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1993-04-20 第126回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二十日(火曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十二日     辞任         補欠選任      堀  利和君     糸久八重子君  四月十三日     辞任         補欠選任      糸久八重子君     堀  利和君  四月十五日     辞任         補欠選任      堀  利和君     村田 誠醇君  四月十六日     辞任         補欠選任      村田 誠醇君     堀  利和君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         高桑 栄松君     理 事                 二木 秀夫君                 松浦 孝治君                 櫻井 規順君                 広中和歌子君     委 員                 伊江 朝雄君                 泉  信也君                 上杉 光弘君                 鹿熊 安正君                 河本 三郎君                 山崎 正昭君                 西岡瑠璃子君                 渕上 貞雄君                 堀  利和君                 安永 英雄君                 直嶋 正行君                 高崎 裕子君                 井上 哲夫君                 下村  泰君    国務大臣        運 輸 大 臣  越智 伊平君    政府委員        運輸大臣官房長  豊田  実君        運輸省鉄道局長  秦野  裕君        運輸省海上技術  戸田 邦司君        安全局長        運輸省航空局技  松本 健治君        術部長        気象庁長官    二宮 洸三君        気象庁次長    望月 鎭雄君    事務局側        常任委員会専門  長谷川光司君        員    説明員        建設省河川局河  和里田義雄君        川計画課長        消防庁防災課長  牧野 清文君    参考人        東北大学名誉教  鈴木 次郎君        授        日本テレビ放送        網株式会社取締  石川 一彦君        役報道局長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○気象業務法の一部を改正する法律案内閣提出  ) ○船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  気象業務法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、東北大学名誉教授鈴木次郎君及び日本テレビ放送網株式会社取締役報道局長石川一彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 気象業務法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案趣旨説明は既に聴取いたしております。  これより参考人意見聴取を行います。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまことにありがとうございました。  両参考人におかれましては、それぞれのお立場から本案に対する忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方につきまして申し上げます。  まず、参考人方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと存じます。  また、各委員質疑時間が限られておりますので、どうか答弁は簡潔にお願いをいたしたいと存じます。  それでは、まず鈴木参考人からお願いをいたします。
  5. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 鈴木でございます。  本日ここで申し上げたいと思っておりますことは、まず気象審議会答申十八号というのがございますが、これに作成に参画いたしました者としてこれの簡単な御説明を申し上げたいと思います。その後に、私が会長をいたしております気象事業振興協議会というのがございますが、それの発足のこととかその後の活動のことを申し上げまして、最後気象事業振興協議会としてのこの法案に関する意見と申しましょうか、希望と申しましょうか、それを申し述べさせていただきたいと思っております。  まず気象審議会の十八号答申でございますが、これは平成四年三月に気象審議会から出されたものでございますけれども、まずこういう答申を出すようになったバックグラウンドを少し申し上げますと、最近では国民あるいは社会からの気象情報に関する要望というのが大変多種多様になっております。例えば非常に局地的なものが欲しいとか、あるいは非常に長期的なものが欲しいとかいろいろな御要求が出てまいります。端的に申しますと、欲しいときに欲しい情報をくれ、こういう御希望がございます。  一方、受けます側の、受け手側体制がどうなっているかと申しますと、御承知のようにコンピューターネットワークであるとか、あるいは個人レベルに至りましてもファクスであるとかあるいはパソコン通信であるとか、そういうものによりましてそういうものを受けるという状態が結構できております。  三番目に、それではそういった非常に多様な、あるいは局地的なとか非常に短期的なものに対する予報技術と申しますか、自然科学的な意味でそういうものが可能かと申しますと、これもメソ量的予報という言葉でよく呼ばれておりますけれど も、例えば現在よりも細かい、数十キロであるとか百キロであるとかというような単位のいろいろな予報をいたします。これは雨だとか風だとかそういったようないわゆるお天気に非常に関係の深いものでございますけれども、こういうことが技術的にも可能であるという状態になっております。そこで、そういうことを考え合わせますというと、どうもそれをうまくきちんとやれば皆さんの御要求に結構こたえ得るような十分な体制があるんじゃないかということになります。  そこで、十八号答申というのは、そういうものを実施した場合にそれではどういう問題点があるのか、どういう課題があるのか、あるいはどういうふうにやっていくべきなのかというガイドラインを示したものというふうに御理解いただけばありがたいと思います。  もう少し十八号答申内容のことについて申し上げますというと、まずやはり基本になりますのは気象庁のものでございますからして、いわゆるメソ量的予報というものに対しては気象庁は当然十分やっていただきたいということを述べております。さらに、後で申しますが、民間のいろいろな方の御協力を得なければいけませんので、気象庁としてはそういった民間に対する支援、助成、並びに気象庁で得ましたデータの柔軟な提供と申しますか、そういうことを考えていただきたいということを申し上げております。  それでは、民間の方はどうかと申しますというと、民間の方は気象庁から出されますデータもとにいたしまして、それにいろいろ、各種の御要望がございますから、その御要望に対応したような付加価値をつけるといったらよろしいんでございましょうか、そういったような加工を施しましてやるということになろうかと思います。そうでないと、ありとあらゆる要求に対応するということを全部気象庁で引き受けるというのはこれは恐らく不可能であろうと思いますので、そういうことになろうかと思います。  そこで、ただ、そういうことをやってまいります場合に問題になりますのは、それではだれでも勝手に天気予報をやっていいということになりまして、それがいろいろ非常に大きく違ったりいたしますと社会に混乱をもたらすわけでございます。これは何かある程度のものをつくらなければいけないだろう。したがって、あるレベルを考えまして、そのレベルに対応した者ができるというようなものをつくるといいんではないだろうか。それで、そのためには何らかの検定制度といったらよろしいんでしょうか、何らかのそういった検定制度みたいなものが必要であろうということも申し上げております。  さらにもう一つは、データの供給ということがございますが、これが今までよりは非常に量もふえますし、きめ細かいものが必要になってまいります。したがいまして、それに対する十分たえ得るようなデータ提供体制というものも考えなければいかぬだろう、こういうふうに申し上げております。  最後に、災害情報のことがございますけれども、この災害情報は各方面が勝手に違ったことをやりますと大変社会に対する影響が大きゅうございますので、これはやはり一元化して気象庁災害情報に関しては出していただくということ、及びその災害に関しましては防災体制で各関係官庁であるとかあるいは地方自治体であるとかそういう種類のところでいろいろなシステムが既にございます。したがって、そのシステム気象庁とをオンラインで結びまして、リアルタイムに非常に正確でかつ迅速な情報を流して、これに対して即応できる体制をつくるのがよろしかろう、こういうことを申し上げているわけでございます。  この十八号答申最後にこういうことが書いてございます。これはちょっと後のことに必要なのでそのまま読ませていただきますと、  総合的な気象情報サービスの推進に当たっては、引き続き、気象庁関係機関民間気象事業者間の緊密な意志の疎通が図れる開かれた関係が重要である。本答申の策定に至る議論を契機として、答申具体化に向けて、連携が一層緊密化され、活発な意見交換が行われることを切に望むも  のである。こういうふうに最後に書いてございます。  そこで、この最後の文章を受けまして、こういったユーザーと申しますか提供される側の意見気象庁といろいろ議論をして、協議をしてそれで十八号答申の実現を図るという目的で気象事業振興協議会というものが昨年の十一月に設立されました。これは現在でも例えば全国気象事業者連合会であるとか気象庁配信データ利用者協議会であるとか、いろいろなものがございますが、そういったものの大きなもの四つが肝いり役といいますかそういうものが発起人になりましてこういうものをつくり上げたわけでございます。  こういうものをつくりまして、その後気象事業振興協議会がどういうことをやってきたかと申しますというと、まず設立総会に続きまして、ウェザーキャスターの方であるとか気象学者の方であるとかあるいは民間業者の方であるとかあるいは気象庁の方、そういった方々をお招きしまして勉強会を全体で開いております。さらにその中に専門部会といたしまして、検定制度に関する専門部会、それから局地予報に関する専門部会、それから報道関係専門部会という部会をつくりまして、それぞれの部会で検討をする。さらに幹事会を設けまして、その幹事会でいろいろそれをまとめるというような体制でやってきているわけでございます。この部会にはいろいろ気象庁方々もおいでいただいて、質問をしたりそういうことをいたしております。  ところが、大変うまくいっているような話なのでございますが、実は法律が改正されるということを聞きましてから、それで私ども非常に頻繁にこういった会議を開きまして、気象庁の方にいろいろ御質問申し上げたわけです。これはなぜかと申しますと、実はユーザーといたしましては、法律文言それ自体ということも大事かもしれませんが、一般に法律文言というのは私どもから見ますと大変一般的で抽象的なものでございます。私ども関心を持ちますのはもっと細かいことといいますか、いわゆるその後で政令だとか省令だとか、いろんな名前がついているようでございますが、そういったような種類の細かいことが非常に関心があるわけでございます。  例えて申しますと、予報士というのが今回の法案の中に出ております。我々が知りたいのは、予報士というのは例えば試験をやるとしたら一体どのくらい難しいものを考えていらっしゃるのだろうか、あるいは予報士試験に通って登録したらどの程度自由なことをやってよろしいんであろうか、あるいはうんと縛られるのだろうかというようなこと。あるいは支援センターというのが法案の中に出ておりますが、一体支援センターというのは新しい法人をつくるのだろうか、つくるのだとすればどんなものをつくるのか、そういうことによってユーザーの方から見ますと負担増が非常に大きくなるのじゃないだろうか、こういうことが大変気になるわけでございます。  そこで、気象庁方々にいろいろお聞きしたのでございますけれども、それは後で決めるのである、だから現在はまだ決まっていないんであるという御返事を非常に多くの場合にいただいたわけでございます。  そうなってまいりますと、どうも内容が全然わからぬ。全然というのは極端かもしれませんが、かなりわからない部分が多い。そうしますと、私ども一体この法案賛成なのか反対なのかと言われましても、賛成とも反対とも言いようがないわけでございます。そこで、これでは困るということで気象庁長官あて要望書というのをつくりまして、今申し上げたように内容がよくわからぬ、これでは賛成反対もしょうがないではないか、今後はそういうことのないように、つまり私ども協議会趣旨に沿って、というのは協議会発足のときには気象庁長官からもごあいさつをいただいているわけでございますので、そういった趣旨に沿ってやるようにしていただきたいという要望書 を出したわけでございます。この要望書のコピーは諸先生方のお手元に前に差し上げてあるかと存じますが、そういうものを出したわけでございます。  その出しました後で気象庁長官総務部長その他の方々懇談をいたしました。その懇談の中で、気象庁側としては今までいろいろ至らない点があったのは認めるから、それは今後は十分そういうことがないように気をつけていくつもりであるというお話がございました。なお、同趣旨のものはその後私ども文書としていただいております。  非常に簡単に申しましたが、これが大体現在までの経過でございます。  そういたしますと、こういったような現状をもとにいたしまして私ども気象事業振興協議会としてこの法案に対してどう考えるかと申しますというと、法案そのものに真っ向から大反対ということではございません。決してそうは申してはおりません。しかし、我々としては法案自体にイクスプリジットにと申しますか、出ていないことについてのいろいろ希望があるわけでございます。  この法案の主な点二つかと思いますので、その二つについて限定して申し上げますと、例えば予報士というものをつくるということになっている。予報士をつくった場合に、私どもの考えは、予報士というのは試験を受けてなるわけでございます。したがって、予報士レベルというものは最低限ある程度そこで担保されているではないか。だとしたら、予報士の行う予報というのは最大限に自由化をしていただいてよろしいのではないか。そういうふうにしていただきたいということでございます。  第二番目に、支援センターというものが書かれております。この支援センターというのも、これは新しい法人をつくるのかどうかその点もまだ明確でございませんけれども、私どもとしては何も新しい法人をつくるということに固執する必要はないんではないか。要は何かと申しますと、多様で豊富なデータを安く配信していただける、そういうようなことを主眼にしたものを考えてそういう体制を考えていただきたい、こういうことになるわけでございます。  もう少し端的に申しますと、今回の法律細則等まで入れまして民間事業を圧迫するようなことは絶対に避けていただきたいということ、あるいは言葉をかえて言いますならば、十八号答申精神をそのままストレートに生かしたようなものになっていただきたいという希望でございます。もちろん私どもとしましても、気象庁協議をするべき点は十分協議をいたしまして、言うなればそういった細かい点まで含めて両者の納得の上でこの法律が施行されるようになるということを希望しているわけでございます。  大体、申し上げたいことは以上でございます。  御清聴ありがとうございました。
  6. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) ありがとうございました。  次に、石川参考人お願いいたします。
  7. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 石川でございます。  先生方承知のとおり、気象業務法十一条等によりまして、私ども報道機関は負託を受けて全国民気象情報を知らせ、あるいは災害時などに緊急の情報を出すというような任務を担っております。そういう報道機関としての立場から、若干私ども考え方を述べさせていただきたいと思います。  今鈴木先生から非常に広い範囲でお話がございましたので、若干重複することがあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  まず、事の発端でございます第十八号答申、私どもはこの十八号答申に盛られている基本的な精神、これは表現で言いますといろいろありますんですが、例えば、社会高度情報化に適合する気象情報サービスをやっていきなさい、あるいはよりきめ細かい精度の高い情報提供しなさい、あるいは先ほど先生もちょっとおっしゃいましたが、欲しいときに欲しい情報の入手を可能とするような情報提供体制をつくりなさい、いろいろございますが、総括して、気象情報もより自由化して、もっと自由な情報提供が、報道機関に限りませんが、できるようにしたらどうかという精神が全体として盛り込まれていたというふうに理解しております。  この答申十八号については、私ども報道機関としても非常に歓迎すべき内容でありまして、我々が希望をしていた情報自由化というようなことについての具体案が待たれていたということであります。  現在の気象情報について、私、テレビでございますので若干テレビに偏るかもしれませんが、どんな状況にあるかと申しますと、具体的な数字はちょっと申し上げられませんが、回数、つまり一日の中での天気予報の、気象情報回数、あるいは時間の長さ、あるいは内容、それから映像についても、もう数年あるいは十年前に比べればはるかに量もふえ質も高くなっております。これは当然今までの、従来非常に気象情報というのが単純な簡単な形で行われていたのが、視聴者のあるいは国民全体のニーズが非常に高まってきた。  どういうことかと申しますと、やはり単なる一般的な気象情報だけではなくて、もちろん局地情報も必要だし、あるいはいろいろ生活に関連した、生活の中で気象情報が必要だというようなことで非常にニーズが高まってきたことと当然関係があるわけであります。そういうところでこの十八号答申が出たわけでありますから、先ほど申し上げたように、私どもとしては大変歓迎すべきことであったわけです。  しかしながら、先ほど鈴木先生がおっしゃいましたように、私ども答申に基づいてつくられる法律というものを拝見しましたときに、その精神がどこら辺にあるのか、実は理解できなかった。具体的な方策先ほどから申し上げているような気象情報自由化ということに関連するような具体的な方策がどこにあるのか、その法案、非常に骨子みたいな、骨格みたいなものでございますからあるいは当然かもしれませんが、我々には理解しにくかったということがございます。  したがって、先ほど先生おっしゃったように、我々は気象庁側に、具体的にどういうふうになるんだ、具体的に我々はどう受けとめたらいいのかというふうなことを何遍も伺ったわけですけれども、今のところ具体的なお返事をいただいてないというのが実情でございます。  ただ、当初、この法案法律改正の端緒となった時期に、何といいましょうか、検討されていた時期に、気象庁の方から気象情報有料化というお話が出ました。これは実は後に気象庁が撤回したといいましょうか否定をいたしましたので、現在は有料化というのはないと。これは気象庁側も私ども報道機関に対して文書などでも確約しておりますので、ないということになっておりますが、当初そういうこともあったりしたものですから、我々としては非常に不安というか、今度の法案改正具体的内容についてどうなっていくのか見当がつかないという部分がございました。  さらに、資格制度、今気象予報士という言葉で言われておりますが、資格制度に関してもこれも実は非常にわかりにくい。例えば、私ども気象情報を読むアナウンサーまでも資格が要るのか要らないのか、あるいは気象情報を記事にする記者も資格が要るのか要らないのか、そこら辺から始まりまして、今のところはそのあたりは要らないんだという説明をいただいておりますけれども、それじゃ気象予報士というのは一体どういうことなのか、我々報道機関にとってどういう関係があるのかそこら辺も非常にわかっていないというのが実情であります。  私どもは、先ほど先生がおっしゃったと同じ、したがって法案そのもの賛成あるいは反対というような意思を表明できないでいるという、どっちでもないということではなくて、部分的にせよ、あるいは全面的にせよ、何らかの意思を表示したいのですが、それができない状況にあるということが一つ大問題としてございます。  さらに、今まで申し上げたように、細目について我々は説明を受けていないものですから、極めて不安というか、ちょっと言葉は過ぎるかもしれませんが、気象庁に対する不信感というようなものが若干底流としてあると言わざるを得ません。  気象庁のために若干申し添えるならば、先ほども申し上げたように、何回かの説明の中でいろいろ、こういうことはしないんだ、御心配の点はないんだというような御発言も幾つかいただいておりますから、今ここで特にそこをあげつらうつもりはございません。  いずれにせよ私どもとしては、国民の期待に沿うような情報を出すために、今度の法案改正あるいは細目が我々にとって非常にそういう情報提供するためにメリットがある、これは経済的メリットではなくてメリットがあるというものであればすばらしいというふうに考えておりますけれども、そうなるかどうか実は我々もわかりませんで、正直申しましてこの委員会の御審議をある意味では期待しているというところでございます。  報道機関としての立場から今お話しをいたしましたけれども、今後の問題といたしましては、私どもはいわゆる有料化有料化といいましてもいろいろ考え方がございまして、実費は取るんだというようなお話もございます。この実費一体何であるのか、ここら辺もわかっておりませんけれども、少なくとも、有料化であろうと実費であろうと現段階より、私ども一つの経営をしておりますので、莫大なコスト増になるというようなことは絶対にやめてほしい。これは先ほどから申し上げているように、我々の責務を果たすためにもそういうことはやめてほしいということが一つでございます。  それから、資格制度に関しましても、これも重複になりますけれども報道機関にとってメリットのある資格制度の導入であればこれは決して反対はいたしませんけれども、その資格制度ができた場合に、その資格制度の中で制限を受けるんではないか、私どもは逆に、自由化じゃなくて何らかの制限を受けるんではないかというような不安もございます。そこら辺についてまだまだ不安感というのが残ったまま現在に至っているという状況でございます。  簡単でございますが、私の方からは以上でございます。  どうもありがとうございました。
  8. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 日本社会党・護憲民主連合の委員の櫻井規順であります。どうぞよろしくお願いします。  第十八号の気象審議会答申もよく読ませていただきました。答申として立派な答申だというふうに思うわけであります。特に、こういう高度情報社会の時代の気象情報のあり方という点ではかなり言い尽くしているのではないかというふうに思うわけであります。  それを受けて今度法案化をされたわけであります。大別いたしまして、気象庁固有の一般国民に対する天気情報、それからもう一つは防災関係情報のあり方、そして気象サービス事業者に対するあり方、こういう三つの大綱に分ければなっているかというふうに思うわけであります。  問題は、今度の法案が十八号答申を受けて法案化すべきことをすべて盛り込んでいるかのどうか。一般国民向け、あるいは気象防災システムの方の法案化ということは今後の課題なのか。それは法案化としては必要ないものというふうに、これは鈴木参考人に対する質問でございますが、どんなふうにごらんになっているのか、まず最初にそのことを聞かせていただけませんか。
  10. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) お答え申し上げます。  今後の防災関係お話でございますが、私どもとしては、現在は防災というよりもむしろ災害情報という点に重点が置いてございまして、それを防災対策に生かせるようにいろいろなことをしなさいと。例えば、一元化をした方がよろしいでしょうとか、あるいは各機関とネットワークを組んで非常に迅速に正確にいくようなことを考えたらいいでしょうというのが十八号答申だと思います。その点に関しましては気象事業振興協議会でも別に反対はございません。やはり災害情報というのは一元化した方がよろしい。これは外国の例を見ましてもそういうことになっているところが多うございますので、その方がいいであろうと思っております。  ただ、それが生かせるシステムになっているかどうかということは、ちょっと私ども今まで検討した範囲にございませんのでよくわかりませんが、私個人として審議会の中でいろいろ御議論をした中には関係官庁の方もおいでになりましたが、いろいろ各関係官庁あるいは市町村その他のところでは防災に対する対策を立てていらっしゃって、場合によるとそれによるコンピューターシステムとかネットワークとか、そういうものをそれぞれにつくっていらっしゃるようでございます。だといたしますと、それをうまく結びつけてやるならば、そういった防災対策上から見ましても非常にうまくいくのではないかというふうに私は考えております。  現状が果たしてどの程度になっているかというのは、大変申しわけございませんが、私自身よく存じ上げませんし、もしもだめな点があれば今後いろいろなさるのがよろしいのではないかというふうに考えております。  なお、これから以後の先生方の御質問に対しましても、実は現在までに気象事業振興協議会というものですべて細かいことに関して統一的な意見が決まっているわけではございません。したがいまして、ある部分は私個人、鈴木個人の意見というものも入れて御返事するようになるかと思いますが、その点お含みおきいただきたいと思います。  以上、御返事申し上げます。
  11. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 私の今の質問はどちらかというと、気象審議会の第三部会でしたか、先生部会の方の、部会長さんの鈴木先生に対する質問として受けとめていただきたいと思います。  しつこいですが、今の繰り返しになりますが、気象事業者向けの法改正は今度の法案で大体網羅されていますでしょうか。  それから、今おっしゃった、ちょっと専門外かもしれませんが、防災のための気象情報の一元化というふうに見てみた場合に、法改正というところには関係ありませんでしょうか、どうでしょうか。わかる範囲でもちろん結構なんですが、いかがでしょうか。
  12. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 民間事業者に対して網羅されているかどうかということでございますが、法律の文面だけ見ますと網羅されていると言ってもいいかもしれないんです。ただ、要するに、網羅されていないんではないかと感ずるようなところ、あるいはわからないようなところというのは、省令、政令その他以下の方に全部任されているということになっておりますと、それが省令なり政令なりをつくった段階で抜けないという保証は必ずしもないわけでございます。私どもとしましても、もしも、万一気象庁さんがお気づきにならない点があれば、こういう点が抜けていますよということは申し上げるつもりですけれども。したがって、私実は法律素人でよくわかりませんのですが、非常に骨子だけ、骨格だけという意味で言うならば、網羅されていると言ってよろしいのかとも思います。ただ、問題は中身だというふうに考えます。  それから、防災対策云々の件でございますけれども、気象に関する防災的な情報と申しますと、気象庁が出しております注意報、警報などがそうだと思いますが、そういった注意報、警報等に関しては現在でも出せるのは気象庁だけでございま す。一元化でございます。したがって、それが改正されていないということはやはり一元化されているんだというふうに私は理解しております。したがって、中の取り扱いは別としまして、その面に関して法律自体を変える必要は恐らくないのではないかと、これは素人が大変勝手なことを申しますけれども、そういうふうに感じております。  以上、お答え申し上げます。
  13. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 どうもありがとうございます。  今度の法改正は、鈴木先生が会長をおやりになっておりますこの気象事業振興協議会に参加されているいわば皆さんの事業活動を活性化するために、その皆さんが求めているものにもろにこたえ得る法律だというふうに私どもは当初、今も理解をしているわけであります。  ところが、振興協議会の皆さんからやや理解、コンセンサスが得られていないかの情報がたくさん入ってくるわけでありますが、振興協議会に御結集の皆さんにいわばサービス強化、気象庁データの公開、情報提供、その事業展開のいわば保障、その法律が今日までの過程で振興協議会と、かなりの時間もあったわけですし、去年の十一月五日で二月の国会提案という、確かに時間がないわけですが、今日までの時点をとればかなり時間があったというふうに思うわけでありますが、どんな合意のための作業がなされたのでしょうか。  そして、特に航空会社はともかくとして、気象業者の皆さんもなかなか手放しに歓迎の意向を示さない事情は、政省令の細目がわからないということを今御指摘があったわけでありますが、しかし大体その辺のことは、専門家同士の話ですから合意に到達するというふうに思うわけでありますが、その経過はどんなぐあいだったんでしょうか。
  14. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) では御返事申し上げます。  まず、その経過等につきましてでございますが、実は少なくとも気象事業振興協議会発足する段階で、私ども法律の改正を要するんだという理解はいたしておりませんでした。私自身いたしておりませんでした。そうではなくて、例えばの話でございますが、現在の気象業務法の十七条というのがございまして、法律の中に、これはいろいろ許可をしたら民間の方でも予報ができるというものでございますが、その許可基準をもっと大幅に緩めればできるんではないだろうかというふうな理解あるいはそういう御発言を聞いていたわけでございます。したがいまして、法律改正をするんだというお話をことしの初めに伺いまして、これは大変だというんで、それから非常に回数を多く、部会で申しますと全部で五回ぐらいやっておりますでしょうか、そういうことをやりました。したがって、機会としては非常にたくさんあったというふうに理解しております。  その際に、全部ではございませんが、気象庁の方も来ていただきましてやったわけでございます。ところが、先ほど申しましたように、細かいこと、私どもが非常に気になることを伺いますと、それはまだ決まっていないという御返事しかいただけない場合が非常に多いのでございます。  この法律それ自体文言だけ素人なりに読みますというと、これはおっしゃいますように、民間の気象事業者を大いに支援したり、大いに活性化したりということも可能でございますが、私はそうだとは思っておりませんけれども、非常に悪く勘ぐりますとその下の省令、政令等の決め方いかんによっては、場合によっては圧迫することだって不可能ではないという感じがいたします。  例えば、先ほど申しました十七条というのは全然手が触れられておりません。それじゃ、許認可条項を緩めるのか緩めないのか、あるいはどういうふうに緩めるのかということについてはまだ決まっていないというお話。これがもしも今までと全く同じだといたしますとどうなるかと申しますと、片一方では試験を受けて予報士をつくらなければいけない、その上に現在のものが加わるということになりますとこれは現在より悪くなる、私どもの目から見て悪くなることだって不可能ではございません。私は決して気象庁さんがそういう意向だと申し上げているわけではございませんけれども、そういうことだって可能なんです。ですから、問題はその中身なんだというのが私どもの考えでございます。  その中身についてお伺いしますと、それは決まっていません、それは後で御相談をして決めますという御返事しかいただけないわけなんです。こうなってまいりますとだんだん、先ほどのは極端な例でございますが、悪く言えばある程度の不信感といいますか疑心暗鬼と申しますか、そういうものが民間方々の中に生まれるのもこれもやむを得ないかと思います。そういう疑心暗鬼みたいなものをもとにして考えると、今もろ手を挙げてこの法案をぜひ通してほしい、あるいはどんどんやってほしいと言うだけの元気は出ないわけでございます。  したがって、私どもとしても全員一致でこれは大変結構であるということは申し上げかねますと、それから今後のいろいろなことを見なければわからない、必ずしも全面的に大万歳だというふうには言えないというのが実際の状態かと思っております。
  15. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 そうしますと、政令、省令は後に出るものですからなんですが、しかし輪郭は、イメージが明確になされていないとまずいというふうに思うわけであります。  運輸省のこれ以上の許認可事項をふやすというふうなこと、あるいは運輸省直系の財団法人的なものをこれ以上ふやすことは適当ではない、こう私ども考えているわけであります。十七条が残り、予報士制度が設けられる。しからば、運用の過程で期待するものとして、十七条の許可の手続をかなり簡素化するとか、あるいは予報士制度を国家試験ではなくてもっと他の緩やかなアメリカ型のものにするとか、そういう解決でかなり解消はされるのでしょうか、簡潔に御答弁いただければありがたいと思います。
  16. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 十七条関係の届け出だけではなくて、許可条件みたいなものも非常に緩やかにしていただければよろしいかと思います。  それから試験の問題でございますが、予報士の問題でございますけれども、これは十八号答申では、民間でなければいかぬとかあるいは国家でなければいかぬということは必ずしもはっきりは書いてございません。これは、どちらがより現在の社会に合うかということの問題ではなかろうかと思っております。ただ、現在提出されております法案では、気象庁が指定した試験機関がやる、そうなっております。
  17. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 次に、石川先生お願いいたします。  今度の気象業務法の改正で気象庁情報の公開ということは、あるいは気象事業自由化と言ったらよろしいか、公開とこの自由化というのは前進をしますでしょうか、いかがでしょうか。どんなふうにごらんになっていますでしょうか、最初にそのことを簡潔に御答弁いただければと思います。
  18. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 先ほど申し上げましたように、それも実はわからない、私どもにとって見えてこないというところが実情でございます。私どもは非常にそこら辺が気になるところでございまして、何遍もいろいろ伺いたかったんですけれども、まだ御返事いただいていないという状況でございます。
  19. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 あと、気象情報のサービスの料金の問題または有料化の問題でありますが、今までは気象庁が気象協会を通じてやっていた、今度は明確に法律事項で指定法人を決めてそこでやる。そうすると、大変スケールの大きいやっぱり気象協会になろうか、そのイメージははっきりつかめませんが、全国ネットでつくるわけですから大きいものになろうと思います。そうすると、そこは当然独立採算の収支の会計が確立されなければいけない。そこで料金の問題が出てくるというふうに思います。  それで、報道関係気象庁、国との関係ではこれは従来のものを超えるような料金の加算があってはならないというふうに思うわけでありますが、現行の報道機関への情報気象庁直あるいは気象協会から来る、それはどういうルートになっていますでしょうか。そして今の料金はどういうふうに決まっているのか、簡潔に御説明いただければありがたいと思います。
  20. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 細かく言いますといろいろ複雑なのでございますけれども、一言で申しますと、気象庁から直接来る情報と、それから気象協会など気象業者からある程度加工をしていただいている情報、この二つに分けることができると思います。  当然のことながら、地震であるとか災害情報気象庁からダイレクトに参ります。これは一刻も早く放送すべく体制ができております。気象情報、いわゆる天気予報などに関してはこれは社によって対応が違いまして、気象協会など気象業者を全面的に通しているところもありますし、部分的にお願いをして例えば局地予報だけについてやっていただいているとか、そういう社もございますので一概には言い切れません。  以上でございます。
  21. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 今の料金はどういう仕組みで、どういう考え方で決まっているか、御回答いただけますか。
  22. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 料金と申しますと……。
  23. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 料金という言葉が適切でないかもしれませんが、気象庁情報の中にコストを支払うような、原価補償のようなお支払いはあるんでしょうかないんでしょうか。
  24. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 気象庁に対してはそれはございません。
  25. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 今度新しく指定法人が決められて、料金という問題は全体的には当然出てくるというふうに思うわけであります。その新しい指定法人ができて料金が決まって報道関係だけ無料化ということは、気象庁との直の関係ではなくなるわけでありますから、どうしても料金の問題が出てくるというふうに思うわけであります。  その場合に、報道関係に一定のコストを使って、支援センターはコストがかかると思うわけですが、そのコストの補償については、ちょっとえげつない質問になって恐縮ですが、どんなふうにお考えになりますでしょうか。
  26. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 気象庁さんからは、現在気象庁が出している情報に関しては、今後それを有料化したり料金をとったりすることはしないというふうなこれは確約をいただいております。  問題は、これからさらに情報が高度化していった場合に、そのコストがどうなるのかについては今のところ御説明がないという状況でございます。これは私どもの想像では、そういう高度情報に関しては、やはりその新しい法人なりあるいは気象会社がそれをまた加工して私どものところに流すということになりますと、これは場合によりますでしょうけれども、コスト高ということは十分考えられるというふうに感じております。
  27. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 災害情報気象庁なり法人から有料で買って出すというようなことはこれはもう考えられないことでありまして、出すといっても、おたくの方ではじゃ広告並みに料金を請求しますと言えばそれまでになっちゃうわけですが、そういう話はやめにしまして。  問題は、気象情報をおたくの方で特にテレビでやる場合にスポンサーがおつきになる。そうすると、一定の収入はそこで保障されるのではないか。そういうスポンサーの広告料といいますか、それはどういう判断でおやりになっているのかお聞かせいただけませんか。
  28. 石川一彦

    参考人石川一彦君) この問題も当初、放送にせよ新聞にせよ気象庁から無料で情報をもらって、新聞の方はちょっと違いますが、テレビの場合、それをスポンサーからお金をもらって売っておるではないかというような論議といいましょうか、そういうようなことを言われる方もおりました。  これはちょっと仕組みを御存じない方の御発言でありまして、私どもはもちろんスポンサーから制作費という形で料金をいただいておりますけれども、これは例えば情報を得るための入力の設備、これはかなり莫大な数字になります。そういうものであるとか、あるいはそれを映像化するために、最近コンピューターグラフィックなどを使っていろいろな形で映像化しておりますが、そういう経費あるいは人件費、このあたりを制作費としてスポンサーからいただいておるわけで、気象情報料というような形でスポンサーからはいただいておりませんので、ここら辺は誤解があったようでございます。
  29. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 そうすると、他の広告に比べると天気予報等のあれは安くなっているという理解でよろしいわけですか。
  30. 石川一彦

    参考人石川一彦君) それはちょっと比較が難しいんですが、例えば交通情報であるとかいろいろな情報を私ども受け取ります。その情報を何らかの形で加工して視聴者にお知らせするわけですけれども、そういうものと比較すれば同じでございます。ただ、例えばドラマをつくる場合と比較するということ、なかなかこれはちょっと比較ができませんのであれだと思いますけれども、今のお答えでよろしゅうございますか。
  31. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 あと、気象庁の方も運輸省の方も、ひまわり五号の打ち上げたとか、平成七年あたりを展望して会計上もかなり思案をしているようでございます。そういう状況の中で、無料化を推進していくわけであります。無料化というのは、特に報道関係との間で必要だというふうに思います。しかし、新しい指定法人のコストに当たるような部分について、報道関係会社あるいは協議会と合意の上で形成するということが保障されれば、一定のコスト補償程度の料金というのは考えられることなんでしょうか。
  32. 石川一彦

    参考人石川一彦君) それはケース・バイ・ケースだと思いますが、我々はそれが先ほど冒頭に申し上げましたように、国民のためにメリットがあるというふうに感ずれば当然そういうこともあり得てもいいと思います。
  33. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 どうもありがとうございました。  以上でございます。
  34. 広中和歌子

