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松前達郎君 その点、外務大臣同士の
お話し合いでは向こうもある程度了解しておるわけですね。今度は領土問題も出るだろうということについては特に拒否反応はないというふうに報道されているのですが、その辺が十分ネゴられていなきゃまずいだろうと私は思ったものですからちょっと申し上げたわけです。
ロシア支援の問題でお金として幾らの枠組みを持って支援すると、これは必要なことなのですけれども、じゃ何を支援するか。ただお金を渡してもどこかに消えてしまう可能性もある。相手の受け取る方もどれに使うとかそういうものが決まっていないうちにお金だけ先に枠が決められるということになったらちょっと困ると思うのですね。ですから、どのような経済協力が必要なのかということを考えておかなきゃいけないのじゃないかと思うのです。
これはいろいろと調査してみますと、今、ロシアが体質をどんどん変えていくという段階ですからその段階において問題となっているのは一体何かと、具体的にどういうことが考えられるかといいますと、これは私の意見ですが、食べ物がないというのがやはり一番問題なのですね。それは不満がもうどんどんとうっせきするわけです。
余り注目はされてこなかったのですが、もちろんモスクワへ行くと今は何でもありますね、金さえ出せば。物すごいですよ。東京の一流ホテルよりももっといいホテルがあって何でも食べられるのですけれども、ただしめちゃくちゃに高い。しかし、一般の大衆について見ると食糧というのは非常に重要なものだ。農業生産への支援というのが
一つ考えられるだろう。農業生産への支援というのは、
アメリカみたいに小麦を送るとか穀物を輸出するとかあるいはそれに対する借款をロシアに与えるとか、そういう問題じゃなくて生産ができるようにしてやらなきゃいけないのですね。ですからそのようなことも考えなきゃいけない。
そのためには現在のロシアにおける農業生産に何が役に立つだろうか。化学肥料もありましょうし、あるいはブルドーザーも必要かもしれませんし、あるいは冷凍輸送
手段も必要だろうし、あるいはこん色とか農産物の倉庫、そういうものも必要、加工
設備も必要、たくさんあるわけですからこういうものを
対象として私は援助をしていくべきだろう、支援をしていくべきだろう、こういうふうに思います。それが第一。
それから第二のテーマとしては私は交通インフラストラクチャーだと思うのですね。これを改善しなきゃいけない。これは何も極東地域に限定するわけじゃないのです。ロシア全体、シベリア鉄道がございますけれども、これがロシア経済の大体九〇%を担っているのですね。そういった幹線交通網の整備がどうしても必要だろうと思うのです。これはどうしてそういうことを言うかというと、流通過程でなくなってしまうむだというのが非常に多い。これを排除する
システムの改善というものがどうしても必要だろう。鉄道の
設備ももう既に崩壊寸前に来ているというふうに見ます。ですからそういう問題についての支援というのが必要だと。
それから三つ目が自動車生産と
通信網の整備だと思うのです。これを充実させていかなきゃならない。特に
情報網の充実というのは民主化を促進していきますから、そういう意味では非常に重要な課題だろうというふうに思います。自動車産業というのは、ロシアの場合もう既にメルセデスとかフィアットが技術
導入していますし、現にモスクワなどに
設置されている自動車会社の修理工場の技術水準、これも西欧に比べて決して低くはない。トヨタとか本田も各都市に修理工場を展開している、こういう状況です。こういった交通とそれから
情報の面、これをやはり私はやるべきじゃないか。
いろいろとあるのですが、こういう具体的な支援
体制といいますか支援の
対象というものを考えていかなきゃならないのじゃないか。ただ金さえ出せばいいというだけじゃないと私は思っております。そこで、きょうの新聞にも出ているのですが、これは通産省と工業技術院の
一つの
提案として出ているのです。「対日支援でモデル工場」という新聞報道があります。これはもう五年ほど前から私も主張してきたのです。いわゆる品質のいいものをつくれつくれと口ばかりで言ったってつくれるわけじゃない。
日本だって苦労に苦労を重ねて今日のような状況まで持ってきた。その段階が必要なのですね。それを勉強するためにモデル工場をつくったらどうかという
提案もしてきたのですが、中小企業育成ということも含めてそういうことをやったらどうかという
提案をしている。これは非常にいい
提案だと私は思っております。
そういった面で、これから支援が始まるわけですしもう既に始まってもいますが、今後、我々として考えていくべきことをひとつ十分お考えになって支援というものの中身を充実させていかれたらどうか。もちろん人材の育成といいますかそういったものも含めてロシアに対する支援
体制を展開すべきだと私は思うのです。
これは私の個人的な意見でありまして、特に最近いろいろ調査してみましてそういうことがはっきりしてきたものですから申し上げたわけであります。
きょう、ほかにも
幾つか
質問させていただきたい問題があったのです。例えばPKOの問題、これもまたいろいろと変化が激しいのですね。選挙の
対象からポル・ポトを外して選挙を行って、やれ新しい政府といいますか行政機構ができた、
機関ができたといったら、これはどうですかね、アフガンみたいになりませんかね。後でゲリラ化して専らそれでもって長期の抵抗を続けるというふうになってしまったらこれまた大変な問題になるのですね。
こういう問題もありますし安全の問題もありますし、いろいろカンボジアの問題というのはまだまだ入り口にいる状況じゃないかと私は思うのです。これも
質問させていただきたかったのですが、これはたしか二十八日に本会議で中間報告を受けて
質問があると思いますから、きょうは私は触れないでおきたいと思います。
以上で終わります。