収することができるというふうに定められております。  この母畑地区の土地改良区の総代会におきまして議決された同土地改良区の定款によりますと、この地区の賦課基準は、まず第一にダム、幹線用水路等事業の受益が地区全体にわたるものにつきましては、各工区の共通経費として経費を算定する。さらに、農地造成、区画整理、末端配管など事業の実施が工区ごとに異なり、それぞれの工区単位で個別に経費を算定することが適当と土地改良区が判断したものについては、それぞれの工区別に経費を積算した上で負担金額を算定するとされております。  この地区は、このために農地造成それから区画整理等の工事が同一の工区内においてあわせて実施される場合には、当該工区内の受益につきましては同じ水準の賦課金が課されることがありますけれども、この場合でも同一工区内の受益地では農地造成または区画整理のいずれかの工事が実施されておりまして、それぞれの単位面積当たりの農家負担金の水準はおおむね同じであるということから、全体として賦課水準について均衡を欠かないように定めたというふうに聞いております。
  73. 会田長栄

    会田長栄君 二つ目の問題は、この事業が一次修正、今第二次修正に入っていますね。私は前回のときに、修正といって縮小することはかり考えないで、当初の目的を達成するようにやってくれたらいかがなんですかということを申し上げておきました。しかし、ここでは、今第二次変更計画中ですね。土地改良区で相談をして大体よろしいと、こうなったけれども、受益農家に対する説明を合していますね。これ第二次計画というものについて、仮にですよ、おれは嫌だ、この計画ではだめだと言ったらどうなんです。
  74. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) そういう場合には土地改良法上の計画変更の手続が不可能となりますので、せっかくでき上がっておりますダム等の河川工作物につきまして、まず河川法上の完成検査も行うことができませんし、したがって利用の開始もできなくなるということでございまして、他の受益者に対しても多大な影響があります。したがいまして、そういうことにならないように受益農家理解を得る乞うに最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
  75. 会田長栄

    会田長栄君 だから、ノーと言う人がいないようにしていくためには、それは努力するのはもちろんです。しかし、最後のネックになるのは、十アール当たりの農家の負担額と要するに年償還額、何年償還かというところに今来ているようであります。したがって、二万二千円と今提起されているようでありますけれども、これは一万円台に皆さんの努力で何としてもしてみせるという意気込みですか。
  76. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) この事業につきましては、先般の衆議院農林水産委員会でもお答え申し上げたんですけれども、千五沢ダムの水を有効利用するということによりまして全体として受益者負担金を軽減する方法はないものかどうかということを関係機関と十分に協議していきたいと考えております。
  77. 会田長栄

    会田長栄君 そこでお尋ねいたします。  千五沢ダムが当初の計画どおりに満タンになった場合の水量と今度第二次変更計画で必要な水量との差というのはどのぐらいですか。
  78. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 千五沢ダムへの水源依存度は、現計画は三千七百五十万立方でございます。変更計画案では二千二百九十万立方というふうに見込まれております。
  79. 会田長栄

    会田長栄君 例えば、これはまことに国営開発事業に関連した農水省の直轄ダムですな。そうすると、この不必要になった水、これを他の目的に使う場合にはどのような手続が必要なんですか。
  80. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) まず、河川法に基づくダムの完成検査を受けた後、農業用水にどのくらい使うのか、他の用水にどのくらい使うかということを関係機関と協議をして定めていくということでございます。
  81. 会田長栄

    会田長栄君 恐らく、この水の目的を変更することによって、当然水の価値というのがまた出てまいります。そうすると、その水の別な価値をもってひとつ総事業費の中から十アール当たりの農家負担金をマイナスにしていくと。しかし、今それは検討中だということですね。いつごろまでに結論が出るんですか。
  82. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 計画変更案についての同意徴集をまずとらなきゃいけませんので、大至急同意をいただきまして計画変更案を認めていただく、その作業を急ぎたいと思います。その作業を急ぐと同時に、並行して今先生指摘の点も含めて検討してまいりたいと思っております。
  83. 会田長栄

    会田長栄君 それでは最後に、これは私も調査に行ったことがあるんですけれども、東北農政局の建設部長から、ダム水没の際の補償として水田は確保してやらざるを得ないのではないかという御意見が出たんですね。しかし、この第二次変更計画ではそのことはおありだと聞いていますか。
  84. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) やっぱり新規開田については非常に問題がありますし、既に昭和四十五年から開田の抑制ということで次官通達が出ておりますので、開田ということでなくて金銭補償で対応したいというふうに考えております。
  85. 会田長栄

    会田長栄君 ありがとうございました。ひとつよろしくお願いします。  それでは、今度は林野庁の累積債務問題についてお尋ねいたします。  これは、御承知のとおり、国有林野事業の使命と役割が重大であると、この使命というものはもう忘れることができないほど今日多くの人たちから指摘されております。林野庁は、平成三年度から一般会計から経営改善の特別措置を含めて新しい改善計画をスタートさせました。その努力は多とします。  そこで、平成二年度の審査対象ではありませんけれども決算報告を見る限り、どうも努力している割合にはうまくいかないようだというのが目につくんです。これでは林野庁の累積債務は利子を負担するといってますます累増するという傾向に歯どめがかからない、こういうことがあります。本来的に、国有林野事業というのはますます地球的にも日本的にも今日重視しなきゃならない時期に来ている。それはどなたもおっしゃる。しかし、現実にそれを具体的に政策として本当に今の政府が力を入れているのかどうかということになると甚だ疑問が出てくる。  そこでお伺いしたいのは、累積債務というのは一体どのぐらいになっているんだ。それがふえているのか減っているのかそこをひとつ教えてもらいたい。
  86. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) 国有林野事業特別会計におきましていわゆる長期債務、借入金を行いましたのは昭和五十一年からでございました。年々ふえてまいりまして、平成三年度末の累積債務残高は二兆四千六百三十億円という額に上っております。  我々、今御指摘のありました、平成三年七月に「国有林野事業の改善に関する計画」というものを立てまして、今後長期的に国有林野事業の改善を図っていくということをお示ししているわけでございますが、まず何よりも毎年度の、当面の歳入歳出の現状が、現在のところ、これもやはり平成三年度末でございますが、自己収入が歳出の四二%でございます。すなわち、林産物の収入あるいは林野・土地の売り払い、分収育林の預託金等を合わせましても支出の四二%しか収入がないわけでございまして、このために、事業運営をしていくためにどうしても長期借り入れをせざるを得ないという状況にございます。  当面の話で申し上げますと、まだしばらくは累積の債務はふえる方向にあると言わざるを得ません。しかしながら、この計画におきまして、平成十二年に単年度の収支の均衡を図りたい、かつ平成二十二年度におきまして累積債務をゼロにしたい、こういう非常に長期の計画を立てておるわけでございます。この国会で当時、平成三年に御議論いただきました国有林野事業改善特別措置法の一部改正におきましても、会計法的に言いますと、累積債務と経常の事業経費を分離いたしまして、累積債務の処理につきましては平成二十二年までに解消する方向で努力したいというふうに考えておるところでございます。
  87. 会田長栄

    会田長栄君 平成二十二年度までいけばゼロになるとおっしゃったんですか、今。
  88. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) この計画におきましては、そういう見込みのもとに今後国有林野事業の経営の改善をしていくということになっております。
  89. 会田長栄

    会田長栄君 平成三年度、第一回目で出発しました。そうしたら、その傾向が出てまいりましたか。逆目に出たんじゃありませんか。
  90. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) 国有林野事業の実態を申しますと、過去においてふえました木等の資源的なものはいましばらく減り続ける状況にございます。その後に回復をしてくる。また、経営の上でも現在非常に人員等が多くて、先ほど言いましたように自己収入で四二%しか貯えない状況でございますが、その改善も図っていく。また、林野・土地等につきましても売却をしていくという、いろいろを考えあわせまして将来的にはこの債務をゼロに持っていく。しかし、先ほど申しましたように、当面はむしろややふえることはやむを得ないというふうに考えております。
  91. 会田長栄

    会田長栄君 私は、もう一つ前段で確かめておきたいのは、林野庁は戦後約半世紀にわたって国有林野事業の特別会計というのがありましたね。しかし、こういう雲行きの悪いときばかりじゃなかった。本当にほくほくだという時代が長く続いたんだ。このときの利益というのは一体どこへ行ったんだ。
  92. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) 御指摘のように、昭和二十年代、三十年代、四十年代におきましては、一つは国内の材価が通常の物価よりも高い値段で上がっておりまして、また国有林にも資源が十分ございましたので、国民に木材を供給することによりまして国有林会計は黒字でございました。その間、収益が上がりましたものにつきまして、例えば一般会計への繰り入れということも行ってまいりました。また、森林開発公団への直接出資ということも行ってまいりました。これが行えたのが、一般会計への繰り入れは昭和四十七年まででございます。それから森林開発公団への出資、これは水源林造成をする場合の出資でございますが、これは昭和五十二年まで行えたわけであります。これは当時の国有林野事業特別会計から見ますと、林政協力ということで一般会計へもお金を入れたということでございます。
  93. 会田長栄

    会田長栄君 二十年代、三十年代、四十年代と黒字を続けてきた、そのときには、その黒字の利益というものを他に回した。今度は赤字になってきた。こういうことで、今林野行政というのは、第一に自分の林野行政を円滑にやって累積債務を何とかしてゼロに近づけていく努力をしたいといって、林野行政そのものが、いわゆる森林を育成する、こういったところから手を引きつつあるんじゃないんですか。林野行政そのものが、今どうしてもこの累積債務の関係があって人減らし、事業所減らし、ここに積極的に計画的に力を入れているんじゃないんですか。このことを貫き通すことによってどうなるのか。国有林野というのが当然荒廃していくということは当たり前の話なんでしょう、これ。  臨調行革に基づいていろいろ行革を言って、人減らし、機関減らし、事業所減らしというのは今はやっている。地方からみんな吸い上げて都市に集中させる。私は、こんな行革ではなかったんではないかと今でも思っている。行革そのものがもう過疎の自治体を生むのに促進剤になっている。こういう状況でしょう、今。  そういうことを考えたら、もう林野庁の今日的、地球規模的、日本的な役割というのを再確認して、これは国有林を中心としながら民有林も含めて再生させるための政策転換を図る必要があるという主張なんですよ。そのためには農水大臣、建設省に行きますと、道路整備五カ年計画といって七十六兆円を投入しましょうという意気盛んな意見の交換ですよ。一方、振り返って、では国有林野事業にどう対応するんだということになったら、その声は全く細くなっちゃうんです。これは私はどうもうまくない、これは罰が当たって人間がやがて滅びるぞ、こういう気持ちさえ持っているんです。  そこで、せっかく日米構造協議で十年間で四百三十兆円の公共投資をしていくということを約束して、今政府は実行しているんです。山を守り育てるというところを、林野庁の国有林野事業の特別会計の二兆円何がしをこの際計画的に公共投資とみなして、ゼロから出発させるべきではないかと私は思うんだが、どうでしょうか。
  94. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) 国有林野事業についてのお話で、先生おっしゃるように国有林野事業の持っている使命というのは、もちろん国土の保全なり自然環境の保全形成というようないわゆる森林の有する公益的機能を発揮すること、あるいは国民に木材を中心とします林産物の計画的、持続的な供給を行うこと、そしてまた国有林野事業の諸活動を通じまして農山村の地域振興に寄与すること等いろいろあるわけでございます。  そういう意味では、我々国有林野事業を今後ともぜひ維持、持続させていかなくちゃいかぬというふうに考えているわけでございますが、そのためのいわゆる前向きの投資、林道をつくったり造林をしたりというものについては、先生も御指摘のように、これは民有林、国有林通じてでございますけれども、やはり公共投資等でお金をつぎ込んでいかなくちゃいかぬと思っております。国有林野事業につきましても、一般会計からそういう意味で民有林と同じように造林、林道について資金を入れていくということも先ほどの改善計画の中でうたっているわけでございます。  ただ、過去の累積債務は、これはやはり債務でございますので、先ほどお触れになられました十年間で四百三十兆円を行う公共事業というのとはやや性格を異にするのではないかというふうに考えております。  また、この改善計画におきましても、先ほど言いましたような長期的な展望のもとに財政の健全化を図っていくということを言っているわけでございますから、我々はもちろん必要なものにつきましては一般会計からの財政援助等も得ながらやってまいりますけれども、この債務の問題につきましては、計画に定められたように、事業の民間実行の徹底でありますとかあるいは要員規模の適正化でありますとか、組織機構の簡素合理化でありますとか、そういう自主的努力もしていかなくちゃいかぬ、かように考えている次第でございます。
  95. 会田長栄

    会田長栄君 これは累積債務問題だから、私はもうゼロにして林野行政を今転換させていかないと大変な状況になるんではないかという指摘でありますから、これは大臣一言聞かせてください。  これは実はゼロにしろという、それはどこから持ってくるんだと、ゼロにするためには。私は、一例は、これはもう過去の公共投資と同じだと、ここから出発しろという意見なんだ。それでだめだというんだったら、今現存する私どもが何としても山を育てていって水資源を守らなきゃいかぬ、環境を守らなきゃいかぬ、そのためにはその先頭に林野庁を立たせるべきだと。人減らしや事業所減らしばかりやるんでなくて、そういう転換の時期に来てるんじゃないかと、こう言っているわけでありますから、その点はひとつ所見を聞かせてください。
  96. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 今、馬場長官からもお話がありましたように、国有林野事業の改善に関する計画というものを立てまして、みずからの努力ということをやる必要がこれはあるわけでありまして、その計画に基づいて組織全般あるいは簡素合理化、そういうものを図りながら、一方においてはおっしゃるように、国有林、森林というものはいかに大事かということは、これはもう十分皆さん認識をしているわけでありますから、このことはこのことで計画的に実施しようと。そのためにはやっぱりおくれておりました機械化、そういうものをどんどん進める。人減らしばかりやるわけではありませんが、そういう一方においてはスリムになるということの努力もしていくという、全般の計画の中で今実施をスタートしたばかりであります。我々はこの示した計画に基づいて最大の努力をしていきたい。それは、一方では大変な高齢化時代を迎える、あるいは全般的に人手不足、出生率の低下、そういうことを見通した場合に、今からこういう準備を着々と進めてまいりませんとなかなか計画の実行というものは難しかろうということで今やっております。  せっかくの御提言でありますけれども、計画どおりに私どもやらせていただきたいということでございますので、御理解をいただきたい、こう思います。
  97. 会田長栄

