○伊藤(忠)
委員 断るための理屈を全部並べられたという感じなのですが、実際町に出られて、大蔵
大臣、これで余り時間をとれないのですが、今言われたことを消費者の
皆さんに一度説明されたらどうですか。恐らく何を言うのかというので大変な
状況になると思いますよ。今そういう
状況じゃないですか。デパートの売り上げたって落ちていますし、利益だって沈んでいますし、雇用不安が出ているじゃないですか。日産の座間の問題、NTTの合理化の問題、雇用不安が全体に広がっているのですよ。あなたが言われるようにそういう理屈どおり実際の庶民の生活がいっているのだったら、景気はこんなに悪くならないですよ。回復するじゃないですか。回復しないからどうしようかというので国会で議論をやっているのでしょう。理屈の段階じゃないと私が言っているのはそうなのですよ。まさに決断の段階なのです。実行の段階なのです。だから、早くこれは結論をつけなければいけない。そういう
立場で言っているのですから、大蔵
大臣がイロハのイからこの段階に来てそういう理屈を並べられて、だからだめだというような
答弁をされるというのは、私は非常に心外ですね。
いずれにしても、このことを議論するあれではありませんから、これは両党問といいますか、党間の話し合いなり、それに絡んで
政府との対話のレベルに移るのだろうと思いますが、そういう
立場で私たちはとらえて、大変重要な時期に来ているということをひとつ
理解をいただきたい、こう思います。特段の
答弁は要りませんので、次に行きます。
次は水道水源の水質
保全、一転しまして地味な問題ですが、順次質問をさせていただきます。
水道水源の水質
保全の問題といいますのは、これはもう過去十年来、私もかかわりましてちょうど九年になります。随分地元でもそういう問題にかかわって
努力してまいりましたし、国会でも二度にわたって私は具体的に問題の解決と対応を求めて質問にも再三立ってきたわけでございますが、御承知のとおりこの水道の水源というのはさまざまございます。湖から取水している場合もあれば山間上流域から取水口に流し込んでいるというケースもありますから、実態は区々ではございますが、だから現行法を実態に合ったように
見直していくというのは非常に難しい、こういう
立場での
政府答弁に今日まで一貫しておったと思いますね。
ところが、実際、全国には水道水源があまたあるわけですから、現実にその水源が汚染される危険にある。実際にはまた汚染をされて、水道
事業者が大変浄水の段階で苦労されているというケースもむしろ近年ふえてきている。これはデータが示しているところでございます。それを食いとめようとすれば、問題の解決を図ろうとすれば、当該の
自治体が条例でもって何とか防ごうとしなければ問題の解決が進まないわけですね。
そういう対応に対して、これまではどういう
政府の対応であったかといいますと、
自治体が個々に
法律を上回るような内容の
規制を条例でやられたのでは困る、むしろ迷惑だという
立場での陰に陽に
自治体に対するプレッシャーというものがかかってくるという中で、随分苦労が絶えなかったわけですね。こういうふうな対応が
政府としては一貫してやられてきておりまして今日を迎えている。しかし、それではどうにもならないというところに今日来ているのではなかろうか、私はこのように判断をしているわけであります。
次に、水道
事業でございますが、これはもう言うまでもなくて、人々の健康と命を守るという点で水道水の安定的な給水というのは大変重要な仕事であるし、使命を持っていると私は思うわけであります。それは水道法の第一条の目的に書かれているとおりでありますし、したがって、良質な水源の確保がそのためには必須の
条件であります。近年、水道の原水における各種の化学物質、それから農薬、肥料の散布、使用にかかわる影響、三点目は水源地上流の開発、四点目はにおいがする、味が悪くなったというそういう被害の拡大が非常にふえているわけですね。これはとりもなおさず水源の水質悪化が顕在化して、住民、市民の間で大変大きな問題になってきている、こういうことが言えるのではなかろうかと思うのです。それだけに
国民の関心は高まっておりまして、水道水が汚れている、水質が非常に悪くなってきたということに対して不安感が広がってきております。
これは一つの省だけのデータではございませんが、メーカーに聞いてもわかるのですが、御承知のとおり、家庭用の浄水器あるいはボトルウオーター、これが非常に今売れていますね。私たちの事務所にも、議員会館にもつけています。それをつけると何か安心して水が飲めるという精神的な面ももちろんあるのでしょうけれ
