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1993-01-28 第126回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年一月二十八日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 粕谷  茂君     理事 石川 要三君  理事 小杉  隆君     理事 鴻池 祥肇君  理事 佐藤 信二君     理事 中川 昭一君  理事 串原 義直君     理事 中西 績介君  理事 松浦 利尚君     理事 草川 昭三君        相沢 英之君     愛野興一郎君        赤城 徳彦君     粟屋 敏信君        石原慎太郎君     臼井日出男君        内海 英男君     衛藤征士郎君        越智 通雄君     大石 千八君        唐沢俊二郎君     倉成  正君        鈴木 宗男君     高鳥  修君        戸井田三郎君     中谷  元君        中山 太郎君     萩山 教嚴君        浜田 幸一君     原田  憲君        保利 耕輔君     松永  光君        松本 十郎君     村山 達雄君        柳沢 伯夫君     山口 俊一君        渡瀬 憲明君     綿貫 民輔君        赤松 広隆君     伊藤 忠治君       宇都宮真由美君     嶋崎  譲君        関  晴正君     竹内  猛君        富塚 三夫君     楢崎弥之助君        堀  昌雄君     松前  仰君        三野 優美君     水田  稔君        目黒吉之助君     元信  堯君        石田 祝稔君     二見 伸明君        宮地 正介君     児玉 健次君        辻  第一君     吉井 英勝君        中野 寛成君 出席国務大臣        内閣総理大臣  宮澤 喜一君        法 務 大 臣 後藤田正晴君        外 務 大 臣 渡辺美智雄君        大 蔵 大 臣 林  義郎君        文 部 大 臣 森山 眞弓君        厚 生 大 臣 丹羽 雄哉君        農林水産大臣  田名部匡省君        通商産業大臣  森  喜朗君        運 輸 大 臣 越智 伊平君        郵 政 大 臣 小泉純一郎君        労 働 大 臣 村上 正邦君        建 設 大 臣 中村喜四郎君        自 治 大 臣        国家公安委員会 村田敬次郎君        委員長        国 務 大 臣 河野 洋平君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣 鹿野 道彦君        (総務庁長官)        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)     北  修二君        (沖縄開発庁長        官)        国 務 大 臣 中山 利生君        (防衛庁長官)        国 務 大 臣        (経済企画庁長 船田  元君        官)        国 務 大 臣        (科学技術庁長 中島  衛君        官)        国 務 大 臣 林  大幹君        (環境庁長官)        国 務 大 臣 井上  孝君        (国土庁長官出席政府委員        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣 谷野作太郎君        官房外政審議室        長        内閣法制局長官 大出 峻郎君        内閣法制局第一 津野  修君        部長        国際平和協力本 柳井 俊二君        部事務局長        公正取引委員会 小粥 正巳君        委員長        公正取引委員会 矢部丈太郎君        事務局経済部長        警察庁刑事局保 中田 恒夫君        安部長        総務庁長官官房 八木 俊道君        長        総務庁行政管理 増島 俊之君        局長        防衛庁参事官  高島 有終君        防衛庁長官官房 村田 直昭君        長        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君        防衛庁教育訓練 諸冨 増夫君        局長        防衛庁人事局長 秋山 昌廣君        防衛庁経理局長 宝珠山 昇君        防衛庁装備局長 中田 哲雄君        防衛施設庁総務 竹下  昭君        部長        防衛施設庁労務 荻野 貴一君        部長        経済企画庁調整 長瀬 要石君        局長        経済企画庁総合 田中 章介君        計画局長        経済企画庁調査 土志田征一君        局長        科学技術庁科学 長田 英機君        技術政策局長        科学技術庁原子 石田 寛人君        力局長        科学技術庁原子 佐竹 宏文君        力安全局長        環境庁長官官房 森  仁美君        長        環境庁企画調整 八木橋惇夫君        局長        環境庁企画調整 加藤 三郎君        局地球環境部長        環境庁自然保護 大西 孝夫君        局長        環境庁水質保全 赤木  壯君        局長        国土庁長官官房 藤原 和人君        長        国土庁長官官房 藤田  修君        会計課長        国土庁土地局長 鎭西 迪雄君        国土庁防災局長 黒川  弘君        法務省刑事局長 濱  邦久君        法務省保護局長 杉原 弘泰君        外務省アジア局 池田  維君        長        外務省北米局長 佐藤 行雄君        外務省欧亜局長 野村 一成君        外務省中近東ア 小原  武君        フリカ局長        外務省経済局長 小倉 和夫君        外務省条約局長 丹波  實君        外務省国際連合 澁谷 治彦君        局長        大蔵大臣官房総 日高 壮平君        務審議官        大蔵省主計局長 斎藤 次郎君        大蔵省主税局長 濱本 英輔君        大蔵省理財局長 藤井  威君        大蔵省国際金融 中平 幸典君        局長        国税庁次長   瀧川 哲男君         文部大臣官房長 吉田  茂君         文部大臣官房総 岡村  豊君         務審議官         文部省初等中等 野崎  弘君         教育局長         文部省高等教育 遠山 敦子君         局長         文部省高等教育 中林 勝男君         局私学部長         文部省学術国際 長谷川善一君         局長         文化庁次長   佐藤 禎一君         厚生大臣官房総 瀬田 公和君         務審議官         厚生省生活衛生 藤原 正弘君         局水道環境部長         厚生省老人保健 横尾 和子君         福祉局長         農林水産大臣官 上野 博史君         房長         農林水産大臣官 今藤 洋海君         房審議官         農林水産大臣官 堤  英隆君         房予算課長         農林水産省経済 眞鍋 武紀君         局長         農林水産省構造 入澤  肇君         改善局長         農林水産省構造 中道  宏君         改善局次長         農林水産省食品 須田  洵君         流通局長         食糧庁長官   鶴岡 俊彦君         林野庁長官   馬場久萬男君         水産庁長官   川合 淳二君         通商産業省産業 熊野 英昭君         政策局長         運輸省運輸政策         局次長     和田 義文君         兼内閣審議官         運輸省自動車交 土坂 泰敏君         通局長         運輸省海上技術 戸田 邦司君         安全局長         海上保安庁次長 後出  豊君         郵政大臣官房財 新井 忠之君         務部長         労働大臣官房長 七瀬 時雄君         労働省労働基準 石岡慎太郎君         局長         建設大臣官房会 木下 博夫君         計課長         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省住宅局長 三井 康壽君         自治大臣官房審 松本 英昭君         議官         自治省行政局長 紀内 隆宏君         自治省行政局選 佐野 徹治君         挙部長  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁)三重野 康君         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十八日  辞任        補欠選任   臼井日出男君    渡瀬 憲明君   倉成  正君    山口 俊一君   浜田 幸一君    鈴木 宗男君   柳沢 伯夫君    中谷  元君   目黒吉之助君    嶋崎  譲君   元信  堯君    赤松 広隆君   市川 雄一君    石田 祝稔君   寺前  巖君    辻  第一君 同日  辞任        補欠選任   鈴木 宗男君    保利 耕輔君   中谷  元君    柳沢 伯夫君   山口 俊一君    萩山 教嚴君   渡瀬 憲明君    赤城 徳彦君   赤松 広隆君    元信  堯君   嶋崎  譲君    目黒吉之助君   石田 祝稔君    市川 雄一君   辻  第一君    吉井 英勝君 同日  辞任        補欠選任   赤城 徳彦君    臼井日出男君   萩山 教嚴君    倉成  正君   保利 耕輔君    浜田 幸一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成五年度一般会計予算  平成五年度特別会計予算  平成五年度政府関係機関予算      ―――――◇―――――
  2. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより会議を開きます。  平成五年度一般会計予算平成五年度特別会計予算平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤松広隆君。
  3. 赤松広隆

    赤松委員 諸先輩を前にこの予算委員会の冒頭に質問に立たせていただく光栄に大変感謝を申し上げております。アメリカでもクリントン四十六歳、ゴア四十四歳、若い正副大統領が正式に就任をしたこの同じときに、私ども社会党でも史上最も若い四十四歳の書記長が誕生いたしまして、至らない者でございますけれども、どうぞお見知りおきをいただきたいと思います。(拍手)  私が生まれましたのは昭和二十三年でございまして、多分そのときには宮澤総理は既に大蔵省の枢要な地位にあられ、戦後復興のいろいろな苦労を、汗を流してされておられた時期ではないか。世代で言うと私の父親の世代ということになるわけでございますが、与党と野党、あるいは自民党と社会党、そういう立場の違いだけでなくて、今人口の六四%は戦後生まれということになっていますから、その意味でこの六四%の若い世代を代表する気概で、クリントン言葉をかりれば、冷戦の影で育った世代へ新しい、新たな責任が引き継がれた、こういう気概も持ちながらこの予算委員会質問に入っていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、最初に一言だけ釧路沖地震について触れさせていただきたいと思います。  去る一月十五日に発生をいたしました釧路沖地震は、上下水道、道路、住宅、港湾、農業施設を初め、社会生活から生産施設に至る広い範囲で大きな被害をもたらし、調査が進むにつれまして、調査に行けば行くほど被害の実態は大きくなっていくというようなことでありまして、亡くなられた方もございます。この亡くなられた方に対しましても心から私はお悔やみを申し上げたいと思いますし、被害に遭われた方皆さんに謹んでお見舞いも申し上げたいと思います。  私ども社会党も、この釧路沖地震につきましては早速調査団を出しまして、その報告も私のところに受けておりますけれども、ちょうど時期的にも厳寒期ということもありますから、厳寒期を迎えた市民の皆さん方のこれからの生活に対する不安、これらは大変深刻なものがございまして、政府はもちろん北海道や関係市町村、こういう皆さん方と力を合わせてやっていかれると思いますけれども、どうぞ早急にこの被害状況把握をされまして、総理としてもできる限りの、できる限りの対策を講じていくということをぜひお願いをしたいと思いますので、総理の重ねての決意ということになるかもしれませんが、まず最初に一点だけその点をお伺いします。
  4. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 内外の時局重大な折に先般日本社会党書記長に御就任になられまして、くれぐれも御健闘をお祈り申し上げます。  釧路沖地震につきましては、被災された方々に改めて心から御同情を申し上げます。政府といたしましては、早速関係省庁調査団現地に派遣いたしまして、現地方々協力を得てつぶさに被災状況調査をするとともに、関係省庁連絡協議会を設けまして、応急措置並びに復旧につきまして今万全の策を講じつつございます。御摘のように非常に厳しい季節になっておりますので、遅滞なくできるだけのことをいたさなければならないと思っております。
  5. 赤松広隆

    赤松委員 それでは、次に景気対策に入っていきたいと思っております。  先日の総理所信表明演説でも、日本経済の実情についてさすがに厳しい認識を示しておられますが、塗炭の苦しみにあえぐ中小零細業者やサラリーマンにとって、「機動的に可能な限りの努力」を行ってきた、このように総理言っておられますが、「機動的に可能な限りの努力」を行ってきたなどと宮澤総理に胸を張られても、だれ一人として納得しなかったんではないでしょうか。なぜなら、宮澤政権発足後のこの十四カ月、この十四カ月を振り返ってみましても、経済宮澤、ある意味ではキャッチフレーズでもあったと思うのですが、経済宮澤との期待は見事なまでに裏切られ、政府景気認識の甘さ、後手に回った経済政策が一層不況を深刻化させた、こういう恨み節が庶民の中に充満をしている。  総理、人々は今の不況のことを何と言っているか御存じでしょうか。無為無策による政策不況役所発不況、こう言っているということを御存じでしょうか。今日の不況に対する政府責任をどのように認識をしておられるのか、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 平成四年度の予算編成のときに既に相当の高さの公共事業を積んで対応をしようと考えたわけでございますし、またその前倒しもいたしました。八月には、御承知のように史上最も大きな総合経済対策を講じました。先般補正予算を成立させていただきましたので、これで柱が立ったわけでございますが、平成五年度におきましてもその線上で、御承知のように公共事業関連の財投にいたしましても地方の単独事業にいたしましても一二%以上の対前年度比の伸びを示しておりますし、政府投資について申しますなら、あの大きな補正を含めました平成四年度に比べて平成五年度は九・五%投資増を考えております。したがいまして、これがやがて経済影響を持たないはずはない。これは明らかに間もなくその結果があらわれてまいると思いますが、かたがた住宅建設は比較的順調である。  しかし、それは今までにいたしました努力について御説明申し上げておるわけですけれども経済そのものは、このたび、従来の循環的な不況と違った要素を御承知のようにいろいろ持っておりますので、極めて深刻な状況にあると思います。決して政府はこういう対策をとったからといって胸を張っていいような状況ではないということは、私は御指摘のとおりだと思いますので、できるだけのことをなお続けてまいりますが、同時に、これから数カ月の経済の動向には十分注意を払って機動的に対応していかなければならないと思っております。  それにいたしましても、このたびの平成五年度予算、御審議をいただいております予算はそのような考え方で組んでおりますので、どうぞ速やかに成立をさせていただきまして、早期に執行ができますようにひとつお願いを申し上げたいと存じます。
  7. 赤松広隆

    赤松委員 さすがに老獪というかベテランだからうまくこうすっすっとかわされるなと思ったのですが、私が聞いているのは、今の不況に対してこれからどうやっていくかはこの後に聞きますが、私が今聞きましたのは、これまでのこの不況に対する政府責任はないのか。多分総理は、総合経済対策もやった、緊急経済対策もやった、補正も組んだ、あれもやったこれもやった、そして公定歩合の引き下げさえも何度もやったということを弁解として言われるだろうと思ったのですが、いろいろ言われているのだけれども内閣を預かる責任者として、この不況に至らしめた責任は、すべて私ということにはならないにしても、私に大きな責任がある、だからこれからの不況対策を私の責任でやるんだという視点がないと、これはやはり私は内閣総理大臣としてのかなえの軽重が問われるのではないかと思いますが、きょうはいっぱい質問しなきゃいけませんので、このことたけやっていられませんので、ぜひそれは深い反省の上に、これからの不況をどうしていくのかという視点に立っていただきたいと思いますが、それじゃこの今日の不況に対する責任を、改めて一点だけでいいですから、どう思っているのか、これは本当に内閣責任なのかどうなのか、宮澤さんの責任なのかどうなのかという点だけ、一点お答えいただきたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 日本経済はこれだけ大きくなりました。世界からも影響を受け、世界にも影響を与えるほどの大きな経済になりましたが、申し上げるまでもなく、それは基本的には市場経済の建前に立って今日まで成長をしてまいっております。もとよりその中で、政府は財政というものについて責任を持っておりますし、また、もろもろの経済政策についても、これは政府責任にかかわるところは多うございます。したがいまして、このような経済状況になっておること、それから、それからいかにして政策によってこれを民間経済の活力につなげていくかということは、もとより政府責任でございます。そういう意味で、政府責任を回避するものでは決してございません。
  9. 赤松広隆

    赤松委員 政府にそれは責任がある、その政府責任者である総理にももちろん責任があるということで、はっきりとお認めになったということで次に進めますが、特に私が言いたいのは三・五%、その前はですね、三・五%という実質成長率も大丈夫だという見通しと、その自信と確信を持って当たってこられたわけでありまして、昨年当時、ちょうど今ごろでございますけれどもブッシュアメリカ大統領も来日をされ、いわばブッシュさんに対しても一つ国際公約として、内需の拡大なり、あるいは成長についても三・五%ということを約束をされたということでありましたが、まあ実質的にはその結果は一・六%だったということであります。  この三・五%と一・六%というのは、それは経済見通しですから多少狂うこともあるというのは私どもも十分それは承知をしながら、じゃ果たして三・五と一・六というのはこれは誤差範囲なのかと。誤差範囲なのかというと、これはもう決して誤差範囲じゃないと思いますが、どうですか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 言葉の使い方にもよりますけれども、三・五と一・六の差は、それは誤差範囲ではございません。
  11. 赤松広隆

    赤松委員 誤差範囲ではない。であれば、経済宮澤さんでも誤るときがある、間違えるときがあるということをお認めになったということだと思います。  経済企画庁長官にお聞きをしたいと思うんですが、経企庁はことしの年頭に発表された中で、九一年の一月から三月期、この時期がいわゆる日本経済景気頂点だった、この九一年の一月から三月期を頂点として日本経済下降線をたどっていくんだということを私は見させていただいたんですが、これは私の記憶の違いじゃないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  12. 船田元

    船田国務大臣 お答えいたします。  先ほどの赤松書記長からのお話でございますが、九一年の一―三月期、これがこの前の景気の山ではなかったか、こういう御質問でございますが、現在のところ経済企画庁としましては、まだ日付検討委員会というものが、いずれこれは将来においてそこで検討するわけでございますが、従来からの手法によりますと、一つ景気循環が終わった後で、これはまあかなりおくれて日付検討委員会を設置をして、そこで議論をしていただきまして、客観的な状況によってその判断をしていくということでありまして、現在のところまだ、その九一年一―三月期が山であったという判断は私どもはしておりません。
  13. 赤松広隆

    赤松委員 また、その資料をお見せしますけれども、私の方ではそういう資料を持っております。  なぜそんなことを聞いたかといいますと、同じ内閣の中の経済企画庁でさえ、九一年の一月から三月期で経済のその伸びの山は打った、ここが頂点だったということを言っておるにもかかわらず、ちょうど昨年の総理所信表明の中では拡大テンポが減速している。その言葉どおり一言うと「拡大テンポが減速して」いる。拡大テンポが減速をしているということは、拡大は続けているけれども今までのような急激な伸びではない、その伸びが鈍化をしてきている、ただし、それはまだ伸びているんだということを言われておるわけであって、むしろ実体経済総理把握をしておられたその認識とは、約一年間、去年の今ごろといったら九二年一月ですから約一年間、もう既に景気が降下をしておるにもかかわらず、時の総理は、いや、またこれは鈍化しつつも伸びているんだ、こういう認識のずれが今日の不況を生んだ一番の原因ではないのか。だからこそ、緊急経済対策をやっても、総合経済対策をやっても、補正を組んで事業前倒しをやっても、これらの手当てが全部後手後手に、やったことはいいことだと思っていますが、やったことが後手後手に回って期待をしたほどの成果が出なかったんじゃないかということを申し上げたいために、今のことを申し上げたわけです。  次に行きたいと思いますけれども総理、結果と現実に責任を持つというのが内閣のトップに立つ方の姿勢ではないかというふうに思います。その意味で、今申し上げたようなこういう経緯の中で、今までのことはもちろん今までのこととしてそれはきちっと反省してもらえばいいわけですが、今回、じゃこれからどうなるのかというときに、総理は三・三%、まあ今が悪いんですから、ゼロに近いんですから、ゼロが三に、これぐらいはできますよ、できなきゃというようなことを今までいろんなところで答弁をされているわけですね。  そうしますと、私どもが心配をしておりますのは、確かに経済成長率実質成長率上がってほしいけれども、何らかの手だてをせずに、景気浮揚の手だてをせずに、本当にこの三・三%が総理の言うように、宮澤総理が言うようにそんな楽な形で、期待どおりの形でできるのだろうか、そういう結果になるんだろうか。また来年今ごろ、あなたは三・三%と言ったけれども実際は身を切るような状況だったんじゃないだろうかなんということにならなければよいがという思いでそういうことを聞くんですけれども、もし三・三%が達成可能な数字だと言うなら、ぜひその根拠を示していただきたいし、また、そのためには、その三・三にするためにはこういう政策目標を持っているんだ、そうやって三・三に持っていくんだということを私はやはり国民の前にきちっと示す、議会にもきちっと示すということが必要だと思います。  ちなみに申し上げておきますと、もう御存じだと思いますが、三菱総研は二・三%、岡三証券の研究所は二・七%、民間の調査機関というのは大体この辺、二・何%というのが多いんですね。去年も民間の言っていた一・幾つというのに大体数値が合致をしてきた。だから、常に民間の言うことが全部当たるとは限りませんけれども、去年の例を見れば、民間はそういう判断をしているんだ。じゃ、それが政府の言われる、総理が言われる三・三ができるんだと言うんだったら、それの根拠をきちっと示すのが私は時の内閣責任者としての手法だと思っていますので、その点、そういう政策目標、あるいは達成可能だと言うんだったらその根拠を、簡単にで結構ですから、ポイントだけぴしっと示してください。――総理がやられるんじゃないのですか。
  14. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 赤松さん、書記長おめでとうございます。  今お話がいろいろございましたが、経済見通しというのは一銭一厘間違ってはというような話ではないのは、もう先刻御承知のとおりだと思うのです。特に少し間違ってまいりましたのは、意外なる、やはり予想をしていなかったところのバブル経済の崩壊というものがいろいろと影響を及ぼした、私はそれについての見通しというか判断が少し甘かったんではないかと率直に思っています。しかしながら、私たちは、そういったことを込めまして、これからそのバブル経済後の問題をどうしていくかということを真剣にやはり考えていかなくちゃなりませんし、この予算におきましても私たちは一生懸命やったわけです。  もう私からくどくど申し上げるまでもありませんけれども、五年度におきましては、政府の投資額は九・五%の増というものを大体見込んでおりますし、住宅投資も伸びてきておるし、公共事業は当然のことながら伸びてまいりますので、それに伴って消費も徐々に拡大していくし、相当今まで進んでおった設備投資の、調整過程にあるといいますけれども、これも五年度には私は回復に向かってくるだろう、こう思っておりますので、三・三%の成長は達成可能だろう、こういうふうな見通しを持っていることを改めて申し上げておきます。
  15. 赤松広隆

    赤松委員 それでは総理にお伺いをしたいと思うのですが、今、大蔵大臣も達成できるというふうに言われた。この間NHKのテレビ討論がありまして、官房長官もお見えになっておりまして、そのときに、本当に何の手だても打たずにこのままの景気の回復なり、あるいは言われているところの三・三の実質成長率予測、これいいんですかという話をしましたときに、景気対策については、この不況を克服するのには、十兆七千億もじわじわとこれから効いてくる、予算も早く上げてもらえれば大丈夫です、もう少しすればこの経済効果が出てきて景気はよくなる、今のままで大丈夫という官房長官の御見解だったわけですが、総理もそういうお考えかどうか。(発言する者あり)静かにしてください。そのとおりかどうか、総理にそういう考えかどうかを聞きたいのです。
  16. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどからのお話でございますけれども、昨年の一月―三月まではとにかくプラスの成長をしておったわけでございます。ただ問題は、いわゆる在庫調整というのが経済界では一番経営者として真剣になる問題でございますけれども、在庫調整が始まったのがどうやら一昨年のそれも暮れ、早い業界は。でございますから……(赤松委員総理、失礼ですけれども質問はそういうことを聞いているんじゃなくて」と呼ぶ)そういうことから申し上げる必要があるので。それでございますから、先ほどのお尋ねでいいますと、経済界全体のやはり在庫調整が非常に結果としては、結果としてと申しますか、始まったのが遅いということがあるのだろうと思います。  そこで、四―六に成長がゼロになりまして、七―九には御承知のようにマイナス〇・四になっておりますから、三・三という議論はそのベースの上での議論であるわけでございます。大変高い上での三・三%の議論をしておるのではないので、一種のマイナス成長をつい最近の過去に置いた今の経済を議論しておりますから、景気が底をつきました後急速な回復をするとは思えませんので、したがって、そう楽観はしておりませんけれども、しかし、三・三という数字はそんなにそういう意味では高い数字ではない、前期ないし前年との対比で議論しておりますから。そういうふうにせんだって申し上げたわけです。
  17. 赤松広隆

    赤松委員 私が聞いているのではなくて、三・三の話はさっきの話なんです。今言っているのは、これだけの景気回復なりあるいは今言われておるそういう成長が予測どおりにいくためには何にもしなくていいんですか、何にもしなくていいんですかと。今までの手法、例えば予算前倒したとか公定歩合を引き下げるとか、これからいろいろやられると思いますけれども、ただ予算を成立させて、旧来型のそういう手法でやっていて、これだけ深刻な景気状況、この不景気を、本当にそれをはね飛ばして景気回復できるのですかということを私は言っているのです。  だから、この後また言いますけれども、例えば所得税減税の話ないし、今の不況の特徴は最終消費部分が、このところが弱いから、あるいはGNPに占める約六割と言われるこの個人消費の部分に焦点を当てた経済対策をやらない限り景気はよくなりませんよと。特にこの三月、四月、この中でこんな状態を続けていたら、どんどん倒産も出るし、どんどん失業者も出るし、そういうことを看過していいんですかと。政治を預かる責任者として、政権を預かる責任者として、総理大臣として、そのままでいいんですかということを私は言っているのです。どうですか。
  18. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 昨年の八月に総合経済対策を策定いたしましたときに、経済企画庁の試算によりますと、この投資効果は一年間で二・四というふうに計算をされております。その上に平成五年度の予算が乗ってまいりますから、これが景気を浮揚する効果というのは計数的には今申し上げたようなことになる、こう申し上げても間違いないのだと思いますが、しかし、経済というのは生き物でございますから、そういう意味ではこれから数カ月の経済動向には十分注意を払って機動的な対応をしていく必要がある、こう思っております。
  19. 赤松広隆

    赤松委員 この経済の問題については私の後、総括質問ですからこればかりやるわけにいきませんから、私以上に経済の専門家である嶋崎委員の方からこの問題に絞ってまたがんがん議論をしますから私は次にいきますが、最後にこの点だけはっきりしておきたいと思うのです。所得税減税の問題なんです、所得税減税の問題。  これだけ消費が冷え込んでいる、またGNPに占める個人消費の割合が大きい。だとすれば、今経済界から連合を初めとする労働界、そしてあらゆる人たちが、何としても所得税減税をやって、この消費部分に刺激を与えて景気をよくしてほしいというのが今、天の声なんです。国全体でそういう声が大きく上がっているんです。こういう中で何としても所得税減税を実現をして、しかもそれは今までのような一兆、二兆の単位の減税幅ではなくて、四兆、五兆のこういう大型の所得税減税をやってぜひ景気回復に資するべきだというふうに思います。  特に、一九八八年に消費税導入の見返りで実施されたのを除けば、八三年以来九年間も所得税減税、政策減税はありますけれども、所得税減税としては実施が見送られてきておりまして、サラリーマンの所得税の負担率は実に三十四年ぶりの高水準にもなっている、こういう状況もあるわけでありますから、何としても早急に、できればこの本予算を組み替える、修正するというぐらいのつもりで早急にやはり所得税減税を実現をさせなければだめだというふうに思いますけれども、所得税減税についてはどのようにお考えですか。
  20. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 赤松さんにお答えいたします。  所得税減税、いろいろとお話が出ておりますが、先ほど来申し上げておりますように、政府の方といたしましては今回の予算では景気に配慮したところの積極的な予算をつくったわけでありますし、そうした形によりまして三・三%の成長は達成可能だというふうに我々は考えておるところであります。そうした意味で、今のところ所得税減税を行うという考え方は持っておりません。はっきり申し上げておきます。  しかしながら、一歩譲りまして、一歩譲ってもしも所得減税をやるということになりましても、私は経済的にいろいろ問題があるだろう、こう思うのです。それは、総理もたびたび言っておられますけれども、これから新しい事業を進めていくために建設国債を発行して金を使うのと所得減税でやるのと、やはり投資の乗数効果は相当違ってくる。同じ金を使っても効果としては非常に私は違うものが出てくると思うのでありまして、この点を考えておかなくてはならない。  特に昨今の状況を見ますと、所得減税をいたしましても貯蓄に回る可能性が多い。消費にそのまま向かっていかない。消費に向かわなければ実質的なことはできないわけでありますし、それからもう一つは、将来にわたって今減税をしたらその財源をどこに求めていくか。赤字国債でやるということであるならば、必ず将来に負担を求めていかざるを得ない、こういうことでございます。その点をやはり十分考えていかなければ、現在において財政に責任を持ち、お互い政治に責任を持っている者が、現在の人はよくても将来の人に対して私たちは負担をさせるというのはどうかなという大問題があると思うのでありまして、この点はぜひお考えいただきたい、こういうふうに思います。
  21. 赤松広隆

    赤松委員 これはやはり所得税減税をやるかやらないかというのは、一つの国の大きな政策なんです。何かをやろうとすれば、必ずその場合はこういう不都合がある、こういうことを手当てしなきゃいかぬということが出てくるわけですから、やるかやらないかは、それはやはり政治家として、あるいは内閣を預かるその責任者である総理大臣の最後は決断になると思うのです、決断。  だから、大蔵大臣はいろいろ大臣の立場で、大蔵の立場でいろいろ言われるのは言われる。それは、その立場で言われるのは結構ですけれども宮澤総理大臣として――先日も私は、書記長になりまして毎日同じネクタイをしちゃいかぬと言われるものですから、新宿のデパートへネクタイを買いに行きました。そうしたらどうですか。特にデパート、そういう市況関係ですね、そういうところは全く人がいない。ちょっと夜遅くなるとタクシー乗り場は空車が客待ちで、今まで乗車拒否だ何だといっていたのが、ずっともう並んでいる。そういう深刻なこの不況状況を見ながら、政治家としてそれを看過していていいのかと。後年に負担があるとかどうこうということは、負担が出ないように考えればいいんですから、そのための手法をとればいいんですから。  財源問題にしても、これは一兆、二兆というような規模ではなくて、四兆、五兆ということになればとても、例えば不要不急のものを外すとか、あるいはいろいろな行財政のそういう整理をして、削減すべきものは削減をする、むだを省くという程度では賄える金額じゃないということを、我々は十分その点も承知をしながら、だとすれば、全額それで貯えないんだったら、じゃそれをどこに求めていくのか。公定歩合の引き下げだとか公共事業前倒したとか、そういう経済対策はそれはそれなりにやりながら、それと並行して、今言ったような所得税減税についても、公債発行というそういう選択肢もあるのではないかというところまで社会党は踏み込んで、選択肢の一つとしてそういうのがある、だからそれをお互いに議論の中で考えていこうというところまで、この新体制の中で踏み込んで私どもは今考えています。  その意味宮澤総理に伺っておきますが、大蔵大臣は絶対に所得税減税をやらないと言っている。やらないと言っている、こんな厳しい状況なのに。そして、国民の各界各層から、何としても所得税減税をやって景気浮揚をしてくれというのが今、世の中の声なんです。それを無視して総理大臣もそういう考えですか。はっきりこれは言ってください。やるつもりはないならない、あるならあると言ってください。――いや、総理に聞いているのです。大蔵大臣、大蔵大臣に聞いているのじゃなくて総理に、これは最後の決断なんだから、それを聞いているのですよ。だめだそれは、ため。
  22. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 赤松さんに総理からのお答えの前に申し上げておきますけれども、私もそういったいろいろな状況があるということはよく知っておるつもりでございます。ただ、やはり私たちのやっている今のところの政策でもってやれば必ずや平成五年度におきましてばいい状態ができるものだ、そういうふうに私たちは思っていますから、そういうことを申しておるわけでありまして、今すぐにどうだこうだという話ではないわけであります。それで、一歩譲って、もしもやるといたしましても、いろいろな問題がありますよということを私は申し上げておるわけでございまして……(赤松委員「大分違うじゃないですか、さっきと」と呼ぶ)いやいや、さっきもです。だから私はそういった意味で今やる必要はないでしょうと、こういうことをその結果として申し上げているところだということを再度申し上げておきたいと思っております。
  23. 赤松広隆

