○田
英夫君 今の最後の点ですけれども、私もキュー・サムファン氏に会ったときに、あなた方はもっと自分たちの
考えを
国際社会に対して
説明をしたらいいじゃないかと。後で触れますけれども、時間があったら触れたいと思っている問題ですが、北朝鮮のIAEAのかかわりあるいはNPTの脱退の問題、この一連の核の問題についても私は同じ感じを持っているのです。その意味では北朝鮮といわゆる
ポル・ポト派とは何か似た点があるように思いますね、非常に
国際社会に対する
説明が下手だというか。
しかし、実際に私も何度か
カンボジアヘ行っておりますし、特に多くの方はプノンペンにおいでになってこれが
カンボジアだと思って帰ってこられるようですけれども、私に言わせればプノンペンというのは
カンボジアの中の特殊な非常に平穏な場所であって、あれはまさしく別天地だという気がいたします。地方へ行きますと、これが本当の
カンボジアの生活だと思うわけです。
例えばキュー・サムファン氏はこういうことを言っているのです。さっき選挙に参加しない主な理由は二つとおっしゃいました。そのとおりなのですが、もう一つ彼が強調しているのは、SNCに対する取り扱いが本来パリ和平協定で決められたものとUNTACがやっているのとは違う。SNCをもっと機能するものに権威あるものにしょうということを自分たちは言っているけれども、それを一向にやろうとしないということを言っております。
それからこの春二月ごろから一連の大攻勢をかけたと、
日本での報道によるとあたかも
ポル・ポト派が大攻勢をかけたというふうに報道されていたのです。報道の方ももう大臣が帰られるとともにほとんどいなくなりましたが、報道の方にぜひ聞いていただきたいと思うくらい、この点はかつての
ベトナム戦争当時の
日本の報道を私もその当時は現場の報道におりましたからよく覚えておりますが、
ベトナム戦争当時の
日本の報道はワシントン発とかサイゴン発とかそういう
アメリカサイドの報道でほとんど占められていた。
東大の新聞研究所が当時調べたところで、八五%が
アメリカサイドのニュースソース、北
ベトナムあるいは
中国、
ソ連というサイドの報道は五%ぐらいしかなかったという、そういう数字さえ出ていたわけですが、最近の報道は調べてみれば恐らくそれ以上ではないかと思うくらいプノンペンあるいは
日本を含めた
アメリカなどのサイドのニュース。
さっき申し上げたとおり、大変プロパガンダが下手ですから、
ポル・ポト派の方の言い分というものに根差す報道はほとんどないのでありますが、今度の大攻勢というのも
カンボジアの今までの十三年間の戦いの軌跡を知っている人なら全く逆に見るのが常識なのです。乾季はいわゆるプノンペン
政権、
ベトナム軍側、雨季になって攻撃をしかけるのが
ポル・ポト派、これが常識なのです。それを
ポル・ポト派の方が乾季の真っ最中である二月に攻撃をかけるということで、報道を見たときに私は疑問をまず持ちました。
ところが、キュー・サムファン氏に言わせると、全く私の予想どおり、これは全く逆だと。攻勢をかけてきたのは
プノンペン政府軍である、あるいはそこに
ベトナム軍が加わっているというふうに言うのであります。私は、ジャーナリストの
立場に戻ると一方の側だけの言い分を聞くわけにはいきませんから、この点は私はだからそうだとは言いませんけれども、少なくともキュー・サムファン氏の言い分はそうであります。
彼はこういうことを言っています。
ベトナム軍及び
プノンペン政府軍は最近もシエムレアプ、ボーバル、ルーベン、コンポントム、パイリンなどで戦車や重砲を使った大規模な軍事攻勢をかけてきた。こうした大規模な軍事攻勢のために武器の輸送をする場合に、戦車とか大きな重砲は国道五号線、六号線あるいは鉄道を使って行っている。となれば、幹線道路と鉄道を使っている以上はUNTACがこれを知らないはずがない。これは黙認をしているとしか思えない。しかし我々はその攻勢に耐えてきたのだ。こういうふうに言っているわけでありまして、話が全然逆になります。
私は、繰り返しますが、どっちが正しいかということを言い得る
立場にありませんから、この点は一方の側を御紹介することになるわけであります。
それから、こういう状況だからUNTACが
ベトナム勢力を残留させたまま選挙をやるということになれば我々はそうした選挙に参加するわけにはいかない、こういうふうにも言っておりまして状況のとらえ方が逆でありますから、選挙に参加しない理由を
日本における報道だけで判断すれば
ポル・ポト派がどうして選挙に参加しないのかまことに不思議でありますけれども、キュー・サムファン氏の言い方を加えて判断をするとそういうこともあり得るかなというふうに
考えられてくる。
そういう意味で、五月に予定されている選挙ですけれども、これは言うまでもなくこの選挙を目指してパリ和平協定がつくられたと言ってもいいくらいのことですから非常に重要な選挙ですけれども、この選挙が行えるとお思いですか。