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田名部国務大臣 農業経営基盤の強化のための
関係法律の
整備に関する
法律案、
農業機械化促進法の一部を
改正する
法律案及び
特定農山村
地域における
農林業等の
活性化のための
基盤整備の
促進に関する
法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御
説明申し上げます。
まず、
農業経営基盤の強化のための
関係法律の
整備に関する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
我が国の
農業は、国民への食糧の安定供給という重大な使命に加え、
地域社会の活力の維持、国土、自然環境の保全などの多面的な機能を有しており、我が国の
経済社会の均衡ある発展と豊かでゆとりのある国民
生活の実現のために欠かすことのできない重要な役割を果たしております。
しかしながら、近年の
農業を取り巻く情勢を見ますと、
農業労働力の非
農業部門への流出が続く一方で、
農業従事者の兼業化、高齢化が著しく進行するなど深刻な問題に直面しており、
農業経営に意欲と能力のある者を確保するため、
農業を職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものにしていくことが緊要な
課題となっております。
このような
状況に対処し、
農業の健全な発展を図るためには、さきに
農政審議会において取りまとめられた「
農業構造・経営対策の
課題と対応の
方向」に示されておりますとおり、経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な
農業経営を育成し、これらの
農業経営が
農業生産の相当
部分を担うような
農業構造を確立するため、各般にわたる
農業経営基盤の強化に関する施策を総合的かつ効果的に推進することが急務であると考えております。
このため、
地域において育成すべき多様な
農業経営の目標を、関係者の意向を十分踏まえた上で明確化するとともに、その目標に向けて
農業経営を改善する者に対する農用地の利用の集積、経営管理の
合理化など、
農業経営基盤の強化を
促進する観点から、農用地利用増進法を初め関係七
法律につき所要の
改正を行うこととし、この
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の主な内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、農用地利用増進法の
改正であります。
同法の題名を
農業経営基盤強化
促進法に改め、効率的かつ安定的な
農業経営を育成するための基本的な
法律とし、新たに都道府県の基本方針及び市町村の基本構想において育成すべき
農業経営の目標等を明確化するとともに、これらに則して
農業者が作成する
農業経営改善計画を市町村が認定する
制度を設けることとしております。また、従来の農用地利用増進事業を拡充して
農業経営基盤強化
促進事業とするとともに、
農地保有
合理化法人に関する
制度を
整備し、その事業内容の
充実等を図ることとし、これらの措置により総合的に
農業経営基盤の強化対策を推進することとしております。
第二に、
農地法及び
農業協同組合法の
改正であります。
農業経営の法人化を円滑に推進するため、
農業生産法人、農事組合法人の事業及び構成員の範囲を拡大するとともに、これに対応して、
農業協同組合の正組合員の範囲を拡大することとしております。また、
農業協同組合の行う
農地保有
合理化事業の実施等に必要な
農業経営に関する
制度の
整備等を行うこととしております。
第三に、
土地改良法等の
改正であります。
農業経営基盤の強化のための
生産基盤の
整備を円滑に推進するため、
土地改良事業の一人施行方式の導入、農林漁業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫による無利子資金貸付
制度の創設等の措置を講ずることとしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
続きまして、
農業機械化促進法の一部を
改正する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
農業の機械化につきましては、
農業生産力の増進と
農業経営の改善を図る観点から、生物系特定産業技術研究推進機構における試験研究を
促進するとともに、各種の融資、助成等の措置を通じて高性能
農業機械等の計画的な導入に努めてきたところであります。
しかしながら、我が国
農業と
農村をめぐる
状況は、
経済の高度化、人口や産業の
都市への集中といった諸情勢の
変化の中で、
農業就業者の減少、高齢化の進行等近年大きく変貌しております。
このような
状況の中で、経営感覚にすぐれた