    広中和歌子君 きょうは貴重なお時間を割いて、大変いいお話を伺いまして、ありがとうございました。  まず鈴木参考人にお伺いいたします。  まず、支援センターについてでございますけれども、新しい法人をわざわざつくる必要があるのかどうかということについて御意見を述べられましたが、現在の体制でやる場合ですけれども、どのような不都合があるのか。そして、許認可を緩めることで対応できるのではないかとおっしゃいましたけれども、もう少し具体的にこの点を御説明いただきたいと思います。
  35. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) まず最初に、支援センターのことについて御返事申し上げます。  現在の体制でできるかと、つまり新しい法人をつくらなければいけないかということ、非常に徹底的に検討したわけではございませんが、例えば財団法人日本気象協会というのがございます。これは全国のネットを持っております。ですから、全国的という面ではその気象協会を利用するということも考えられないことではないと思います。問題は、あとは、それでは気象協会というものが今いろんな各種の細かい要求に対して対応できるだけの十分なものを持っているかというと、恐らくこれは無理だろうということは言えます。それで、もしも無理だという点を強調するならば、何か新しくつくらなきゃいかぬということになるのかもしれません。  それから、これも私詳しくはございませんが、いろいろ伺ったところによりますと、気象協会というのは現在必ずしも全部が全部公益法人というんではないんだそうでございまして、やはり営業といいますか、お金をもうける面も多少あるんだそうでございます。そういたしますと、この法律の文章を見ますとやはり公益法人でないといけな いということになりますから、気象協会を何らかそういう公益的なものに直すとかなんとかいうことをすればできるのかもしれません。それで、それができなければ新しいものをつくらなければいけないのかもしれないと思います。  それからもう一つ、気象協会では悪いという御意見の中に、この法律を拝見いたしますと、試験をやるところとそれからデータ提供するところが必ずしも同じでなきゃいかぬということはどうも書いてないように私は拝見するんですが、それを一緒にするとすると、恐らく気象協会の人たちはたくさん試験を受けるであろう。そのたくさん受けるところが試験をやるというのはどうも公平を欠くんではないだろうかというような御意見がございます。これは必ずしも一緒でなくていいというんなら、その点は別々にするんだというんなら、それは恐らく設けられるだろうというふうに思います。  したがいまして、現状を変えなければいけないか、新法人をつくらなければいけないかという点に関しては、私どもまだ十分納得したわけではございません。納得しかねる点の一つは、新しい法人をつくれば恐らく負担増になるであろう、それはなるべく避けたいという意向があるわけでございます。  それから第二点でございますが、許認可条項を緩めればいいのかというお話でございますが、現在の十七条に基づく許認可というのは、私も出したことございませんので具体的にはよくわかりませんが、これはお役所だからしょうがないのかもしれませんが、非常にいろいろ書類をたくさんつくらなければいけない、あるいはいろいろ条件がたくさんあるということでございます。この点をなるべく緩やかに考えていただきますと、恐らくはそういうような民間の気象事業の方も割合申請はしやすくなるし、認可もされやすくなる。一方で試験で担保されたような方々がおられるということになれば、緩やかにすることによって十八号答申精神を私は生かせるんではないか。問題は、それをどれだけ、どの程度緩やかにしてくださるのかということがわからない、こういうことでございます。  以上でございます。
  36. 広中和歌子

    広中和歌子君 違った予想が出てくる可能性があるということで予報士の制度をつくるということが今回の法案にあるわけでございますけれども予報士という資格を一たん取りますと、その人たちの出してくる情報でございますけれども、それが必ずしも一つではなくて多様な情報が多様な解釈によって出てくる可能性というのはないんでしょうか。そしてまた、そういうことも当然出てきて当たり前だろうと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  37. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 自由化されますと、当然のことでございますが、その予報士個人個人によって予報がいろいろ違ってくる可能性は十分にございます。ただ、あるレベルを押さえておきますと、百八十度違ったような予報は恐らく出得ないであろうと。これは皆さん、それぞれ、科学的根拠に基づいて予報なさるわけでございます。しかも、予報士に許されるのが局地的なものだけだといたしますと、その局地に関しては気象庁が出したのと違っても一向構わない。これが、構わないと申しますけれども、しょっちゅう違っておりますとやはり混乱を巻き起こします。これはある程度は、例えば報道関係で申しますと視聴者なり読者なり、あるいは気象事業者にいたしますとそれのお客さんがいるわけでございます。そのお客さんが見ておりますと、やはりいいもの悪いもの、当たるもの当たらないもの、いろいろございますでしょう、それによって自然淘汰されていくという過程は経るんだろうと思いますが、非常に大きな混乱を巻き起こす災害情報は別といたしまして、そんなに危険だとは私は思っておりません。  むしろ十年なり二十年なりたちまして、一般国民の方のあるいはお客さんの方のレベルが上がってまいりましたら、これは極端なことを申しますと、全く完全にだれがやったってだめなものはだめというんで受け付けなくなるというふうになってくれれば、非常に進歩だというふうに考えております。
  38. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございます。  次に、石川参考人にお伺いいたします。  天気予報は確かに過去十年間ぐらい非常に予報のプレゼンテーションの仕方が多様になりましたし、それからおもしろい。天気予報だとテレビをひねるという人もあるぐらいでございまして、大変よくなっているわけでございますけれども、ちょっと現場からの現状を御説明いただければありがたいと思うんですが、今はどういう形で貴重な情報を得て、そしてどういうふうにそれぞれのテレビ局でプリゼントしているのか、そこに基本的な差というのはあるんでしょうか、内容についてですけれども
  39. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 私は報道局長などをやっておりますが、気象情報をどういうふうにやっているかというのは実は余り詳しくございません。もうちょっと調べてくればよかったんですが。  一般的に申しますと、情報を受け取ってそのままストレートに出す場合、つまり先ほどもちょっと触れましたように、地震速報であるとかそういうものは情報がそのままほとんど同時に、例えば画面にスーパーとかそういう形で出る場合がございます。  それから、いわゆる気象庁発表の情報をいただいて私どもの方で、これは気象業務法で制限を受けておりますけれども、その範囲内で若干いろいろ表現あるいは映像表現などで特色を出すということもやっております。  それからもう一つは、私どもの方の注文に応じて気象事業会社から、こういう情報をくれという形でいただく、あるいはそれを映像化していただく、作図つきでいただくというようなケースもございます。  社によって大分違いまして、私どもの社では今申し上げたこの三種類でやっておりますけれども、ある社では一括して気象情報会社からすべての情報並びに画像をいただいておるというところもございます。ということで御説明になりますでしょうか。
  40. 広中和歌子

    広中和歌子君 その情報会社からいただいているというときには有料なのでございましょうか。
  41. 石川一彦

    参考人石川一彦君) もちろん有料でございます。気象会社はそれを商売にしておるわけですから、私どもは適正な料金、つまりこれはお互いに協議して決めた料金をお支払いいたします。
  42. 広中和歌子

    広中和歌子君 これから自由化になり、さらに多様な情報がもしかしたら可能であるといったような場合には、お互いに競争でさまざまな情報を買うということが起こり得るわけでございます。場合によっては海外からの情報も買うというようなことが起こり得るのじゃないかと思います。日本列島は縦に、北から南に長いわけですけれども、より正確な情報を得ようとしますと、例えば中国大陸の情報も欲しいだろうし、あるいはフィリピンとかそういったような南洋諸島の情報も欲しいというようなことになりますと、私どもはそうしたより多くの情報を使った天気予報というんでしょうか、そういうものを期待するようになると思うんですけれども、当然コストアップということはお考えになっていらっしゃるのじゃないかと予想するんですけれども、いかがでございましょうか。
  43. 石川一彦

    参考人石川一彦君) もちろん、情報を緻密にしたりあるいは映像的にもわかりやすいものにしていくためには、当然のことながらコストがかかるわけでありますけれども、これは先ほど申し上げたような仕組みで、私どもの中で、例えばそういう設備をしたり機械を買ったりしてやりまして、それは制作費としてスポンサーからいただくということですから、これはこれで私どもの判断でできるわけでございます。  ただ、そのもとになります情報が、先ほども若 干触れましたけれども、今までどおりであれば有料化しないけれども、これ以上の細かいことを要求したら有料化しますよと。有料化しますというか、それは法人を経由するにせよ何にせよ、情報の高度化というのは当然お金がかかるわけですから、そういう形でますますそういうものは高くなっていく。そうしますと、私どものいわゆるスポンサーからいただくお金、あるいは私どものいわゆる基準から見た制作費コストを非常にオーバーしてしまうようなケースも出てくる。その場合に、私ども先ほど申し上げた気象業務法十一条などで負っている責務を負えなくなるようなことが起こっては困るということでございます。  したがって、もちろん我々は民間会社でございますからコストは安い方がいいわけですけれども、しかしながら上質のものを出すためにある程度のコストをかけるということは当然のことながら考えますが、それが限度を超して私どもがそれができなくなるというようなことになりますと、やはり国民にとって非常にデメリットとなってくるというふうに考えております。
  44. 広中和歌子

    広中和歌子君 アメリカのケースですと、日本の気象業者のビジネスというのが二百億だとしたら、その十倍あるということで、もし自由化になった場合にはコスト面で非常に、消費者のニーズによってではありますけれども、かなり大きなビジネスになるのじゃないかななんという予想を持っているわけでございます。  最後に、ちょっと具体的なことなんですけれども、現在天気予報をやってくださっているアナウンサーの方ですけれども、その方たちは普通のアナウンサーなんですか、それとも何か気象協会とかあるいは気象庁からお墨つきというんでしょうか、そういうものをもらった方がやっていらっしゃるんでしょうか。そして、今後は予報士方々がそうしたアナウンサーの役割を演ずるようになるんでしょうか。そこのところの予想をお願いいたします。
  45. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 現在はアナウンサーと、それから気象協会あるいは気象会社の解説員といいましょうか、そういう方の二種類に分かれております。  将来でございますけれども、これはちょっと先ほども申し上げたように、気象予報士の性格がはっきりしませんのでわかりませんが、今までの御説明では、気象予報士そのものが画面に出てきておしゃべりするということではなくて、その方々からいただいた情報をアナウンサーなりあるいは解説者が読むというようなことというふうに理解しております。
  46. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。質問を終わります。
  47. 河本三郎

    ○河本三郎君 鈴木先生、また石川局長、きょうは早朝から御苦労さまでございます。私は自民党の河本三郎でございます。  冒頭の意見陳述、またこれまでの御答弁をリピートしていただくような形になると思いますが、確認のためにどうぞよろしくお願いいたします。  今回の法改正では、気象予報士制度の導入、また民間気象業務支援センターの設置、この二つが大きな柱であると理解をしておりますが、この十八号答申天気予報自由化答申されたものと思いますが、その具体的な内容をお伺いいたします。鈴木先生お願いします。
  48. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 十八号答申の中身という御質問かと受けましたんですが、先ほど申し上げたことの重複にならないように何か申し上げたいと思います。  十八号答申というのはある意味自由化を目指したものだということ、これは自由化という言葉の定義にもよりますけれども、御質問のとおりかと思っております。要するに、先ほども申し上げましたが、非常にいろいろな種類社会活動に緊密に結びついている気象情報というのは、欲しい方の側から申しますとどうしても非常に細かいこと、あるいはいろんな要求が出るわけでございます。私はこの局地のものが欲しい、隣の方はここのゴルフ場のが欲しい、ある人はあしたあさってだけでいいから欲しい、ある方は一年間を通じてのが欲しいと、いろいろな御希望が出てくるわけでございます。それに即応したものをやれるかと申しますと、先ほど申し上げたように社会の中のいろいろネットワークであるとかあるいは科学技術的に見た気象学あるいは天気予報に関する技術の進歩というものを見ますと、それがうまくやればできるであろう、こういうことでございます。  そうだとしますと、できるんならやった方がよろしいというわけでございますが、非常に個別的に出てくるものに全部国が対応するあるいは気象庁が対応するというのは、これは不可能でございますから、気象庁はやっぱり一般的な天気予報なりなんなり、あるいは基礎的なデータなりそういったものをお持ちになって、先ほど申し上げましたメソ量的予報と申しますが、そういったものに対してやっていただきたい。そういったものを民間に出していただいて、民間はどうするかといいますと、これはお客様の要望に応じてそういうものを場合によっては調理加工して出すといいますか売るということになりますか、そういうことをするようにしたのがよろしかろう、こういうふうに思うわけでございます。それが答申内容の中の一部でございます。  ただ、それをやるときにそれでは、先ほども申し上げましたが、例えば私個人でパソコン通信なんかに入っておりまして、それを勝手にどこかから、有料、無料は別として得ることができるようになるわけでございます。そうしますと、私が勝手なことを、それで余り科学的根拠のないような天気予報をやりまして、それを一般向けにこうだぞこうだぞというようなことをやると、混乱を起こす可能性があるわけでございます。現に、アメリカなどは非常にある意味で逆のコースをたどっておりまして、だれでも勝手にやってよろしいと、こういう形につい最近まで災害情報に至るまでなっていたわけでございます。そのためにパニックを起こしたりなんかという例もございます。そうなってしまうのは困りますので、やはり最低限の科学的なレベル及び先ほど広中先生から御質問のありましたプレゼンテーションなんかの技術も大事だと思いますが、そういった種類のことに関するある程度の資格制度みたいなものは要るんではないだろうかということ。  それから、先ほどは申しませんでしたが、現在のいろいろ技術的な水準になりますと、データというのが数値的なデータ、形で出てまいりますデータ、あるいはそれをちょっとやりますと画報、画像情報と言ったらよろしいんでしょうか、グラフに書いたり、あるいは一日の温度のあれを時間的にグラフに書いたり、最高温度というのがいつごろ出ますよとか最低温度はいつごろ出ますよというふうなことも一日で見てわかるようなものになるであろう。そういうふうなものにして出したのがよろしいんではないかということも言っております。そういうようないわゆるコンピューターコンパティブルと言ったらよろしいんでしょうか、そういったものに乗せ得るような形にして出すということが可能になってくるわけでございます。  そのためには、やはり先ほど申しました何らかの意味レベルの保証といいますか担保と申しますか、そういうものが必要であろうし、あるいは気象庁さんがそういう細かいものに使えるようなデータを全部出してくださる。殊に、現在どうなっているかと申しますと、いろいろ気象庁さんは天気図その他をおつくりになりますけれども、その天気図に隠れてよく見えないような種類のものというのは、予報官の方々の知識と経験というものに基づいてそれを加味していろいろ気象庁さんは予報を出しておられるわけでございます。そういたしますと、もしも私どもの言っているようなことになりますと、そういったような今まで頭の中にあったものも数値情報としてコンピューターに乗せられるような形になり得るのではないかということになります。  そうなってまいりますと、データといってもまずもとは非常に多量にございます。その中の、要望によってはここの部分だけが欲しいとかこれをこういうふうにしたものが欲しいとかということになりますと、非常にきめの細かいデータ提供をしなければいけない。それに十分たえ得るような何かのシステムを考えたらよろしかろう。そういうものをつくるためには要するに官と民が一体になってやらなければいけないから、今後とも十分相談をしてお互いの納得のいく形のものをやっていってほしい、こういうのがごく大ざっぱに申し上げまして十八号答申内容でございます。よろしゅうございましょうか。
  49. 河本三郎

    ○河本三郎君 気象予報士制度の資格制度とか必要性を具体的にお教え願いたいんですが、鈴木参考人お願いいたします。
  50. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) これはある程度必要だと私は考えております。なぜかと申しますと、全くそういう資格がなくてそして勝手に自由化をいたしますと、先ほど申し上げましたように、場合によっては個人レベルでも、あるいは個人でパソコン一台持っていて事業所を名のることだってできるわけでございます。そういうところがいっぱい出てまいりまして勝手気ままなことをやられたんではこれは混乱がひどいというふうに考えます。したがって、いかなる予報を出すにせよ、ある程度の基礎知識と言ったらよろしいでしょうかそういうものが必要なんではないだろうかというふうに考えます。  例えば、全然自然科学なんかに興味のない子供なんかがおりましてパソコンを持っておりまして、そういうものを得手勝手なことを言って勝手にやってもよろしいかということになると、これは少なくとも現状ではそれだけの判断が一般の社会でできるかというと、ちょっと難しいかと思っております。  したがって、予報士というものが必要であるかどうかということに関しては、私は何らかのものが必要であろうと思います。これも実は十八号答申議論しておりました段階では、予報だけに限ったものではなくてもう少し、アメリカなんかにはございますが、いろんな相談に応じたりなんかをする気象士と言ったらよろしいんでしょうか、メトロシスト、つまり予報だけじゃなくてもっと広い範囲のも考えてみたらどうかというような御意見もございました。ですから、十八号答申には予報士という言葉は出ておりません。自由化をするに当たっては何かの担保が必要であろう、こういうことを言っているわけでございます。
  51. 河本三郎

    ○河本三郎君 気象事業振興協議会は法改正についてどのようにお考えか。これは積極的に賛成する社は一社もないと聞いておるんですが、これについて鈴木参考人お願いいたします。
  52. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) これもどう考えるかということについては多少重複になるかと思いますが、お許しいただきたいんですが、現在のところ、法律そのものに真っ向から反対しているわけでは決してございません。これは一部間違って伝えられているところがあるようでございますのであえて申し上げますが、それでは決してございません。しからば賛成かと言われると、賛成とも言えない。なぜ言えないかといいますと、要するに私どもが一番気にしていることは、省令、法令等で出てまいります中身でございます。  先ほど最初に申し上げました例で申しますと、予報士というものをつくる必要が仮にあるとする。そうしたら、その試験をどのぐらい難しくするか。余り難しくしたら結局非常に限られた人しか通らないではないか。それから、うんと、めちゃくちゃに易しくしてしまったら完全自由化予報士なんかないのに等しいではないか。こういうことが気になる。あるいは、予報士を設けて予報自由化するというんですが、例えば時間的にどのくらいの、長期予報までやっていいのか悪いのか。あるいは、局地の方はよろしいというんですけれども、局地というのは一体どのぐらいなんだということになります。そういうことについてのことがわからない限り、私ども賛成とも反対とも言いようがないというのが実情でございます。  したがって、積極的に賛成の社は一社もないということを気象庁長官への要望書に書きましたけれども、これは全くの事実でございまして、現在もろ手を挙げてこれでいいからどんどんやってくれと言う社は一社もございません。それは確かです。それじゃ、真っ向大上段につぶしてしまえということを言っておられるところがあるかというと、これもない。なぜないかというと、先ほど申し上げたように内容がわからないからでございます。内容がもう少し具体的にわかれば、会員の中である方は賛成、ある方は反対、こういうことが言えるんではないかというふうに思っております。
  53. 河本三郎

    ○河本三郎君 ありがとうございました。  それでは、次に石川参考人にお伺いをいたします。  民間気象業務支援センターの設置に関連して、報道機関は懸念を表明したと聞きますが、具体的にはどのような問題か、お伺いいたします。
  54. 石川一彦

    参考人石川一彦君) これも今鈴木先生がおっしゃったようなことになるんですが、今センターそのものに反対しておりませんけれども、懸念というのは、具体的な業務内容が非常に不明確であるということが一つ。それから、先ほど鈴木先生からもちょっとありました気象協会との関係で、私どもは気象協会が万全ということは申し上げる気はございませんけれども、決して気象協会で不満があるわけではなくて、従来どおりでも一向に構わないというふうに考えているわけです。さらにもう一つは、いわゆる実費という形で実質的な有料化がこのセンターを通じて行われるんではないかという危惧、ここら辺が私どもが持っている懸念でございます。
  55. 河本三郎

    ○河本三郎君 気象予報士制度の導入により報道が制約されてしまうのではないかと聞いておりますが、これに関してお伺いをいたします。
  56. 石川一彦

    参考人石川一彦君) それについては二つの側面があると思いますが、必ずしも私どもは非常な制約を受けるというふうに考えているわけではないんですが、今のところ、私ども気象庁あるいは気象協会あたりから得た情報でもって比較的濶達に情報提供しているわけです。これが逆に気象予報士という形で免許制度というような形になると、私どものそういう多少濶達にやっていた部分さえ失われてしまうんではないかというようなことが一つございます。  それからもう一つの側面は、これは先ほどちょっと申し上げましたが、そういう経路、つまり一種の経費を要する経路といいましょうかコストのかかる経路を経過しないと私ども情報を得られないということが、それが金額的にある限界を超したときに我々の負担に耐えかねるということが出てくるんではないか、そういう心配がある。この二つの側面がございます。
  57. 河本三郎

    ○河本三郎君 以上です。終わります。
  58. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民社党の直嶋でございます。  まず鈴木先生にお伺いをいたしたいと思います。  先ほど十八号答申内容あるいは背景についてかいつまんで御説明をいただきました。私も読ませていただいたんですが、答申内容と今回の法案と若干ギャップがある部分があるんじゃないかと思うんです。  一つ気象予報士の問題でありますが、先ほど鈴木先生がお答えの中で、ある程度の知識を持った資格のある人が必要だ、こういうふうにお答えでしたが、答申をよく読みますと、例えばアメリカの検定制度を紹介したりしておりまして、国家資格とは言っていないんですね。ですからこの辺、本当に例えば局地予報をやる場合にそういう国家資格が必要なのか、これが一点です。  それからもう一つは、さっきおっしゃったようにいろんな局面が多分あるだろう。答申の中にも多方面にまたがる検定制度という表現が入っておりましたが、恐らく実際のユーザーニーズに よっていろんな局面で判断が迫られるだろう。そうすると、一つの国家資格的なもの、気象予報士のようなもので果たして一律でやることが本当にこれからの民間のさまざまな需要に対応できることになるのかどうか、やや私疑問を持つんですけれども、この点御意見を聞かせていただければと思います。
  59. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) お答え申し上げます。  まず、国家試験でなければいけないかどうかということでございますが、これは絶対に国家試験でなければだめということはないのかもしれません。先ほどお話がございましたアメリカの例でございますが、アメリカは確かに民間のサーティフィケートと申しますか、認証制度と言ったらよろしいのでしょうか、がございます。ただ、アメリカのはもっと自由でございまして、この認証を受けていない人は天気予報をやっちゃいけないかというとそうではございません。勝手にやってよろしいのでございます。ただ、テレビ等にお出になるときに、サーティフィケートも二種類ございますけれども、この人は要するにどこどこの免許を持った人でございますよというのを前に置きますと、それは視聴者から見ますとそちらの方が信用が置けるという、いわばテレビ会社の宣伝に使われている面もなくはない、そういう気がいたします。  日本の場合は、先ほど私が申しましたように何らかのレベルの保証あるいは担保というものが必要であろうというふうに私も考えておりますし、十八号答申でもそれを言っております。その何らかのというのは、必ずしも国のものでなければいけないか民間でなければいけないかということは十八号答申では何にも言っておりません。  ですから、これは現在の日本の社会でどちらがよりよく受け入れられるか、あるいはよりよく機能するかということではないかというふうに私は考えております。ですから、民間であってはいかぬとか国家であってはいかぬということはない、もちろん内容いかんでございますけれども。例えばアメリカの場合は気象学会がやっております。日本も日本気象学会というのは民間でございますけれども、そういうところでやるということだって必ずしも絶対にいけないということはなかろうというふうに思っております。  ただ、国家試験ではどうしていかぬかということも私にはよくわかりません。公平に行われるならば国家試験であっても、例えば技術士であるとか、あるいはもっといろんなことを申しますと、自動車の免許証から日本にはいろんなあれがあるわけでございます。それの中で、現在のものに適用した場合に非常に悪く働くであろうというものになるとは思えませんので、どちらがいいかということは、これは専ら社会情勢なりあるいは行政の考え方なりいろんなそういうものによって決められるものだと理解しております。  それから第二番目に、いろんな局面があっていろいろな多様なものが要るんではないか。確かに十八号答申のときにはそういうことを考えました。あるいはそれを一括して気象士みたいなもので全部をカバーするようなものも考えられるんじゃないかというお話もございましたけれども、全部をカバーするということになりますとだんだん難しくなってだんだん通りにくくなります。それで、最初は私どもあるいは気象庁さんなんかでもある程度幅の広いものをお考えになった時代があるやに聞いております。私どもも考えたことがございます。ただ、実際にそれをやりますと、だんだん難しくなってくるとだんだんいろいろ御反対も出る。  一番影響が大きいのは何かと申しますと、やっぱり天気予報でございます。予報が勝手気ままに勝手なことを言うというのではこれは困るであろう。コンサルタントみたいなものだったらまだいいのかもしれませんけれども。というのは、コンサルタントみたいなものに頼みに行く人がある程度考えるわけでございます。ところが、予報を一般に出すということになりますと、これは頼みに行かなくてもどんどん出しちゃうことだってあり得るわけでございます。やはり予報というのが一番そういう意味では危険性が多いということで、予報士というものが最終的に予報士だけで生き残ったんだろうというふうに、これは気象庁さんの腹の中を想像するとそういうことになるわけでございます。  これで十分かと言われますと、必ずしも場合によっては十分でないものがあるかもしれません。もしもその弊害が非常に出てくれば、もっと広い範囲のものあるいはもっと狭い範囲のもの、別の範囲のものを考えるような時代が来るかもしれませんけれども、現在は恐らくそういうことではなかろうかというふうに考えております。  以上でございます。
  60. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう一点鈴木先生にお聞きします。  先ほど来、要するに政省令の内容がよくわからないので判断できないと。これは実は私どもも一緒でして、今我々も実は困っているんですけれども、このことは別にしまして、先ほどお話の中で特に要望という形でおっしゃっておられましたが、多様で豊富なデータを安く提供できるようにしてもらいたい、あるいはこの内容によって民間事業が圧迫されるようなことになってはいけない、こういうふうにお話しされていましたが、そういう視点で見ました場合に、今度の制度、どこが一番ポイントになるというふうにお考えでしょうか。その点お聞かせいただければと思うんです。
  61. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) お答えいたします。  まず、多様で豊富なものを安くということでございますが、これは私ども使う方の立場から言えば当然のことでございます。これに対して、どうも伺っておりますと、少なくとも最近までいろいろ気象庁の方の御説明を伺いますと、内容よくわからないんですが、何となく新しい法人をまずつくろうではないか、そこでやらせようではないかというような、これは多少私どもの勘ぐりもございますので、げすの勘ぐりだと言われればそのとおりなのでございますが、そういったような疑惑がなくもないというわけで、それで先ほど申し上げたような希望、要するに何も法人を新しくつくるということに固執する必要はないじゃないか、どうしても必要ならそれは別ですが、そうでなくても、例えば豊富で多様なデータを安く配信できるようなそういうシステムがあるんならば、そっちも考えに入れてもいいんではないかということを考えております。  それから第二点でございますが、民間を圧迫しゃしないかと、こういう話でございます。これも内容がわかりませんので、民間を圧迫するかどうかは要するに下の内容いかんだと思います。  例えば、これはアメリカとの対比で申し上げるといいかもしれませんが、アメリカでは数年前に民間でやれる事業は政府がやっちゃいけないということを決めたわけでございます。そのかわり、例えば災害情報などはシングルボイスと申しますか、一元化しなければいかぬとか、そういうことも決めていますが、とにかく民間事業がやっていることを政府が同じことをやっちゃいかぬということを言っております。  その前に、今度の法律を見ますと、民間でやっているのと同じことをやってはいかぬということは書いてありません。むしろ逆に、見ますと、いろんな委託業務が受けられることになっている。これも全くげすの勘ぐりで、気象庁さんがそう思っていらっしゃるということは申し上げませんけれども、例えばこれを逆用いたしまして、そして気象庁さんがどんどんいろんなことを引き受けて、まあそれだけの人員もないと思いますけれども、どんどん引き受けてどんどんおやりになると、これは当然有料でございますから、そういうことをどんどこどんどこやられますと民間は圧迫される。こういうことで、先ほど試験士のほかにも、悪く考えればそういうことも全然不可能ではない。現在の法案だけを見ますと、そういうことになります。  ですから、そういうことのないように、まあそんな極端なことはないと思いますけれども、いろんな意味内容をかたくいたしますと、これは申し上げても政府からしかられないと思いますが、少なくとも日本のお役人さんはかたくかたくいろんなことをなさる傾向がございます。非常にかたくかたくやりますというと、下手をすると民間を圧迫するということも不可能ではないというふうに考えております。  以上でございます。
  62. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 では次、石川参考人の方にお聞きしたいと思います。  先ほど来いろいろお答えありましたので大体わかったんですが、天気予報報道機関が一般大衆に伝えるという立場で、今回の改正案で簡潔に言いますとこれは魅力的な内容になるのかどうか、その点お聞きしたいと思います。
  63. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 大いになり得るというふうに考えております。魅力的というのが、エンターテーメントと違いますから、そういう意味での魅力的ではございませんけれども、やはり国民生活に必要な非常に多様なニーズにどんどん、まだまだこたえていける。  御承知かどうかわかりませんが、例えば私どもの局で朝の五時台に天気予報だけの番組をやっております。だけと言いますとちょっと語弊がありますけれども、要するに天気の番組をやっております。この中で例えば釣り場の情報、釣り場のきょう天気はどうだとか、それからゴルフ場はどうであるとか、まあゴルフ場はちょっとあれかもしれませんが、等々の予報が非常に好評でありまして、ますますもっと細かい、また洗濯情報であるとかあるいは花粉情報であるとか、いろいろやっております。そういうニーズが非常に高まってきておりますので、そういう意味で魅力的な番組にすることもできますし、また逆に言いますと、私どもの仕事からいいまして、そういうニーズにこたえれば視聴者が見てくださるということになりますから、大変これも結構な結果になるというふうに考えております。
  64. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。
  65. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 日本共産党の高崎です。  まず鈴木参考人にお尋ねいたしますが、今回の法改正の前提となっている、局地予報民間事業等に役割分担させるということに関連してお尋ねいたします。  一つは、今まではごく限られた特定の人にしか許可されていなかった予報について、新たに局地予報について一般公表も含めて拡大されたわけですけれども、そのことによって気象庁の業務が縮小されていくのではないかという懸念を国民としては抱いているわけで、気象庁としては逆に一層精度の高い情報をきめ細かく提供すべきと考えるわけですけれども、この点のお考え方をお聞かせください。
  66. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 御返事申し上げます。  気象庁の業務が縮小されるのではないかということをおっしゃいましたが、私むしろ逆じゃないかという気がいたしております。つまり、今のままで例えば勝手にやってもよろしいということを十八号答申は言っているわけではございません。例えばメソという、今よりももっと細かい天気予報を、何といいますか、天気のエレメントみたいなものをいろいろ計算したりなんかして出しますが、そういうことをやって、センターを通すなり通さないなり、いずれにせよそういうものを民間に出すわけでございますから、どちらかというと私はほかの仕事を減らさない限り気象庁としては仕事がふえるというふうに思っていたんでございますけれども。仕事が減るということは恐らくないんじゃないかと思っております。その仕事のふえるのが労働組合さんや何かから見てうれしいかうれしくないかというのは別といたしまして、どっちかというとふえる性質じゃなかろうかというふうに思っております。もちろん、それに対する人員等を手当てしてもらえればそれはまた別でございますが、そういうふうに考えております。  その一点でございましたでしょうか。まだございましたでしょうか。大変失礼でございますが。
  67. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 一層精度の高い情報気象庁としては提供すべきだというふうに考えるけれども、その点いかがでしょうか。
  68. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) そのとおりでございます。答申にも書いてございますが、気象庁としては現在よりも精度のいい、一般的な予報気象庁自身がやってくださるんですが、それに対してもっと精度のいい、精度のいいというのは当たる確率も高いし、あるいは場所に関しても今で十分かどうか、あるいはもう少し県なら県というものを分けた方がいいのかどうか、こういう問題もございますし、それからいろいろ長期予報あるいは時間的にも何時間先までやった方がいいか。気象庁さんのことですから、これは民間会社と違いましてというとあれなんですが、いつの時代になっても気象庁が発表する予報というのは、これは国が発表する予報でございますから、それだけ気象庁さんとしては責任があると思います。したがって、それだけ厳密でなければいけないというふうに思います。  つまり、民間会社の場合はお客さんがなくなっちゃうというのがございますけれども気象庁の場合はお客さんがなくなるということは起こり得ないわけでございますから、そういう意味でやはり精度も高い、場所も細かいということをやらねばいけないと思います。  しかし、ただ申し上げたいのは、精度を上げるのはいいとして、場所を細かくすればといって今の社会要求に応じられる方、例えば先ほどゴルフ場のお話とかがございましたが、後楽園球場の今晩の天気はどうかとか、どこどこゴルフ場はどうかとか、それからあるいは行楽地のどこはどうかと、そういう細かいところまで一々全国民ニーズにこたえるほどのことは気象庁さんとしてはとてもできないだろう。これも極端に大きな人員と予算がつけばそれはできるかもしれませんけれども、できないであろうというふうに考えるわけでございますのですけれども民間に仮にそういうものを委託するにいたしましても、気象庁自身がそういう精度を上げていかない限り、これは民間だけではできないというふうに考えております。
  69. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 重ねて鈴木参考人にお尋ねいたしますが、局地予報民間会社が行うことにより、気象庁が行うことになっている防災情報との関連についてなんですけれども民間事業者は注意報とか警報は出せない仕組みとなっておりますが、これは当然のことと思います。  ただ問題は、民間会社がすごい雨が降るというような予報をした場合、これは注意報、警報に相当する表現になっていて、この予報と注意報、警報との区別が厳然とつけがたいという問題があって混乱を起こすことが出てくるのではないか、そうなるとやっぱり防災上の問題が生ずるのではないかと危惧されるわけです。この関係についてどうあるべきなのか、また気象庁の防災情報を確固として提供するためにどのような対応をすべきなのかについてお聞かせください。
  70. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) ただいま御質問のございました点は大変そのとおりでございまして、それじゃ防災情報というのはどこからどこまでなんだと。これはアメリカでも防災情報一元化というので私聞いてみたことがあるんですが、はっきりした返事は得られませんでした。  例えば、雨がだんだん強くなる、強くなったらどこから果たして防災なのか、どこから先は防災でないのか、これは現在はっきりいたしておりません。これは気象庁の方に伺っても、これもはっきりしたお答えをいただくのは無理かと思いますが、はっきりいたしておりません。したがって、おっしゃるような混乱が絶対起きないという保証は恐らくないんだろうと思います。  ただ、ある時期から非常に防災情報的な要素が強くなれば、当然その時点からは気象庁さんの一元化されたものが先ほどのダレイクトに情報なり なんなりの方に流れます。そうしますと、その時点から民間で勝手なことは言えなくなるということになりますので、どういうことが起きるか、これも全くの想像でございますが、恐らく、前にこう申しましたけれども気象庁さんの方ではこういう防災情報を出しておられます。したがって、これから先は私どもの個人的なものは言わないということに相なるんではなかろうかということであります。これで混乱が起きないかといいますと、絶対起きないとは申せません。多少の混乱は起きるかもしれない。  あるいは、そういうことの場合には、例えば地震なんかの場合いい例なんですが、これとは違いますけれども、デマというのがよく飛びます。気象情報に関してもデマが飛ばないという保証はございませんので、前にああいうことを言った、気象庁はその後言わなくなった、どうも怪しいんじゃないかというデマが飛ぶとか、そういうことの可能性は絶対にないとは申しません。これはやはり社会の成長なりなんなりによってある程度直していく以外にしょうがないんではないかというふうに考えております。
  71. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、石川参考人にお尋ねいたします。  日本テレビも所属しておられます新聞協会は、この法律改正案に対し、先ほども報道機関提供される気象情報の実質的な有料化につながるのではないかと現在も不信感、不安は残っているというお話でした。報道機関は、気象業務法の十一条と十三条で義務があり、国民にとって防災情報などの重要な伝達機関としての役割を果たしておられるわけで、法律上協力を義務化されているということですから、本来は報道機関から気象情報に伴う料金はどんな形であれ、コストも含めて取ることで本当によいのかというふうに私は大変疑問に思うわけで、その点についてのお考えをお聞かせください。
  72. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 一面では先生のおっしゃるとおりで、そういう形でお金を取るということは、これは私ども民間放送という経営の立場だけではなくて、基本的な問題としておかしいんではないかと思いますが、これも先ほど触れましたように、やはりそうは言っても、きめ細かい情報あるいは非常に局地的な情報であるとかあるいは視聴者ニーズに応じた情報を出すためには、気象庁だけの力ではそれは確かに難しいところがあるだろうということは私どもも感じております。したがって、そういう形での情報を出す、今のところは気象事業会社ですけれども、そういうところに、これはビジネスの問題として料金を話し合って決めるということは、これはある程度やむを得ないだろうというふうに考えております。
  73. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 最後石川参考人にもう一つお聞きしますが、気象庁から受ける情報はファクスからの本当に限られた情報にすぎません。より高度な気象情報を求めていけば支援センターから受けざるを得ないということになるわけで、これは当然有料化ということになるわけで、私たちとして心配することは、報道機関がより高度な気象情報を得るために競い、争うことにならないのか。そのために、報道機関によって気象情報が違ってくるということも考えられるわけです。もともと気象予報情報というのは防災情報と密接不可分の関係であり、提供すべき気象予報情報提供というのは本来格差があってはならないのではないかというふうに思うわけですけれども、その点いかがでしょうか。
  74. 石川一彦

