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1993-04-06 第126回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月六日(火曜日)     午前十時十分開議 出席委員   委員長 戸田 菊雄君    理事 青木 正久君 理事 赤城 徳彦君    理事 小林 興起君 理事 田中 秀征君    理事 高橋 一郎君 理事 小野 信一君    理事 武部  文君 理事 中村  巖君       井出 正一君    石原 伸晃君       江口 一雄君    岡田 克也君       福永 信彦君    細田 博之君       森  英介君    山口 俊一君       上田 利正君    大木 正吾君       岡崎 宏美君    中村 正男君       大野由利子君    菅野 悦子君       柳田  稔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長 船田  元君         官)  出席政府委員         公正取引委員会 小粥 正巳君         委員長         公正取引委員会 矢部丈太郎君         事務局経済部長         公正取引委員会 糸田 省吾君         事務局審査部長         経済企画庁調整 長瀬 要石君         局長         経済企画庁国民 加藤  雅君         生活局長         経済企画庁物価 小林  惇君         局長         経済企画庁総合 田中 章介君         計画局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長  委員外出席者         厚生省生活衛生 織田  肇君         局食品保健課長         農林水産省食品         流通局消費経済 黒川 正治君         課長         林野庁林政部林 郡  完治君         産課長         通商産業省産業         政策局物価対策 山木 康孝君         課長         運輸省航空局監         理部航空事業課 辻  通明君         長         建設大臣官房地 峰久 幸義君         方厚生課長         建設省住宅局民 石井 正弘君         間住宅課長         特別委員会第二 田中 宗孝君         調査室長     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 戸田菊雄

    戸田委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林興起君。
  3. 小林興起

    小林(興)委員 それでは、御指名いただきましたので、質問に入らせていただきます。  最近の物価動向というのは何となく落ちついているような感があるわけでありますが、しかし最近、新聞等で見ておりますと、いわゆる円高が大分進んでいるわけでございます。けさの新聞の報ずるところによりますと、昨日は東京外国為替市場におきまして、ついに百十三円八十二銭だったというふうに記録されているわけであります。このような戦後最高の円高になっているわけでありますけれども、この結果、これがいわゆる消費者物価等に与える影響かなりのものがあろうかと推測されるわけでありますが、これについていかがでしょうか。
  4. 船田元

    船田国務大臣 小林委員の御指摘円相場円高進展消費者物価に与える影響はどうだろうか、こういう御質問だったと思いますけれども円相場については、やはりその推移を今後とも注意深く見守っていかなければいけないなというふうに感じておりますが、一般に言いますと、円高進展というのは、輸入される原材料あるいは製品としての輸入、その面の価格低下、そういったことを通じて物価の安定に寄与するものというふうに一般的には考えられると思います。  具体的にその円高物価にどの程度影響を与えるのかということでございまして、これは平成三年度の産業連関表を用いて連関表を動かしますと、例えば輸入原材料価格低下を通じたコスト面からの効果というのが一つある。それともう一つは、消費者物価の場合は、最終の製品である製品輸入、そういったことを通じた効果、この二つの効果が合わさって出てくるわけですね。そして、円レートが例えば一〇%上昇いたしますと、またその水準が長期間にわたって持続をするということになりますと、消費者物価は約一%程度下落をする、理論的にはこういう計算になるということでございます。  ただし、実際の物価動向というのは円レート以外にもさまざまな要因影響を受けるために、必ずしもこの試算どおり物価が下がるとは限らないという点には留意をする必要があると思いますし、それから実際の円高効果の波及ということについてはタイムラグがございますので、そのこともやはり考慮をしなければいけない。一般的に言うと、消費者物価に与える影響タイムラグというのは、その円高が現出をしてから大体半年あるいは一年半程度の間でその効果があらわれる、このように私どもは理解をしております。
  5. 小林興起

    小林(興)委員 原材料を大量に輸入等をしている場合には、当然、円高が進みますと、それによってそういう輸入している業者等に対していわゆる円高差益なるものが発生するわけであります。ある試算によりますれば、例えば一〇%円高になってそれが一年間も続けば、我が国全体の円高差益は一兆九千億、二兆円近い数字にもなるというような試算もあるわけでありますが、そういうことを考えますと、今具体的にどの程度円高差益が発生しているか、何か数字としてつかんでいるものがおありでしょうか。
  6. 小林惇

    小林政府委員 ただいま委員指摘の一兆九千億円という数字につきましては、某有力紙が先般報じたものでございますけれども、その前提とするところは、平成四年の通関輸入総額二千三百二十億ドルというものを前提といたしまして、委員指摘の十円の円高という局面が生じますと円高メリットが一兆九千億円程度になるという前提になってございます。  この数字にはいろいろな前提があるわけで、特に輸入の中に占めるドル建て輸入の割合でございますとか、それから当然のことでございますけれども国民経済全体としての円高のデメリットというようなものの差し引きをやってございませんけれどもドル建て輸入の比率を八三%と前提をし、十円の幅で円高になった場合には一兆九千億円程度円高メリットが生ずることになるという試算は、当たっておるというふうに思っております。  経済企画庁といたしましては、大臣からも御答弁申し上げましたように、為替レート推移を注意深く見守って、円高が定着した場合にはそのメリット物価に浸透していくことが重要であるというふうに考えており、その方向で行動をしたいというふうに考えております。
  7. 小林興起

    小林(興)委員 十円なり十五円なり、そういう円高、ここのところそのぐらいになっていると思われるわけでありますが、そういう具体的な円高差益還元してくれという要望が国民からもなされていると思うのですけれども政府として何か、今回の急速な円高に対して、円高差益が出たときにこれを還元していくような具体的な施策はお持ちでしょうか。
  8. 小林惇

    小林政府委員 ただいまの円高差益還元のための具体的施策いかんということでございますけれども、先ほども答弁申し上げましたように、円高効果我が国経済の各分野に円滑に浸透させ、物価の安定を図ることにより、国民円高メリットを十分かつ速やかに享受し得る状況を醸成するということが重要だというふうに考えてございます。  特に経済企画庁においては、現在、輸入品月ごと小売価格の迅速な把握分析に努めておりますほか、消費者あるいは企業に対するアンケート調査をスタートし、また、輸入品価格動向に関する調査を全般的に実施をしておるところでございます。これらの調査に並行いたしまして、地方公共団体物価関係の部署がございますので、輸入関連品目について、前回の円高のときに使った手法ではありますけれども店頭価格調査、監視というものもあわせ行ってまいりたいというふうに考えてございます。
  9. 小林興起

    小林(興)委員 町に出ましていろいろな国民の皆さんのお話を伺いますと、今物価一般的に高いから何とかしろというような声よりは、例えば円高差益についても、もちろん物価還元されればそれはそれでうれしいことでしょうけれども、むしろ少し景気対策に充てて景気をよくしてくれというような声の方も強いなという感じもするわけでありまして、そういう意味では物価問題は今のところ安定しているのかなという思いもするわけでありますが、せっかくの物価対策委員会でございますので、町の中から私が少し拾ってまいりました、ここのところ少し物価が安くなればいいんじゃないかというような町の人たちの声を紹介させていただいて、これから御答弁をいただきたいと思います。  さて、その中にこういう声がありました。最近は、随分海外に行かれて生活をしている人も多いわけでありますが、観光等を含めて旅行等外国へ行ってくる人も大変多いわけであります。そういう方々が外国に出てみて日本と物の値段を比較する中で、何か外国は随分安いのではないかというようなものを幾つか発表いたしますと、なぜ日本では値段は高いのだろうかというような質問になってくるわけであります。これを内外価格差とでも言うのかもしれませんけれども、そういうものが時々はこれまでもこの委員会でも多分指摘をされてきたと思うわけであります。  そういう外国と極端に違うような物価等につきまして、それを是正できないのかという声がたびたび取り上げられて大きな政策課題となってきたわけでありますが、こういうかつてこの委員会で取り上げられたようなものについて、その後内外価格差というのは順調に是正されてきているのか、あるいはさらに一層そういう格差は拡大されているのでしょうか、そういうことについて一言お聞きしたいと思います。
  10. 小林惇

    小林政府委員 委員指摘内外価格差状況でございますけれども経済企画庁実施しております生計費全体の内外価格差実態調査をやっておりますけれども東京物価水準ニューヨーク、ハンブルク、ロンドンパリ等と比較してございますけれども、それらのいずれに比較いたしましても、東京物価水準は割高になっておるという実態になってございます。  内外価格差の生じた原因は、諸原因ございますけれども要因として、輸入制限などの公的規制存在、あるいは流通段階での競争阻害的要因存在、それから消費者ブランド志向、あるいは高い地価等が考えられておるわけでございます。それらに対しまして種々の手を打っておりまして、昭和六十三年に調査を開始した内外生計費調査でございますけれども、例えばニューヨークと比較いたしますと、昭和六十二年には一・四倍であったものが昨年平成四年には一・三倍ということで、わずかではございますけれども縮小しておる、こういう状況でございます。
  11. 小林興起

    小林(興)委員 一般的な傾向としては、内外価格差も縮小しているということで大変結構なことではないかと思われるわけであります。ただ、個々の具体的なものにつきましては随分価格差があるなというふうに町の声として、国民の声として指摘されているものも引き続きございますので、そういうものについて、またこれから御質問申し上げることについて御答弁をいただきたいと思います。  一つは、これも海外旅行なんかに行くときにわかると言われているわけでありますが、日本からどこかの国へ行くと当然航空運賃を払うわけであります。ところが、帰りに向こうから今度は日本向けに、東京向けに買ったときに、もちろん向こうで買うときはドルで買う、こちらで買うときは円で買うということで、円とドルとの換算のいわゆるレートの問題もあるのでしょうけれども、何かそれを超えて、向こうから買うと随分航空運賃が安いような気がするという声がしばしば聞かれるわけでありますが、そういう実態はおありなのでしょうか。また、あるとすれば、なぜそれは是正できないのかということについて御質問させていただきます。
  12. 辻通明

    辻説明員 御答弁させていただきます。  今先生指摘なさいました国際航空運賃方向別格差という問題でございますが、昭和六十年以降の円高によりまして日本発運賃外国発運賃との間に大きな格差が生じてきたことはございます。そのため、その後これを解消するために日本発運賃を値下げするようにその是正を指導する等の措置を講じました結果、最近におきましては相当程度その格差が縮小してございます。方向別格差は着実に改善されてきているというふうに私どもは考えておるところでございます。  具体的に申し上げますと、円高が発生する前の昭和六十年一月一日現在の、例えばロンドン行きの運賃ロンドン発運賃を一〇〇といたしますと、ことしの一月一日現在、その日本発運賃ロンドン行きでは二三%、それからパリ行きでは同じく二三%の値下げの状態になっておりまして、方向別格差指数かなり改善されてございます。
  13. 小林興起

    小林(興)委員 できるだけどちらで買っても同じだというふうに是正をしていっていただきたいと思います。  それから、時間の関係もございますのであと幾つか御質問を続けさせていただきたいと思いますが、そういうパリロンドンに今度飛行機に乗って行った。向こうでいろいろなものを売っているわけであります。御婦人の好きなハンドバッグにしろ皮製品、いろいろなものがあるわけでありますが、そういうお土産を買った。それで、日本の例えはデパートなんかへ行ってみたら、同じものがあるというふうに見たときに、あれ、パリロンドンで買ったのに比べて、円レートで換算してみても何か高いのじゃないか、日本で買うと割高ではないかというような感じ輸入ブランド品と言われているものの内外価格差というものもあると言われているわけですが、これについてはいかがでしょう。
  14. 山木康孝

    山木説明員 先生指摘輸入ブランド品を含む主要消費財につきまして、通産省では毎年一回以上内外価格差実態について調査をしておるところでございます。全体といたしましては、内外価格差状況というのは改善傾向にあるというふうに見ておりますけれども先生指摘のように、一部の輸入品また一部の輸出品について日本の方が高いという状況があることは事実でございます。  これらの価格差背景といたしましては、我が国消費者高級品志向という問題、それからそういう消費者購買形態背景といたします供給側価格設定の問題、それから日本流通の問題、高い地価に伴う問題等が複雑に絡み合って形成されているものというふうに考えておるところでございます。  こういう価格差の問題につきましては、通産省といたしまして、内外価格調査の継続的な実施、それからそういう調査結果の消費者産業界への影響、それから大店法を改正いたしまして、より開かれた流通システムを実現するというような対策をこれまで取り組んできたところでございますけれども、なお先生指摘のように一部の輸出品輸入品につきまして内外価格差があることにもかんがみまして、今般、大幅な内外価格差の認められる一部の消費財につきましては、その価格差要因について実態をまとめて、ことしの六月の末ごろを目途にその取りまとめたものを公表することを考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、通産省といたしましては、内外価格差是正に積極的に取り組んでまいる所存でございます。  以上でございます。
  15. 小林興起

    小林(興)委員 では、そういうことで頑張ってください。  次に、これは林野庁ですからょっと輸入木材の件について御質問させていただきたいと思います。  これも最近家を建てた友人から話を聞いたわけでありますが、これまで日本木材外国に比べて少し割高であったということで、輸入材を使えば少し安い材木が手に入る、こういうふうに言われてきたというのですけれども、最近非常に輸入物も高くなってきまして、高い材木を使わされた。そこの材木屋だけが高いのかと思って話を聞いてみると、非常に輸入木材が高騰している。もう安い材木なんかないんだよ、こういう話だそうであります。ということになりますと、我が国住宅の大きな根幹をなす材木というものが安く手に入りにくくなってくるということにもつながりかねないわけでありますが、本当に輸入木材というのは今大変暴騰しているのでしょうか。
  16. 郡完治

    郡説明員 お答えいたします。  今回の木材価格上昇でございますけれども、これはアメリカとかマレーシアなどの主要な木材輸出国におきます自然保護運動でございますとか資源的な制約、こういった要因によりまして外材供給量が減少しまして、産地価格がまず高騰いたしております。この結果、国内に入ってきました外材、特に合板でございますとか米材の製品、こういった外材価格上昇したわけでございます。一方、国産材価格は、これらの外材のような急激な上昇はまだしていないというような状況にございます。  林野庁といたしましては、従来から日本木材総合情報センター中心といたしまして、外材産地動向につきまして情報を収集しまして、木材関係業者等にこの情報を提供しております。それから、四半期ごと主要木材需給見通しを作成いたしましてこれを公表するというふうなことで、木材需給価格の安定を図っているところでございます。  それから、今回、外材合板価格上昇に対処をいたしますために、先般は緊急にユーザー、生産者流通、こういった関係団体から幅広く木材需給動向につきまして事情聴取を行い、団体ごと需給安定対策を協議したというところでございます。
  17. 小林興起

    小林(興)委員 重ねてちょっと質問させていただきたいのですが、日本でも非常に大事な木材、そういう業界に対して農林省林野庁としてはやはりかなり助成というものをしているわけでありますが、国民から見ますと、どっちみち国内材木だけでは足りない、輸入していかなければならないという事態になっていることは、また事実であります。  そういう意味からいいますと、外国木材をつくっているところ、そういう場所に対して日本向けのいい材木を安く入れるために、例えばその外国政府とか業界等に対して何らかの形で助成をしている、援助をしている、それによって援助をしていい材木日本に持ってくるという方策というのは今政府としてはとっているのでしょうか。
  18. 郡完治

    郡説明員 お答えいたします。  外国につきましては、基本的には、林野庁といたしましては直接的な援助等は行っておりません。情報収集を主体として対応しているわけでありますけれども、こういった資源的な制約というのが外国の各産地で顕著になってきておりますので、ただいまのところ、林野庁としては、基本的には国内森林資源が徐々に生育しつつありますので、こちらを積極的に活用していくという方向で、林業生産基盤整備でございますとか林業事業体体質強化、こういった国内林業生産面対策を強化いたしますとともに、国内材流通加工過程改善を通じまして国産材を低コストで安定的に供給する、こういった体制整備に努めているところでございます。
  19. 小林興起

    小林(興)委員 そうすると、お話を伺っていますと、多少輸入木材が高騰しているのは、それが安い方がいいという考え方に立ては遺憾なことではあろうけれども、その間に日本木材を安く出せるようにそういう体制をとって、そしてやや割高と言われていた材木を少しでも安くすれば十分に輸入木材価格的に競争できるような、そういうより多くの材木日本国内から出てくるということによって国内木材業を発展させていこう、そういう考えに立っておられる、こういうことでしょうか。
  20. 郡完治

    郡説明員 ただいま委員指摘のとおりでございます。外材につきましては、引き続き情報収集等中心にいたしまして安定的な供給のための体制整備いたしますけれども、今後基本的には国産材安定供給体制整備ということに力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  21. 小林興起

    小林(興)委員 余り輸入木材が高騰して、その結果それが住宅等コスト悪影響を及ぼすことになってまいりますと、今住環境の整備生活大国の実現という中にはとにかく住宅というのが大きな問題でありますから、そのコスト全体に悪影響を及ぼすというところに至ってはいけないというふうに考えられるわけです。今お話がありましたように、農林省として外国のことはなかなか言いにくいでしょうから、できるだけ国内材木値段を下げるように環境整備をしていただいて、そして国内材木でもって安くていい家が建てられるというような方向でひとつ頑張っていただきたいと思います。  大分残りの時間が少なくなってまいりましたので、今話が出ました住宅の問題について、少し建設省の方からお話を伺いたいと思います。  最近、いろいろな対策もこれありまして、バブルが崩壊したこともあるのでしょう。大分土地値段が、いわゆる地価が下がってきているということがあるわけであります。それもかなり程度下落傾向にある。物の値段の中で今一番下がっているのは、政治家の価値と土地値段がなというふうに言われて、これは政治家の方としてはやはり恥じなければいかぬと思うわけであります。こちらはよくないことでありますが、しかし土地値段が少し下がるというのは、これまで上がり過ぎましたから、国民一般としてはこれはいいことではないかというふうに言われていると思うわけであります。  そこで、最近の地価下落傾向について、具体的な数字をお持ちでしょうか。
  22. 石井正弘

    石井説明員 私は直接地価の担当ではないのでございますが、公示価格の年別の変動率を見ましても、平成四年が東京圏で九・一%の価格下落傾向にあり、また平成五年度は一四・六%の下落という数字が出ております。
  23. 小林興起

    小林(興)委員 そういうことになりますと、当然、土地を買うという人はその分だれが見ても安く買えるということは明らかであります。しかし、これから買おうという人ではなくて既に住んでいる人、中でも大都市、私の選挙区は東京でありますが、東京に大勢住んでいる人の場合は、随分いろいろなマンションやいわゆるアパートを借りて住んでいるわけであります。  そういうときに、周りの土地が下がったならば、今まで土地が上がるたびにそういう理由で家賃を上げられてきたような人たちは、じゃ土地値段が下がったのなら家賃を下げてもらえないか、こういう話があるわけでありますが、この土地下落傾向家賃に及ぼす影響について、建設省としては把握をしておられますか。
  24. 石井正弘

    石井説明員 民間賃貸住宅家賃状況につきましては、最近下落傾向にあることが民間調査からうかがい知れるところでございます。  例えばリクルートの調査によりますと、首都圏賃貸マンション坪当たり賃料が、本年二月時点で前年同月比一一・二%の城となっているところでございます。またアットホームという株式会社の調査によりますと、首都圏平均賃料ピーク時から一八・二%下落しておりまして、特に東京二十三区の新築アパートを見ますと、ピーク時より二七・九%と非常に大幅に下落しているということでございますが、今の地価下落傾向とある程度対応関係になって下がっているのではないかというふうに推測しております。
  25. 小林興起

    小林(興)委員 この家賃との問題についてもう少し突っ込んで御質問させていただきたいと思っていたのですが、持ち時間がなくなったようで、大変残念でございます。  最後に、きょういろいろと質問させていただきましたことについて、せっかくきょうは大臣がお越してございますから、大臣の所感を伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  26. 船田元

    船田国務大臣 ただいま小林委員から、円高差益還元の問題、そして内外価格差是正の問題、市民の声なども紹介していただきまして、大変参考にさせていただきます。  特に、この円高差益についても、また内外価格差の問題についても、一つはそれを政府として速やかに、あるいは力を込めて行うということによって、そのことが物価の安定ということにも当然資するものであると考えておりますし、また物価の長期的な安定ということは、景気の面においても、あるいは景気の回復の手段の上においても極めて有効な手段であるというふうに思っております。  さらに、特に内外価格差のことにつきましては、御承知のように昨年の六月に策定させていただきました「生活大国五か年計画」の中でも、内外価格差是正ということがひいては豊かさを実感できる社会をつくるための大きな手だてということにもなっているわけでございまして、そういう大所高所からの観点からの内外価格差是正ということも政策課題としては極めて重要である、こういう認識に立っております。  先ほど来御指摘あるいは御紹介いただいた点、十分に参考にしながら今後の政策運営において努力していきたい、このように思っておりますので、引き続き御協力のほどお願いいたしたいと思います。
  27. 小林興起

    小林(興)委員 これで終わります。  ありがとうございました。
  28. 戸田菊雄

  29. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公明党の大野由利子でございます。初めて船田経済企画庁長官に質問させていただきます。よろしくお願いします。  初めに、景気指標について伺いたいと思います。  今までは暗いデータばかりが目立った景気指標ですが、景気の回復を予想させるような明るい指標が今幾つか出てきております。景気動向指数とか産業用大口電力使用量とか新車登録台数、また最終需要財出荷量等々に、春の訪れとともに幾らか明るい兆しが出てきているわけですけれども、依然、個人消費とか設備投資というGNPの四分の三を占めるこれらのものが大変マイナス成長、そういう状況でございます。また、企業倒産も今不況型倒産が大変ふえてまいりまして、間もなく不況型倒産が全体の倒産の六〇%を占めるという、危険水準を大変超える状況になってまいりまして、企業内失業者も百万人に達している、そのように言われております。不況がこのままさらに進みますと、我が国がかつて経験したことのないような戦後最悪の事態を招くということも考えられるわけです。また、ここへ来て円が急騰している、そういう状況がございます。  経済企画庁長官は、今後の景気の見通しをどのように見ていらっしゃるのか。円高はどのような影響を与えるのか。景気は底入れに向かうのか、底入れなのか、また底割れするのか、二度底に向かうのか、その辺の長官の御見解を伺いたいと思います。
  30. 船田元

    船田国務大臣 大野委員から、幾つかの景気の現状と若干の見通しについての御質問をいただいたわけでございます。  先日、宮澤総理大臣が日商の会合におきまして、若干ではあるけれども、種々の経済指標を見ると少し明るい兆しが見えてきたという御指摘をいただいたわけでありますが、私も、これまでいろいろな種々の経済指標を見まして、例えば各企業のDI、先行きの見通しなど、あるいは電力使用量、自動車の新規登録台数の伸び、マネーサプライの量、そういうやや先行的な指標については、若干ではありますけれども、確かに明るい兆しが幾つかの指標において見受けられるというふうに感じております。しかしながら、経済の六割、七割を占めております個人消費、そして民間の設備投資、この二つの指標につきましては、個人消費については伸びの低迷がなお続いておりますし、さらには民間設備投資もマイナスの状況がまだずっと続いているということでございまして、そのことも考えますと底入れをしたという状況にはまだなっていないと思っておりますし、今後の推移をさらに注意して見守っていかなければいけないというふうに考えておるわけであります。  それから、円高影響ということでございます。円高影響はもちろんプラス、マイナス両方の効果がございまして、輸出関連産業はマイナスの影響が出まずし、また先ほどの小林委員の御質問にもありましたように、円高メリットということでその差益還元がきちんと行われていくのであれば景気にはいい影響を与えるという、両面あるわけでありますけれども、現状としては、この円高傾向が今後どこまで進展するのか、あるいは現在の状態が維持されていくのかという先行きについて見通しがまだまだつかないという状況があります。そういうことでございますので、円高影響が今直ちにプラスなのかマイナスなのかということはお答えできる状況にはないわけでありますが、今後とも、円の相場の動きというものには十分注意して、機動的に対応していきたいというふうに思っておるわけでございます。  私どもとしては、昨年八月の総合経済対策効果が現状において経済の実態に少しずついい影響を与え始めておりますし、さらには先般、平成五年度の予算が成立いたしましたので、これも一日も早く執行を行いたいということで今作業を急いでいる状況でございます。さらには、現状におきまして、四月の中旬をめどといたしましての総合的な経済対策、追加の対策ということについても今検討を続けている状況でございまして、こういった対策もきちんと行うということであれば、私は、年度の後半には明るい回復の状況というものほかなり目に見えて出てくるのではないか、こういうことを目指して今必死の努力をしている最中でございます。
  31. 大野由利子

