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1993-06-03 第126回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年六月三日(木曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 亀井 久興君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 笹川  堯君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 石田 祝稔君       赤城 徳彦君    植竹 繁雄君       岡島 正之君    久野統一郎君       小林 興起君    谷垣 禎一君       虎島 和夫君    原田 義昭君       深谷 隆司君    松岡 利勝君       森  英介君    山本  拓君       阿部未喜男君    上田  哲君       田中 昭一君    田並 胤明君       武部  文君    吉岡 賢治君       鳥居 一雄君    東  順治君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員        郵政大臣官房長 五十嵐三津雄君         郵政大臣官房人 加藤豊太郎君         事部長         郵政大臣官房財 新井 忠之君         務部長         郵政省郵務局長 上野 寿隆君         郵政省通信政策 松野 春樹君         局長         郵政省電気通信 白井  太君         局長  委員外出席者         逓信委員会調査 丸山 一敏君         室長     ————————————— 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     久野統一郎君   佐藤 守良君     岡島 正之君   松岡 利勝君     山本  拓君   坂井 弘一君     東  順治君 同日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     佐藤 守良君   久野統一郎君     今枝 敬雄君   山本  拓君     松岡 利勝君   東  順治君     坂井 弘一君     ————————————— 六月三日  身体障害者への移動電話の貸与に関する請願  (石橋大吉紹介)(第二六四二号)  同(岩田順介紹介)(第二六四三号)  同(遠藤登紹介)(第二六四四号)  同(田口健二紹介)(第二六四五号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第二八六一号)  同(小里貞利紹介)(第三〇四九号)  同(奥田敬和紹介)(第三〇五〇号)  同(住博司紹介)(第三〇五一号)  同(田邉國男紹介)(第三〇五二号)  同(保利耕輔君紹介)(第三〇五三号)  同(前田武志紹介)(第三〇五四号)  同(宮里松正紹介)(第三〇五五号) は厚生委員会に付託替えされた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第三四号)(参議院送付)  郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三五号)(参議院送付  )      ————◇—————
  2. 亀井久興

    亀井委員長 これより会議を開きます。  電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。森英介君。
  3. 森英介

    ○森(英)委員 おはようございます。自由民主党の森英介でございます。  私はきょう、二法案提出されておりますが、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について、的を絞りまして質問させていただきたいと思います。  最初、一般的なお話でありますけれども高度情報化社会の進展に伴いまして、情報通信ネットワーク整備拡充並びにその安全性信頼性向上社会基盤整備の一環としてとらえるべき時代になったと私は考えております。郵政省でも数年前から情報通信インフラという言葉をお使いになっておられるわけでありますけれども、一般にはまだまだそういうような認識というか理解が得られていないのじゃないかという気がいたします。  ここで、これに関連いたしまして、電気通信事業に対する国の支援現状を、鉄道電気などの他の公益事業と比較して現況を教えていただきたいと思います。
  4. 白井太

    白井政府委員 昨今、社会インフラと言われているような問題についていろいろな角度からの御議論がなされておりますが、私どもはかねてから、自分たちの受け持っております情報通信分野についても、やはり社会資本といいますか、社会共通基盤という意味での整備をしていく必要性が、他の道路や鉄道等々と同じようにあるということを常々思っておるわけであります。最近になりましていろいろな用語辞典などを拝見いたしますと、やはり社会資本の具体的な内容として情報通信というものをほとんどの辞典が挙げてくれるようになっておりまして、そういう意味では世の中の認識というのもだんだんと得られつつあるのではないかと思っておるところであります。  ただ、そうはいいましても、現実の問題になりますと、たまたま今森先生がおっしゃいましたように、情報通信について社会インフラストラクチャーとして整備をするということについては、まだまだ少しおくれている面があるのではないかという感じを私どもも持っておるわけでありまして、例えばいわゆる公益事業と言われているほかの事業などと比べた場合に、率直に申し上げまして国の行う支援措置というのが少しおくれているというふうに申し上げざるを得ないのが実情でございます。  一つ二つ例をお尋ねでございますのでお答えをさせていただきますと、私どもの受け持っております電気通信事業につきましては、例えば固定資産税などを例にとってみますと、NTTにつきましては、基本的にはNTTは昭和六十年に電電公社から株式会社に移行しましたが、移行する前からNTTが持っておりました資産を承継した分について、固定資産税について特例措置が認められるというようなことになっております。  例えば電力事業について申し上げますと、電力事業の場合は、新たに建設された変電所または送電施設の用に供する特定償却資産について特例措置が認められるというようなことになっておりまして、新たに取得した設備について、ただいま申し上げましたような支援措置が講じられるということになっております。  ガス事業についてもおおむね同様でありまして、新設されたガス事業の用に供する特定償却資産について、やはり固定資産税についての課税の特例が認められるということになっております。  鉄道事業についてもやはり、新たに営業路線を開設するために敷設した鉄道等につきまして、そのような支援措置が講じられるということになっております。  そのように見てまいりますと、鉄道とかガス電力に比較いたしまして国の支援という体制がまだこの電気通信事業については少しおくれているということは、率直に言って認めざるを得ないところでありまして、毎年毎年予算編成の段階で私どもとしては、関係のところに対して、国の支援措置が少しでも拡充されるようにできるだけ努力をしてきているつもりでありますが、今後ともなお一層格段の努力をする必要があろうかと考えております。
  5. 森英介

