○
説明員(中村秀一君) ただいま
先生から
お話のございました
沖縄の
厚生年金問題につきまして、背景、検討
状況、今後の見通しということでございますので、お答え申し上げます。
沖縄の
厚生年金につきましては、本土復帰前の昭和四十五年に
沖縄の
厚生年金制度がスタートいたしておりますが、本土と比較いたしますと、本土の現行の
厚生年金法は昭和二十九年に全面改正さております。そういったことと比較いたしましても、加入期間が
沖縄の方は相当短くなっている、こういう問題がございます。
厚生年金の額の算定に当たりましては加入期間が大きな要素になりますので、この
沖縄の方の加入期間が短いということは確かに
沖縄の方の
厚生年金の額に大きな格差があるという
状況になっております。
このため、そもそも
沖縄の
厚生年金につきましては、昭和四十七年の本土復帰時及び平成二年におきまして格差是正のための
措置を講じてきたところでございますが、まだなおその格差是正が不十分であるということで、本土復帰二十周年に当たる昨年、前からその声はあったわけですが、大変御要望が強くなされてきたと。こういうことを踏まえまして、
先生からも
お話がありましたように、昨年五月に内閣の内政審議室、
沖縄開発庁並びに
厚生省から成る
沖縄の
厚生年金に関する諸問題についての
関係省庁検討会を設置し、これには毎回
沖縄県の方からも尚副知事においでいただいて
政府として検討してまいったところでございます。
検討会の方では、当初、
沖縄県からの御要望が物事のスタートでございましたので、
沖縄県からの御要望について検討をさせていただきました。
沖縄県のその際の御要望は、本土の
厚生年金の全面改正が行われた昭和二十九年までさかのぼって、いわば遡及して
厚生年金法の適用ができないか、こういう御要望でございました。そしてまた、事業主負担分という問題もございますが、これについては国が負担できないか、これが
沖縄県の御要望の骨格でございました。
この点につきまして、その
政府の検討会でまず
沖縄県の御要望について検討させていただいたわけですが、年金制度というのはそもそもさかのぼって適用するということができない制度でございますというような制度上の問題。また、昭和二十九年からそれぞれの方が勤務され、毎月のお給料がどのぐらいだったのか、これが
厚生年金の運営の基礎になりますけれども、そういったことが実際上その記録が保存されているか、証明が可能であるかという実務上の問題。それから、
厚生年金の保険料は労使折半で負担していただくのが原則でございますが、そういったことについて御要望にあるような事業主負担分について国が肩がわりするということについて合理的と考えられるかと。このようないろんな
議論がございまして、この御要望をもとに制度化を展望することは大変難しい、したがって
沖縄県の方におかれましても実務面や費用負担面も考慮した新たな御提案をしていただきたい、こういうことを昨年の十月に
政府の検討会で整理させていただいたところでございます。
その後、
沖縄県の方とは三
省庁事務レベルでの
協議もずっと継続してまいりまして、ことしの三月に入りまして、三月二十九日にまた
政府の検討会を開かせていただいたわけですが、
沖縄県の尚副知事の方から新たな御提案を出していただいております。
これは、いろいろございますが、基本的には、平成二年に特例
措置を講じておりますけれども、その特例
措置を講じた人の範囲を、平成二年の特例
措置では昭和四十五年当時四十一歳以上の方に対して格差是正
措置を講じたわけですが、その範囲をうんと拡大できないか、昭和四十五年当時二十歳以上の方に拡大できないかというような適用拡大の範囲の問題。それから、平成二年のような特例
措置、さかのぼるということではなくて保険料の追納を行うというような格好で処理できないかといった問題。それから、雇用の証明、事業主負担については、これは必要になるわけでございますが、
沖縄県としても現在県内で経営者協会の
方々などとも打ち合わせる必要があるので、この証明の問題、これは事業主にお願いしなきゃならないわけです。それから、事業主負担の問題については県内でも引き続き検討したいということで検討中であるけれども、
沖縄県のこの新しい提案をもとに検討会の方でも検討していただけないか、こういう御提案がありました。
私どもといたしましては、県みずからもおっしゃっておりますように、事業主負担の問題でございますとか雇用期間の証明の問題とか、県の方でも引き続き検討する、さらに詰める点があるということも踏まえながら県の方でも検討していただくとともに、私ども新しい提案が
政府の
関係省庁検討会の検討の素材になると考えまして、実務
レベルも含めまして
沖縄県の新たな提案、県内の御調整も進めでいただきながら、私どももこの
沖縄県の新たな提案をもとに今後
沖縄の
厚生年金の格差是正問題について解決を図ってまいりたい、こういう
方向で取り組んでおるところでございます。