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1993-03-05 第126回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年三月五日(金曜日)     午後一時十五分開議  出席分科員   主 査 大石 千八君       石原慎太郎君    佐藤 敬夫君       伊藤 忠治君    小松 定男君    兼務 上原 康助君 兼務 小川 国彦君    兼務 川俣健二郎君 兼務 北川 昌典君    兼務 後藤  茂君 兼務 佐藤 恒晴君    兼務 鈴木喜久子君 兼務 常松 裕志君    兼務 野坂 浩賢君 兼務 山元  勉君    兼務 長田 武士君 兼務 薮仲 義彦君    兼務 山田 英介君 兼務 山原健二郎君    兼務 小平 忠正君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 越智 伊平君         郵 政 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 豊田  実君         運輸大臣官房会         計課長     楠木 行雄君         運輸省運輸政策         局長      大塚 秀夫君         運輸省鉄道局長 秦野  裕君         運輸省自動車交         通局長     土坂 泰敏君         運輸省港湾局長 坂井 順行君         運輸省航空局長 松尾 道彦君         郵政大臣官房長五十嵐三津雄君         郵政大臣官房人         事部長     加藤豊太郎君         郵政大臣官房財         務部長     新井 忠之君         郵政省郵務局長 上野 寿隆君         郵政省貯金局長 山口 憲美君         郵政省通信政策         局長      松野 春樹君         郵政省電気通信         局長      白井  太君         郵政省放送行政         局長      木下 昌浩君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部管         理企画課長   上杉 秋則君         環境庁大気保全         局企画課交通公         害対策室長   斎藤 照夫君         法務省刑事局刑         事課長     鶴田 六郎君         外務大臣官房領         事移住部邦人保         護課長     小川 正二君         大蔵省主計局主         計官      金井 照久君         文部省学術国際         局留学生課長  西澤 良之君         文化庁文化財保         護部記念物課長 若松 澄夫君         厚生省年金局年         金局長     中村 秀一君         中小企業庁計画         部下請企業課長 柚木 俊二君         会計検査院事務         総長官房上席審         議室調査官   杉本  隆君         運輸委員会調査         室長      長岡日出雄君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   伊藤 忠治君     斉藤 一雄君   堀  昌雄君     小松 定男君 同日  辞任         補欠選任   小松 定男君     堀  昌雄君   斉藤 一雄君     伊藤 忠治君 同日  第一分科員北川昌典君、山原健二郎君、第二分  科員野坂浩賢君、第三分科員小川国彦君、川俣  健二郎君、長田武士君、薮仲義彦君、第四分科  員佐藤恒晴君、鈴木喜久子君、山田英介君、第  五分科員上原康助君、第六分科員常松裕志君、  山元勉君、第八分科員後藤茂君及び小平忠正君  が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成五年度一般会計予算  平成五年度特別会計予算  平成五年度政府関係機関予算  (運輸省及び郵政省所管)     ―――――――――――――
  2. 大石千八

    大石主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  平成五年度一般会計予算平成五年度特別会計予算及び平成五年度政府関係機関予算中、運輸省及び郵政省所管について審査を進めることとし、補充質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜りますようお願いを申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  まず運輸省所管について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川昌典君。
  3. 北川昌典

    北川(昌)分科員 大変御苦労さまでございます。まず新幹線問題についてお伺いしたいと思います。  昭和三十八年に東京-大阪間の新幹線が開設されまして、非常に大量輸送、そして時間の短縮スピードアップでございますね。そういったことで、新幹線が敷設されました地域については、経済産業文化、こういった面で大きな発展を遂げる、こういう役割を新幹線は果たしておると思います。  ところが、昭和四十六年から四十八年にかけまして基本計画が設定されたわけでございますけれども、現在どういう状況かといいますと、営業中の路線が千八百三十六キロ、そして整備新幹線が、工事中のものが四百六十一キロ、整備新幹線のうち未着工のものが一千キロ、そして基本計画のまま今日まで至っておるのが三千五百十キロ、こういうことでございまして、営業中の路線は全体のわずかに二七%、三〇%に満たないわけでございますけれども、新幹線が通りまして三十年経過して二七%ということは、この基本計画で設定された新幹線日本列島ネットワークを構成するのは、単純計算でいきますと百年後、こういうことになるわけでございまして、均衡ある国土発展という立場からも、こうした新幹線テンポが遅いことは日本列島の中に、それぞれの地区の中に格差を生じるということも考えられるわけでございますが、こうした新幹線将来計画といいますか見通しについて、運輸大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。
  4. 越智伊平

    越智国務大臣 今先生から御質問がございまし たが、新幹線、確かにスピードが遅い、もういろいろ言われておりますし、また各地域で非常に要望が強い、これも事実であります。  昭和六十三年八月にお決めいただきました基本スキームに従って着々進めておる次第であります。ことしはちょうど五年後の見直しの時期でありまして、そこでいろいろ陳情もございますし要望もございますので考えたいと思いますけれども、第一番はまず財源の問題、それから収益の問題、運営上やっていけるのかどうか、またそれをどういうふうに扱うのか、こういう基本的な問題も含めてひとつ御論議をいただいて、ただいまは基本スキームによる予算でございますから、この予算が終わりましたら皆さんの御論議をいただこう、こういうふうに考えておる次第であります。  一には財源であり、経営やっていけるのかどうかという問題、両方あわせてひとつ御論議をいただきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  5. 北川昌典

    北川(昌)分科員 経済性の問題となりますと、やはり地方過疎状況でございますから、当然計算上はなかなか上がってこないと思うのですけれども、ただ、やはり新幹線整備することによって多極分散ができますし、そこにいろいろな企業も立地できますし、そういったことから国土の均衡ある発展というものに役立つわけで、今人口も少ない、採算がとれないからだめだということじゃなくて、将来的にとれるような、採算性が生み出せるような状況をつくり出すのが新幹線一つの役目でもあるのではないか、こういうふうに私は思います。  そういった点からいきまして、特に東九州、ここはこの前もお話ししましたが、高速道路また新幹線含めまして、全く見捨てられたところでございます。したがって、そういう点では、社会資本整備もおくれておりますし、経済発展もおくれておるという状況でございます。したがって、こうしたおくれておるところに目を当てていただいて新幹線整備いただく。  この地域は、大分宮崎鹿児島、こういうところでございまして、鶴崎工業地帯、それから旭化成の工場、それから新産都市、また、宮崎中心部の方に行きますと、多くの中企業が立地しておりますし、王子製紙も立地しておる、こういう工業地帯でもございます。同時に、リゾートの開発が進んでおりまして、観光面でも大分宮崎鹿児島と連なる大きな観光地帯でもございます。あわせまして、例えば農業、林業、漁業といった資源も豊富にあるわけでございます。  そういった面からいきますと、将来的には、多極分散の中で大きく成長する地域であると思うのですが、そういった面を考えますときに、東九州新幹線、これについても地元からも強い要望もあるわけでございますが、見直しの時期に、この点をぜひ考慮に入れていただきたい、検討いただきたいと思うわけでございます。  とりわけ、昨年、鹿児島から人吉に向けての整備新幹線着工いたしました。となりますと、今度は逆に、鹿児島から宮崎大分の方に新幹線整備していくということによって鹿児島整備新幹線が生きてくる、こういうことになると思うのです。後ほど日豊線との関連からも申し上げますけれども、そういった点で、基本計画には上がっておるのでございますから、三十年間棚ざらしになっておるものをひとつ引き出していただいて、ごみを払っていただく、そして整備計画の中に上げていただく、地元要望も含めましてこのことをぜひお願いしたいと思うのですけれども、御検討、いかがなものでございましょうか。
  6. 越智伊平

    越智国務大臣 今先生申されましたこの東九州の問題でございますけれども、場所的に申し上げますと、北海道あるいは日本海側、それから東九州、また四国、こういった過疎地帯をどうするか。先ほど私が採算性のことを申し上げましたが、必ずしもその地区での採算性でなしに、将来どう持っていくかという議論をぜひいただきたい。これは一つ整備新幹線だけでなしに、我が省の管轄でございませんけれども、高速自動車道もそういうことが言えるのではないか。  要は、均衡ある発展のためにどうするかということについて御議論をいただき、そして、その上に立ってどうするかということを決めていかないと、今の経済性ばかり言っておったら、いつまでもできない、これは私は同感でありますけれども、それをどうするかということを検討していただこう、こういうふうに思っております。今後よく皆さんと御相談をして進めてまいるようにいたしたい、かように思う次第であります。
  7. 北川昌典

    北川(昌)分科員 くどいようですけれども、鹿児島新幹線を生かすためには、これと接続する新幹線をやはり整備していただくことがより生きてくるというふうに考えますので、その点、御要望申し上げてというか、お願い申し上げておきたいと思います。  次に、日豊線の問題でございますけれども、かつて宮崎から東京まで参りますときに二十七時間から三十三時間、大変な時間でございますが、もちろん特急とか普通のを含めて三十三時間ほどかかっておりました。その後、大阪-東京間の新幹線ができましてから大体二十七時間か、三時間から七時間、こういうことで短縮されました。さらに博多まで新幹線が延長になりまして、現在どうかといいますと、大体十三時間で東京までの時間ということで、大幅な時間短縮ができたわけでございますけれども、これは新幹線ができました結果だと思うんです。  ただ、博多から鹿児島に行きます日豊線、これは従前も一遍申し上げましたけれども、大分以南は単線でございます。そして非常にスピードも出ない。山岳地帯関係もございますけれども、六十九キロ、七十キロに足らない急行、特急で、そういう状態でございました。昨年スピード化に着手していただきました。宮崎駅の高架も完成いたしまして、あしたは祝賀会ということでございます。そういった面での整備はいただいておるわけでございますが、それにしましても、やはりこの日豊線鉄道輸送路線としては、日本でも予讃線よりも遅いんじゃないかと思うんです。  したがって、やはり今の時代でございますから、こうした日豊線高速化をさらに急いでいただきたい。新幹線宮崎から鹿児島までということでお願いしましたが、それまでになかなか時間もかかるだろうと思いますけれども、延岡-宮崎間はある程度高速化できました。宮崎から鹿児島までの高速化をやはりひとつ急いでいただきたい、このように考えるわけでございますが、その点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 秦野裕

    秦野政府委員 先生指摘のとおり、鉄道高速化ということは多極分散型の国土形成という観点からも非常に重要なことだと私ども認識しておりまして、新幹線を初めとしまして、主要幹線高速化ということにこれから一層積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  ただいまの先生お話ございました日豊線でございますが、先生案内のとおり、既に延岡宮崎の間では高速化工事が進められておりますし、また、小倉-大分間につきましても、高速化につきまして鉄道整備事業活用した事業を推進するように現在検討中でございます。そういうことを含めまして、新幹線在来線等高速化をあわせたネットワーク形成ということについて、これからも一生懸命やっていきたいというふうに考えております。  それから、先生お話ございました宮崎以南の問題でございますが、これも当然その検討対象に入ると思いますが、やはりこれは輸送需要その他の問題も当然考えなければなりませんので、JR九州の方において、その点も含めてこれから検討していくべき課題であるというふうに考えております。
  9. 北川昌典

    北川(昌)分科員 申し上げますように、やはり採算性のことも考えなければならないということでございますから、鹿児島新幹線ができますとあそこが行きどまりになるわけでございますから、そうしますと、効率が悪いということにもなりか ねないわけです。そういった面では、鹿児島から宮崎県へ向けての新幹線をできる限り早くお願い申し上げたい。  しかし、そうは言っても今の状況では、そう近い将来にということにはなかなかならないような状況でございますので、したがって、その期間、それまでの間にはやはり人並みのスピードのある列車を走らせていただきたいというのが地元の大きな願いでございますので、そういった面で、宮崎から鹿児島までの高速化をできるだけ急いでいただきたいと思うのですが、取り組むという姿勢はいただきましたが、計画としては、あるのでございましょうか、ないのでございましょうか。
  10. 秦野裕

    秦野政府委員 現在のところ、JR九州において具体的な計画があるということは承知いたしておりません。
  11. 北川昌典

    北川(昌)分科員 そういったおくれた地域産業も含めてより伸ばしていくという面で、さらにこの点については国の方として、国民の生活を重視するという立場からも、ぜひ、御指導といいますか、御配意をいただければいいのではないかと思いますので、お願いしておきたいと思います。  さらに、日豊線宮崎以南について、宮崎空港乗り入れ計画され、その点について着工が近い、このようにお聞きいたしておりますけれども、宮崎から空港乗り入れた場合に、やはりその線はローカル線である日南線連係をすると思うのですけれども、こうした連係をする日南線も、相会して活用がより向上するような引き込み線にしていただかないと、ただ折り返しだけで、客の折り返し運転だけでは乗り入れ波及効果というものが非常に少ないのではないか、そういった点から波及効果をより大きくして、上げていただくという面で、日南線活用というものも十分配慮に入れたものにしていただきたい。これもまた地元の大変な要望でございますけれども、その点をいかがにお考えでございましょうか。
  12. 秦野裕

    秦野政府委員 日豊線宮崎空港への乗り入れにつきましては、先生案内のとおりでございまして、昨年の四月に関係の方々と合意ができまして、来年度からの着工に向けまして今準備を進めておる段階でございます。今のままで計画どおり推移いたしますと、平成八年度には開業をするという予定になっております。  ただいま先生お話しのとおり、JR日豊線から分かれました日南線のさらに枝線ということで約一キロ程度建設するわけでございますが、その開業に当たりましては、当然日南線南側の方との関係も十分考慮いたしまして、連絡、接続、南の方から直接宮崎空港へというのは、運行上かなり難しい点があろうかと思いますが、接続、乗り継ぎについて十分配慮したダイヤにすることによって、日南方面南側の方にもよい影響が出るように、勉強していきたいというふうに考えております。
  13. 北川昌典

    北川(昌)分科員 まず最初が大事でございますので、後でしまったということにならないような、連続的に活用できるようなシステムをぜひお願いを申し上げておきたいと思います。  ただ、日南線、かつてローカル線としての切り捨て寸前という状況にあったわけでございますが、やはり乗客率が低い、こういうことでもございました。ところが今、宮崎から南の方にかけて、西武が中心になったリゾートの建設も進んでおりますし、同時に、道路サイドでいきますと、都城盆地があるのですけれども、諸県地方という盆地と県南を結ぶ道路も急ピッチで整備が進んでおります。そういった面ではこの日南線活用というのはこれから大きく伸びてくるというふうに考えておるわけです。  そういう意味での先ほどの要望でございますが、同時に、現在、何かローカル線廃止関係の名残でしょうか、乗客が非常に多いときでも、例えば宮崎で巨人がキャンプいたしますが、それにつられましてかなりの県外客も参ります、日南鉄道を利用するわけでございますけれども、そういったときでも、シーズンオフのときでも車両が一両で走るわけですね、通勤通学の時間帯は別にしまして。  したがって、この前もかなり新聞の投書にも出ておりましたけれども、積み残しが起きる。これはまさにJRとしてのサービス精神に欠けておるのじゃないか。そういう時期にはやはり増発をして、お客に迷惑をかけないような、快適な旅行ができるような、そういう営業をしてもらいたいという投書も載っておりましたけれども、そういった敏に応じた対応というものをして、やはり乗客サービスというものをしていただかないと、乗客数が減少しておるのにさらに乗客が減っていくという状態も起きかねないわけでございますから、そういった点でのまた御指導お願い申し上げておきたいと思います。  同時に、宮崎空港乗り入れをすることによって、今お客輸送をタクシー、バスが行っておりますけれども、こことの兼ね合いも出てくるのではないだろうかと思います。地元での話はしてもらっていると思いますけれども、すっきりしたものを話し合いで決めておかないと、後でいろいろとトラブルが起きるということはやはりどちらにとっても不幸なことでございますから、ぜひそこらあたりは十分な話し合いがされるように御指導お願い申し上げておきたいと思います。その点についてまた御意見があればお聞かせいただきたいと思いますけれども、これは要望として申し上げておきたいと思います。  次に、油津港の整備問題についてお尋ねいたしたいと思います。  御案内のように、昭和二十六年に第三種漁港、そして二十七年には重要港湾、二十九年に貿易港として指定をされました。昔から天然良港と言われておったわけでございますけれども、やはり船舶の大型化ということで整備が必要だということで、運輸省の方でこの拡張、整備に今力を入れていただいておるわけですけれども、平成七年には、この港で全国豊かな海づくり大会というのが開催されることに、これは公式行事でございましょうか、なっておりますし、先ほども触れましたが、都城・北諸県盆地、これはヒンターランドになると思いますが、そこに通じるバイパスもあと三年ぐらいで完成をする、こういう状況でございますので、これに合わせて港湾整備、今いただいておりますが、さらにそのスピードを上げていただくようにと思っておりますが、この進捗状況はいかがでございましょうか。それと、今後の見通しについてお尋ねいたしたいと思います。
  14. 坂井順行

    坂井政府委員 お答えいたします。  今先生のおっしゃった油津港でございますが、天然良港ということで古くから活用されておるわけでございますが、御案内のように船型の大型化ということで、現在、外港地区着工いたしましてもう既に十年余が過ぎておるわけでございますが、当初予定をいたしました以上に非常に地盤が軟弱でございます。さらに、水深が深いということで、私ども精いっぱい努力はいたしておりますが、若干計画よりテンポがおくれぎみであることは、まことに申しわけなく思っております。  したがいまして、現在、林産品中心といたしました大型岸壁につきましては、できれば、今先生のおっしゃいましたビッグエベント、それからいろいろな幹線道路の背後の整備等々もございますので、それに合わすべくということで、平成七年度の完成を目途に、完成というかあるいは一部供用ができるようにというような心づもりをいたしまして、一生懸命整備をいたしておりますので、何とか今先生のおっしゃった線で供用が可能ではないかなというふうに今踏んでおるところでございます。
  15. 北川昌典

    北川(昌)分科員 ひとつぜひ、そういったイベントもございますと同時に、かなり工期もおくれているという状況でございますので、いろいろ事情がございます、私も存じておるわけですけれども、そういった点で今お話しになりました平成七年度、ぜひ埠頭が完成するように力を注いでいただくようにお願い申し上げたいと思います。  なお、あわせまして、この港に連続いたしまして、ちょうど近くに広渡川という中小河川がある のですけれども、その河川から――ちょうど三百二十年ほど前の当時の伊東洞林公という殿様が木材運搬のための手掘り運河堀川運河ですが、これを築いたわけでございます。これに対して、この運河は一時期は港湾計画の中で埋め立てをするということで、緑地帯にするということで今まだその計画が、港湾計画の中にそうなっていると思うのです。しかし地元では、やはり歴史を持っております運河だし、一つ地方文化でもございますので、保存をという運動が盛り上がっております。そういう運動もございますが、今度から、歴史何とかといいましたね、歴史的港湾施設保存とか整備とかいったことでの指定も受けたようでございます。  したがって、今年度に港湾計画の改定をしていただいて、埋め立てを解除していただかないと、その動きがとれないのではないかと思いますが、そういった点で、二つの面をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 坂井順行

    坂井政府委員 先生指摘のように、油津港にございます堀川運河は、江戸時代木材搬出地としてつくられた運河でございます。現在は、主としてプレジャーボートだとかあるいは漁船の避難水域としても十分活用されてございます。  確かに、運河の一部を埋めて緑地整備するという計画もあるわけでございますが、現在私どもといたしましては、歴史的な遺産を十分活用し、なおかつ周辺の環境整備を積極的に行っていくという観点から、全国的に歴史的港湾整備事業というものを現在やっておりますので、これの中にこの油津港につきましても取り組んでほしいという地元からの強い要望があると承知いたしております。  したがいまして、平成五年度から緑地整備を開始したいというふうに思っておりますし、そのほか今先生指摘港湾計画の一部変更というような観点から、プレジャーボートの対応だとか、あるいは客船バースの問題とか、既に立てました計画の一部見直し作業が現在いろいろ進められておりますので、早急にそちらの方の手続を経た上で来年度、五年度から事業に着手できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  17. 北川昌典

    北川(昌)分科員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、油津港もスーパーライナー、高速艇の就航できるような港に仕上げていただきますことをお願い申し上げまして、御要望ばかりでございましたが、終わりたいと思います。  どうも御苦労さまでございました。
  18. 大石千八

    大石主査 これにて北川昌典君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤恒晴君。
  19. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 私は、東北新幹線の騒音公害問題についてお尋ねをしたいと思います。  JR新幹線については、それぞれの各社がスピードアップということでいろいろ努力をされているようでありますが、スピードアップは、利用する立場からいたしますと大変効率がいいわけでありますが、しかし反面、利用する者にとっては料金のアップとか、あるいはまたさまざまな公害、ひいては安全性といったような点に及んで負の面もあろうかと思います。  JR日本の方では、平成四年の三月からSTAR21という新車両の速度テスト、車両テストを行っております。その成果を得まして、現在の営業運転速度平均二百四十キロ、これを二年後ぐらいには三百五十キロの営業運転を目指したい、こういう構想といいますか計画があるようであります。  そういうことで、まず環境庁の方にお尋ねをしたいと思います。  東北新幹線は、御案内のように開業いたしましてもう十一年ぐらいになるわけであります。一方、この新幹線の、特に騒音等の公害に関する環境基準は一九七五年七月に告示されております。それは、言うまでもないことでありますけれども、七十ないし七十五ホンの地区については五年以内、あるいはまた、七十五ないし八十ホン地区については三年以内にということで基準を達成すべきだ、こういうことになっているわけです。  具体的なことに若干触れますが、福島県内だけで通過延長が約百キロぐらいあろうかと思いますけれども、測点三十四地点、その類型内訳はⅠという類型で三土地点、あるいはⅡという類型地点で三地点、その他一地点ありますが、最近の調査で、この基準が達成されているのは、二十五メートル地点で三地点、五十メートル地点で三地点ぐらいではないのかというふうに思うわけですが、この達成率が年々低下の傾向になっている。私の知る限り、一番直近のやつでも一二、三%までに達成率が低下をしている、こういう状況のように思いますが、直近のデータをどのように把握しているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  20. 斎藤照夫

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  東北新幹線の環境基準の実態把握状況でございますが、先生指摘のように、昭和六十二年に環境基準の達成目標期限が参りまして、そのときに東北新幹線の環境基準の達成状況調査を沿線の五土地点で行ったところでございます。そのときの達成率は一六%ほどだったと存じております。  またその後、当面の対策として七十五ホンを暫定目標といたしましてこの対策推進をお願いしているわけでございますが、この対策の達成状況調査を平成三年度に行ったところでございます。これは東北新幹線沿線では二十六地点で行ったところでございますが、この暫定目標の達成状況は五〇%でございました。  さらに、先生指摘になりましたように、関係新幹線沿線の自治体におかれましても新幹線鉄道騒音の測定状況、音をはかってございまして、その把握に努めているところでございます。福島県でおはかりになった点におきましてはそのような結果が出ておるところでございまして、私ども、こういうものの結果も踏まえましてまた対策の推進に努力してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  21. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 七十五ホンということでやりますれば、それはもう今お話あったように五〇%の達成率、こういうふうに聞こえがいいわけですけれども、それじゃ基準そのもので見た場合にはどうなのかということになれば、私が先ほど申し上げたように一二、三%、まあ私は県内の場合を言っているわけですが、一二、三%じゃないか、こう思うんですが、暫定ではなくて基準でいった場合は達成率はどうなっているんですか。
  22. 斎藤照夫

    ○斎藤説明員 七十五ホン対策につきまして私どもの方で平成三年度はかったわけでございますが、この測定結果につきましては七十五ホン対策区間の対策状況ということで測定点を選定しておりまして、環境全体の状況を把握するという形で設定しておりませんので直ちにこれからの評価は困難ではございますが、福島県の方でおはかりなさったデータでは、先生お話しのように、二十五メートル測定地点で三点ほどということになっておるわけでございます。
  23. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 そうすると環境庁では、環境基準について告示しているけれども、そのこととの関係での達成率は把握しておらない、暫定の七十五で把握している、こういうことになるわけですね。  私は、確かに、行政としては暫定期間を定めてやっているから暫定についてどう達成しているのかということを調査をされるというのは、それはそれでわかります。わかりますけれども、同時に環境基準そのものに対してどういう達成状況にあるのかということも、あわせて把握するのが行政本来のあり方ではないのか、こう実は私は思うわけでして、暫定基準そのものでまだ半分だということで、あとそうすると今お話あったように、福島県が調査をした一二、三%ということについてはお認めになる、こういうことですね。それで新しい営業スピードということになりますと、基準達成というのはますます遠ざかっていくのではないかというふうに思います。  そこで、基準達成のために、私から言うまでもなく、告示については防止対策を総合的に講ずる、そして総合的に対策を講じてもなお達成でき ないということについては、例えば屋内環境の保持ということで防音に努めなければならない、こういうことに実はなっているわけですが、平成五年度末がこの延長した基準の達成期限ということになっているんだろうと思いますけれども、具体的に、全線、全通過地点とは言わないまでも、住宅の地域、住居地域ですね、こういうところではどのような対応をされて暫定期限の来るこの平成五年度末にどういう達成を図ろうとしているのか、とりわけ住居地区などについてはどう考えているのか、お尋ねをしたいと思います。
  24. 秦野裕

    秦野政府委員 先ほど環境庁さんの方からお答え申し上げましたとおり、平成三年の秋に実施しました環境庁さんの方の調査で、七十五ホン対策区間でまだ一部未達成の区間があるということで、平成四年の三月に環境庁さんの方から再度要請をちょうだいいたしまして、私どもとしましては、平成五年度末までに七十五ホンを達成できますように現在いろいろな対策を工事中でございます。  具体的に申しますと、例えば、全編成車両ヘパンタグラフカバーを設置する、あるいは防音壁をかさ上げする、あるいは路盤面のいわゆる吸音パネルを設置する、あるいはレールの削り方をさらにうまいぐあいに工夫いたしまして、音の出ないようにするといったような追加対策、それ以外にもちろん従来からやっております対策もございますわけですが、ただいま申し上げましたような追加対策を加えまして、平成五年度末までには七十五ホン以下を達成するように努力をいたしたいということで、現在一生懸命やっておるところでございます。
  25. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 環境庁の方に環境庁としてのというつもりでお尋ねしたんですが、今お答えをいただいたわけですが、それで、運輸省の方では今個々具体的な対応策というようなことでやっておられるようですけれども、それにしても、暫定で五〇あるいは基準で一二、三%ということになりますと、この一年で一体どうなるのかというところが大変心配なわけであります。総論的にではなくて具体的に、事業改善、ここのところをこうすればという効果的な改善措置ですね。こういうものは、今幾つかの、パンタがどうとかあるいは防音壁がどうとかというお話をいただきましたけれども、大体そのあたりは、やれるところは実施をされているんではないのかというふうに思うんですけれども、どうなんでしょう。
  26. 秦野裕

    秦野政府委員 先ほどちょっと説明を落としましたけれども、従来やっておりましたものは、いわゆる吸音板の増設でございますとか、あるいは逆L型の防音壁の増設、あるいはパンタグラフの数を減らすといったようなことをやってまいったわけでございます。ただその結果、先ほど申しましたとおり一部未達成の区間が出ましたものですから、その後いわゆる原因究明、どうやったらそれじゃ達成できるのか、あるいは達成できない原因はどこにあるのかということをJR日本の方で検討いたしまして、その結果が、先ほど申し上げましたようないろんな対策を講ずれば七十五ホンは達成できるという見通しが立ちましたので、それに基づいて現在工事を進めておるというのが現状でございます。
  27. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 それで、今七十五ホンは達成できるというお話でございますが、私は、暫定基準というものについてそういうことで行政が進められているわけですから、それはそれで理解ができるんですが、本来の基準というものを達成するためにどうするかというところが私は一番肝心なところであろう、こう実は思っているんです。  で、私は言葉の上でちょっと理解できない部分があるのでお尋ねをするんですが、この構造規則にあります「著しい騒音」というのは、例えば七十五ですよとか七十八ですとか、そういう数字で言われれば、ああなるほどというふうに概念的にはわかるわけですが、その「著しい騒音」というのはどういうふうに解釈して読めばよろしいんでしょうか。
  28. 秦野裕

    秦野政府委員 先生指摘新幹線鉄道構造規則におきまして、「施設及び車両は、列車の走行に伴い発生する著しい騒音の防止について特に配慮がなされた構造としなければならない。」という規定があるわけでございますが、この趣旨は、いわゆる新幹線の場合は、従来の在来線の車両と違いまして騒音の程度が非常に激しいということで、特にその騒音について配慮をしろという旨の趣旨から設けられた規定でございまして、新幹線が何もその対策を講じないで発生した場合に非常に強い騒音が出るということを念頭に置いた規定でございます。したがいまして、具体的に何ホンとかいうことのイメージで書いてある規定ではないというふうに私どもは理解いたしております。
  29. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 そういうところが私もよくわからないところなんですね。今御説明いただいたとおり、全くわからない。非常に物理的なものであるにもかかわらず抽象的な概念できり説明がつかないというところに問題があろうかと思うんです。  先ほど防音壁とかいろいろお話がございましたけれども、防音壁というのはどういうところまでお考え一どういうところというのは、例えば軌道から何メートルの高さとか、そういう構造上の問題ですが、そういうことでどういう検討をされておるのでしょうか、例えば半トンネル的な状態になるような防音壁とか。  いろいろこの防音壁には、高さとかあるいは材質とかさまざまな考え方があろうかと思いますが、先ほど防音壁の改善もというお話がありましたけれども、例えば騒音の非常にきついところは、しかもこれからスピードアップをやっていくということになりますと、主要な駅でも通過列車がかなり出るんだろう、私はこう思うんですね。そうしますと、その主要駅のあるところというのはいわば住居の密集地であります。そういうところは、スピードはある程度落としたとしてもかなりの速度で通過をしていくということになりますから、騒音はなかなかなくならない、こうなるんですが、防音壁のようなものを、場所によっては車両の窓から眺望が阻害されてもそういう構造まで検討するとか、具体的にどういうところを御検討されておられるのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  30. 秦野裕

    秦野政府委員 防音壁につきましては、その周辺の住居の状況ですとかあるいは地形ですとか、いろいろな要素がございますので、これが一律の基準であるというようなものはないわけでございますが、先ほどちょっと御説明しましたように、従来はいわゆるL字型の防音壁というものが一つ考え方として整備を進めてまいっておるわけでございます。どうもそれだけでは必ずしも十分でないということが最近の原因究明調査でわかってまいりましたので、現時点でとりあえず具体的に考えておりますのは、いわゆるかさ上げでございますとか、約一メートル程度でございますけれども、防音壁をかさ上げをして音の発散を防ぐということを主たる観点として工事を進めております。
  31. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 今かさ上げというお話がありました。そうしますと、例えば、高架で大体はいっているわけですが、特に水田地帯とか住居地区というのは高架でいっている。そこにさらに防音壁で高いものになっていくということになりますと、今度は騒音以外の例えば風、つまり、新幹線の風ではなくて自然に起こる風の流れ、それから日照、場合によっては電波障害、こういうような実は問題になってくるわけですけれども、そういう点も含む。つまり、騒音としての防音壁の問題だけではなくて、それによって起こってくる二次的な新たな公害という問題についてもあわせてもちろん御検討されておられると思うのでありますが、そのあたりはどういうふうにお考えになっておるのか。  とりわけ、現在の電波障害につきましては、JRの方で、既存の住宅については電波障害の補償というのですか、経費負担というのですか、これは行っておりますけれども、新しくそこにお住ま いになった方には、新幹線ができた後に移ってきたんだから、それはもう電波障害の経費はお支払いしません、こういうことに実はなっているわけです。要すれば、騒音公害対策をやろうと思って新たな施設をつくっていくことによって起こってくる二次公害というものについて、御検討されておられると思うんですが、そういうものはどうしていくのか。  とりわけ、今私は、受信対策の問題をちょっと申し上げましたけれども、これは新幹線の既存の住宅で補償を、経費の負担を受けている地区に住む皆さんについては、私は、現在の都市環境なり土地政策の現状からいうならば、そういう方にもお支払いしてもいいんじゃないか、こう実は思っているんですが、二次的なものと受信の経費負担等の問題について、お考えがあれば。
  32. 秦野裕

    秦野政府委員 確かに御指摘のとおり、かさ上げその他を行うことによりまして、日照の問題あるいは電波障害の問題等々発生をしてまいります。もちろん、それを考えながら工事を進めるわけでございますが、どうしても結果的にそういうことになるという場合には、今先生お話にございましたように、必要な補てん措置、補償措置を講じております。  ただ、これは新幹線に限らず全般の問題でございますが、その状態の起こった後に越してこられた方については、一応その危険を承知の上でお越しになったという考え方から対象にはいたしておりませんので、この点は御容赦願いたいと考えておる次第でございます。
  33. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 環境庁にお尋ねいたしますが、平成五年度末で暫定も達成できないという場合には、新たにどのようなことを環境基準としてお示しになるのか。暫定の暫定でいくのか、その暫定をもっと効率の悪いものでさらに延ばそうとするのか、そこら辺のところをちょっとお尋ねをしておきたい。
  34. 斎藤照夫

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  昨年の三月に、この七十五ホン対策ということで、私どもの方から、平成五年度末までに未対策の区間については追加対策をやって達成していただきたい、こういう申し入れをしたわけでございますが、この運輸省さんへの申し入れにつきましては、運輸省さんそれからJR各社におきまして、十分それを受けとめられて着実に対策が進められていくものというふうに確信をいたしております。私どもも、この対策期間が終わりました後にまた達成状況を調査をいたしたいと思っておりますが、現在はこの対策がうまくいくものというふうに確信をいたしておるところでございます。
  35. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 いや、私はそれは、確信がないという答弁はできないだろうと思うんですが、今暫定で五〇%という現状でしょう。残りの一年で暫定が一〇〇%になるということはお考えになっているんですか。
  36. 斎藤照夫

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  この調査結果、先ほど五〇%ということを申し上げたのでございますが、これは平成三年度に行ったものでございまして、それから四年度、五年度ということで施策が行われます。十分いろいろな対策を組み合わせて七十五ホンの達成ということが図られていくものというふうに考えておるところでございます。
  37. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 いや、基準というのは先に出なきゃいけぬですよね。基準はあるんだけれども、これは三年の測定だ、後それからずっと経過しているから達成できるでしょう、これでは私は、やはり基準を示してそれを達成について行政指導していくというについてはちょっと問題があるのではないか。少なくとも三年で測定だというなら、あと一年きり残っていない間にそれではどうするのかということで、残り一年間の間にどうするかという新しいデータをもとにして、やはり猶予期間を持ってその対策を求めるということが望ましいあり方だろうと思うんですね。それを、平成五年度末が来てから改めてそこでどうしようかということで、まだ空白の時間が一年ぐらいあってさらに暫定が二年ぐらい出てくる、こういうやり方は間違いなのではないか、実はこう思います。それは言ってもしょうがありませんから申し上げませんが。  それで、運輸省の方に、大臣にこれはお答えをいただきたいんですが、いずれにしましても私は、基準にしても暫定基準にしても五年度末は達成不可能だろうと思っています。さらに二年ぐらいしたら三百五十キロにしたい、平均時速で百キロアップですね、ということの場合に、私は七十五ホンという環境基準の達成はおおよそ不可能だというふうに思っておりますけれども、仮に七十五ホンを達成できないという状況があった場合には、新しい営業運転速度というものをお認めになるべきではないのではないか、実はこう思うのですけれども、いかがでしょうか。
  38. 越智伊平

    越智国務大臣 私はやはり、鉄道を含めまして、すべてのものがまず安全であり快適である、こういうことを目標にいたしております。その快適といいますのは、やはりスピードの問題もございますけれども、騒音の問題等々もございますので、やはりあらゆる努力をJRの方にお願いして、それが達成できない場合にはスピードのみを出すということはいかがなものか、こういうふうに思っております。でございますから、やはりJRの方であらゆる努力をしていただいて、騒音等も、基準値、暫定にいたしましてもそれを守ってもらう、そのことに努力をしていただく。そしてさらに、その範囲内でスピードを出すということならいいんですけれども、スピードのみで、騒音の方は別よというようなことにはいたさないようにさせます。そういうことで努力をいたしたい、かように思っております。
  39. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 行政は継続でございますので、大臣がかわっても、ただいまの、スピードのみは追わない、その基準の中で営業運転できる速度、こういうふうな御答弁でございますので、私も、行政は継続でございますので、大臣がかわられても今の答弁は守られるもの、このように受けとめたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
  40. 越智伊平

    越智国務大臣 結構であります。
  41. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 ありがとうございました。終わります。
  42. 大石千八

    大石主査 これにて佐藤恒晴君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。
  43. 長田武士

    長田分科員 信楽高原鉄道列車衝突事故及びJRの安全対策について運輸省にお尋ねをいたします。どうかひとつ明快な御答弁をよろしくお願いいたします。  この信楽高原鉄道列車衝突事故、御承知のとおり、平成三年五月十四日に発生をいたしまして、死者四十二名、負傷者六百十四名を出しました、近年まれに見る大事故となってしまったわけであります。  この事故の大きさの特徴は、何といいましても単線の正面衝突でありまして、本来、単線ですと、安全確認を怠らなかったならばあのような事故というのは発生しなかっただろう、私はこのように考えております。  そこで、まず初めに、昨年十二月に今回の事故の原因調査結果が発表されたわけでありますけれども、一体どのような結果であったのか。信楽高原鉄道側、JR西日本側の両者に分けて御説明をいただきたいと思っております。
  44. 秦野裕

