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1993-05-18 第126回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年五月十八日(火曜日)    午前十時四分開議 出席委員    委員長 平沼 赳夫君    理事 金子徳之介君 理事 萩山 教嚴君    理事 御法川英文君 理事 簗瀬  進君    理事 柳沢 伯夫君 理事 佐々木秀典君    理事 前島 秀行君 理事 宮地 正介君       岩村卯一郎君    内海 英男君       大原 一三君    久間 章生君       坂本 剛二君    鈴木 俊一君       中谷  元君    鳩山由紀夫君       星野 行男君   三ッ林弥太郎君       宮里 松正君    有川 清次君       石橋 大吉君    遠藤  登君       志賀 一夫君    田中 恒利君       辻  一彦君    野坂 浩賢君       鉢呂 吉雄君    山口 鶴男君       藤原 房雄君    藤田 スミ君       小平 忠正君  出席国務大臣         農林水産大臣  田名部匡省君  出席政府委員         農林水産大臣官 上野 博史君         房長         農林水産省構造 入澤  肇君         改善局長         農林水産農蚕  高橋 政行君         園芸局長         林野庁長官   馬場久萬男君  委員外出席者         大蔵省主計局主 寺澤 辰麿君         通商産業省機械         情報産業局産業 安達 俊雄君         機械課長         運輸省自動車交         通局技術安全部 樋口 忠夫君         技術企画課長         自治省財政局交 田村 政志君         付税課長         農林水産委員会 黒木 敏郎君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   松岡 利勝君     坂本 剛二君 同日  辞任         補欠選任   坂本 剛二君     松岡 利勝君     ――――――――――――― 五月十八日  米等農畜産物関税化に反対し、農業国民食  料を守る食料安全保障国会決議に関する請願  (五十嵐広三紹介)(第二一六三号)  同(佐々木秀典紹介)(第二一六四号)  同(佐々木秀典紹介)(第二一九八号)  同(佐々木秀典紹介)(第二二九三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十八日  代替用地としての農地取得に関する陳情書  (第二二  八号)  米の輸入自由化阻止等に関する陳情書外十四件  (第二二九号)  リンゴ輸入解禁阻止に関する陳情書  (第二  三〇号)  酪農畜産政策価格等に関する陳情書外七件  (第二三一号)  鯨類合理的利用等に関する陳情書外一件  (第二三二号)  中山間地域対策推進に関する陳情書  (第二三四号)  農業分野における先端技術開発促進に関する  陳情書  (第二三五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農業経営基盤強化のための関係法律整備に  関する法律案内閣提出第二四号)  農業機械化促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二五号)  特定農山地域における農林業等活性化のだ  めの基盤整備促進に関する法律案内閣提出  第六四号)      ――――◇―――――
  2. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農業経営基盤強化のための関係法律整備に関する法律案農業機械化促進法の一部を改正する法律案及び特定農山地域における農林業等活性化のための基盤整備促進に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  ただいま議題といたしました各案の審査のため、去る十四日、十五日の二日間、静岡県に委員を派遣いたしました。派遣委員からの報告書は、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平沼赳夫

    平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤原房雄君。
  5. 藤原房雄

    藤原委員 農業経営基盤強化のための関係法律整備に関する法律案特定農山地域における農林業等活性化のための基盤整備に関する法律案農業機械化促進法の一部を改正する法律案、この三案につきまして若干の質問をいたします。  前回もこれらに関する問題については何点か質問させていただきました。また、同僚委員からも各般にわたります質疑がございました。さらにまた参考人の御意見も聞き、そしてまた過日は静岡県に現地視察、このようにさせていただいたわけであります。  最初にお尋ねしておきたいことは、前回も申し上げたのでありますが、昭和三十六年に農業基本法ができまして、この農業基本法をもとにしましての施策というものにつきまして、その後いろいろな法案、そしてまた国の農業あり方というのは、その基本法にのっとって始まったわけであります。  他産業並み、また効率主義、いろいろなことも言われておりますけれども時代の大きな変化の中にありまして、他産業並み農業発展、一生懸命努力をしたとはいいながら、他産業と同じ進展というのはなかなか難しゅうございます。だんだん格差ができ、また生産過剰の状態に陥り、また輸入問題、いろいろな問題ができまして、こんなに世の中が大きな変化を遂げますと、三十年前につくりました農業にかかわります基本的な考え方というものをやはり時代に即したものにしなければならぬ、こういうことが議論になりました。  私も、前大臣であります近藤大臣に、三十年たちましてこんな大きな社会の変動の中で、基本的な考え方の中にも問題として指摘しなければならないこともあろうかと思いますが、やはり新しい時代に即した形での基本法といいますか、基本的な物の考え方というものをきちっと定めるべきではないかということを申し上げたわけでありますが、農林省もこの新しい時代に即した農業政策につきましていろいろな検討をしまして、対策本部を設けて新政策の骨格をつくりまして、これを農水省として発表する、それを受けてといいますか、その後、農政審議会諮問をいたしまして、中間取りまとめということで去年発表になったわけであります。  これは農業基本法そのものは生きておるわけでありますから、農業基本法と、新しく施策をいたしました時代に即応した新政策というものとの関連といいますか、どういう位置づけになるのかということをお尋ねしたいと思うのでありますけれども、実は今日の法律改正も、もちろん農地法を初めといたしましていろいろな手当てはしておりますし、法律改正のできない部分につきましては事業としてもいろいろな施策が行われてきておるわけでありますが、しかし、法治国家として基本法があり、そしてまた今新しい新政策がつくられ、しかもそこでは農政審でいろいろな審議をして中間取りまとめとして新しい時代に即したものが発表になっておるという、これは閣議決定ということじゃない農林省としての発表、それを受けて農政審議会諮問をして答申を受けた中間取りまとめ、こういうことでありますから、その農政審法律の中での新しい考え方というのはどういう位置になるのか、この辺、ひとつ明確にお答えいただきたいと思うのです。
  6. 入澤肇

    入澤政府委員 農業基本法が制定されましてから、その基本的な精神を実現、具体化するためにいろいろな法律制度ができてきたわけでございますが、一つまとめてやりましたのが、実は昭和四十五年に省内で、事務次官を長といたしまして構造政策検討会議が設けられまして、構造政策基本方針というのがまとめられました。  その方針に基づきまして、農地法改正であるとかあるいは農業者年金基金法の制定であるとか、各般法律ができたわけでございますが、今回の新政策は、さらにこの農業構造政策基本方針昭和四十五年の総合的な政策を今日的な時点に立って見直しまして、そして、新しい政策体系農業基本法精神のもとでも整合性をとりながら実現していこうという位置づけでございます。
  7. 藤原房雄

    藤原委員 構造政策昭和四十五年ですか、四十五年といいましても、もう二十数年前になるわけでありますけれども、その後、そのときそのときの対応として改正がなされてきたことは存じておりますけれども、そういう一つの流れの中で、このたびの新政策というのは非常に大きな改革といいますか、構造改革中心としましてそれに伴います農業全般にわたる農村部の、食料農業農村と銘打ちますだけに広範な改革であるわけであります。  そういうことからして、皆総合的な整合性がございますから、全体としてのバランスをとらなければならぬということもございますけれども、今後、今までの法律体系のもとで、三十六年それから四十五年の構造政策、そしてまた途中のいろいろな経過もありますが、この新政策というものを柱として、これまで農政審議会につきましては米作を初めとします中心的な取り組みがございますけれども畜産関係は今審議なさっているのだろうと思います、畜産を初めとしてほかのものにつきましては。こういうものが大体総合的にできますと、これはまた重要な日本農政の大きな将来を指さす大事な位置づけになるのではないか。今後の手順ですね、今までの法体系の中で、これからの新政策というものをどういうふうに持っていこうとするのか、そしてまた最終的にはこれをどういう形で、全体系というものをとりまとめるといいますか、指針として、柱として進めていくのか、この辺はどうなのでしょう。
  8. 入澤肇

    入澤政府委員 今日の時点前回の総合的な基本方針を見直して新しい政策体系を仕組むということで議論したわけでございますが、その背景といたしまして、今まで説明しておりますように、日本農業、ある意味では歴史上まれに見る豊穣な食生活を実現し、それから世界的にもまれに見る豊かな食生活を実現しているわけでございますが、そういう大きな光があればあるほど、また影の部分も強い。その影の部分としまして、新規参入者の減少であるとかあるいは農業担い手高齢化であるとか、あるいは中山間地域都市近郊地域中心といたしまして耕作放棄地がふえているとか、そういう脆弱な部分も目立ってきたわけでございます。それらに対して、やはり農村農業復興運動を新しく実現すべきではないか、起こすべきではないかということで今回の新政策が求められたということは、これまで説明してあるわけでございます。  この中では、構造政策強化する今日的な時点におきまして、担い手を育成していくのだということのほかに、価格政策食管制度生産調整あり方それから団体行政あり方農林省組織あり方等々につきましても、これから十分に状況を見ながら、よりよい方向改革していくのだということが新政策の中でうたわれているわけでございます。  どれをどのようなスケジュールで実現していくかというのは、今の段階ではっきりと申し上げるわけにいきませんけれども、よく情勢を分析しながら、まずこの構造二法を中心に、それから機械化を含めて新政策三法をスタートさせまして、さらにそれに食品流通局で出しているJAS法改正等も含めましてスタートさせて、それから逐次状況を分析しながら、適宜適切に制度改革あるいは具体的な予算要求等をやっていくというふうに私どもは考えているわけでございます。
  9. 藤原房雄

    藤原委員 基本法ができた後につきましても、基本法自体に対しますいろいろな論議が盛んでありました。特に三十年代、高度成長の波に乗りまして他産業が急速な発展を遂げた。その中にありまして、三十年代はまだ国内自給、お米すらも自給できない状況の中にありましたから、一生懸命増産体制というものをとられたわけでありますが、しかし、四十年代に入りましてから過剰時代を迎える、そういうことで非常に難しい農政のかじ取りというのは私どももよく理解できるわけでありますが、いろいろ農業基本法で言われております中で、また農政全般にかかわることになるかもしれませんが、地域性ということが非常に重視されなければならぬ。画一的な農業南北三千キロにわたります日本列島、これは東西ならいざ知らず、南北でありますから、気候、風土また地域というものが非常に異なっておるわけでありますが、こういう地域性を尊重して日本農業というものを考えなければならぬ、こういう点の指摘というものもその中の一つとしてあったと思うのであります。  今日までもいろいろな機会に、農水省皆さん方、この地域性というものを重視するということは御発言になっていらっしゃることはよく存じておりますし、またそれを念頭に置きながら施策をいろいろ検討していることもわかるわけでありますが、地域の特産、地域特性、こういう多様化の中にありまして、そういうものをどう見ていくかということは、事業とかいろいろなことの中では行われているのかもしれませんが、このたびの法律の中で、地域をより重視するといいますか、そういうものを尊重する意味合いというものはどういう点に埋め込まれておるというか、このたびの法律の中にどのように位置づけられておるのか、この点についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
  10. 入澤肇

    入澤政府委員 御指摘のとおり日本農業は、特に北海道から沖縄まで地域によって事情がかなり違います。したがいまして、上からの押しつけてあるとか、あるいは国が画一的基本方針をつくってやるということはふさわしくありません。  今回の法律におきましては、その意味におきまして、国が基本方針を定めるということは法律明記しておりません。通常の法律でありますと、国が基本方針を定めてそれに従って都道府県市町村が具体的な計画をつくるというのが立法のスタイルでございますけれども、今回の法律では、国が基本方針をつくるのではなくて都道府県地域特性に即して基本的な指標をつくる、さらにその基本的な指標に即しまして市町村地域実態に応じた基本構想をつくるというふうになっておりまして、むしろボトムアップ方式と言った方がいいのかもしれませんけれども、そのような構想のもとに今回の法案はつくり上げたものでございます。
  11. 藤原房雄

    藤原委員 運用ということや、それから実態面ではそういう地域特性を生かしてということがわかるわけでありますけれども、実際この法律の中におきまして、そういう明記といいますか、そういうことが明記されておるということはまた非常に重要なことではないか、こんな考えを持つわけであります。  今日までの農政のいろいろな事業とか見ますと、もちろんそういう点の配慮というものはなきゃなりませんし、あったんだろうと思います。しかし、時折生産過剰になりまして減反政策というようなことに、生産抑制、こんなことになりますと、全国一律的な減反政策割り当て政策を設けるとか、いろいろな事情があるのかもしれませんけれども実情、地方の特性というものは余り生かされていない配分とか何かも時々見受けられる。そういうことを考えますと、やはり法文上の明記などということも必要ではないかというような感じもしてならないのでありますけれども、その辺はどうですか。
  12. 入澤肇