    会田長栄君 それは現行計画を進めているわけでありますが、私はそこでもう一つ最後に意見だけ言っておきます。  大体政府の人減らし、事業所減らしというのは地方からやってくるんですよ、全部。一方建設省と国土庁に行きますと、均衡ある国土発展だと、こう言うんですよ。それは言葉はいい、実際にみずから今行政として取り組んでいることを考えていったら、それこそ山と緑から遠ざかるように遠ざかるようにやっているんじゃありませんかということを申し上げているんですよ。そこはひとつきょうだけで終わる問題ではありませんから、今後ともお願いしていくつもりでありますから、どうぞよろしくお願いいたします。  その次に農水大臣に米の問題について二点だけ伺っておきます。  ガット・ウルグアイ・ラウンドの米問題というのは現時点でどのようになっておりますか。簡潔に聞かせてください。
  98. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) ウルグアイ・ラウンドにつきましては、米国の政権交代の前に大体交渉の大筋決着を図ろうということで努力を払ってきたわけでありますけれども、当初日本では米問題が象徴的に取り上げられておったわけであります。しかし、だんだん市場アクセスでありますとかサービス、知的所有権、貿易ルール、こういうものが表に出てまいりましてから各国ともいろんな問題が提起されたわけでありまして、したがってクリントン政権誕生前には動きがとれない状況になったということで今日まで推移をしているわけであります。  今後の見通しでありますけれども、アメリカのファストトラックが延長と、一体どのぐらいやるとか、いろいろこれは向こうの話でありますから見通しが立たないわけでありますけれども、いずれにしてもアメリカ政権あるいはスタッフもまだ決まっていないという状況の中で、明確でないいわゆる不透明な部分が非常に多いというところでございます。したがって、先の見通しは全く、我々もこうなろうかなという予想みたいなものはできても不透明な状況にあるということであります。
  99. 会田長栄

    会田長栄君 もう一点は、仮にガット・ウルグアイ・ラウンドがなかなか難しい状況になってきた、そういう意味では日米二国間交渉でこの問題を解決するなどという考えは毛頭ありませんね。
  100. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 日米間では、従来から最高首脳レベルを含めて米問題はウルグアイ・ラウンドで解決するという方針が確認されておりますから、私どももすべてウルグアイ・ラウンドの中で決着すべきというふうに思っております。
  101. 会田長栄

    会田長栄君 国会決議もあることですし、政府農水大臣も従来から米の市場開放問題については毅然たる態度をとって対応しているようでありますから、今後ともひとつ精いっぱい頑張ってほしいということをお願いして、次に移ります。  次の問題は、過日決算委員会が兵庫県と香川県に委員派遣で調査に行ってまいりました。香川県に行ったときに、ちょっと予定外の問題が入りましてホテルにも高松市民の方がおいでになりました。もちろん、バスで行くときにも道路上で行き会いました。何の問題かというと、高松場外馬券場設置問題のことです。これに関連して六点ばかりお伺いいたします。  一つは、農水省告示、十二月発だと思いますが、農水省が設置認可をしてこの高松の場外馬券場が今建築進行中、その時期に農水省告示として馬券場に関して告示を出している内容についてひとつ簡潔に聞かせてもらいたい。
  102. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 高松の場外馬券売り場につきましては、これまでいろいろ経緯がございまして、設置の基準が省令とか告示とかいうことで明確になっていないという御指摘が国会でもございました。  そこで、昨年の十二月でございますが、そういった点を明確にするという意味で、他の公営競技における基準等を勘案して、告示をもって場外設備の位置、構造及び設備に関する基準を設定したところでございます。その内容いろいろありますけれども、文教施設及び医療施設から適当な距離を有して、文教上または保健衛生上著しい支障を来すおそれがないことだとか、敷地は入場者等に応じた適当な広さを有することとか、あるいは発売窓口の数の問題だとか、窓口と窓口の相互の間隔の問題、あるいは窓口の前面に障害物がないこと、その他いろいろございますが、そういった内容を告示をもって明らかにしたところでございます。
  103. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、この平成四年十二月二十一日月曜日、官報、農水省告示、場外馬券場設置に対してこの中でより明確にしたんですね。「学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から適当な距離を有し、文教上又は保健衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと。」というのがあるんですね。  高松の場外馬券場というのは、実は先ほど言ったとおり、私どもが行ったときに、この項に全く該当する地区に場外馬券場を設置することを農水省が認可した。ここで住民の運動になっているんですね。それに決算委員会が出くわしたわけですよ。一体、片方で高松の場外馬券場を設置認可して今進行中だというのに、一方で農水省がこういう地区には慎重を要するということを告示するというのはどういうことですか。その気持ちを聞きたい。
  104. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 今まではそういう告示がございませんで運用でやっておったわけですが、今、先生お話しになりましたように、「学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から適当な距離を有し、文教上又は保健衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと。」、これはほかの公営競技についても同様の基準が定められております。  それで、今回高松の施設の設置場所から学校までの距離、約四百メートルでございます。承認をする前におきましても、私どもの担当課長を現地に派遣いたしまして現地調査というのか実際見てこさせました。その上で、通常であれば申請があってから二週間程度で承認するかしないかを決めておるわけですが、本件についてはそれまでいろいろ賛成反対ございましたので慎重な審査をいたしまして、申請があってから約一月半審査をしてそれで承認をするということに決めたわけでございます。
  105. 会田長栄

    会田長栄君 それは私も、長年住んだ福島市には競馬場はある、隣に学校もある、より親しんできたところでありますからよくわかりますけれども、しかし、これは歴史的なものであって、いわゆる市民と競馬場との関係、あるいは文教地区との関係というのは長い歴史の上でつくられてきたものであって、これから新たにつくるというときには、これは官報に告示されているとおり非常に慎重でなけりゃならぬということはごく当たり前であります。  そこで、農水省が申請を認可するに当たりまして、引き続き中央競馬会は地元と協議せよとなっているはずでありますが、そのとおりですか。
  106. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 一昨年の十月に高松の場外馬券売り場の設置に関して承認を行ったところでございますが、そのときに地元における賛否双方の立場からいろいろ陳情だとか働きかけ等があったわけでございます。そういう事情を踏まえまして、承認をするに当たって私の名前で中央競馬会の理事長あてに、さらに地元の理解が深まるように努力をすることという文書で指導をいたしております。
  107. 会田長栄

    会田長栄君 わかりました。  それに基づけば、中央競馬会は積極的に地元の人たちと話し合いをしなきゃならないということを認可するに当たって農水省はきちっと提示をしている。  JRA、中央競馬会は地元と協議していますか。協議していたら、いつ幾日だれとこういうことで話し合いましたと教えてください。
  108. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 一昨年の十二月九日に鶴尾校区の連合自治会役員に対して説明会を実施いたしております。その後、同じ年の十二月十二日でございますけれども、鶴尾校区の連合自治会の各自治会長あてにパンフレット、チラシ、これはJRAの業務等を理解していただくためのチラシなりパンフレットですが、そういうものを郵送したり、あるいは同じ平成三年十二月二十日に鶴尾校区連合自治会長並びに校区連合自治会会員を対象にして説明会を実施しておりますし、平成三年十二月十六日から二十二日にかけましては場外設備の設置近隣自治会員にパンフレットの配付をいたしてもらっております。それから、平成三年一月以降、ラジオとかテレビ放送を実施する等地元の理解を深めていると聞いております。
  109. 会田長栄

    会田長栄君 これ大分やっているようでありますけれども、ちょっと私もはっきりしないんだけれども、今自治会というのは場外馬券場を設置してある付近の自治会を指しているんですか。
  110. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 場外馬券場を設置する自治会あるいはその周辺の自治会、近隣自治会のところにそのパンフレットの送付等をいたしております。
  111. 会田長栄

    会田長栄君 いや、私が確かめたいのは、中央競馬会はそういう話し合いを、協議をせよと農水省が言っているんだから、それなら中央競馬会は行って積極的に話し会いの場を持って進めなきゃいかぬじゃないかと思っているから尋ねているんですよ。それを、今聞くとパンフを送ったと。パンフを送ったなんていうのは話し合いじゃありません。そんなのはどこだって送っているわ。やっぱり話し合いをするというのは、これ住民の裁判ざたになっているんだから、そこまでいっているという状況でありますから、これは競馬会が積極的に行って協議を進めなけりゃ私はいけないと思うから尋ねているんですよ。それは賛成という人とばっかり協議したってだめなんですよ。おらは反対だという人とも協議しなきゃいかぬのですよ。  だれが賛成しているのかというのは、ちょっと確かめますよ。高松市議会は賛成しているんですか。高松市長は賛成しているのか。三つ目、その馬券場を設置してある付近の近距離の自治会の人たちの同意は得ているのか。この三つを聞かせてください。
  112. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 高松の市長、市議会につきましては明確な意思表示はいたしておりません。  それから場外馬券売り場を設置することに伴って影響の大きいと思われる自治会、そこからは自治会の同意をいただいております。
  113. 会田長栄

    会田長栄君 これだけの大きな問題になっているときに、高松市長もその立場を鮮明にできない問題だ、市議会もこれまた鮮明に態度を表明できないということであります。  それでは賛成だという自治会名と代表者名をちょっと聞かせてください。自治会名と代表者名。
  114. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 今先生お話しのように、本件につきましては現在におきましても現実問題として地元では賛否両論があるわけでございます。そういう中で具体的に賛成している町内会等の名前を明らかにするということは、平穏な近隣関係に無用なトラブルを発生させることともなりかねないというようなことから、前々から私どもの方から申し上げることは差し控えさせていただいているということでございます。
  115. 会田長栄

    会田長栄君 高松市民の代表というのは市議会だわな。高松市民のトップというのは市長だわな。その人が言えないんだわ。しかし、これに火を注いだのは官報なんだよ。一方で農水省が高松場外馬券場設置について認可をする、一方ではこういう地区にはつくらないんだ、慎重を要するんだと言っているんだ。私は、こういう相矛盾したことはないと言っているんだ。  そして、だれが賛成なんだというと、いやそれは公にできない。公にできないなんていう自治会ありますか。あなた。隣組長だの自治会長なんていうのは自分の判断で賛成だの一任するだの一任するだのなどという運営でないですよ。みんなこういう考えですがどうですかと言って、最終的に少数意見はあるけれどもみんながいいと言うんだからいいんじゃないですか、あなた我慢してちょうだいと、こうやって運営されているんだ、自治会とか隣組とかというのは。そういうことを全く抜きにして、どこどこの自治会に賛成がいたからなんて言ったら、それは今住んでいるんですかという疑問を持ちたくなる。下手をしたらその代表は幽霊じゃないですか、そういう疑問すら出てきますと言うんだ。  だから、余り私はそんなところを気にしないで、積極的に話し合いなら話し合いを競馬会にさせて、やるべきだと言うんだ。忙しい市民が場外馬券場を設置することによって裁判ざたまで起こしているという状況というのは、決してそれは温かい政治じゃないですよ。その点について聞いているんです。  高松を認可したためにその後で次のところに次々と移っていくと困るから、農水省は改めてそんなこと言われないようにと官報で告示したんじゃないんですか。いい人でもだんだん人が悪くなりますよ、そういう答弁ばかりしていると。これ危ない、農水大臣。一方で認可しておいて一方で争いが起きるような官報告示などというものを出してはいけないですよ。それで矛盾のないように聞かせてください。
  116. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 先生おっしゃるとおりに、そこに場外施設を設置しますと中央競馬会の職員がそこに住むわけです、常駐するわけです。ですから、地元との関係がうまくいかないと競馬会の業務も円滑に行われない。そういうことで、地元の方々の理解を得るということは非常に重要であると考えておりますので、今後ともいろんな機会をとらえて地元の理解が深まるよう努力を払うようにさらに中央競馬会の指導をいたしてまいりたいと思います。  それから先ほど、パンフレット、チラシを配っただけではなくて、競馬会の役員の方も現地に行っていろいろ理解を深める努力をいたしておりますが、さらに今申し上げましたように、職員がそこに住むわけですから、地元に受け入れられないと業務もうまくいかない、さらに地元の理解が深まるように中央競馬会を指導してまいりたいと考えております。
  117. 会田長栄

    会田長栄君 これはある人たちにとっては随分夢と希望のある話なんでしょう、そう思いますよ。しかし、現実にこの問題というのは、今地元で自治会あるいは隣組でその馬券場設置の場所、駐車場、いろいろもう関係して大騒ぎになっているんです。市議会は全く賛否を言わないから、市議会は関係ないうちはつくってほしいとも言わぬしつくらぬでほしいとも言わない。市長もこれまたそのとおりだ。そうすると、これは自治会の混乱というのは相当厳しく受けとめて考えていかなきゃいかぬ、こういう問題だと思うのでお尋ねしているんです。  これは香川県に決算調査に行かなけりゃああいう声も聞かなくて、国民の声を直接積極的に受けとめないで済んだんですが、これは決算委員会が行ったときの話ですからやる義務があるんです。それでお尋ねしているんです。ああいう状況であれば、当然見直すチャンスというのは官報告示に基づいてあってよろしいと私は思うんですよ。見直すつもりはありませんか。
  118. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 場外施設の設置につきましては、中央競馬会から提出される書面をもとに審査をいたしておりまして、当時提出された書面につきましては、内容あるいは手続面、そういう面から見て問題があるとは思っておりませんので、当時行った承認の職務、これは適切なものであったと考えております。
  119. 会田長栄