    秦野政府委員 平成三年の五月に発生いたしました信楽高原の鉄道事故につきましては、運輸省といたしましても、その重大性にかんがみまして、事故の再発防止ということを目的にいたしまして、事故原因の究明を行ってまいりました。昨年の末にその調査結果を公表した次第でございます。  まず、事故の原因でございますけれども、これは、信楽高原鉄道が、列車の運行に最も重要な安全の確認といういわゆる基本ルールを守っていなかったことにあるというふうに考えております。若干具体的に申しますと、信楽駅の出発信号機が赤信号であったという場合に、これは本来でございますと、そこで赤信号でなおかつ、故障だと 思って出発をしたわけでありますが、故障であるとするならば、係員をまず前の方の駅に派遣をいたしまして、安全を十分確認した上で列車を走らせるというのが決められたルールでございますが、今回はそのような手続が踏まれないままに、赤信号のままで出発をしたということで、その基本ルールが全く無視されたというのが原因だというふうに考えております。  また、その事故の背景といたしまして何点か指摘をいたしております。  まず第一には、信楽高原鉄道側で、事故以前におきましても列車運行のいわゆる基本的なルールが守られていないという状況があったということが一点でございます。それから第二点目に、いわゆる信号保安システムでございますが、これは信楽高原鉄道あるいはJR西日本、ともに十分な連絡を行わないままに変更を行っていた、しかも必要な行政上の手続、認可ですとかあるいは届けですとか、そういった行政上の手続を経ないで変更が行われていたということ。第三点としまして、そのような信号保安システムの変更によりまして、信楽駅の信号機が赤信号のままで青とならないという状況が生じたということが原因と申しますか、事故の背景としてあることが明らかになっております。  ただ、このような状況におきましても、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、いわゆる信号機に従って列車の運行を行う、あるいは信号機に従わないで運行する場合には、所定の手続を経た上で運行を行うということさえ行っておれば、今回のような列車衝突に至ることはなかったというふうに考えておるわけでございます。  概要は以上でございます。
  45. 長田武士

    長田分科員 今御答弁がございましたとおり、この調査結果をお伺いしますと、信楽高原鉄道側は基本ルールを守っていなかった、閉塞区間の安全確認を怠った、それが事故の大きな原因であるということを結論づけたわけであります。  確かに、赤信号で出た信楽鉄道側には過失責任があることは当然だろう、このように私は考えております。事故の調査の発表後、ことしの二月二十一日、信楽高原鉄道が遺族の会に対しまして説明会で、JR西日本側の乗り入れ協定違反の事実を指摘をいたしまして、責任を追及されたということであります。これは、信楽鉄道側に比べJR西日本側に過失責任が軽いのではないかとの信楽鉄道側の事故調査結果への不満のあらわれであろう、このように私は考えております。  そこで、過失割合という点では、どちらがどれだけ過失割合が高いのか、具体的な数値をもってお答えいただきたいと思っております。また、こうした信楽鉄道側の姿勢について、運輸省はどのように対応を考えておるのか、二点についてお尋ねをいたします。
  46. 秦野裕

    秦野政府委員 ただいま御指摘ございました二月二十一日の記者会見でございますが、ちょっと私どもも正確に把握をいたしておりません。新聞報道の範囲内でございますので、明確なお答えができないかと思いますけれども、私どもといたしましては、先ほど申しましたとおり、JR西日本につきましては、いわゆる亀山CTCにおきまして方向優先てこを設置しました際に、法令の手続を行わず、また信楽高原鉄道側に対して、文書なりあるいは図面等によって十分な連絡なり確認を行っていなかったということが、結果としてその信号機の動作に影響を及ぼす一つの要因になったのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それと、ただいまお話のございました過失の割合ということでございますけれども、どちらがどれだけということは、ちょっと私ども具体的な数字でお答えすることは困難でございますが、先ほど申しましたとおり、信楽高原鉄道側あるいはJR西日本それぞれに、事故の背景として、信号保安システムの設置に関して不適切な点があったということを申し上げるということで御容赦をいただきたいと思います。
  47. 長田武士

    長田分科員 この点については遺族の会も非常に注目されておりまして、御承知のとおり、昨年十二月七日、遺族の会が、JR西日本の責任追及が十分ではない、そういう理由のもとにJR西日本幹部七人を大津地検に告訴をいたしております。この点について運輸省はどのように受けとめていらっしゃるのか、率直な御感想をお聞かせいただきたいと思っております。
  48. 秦野裕

    秦野政府委員 遺族の会の方々がJR西日本の幹部を告訴したということは新聞報道で承知をいたしておりますが、その内容につきましては、私ども把握しておりませんものですから、特に私どもとしてコメントを申し上げる立場にはないというふうに考えますけれども、いずれにしましても、御遺族の方あるいは負傷された方に対しまして誠意を持って補償に当たるように、これはJR西日本あるいは信楽鉄道を十分指導監督してまいりたいというふうに考えております。
  49. 長田武士

    長田分科員 この事故は、実は私が交通特の委員長をやっておる時代でありまして、私も事故直後に現場を委員会で視察をいたしました。関係者には説明を受けたわけでありますけれども、その際、当時社長の角田現金長は、本来我々のやるべきことではないが、やることはやっておる旨の説明をされました。私聞いておりまして、委員会の各メンバーからは会長の事故後の対応の姿勢に疑問の声が上がってまいりました。事故の直後のことでありましたから言葉足らずの点、そういう点は私は十分あったと思いますけれども、こうした角田会長の対応が現在の補償ベースになるのではないかとの遺族の声もあると伺っておるわけであります。  そこで、補償問題について伺いますが、四十二名の遺族への補償の交渉、進捗状況はどうなっておるのか、お尋ねをいたします。先日、JR西日本から説明をお受けをいたしたわけでありますけれども、大分進んできておるという状況ではありますが、御説明をいただきたいと思います。
  50. 秦野裕

    秦野政府委員 被害者の方々への事故の補償の関係でございますが、本件は、信楽高原鉄道JR西日本とが補償交渉の窓口として合同で昨年の六月にご被災者相談室というものを設置いたしまして、交渉を重ねてきておるわけでございます。運輸省は、事故対策本部を通じまして当初から、先ほど申しましたとおり被害者の方々へ誠意を持って交渉に当たるようにということを指示をいたしておりまして、それに従って両社とも交渉を重ねておるものというふうに考えておりますが、現在までの状況では、亡くなられました方、四十二名の全員の方々と訪問面談を行っておりまして、そのうち八名の方と示談が成立をいたしております。また、負傷された方につきましては六百十四名のうち五百三十五名の方々と示談が成立をしておるという状況でございまして、まだ示談を成立されていない方々につきましてもかなり一定の進捗状況にあるというふうに私ども承知しておりますので、今後とも誠意を持って交渉を進めるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  51. 長田武士

    長田分科員 こうした加害者が複数になった場合、とかく補償交渉が非常に難航をする、特にその過失責任問題がどうしても先行いたしまして補償交渉が長期化するケースが非常に多いわけであります。今お伺いしました四十二名の御遺族全員の補償交渉の完了にはまだ相当時間がかかるようでありますけれども、交渉がこれだけおくれておる大きな原因というのは何にある、どこにあるのでしょうか。
  52. 秦野裕

    秦野政府委員 私ども直接の当事者でございませんので、正確なお答えはできないかもしれませんけれども、私どもの承知しております限りでは、一つのポイントとしまして事故の原因がどこにあるかということについての御議論がかなりありました。これは私どもの報告書がおくれて来たことも一つの要因かとも思いますけれども、その原因についてのいろいろなやりとりが行われたということでかなり時間を要したというふうに承知しておりますが、現時点では事故原因も明らかになったということで大体の方々と補償交渉のテー ブルに着くことができたということで、相当程度の進捗を見ているというふうに承知をいたしております。
  53. 長田武士

    長田分科員 補償交渉の中心であります遺族の会、その交渉が特におくれているようでありますけれども、大臣、JR西日本、信楽高原鉄道、この両社に対しましてどうかひとつ遺族の立場に立った補償交渉を速やかに行うようにぜひ指導願いたいのでありますけれども、御決意のほどを。
  54. 越智伊平

    越智国務大臣 列車事故によりまして四十二名の方々を死亡さす、まことに残念でありまして、この亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。  この事故は、私もいろいろ話を聞きましたが、先ほど政府委員からお答えいたしましたように、赤信号で列車を発車させた、これはずっと鉄道は駅長なりあるいはかわる助役さんなりが指さし呼称というので列車内大丈夫、後ろ大丈夫、前大丈夫というようなことを確認して、それから手を上げるなり、ベルを押すなり、笛を吹くなりして列車を発車させておるのであります。今回の場合、この信楽高原が列車を発車させたということは、この前の見える範囲は確認したのですけれども、次の駅へ行くまでのことの確認を怠っておった、私はこういうふうに解釈をいたしております。そして、それかといって途中で信号をいじくったりいろいろしておりますのをこれは西日本も確認をしていなかった、こういうことがございますので、第一義的には、赤信号で発車をさす場合に確認をしてもらう、いかなる場合でも確認をしてもらう、これが第一義であろう、こう思います。そして双方乗り入れのようなときは、お互いにどちらも連絡をよくして万全を期してもらいたい、再びこういう事故を起こさないようにしてもらいたい、こういうふうに思います。  さて、遺族補償の問題ですけれども、これは当然、いずれにしてもこの鉄道側に過失があったことには間違いございませんので、誠意を持って早く話し合いをしてもらいたい、今後もこういうふうに指導をしてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  55. 長田武士

    長田分科員 私も現場へ行きまして、大臣――小野谷という信号所をつくりまして、交換する場所をつくったのですね、輸送をスムーズに行うために。運転手さんが亡くなってしまいまして声がないわけでありますけれども、その運転手さんはもう過去に三回同じ時間で列車を発車させて運転されているのです。二回まではこの小野谷信号所に対向車がきちっと待機をしておった。そして二回はきちっとスムーズに行っておるのですね。三回目のときには待機した電車がいない、しかし信号が青だから行った、こういうわけです。私は、常識的に考えてみて、信号が青でも常に待機している電車が、もう二回経験しておるわけですから、同じ時間帯で走っておるわけですから、おかしいと、あるいは電話連絡するなりそういう処置をとっておれば絶対事故が起きないというこの確認をしていないのです。どうも鉄道側ですと、第一義に信号を確認をし、そして列車を出発させるということなんですね。私は、現場へ行きましたが、どうも合点がいかない。いつもの通常の小野谷の信号所で対向車が待っておる、二回も経験している、三回目の運転ですから、同じ時間帯で、ああ、おかしいぞ、あれ、いないと、どうしたんだろうということで一本電話なり、いわゆる通信で状況を聞けばこの事故は防げたのです。私たちも本当に無念、残念、私たちはそういう現場を見てまいりました。どうかひとつこのような事故が絶対起きないような安全対策、何といいましても人命を大切にしなければなりませんし、鉄道は何といっても安全対策が第一でございますから、この点は十分御留意を願いたいと思っております。  今回の事故は、特に第三セクターの鉄道事業者に大きな警鐘となったわけでありますけれども、その後、今回と同じ安全確認ミスによる島原鉄道の衝突事故が発生をいたしております。私は、果たして信楽高原のこの事故が教訓に生かされておるのかどうか甚だ疑問を抱きました。そこで運輸大臣は、信楽、島原の教訓を今後どのように生かされるつもりなのか、この点はいかがでしょうか。
  56. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほどお答えいたしましたが、私は何といっても鉄道鉄道にかかわらず交通は、第一が安全、第二が快適ということであろう、こういうふうに思っております。その面からいいまして、とにかく確認をしてこれなら絶対間違いない、その確認事項を怠っておる、こういうことが大きい原因であろう、かように思います。スムーズにいっているときは問題ありませんけれども、何か問題があるときはやはり確認をして、絶対に大丈夫だ、安全だ、このことを必ず実行するように今後指導してまいりたい、再びこうした事故の起こらないように徹底した平素からの教育訓練、こういうことを徹底させるようにしてまいりたい、このように思っている次第であります。
  57. 長田武士

    長田分科員 去年の八月、JR九州の香椎線酒殿駅で脱線事故が発生いたしました。地元のマスコミではかなり大きく取り上げておったようでありますけれども、どのような事故であったのか、御説明をいただきたいと思います。
  58. 秦野裕

    秦野政府委員 御指摘の事故は平成四年八月四日でございますが、列車の運転手が出発信号機の青を確認しないままに運転を開始したわけでございます。そのために安全側線に列車が入りまして、その前にありました砂利の盛りに乗り上げまして先頭車両が脱線したということでございます。  なぜ青になっていないのに出発したかということでございますが、通常でございますと、ボタンがございまして、運転手がそのボタンを押しますと電気が流れまして前の信号機が青になる、そして出発をするということなのでございますが、多分その押し方が十分でないまま、つまり十分でないということは前の信号機が青にならないという状況のままで、本人は押したと勘違いし、かつ前の信号を十分見ないままに出発をしたということでそのような事故が起こったものというふうに考えておりまして、やはり基本動作の励行が十分でなかったというふうに考えておりますので、私どもといたしましては八月二十日に地元の九州運輸局の方からJR九州の社長に対しまして警告書を交付し、このような事故の再発防止に万全を尽くすように強く警告したところでございます。
  59. 長田武士

    長田分科員 実はこの列車は三両編成のワンマン運転なのですね。たびたび乗客とトラブルがどうも起きているような感じがいたします。東京でもバスはワンマンでありますけれども、特に乗降の際などは運転者は相当負担が重いわけであります。お金やカードを出したり、あるいは安全確認等が大変運転手には負担がかかるようですね。それが香椎線では三両運行されているわけですね、ワンマンでありながら。私は、いつ大事故が起きても不思議ではないという感じがいたしております。  そこで、こうした列車のワンマン運転の安全基準はどのようになっておるのか、また、こうした形態の運行について何らかの規制を検討すべきではないか、この二点についてお尋ねをいたします。
  60. 秦野裕

    秦野政府委員 列車のワンマン運転の取り扱いにつきましては、私どもの運輸省令で鉄道運転規則というものがございますが、その中に規定がございまして、鉄道事業者が線区の状況あるいは列車の運行状況あるいは列車の組成の状況などを勘案してワンマン列車の運行を行うということになっておるわけでございます。また、車両の構造につきましても、ワンマン運行を行います者につきましては普通鉄道構造規則の規定によりまして、運転室の装置あるいは保安通信設備の車上設備あるいは非常通報装置等を整備することが義務づけられておるわけでございます。  ワンマン列車の安全の確保につきましては、そういう意味で、先生も今お話してございましたような旅客の乗降に対する安全の確保等も重要でございますし、また関係する係員に対します教育訓 練というものも必要でございますので、これらを十分に行うように指導をいたしておるところでございます。  また、現在までは、少なくともワンマン運転が直接の原因となって事故が起こっているということはまだ発生しておりませんので、規定そのものを強化するというようなことは現時点では考えておりませんけれども、引き続き、ワンマン列車の安全運転につきましては、諸般の見地から十分検討指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
  61. 長田武士

    長田分科員 これは乗客との間に相当トラブルが起きているのですよ。一回調べてみてください。それで、どうしても三両編成でのワンマンというのは、物理的にいって相当厳しいようですね。合理化も大変結構ですけれども、やはり合理化の前に安全運行ということが鉄道の命だと私は思います。そういう点で、もう一度この点を検討されたらどうですか。果たして安全が確保されておるかどうかという点をまず第一義的にもう一度見直す必要があるのではないでしょうか。  運輸大臣、三両編成のワンマンカーというのは相当あるのですよ。どうも物理的に相当無理があるという状況ですから、今局長がおっしゃったいろいろな確認の問題等はもちろんありますけれども、乗客とのトラブルも相当起きているのです。どこか挟まれちゃったとか、そういうことがあってまたドアをあけたとか、そういうトラブルがあるのですね。ワンマンであるために、細かい気配りといいますか安全確認ができない、そういう問題も実はあるのです。この点、ぜひ考え直したらどうですか。
  62. 秦野裕

    秦野政府委員 先生指摘のとおり、いろいろ線区によって事情も異なると思いますけれども、実態を十分調査して、必要な対策を講じたいというふうに考えております。
  63. 長田武士

    長田分科員 今月十八日に「のぞみ」型車両によりまして博多までの営業運転が開始されるわけであります。東京博多間が約一時間短縮されまして、利用客の利便がさらに図られる、これは非常に喜ばしいことであります。  ただ、この問題について、私は問題がなくないというふうに感じております。と申しますのは、昨年三月マスコミで報道された車内停電以来、私の調べただけでも、大臣、事故が三十六件あるのですよ。いろいろな電気系統だとか空調関係、そういうものを含めますと百件を超えるのですね。そういうような状況で事故が発生しております。その他公表されていないものも含めると、かなりの件数になっているわけであります。根本的な解決策が講じられない現状では、営業運転開始には私は疑問を持たざるを得ないわけであります。  時速二百七十キロメートルで脱線したり転覆した場合には、乗客の八〇%が死亡するというふうに言われております。こうした最悪の状況にならないよう、今までの事故あるいは故障の教訓をどのように生かし、安全運転を行うつもりなのか、この点についてはどうなんでしょうか。
  64. 秦野裕

    秦野政府委員 「のぞみ」の営業開始以来、確かに先生がおっしゃいますように何回かのトラブルが発生をいたしております。そのかなりの部分はいわゆる初期故障と言われるものではなかろうかと私ども考えておりまして、現時点ではそのような故障はほぼトラブルは解消しておるというように考えております。  また最近、三月十八日からの増発のためのいろいろ試運転を行っているわけでありますが、その中でも、車両に起因しますトラブルが四件ほど発生いたしておりまして、それらはいずれも所要の対策を実施いたしておりますけれども、なお三月十八日までの間にさらに安全についての最後の点検の仕上げをいたしまして、安全な運行に万全を期するように十分会社側を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  65. 長田武士

    長田分科員 大臣、「のぞみ」も大変ありがたいのですけれども、どうか無事故運転が実行できるような安全対策をぜひ徹底していただきたい、そう思っております。  最後になりますけれども、去年の十二月、JR西日本で四日間のストライキが決行されました。これによりまして利用客が多大な影響を受けたわけでありますけれども、聞くところによりますと、依然労使問題は解決していないという状況でございまして、今月十八日には再度ストライキが予定されているという状況であります。利用客の混乱を回避するためには、私はストライキ権を行使してはならないとは言いませんけれども、やはり乗客の信頼性といいますか、迷惑を回避するために中止できるような手だてをぜひひとつ、大臣御努力をされてはいかがでしょうか。
  66. 越智伊平

    越智国務大臣 お説のように、西日本それから貨物鉄道、ストライキがございました。私は、先生お話のとおりストライキは絶対いけないということではございませんけれども、やはりお客さんの信頼性を高めるために、また、特に今鉄道とか船とか、トラックだけでなしにいろいろ考えておる時期でもあります。でございますから、できるだけストライキでない話し合いで解決をつけてもらいたい、こういうふうに思いますし、会社側それから労働者側、こういう方々にも会いましてその点双方にお願いはしておるのであります。今後ともこれを続けて、できるだけストライキやらないように話し合いで解決していただいて、乗客の信頼を持続していく、さらに信頼を高めていく、こういうことに努めてまいりたい、かように思います。しかし、両方の意見がかみ合っておりませんのでなかなか難しいのですが、できるだけ努力をして、できるだけストライキをやらないようにお願いをしたい、こういうふうに考えております。
  67. 長田武士

    長田分科員 私もJRの分割等を委員会でやりました経緯がありまして、人員も減少しましたし、サービスも向上しましたし、新車両も登場しました。そういう点では、運賃も値上げしておりませんから、信頼の回復という点では非常に上昇機運にあるという感じがするのですね。そういう中にありまして、どうかひとつ、国民の足を奪うようなことにならないように御努力を願えれば大変ありがたいと思っております。  以上で終わります。
  68. 大石千八

    大石主査 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、川俣健二郎君。
  69. 川俣健二郎

    川俣分科員 大臣、私時間をいただいて、ミニ新幹線に限定してお伺いというよりも、むしろ嘆願のような気持ちで伺いたいのです。  山形新幹線、これは非常に私たちも期待しておりまして、でき上がったのを山形の国体に間に合うように、べにばな国体に間に合ってよかったと思いますが、走り始めは若干ぎくしゃく事故が重なったのでございますけれども、今は事故もなく走っているようでございます。このように私たちが関心を持っておるというのは、あの奥の奥に秋田があるわけですね。みちのくといって松尾芭蕉が、みちのくは道の奥という意味なんだそうですが、これは佐藤敬夫さんも代表して哀訴嘆願の陳情質問でございます。  まず、山形新幹線はいつからかかって、いつごろできて、どのぐらいの工事費で、それで工事の費用分担ですか、こういったものを担当局長の方でざっとお話し願えませんか。
  70. 秦野裕

    秦野政府委員 いわゆる山形新幹線と言われております奥羽線の福島-山形間のいわゆる新幹線の直通の運転化でございますが、私ども昭和六十三年の八月に計画変更の認可をいたしまして、その後、同じ八月の二十五日に工事に着手をいたしました。その後、平成四年六月三十日に完成をいたしまして、七月一日から運行を開始いたしております。おかげさまで大変利用者の方々にも評判をいただいておるというように承知をいたしております。  その負担関係でございますが、総事業費が四百六十二億円でございます。その内訳としまして、国が四十七億円の補助をいたしております。それから、地方の方は四十五億円、これを山形ジェイアール直行特急保有株式会社の方に出資をいたし ております。また、JR日本も同額の四十五億円を保有会社の方に出資をいたしております。以上の残りにつきましては山形ジェイアール直行特急保有株式会社が借入金で賄うわけでありますが、最終的にはJR日本の方で同保有会社に対して施設の貸付料という形で負担をし、それでもってその借入金の弁済に充てるという計画になっております。
  71. 川俣健二郎

    川俣分科員 ところで、通告はしていませんでしたが、この間JR年金、衆議院を賛成で通させてもらったのですが、それは厚生年金の方から多分に、平たく言えば助けたような感じで。ところが、JR各社の収支状況皆さんの御努力で非常にいいのでございますけれども、丸い数字でいいのですが、平成三年度ぐらいの純利益がどのぐらいあったか、御存じですか。
  72. 秦野裕

    秦野政府委員 ちょっと正確な数字持ち合わせておりませんが、二千億程度ではないかと思います。
  73. 川俣健二郎

    川俣分科員 そこで、山形新幹線は、四百六十二億のうちいわゆる山形県の負担金は、これはわずか四十五億でございますね。一割未満です。ところが、盛岡まで新幹線、普通の新幹線が走り出すわけですが、この間、国際アルペンスキー大会、雫石、あそこを通って、いわゆる田沢湖線、日本一深い田沢湖を通って佐藤敬夫さんの方の秋田の方に行く、こうなんですね。これはどのぐらいかかる予定で、県としての負担はどんなものなんでしょうかね。
  74. 秦野裕

    秦野政府委員 いわゆる田沢湖線の直通運転化の工事でございますが、平成八年度を目標として現在工事を進めております。総事業費は五百九十八億円でございます。内訳といたしましては国が百二十三億円、地方が二百三十八億円、JR東も二百三十八億円の内訳でございます。
  75. 川俣健二郎

    川俣分科員 そうすると山形新幹線の場合は、地域の負担、県の負担が一割未満。ところが、田沢湖の方は四五、六%の負担、これはどういうように理解すればいいのかな。
  76. 秦野裕

    秦野政府委員 ちょっと説明が舌足らずでございましたけれども、山形新幹線の場合には、国の場合はいわゆる補助金でございます。それから、地方公共団体の場合は出資金ということになるわけでございますが、今回の秋田のミニ新幹線と申しますか、直通運転の方は、いわゆる無利子貸付金という形で国なり地方が補助をするという形になっておりますので、補助と申しますか、財政支援の方策とは若干違うわけでございますので、そのような数字になっておるわけでございます。
  77. 川俣健二郎

    川俣分科員 非常にわかりやすい答弁ですが、問題は国土の均衡ある発展、しかも「法の下に平等」の国民生活をやるという憲法の定めですが、スタイルはどうあれ、理念としてどうしてこう違うのだろうかなということに対して局長はどうお答えになりますか。
  78. 秦野裕

    秦野政府委員 いわゆるこのミニ新幹線と申しますのは、地方と都心と申しますか、大都市とをできる限り高速で結ぶということで、既存の新幹線ネットワーク活用して、それと直通運転を行うことによって時間短縮効果を図ろうということが一つのねらいでございます。したがいまして、地域におきましても非常に大きな稗益がございますので、その費用の一部につきまして地元の方にも御負担を願う。もちろん国も相応の支援をするということでシステムができ上がっておるわけでございます。  先ほど無利子貸し付けというふうに秋田のミニ新幹線の場合申し上げましたけれども、貸付金でございますので、いわゆる実際の補助金ということになりますと相当額が下がるわけでございます。無利子貸し付けでありますからいずれは償還をしなければならない、利子のつかないということでございますけれども、いわゆる借金でございますので、会社としては将来はこれを返還していくということになるわけでございます。したがって、無利子貸付金と補助金とを直接に、額そのもので比較するのは非常に難しいわけでございますが、一般的には、無利子貸し付けをした場合は、補助金の額に直しますと大体半分程度というのが一つの目安でございます。例えば、先ほど国が百二十三億の無利子貸し付けをしておるというふうに申しましたけれども、目安でございますが、大体六十億程度の補助金に相当するというふうに御理解いただければと思います。
  79. 川俣健二郎

    川俣分科員 これは政治家同士の話になるんだろうが、まあ、ここにおられる佐藤敬夫さんが政務次官で頑張られてああいうのがめでたし、めでたしで今やっておるのでございますが、何となく、何でこう違うんだろうかなという感じを持っていることだけは、大臣に、後ででいいですから、これは政治家の理念として、ちょっと違うなというような感じがします。  そこで、山形新幹線は山形までですね。この間、知事選挙でいろいろとハプニングなどあった。選挙で勝ったか負けたかになるわけですが、問題は、あの山形から先ですね。みちのく。それは、秋田には盛岡から田沢湖線を利用するミニ新幹線あるじゃないか、こうなるんで、そのとおりでございますね。問題は、大臣も、あの辺、前の大臣のころもお歩きになったんですが、土地カンは若干あると思いますが、問題は、我々日本海に面しておる秋田県ですね。山形もそうです。日本海と太平洋との格差はあるということは、これは否めない事実でございまして、したがって、日本海沿岸議員連盟、日沿連、これがございまして、議長が会長やっている、その前は福田議長が会長だった、こういうので、我々もそれの幹事の一人として入っております。さらに、環日本海議員連盟というのがあるんですが、この間、私はその会長にされて、これは与野党で何か働きかけようという動きもございます。  それはそれとして、問題は、山形までは山形新幹線であのとおり非常に喜ばれております。それから、田沢湖線の秋田県に入った大曲は、これは盛岡から入ってくる。問題は、その大曲と山形の間はどうなるだろうかということが今地域の大変な課題でございます。これが、まず福島と山形の間のキロ数とか山形と大曲とのキロ数がもしわかっておれば――ああ、そうだな、図面を大臣にお見せすると――どのくらいのキロ数があるかということと、それから、その辺何かある、担当課長でもいいですよ。どうぞ。
  80. 秦野裕

    秦野政府委員 福島と山形の間の営業キロ数は八十七キロメートルでございます。それから、山形と大曲の間は百六十キロメートルでございます。
  81. 川俣健二郎

    川俣分科員 そうなると、当然ながら、山形から新庄の方ですね、例えば近岡理一郎議員なんか出ている新庄などを通る新幹線がないわけですね。まして、その峠を越えての秋田県側が大曲までは全然ないんでございますね。それに加えて、もしわかったら――その前に、それじゃ秋田という県都から大曲を通って乗りかえなしで、同じ県内の院内ですね。院内というのは県境です。昔古河鉱山の発祥地の院内銀山のあったところですね。そこまでの間に直通の汽車というのはあるですかね。――それ、言わなかったかしら。質問とりに来た人には聞いたんだけれども。
  82. 秦野裕

    秦野政府委員 ちょっと直接のお答えになりませんでしたら失礼でございますが、私どもの今持っております資料ですと、現在山形-大曲間で考えますと、直通の運転本数は特急こまくさが五往復走っております。それから、そのうち四往復は、昨年七月に開業しました山形ミニ新幹線つばさに接続をいたしております。また、そのこまくさの五往復のほかに、夜行の急行が一往復、それからローカル列車が一往復、それぞれ運転をされております。
  83. 川俣健二郎

    川俣分科員 結局ローカル線ですから、上野に来る必要もない、さりとて特急に乗りかえるということでもないのだが、一応、ローカル線というのは一往復しかないのですね。秋田県都から県境の秋田県まで行くまでに一往復しかない。そうなると、いよいよ、随分政治は不公平なものだなという素朴な住民感情がございます。  それで、局長、どうなんでしょうかね、働きか ければできるよという感じですか。
  84. 秦野裕

    秦野政府委員 まだ、ローカル列車、先ほど一往復と申しました。これはあくまでも直通のものでございまして、途中折り返し、あるいは途中で接続するもの、これはもちろんそのほかに何本も走っておるわけでございます。  それから、今先生お尋ねの延長の問題でございますが、これは一義的にはJR日本の方で判断をすべきこと、需要の動向、あるいは収支、採算等を総合的に勘案して判断をすべきことであろうというふうに思いますが、ただ、現在の利用状況を見ますと、山形から先の新庄までの間ですと一日平均約千人ほど片道で御利用いただいておりますが、新庄から先の大曲の方へ参りますと、大体半分、片道約五百人というふうに少なくなっておりますので、そういう点も含めて検討していく必要があるだろうというふうに思います。
  85. 川俣健二郎

    川俣分科員 そうすると、そこまで聞こうとしなかったのだけれど、そういうことを局長があえて言うということは、まあ乗降者数も半分なんだから、ミニ新幹線、あそこは要らないんじゃないかという勘定ですか。
  86. 秦野裕

    秦野政府委員 ただいまのは御参考までに申し上げただけでございまして、これはあくまでもJR日本の方で判断をすべきことでございます。
  87. 川俣健二郎

    川俣分科員 JR日本で判断するもの以外は運輸省はやらないのですか。
  88. 秦野裕

    秦野政府委員 いわゆる新幹線整備新幹線を含めたいわゆる新幹線の場合には、新幹線整備法の法律に基づきまして、一定のルールのもとで国も関与をして整備を進めるということになっておりますが、このいわゆるミニ新幹線の場合には在来線の活性化という見地から進めるものでございまして、そこでまず、第一義的には、JRといいますか、会社の方あるいは地元の方との御相談の上での発意がございまして、国も必要に応じて、それに対して、先ほど来申し上げておりますようないろいろな支援措置を講じていくというのが基本的な考え方でございます。
  89. 川俣健二郎

    川俣分科員 私は、もう少し高度なる運輸行政というのを局長ぐらいになったら聞かせられると思ったんだが、在来線の活性化というような考え方でミニ新幹線というものを位置づけているとすれば、非常にそれは、逆なでというか、理解してくれないなと思っておりますよ。住民は普通の新幹線欲しいんですよ、東海道新幹線のようなのが欲しいんです。だけどそれは到底無理だろうから、在来線を利用してお願いするしかないんだ、こういう考え方でいるので、こうなると、大政治家の越智大臣、どうなんですか、そういうところが必要なんじゃないですか、運輸行政として。どうでしょうか。
  90. 越智伊平

    越智国務大臣 確かに、日本海沿線、おくれております。私は常に考えておりますが、北海道、日本海沿線、九州の東側、東九州、それから私の出身地でございます四国、大変おくれております。そこで、今は六十三年の八月に決定をいただいた基本スキームに従って予算も編成いたしておりますし、その御審議をいただいておるところであります。今各地から、また先生方も、非常に要望、陳情、そこそこで受けております。それで、今も負担のあり方も局長から御説明申し上げましたが、私は、やはりある程度国が負担をしないとなかなか難しい、かように思います。それから、でき上がった後の収支につきましても、どこかで非常に収支バランスの悪いところは見るというようなことを、ちょうどことしは見直しの時期であります。皆さんから要望がありましても、その点運輸省としては、この予算が通ってからまた議論してください、こういうお断りをしておるのであります。これは新幹線だけでなしに、高速自動車道もそのとおりであります。東西は非常によくできておりますけれども、南北が非常に悪い、こういうことで、私は以前から、東西もいいけれども、南北もやらないと均衡ある発展にはならないよということで進めておるのでありますが、新幹線の方もそういうことが同じように言えるのでなかろうか、かように思っております。でございますから、いろいろ御論議をいただいて、今後どういうふうにやっていくのか。要は、今の在来線を使うにいたしましても、余りカーブのきついところは直すとか、いろいろな方法がありましょうから、かなりな投資をしなければミニ新幹線もなかなか通せない、こういうふうに思いますので、今後よく議論をし、よく相談をして進めてまいりたい、こういうふうに思っております。  でございますから、具体的なところが今どうだということを今のところ私として答えるだけの資料を持ち合わせておりませんが、今後、国全般のことで一極集中を排除し、均衡ある発展を行っていく、こういう観点から、先ほど申し上げましたように、おくれております北海道あるいは日本海沿線、東九州あるいは四国、こういうところをどういうふうにしていくか、こういうことを考えていくべきであろう、こういうふうに存じておる次第であります。
  91. 川俣健二郎

    川俣分科員 どうもありがとうございました。  やはり大臣がおっしゃる、一極集中排除、均衡ある発展、これは本当に政治家が挙げて唱えなければならない問題でございます。秋田もいろいろと誘致工場、大王製紙なんか、大臣のところから佐藤先生が世話して、誘致企業が今来ようとしておるのですが、そういった問題一つ取り上げましても、ただ一つ局長に申し上げておくと、日本海と太平洋の格差というのはこれは否めない事実だということはさっき言ったが、この奥羽本線というのは、さらにそれからどっちからも奥なんですな。どっちからも山奥で、それで、まして、さっき話したように、大曲から山形というのは全然ないわけです。ここが一番東京から遠いという地域になるんですな、田沢湖新幹線ができ上がれば。  そこで、さっき負担の問題をなぜ申し上げたかというと、地域負担というのは山形県の県税を使うわけですから、そうなると、山形というのは中央部にあります。さらに秋田の県境までの間が山形です。その途中の新庄から、日本海の方に山形県がございます、山形県が日本海の方に広がります。そうなると、どうも陸羽西線、あっちの方にというような動きがありますか。新幹線を山形から新庄を通って日本海の方に行ったら、山形県の県税をうんと使うのなら、そうしたらいいんじゃないか、こういうような考え方があるようだが、それが局長の耳に入っていますか。専門ですから、ひとつ局長
  92. 秦野裕

    秦野政府委員 地元の方でそういう御意見があるかもしれませんが、私どもは承知をいたしておりません。
  93. 川俣健二郎

    川俣分科員 私はそれの足を引っ張る、阻害をするとかそういう気持ちは毛頭ございませんが、さっき話をしたように、日本海と太平洋にそれぞれ線があります。その中を、奥羽線というのは奥羽本線としてできておるのです、奥羽本線として福島から陸を。したがって、もしそういうことがあれば、私らはやはり一極集中というか、何といったって東京に近いという、一番遠くなる地域を助けるというのが政治ですから、そういうことを考えると、もしもそういうような動きがあれば、やはりこれは奥羽本線ですから、真っすぐ通したらいいのではないかと思うのだが、私はそう思うのですけれども、局長はどう思いますか、もし来られた場合。そういう気持ちを持ちませんか。  さっき、負担の問題になると、山形県としては日本海の方に行った方がいい、こういう感情があると思います。そうじゃなくて、日本国の運輸省鉄道局長としては、やはり奥羽線を真っすぐにミニ新幹線でつないでいこう、大曲から秋田までの間は田沢湖から来ますので、その大曲と山形の間は奥羽線というのがせっかくあるわけですから、そういうように私は思うのですけれども、それは無理でしょうか。どうでしょう、局長
  94. 秦野裕

    秦野政府委員 ちょっと仮定の話でございますので、私自身まだ十分なイメージを持っておりません。もしそういうお話でございましたら、当然のことながら地元の方々の御意向を私どもとしてはまず十分に伺うというところからスタートする ことになろうと思いますが、ただいま先生お話も十分一つの重要な考える要素として、検討一つの要素とさせていただきたいというふうに考えております。
  95. 川俣健二郎

    川俣分科員 何か最後に自信のない発言ですが、一つ考え方じゃなくて、奥羽本線なんですから、支線じゃない、決して。だから、羽越線と奥羽本線をつなぐところの支線にミニ新幹線を持っていくというよりは、やはりさっき言った一極集中、均衡ある発展ということであれば、ぜひそのようにお願いしておきたいのですが。  この辺は、時間が来ましたので、大臣に何とかその辺を、日本海の方にひん曲げていくというのを抑えてという意味の陳情じゃなくて、やはり大所高所に立てば奥羽本線の有効活用ということをぜひ私は考えたいが、大臣、いかがでしょうか。
  96. 越智伊平

    越智国務大臣 先生の御意見も十分承りまして、今後よく検討をしてまいります。  ただ、この予算成立までどこをどうするということ、運輸省として意見を申し上げるのはちょっと早い、こういうふうに思います。ただ、日本国全体をどうするかという視点に立って、おくれておるところをどうするのか、それでは国としても財政支出をやってもらわないといけない、こういうことだけを感じておるような次第であります。  今後よく御相談申し上げたい、こういうふうに思っている次第であります。
  97. 川俣健二郎

    川俣分科員 どうもありがとうございました。さすが大臣、私もそう思います。  したがって、見直しの時期なんでぜひ大所高所に立ってやらないと、財政負担の関係で、地域負担の関係で曲がったり寄せたりというよりは、やはり日本列島というのは縦にあるわけですから、そういうものをどのようにつないでいくかという運輸行政の一環の、鉄道局長にも何とか大臣の考え方を拳々服膺されんことを期待しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 大石千八

    大石主査 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、山元勉君。
  99. 山元勉

    山元分科員 社会党の山元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私、信楽高原鉄道の問題についてお尋ねをしたいと思います。  御案内のように、一昨年五月十四日に、滋賀県の信楽で死者四十二名、重軽傷者六百十四名という大事故が発生いたしました。私の地元でございますが、その直後、九月の運輸委員会でも私は運輸省皆さんに随分とお願いをしたわけですけれども、それは三つの大きな柱がございました。  一つは、一日も早く正しい原因を究明していただきたい、これが第一点でしたし、二つ目は、誠意ある遺族への補償ができるように指導や御援助をお願いしたい、もう一つは、その信楽高原鉄道、第三セクターの本当に苦しい会社ですけれども、そこが再建をして一日も早く運転が再開できるように、これも指導、御援助をいただきたい、こういうふうに申し上げていたわけです。おかげさんで再建といいますか再開いたしました。  しかし、残っております幾つかの問題、補償の問題や原因究明の問題あるいは健全な会社運営の問題というのは依然として残っているわけです。これはさらに、やはり国の強い指導なり援助というものが要るだろう、これはひとり信楽高原鉄道だけではなしに、全国にたくさんある第三セクターの小さな、いわば山間僻地の鉄道会社ですね、そこへの指導にも同じことが言えるだろうというふうに私は思いますけれども、そういう問題について、少なくとも今まで運輸省や政府の指導や御援助を賜ってきたという立場で、きょう改めて御質問させていただきたいというふうに思います。  そのことで十二月十八日に運輸省鉄道局から調査結果の報告が出されました。そのことについてでございますけれども、まず鉄道局、この報告の中心点、概要についてお知らせをいただきたいというふうに思います。
  100. 秦野裕