ども、実際、悪いところは、においがするからだめだ、この水はどうもなあというところは、こういう機器が非常に今売れていますよ。これのふえ方が極端なんですね。つまり、ある統計によれば、
平成元年はどれだけ使用されていたかというと、大体六十万台ぐらいなんです。
平成二年は何と二百四十万台ですね。
平成三年はこれが三百六十万台ぐらい。もう極端に伸びているわけですね。利用家庭がそういうふうに広がっているわけです。
御承知のとおり、こういう面でもなるほど水に対する関心なり警戒心すら高まったなというふうに思える数字なんですが、一方の見方としては、ミネラルウオーターというのが最近すごく伸びていますよね。これは一つの例ですが、議員宿舎でもミネラルウオーターを配達に来られる若い衆に会いまして、これくらいの、ガソリンをよく入れる大きなポリの入れ物がありますね。あれを三つぐらい手押し車に乗せまして、ガラガラと玄関を引いてエレベーターに入られるところに私ぱたっと会ったものですから、これは何ですか、ガソリンですか、ガソリンを宿舎に運ぶのですかと言ったら、私が認識不足でして、いや先生、これはミネラルウオーターですよ、次々契約をいただいていまして、もうこの大きなやつで運ぶ時代になりましたと説明されたわけですね。これ、お値段は一個幾らですかと聞いたら、高いのですね。水なんですが高いのです、やはり高い。それを常用されている先生方も多いのですね。
というのは、やはりおいしくてきれいな安全な水を飲みたいという、そういう水に対する関心というのは適当じゃないと思います、やはりその心の底には不安があるのだと思います。だから、自分の健康にいい水だったら、お金を出さなくても飲めればそれにこしたことはないのですが、実際にやはり健康を守るためだったら、おいしい水を飲むためだったら、お金を出してでも——ありがとうございます、これはおいしい水だと思います。いただきます、あまりうまくないですけれ
ども。とにかくそういう世の中なんですね。ですから、このようにデータが示すとおり、もう当たり前のことになってきた。これは喜ぶべきことなのか悲しむべきことなのかといったら、私は余り喜ぶべきことじゃないと思っております。
閣僚の
皆さんも国際経験豊かな方ばかりですから、世界を施されて、水道の蛇口に口を突っ込んで実際に水を飲める国は幾つありますか。私の知る限りでは、まず
日本でしょう。それから朝鮮半島もいけるのですか、アメリカですか
カナダですか、それからあとはイギリスぐらいじゃないのですか。もっと少ないかもわからないし、もう少しあるかもわかりませんが。スイスなんかはエビアンのミネラルウオーターで有名なところですが、いずれにしましても限られていますよね。大陸へ行ったらまず水は飲めないじゃないですか。
そうすると、水に関しては本当に胸を張れる。清い水、美しい水、おいしい水、健康な水ということで
日本は歴史的に
国民はなじんできた。それに頼って健康に生きてきたというような格好なんでしょう。その水が今日大変危機に瀕している、オーバーな表現かもわかりませんが、私はそう言っても決して間違いではない、こう思っているわけであります。
恐らく関係省庁もその現状を憂慮されまして、これを何とか打開をしようじゃないかという姿勢に立たれて、その一策として、お聞きするところによれば
中央公害対策審議会の答申が出されました。これは水質基準の
見直しということで出されたわけですね。それから、
環境基準の
見直しも、もちろんこれに関連して行われるという段階を今日迎えているわけです。やっとそこまで
政府の方も腰を上げられた。態度が非常に積極的な態度に変えられてきつつあるということについては私は
評価をしたいと思っているわけです。しかし、余りにもその腰の上げ方が遅いのではないか、こういうことは当然指摘をせざるを得ないと思います。
いずれにしましても、水道水源の水質
保全のためにどれだけ
努力してもその
努力は惜しくないと私は思いますし、
努力すればするだけのしがいがあるし、
国民の支持を集めることができる、このように思っているわけであります。
ただ問題は、水質
保全のために、それを阻害している
条件を排除しなければなりません。排除するためには、関係省庁、それから地方
自治体などが一体になって取り組むかどうかということが今後問われるのではなかろうか、私はこう思っているわけです。そのためには当然、関係法令の改正を含めた積極果敢な態勢が組まれなければ到底問題は解決をしない、こう思うわけでございます。したがって、この点について、まず基本姿勢について厚生
大臣の御
答弁をいただきたい、こう思います。