    赤松委員 大蔵大臣も言うことは全然違う。さっきはもうやらない、今の対策で大丈夫だと言いながら、今やるとしたらいろいろな問題があると思いますというふうで、大分違うので、これは総理、はっきり言ってください、やるつもりがあるのかないのか。総理が答えることでしょう、これは。
  24. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 大蔵大臣が大変に苦労をされて、そして閣内も、また私どもの党も一致しまして、この予算をベストのものとしてつくりまして御審議を願っておるわけでございます。ですから、十分御審議を願いまして、そしてこの予算を年度がかわりましたらぜひ執行させていただきたい。前年度からの補正もございます。それは必ずや経済に大きな影響を及ぼすということを先ほど申し上げました。それをやはり見ていかなければなりませんので、その先のことをああしろこうしろと今おっしゃいましても、それはやはりちょっと今それを申し上げる時期ではないだろうと私は思います。
  25. 赤松広隆

    赤松委員 時間の関係がありますから、経済問題についてはこれを最後に言いますが、社会党を初め、本当に国民の今の声を聞き、今の経済状況を憂え、本当に心配している我々と、とにかく何でもいいから予算を通せ通せと、もう少したてば何とかなるだろうという甘い認識政府、こういう構図がはっきりとこれは出たと思うのです。我々はさらにこの議会の中で、議会百五十日間ありますから、何としてもこの本予算の中で組み替えをやってても所得税減税を大幅にやって、四兆、五兆やって、そして本当に厳しいこの不況状況をはね返していこうということを今後とも詰めていきたいというふうに思っていますので、その点だけ申し上げて、次に佐川問題の方へ移っていきたいと思います。  総理、あなたは二十二日の施政方針演説の中で、東京佐川急便事件を契機として国民の政治に対する不信感が広まっていることはまことに遺憾なことだ、真相解明が重要であることはもちろんだが、政治改革を推進し、国民の前に目に見える具体的な成果を上げることが肝要などの趣旨の表明をなされておるわけであります。  これを聞いた国民の多くは、本当にあの宮澤さんに、利権と金権に埋もれていた自民党政権にそれができるのだろうかという疑問を抱いたのではないでしょうか。特に総理自身が服部氏を通じてリクルート事件に関与し、まあ発言が二転三転したということもありますけれども、大臣を辞任された経緯もありますから、改めてこの際、国民の前に佐川疑惑解明に向けての決意を、あるいは政治改革にどう取り組もうとしているのかについて決意のほどをお伺いをしたいと思います。
  26. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは本会議で申し上げたとおりでございますが、非常に国民の不信は深い。したがって、政治家一人一人の倫理の問題でもございますけれども、やはり制度の問題でもある。そういう意味では政治改革が必要だということで、さきの国会で緊急改革について、いろいろ経緯はございましたけれども、成立をさせていただくことができまして、既にそれは実行されておりますが、それは緊急分でございますので、何とか抜本改革をいたさなければならない。私どもの党内で昨年の十一月までにその案を整備したいという要請をいたしておりまして、それはそのとおり整備ができましたので法案化をいたしまして、やがて国会で御審議お願いしたい。恐らく各党それぞれの御意見がおありと思いますので、それらについて国民の見ておられる前で、ガラス張りで審議をしていただいて抜本改革の実が上がりますように、法案がこの国会で成立することをお願いを申し上げたい。一人一人の倫理の問題と、そのような制度の抜本改革によって国民のこの不信にこたえてまいらなければならない、かたく決心をいたしております。
  27. 赤松広隆

    赤松委員 この佐川の事件というのは、いわば佐川という企業が政治に結びつき、あるいは政治家に結びつき、行政官庁であるそれぞれの役所、これは市町村も含めてですね、そういうところへいろんな働きかけをしながら、そして場合によっては暴力団まで絡んで、いわば企業と政治家と、そしてこういう役所と暴力団、四者が一体になって、全国の中で、例えば例を挙げれば、普通の企業じゃターミナルを建てられない、建物を建てられないようなところにターミナルが佐川のだけは建っちゃう、もうやりたいほうだいのことをやってきたというのが、この佐川の本質だと思っているのです。  その意味で、まだまだいろんな解明されていない問題がありますから、これはきょう今からも聞きますけれども、国民はこの佐川に対して、国会は一体どういう結末をつけるのか、どういう決着をつけるのか、また内閣として、宮澤さんとしてどういう姿勢でこの問題を処理をしよう、考えようとしているのかということを注目しているわけですから、そんな意味で我々はこれをもう徹底的に、やはり真相を明らかにする、二度と再びこんなひどい佐川の事件なんというものが、第二の佐川、第三の佐川というものがあらわれないように、出てこれないそういう政治の仕組み、そのための政治改革を何としてもやらなきゃいけないということで頑張っていきたい。  そしてまた、そのためには我々からも具体的なものを提案をしながら、自民党はこういうものを出してくる、社会党はこういう案だ、単にため、反対だけじゃなくて、我々の対案はこうなんだ、国民の皆さん、自民党の案がいいですか、社会党の案がいいですか、あるいは野党でまとまれば野党案がいいですかという形でやっぱりこれからの政治というのは進めていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、この佐川問題については四点に絞ってお尋ねをしたいと思います。  まず一つは、例の金丸氏にかかわる五億円の問題であります。この五億の行方についてなんです。  十二月の二十二日、御存じのように東京地検は、これは政治団体からのものだったということで、つじつまを無理に合わせて不起訴処分を決定をした。十二月二十五日に我が党議員高沢寅男外五十一名が東京第一検察審査会に審査を申し立てて、それを受けて検察審査会は一月十三日、東京地検の不起訴処分は不当という議決を出されたのは御承知のとおりだと思います。  検察は、一たんこれは政治団体に入金されたんだと、されてから出たんだからこれは違法ではないという考えのようでございますけれども、じゃ政治団体に本当に入金されたのか。当時のものを見てもそんな証拠は何にもない。だからこのお金は金丸氏個人に入金をされて、そして金丸氏個人から直接に経世会あるいは竹下派議員あるいは候補者、こういう人たちに配付されたことを……(発言する者あり)そんなことはないよ、何を言っているんだ。事実上認定したものであるということであります。こういう政治腐敗に対する検察庁の及び腰に対する国民の批判が今非常に強い。(発言する者あり)
  28. 粕谷茂

    粕谷委員長 御静粛に願います。
  29. 赤松広隆

    赤松委員 こういう事態を招いた検察のあり方について、法務大臣はどういうふうに考えられますか。
  30. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 お答えを申し上げます。  こういった事件が起きますと、やはり検察というものは法律の枠の中で、そして法の定める適正な手続の中で処理をするわけでございますね。そういう立場に立って、検察としては、この事件についてはできる限りの解明をしなきゃならぬということで、現在もまだ捜査が残っておりますからやっておるわけでございますが、御質問の中の検察審査会からの不起訴不相当といったような議決がございましたね、これは量的規制の問題について、それについては現在、検察庁においては当然のことながら調べを再起をいたしまして、現在捜査中でございます。ただ、この問題は公訴時効が迫っておりますから、検察としては、その時効の時期等をも念頭に置きながら、できるだけ早い機会に右左の結論を出すもの、かように考えております。  いずれにいたしましても、検察というものは、あくまでも現在の法律の中で、現在の法の定める手続の中でやるんだ、ここだけはひとつ御理解をしておいていただきたい、こう思います。
  31. 赤松広隆

    赤松委員 時効が迫っていると。これは二月六日だと思いますが、二月六日というともうすぐなんですね。そうしますと、これはもうそういう審査会からそういう審査結果が出た以上、これはもう検察の責任として、きちっとこの問題については、だれのところへ幾ら渡ったのか、どういう目的で行ったのかということを私は、二月六日、限られた日にちでありますけれども、これをやるのがやはり社会に対する検察の責任じゃないかというふうに思います。  しかし、まあ万が一ですが、万が一その時効が来てしまったという場合にも、これは法務大臣にお伺いしたいと思うのですが、刑事訴訟法の四十七条のただし書きだったと思いますが、不起訴になった場合はそのままその中身はわからないということになりますが、そのただし書きの中で、公益上必要な場合は明らかにする、そういうこともできるんだということを書いてありますね。ぜひこの問題については、時間切れで時効になってしまった場合にも、この四十七条のただし書きを適用してやはり世間に公開すべきだ、明らかにすべきだと思いますが、どうですか、その考えは。
  32. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 お話しのように四十七条のただし書きですね、公益上云々と、しかもそれが相当であるといったような場合に公表するということでございますが、捜査関係の中身というものは、これは建前上、法廷において出すもの以外は公表しないということが建前でございますから、その点も御理解をしておいていただきたい、かように思います。
  33. 赤松広隆

    赤松委員 法務大臣にちょっとお伺いしたいのですが、今そのただし書きには確かに公益上の必要が相当ある場合。じゃ、この五億円の政治家に渡ったというお金は、この中身というのはそんな軽々しい問題じゃないと思うのですね。私はこれは公開に、公益上のあれに十分相当するというふうに思うのですが、大臣はそう思われませんか。
  34. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 これは、相当するかしないかということは、調べが済みまして、そのときに判断すべき問題だと、かように考えます。
  35. 赤松広隆

    赤松委員 そうなりましたときに改めてまた私どもの考えを述べさせていただくということで、そのときまで質問は留保させていただきたいと思います。  今法務大臣も言われましたが、確かにこれは警察についても言えますが、警察、検察、これは現行法のその枠の中でやるわけですから、それ以上もそれ以下もできない、これはもう当然のことだと思うのですね。問題は、この金丸五億円問題について一番現行法の不備というのは、個人から個人あるいは個人から団体、この場合はともかく、こうではない、団体から団体へお金が行った場合には幾ら行ってもいい、幾ら行っても構わないということで、現在の政治資金規正法上にその金額の制限がないところが一番この法の問題点だと私は思っております。  それから、これと同様なことで、例えば先ほど不記載罪の話も出ましたが、不記載罪についても、これは仮に有罪ということになっても、その事務局会計責任者は罪を問われますけれども、肝心のそれをやらせていた議員本人は全く罪に問われない、こういう矛盾もあるわけであって、こういう矛盾についてはやはり法の改正なり、正しい、国民からなるほどと言われるような法のあり方に変えていくべきだと私ども考えておりますけれども、大臣はどうお考えですか。法務大臣、宮澤内閣の良識だと言われる法務大臣に聞きたいのです。
  36. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 これは所管が違いまして、政治資金規正法の問題ですからね。これは法務大臣ではなくて自治大臣からお願いしたいと思います。
  37. 赤松広隆

    赤松委員 これは法務大臣、こういう法整備の不備の問題が、今回のこの五億円事件については、団体から行ったんならこれは明らかにしなくていいんだよと、金額が多くても問題ないんだよということで、この検察に対する、不起訴処分に対する今いろいろな議論が出ているわけでしょう。検察についての管轄を持つ、所管を持つ法務大臣として、こういうことについて、あるいは後藤田正晴政治家個人として当然それなりの見識が私はあってしかるべきだと思いますが、答えたくないということであればそれでいいし、いやぜひ、おれはおれなりのそういう見識があるということであれば私はもう堂々とそれはやはり言うべきではないかと思いますが、どうですか。
  38. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 今のお話の中に、政治資金団体から政治資金団体へと行ったようなときにはいわば青空になっておるのですね、これは一体どう考えるかといったような意味の御質疑もあったわけですが、これはたしか私の記憶では昭和五十五年の改正で、やはり何といいますか、政治資金の流れを透明にする、だからできるだけ政治賃金団体を指定しまして、そしてそこが一括して報告するといったような形にする方がいいのではないかといったようなことで、たしかあの規定が改正になったと思います。  だから、趣旨はやはり流れをはっきりさせる意味において、そういうことにすることによって、そうしますと一つの団体に集中しますから、そのときには余りアッパーリミットを厳しくするということはいかがなものであろうかというような考え方でああいうようないわば青空になったという経緯を私は記憶をしておるわけでございますが、その結果、今あなたがおっしゃったようないろいろな問題も出てきておるのではないかな、かように思いますが、これは今後のいろんな各方面での御議論等を踏まえて考えなければならない一つの問題であろうかな、かように思います。
  39. 赤松広隆

    赤松委員 じゃ次に、この佐川に関連して竹下氏の問題についてお尋ねをしたいと思います。  竹下政権は暴力団が関係してつくられ動かされたというこういう疑惑については、国民の怒りと政治不信がいよいよ今大きくなっております。竹下氏等への短時間の証人喚問では真実が十分に解明されたとは言えず、偽証の疑いさえ生まれ、暴力団関与の責任等に関して疑惑はますます深くなっております。十二月二十二日に開かれた自民党の臨時役員会での竹下氏の発言を真実と感じている国民は一人もいないのではないでしょうか。  私は、元裁判官であった数人の先輩、この人たちに、国会における竹下さんのあの証言、他の人々の証言そして調書で朗読された結果、これらの結果についての心証を聞いてみました。すべての人が異口同音に、竹下氏は渡邉を通じて石井に皇民党の街宣を抑えてもらった、すなわち竹下氏は明らかにクロであるということを言っております。そこまではっきりしているのに、宮澤総理は竹下氏に何の責任もとらせないまま済まそうということなのでしょうか。こうしたことについて、宮澤さんとして、総理としてどのように考えておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 お尋ねのちょっと論理がはっきりいたしませんけれども最初に言われましたことは赤松委員の持っておられる印象を言われたのであって、いわば事実としてそういうことを言っておられるのでございませんので、したがいまして、後の結論の方にお話が導かれないのじゃないかという気がいたします。
  41. 赤松広隆

    赤松委員 といいますのは、ここで私は、例えで今申し上げたようなこと、これらをやはりきちっと公開の場で、そしてまた納得できる形で解決をしていくということが必要だ。そのためには、この事件の重要な場面には必ず姿をそれぞれの場に見せていた例えば小沢一郎さん、この小沢一郎氏の証人喚問と竹下氏の再喚問を初め関係者六名の速やかな証人喚問を実現して、佐川事件の全容解明を求めなければならないというふうに思っていますけれども総理としてこういうことを必要と思うのか思わないのか、佐川は全容解明しなくていいのかどうかというのを聞いているのです。
  42. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 真相を解明することは国民の不信を解消する立場からも大事なことだと思いますし、政府といたしましてもちろん国会の御審議に、国政調査に御協力を申し上げることは当然と思います。これにつきましては、前国会におきまして竹下、金丸両氏を喚問され、あるいは尋問をせられました。衆参両院においてなさっておられるのでございますので、その評価を国会がどのようにされるかということは国会御自身の問題と思いますし、また、それが不十分であるというときにどうされるかということも、これも国会御自身の御判断によるものであろう、かように存じます。
  43. 赤松広隆

    赤松委員 今の総理の答弁については私は極めて不満なんです。もちろん国会も国会の責任でそういうことをしなければいけないけれども、やはり同じ自民党の中で、自民党総裁でもあるわけですから、あなたは自民党総裁としてもそういう責任を感じないのか。国民の佐川に対する疑惑、あるいはもっと中をきちっとしろという声にこたえる責任はないのですかということを言っているのですよ。  ですから、委員長、私は佐川の真相解明には、今申し上げた小沢一郎、竹下登、佐川清、松沢泰生、小針暦二、生原正久、この六氏の証人喚問が必要だと考えております。ぜひそのようにお取り計らいください。この予算委員会責任でこの六人の証人喚問はするということをぜひ確認をしたいのです。そういうふうに取り扱ってもらいたいのです。
  44. 粕谷茂

    粕谷委員長 後刻理事会がありますので、そこで御相談を申し上げます。
  45. 赤松広隆

    赤松委員 委員長自身にもう一度念を押させていただきますが、今ずっと私が申し上げましたように、この佐川の真相を究明するために、今国民のこの事件に対する疑惑を解明をする。本当に何をやっているんだ、国会は何をやっているんだ、こういう声にきちっとこたえるには、この予算委員会の場で証人喚問をするよりないのです。だから、委員長責任においてぜひ、各党間の協議もありますからそういうところにのっけて、これが実現するように強く要望しておきますから、お願いします。
  46. 粕谷茂

    粕谷委員長 要望は承りました。
  47. 赤松広隆

    赤松委員 総理、あなたは竹下氏についてこういうことを言ったということを聞いておるのですが、先輩でもあり守れるものなら守りたい、先輩でもあり守れるものであれば守りたいということを党首会談で語ったと伝えられていますけれども、本当でしょうか。
  48. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 具体的なこととして申し上げたわけではありませんで、私は一党の総裁でございますから、党員はみんな私にとって大事な党員でございます。したがって、不当な扱いを受けるということがあってはならない、正当な扱いを受けていかなければならない、こういうことは常に考えております。
  49. 赤松広隆

    赤松委員 じゃ、竹下さんに対する扱いは不当だということですか。不当な扱いを受けているのですか、今。
  50. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 一般論とお断りしております。
  51. 赤松広隆

    赤松委員 結果として、どこの場、だれにということは私は申し上げませんけれども、そういうことをあなたは言っているんでしょう。先輩でもあり、もちろんその先輩、長幼の序ということは大切ですから、それはそれですけれども、次元が違う問題なんです。  そういうことと、これだけ疑惑のある人のそれを守りたい、守りたいというようなことを、自民党総裁としてかあるいは内閣総理大臣としてか、どちらの人格で言われたかわかりませんが、そういう考えで当たっておられるという限り、この竹下問題についてもあるいは佐川の全体の全容解明についても宮澤さんは熱心じゃない、守る方に一生懸命で、何とかこれをかばいたい、守りたい、一党員だということで、仲間だ、先輩だということでこれはもう熱心じゃないのじゃないかというのが、この一言を見ても国民の皆さん方わかるのではないかと思います。  ですから、その意味で、今日までの竹下氏の証言によっても、少なくとも総理大臣になった後では暴力団とのかかわりを知ったというふうに言っているわけですから、暴力団とのかかわり、これをもう御自身でも認められておるわけですから、その意味でも結果責任をとるべきではないのか。私は先ほど言いましたけれども、政治家というのはやはり結果に責任を持つべきだ、過程はいろいろやりましたから許してくださいじゃなくて、結果がこう出た以上、それは政治家としてきちっと責任をとるというのが、いいことも悪いことも含めて、これはやはり私は政治家の姿勢ではないかと思いますけれども、その意味で、議員辞職をしようとしない、こういう竹下氏に対して、総理・総裁として、また親しい友人としても、竹下氏に対して議員辞職、勧告というと大げさですが、議員辞職をしたらどうですか、そういうことを宮澤さんからおっしゃるというというおつもりはございませんか。
  52. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 誤解のないように申し上げておきますが、私は真相を隠そうということを一切考えておりません。総裁として党員は大切であるということとそのこととは無関係のことであるということをはっきり申し上げておきます。  それから、政治家の進退につきましては、本会議でも申し上げたことでございますけれども、これはやはり選挙民から負託を受け、選挙民から信頼を受けて仕事をするというのがお互いの職責でございますので、その信頼が欠けたあるいは負託を実行することができないというふうに判断するかどうか、それはしょせんはやはり一人一人の政治家が判断することではないかというふうに考えていまして、選挙民と政治家との関係というのは、もう申し上げるまでもないことですが、極めて深い、神聖なものでございますから、それで議員の身分を失わせることについて憲法があれだけ重い規定を設けておりますのも、私はそういう趣旨だろうと思います。
  53. 赤松広隆

    赤松委員 この問題については、また引き続き私どもも議員辞職を迫っていきますし、総理・総裁の立場、その立場でも、竹下氏のことを本当に思うなら、私はやはり友人としてそういうことまできちっと言うべきではないのかということを、そう思っているということだけこの場では申し上げて、次に行きます。  四番目に、運輸行政の立場から佐川についてお尋ねをしたいのです。  私自身も今の立場になるまでは運輸委員でございましたから、昨年、もう春ぐらいにも例の六社合併、佐川のですね、あれがありまして、そういうことに関連をしながら、まああの六社の合併のあり方も常軌を逸脱したというか、普通では考えられないような合併だったわけですが、こういうことも含めて運輸委員会の場で佐川急便が抱えるいろいろな問題について追及もし、ただすべき点はただすということでやってまいりました。  もうこの問題が出てきてから、特に運輸マターでいう佐川問題についてはいろいろな改善の点を指摘をしてきましたから、この点については多くの部分でもう改善がされた、あるいはその状況がきちっと正規な形に変わってきておるだろうという前提で、そういう認識で伺いたいと思うのですが、例えば、その経過をおわかりにならない人もいますからちょっと簡単に説明しますが、例えば佐川急便ではあれだけ、一日十二時間、十四時間と働く。体が、労働がきついわけですね。そのために覚せい剤を打って、そして眠らないようにして車を運転してやっていた。それが発覚して覚せい剤取締法違反で捕まったという具体的な例もありますし、それから道路運送法違反、都市計画法違反、労働基準法違反、安全衛生法違反等々のいろいろな、それぞれ所管省庁は違いますけれども、とにかく佐川のこの職場の中で不正が、あらゆる不正が行われていたという実態があるのです。  それで、時間もありませんから簡単でいいですから、これはもう政府委員の人からお答えいただけばいいですが、私がいろいろ指摘したものについて、今申し上げたようなこういう法違反について、一体、過去五年以内あるいは三年以内とかそういうふうに、そちらで示して言ってもらえば結構ですが、こういう以内に何件の一体どういう違反があったのか。そして、それを是正あるいは行政指導等によって変えさせることによって、現在の職場では、佐川の職場では今申し上げたような労働基準法違反を初めそれらの違反についてはもう全部なくなった、大丈夫だ、佐川については全く問題ないということが言えるのかどうか。これは総括的に最後に運輸大臣に答えてもらえばいいと思うのですが、それをそれぞれ、関係省庁あらかじめ言ってありますから答弁をしてほしいと思います。簡単でいいよ。
  54. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 道路運送法の関係でまず申し上げますと、佐川急便グループに対しましては過去に二回特別監査を行っておりまして、一回目は六十一年から六十二年にかけて全社に対してやったわけでございますが、このときは、道路運送法の違反が確認をされましたので、全体で七十七社に対しまして延べで五千七百二十五日車の車両使用停止処分、こういったようなことを行っております。  さらに、二回目の監査を平成元年にこれは主管府十三社にやっておりますが、同様に道路運送法違反が確認されましたので、十一社に対しまして延べで五百七十三日車の車両使用停止処分などを行っております。  それ以外にも、特別監査以外で確認されました道路運送法違反に対しまして、過去五年間に六社に対しまして延べで千二百六十八日車の車両使用停止処分を行っております。  道路運送法関係は以上でございます。
  55. 石岡慎太郎

    ○石岡政府委員 佐川急便グループ所属事業場に対しましては、昨年十一月に主管店を中心に九十七事業場に対し全国一斉の監督を実施するなど、昭和六十二年以降繰り返し監督を実施してきたところでございます。  このうち、結果が出ております平成三年の監督結果を申し上げますと、監督をいたしました五十一事業場のうち四十六事業場において、労働基準法違反を初めとして何らかの法違反が認められたところであります。  これらについて法違反の状況をさらに詳しく申し上げますと、就業規則に係る違反が最も多く三十四事業場、次いで労働時間に係る違反が二十七事業場、健康診断に係る違反が十七事業場において認められたところでございます。  なお、昨年十一月に実施しました監督結果については現在取りまとめ中であります。
  56. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  警察庁におきまして、各都道府県警察の覚せい剤事犯の取り締まり状況につきましては、今後の覚せい剤事犯の取り締まりの参考にするために必要な範囲で報告を受けて集計をしておるところでございます。  その中に、被疑者の職業別、例えば交通運輸関係労務者等の分類がございますけれども、いずれにいたしましても、私ども、法人なり事業者のこれを指導監督する立場にないものでございますので、被疑者の属する個別の企業別の集計は行っていないところでございます。したがいまして、御指摘の件数については承知していないということでございます。
  57. 伴襄

    ○伴政府委員 佐川急便グループの都市計画法違反の関係でございますけれども、全国の市街化調整区域におきまして十件の違反が判明しております。それで、十件の違反事例につきましては建設省から関係地方公共団体に対しまして早期是正が図られますように是正指導しておりまして、現在までに十件のうち七件について是正が完了しております。残る三件につきましても、引き続き開発許可担当部局が運輸担当部局と連携いたしまして是正指導しておりまして、事業者からは今年度中を目途に是正完了したいというふうな意向が表明されていると聞いております。  こういうような事例が再発しないように、再発防止策としまして、昨年九月に運輸担当部局と開発許可担当部局との連携を強化いたしまして、相互にチェックしようということにしております。
  58. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいまそれぞれ政府委員から答弁がありましたが、運輸省といたしましては、立派な運送業者にぜひなってもらいたい、こういう意味も含めまして、三回目の特別監査を昨年の十月一日から十二月十日まで実施したところであります。これの整理を今いたしておりますので結論は出ておりませんが、先ほど申し上げましたように、あらゆる違反事項等ないように立派な運送業者になってもらいたい、こういう希望をいたしておる次第であります。
  59. 赤松広隆

    赤松委員 今それぞれの関係箇所から御答弁いただいたのですが、警察庁は、まあ保安部長も多分この間がわられたからいろんな前のことも引き継ぎがないかと思いますが、これはもう私はちゃんと具体的な事実を持っているから言っているのであって、この運輸行政についてはある意味でよく知っているつもりですから言うのですが、いいですか、覚せい剤はやる、その運転手が捕まる、しかも運転中にやっていたといえば、これはもうバスであろうが、タクシーであろうが、トラックであろうが、それは全部所管、そこの地域にある運輸省に、言うところの支局にきちっと通報して、運転管理違反ということで、その車は営業停止かけるのです、全部。かかっているのです、現に。何日間の営業停止、このトラックは使えないということは、きちっと調べればそんなことはわかるのだ。わからない方がおかしいんだ、それは。何だったら僕の方で言いましょうか、何日、これでどうこうということを。言ってもいいんだけれども、まあそれは立場がなくなるから言わないが、とにかくそういう問題がいろいろあるんだ。いろいろある、まだ。まだいっぱいある。  今の答弁を聞いても、数が多いだけで驚いているのじゃなくて、まだまだ是正しなければいけないことがいっぱいある。だからこれは運輸大臣に、所管官庁ですから、そこがキーポイントになって、そこが中心になって、それぞれの関係省庁とも合わせながら、いろんな違反事件が今なお佐川の全国の職場にはまだいっぱいあって、働いている人たちは、我々は目のかたきにして言っているわけじゃなくて、そこに働いている人たちは本当に大変なんですから、この人たちにやっぱりきちっとした職場で、ゆとり、豊かさの時代にいい職場環境の中できっちり仕事をしてもらえるようなことをやるのが役所の責任じゃないですか。だから、もちろん今度の監査結果もきちっと報告をしてもらうけれども、それはびしっとその辺を指導していくように、これは強く申し上げておきます。  佐川について最後にお伺いしますが、国税当局に伺いたいと思います。今月の二十五日までに佐川本社、旧の東京佐川、これは現在の東京支店になっていると思いますが、に税務調査に入られていますね。まず、その事実関係
  60. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 個別の事柄につきまして具体的に御答弁申し上げるということは、従来から差し控えさせていただいているわけでございます。  そこで、まず一般論として私どもの姿勢を申し上げたいと思うわけですが……(赤松委員「いや、一般論はもういい。入ったか入らないかだけ言ってくれればいいんですよ。入ったか入らないか、それしか聞いていないんだよ。言えないなら言えないと言えばいいじゃないか」と呼ぶ)そういう報道があったことにつきましては私も十分承知しております。  そこで、これも一般論的になりますけれどもお聞きいただきたいのは、佐川急便のような、私ども国税局の調査課というところが所管している、これは大法人でございます。こういうところにつきましては、他の一般の小さな法人に比べまして接触を密にする、こういう姿勢でやっておりまして、そういう意味で定期的に税務調査を実施しているところでございます。  そういった意味で、税務調査を行っていることにつきましてはあえて否定をいたしません。
  61. 赤松広隆

    赤松委員 あえて否定はしないと言っている。我々ももうちゃんと入ったことを確認をして、それで質問をしているんだから、ちゃんと、行ったなら行ったと堂々と言えばいいんです、そんなことは。  それで、今回のこの調査につきましては、多分きっかけになったのは、国税に対して佐川が反対に還付請求をしている、税の還付請求をしている。その税を還付するに当たって、じゃ、適正にそれを還付しなきゃいけないのかどうかを調べるということと称してというか理由にして、これは京都の本社と東京の旧の佐川の東京佐川に入ったというふうに我々は調査しているわけですが、今回特にお伺いしたいのは、ここがポイントですからこの点だけ聞いておきますが、この暴力団系企業に不正融資あるいは債務保証というようなことで五千億というような大きな金額が言われているわけですが、今回のこういう調査の中で、この暴力団系企業に対する五千億の不正融資の問題や、あるいは先ほどの金丸五億円問題を初め、こうした政界に対する工作資金、政治家に対する献金、これらについても当然調査の対象となると思うが、政治家や政治献金は聖域ですなんていうことにならないわけですから、そういうように、金の出入り、しかも額が何十万なんて金じゃないのですから、何百万、何千万、何億という、あるいは場合によってはトータルにすれば何千億の話ですから、当然それは調査の対象になりますね。なる、ならない、それだけ答えてください。
  62. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 調査の具体的内容につきましては、先ほど申し上げましたように御答弁をすることは差し控えさせていただきたい。それでさっき一般論を申し上げたわけでございます。  そこで、これもまた一般論で多分おしかりいただくかもしれませんけれども、国会で御議論があった事項でありますとか、あるいはマスコミで報道されたということにつきましては、私どもも当然のことながら大変関心を持っておるところでございます。  そこで、私どもの使命は常に納税者の適正な課税を実現するということでございますから、あらゆる機会を通じまして課税関係資料を収集しまして、申告書等と突き合わせて問題があればその内容について実地調査を行うというようなことをやりまして、要するに適正な課税に努める、こういった姿勢でこれからもやっていきたい、こう思っております。
  63. 赤松広隆

    赤松委員 だから次長、政治家、政治献金、これは聖域ではないですね。聖域ではないですね。それだけ答えてください。
  64. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 一般論で申し上げますけれども、私どもに、課税に関係する限り聖域はございません。
  65. 赤松広隆

    赤松委員 これは要望にとどめておきますが、今やはり国民は、国税がこの佐川に対してどういう調べ方をするのかどういう結論を出すのか注目をして見ているのです。いいかげんな取り調べをしたり、調査をしたり、あるいはいいかげんな結論を出したら、ばからしくて税金なんか払えるか、何だ佐川ということになりますから、納税意識が後退するような、そういう結果にならないように期待をしながら私どもも見守っていきたいというふうに思っております。  政治改革について簡単に御質問をさせていただきたいと思っております。  総理は、政治改革は最大の課題、このように言われていますが、残念ながら、宮澤総理の言っておられる政治改革というのは一体何、どういうイメージで、どういうことをやりたくて、何を中心にやろうとしているのか残念ながら余り見えてこないのですね。言葉は非常に踊っているのです。言葉は踊っている。その決意をあらわすために、きょうの後にきょうはなし。それはもう、きょうの後はあしたに決まっているし、自民党の後は社会党に決まっているのです。だから、そういう意味で、言葉は格好いいんだけれども、一体総理の言っている政治改革とは何なのか、何をあの人やろうとしているのかというのが出てこないので、私の方から具体的にお伺いをしたいと思います。  国民に対する公約であった例の十一月までということで出された、自民党の案も出た。しかし、今回のそれぞれの本会議等の答弁を見ていると、当初は、総理が施政方針の中で言われていたのは、あの文面を見ますと、選挙制度については民意の反映できる制度だというようなことを言っておられるわけですね、民意の反映できる制度。施政方針演説の中でですよ。ところが、その後の答弁では、どうやら民意の正しく反映できる制度というのは、それは単純小選挙区なんだというようなふうに聞こえているのですが、総理の考えておる民意が正しく反映される選挙制度というのは小選挙区制なんですか。私の言っているのは単純小選挙区ですよ。それがどうか、まずそれを聞かせてもらいたいと思います。
  66. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 政治改革についての内容がはっきりしないと仰せられますけれども、これは自民党におきまして「政治改革の基本方針」というのを既に決めておりまして、それにつきましての法案化を、やがて法案化をいたしまして国会で御審議を願いたいと思っておりますので、内容は極めてはっきりいたしております。  その中で、今のは選挙区制の問題であったわけでございますけれども、私どもの党内における検討の結果といたしましては、今の中選挙区制を抜本的に改正するといたしますれば、小選挙区制というのは、いわば政策を中心に、候補者は各党一人でございますから、政策を中心に選挙というものが行われる、そういう意味では選挙民に対して、その選択をしますときに選択の基準が極めて明快でございますし、またそれによってどの党を支持すべきかということもはっきりいたしますので、そういう意味では選挙民にとってわかりやすく、またその選挙民の意思を的確に反映し得る制度ではないか、こう思っております。  もっとも、これは私どもの党の検討の結果でございますから、恐らく、いわばお互いの土俵の問題として各党がいろいろな案をお持ち寄りになられるであろう、それを国会におきまして、国民の見ておられる前で、ガラス張りで審議をして結論を出していただくということが大事なことではないか、そう思っております。
  67. 赤松広隆