    参考人石川一彦君) まず防災情報に関して、これはやはり私どもも今の段階では、これは受けたものをダイレクトにそのままできるだけ早く流すというのが原則だろうと思います。したがって、その中に解釈を加えたりあるいは余計なことをつけ加えたりするのは望ましくないというふうに考えます。  ただ、情報をわかりやすくあるいはますます生活その他に役に立つようにするための競争というのは、これは当然あっていいと思いますし、その競争が天気予報なりあるいは気象情報の番組の質を高めるというふうに考えます。
  75. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 終わります。ありがとうございました。
  76. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 改革連合の井上でございますが、お尋ねをいたします。  まず、きょうは御苦労さまでございます。  冒頭、両参考人にお答えを願いたいんですが、本日のこれまでの内容をお聞きしまして、一体この法律の改正が今すぐ必要なのであろうか。もっと極端に言いますと、予報士制度は今の状況でどうしてもつくらなきゃならぬのか、あるいは気象業務支援センター、これもどうしても必要なのかどうか、これはますますわからなくなったわけです。  そこで、最もヒステリックな見方をすれば、これはお役人さんの天下り法人一つ余分につくることだ。行革審で言う、最近の傾向からいうと逆行するものである。もう一つヒステリックに言うと、許認可業務を減らせ、規制を減らせという国民の声の前で、実は近く行政手続法が上程予定ですが、この行政手続法がもし成立すれば、許認可については通達も含めて、鈴木参考人が何回も繰り返された、政令、省令がわからないので不安が残る。その政令、省令から通達まで含めて一挙に国民が知ることができる。だとするならば、そういう前に、例えば予報士をつくって公然たる天下り先を拡大するということも、これはまあうがった見方として。  そうすると、なぜこんなに我々もきょうお話しを聞いてもよくわからない法律を今すぐつくらなきゃならないのか。財団法人の気象協会あります。気象協会に行きましたところ、環境アセス等の事業で六割ぐらいの収入を得てやっと気象協会の財政ができ上がっていると。しかし、公益法人であるために荒稼ぎができませんと。それじゃ今度財団法人の気象業務支援センターをつくっても、これも公益法人で荒稼ぎしちゃいけませんよ。そうすると一体、こういうものを一つの上にまた一つつくって、屋上屋を重ねていく。  考えてみると、大蔵、通産は天下り先が多いんでいいんだけれども、運輸でも日の当たるところではいいんだけれども、気象業務という非常に地味で半ば学者的な仕事をやっている人にとっては、五十後半から六十にとっては第二の就職先が極めて厳しい。じゃ今のうちにそれをつくろう。これは大変皮肉な見方なんでございますが、そういうことも私はちょっと考えて、これはどうしてこんなに急ぐんだろうか、両参考人に現状のままで何が困るのか、お教え願いたいと思います。
  77. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 今すぐ必要かどうかということに関してでございますけれども、現在の気象業務法では、通達その他のことを大幅に緩めない限り、今のままの気象庁の方針、今のままの許可条件その他をやりますと、これは現在とは何にも違わないことになります。これでは十八号答申趣旨に沿ったやり方とは言えないと思います。  しからばそれを、私どもは十八号答申をつくった立場から申しますと、なるべく早く実現したいというわけでございます。実現するのに法律が必要なのかどうかという点に関しては私はわかりません。ですけれども、少なくとも政令、省令、その他いろんなものに関するものは直す必要があるだろう。直さないと、現在ので縛られてしまってはかなわないわけでございます。  ですから、それがもしも問題がないものであるならば、なるべく早くやるということに関しては別に反対はいたしておりません。ただ、何もわからないまま、我々の意見も聞かないうちにどんどんそういうものをつくられてというのは、これも先生のお言葉をかりますと、勘ぐった言い方を申しますと、例えばお上がこう決めたんだ、さあ守れ、もうこういうふうに決まっちゃったんだ、だからおやりなさい、こういうのは大変困るということでございます。ですから、今すぐできるものならそれで結構でございます。それから、その点で非常に問題があるというようなことがあるならば、それは今すぐでなくても、よりいいものができる可能性があるならばそれはそれでも結構だと いうふうに考えております。  それから、天下り云々の問題でございますけれども、確かにある種の議論の席で、そういう天下り先をつくるために新しい法人をつくる、そのために我々の負担がふえるというのはとんでもないと言わんばかりのことをおっしゃった会員の方もおられます。これは民間からすれば当然のことだと思います。現在考えられているものが新しい法人だといたしまして、これが天下り先になるかどうかはちょっとわかりません。確かに天下り的な法人というものが世の中にないわけではないというふうに私は理解しております。ですから、そうではなくて、天下り先をつくるということではなくて、それが本当に配信体制のために必要であるというのならば、それは別に新しい法人をつくるからといって反対するわけではございません。  先生おっしゃいましたように、多少逆行する面もあるかもしれません。今法人をまとめようというようなお話が出ているように伺っておりますが。ですけれども、私どもが考えるところ何も新しい法人をつくらなくても、先生もおっしゃいました、いくんではないかと。それはいくかどうかわかりませんけれども、そういうことも検討していないわけではございません。多少いろいろ考えております。例えば気象協会を改組してみたら、形を変えてみたらどうだ、そんなような御意見も出ております。ただ、協議会として最終的にそういう意見でまとまったという段階ではございません。  以上でお答えになりますでしょうか。
  78. 石川一彦

    参考人石川一彦君) ただいま鈴木先生がほとんどおっしゃられましたので余りつけ加えることはございませんが、一言で申しますと、私冒頭に申し上げましたように、十八号答申精神具体化した法案、あるいは政省令の改正などはこれはできるだけ急いでいただきたいということでございます。ただ、何度も申し上げているように、そういう法案なのかどうかがわからないというのが現段階でございます。
  79. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 あと二分ほどしかありませんが、私の考えでは、国民の税金で気象情報というのは生まれてきている。したがって国民にこれを返す。情報を返すのになぜお金が要るのか。送る手続、送る電気代が要る、これは当たり前である。そうするとそういう際に、気象庁から難しい情報が出るのではわかりにくい、あるいは困ることもあるというので、ワンクッション置いて財団法人日本気象協会ができた。そこからまた情報が流れる。だとすれば、情報というのは本来国民が開示を求めるものはただで上げればいいわけです、それは国民は税金を払っているわけですから。そうすると、十八条の規制の問題についても差し支えのない範囲で緩和していけばいい。  自動車の免許証でも、普通乗用車の免許と、バス、トラック、タクシーの免許と、さらに重機類の免許と分けるわけですから、だからそういうことを考えて緻密に考えればいい、そういうふうに思うのでございますが、鈴木参考人最後にお答え願いたいと思います。
  80. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 例えば予報士に関してもいろいろランクを設けたらどうだ、こういう御意見も私ども協議会の中でございました。ただ、予報ということに限りますと、一級予報士、二級予報士、三級予報士ということになるとなかなか大変だろうというので、これも意見としてはまとまっておりません。先生のおっしゃいましたような意見がないわけではございません。  それから第一点の、本来国民の税金で気象庁が得た情報ですから、それをただで国民に示す、そのことはおっしゃるとおりかと思います。ただ、それじゃ気象庁が現在持っているもの、仮にコンピューターの大きいのがあるとします。それは要するに数値データでございます。これを、一般国民とまで言いません、こういうことを言うとあるいは石川参考人にしかられるかもしれませんが、例えば報道関係の方がその数値データを全部もらう、それはただでもらう。それで役に立つかというと、恐らく報道としては役に立たぬだろうと思います。いわんや、一般国民の方はそういうものをもらったら役に立たぬ。そうすると、何かそれを加工したりなんかしてわかるような形、出せるような形にしなければいけない。そうするとその間に何か必要である、それが民間の気象業者であるというふうに思います。  現在、気象協会というのも一つ民間気象業者でございます。果たして、それじゃ気象協会があるのに、さらに上につくる必要があるかどうかということについては、一体どの程度の情報をどの程度きめ細かくして出すのかということによって決まってくると思います。現在の気象協会をちょっと手直しした程度で済むものなのか、あるいはそれではとてもいかないので新しい大きなものをつくらなきゃいけない、気象協会の数倍もあるようなものをつくらなきゃいけないのか、そういうことは何をやるんだという中身がわからないと規模は見当がつかないわけでございます。  その規模についても私ども御質問申し上げたんですけれども、どうも気象庁さんとしても別にはっきりしたものが今固まっているわけではないというふうに私理解するんですが、いろいろ変わられるわけです。そうすると、だんだんわからなくなってくるということでございまして、必要かどうかというのはそういった仕事内容によるんだというふうに考えております。
  81. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 終わります。
  82. 下村泰

    ○下村泰君 お二人とも御苦労さんです。二院クラブの下村です。  お二人のお話を聞いていますと、わかったようでいて途中でわからなくなってきて、わかりかけるとまたわからなくなるというような、先ほどからずっとそういう繰り返しなんです。  私は本当に素朴に伺いますけれども、例えばこの予報士というものの受験する試験内容、気象業務に携わって大体何年間ぐらいやれば現在これからやろうとしている予報士試験に合格することができるんでしょうか。
  83. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) ただいま先生から御質問のありましたことが私どもが知りたいところでございます。それで、気象庁さんにお伺いいたしますと、それはこれから詰めるんだというお話でございます。ですから、先生がおわかりにならないのと同様に私どももわからない。したがって、賛成反対も言うことができないということでございます。
  84. 下村泰

    ○下村泰君 大体の予想で結構です。
  85. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) そうですね、まあ恐らく気象学それ自体のものとしては、大学の一般教養の中で気象学、プロパーのものはやりませんけれども、ほかのものの中に入れて気象のことも、いわゆる地学と言ったりあるいは天文、地球物理というようなものの中に入れて気象も海洋も地震も何もかもやるんですが、その程度の常識というものは必要ではなかろうかというふうに考えます。  そういたしますと、現在気象庁でそういう業務に当たっていらっしゃる方、あるいは気象協会でそういう業務に当たっていらっしゃる方、あるいは現在民間の気象業者でそういうような予報なりなんなりをやっていらっしゃる方、そういう方は大体通るようなものでないと困るし、恐らく通る程度のものができるんではないかと予想しております。予想でございます。
  86. 下村泰

    ○下村泰君 なるほど。気象庁でも答えが出ていないんですか、これは。あきれたもんだな、これは。  ところで、もし許認可が成り立ちまして全国でこの気象が企業として動き出すとしますと、どのくらいの数になりましょう、その企業の数は。これ想像つきますですか。
  87. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 全くの素人でございまして想像つきませんけれども、現在気象庁で許可を得ているのが大体大ざっぱに申しますと二十程度ございます。許認可の条件によりますが、かなり許認可の条件等を緩くしていただきますとそれが数倍にはふえる可能性があると思います。  というのは、これも私自然科学でございます。 で全然根拠はございませんが、ある種の報道その他を読みますと、現在二百億のものが二千億、アメリカ並みになるということをおっしゃっておる。だとすると、それだけのものをやるんだとしたら、現在の数では足りませんでしょうから数倍程度にはふえる可能性があるんじゃないか。大した根拠はございませんけれども、そんな想像をいたしております。
  88. 下村泰

    ○下村泰君 まさか石川参考人とこういうところでお会いしようとは思いませんでした。長い間テレビドラマを一緒につくってきた仲なんですけれども。  石川さんに伺いますが、今現在のテレビ、ラジオ局、それからローカル局も全部ありますが、それだけでももう大変な数になる。その局が当然これはもう気象予報をやらなきゃならないんでしょうけれども、その数を並べてみて、さあこれを企業とする数が今先生がおっしゃっているぐらいの数でおさまると思いますか。
  89. 石川一彦

    参考人石川一彦君) これも難しい御質問で、私もちょっとそこら辺のところはわかりませんが、いわゆる気象事業というのが非常に、先ほどお話しありましたように、大きなものになるだろうという予測はされておるわけです。ただ、これはマスコミ、報道機関がそういうことをやるからということよりは、むしろ産業予報であるとか、あるいは農業、経済に関連するようなそういうようなところで非常にこれから大きく伸びていくんではないかというふうに私は思います。  したがって、今の御質問に照らしてみますと、現段階で、進歩はますます欲しいですが、例えば今気象協会さんやあるいはほかの気象事業をやっている会社からいただけるような情報というのはかなり質は高いというふうに考えておりますから、それにつけ加えて何か非常に企業がたくさん要るというふうには私は考えておりません。
  90. 下村泰

    ○下村泰君 いや、今までのお話を何となく私なりにまとめさせていただきますと、これは相当な数になると思います。例えばレジャーに関しての情報でありますとか、それから企業ですと、夏を対象にしている産業の方もいらっしゃいましょうし、冬を対象にする、季節季節の企業もありましょうし、それからその土地その土地によってのいろいろと気象条件もありましょうし、その日その日によって営業する人もありましょう。殊に、野球場なんかの場合に、雨が降ったら弁当が売れないとかいろいろありますよ。そういうところの細かいところまでいくと、これは私は相当な数になると思うんです。  そうしますと、予報士というのは一体どのくらいの数がいればそういう企業が満足できる状態になるのかということになるんですけれども、どうも私もいやな性格で、ああやっぱりこれは気象庁が天下りの場所をつくったな、おのれたちの墓場をつくったなという気になってしまうんです。性格がこういう性格ですからお許し願いたいと思いますけれども。  現在のテレビ局としては何ら支障はないわけですよね、今の状況からいけば。そうしますと、今度こういうふうになった場合に、鈴木先生に伺いますが、予報士というのはテレビ局に一人いればいいということになりますか。
  91. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 私の理解では、テレビ局に最低一人いてその方が天気予報を新しくつくる、あるいはテレビ局さんに全然いなければ、どこか予報士のいるところの予報を買ってそしてそれを流して解説するなり説明するなりと、こういうふうに理解しております。ですから、最低限そういう業者ごとに一人は要る。ただ、もっといろいろおやりになりたい方は二人、三人必要かもしれません。
  92. 下村泰

    ○下村泰君 ですから、そう考えますとますます、例えば予報士というのは一体幾つまでできるのか、その予報士としての定年は幾つなのか、こんなことまで勘ぐりたくなってくるんです。そうなると、ますますこれは天下りの受け皿だという気になってきます。  私なんかが現在各テレビ局の天気予報を拝見しておりますと、テレビ局なりにいろいろ苦労しています。各テレビ局でやれ三立方方式だとかそれをわかりやすく、そしてしかもそれが一つのドラマとして見る方にたえ得るような内容で工夫されています。ですから、そこまでみんなやっているのに何でここへきてまたそんな必要があるのかなというようなことも考えられるんですけれども。  これもう時間が八分でございますので、両参考人の方に伺いますけれども、本当に今度のこれは必要なんでしょうかということをお聞かせ願いたいと思います。
  93. 鈴木次郎

    参考人鈴木次郎君) 現在、十八号答申が出てから、各報道関係ではいろいろ工夫を凝らして表現その他については確かにいろいろなことをやっていらっしゃいます。しかし、現在の法律がある限り、そこで出せるものというのは本質的には気象庁が出したもの以外のものは出してはいけないんでございます。ですから、例えば日本テレビなら日本テレビさんが気象庁と違う独自の予報というのを出してはいけないことになっている。したがって、それを自由化しようということになればいやでも何かをしなければいけない。これが法律になるかあるいは政令以下の通達等になるかは知りません。何かをしない限り、現在は幾ら表現をいろいろお変えになっても本質的に気象庁と違ったものは出せないんでございます。我々見る方からいいますと、同じものを見ているわけですから、A局とB局とC局でどれがうまいやとか、あるいはアナンサーの方がどういう表現をなさるからどっちがいいやとかというのはございますけれども、本質的には変わらない。それを多少変わっても、多少といいますか、とにかく自由化するということになりますと何かを変えなければいけないことは事実だと思っております。
  94. 石川一彦

    参考人石川一彦君) 私どもの社が所属しております日本民間放送連盟あるいは新聞協会でいろいろ見解を出しておりますので、それを超えて私が個人的なことを申し上げるのはちょっと本来はいかぬのでしょうけれども、今までいろいろつけ焼き刃ですが、勉強してきました範囲内で申し上げますと、今先生がおっしゃったように、もっと自由化するというスローガンに合った形での法改正というのはあってほしいと思います。しかし、先ほどどなたか先生がおっしゃいましたように、今そんなに急いでばたばたとやらなきゃならぬことかということに関しては若干の疑念を持っております。
  95. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。
  96. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、お忙しい中を本委員会の審査のために貴重な時間をお割きいただきまことにありがとうございました。  ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の本委員会の審査に十分活用させていただく所存でございます。委員会を代表いたしまして重ねて厚く御礼申し上げます。  ありがとうございました。  午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ――――◇―――――    午後一時一分開会
  97. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、気象業務法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今委員長の方から気象業務法の一部を改正する法律案質疑と言われましたけれども、その前に、お許しをいただきまして、四月十八日に岩手県花巻市の花巻空港で起きました日本エアシステム、JASの航空機事故について若干 御質問を申し上げておきたいと思うんです。  飛行機事故の場合、やはり過去の事故から考えましても、離着陸時における風というのは最初の四分間、最後の四分間と言われるほど、魔の時間というふうに言われて航空事故の多発する原因の一つにもなっているわけであります。当時、盛団地方気象台の予報では岩手県全域に強風注意報発令中であったということが言われておりますし、午後三時十分には暴風警報が出されていると言われています。そういう気象状況もとでの運航というのは慎重が上にも慎重を期していかなければならないと思っているわけでありますが、そのときに、マスコミ報道によればミスの上にミスを重ねて大事故を起こした。  このJASという企業そのものが過去何回も事故を起こしていることなどを考えると、一体本気で運輸省の指導についてこの会社がまじめに聞いたかどうかというのは甚だ私は疑問を持つわけであります。そうは言っても今回の事故、乗客全員が死亡に至らずけがだけであったことについては、大変大惨事ではあったにしても少しだけ気が緩む、そういう事故であったと思うんです。心から負傷された方の一日も早い御回復を祈っているところであります。  やはり私はここで事故の原因と安全対策、事故の原因につきましてはただいま調査中であると思いますけれども、現在まで判明した問題について明らかにしていただいて、その上に立って安全対策を指示されたと思うんでありますが、その指示の内容についてどのようにされたのかお願いをしたいと思います。  同時に、きょうはちょうど天気予報法案審議のときでありますけれども、航空管制通信官との情報関係、それから盛団地方気象台花巻空港出張所の操縦士に対する天気気象情報といいますか、そういうもの。それから同時にあわせて、運輸省の指導下、航空法に定められております運航規程等について関連性をお伺いしたいし、同時にあわせて気象情報の報告の仕方、受け方等について整備拡充されているかどうかについてもお伺いをしておきたいと思います。
  99. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 十八日に花巻空港で航空事故を起こしました。けがをされた方々にお見舞い申し上げますとともに、乗客の皆さんにも大変御心配をかけまして、深くおわびをするところであります。  ただいま航空事故調査委員会で調査をいたしておりますが、その中間的な連絡によりますと、非常に強風下であった、当然機長が操縦すべきところを副操縦士に操縦をさせておった、しかも副操縦士は六カ月以上の経験、また強風のときには当然操縦士が操縦をしなければならない、こういうことを怠っていた、こういう報告を受けております。まことに遺憾なことだと、かように思う次第であります。  事実関係につきましては政府委員の方から答弁をさせますが、いずれにしても航空機、飛行機の操縦、皆さんに安全であり快適であるこの任務につかなければならない、それが規則違反を犯しておるということはもってのほかだと、私はこういうふうに感じております。社長を初め関係者を呼びまして厳重に注意をしておりますが、調査委員会の結果を待っていろいろ今後の方策といいますか厳重な処分をいたしたい、こういうふうに思います。  なお、事実関係については政府委員の方から答弁をいたさせます。
  100. 松本健治

    政府委員(松本健治君) ただいま先生から御指摘のように、事故の原因につきましては今調査委員会の方で直ちに調査に入っておりますので、詳細な内容につきましてはその結果を待ちたいというふうに思っております。  それで、直ちに我が方で航空会社に対しまして安全対策としてとりました措置の内容でございます。  まず一点でございますけれども、日本エアシステム株式会社に対しましては、昨日、四月十九日でございますけれども、口頭で、とにかく気の緩みがあったのではないかというようなことも含めまして厳重注意を行うということをしました。  それで、さらにこの事故調査等の推移、ボイスレコーダーとかFDR等の解析等の推移も見まして、同社に対しまして来週早々にも特別の立入検査を実施するということを検討しているところでございます。  それからまた、他の航空会社に対しましても、これも昨日の四月十九日でございますけれども、安全運航の確保について、特に規程等の遵守をしっかりやるというような内容を含めた指導を行ったところでございます。  いずれにいたしましても、航空行政にとりまして安全の確保という問題は基本的な課題でありますので、今後このような事故が起こらないよう万全を期してまいりたいというふうに考えております。  それから三点目に、先生の方から御質問の飛行中の情報提供の件でございますけれども、これは花巻空港に着陸する航空機に対しましては、当該空港の航空管制通信官、これはいわゆる管制塔と言っておりますところで勤務している者でございますけれども、それが花巻空港の気象機関、これは盛団地方気象台の花巻空港出張所でございますけれども、が観測しました気象情報を管制塔の中に入手できるようになっております。それで、その情報を進入降下の際などに無線により提供しているという、こういう仕組みで刻々のデータをパイロットに提供しております。
  101. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 先生よりお尋ねのございました、当時におきます気象情報提供状況を御説明申し上げます。  花巻空港出張所が飛行場内での航空交通管制機関及び航空会社の運航管理部門に提供いたしておりました気象情報は次のとおりのものでございます。  まず一番目でございますが、十七日の二十時二十分に盛団地方気象台が発表いたしました強風注意報でございます。その内容は、十八日から十九日にかけて全般に北西の風が強く、最大風速は平地で毎秒十三メートルから十五メートルに達する見込みという情報を流しております。  続きまして、十八日の十二時三十分にさきに申し上げました強風注意報を切りかえておりまして、内容は、十九日日中まで北西の風が強く、最大風速は平地で毎秒十メートルから十五メートルの見込みという強風注意報を出しております。  三番目といたしまして、定時の気象観測及び事故特別観測の観測値の通報でございます。当日、八時から十九時までの毎正時の気象観測及び事故直後の十八日十二時四十五分に観測いたしました事故特別観測でございますが、これによりますと、十八日の九時過ぎから西寄りの風が強まっておりまして、最大瞬間風速は十二時におきまして西北西二十六ノット、秒速に換算いたしますと十八・五メートルの風でございます。それから、十三時におきましては西の風三十九ノット、毎秒二十・一メートルでございます。それから、事故直後の十二時四十五分でございますが、このときには西の風が最大瞬間風速で四十一ノット、毎秒二十一・一メートルに達しているという観測と報告をいたしております。  そのほかに、航空機に対しまして非常に関係の深い風でございますが、現在、二分間の平均風向風速というふうなものが航空機の運航に非常に重要な情報になっておりますので、空港に離着陸する航空機への対空通報に資するために、二分間の平均風向風速につきまして航空交通業務機関及び航空会社の運航管理部門へはオンライン、つまりラインで同じデータが今申し上げましたところですぐに見られるような格好で分岐通報いたしておりまして、以上のようなデータを花巻空港の出張所から今申し上げました該当機関の方に観測の結果及び予報を御通知申し上げております。  以上でございます。
  102. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいま気象庁長官の方から御答弁ありました気象状況について確認しておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  103. 松本健治

    政府委員(松本健治君) 私ども管制通信官が航空機のパイロットに対しまして提供した気象情報でございますけれども、これは着陸する一番最後情報でございますけれども、この情報は平均風速が二十五ノットであるという通報をいたしております。
  104. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいまのお話を聞いて、二分前の情報を聞いて着陸態勢に入ってそして着陸をしていくというシステムについては、そういうシステムになっているかどうかだけはっきりしていただきたいと思います。  例えば今言われた二分間隔の情報というのをオンラインにしていくということになりますと、着陸決心高度というんでしょうか、それはその段階できちっと情報は受けると、こういうことになるんですか。
  105. 松本健治

    政府委員(松本健治君) ちょっとただいまの二分間の平均風速の話なんでございますけれども、これは二分ごとにデータが更新されるということではございませ人で、データの更新そのものは、たしかその以前の二分間を平均したデータが連続的に六秒ごとに提供されるということで、最新のものが提供されるというふうに考えております。
  106. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 事故の内容についてはまだ後日明らかにしていただいて、事故が再発しないようにひとつ努力していただくようにお願いをしておきたいと思います。  続きまして、JR関係の事故、とりわけ「のぞみ」が運行し始めまして、ほとんど毎日と言っていいほどいろんな故障だとか事故などが報告をされております。私はやはり、今も航空機事故がありましたけれども、交通産業の役割というのは、人命、財産を預かっているだけに、何はさておいても安全が一番優先されなければならないと思っておるわけであります。  したがって、経済効率的なスピードだけを追求するんではなしに、やはりより安全を追求しない限り、毎日毎日マスコミでJRの関係の、とりわけ「のぞみ」関係の新幹線の故障や事故というのが報道されますと、非常にこれを利用する側にとっては、国民にとって不安を与えているわけでありますが、これらの対策についてどうされておるのか、お伺いをしたい。  同時に、「のぞみ」のスピードでは従来の新幹線の施設ではたえ得ないのではないか。逆に、「のぞみ」の速度で走るような施設になっていないのではないかというふうに思われるわけでありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  107. 秦野裕

    政府委員(秦野裕君) もちろん私どもも、スピードの向上ということも必要でございますけれども、何よりも安全運転ということが第一であるということは十分認識しておりますし、その趣旨は十分各社にも伝えておるところでございます。  御指摘の「のぞみ」でございますけれども、「のぞみ」が時速二百七十キロで営業運転を行うに当たりまして、例えば台車の高性能化でございますとかあるいは車体の低重心化といったような、いわゆる高速の走行に対応できるような安全対策を講じてきております。また、営業開始に先立ちまして走行実験を十分に実施いたしまして、そうした意味での安全性を確認した上で営業運転を行っておるという状況でございます。  ただ、先生ただいま御指摘のように、「のぞみ」でいろいろな種類のトラブルが発生しておりますことは私ども大変残念でございますけれども、現在まで私どもが把握しておりますところでは、今までのトラブルはいずれも安全そのものに直結する、事故に直結するようなものではないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、いずれにしましても、お客様に対して大変不安感を与えるあるいは列車の遅延を生ずるということはもちろん望ましいことではございませんので、ただいま会社に対しまして「のぞみ」の関係の車両の総点検を連休前までに行うように指示をしておりまして、現在までのところ、重大ないわゆる問題があるというふうには報告を受けておりませんけれども、その結果を把握した上で必要な対策をとってまいりたいというふうに考えております。  また、高速につきましては、先ほど申しましたとおり、高速運転について対応する安全対策を十分講じておりますので、それに伴ういわゆる安全上現在の時点で問題があるというふうには認識しておりませんけれども、今後とも十分意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  108. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 新幹線の事故が「のぞみ」のときにはこういうふうに大変出てきたけれども、その前の「こだま」や「ひかり」のときには、報道されなかったのかどうかは別にいたしまして、非常に安全だという神話を生んでいるわけです。  しかし、そうではなしに、やはりスピードを上げることによってこれだけの故障やそういうものが出てくるとすれば、恐らくはその次は事故につながるであろうというのは一般の国民が考えることでありますから、その点では、事故につながるようなものではないにしても、事故が人為的な原因で起きる場合もあるわけですから、こういう一つ一つをきちっとしておかない限り、やはり気の緩みというのは出てくると私は思うんです。  そこで、JRに対して、口頭だけの注意ではなしに、運輸省としてきちっと立入調査をして、その上で安全対策というものについて明確にすべきだと考えますが、その点はいかがでございましょうか。
  109. 秦野裕