    ○大野(由)委員 九二年度の実質経済成長率について伺いたいと思うのです。  ことし一月二十二日の施政方針演説の中で経企庁長官は、平成四年度の実質経済成長率は一・六%程度、そのようにおっしゃったわけでございますが、この目標を達成するには一月から三月期に前期比三・一四%、年率で一二%を上回る成長が必要になるということで、これはとても無理じゃないか、下方修正する必要があるのじゃないかと思いますけれども、どの程度になると思われているのかということについて伺いたいと思います。
  32. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。先生指摘のように、昨年十二月に、平成四年度の実績見込みにつきまして、一・六%という実質GNPの成長率を示し、御決定いただいたところでございます。その後、三月にGNP統計が公表されまして、昨年の十—十二月期の成長率が前期比〇・一%ということでございまして、これは循環的な要因のほかに資産価格下落等もありまして、国内民間内需を中心かなり低迷している、そういう状況を反映したものと受けとめております。  申すまでもなく、年初から八月の総合経済対策効果が浸透してくるということもあるわけでありまして、公共投資と相まって民間住宅投資が景気を牽引するということがあるにいたしましても、平成四年度の成長率が全体としてどうなるかという点につきましては、一—三月一・六%になりますためには前期比三・一四%、このような高い伸びでなければならないということもまた御指摘のとおりでございます。しかしながら、一—三月期のQEがどのような姿になるかということにつきましては、これはQEの発表を待つべきものである、このように考えておりまして、現段階で確たることは申し上げられないわけであります。  しかしながら、そのような状況からいたしますと、実績見込みであります一・六%の達成という点につきましては、これは容易ではない、かなり厳しい状況にあるというふうに認識しておりますことを率直に申し上げなければならないと思っております。
  33. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ちゃんとしたデータは少し待つしか仕方がないと思いますが、下方修正せざるを得ないという認識を持っていらっしゃる、そのように受けとめてよろしいでしょうか。
  34. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 かなり厳しい状況にあるという認識を私ども持っておりますけれども、四年度の成長率が全体としてどのような姿になりますか、この点につきましては、やはり一—三月のGNP統計速報が出る、このことを待つということではないかと考えておりまして、現時点でこれについての修正というようなことにつきましては念頭にないというふうに申し上げさせていただきたいと思います。
  35. 大野由利子

    ○大野(由)委員 非常に建前の論議で、国会だから仕方がないのかなと思いますが、もう少しここは腹を割った本音の論議がなされないと、何のために国会審議をしているのか意味がないんじゃないか。こういう国会論議なら、やる必要ないのじゃないかと思いますが、経企庁長官に最後に本音の本音のところを、もう一月—三月までは大体データが出そろっているわけですから、大体の予測は、きちっとした数はもちろん言えないのはわかりますが、一・六%が可能かどうかということぐらいは、経企庁長官、当然判断がつくはずなのですね。これもつかないようなら、経企庁長官のいる意味をなさないのじゃないか。非常に厳しい発言かもしれませんが。長官の御見解を伺いたいと思います。
  36. 船田元

    船田国務大臣 確かに、非常に厳しい御指摘をいただきました。  今、調整局長からお話をしたところでございますけれども、確かに四年度全体での成長率について当初は三・五%という見通しを昨年出させていただきました。必死に努力をしてきたつもりでございますけれども、昨年末に実績見込みということでは一・六%に下方修正せざるを得なかったという状況でございました。  先日、三月の中旬でございましたか、十—十二月期のQEを出させていただいたときには○・一%の成長率、こういうことでございまして、そういたしますと、御指摘のように一—三月に全体で一・六%の成長率を達成するためには三・一四%程度の、あるいはそれ以上の四半期での成長率を見ないとなかなか達成が難しい、こういう理屈になっているわけでございまして、現状として、確かに昨年八月の総合経済対策効果、これが年初から徐々にではありますけれども出始めている。また、私どもとしては、できる限りその執行に当たりまして簡素化を行う、手続をなるべく簡素化して、できる限り早くこの公共事業を中心とした執行が行われるようにということで、必死の努力をさせていただいたつもりでございます。しかしながら、そういう努力にもかかわらず、この一・六%という年度全体の成長率達成というのはかなり厳しいなということを率直に私としても認めざるを得ない。  ただし、現時点でその下方修正をするのかどうか、こういう点につきましては、なお私どもとして一—三月の数字がどういう状況になるのか。これは大変数多くの指標を集めて、そして計算をしなければいけませんので、現段階でどうも難しいという話から修正せざるを得ないという、そこまでの話にはなかなかいきつかないというふうに考えております。  それから、十—十二月期のQEにつきましても、あくまでこれは速報値ということでお示しをしたわけでございまして、今後さらに精査を行った上で、もちろんこの修正があるかもしれないという状況でもありますから、そういうことも考えますと、なお私どもとしてはこの指標の取りまとめということに若干の時間をいただいて、その状況を見きわめながら今後適切に対応していきたい。その辺で御勘弁をいただければ大変ありがたい。しかし、厳しいという状況については率直に認めざるを得ないということを申し上げたいと思っております。
  37. 大野由利子

    ○大野(由)委員 宮澤内閣は、経済の宮澤と言われて非常に経済に強い内閣、そのように言われていたわけですけれども、今回の不況を単なる循環型不況のような認識で、資産デフレまた債務デフレを伴った複合型不況である、そういう認識が非常におくれたのではないか。そういうことを予算委員会等の質疑におきましても、政府は複合不況での不況対策がおくれたということを実質認めていらっしゃるわけですけれども、こうした経企庁を初めとする政府の判断ミス、何度も繰り返しているわけですね。  これは一体何が原因でこういう判断ミス——今も答弁を聞いておりますと、率直なお答えが余り出てこないな。こういうことが繰り返されると、国民政府の経企庁の話は信用できない、割り引きして聞かなければいけない、政府景気判断は全く当てにならないというようなものが定着してくるのじゃないかな。そういう不信感みたいなものの方がこわいのじゃないか、私はそのように思うのですが、そういう判断ミスというのは何が原因なのかその辺と今の質問にお答えいただきたいと思います。
  38. 土志田征一

    ○土志田政府委員 景気の現状認識についての御質問でございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。  私どもは、現状認識につきましては、毎月月例経済報告ということで現状の認識を示してございます。これは、その時点ではできる限りの資料を集めて分析すると同時に、いろいろな産業界からヒアリングもしたり、経営者の方の御意見も参考にしてまとめているわけでございます。判断自身といたしましては、経済情勢の変化を見て、それに対応してその都度判断を変えてきておりまして、その時点では最良の判断をするように努めてきたつもりでございます。  ただ、実際の判断につきましては、先ほど委員指摘のように、今回の調整過程が一つはいわば大型設備投資のブームがあると思うのですね。ストック調整あるいは在庫調整というような要因と同時に、いわゆる資産価格下落、バブルの崩壊というものが経済に与えた側面があるわけでございますが、私どもの反省としては、この後者の点につきまして今回初めての経験であるというようなこともありまして、その影響の見方が十分ではなかったというふうに反省をしているところでございます。
  39. 大野由利子

    ○大野(由)委員 九三年度は実質経済成長率三・三%という数字を掲げていらっしゃるわけですが、これも私は早目にきちんともう一回下方修正をする必要があるのじゃないか。今までの経済運営への不信、政府、経企庁に対する国民の皆さんの不信というものを今後どのように改善していこうとされているのかについてお答えいただきたいと思います。
  40. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 平成五年度の政府経済見通しにつきましては、三・三%ということで政府としての御決定をいただいているところでございます。  昨年八月の総合経済対策が決定されました後、昨年の暮れに補正予算が成立いたしまして、これが年初から本格的に動いてきておりますし、そしてまた先般は、平成五年度の予算が年度内に成立をいたしまして、これが年度当初から動いていく。国・地方を通じまして、景気かなり配慮した予算であると理解をいたしておりますが、このようにして今年度、年度当初からこれらが効果として相重なりまして、経済に好ましい影響を与えていくというふうに考えているところでございます。  そういう中で、公共投資が景気を牽引しながら、既に回復の動きが見られます民間住宅投資と相まちまして景気を支えていく。そういう中で徐々に、いわば経済の横綱ともいうべき個人消費なりあるいは民間設備投資も回復に向かっていくという動きではないかと考えております。そういう中にありまして、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、種々の経済指標を見ますと、一部に明るい兆しを示す、そういう動きも徐々に出てきているところではございますけれども景気の現状、まだ予断を許さない。そのような状況にあるわけでありますので、この景気の足取りを今後確かなものにしていくためにも、四月の中旬にも総合的な経済対策を取りまとめる、このようなことになっているというふうに理解をいたしております。  そういう中にありまして、昨年度の補正予算、平成五年度の予算、そして今後策定されます総合経済対策というものに支えられまして、インフレのない持続可能な成長経路へ徐々に移行していく。そういう中で、政府見通しとしてお示しをいたしております平成五年度の三・三%という実質成長率に沿った推移というものが平成五年度につきまして可能になるのではないか、このように考えております。
  41. 大野由利子

    ○大野(由)委員 不況といえば暗い面ばかり強調されるわけですが、中にはいい面もあるのではないか。大量生産、大量消費、また大量廃棄、そうした生活スタイルというものが果たしてよかったのかどうかということを見直す一つの大きなきっかけにもなったのじゃないか。  この冬、大変なべとかみそとかがよく売れて、家族団らんがふえた、そういう情報もございますし、また、いろいろ地球環境を守っていくためにもエネルギー消費を抑えた簡素な生活スタイルがこれから必要なんじゃないか。そのようなことも非常に指摘をされているわけでございますが、不況を克服していくとともに、こうして気がついたものはしっかりと、ある面ではライフスタイルを私たちの生活の中で定着させていかなければいけない。不況を克服して、再びすべてが前のように戻っていったのでは意味がないと思うわけですが、その点についての御見解、また、どういう努力がなされねばならないと思っていらっしゃるかについて伺いたいと思います。
  42. 田中章介

    田中(章)政府委員 御指摘の点でございますが、ただいま政府は中長期の経済運営の指針としまして「生活大国五か年計画」を昨年六月に策定しております。その中にも直接触れている点でございますが、現在の国民経済の目標、ただいま御指摘のあったように大量生産、大量消費、そういう観点から、より直接的に生活の質の向上につながる、こういうところに目標を移しかえております。そういう中でいろいろ努力がなされるわけでございますが、政府は当然生活大国づくりのための環境整備を進める、これが必要でございますし、また企業なり個人でも、意識の面でただいまおっしゃいましたような大量生産、大量消費でなくて生活の質向上につながる、そういう変革が大事であるというふうに考えておりまして、現在景気が非常に厳しいということで経済情勢が厳しいわけでございますが、むしろそれを変革のための契機として考えるということがまた大事でありまして、そういう中で経済成長の中身、あるいはそういった点につきまして、むしろ生活の向上につながるようにつなげていく、こういうことが非常に大事である。  具体的には、生活者が豊かさと同時にゆとりを感じなければいけない、実感できなければいけないということで、労働時間の短縮、これが千八百時間の具体的目標に向かいまして、既に過労働四十時間制の現行の労基法の改正、こういった部門も関係しておりますし、そのほかにも住宅取得が年収の五倍で取得できるという点で住宅対策も行っておりますし、また、中でも社会資本整備ということが重要なわけでございまして、これも具体的なわかりやすい目標を掲げまして、その整備に努力を続ける、こういう状況でございます。
  43. 大野由利子

    ○大野(由)委員 「生活大国五か年計画」というものを発表していらっしゃるわけですけれども生活関連に重点を置く。本当にまさに大事なことではないかと思うのですが、政府は九一年度予算から生活関連重点化枠というものをずっと別枠でまとめていらっしゃる、創設されたわけですが、今年度の予算におきましても、住宅、下水道等の生活関連枠というものが公共事業費予算全体のせいぜい二%程度だ。生活関連枠を創設する前に比べてせいぜい〇・一から〇・二ポイントふえただけ。ほとんど余り変わっていないのではないか。お題目ばかり、生活大国を目指すと言われているけれども、実際の中身、予算を見てみますと、生活大国を目指す、そういう予算案になっていないのではないか、そのように思うわけですが、いかがでしょうか。見解を伺いたいと思います。
  44. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、公共事業の中で、いわば生活開運に直接かかわるもののシェアが低いという状況はあろうかと思いますけれども政府が決定いたしました公共投資基本計画によりましても、生活環境・文化機能に対する支出割合を九〇年代には高めていこうということでありまして、そのような方向のもとに、ただいま御指摘賜りましたような生活開運枠というような工夫を加えてそういう分野を重点化していく、このようなことでございまして、単年度で比較をいたしますと、確かにそのシェアの変化というものはそう大きいものではないかもしれませんけれども、ある程度の期間をとってみますと、方向としてそのような生活環境・文化機能への重点化ということが投資配分の上でも徐々に進んでいる、私どもこのように認識しているところでございますが、さらに「生活大国五か年計画」をも踏まえまして、そのような方向に向かっての資源配分、投資配分というものをさらに強めていくということは、大変重要な御指摘だと私ども考えております。
  45. 大野由利子

    ○大野(由)委員 十三日でしょうか、景気対策の追加の大型の景気対策を発表されるということなんですが、非常に史上最高のものになるというような報道がなされております。どの程度の規模になるのかということ。それから、新社会資本整備を重視していくということで、この新社会資本整備、私非常にいいネーミングだなというふうに思います。また中身も、社会福祉施設の建設だとか国立医療機関の高度医療機械の導入とか情報通信設備の整備とか、報道によりますとこういうことにしっかり配分をしていくということで、私は非常に大事なことだと思うのです。  ただ、小中学校向けの教育パソコン等々は、耐用年数が六年くらいしかないからこの中には入らない、そういう方針であるという報道がされているわけです。確かに教育用パソコンというのは耐用年数が短いかもしれませんが、そこで学ぶ小学生、中学生というのはその後何十年も社会で活躍するわけですから、私は、物にのみ配分をするのがおかしいのじゃないか。この新社会資本というものに人的資本というものも当然入れるべきじゃないか。これから何十年と活躍する人の人材育成というようなことも、これは大変な長期のものであって、その場の消費財に使ってしまうというものはともかくとして、こういう人的資本にも当然割り振りを充てるべきではないか、そのように思うわけですが、御見解を伺いたいと思います。
  46. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいま先生から、二点についての御質問をいただいたと思います。  第一点は、今回四月の中旬に取りまとめが予定されております対策の規模に関してだと思います。これにつきましては、景気の足取りを確実なものとし、そして多方面にわたって景気回復が浸透していく、そういう趣旨のものでございますので、そのような観点からいたしますと、規模という点に関しましては、まさに我が国経済が内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路に円滑に移行していく。そういう観点から、必要にして十分なものであるかどうかということが重要だと考えておりまして、そのような考え方に立って規模というものについても考えていくことが重要だと思われるわけであります。  具体的な対策の規模という点につきましては、現在、その必要性でありますとか可能性でありますとか、そういう点から幅広く検討を進めているところでありまして、規模としてどのくらいということにつきましては、まだ確たることを申し上げられるべき段階ではない、このように申し上げなければならない状況かと思います。  それから、新社会資本整備について御言及を賜りました。この具体的な内容につきましては、現在、各省庁とも十分協議しながら、幅広い観点から検討を進めるというところでございます。新会社資本整備という名のもとにさまざまな施策が提案されているということは、私ども承知をいたしております。新社会資本整備という概念につきまして、これを短期間で整理することがどの程度可能なのかということにつきましては、なかなか難しい面もあろうかと思いますけれども、とりあえず私どもといたしましては、このような施策というものが全体といたしまして、一つには各方面に早期に景気の回復を実感させるものとなるかどうかという速効性と申しますか、波及の多様化と申しますか、こういうことがあるのではないかと思っております。  いま一つは、そのような言われておりますような施策というものが、真に経済社会のニーズに合致したものであるかどうか。言葉を変えて申しますと、生活大国づくりに資していく、そういうものであるかどうかということもまた重要な視点ではないかと考えておりまして、こういうような点から十分に検討し、整理し、そして対策の中にどのように盛り込むかということにつきまして、検討を進める必要があると考えております。  なお、パソコンというようなことについても御言及を賜りましたけれども、こういう点につきましては、それが政府の資本的な支出になじむかどうかというような視点も重要かと思いまして、こういうことも含めまして、これはまた財政支出の根幹のルールの変更にかかわる側面もあろうかと思いますけれども、これらの点につきましても、しばらくは議論の推移を見ながら全体としての整理がなされていく、このように考えております。
  47. 大野由利子

    ○大野(由)委員 私は、建設国債で何もかもやろうとするところにある面ではいろいろな無理があるのじゃないか。建設国債の枠をいろいろ広げていっても、おのずとある限度があるということで無理があるのじゃないか。財政法第四条で、国債の対象は国会でいろいろ審議をして定める、このように決められているわけでございますが、建設町債以外の新たな中長期の国債というものを考えていいのじゃないか。国債ですから、無制限な赤字国債というわけにもいかなくて、当然そこにはいろいろな管理政策というものが必要で、国債発行はGNP全体の一定割合以下にするというようなそうした歯どめは当然必要かと思いますが、建設国債だけでやろうとするところに無理があるのじゃないかな。これは所管は大蔵省かもしれませんが、私は経企庁の御見解を伺いたい、そのように思っております。
  48. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 現在、財政法第四条によりまして、いわば建設国債の対象経費は公共事業費、出資金、貸付金というようなことになっているかと思われるわけであります。  ただいま先生から提起されました問題は、大変重要な側面を持っているかと思われるわけでありますけれども、でありますがゆえに、短時日の間にそのような問題について十分整理できるのかということもあるわけでありまして、建設国債発行対象範囲の拡大というような提案に関しましては、中長期的な財政の健全性という観点、そういう観点も含めまして掘り下げた議論が必要ではないか、このようにも思われるわけであります。こういう点についての幅広い議論も見守りながら、重要な御指摘でありますがゆえに、私どもとしてもそういう点についても慎重に議論をさせていただきたいと考えております。
  49. 船田元

    船田国務大臣 今、調整局長から答弁させたわけでございますけれども、私の考えといいましょうか気持ちといたしまして、ちょっと前半のお話ですが、規模につきましては確かに宮澤総理からの御指示をいただきましたけれども、昨年の八月の総合経済対策の規模ということが総理の頭の中にはかなり存在をしているということでございまして、それと比べて遜色のない、あるいは匹敵する規模ということが、私直接には総理のお話はありませんでしたけれども、感触からしまして、どうもそのことが総理の頭の中に入っておられるのだろうなという感じでございます。私どもとしては、そのお気持ちというものを数字の上でもある程度あらわすべきではないかということで、現在積み上げをやらせていただいているという状況でございます。  それともう一つ、これは私から事務方に指示をした点がございまして、それは規模の上においてはもちろん、今のような基本的な考え方に従って数字を出してくるように、こういう指示をいたしましたが、同時に今回は、規模も大事だけれども、それ以上に中身が非常に大事である。その中身というのは、一つ景気の足取りをさらに確かにするためにより効率的な、効果的な対応ができるようにという観点。そして同時にもう一つは、先ほど来語が出ておりますように、生活大国に資するものでなければならないという観点も非常に大事である、こういうことで指示をさせていただきました。  その生活大国という中には、生活環境の問題、それから文化機能により重点を置いた公共投資、こういう観点も当然含まれるわけでございますけれども、そういう指示をさせていただいて、どこまでそれが具体化されるかどうか今まさに検討中でございますので、今後とも御理解をいただければというふうに思っております。  それから、教育用パソコンを初めとして、もう少し建設国債の発行対象範囲を広げるべきじゃないかあるいは条件を緩和すべきじゃないか、こういう御指摘もございました。確かに、従来からの議論の中で、どうしても土木系というものが公共事業の中心になってしまいまして、箱物、特に学校の教育関係の施設とか、社会福祉あるいは医療関係の施設、あるいは教育、研究用の施設、そういったものへの投資というのがやはり若干、公共事業ではあったけれども先がなかなか当たりにくかったという面が確かにあったのではないか。そういうものへのより重点的な配分ということも当然考えていかなければいけませんし、場合によっては施設あるいは施設と一体となった設備、大型装置みたいなものだと思いますけれども、そういうものへの投資ということも大事であろう。  しかしながら、単品でといいましょうか、施設とは若干離れた設備というものに対して、これを建設国債の対象にすることがどうだろうかという点については、なお議論をしなければいけない部分というのはまだまだあるのではないかなというふうに私は思っております。これはいろいろ耐用年数の問題、技術的な問題もあると思います。もしこういったものに建設国債が出せるという状況が出てきた場合には、これが要するに特例公債、赤字国債とどういう違いがあるのかという点について若干垣根がよくわからなくなる部分があるかと思います。そういうことも考えますと、これは早急に結論を出さなければいけないと思いますけれども、慎重な議論が必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  50. 大野由利子

    ○大野(由)委員 先ほど長官の方から、まさにこれから総合経済対策の中身が問われる、大事だ、そういうお話がございました。私も全く同じ思いなわけですが、今回の不況の中に、GNPの六割を占めています個人消費が非常に低迷しているという状況がございます。二月の全国のスーパーの総売上高、昨年の同月よりも店舗が五百店近くふえたにもかかわらず二・五%減。一九七四年に統計をとり始めて以来初めてスーパー業界もマイナスになった、そういう状況もございます。また、注目されていました春闘の賃上げ交渉も、前年より約一ポイント減で三%台後半という状況にとどまって、消費が一段と冷え込むのじゃないか。萎縮するのじゃないか。  そういう状況の中で、GNPの六割を占めます個人消費の喚起というものに、やはり何としても所得税減税というものが必要ではないか。個人消費を活性化するための所得税減税を早期に実施すべきだということで、野党の私どもは当初から主張をしてきたことであるわけですね。平成五年度の予算の通過に当たりましても、与野党の幹事長・書記長会談で梶山幹事長が、所得税減税実施を前向きに検討する、自分の首をかけるんだというような発言があって、そして暫定予算が回避をされた、そういう経緯がございます。公党間の約束でございますので、ぜひこれは実現をしていただきたい。標準一世帯当たり十万円の戻し減税というものを初めといたします所得税減税、また政策減税をぜひ実現していただきたい、そのように思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  51. 船田元

    船田国務大臣 今の大野委員の御指摘のように、今回の不況の一つの特徴としましては、やはり個人消費というのが従来になくかなり伸びが鈍化した、この点がかなり大きな不況の特徴であるというふうに考えております。  ただ、この原因につきましては、例えば時間外労働が極端に減少いたしまして、いわゆる可処分所得というものが一時的に伸びが鈍化したという点、あるいはあのバブル経済の時代にいわゆる耐久消費財というものがかなり売れた時代がございました。その後現在においては、そのストック調整ということが家計においてまだ残っているという点もある。あるいは資産デフレということで、株価、地価下落というものがいわゆる消費マインドを冷やしてしまった。さまざまな要因があって消費の伸びの落ち込みということにつながっているのであろうというふうに考えておるわけでございます。  こういう状況の中で、所得税減税、そのやり方にもよるかと思いますけれども、それが実際に消費の伸びにどういう効果を与えるかということについては、ちょっとなかなか直接的にその効果が出るということではないのではないか。まだまだいろいろ議論しなければいけない点がある。それから、財源という問題からいたしますと、やはり所得税減税というものの財源が果たしてどこに求められるのか。赤字国債を発行せざるを得ないのではないかという観点も十分に吟味しなければいけない。あるいは税全体の体系のバランスの問題ということもあるわけでございます。  しかしながら、現状においては、今委員指摘のように、不況対策としての税制上の措置について、実行可能な施策の協議というのが今与野党間で真剣に行われつつある状況でございまして、基本的に私どもとしては、その協議の推移というものを注意深く見守りながら対応していきたいというふうに考えておりますので、もうしばらくその点の注目が必要だな、このように考えておるわけでございます。
  52. 大野由利子