    秦野政府委員 平成三年五月に発生しました信楽鉄道の事故原因につきまして、私どもとしましては、原因の究明とその事故の再発防止ということを目的といたしまして調査を進めてまいりまして、昨年末に取りまとめ、公表をした次第でございます。  その内容でございますが、まず事故の原因は、信楽高原鉄道がいわゆる列車の運行を行います際に、最も重要でございます安全の確認ということについての基本ルールを守っていなかったということにあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  これを具体的に申しますと、信楽駅の出発信号が当日、赤のままで青にならなかったわけでありますけれども、その場合ですと、本来であれば赤であるにもかかわらず出発するためには、例えば係員を次の小野谷の方へ派遣して、その間にほかの列車がいないことを確認した上で列車を出発させるということが当然のルールになっておるわけでございますが、これを全く無視してそのまま列車を出発させてしまったというところに原因があるというふうに私どもとしては判断をしたわけでございます。  また、その事故に至る背景といたしまして幾つかの点を指摘しておるわけでありますが、まず第一に、信楽高原鉄道がその事故が発生いたします前にも列車運行のいわゆる基本的なルールが必ずしも守られていないという状況にあったということが第一点でございます。  また二番目としまして、いわゆる信号保安システムでございますけれども、信号保安システムを変更いたします場合に信楽高原鉄道JR西日本とが互いに十分な連絡、確認を行わないままに変更を行っており、かつ運輸省に対します必要な行政手続、認可あるいは届け出といった手続を経ないでそのシステムを変更したということが第二番目でございます。  三番目としまして、そのシステムの変更の結果、信楽駅の信号機が赤信号のままになるという状況が生じたということが三番目でございます。  以上のようなことが事故の背景として考えられるわけでございますが、ただ、このような状況になりました場合でも、先ほど申しましたとおり、赤信号でありますからとまるか、あるいは赤信号でも進むということであれば先ほど申しましたような手順を踏んだ上で列車運行を行うということになりますれば、いずれにしても列車衝突というものは防げたというふうに考えておる次第でございます。  概要は以上でございます。
  101. 山元勉

    山元分科員 その報告書ですが、私も新聞を読んでそう思いましたけれども、新聞でも極めて評価がよくないわけです。例えば、見出していいますと「中身ない防止策」だとか、あるいは「真相究明積み残し終着」とか、あるいは「信楽鉄道側に最大の原因」「JR側責任触れず」とか、こういう新聞の見出しになっているわけです。  私もずっと読んで、確かに赤で出た信楽高原鉄道の側に大きな原因があるということはこれは承知をしますけれども、例えばその同じ日に両社に運輸省が出していらっしゃる警告書を見ても、信楽高原鉄道に対する警告書でもはっきりとその事故の原因は貴社にあった、そしてJRに対する警告書でも事故の原因は信楽鉄道側にあった、こういうふうにまず決めつけていると言ったら極端かもしれませんが、こういう書き方を警告書はしているわけですね。  私は、やはり新聞の評価もそうですし、運輸省が報告書にまとめ、あるいは警告を出したという立場がどうも合点がいかないわけです。大変大きな事故ですから、これは本当にだれもが、万人が納得がいく、あるいは後世に至ってもやはりそういう正しい解明ができているというふうにならなければならぬと思うんですけれども、私の印象だけではなしに、例えば遺族の方が告発、告訴をしていらっしゃる。JRの当時の社長以下十二人を二回に分けて告訴をしていらっしゃって、JR側の責任も大きいよ、こういうふうに指摘しているわけですね。運輸省のこういう立場と食い違いが あると思うんですが、その点についてはどうお考えですか。
  102. 秦野裕

    秦野政府委員 遺族の方がJR西日本幹部を告訴しておるということは承知しておりますが、内容について私どもからコメントする立場に何もございませんので、その点は省かせていただきますけれども、いずれにしましても、私どもといたしましては、事故調査の結果、その第一原因が、冒頭申し上げましたように、赤信号であったときに、それを必要な手続を経ずに列車を出発させたということが第一の原因であるということは多分間違いない事実であろうというふうに考えてそのような報告書を出したわけでございます。  ただ、その事故が起こりました背景としまして、先ほど申し上げましたように、信楽高原鉄道側にも、あるいはJRの西日本側にもいわば過失といいますか落ち度があったということは事実として調査報告書の中に載せておるということでございまして、何と申しますか、決して先入観を持って、あるいは予断を持って報告書をつくったというようなことはないということは御理解いただきたいと思います。
  103. 山元勉

    山元分科員 いや局長、例えばそういう遺族会だけではなしに、遺族会は決して罪人をつくろうという意図ではない、確かにそういう第一原因、大きな原因が信楽側にあったとしても、JRの責任というのは単なる背景ではないというふうに感じていらっしゃるからこういうことに踏み切っていらっしゃるんだろうと思うのです。そして例えば、これも御案内だと思いますけれども、滋賀県警も逮捕、送検をして一つのけじめ、けりをつけてきています。その送検した中にやっぱり法人のJR西日本鉄道と、そしてその主任運転士を送検をしているわけですね。これはやっぱり単なる、原因はこちらで、その背景にはこれも含まれるというような立場でないというふうに私は思うのですが、その点はどうなんですか。
  104. 秦野裕

    秦野政府委員 滋賀県警の方でJR西日本の何人かの職員を送検したということは私どもも承知いたしております。その内容としましては、先ほど申しましたJR西日本が私どもに対する必要な法的手続を行わないで信号保安システムの変更を行ったということは法令違反に当たるという判断が一つあったと思います。  それから、もう一つお話にございましたのは、多分JR西日本の運転士が小野谷の信号場にとまっておりましたときに、青信号で出発する際、隣に信楽高原の電車がいないにもかかわらず出発させたということが一つの原因かと思いますけれども、これは私どもといたしましては、信号が青である以上これは出発するのは運転士の当然の責務でございまして、青であるにもかかわらず出発しないということの方がむしろ問題になろうかというふうに考えております。  列車は、もちろん信号保安システム、いろいろな安全装置がついておりまして、それに従って運行を行うことによって安全が確保されるという前提でシステム全体ができ上がっておるものでございますので、私どもとしてはその点に関しましてはJR西日本の運転士には責任はないのではないかというふうに判断をしておる次第でございます。
  105. 山元勉

    山元分科員 三十分という限られた時間ですから、このことについてここで解明できるわけではありません。けれども、私が一つ今言いましたように、遺族の方の指摘あるいは警察の指摘、そしてもう一つは、パートナーですからこういうことはなかなか言いにくいんでしょうけれども、信楽鉄道JRに対して、JR側にも責任があるではないかということをことしになってから指摘をしているわけですね。  そこで大臣、ここで事故の原因がどうだこうだということについて解明できるというか、決めつけは難しいと思うんですよ。しかし、先ほども言いましたように、こういうふうに被害者もあるいは受け入れた信鉄も、権力を使ってそれを調べた警察も、やっぱりJRにも責任はあるよというふうに言っているわけですね。そういう行動をとっているわけです。ですから、こういう大きな事故の原因というのはしっかりと、先ほど使った言葉で言いますと、万人だれもがそうかということがわかるような、あるいは後になってもやっぱりそうやったんかということがわかるような、そういう納得のいく原因究明ということがなされなきゃならぬと思うのですけれども、こういう幾つかの要素を、私さっき三つ並べましたが、大臣どういうふうにお考えですか。私はやっぱり正しい原因を、納得のいく原因を究明するためにさらに運輸省としても努力をしていただきたいと思うのですが、大臣どうですか。
  106. 越智伊平

    越智国務大臣 鉄道局長からいろいろお答えを申し上げましたが、私はやはりこうした鉄道あるいはその他でも、人を運ぶということでございますからもう何といっても安全が第一、第二は快適ということを常に言っておりますし、そう感じている次第であります。  そこで、今度の信楽鉄道の問題は、やはり第一義的には赤信号で出発をした、そのときに確認を怠ったんであろう。確認といいますのは、普通鉄道は指さし呼称というので、列車よし、後方よし、前方よしと、この上でベルなり笛なりあるいは手を挙げるなり、そういうことで出発をさす。それが目に見えるところは前方よしでやったのであろうと思いますけれども、次の駅に行くまで前方よしという確認ができていなかった。もちろん目に見えるところではございませんけれども、それの確認を、何かの方法で確認をして出発をさせばよかった、こう思うのであります。  それからもう一点は、それでは西日本の方に責任がないかといいますと、そうではないと私は思います。確かに信号をいじくったりいろいろのことをやっておりますから、その確認を双方がしなければならない。こういう点についてもやはり両方が安全を確認し合って進めていく、こういうことでなければいけない。  でございますから、私は、信楽鉄道側にももちろん責任がありますし、西日本は全然責任がないかといったらそうではない。西日本も責任があった。双方にあった。しかし、第一義的には、赤信号で出発さすときに、目に見えないところでも次の駅までは大丈夫だという確認を怠ったという責任は否めない、こういうふうに思っております。  そこで、そういう事故が起きて後のことでございますが、今後こうした事故の起こらないように再発防止をする。そして、第三セクターでございますから、もともといいところが第三セクターにはならないのですから、第三セクターとしてのすべての援助をして、また指導をして、今後そういうことが再び起こらないようにいたしたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  107. 山元勉

    山元分科員 大臣、そういうふうにおっしゃっていただくと、これからもなおやはり、そういう報道にもありますように、受けとめ方としては偏りがあって、片一方が悪くて片一方は責任が問われないと新聞の見出しにもありますように、そういうことではいけないだろう。その点はみんなが納得していないわけですから、その点を理解をして、運輸省としてもまた御指導お願いをしたいというふうに思います。  次に、今私が申し上げようと思ったことを大臣がおっしゃっていただきました。この調査の最終調査のところも、第一にこれは再発防止を目的として調査を行うんだと書いてあるのですね。ところが、やはり本当にその原因を究明して、背景も究明して再発防止ということが十分でない報告になっているし、指導になっているのではないかというふうに私は思うわけです。現に島原でああいう同じような単線上の事故が起こってしまったわけですね。  ですから、そういう再発防止ということでこの報告書は、失礼ですけれども、不十分ではないかと思うのです。ですから、より安全で快適なとおっしゃいましたけれども、そういうものをそれなりの地方につくっていくという行政施策というのがこれからより求められるのだろうと思います。  時間がありませんから、私は具体的にしていただきたいことで申し上げたいわけですけれども、国が支援をする、例えば転換をしたときに五年間は欠損補助をする。例えば信楽でいいますと去年の七月にもう切れたわけですね。それから、そのときにはもう基盤が盤石になっていたかというとそうでないわけです。ですから私は、やはりそういう実態に合わせて欠損補助というのを何らかの形で続ける、例えば別のシステムをつくってでも、制度をつくってでもしてほしいと思いますし、そしてやはり、近代化設備の整備補助金というのがございます、五分の一ですね、これでも対象が極めて狭いわけです。ですから、何とかそれは範囲を拡大してほしいし、五分の一というのを比率を引き上げてほしい、こういうふうに思うのです。  時間が余りありませんから、具体的に出てきませんけれども、そういう財政的な支援について私どもは、当然全国のそういう第三セクターのしんどい鉄道に対して援助されるべきだというふうに思うのですが、それはいかがですか。
  108. 秦野裕

    秦野政府委員 先生よく御案内だと思いますので簡潔に申しますけれども、いわゆる第三セクターと申しますのは、国鉄の時代あるいはその後の時代を通じまして、いわゆる鉄道として基本的に運営するのになじまないような鉄道につきましても、地元の方の御要望等を踏まえて鉄道として維持をしていくというためにいろいろな手段を講じておるわけであります。その一環として、一応五年間運営費についての補助制度というものをつくっておりますが、その後につきましては、いわゆる基金の積み立て等、地元の御支援によって基本的にはその運営を維持していくということが原則になっておるわけでございます。  ただ、御案内のとおり転換鉄道の経営も非常に厳しいものがございますので、今先生もお触れになりましたように、平成四年度から新たに近代化補助制度の対象としまして、安全対策の設備投資もこの対象として含めるということにいたしました。ちなみに、信楽高原鉄道も今年度からその近代化補助の対象となっておるわけでございますので、そうした形を通じまして高原鉄道の、あるいは第三セクター全般の経営の基盤の健全化を今後とも推進していきたいと考えておる次第でございます。
  109. 山元勉

    山元分科員 そういうふうに努力していただいていることもわかっているわけですけれども、大臣、これはやはりこういう事故が続いて起こるということについては、簡単に言えば基盤の弱さです。日本あるいは政府が目指す生活大国というのは日本隅々で目指さなければならぬと思うのですね。ところが、過疎地域だとかそういう山間の地域での鉄道というのは、言いかえると国民の皆さんの足を守るということは大変難しいわけですね。ですから、悲鳴もまた上がっているわけです。  ですから、ぜひそのことについては、日本の生活大国を目指すというその路線からいっても、隅々の足を守る、地域社会を守るという意味で、この点について、援助についてはさらに、先ほど私は拡大だとか引き上げたとか言いましたけれども、これはぜひ現場の声を聞いて検討していただきたいと思うのですが、どうですか、大臣。
  110. 越智伊平

    越智国務大臣 お説の点でございますが、過疎地帯の今の鉄道、あるいはお話にはございませんけれども、バスあるいは離島の航路、こういう恵まれない地域、不便な地域、そこの足を守るためにはあらゆる努力をいたしております。できる限り過疎地帯の方々の足を守っていく、こういうことで進めてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  111. 山元勉

    山元分科員 ぜひそういう政策の充実というのですか、御検討、御努力をお願いをしたいと思います。  最後にもう一点ですが、昨年末、十二月の同じ、くしくもということになるのですけれども、調査書が出された十八日に、滋賀県の議会からこういう表題の意見書が上がってきて、お受け取りいただいているだろうと思うのですが、「鉄道事故調査機関の設置を求める意見書」、こういう議会の決議が上がって、運輸省にも政府にもそれぞれ届けられているわけです。  この点について、まず常置をする調査機関、例えば海難事故であれば審判庁がある、こういうような国が設置をする調査機関というものについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  112. 秦野裕

    秦野政府委員 確かにただいま先生お話しのとおり、鉄道につきましては航空などの場合と違いまして、いわゆる常設の調査機関というものは設置されておらないわけでございます。これは、従来から主として鉄道につきましては、いわば陸上の事故でございますので、いわゆる証拠となるような品が散逸する要因が少ない、ある意味では事故の原因の究明が比較的容易であるということから設置されていないというふうに考えております。  例えば専門的な知識を要するような場合には、例えば本件の信楽鉄道のような場合であれば、信号保安システムについての専門家の先生方の御意見を伺いながら事故の原因を究明するということで、現時点では必要かつ十分な体制になっておるというふうに考えておりますが、なお御指摘の点を含めて将来の検討課題として考えさせていただきたいと思っております。
  113. 山元勉

    山元分科員 将来の課題という形で片づけてもらってはどうも困るわけです。これはよその府県ではなしに、信楽事故があった滋賀県議会が努力をしてきて、今まで運輸省とも協議をしながらいろいろな努力をしてきて、その結果やはりこれが要るというふうに判断をしたわけですね。今度の事故が起こってからも、例えば警察の皆さんが信号システムのことについては全然わからぬ、そのことでまず勉強を始めて、そして原因がどうなんだ、捜査の仕方がどうだったんだということから、勉強から始めなきゃならぬ、これは今一年半たったんです、それが原因とは言いませんけれども、本当に難しい捜査になっているわけですね。  そういう、今の進んだ交通の、例えば保安システムだけとってみても、なかなか事故の原因の究明というのは難しいわけですね。ですから、そういう状況からいっても、早く正確に対応できるという意味からも、将来の課題としてではなしに、引き続いて起こっている鉄道事故の状況から見ても、早急に検討しなければならぬというふうに私は思うのです。  それは、行政の、県議会だけではなしに、これも御案内だと思いますけれども、遺族の会の皆さんが自分たちの痛い目に遭った気持ちから、やはり早く原因を、自分たちの家族が死んだ、その原因がなかなかわからぬわけでしょう。一番いらいらして、なぜ早く正しい原因をわしらに言ってくれぬのか、なぜ早くしてくれぬのかということで、じっとしてはおれぬということで、わざわざアメリカまで遺族が弁護士の皆さんらと行って、アメリカの進んだ状況を調べてきて、意見を運輸省にも何回も出しているでしょう。申し入れ書という形だとか、あるいは質問書という形だとか、さまざまな形で当局の皆さんに、早く日本もこれが要りますということを言っているわけです。  これはやはり、起こった地元、あるいは第三セクターの会社を抱えている地元、あるいは悲しい目に遭った遺族の皆さんの痛切な一つの結論だと思うんですよ。将来の課題と言わないで、積極的にこれは取り組むというお約束をいただきたいと思うんですが、それはどうですか。
  114. 秦野裕

    秦野政府委員 いろいろ御意見も承っておりますと、恐らく問題は二つあるだろうと思います。一つは、今回の調査に関して言えば、かなり時間がかかったではないかということ、それからもう一つは、専門的な知識はどうかという、多分その二点が中心になるのではないかというふうに思うわけでございます。  時間の点につきましては、確かに高度なシステムでございますので、非常に検討に時間を要しましたけれども、主な理由はやはり、原因となりま す、大変主要な役割を果たしました信楽高原鉄道の方が複数亡くなられておったということで、当時の状況を再現するのにかなり時間をかけざるを得なかったということが大きな原因でございます。  それからもう一点の、保安システムの専門的知識がどうかという点、これは私ども自身、もちろん専門家もおりますけれども、特に今回の事故に対しましては、先ほども申しましたとおり専門の関係の方々にお集まりいただいて、その御意見を十分伺った上で対応をいたしておりますので、少なくとも今回の事故に関する限り、私どもとしては最善の努力をしたのではないかというふうに考えておる次第でございます。  御指摘の、アメリカにも確かにそういう制度はございますけれども、必ずしも日本と背景となりますような情勢が同一ではないというふうにも考えておりますが、なおアメリカの状況等について詳細を調査をいたし、私どもとしても必要な対策をとっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  115. 山元勉

    山元分科員 しつこいようですけれども、この一年半の間で遺族の気持ちというのは、本当の正しい原因が究明してもらえない、何で自分の家族が死んだのかきちっとわからぬ、納得できぬという思いがある。  そしてもう一つは、アメリカの制度も、私もずっと読んでみました。さすがだと思いましたけれども、中で特徴的なのは、そのときそのときの情報公開をきちっとしているんですね。遺族の皆さんが待っていて、これはこうなっています、こうなっていますということを情報公開しているんですね。そういうことはやはり大事なことだと思うのです、家族の命を奪われた者からすれば。  そういう早さの問題や情報公開の問題や正しい原因究明という点からいうと、どうしてもNTSBの組織を勉強して検討してもらう必要があるだろうと思うのです。ぜひそのことをお願いをしたいと思うのです。  このことについては、私わからないのですけれども、鉄道局でいうと、こういうことを研究するセクションというのはつくられているのですか。今申し上げているような、ただ将来の検討だということだけなのか、実際に勉強をやる、そういうセクションがあるのか、ちょっと教えてください。
  116. 秦野裕

    秦野政府委員 事故の調査そのものにつきましては、私どもの中に担当の課がございまして調査をいたします。また、どういう組織であるべきかという点につきましても、組織を担当する課がございますので、そちらの方と連携をとりながらやっていくということになろうと思います。
  117. 山元勉

    山元分科員 もう時間が来ましたから終わりますけれども、大臣、最後に、私が申し上げている遺族の皆さんの気持ちやあるいはこの事故を見ての気持ちから、本当に迅速に情報公開もしながら、正しい原因を究明をしていくということは、これから大事な仕事だというふうに思うのです。  そういう点で、先ほどから申し上げておりますように常置の調査機関というのを国が持つべきだというふうに思うのです。そうでないと、事故の原因究明だけでなしに、再発防止ということについても正しく手が届かないのではないかというふうに思うのです。大臣、最後にどうですか。
  118. 越智伊平

    越智国務大臣 滋賀県議会からも書類が来たことも、よく内容を見せていただいております。また、遺族のお気持ちもよくわかっております。ただ確かに、少し長くなったということも事実でございます。こういうもろもろのことを考えまして、よく検討をし相談をいたしたい、かように思っております。
  119. 山元勉

    山元分科員 ありがとうございました。終わります。
  120. 大石千八

    大石主査 これにて山元勉君の質疑は終了いたしました。  次に薮仲義彦君。
  121. 薮仲義彦

    薮仲分科員 大臣、私が相談を受けて、ここ足かけ六年になりますか五年間、ずっと関係省庁に対策、改善をお願いしてきた問題、それは大臣もよく御承知の、最近我が国は国際化といいますか、国際社会の一員として大きく役割を果たしていかなければならない、そういううねりの中で、我々日本国民も広く海外へ行って見聞を広げようということで、平成三年度でも一千万人を超える方が海外へ渡航していらっしゃいます。中でも留学あるいは研修等の目的を持った方が十二万人等々の現状にあるわけでございますが、私は、日本人が国際社会に飛び出して広く見聞を広めるということは非常に重要なことであり、好ましいことである、大切なことだと認識しておるわけであります。  しかし、反面、これは十分気をつけておかなければならない課題が数多くあるのではないでしょうか。  大臣も御記憶に新しいように、昨年、留学なさったあの高校生が、アメリカのルイジアナ州で、フリーズといったった一つの単語が理解できなくて命を落とすという事態も起きました。ああいうことによって、留学あるいは語学の研修をもとにしたホームステイ、これでいいのかということがいろいろな面で論議をされましたけれども、私はこの問題、昨年の事故が起きる前からずっと関係省庁にお話をしてまいりました。旅行業を預かる運輸省、あるいは子供を預かっている文部省、そして海外の邦人の保護、また海外において重要な役割を果たしている外務省はこの問題にどう取り組んでいるか、こういう関係省庁を中心にずっと対策をお願いしてまいったわけでございます。  最近になりまして、いまだにこの問題が解決しない面もある、やはり困ったときには原点に返ることが一番大事だろうと私は思うのです。  これは大臣も先刻御承知で、今さら言うのもいかがかと思うのでございますが、我が国があの戦争に敗れたとき、あの敗戦の荒野の中から、あそこでフルブライトの国際奨学金制度、いわゆる交流制度が始まったわけでございます。教育交流計画というものです。あのフルブライト上院議員のアメリカ上院での発言が大きな国際貢献といいますか、今改めて思い直されて、昨年はちょうど四十年になったわけでございます。  あの原点は何であったかといいますと、フルブライト氏は、「広島、長崎の惨状だった。戦争はたがいの無知、無理解、誤解から起こる。戦争を防ぐためには相互理解が不可欠で、それには国際教育交流が必要」だ、これがこのフルブライトの精神だったはずであります。  また、そのほかにもホームステイの精神をよく言われますけれども、ここにもこういうことをうたわれております。  「第二次世界大戦終了直後「戦争を無くし、世界平和を希求するには、若人による交換留学を制度化し、相互理解を深めることが最も好ましい。その為には、奉仕と協力、連帯と感謝、即ち、ボランティア精神を貫き無償で外国よりの高校生を、特に大戦相手国(敵国)より受入れ、家族の一員として一年間異文化を体験してもらおう」」というアメリカのボランティア団体アメリカン・フィールド・サービス、こういうところからそのスタートがあったということはよく言われているわけでございます。  このように、この留学あるいは交換的に語学の研修をして見聞を広げようということは崇高な目的で行われたわけでございますが、最近新聞を集めて、全部言っているとそれだけで時間がたちますから、見出しだけ言いますと、「留学生数急増で絶えぬトラブル」「“危険社会”を認識し慎重な行動で自衛を 海外留学の落とし穴」「異文化に溶け込む心構えを 激増ホームステイのトラブル」「留学斡旋の適正化を」「留学生狙う悪徳業者」「安全確保へ基準作り」等々読み上げていったら数限りありませんけれども、このような記事がずっと出ているわけであります。やはり海外留学や短期の話学研修にいつもこういうトラブルが起きる。  これはほかの省庁ですが、文部省が、大臣、 ちょっとごらんいただきたいのですが、これは文部省がいわゆる留学あっせんに対するアンケート調査をやったのです。この中のごく一部だけ紹介しますと、この中で大学生、高校生のアンケートがあるのです。  大学生のアンケートの中に事故の、いわゆるトラブルの有無、あったという回答が二七・一%、留学生の四人に一人は何らかのトラブルがあった。これは高校生も同じような数字ですが、高校生も念のために見てみますと、高校生のトラブルのあったという回答が二四%で、留学生の四人に一人。だから、何らかの形でトラブルに巻き込まれている、これをなくしていこうということは政府のとるべき対策として非常に重要なことだと思うのです。  じゃ、どういうことを改善してもらいたいか。これは大学生ですが、留学あっせん業者に対してきちんとした基準をつくってほしい、それから公的な相談機関を設けてほしい、あるいは確実な情報を得られる体制が欲しい、もう一つは安全性をチェックしてほしい、これが大学生です。  高校生はどんなことを言っているかといいますと、やはり同じようなことです。確実な情報を得られる体制が欲しい四〇・七%、それから安全性をチェックしてほしい、これは二七・六です。公的な相談機関を設けてほしい、これが二一・〇。留学あっせん業者に対して基準が欲しい、やはり大学生と同じにあっせん業者にもっときちんとした基準をつくってくれ。あるいは自由な回答では、ホストファミリーを早く決めてほしい、留学生に対する事前の教育、オリエンテーションを確実に行ってほしい、質のよいホストファミリーを探してほしい、こういうアンケート結果が出ておるわけであります。  私は、こういう実態を見ますと、これから当然旅行業を預かっていらっしゃる運輸省立場、あるいは子供さんを預かっていらっしゃる文部省、海外の情報に詳しい外務省、この三省でしっかりと協力し合って的確な、非常に大事な留学あるいは語学研修というものが安全で、安心して親御さんが子供を海外にやれるような事態をつくっていただきたいと心から念願するわけでございますが、冒頭、関係省庁、私がここ数年ずっと問題提起をしておりますけれども、特に最近省庁が取り組んでおりますことをかいつまんで省庁別におっしゃっていただけますか。
  122. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 ただいま先生指摘いただきましたように、ホームステイツアーは日本の若者が外国の家庭に滞在することによって風俗、習慣に親しく接する、伝統、文化に触れる等国際相互理解と親善に貢献する反面、過去にいろいろなトラブルが発生している事実もございます。  そこで、先生、いろいろ過去に御指導いただきましたが、そういうことも踏まえまして、私ども運輸省としましては平成元年に日本旅行業協会を指導しまして、ホームステイツアー主催取扱ガイドラインを策定いたしました。これはその後の状況も踏まえて三年四月に改定したものでございますが、当省としても、これに基づき旅行業者に対しその内容を指導しているところでございます。  また、平成四年度にはホームステイツアーの取扱事業者を指導しまして、ホームステイツアー等適正化協議会を発足させ、現在、最近の問題点等についてこの協議会で検討しており、ここの協議会の検討結果等については、今後のガイドラインあるいは指導に反映していくつもりでございます。
  123. 西澤良之

    ○西澤説明員 先生今御指摘ございましたように、ホームステイを含めまして海外留学等に関しまして、留学あっせん業者等との契約上のトラブル、ホストファミリーとの不適応等が生じている事例の多くにつきましては、ホストファミリーが事前に決まらなかったり、あるいは事前のオリエンテーションが十分でなかったというようなことがございまして、そのプログラムが教育的見地から見て適切でない部分があるというふうに承知しているわけでございます。  このため文部省では、平成三年二月から、運輸省、外務省等の協力も得つつ、海外留学等あっせんプログラムに関しまして教育的観点から見た望ましい内容等について、主として三カ月以上の留学を対象としているものでございますけれども、専門家によります検討お願いしまして、平成四年四月にその報告をちょうだいしたところでございます。  報告は、まず第一に、留学あっせん事業者等が実施する海外留学プログラムに関しまして教育的観点を踏まえたガイドラインの策定が必要であるということで、その一例としまして基本ガイドラインが示されたわけでございます。第二に、生徒など利用者がこれらのプログラムに参加しようとする場合に、自分の適性等も含めましてチェックすべき事項をチェックリストとして示しております。それからさらに第三に、留学等あっせん団体など関係者によりましてプログラム内容の質的向上を目指した連絡協議会をつくろうというような、そういう必要があるという指摘があったわけでございます。  こういう御報告を受けまして、文部省では平成四年五月八日付で全国の各国公私立大学あるいは都道府県教育委員会、関係団体等に対しまして、報告にあった基本ガイドライン及びチェックリスト等をお示ししまして、今後の留意事項等、今後の指導の徹底方についてお願いしたところでございます。また、その他の文部省関係以外の関係方面につきましても、この報告書を送付いたしまして、教育上有益な留学等の実施について協力を求めたところでございます。  そういう以上のような取り組みをしているところでございます。
  124. 小川正二

    小川説明員 先生御存じのように、外務省としての留学、ホームステイに対する取り組みは、基本的には邦人保護、つまり安全を確保するという見地からの取り組みでございます。  この具体的な内容といたしましては、主要な点は二つございまして、一つは、事前の安全指導と申しますか、安全に関する情報を関係団体を通じて提供していくということで、これは去年、先生指摘のようにルイジアナにおいてああいう悲劇的な事件がございましたことも踏まえまして、東京におきましては、海外での安全に関する情報を広く周知すべく、全国高校生留学・交流団体連絡協議会という関係団体を通じまして定期的な安全情報の提供を行っているところでございます。  また、我々といたしましては、主要な留学生派遣団体より安全問題に関する指導の実情を聴取するとともに、外務省の保有する安全情報の積極的な利用を呼びかけているところでございます。この情報提供に関しましては、今後とも関係する運輸省または文部省とも十分密接に連絡協議の上、より充実した内容の情報提供を行っていきたいと考えております。  また、現地におきまして実際いろいろな留学生、ホームステイに行きました青少年の関連する事件、事故が発生いたしました際には、在外公館といたしましても、関係する当人が未成年の若い方でございますので、そういう点も踏まえまして親切に相談に乗る、また事件、事故の発生した際には、これに対して十分な対処をしていくということをやっております。  ちなみに、現在、各地におきましてどういったような留学生、ホームステイの制度にかかわる問題があるかということの実態を調査するために、ことしの二月、関係公館に訓令を出しまして、どういったトラブルがあるかといったようなことを今調査中であります。この調査がまとまりますれば、そういったことを参考にして今後ともこういった問題に積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  125. 薮仲義彦

    薮仲分科員 大臣もお疲れのようですけれども、大臣の子供さんというよりもお孫さんが今旅行業者を通じて海外に行って大丈夫かどうか、そういうことを少しお考えになっていただくと心が痛むと思うのです。  きょうは時間がありませんから余り具体的なことはやめますけれども、私の事務所では毎年トラ ベルエージェントの方へ、ホームステイの受け付けが具体的にどうなのかということで行かせているのですが、きょうはやめておきます。  私がなぜこの問題を提起したかというと、これをしっかりしておかないといつか取り返しのつかないことになるのではないかと思いますのでお願いしておるわけでございます。  運輸省が監督しております日本旅行業協会もホームステイに対する実態調査を報告しております。  この中にこういうことが出ているのです。これは非常に大事なことだと思うのです。この中で、どういう課題があったか、課題を整理して幾つか挙げてあるのですが、このホームステイに何が一番大事かというと、これは大臣も御承知のように、ホームステイというのは相手の家庭に自分の子供が行くわけです。そうすると、私の子供が行ったとすれば、そこの家庭はホストファーザーでありホストマザー、お父さん、お母さんという関係で家族の一員としてそこの中で生活していかなければならない。しかし、果たしてそこまできちんとホストファミリーについて調査が行き届いているかどうか。  さっき新聞の見出しだけ言いましたけれども、あのように、あっせん業者の中には決して好ましいとは言えない方もいらっしゃるわけです。新聞記事の中でも指摘されているのですけれども、最近はこう書いてあるのです。「人数が増えたせいもあって、今ではホームステイでかせぐことを考える市民も少なくない。米国にも好ましくない仲介業者がいる。そうした内情を詳しく調べず、留学後のアフタケアなどまるで考えない国内の業者に、安易に留学の手続きを依頼すれば、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性は多分にある。」  これは、こういう米国という名前を挙げていますからいかがかと思いますけれども、これは決して米国だけの問題ではございません。これは日経の記事ですけれども、やはりこういう心配されたことがあるわけです。  このホームステイ旅行に対する実態調査の中でも今の新聞と同じような結果を業者団体も自覚しているのです。申し上げますと、「今回調査の旅行業者アンケートを通じてトラブル防止策、改善策等について多くの提案があった。」まとめてみると、大事なのは現地受け入れ機関との話し合い、いわゆるどういう団体が受け入れているか、本当に信頼できるかどうか、それからホストファミリーに対してきちんとした教育がなされているか、「以上から、現地受入機関の事業内容を把握し、適切な選定を行う基準を求める意見が多い。」これが結論なのです。  もう一つ、文部省も、これは三菱総研にやらせた調査ですが、この中でも同じことを言っているのです。ちょっと挙げてみますと、留学あっせん事業者側の問題点、経営姿勢として、「金儲け主義の業者がいる」「現地の事情をよく知らずに斡旋している」「大量斡旋しているので、ホストファミリーの質が低下している」「いい加減なプログラムを実施している」。責任問題では、「送ってからが無責任である」「現地にいつでも相談できる日本人スタッフによる相談窓口がない」。  また、そういうことを通じて、業界、政府のとるべき施策として、こういうことが出ているのです。各国の詳細な情報、留学の情報を提供する必要がある。それから業者に対しては、今のように登録だけではなくて許可制にしたらどうかという意見もあるわけです。ホームステイの受け入れと派遣の団体は公益法人や非営利団体に限定したらどうか、評判の悪い業者の名前は公表したらどうだ、外国受け入れ団体の調査をしたらどうだ、トラブルが発生した場合の処理や相談を受ける機関をきちんとつくったらどうだ、こうあるのです。  そこで運輸省にお伺いしておきたいのですが、運輸省は、旅行業者がいわゆる交流団体、向こう側の受け入れ団体があるわけですが、相手側の団体をきちんと掌握し、ホストファミリーも、安心して日本の御家族に行ってくださいという責任を持てますか。
  126. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 現在の受け入れ団体については、私どものガイドラインで、主催する旅行業者独自で行うか、もしくは現地の信用調査会社に依頼して、その機関の事業内容、実績、経営者、資金、評判、取引銀行等を契約前に調査すること、こういう条件で旅行業者自身にその選択をゆだね、それを私どもとして間接的にチェックしているという状況でございますが、もし受け入れ団体でいろいろ問題が出てきた場合に、どのように受け入れ団体を適正化していくかについては、私どもも今後旅行業者の適正化協議会の検討等も踏まえつつ、また外務省や文部省とも連絡をとって検討させていただきたいと思います。  今の段階では、先ほど申し上げましたような状況でございます。
  127. 薮仲義彦

    薮仲分科員 文部省に伺いたいのです。今と同じ質問ですけれども、文部省のやっている交流もあります。それが数千名です。それ以上に大きい、いろいろなこういう旅行業者がやっているものもあります。ほかの団体も語学の研修や何かいろいろやっております。こういう団体一つ一つについてきちんとした基準なり、本当に大丈夫かどうか、かわいい子供さんが行くわけですから、文部省の監督下にある高校生、中学生あるいは大学生が行くわけですから、本当にこれがトラブルのないように、安心してこれからの国際貢献に役立つようにする責任は文部省にあると思うのですが、相手側の団体やホストファミリーについて、文部省は責任を持てますか。
  128. 西澤良之

    ○西澤説明員 ただいま運輸省の方からも御答弁ございましたように、留学生交流の受け入れ先団体等につきましては、私どもの国内の団体ということではなく海外の団体ということでございますので、必ずしも全面的にすべてのものについて把握できているという状況にはないわけでございますけれども、留学生を派遣しております我が国の団体等を通じまして現地の状況等につきまして十分掌握し、信用できる相手方と交流を行うというようなことで指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  129. 薮仲義彦

    薮仲分科員 大臣、いろいろあるのですけれども、ほかにも問題がまだあるものですからきょうはこの問題はやめたいと思うのですが、いわゆるホームステイという、家庭に行って体験していただく、このことは基本的に私は大切なことであって、今運輸省あるいは文部省がおっしゃられたように、優良な団体が本当に国際交流のために役立てようというホームステイの仕組みは大切にして育てていってほしいと私は思うのです。  ただし、今おっしゃられたように、なかなか相手を掌握しにくいという実態にあるならば、もう少し大臣に御検討いただきたいのは、外務省にもお伺いしたいと思うのですが、海外には、夏の間にはサマーキャンプとかサマースクールとか、いろいろなそういうプログラムがあるわけです。例えばコンピューターを勉強したいと言えばそのサマースクールに行ったりサマーキャンプに行けば勉強できるわけです。日本も、家庭に行かなければだめだということではなくして、例えば文部省でもいいですし、運輸省でも構いませんけれども、そういう一つの団体が中心になって、いわゆる語学の体験ツアーとか、あるいはいろいろな意味での海外の研修ツアーを組んでやるということも、中学生や高校生にとっては物すごいカルチャーショックだと思うのです。何も家庭に入ってその家の一員としてというところにほうり込まなくたって、例えば、一つのユースホステルをベースキャンプにして付近の人と交流しましょう、あるいはいろいろな施設を勉強に回りましょう、あるいはサマーキャンプに参加するケースがあってもいいと思うのです。  こういうようなこともきちんと考えて、もっと安心して、最初の体験は安全なところからスタートして、それから交流を深めて、その中で、それじゃうちへ来ない、行きましょうかというようなホームステイに広がっていくのもそれはあっていいと思いますし、もう少し、本当の意味でのホームステイは――私最初、冒頭にフルブライトの精 神や何か、なぜ言ったかというと、本来はボランティアであったのが、そういうものからちょっと外れたところで、コマーシャルベースに乗ると問題を起こすのかなという感じもするわけです。コマーシャルベースでやるのだったらば、一つの話学体験ツアーなり研修ツアーを組んで体験することも、初めて海外に行く青年にとっては、子供にとってはすばらしいことだと思うのです。  ですから、むしろそういう安全なところから育てて、きちんとした留学なり、あるいは海外へ雄飛する新しい青年の芽を変なことで摘まないように、今言ったように、四人に一人は何らかの形で嫌な思いを抱いたのであっては、大臣だってそうあってはほしくないと望んでいらっしゃると私は思うのです。ですから、そういう意味での今後のあるべき留学あるいはホームステイというものを健全な形で育てていってほしい、このことはずっと念願しているのですが、いかがでございますか。
  130. 越智伊平