    政府委員(秦野裕君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、この運休前までの間に、現在生じておりますトラブルを含めまして「のぞみ」の安全運転についての総点検を行うように会社に対して現在指示をいたしております。その報告がいずれまた参ると思いますので、その報告を踏まえた上で適切な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  110. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今やられている点検の総括の上に立って、ぜひとも従来の「こだま」や「ひかり」のように安心して乗れる新幹線を追求していただきたいと思います。  以上で航空局と鉄道局は終わります。  次に、本題の方に入っていきたいと思うのであります。  先ほど午前中、参考人の方からいろいろな御意見をお伺いいたしました。なるほど気象庁ですから、くるくる変わるとは申しませんけれども、非常に不明確な、不明確と言っては失礼ですね、天気予報の確率といったぐらいがいいでしょうか、その程度の御答弁をいただきました。そのときに私は、この法案を本当にこの場で審議しなければならないのかどうかという疑問を実は抱きました。それほど不親切な法案の提出の仕方ではないかというふうに参考人方々からお話を聞いて実は思ったところであります。  この法案審議していただきたいという気持ちになっているでしょうか、どうでしょうか。
  111. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) ただいまの先生の御質問にお答えいたします。  私どもは、この法律をぜひとも今国会におきまして御決定いただき成立させていただきたい、かように念願いたしておるわけでございます。  先生の御疑念の点につきましては、私ども、この法案に盛り込まれております基本的な内容につきましては、気象事業振興協議会を初めといたします関係者とは、気象審議会の十八号答申を御審議いただく過程におきましても、以来今日に至るまで種々いろいろな方法で十分調整を図ってまいったつもりでおります。また、本法案の提出に際しましても基本的な説明を行ってまいりまして、関係各位の御理解は可能な限りいただけたのではないか、かように考えているところでございますが、なお足らざる点につきまして、引き続き具体的な運用の検討に当たりまして十分に協議し、疑念の生じないように、またそれぞれ関係各方面の御不満が生じないような形で対応してまいりたい、かように考えております。
  112. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 そこでお伺いいたしますけれど も、気象事業振興協議会から気象庁長官に対して要望が出ていますね。そのことを問おうとは思いませんが、この気象事業振興協議会というのはどういう性格を持っているものなんでしょうか。
  113. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) この気象事業振興協議会と申しますのは、気象審議会の第十八号答申で、気象庁民間気象事業者の役割分担と連携によります総合的な気象事業の推進を提言していただいているわけでございます。この協議会は、このような提言を受けまして、その具体化に当たり、民間の気象事業に係る関係者の意向を集約いたしまして気象庁との協議を行うことを目的に設立されたものと私どもは理解いたしましております。  この協議会は、予報業務の許可事業者、いわゆる気象業務法第十七条一項の許可事業者でございますが、これも入っております。それから報道機関、それから気象情報を伝えるのに不可欠な側面を持っておりますところの情報産業、それから若干の交通関係事業者も含まれております。こういった幅広い関係者が集まって構成されている民間の任意団体でございます。
  114. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいま次長の方から懇切丁寧な御説明がございました。午前中も参考人を呼んで、非常に懇切丁寧なお答えがありました。今言われたように、役割分担をして具体的に実施をしていく、その場合に理解と了解を求めていく。気象庁が考えていることについて、国民を代表してそこらあたりを理解していただく、そして気象情報を流していくというような仕事をしていくということにこの気象事業振興協議会というのがなるとすれば、そこを代表されて、午前中、東北大学名誉教授の鈴木さん、それから日本テレビの報道局長の石川さんが言われた言葉最後言葉だけ一つ言わさせてもらいますと、この法案について若干の疑念を持つ。それまで経過はいろいろありますよ。全部この委員は知っていると思うんです。そういうような、今あなたが言われたような協議会の性格とは裏腹に、この団体に対して何も知らされていない、教えていない、こういう印象を私は持ったわけであります。その上に立ってこの法案を提出されたとすれば問題だと思うんですが、そこら辺大臣いかがでございますか。
  115. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 十分御理解をいただいてなかったのではないかと思いますけれども、実は昨日マスコミの代表の方がおいでになりまして、その点十分お話しをし御理解をいただいた、私はこういうふうに感じております。今まで連絡といいますか御理解を得るような努力が足らなかったのではなかろうか、こう思いますけれども、いろいろお話しいたしまして十分御理解をいただいた、こういうふうに最終的に思っておる次第であります。
  116. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 どうかひとつこういう協議会の方々が――本当は私の気持ちだけ言わせてくれたら、ここで審議したくないような気持ちになりましたですよ。だから、ほとんど未調整のまま出したのではないか。それは、午前中の質問の中ではっきりしましたけれども気象事業振興協議会の設立が十一月五日になっていますし、この法案を提出したのが三月二日、答申が昨年の三月に出されている。そして協議会が約七カ月間ぐらいたってできている。この法案をつくってくるまでの間に本当に十分協議ができたかどうかということについて依然やはり疑問が残るわけです。その点はひとつ明らかにしていただきたいと思います。遅くなった理由というのはどういう、なぜ、例えばこの協議会を設置させるついても七カ月ぐらいおくれてきた、これにはいろんな理由があると思うんですが、その点も明らかにしていただきたい。
  117. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) ただいま先生の御指摘の、協議会設立までかなり時間がかかっているんではないか、また協議会が設立されましてから今日に至るまで十分な協議がなされなかったのではないかという御疑念につきましてお答えいたします。  まず、協議会が設立されるまでに随分時間がかかったんじゃないかということでございますが、御承知のとおり、今回の法律改正のスタート点になりましたところの気象審議会の第十八号答申、これは昨年の三月二十三日付で答申がなされたということでございます。以後今日まで一年。それでその間、まず協議会設立につきましては、この協議会というのは特別に何もこの法律改正のためにつくったとかそういう趣旨のものではなくて、民間関係する報道機関とか気象情報産業とか、それから事業者とかそういったところの人たちが任意の意思で、自分たちの主体的な意思でつくり上げた団体、組織ということでございますので、設立の準備にある一定の時間がどうしてもかかるというようなことで、それがようやく関係者の意向というものが調整されて合意が成立して設立されたのが昨年の秋になったということでございまして、特段非常に事態が紛糾したとか混乱があっておくれたということではございません。  それから、協議会ができましてから今日に至るまでの間、十分協議がなされなかったのではないかという御指摘もございますが、私どもといたしましては、この協議会が設立されましてから今日に至るまで可能な限り会合の機会、公式非公式にもいろいろの関係方々にも御説明お話をし御理解をいただくように最大限努力はいたしてまいってきております。私どもの受けとめている状況はそのようなところでございます。
  118. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 それでは、なぜきょうここで審議があるというのに、昨日マスコミの方が運輸省に対して要望書を出したと思うんですか。それはどんなふうに理解しますか。
  119. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今先生の御指摘になられました報道関係の機関でございますが、この方々とはもう先年度来何回かお話をしております。先年度既に気象庁といたしましては、報道関係の団体の方々が御懸念になっているようなことはないというふうに何回も申し上げてきたわけでございますけれども、それをさらに確認したいということで昨日大臣にお会いいただきまして、気象庁が前から言っていることを再度御確認願ったということでございます。突然ということではございませんで、私ども気象庁といたしましては、私ども言葉が足りなかったという点はあろうかと思いますけれども、真実、誠意を込めまして何回か関係の皆様方とは御相談しお話しし理解を求めてきたわけでございまして、昨日突然ということではないというふうに認識いたしておるわけでございます。
  120. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では、マスコミの方は大体のところこの法案について、同時に気象庁が考える政令だとか省令だとかについての大まかな、大体のというんでしょうか、アウトラインというのは了解した上で納得していただいているんですかどうですか。
  121. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) これは再々申し上げておりますように、今の法案ができました後で、ディテールにつきましては政令あるいは訓令等いろいろなレベルでいろいろなことを決めていかなければならない点がございます。  先ほど申されました報道関係団体の方々及び利用協議会の方々と十分にこれから協議をし御理解をいただいてディテールを詰めていくわけでございます。そういうわけでございますので、気象庁の方から一方的にこのような案でいくということを御提示することは避けまして、皆様と十分の話し合いをした上で物を詰めていくということで今まで仕事を進めてまいったわけでございます。でございますので、私どもが自分たちの計画がないまま、あるいはその計画があるものを皆さんに十分にお伝えしないでやってきたというふうなことは絶対にないというふうに私は思っております。
  122. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 長官、やはり一番心配しているようなことがございますので、関係者とはひとつ十分協議をした上で進めていただくよう改めてまた要望しておきたいと思います。  そこで、そういうようなものをずっと考えますと、多少この法律を提案した気象庁に対して少し ぐらいの責任はあるかなというふうにも思いながらも、どうも気象庁というのが運輸省の外局にあるということで、ひがみ根性かもしれないけれども、多少こみやられているんじゃないかというような気がしてならないんです。気象庁はどこの省に所属していますかというクイズ番組が出るような世の中一般ですから。そうすると、そのことを含めて予算だとか人事だとかいろんなものがしわ寄せされているんじゃないかというふうに思うんですが、その点はそうではないというふうにお思いでしょうか、いかがでしょうか。
  123. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今先生御指摘の気象庁が運輸省の外局となっている理由ということでございますが、現在気象業務が最も密接に関係しておりますものは、まず第一番目といたしまして航空、それから海上はもとよりでございますが、そのほか陸上におきます交通の安全の確保、あるいはそれの効率的な運行ということに最も重要な関係を有しているというふうに思っております。特に、先ほどの事故の例もございますけれども、航空気象業務というふうなものは、時々刻々に変化しております気象現象をとらえまして、最も迅速な観測資料を必要といたしておりますし、それに基づきました予報を迅速に出す必要がございます。それから、同じようなことでございますけれども、海上気象業務は船舶の航行に欠くことができないものでございます。以上のようなこの一つの理由をとりましても、気象業務が運輸省の仕事と非常に密接な関係があるかと思っております。  それから、これは歴史的背景と申すべきかもしれませんけれども、気象業務の発足の当時は理化学的な学問の領域にあった時代もあったかと存じますけれども、現在は学問の領域を脱しまして、国民生活に直接的に寄与する実践的あるいは行政的と申しますか色彩が非常に強くなってきているということでございます。その意味から、最も関係が深く、交通という国民生活安全にかかわる行政を担当しております運輸省の外局と位置づけられているというふうに私は理解いたしております。  運輸省の中におきましても、私ども気象庁の仕事、業務につきましてはいろいろの御理解と御支援を賜っておりまして、現在運輸省の中で気象庁の業務を遂行いたしますことにつきましては何ら不自由ということは感じたことはございません。
  124. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 越智大臣の性格なんでしょうね。気象庁をいじめてないということを聞いて安心しましたが、どうかひとつこれから先も、また後の方で時間があれば質問しますが、予算等について御配慮いただくよう大臣にお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、今言われた気象庁の持つ性格については明らかでございますけれども、これから先やはり気象庁が、私ども気象庁本庁をこの前訪問させていただいていろんなお話を聞いた中では、気象業務だけではなしに地球環境にかかわる大きな仕事というのもあるようでございますし、それから防災気象、地震対策、火山対策等についてもあるようでございますが、とりわけ気象業務と環境の問題について非常に大きなつながりが今後出てくるのではないか。そういうふうに考えますと、今言われたような歴史的な経過を含めて、これから先気象業務が発展をしてくるであろう地球環境問題等を考えますと、ただ単に気象庁という小さな枠だけではなしに、気象全体も国際化されていることなどを考えると、気象・環境省というようなものを考える時代になってきたのではないかと思いますがどうでしょうか。行革もその方向に向いていると思うんですが、大臣、そういう気象庁を省の方に昇格をさせて環境庁とともにやっていくようなことを考えられませんでしょうか、どうでしょうか。
  125. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) ただいまの先生からの御意見でございますが、地球環境問題につきましてはその重要性というふうなものは我々よく認識いたしております。  現在、我が国におきます地球環境問題への取り組み方の仕組みでございますけれども、地球環境保全に関する関係閣僚会議におきまして各省庁の取り組みについて総合的な調整が図られているところでございます。このような中にございまして気象庁は、現在、温室効果気体等の観測や監視、それから地球温暖化に関します長期的な予測に関しましてその適切な情報提供を、あるいは予測技術の高度化というふうなものを今申しました枠組みの中から要請されているところでございます。したがいまして当庁といたしましては、このような要請あるいは任務にこたえまして、その任務を遂行する上で現在の体制において十分に対応可能であると思っておりますし、また現在も対応いたしているつもりでおります。
  126. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 できればやはり、そういうことなどを考えてこれから先の環境問題については取り組んでいただきたいと思うんです。  次に許可制度の問題についてお伺いしますが、気象予報士資格制度が創設をされるわけでありますけれども、この制度をなぜ導入しなければならないのかという必要性についてお伺いいたします。
  127. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) お答えいたします。  気象予報士制度の導入の必要性いかんということでございますが、民間事業者の提供いたします情報を不特定多数の国民にも活用できるように規制の緩和を図るに当たりましては、防災情報との整合性の確保とか情報の品質の確保のためにそれなりの適切な措置というものを講ずる必要があるということでございます。このためにはしかるべく情報の品質の確保が求められるところでありますけれども、品質を確保する上でも現象の予想を行う予測技術者の人的能力というものが最も大きな要因になるわけでございます。したがいまして、予測技術者の技能に関し適切な資格制度を導入し、国民が安心して気象情報サービスを享受できるようにするということが、これから先健全な民間気象事業の発展を期してまいる上で必要である、かように判断したのがこの制度創設の趣旨でございます。
  128. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 何かよくわからないような気がするわけです。よくわかりませんけれども国民が安心して情報を得られるようなシステムをつくっていきたいと。今でも私十分ではないかなと。そういうふうに考えるのに、なぜ改めて今この資格制度を導入しなきゃならぬのか。
  129. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) これまでも許可制度によって必要な規制を行ってきたということでございますが、それに加えまして気象予報士の制度を導入する必要性を重ねて若干補足させていただきます。  国民が安心して気象情報サービスを享受できるように云々と申し上げましたのは、要するに、これから先民間気象事業というものを健全育成し、その強化を図っていくということを考え、また現象の予測といいますか、気象予報というものを、局地的なものについての予報ということでございますけれども、一般向けの天気予報というものを民間の気象事業者にも行わせるようにするということを私ども現在考えております。このような場合にも、やはりそうなりますと、一般の人々に、たとえ局地とはいっても不特定多数の国民に非常に重大な影響を与える予報というものが民間事業者によってなされるということになりますので、やはりその予報の技量といいますか、レベルと申しますか、そういったものは一定の水準以上のものである必要がある。やはりそうでないと、中身が非常に十分でないような予報というものがなされ、それを受けとめる人が不安になったりあるいはそれによって判断に非常に混乱を来すというようなことが起こってはまずいというようなことから、気象予報士の制度を導入してそのようなことのないように担保措置を講ずる、それが一つでもございます。  また、一般的にこれから民間気象事業というものを発達させてまいります上では、やはりその一番重要な人的な中核の仕組み、組織となります予報を作成する要員につきまして、その資質、能力 というものを一定水準以上に高め確保するということは、これから先そういった民間気象事業の活躍の場が飛躍的に拡大することを想定いたしましたときには、これはやはりぜひとも必要なことではないか、かように考えているところでございます。
  130. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今のお話を聞いていますと、気象予報士の性格、必要性はわかりました。気象予報士の持つ仕事の範囲というんでしょうか、例えば混乱を招かないようにとか、一定の能力、水準だとかというのは相矛盾したもののように私考えられるんです。一定の水準というのは、気象予報士の能力みたいなものを考えるのか、混乱を招かないというのは何が混乱を招かないようなことなのか、それはどういうふうにお考えになっているんですか。
  131. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今先生の御質問の点でございますが、まず一定の技量が必要とされる理由は、先ほども次長がお答えしましたように、いろいろな情報が今度は民間で出されるわけでございますが、それと例えば気象庁で出しております注意報、警報というふうなもので矛盾があったりいたしますと防災上大変困るという意味でございまして、それはしかしながら標準的な技能を持っておるならば今申しましたようなそごというふうなものは元来生じないわけでございまして、予報の精度の水準を保つという意味先ほど申し上げました技能水準の確保ということが非常に大切になってくるかと思います。  混乱というふうなことでございますと、先ほど申し上げましたような一般的な予報、これは気象庁がやるわけでございますし、防災関係情報は一元的に気象庁が出すわけでございますけれども、その気象庁の出しております注意報、警報というふうなものと例えば民間から出しております風あるいは雨に関する情報というふうなものに大きな差があるとこれは非常に、例えば避難態勢をするような場合でも問題が生じてまいります。そのような意味で、ユーザーの方が安心して気象データをお使いいただくためには、今申しましたような点につきまして現象の予測に関する技能の水準が必要でございます。それから、気象庁が出しております例えば警報や注意報というふうなものの内容について十分に民間予報従事者が知っておく必要がございますので、そういうふうな意味を含めまして、気象のデータ社会でより有効に使われて、なおかつ国民の皆様に御不便をかけないという点におきまして、先ほどから申し上げております気象予報士というふうな技術水準を確保することが非常に重要な課題であるというふうに考えております。
  132. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 一定の条件のもとで気象業者というのが許可されるわけであります。そうしますと、業者に対する許可と、予報業務を行う者に対する資格というものを設けるということについては、二重のチェックになるのではないか。言うならば、十八号答申に言われているように、できるだけ簡素化をして気象情報自由化していこう。そのときに、なぜ業者に対しては許可で、予報士に対しては資格というような二重のチェックを設けなければならないのかどうか。その点いかがですか。
  133. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) お答えいたします。  従来から、先生御指摘のとおり、気象業務法第十七条の一項によりまして、気象予報を業務とする事業者は、気象庁長官の許可を得なければいけないということで、許可の手続を経ることになっております。  今回、そのような許可に加えまして、その許可事業者が気象の予報を行おうとするときには、気象予報士資格を持った者を雇用し、これを気象の予報を行おうとする事務所に配置しなければいけない、そして、現象の予測についてはこの気象予報士に行わせなければいけないということにいたそうということでございます。  これは二重の規制になるんじゃないか、規制強化ではないかという御指摘でございますが、これは私どもこのように考えております。  まず第一点といたしまして、社会高度情報化に適合する気象情報サービスの実現を図るためには、民間気象事業者提供する情報を不特定多数の国民にも活用できるように規制の緩和を図る。民間気象事業内容を拡大することによって、積極的な展開を図っていくことが適当である。こういう一つ考え方、これは十八号答申考え方でもございます。  このためには、民間気象事業の健全な発展を図る観点から、一つには防災情報との整合性の確保とかあるいは情報の品質の確保のために適切な措置を講ずる必要がある。とりわけ、これからは気象予報自由化と申しますか、一般の不特定多数の人々に対する局地予報というものを民間の気象事業者にもやっていただけるようにしようというふうに考えておりますので、そういったときに一番大切な人的なよりどころとなる予測技術者につきましては、やはり予報士資格を持っていただく。  ただ、そういう気象予報士資格ができるので、許可は要らないんじゃないかという考え方も出てくるかと思いますけれども、これにつきましてはやはり予報業務を許可にかかわらしめている理由というのは、このほかにも、気象庁がこれからも重要な責務といたしております防災気象情報、あるいは一般向けのより広域な地域に対する天気予報、こういったものとの整合性を図っていく、これとの調整を図る。あるいはまた、局地的な予報も含めまして気象情報会社が責任を持って気象予報をやっていくというためには、それなりの設備、施設、要員というものも、この予報士以外の部分も含めまして整備しなければならないという点がございますので、この点をチェックする必要性はやはりございますので、それで許可制を従来どおり採用いたすことにしたわけであります。  このように考えておりまして、ただ、気象予報士の制度ができますと、それによって、気象予測を行う要員の資質につきましては細かいチェックをしなくても、予報士資格があれば、ああこれは大丈夫だなという理解ができますので、こういったことも含めまして、許可の実際の手続、運用につきましては、適切に緩和を図り、柔軟な対応をいたしていくようにしたい、かように考えているところでございます。
  134. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 じゃ、よろしくお願いしておきます。  次に、情報公開と有料化の問題であります。  午前中もこれかなり議論になりました。そこで、やはり気象庁の持っている膨大な資料というものを公開をしていくわけでありますから、この法案をつくるに当たって、言うならば情報公開をするに当たって、気象庁は当初有料化を考えたそうでありますけれども、どうもだめになったようでありますが、これはどういう理由から有料化はだめになったと御判断されたんですか。
  135. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気象情報におきまして、国の保有しているいろいろなデータをどういう格好で社会に公開するかにつきましては、いろいろな考えがあるかと存じます。いろいろのことを考えたわけでございますけれども報道関係機関につきましては、従来から気象庁が出しております特に一般の天気予報あるいは防災情報というふうなものは、報道関係機関を通じまして国民の皆様方に伝えられているわけでございまして、その意味におきまして報道関係の機関の皆様方から気象情報提供において果たす役割に関連してお申し込みがありました。それからまた、総合的気象サービスの提供をいたしまして、これを推進することによりまして民間気象会社等を育成する段階に現在はまだあるというふうなことなどを判断いたしました。  今申し上げましたような幾つかのことを勘案いたしました上で、今回の法改正には今の有料化にかかわるものは盛り込まないというふうに決定したわけでございます。
  136. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 この法案によりますと、民間気象業務支援センターのところを見ますと、料金を取 るということになっているわけです。この料金と情報公開の有料化との関係はどんな関係になるのでございましょうか。
  137. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) センターを設けまして必要な実費はいただくという考えはお示しいたしているところでございます。これは一見有料化ではないかという御指摘を受けるかもしれませんが、これはいわゆる提供する情報に対する対価というものではなく、情報民間の必要とするところに的確に公平に、かつ安定的、かつ継続的に、適宜適切に情報提供する、し続ける、そのためには配信業務に必要ないわゆる配信の回線とかあるいは分岐配信装置とか、そういったものを設備し、それを使ってきちんと交通整理をした上で一元的に情報提供するような仕組みをつくる必要がある。このための必要最小限度の経費というものは、これはまさに実費でございますのでいただく。しかし、いわゆる情報に対する対価としての料金というものはいただかない、こういう考え方でございます。
  138. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では次に、いうところの民間気象業務支援センターのあり方についてでありますけれども、この法律でしています指定試験機関と民間気象業務支援センターとはどういう関係でございましょうか。もし、その民間気象業務支援センターの性格についてわかればお知らせください。
  139. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生の御質問の前半の部分でございますが、まず指定試験機関と民間気象業務支援センターとの関係いかんというふうに承りました。  この二つ法人民間気象事業の健全な発達を図るために指定いたしたい、かように考えているものでございまして、基本的な性格は一つでございます。法律上は両法人は別個の法人でございますが、したがいまして指定行為も二つ存在する。法律上の観念としては別個のものではありますけれども、実態的には一つ法人がこの二つの機能をあわせ持ち、二つの指定を一つ法人が受けるということも可能であるというふうには考えております。  それから、この民間気象業務支援センターと申しますものの法律的性格でございますが、これは本来一つ法律目的に従ってその目的を達成するために国が行うべき業務のうち、組織とか資金面で柔軟に対応できるような性格の業務、その方がその業務の性格から見て適当であると考えるようなものにつきましては、国のかわりに別途の公益法人等を指定いたしまして、これにかわりに行わせるということが可能でございまして、この民間気象業務支援センターというのはまさにそういった性格のものである、かように考えております。
  140. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 恐らくそれは財団法人になると思うのでありますが、その職員だとか基本的な財産だとかの規模はどの程度になりますか。同時に、その出資される先は大体どこら辺になるのか明らかにしていただきたいと思います。
  141. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) センターの規模あるいは出資者等についての御質問でございます。  センターの基本財産、それから要員等でございますけれども、具体的にどのような気象情報提供するかによりましてその設備等が変わってくると思います。そして、提供されます情報の詳細等はまだ未定の部分もございまして、新設法人とするのか、あるいはもしその場合にはどのような関係者に御出資をいただけるのか等の具体的な事項につきましては、今後関係方面と十分に協議してまいりたいと考えております。  先ほど申しましたように、たくさんの気象情報がございますが、その気象情報の中身によりまして配信するいろいろな設備等というふうなものが大きく変わってまいります。そういったものを勘案いたしまして、先ほど申しましたように、これからそういったことを含めまして関係方々協議してまいりたいというふうに存じているわけでございます。
  142. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 長官、今言われたように、関係機関十分協議してと言われるところに午前中は一番そこに不信を持ったわけですよ。今の段階で、この法律を提案しておって、それを具体的に受けていく受け皿の問題を明確にせずしてなぜこの法律を逆に言うと提案したのかと先ほど聞いていたわけです。だから、そこらあたりが明確にならないからこそ午前中の参考人は逆に気象庁に対して不信を抱いているわけです。そのことをなぜもっと明確にしないんですか。  関係機関というのはどことどこのことを指すんですか、明らかにしてください。
  143. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) ただいまの御質問にお答えいたします。  私ども、今の時点で、このセンターをどういう形でつくるか、どこにどういう負担をかけるかということについて全く未定であって、これから法律が通ってから、こちらに都合のいいように適当にやろうというような趣旨は全く考えてはございません。その辺につきましては私ども、このセンターと申しますものは、あくまでも私ども気象庁が持っております、民間に御提供申し上げると非常に役立つであろう各種のさまざまな情報というものを、円滑に適切にそれを必要とする民間方々に御利用いただくためにつくるものでございます。  したがいまして、性格上やはりこれは営利法人ではまずいというふうに考えておりますので公益法人になろうかと思いますが、この公益法人としてさてそれじゃどういうものにするかということにつきましては、既存のもので適当なものがあればこれにやっていただくということは一向にやぶさかではない。適当なものがなければ必要最小限度のその受け皿としての仕組み、組織をつくるというふうなことでございます。  組織をつくるということには、正直申しまして、これはその受け皿をつくるという意味でその組織が必要であるということであって、組織をつくることが本体ではなくて、その組織を使って情報を流す、流せるような仕組みをつくるというのがポイントでございますので、できる限り簡素で非常に関係方面――関係は何かということでございますが、これはユーザー、要するにこのセンターから情報をいただくユーザーでございますが、そういったところに御不満の生じないように、ああそれならいいよ、納得がいくよというような形で組み立てよう。  じゃ、そういうものができなかったらどうするのかといえば、やはりこのときには既存の組織、公益法人、例えば気象庁の場合でございますと日本気象協会、財団法人で私ども一つの有力なパートナーとして存在する外郭団体がございます。この協会にやっていただくというようなことも含めて考えることができるのではないか、かように考えているところでございます。
  144. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 やはり私、この財団の規模みたいなものが不明確だから参考人の方は不快感をあらわしたと思うんです。  ですから、都合のいいようには決めないというのは、都合のいいように決めようとしておったんです。そういう気持ちがあるからこそ都合のいいように決めない。逆に言うと、この参考人方々は都合のいいように決められるのではないかというところに不安があったわけですが、その人たちと十分協議して決めて、本当に納得いくような形で今後運営していくかどうかだけ確認しておきたいと思いますが、いかがですか。
  145. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 再度申し上げますけれどもデータ提供される方に都合のいいようにということでございまして、そういうふうなことでユーザーの方の御意見等をこれからも尊重いたしまして、その皆様の御納得のもとにこういうふうな仕事を進めていきたいということを再度お約束いたします。
  146. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 長官の決意を聞いて、よろしくその点をお願いしておきたいと思います。  そのときに、新しい民間気象業務支援センターというのをつくるというのは、午前中同僚の議員からも御質問ありましたけれども、やはり新しいそういうものをつくるということは、今の規制緩和が叫ばれている時代に、同時にその規制緩和が 叫ばれているというのは官民との癒着という問題が大きな問題に実はなってくるわけです。しかし、そのときに改めて新しい財団をつくるわけです。  そうすると、やはり従来の経験からすると、そこにはOBの方々とかいろんな方が天下りをしていくと思うのであります。恐らく最初のうちはいろんな支援をやらなきゃならないのでそういう人たちが行くかもしれませんけれども、どうですか、気象庁から天下りはないと判断しますか、あると思いますか。その点、どういう認識でございますか。
  147. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今申されたことでございますけれども気象庁等で長年気象業務、特に予報業務等に携わりましていわば十分な技量を持っているという方がおられまして、それが各事業者等の御要望によってその方がその仕事の一部分を担当なさるということは十分に考えられると思いますけれども気象庁といたしましてそういう方を今申されましたような、先生が御心配になりましたような形でのそういうことはいたすつもりはございません。
  148. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 そうは言っても全然ないということではないでしょう。ですから、世間からひんしゅくを買わない程度にひとつやっていただきたいと思います。  そこで、先ほどのそういう法人をつくっていくのに適当なものがあるかどうかというふうに言われましたけれども、私は日本気象協会の中にちゃんとやればいいというふうに考えるわけです。そして、そこで問題があるとすれば、そこをきちっと整理をして、情報を出すところと公益的なところというふうに分けて、収支なんかはきちんと整理をしていけばいいわけであります。長官は天下り先には絶対にしたくないというふうには言われるけれども、やはり私はそうはならないだろうというふうに思うのであります。どうでしょうか、日本気象協会の中に民間の気象業務支援センターというものを分けて入れるという考えはございませんか。そこのあたりについてどうお考えなのか、お願いします。
  149. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) センターとして気象協会を指定してはいかがかというお考えでございますが、現在気象協会は既に暫定的に気象庁が保有しております情報の配信事業を実施いたしております。ただ、気象協会それ自身がそのデータユーザーでもあることがございまして、そのセンターの公益性と申しますか透明性を確保する措置が講じられることが望ましいと思っております。  したがいまして、指定をする法人の新設、既設を問わず、このような観点から関係者にも御相談して、センターの公益性あるいは透明性というふうなものを確保して対応してまいりたいというふうに存じております。
  150. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 時間が参りましたので最後の質問になりますけれども、どうか運営に当たっては万々怠りのないようにひとつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、気象庁長官に決意をお聞きしたいわけでありますが、地球規模の環境問題というのが国際的に非常に関心が高まってきているわけであります。地球環境に関しての気象庁の役割というのは今後ますます大きくなってくると思うのであります。したがいまして、環境問題に対する気象庁長官のお考えや意気込みや今後の決意を聞いて、私の質問を終わりにします。
  151. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先ほど来いろいろ御質疑をいただき、政府委員が答弁をいたしておりますが、ただいまの質問の地球規模の環境問題、このことも非常に大事であります。したがいまして、できるだけそういうもの、時代の要請、あるいは世界の仕組み、こういうものを考えて進めていきたい、こういうふうに思っております。  それから、先ほどの質問の中にありました、気象庁を少しないがしろにしておるんじゃないかというようなお話がございましたが、決してそういうことはございません。非常に技術も日進月歩に進んでおりますし、コンピューター等もやっぱり新しいものを取り入れてより精度を高くしよう、こういうことで努力をいたしております。また、今折衝いたしておりますが、気象観測船、これも新しいものにかえないとなかなかやれないのではないかというようなことで、今実は折衝をして建造しよう、こういうこともやっております。また、それとともに、ロシアの原子力関係の廃棄物の日本海への投棄、このことについても観測を今やっておりますが、より精度を高くひとつやろうじゃないか、こういうことで今お願いをしておる、こういうことであります。  それからもう一つは、今長官からお答えいたしましたが、この機関が、例えば支援センターができましても、これは天下り機関ということではございません。しかしながら私は、技術的にあるいはノウハウを持った有能な人は、やっぱり気象庁に勤めておった人もやむを得ぬのではないか。みんな合わせて日本の、我が国のレベルが世界の先端を行くように私はいたしたい、そういうことを長官の方にも伝えでございます。この機関自体が天下り機関と見られるようなことは困る。しかしながら、有能な人は入ってもらうこともあり得る。このことをはっきりしておかないと、天下り機関と言われるような、汚名を受けるようなことのないように努力はしていきます。しかし、OBあるいは有能な人があれば行ってもらうというようなことも考えざるを得ない、こういうふうに思っておりますので、どうぞひとつ御支援、御協力をいただきまして、よりよいものにしてまいりたい、こういうふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  152. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 それでは、ちょっと角度を変えながら、かつまた同じところに行くかもしれませんが、最初に、昨年の三月二十三日、ほぼ一年たつわけでありますが、気象審議会答申十八号が出ました。私これを全部読みまして、いわば高度情報化社会もとにおける気象情報のあり方として、答申としてはすぐれた内容だというふうに思うわけであります。これをごく簡潔に一分以内ぐらいに、この十八号答申のポイントというのはどういうふうに気象庁さんまとめておられるでしょうか、御説明お願いいたします。
  153. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気象審議会第十八号答申のエッセンスでございます。これは、高度情報化時代になりましたので、気象情報サービス全体のレベルアップを図るということでございます。  まず、官民の役割分担によりまして気象情報サービスをより一層推進するということでございます。それから、気象庁自身がメソ量的予報というふうな、従来よりもさらにきめ細かな予報を出すということもその前提として必要なことでございます。  それから、今申しましたような気象庁が所有しておりますデータ民間にお配りいたしまして、それを最大限に活用していただくための必要な方策をとるということでございます。  それから、特に防災情報に関してでございますけれども、これは一元的に国のする仕事でございますが、関連する機関と連携、協力を密接にいたしまして、より有効適切な防災情報を出していかねばならぬというふうな点に十八号答申のエッセンスは集約されるというふうに存じております。
  154. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 その答申が今度の法案にどういうふうに生かされているかということについてお伺いをしたいんです。  この法案答申のエッセンスを全部酌み取っているというふうに理解してよろしいでしょうか。ちょっとつけ加えますと、法案説明の中に、一般向け天気予報、それから防災気象情報、そして今度の法案の中心になる民間気象事業に対する気象情報提供と、こうあるわけであります。答申とこの法案関係についていかがでしょうか。
  155. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答え申し上げます。  ちょっと順不同になるかと思いますが、お許しいただきたいと思います。  まず防災情報でございます。気象審議会第十八号答申におきまして、防災情報に関しまして関係機関と連携、協力をさらに強化して仕事を進めるようにという答申をいただいているわけでございます。防災業務の高度化に関しましては、現在の気象業務法の枠内におきましても今答申にありましたような対応が可能であります。したがいまして、今回の法改正の対象とする条文の中には今の防災に関することが入っておりませんけれども、それは現在の気象業務法の枠内の中で今申し上げましたようなことが対処できるということで、防災に関する部分が今回の改正案の中には含まれていないわけでございます。  それから、先ほど申し上げました、気象庁の所有するデータ民間に開放いたしましてより有効にお使いいただくための種々の方策といたしまして、先ほど来申し上げております気象予報士制度あるいは支援センターというふうなものがこの法案に盛り込まれているわけでございます。
  156. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 防災気象情報はまた後でやりますが、ただちょっと気になるのは、気象庁以外の事業者に気象情報提供することをこの法律は中心にしていることはよくわかるわけです。しからば、その一般向け気象情報と防災気象情報気象庁の業務といいましょうか、これから臨む態度というのは従来と変わらずということに理解していいかどうか伺います。
  157. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生御指摘の点、その一番大切な点、防災気象情報については今後どうするかということでございますが、これは私ども気象庁にとりまして、防災気象情報と申しますものは私ども気象庁の気象業務の中でも根幹をなす極めて重要な業務であるというふうに認識いたしておりますし、また気象業務法の中でもそのような位置づけがなされております。今後とも、この防災気象情報提供につきましては気象庁が一元的に責任を持って対応してまいるという考えでございます。
  158. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 一般向け気象情報の方は、今度の法改正と気象庁以外のサービスを強化することによって変わるところがあるわけでありましょうか。
  159. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 一般向けと申しますか、いわゆる不特定多数の国民に対する天気予報気象情報提供、これにつきましても基本的ないわゆるナショナルミニマムと申しますか、国民一般が当然に受けるべきサービスとしての気象情報提供天気予報というものは、防災気象情報でない一般の予報につきましても今後とも引き続き気象庁の基本的な業務として行っていくということでございます。  ただ、その一般向けの天気予報の中で、局地的な天気予報、地域の地形とかあるいは特殊な環境状況、地形その他と密接に結びついた特殊な気象状況というものが発現しやすいような場所、あるいはそうでなくても非常に狭い特定のエリアについての気象情報天気予報というものは、これは民間の気象会社にも積極的に参画してもらってきめ細かい天気予報提供していただけるようにして、結果として国民に対する天気予報サービスの内容の質的な向上、多様化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  160. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 そのことは結局、新しい観測技術の改良なり情報の処理の高度化なりは、気象庁単独でやったものが一般向けの国民にサービスされるというよりも、一遍気象庁以外の事業所で処理された高度化した情報をまた気象庁が使うということになりますでしょうか。
  161. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) ただいまの御質問でございますが、基本的に申しますと、いろいろな気象情報を最も高度化する根幹の働きをいたしますものは気象庁でございます。つまり、気象衛星でございますとかレーダーでございますとかアメダス、あるいはもろもろの観測データを使いまして、スーパーコンピューター等を使いまして私たちの言葉で申しますと客観解析を行い、それから数値予報を行うわけでございまして、これらがあらゆる意味におきまして予報データの根幹をなすものでございます。それによりまして、先ほど来申し上げておりますように、防災情報それから一般向けの天気予報の精度向上、さらにきめ細かなサービスをするわけでございます。  それと同時に、今申しました国としてやります仕事以外に、特定の地域あるいは特定のユーザー、あるいは特定の用途を持った方々は今申し上げましたものだけではまだ不十分という方がいらっしゃるわけでございまして、多様なニーズがございます。それに対しまして、気象庁がつくりましたもろもろの解析データあるいは数値予報データ等を民間の方にお渡しいたしまして、特別な地域あるいは特別な用途に対しまして使いやすい形で加工する、いわば二次加工いたしましてそれを御利用いただくというのが今回の私どもが考えております全体のデータのフローあるいは利用に関する枠組みでございます。
  162. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 このことはまた時間があったら後でちょっと触れたいというふうに思います。防災気象情報関係も後でやらせていただきます。  今問題になっております、気象業務法の改正によって一番受益者になるべき気象事業振興協議会の皆さんが、この法案が提出される時点からいろいろと見解を表明されております。私も参考人の会をやりまして、政府の原案に対して、特に気象情報業務の面で法制化の面がノータッチでございますので、その面から問題があるのではないか。政府原案に対してやや批判的な、角度を変えた建設的な提言ができる参考人をと苦労した過程があったわけですが、きょう開いてみますと、今渕上委員がおっしゃいましたように、そんな心配はなくてむしろ政府原案に対して大変批判の強い意見を聞いたところであります。自民党推薦の参考人からあれほど内閣提案の法案に対して批判を聞いたのは初めてでございまして、非常に準備の過程が問題だなと痛感をしたものであります。  そのように今回の改正法案が最も恩恵に浴すべき四団体からも批判があるという点は、簡潔に言って何と何がポイントとしてあった、あるいはどこに欠陥があったのか、簡潔にお答えいただければありがたいですが。
  163. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 私ども、この法案関係いたしましてあるいは新しい気象サービスのあり方につきまして諸団体の方々とは十分に誠意を持ってお話しし、また相互の理解を深めてきたつもりではございますけれども先生御指摘のように若干の皆さんの御懸念があったというふうに受けとめております。  一つ、皆さんの御懸念がなぜ生じたかと申しますと、先ほど来言っておりますところの、データの対価ではないのでありますけれどもデータの配信に関する実費負担というふうなものにつきまして私たちの説明が至らなかったのか、あるいは皆様が十分に御理解いただかなかったのかもしれませんけれども、その辺で配信にかかわる実費とそのデータの対価というふうなものが一部の方々に混同されて誤解を招いていたのではないかというふうに思われます。  それから二番目といたしまして、いろいろなディテールについてまだ十分に詰まっていない点があったという御指摘でございます。これはまた別の面から見ますと、私どもが一方的にいろいろなものを御提案して了解を得るということのみでは不十分でございまして、皆様方の御意見を伺ってまた我々の考えを変えていくというプロセスが必要であったわけでございます。その辺につきまして、私たちの意図していたことが十分に伝わらなかったことがあったかという点につきましては反省をいたしているところでございます。
  164. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 私はまたそれを見ておりまして、幾つか委員からも質問で出たんですが、なぜ合意が得られにくいか、得られないか。一つは、やはりこれだけ許認可権限を運輸省サイドから見てもできるだけ緩和をしていく、少なくしていく。特に経済活動に対する許認可権限は緩和をしていくという方向で、こういうものが強化されていく。それから、行政機関直属の財団法人をまた新しくつくるぞと、それから天下りの危険性ありと、そ れからまた有料化の動きがありと、こういう悪い要因がこの法案は重なり過ぎているというふうに思うわけであります。  今渕上委員からも具体的に指摘されましたので、重複しない限りにおいて少し問題点を質問させていただきます。一つ気象予報士の問題でありますが、これは我が国の今の気象庁以外の気象行政を見ていてどのくらいの、いや気象庁予報官はどうなるかということもお答え願いたいですが、我が国にとって気象予報官というのは今どのくらいのニーズとして必要としているのか、そしてどのくらいの人数を確保したいと考えているのか、それから試験制度のあらましについてお考えになっているのか等々、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
  165. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 気象予報士の制度をつくります際の受験者数とか合格者数、あるいはその後、この気象予報士というものがどのぐらいの規模で活動するのかというようなことにつきましてはいろいろな想定の仕方ございますが、現在民間において予報業務に従事している人の数といったものから勘案いたしますと、受験者数におきまして恐らく当初五百ないし一千ぐらい、少な目に見て五百、多目に見て千人ぐらいの受験者は出てくるのではないか。  これは、実際に今民間予報業務に従事しておりますのが大体三百人程度、ほかに特別な関連の事業二百ということで五百名ぐらい。それに気象庁でも大体五百ないし一千ぐらい。大きく広範囲にとらえれば千人、少なくとらえれば五百人ぐらいの人が従事しているであろう。そのあたりのところから数字というものが出てくるであろうというふうに考えております。  それから、試験の中身でございますけれども、基本的には気象予報に必要な知識と技能ということでございますが、とりわけ今回法改正をいたしまして民間の気象事業者にもやっていただこうと考えております局地予報といいますか、そういったものについての知識、技能というものが十分あるかどうかということは重点的に確認するような形になるかと思います。知識につきましては、気象学の基本から始まりまして、最近の気象予測にかかわる技術開発成果というものを十分技術的に会得している、数値予報とかメソ量的予測の手法等についても理解がある、そういう人にやはりなっていただく。それからもう一つは、防災気象業務についての理解度も十分あることが必要であり、これについても確認もするというようなことになろうかというふうに考えております。
  166. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 気象庁にも気象予報士という資格を持った方が必要になるのでしょうか。  それからもう一つは、この試験を、説明の中で一部受験を免除する、試験免除者という制度があるようでございますが、これはどの範囲の対象の方を言うのか、その辺はいかがでしょうか。
  167. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 気象庁で気象予報を行う人につきましては、気象予報士資格は必要ないというふうに考えております。  それから、気象予報士試験でいわゆる受験する科目等について免除の制度をどのように考えているかということでございます。これにつきましては、気象予報士試験の制度の趣旨に照らしまして、それまでの受験者の経歴等から見まして免除してもいいような部分、主として知識的な面についてはいろいろあるんではないかと思いますが、そういったものについては一部免除はする。しかし、全部のいわゆる科目を免除して認定制度を設けるというようなことは考えていないということでございます。  これは特に技能的な面につきましては、新しいこれから気象予報士に期待いたしております業務を十分こなすためには、やはり試験を受けてその技能の内容というものを確認させていただく必要があるというところから全面的な免除はしない。一部の免除は、その人の履歴、過去の経験等に照らして配慮するというふうに考えております。
  168. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 なおいろいろあるわけですが、次に有料化の疑問の問題でございます。  新しい指定法人ができますと、どのくらいの予算規模の伴う指定法人でしょうか。そして、その指定法人の基本的な収入というものはどこに見ていきますでしょうか、いかがでしょうか。
  169. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 指定法人の収支の規模といいますか組織自体の規模といたしましては、これは公益法人、財団法人を基本的には想定いたしておりますが、組織の財政的な基盤といたしましてはまあそれほど大規模なものであることは必要ないだろう。数千万程度から億単位の金額を確保できればとりあえずはスタートできるのではないか。  それから収入につきましては、これは配信に伴う経費というものを賄えればよろしいわけでございます。営利行為を考えることは一切しないつもりでおりますので、配信に必要な経費というものを積算し、これもできるだけ経費のかからないスリムな形でユーザーにとって利便度の大きな情報提供をするということでございますので、人数的にも恐らく十数人から数十人オーダー。やる業務の内容によりますけれども、それほど巨大な組織であることは必要ないであろう。  したがいまして、歳入は、配信手数料、実費をいただく、それによってやるわけでありますけれども、もしそれ自体、配信にかかる経費というものはいただく料金で賄うといたしましても、それだけじゃもたないんじゃないかというようなことがありますれば、ほかの業務と一体化して、その部分については区分経理でコスト的に一番極小化するような形で工夫いたしたい、そんなことは考えております。
  170. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 現在の気象業務法十一条の気象成果の公表といいましょうか、それから気象災害時の十三条の報道機関国民への周知の規定、こういうものに基づいて報道機関気象情報は報道していただいているという関係が特に災害のときにはあろうかというふうに思います。  午前中も若干関係者と質疑を交わしたわけでありますが、基本的に言って報道関係についてはこれは無料を原則にして貫くべきものだというふうに思うわけであります。問題は、指定法人からのニュースの提供ということになりますと、どうしてもそこに一つコストがかかって、そのコストについて補償の道もあるいは探れるのかもしれませんが、いずれにしてもコストはかかる。そのコストをほかのお客さんに負担してもらうということではこれは問題があるわけでありまして、報道関係に対しては指定法人ではなくて、むしろ気象庁直轄でやるということも考えた配信の仕方というのがあるのではないかというふうに思うわけでありますが、その辺いかがでしょうか。そもそも、報道に関する無料化ということはちゃんと踏まえていますでしょうか、いかがでしょうか。
  171. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) ただいまの御指摘でございますが、防災情報等につきましては、例えば津波警報等でございますが、いろいろなそういった防災に関するものにつきましては現在もダイレクトに報道機関等に伝達いたしまして、直ちに国民の皆様に周知徹底をお願いしておるわけでございます。
  172. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 この気象業務法の施行に伴ってはいろいろ、政令、省令、それから規則等と、たくさん出てくるわけですが、それはこの気象事業振興協議会並びに関係者と、特に協議会になろうかと思いますが十分協議、合意の上で進められるということは、これはよろしいわけですね。
  173. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今先生の御指摘の点でございますが、これから十八号答申に基づいた新しい業務を展開していくわけでございますが、これは先生御指摘なされましたように、民間の団体と連携を密にいたしまして広く皆様の御意見を伺い、また私たちの考えも説明をいたしまして、お互いの理解と合意の上に立ちまして新しい仕事を進めていきたいというふうにお約束いたします。
  174. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 次に、防災気象情報との関係で質問をいたします。  自治省、建設省おいでくださっているでしょうか。それでは後回しで恐縮ですが、建設省、自治省、後で質問させてください。  最初に気象庁の方に。  この気象審議会答申は、災害気象情報につきましては非常に私はすぐれた中身になっているというふうに思います。私は過去二度ほど集中豪雨の問題をこの運輸委員会で取り上げまして提言をしてまいりましたことが、答申案としてはおおむね見事に表現をされているというふうに思います。ただ、気象庁の責務がその中で明確に規定されていないのが玉にきずだというふうに思うわけでありますが。  そこでお伺いをいたします。いずれにしても今の現行法では不十分です。現行法では、気象庁災害予報と警報のときにファクシミリで関係機関情報を流せば事足りると言っては極端ですが、私はそういうふうに確認してまいりましたが、そうだというふうに思うわけであります。問題は、日ごろの気象観測の成果も、これ十一条にかかわる問題でしょうか、それもまた自治体の端末に入るようなそういうシステムが必要だというふうに思うわけであります。今度の答申は非常に見事なことが書いてあるわけであります。とにかく、コンピューターによって気象庁関係機関との間をオンライン化して災害をできるだけ早くリアルに把握をするということになっているわけであります。  まず最初に気象庁に。現行法では今の気象審議会答申を満たし得ないと思います。十一条の改正を初め、気象庁関係機関、とりわけ地方自治体との関係の明確な規定というのが必要ではないかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  175. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 先生が今御指摘なさいましたように、地方自治体等におきましていろいろなデータを現在持っておられます。例えば、観測データの効率的な収集の観点からは民間気象事業者の活用を図ることについてはもちろん異存はございませんが、地方自治体と気象庁の連携については、基本的には県等の地方自治体が既に整備しておられます防災システム気象庁システムとを効率的に接続することによって相互のデータの交換が可能になっているかと思います。  現在の業務の枠組みの中で、例えば東京都、富山県等地方自治体の整備しました高度の防災情報システム気象庁あるいは地方気象台の情報システムとの接続が図られてきているわけでございます。これは非常に有効でございますので、気象庁といたしましては今後ともこの方向を鋭意推進していきたいというふうに考えております。  今手持ちのデータで申し上げますと、宮城県と仙台管区気象台が平成四年八月一日からシステムによりますデータの交換をいたしております。それから東京都と気象庁でございます。これは平成三年の四月一日からシステムによりますデータ交換をいたしております。それから神奈川県と横浜地方気象台が平成五年三月一日からでございます。富山県と富山地方気象台でございますが、平成五年四月一日よりシステム交換。石川県と金沢地方気象台、それから岐阜県と岐阜地方気象台、これはファクス等によるデータ交換でございます。同じ方式でございますが、三重県と津地方気象台がファクス等によりますデータ交換を打ち出しております。香川県と高松地方気象台、大分県と大分地方気象台につきましては、システム交換によりまして相互のデータ交換をすることを現在検討中でございます。  このように現在のところ、既に何カ所かで地方自治体と気象庁あるいは地方気象台との間におきますデータの交換が行われておりますし、これからもこの方向で業務を進めていきまして、より効率的な防災気象業務を発展させていきたいというふうに存じております。
  176. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 ありったけの事例を御紹介いただいたような感じがしますが、我が静岡県もサイポスというのをやっていまして、それは気象庁の技術指導も得ながらやっております。  問題は、それは地方自治体側のイニシアチブでお進めになっているケースが多いのではないか。気象庁の責務、運輸省の責務という形でもって進められたいわば法律的な事項でないことは明確だというふうに思います。  そこで問題は、基礎自治体、たくさんの河川の水防責務を負っている市町村のところで水防と気象庁のもろもろの情報がリンクされなければ意味がないわけであります。そういう意味で、今度の答申はそのことに触れているというふうに私は理解しています。そういう意味で、今後気象庁としてこういう市町村を見詰めた、水防の第一義的な責務を負った市町村と気象庁情報がコンピューターの端末機でつながるという展望と施策はお持ちでしょうか、いかがでしょうか。簡潔に御答弁ください。
  177. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 現在のところは、一番完成した姿に近い情報ネットワークあるいは観測ネットワークを持っております府県等の地方自治体と気象庁データの交換が最も現実的なものでございますので、これを先頭に立てまして、そこから業務の発展を図ってきたわけでございますが、今後そういったものが完成しました暁には、その次のステップとして先生御指摘のようなこともこれから鋭意検討していく必要があるというふうに存じております。
  178. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 恐縮でございますが、建設省。建設省もまたこの気象審議会に参加されて、委員とおなりになって答申作成に貢献されているというふうに伺っております。建設省から見て、今度の気象審議会答申というものが気象業務法案にどう反映されているとごらんになるのか。あるいは建設省がお進めになっているのは、国の一級河川のまたその中の大きな河川を直接おやりになっているわけでありますが、今後の河川の情報、コンピューターで各級機関がかなりつながってきているというふうに思いますが、建設省から見て今後の気象庁関係機関のオンライン化というものはどう進めていくお考えでいるのか、進めていっていいのか、その辺の関係をちょっと御答弁いただけますでしょうか。
  179. 和里田義雄