    赤松委員 時間の関係で一言だけ申し上げておきますが、その制度については、我々もきちっと制度を党内でもまとめ、あるいは野党間でも相談をし、まとまるものであればまとめてそういう場に出したい、堂々と議論していきたい。だから、小選挙区制の持つ問題点、総理が言われるように民意を正しく反映する制度ではないという論点でこれはやっていきますが、きょうの場の話題ではないのでそれはそういう場できちっとやっていきますけれども、ただ一点だけ、制度だけの論議がどんどん前へ行ってしまって、いろいろな政治改革全体の、政治資金の問題だとかあるいは腐敗防止の問題だとか、そういう問題は去年の十二月のあの時点の問題で、あそこにとどまってしまって、中身をあけてみたら選挙制度のことしかなかった、小選挙区制しか出てこなかったというようなことではこれは困りますから、その点ではやはり制度の問題、それは否定はしませんけれども、金の問題そしてまたそういう罰則の問題、倫理の問題ということも、それをまず前提でやる、そしてその上で、それでもなおかつ今の選挙制度であればこれはどうしてもやっていけないということであれば、では何がいいのか、それは各党間でやっていくということでやっていただかなければいかぬということだけお話をしておきたいと思います。  それからもう一つは、こういう制度というのは、特に選挙区制度の改革というのは何が必要かといえば、やはり民意が正確に反映をされるということが一つと、それから政権交代が実現しやすい、お金がかからない、また最後に一番重要なのは、各党がやはり一致をできる。形だけ出したよ、どうせこんなもの通らないけれども、自民党は自民党の立場があるからとにかく出すだけ出したというようなことでは困るのであって、各党が一致して、そして納得の上にこういう制度に変えていくということにならなければいかぬと思っていますので、その点だけちょっと申し上げておきたいというふうに思います。  それからあと、国会改革もこういう政治改革の中の一つとして私はやはり考えていく時期に来ているんではないだろうかと思っております。一般的には、例えば国民から見ると、わかりにくい、討論がない、開かれていない、こういうのが現国会に対する国民の皆さんの正直なところの目ではないかなというふうに思うのですね。生き生きとした討論、国民の意思決定の場としてこの国会をよみがえらせていく、こういうことが必要だと思いますし、我々野党にとっても、一方的にただ質問をしたり演説で済んじゃう、演説だけやったということではいけないのであって、これはやはり与党と野党、あるいは自民党や社会党や公明党やその他の政党とのそれぞれのディベートといいますか、今はやりの言葉で言えば、討論のある国会、こういう国会に変えていかなければいけないと思います。  そういう意味で言うと、そういう国会すべての機構をガラス張りにしていくとか、討論時間も余り制限しないで自由に発言して、いい議論の中身をつくっていく、そういうことになればおのずから審議拒否とかあるいは牛歩なんということももう必要なくなるわけですから、我々、議論をさせないからけしからぬと言ってやるわけですから、そういう意味で、新しい国会の改革についても今後各党間で忌憚のない議論というものをまずそこから始めていったらどうかということで、これはもう私の方から提案という形で聞いておいていただきたいというふうに思います。  最後に、重要ですから日米関係についてだけちょっと触れさせていただきたいと思うのですが、新たな日米関係については、ブッシュ政権にかわり今クリントン政権が誕生した。クリントン大統領は、アメリカの再生という言葉をキーワードにして、経済力こそ国力の基礎という基本的な考え方に基づいてアメリカ経済の再建を高く掲げ、変革の担い手だということで勇躍登場をされたわけでありますが、この新しい政権に対して、日本はそもそも戦後からずっとアメリカをパートナーとして今日まで来ているわけですし、私ども社会党としても、日米関係というのは今後も大切にされるべきだということについては全くそのとおりだと思っていますし、ぜひもっとやるべきだというふうに思っています。  そのためには、しかし両国の関係というのはあくまでも対等、平等でなきゃいかぬ。ただアメリカの主張だけが一方的にごり押しされて、あるいはアメリカからの外圧みたいな形で物事が決まっていったり日本が動いていくというようなことでは、やはりこれは日米の両方にとって好ましいことではないだろうというふうに思っています。特に今双子の赤字問題等々で大変財政的にはアメリカは苦しんでいるわけですから、その意味で、新政権、クリントン政権も日本にこういうインバランスの是正や内需の拡大やあるいは在日駐留米軍の肩がわり、今までもやっていますが、もっとやってくれというような形での要求が出てくるだろうと思っていますが、総理としてどういうふうに新しいクリントン政権に対して、これらのいろいろな攻勢あるいは要求が出てくると思いますが、それをどういうふうにしようとしているのか、その対応をまず聞いておきたいと思います。
  68. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 日米の関係が対等でなければならないというようなことは今さら申し上げるまでもないことでございますけれども、もとよりそういう意味でイコールパートナーということはずっと言われてまいっております。そのことは両国だれも疑う者はないと思っておりますが、確かに我が国の貿易黒字が非常に大きくなってまいっておりますし、不況でもございますので輸入も思うとおりに伸びないというようなことは現実の問題としてございます。アメリカにおきましても、しかし、今御指摘のように二つの赤字等々は、これは私どもしばしばアメリカ側にアメリカ側の問題点として指摘をし要望していることでございますから、今後もそれは続けてまいらなければならないと思っています。  それから、そのような黒字、赤字の関係からいろいろな対日要求が強く出るだろうということも、これは赤松委員御指摘のように政権がかわりますと殊にやはり今までのことを見直してみたいという気持ちがございますから、それはそうであろうと思っていまして、私どもとして、つまり開かれた経済をつくるためにできるだけの努力は続けていかなければならないと思っています。
  69. 赤松広隆

    赤松委員 総理、役割分担という言葉がありますよね。今まで日米の役割分担なんということが出ると、アメリカ側から一方的に軍事的な側面だけで日本に対して役割分担を迫ってくるというようなイメージが非常に強かったと思うのですが、私はこの役割分担というのを前向きにもっといい意味で考える必要があるのではないかなということを思っております。  ということは、軍事負担要請というようなイメージばかりじゃなくて、やはりこれから日本アメリカがそれぞれの得意分野で共通の価値観を持って地球規模全体で実現をしていく、まあある場合には負担をするということもあるでしょうけれども、そういう共通の価値観をそれぞれの得意分野でそれぞれパートナーシップを持ってやっていくということをむしろもっと積極的にやっていく必要があるんじゃないだろうかと思っていますが、総理はそれをどう考えられますか。
  70. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 役割分担ということにつきまして、何となく日本の役割、持たされているものが大きいというような感じがもし一部にあるとしますと、それはアメリカ側からいえば、アメリカの一番大きな分担しておる役割は日本の安全についての抑止力を与えておるということであって、これはやはりアメリカとしては非常に大きな分担をしておると向こうが考えるでありましょうし、私もそのとおりだと思います。ですから、それを見失ってはならぬと思いますので、その対応としていわゆるホスト・ネーション・サポートというようなことがあるのも、また御理解をいただきたいと思うんです。  それはそれといたしまして、役割分担をこれから考えていきますのに、確かに我が国が得意な分野もございますし、アメリカが得意な分野もございますから、これはよく両方で相談をしながらやっていく、当然のことでありますけれども、これは友好の精神のもとにお互いがベストを尽くして世界の平和と繁栄のために役割を分担していく、こういうことでなければならないと思います。
  71. 赤松広隆

    赤松委員 これからまた新しいクリントン大統領がいろいろな提案なり、機軸をつくってくることになると思うんですね。例の、今カナダ、メキシコあたりはNAFTAをやっていますが、これはアジア版NAFTAみたいなのが出てくるかもしれませんし、あるいは経済安保構想みたいなのもそれぞれまた出てくるのかもしれない。ある場合には日本包囲網みたいなのもできるかもしれません。そうならないように、やはり日米が基軸でアジアの、そしてまた太平洋地域の、世界のやはりそういう主要国としての役割を十分果たしていくということで、そういう環境づくりのために頑張れということで、お伝えをしておきたいと思います。  それからあと、時間がそろそろ来ましたので嶋崎委員にかわりたいと思いますが、これは全くこの日米関係とは別の関係ですが、二点だけ、あらかじめ通告してありますのでお答えを願いたいと思うんですが、一つは福祉の問題なんです。  高齢者保健福祉推進十カ年計画、ゴールドプランというのが十年計画で一九九九年を最後に今進められているわけですが、これについてはもういろいろなファクターがあるんですが、それぞれの要素で、全部もう進んでいるもの進んでないもの、いろいろあるんですけれども一つ言えるのは、今総理自身が「生活大国五か年計画」というのを片方でやっていまして、生活全体を生活大国として上げていこう。その中の一つの軸として福祉もあるわけですが、その意味でいいますと、その「生活大国五か年計画」が九六年で一応最終年としているわけですから、むしろピッチを上げて、このゴールドプランのピッチを上げて九六年ぐらいにぴしっと合わせる、そして福祉についても「生活大国五か年計画」全体についてもそのあたりで完了していくということを考えてみたらどうかと思いますので、これは大臣からお答えをいただきたいと思います。
  72. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 お答えをいたします。  ゴールドプランの件でございますけれども、大変厳しい環境下でございますけれども、地方自治体の御理解もいただきまして、おおむね順調に進んでおります。私といたしましては、ゴールドプランの課題はマンパワーの確保にあると思います。待遇の改善に加えまして福祉に汗を流す者のとうとさ、こういうものが国民の皆さん方の間で理解が広まっていかなければならない、このことが私は不可欠である、こう考えています。前倒しよりも現在の計画を着実に実現していくことがまず先決である、このように考えております。
  73. 赤松広隆

    赤松委員 この問題についてはまだ担当の委員会なりで詰めていきたいと思っています。  総理、最後の質問としてひとつ時短についてお尋ねをしたいんですね。  今こういうゆとり、豊かさの時代ですから、その中で政府としても、もともと閣議決定、経済五カ年計画、この中で九二年度中に千八百時間を達成するというふうに言っておられたわけですが、これを九六年までということで目標年次を先送りにしたという、そういう経過もあるわけです。不況影響で残業時間等も大幅に今減っていますから、年間実労働時間でいうと二千八時間、まあ大分減ってきたじゃないかという考え方もありますが、しかし西ドイツあたりと比べるとこれは四百時間も五百時間もまだこんな格差があるわけです、西ドイツが大体千五百時間ぐらいだと思いますから。  その意味で、この時短に向けて総理は、これは国際的なまたいろいろな約束とまでは言いませんけれども日本は何だ、働き過ぎでというようなことも言われておりますから、総理としてこの時短に対して、これを実現するためにどうしようとしているのか、どういう決意を持っているのかということだけ、一言で結構ですからお伺いしたいと思います。
  74. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この労働時間短縮ということは、今の日本になりますと大変に大切なことであって、終戦後の日本でしたら思いつかないようなことでございますが、やはりそれだけ我が国も違ってまいりまして、生活大国と申すまでもなく、何としてもやはりこれはやっていかなければならない。そうでありませんと、個人の尊厳とか家庭の団らんとかいうことが犠牲になるということでもございます。  ですから、これについては、大企業あるいは大企業に働いておられる方々の了解は比較的すぐに得やすいのですけれども、中小企業の方々にはなかなかこれはきつい問題でございますのでございますから、やはり省力化のための融資を安くしてさしあげるとか、いろいろな意味で中小企業が時短を経営側が受け入れやすいように考えていかなければならない。そういう措置をたくさん考えていかなければなりませんし、またある時間までにはぜひ実現をしたいが、しかし業界によっては多少の猶予をしなければならないところもあるでしょうし、またその時間短縮に伴うオーバータイムの場合にどういう報酬をするか、休日をどうするかというようなことにつきましても、理想はいろいろございますけれども、中小企業の状況も考えてさしあげないといかぬ、全体をつまり抱きまして、目的になるべく早い時期に近づこうというふうに思っていまして、そういう見地から労働基準法の改正を今考えさせていただいておるところでございます。
  75. 赤松広隆

    赤松委員 一つ私が申し上げたかったのは、何かというと時短に限らず世界は今、日本特殊論みたいなんですね。日本だから、やっぱり日本はというような、こういう日本特殊論に、この時短が進まないことがやっぱりまた日本はということにならないようにぜひ、国際的な信頼回復ということもありますけれども、その実現のために総理が先頭に立って、政府を挙げてその実現のために御努力をいただきたいということで、これは要望だけ最後にしておきたいと思います。  残る時間につきましては、我が党の副委員長であります嶋崎委員に引き継ぎたいと思いますけれども、新書記長という立場でこういう重大な時期、ちょうど変革の時期、政治の変わり目の時期、この時期にこういう立場を与えていただいて、またこういう場に立たせていただき、私の考え方も述べさせていただきながら、また政府皆さん方総理を初めいろいろな御答弁もいただき、感謝をしたいと思います。  どっちにしても今政治に求められておるものは、とにかく大胆な政治改革を断行して、次の時代にはもっとすばらしい政治が若い人たちに引き継げる、ああいう政治家だったら、ああいう政治だったら、おれも参加して、若い人がどんどんやってみたい、ぜひ政治家になりたい、国会の場で活躍してみたいというような、そういう政治に夢のある、希望のある二十一世紀をつくっていかなきゃいけない。これは保守とか革新とか自民党とか社会党とか、そういう立場を離れて、ぜひそういう共通の課題としてやっていきたいというふうに思っていますので、そんな思いでこれからもいろいろな形で私は私なりに頑張ってまいりますが、どうぞその意味皆さん方も、そういう新しい世代に引き継げる、自信を持って渡せる、そういう国会、政治にしていこうということで、今後とも御奮聞いただきますように期待を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  76. 粕谷茂

    粕谷委員長 この際、嶋崎譲君から関連質疑の申し出があります。赤松君の持ち時間の範囲内でこれを許します。嶋崎譲君。
  77. 嶋崎譲

    嶋崎委員 若い書記長質問の後を受けまして、足らざるを補い、また出した提案などについて、閣僚の皆さん、御支援を賜りたいと存じます。  さて、私の質問は主として経済、財政、金融に力点を置いて、その他環境やガット・ウルグアイ問題などにも触れますが、経済、財政、金融に力点を置いて、時間も、与えられた時間少ないですから、へし折って質問をさせていただきたいと思います。  最初にお聞きしますが、総理は我が国の今日の不況はいつごろから始まったという御理解ですか。
  78. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 遠因、近因いろいろあろうと思いますけれども、現実に経済界が在庫調整に入りましたのは一昨年の暮れでございます。中には、素材業界で夏ごろから在庫調整をしたところもございますけれども、それはむしろ例外であったと思いますので、近いところで申せばそのあたりかと存じます。
  79. 嶋崎譲

    嶋崎委員 経済企画庁、今の日本不況はいつごろと判断されて、さきの答弁では、まだ経企庁としては判断も結論も出していない、こうおっしゃっていましたが、大体見当で言うとどうなります。
  80. 船田元

    船田国務大臣 嶋崎委員にお答えいたします。  今総理からもお話がありましたけれども、私ども経済企画庁としましても、今御指摘ありましたように、まだ景気の山谷の判断は正式には行っておりませんけれども、これまでのさまざまな経済指標等を勘案いたしますと、我が国経済は九一年後半には低い成長に減速をして調整過程に入った、このように申し上げてよろしいのではないかと思っております。
  81. 嶋崎譲

    嶋崎委員 民間の研究所の人たちはもうほぼ大体みんな結論出ているのです。政府だけがまだ判断しないのです。それはなぜかというと、今度の不況というものがいつかの判断を誤ると、過去において打ってきた政策が誤っているということになるから、いつの時期ということをなかなか明示しないと私はにらんでいますが、民間は、総理がおっしゃったように、九〇年の暮れから九一年の三月のこの時期がいよいよ不況の時期に入ったという判断をすべきだったというのが大方のエコノミストの意見です。したがいまして、経企庁も、いつまでも協議していないで、この不況の性格というのは、昨年の暮れに出ました皆さんのミニ白書を見てみますと、非常に重大な情勢ととらえているのですから、いつ始まったかということの判断を民間並みに早くなさって、過去にやったことがよかったのかどうか、これについて今後過ちのないようにするにはどうしたらいいかという判断を下すべきだと思うが、どうですか。
  82. 船田元

    船田国務大臣 お答えいたします。  確かに嶋崎委員おっしゃるように、民間との時間的な若干のずれ、こういったものは確かにあろうと思いますけれども、私どもとして、今後さらに景気の一循環というのを経過をしてみないと、さまざまな細かい指標等の問題もございまして、これはやはりもうちょっと時間をちょうだいしたいな。しかしながら、例えばGDPギャップなどを見ておりますと、確かにGDPギャップにつきましては、これはあくまで一つの試算でありまして、本来はもっと多くの指標を通じまして総合的に判断をしていかなければいけないわけでありますけれども、例えばこのGDPギャップの試算を見ておりましても、マイナスとなったのは九一年の十月から十二月期でありました。特に、平成四年度の予算をつくるときにはもう既に景気に十分配慮したものであったということ、あるいは九二年の三月のいわゆる緊急経済対策をとったということなどを考えれば、そういう判断に基づいての対応というのは決しておくれた対応ではなかった、このように理解しております。
  83. 嶋崎譲

    嶋崎委員 おくれたかおくれぬかはもう少し後で議論しますが、今の不況では、もう明確なのは、企業収益の落ち込み、企業の設備投資減、雇用調整、賃金の抑制、こういう段階まで来ています。したがって、今年の前半に景気の底入れに入る見込みはないのではないかというのは大方の日本経済界の動向ですだけに、なかなか景気浮揚はできないと判断をすべきだと思います。  皆さんの昨年の暮れに出たこのミニ版を見まして、資産の目減りを見ますとすごいでしょう。企業の含み資産の推移、経企庁の判断でも、八九年に含み益が四百五十三兆四千あったものが、今や四百三十一兆ですから、その差は二十二兆円ですよ。企業の資産の含み益の目減り、これは経企庁の数字だ。  それから土地、おたくの判断でも、土地でもこう言っていますよ。去年一年で二百一兆九千七百六十六億円と言っているのです。株と土地のいわば資産デフレがこんな数字であらわれているということは、企業がもうじっとして立ち上がるのを待っている。こんな状況の中にあるのですから、今までのような景気循環でもって在庫調整ができて消費が少し動き、あるいは投資の動きがあるだろうということにはならぬのですよ、今の状態は。  さてそこで、そんな情勢の中で政府は来年の成長率三・三%と見ましたが、さあ民間は御承知のようにみんな二%台。三%を超えているのは一つか二つ。  OECDは何ほと言っていますか、IMFは何と言っていますか、国連の事務局の統計情報局は何と言っていますか。それぞれ役所、言ってください。
  84. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  一九九三、暦年でございますけれども、OECDにつきましては昨年十二月の時点で、その前の段階では三・一%と、こういう見通しを出しておりましたが、二・三%に下方修正をいたしております。IMFは三・八%から、昨年十二月の時点では二・四%に下方修正いたしております。国連は二・三%でございますが、冒頭申しましたように、これは暦年でございまして年度ではない、見通しとの差はその点にございます。
  85. 嶋崎譲

    嶋崎委員 昨年のサミットで総理は三・五%の考え方に立って、そして最後修正したら一・六だ。一・六ということは、おととしの九―十二、一―三月の、げた履いていますから、げたは一・一ですから、つまり今年度に入ってからのものがどうかと見ると、一・六という下方修正は、○・五%しか日本経済成長しないという判断ですよ。今年度の我が国の経済は○・五%成長なんですよ。  三・五と国際的に、公約ではありませんが明らかにして、日本の経常収支のもとで国際的に協力しなきゃならぬと約束されて帰ってきて、開いてみたらことしの成長率実質○・五%。  さあ、こんな事態が起きたことについて、今さら言ってもしょうがないが、しからばことしは三・三の成長を前提にして、今たくさんの公共投資その他の対策をなさっておられるが、今年度のサミットの時期は、大体九―十二は出ているね。一―三が出るかな、危ないですね、経企庁がのんびりしていますから。そうすると、出るときはゼロに近い状態の昨年度の数値が出るわけ。それで東京サミットで議長をなさって三・三%と国際的に、内需拡大を前提にして発言をなさる予定ですか。
  86. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 こうだと思います。昨年の四―六が○・○、七―九がマイナス○・四、そこで十―十二がまだわかっておりません。それで一―三は、そうでございますね、サミットは七月でございますから、一―三がいっぱいいっぱいわかるぐらいでございましょうか。そうしますと、七―九がマイナス○・四でございますから、その上にさらにマイナスが重なっていくだろうかどうだろうか。対前期比でございますから。私はそういう意味で、三・三というのはそんなに高いことを言っておるわけじゃございません、前がマイナスなのでございますから、ある程度のことはあってもおかしくないじゃないかという気持ちを実は持っておるわけなのでございます。
  87. 嶋崎譲

    嶋崎委員 じゃ、これだけは。昨年のサミットで先進諸国に日本の国際的役割としての経済成長の指標を示されて、結果は一・六だったということは世界じゅう知っているわけ。来年の経済見通しは、暦年であっても世界じゅうはみんな二%台と見ているわけ。民間も二%台と言っているわけ。それで、総理はまたこれで今のような甘い判断なら、当然指標を見てから御判断なさるでしょうが、そんなに大きな下方修正はできないでしょう  さて、それでことしのように狂ったときは、見通しが狂ったとき、世界的にその目標は発言し、狂ったときは二度国際的に不正確な見通しを我が国の代表がしゃべることになるのです。そんなことがあったら責任とりますね、今度は。大変重大ですよ、二回目ですから。どうですか。
  88. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 しかし、むしろサミットにおける大切な課題は、そういう経済成長が非常に鈍いときにその国がどのような対策をとっておるかということが私は大事なんだろうと思います。したがいまして、昨年からの総合経済対策補正予算、そうしてその上の平成五年度予算、これは十分にこの事態にベストの対応をしているということ、これは私は認めてもらえると思いますので、その結果がどういう数字になるかということよりは、十分にこの事態に対応をしているかどうかということを私はサミットで評価をしてもらうべきじゃないかと思います。
  89. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それはその段階では、昨年の暮れ、暦年ですが、世界のやつもみんな下方修正している。日本の民間もみんな下方修正したのです。だから、まだその段階では胸を張って言わなければならぬときです、今おっしゃったように。その結果そうならなかったらどうなさるのということですから、厳しく野党として、我が国の代表が、今日世界の牽引力の役割を持たなければならぬ日本経済の国の代表が世界に向かって一定の見通しを述べられる判断は極めて重大だ、これを頭に置いていただきたいと思います。  午前中の時間もありませんから、あと一問聞きます。  企画庁、去年はそういう狂い、まあ大体経済企画庁はいつも政策的な判断を持ちますから、高目に政府側は出す、それはそれで私はいいと思うんです。それならば、今までの長い間、最初のうちは経済企画庁日本経済見通しのベテランとしての先導的役割を果たしましたが、今や民間にみんなベテラン研究所ができています。そうしますと、政府の場合には通産とも調整せないかぬ、大蔵とも調整せないかぬですね。日銀とも調整せないかぬですから、この数字は極めて政策的数字になります。そうすると、結果として狂っていることがあり得ると思うんです。  そこで、今までの統計と違ってもっと国民にわかりやすいように、政府が出す経済見通し判断でいくとこうだが、今総理がおっしゃった政策的なものをやると政策的な指標はこうなる、こういうふうに国民にわかりやすいように一遍統計のつくり方を変えてみる。政治家というのは、国会というのは、政策的に国民の意見を反映して、見通しは厳しいけれども我々はこういう政策判断でこういう指標になるんだ、それが狂ったときに、政策判断がよかった悪かったをまた討論すればいいんですよ。そういう意味で、数字をごまかすんじゃなくて、国民にわかりやすいように統計のとり方を、判断政策を別にするという統計のとり方について、今後企画庁、検討する意思ありや。内部で皆さんやっておるはずですから、いかがですか。
  90. 船田元

    船田国務大臣 今の嶋崎委員の御指摘は、やはり経済見通しの数字につきまして、それを少し要素を分けて考えてみるということはいかがだろうか、こういう御趣旨だと思っております。  たしか政府経済見通しというものは、これはもう歴年ずっと、長年やってきておりますけれども、確かにその一つの考え方としては、現在の経済の動向、これを非常に客観的に見て、それをある意味で単純に延ばしていったという、そういう部分が一つあると思います。しかし同時に、私ども政府としての政策努力ですね、そして民間の皆さんにも努力をしていただきたい、こういうことで、若干努力目標という言葉を私、最初使っちゃってやや誤解を受けたこともあるのでございますが、これはまあ政策努力ということで言いかえてみてはと思いますが、そういう要素もすべて加味した上で、そしてこの経済見通しということを出している、こう私は理解をしているわけでございます。  しかもまだ、この見通しにつきましては、ある程度やはり幅をもって考えていただくというのが妥当でありまして、例えばこれは国際的なさまざまな予期せぬ要因等もあるでしょう。いろいろさまざまあると思いますけれども、そういう幅をもって考えるべきものであるということも考え合わせますと、やはり要素を分けて、何もしないときはこうだが何かをすればこうだ、こういうことではちょっと対応できないんじゃないかな、こう考えております。
  91. 嶋崎譲

    嶋崎委員 もう時間がありません。午前中これで終わりますが、民間でも二・数%を言う場合でも、多分公共投資はこのぐらい考えるんじゃないか、減税をやるんじゃなかろうか、そういうものを含めて二・数%と言っていて、政府は三・三%という政策的な、いわば経済見通しを高目に見る判断をしているんですから、その判断が狂ったか狂わないかを見るときに、去年のような恥をかかないためには、そろそろ統計のとり方について、内部で皆さんやるでしょう、公共投資をやれば何ぼ成長率を上げるんだと計算するんですから、そのときには自分たちの公共投資は何ぼ、財投は何ぼ、それは計算するから出てくるんですよ。それを隠さずに、政府ですから、民間は別です、政府ですから、予測と政策判断というものが国民に議論ができるぐらいの、立法府で議論ができるデータを出しなさいと僕は言っている。そういう統計のとり方にすべきだと思うが、午前中はここまでにしておきます。
  92. 粕谷茂

    粕谷委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ―――――◇―――――     午後一時開議
  93. 粕谷茂

    粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。嶋崎譲君。
  94. 嶋崎譲

    嶋崎委員 あと一時間の質問でございますので、経済の部分が三十五分から四十分ぐらいで、財政、財投等々を問題点ぽんぽんと、財政再建もありますから、三本柱をうまく三十五分で問題点が指摘できるか、今後の対応の課題だけ、後の委員みんなさらに質問をやりますから、問題点を整理して討論をしたいと思います。  午前中短い時間でしたが、政府経済見通しは実質三・三%ということを前提にして今年度予算の編成に入っておられるわけでありますが、平成五年度予算というのは、大蔵省からいただいた資料によりますと、平成五年度予算のポイントというのは、まず条件として異例に厳しい税収動向のもとにと、まずこれが一つの条件ですね。そして二番目に、特例国債の発行を回避するため、これが全体のフレームですね。そして三番目に、既存の制度や施策、歳出の見直しに積極的に取り組む一方、こっちの方は余り、つけたりみたいなものだと思うが、続いて景気、そして生活大国づくりの配慮など、これら財政需要に対して財源の重点的、効率的配分を行った、こう政府側の平成五年度予算に対する考え方というふうに述べておられますが、そう確認してよろしいですね。
  95. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 お答えいたします。  大体そのとおりで結構でございます。
  96. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そして同時に、大蔵省の方では、大臣の方では、特例国債の発行は回避できたと、そして景気刺激の対策予算になったと、まあそんな意味で緊縮、抑制的側面と景気刺激の両立が可能になった予算だと、こう自画自賛されておりますが、そう理解してよろしいですね。
  97. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 お答え申しますが、不況に配慮した予算を組んだわけでございまして、いろんな点で経常経費等の節減等も行いました。そういった意味で、筋の通ったと申しますか、いろんな点に配慮した予算だと私の方は考えております。まあ自画自賛とおっしゃいますが、私の方はこれが当然のことだろう、こう思っておるところでございます。
  98. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、最初の厳しい税収動向のもとという判断を、過去の一九八六年ぐらいから九一年ぐらいまでとそれ以降とをとってみますと、税収に非常に特徴があることは御承知のとおりです。八〇年代後半は四十兆から五十と、こうずっとウナギ登りに登っていった時期。九一年を境にしまして、九一年、九二年、九三年にきますと、とまっちゃった。六十兆円前後でとまって、二年歳入欠陥。そしてことしの税収は昨年度よりも低く見積もったということでありますが、その低い見積もりでも成長率実質三・三%、名目四・数%置かなければ税収の見込みは立たない。どっちが先かは別として、その厳しい条件というのはそんなことだと思います。  ところがここ三年、六十兆そこそこの税収がある中で、歳出は伸びているし、しかも景気対策という重大な課題をやらなきゃなりませんから、下手にいくと特例国債を出さなきゃならぬかもしれぬ。それならこれは抑えにゃいかぬ。そうしますと、片一方の方で抑えながらなるべく借金を少ないようにしながら、一方で景気予算というものをどう組むか、大変苦心のところだったろうと推察をいたします。  さてそこで、今年度予算景気刺激、三・三%を持っていけるような刺激的予算であるのかどうかについて疑問のある節があります。  例えば、平成五年度政府予算案が閣議決定された後の記者会見で総理は、あたかもこれに追加が将来必要であるかもしれないという発言、そのニュアンスの報道がなされました。続いて、一月の新年の名刺交換会に行かれまして、そこでまた財界の方々へのあいさつの中で、平成五年度政府予算案成立後、景気の動向を見て追加の補正予算を考えていられるような趣旨のことをおっしゃられたとも報道されています。そして同時に自民党は、自民党政調会長のもとに景気対策会議を設けてそこでもかなり積極的な発言、例えば下条発言と、これまた新聞に載っていました。  私、大変これは、新聞の報道がそれに近いか真実であるとしたら不見識きわまりないと思う。予算を決定なさろうとして今から予算審議しようというときに、ひょっとしたら補正になるかもしれぬと口走ってみたり、そんな発言がもしあったとしたら不見識と言わざるを得ませんが、そんな御発言があった報道は正しいでしょうか、いかがですか。
  99. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはけさほども赤松委員に申し上げたことでございますが、政府としてはこの御審議をいただいております平成五年度予算を最善のものと考えております。したがいまして、御審議をいただきまして、できるだけ早く成立し、新年度から施行をすることが現在の経済情勢にとって一番基本的なラインであるというふうに考えておりまして、今嶋崎委員の言われましたことは、私がいろいろな機会に申しますことは、今度の経済状況というのは非常に複雑でありますので決して油断はいたしておりません、殊に、この数カ月は十分注意をして見守ってまいりますし、また適宜の措置もしなきゃならぬということは心構えとして申しておりますけれども、それは予算補正するとかいうようなことを全く考えて申しておるわけではございません。
  100. 嶋崎譲