    入澤政府委員 各地域実情を十分に反映するということで、今回の法律では、具体的に農業経営改善計画認定基準となる基本的な基本構想市町村が作成してもらうわけでございますけれども、その場合には、地域農業者農業経営実態調査をきちんと行うということ、それから、市町村農業委員会農業協同組合土地改良区、農用地利用改善団体等関係機関団体から構成されます現在全国市町村構造政策推進会議という組織を全市町村に設けておりますけれども、ここでの討議を十分に踏まえまして、その地域実情を反映した基本構想をつくるというふうに予算上の措置を講じているところでございます。
  13. 藤原房雄

    藤原委員 次に、これは今までの法案審議の中でも各委員から出されて、農業経営改善計画認定制度創設、これはいろいろな立場からお話がありました。参考人方々も、また現地に参りましても、新しい新政策のことや、それから今回のこの法律にまつわります問題、特にこの新政策というのは数字を挙げて年間所得や将来の展望等もいろいろ明示されておるということもありました。そういうこともあったと思うのですけれども、そしてまた、個々対策というのはそのときそのときのいろいろな状況に応じて農林省対応はしておるのですけれども、新政策というのは、そういう意味では総合的な政策としてぜひそれは実現してもらいたいといいますか、好感を持って迎えられておるのは事実だと思います。  私どもいろいろな方々お話をします。総論は賛成ということなんでしょうけれども、具体的な問題になりますと、これは先ほど申し上げた地域性とか、よって立つ基盤のところで具体的な諸問題というのはどうしてもぶつかるわけでありまして、それを自分のところでどう解決するかということになると、もっと具体的なことを知りたい、またはどういうふうに持っていくのか、こういうことになるわけで、そういうことからいたしまして、まだ不透明な面があって、ぜひそういうところも明確にひとつ農林省としても目を通して、政策をきめ細かにやっていただきたい、こういう声がどうも強いようであります。  そういう中で、認定制度というのも今日まで何もしないで突然こういう制度が生まれ出てきたわけじゃございません。いろいろな制度があったわけであります。一九八八年に担い手確保農地保有合理化促進特別事業というようなことで、担い手方々に対してはいろいろな特別事業合理化促進のための特別事業をやろうじゃないか。それから、一九九〇年には土地利用型大規模経営育成モデル事業、こういうことで、できるだけ大規模化する方向のための事業としては特別な事業として、モデル事業としていろいろなことをやろう。それから、一九九一年には中山間地域農地保有合理化促進特別事業、中山間地域についても農地保有合理化促進には特別事業をやろうじゃないかという、こういうことで認定農業者に焦点を絞った施策というのは、今日までもいろいろしてきているわけです。  そうした上に立って、このたびは農業経営改善計画認定制度創設するという。これは今までのこういういろいろな施策と何も矛盾するということではないのですけれども、今まで個々にやってきたものをさらに総合的に深みのある、そしてまたより充実したものにという、そしてまた、新政策で目指します一つの大きな目標に向かってのことだろうと思うのですが、この新しく創設された認定制度と、今までの個々政策とどういう関係にあるのか、その辺のことについて。
  14. 入澤肇

    入澤政府委員 前回農地三法の改正で、経営規模拡大計画につきまして認定制度を設けられたわけでございます。今回のこの構造立法経営基盤強化促進法に基づく認定制度は、単に規模拡大だけでなくて、地域複合を前提とし、個別農家複合経営をやる、それによって農家所得をふやしていくということを一つのねらいとしております。  もう一つは、労働基準法農業の世界には適用されていないのですけれども農業が他産業と比べて遜色のない職業であるということを一般的に認識させるためには、労働条件改善が必要でございます。特に給料制とか休日制とか基本的な労働条件改善は必要でございまして、そういうふうな意味での経営条件改善も含めて、全体として農業経営改善しようということに拡大したわけでございます。単に規模拡大だけじゃなくて、経営あり方労働条件あり方、そういうものまでも含めて経営改善をして、担い手として農業をやっていってもらうという農家認定しようとするものでございまして、そこが前回の、単純に規模拡大だけの認定制度と違うところでございます。
  15. 藤原房雄

    藤原委員 幅広くいろいろな施策をしようということだろうと思うのでありますが、今までもこういう制度があって、こういう事業があって進められてきました。社会情勢のいろいろな変化もありますけれども地域によってはまたよきリーダーといいますか、リーダーによってそういうのが集積された、そういう実績も確かに私どもも聞いておりますし、見ておりますが、総体的にいいまして、この事業というのは今まではその割に大きな成果をおさめたとは、大きいといいますか、着実にと言えばどのぐらいが着実がということになるのかも知れませんが、進んだとは思えない。  今回のこの認定制度創設によりまして、いろいろな支援措置強化をするということ等も含めまして、これは今までやってきた経験の上にのっとって、さらに、よりこれらの施策推進されるということでのこのたびのことだろうと思うのであります。  いずれにしましても、新政策の中には個別経営体とか組織経営体、こういうものを育成していこうということでありますから、このための施策。しかし、認定農家のまず認定ということに対しましての問題と、それから、その認定のあった方々に対してどういう支援措置を講ずるかという支援あり方と二つあるかと思いますけれども地域によっていろいろ異なるのだろうと思います。  北海道の農民の方々お話をいたしますと、大体大規模農家方々が多いだけに、新農政農林省で、本州で考えている現状とは大分違うわけであります。大多数がこの認定農家のような形で大規模化方向に進んでいく。そういう地域では、その認定条件に当てはまらぬというか、認定されるかされないか、そしてまた、それに漏れるような方々、漏れるといいますか、それはまたいろいろなお話し合いの中で、計画とか何かの中でいろいろ決めるわけですからあれですけれども、少数であるというか、大多数の方々がそれに乗って物事が進むということだといいのですけれども、入る人と漏れる人が出てくるということになりますと、どうもそこには集落の中での違和感みたいなものが出てくるのじゃないかという危惧の声が聞かれるわけであります。  また、本州の方に参りますと、なかなか規模拡大するというのも、市町村とか農業委員とか集落中心者方々が相当リーダーシップを持って、皆さんとの話し合いの中からこういうものを進めていく、こういうことで、多くの方々がこの制度に乗るということは、少ないところはそれでまたいろいろな懸念が出てくる、こういうお話を聞くわけでありますけれども、こういう集落の中にひびを入らせるような、違和感を持たせるようなことになっては農村社会の崩壊ということになるので、これは相当慎重な進め方が必要ではないか、機械的に物事がいくということではない、こんな思いがするのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  16. 入澤肇

    入澤政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、この認定制度が村のコミュニティーの破壊につながるとかあるいは和を欠くとか、そういうことであってはならないわけでございます。  この認定制度というのは、そうではなくて、そういういろいろな条件があるのですけれども、例えばオール兼業担い手がいないような農家兼業農家がたくさんあるようなところで担い手を育成していく。この間も現地視察で見ましたけれども、そのために意欲のある経営者農地を集積させていくんだというふうなところが典型的な例でございます。  例えば、北海道のようにもう相当大規模になっていろいろな農業が行われているというところにおきましても、作付計画改善であるとか、生産方式改善であるとか、あるいは先ほど申しましたような営農条件改善につきまして、もう一歩発展させようというふうな計画がつくれると思うのです。そういうふうなことも含めて認定ということでございますから、全部が全部競争して、他を排除して規模拡大するということをねらっているものではございません。  ですから、そういうふうなことのないように、具体的に私どもとしましては、先ほど申しましたように、農業委員会農業協同組合土地改良区あるいは農用地利用改善団体、これらは各地域農政を具体的に推進している機関、団体でございますが、こういう機関、団体から構成される市町村構造政策推進会議におきまして十分に地域実情を反映した意見を取りまとめて、その取りまとめた結果を市町村基本構想に反映するという手続を踏むように指導していく考えであります。  そして、認定する際には、地域実情等を踏まえて作成した市町村基本構想に照らして適切であって、しかも当該農業経営改善計画の達成が確実であると認める場合に行うものでありまして、地域実情を反映した認定が行われるように強力に指導してまいりたいというふうに考えております。  また、農業経営改善計画農業者が作成する場合には、農業者の要請に応じまして、農業委員会及び農協が積極的に協力をするよう指導するということも十分に考えているわけでございます。  このように、農業経営改善計画認定制度の運用に当たりましては、今御指摘のような心配がないように、地域関係者に十分な理解と協力を得るように十分強力に指導してまいりたいと考えております。
  17. 藤原房雄

    藤原委員 過日、参考人、五所川原からいらっしゃった方の、大規模に一生懸命御努力なさっているお話がございました。土地の集約というのは非常に大変だということの中で、上の方から、こういう決まりでこういうふうになっているぞというような言い方をされるとどうしても反発があり、そしてまた、自分の主張といいますか、なかなかそれに乗れない。そうではなくて、こういう形でどこどこでやっておるとか、また、今度はこういう制度ができてこういうふうになるんだとか、そういう話し合いの中で、乗れるような形のものならばそれに乗りたいという人たちはやはりおるんだというお話がございました。  現場で苦労なさった方のお話ですから非常に含蓄のある、私どもも考えなければならぬお話だと思ったのですけれども、それらのことについては、農水省からの通達でどうというわけにはいかない、あくまでもその中心者方々の、リーダーの方の人柄とかいろいろなことが大事なんだろうと思います。少なくとも、今局長からお話がありましたように、これは自分の先祖伝来の農地をどうするかということであるわけでありますし、また、自分が老齢化して貸した方がいいという気持ちであっても、それがすっと出るような形で物事が進む、そういう条件といいますか、そういうものの中で話し合いが進み、少しでも集落の中にわだかまりができるようなことではならぬだろうと思います。その点のきめの細かな配慮等についても、今後ひとつ大いに御研究いただきたいし、また、地方農政局、都道府県、このお話し合いの中には、そういう点についてもぜひひとつ御配慮いただきたいものだと思います。  それから、認定農家に対しての今後の課税の特例とか資金の貸し付けとか研修等が盛り込まれておりますが、これも非常に重要なことでありますし、五所川原から参りました参考人の方も、土地の取得に当たりましては法的な制約とか資金繰りに大変御苦労なさったようであります。金利体系も、今のような農林中金を初めとします諸制度があるわけでありますけれども、今度はこれらについても貸し付けの十分な配慮をすることになっておるようでございますが、課税の特例とか資金の貸し付け、特に資金問題について、農家の方として、借りたものは返さなければならないと思いますけれども、返すだけの生産性が上がるかどうかということが、これからは一番難点になるんだろうと思います。  その点、低金利といいますか、ほとんど無利子に近い形でこれができるような、せっかく大きくしようという意欲に燃えているわけでありますから、それをそぐことのないような対策をひとつ講じていただきたいと思いますが、この辺どうですか。
  18. 入澤肇

    入澤政府委員 ただいま御指摘のとおり、認定を受けた農業者に対しては、今いろいろな支援措置を講じなければいけないと考えております。  まずは、資金の前に、利用権の設定等の促進を図るために、農業委員会認定農業者の申し出の内容を勘案いたしまして、農用地の利用関係の調整に努める。そして必要に応じまして、農地の所有者に対する利用権の設定等の勧奨を行うとか、あるいは、市町村長に対して農用地利用集積計画作成の要請をします。それから、課税の特例といたしまして、認定された計画に従い、新規就農または大幅な規模拡大を実現した場合には、五年間、農業用機械施設、大家畜等の割り増し償却による所得税、法人税の軽減措置を講じます。  さらに、金融としましては、農林漁業金融公庫または沖縄振興開発金融公庫は、認定された計画に従って行う農業経営改善が円滑に行われるよう、必要な資金の貸し付けに配慮しなければならないという規定を置きまして、融資面でも配慮いたします。  さらに、国、地方公共団体、それから農業団体は、計画の作成、またはその達成のために必要な経営管理の合理化、あるいは農業従事の態様の改善のための研修の実施、経営の指導を担当する者の養成等の実施をすることにしておりまして、これらの施策を総合的に、一体的に講ずることによりましてバックアップしていきたいというふうに考えております。
  19. 藤原房雄

