○沢藤
委員 四、五年前に私がこの
農林水産委員会で
質問したときは、たしか二二、三%という御
答弁があったのですね。それが今のように下がってきている。ますます農民の取り分が少なくなってきているということです。これは私は重大な問題だと思うのですね。
結論は、結局原材料、肥料や飼料も含めて原材料に、農民のサイドから見ればかなり支出がいく、そして
生産する、売る、こっちは
価格がかなり抑えられているという、取り分が少なくなってきているということもあると思います。
と同時に、私は、
規模拡大を質的な
規模拡大にしなければならないという主張を、別な角度から切り込んでいきますと、今お答えになったように、国民が支出している食料費の二〇%弱しか
生産者に入らない。では八〇%以上はだれに入っているのでしょう。答えは明白ですね。食品
産業、
流通、加工でしょう。テレビのコマーシャルもそれに入っておる。これをせめて農民の取り分、シェアを四〇%まで引き上げるとしたら、収入は二倍になるわけですよ。しかもこれは不可能じゃない。この視点を私はぜひ強調したいのです。
私は、
質問に立つことが決まってから、岩手の一関市、一関ミートという個人の方がやっているところに行ってきました。この方は、畜産
農家でありました。豚千頭を飼っています。特徴は、配合飼料を買わない、それぞれの飼料を自分で必要なくらい買って、もちろん輸入物も入るわけですが、配合は自分がやる。自分の豚に合うように、そして後でふん尿を処理するときに、においができるだけ少なくなるようなものを加えて、とにかく自家配合する、これが一つです。それからもう一つは、いわゆる加工工場を持っておるわけです。有限会社ですけれ
ども、これはほかからの資本は入っていません。自分で工場でハムその他をつくっている。そして、ふん尿は機械で処理をしまして、においのしない、土に近いようなふん尿処理のものを近くの
農家に無料でお上げしている。運搬費だけもらっている。
この一貫作業をやっている石川さんという方がおっしゃるには、本来は農民に入るべき部分、しかもそれは大変利潤の多い部分を、それがあると思えば商業資本が来て持っていってしまう、結局農民は利潤に遠い、きつい、あるいは苦しい部分だけを常に残されている、これをいかにして取り戻すか、これが勝負だというふうにおっしゃっています。私はこれは本当だと思いますね。
したがって、私は、食品工場とか
流通業者の存在を否定するわけでもないし、敵対視するつもりはありません。しかし、
農業あるいは
農業団体がみずからの
生産、少なくても
生産、加工、
流通という部分にもっともっとシェアを
拡大していくという体制がなかったならば、さっきの数字は二二から一七、八になって今度は十数%、下がっていく一方ですよ。そうなれば
農家はもうやる気がなくなってしまうわけだ。つまり御臨終になる前に農民の取り分、シェアを高めることに、例えば加工施設を計画的に一県何カ所かに配置するとか、少なくても
地域の食糧消費、加工品を含めて、それを地場の
生産物で賄う、学校給食もあるし病院給食もある、こういった体制を徹底的に追求してほしい。
規模拡大も結構です、おやりになってください。同時に、実質的な
規模拡大ということで、今申し上げたことをぜひ真剣に取り上げていただきたい。これはお願いを申し上げておきます。
そこで、今申し上げたことの御感想をいただくとき一緒に、企業の
農業参入ということについて私今触れました。いい部分を商業資本が持っていっているということです。それに関連して、先ほど来
質問がありましたが、今度の法
改正で、今まで
農家に限られていた
農業生産法人への出資を、制限つきながら企業にも道を開いたということは問題があるんじゃないか。いろいろな歯どめはあるようですけれ
ども、企業というのはやはりもうけ仕事で来るわけですから、
環境保全のために来るとか
地域産業のために犠牲になりますなんという殊勝なことで入ってくるんじゃないのです。そこに住んでいる農民こそが、さっき冒頭に申し上げたその
地域の
環境、国土を守る、それを果たしているのが農民であり、その農民がやっている
農業経営だということをおっしゃっているわけです。それを大事にするということは、いわば企業参入を私はできるだけ抑えるべきだと思う。
それから、さっきお聞きしていますと、いや、こういう歯どめもあります、大丈夫だとおっしゃるようなあれもありましたけれ
ども、アリの一穴ということもある。今までの日本
政府、自民党
政府と言えば怒られるかもしれませんが、ここまでは、ここまではと言って、どんどん解釈で幅を広げていった実例もあるわけでしょう。憲法論議なんかがその典型的な例です。そこまではやらないにしても、やはり一つの制度としてぴしっと穴があいた場合に、そこからどのような現象がつながっていくかということは、農民サイドからすれば余り信用してないのですよ。
先ほど来申し上げておきました農民団体からの要望書、これも恐らく農水省に行っていると思いますけれ
ども、その部分について触れますと、
農業生産法人に対する農外資本等による
農業経営支配が生じないようチェックシステムについて
強化をしてほしい、これが農民の声です。私も、県の農協中央会の方々ともお話ししますけれ
ども、いや、沢藤さん、社会党、自民党一緒になって、とにかく企業化というのはストップさせてくれ。これは杞憂に終わればいいのですけれ
どもね。思い出してください。二年前の毎日新聞トップにいきなりばんと出た、企業参入への道を開くと。何か不吉な予感がしたのだけれ
ども、それが連綿と何かどこかで続いてきているのではないかなという不安を持っていることは確かなのですよ。私も持っているけれ
ども、
農業団体も持っている。この不安を消してほしい。
以上です。