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委員以外の議員(
穐山篤君)
日本社会党・護憲民主連合の
穐山でございます。
ただいま議題となりました
環境影響評価法案につきまして、発議者を
代表してその提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。
我が国はかつて、世界に例を見ないスピードで高度経済
成長を遂げ、
国民生活においても便利さを追う日常生活になれ親しんでまいりました。しかし、そのツケが
公害問題として一気に吹き出し、そのころから全国各地で
公害追放への
取り組みが高まり、ある程度の成果を上げてまいりましたが、水俣病を初め深刻な問題は現在まで尾を引き、根本的な解決には至っておりません。すなわち問題が起きてしまってからでは、対策を施そうとしても経済的にも技術的にも、完全に
もとどおりにすることなど不可能であります。事が起きてしまってからでは手おくれなのであり、その未然防止を図っていくことこそが必要なのであります。
今回、
環境基本法案の
審議に際し、
環境アセスメント制度見直しについての質問に対して、
宮澤総理から「内外の制度の
実施状況等に関して、
関係省庁一体となって
調査研究を行い、法制化も含め所要の見直しについて検討することが大事である」との前向きな御答弁をいただいたことに感謝しております。既に
アメリカを初め数多くの国々におきましては、
環境アセスメント制度を
法律として制定し、
国民の間に定着をいたしております。そこで
環境先進国を自負する
我が国が、
環境アセスメントの
法律を持っていないというのは、大変残念に思うところであります。
目下、北海道釧路市において、ラムサール
条約締約国
会議が開催されているときだけに、
環境基本法を
環境憲法と位置づけるためにも
アセスメントの法制化は不可欠の要件だと
考えます。
以下、
法案の概要について御説明申し上げます。
まず第一に、対象とする開発事業につきましては、埋め立て・干拓、飛行場の設置、道路、鉄道の建設など
環境に著しい
影響を及ぼすおそれのある事業のうち、
規模の大きいものといたしております。
第二に、
環境影響評価に関する手続についてでありますが、まず、事業者が開発事業の開始前に、事業の種類ごとに定める
環境影響評価指針に従って、どのように
環境影響評価をするかとの
調査計画を作成し、中央と都道府県ごとに設置する
環境影響評価
委員会に提出をいたします。
委員会は、その
調査計画を公告・縦覧するものといたしております。そして、その
調査計画について、
関係都道府県知事、
関係市町村長や
関係地域の住民などは、
意見を述べることができます。
委員会は、それらの
意見を聞き、公開で審理を行い、
調査計画を認定するかどうかを
決定いたします。
事業者は、
調査計画の認定を受けましたら、次にその認定された
調査計画に基づいて、
調査、予測及び評価を行い、
環境影響評価報告書を作成し、
委員会に提出をいたします。ここでも
委員会は、その報告書を公告・縦覧することといたします。その報告書について、
関係都道府県知事、
関係市町村長や
関係地域の住民などは、
意見を述べることができます。
委員会は、それらの
意見を聞き、公開で審理を行い、報告書を認定するかどうかを
決定いたします。
委員会はこの
決定を事業者に伝え、報告書を認定することを
決定したときはその事業について許認可権などを持つ監督官庁などに報告書と
環境保全上の見地からの
意見を送付をいたします。
なお、事業者は、
調査計画、
環境影響評価報告書について、それぞれ縦覧期間内に説明会を開催し、説明をしなければなりません。
第三に、開発事業の
実施につきましては、事業者は報告書が認定されるまで、工事を
実施をしてはなりません。また、監督官庁などは、
委員会からの報告書の送付があるまで許認可などをしてはならず、報告書の送付があったときは事業
実施による
環境への
影響を考慮してこれらをしなければなりません。
そして、事業者は、事業
実施による
環境への
影響を考慮して事業を行わなければなりません。
さらに、事業
実施中についての対策も盛り込んでおります。つまり
委員会は、報告書を認定したときと著しく地域の
状況が異なっている場合などは再
調査の勧告ができることとし、勧告をしても事業者が応じない場合などにつきましては、
委員会がみずから再
調査ができるようにいたしております。
第四に、
環境影響評価についての
資料の開示に関しては、
関係都道府県知事、
関係市町村長や
関係地域の住民などは、事業者や
委員会に対して
資料の開示を求めることができ、事業者や
委員会は
資料を開示するよう努めることといたしております。
第五に、地球レベルの
環境保全を図る
意味から、外国から
環境影響評価について技術的財政的支援を求められた場合は
協力するよう努め、国が
国際協力を
実施する場合は
環境影響評価についての必要な措置を講ずるよう努めることといたしました。
また、事業者が
海外で事業活動を行う場合についても、
環境影響評価の
実施を推進するために必要な措置を講ずるように努めることといたしております。
以上のほか、この
法律で定める手続などに加えて、あるいはこの
法律で対象とする開発事業以外の事業について、
環境影響評価に関して地方公共団体がその地域にふさわしい条例を制定することを妨げないようにいたしております。
以上が、この
法案の提案理由と内容の概要でございます。
冒頭にも触れましたが、
アセスメント制度につきましては、
宮澤総理からも踏み込んだ御答弁をいただけましたことからも、この
法案を真剣に御
審議の上、速やかに御可決あらんことを
お願い申し上げる次第であります。
以上でございます。