    藤原委員 後継者問題についても、今度はいろいろな対策が講じられておりますので、もう時間もありませんから個々にお尋ねする時間もございませんが、何といっても、集落または地域地域に、農業の技術的な面についてもそれ相当の実力を持つこととともに、みんなから尊敬される指導者といいますか、そういう方は昔から農村にはいたと思うのです。現在もいなくなったということでは決してないとは思いますけれども、どちらかというと、都市への流出が非常に多かったということ等の中で、それからまた、非常に大規模化になったり、経営が多岐にわたるということ等の中で、だんだん昔のようなコンセンサスといいますか、話し合いの場というのは少なくなってきたということも一つは言えるのではないかと思います。  これは政策的にも、やはりいい方、そしてまた地域リーダーとして立っていくような人たちがぜひ残るような政策といいますか、お考えというのは必要ではないかと思うのであります。これは何も大学を出たからどうということではないのですけれども、やはり最近は、農学部でも、卒業をすれば農業をやるという方については推薦入学のようなことで何人かの枠を設けてやっている大学もあるようであります。農業大学校とか、それから農協の研修とか、いろいろな形で、農業の実習はもちろんのこと、人間としてのあり方等についてのいろいろな教育の場というのはもちろんあります。  前に岩手大学の石川先生に聞いたことがありますけれども、総合大学ですと、自分のお友達が工学部だったり教育学部だったり、いろいろな学部の方々がいて、そういう方々とお友達になる。何かあったときにそこに相談するとか、それだけ自分の視野が広がる。ですから、四年間の大学の期間というのは、勉強もぎることながら人間関係というのは非常に大事だというようなことをおっしゃったのが記憶にあるんです。自治医科大学、お医者さんになる方については市町村でああいう自治医科大学をつくって地方に行くということがありますが、そこまでのことはできるわけはありませんけれども、それに準じた、政策的にも地域地域中心者が育っていく、そしてまた、いらっしゃる。これは現在、農協やいろいろな組織の中にありまして、それぞれポジション、ポジションに有能な方々が活躍しているのはよく存じておりますけれども、最近そういう方々がだんだん老齢化しておる、その後はどうなるのか、いろいろなことも危惧されておるわけであります。  これは長期的な視野で見なければならないことかもしれませんけれども、そういうこと等につきましても、これから農業をやろうという方に対して、いろいろなことへのバックアップをしましょう、そしてまた、その方が立派な人として、地域リーダーとして成長していくためには何が必要なのかという、そのためには何をしなければならないかという、こういうこともひとつまたお考えいただきたいものだと思うのですが、いかがでしょう。
  20. 入澤肇

    入澤政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、私は、前から答弁していますけれども農政はやはり運動論の範疇に属するのじゃないかというふうに考えております。やはり地域地域で目標を掲げてリーダー関係農家を引っ張っていくということが必要不可欠でございまして、その意味におきまして、リーダーの養成は必要でございます。  今回の法案におきましても、農地保有合理化法人が中間的に保有する農用地等を使いまして研修をするということを、改めて農地保有合理化事業の中に位置づけましたけれども、このような事業を強力にやりますけれども、現在各地で地域リーダーの育成が行われております。それらの事業を、国としても基本的にバックアップしていきたいと考えております。  先般の現地調査におきましても、二十一世紀村づくり塾の支部のリーダー方々の話がございましたけれども、あのような方が全国におります。あの人たちに御協力を願いまして、地域担い手を広範に育成していくということを考えておりますし、また、全国農業会議所では経営者協議会というのを全国につくっておりますけれども、そういうところでもかなりいろいろな話し合い、研修あるいは研究成果の交換などが行われております。そういう中から、リーダーを着実に養成して、育成していくことが必要じゃないかと思っておりまして、そういう実態を、私どもとしましては、政策的に強力にバックアップしていきたいというふうに考えております。
  21. 藤原房雄

    藤原委員 次は生産法人のことですが、もう時間もあれですから端的に申し上げますが、今回、生産法人のことにつきましては、議決権や何かでいろいろな縛りをつけておることはよく存じておりますけれども、確かに多様な人材を経営とか技術的なこととか、そういうことからしますと、生産法人のような形というものも必要なことだと思いますし、また地域によりまして、大面積になりますと、現在そういう形で努力なさっている方々もあるわけで、私ども現地を実際見たこともございます。しかし、一番危惧されます会社に移行するような形、これは世の中がどういうふうに変わるかということももちろんあるのですけれども、しかし、現時点ではやはりそういうことがあってはならないということで、当て馬を設けております。  しかし、どうも農林省の書いたものを見ますと、これからいろいろ世の中が変わるので、どうなるかわからないからちょっと間口をあけておきたいみたいな感じがしてならないのですけれども、これはやはりきちっとしておかないと、どうもそういう危惧が心から去らない一面もあるのですが、この生産法人と会社との関係のことについて、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  22. 入澤肇

    入澤政府委員 現在、農業生産法人が各地にあるのですが、大体三千八百ぐらいございまして、ふえていないわけであります。  いろいろな要因を分析をしてみますと、事業範囲の制約があるとかあるいは資金不足であるとか、中小企業に比べましても財務比率が各項目ごとに悪いとか、いろいろなことがありまして、農業生産法人の見直しということをやるべきじゃないかということが、新政策検討過程でも学識経験者等によって指摘されたわけでございます。  今回、農業生産法人の要件を若干緩和することにしたのでございますが、基本的な考え方は、まず農地法改正しまして、農地取得を株式会社に行わせることはしない、それから農地生産法人に株式会社形態をとらせることはしないということにしたわけでございます。農業生産法人の要件改正の基本的な考え方は、この農業生産法人の基本的な性格、これは農地法の耕作者主義という理念の制約を受けているわけでございますが、その制約を考慮いたしまして、事業については、農業と一次的な関連を持って、農業生産の安定、発展に役立つような事業、例えば具体的には、今までは自分の生産法人で生産された原料のみしか利用できなかったのですが、これからは、ほかで生産されたものも含めて農畜産物の加工、貯蔵、運搬、販売等が行えるようにするということ、そのように事業範囲を拡大するということ、さらに、構成員につきましては、農業生産法人の経営の安定、発展に積極的に寄与すると考えられる人たちを、具体的に限定を加えながら加えるということにしております。  具体的には政令で定めるのですけれども、法人の事業に係る物資の供給または役務の提供を受ける者につきましては、法人の事業に係る物資の供給または役務の提供を継続的に受ける個人に限定する。それから、法人の事業の円滑化に寄与する者については、法人の事業に係る特許の供与、新商品または新技術の開発及び提供等の契約を締結している者に限定して定めるという予定でございまして、このような改正を行いましても、参入する企業というのは、農業生産法人の事業に係る特許の供与、新商品または新技術の開発及び提供等の契約を締結している者であるという、まさに法人の事業の円滑化に寄与する者に限定されます。  それからまた、企業の有する議決権につきましても、四分の一以下であり、かつ、これも大変議論したところで加えたのでございますが、一企業で有する議決権は十分の一以下に規制する。しかも大事なことは、具体的に農業生産法人の運営について他からの支配があってはいけないということで、業務執行役員の過半が農作業に主として従事するという業務執行役員要件は改正しなかったわけでございます。  このほか、許可時あるいは許可をしてからの事業の運営状況、さらに解散時につきまして諸般の措置を講じておりまして、私は、今回の農業生産法人の要件の緩和に当たりまして、企業参入の歯どめは十分になされているのじゃないかというふうに考えております。
  23. 藤原房雄

    藤原委員 これから大規模化それから効率化、地域実情に即してこういうことが進んでいくのだろうと思うのでありますが、北海道などはそういう点では先駆的な役割を担っておる。こういう中にありまして、いろいろな問題があるのですが、きょうは運輸省の方に来ていただいておりますが、いろいろなことの中の一つとしまして、運輸省にちょっとお伺いしておきたいと思うのです。  農業用トラクターの車検が、年間の稼働というのは普通の乗用車とは比べ物にならないほど少ないわけでもありますし、最近はまた性能もよくなっておるということからしまして、車検の有効期間というものを延長して当然ではないか、こういうことは今日までも延べられておったのですが、これは運輸省としてはぜひひとつ御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  24. 樋口忠夫

    ○樋口説明員 お答え申し上げます。  御指摘の農耕用トラクターのうち大型のものにつきましては、交通安全の確保の観点から検査が義務づけられているところでございます。一方、ただいま御指摘のございましたように、農家の経費の低減の観点から、従来から当該車両の検査の廃止あるいは有効期間の延長、こういった点につきまして、当委員会においても御指摘を受けているところでありますが、現在の厳しい交通事故の状況のもとでは、農耕用トラクターについても、公道を走る限りにおいては検査は必要であるというふうに考えております。  なお、現在運輸技術審議会におきまして、自動車の検査及び点検整備の見直しが進められております。この中で、御指摘の点も含め検討が行われている、こういった状況でございます。
  25. 藤原房雄

    藤原委員 この運輸技術審議会、一年近くやっているようでありますから間もなく結論が出るのだろうと思いますが、これだけ機械も高度化といいますか、よくなっている現状もあり、いろいろなことを精査なさいまして、農業経営の安定のために各般の問題を解決しなければならないことの一つの問題として、常々当委員会でも問題になっておるのですけれども、ぜひひとつ御検討いただきたい、このように要望しておきます。  それから通産省でございますが、最近は、離農をなさった方々の農機具ということもあるのですが、新製品よりも中古の農機具を買って生かしていこうという方々が非常に多いようであります。一つは、モデルチェンジが今までのようなスピードで、まあ自動車ではややダウンしたように言われておりますが、そのせいもありますが、部品の確保ということですね。新製品はもちろんのこと、中古品を使おうということになりますと、部品が果たしてどうなるかということが一つの大きな問題になるわけです。  この部品の確保につきまして、法的な制約はないのかもしれませんけれども、やはり現状に即した形で、耐用年数が、部品といえども最近はだんだん製品がよくなって長もちするということがよく言われておりますが、そういうこと等からしまして、やはり企業として、メーカーとして部品を保持する年数というものを考慮すべきじゃないか、こういうこともよく聞くのであります。これも、当委員会におきましても時々お話になることですが、いかがでしょう。
  26. 安達俊雄

    ○安達説明員 お答え申し上げます。  農業機械用補修部品の円滑な供給の確保につきましては、当省といたしましても、農業者の機械利用の利便上極めて重要な課題であると認識しておりまして、そうした認識のもとで、昭和五十年以来、メーカーに対して指導を行ってきておるところでございます。  つい数年前でございますけれども、平成二年には、例えばトラクターにつきましては、従前の十年から十二年にこの期限を延長するといった形で、全体的に二年の延長を図るというような対応も図ったところでございまして、今後とも、先生御指摘のような事情も踏まえつつ、円滑な補修部品の供給の確保という点について十分配意してまいりたいと考えております。
  27. 藤原房雄

    藤原委員 ありがとうございました。通産省と運輸省の方、結構です。保それから、去年、私ども農林水産委員会北海道へ視察に参りましたときに、ラジコンのヘリコプターで農薬散布するのを見させていただきましたが、そのときに若い人たちが一生懸命やっていただいたわけであります。ラジコンヘリコプターということになりますと、免許とかいろいろなことについては郵政省のようですが、郵政省は郵政省としまして、これはぜひ農林省としましても、私が宮城県に行ったときにもやっておる方がいらっしゃった。若い人たちが、非常に意欲を持ってやろうという方々がいらっしゃるようで、大面積のところについては相当普及しているようです。それから、有人のヘリコプターですとどうしても高いところからやるものですから、広い範囲に農薬が散布されて、最近混住化の社会の中では非常に危惧する声が上がって、やはりラジコンなどでやった方がいいのではないか、こういうこと等も言われておるわけです。何せ機体が高いということや、免許を取るのに相当お金がかかり、時間がかかる、こういうこと等もございまして、農林省としても、このことに対するセクションを設けて、いろいろ御検討なさっているようであります。  そのラジコンのところでお話がありましたことは、免許のこととか、これは郵政省のことかもしれませんが、ぜひそういう若い人たちが意欲を持ってやろうということに対して助成措置をひとつお考えいただきたいということや、それから事故保険の制度、いろいろな事故が想定されると思うのでありますけれども、こういう制度がないと、万が一のときには大変だというお話もございました。これもぜひひとつ御検討いただきまして、大規模化を進めるという中にありまして、ぜひやっていただかなければならぬことだろうと思うのであります。  このラジコンのヘリコプターの問題について、農林省としても、今後の普及とか、それからまた積極的な助成措置とか、ぜひひとつ御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  28. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 ただいまお話のありました農業用の無人ヘリコプターでございますけれども、これは平成三年から、農林水産省としても実用化するということで指導指針を定めまして、その適正利用の促進を図っているところでございます。  今お話がございましたように、ラジコンのヘリコプターでございますけれども、なかなか小規模の面積で利用が容易であるとかきめの細かい作業ができるとか、あるいは農薬の飛散が少ないといったような利点がございまして、我々も有人ヘリコプターによる防除が適さないような地域あるいは中山間地域であるとか、あるいはそのほか一貫作業体系ということで、播種から防除に至るまでの利用を今後期待をしているところでございます。  今、いろいろこういった人たちの養成であるとか、今後どんなふうなことを考えているかということでございますが、一つまず利用といたしましては、今までともすれば防除だけというような使い方をしておったわけでございますが、防除に限らず播種あるいは施肥、そういったものにも有効利用できないかというようなことでの、今助成事業でその辺の検討をしてきておりますし、また、特にオペレーターの養成、特に若い人が、若干遊び心というようなものもくすぐりながらこのラジコンに取り組めるというようなこともございまして人気もございますので、こういった人たちをオペレーターとして養成していく必要があるということで、研修会を開催するというようなことでの、これも助成をして行ってきております。現在も大体千七十人ぐらいの人が、そんなことで養成をされてきているところでございます。  それから、機体そのものにつきましても農林水産省でいろいろな助成事業があるわけでございますが、そういった助成事業のメニューといたしまして十分導入するというようなことも、現在可能になってきております。  我々といたしましては、今先生からお話がありました点も含めまして、今後ともこの無人ヘリコプターの導入の円滑化ということについて、心していきたいと思っております。
  29. 藤原房雄