    説明員和里田義雄君) 先生の御質問、幾つが御指摘いただいているわけでございますが、気象審議会の十八号答申を生かした形での今回の法律の改正、これはこの部分につきましては行政上の防災機能の強化というものに直接的には触れるものではないかもしれませんが、民間気象事業者等への情報提供が充実されるということですので、局地的かつきめ細かな天気予測情報の把握が個人レベルでなされるということが充実するということは、個々人の皆様方がそういう情報をつかむチャンスがふえるということでは非常に大事なことだというふうに認識しております。  それから、今先生お話しありましたように、私ども建設省と気象庁の間では、水防法の十条の二項に基づきまして、気象庁と共同いたしまして、洪水によって国民経済上重大な損害を生ずるおそれがある河川を指定いたしまして、洪水予報を行っております。平成四年度末では四十三の水系、八十河川、これにつきまして指定いたしまして、予報情報は防災機関に通知されるとともに、報道機関を通じて一般に周知されるということになっておりまして、今後とも気象庁と密接な連絡をとりながらこれを進めていく。さらにまた対象の指定河川、これも年々少しずつふえているという形で、これを拡大していきたいと思っております。  それから、気象庁と防災関係機関との情報のネットワーク化、これを利用した防災気象情報の伝達の迅速化、これは先ほど先生お話気象審議会答申の中にも強く位置づけされているわけでございますが、我々としてもこの趣旨に沿った形で今後関係機関情報のネットワーク化ということは意義あることと認識いたしております。
  180. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 建設省のこの建設経済局電気通信室のいろいろな気象観測、治水上のあるいはがけ崩れ、いろいろあろうかと思いますが、電気通信室の業務と、それからちょうど気象庁と今度のセ ンターが共通しているのかなとも思うんですけれども、財団法人河川情報センターというのがあるわけでありますが、電気通信室と河川情報センターとの関係はどういう関係になっていますでしょうか、簡潔に。
  181. 和里田義雄

    説明員和里田義雄君) 電気通信室と申しますのは、私ども直轄で防災上の連絡を旨といたしますマイクロ回線、これの整備をし、かつ維持管理をするということを主たるものといたしております。さらには、私ども組織内の情報を密にしながら防災の情報を我々の機関内で連携をとって対応できるようにするということのほかに、そのパンフレットにありますように、衛星通信システムヘの対応ということで通信衛星さくら三号を利用した災害情報の把握、それを踏まえた機敏な対応への活用というふうなこともその通信システムが行っております。  それから河川情報センターでございますが、これは出水時におきまして正確な雨量、水位など河川情報を地域の防災機関に対してより早く伝達することが重要ということから、昭和六十年の十月に設けましたのが財団法人の河川情報センターでございます。昭和六十一年の六月から建設省が管理いたします河川にかかわります雨量、水位などの河川情報を国、都府県、市町村約七百の防災機関に提供を開始いたしたところでございます。現在では、国が管理いたしますすべての河川、そして十九の都府県知事が管理します河川、これにかかわります河川情報を全国の約二千九百五十の防災機関に情報提供いたしておるところでございます。
  182. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 ありがとうございました。  自治省、自治省もまたこの気象審議会に参加されて答申に貢献されているわけでありますが、自治省から見まして、今度の気象業務法案とどんなかかわりがあるのか。かかわりがないのではないかと思うわけでありますが、しかし答申の中身に盛り込まれている問題は、基礎自治体と気象庁との情報のオンライン化が基本になっているわけであります。それは今後どんなふうにお進めになっていくのか、気象行政に対する期待も含めましてお話しいただけますでしょうか。
  183. 牧野清文

    説明員(牧野清文君) まず十八号答申についてでございますが、災害に関しまして気象庁が発します警報、注意報など、これらにつきましては防災対策上極めて重要な役割を持っているということについては申し上げるまでもございません。私ども常にそのような認識を持っているわけでございます。  したがいまして、近年におきます情報処理技術の成果を踏まえまして、情報の総合化を図るといったことでございますとか地方公共団体とのオンライン化を進めていくということ、そういった気象情報の質的な向上あるいは拡充が図られますことは地方公共団体を含みます防災関係機関にとりましても大きな意義を持っている、そのように理解をいたしております。  消防庁といたしましても、こういった市町村の防災体制の強化の一環といたしまして、平成四年度から雨量、水位といった観測データを迅速的確に収集いたしまして無線装置などによりまして伝送することができる、そういった機能を持ちましたテレメーター設備でございますが、これを付加いたしました市町村の防災行政無線、この整備を消防防災設備の整備費補助事業あるいは防災まちづくり事業の対象といたしてございます。これらの制度の活用によりまして今後とも市町村の防災行政無線の整備促進を図ってまいりたい、このように考えでございます。  なお、この答申に関連いたしまして、水防対策におきます気象庁の防災気象情報、極めて先ほど申し上げましたように重要でございます。災害の予防において大きな役割を果たしているわけでございまして、そのような観点から、気象庁におかれましては今後ともよりきめ細かな情報提供していただくよう消防庁といたしましても期待申し上げるところでございます。  以上でございます。
  184. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 ぜひ全市町村に、あるいは特に集中豪雨等災害多発市町村に早急にオンライン化を進めなければならないというふうに思うわけであります。新社会資本の整備いろいろ言われておりますが、この面にも大蔵省としてもかなり配慮していくべきものだというように思っておりますので、主張してまいりますので、どうぞ当該の消防庁におかれても推進されるように要望をしておきます。  時間がございませんので、最後気象庁。  気象庁の方の一連の資料の中では、官民分担の中で気象防災を気象庁の仕事として気象庁の方に位置づけておりますけれども、これは気象庁の各官署とリンクするよりも、基礎自治体は現実は気象庁以外の民間事業所とリンクする方が手っ取り早いからもう始めているわけです。第三セクターで今幾つかの事例が長官から出されましたけれども、基礎自治体の方ではもう間に合わないものですから自分で民間の会社と組んで始めているわけです。だから、今度の気象業務法の改正は、市町村から見てみた場合に、気象防災対策を気象情報上進める場合は、これは気象庁以外の事業所と組んだ方が早いということになるわけです。これは明確なんです。だから、気象庁固有の仕事として位置づけておりますけれども、それは現実は違う方向に行くんじゃないですか、気象庁がそこまで責任持っておやりになりますか、そこのところを聞きたいですがいかがでしょうか。
  185. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 防災情報の基礎になります気象観測がございます。これはいろいろな観測がございまして、十分な予告時間を持ちましていろいろな注意報、警報を発表するということのためには予報精度の向上が不可欠でございます。予報精度の向上のためにいろいろな観測設備、施設というふうなものを維持管理しているわけでございまして、気象庁といたしましては防災業務の充実に努めてきているわけでございまして、台風、集中豪雨等の観測、あるいは予報体制の強化というふうなものをやってきているわけでございます。そのような成果と申しますのは、いろんな防災情報として直接的に社会にお伝えしているわけでございます。  それから、先生が今おっしゃいました、市町村と民間との間というお話がございましたけれども気象庁の出しております注意報、警報というふうなものに加えまして、さらに非常な狭い範囲を特定いたしましたようないろいろな予報データが出るということは、それらを併用することによりまして実際の現場におきますいろいろな防災活動あるいは救難活動等に非常に有効に役立つものではないかというふうに存じております。
  186. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 現在は気象業務法の十五条で、十三条の予報と警報がそれぞれ府県段階の気象台から県へ、これは直接リアルタイムで電話で話しすることもあるでしょう。しかし、基本的にはファクスで県に予報と警報が行きまして、県が全市町村にファクスで流す、市町村はそれを見るだけ。現状はこうだということをまず確認する必要があるというふうに思うわけです。問題は、それを今度は気象庁と市町村自治体とをオンライン化するというわけですよ、リアルタイムに。これはすばらしいですよ。それと今回の気象業務法並びにこの気象業務法と並行してこの審議会の答申をどう具体化するかということをいま少し明確にしてほしいわけであります。少なくとも今の十五条の段階からなお前進するということをもう一遍御答弁いただけますか、どういうふうに前進はできますでしょうか。
  187. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 先ほどから申し述べておりますように、気象庁から出ておりますいろいろな情報でございますが、これは県のシステムを通しまして即時的に各都道府県内の市町村に伝達されていくルートがございますのでございまして、これを現在第一義的に充実することを我々の当面の目標としているわけでございます。  そういうふうなものが進みました次の段階として先生御指摘のようなものが当然考えられるかと思いますが、現在のところでは気象庁と府県等を ダイレクトに結ぶものの充実が第一義的に現在進行中であるというふうに認識しているところでございます。
  188. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 もう時間がありません。  要するに、水防に第一義的に責任を持つ市町村長さんが、異常な気象状況の中で気象台と結んだ端末機を見ながらメンスケールの情報もチャンネルをひねれば見える、それから自分の局地的なごく短い時間の雨足の状況を把握できる、そういう体制をつくらなきゃならぬということを審議会の答申が言っているというふうに理解します。そういうものにどう近づけていくかという実際の制度の整備と法整備が必要なときに来ているというふうに思います。  最後にどうでしょう、運輸大臣、お聞きしていて、所感を聞きまして私の質問を終わりたいというふうに思います。
  189. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) いろいろ御質問がございました。実は私の選挙区に県が管理をしておるダムが二カ所ございます。やはり降雨量とかそういうものを気象台と連絡をとって、それによって台風なら台風が来ないうちに放水をする。これは後の河川の管理とかそういうことがあるのであろう、こういうふうに思いますが、そういうことが進められております。  また、今飛行機の事故もございましたが、飛行場にいたしましても、やはり海岸もあるし山もありますし、いろいろ、北海道もありますし沖縄もある、こういう状態であります。またリゾート開発も全国各地、しかも山、海岸、局地的なことがたくさんございます。こういう防災の面からいいましても、あるいはその他情報をより正確に、より高度化していくということは非常に大事であろう、かように思うのであります。  こういう面からいって、気象庁もちろん大いに努力をして、今後世界的なレベルの優位性を保ちつつやっていかなければならない。しかし、局地的な問題はやはり気象庁だけではちょっと難しい。でございますから、やっぱり民間、ここでやっていただく、こういうことにいたしたい。こういうことからこの法案を提出したわけでございますが、今後大いに十分関係者と話し合って、国民ニーズ、これにこたえていくように進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  190. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 終わります。
  191. 河本三郎

    ○河本三郎君 自民党の河本でございます。早速質疑に入らせていただきます。  気象審議会十八号答申では、高度情報化社会における気象サービスのあり方について方向づけを指摘しているように、気象情報国民生活、産業活動等と密接なかかわりを持っている基本的な情報であり、我が国の経済社会活動の発展とともに気象情報内容もさまざまな需要に弾力的に対応できる仕組みを考えるべきであります。  情報処理技術の発達を背景に、気象庁ではスーパーコンピューターの導入、コンピューターネットワーク等の整備あるいは高度な観測システムの近代化等を進めてきていると聞いておりますが、先日視察を行い、民間においても気象予測の面で技術水準が向上し、国民要求する多様な気象サービスにこたえ得る基盤が整いつつあると感じました。  気象情報は、産業界においては特に流通業を中心に市場予測の有力情報として活用されております。生活大国を標榜している我が国においては、国民の余暇活動がますます盛んになり、気象サービスの多様な提供が要請をされております。  また防災面では、都市化による災害形態の変化に対応した防災気象情報の一層の充実が求められております。  このような状況を踏まえ、今後の気象業務の推進体制についてお尋ねをいたします。
  192. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答え申し上げます。  先生今御指摘なさいましたように、昨年の三月に気象審議会が第十八号答申を出したわけでございまして、これは高度情報化時代におきます気象情報サービスのあり方をまとめたものでございます。気象情報に対しまして非常に社会要望が多様化いたしておりまして、これにこたえて現代の時代にふさわしい気象情報サービスを実現するために、気象庁あるいは関係機関民間気象事業者等の密接な連携、協力によって総合的な気象サービスの展開が必要であるし課題であるという旨がこの十八号答申で指摘されております。  この答申を受けまして、欲しいときに欲しいところの欲しい種類気象情報社会の皆さんに直接届く必要があるわけでございまして、国民の各層におきまして適宜適切にアクセスできるような気象情報サービス提供体制の整備を早急に確立することが必要でありますし、社会の要請であるというふうに考えております。  気象庁といたしましては、今申しましたようなことの実現に真剣に取り組んできたわけでございます。このために気象庁民間気象事業者との連携、協力関係を今まで以上に強化いたしまして、総合的な気象事業の推進を図ることが必要でございます。  気象庁は、国民の生命財産の安全の確保にとって最も重要であります防災業務の高度化にまず取り組むわけでございますが、同時に一般の天気予報につきましても、現在の予報を発表しております地域をさらに細分いたしまして、より具体的かつ予報精度の高いデータ提供するという重要な役割を持っているというふうに認識いたしまして、このために必要な所要の設備整備を進めているところでございます。  それから、民間気象業務の振興が今申し上げました十八号答申を実現するために必要なわけでございますけれども、このためには、気象庁が保有しております非常に貴重な気象情報について、要請に基づいてそれを公開し社会提供するということが非常に必要であります。  そしてまた、社会予報技術に関しまして、気象庁からのいろいろな技術移転というふうなものも積極的に進めてまいりまして、今申しました三本の柱をそれぞれしっかりすることによりまして、気象庁の業務を発展させ、また民間の気象技術も発展させまして社会のお役に立ちたいというふうに考えているわけでございます。
  193. 河本三郎

    ○河本三郎君 次は気象情報有料化に対することでありますが、報道機関気象業務法第十一条、十三条の定めにより、国民が必要とする気象情報の伝達の責務を果たしております。気象情報は、防災の面、国民の利便性の確保のために直ちに確実に国民へ伝達されるべきものであり、気象庁の発表する情報国民共有の財産として報道機関提供されるものであり、気象情報有料化は問題が大きいわけであります。法律に示されている気象業務支援センター有料化への布石であるとの声も聞かれますが、これに対してお伺いをいたします。
  194. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気象情報の伝達におきまして、気象業務法の規定等に基づいて報道機関の果たしているお役目につきましては、我々気象庁といたしましても十分に承知いたしているところでございます。気象情報が防災の面あるいは国民生活の利便性の確保に果たす役割は非常に重要でございますので、今後とも報道関係機関とは十分な連携、協力を図っていく必要があると従来から考えているところでございます。  で、関係者からの申し入れ等がございまして、これにつきましてもう再三再四申し上げているところなのでございますけれども気象庁は今回の法改正におきまして、報道機関の皆様方が御懸念なさっておられるような気象情報有料化を図る意図はございませんので、重ねてはっきりとお伝え申し上げます。  本法案におきまして、民間気象業務支援センターは、総合的な気象サービスの提供を推進するための民間気象事業の振興を図るために不可欠なものでございまして、気象庁の各種保有している気象データ提供するための体制整備を行うものでありまして、その必要性は気象審議会の十八号答申にも指摘されているところでございます。  センターによりまして利用者への情報配信は、これはデータそのものの対価ではございません で、データを配信するための実費負担を考えているわけでございます。情報そのものへの対価等は求めるものでは全くございませんので、有料化等の布石となることもございませんので、ぜひこの点につきまして御理解を賜りたいというふうに存じます。
  195. 河本三郎

    ○河本三郎君 気象情報サービスに関する国民の多様なニーズへの対応については、民間気象事業者の果たす役割は今後ますます大きくなるものと考えております。今回の法改正では、民間気象事業の振興を図るための基盤整備の点では評価されますが、具体的な運用に当たっては民間気象事業者との十分な協議が必要であるのは言うまでもありません。    〔委員長退席、理事松浦孝治君着席〕 振興協議会はこれまで十分な説明がないことに遺憾の意を表明しておりますが、対応はどのようになっているのかお伺いをいたします。
  196. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生ただいま御指摘のとおり、気象事業振興協議会からはいろいろ私ども法案についての御意見等を承ってきておりまして、三月十九日付でも気象庁長官に対しまして本法案に対する申し入れをいただいております。  この申し入れの趣旨は、気象庁長官あて申し入れが行われた後の記者会見におきまして、同協議会の鈴木会長、本日の午前中の参考人として御出席いただきました鈴木会長さんが明らかにしておりますとおり、本法案反対ということではない、ただ、種々疑念もあり、今後制度の具体的な運用、実現段階において十二分に自分たちと協議してもらいたい、そして自分たちの納得のいく形の制度をつくり上げてもらいたいという御意見は承っております。  私ども、このような意向を十分に受けまして、今後この制度の具体的な運用に至るまでの過程において、同協議会との協議は十分に行うことにいたしておりまして、ユーザーの不満のあるような形で一方的な押しつけをやっていくというような考えは全く持っておりませんので、この点を協議会に対しても十分お話し申し上げ、御理解をいただいていくというふうに考えておる所存でございます。
  197. 河本三郎

    ○河本三郎君 我が国は海運国であり、海外との貿易、物流の円滑化は国の根幹的な事業として最重要課題の一つであります。広大な外洋上における気象、海象情報の充実は、船舶の安全運航、経済運航の確保にとって極めて重要であります。また、地球環境問題への対処という観点からも、モーダルシフトを推進すべきであり、内航海運の国内物流において果たす役割はますます増大し、近海及び沿岸における気象情報の充実は重要であります。  さらに、地球環境問題への対応のためには、地球温暖化等の把握及び予測に関する科学的知見の高度化を図ることが重要な課題であります。特に、温暖化と密接にかかわっております二酸化炭素等の温室効果気体の動向は、海洋の果たす役割が大きいと聞いております。海洋観測の充実が必要であると考えるわけであります。海洋における情報サービスの充実に対する民間気象事業者の果たす役割についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  198. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気象庁では現在、海洋気象観測船、静止衛星、ブイロボット等によりまして外洋域それから我が国の周辺海域におきます海洋や海上気象の観測を実施いたしております。それからまた、沿岸波浪観測設備、検潮観測設備等も運用いたしております。これらの観測データに加えまして、さらに一般商船、船舶からも気象データが通報されてまいっております。これらのデータもとにいたしまして、海上におきます気象、波浪、海氷等の予警報を行っているほかに、海洋に関します情報提供いたしております。海洋に関する情報と申しますと、海流でございますとか海面の温度等でございます。  これらのデータは、船舶の安全運航あるいは経済運航の確保にとりまして最も重要なものでございます。特に重要なものといたしまして、波浪の予報、海上の風に対する予報がございまして、これらの予報精度の向上が非常に重要なこととなっております。  これらの予報情報内容を充実させますためには、技術開発が気象庁の最重要の課題と認識いたしておりまして、現在新しいこれらの現象を予報いたします数値予報モデルの開発に取り組んでいるところでございます。これらが完成いたしました暁には、沿岸におきまして非常に細かなスケールでの波浪予報提供が実際に実現するというふうに考えまして、その実現に最大限の努力を払っているところでございます。  また、最近の気候の温暖化等地球環境問題が非常に社会関心を集めているわけでございますが、これらの問題に対応いたしますために、観測船によりまして西部太平洋におきまして、洋上から海洋の深い層に達します厚い層にわたりまして二酸化炭素等温室効果気体、オゾン層破壊関連物質等の観測も開始いたしております。そしてまた、これからもこれらの観測体制をより充実していきたいというふうに思っております。  それから、異常気象でございますとか気候変動と深く海洋がかかわっております。特にエルニーニョ現象の監視、予測等の業務を開始いたしておりまして、大気、海洋を総合的に結合して予測いたします大気・海洋結合数値モデル等の高度の研究も進めておりまして、地球環境問題に積極的に取り組んでおるわけでございます。  これらの海洋気象業務につきましては、観測船の代替建造でございますとか各種観測施設の更新、近代化等いろいろな改善も図られておりますし、さらにスーパーコンピューター等の電子計算機によりましてより細かな予報のプロダクトを出すということも重要な仕事の一部でございます。  今回、民間気象事業者におきまして新しい業務の展開が見られるわけでございますが、従来から例えば船舶に対しまして最適航路の推定というふうなものが必要でございまして、これは経済運航を支援する非常に大切なものでございますけれども気象予報士制度の導入等によりまして、これらの海洋上の気象庁予報データをさらに積極的に利用活用していただきまして、海域特性等が十分に考慮されてさらにきめ細かな、地域的に密着しました海洋気象の情報サービスが可能になるというふうに思っておりまして、ユーザーの皆様方からの多種多様な御要望にこたえることができる体制が整っていくというふうに存じておるわけでございます。    〔理事松浦孝治君退席、委員長着席〕
  199. 河本三郎

    ○河本三郎君 それで、気象予報士制度の制定と民間における気象サービスの関係をお聞きしたいと思います。  国民の、欲しいときに欲しいところの気象サービスを受けたいという要望先ほど述べたように今後ますます高まるものと考えます。このたびの法改正によりまして個別的な天気予報民間にゆだねられるわけですが、予報精度の面等、良質な予報提供がなければ混乱を招くだけであり、そのための方策として気象予報士の制度の制定が今度の法改正の一つの重要な柱となっているわけでありますが、予報士の果たす役割、良質な気象情報提供についてどのようなお考えでしょうか。  また、資格制度の導入は民間気象事業者にとっては新たな規制強化にもなるとの指摘が一部にあると聞いておりますが、この二点についてお伺いをいたします。
  200. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) ただいま先生御指摘の二点につきましてお答え申し上げます。  国民の皆様が欲しいときに必要なデータを入手するということは、気象サービスの上でまことに重要な点でございます。現在の気象庁がやっております予報は精度も向上いたしているわけでございますけれども、非常に多様な社会ニーズにこたえまして、すべての皆様方に欲しいときに欲しいデータ提供するという点につきましては、国のサービスの一定の限界があろうかというふうに 存じております。  このような点を解決いたしますために、基本的な予報データ、観測データ気象庁が作成いたしまして直接国民に発表し利用していただくとともに、支援センターを通じまして民間方々に多種多様のデータ提供いたしまして、そこのデータを利用いたしまして民間気象情報の業者の方々がそういったデータを適切な地域に適切な加工をいたしまして提供するということが、国民の皆様方の欲しいときに欲しい種類データを入手できるということに最もかなうものであろうかと思われます。そのために、先ほど来申し上げております支援センター及び気象予報士制度をとったわけでございます。  従来のものと非常に変わりますのは、従来と違いまして一般向けな気象データを、局地気象予報をすることをオープンにしたわけでございます。それが従来と非常に違うわけでございまして、従来は一般向けな予報サービスは行っていなかったわけでございます。一般向けな予報サービスをするということは、国民の皆様方に対しまして出していくデータが非常に広範な影響力を持つわけでございますので、そのデータ予報について社会的な混乱が生じないように、あるいは利用者の利便に反することがないように、その予報精度の一定の水準を確保することがどうしても必要でございます。そのために、予測をする人の技術水準を確保するという意味気象予報士制度を今回提案しているわけでございます。  これは新しい規制ではないか、制限ではないかと御懸念なさる声も伺っておりますが、これは従来の仕事をそのままにいたしまして予報士制度をつくるのではございませんで、実際に民間でおやリになります仕事の量を拡大いたしまして、その拡大することに伴っていわば責任を生ずるということから新しく気象予報士制度が出てきたわけでございまして、従来の仕組みの中で新しい制限を課すというものではございません。  むしろ、新しい予報業務、局地的な予報を出すために、新しい時代を迎えまして新しい技術、新しいデータを利用するためにこのような予報士制度がつくられたわけでございますし、それがこの新しい予報業務の体制に不可欠なものであるというふうに存じているわけでございます。
  201. 河本三郎

    ○河本三郎君 最後に大臣にお尋ねをいたします。  国民が安心して活動を行うためには、防災情報の一層の充実を図るとともに、きめの細かい気象サービスが必要であります。大臣が御同席でありますので、最後に大臣の所感をお聞かせいただき、私の質問を終わりにいたします。
  202. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 気象審議会第十八号の答申に基づきまして、国民ニーズにこたえるためにより細かく、より精度を高くいたしたい、かように思います。  先生御出身の兵庫県にいたしましても、気象は神戸と姫路では随分違うし、日本海になるとなお違います。また、淡路島になりますとさらに違うし、さらに小さく各市町村に至るまで。また、先ほど先生お話しのございました海洋の気象にいたしましても、高知県沖あるいは和歌山県沖、また豊後水道あるいは紀淡海峡、また瀬戸内海、いろいろ違うわけであります。これをより的確に情報提供して船の船長が判断をしていただくというようなサービス、これをぜひとも進めていきたい、かように思う次第であります。そうしてこのことは、気象庁支援センター民間団体とが相協力してより正確なデータをつくっていく、また配信していく、こういうふうに考えております。  また、先ほど御指摘がございました報道機関については、これは我々のつくったデータ国民に知らせていただくということでございますから、もちろん料金、きのうもお答えしておきましたが、そういう考えは毛頭ございません。ただ、先ほど来言っておりますとおり、民間団体から配信をするその費用についてはやっぱり民間から、ユーザーからいただくことになるであろう、こういうふうに思いますけれども、一般的な報道機関等については全く考えておりませんので、そういうことで御了承をいただきたい、かように思う次第であります。  こうしてぜひとも皆さんの御協力をいただいて法律案を成立させていただき、何回も言っておりますように、より世界の中で先端を行くような気象情報、これを進めてまいりたい、かように思いますので、どうぞよろしく御協力のほどをお願いいたしたいと思います。
  203. 広中和歌子

    広中和歌子君 きょうは気象業務法の一部を改正する法律案審議する委員会でございますけれども、一昨日私どもにとって大変ショッキングな事件が起こり、しかもそれが当運輸委員会に非常にかかわりがあることでございますので、大変恐縮ですが、一部時間を割きまして、一昨日起こりました航空機事故について御質問をさせていただきます。  この事故についてですけれども、花巻空港で起こった。これが人命に被害が及ばなかったことは非常に奇跡と言っていいほど幸運なことだろうと思います。これについていろいろ新聞報道がなされております。JASの事故機を副操縦士が操縦していたとか、あるいはまた滑走路自体が非常に横風について弱いといったようなさまざまなことが出ているわけでございますけれども、この事故について人災であったのか、あるいは不可抗力的な天災であったのか、そういうことについて御見解をまずお伺いしたいと思います。
  204. 松本健治

    政府委員(松本健治君) ただいま先生の御質問でございますけれども、今のところわかっている状況では、非常に風の強い状況で進入着陸をやったというところでございまして、その辺現在事故調査委員会の方で調べておるわけでございます。したがいまして、本当にそのときの風の状況が非常に強い風が瞬時に吹いたというようなことがあったのかどうかということも現在のところまだわかっておりません。したがいまして、その辺のところも含めまして、今後事故調査委員会の方の調査結果を待っていろいろ対策に当たっていきたいというふうに思っております。
  205. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 今政府委員から答弁いたしましたとおりでありますけれども、今回の事故は、確かに風はきつかったようでありますけれども資格のない者が操縦をしていた、副操縦士が操縦していた、こういうことからこれは天災であるというようなことは私は言えない、こういうふうに思います。  まことに遺憾なことでありますけれども、負傷された方にお見舞い申し上げますとともに、これに乗り合わせておった乗客の皆さんにおわびを申し上げたい、かように思う次第であります。  副操縦士は六カ月以上たたないと離着陸は操縦かんを握ってはいけないということになっておりますし、もう一つは、こういう風のきついときには副操縦士ではいけないということでございますから、これは遺憾ながらそういう規則を守っていなかった、こういうことであろう、かように思います。この点については深くおわびをいたす次第であります。
  206. 広中和歌子

    広中和歌子君 私、たまたま同じ日の同じ午後大阪空港から札幌に向かっておりまして、非常に外は晴れているのですけれども、乱気流に乗ったのか突然非常に荒れましてびっくりしたことを覚えているのでございますけれども、突風とか気流の影響というのは突然起こってくるわけです。そういうようなことに対して、もちろん副操縦士じゃなくて操縦士であれば当然対応できるものかどうかという、全く素人でございます者の疑問というのがあるんですけれども、その点についてお答えいただけますか。
  207. 松本健治

