○金子(満)
委員 その
委員会ができているかできてないかはもう
一つの問題ですけれ
ども、時短
促進法に基づいて
労使で
委員会ができていれば届け出をしなくてもいいという。じゃ、このままいったらどういうことになりますか。脱法行為が堂々と天下の大道を歩いているのですよ。
それで、きょうの新聞だったらどうか知らぬけれ
ども、十一日に出ているんだから、
労働省の
皆さんや
政府関係者もえっと思うと思うのです、こんなに新聞に大きいんだもの。それで、採用
企業はどんどんこの裁量
労働制を適用して、広げている。そして、今の
法律の枠を超えて、
労働省の制度の例示の枠を超えて、事務部門にやりやすいし、なるんだと書いてあるんだ、これは。それを
労使で決めればいいんです、届け出しなくても結構です、今これをもし
日本じゅうの人が聞いたら、ああそうですか、これはうまいことを聞いた、届け出も何も関係ない、あれはざる法だ、脱法行為でどんどん
労使で決めればいいのです、こういうことになりますよ。
だから、
労働省としての
労働行政でこれをしっかりつかんで、それは法違反なんですよとそれは
指摘しなければならない。そうでなかったら、事務部門にやることは非常にいいし、やりやすい。研究部門はコンピューターなんか、コンピューターとは書いてないけれ
ども、「研究者は設備を使う関係上、」というのはそういうことなのです。次から次へメジロ押しになるから、あなたの番は何分と切らなくちゃならない。事務部門がそれがないからやりやすいし、能率が上がるんだ。
なぜ、私がそういうことを言うかといえば、先ほどの
日本労働研究機構の中ではどういう職種にこれが適用できるかという
内容までちゃんと書いてあるのですよ。だから、抑える抑えないじゃなくて、何と書いてあるか。
具体的には、個々の顧客の訪問
計画、受注業務や回収
計画、既納客管理・フォローの「仕方」は原則として個々の営業マンに任されており、これをいかに効果的・効率的に行うかによって、まさに個々の営業マンの販売台数の違いとなって出てくるわけである。訪問、受注活動の
計画は、原則として営業所長が月単位、中間管理職が週単位で大枠を策定し、一週間に一度はミーテングが実施され、個々の営業マンの進捗
状況の把握がなされる。がしかし、それぞれの時間単位の中で何をどのようにどれだけやるかは、個々の営業マンの裁量に委ねられている。
ちゃんと書いてあるんですよ、これは。こういう格好でオリンパスだってやっているんですよ。ほかもやっているんですよ。ですから、ここは明らかに五つの
業種、それをはみ出しているんですよ。
今度は、それをはみ出していることをもっと普及しよう、
政府の方針でというのが「
生活大国五か年
計画」なんだから、そういう点では
一つの考え方として矛盾がないんですよ。そこを、何とか違うものの解釈があるかのようにおっしゃるからおかしなことになっているんです。
今のオリンパス、どうぞ後で調べてくださいよ。新聞に出ているこれをずっと見て私
どもそれなりに調べてみますと、確かにそうだ。ですから、潜りでやっているのが公然化しているんですよ。潜りの、ここのところに資料まで出ているんだ、こういうのができますと。だったら、今度、自動車セールスからいろいろなセールスマン、大変ですよ、これは。
ですから、そういう点を私たちは考えたときに、
労働省のこの
労働行政が現に、今法の
改正の問題で議論しているときに、もう先取りして事態の方が進んじゃっているんだ。そういう点をどう見るのかというのを担当者としてはしっかり−私は悪口言っているわけじゃない、あら拾いしているわけじゃないですよ。みんなの懸念が議論の中で出てきているのに、毎日新聞を見たらこういうことになっている。全然これはおかしなことだと思う。あなた方はもっと敏感にこういう問題をとらえていかないと、事が起きて、火事が起きてからポンプを引き出すようなことをやったんじゃだめだというのです。そういう点は非常に大事な問題だから、私は
指摘をしておきたいと思うのですね。
さらに、そういう中で、最後に近くなりましたが、結局変形一年の問題も、今度の裁量
労働の問題もどういうことに結果はなるだろうかと思うと、そこに出てくるのはやはり過密
労働、長時間というのは出てきますよ。そして、
企業経営者の側から見れば
残業代の節約には確かになります。しかし、過労死という問題はそこで解決つかないわけですね。
労働省は、これは把握しているかどうか知りませんが、過労死と言われる中で、
労働省の公式文書にはなかなか過労死というのは出てこないです、ほかの
政府機関では、過労死というのは括弧で入っているところが大分ありますけれ
ども。過労死と言われる中で、ホワイトカラーの過労死の数は相当多いんですよ。これは
一つの新しい特徴なんですね。どういうことになるか、なぜそうなるかというのは、ホワイトカラーの多くの
労働者に共通している点は、
企業から異常なノルマが課せられるんですよ。それで一生懸命働くから、会社人間になって、社会人間にならないのです。会社人間にどんどんなっていく。そうして、そういう中で今度は裁量
労働というのがずっと広がれば、こういう危険性も付随して、正比例して広がっていくのです。これは解釈でなくて事実だから、流れでそうなるのですね。
そうして、裁量
労働を採用している
企業の使用者側が多く言っていることは何だろう。
賃金には二種類ある、ですよ。
一つは、もうこれは常識的に言われるように、
労働時間で
賃金を決める方式、これはもう国際的にも普及しています。もう
一つは、生み出した成果で、つまり上げたノルマで
賃金を決めるというシステムがあります。ですから、裁量
労働制というのは後ろの方に、後者の方に重点がかかっているのは当然だと思うのですね。ですから、ノルマを果たさなければ手取り
賃金が下がるのですよ。だから、家族を養い長距離通勤をやり、そして車のローンだ、住宅ローンだと払うためにはどうしてもノルマを上げるという、これをやらざるを得ない。だから無理をするのです。
責任がある。そして、裁量のきくところ、適用されるところはそういうシステムの中でやるのですね。そして今度は、ではノルマを
達成したらどうか。
達成した
労働者は、次の
段階はまたノルマが上がるのですよ。そういう形で競争が激しくなるというのが残念だけれ
ども今の状態だと私は思うのです。
経済は大国であり、生活は大国だとは言えないのですね。
だから、最後になりましたが、
労働大臣、やはり裁量
労働というのはそうした危険が常につきまとっている、これだけは考えていかなければならぬことだ。そういう
立場から見ると、私は
業種の限定というのは簡単に取り外すべきではない。今だっていろいろなことで矛盾が出ているのだから、そういう点で、こういうような危険を持っている裁量みなし
労働というものについて
労働大臣はどういう考え方を持っているか、このことをお聞きして私の質問を終わることにします。