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永井議員 お答え申し上げますが、
長勢委員の御
質問の
趣旨は、我々がこの
法律をつくろうという
提案の
中身に対して、いわばこれになじまない
幾つかの例も挙げられまして、そういう場合は果たしてこの
法律で
規制をするのがいいのかどうなのか、そういう御
議論の部分もかなりあるように私は思うわけであります。
ただ、答弁がちょっと直接的でないかもしれませんけれ
ども、例えばこの
パート労働の問題が大変な
社会的な問題になってまいりまして、御承知のように
平成元年の六月に
パート指針が出されたわけですね。それで、個々の
ケースは別にいたしまして、
経営者のとるべき、事業主のとるべき義務として、
パート指針が
幾つか問題点を提起をして指針の中に盛り込んでいるわけでありますが、その指針が仮に遵守されておったらまた
パートで働く
皆さんの
労働条件はかなり変わってくると思うんですが、
統計資料で見ますと、これは総務庁の
統計資料でありますが、例えば雇入通知書の交付という問題
一つとりましても、守られていないところが極めて多い。あるいはこの数字を挙げてもいいのでありますが、健康診断も実施されていないとか、年次有給休暇の与えられているところも極めて少ないとか、
幾つかの指針がなかなか守られていないという
現実が存在するわけですね。
そして、今
長勢委員が言われますように、
一つの具体例ですよ、何とか私を雇ってほしいと事業主に頼み込む、じゃ、こういう
条件でということで雇い入れた、都合が悪くなったらぱっぱとやめられてしまったら事業主が困る、確かにそういう
ケースも八百万人からの
パート労働者がいるんですから、ないと私は言い切ることはできないと思うのです。
しかし、今全体の
パート労働者の
皆さんが非常に困っていらっしゃるのは、バブル経済のときにはどんどん人を雇い入れる、しかし、正規の職員や社員で雇い入れると、
日本の
雇用慣行からいきまして、長期
雇用いわゆる終身
雇用制というのがやはり基本にありますから、これじゃ経営上困るというので
パートの
皆さんを雇い入れる、そして今のようにバブルがはじけると、ある日突然におまえやめてくれということになってくる、むしろ
長勢委員の
指摘されている問題点よりも逆の
ケースが、全体的に、圧倒的に多いのではないかとさえ私は思うわけであります。
そういう不安定な
状況で働かされている
パートの
皆さんが安心して働けるようにすること、あるいは正規の社員や正規の職員とすべて同じようにということは、
均等待遇というのは、働く内容も違う、働く時間も違うのに、金額面においても、例えば
賃金の面においても同じ金額でなければいけないということを言っておるんじゃないのです。短時間
労働者であるけれ
ども、例えば時間給で例をとれば、その時間給が、同じ仕事をしている場合に正規の社員や職員に著しく劣ることがあってはならない、あるいはその就業規則というものがきちっと本人に示されなければいけないとか、たくさん差別的取り扱いの
事象がございますけれ
ども、
幾つか私
ども聞きました。たくさん聞きました。毎年春闘で
賃金の引き上げがあるけれ
ども、
パートは
対象外だといって
賃金の引き上げもしてもらえないというところもある。今伊東
議員も答えましたけれ
ども、退職金
制度がその企業にはあるけれ
ども、
パートの
皆さんは別ですよということで退職金の支給
対象になっていかない、あるいは解雇予告という期間も設けられないし、予告手当ももちろんない。ある日突然、事務所へ上がってきてください、上がっていったら、ちょっと今仕事が暇になったからあしたからもう来ないでいいからと、それほど不安定な中で働く
パートの
皆さんがほとんどではないのか。今の事業主にすれば、そういう
パートの
皆さんの
状況の中で、いつでも自由に雇える、いつでも自由に解雇することができる、
労働条件だって一般の社員や職員のように厳格に
労働基準法に基づいて云々、あるいは
労働組合との話し合いに基づいて云々ということで心配することはないということが
現実にかなり事業主の頭の中を占めていると私は見ざるを得ないのですね。
だから、そういう面で
幾つがその差別
事象というものを具体的に提起をして、それをいきなり
法律で決めるのではなくて、今申し上げましたように、三者構成のところでそういう問題を全部、
可能量大限の
基準をつくってもらって、その
基準に基づいて大臣が指針として定める。それを守らないときには勧告をする、勧告しても従わない場合は初めて
罰則が適用されますよ、そういう方式をとっているわけでありまして、いわゆる直罰主義ではない、ここに私
どもの苦心の
中身が存在をするわけであります。
いわばこの指針だけで律し切れない、指針だけ
ではなかなか実効を上げることができない、ましてやこの指針そのものの存在することさえ知らないたくさんの事業主もいるという
状況でありますから、ここは
パート労働者の
皆さんの生活を維持するために、生活基盤を確立するために働いていらっしゃるわけでありますから、個々のそれぞれの働く人の
理由は違うかもしれませんけれ
ども、やはりその
労働したことに対して的確に
労働条件としておこたえできるようなことが事業主の責務であろうし、そのことができるように、法治国家でありますから、
法律上きちっと
規制をしていくことが最低限必要だ、こういうふうに私は
考えているところであります。