    嶋崎委員 さてそこで、今年度の予算景気対策予算に相当する公共事業の部門は八・六兆円で、九二年度当初より四・八%高い。しかし、昨年度、平成四年度の補正を入れて考えれば、これははるかに低い。景気は非常に底に来ている。そうしますと、ひょっとしたら、ともかくこれを大討論して通すとしても、先では考えざるを得ないことが起こり得るのではないかと日本じゅうが言っているのです。日本じゅうが言っているのです。マスコミもそうだし、野党はみんなそう言っているし、各民間の経済見通し機関もみんな言っています。  そういう情勢ですから確信を持って進めていただきたいが、そこでこの公共予算の中身を見ますと、時間がありませんからへし折って言いますと、税収は六十兆そこそこですから、当然その歳出を考えて公共投資を考えれば、どこかで金をひねり山さにゃいかぬ。さて、ひねり出す際に、一般歳出は歳出で昨年度よりはちょっと多いが、一運の補正を組んでみたら低い。そこで、さてな、どこで予算景気対策をまだほかにやらなきゃならぬかと考えたあげく、地方に単独事業をやっていただくべく、十兆三千五百八十五億円、これを地方でやっていただくような仕組みにまずしましたね。そして同時に、財政投融資計画というものの伸び率を見ますと、これは異常な伸び、大変な伸び。そういう意味では景気対策としては結構だと思っております。伸びですね。  さあ問題はそこです。そこで、細かな議論している時間ありませんから、一つだけ、財投というものについて大蔵省は、もうこの辺でこのあり方というものを国民の前に明らかにせぬといけません。ことしの財政投融資の使途分別、その計を見ますと、九三年度伸び率一三・四%で、三十六兆五千九百五十六億円ですね。本予算の一般歳出を見ますと三十九兆九千ですから、国の予算、本予算の一般歳出にほぼ匹敵する財投が組まれている。これから先、税収と特例公債出さないでシーリングかけておりますと、こっちにしわ寄せ行かなきゃならなくなったら、ひょっとしたら一般歳出よりも高い金をかけにゃいかぬという時代が来ないという保証はどこにもない。  さてそこで、細かな事項を質問する時間ありませんから、問題点だけ指摘して、対策についての回答をいただきたいのですが、今度見ますと、回収金というのが非常に肥大化しています。回収金の肥大化。これはもう大蔵省御存じですね。今さら説明しませんよ。郵便貯金や年金などの今までの貸し付けの返済金、これが非常に膨れ上がっています。そうすると、これの中身は、なぜ回収金がこんなに膨れ上がっているのか。今までどこにどうして、結果が回収されてきて膨らまるのですから、もともとの財政投融資の原資は国民のお金ですから、どう使われた結果ふえたんですかということは国民は知らなきゃいかぬ。それがまた同時に、今度は公共事業その他に回すというのですから、じゃ、その金の動きはどうなったの、こういう疑問を持つのは当然だと思います。  しかも、今度株が異常に下がっておりますから、公的資金で株価対策というのをやるというわけですね。株というのは、損してしもうたら国民の金を預かったがゼロ、損じちゃうのですよ。これは大変なことです。そうしますと、この一時的な特例措置の継続ではあっても、やり方でやっても、これの健全性というものを考えると、この運用について立法府としては監視しておかなければいけませんよ。これが二番目。  三番目は、これによって、今、今度は一般財投という言葉がもうはやっちゃったんだな。一般会計、一般歳出に対して一般財投なんて、まるで国の予算みたいなものだ。これは財投に関係するのは、概算のときには何も関係ないのです。概算要求の中にはこれは入ってない。国民が諸要求していく、次年度予算の各省積んでいくやつには入っていない。  そして、こういうものが組まれているということになると、時間ないですから対応だけお聞きしますが、もうそろそろこの資金運用部資金については、財投資金の総ストック量はどうなっているの、運用機関別の資金の構成、それがどんなふうに運用されているか、資金の構成、短期運用の実態、短い運用する場合にやはり問題が起きますから、短期運用の実態、そして、先ほど申し上げた貸したものが返ってきて回収金が膨らんでおる、それはどのような姿になっているかについて、もう国民に明らかにすべきときだ、こう私は思いますが、大蔵省の決断、いかがですか。
  101. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 御指摘のように、財政投融資が非常に大きくなっていることは事実でありますし、また、これに依存していろいろな政策を執行していることも事実でありますが、これにつきましては、各年度の財政投融資計画につきまして、資金運用部資金及び簡易生命保険の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律というのが昭和四十八年にできておりまして、それに基づきまして、財政投融資計画を構成する原資ごとに予算の一部として国会の審議、議決を経ているところでございます。  資金運用部資金、簡保資金につきましては、運用期間が五年以上のものに対しまして特別会計の予算総則におきまして、また産業投資特別会計につきましては産業投資特別会計予算におきまして、政府保証債につきましては一般会計予算総則においてそれぞれ示してあるところでもございます。  また、各原資の各財投対象機関への配分等を示しました財政投融資資金計画、財政投融資の原資額の見込みを示した財政投融資原資見込、三番目といたしまして財政投融資計画による資金の供給先を使途別に示した財政投融資使途別分類表、及び四番目といたしまして予算及び財政投融資計画の説明等を国会の審議の便に供するために参考として国会に提出をしておるところでございます。  政府のいろんな資料を使いまして、財政投融資の実情につきましては、できるだけ国民の御理解をいただきますように、パンフレット等を作成して配布をいたしているところでございます。また、さまざまな機会を通じまして、財政投融資に対する国民の十分な御理解を得るべく意を用いているところでございます。
  102. 嶋崎譲

    嶋崎委員 しかし、やはり回収金みたいなものが、せめてどのように使途が行われてそれがどうなっているかということぐらいは中身が別勘定ぐらいでわかるように我々に明示すべきだと私は思います。それからまた、国債引き受けに至っては、やはりそれの中身について国民に明示すべきだと思います。今のような株価の時期に、何か株価対策というものを公的責任においてやろうということの努力意味はわかるにしても、それがとんでもないことになっちゃならないだけに、国民の前に内容を明らかにすることが必要だということです。  だから、そういう意味で、今まで出ている我々にもらう資料というのは、なかなか大蔵省、こういうの出さぬです。出せと言ったって出さぬです。だから、きちんとそういう、先ほど申し上げた項目をざっと言いますと、ストック総量、これはわかります、大体ね。それから、運用機関別資金構成、短期運用の実態、回収金の内訳、これらについて公開すべきだと約束できますね。
  103. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 どういった形でやったのがよろしいのか、いろいろな問題もあるでしょうから、政府委員から答弁させます。
  104. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 財政投融資計画を構成いたしておりますいろいろな資金の現状等についての御質問かと思います。  例えば資金運用部について申しますと、先ほど大臣がお答えしましたように、長期運用に関する部分につきましては、毎年長期運用法に基づきまして予算の一部として国会に御提出し、御審議をいただき、議決をいただいておるわけでございます。その結果として今おっしゃいました全体としての、資金運用部、例えば資金運用部の例で申し上げますと、ストックがどうなっておるか、あるいはどういうところに運用いたしているか、そういうようないわゆる広い意味での資金運用部の実態に関するディスクロージャーという点につきましては、我々としてもいろいろと資料をつくりまして、いわゆる国民の皆様方に周知、また御説明もしておるつもりでございます。  例えば資金運用部月報というのがございまして、毎月資金運用部にどれくらいの残高があるか、それがどのように運用されておるか、そういったことを毎月毎月御提出いたしておりますし、あるいはまた財投機関側から申しますと、その資金運用部から借りている資金が財投機関の中でどのようになっているか、財投機関の資産、負債の内容、そういうものも十分ディスクローズしておるつもりでございます。  ただ、我々の努力も足りない点もあるかと思います。どういうことができますか、検討はさせていただきたいと思っております。
  105. 嶋崎譲

    嶋崎委員 じゃ、私が先ほど挙げた項目をこれから資料要求したら出しますね。それだけイエスかノーか答えてください。
  106. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 どういうものかということ、具体的にいろいろ、直ちにつくれないものもあるかと思います。努力はしてみたいと思います。
  107. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大臣、役人じゃなくて政治家として、今のような財投は一般歳出並みの予算的扱いになっていて、その原資がどう流れたかということは国民は当然知る権利があり、しかもこんな姿が国の予算のあり方としていいのかを含めて議論せざるを得ないぐらいになるんですよ。  一般財投の方がもし一般歳出よりも多い事態になって、こっちは概算要求と関係ないということになったら、国の予算編成のあり方そのものが国民の側から検討しなければならぬ。だから、我々立法府としては、今までのようなやり方についてきちんとした条件をつけざるを得ない。そういう意味で、我々の要求する資料要求にこたえるということを前提に御判断いただけますね。何も全部天下に向けて演説して歩くわけじゃないんだから、中身の大事なことを理解するために必要なものは出しますね。
  108. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 個別の問題になりまして、いろいろな問題があるかとも思います。思いますが、やはり今お話のありましたような形で財政投融資、その原資は郵便貯金その他でございますから、それの公正な運用というようなことは当然に考えていかなければならない点でありますから、御趣旨に沿ったような形で検討させていただきたい、こう思っております。
  109. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ありがとうございました。  さてもう一つ平成五年度予算を組むときの今日の特徴は、一九九一年以降の税収が悪い、それで公共事業対策を組んだ。足りぬ分は、これじゃとても組めない分は、片や地方財政、財投といった――地方財政の方はもう時間がないから省きましょう。予算操作していますね。これは今に始まったことじゃないけれども大蔵省というのは皆いろいろな、繰り延べをやってみたり、一般財源化やってみたり、あの手この手の操作をするわけです。地方交付税の減額措置をとってみたり、それからまた国債費の資金運用部借り入れで返さなければいかぬものを先に繰り延べしてみたり、それからそのほかに、健康保険そのものが努力して黒字になっているのに、黒字じゃわいと言ったら、健保のをちょっと一時借りておくとか、補助金をちょっと一部借用しておくとか、それでこれは地方自治体の負担にしておくとか、いろいろなやりくりをする。  これは実際はことしの予算を組むときに必要だったお金なんです。これは必要だったお金なんです。だから、これを世には隠れ国債と言う。隠れ特例国債とすら言う。そろそろもう、ことし一兆五千億くらいあって、累積が三十六兆もあるのですから、そろそろ国民の前に、日本経済の実態でこれだけしか税収はない、しかし歳出はこれだけやらなければならぬ、どうしてもこれだけのお金についてやりくりするが、やりくりするのは実際は要るんで、一種の借金になっていますよということぐらいを明らかにした上で、さあ、財政再建どうするんだ、こういう議論をすべきときに来ているのではないかというのが私の意見なんです。  だからそういう意味で、今までのいわゆる隠れ借金とか隠れ国債とか言われているものも、そろそろ累積の中身、それから同時に、今年度の中身なども議論できる対象に、財政の全体的あり方として、流れを含めてこれからのあり方として検討すべき時期だ、こう私は思います。なぜならば、今年三・三%というのは絵にかいたもちだと僕は思っているけれども、これから先の日本経済は、例えば仮に公共投資をやっても今までのような相乗効果はありません。これだけハイテク化して、これだけサービス化が進んでいるのですから、昔のような相乗効果は簡単に出ない。同じことが減税についても言えると思う。しかし、やらなきゃならぬことをすべてやるかやらぬかというのを経済の局面がひどいときには考えなきゃいかぬ、それだけのこと。だとすると、これから先どのように財政というものを考えていくかということとそのような運用とが密接不可分だと考えるからであります。  これについてもう議論しておる時間ありませんから、そこで聞きます。  さあ、「財政の中期展望」だ。大蔵省からいただいたこの中期展望によれば、国債依存率を、あと三年したら五%になるという方針をいまだに堅持していらっしゃる。まあ特例国債出さぬという意味で堅持されるのは、これは結構だと思うよ。いただいたこの数字は、これは何ですかね、これは。これからの成長の考え方という古い時代の方式を適用しただけ。今のこの経済や社会の変化に対応してどのように経済の構造に変化が起きて、そしてそれがどのような果実を生むのかなとについて、もう少し精査した上で先の見通しを立てるのならいざ知らず、依存率五%に下げなきゃならぬと言って、一年間に減額を何と二兆何千億とやるというんでしょう、来年、再来年。  大体皆さん、この数字見てごらんなさいよ。あなた方の数字一つ見たって、平成二年は八・四%、三年度は七・六にはね上がった。四年度は一〇・一になった。ことしは一一・二だと言っているのですよ、依存率が。ずっと六十年に入って税収が入らぬから依存率が高まってきているという数字を今まで明らかにして、あと二年もしたら建設国債の発行を年間約二兆円も減額されたら、財政運用はできますか。そんな簡単な経済見通しは立ちますかね、財政の。しかも、こんなものを我々立法府の人間に、その数字だけこしらえてそうなりますよと言っても、なりはせぬわね。だれもなると信用しませんよ。  したがって、特例国債を出さないという原則を堅持されているというのは、それなりの一つの説です。私は間違いと言っていません。しかし、そんなできもせぬ財政再建の中期見通しを我々に出して、議論せいという姿勢そのものに問題がある。私は改めて、ここに出してある皆さんのこの中期財政見通しをもう少しまともな、今の内外の情勢の変化に対応して、税収見積もりその他含めて検討して再建の目標を立てるべきだ、こう思いますが、大臣いかがですか。
  110. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 委員御指摘のとおり、また委員もよく御承知でございましょうが、この財政の中期見通しというのは、財政再建をやる、赤字国債をなくする、こういうふうなところからいろいろと出てきたものでございまして、大変苦労して我々もやってきたところのものでございます。  現在におきましても、委員御指摘のとおり、再び特例公債を発行しないという一つの大前提に立ちましてるるやってきたところでございますし、平成二年度からいろいろな形でやってまいりました。今後ともこうした考え方に立ちましていろいろなことをやっていかなければならない、制度や施策の見直しを引き続いてこういった原則のもとでやっていくということで立てているところでございまして、大体平成七年度までに新目標を達成するのは不可能ではないかというような御指摘かもしれませんけれども、私は、そのときそのときの経済状況また財政事情等に応じまして、可能な限りそれに近づくところの目標だというふうに考えて、それに対して最大限の努力を払っていくべきものではないかな、こういうふうな考え方でやっているところでございます。  いずれにいたしましても、特例公債をやらないということはやはり一番大きな課題、これは委員も御指摘のとおりでございますから、私たちもそういった目標に向かって進んでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  111. 嶋崎譲

    嶋崎委員 しかし、これは皆さんからいただいているもの、七年度以降国債残高累増体質から脱却することを目途として、七年度に公債依存率が五%を下回る水準を仮に前置きしてなんですよ、これは。仮にですよ。ただ数字が書いてあるだけじゃないですか。「六年度以降毎年度二兆二千五百億円ずつ機械的に均等に減額しこと書いてあるのだよ。「機械的に均等に減額し、八年度は七年度と同額と仮置き」と書いてある。こんな注をつけたということは、これはただ書いたということじゃないですか。その前には確かに名目成長率五%掛ける弾性値一・一と言っていますよ。これだとそうなりますか。去年の弾性値や何かを見ていると簡単じゃないですよ。  だから、ここに言われている数字の積算基礎そのものが基本的な検討なしに数字合わせで書いたものでしかないと言っておるのです。そういう意味で、これから他の委員で検討していただく大テーマですから、ぜひこれは詰めていただきたいと存じます。  さて、では今度は、もう時間もだんだん迫っておりますから、もう一ついきましょうか。  今度は公共投資の配分率。これもちょっと結論だけ言っておきますが、宮澤さんは生活大国づくりと言って、これも今の経済情勢が悪くなる前につくられたものですよね、二〇一〇年にしたって、生活大国。その時分の名目成長率の考え方がもう現に破綻しているのですから、三年置きに破綻すると思いますよ。  だから、そういう前提でお書きになった例えば四百三十兆なら四百二十兆を、日米構造協議で問題になった四百三十兆円を二十一世紀に向けてどこにどう重点的にやるかということについて、当然各省への配分の率がありますね。僕はみんな数字を知っているのですよ、もう時間がありませんから言いませんけれども。それで、下水道がこうしたという伸び率だけ言っておるのですよ。低いものは伸び率が高くなったって額は低いに決まっていますがな。予算伸び率論ぐらいインチキはない。  例えば国有林一つ言いましょうか。日本の山は荒れている、世界じゅうの森林がなくなっている、こんなときに、日本の特別会計に一般会計から入れる金が、伸び率だけがめちゃくちゃ、二〇%伸びたとしましょう。もともと少ないものだから、二〇%伸びたって山は荒れほうだいじゃないですか。伸び率じゃないのです。客観的に存在している経済の実態や国民生活の実態に合わせて、どこにどう力点を置くかという政策選択をしなければならない。それがつまり投資に関する率の配分というものじゃないですか。何も変わってないじゃないですか、役所の言う配分率は。これでは何も政策の重点配分になりませんよ。まあこれは言いっ放しにしておきます。  さて、時間がなくなりますから、もう一つ景気問題と金融問題についてちょっと触れておきます。日銀総裁、見えていますね。  最近のマネーサプライを見ますと、去年の九月以来四回マイナスですね、前年度比。マネーサプライがマイナスというのは経済の実態に合っているのだと思う。このマネーサプライのマイナスと連続マイナスの実態を、日本銀行は金融政策担当者として見た場合にどう見、どのようにしようとなさっているのですか。
  112. 三重野康

    ○三重野参考人 お答えします。  マネーサプライの伸びが非常に低いことは委員ただいま御指摘のとおりでありまして、私どもは、これは主として景気が非常に低下している、さらに、いわゆる資産取引、株とか土地の取引が非常に低迷している、したがいまして、借り入れ需要が非常に低調である、このことが主な原因というふうに考えております。  しかし、供給面にももちろん問題がございまして、金融機関の融資態度が極めて慎重なことも事実であります。これは普通、金融緩和期には見られないような状態であります。しかし、これはバブル経済の崩壊に伴いまして、そのツケが金融機関のバランスシートに回ってきておりまして、いわゆる不良資産の増大を何とかしなければならないという状況のもとにあって、いわゆる不良資産の増加をなるべく少なくしたいという金融機関の態度によるものというふうに思います。  しかしながら、最近、金融機関は健全な借り入れ需要には積極的に貸し応じようとしておりますし、特にその傾向はごく最近は非常に強まってまいりまして、ここでようやくいわゆるマネーサプライの下げどまりの気配が見えてきております。  それはそれとしまして、委員質問のこういうマネーサプライと金融政策関係でございますが、これはもう委員御案内のとおりでございますけれども、一九七〇年代の半ばから、ドイツ、アメリカ、フランス等においてはマネーサプライをターゲットにしてきた。これはなぜかと申しますと、マネーサプライと金利、経済実態との間に非常に安定した関係がある。要するに、マネーサプライが先行指標としての安定した関係にあるということからきているわけでありまして、日本銀行においても、ターゲットにはいたしておりませんが、これを一つの重要な指標としましてその見通しを発表しております。  しかし、一九八○年代に入りましてこの安定的な関係は失われてきております。特に日本の場合は、この数年間いわゆるマネーサプライの波動と金利、景気の実態が全く相反するような動きをしております。これはなぜかと申しますと、もう先生御案内のとおりでございますが、バブルの発生、崩壊と金利の自由化によるものでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これを例えばアメリカやドイツのように直接のターゲットにはしにくい。したがいまして、重要な一つ資料として、総合的に勘案する一つ資料として運営をしておりまして、むしろ前は先行指標だった、現在はあえて言えば同時指標のようなものでありまして、現在の景気停滞をそのままあらわしているというふうに考えておりまして、この点について遺憾なきを期したい、とういうふうに思っております。
  113. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大蔵省の銀行局と公正取引委員会の、公定歩合の引き下げと短期プライムレート、短プラと長プラの金利動向の表をつくってもらったんです。非常にはっきりしてきたのは、最近大変だと気がついたから日銀の金利よりも先に短プラの方は手を打ち始めた。それはなぜかといったら、貸し渋りやっているから。借りたい借りたいと言っているのに、高い金利が維持されていると金が出ないわけだ。だから下げてきて、動き始めたから早いんです。先に動き出してきた。  そして、全体的に見ますと、これは公取と関係するのですけれども、金利の公定歩合を下げたときに、今までは、短プラの場合には協議をしておろした節があった、御承知のとおりです。今はやっていないという。そうすると昔はやっておったということですから、これは独禁法違反なんです、本当は。それで、長プラの場合は興銀が前に出るのです。興銀が前に出て、下げどまりして、ずっと全体をリードしていく。そんな金融操作を今までやっているのは、一種の金融の縦の系列ですから、やはり銀行は自分の企業の利益、金融資本の利益を考えますから、公定歩合を引き下げて金融政策をやろうとしているのに対して柔軟な連動をしてないのです。そういう側面がある。乱暴な言い方をしてはいかぬが……。  したがって、やはり金融というものをおっしゃるときに、英米のようにマネタリズムをやっている国というのは、金融で操作して、しかも市場経済を自由にするのです。そのために独禁法やなんかを強化するわけです。だから、そういう意味で、マネーサプライの持っている経済政策的な手段としての有効性をどう考えるかというスタンスをやはりきちんとせぬといけませんね。  そういう意味で、この金利の引き下げが今後どのような形になるかはわかりませんし、そんなことを今ここで聞く意思もありませんが、金融というものが特に、今の場合には銀行の資産の焦げつきなんですから、それだけにその金融の金の流れというものに対して油をやっていないとこれはぐあいが悪い。それには公定歩合を下げたり、短プラ、長プラの判断が金が動き出す条件なんですよ。御承知のとおりだと思う。そういう意味で、柔軟な金融政策の対応というものをすべきときだと判断していますので、どうぞ一つの意見として参考にしていただき、御判断を賜りたいと思います。いかがですか、長い回答は要りませんから。
  114. 三重野康

    ○三重野参考人 委員御指摘のとおり、最近は公定歩合が動かなくても長期、短期のプライムレートが動くのはそのとおりでございます。と申しますのは、以前は全部規制金利でございましたけれども、いわゆる金利自由化によりまして、例えば都市銀行の場合、約八割は市場金利によって調達しているわけでございまして、日本銀行が公定歩合を下げる、あるいは市場操作をすることによって、公定歩合とは直接の関係なしに金利が動くようになっている。例えば、現在公定歩合はピークから二・七五%下がっておりますが、長期プライムも短期プライムも三・七%ほど下がっているのは、そういう金利自由化の関係のもとだというふうに考えております。
  115. 嶋崎譲

    嶋崎委員 さて、時間がありませんから、もう一問、今度は別の角度からいきます。  我が国の経済を見たら、経常黒字がことしも一千億を超えておる。来年また超えるという。さて、このような経常黒字というものが、ECやアメリカ、特に新しいクリントン政権の登場で、アメリカ側から日本のこの黒字に対してどのような対処が行われると総理は御判断されているのか。  そして同時に、通産大臣もこの間EC諸国の閣僚会議に行っていらっしゃり、向こうとのお話し合いをやっていらしたようですが、いずれにしても日本のこの黒字問題はマイナスばかりじゃないです。日本が黒字を持っているということは世界経済にとってプラスなんですから、外国に対する資産が大きいんですからね。何もマイナスだけじゃありませんが、しかし、経済的な貿易摩擦その他の重要な要因であることは間違いない。そうすると市場開放という要求が起こり得るのではないか、もっと今までよりも。その意味で、経常収支の黒字が構造的黒字のような気がするが、その点についての御判断は、市場開放を迫ってきやせぬかなと。  そして、もう一つつけ加えておきますと、外に発表するときに、数字はやはりGNP比で出した方が僕はいいと思う。額で出しますと物すごい額に見えるんです。その国の経済が、経常黒字がどのような、安定的かないしは一定のものだというのなら二%、対比してみたらどうということはないのですから、そのGNP比で表示するということも、経企庁その他を含めて、表示の方法もやはり日本のために考えた方がいいと私は思います。  それも含めて、総理のちょっと見解。
  116. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 九二年度について見ますと、通関統計で見ておりますと、輸出は多少伸びている。これはやはりJカーブ効果があったと思います。輸入が少し減っておりますので、これはやはり経済運営に関係があったと思わざるを得ません、輸入の減りは。輸出の増は、多少円高になりましたののJカーブと思われます。  ですが、それにしても、いかにもどうも貿易黒字、経常黒字、予想をかなり上回っておりますから、そういう部分は日本経済、内需振興ということで、ある程度直るものは直っていく。こういうことが対処の本格的な道だと思いますけれども、しかし、だからといって、それなら経常黒字、貿易黒字がぐんと減るかといいますと、これは急にそういうふうになるわけではございませんでしょう。しかし、やはり内需振興ということが大事と思います。  それから、アメリカ関係で申しますと、そういう全体の貿易黒字、経常黒字の問題もさることながら、日米間の赤黒の関係と思われます。恐らく四百億ドルをちょっとあるいは超えるかと、両方の統計が少し違いましても、まあその辺でございますね、きっと。それは、随分我が国は長いこと、SIIまでやって、両国いろいろな努力をいたしました結果でございますので、私は十分な努力がもうなされているということを強く思いますけれども、しかし、政権がかわりましたら、やはりそういう点についての指摘はあるであろう、これは考えておかなければならないと思うのです。  私は、ですから、日本経済運営の問題として、対米もそういうふうにこたえますけれども、同時にしかし、ある程度の黒字についてはやはりリサイクルを考えるということを、せんだってまでやってまいりましたので、五年間に六百五十億ドルというような。これから新しくどういうリサイクルを考えるかということをやはり国の政策として打ち出していく必要があるのではないかということで、各省庁には実はその作業を進めるように申したところでございます。
  117. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、日米構造協議、この前までやってきた、この日米構造協議に対して、私は、新しいクリントン政権は、まあブッシュはちょっと独禁法は後退していますけれども、ECの方が物すごく進んでいますから、だから、日本の構造協議問題をもう一度点検しなきゃならぬ時期に来るのではないかと思います。  さて、そこでです。その日本の社会経済の構造で、今日の経常黒字が恒常的だという場合に、どうしてもECやアメリカから見ると、日本経済はまだ閉鎖的なんじゃないかとか、そういう、日本がどんなにそうでないという説明をしてもそうなんだな。そのときのポイントは何か。独禁法の強化です。非常にはっきりしています。独占禁止法を強化する。公正なる競争が行われて、消費者の利益になるような体質が見えるような社会的な仕組みが、アメリカでもECからでも日本が見えれば、ころっと違うと思うのです。  そこで、公取委員長に聞きます。アメリカの連邦の公取、公正取引委員会や反トラスト法の委員会などに働いている人たち、州政府の、公取も含めて、その独禁法を扱っている人たちはアメリカではどのぐらいいますか。次はECの場合。ECの場合は、ECで今度新たにつくりましたが、今度はドイツもあればフランスもみんな相互にかかわって独禁、経済の体質の改革を考えようと言っているのですから、そのECのそういうことに携わっている人たち、アメリカの携わっている人たちに比べて日本の今の公取の体制はいかがですか。簡潔に説明してください。もう時間は余りありませんから。
  118. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お答えいたします。  まず米国でございますけれども、米国は御案内のように、連邦取引委員会と司法省、二つございますが、連邦取引委員会の職員数は一九九二年度で九百五十三名と聞いております。それから司法省の反トラスト局六百七人、合計千五百六十人でございます。  続いてECでございますが、EC各国と別にEC委員会に競争総局というのがございます。この職員数は、これは一年古い数字ですが、一九九一年度三百七十三名でございます。  それからECの主要各国を申し上げます。  英国では、これも公正取引庁及び独占・合併委員会、二つ組織がございまして、合計で申し上げます、合計五百二十七人。それからドイツがございますが、ドイツでは、これも二つ組織がございますが、合計いたしまして二百六十六名、大体そのような状況でございます。(嶋崎委員日本は。努力しているけれども」と呼ぶ)  我が国の公取委の定員は、本年度で四百八十九名でございます。ただ、例えばアメリカに比べまして、申すまでもないことでございますが、人口が約二分の一でございます。例えば職員一人当たりの人口数で考えますと、アメリカ日本の比は三対二、その程度であろうかと思います。  なお、つけ加えますれば、公正取引委員会の業務について大変、体制を充実すべきである、こういう要請が強うございまして、全体の定員が厳しく抑制されている中で、関係方面の理解をいただきまして、ここ数年公取の定員は大変増強をされていることをつけ加えます。
  119. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私は、今これは激励の議論をしているのです。  最近の独禁法への対応は、アメリカの場合はむしろブッシュの段階に来て少し後退的、一歩引いている。ところが、ECの方は統合に向けてより強化され、進んでいる。日本は、今度グローバルに見れば、国際的なこれに関連して、国際的な対応をこれからしなければならぬのですから、そういう意味総理日本の、我が国の日米構造協議の新たな対応として、日本の今の系列取引、談合、企業主義の構造、金融、新聞値上げ、お酒の値上げを見たって、それはなかなか公正なる競争と言えるかどうか疑問のある日本の社会、いい悪いは別だ、そういう構造なんですから、世界に向けて開かれた日本を考えると、独禁法の体制を強化すべきだ、そういう観点から、今後公取の要望などについて積極的にこたえられる用意ありやと。いかがですか。
  120. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 いわゆる系列等々、その社会のでき方、伝統、しきたりの問題もございます。ございますが、外から見れば、やはり公取というものの活動が活発であるかないかによってその辺の評価は違いますので、おっしゃいますことは私は完全にそのように考えます。そういう努力をいたします。
  121. 嶋崎譲

    嶋崎委員 最近、公取も各省の適用除外についての検討を始めていますから、研究会の報告を受けて。あれもやはり積極的に進めて、適用除外の問題の開放を内外に明らかにしていくことが緊急な課題の一つだというふうに思いますので、しっかり今やっていることを進めるように努力されることを期待します。  さて、あともう時間が十分しかなくなりまして、まだ幾つかあるのですが、経済、財政、金融にしてはつまみ食いみたいな質問で、ちっとも体系的でなくて恥ずかしいのですけれども。  さて、一つだけ重要なテーマ、環境庁。総理はブラジルで開かれた地球サミットに送られた演説ビデオの中で、地球に優しい日本にしていくことは国際的責任、こういうふうに言われて、先日の施政方針演説でも、「環境と調和した持続可能な経済社会を構築するためにも、」環境に対して基本的な法案その他の対処をしなきゃならぬというふうにおっしゃいました。私は非常に、そういう考え方で臨むべきだというのは、私も同じ意見です。  さて問題は、環境基本法なるものをつくる際に、OECDや先進諸国はかなり積極的ですが、日本アメリカがちょっと一歩後です。したがって、基本法をつくる際のポイントは、重要なポイントを議論する時間はありませんから、きょうは省きますが、環境基本法というものについて与野党でしっかり話し合って、特に環境基本法を考えるときに大事なのは、開発と環境ですから。経済の問題、例えば森林の喪失というのはGDPやGNPに出てこない。しかし、将来を見るとこの破壊が重大な経済意味を持っている。そうすると、環境を考えたときに、そういう指標をどのように選ぶかによって経済計画の立て方が変わってくるわけです。  そういう意味で、今後の環境基本法を考える際に、今までに出ている環境庁その他の文書を見ていますと、これじゃだめだなと思っておりますので、与野党できちんと議論をして、世界に貢献する我が国の環境保護の基本の法案をつくられるように、我々も努力をいたしますが、政府の方でも対処していただきたい、この要望です。いかがですか。
  122. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 おっしゃるとおりでございますので、いわゆる地球環境時代と言われるものにふさわしい考えを盛り込みました法案をつくりたいと思っております。
  123. 林大幹