    会田長栄君 本州四国連絡橋ができ上がった、そして四国の横断高速道ができ上がる、そのところですから、決して環境がいいなどとは思いませんよ、私自身も。よくもこんなところをねらったものだと、だれかに頼まれなきゃこんなところさつくらないわなと、もっといい場所あるはずだ、あの辺にと、指さしながらみんなして歩いてきましたよ。それくらいです。  そうすると、最後にお尋ねしますが、そんな声も無視をして結局いつオープンするの。オープンの予定は立っているんでしょう。
  120. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 昨年建築に着手をいたしまして、今JRAの方から聞いているところによりますと今春と言っておりますが、具体的な日にちは聞いておりませんけれども、今春業務を開始いたしたというふうに……
  121. 会田長栄

    会田長栄君 今春、春。
  122. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) はい。春も幅はあるでしょうけれども、今春業務を開始したいというふうに聞いております。
  123. 会田長栄

    会田長栄君 もう二月ですから、それじゃ間もなくですね。これはちょっと穏やかではありませんよ。これは中央競馬会も積極的に話し合って、地元と円満に話がいくように精力的に話をしなきゃいけません。どうせあの人たちと話したってどうにもならぬわなんということをやったら、これは今後の場外馬券場の設置問題で全国的に波及するから、そういうことはよした方がいいと言っているんです。官報告示でこういう場所にはつくってならないということを明確にした。その明確にしたところの一番の直近で高松だけは認めちゃったということになるんだ、農水大臣。  そういう相矛盾したところでありますから、これは今後とも、今度の春というんではどうにもなりませんけれども、やっぱり見直してもらわなきゃいかぬ。あらゆる条件をもう一度農水省も確かめて、その条件が具備しているのかどうかということをひとつ念頭に置いて、オープンするかしないかということを最終的に決めてほしいと思います。それだけ頼んでおきます。
  124. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 先ほど、場外施設の設置の場所から約四百メートル離れたところに学校がある、こう申し上げましたが、ほかの場外施設につきましても、四百メートルあるいは三百メートルぐらいのところに学校のあるそういう場外施設もあります。そういうところも考えまして、今回の事案についてどうかという判断をして、それで特に著しい支障もないだろうという判断をしたわけです。  ただ、今春と今申し上げましたが、先ほど来申し上げているように、JRAの職員がそこに住むわけですから、やっぱり地元の方々の理解を得るということが大事なことはおっしゃるとおりでございます。私どももこれからまた中央競馬会をよく指導いたしまして、さらに理解が深まるよう指導をしてまいりたいと考えております。
  125. 会田長栄

    会田長栄君 これで終わりますから、どうぞ余り争いにならないようにひとつうまく話し、結論が出るように努力してください。ありがとうございました。  最後になりますが、さっき言えばよかったんですけれども、会計検査院の方ね、木曽岬問題について覚書を持ってないみたいなことを言ったときに、持ってないはずないんでないかと、こう言えばよかったのに、そこは一歩おくれました。持っているでしょうから、持っていますということだけ言っておいてください。
  126. 平岡哲也

    説明員(平岡哲也君) 先ほどは失礼いたしました。  両県知事の覚書につきまして私どもが承知をいたしておりますことは、平成元年度の決算検査報告に明記してあるとおりであります。そういう意味を踏まえまして、農林水産省におかれましてはこれについて積極的に御努力をしていただく立場にある、そんなふうに思っておるところでございます。
  127. 会田長栄

    会田長栄君 ありがとうございました。
  128. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 自由民主党の佐藤静雄でございます。  私は、昨年の七月に初当選をいたしました。東京へ出てまいりまして非常に強く感じましたことは、我が国にとって最も重要な資源である食料とエネルギー、これが夜の東京でまことに見事に壮大に浪費されている。まことに残念な次第でございます。  というのは、私の県は、御承知かと思いますが、日本で一番の発電県でございます。あるいは、お米についても日本で五番目の生産県でございます。一生懸命汗みどろになってつくった大切なエネルギー、大切なお米がこのように浪費されている。非常に憤りさえ感ずるわけでございます。  厚生省の推計によりますと、年間一千万トン、食料が捨てられておる。この一千万トンという数字は、御承知のとおりお米の生産可能量でございます。あるいは、今水揚げが非常に下がっておりますけれども、かつては一千万トンの水揚げ水産国でございました。この一千万トンがただごみとして投げられている。まことに私は残念でございます。  こういう資源や食料に対するこのような浪費、これは人類にとってもあるいは世界にとっても傲慢とも言える態度ではなかろうか。これは、無自覚のうちに日本人が行っている大きな罪悪だ、こういうふうに私は感じておるわけでございます。  ところで、二十一世紀は御承知のとおり人口爆発の世紀でございます。世界の人口は、国連の推計によりますと、一九九〇年の五十三億人から西暦二〇〇〇年には六十二億人に達しまして、二十一世紀半ばには百億人を超すというふうに言われておるわけでございます。また、近年における地球人口の増加のもとで、一人当たりの穀物収穫面積は確実に減少しておりまして、一九八〇年には一人当たり十六・一アール、これが一九九一年には十三・一アール、確実に減少しております。さらに、毎年我が国の四国と九州を合わせた面積に匹敵する六百万ヘクタールが砂漠化しておる。あるいは、アメリカやタイに見られるように激しい土壌の流失あるいは土壌浸食、こういうことを考えますと、地球の将来に対しまして慄然たる思いをいたしておるわけでございます。  こうした状況のもとで飢餓人口、いわゆる栄養不足人口についてのFAOの資料を見ますると、一九八〇年代の半ば、飢餓人口は五億一千万人ある。西暦二〇〇〇年には五億三千万人に達するであろう。さらに、二十一世紀の半ばには何と六億人以上の人が毎日飢えと直面しなきゃならぬ、そういうふうに想定されております。このような世界人口の爆発が今後世界の食料問題を深刻なものとする、そういうおそれが十分あるわけでございます。  一方、我が国の場合、所得水準の向上に伴いまして食料消費の増大から今や年間四兆五百億円に上る農産物を世界各地から輸入しております。世界最大の農産物輸入国となっております。世界の農産物貿易における我が国の輸入シェアを見ましても、例えば穀物で一二%、トウモロコシに至っては二一・七%、世界の流通量の五分の一以上を日本が独占しておる。さらに、大豆では一八%、食肉で一一%、水産物で一六%というふうに突出をしておるわけでございます。これは、途上国の人たちから見ますると、金に飽かせて日本人が飽食するために世界のありとあらゆる場所から食料を収奪している、そういうふうに思われかねないのであります。翻って、我が国の食糧自給率を見た場合、カロリーベースでは五〇%を既に切りました。平成三年度では四六%、穀物自給率は何と三〇%を切り込んで二九%、年々その割合を低下させまして、先進国では最も低いレベルにあるということになっております。  そこで、このように世界の飢えた人口の増加が予測される状況のもとで、我が国が経済力に任せて食料輸入を拡大する、国内生産を縮小させている。これは開発途上国、発展途上国の食料調達を極めて困難にすることにつながっております。長期的に見れば人類に対する大きな罪悪を今日本民族がなしておるんではないかというふうに考えるわけでございます。今こそ、国民に対して農林水産大臣食料の持つ極めて重い意味を訴え、飽食を戒め、理解を得る必要があるというふうに私は考えております。  そこで、大臣にお尋ねをいたしたいのでございますが、世界の食料需給が不透明である状況のもとで、国民に対して安全な食料を安定的に供給するという責務を果たしていくためには、食糧自給率を高めるための施策を早急にかつ果断にとるべきであろうというふうに考えておりますが、大臣の御所見をお伺い一いたしたいと思います。
  129. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 全く私もそう考えておりまして、ありとあらゆる会合、パーティーへ行きますと、食べ物を大事にしてください、残さず持って帰ってください、こう言ってパーティーの会場でお願いをしている一人であります。これは、何といっても各家庭の教育だと思うんですね。我々、物がないころ育ったときは一粒残しても親に怒られたものです。私も今娘に、この米というのはどれだけの人の手を経でどれだけの月日を費やしてできたかということから説教するんですが、高度成長経済の中で何でも金さえ出せばあるんだというときに生まれた若い人たちに幾ら言っても、我々のような気持ち食料というものを考えてくれるというのはなかなか難しい。それでも私はしつこく我が家からということでうるさく言っているんです。  そういうことでは私どももおっしゃるように、確かにカロリーベースでもあるいは穀物自給率でも低下している、これに歯どめをかけたいということで閣議でも決定しながら五〇%にしようということでこれを目標に努力をいたしておるわけでありますけれども、何といっても国土条件に制約があるものですから輸入に相当程度依存していかなければならない。おっしゃるとおり四兆五百億、これは畑や田んぼに置きかえれば千二百万ヘクタールに値する分を購入しているわけですから、世界最大の純輸入国だ、買ってやっているんだという意識が一方ある反面、どうも売っていただいているという立場も相当部分あるんじゃないのか。全部国内で賄えないというこの問題がありますので、輸入については、世界の食料需給の見通し、これはおっしゃるとおり不透明なんです。確かに人口がふえて環境問題がこれだけ世界で言われるようになると食料は高くなるし不足していく。しかも開発途上国に人口がふえていくというところに大きな問題がある。  そんなことで新しい農業政策を立てまして生産性の一層の向上を図る、品質もよくしなきゃならぬ。コストも下げなければ、国民の七〇%以上の人たちがやっぱり価格が安くていいものをということで国内で自給をしろという意見があることも事実でありますから、このコスト面も低下を図っていく。可能な限り国内産で自給するという目標をしっかりと立てて努力をしていきたい。  そのためには何といっても、土地利用型農業が一番今困難をきわめておるということでありますから、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体を育てようということが一つ。あるいは人材の育成確保、あるいは生産基盤の整備、優良農地をしっかりと確保して、もうこれは崩さないという形で、農業が他産業並みの収入と労働時間を確保しながらもっと生きがいを持ってやれるというふうにいたしたい。  そこにはまた、狭い国土でありますから、バイオテクノロジーを中心に先端技術の開発と普及、こういうものも図っていかなきゃならぬ。何といっても私は農村社会を守りたい。守るためには、守るだけのことができなければみんな都市に集まってくるわけでありますから、そういう意味では農村地域の定住条件を整備していきたいというふうに考えておるわけであります。
  130. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 米について今先輩の会田委員から御質問がございましたが、もう一回お聞かせをいただきたいのでございます。  米については、我が国国民の主食であるとともに、農業生産面では唯一自給可能な作目でございます。さらに、稲作にかかわっている農家の数も全農家数の八〇%に及ぶ極めて重要なものとなっておるわけでございますが、稲作の持っている国土、自然環境の保全というような役割、そういう面に着目して国会においても三たび米の自由化反対に関する決議がなされておるところでございます。  大変くどいようでございますが、もう一回お聞かせをいただきたいのでございますが、一部には自由化あるいは関税化、そういうものを行うべきであるという意見もございますけれども政府としてはこれまでの方針どおり米は国内産で自給するというお考えを持っておられると思いますが、その政府の方針に変更がないかどうか、大変くどいようでございますがお答えをいただきたいと思います。
  131. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) たびたび国会で御答弁申し上げておりますように、米というのは日本国民の主食であります。また農業の基幹をなしておるわけでありまして、今委員おっしゃったように、国土あるいは自然環境、いろんなものの保全に役立っておるということもありますけれども、先ほど申し上げたように、非常に困難だとかなんとか言いながらも地域経済上不可欠の役割を果たしてきているわけですね。これ以上地方の過疎化、そうしたものを進めてはならぬ。それは国土保全上も、環境からいっても、そこに人が住んでそこを守ってくれる人たちがいなきゃならぬということが一番大事だし、そういうことを考えて国会でも三度にわたって決議をしていただいておるという、そのことを体して今後とも国内産で自給するということを基本的な方針として対処してまいりたい、こう考えております。
  132. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 次に、農業協同組合の当面の諸問題についてお尋ねをしたいと思います。  新農政プランの実行者、これはもちろん農民でございますけれども、行政も全力を挙げてこれを支援しなきゃいかぬ。それよりも、農民の自主的な組織である農業協同組合、系統、これを中心に全農業団体がこの農政プランの実現のために一生懸命汗をかく必要があるというふうに私は考えております。  そこで、農協においてそういうことが果たして実力的にできるのかどうかという心配を和しておるわけでございますけれども、まず第一に、現在の農協の規模では新農政プランの実行を一緒に同伴者として、パートナーとしてやるのには少し小さ過ぎないか。したがって、現在系統で一生懸命努力されている農協合併の推進、これについてもう一汗かいていただきたいというふうに思うわけでございます。  合併の現状、あるいは系統の取り組み方針、あるいは農林水産省の基本的な考え方についてお聞かせいただければ幸いでございます。
  133. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 農協合併の問題でございます。  近年、御指摘のとおり農業あるいは農村をめぐる状況が大幅に変わってきております。農協が組合員のニーズの多様化等に対応した健全な事業運営を図るとともに、農業、農村の活性化に積極的に取り組んでいくためには、御指摘のように経営基盤の安定強化が喫緊の課題になっておる、こういう認識を私どもも持っております。  このような状況を反映いたしまして、平成元年度から三年間で、これは第七次の合併助成法の期間中でございますが、三年間で約五百の農協が減少をしております。具体的に申し上げますと、約三千九百農協あったわけでございますが、これが約三千四百農協になったというふうなことでございまして、農協としましても、今のような規模では今後の厳しい農業情勢に対応できない、こういうふうなことで農協合併の機運も高まってきておる、こういう状況でございます。  こういう中で、農協系統組織、何といいましてもやはり農協は自主的な組織でございますので、そういう組織問題について自主的に取り組む必要があるわけでございます。農協系統組織におきましても、平成三年十月の第十九回全国農協大会で決議をいたしまして、組織整備の前提として、二十一世紀までに千農協にするというふうなことを目標にいたしまして合併推進に取り組んでおるところでございます。  農協の組織のあり方につきましては、あくまでも農家組合員の意思に即しまして農協みずからが検討して決めていくべき課題であるというふうに考えておるわけでございますが、農協系統全体の合併に対する取り組みが活発化している状況を踏まえまして、昨年の五月に農業協同組合合併助成法の一部改正を行いまして支援措置の延長、充実を図ったところでございます。今後とも適切にこのような方向が行われますように対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  134. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 現在の農協の姿でございますけれども、信用事業、共済事業、購買事業、販売事業等利益の出る事業を中心として一生懸命やっておられるわけでございますが、農協というのは本来、農家組合員の生産あるいは技術、経営を指導する営農指導事業が中軸にあって、そして今申し上げましたような経済事業はその補完的な仕事であるというふうに私は考えておるわけでございます。  そこで、新農政プランを実現させるためにも、農業経営基盤強化法等が農協に期待している、あるいは新たに付加された農地保有合理化事業、あるいは農地管理、あるいは農業経営事業等を考えた場合に、農協の営農指導事業を強化する観点から、農協の地域営農に対する取り組みの強化を図るために政府においても一定の財政的支援措置を講ずる必要があるんではないかというふうに考えておるわけでございますが、この点について所見をお聞かせいただきます。
  135. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 営農指導の問題でございますが、農業者の自主的な協同組織である農協は、組合員の行う営農活動を支援して、地域の農業生産の振興を図ることを基本的な役割としておるわけでございます。このため、御指摘のように担い手の減少等の状況を踏まえまして、農協の地域営農に対する取り組みの強化を図ることといたしまして、営農指導事業の強化でございますとかあるいは御指摘の農用地利用調整活動の活発化等について指導をしておるところでございます。  今回の農業経営基盤の強化のための関係法律の整備の一環といたしまして、農地保有合理化事業の一層の充実を図りますとともに、農協が農地保有合理化法人として研修事業を実施する場合等に必要な農業経営に関する規定を整備するとか、あるいは農事組合法人の事業でございますとか構成員の範囲を拡大する、こういうふうなことを内容といたします農協法の制度改正を現在提案しておるところでございます。そういうことで、いろいろと農協に対しても本来の事業でございます営農指導事業に一生懸命取り組んでもらうよう制度面等々で措置を講じておるところでございます。  ただこれは、農協といいますのはあくまでも自主的な組織ということでございますし、また営農指導事業というのは農協本来の固有の事業であるというふうなことでございます。さらには、この営農指導事業をやることによりましていろいろな経済事業でございますとか等々へ相乗効果もあるわけでございます。そういう意味におきまして、農協の事業のまさに根幹である、こういうふうに思っておるわけでございますので、これにつきましては賦課金の適正な徴収でございますとかあるいは目的積立金の造成など、こういうことについて指導をしておるわけでございます。  そういうふうなことで適切に対応してもらうように今後とも指導をしてまいりたいと思っております。
  136. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 大臣にお尋ねをしたいのでございますが、農協が農協本来の仕事を十分に発揮できるためには財務面の健全化が特に必要じゃないかこういうふうに思っております。特に、農家農民の血と汗の結晶であるお金を預ける信用共済事業の健全化保持、これが最も大切な問題ではないかというふうに考えておるところでございますが、昨今のマスコミ等で大きく取り上げられている住専問題、決してこれはないがしろにできない問題ではないかというふうに思いますし、早期に適切に解決していくことが必要であるというふうに考えております。  私は、住専の再建に対しましては母体行が最後までその責任を果たすこと、さらに各金融機関が協力、協調する場合におきましても、農林系統は非常に体力が弱うございますから、その体力の脆弱さを考えて一般金融機関よりも過酷にならないような条件で援助していくべきであろうというふうに考えております。さらに、このような問題が発生した根源には、まことに残念でございますが、農林系統金融機関の調査能力あるいは審査能力の不足、あるいは金融ノウハウの未熟さ、そういうものがあったものと思われるわけでございますが、この点について大臣の御所見をいただきたい。  もう一点。金融自由化を目前にいたしまして、当然系統金融機関といえどもディスクロージャー等を期待される事態が予想されるわけでございます。これらの点を踏まえて、今後系統金融機関の経営基盤を強化していくための方策についてどのようなお考えをお持ちか、お尋ねをいたしたいと思います。
  137. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 住専問題につきましては、お互い民間ベースの話でありますから、私どもが具体的に立ち入ってああだこうだと言うことはできないにいたしましても、おっしゃるとおり母体行、これがしっかりしてもらわぬことにはこの解決は難しいだろう。しかも、信連、系統でありますけれども、各県ごとにあるわけでありまして、それは全部おのおの経営内容というものは違うわけですね。ですから、それにどういう取り組みができるかということは、それぞれの立場でやらなきゃならぬものですから非常に難しい問題でありますけれども、いずれにしても問題が起きて今いろいろと話し合いがなされておるようでありますが、そのことは十分自分たちのことでありますから、どれだけ協力できるかというのは他人事ではありませんので、それぞれに応じて意見を出し合って円満に解決していただきたい、こう考えております。  それから、二点目のディスクロージャーのお話でありますが、金融自由化の進展に伴って他の金融機関との競争が激化しているわけであります。信連の経営コストの引き下げでありますとかリスクの管理体制の強化、自己資本の充実などによって経営基盤の強化が極めてこれは重要だということは、もうおっしゃるとおりなんです。このため、従来からこうした点について十分指導してきたところでありますが、特に余裕金の運用に当たっては確かにいろんな経験、調査、そうしたものが不足しているということは、これは事実であります。したがって、確実性でありますとか効率性あるいは流動性に配慮した健全な運用に努めるように指導をいたしておるところであります。また、今般の金融制度改革の一環として信連においても他の金融機関と同じように各種の業務能力を追加する、今言われたディスクロージャー、経営内容の自己開示でありますから、こういうものの導入等の措置を講じることとしておるわけであります。これらの措置が信連の経営基盤の強化につながるよう今後とも適切に指導していきたい、こう考えております。
  138. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 北海道総合開発について大臣にお尋ねをしたいと思います。  大臣のふるさとの北海道では、北海道開発庁長官に北先生がなられたことで非常に期待が高まっておるというふうに聞いております。北海道は従来の基幹産業であった石炭、鉄鋼あるいは北洋漁業の不振が非常に厳しい状態、情勢を招いております。平成二年の国勢調査では、調査開始以来初めて三万六千人も人口が減少したというふうに聞いております。しかしながら、御承知のように北海道は国土の二二%を占めまして、その豊かな国土資源を活用して我が国の長期的発展に貢献することが強く期待されている地域でございます。特に、最近の東京一極集中を是正し国土の均衡ある発展を図るその上で北海道総合開発の強力な推進が必要であるというふうに考えているところでございます。  今後の北海道開発の推進に当たりましては、積極的に将来の発展のための基盤整備を行う必要はもちろんでございます。同時に、地域の特性を踏まえました快適な冬の生活環境づくりやあるいは農山漁村の地域の活性化、地域の資源あるいは能力を十分に利用したきめの細かい施策を展開していくことが必要ではないかというふうに考えております。  そこで、昭和六十三年にスタートした第五期北海道総合開発計画が平成五年度から計画の後半に差しかかるわけでございますから、計画の前半の状況を踏まえまして今後の北海道総合開発にどういうふうに取り組まれるか、大臣の御所見をお聞きしたいというふうに思います。
  139. 北修二