    越智国務大臣 今先生のお説を聞きまして、なかなかこれは難しい。確かにホームステイ、ほとんどはいいでしょうけれども、何人かは、今もデータにありますように、まず四人に一人は嫌な思いをして帰る。こういうことで、中学生なり高校生みんなが行っておる、そして、非常にいいのを聞きますとそれで行きたい、こういう気持ちになるであろうと思いますが、同じ家庭に行くのなればそれはいいでしょうけれども、必ずしもそうでない。また、特に旅行業者等のやっておりますのは必ずしも全面的に信用ができるということではなかろう、こういうふうに思います。  でございますから、我が省あるいは文部省、外務省ともに、このことには非常に神経を使うであろうけれども、全面的に責任を持てますということにはなかなかならないと思います。  でございますから、ツアーで行って帰る、特に、これなら大丈夫だというところは選定していただいて行っていただいたらいいと思いますけれども、私の地元などでも、交換学生といいましてライオンズクラブとかそういうところでやっておりますが、これは皆うまくいっておるようであります。これは相手方、信頼があるところへ行っておるわけでございますから、私は、このことはよく三省打ち合わせをして、今後旅行業者等については十分指導をすべきだ。これも非常にいいのもございますけれども、なかなかそうでないのも、お説のようにやはり営利目的というのも多々あるのでなかろうか、こういうふうに想像をいたします。
  131. 薮仲義彦

    薮仲分科員 時間がもうありませんからもうやめますけれども、まあ運輸省の担当課長も文部省の課長も外務省の担当の方も、非常に熱心に取り組んでいらっしゃるのは十分私も承知しておりまして、本当にいろいろな困った問題ありながら、関係省庁力を合わせてよくやっていただいている。私は感謝をしておるのです。感謝をしつつも、さらにもう一歩、もう一歩という願いがございまして、これを機会にさらに前進して、子供たちが安心して海外へ勉強に行けるように大臣に御努力いただきたい、重ねてお願いいたしておきます。  これはもう時間がありませんからごく簡単に言いますと、大臣、これは、委員長もよく承知なんですよ。私と委員長の選挙区の、あの白砂青松で有名な三保の海岸なんです。この新聞にありますように「真崎灯台ピンチ」。これは運輸省の国際的な海図に載っている大事な灯台なんです。これがピンチというのは、大臣、これはここから見えると思うのですけれども、海の上へぷっかり浮かんでいるわけです。根があらわれていましてね。これが昔の灯台です。こういう状態になっているわけです。これは、大臣は建設大臣もおやりになったから、話せば長くなりますのでやめておきますが、この駿河湾、久能から三保にかけて大変海岸侵食が激しくなってきたわけでございます。  この灯台からちょうど内海側が運輸省、大臣の管轄の港湾関係運輸省港湾局の海岸なんですね。灯台からこっち側が建設省の海岸なんです。今これをもとの白砂青松に戻してほしいというのは本当に我々地元の県民の切なる願いでございまして、委員長はよく知っていますからね、本当は私以上に盛んに言わなければいけないところでございますけれども。どうかこの海岸を昔の白砂青松に、文化庁来ていて申しわけないのですが、時間がないから御答弁いただけないと思うのですが、松の木も半分に減ってしまったのです。砂も戻してもらいたい。  きょうは大臣にというよりも、港湾局長があそこでさっきからにらんでいますから、港湾局長の御答弁をいただいて、質問を終わります。
  132. 坂井順行

    坂井政府委員 ただいま先生指摘の件でございますが、御案内のように、確かに真崎の灯台の、まあ浮かんでいるわけではございませんが、基礎があらわれておりまして、これにつきましては、早速応急手当てといたしまして灯台の周辺に蛇かごを設置することといたしまして、一部は既に設置いたしましたが、残っておりますのでそれは本年度中に設置をいたしまして、まず応急手当てをしたいというふうに考えております。  それから、本格的な保全対策でございますが、これは海岸管理者でございます静岡県と地元の清水市が主体となりまして、もう既に平成二年から四年までの三年間におきまして自然条件調査あるいは施工法に関する調査をいたしておりまして、もう最後の最後ということで、現在は施工法の最終的な詰めをやっておるところでございます。したがいまして、本海岸は外海に面しておりまして非常に厳しいところでございますが、私どもの港湾技術研究所を中心にいたしまして本格的な調査に関し技術的な助言、指導を行っておりますが、いずれにいたしましても、調査結果をもう可及的速やかに結論を出しまして、さらに私どもといたしましては海岸管理者でございます静岡県の考えをよく聞きまして、早期事業化、少なくとも平成五年度を目指しまして、関係者の同意が前提ではございますけれども、積極的に支援をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  133. 薮仲義彦

    薮仲分科員 終わります。
  134. 大石千八

    大石主査 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。  次に、小松定男君。     〔主査退席、佐藤(敬夫)主査代理着席〕
  135. 小松定男

    小松分科員 私は、鉄道交通関係について、特に、一つは朝晩の首都圏におけるところのラッシュ対策、それからもう一つは、それぞれ、首都圏の中でも埼玉と東京を結ぶ路線の問題等について具体的に質問をしてまいりたいと思います。  そこで、最初に大臣に伺いたいんですけれども、実は私も、けさも所沢から電車でこちらへ八時半ころまでに来るので、ちょうど七時から八時にかけてのラッシュにつながる電車に乗って来るわけなんですが、大体国会のあるときには通勤で通うときが多いんですけれども、したがって、話として聞いているということじゃなくて、毎日身につまされている思いから質問をするわけですね。  そこで、このラッシュ状態について、前の大臣にも私はお話しもしたこともあるんですが、大臣もまだ運輸大臣になりまして日もそんなにたっているわけじゃないと思うんですが、まず、この状態をごらんになられたか、あるいはまたどういう感想を持っているのか、まずこの点をひとつ伺っておきたいと思うんですね。
  136. 越智伊平

    越智国務大臣 一月二十一日、北千住駅で、専ら通勤時間の前後を視察してまいりました。まず私感じましたのは、想像以上に非常に多くの人が乗りおりをしておる、また乗りかえをしておるということであります。そうして、駅の職員の方々、アルバイトの方もいたそうですが、その方々の非常に熱心にやっておる姿を見まして、まず、この方々、本当によくやるな、こういうふうに思いました。  それからもう一点は、乗降客が非常によく手なれているな。普通田舎でああいう状態でありましたら、けが人が出るようなところでございますけれども、全然そういうことがない。スムーズに乗 りおりをしておる。しかも、御承知のようにラッシュ時はもう押し込んでドアが閉まるというような状態、それでもみんなスムーズに乗って通勤をしておられる。でございますから、乗客の方も非常によくなれておる、こういうふうに感じました。  そこで私はまず、電車の今の路線、これを複々線にするとか、何とかもっと増強しなければならないという点が一点。それから北千住駅は、三階に今計画をして準備をしておるようであります。できるだけ早くこれをやっていただいて皆さんが快適に乗りおりできるようにしたいものだ、こう思います。それと、今までもやっておりますけれども、さらに、時差通勤をもっともっとお願いして、できるだけ快適な通勤ができるようにしなければならない、こういうふうに感じた次第であります。  それにしても、一口で言いますと、あの混雑の中をけが人も出ないようによく通勤をされたものだ、また、通勤の疲労というのは大変なものであろう、こういうふうに率直に感じた次第であります。
  137. 小松定男

    小松分科員 そこで通勤している人がそれぞれいろいろと体験しているんですけれども、一定の、職場へ来ると本当にかなりの部分のエネルギーを通勤で消耗することも事実ですね。これを解消するには、基本的には一極集中制を解消しなければ、とてもじゃないけれども、今は東京東京へと集中しておりますからなかなか解消にならないと思うんですが、しかし、今の込み方というのは異常なものじゃないか。  これはどの程度混雑しているかというと、これは後で運輸省の係の方からでもいいですが、大体二〇〇%を超えますと、いろいろと問題もあるんですね。また、二五〇%を超えるということになりますと、もうほとんどまともに立っていられない、中へ入ってもですよ。そういうような状況ですね。ですから、このあたりが解消されないと、これはもう本当に大変だと思いますので、この実態、二五〇%を超えるというと、もうとにかく殺人的な込み方じゃないかなということを言っても決して過言じゃないと思うくらいなんですが、その点、実態はどうなんでしょうか。これは係の方でひとつ……。
  138. 秦野裕

    秦野政府委員 先生指摘のとおり、混雑率二〇〇%になりますと相当な圧迫感が出る、さらには二五〇%になりますと身動きができない、あるいは手も動かせないといったような状態になるわけでございまして、私ども、何とかしてこの解消に少しでも早く努力をしたいというふうに考えております。  一部、東京の北西部を中心に例を申し上げますと、例えば、JRの埼京線で池袋-新宿間で二三一%。それから武蔵野線の東浦和と南浦和の間で二五九%、ただしこれは、三年の暮れから若干車両の編成両数をふやしましたので、現時点では約二〇〇%程度と推定されております。それから東武の東上線の北池袋-池袋間で一八一%、西武新宿線の下落合と高田馬場で一九六%、同じく池袋線の椎名町-池袋間では二〇七%、大体こんな状況になっております。
  139. 小松定男

    小松分科員 そこで、この問題、今これは埼玉と東京関係を結んでいる各路線の大体込みぐあいというんですか、説明があったんですけれども、これは今言った埼玉だけじゃない、首都圏はほとんどみんな同じような関係かなというふうに理解してもいいんじゃないかと思うんですが、そこでこれの解消策が今度問題になるんですが、それが今のところ名案がなかなか出てないわけですね。  そこで、余り抽象的なことを言ってもしょうがないものですから、私の方で具体的に後でその路線状況を申し上げたいと思うんですが、その前に、今駅とかホーム、そういうものに関連して乗客に対するサービス、そういうものの一環としてのエスカレーター、エレベーター、こういう設置義務というのがあると思うんですが、これが余り具体化されていない。されているところについても、一方だけ、上りなら上りだけ。ところが、障害を持つ人たちの意見なんかを聞きますと、やはり上りだけでも困る、エスカレーターの場合ですね。それから、エレベーターにしても、かつてこの前、昨年でしたか、熊谷の駅でとまってしまって、途中でおりられなくなって困った、こんなこともありました。  それからもう一つ、ホームや改札を含めてそうなんですが、利用者の便を考えると非常に問題があるんじゃないか。  例えば改札一つ見ればすぐに一目瞭然だと思うんです。大臣は先ほど、毎日通っている人たちはなれているから非常にスムーズに流れているとおっしゃいましたけれども、これはもう集中的にそこに流されるように仕組まれているんです。あれを毎日通っていますとわかるとおり、例えば今自動になっている、ところが一カ所だけは自動でなくて、改札なら改札が並んでいるけれども一つだけあいているところ、それも新宿なんか本当の話どこだかわかりませんよ。たまたま裏にコンピューター方式で入っている切符の人は自動で出られるかもしれませんが、そうでない人はきょろきょろして探したって、探すのになかなか骨ぐらいですよ。そうすると、幾ら合理化でやっても、利用者の便利ということで運輸省は本当に指導しているのかどうか、そこに疑問があるんですよ。  それから、例えば地下鉄に乗ってごらんなさい。虎ノ門の駅でもいいです。霞ケ関なんか特に関係があるところでしょうから。あの出口を見てみなさい。こんな狭い、人が一人か二人通れるくらいの階段がある通路ですよ。そこへ朝、本当にラッシュのときなんか大変ですよ。だからああいうところについてはもっと人間が通れるように直させるとか、そういうふうに指導を図るべきだと思うんです。ところが今の現実はそうじゃなくて、鉄道の、いわば管理しやすいようなことが中心になって、人間の、いわゆる消費者といいますか利用者に対する利便という発想がないんですよ。だからここに私は問題があると毎日毎日感じているので、このあたりも含めてどういうふうに今後指導するのか、これを答えてもらいたいと思うんです。
  140. 秦野裕

    秦野政府委員 いろいろな点で御指摘いただきました。私どもも利用者の方々の利便の増進はもう当然のことながら最重要課題というふうに認識しておりまして、各事業者にはその旨十分周知をしていくつもりでございますが、ただいま先生の御指摘のようないろいろな点について問題があることもまた承知をしております。  二、三今の先生の御指摘にお答えをしますと、まず一つ、エスカレーターが一方通行じゃないかという御指摘、これは確かにそういうところがございます。私どもの整備指針ではエスカレーターは、当然のことでございますが上下両方向というのがルールでございます。ただ、ホームの幅との関係でどうしても技術的に、あるいは構造的に上り下り両方できない場合もございますので、この場合だけは例外的にやむを得ず上下どちらかの方向にしておるわけでございます。ただその場合でも、駅を大改良するというような場合には当然それとあわせてエスカレーターについても上下両方向に、あるいはついてない場合には当然つけるようにということの指導をしていくつもりでございます。  それから、自動改札でそれ以外の切符をお持ちの方が大変わかりにくいではないかと。確かに新宿などの広い駅の場合ですと改札のラッチもかなり広くなりますので、大変御不便をおかけしていると思いますが、なるべく利用者の方々の数に応じ、あるいは流れに応じて、十分わかりやすくかつ渋滞の起こらないような形で自動改札以外の窓口も設置するように、今後とも指導してまいりたいと考えております。  それから最後のお尋ねの、階段が非常に狭い、これも確かに狭いところもございますが、必ずしも鉄道側ということでもないわけでございまして、上に上がってまいりますとちょうど道路の歩道の部分に出るわけでございますが、階段の方を余り広くとりますと歩く方の御不便になるという こともございますので、その辺を兼ね合わせながらやっているわけでございます。確かに御指摘のように狭い部分もございますので、何らかの形でそれが改善されるように工夫をしてまいりたいと思っております。  いずれにしましても利用者の方々の利便増進は、今後の重要課題として十分認識して取り組んでまいるつもりでございます。
  141. 小松定男

    小松分科員 ぜひひとつこの辺については、利用者にもう少し便宜を図るような指導を十分とってもらいたいと思うんです。  そこで、次の問題もあるものですから、進めさせていただきたいと思います。  混雑緩和というか首都圏の交通対策として、一つは八高線の南線の問題があるわけですが、これは、現在電化もされていない、昔の旧態依然とした列車が一時間に何本か八王子まで走っているんです。これは高崎からずっと埼玉を通ってくるんですが、特に今いろいろ強い要望が出ているのは、それとまた、付近にも人口がどんどんふえてきましたので、むしろ南線といった方がいいと思うんですね、高麗川-八王子間ということで、最近都庁が新宿へ移転しまして、そういう意味では交通の利用者も大分多くなってきまして、これが電化されますと、都庁関係中心にして、行くのにも非常に便利なので、沿線の市町村を挙げて運輸省の方にもかなり強い要望が出ている問題なので、よく御存じだと思うんです。これの進捗状況と、もしおくれている何かネックがあればそれもあわせて、ひとつお答えいただきたいと思うんです。
  142. 秦野裕

    秦野政府委員 御指摘のとおり、八高線のうちの高麗川から南側、いわゆる八高南線につきましては、ベッドタウンとしてかなり住宅化が進んでおります。通勤なり通学に大変重要な線区になりつつございます。  そこでJR東では、八高南線の電化と一部区間につきまして複線化を進めるということで、現在既に私どもに対する手続を始めております。来年度には着工という運びになると思います。完成目標につきましては、電化が着工後おおむね二年、複線化につきましてはおおむね七年で工事完成するという目標になっておりまして、現在のところ、特に工事上ネックとなっているものはございません。
  143. 小松定男

    小松分科員 そういう状況ですので、この点についてはその程度にとどめておきますが、計画どおり進めるように、ぜひひとつよろしくお願いしておきたいと思うんです。これが沿線の人たちの強い願いですから、特にお願いしておきたいと思うんです。  それでは次に埼京線の問題なんですが、埼京線ができまして、かなり利用者も多いし便利になってきているんですね。ただこれが、大宮から赤羽、池袋、新宿方面は路線も複線化にもなっているし、それなりの輸送もできるんですが、大宮の一つ先の日進から川越方面にかけては単線なんですね。したがって、これを複線にしないと車両をふやすということはなかなか難しい状況ではないか。これは東京へ通勤する、あるいは利用する、わりと便利な路線ですから利用者は非常に多いと思うので、これの複線化がいろいろと要請が出ているし、またJRの川越駅もそのつもりでもう改修を、市の都市計画に合わせてできているんですが、そこでこの複線化のことについて一つは伺っておきたいと思うんです。  それから、実はけさも、そこから通っている学生さんですか、私の部屋に先ほどまでいたんですがこういうことも言っていましたね。今は単線で、橋が荒川にかかっている、ところがこの電車は、埼京線ですね、風が少し強いときになるととまつちゃうというんですね。橋が古いんですね、ここは。ですからこの橋をかけかえないと、もちろん複線もできません、単線用の橋しかないわけですからね。複線をする計画でいけば、荒川にかかっているこの橋もかけ直さなきゃならないんです。この前も私にもよく指摘する人がいたんですが、小松さん、あれむしろ複線をやる前にもう橋を先にかけておいた方がいいんじゃないのか、そういうふうに言っておった人がおりましたが、そのとおりだと思うんですね。  したがって、いずれはこの複線はやらなきゃならないことだしするから、JRに対して、昔はこれ国鉄ならば当然直運輸省でやるんでしょうが、今は民間になっていますけれども最終的には運輸省の方で、これはいろいろ指導したり関係するものですから、これの進捗状況も含めてひとつ聞かせていただきたいなと思っております。
  144. 秦野裕

    秦野政府委員 御指摘のとおり、川越線の日進から先の部分につきましては現在単線になっておるわけでございます。もう先生指摘のとおり、鉄道整備というのは、皆様方の大きな期待というものは私ども十分承知をいたしておりますが、個々のプロジェクトにつきましては、各会社の経営判断と申しますか、を基準にして進めるべきものというふうに考えておりますが、ただいま御指摘の部分につきましては、現時点では混雑率が一三〇%前後とまだそれほどの込み合いという状況ではございませんが、この線区は将来的にはかなり住宅も張りつき発展することが期待されるところだと思われますので、JR日本でも輸送量の動向も見ながら整備について前向きに検討していきたいというふうに考えているところでございます。  なお、橋の点につきましては、現在、二十五メートル以上の風が吹きますと運転を抑制するということになっておりますが、今後どうしていくかということにつきましては、今の複線化の問題とあわせ検討を進めていきたいというふうに考えております。(小松分科員「二十五メートル以上ですか」と呼ぶ)はい。風速二十五メートル以上のときに運転を抑制する。これは何もこの橋に限ったことではございませんで、全国的に共通の基準でございます。
  145. 小松定男

    小松分科員 これも、そういう状況なので、今のところは一三〇%ぐらいの混雑率ということでございますが、ここも今利用者が結構ふえていますから、そういうつもりでぜひひとつ進めるように努力をしてもらいたいと思うのですね。  そこで、路線としては三つ目なんですが、これはこの永田町から関係するところなんですが、永田町から川越方面に営団地下鉄が今ずっと入っていますけれども、途中で今度は新桜台から西武線につなぐ、こういうことで今計画が進められているわけですね。ところがあそこの新桜台と西武線の桜台の駅、この間がつながりませんので、このあたりを、せっかくつなげるつもりでやっているんでしょうけれども、ちょっとおくれているのかなという気はしているんですが、それができますと有楽町線と西武線の乗り入れができることになるんです。  それから池袋方面にかけては、練馬を中心にしまして今二階建てで複々線化ですね、それが図られる計画でやっている。それがないとどうしても朝の混雑というのは、これは朝晩のすごいラッシュだと思いますね。したがってそのあたりもあるものですから、これはもう計画を進めてもらわないとなかなか現実的には大変なので、そういうこともあわせてお伺いをしたいと思うんです。
  146. 秦野裕

    秦野政府委員 まず新桜台から練馬の間でございますが、現在工事中でございまして、練馬駅の接続平成六年度に完成をいたす予定でございます。  それから池袋線の本線の方でございますが、練馬から石神井公園間、現在複々線の工事を行っております。現在、用地につきまして必要面積の約九割、それから工事自体も約二割の進捗を見ております。極力早期完成を目指して努力をいたすように指導したいと考えております。(小松分科員「用地何割ですか、ちょっともう一回」と呼ぶ)用地につきましては必要面積の約九割、九〇%でございます。工事につきましては約二〇%でございます。
  147. 小松定男

    小松分科員 これは計画からいきますとやはりおくれているんですか。当初の計画は大体どのくらいで完成する計画なんでしょうかね。
  148. 秦野裕

    秦野政府委員 新桜台と練馬の間の工事は、当初の目標どおり平成六年度の完成でございます。それから複々線の方は、平成九年度の完成を目指して今鋭意努力中ということでございます。
  149. 小松定男

    小松分科員 ぜひひとつこの路線も、私も含めて利用しておりますが、本当に物すごい、口であらわせないぐらい混雑の状況ですね。したがって、これができれば、混雑緩和もそうですが、有楽町線と西武線がドッキングするわけですから非常に期待をされておると思います。そういうことで、ぜひひとつこれは計画をおくれないように進めるように、しっかり指導してもらいたいと思うんですね。  そこで次に移させていただきますが、今のもそうなんですけれども、特に武蔵野線と西武線、それから西武線と東上線、私が言っているのは具体的なところを指摘しているんですけれども、そういうところが結構あると思うんですね。というのは、せっかく路線を引くんですが駅と駅をつけないで、どういうものか、そこのところを歩かせるんですね。雨の降ったときなんかアーケードもないものだから……。  今私が言わんとするのは例えば武蔵野線の秋津駅ですね。武蔵野線でいうと新秋津駅、それから西武線でいうと秋津駅になる。同じ秋津があって、片っ方は新秋津、こっちは秋津。これはやはり、十分まで歩きませんかね、それ近く。これはもう最近の利用者が物すごい多いんですが、これは武蔵野線ができたときに、あの線は貨物を輸送ということだったからかもしれないんだけれども、そうではなくて今は人間輸送が主力になってしまっていますよね。ところが、駅をそういうふうに離してっくるものですから、利用者はそこのところを歩かなければならないんですよ。雨の降ったときなどは本当に……。  これは西武線と東上線の駅もそうなんですが、そういうところが結構あるんです。こういうところについて、もう一回つくってしまうと百年かかっても今度は直らなくなってしまうんですよ。そこに商店街ができてしまうし、今度は反対ができるでしょうから、今までのこの営業権や何か、だから、つくるときに当然考えてつくるのが当たり前だと思うんですね。  今後の指導を含めて、今までやってしまったことをくっつけろと言ったって、言葉では言えますけれども、なかなか現実にはならないんですよ。だから、そういうことでは困るので、新しく路線をつくるときには、そういうそばを通っているときには駅と駅を離させないで、何とかひとつくっつけて利用者が乗りかえできるような、許可としての、そういうことを決めてもらいたいと思うんです。その点、お答えいただきたいと思います。
  150. 秦野裕

    秦野政府委員 利用者の方々の乗り継ぎの利便を確保することは当然のことでございますので、今もお話しのとおり、できてしまったものは仕方がないということでございますけれども、今後につきましては十分、そのようなことがないように指導してまいりたいと思います。
  151. 小松定男

    小松分科員 時間もありませんので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  152. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)主査代理 これにて小松定男君の質疑は終了しました。  次に、小川国彦君。
  153. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、まず成田空港アクセスのBルートの問題についてお尋ねをしたいと思います。  これは、一九八八年の五月に衆議院の決算委員会で私が、成田空港駅と成田新幹線関連で約九百四十一億円のむだ遣いになっているということを指摘しました。これは、御承知の成田空港駅の地下とそれから新幹線を成田の空港駅から数キロつくったまま、九百四十一億円のお金をかけて全く放置していた。これを石原運輸大臣のときに私が指摘し、石原さんが改善を図る、こういうことで、新幹線としてつくられた駅と路線東京-成田間の在来線とつながれて、今東京からエクスプレスが空港の駅に乗り入れる、こういうことができたきっかけは、私どもが国会でこの問題を指摘してからだ、こういうふうに思っておるわけです。  その後、第三セクターとして成田空港高速鉄道というのができ、そして八九年からJR成田線の延伸部八・七キロ、京成線の延伸部二・六キロ、この工事を進めて、暫定路線として九一年三月十九日から供用が開始されているわけです。  そのときに、「東京圏における高速鉄道中心とする交通網の整備に関する基本計画」というものが昭和六十年七月十一日に運輸政策審議会でつくられておりまして、その中で目標年次は昭和七十五年、二〇〇〇年を目標でいろいろな計画策定をする。その中に、空港アクセスの改善策として「都心部から羽田・成田両空港へのアクセス改善のための路線を設定する。」となっておりまして、「高速鉄道網等の整備計画」の二十六番目、「千葉ニュータウンから新東京国際空港へ至る路線の建設」として「小室-千葉ニュータウン中央-印旛松虫-新東京国際空港」こういうふうに書かれているのです。  このBルート建設推進については、千葉県当局もB案実現に向けておりますし、地元の市町村もそういう方向で努力をされておるわけです。しかし、このBルート建設について、現在経営主体がだれになるのかということもまだはっきりしていないわけであります。それについて、まず運輸大臣に、Bルートの現状と今後の見通しについて、どういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。
  154. 越智伊平

    越智国務大臣 この成田のアクセス道路として御承知のようにいろいろ検討が重ねられております。その事実関係については政府委員から御答弁申し上げまして、いろいろな問題が多少あるようでございますけれども、今後前進するように努力をいたしたい、かように思う次第であります。
  155. 秦野裕

    秦野政府委員 若干補足して御説明を申し上げます。  これまでの経緯はただいま先生から御指摘のあったとおりでございますが、先生案内のとおり、成田Bルートは都心から北総開発あるいは住都公団路線を経由して最終的に成田空港まで至るということでございますが、現在、都心から千葉ニュータウンの中央まで開業しておりまして、さらに千葉ニュータウンから印旛松虫までの間を現在工事中でございます。平成十二年三月の開業を目指して工事を進めておるところでございます。残ります印旛松虫から成田空港の間につきましては、成田空港高速鉄道が元年と二年の二カ年間に調査を行っており、さらに引き続きまして三年、四年の二年にわたっての調査が行われて今日に至っているというのが現在までの状況でございます。
  156. 小川国彦

    小川(国)分科員 その調査の結論が出ますのはいつごろの時期を想定されておりますか。
  157. 秦野裕

    秦野政府委員 現在行われております調査は、運輸省と千葉県と成田空港高速鉄道、この三者がメンバーになりまして検討会を設けておりまして、そこの場で進めておるわけでございます。  内容といたしましては、平成三年三月に、先ほど先生から御指摘がありましたように暫定ルートが開業いたしましたので、その輸送実態を踏まえながら、輸送需要あるいは収支、採算性等について詳細な調査を行っておりまして、現在、最終的な取りまとめの段階に来ておるという状況でございます。
  158. 小川国彦

    小川(国)分科員 地元の方々はこのBルートの完成を、条件ではございませんが、希望条件としていろいろな成田空港アクセスに御協力をしてきた、こういう経過があるわけで、これの完全開通を望んでいるわけでありますが、今後の促進の見通しはどういうふうにお考えになっておりますか。
  159. 秦野裕

    秦野政府委員 私どももBルートをなるべく早く実現に移したいという方向で努力をいたしておりまして、先ほど申しました調査に引き続きまして、そうした調査の結果を踏まえながら、千葉県を初めといたします沿線自治体の御協力を得て、沿線開発のあり方も含めて、より具体的な検討に 今後さらに進んでまいりたいと考えるところでございます。
  160. 小川国彦

    小川(国)分科員 地域の交通を担うという立場からも、ひとつ地元の住民の期待にこたえて一層の御促進をお願いしたい、こういうふうに思います。  それから、JRの千葉支社におきまして、九三年二月十八日から実施されました夜間駅員無人化という問題があるわけです。  一部直営駅や委託駅を夜間無人化するというようなことで、東京から七十キロメートル以東の地域、総武本線ですと佐倉以東が実施され、千葉県全体では七割の駅が夜間無人になってしまった、こう言われております。例えば成田線の場合は、成田から銚子までの間で夜間駅員がいるのは佐原駅と小見川駅、こういうことになってしまった。  夜間においても電車は走っているわけでありまして、万一事故や故障が生じた場合、緊急の対策が懸念されるわけです。特に問題点としては、列車が事故や故障などによってダイヤが乱れた場合、列車運行の是非や運行時間の変更等に際して、千葉支社の司令から最寄りの駅に文書がファックスで送られ、それを駅員が列車の運転手に渡すことによって通告をすることになっているというんですね。運転通行券というんだそうですが、この通告というのをだれが一体行うことになるのか、この無人化に伴う事後の対策というものがどうなっているのか、この点、御答弁願えたらと思うわけですが。
  161. 秦野裕

    秦野政府委員 ちょっと今詳細手元にございませんので明確なお答えをいたしかねるのは大変申しわけないと思いますが、いずれにしましても、無人化をいたします場合には、当然取扱駅というのは別に決めるわけでございまして、その駅が無人駅を管理する形で無人化が行われるということでございますが、その際には、安全性なり利用者のサービスに遺漏がないように行われるのが当然のことだと考えております。今御指摘の点につきましては、現在私の手元に資料がございませんので、また調査いたしました上で御報告をさせていただきたいというふうに思います。
  162. 小川国彦

    小川(国)分科員 緊急の際など、JRとしては、地元在住の職員を急遽招集して対応されると言っておりますが、果たしてそれで臨機応変の十分な対応ができるのか、それからまた、夜間無人駅が青少年の非行のたまり場のようなところになっても困るんではないかという懸念もあるというんですね。それから保線の問題も含めて善処が求められておりますので、この点については、ひとつ運輸省の方で御調査の上、また御回答いただきたいと思います。
  163. 秦野裕

    秦野政府委員 調査いたしました上で、また御報告いたしたいと思います。
  164. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、私は障害者交通運賃割引制度についてお尋ねをしたいと思います。  JR、民鉄は、障害者の運賃割引制度というものを導入しております。第一種障害者、障害が重く介護が必要な人に対しましては、介護者と乗車をする場合は運賃が五〇%割引となっております。ところが、第一種障害者、第二種障害者とも、単独で乗車する場合は、百一キロメートル以上の利用距離がないと割引が受けられないというふうになっているんですね。だから、こういうために、障害者が一人で利用する際、どうして百一キロを超えなければ割引が受けられないのだろうか、疑問があるわけです。ちなみに、例えば千葉から東京までは三十九・二キロ、千葉から総武本線、横須賀線直通で横須賀まで行ったとしてやっと百一・六キロということなんですね。  これは、一人でありましても二人でありましても、せっかくの障害者に対しての運賃割引制度というものを適用しているわけでありますから、百一キロという制限は取り払ってもいいのではないかというふうに私ども考えるのでありますが、この点いかがでしょうか。
  165. 秦野裕

    秦野政府委員 鉄道におきます身体障害者割引の発足いたしましたそもそもの趣旨は、身体障害によりまして介護者が御一緒でないと移動が困難であるという、いわば重度の障害の方々について、距離のいかんにかかわらず、二人分の運賃をそれぞれ半額にする、つまり一人分にするということで、実質的に健康な方と同じような負担となるということを目的として設けられたもの、そういうふうに理解をいたしております。  また、その後、運賃が特に高額になります百キロメートル以上という場合につきましては、単独乗車の場合でありましても、負担軽減を図るために、先ほどおっしゃられましたような運賃割引制度が導入されておるわけでございまして、百キロメートルということ自体は、いわゆる学割等のほかの割引制度につきましても百キロメートルを超えるということで適用があるわけでございますので、運賃の負担軽減の際の一つの基準と申しますか、目安になっておるというのが実態であろうと考えられておるわけでございます。  そこで、御指摘のような百キロメートルの制限を撤廃すべきではないかということも、確かに一つの御意見として私どもも従来から承っておるわけでございますが、割引制度は、その割り引いた減収分というものは一般的には他の利用者の方々の御負担で実施されるということになるわけでございますので、どの程度までが可能であるかということは、基本的には鉄道事業者が経営上の判断からいろいろ検討した上で実施されるべきものだと思いますけれども、そういう意味で他の利用者に御負担を願うということになりますので、やはりおのずから一定の限界があるのじゃないかという感じがいたしております。今後とも、社会福祉政策一般との整合性の問題もございます、あるいは鉄道事業者の経営にどういう影響を与えるかというような問題もございますので、その点も含めて慎重に検討すべき問題だろうと考えております。
  166. 小川国彦

    小川(国)分科員 定期乗車券の場合も五割の割引制度があるわけですが、これも介護者がいない場合、障害者が単独で利用する場合はやはり対象とならないと伺っておりますが、そのとおりですか。
  167. 秦野裕

    秦野政府委員 そのとおりでございます。
  168. 小川国彦

    小川(国)分科員 本来、障害者が移動の手段として鉄道を利用する場合、もっと近場の近距離を、しかも一人で利用することが一番多いのではないかと思うんですね。障害者が介護者と一緒にいると乗車券にしても定期券にしても購入できるのに、一人で利用する場合はどうして割り引きが受けられないのか、これは障害者の方々が思っていらっしゃる一番大きな疑念なんですね。ですから、確かにおっしゃるように他の乗車の方々、いわば健常者の方々の負担でこれを出しているんだからそこにおのずから限界があるんだとおっしゃるのでありますけれども、それでは一体このための負担は、JR日本なら東日本でどのぐらいの負担になっていらっしゃるのか、その実情はおわかりでしょうか。
  169. 秦野裕

    秦野政府委員 これは一定の前提を置いた試算でございますので、必ずしも正確かどうかあれでございますが、JR全体で、例えば百一キロ以上の距離制限を撤廃した場合には、年間で大体四十五億程度が負担になるだろうと考えております。
  170. 小川国彦

    小川(国)分科員 また、障害者が一人で切符を買う場合に、手続として、乗車券発売窓口に障害者手帳を提示して購入をすることになっているわけですね。この手続が煩雑で、しばしば障害者が予定の列車に乗りおくれることも多いと聞いているわけなんです。ですから、例えば切符の自動販売機の子供用切符を買うことで代用することはできないか、一部私鉄ではそのような例があると聞いておりますけれども、この点はいかがでしょうか。
  171. 秦野裕

    秦野政府委員 御指摘のとおり、障害者に対しまして割引の切符をお売りする際には、現在、窓口の方で手帳を見せていただいた上で発売をしているということでございます。例えば、先生お話しのございました小児用の切符でどうかという御意見もございました。既にJRでも、北海道におきまして平成四年、昨年の四月から、札幌圏の 小樽ほか四つの駅におきまして、自動販売機でもって小児乗車券をお買い求めいただき、それを改札口にお持ちいただいて、手帳を確認の上でお乗りいただくということを試行的に既に実施をいたしておりまして、その結果を見てさらに広げていくということを北海道の方でも考えておりますし、これもまた当然のことながら、他の事業者につきましてもその結果を見ながら拡大をしていきたいと考えておるところでございます。
  172. 小川国彦

    小川(国)分科員 それは普適切符の五割引きの自動販売機ということですか。
  173. 秦野裕

    秦野政府委員 小児用の切符、これはつまり五割になるわけでございますが、これをまず自動販売機でお買い求めいただく、それを窓口といいますか改札口に持っていっていただいて、そこで係員が確認をした上でお乗りいただく、こういうシステムで今試行しております。
  174. 小川国彦

    小川(国)分科員 それを実は非常に障害者の方は望んでいらっしゃるのですよ。例えば目の不自由な障害者の方が駅へ行きまして、障害者手帳を見せて切符を売ってくれるところを探すというのは大変なことなんですよ。私が視覚障害者だとして駅へ行って、じゃたくさんの自動販売機があるところで、どこに駅員がいて、話をして切符を売ってくれるところを探すかといったら、これは大変なことですね、今の自動化されたどこの駅の状況の中でも。じゃ周りの人に子供用の自動販売機はどこにありますかと聞けば、すぐそれは教えてもらえるはずですよ。そうすれば視覚障害者の人でもそこに行って小児用を買う。買った切符と障害者手帳を改札で見せれば、ああこの人は障害者の方だから小児用の半額になっているのだと駅の方も確認できるわけです。障害者の人が駅で申込書を書いて、そして手帳を提示して切符を買っていると二、三十分かかっちゃうんだそうですよ。一台、二台の列車に乗りおくれちゃうというのですね。それなら割引なくても行っちゃった方が早くていいやということにもなって、せっかくそういう制度が生かされないという面もあるので、これはぜひ北海道で実験されたことを早急に全国的に普及させる迅速なひとつ御努力をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  175. 秦野裕

    秦野政府委員 先ほど申しましたように、小樽以下の四つの駅ではほぼ一応の成果を得ていると思います。ただ、だんだん駅の規模が大きくなってまいりましてかなり混雑の度合いも激しくなってまいりますとそのときどうかという若干の問題もございますので、今北海道では今度はもう少し大きな駅の方で引き続き拡大して実験と申しますか試行してみるということにいたしておりますので、その成果を踏まえながら拡大の方向を検討してまいりたいというふうに考えております。
  176. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣、いかがでしょうか。こういう制度は督励してその結果を早く見ていただけば、私は私鉄でも実施しているところがあるというのですから、全国的にいって子供用の自動販売機で買うというのなら相当な障害者の利便にもなると思うのですが、大臣としてもこれを督励していただくお考えはいかがでしょうか。
  177. 越智伊平