    政府委員(松本健治君) 今先生が同じ日に遭遇されたという事例でございますけれども、多分高い巡航中に非常に大きな揺れがあった、このような事例かと思います。  タービランスというふうに呼んでおりますけれども、そういったものにつきましては、まず一つは、そういう雲があるところに入りますとそうい う揺れが起こるわけでございますけれども、こういうものは、飛行機において気象レーダーを持っておりまして、そういうところを回避するというような方法で飛んでおります。また非常に難しい話は、非常に天気がいいときであって晴天の乱気流というような場合がありますけれども、そういう点は非常に感知が難しいんですけれども、それは気象的にどういう状況のときにこういうものが起こるということを、十分そういう勉強をもちろんパイロットはしております。さらに、一つの飛行機がそういう事故の中に入りますと、そういう情報を下の方に連絡をいたしまして次の飛行機に通知をするといったような、こういったような方法でなるたけそういうことを回避できるような対策を講じておるというところでございます。
  208. 広中和歌子

    広中和歌子君 そうすると、多分今回はそういう気象情報が十分であったから操縦士が副操縦士に操縦をお任せした、そういうふうにとってよろしいんでしょうか。そして、これは明らかに違反であるとした場合でございますけれども、副操縦士としてはやはり実際の経験というのはしなきゃならないわけです。副操縦士が操縦士になるその過程におきまして、お客さんの、乗客が乗っている飛行機を操縦するということも想像としては大いにあり得るんじゃないかと思うのでございますけれども、その実情はどうなんでしょうか。
  209. 松本健治

    政府委員(松本健治君) まず、今回の場合でございますけれども先ほど先生の御質問にもお話ししましたように、風が二十五ノットということでございました。この二十五ノットという風は、通常の操縦士、機長であれば十分許される範囲内の横風であった。――十分ではございません。実は規程が二十五でございますので、ちょうどぎりぎりのところでございました。しかし、今回の場合操縦かんを握っていたのは副操縦士ということでございまして、その場合でございますと、航空会社の運航規程の附属書がございまして、その中で十三ノットを超えたら副操縦士が操縦してはならないというようなことになっておりましたので、この点でも規程の違反があったということでございます。ですから、したがいまして通常の機長がやっていれば、非常にぎりぎりのところではありましたけれども、着陸できるような気象であったというふうに思われます。  それから、副操縦士が機長になるためのいろんな経験を積んでいかなければいけないということで、これはそのとおりでございまして、ただし未熟な者に直ちにやらせることはできないということで、したがいましてこのJASの規程の中でも、副操縦士に発令をされまして六カ月たたないと離着陸のときは操縦かんを握ってはならない、ただしその場合、機長が教官であるとかあるいは路線のチェックをする審査員がおりますけれども、そういう人が機長である場合にはその規程は適用されませんから、そういったような格好で副操縦士の訓練ということも可能になるわけでございます。  また、もちろんこの間、地上等におけるシミュレーターを使っての訓練ということを積みながら機長に昇格をしていくというような今の体系になっている次第でございます。
  210. 広中和歌子

    広中和歌子君 だれにでも第一日目というのはあるわけです。それにたまたま乗り合わせたりするということは非常に不安なんじゃないかなと思うのでございます。要するに実務経験というのは、例えば副操縦士が操縦かんを握るときには教官とか正規の操縦士の方が指示を出せるというんでしょうか、問題が起きそうなときに指示が十分間に合う形で出せるんでしょうか。ちょっとそこのところを伺いたいと思います。
  211. 松本健治

    政府委員(松本健治君) それは御存じのように機長と副操縦士両方同じ操縦かんがありまして、一人の副操縦士の方が操縦かんを握っておりましても、機長の方がすぐその操縦かんをとることができるという、そういうシステムになっております。したがいまして、未熟な副操縦士がもし何か危ない操作をした場合には、すぐ隣にいる経験の豊かな機長がその操縦かんをとるということが可能なわけでございます。
  212. 広中和歌子

    広中和歌子君 いや、伺って安心いたしました。操縦室内のことは全然わからなかったものですから、大変いいお答えをいただいたと思います。  いずれにいたしましても、航空機の安全につきましては航空気象業務の充実が非常に大切だろうと思います。観測システムの向上についていろいろ今後のこれがレッスンになったのではないかと思いますけれども、もしコメントがあればお伺いいたします。
  213. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気象庁では現在、空港におきまして航空気象業務を適切に遂行するために航空気象専門の気象官署を全国の主要空港に設置いたしております。航空気象に関しまして、観測と予報と通信の各業務は国際定期便の就航あるいは国内便の離着陸の回数等によりまして量が異なっておりますが、空港の必要性に応じまして適切な業務を遂行いたしてございます。  空港におきます気象施設整備につきましては、航空機の安全な航行に資するために計画的に各空港におきます気象施設の整備を図っておりまして、航空気象情報の充実に努めてまいってきております。第六次空港整備五カ年計画、これは平成三年度から平成七年度に至るものでございますが、この計画におきまして、航空機の離発着に重大な影響を持ちますウインドシア、これは風が急変する現象でございますが、ウインドシア等をとらえるために現在の最新技術を導入いたしました航空気象ドップラーレーダーの導入、整備を図ることといたしております。そのほかいろいろとございまして、情報の配信システムでございますとか、そういうふうなものをより高度化いたしまして一層航空気象業務の充実を推進していく所存でございます。  また、先ほどお話がございました上層の乱気流等の予測につきましても、数値予報モデルの出力を使いましたり、あるいは最新の観測データを速やかに解析することによりまして上空におきます晴天乱流等の予測精度も上げるというふうな仕事もいたしておりまして、これらの仕事も一層これからその精度を向上させたいというふうに存じております。
  214. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  では別の問題に移ります。  気象庁の予算でございますけれども平成五年度総予算が五百八十七億と伺っているわけですけれども、その予算の内訳、人件費と物件費に分けてどのような割合になっているのでございましょうか。
  215. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) お答えいたします。  平成五年度の気象庁予算は一般会計ベースで五百八十七億九千五百万、百万単位で切った数字でございます。このうち人件費は三百六十八億五千八百万、六二・七%、物件費が三七・三%、二百十九億三千七百万円というふうになっております。
  216. 広中和歌子

    広中和歌子君 物件費ですけれども、消耗費、雑費とかいろいろコンスタントにかかるものがございますね。それから同時に、「ひまわり」の打ち上げなどにおける費用もあると思うんですけれども、もう少し細かくそれについて御説明いただけますか。
  217. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) ただいまの物件費の中では、先生御指摘のとおり、気象衛星の予算、気象衛星ひまわりの関係の経費というものがかなりの額を占めているのは事実でございます。平成五年度の気象庁の負担額で四十五億一千九百万ということでございまして、二百十九億の中ではかなりのウエートを御指摘のとおり占めているわけでございます。ただ、私ども、厳しい国家財政の状況もとにおきまして関係方面の御配慮をいただきまして、業務における合理化の徹底等を図りながら、現状において特段の支障の生じない形で物件費を賄わしていただいているという状況にございます。
  218. 広中和歌子

    広中和歌子君 「ひまわり」関係の予算が四十五億だそうですけれども、その他アメダスとかレーダーとか他の予算、研究予算ですけれども、何か非常に少ないような感じがするんですけれども、「ひまわり」の予算が高くついているために圧迫しているとかというようなことはないんですか。
  219. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 物件費も、先生おっしゃるとおり、額が多ければ多いほど多々ますます弁ずということは確かにあるかと思いますが、現状におきまして計画的に、例えばアメダス、これは地域気象観測施設ということで私どもにとって非常に重要な基本的な観測設備でございます。これにつきましても、また気象レーダーその他につきましても、計画的に整備された機器の更新計画というものをつくりまして順次更新する。また、どうしても必要な新規のポイントにつきましては、財政当局の御理解も得まして御配慮いただくというようなことで賄っているということでございます。特に予算を圧迫して非常にもうしのぎ切れないという状況には至ってはいないということでございます。
  220. 広中和歌子

    広中和歌子君 そのほか気象庁の役割といたしまして、先ほどからもたびたび出ておりますけれども地球温暖化にかかわる観測、オゾン層の観測とか海洋データを収集するとかそれから森林破壊の状況を調べるとか、さまざまな高度情報機器による調査とかなんかで予算は幾らあっても足りないくらいの状況なのではないかと思うのでございますけれども、現在の状況で十分だというふうに思われますか。
  221. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先ほども申し上げましたとおり、予算額が多ければそれだけ充実した中身のものができるということは事実でございますが、とりあえず私どもいただいております予算額、例えば先生御指摘の気候変動対策の強化関係の予算、これも財政事情全般非常に厳しい折の中にありまして対前年度でも若干の増の額をいただいているというようなことで、それなりに格別の御配慮はいただいているというふうに考えております。金額的には五年度の予算額で約四億弱、先ほど先生が御指摘されました気候変動対策の関係の予算で約四億弱、対前年で九・七%ぐらいの増にはなっているということでございます。
  222. 広中和歌子

    広中和歌子君 この平成二年の予算と比べますと平成五年は約二〇%ふえているということで、私もそうした配慮がなされているんだろうと思いますけれども、気象に関しましては例えば日本は、先ほど午前中の質問で申しましたように、南から北まで非常に細長い弓状の形をしておりまして、やはり海上観測であるとか、お隣の中国あるいは韓国あるいは南洋諸島からの情報などをたくさんいただかなければならない状況にあるんじゃないかと思います。そうしたところの観測が十分であるのか、あるいは場合によっては日本の方から技術援助とかさまざまな形で援助をしなければならないという状況があるのか、その点についてもお伺いいたします。
  223. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答え申し上げます。  気象の予測あるいは監視の仕事につきましては、地球の上を空気が循環いたしておりますので、先生御指摘なさいましたように日本の上だけのデータでは気象の監視あるいは予測ということはできないわけでございます。でございますので、世界じゅうでデータをお互いに交換しそのデータを利用するという仕組みがWMO、世界気象機構、これは国連の下部組織でございますけれども、その中でそのような仕組みができておりますので、現在のところ世界各国がそれぞれの領土の上におきまして、あるいは領海の上におきまして責任を持って一定の規格の気象観測をいたしまして、一定の形式のデータにいたしまして世界じゅうが交換するという仕組みを持っておるわけでございます。したがいまして、日本も中国あるいは韓国、ロシアのデータ、あるいは太平洋諸国のフィリピンでございますとかインドネシア、あるいはさらに南半球のオーストラリア等からのデータもお互いに交換し、利用しているわけでございます。  しかしながら、日本の場合でございますと近隣のデータが必ずしも十分でないという点もあろうかと思いますが、例えば「ひまわり」のデータというふうなものはアジアあるいは太平洋域で非常に大きな役割を果たしているものでございます。そのほか、近隣諸国に対しましては技術協力あるいは研修生の受け入れというふうなことがございまして、いろいろな仕組みを使いまして現在も気象庁におきましては近隣の国々との技術協力、あるいは場合によりますと技術移転というふうなものに努めてまいりまして、それらのことを通じましてアジア・太平洋域全体での気象観測等のレベルアップが図られ、それがまたひいては日本の気象業務の精度向上につながっているというふうに考えておりまして、これからもそれらの努力を続けていきたいというふうに存じております。
  224. 広中和歌子

    広中和歌子君 それでは、今回の法案でございますけれども、気象業務が自由化の方向に行くというふうに理解するといたしますけれども、どれだけ自由なのかということをお伺いいたします。他方ですごいビジネスオポチュニティーが生まれるのかなといったような想像もするわけでございますけれども気象庁としては情報の使われ方についてどれだけ自由になさるおつもりなのか、お伺いいたします。
  225. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気象庁が現在保有しております観測データ、あるいはそれをスーパーコンピューター等で解析いたしました解析データ、あるいはそれをさらにスーパーコンピューターを利用いたしました数値予報の結果というふうなものが基本的なデータでございます。観測データの中にはアメダスのデータあるいは「ひまわり」のデータも含まれているかと存じます。  これらのデータが従来は一般向けの予測には使われなかったわけでございますけれども、今後この法案の改正に伴いまして一般のユーザーに局地的な予報の道が開かれたわけでございますので、今申し上げましたような観測データあるいは予測データ民間事業者によりましてさまざまな用途に使われていくのではないかと思われます。  その典型的な例といたしまして、例えば特定の地域におきますより時間的にもきめ細かなデータでございますとか、あるいはさらに気象データそのものを生活に関連するようないろいろなインデックス等に加工したようなものの発表あるいは利用というふうなことも考えられていくかと思います。  これからますます社会生活が多様化しあるいは複雑化してまいりますので、今申し上げましたような気象のデータについての社会要望というふうなものもさらに増加してまいるかと思いますし、またそういったものにこたえますいろいろな気象データの利用に関する技術というふうなものもまた年々進歩していくであろうというふうに存じますので、これから今回のデータの公開に伴いましてますますデータを広く社会の皆様方に利活用していただくということの道が開けるというふうに信じておるわけでございます。
  226. 広中和歌子

    広中和歌子君 データ自由化、開放というふうにおっしゃるわけですけれども、私は素人なのでとんちんかんな質問になるかもしれませんけれども、いわゆる生データも含めてすべて欲しいというものはちょうだいできる、公開される、そういうふうに解釈してよろしいんでしょうか。そして、それはどういう資格を持った人に公開されるのかということでございます。
  227. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) データはいろいろな気象庁の保有する各種のデータがございますが、これは、特に外部から特別の業務協定といったようなものによって入手し、その協定に縛られる特別の情報以外のものであれば、特段これは渡してこれは渡さないというふうなことは考えておりませんので、民間、外部の人にも十分役に立つような資料であれはすべて柔軟に提供もいたすというふうに考えているところであります。  また、情報を求めるところがどういうところか、特定の資格がなければだめかということでございますが、これは気象情報を入手してそれによって気象予報を行おうとする気象情報会社はもとよりでございますが、そのほか気象情報を入手してそれをいろいろ加工して付加価値のある各種の情報を組み立てる必要があるというようなユーザーにも広く開放するというふうに考えておりますので、特定の資格がなければ渡さないよというような考えは持っておりません。
  228. 広中和歌子

    広中和歌子君 それは法人資格を持たなければいけないのか、個人でいいのか。それから、例えば日本人でなければならないのかについてお伺いいたします。
  229. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) お答えいたします。  もう一切、日本人であるとか外国人であるとか、あるいは法人であるとか個人であるとか、そういったことによる制約はございません。
  230. 広中和歌子

    広中和歌子君 その受け取る情報でございますけれども、それを解釈したりするのは予報士だろうと思うのでございますけれども、その予報士のさまざまなデータのインタープリテーションに関しましては、気象庁は責任をお持ちにならないということでございますか。
  231. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 入手した情報をどのように加工し、組み立て、利用するかということは、入手したところの責任で処理する問題でございます。それが例えば、その入手した情報を組み立てて、本来気象庁が一元的にフォローすべき警報を出すとかあるいは全く独自の注意報を出してしまうというようなことはいろいろ問題があるわけでございますが、そういうことでなくて、得た情報をいろいろ自分のところの自己責任で加工して組み立てるということについては、その組み立てたところの事業主体と申しますか、そこが責任を負うということでございますので、そのデータを加工した結果ふできなものができた、不十分なものができたということについて情報提供した気象庁が責任を負うという形にはならないだろう、かように考えております。
  232. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから情報ですけれども、直接個人なり法人なりが気象庁お願いするということなのか、それとも支援センターを通じてつまり間接的に入手するということなのでございましょうか。
  233. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) お答えいたします。  情報提供の流れといたしましては、気象庁から直接入手するのではなくて、民間気象業務支援センターを通じて入手していただく。これは、そこに気象庁の持っている情報を集中いたしまして、そこから情報を必要なところに、求めるところに円滑に流す、そういう趣旨からセンターをつくるわけで、そこを使っていただくというふうに考えております。
  234. 広中和歌子

    広中和歌子君 要するに、これから気象情報への国民ニーズ、そういうものの高まりがあるだろうという予想のもとに今回の自由化なり法案が考えられたわけですけれども、しかしどのようなニーズがあるのかというようなことはわかっているのか、どのくらいの予想をしていらっしゃるのでしょうか。案外ないのかもしれないと一方では思いますけれども、よその国の事情なんかを見ますとすごいビジネスオポチュニティーになり得るんじゃないかというようなこともあるわけです。  そして、たくさん会社ができて、あるいはできなくても個人でも気象業務支援センターに多くの情報を求めるというようなことで混乱が起こるとかというようなことも想像できるんですけれども支援センターの規模とか人員とか、そういうものについて現時点ではどのような予測をしていらっしゃるのでしょうか。
  235. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 民間気象業務支援センターと申しますものは、イメージとしては一つの人間のつくった組織、集団というイメージが強いかと思うんですけれども、実際にはこれは基本的には気象庁の持っている各種の情報と申しますものを、情報に関する先端技術をいろいろ活用する形での情報伝達装置、オンライン等によってセットし、分岐配信装置を使いまして自動的に情報が流れるようにする。それを組み立て、調整し、保守管理する。それがセンターの仕事になるということになるかと思いますので、多くのところから情報を求められたからそれによって混乱するというようなことにはなかなかならないのではないか。また、なってはならないことでございますので、それについてはそのようにならないように十分な体制を整えたい。これはむしろ、人力に頼って情報提供するという形を考えてはおりませんので、いわゆる情報ネットワークをうまく組み立てればその辺の問題は解決するのではないか。  ただ、それにいたしましても、それをメンテナンスし、管理し、それでいろいろソフト面にかかわる要員というものは当然のことながら必要でございます。  それで、ではどんなものかと申しますと、大体、例えば公益法人というふうに考えましたときに、新規の法人を仮に考えるとすれば、数千万から数億程度の基金があればとりあえずそういう業務を維持できるのではなかろうか。人数的には十数人から数十人レベルの人数がいればある程度大規模なものができるのではないか。ただ、これは、やる業務の内容と、それから空間的な展開といいますか、地域的にどの範囲までの地域をフォローするかということによって変化するということはあると思います。
  236. 広中和歌子

    広中和歌子君 日本新聞協会は気象業務法の改正につきまして幾つかの懸念を表明し、また要望書を出しているわけですけれども有料化について、気象庁から支援センターまで来る情報に関してはただですよね。それはただなわけですけれども、そこから先については支援センター有料化するということはどうなんでしょうか。
  237. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今申されましたデータの対価というふうなものでございますが、これは現在のセンターの構想でございますと、あくまでも配信にかかわる費用ということでございまして、現在のところデータそのものの対価というふうには考えておらないわけでございます。
  238. 広中和歌子

    広中和歌子君 そうすると、いわゆるコンピューター・ネットワーク・システムとかそうしたハードとそれからソフト、支援センター並びに気象業者、そういうものが自己負担になる、そしてあとはただなんですか、情報そのものは。
  239. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) データそのものについての有料化は考えておらないわけでございます。ですから、先生がおっしゃいましたように、データの配信に関する費用のみということで考えておるわけでございます。
  240. 広中和歌子

    広中和歌子君 そうすると、今私どもテレビなどひねりまして、いろいろ気象情報を画面で見るわけでございますけれども、現在テレビ局などはどういう形でその映像を得ているんでしょうか。全くただなのか、それともどこか支払いをしているんでしょうか。
  241. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今広中先生御質問の、現在のマスメディアにおいてどのようなデータの使用がということでございます。それについて具体的なデータを持っておりませんのでちょっとお答えしかねるところがございますが、これにつきましては、例えば警報というふうなものが出ますときに、多分画面にそういったものが表示されますけれども、それは気象庁から直接的に国民に広くお伝え願うということでお出ししているデータでございます。  ただ、一部のメディア等で、従来のデータそのものよりもさらに魅力的なものをつくるというふうなところもございます。そういうところでは現在でも、これは予想をつくるんではございませんで、気象庁データでございますけれども、それを見やすい格好で表示するというふうなことで、民間事業体を御活用になっていらっしゃるメディアもあるかというふうに存じております。
  242. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、先ほどの御質問にちょっとかかわるわけですけれども気象庁からいただく生データ予報士がそれを解釈をする、そして発表するという仕組みになっていくんじゃ ないかと思います。その予報士試験ですけれども、年齢制限とかあるいはどこどこレベルの学力とか、そういったようなことはもう決めていらっしゃるのでしょうか。
  243. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気象予報士試験の受験資格のことについてでございますけれども気象予報士の場合には当面、受験資格を設ける必要があるような特段の事情も想定してございません。受験資格を設けず受験の機会を広く社会の皆様方に得ていただき、幅広く資格者を養成していくことが現在必要かと思っております。したがいまして、気象予報士試験の受験資格というふうなものは現在一切考えておらないわけでございます。
  244. 広中和歌子

    広中和歌子君 ちょっと聞き漏らしてしまったんですけれども、この予報に関してでございますけれども、あるいは解読に関してはかなりの経験みたいなものが必要になるのでしょうか。それとも、いわゆる大学でどれどれ、これとこれとこういった知識を勉強すれば、修得すればその試験に通るといったような種類のものなんでしょうか。どのような資格が求められるのか、お伺いいたします。
  245. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気象予測するために、一般的な気象現象に関する知識というのが必要でございます。  それから二番目といたしまして、これから気象庁提供いたしますデータそのものについての性質、つまりデータがどんな精度を持っているかとか、そのデータがどんな意味を持っているかというふうなことに関します、データそのものが持っている意味についての知識というものが必要でございます。  それから三番目に、予報士が実際の予報をいたしましてそれを社会に発表するわけでございまして、その点につきまして、気象庁の出しております警報、注意報等の防災情報と違っておりますとこれは非常に混乱を生じますので、その辺の整合性に関する法規的な知識を持つということが、以上の三点が要約いたしますとその要する知識でございます。  一番初めの気象現象に対する基礎的知識でございますけれども、一般に申し上げますならば、大学等で物理、数学等の基礎的な知識を持ち、そしてまた気象学についての基礎的な知識を持つことが必要でございます。今申し上げましたようなことは、長年の職務上の経験でございましたり、あるいは適切な書物等もございますので、そういった方がそういうことを学ぶことは可能でございまして、必ずしも専門の学校の卒業ということは条件ではございません。つまり、そのような知識を持っている方ならばどなたでも試験を受けられ、かつ合格されるというふうに考えます。  それから、気象庁の公開しますデータを利用するに当たっての知識でございますが、これにつきましては、データと申しましても日進月歩でございますでしょうから、そのデータについての注意すべき特性でございますとか、そのデータがどんなフォーマットで書かれているのでありましょうとかいうふうなことにつきましては、当然でございますけれども、この支援センターユーザー方々にそのデータの持っている性質等について十分に説明する必要もあるわけでございます。そのような情報に関するデータというふうなものは当然皆さんにオープンにされるべきものでございますので、そういったふうなものを熟知する機会があるならば、これもまた基礎的な知識を持っていらっしゃる方は容易に修得され得るものであろうかと思われます。  それから三点目の、気象庁の出しております防災情報とそごを来してはならないということに関しまして、いわば法規的な知識を持つ必要がございます。これは、気象業務法あるいはそれに付随しておりますいろいろな規則というふうなものは現在でもオープンでございますし、だれの目にも見ることができますし、そのような解説書も売っておりますので、そういったことについて十分な御関心のある方ならばどなたでもそれらの必要な知識を修得なさることが可能であるというふうに考えております。  でございますので、今申し上げましたようなことは、もちろん専門の教育機関で教育を受けた方はより容易に修得なさることができるわけでございますけれども、一般の市民の方々もそれについて関心をお持ちの方ならばそれほどの困難なしにそれらの知識を修得なさることが可能であろうと思いますし、またそのような手だても支援センターとしてはやっていかなければならないというふうに存じております。
  246. 広中和歌子