    ○林(大)国務大臣 ただいまの嶋崎先生の御質問にお答えします。  環境基本法の制定につきましては、既に総理が施政方針演説にも、それからまた衆参両院における代表質問でもしばしばお触れになりまして、大変な御熱意を込めておられます。それを受けまして環境庁としては、所管官庁として鋭意今その成案を急いでおりますが、今嶋崎先生がおっしゃいましたそれには、恐らくグリーンGNPも入っておられると思いますけれどもね。ですから、それらを踏まえまして、環境と経済の両立を図るためにどうすればいいか。それは当然、昨年の地球環境サミットの一つの結論でもあったと思いますので、それを踏まえまして鋭意取り組んでおります。
  124. 嶋崎譲

    嶋崎委員 さて、それに関連してですが、先般本会議で聞いておりましたら、三塚自民党政調会長が農業自立十カ年計画という問題の提起をなされました。今年度の概算を段階にして向こう十カ年を頭に置いて、日本の農村の中山間地域の活性化という方向に向けてもう今や放置できないよと。そういう意味で、早急に本年の八月の概算要求時に党要求を取りまとめて、平成六年度より強力な支援措置を講じていきたいということを本会議で発言なさったのをお聞きしました。恐らく自民党はこの方針で来るんですから、政府・与党もこの対応について検討される時期に入っているんだと思う。  そこで注文です。この農業自立十カ年計画を考えるとき大事なのは、中山間地域の経済の活性化ということになると、林業というものを避けて通ることはできません。特に、国有林が圧倒的な地域は、国有林事業と地方自治体が雇用の条件をつくったり、いろいろしています。そういう意味で、国有林の今後の再建計画、一昨年、閣議決定、閣議了解をいただきまして、借金部分と事業経営、区分いただいて、新しい出発をしております。しかし、もう二年、借金が二千億円たまっていくんですから、十年再建計画をしますと、またひょっとしたら一兆円ぐらいの借金ができます。そんな借金を起こさせないで、緑、国有林、民有林を含めての森林整備計画をやろうという時期ですから、この自民党の農業自立十カ年計画と、我が党が今日まで自民党の皆さんと進めてまいりましたこの森林・林業の再建計画というものを結びつけて、日本中山間地域の活性化のための政策的対応として進めていただきたいというふうに考えていますが、農林大臣、いかがですか。
  125. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 お答え申し上げます。  三塚政調会長の発言、これから具体的に党内でお詰めいただくことであろう。私どもは、新しい食料・農業・農村ということで、十カ年程度を目途として、もう既に今予算、法案、お願いをいたしておるところでありますが、国有林、民有林を通じて、その中に流域管理システム、これを確立をすることを基本として、林道でありますとかあるいは造林、林業機械化の促進でありますとか、そういうことで担い手を何とか確保しながら、国産材の低コスト、そういうものをしていかないとやっぱり担い手がそこに育っていかないであろうということで、これに全力を挙げておるところであります。それ以外について、またいろいろと党の方で御議論いただくものがどういうものか、これから見てまいりたい、こう考えております。
  126. 嶋崎譲

    嶋崎委員 前回、林業の政策転換のときに、野党と自民党の間で話し合いをして閣議了解をやっていただいた経験がありますので、農業の場合に林業を我々もまた突っ込まさしていただくように与野党の協議をしながら政府側に要望したい、こういうことでございますので、対処を頼みます。  さて、残ったあと二問は質問をして時間が終わりますので、ぱっぱっとお答え願って、質問を終わります。  あとは、ガット・ウルグアイ・ラウンド。  御承知のように、ガット・ウルグアイ・ラウンドに対応する我が国の対応を今日までじっと見ておりますと、少しアメリカの世論操作に日本は踊らされ過ぎておるという印象であります。ガット・ウルグアイ・ラウンドというのは、御承知のようにもう米だけじゃない。農業以外にも、サービス分野、外国人弁護士問題、労働力問題、知的所有権問題、多角的貿易機構、MTOの設置問題など、たくさんあるわけですから、その中のワン・オブ・ゼム。しかも今や、この間、アメリカとECが話し合いがまとまったかに思ったが、ちっともまとまってないということが明らかになった。それだけに日本の側も、EC・アメリカ合意案が出たときに、その後の合意案の中身に対して修正要求というものを出すやに聞いておりますが、総理、そのお立場を堅持されますか。
  127. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 お答え申し上げますが、従来の基本方針にのっとって、私どもは修正要求を粘り強く今日も続けておるところであります。
  128. 嶋崎譲

    嶋崎委員 最後に一つ。  今国会で子供の権利条約の批准をお願いしたい。この名称、ネーミングの問題ですが、外務省が何を固執しているのかわかりませんが、外務省がどうか知りませんが、聞き及ぶのは外務省であるかに聞いていますから、間違っておるかもしれぬ。児童の権利条約とネーミングするのか、子供の権利条約とネーミングするかによって、何も僕らは国内法をわんわんわんわん責め立てていくために言っておるんじゃないんです。世界の常識に合わせてこの原語を翻訳すれば、子供の権利条約なんです。  そうすると、児童の問題や、それから児童福祉法の問題や学校教育法の問題やいろいろあるものについて、今後どのように検討するかということになるわけですから、そういう意味で、これだけ時間をかけて今国会で批准の手続をおとりになるなら、素直に子供の権利条約という形で閣議の、一遍閣議にかかっておるんですから、閣議でかけていただいて、改めて検討した上でネーミングの検討をお願い申し上げたい。  総理いかがですか。並びに外務大臣、文部大臣にお聞きして質問を終わります。
  129. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 一つの考え方でして、私もそれがいいのかなと思いまして、いろいろやってみたんですが、ほかの法律がみんな児童とかなんかになっておるし、そいつを直すとかどうとかという厄介なことでもあるし、党内手続も厄介でして、それでもう大体あきらめているんです。
  130. 嶋崎譲

    嶋崎委員 文部大臣の見解。文部省はいいと言っているんだ。前の文部大臣はいいですよと言っているんですから。社会党と話が合うんならいいですよと言っているんですから、総理、外務の答弁をどんどんと……。
  131. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生、突然の御質問でございますけれども日本が現在まで締結した条約におきまして、児童の権利条約の中でチャイルドという言葉が使われておりますけれども、従来締結した条約の中で、チャイルドというものが親子関係における子という意味に限定される場合には子という訳が用いられておりますけれども、こういう条約の場合には児童という訳語が従来用いられてきたものですから、そういうことも念頭に置いて児童という言葉で御提出しておるという次第でございます。
  132. 嶋崎譲

    嶋崎委員 外務省は教育的じゃないからわからないんです。それだけ言っておきます。 終わります。(拍手)
  133. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて赤松君、嶋崎君の質疑は終了いたしました。  次に、石川要三君。
  134. 石川要三

    ○石川委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、総括質疑をいたします。  質問に入る前に、去る一月の十九日の皇室会議におきまして、満場一致で皇太子徳仁親王殿下と小和田雅子様の御結婚がめでたく成功をしたわけでございますが、国民がひとしく宿望しておりましたことでございまして、まずこのことにつきまして心からお喜びを申し上げますとともに、国民とともにお祝いを申し上げたいと思います。  ともすれば、内外に非常に暗いニュースばかりが飛び交う昨今でございますが、光明をほの見る思いがいたしまして、ぜひともことしがこの光明の明かりが日本国じゅうに明るく照り渡りますように御期待を申し上げたいと思います。  なお、皇太子殿下と小和田雅子様の末永い御多幸、そして御皇室の御繁栄を心からお祈りをする次第でございます。  さて、当面の問題の景気不況対策、あるいはまた昨今の激動する国際社会の中での我が国の防衛、外交、安全保障等につきましての問題、そしてまた今まさに変革の時代、こういうふうに言われておりますこの中におきまして、私どもが今まで戦後長い間の行政等を振り返りまして、さらに私ども大きな発想の転換のもとに行政も変えていかなければならないのではなかろうか、そういう幾つかの国内的な問題、そういうことにつきましてお尋ねし、最後に私は、本来ならば冒頭にお伺いしたいわけでございますが、私のこの最後の段階で、現在の政治改革、そして政治家の倫理観、こういうものにつきまして総理並びに関係大臣にお尋ねをしたい、かように考えております。  なお、ただいまいろいろとお聞きしますと、大変高度な立場からの経済問題等を主としての質問が行われたわけでございますが、私はどちらかといいますと、やはり庶民、一般国民大衆、こういう中でのいろいろな政治に対する不満あるいは景気問題に対する不満、そういう問題を私は直接国民にかわって総理並びに各大臣にお尋ねしたい、かように考えております。     〔委員長退席、小杉委員長代理着席〕  したがいまして、総理並びに各大臣には特に懇切に、そして丁寧に、国民にわかるように、ただ単に私の質問に答えるということではなくして、テレビを通じて数多くの国民が今この不況の中での国会運営というものをじっと耳を澄ましているわけでありますから、そういう方々にわかりやすくお話をしていただきたい、最初にそのことを要望しておきたいと思います。  殊のほか宮澤総理は大変頭脳明晰といいますか、先ほど来質疑を聞いておりますと、何となく大学のサマー講習の、夏の講習の、何かこう大学の教授のお話のような感じがしないわけでもございません。そんなわけで、ぜひひとつもう少し声を大きくして、自信を持ってわかりやすく国民の皆様に語りかけるという、ひとつそういうような表現でお答えをいただければありがたい、こんなふうに特に御要望を申し上げておく次第であります。  そして、まず最初にお尋ねしたいことは、先ほど来再三ございましたように、現在のこの不況でございます。私ども、かって石油危機とかあるいはその他いろいろと不況にも遭遇いたしましたし、特に危機という言葉も使われておりました。そういうことから見ると、今回のこの不況は、先ほど来いろいろと深刻なお話がありましたけれども、危機という言葉がまだないというふうに思うわけであります。  それならば、それだけ以前のものに比べて深刻さが違うのかどうか、そんな感じもするわけでございますが、決して私はそういうものじゃない、こういうふうに思うわけでありますので、今までのいわゆる石油危機とかあるいはまた円高不況とか、そういうものと今回のこの不況、そしてまた、恐らく日本だけではなくして世界がある意味においてはバブルの不況になっている、このようにも思うわけでありますので、そういう点からも今回の私ども不況というものがどこに特徴があるのか、そういう点を殊さらひとつ御説明をいただきたい、かように思います。
  135. 船田元

    船田国務大臣 石川委員にお答えいたします。  現在の不況が過去の不況とどういう違いがあるのかこういうお尋ねでございます。  第一は、石油危機あるいは円高不況、こういうときにはどちらかというと外的なショックというのでしょうか、外から来たショック、そういうことによって景気後退をするということでしたけれども、今回は内生的なストック調整というものが進行している側面というものが特に違った状況ということで指摘をされると思います。こうした大型設備投資ブームの後のストック調整、そういうものによる景気の後退という側面は、岩戸景気やイザナギ景気後の景気後退に類似したものと考えられるということでございます。  第二は、金融面において、株価や地価が経済の実体と乖離して一たん高騰し、その後下落をした、こういうバブルの発生と崩壊ということが起こりまして、それが金融・証券業などのバランスシートに見る財務体質の悪化とか、さらには金融システムの安定性への懸念を引き起こして、それが実体経済の変動の幅を非常に大きくしてしまっている。こういう点がかなり違っておりまして、我が国経済が安定成長期以降初めてこういう事態というものは起こっている、こういうふうに理解をしております。  現在、我が国の経済は引き続き低迷をしておりまして、これら二つの要因が重なり合って景気の調整過程をさらに厳しいものにしている、このように認識をしております。
  136. 石川要三

    ○石川委員 そこで、先ほど来も質疑がございましたが、政府としてはできる限りの対策を今日まで積み重ねてきたわけであります。  特に、この平成五年度の中で、総理にお伺いしますが、今のようなこの不況に対しての対策といいますか、特徴的な一つの内容、この対策についての具体的な点につきまして、ひとつわかりやすく、大蔵大臣、その点についての具体的なお話を聞きたいと思います。
  137. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 石川議員のお尋ねにお答え申し上げます。  今回の景気は、私は、バブルの生成またその崩壊の過程で出てきたものでありますから、いろいろな点で配慮していかなければなりません。単に、いわゆる実物経済的な問題でやったのではいけませんので、確かに公共事業その他もふやしていきますが、同時に金融的な対策、特にバブル経済の崩壊によりましていろいろな不良資産が出てきたりどうかした。土地の値段が下がりました。その過程におきまして、土地を買った人が非常に損をした、その損をどうするかという問題がございますから、そうした点につきましてもいろいろな配慮をしていかなければならないと思っておりますし、不良債権の買い取り機構を民間でつくって、たしかきょうだろうと思いますが、きょうから発足をして買い取りを始めるところになっております。その他、金融機関への対策、証券市場対策等につきましても積極的な手を打っているところでございます。  と同時に、本格的な問題、実物経済の面におきますところのものは、昨年の八月の総合経済対策、これによりまして、御承知のとおり十兆七千億円というかつて見ない大きな対策を打ち出しましたし、これを今実行しているところである。と同時に、平成五年度予算におきましても、公共事業費をふやし、また財政投融資につきましても、また地方単独事業につきましても、それぞれ非常な膨らみを持たせまして、不況に十分配慮した予算といたしました。これが昨年十二月に成立いたしました補正予算に引き続いて行われますならば、必ずや景気は上昇過程に向かっていくものだ、こういうふうにかたく信じておるところであります。  景気対策というのは、きょうやったから一遍でという話ではありません。それはじわじわと効いてくるわけでありまして、仕事をするにつきましても、きょう予算を配ったからあしたから仕事が全部出てくるなどということはないわけでありまして、それはずっと形で持っていくと、こういうことが私は必要なことだろうと思います。そうした意味で、すぐにどうということはありませんけれども、今申しましたことでやれば、五年度の政府投資の問題は九・五%というかつて見ないところの高さのものを考えておるところでありますし、そういったものを着実にやっていけば必ずやよくなっていくものだろうとかたく信じておるところでございます。  そのためには、何と申しましたところで、この予算案を早く成立させていただき、これが実行に移していただくということが大切なことだろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  138. 石川要三

    ○石川委員 今大蔵大臣の言われたように、できるだけの手は尽くしているわけではありますが、先ほどの、今回のこの不況の特徴の中でもお話がございましたように、私どもは、この不況というものを政府はいろいろな角度からいろいろな数字を集めて、もちろんその状況については十分もうつかんでいらっしゃる、このようには思いますが、しかし、ちまたを歩いておりますとその声は非常に、ただ単にこの統計の数字だけで判断できぬ、そんな状態ではない深刻な声が私どもに大変耳に入ってくるわけであります。  先ほども話題が出ましたけれども、例えばタクシーなどに乗りますと、もう本当に何とかしてくれというような声、非常に強くタクシーの運転手さんからも聞かれるわけであるし、また、床屋さんへ行っても、いつもなら年末はもう満員でどうにもしようがなくて、徹夜をしてやるような、その正月を迎える状況でありながら、ことしはがらんとした年末であったというような話、その他本当に深刻な悩み、不満が訴えられるわけでありますが、そういうことを考えますと、今大蔵大臣が言われたように、政府は万全の、いわゆるできるだけの措置、特に公共投資というものを大幅に伸ばしてこの対応に尽くしているということは重々私どもも理解できるわけでありますが、それと同時に、やはりそれだからこそ早くこの平成五年度の予算を成立させてくれ、これもまた当然な政府側の要望ではないか、私はこういうふうに思うわけであります。  先ほど、私ども理事の雑談の中でも、一月に予算委員会が始まったのは八年ぶりだと聞いております。しかしこれは、八年ぶりというと随分これは異常だなというふうに感じられる方があるかもしれませんが、異常ではないのですね。むしろこれが正常なんだ。正常なことが行われなかったことの方が異常なんでありますけれども、振り返りますと八年ぶりだということを聞かされまして、本当に、さすがは国会も、各野党も与党も、与野党ともに今のこの深刻さというものはこれは肌身に感じている、それがために今回は最初からこの審議入りできたということは、私も理事の一人として本当にこれは喜ばしく思うわけであります。願わくは……(発言する者あり)しかしそれだけの甘いものではないというこちらからの声がありますが、私ども予算を通すことと同時に、やはりもう一つの問題は政治不信という問題がありますから、その問題にも私どもは与野党を超越して、これは国民のために大いに頑張らなければいけない。そしてこの両方の柱をしっかりと打ち立てて、これに全力を尽くしていくべきではなかろうか。  いたずらに今までのように、ただ単にこの究明ということだけで予算を人質にするというようなやり方は、もはやこれはもう国民が許されない今状態ではないか。また、そんなことをしておったならば、ただ政府・与党だけが苦しめられるのではなくして、これは与野党ともに全体の政治不信を招く、私はこのように思っておりますので、私ども今回の理事は、各党の意見を聞きながら、十二分にひとつそういう点を頭に入れてこの予算審議のために全力を尽くしていきたい、こんな気持ちでございます。  そこでお尋ねしますが、今大蔵大臣の中でもいろいろとお話がございましたけれども、私は、国民が非常に不況感、そしてその不況感というものは消費が非常に鈍っているわけです。物を買わない、そういうことでありますから、このためにどうしたらいいかとなれば、やはり、大蔵大臣はもちろんでありますが総理からもぜひ、この平成五年度という予算の中身は不況のためにはこういうふうにやってあるんだ、だから私に任せいというような、もう少しボリュームを大きくして国民にひとつその点をお話をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。     〔小杉委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどから今の不況のことを少し国民の皆さんにもうちょっと平易な言葉で話せというお話がございまして、ちょっとお時間をとるものですから余りそういうことを今いたしていないのでございますけれども、一九八五年にプラザ合意がございまして、そこでずっと円が上がっていきました。あれは九月のお彼岸のときに始まったことですが、二百四十何円の円がその年の暮れには二百円になってしまいまして、今日はもう百二十何円ですが、日本経済は耐えられずに、企業が店を閉める、企業城下町は火の消えたようになる、失業が大変に発生をするという状況を御記憶であったと思います。  それに対応して政府が大きな補正予算を組み、公共事業をやり、この危機を、いわゆる円高危機というのを乗り切りましたが、その後、長い成長が続く、好況が続くわけですが、そのときに政府の支出は非常に多うございましたし、それから、為替の安定をするために、いわゆるドルの急激な下落を防ぐためにドルを買う、ということは円が流出したわけですが、そういうことから一般に過剰流動性というものが生じて、その金が御記憶のように土地に行き、株に行ったわけでございます。それは非常に一種のブームになった。その間、日本経済の好調が続きます。税収も非常にふえたわけでございます。  そのブームの裏が来たわけですが、なぜ裏が来たかと言えば、やっぱりブームというものは、本質的に正常じゃない状態ですから、いつかは終わるということでもありますけれども、この間に我が国の企業の設備投資が毎年二けたずつ、ずっと三年余りふえたわけでございます。それだけ供給力がふえた。こんな毎年二けた以上、三年余りも設備投資が続きますと、これはいつかはやっぱり供給過剰の体制にならざるを得ない。これも後になればわかることですけれども、そういう状態が続きました。  その二つのことが、結局、ブームがつぶれるということと供給過剰体制というものが明らかになったということで、我が国のそのプラザ合意、もっと正確に言えば一九八六、七年からの好況が終了したわけでございますが、その終了時期がいつであったかは、先ほども御議論がございましたけれども、恐らく一九九一年のある時点、暮れには少しずつ在庫調整が始まりましたので企業もこれには気がつき始めておるということですけれども、大変実はその時期は遅うございまして、在庫調整は、最初に原材料と申しますか基礎資材と申しますか、鉄から始まったように思われます。それは一九九一年の夏ごろでございます。一九九一年の末になりまして、初めて家庭電器のところまで在庫調整がようやく始まりましたけれども、実は非常にそれは長引いておりまして、今日の時点で申しますと、在庫調整がまず済みましたのは原材料の部分、それから資本財、生産財の部分、これはかなり私はもう進んで終了に近いかと思われます。しかし、耐久消費財はまだ在庫調整は済んでいるように思えません。ここに来まして、かなり家庭電器などの在庫調整が進んでいますけれども、まだまだ終了したようには思えない。  他方で、普通でございますと、在庫調整が済みますといわゆる腹が減った状況になるわけで、生産がふえていくわけですけれども、国民の側に消費に対する意欲が起こってきていない。比喩的に言えば、それだけ体が弱っているといいますか、あるいは前に食い過ぎたといいますか、そういうふうに申し上げるべきなんでしょうが、もっと具体的に申しましたら、その例のブームの裏というものは株式なり不動産なりの価格が非常に下がったということでございますので、あれが上がっていきますときには資産効果ということで、何となく自分も金持ちになったような気持ちになってデパートヘ行って余計に物を買いますけれども、下がってきますと、自分が貧乏になったような気がいたしますから、どうしたって家計はそれは消極的になる。考えてみると、要るものは大体持っておりますから、余計そういうことになっておるということと、同じことが企業にも起こっておると思います。設備投資をやり過ぎましたから、これ以上設備投資はなかなかしにくいんですが、企業自身が持っておったはずの株式なり不動産なりの含みがあれだけ落ちましたから、とても設備投資をしようという気にはならないということもございます。ですから、在庫調整が進みましても、消費の面、投資の面からなかなかすぐに経済が反転をするということになっていないのではないか、こういうふうに思うことが一つでございます。  それからもう一つは、先ほど大蔵大臣が言われましたけれども、そういう株式なり不動産なりの資産の下落の結果、殊に金融機関にやはりかなりの影響を生んだ。つまり、金融機関の不良資産、不良貸付分がそれだけ多くなっておるわけでございますから、金融機関の融資対応能力が落ちている。先ほど日銀総裁が言われましたマネーサプライの問題でございますが、これがマイナスになっているということは、一つは金融機関そのものが貸し出しをするということに実は非常に消極的になっている。あるいは融資需要も少ないかもしれませんが、そういう消極的な態度がある。で、同じことは証券でも、これはもっと直接に証券のバーストがきいたわけでございますから、そういう国民経済の血液ともいうべき部分を担う金融機関あるいは証券市場が活発に動かないということも、もう一つこの景気の立ち直りを遅くしているのではないか。  大変長くなりまして申しわけありませんでしたが、そういうことでございますから、日本は市場 経済の国でございますが、しかしこうなればやはり政府ができるだけのことをやりまして、そうして景気脱出を図らなければならないということで、その中心は当然のことでございますけれども公共投資になったわけでございます。  それが昨年の総合経済対策でもございますし、また今度は中央ばかりでない、地方も随分単独事業で一生懸命仕事をしてくれております。それは、今度の平成五年度の予算もその延長線上にあるわけでございまして、昨年の総合経済対策の十兆七千億円の投資乗数効果は、大体一年間で二・四%と言われておりますから、GNPの、それはもう決してばかにしたものではない。殊に今回の平成五年度がそれに次きますから、これは必ずや経済を正常の軌道に近づけると思いますが、何せ日本市場経済でございますから、政府ができる大きさというものはせいぜいその、仮に十兆円なんというものは日本経済からいえばどれだけ乗数効果を考えましても、民間あるいは国民の消費にはとてもそれは及ぶべくもないものでございますから、そういう意味で、この沈滞した経済にもう一遍火をつけると申しますか、正常化へ戻すための努力政府としては一生懸命いたしておる。  まあ、もう一つ言わしていただきますならば、それは容易ならぬことでございますけれども、よそとどこが違うかとさっきおっしゃいましたので、例えば外国と比べれば、いわゆるスタグフレーションで、そうしてインフレーションが五%か六%とかいうことで進行しているというようなことは我が国にはございません。スタグネーションはございますけれども、スタグフレーションというものはないということと、それから失業率が九%とか一〇%とかいうこともございません。有効求人倍率が一を割りましたし、パートはだんだんなくなりますし、残業も減ってまいりますから、決して楽観はいたしませんけれども、本当に雇用の失業率が何%というような不安はない。それから、多少雇用調整を必要とすれば、雇用調整特別会計は十分金を持っておりますからそれには対応できるというところあたりは、これでも我が国としてよそに比べれば、まあそういう意味では恵まれた部分がある。  決して楽観はいたしておりませんけれども、そういうふうに思っておりますので、政府としましてはこのたびの予算案、あるいは先ほどもお話しになりました金融機関の不良債権の買い取り機構であるとかあるいは証券市場に対する公的資金の出動であるとか、そういうことを交えましてこの不況脱出について総力を挙げて脱出を図っているというのがただいまの政府努力でございます。  大変長くなりまして申しわけございません。
  140. 石川要三

    ○石川委員 ただいま総理から克明に大変わかりやすいお話で、今の現況についてのお話、そしてまた特に対策についての内容につきまして御説明をいただきました。大変私も理解を深めたわけでありますが、しかし、例えば昨年の前倒し、あるいはまたこれは国だけの問題ではなくして地方の前倒し等も含めてあれほどの努力をしたにもかかわらず、まだまだ正直のところこの景気の先行きが全然わからぬ、明るい兆しが見つからないというようなこういう状態から見ると、これはしかし、なかなか容易なものではないな、こういうふうに思うわけであります。  そこで、先ほど来お話もありましたように、特にこの予算をまず早く通す、そしてその後の二、三カ月というものは特に我が国の経済の動向というものが一番重要なときだ、そこに非常に神経を集中して見詰めていきたい、それによってまたその中から対応すべき適切なものが必要ならば手を打っていこう、こういうようなことだということでありますが、そういう今後の問題も含めて私が思いますのに、やはりどうしたらこの国民の中の不況感、そのもとはやはり消費が全然起こらない、この鈍い消費傾向というものをどうしたらこれを活性化させるか、こういうことを考えますと、そこでいろいろと所得の減税をやれとかという声も出てくるわけであります。しかし、それはそれとしても、私は果たしてそれが十二分なものだろうか、今のような、今お話もございましたように、今日のこの円熟した高度経済社会においては必ずしもそれが十二分に消費の方に回るかどうかということにもいささかの懸念がある、それも私わからないことではありません。そんなようなことを考えますと、それはできればやった方がいいと思いますが、それにはいろいろと財源的な問題もあるわけでありますから、その決断というのはなかなか難しい。  そこで、私は、個人的な意見でありますが、やはり今国民が一番望んでいるもの、買いたいものは何かということになりますと、これはやはり一般国民、勤労大衆というものは、もう何といっても住まいだと思うのですね。これは総理が再三触れているとおりでありまして、私も先般あるところで座談会をしたことがございます。そして、日本の国際社会の位置づけについていろいろと声を大にしてお話をしたのですが、その途端に質問として返った内容は何かといいますと、そんなに日本はお金持ちになったといったっておれはちっとも金持ちになってないよ、これはもう異口同音にそういう答えが出てくる。その一番根本的な問題はどこにあるかというと、住宅の問題だと思うのです。よく言われるウサギ小屋などというものは甚だ不名誉な言葉でありますが、残念ながらそういうことが事実。  そこで、その住宅を欲しがっているのは事実でありますから、じゃそれを買えるかということになると、今の状態は、完全に動かなくなっちゃったですね。私は別に不動産業者を代表して言っているわけじゃありませんが動かなくなっちゃった。これを動かすようにしたらいいじゃないか。それにはどうしたらいいか。幾つかあると思うのですね。買いたい立場の方の、もっと買えるようないわゆる拡充、それから今度はそれを商いとしている売る方の立場から、もっと安くいい商品が売れるようなそういう施策、この二つを私はとりあえず今後やっていかなければいけないのじゃないか。政府はかなりそれをやったことは事実であります。もうその内容については事細かに申し上げませんが、現実に相当これはもう手を尽くしていることは事実であります。しかし、百尺竿頭なお一歩、もう一歩、こういう時世でありますからこそさらに努力をしたらいかがかかように思います。  例えば、その中の中身について触れますと、住宅金融公庫のこの融資の拡充、そして現在は個人住宅の建設促進のための公庫金利については四%、当分四%にするとか、あるいはまた民間の住宅ローンについては現在六・六でありますが、これも思い切って何とか政府の公的資金にある程度スライドさせるような低利にするとか、こういうこと。  それから第二の問題としては、先ほどもいろいろとありましたように、金融機関がもうこりごりして、むしろそれが現在正常な企業さえも、個人さえもなかなか融資を渋っている。これは買いたくてもまだまだお金が借りられない。またそれを、商品をもっと提供したいというそういう営みをしている立場からももっともっとお金を借りたいけれども、現実に金融機関がそれを全然貸してくれない。こういうことに対する、これは大蔵省から言うのかどちらから言うかはわかりませんが、もっと金融機関に、民間金融機関にその点の融資をひとつ行政指導する、こういうことも私は必要なことではないかな、こういうふうに思うんです。  それからまた、一遍に言ってしまいますが、土地の譲渡益に対する課税、これの軽減でありますが、現在、御承知のとおり、優良住宅の宅地造成に対しては二〇%かかっておるわけです。しかし、これには枠がありまして、相当大きな面積でないと対象にならない。これを思い切って半分に、現在多分千平米と思いますが、これを五百平米にするとか、そういうもっともっと土地が動きやすくする、そういうことも必要ではないか、こんなふうに思いますが、その点、今後これに対して考えられるかどうか、建設大臣その他関係大臣にお願いします。
  141. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  ただいま委員御指摘をいただきましたように、現在建設省といたしましては、第六期建設五カ年計画、平成三年から七年度までの間に実施しているわけでありますが、この間におきまして住宅は七百三十万戸、公的資金として三百七十万戸の住宅を供給するという計画のもとで進めているわけであります。  そこで、今政府が大きな目標としております生活大国の、大体一時間で年収の五倍の住宅、それもマンションでということで試算してまいりますと、六十一年度当時は大体首都圏の一人の平均年収というのが六百六十三万円程度でありました。その当時、一時間のマンションは大体二千九百八十万でありましたので四・五倍で買えたわけでありますが、バブルがピークになりました平成二年度におきましては、七百六十七万円の所得に対して六千五百三十八万円、実に八・五倍になってしまったわけであります。その後地価が落ち着いてまいりまして、現在におきましては八百六十五万の収入に対して五千六百万、六・五倍になっているわけであります。  それをいかにして五倍に引き下げるかということがこれから政府として非常に大切になってきておりますので、多極分散型の国土形成、そうして総合的な土地対策、常磐新線を含めた鉄道のプロジェクトの推進、そして建設省といたしましては低・未利用地の有効活用、そして市街化区域内の農地の計画的な宅地化、新市街地の形成、開発、公共の関連施設の整備、こうしたものをやっていきながら、昨年八月の総合経済対策におきまして、宅地開発につきまして融資率が五〇%から八〇%を、八〇%から九〇%に上げていただきましたし、本年、五年度の住宅金融公庫の事業量は二千七百五十七億円の事業量を確保しているわけであります。  そういう点で事業量が一・二四倍になっているということもございますので、そうしたものや、あるいは居住用財産の買いかえ、軽減税率、そして金融公庫の融資、こういったものを網羅的にやりながら、年収の五倍で住宅が建てられるような大国づくりを目指して我々としては全力を挙げてやっていきたいと思いますので、先生の御趣旨を体しながらこれから政府として挙げてやっていきたい、このようなことで答弁にかえさせていただきます。
  142. 船田元

