○熊野
政府委員 我が国の経済は、全体として申し上げますと最終需要の約四分の三を占めます個人消費でありますとかあるいは設備投資といったものが、いわゆるストック調整でありますとかマインドの冷え込みといった面から低迷をしておりまして、さらにはバブルの崩壊等によって大変厳しい状況にあるというふうに考えております。
こうした全般的な需要低迷のもとにおきまして、製造業について見ますと、在庫調整の動きも加わって生産がずっと停滞をしてきておりまして、一番最近の統計でございますことしの一月におきまして、生産指数で十六カ月連続の前年割れとなっております。減少幅も前年の同じ月に比べましてマイナス七・六%、前月、去年の十二月でありますけれ
ども、これに比べましてマイナスの〇・三%という状況になっております。中でも、一般機械工業とか電気機械工業といったふうな従来成長しておりましたところの落ち込みが非常に大きく、これが経済全体にも大変大きな
影響を与えるというわけでございます。
それからまた、卸売とか小売、サービスといいましたものを含むいわゆる第三次産業でございますけれ
ども、これにつきましても、従来は景気が停滞するときにも比較的下支えの役割を果たしてきたわけでありますけれ
ども、今回は低調でございまして、私
どもの方でつくっております第三次産業活動指数で見ましても、昨年の四-六月期あるいは七-九月期とも減少しているような状況でございます。
私
どもといたしましては、経済の実態を、ただいま申し上げましたようにマクロ面はもちろんのことでありますけれ
ども、個々の産業の動向を見守っていきたいと思います。
それから、もう
一つのお尋ねでございます
海外における進出の状況あるいは経営状況はどうかということでございます。
我が国企業は、八〇年代半ば以降、いわゆる円高といった状況を背景といたしまして、
海外の進出を進めて
事業活動の国際化を図ってきているところでございます。ただ、最近におきましては、対外直接投資の金額で見ましても、八九年度の六百七十五億ドルをピークといたしまして減少傾向に入っている状況でございまして、これは世界全体の景況がはかばかしくない、あるいは日本の企業の
海外生産拠点の設立も一巡をしてきたといった事情によるものではないかというふうに考えておるところでございます。
こういった
海外への進出によります
我が国企業の活動状況を概観してみますと、売上高で見ますと約七千億ドル、このうち製造業の部分が約二千億ドルでございます。それから、
海外における雇用者総数が百六十万人、製造業だけでカウントいたしますと百二十万人でございますけれ
ども、こういう形で進出先の国において、これは発展途上国あるいは先進国両方ございますけれ
ども、進出先の相手国の経済の発展に大きな寄与をしているのではないかというふうに考えております。
一方、お尋ねの収益の状況について見ますと、売上高経常利益率を概観いたしますと、全体として一・〇%、製造業だけで見ますと、一・八%となっておりますけれ
ども、これは同じころの
我が国の国内企業の状況に比べて決してよくないという状況でございまして、
海外進出をした企業にも、厳しい状況の中で経営努力が求められている状況ではないかというふうに思っているところでございます。