    国務大臣(北修二君) 第五期の北海道総合開発計画は昭和六十三年六月に、北海道経済が産業構造整備等の大きな困難によって低迷しておったわけでございますが、北海道の豊かな国土資源を活用して我が国の長期的発展に貢献する力強い北海道の形成を基本的目標といたしまして作成されたわけでございます。  御案内のように、昭和六十年から五年間、生まれてくる子供が非常に低下いたしました。あるいは今お話のありました北洋漁業、北洋漁業は沖取りができない、小型あるいは中型漁船、いずれも非常に制限されている。一部今操業しておるわけでございますが、これから三月一日に日ロで協議をするわけですが、非常に厳しい情勢であろう、かように考えます。  石炭についても、御案内のように五千五百万トンという最高の石炭がありましたが、これが非常に減少し、千万トンになり八百万トンになり、現在はなお非常に厳しい諸情勢で、北海道に大きな炭鉱がございましたが次々と閉山をしておる状況でございます。鉄鋼もございます。室蘭の鉄鋼は新日鉄がやっておりましたが、これもいろいろ合弁というか小さく相なりまして、あるいは国鉄の民営化によって人口が今お話のありました三万六千人、こういうように非常に減少をいたしたところでございます。しかし、現在は人口が増加しておりましてようやく持ち直してきた、かように考えておるところでございます。  北海道は、御承知のように明治に入りましてから。我々先輩にお聞きをしますと、うっそうたる森林でございまして、歩くのにも容易でない、十キロ二十キロ。私のところは旭川と札幌の真ん中でございますが、正月に札幌までお米を買いに行くには歩いて五十キロも六十キロも行って買ってくる、そういう非常に未開の時期でありました。開拓が進んで今日に至ってまいりましたが、いよいよこれからが開発の時期だ、北海道の大資源を国全体に大いに活用していただこう、それから道民の皆さんの生活向上に最善を尽くしていこう。  第五期の後期にわたりましては、これからいよいよ後半に入るわけでございますが、本年の予算につきましても九千十二億、事業量につきましては一兆四千億台に入ってきた。今は道路も非常に整備されまして、町村道まで入れますと約八万キロあるわけでございます。国道が五千キロ、こういう規模に相なってまいりました。また、飛行場は御承知のように北海道には十四の飛行場がございます。非常に整備されてまいりました。あるいは漁港に港湾にそして農地の土地改良に、基盤整備を鋭意進めておるところでございます。社会資本につきましても、公園やその他鋭意整備をさせていただいておるところでございます。これからいよいよ北海道の開発が定着してくるものと、かように理解をいたしておるわけでございます。  御案内のように、前期におきましては青函トンネルあるいは今ございます苫小牧の東部開発、これはいろいろございまして実は大規模でございますが、鉄鋼あるいは石油化学、これらを進めようということでしたが、大変時代の変化がございましてほとんど開発されていない。これから特別委員会等をつくってひとつ立派な構想を立てようということで、先日審議会で決定をいただいたところでございます。  今後、北海道の基盤整備に最善を尽くして、北海道の躍進、そして国全体のために役立つように最善を尽くしていこう、かように考えておるところでございます。よろしくお願いを申し上げます。
  140. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 以上をもって質問を終わりますが、両大臣、本当にありがとうございました。
  141. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 農林水産大臣に、まず木曽岬の干拓事業のお話を一問だけちょっとお聞きしておきたいと思います。    〔委員長退席、理事会田長栄君着席〕  先ほど会田委員からも指摘がありました。またこの問題、私どもの同僚委員が以前この決算委員会指摘もさせていただきました。局長のお話をお聞きしていても、順調に進んでいるという言い方になるんでしょう、局長の言い方とすれば。そして、大臣も自分もやろうとしたけれども両県がうんと言わないんだ、それくらい強い決意でやっていらっしゃるという状況を先ほど御説明になったわけでございます。私どもも、この問題の早期解決は非常に大事な問題、特にこの決算委員会においては大事な問題だと思っております。  そこで、大臣に一問だけお聞きしたいのは、確かに各県の自主性というのがまず第一であるというのはそのとおりでございます。ただ、余りに時期がかかった場合はやはり農水省としてこれは頑張らなくちゃいけない問題が出てくる。大臣も早期に解決したいとおっしゃっているわけですから、この問題、大臣が以前在任中というか一期目のとき出た問題でもございます。ぜひ、大臣在任中に解決するような強い御決意があるのかどうかという問題だけをお伺いしておきたいと思います。
  142. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 昨年、この委員会で御指摘がありまして、片時もと言っちゃ言い方がオーバーでありますが、しょっちゅう地図を広げては一遍行ってみようとかいろいろやっておりました。  数回やりまして、どうしてもだめならもうこれは農林省の土地にしたらどうかとか、あるいは一任をとってやる方法はないかとか、いろいろやってみますが、基本的にはやっぱり、どうもこの前のときにも申し上げたように人間欲が出てくるとなかなかまとまらぬものだなと。ないところに新たな土地ができまして少し譲り合ったら決まりそうだがな、こう思うのでありますが、なかなか知事さんだけでといっても背後にまたいろんな人たちがおって、騒ぐというか問題を提起するものですからなかなか進展しない。しかし、本当にこれはいつまでももったいないですよ、これだけの土地を。だんだんたつうちに、農地よりも別な方に使った方が、地価がどんどん上がりますから、そうするとますますそれが難しくなっていくんだろう、私はこう思うんです。  ですから、ないところから、無から有を生じた土地ですから余り県境のことでもめないで、ある程度まあまあ、だれか行司役に任せていただいてその提案をお互いにのむということでないとなかなかこれは難しいかなと、こう思っております。それはもう精力的にやりますから、私も留任すると思っていなかったんですが留任しましたから、二年も同じことばかり言っているわけにはいきませんから、全力を挙げて努力してみます。    〔理事会田長栄君退席、委員長着席〕
  143. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 続いて、ウルグアイ・ラウンドの問題。  これまでの経過については先ほど大臣の方から説明がございました。確かに、おっしゃるとおりこのラウンド、一月十九日でしたかね、貿易交渉委員会、TNCが開かれてからはいわば冬眠状態に現在なっているわけでございまして、逆に言えば日本がこれから本当に例外なき関税化を阻止する、これを修正させるという、ある意味では本当は今が大事な初動段階、もう一度再仕切りしてやらなくちゃいけない状況になったと私どもは認識をしているわけでございます。  その中で一番今注目されているのが、先ほど大臣はどうなるかわからぬとおっしゃいましたけれども、ファストトラックというのがどうなるかというのを日本としてもやっぱり見きわめなくちゃいけない、この時期に入っていると思うんです。確かに、大臣おっしゃったように三カ月から二年間、いろんな意見もあるようでございます。しかし、日本としてはこれについてもある程度見定めるということが必要だろうと私は思っておりますけれども、大臣は先ほど予想はできるが不透明とおっしゃっておりましたので、予想できるならばどういう予想でこのファストトラックをにらんでいくのかということを、ぜひ御見解をお伺いできればと思っております。
  144. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 予想できると申し上げたのは、ファストトラックが半年になるのか一年になるのか、予想ですから私どもも、まあこのぐらいであろうということは想像しているわけでありますけれども、これは余り当てになる話ではありません。  それといま一つは、クリントン政権になってから随分きついのではないかということがよく言われます。私から見ますと、一年数カ月交渉に当たっていつも厳しかったんです。それは、この包括関税化反対という国は余りにも少ない、そういう中でやってきましたから、百何十カ国が反対を唱えておる中で頑張るわけですから、もう厳しさというのは先生方以上に、私は直接交渉するものですから、厳しいという感じを受けているわけです。  ただ、クリントンになってからじゃ特別厳しいのかというと、前が厳しかっただけに同じ厳しさだと。ただちょっと違うところは、国内経済を掲げてこの選挙に当選しましたから、そういう面では国内経済に邪魔になることはこれはどんどん言ってくると思うんです。ただ一方、国内経済を高めて労働力をもっと確かなものにしたいということから見ると、一体米を輸出することによって国内の経済がそんなに好転して、あるいは労働力が農家にどんどん行って雇用が伸びるかということを考えると、余り影響はないんですね。ですから、他の分野の方が一体どうなるのかということを考えてみますと、そこからは想像になるわけでありますけれども、いろいろと考えられるということであります。  ただ、ECとの交渉のときも、ECは米を日本に輸出したり、向こうが輸入したりというのはないものですから、余り関心がないんですね。むしろ豚肉や切り花をどうという交渉ばかりで、日本の米については理解を示すんですが、包括関税化というのを認めたら、ほかの方からもみんなこれもあれもと出てくるのではないかということだけは関心を非常に持っておるんです。  したがいまして、おっしゃるとおりファストトラック、これがいつまでかというのは、もう一つの決め手になってくる。しかし、農業だけではありませんから、ほかのものも含めて解決をしようとすると三カ月や六カ月ぐらいでいくだろうかと思うと、そこもなかなかそうもいかぬかなと思うところはあるんです。しかし、私は当面の責任者でありますから、余り楽観的に物を考えたことはないんです。最悪の状況でどう対応するかということだけ念頭に置きながらこれからも対処していきたい、こう考えております。
  145. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、大臣からこのファストトラックの問題、今のアメリカの国内情勢を分析してみるとどうしても少し長目のスタンスということに、クリントンの考え方もそうですからそういう状況になるというような、少し示唆みたいなお話ですけれどもね。  そうすると、厳しさは前と変わらないというお話もございました。ただ、米国議会との関係でいくと、このファストトラックの延長をしてしまうと、やっぱり条件的にはこれからより一層厳しいものが出てこざるを得ないのじゃないかというふうに予想せざるを得ないような感じもまた私どもは若干受けて、今後交渉がより厳しくなるのじゃないかなというような見方をせざるを得ない。その中で、ぜひどうにか活路を見つけ出していかなくちゃいけないわけですけれども、その辺について大臣、もう少しつけ加えることがありましたらお話をいただいておきたいと思います。
  146. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) おっしゃるとおりでして、ただ一番私が困っておりますのは、今までは日本農水大臣はしょっちゅうかわるというのが、今回に限ってアメリカもカナダもECも全部かわっちゃったわけです。私がたった一人残ったという状況の中で、この間もECで交渉しましたが、今までのように交渉した経験がないものですから、何とも最初から言い始めなきゃならぬ。日本の地形から説明して、いろんなことを理解させる努力というのがもう大変なんですね。ヒルズ通商代表とは四回やりましたから、もう何にもお互いに言うことがなくなって、話というものはポイントだけで済んだんですが、今回はそういう意味では全部かわりました。カナダのマクナイト農業大臣とも昨年会いまして、意気投合して、しっかりやろう、こう言ってきたんですが、この大臣もかわられて、どうも困っているのが一つ。  それからいま一つは、ダンケルさんが来たときに、あなたが全部の国の事情を聞いて、一つのまとまりそうな案というものを出すべきであったのが、全然議論なしに案を出されて、その案にみんな世界が挙げて問題があるといってやっておるんですが、間に入ってまとめなさい、こう言ったんですが、いや、私はレフリーだから、もう出したのだから、あと問題があればその当事者同士でやりなさい、こういう話でした。それではなかなかまとまりませんよというので、そこのところは、ここへ来て、アメリカもどうもダンケル案は少しやっぱり問題があるなどいう発言もちらほら聞こえておりますので、その辺もにらみながら修正を要求しておるわけでありますから、私どももそれはきついことはきついです。きついですけれども、やっぱり修正要求はきちっと、これはバランスがとれていないということを何回も申し上げております。  ただ、アメリカは下の方の人事がまだ固まっておりませんので、この辺もだれがなるのかということがない。そういうことがさらに我々の不透明感というものを一層高めておるというような状況であります。
  147. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つは、これは農水省の方は否定されておりましたけれども、新聞報道が最近ちょっと続きました。どういう新聞報道かといえば、一つは米の関税化がファストトラックの延長の条件になっているというようなものもございましたし、米以外の関税化を受け入れるというような報道もいろいろ正直言ってございました。  本当にいつも何回も同じ質問が出るという背景には、同じ質問とは何かというと、我が国の基本方針は変わっておりませんかと、どこの党もどなたも聞かれます。私どもも、やはり完全自由化につながる例外なき関税化は認められないという立場でやっておりますけれども、そうすると言ったはなにまたそういう報道が出てくるという、繰り返しがされるんで不信感というものが出てくるんだろうとも思っております。  その意味で、農水省の方はきちんとそういう見解を出されたんですけれども、大臣としてそういった問題について一切ないんだということをはっきりこの場で明言をしておいていただきたい、このように考えております。
  148. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) そういう報道がなされたときも私から明確に申し上げておきましたが、現地で交渉をしておる人たちにすると、今申し上げたように世界を挙げて関税化すべきだという意見です。それにいろいろとこちらからも言い返す。途中経過の話ですから、じゃここはどうやったらどう、例えば米以外はこうでどうだとか、あれはどうだとかと向こうが言う。こっちからそれに反論する。そのやりとりの一部をとらえて、そういう約束があったというふうに報道されるのは一番危険なんです。しかし、言ってくると黙っているわけにいきませんから、何らかそういうことは、反論であってもやっぱり議論したということに誤解される嫌いはあるんです。議論の中では、もうとにかく包括関税化反対という以外は一切口もきかぬということにもまいりません。しかしながら、私どもが関税化について関係国に打診したということはない。  ただ、議論の中でいろいろ言われたこと、それは向こうに日本の報道機関がおりますから、向こうの人からどういうことがあったかというと、いやこう言った、こう答えたとか、いろいろそれを報道されるということはこれからもあり得ることでありますから、十分気をつけて応対しなきゃいかぬ。しかし、答えないというのもこれはいささかどうも困ったことでして、その後いろんな、私もそう思うんですけれども日本の報道機関の人たちは別なことをやっても米はどうなった米はどうなったと米ばかり聞くものですから、聞かれると向こうの担当者も、いやそれはこうだとかああだとかと言うんで、米だけが突出して扱われておる日本と他の分野の方が重要なそちらとやっぱり考え方も違うし言い回しも違ってくるということで、誤解は受けないように十分これからも注意していきたい、こう思っております。
  149. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ウルグアイ・ラウンドで最後に一つ、長い交渉経験を持つ大臣ですから、今後の進め方の問題でございます。  ファストトラックで、延長はどれくらいになるかという問題はございますけれども、その間とう物を進めていくか。日本は基本的にはラウンドの中で解決するという基本姿勢を持っていることは間違いございません。ただ、さまざまな意見の中には、例えばこのウルグアイ・ラウンドが成功しかかった一つのきっかけがECと米国の油糧種子問題でしたかね。あのときは両国間が交渉しながらやっていくという形をとった。事前交渉の段階ですよね。そういったやり方、これを二国間交渉ととるかどうかという問題はございますけれども、じっと待っていてもこれはしようがないわけですよね。その中で一番反対しているのがアメリカであることは間違いない。そこに対してどう挑んでいくかという問題でございますけれども、そこに大臣の考えがあれば、この問題の最後にお伺いしておきたいと思います。
  150. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) ウルグアイ・ラウンドが今日難しい交渉になったということは、それはECとアメリカの問題もありますけれども、各党それぞれ現地に赴いて一生懸命反対、日本の立場というものを説明していただいた、あるいは農業団体も行く、そういう行動というものはやっぱり少しは僕は理解されていると思うんです。日本というのは異常に米については真剣だなという印象を向こうは受けたと。確かに私が行って話をしても、いや米のことは理解できるがと、こういう話をするところを見ると、やっぱりそういう効果というものは出てきておるし、それだけで私はウルグアイ・ラウンドが延びているとは思いませんが、しかし、そういう要素は十分あったと。  私がいつも申し上げるように、交渉中ですから、交渉というのはどちらも優位に展開しようとしてやっておるわけでして、交渉は国を挙げて協力してほしいという気があるわけです。そうでないと、交渉に当たる人たちが、どうも日本には自由化賛成というのも随分あるなという印象を向こうが受け取って交渉したんでは、やる者はやりにくいわけですから、そういう意味では私は今後も各党の皆さんに大いにバックアップしていただきたい。私だけが幾ら一人行って声を大きくしてやってみても、それ以上に効果というのは私はあるだろう、こう思います。  マクシャリーさんと会ったときも、どうもほかのものに隠れて、農業にみんな隠れちゃって表へ出ていないが、ほかが出てきたらこれは大騒ぎになりますよと、こう言っておりましたが、そのとおりになったというふうに私も受けております。ですから、ウルグアイ・ラウンドというのは何も米だけじゃないんです。乳製品から何から全部あるわけでして、そればかりではない。他の分野がまとまらぬものを農業だけまとまった、まとまったと言ってもウルグアイ・ラウンドはまとまるわけじゃないんで、そこのところはじっくり腰を据えて交渉に当たるということが大事であって、何といってもやっぱり直接米を輸出したいというこのアメリカとの交渉というのは当面最大の私は交渉になるであろう、こう考えております。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃったように、私どもももちろん一生懸命協力をさせていただきたいと思っております。ぜひ閣内も統一して、各大臣からいろいろなことが出ないように、それもぜひ大臣から、これは逆にお願いをしたい立場でもございます。  さて、林野行政について、先ほど少しこれも会田委員から御指摘がありました。ただ、長官の話を聞いていると、初年度だからこれはしようがないんだというようなおっしゃり方をされたようなんですけれども、私はこの林野事業、平成三年度の予算決算を見させていただいたら、私はそんな問題で済む問題じゃないと思っているんです。平成三年度の予算を見ましたら、赤字額はたしか予算では平成二年度より約二百五十億円減少の見通しだったはずでございます。ところが、決算では逆に赤字が四百五十億円ほど拡大だったと思うんです。差し引きすると七百億円の見込み違いだったんじゃないんでしょうか。事業規模が、この林野庁の事業千七百億円でございます。これから見て四〇%ぐらいの判断ミスをしている。これはどういう要因があったのか、これで本当に順調なのか、見解を賜りたいです。
  152. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) 平成三年度の決算において、当初見込みよりも収入が非常に減っているではないかという御指摘でございます。  確かに、平成三年度においての実績というのは、我々が当初見込んだのとかなり違っておるわけでございます。一つは、やはり木材の値段というのは、これは先生も御案内と思いますが、完全に自由市場にゆだねられているわけでありまして、国有林は特別会計で管理しているとは言いながらも、生産したものというのは市場価格でしか売れないわけでございます。また、実際に作業をやってみるとその年の地域的な災害であるとかいろいろな事情があって、予定どおり生産ができないというような事情もあるわけでございます。  また一方、支出の方は支出の方で、これは国有林の特別会計の職員の給与その他というのはある程度社会全体の中で決められているわけですから、どうしても損は生ずるわけでございます。特に、国有林野事業で平成三年度に非常に大きく下がったのは土地の売り払い代、これが平成三年度当初の見込みと比べましてかなり落ち込んでおります。実は非常に大型物件で、私ども売りたいという予定をしておったものがございましたが、これが売れなかったというようなことで大幅な落ち込みになっているというのが実情でございます。
  153. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうおっしゃるんですけれども、普通経営という面から見れば売り上げと経常費の関係でしょう。今、理由をいろいろおっしゃいました。でも、売り上げとこの経常費の比率を見た場合に、今回はこれは八三・九%でしょう。これは経営からいえばもう破綻ですよ、はっきり言って。そこまでいっていると思うんですよ。それでも十二年度にはどうにかなる、二十二年度にはどうにかなるって、これ言えることなんですかね。  私、事態はもうこれ、計画、いわば大綱をつくってその大綱が破綻しているような状況ではないかと思うんですけれども、大臣どうですか。これ破綻していませんか。
  154. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) おっしゃるとおり、平成三年の七月にこの法律に基づいて国有林野事業の改善に関する計画、これで推進をいたしておるわけでありますけれども、確かにあの計画を立てた時点とこの現状では大きな変化があった。今林野庁長官からもお話がありましたように、何といってもやっぱりバブル経済は私の方にも大きく影響が出て、もっともっと売る予定、売却する予定が滞ったということ等もあります。  しかしながら、このような短期的な状況変化があったから計画の実現が可能性がないんではないかという判断をすることはいかがかと思うのでありますが、いずれにしても、長い時間をかけて計画を立てておるわけでありますから、長期的視点に立って自助努力を基本に改善計画の着実な実施を図るということがいいのではないか。何か起きるたびに計画、これはずっと続くということになると大変なことになりますけれども日本経済はこのままではなかろうという判断の中でこれがまた大幅に狂えば確かに計画の見直しということはあろうと思いますけれども、当面、まあバブル経済は始まったばっかりで、これから先どう見通すかと言われても私どももこれ見通しを立てられぬものですから、全力を挙げて日本経済を確立すると同時にその計画の中でこれを実施していきたい、こう考えておりますからよろしくお願いします。
  155. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 心配なのは、平成五年度予算では林野等の売り払いの見込みが九百億円だったと思います。平成五年総予算、たしか九百億円売り払いであると。これはある程度見込みがついた上での話でしょうか。先ほど大臣の方からバブルの破綻の指摘がございましたけれども、それでもなおかつ高い土地売り払い代金を出すんであればこれは絵にかいたもちになってしまいますから、その辺は実際どうなのかを長官に聞きたいと思います。
  156. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) 林野等売り払い代といういわゆる林野の土地などの売り払い代でございますが、これは我々一応との地域のどの土地をこのくらいで売れるという見込みを立てながらやっているわけでございまして、今仰せられた平成五年度につきましても一定の土地の売り払いを見込んだ計画でございます。  ただ、これは二言申させていただきますと、資産土してはあるわけでございますから、その年に売れなければゼロになっちゃうんじゃなくて先へ延びるということになるわけで、資産処分をするというめどは持っているわけでございます。ですから、平成五年中に売りたいと、我々はこの程度なら売れるであろうという見込みで計上しているということでありますが、それが先ほどの、例えば平成三年度に見込んだものがずれたからといってそれがゼロになるわけじゃなくて、将来その売り払い代金はいずれ入ってきて累積債務に充てられる、こういう性質のものでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  157. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もちろん、長官のおっしゃるとおり、何年後かに処分できるものかもしれない。ただ、累積債務、赤字を積み上げていく問題を考えるならば、その年度年度でやはりこの程度は売っていかなければこれはきちんと返せないということで立てられた額だと思うんですよね。そしたら、延びりゃ済むという問題じゃなくて、やはり計画を立てられるなら、大体こういうめどがついたというような形で上げられるのが当然であって、しかも私が指摘したいのは、まさに大臣が指摘されたとおり、バブルがはじけた今の時点できちんと見ないとまた大きな狂いが出ますよ、毎年毎年同じことをやるんじゃないかということを言いたいわけです。  その点どうですか。
  158. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) 確かに、経済の変動というのはなかなか私どもだけで見通せないところがあるんで、そういう危険性といいますか、見通したとおりに売れないという可能性も否定はできませんが、我々やはり計画を立てて極力それが実現するように努力をするということで考えておりますし、正直に言いますと、土地等につきましてはかなり地方においては需要はあるわけでございます。これは我々考えていますような計画が実現するように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  159. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私が心配をしておりますのは、この計画自体が土地を売り払うことが一つの大きな要素をなしているわけです。その一番根幹である土地の問題について、今バブルのはじけの中でいろいろ変化が起きてきた。その状況を本当にどうとらえるかというのが大事であって、土地の売り払いでできないならば他の方法も考えなければならない事態になるわけです。  ですから、確かに状況は見守る必要はあるんでしょうけれども、やはりこの計画そのものを短いレンジで見直すのはどうかと大臣はおっしゃいました。ただ、一年、二年やってみて本当に土地売り払いというのは難しいという状況が出てくれば、やっぱりそこは抜本的にどういう方法がとれるのかということを検討しなくちゃいけないというのが当然だと思うんです。そういう視点で物を見ていかないと、六十二年度で一回計画が破綻したわけですから、また同じことになるんじゃないですか。その辺を含めて、やはり計画の見直しまで念頭に置きながらやっていくということが今一番大事なんじゃないかと思うんですけれども、この点についての見解を伺っておきます。
  160. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) 計画の見直しにつきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げたように、事態の変化で推移するというよりはやや長期的に見守りたいと思いますが、例えば今の土地の売り払いについて、じゃ何もしないでただ計画を立てているかというとそうではございませんで、平成五年度におきましては、地方自治体が公共用地として取得する場合、国有林野の土地の取得につきましてはこれは自治省の方で財政措置をしていただきまして、地方自治体が取得するものについては地方債等で取得するわけでございますが、それにかかる金利負担の一部を交付税で国が補てんするというような措置等もとってもらいまして、国有林野が抱えています土地で地方自治体が公共用に使えるような土地については取得がしやすいような道を開くというようなこともしておるわけでございます。  そういう意味で、これからの私どもの土地等の売り払いにつきましてもさらに努力をして実現していけるような方途を探っているところでございます。
  161. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この林野の問題の最後に、先ほど会田委員は、抜本的に全部二兆国会返してしまえというような大胆な御意見もございました。そういうやり方も私は一つのやり方だろうと思います。  しかし、そこまでいかなくても、この計画を見ていますと、確かに一般会計の繰り入れがあります、いろんな分野で。ただ、これだけで済むんだろうか。例えば土地を売却する問題もあるけれども、逆に土地を売らずに一般会計から、環境の問題、国土保全の問題、いろんな問題で先ほど大臣が指摘された、まさに国土保全と環境を守るというのは一番大事な仕事でございますし、そういう環境の側面から環境保全のために一般会計から繰り入れる、いろんなやり方があると思うんです。  大規模な債務を返済するということももちろん大事ですけれども、それとともにやはり国土保全、環境というのを本当に一番念頭に置きながら、一般会計からの繰り入れの問題についてももう少しこれはやはり検討する必要が出てきている。特に、バブルの問題、土地がなかなか売れないという状況も出てきている。そういう問題も見据え、これから国土保全、環境を守るために一般会計からの繰り入れの問題をもう少し大幅に検討する必要があるんじゃないかという意見を持っておりますが、これに対する見解を聞いておきたいと思います。
  162. 馬場久萬男