    ○大野(由)委員 前回のプラザ合意以後、大変急激な円高が進みまして、一九八五年から八六年にかけて、大体今回の円高の約十倍、百円からの円高が急激に一年の間に行われて、円高差益が十兆円を上回る規模であった。おまけに、原油価格が下がりまして、これを加味して二十兆円のメリットが生じていた、そのように推定されているわけですが、このときの消費者物価指数がどれぐらい下がったか、またその値をどのように評価されているかについて伺いたいと思います。
  53. 小林惇

    小林政府委員 ただいま委員指摘の、前回の円高時における消費者物価動向でございますけれども昭和六十一年には○・六%の上昇、それから六十二年には〇・一%の上昇ということで、ほぼ前年に対して横ばいといいますかわずかな上昇にとどまったものでございます。
  54. 大野由利子

    ○大野(由)委員 では、円高還元されたとその値から見られるのでしょうか。それとも不十分だったと見られるのでしょうか。
  55. 小林惇

    小林政府委員 輸入物価が大幅に下落したわけでございますけれども、それに比して消費者物価は、わずかではありますけれどもこの両年にわたって上昇したという原因といたしましては、一つには卸売物価の中身が輸入原材料あるいは中間財などのウエートが高くて、海外要因が時間をかけずに明瞭に出てくる点がございます。それから次に消費者物価につきましては、当然のことでございますけれども消費者の手に渡るまでに各種の加工、流通過程を経るということで、海外要因影響が出るのに時間がかかります。それから、その影響の度合いも薄まって出てくるというようなことでございまして、さらには、海外からの商品輸入等のほかにサービスの価格消費者物価指数には含まれておる。こういった幾つかの原因によって、卸売物価動向に比べまして消費者物価は、わずかではありますけれども円高の時期に上昇したということではないかと考えております。
  56. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今回の円高差益ですが、計算上、まだあくまで計算上ですが、国内卸売物価、また消費者物価指数に今回の円高がどのような影響を与えるのか、計算上の数字を教えていただきたいと思います。
  57. 小林惇

    小林政府委員 円高物価に及ぼす効果につきましては、いろいろな前提を置いた試算でございますけれども円レートが一〇%上昇し、その水準が持続したとすれば、消費者物価にはマイナス一%程度、すなわち一%程度下落が期待できる、こういう試算がございます。
  58. 大野由利子

    ○大野(由)委員 マイナス一%ですか。(小林政府委員「はい」と呼ぶ)マイナス一%ぐらい下がるという試算があるということですが、前回のプラザ合意のときに大変な円高があったわけですけれども、実際には卸売物価指数は大きく下がったにもかかわらず、消費者物価指数というものは逆に上がっているという状況があるわけですね。  いろいろ理由は説明していただきましたけれども、要するに円高差益が前回は十分還元されてない。一言でまとめて結論を言いますと、そういう状況があったわけです。プラザ合意後のときの状況と同じ状況を今回もほっておいてつくってはいけない、そう思うわけです。円高差益が十分還元される、そういう監視の強化というものが必要ではないか、そう思いますが、今後どのようにこの円高差益の行方について見守っていかれるのですか。
  59. 小林惇

    小林政府委員 円高差益還元の問題につきましては、前回の円高時におけるその効果について御指摘があったわけでございますけれども、現段階で経済企画庁として考えておりますのは、輸入品価格動向調査、それから、これらの調査を通じて円高効果物価面への浸透状況把握に努めるということが基本でございます。
  60. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ぜひしっかり見守っていただきたいと思います。  ガス料金の内外価格差について伺います。現在、我が国の標準的な家庭の月間使用量の料金を一〇〇といたしまして、欧米諸国のガス料金がどうなっているか。百十三円の現在レートに換算するとどれぐらいになるか、教えていただきたいと思います。
  61. 小林惇

    小林政府委員 ガス料金の内外価格差の現状につきましては、平成三年十一月の企画庁の調査がございまして、これは標準的な家庭の月間使用量である五十万キロカロリー使用というものを前提といたしまして、日本の料金と諸外国の料金を比較したものでございますけれども日本を一〇〇といたしますと、アメリカ四七・七、イギリス四六・三、ドイツ七一・四、フランス六七・八などとなってございます。
  62. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今おっしゃったのは、為替レートが百三十四・七一円のときの数字だと思うのですね。もう結構ですが、百十三円であればもっと内外価格差の開きは大きいのではないか、そう思います。我が国のガス料金、まさに公共料金の基本的なエネルギーを支えるガス料金がこれほど大きな内外価格差があるということは、何としても内外価格差是正に向かって努力をしていただきたい、そう思います。  LPガスの価格推移について伺いますが、昭和六十年の輸入価格がトン当たり五万八千五十一円なのですね。このときの家庭用小売価格が十立方メーター当たり五千五十八円、そういう状況がございます。ところが、輸入価格はどんどん値が下がってきております。平成四年十一月は二万三千六百四十六円、約四割の値段になっているのですが、家庭用小売価格は逆に上がっているという状況です。ずっと毎月の数字を見て、輸入価格は大体下がっているのに小売価格はほとんど変わらない。むしろ若干上がっている。一体これはどういう理由なのか、伺いたいと思います。
  63. 小林惇

    小林政府委員 LPガスの小売価格につきましては、今委員指摘輸入価格国内小売価格に直ちに浸透しないといいますか、反映しないというような御指摘でございますけれども、一番の要因といたしましては、LPガスの商品特性から、保安あるいは輸送管理面で他の商品に比べて非常に手間がかかる。特に最近では、マイコンメーターの設置等による保安費の上昇がございます。第二に、LPガスの販売業者には非常に中小零細業者が多いという点がございます。三番目には、全体のコストのうちの流通コストの占める割合がLPガスの場合九割以上ということでございまして、原料である輸入LPガスの占める割合がウエートとして非常に小さいというようなことが挙げられるわけでございます。
  64. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今おっしゃっていただいたいろいろな理由があるかと思いますが、それにしても私は、余りにも状況がひどいのじゃないか、少ししっかり監視をしていただきたいなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  まだいろいろお聞きしたいことがたくさんございますが、時間が迫ってまいりまして、きょうは公正取引委員会の方にも来ていただいておりますので、最後の五分、若干伺いたいと思います。  今回の建設業界のやみ献金の問題、それから談合が行われたのではないかというふうなことで、政治の世界に対する大変な怒りだけじゃなくて、経済界も非常に公正を欠いているということで、国民の皆さんの大変怒りを買っているわけでございます。公正取引委員会の皆さんも、例の日米構造協議で独禁法の運用強化というものを日本はアメリカに約束をいたしまして、その後非常に頑張っていただいているわけですけれども、今回の建設業界に対してどのような態度で臨まれるのか今どういうことをやっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  65. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 公正取引委員会の小粥でございます。お答えさせていただきます。  ただいまのお尋ねでございますけれども、まず一般論として申し上げますが、官公庁等が入札を行うに当たりまして、その入札参加者側があらかじめ受注予定者を決めるいわゆる入札談合でございますが、これは申すまでもなく、入札制度の根本を揺るがす行為でありますし、独占禁止法に明らかに違反をする行為でありますから、私どもは従来から積極的に入札談合の摘発に努めてきております。私ども公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に違反する疑いがあるという具体的な端緒になる情報に接しました場合には、当然のことながら必要な調査をいたすわけでございます。  お尋ねの本件につきましては、公正取引委員会として強い関心を持っております。検察当局の動向にも注意をしながら、鋭意情報収集に努めているのが現状でございます。
  66. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公正取引委員会の皆さんにぜひ頑張っていただきたい、権限強化とともに頑張っていただきたいと思いますが、こういういろいろな談合を生みゃすい体質を建設業界にもたらしている一つの原因といたしまして、昭和五十九年二月二十一日に公正取引委員会の事務局で発行をされております「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」というガイドラインがございます。これがそもそも非常に誤解を生みやすい。そして、建設業界の談合を生みやすい。また、指名競争入札でのいろいろな疑惑を生んでいるということがあるんじゃないか、そのような指摘がございますが、これについてはいかがでしょうか。
  67. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねの公共工事に係る建設業についてのいわゆるガイドラインでございますけれども、これは、この建設業ガイドラインの数年前に、私ども一般的な事業者団体の活動についての独占禁止法上の考え方を説明した、いわゆる一般事業者団体ガイドラインを設けて発表しておりますが、この一般ガイドラインを踏まえまして、建設業につきましては、御案内のように中小企業者の事業者が大変多いわけでございますし、一体どのような行為が独占禁止法上許されるのか、これをわかりやすく説明してほしいという、そういう要望が当時大変強くございました。  そのような背景で、私どもこの一般ガイドラインを前提としながら、公共工事に係る建設業のいろいろな特性も考慮いたしまして、例えば経営指導でありますとか情報活動でありますとか、事業者団体ガイドラインでも認められている、許されている行為につきまして、建設業の実態にできるだけ即したものとして、いわば具体的にわかりやすく確認的にまとめた、これが示されたガイドラインでございます。ですから、私どもは、このガイドラインが十分徹底をしていただければ、御指摘のような入札談合についてもこれを防止するためにこのガイドラインが役に立つものと考えております。  申すまでもなく、お尋ねのような入札談合行為が独占禁止法に明らかに違反する行為だということは、このガイドラインの中でも明確に示しているところでございます。ただ残念ながら、これが現実には必ずしも徹底をしてない。入札談合行為が間々発生をするということは、これは業界における正しい理解が残念ながら徹底してないということでありますし、また、私どもの努力が、これは率直に申し上げでまた足りないということでもあろうかと思うのです。したがいまして、私どもはこのガイドラインをより徹底させて、独占禁止法違反行為の未然防止にいろいろな手だてをもって一層努力をし、臨まなければいけない、こういうふうに考えております。
  68. 大野由利子

    ○大野(由)委員 建設業界では、例の静岡建設談合事件以来、米軍横須賀基地事件とか埼玉の土木事件等大がかりな談合が続いているわけですが、いずれも勧告で終わっているということが国民の皆さん非常に不満を持っておりますので、今回刑事罰というか刑事告発できるところまでぜひ頑張っていただきたいと思います。  きょうはありがとうございました。
  69. 戸田菊雄

    戸田委員長 岡崎宏美君。     〔委員長退席、武部(文)委員長代理着席〕
  70. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 きょうは、農林水産省から、それから厚生省からもおいでいただきまして、食品の日付表示にかかわる問題を何点か質問させていただきたいと思っております。  ここに新聞の切り抜き記事のコピーを持ってきたのですけれども、これはことしの二月の記事なんですけれども、こんなふうなことが書いてあります。   農林水産省は現在、製造年月日の表示を義務付けている食品表示の基準を改め、原則として賞味期限の表示へ切り替える方針を決めた。米、欧州共同体(EC)から輸送に時間のかかる外国食品にとって、日本の製造年月日方式が市場参入の障壁となっているとの批判が強いため。  そういう書き出しで記事があるわけなんですけれども、今現在、農林水産省が食品表示問題懇談会、厚生省が食品の日付表示に関する検討会というのを設置をされていて、それぞれ日付表示にかかわる検討が行われているということを私たちは聞いているのですけれども、それぞれの懇談会なり検討会がどういう形で設置をされることになったのか、そのあたりのいきさつ、きっかけなどから御報告をいただきたいと思います。
  71. 黒川正治

    ○黒川説明員 お答えします。  食品の表示につきましては、消費者が合理的な商品選択等を行う上で不可欠なものでございますので、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、略してJAS法と申しておりますけれども、あるいは食品衛生法などの法令におきまして、一定の事項の義務づけが行われているところであります。  ところで、近年におきます消費者ニーズの変化あるいは輸入食品や新食品の増加、さらに流通段階におきます商品管理の厳格化等を背景にしまして、現行の食品表示制度につきまして各方面からいろいろな意見が寄せられているところでございます。このため、農林水産省といたしましては、食品表示のあり方あるいは問題点につきまして関係者の方から広く意見を聞いてさまざまな角度から検討しようということで、消費者の代表の方、あるいは食品の製造、流通関係の方、さらに学識経験者の方の参集を得まして、昨年三月に食品表示問題懇談会というのを設けたところです。  この懇談会におきましては、食品表示全般にわたりましていろいろな事項につき幅広い検討を行っていこうということで、各事項ごとに意見が集約されました場合にはそれを随時取りまとめていくということで運営をいたしております。現在、この懇談会におきましては、個別の検討テーマといたしまして日付表示に関する事項を取り上げまして、検討を進めているという状況でございます。     〔武部(文)委員長代理退席、委員長着席〕
  72. 織田肇

    ○織田説明員 厚生省では、食品衛生法に基づきまして、表示について必要な基準を定めているところでございますが、近年の消費者ニーズの多様化あるいは製造加工技術の進行、さらには流通形態の変化等に伴いまして、真空包装された食品や無菌包装された食品等、多種多様な食品が流通するようになってきております。このような状況を勘案して、現在の食品の日付表示制度を公衆衛生学的な見地から再検討するために、昨年十二月より食品の日付表示に関する検討会を設置しまして検討を行っているところであります。  本検討会では、これまで国内外の日付表示制度の現状に関して御検討いただくとともに、関係者の御意見を伺っているところであります。現在、こうした御意見も十分踏まえつつ、公衆衛生の観点から望ましい日付表示のあり方について御検討いただいているところであります。
  73. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 特にこの記事にあるように、外国からの要請があったからというわけではないということなのだと思うのですけれども、それも一つの原因として、日付表示をどんなふうにやるかということが恐らく検討されているのだろうと思うのです。懇談会だとか検討会自体では、恐らくまだ結論というものは今の段階では出ていないのでしょうけれども外国から直接農林水産省だとか厚生省でなくても、例えば日米構造協議の中で、もっと外国からの食品を日本に入れたいという中でいろいろな質問事項が出てきているということも私たち聞いたりしているのですが、そういう質問があった場合に、あるいはこの記事にも載っておりますけれども、例えば改めてほしい、今こういう要請があった場合に、現在のところはどんなふうな回答をされているのでしょうか。例えば懇談会、検討会の結果が出るまでは回答はされていないのでしょうか。されていなくても、質問に対しては恐らく役所としては答えにしておられるものがあると思います。今現在は、それはどんなふうな対応をしているのでしょうか。
  74. 黒川正治

    ○黒川説明員 今お話がありましたように、日付表示につきましては海外からいろいろな要請がございます。JAS法に基づきます品質表示基準につきましては、ガット・スタンダード・コードに基づきまして、その都度制定や改正に際してガットヘの事前通報を行うということになっております。この通報に対しまして、近年ECから日付表示については国際食品規格に沿って賞味期限表示といいますか、言葉はほかの言葉もあるかと思いますけれども、これを採用するように今求めてきております。  またアメリカからは、平成四年七月に日米構造協議の場におきまして、日付表示を国際規格に合わせてほしい、あるいはまた平成四年九月のOTO諮問会議の専門家会議の場におきましても、同様な要望が出されております。  これに対しまして私どもといたしましては、現在の食品の日付表示制度の現状について御説明しますとともに、現在、食品表示問題懇談会におきまして、関係者の御意見等考えながら検討を進めているという状況を説明しております。
  75. 織田肇

    ○織田説明員 この日付問題については、昨年十二月に検討会を始める前に、我々も種々の資料を集めますとか勉強を続けてやっているわけでございますけれども、ただいま御質問がありました外国からの意見ということでございますが、製造年月日表示についてEC及び米国から国際的な規格に則した制度の導入を検討すべきであるといった要望を受けております。  具体的には、ECから平成二年六月に、輸入年月日表示にかえて期限表示を導入することはできないかとの要望がOTO、市場開放問題苦情処理推進本部でございますが、これを通じて提起されております。これに対しましては厚生省から、国際的な動向国内関係者のコンセンサス等を十分に踏まえつつ検討していく旨説明しておるところであります。  また、米国からは平成四年七月の日米構造問題協議のフォローアップ会合の場におきまして、コーデックスの規格に則した日付表示制度を導入すべきではないかとの要望があり、また平成四年九月のOTOの場でも同様の要望がございましたが、これに対しましては、厚生省としては関係者の御意見を十分に伺いながら、公衆衛生の観点から望ましい日付表示制度のあり方について検討している旨説明しているところであります。
  76. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 この新聞記事は終わりの方に、農林水産省の懇談会の方はこの夏にも学識経験者の報告を踏まえて一定の方向性を出すというふうに報道されているわけなのですけれども、懇談会、検討会、それぞれおおよそどこらあたりでまとめを出すという目標を立てて今進められているのでしょうか。
  77. 黒川正治

    ○黒川説明員 食品表示問題懇談会におきましては、これまで内外の食品表示の制度の現状、あるいは関係業界、あるいは外国関係者からヒアリング等を行ってきているところでございます。今後懇談会におきましては、委員の方々に論議を十分尽くしていただく必要があるだろうということで、現段階でこれにつきましての結論がいつ出るかということを申し上げられる状況にはまだ至っておりません。  それから、食品の日付表示につきましては、食品衛生法との関係も深いものでございますので、今後とも厚生省と密接な連絡をとりながら進めていただきたいというふうに思っております。
  78. 織田肇

    ○織田説明員 先ほど申しましたように、検討会におきましては食品衛生の確保という観点から日付表示のあり方に関して検討していただいているところでございまして、いろいろな意見を十分にお聞きしたいというふうに考えております。現在の議論を見ますと、現時点では検討の終わる時期について申し上げるということは困難でございます。
  79. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 申し上げておきますけれども、私自身は、この日付表示に関しては、実際食品を買う側、毎日生活をしている消費者の側の納得というものを抜きにしてはこれはなかなか論議が進まないと思っておりますし、納得のいく表示でなければならないと思っております。  今お聞きしたのは、例えば新聞には夏というふうに出ているけれども、そこでなければならないというふうな急いだ論議ではないでしょうねということをあらかじめお尋ねしておきたいと思うわけですが、そこでなければならないということではなくて、もう少し時間を含むものもあるというふうに受けとめておいてよろしいですね。
  80. 黒川正治

    ○黒川説明員 先ほど申しましたように、この食品表示問題、食品表示につきましては、関係者の間で十分議論をしていただく必要があると思っておりますので、まだその段階でどうということを言える状況にはございません。
  81. 織田肇

    ○織田説明員 同様でございますけれども、日付表示検討会におきましては、今お話がありましたように消費者の方々の意見を伺うことも大変重要であると考えておりまして、これまでも検討会におきまして、消費者団体も含めて関係の方々の御意見をお伺いしてきたところでございます。したがいまして、そういうことも踏まえまして十分慎重に対応してまいりたいと思っております。
  82. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 先ほど外国からの要請の中には、日付を賞味期限表示に変えてほしいというふうな要請があるという御報告があったのですけれども、私たちにとってまだ賞味期限というものはそんなになじみがあるわけではありませんし、外国ではこうなっているというふうに言われても、例えば諸外国の賞味期限は一体何が基準になってつくられてきた表示かということもそんなにみんなが知っているわけではありません。製造年月日というのは、つくった、あるいは加工したというところにおおよそだれもが納得するものがあるわけですけれども、賞味期限は一体何が基準になっているのかということは余りはっきりしておりませんひそれで、お互い納得するためにも要請があった。それぞれ検討会、懇談会で論議されるにしても、これに関する資料も皆さん準備されたと思いますけれども、ぜひ教えていただきたいと思います。
  83. 黒川正治

    ○黒川説明員 先ほど申しました国際食品規格におきましては、デート・オブ・ミニマム・デュラビリティーというのが日付として採用すべきだということになっております。これは表示された保存条件のもとで製品が完全に販売可能であり、また消費者製品に期待する品質が保持されている期日であり、この期日を超えても食品としての条件がまだ完全に満たされている日付であるとされております。  これを日本語でどういう言葉にかえるかというのは、また別途問題があるかと思いますけれども、一応私どもは賞味期限というようなことで呼んでいるところでございます。
  84. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 例えば日本でも、賞味期限の方が義務づけられている食品が幾つかあると思います。ただし、賞味期限の表示は製造者がつけているわけでして、そうすると同じケチャップでも、Aという会社がつくっているケチャップとBという会社がつくっているケチャップでは、Aの会社、Bの会社それぞれ違う判断で賞味期限をつけているわけです。  外国で賞味期限というのが広がっている、賞味期限を大体基準にしているということだけれども、じゃ賞味期限を採用している国というのは、どういう判断で賞味期限を取り入れているかということを聞きたいわけです。外国の場合も、例えばケチャップをつくる会社が、製造者、メーカー側がそれぞれ判断してつけているのかあるいは統一された基準があるのかどうかということを知りたいのです。
  85. 黒川正治

    ○黒川説明員 先ほど申しましたコーデックスでは、期限表示を行う際の根拠というものについては特に明記はしていません。欧米ではこれが広く採用されているわけですけれども、その際も、基本的には製造者が責任を持って表示をするということになっております。
  86. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 そうすると、例えば消費者の側からすると、製造年月日というのはっくった、あるいは加工したということで一定の同じ理解をすることができるけれども、賞味期限については日本の中でも一律の基準ではないし、それが外国のものになるともっと一律の基準ではないから判断しづらいというふうに考えられませんか。
  87. 黒川正治

    ○黒川説明員 先ほど申しましたデート・オブ・ミニマム・デュラビリティーにつきましては、コーデックスの中におきまして先ほど申し上げたような定義が定められているわけでございます。この定義に基づいて、個別の品目といいますか食品につきまして日付を表示するということでございます。
  88. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 そういうことも含めて恐らく検討中なんでしょうけれども、私たちがごく素直に受けとめるのは、今申し上げましたように、それでは一定の基準のないものをそこに日付が書いてあるから信用してほしいと言われているのと余り変わりないのじゃないかという感覚を持つわけですよね。  賞味期限というものを採用している国もあるということなのですけれども、懇談会等で出されている、話し合いのために知っておかなければならない資料として出されているようなものを私たち消費者が要求すれば、そういう資料は御提出をいただけるわけでしょうか。例えば今の賞味期限についてそれぞれの国がどんな基準で設けているかということについて、欲しいということを申し上げれば、それは農水省や厚生省として持っていらっしゃるから出していただけるわけでしょうね。
  89. 黒川正治

    ○黒川説明員 外国の実情あるいは資料につきましては、手元の資料収集につきまして限界はございますけれども、可能なものについては出していけると思います。
  90. 織田肇

    ○織田説明員 同様に、資料等については提供させていただきます。
  91. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 それでは私たちも資料を後でいただいて、ぜひお互いに勉強したいと思うのですけれども、今のところ賞味期限そのものがどういう基準で設定されているかということについてははっきりしていない、それぞれ任されているというふうに理解をいたします。  それでも、例えば賞味期限というものが求められる場合が外国からはあると思うわけですが、仮に一つの検討会や懇談会の中でそういう話がされていくとしたら、本当に賞味期限だけで十分だろうか。一つの食品の保存方法というものもそこに一緒に書かれないと、今の段階でお聞きした限りは、賞味期限だけでは我々消費者の側が一つの食品に対して安心して選択をするということがなかなか難しいのじゃないかと思うのですが、これについてはどうでしょうか。
  92. 黒川正治

    ○黒川説明員 先ほどの答弁の繰り返しの部分になりますけれども、デート・オブ・ミニマム・デュラビリティーにつきましてはコーデックスで定義が定められておりまして、それが基準ということになると思います。  それから、ただいま御質問のありました、保存条件もあわせて表示すべきではないかということにつきましては、当然必要な事項であると思いますので、懇談会の中でもこれからその点について議論をしていただくことになると思います。
  93. 織田肇

