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参考人(
鈴木次郎君)
鈴木でございます。
本日ここで申し上げたいと思っておりますことは、まず
気象審議会の
答申十八号というのがございますが、これに作成に参画いたしました者としてこれの簡単な御
説明を申し上げたいと思います。その後に、私が会長をいたしております
気象事業振興協議会というのがございますが、それの
発足のこととかその後の活動のことを申し上げまして、
最後に
気象事業振興協議会としてのこの
法案に関する
意見と申しましょうか、
希望と申しましょうか、それを申し述べさせていただきたいと思っております。
まず
気象審議会の十八
号答申でございますが、これは
平成四年三月に
気象審議会から出されたものでございますけれ
ども、まずこういう
答申を出すようになったバックグラウンドを少し申し上げますと、最近では
国民あるいは
社会からの
気象情報に関する
要望というのが大変多種多様になっております。例えば非常に局地的なものが欲しいとか、あるいは非常に長期的なものが欲しいとかいろいろな御
要求が出てまいります。端的に申しますと、欲しいときに欲しい
情報をくれ、こういう御
希望がございます。
一方、受けます側の、
受け手側の
体制がどうなっているかと申しますと、御
承知のように
コンピューターネットワークであるとか、あるいは
個人レベルに至りましてもファクスであるとかあるいは
パソコン通信であるとか、そういうものによりましてそういうものを受けるという
状態が結構できております。
三番目に、それではそういった非常に多様な、あるいは局地的なとか非常に短期的なものに対する
予報技術と申しますか、自然科学的な
意味でそういうものが可能かと申しますと、これも
メソ量的予報という
言葉でよく呼ばれておりますけれど
も、例えば現在よりも細かい、数十キロであるとか百キロであるとかというような単位のいろいろな
予報をいたします。これは雨だとか風だとかそういったようないわゆるお天気に非常に
関係の深いものでございますけれ
ども、こういうことが技術的にも可能であるという
状態になっております。そこで、そういうことを考え合わせますというと、どうもそれをうまくきちんとやれば皆さんの御
要求に結構こたえ得るような十分な
体制があるんじゃないかということになります。
そこで、十八
号答申というのは、そういうものを実施した場合にそれではどういう
問題点があるのか、どういう課題があるのか、あるいはどういうふうにやっていくべきなのかというガイドラインを示したものというふうに御理解いただけばありがたいと思います。
もう少し十八
号答申の
内容のことについて申し上げますというと、まずやはり基本になりますのは
気象庁のものでございますからして、いわゆる
メソ量的予報というものに対しては
気象庁は当然十分やっていただきたいということを述べております。さらに、後で申しますが、
民間のいろいろな方の御協力を得なければいけませんので、
気象庁としてはそういった
民間に対する
支援、助成、並びに
気象庁で得ました
データの柔軟な
提供と申しますか、そういうことを考えていただきたいということを申し上げております。
それでは、
民間の方はどうかと申しますというと、
民間の方は
気象庁から出されます
データを
もとにいたしまして、それにいろいろ、各種の御
要望がございますから、その御
要望に対応したような
付加価値をつけるといったらよろしいんでございましょうか、そういったような加工を施しましてやるということになろうかと思います。そうでないと、ありとあらゆる
要求に対応するということを全部
気象庁で引き受けるというのはこれは恐らく不可能であろうと思いますので、そういうことになろうかと思います。
そこで、ただ、そういうことをやってまいります場合に問題になりますのは、それではだれでも勝手に
天気予報をやっていいということになりまして、それがいろいろ非常に大きく違ったりいたしますと
社会に混乱をもたらすわけでございます。これは何かある程度のものをつくらなければいけないだろう。したがって、ある
レベルを考えまして、その
レベルに対応した者ができるというようなものをつくるといいんではないだろうか。それで、そのためには何らかの
検定制度といったらよろしいんでしょうか、何らかのそういった
検定制度みたいなものが必要であろうということも申し上げております。
さらにもう
一つは、
データの供給ということがございますが、これが今までよりは非常に量もふえますし、きめ細かいものが必要になってまいります。したがいまして、それに対する十分たえ得るような
データ提供体制というものも考えなければいかぬだろう、こういうふうに申し上げております。
最後に、
災害情報のことがございますけれ
ども、この
災害情報は各方面が勝手に違ったことをやりますと
大変社会に対する影響が大きゅうございますので、これはやはり一元化して
気象庁が
災害情報に関しては出していただくということ、及びその
災害に関しましては
防災体制で各
関係官庁であるとかあるいは地方自治体であるとかそういう
種類のところでいろいろな
システムが既にございます。したがって、その
システムと
気象庁とをオンラインで結びまして、リアルタイムに非常に正確でかつ迅速な
情報を流して、これに対して即応できる
体制をつくるのがよろしかろう、こういうことを申し上げているわけでございます。
この十八
号答申の
最後にこういうことが書いてございます。これはちょっと後のことに必要なのでそのまま読ませていただきますと、
総合的な
気象情報サービスの推進に当たっては、引き続き、
気象庁・
関係機関・
民間気象事業者間の緊密な意志の疎通が図れる開かれた
関係が重要である。本
答申の策定に至る
議論を契機として、
答申の
具体化に向けて、連携が一層緊密化され、活発な
意見交換が行われることを切に望むも
のである。こういうふうに
最後に書いてございます。
そこで、この
最後の文章を受けまして、こういった
ユーザーと申しますか
提供される側の
意見を
気象庁といろいろ
議論をして、
協議をしてそれで十八
号答申の実現を図るという目的で
気象事業振興協議会というものが昨年の十一月に設立されました。これは現在でも例えば