    越智国務大臣 今、鉄道局長よりお答えを申し上げましたが、北海道でやっておられるその成果を見て早急に指導をしてまいりたい、かように思います。
  178. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、割引の対象の問題なんですが、今割引の対象に乗車券と急行券とあるわけですが、例えば新幹線の場合、個室あるいは一般座席を車いす使用者が利用できることになっているわけですね。例えば、東京から新大阪まで利用した場合、営業キロ数は五百五十二・六キロ、運賃は八千三百四十円プラス特急料金四千六百四十円、一万二千九百八十円ということになって、このとき割引で八千八百十円になる。個室利用の場合は、運賃が八千三百四十円プラスグリーン個室料金が一万七百二十円、一万九千六十円のところを割引で一万四千八百九十円、割引対象が乗車券だけであるので実際は五割引きどころか三割引き、個室利用の場合は二割引きになってしまう。急行電車が大幅に運転本数を減らしている現在、障害者の割引制度の趣旨としても特急料金にも割引制度を適用すべきではないか。乗車券と特急料金を含めて五割引きにすべきではないか。新幹線でサラリーマンの方の通勤定期の割引なども、伺いますとかなりな、例えばFREXという定期券の場合は東北・上越新幹線利用の際、一カ月定期五九・七%、三カ月定期で六一・七%、両者約六割引きとなっているわけですね。こういうようなものと比較するのが適切かどうかわかりませんが、それにしても障害者割引と比較して割引率が著しく障害者の場合低いのではないか。やはり割り引いてもらうなら乗車券と特急券と両方あわせて五割引き、こういうふうにならないものか。五割引き五割引きと世間ではあれなんだけれども、駅へ行ってみたら乗車券の五割引きだけで、ずっと高い特急料金はそのまま払わなければならないということで、私どもも実情を聞いて、ああそれは大変なことだな、やはり五割引きというなら乗車券と特急券と両方含めて五割引きという制度にならないものかというふうに思うのでございますが、いかがでしょうか。
  179. 秦野裕

    秦野政府委員 特急料金の割引制度につきましても、先ほど御指摘でございました距離制限百キロ以上の問題と基本的には同じ考え方になるわけでございまして、特急料金の割引をするということはやはりその分だけ一般の利用者の方々の御負担がふえるという結果になるわけでございます。額で申しますと、先ほどと同じような意味で申し上げますと、仮に特急料金を割引の対象といたしますとやはり年間五十億を超える減収額が想定されておりますので、そういう意味でかなり困難な問題であるというふうに認識をいたしております。今後とも、先ほど申しましたけれども、社会福祉政策との関連あるいはJRの経営に与えます影響等々を総合的に勘案した上で検討すべき問題であるというふうに考えております。
  180. 小川国彦

    小川(国)分科員 身体障害者のいろいろな割引制度をやることは健常者の、働いている他の利用者が負担することになるのだとおっしゃるのですが、やはり私どもも障害者の立場になって物を考えてみる必要があるのじゃないか。きょう私どもが帰り道に交通事故に遭って障害者になるかもしれない、あしたまたなるかもしれない、健常者であろうといえどもやはり常に障害者になる可能性を持っているわけですから、自分自身が障害者の立場になったときに、ああ自分も障害者で一生懸命頑張っている、だけれども健康で頑張っている人がこれだけ我々の生活を支えて、一緒に一人前になって頑張ってくれ、こういうことをやってくれているということは大変な有意義なことじゃないのかな。ですから、おっしゃるように四十五億プラス五十億ですか、乗車券と特急券とあわせて五割引きにしてあげるとJR全体でこれだけの費用負担になるということですけれども、これはJR自体もお考えいただく、あるいはそれを指導している国もお考えいただく、そういう中でやはり障害者に対する理解のある、思いやりのある政策というものが私は考えられてもいいのではないかという気がするのですが、いかがでございましょうか。
  181. 秦野裕

    秦野政府委員 ただいまお話してございました点を含め、先ほど来申し上げております経営上の問題あるいは社会福祉政策との関連の問題等々を勘案しながら、JR各社とも相談をしてまいりたいというふうに考えております。
  182. 小川国彦

    小川(国)分科員 それからもう一つ運輸省当局に御指導願いたいのは、航空運賃の割引なんですね。これは障害者が単独で利用する場合は二五%割引、重度で介護者つきの場合は本人、介護者とも二五%割引、こうなっているのです。一般に国内航空会社は障害者に対する理解が交通機関の中で一番おくれていると言われているのですね。手動の車いすさえ機内の持ち込みが許されない。したがって、車いす利用者は介護者に抱きかかえられて乗らなくちゃならない、そういう現状があるのですね。移動が困難な障害者にとっては、より早く、また体力の消耗が少なく利用できる航空機というのは非常にありがたい存在の交通機関だと 思うのであります。外国では、例えば韓国では大韓航空が国内線について五割の障害者割引を行っていると聞いておりますが、そういうようなことは運輸省は伺っておりましょうか。
  183. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいまの御指摘の大韓航空については、先生の御指摘のとおりでございます。ただ、もう一社のアシアナ航空というのがございますが、これは一般の身体障害者に対しては適用されてなくて、特別功労のあった方については三割程度の割引がある、このように聞いております。
  184. 小川国彦

    小川(国)分科員 こういうように、お隣の韓国でも障害者に対する理解を持った航空運賃の割引が進んでいるわけです。きのうきょうの新聞を見ると、航空会社も何か経営が大変のように伺っておりますけれども、これは好況、不況にかかわらず、現状、制度としては一応二五%引きをやっているわけで、そういう点では韓国の例も御研究願って、障害者が航空機を利用して移動しなければならないというのはやはりそれなりの緊急の事情なり、理由がおありになるだろうと思うのですね。ですから、さっきも私申し上げましたように、自分自身が障害者の立場になったときに、やはりどうしたって所得に限界があるわけですから、障害を持って一生懸命働いても所得に限界があるわけですから、そういうときにはやはりそういう制度があったら、ああこれは国も温かい制度をつくってくれているなということが感ぜられるのじゃないか、こういうふうに思いますので、航空運賃の割引についてもいま一段ひとつお取り組みを願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  185. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 従来からも小川先生大変この問題に対して熱心な御議論をいただき、アドバイスをいただいておりまして、大変ありがたく思っております。  基本的に、今鉄道局長お話にありましたとおり、結局は利用者負担問題でこの限界をどこに置くかというポイントがございますので、十分今後の動きを見ながら検討していきたいと思います。二五%というのは結構高い額でございまして、全体航空関係利用者が三社で年間約二十二万人程度で、減収額が約十一億程度と聞いております。そういう全体のバランスを見ながら今後検討すべき課題だ、このように理解させていただきます。
  186. 小川国彦

    小川(国)分科員 最後に、厚生省の年金局の中村さん、いらっしゃいますね。厚生省の基準でいきますと、障害者の方が、大体生まれたときからいろいろな障害を持って育ってきた。二十になると障害者年金が年間約九十万円もらえるようになった。その方が今度は働いて所得が五百万を超えてまいりますと、本人だけの場合、奥さんと二人の場合とか、子供二人の場合とかなっていって、五百万を超えると今までもらえていた年金がもらえなくなってしまうのですね。ある日突然年金が全部切られるというのは大変なことで、逓減方式じゃないですけれども、所得がふえるに従って年金額が多少減っていく、これはやむを得ないと思うのですが、ある日突然五百万を超えたらぼんと九十万の障害者年金が全部打ち切られるというのは障害者にとっても大変な一つのショックになる、痛手になることだと思うのですね。その点を何か緩和される方法についてお考えはございませんでしょうか。
  187. 中村秀一

    ○中村説明員 先生のお尋ねにお答えを申し上げます。  御指摘ございましたように、二十の前に障害になった方、これは我が国の年金制度、保険料を納めてその保険料を納めた者に応じて年金額が決まるということになっているわけですが、二十前ですと、大体保険料を納めてない時期に障害になってしまって年金をもらえない、こういう事態になりますので、そういうことを防ぐために、国民の皆さんに年金をカバーするというので、障害基礎年金という制度をつくりまして二十前の方々に対しても年金を差し上げる、拠出する、こういうふうな制度になっておるわけでございますが、この年金につきましては、いわば二十前の障害者の方につきましては全部国庫あるいは他の方の保険料で支給をしている、こういうこともありますので、従来から所得制限という形で制限をしている、こういう制度になっております。所得制限額につきましては、障害者の方の自立を促進するという観点で実際に所得制限に引っかかる方の率を一%にとどめるということで、九九%の方はそういう所得制限にかからないような制度にしているということでずっと推移してきているわけです。確かに最後の一%の方の部分につきましては、年金がとまってしまうということで一種の逆転現象が生じているというのは御指摘のとおりでございます。ただ、障害基礎年金をもらっておられる方は七十何万人おられまして、この所得制限にかかる方がその一%だということで数千人いらっしゃるということで、年金実務の問題もございまして、どういうふうにやったらそういう事態が避けられるかというのは想像以上に難しい問題もございますので、一つ検討課題として検討はさせていただきたいと思います。その辺、技術的な可能性、それから一%という支給制限率をどう考えるかというようなことと兼ね合わせて検討をさせていただきたいと思っております。
  188. 小川国彦

    小川(国)分科員 どうもありがとうございました。
  189. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)主査代理 これにて小川国彦君の質疑は終了しました。  次に、山田英介君。
  190. 山田英介

    山田分科員 私はいわゆる通勤時における混雑緩和につきまして幾つかの具体的な路線名を例示をして質問をさせていただきたい、と同時にまた、今後とも一層のお取り組みを賜りたい、こういう観点からお尋ねを申し上げたいと思っております。  まず、営団地下鉄日比谷線あるいは東武鉄道の伊勢崎線、日光線、これらの一つのターミナルステーションといいますか大きな拠点駅として北千住駅がございます。大臣におかれましても、先般御視察をいただいたやに伺っておるわけでございますが、そうだといたしましたら、これは大変ありがたいことでありまして、かつて当分科会で三塚博代議士が運輸大臣を務めておられましたときに、この分科会における質問を通しまして、ぜひ初めての運輸大臣視察を北千住駅に賜りたいというお願いを申し上げましたところ、早速それを実現していただいた、そういう経緯も踏まえまして、大臣、実際に北千住駅の混雑状況等を御視察なされましてどんな御印象を抱かれましたか、お聞かせをいただければと存じます。
  191. 越智伊平

    越智国務大臣 一月二十一日に北千住駅の視察をさせていただきました。率直に申し上げて大変な混雑ぶりだな、しかし駅の職員、アルバイトの方もいるようですが、非常によくやられるな、こういうふうに感じました。また一方、乗降客も実によくなれてスムーズに乗りかえをやっているな、こういうふうに感じました。また、通勤者の方がとにかく押し込んでやっておる、大変なことだな、しかし皆さんは非常に整然とやっておられる、こういうふうに感じまして、東京一極集中をぜひとも是正をしなければならない、それからこの鉄道施設、これをさらに強化してやっていかなければならない、また我々として時差出勤等をできるだけお願いして実行していかなければならない、こういうふうに感じました。また、北千住駅を三階にするというようなことの御説明も聞きまして、そうなれば今よりもよくなるな、こういうふうに思いました。それから、駅のホームを少し広げて、このために助かりますというようなことを駅長さん言っておりましたが、そのとおりだ、こういうふうに思いましたが、いずれにしても輸送の強化、さらに時差出勤等々を通じて少しでも緩和をしていくべきだ、それも早急にやるべきだ、こういうふうに感じて帰った次第であります。
  192. 山田英介

    山田分科員 三塚元運輸大臣が北千住駅を御視察いただいたことがまた大きな立体化、今大臣おっしゃいました立体化事業の進展に大きくはずみをつけていただいた、私はそう理解をいたして おりますが、一月二十一日の大臣の御視察でさらに一層この立体化事業に弾みがつきますよう御期待を申し上げたいと思いますし、また大臣が今御答弁なさいましたとおり、ぜひひとつ特段の推進方、御配慮をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  そこで、一階を東武鉄道専用ホーム、二階をコンコース、三階を営団地下鉄専用ホーム、こういう基本的な設計と伺っておるわけでございますが、この進捗状況、しばらく前までは平成六年度工事完成という目標でなさっておられる、このように私は理解をしていたわけでありますが、何か最近の情報、お話を伺っておりますと、平成七年度に一カ年度目標年次をずらされたのかな、こんな感じもいたしておるわけでございます。それはそれといたしまして、北千住駅ホームの立体化整備事業進捗状況及び現在お持ちになっておられる完成計画年度、これらにつきまして御説明をいただければと思います。
  193. 秦野裕

    秦野政府委員 山田先生指摘のとおり、北千住駅の改良工事を現在進めておるわけでございますが、事業費ベースでその進捗率を申し上げますと、工事費が、北千住駅の改良が総額二百二十億円でございまして、現在まで三十七億円の工事を実施をいたしております。進捗率は一七%ということになります。なお、ちなみに竹ノ塚から北越谷までの複々線化は、総事業費六百二十億円、実施額が二百二十一億円で、進捗率は三六%でございます。いずれも平成九年十二月の竣工を目指して現在工事を進めておるということでございます。
  194. 山田英介

    山田分科員 平成九年度と言うのでさらにまたという感じがいたしているわけでございますけれども、北越谷-竹ノ塚間の複々線化工事は別といたしまして、北千住駅ホームの立体化事業につきましては九年度というのは私初耳でございますので、これは大変なことでございますが、そこのところもう一度確認させていただきます。
  195. 秦野裕

    秦野政府委員 工事に当たりまして、関係事業者、つまり営団あるいは東武鉄道との間の調整に若干時間を要しまして、現在のところ平成八年の竣工ということで進めておるところでございます。
  196. 山田英介

    山田分科員 それはそれでわかりました。ただ、この路線は後背地が相当奥深うございまして、御案内のとおりでありますが、全国レベルで見ても相当上位の人口急増地域である。そこの公共輸送機関としてはほとんど唯一のものであります。したがいまして、極めて重要な路線になっているわけであります。この混雑が年々激しくなっておることを考えまして、竣工目標を平成八年度となさっておるということでありますけれども、ぜひ少しでも時期的に早く竣工できるように特段の御努力を賜りたい、このようにお願いしたいと思いますが、いかがでありましょうか。
  197. 秦野裕

    秦野政府委員 御指摘のとおり、極力早期完成を目指して全力を尽くすように指導いたします。     〔佐藤(敬夫)主査代理退席、主査着席〕
  198. 山田英介

    山田分科員 そこで私はかねてから質の高い鉄道輸送サービスの提供が一方において大変重要であると、それぞれの御努力をいただいているわけでありますけれども、その具体的な考え方として、東武鉄道の伊勢崎線と日光線が準急を走らせておるわけですが、それはすべて浅草行きということになっております。ところが、準急ではない、各駅に停車する車両につきましては日比谷線と相互乗り入れという形になっておりますから、北千住で乗りかえなくても営団地下鉄の日比谷線の線路あるいはトンネルに入っていくことができているわけですね。それは相互に乗り入れが既にもう実現をしているわけであります。準急の営団地下鉄日比谷線への乗り入れ、また営団地下鉄日比谷線から出てまいりました電車の車両の北千住以遠における準急化、いわゆる準急の相互乗り入れという言い方でよろしいのかなという感じがしておりますけれども、これについては、平成九年度竣工目途で進めております北千住駅のホームの立体化ができ上がりますと構造上可能になるのではないのか。  従来いろいろ議論させていただいた、あるいはお伺いをした話を要約いたしますと、一つは、平面に線路が全部敷設されているわけですから、これを準急と各駅の振り分けをするためには上か下に線路をクロスさせなければならない、そういう莫大な投資が必要であることに加えて、あそこにはたしか荒川だと思いますが、北千住駅のすぐそばに大きな河川が流れておりまして、その鉄橋と北千住駅との間隔が極めて短いというところも障害になっておる。したがって、投資的な面からも技術的な構造上の面からも大変難しいというふうに御説明を私は今日まで伺ってきたわけでありますが、北千住駅のホームを三階建てにするということになりますと、当然今平面で走ってきている車両の線路を、少なくとも営団地下鉄を三階に持ってくるわけですから、それは上へ上げてくるわけであります。そして東武の車両は一階部分のホームを主に使われるわけでありますから、その意味で立体的な構造になるわけでありますから、立体化が完成すれば準急の日比谷線との相互乗り入れというものは構造上は可能になるのではないのか、この点を確認したいことと、それと裏腹の関係になりますけれども、構造上可能であるとすれば、あとはダイヤ編成技術上の問題、あるいは東武鉄道と営団地下鉄が、ではそうやりましようというふうに考え方が一致するかしないか、選択する政策の問題ということになるのではないかと私は考えておりますが、ここのところは、沿線住民も言ってみれば極めて大きな関心あるいは期待を寄せている具体的ないろいろある政策の中の一つということでありますけれども、そこのところをぜひひとつ御答弁あるいは確認をお願いしたいと思います。
  199. 秦野裕

    秦野政府委員 東武伊勢崎線の準急を営団地下鉄の方へ直通で乗り入れるという、確かに乗りかえの利便という点では非常に望ましいことだというふうに私ども認識しておりますが、御案内のとおり現在ラッシュ混雑の緩和策としまして、先ほど申し上げました北千住駅の改良と複々線工事、それからもう一つ車両の大型化あるいは長編成化というものを進めておるわけでございまして、特に今お話しの準急列車につきましては、現在一部八両編成で運行しておりますが、これを全列車、いわゆる二十メートル型の車両で十両という形で輸送力の増強を図るということにいたしておるわけでございます。現在の混雑率約二〇〇%でございますけれども、これらを進めることによりまして平成九年度には約一六〇%ぐらいになるであろう、こういう目算で計算をしておるわけでございます。  そこで、御指摘のように準急列車を日比谷線に直通運転をするという場合には、先ほど申し上げた二十メートル車両を十両編成で運転をしておりますが、営団日比谷線の方の容量が十八メートル車両の八両編成、実はこれが現在の構造上最大でございまして、したがいまして二十メートル車両十両編成という車両が入らないということになるわけでございます。もし、十八メートル車両八両で、要するに営団地下鉄日比谷線が入れるような車両で運行するということになりますと今度は輸送力の方が落ちてしまうということで、いわば輸送力をとるか、乗りかえの利便性をとるかという二者択一のような話になるわけでございまして、とりあえず当面の話としましては、やはり輸送力の増強、混雑緩和ということを優先させるという観点から申しますと伊勢崎線の準急の大型化あるいは車両編成の増大という方に私どもとしましてはウエートを置きたいというふうに考えておるわけでございますが、さらに、なるべく輸送時間の短縮、その他サービスの改善につきましては今後とも十分意を用いていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  200. 山田英介

    山田分科員 御答弁の趣旨はよく理解できます。輸送量、輸送力を確保するのか強化するのか、あるいは利用者の利便の向上をするのかという、まさに際の話になるわけであります。したがって、いわゆる二十メートル車両あるいは十八 メートルの日比谷線が受け入れられる設計の車両という問題はありますけれども、構造上は立体化することによって乗り入れが可能になる。問題は、そこの輸送量の確保なのか、あるいはサービスの方もやろうとするのか、どっちにウエートを置くか。これは、当面混雑の現状に照らしてみれば輸送力、輸送量の増大、確保というところにウエートを置きたい。ただしかし、そういうサービスの質的な向上という私の提案につきましても、これは否定をなさることではなくて、当面そういう方針でいくけれども状況を見ながら検討をしていただける、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  201. 秦野裕

    秦野政府委員 構造上はいわゆる渡り線をつければ先生お話しのように可能なわけでございまして、あとは今申し上げたような問題が残るわけでございます。私どもも、考え方としまして利用者の利便が少しでも増進するようにいろいろ工夫していくということは当然のことと考えております。
  202. 山田英介

    山田分科員 それから一つは、指摘しておきたいなどというと大げさになりますが、将来立体化が竣工した場合には、乗客は春日部とか越谷とか後背地から準急を利用して北千住に到達をするわけでありますが、今お話ございましたように、それは原則的に一階の東武専用ホームに到着をする。そうすると、三階の日比谷線を利用する人々はコンコースを通って三階まで上がって乗りかえるということに当然なるわけであります。そうなると、エレベーターとかエスカレーター、エスカレーターが主だろうと思いますが、可能な限り整備をしてまいる方針だということはかつての当分科会における私の質問で御答弁をいただいているわけでありますが、それはそれといたしまして、その一階から三階へ、どの程度の時間がかかるのかにもよるのですけれども、乗客皆さんというのは朝のあの忙しい時間を使うわけでありますから、三十秒、一分、一分、三十秒という時間の争い、それは非常に大事になさるわけでありまして、三階に上がることを考えたときに、手前の西新井という準急停車駅があるのですが、場合によってはそこで日比谷線に乗りかえるという方々がかなり多く出てきはしないかという心配を実は私はしておるわけであります。ですから、準急で西新井まで来ました。北千住まで行きますと日比谷線を利用するためには乗りかえで三階まで上がらなければならないので、平面で利用できるその日比谷線に乗りかえちゃう。そうすると、西新井のホームの容量といいますかキャパシティーといいますか、その辺危険なことになってはなりません。  その辺は当然お考えになっておられるのでしょうけれども、実はそんなことも一つまたありまして、全部が全部というわけではありませんけれども、いわゆる準急の日比谷線への直接乗り入れ、あるいは日比谷線から出てきて北千住以遠における準急化ということを一つにはお願いをしているわけでありますけれども、その辺いかがでございますか。
  203. 秦野裕

    秦野政府委員 一階と三階というふうに北千住駅が分かれるわけでございますので、先生指摘のとおり乗りかえに若干の時間を要するということになろうと思います。できる限りこれは乗りかえ時間を少なくするためにエスカレーターあるいはエレベーター、エスカレーターを二十七基、エレベーターを四基整備いたしまして、極力乗りかえの便を図るようにいたしますが、ただいまお話しのように手前の方の駅で乗りかえる可能性も出るではないか。私自身もちょっとまだそこまで十分認識しておりませんけれども、会社の方に確認をいたしまして、その辺、もしそういうことになった場合の安全対策あるいはサービス対策に遺漏が起きないように十分配慮してまいりたいと考えております。
  204. 山田英介

    山田分科員 次に、埼玉県の大宮市、上越、東北新幹線のそれぞれの結節点でもあるわけでありますが大宮市、それから東武鉄道野田線の沿線の岩槻市あるいは春日部市、庄和町、そこから先は千葉県側に入りますけれども、既にこの三市一町で、JR京浜東北線と東武鉄道野田線の相互乗り入れ、並びにこの東武野田線につきましては岩槻以遠が単線でありますので相互乗り入れとセットで複線化、この実現を目指しまして期成同盟会というものを自治体が結成をして、既に数年が経過をいたしております。それぞれの年度で、この期成促進同盟会、各自治体の集合体から運輸省当局にもいろいろな要請がなされているかと承知しておりますが、JRと東武鉄道野田線の相互乗り入れというのはいろいろな問題があるのだろうと思います。  ただしかし、例えば新線を建設するというようなことになりますと、口で言うのは簡単でありますけれども、今の時代、新線整備、建設などということはなかなか容易な事業ではないということもまた踏まえて、そうなりますと、既存のそれぞれの鉄道というものを組み合わせて魅力ある鉄道ネットワークを構築していく、つくり上げていくということが大変重要なのだと私は思います。ですから、例えば、JRの規格とか、専門用語で言うと限界という言葉を使われるのだそうですけれども、東武鉄道のそれと比べてかなりの落差があるというか違いがあるというようなことは、幾らそこのところを強調したとしても余り益のないことでありまして、むしろそうではなくて、そういう既存の鉄道路線というものの組み合わせがどうしたら可能になるのか、またそれを積極的に推進をして利用者の利便に供する、あるいは魅力ある沿線の地域づくりに役立てていく、そういう考え方が必要だと思われます。  そこで、JR京浜東北線と東武野田線の相互乗り入れにつきまして、私の立場からも、前向きに積極的に運輸省としてもリーダーシップを発揮されて、御検討をぜひお願いをしたいと考えておりますが、いかがでありましょうか。
  205. 秦野裕

    秦野政府委員 御指摘のとおり、異なる線をまたがって乗車する場合に、できれば直通運転、そうでない場合でも乗り継ぎを極力便利にすることは、私どもも非常に重要なことだと認識をいたしております。  ただいま先生指摘の東北線と野田線との相互乗り入れでございますが、先生既に御案内のとおりでございますけれども、今おっしゃいましたように、信号方式あるいは車両幅の限界が違いますものですから、相当大幅な取りかえをしないとできないとかあるいは駅そのものについてのかなりの改良工事が要るとかいろいろな問題がございます。したがいまして、相当多額の投資を必要といたしますので、そういう面から考えますと非常に難しいということになるわけでございます。それで、当面考えておりますのは、なるべく階段をふやして、しかも手前の方につくって乗りかえに便利になるようにするとか、あるいはホームの幅を極力広げてお客様の混雑を少なくするとか、とりあえずの対策としては検討をいたしておるところでございます。  したがいまして、多額の設備投資の額と、それによって生じます効果とのいわば比較の問題になるわけでございます。限られた資金でございますので、極力有効に投資をしていくという観点ももちろん必要であろうと考えておりますが、先生指摘のような趣旨を踏まえてさらに検討を進めていくことにいたしたいと考えております。
  206. 山田英介

    山田分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  最後になりますが、これはお願いということであります。JRと東武鉄道のそれぞれの列車が乗り入れる栗橋駅というのが埼玉県にございます。この栗橋駅の、かなり大きな駅なんですが、その意味でぜひ西口を開設してもらいたい。非常に長い間の懸案が地元要望としてございまして、こういう予算分科会お願いするというか取り上げさせていただくのは実は今回初めてなわけでありますが、地元の方々がまた余り熱心に期待をされておるものですから、大変恐縮ではありますけれども、現在、埼玉県の大利根町それから栗橋町、この二つの自治体が、栗橋駅の改築といいますか橋上駅に、そして西口も開設をしていただきたい ということを目標にいたしまして、区画整理事業とか駅前広場の確保とか幹線道路の確保、そういうかなりしんどい作業に一生懸命、悪戦苦闘しながら条件を整えるために努力をしているわけでございます。その目鼻が今ついたということではないのでありますけれども、そういう諸条件が整いましたときには、地元の大利根町とか栗橋町の自治体の皆さん運輸省を含めて当然御相談等お願いに上がるわけでございます。既に、今日こういう状況のもとであっても、JRに伺ったりあるいは東武鉄道本社に伺ったりして自治体サイドの努力がされているわけでありますが、そのときには、地元の強い要望を踏まえて運輸省におかれましても特段の御対応をぜひお願いを申し上げたい、御支援をいただきたいと思っております。地元皆さんも関心を持っておりますものですから、どうぞ温かい御答弁を一言お願いいたしたいと思います。
  207. 秦野裕

    秦野政府委員 地元の方で栗橋駅の計画についての具体的な案がまだ固まっていない段階ではないかと承知をいたしておりますけれども、その事業化のために、費用負担を含めまして当然これからいろいろ御検討がなされることと思います。そういう地元におきます案がまとまりまして東日本の方と折衝するということになりました場合には、当然積極的に対応するように会社の方を指導してまいりたいと思います。
  208. 山田英介

    山田分科員 ありがとうございました。
  209. 大石千八

    大石主査 これにて山田英介君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  210. 大石千八

    大石主査 次に、郵政省所管について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。常松裕志君。
  211. 常松裕志

    常松分科員 まず第一に、多摩地区の電話料金のことについてお尋ねをいたします。  私は、東京都国分寺市に住んでおります。東京には二十三区と私どものような下々の市に住む者とがございまして、私どものことをよく東京都かというようなことで称されるのですが、そういう話を聞くと、私なども大変腹を立てるのです。多摩地区の者をよく東京都かの都民などというふうに言われるわけであります。この東京都かということがあるからでしょう。いろいろな差別がありまして、例えば一番ひどいのが高速道路の料金なんですけれども、東京から、三宅坂から乗りますと首都高で高井戸までで六百円ですか、高井戸をおりて、私なんかの府中国分寺のインターでおりるとまた五百円取られる、千百円取られる。同じ東京都民でありながら、二十三区だと六百円でよくて、市の方まで乗りますと千百円だとか、こんなひどい格差があります。  多摩地区選出で私の選挙区が四名、それからお隣の選挙区が五名、九人の代議士がおりますが、この九人の代議士で三多摩格差解消推進議員連盟なんというのをつくりまして、これは座長が前防衛庁長官の石川要三代議士でありまして、石川要三代議士を筆頭に私どもの山花委員長もおりまして、みんなでとにかく三多摩の格差をなくしていこう、こういうことで頑張っているわけです。  その三多摩の格差でおよそ二番目ぐらいにひどいと思うのが電話であります。いや、第一かもしれない。とにかく多摩地区の我々は〇三じゃないのです。〇四二二から始まりまして〇四二三、〇四二四、〇四二五、〇四二八まで全部で八つの種類の電話番号があるのです。それで、武蔵野市から隣の国分寺市にかけるとこれが市外料金、こういうことになるわけです。ですから、一千二百万人ぐらいの東京都民の中で三百六十五万のこの多摩地区の住民は、同じ東京都民でありながら〇三の電話でかけられない。国分寺市に例えば私がこの国会から電話しますと、これは市外料金。こういう電話料金の格差が、これがもしかすると高速道路の差よりももっとひどいのじゃないか、こう思っておりまして、ぜひ大臣にこの格差をなくしてもらいたいという立場から御質問するわけなんです。  その前に、何か電話料金の値上げをするというようなことがちょっと新聞に出ました。こんな格差をそのままにして電話料金の値上げなんというのはとんでもないというふうに石川座長以下みんなで怒っているところなんですけれども、どうなんでしょうか、NTTの意向が新聞に出ましたけれども、こういうのを認めていくということになるのでしょうか。
  212. 白井太

    ○白井政府委員 お答えを申し上げます。  NTTの財務の状況が、昨今の経済環境を反映してか、このところ少しずつ悪くなってきておりまして、そのような事情を踏まえまして、NTTとしては何とか財務の状況を改善したいという強い御意向を持っておられるわけであります。その一つとして、できるだけ事業経営の効率化を図りたいというようなことも考えておられるようであります。あわせて、それだけではどうも財務の状況は完全に改善されるというところまではいかないのではないかというお考えのもとにだと思いますが、電話料金の見直しもしたいというようなことを、社長などが記者会見の席などでそうした考え方を表明しておるようでありまして、まだ私どもとしては正式にそのようなNTTの御意向を伺っているということではございませんが、来年度の事業計画を立てるというような時期に当たりまして、そうした財務の改善について料金値上げを含めて検討したいという意向をいろいろなところでNTTが言っておられるということでございます。
  213. 常松裕志

    常松分科員 それで、郵政省としてはそういう場合、正式じゃないというから検討もしてないのかもしれませんけれども、どんなふうに考えていらっしゃいますか、値上げの問題について。
  214. 白井太

    ○白井政府委員 私どもとして率直に申し上げまして、NTTが電気通信という極めて公益性の高い仕事をしておられるということも考えますと、NTTの財務がどのようになっても構わないというような気持ちは持っておるわけではございません。しかし、一般的にはどのような企業におきましても、やはり財務が悪化いたしますとまずそれぞれの企業なりの効率化、合理化などの努力をされるということがどこの企業でも行われているということでありますので、私どもとしては、そうした悪化する財務を改善するのに何とか合理化、効率化でこれを吸収することができないかということをよく検討していただきたいという気持ちをまずは持っております。しかし、それでもどうしてもその財務が改善できないというようなことになりますと、料金の改定ということもやはり考える対象には入れなければいけないかという気持ちを持っておるというのが率直な状況でございます。
  215. 常松裕志

    常松分科員 できるだけ抑えてもらわなければいけないと思っておりますが、実はそういう料金の改定、料金の引き上げですか、特に市内料金の引き上げというようなこととは別に、やはり郵政省の中でもあるいはNTTの中でも電話料金のあり方についての検討が行われているというように承っているわけなんです。先ほど言いましたような、同じ県あるいは同じ都でありながらいろいろな種類の電話料金がある、こういうことについても含めた検討が行われているというふうに聞いているのですが、郵政省の方ではどういう検討をしてどんな結論が出ているのでしょうか。
  216. 白井太

    ○白井政府委員 実は先生の冒頭のお話にも関連するわけでございますが、私どもとしましては、いろいろ電話料金をめぐっての問題があるわけでありますが、その中でも特に近距離の通話のあり方につきまして調査研究会という一種の勉強会を持ちまして、部外の有識者の方にも参画をお願いしていろいろな角度からの勉強をしてまいったわけであります。その結果、昨年の六月に、一応研究会というのが勉強結果を報告書というような形で取りまとめられたわけであります。その報告書によりますと、先ほど冒頭の先生お話にかかわる部分だけ一口に申し上げさせていただきますと、いわゆる三分十円の単位料金区域というものについてはそれなりに理由があるものと見てよい、ただ、地域によってはやはり若干そうしたも のも見直しをすることも考えてもよいのではないかというようなところもあるということで、特に経済発展などで都市化が急速に進んだところで通話が終始する、つまり発信をするのと受けるところが一つの料金区域の中では余り多くないというようなところについては、その単位料金区域のあり方についても見直すということも考えてみるべきではないかというような御指摘も、御指摘と申しますか、報告書の中でそのような記述もあるわけでございます。
  217. 常松裕志

    常松分科員 もう少しすかっとわかりやすく答えてもらわないと、僕は郵政は全然素人だからよくわからないのですけれども、要は、今言ったように、例えば〇四二二なんという区域は非常に狭いのですね。ですから、市内通話料金よりも市外、というのはつまり都内にかけたりお隣の町にかけたりする料金が非常に多くなってしまうという不合理があります。したがって、こういう不合理をなくせということですね、今の郵政省の研究の結果というのは。こういうふうに理解していいですね。つまりその場合、〇四二二なんという狭いところじゃなくて、思い切って全部、東京都全体を〇三といいますか一つの料金区域にするように、こういう改定をしてもらいたいというのが私たち、私だけじゃなくて三百六十五万の三多摩都民全部の願いなんですけれども、こういう方向での検討を、ひとつ大臣、お願いできないものでしょうか。
  218. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私が質問者の立場だったら同じような質問をしたと思うのです。全くおかしいと思います。しかし、いろいろな難しい問題もあるようです。難しい問題があっても、今委員御指摘の問題はもっともな点だと私は思いますので、それを何とか是正する方法はないものか、努力をさせて、検討したいと思います。少しお時間をいただきたいと思います。
  219. 常松裕志

    常松分科員 思い切ったことを言う大臣ということですけれども、この点も非常に前向きな答弁で、全くありがたく思っております。本当に三百六十五万都民みんなの願いでございますから、大臣、ぜひひとつ前向きに御努力をいただきたいということを御要望申し上げておきます。  次に、郵便局の問題を中心に少しお尋ねをしたいと思います。  大臣、三多摩地区の郵便局で働く方々は非常によくお仕事をしていると私は思うのです。三多摩だけじゃなくて全国もそうかもしれませんが、非常によくお仕事をなさっている。よく誤解されておりますけれども、郵便局というのは独立採算制で安い料金でやっているわけでありまして、何か国から援助がされているのじゃないかなんという誤解もありますが、私の理解でいえば、独立採算性で安い料金で良質なサービスを提供している。これはやはり郵便局で働く労働者やその関係の方々が一生懸命お仕事をなさっているためだろう、こういうことで、本当にありがたく思っていますし、大臣を初め皆さんの御努力を多としているわけであります。  そういう中で、先日、加えて私たちを非常に喜ばせてくれた問題がありました。新聞の記事ですけれども、郵便局に社会福祉施設を合築する、こういう新聞の記事が出たわけです。これはみんなが本当に喜びました。とにかく社会福祉施設をつくる、例えば老人ホームとか精神障害者のいろいろな通所の施設とか、東京の場合、なかなかつくる場所がありませんから、郵便局に合築できるというのならば、郵便局というのはどこも非常に便利な場所にありますから、これはいいやということで、三多摩みんな大喜びになりまして、これはいいや、さすが郵政省だ、こういうことになったわけなんです。  ここで、小金井の郵便局が改築されるのですけれども、この小金井の郵便局には社会福祉施設なんかを合築するような条件があるのでしょうか。
  220. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 先生指摘のように、私ども、郵便局と社会福祉施設との合築につきまして調査研究会を平成三年度に設けまして、約一年弱検討をやって報告書をいただいたわけでございますが、その報告書の内容に即しまして、私ども、いろいろ取り組んでまいろうというふうに思っております。  今先生の方から、具体的に小金井郵便局というお話がございまして、そこではどうかというお話でございますが、確かに小金井郵便局につきましては昭和四十三年に新築をした局舎でございまして、もう既に二十四年経過した老朽化した局舎という段階になっております。また、人口の伸び率でございますとか郵便物数の伸びというふうなことになりまして、局舎の狭隘ということも出ておりますので、平成四年度、今年度の予算でございますが、既に着工するという段階に至っております。完成平成七年二月を目標にいたしております。  現在位置での建築でございますが、建物面積が八千六百平米という計画で、鉄筋コンクリートづくりでございます。地上五階、地下一階というふうな郵便局を計画いたしておるところでございますけれども、この面積は各郵政事業、郵便、貯金、保険の事業を円滑に推進する面積で目いっぱいというふうな状況になっておりまして、ここ小金井における合築というのは難しい、そんな状況でございます。
  221. 常松裕志