    船田国務大臣 ただいまの石川委員住宅関係の促進策でございますけれども、これにつきましては先ほど建設大臣から既にお話がございました。一つは、やはり「生活大国五か年計画」の中で目標として掲げておりますサラリーマン平均年収の五倍程度で優良な住宅を取得できるように、この目標の達成のためもありますけれども、同時に、これは景気にとって非常にいい刺激策になるということは、まあ過去の経験からも十分に考えられることでございます。既に平成五年度の予算の中で住宅金融公庫における貸付規模の拡大、貸付条件の改善、そういったことを盛り込んでいるところでございまして、現在もう既に回復基調にこの住宅建設があるものですから、これにさらによい刺激を与えるはずだ、こう考えておりますので、当面はやはりこの平成五年度の予算の速やかな成立、こういうことによって住宅投資の促進、そしてそれを通じての景気の回復ということを図っていきたい、こう思っております。
  143. 石川要三

    ○石川委員 わかりました。それで、私が提案いたしましたことは、ぜひひとつ今後の問題として頭にしっかりとどめて、その実現にひとつ汗を流していただきたい、かように思います。  さらに、国土庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、いわゆる監視区域というものがございます。また、現在土地を売買する場合も、国土法の規制価格というもので土地が売買されるわけでありますが、現実はもう御承知のとおり、ほとんどそれは、もうこの天井を超えてはいけませんよという制度ですから、この天井をみんな下回って今取引が――取引がとまっているような状態ですけれども、あえて取引が行われているとするならば、もう天井なんという問題じゃないというような情勢にある、私はこのように思うのですが、依然としてこの天井の規制価格というものの制度をそのままにしておるのですね。  これは私はもう要らないんじゃないか。むしろ、それは地価が二年継続で下がれば廃止するということになっているようでありますが、依然としてまだあるようでありますが、私は、こういうことはやはり、経済なんというのはこれは生き物でありますから、加速をするときにはアクセルを踏む、しかし、もうこれ以上スピードを出してはいけないときにはこれはブレーキを踏むとかいろいろとあると思うのですね。そういう意味で、もうブレーキの役割は、今の場合そういう国土法に基づく規制価格制度というものは不必要ではないか、こんなふうに思うのですが、これを廃止する考えはあるかどうか。
  144. 井上孝

    ○井上国務大臣 国土庁をお預かりする井上でございます。よろしく。  今、石川委員のおっしゃいましたのは監視区域の制度だと思いますけれども、確かに先生のおっしゃるような声が相当出てきておるということは私も承知いたしております。しかし、六十二年につくりましたこの監視区域制度につきまして現在調べてみますと、実際に届け出のあったものの中で価格の指導をしたというのが、まだ実は三割近くあるというような現実の姿がございます。それから、これは都道府県が責任を持ってやっておるわけでありますが、その都道府県からこれをやめようという要請が出てきておるものも、実はいまだ実例がございません。  しかし、地価が非常に下落をしておる、今先生がおっしゃったような実情は私どももよく把握いたしておりますので、今後とも関連する都道府県等とよく相談をしまして弾力的に取り扱っていきたい、こういうふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
  145. 石川要三

    ○石川委員 今の点でございますが、私はちょっとこの答弁には大変不満でございます。  と申しますのは、いわゆる取引の三〇%ぐらいがいわゆるそういう制度を破っているというようなお話でございますが、これは常識ではちょっと考えられないですね。まあ決して私は虚偽なお話をしているとは思っておりません。そうは信じておりませんが、それは何か見方が違うのではないか。例えばこの土地は百万なら百万、平米百万なら百万、一坪百万なら百万とします。これを売買するときに、あるいはやはり所有者は少しでも高く売りたいでしょう。そうすると、その百万という一つの答えを、お役所の答えをもらうために、ちょっと乗っけてみて出したらやはりこれだったとか、そういうのも私は含めているんじゃないか。むしろこんなものは、もう今必要だなんという考え方自体の方が私はおかしいと思うんです。  それから、これは地方自治体の問題だと言うけれども、地方自治体に行くと、いや国土庁だ、こう言うんですね。お互いに無責任と言っちゃ失礼ですが、ボールを投げ合っている。これはおかしいんで、むしろもう要らないと大臣がそう思ったら、ちゃんと行政指導で私はやるべきじゃないか、こんなふうに思うので、私の意見を申し上げたいと思っております。  さて、次に移りまして、今まことに、総理の施政方針の中にもございましたように、今世界は歴史的な変動といいますか、そういう言葉を用いられておったように私は記憶しております。そのように、まさにもう想像以上の今大きな激変をしているわけでありますが、そういう中の最も大きな典型的な一つの変化として、先般クリントン新政権が誕生したことであります。戦後生まれの、しかも冷戦終結後の選挙で当選された大統領、しかも十二年ぶりの民主党の大統領。そういうことからいって、大変なこれはアメリカの選択だな、こういうふうに思うんでありますが、さて、そのクリントン新政権になりますと、選挙中のいろんな演説やらなどを聞いておりまして、外交は継続でありますからそれほど大きな変化もないとは思うし、また特に日米の関係、それからまた日米の安全保障上大変な問題であります、重要な問題であります日米安保条約の認識等の問題につきましても、私はそう大きな変化はないというふうに安心をしておりますが、しかし、いずれにしましても、この民主党内閣というものは前内閣に比べればかなりの大きな変化が当然あるわけでありますから、これに対して我が外交というものはどういうふうに対応していく考えなのかこの点について外務大臣にひとつお願いします。
  146. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 アメリカで十二年間の共和党政権がかわったわけですが、しかし、これは革命が起きたわけでもないし、ロシアのように今まで持っておった統制経済がひっくり返っちゃって自由経済になるというようなことじゃありません。確かに今まで外交の方にばかり力を入れておったから、アメリカの国内がもうだめになっちゃたんだ、今度は国内をやりますよというようなことは多少違いは出てくるでしょう。そうすると、さらに保守的傾向が強まるんじゃないかという心配がいろいろありますし、何か口実を設けては日本からの輸入に対する制限措置をとるとか、そういうことをやれという勢力がふえることは私はあり得ると思いますね。  あり得ると思いますが、しかしながら、世界全体の問題については、やはりこれは政権はかわっても、共和党も民主党もその考え方がそんなまるっきり変わるわけじゃありませんから、少し違いがあるというだけであってね。したがって、対日問題というのも、まあ選挙中にはいろいろ言っていますよ、それは。言ってはいますが、いざ政権をとってみれば、やはり外交の継続性というものが大事だということも片っ方言っていますから、私は大きな変わりというのはそんなに出てこないのではなかろうか、そう思っておるわけであります。  したがって、民主党政権になろうと共和党政権になろうと、我々は世界に対しては、やっぱり世界の平和、世界経済の安定、民主化とか自由主義経済の助長とか地球環境を守るとかいう大きな柱は、これは変わりませんから、より一層きめ細かくやっていきたい、そう考えております。
  147. 石川要三

    ○石川委員 さらに、この米国の新政権と我が国との関係について総理にお尋ねしたいと思いますが、今まで日米関係というのは、戦後今日までのことを考えますと、何せ日本は戦争に敗れて全く灰じんの中から立ち上がったんですから、そういう中においての今日あるは、まさに米国の温かい援助というものが大きな貢献があったということは、これはもう否めない事実であります。それに対する、私どもはやはり米国のそういう日本に対してやってきたいろんなことを忘れてはいけないと思いますが、しかし今日、これまでの日本の、経済大国になった今日になりますと、やはり今までのような日米関係ではいけないことは当然であるわけであります。  そういうことを前提にして、これからのクリントン政権に対しては、我が国、日本の外交の重要な課題は何かということをあえて問われるならば、これはやはり我が国の主体性を打ち出すということが一番大切なことではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。  それは要するに、今まさに世界が非常にボーダーレスな今日でありますから、その世界経済のますますの拡大、あるいはまた開発途上国の問題、さらには地球環境の問題、難民の支援の問題、紛争地域の復興と安定の問題とか、非常に大きな問題ばかりが数限りなくあるわけでありますが、こういう問題に対して私どもはいわゆるこの日本の自主性というものを発揮して、そして、従来ならば、今まではどちらかというと日米の共通の脅威からお互いが力を合わせてきたということからむしろ変わって、冷戦後の世界の平和と繁栄のために共通の課題について日米が協力する、そういう時代を今迎えているんじゃなかろうかな、こういうふうに私は思うわけでありますが、その点について総理の御見解をいただきたいと思います。
  148. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 おっしゃいますように、ブッシュ大統領と話をしておりますと、お互いにかつて両国は戦争を戦ったことがある、また個人としてもそういう体験をお互いに持っていた、そしてその後、アメリカの非常な好意のある占領後の行政あるいは援助によって日本というものがだんだん復興してきょうの姿になったということを、個人的な体験として知っている二人の話をしてまいったわけですけれどもクリントンさんにとっては、そういう過去の日本というものは、ブッシュさんの持っているイメージとは違うと思います。多分、日本製の自動車に乗り、日本でつくったテレビを見て育たれた人でありますので、そういう前のことはクリントンさんの日本観にはないとやはり考えていかなきゃならないし、しかし、それが実は今の若いアメリカでございますから、そういう意味では、そこから我々も出発する気持ちでないと符牒の合った話というものはできにくくなってくるかもしれないと言われることは、私もそのとおりであろうと思うのです。  ですから、そういう意味では、日本もこういう国であるから、それでアメリカとやはり力を合わせて世界の繁栄と平和のために働かなければならない、それはもう当然のことである。かつて援助を受けた国がそうなりましたというんじゃなくて、自分の知っている日本というのはそういう国であるというふうに思われるでございましょう。また、そういうふうに考えなきゃならぬのかもしれませんので、そういう考え方で、やはりこれは個人というよりは、もうアメリカが見る日本というものはそういうものだ、こう思って日米関係を考えていくということが大事なことであろうと、御指摘のとおりに私も思います。
  149. 石川要三

    ○石川委員 さらに若干最近の国際情勢の中からお尋ねしたいと思いますが、先般総理は東南アジア、ASEAN四カ国を歴訪されたわけであります。今回ASEAN四カ国を歴訪されたという、何をどういうわけでASEAN四カ国を選んだか。そしてまた、私は率直に言って、今まではどちらかというと、総理初め主要の首脳の方が東南アジア等を歩くと、どうしても過去の反省とかあるいはいろいろと援助とかそれだけに尽きたわけでありますが、今回はさらに一歩大きく前進して、アジアの、太平洋の中の安全保障の問題とかあるいは経済の活性化の問題とか、そういった点までいろいろとネゴシエートされたということは、私は一歩大きく踏み出したということで高く評価するのですが、なぜ今の時期にASEANというものを選んだかということから、ちょっとその点を見解をお聞きをしたいわけであります。
  150. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 本来日本は、申すまでもないアジアの国でございますので、私は一月にはできるだけアジアの国を訪問すべきだと考えていまして、就任早々の昨年の一月には韓国に参りました。今年はASEANの四カ国を訪問いたしましたが、あとシンガポールとフィリピンが残っておりますが、これは両方の大統領、首相をことしの上半期に日本にお招きすることにしておりますので、それでASEAN六カ国全部とお話をすることになります。  で、なぜと言われますが、それはやはり一九八五年のプラザ合意以降、我が国の投資がもう飛躍的に増大をいたしまして、ASEANの国々が急速に工業化をして、そうして世界の中でただ一つとは申しませんが、数少ない明るいスポットである。二十一世紀の経済を、世界経済を主導するであろうと言われるそういう地域に対して、その一員である日本がこれからしなければならないことは何であろうか、何を求められるのであろうかということを知りたいと思って参りました。  話しました内容は、今委員の言われましたように、これからの安全保障の関係であるとかあるいはお互いのこれからの経済協力であるとかいろいろでございますが、何よりも申し上げたいことは、そういう話が大変自然にできるようになっているということでございます。やはり私は、それは我が国も長いこと経済協力という形で一生懸命できるだけのことはしてまいりましたけれども、しかし、多数の同胞が、これは外務省の出先の諸君もそうですが、大変によく自分のおのおのの国で行動に非常に細心に気をつけておられまして、できるだけ地域のために働こう、地域と交わって溶け合っていこうという非常に大変な努力をしておられる。そういう長年の努力がやはり我が国というものを受け入れるというそういう土壌になってきているんではないか、このことを何よりも私は申し上げたいと思うのですが、したがって、我が国とこれらの国々との関係が、何にもしなくてもいつもこのようにいいんだというふうに軽く考えてはならないと思ってまいりました。  殊に、これからますます我が国の経済的な存在というのはどうしてもそれらの国にとっては大きくなると思います。もちろん軍事的なことはない、これは先方もかなりわかっておられますけれども経済的なプレゼンスだけでもやはり大きくなりますから、そうしますと、先方が近代化するというか高度工業化して、都会なら都会にはもう都会の問題というのが生まれておりますから、そうすると、勢いその経済的なプレゼンスの大きい日本に対してはいろいろな問題が起きやすい状況に私はなることを、やはりそうあってはならないという心構えをしておかなければならない、そういうこともございまして、この際、これらの国々ともう一度お互いの友好を確認したい。  もとより、日本は軍事大国になる気はさらさらありません、何か事が起こりましたときに警察官の役目も実は日本には期待してくださるなということまで実は申したのですが、そういう意味での友好を、この際将来に向かって確認をいたしておきたいということで訪問いたしました。
  151. 石川要三

    ○石川委員 さらに、防衛庁長官にちょっとお伺いしたいのですが、今、ある面においてはこの冷戦終結後の世界の情勢というものはいい方向に向かって進んでいる。またそれは、ヨーロッパとアジアを比較すると、いろいろと差はありますけれども、アジアにおいても必ずしも悪い方ばかりではない。しかし、見方によると、ヨーロッパと違って非常に不安定要因、あるいはまた緊張の高まりというものもあることも事実であります。  特に最近は、いわゆるロシアがあのような状態になってから非常に、武器の輸出ですか、そういうものが問題になっておりまして、中国ではこの数年かなり軍事力の増高を来しておる、それが特に南沙諸島に非常に緊張の度合いが高まっておる。こういうようなことを見ますると、防衛白書にも書いてありますけれども、あの周辺というものの緊張の高まりというものは是認しておりますが、そういう中で今回、要するに中期防の下方修正があったわけでありますが、ここいらをどういうふうに理解していいのか、国民によく説明をしていただきたい。なるべく、時間がもうなくなりましたので、できるだけ簡潔にわかりやすくお話をしていただきたいと思います。
  152. 中山利生

    中山国務大臣 お答え申し上げますが、石川委員は元防衛庁長官でありますし、釈迦に説法のようなところもありますし、私どもの考えておりますことと今の御質問とは多分にダブっておりまして、御質問をなぞるようなところもあろうかと思いますが、今簡単にということでございましたので、御答弁を申し上げたいと思います。  今お話にありましたように、東西冷戦の終結ということで世界が総じて平和の方向に向かっている。また、STARTⅡの条約の成立のように、いろいろなところで平和に向けての努力が行われているということは確かでございます。  ただ、お話にありましたように、ヨーロッパと違いまして、我が国をめぐるアジア・太平洋地域の国々はそれぞれの安全保障観、平和親、国防観というものを持っておりまして、非常に複雑な様相にあるわけでございます。また、軍事力等を見ましても、極東ロシアにおきましては、旧来からの膨大な戦力に加えて近代化、増強等が行われておりますし、ロシアの政情ということを考えましてもまことに不透明なものがあるわけであります。北朝鮮におきましても、核兵器の開発あるいは長射程のミサイルの開発というようなこともうわさされておりまして、しかも、これもどういうことを考えているのか、やはり不透明なところがございます。南北の対話等、これらの推移を見守っていかなければならないと思っておりますし、中国におきましても、先ほど御質問にありましたように、兵員の大幅な削減というようなことは承っておりますが、兵力全体の近代化、増強、しかも新たに海空軍の増強というようなことも進めておりますし、南沙群島の動向等を含めてこれもやはり注目していかなければならないんではないかと思っております。また、台湾やASEAN諸国におきましても、最近、装備の近代化、増強というのが行われておりまして、その上に我が国の北方領土であるとか北朝鮮の問題であるとか、今のおっしゃられました南沙群島の問題であるとか、いろいろ問題の火種も抱えているわけであります。  そういう中で、我が国の防衛体制というのも、やはりもう常に新しい状況を精力的に検討をしながら対応をしていくということが必要であろうと思うわけでありますが、現時点において、大綱の見直しであるとか、中期防は今度の予算の前に皆さんに御努力をいただいて見直しをさせていただいたわけでありますが、これも大綱に定めてあります最小限度の防衛力、しかもこのアジア・太平洋地域、日本の周辺に力の空白をもたらさない、それがこの地域の安全保障に重大な役割を果たすのではないか、そういう大綱め精神のもとにこの中期防の修正も行ったわけであります。  そういうことを含めまして、これからも世界あるいはこの周辺の状況の変化を見ながら、防衛力についてはきちっとした体制を整え、堅持してまいりたいと思っております。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 石川要三

    ○石川委員 いずれにしましても、防衛庁長官にぜひお願いしたいのは、戦争を好む国は滅ぶ、しかれども戦争を忘れる国は危うしという言葉をひとつ胸に刻んで、これからも適切な防衛の整備をしていただきたい、かように思うわけであります。  さて、残り時間は私は国内問題に絞りましてお尋ねをしたいと思うわけであります。  まず、去る十五日に起きました釧路沖の地震によりましてとうとい命をなくされました方々やあるいはまた家を壊された罹災者の方々、まず心からお見舞いを申し上げたいと思います。と同時にまた、雲仙の災害によりましても、これまた大変長期間にわたっての御苦労を思うと、まことに心痛むものがございます。  さて、我が党は政府とともに一日も早い被災者の生活の回復と災害の復旧に全力を挙げて取り組んでおるわけでありますが、改めて政府の決意をひとつお聞かせをいただきたい、そしてまたその実態についても御報告をいただきたい、かように思います。
  154. 井上孝

    ○井上国務大臣 去る一月十五日午後八時ごろに起きました釧路沖地震によって被害を受けられ、しかも厳しい寒気の中で復旧に当たっておられます被災者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  この地震によりましてこれまでに判明いたしました被害は、死者一名、負傷者七百二十二名、家屋の全半壊七十棟、また国道の通行どめ三カ所、鉄道の不通が四カ所ございましたが、ただいまは一カ所になっております。ガスの供給停止が約六千戸にまで及んでおりますし、さらに港湾施設、農業用施設、それから下水道等にも非常に大きな被害があるようでございます。  政府におきましても、関係省庁が一体となりまして被災後直ちに現地調査を実施いたしました。被害状況の的確な把握に努めますとともに、関係省庁会議を開きまして緊密な連絡の上で、とりあえず道路、鉄道などの交通、それからガス、電気等のライフラインの確保、こういうものに対して応急対策と早期の復旧について、今全力を挙げておるところでございます。今後とも政府として対策に万全を期してまいりたい、国土庁は政府の窓口として努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  155. 石川要三

    ○石川委員 さらに具体的な点についてお尋ねをし、なお要望申し上げておきたいことがございます。  現在、もう既に北海道の自治体におきましては、この災害復旧に対しましてのいろんな手当て、特に低金利、無利息融資等につきましていろいろと処置を尽くされておるようでございますが、この自治体の緊急支出に対して交付措置をぜひ十二分にお願いしたい。これは自治大臣にひとつお願いを申し上げるわけでございます。  それから、いわゆる特交、これは三月の、原則的には十二月までの災害について特交で面倒を見るということになっておるわけであります。したがって、一月十五日というとその枠外でありますが、ぜひひとつ、これは党から自治省に申し入れておりますけれども、この点について万全の配慮をお願いしたい、この点についていかがかということをひとつこの場でお聞かせをいただきたい、かように思っております。
  156. 村田敬次郎

    村田国務大臣 石川委員釧路沖地震についての御質問にお答えいたします。  特別交付税、地方債等についての措置でございますが、特別交付税は今までの例によれば十二月までの事案に対応して組むものでございますが、釧路沖地震は非常に大きな、しかも放置することのできない災害でございますので、特別交付税につきましても平成四年度の算定に入れてやるように決定をしております。  それから、地方債につきましては、今地方財源の問題で地方債を大幅に利用したいという気持ちで、全面的に北海道の地震を支援をいたします。協議に入ってまいります。
  157. 石川要三

    ○石川委員 まあこれはもう少し先のことになろうかと思いますが、現在のこの被害地は釧路、十勝等でございますけれども、この地方は御承知のとおり大変雪が多いわけでございます。しかも非常に寒い寒冷地でございます。こういうような地形から、現在雪と氷にすっかり覆われている地域でございますので、あるいは四月、五月という雪解けを待たなければはっきりしない被害箇所もあるわけでありますが、そういった点に十二分にひとつ万全の対応をしてもらいたいし、また、この雪解けのときには増水が当然予想されるわけでありますから、それによっての林道等の被害というものが新たな被害として予想されます。そういうようなことにつきましても、これから十二分にひとつ御検討されまして、万全の処置を講じていただきたい、これは要望でございます。  さて、次に、国土庁長官にお尋ねしたいと思います。  それは、まずちょっとクイズ的でございますが、国土庁長官、聞いておいてくださいよ。私の選挙区、八王子市がございますが、八王子市、大体面積百八十平方キロぐらいかな、だと思いますが、その八王子市の中に現在、大学という名前の学校がどのくらい移転されているとお考えになりますか。
  158. 井上孝

    ○井上国務大臣 お答えいたします。  数字があるいは間違っているかもしれませんが、私はかって十九大学と伺ったことがございます。今もう少しふえているのじゃないかなと思っておりますが、よろしゅうございますか。
  159. 石川要三

    ○石川委員 さすがはよく勉強されている大臣でありまして、私はもう全然この質問については秘密にしておったんですが、そんなに的確に当たるとは思っておりませんでしたが、若干違っております、二十一校でございます。  そこで私は、これは再三地元のことですからお話を聞くんですけれども、先般八王子の市長さんにいろいろと聞きました。この一つの町に二十一も大学が来るということ、これはどういうふうに理解したらいいか。これは、私は大学公害が起こると言うのですね。いや、ははと笑われちゃ困るのです、総理。  本当に、二十一来ますとどんなことが起こるかというと、これは大変なんですね。もうこのごろの学生さんですから、まあ我々とちょっと違って、全部が悪いとは言いませんけれども、本当に卒業期になりますと自転車は置きっ放し、自動車は置きっ放し、使っていたベッドは置きっ放し、そのごみ対策が大変だというんですね。これはまさかと思ったんですが、自動車なんか置きっ放しにするんですかと言ったら、そうだ、持っていくと金がかかるからそこへ置いていっちゃう、バイクや自転車は当たり前、使っているベッドまでそうだと言うのですね。そういうことで、もう大変。それから、し尿問題、これも大変。  どのくらいこの二十一の学校の生徒がいるかというと、約十万人なんです。一つの大きな都市ですよ、これは。これだけの生徒が来て、それでごみを出し、し尿問題ですから、これは片づけるのが大変。しかも、大学というのは、要するに固定資産税は全然市に入らないわけですね。こういうものをもし仮に入ると仮定すると幾らぐらいかというと、二十億以上なんですね。こういうことから見て、これは大変な公害だと、こう言っておりました。なるほどなと私も思います。その中で、すべてが全部デメリットではありません。メリットもあるでしょうが、しかし八王子ぐらいだと都市に近いものですから、買い物はみんな新宿あるいはこちらの方に来ちゃう、むしろ、ごみだとか何かがこちらへ置かれてしまう、こういう大変弊害がある。  一体二十一も大学が来るのを、これは何か調整できないものですか。その調整機能は、私は国土庁長官にあるんじゃないかと思うんですがね。これはどこへ聞けばいいのかわかりませんが、私の想像では、そういう国土利用というものの調整はまさに国土庁にあるんじゃないか。ところが、国土庁の権限というのは全くそれが発揮をされてない。一体これはどこでチェックするのか。私はもう少し、狭い国土ですから、国土利用ということを、一番日本が下手じゃないか、もっと上手に狭い国土を使うのが私ども日本の考えなければいけないことだ。  そういうことを考えますと、国土庁というのはこのままでいいのか。私はこれから、後にまだ地方分権に触れますが、むしろ私は国土庁というのは大変な重要な役所だと思う。こんな端っこの方に座っていちゃだめですね、あなた。そういうことも考えて、ひとつ長官総理大臣の私は御答弁をいただきたい。
  160. 井上孝

    ○井上国務大臣 お答えいたしますが、御通告をいただいてなかった質問なものですから的確にお答えできるかどうかわかりませんが、八王子に二十幾つかの大学が行っておるということは、その大部分はやはり東京都内の既存の大学が、拡張もできない、校舎も古くなる、地価も上がるというようなことで出ていったんじゃないかと思いますから、これは文部省との関係もございますし、特に東京都の方針の問題でもございましょうから、ただいま、国土庁もっとしっかりやれという御激励のお言葉と承らしていただきまして、今申しましたように文部省とか東京都とか、そういうところと十分相談をさせていただきたいと思います。  八王子の今おっしゃいましたメリット、デメリット、いろいろあると思いますけれども、私もある程度は伺っておりますので、関係各省それから東京都と連絡をとりながら対策を練ってまいりたいと思います。これはお約束申し上げます。
  161. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私もちょっと思わぬことを承りまして驚いておりますが、今国土庁長官から申し上げましたように、関係各方面ともよく話をしてみまして、実際問題としてどういう解決があるかを検討させていただきます。
  162. 石川要三

    ○石川委員 このことを検討するというよりも、私は、一カ所にそういうふうに大学がばあっと集中豪雨のように流れ込むというそういう一つのことについて、どこも役所が、もう売買でそこへ買われてしまえば何にも、どこもチェックができないということの調整がないじゃないかということを申し上げたので、これを文部省とどこと相談してとうという、そういう内容のものじゃないので、これ以上私は答弁は要りませんが、ひとつこれからよく考えていただきたい、こういうふうに思うのです。  さて次は、エネルギーのプルトニウム問題についてちょっとお伺いしたいと思います。  このことにつきましては、もう昨年来新聞やその他でいろいろと騒がれておるわけでありますが、私が言いたいのは、世界が今むしろこのプルトニウムの政策というものをいろいろと見直している、そういうさなかにおいて我が国がこれをやるという一つのしっかりした自信ですね、それをまず国民によく明示をすべきではなかろうか、かように思います。科学技術庁長官。
  163. 中島衛

    ○中島国務大臣 今石川委員からの質問は、プルトニウム利用を進める必要性についてはっきりさせることと、国民の理解を得る必要があるのじゃないかという御質問だと思います。  原子力発電所で発生する使用済み燃料に含まれるプルトニウムは、技術によって生み出される我が国の貴重なエネルギー資源でございます。各国の原子力政策やエネルギー政策は、各国の置かれている諸事情により異なるものと考えられますが、エネルギー資源に恵まれない我が国としては、ウラン資源の有効利用を図り、原子力発電によるエネルギーの供給の安定化を図るという観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムを核燃料として平和利用していくことが重要な課題であるというように考えております。  特に、プルトニウム利用の実用化に向けた技術体系の確立については、時間のかかるものでありますから、かつ、新しいエネルギー源の選択肢の幅を広げていくという視点からも長期的に着実に進めていくことが必要と考えております。  また、我が国のような大量エネルギー消費国が技術によるエネルギー源の確保を図ることは、世界のエネルギー供給の安定化にも寄与すると考えておりますので、このような基本的な考え方のもとに長期的に着実に進めてまいりたいというように考えております。
  164. 石川要三

    ○石川委員 今科学技術庁長官のそういう基本的な考え方につきましては、私は理解をするものでございますが、問題は、これが最近非常に国内のみならず国外からもいろいろな問題を騒がれているわけでありますね。それは何かというと、やはりある意味においては非常に危険なものですから、遠い洋上を運んでくるということ自体にもいろいろと危惧される点がある。そのためにいろいろと世界じゅうがある意味においてはやかましく言っているわけです。  そこで、そういうことから考えまして、今後、これは一回限りではありませんから、私は、このプルトニウムの海上輸送というものについて、これは安全なのだということを世界の各国に、これは努力をしているでしょうけれども、もっとはっきりと説明をして理解を求める、それが一点。  それからもう一つは、この輸送について、これはシージャックというものを考えなければならない、核ジャックというものを考えなければならない。こういうものがもしあっても、それに対して十分な安全体制というものはこれは当然なんです。そういう場合に、今我が国でやっているような海上の、いわゆる自衛隊でない海上保安庁の船でこれを護衛していくということが本当に大丈夫なのか、安全なのかということを私は心配するのです。  私は、普通の国ならば当然その国の軍隊が運ぶのが当たり前じゃないか、我が国においては自衛艦がこれに当たるのが当然ではないかと思うのですが、なぜそれができないのか。今後、そういった点についてどう考えているのか、その点をひとつ。
  165. 中島衛

    ○中島国務大臣 プルトニウム輸送の護衛船の問題につきましては、平成元年十二月に関係閣僚間において、「海上における犯罪の予防及び鎮圧は第一義的に海上保安庁の任務であるので、プルトニウム海上輸送の護衛船として海上保安庁の巡視船を派遣するものである」旨の申し合わせができております。今回、この方針にのっとりまして、海上保安庁の巡視船「しきしま」が輸送船あかつき丸の護衛を実施したところでございます。  今回の護衛体制については、輸送開始前はもとより、輸送終了後においてもアメリカ政府とも協議し、また適切なものであったと評価されております。今後の輸送についても、現在のところ、国際情勢等に特段の変化が生じない限り、護衛体制を変えるべき積極的理由があるとは考えておりませんので、現在のやり方でいいというように私どもは考えております。
  166. 石川要三

    ○石川委員 次に、環境問題について、総理並びに環境庁長官に若干お尋ねしたい、こういうふうに思います。  「人類の生存基盤としての有限な環境を守り、それを次の世代へ引き継いていくことは、現在に生きる我々に課せられた使命」、こういうことを総理はさきの施政方針演説で述べられているわけであります。しかも、アメリカクリントン政権の副大統領でありますゴアさんは、これはもう知る人ぞ知る環境問題のベテランでございます。こういうようなことから、これからますますアメリカもこの環境問題については大変積極的に出てくると私は想像するわけでありますが、そういうような状況の中で我が国のイニシアチブをどのように発揮していくか、そこらを、総理のひとつ御見解を先に承りたいと思います。
  167. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 昨年、リオで国際会議が開かれましたときに、私は出席ができませんでしたけれども、そのときに、しかし、各国の中で最も具体的にこの問題についての貢献の意思を発表したのは我が国であったと思います。すなわち、今後五年間にいわゆるODA、途上国援助の中で九千億ないし一兆円に近いものを環境開運に使うという約束をいたしたわけでございますので、これは非常に各国に歓迎をせられました。  また、我が国が一九七〇年代の国内の環境問題をともかく十年の間に何とか処理をしたということは非常に高く評価をされておるところでございまして、そういう意味での我が国からの技術援助を求められることも多くなっておりまして、そういう意味では、我が国は環境問題ではまず世界の先進国の中でも先頭に立っておる国というふうに自負してもよろしいであろうと思います。  国内で、そういう状況の中で環境基本法というものをやはりこの際二十一世紀に向かって定めるべきではないかという御議論が強く、また、関係の二つの審議会もそういうことで答申をしてこられましたので、環境基本法をつくりますために、ただいま関係省庁の間で意見の調整をいたしておりまして、将来に向かって、いわゆる地球環境時代と言われる中での我が国の立場にふさわしい法制の整備をいたしたい、この国会に提出いたしまして御審議を仰ぎたいということで、ただいま鋭意作業を進めておるところでございます。
  168. 石川要三