    政府委員馬場久萬男君) おっしゃられるように、森林の持っている機能というのは、国有林においても環境あるいは国土の保全というような公的な機能もあるわけでございます。したがいまして、平成三年に立てました計画の中におきましても、それらについては国有林野事業の経営改善の自助努力は当然のことでございますが、公益的機能の発揮のために造林とか林道等の事業の経費、あるいは一般的な行政の経費等につきましても一般会計からの繰り入れを認められたところでございまして、その予算額につきましても平成五年度においては四年度に比べまして約二〇%の増と、普通の一般会計の事業の伸びに比べますとかなり大幅な増を実現したところでございます。  どういうふうにするかということにつきましては、これも改善計画の中で言っていますが、森林の機能について四つの機能を分類しまして、それぞれ類型別、例えば今おっしゃられるような自然環境保全林でありますとかあるいは木材の生産林でありますとか国土の保全林でありますとかそういう機能を分けましてそれぞれに適切な必要な管理の形態をつくる、必要な経費を入れていこう、こういうことになっているわけでございまして、年々それらについて財政当局とも協議しながら拡充を図ってまいりたいというふうに思っております。
  163. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 確かに努力されているのは認めますけれども、少し抜本的に考えないと私は本当に同じことを繰り返すということを指摘をさせていただきたいし、大臣もその辺は少し大蔵当局とも、やっぱり、環境、国土保全が一番大事だ大事だとおっしゃるなら、その分もうちょっと検討していかないとこれは大変なことになるなという認識を持っているということを一言言わさせていただいて、大臣、何か意見ありますか。言うことあるなら一言聞いておきましょう。
  164. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) おっしゃることは私もよく理解できます。  環境ということも先般の予算折衝のときにも十分理解いただいておるし、これからもこの分野はどんどん力を入れていかなきゃいかぬということでありますが、それは、そちらに予算をふやすとそれは実行していかなきゃならぬ予算になる。経営改善の方には使えないわけでありまして、あくまでも自主的な改善努力を図りながら他の分野の事業は事業として進めていくということでないと、そのためにこの経営改善の方にだけ予算要求するということはなかなか難しいわけでして、この両面作戦でやっていきたいと、こう思います。  お話はよくわかります。これからのことし一年の経済動向等をにらみながら、計画そのものを見直すということよりも、どういうふうに手を打っていくかということは十分検討しながらやっていかなきゃならぬと、こうも考えております。
  165. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、本当は水田農業確立特別対策の問題、特に水田農業確立特別交付金の問題をお聞きしようと思っておりました。一問だけ聞いておきます。  それは何かというと、会計検査院がこの交付金を調べた、三百億円を調べたら、もうあるわあるわ。使ってないのもあるわ。本来の目的に使わないのもあるわ。まことに悲惨な状況だったというのが、私、見させていただいた感想でございます。  この問題について私が農水省にぜひ聞いておきたいのは、会計検査院はこれだけ指摘したわけですけれども、その後この特別交付金の使用状況についてきちんと全国的な調査を本当にやっているのか。こういう指摘を受けて今何をしているのか。この問題についてはどういう反省をされ、今から何をされようとしているのか。これだけをきちんとお聞きしておいて、私の質問を終わりたいと思います。
  166. 高橋政行