    常松分科員 小金井の郵便局を改築するというのは非常にいいことでありまして、とにかく年末年始の繁忙期なんかはプレハブをつくってやっているわけですから、本当に大変だと思っていたのです。ここで改築されると聞いて非常にうれしいのですけれども、その小金井で合築ができない。恐らく、これからいろいろな局で改築しますけれども、今の条件では、多摩地区の郵便局を改築しても、そこで社会福祉施設をあの研究会の報告書どおり合築するのはなかなか困難じゃないかというふうに、この小金井のことを調べているうちに思ったのですが、実際どうなんですか、つくれるところがありそうですか、それとも実際は無理なんですか。
  222. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 私ども、そういう条件に合致した郵便局がないだろうかということで、都内でございますけれども、先生がお住まいの多摩ではないのですが、第一号目として取りかかっておりますのが、両国郵便局に合築しようということで今推進中です。それ以外のところではまだ具体的な計画は持っておりません。
  223. 常松裕志

    常松分科員 両国は都内でありまして、私の方は多摩でありますから。その多摩で社会福祉施設が足りないのですね。  それで、結論だけ言いますと、現在の容積率や何かの中だけでは正直言うと合築はなかなかできない。しかし、ああいう報告が出ていますから、大臣、郵便局にできるだろうというふうにみんな期待しているのです。ところが、今のところにそのまま建てかえた場合に、人口がどんどんふえていますから、郵政事業、郵便にしても貯金にしても保険にしても仕事量もどんどんふえていますから、そこに合築するというのは容積率や建ぺい率その他の点から実際なかなか困難なんですね。  ですから、しかし一方では期待されていますから、そのためには大臣の方で御努力いただいて、建設大臣あるいは自治大臣とお話しいただいて、そういうところの規制の緩和をしながら合築の可能性を広げていただかないと、期待ばかりあって実際には何もできないということになってしまうものですから、その辺の規制緩和について他省庁との御協議をぜひ進めていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  224. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 先ほど先生も御指摘になりましたように、大都市部、特に東京中心にいたしましたそういう部署におきましては、郵便局そのものの容積率がもうこれで限度いっぱいというふうな実態でございまして、そういう意味では郵便物数への対応も非常に難しいような情勢でございます。  今回の報告書におきましては、大都市部における合築による社会福祉施設の整備を促進、支援できるよう、容積率制限の運用について地方公共団体等と連携をとりつつ検討することが望まれると いうふうな報告をいただいております。私ども郵政省といたしましても、このことを勘案いたしまして関係方面と対応してまいりたい、こんなふうに思っております。
  225. 常松裕志

    常松分科員 大臣、今の局長の答弁は役所っぽい答弁だったのですけれども、都民の見ている目は、あの報告書を見て、高齢者の施設なんか今足りませんから、ああ郵便局にもしかしたらできるのじゃないかな、こういう期待を持っているのですね。持っているだけに、その期待にこたえるためには、新聞にも大きく出てしまっているわけですから、こたえるためにはそういう努力を本当に真剣にやってもらいたいということを私は要望いたしておきます。  同時に、立川の局も、これが古くて狭くて、働いている人たちも大変です。立川だけじゃないのです、あっちこっち随分あるのですけれども、多摩の中心の立川の局なんかはできるだけ早く建てかえることはできないのでしょうか、どうなんでしょうか。
  226. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 これも具体的に立川郵便局という御指摘をいただきましたが、これにつきましては、先ほどちょっと勘違いをして発言したのですけれども、平成五年度予算の政府原案に盛り込まれておりますので、今後、御指摘のあった点も十分考えて具体的な検討をやってまいりたいというふうに思っております。
  227. 常松裕志

    常松分科員 そうすると、立川の局は五年度で改築できるということでしょうか。
  228. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 五年度の予算でございますので、設計をやり、それから着工にという段取りでございますので、一気に五年度に改築ということにはなりませんが、御了解いただきたいと思います。
  229. 常松裕志

    常松分科員 それはありがとうございます。  そういうときに、局に行っても今トイレがないのですね。非常に並んだりする。こういうことも要望が出ていますから、そういうことをぜひひとつ検討してもらいたいのと、あとやはり社会福祉施設まで一挙にいかなくとも、やはり郵便局の中で例えばカルチャースクールをやるとか、昼間、繁忙期以外はあいている部屋なんかもありますから、もっと地域に密着していくという点でそういうようなことを積極的にやったらどうだろうというふうに思います。  もう一つお願いあるいは提案は、合築の対象として社会福祉施設が入っていますけれども、幾つか条件が並べられております。その条件に適応できるだろうと思うのは、私は実は、精神障害者の方々の授産施設といいますか、共同作業所なんていうふうに言われているのですが、そういう方々のリハビリのための施設なんかも合築の条件には入るのではないかと思うのです。こういうこともぜひ検討して、これからの合築やらあるいは郵便局の市民への開放なんというときにぜひ検討してもらいたい課題なんですけれども、余り時間がありませんから一言だけ御答弁ください。
  230. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 郵便局をできるだけ地域の方々に利用していただけるような、そういういろいろな工夫は、今後の新築に当たりましてやってまいりたいというふうに思います。  最後にお話のありました精神障害者の方のリハビリの施設の合築という点につきましては、実はこれは報告書の中でもいろいろな建築の基準といいましょうか、安全性、運用の問題、設計基準というような条件がございまして、私ども今調べた限りでございますけれども、このリハビリ施設につきましては、敷地面積は原則として建築面積の三倍以上確保しなければならない、そういう条件がついてございますので、そういう意味では厳しい条件で、郵便局と合築するということになりますと、今考えております条件では非常にこれは難しいのかなというふうな感じがいたしております。
  231. 常松裕志

    常松分科員 いずれにしても、ぜひ前向きに研究、検討していただきたいと思います。  次に、私の住んでおります国分寺市に郵政省の官舎がございます。この問題について二、三質問させていただきます。  この西元町の一丁目にあります郵政省の官舎なんですけれども、これはもう建てかえる時期に来ているのです。これは大臣、ひどい建物なんです、そう言ったら悪いのだけれども。広い敷地に今何戸くらい住んでいるのかな、百戸住んでいないのじゃないでしょうか。そういう点では、土地という点からいってもむだなのですね。これは建てかえるということで計画が進んでいるそうですが、次のようなことについて順次答えてください。  建てかえの時期、それから建てかえる場所、どこに建てかえる予定であるのか、それから新しい宿舎の戸数、家賃は幾らくらいになるのか、一戸当たりの面積は一体どの程度になるのか、相変わらず狭い郵政官舎なのか、それとも少しは悪評を克服して広い官舎になるのか、それから一番問題なのは、その建てかえになった場合、今の官舎に住んでいる方々がそのまま入居できるのかどうかという心配を皆さんしているのですね。それらの五つほどになりますけれども、手短にひとつお答えください。
  232. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 先生から御指摘ありましたところの国分寺の宿舎の建てかえにつきましては、御承知のとおり、現在東京都が検討しておりますところの西国分寺地区整備計画の中で、東京都等関係機関と協議しながら宿舎の建設は行っていく予定でございます。  まず土地の問題につきましては、東京都では、郵政省が新しい宿舎用地として予定しているところの土地を含めたところの土地を平成五年度に国鉄清算事業団から買い取るという方向で検討がなされていると聞いておりますけれども、もしそのようになれば、その土地を当省は新しい宿舎の建設予定地として都との間で換地によって取得する予定であります。  それから、スケジュールの件についてお尋ねがありましたけれども、このスケジュールにつきましては、予算事情だとか埋蔵文化財の調査等の進行状況によりますので、現在確定的に申し上げられる段階にはないということでございます。  それから、規模についてお尋ねがありました。当該用地に世帯用四百戸、それから独身用四百戸、合わせまして宿舎として八百ほど建設したいというふうに私ども考えております。  家賃、それから今入っておられる方が入れるのかどうかというお尋ねがありましたけれども、まず家賃につきましては……(常松分科員「面積なんかは広くなるの」と呼ぶ)現在の官舎が三十六平米くらいでございますが、これを三LDK、六十四平米タイプにしたいと私ども考えております。そうしますと宿舎借料は、御存じのとおり国家公務員宿舎法を初めとする関係法令の定めるところの面積だとか、それから新築後の経過年数等を基準にして設定されておりますので、現在よりも広くなるということと新築であるということでかなり高いものになります。現在ちょっと試算してみますと、二万二千円ぐらいになるだろうというふうに考えております。  また、現在の入居者が新しいところに入れるのかどうかということでございますが、この宿舎の貸与につきましては、国家公務員宿舎法を初めとする関係法令の定めるところによりまして入居させているわけでありますけれども、現在七十一世帯ほど入っております。この七十一世帯の方から新しい官舎に入りたいというふうな申請があった場合には、この法令の範囲内で極力入居できるようにしたいと思っております。そしてまた、いずれにしましても必ずいずれかの官舎には入れるようにしたいと考えております。
  233. 常松裕志

    常松分科員 終わります。
  234. 大石千八

    大石主査 これにて常松裕志君の質疑は終了いたしました。  次に、後藤茂君。
  235. 後藤茂

    後藤分科員 まず最初に、大臣に御質問してみたいと思うのですが、私のところにたくさん手紙が参りまして、大臣は保険だとかあるいは貯金だとか大変見識ある発言をされているが、切手発行 政策等についてどういうお考えを持っているのだろうか、こういうことをぜひひとつ大臣に聞いてみていただきたい、こういう手紙が私のところにもたくさん参ってきております。  大臣のおじいさんは逓信大臣をやっていらっしゃいますし、またお父さんもそのおじいさんの秘書官ですか、やっておられる。あるいは、大臣はロンドン大学ですか、イギリスの方で勉強もされているわけです。  イギリスというのは、これがいわゆる郵便の創始者のローランド・ヒルの生まれたところでもございますし、今日でもイギリスの切手は国名が書かれていないことは大臣も御承知だと思うのです。エリザベス女王のシルエットが入っているだけですが、それほどイギリスは郵便切手に対して大変に誇りに思っている。国際的にも世界各国いろいろな趣味がございますけれども、趣味の王者あるいは王者の趣味といいますか、切手の愛好者というのは非常に多いし、それがまた切手の収集等を通じて国際的な友好を深めていく、あるいはまたそれぞれの国の文化なり歴史なりを学んでいく、異文化を理解をしていく、こういう点に役立っていると思うのですね。  そういう意味で私は、大臣が就任されましてからの言動を見ておりながら、大臣は切手に対するどういうお考えを持っておられるだろうか。郵政省のルーツはやはり郵便から始まっているわけでございますし、おじいさんのときに逓信大臣として活躍をされた、その血を継いでおられる大臣にまず最初にそのことをぜひ聞いてみたいな、ぜひ聞いてくれということもございますので、ひとつ大臣のお考えを聞かせていただきたい。
  236. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 切手といえば、私も切手を集めるのが趣味だったのです、小学校のころから。今考えてみますと、手に入りにくい時代の方が私は一生懸命集めたと思うのです。だんだん大きくなりまして、おやじも国会で逓信委員をしていたことがある。そうすると、新しい記念切手が発行されますと、私が切手を集めるのが趣味だということを知っていましたから持ってきてくれる。比較的容易に手に入るようになると集めるのがむしろ余りおもしろくなくなっちゃった。それで大人になってから今中断しておりますが、それでも小学校から集めた切手というのは今でも私は保存しております。  ですから、切手を集める、単に切手代を払えば手紙が届く、はがきが届くということだけじゃなくて、切手あるいは記念切手を見て、風景やら動物やら植物やらあるいは有名人やら、そういうものを見ながらいろいろ得るところが多いんじゃないかな、私のわずかながらの集めていたころの思い出を振り返ってみてもそういう気がいたします。  ですから、どうせ切手を発行するなら、集めている人の立場考えながら、切手収集を趣味にしている人の気持ちも考えながら、できるだけいい切手を発行していきたいな、そういうふうに考えております。
  237. 後藤茂

    後藤分科員 大変収集家も喜ぶような、これは単に日本の収集家だけじゃなしに、たくさん私どものところに世界の収集家から手紙等来ますと、こういうふうないろいろな情報として世界に伝わっていくのでありましょうし、ぜひ大変関心を深めて切手発行政策にも努力をしていただきたいということを冒頭申し上げておきたいと思います。  私は、この分科会で毎国会のように、今すぐれた文化人という方々は例えば文化勲章をもらうとか、あるいは文化奨励賞のような形あるいはまた勲章とかというのもあるわけですし、そういうもので一応顕彰されるわけですけれども、こういう制度ができる前に日本歴史文化を切り開いた方々というのは、本当に努力が十分に報われないままに、亡くなられてからそういうすばらしい業績を残しておったと言われるような方々がたくさんいる。ぜひひとつそういう人を掘り起こして、郵政省だから、また切手だからできるわけだから、ぜひ文化人の方々を掘り起こして発行していただきたい。毎国会これは実は申し上げておったわけです。  ところが、あの人を出してこの人を出さないとか、あの人はどうかとかということでいろいろな世論を気にしまして、あるいは圧力を気にしまして、郵政省がなかなかこれに取りつくことができなかったのですが、幸い昨年は、文化の日の翌日ですけれども文化人の切手が、与謝野晶子と関孝和、数学者と歌人の切手が出されてきて、これからはそういう方々の切手が出るということは大変喜ばしいことで、ことしも三人ばかりノミネートされているというふうに聞いているわけです。これは非常にいいことだと思うのです。  この切手で一つ問題になりますのは、例えば関孝和、私は大変すばらしい切手だと思うのです、デザインも。ところが、あれは侍なのか学者なのかわからないというわけですね。もちろんカタログを見ればわかるわけですけれども、あそこにローマ字でSEKI TAKAKAZUとかTAKAKAZU SEKIとかあるいはAKIKOYOSANOとか、こういうものをぜひ入れていただきたい。そうでないと、日本文化を切り開いた人々がどういう人なのかということもまず読めない、字が全く読めない。そういう親切さというものが欠けているのではないかと思うのです。動物とか植物は学名が入っているのです、今まで我が国で発行された切手に。ところが、こういう人物の場合に、その読み方が全く外国の人々にはわからないということでございますので、これは郵務局長、ひとつこれからぜひ人名を入れるとかあるいはローマ字でも読めるように入れるとかということをお願いしたいと思うのですけれども、いかがですか。     〔主査退席、佐藤(敬夫)主査代理着席〕
  238. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 非常に切手をこよなく愛されておられます先生の御提案でございまして、私ども、今までまだそういった点について取り組んできておらなかったわけでございますけれども、ローマ字併記につきましては、これについては実施の方向でぜひ検討してまいりたい、こんなふうに思っております。
  239. 後藤茂

    後藤分科員 もう一つ、これは内規になっているのでしょうか、そういう文化人の切手を出す場合、文化人だけではなしに記念切手もそうなんでしょうけれども、大体五十年あるいは百年刻み、こういうようになっているのですね。例えば、文化人の場合には生誕五十年とか没後百年、こういう形になっているわけですけれども、私は、外国の切手なんかを見ておりますと、大臣も御存じだと思うのですが、クオーターなんですね。二十五年とか七十五年も入るのです。二十五年、五十年、七十五年、百二十五年とかというのが入るわけです。これから、今のところは相当準備が進められているのでしょうから、没後五十年とか百年とか、五十、百刻みでもいいと思いますけれども、しかし、ちょっと一回落としますと、仮に気がついたときにはもう五十年先ということになると、四十九年とか四十年先という形になる場合があります。  したがって、ほかの記念の場合は大変でしょうけれども、少なくとも刻みをクオーターもある程度考えていかれたらどうかなと思うのです、局長。その点はぜひひとつ検討していただいて、今は間に合っているということかわかりませんけれども、二十五年とか七十五年あるいは百二十五年等も、内規の中に入るのでしょうか、発行の計画の中に一応置いておかれた方がいいのではないかというように考えるわけです。これは提案をしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  240. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 先生の方から内規というふうにおっしゃっていただいたわけでございますけれども、平成四年の二月に私ども、文化大切手に関する懇話会というものを設置いたしまして、それでそういう方々の意見を聞きまして基本方針を決定したわけでございます。  その基準といたしまして、生誕につきましては百年、その後は五十年単位、それから没後につきましては五十年で、これはまた以降につきまして も五十年というふうな一応の基準を決めたわけでございます。  そこで、先生御提案のクオーターについてというお話なんでございますが、確かにそういう考えもあったわけでございます。しかし、候補者が非常に膨大になるというふうなこともありまして、また、私どもも諸外国の例も調べさせていただいたわけでございますけれども、基準としては五十年単位がいいのかなというふうな形で今は進めているわけでございますが、何しろ昨年基本方針を決定をしたということでございますので、これにつきましては今後の検討ということでもう少し時間をいただきたい、こんなふうに思っております。
  241. 後藤茂

    後藤分科員 今の点は要望にしておきたいと思うのですけれども、私たちは通常四十一円とか六十二円とか七十二円切手に接しているわけですね。その通常切手がたくさんあるのですけれども、動植物、国宝というような今までの全く統一性のない、デザインもまちまちでどうも見ばえがしない、せっかく印刷技術がすばらしいのに、あるいは技芸官のデザイン能力も大変すぐれているのにでき上がる切手がどうももう一つ美しくない、こういうことに対して一回全部変えてしまってはどうか。外国でも二十年も三十年も四十年も同じ切手を使っていないのですよということで提案をいたしましたら、昨年早速取り上げていただいて、四十一円と六十二円と七十二円の鳥を中心とする切手ができた。これは大変評判がいいのです。  本当にこれからまた郵政省は通常切手を大きく変えてくれるんだということで、使う方も非常に気持ちよく使えるいい切手が出た。この点はデザインされた方々、努力された方々に敬意を表したいと思うのですけれども、三種出たままでその後とまっているわけです。これからずっと全部一応見直していく、つくりかえていくということに対する計画といいますか、あるいは今後の考えは今どうなっているか、局長お答えいただきたい。
  242. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 先生の御提案どおり、私ども平成四年度にこれにつきましても普適切手の発行の基本方針というのを決定をいたしまして、その内容に即しまして現在実行に移っております。  先ほど先生お話にありましたように、平成四年の十一月三十日に野鳥を題材にいたしまして三種類の切手を出したわけですが、今後普適切手すべてにつきまして平成六年度末までに全面見直しを図りたい、こんなふうに思っておりまして、順次デザインにつきましても統一感のある、先生の御指摘いただきましたそういう内容を盛り込んだものにいたしてまいりたい、こんなふうに思っております。
  243. 後藤茂

    後藤分科員 大臣、後でそちらにお渡ししますけれども、これはアメリカの切手カタログなんです。きょうなぜ私がこれを持ってきたかといいますと、ふるさと切手というのが各郵政局単位で今発行されている。一時大変な発行で皆さんが食傷ぎみになったことがある。今も大臣がおっしゃったように、ずっと手軽に手に入るということになると収集の興味が落ちる。同じことが各郵政局管内でどんどん出まして、そうして実は食傷ぎみで皆から恨み言が出てきたわけですけれども、それが最近少し落ちついてまいりました。  大変結構なことだと思うのですが、それぞれのふるさと切手というのはなかなかいい切手が出ているのです。それを買おうと思っても、自分の郵政局管内のところでないと買えないのですね。中央郵便局へ郵頼をしていきますと、今度はこれがシートでなければ買えないのです。単片では買えないのです。そういう状況になっているのを、最近郵政省もサービスが非常に強化されてきているというのですが、そういうところが落ちているわけです、合理化もされているんでしょうけれども。  私が持ってきたアメリカのカタログ、これは十一月・十二月号なんです。二カ月に一回出すんですけれども、アメリカはこういう切手を出しておりますよということで全部カタログに載っております。そしてここに封筒がついているんです。この封筒は通信事務封筒になるんですね。自分の欲しい切手をずっとチェックしてこれに入れて注文をしていけば、その郵送料はただなんです。  こういうのは単にアメリカだけじゃなしにイギリスもそれからオーストラリア等もやっているサービスなんです。これはぜひ見ていただきたいと思うんです。これを見ながらそれぞれ購入をしていく。単に収集家だけじゃなしに、田舎の方の人々が、こういう切手が出ている、そうしたらそれを購入して友人に手紙を出そうということにも使われているわけでございます。これは一つの例でありますけれども、郵政省、案外そういう気配りが足りない。  それからもう一つは、通常切手が地方の中央郵便局ではある程度買えますが、集配局等では四十一円とか六十二円とか七十二円は買えますけれどもそう全部そろっているわけじゃない。ですから中央郵便局に郵頼をしていく。そうするとシートでなければ買えないという形になりますと、これはサービスが決してよくないと思いますので、この点は、大臣今読んでいただいておりますけれども、ぜひそういうサービス考えていただきたいということを申し上げたいんですが、大臣いかがでございましょうか。
  244. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 先生の方から具体的な販売についての二つの提案をいただいたわけでございますが、カタログの作成につきましては、今アメリカの具体的なカタログをお示しをいただいたわけでございますけれども、これにつきましては、私どももそういったものを参考にいたしまして、若干時間がかかるかもわかりませんが検討してまいりたい、こんなふうに思います。  それから、シート単位のものを単片扱いにする工夫も必要なんではないか、特に普適切手の販売について御提案があったわけでございますけれども、これにつきましては要員等の事情がございまして、これを今すぐそういうふうな方向に切りかえるというのも種々問題がございますので、今後少し時間をかけて検討してまいりたい、こんなふうに思っております。
  245. 後藤茂

    後藤分科員 そういう制度をやったらもう郵頼が殺到してさばき切れないということはないです。それからまた、一枚だけを郵頼していくということはまず考えられない。ブロックかあるいは十枚ぐらいとか、それもどんどん来るというようなことはないわけですから、そういう窓口は開いてやるというサービス精神は持つべきであろう、これは強く要望しておきたいんです。  寄附金つきの広告つきはがきに再生紙が使用されているわけですけれども、はがきなんかで再生紙の使用について今後どういう計画をお持ちなのか。というのは、今大臣のところにお見せいたしましたそれの表紙のところに再生紙、リサイクルペーパーということで、一番下のところにそれを使っているということが書いてある。だからそのカタログは再生紙なんですよ。大したものだと思うのです。大したものだとは大変失礼ですけれども、やはり各国がそれぞれリサイクルに対して大変注意を払っているということですから、この再生紙の利用をどう考えているか、一言で結構ですから。
  246. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 平成四年度におきまして広告つきはがきを再生紙を使って二千八万枚出しましたが、平成五年度におきましてもさらに拡張をしたいというふうに思っておりまして、新たに暑中見舞い用の郵便はがき、こういった五種類のはがきにつきまして再生紙を活用したいというふうに思っております。
  247. 後藤茂

    後藤分科員 時間がだんだんなくなってまいりましたのではしょって申し上げたいんですけれども、国際文通週間が制度をつくられてから大分になるわけですが、現在三地帯別の料金になっているわけですね、航空料金が。これがアジア地域における八十円とそれからヨーロッパ地域における百二十円、この二種類の国際文通のための切手は出ているわけですけれども、もう一つアメリカ向けの百円の切手が実は出ていないんです。しか し、歌舞伎シリーズ等で百円の切手が出ている、それを使えばいいじゃないかというのは郵政省の方の考えであって、せっかく三地帯が設置されているならやはり八十円、百円、百二十円。特にアメリカの場合は、お聞きしますと四割ぐらいはアメリカ、アジアが三割、ヨーロッパが三割というような形になっているのなら、そういう発行政策を、国際文通週間は一年に一回ですから、そのときに三種類を出してあげるということが親切ではないかと思いますが、この点もいかがでしょうか。
  248. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 確かに国際文通週間につきましては、先ほど先生お話にありましたように、最近歌舞伎シリーズの中で一種類発行したものですから、国際文通週間自体では二つの地帯の額面の切手を発行したという経緯でございます。  今後につきましては、国際郵使用の料額の切手について、その需要動向なんかをやはり踏まえまして、それで国際化時代に対応できるように、また先生の御指摘も十分参考にさせていただきながら発行してまいりたい、このように考えております。
  249. 後藤茂

    後藤分科員 大臣、三月一日に、この一年に発行したいわゆるイヤーブックというのでしょうか、その切手をアルバムにして、郵政省は切手帳と言っているのですけれども、この呼称は混同すると私は思うので、やはり年度アルバムにした方がいいのではないかと思うのですが、このアルバムが出て、大変好評で、特に地方局等ではなくなってしまったというようにも聞いているわけです。これは、最近外国へ行く方々も非常に多いですし、こういうのを外国へ行ったときにお土産に持っていったりなんかすると非常に喜ばれると思いますし、この状況、売れ行きといいますか、またトリプルの発行等についてどういうお考えを持っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  250. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 私ども二種類のストックブックを発行させていただきまして三月の一日に出したわけでございますけれども、確かに販売前から非常に問い合わせ等ございまして、人気も非常によい、好評でございますので、今後とも引き続いてこれにつきましては郵趣の普及のためにも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  251. 後藤茂

    後藤分科員 各シリーズで水辺の鳥シリーズであるとか歌舞伎シリーズであるとか四季の花シリーズであるとか、ずっと今日までたくさんシリーズを出されてきているわけですけれども、今見ておりますと、だんだん種切れになっていくのではないかと心配するのです。ですから、多様な方々からいろいろな意見を求めていくという努力はぜひしていただきたいと思います、皆さん方だけで物を考えていかないで。  ふるさとシリーズの中でも、例えば徳島版なんかを見ますと、阿波十郎兵衛の阿波のでく人形等もでき、なかなかあれなんかもいいし、それから大阪では中之島公会堂の文楽の頭なんかもいい。一度文楽なんかも考えておいていいのじゃないかと私は思います。でくは、町娘であるとか年寄りであるとか御隠居であるとか、いろいろなでくができているわけです。これも一つの芸術ですから、こういうものを切手なんかにすると非常におもしろいと思うのですね。  例えば、イタリアで出したシスティナ礼拝堂のミケランジェロの天井壁画のでくといいますか頭ですね、これは今までのいろいろな通常切手の中では一番すばらしいできばえだろう、もう凹版で単色なんですけれどもね。こういうようなことも考えてみていったらどうかなと思うのです。このシリーズなんかはこれからどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  252. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 最近のシリーズといたしましては、先ほどの歌舞伎シリーズでございますとか水辺の鳥シリーズといったようなものを発行してまいりまして、今度、ことし、四季の花シリーズを出すわけでございますが、これはことしいっぱいというふうなことになります。  私どもも新しいシリーズ物を出したいというふうに思っておりまして、現在、テーマにつきましては重複を避けながら、適時性を考えて立派な、斬新なアイデアで出してまいりたいというふうに思っておりまして、例えば彫刻あるいは建築等の文化財でございますとか歴史的なもの、あるいは文学でございますとか音楽的なものでございますとか、そういった幅広いテーマを今検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  253. 後藤茂

    後藤分科員 時間が参りましたので、最後に大臣に。  大臣も就任なさってあちこちからいろいろな知らない方から手紙等が――やはり電話で激励されるよりも手紙でいただくと思いがこもっておりますし、これからもそういう文通を進めていく上においてこの切手なり手紙、郵便というものは非常に大切な人間交流の媒体になっていくものだと思うのです。ところが最近は、ファクスであるとか電話であるとか、子供たちもそれでもうすべて事を終わらせてしまう。  私は文学が好きなのですけれども、文学のいろいろな研究をしておりますと、書簡文学というものが非常に参考になるのです。ところが、これからは書簡文学がなくなるんじゃないか。例えば、いろいろな作家等の全集なんか見ておっても必ず書簡編というものが入っておったわけですね。これがなくなっていくということは文化の荒廃にもつながりはしないか、こういうように考えるのです。  特に子供たちがこういう郵便なり切手なりを通じて、先ほど大臣が冒頭に、子供のときにこうやって集めておったというような喜びを、その趣味を高めていくことによって国際的な友情をまた深めていくというためにも、大臣、ぜひひとつ、すばらしい切手を発行していく、そして手紙を出そう、はがきを出そうというような気持ちにさせていくように取り組んでいただきたいと思いますが、最後にそのことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  254. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私も、どんなに技術が進歩しても、電話とか印刷の文書よりも手書きの自筆の手紙ほど心打つものはないと思います。温まると思うのですね。  私もいろいろ経験がございますけれども、特にそれを感じたのは、ロンドンに二年近く留学したときに、家族との文通、報告、一週間に一度あるいは月に一度の手紙のやりとりをして、振り返ってみますと、日本にいるときよりも家族のきずなというか親の感情というのは、その手紙の文通によって深まったと思います。口では言えない、しかし遠く離れてかえって親子の関係とか、家族がどう思っているか、親はどう思っているか、また自分が何を思っているかというのは、私は、手紙によって感じ、また自分の考えも表現することができたような気がいたします。  そして現在でも、友人同士でもあるいはいろいろな交流でも、電話もいいでしょうけれども、本当に自筆の手紙ほど心が通じ合うというか感ずるものはないと思って、この手紙というのは本当に貴重なものだな、それに付随する切手というものもいろいろな思いがこもっている、やはり知っている人に出す場合には、通常の切手よりも少しでもいい、きれいな切手を張って出したいという気持ちはだれでも持つものだと思います。  そういう意味におきましても、この手紙文化、切手文化というのはこれからも大いに振興していかなきゃいけないなと思っております。
  255. 後藤茂

    後藤分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  256. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)主査代理 これにて後藤茂君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。     〔佐藤(敬夫)主査代理退席、主査着席〕
  257. 山原健二郎

    ○山原分科員 印刷物談合問題について伺いたいと思います。  最初に、公正取引委員会の方へ伺いたいのですが、先月の二十四日、社会保険庁のシール談合を めぐって大日本印刷など四社の刑事告発に踏み切った。入札談合では初めての公取委による刑事告発であると聞いております。  どういう場合に刑事告発を行うかという点について、公正取引委員会は九〇年六月に方針を示しています。その基準は、一、国民生活に重大な影響を与える入札談合、カルテル、二、独禁法違反を反復し、行政処分では法の目的が達成できない、この二点だと承知をいたしております。  今回の場合、極めて悪質な犯罪行為との判断に立って、こうした企業の犯罪に強い態度で臨むという考えだと聞いておるわけですが、この点について公正取引委員会はどういうお考えか、最初に伺っておきたいのです。
  258. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  ただいまのシール談合事件の告発の理由でございますけれども、本件につきまして、ただいま御指摘平成二年六月の告発方針に照らしまして検討した結果、本件の関係人四社のうち三社までが、平成四年の四月に公正取引委員会から日本道路公団等が発注する印刷物に係る同種の入札談合事案について排除勧告を受けたにもかかわらず、その直後から、違反であることを明白に認識しつつ社会保険庁発注の各種通知書等貼付用のシールについて新たな合意のもとに入札談合を繰り返していたということが認められまして、その行為態様が悪質であるということも考慮いたしまして、先ほどの告発方針の中で述べております公正取引委員会の行政処分によっては独占禁止法の目的が達成できないと考えられる事案に該当すると判断した上で、関係会社四竹を告発することとしたものでございます。
  259. 山原健二郎

    ○山原分科員 ゆうパック用ラベルや郵便局の自動支払い機用の伝票などの郵政省関係印刷物の年間発注額は、三百七十ないし三百八十億円程度に上っております。そのうち、今回談合で刑事告発を受けた企業も相当の比重で受注を受けていると聞いておるわけでございます。郵政省関係印刷物の契約のうち、大日本印刷及びトッパン・ムーアが受けた最近三年間の契約額及び全体に占める割合について、おのおの示していただきたいと思います。
  260. 新井忠之

    ○新井政府委員 お答えいたします。  大日本印刷株式会社の関係でございますが、平成元年度には四十一億二千万で、全体に占める割合が一〇・八%でございます。それから同じく大日本印刷でございますが、平成二年度では四十億四千万円、全体に占める割合が一〇・九%、平成三年度におきましては五十億一千万円で、全体に占める割合は一三・二%となっております。  それからトッパン・ムーア株式会社でございますけれども、これにつきましては元年度二十九億九千万円で、全体に占める割合は七・九%、それから二年度が二十七億五千万円で七・四%、そして三年度におきましては二十四億九千万円で六・五%、このような状況になっておるわけでございます。
  261. 山原健二郎

    ○山原分科員 今御説明がありましたように、平成三年度で大日本印刷五十億一千万円、それからトッパン・ムーアが二十四億九千万円という大変な額でございます。  新聞報道によりますと、社会保険庁の目隠しシールだけでなく、郵政省など六省庁が発注する印刷物をめぐっても談合が行われていたことが東京地検特捜部の今回の捜査過程で明らかになり、立件は見送ったものの、そうした捜査内容について東京地検は郵政省、会計検査院の各担当者を呼んで通知したと報じられておるわけでございます。  まず郵政省にお聞きしたいのですが、地検からそうした通知を受けた事実はあるか、また郵政省を舞台にして談合が行われていた疑いについてどう把握をしておられますか、お伺いしたいのです。
  262. 新井忠之

    ○新井政府委員 先生指摘のとおり、昨年十二月に東京地方検察庁から、社会保険庁に係る談合事件についての捜査の過程で、当省の契約の郵便小包ラベル、それからATM利用明細票につきましても疑いありという話がございました。  当省が調達しております印刷物の入札等の契約の執行につきましては、特に予定価格の積算に当たりまして私ども、物価資料といった公的な資料に基づくほか、民間が発注しております同種の印刷物、例えば小包ラベルで申しますと民間宅配業者が扱っておりますあて名ラベル、それからATM利用明細票につきましては、これも銀行等のATM利用明細票、こういった同種の印刷物の価格も参考にするなどして厳正に行ってきたところでございます。  しかしながら、談合の疑いがあるということでありましたので、直ちにその事実関係について調査もいたしましたけれども、これまで調査したところではそういった確証は得られなかったということでございます。
  263. 山原健二郎

    ○山原分科員 今回の談合事件で刑法の談合罪で起訴された関係者の公判が既に始まっております。その際の検察の冒頭陳述書の要旨をいただいてここへ持ってまいりましたが、郵政省においても談合が行われていたと検察が判断しているくだりがございます。  一つは、小林記録紙東京支店部長だった星野被告とビーエフ課長代理だった山本被告に係る公判で、一月十四日に東京地裁で行われた検察による冒頭陳述書で、被告人星野は、郵政省関連の談合でかねてからの知り合いであった清水から一清水というのは大日本印刷の清水氏でございますが、清水から大日本印刷が名義を回復できるように協力してほしいとの依頼を受け、同人にはかつて郵政省の物件で仕事を回してもらっていた恩義があったことなどから、これを了解し、他方、田尻も、これは大日本の元課長さんですが、田尻も、かつて郵政省の入札等で顔見知りであった大京寺に対し、大京寺は日立情報システムズの課長さんですが、同様に協力方を依頼し、大京寺もこれを了承した、こういうふうに述べられております。  もう一カ所は、トッパン・ムーア元主任の守田被告及び日立情報システムズ課長だった大京寺被告に係る公判での検察の冒頭陳述、一月十八日東京地裁の中で、被告人大京寺は、郵政省関連の談合でかねてからの知り合いであった田尻から大日本印刷が名義を回復できるように協力してほしいとの依頼を受け、それまでの関係からこれを了承し、他方、星野も、かつて郵政省の物件で仕事を回してもらっていた恩義のあった清水から、同様に協力方を依頼され、星野もこれを了承した、こういうふうに記述をされております。  法務省にお伺いしたいのですが、検察の冒頭陳述でこうした指摘がなされていると思いますけれども、これは事実かどうか確認をいたしたいのです。
  264. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 そのような記載があることはそのとおりでございます。
  265. 山原健二郎

    ○山原分科員 こういう事実に基づきまして郵政省関連の談合という指摘を検察が冒頭陳述で行っているということは重要な問題でございます。  そこで、まず公取委員会に伺いたいのですが、社会保険庁での談合告発にとどめずに、郵政省などを舞台とした談合疑惑に対しても対処すべきではないかと思いますが、この点をお伺いいたしたいと思います。続いて会計検査院にお聞きしたいのですが、これらの談合疑惑について調査を行う用意があるかどうか、この点を伺っておきたいのです。両方からお答えいただきたいのです。
  266. 上杉秋則

    ○上杉説明員 公正取引委員会といたしましては、独占禁止法の厳正な運用という観点から、いかなる分野におきましても、独占禁止法に違反する行為が行われたということを疑うに足る情報が得られた場合には、これを独占禁止法違反被疑事件として必要な審査を行うということは当然のことでございます。
  267. 杉本隆

    ○杉本会計検査院説明員 お答えいたします。  新聞報道で指摘されております省庁の契約につきましては、入札事務の実施状況あるいは予定価格の積算などを重点に検査をしてまいる所存でございます。
  268. 山原健二郎

    ○山原分科員 この冒頭陳述書を法務省が郵政 省、会計検査院に渡したということは、郵政省において談合が行われていたことを通知したことと同じことなんですね。冒頭陳述書にそうした指摘がある以上、郵政省としてもこの事実関係を調査する必要があると思いますが、この点について郵政省としての見解を伺っておきたいのです。
  269. 新井忠之

    ○新井政府委員 先ほど申し上げましたように、東京地方検察庁からその疑いがあるというような話がございましたが、冒頭陳述書につきましては、私ども、いただいてはおりません。ただ、そういった疑いがあるという話でございましたので、私どもにおきましても、先ほど申し上げましたように、その事実関係についていろいろ調査をいたしました。  ただ、率直に申し上げまして、捜査権あるいは立入検査権、そういったものもございませんし、また担当の方も、それぞれの会社のいろいろな資料が検察庁の方に押収されておるということでおのずと限界があったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、これまで私ども調査した限りではそういった確証は得られなかったということでございます。
  270. 山原健二郎

    ○山原分科員 捜査権もないからこういう疑惑の指摘があっても真実を明らかにすることができなかったという意味だろうと思います。しかし、これは本当に重大な問題ですから、将来においても、こういうことが冒頭陳述の中に出て、そういう疑惑があっても、なおかつこれに対しての真相を明らかにするという気持ちは全くございませんでしょうか。
  271. 新井忠之

    ○新井政府委員 お答えいたします。  私ども、地方検察庁から情報提供をいただいたわけでございますが、これにつきましては、社会保険庁にかかわる入札談合事件の概要もあわせて伺ったわけでございまして、そういった過程を見てみますと、談合の事実関係はもちろん重要なものでありますけれども、そればかりではなくて、今後の再発防止の措置と申しますか、そういったことを十分考えていく必要があるというような御指摘であろうということにも理解をいたしまして、この事件を契機として、郵政省としては複数落札入札制につきまして、現在、一部試行を行っておるというようなことでございます。
  272. 山原健二郎