    広中和歌子君 ということは、いわゆる気象庁に何年勤務したといったような実績というのか経験が必ずしも必要ないと、あるいは予備校に通うとか、予備校というのがこれからできるかできないかわかりませんけれども、そういったようなことは必要ないんでしょうか。それにしては結構私は難しい分野のような気がいたしますものですから、そういう大変簡単なようにおっしゃっていただくわけですけれども、意外と難しいんじゃないかな、だれでもなれるものではないんじゃないかなというような気がするわけですが、その点が一つ。  それから、これから例えばテレビなどで気象予報などをする人にはこの資格が必要なのかどうか、最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  247. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答え申し上げます。  まず、予報士資格でございますけれども、今申しました知識のほかに、実際にデータを使用いたしまして現象を予測し、予報するということにつきましては、やはり現場でのいろいろなトレーニングはこれは必要なことであろうかと思いますのでございますので、初め、民間気象会社等で予報士でない方がそういったふうなものの仕事を、周辺でアシスタントに手助けするような御経験を踏まれる、あるいは実際の現場で業務的にそういったふうなものを経験されるという方はそういったふうな実技の経験がございますけれども、全く今まで気象データも見たことがないという方にとりましては、やはりその経験が足りませんので、今申しましたような資格を取りことはこれは難しいかと思いますのでございますので、先ほどはどなたでも受けることができると申しましたのは、基本的にそういうことでございますが、それに至るためにはやはり適当なトレーニングなり、知識の修得に御努力いただくことは当然必要であろうかというふうに存じております。  それから、広中先生の二番目の御質問は、現在テレビ等マスメディアで放送されているものについても一々予報士資格が要るのかという御質問かと承っておりますが、現在のところでも、独自予報と申しますが、気象庁予報以外に独自な予測をし予報をする場合に予報士が必要でございますけれども気象庁が出しております予報をほとんどそのままの格好でわかりやすく市民の方にお伝えする、これは解説と申しておりますけれども、それにつきましては基本的な予測は全部気象庁がやっておりますので、改めて予報士の必要はございません。  ただその場合に、例えば気象庁が出してあります予報について市民の皆様方にわかりやすい説明をする。例えば、気象庁で台風が来ていて温度が上がるというふうな予報が出ていたときに、これは気象庁予報によれば台風がやってまいりまして、その反対の山の方で山越え気流が起きましてフェーン現象が起きるので暑くなりますよと気象庁が言っているというふうな、予測ではなくて予測に関する付加的な説明をしていただく。あるいは、気象庁が寒気が入ってきて非常に寒くなりますよという予報をして日本海に大雪が降りますよと申し上げているときに、さらにそれを補足いたしまして、日本海上空に寒気団が来ていると気象庁が言っておりまして、寒気団が来ておりますよというふうな補足的な解説をされるということは独自予報ではございませんので、今先生が御懸念なさいましたようなそういったものすべてにつきまして予報士を置くという必要はないというふう に考えております。
  248. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。
  249. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民社党の直嶋でございます。  まず一点、総論的なことといいますか基本的なことを確認させていただきたいと思います。  それは、今回の気象業務法改正のベースになったいわゆる十八号答申考え方あるいは精神といいますか、これを生かすのかどうかということであります。午前中に私ども参考人からの意見聴取をさせていただきましたが、その中でも、今回の十八号答申に基づく民間への情報の開放というのは自由化につながるし、また民間の活力を生かしていろんなさまざまな多様なニーズに対応できるということで総論としては大変いいことだと、こういうお話がございました。私もそのように思います。  ただ、その中でございましたのは、そうは言いながら、この法改正のポイントになっております民間支援センター、あるいは気象予報士、この制度がどういう具体的な制度になるか。これによって実は答申精神が生かせるか、あるいは逆になってしまうか、民間の圧迫になってしまうか、これがよくわからないというのが参考人の方の御意見であったのではないかなというふうに理解します。  したがいまして、先ほどの答弁の中にもございましたが、この十八号答申精神を生かして、例えば支援センター等についてはできる限り簡素でスリムな組織にして、そして民間の活動を生かす方向でこれから気象庁としては具体的な内容を固めていかれる、こういうふうに理解して間違いないかどうか、簡単にまず見解を伺いたいと思います。
  250. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答え申し上げます。  今直嶋先生御指摘のとおりでございまして、民間データ提供いたしましてオープンにするというのが基本原則でございます。そのために、今先生が御指摘になりましたようなことについては十分考慮いたしまして、十八号の精神を生かすのが全体の趣旨でございます。    〔委員長退席、理事櫻井規順君着席〕
  251. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、あと幾つか具体的な問題についてお伺いしたいと思います。  今回の改正法案の中では、民間気象庁からのデータ提供するいわゆる支援センターと、それから気象予報士資格試験を行う、この二つ法人法律上はある。さっきの御答弁の中でも、二つの機能を一つ法人で持つということも考えられるというお話がありましたが、これは一つにされるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  252. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) お答えいたします。  私どもの考えとしては、先生ただいま御指摘のとおり、どちらかというと一つの公益法人について二つの指定をするという形の方がむしろ合理的ではないかなと。要するに、スリムにしてできるだけコストを安くして利用者に御負担のかからない形にいたしたいということを考えておりますし、また、この二つの業務の性格というものは一つの組織がやったからといって特段お互いに問題を生ずるような性格のものではないというようなこともございますので、そのように考えておりますが、じゃ絶対に必ず一つにするかといえば、それは状況次第でございますが、基本的には今申し上げましたようなことで考えております。
  253. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ではもう一点、同じようなことをお伺いします。  いわゆる気象予報士試験機関というのは多分中央に一つではないかなというふうに想像するんですけれどもデータ提供支援センター、これも基本的には中央に一つだと、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
  254. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生の御指摘のとおり、指定試験機関と申しますものは、やはり試験の基準というものは国の制度として行う以上ばらつきがあっては困りますので、全国一本、一つの公益法人を指定するということにつながると思います。  民間気象業務支援センターの方につきましては、必ずしも一つである必要はないといえばそのとおりでありますし、複数のものがあっても構わないではないかといえばそのとおりになるわけでございます。したがいまして、絶対的にセンターの方がたった一つであるということにはならないかもしれませんが、少なくとも指定試験機関を指定いたしましたときに、そこにまたあわせて支援センターとしての指定も行うということは合理性があるというふうに考えておりますので、その場合にはその支援センターは全国一つの形で動くか、あるいは地域を限定すると恐らく中央に一つあって全国に手を伸ばすというような形になりやすい組織にはなると思います。ただ、それ以外に別途、民間気象業務支援センターとして機能するようなものがあり、適合性があると考えられれば、それについての指定をしないということではないということでございます。
  255. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっとわかりずらい説明だったんですけれども。要は、支援センターが複数になるのか一つになるのか、まだはっきりしないということですか。  ちょっとあわせてお聞きします。そのときに、先ほどの御質問にもありましたが、場合によっては今ございます気象協会を活用するようなこともあり得るというお話がありましたが、新しくつくるか気象協会を活用するのか。これは場合によってはというお答えでしたんですが、どっちにするかはどこでどういう判断のもとに決定をされるのか。これも含めて、今の点と二つお答えいただきたいと思います。
  256. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) ちょっとわかりにくい御説明であったかと思いますが、要するに公益法人の維持運営を考えましたときの合理的な採算性という観点から見ましても、恐らく当面一つの公益法人について二つの指定を行うという形になるんだろうと。業務支援センターというものを幾つもあちこちに置いてやる形になるかといえば、これは将来そういう役割分担をして交通整理ができればそういうものもあっておかしくはないという趣旨でございまして、当面考えられるのはやはり一つの公益法人を指定してそれを育てるということが現実的でもあり合理的でもあるというふうには考えておるわけでございます。  それから、民間気象業務支援センターというものを指定するとき、例えば現在ございます財団法人日本気象協会、この組織を使うのかどうかというふうなことも含めてどういう資格要件が重要かということになりますと、先ほどもちょっと私申したことがあるかとも思うのでございますが、支援センターというものは、組織自体というよりは、その持っている機能に着目した仕組みでございまして、気象庁の持っている情報というものを円滑に民間に流すための仕組みでございますので、スリムで簡素で非常に使い勝手がいいものであることと同時に、だれにとっても中立的な立場であって公正に情報提供される、別に特定のところにあると非常に不公正になるという趣旨ではないんですけれども、できればそのセンターの機能自体は、そのセンターから提供される情報ユーザーとは別の仕組みであることの方が私どもは好ましいんじゃないかというふうには考えております。したがいまして、気象協会がこの機能を受け持つということを否定するものではございませんし、検討の対象にいたすことには何ら問題はないわけですけれども、ただその場合にはそれ相応の中立性、透明性の確保というような配慮は必要になってくる、かように考えております。
  257. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私がお聞きしたかったのは、今の説明にもありましたが、まず新しい支援センターをつくるということにチャレンジをして、難しければ気象協会を活用する、こういうふうにお考えなのか、とりあえず今は両方とも置いておいて、何かの判断基準でこっちというふうにお決めになるのか、そこら辺があいまいだと、どういうふうにお考えかをお聞きしたかったということでございます。
  258. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 別に、方針が不明確でまだ未確定であるとかそういう趣旨ではなくて、法律的な議論としてはいろんな可能性があるということで、若干説明の仕方が歯切れがよくなかったかと思いますが、現実の対応といたしましては、法律上観念的には複数存在し得るけれども、実態としては一つつくって、それを十分に機能させるということが結論になるというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。  それから指定法人の規模につきましても、できるだけスリムにコストの安い仕組みを考えるということと、それから極力人力は省いていわゆる先端技術の成果物を生かす形で情報を流すということを考えておりますので、指定法人の人数につきましても、規模とかやり方についていろいろの人数を配置するやり方があるわけでございますが、できるだけ絞るという考え方であれば、またそういうふうにいたしたいということでありますから、せいぜい十数人から二、三十人程度の人間がいれば処理できるだろうというふうに考えております。
  259. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 あと一つ支援センターでお聞きしたいんですけれども、基本財産について政府からの出資というのはお考えなんですか、あるいは気象庁と政府機関からの出資というのは。
  260. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 特に考えてはおりません。
  261. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、次の質問に移りたいと思います。  今回のこの十八号答申を読みますと、恐らく今回のこの法改正の趣旨が、いわゆる民間でやる予報の質を確保するために一定の資格を持った気象予報士が必要だ、こういうことなんだろうと思うんですけれども、十八号答申を読みますと、この資格の話の前にいろいろ書かれていますのは、例えば気象庁のさまざまな形での技術支援あるいは民間業者の自発的な研究のための組織づくりとか、いわゆる気象庁としてのサポート体制をつくっていろいろ支援をしていきなさい、そのことによって民間の気象事業者が育成されるんですよ、こういうふうに書かれているわけです。私は質の確保というのは、資格よりもむしろこういうところが本当は答申の中では重要というふうに言われたんではないかな、ややこれは勘ぐり過ぎかもしれませんが、というふうに理解していたんです。例えば具体的にこれからこういうことについてこういうことをやっていきたいとかいうことをお考えになっておれば、見解を伺いたいと思うんです。
  262. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答え申し上げます。  さまざまなケースすべてについて具体的な判断があるわけではございませんけれども、例えばでございますと、これから支援センターから一般社会に公開されていくデータの中で数値予報の結果等というふうなものがかなり重要な位置を占めるのではないかというふうに考えます。今まで数値予報データというふうなものは主にファクスの図などでは間接的に皆様のお手元に届けられておりますけれども、格子点データと申しますが、そういう格好で配られてまいります。  でございますので、そのデータそのものがどのような例えば意味を持つのでありましょうとか、あるいはその数値予報そのものがどのような予報精度を持っているからどのように使うべきではないかとか、あるいはそれに基づいた予報というふうなものがどの程度の確率的な誤差分布を持っているかというふうなことがないと、実際にはそのデータはお使いになれないわけでございます。そういうふうなデータにつきまして、今までも気象庁といたしましてはいろいろな予報精度の検証等をやってきておりまして、部内資料としてそういうようなものがあるわけでございますが、そういうふうなものはこれからデータをお使いいただく方にとっては非常に貴重なものでございますので、例えばそういうふうなデータを積極的に支援センターを通じて皆様に見ていただくというふうなこともできます。    〔理事櫻井規順君退席、委員長着席〕  それから新しい予報技術につきましては、気象庁も防災情報の精度の向上ということを大きな柱にしておりまして、そのためにメソ量的予報というものも展開しているわけでございまして、いろいろな新しい技術の開発ができるはずでございます。そういったふうなものは従来でも気象庁の中のいろいろな技術的な定期刊行物がございまして、現在でも気象庁内の図書館でももちろん皆様が御閲覧できるわけでございます。そういうふうなものの知識というものも広く社会の方に見ていただくというふうなことをやっていかなければ、データが公開されましても皆さん十分に御活用できないわけでございますから、そういうところは非常に大切なことだと思いまして、先生の御指摘のようにこれからもそういった点について推進していきたいというふうに考えているわけでございます。
  263. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、気象予報士と現状の十七条許可との関係についてちょっとお伺いしたいと思うんですが、十八号答申の中にもございましたが、まず、今のこの十七条による事業者の許可について運用指針を気象庁の中でお持ちだというふうに思うんですけれども、この内容を簡単にお話をいただけませんか。
  264. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) お答え申し上げます。  現在の十七条第一項の許可基準と申しますか、十七条の許可の手続、これは私ども気象庁内における内規によりまして規定いたしております。  具体的に予報業務というものが、現在は特定の契約相手に対する予報業務というものを行うというのが業務の内容になるわけでございますけれども、その場合に、例えば予報業務の範囲についてはどういう種類予報をするのか、それから区域はどういう区域についてするのか、対象者は現在は特定した対象者、それを具体的にこういうところと契約して情報提供します、予報しますという形になります。それから施設につきましては、観測についてはどういう形で観測をし、データはどうやって集めるか。それから予報資料の収集についても、それぞれの収集の相手方それからその手法等。それから予報資料の解析についても具体的にどういう形で解析するのか。それから要員につきましては、主たる予報者としてどういう人を使うのか、それから補助者としてはどういう者を配置するか。それから、特に防災気象業務との関係がございます。防災気象情報との整合性、すり合わせ、受け皿として十分機能する必要もございますので、この点での人員の配置その他がうまく組み立てられているか、その辺のところを総合的に判断して決めるということになります。それで決めるときには、さらにつけ加えますれば、庁内における審査会をつくりまして、ガラス張りでそれぞれ問題がないかどうかを衆知を集めて議論いたしまして、よかろうということで認めるということはいたしております。  そんな状況でございます。
  265. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、けさの議論にも少しあったんですが、今回気象予報士という資格制度ができる。そうすると、今お話しありましたように、現在の十七条の基準というのは非常に細部にわたっておりますし、また事業目的一つずつについて審査されるわけですから非常に厳しいと思うんです。  今度は、その人的部分について予報士ができるということで言いますと、答申の中にもありますように、私も十七条のこの許可条件というのは大幅に緩和すべきじゃないかなと、一方で資格制度ができるわけですから。例えばある一定の要件をつくって届け出制にするとか、そういうことも考えていいんではないかと思うんですが、この点はどうなんでしょうか。
  266. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 現在の私どもの考えておりますやり方といたしましては、まず気象予報士の制度というものを定着させまして、これを育て上げる、熟成させるといいますか、制度としてしっかりしたものに育て上げていく。そしてその成長の状況、定着の状況をにらみながら、許可の内容についてはできる限り簡素化していく。  まずその前に、気象予報士の制度を設けることによる簡素化ということは当然に先生御指摘のとおりできるわけでございます。例えば要員につきましても、予報業務を行う、いわゆる予報を作成する人につきましては、これは気象予報士資格があればそれでいいわけですし、それからまた仕組みにつきましても、そういうしっかりした資格ある人を配置するということを前提に置きまして、いわゆる予報業務の範囲とか対象につきましても比較的広範な、余り細かく特定の場所についてだけやっていいよということではなくて、若干緩やかな、柔軟な形の許可をするというような形で簡素化を図りたい、これは十分可能である、かように考えております。
  267. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今ちょっと確認できなかった。まず、予報士を導入することに伴って、さっき予報士制度の定着を図って、その上で簡素化というふうに最初おっしゃられたんですけれども予報士制度ができたあるいは予報士が誕生したという段階で、今おっしゃったようなある程度の、例えば要員の部分とか多少の簡素化は、緩和は同時に行う、こういう理解でよろしいですか。
  268. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  269. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、将来さらなる簡素化を考えるということなんですが、それと同時に、今一つ行政手続法が上程をされております。当然行政手続法が、これから審議に入るわけなんですけれども、この法律ができますとさまざまな基準というのもやはりオープンにしていくということになると思うんですけれども、そういう行政手続法への対応も含めて、今の十七条許可の部分についてオープンにしながら簡素化をする、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。これはちょっと大臣の御見解をお聞きしたいんですけれども
  270. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 行政手続法については、気象業務法第十七条の許可についても当然適用されるものと考えております。行政手続法の趣旨にかなうよう許可制度の運用をしてまいりたい、かように思っております。
  271. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願い申し上げます。  それから、あと予報士試験についてお伺いしたいんですけれども、現時点で民間気象事業者予報業務に従事している方が大体五百人ぐらいいらっしゃるというふうにお聞きをいたしております。例えばこういう人たちが、新しく予報士という資格制度ができた場合に、余り高いハードルになると今やっている仕事が次からできなくなるとかあるいは現在やっている事業に支障を来す、こういうことも心配されるわけなんですけれども、こういう人たちの扱い、例えば経過措置みたいなこと含めてお考えになっているのかどうか確認をしたいと思うんです。
  272. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生御指摘のような点、確かに心配な点がそのお立場の方から見てあろうかと思います。この辺につきましては、十分そういう問題が生じないように種々工夫いたしまして、先生御指摘の趣旨を充足するような形で対応いたしたいというふうに考えております。
  273. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 あと一点、ちょっとこれは前もって申し上げてなかったんですけれども、特に予報士の制度との関連で参考までにお聞きしたいんですが、現在の気象庁予報される方、予報官あるいは専門官あるいはそれの補助の方といらっしゃるというふうに聞いておりますが、例えば仮に高校を卒業されたような方で内部で養成されていくケースがあると思うんですけれども、こういう人たちが一人前に予報ができるようになるまでに大体どれくらいの経験が必要なものでございましょうか、ちょっとお聞きしたいんですけれども
  274. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) いろいろなケースがございまして、入られました方がすぐに予報関係の業務に従事される場合もございますし、あるいは観測あるいは管理部門等を回ってから予報官につかれる方もございます。それから、そのときの年齢構成等の関係もございますので一律には申し上げられませんけれども、二十歳前後で入庁されまして、早い方でございますと十数年で技術専門官等の職についておりますので、その程度の年数というふうに御理解いただければよろしいかと思います。  ただ、気象庁の場合でございますと、実地の研修のほかに、気象庁内の研修設備を持っておりますので、そういう方がある年齢に達しまして、また新しい業務につかれた前後には、柏の気象大学校でございますけれども、そこの入校研修で、例えば予報官の研修ということで二カ月あるいは数十日のコースで勉強していただくというふうな制度もございますし、あるいは地方の管区気象台におきまして、それのさらに補助的な役割として一週間程度集まっていただいて実地的なトレーニングをするというふうなこともやっておりまして、それらの成果の積み重ねとして、先ほど申し上げたような年齢で皆さんがそういったキャリアを積まれるというふうにお考えいただければ幸いでございます。
  275. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 多分、気象庁予報される方ほど気象予報士というのは高いレベルを求めておられるんではないとは思うんですけれども、今長官からお話しありましたように、私も気象予報するというのはかなり、きちっとやるとすると相当経験も含めて、というのはいろんなデータをどう見るかというのはやっぱり経験が物を言うと思いますので、かなりレベルが高いものを要求されるんではないかと思います。そうすると、仮にこういう気象庁の専門でおやりになるような、あるいは一人前にやれるようなレベル要求すると、相当気象予報士というのは難しいものになるんではないかと思います。余り低過ぎてもまた今度は心配だということになると思うんですけれども、このあたりはどんなふうに考えればよろしいでしょうか。最後にそれをお聞きして、私質問を終わりたいと思います。
  276. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今、直嶋先生から、気象庁の職員でございますと高度の技術を持っているというふうにおっしゃっていただきまして、大変ありがとうございます。  民間におきましても、やはりこれはビジネスでございますので当然でございますけれども、皆さんがきちっとした業務をやっていらっしゃると思いますので、民間におかれましても今までいろいろな業務の経験を積まれた方は、やはりそれなりの十分なトレーニングを既に積んでいらっしゃる方だろうと思いますので、そういう意味で新しいものについて若干のチャレンジをしていただけば十分に対応なされるのではないかというふうに考えております。
  277. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。
  278. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 気象業務法審議に先立ちまして、緊急問題として花巻空港の航空機事故についてお聞きいたします。  既に報告がありましたように、今度の事故は運航規程の、副操縦士は昇格後六ケ月以上でないと離着陸操作をしてはいけないこと、それから副操縦士は横風が毎秒六・六八メートル以上あるときは着陸してはいけないこと、この二重の航空法百四条に基づく規程違反を犯しているということが判明いたしました。  そこで気象庁にお聞きいたしますけれども、航空気象情報として強風注意報を出していたはずですけれども、JASに対してどういう情報提供していたのかお答えください。
  279. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 花巻空港におきます空港の出張所からいろいろなデータが出ておりますけれども、まず風に関する強風の注意報でございますが、これは前日に出ておりまして、当日の朝さらにそれを更新いたしまして、強い風が吹くということを発表しておりまして、これは航空管理の航空局の方及び他の航空運航関係者にはお伝えしてございます。それから、同時に観測の結果でございまして、これも毎正時ごとの観測のデータがそのたびごとに関係部署に報告されております。それからさらに、風は時々刻々と変動いたし ておりますので、航空機の離着陸に一番関係が深いとされております二分間の平均の風向風速というふうなものが機械的に連続して観測されておりまして、それが気象台の出張所で見ると同時に、全く同じデータが同時に航空管制のところにブランチされておりまして、そこで時々刻々の二分間の平均の風向風速がわかるというふうな伝達をしているわけでございます。
  280. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 事故直前は。
  281. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) ですから、二分ごとに時々刻々と連続して航空管制の方にお伝えしているわけでございます。
  282. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 二分ごとということで、リアルタイムでJASにも流していたと。事故直前の十八日の十二時三十分に強風注意報、毎秒十メートルないし十五メートル、これを十九日の日中まで続くという注意報として更新をした、これもJASに流しているということで間違いありませんね。
  283. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 先生のおっしゃったとおりでございます。
  284. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そこで、大臣にお尋ねいたします。  副操縦士は横風毎秒六・六八メートルということで、これをはるかに超える強風注意報が予報として前日から出されていたということ。そしてさらに重大なのは、事故直前の十四分前にも実際に風が吹き注意報が更新されていた。そして今お話があったように、二分間間隔でリアルタイムで報告も出されていたということで、こういう情報が刻々JASに入っていたということで、これは非常に私は重大だと思うんです。こういう状況の中でということで、余りにも無謀過ぎるというふうに思うんです。  JASに入っていたということは、これはJASとしては無線で当然操縦士等と交信するわけです。そうすると、だれが操縦しているのかということはJASとしては当然わかるわけです。これはもうパイロット二人だけの問題ということではなく、会社としては日常的に行っていたと言ってもいいのではないかと私は考えられると思うんです。  私はこの事故の翌日、飛行機で札幌から参りました。一週間に二往復、三往復と札幌―東京間を利用しているわけですけれども、本当にどうなるか大変不安を持ちました。これは私だけではなくて、国民の皆さんがひとしく不安と不信を持っておられたと思うんです。  こういう事実を含めて事故の徹底究明は調査委員会でということですけれども、究明と再発防止のためには、この調査委員会での調査はもちろんですけれども、あわせてJASは当然のこと、他の航空会社についても同様に指導が行われなければならないと思うんです。通達が出されたということですけれども、この一片の通達で指導したということではとても国民不信感、不安感をぬぐい去るということはできないと思うんです。大変重大な問題だと思います。JASはもちろん、他の航空会社についてもこの際点検調査をすべきだと思いますけれども、大臣その点お約束していただけますね。
  285. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先刻来皆さんにお答えをいたしておりますが、今回の事故については全く遺憾なことであります。したがいまして、JASは社長初め関係者を呼んで十分注意をいたしております。その他の会社にはそれぞれ注意を促しております。しかしながら、こういったことは事故調査委員会が今調査をしておりますので、その正確な結果を待って処置をいたしたい、こういうふうに思っております。とりあえず、その事故調査委員会の結論を得るまでにさらに重ねて事故が起こらないように注意を喚起いたしておりますが、その結果正確なもので処置をいたしたい、こういうふうに思っております。  なお、JASの会社については特別監査をするように指示をいたしております。
  286. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 その調査結果はやっぱり時間がかかると思うんです。それまでにほかの航空会社も含めてこういう事故があっては困る。これはもう地に足が着いていない、空飛んでいるわけですから、本当に何かがあったら命にかかわるという大変なことで、調査委員会の調査はともかくとして、やっぱり他の航空会社に対しても点検調査をする。紙で指導する、通達を出すというだけではなくて、やっぱり大臣として命や財産を守るという立場ですべきだと、検討をぜひしていただきたいと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
  287. 松本健治

    政府委員(松本健治君) ただいま先生御質問の規程違反の件についてでございますけれども、これにつきましては甚だ遺憾なことですけれども、JASでそういう事例があったということでございますので、この件につきましても他社に対しましても、こういった事例がないかを早急に確認をして当方に結果を報告するように、その点につきましては指示をしているところでございます。
  288. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 それでは、それを受けて厳正に指導するということは間違いありませんね。
  289. 松本健治

    政府委員(松本健治君) はい。
  290. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 それでは、この気象業務法の質問に移りたいと思いますが、この法案について私どもの党は賛成立場です。しかし、この法律は運用によっては非常に問題が生ずる可能性もあり、もろ手を挙げて賛成というわけにはいかないというふうに考えております。  そこで、心配される幾つかの問題についてお尋ねしたいと思います。  これはまず大臣にお尋ねいたしますけれども、この改正案は気象予報業務の一部、局地的な予報民間気象事業者及び自治体に役割分担させるものということになりますが、そのことによって気象庁の業務の縮小が図られるのではという懸念も出されております。現在気象庁が行っている気象情報サービスとか防災業務、これを後退させることはない、むしろ気象庁としては一層精度の高い気象情報をきめ細かく提供するということが求められているはずですけれども、それは間違いありませんね。
  291. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 国民ニーズにこたえるためにより高度な精度、また世界的な、先進的な方向、こういうことで進めておりますので、後退するというようなことではありません。前進させるためにより高度な情報提供できるように努力をいたします。
  292. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 この気象業務法の十七条の許可を受けた自治体四つのうちの一つである郡山市に私この間お訪ねしまして、いろいろお話も伺ってまいりました。郡山の気象通報所が廃止されたのが五十三年の四月五日、ここはもともと阿武隈川などの水の予報、洪水予報が主目的の通報所であったわけですが、郡山市の地形上、地区によって極端に気象状況が異なることもあり、通報所の廃止は市民にとって非常に大きな問題となったという経緯があります。そこに六十一年の八月にいわゆる八号台風と言われる集中豪雨があり、大きな被害を受け、通報所があったらもっと対応は違っていたのではないかということで、通報所にかわるものとして郡山市がこの業務法の十七条の許可を受けて観測所を設置した、設置せざるを得なかったという実情があるわけです。  民間への役割分担で、測候所などの気象業務の縮小につながるおそれがあるのではないかということも地域住民としては大変心配もされているわけです。大臣、この改正を理由に測候所を縮小するということはあってはならないわけですけれども、この点はお約束していただけますね。
  293. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今、高崎先生が御懸念を表明されたわけでございますが、先生が御懸念なさるようなことはいたしません。
  294. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 測候所が縮小されていろいろな問題が起こっておりますので、この点はありませんと断言していただきましたので大変心強い限りです。よろしくお願いいたします。  次に、気象庁が収集する気象資料というのは貴重な国民の共有財産だと言えると思うんです。そ の資料あるいは情報の利用促進が図られて広く国民情報提供されていくということは、非常に大切であり必要なことだというふうに私どもは考えるわけです。ただ問題なのは、民間気象業務支援センターからの気象情報に対する利用料金などが受益者負担、これが拡大されることになるのではないかという懸念があるわけです。特に問題だと思われのは、学術的利用だとか公共的利用などいわば非営利的な利用について有料化の範囲が広がることがあってはならないというふうに思うんですけれども、この点についてはどのように対応されるのでしょうか。
  295. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今、高崎先生御懸念のことでございますけれども、このセンターから配信されますデータについては、データそのものの費用ではございませんで、あくまでもデータの配信にかかわるコストということに限定して考えております。
  296. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そうすると、これについては無料で従来どおり行われるというふうに伺ってよろしいわけですね。
  297. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 先ほども御説明申し上げましたように、配信にかかわるコスト、これは例えばデータを配信するためのシステムが要りますし、それからオンラインで配信する場合には回線等が使用されますので、その費用については御負担いただくということでございます。
  298. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 特に公共的利用ですけれども、防災機関だとか自治体関係の協力業務ということは今までどおり気象庁がやるということで間違いないわけですね。
  299. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 例えば地方自治体とのデータの交換というふうなものは、このセンターとは違いまして、気象庁と地方自治体とのデータの交換等というふうなものは従来と何ら方針が変わるわけではございません。
  300. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、新聞とかテレビ等の報道機関に対する負担でございますけれども、午前中に日本テレビ石川参考人にこの点についてはいろいろお聞きもしたわけです。日本テレビが所属している新聞協会はこの法律改正案に対し、報道機関提供される気象情報の実質的な有料化につながる危惧があるのではないかという点を指摘され、それについては今も不信感、不安感はぬぐい切れないというようなお話もされました。  報道機関は、気象業務法の十一条及び十三条で、気象などの観測の成果並びに気象等の情報を直ちに発表することが公衆の利便を増進すると認めるときは、放送機関、新聞社その他の報道機関の協力を求めて、直ちに発表する、これは十一条ですけれども。十三条は、予報及び警報をする場合、報道機関の協力を求めて公衆に周知させるよう努めなければならない、こういうふうに規定されております。こうした国民にとって防災情報など重要な伝達機関としての役割を果たしているわけで、かつ今指摘しましたように法律上の協力を義務化されているということなわけです。ですから、本来報道機関から気象情報に伴う料金は取るべきではないというふうに考えるわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  301. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 新聞協会には以前、前の気象庁長官が明確にお答えをいたしておりました。長官が今度かわられましたので、昨日新聞協会の代表の方四名が私の方へ見えまして、その点は明確にお答えをしてありますのでございますから、もうそういう懸念はありません、こう言ってお帰りになった。でございますから、新聞協会の方々にまだその趣旨が徹底していなかったのではなかろうか、こういうふうに思います。  私の方では明確にお答えいたしましたし、御納得を得て帰られた、これが実情でございますから、その懸念はさらにございません。午前中、時間が余りないから徹底していなかったのかとも思いますけれども、前に長官がお答えしておりますし、そのことを確認に来られまして私がきちっと言ってありますから、その点はいささかも御心配は無用であります。
  302. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 今大臣も心配ないということで強くお約束もされました。心配ないということで、そう約束をしていただいたということは石川参考人もおっしゃっていましたが、それでもなお気象庁に対してこの点についてはやっぱり不信感、不安感がぬぐい切れないんだということも言われていたということが非常に私は重要な発言ではないかというふうに伺ったわけです。  この改正案によって、今後情報提供に伴って気象庁として有料化するということはあってはならないというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  303. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生の御指摘の点でございますが、ただいま大臣からも御答弁をさせていただきましたとおり、有料化は全く意図していないということでございまして、現在のあり方を変えるつもりはないと。この国会の場におきまして私ども重ねてお約束申し上げていることでもございますし、また実際にこれはお金を取るといっても強制的に何か賦課金を課して罰則をつけるなんというようなことはできるわけのものではございません。これは必ず具体的な運用の段階におきまして相手方とよく話をして、こういう形で情報提供する、実費についてはこれこれこういう経費がかかるから、じゃこれについては御理解いただいてぜひお願いしますよというような形になるのではないか。したがいまして、情報に対する対価として、これは非常に貴重な情報だからお金を取るとか、これについては有料化だ、受益者負担だと、そういうような言い方にはならないということで、これはお約束できることでございます。
  304. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 これ先ほどの学術とか公共利用、報道機関に対しての問題にもかかわるんですけれども、私は本来はこのセンターのような有料の情報機関をつくるというのではなくて、むしろ気象庁の中にデータセンターをつくって、学術とか公共利用とか報道機関に対しては、コピー代などの実費だけで無料でこれは提供すべきであるというふうに考えるべきだと思うんですけれども、そういうお考えというのはなかったのでしょうか。
  305. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答え申し上げます。  データでございますが、例えば気象データにいたしましてもこれは非常に量が多うございます。それからまたオンラインで実際に配信いたします場合には、気象のデータというのは時間とともにどんどん変わってまいりますので、そういう意味で例えばアメダスにいたしましても一時間ごとにデータが入ってまいります。  それから数値予報データにいたしましても、もとデータと申しますのは地球の上を非常に細かな格子点に分けて計算しておりまして、その上に全部データが乗っているわけでございます。でございますので、そのデータの分量というふうなものは非常に膨大な量になってまいりますのでございますので、そのデータを例えばコピーするにいたしましても、これはある種の計算機、資源を要する、あるいは人手を要するということもございます。  そういうわけで、非常に大量のデータでございまして、それをいろいろなユーザーの方が全部共通な形式でお求めになるわけではございませんで、ある方は特定の領域、ある方は特定の場所というふうになってまいりますと、それを気象庁でそのユーザーの御要望のたびに例えば配信のプログラムを一々変えたりということは現実問題としてほとんど不可能に近い仕事であろうかと思いますのでございますので、一括いたしましてデータをセンターに落としまして、そこからはいわばそれが配信専門のシステムでございますので、そういったふうなものが柔軟に対応できて、実際に社会の皆様に適切なデータをお渡しすることができるということでございます。  でございますので、気象庁が個々のユーザーの方に対応いたしまして一つ一つデータを切り出してと申しますか取り出して、それを一人一人各種各様のデータの格好に切り分けましてお届けするということは、現在の気象庁体制の中ではこれは非常に困難なことでございます。そういうわ けで、センターに一括してデータを差し上げて、そこで配信事業をしていただくというふうな考えに思い至ったわけでございますので、よろしく御了承いただきたいというふうに思います。
  306. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 同僚議員からもいろいろと質問が出されて、なかなかわかりにくいところなんですけれども、この支援センターというのが、気象情報を扱う機関としての厳密な性格というのが本来はセンターをつくるに当たって法律に規定されなければならないというふうに思うんです。それがないということで、皆さんもわからないということでいろいろな問題も指摘されました。  どれくらいの経営規模で、それから投資額はどれだけで、だれがそれを行うかという業務内容等について、これは非常に不明確なんですけれども、この点はどう考えておられるのでしょうか。
  307. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) この民間気象業務支援センターの仕組み、組織、具体的にどんなものかということになりますが、これは要するに仕組み、組織と申しますよりは、システムとして考えていただいた方がいいのかなというのが私どもの考えでございます。要するに、気象庁の持っている情報というものを効率的な形でスリムな形で非常にコストの安い合理的な方法で情報を求めているところに提供する、そのシステムであるというふうに考えていただく。そういたしますと、公益法人を指定するということになるんですけれども、金額的にもそれほど大きなものでなくても十分フォローできるであろう。数千万から億単位の基金、お金があればいいかな。それからあと、人数的にもせいぜい十数人から数十人単位、非常にコンパクトな形でかなりの量の業務が処理できるんではなかろうか、このように考えております。
  308. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 一年間でこういうセンターをつくっていくということになるわけですね、準備をしていくということで。十数人から数十人とか、いろいろと最小限にということで立ち上がりを考えておられるようなんですけれども、それでも幅があってなかなか明快な形として浮き彫りになってこないわけです。  それで、これはいろいろと質問をされてもこれ以上の域を出ないというのは私はやっぱり問題ではないかというふうに思うんです。これについては、これからこのセンターをどういう規模でどうやっていくのかという具体的な中身についてきちっとこの運輸委員会に報告をしていただきたいし、その経理の報告もあわせてこれはしていただきたいというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  309. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) このセンターの具体的な中身につきましてどうもはっきりしていないではないかというような御指摘かと思います。  このセンターの具体的な組み立てにつきましては、先ほど来の諸先生方の御質問の中にも若干触れた部分にも関係いたしますが、やはりその業務の内容、どういう形で提供するかということによって多少人数的なもの、それと金額的な面で幅が出てくるというのはやむを得ないことではないかと私どもは考えております。  さはさりながら、やはりきちんとした明確なイメージというものはあってほしいということで、これは私どもとしては基本的にユーザーと十分相談しながら、ユーザーとの関係において好ましい形の仕組みを考える。したがって、その幅を持たせておりますのも、むしろユーザーとよく協議しながら、はっきり言いまして官から与えられるセンターというよりは利用者みんなのためのセンターというようなイメージを私ども持っておりますので、そういう観点から組み立てを考えたい、そんなことでございますが、もとより今後の状況法律が通ったら後はもう勝手にやるというようなことは毛頭考えているわけではございませんので、御質問いただければそのときどき、適宜適切な御報告を申し上げるということはやぶさかではございません。
  310. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 あと、センターが徴収する利用料金なんですけれども、これは気象庁長官の認可事項であるということなわけですから、この点については厳格にチェックをすべきであるというふうに考えますが、その点いかがでしょうか。  それからもう一点、センター等の指定法人がつくられて情報提供業務が指導監督されていく、あるいは検査や業務報告など、この法案の改正によって気象庁の業務というのは明らかに増大すると思うんです。一方で定員がどんどん削減されていくということで、こうした改正に伴う業務量があるのに定員の縮小はあってはならないというふうに思いますので、気象庁としては改正に見合った体制の強化を図っていくべきだと思います。  この二点についてお答えいただきたいと思います。
  311. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今先生御指摘の二点についてでございますが、最初の方は、この支援センターの経理その他について気象庁の監督下にあるので十分に監督し、その透明性を保つようにという御指摘でございまして、これは当然気象庁としてそういうことを心がけて、かつ実行するつもりでございます。  二番目の点についてでございますが、今申しました支援センターデータを流すわけでございますが、その背景といたしましては新しい数値予報モデルの改良等によりまして基本的な予報精度を上げるということがございます。これにつきましては、いろいろな諸設備の改善でございますとかそれからコンピューター資源の効率的な運用というふうなもので対処していこうというふうに存じております。
  312. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 終わります。
  313. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 改革連合の井上ですが、私は二、三お尋ねをいたします。  きょう、十時からずっとこの問題で審議に加わってきたわけでございますが、最後のラス前でなおわからない。そこで、端的にお尋ねをしたいと思うんです。  といいますのは、この気象業務法の一部改正、予報士をつくる、支援センターをつくる、予報士の業務内容、権利義務、支援センターの組織内容、あるいはシステム内容、これイメージという言葉がいみじくも出ましたが、さっぱりわからない。そういう形で一体法律というものをつくっていいのかどうか。私はちょっとこれはいささか早過ぎる。ただ、内容はどうかと言われますと、反対をするような、そういうのど仏に刺さったとげのようなものであるかどうかということで恐らく委員の皆さんも非常に困った、あるいは困っている。  そこで、この予報士の問題についてまずお尋ねをします。  「気象業務法第十七条の許可を受けた気象会社等一覧」というのがあるんですが、これを見ますと、十九事業所で、まず業務概要というのは予報業務が最初に書いてあるわけです。そのあとは観測とか調査とか、さらに非常に多く書いてあるのはコンサルティングと書いてあります。  先般、視察に参りましたら、ウェザーニュースさんですか、今どき予報士という士をつけるのはいささかというようなことをおっしゃいました。非常に印象的な私は言葉だと思うんです。私もお恥ずかしいことながら士を持っておる者なんですが、職業に士を持っておりますので関心があるわけでございますが、一体この予報士というのは予報業務をやるという内容なのか、コンサルティングをやるという内容なのか、両方ともやっていいという内容なのか。そして、気象庁なりあるいは別のところからもらった情報、気象データは劇物であって素人が扱うと大けがをしたり、あるいは爆弾になって世間を惑わす、したがって、劇物ならば厳しい資格制限をつくってしっかり管理をしないといけないということならば、この資格試験をやる。大学の教養の一般地理学あるいは地学の知識を旨とするというようなものじゃなくて、逆に気象大学校じゃないですけれども、一年間なら一年間養成所に入れて訓練をして、そして予報もやっていいがコンサルティングもやっていいと か、この辺のことがはっきりしないで、このままイメージということでいくということは私は極めて遺憾だと思います。したがって、できる限りその点についてまずお答え願いたいと思います。
  314. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今、気象予報士の導入の目的あるいはその仕事の限界について先生がお尋ねでいらっしゃいましたが、予報士というふうなものは気象現象を予測し予報するということに関しての資格でございまして、一般の調査それから予報そのものに関係いたしませんコンサルタント業務についてはその枠外でございます。そういったものについて予報士資格が必要というふうには考えておりません。  それから、現象の予測をし予報をするわけでございますので今予報士ということは言っているわけでございますけれども、従来から、現在のテレビのキャスター等でやっておりますように、気象庁の予測を、その基本的なものを変えないで若干の説明をつけているような解説というふうなものについては、これは予測をしているわけではございませんので、それについては予報士資格を要しないというふうに考えております。  でございますので、予報士というのは気象現象を予測して予報、つまり公衆に伝えるということに関してのみの資格でございます。
  315. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 予報士というのは、気象の情報予報という、つまり予測という言葉を使うか予報という言葉を使うのかわかりませんが、その範囲で気象庁その他から受け取ったデータを出すことができる、一般大衆なりその他にですね。そうすると逆に、気象データもとにコンサルタントといいますか、あるいは単にそこからどうしたらいいかという、一つの新しい知恵をつけたというか、そういう業務は依然として野放しになるわけでございますか。
  316. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 私、先生の御質問をもし十分に理解していなければ御指摘願いたいと思うのでございますけれども、予測ではございませんで、例えばそこのところの日照時間が平均的に年どのぐらいであるかというふうな調査もございます。そういうふうな調査でございますと、例えば農業等では非常に大切な条件でございます。そういうふうなものは予測とは考えておりませんので、そういうふうなコンサルタント業務というふうなものは予測行為とは別な業務というふうに考えているわけでございます。
  317. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 それじゃ、ちょっと別の角度で聞きましょう。  要するに、気象業務法十七条では厳しい許可基準のもとで、例えば私が先ほど申し上げましたような十九事業所に気象に関連する業務をすることを認可しているわけですね。きょう質問も出ましたが、そういう認可団体の場合はいろんなほかの要素からコンサルティング、気象のいわゆる相談といいますか、あるいは相談という言葉はよくないかもしれません、そういう予報からはみ出たそういう業務をやっても、許可の際に厳選しているから大丈夫だというふうになるとすれば、今回の予報士を新たにつくり出すということにどれだけの価値があるんでしょうか。十七条で十分じゃないんでしょうか。
  318. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) ただいまの先生の御指摘は、現在の十七条で行われているのに、なおかつ気象予報士の必要があるかというふうな御質問かと思います。  従来の十七条許可の予報の対象と申しますのは、特定の人に対する予報という意味で、社会、公衆には発表していなかったわけでございます。それが今後一般の社会、公衆の方々に局地的な予報を発表するということでございますので、特定のユーザーでございますと、それはいわば一種の契約行為みたいなものでございまして、比較的その情報に接する方も限られているわけでございますから問題が生じなかったのでございましょうけれども、不特定な一般のユーザーの方に情報が出るということになりますと、例えば防災情報との関連その他におきましてもしそごがありますといろいろな混乱が起きるということでございます。これに関しましては、不特定の方に予報行為をするということに関しましては、やはりそれなりの標準的な技術水準の確保というふうなものがぜひ必要であるという考えから、このたびはその新しい業務の発展に伴いまして今申しました予報士という制度が必要であるというふうに考えているわけでございます。
  319. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 そうしますと、予報士資格をつくって予報士が生まれたら、予報業務に対しては事実上この気象業務法十七条の許可はもう外れる、予報業務はもうよろしい、予報士さえおれば人畜無害だと、こういうふうに受け取っていいわけですね。
  320. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 例えば、今申しました予報作業に関する人の資質という意味でございますと、予報士という個人のみで仕事がぱっとできるわけではございませんので、例えば予報士の方が予報するためには、当然でございますけれどもデータの収集に行ったり、それからある場合には非常に広範囲のもう少し大量のデータを必要とされる場合もございますので、当然でございますが施設関係のものが必要でございます。  でございますので、そういった施設上の要件というふうなものを満たすということが必要でございまして、つまり予報士というヒューマンソフトというふうなものでございましょうか、それとその方の環境としてのハード的なものが両方要るというふうに考えているわけでございます。でございますから、今申しました予報士という制度の導入によりまして、ヒューマンに関する部分のいろいろな許可条件というふうなものは非常にはっきりいたしてまいります。  しかしながら一方では、その人が個人でその仕事をするわけではございませんので、その方が仕事をするに必要な施設というふうなものがこれは必要でございまして、それについてやはりその水準を確保することが必要でございまして、予報士の制度の導入の後にもこの十七条に関します事業所の設備その他についての要件というふうなものは相変わらず必要であるというふうに存じておるわけでございます。
  321. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 もう一回その問題は後で振り返りますが、これと密接に関係するので今度は支援センターについてお尋ねします。  きょう朝からで最もわかりにくいのは、公益法人の、具体的に言うと財団法人支援センターをつくりたい、それは多分一つになって、スリムでコンパクトなものになって云々と。ところが、実際にいろいろお話を聞いていると、データを送る、配信する、そういうシステムだと。  そうすると、例えば私が今ここでしゃべっているんです。マイクがずらずらっと来る。私のしゃべっていることをとりたい各人は自前のマイクを出してきて、これで受けますからよろしくお願いしますと。こういうシステムにすぎないんだというならば、何も公益法人をつくらなくても、業界でまとめて一つの大きなマイクをつくってくださいよ、あとはお金の問題、内部分配の問題は業界で決めてくださいよ、気象庁はちょっと国ですから御無礼しますと、こういう考えにはならないんでしょうか。
  322. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 配信システムの具体的なあり方としては、確かに先生御指摘のような、情報を受ける側の人たちが集まってそういう仕組みをつくるというやり方ももちろんあると思います。私ども今度考えております公益法人を指定してそういうシステムをつくるというのは、いろいろな手法の中の一つであり、合理性があるのでいいのではないかということで考えている案でございます。
  323. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 わかったようなわからぬようなお答えなので、もう一度聞きます。  財団法人日本気象協会、この日本気象協会がやっている内容は、予報業務、それから観測、コンサルティング、それからその他。それで財団法人日本気象協会の概要は、会長一名、理事二十九名、役職員総数八百八十五名、年間予算百五十億八千六百四十八万円というようなのが出ていま す。そうすると、この財団法人日本気象協会が今まで気象庁データをいわゆる民間に流して取り次ぎをやっていた。この財団法人日本気象協会の業務ではどうしていけないんでしょうか。
  324. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) お答えいたします。  気象協会をセンターとして使うことが絶対的にいけないということではないわけでございますが、この情報を配るための支援センターを既存の法人を指定することによって賄うかあるいは新設するかという問題は、いろいろ手法としてはあるわけでございます。ただ、気象協会は現在、みずから気象庁長官の許可を受けまして予報業務を営んでいる民間気象事業者という側面も持っております。そういうことがございますので、配信業務が公平に行われるよう、その辺の配慮が必要であるということでございます。いずれにいたしましても、この指定する法人の、既存の法人を使うのか新設の法人をつくるのかの別を問わず、ユーザーのためのセンターという考え方で組み立てを考えておりますので、ユーザー各位ともよく相談して具体的な仕組みを考えたいということでございます。  気象協会を指定したらどうかという点については、一つの貴重な案として考えることはやぶさかではございません。ただ、どういう形にするかは具体的によく関係者とも相談し決めていくことになろうかと、かように考えております。
  325. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 いや、だから振り出しに戻っちゃうんです。公益性を高め、透明性を高めるためには新しい支援センターをつくった方がいいんだと。じゃ、財団法人日本気象協会がこれまでへんぱなデータの配信をやっているのかどうか。そうなると、ユーザーのためにつくりますと。じゃ、ユーザー協議会が、ぜひともこれを自分たちでつくるからやらしてほしいと言っているわけでもない、よくわからない、わからないと言っているだけなんです。そこにこの問題が、実は堂々めぐりしながら一切わからないというところに来ているんじゃないでしょうか。  例えば財団法人日本気象協会は、これまで配信、つまりデータ気象庁からもらってそれを民間の機関に送る際に、あそこは気に入らないから送らないとか、あそこはどうも態度がふてぶてしいから細かい情報はやめにしておこうとか、そういうへんぱなことはなかったと思います。それはユーザーの人は信頼を置いていたと思うんです。  そうすると、なぜその上にこの支援センターが必要かということになると、きょう朝からのずっと御説明は、より公益性を高めより透明性を高めるためだと。より公益性を高めより透明性を高めるなら、最初にどのような組織でどのような機能でどういう形で設立するかが法律に少なくとも書いてあるか、具体的に提示がない限り、これはちょっと困るんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
  326. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 現在、財団法人日本気象協会に暫定的に気象庁の持っている情報提供業務というものを行ってもらっているということでございますが、これから先、民間の気象事業というものが飛躍的に発展していく中において、私ども気象庁民間に対して提供する情報量というものも非常に膨大なものになってくる、新しいものもどんどん提供していくようにいたしたいということを考えますと、いつまでも暫定的なやり方では問題があろうかということで、この際きちんとした、しっかりした恒久的な仕組みをつくって、そこできちんと情報を流したいということでセンターを創設いたしたいということを考えているということでございます。  その際に、じゃ、今の日本気象協会の暫定的な仕組みというものを強化して、それをうまく組み立てれば、育てればいいではないかというお考えもあるかと思います。その場合には、そういう方法を採用するんであれば、これについての中立性、配信業務が、別に今現に不公平にやっているということではないんですけれども、やはりみずから予報業務、情報をもらう立場の者が人にも情報を配るというやり方よりは、やはり情報を配る仕組みというものは別途にあった方がいいので、気象協会がやるとしても別途の、その透明性を確保するための仕組みが必要になってくるのかなということで考えているというのが実情でございます。  いずれにしても、そういうことを踏まえて、利用者にとって一番利便性の高い、コストの安いスリムないい仕組みというものを考えたいというのが私どもの考えでございます。
  327. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私も午前はヒステリックな質問をしましたが、今はそういう質問はしません。  ただ、例えば、財団法人日本気象協会を純然たるデータを受けて送る部分と、それから環境アセスの事業をやって八百何十人の職員を養っていく一種の、営業と言ったらおかしいですが、そういうことをやる。それを二つに分ければ、本当を言えば今回の支援センターをつくる必要はないかもしれない。それもお考えになられた上でこうなったと思います。だから、けしからぬと言っているわけじゃないですけれども。  そうすると、そういう問題もあった。あるいは予報士についても、単なる予報だけだとすると、予報だけなら人畜無害。したがって気象庁は責任持ちませんと。ただ、許可を与えたら借り物の受信装置だけであって、明くる日行ったらパンクしていなかったというのではまずいので、許可基準は十七条はまた残しますと。そうしたら私は、それで民間ユーザーの人たちは今回の改正に期待するものがあるかというと、残念ながら何もないんじゃないか。大山鳴動ネズミ一匹になりかねない。もっと思い切った改正をやるなら、やっぱり皆さんの意見を聞いて、民間の気象業務のそれこそ一大ターニングポイントになるんだというふうならば、予報士についてもコンサルティングまでできるそういう士、士をつけるのがいいかどうかわかりませんけれども、そういうふうなことを本当は検討すべきではなかったかと思うんです。  その点で最後に、この予報士については今のところまだいろいろ考えて直していくというか、付加していく余地はあるのか。ほぼ固まっていて、いわゆる予報士の定着を図ると長官は先ほどおっしゃいましたけれども、長官がおっしゃる定着を図るためには、とりあえず予報士についてはこういうところから進むんだというような、その点についての具体的な内容をお聞かせ願えればありがたいのですが。
  328. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今先生御指摘の点幾つかございましたが、まず第一に、これから大いに民間の気象業務を発展させるターニングポイントにすべきではないかという御指摘でございますが、私どもも全くその点についてはターニングポイントとして重要な位置にいるというふうに考えてございます。  何がターニングポイントかと申しますと、現在、気象庁が今までのところ所有しておりますすべてのデータを公開していたわけではございません。今後、その数値予報の格子点データをつくる等、これはいろいろの情報を付加するには非常に使用しやすい有効なデータでございますから、これを民間提供申し上げる。そして同時に、今まで不特定多数の方に対する予報というふうなものが許されていなかったわけでございますけれども、それをオープンにするという意味で、まさに民間気象業務の御発展にとりましては非常に大きなターニングポイントであるというふうに私は理解しております。  気象庁の持っております従来の予報結果あるいはファクシミリ等によりますいわば情報だけでは非常に使用しにくいので、今申し上げましたような格子点データを含むデータをぜひ提供してほしいというふうなことは、協議会が発足する前から個々の業界の方からは、非公式でございますけれども、いろいろなところでそういうふうな御発言もあったというふうに私は記憶いたしております。  でございますので、今回は諸先生方が御指摘あるいは御懸念になりましたような規制を強化する のではなくて、まさに民間気象業務を発展させるターニングポイントとして、気象庁の所有しております大量のデータを皆さんに公開するという立場でございます。  それからあと、予報士の方の権限と申しますか、職能についての井上先生の御質問でございました。  現在のところ、予報士の仕事というふうなものが、現象を予測して公衆に伝えて、これを予報と申すわけでございますが、そういうふうに限定しているわけでございます。これをまた予報士という制度で、さらにコンサルティング業務その他についてまた規制を加えるという考えはございません。これは一般の予報とはちょっと違っておりまして、コンサルティング業務そのものが直接公衆にインパクトを与えるというふうなものではございませんので、これはむしろ従来のままにして、いわばフリーの部分にしておいて、公衆に予報を発表する部分についてのみ限定した格好で業務を切り分けまして、そこを予報士という制度でやっていただきたいということでございます。
  329. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 わかりました。  私は最後に、大臣にお尋ねというより要望を兼ねて御質問したいと思いますが、単なる予報士というのでは余りにも士が軽過ぎる。士たるものをつくる以上、やはりもっとできる権限を広くして、そのかわり士で一番大事なことは倫理規範であります。高い、自由に任された業務権限を幅広く持つということは、逆に自分の行為、行動が大変大きな影響を与える。そうすると、倫理規範を徹底してたたき込むというか、そういうものが備わった人を認めると。そういう形にしようと思うと、単なるぺーパーテストでやったってそれはだめで、一定の研修、養成を受ける資格があるかどうかのテストをした後、何カ月やるのか何年やるのかは別にして、やはり研修とか養成とか、そういう形で、今度はやはり予報士というものは単に伝達役だというのでは困るわけで、実はそういうふうに私は思うんです。それは私自身が士という士を持っているからちょっと我田引水になっているかもしれません。  そういう点で、今回の予報士についてイメージはまだいささかはっきりしない点もありますが、大臣におかれましては、この法案がせっかちにつくられるという批判を私もしますけれども、できた以上は予報士のつくり方について倫理の面も重視していただきたい、その点についてお考えを伺って質問を終わります。
  330. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) お説のように、どういう仕事をしても倫理は非常に大事であります。そのことはもちろんであります。しかし、この予報士データをもらってさらにそれに付加価値をつけて民間情報に供するということになりますと、資格のあるないは別として、この制度を設けたわけですから予報士としての資格、技術的な資格はもちろんあるでしょうが、ひとつそういうことを私は期待をいたしております。やはり精度がさらによくなる、その地域なら地域であるいは局地なら局地でそういうことが実際に行われないと予報士の価値はない、私はこういうふうに思っているのでありますのでございますから、ひとつ法案を通していただいて、私どももそれに向かって努力をしていきたい、かように思う次第であります。  要は、より精度の高い気象情報提供する、そのためにある一定の基準を設けて予報士資格を与える、こういうことでございますが、倫理問題の試験というのは率直に言ってなかなか難しい。したがって、御本人がその点を十分わきまえて価値のある予報士になってもらわないと、技術だけの問題ではなしに、やはり役立つ、誠心誠意やっていただく予報士ということを期待をいたしておる次第であります。
  331. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 ありがとうございました。
  332. 下村泰