    ○石川委員 さらに総理は施政方針演説の中で、地球時代にふさわしい政策を総合的、体系的に進めていくための環境基本法というものを策定すべく目下検討を進めている、こういうことに触れられているわけであります。  総理に言うまでもないことでございますが、我々のアジア、仏教国ですね、この東洋思想というものは、もう釈迦に説法でございましょうが、生きとし生けるものを大切にする、言うならば共生、ともに生きる、あるいはまた節約、さらには倹約、こういうような美徳を非常に儒教というものは教えているわけでありますが、それに比べて、これに比べて悪いというわけではありませんが、どちらかといえばキリスト教の西洋思想というものは、人間が自然を支配するという、こういう一つのスタンスというものが我々とちょっと違うスタンスではなかろうかな、こういうふうに思うわけであります。  むしろ今こそ、地球的規模の環境問題が叫ばれている今日こそ、この東洋の哲学というものは世界に誇るべきものだ、こんなふうに自負してもいいのじゃないか、こういうふうに思うわけでございますので、そういう一つの、自然を大切にする、そういう立場からの環境基本法というものの考え方をぜひひとつ積極的に考えていただきたい。それで、それをぜひひとつ国民にも、総理一つの哲学としての立場からいろいろとお話をしていただきたい。
  169. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはまことにおっしゃるとおりだと思います。我々の先祖から教えられております考え方の中に、いわゆる今、生きとし生けるものを大事にするという思想は確かにございます。それはやはり今の言葉で言えばエコシステムというようなものになるわけでございますから、エコシステムを大事にしなければならないというのがエコロジーであると思いますので、環境という問題の基本にそういう思想が確かにある。それは、我々、先祖から教わったことを、やはりこの際、特に地球環境の問題の中で重要に考えていかなければならないという、まことに同感でございます。
  170. 石川要三

    ○石川委員 次に、地方分権に対する諸問題についてお尋ねをしたいと思います。  今、すべてのことが大きな変革の時期にあることは申し上げるまでもないわけでございます。こういう時代の中に、これは我が党の三塚政調会長も代表質問の中でゴルバチョフ大統領言葉を引用しまして、「歴史の流れにおくれた者は、それによって罰を受ける」、こういう表現を使って演説されておりますが、まさに今、歴史は大きく変革をしている。この変革の時代に、我々はおくれをとるべきではない、こういうふうに思うわけでございますが、そういうことをいろいろと考えながら、この昨今の我が国の政治、行政の姿を見ますると、まことに私は、直すべき、変革をすべき時期が来ている、そういうことでありまして、今まさに地方分権をすべき時期ではなかろうかな、こういうふうに思うわけであります。  その地方分権の大変革といいますか、事が立派になし遂げられない限り、これからの行政というものは行き詰まるばかりだ、私はこのようにも思うわけで、これは単に一つの地方自治の問題ではなくして、大きくは我が国の経済全体の不況の問題でもあるし、また総理がよく言われる、まさに生活大国というのは、こういう地方分権というものがあってこそできるんじゃなかろうかなと、私はこういうふうにさえも思うわけであります。したがいまして、まずこの地方分権に対しての総理一つの御所見、そして自治大臣の御所見を承りたいと思います。
  171. 村田敬次郎

    村田国務大臣 これは総理生活大国づくりとも密接に関連をする問題でございまして、地方分権でございますから、まずもって私からお答えをしたいと思います。  戦前にも地方分権という言葉はありました。しかし、戦前は御承知のように、ドイツ、フランスなどの大陸法系を継いだ、実質は中央集権でありまして、戦後地方分権というのが本格的になったと私は承知をしております。戦前の内務省が戦後の自治省に脱皮したことで、これはよく物語られていると思います。  そこで、地方分権の実施ということは、住民生活に直結をしたふるさとづくり、そういうものからしっかりと進めなければなりません。したがって、内閣の方針は、福祉問題、地方分権問題、その他全般にわたってそのことをよく踏まえておると思います。  そこで私どもは、地方分権というのをこれからしっかりと進めていくために、いわゆる多極分散型の国土をつくるべきだということを言っておりまして、これは農村それから都市を通じて、言うなれば一極集中でない多極分散の地方分権というものをやっていきたい、こういうふうに念願をしております。そのことを国全体の方針としてやっていかなきゃならないということで、例えば国会等の移転法等につきましてもそういった考え方を踏まえておるわけでございます。石川委員の御指摘になっておる点はよくわかっておると思いますので、地方分権、それから地方自治を主体に今後の全体の構想を進めていきたいと思います。  なお、この問題について、経済の問題とも非常に密接な関連があると言われました。御指摘のとおりでありまして、今公共投資ということを非常にやかましく言っておりますが、この施行主体は、都道府県、市町村等によって実施される分が全体の八割近くでございます。したがって、今後の景気浮揚に都道府県、市町村の地方の公共投資というものが非常に大きな役割を占めております。事実、地方単独事業はこんなときであるにもかかわらず一二%の伸びを示しておる。これは大きな象徴であろうかと思います。そういった地方分権、地方自治のことをこれからしっかりと管理もしてやっていきたい、このように思っております。
  172. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 やはりこの問題は、我が国が百年余り前に明治維新に入りましたときからの一つの伝統的な考え方からなかなか抜け出せないというところに一つ問題があるのだろうと思います。  すなわち、富国強兵ということは、戦争をやる立場からいえばもちろん中央集権でなければならなかったと思いますし、戦後は、憲法があれだけ地方自治を定めましたけれども、しかし、戦後の国土を復興するということは、やはり中央の力が強くなければできなかった。また、そういう中で戦後の復興をしてきたわけですが、今になって考えますと、もう富国強兵の時代ではありませんし、戦争をしようという時代でもありません。そして、いわゆる国民生活の基盤になりますいろいろなシビルミニマムと言われるようなインフラも、大体もう全国最低限のものはみんな持っておりますので、ここでさらに中央が地方に対してあれこれしなければならないことは、そう私はたくさんあるとは思わないので、むしろ地方でふるさと創生というようなことが大変大事に考えられるようになりましたのは、地方の身近なことは地方がやる行政の方がいいんだという考え方がかなりはっきりしてきたのではないかと思います。  そこまでのことは、私は背景として間違いないと思うのですが、したがって権限移譲というようなことは、何度も行革審の答申にあり、また一生懸命やってまいりました。ただ、もう一つの問題は、私は実は財源の問題ではないかというふうに思います。  地方にも、それは都道府県もあり、政令都市もあり、市町村もあって、いろいろ自治能力というのはおのずから違うと思いますから一口に言えないのですけれども、財源をこのままにしておきますと、どうしたってそれは中央というものが、やはり調整といえば調整ですが、かなりの力を持たざるを得ないのではないか。  御承知のように、戦後シャウプ勧告がありましたときに平衡交付税というものができたと思いますが、これは地方の、地方間の財政能力をいわば調整しようというそういう機能を国に与えるということから、全体の地方と中央との財政関係が、きょうは交付税でございますけれども、できているし、補助金もやはりなかなか固有財源になっていかないというような、どうもその財源の再配分ということに本当に取りかかりませんとなかなか私はこれはできにくい問題ではないかということを思います。しかし、やはりやらなければならない問題だというふうに思いますので、戦後ずうっと言われてきてきょうまで解決を見ていない問題の一つではなかろうか、そういう観点からやはり取り組まなければいけないんではないかと思います。
  173. 石川要三

    ○石川委員 今総理と自治大臣の答弁を聞いておりまして率直な私の感じは、私とかなり隔たりがあるなという、こういう感じであります。  それは何かといいますと、あくまでも地方自治は大切なんだ、あるいは、もうこういうこれだけの日本、これだけの円熟な社会になれば、今さら何も地方に対してとやかく申し上げるそんな必要もないんだ、こういうことなんです。言うならば、あくまでもここに主体があってこっちに従がある、主と従なんですね。  私は、むしろそういうもう時代ではない。むしろ逆にアメリカのような、いわゆる国でやる仕事、地方でやる仕事、これをきちんと分けて、そうすればおのずから財源の配分なんという言葉は要らないと私は思うのですね。もう財源の行く場所が決まってしまうのですから、ルートが。あくまでも、もらったやつをこれを幾らか余計にやりますよというそういう何か発想のように、失礼ですが、総理判断、考え方を私は読んだわけです。  私は、むしろ国でやるべき仕事、地方でやるべき仕事、そういうふうないわゆる地方分権というものの時代をこれから考えなければならぬ、もう好むと好まざるとにかかわらずそういう時代にもうだんだんなる。そのために道州制がいいとかなんとかという問題が出てくるでしょう。しかし、どういう制度であっても人間がつくる制度は必ずパーフェクトはないわけですね。完璧なものはない。ただ、現在のものよりもむしろ時代的に対応できるものだ、こういうふうなことでありますから、そういう面で果たして、もう一度お二人の所見を私は承りたい、こういうふうに思うのです。
  174. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そんなに実は違うことを申し上げるつもりではなかったんでして、私が行財政の再配分と申しました意味は、行と申しましたのは、やはり仕事をまず分け合うというところ、そこから来る、そう申し上げようとした、それに従って財源がやっぱり分かれていかなきゃならないのではないか、こう思っています。
  175. 村田敬次郎

    村田国務大臣 総理が先ほどお触れになりましたシャウプ勧告それからドッジ・ライン、あれ以来まさに米英関係のいろいろな地方事務の処理の仕方というのは、日本は踏襲をしておる面が非常に多かったわけです。それで、先ほど総理がお触れになりましたように、行革審であるとかあるいは地方制度調査会であるとか、そういういろいろの個々の問題を、先ほどは触れなかったんですが、例えば都市計画あるいは農地転用の大規模なもの、あるいはその他いろいろな個々の事務について都道府県、市町村、国との行政事務の配分をしなけりゃならないというのは正論で、まさに石川委員の御指摘のとおりでございます。  先ほどは説明不足でございましたが、私もシャウプ勧告に実際従事して、そういった事務を全部区分をした例がございます。財源の配分も総理のおっしゃったとおりで、今例えば固定資産税は市町村とか、府県については府県税、いろいろあるわけでございますが、そういった財政の配分と事務の配分を通じて権限をしっかりもっと分離しなきゃならぬ、この御指摘は全く委員と同様でございますので、再度答弁をさせていただきます。
  176. 石川要三

    ○石川委員 総理、自治大臣から余り違いはないんだと、富士山でいえば八合目ぐらいまではみんな同じだと、こんなようなニュアンスで聞こえたわけでありますが、どうも私は残りの部分が大分質が違うんじゃないか、そんなふうに思うんですね。  もっとくどいように言いますと、じゃ国の仕事というのは何か。私は限定するならば、外交、防衛、調整機能とかあるいは税金関係の方もいろいろな、そういう何か特殊なものだけで、あと全部一切地方へ権限も財源も配分するというそういうところまでの御判断がなと私は思うんですが、ちょっと違うような、あくまでも、できるだけ権限もやりますよ、財源も配分しますよと、これのような、これも要するに量の拡大というふうにとれる。しかし、私は量の拡大を言っているんじゃない。むしろ質の変質を言っているのですね。その質を変えての御見解がどうかというのを私は実は心配したのです。  さらに、私はなぜこういうしつこく言うかというと、ちょうど私が国会に当選さしていただいたのが昭和五十一年のロッキード事件のさなか、直後でございました。そのとき私は有権者に大きな一つの公約として、一つには、私は小さな町の市長もした経験がございますので、地方自治の拡大ということが一つ。それから政界の浄化、こういうことを叫んでおかげさまで当選さしていただいた。  ところが、その二つを、じゃどれだけ達成率があったか、どう調べてもちっとも合格点じゃないんですね。私は残念ながら落第生なんです、そういう意味では。公約したって全然実行ができていない。大いに自己反省しておりますが、そういうことでありますからこそ、こういう、ある意味においては、もう本当に変革の今まさに絶好のチャンスだ、こういうことで、これは一朝一夕にはいきません。これは五年や三年ではいかないと思う。もっと時間がかかる。でもいいから、今からスタートをすべきである。その情熱を私は傾けてもらいたい、こういうふうに申し上げたわけであります。     〔委員長退席、鴻池委員長代理着席〕  そこで、例えば国会移転の決議をしました。だけれども、私は国会移転といったってどこへやるのか、まだ全然先もわからなければ、年度もわからない。見方によれば、悪いけれども、国会なんか移転したって、そこがまた東京と同じになれば同じになっちゃうのですよ、今のままでは。だから、その前提として地方分権を、徹底した分権をしなければ、国会なんかどこへ持っていったって同じなんだ。むしろ私は国会はここへ置いたっていいじゃないか。恐らく国会を移転するには二十兆円も三十兆円も金がかかるのです。そんなにお金がかかるなら、もっと違う方へ使って、そういうことよりももっと本質的な、要するに行政の改革を私はやらなければうそだ、こういうふうに思って申し上げたわけでございます。  そして、まあそういうわけでございますから、答弁は、もしやるというならば結構でございますが、余り時間がなくなったもので。
  177. 村田敬次郎

    村田国務大臣 総務庁長官からもまた御答弁があるようですが、私は、今国会等の移転の法律にお触れになりましたので、ぜひお答えしておかなきゃならないと思っています。  実は、これは先般、十二月十日に国会を通過させていただいて、調査会が間もなく発足をいたします。そして、これらの問題は、まさに石川委員がおっしゃるように、長期的に取り組まなきゃならない問題とそれから短期的に決めていかなきゃならない問題とあるのです。私は、国会等の移転はなるべく早い時期に、これは個人的な見解になるかもしれませんが、なるべく早い時期に決めてしまうということであろうかと思っておるのでありまして、今東京で、例えば夜走りますと、もう道路を何度も何度も掘り返す工事が行われております。あれはまさに都の、都民の税金や国税を使っておるわけでありまして、二重投資、三重投資が本当に行われておる。本当に公共投資を有効に使うならば、都道府県、市町村を重んじた地方の時代である、私はそういったグランドデザインの時代だと思っておりまして、これは国の根本論でありますから、特にもう一度発言を許していただきました。また、ともに勉強させていただきたいと思います。
  178. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 ただいま石川先生からいろいろ言われました地方分権の問題、これは行政改革の柱でございます。国から地方へということです。行革審でも、この問題、非常に重要だということで取り組んでいただきました。  そこで、石川委員のおっしゃるとおり、一方においては、予算の許認可も全部国が牛耳っておるような状況で果たして我々何ができるんだろうか、こういうことです。しかし、片っ方からしますなら、全国に三千以上の市町村という中で、本当にそういうふうな状況の中で権限移譲が受け入れられるような状況にあるのだろうか、こういうことなのですよ。  そこで、それじゃこの際実験的にやってみよう、こういうことで、昨年の十二月に決めましたのがパイロット自治体制度、いわゆる地方分権特例制度なんです。これがやはりやれるということになりますなら、これは地方分権の突破口なんですよ。だからどうしてもこれは推進していかなければならない。こういうことで、今その実施要領等も作成中でございますので、そのような一つのきっかけをつくりながら、さらに地方分権、推進をしていきたい、こういうふうに思っております。
  179. 石川要三

    ○石川委員 今鹿野大臣の答弁、私もわからないわけじゃございません。決して意見が私と違っているとは思いませんが、しかし、今もいみじくも大臣の答弁の中へちらっと出たのが、やはり本当に地方ができるかという、これは地方への不信感というのがあるのですね。  私はやはり、繰り返すようですが、自治大臣は国会決議にはもう執念燃やしていますから、それはそれでいいんです。そのお考えを私は、それはそれであなたの信念ですからいいんですが、私は、もう本当に、ただ単に財源や権限をたくさんやりますからという、これじゃだめだということなんですよ。だからもう極端に言うと、国のやることと地方のやることをぴたっと分けなければだめだ。その実現には私は二つの大きな障害物があると思うのです。  この一つは何かというと、やはり地方に対する不信感があるのですよ。どうしても、地方にやっても大丈夫かとか、地方は大丈夫かとか、あるいは、変なことをしないかとか、いろいろあるのです、実は。そういうことは、これは私ども地方の首長経験者としてもよく言われたことなんです。しかし、それは私は間違っておることである。  それからもう一つは、何といったって、権限を放すまいという、この壁が厚いのですよ、はっきり言えば。これを私は各省庁が絶対反対すると思うのです。これはもう物すごい反対だ。この反対に向かってぜひひとつたゆまざる情熱を注いでもらいたいということをお願いを申し上げたいと思います。  最後になりましたので、私は政治改革について所信を申し上げて質問を終わらせていただきたい。  今日、政治改革というものは非常に幅広く騒がれて、言われていることは、もう御承知のとおりであります。私は、例えば昨年、九増十減、そしてあわせて十八項目プラス三の項目を、これは国会で成立させました。これはまあすばらしいことだと思う。内容を見て本当に私はびっくりするほどの内容なんですね、あれは。  例えば、例を挙げて申しわけございませんが、もし仮に私が金丸さんのようなお金をいただいたとすれば、これは私は、もう今度、没収されるどころじゃない、その税金を払うのにそれこそもう大変なことになる。それだけじゃない。私、身柄が拘束されて、いわゆる俗に言う臭い飯を食うということになる。こんな厳しい内容にこれはなっている。これも通過したんですね。  ところが、それに対して国民はどういうふうにこれを受けとめているかというと、ほとんど知らないと言ってもいいくらいですね。全く私も、もう私はお酒が好きなものですから、時々縄のれんをくぐるのですけれども、そういうところへ行っての話題は、今もう本当にスキャンダラスの一部の名前の人たちのことばかり出る。そして、実際我々が汗を流してああいう厳しいものをつくっても、そんなものはつくったんですかとびっくりするんですね。国民も知らない。これはどういうわけか。そのくらい国民の、要するに政治不信というものに対する考え方、受けとめ方というものは、ここに座っている我々も、私も含めてのものとは全然違うのです。これをしっかり腹に据えて政治改革に取り組まなければ、幾ら美辞麗句を使っても、そんなものは国民に通用しない、そういうふうに私は思うのです。  そこで、私は、最終的に申し上げたいのは、政治家というのは、これはもう本当に国民から、これはもう莫大な信頼を寄せられているものなんですね。とにかく国民から白紙委任状を与えられている。しかも、実印をいただいているんですよ。極端に言えば、何をしてもいいと言わんばかりだ。戦争も始めようが、税金を高くじょうが、権限がある。そういう膨大な、ある意味においては私どもは信任をされている。その国民の私どもは代表者であるこの政治家というものは、どんなに倫理観を深めても、これで十分だというものはないくらいに私は考えなきゃいけない、こういうふうに思うのです。そして、それがために、これからそういうことの再び不祥事件が起きないように制度をつくり、法律をつくり、こういうことをやっているわけです。  それも大切だけれども、国民はその前に、国民から見れば、我々バッジをつけている国会議員の、政治家の倫理観が今問われている、こういうことではないかな、こんなふうに思って、私は厳しく反省していかなきゃいけない、こんなふうに思うのですが、それに対する総理の見解をお聞きしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  180. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはやはり何としても基本的なものは一人一人の政治家の倫理観であると思います。そうでございますが、やはりどのような制度を持つかということも、その倫理観が保たれる担保になるということも事実であろうと思いますので、昨年の緊急改革は、今石川委員の言われますようにかなり実際思い切ったことをやらせていただいたわけですが、またしかし大きな部分が残っておって、それを今回抜本改革としてお願いをいたしたい。  自由民主党としては既に基本方針を決めまして、法案の例えば作成が今急がれておるわけでございますが、やはり倫理観を担保するような制度上の改革、これは場合によりまして選挙区のあり方にも関係をするかと思いますけれども、それをぜひ抜本改革の形でやはりやらせていただきたい。基本が一人一人の倫理観であるということは、もうまことに異議のないところでございます。
  181. 石川要三

    ○石川委員 終わります。(拍手)
  182. 鴻池祥肇

    ○鴻池委員長代理 この際、保利耕輔君から関連質疑の申し出があります。石川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。保利耕輔君
  183. 保利耕輔

    保利委員 あと一時間ほどの間、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  ただいま政治改革について石川委員からいろいろ御指摘があり、総理から大変的確な御返事をいただいたところでありますけれども、やはり政治改革と並びまして、今国会の最大の問題は景気の問題であろうかと思います。  先ほど来総理から大変御丁寧な御説明もあっておりました。私も景気については一番心配するところでありますが、景気ということになりますと、私の頭の中によぎりますのは、どうしても下請関係で働いていらっしゃる、零細企業で働いていらっしゃる方、あるいはタクシーの中で運転をしておられる方、あるいはそのタクシーにお乗りになっている方々、何とか景気をよくしてくれませんかねという、もう切実な願いというのが、私もいつも耳にするわけでございます。  そこで、総理大臣として、日本の指導者として、そして政治家として、この景気を乗り切るために、我々政府としてはこういうふうに頑張りますというようなことを国民の前にわかりやすく、そして力強くお話をいただければありがたいなと思います。総理大臣、よろしくお願いいたします。
  184. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほど少しお時間をいただきまして御説明を石川委員の御質問に対して申し上げましたので、その部分は省略をいたしますが、今保利委員の言われましたように、タクシーの運転手さん、あるいは飲み屋のおじさん、デパートに働いている人たち、すっかり国民の消費というものが衰えてしまった、それが今日、そういう人たちの現実に持っておられる不況感であろうと思います。  今日国民の消費がこのような沈滞をしたことには幾つか原因があると思いますが、一つはやはり、かっての資産効果の裏側でございますか、持っておった証券や不動産の市場価格が現に非常な値下がりをしている。売るつもりではないのですが、やはり持っている財産が大変に落ちたという感覚がございますから、これが消費態度に影響する、消費性向が下がってきたということ。考えてみますと、デパートに行って買わなきゃならない洋服も、我慢すれば実はたくさん持っているということもございます。タクシーにしても、夜遅くならないでうちで飯を食うことになりますと、どうしてもタクシーを利用する率は低いとか、電車に乗っても行けるとか、そういう消費性向が低くなっておるという、これをどうするかということが、言ってみれば、これがGNPの六割でございますから、一番大事なことである。  それは、やはり今のような資産逆効果ということを、ともかくある程度落ちついた、これは別にいたしておきまして、雇用に心配がない、残業手当がどんどん減っていくとかパートが危なくなるとかという今ちょっとそういう状況に来ておるわけですから、それをもう一つ、前のようでなくても、だんだん仕事が忙しくなりそうだなというような感じに持ってこなければいけないんだと思います。  それはやはり、そうすると企業の方の問題になるわけでございますから、企業にも少し元気を出してもらわなければならない。先ほど申しましたように、設備投資がやや過剰である、在庫調整もまだ完全には終わっていないということを通り越しませんとなかなかいけませんけれども、しかし、あるところまでいきますと、もうこれで在庫調整は終わった、すぐに設備投資でなくても、だんだんに忙しくなるかなというところまでいけば、鉱工業生産指数が少しずつ上がりますから、そこまでいけば、私は消費者が持っておられるそのような気持ちというのは転換するだろう。  そこへ早く持っていきたいというのが今政府が、主として、これはどうしても政府の仕事ですから公共投資にならざるを得ないのでございますけれども、それでもって殊に地方の場合には経済を回していこうとしている。これを徹底的に中央と地方で一生懸命やらせていただきたいというふうに今政府としては考えております。  それからもう一つは、今度の経済のそういういわゆる循環の悪さの中に、金融機関や証券会社の問題がございますので、これはこれとして、御承知のようなことで手当てをしつつある。  こういう政府努力、しかし、せいぜい政府ができますことは全体のGNPからすれば数量的にはそう大きなわけではない、ただ、限界的なものが動きますから、それによってやはり経済に始動をしてもらう、こういうことを私ども努力をしているということだと思います。
  185. 保利耕輔

    保利委員 ありがとうございました。私どもも、この平成五年度の予算をできるだけ早く上げなければならない、これは国会の責務であろうかな、現在の景気回復のためには予算を早く仕上げて、そして早く執行する、これが今国民に対する国会の負わされた義務ではないかというふうに思うわけであります。そのためには野党の皆様の御理解とそしてお力添えをいただかなければならぬ。このことについて、私ども議会人として国民の前に早くやりますよということをお約束をしなければならぬというような立場だと私は理解をいたしておるわけであります。  ちょっと私に与えられました時間が少ないものですから、次の題目に移らせていただきます。  現在、今共通一次が終わりました。受験シーズン真っ盛り、これから大変でございます。世の中の父母の皆様あるいは保護者の皆さん、親の皆さん、ちょうど学齢期にあるお子さんをお持ちの皆様方は、大変御心配をしておられるのじゃないかと思うのです。  そこで、随分大学進学率も上がってきておるわけですが、これだけの教育を与えようということは、やはり日本人のエネルギーのようなものが感じられるわけでございますけれども、将来日本をしょって立つ若い人たちがうんと教育を受けるということは必要だと思います。そのためには、親のいわゆる負担も多少のものはやむを得ない、むしろ子供たちを立派に育てるためには、親が教育費をある程度負担をしても子供たちに立派な教育を受けさせてやろうという親御さんたちが多いのだろうと思うのです。  ただ、ある程度の負担はやむを得ないとは申しながら、不合理な負担というのはこれはいかがなものか。例えば合格通知が来る、そうすると一週間以内に入学金を納めなさい、こう来る。ところが、その学校に入らなかったら、その入学金は、いわゆる何十万円かの入学金が親の懐から消えてパアになってしまうわけでございます。パアという言葉は余りよくありませんが、それは大学の経営に役立っているのだろうと思いますけれども、そういういわゆる親の気持ちから言うと、不合理な出費というものは、いかに教育といえどもこれは避けるべきじゃないかと思うのです。  そういう意味で、納得のいくような、そういう御指導を文部大臣にお伺いをしたいと思うのですけれども、文部省としてはどういうふうなお取り組みになっていらっしゃるか、文部大臣にお伺いいたします。
  186. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 文部大臣の先輩でいらっしゃいます保利先生の御質問にお答えいたします。  教育費の負担というのは、よく言われることでございますが、総務庁の家計調査によりますと、家計における消費支出に占める教育関係の割合は七・一%というふうに出ております。しかし、この割合は全世帯の平均でございますから、文部省の調査、別の調査によりまして家庭の中で学生生徒一人当たりの年間教育費負担というのを調べてみますと、例えば私立高等学校に入学させている場合は約六十五万円、私立大学では約百四十四万円が年間要るということでございまして、相当高い割合になるわけでございます。  文部省といたしましては、そのようなことを配慮させていただきまして、育英奨学事業、私学助成その他予算や税制の面でいろいろな措置を講じてまいりましたことは、先生もよく御存じのとおりでございます。  なお、平成五年度の予算案におきましては、育英奨学事業について四・八%の増を計上しておりますし、また私学助成についても二・三%増を予定させていただいているような次第でございまして、これからもその面でいろいろ努力をいたしてまいりたいと考えます。  また、先生が特に御指摘になりました入学金のことでございますけれども、入学金というのは学生の入学意思を確認するためのいわば予約金のようなものかと思います。大学にとっては一定の期間の間に何人の学生が入るかという正確な数をある程度把握できるということでございますし、また学生側にとっては、入学金を払い込むことによって、その大学に確実に入学できるという立場を確保できるということになるわけでございます。  このような入学金の性格ということを考えますと、返還しないという取り扱いはある程度やむを得ないのかなというふうにも思いますが、具体的には個々の大学の判断にお任せしながら、額の抑制などにつきまして私立大学側に一層の御配慮をお願いしたいと考えております。  なお、入学金などと一緒に納めることの多い初年度の学生納付金、そのほかにもいろいろございまして、例えば授業料の何カ月分か、あるいは施設設備費などの名目におきましてはかの経費がかかる場合もあるんでございますが、これらの問題につきましては、合格発表後短期間に納入させるような取り扱いはしないようにということを指導しておりまして、ほとんどの大学で延納の扱いがされるようになっておりまして、この面では改善されているかと存じます。  以上でございます。
  187. 保利耕輔

    保利委員 いずれにいたしましても、父母の皆様方に不合理な、そして納得のいかない御負担をかけるわけにはいかない、それが我々の考え方でなければならないんではないかと、このように思っておりますから、その観点からよく御指導をいただきたいと思います。  さて、教育の問題、非常に大事でございます。もう数年すると二十一世紀になろうかといたしております。二十一世紀を担っていく現在の若人たちが本当に立派な教育を受けなきゃならぬと思いますけれども、私は、二十一世紀に期待される人間像というものは一体どういうものであろうか。せんだって皇太子殿下のおきさき様が内定された、決定されたわけであります。あの会見等を見ておりますと、まさに二十一世紀の日本人像というものを何かあらわしているような感じが私はいたしたわけでございます。  そこで、現在国際化の波が日本に押し寄せてきている、そういう国際間でどういうふうに日本人が外国とつき合っていくかということと、もう一つ日本人らしさをどうやってキープしていくか、日本人らしさをどうやって保持していくかという二つの問題がこの教育の根底にあるような感じがいたしてなりません。  そこで、総理にお伺いいたしたいと思いますが、二十一世紀に期待される日本人像、人間像として総理御自身はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ひとつ、理念的なもので大変恐縮でございますが、お示しをいただければありがたいと存じます。
  188. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは十分に考え切れておりませんけれども、やはり日本人としての伝統なり文化なり、いいものを持つということが一番大事なんではないかと思います。
  189. 保利耕輔

    保利委員 今御指摘のとおり、私自身もそのように思います。日本人の伝統、文化というものを尊重しなければ日本人らしさというのを失ってしまうという点については、私どもよく心の中に入れて教育に当たっていかなければならないかと思います。私自身、娘二人外国で学校にやりました。そこの中でいろいろ経験したこともたくさんございまして、ここで一々申し上げることはちょっと時間の都合でできませんけれども、大変勉強をさせていただいたように思います。  ところで、その日本人らしさということでありますが、私はこれは文部大臣にお尋ねをしたいと思っておりますけれども日本人らしさというのは一体何だろう、日本人とは一体何かということでありますが、私、自分自身こう考えて、日本人というのは日本語で物を考える民族であると言ってもまあ過言ではないかなという感じがいたしております。  実はそのことは、私ごとで申しわけないのですが、私の娘がフランスでフランス人の学校でフランス人ばかりの中にいましたときに、お父さん、私はフランス語で夢を見る、こう言っておりました。夢の中で話をしているのはフランス語だ、頭の中はフランス語になってしまっている。そういうことからヒントを得て、日本人というのは日本語で物を考える民族だというそういう考えに至ったわけであります。  そこで考えてみますと、日本人らしい考え方をしっかり日本語を使って構成するということになっていくと、正しい日本語が身についていなければ正しい思考過程が形成されないというふうに考えるわけであります。  そこで、最近はコンピューター教育でありますとかあるいは理数科系統でありますとか、科学技術でありますとか、そういうことについては随分力が入っておりますけれども、やはり日本人らしさを保持していくためには、日本語教育というのが重要視されなければならないんじゃないか、このように思っておるわけでございます。  もっとも、日本語というものが国語であると決めた法律は、国旗同様ありません。日本では日本語が国語だということは、皆さんの中で無意識のうちに国語と、こう理解されておるわけであります。国語教育というのは日本語教育である。  正しい日本語をいかに勉強してもらうかということについてこれから力を入れていただかなければならないと思いますが、文部大臣、御所見がございましたらお伺いをいたします。
  190. 森山眞弓