    ○織田説明員 食品衛生法の中では、日付表示としまして製造年月日表示を基本としているということでございます。これの目的と申しますのは、その表示をもとに食品の品質がいつまで保持されるかということを消費者がみずから判断する材料、こういう目安で食品につけられているわけでございます。  現在議論されておりますのは、製造年月日というかスタートの時点で判断するのか、あるいは期限表示といいますかエンドに近いところで判断するのかというところが、どちらが有用な情報かということで検討会でいろいろ議論されているところでございますけれども、製造年月日が現在持っている問題といたしましては、今食品を冷凍しておきまして包装時に解凍するとか、いろいろな食品が出回っている。それから、従来の常識では判断できないように長もちするものも出てきているということで、やはり最後のエンドに近いところを決める方が食品事故の防止という観点からいいのではないかという議論もなされておるわけであります。それが一つの議論のあれかと思います。  先生おっしゃられましたように、保存条件というのはそういうふうな期間を定める場合、あるいは期限を定める場合は、当然書くべきだという意見が検討会で出されておるところでございます。
  94. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 もう一つお尋ねしたいのですが、食品に関して何か事故があった場合、その事故対策としての表示があるというふうに今も言われております。その場合に、賞味期限だけの表示がされた場合に事故対策についてはどんなふうになされておりますか。  例えば輸入品の場合、賞味期限だけを表示している輸入品が仮に入ってきたとして、何らかの事故があったときにそれはどんなふうに追及ができるようになっていくのでしょうか。
  95. 織田肇

    ○織田説明員 現在日付表示の目的としておりますのは、先ほど申しましたように、それによって消費者が判断して食品事故を防止するという観点が一つございますし、もう一つは、事故が起こったときの原因追及といいますか、あるいは回収というのがもう一つの目的であります。  こういう点から考えますと、例えばエンドという時点に変えた場合にどういうことになるかという意味では、検討会で出ております議論は、いずれにせよ日付というのが入っておるわけでございますから、事故の追及という面あるいは食品監視という面ではそれはそれなりに可能であろう。またそれ以外に、事故が起こったような場合には当然のことながら、表示といいましても製品名、製造者名それから製造所の所在地の情報でございますとか、そういうもののいろいろな情報がございますので、現在も実際はそういうふうな製造者名あるいは所在地、それから製造者の持っております帳簿等そういうものも使いながら、いろいろな措置を講じてきているところでございます。  輸入品に関しましては、現在製造年月日が不明なものについては輸入年月日でもよいというふうになっておりますけれども、これにつきましては、今後別な表示に変わりましても原因追及ということには特に問題はないだろうというふうに考えております。
  96. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 問題がないというふうに考えてはいるとおっしゃったのは、それは輸入品すべてにそれがわかるような、矛盾を追及する手段が表示をされている、輸入品すべてにそういう表示があるというふうに考えていいということでしょうか。
  97. 織田肇

    ○織田説明員 今申し上げましたのは検討会での議論でございますけれども輸入品につきましては、現在は検疫所の方へ届け出の書類というものを出しますが、そのときに、あるグループの食品についてはそこで書類が保管されているということがございます。それから、現在でも問題がありました場合には、それについて製造年月日あるいは輸入年月日、それからもちろんその製品の製造者名等を経由して事故追及ということをやろうということになるわけでございますけれども、いずれにせよ、どのような形に変えても事故追及の面では問題がないようにしたい、そういうことが必要であるということが議論されておるところでございます。
  98. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 それじゃ、もう少し検討会や懇談会の内容について私たちもこれから続けてお尋ねをしていきたいというか、その際には検討の中身を教えていただきたいと思いますが、もう一つこの日付表示に関してよく言われているのは、これはたまたま私この間農林水産省へちょっとお邪魔しまして、パンフレットがあったので見せていただいたのですけれども、そのパンフレット、「日本・アメリカの“食択”事情」というパンフレットです。  例えば日本消費者とアメリカの消費者どこんなふうに買い物の仕方が違うとか、ストックの仕方が違うとか、そんなパンフレットがあったわけなんですが、どうもそれを見ていると、日本消費者は非常に新しいものを求める。まだ十分食べていけるものなのに、新しいものなのにもうだめだということでごみにしてしまう。この原因が今の日付表示にあるんじゃないか、そういうニュアンスでパンフレットが書かれているんじゃないか。思わず本当にそうなのかしらと首をかしげてしまったのですけれども、でも確かに、より新しいものを求めたがるというのは、これは実際には否定はし切れないものがあると思うのです。  だけれども、日付表示の検討の中で、検討会がどんな方向かというのは結局今のところよくわかりませんから、結論が出ていないのにこんな結論が出るのでしょうというふうにはいきませんけれども、仮に日付表示を変えれば、例えば今一方で問題にされているような、まだ十分食べていけるもの、新しいものがごみの山にされていくようなことを変えることができるのかどうか。本当に問題は日付表示のところに大きなものがあるんだろうか。それをどんなふうに受けとめておられるか、お尋ねをしておきたいのです。
  99. 黒川正治

    ○黒川説明員 製造年月日表示につきましては、今お話がありましたように、流通段階において多頻度小口配送や極端に短い納入期限の設定というような問題を引き起こしているのではないかという指摘があることは承知しております。  これらの問題につきましては、期限表示を導入することにより改善されるという意見もございますが、また他方、日付表示を変更するだけではこうした問題すべてを解決できるものではないのではないかという御意見もございます。懇談会におきましては、こういう点も踏まえまして、望ましい日付のあり方について今後十分議論していただきたいというふうに考えております。
  100. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 そのパンフレット、お読みになったことがありますか。
  101. 黒川正治

    ○黒川説明員 見ております。
  102. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 今のお答えからあのパンフレットはできないんじゃないかしらとふと思うのですが、じゃ逆の立場で、日付表示を変えたからといって解決できる問題ではない、そんなふうに農林水産省の方でも一応受けとめをされておる、そんなふうに理解してよろしいですか。
  103. 黒川正治

    ○黒川説明員 ただいま申しましたように、これにつきましてはいろいろな御意見がございまして、今後懇談会の中でも一つの検討事項ということで、御意見をいろいろ伺いながら検討を進めていきたいと思っております。
  104. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 そのいろいろな意見というのは、大体どんなところからどんな内容の意見になって出てきているのですか。参考までに教えてください。
  105. 黒川正治

    ○黒川説明員 懇談会等におきます個別の発言につきましては、余り詳しく申し上げるのもどうかと思いますけれども、先ほどの繰り返しになりますが、現在の流通段階におけるいろいろな問題について、これが製造年月日を表示するという現行の制度が一つの理由になっているのじゃないかという意見も出ておりますし、他方、製造年月日日付を期限表示に変えるということだけではそういう問題は解決しないのではないかというような御意見も出ています。
  106. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 厚生省の検討会の方はどうですか。
  107. 織田肇

    ○織田説明員 今お話がありましたように、製造年月日を起点といたしまして設定された納入期限等に伴いまして、廃棄でありますとか返品が生じているとの指摘がございまして、こうした社会的コストの増大というふうな問題を考慮しました場合、日付表示のあり方を検討する際にはこのような点について配慮すべきとの意見があることは承知しております。  しかし、一方では、こうした問題が生じる背景には取引慣行等の幅広い要因があって、食品の日付表示制度の見直しのみでは解決できるものではないというふうに承知しております。
  108. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 私も家に帰ると買い物するのですけれども、もともとの市場でしたら、それぞれお店の人が、これはまだ十分大丈夫だとか、幾らか日がたっている方が本当はおいしいんだとかいろいろ教えてくれますし、スーパーでも工夫がされているところでは、これはまだ十分安全においしく食べられるという説明がついて、やや日がほかのそもそものコーナーよりは過ぎているものでも、別のコーナーに、二、三日の間で食べるのだったらこっちの方がいいという形で説明があって、値段も安くして、消費者はきちんとそれを買って帰るというふうなこともあります。  ところが、今問題になっているのは、例えばコンビニエンスストアみたいなところで、倉庫を店に置いているわけではないけれども、決まった時間にその店に配達がされて、そして棚に並べられていく。今度また決まった時間に回収にやってくる。それがまた十分食べられる、安全に食べられる、おいしく食べられるものであっても、決まった時間にそれを回収して帰って、結局はごみにしてしまう。そういう流通のあり方に私は問題があるというふうに思っておるのです。  大臣、そういう指摘がこれまでもあって、公正取引委員会の中なんかでも、商慣行をどうやってよくしていくかということが検討されているというふうに私たちは聞いているのですけれども大臣もおうちに帰られるとお子さんといろいろ遊んだり、家庭人だというお話も聞いておりますが、例えばこういう形で、つくらなくてもよいごみをつくることの原因が、消費者が賢くないからということではなくて、そもそも流通の機構のところに問題があるのではないか、こういうような指摘もあるのですが、それについてはどんなふうに受けとめていらっしゃいますか。
  109. 船田元

    船田国務大臣 私ども消費者行政ということの中で、広くはこの食品の日付表示などの問題につきましても、厚生省なり農林水産省とも連絡をとり合いながら真剣に検討しているという状況でありますが、特に今回崎委員指摘の、要するにつくらなくてもいいごみをつくってしまう。そこにはやはり、例えば製造年月日の表示があって、そして極めて短時間というのですか製造年月日から非常に短い時間の間に店頭に置いて、そしてその店頭においては、多少時間が過ぎてしまうと、それはもう十分食べられる、あるいは賞味をしても何ら遜色のないものであっても、それがかえられてしまう、あるいは返品される。こういう流通の慣行というのでしょうか、一般的なやり方ということについては、やはり資源の有効利用という観点、あるいは流通というものに余りに過大な負担をかけてしまうような商慣習、そういったものは大きな問題点として、これは通産の管轄にもなるかと思いますけれども、やはり流通慣行を見直していくという観点は非常に大事なことであり、それはまた消費者行政にとっても、あるいは消費者保護のためにおいても非常に大事な観点でありますから、今後できる限り注意をしながら見ていきたい、検討していきたいというふうに思っております。
  110. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 ぜひそうしていただきたいと思うのです。  繰り返しになるかもわかりませんけれども、最初に私が申し上げましたように、私自身が物を買ってきた、食べ物を買ってきた側からごく素直に申し上げて、そしていろいろな人たちの声も聞いておられると思うのですけれども、だれもが理解しやすい客観的な表示というものが一番大事であるというふうに思っております。それは現在のところ製造年月日だというふうに私は受けとめているのですけれども、それについてもう一度念を押してお聞きをしておきたいのと、それにかわるものが仮にあるとすれば、それは製造年月日と同じように極めて客観的なもの、だれにとっても同じ理解ができる基準というものがあって当たり前だというふうに思うのですけれども、それを基本的に懇談会だとか検討会で論議をしていただきたい、そんなふうに思うのですが、それについていかがでしょうか。
  111. 黒川正治

    ○黒川説明員 先ほどお話にも出ましたけれども、最近の食品の製造あるいは加工の技術あるいは包装形態等、いろいろ多様なものが出てきているというようなこともありまして、消費者にとって製造年月日表示でどの食品の品質がいつまでもつかということがわかりにくくなっているというような状況があろうかと思います。  食品表示につきましては、消費者が食品を購入する場合の重要な目安ということでございますので、この食品表示の検討に当たりましては、消費者の意向も十分反映させる必要があるというふうに考えております。懇談会におきましても、消費者の代表として四名の委員をお願いしておりますし、その他いろいろな機会を通じて消費者の御意見を伺うようにしていきたいというふうに思っております。
  112. 織田肇

    ○織田説明員 先ほども申しましたが、日付表示の目的と申しますか、食品衛生上は食品衛生事故の防止という問題、それからもう一つは現に事故が起こったときの原因究明というのが目的としてあるわけでございます。したがいまして、現在の検討会やその他で、公衆衛生学的な点を中心にしてその目的が達成されるように十分検討していきたい、このように考えておる次第であります。
  113. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 ぜひお願いいたします。  途中でも申し上げましたけれども、また私たちもお互いに理解するためにいろいろな報告をお願いしたりすることもあると思いますけれども、ぜひその報告をしていただきますようお願いしておきたいと思います。  それと大臣にお願いしたいのですが、結局最後は消費者をどう保護していくか、それから消費者自身が本当に賢い選択ができるように、やはり啓蒙ということはすごく大事な問題だと思うのです。私は、たまたま農林水産省さんが出しておられるパンフレットを見て、消費者の側にも問題があるよという一つの問題提起としては受けとめられるのですけれども、でもその消費者の側が本当に知っておけばよいこと、例えばこういう食品はこんな保存であれば本当はどれぐらいの期間ちゃんともつものだとか、あるいはこういう調理の方法をすれば実はかなりの期間食べられるものだとか、そんな日常生活の中で必要なことを今の特に若い人たちというのはほとんど知る機会をなくして、実は生活の場に出てきてしまっている。  それが業者側のもうけというふうなことも含めての流通の機構と実は絡まり合って、例えばごみの山をつくってしまったとかというふうなことも生まれてきていると思うので、随分根は深いと思うのです。消費者のための行政としての役所として、うんと予算をつぎ込んで消費者の啓蒙に対して力を入れていただきたい。いろいろな工夫を、これは運動団体の人たちの声も聞いてぜひ取り入れていただきたいと思いますので、それについて御意見をお願いします。
  114. 船田元

    船田国務大臣 商売上あるいは流通の商慣行とか、そういう観点というのもありますけれども、私どもとしては、そういう中にあっても消費者の適正な選択、あるいは賢い選択と言ったらいいのかもしれません。あるいは何を買って何を買わないかという選択の問題については、やはり消費者自身の自発的な、あるいは自主的な観点というものが非常に大事だと思っております。  ですから、消費者教育というものはやはり非常に大事であって、例えば前にも国会の中で御指摘をいただいた継続的役務取引の問題、例えばエステの問題とか外国語の学校とかそういうものに対する問題点があって、どちらかというと若者がそういう継続的役務というのを割合簡単に契約をしてしまって、内容もよくわからずに結局その被害を受けるというようなケースも多々あるわけです。そういう例をあるいはふさわしくない例かもしれませんでしたけれども、そんなことも考えますと、消費者教育、消費者がいかに賢明に消費の選択をし、あるいは消費行動を行うかということの基礎的な知識というものは、やはり教育の中でやっていく必要があるだろうと思っています。  これは、文部省のいわゆる学校教育の中でどう今後扱っていくかという問題もありましょうし、また、国民生活センターなり各地域にある消費生活センターのようなものを通じてのPRということも今盛んにやっているはずでございますけれども、さらにそういったものに対して力を入れて、消費者の啓蒙というのでしょうか、消費者教育というものをより積極的にやるということは大事なことだろう、このように考えております。
  115. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 ぜひ積極的にやっていただくことをお願いして、終わりたいと思います。
  116. 戸田菊雄

    戸田委員長 本会議散会後、直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時五十八分開議
  117. 戸田菊雄

    戸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大木正吾君。
  118. 大木正吾

    ○大木委員 最初に、午前中の同僚委員の質疑に関係いたしまして、九二年の十—十二月期の景気動向について若干の御質疑、意見を申し上げたいと思います。  一つは、これを機に外需と内需の関係について、調整局長の方から意見を承りたいことが一つあります。その中において、個人消費がどういうふうになっているか、これについても聞かせていただきたいと思います。
  119. 船田元

    船田国務大臣 大木委員のただいまの御指摘の十—十二月期のQEのことでございますけれども、御承知のように〇・一%の増ということで、わずかながらのプラスの伸びに転じたということでございます。  そのうち、政府投資というのは高い伸びであったわけですけれども、個人消費がマイナス〇・六%とマイナスの伸びになってしまったという点。それから住宅投資、前期比でマイナス三・九%、これもマイナスになってしまった。さらには設備投資、これも前期比でマイナス三・一%。こういうことで、十—十二月期のQEというのは、国内民間需要を中心に引き続いて低迷をする我が国の厳しい現状というのをそのまま反映をした数字である、このように認識をしておるわけでございます。  それと、先生の御指摘の内需と外需の関係でございますが、これも十—十二月期、内需はマイナス〇・五%、外需がプラスの〇・六%、両方合わせましてプラスの〇・一ということになっておるわけでございますが、この外需の〇・六%の伸びといいますのは、実は中身をいろいろ分析をしてみますと、輸出数量の伸びというのは実はマイナスでございます。これは十—十二月期で前期に比べましてマイナス一・五%という、量はマイナスである。しかしながら、輸出品の高付加価値化ということがございまして、またさらには外需がプラスになったのは、逆に内需が非常に低迷をしてしまった、こういうことで輸入品が減少した、これもやはり大きな原因である、このように考えておるわけでございます。  こういう内容の分析からすれば、私どもとしては、この十—十二月期が、外需主導でということよりもむしろ内需が冷え込んでしまった、あるいは輸出の数量よりも価値が高くなってしまった、こういうような原因がございまして、必ずしも輸出主導あるいは輸出ドライブがかかっているということではないのじゃないか、このように分析をいたしておるわけであります。
  120. 大木正吾

    ○大木委員 ちょっと気になりますことは、補正がおくれましたことは事実なのでございますが、若干、八月の景気対策もありまして、そして公的な需要が伸びていったことは間違いないわけで、問題は、そういった公的な需要が公共事業を中心に伸びていながら、結果的には内需を支え切れなかった問題が残っていますね。  これは今回の景気対策に関連いたしまして問題になることですから、その辺について経企庁、単におくれて来たというだけの話でいいのかどうか。消費と公共事業を中心に公的需要と関係づけてどう見ておられるかということを聞きたいのです。
  121. 船田元

    船田国務大臣 今の御指摘の部分、これは私どもとしてもいろいろ分析あるいは考えをめぐらせているところでございます。先ほど幾つかの数字を申し上げた中で、例えば住宅投資であり、また公共投資の方も、この十—十二月期において、若干、予想をしていたあるいは期待をしていた値よりはちょっと落ち込んでいるという状況。  この原因としては、一つにはやはり八月対策、総合経済対策。十兆七千億円という、これはもう前代来聞の規模での追加の経済対策を決めさせていただきましたけれども、そのうちのかなりの部分というのが補正予算の成立を待たなければ執行しにくかった、あるいはできなかったという部分もございました。その点では、これは一服をしたというよりも、ちょっと息切れをしたのではないか。この点がやはり一つの原因ではなかったかということが、一つ指摘がされるかと思います。  しかしまた同時に、より大きな原因といたしましては、やはり最終需要、消費についても、あるいは設備投資にしても、予想以上に落ち込んでいた。その原因というのは、従来の循環型の不況の原因にプラスして、やはり資産デフレ、バブルの崩壊ということによって株価、地価というものが非常に落ち込んでしまった。そのことが個人消費やあるいは企業家の設備投資意欲というものに心理的な、マインドの上での大変なマイナス効果を持っていたということ。しかも、我々としても、これは多少言いわけになるのかどうかわかりませんけれども、そういうマインドに対する影響、資産デフレの影響というものを完全に読み切っていたとは言い切れなかった。こういう点が私どもの見通しが甘かったその原因ではなかったかなということで、これは深く反省をしている、反省の材料として今後この経験を生かしていきたい、こういうふうに考えております。
  122. 大木正吾

    ○大木委員 後ほどの景気対策に若干関連しますのでこれは残しますが、もう一つ。  結局、最近OECD等におきましても、GNPという言い方よりも、国民総生産よりもGDPですね。国内総生産、こういう言葉の方が統計的には国際的に広がっているのです。実はアメリカがGNPと同じようにGDPで四・七%の成長ということを十月から十二月の間の数値を示しているのが、新聞記事でありました。正式な見通しでありませんで、そういったものがありました。結果的に、日本の場合を見ましても、GDP、国内総生産で見ますと、企業、個人、政府、その経済活動からすると、大体三期連続マイナス、こういうような数字が出ているように思うのですね。  その込もっと正確に経済状況を反映させるためには、少しくGNPよりはGDPを使った方が正確な経済動向の反映が実はできる。OECDも、そうですね。そういうことについて企画庁はどういうふうにお考えでしょうか。しばらくは、これは両方使っても結構ですが、何年か後には、国際的にふえておりますGDPの方に移った方がよい、こういう感じがするのですね。その辺はどうお考えですか。
  123. 土志田征一

    ○土志田政府委員 御指摘のように、最近欧米ではGDPを用いる例もかなりふえているようでございまして、このGDP、国内の生産活動を通じて生み出された付加価値の総額というものがGDPでございますので、国内の生産活動をより直接的に反映しているという意味では、GDPの方が景気等に関連が深いという場合もございます。そういう意味で、私どもは当然GNPと一緒にGDP、並行して発表させていただいている。それぞれの目的で適当な指標を使うというような、そういう考え方で行こうというふうに思っております。  GNPの方は、国民という概念でございますので、国民が生み出した総所得というようなことでございますので、そういう国民の総所得を示す指標ということで提示されておりまして、いろいろな場合の負担額とかそういう計算の場合、そういうときにはそういうのが適当だという部分があるわけでございます。そういうことで、また同時に、経済予測で従来から一般にGNPが使われているという部分、そういった予測との対比とか、そういったときにはGNPが必要であろうというふうに考えております。  両方同時に公表する形にしておりますので、当面、できるだけその目的に合ったような形で使っていきたいというふうに思っております。
  124. 大木正吾

    ○大木委員 使い分けているわけですね。  そういうことはその程度にしておきまして、次の問題で、先ほど長瀬さんですか、結局新社会資本問題について、ちょっと途中でどういう問題かということが出てきたのですが、これは実はアメリカの経済成長と非常に大きな関係がある問題ですので、早目に聞いておきたいのです。  アメリカが今、経済成長をしています。情報等あるいは新聞や雑誌などを拝見しておりますと、やはり高度情報化社会ですね。こういった問題について、むしろクリントンの前の時代から相当計画的に高度情報化社会基盤整備をやってきたことは間違いないのですね。そのことが最近の日本やECに先んじて景気動向が非常によくなっている、こういったことがいろいろな経済分析する中で出てきます。  例として、これは日本関係の会社等がつくった資料でございますけれども、例えばパソコンの人数当たりの普及率を見てみますと、中央官庁、日本の場合に三十六人に一台です。アメリカの場合に、連邦政府ですが、これは中央官庁ですね、大体四人に一台です。こういった状態でもって、普及度合いが九倍ぐらい違うのですね。そういったことがございまして、先ほどの調整局長が答えた中に、実はニーズに合わないというふうな意味の発言があったのですが、その程度でしかこの問題はとらえておりませんとしますれば、日本の方の経済動向あるいは景気対策といたしまして、少しやはり企画庁として物のとらえ方が浅いのじゃないか、こういう感じがするのですが、いかがですか。
  125. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 あるいは私の先ほどの答弁に不十分な点があったかと思いますけれども、言うまでもなく、二十一世紀に向かいます私どもの社会、高度情報化社会に向けて進んでいくということでございます。そのような意味合いからいたしまして、経済社会のあらゆる面にわたりまして情報ネットワークが整備され、そして情報機器が導入されていくということは、大きな社会的な潮流だと思っておりますし、また、そのような方向に向けて政府がそれなりにそのような動きを加速する、こういうことは重要なことだと考えております。  ただ、社会資本整備という観点から、例えばパソコンというようなものが公共事業の対象になり得るのかどうか。こういうような観点からの議論ということになってまいりますと、そこは若干いろいろとまだ議論が残っているのではないか、このような趣旨で申し上げたつもりでございまして、その言わんといたしますところは、政府の資本的支出に当たるか否かというところによって分けられてくるんだ、このように思っております。その点につきましては、今各方面で議論がなされているところだと思いますけれども、したがいまして、高度情報化社会に向けてそのような情報ネットワークの整備が重要であるということについて、いささかも否定申し上げているものではないというふうな点につきましては、御理解を賜りたいと存じます。
  126. 大木正吾

    ○大木委員 先ほどの質問は、確かに財源問題が出たり、学校のことも出ていましたね。だから、そういった答えかもしれませんが、やはりもう少ししっかりとらえていただきたいことは、アメリカがなぜECや日本に先んじて景気がよくなったかということについてずっと見ていきますと、やはり高度情報化社会という問題でここにNTTがつくった資料がありますけれども、大体五十年代ぐらいまで四つに分けまして書いているのですよ。こういった中で、どうしても今後の経済の発展状況を考えていきますと、高度情報化社会、そういったものが媒介をしなければ経済発展も余り芳しくない、こういう話が出てくるわけです。  ですから、財源の問題ですね。これは財政法四条とか、そういったことがどうなる、そういうのは余り関係がないのです。ですから、個人で、NTTが負担しようとだれが負担しようと、財投からいこうとそれは関係なくて、やはり企画庁たるものは、要するになぜアメリカが経済成長しているかについて、できれば船田長官にもお願いしたいのですが、だれか一遍調査にでも行って、こういった新しい投資を必要とする額二兆という話もありますが、そういったことを考えるとしますれば、もっと実態把握した上で、各省庁に対して余り縄張り争いはやめてもらいたいし、同時に企画庁が先行して、そうしたことについて設定しながら計画に乗っけていく、こういった態度が必要でしょうから、もう少し詳しい状態把握をしてもらいたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  127. 船田元