    ○山原分科員 この大日本印刷の北島社長は、郵政大臣の諮問機関である電気通信審議会の委員に任命されたと承知をしておりますが、いつ任命され、現在はどうなっておるか、伺います。
  273. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐政府委員 今御指摘いただきましたとおり、大日本印刷の北島社長、北島氏は、平成四年十月一日に電気通信審議会の委員に任命されておりまして、現在も委員をしていらっしゃいます。
  274. 山原健二郎

    ○山原分科員 電気通信審議会は「郵政大臣の諮問に応じ、電気通信に関する重要な事項を調査審議し、」また「これに関し必要と認める事項を郵政大臣に建議する」という非常に大事な諮問機関でございます。その構成メンバーの中に、公正取引委員会から極めて悪質な犯罪行為を行ったとして刑事告発された企業の社長が据えられたままでいいのかという問題を、私は疑問として感じております。これは企業犯罪として指摘されているわけですから、しかも、大日本印刷は郵政省においても談合行為をしていたと検察から指摘されているわけですから、しかるべき対応をするというのが当然ではないのかと思いますが、この点について郵政大臣の御見解を伺っておきたいのです。
  275. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐政府委員 電気通信審議会の委員の先生は、審議がいろいろな角度からなされますように、広く各界各層から学識経験のある方で人格、識見にすぐれた方々に就任していただいているということでございます。北島委員の場合もそのような観点から御就任いただいたものでありまして、審議会の委員は個人の資格で就任をいただいております。組織の代表ということではないというのが私どもの受けとめ方でございます。  なお、今御指摘のようなことで、会社自身が告発を受けるというような事態になっております。今後、その確定される事実、そういう具体的な事実に即しまして、私どもよくその段階で判断してまいりたい、対処してまいりたいというふうに考えております。
  276. 山原健二郎

    ○山原分科員 ここまで申し上げましても、国民感情とは合いませんね。  大日本印刷といえば、一九九一年三月期の総売上高が一兆三百十五億円と、一兆円を突破するという、印刷業界にあっては我が国のトップ、世界でもトップクラスの企業でございます。四十三年間にわたって連続して増収増益を続けている会社でもあります。しかし、その連続増収増益の達成の裏で、労働者に対し労働強化を押しつけ、理不尽な首切りまでやっていると言われているわけでございます。そして、水面下では談合による不当利得に走っておったと見ざるを得ない情勢です。証券不正における野村証券、運輸行政を金の力でねじ曲げて急成長を遂げた佐川急便などと似通った構図だと見ざるを得ません。そうした企業体質を転換することが今強く求められていることを私は指摘しておきたいのです。  今回の談合事件を通して、現在の入札制度のもとで、大手または大手のダミーが力に任せて官公需の多くを受注し、多大の利益、時には不正な利益を得ている実態が明らかになってきたと思います。しかし、印刷業界においては中小業者が多くを占めております。印刷産業を担っておると言っても間違いではございません。こうした中小企業、業者に対して印刷官公需の発注を手厚くすべきであると私は思います。指名入札の乱発を避けるべきでございますし、そういう点での郵政省あるいは国としての努力を求めたいわけでありますが、せっかく中小企業庁にお見えいただいておりますので、こういう官公需の問題について、中小業者に対し恩典を与えていくという点につきましての見解をこの際伺っておきたいのです。
  277. 柚木俊二

    ○柚木説明員 お答えいたします。  官公需における印刷の発注につきましては、従来、毎年度閣議決定しております国等の契約の方針におきまして、中小企業官公需特定品目といったものに指定されております。この特定品目につきまして、各省庁におきまして、中小企業者に対してその発注情報であるとか、あるいは落札情報といったものを提供することになっております。それとともに、これにつきましては、随意契約の活用あるいは指名競争に当たってできる限り中小企業者を指名する、こういったようなことを通じまして特段の配慮を払ってもらっているところでございます。平成三年度におきまして、国等の印刷の関係の中小企業向けの発注比率は七三・二%に上っております。  中小企業庁といたしましても、今後とも発注比率の向上につきまして、最大限の努力を払うよう各省に要請してまいりたい、こう思っております。
  278. 山原健二郎

    ○山原分科員 この点について最後に大臣の御見解を伺っておきたいのですが、私が申し上げたことは今までの状況に基づいてお話ししたわけでございますけれども、この審議会の委員にこういう人物が座るということが果たしていいのかという問題、少なくとも疑いをかけられた企業、その長にある人が最も大事な郵政行政の中軸を握る審議会にメンバーとして加わることは、国民感情としては余り好ましくないことだと私は思って申し上げているのですが、この点について、大臣の御見解を伺っておきたいのです。
  279. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 先ほど官房長から答弁をいたしましたが、現段階において委員をやめていただくということは役所としては考えておりませんが、今委員が御指摘のように、この談合問題がどういうものであったか、そしてその委員の信頼性というものをやはり総合的に勘案して、審議会のあるべき姿というものを考えながら検討する場面もあるのかなというような気がいたします。よく御意見を承って、審議会等がより信頼される機関として機能するようなことを考えていきたい、そういうふうに思っております。
  280. 山原健二郎

    ○山原分科員 ぜひ公正な御判断をいただいて、国民の信頼をかち取っていただくようにお願いいたしたいと思うのです。  最後に、私の地元といってもあれですが、四国の山間地帯ですが、これはほかにも多くあるかもしれませんが、よく全国の情勢はわかりません。吉野川という川が四国山脈の中を流れておりまして、その山間地域において、NHK、民放ラジオともに電波受信状態が大変悪くてよく聞こえないということが出てまいりました。最近、老齢化しまして多くの方がラジオを聞いているのですね。テレビは疲れたりあるいはさまざまなことがありまして、ラジオを聞く人が多くなっておるという情勢がございます。  放送法における日本放送協会の目的規定には「あまねく日本全国において受信できるように」と明記されております。この規定にのっとった適切な対応をお願いしたいわけでございます、これはNHKの方です。また民放の場合は、民放中波ラジオ放送受信障害解消事業郵政省所管事業として行われておりますが、現行の制度では、放送事業者が実施主体となるもので、どうしても対象戸数の多い地域が優先され、過疎地域、山間地域までなかなか着手するには至らないという実情があるように思います。  そういう中で、来年度予算案において、市町村が実施主体となる事業についても、国や県がその一部を補助する新たな対応が盛り込まれることになったと聞いております。山間地域等の自治体で、非常に期待の声も上がっておるところでございます。  そこで申し上げたいのですが、ただ、山間地域過疎地域の自治体の場合、財政力が強くないという事情があります。そこで、事業について過疎債を認めてもらえば大変助かるという声が出ているわけでございます。また、複数の自治体が力を合わせて事業に当たるケースもぜひ認めてもらいたいという要望が出てまいっております。これらの声に対しましてぜひこたえていただきたいと思うわけでございますが、このような実情は御承知と思いますので、これに対する対応を郵政省としてどうお考えになっているか、お伺いしたいのです。
  281. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 高知県におきますNHKの中波放送につきましては、昼間は全域良好な受信が可能でありますが、夜間になりますと、外国波の混信等の影響によりまして、北部の一部地域で聴取しづらい状況になっております。また民放につきましても、一部山間部などにおきまして電波の弱い地域がございます。それからまた、夜間の外国波混信の発生している地域も存在をいたしております。  市町村などから提出されました受信改善の要望につきまして、NHK及び民間一般の放送事業者と調整を図りながら可能な限り対応しているところでございます。特に民放につきましては、先生ただいま御指摘の公共投資による民放ラジオ放送受信障害解消事業によりまして、中継局の建設を進めてきているところでございます。高知県におきましては、本年度はこの事業によりまして土佐清水市に中継局を設置する予定でございます。今後とも、受信障害対策につきまして積極的に対処してまいる所存でございます。  最後に御質問がございました過疎、辺地の市町村における財政上の問題に関してでございますが、中継局の建設を行う場合に、市町村の経費につきましては過疎、辺地対策事業債の起債対象になっておりますことを申し添えておきたいと存じます。  それからもう一つ、複数の自治体の負担の問題がございましたが、現在、関係の向きとこの問題については調整中でございます。
  282. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は初めて郵政省に対して質問したわけでございますが、意のあるところをお酌みいただいてぜひ善処していただきますようにお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  283. 大石千八

    大石主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  284. 上原康助

    上原分科員 どうも遅くまで小泉大臣初め大変御苦労さんです。私もテレビやラジオの難聴あるいは難視問題について、まずお尋ねをしたいと思うのです。  最初に、かねがね計画が進められておる沖縄県の宮古、八重山地域、いわゆる先島地区の民放難視聴解消のための施策についてお尋ねをさせていただきたいわけですが、この件につきましては、もう平成三年度末から沖縄県先島地区民放テレビ放送難視聴解消事業ということで、スケジュールを立てて事業が進められておると思うのですが、この事業計画どおり進んでいるのか、あるいは、ことし十一月でしたか、民放開局というか開設というか、大変期待をしているわけですが、その進捗状況見通し、もちろん予算等についても既に事業計画の中で出ておりますが、改めて実情をお聞かせいただきたいと思います。
  285. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 沖縄県の先島地区の民放テレビジョン放送難視聴解消事業につきましては、ただいま御指摘のとおり、電気通信格差是正事業一つといたしまして、沖縄県が国の補助と放送事業者の一部負担によりまして、平成四年度から二年計画で、沖縄県先島地区の民間テレビジョン放送の難視聴解消をするための放送番組伝送用海底ケーブルの敷設あるいはテレビジョン放送用の中継局を設置する事業でございます。  この事業につきましては、平成四年度の国庫補助金の交付決定を平成四年八月三十一日に行っておりまして、放送番組伝送用の海底ケーブルとマイクロ回線の施設につきまして既に平成四年十二月に工事着工いたしております。またテレビジョン放送の中継局につきましては、実施設計、工事入札等を終了いたしております。これから沖縄県議会の契約承認を待って工事着工する予定でございます。  それから、同県の計画によりますと、平成五年中の事業完了を予定をいたしております。順調に進めば平成五年末には、本事業によりまして設置されました施設を利用いたしまして先島地区に民放二社、現在琉球放送と沖縄テレビ放送でございますが、これのテレビジョン放送が開始されるという運びになる予定でございます。
  286. 上原康助

    上原分科員 事業計画のトータルの予算はどのくらいになりますか。
  287. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 平成四年度の交付決定額、予算額でございますが、八億九千九百五十七万五千円でございます。それから、ただいまお願いしております平成五年度の予算案におきましては予算要求額が九億一千十一万七千円でございます。
  288. 上原康助

    上原分科員 それに沖縄県の負担、また施設維持管理費として、この今ございました地元民放二社で負担するもの等があると思うのですが、その点はどうなりますか。
  289. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 まことに申しわけございませんが金額について手持ちはございませんけれども、海底ケーブル、マイクロ回線等につきましては国が三分の二、沖縄県が三分の一でございます。それからテレビ中継施設につきましては国が二分の一、沖縄県が三分の一、民放事業者が六分の一ということでございます。
  290. 上原康助

    上原分科員 これは、今順調に進めば今年中に開局できるということでありましたが、恐らくそのように進んでいくのじゃないかと思うのですが、長い間の懸案事項で先島の皆さんの非常な期待が込められておるということ、しかも人口にして十万七千人、世帯数にして三万四千以上の世帯が両先島に住んでいらっしゃる。これが今まで民放は全然見えなかったということで、NHKだってここからは流れるけれども向こうからは逆に放送できないという状況。そういう状況ですから、これまでも歴代の郵政大臣が御努力いただいておりますが、大臣もぜひこの点については特段のお力添えをお願いしたいと思います。  それで、このテレビの難視聴、こういう事業が、局が宮古、与那国に至るまで七局できる。そうしますと、素人的に考えればラジオの方も難聴は改善されるのかなと思ったりするのですが、この点はどうなるのですか。
  291. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 ラジオの音声の到達の度合 いというものがちょっと定かでございませんが、中波につきましては、多分中波の音声につきましては聴取できる状態になっておるのではないかと考えております。
  292. 上原康助

    上原分科員 実態は違うんですよね。大変混線をしておる。特に、宮古までは届いておっても、今現在八重山はほとんど民放は聞こえないという状況ですね。NHKだって混線、混雑が入るという状況、これは後で聞きますが、ですからその点も、どうするかということは依然として未解決になる可能性もありますので、このラジオの点は後でもう少し聞きます。  民放テレビ局の先島放映はめどが立ったわけですが、もう一つ、民放テレビ局の沖縄への増設というのかあるいは増局というのかわかりませんが計画が取りざたされていますよね。民放三局、四局とか、あるいは一局かわかりませんが、これはどうなっていますか。
  293. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 沖縄県には現在民放テレビが二局あるわけでございますが、さらにもう一局ふやしてほしい、あるいはもう二局ふやしてほしい、そういった要望が一部から出ていることは確かでございます。  私どもも、条件が整えばといいますか、そういった希望が多くて地元の条件も整えば、情報の格差是正という観点からもできるだけ、テレビのチャンネルがふえていけば島民、県民の方々の豊かな生活にも結びつくということで、そういった条件が整えば進めていきたいというふうに考えております。
  294. 上原康助

    上原分科員 もう少しお尋ねしますが、これは確かにあと何局にするのかというのは、沖縄、地元の既にある民放二局の意向もあるでしょうし、また本土サイドというか、いろいろなチャンネルがありますからそれが大変競争しているという話もある。一説には、昨年の秋までに大体二局の、まあどことはわかりませんが、めどが立ったというふうに聞いております。それが今、条件が整わなかったのかどうか知りませんが、ちょっと中断をして、またさらに年明け、今年二月ころまでに決まるという話も出ておったわけですが、なかなかいろいろ調整をしているということに、実情はどうなんですか。条件が整えばというのは何が課題として残っているのか。沖縄の地元の意向なのか、あるいは、本土の沖縄に新たな局を設けようとするテレビ会社というかテレビ局の意向なのか。これは郵政省わかるんじゃないの。
  295. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 この問題は地元の問題といいますか、現在二局ございまして、さらに一局、二局できた場合のいわゆる経営上の問題が一つあると思います。  それからまた、テレビにつきましては、どうしても地元で番組を制作する度合いが低うございまして、キー局からの番組提供ということが条件として大きなウエートを占めるわけでございます。したがって、そういう意味ではある程度キー局の意向ということも私どもの判断の根底には考えざるを得ないということでございます。
  296. 上原康助

    上原分科員 これはぜひ小泉大臣にも御理解いただきたいわけですが、私は、沖縄の文化というか伝統芸能を含めての地域カルチャー、そういう面は大変すぐれていると思うのですね。ある面では一国並みのそういった歴史を持っている。ですから、大手の企業が進出をしていくことによって、せっかくローカルで積み上げてきた、三十年前後営々として民放ができてきた、しかも先島にもこの十一月ごろには開局できるという条件の中で、これが弱くなっていく、あるいは非常に苦しい経営に追い込まれるという状態だけはぜひ避けてもらいたい。これは私ども、個人的にいろいろな地域の人の意向を聞いてみて、そう思うのですね。  さらに、さっきの民放の放映とも関連するのですが、現に宮古の方にはローカルのテレビ局が現存しているわけですよ。それも何らかの形の保護策、措置というか手だてを当然やらなければいかないと思うのですね。そういう面を含めてお考えになっていただきたいと思うのですが、その点、大臣の方からひとつ御見解をお聞かせください。
  297. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 今のお話でございますが、私どもの放送政策といたしましては、全国テレビ四波化というのが一つの大きな方針でございまして、その場合に、地域によって経済事情に差がございますので、そこのところは個別に判断しながら進めてきておるわけでございます。そういう一番大きな目標になっておりますのは全国四波化ということでございまして、ですから、その点で地域地域の事情を考慮しながら進めてきているということが実情でございます。
  298. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、平均的というか一応の方針としては、一地域、一県というのかな、四波化となると沖縄だってあと二局は余裕というか、やろうという方が意向があれば受け入れるということになりますよね。その場合は、ですからさっき私が申し上げたように、必ず二にしなければいかないのか、一局でいいのかという話もあるだろうし、地元の意向というのは尊重なさいますね。
  299. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 ただいま申し上げましたように、全国四波化というのが一つの方針でございますが、しかしながら、全国的に各県を見ますと、まだ二局のところもございますし、三局のところもございますし、あるいはこれから先、四波化という目標は掲げましても、果たして四局つくってそれぞれの会社が経営的にもつのかどうかということも勘案しながら判断しているところでございます。
  300. 上原康助

    上原分科員 ある程度わかりますが、沖縄に今進出したいと手を挙げているのはどの局ですか。
  301. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 これは放送の免許の仕組みにかかわるわけでございますが、放送普及基本計画をつくるという作業がございまして、どこの県にテレビの電波を何波出すかということを決めた後でどういう方が申請されるかという手はずになるわけでございまして、今のところ、そういう具体的なプランは出ておりませんので、その名前、だれが手を挙げているかということは申し上げる段階にはございません。
  302. 上原康助

    上原分科員 おわかりでしょうが言えないというならしようがないというか、そこまでは遠慮しましょう。  いずれにしましても、これは重要なことで、情報化社会において、視聴者の立場からすると選択権が多くなるから、チャンネルがふえればあれもこれもよく見ることができるという面もあるかもしれませんが、やはり地域地域の特性というのと、経済状況がある、県民性、いろいろありますから、そういうものを総合勘案してこの点については対処をしていただきたい。  これと、先ほどお尋ねした先島への民放の施設を新たにやるわけですが、それとの直接の関係はないのですね。
  303. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 直接関係はございません。
  304. 上原康助

    上原分科員 今まで私が指摘をしたこと、要望を含めてですが、先島への民放テレビ放映の問題、あるいは新たに民放二局ないしは一局を増設しようとすることについて、ここいらで小泉大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  305. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 放送というのは、地域の住民にとって大変大きな影響を与えますし、いろいろな生活の利便に寄与していると思うのです。ですから、地域の独特の事情を取り込むことも大変大事だと思います。地域文化とか地域発展のためにも、その地方独自のやり方もあるでしょうし、そういう点を尊重しながら、なおかつ企業として発展していけるか、そういう面も考えながらそれぞれの地域に合った放送体制というものを構築していかなければいかぬと考えておりますので、御趣旨よく承って検討させていただきたいと思っております。
  306. 上原康助

    上原分科員 私も別に正面切って反対という立場をとっているわけじゃありませんが、せっかくこういう先島への民放放映ができるというやさきに新たに大手の企業が入り込む、そういう状況で、せっかくの地場というか、現にある地域放送業に著しい支障なり影響なり経営に負担が新たに かかるというようなやり方だけはぜひ避けていただきたい。タイミングの問題等もいろいろあると思いますし、御要望申し上げておきたいと思います。  そこで、あと一点ですが、これもテレビのこともラジオも含めてですが、私はかねがね、長距離電話の料金問題であるとか箕輪郵政大臣のころから取り上げて、何度かお願いしたり、また改善された面もあります。その点、多としますが、南北両大東、これは今テレビは東京直行のものしかいかないのですね。沖縄ローカルは一切見えない。国会のNHK放送は見えても、ローカルのテレビは全くないのですね。選挙になっても、沖縄局から発する電波はいかないのですよ。人口は、南大東が千二、三百、北が六百名ぐらいでしょうか。ラジオも全く聞こえないのです。これは、すぐにはいかないかもしれませんが、こういう宇宙衛星時代に何とか改善してもらいたい、これが一つです。  もう一つはラジオの件ですが、北部も七、八年か十年前に取り上げて、名護以北のかつてVOAがあったころは余計に電波障害があったわけですが、最近は幾分、中継局ですかね、措置をしてよくはなっているが、依然として問題が残っている。特に両先島は大変なんです。ほとんど民放もNHKも、ラジオというものは特に晩は聞こえないという状況。ですから、子供さんたちもいろいろなラジオの講座を聞こうにも聞こえない。ニュースだってうまくいかないという状況。先ほど言いましたように、テレビ電波でも非常に制限されている。  こういう状況については、生活大国とか情報化社会という中においては、困難性はあるにしても、やはり国民生活を優先をする、あるいは過疎地域を、さっきもありましたが、漁村、山間地を大事にしていくという意味で、政治の恩恵、電波の光というものは、もっと積極的に諸策を講じていただきたいのですね。この点、どのようにお考えなのか。特段の御配慮を改めて要望しておきたい、要請しておきたいのですが、ひとつ御見解を聞かしてください。
  307. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 情報の地域間格差是正というのは、郵政省としてもこれは重要な課題であるということを認識しております。今御指摘の点も私ももっともだと思いますので、いろいろ経費面とか技術面において困難性はありますけれども、この解消に向けて段階的な努力をしていかなきゃならぬ、研究さしていただきたいと思っております。
  308. 上原康助

    上原分科員 技術的な問題もいろいろあると思うのですが、問題はお金だと思うのですよね、予算の問題、南北両大東あたりからすると。ですから、そこは計画的にどうすれば解消を早目にできるか、やっていただきたいと思いますね。  例えば、ラジオの難聴解消問題でも、御承知のように西表の群発地震があったときに、私は現場の西表の租納、白浜、舟浮というところまで行ってみました。全く聞こえないのですね、ラジオが。ですから、もう群発が頻繁に起こっているけれども避難するにも情報がないわけですよ。こんなことってあるかということで早速取り上げて、郵政省も積極的に御努力をしていただいて、さっきもありましたが、FM放送局の設置によって臨時措置をやっているわけですよね。  そのときの皆さんの対策については、本来ならNHK中波第一放送の番組を受信できるよう対策することが適当であり、地元からも同放送の受信状況の改善が強く望まれている、しかし、中波放送電波による受信改善対策には、いろいろ改善措置をやらなければいかぬ面があるので、国際協定とか周辺諸国との調整等があって、調整に時間を要するから、緊急にこのFM対策でやっておくということだったのです。これはあくまで緊急措置でしょう。  その後、中波放送が受けられるような措置をやろうとしているのかどうか。さっき言いましたように、離島、僻地におけるラジオさえも十分聞き取れないという生活環境というのは私はよくないと思う、今ごろ。少なくとも、テレビの方はいろいろ問題があるので時間がかかるにしても、ラジオについては、もう一遍調査をしていただいて具体的に年次ごとに対策を立てていただきたい、両先島とか南北両大東、その他ありますので。いかがでしょう。
  309. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 先ほど私答弁若干間違ったことを申し上げたような気がするわけですけれども、確かに先生指摘のとおり、民放のラジオにつきましては本島を中心としたものでございまして、したがいまして、八重山地域だとか南北大東島につきましては電波が届かないということで難聴地域になっていることは御指摘のとおりでございます。  ただいまの御指摘の点も踏まえまして、私どもも実態をよく把握してみたいと思っております。
  310. 上原康助

    上原分科員 これはぜひ実態把握を、もちろん竹富町であるとか与那国町であるとか、国頭、大宜味、東村、南北両大東、やればできる面もあると思うのですよ。群発地震のときに私が、九一年四月でしたが、当時関谷さんが郵政大臣なさっておったが、あれだけ群発で地震が起きておって情報もないということで、すぐ取り上げて、郵政省にも開発庁にもお願いをしたら、さっき言ったような改善措置をとったわけですよ。約半年近くかかったのです。  ですから、きょう申し上げたように、南北両大東あるいはラジオの難聴地域については、ぜひ郵政省で改めて実態調査をなさった上で、具体的にどういう手だてができるか、それをやっていただきたいのですが、その点よろしいですね。     〔主査退席、佐藤(敬夫)主査代理着席〕
  311. 木下昌浩

    ○木下(昌)政府委員 南大東島、北大東島の問題、確かに三百キロメートルも沖縄本島から離れた隔絶した地域にあるわけで、大変難しい問題があるように思うのです。  まず一つは、番組伝送回線の設置をどういう形にするか、これは物すごく金がかかるし、また運営にも多額の金がかかるというようなこと、あるいは、先ほど大臣が申し上げました技術的な問題もあるようでございまして、先生指摘のとおり、今後の研究課題とさせていただきたいと思っております。  それから、音声放送の問題につきましては、私どももさらに調査をいたしたいと思っております。
  312. 上原康助

    上原分科員 時間ですから終わりますが、大臣、当面、特にまずラジオのことを実態調査をしていただいて、とれるところから改善措置を強力に進めていただきたいのですが、よろしいですね。お答えいただきたいと思うのです。
  313. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 そのようにさせていただきたいと思います。
  314. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  315. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして郵政省所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  316. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)主査代理 次に、運輸省所管について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠正君。
  317. 小平忠正

    小平分科員 運輸行政についての質問をしたいのでありますが、時間の関係もありますので、ちょっと順序を変えまして、具体的な問題からまず最初入っていきたいと思うのです。  まずJRに関連して、整備新幹線の問題についてお尋ねをいたしますが、本年はいわゆる五年目の見直しの年に当たっております。この見直しの時期については、運輸大臣は、予算成立後の協議ということを年頭の閣議後の記者会見で発言された経緯もございまして、また一方、先般は自民党幹事長からも、六月にもというお話も伺っております。私は、その時期についてはここではお尋ねはいたしませんが、見直しの時期よりも中身について、それは新幹線の規格を含む見直しであるのか、あるいは規格の見直しは排除されているのか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  318. 秦野裕

    秦野政府委員 先生指摘のとおり、六十三年 の与党の申し合わせにおきまして、経済社会情勢の変化を考慮して五年後に所要の見直しを行うということになっておりまして、現在平成五年度予算の御審議をお願いしているところでございますので、その後の問題につきましては、現在のところいまだ白紙という状況であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  319. 小平忠正

    小平分科員 現在白紙ということですか。  私は今、特にこれからの事態ですね、こういう一極集中を是正するというか、地方にも活性化をという観点においては、これは整備新幹線、大きなインパクトを与えておりますので、重要視をしているんです。  そこで、東北新幹線は現在、フル規格とミニ新幹線が混在した暫定規格で計画がつくられております。フル規格と暫定規格では、運輸省皆さんの方の資料では、フル規格では六千四百億円ですか、それから暫定規格では三千五百五十億円、この間約三千億円程度の違いがございまして、これは見方によっては大きな数字ですけれども、しかし、将来の需要見込みや収支改善効果を考えた場合には、やはり私は、全線フル規格をつくっていくのが、これも私だけじゃなくて、そういう主張が強いことは御承知だと思います。  例えば、現在、青森-東京間ですと、在来線といいますか、これを使って四時間五十三分の所要時間でありますが、これが暫定規格では四時間四分と、約五十分近い時間短縮がされている。一方、これを全線フル規格で見ますと、一時間半程度の短縮で三時間二十分程度の所要時間になります。実際に近いという実感を持つのじゃないかと思うのですね。よく言われると思うのですが、利用者が鉄道と飛行機の選択をする場合に、大体所要時間が三時間を超えると飛行機にするということがよく言われると思うのです。  そういう状況の中で、将来フル規格ということで完成していきますと、青函トンネルを通りまして北海道へ延伸することを考えた場合に、この費用対効果はフル規格にした方が主張に説得力があると思うのであります。膨大な費用をかけることにより第二の国鉄にしてはならないという意見が聞かれることも事実でありますが、国鉄は新幹線などの幹線整備によって赤字が累積したのではない、このように私は考えます、主なところですね。  そこで、私は、全線フル規格にしますなどという答弁をここで求めるわけではありませんが、新幹線整備に当たっては、ぜひ長期的見地、広域的見地に立って進めていただきたいと思いますし、また財政面の上からも、全国JR各社ございますが、JRに負担がそうかからないように、このことを国が十二分に配慮をして進めていただきたい、こんなふうに考えているのですが、これらについて御所見をいただきたいと思います。大臣にちょっと基本的に。
  320. 秦野裕

    秦野政府委員 その前に若干御説明させていただきます。  現在のいわゆる基本スキームとされておりますのは、先生指摘の東北新幹線につきましてはミニとフルの混在ということになっておるわけでございます。これは当然のことでございますけれども、限られた財源の中で最も効率のよいシステムはどうかということをいろいろ検討いたしまして、もちろんフルが一番到達時間が短いわけでございますけれども、財源等との関係で、一番現実の問題としましては、今考えておりますミニ、フルという混在方式が一番効率的ではないかということで、いわゆる暫定案として設けられたものでございます。  したがいまして、現時点では、私どもといたしましてはこの基本スキームに従って進めてまいりたいと考えておるわけでございますが、先生お尋ねの見直しとの関係につきましては今後の問題でございますので、現時点でどうするかということにつきましては御容赦いただきたいと思いますけれども、今後の検討を進めていく中で、当然そういうことも議論されていくべきであろうというふうに考えておる次第でございます。
  321. 越智伊平

    越智国務大臣 今鉄道局長からお答えいたしましたが、六十三年八月に決定いたしました基本スキームに従って今着々整備をしておるわけであります。五年後の見直しといいますのは、六十三年八月に決定した事項について見直しを行っていこうという趣旨であった、こういうふうに存じております。しかしながら、今先生からお話しのように、ミニ、フル規格ということに東北新幹線はなっております。また、この計画に載っておりません北海道にもぜひ延ばしてくれというような強い先生方の意見、また地元県あるいは道、市町村、こういうところの意見もございます。いろいろ論議が出るであろうと思いますけれども、私は、とにかく今の計画予算を組んで御審議をいただいておるから、運輸省ではそういう議論の中には今のところは入れませんよ、お聞きはいたしますけれども、そういうことについて論議をするということになると予算通過後にしていただきたい、こう言って断ってあるわけでございます。  そこで、いろいろ論議があるであろう、いろいろ要望もあるであろうということを想像いたしております。しかしながら何といっても財源の問題、それから将来の収支の問題、収支とてもどういうことになるのかということの基本が決まらないと、なかなかどうするという論議はできないのじゃないかと存じております。いずれにいたしましても予算成立後に、いろいろ御意見があるであろうと思いますので、ひとつその点十分相談をしていきたい、論議をしていきたいというふうに存じておる次第であります。
  322. 小平忠正

    小平分科員 大臣おっしゃるように、確かに財源の問題、またその後の収支、それは私もよく理解できますが、今我が国は内需拡大が国内外からも強く叫ばれておりますね。そういうところでこの収支を考える場合には、地方にいろいろな策を講じて、地方の分権、活性化を図ることが言うならば収支にもつながると思うのですね。  したがって、そういう意味ではまず官である運輸省、こういうことをもっと精力的に推進することによって、地方に人と物が分散できるそういう大動脈をつくるという、これはどちらが先かというと、人が地方に大きくできてから通すなら、これはだれでもできますよ。地方分権ができてから幹線をつくるというのはだれでもできます。それを同時進行させながら、しかもそういう将来のことを見越してこういうことを進めるということは、とにかく今大事なこの一極集中是正という、特に東北、北海道というところはいわゆる大動脈ができるということが非常に効果大だと私は思いますので、今私がるる申し上げましたように、このフル規格、このことを十分に考慮しながら進めていっていただきたい、こんなふうに強く願う次第であります。  ところで、整備新幹線の建設もそうなんですが、貨物鉄道輸送の確保、これも今私が申し上げたことにも付随して注視する必要があると思うのであります。現在、いろいろな観点からモーダルシフトという仕組みが強く叫ばれて、貨物鉄道輸送に対する期待が寄せられておりますが、こうした貨物の問題に関して議論を重ねて、営業開始前のできる限り早い時期に、これに配慮したいわば基本方針というか、そういうものもあわせて検討されて確立をしていただきたいと思うのですが、局長さん、特に貨物輸送ということについての配慮はどういうふうにお考えでしょうか。
  323. 秦野裕

    秦野政府委員 先生指摘のとおり、環境問題の面から見ましても、またエネルギーの効率的な利用という面から見ましても、いわゆる物流問題を考えてまいりますときに、中距離あるいは長距離の貨物輸送の分野につきまして、鉄道あるいは海運を活用いたしましていわゆるモーダルシフトを推進していくということは、中長期的に見ましても極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。  また、整備新幹線整備が進むに伴いまして、いわゆる並行在来線の取り扱いというものが問題になるわけでございますけれども、もちろん、各線区によって若干事情は違うということはあると 思いますが、いずれにしましても、国の基幹的な輸送の部分につきまして、鉄道の貨物輸送というものが適切にその役割を果たしていけるように、輸送経路その他の点につきまして十分検討した上で結論を出していきたいというふうに考えております。いずれにしても、基幹的な輸送経路についての貨物輸送の確保という点には十分配慮してまいりたいと考えております。
  324. 小平忠正

    小平分科員 もう少しこれについても、例えば貨物は在来線を使うとなれば、今のは狭軌ですから、広軌と比べて三本線になりますね。その一本の線をどうふたするのだとかどうするのだとか、いろいろな問題もあると思うのですが、この大量輸送というのは鉄道貨物か船ですよね、ですから、このことも我が国の今後を考えた場合に大事な問題があると私は思いますので、ぜひ真剣に御検討をいただきたいと強く要請しておきます。  次に、安全面からちょっとお伺いいたしますが、交通運輸産業にあっては、安全と環境の二つが今も、それからこれからも大きなキーワードになっていくわけであります。このうち、安全ということに関しては、鉄道の場合、先般の信楽高原鉄道の事故あるいは島原鉄道事故などからも明らかなように、大量高速輸送機関という性格上、万が一事故が起きた場合、大事故になる例が極めて多いと言えると思うのです。  そこで、過去の鉄道事故による原因究明を十分に行うとともに、その内容を鉄道事業者等に情報開示し、事故を未然に防ぐための今後の教訓とすることも極めて必要であります。これらについて、運輸省それからJR企業もいろいろございましょうが、運輸省の御姿勢というかお考えをぜひ聞かせていただきたいと思います。
  325. 秦野裕

    秦野政府委員 改めて申し上げるまでもないことでありますが、鉄道事業にとりまして安全の確保というのは何にも増して最重要課題でございます。鉄道事故の防止につきましては、鉄道事業者はもとより、私どもも全力を挙げて取り組むべき課題であるというふうに認識をいたしております。  最近、特に中小鉄道事業中心といたしましていろいろ事故が発生しておりまして、私ども大変残念に思っておりますけれども、その原因を調べてみますと、どうも基本動作と申しますか、一番初歩の基本的なルールを忘れたか、あるいは勘違いしたか、そういうために起こったケースが非常に多いように思っておりまして、やはり基本ルールの再徹底ということが現在私どもに課せられました最大の使命ではないかと考えております。  私どもといたしましては、各地方の運輸局等を通じまして各事業者にこれを周知徹底させ、また、総点検その他の場を通じまして直接各事業者に対し指導監督を強めております。口で言うのは非常にたやすいわけでございますが、実行を伴うということには非常に時間がかかることでもあろうかと思いますけれども、たゆまぬ努力を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  326. 小平忠正

    小平分科員 基本的なところと今申されました。確かにそれもおありでしょう。それをどういう形で企業あるいはそれに従事する社員の皆さんがこれが徹底方に努めて安全対策を講じるか、こういう問題でありますが、運輸省の監督指導をひとつしっかりとやっていただきたいと思います。  また、これに関連して、安全面からのことなんですが、鉄道車両の構造といいますか安全構造、これについても配慮する必要があると私は思うのです。  衝突事故等から乗務員並びに乗客の身を守るために、いろいろな事故を見ておりますと最前部が非常に問題である、したがって、車両の前頭部並びに運転室の構造などについては今以上に十二分に安全を考慮した構造基準をつくるべきじゃないか、また、こういう部分にお金をかけることを惜しんではならない、こう私は言いたいのであります。また、そういう動きを促進する意味でも、政府として安全関係の投資については税制上、財政上の措置をさらに充実させる必要もあると考えますが、こういう構造基準の見直し、または税制上、財政上の措置の拡充、これらの点について御見解を賜りたいと思います。
  327. 秦野裕

    秦野政府委員 まず車両の前部の構造の問題でございますが、主として一番問題になりますのは、踏切において自動車と電車が衝突する、この場合には、電車の最前部の構造が弱いために運転士さん初め乗客の方々に損害が及ぶということが想定されるわけでございまして、一番有効なのは、踏切における衝突の防止のために有効な施策をとるということがまず第一だろうと思っておるわけでございます。  ただ、それとあわせまして、ただいま先生からお話のございましたような、車両そのものの構造をどうするかということも当然検討しなければならないというふうに思っておるわけでございます。これは各線区によってスピードあるいは車両の種類、その他いろいろでございますので、必ずしも一律にこういう基準ということを提示するのはなかなか難しいわけでございますけれども、現在既に一部の鉄道事業者におきまして、そういう車両面の対策といたしましていろいろな検討も進められておりますので、私ども、そういう実例を十分参考にしながら、どういうルールが一番望ましいか、さらに検討を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  328. 小平忠正

    小平分科員 次に、先般、一月十五日ですか、釧路沖地震がありました。私も早速、災特委員会のメンバーとして視察に行ってまいりましたが、このときの被害状況について、特にJRの線路のことについてお尋ねいたします。  この地震は最大震度六という非常に大きな地震でありまして、釧路を中心にあの一帯、広域にわたっての被害を出したわけでありますが、JR根室本線と釧網本線にも一部区間が不通となり、二十六日からは暫定ダイヤ、二月一日からはやっと平常に戻ったものの、その間、地域住民は文字どおり不便な生活を余儀なくされてまいりました。  そこでお尋ねをするのですが、今回のJR根室本線と釧網本線が受けた震災に対する政府の対応は十分だったと言い切れるのか。また、一部区間とはいえ主要交通機関であるJR路線が不通になったことは大変重要な意味があり、同地域が特定観測地域であることも考慮いたしますと、根室本線と釧網本線の被害箇所の修理は、改良復旧というか、原状復旧ではなくて改良復旧、これはいわゆるああいう地震の常襲地に対しては、それを見越した上での改良復旧、これらを基本としてこれから国の援助も行うべきと基本的に私は考えるわけであります。  特に、既にJR北海道関係者の大変な努力によって路線は一応復旧しました。しかし、御承知のように、あの地帯は今はまだ雪に覆われておりまして、この後、春の到来で融雪時期を迎えるとまた被害の広がりも予想されます。そうなると、また早急に被害復旧もしなければならない。そういう中で、企業の面からいっても、立場からいっても、財政的にも大変な問題があるわけですね。  したがって、いろいろな行政のそういう制約はおありでしょう。しかし我が国、こういう災害の常襲地としてこれらのことについては、特に公共性の強い線路ですから、今後政府としてこれについてどう対処していかれるのか。これがためにせっかく民営化成ったJRが財政的に破綻を来したのではもとのもくあみだと思うのですね。したがって、こういう天災の場合に政府の手厚い庇護の手、これについてどう考えるか、お伺いいたしたいと思います。
  329. 秦野裕