全国気象事業者連合会であるとか
気象庁配信データ利用者協議会であるとか、いろいろなものがございますが、そういったものの大きなもの四つが
肝いり役といいますかそういうものが発起人になりましてこういうものをつくり上げたわけでございます。
こういうものをつくりまして、その後
気象事業振興協議会がどういうことをやってきたかと申しますというと、まず
設立総会に続きまして、ウェザーキャスターの方であるとか
気象学者の方であるとかあるいは
民間業者の方であるとかあるいは
気象庁の方、そういった
方々をお招きしまして
勉強会を全体で開いております。さらにその中に
専門部会といたしまして、
検定制度に関する
専門部会、それから
局地予報に関する
専門部会、それから
報道関係の
専門部会という
部会をつくりまして、それぞれの
部会で検討をする。さらに
幹事会を設けまして、その
幹事会でいろいろそれをまとめるというような
体制でやってきているわけでございます。この
部会にはいろいろ
気象庁の
方々もおいでいただいて、質問をしたりそういうことをいたしております。
ところが、大変うまくいっているような話なのでございますが、実は
法律が改正されるということを聞きましてから、それで私
ども非常に頻繁にこういった
会議を開きまして、
気象庁の方にいろいろ御質問申し上げたわけです。これはなぜかと申しますと、実は
ユーザーといたしましては、
法律の
文言それ
自体ということも大事かもしれませんが、一般に
法律の
文言というのは私
どもから見ますと大変一般的で抽象的なものでございます。私
どもが
関心を持ちますのはもっと細かいことといいますか、いわゆるその後で政令だとか省令だとか、いろんな名前がついているようでございますが、そういったような
種類の細かいことが非常に
関心があるわけでございます。
例えて申しますと、
予報士というのが今回の
法案の中に出ております。我々が知りたいのは、
予報士というのは例えば
試験をやるとしたら
一体どのくらい難しいものを考えていらっしゃるのだろうか、あるいは
予報士の
試験に通って登録したらどの程度自由なことをやってよろしいんであろうか、あるいはうんと縛られるのだろうかというようなこと。あるいは
支援センターというのが
法案の中に出ておりますが、
一体支援センターというのは新しい
法人をつくるのだろうか、つくるのだとすればどんなものをつくるのか、そういうことによって
ユーザーの方から見ますと
負担増が非常に大きくなるのじゃないだろうか、こういうことが
大変気になるわけでございます。
そこで、
気象庁の
方々にいろいろお聞きしたのでございますけれ
ども、それは後で決めるのである、だから現在はまだ決まっていないんであるという御返事を非常に多くの場合にいただいたわけでございます。
そうなってまいりますと、どうも
内容が全然わからぬ。全然というのは極端かもしれませんが、かなりわからない
部分が多い。そうしますと、私
ども一体この
法案に
賛成なのか
反対なのかと言われましても、
賛成とも
反対とも言いようがないわけでございます。そこで、これでは困るということで
気象庁長官あての
要望書というのをつくりまして、今申し上げたように
内容がよくわからぬ、これでは
賛成も
反対もしょうがないではないか、今後はそういうことのないように、つまり私
ども協議会の
趣旨に沿って、というのは
協議会発足のときには
気象庁長官からもご
あいさつをいただいているわけでございますので、そういった
趣旨に沿ってやるようにしていただきたいという
要望書
を出したわけでございます。この
要望書のコピーは諸
先生方のお手元に前に差し上げてあるかと存じますが、そういうものを出したわけでございます。
その出しました後で
気象庁長官、
総務部長その他の
方々と
懇談をいたしました。その
懇談の中で、
気象庁側としては今までいろいろ至らない点があったのは認めるから、それは今後は十分そういうことがないように気をつけていくつもりであるという
お話がございました。なお、同
趣旨のものはその後私
どもも
文書としていただいております。
非常に簡単に申しましたが、これが大体現在までの経過でございます。
そういたしますと、こういったような現状を
もとにいたしまして私
ども気象事業振興協議会としてこの
法案に対してどう考えるかと申しますというと、
法案そのものに真っ向から大
反対ということではございません。決してそうは申してはおりません。しかし、我々としては
法案自体にイクスプリジットにと申しますか、出ていないことについての
いろいろ希望があるわけでございます。
この
法案の主な点
二つかと思いますので、その
二つについて限定して申し上げますと、例えば
予報士というものをつくるということになっている。
予報士をつくった場合に、私
どもの考えは、
予報士というのは
試験を受けてなるわけでございます。したがって、
予報士の
レベルというものは最低限ある程度そこで担保されているではないか。だとしたら、
予報士の行う
予報というのは最大限に
自由化をしていただいてよろしいのではないか。そういうふうにしていただきたいということでございます。
第二番目に、
支援センターというものが書かれております。この
支援センターというのも、これは新しい
法人をつくるのかどうかその点もまだ明確でございませんけれ
ども、私
どもとしては何も新しい
法人をつくるということに固執する必要はないんではないか。要は何かと申しますと、多様で豊富な
データを安く配信していただける、そういうようなことを主眼にしたものを考えてそういう
体制を考えていただきたい、こういうことになるわけでございます。
もう少し端的に申しますと、今回の
法律が
細則等まで入れまして
民間の
事業を圧迫するようなことは絶対に避けていただきたいということ、あるいは
言葉をかえて言いますならば、十八
号答申の
精神をそのままストレートに生かしたようなものになっていただきたいという
希望でございます。もちろん私
どもとしましても、
気象庁と
協議をするべき点は
十分協議をいたしまして、言うなればそういった細かい点まで含めて両者の納得の上でこの
法律が施行されるようになるということを
希望しているわけでございます。
大体、申し上げたいことは以上でございます。
御清聴ありがとうございました。