    ○森山国務大臣 保利先生のおっしゃいました、日本人というのは日本語で考えて日本語で話す、そういう人間だという定義は、大変傾聴に値することだと思います。私もいささかの国際経験をいたしておりますが、その間に同様の感想を持ったことが何度がございまして、そのようなこと、確かに考えられるなど今承って改めて感じたわけでございますが、正しい日本語をしっかりと身につけて、そしてその言葉を駆使してお互いの意思を流通させる、非常に基本的な日本人の条件だと思います。  しかも、国際化の時代でございますが、国際化の中で国際人としてやっていくためには、まず立派な日本人でなければならないわけでありまして、国籍不明のような人間にはどこの国の人も尊敬はしてくれないと思いますので、まず立派な日本人になるということが基本であろうというふうに考えますと、先生の御指摘なさいました日本語教育、国語教育というのは、非常に重要だと改めて考えるような次第でございます。  ことしから学習指導要領、順次新しいものを実施しておりますが、この新しい学習指導要領におきましても、このような考え方に立ちまして、国語科において小中学校を通じて作文や話すこと、聞くことなどの指導内容の充実を特に図りまして、小学校低学年の授業時間数を過当なり一単位時間特にふやしたというようなところも、その工夫のあらわれだというふうに御理解をいただきたいと思います。  また、昨年の九月からは音声言語の教育、とりわけ美しい日本語を使うことができる能力の育成の一層の充実を図りますために、協力会議を設けまして教師用の指導資料の作成を進めております。  今後とも御趣旨を体して努力いたしてまいりたいと存じます。     〔鴻池委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 保利耕輔

    保利委員 確かにいろいろ文部省も配慮をしていただいて国語教育には力を入れていただいております。今後とも私が申し上げましたような観点で日本語というものを大事にしていただきたい、このように思う次第でございます。  そこで総理、これはつけ足してございますけれども、私がいつも気になってしょうがないのは、日本国憲法の前文というのは正しい日本語なのかどうか。意味はよくわかるのです。意味はよくわかりますし、この理念は私も大賛成であります。一切反対するところはありません。  しかし、言葉そのものからいうと、これが学校の教科書になっていい文章なのかどうかということについては、あるいは憲法でありますから中学生も理解をしなければならないような憲法前文であるというふうに考えるならば、この文章は一遍勉強し直してみる必要があるんじゃないかな。正しい日本語で、そして一番わかりやすい日本語に書き直すということは、一遍トライしてみる、トライということを言っちゃいけませんけれども、試してみる必要が、勉強してみる必要があるんじゃないかと私は思っております。  憲法というものの精神は非常に崇高なものでありますから、私も守っていかなければならないと思っておりますけれども、ただ、日本国民が一番最高法規としていただいているこの憲法の、しかも前文が正しい日本語であるかどうか、このままで中学生が読んでもすうっとのみ込めるものであるかどうかということについては、私はいささか疑念を持っているということを申し上げたいと思います。  もし総理、何かお答えをいたたけるようでしたら、あるいは御所見、感想をいただけるようでしたら、突然で申しわけありませんが、いかがなものでございましょうか。
  192. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そういう御発言がありましたことは、長く私、記憶に残しておきたいと思います。
  193. 保利耕輔

    保利委員 大変結構であると思います。長く記憶に残していただいて、そういうことを考えている人もいるんだということをよく総理大臣の頭の中に入れておいていただければ、私としてはもうこれ以上言うことはございません。  そこで、実は文教の関係でもう一点だけお願いを申し上げたいことがあります。  実は、文教というのはいろいろ範囲が広うございまして、文化なんかも入っております。文化庁の予算が五百億ぐらいしかないというのは、私は不満てしょうがない。文化国家日本と言うならば、倍ぐらいあってもいいんじゃないかという感じがいたしております。  同じように、将来の日本を形づくっていくであろう基礎研究というものに対する投資が非常に少ないと言われておる。ここにノーベル賞を受賞されました福井謙一先生が会長を務めておられます学術審議会からの答申がございます。そこの中の一節を引用させていただきますと、   国の学術研究関係予算は、厳しい財政事情の下でも年々増加しているが、近年の学術研究の全般的な高度化の進行や研究関連経費の上昇に適切に対応することが困難となっている用大学における研究環境の劣化は、研究の場としての大学の魅力や学術研究水準の低下をもたらし、人材養成機能の低下ともあいまって将来の我が国の社会全体の活力の低下、国力の衰退を招くとの懸念が生じており、学術研究基盤の整備が急務となっている。 というのが福井先生からの答申の中に盛られているわけであります。  私は、この中で特に、将来の国力の衰退を招く、あるいは社会全体の活力の低下をもたらす、あるいは人材養成機能の低下をもたらすというようなことが、非常に重要なことが書いてある。したがって、学術研究、特に基礎研究については、見えないものですけれども、将来二十一世紀の日本を形づくっていくためにはどうしても欠かすことのできない、まあ先行投資といいますか投資であろう、そう思うわけです。  そこで、これは、それに先立ちまして、この答申に先立ちまして、諮問第十八号いう有名な諮問がございます。これは答申になっております。これはどなたがどなたに答申をしたものかといいますと、これを読みますと「科学技術会議議長 宮澤喜」と書いてあります。そして「内閣総理大臣 宮澤喜一殿」と書いてあります。宮澤議長から宮澤総理へのこの文章なんです。  その中にどういうことが書いてあるかというと、これは大蔵省方々ともさんざん、中村建設大臣、中村委員長のもとで協議をいろいろさせていただきましたが、「時々の財政事情等を踏まえつつ、政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増する」と書いてあるのです。「できるだけ早期に倍増する」と書いてあるのです。  ところが、この部門は、この予算編成の過程ではマイナスシーリングの影響を色濃く受けている分野です。ことしだけではないのです。もう十年以上マイナスの影響を受けている。それが、福井先生のおっしゃるようなこういう将来の懸念をもたらしているわけです。したがいまして、この基礎研究には力を入れていくということが次世代に対する我々の義務じゃないかということを感ずるわけでございます。  これはまあマイナスシーリングの問題もあります。大蔵大臣にお伺いをし、そして総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  194. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 保利委員のお話でございますが、お話を聞いておりまして、日本人というのは何かというお話がありました。  私は、科学技術というものは日本人のやっぱりすぐれた特性ではないかとさえ思っているわけでありまして、日本が今まで発展してきた過程におきまして、日本人が持っている創造性というかそういったまじめな性格がやっぱり科学技術をつくり上げてきているわけでありますから、これは将来に向かって私もやっていかなくちゃならない話だろうと思っております。お話がありました福井さんの論文であるとか、党でも建設大臣中心でこの前までやって、保利先生もやっておられましたあの科学技術振興の特別委員会、私も大変に敬意を持って見ておったところでございます。  そういった形で、予算を編成するに当たりましていろいろとやらなくちゃならない、こういうふうに思っておりましたが、申し上げますならば、科学技術立国を目指していくためには技術を養う基礎的、創造的な研究を充実強化することが重要であるということはもう当然のことでありますし、各方面からお話があるところであります。  このようなことを踏んまえまして、平成五年度予算におきましても、一般歳出の対前年度比伸び率が三・一%である中で、科学技術振興費は対前年度伸び率八・五%を確保しておるところでございます。ちなみに申しますと、科学技術庁の各種基礎研究推進制度は対前年度伸び率一七・八%、文部省の科学研究費補助金は対前年度伸び率一三・九%、こういうふうな形になっております。今後とも私は、基礎的、創造的研究の充実強化の必要性、重要性に十分配慮して予算編成を行っていかなければならないものだろうと思っております。  一方、我が国、今は財政事情なかなか窮屈である、国債残高が累増しているということは先生よく御承知のとおりでございますから、これらの諸情勢を勘案しまして各年度の予算編成において適切に対処していかなければならない、こういうふうに考えていることを申し上げておきます。
  195. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 その問題は私も実は気がついておりまして、ほっておいてはいけない問題だというふうに就任以来思ってまいりました。  シーリングというのは、申し上げるまでもなく、この今の我が国の財政状況の中で長いこと非常に大事な働きをしてまいったと思いますけれども、一般論としてはそうでございますけれども、主としてそういう学術研究、基礎的なものについては、国立大学であるとかあるいは国立の試験研究所であるとかいうかなりのものが文部省の予算としては所管のもとにございまして、そして文部省の予算というのが、これが非常に大きな部分が人件費でございますので、人件費は年とともに上昇しなければならない、それをシーリングの中で抱えていかなければならないということになりますと、どうしてもただいまおっしゃいましたような経費が圧迫をされる。これは一年や二年ならよろしゅうございますが、何年もやってまいりますと、やや危機的な状況に実はなってきておったのではないかということ。  これは実は財政当局に罪があるのではありませんで、財政当局の諸君も気がついておりまして、私が就任しまして最初に編成いたしました四年度の予算の際には、ちょっと今費目を忘れましたけれども、大学の特別会計の中で施設設備のやや、やや別枠のような工夫をしてもらった記憶がございますが、今回は生活開運の第二の別枠の中で学術研究を入れてもらったかと思います。  それから、ややどうも、やや例外的なやり方ですけれども補正予算のときに救済できるものの救済をするというようなことで、シーリングというものは大事な機能を持っておりますから捨てるわけにはいかないが、しかしそのもとで一番影響を受けるのは、今おっしゃいましたような大変我が国の将来にとって基本的に大事な経費が一番影響を受けるということを何とか回避していきたいということで、私も私なりに努力をしてまいりましたし、財政当局も文部省もそうなんでございますけれども、これだけは今後ともそういう犠牲になりませんように特に配慮をしてまいりたいというふうに思っております。
  196. 保利耕輔

    保利委員 ありがとうございました。宮澤議長から宮澤総理大臣に対してこうした立派な答申も出ているわけであります。総理御自身がこれに対して深い御関心をいただいていろいろ対応していただいておりますこと、あるいは大蔵省、財政当局もこのことについては一生懸命いろいろ御配慮をいただいていること、感謝しつつもなお今後ともよろしくお願いを申し上げまして、この問題は終わらせていただきます。  次に、環境問題をちょっと申し上げてみたいと思います。  実は私も余り環境というのは詳しくはないのですけれども、詳しくはないだけに入門書のようなものを探してみました。そうしたらば、我が党の国民運動本部がつくりました「地球がおかしい」という、こういう本を入手いたしましてこれを読んでみますというと、本当に、先ほどのお話ではありませんが、中学生でもすうっと理解ができるようなことが書いてある。例えば、これは我が党の青木正久議員がお話しになったことをまとめた冊子でありますけれども日本人が現在一人一日どのくらいのごみを出しているか、例えば書いてあるのですね。そういうようなことがたくさん書いてある。どのくらいだと思いますか。これはこちらから申し上げますが、一日にちょうど一キロだそうでございます。そうすると一年間で三百六十五キロで、大体キリンと同じぐらいの重さのごみを一年間に捨てているんだ、赤ちゃんからお年寄りまで全部。ですから、捨てている方はもっと捨てているわけです。そういうことが書いてあって、私は入門書としてこの「地球がおかしい」という我が党がつくったパンフレットは非常におもしろいと思っております。お時間がございましたら御一読をいただきたいと思うわけであります。  地球環境がおかしい。その中に、私はちょっと地元の問題を引かせていただいて大変恐縮でございますが、私のところの佐賀県唐津市で昨年来産業廃棄物の油がたくさん野積みにされているのがわかってまいりました。そして、それが不法に山林の中に捨てられていることも発覚をいたしました。そしてもっと悪いのは、その一部は穴を掘って埋めてしまって、もっと悪いのは、上からブルドーザーで踏みつぶしちゃったというような事件が起こっておりまして、今厚生省あるいは県の方も随分このことについては対応に苦慮していただき、そしてどういうふうに処理、始末をしたらいいかというのを一生懸命考えております。  このドラム缶の問題、ぜひこれは、日本全国でこういう問題が起こってくる可能性がある。したがって、この問題については厚生大臣からちょっと現状、そして対処方針をお聞かせをいただきたいと思います。お願いいたします。
  197. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 保利先生御指摘のこと、大変遺憾に存じております。  厚生省といたしましては、これまで不法投棄に対しましては厳しく対応してきたところでございますけれども、早速その唐津市の問題につきましても実情を調査いたしまして、指導監督を徹底していきたいと思っております。
  198. 保利耕輔

    保利委員 ほかにも関連する省庁があろうかと思います。発生者といいますか、その廃油等については、やはり通産省も御関係のあろうことだと思います。どうぞ今後ともよろしくこういったものについて真剣にお取り組みをいただきたいと思います。  次に、同じ廃棄物なんですが、実は漁港に、この間歩いてみましたら、プラスチックでつくった漁船、小型の、五トン以下の漁船だと思いますが、そういうものが廃船の状態になっていて、港に捨てられている。しかし、持ち主はこれあるわけですね。それで、このプラスチックというのは、燃やすと有毒のガスが出るというようなことで、始末に負えない。  私のところにはハウスミカンもありますが、ハウスミカンも、大体あのビニールを二年に一回は取りかえなきゃならない。それがもう廃材としてたくさん出る。それで、これを処理する方法がない。穴を掘って埋めたり、燃やしたり、いろんなところへちょっと頼んだりということもあるようですけれども、まあいわゆる廃棄物になっておる。私のところは、悪いことに山から猿がおりてきて、ミカンをハウスの上に上ってとるんですね、破いてとる。ですから、もうプラスチックの山になっている。いずれそのプラスチックに埋まってしまうんじゃないかなという感じがいたしておりますが、今のビニールハウスのビニールの問題、小型の漁船の問題、これをどういうふうにしていったらいいのか。我々にとっても非常に大きな問題だと思うし、漁民なんかは非常に困っておる。  これについて、農林水産大臣から対処方針等について御答弁をいただきたいと思います。
  199. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 お答え申し上げますが、今四十万隻の漁船のうち、三十一万六千百隻このFRP船があるわけです。これがもう既に実用段階に入ってから二十数年たってまいりまして、最初につくったものはそろそろ廃船の時期を迎えておるわけであります。だんだんこれからふえていくわけでありますけれども、大体一万四千隻ぐらい、四年度で。これがふえできますから、そういうことで私ども農林水産省としても、各都道府県における漁業系の廃棄物処理計画、これを策定していただいて、これに対する助成を実は実施いたしております。それから、処理施設でありますとか用地の整備についても、沿岸漁業構造改善事業の中で焼却炉等を見ておりますので、あるいは漁港整備事業においてもこれを助成の対象にいたしております。まあ今後ともこれらの事業を活用して整備を図っていきたい、こう考えております。  それから、もう一つのビニールハウスのことでありますが、これはなかなか厄介でありまして、なかなか腐らないし、いつまでもあるということで、燃やすと特に塩化ビニールの方が公害発生源でありますので、この処理についても農林水産省として、処理施設の設置に対する補助あるいは融資、それから税制措置を講ずるとともに、県と市町村のレベルで協議会を設置して、広域的な回収処理体制の確立を指導いたしております。これらの対策の効果もあって、再生処理の割合は年々高まっておりまして、今後ともその推進に努力をしていきたい、こう考えております。
  200. 保利耕輔

    保利委員 いずれにいたしましても、プラスチックの廃材をどうするかというのは、これは大変大きな問題になってくるだろうと思いますし、もう今やなっております。これは技術的な問題も含んでおりまして、分解しやすいプラスチックをつくるいうことがまず必要だろうと思いますし、でき上がっちゃったプラスチックを処理する方法というのを、これは技術的に科学的に研究するということも必要だと思います。そうした上に立って、処理施設というものをやはり国の力あるいは県の力でつくっていかなきゃならない。今その方法がないわけですから、それは研究費を大いに使って勉強していただく必要があるのじゃないか、このように思っておりますので、よろしく内閣としてもお取り組みをいただきたいと思います。  さて、残された時間が少なくなりましたので、当面するガットの問題について最後にお尋ねをいたしたいと思います。  実は、このガットの問題、ついに年を越したわけでございます。昨年の十一月にECとアメリカが農業交渉で合意をしたということを受けて、いやこれはもう大体決まってしまうんじゃないかというところまで大体世間のムードはいったわけであります。ところが、なかなか現実はそうはいかない。分野も広うございますし、農業だけ見てもいろんな問題が出てきて、とうとう年を越えてクリントン政権にアメリカでは引き継がれるようになった、こういうことであります。  我が党には農林水産物貿易対策委員会というのがございまして、この問題を鋭意検討をしてまいりました。その中で何度かいろんな議論を集約をしたものをつくりました。私の記憶では三回ほどつくっておると思います。その確認事項という形でつくらせていただいたもの、これはもう総理のところにも何回か御説明に上がったと思っておりますけれども、今、日本という国は年間三百億ドル以上の農産物を輸入している。三百億ドルといいますと、大体四兆円近い金額であります。四兆円近い金額ということは、きょうもあしたもあさっても、きのうも、毎日毎日百億円の農産物を外国から買っているということになるのです。こんな国は世界広しといえどもないと私は思います。いかにこの日本というのが世界の農産物貿易に対して大きく貢献しているかということを、まず全世界方々が知っていただきたい。  しかし、その結果が、まことに残念ながら穀物の自給率が三〇%に落ちてしまった。しかし、最近の発表では三〇%が二九%まで落ちておるわけでございます。実は私ちょっと調べてみたのですが、昭和四十年、今から約三十年ほど前ですが、そのときに穀物自給率というのはどのくらいだったか。今が二九%ですが、そのころは実に六二%あるのです、約三十年前。六二%の穀物自給率があったものが今は二九%になっている。それは畜産が発展をしてえさの輸入がふえたとかいろいろあるのです。  しかし、もう少し我々が深く突っ込んで、カロリーベースの自給率というのがございますね。これで見ますと、カロリーベースの自給率がこの間まで四七%だったのが今度の発表では四六%に、一ポイント落ちている。ところが昭和四十年のカロリー自給率というのがどのくらいだったかというと、これは新聞に出ていたのですが、実に七三%あるのです。三十年間で三〇%近く落っこってきているということですから、これは我が国にとって非常に大きな問題だ。今我々は食糧に恵まれているから感じません。あるいは飽食の時代なんという形になっておるが、しかし将来とも大丈夫なのかということになると、私は非常に大きな懸念があるわけでございます。  その上、世界の人口、現在五十四億人ほどだと思います。それが毎年毎年一億人ずつふえていく。日本は逆の人口問題を持っておるのですが、全世界で見ますと五十四億が来年は五十五億になる、五十年たったら百億超しちゃうというような状況になっておるわけであります。そのことは実は私自身、どうしたらわかるのかなと思っていろいろ人口問題を調べてみました。そうしたら、さっきの青木正久議員のこの「地球がおかしい」という中にその数字が入っているのです。  それで、これもまた読みやすいので、これは青木議員に敬意を表するのですが、今から五百年前に、というのは去年出したやつですから、一九九二年の五百年前ですからそれは一四九二年、何が地球上で起こったかというと、コロンブスのアメリカ大陸発見の年であります。その年の世界の人口というのは、この本によりますと四億二千七百万人。四億二千七百万人。そんな昔のことはいいよ、最近どうだ。百年前の数字が出ている。百年前の数字が十六億人とこれには出ております。十六億人と出ております。現在が五十四億人。この本では一年前ですから五十二億人と出ているのです。それでも、数字見ただけじゃよくわからない。  そこで、絵にかいてみますとこんなになっているのです。ごらんになれますかね、これ。地球の人口爆発、これはもう皆さんよく御存じかもしれないけれども、この青木先生のパンフレットからもこのことは明確にとらえられておる。  そうすると、やがて我々の子供たちが生きている時代に地球の人口が百億時代を迎えるというときに、食糧バランスというのはこの地球上でとれるのかどうか。これは私にとっても非常に心配事なんですね。そういうときにやっぱりいわゆる自給の食糧というのを何か持っていないと、先ほどのようにどんどんどんどん自給率が下がってくるというありさまで不安はないのか。現在の我々政治家、日本の政治家がこのことについて真剣に考えなくていいのかどうかという、今大事な局面にあるわけなんです。しかるがゆえに、農林水産省、外務省、皆さん一生懸命現地で交渉をして、関税化はいたしません、自由化はいたしません、日本の農業は守りますと言っていらっしゃる。  私は、少し極論すれば、日本の水田というのは日本民族の生命維持機構じゃないかという感じがしてならない。宇宙船になって日本が飛んでいったら、食糧をつくるものは何かなければ外部から持ってこなければならない、しかし外部から持ってくるやつがとぎれたときはえらいことになるぞ、そんなことを言ってたってそれは油がなくなったら終わりよ、こういうふうな議論もありますが、私はやっぱり食べ物というのは大事にしなければならないのじゃないかというふうに考えております。  そこで、総理にお尋ねしたいのですが、今のようなことに対して総理はどういう御所見をお持ちなのか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  201. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどもお話しになられました確認事項、最近では昨年の六月に確認をしておられますけれども、この中にもその問題について触れられております。当面のウルグアイ・ラウンドというのは、やはり現在の世界における貿易をできるだけ自由化しようという主たる立場から進められているものでございますけれども、最近になってまた地球環境というようなことも言われ始め、そういう見地から農業の問題というのは、あるいは林業もそうでございますけれども、いろいろ新しい観点からまた考えられなければならなくなってきているということも気がついております。したがいまして、ただいま保利委員の御指摘になられましたようなことも大事なこととして考えておかなければならないと思います。
  202. 保利耕輔

    保利委員 ただいま総理からよくわかったというお話でございまして、これは当然総理としても同じようにお考えになっていらっしゃるのだろうと私は思います。  そこで、総理お願いをしたいことが一つございますが、ことしは東京でサミットが開かれるわけであります。それで、今このグラフで示しましたような地球上の人口増加ということと食糧の供給バランスというものと、これをどういうふうにとっていくのかというのは、全世界の指導者がもう真剣に考えるべき時期に来ているのじゃないか。例えばアメリカでも非常に効率的な農業をやられていると言われておりますが、効率的な農業ということは、逆に言うと土地を荒らしてしまっておるのです。どんどんどんどん化学肥料をやって土地が疲れちゃっている。だから、アメリカにも反省が起こってきて、もう自分たちが食べる分だけつくりゃいいやというような議論も起こってきているぐらいなんです。  そうすると、なおさらのこと、世界的にいって、これは人口増加と食糧バランスというものは真剣に考えられていいときに来ているんじゃないかと思うわけであります。サミットというのはいろんな問題がありますから、そう簡単にサミットで取り上げてください、はい、わかりましたというわけにはまいらないかもしれませんけれども、この問題は世界の指導者が看過することができない問題であろう、そして三十年後、五十年後の地球上に住む人間が困らないように今の政治家が英知を振るって考えるべき問題だろうと私は思うわけであります。  そういう意味で、ぜひサミットでもこのことについて総理から御提案をいただければありがたいなと思っております。例えば、FAOというような組織がございますが、そこでいろいろ検討していただくとか力強い会議を起こしていただくとかいろいろ方法があろうかと思いますが、そういう御提言を申し上げたいと思います。総理から一言賜ればありがたいと思います。
  203. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 サミットのことはただいまちょっと申し上げる用意がございませんけれども、FAOではこういう問題について取り上げておられることを承知をしておりまして、そういうFAOでの活動、研究については我が国としても積極的に支援をしてまいりたいと思います。
  204. 保利耕輔

    保利委員 お力をいただいて、これは頑張りたいと思います。私どももこれは頑張らなきゃいけないと思っております。  そこで、実はガットの今の現状でございますけれども、なかなか複雑多岐にわたっておる。そこで、私はガットに対して一つの考え方を持っておりまして、これは確認事項の中にも書いたんですけれども、貿易という概念は、これはガットというのは貿易と関税に関する一般協定でございますから、まず貿易というのは何なのか。そうすると、貿易というのは売り手と買い手があって初めて、あるいは輸出国と輸入国があって初めて成立する概念である。これは、まあ力の関係、いろいろあるかもしれませんけれども、しかし売り手と買い手がなければ成立しない概念だと思います。その貿易のルールを決めるというのがこれはガットの交渉でありますから、ルールというのは攻撃側にも守備側にも、まあ野球でも攻撃側でも守備側にも公平なルールでないとこれはよくないんじゃないかと僕は思うわけです。  したがって、今これ、つらつら思いますと、輸出国と輸入国があって初めて成立する概念なんですが、どうもルールづくりの公平さに欠くものがあるんじゃないかなという感じがいたしております。そこで、食糧の輸入大国として、我々は輸入側なんだ、買い手なんだ、買い手にはやっぱり買い手としての強い懸念というものが、先ほど申しましたようなものがあります。それがルールをつくる上で取り入れられていくような交渉でないと公平な交渉と私は言えないんじゃないかという感じがいたしておるわけでございます。これは私の所見であります。  そこで、またこれ、ガットの問題がずっと煮詰まってまいりますと、このガットの交渉というのは農業だけではない、十五分野にわたって交渉が続けられておる、大変な交渉をやっておるわけであります。そこで国会決議では、米は守るぞ、あるいは日本の自給を基本とするということについてはもう国会決議、何度かされておるわけでありますが、この米を守るあるいは自給を基本とするということ、これをガットの場で主張している具体的な例は関税化をさせないということになるわけでありますが、この米を守るということについて、あるいは言いかえれば国会決議を守るということについては、いかなるものを犠牲にしてもこれは守るおつもりがあるかどうか。これは、農業だけの分野でそれは解決しなさいよということなのかそれとも十五分野全部にわたってやるべきものなのか。そこは私が貿易委員会を開いておりましても常に出る議論であります。  そこで、例えばガットがうまくいかなくなって三〇一条提訴というようなことになった場合には、恐らくいろんな、自動車の問題だとかなんとか通産省のかかわる問題もいろんな問題が一緒になってコンペンセーションを考えなければならない、補償を考えなければならない時代が来るかもしれない。そういうときにこれは各省庁の利害というのが対立する場合がありますから、その調整機関というのは準備をしていただく必要があるんじゃないか。これは当然内閣全体にわたる、まあ私も出していただいたことありますけれども、十五省庁でしたか、関係閣僚会議もございます。そういうものを強化するなり、あるいは総理大臣あるいは官房長官のもとできちんとした、何というのですか、検討をする体制というのを整備していく、その準備にかかる必要があるんじゃないかなと思っております。  各省庁の調整の問題でありますから、これは官房長官、もし御用意でしたらひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  205. 河野洋平

    ○河野国務大臣 保利先生御指摘のとおり、十五分野に及ぶ交渉が行われているわけでございます。したがいまして、内閣といたしましては、私にとりましては先輩官房長官平成二年から今先生御指摘のとおり、十五分野関係の閣僚にお集まりをいただいて、調整のための、打ち合わせのための会合がそのときそのとき時期を選んで開かれております。これは関係省庁局長クラスでも打合会がこれまでたびたび開かれておるところでございます。ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉が進展をする、そういう状況下で、この十五省庁にまたがるこれらの交渉の経過を見ながら、この懇談会はその都度開いていかなければならないものというふうに考えております。
  206. 保利耕輔

    保利委員 これは現在の状態ですと、まあ鎮静化している状態でありますからよろしゅうございますけれども、本当に交渉が土壇場のときには各省庁の調整はもう大変なことになると思いますから、その御準備については十分御配慮をいただきたいと思います。  実は、外務大臣にも一つお伺いしておきたいことがあるんですが、これは先日ヨーロッパヘおいでになりましてミッテラン大統領にお会いになられた、そしてフランスの強い意思をお聞き取りになられたというふうに伺っております。フランスという国はNATOからも脱退しておりますし、独自の外交をやっている。そして、アメリカに対していろいろと批判的なことを言うが、批判的なことを言うがゆえに逆に信頼をされているという関係もある。そういった外交姿勢、フランスの外交姿勢なんかというのは、まあ全面的にいいとは言いませんけれども、学ぶべきものがやっぱりあるんじゃないかなという感じがいたしております。  ミッテラン大統領とお会いになったその感触等をちょっとお述べいただければありがたいと思います。
  207. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは非常に難しい質問。ミッテラン大統領と会っても、ウルグアイ・ラウンドを成功させるという点は同じなんですよ。同じなんですが、今の交渉の過程でアメリカが農業問題に偏り過ぎていると、農業だけがウルグアイ・ラウンドじゃないんじゃないかと、だからそれは別な分野でもっと譲るというようなことももちろん必要であるという趣旨の発言でございました。  ついでだから、なんですが、この間アメリカの議会の議長とか副議長とかがおいでになって、彼らの意見もかなり強い意見でありました。しかし、世界じゅうどこの国へ行っても、ウルグアイ・ラウンドを成功させなきゃ大変だと、これはまあ、成功させようというのはどこでもそう言っているのですね。だから、そうしてアメリカは、これは決裂したら三〇一条でだね、その次は日本も報復措置を今のうちから考えると。あっちもこっちも報復措置が始まったらそれは貿易戦争ですよ。それこそまさにはかり知れない大被害を受けると。  だから、はかり知れない大被害というのはどれくらいだと言われるのですが、それははかり知れないからわからないのですね、実際は。それは報復措置の仕方によっては大変なことになっちゃう、実際は。だから、それはもう自動車が売れなくなるとかなんとかかんとかいったって、日本はそれはもう四十兆円からの輸出をやっているわけですから、それが一割でも二割でも減るということになれば、それはそれなりにまた大きな失業者の群れが出てくるし、別な問題が起きてくるのですね。  だから、そういうものの調整の中で、それは先生のおっしゃるように、自給率を確保するのも大事、食糧の確保も重要。ですから、それはそれを念頭にして、それは基本ですから基本としながら、アメリカにも、八十点、九十点とるばかりじゃなくて、これは我々も言っているんですよ、六十五点だっていいんじゃないか、農業とかなんかの分、七十点でもね。だから、そこはお互いが譲り合っていかなければいけませんなということで、粘り強い交渉をやってまいります。
  208. 保利耕輔

    保利委員 時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきますが、総理、これをごらんいただきたいと思うのですが、米の関税化を決断ということが書いてあります。関税化を決断するためにはやっぱりそれなりの条件というのがあるはずで、無条件で決断をするわけはないと僕は思いましたから、この記事は信用しませんでした。しかし、世間一般に与えたインパクトは非常に大きかったんです。ですから、総理、これはもう、ひとつよろしくお願いします。  日本の、日本人の生命維持装置を守るんだというような気持ち、国会決議を守るんだというお気持ちを強くお持ちいただいて、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。強い御意思をひとつもう一遍お話をいただければありがたいのですが。
  209. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今お示しのようなことを、もとより申したことはございません。ある交渉がある段階にかかりましたときに、かなり複雑な状況でございましたので、仮にこの際交渉が難しくなったとしても、それは我が国がこの関税化について何かを言ったという、そういうことではなくて、我々はまだダンケル・ペーパーについての基本的な、その段階では意見を申していなかった段階でございますから、日本責任があるというようなことではない、そのときは現実にはアメリカとECとの交渉であったわけですが、そういうことは申しましたのですけれども、そういう意味のことを、今御紹介のようなことを私は考えたり、申したりしたことはございません。
  210. 保利耕輔

    保利委員 ありがとうございました。  終わります。(拍手)
  211. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて石川君、保利君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十九日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会