    ○森(英)委員 今の局長お話ですと、やはりまだまだ支援措置が十分と言えないような現況というふうに改めて思うわけでありますけれども鉄道事業あるいは電気事業にまさるとも劣らない位置づけにすべく、小泉大臣を先頭に、郵政省にもぜひ引き続き御努力をお願いしたいと思います。  また続きまして、電気通信基盤充実臨時措置法の一部改正法案をこのたび提出することになった社会的背景はどういうものでしょうか、この点についてお尋ねいたします。
  6. 白井太

    白井政府委員 改めて申し上げるまでもないかと思いますが、電気通信をめぐる技術の開発というのは大変著しいものがございます。そしてそうした技術を利用しての社会活動でありますとか経済活動というのも大変活発になってきておりまして、今日におきましては、経済活動だけをとってみましても、電気通信を利用しないような経済活動というのはむしろあり得ないと申し上げても差し支えないような状況になっていると思います。私どもの大変身近な銀行でありますとか郵便局でありますとかいうような金融機関を例にとりましても、いわゆるオンラインシステムということで全国の金融機関が結ばれておりまして、預金に、あるいは預金の払い出しに、あるいは送金に、大変便利に利用させていただいておるわけであります。流通部門においても、あるいは場合によると教育関係部門においても、そうした電気通信の利用というのは十年前に比べると格段に進んできているということが申し上げられると思うわけでございます。  それだけに、そのような社会の諸活動電気通信に寄りかかると申しますか、依存をしてきておる度合いが非常に高くなってきておるわけでありまして、そのような状況のもとで、何かのきっかけ電気通信障害が起きますと、依存度合いが高いだけに及ぼす悪影響というのもまた非常に大きなものになるということが懸念されるわけでございます。  そのようなことから、そうした障害を防止するための施策というのをこれからどんどん講じておかないといけないということが今回の法律案を出させていただいたきっかけでありまして、このような施設整備をするというのは大変お金もかかりますし期間もかかることでもありますので、国がこうしたことについて支援措置を講ずることによりまして、電気通信事業者の方にそうした障害を未然に防いだりするための対策を講じる一助にしていただきたいというようなことから今回の法律案提案させていただいた次第でございます。
  7. 森英介

    ○森(英)委員 趣旨はまことによく理解できたわけでございますけれども電気通信網障害が発生した場合に影響が非常に大きいということでありますが、最近の例で、電気通信網にどのような障害が起きているかという点について、幾つか例をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 白井太

    白井政府委員 たまたま、つい一週間、十日ばかり前のことでございますけれども地方のある新聞の切り抜きを見ておりましたら、大きな見出しで「うっかり切断困ります」というような見出し記事が載っておりました。何かと思いましたら、工事などでうっかり電話線を切ってしまうという事故が大変多いということでありまして、この新聞記事によりますと、北海道の場合でありますけれども、昨年度の場合で電話施設被害が三億円に上っておるというような見出し記事でございました。それで、記事内容は、ただいま申し上げましたように、いろいろな工事をするときにうっかり電話線をひっかけてしまってこれを切ってしまうというようなことだということのようでございます。  ところで、具体的に国民生活に大きな影響が及ぶような事故として、一つ二つ思い出すまま挙げさせていただきますと、平成三年三月に、これは関西の方でありますが、下水道工事の際に過って通信ケーブルが切断されてしまいまして、二十七万加入電話が数時間にわたって不通になったというようなケースがあったようであります。  それから、これは先生方大変御案内のとおりでありますが、やはり平成三年の雲仙・普賢岳の噴火の際のいろいろな障害ということも再三新聞に報道されておりましたが、この場合は、火砕流が起きたときには地域内の二百回線以上の電話不通になったということのようであります。  それから、やはりこの年の九月に大変大きな台風台風十九号というのが参りまして日本全土を駆けめぐったわけでありますが、このときも、特に九州地方でありますとか中国地方被害が大きかったようでありまして、通信ケーブルが切断される、あるいは電力線被害が起きまして停電が発生するということもあったりして、このときは三十万加入ぐらいの電話がかなりの長い時間不通になったというような事態を思い起こすわけでございます。
  9. 森英介

    ○森(英)委員 今のお話で、いろいろ深刻な例が最近でも起こっているということでありますが、今回の法改正により支援しようとしている信頼性向上施設整備事業とは、具体的にはどういうような事業なのかということをお尋ねいたします。
  10. 白井太