    船田国務大臣 先ほど来の大木先生の御指摘は、大変私ども大事な観点だなと思って聞かしていただいてまいりました。  高度情報化社会、いわゆる情報基盤あるいは情報通信基盤の整備をするという観点、これが今まではどちらかというと、NTTを初めとして情報通信にかかわる民間の企業が中心になって整備をしてきた、こういう状況でございます。ただ、今回の新社会資本整備の考え方の中には、やはり社会のニーズというものが、あるいは社会の変化というものが非常に急激である。そういう中にあって、従来は民間に任せておけばそれでよかったというものも、これはやはり国がある程度関与して、そして整備をしていかなければいけないという、社会資本というのも時代によって変わってくるんじゃないか。その一つの例示として、この情報通信基盤を整備するということが一つ挙げられるのじゃないかな、こんな問題提起を新社会資本という議論の中で今まさに議論している最中だろう、このように認識をしているわけでございます。  したがいまして、それが今後の四月十二日というふうに伺っておりますけれども、そのときにまとめ上げられる第三次の追加対策の中でどの程度扱われるのか。まだ内容的には今後の議論、積み上げが必要でありますけれども、その観点というのがやはりそのまとめの段階においても重要な観点である、こういう認識で今後取り組んでいきたいと思っております。  また、アメリカの状況の御指摘がございました。果たして、アメリカ政府が他の国に先駆けて高度情報化社会の構築ということで非常に力を入れてきた。そのことがアメリカの現在の景気の回復につながったかどうかということは、ちょっとこれまた調査をしなければわからない状況でありますけれども、あるいはそういう実際の因果関係もあったのかという感じはいたしております。  私自身も、もし国会のお許しがいただければ五月の運休中に訪米いたしまして、私のカウンターパートである経済諮問委員会のタイソン委員長を初め、枢要な方と会談をして、その辺も確認をしたいと思っておりますけれども、それは今度の追加対策そのものには間に合わないとしても、今後の我が国の経済運営の上において参考になることもあるかと思いますので、そういう情報収集も私自身やらせていただければ大変ありがたいなというふうに思っております。
  128. 大木正吾

    ○大木委員 アメリカではゴア副大統領が熱心でありまして、九一年に法制化しておりますので、そういう意味で、長官が行かれましたらぜひ把握していただきたいと思います。  私が申し上げたのは、ニーズのことでは心配ではないのですね。日本の各家庭は、例えば衛星放送でございますとかああいったものをどれぐらい入れているかと見ますと、日本はやはり少し消費の行き詰まりの状態の中にありまして、NHKも相当あれは悩んでといいますか受信者が傾向としまして少し減ってきておりますけれども、新しいこういったものを官庁とか大企業とかあるいは三次産業とか、そういった産業レベルでは相当に必要性が出てきておる。民間の方も日本でも進んでいますが、しかしやはり各家庭ということを考えた場合には、おっしゃるとおりニーズの関係とかがありまして、なかなかこの辺のことは、投資に対して果たしてペイするかという問題を考えれば、間違いないのです。  そういう点でこれをぜひ、アメリカの経済が進行している中に大きな一つのウエートであったと御把握願いまして、長官せっかく行くのですから、随行されまして研究していただきたい、こう考えております。同時に、通産省、郵政省、NTT、縄張り的なことがございますから、なるべく経企庁がリードして一まとめにして引っ張ってもらいたい、こういったことを長官にお願いしておきたいと思います。  次に、景気対策について入りますが、先ほど長官の御答弁の中にありましたように底入れ問題ですけれども、これは先ほど慎重なたしか言い回しをしておりますが、もう一遍率直なお考えをお聞かせいただきたい。
  129. 船田元

    船田国務大臣 現状の景気の足元がどうであるかということについては、瞬間風速ということで申し上げますと、まだ現在の指標がこれから少し先にならないと入手できないというタイムラグもございますので、瞬間風速を申し上げるというのはなかなか難しい状況でございます。  しかしながら、先ほどもちょっと申し上げましたが、例えば新車の新規登録届け出台数が、年の初めから前月比でプラスということが続いているということもあります。それから、鉱工業生産の動向も年初めから前月比でプラスが続いている、あるいはマネーサプライも六カ月ぶりに前年比プラスとなっている、こういうことがございました。どちらかというと、先行指標に入る部類の指標がやや明るい兆しを示しておるということは事実であろうと思います。  しかしながら、やはり国内需要の大宗を占める、まあ六割近くを占めるわけでありますが、個人消費の伸びの問題、それから設備投資の問題、この二つの横綱格の動向を見ておりますと、まだまだ個人消費は依然として低い伸びが続いておりますし、設備投資についても製造業を中心として減少が続いているというようなことでございまして、確かに一部に明るい兆しも見られる指標も出ているわけですけれども、現在のところは景気は引き続き低迷をしている。こういう基本的な情勢には変化がない、こういうふうに考えております。
  130. 大木正吾

    ○大木委員 大体長官のおっしゃることの中身は理解できるわけですが、結局最近の宮澤総理の発言を聞いていましても、あるいは一部の民間団体などの調査なんか見ていますと、ほぼ底入れ状態。大体三月末からそういう認識が広がっている感じを受けますね。しかし、後半には回復するだろう、こういうふうな見方のようですな。同時に、回復はしましても非常に渋い回復状態が長く続くだろう、こういうふうに見られております。そういう認識で長官の意見と一致しますか。どうでしょうか。
  131. 船田元

    船田国務大臣 底入れあるいは底打ちということでございますけれども、回復をする前に底打ちというのは当然これはいずれあるわけですけれども、ただ現状として、先ほど申し上げましたように一部明るさが見られるけれども、本当の意味で底入れをしたという状況は、まだ言いにくい状況ではないか。まだ時期尚早ではないか、しかしそう遠い時期でもない、こういうことでございまして、大変微妙な状況ではありますけれども、まだ底打ちはしていないんじゃないか、こういう基本的な考え方に立っております。  今後の回復のテンポでございますけれども、やはりこれは先ほど来お話をしておりますように、通常の景気低迷の原因とも言われていた在庫、循環的な要素だけではなくて、今回はやはり資産デフレという状況が非常に実体経済あるいは消費者のマインドなどに悪い影響を与えましたので、そういう状況も考えますと、景気の回復の足取りというのは以前の回復の状況に比べましてややそのテンポが緩やかなものになるんではないかというふうに感じております。しかし、年度の後半に入りますれば、その回復をしたな、あるいは回復をしつつあるなという実感がかなり広く認められることになっていくのではないかというふうに理解をしております。
  132. 大木正吾

    ○大木委員 宮澤総理が四月一日に記者会見した中で、こういう言葉がございますね。景気かなりよい指標が少しずつ見えるように思うが、予断は許されない、こういうことを言っていますね。同時に、そういったことだから規模として史上最大の景気対策、こういうふうに言っておりますね。  私たちを悩ますのは、実はこういった発言の反面に、日銀総裁が三月の中旬に言っていることをちょっと聞いていましたら、むしろいわばインフレといいましょうかそういった傾向、あるいはバブルといったそういったものについて経済なり世界経済に悪影響を与えている、こういうことで少し控え目な発言といいますか、あからさまには余り言ってないような感じが僕はするんですが、ちょっと温度差がありますね。それから同時に、大蔵次官の尾崎さんの発言等も、これもやはり慎重論に近い。自民党の三塚さん等の発言は割合景気のいい発言が多うございまして、そういうことと同時に、景気の見方としまして、世間の中にあります話を聞いていますと、東京駅を中心にして今タクシーがずっと取り巻いていますし、夜割合に帰りが早いものですから、そういった状態でタクシーもがらがらでございますし、同時に一般の店もがらがらという状態が続いておるわけですが、これが普通の状態。こういう言い方も割合に町の中にはございますね。  同時に、企画庁は依然として三・三%を掲げてしまったんですから、今さらこれを今の段階でもって下方修正なんということは言えないという気持ち、よくわかります。同時にちょっと気がつきますのは、この間実は自民党の幹事長が、先週ですか、NHKでもってたしか九時からの政治討論会の番組で政治改革問題をやっていましたけれども、その中でもってこういうことを言っておりましたね。たしか背が高い、しかし高いばっかりじゃだめだ、むしろ少し充実した、横向きの方の批判があってもいい、こういう言い方をしていましたので、ははあなかなかうまい言い回しをしているなと思って聞いておったんですがね。あの意見を聞きまして僕らぴんときますのは、やっぱり二%か二・五%くらいのことを頭に描いておるのかな、こういう感じもしないでもない。これは勝手な推測でございますけれども。  そこでもって政府なり自民党、与党なり日銀なりそういったのを見ていますと、非常に発言に温度差がありまして、数値じゃなくてもいいのですが、どのような状態ならいわば中型成長というべきかあるいは低成長でも成長は成長というべきか、その辺が読めないんですね、実際問題として。あるべき成長の姿というのが読めない。大変デリケートな質問をして申しわけないのですが、長官、もしそういったことについて何か感想がありましたら、お聞かせいただけますか。
  133. 船田元

    船田国務大臣 非常に微妙な御質問でございますので、あるいはその趣旨を十分体してないかもしれませんが、そのときはまた御質問いただければと思います。  自民党の首脳の御発言、あるいは総理の四月一日の記者会見のお話、あるいはまた大蔵省幹部、あるいは日銀総裁の御発言、それぞれ御自分のお立場で御発言されているというふうに思っております。多少表現の若干の違いということもあるかと思います。それが温度差という表現で大木先生表現されたのかなというふうに思っておりますけれども、ただ私としては、それぞれの方々のお話を注意深く聞いておりまして、基本的には方向はそう違ってはいないんじゃないか。ただ、今後の景気の回復の足取りの問題であるとか、あるいは民間の回復の力というのがどの程度あるのか、そういう点については、それぞれ長年の知識の蓄積であるとかあるいは現場の声をどの程度把握をされているのかそのようなことによって民間の回復ぐあいの力の強さあるいは弱さ、そういった物の見方の違いは多少あろうと思いますけれども方向としては私は一致をしているんだろうなというふうに思っております。  で、私どもの三・三%の成長というのは、そういうさまざまな経済指標、そしてこれからどうなっていくのかという民間の声というのもなるべく把握をさしていただきまして、そういう総合的な判断で、また政府として政策努力をきちんとやった上でどういう結果になっていくのかという判断を総合的にやらせていただきまして、その一つの結果として三・三という数字をお示しをさしていただいているということでございまして、まあ党の幹部の御発言あるいは総理の御発言にしても、あるいは役所の発言にしても、その点においての大きな違いはないというふうに理解しております。
  134. 大木正吾

    ○大木委員 長官のお答えとしてはそういうふうに言うしかないんだろうと思うのですけれども、とにかく割合にみんな模索しているという感じがいたしますね。  どういう姿になるかということにつきまして、極論しますとやっぱり現状ではもう普通の状態、こういう見方もありますしね。しかし、雇用問題と比べていきますと、企業内で抱えておる潜在的失業が百万前後ございますし、決して今のままでいいということは言えない、私はそういう考えを持っているんですけれども。  ですから、そういったこともございますし、問題はやはり景気対策のいわばタイプといいますか。そういった姿を見たときに、今長官何遍もおっしゃったとおり、消費低迷問題です。消費の低迷と民間設備投資ですね。これらはどの程度回復するかという問題、この辺がやはりポイントになりましょうが、結局今の与党の景気回復策は、ここは別に民間の企業の社長さん方じゃありませんから、例えば春闘における賃上げを三・八三%ぐらいに抑えても、あるいは一部の企業を見ても三・九九になったのですね。最終的な答えが四に乗っけたらたたかれるなというような話がありまして、造船だけが四・四を超えたのです。ほかは全部四を切っている。そういったことがあったり、同時にやはり雇用が、潜在的なことを含めたりあるいはアルバイトを含めたりしまして相当に減っています。  そうしますと、消費が回復する条件というものは、六〇%を占めますGNP比の中で非常に過大というものがありまして、野党の方は減税要求をどんどん出しているわけですね。企画庁もそうかもしれませんが、もう一遍、要するに公共投資あるいはさっき申し上げた新社会資本計画、そういったもの等を入れまして、従来循環型不況もそうだったのですが、結局ある程度景気の支えをしていましたね。その間に消費が回復してくるとか民間の設備が返ってくるとか、そういったことを待つ間そこでもって支えていく、こういう状態に考えていいと思うのですが、そういった従来型の経済回復パターンでこの危機を乗り切れるかどうか。  そこは非常に大きな問題、意見の分かれる、あるいは議論の大事なところであると思うのですが、長官の物の考え方は、景気回復策は、公共投資などを軸にしまして、そうして景気対策に先行しまして下支えをする中で、個人消費、民間投資が回復してくる、こういう考え方で経済のかじをとるということですか。
  135. 船田元

    船田国務大臣 確かに大木先生指摘のように、今回の景気の低迷の非常に大きな特徴としましては、消費が伸び悩んでいるという状況があると思います。  この原因としては、確かにいろいろ考えられるわけでありますけれども一つは、やはり景気が低迷をしたために、それまで非常に高い伸びを示しておりました時間外労働の割合が急激にしぼんでしまった。こういうことによる雇用所得というものが伸び悩んでしまった。これもあるでしょうし、あるいは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、要するに資産デフレということが個人の消費意欲というのでしょうか、あるいは消費マインドといいましょうか、そういったものを冷え込ませてしまったということもある。あるいはバブルの時代に耐久消費財、これは高級自動車とか家電製品の大型のものですね、そういったものをかなり買い込んだということ。そして現在では、まだなお家計におけるストック調整ということが続いている。そういうさまざまな要因がある。そのことが消費の伸びを落ち込ませておるし、また、消費性向というものも下げてしまっている、こういうこともあると思います。  したがいまして、今、現段階で可処分所得あるいは雇用所得をふやして、そしてどのぐらいそれが消費に回っていくのかということを考えてみますと、かっての状況ほどにはなかなかその効果というものが余りはっきりとはあらわれにくいのではないかということも、当然議論としては考えておかなければいけません。  さらには、もし所得税減税というお話を出すのであれば、そのときの財源の問題を一体どうするのかというような問題があると思っております。という状況でございますので、現段階としては、消費を拡大させるための手だてとしては、まずはやはり公共投資を中心として、なお政策的な若干の減税ということは必要かもしれませんけれども、公共投資を中心として需要全体を支えていくということが、当面とるべき道ではないだろうか。  また、所得税等の問題については、現在与野党の間で議論が始まっておりますので、そちらの議論というもの、あるいは協議というものに注目をして、その推移をしっかり見守っていかなければいけないな、こんなふうに考えております。
  136. 大木正吾

    ○大木委員 結局、景気の底入れの対策につきましては、与党も野党も反対はないですね。  問題は、しかしその場合に、アメリカのクリントンさんも大分注目しているようですが、例えば八月の十兆七千億の景気対策のときの真水が、新聞報道等を見ますと大体五兆ぐらいという話ですね。要するに、いろいろなことを突き合わせてみますと、十兆七千億とおっしゃっていますけれども、地方自治体に押しつけたものもありますし、政府が本当に財投資金なり税金、補正予算等を組みましてやった分、約五兆と言われていますね。ですから、宮澤さんは今度アメリカに行きまして、やはり十三兆という話も自民党筋に出ていますけれども、そういったものを政府が正式に決定した場合との程度本当に、例えば大蔵省の話なんかをちらほら聞きますと、大体補正予算で組める部分が六兆五千億出る、こういう話も聞きますし、財投に相当振りかかっていくだろうという話も聞きます。やはり日本型の膨らませた十三兆という形の景気対策でアメリカ側は納得しないという感じ新聞報道等で聞こえてくるわけですね。そういったこともございますし、新聞程度ですから正確なことはわかりませんが、クリントン政権はやはり減税問題について、所得減税についてある程度注目をしておる、こういう記事がちらほら見えます。  そうしますと、さっき長官もおっしゃったのですが、完全に底入れをしていないと言うのですね。もし手法を間違えますと、二番底という問題が起きて、それが株式市場に影響しますと、それこそ今度は持ち合いがなかなかきかない状態に行くという心配がありまして、その問題と同時に、では今若干の赤字国債を出しますと、私に言わせてもらいますと、大蔵大臣に言ったこともありますが、例えば九二年度ですか、平成二年度ですか三年度ですか、一兆四千八百億円の要するに決算剰余金が出ましたね。大蔵省はたしか赤字国債や何かに回したと思うのですが、大体ずっと節約を各省庁にやらせていますから必ず四、五千億、あるいはもうちょっと上とかそういった程度の決算剰余金が出てくるのは、それはぴったりということはないですから、そういった点を考えていきますと、いわば赤字国債ということを考えることも一つでしょうが、いわば短期の国債を出しながらそれを国民全体に義務づける。この間にあらゆる金を全部そこに流して赤字国債を消していくのですから、例えばそういった決算剰余金の部分があってもいいでしょうし、私も言いたくはないのですが、そういった最悪の場合には税制の姿を若干考えて、そういうことも含めて何が一番大事かという問題になりますと、二番底になった日本経済は大変だということです。同時に、国際経済に与える影響も大変だと思うのですね。こういったことに対する認識を一致させるのが一番大事な問題だと私は考えています。  ですから、そういったことを含めて、長官もおっしゃったとおり、消費拡大のために大蔵省等の、企画庁は若干それに寄せておりますけれども、ある意味では民間の経済団体、年末は全部所得税減税に賛成いたしましたし、日経連の会長なんかは物すごい勢いでやろうと言ったわけですから、経済研究所、民間の機関もほとんど所得税減税は主張しておりますし、そういった中でもってまだこれに対して踏み切れないということは、やはり自民党の梶山幹事長さんの発言につきましても、もうちょっと重きを置いて考えてもらって、むしろこれはそういった与野党のやりとりもございますけれども、本当に日本経済をどうして底上げしていくかという問題を考えたときには、経済企画庁はその中心的なかなめの役を持っているのですから、どうですか。若い元気のいいところを持っている長官の方から、この際は二番底を防ぐために所得税減税やむを得ない、こういったことを、野党が言っていることも金額は大きいですから、大き過ぎるから若干減額してでもやったらどうかという話ぐらいぶち上げてもいいのじゃないですか。そういった気もしますけれども、長官、乱暴ですか、それは。
  137. 船田元

    船田国務大臣 大変また微妙な御質問でございますけれども、私としては、確かにそういうお考えも、やはりそれは景気の回復のためにいろいろな手だてを考えていくということは大事なことであると思います。我々の責任というのはまさに、一日も早い景気の回復を行って、そしてしかもそれがインフレなき持続可能な成長に、一日も早くその経路に戻すということが最大の課題だと思って、必死でやっておるわけでございます。  そういう中で、確かに所得税減税、これもやらないよりはもちろん実施することによる効果というのはあるわけでございますが、同時にそのほかのさまざまな財政出動の方法、幾つかあると思います。例えば公共投資のこともあるでしょうし、あるいはその他、的を絞ったといいましょうか、政策減税というようなことでかなり対象を限ったものもあるかもしれません。そういったものとの費用対効果と言ったら恐縮なんですけれども、その効果がどの程度のものであるのか、これはやはり比較考量しなければいけないという問題があると思います。私は、所得減税というもの、これも確かに一つの手だてではあると思いますけれども、ただ比較考量の点において、果たして突出して効果があるのかどうかということについては若干まだ議論をしなければいけないところもございますし、やはり何をおいても財源ということを考えますと、財政の健全性、せっかく赤字国債発行を平成元年度にゼロに何とか努力をしてやったということを考えますと、軽々にそういう赤字国債あるいは仮に短期国債であっても、その返す当てというものがきちんと担保されないものではいかがなものかなという感じもいたしておるわけです。  いずれにしましても、さらに与野党の協議が現在続いておりますので、そこは真剣にその推移を見守らせていただきたいな、このように考えております。
  138. 大木正吾

    ○大木委員 経済企画庁の宮崎さん、前の次官なんですが、宮崎さんが非常にいいことを言っているんですね。要するに、国債というものは民間の債権である、こういう言い方をしまして、不況効用論に対して知的な退廃、こういう言葉であれしている。宮崎さんの場合には、やはり赤字国債賛成論ですね。ですから、こういったものに対して、例えばアメリカの場合には、日本も大分アメリカの国債を買っていますし、日本がアメリカに国債を買ってもらったということはないわけですから、そういう点では百八十何兆ということは確かに問題ですけれどもね。しかし幸いにしまして、外国にはそういったものはありませんから、売っておりませんからね。確かに、国債は民間の債権という言い方は、正しい言い方だと思いますね。同時に、やはりある程度こういったものにつきましては、大蔵省も立派なことを言っておりますけれども、実際には地方から、自治体の方から取り上げたり、あるいはいろいろな隠れ借金的なこともしていますし、実際に赤字国債と同じようなものが幾つかまとめていったら四、五兆ぐらいあるはずですね。  そういったことに対して、私は、むしろ現下の日本経済というものに対する非常事態的な認識を持つものですから、あえてこういうふうに申し上げるわけです。さっきも申し上げたのですが、要するに、毎年の決算剰余金の問題とかそういう点を考えていきますと、国民全体が法的に縛られましてね、五年間に絶対にこの金は返すんだということをまず約束する。方法の中にお互いに都合の悪い部分が入るのはやむを得ないと思うので、与党も野党も辛抱する。そういう中でもって私は今の事態を乗り切っていくことが一番賢明な国民的な選択というふうに考えております。  我が党の言い方から少し飛び出すかもしれませんが、私自身の持論的な立場でもって申し上げますけれども、例えば株式市場が非常に活躍しています。しかし、やはり非常に慎重な金融法人関係は余り顔を出していない。やっと少し出てきましたね。それはやはり経済がある程度成長過程に民間の設備投資もして、あるいは合理化を含めまして、企業の体質が本当によくなるかどうかということを見たい。あるいは土地やそういったものに対する、言えば従来の不良資産の整理が出ていますからね。ですから、そういったことがいつまでたっても——長官がおっしゃるように、まさしく景気の底入れが全部済んだということは断定できないのではないか。その断定できないという少しの部分を、どうすればこのぐらいになりますと。  確かに、公共事業の方が若干所得税減税よりはいいということは書きますけれども、私はやはり数値の問題ではないと思いますね。こういったものは、さっきも長官おっしゃったのですが、一つが社会的なニーズあるいは雰囲気、そういったものによりましてやはり減税というものは組むんだということで、例えば年末の減税でもいいですよ。今、この国会でそういったことを決めていくということが。夏の戻し減税というのが理想的です。しかし、それに間に合わせる合意ができなかったら、やはりある程度税の体系によってもやむを得ないと思うんですね。  そういった中でもって、少し国民の前に、先行きにささやかな明るみが見える状態をつくってあげることは非常に大事な問題だと考えるものですから、あえて党の意見から少しばみ出しますけれども、自分の私見を交えて長官に申し上げておきたい。長官の意見を最後に伺いまして、終わりたいと思います。
  139. 船田元

    船田国務大臣 今、大木先生から非常に幅広い観点からいろいろな御指摘をいただきまして、大変私も参考になったわけでございます。  ただ、先ほど申し上げたような私自身の基本的な気持ちがございまして、所得税減税、いろいろなやり方があるかと思いますけれども、やはりそこは少し慎重に私どもは議論をさせていただきたいということをずっと言い続けているわけでございますが、基本的には与野党の協議にまたなければいけない。もちろん、所得税減税というものが先ほど私が申し上げた消費マインド、これを前向きにさせる、明るくさせるという効果もやはりそれは一つはあると思っております。ですから、そういう効果も考えつつ、またそれをやるための財源がどうなのか。それはもうすべて総合的に費用対効果という面で考えていかざるを得ない状況でございますので、なお研究はさせていただきたいというふうに思っております。
  140. 大木正吾