    藤原委員 時間もありませんので最後になりますが、今のお話に、ラジコンヘリコプターで散布できる農業の種類というのが決められておるのですけれども、いろいろな理由があるのだろうと思いますが、今後大規模化していくということと、そしてまた技術の向上やまた機器の向上とか、いろいろなこと等も合わせまして、この農業の種類等につきましても、余り危険を伴わないもの等につきましてはぜひ見直しをしていく、このことも一つ要望させていただきたいと思います。  最後になりますが、特定農山地域における農林業等活性化のための基盤整備促進に関する法律、このことについてもいろいろお尋ねしたかったのですが、時間もありません。  ただ一つ、財政上及び金融上の援助というものにつきまして、これはどうしても必要なことだろうと思います。私どもは、できればデカップリングという形で山村というものの守り手といいますか、担い手というものを確保する必要があるだろう。しかし、今すぐできないとしましても、何らかの統計的な、そしてまた実態的な集積の上に立ちまして、その必要性というものをだんだん、必要性といいますか、どういう形でするかということを方向づけるといいますか、そういう作業というのはこれからぜひ続けていっていただきませんと、やはり山村地域というのは守り手がどんどん少なくなっていくのは目に見えておると思うのです。やはり特定な地域につきましては、そういう形で守るということ以外にはないのではないか。  それともう一つは、個人の所得ということと、現在できることとしましては、財政上それから金融上の問題でありますけれども、これは自治省とか国土庁とがそれぞれの省庁での共管としまして、豪雪地帯になっているとか、それからまた過疎地域の指定を受けているとか、そういうそれぞれの省庁でのこともございますが、全体としまして地域農業振興という上からいたしまして、農林省としてこの地域に対する財政上、金融上の施策に対しましても、今度法案が出て各省庁との連携の上に立ちまして推進しようということでありますが、特段の財政支援というものをお願い申し上げたい。それと、今後のためのいろいろな対策をひとつお考えをいただきたい。  このことを、最後に農林大臣、ひとつ御決意のほどをお聞きしまして終わりたいと思います。
  30. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 委員の今までの御議論を伺っておって、私も、何とか今よりいい方向農業というものをやっていくためには、一定の所得があることは必要でありますし、そのためにいろいろ考えておるわけであります。  特に、この特定農山地域活性化、これは金融、財政、今お話しになったとおりでありますが、具体的には中山間地域経営改善・安定資金、これは新規でありますけれども、それから経営強化の特別支援事業、これも新規の施策であります。また、地域食品産業高度化総合推進事業や中山間地域活性化資金等を活用した地域食品といいますか、それの高付加価値化、販路の開拓、あるいは、これも新規でありますけれども、特定農林地利用管理等促進事業、こういうものを通じて、何といってもやはり仕事の量といいますか、農業だけではなくて中山間地でありますから林業等もあります、そういう事業を積極的に起こしていくということの中で、全体として農家の所得の向上を図る。  あるいは、先ほど来地域実情、こういうことを申し上げておりましたが、そういうことをよく相談をしていただいて、そうして基盤整備を進めていただきたい。そのための採択基準の緩和あるいは補助率の引き上げ、そういうこともいたすことにしておりますし、先般来閣議で決定されました第四次土地改良長期計画、これも中山間地域における、十年間で全体量が大体四十一兆円でありますけれども、中山間地域事業量のシェアを試算すると大体四五%、四十一兆円のうちの四五%程度、そうしたことをやはり積極的にやっていかなければならぬ。  それから、今ラジコンの話がありましたが、そういう地域で効率的にそういうものも使いながら労働の軽減を図る、労働時間を短縮するということで、何とか所得においても労働時間においても、やれる体制というものを整備してあげたい。また、次の世代の若い人たちが本当に意欲を持ってやれるということのためには、私ども全力を尽くしてこれに取り組んでいきたい、こう考えております。
  31. 藤原房雄

    藤原委員 終わります。
  32. 平沼赳夫

    平沼委員長 山口鶴男君。
  33. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 御案内のように、国会が審議をしますためには定足数があります。本会議は三分の一、委員会の定足数は二分の一であります。  私は農林水産委員会にお邪魔いたしましてから委員会の様子を拝見しているわけでございますが、きょうは自民党さんの席も半数以上おられるようでありまして、かすかすおられるようでございますが、今まで見ていますと、どうも自民党さんの方の席は大変少数、これに対して野党側の皆さん方は、熱心にほとんど出席しておられる。それから、傍聴席には主権者である国民の皆さん方が熱心に傍聴しておいでになる。与党席の方が寂しいというのではやはりまずいのではないかと私は思います。きょうはやや合格ではないかと思いますが、このような状態を今後ともきちっと続けるように、委員長にまずお願いしておきたいと思いますが、いかがですか。
  34. 平沼赳夫

