○山田
委員 中間省略
登記についてお伺いをしたいと思うのですけれ
ども、時間が迫っておりますので、問題点だけ先に申し上げます。
それで、これはどうしたらいいのかということは第一義的には法務省に
考えてもらわなければならないことではありますが、我々としても一緒に知恵を出すような気持ちで問題提起をさせていただきたいのですが、どうしたら排除できるかということが
一つあるのです。したがって、司法書士の立場からすれば、調査確認の
義務規定というものを次期
法改正でぜひ法制化していただいて、法的
根拠を与えていただいて、司法書士が実務の現場で、取引の実体に即した
登記申請をしなければだめですという形で粘り強く中間省略
登記を排除していく。
限りなく取引実体に近い形の
登記申請を、司法書士が日常の業務の中で時間がかかるけれ
ども、それにはいわゆる法的な
根拠というのが必要なわけです。調査確認というものをしっかり
法律上明定してもらわないと、ある事務所では、実体はそういうことになっているけれ
ども、法的な
根拠がないことを奇貨としてというか、そこのところで、こっちは厳しく排除するために
努力するけれ
ども、こっちでは受託増を期待して余り厳しく言わない、そういうばらつきなんということを
考えてみても、そういう次元の話からでも、いわゆる調査確認の
義務規定というのは
整備すべきである、法制化すべきである。それはそれとして、
一つはそういうことしかないのかな。
それからもう
一つは、法務省のお立場というのは、如実にその物件についての取引の実体を正確に
登記簿に、
登記システムに反映させるということがともかくこの制度の眼目であるわけですから、これはきっと議論の余地がないところだと思
います。
そういうふうに
考えていった場合に、これはちょっと大臣にも見ていただきたいのですが、中間省略
登記というもの、建設省所管の宅建
事業者の方々が用いますところの
売買の契約書には、通常中間省略を認めておる、あるいは
不動産登記法上の要請なんというのは全く
関係なしにモデル
売買契約書というものが示され、そしてそれが使われておる、ここのところをどういうふうに
整備するのかという問題があると思うのですね。
例えば「
不動産売買契約書」「(
登記および残代金支払
義務) 第二条 取引期間は平成何年何月何日までと定め、期間内に双方協議のうえ、取引場所を決定し、」次が重要です、「売主は買主または買主の指名する者に対して
所有権移転
登記申請に必要な手続を完了し、これと引換えに、買主は売主に対し、手付金及び中間金を差引き、その残代金を支払わなければならない。」ここで言う「買主または買主の指名する者に対して
所有権移転
登記申請に必要な手続を完了し、」これは、まさに売主、買主でしたら真正な取引の実体を
登記簿に反映できる
登記になる。買主が指定するということになると、指定する者の
登記名義にするということを認めなさい、こういう契約ですから、そうするとまさに、甲から乙ではなくて、甲から乙という買主が指定する丙に
所有権移転をすることについてちゃんと了解をし、あるいは書類等を全部完備しなさい、これが大体普通のモデルですね、ひな形です。
このベースになるのが、財団法人
不動産適正取引推進機構、建設省の関連の機関でありますが、この「標準
売買契約書の解説」というところで、「(
所有権移転
登記の
申請) 第九条 売主は、
売買代金全額の受領と同時に、買主または買主が指定する者の名義にするために、本物件の
所有権移転
登記の
申請手続きをしなければならない。」これはまさに法務省所管の
不動産登記、公示制度の
理想などというものは全く
関係のないところで、「買主または買主が指定する者の名義にするため」、これはまさに中間省略
登記なんですよ。この機構でもそこのところはちゃんと認めているというか、そういうことなんですね。
三十六ページにありますように、「買主とは異なる名義に直接移転
登記(中間省略
登記)を行うこともある。「買主または買主の指定する者の名義にするために」とあるのは、そのような場合にも対応できるようにという
趣旨である。実際の取引ではこのような中間省略
登記を可能とするものが多いので、本条もこれにならった」、こういうことです。これは後でごらんになっていただきたい。
ですから、私が申し上げたいのは、
不動産登記、公示制度の基本的な要請からくる取引実体を限りなく正確に映し出すというこの要請と、こういう
一つのあり方、モデル
売買契約書、実際にはそれでなされている。それが僕はいい悪いということは即断できないと思います。民法の意思主義、契約書、要するに書面を要請していないという大原則も一方にあるわけでありますから、いきなり今けしからぬとかけしかるとかという話を僕はしたくない。そうじゃなくて、国の
一つの政策として、あるいは国の
一つの目標としてこれは極めて整合性に欠ける、法務省の見解と、あるいは建設省の実際にやっていることとの間に整合性がない。
一度、法務省として中間省略
登記に対する見解をおまとめになって、それから建設省とこの部分についても当然調整をなされた上で、中間省略
登記をどういうふうに
位置づけておられるのか、またどういう見解をお持ちなのか、これを排除すべきだということであるならば、そういう基本的な法務省の見解、排除のための方策、これらを一回整理していただいて、
委員長、できましたら当
委員会に整理をされた結果をぜひペーパーで御提出をいただきたい。
コンピューター化ですよ、今世紀中に全国ネットワークで簿冊主義からブックレスシステムへ大きく移行させよう、そういうタイミングでありますので、これを見る限りは、これは
不動産登記制度のある
意味では病理
現象ですから、法務省の中間省略に対する見解あるいはその是正策、建設省との調整の結果どういうふうにするのかということを一回整理しておくということは制度発展を期す上で極めて大事であると思われますので、
局長の御答弁を求めます。