    政府委員(高橋政行君) ただいま御質問の特別交付金に関してでございますが、会計検査院からこの交付金につきまして今先生のお話がございましたような意見表示があったわけでございまして、我々といたしましてはこのような指摘を受ける事態になったことにつきましてはまことに遺憾なことであったと思っております。  それで、これを受けまして農水省といたしましては早速各県を通じまして市町村に指導をしたわけでございますが、その内容といたしましては、交付金をまだ十分に使っていない、未使用の額がある、そういう市町村があるわけでございますが、こういう市町村に対しましては早急に使用計画を作成いたしまして適切に使用をするようにまず指導をしたことが一つでございます。それから、使途などの点で効果的でないというものがございました。これは特に機械類を導入しておるものでございますが、これにつきましては、これも交付金の目的に沿った使用がされるようにということで指導をいたしておるところでございます。  それで、我々といたしましては、本年度末が一応の期限というふうに見定めておりまして、本年度末時点における使用実績を報告いたさせるようにしております。したがいまして、その内容等を確認した上でさらなる指導が必要であればしてまいりたい、このように思っております。
  167. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民社党の直嶋でございます。  私、きょうは持ち時間も十三分と大変少ないものですから、新農政、「新しい食料農業農村政策の方向」ということでありますが、この新農政を中心農水大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。  私、今度質問させていただくに当たりまして農業統計を改めて勉強させていただきまして、正直言いましてびっくりしました。何がびっくりしたかといいますと、例えば農家について見ますと、専業農家が三十年ぐらい前の昭和三十五年にはたしか百八十五万戸ありましたのが平成三年では四十六万戸に減っておる。しかも、農業人口の中で六十五歳以上の高齢者が二〇%を占めておる。これは国民平均一二%ですから大変な高齢化であります。また特に、農業の後継者が八十戸に二戸の割ぐらいでしか専業農家についてもいない。こういう状況数字を見まして、改めて今の農業の厳しさというのを再認識したわけであります。産業として非常に厳しい状況になっているんじゃないかと。  先ほど来お話がありましたように、米の関税化の是非についていろいろ議論されております。しかし、私思いますに、これは関税化の是非以前の、構造的に見て農業にとって極めて深刻な状態ではないかなというふうに思います。また逆に今度は消費者の立場から見ますと、この間、国際的に見て外国の数倍の米を買って食べてきたという事実がありますし、納税者という視点に立ってみますと、食管会計、これも食糧庁に教えていただきましたが、昭和三十二年からの累計を見ますと赤字が約十二兆円ある、こういうことであります。  さらに、先ほども国土保全ということが盛んに言われておりましたが、農業の休耕田あるいは耕作放棄地域、この両方を合計いたしますと今約二十一万ヘクタールに近い数字になる。これは日の出村から東京二十三区全部を含めた東京都かの全面積を上回る数字になっている。したがいまして、さっきも申し上げたように、非常に深刻な状況じゃないかな。こういう状況があるから農水省としても新農政を打ち出されたんだというふうに思うわけであります。  私もこれから何をしていくかということが一番大事だとは思いますが、しかしやっぱりその前に、なぜこういう状況になってしまったのか。私、この戦後四十年間我が国の農水行政というのは一体何をやってたのかなというのが率直にまず思ったことでありまして、戦後五十年の総括と言っては大層かもしれませんけれども、やっぱりここに至った背景なりあるいは要因を踏まえた上で新しい政策というものを考えるべきではないか、このようにも思うわけであります。  そういう意味で、現下の農業状況について、ひとつかいつまんでポイントのみ大臣の御見解をお伺いしたいと思うのであります。
  168. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) いろんな要素が複合したと思うんです。何といっても非農業での就業機会が増大した。これは高度成長で若い人たちが他産業に農業よりもいいということでどんどん流出した。あるいは農家の兼業化が進んでこれは七割に達したということで非常に多いし、都市化や非農業部門の土地需要の増大というものがここにあった。農地も都市近郊が物すごく高騰したということで、みんな土地を売るようになったという背景が私はあったと。そのことが、逆に言うと、このごろ土地利用型農業の規模を拡大するということを非常に困難にしてきたということが一つ。  それから一方では、畜産とか施設園芸の分野で生産性が非常に上がった。要するに、耕作面積が狭くても相当の収益を上げることができる農業というものがどんどん出てきたということが一つあると思うんです。  ですから、先生統計をごらんになったと思うんですが、統計では農家の総所得というのは勤労者の世帯を上回っているんですね。それは二種兼業の人たちがどこかへサラリーマンとして勤めて、そして農業収入を足せばそういうことになる。私の親戚もそうですが、農家人口が減った減ったと。確かに減っているんです。でも農業を絶対やっていないかというと、休みとかそういうときに田植えをしたり稲刈りをして農業をやっているんだけれども農家にカウントされていない。お年寄りがやっているわけですね。ですから全くなくなるかというと、私は定年になったときにやるのは何かというとやっぱり農業だろうと、こう思うんですが、しかしその程度農業ではうまくいかない。特に稲、麦、大豆などの土地利用型、この面をどうするかというのがもう当面の課題です。  したがって、この担い手が少ない、高齢化が進行する、規模拡大がおくれてきた。したがって耕作放棄地もある。趣味程度にやっているお年寄りの農業もあれば、飯米程度もある。しかし、意欲を持って農業で生きていこうという人も中にはおる。ここが思うようにいかない。ここを何とかしなければならぬということでこの新農政というものを打ち出して、規模を拡大してやっぱり本当に農業で他産業並みに収入があって労働時間も短縮されてということをやろうとすると、どうしても私どもが今度お願いするこの計画というものを実行していかないとならないということがあるわけです。  それで私は、農業も企業的な感覚、まあ企業と一緒にやりなさいと言ってもそれは経理も何も帳面つけることから難しい面がありますけれども、おおよそこの経費は幾らかかって利益はどのぐらいあって、その利益の中から幾ら使えるかというぐらいのことはきちっとしながらそうしてやっていこうということでないと、もっと拡大しなきゃやっていけないな、何人で働けばいいかという目安というものは出てこないということから、ここに今度力点を置いて新農政ではやっていこうということでございます。  いずれにしても、高度成長でよかった反面、農村社会というものは確かに崩壊してきたし、都市に投資が多くて農村社会にはなかなか投資が思うように行かなかったということで、生産面と環境面、生活の基盤をきちっとしなければ、集落排水等でもしてやらなければならない。二種兼業はこれはなくなりませんから、これはこれで大事に育てていくということが必要であろうと、こう考えております。
  169. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今大臣からお答えがありましたように、私も農家というのはさまざまに多様化していると思うんですね。やっぱり今までの政策というのを見ますと、多様化しているにもかかわらず何となく一律的な政策というのが非常に多かったのではないか。  今大臣おっしゃった、例えば意欲ある農家の人をこれから育成していこう、あるいは規模を拡大してもっと競争力のある生産性の高いものにしていこうと。私もこの方向については大賛成でございます。ただ、そういう中で見ますと、例えば今回の新農政の中で、経営規模で言うと十から二十ヘクタールぐらいの個別経営体を中心にしていくとか、あるいは組織経営体二万程度、こういう目標が、十年後ぐらいという目標でありますが、掲げられております。ただ、実際にこれが本当にうまくいくのかなという目で見ますと若干心配な面もあるのではないかと思います、あるというふうに思っております。  特にその中で具体的な点でお伺いしたいんですが、例えば減反政策でございますが、これについて見ますと、今までは全国一律にされてこられました。しかし今度は、農業の規模を拡大していこう、それから生産性もそれによって高めていこう、こういうことでありますから、今までのようなやり方というのはやはり方向を変えざるを得ないんではないか、このように思いますし、基本的にやっぱり意欲のある人にはどんどんつくってもらう、こういう発想がないと、大臣おっしゃったように意欲のある農業経営者という方が育っていかない、こういうふうに思うわけであります。  しかし、減反をするということになると、今度は一方ではそういうやる気のある人にはどんどんつくってもらうよと、こうなりますと小さいところにその分しわ寄せがいく。そうすると、じゃおれたちのところはつくるなということかと、こういう議論が多分出てくると思います。ですから、そこら辺をやっぱりどうそういう状況の中で政策的に検討しながらおやりになっていかれるおつもりか、そこら辺をちょっとお聞きしたいと思うんですが。
  170. 高橋政行