    平沼委員長 承りました。
  35. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 承っただけではなく実行してください。  次に、農業経営基盤強化法案特定農山地域活性化法案、この二つを主としてお尋ねしたいと思います。  この法律をお出しになった目的は一体何でしょうか。提案理由の説明を拝見しましたら、農政審議会の答申がある、その具体化のためにこの法律を出したというようなことが書かれてございます。それでは、一番もとになります「新しい食料農業農村政策方向」、この答申を拝見しますと、自給率が低下している、農業就業人口が減少している、耕作放棄地が非常に増大をしている、兼業化、高齢化等が進んでいる、世界の状況を見れば長期的な食糧需給は逼迫基調で推移するだろうと認識もしている。そういう中で、「国内農業生産を維持・拡大し、食料自給率の低下傾向に歯止めをかけていく」、これが重要だと述べているわけですね。  とすれば、今度のこの法律もそういった農政審の答申の方向を踏まえて、これを具体化するために法律を提案をせられたと理解してよろしゅうございますか。大臣、どうですか。
  36. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 今委員お話しになりましたようなことが大体の骨子でございます。  我が国の農業は、農業基本法制定後いろいろなことをやってまいりました。やってまいりましたが、大変多様化しつつ増大する食糧需要に対応した生産の選択的拡大や、畜産、施設園芸を中心に生産性の向上は実現してきたわけでありますけれども農家の所得は他産業に比して大分差がある。あるいは一方では、農外所得を含めた農家の総所得は勤労者世帯を上回るということになってまいりまして、全般的に申し上げますと、基本法の果たしてきた役割は大きいと考えておりますが、他方、いろいろな経済の高度成長を背景にして、今委員お話しのように、農地の価格が上昇したことによって、土地利用型の部分において非常に経営が停滞をした、規模拡大ができないということが一つありますし、労働時間、所得の不均衡あるいは東京一極集中などによる中山間地域中心とした過疎化や高齢化の進行あるいは担い手が減少しておるということでございまして、そのために、この法律を何とか今の時代に合う、そうした視点に立って明確化していこうということで、実は提案を申し上げておるということであります。
  37. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 お話のありましたように、農業基本法昭和三十六年だったと思いますが、私が国会に出ました直後に審議がありまして成立をしたことを、私もよく記憶をいたしております。  ところが、せっかく農業基本法はできたが農業基本法が指し示す方向がなかなか現実のものにならなかった。そういうことで、ここに内海さんもおられるのですが、内海さんが農林水産委員長当時、当時の農林水産委員会で、食糧自給力強化に関する決議をされた。私は、当時議運の理事をやっておりましたのでよく覚えております。  ただ、このとき農林水産委員会では十分御議論があったのでしょう、また委員長の御努力もあって、また野党の協力もあってまとまったのだろうと思うのですが、これが本会議にかかるということになりまして、一つ騒動が起きた。御案内のように、国会の本会決議をやる場合は、自民党は党内手続が必要ですよね、総務会をクリアしなければいかぬ。ところが、当時総務会で、どういうわけか農林水産大臣経験者の方お二人が非常に反対したのです。そうして、あそこに額がかかっておりますが、亀岡高夫さんが当時の議院運営委員会委員長であった。亀岡さんが内海さんを助けて非常に御努力をされた。そうしてやっと総務会をクリアして、相当本会議をおくらせたのですけれども、本会決議が無事にできた、こういう経過があります。  私は、このことは鮮明によく覚えております。この決議は非常に重要だと私は思うのです。海外からの農畜産物の輸入増加に伴い、食糧自給率は年ごとに低下している、国民食糧の先行きは極めて不安定だということを冒頭うたいまして、「先進諸国に較べ低位にあるわが国の食糧自給力の向上を図り、国民食糧を安定的に供給することは、将に国政上の基本的且つ緊急の課題である。」ということをうたって、「よって政府は、」「食糧自給力の強化を図り、わが国農業・漁業の発展と生産力の増強に万全の施策を講ずるべきである。」とうたったわけです。  御案内のように、国会決議は国会の九割以上の方が賛成しませんと成立をいたしません。法律は過半数で成立をいたしますが、国会決議は全会一致、ぎりぎりであっても九割以上の方が賛成しなければ成立をしない。したがって、政治的には法律よりは国会決議の方が重たい、これが私は国会の常識だと思うのです。例の非核三原則の決議、これも国会決議ですから、今国是として国民全体が尊重している。そういうことを考えますと、この決議を守ることは政府の責任だと私は思うのですね。大臣に聞きますが、その後食糧自給率は向上いたしましたか、どうですか。
  38. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 自給率の向上を図るべく国会決議の趣旨を踏まえて、生産性の向上でありますとか、可能なものは極力国内で生産を賄うという努力はいたしましたが、おっしゃるとおり自給率は低下をいたしております。  これはいろいろ理由があるわけでありますけれども、何といってもお話の農畜産物の飼料、えさが、我が国においては国土の面積が少ないものですから生産できない。これがどんどん進行するに従って極端に低下をしてきた。あるいは漁業においても二百海里の規制をどんどん受けてまいりまして、各国の二百海里内での漁業は規制を受けてきた。あるいはイカ流し網の公海における全面禁止。そうしたことによって、こちらも低下をしておるということはそのとおりでございます。
  39. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣、よく聞いていてもらいたいのです。私は、自給率は低下したでしょうと聞いたわけじゃないのです。自給率はどうなっていますか、こう聞いたわけで、決して下がっているなんということを言ったわけじゃないのでして、仰せのとおりという御答弁はちょっと違うのじゃないかと思うのです。私はどうなっていますかと聞いたのですからね。しかし現実は、大臣おっしゃったように低下をしている。私は極めて遺憾だと思うのです。  御案内のように、その後昭和五十九年にも国会決議をやりました。六十三年にも国会決議をやりました。五十九年の国会決議も、この昭和五十五年の九十一回国会決議がありながらそれが実行されていないことは政府の責任だ、こう言って決議をしているわけです。また、昭和六十三年の国会決議も、五十五年の第九十一回国会決議がありながら、現状こうであることは極めて遺憾だ、こう言っておるわけです。  その国会決議のありましたときどきを見ますと、低下に次ぐ低下ですね。私は、これでは政府・農林省はどうも国会決議を無視しているのじゃないか、国会決議なんかどうあってもいいよ、おれたちはおれたちで勝手なことをやっているというふうに受け取られかねないと思うのです。ですから、五十九年も六十三年も、五十五年の第九十一回国会の決議がありながら政府は無責任ではないか、反省せよ、こういうことを言っておるのですから、その辺、一体大臣はどうお考えでしょうか。
  40. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 米のような国内供給が過剰なものもございまして、それを小麦、大豆のような国内生産が不足するものへ農業生産の再編成をいたしましたり、あるいは土地改良長期計画に基づく農業生産基盤整備と優良農用地の確保、栽培技術の高度化等による単収の向上、需要の動向に即した新品種の開発、そうしたことを、今までも国会決議を体して一生懸命やってまいりました。  やってまいりましたが、国民の多様なニーズといいますか、所得が向上していろいろなものを求める、その求めるものに十分対応できなかった。それがために四兆五百億円というものを輸入に依存せざるを得ないということもありまして、これも毎回申し上げるのでありますけれども、田畑に置きかえると、一千二百万ヘクタール分の輸入をしておる。しかし、現状日本農地は五百二十万ヘクタールしかないものですから、これをどう調整していくか。  しかし、食糧というものは長期的に見ると不安定な状況だ、世界の人口がふえる、そういう中で、国内で自給率を最大限高める努力はこれからも引き続き当然のこととして、国民に安定的に供給しなければならぬという責任において努力をしていきたい。その歯どめを今、高齢化担い手不足ということですから、この法律によってさらに自給力を高める努力をいたしたい、こういうことでございます。
  41. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いろいろ努力をしてきたと言うのですが、やはりそれが形になってあらわれていなければだめだと私は思うのですね。第百一回特別国会、昭和五十九年ですが、このときの決議では、「本院は、第九十一回国会において、」「食糧自給力の強化を図り、」「政府が万全の施策を講ずるべきことを決議した。」ところが、そうなっていない。「よって政府は、その責任を厳しく反省し、このような事態を再び繰り返すことのないよう」にやれということを決議しているのですね。また、第百十三回国会、昭和六十三年でも第九十一回国会における決議をうたい、百一回国会においても決議した「食糧(行政に万全を期すべきである。」ということをうたっておるわけでございますから、言葉で努力した、努力したと言うのではなくて、当然形であらわさなければいかぬ。形は何かといえば、私は予算だと思いますね。  農業基本法ができました昭和三十六年、また、その後国会決議をやった昭和五十五年、二回目の国会決議昭和五十九年、そして三回目の国会決議昭和六十三年、その時点その時点農業予算はふえているのでしょうか、減っているのでしょうか。この点をひとつお示しいただきたいと思います。
  42. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 まず昭和五十九年でございますけれども、このときの農林水産関係予算額は三兆四千五百九十七億円という数字でございます。それから六十三年が三兆一千七百十九億円。あともう一年は何年でございましたか……(山口(鶴)委員「五十五年、五十九年、六十三年」と呼ぶ)失礼しました。一番最初の五十五年は三兆五千八百四十億円となっておりまして、時系列で見ると、若干下がっておるという状況でございます。
  43. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 五十五年が三兆五千八百四十億円、五十九年が三兆四千五百九十七億円、減っていますね。それから六十三年が三兆一千七百十九億円、減額に次ぐ減額じゃありませんか。これでは大臣、幾ら努力したなんて言っても、さっぱり努力がなかった、努力不足だったということをこの数字がはっきり示しているのじゃありませんか。  昔からよく、予算は国の顔だと言いますよ。その国の政治が一体どうなのか、国の行政がどうなのかということは予算を見ればわかる、予算がその国の顔だ、こういう言葉なのですね。ですから、この数字を見れば、政府は農林水産業に対してはしかめっ面をしておった、意地悪な顔をしておった、こう言って差し支えないのじゃありませんか。
  44. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 具体的にどの項目が減ったかというのは、もし資料があれば後で説明してもらいますけれども、恐らく食糧管理費が大幅に減ってきておるのだろう、こう思います。  施策の方では、例えば、米の消費拡大をしようということで、五十五年に週一・四回の米飯給食の回数を、平成三年に二・六回にふやした。あるいは他用途利用米制度の導入で、五十九年の二十七万トンを四十九万八千トンにしておる。あるいは生産基盤の方も、水田の整備率が三二%だった五十五年、これを平成三年、四七%に引き上げた。畑の方も三三%から五三%に引き上げた。単収も、五十五年当時米が十アール当たり四百七十一キロでありますが、四百九十七キロに伸びた。あるいは小麦の単収も一九%、大豆の単収も三二%上昇した。そのほかに優良品種の開発普及、そういうものは一々申し上げませんが、中での努力はしてきた、しかし、食管費が減った分で恐らく予算が減ったのであろう、こういうふうに理解しております。
  45. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣お話しになったように、食糧管理費が減ったことは事実です。しかし、食糧管理費が減った、それもけしからぬと思いますが、それ以外のものも減っているところに問題があるのじゃありませんか。そのことを具体的に数字で申し上げたいと思うのです。  昭和五十五年、国の予算全体に対する農林水産予算の割合、八・四%でした。それからまた、よく問題になる一般歳出に占める農林水産予算の割合は一一・七%。五十九年はどうかといいますと、国家予算に対する農林水産予算の割合は六・八%、八・四から六・八、減っているじゃないですか。それから、一般歳出中の農林水産予算も一〇・六%、一一・七から一〇・六ですから減っております。昭和六十三年、それぞれの数字は五・六%、九・六%、ともに減っていますよ。  ですから、食糧管理費が減っているのも問題ですけれども、しかし、それ以外のものも減っているというところに大きな問題があるのじゃありませんか。
  46. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 食糧管理費が減少していることは大臣から申し述べましたが、それ以外の、例えば公共事業関係の経費ですと、五十五年は一兆四千六百十三億円、これが五十九年には一兆四千四百二十二億円ということでございまして、それから六十一年は一兆三千七百四十六億円、こういう状況でございます。  それから、一般事業費の方は、五十五年が一兆一千六百七十二億円、五十九年が一兆二千四十三億円、六十一年が一兆一千七百二十一億円、こういう状況でございます。若干出入りがあるということでございます。
  47. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 若干出入りがあることは私も知っています。ただ、出入りがあっても、国全体の予算の中の農林水産予算の割合が一体どうなのか、一般歳出の中における農林水産予算の割合がどうなのか、これがふえてなきゃ問題じゃないですか。ちょっぴり予算額がふえたって、予算の方がうんと伸びている、比率は下がった、これではやはり農林水産予算の割合は減っている、予算全体の中で農林水産はいわば日陰の扱いをされているということになるのじゃありませんか。その割合は一体どうですか。
  48. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 今、委員のお示しになられたような数字の繰り返しになるわけでございますけれども昭和五十五年におきます一般歳出に占める農林水産関係予算額の割合は一一・七、これが五十九年には一〇・六、六十三年には九・三というような推移をいたしております。これは、大きくは食糧管理費が減ったということが響いておるというふうに理解をいたしております。
  49. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私は、今のも反論がありますけれども、では、平成元年、平成二年、平成三年、平成四年、平成五年、それぞれ言いますよ。国家予算中の農林水産予算、これは五・二、四・七、四・六、四・六、四・七、前の八・四、六・八に比べたらぐっと減っているじゃありませんか。同じように一般歳出に占める農林水産予算、平成元年以降、九・三、八・八、八・八、八・六、八・四、ずっと減っているじゃありませんか。一一・七、一〇・六に比べればずっと割合が落ちているじゃありませんか。  さらに、私は食糧管理費とは関係なしに減っているということを申し上げようと思うのですが、自治省もおると思うのですが、自治省が公共投資の毎年の予算を調べております。農林水産予算は国が支出するのもあります。しかし、都道府県市町村が支出して仕事をするのもあります。これ全体を見ることが、やはり農林水産予算がどうあるかということを正しく見る方法だと私は思いますが、この公共投資がどうかというのを見ましても、国、都道府県市町村の行政投資全体の中に占める農林水産関係の投資が一体幾らか、その割合はどうかというのを見ますと、五十五年一〇・二、五十九年一〇・〇、六十三年一〇・〇、平成二年九・〇ですよ。  ですから、これは食糧管理費とは関係ないのですから、公共投資なんですから、農林水産にかかわる公共投資が、国ばかりではなく都道府県市町村も含めても減っている。しかも、国の減り方がひどいのですが、都道府県市町村地域の住民の人たちの期待にこたえて頑張っているから減り方が少ないのであって、国の支出だけ見たらもっとひどい低下の状況ですよ。農林省、一体これについてどうお考えなのでしょうか。
  50. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 先ほど来、大臣がお答えいただいておりますように、食糧自給力決議を踏まえまして、国会の御意思に沿う形でいろいろと、土地改良、あるいは需要の動向に沿った生産物をつくっていくというような生産体制の変換、あるいは技術の向上等も努力はいたしているわけでございます。  ただ、予算額について見ますと、それぞれの年の財政状況等もございますし、近年で言えば、五十七年以来だと思いますが、シーリングというようなこともございまして、義務的な経費でない政策的な経費については非常に頭打ちの状況が続いていることが、今申し上げましたような数字になっているというふうに理解をいたしているわけでございます。
  51. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 官房長、それではお答えにならぬと思うのですよ。シーリングがある、それだったら道路だってシーリングがある、それから空港もそうだ、国土保全もそうだ、住宅もそうだ、環境衛生もそうだ、文教もそうでしょう、みんなシーリングがかかっている。そういう公共投資全体の中における農林水産の公共投資が減っているということは、単にシーリングがかかっているというのじゃなくて、公共投資全般の中における農林水産の公共投資がいわば大変つれなく扱われている、しかも都道府県市町村が頑張っているにかかわらず、国の方が下がっているからそういう傾向が出ているということじゃないのですか。さっきのお答えでは、官房長さん、農林省の中では一番立派なお役人なんだろうとは思いますけれども、ちょっとお答えになりませんな。
  52. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 改めてお答えを申し上げさせていただきます。  この公共投資関係、やはり農業生産を振興いたしております場合に一番基礎的なことでございますし、近年で言えば、生活環境の整備というようなこともございまして、私どもも特段の努力をいたしてまいっているつもりでございます。  全体の、国の総体の予算との関係でいう話になりますと、公共事業関係についてはそう大きな変化はしてきていないのではないか、全体としてのシェアというのは大きな振れは見ていないのではないか、おおむね同じぐらいの水準で推移をしてまいっているというふうに考えておるところでございます。
  53. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 一〇・二、一〇・〇、一〇・〇、九・〇、低下しているばかりじゃありませんか。でこぼこがあるなんというものではないですよ。
  54. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 私どもの持っているデータによりますと、五十五年ぐらいのところで見ますと、農林水産の一般公共のシェアというのは、国の全体の公共予算に対するシェアでございますが、これは二一・九というような水準でございます。それから昭和六〇年、ちょっと先ほどの年次と合わないのでございますけれども、このときで見ると二二・〇、平成二年、三年と大体二二%ぐらいの水準ということで、国の一般公共との対比でいえば、農林関係の国の予算というのは余り振れていないというふうに申し上げたわけでございます。
  55. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 国の実施のものをお挙げになった。全体の中に占める農林水産の割合は、昭和三十五年一八・五、五十五年四・七、五十九年四・九、六十三年六・九、平成二年五・九ですよ。一八・五もあったものが、今、五・幾つというような状況で、大きく減っていることは間違いないじゃありませんか。これは国の実施の場合。  それから、国費はどうか。国費の場合、昭和三十五年一五・九、そして現在では一二・五とか一一・三というふうなことで、これも昭和三十五年に比べればずっと減っている。そういう状況であって、しかも公共事業というのは、国が支出し、都道府県市町村が支出して、全体でこの事業が行われるわけですから、その全体が、先ほど私が申したように一〇・三、一〇・〇、一〇・〇、九・〇という数字になっているということは、残念ながら、国全体の公共投資の中における農林水産の公共投資は日陰者扱いにされているということじゃありませんか。大臣どうですか。
  56. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 私が申し上げましたのは、国の予算に占める農林水産省の予算額、公共投資の予算額ということでございまして、委員今お示しいただいたのは、国全体、国、地方公共団体の総事業費ということのように私は聞いたわけでございますけれども、まことに恐縮でございますが、私どもただいまその関係のデータを持ち合わせておりません。それについて特段申し上げるということができないことを、お許しをいただきたいというふうに思います。
  57. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 自治省に行けばありますから、よく自治省の資料を見て、反省すべきことは反省してください。  ついでに、大蔵省にお尋ねしようと思うのです。結局農林省の方は、国会決議もある、そこに内海さんもおられるが、内海農林水産委員長中心になって昭和五十五年国会決議をやった、これを実行に移そうということで、農林水産省は大いに御努力をしたのだろうと私は思うのです。  ところが残念なことに、予算農林省がつくってそのまま国会に出るわけではない、中間に一つあるわけですね。その大蔵省の方が物わかり悪いので、農林省は真剣に頑張ったがこうなったということもあるのではないかと私は思うので、大蔵省の方がおられたら、反省の弁をひとつお聞きいたしましょう。
  58. 寺澤辰麿

