○堀
委員 そこで、私がそういう問題を
考えるに至りましたもとは、実は私は兵庫県の尼崎市というところに、昭和十二年に大阪の大学に入りますためにそこに下宿をいたしまして、そうしてそのまま今日に至っておりますから、約六十年近くこの地にいるのでありますが、ここに阪神上水道という水道がございます。この阪神上水道というのは
事務組合でございますけれども、淀川の水をとって尼崎でこれを浄化をいたしまして、そして阪神上水道ということで尼崎市やあるいはさらに西の方にも、神戸に至るまでこの阪神上水道は使われておりますし、琵琶湖の水というのは現在琵琶湖の南部の皆さん、そして京都市の皆さん、これも琵琶湖の水を水道水として使っておりますし、大阪市もほとんど全部がこの琵琶湖の水を使っているわけであります。
ところが、昔は大したことはなかったのでありますが、だんだんと時間を経るにしてこの水道水がまずくなってきたわけですね、だんだんとまずくなってきた。そのだんだんまずくなってくる
理由は、今の琵琶湖周辺にいろいろと住民もたくさんふえました、事業所もふえました、その排水が全部琵琶湖の中に流し込まれるわけですね。おまけに、京都は琵琶湖から直接水をとっていますけれども、京都の下水は全部淀川に流れ込む。ですから、琵琶湖周辺と京都の下水を大阪市あるいは阪神間の我々はこして飲んでいるということでありますから、時代が移るに従って水質はどんどん悪くなってきた。
そこで、私はもう議員になっておりましたから
大蔵省の諸君と話をして、琵琶湖の周辺に流域下水道をつくって、琵琶湖周辺の住民や工場の排水はその流域下水道に全部入れて、淀川というのは側
承知のように幅が広くて水はそうたくさん流れていませんから、そこへひとつ流域下水道を入れる。京都市も、とってきた下水はその流域下水道へ入れて、要するに下水は下水で大阪湾の近くで下水処理をして瀬戸内海に出す、飲用水は滋賀県の皆さんも京都の皆さんも我々も直接琵琶湖からとるようにしたいという話を当時の
大蔵省の主計の幹部といたしてみました。そうしたら彼らが言いますのは、先生、今の
お話を聞いていると、確かに滋賀県の皆様にもプラスですけれども、多くのプラスを受けるのはやはり京都とか大阪とか兵庫とか、滋賀県に関係のない人の方が非常にたくさん恩恵を受ける、先生、これはそういう話をしても今の府県の制度ではなかなか難しいんじゃないでしょうか、こういう話でございました。そのときに私は、ああ、それならば大きなブロックである一つの近畿州というようなものをつくって、広域で物を
考えて対応するということが必要だなと。もうそれから約二十年がたつわけでございます。
今度は、最近見ておりますと、東京もどうやら利根川水系の水がだんだん不足をし始めてきた。そこで、新潟の信濃川の分水ができないか、こうなるのですが、これがまた府県制度ですから、新潟県にすれば何も信濃川が流れているのを分水して東京や関東に流す
理由はない、こういうことになっているようでありまして、いずれもそういう生活の問題から見ても、私は、もう大きなそういうブロックが問題を処理する形になるというのは極めて重要な段階に来ているのではないか。交通や通信も非常に発達をして、そういう意味では、過渡的に府県を残すといたしましても、私は、まず地方にひとつ州という名のつくような広い範囲の広域自治体をつくるということを
考えたらどうかとまず第一に
考えているわけであります。これが一点ですね。
そういう州が幾つできるかは、これはまた、皆さんや、そして
国土庁長官にも今御
出席をいただいておりますが、これは国土のいろいろな情勢を勘案しませんと、何となくここはと、こういうわけにはいきません。それにはやはり国土庁としては地理的な関係あるいは過去の歴史的な問題、いろんな関係を国土庁その他もひとつ検討をしていただいて、そうしてひとつ……。
どちらかというと、兵庫県に私ども住んでおりますが、兵庫県というのは瀬戸内海から日本海まで実は広がっておりますので、日本の中では割に幅の広いところですけれども、両面にある。そうでないところがたくさんあるわけですね。ですけれども、やはり日本の場合には、中国の場合は大体皆瀬戸内海とこちらにありますけれども、場所によってはそうならないところもありますから、できればそういうふうに関東州というのを
考えるときは新潟県を入れて、要するに関東地方がこうなれば日本海にも出口がある、こちらの太平洋側にも出口があるというような形で適当なブロックが一つつくられるということになり、そこに一つ、それをまあ一応州、こういうことにいたしますと、その州に主要な
行政権をひとつ移譲する。そうしますと、残ってくるのは州の連合体でありますところの一種の連邦政府が残ってくるわけでありますが、この連邦政府というのは当然やはり、例えば外交の問題であるとか
防衛の問題であるとか、裁判所も地方に移せとかいろいろありますけれども、そう何でもかでも一遍にやればいい話ではございませんので、やはり順を追って、そういう州の成長といいますか、そういう発展の過程に応じて
考えるべきものは
考えるとしても、やはり司法の制度とか、税の問題も大体各ブロックに国税局がありますから、要するに税は国税局で取って、そして一義的には今の州の財源に使うということで、段階的な処理をやるということが必要でしょう。そして当然、県はしばらく残っていますが、やがて県がなくなる時期というのは、皆さんいろいろなところに書いておられますけれども、やはり基本自治体というのは、まあ三十万ぐらいの自治体でありたいというのがいろいろな報告の
意見でありますので、今の市町村というのを少なくとも三十万ぐらいの一つの自治体にして、その自治体と州で、やがては県はなくしていく。そのかわり州議会というものがきちんとでき、州の知事というのも今の県の知事と同じようにその州の有権者が投票によって選び、州議会もそういうふうにしてできる。ただその場合には、今の税の問題とか司法の問題とかというようなものはまだ残しながらその問題の処理をしていくというような、実は発展段階に応じて物を
考えていくというような形で一遍
考えてみたらどうか、私はこう思うわけであります。
まず最初に、一番関係のある自治
大臣から、今の私の構想についての感想をひとつ伺いたいと思います。