    政府委員(高橋政行君) 米の生産調整に関係いたしましては、こういう生産調整をやめて米を生産者に自由につくらせてはどうかという意見もあるわけでございますが、現在依然として供給過剰といいますか、つまり潜在的な需給ギャップと言っておるわけですが、そのギャップが大きい状況の中では米の著しい過剰とかあるいは価格の大幅な低落、変動を招いてしまうということで、我々といたしましては生産調整はどうしても必要ではないかというふうに思っておるわけでございます。  しかしながら、その生産調整の枠内で、今先生が言われたように、できるだけやる気のある農家に米をつくってもらうようにしていくということが大切なことではないかというふうに思っておりまして、五年度から始めます水田営農活性化対策、ここでもそのことに一番我々といたしましても苦慮したといいますか、いろいろ知恵を絞ったところでございます。  そこで、できるだけ意欲を持った稲作に取り組もうとしている農家あるいは地域に稲作を集中して取り組めるようにひとつしていこうということで配慮した点は、まず一つは、転作目標面積の都道府県への配分に当たりましては、担い手のウエートが高い地域とかあるいは稲作の生産性の高い地域、それから農業の依存度あるいは稲作の依存度の高い地域、そういったところを重点に配分の際に配慮をしたということがまず一つでございます。  それから市町村段階では、やはりそれぞれの集落といいますか地域でどんなふうにこれから農業を持っていくかというようなことの話し合いを十分していただく中で、農業者の意向を踏まえて一律ではなくて配分するようなことを考えてほしいということをまず指導しておるところでございます。  それから三番目に、どうしても転作が消化できないとか、あるいはある地域ではもっと稲作をやりたいという地域もあるというような場合には、ひとつ地域間でそれぞれその枠を調整してもらって、稲作ができるだけやりたいというところに配分がされていくようにというような配慮をするという方向で指導をしているところでございます。
  171. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう時間が来てしまいましたので、あと最後に一点御質問させていただきたいと思います。先ほども議論が出ましたが、農協の将来のあり方についてであります。  農協については、先ほどお話がありましたとおり、自主的な組織ということであるわけですけれども、現在いろいろそれについて非難があることも事実であります。例えば、やる気のある人を農業をつぶしているんではないかとか、あるいは高額な農村を買わせているのではないかとか、さらにはさっきも御指摘ありましたが、いわゆる金融のウエートが非常に高くなってしまって金融業者になってしまったとか、このような指摘もあることは事実であります。  今度の新農政の中にも「組合員資格を含め農協のあり方について検討する必要がある。」、こういうくだりがございますけれども、具体的な今後の農協の方向について何かお考えあれば最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  172. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 御指摘のように、農協につきましては自主的な組織というふうなことでございますが、組合員が大変多様化をしております。兼業農家もあれば、それから担い手として今後大規模化を図っていこう、こういう農家もあるわけでございます。そういう中で、組合員のニーズというのも大変多様化をしてきておるということが一方ございます。また、金融自由化でございますとかあるいは農産物の自由化等々の問題を踏まえまして、農協の経営としてどのようにやっていくか、こういう難しい問題もございます。そういう中でやはり農協としましても今後二十一世紀へ向けてどのように自己改革をするかというふうなことで、組織問題に真剣に取り組んでおることは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。  その中で、御指摘のやはり基本は地域農業の振興といいますか、要するに営農指導というふうなことで地域農業を振興するためにどう農協が役割を果たすかということが大事でございます。そういう意味で、営農指導事業の強化でございますとかあるいは農用地利用調整活動の活発化等の指導をしておるところでございますが、御指摘の点につきましては、その事業運営に当たりましても担い手農家の育成、こういうふうな観点から、例えば大規模農家等の場合には例えば肥料にしましても大量にまとめて買っていただくと配送コストとかそういうものが安くつくわけでございますので、真剣に農業に取り組んでおる農家に対しまして規模のメリット、そういうものを勘案しまして、価格の面でございますとかあるいは奨励金等について弾力的でかつきめ細かな対応が行われるように指導をしているところでございますが、今後とも御指摘の点を踏まえまして地域農業の振興に役立つように、農協が自己改革の努力をしますように指導してまいりたいと思っております。
  173. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。
  174. 高崎裕子

    高崎裕子君 まず農水省にお尋ねいたします。  牛肉輸入自由化により、肥育農家、酪農家は大変深刻な影響を受け、私の地元の北海道はもちろん、鹿児島など全国的にも経営不振が続いています。自由化に対応するために、牛肉などの関税収入を特定財源として畜産振興事業団に交付し、肉用子牛生産者に対する補給金制度があります。その関税収入額と実際使用した予算ですが、九一年度の関税収入は一千四百億円、そして使用額は一千六億円、繰り越しとして四百億円となっておりますが、これで間違いございませんね。
  175. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 平成三年度における牛肉等の関税収入ですが、千四百億円。それから、歳出は畜産振興事業団に八百億円を交付いたしまして、あと国による施策として約二百億円を執行したところでございます。四百億でございますが、それは後年度において必要に応じて使うということでございます。
  176. 高崎裕子

    高崎裕子君 牛肉輸入自由化の影響をまともに受け、子牛価格が合理化目標価格を下回り、そのために子牛安定基金の財源がパンク状態になり、各都道府県は全国基金から三十億円を超す借入金となっています。その上、北海道などでは四月から生産者負担金とは別枠で一頭当たり千五百円の特別積立金を行う方針を決定しております。  こうした窮地を打開するために、関税収入の繰越分が四百億円あるわけですから、これを活用して例えば保証基準価格を引き上げるなどの国の補助の拡大など、今何らかの支援策を検討すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
  177. 赤保谷明正

    政府委員赤保谷明正君) 今、都道府県の基金協会に対する支援策を行うべきではないかというお話でございますけれども、都道府県の肉用子牛の価格安定基金協会における生産者補給金の交付財源が不足しておりますが、全国の基金協会から都道府県の基金協会に対する融資により財源の確保をしているところでございます。  この融資でございますけれども、四年据え置き、八年償還、長期無利子の貸し付けでございます。したがいまして、その借入金を返す時期は五年目からということでありますので、それまでに子牛の価格が回復をすればその償還財源が確保されることになりますので、現時点では今後の子牛価格の回復に努めることが肝要であろうというふうに考えております。
  178. 高崎裕子

    高崎裕子君 回復は可能だということですが、それはそれとして、本当に経営が深刻で、もう今補助がもらえなければ離農しなければならないという深刻な事態が実際にあるわけですから、この四百億円を生かすという形でぜひ検討していただきたいと思います。  次に、農水大臣にお尋ねいたします。  復円対策についてですが、今年度から水田転作の緩和方針が出されたわけですが、農民はもともと国の農業政策に基づいて、米をつくれと言えばお米をつくり、そして転作だ、麦をつくれと言えば麦、大豆と言われれば大豆と国の言うとおりまじめにやってまいりました。しかし、そのたびに借金がふえてきて、私は北海道どこを回っても皆さんから訴えられるのはもう一体我々は何をつくればいいんだという悲痛な叫びで、私は本当に胸がふさがれる思いがいたしました。  そして、今度は全体的に米の需給が逼迫傾向にあるということで、復円をというわけです。北海道では、今年度一万八千四百ヘクタールの水田の復元をいたしましたが、補助の対象になったのは千四百七十四ヘクタールとわずか八%にすぎません。補助から外れたために、農協とか農民そして市町村の負担が四億円ということで、膨大になっています。一方で、補助金が三億円以上使われずじまいになっている。国の政策の変更によって変わってきたその政策に協力するわけですから、そのたびに農民や自治体の負担が大きくなるというのは、これは大変な問題だというふうに思います。もっと補助が受けられるように、例えば受益戸数を下げるなど補助要件を緩和するということをぜひ大臣検討していただきたいですが、いかがでしょうか。
  179. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 細部にわたることについては局長から答弁させていただきますが、基本的には自由化をしていない品目というのはたくさんあるわけですね。そこに非常にまた一方では苦しい面がある。できれば創意と工夫、地域の実情に応じて農家が自由に本当は農業というものをやってもらえばいいわけでありますけれども、しかし基礎的なものに関する限りは、需要供給というものを常に把握しながら不足の生じないようにしなきゃいかぬ。じゃ、潜在的にこの米の場合も、水田がある限りつくればこれは余るわけですね。余った処理もじゃ農家がやるかというと、これはやれないわけですね。ですから、そういうところに非常に難しさがある。  あるいは今お話しのように、何といいますか、上からこれをやれと言ったからやって失敗したということもあるわけですけれども、これからは、この新農政で進めようとするのは、上から押しつけるんじゃなくて、下でやっぱり農家段階で皆さんが一体どうすれば農業経営ができていくかという基本的なことをきちっとつくり上げてそのプランをお出しください、それを支援しましょうと。  先ほどもお話があったように、そうすると小さいところは切り捨てになるのかというお話がありますけれども、決して小さいところを切り捨てるわけではない。それでいいという人はそのとおりやっていただいていいわけですが、ただ子供たちにどういう農業を責任持ってやらせるかというのは親としての務めですから、経営が成り立たないことがわかって経営をして、子供にやらせようったってこれは後継ぎも出てこないし、そういうところに嫁さんをといっても嫁の来手もないわけですから、そういうことを私は考えております。  あと具体的なことについては、局長から答弁させていただきます。
  180. 高橋政行

    政府委員(高橋政行君) 本年度におきまして水田営農確立対策ということで復円対策につきまして予算を用意したわけでございますが、来年度からは水田営農活性化対策推進するということになりまして、やはり今回転作等目標面積を七十万から六十七万六千ヘクタールということに緩和いたします。したがいまして、何とか米をその分つくるということも必要でございますので、長年にわたって固定的な転作等が行われてきました転作田において水稲を作付するための簡易な条件整備、例えば水路を整備するとかあるいは排水対策をするとか、そういうものの経費について助成するということにいたしまして四十億の予算を用意しておるわけです。この四十億はそれだけということではありませんでほかの整備にも使えますが、一応四十億の予算の中で考えております。  それで、その中でただいま先生からお話がございました採択の条件でございますが、例えば簡易な条件整備をやる場合の参加戸数を原則として五戸というふうに言っておりますし、また一地区当たりの受益面積が一ヘクタール以上であるというような条件を示しておるわけでございます。  このような採択要件としておりますのは、原則としてこういうような条件整備は農業者個人の営農努力で対処していただくわけでございますが、長年やってきたとかいうようなことでありますればやはり国としても支援をしていく必要があるであろうと。そうなりますと、地域全体として事業を実施するというようなものに補助していくというのが適当ではないかということで今申し上げましたような要件にしておりまして、我々としてはこの程度が最低なものではないかなというふうに思っております。  なお、こうした要件を満たさないものにつきましては、ただいまお話にございましたような北海道の場合でございますと、北海道で単独事業といたしましてそういう要件を満たさないものについては救っていくというようなことも考えられておりますので、こうした事業を活用いたしまして、全体として復円がうまくいくように配慮していきたいというふうに思っております。
  181. 高崎裕子