    ○寺澤説明員 お答えを申し上げます。  五十五年以降三回にわたる国会決議がなされたことにつきましては、財政当局といたしましても、食糧の安定供給を図っていくことは非常に重要な課題であると考えておりまして、十分承知しております。  お尋ねの農林水産関係予算の推移でございますが、国の財政事情は、昭和五十年以降特例公債を発行せざるを得ないというような状況になりまして、五十五年度以降は歳出の削減を念頭に置いた財政再建、行財政改革を進めるという中で全体の予算編成が行われたと承知しておりまして、国の一般会計全体に占めます一般歳出の割合も、そういう意味では非常に厳しい予算編成となったわけでございます。  現在、平成五年度当初予算ベースで見ますと、国債費が一般会計の二〇%を超えるというような状況にございますが、五十年代の行財政改革の過程を通じまして、今後急速に本格化する高齢化社会を展望いたしまして、後世代に多大のツケを与えないという基本的な考え方のもとで予算編成がなされたというふうに考えております。  ただ、農林水産関係予算について申し上げますと、総額といいますよりは、それぞれの施策の中身については、補助から融資へ転換するとか、構造政策をいろいろな方向で、行政的な手法を動員いたしまして充実をさせるといったような努力を毎年毎年続けているということだけは、付言させていただきたいと思います。
  59. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 財政が窮屈だというのはすべてにわたるわけですから、その中で農林水産の比率が一定であるというならわからぬでもないですよ。しかし、割合が下がっているということは、これはやはり農林水産に対して大蔵省は冷たいということじゃないのですか。  さで、今度法律を三つお出しになりました。新しい農政方向に対して、これを実現するという大いなる意欲を持って農林水産省は法律を提案された。そうしますと、平成四年に比べて、平成五年はせめて予算がふえているかということが問題になると私は思うのですね。平成四年と平成五年、確かに額はちょっぴりふえていますよ、比率で一・七%ふえている。うち公共事業費は四・〇%ふえ、それから一般事業費は一・四%ふえ、食糧管理費だけは、盛んに食糧管理費を言われましたが九一・〇ですから、これは九%ほど落ちているということだろうと思います。  しかし、同じように、国の予算全般の中に占める農林水産の予算を見ると、四・六%が四・七%、これはちょぴりふえているのですが、問題は、一般歳出の中に占める農林水産予算、八・六%が八・四%、結局〇・二%落ちているじゃありませんか。これではせっかく意欲を持って新農政問題の法案をお出しになったといいましても、どうも裏づけすべきものが裏づけされていないのではないかなというふうに思わざるを得ないのですが、いかがですか。
  60. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 新しい法律を三本、新政策関係ということでまとめて御審議をいただいているわけでございますけれども、新政策を実施をする、この目的につきましては、先ほど来大臣から申し述べているところでございます。  そういう当面の問題に対応するという面でいえば、農地の利用をできるだけ集積をしていくというようなことが非常に大事である、これが一番大事な要素だと言ってもよろしいかと思うわけでございますけれども、この関係の仕事等を円滑に進めていくために、相当の手厚い新たな施策も含めまして施策を講じている。あるいは中山間地域活性化というようなことにつきましては、またそれで一つの新しい施策を立てる。  技術につきましても、農業機械の開発等のための新たな思い切った措置を講ずるというふうに、この新政策の往々につきまして相当思い切った大幅な新しい予算をつけていく。それによりまして、既存のいろいろな政策体系の手直しもやっていくということでこの新政策の実施に当たろうとしているわけでございまして、トータルの姿で見れば、これもこのところの全体としての傾向からいえば相当アップトレンドになったという意味で、さま変わりな話だとは思うわけでございますけれども、総額としての動きよりも、個々具体的な政策への対応予算的な裏づけという点に御注目をいただきたいというふうに考える次第でございます。
  61. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 個々のものを見ていただきたいと。個々のものをいろいろ調べてみました。ふえているものもあれば減っているものもあるというようなことでありますが、しかし全体、さっきも私が言いましたように、一般歳出の中に占める農林水産予算がどうあるか。これがふえていれば、努力をしているなど私は大いに評価できると思うのですが、それが減っていてはどうもやはり評価するわけにはいかない。  さっき言いました五十五年でいけば、一般歳出に占める農林水産予算一一・七、昭和五十九年一〇・六、昭和六十三年九・六、そして平成二年八・八、平成三年八・八、平成四年八・六、平成五年八・四と、こういうのですから、国会決議のときよりもどんどん低下の一途をたどっている。これでは、そこに内海元農林水産委員長もおられるが、一体おれが決めたときの決議はどうなっているんだ、農林省しっかりせい、こういうお気持ちで私は聞いているのじゃないかと思うのですがね。私も当時議運の理事で、本会議にこの決議がのるかのらぬかというときに、そんな一たん議院運営委員会理事会で本会議決議をやると決めながら、やらないというんなら今後の国会運営には協力できませんよと言って、本会議を開かせぬで頑張ってこの決議をから取ったときのことを思い出すわけでございまして、そういう意味で非常に残念だと思うのです。  ですから、大臣どうなんですか。少なくとも新政策でこれからやろうというのだったら、予算もふえている。そうでなかったら、この前も我が党の田中さんが質問して、西暦二〇〇〇年の食糧自給率一体どうなるんですか、目標はどうだ、五〇%、三一%、本当に達成できるのか、こう言われておたおたしたようでございますけれども、これを達成しようというなら、そのときには予算は毎年ふやしていくというくらいの決意でなければどうにもならぬじゃないですか。額をふやすだけではだめですよ。一般歳出の中に占める農林水産予算がふえているという格好でなければ、自給率がふえるはずは絶対ない。どうですか、大臣
  62. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 予算のことも当然で、やります。政府としては、そのときそのときにどうしても必要な新たな分野というものに予算をふやしていくという全体の政策の中で、大蔵省からも答弁ありましたように、その中にはマイナスシーリングという枠もはめられたこともあります。ですから、今度の新政策、私どもは初年度としてやっていけるということでの予算というものは確保した。  これから恐らく、いろいろな計画がどんどん各地区で出されてくる。それにまた対応していく。その努力はこれからしていかなければならぬことであって、ですからおっしゃるとおり、自給力を高めるということで、予算が何ぼでもあればいくかといっても、これはなかなか問題もあります。しかしながら、地道に計画年次に従って努力をしていかなければならぬということでは、常に我々の考え方というものはそこに置いて、政策でも何でも実行しておるということを御理解いただきたい、こう思います。
  63. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 話だけでは理解できないのですよ。具体的にこういう予算措置を講じていくから、西暦二〇〇〇年には自給率はこうなりますよ、こういうような具体的な話なら私は幾らでも理解しようと思うのですが、ただ一生懸命やっていきますからとにかく理解してくれというだけでは、私は余り国会の議論としては実りあるものとは言えないと思うのです。  もう時間もありませんので、それでは、もっと農林省は自治体を大切にしたらいいんじゃないかと私は思うのですがね。自治体の自主性。今よく問題になるのは許認可権限ですよね。この許認可権限、政府全体で一万九百四十二件ある。農林省さんは都道府県市町村の自主性を尊重する省ではないかと私は思うのですが、農林水産省は許認可権限幾つぐらい抱え込んでいますか。そして、去年に比べてことしは減っていると思うのですが、何件ぐらい減ったのでしょうか。
  64. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 私どもの省の許認可等件数は、平成四年三月三十一日現在で千三百五十七件ということでございます。  これを一年前と比較をいたしますと四十二件の、減少ではございませんで増加ということになっております。
  65. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 四十二件ふえているというのですから、どうもこれも残念なことですね。  今度の法律で、都道府県市町村に対して、地方自治法で言うと別表第一、別表第二、別表第三、別表第四というもので、自治体の団体委任事務、機関委任事務、どういうものを都道府県市町村に押しつけようとしておられるのですか。
  66. 入澤肇

    入澤政府委員 今回の構造二法の中で許認可の規定でございますけれども、まず農業経営基盤強化促進法案における許認可等の件数は四件でございまして、一つ農地保有合理化事業規程の作成の都道府県知事の承認、それから農地保有合理化事業規程の変更、廃止の都道府県知事の承認、三つ目は市町村農業経営改善計画認定、四つ目は市町村の農用地利用規程の認定でございます。  それから、特定農山地域における法律の許認可の件数は二件ございまして、一つ市町村農業経営改善・安定計画認定、二つ目は市町村農林業等活性化基盤施設設置事業計画認定でございます。  最初の農業経営基盤強化促進法案において四件というのは、今回の改正により増加しましたものは、農地保有合理化事業規程の作成及び変更と廃止の承認でございますが、これは一方で農地保有合理化事業のうちの売買等事業に係る権利移動の農地法第三条の許可を届け出に変更するための前提となるものでありまして、実質的には規制緩和を行うものでございます。
  67. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 機関委任事務はできれば団体委任事務にする、団体委任事務はできれば自治体の固有事務にするというのが私は素直なやり方だと思うのですが、何でそうおやりにならなかったのですか。
  68. 入澤肇

    入澤政府委員 農業経営基盤強化のための諸施策を効果的に講じていくためには、先生今御指摘のとおり、地方がその地域実情を十分踏まえまして、自主的な取り組みとして施策推進していくことが重要であると私ども考えておりまして、機関委任事務は必要最小限にとどめるべきだというふうに認識しております。  このために、この法案では、ただいま申しましたように市町村基本構想の作成、それから市町村農業経営改善計画認定、それから市町村農業経営基盤強化促進事業の実施、それから市町村の農用地利用集積計画の作成、公告、それから市町村の農用地利用規程の認定に係る事務は、市町村の固有事務として地域の自主的な取り組みによって各種の政策を実現していくようにやっているわけでございます。  先ほど申しました四件それから二件の機関委任事務を設けましたのは、新政策を初めとする国の農業政策方向地域における農業経営基盤強化のための施策整合性を図る必要があるということ、それから農地法の諸統制に係る事務が国の事務とされておりまして、団体固有の事務として処理することはこれらの法制の整合性の観点から適当でない、こういうことから機関委任事務としたものでございまして、基本的にはこれは必要最小限にとどめるべきだという認識を持っております。
  69. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 政府としては一万四百件にも上る許認可権限、これを思い切って整理をしよう、とりあえずは一万件以下にしようということを総理府を中心にして言っておりますよね。で、総理府の総務長官は農林水産大臣をやった鹿野君が今大臣ですから、農林水産行政に全くかかわったことはないということはないんであって、農林水産省の事情もよくわかっておる方だろうと思うんですが、そういう方が、この際許認可権限はできるだけ整理をしようと言っておるときに、ふえるというのはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですが、それはどうですか。この際思い切ってことしは幾らくらい減らすというような計画が、農林水産省、ございませんか。
  70. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 この許認可等の件数といいますのは、新しい仕事をするとややもすればふえがちになるという傾向があるわけでございまして、先ほどもおっしゃいましたように、対前年四十二件というふうにふえましたのも、昨年新しい商品ファンド法の制定をいたしたということに伴って、そういう手続がふえたということが原因になっているわけでございます。  しかしながら、今お話しのとおり、やはりこの許認可等の内容を見直しまして、できるだけ規制の緩和を図っていくという政府全体の方針については協力をしてまいらなければならないというふうに考えているわけでございまして、必要性の乏しいものを選び出しまして、削減合理化、事務手続の簡素化、迅速化という観点から早急に見直しをしたいというふうに考えているところでございます。
  71. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいま積極的に見直しをしていくということですから、それをぜひ見守っていきたいと思います。  それから、特定農山地域法を見ますと、第二条で政令に委任していますね。この政令がわからないと、一体どういうところがこの地域として指定されるのかということが全くわからぬわけであって、私は、法律審議するときには主な政令案、そして主な省令案というのは事前に委員会に素直に示して、こうですというのが親切なあり方だと思うし、特に農林水産省などはそういう点は親切であろうと期待しておったんですが、どうも出てないようでありまして、大変残念に思います。国民の皆さん方が注目をしているわけですから、法案審議中に必要な政令、省令案はお出しいただくということがいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  72. 入澤肇