    秦野政府委員 お答えします前に、先ほどの御質問の中で安全性のための税制あるいは財政上の措置はどうかというお尋ね、ちょっと私、答弁落としましたので、改めて御説明いたします。  特に中小鉄道事業者を中心にいたしまして、いわゆる安全対策の設備を導入いたします場合に、国があるいは地方とともに補助する制度がございます。四年度以降この補助率を充実いたしまして、国が従来五分の一でございましたものを三分 の一にいたしますとか、あるいはいわゆる中小民鉄に対する教育指導に対します助成制度を設けるとか、いろいろな制度を設けております。また、税制上も、特に固定資産税につきまして第三セクター鉄道等に対する軽減措置を講ずるというようなことで、経営基盤の確保に十分配慮をしつつ行っておるところでございます。  それから、お尋ねの釧路沖地震の件でございますが、構造物を復旧します場合に、現在のルール、JRになりましてからのルールとして普通鉄道構造規則というものがございます。これは先ほど先生お話のございましたとおり、地震の多い地域指定いたしまして、その地域については特別に配慮をするようにという規定になっております。そして、釧路地方はまさにこの対象地域になっておるわけでございます。したがいまして、今回この復旧を行います場合には、そうした特別な配慮という規定に十分配慮し、地域の特殊性を考えた上で適切な構造にするようにJRの方と相談をしてまいりたいというふうに考えております。  あとの助成制度はどうなりますかということは、被害あるいは復旧の総額がまだ確定をいたしていない段階でございますので、現在の補助基準に当たるかどうか、これは額の確定を待たなければわかりませんけれども、考え方といたしましては、今申し上げましたように地震に十分強い構造になるように復旧をするという前提で進めたいと考えております。
  330. 小平忠正

    小平分科員 大臣、時間ももうあとわずかなものですから、最後に一点。  我が党は、昭和六十三年に生活先進国ということを提唱いたしました。政府が言うこの生活大国、これに先駆けて我が党はそういう主張をしたのでありますが、今日までこういう推移をたどっております。  そこで、私はまず運輸行政の大きな問題として許認可件数、これは各省庁ある中でも、たしかこの件数は運輸省がトップだと思うのですね。こういうことがいろいろな制約をいろいろな面で与えている。これを少し改善する、削減する、こういうことをしていきたいと思います。  それとあわせて、先ごろ経団連から、いわゆる「二十一世紀に向けた行政改革に関する基本的考え方」として、十年間で公的制限を、規制を半減を、そういうことをうたっております。この三原則といいますか、一つは許認可を二つ廃止する、一つ新設するならば二つ廃止する、そういうことですね。それから適用期間の明記、いわゆるサンセット、もう一点は運用のための公聴会制度の導入、公開原則、こういうことの提言もございました。これは我が党が従来から主張してきたものに近いところでございます。  そういう中で、もちろんこの運輸産業の公益性からして、何が何でも規制の撤廃というのは、これは不可能でしょうけれども、今私が申し上げたことを勘案して、この三原則、これらを基本的に踏まえて実現の方向に向かっていくことができるのか、こういう点について大臣の御所見をお伺いしておきます。
  331. 越智伊平

    越智国務大臣 確かにこの運輸行政、運輸省は許認可事項が多いのは事実であります。しかし、先ほど来の先生の御意見にもありましたように、この運輸行政といいますのは安全であり、また快適であり、また環境に強い、こういうことであります。でございますから、やはりどうしても必要なものもたくさんございます。  また、経団連から提言のあったことも承知をいたしております。できるだけこの許認可事項を少なくしていくように努めたいとは思っております。しかし、それによって、やはり安全性とかあるいは快適性、こういうものがなくなってもいけない。でございますから、十分今後検討して御趣旨に沿って考えていきたい、かように思う次第であります。特に必要のないものを持っておるということではございませんので、どんどんでき得るものは廃止をしていったら、こういうふうに思います。  それから、公開するとか、これもできるものはどんどんやっていきたい、こういうふうに思っております。いずれにしても国民の皆さんが納得するような行政に向かって努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  332. 小平忠正

    小平分科員 ぜひそういう御姿勢で進んでいただくことを期待して、質問を終わります。
  333. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)主査代理 これにて小平忠正君の質疑は終了いたしました。  次に、野坂浩賢君。
  334. 野坂浩賢

    野坂分科員 実力者であります越智伊平運輸大臣にこれから質問をいたしますが、今運輸行政の骨幹は、お話があったように、できるものはやっていきたいしできないものはやっていかぬ、極めて簡単明瞭にお話しになりましたので、私も、できるものはやっていく、そういう観点に立ってお尋ねします。越智さんでなくても秦野さんでも結構ですが、言語明瞭にお願いしますから。  新幹線は、現在営業中のものがある、あるいは整備新幹線工事中のものもある、それから未着工整備新幹線もある、基本計画路線というのもある、こういう大体四つに分けられていますね。したがって、夢と希望を与えて環境に強い運輸行政をやっていくということですが、できるものからやっていくということですが、この基本計画路線が済むのはいつごろですか。
  335. 秦野裕

    秦野政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、実際に営業しております線から、整備新幹線基本計画線といろいろ種類があるわけでございます。御案内のとおり、現在の段階では整備新幹線のうちの三線五区間と言われます部分につきまして基本スキームを決定いたし、それに従って全力で整備を進めているところでございます。  その後のお話につきましては、先ほども御質問ございましたとおり見直しということが一つ論議になっておるわけでございますが、先生お尋ねの基本計画線ということになりますとその次のステップということになろうかと思いますので、現在の整備新幹線の進捗を極力早めることによりましてその整備を促進していきたいというふうに考えておる次第でございまして、いつどうなるということを現時点で申し上げられないのは大変残念でございますが、考え方としてはそのようなことでございます。
  336. 野坂浩賢

    野坂分科員 よくわかりませんね。いつごろかわからぬ、何世代か先であろうということのようですけれども、みんな期待していますね、これは。本当に期待している。  それで、工事中の整備新幹線というのはこれはいつごろになりますか。
  337. 秦野裕

    秦野政府委員 現在整備を進めております三線五区間のうち、いわゆる長野ルート、高崎から長野に至ります部分につきましては、長野オリンピックとの関係もございますので平成九年に開業するということを前提に工事に拍車をかけておるところでございます。そのほかの東北新幹線、北陸新幹線の一部あるいは九州新幹線等につきましては、おおむね十年ということをめどにいたしまして工事を進めるということにいたしております。
  338. 野坂浩賢

    野坂分科員 一応計画はできているわけですね。そうすると、これは四百六十一キロメートルですね、これがまあ平成十年。未着工の分が千キロありますね。越智伊平さんのところの四国を含めて十二線が約三千五百十キロメートル、とても我々の時代には日の目を見ることはできぬじゃないのか。  だから、やるべきものはやるけれどもできないものはできぬということになるわけですけれども、今の時代は一極集中排除というのがありますね。多極分散型、こういうことが社会問題、政治問題です。そうすると、輸送というのは、旅客の場合はたくさん人がおるところがどうしても中心になっていきますね。過疎に行ったって採算に合わぬじゃないか、こういうことになりますから。したがって、例えば東京、大阪、岡山とか、あるいは仙台とか、そういう人の多いところだけが中心になってくれば、いつまでも一極集中排除とい うのは難しい、多極分散にはならない、こういうことになるんじゃないかと思うのですが、日本国土全体を平均的にレベルアップするためにはあえて過疎にもやらなきゃならぬじゃないか。  このごろ運輸省は観光をやりますね。観光行政もあなたの所管だ。このごろは短期滞在型というのをやめて長期滞在型に切りかわってきたんだ、そして過疎の方にも漸次影響を出してきた、これは越智伊平さんの手柄だと思うのです。国民の声だ。したがってそれに合わせる線路もちゃんと敷いてやらなければ、人口の多いところだけをやれば結局全体的なレベルはできぬじゃないか。だから基本計画ももう一遍練り直して、過疎考えながら新幹線の配備というものは考えなきゃならぬじゃないか、そう思うのですが、いかがですか。
  339. 秦野裕

    秦野政府委員 まず私の方から御説明申し上げますが、もちろん新幹線、大変高速性にすぐれ、地域の開発に効果があるということは私ども十分承知しておるわけでございまして、その整備を促進するという点におきましては全く先生と意見を異にするものではございません。ただ、財源問題その他の点もございますので、順次整備を進めていくという点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。  ただ、いわゆる鉄道高速化と申しますのは、もちろん新幹線も必要でございますけれども、せっかく在来線もあることでございますので、その在来線を有効に活用する。いわば活性化するということによりまして少ない投資で非常に効果の高い結果が出るという例は幾つもあるわけでございますので、そうした新幹線と在来線の高速化との組み合わせによって有効なネットワークをつくっていくということが一つの大きなねらいではないかというふうにも考えておりますので、そのあたりを組み合わせて整備を進めていきたいと考えているところでございます。
  340. 越智伊平

    越智国務大臣 今鉄道局長からお答えをいたしましたが、御承知のように六十三年八月に決まりました基本スキームに従って今進めておるところであります。そしてこのことについては五年後に見直そうということの決定もいたしております。  しかしながら、そのことはそのこととして、今各地方公共団体あるいは各地域先生方がそれでは基本計画区間をどうするのかというようなことも率直にいろいろ陳情がございます。しかし今予算案の審議中でございますから、そういうお話を承るのは運輸省としてはひとつ予算成立後にしていただきたい、こういうことを申しております。でございますから、この五年後の見直しというところに、今の基本計画の問題をどうするのか、その論議があるのかないのか。私は、皆さんが今言っておりますからやはりあるのでなかろうかというふうに思います。     〔佐藤(敬夫)主査代理退席、主査着席〕  それから、やはり今東京の一極集中の問題、これは同感であります。北海道とか日本海の沿岸とか、九州でも東九州とか、私の出身地でございます四国とか、大変おくれておりますので、こういうことについてもどうするのか。もうそのままでいくのか、あるいは日本の全体を見てやるのか、そういう議論もあるのでなかろうか、こういう想像をしておるのであります。でございますから、これはその時点でみんないろいろと御議論をいただき、しかしやはり一番大事なのは財源であります。これ決定をいたしましても財源がなければどうにもならない。でございますから財源の問題とか、あるいは採算性の問題、採算性をどう考えるのか。その地区だけを考えるのか、新幹線新幹線全体で考えるのか、そういうことについても議論をしないとなかなか前進をしないのではなかろうか、こういうふうに思っております。十分その点は御論議をいただくようにお願いをいたしたい、かように思う次第であります。
  341. 野坂浩賢

    野坂分科員 大臣、五年後に新幹線基本計画等含めて見直す、あなたおらぬのですよね、そのときは。大臣じゃない。総理大臣かもしらぬけれども。いらっしゃらぬ。だから、今、予算がとりあえず上がってから論議しようというのじゃなしに、この際議論をしておかぬと、あなたはこう考えるというものを私どもは聞きたいのですから。  したがって、秦野鉄道局長にお尋ねをしますが、新幹線全体でやるというのは、基本計画路線なんか三千五百キロですから、今動いておるのは千八百くらいですから、とても将来なかなか見通しはできぬ、こういうふうに思われますね。そのときに、今お話があったように、在来線があるじゃないか、これをもっと有効利用と有効活用やれ、ミニ新幹線というのがあるじゃないか、在来線で十分できるのじゃないかという話です。まさにそのとおりだと思いますね。  私のところは岡山で、山陽道と伯備線というのがあります。これスピードアップしてもらわないといかぬということでスピードをやりますと下の方が揺れるのですよ、箱が。なかなか真っすぐ歩くことができないのです。だが、スピードをやらなきゃいけない。箱振りといいますか底振りといいますかそういう電車ですが、それでもやむを得ぬと思っております。だけれども、速く行くためにはやはりミニ新幹線といいますか、在来線を使ってそういう新幹線をとりあえずやってもらう。将来、改めて我々の後代の皆さんがやる、そういう場合はいいのですけれども、今間に合うようにやってもらいたい。しかも、過疎と過密が問題なんだ。過疎も十分やってやるということであれば、ふるさと創生論で有名になったうちの県の隣の竹下登さん、いつまでいらっしゃるかわかりませんが、そういうところもやってくれと言っておるのですから。ここにちゃんと書いてありますね、松江から岡山までは基本計画に載っておりますよと。したがって、在来線で間に合わせてやるということですから、早急に伯備線の在来ミニ新幹線というものは、基本計画はこのとおりですが、とりあえずやってもらうようにぜひ御検討を  いただきたいと思いますが、いかがですか。
  342. 秦野裕

    秦野政府委員 山陰地方への鉄道高速化につきましては、現在進めておりますのは、一つは、智頭線と因美線でございます。これは鉄道整備基金あるいは地域の負担によります無利子貸付金等を活用いたしまして現在その整備を推進いたしておりまして、これが完成いたしますと大阪-鳥取間、現在四時間でございますのが二時間半というふうに短縮される見込みでございます。また、山陰線あるいは宮福線の高速化につきましても、地域の方々の御協力を前提としていわゆる無利子貸付制度の適用をするということで、これも現在検討中でございます。  なお、御指摘の伯備線につきましては、もちろん第一義的にJRの経営上の判断ということもあるわけでございますけれども、地域の方々の御協力というものも必要であると思いますので、その辺を含めて今後御相談をさせていただきたいというふうに考えております。
  343. 野坂浩賢

    野坂分科員 ありがとうございました。  確かに因美線、姫路に出る鳥取-姫路線、第三セクターで進めておりますけれども、早急に実現の運びになろうという段階まで来ておりますので、来年度は動けるようにぜひしていただきたいということを、この際、質問というよりもお願いをしておきたいということを申し上げておきます。それで、ことしてきますね、智頭線は。
  344. 秦野裕

    秦野政府委員 現在の見通しでは、平成六年度に完成予定でございます。
  345. 野坂浩賢

    野坂分科員 それでは、鉄道の方はもうこれで終わりまして、自動車の方は来ておられますね。  乗り合いバス事業について、この間局長さんに、おたくの前任者だと思いますけれども、いろいろと教えていただきました。運輸省は行司役だから、もっと当該者同士が話し合って一生懸命やるようにという話があったのですが、私が聞きたいのは、運輸省の統計表、昭和六十二年からもらってきたんですけれども、ずっと赤字なんですね、乗り合いバスというのは。だんだん赤字になりますね。いただいたのでは、百八十四社のうち百五十一社は赤字ですよ。三十三社は黒字です。環境の問題や道路の問題とか人口の問題とかあるでしょうけれども、これだけ赤字だ。合計で九百 五億ですね、一年間で。まあ地方自治体等がやっておる公的な輸送機関、バスは、公営の場合は四百三十七億、これは一般会計で補てんをするとしても、民間は四百六十八億ですね。その前は五百四十六億ですね。こういう運営をしておれば、公共交通機関ですからないがしろにはできないし、赤字はだんだんふえていって運営が苦しくなってくる。運輸省の行政は環境と安全とできるものからすべてやって体制は強化するという越智大臣の決意表明が今あったのですが、こういうのは一体どうすればいいのでしょうか。どのような御指導をいただいて黒字に転換することができるのか、それを基本的に聞いておきます。
  346. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 バスは、都市バスと地方バスで若干性格が違っておるように思うわけでございますが、地方バスの方はマイカーの影響を受けて需要がどんどん減少をいたしまして、非常に採算をとってやっていくのは難しい、これは事実でございます。ただ、一方で、バスがないと困る、バスに頼って暮らしておられるという方もいらっしゃる。そうしますと、どうしても最低限必要なバスというのはやはり維持していかなければいけない。そこで、採算のとれないものを維持しなければなりませんので、地方公共団体の方でこれは必要だという路線指定なさった場合には、それを地方公共団体が補助をしても維持なさるというときに、国も一緒にやりましようという格好で補助を通じて維持をする。  他方、都市バスの方は、これは都市の中はまとまって人がある程度動きますので、バスが本来その役割を果たす分野というのがございます。問題は、バスがマイカーや何かの関係でうまく走れなくなってきておる。その結果、人様の信用というか信頼がなくなって、それがまた客離れを起こす、こういう状況になっております。  したがいまして、都市バスについては走行環境というのでしょうか、バスが走りやすい状況、これをつくり出して信頼を回復していくというのが基本であろうということでございまして、そのための施策をやっていくわけですが、これが実は、専用レーンであるとか駐車違反の取り締まりであるとか道路整備とかいろいろございまして、運輸省だけではできない、バス事業者だけでもできない、やはり関係道路管理者なり警察なりの御協力を得て、それも地域によってみんな問題が違います。みんなで知恵を出して一つ一つ積み重ねながらやっていくよりないということで、バス活性化委員会というのを各県ごとにつくっていただいて、実は労働組合の方にも御参加いただいて、現場の運転手をなさっている方の知恵も入れて一つ一つやっていこうということで今各県ごとにスタートして動いておる。  そういうことで都市、地方、それぞれ政策の中身は違いますが、こういうものを積み重ねながら必要なバス路線というものを維持していきたい、こういうつもりでやっておるところでございます。
  347. 野坂浩賢

    野坂分科員 非常に御丁寧に説明いただいて、よくわかりました。  私は、都市バスのことは言っていないのです。自分が過疎地域なものですから、過疎バスを一体どうしたらいいのか。それで、地方バスには補助制度をつくっていただいて、二市とか三市とかで生活をするのにつくってもらって、補助金をもらっておる、非常に感謝しております。これがなかったらパアです。今ごろはもう雲散霧消しておりますが、それをもらっても赤字なんですね、先ほど言ったように。一体どうしたものか。中山間地では、時計のかわりにバスを見ているんです。何時ごろ上がってくる、だから昼にしよう。しかし、だんだん姿が消えてきたんですね。町村も補助ができません、こういうことになってくると、だんだん過疎過疎を呼んでくる、一体どうしたものかということなんです。  そこで、日常の資金運用も、銀行は思わしく出さぬようになりました。なぜ出さぬのか、こういう公共交通に出すべきだといって主張すると、いや、銀行は預金者の保護をしなければなりません、危ないものには出せませんということを言うんですね。それならば、一体政府はどうしてくれるんだ。一生懸命やって、合理化で今、二人昔は運転士と車掌がおったんですが、そんなものおりません、どこにも今は。賃上げをすると、一万円上がると一万五千円出すんです。というのは、労働が過密になってくるんですね、休憩時間をぎゅっと締めて、そして金を追い出す。建前は賃上げになっておるが、実質は賃下げになっておる。春闘が来ると怖いんです、我々はそういう意味で、  そういうことになると、日常の運転賃金にも困ってきますから、しかも思うように運営ができていないと、利子も、公定歩合の二・五%で貸してくださればいいんですけれども、銀行は二・五%で貸しません。五%も六%も取る。ということから、あなた方に、運輸省に聞きますと、それは、例えば軽油引取税がありますね、あれのバックがあります。今百億程度あります。百億あっても、一年で九百億も赤字ですから、とても貸してやるというわけにはならぬと。  だから、そういう点についてはある程度運輸省中心になって、昔造船の関係が非常に不況のときに、基金の制度をつくって貸したことがあります。そういう制度を今この厳しいときにつくり上げて、そして利子補給でもして、補助を出しておるから利子補給までできぬと言われるかもしれませんけれども、ある程度スムーズにこの公共交通が動くような指導体制をぜひやっていただきたい。そうしなければバスはだんだん消えていくんじゃないか、いや、モータリゼーションがあるからそれでいいんだということでは政府は済まないのじゃないかなというふうに思うんですが、その点は十分に、日常の運営、あるいは銀行はなかなか難しいから、運輸省と大蔵省と相談をして、造船のときにやったような基金制度をつくってもらいたい。そうせぬと、例えば私がバス会社に勤めていますと、今皆さんはおやめになると退職金もらうでしょう、これを五年から七年に分割してもらっているんですよ。だから、もらった気がせぬのです。だから一遍に、そこにいる高橋さんなんかも非常に熱心にやっていますけれども、なおかつそういう情勢なので、何とかしてもらいたい。  それで、具体的にこういうことをしなさいということは私は言えませんけれども、運輸省の自動車局内あるいは運輸省全体で、越智さん、ぜひ考えて、スムーズに従業員たちも、環境もいいし、速度の関係もいいですけれども、働く者が幸せになっていくような職場をつくってもらわなければ何にもならぬ。そういう点について大臣の見解を求めて、時間が参りましたので終わりたいと思います。
  348. 越智伊平

    越智国務大臣 過疎バスの問題は、全く先生のお説のとおりであります。実際はバス会社はやめたいけれども、地域の方々の要請、また我々としても認可した以上は、十分話し合いがつかない限りは廃止はあり得ぬのだ、こういう指導をいたしております。  さて、会社の運営、特に過疎地帯の運営は大変だ、かように思いますが、十分検討し相談をして、持続できるように、また快適な職場になるように努力をいたしたい、かように思う次第であります。
  349. 野坂浩賢

    野坂分科員 本当は越智大臣の御答弁で終わらなければならぬわけですよ。だけれども、希望的観測では困るので、あなたらが在任中に、例えばたくさんのバス会社がそれを祈っておるわけですから、あなたを頼りにしておりますので、善処するために全力を挙げていただけますか。  それと、一九九五年にこの補助制度について見直しますね。どういうような見直しをするのか、その辺も前向きに、今よりもよくなるという見通したと思いますが、そのとおりなのかどうか。切っていくということではないだろうと思います、越智さんが運輸大臣である限りはそういうことは絶対ないと思っておりますけれども、そのとおりでありますかということを聞いておきます。
  350. 越智伊平

    越智国務大臣 いつまでこの席にいるかわかり ませんが、私のいる間は努力をいたします。御期待に沿うようにいたしたい、かように考えております。
  351. 野坂浩賢

    野坂分科員 それでは、これで終わります。自動車局長、そういうことですから、よろしくお願いいたします。
  352. 大石千八

    大石主査 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。第八分科会、第一分科会に続いて三回目、御苦労さまでございました。  次に、鈴木喜久子君。
  353. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 社会党の鈴木から伺わせていただきます。私が伺いたいのは、新幹線引き込み線のところの問題でございます。  品川に新幹線の、東京駅から来て車庫があったわけですけれども、それが大井町の方の車両基地に新幹線の車両が入るということになって、本線から引き込み線の方にその車両が全部入る。だから、まだ本線が営業されていないときに、朝早くその車庫から出て東京駅の方に行き、夜営業が終わってしまった後にまた引き込み線を通じて大井の車両基地に新幹線の車両が戻る、こういった引き込み線のところの騒音の問題について伺いたいと思います。  この問題は、大分前からずっと、付近の住民の人たちが夜間また早朝にも大きな音がするということで、いろいろと問題が起こっていたようなのですが、ちょうど芝浦のところにあるマンション地帯の開口部の方に向かってその引き込み線がカーブを切っている部分がありまして、そこの騒音にその大きなマンションの住民たちが非常に耐えられない状況が続いている。特にこの引き込み線が、品川のところの車庫が全部廃止になったということで複線化した。余計にマンションの方に近いところにもう一つ線路ができまして、そこも通る、またその内側に、もう一つ近いところに貨物線も通る、こういった状況になっている部分の話なんです。  もともとは平成三年ごろから、平成四年にその引き込み線の複線が実施されるということで、平成三年のうちに、これはもう大変なことになるのじゃないかと住民の人たちが言っていて、測定結果を出し、引き込み線になってから再度の測定をして現在に至っているという状況があるわけでございますけれども、まず、この新幹線、この部分というのが新幹線ということの基準で考えていいのかどうかということも大変疑問ではございますが、新幹線ということにしまして、この騒音の環境基準というものはどのようになっているのか、環境庁に伺いたいと思います。
  354. 斎藤照夫

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  公害対策基本法第九条の規定に基づきまして、環境基準を政府が定めることになっておりますが、新幹線鉄道騒音につきましても環境基準が定められておるところでございます。  具体的には、類型Ⅰといたしまして、主として住居の用に供される地域につきましては七十ホン以下、それから類型Ⅱといたしまして、商工業の用に供される地域であって通常の生活を保全する必要がある地域、これにつきまして七十五ホン以下となっておるところでございます。  それで、この類型指定ⅠとⅡにつきましては、都道府県知事がこれを指定するということで委任を受けておりまして、御指摘の区域につきましては、東京都知事が昭和五十一年十二月に告示千二百四十二号によって当てはめをしておりまして、この地域新幹線の環境基準の類型Ⅱの地域、七十五ホン以下の地域とされておるところでございます。
  355. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 もう一度確認させていただきたいのですけれども、この類型Ⅰ、Ⅱは自治体が決めたとしまして、東京都の知事が決めたとして、その類型Ⅰが七十ホンだとか類型Ⅱが七十五ホンだとかいう、そういう七十とか七十五ということを新幹線または在来線とかいうことで決められるのは、自治体じゃなくて環境庁でございますか。
  356. 斎藤照夫

    ○斎藤説明員 先生指摘のように、類型指定は知事さんがやることになっておりますが、七十、七十五というのを決めておりますのは国でございます。
  357. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 ですから、この決め方自体、このような引き込み線新幹線そのものを当てはめること自体ちょっとおかしいのじゃないか。そこの部分は別に高速性が要求される部分でもありませんし、そういう意味での公共性のある新幹線が速く走らなきゃならないという部分からいうと、ちょっと違った、車庫に入るだけの問題ですから。  念のために伺いますけれども、在来線では、そこは例えばⅠ、Ⅱの区域については何ホン、何ホンというふうに決めてあるのでしょうか。
  358. 斎藤照夫

    ○斎藤説明員 鉄道騒音につきましては、新幹線鉄道騒音のみが環境基準が定まっておりまして、在来線鉄道につきましては、現在のところ、環境基準の定めはございません。
  359. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 わかりました。じゃ、次の問題に行きます。  この引き込み線のところに面しているマンションはナショナルコートという名前がついているところなんですけれども、この部分について今問題になっていることは、その騒音がJR東海の手でなかなか軽減されていないという状況があるところなんですが、平成三年四月の測定のときには、まだこのときは、今の基準からいくとすれすれですけれども、七十四デシベルという基準値であった。これは測定の場所等が住居の部分ではなくてもう少し、基準からいったら地上から一・二メートルとかいうところでいいわけだけれども、このマンションはもっと高いところにありますから、その居住者から見て音が一番響いてくる部分で測定したわけではなかったようなんですね。  この場合には七十四で、一応基準値以内だったのだけれども、引き込み線平成四年四月にできてから後、平成四年十月に測定したときには八十二・六デシベル、約八十三ホンという非常に高い音が出たということになっているわけで、この後、その時点ではこれは大変だということで、一応、東海の方がこれについて騒音を低くするために線路に何か接合の部分についての改良をして、そのために音が低くなったかどうかということで、ことしになりましてから二月にまた測定をした。だから、測定は全部で三回しているのですが、それで、少しは減ったのだけれども、まだ七十九ホンというような高い数値が出ている、こういう状態なんですね。  このことについてですが、この引き込み線が使われる時刻と終了する時刻、これは一体いつからいつまでなんでしょうか。
  360. 秦野裕

    秦野政府委員 今手元にございますのは最終の方しかございませんので、申しわけございませんが、最後に列車が大井に入りますのが零時十一分でございます。それから始発の方は、始発が六時でございますので、恐らくそれより若干前かと思いますが、ちょっと手元に資料がございませんので、お許しいただきたいと思います。
  361. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 真夜中の十二時過ぎまで通っているわけなんですが、これは大体どのぐらいの頻度、一時間に何本ぐらいが通っているかはおわかりになりますでしょうか。
  362. 秦野裕

    秦野政府委員 手元の資料でございますと、二十三時台に十本でございます。
  363. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 十一時台に十本、六分に一回ぐらいの割合で通るという、上りも下りもありますから、通るような頻度のあるその部分について、軽減されたとはいえ七十九デシベルの音がしている、そういった今の引き込み線状況なんですけれども、このようなところについて、住民の人たちの迷惑ということも考え運輸省は東海に対して何かしら指導はされましたでしょうか。
  364. 秦野裕

    秦野政府委員 御指摘の大井の車両基地への回送のために、特に複線化工事を行いました後に騒音が大変高くなったということを、沿線の方々からお話があるということは私どもも承知をいたしております。  その後の経緯は、先ほど先生お話しになりましたとおり、JR東海の方で昨年十月に騒音測定 を行いまして、約八十三ホンという測定結果が出ておるわけでございます。この結果を受けまして、昨年の十月からことしの一月にかけまして、例えばレールの継ぎ目を溶接するとか、振動防止のためのパッドを挿入するとか、防音壁のないところについてこれを増設するとか、いろいろな音源対策を実施してまいりました。  その結果を踏まえまして、先ほども先生からお話がございましたが、ことしの二月に騒音測定を再度実施したわけでございますけれども、約七十九ホンという結果が出まして、四ホン程度は低減したのでございますが、まだ先ほどお話しの七十五ホンを超えている状況にあるわけでございます。  そこでJRでは、現在、従来の対策に加えまして、制振鋼板と申しておりますが、要するに振動を防止するための鋼の板でございますが、これを主な支柱のけたの方へ取りつける、あるいは騒音の大きな原因になっております回送の線路の脇に歩道があるわけでございまして、その歩道が列車が通ることによって鉄板に当たってかたかた揺れて音を出すということでございますので、それに対する取りかえ等追加対策を現在検討し、実施に移すべく準備を進めておるわけでございます。  私どもといたしましては、これをできる限り早期に行うことによりまして、当初の目的であります七十五ホンまでとにかく騒音を低減するようにJR東海の方を指導しておるというのが現在の状況でございます。
  365. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 一番初めにこれを問題視したのが平成三年の三月ですからね、もう丸々二年たっているわけですね。それで、できるだけ早くと言いますけれども、住民の人たちにとっては毎日毎日の生活の中です。特にこれからいい時期ですよ、窓をあけて空気が入ってくる、その時期、五月とか六月ぐらいの時期、そのあたりに窓をあけておくとこれだけの音が、しかも深夜というのが、十二時過ぎているというのは、これは法律の上でも十二時までのことでできているわけだと思うのです。後でちょっと環境庁の方にお聞きしたいと思うのですが、列車の走る時間ですね、十二時までじゃないかと思うのです。それをちょっと過ぎているところの時間まで一時間に十本ものそういった音がする、金属音がキーンとするとかガタガタいうとか、いろいろな音がし振動がしている中でいる、非常に対応がおくれていると私は思うのです。  この実験の結果の中に、私も見せていただきました、いろいろな実験があるのですけれども、そこでは速度については全然、緩めた速度でどのくらいの音になるかという実験をしていないのですが、これは何か意味合いがあるのでしょうか。
  366. 秦野裕

    秦野政府委員 まず、午前零時を過ぎた運転についてのお尋ねがございましたけれども、十二時以前に運転を終了いたしますのは基本的には本線の部分でございまして、ただいま申し上げました零時以降の本数は二本でございますけれども、これは東京駅からの十二時前に着きました列車の引き込みのためということで、ある程度お客様の利便を考えてやむを得ない措置ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、スピードとの関係でございますが、JRの方で測定をいたしましたときにスピードを二種類、大きく分けますと時速七十キロメートル、それから時速三十キロメートル台、この二つの基準で、基準と申しますか目安で測定をしたわけでございますけれども、その結果といたしましては、この程度のスピードになりますと、特に列車速度と騒音レベルとの間に大きな関連性が見られない、逆に申せば、スピードダウンを行いましても騒音の低減効果が余り見られないという結論が一応出ております。また、専門家の方々の御意見を伺いますと、理論的にもやはりそのことはある程度裏づけられるということでございますので、そのレベルでのスピードダウンというものには余り効果が期待できないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  367. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 私は住民側にいただいた資料というもので見ているわけでございます。この中で、もっとずっと遅くして、一番普通に考えられるのはここがちょうど引き込み線でカーブがかなり急になっているところなんですけれども、このカーブのところについて、ゆっくり走ればそれだけ音も少なくなるんじゃないかというのは、これは普通考えられることなんですが、時速七十、三十とかいうのではなく、もっとゆっくりと走るようなことは考えられないのでしょうか。それでも理論的にだめだと言われるのかどうか。それからまた、住民の方でいただいている測定結果の中にはそういったことが余り入っていないように思うのですが、いかがでしょうか。
  368. 秦野裕

    秦野政府委員 私どもがJR東海の測定データとして聞いておりますところでは、上り線、つまり新設、新しく設置された方でございますけれども、それがスピードが六十キロないし七十キロのところで八十一ホンから八十四ホン、それから三十キロ前後のところで八十ホンから八十五ホンということになっております。それから下り線、前からございます下り線の方でございますが、これは五十キロないし六十キロの域で大体七十五ホン、三十キロ前後のところで七十四ホンということで、この結果から見ますと、五十キロから七十キロ域と三十キロ域との間ではそれほど効果に差がないのではないかというふうに考えられるところでございます。  なお、それ以下のレベルでは測定した答えはございませんけれども、先ほど申しましたとおり、理論的には余り変化はないのではないかというふうに考えられております。
  369. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 余り効果がないといっても、一番やってほしいのはスピードの低減なんですね。まずそれをやってもらいたい。もっともっと本当に徐行のような形で通ったって、そんなに長い距離全部があるわけじゃないんですから、そこをそのぐらいやったところで、そこの車庫に入るまでの時間というのがそれほど長くなるわけじゃない。  一遍今度実験をぜひやっていただきたいのは、もっと本当に車の徐行のような形で、十キロとかそういう形で一体どうなのかということを住民の納得のいくような形でぜひ実験を一度やっていただきたいと思うんですよ。そっと歩けば音がしないというのは普通だれでも考えられることなんです。ただ、ここの地理的な条件とか、または壁であるとか鉄橋であるとか、そういったものによって音がどうしても軽減できないという状況もあるのかもしれない。しかし、毎日毎日騒音に悩まされている住民にとっては、いろいろな方法でやってみていただきたいとこれは心から思っていると思うのです。そうでなければなかなか納得がいかないと思うんです。  現に工事をしましようということでレールの継ぎ目等に対して工事をした。するまでにもかなり時間をかけてやって、そしてお金ももちろんかかったんでしょうけれども、これでやって、ところが軽減をそれほどされていない。これから先も、いつになったらそれがきちんと完成して、やるという工事完成するのかどうかもわからない、こういう状況なんですから、ここではぜひとも一度スピードの軽減ということについても実験の中に加えてやっていただきたいと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  370. 秦野裕

    秦野政府委員 時間帯にもよるわけでございますが、本線上のダイヤにまだかなり列車が走っております場合には、先生案内のとおり、東京駅から大井の車両基地までに参ります間、一部本線区間を走るわけでございまして、ここをスローダウンいたしますと、当然後続に本線の列車が走るわけでございますので、こちらの方のダイヤに支障が生ずるという問題がもう一つ別にあるということはちょっとお含みおきをいただきたいと思うわけでございます。  それで、どういうスピードで走ればどうなるかという点については先ほど申し上げたとおりでございますけれども、先生の御指摘を含めて検討をしてまいりたいと思います。  やはり私どもとしましては、基本的には先ほど来申し上げております音源対策、これをとにかく早くやるということが最も優先課題ではないかということで、言葉は悪いのでございますが、JRを督促いたしまして、できる限りこの工事を前倒しでやるということで現在作業を進めておりまして、できればことしの秋までには遅くとも完成させるようにということで一生懸命努力をしているわけでございます。先生の御指摘を含めて、さらに検討を進めていきたいと思います。
  371. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 ぜひそれはそれで実行していただきたいと思います。  今の住民の人たちが思っているような速度の低減ということ、今お聞きしますと、例えば本線を走っているから、だからほかとの兼ね合いでそうスピードを緩めることはできないとおっしゃいますけれども、しかし今問題にしているのは、その引き込みからこう来て、引き込み線から入ってカーブをする、その部分に関係があるわけで、そこの部分は本線とは違う部分ですね。  それからもう一つは、朝早い時間、それから夜遅い時間、こういう時間だけでも、頻度が少なくなってもう余り下りの電車も出なくなる、上りも余り入ってこなくなるときには、これはダイヤのつくり方というのは大変複雑で難しいんだろうと思いますが、ここら辺で、ぜひそこに住んでいる人たちのこともお考えいただいて、やはりこれはそういう人たちの悲鳴ですけれども、こういうものもぜひお聞きいただきたいし、そのことをJRの方にもぜひ御指導をしていただきたいと思います。  ですから、きょうもJRの方に直接来ていただいて、これは小さな引き込み線のところのその沿線に住んでいる住民だけの問題ではあるけれども、「のぞみ」が早く着く、何分早く着くか何時間早く着くかというそういったスピードアップだけの問題ではなくて、スローダウンでも実に人々が待ち望んでいるスローダウンもあるんだよということを私はぜひ聞いていただきたいと思ったのですが、JR当局にここにおいでいただくということはどうしてもできないような状況です。  ですから、間接的にはなりますけれども運輸省に、督促といいますか、まあ秋までというのはことしの春の一番いい時期が過ぎてしまって非常に残念なのですが、実験をやりながらぜひそういった要望をかなえていただきたいと思います。  この点について、大臣どのようにお考えか、お願いいたします。
  372. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいま鉄道局長から御答弁申し上げましたが、JR東海を督励いたしまして、防音対策をできるだけ繰り上げてやるように督励をいたしたいと思います。住民の方々の御迷惑を最小限になるように指導してまいりたいと思います。
  373. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)分科員 先ほどの野坂先生も言われましたけれども、大臣、しっかり今御在任であります間にこうした督励をしていただきまして、実現に向けて、なるべく早く住民が喜んで暮らせますようにということでよろしくお願いをしたいと思います。  少し時間が早いのですが、これで私の質問を終わらせていただきます。
  374. 大石千八

    大石主査 これにて鈴木喜久子君の質疑は終了しました。  以上をもちまして運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会補充質疑は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後九時二十二分散会