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薮仲分科員 大臣、私が相談を受けて、ここ足かけ六年になりますか五年間、ずっと
関係省庁に対策、改善を
お願いしてきた問題、それは大臣もよく御承知の、最近我が国は国際化といいますか、国際社会の一員として大きく役割を果たしていかなければならない、そういううねりの中で、我々
日本国民も広く海外へ行って見聞を広げようということで、
平成三年度でも一千万人を超える方が海外へ渡航していらっしゃいます。中でも留学あるいは研修等の目的を持った方が十二万人等々の現状にあるわけでございますが、私は、
日本人が国際社会に飛び出して広く見聞を広めるということは非常に重要なことであり、好ましいことである、大切なことだと認識しておるわけであります。
しかし、反面、これは十分気をつけておかなければならない課題が数多くあるのではないでしょうか。
大臣も御記憶に新しいように、昨年、留学なさったあの高校生が、アメリカのルイジアナ州で、フリーズといったった
一つの単語が理解できなくて命を落とすという事態も起きました。ああいうことによって、留学あるいは語学の研修をもとにしたホームステイ、これでいいのかということがいろいろな面で
論議をされましたけれども、私はこの問題、昨年の事故が起きる前からずっと
関係省庁に
お話をしてまいりました。旅行業を預かる
運輸省、あるいは子供を預かっている文部省、そして海外の邦人の保護、また海外において重要な役割を果たしている外務省はこの問題にどう取り組んでいるか、こういう
関係省庁を
中心にずっと対策を
お願いしてまいったわけでございます。
最近になりまして、いまだにこの問題が解決しない面もある、やはり困ったときには原点に返ることが一番大事だろうと私は思うのです。
これは大臣も先刻御承知で、今さら言うのもいかがかと思うのでございますが、我が国があの戦争に敗れたとき、あの敗戦の荒野の中から、あそこでフルブライトの国際奨学金制度、いわゆる交流制度が始まったわけでございます。教育交流
計画というものです。あのフルブライト上院議員のアメリカ上院での発言が大きな国際貢献といいますか、今改めて思い直されて、昨年はちょうど四十年になったわけでございます。
あの原点は何であったかといいますと、フルブライト氏は、「広島、長崎の惨状だった。戦争はたがいの無知、無理解、誤解から起こる。戦争を防ぐためには相互理解が不可欠で、それには国際教育交流が必要」だ、これがこのフルブライトの精神だったはずであります。
また、そのほかにもホームステイの精神をよく言われますけれども、ここにもこういうことをうたわれております。
「第二次世界大戦終了直後「戦争を無くし、世界平和を希求するには、若人による交換留学を制度化し、相互理解を深めることが最も好ましい。その為には、奉仕と協力、連帯と感謝、即ち、ボランティア精神を貫き無償で外国よりの高校生を、特に大戦相手国(敵国)より受入れ、家族の一員として一年間異
文化を体験してもらおう」」というアメリカのボランティア団体アメリカン・フィールド・
サービス、こういうところからそのスタートがあったということはよく言われているわけでございます。
このように、この留学あるいは交換的に語学の研修をして見聞を広げようということは崇高な目的で行われたわけでございますが、最近新聞を集めて、全部言っているとそれだけで時間がたちますから、見出しだけ言いますと、「留学生数急増で絶えぬトラブル」「“危険社会”を認識し慎重な行動で自衛を 海外留学の落とし穴」「異
文化に溶け込む心構えを 激増ホームステイのトラブル」「留学斡旋の適正化を」「留学生狙う悪徳業者」「安全確保へ基準作り」等々読み上げていったら数限りありませんけれども、このような記事がずっと出ているわけであります。やはり海外留学や短期の話学研修にいつもこういうトラブルが起きる。
これはほかの省庁ですが、文部省が、大臣、
ちょっとごらんいただきたいのですが、これは文部省がいわゆる留学あっせんに対するアンケート調査をやったのです。この中のごく一部だけ紹介しますと、この中で大学生、高校生のアンケートがあるのです。
大学生のアンケートの中に事故の、いわゆるトラブルの有無、あったという回答が二七・一%、留学生の四人に一人は何らかのトラブルがあった。これは高校生も同じような数字ですが、高校生も念のために見てみますと、高校生のトラブルのあったという回答が二四%で、留学生の四人に一人。だから、何らかの形でトラブルに巻き込まれている、これをなくしていこうということは政府のとるべき対策として非常に重要なことだと思うのです。
じゃ、どういうことを改善してもらいたいか。これは大学生ですが、留学あっせん業者に対してきちんとした基準をつくってほしい、それから公的な相談機関を設けてほしい、あるいは確実な情報を得られる体制が欲しい、もう
一つは安全性をチェックしてほしい、これが大学生です。
高校生はどんなことを言っているかといいますと、やはり同じようなことです。確実な情報を得られる体制が欲しい四〇・七%、それから安全性をチェックしてほしい、これは二七・六です。公的な相談機関を設けてほしい、これが二一・〇。留学あっせん業者に対して基準が欲しい、やはり大学生と同じにあっせん業者にもっときちんとした基準をつくってくれ。あるいは自由な回答では、ホストファミリーを早く決めてほしい、留学生に対する事前の教育、オリエンテーションを確実に行ってほしい、質のよいホストファミリーを探してほしい、こういうアンケート結果が出ておるわけであります。
私は、こういう実態を見ますと、これから当然旅行業を預かっていらっしゃる
運輸省の
立場、あるいは子供さんを預かっていらっしゃる文部省、海外の情報に詳しい外務省、この三省でしっかりと協力し合って的確な、非常に大事な留学あるいは語学研修というものが安全で、安心して親御さんが子供を海外にやれるような事態をつくっていただきたいと心から念願するわけでございますが、冒頭、
関係省庁、私がここ数年ずっと問題提起をしておりますけれども、特に最近省庁が取り組んでおりますことをかいつまんで省庁別におっしゃっていただけますか。