    ○大木委員 終わります。
  141. 戸田菊雄

    戸田委員長 小野信一君。
  142. 小野信一

    ○小野委員 大臣景気とは何だと思いますか。どういう内容を持ったものを景気だと、こういう定義はありますか。
  143. 船田元

    船田国務大臣 突然の御質問でございますが、これは人々の経済活動の総体であると同時に、人々の気持ちということもかなり影響しているものではないかというふうに思っています。それの立場としては、トレンドとして以前はこうであった、そして現在がこうであり将来がこうなるであろうという、常に時系列的に伸びたり縮んだりする、そういうものから経済活動の総体としてあらわれてくるものと、それから人々の気持ちというか、消費ならば消費をより活発化させよう、あるいは逆に消費を手控えようとか、あるいはそういう経済にかかわるすべての国民の気持ちの問題によって景気というものも動いていくものだろう、そんなことかなと思うのです。
  144. 小野信一

    ○小野委員 通告をいたしますとこのような質問はおもしろみがなくなるものですから、通告せずに質問をいたしました。  景気がいいとか悪いとかこう言います。もちろん、この分岐点は定規ではかったように区切ることはできないことは十分承知をいたしております。したがって、ボーダーラインというものがあるのだろうと思います。  そこで、景気がいいというのはどういう条件がそろったときに景気がいいといい、景気が悪いというのはどういう条件が欠けたときに景気が悪い、こういう定義はございますか。
  145. 土志田征一

    ○土志田政府委員 思いつきで申しわけございませんけれども、立場によって違いまして、企業の場合ですと、景気がいい悪いというのは、売り上げや収益、売り上げが伸びているかどうか、収益が増益になっているかどうか、減益になっているか、そういうところだろうと思います。  ただ、マクロ経済の立場でいいますと、これはよい悪いというのか、あるいは上昇している、下降しているというような表現になる場合もございますけれども、経済活動全体が上昇しているかどうかというようなところで、企業の見ているのと少しずれがある場合がございます。例えば収益が改善してくるにはかなり時間がかかるという問題もございますので、そういう意味で、ちょっとどの立場でとらえるかによって違いがあろうかと思います。
  146. 小野信一

    ○小野委員 難しいことがわからなくても、国民の皆さんは、景気が悪いというのは利益がないということ、所得が減じているときに景気が悪い、こう言います。ところが、経企庁や大蔵省の場合にはそういう観点ではなくて、いろいろな数字を見まして、下降線をたどっているときには、ある水準より下がれば景気が悪い、ある水準よりも上であれば景気がいい、こういう言い方をするようでありますから、景気がよいというのは、経企庁から見た場合に、どういう条件がそろったときに景気がいい、どういう条件に欠けているときに景気が悪い、こういう考え方をしないものだろうか、こういう意味でございます。もう一度、済みません。
  147. 土志田征一

    ○土志田政府委員 残念ながら、どの指標、どの条件というふうに完全にリストアップをして決めるという形にはなっておりません。それは、これも御議論の中で再々出てきておりますけれども、それぞれの景気の循環と申しますかサイクルのときに、それぞれ特徴がございます。したがって、常に同じ形で、この要件のみ、この要件なら十分というふうになかなか確定しがたいところがあろうかと思っております。そういう意味で、常に総体的な判断にならざるを得ないというのが現状であります。
  148. 小野信一

    ○小野委員 総体的な判断であっても、ある条件が満たされなければ景気がいいという判断は出ないはずですし、悪いという場合には、その条件の何かが欠けているときに景気が悪い、私はこういうことになるのだろうと思いますので、いつの機会が、まとめておいて教えていただきたいと思います。  そこで、平成四年度の実質経済成長率が、最初三・五であったのが一・六に下方修正されました。八月の総合経済対策、十二月にその十兆七千億円が補正されたわけですけれども、十兆七千億円を補正することによって三月までどの程度の経済成長率を押し上げることが可能だ、こう考えて一・六%という数字を出したのだろうと思いますけれども、二つお尋ねいたします。  十兆七千億円の補正は何%GNPを押し上げるという計算をしたのか。そして、現在の一・六%の目標は、この前の予算委員会で総理大臣は、その達成は大変難しいのではないか、こう言っておりましたけれども数字がそろわないにしても、皆さん何%ぐらいにはいくのじゃないだろうかという見積もりはあるのだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  149. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいまの小野先生の御質問の、まず前段からお答え申し上げたいと思います。  八月二十八日の総合経済対策、十兆七千億円の経済効果につきまして、当対策の策定時点におきまして向こう一年間と申しますのは、大体十—十二月期から一年間というふうに言っていたと思いますけれども、GNP、名目で二・四%程度押し上げる効果を持つ、このように申し述べ、公表してきていたところだと考えております。そのような総合経済対策効果を織り込んだ上で、そして七—九月までのGNPの実績というものを踏まえまして、一・六%というふうに下方修正をしたわけでございます。  しかしながら、第二点の御質問と関連するわけでありますけれども、十—十二月期のGNP統計が、率直に申しまして私どもの想定以上に下振れをしていたということがあろうかと思います。GNPベースでいいますと、既に何回か出ておりますように前期比〇・一でございますけれども、これは内外需の寄与度でいいますと、国内需要がマイナス〇・五GNPを押し下げまして、そして海外需要、外需が〇・六GNPを押し上げるという形で、差し引き〇・五というマイナスでございます。  この国内需要のマイナス〇・五という中身を見てみますと、民間需要というものがマイナス〇・八GNPを押し下げまして、これに対して公的需要が〇・三GNPを押し上げる、こういうことであります。つまり、公的需要がGNPを押し上げましたけれども、それ以上に大きく民間需要が落ち込んでいた、民間最終消費、民間住宅投資、そして設備投資、こういったところが予想以上に大きく下振れをしたということが十—十二月期のGNPにあらわれている姿だと思います。  そういう中にありまして、公共投資は前年比で見ますと一二・四%という実質の伸びを示しているわけでありますけれども、ただ補正予算の成立が十二月十日ということになりました結果、十—十二月期のGNPに対します公的固定資本形成の寄与の仕方というものが私ども思ったほどではなかったということがあるわけでございます。ということからいたしまして、このような総合経済対策効果は、総じて平成五年度年初から逐次平成五年度の上期にかけて経済全体に浸透していくんだと思っております。  このようなこともございまして、三・五%を一・六%に下方修正したわけでございますけれども、資産価格下落によるデフレ圧力というものが思いのほか強いという事情もありまして、平成四年度一・六%という実績見込みにつきましては、これは午前中も御答弁申し上げましたけれども、率直に申しましてなかなか容易ではないと申しますか、極めて厳しい状況であるということは、私ども認識をしているつもりでございます。  しからば、どの程度かということになってまいりますと、先ほど大臣から御答弁がありましたように、十—十二月のQEも、速報でございますが、これは確報段階で新しいその後のデータを入れてどのように修正されるかということもございますし、そしてまた一—三月の速報値が六月に出てくるということでもございますので、大変恐縮でございますが、一—三月のQEも待たせていただいて実績ということでお示しをしたい、私どもこのように考えているところでございます。
  150. 小野信一

    ○小野委員 九一年度の成長率は三・四%でございました。ところが、いわゆるげたと言われる九二年度に繰り越した成長率は一・一%押し上げるだけのものがあったはずであります。したがって、九二年度の経済成長率がもし一・一%であるとすれば、九二年度の単年度の実質経済成長率は〇%だったということになるはずであります。もし一・一%以下であるならば単年度はマイナス成長だったという計算が成り立つわけでありますけれども、こういう計算は正しい判断といってよろしゅうございますか。
  151. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、平成三年度から平成四年度へのげたは一・一%ということでございます。したがいまして、その後の平成四年度に入りましてからのGNP統計によりますと、四—六月は〇・〇、七—九月は前期比マイナス〇・六、そして十—十二月は〇・一ということでありまして、ならしてみますとややマイナスぎみといいますか、横ばいというような状況でございますので、そのような点からいたしまして、仮定の問題でございますけれども、仮にただいま先生から御指摘がありましたような姿ということでありますと、平成三年度から四年度へのげただけと申しますか、げたからそんなに年度内で積み増されるものがないというような状況というものはあると思うのです。  厳密な計算の上でのお答えではございませんので、その点は御容赦をいただきたいと思います。
  152. 小野信一

    ○小野委員 厳密な計算ではないということを十分承知の上で、恐らくげたの一・一%前後の経済成長率ではないだろうか、こう理解をいたしまして、次の質問に移ります。  十兆七千億円の補正予算が一月から三月期にGNPに寄与するのは〇・九%だ、こういう説を私は本で読みました。もしこの数字が正しいとするならば、一・六から〇・九を引きまして、実質的にことしの経済成長率は〇・七ということになります。そうしますと、最初の政策目標でありました三・五と〇・七を比較しますと、実に五分の一というまことに大きな誤差になってしまいます。私は、この余りにも大きな誤差に驚くのであります。 経企庁の景気判断がなぜこれほどまでに違ったのだろうか、間違ったのだろうか、平成不況がなぜこれほどまでに厳しくなったのだろうか、こういう感じを持つわけですが、大臣いかがですか。これに対する考え方。
  153. 船田元

    船田国務大臣 我が国の経済の低迷、これは従来の要因というのは、確かに設備投資のストック調整であったり、在庫調整などの循環的な要因というのが非常に中心であったわけであります。しかしながら、今回は、もちろんその要因もあるわけですけれども、それに加えて資産価格下落ということがあり、それが実体の経済にいろいろな点で影響を与えていた、こういう二番目の原因というのも非常に強く今回の景気低迷には影響を与えていたということであります。  この資産価格の大幅な下落というものが、実体経済にどういう影響を与えたのか。これは我が国の戦後の安定成長期以降初めて経験をした事態でございまして、多少言いわけになるかもしれませんけれども、やはり影響の見通しということが非常に難しかったなということは率直に認めざるを得ないということでございます。その影響がどのくらい出たのか、あるいはどのくらい出るのかということについての見通しの甘さというのが確かにあったのかな、このように理解をしておりますが、しかし私どもとしては、そういう状況を踏まえつつも、何とかこの景気の低迷を長引かせないようにということで、昨年八月の対策、あるいは平成五年度の予算につきましても、かなり景気に配慮した内容ということで御審議をいただいて、先日成立させていただきました。またさらに、第三次の追加対策ということで四月中旬を目途にいたしまして、今その内容の検討をしているという状況でございまして、今回のこの経験というのは、私どもにとりましても大変大きな経験でございまして、これを生かしつつ、今後とも機動的な運営に努めていきたいな、こんなふうに考えております。
  154. 小野信一

    ○小野委員 今の大臣答弁から端的に申し上げますと、経企庁は、フローから判断する景気を重点に置いて、ストックからの影響を非常に軽視してきた、こういう理解の仕方でよろしゅうございますか。
  155. 船田元

    船田国務大臣 今小野先生のおっしゃったフローとストックの意味というのが、私ちょっと十分には理解しにくいところもあるのですけれども、私どものこれまでの分析、それはフローの面でも、あるいはストックの面でも、実体の経済にそれぞれどういう影響を与えるかということについては、かなりバランスをとって分析をやってきたつもりでございます。  ただ、今回の景気の低迷のもう一つ要因というのは、やはり資産価格下落、これはストックにおける価値の下落ということで、それの影響というのは確かに十分に把握し切れなかった部分があるかと思いますけれども、それ以外のいわゆるストック調整と言われる方のストックにおいては、これは従来からの景気の循環の中でかなり見られた傾向でございますので、その辺は十分に把握をしているつもりでございます。今回は、ストックの部分における価値の下落ということ、それの影響が十分に認識できなかった、こういう点だと思っております。
  156. 小野信一

    ○小野委員 今大臣がおっしゃる見通しの誤りがその後の対策をおくらせ、今日の不況を深刻化させた、私はそう思います。この事実は、政府の経済政策や成長率の信用を台なしにいたしまして、これからの政策立案を大変難しくしたことは間違いございません。私は、この責任は経企庁は非常に大きいものだと判断をいたしております。大臣は、この責任についてどのような考え方をお持ちですか。
  157. 船田元

    船田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、確かに資産価格下落ということ、それが実体の経済にどの程度影響を与えるかということについては、初めての経験であったということで見通しが困難であり、また、そのことが見通しを甘くしてしまったということは事実であろうと認めざるを得ないという状況であります。  私どもとしても、このことを本当に反省いたしまして、今後こういう事態を生じないように常に経済の足元をきちんと見きわめまして、またその見通しにつきましても、今申し上げたようなさまざまな要因についての実体経済に与える影響ということをきちんと織り込んだ上で今後なお努力をさせていただきたい、このように考えておるわけでございます。
  158. 小野信一

    ○小野委員 国の経済成長率を計算する担当省は、経済研究所の国民支出課ですね。間違いございませんね。
  159. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 いわゆるGNP統計と申しておりますが、国民経済計算を作成いたします担当部署は、先生指摘のように経済研究所の国民所得部でございます。  一方、経済見通しというような将来に向けての経済の予測ということになりますと、短期の面につきましては私ども調整局でございますし、中長期の展望ということになりますと総合計画局が担当する、このような所掌になっております。
  160. 小野信一

    ○小野委員 短期あるいは中長期の予測にいたしましても、どちらもあるマニュアルがございまして、それに数字をインプットして出てくる数字を積み上げる、こういう計算を恐らくしているのだろうと思うのですけれども、その経企庁のマニュアルは一切極秘であると私は聞いているのです。これだけの不信を買った経企庁の算定は、私は、マニュアルを公開して、外部の人からも一度その実態を批判を仰ぐことが必要ではないか、こういう気がするのですけれども大臣、そういう必要はございません、こう言い切ることができますか。
  161. 船田元

    船田国務大臣 そのマニュアルというものの存在あるいはそれの公表ということでございますが、かなり技術的なこともありますので、私からは基本的な姿勢だけを申し上げておきたいと思います。  これは常に、マニュアルを一度つくりまして、これは過去の経験則というものも当然、数字といいましょうか指標に反映させながら改善を加えていくという部分もあるでしょう。あるいはそれぞれの指標のとり方においても、大企業だけの判断ではなくて、中小企業のおやじさんの判断がどうであるのかとか、そういう指標のとり方、カバリングの問題、これをできるだけ広くとっていきましょう、こういう努力ももっとしなければいけません。  そういうことで、指標のとり方というものについては常に細心の注意を払わなければいけないし、また同時に、マニュアルというものの改良ということも、これがもう絶対無比のものである、これはもう間違いのないものであるということで考えるのも、これはまずい考え方ではないか。やはり常に新しく新しくしていかないと、これは実体の経済になかなか合っていかないという部分もありますので、常にその改善の努力は続けていくべきもの、このように理解をしております。
  162. 小野信一

    ○小野委員 現在の不景気をより深刻なものにした理由の一端は、ある意味では経企庁の責任でもありますから、それらの組織的な反省といいますか、機構につきましてもあるいは技術的なものにつきましても、しっかりと二度と過ちを繰り返さない組織的な反省が必要だろう、私はこう思いますので、その点を主張いたしておきます。  アメリカの場合を見ますと、実質経済成長率がゼロになりますと失業者が急増いたします。日本の場合には、アメリカほど鮮明ではございませんけれども、成長率が三%を切ると失業者が発生し、あるいは企業の収益が急激に落ちてまいります。この違いは、もちろん両国の雇用関係や株の持ち合い制度あるいは経営システムの違いであり、一言で言えば、アメリカの経営システムと日本的経営システムの違いであろうと私は思います。したがって、アメリカが〇%のとき、日本が三%というときに、どちらも三%の違いで景気が落ち込んでいく、失業者がふえていく、企業の経営利益がダウンする、こういうことなようであります。要するに、日本の場合にはアメリカよりも高目の経済成長率がなければ日本の経済が回っていかない、安定的な経営ができないというようなことであります。  ある経済人は、日本の経営の場合には四%以上の、まあ今五%、六%というのは無理でございますし、そんなことを言うと今回のような過ちを繰り返しますので、四%前後の成長率が必要だ、こう言っております。ところが、御存じの「生活大国五か年計画」では、九二年から九六年までの平均経済成長率を三・五%と見ております。したがって、三・五%という経済成長率は、日本国民の皆さんに、経済人の皆さんに不況感を与える経済成長率なんだろうか。あるいは実質の四%前後と三・五%という経済成長率の違いは、何ら日本の経済社会に影響のない違いなんだろうか、こういう疑問を持つのですけれども、この実態と「生活大国五か年計画」の三・五%の違いについて、どういう感想をお持ちですか。
  163. 田中章介

    田中(章)政府委員 御指摘のように「生活大国五か年計画」では、五カ年間の実質経済成長率は三カ二分の一%ということであります。この三カニ分の一%成長というのは、これまでの五十年代あるいはその以降の成長率、これは四%台で推移してきたのでありますが、そういった成長率よりはおっしゃるとおり低くなっております。  それはなぜかと申しますと、まず第一は、これからこの計画期間において労働力人口がやはり八〇年代後半のような伸びが期待できないということがあります。それからもう一つは、労働時間の短縮がさらに進む、これは計画でも千八百時間というふうに言っております。そうしますと、この労働力人口と労働時間を掛け合わせましたいわゆる総労働投入、この伸びがこれまでよりも低いことが見込まれる、これがまず第一の要素でございます。  それからもう一つは、やはりこの計画の中でも環境問題への対応ということを非常に強調しております。この環境問題につきましては、数量化するということはなかなか難しいわけでございますが、いずれにしましても生産構造とかあるいは省エネルギー、こういったものを見直して新しいライフスタイルを確立する、こういったことを強調しておりまして、こういった両方の視点から、やはり成長率がこれまでの四%今よりは三カ二分の一と低いものを見込まざるを得ないわけであります。  しかし、それではそれで果たしてそごを来すかというとそうではありませんで、この三カ二分の一の成長率のもとで私どもは完全雇用も維持できますし、また同時に物価の安定ということも確保できる。そういう中で、この生活大国が目指します労働時間の短縮あるいは居住環境の改善とか、あるいはいろいろな社会資本の整備とか、それを進めていくということで、この三カニ分の一成長というのがこの五カ年間の望ましい成長ということであります。
  164. 小野信一

    ○小野委員 三・五%の経済成長率で日本の経済、また国民生活が支障のないように回転できるように、その点は努力していっていただきたいと思います。  それで、新経済計画の一つの目玉は御存じのように生活大国でございます。これは、経済の水準は一流だけれども国民生活水準は二流と言われる状態の改善を目的としたことは、疑いない事実でございます。しかし内容を読んでみますと、少し漠然としているのではないだろうかという感じを私は持ちます。  その理由の一つは、なぜ日本生活水準がその経済力に比較して低いのか、その理由が明らかにされておらないからであります。同時に、されておったとしてもそれが国民的な合意になっていないからだと私は思います。この合意になり得なかった理由は何だろうかと考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  165. 田中章介

    田中(章)政府委員 御指摘のように、我が国は一人当たりGNPで見ましても、またあるいは国全体の経済規模で見ましても、世界の先進国の中でも有数に高いということになるわけですし、国民生活という観点から見ますと、これも物質的な消費という点ではかなり豊かになった、こういうふうに思います。  しかし、振り返っていろいろ生活面を見ますと、これまで労働時間が長かった、あるいは物価水準も国際的にも高いところにあった、あるいは住宅あるいはいろいろな社会資本の面でも立ちおくれている面も否定できない、あるいは生活環境の面で地域的にも格差があって、特に一極集中というようなこともあり、いろいろあるということであります。そういう意味では、経済全体の豊かさというものが今度は国民生活の豊かさ、こういう実感できるものとの間に乖離がある、それは否定できない部分だと思います。  そういうことでありまして、生活大国計画ではそういった認識のもとで、むしろ国民一人一人が豊かさとゆとりを実感できるようにということで、労働時間の短縮であるとか、あるいは社会資本の整備とか、あるいは五倍の年収で住宅も取得が可能になるというように、今御指摘のあったような個人が豊かさを実感できる、そういう方向に向けていく。要するに、国民経済成長の成果をそちらの方に向けていく、こういうふうになっているわけでありまして、御指摘のようなことは強く認識してこの計画もできているというふうに思っております。
  166. 小野信一

    ○小野委員 経済白書を読んでみますと、しばしば出てくる言葉に、経済効率優先主義から生活優先主義への変革という表現があります。要するに、この言葉から理解をするには、経済効率の追求の行き過ぎが国民生活の貧しさの要因だという見方をとっているように私は読めるのですけれども、その見方は誤りですか。
  167. 土志田征一

    ○土志田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、確かに行き過ぎた場合にはという、そういう考え方が一面であろうかと思うのです。他面では、やはり効率の向上、生産性の向上で所得を上げて、それによってその所得資源を生活面に回していく、そういう考え方もできるかと思いますので、そこはバランスをとって考えるべきであるというふうに考えておりますので、御指摘のように、行き過ぎという点に問題があるとすれば、問題があるというふうに考えております。
  168. 小野信一

    ○小野委員 経済的合理性が優先して生活主義が置き去りになった、こういう言い方だと私は思うのですけれども、経済合理性ということを考えてみますと、お互いに企業や生産者は利潤を最大にしようとすることが合理性だと思うのです。あるいは国民は効用を最大にしようとする、これが経済合理性だと思うのです。そして、この二つの合理性がぶつかるのが市場であると思うのです。  したがって、生活者自身も市場で物を買い、選択し、自分の労働力を高く売ろうとするわけですから、市場の中で十分その能力を発揮できるはずであります。その結果として、市場で、需給関係で決まるわけでありますから、私は、生活者の合理性も市場あるいは経済のメカニズムの中にしっかり生かされる舞台はそろっている、こう考える一人でございます。  問題は、むしろ市場メカニズムという経済の論理が十分に優先して取り扱われていないところに問題があるのではないか。経済優先から生活が豊かになれないのではなくて、経済の中心である市場メカニズムを十分優先することができなかったから生活が豊かになれなかったのではないですか。こういう考え方をするのですけれども、いかがですか。
  169. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 御参考になるかと思いまして申し上げるわけでございますが、私ども国民生活審議会というところで、国民生活重視社会ということを先般提案いたしたわけでございます。  その中で言っておりますことは、戦後の日本の経済社会の仕組みが生産と企業というものを余りに優先し、重視し過ぎていた。それをもう少し個人生活を重視するという形で編成し直さなければならない。市場は確かに重要でございますが、市場の欠陥というものはございまして、経済的にはそれは経済理論で認められておるわけでございます。  それから、企業として最も合理的に行動いたすということになりますと、例えば女の方が結婚をして子供を産むと、どうしても使いにくい。そうすると、女の人はそれほど使わないというようなことが起こるわけでございまして、国民生活審議会としては、そういうことでなくて、例えば労働時間の短縮でございますとか、それから例えば社宅というようなのも経済合理性があってできていると思いますが、そういうフリンジベネフィットというものは生活という面から見るといろいろなひずみを生むわけでございまして、そういうものはもう少し見直した方がいいというようなことも言っております。  それから、マーケットの中で、例えば土地値段が上がったために個人の努力とは関係のない資産の格差というのができてまいりますし、そういうものも必ずしも合理的だとは言えないというふうなこともいろいろ言っておりまして、そういうことをいろいろ直して、さらに合理的であるということのために安全が軽視されるということもございます。これだけ所得が上がってきたわけでございますから、もっと安全な社会をつくるというのも非常に重要でございます。  そういうようなことをいろいろ提言いたしまして、全体として個人生活をもう少し重視した方がいいのじゃないかというようなことを国民生活審議会の方から提言をしておるわけでございます。これは御参考にと思いまして申し上げました。
  170. 小野信一

    ○小野委員 私は、経済効率優先主義が正しくて生活優先が間違っている、そういうことを言っているのじゃなくて、分析していくとそういうことになるのではありませんかということを主張しているわけであります。  例えば、国民生活が経済力に比較して貧しいことの最大の要因は、行政部門の過剰介入によって農業、流通、通信等の生活に密着した部門の経済効率の改善が妨げられていることが最大のものである、こういう主張をしている経済学者、皆さんの大先輩がたくさんおります。したがって、規制緩和を通じて競争の促進を図る、効率を高めることが生活大国への道であると結論づけております。これは明らかに経済白書の分析とは逆であります。私はそう思うのですけれども、どういう御感想をお持ちですか。
  171. 土志田征一