    ○下村泰君 気象庁長官に伺いますが、これは別にこういうことをお尋ねしますという予告はしてございませんが、今も午前中からずっと流れてきている流れの中で、局地的な天気予報、いわゆる気象状況をびしっびしっとつかむことができたらば、今度の花巻空港の事故は起きなかったと思いますか。
  333. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答えを申し上げます。  私ども気象庁立場といたしましては、局地的な情報をきちっきちっと予報するというのが第一の使命でございます。でございますが、今度はそのデータを受けました利用する方、それは団体、組織である場合もございますし、個人である場合もございますけれども、その方々が気象の情報あるいは観測のデータあるいは予報データ、いずれにいたしましてもそれを十分に御活用願いまして、それをいわば防災なりあるいは災害防止にお努めいただくというふうなシステムと連動していなければ、せっかくの精度の高い気象情報も十分には活用できないというふうに思っておりますのでございますから、情報を出す側の努力とそれから情報を受けて実際に行動する側の努力というふうなものが二つマッチしたときにそれが最大限の効果を生むのであるというふうに存じておるわけでございます。
  334. 下村泰

    ○下村泰君 何で私がこんなことを言うかといいますと、今度の事故を見ておりまして、これは完璧に気象事故じゃなくて人為事故なんです。私は偉そうに申し上げるわけではありませんが、戦時中は航空隊におりましたのでよくわかるんです。殊に、全日空にしても、それから日本航空にしても、今度のエアシステムにしても、機長が副操縦士を育てるという意味でこういうことは常にやっているはずです。やっていないということは絶対あり得ない。それは二人しかいないんですから、コックピットの中には。あの部屋の中に二人しかいないんですから。そんなことを機長がやらせたとかやらせないとかということは部外者にはわかりません。けれども、これは通常やるんですよ、まして気象条件がいいときには。飛び立つよりも着陸の方が本当は飛行機は難しいんです。飛び立つときは、素人でも指示を受けてそのとおり操縦かんを引っ張れば上がるんです。ところが、着陸となるとそうは簡単にいきません。ですから、当然その訓練は回数を重ねなきゃならないはずなんです。機長の判断でこういう気象条件のときにはとても無理だと、その場合には副操縦士に任せないで機長がやらなきゃいけないんです。今度の場合が殊にそうなんです。  これはローカル空港の悲しさで、横風を受ける場合には横風に対する滑走路が必ずなくちゃいけないんです。ところが、日本の空港の状態というのはほとんど一本の滑走路なんです。ですから、恒風と言って常に吹いてくる風に対してほとんどの飛行場というのは滑走路ができているんですけれども、時によって気象条件で横から来るときもあるわけです。それに対する滑走路というのはないんです。国際空港と言われる大きなところにはありますけれども、ローカルにはほとんどない。そういうすべての条件が重なったと思います。  まして、DC9のように翼が後ろの方にあって、頭が前の方にあって、こんなものちょっとでも失速すれば、ちょっとでも浮力がなくなれば頭から突っ込むんです。これがYSですとかいわゆるプロペラ機ですと、横風が来ても浮くんですよ、逆に。浮いてしまって、それを利用してうまいこと着陸できる。ところが、これはもう絶対そんなことはあり得ない。したがって、条件によっては機長が任せるというのはちょっとおかしいんじゃないか。これはいかに運輸省が通達を出そうが出すまいが、これからもあることなんです。  ですから、一体どうすればこういう事故が起きないようになるのか、これは大変難しい問題だと思いますが、しっかりひとつ頭の中に入れておいていただきたいと思います。  さて、今の法案の方に入りたいと思いますけれども、気象業務というのはすべての方に、今これこれこういう状況になっているよ、こういうことがあるんだよ、こういうふうにしてくださいよ、 台風は何号が今どこそこへ早ていますよ、おたくの方に行くかもわかりません、台風の目の中に入っています、外れました、このくらいの風が吹きます、雨量はこのぐらい降ります、ですから農作物はこのくらいの被害が出るかもわかりませんという情報がどんどん入ってくるわけです。それはそれでいいんです、一般の方は。しかし、私が常に申し上げますように、障害者の方々はどうするかということです。障害者の方々に対する伝達方法というのがまるで運輸省としてはしっかり立てられていないと思います。今、こうしているああしているということを私はお尋ねする気はございませんがね。  最近すっかり忘れられておりまするけれども、雲仙・普賢岳、このときに、東大新聞研究所の広井助教授という方がいらっしゃるのですが、この方が雲仙・普賢岳の噴火における住民の対応についてのアンケート調査をしておるんです。それによりますと、   まず火砕流が頻発して危険が高まっていた五月下旬で「火砕流という言葉を知らなかった」人が五四%。とても危険と思っていた人はわずか九%で、研究班は火山学者らの警告が住民に的確に伝わっていなかったと指摘している。  火砕流でけが人が出た五月二十六日、気象庁雲仙測候所は「火山活動情報」を発表した。これは人的被害が予想されうる「警報」に当たるもの。火山情報にはもうひとつ「臨時火山情報」があり、火山に異常が認められるときに出す「注意報」で、緊急性は低い。  調査では「臨時」の方が緊急性が高いと思っていた人が五三%で、正解は一七%と少なかった。  六月三日の大火砕流の発生直前に火砕流が頻発したが「大きな火砕流が起き、被害が出るかもしれないと思った」のは二四%で、四人に一人しか被害まで危険をイメージできなかった。そして、  広井教授は火山情報の緊急性などについて、名  称を含め検討する必要がある」こういうふうにおっしゃっているんですが、さあそれでは一体気象庁の方ではこういう場合に障害者に対してどういう伝達方法をお考えでしょうか。
  335. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) ただいま下村先生の御指摘のところは、幾つか問題点があったと思います。一つは、臨時火山情報と火山情報の間で非常に住民の方がそれについてわかりにくかったという御指摘がございました。その今の点につきましては、気象庁の中で、火山情報の名称等がいかにあって、どうすればより的確に情報が市民の皆さんに伝わるかということを研究いたしまして、五月十一日から火山情報の名前を変更いたします。一番危険があって、差し迫って危ないぞというときの火山情報を緊急火山情報というふうな名前にすることにいたしました。いわばこれはもう危ないから即座にお逃げくださいという感じのものでございます。そこにいく前でございますけれども、かなり大きな被害が生ずるおそれがあって、やはり十分な注意が必要というふうなものに今度は臨時火山情報という名前をつけることにいたしました。それ以外のものでございまして、今申し上げました緊急及び臨時火山情報の中身を時間とともにさらに詳しくフォローするために火山観測情報というふうなものをつくることにいたしました。そのほかに、定常的に、例えば一カ月に一回でございますとか、火山の活動状況によりますが、三カ月に一回ずつ出しますものは定時の火山情報というふうなわかりやすい名前にいたしました。  そういうことで今度五月十一日から改正いたしまして、現在もたくさんのパンフレットをつくりまして関係の方にお配りしておりまして、火山の情報に関するいろいろな名称等の徹底を図っておるわけでございます。これは、今先生御指摘になりましたような住民の方等の現行の情報についての反応等を考慮いたしましてわかりやすい名前にしたわけでございます。緊急と言えば非常に緊急性が高いということで、間違いなく市民の皆様に御理解いただけるというふうに思っております。これは火山についてでございます。  一般的に下村先生御指摘の、どのように情報を出しているかということでございますが、気象庁から出します、火山のみでございませんで、津波あるいは気象に関する注意報、警報というふうなものは、報道機関の御協力を得ましてラジオ、テレビ等では即時に放送していただいて皆さんのお目にかかるようにしておるわけでございます。  それから、地域防災の立場から地域防災会議等を通じまして役割分担を決めておりまして、地方自治体の場合でございますと、都道府県にまずデータが参りまして、そこから非常防災無線等ですべての市町村にデータが伝わりまして、さらに多くの市町村におきましては、各地区に設けられております非常無線等に運動しております音声による放送あるいはサイレンのようなもので市民の皆様にお伝え願うというふうなことが現在のいろいろな防災情報の伝達経路になっているわけでございます。
  336. 下村泰

    ○下村泰君 これは、もうほとんど今の長官のおっしゃったようなことは健常者に対する情報の伝え方です。これが、視覚障害者とかあるいはお耳の不自由な方ですとかあるいは今度は知的障害という、最近ではそんなような言葉を使うようですけれども、発達障害というんですか、知恵おくれの方は。こういう方々にじゃ情報をどういうふうに提供するかということなりますると、お答えいただいたのはこんなことがあるんです。  島原市及び深江町におきまして、福祉事務所の職員それから身体障害者相談員と十分連携をとり合いまして、町内会責任者や避難場所責任者を通じまして視覚あるいは聴覚の障害者の方々の居住する世帯に災害情報について確実に伝達をしているということでございます。  なお、島原市及び深江町とも、障害者世帯及び知恵おくれの方々の世帯につきましては、避難先等を確実にその市及び町で把握をいたしておりまして、保護者に適切に情報を伝達するよう連絡体  制を確保しているということでございます。結局、一人一人の人間が走っていって、そして直接教える、直接伝達をする、こういう方法しか最終的にはないわけなんです。ですから、それを気象庁一体どういうふうに今後お考えですか。
  337. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今下村先生御指摘くださいましたように、身障者の方につきましても気象情報、これは火山等を含めた広い意味気象情報でございますが、を周知することによりましてその方々の安全の確保、利便の増進等を図る必要性はございます。でございますが、気象庁といたしましては、テレビ、新聞等報道機関に対しましては気象情報提供について御協力願う立場にあるわけでございますが、今申されましたような障害をお持ちの方に対しましてしかるべき御配慮をしていただく処置をとっていただきますように、これから関係者の方々に御理解を得るように努力をしていくつもりでございます。  具体的にどのような方法があるかはちょっと私今存じませんけれども、例えば障害者の方に御理解できるような方法で、今申しましたような情報を適宜提供できるということを努力していきたいというふうに存じております。
  338. 下村泰

    ○下村泰君 このときも小規模作業所や発達障害者の方々の施設に若干の被害があったんです。長官は御存じかもしれませんが、例えば耳の聞こえない、耳の御不自由な方がホテルに泊まった場合、モーニングコールします。そういうときには体で感じる方法というのがあるわけです。ですから、耳の聞こえる方は耳の聞こえるような方法、それから聞こえない方には聞こえない方法というのは何か考えてくださればあると思うんです。ですから、そういう方法を何か一つ考え出していただきたいと思います。  この情報提供のあり方についてはいろいろ考えさせられることもあるんですが、実はこれはNH Kにも申し上げておいたんですが、こういうことがあるんです。  これは聾学校の職員の方なんですけれども、   各地に大きな被害をもたらした台風十九号も、わが町ではわずかな被害にとどまり、胸をなでおろしたが、台風の通過コース近辺の町々に住む聴覚障害者は不安でいっぱいだったろう。  ラジオは聴けないし、テレビはNHKも民放各局もアナウンサーや予報官の顔ばかり映し出していて、われわれ聴覚障害者には、さっぱり分からない。天気図やコース予想図でだいたいのことを想像するだけで、今どこに台風がいてどの町を通るのか、どのくらいの風と雨で、どんな注意が必要なのかなと細かいことは分からない。  台風のような生命に関わる大事な情報は、必ず字幕をつけるとか、せめて要点を書いた説明パネルをアナウンサーの横に置いて、それを指示しながら話してもらえないか。テレビ各局はこうした  問題にこの次からもっと配慮をお願いしたい。こういうことを書いていらっしゃる方がいるんです。  今度は、NHKと気象庁ではこういうずれがあるんですな。  これは九二年の二月八日でしたか、  東京で六年ぶりに震度五を記録した二日未明の地震で、津波情報の伝達をめぐって気象庁とNHKとの間で思惑の違いが表面化した。「津彼なし」情報の取り扱いで、気象庁は即時に流すことを要望しているのに対し、NHKはこの場合他の情報と併せて流しており、やや遅れる。今回も気象庁情報を出してから四分遅れ。「<なし>の情報なら生命、財産にかかわる問題でない」というNHKと、津波の不安からできるだけ早く解放されたいのが沿岸住民の心理とみる気象庁との立  場の違いが出ている。こういうことなんです。   NHKはオンラインで同十二分に受け取り、着信を示すアラームも鳴った。しかし各地の震源地、震度などが入った地震情報が入るのを待って同十五分四十秒に「津波の心配はありません」と読み上げた。  NHKでは津波警報が出た場合は、すぐ気象庁に電話をかけて確認、即時に流すことにしている。しかし、「なし」の注意報の場合、地震情報を待ってからということにしている、という。  しかし、津波の被害者多数を含む百四人の死者を出した一九八三年の「日本海中部地震」では、早い地点では発生から七分後に第一波が到達した。沿岸住民にとっては地震発生後十―二十分が、最も不安な時間といえる。地震津波監視課の内池浩生課長は「気象庁としては津波に関する情報は一分一秒でも早く出すために最大の努力をしている。NHKも即時に流してほしい。今回もテレビを見ていてなぜこんなに遅いのか、イライラしていた」と話す。  NHKは災害対策基本法と気象業務法災害時の「指定公共機関」とされ、気象、津波、洪水などの警報が出された場合は「直ちにその通知された事項の放送をしなければならない」(気象業務法一五条)と定められている。注意報もこれに準じた扱いで運用されている。  これに対しNHKは「津波がない、というのは一刻を争う情報でないと判断している。情報処理上、優先順位があるのはやむを得ない。逆に〈なし〉の情報は『注意報』扱いにしないよう、気象  庁に申し入れている」こう言うんです。これ両方が食い違っている。これはどういうふうになるんでしょうか。
  339. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今、下村先生御指摘のように、津波がないという情報も防災情報としては非常に重要でございます。つまり、地震がございまして津波があるかないかでは実際の防災活動あるいは市民の不安等非常に違うわけでございまして、気象庁といたしましては津波なしの注意報ということで注意報として即刻放送するようにということを言っているわけでございます。  気象庁とNHKとは毎年、防災情報の伝達に関する打ち合わせを行っております。そのときにはもちろんいろいろな意見が出るわけでございましょうけれども、この打ち合わせ会によりまして、今申しました津波なしを含めました注意報、警報は即座に伝達していただくというふうなことにつきましては気象庁とNHKとでは確認いたしておりますので、基本的に先生が御指摘あるいは御懸念なさいましたような意見の相違はないというふうに私は考えているわけでございます。
  340. 下村泰

    ○下村泰君 この間私ども気象庁を見学させていただいて、まあ中身のすばらしいのにびっくりして、見学しているだけで私は頭が痛くなってきたんですけれども、その気象庁の皆さんがあれだけ一生懸命津波情報というのを少しでも早く、一分一秒でも早くというふうに研究なされていらっしゃるのと、こういう広報を担当する側との意見の食い違いというのは大変これは恐ろしいことだと思いますので、よろしくそこのところをしっかりお願いしたいと思います。  今度の何か支援センターのことについて、民放当局はお金が取られる、取られないとかってえらい心配をしておるんですが、ここにこんなのがあるんです。   気象庁は今年一月、平成七年度打ち上げの五号衛星の画像データ使用料を受益者負担で補いたい意向を日本民間放送連盟や日本新聞協会に打診した。  これに対し両団体は「気象情報報道機関の協力を得て提供することが気象業務法に明記されており、負担を求めるのはお門違い」と突っぱねたが、同庁はその後すぐに、『六号衛星については科学技術庁の援助金がなくなるので気象庁の負担が大きくなる。また、運輸省独自の多目的衛星を  借りる必要性もあるので、その時はよろしく』こういうふうに言ったというのですけれども、これは本当なんですか。
  341. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 今先生御指摘の点でございますが、いろいろなデータ提供についていろいろなことが考えられるわけでございまして、物が決定に至る前、いろいろな方の御意見を聞くという一般の手続と申しますか、プロシージャーというふうな中でお考えいただければよろしいかと思います。  何回も申し上げておりましたように、現在、データ有料化ということは考えておりません。これは今申しましたように、配信のコストということのみを考えているわけでございます。でございますが、これは現在の状況ということでございまして、科学技術というふうなもの、あるいは社会環境というふうなものが物すごいスピードで変わっておりますので、その点についてはどの程度の時間スケールで物事がドラマチックに変わるのかはちょっと予想がつきかねるわけでございますが、そういった場合にはまた別のことを関係方々と御相談するという可能性を全面的に否定しているわけではございませんが、現在のところ、何回も申しておりますように、データ有料化は考えていないというのが実情でございます。
  342. 下村泰

    ○下村泰君 今のところはということになりますか。何か、五号衛星で徴収するはずだった年間二十億円の画像使用料を今度は新法人の運営経費で回収しようともくろんでいるのではないかというふうに心配をしているようですが、民間放送側は。
  343. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生御懸念のようなことは全くございませんで、私ども今そういう振りかわりで、別途の方法でお金を回収しようというふうなことは全く考えておりません。
  344. 下村泰

    ○下村泰君 その別の方法というのは、どんな方法。
  345. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 要するに、受益者負担の原則に従って人工衛星、例えば気象衛星、六号衛星でございますか、その資金の一部をユーザー から直接いただくということがだめであれば、例えばいわゆる別の手段で取るということでございまして、たまたま先生が今御指摘したことをなぞって申し上げただけでございます。
  346. 下村泰

    ○下村泰君 それでは今度は予報士のことについて伺いますけれども、いわゆる予報士というものがこれから数多くなり、またこれがひとつ世の中から皆さんが、ああすばらしい商売だな、おれもああいうふうになりたいななんていう人も出てくると思うんです。そういうときに、必然的に障害を持った方々でも予報士になりたいという方々が出てくると思います。そういうときにはどうなさいますか。
  347. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 気象予報士の受験につきましては、身障者の方々も含めまして特段の制限を設けるというふうなことは考えておりませんが、実際にどういう方の場合にどういうふうにするかというようなことは具体的なケースごとに検討することになるんじゃないか、かように考えております。
  348. 下村泰

    ○下村泰君 例えば視覚障害で細かいのは見えない、大きくなれば字が見えるというような方もいらっしゃいますけれども、そういう方がもし受験をなさるとなれば、それはそれなりに対応なさいますか。
  349. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) 先生の御指摘のような場合には、倍角字の導入というようなことも含めまして、あるいはワープロ使用の許可とかいろいろな方法でできる限り対処いたしたいということで、今後検討いたしてまいりたいとは考えております。
  350. 下村泰

    ○下村泰君 それじゃひとつ気象庁に、これはお答えはいただかなくても結構なんですが、いつも各省庁に申し上げておることなんですけれども、障害者の雇用の状況について、気象庁は、ここにいただいたのでは、視覚障害者、それから聴覚または平衡機能障害者、それから肢体不自由者、内部障害者等々で九十一人の方を採用されていらっしゃる。雇用率は二・〇一%、これは大変高い率でございますけれども、ただ残念なことに、精神薄弱であるとかあるいは精神障害、要するに知的障害がある方とか精神障害、こういう方が全然入っていないんですが、こういう方たちに対する気象庁としての雇用条件とかあるいは雇用に対する感覚というのはあるんですか、こういう方たちは絶対雇わないと。
  351. 望月鎭雄

    政府委員(望月鎭雄君) ただいまの先生の御指摘の点につきましては、この問題は国家公務員の採用に係る基準といいますか決め事でございますので、私ども一つの省庁の判断ではなかなか動かし得ないということでございまして、やはり国家公務員の採用の統一的な基準に従って私どもも対処いたしているということでございます。
  352. 下村泰

    ○下村泰君 できるだけこういうことに対しても少し門戸を開くとか何かその研究をしてください。いつまでもいつまでも外国がこうだとか、外国がこうだから、あそこの国がこうだから日本はなんて私は言うのは嫌なんで、むしろ逆に日本がこういう門戸を開いてこれこれこういうふうにしている、ほかの国がまねをするというようなぐあいにまでいってほしいと思います。  これは今回の法案とはちょっと外れますけれども、まことに残念だなと思うことが一つございます。実は知的障害を持ったお嬢ちゃんが今度中学から養護学校へ通うことになったんです。はっきり申し上げて電鉄会社は東急電鉄なんですが、その東急電鉄へ定期券を買いに行ったわけです。そのとき、東京都が発行している「愛の手帳」というのがあるんです。それをお見せしたら定期券売ってくれないんです。JRと民鉄の方の話し合いでそういう割引は売れないんだ、こういうようなことがもう既に決まっていたというんですけれども、これは本当ですか。
  353. 秦野裕

    政府委員(秦野裕君) JRと民鉄の間で話し合いがどういうふうになっておったか私残念ながら存じませんけれども、御案内のとおり、いわゆる通学定期割引というのはもちろんJRも民鉄もございますけれども、障害者の方に対応いたしました割引制度というものは定期についてはございませんので、その点は先生の今の御指摘に直接のお答えになっているかどうかわかりませんけれども、対象になっておりません。
  354. 下村泰

    ○下村泰君 おもしろいことにバスは買えたんですよ、バスの方は。なぜかといったら、東京都が無料パスを出しているんです、障害者に対しては。東急の窓口の言い方が非常に険があるんですけれども、バスは売れるんだよ、電車は売らないんだと、こういう言い方をしたというんです。何を考えてこの人は物を言っているのかなと思うんですが。  私が言うのは、障害者だから割引をしてくれとかなんとかというんじゃないんです。障害者が割引をしてほしいのはどういうことかといったら、せっかくお国の方の厚生省やなんかで、あなたたちも働きなさい、障害を持っているからといって世の中に甘えちゃいけませんよ、あなたたちもこういう仕事をしてこういうことをすればこれだけの収入があるんだから一生懸念働いてくださいと例えば言ったとしますわね。それで、作業所なら作業所というところがありますね。そういうところへ通いますよ。そうすると、収入というのはわずかなんです。そのわずかな収入を上回るはるか高い定期券を買わなきゃならない。そういうことに対して世間が、世間というか社会がそういう方たちに対して何か手を尽くす方法というのがある。その一つの方法が割引というようなことになるのではないかと思うんです。  ですから、今申し上げたように、こっちでは売る、こっちでは売らない、そんな社会構造であっていいんでしょうか。もっと社会全体がそういう方たちを温かく包んであげるというような社会情勢をつくっていかなきゃ、環境をつくっていかなきゃいけないんじゃないか。せっかくこの間、「人にやさしい」交通機関・施設実現のためのなんて、こういうふうにお話しになって、大臣もせっかくお答えくださったのに何にもならない。現実はこんな違いなんです。  ですから、こういうことを運輸省としては今後一体どういうふうに施策を施しなさるのか、それを伺って、時間ですからおしまいにします。大臣にも言いただきたいと思います。
  355. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 今のお話初めてでありますが、よく検討をしてみます。また、実情も調査をしてみたい。そして、どの点でどういうことができるかということをよく勉強させていただきます。
  356. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  気象業務法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  357. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって同案どおり可決すべきものと決定いたしました。  櫻井君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻井君。
  358. 櫻井規順

    ○櫻井規順君 私は、ただいま可決されました気象業務法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党、民主改革連合及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     気象業務法の一部を改正する法律案に対     する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項につい  て遺憾なきを期すべきである。  一、改正法に関連する政省令の制定等施行の準   備過程において、民間気象会社をはじめとす   る関係者と十分な調整を行い、その意見を反   映すること。  二、気象予報士制度の導入に関しては、現在、   気象業務法第十七条の許可を受けた者等の   行っている気象関係業務に配慮し、新制度へ   の円滑な移行を図ること。  三、民間気象業務支援センターが行う情報提供   業務に対する料金については、気象情報の公   共的性格にかんがみ、経理を公開して、関係   者と協議の上、同業務の遂行に必要とされる   最小限度の費用を賄うものに限ること。  四、指定試験機関及び民間気象業務支援セン   ターの指定に当たっては、適正を期するとと   もに、これらの機関の運営が適正に行われる   よう気象庁体制の充実を図り、指導・監督   を行うこと。  五、気象情報提供は、国民生活等に密着した   重要なサービスであり、提供情報内容の高   度化には、行政において責任をもって取り組   むこと。  六、民間気象業務の発達に寄与するため、気象   庁は、民間気象業務支援センター提供する   情報の高度化に努めること。  七、社会高度情報化に対応し、気象審議会答   申第十八号の内容の実現に努め、気象庁にお   いても、一般向け予報の充実に努めるととも   に、気象庁を中心とする防災気象情報の高度   化及び提供の迅速化を図ること。  八、我が国の果たすべき国際的役割にかんが   み、地球温暖化現象、エルニーニョ現象等の   諸課題の原因究明のため、国際的な協力を進   めるとともに、調査・研究の拡充に努めるこ   と。  九、今後とも、気象情報提供のあり方について   は、十分関係者の意見を聴き、業務の高度化   を図ること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  359. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) ただいま櫻井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  360. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 全会一致と認めます。よって、櫻井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、越智運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。越智運輸大臣。
  361. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) ただいま気象業務法の一部を改正する法律案につきまして、御熱心な御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。  審議中、先生方の御意見、また、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、運輸省、気象庁として十分の努力をいたしてまいる所存であります。  ありがとうございました。
  362. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  363. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  364. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 次に、船舶安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。越智運輸大臣。
  365. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) ただいま議題となりました船舶安全法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  船舶安全法においては、船舶の堪航性及び人命の安全を保持するために、船舶の構造・設備についての安全基準を定めるとともに、船舶がその安全基準に適合することについて検査を受けなければその船舶を航行の用に供することができないこととされております。  このうち長さ十二メートル未満の船舶は、その構造・設備が定型的かつ簡易であったことから、昭和四十九年以来、小型船舶として比較的簡易な安全基準を用いて、国の代行機関である小型船舶検査機構においてその検査を行っております。  この制度が発足して二十年近くが経過いたしましたが、この間に海洋性レクリエーションの普及・活発化に伴い、プレジャーボート等が増加するとともに、生産技術の発達により量産化が進行し、その結果、小型の船舶の形状が変化して、長さ十二メートル以上でかつ総トン数二十トン程度までの船舶についても構造・設備の比較的簡易なものが多く見られるようになっております。  このような状況にかんがみ、総トン数二十トン未満の船舶に関する安全基準を見直すこととしており、これに伴いその検査を小型船舶検査機構に行わせるためこの法律案を提案する次第でございます。  なお、小型船舶検査機構の検査対象船舶の範囲の見直しにつきましては、昭和五十八年三月の臨時行政調査会最終答申平成四年八月の総務庁の行政監察等においても指摘されているところであります。  次にこの法律案の概要について御説明申し上げますと、小型船舶の定義を長さ十二メートル未満の船舶から総トン数二十トン未満の船舶に変更し、小型船舶検査機構に検査業務を行わせる船舶の範囲を総トン数二十トン未満の船舶とする等の改正を行うものであります。  なお、この法律案の施行期日は、周知に必要な期間等を考慮して法律の公布の日から一年を超えない範囲内で政令で定める日としております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  366. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十三分散会      ――――◇―――――