    高崎裕子君 地域の実情等により特に必要と認められる場合は緩和もしていただけるということなので、ぜひそういう方向で奨励していただきたいと思います。  次に水産庁にお尋ねいたしますが、日本海ではワカメや昆布などの有用海藻類が枯死、流失し、石灰藻で覆われてしまうといういわゆるいそ焼け現象が問題となって、そのためウニとかアワビなどが生産量激減、沿岸漁業に大きな被害が出ております。  水産庁は原因究明のため二つの研究を行っていますが、ほぼ原因もつかめたやに聞いております。平成二年度から五年度までの研究と、もう一つ平成四年度から六年度までの発生機構の解明研究、この見通しは前向きというふうに伺っておりますが、さらにいい結果が出そうだと。そうすると、平成五年度からは増殖造成事業など沿岸漁場の整備開発事業として取り組むということと伺っておりますが、そのとおりですね。
  182. 川合淳二

    政府委員(川合淳二君) 今お話がございましたように、いそ焼け現象は北海道の日本海岸それから東北地方の日本海岸などに見られるわけでございますが、率直に申し上げまして、今先生がお話しのようなぐあいに解明が進んでいるというふうにはまだ私ども考えておりません。  原因も、今御指摘のウニ、アワビとかその他の有用海藻類への食害とか石灰藻の繁茂による他の有用なものへの阻害とか貧栄養化、あるいは水温、塩分の海況の変化など複合的にいろいろな要因が考えられますので、これらについて今研究を進めているところでございます。  ただ、具体的な形といたしましては、ウニの食害ということに着目いたしまして、同時にまた漁場の造成手法の開発ということで組み合わせてやっている事業が今先生が御指摘一つでございます。  そんなことを続けているわけでございますが、私どもといたしましては、こうした事業の結果を踏まえまして、次のステップに移っていきたいと思っております。研究機関も挙げて取り組んでいるところでございます。
  183. 高崎裕子

    高崎裕子君 次に農水大臣にお尋ねいたします。  釧路沖地震については、大きな被害が出たわけですが、釧路市について絞ってお尋ねします。  飼料を運ぶアンローダーの復旧に特別な配慮が求められているわけですが、地方債でということになりますとこれは利用料にはね返ってえさ代が上がるということで、酪農家の負担も大変になってきます。何らかの対策が必要だと思います。  また、もう一つは釧路市所有の魚揚げ場ですけれども、釧路は水揚げ量が日本一ということで、釧路の基幹産業にもなっております。これが本当に共同利用施設について暫定法の対象にしていただかなければ、借金を釧路市が抱えていくということで大変なことにもなる。それぞれについて何らかの対応が必要だということで、災害対策特別委員会では国土庁長官が、関係省庁とも協議して対策を検討し解決に努力をしたいという答弁もあります。所管の農水大臣ですので、ぜひともこの点について前向きに検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。
  184. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 釧路市の市場の施設、これは釧路は水揚げも非常に多い大変な施設でありまして、いろいろ私どもも苦慮いたしておりますが、特に地方公共団体所有の施設であるということで暫定措置法の対象になっていないんですね。  今後の対策ですけれども、地元の水産関係者等からこの復旧について国費の導入等の要望が寄せられているところでありますが、今後どのような対応が可能か関係方面とよく相談をしたい、こう思っております。  それから、最初の方の飼料用の荷受け施設でありますけれども、これにつきましても本格的に復旧をしなければならぬと思いますが、道東地域における畜産農家への飼料の安定的供給に不可欠なものでありまして、その復旧に当たっては酪農等畜産農家への影響が生じることのないよう、これも関係省庁と相談しながら適切に対処していきたい、こう思っております。  先般も衆議院の方で質問がありまして、これ関係省庁がたくさんあるものですから、それぞれと相談をしながら対応していきたい、こう考えております。
  185. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 高崎君、時間が来ておりますので、手短にお願いします。
  186. 高崎裕子

    高崎裕子君 切実な問題ですので、積極的にぜひ対応をしていただきたいと思います。  それで、最後の質問です。  北海道開発庁長官と会計検査院にお尋ねいたしますが、苫東開発についてです。  今から二十一年前に策定された巨大開発プロジェクトの苫東開発は莫大な公的投資を行ってきましたが、その投資効果は全く果たされていません。マスタープランの工業用地は一万一千二百五十ヘクタールなのに対し、この二十年間で売れた用地は八百四十四ヘクタール、わずか七・五%。操業しているのは六百九十一ヘクタール。この基本計画の受け入れの根幹をなす東港湾を見ても、一千四百四十二億円の国と道の資金が投入されていますが、三年度の入港船舶というのは百二十二隻にすぎません。その上、この開発に当たっている第三セクターの苫小牧東部開発株式会社には利子補給百六十二億円や北東公庫の融資七百二十九億円を投下しているわけですが、一千三百七十億円もの大変な借金を背負い込むなど、深刻な状況が続いています。  こうして苫東開発に投下された国、自治体の公的投資額は、四年度までで三千三百六億円もの莫大な金額がつき込まれています。しかし、二十一年前のマスタープランの鉄鋼二千万トンなど全く破たんしているにもかかわらず、そのマスタープランの見直しを行ってこなかったわけです。ここに来て、ようやく何らかの見直しの動きが出てきたようですが、私たちは何度も要求してきましたけれども、マスタープランの抜本的な見直しをすべきだと思いますが、この点長官いかがでしょうか。  そして会計検査院、国民の巨額な血税が使われてこのありさまなわけで、巨大プロジェクトの投資効果のあり方が問われているわけです。この点、会計検査院の意見をお尋ねいたします。
  187. 北修二

    国務大臣(北修二君) ただいまお話のありました東部開発につきましては、昭和四十五年に第三期北海道総合開発計画において閣議決定をしたわけでございます。  お話がございましたように、鉄鋼あるいは石油化学等、胸を膨らませてすばらしいものができると。しかし、時代の変化によってそれらが変わってしまった。したがって、東部開発につきましては、先日の審議会におきまして特別委員会を設置いたしまして、関係省庁あるいは北海道、苫小牧等との緊密な連絡をとって、新しいプランをつくって積極的に対応をしよう。アメリカやその他外国にもこういうプランはございますが、一遍に埋まったところはないわけで、長いところは五十年、百年と計画を立てて非常に大事に使っておる、こういうことです。拙速にやろうとは思いませんが、立派なものをつくり上げたい、かように考えております。御協力をお願いいたしたいと思います。
  188. 中島孝夫

    説明員(中島孝夫君) 苫小牧東部開発につきましては、投下される資金も非常に多額でございますし、その事業期間も相当長期間にわたっているということでございますので、国の資金が効率的に使用されているか、不経済となっている事態はないか、あるいは投資効果が発現しているかどうかなどの多角的な観点から、検査実施してまいっております。  私どもも、必ずしも土地の売却が順調でないといったような点などにつきましては問題意識を持って検査してまいりましたけれども、現在の状況は経済情勢の変化に負うところが大きいと考えられまして、検査上なかなか是非の判断の難しい問題であると認識しております。しかし、私どもも大いに関心は持っているところでございますので、今後とも御質問の趣旨も念頭に置きながら検査してまいる所存でございます。
  189. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が最後でございます。わずかの時間で私の質問、納得のいくまでお尋ねすることは到底不可能でありますので、平成二年度の農林水産省決算に関する会計検査院の検査報告の中で、改善意見を付され処置を要求された国有地農地等の問題については農林水産省としては云々と、一応二、三問題もつくって持っておりますが、私はこの際、農水大臣それから北長官おいででありますので、そういった親しみを感じながらずばりこの機会に申し上げてみたい、こう思っておりますので、コメントをあえて求めませんが、もしやむにやまれずというお気持ちでコメントしていただくならばお二人に対して大変ありがたくお受けいたしたいと思います。  まず、ことし沖縄は復帰二十年の節目を迎えましていろいろと画期的な行事が展開されておる毎日でございます。そこで、この農林水産省の改善意見をお聞きしたい気持ちはやまやまでありますが、先ほど申し上げたように、何しろちょっぴりの時間帯でありますので一問一答しておる間にもう時間は過ぎてしまいますので。  まず私が申し上げたい第一点は、我が国で唯一の亜熱帯気候地帯は沖縄だけである、こういうことをいつでもどこでも強調いたしております。  それで二点目に、米軍基地が七五%、専用基地がです。日本における米軍基地の七五%が沖縄に集中しておるという、まさにこれは世界に類例のない異常な状態。だれが五十年、半世紀近くもこれを許しておるのか。申し上げるまでもなく、日本政府の対米従属姿勢がこれを容易ならしめておるということは、私はかつて米軍基地将校に会いまして一問一答して、君たちは沖縄における米軍基地が七五%と言うが日本政府が提供しておるから我々は使っただけなんだよと私は言われましてショックを受けたんです。すべて沖縄に集約されておる好ましからざるいろいろの問題は、日本政府の対米従属姿勢から派生しておるということを五年前に理解して、それ以来私は機会あるごとにそれを強調しております。  日本政府が沖縄を日本国民として日本国憲法のもとに公平公正の姿勢で見るならば、基地の中の沖縄と言われるような、そして米軍演習が毎日毎日強化されつつある現状、このようなことはあり得ないはずであります。横田にも三沢にも基地はありますけれども、米軍演習を市民がやめてくれと言ったらちゃんとおとなしくやめた。沖縄ではやめませんでした。歓迎しておると言う、逆に。そんなばかなことはありませんけれども、そういう形で沖縄の軍事基地、軍事演習も、日本政府が提供したから自分たちは使っておるだけだとぬけぬけと言っておる。  私は、その時米軍将校に言いました。あなたは軍事専門家として、狭い沖縄に迫撃砲を撃てはその山を越えて反対の海に落ちる、屋根に落ちる、道路に落ちる、道を通るタクシーの窓も撃ち抜くという、こういうことはあり得ないはずだと、それも知らぬのかと米軍将校にずばり言いましたら、何と答えたか。先ほど申し上げましたが、日本政府が提供したから自分たちは使っておるだけだと、こう逃げました。あなたは軍事専門家としてそういうことを知っておりながらぬけぬけとやるんですかと言ったら、それにはコメントはありませんでした。こういう状態の中で半世紀も沖縄百二十万県民が憲法のもとに不当不法の犠牲と差別を強いられながら今日今生き延びておるという、これが沖縄県民の現状なんです。  一体これをどうしてくれるのか。我々はもう復帰二十年を一つ踏まえて従来にない体制を組んで立ち上がらなければいけない、闘いはエネルギーの発散によって勝利するんだと、こういうことを叫び出しておるきょうこのごろであります。一体、日本の総理初め大臣諸公は沖縄をどう見ておるのか、どうとらえておるのか、そしてどうしようとしておられるのか、私はそれが問いたい。  私にとりましては決算委員会以上の重大な問題、この機ならずばいつまた立たん、こういう機会をとらえて私はいつでもどこでもぶちまける以外に沖縄問題の前進はない、こう実は思うこのごろであります。だから、私は命をかけて闘争もやる、先頭に立たなければいけないもう時期に来ておる、復帰二十年を迎えた今日、私はこう思う毎日であります。きょうの決算委員会においてこのように叫ばなければいけないことを私は悲しく思いながらも、言わざるを得ない。必ずや良心にこだまするであろうと私は信じて、今訴えておる次第であります。  日本で唯一の亜熱帯気候地帯は沖縄だけである。亜熱帯農業はいかにあるべきかということは、今さら問うまでもありません。次に、米軍基地の七五%が占めている基地の中の沖縄。私たちは不戦の誓いのもとに、基地は戦争の準備であり戦闘の拠点でありますから、基地は要りません。平和を願い不戦の誓いをやっておる沖縄県民は、基地は要りません。そこで、大田知事初め百二十万県民は基地の即時撤去、基地は直ちに撤去せよ、この合い言葉で今立ち上がりつつあります。米軍基地の七五%が占めている基地の中の沖縄ということから軍事基地は不要、平和が県民の心からの願い。だから、不戦の誓いを打ち立てておるんです。そして、公平公正をモットーといたしております。  一億二千万国民の中で、日本国憲法のもとに沖縄県民だけが不当不法の支配下に置かれる理由が一体どこにありますか。このあり方を是正するのはやっぱり我々百二十万県民でなければいけない、私は命を賭して県民の先頭に立つ決意をいたしております。そして、私は日本政府の対米従属姿勢が今日の沖縄を苦しめておるということを国民のみんなに、ましてや衆参両院の議員みんなに訴えたい。切実な叫びです。いわゆる日本政府の対米従属姿勢がこれを許しておるが、提供しておるから使用しておるんだと逃げておるこのアメリカに対して、日本政府は対等の親善外交姿勢をもって臨んでほしい。臨んでいかないところから不当不法の沖縄のあり方も強要されておるということが私は痛切に思われてなりません。  もう時間が来ましたので、これで私の訴えを一応締めくくります。  御清聴まことにありがとうございました。
  190. 北修二

    国務大臣(北修二君) 大変御高説をお聞きいたしました。  御案内のように、沖縄は日米安保というこの条約において今日も基地がございます。しかし、沖縄県民の皆さんからいろいろ御意見がありますとおり、基地は約三万五千ヘクタールあったわけでございます。そのうち一万一千ヘクタールが返還に相なっておりまして、今残っておるのは二万四千ヘクタールでございます。  なお、日米間でいろいろ話し合って対応しておりますが、返還をされたものについては開発庁といたしましては高率の補助金をもっていろいろ復興をさせていただいておる、こういうことでございまして、沖縄の今後の開発並びに県民の生活向上のためには開発庁としては最善を尽くしていきたい、かように考えておるところでございます。  防衛庁あるいは外務省に関するお答えすべきものがあるかと思いますが、開発庁といたしましては、以上で私の意見といたしたいと思います。
  191. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 他に御発言もないようですから、農林水産省北海道開発庁沖縄開発庁農林漁業金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会      ―――――・―――――