○石橋(大)
委員 次に、これからの
雇用調整の中で
企業内失業者が百万人くらいおる、こういう推計が従来出されているわけですが、これがどういうふうに展開していくか、こういうことに関連をしてお伺いをしたいと
思います。
二月十六日に
日本銀行の
調査統計局が発表した「最近の
雇用情勢と今後の展望」、こういう文書があります。詳しいことは申し上げませんが、これによりますと、
一つは、新規求人の業種別動向を見ると、製造業における落ち込みが目立っているが、非製造業については建設業が引き続き高水準・横ばいで推移しているほか、サービス、卸・小売業についてもごく小幅の低下にとどまるなど、製造業に比べれば求人の低下幅は総じてマイルドなものにとどまっている。
二番目に、次に
雇用者数の推移を見ると、製造業では九一年後半以降増勢鈍化
傾向にあり、足元の前年比はほぼゼロ近傍にまで低下している。ただ、これまでのところオイルショック時や
円高不況時のような大幅な減少を示すまでには至っておらず、伸び率の低下テンポも過去の調整局面と比べマイルドなものにとどまっている。一方、総
雇用者数の七割のウエートを占める非製造業については、増勢こそ緩やかに鈍化しているものの、足元でも前年比三%前後の底がたい伸びを維持している。
三番目に、常用
雇用者数の動向を業種別にやや子細に見ると、製造業では、電気機器、輸送用機器など加工業種の伸び率低下ないし減少が目立つ一方、非製造業では主力の建設、卸・小売、サービス等、いずれについても増勢の目立った低下はうかがわれていない。
四番目に、また、事業所の従業者数による規模別で見ると、小規模事業所の常用
雇用が相対的に底がたい動きを示している。特に非製造業では、従業員三十人以上の事業所の常用
雇用の伸びが昨春以降鈍化しているのに対し、同五ないし二十九人の事業所においては、引き続き前年比五%前後の高目の伸びで推移しており、ごく最近においても増勢が鈍化している様子はうかがわれない。こういうことが言われておるわけであります。
要するに、今回の景気調整局面では、生産や
企業収益が大きく落ち込んでいる割には、これまでのところ
雇用面での調整は総じて比較的マイルドなものにとどまっているとの
評価が可能である、こう言っているわけであります。
今まではそうですが、しかしながら、元来、
雇用動向は景気遅行的な性格を有するものだけに、むしろ、今後
雇用調整圧力が強まり、常用
雇用の削減など
雇用調整が一段と深化していく懸念がないとは言えない、こういうふうに言われているわけであります。
そして、
雇用調整圧力の
評価に関しましては、まず、足元の
雇用調整圧力の程度を見ると、
企業は厳しい生産調整を継続しているにもかかわらず、依然として常用
雇用の温存を続けていることから、収益が大きく圧迫されており、この点から見れば、
雇用調整圧力は既にかなり高まっているものと見られる、こういうふうに分析をしまして、特に大
企業において管理部門(ホワイトカラー層)、なかんずく、給与単価の高い四十代から五十代前半の年齢層(団塊の世代中心)のウエート上昇が目立っており、このことが最近大
企業を中心に見られる
企業内失業論の土壌になっているとともに、
現実問題として、人件費の上昇を通じて収益を圧迫する一因となっているものと
考えられるとしています。
こういうことに関連しまして、富士総研は、去年の秋に、
企業内失業者が昨年八月時点で国内の総就業者約六千五百万人のうち百万人に達した、こういう試算結果を発表しておりますし、日興リサーチセンターも、去年の四-六月期の製造業の
企業内失業者は大体九十万人というふうに過去最高の水準に達している、こう言っているわけであります。
これからの景気の動向いかんによっては、こういういわば潜在失業者といいますか
企業内失業者として残っている人々が、本当の失業者として表に出てくるという状況が出てくるのじゃないかというふうに
心配されますが、この
企業内失業者百万人という分析に対して、
労働省としてはどういうふうに見ておられるのか、今後の常用
雇用の削減などの深化というおそれに対してどういうふうに見ておられるのか、伺いたいと
思います。