農業の
担い手が夢とやりがいを持って取り組める魅力ある
農業づくりを進めていくため、
農業の機械化を一層
促進することが急務となっております。
このため、
政府といたしましては、農作業の効率化と労働
負担の軽減に資する高性能
農業機械等の開発、実用化を
促進し、これを
農業者が効果的に導入して
農業経営の改善を図っていくための所要の措置を講ずることができるようにするため、この
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な内容について御
説明申し上げます。
第一に、高性能
農業機械等の開発及び実用化等を
促進するため、
農林水産大臣は、高性能
農業機械及び
農業機械化適応
農業資材の試験研究、実用化の
促進及び導入に関する基本方針を定めることとしております。
第二に、都道府県知事の定める高性能
農業機械導入計画の内容を
整備拡充し、農作物の安全性の確保に関する事項等を追加することとしております。
第三に、基本方針に基づいて高性能
農業機械の実用化を
促進するための事業を実施しようとする者は、当該事業に関する計画を作成し、
農林水産大臣の認定を受けることができることとしております。
第四に、生物系特定産業技術研究推進機構の業務を追加し、評定を受けた計画に係る高性能
農業機械の実用化を
促進するための事業の実施に必要な資金の出資を行うとともに、
農業機械化適応
農業資材の開発に関する試験研究及び調査を行うことができることとしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
最後に、
特定農山村
地域における
農林業等の
活性化のための
基盤整備の
促進に関する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
いわゆる中山間
地域につきましては、我が国農林業
生産において大きな地位を占めるとともに、国土や環境の保全等の多様な役割を果たしております。
他方、これらの
地域においては、地勢等の地理的条件が悪く、一般に
農業の
生産条件が不利であることに加え、近年、農林業の
担い手の減少、高齢化の進行が著しいことから、農林業の
生産活動が停滞し、これに伴い
耕作放棄地等が増大しつつあります。さらに、魅力ある就業、所得確保の機会が乏しいこともあって、農林業のみならず
地域社会全体の活力が
低下しつつあり、このまま推移すれば、中山間
地域の果たすべき役割に重大な支障を生ずることが懸念されております。
このような
状況に対処し、中山間
地域の
活性化を図るためには、さきに
農政審議会において取りまとめられた「今後の中山間
地域対策の
方向」に示されておりますように、各
地域の諸条件に応じて、その創意工夫を生かしつつ、農林業の
活性化を図るとともに、農林地の効率的かつ総合的な利用、他産業の導入等を行うことにより、
地域における就業・所得機会の増大を図ることが急務であると考えております。
以上の観点から、関係省庁が連携して、中山間
地域について、農林業を中心としてその他の事業を含めた
活性化のための基盤の
整備を
促進するための措置を講ずることとし、この
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、地勢等の地理的条件が悪く、
農業の
生産条件が不利な
地域である等の用件を備えた
特定農山村
地域を含む市町村は、
農林業等活性化基盤整備計画を作成することができることとしております。計画においては、農林業その他の事業の
活性化の目標、
農林業等活性化基盤整備促進事業の実施に関する事項、農林業の
生産基盤の
整備及び開発並びに産業振興に必要な公共施設の
整備に関する事項等について定めることとしております。
第二に、計画を作成した市町村は、
農業者の組織する団体が作成した新規の作物の導入その他
生産方式の改善によるその構成員の
農業経営の改善及び安定を図るための措置等に関する計画及び
農林業等活性化基盤施設の設置に係る事業を行う者が作成した事業計画について、それぞれ認定を行うことができることとしております。また、国及び都道府県は、
農業経営の改善及び安定のための計画の認定を受けた者に対して、必要な資金の確保に努めることとしております。
第三に、計画を作成した市町村は、第二の認定を受けた者等の必要な農林地の確保や
農林業等の
活性化の基盤となる施設の円滑な
整備等の
促進を図るため所有権移転等
促進計画を定め、所有権の移転等を
促進する事業を行うことができることとしております。
このほか、
土地改良法及び森林組合法の特例、税制上の特例、地方財政上の特例等に関し所要の措置を講ずることとしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、これら三
法案につきまして、慎重に御
審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。