○石井政府委員 お答えいたします。
先生御
指摘の南関東地域直下の地震に関しましては、
先生先ほど来おっしゃいましたように、昨年の八月に中央防災
会議におきまして大綱を定めたところでございますが、中央防災
会議の地震防災対策強化地域指定専門
委員会が種々
検討を行ってきた結果を踏まえて大綱を定めたということに相なるわけでございます。
この専門
委員会の
検討結果によりますと、先ほど来
先生御
指摘のように、南関東地域におきますマグニチュード七クラスの地震の発生につきましては切迫性が高まってくることは疑いなく、また百年から二百年先に発生する可能性が高いと考えられる次の相模トラフ沿いの地震が起こるまでの間に直下の地震が数回発生することが予想される、かようなことが明らかにされたところでございまして、これを受けて「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」が策定されたということでございます。この大綱の中でも、「地震予知観測、研究等の推進」ということを掲げておるわけでございまして、これにつきましては、直下の地震の予知は
現状では非常に難しい
状況にあるが、今後、その実用化を図っていくために、観測手法の開発とか、あるいは各種観測の充実等によりまして、長期的及び短期的予知のための観測を強化しつつ、予知に有効なデータの蓄積を図っていく、特に、直下の地震の規模及び関東平野の地域特性等にかんがみ、広域深部観測施設等の整備を積極的に推進する、かような位置づけを大綱で明らかにいたしたところでございます。
この南関東の直下の地震予知の問題につきましては、もとよりこの大綱策定前から測地学審
議会におきましても、第六次地震予知計画にこれへの
対応ということがそれなりに規定されておるところでございまして、従来から科学
技術庁におきましては、防災科学
技術研究所におきまして、これまでいろんな形で進めておりましたいわゆる三千メートル級の深層観測施設三カ所、従来置いておったわけでございますが、これが微小地震観測に大きな成果を上げてきた、かような実績を踏まえまして、既に
平成三
年度から首都圏直下型地震予知のための広域深部観測施設の整備を推進してきた、かような経緯にございます。
この広域深部観測施設の整備というプロジェクトは、全体計画といたしましては、三千メートルクラスの深層観測施設を一カ所、二千メートル観測施設を十二カ所、それからケーブル式海底地震観測施設を一カ所、また人工衛星を用います、いわゆるGPSによる測地観測施設につきましても十二カ所整備を図る、かようなことでこれまでその推進を図ってきたという経緯があるわけでございますが、先ほど申しました大綱でも、広域深部観測施設の整備ということの重要性をさらに強く打ち出してきた、こういう経緯も踏まえ、また、昨年も
予算委員会におきまして
先生からも、より早急なる
対応ということを求められたというような経緯等、いろんな社会の期待というものに科技庁としても積極的に
対応していく必要があるということで、既に
平成四
年度におきましても、補正
予算でより加速するような施策を講じさせていただくというようなことをさせていただきましたし、また今
年度の
予算におきましても、生活重点化枠の活用というようなことで、
平成五
年度予算の政府原案の作成に当たりましても、広域深部観測施設の整備ということにつきましては、格段の
努力を払って
対応しておるというのが
現状でございます。
現在までの
状況について申しますと、三千メートルクラスの観測施設につきましては、先ほど言いましたように、
平成三
年度から整備を進めておるところでございますが、既に観測井、井戸は穴掘りを完了いたしまして、現在観測室等の基礎工事を進めている、こういう
状況にございます。また、二千メートル級の観測施設につきましては、
平成四
年度におきまして二施設の整備に着手する、こういうようなところに来ております。
また、相模湾に敷設する予定のケーブル式海底地震観測施設につきましては、陸域部及び沿岸部の敷設設計を実施しておるという
状況であり、また、人工衛星を利用して地殻活動を観測するためのGPS観測施設につきましては、十二カ所について
平成四
年度内に完了するということを目途といたしまして、現在その整備を進めておる、こういうものが現在までの
状況でございます。
また、
平成五
年度につきましては、科学
技術庁におきまして、さらに広域深部観測施設の整備により充実を図っていこうということで、
平成五
年度におきましては十九億八千五百万、約二十億円というような首都圏直下型
対応の
予算も
要求をさしていただいておるところでございまして、これは昨
年度に比しまして三六%ぐらいの増加ということで、非常に加速させているというような
状況にあるわけでございます。