    ○土志田政府委員 先ほども申し上げましたけれども、多分経済白書でも今御指摘のような規制緩和を進めるということは常に主張していることでございまして、先生のおっしゃるように、できるだけ市場メカニズムを働かせなければいけないということも常に申していることでございますが、それと、先ほど生活局長からの話がございましたけれども、市場メカニズム以外の分野ということの重要性も同時に考えなければいけないわけでございまして、そういうところを含めて全体として見ると、従来のシステムでいいますと、特に製造業を中心に効率重視のところが強過ぎたのではないかというのが、反省として時々指摘されておるというふうに考えております。
  172. 小野信一

    ○小野委員 本論に戻りまして、四年連続五%台の大型景気が続きました。特に最後の九〇年度は、GNPが五・六%、GDPで五・九%となりました。ところが、九一年度は急激に低下いたしまして三%以下になりました。マネーサプライは、八七年度から四年間、M2プラスCDの伸びというのは二けたでございました。ところが、九一年度は一挙に二・六%にダウンをいたしました。  私は、これは明らかに五%以上の大型景気の弊害、国民生活悪影響を配慮して、軟着陸あるいは安定政策というのに転換を図ったためだと思います。しかし、現在の不況あるいはこれらの数字を見ますと、明らかに安定政策の転換に失敗したのではないか、こういう結論を私は感ずるのですけれども、経企庁はどういう感じを持ちますか。
  173. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、四年間にわたる大型景気、この間の年平均成長率は五・一%という大変高いものであったと思います。  日本の潜在成長率が現在との程度がにつきましては、先ほど来議論のあるところでございますけれども、そのような日本の潜在成長力に比べてそれをかなり上回る、いわばバブル含みの高い成長というものをこの大型景気の過程で経験したということが実はあったのではないかと思うわけでございます。その間に、八八年から九〇年までの三年間、民間設備投資が二けた、こういう高い伸びでございましたし、また、四年間を平均いたしましても設備投資が一三%という大変高い伸びを示したわけでありまして、それが大変高い民間設備投資のストックを形成したということがあろうかと思いますし、同時にまた、そのような大型景気の過程で、家計部門におきましても耐久消費財のストックなどが大変積み上がっていく、こういうことがあったと思うわけであります。  そのようなストック調整が起こってきたということが今回の景気後退の一つの側面でございますけれども、いま一つは、先ほど来大臣から申し述べておりますような、いわばバブル崩壊のもとで株価や地価などの資産価格下落をし、そしてバランスシートの調整が起こってきた。それが金融機関あるいは企業のみならず、家計という分野にわたりまして影響を及ぼしてきたということが、実は従来にない経験であったと思うわけであります。  そのようにして、いわば大型景気の後、自律的に景気が反落をしていく過程で、今申しましたようなバランスシートの傷みというものが相当厳しく、さらにそれを下押しをするという方向に働いたのではないかと思われるわけでありまして、その過程で果たして見通しなり政策対応が十分であったかという点につきましては、今後さらにそれらの分析をし、点検をし、反省をしなければならない、このように思っているわけでございます。  もとより昨年来、緊急経済対策、そして総合経済対策、あるいは平成五年度予算、さらには近々策定が予定されております総合経済対策という、そういう政府の対応はなされてきておりますけれども、ややこのように申し上げると大変恐縮でございますけれども、バブルの生成から崩壊に至る今回の経験というもの、これは単に日本のみならず欧米諸国、大なり小なりあったわけでございまして、その過程で先行きの見通しについてかなり見誤るという面を諸外国も経験をしたわけでございますが、このようなバブルの生成から崩壊に至り、そしてそれがもたらした影響を受けているこのプロセスというものにつきまして、私どもそれなりにその点検をし、また反省すべきところは反省しながら、将来に向けての糧としていかなければならない、このように考えております。
  174. 小野信一

    ○小野委員 大臣、トーンをダウンいたしまして、我々はよく言われるのですが、日本の国は金持ちだけれども国民は貧しい。私は、非常に論理的じゃない話だなと思っていつも聞いています。あの家庭は大変豊かな財産のある家だけれども、あの家族は大変貧しい、こういう意味であります。  こういう非論理的な非難あるいは評価というものはどこかで払拭しておく必要があるのじゃないか。国が豊かであれば国民も豊かであると私は思うのです。国民が貧しければ国も貧しいと思います。私の言い分はどうお感じになりますか。
  175. 船田元

    船田国務大臣 非常に難しい御質問ですけれども、それは先ほども政府委員からお答えをしたことかもしれませんが、経済の活動において、フローの面でもあるいはストックの面でも、活動の結果としていろいろな生産財あるいは消費財、いろいろなものを我々は手にすることができる。そういう実体の物の経済という面では、かなり豊かである。しかしながら、同じ物であってもフローの物よりはストックの物において、例えばそれは欧米先進国に比べるとまだまだ貧弱な住宅事情という点、あるいは労働時間がどうしても長過ぎる。これをもう極端に短くするというわけにはいかないと思いますけれども、それは欧米並みの水準にまで将来時短ということで持っていくというような政策をやはりとらなければいけないだろう。  こういうことで、実感として豊かさを感じていく。そのためには、ただ物の面だけの豊かさというものだけではなくて、生活の実感の面、あるいはソフトの面での豊かさというものを今後さらに追求をしていかなければいけないし、また政府の政策の中、特に「生活大国五か年計画」の中でも幾つかの指標を出しておりますけれども、もちろんその中には社会資本の整備の面でまだまだ足りない、あるいは生活により密着をしたストックを蓄積しなければいけませんよということも述べておりますが、同時にソフト面での豊かさを増していくという政策、これを政府としてやっていくということも大事だろうというふうに考えておるわけでございます。
  176. 小野信一

    ○小野委員 終わります。
  177. 戸田菊雄

    戸田委員長 菅野悦子君。
  178. 菅野悦子

    ○菅野委員 今まで皆さんからいろいろお話が出ておりましたが、不況が長期化、深刻化する中で、国民生活影響が出ているという状況があるわけです。とりわけ零細業者が集中する地域ですけれども、給食費や授業料を滞納する子供が目立ち始めている。奨学金申請にかかわる相談というのが昨年より二割もふえまして、進学を断念する生徒も出始めている。子供たちにまで不況の影響が出てきているということ、これは私は非常に大変なことだと思うわけです。  百貨店の販売額も十二カ月連続マイナスになっておりますし、一月の家計消費支出も実質二・一%減少ということです。九二年度の家計調査詳報を見ておりましても、衣服とか家具、家事用品、減らしにくい食料品まで減少するという状況で、一方可処分所得に占める住宅ローン返済割合、これは逆にふえて一三・八%になっている。ですから、個人消費の落ち込み、国民生活の不安定感というものが大きくなっている。とりわけ、弱者の中では深刻になっているというのが今の現状だと思うのです。  その上に、それを打開しなければならないのですけれども、なかなか事態はそううまくいかなくて、賃上げも低率で妥結をする。管理職の退職まで広がっている雇用調整。パートの首切り、工場閉鎖も出てきておりますし、残業規制ということでお父さんなどの持って帰る給料も少なくなっていくということで、消費の減速に拍車がかかっているという状況があるわけです。こういう中で、個人消費の拡大を図る経済対策というのが緊急に必要ではないかというふうに思います。  そこで、今減税という要求が出ているわけですが、中には、閣僚の中で消費拡大に結びつく減税でなければちょっと困るというふうな声も聞こえてくるやに聞いておりますけれども、長官、これらの点どのようにお考えか、まずお尋ねをいたします。
  179. 船田元

    船田国務大臣 菅野委員にお答えをいたします。  御指摘のように、やはり今回の景気の低迷の大きな特徴としましては、やはり消費が、個人消費ですけれどもかなり落ち込んでいる、伸びが鈍化しているということ。これは過去の何回か経験をした景気低迷の中でも、やや消費不況という考えあるいはそういう状況が出てきているということは、私ども把握をいたしておるわけでございます。  この原因ということについては、先ほどもちょっとお話をいたしましたけれども、さまざまな要因がある。それは、いわゆる資産デフレということで個人消費のマインドが非常に冷えているということ。あるいは時間外労働が急激に不況のあおりを受けて減ってしまった、そのことがいわゆる雇用所得全体の伸びを鈍化させてしまった、このようなこともある。さまざまな原因があろうと思っておりますけれども、これをやはり消費を拡大するというために、ではどうしたらいいかということになるわけでございますが、これは基本的には最終需要、これを全体として高めるということでありますから、これはもう景気全体をよくしていくという中でないとなかなか消費というものも上向いていかない、こういう基本的な考え方もあると思います。  また同時に、より直接的には雇用所得をふやそう、こういう考え方。その中で、所得税の減税の問題であるとかあるいは雇用所得をふやしていこう、こういう考えもあるわけでございますが、例えばこれは春闘にかかわる問題でもあるし、さらには所得税減税ということになりますと、先ほど来お話を申し上げておりますように、一つはやはり財源の問題、それからほかのいわゆる景気刺激の政策と比べて、果たして所得税減税というのがどこまで効果を見込めるのかどうかというような問題もあり、なかなかすぐに、あるいは端的にこの結論を出すというわけにはなかなかいかないであろう。  しかし、やはり基本的には、現在与野党の間で議論をされている協議機関での話し合いの状況、あるいはそこから出てくる結論というものに我々は注目して見守っていかなければいけないなということを考えております。
  180. 菅野悦子

    ○菅野委員 減税という点でもいろいろ私は考え方があるのかなと思っているのですが、消費性向を見てみましても、低所得者ほど消費割合が高いという状況があるわけです。  そこで、ある学者の主張ですが、同じ額の減税をより大きな消費増に結びつけようと思えば、低所得者に減税をより集中的に実施すればいいというふうなことを言っていらっしゃって、そしてこの人が何を主張しているかといいますと、消費税の廃止、不況の今それをやるべきではないかということを言っている方がいるのですね。確かに私どもも、今不況の中で、中小業者や主婦の中で消費税の廃止の声が非常に切実で根強いということを実感しているわけなんですけれども景気回復、消費拡大の面から、消費税廃止というのは非常に有効な手段ということではないかと思うのですけれども、この点、長官いかがでしょう。
  181. 船田元

    船田国務大臣 消費税の問題でございますが、消費税導入のあの数年前の時点におきまして、確かにいろいろな議論があり、また経過もあったわけでございますが、現状において消費税はかなり私としては定着をしているなという感じがいたしております。そういう観点からいたしますと、消費税を廃止するということは、一つとしては、消費税というものの課税ベースが非常に広いということであって、消費税を廃止するなりあるいはその税率を引き下げるということになりますと、やはりこれはかなりの額の減収ということにいきなり結びついてくるわけであります。それを別の財源というものにどう求めたらいいのかという問題をやはりきちんと解決していかなければいけない、こういう点もあろうかと思います。  それから、より一般的な議論としては、所得あるいは消費、それから資産、それぞれ課税のベースというのがあるわけでございますが、その三つの代表的な例を申し上げましたけれども、そういう中でどういうふうにバランスをとって課税をすべきなのか。これ、全くどこにも課税をしないということでは政府としても政府の仕事ができなくなってしまいますから、これはやはり適切な課税というものは必要でありますし、それをやる場合には、どういうバランスをとって課税をするかということのグランドデザインというものをきちんとやっていかなければ、単純に消費税をこの時点、つまり景気が悪いからそれを直そうということのみの観点から廃止云々という話をすることはいかがなものかなという感じを私は持っております。
  182. 菅野悦子

    ○菅野委員 確かにおっしゃいましたように、消費税導入のときにいろいろと論議があったわけですが、実はそのときの旗振り役を務めた政府税制調査会の加藤会長自身が九二年九月三日の週刊新潮に、「消費税を導入した時、高齢化社会に備えるためと言われ、我々税調もそう説明しましたが、本当はあれは、ああ言えば一般の人にも分かりやすいから、ということでした。消費税の本来の意義はそういうものではないんです。」というふうな本音をそのころになっておっしゃっているのですが、しかし、今となって、ほとんどの国民が現実生活の中でその辺は実感しているところだと思うのです。  そこで、私、ぜひ再度長官に問題提起をしたいと思うのですけれども、私たち三年前に選挙のときには、自民党さんも含めてすべての党が食料品の非課税を公約に掲げて当選してきたということなんですね。この三月十一日の参議院の予算委員会で宮澤総理は、いろいろと論議があったときに、我が党の上田議員とのやりとりで、みそ、しょうゆ、米、野菜とかに課税するのは政治としてよくないというふうな答弁もしていらっしゃるわけなんです。ですから、本当にそういう公約、すべての党の選挙公約であったということでもありますし、それも守らないということになれば、国民は何を信じたらよいのかということになるわけですから、食料品の非課税ということでも当面検討できないか、そういう余地はないのかということが一つ。  といいますのは、食料品というのは生活に一番密着した不可欠の消費ですから、文字どおり消費拡大に直結する減税だというふうに思いますので、その点はどうなのかということと、それから消費不況というのは、すべての産業に波及する性質を持っております。内需の低迷、貿易黒字の一層の拡大ということにも結びつくでしょう。今手がたいはずの住宅ローンにまで破綻の傾向が顕在化し始めていて、新たに金融機関をおびえさせているというふうな現状もあるわけですから、本当にいろいろと抜本的にこの対策というのは考えていかなければならないというふうに思うのです。  それで、今、減税の問題で財源をいろいろ考えなければならないのでというふうなことも長官はおっしゃられたのですけれども、例えば今国際的に見ますと、どの国でも軍縮というので相当大幅に減らすということがやられているわけですね。ところが、依然として日本の場合は伸びているわけですから、そこを手直しをする。それから、バブル経済の中で内部留保を多くの産業が二倍に膨らませている。また、そういう中で大企業の優遇税制がありますね。これを見直すということとか、それから設備投資の減価償却をせめて国際水準まで引き上げるというふうなことを考えれば、減税をするための財源というのは出てくるのではないか。  で、今の皆さん方が、特に政府の皆さん方が、赤字国債の発行というところにちょっとどうかということで思っていらっしゃるようですけれども、それがなくても減税できるんではないか。それに食料品非課税、それから国民生活中心の公共投資、これをやれれば大いに実効を上げることができるのではないかなというふうに思うんです。そういう点で、例えば所得減税の検討ですけれども、これはこの間いろいろやりとりがありましたが、年内を含めてその辺実行ということは考えられないのかどうか。今すぐということでなくて、この年内ということも含めて、そういうことは検討するという可能性はないのかどうかその辺をお伺いしたいと思います。
  183. 船田元

    船田国務大臣 幾つが御指摘をいただきまして答弁が若干長くなるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。  一つは、消費税の一般的な廃となりあるいは税率の引き下げという問題については、先ほどちょっとお答えをいたしましたが、特に飲食料品の非課税の問題、これもかつての自民党の公約にも確かにあったはずでございますし、野党の皆様もそれぞれのお立場で公約として掲げられて、前回の選挙においても論争になったということは十分承知をいたしておるわけであります。その後、たしか平成三年の十月に、それまで税制問題等に関する両院合同協議会というのがずっと開かれておりましたけれども、そのときに、平成三年の十月に一定の報告がございました。それは専門家会議の座長から、各会派の意見の一致は残念ながら見られなかったということでございまして、与野党それぞれ努力をしたにもかかわらず、その結果として残念ながらなかなかその一致点がなかった、こういう報告が出されてしまったわけであります。  政府といたしましては、このような動向というものも十分注視をしていた、注目をしていたわけでありますけれども、そういう状況がございましたので、その段階において新たな手だてということは特に実施をしなかったという経緯があったわけです。今後こういう事態、あるいは協議会等の復活の問題も含めて、立法府としてどういう話し合いをやっていただき、またどういう結論になっていくのかということは、今後とも注目をしていかなければいけないなというふうに感じておるわけでございます。  それから、財源の問題で、赤字国債以外の財源ということでのお話もございました。軍縮ということ、これは確かに世界の趨勢ではあると思いますが、ただ日本の場合の防衛費の整備状況というものを考えてみますと、やはり私は必要最小限のものをぎりぎりの段階で予算に組み込んでやっていただいているかなというふうに考えておりまして、これが余っている、あるいは必要ないのではないかという部分は、私はないというふうに理解をしておりますので、そこは御理解いただきたいと思っています。  それから、最後に御指摘をいただいた生活中心の公共投資、こういうお話でございました。これは、私どもとしても昨年の六月に「生活大国五か年計画」を策定さしていただきまして、その中でこれからの公共投資のあり方ということについても、単に産業基盤をつくることももちろん大事でございますけれども、同時にこれからはやはりより生活に密着をした、生活に関連をした公共投資というものにこれまで以上に力を入れて、重きを置いて整備をする必要がありますよ、こういうことをその計画の中に加えさしていただいたわけでございます。まだまだ量的に非常に目に見える形ということにはなかなかなっていかないわけでありますけれども、これは若干時間がかかると思いますが、あきらめずにこの作業は続けてまいりたいなと思っておりますので、ぜひこの点についても御理解いただきたいと思っております。
  184. 菅野悦子

    ○菅野委員 ぜひ生活密着型の公共投資ということを強調しておきたいと思うのです。  今、確かに大型プロジェクト、とりわけ大阪の関西新空港などは民活一号ということで鳴り物入りでスタートしているんですけれども、この関空、それからりんくうタウン構想、あるいは東京臨海副都心構想などが非常につまずいているといいますか、大変な様相を呈してきているということがあるわけですから、この大型プロジェクトというものについてもやっぱり相当見直す、考え直す時期に来ているのではないかというふうに思うわけです。  そこで、建設省さんお入りになったということですので質問したいと思うのですけれども、公共投資十カ年計画四百三十兆というものがあります。一方、今ゼネコンによる政治家へのやみ献金が問題になっておる。金丸被告の不正蓄財額というのが六年間で七十億円程度というふうに言われているわけですが、やはりこの公共事業をガラス張りにするということがどうしても必要だというふうに思うのです。  池田内閣当時の臨時行政調査委員で元検事総長をやっておられた花井さんという方が、新幹線、高速道路などの公共事業は国の事業予算の大体半値でできるというふうにおっしゃっておられたという記事を見てびっくりしたわけですが、そういうところが本音かなと思いながら、だから公共事業と政治献金ということが非常に今国民に注目されておりまして、建設省への不信というのは残念ながら強いと言わざるを得ないという状況にあると思うんです。公共事業をめぐる問題というのは根が深いというふうに言われておりますが、何よりも問題は入札制度。これを抜本的に改革することが必要なのではないかということで、このことが強く指摘されておりますので、指名入札をやめて、公開を原則とした入札制度に変更すべきではないかと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
  185. 峰久幸義

    峰久説明員 お答えいたします。  公共事業につきましては——その前に、今回の件につきまして建設業界が厳しい批判を受けておりますし、それからあわせて公共工事につきまして、我々会計法令等に基づきまして厳正、適切にやってきたつもりではございますけれども、不透明な点がやっぱりその制度の運用についてはあったんじゃないか、こういうふうな指摘がされ、あるいは疑問が持たれている、こういうことは我々ももちろん重く受けとめさせていただいております。  それで公共事業につきましては、その性格上、物品の購入と異なりまして現地で組み立てなきゃいかぬ、あるいは単品受注等の特殊性があるものでございますから、その施工能力の劣る業者を排除していかなきゃいけない、あるいは不誠実な業者を排除して今後疎漏工事なんかを防止しなければいかぬ、こういう形で指名競争入札制度をとらさしていただいているわけでございます。  それで、御指摘一般競争入札を導入したらということでございますけれども、この公共工事の入札契約制度というものは、従来からいろいろ中央建設業審議会の場において審議していただいておるわけでございます。五十八年の答申、それから最近においては平成四年の十一月二十五日に答申をいただいております。実はこの中で、基本的には現行の指名競争入札の基本姿勢がある。各国の制度の実態を参考としつつ検討していただいたわけでございますが、例えばイギリスではかって一部を除いて一般競争入札が主であったわけですけれども、やはり先ほど申しましたような特殊性から、価格だけじゃなくていいものをつくらにやいかぬ、質の面がやっぱり重要だというので、そういう形から一九六〇年以降、指名競争入札に切りかえられまして、それで今ほとんどすべてが指名競争入札になっております。  そういうふうな事情にもございまして、我が国でもできるだろうと思っております。そういうことを考えつつ、一般競争でやっておる限り入札の、施工監督の事務量が増大したり、あるいはさっきのダンピング、疎漏工事というものを排除するにはなかなか端的に言って難しい面がある。しかし、そのことについては現状では直ちに導入しなければいかぬという形での御指摘もいただいているわけです。ただ、この答申において、基本は指名競争入札というふうにされておりますけれども、透明性、競争性を高めるという観点から、現行指名競争入札制度についても改善を図るということが指摘されております。  建設省としては、この答申を踏まえて、まず直轄工事において、きのうも七十一カ所について導入方針を決めさせていただいたわけですけれども、技術力を重視した方式を導入するとかあるいは省内に入札手続改善検討委員会というのを大臣の命で四月一日から設置しまして、そこで、より指名基準の具体化など入札手続の改善を早急に検討して、できることを直ちに早急に実施する、そういう形で一層の透明性、競争性を高めるという改善については進めていきたい、こういう形で対処させていただいております。
  186. 菅野悦子

    ○菅野委員 総合建設会社、ゼネコンの談合ということがやはり問題になっているわけですが、率直に言って、関係者には反省がなかなかなされていないのではないかというふうに思うわけです。例えば「入札をオープンにしたらライバル同士が価格をたたき合い、受注企業は赤字で引き受ける羽目になる。そんなことにならないための業界の”知恵”が談合と批判されるものだ。我々はそれを悪いこととはだれも思っていない」というふうなことをゼネコンの幹部が語っているというふうな状況があります。  しかし、この間で見ますと、やはり談合組織というのは解散しなければならないということで、いろいろと具体的な手が入っているわけです。それで、土木業界の談合組織と言われた経営懇話会、これは鹿島建設が仕切っていたものなんですけれども、九〇年七月に解散をしたということで、この点は落札企業を決める調整機関というふうなことになっていたり、その後の公共事業とその予約価格等の情報交換をやっていたりというふうなことが相当ありますし、そういう状況の中で、アメリカからもこの談合は批判が出てきたという中で解散になったということなんですけれども、あわせて、それだけでなくて埼玉土曜会、これが昨年五月にやはり鹿島が取り仕切っていたということで公取委の排除勧告、これを受けているわけです。ここも長期間談合を続けていたと言われておりまして、識者やマスコミは、公取委が刑事告発するのだろうというふうに期待していた。しかし勧告どまりだったということで、若干ちょっと残念だというふうな思いがみんなの中にあったわけですけれども、これをどのように把握して、どういう認識でこの程度の処分に終わったのかということを公取の方にお尋ねしたいと思います。
  187. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 ただいまお尋ねの件でございますけれども、昨年の五月に排除措置を命ずる勧告を行いました。その後、排除措置の審決を行い、それから昨年の九月、総額で十億円を超える課徴金の納付命令を出したところでございます。  この件についてお尋ねでございますが、なぜ告発を行わなかったのかという点でございますけれども、独占禁止法違反に対する刑事告発の点につきましては、実は平成二年の六月に公正取引委員会が刑事告発に関する方針を公表いたしておりまして、例えば国民生活に広範な影響を及ぼす悪質、重大な独占禁止法違反に対しては積極的に刑事告発を行うという方針を打ち出しているところでございますけれども、本件につきましては、この方針を公表した平成二年六月二十日以降における事実について、検察当局とも意見交換を行った上でございますが、法律上及び事実認定上の問題を検討してきた結果、同日以降において独占禁止法の規定に反する犯罪ありと思料して、告発を相当とする具体的事実が認められるに至らなかった、こういったために告発を行わなかったという次第でございます。
  188. 菅野悦子