    入澤政府委員 早急に資料を作成いたしまして、後刻先生方に御配付したいと思います。
  73. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 こちらが要求しなければ出さぬということは気に食いませんが、これからはやはり事前にそういうものはお出しになるように要望いたしておきましょう。  それから、政府は都道府県市町村、自治体をもっと信用されたらいいんじゃないかというふうに私は思います。先ほど、地方自治法の別表一、二、三、四のことを申しました。団体委任事務、機関委任事務、わけても機関委任事務なんというのは、政府が自治体を信頼してないからこういうものがふえる。地方自治法を見ると、二条に自治体がやるべき権限が書いてあります。このくらい書いてあるんです。ところが、この自治法の一番最後を見ると、その別表第一、第二、第三、第四、こんなにあって、結局国から押しつけられた事務というのは都道府県市町村が大部分だということになっているのですね。私はこういうことは間違いじゃないかと思います。大臣、いかがですか。
  74. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 可能な限り、私どもも地方に権限を移譲するという方向で閣内でも検討をいたしております。考え方はそういうことでありますので、今後最大の努力をしながら、地方に権限を移譲していくという考え方で進みたい、こう考えております。
  75. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ここに我が党の辻部会長がおられますが、辻部会長が過般の衆議院本会議で我が党の法案の提案理由説明をいたしました。我が党の案は、そういう意味では都道府県市町村を信頼して、信用して法案をつくっているという点もよく見ていただきたいと思います。  さてそこで、最後にお尋ねしたいと思うんですが、農林省も補助金がたくさんあるんですけれども、一々申請に来るのに都道府県市町村、特に市町村は大変御苦労が多いだろうと思うんですが、もっとこれを簡素化して、例えば市町村が農林水産に関連して、特に今度出ております二つの法律、これに関連して仕事をした場合は、実際に仕事をした額の二分の一を自動的に支給するというふうにやれば、私は都道府県市町村は責任を持ってお仕事をされると思うんです。  しかも、農林省の場合はお役人は当該のポストに二、三年おればどんどんかわって偉くなっていくわけなんですが、市町村の町村長さん、市町村のお役所の皆さん方というのはそんな簡単に移るわけにはいかないんですからね。一生そこにいなければならぬわけですから、猫の目農政というようなことをやるわけにいかないわけですよ。いわば、その地域の人たちに一生責任を負わなければならぬという立場で仕事をするんですから、私は、より真剣なお仕事がされるんじゃないか、しかもそれに財源の裏づけがあるというのが一番いいだろうと思うんです。そういう方向農林省、ひとつ考えてみたらどうでしょうか。大蔵省がそういうのに反対したら、そんなものは国会挙げて粉砕するように、お互い努力するのも我々の任務じゃないかと思います。  あわせて、去年私は地方行政委員をやっておりました。国際化、森林対策のために基準財政需要額で地方財政計画の中に織り込むべきだということを主張しまして、森林・林業対策は一千八百億円基準財政需要額に織り込んで、単位費用をその分は引き上げることにしました。国際化事業も同様です。  ところが、今度この二つの法律、特に特定農山地域法律などは、市町村が受け持つ役割が非常に大きい。そうして、この担い手に対する育成の基金をつくったり、それから耕作放棄地をいかに管理をするかというような形で市町村が果たす役割は非常に大きいだろうと思うんです。とすれば、こういったものについては森林・林業と同じように基準財政需要額でこれを面倒見るというくらいのことは、農林省が積極的に自治省や国土庁と相談してこれを実現すべきだと私は思うんですね。農林省及び自治省の見解を承りましょう。
  76. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 おっしゃられるとおり、この中山間地域活性化というようなことにつきましては、まさにそれぞれの地域実情に応じまして、地方公共団体がいろいろと御努力をいただくべき分野が多いというふうに考えております。  そういう意味で、森林・林業関係についていろいろと御高配をいただきました地財関係措置というものが、こういう私どもの今度の中山間地域的な観点についても非常に意味があるのではないかという御示唆につきましては、そういうふうに私どもも考えるわけでございまして、自治省の方といろいろと御相談はさせていただきたい。ただ、地財の方には地財の方でいろいろお考えがあることだというふうに思うわけでございまして、十分なお話し合いをする必要があるというふうに考えております。
  77. 田村政志

    ○田村説明員 中山間地域の振興のためには、農林業を初めとする産業振興、就業、所得機会の創出、それから生活環境の整備等の各般にわたる施策推進が必要でありまして、この場合、御指摘のように地方団体の果たす役割は非常に大きいものと考えております。  中山間地域は、一般的には財政力が弱い団体が多いわけでございますので、過疎債、辺地債によって地域づくりを支援するとともに、いわゆるふるさと創生、ソフト事業で三千三百億を配分する、あるいは補正の面でいいますと、隔遠地補正を強くかけるといったようなことによって地方交付税を傾斜配分いたしまして、市町村の自主的な取り組みを支援していくこととしておるわけでございます。  なお、御指摘ありましたように、今回山村対策も充実をいたしておりますし、今年度からはふるさと農道林道緊急整備事業農水省とともに協力して行うことにいたしまして、中山間地域の振興施策を積極的に支援することとしております。  今後とも、財政需要の適切な算定に努めるとともに、地方団体の自主的な取り組みに対する支援についてさらに検討を続けてまいりたい、このように考えております。
  78. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ひとつ積極的に検討してください。そうやって基準財政需要の中で市町村の経費を見ていく。それから、先ほど言いましたように、補助金はできるだけメニュー化して交付金と同じような形にして市町村の自主的な運用に任せるということになれば、当委員会で随分問題になった例のデカップリングというものも市町村主体としてどんどん実行できるのではないかというふうに私は思います。  そういう方向でぜひ農林省は努力するとともに、大蔵省は妨害しないように強く要求しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  79. 平沼赳夫

    平沼委員長 小平忠正君。
  80. 小平忠正

    ○小平委員 先週末、静岡県の方の当委員会の視察に私も参加いたしました。あの地帯は中山間地域と言うのが適当かどうか。条件的にはもっともっと悪いところがあるような気が私はいたします。しかし、何カ所か視察をいたしましたが、そういう中でも既に順調にその形ができ上がって稼働している、そういう施設もありで、やはり日本もこういう新しい試みが、政府の方であろうとなかろうと、やっているところはやるのだな、そんなことを感じたのも私の率直な印象でございました。  そういうところで、実は前回委員会経営基盤についての質問をいたしましたので、きょうは中山間地域、これについて何点か質問いたします。  御承知のように、我が国の農村は、農家戸数、耕地面積ともに大体全国の四割ほどが中山間地域という状況にあるのではないかと思います。また、農業の生産面からいいましても大事な位置を占めており、今後の農林業の発展を図る上からも、中山間地域発展というのは欠くべからざるものである、こんなふうに考えます。いろいろと農地条件等の悪い中で、さらに過疎化でありますとかあるいは農村人口の高齢化等が進む中で、確かに生産基盤や生活環境等々の整備もおくれておる。したがって、地域の活力もだんだんとうせつつある、そういう状況にあることは御承知のとおりであります。そういう中で、今回政府がこの中山間地域農業活性化を図るために本法案を提出されたことは、これは時宜を得たものとは言えると思います。  しかし、これらの地域については、地域振興立法ですとかあるいは山村振興法、いわゆる過疎法、こういうもので既に各種の施策が行われております。そこで、これら既存の施策の現在までの実績と、どのように政府みずからが評価をしているのか、やはりそれがまずかったからこういう新たな法案を出してきたのか、そういうこともあわせて、政府みずからの評価をここでお聞きしたいと思います。
  81. 入澤肇

    入澤政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、条件不利地域対策といたしまして、今まで山村振興対策とか過疎対策各般施策が行われてきたわけでございます。それぞれ一応の成果を上げてきたと思います。  従来はそれぞれの法律計画をつくり、ハード事業中心の補助事業を行うというふうなことであったのですけれども、今回の法律は、それに加えまして農業経営改善、安定、地域の合理的な土地利用の実現、あるいは産業地域振興のリーダーの育成等、ソフト面の政策を盛り込んだ法体系ということで提案しているわけでございます。  従来の山村振興法や過疎法の実行のためにかなりな予算が投資されておりますけれども、一応の成果を上げているとただいま申しましたのは、例えば振興山村におきましては、昭和六十年の市町村道の改良率、水道の普及率が昭和四十五年に比べてそれぞれ九%から三二%に二三ポイント、四八%から七七%に二九ポイントというふうに向上しているわけでございます。また、農林業の実態につきましても、私ども、ふるさと情報センターであるとかいろいろな機関を通じまして各地域の進行状況を見ておりますけれども、いろいろなユニークな一村一品運動的な商品の開発もありますし、非常に問題もあるところもありますけれども、農林業の面でも活性化が行われているというふうに見ていいのではないかと思うのです。  しかし、それはリーダーがいて非常にしっかりしているところは十分行われているのですけれども、必ずしも条件不利地域で十分な状況が整っていないということで、今回新しくソフト面を中心にして、振興対策を講ずるための法案を提案しているということでございます。     〔委員長退席、簗瀬委員長代理着席〕
  82. 小平忠正

    ○小平委員 大臣、今局長から、評価というか今までの実績と経緯をるる説明がありました。それは一つの経緯でありますけれども大臣、私は、今申し上げた既存のそういう中山間地域活性化のための法案、これらとの整合性はやはり必要ですね。そういう中において、今後のいわゆる長期的なビジョンというか、大臣はこの法案に対してどんなお考えを持っているか、お聞きしたいと思います。
  83. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 委員も今お話あったように、中山間地域は約四割を占めておるわけでありまして、良好な生活環境の確保、農用地及び森林等の地域資源の適正な利用及び保全、さらには地方都市との道路アクセス条件改善、医療、福祉の充実等の定住条件整備を進めていくということが私は大変重要だというふうに考えております。  今までもいろいろやってまいりましたが、特定農山村の法案においては、中山間地域条件に即応した新規作物の導入等により農業経営改善していくあるいは安定の促進を進めていくということでありまして、基盤整備推進することとして、所要の税制措置あるいは地方財政措置を含め、関係省庁が、先ほど来もお答えになっておるようでありますが、連携協力しながら総合的な措置を講じよう、こう考えておるわけであります。  山村振興などの従来の対策と、今回の法案による新たな対策が相まって、中山間地域活性化が達成できるというふうに期待をいたしておるわけであります。     〔簗瀬委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 小平忠正

    ○小平委員 この中山間地域農業活性化ということなんですが、この法案においては、新規作物の導入、これが一つの大きな柱になっております。確かに、戦略的な新規作物の導入ということは、新政策で示された市場原理、競争条件の一層の導入を図る方向に合致したものとは言えると思いますけれども、しかしこの条件の不利な中山間地域においては、市場原理、競争条件の導入というのはなかなか一朝一夕ではできない、こんなふうに私は考えます。  また同時に、地域の自主性による新規作物の導入というものは、中山間地域同士の産地問競争をもたらす。いわゆる苛烈な農民同士の過当競争というか産地間競争というか、そういうことが行われ、場合によっては共倒れとなるそんな危険性もはらんでいると思います。と同時に、先発組は後発組に対しては、同じ新作物の導入がされますと、先発組はやはり内心穏やかでない、そんなことがいわゆる正直なるところではないかと私は思うのですね。  そういうところにおいて、政府は、この点どのように適切に指導しながらこのことを進めていかれるのか、そのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  85. 入澤肇

    入澤政府委員 確かに御指摘のとおり、新規作物を導入する、そして、皆どの地域でも同じような作物を選択してしまって過剰になってしまう、これは私どもの意図するところではございませんでして、新規作物を導入すべき場合におきましても、地域の立地条件それから農業経営等の状況を十分把握すると同時に、他の地域の生産の動向、さらには各地域ごとの消費者ニーズ等を十分に調査しなければいけないと思っております。要するに、マーケティングリサーチをきちんとやった上で作物を選択するということが必要だと思いますので、市場関係者とか食品産業関係者などにも応援をいただきまして、需給動向をまず的確に把握することが必要じゃないかと思います。  私どもといたしましても、まず地方農政局におきます指導の充実強化に努めまして、新規導入作物の作付だとか需給動向に関する情報の把握、提供に十分に努めたいと思いますし、それからまた、各市町村におきましても、農業普及所、農業委員会と密接な連携をとりながら、一体となった濃密な営農指導体制をとっていく、そういうことによりまして、新規作物の適切な選択とそれから販売対策を講じていきたいというふうに考えているわけでございます。
  86. 小平忠正