    ○菅野委員 いろいろ具体的な話をお伺いしますと、談合の目的は入札価格を下げ合う、たたき合いを防ぐためだ。その談合破りの業者があれば、その企業を干すために今度は組織したたたき合いをやる。意を通じ合って落札した企業の救済、このために積立金制度をつくって、その企業の損失分を補てんしていくというふうに言われているのですね。そして、その積立金の慣習が政治家へのやみ献金集め、これに利用されるようになったというふうに指摘されているこの埼玉土曜会ですから、そういう点ではやはり私は、もっともっと公取委としての厳正な対応というのが必要ではなかろうかというふうに思うわけです。  そして、今公取委は厳しく注目されているというふうに思うのですけれども、先ほども同僚議員の指摘がありましたが、八四年のガイドライン、独禁法違反にならない場合の指針というこれですけれども情報交換を認めているとして談合を正当化する根拠ということでこのガイドラインが使われているわけなのですけれども、これは、業界ぐるみの構造的な談合、これが政治腐敗と結びついている実態が今明らかになっているわけですから、公取委の英断が注目されているときですね。  ですから、私は、一つはこの悪用されている指針、これを見直して、改善あるいは廃止するということはできないのか。二点目は、今大変問題になっております建設業界の入札の実態、これを公取委として徹底的に調査することはできないのか。これをぜひやっていただきたいと思うのですけれども、その点の御答弁をお伺いしたいと思います。
  189. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねの前半の部分は、いわゆる建設業ガイドラインについてのお尋ねでございまして、この点につきましては、一般的な事業者団体ガイドラインというものがその前に設けられておりますけれども、これを前提といたしまして建設業、これは御案内のように中小企業者が多い、あるいは先ほど来御議論もございました官公庁発注の入札制度のもとにある等々の諸特性もございます。そこで、建設業団体の活動につきまして、どのような行為が独禁法上許容されているか、そしてどのような行為が違反であるか、これをできるだけ具体的に、そしていわば確認的に取りまとめたものでございます。  したがいまして、ただいま御指摘がございましたいわゆる談合行為、これは申すまでもなく独占禁止法に明らかに違反する行為でありまして、このガイドラインの中でもこれが明確に違反行為であるということをはっきりと書き込んであるわけでございますから、私どもこのガイドラインが何か談合を助長する、あるいは許容するというようなことは、これは全くあり得ないと考えております。  ただ、実際には残念ながら、この業界において談合行為が時に見られるところである。こういうことでございますから、これはこの談合行為が明らかに違法であるということを明示しているガイドラインがなお十分に同業界に徹底して理解されていない、そういうことであろうかと思いますし、この点につきましては私どもの努力がまだ足りないというおしかりも甘受しなければいけないと思います。したがいまして、私どもこのガイドラインが正しく理解されるように、あるいはまた正しく理解されるためにはさらにどのような方法をとるべきか、その点につきまして、さらに御指摘を踏まえまして努力を重ね、独占禁止法違反行為がこの業界から根絶するように努力をすべきである、このように考えておるところでございます。  それから、お尋ねの後段でございますけれども、現在取りざたされておりますこの業界全般については問題でございますが、私ども一般的に申し上げれば、独占禁止法違反行為のおそれがある、このような疑いを具体的に示すような端緒、手がかりがございましたら、これは当然のことながら調査をするわけでございます。これまでもそうしてまいりまして、談合行為を含む独禁法違反行為に対しては法に基づいて厳正に対応してきたところであります。したがいまして、本件につきましては、これは当然のことながら私どもも強い関心を持ち、今後とも検察当局の動向も注視しながら、私どもとしましても鋭意情報収集活動に当たってまいる、そのような所存でございます。
  190. 菅野悦子

    ○菅野委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、最後に経企庁長官に、経企庁設置法第六条に基づきまして、このような公共事業の発注に関する制度の透明化、情報の公開などについて、関係機関の長に対する勧告、これらをぜひ行っていただきたいということを要請して、終わります。
  191. 戸田菊雄

    戸田委員長 柳田稔君。
  192. 柳田稔

    ○柳田委員 最近は暗い話題ばかりでございまして、最初から暗い話題に入るとまた暗くなりますから、明るい話題から入りたいと思うのですけれども、バブルが崩壊して二年間、大変下り板といいますか、苦しい景気状況。サラリーマン、勤労者の生活も、残業がなくなったということで、いろんな面での節約が出ておりまして、いつごろ景気が回復するんだろうか、我々の生活はどうなるんだろうかという声が出ておったわけであります。  最近、いろいろな情報を見ておりますと、底を打ち始めたのではないかなというふうな感じも伝わってまいります。午前中、そして午後の審議を聞いておりまして、いろいろな点でそういうふうなことがわかるわけでありますけれども、現段階において政府としてどういうふうに経済情勢を分析しておるのか、今後どういうふうに動くであろうと考えられておるのか、まず最初にその辺から御説明を願いたいと思います。
  193. 船田元

    船田国務大臣 柳田委員にお答えをいたします。  先ほど来お答えをしているわけでありますけれども、確かに、最近の経済指標の中で、例えば自動車の新車の新規登録届け出台数、これが年の初めから前期に比べてプラスを続けている。それから、鉱工業生産もほぼ同様な数字である。それから、いわゆるマネーサプライでございますが、これも六カ月ぶりにマイナスからプラスに転じているというような状況。さらには昨今の株価、これも上がる方の圧力がかなり強くなってまいりましたし、取引高もかなり大きな商いになってきているというような状況もございまして、若干景気の先行きについては明るい兆しがどうやら見えてきたかなという感じはいたしております。  しかし、一方でまだ、我が国の経済の大宗を占める個人消費、経済活動の五割ないし六割を占めるというふうに言われておりますこの個人消費の部分と、それから企業における設備投資の部分、これがまだそれぞれ低い伸びを示していたり、あるいはマイナスを続けているという状況でございまして、やはりそちらの数字が具体的により明るいものにならないと、景気が底入れをしたとか底を打ったという状況はまだなかなか言いにくいという感じでございまして、現状としては多少見通しに明るさは出てきたけれども、なお足元の経済状況は厳しさが続いているということを申し上げざるを得ないのではないかと思っています。  今後の見通してございますけれども、いずれそう遠くない時期には底を打つという状況になるでしょう。そして、景気の回復基調にこれから入っていくわけでありますけれども、ただ先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これまでの循環的な要素だけではありませんで、今回はバブルの崩壊、そして資産デフレということが非常に急激に起こってしまった。そのことが経済の実態にいろいろな点で影響を与えた、あるいは足を引っ張っているということもございまして、回復の足取りは従来の形から比べますとややそのテンポが緩やかではないのだろうかというふうに考えております。しかしながら、五年度の後半には国民の多くの方々が景気の回復ということについて実感のできる状況にだんだんとなっていくもの、このように期待しているわけであります。  また、こういう足取りをより確実なものにするために、私どもとしてはもちろん昨年の総合対策実施状況、これをさらに着実なものにしなければいけませんし、また、先日成立をさせていただきました平成五年度の予算につきましても、一日も早くそれを執行させるということで今努力を続けております。さらには、先日宮澤総理からの御指示をいただきまして、さらなる第三次の追加の経済対策ということで今その策定を急いでいる状況でございますが、こういった政策努力をきちんとやっていくということによって景気の足取りをより確かなものにしていきたい、このように考えております。
  194. 柳田稔

    ○柳田委員 バブルがはじけた年が平成三年でしたか、その秋の臨時国会の場で経企庁長官に私は質問をさせていただきました。  経企庁長官の平成四年度の見込みについての御答弁の中では、平成四年度は個人消費は堅調に伸びます、設備投資についても平成三年を下回ることはございませんと。私の方からは、株価の大暴落やまた地価のことを考えた場合に、やはり長官がおっしゃるのは甘いんじゃないかと言って大分議論をさせていただいたのですけれども、最後に長官は、御心配御無用とまでは言いませんでしたけれども、心配をしていただかなくても結構ですとおっしゃったわけです。経企庁が発表したことは、経営者を初め日本のいろいろな層で、そうかなと、やはりそうなるんだろうというふうなことで参考になさるわけであります。となりますと、長官が代々かわっておるわけでありますけれども、やはり経企庁として、そう言った以上はいろいろな裏づけを持って言ったことでもあるでしょうし、国民に対して責任を持った発言だろうというふうに私は思っております。  先日、宮澤総理も、政府としての経済見通しとしては非常にまずかったというふうなお話もされました。経企庁として、この株価暴落以降、いろいろな面で、いろいろなときをつかまえて、いろいろなことをおっしゃっておりましたけれども、そうならなかった面も多々あるわけであります。特に株価暴落のときにおっしゃった発言というのは、大変な悪い方向への影響が出たんだと思います。厳しく言いますと、国民をミスリードしたんだ、そういうふうにも私は感じておるのですが、この経企庁としての発言を考えましたとき、長官、どのようにお考えでありましょうか。
  195. 船田元

    船田国務大臣 今、柳田委員指摘の点、実は私ども非常に反省をしておるわけでございます。確かに行政というのは継続性というものが大事でございますから、これは前大臣あるいは前々大臣がどう言ったかということ、そのことも現在の私の責任というものにもつながっておりますし、また私のこれからの発言あるいは今までの発言も、これがずっと続いていく責任の問題であろう、こういうふうに理解をしておりまして、そこは十分に心してかからなければいけないと思っております。  それで、確かにバブルの崩壊があり、それが例えば株価の暴落であったり、あるいは地価が非常に下がってしまった。現在でもまだその状況が、特に地価の場合には続いておるわけでございますけれども、そういういわゆるバブルの崩壊、そして国民かなりの方々が持っている資産あるいは企業として持っている資産というものが目減りをした。  そのことが実体経済にどういう影響を与えるかということについては、確かに我々として過去に余り経験をしなかった。ある意味では、戦後我が国が安定的な成長を経済の上で行っていくという中で初めて経験をしたことでございますので、そういう意味からすると、若干言いわけに聞こえるかもしれませんけれども、その影響を十分に把握をする、またそれをきちんと織り込んだ上で経済の見通しを行うという点について、若干見通しに困難さがあって、またその困難さということが見通しの甘さということにもつながったのではないか。その点は、私どもとしては率直に認めて反省をしなければいけないというふうに思っております。  ただ、だからといって、今後どうするかという点におきましては、これまでのそういった貴重な経験、あるいはまた苦い経験を今後の経済の見通し、あるいは経済運営というものにきちんと反映をさせる、あるいは大きな教訓としてしっかり踏まえた上で慎重な見通しの対応をしていかなければいけない、こういうことで今後十分に挽回をしてまいりたいと思っておりますから、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  196. 柳田稔

    ○柳田委員 非常に予測しがたいことだったと理解はするわけでありますけれども国民生活にとっては、そのときに気づいていただければもう少し早く景気も回復したのではないかなというふうなこともありますので、アドバルーンを上げるだけが経企庁じゃありませんから、実質を十分に考えていただいて対応していただければと思います。^  それで、ことしの実質経済成長率三・三%というお話でありますけれども、昨年三・何%でしたか、それを下方修正して一・六%。ところが、十月から十二月のGNPが年率〇・五%の低成長ということもありまして、下方修正した一・六%さえも困難になるのではないかなという見通しもあるわけですね。先ほどまあまあ明るさが徐々に後半から見え出すというお話でありましたけれども、それにつけても三・三%というのはちょっとアドバルーン通ぎないか。国民、企業マインドをどうにかしたいという気持ちはわかるのでありますけれども、本当に三・三%が達成できるのだろうか。しなければならないという目標としては理解はできるわけでありますけれども、するということについては非常に疑問を抱かざるを得ないのですけれども、いかがですか。
  197. 船田元

    船田国務大臣 今の御指摘でございますけれども、私ども政府の経済見通しとして提示をする数字、これは確かに対外的な新たな要因とか、あるいは日本の経済が民間が非常に大きな割合を占めているということもありまして、ある程度幅を持ってお考えをいただかざるを得ない、こういう点はひとつ御理解はいただきたいと思っております。  それともう一つは、こうなるということでお示しをする、あるいはこうしたいということでお示しをする、その両方の要素がこの経済見通しということにはあると私は思っております。もちろん、全くの目標である、全くのターゲットであって、そこに向けてみんな努力しましょうというそれだけの部分でもないし、また逆に本当に民間の動き、それから政府の動きも非常に客観的に見て、そして必ずこうなるというだけのものでもない、両方のミックスをしたものというふうに考えていただきたいと思うわけであります。  そういうことを前提としてお話を申し上げるわけでございますけれども、確かに十—十二月期、QEが〇・一ということで非常に低い伸びであった。これは先日お示しをしたわけでございます。それで、一—三月期というものが果たしてどういう数字になるのか。もうその期は現実には終わったわけでありますけれども、なおこのQEの計算にはかなり多くの指標を使わなければいけませんので、それが私どもの手元に入ってきて分析をするまでにまだ若干の時間があるということで、その状況、その様子を見させてもらわなければいけないのではないかというふうに思っております。  そして、そういう上の平成五年度の三・三%ということですけれども、私どもとしては、昨年の総合経済対策、これは十兆七千億円ということでお示しをして、それが十二月の補正予算の成立ということで、実際にはほとんどそれによって動き出したというそんな状況もございますので、その効果というのはこの年初から徐々に出てまいります。多分平成四年度よりは平成五年度に至って、かなりその効果というのは大きく出てくるであろうというふうに思っております。また平成五年度の予算につきましても、先日成立を見たわけでありますが、これもかなり景気に配慮をした内容となっておりまして、これにつきましても、これを一日も早く経済の実態に反映をさせていく、あるいはその執行を行う、こういうことを今必死で努力をさせていただいている。それに加えまして、私ども以前から機動的な運営を経済の上でやっていかなければいけない、こう申し上げておりましたけれども、その一つの手だてということで先日総理から指示をいただきまして、さらなる追加の経済対策ということで、現在その策定作業を急いでいるという状況であります。  そういうものを考え合わせますと、少なくとも政府投資という部分についてはかなり切れ目のない事業が行われて、いわゆるIGと申しますけれども、公的固定資本形成というのも、平成四年度より平成五年度というのはかなりの伸びを示すことができます。そうなりますと、それが住宅投資にも、これはかなり堅調な状況が続いておりますけれども、それにいい影響を与える。そして、そのことが個人消費あるいは設備投資というものにも影響を与えてくるということでありまして、年度の後半にはかなり実感として景気の回復というものが見込まれる状況になりますから、そういうことを総合して考えると三・三%という数字は決して不可能な数字ではない。我々の政策努力あるいは民間の皆様にも頑張っていただくということの結果として、三・三という数字はそう外れた数字ではないのではないか。それに向かって努力をすることはもちろん言うまでもないことであるということでありますけれども、御理解いただきたいと思います。
  198. 柳田稔

    ○柳田委員 そう外れたことであっては困るわけです。正直言って、九三年度も外れた方じゃないか。いろいろな面で影響しますので、日本の中にあってやはり権威のある数字ですので、余り外れないようにお願いしたいと思っておるのです。  今度は、GNPで評価をされておるわけでありますけれども、GDPに変えたらどうかというふうなことで、政府の見解をいただきたいと思うのです。  九二年の十月から十二月、先ほども出ましたけれども、GNPでの成長率は年率でプラス〇・五%。ところが、これをGDPで直しますと逆にマイナス〇・三%ということがあるのです。GNPとGDPとどちらが国の経済の実態を適切にあらわしておるかという話にもなるわけでありますけれども海外状況を見ますと、どちらかというとGNPからGDPへ切りかえる国がだんだん多くなってきております。例えば経済協力開発機構、OECD、国際機関ですが、ここの中でもGDPを重視しようというふうな動きも出ております。それで、日本の経済状況といいますか、今いろんな国に会社をつくったり企業をつくったりして金の動きも多いし、海外に投資もしているわけですね。これを除いた本当に国内での経済活動の指標としては、私自身はGDPであらわすのがベターではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  199. 土志田征一

    ○土志田政府委員 御指摘のように、GDPは国内の生産活動を通じて生み出されたものの付加価値を合計したものでございます。これに海外からの賃金とか利子とかそういう要素所得の受け取りと支払いを控除するという形でできますものがGDPでございますので、国内の生産活動をより直接的に反映するという意味では、GDPの方がそういう意味では近いというのは御指摘のとおりではないかと考えておりまして、そういう意味で現在でもGNPと一緒にGDPも公表をいたしまして、私どもでも景気動向の議論とかあるいは経済白書等の分析の場合にGDPを使っている場合もございます。  しかし他方、国民が生み出した総所得ということになりますとこれはGNPでございますので、そうしますと、いろんな負担能力の問題とか、そういう形になりますとGNPの方が適当だという場合もございます。さらに、従来から官民問わず経済予測というような場合にはGNPでそういうものがやられておりますから、そういったものとの対比というような場合になりますとGNPが必要になってくるということもございます。そういう意味で、私どもとしては今両方一緒に発表させていただいて、それでそれぞれ妥当な、これを使った方がよさそうだということについてはそれを使っていただくというような形で資料を、統計を発表させていただいているということでございます。  なお申し上げれば、確かにヨーロッパ、EC等ではだんだん国境がなくなっておりますので、そういう要素所得の移動というものがなかなか把握しがたくなっているというようなことも、最近の統計上の理由でGDPが中心になってきているということの背景ではないかというふうに考えております。
  200. 柳田稔

    ○柳田委員 GDPもいい面がある。ところが、政府の発表といいますか、ことしの通常国会の所信でも、おっしゃるのはすべてGNPなんですよね。GDPも一緒に言っていただいたらどうかな。つまり先ほども例を申しましたように、九二年の十月から十二月、GNPではプラス〇・五なんですが、GDPではマイナス〇・三なんですよね。だから、こういう実態も併記ぐらい、できれば併記する必要が出てきているんではないかと思うんです。ここまで流動化していますので、もう国境がなくなっていくという時代でもあるわけですから。長官、どんな御感想をお持ちでしょうか。
  201. 船田元

    船田国務大臣 併記ということでございますが、たしかQEの発表のときには両方数字をお示しをしているはずでございますし、かなり両にらみというんでしょうか、両方の併記ということをなるべく心がけてやろうということでやってきているはずでございますが、なお先生指摘いただいたように、ヨーロッパなどではそういう外国人労働者が国内で働く割合が非常に多い。また、自国の国民の一部がほかの国で働く場合も非常に多くなっている。要するに、人的な移動というもの、これがヨーロッパではかなり頻繁になっておりますし、まあ日本の場合には必ずしもそうではありませんけれども、しかしその他資本の移動などについてもかなり頻繁になってきている。ですから、GNPということだけで経済の実態をはかろうとすると、あるいは数字の上で若干実態と食い違う部分が将来においてあるかもしれない。こんなことも考えますと、やはり長期的な考え方としてはGDPの方があるいはいいのかもしれないなというふうに思っています。  ただ、これまでのGNPをやや重視をしてきたという我が国の慣例からしますと、いきなりGNPをやめてGDPということにしちゃいますと、これは過去の指標の継続性ということもありますから若干問題点があろうかと思いますが、やはり長期的にはそちらの方向になっていくというのが自然な形かなというふうに考えています。先生の御指摘は大変重要な御指摘でございますので、まあ当面は両方を併記をするという形でありますが、将来のことについては今後さらに検討させていただきたいと思っております。
  202. 柳田稔

    ○柳田委員 最近、選挙制度で併用という言葉が出ていますけれども、それとは別として、GNPもGDPも併用して進めていただければと思います。  次に、景気対策についてでありますけれども、冒頭の長官の御答弁の中で、個人消費と設備投資、これが思わしくないという御答弁がありました。この個人消費、いろんなところで数字が出ているわけですが、まあ悪い。百貨店、スーパー合わせて一兆四千六百六十九億円、二月でしたか発表がありましたけれども、これも昨年から五%減少した。それも九カ月連続でマイナスだ。そして先日、総務庁が発表した一月の家計調査報告、これを見ておりましても、一世帯当たり消費支出は三十一万六千五百二十六円。物価上昇率を差し引いた実質で昨年同月比較で二・一%の減少というふうなことで、まだ個人消費においては非常に厳しいと、まあ同じ見解があるわけであります。  となりますと、ここに何かの手当てをしなければならないんではないか。先ほどの長官の御答弁の中では、家を建ててその辺に手当てをしていますので、それが影響してそのうち伸びるんではないかというお話もありましたけれども、私としては先日、我々の党を初め各党が乗った要求の中で所得税減税というのを入れておるわけなんですけれども、個人消費が悪い、設備投資が悪い、二つの大きなポイントが出たのならば、個人消費を少しでも上向かすためには所得税減税を私は実施すべきではないか。ドイツの文学者でゲーテという人がいますけれども、財布が軽ければ心が重い。しかし、今日本は財布が重ければ心が軽いというふうに言った方が当たるんではないかと思うのですが、長官、いかがでしょうか。
  203. 船田元

    船田国務大臣 先ほど来からいろいろこの点についての御議論が続いております。確かに、こういう景気の低迷、特に今回の不況の状況の中では個人消費の伸び悩みというのが非常に特徴的にあらわれていることだというふうに私どもは理解をしているわけです。実態もそうであると思います。  ただ、その原因としては、もちろんいわゆる所得の伸びが落ち込んでいる。これは、特に景気の低迷ということで、いわゆる時間外労働、時間外手当というものがどうしても落ち込んでしまっているという原因もあろうかと思います。それからまた、春闘のこともありましたけれども、現在まだ完全には終わっておりませんけれども、そのベースアップ等の伸びがやはり若干前年よりも落ちているということも事実であろうと思いますし、それから雇用情勢、これも先行き雇用不安が残っているという状況を考えるとなかなか消費というものが出ていかない、こういうこともある。さらには資産デフレということで、いわゆる消費をする国民にとってもかなり株を持っている方も多くなりましたし、あるいは土地を持っている方もどんどんその価値が下がるということで、先行きがちょっとどうなるかな、そういう不安があるとどうしても消費を手控えるというマインドの問題もかなりあった。こういうさまざまな原因が消費の低迷ということになっておると思います。  これをでは前向きにさせる、あるいはそのマインドを少し明るくさせるためにはどうしたらいいか。これまたさまざまな手だてというのはあると思います。ただ私は、基本的に所得税減税はいろいろなやり方があると思いますけれども、やはり消費性向というものが一時よりはかなり下がっていると思いますし、それから消費性向のとり方にしても、平均消費性向で議論する方もおられれば、限界消費性向で議論しなければいけないという人も、学者の中にはいるわけなんです。  例えば数百万の所得がある。例えば新たに所得税減税ということによって、そのうち十万円の新たな所得というものが戻ってきたというときに、ではそのプラス十万円によってどのくらい消費をするかというのは、これはどちらかというと、平均消費性向よりも限界消費性向ということで議論をした方が、実態効果としてはより現実に近いものじゃないかというふうに私は理解をしているわけでございます。  そういうことを考えますと、やはり所得税減税というものが、もちろんそれは何もやらないよりはやることによってその効果はあると思っておりますが、より効果のあるものがほかに存在をするのであれば、それは例えば公共投資であれ、あるいはその他の政策減税であれ、あるいはそのほかのいろいろな手だてがあるわけでございますが、それとの比較考量ということを考えた場合に、果たして所得減税がどうであるかという点、あるいはまた先ほど来申し上げておるような財源の問題もあるし、税全体のバランスをどうするのかという議論にも、これはある一定の結論を得ないと難しいということもあるので、そこはまだまだ議論すべき点が残っているのじゃないかな、こう理解をしております。  基本的には、現在、与党と野党の間で不況対策ということでの協議会が続けられている最中でございますので、そちらの動向、どういう結果になるかわかりませんけれども、それを注意深く見守っていくということが肝要なことじゃないかということでございます。
  204. 柳田稔

    ○柳田委員 時間が参りましたけれども、選挙区に帰りましてサラリーマンの皆さんと話をしますと、今一番カットされたのは小遣いだ、赤ちょうちんに行く金もない。切実に、所得税減税してくれればこっちの方に回るのだがなという声も聞きます。多分いろいろな調査の中でも、所得税減税を望む声の方が国民の間では多いだろう。さっきの本会議でも申しましたけれども、民意が政治に反映していないという人が七割以上いましたので、反映できるように長官の方からも気を使っていただきたいと要望して、質問を終わらせていただきます。サラリーマンのことをよろしくお願いいたします。
  205. 戸田菊雄

    戸田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十三分散会