    ○小平委員 重ねて申し上げますけれども、私の地元は北海道で、言うなれば平場地帯ですが、そこでも、米の減反政策によってお米をつくれないがゆえに、農家皆さんはハウス農業というか、いわゆる果樹ですとか野菜、園芸、花卉等へ進んでおります。  例えば例をもって言いますと、御存じの夕張メロン、これはなかなか評判のいいメロンでありましで、その一大産地を形成しましたが、このメロンが、今道内においても、本来だったらお米をつくるべきところの地帯でお米をつくれないがゆえにメロンの生産に入っている。最初は確かに、本当にただやっているだけでしたけれども、やはり農家皆さんの努力によって品質などいろいろな面で向上しまして、今ではよいものが生産されている。これは野菜においても、例えばトマトもそうでしょうし、また、花においても、例えばカスミソウですとか、いろいろなことがもう今道内においても産地間競争の激化が進んでおります。しかし、北海道は米が中心にできるところですよね、条件的にも。ですから、そっちはまだ主ではなくて往の方です。しかし、中山間地域ではそういうものが主になると思うのですよね、そういう条件の悪いところにおいては。  したがって、このことは、政府がこういう新しい法案を出してきた以上は、新作物の導入ということを考えるのは結構ですけれども、やはり、重ねて申しますけれども、そこをしっかりと配慮をしながら指導をしていかないと、いたずらに産地間競争が激化する、これは言うならば同士打ち、相打ちで、こんなつまらぬことないですから、そこのところはしっかりとやっていただきたい、私はこんなふうに強く要望をしておきます。  それにもう一点。また本法案においては、特定農産村地域市町村が農林地の効率的な利用の確保、基盤施設の整備促進を図るために、農林地等を対象に一括して所有権等の権利移転ができるとする農林地所有権移転等促進事業、これを創設することを行っておりますが、このことは、円滑な土地利用を図る上からもその適切なる運用が望まれるところであります。  しかし、この場合に、施設を設置する場合に、その施設そのものはいわゆる立地条件の利便性を追求する。これは当然追求します。したがって、ともすると条件の悪い中山間地域の中で優良農地を転用して、その施設用地を生み出すことになりかねない。また、そういう例も事実あると思います、いろいろな利便等を考えて。そうなると、ただでさえも増大しております耕作放棄地、この有効利用ということには反するわけですよね。そんなことの政府の適切な指導というのが必要だと思うのです。農業に適さないところにそういう施設をつくり、優良農地農業にとか、そういうことをきちんと、政府それから地方自治体が一体となって進めていかないと、せっかくのこの考えが有効な土地利用につながらない、こう思うのでありますけれども、それについて、政府はどのようにこれから進めていかれるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  87. 入澤肇

    入澤政府委員 私どもは、法案作成の過程におきまして、今御指摘のようなことは十分心配いたしまして制度を仕組んだわけでございます。  今回の農林地所有権移転等促進事業というのは、農林地等につきまして、条件不利地域である中山間地域土地利用実態を十分に検討した上で、農林地利用の整序化、それから農林業等活性化基盤施設の整備等を一括して行うんだということを内容といたしまして案を練ったものでございますけれども法律上いろいろな措置を講じまして、優良農地をつぶさないように配慮しております。  一つは、例えば、基幹的な産業である農林地等がいかに最適に利用されるかという観点から、農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保を図るという視点から、農林地が地域活性化に必要な施設用地として転用される場合には、そこでの農林業経営の継続、安定等の見地から、原則として農業者等による代替農用地等の取得があわせ行えることを必要とするということ。  それから二つ目には、農地転用のための権利移転等が含まれる場合には、農地法の転用許可基準と同様の要件による審査を行うこと。  それから、農振法との関係でも、農業振興地域整備計画への適合を要件といたしまして、農用地区域の用途区分に反した施設の立地を内容とするものであってはならないということ。  それから、対象施設につきましても、事業活性化を図るための基盤となる施設に限定し、また、施設用地取得者は、施設を適切確実に整備すると認められる計画認定者に限定するということ。  それから、作成手続におきましても、農業委員会の決定を経るとともに、農地転用のための権利移転等が含まれる場合には都道府県知事の承認を受けるものとし、その際には都道府県農業会議の意見を聞くものとするということ。  このように、内容と手続の双方につきまして、農地法に基づく農地転用の場合と同様の措置を講ずることといたしておりまして、農地転用の緩和を行うものではないわけでございます。  また、国といたしましては、この制度の趣旨とか法令上の仕組みにつきまして十分普及徹底を図るということと同時に、市町村の作成する基盤整備計画の農林地所有権移転等促進事業の実施に関する基本方針におきまして、市町村内の山間部等、特に条件の不利な地域に重点を置く旨を明確にするなど、いたずらに農地の転用が促進されることのないように指導してまいりたいと思っております。  さらに、所有権移転等促進計画の作成に当たりましては、例えば山際の条件が不利な地域農業を営んでいる者が新規作物の導入等による農業経営改善、安定を図ろうとする場合には、優良農用地の間に介在する耕地放棄地あるいはその見込み地を取得して、農用地としての一体的な利用が行われるよう誘導すると同時に、施設整備のために農地が転用される場合にも、耕作放棄地あるいはその見込み地を活用するよう誘導するなどいたしまして、地域における農業上の最適土地利用が達成されるよう、十分に市町村を指導していきたいと考えております。
  88. 小平忠正

    ○小平委員 この農振地域の除外というのは、今まで農業委員会の方でそういうことをきちんと適切な管理、指示をしてまいりましたけれども、その施設をつくる側、いわゆる金主ですね、あるいは自治体等の意向でもって進められるということが実際上往々にしてありましたので、私は、特に土地条件の悪いところにおいては、そういう適切なる助言なり指導が必要だと思います。  時間もありませんので、最後に機械化促進改正案について質問いたしますが、私は、この法案は基本的には賛成をいたします。  御承知のように、機械というのは、確かに農業の合理化、そして三K職場の最たるものであります農業においては、労力の省力化という意味においては大事なことでございます。振り返ってみましても、ついこの間まで農家皆さんは、とにかく泥んこになって、米で言うならば種まきから田 植えから稲刈りまで本当の手作業でやってきました。しかし、今日、よい機械も開発されて、トラクターでの作業がもう当たり前になってきました。これは稲作に限らず、畑作や、あるいは園芸果樹、そういう施設型農業でも機械化が進んできております。このことは本当に大きな前進であると思います。同じ意味で言うと、テレビや自動車、これらも戦後ずっと歴史の中で普及して、非常に今こういう文明を我々が謳歌していますね。  でも、私は、農業機械というのはテレビや自動車と違って、いわゆる生産というか採算を度外視しては機械化は進められないと思います。そこのところが大きな問題ではないかと思います。言うならば、新しい機械が出ると、やはりメーカーはそれに対して大いに宣伝をして買ってもらおうとする、また農家皆さんも、どうしても物が出ると欲しくなる、これがいわゆる機械化貧乏なんというようなことになってきたわけです。  私はそんなことを思うときに、価格政策、これは今農業政策の中で一番欠落している問題だと思うのですけれども、春の乳価、畜産価格から始まって麦価、米価、そして畑三品、いろいろありますが、まず据え置きか引き下げ、近年上がるということは皆無でありますね。しかし、御承知のように諸物価は毎年確実に上がっていっている。と同時に、機械も上がっている。その中で、機械費の償還というものが農家の大きな負担となっている。そういうところが私は大きな問題だと思います。  そこで、こういうことについて、今回は特に需要の少ない農業機械については政府は保護助成を与えてその開発に努める、そういう趣旨のことは伺っておりますけれども、もっとこの中において、買わないで使える方法ですとか、あるいは特に県レベルでは、機械公社等ではオペレーターつきの機械銀行方式等は既にやっておるようでありますけれども農業機械のレンタル、これなんかももう少し進めていくことも一方法ではないかと思います。  そんなことを考えますと、この法律は、機械の開発実用化という、いわば機械化の入り口については確かに具体的に明記しております。しかし問題は、それを使う場面、いわゆる出口について、これについては、今私が幾つか申しましたけれども、どう進めていくかということについては全然私に明快に見えてきておりません。これらについて、このことは私は大事なことではないかと思います。こんなことを含めて、局長、どのようなお考えで進めていくのか、ひとつお考えをお聞きしておきたいと思います。
  89. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 ただいま先生がお話しのように、農業機械費といいますか農機具費というのは、それぞれの経営あるいは生産費の中でかなり重要な大きな位置を占めておるわけでございまして、例えば稲作でいいますと三割、生産費調査のやり方が変わりましたから、それでいきましても二割というようなことでございますので、これをいかに節減していくかというのは重要な問題というふうに考えておるところでございます。  それで、これをいかに節減していくかという場合に考えなきゃいけないのは、農家が実際にその導入をするに当たって、むだな機械を買わないようにということの指導といいますか指針を示していくことが一番必要ではないかというふうにまず考えまして、今回の農業機械化促進法におきましても、国とかあるいは都道府県知事がそれぞれ効果的な機械の導入に必要な条件を定めます基本方針、それから県では計画をそれぞれ定めてもらうことにしておりまして、その計画に、あるいは基本方針に沿いまして、農家がその経営状況あるいは利用規模に応じて適正に導入するように指導していきたいと思っております。  具体的に、例えば補助事業で導入する場合にも、当然そういった計画に沿って行われるように、あるいは融資においてもそういうことに沿って行われるようにというようなことで、指導を強化していきたいというのがまず一点でございます。  それから、機械の具体的な利用のあり方といたしましては、ただいまお話がございましたように農業機械銀行、ここでオペレーターなども持っておる場合には農作業の受委託、あるいは農業機械をいろいろな人が持っているといたしますと、そういうものの外用調整を進めるほか、当然共同利用の促進も図っていきたいというふうに思っております。  それからさらに、平成五年度からは、新たにいわゆる農業機械をリース、レンタルをしていくという方式も推進していくべきではないかというふうに考えまして、低利な資金を用意するなどいたしまして、その効率的な利用を一層推進してまいりたい、こんなふうに思っております。
  90. 小平忠正

    ○小平委員 時間が来ましたので、最後に一点だけ。  新しいそういう機械の開発等、今必要なことはわかりますけれども、現実に農家が農作業をしている中で大きな必要な問題というのは、パーツが容易に手に入らないということがございます。特に、多少古くなった機械においては、ただでさえも農家は、農作業というのは適期にしなければなりません。適期にその機械を使わなければならぬ、しかし、パーツがないがゆえに農作業がおくれてしまう。したがって、メーカーの共通パーツの整備ですね、そういう問題ですとか、あるいは今、レンタルの中で何らかのそういう制度上の仕組みを持っていって、パーツを、メーカーがある程度長期間それを保持するというか、そんなことも適切に指導していってもらいたい、こんなふうに思うのですが、簡潔で結構です、それについてちょっと。
  91. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 今お話がございました、いわゆるパーツといいますか、機械の部品の安定供給を図っていくということ、これは非常に必要なことだと思っておりまして、特に通産省とも連絡協調しながら、そういった部品の安定供給について、農業機械メーカーに対して指導をしてきております。  それで、今どんな現状であるかということでございますが、機械を生産中止いたしましても、すぐにそういう部品がないということでございますと農家は非常に困るわけでございますので、生産を中止いたしましても、その耐用年数プラス四年間は少なくともそのパーツを持っておるようにということで指導しております。例えば、トラクターでございますと耐用年数八年でございますので、それ足す四年、だから、生産を中止しても十二年間はひとつその部品を用意しているようにということをまずやっております。  それからさらに、そういう部品の供給が円滑に行われるようにということで、大手メーカーにつきましては、ブロック単位で部品センターというものを設置しまして、コンピューター処理によりまして、欲しいものができるだけスムーズに供給されるようにという体制の整備をしております。それから、農協系統あるいは商業系につきましても、少なくとも県単位には部品センターの設置をしてくれるようにというようなことで指導をするなどいたしまして、部品供給の円滑化に努めているところでございます。
  92. 小平忠正

    ○小平委員 終わります。
  93. 平沼赳夫

    平沼委員長 この際、暫時休憩いたします。      ————◇—————     午後零時四十三分休憩     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