    白井政府委員 最初に、言葉のことについてちょっとコメントをさせていただきたいと思いますが、よく私ども安全性とか信頼性というような言葉電気通信について申し上げることがございますが、法律案として整理をするときには、実は、信頼性という場合には、通信確保といいますか通信線確保というようなことで信頼性という言葉遣いをさせていただいております。それから他方、安全性というような言葉につきましては、むしろ通信線などがほかに危害を及ぼすということがないようにというような意味安全性というような言葉遣いをさせていただいております。したがいまして、今回の法律案でお願いをしております信頼性向上施設整備事業と申しますのも、電気通信疎通確保するための事業だというような意味合いで言葉を使わせていただいておるわけであります。  そこで、今回御提案申し上げております法律案におきましては、既にあります電気通信基盤充実臨時措置法の中の事業としてこの信頼性向上施設整備事業一つ加えたいという形で法律案提案をさせていただいております。  つまり、現在の電気通信基盤充実臨時措置法におきましては、高度通信施設整備事業、これは新しい改正案での呼び名でありますが、現在の法律では施設整備事業と申しております。施設整備事業人材育成をいたします事業との二つ事業を行うということで現在の法律ができ上がっておりますが、その二つに加えまして、ただいま申し上げました信頼性向上施設整備事業というものを三本目の柱として加えたいというものであります。  具体的には、通信疎通確保するということで、例えば、現在空中線といいますか電柱に共架されております通信線を地下のしっかりした洞道と言われるようなトンネルに、できるだけ重要な場所においてはそうした洞道通信線を格納するというようなことを進めたいということでありますとか、万が一ある通信線が切断をされるとか遮断をされたときに、直ちに機械的に迂回ルートをすぐ確保いたしまして通信疎通確保するというような措置をとるために、回線切りかえ装置などを整備する事業ということを念頭に置きまして、信頼性向上施設整備事業というものを三本目の柱として加えさせていただきたいということが今回の御提案申し上げた内容となっております。
  11. 森英介

    ○森(英)委員 事業内容についてはよくわかったわけでありますけれども、これはやや基本的な問題ですが、電気通信網信頼性向上を国が支援するということにしているわけでありますけれども、国がこのような支援を行うべきとする理由について、どのようにお考えになっていますでしょうか。
  12. 白井太

    白井政府委員 先ほど来申し上げておりますが、信頼性向上施設整備事業は、電気通信事業者の方が電気通信サービスを提供するために設備を設置いたしております通信線万が一障害が起きたときに、影響が大変大きいので、そういう障害を防止するとか、障害が発生いたしましたときに直ちに復旧をするとかそういうことをねらいとしている事業でありまして、もともとそうした障害を除去するための施設整備するというのは通信事業者の方にやっていただくということが本来の建前であると思うわけであります。  ただ、そうは申しましても、例えば洞道一つをとりましても、一キロメートルの洞道を設置するのに約十五億円ぐらいがかかるということが言われておりまして、膨大な経費がかかるわけであります。しかし、その十五億円の投資をいたしたといたしましても、それが直ちに収益という形ではね返ってくるということは期待しにくいわけでありまして、そういう意味で、事業者の方もついついこうした信頼性確保するための施設整備になかなか取り組みにくいというような事情が、率直に言ってあるわけであります。しかし、その信頼性向上を図ることはどうしても国としても必要だというような立場から、できるだけ通信事業者の方が信頼性確保のための施設整備に前向きに取り組んでいただけるようないわば政策誘導をしたいというような気持ちから、国が支援措置を講ずることにしたいという提案になっているわけでございます。
  13. 森英介

    ○森(英)委員 まことに結構なことであると思います。  最後に大臣にお伺いいたします。  安全性あるいは信頼性向上は、冒頭申し上げましたように、インフラ整備として考えて抜本的な施策を講ずるべきであるというふうに思います。そういう考えからいたしますと、今回の施策はやや限定的な支援のように思われるわけでございます。この点について、今後どういうふうに展開されていくのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  14. 白井太

    白井政府委員 私の方から少し事務的なことをまずお答えをさせていただきたいと思いますが、確かに、今回国がこの支援措置として講じさせていただきたいという御提案内容というのは、信頼性向上施設整備事業という極めて限られた特別の目的を持ったものに対する支援という内容になっております。しかし、冒頭も申し上げましたように、社会資本として通信関係のいわゆるインフラストラクチャー整備をしていくということは我が国の将来にとっても大変重要な課題であると思っております。そういう意味では、十年先、二十年先あるいは次の世紀をにらんでの情報通信インフラストラクチャー整備に向けてもっと大きな国としての支援措置を講じるとか、国としての大きな政策目標を持って整備を進めていくとかいうようなことも大変重要な課題となってくると思います。  ただ、この問題についてはまだ別の角度からいろいろと取り組みをしようということで省としても考えておるところでありまして、とりあえずは今、今日において、非常に整備が図られる信頼性向上施設整備事業について、かなり限られた目的のもとにではございますが、今回御提案申し上げておるような支援措置を講ずるということをさせていただきたいということで法律案を出させていただいたわけでございます。
  15. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今局長が言われたとおりなんですが、確かに今回の電気通信事業者信頼性向上のための施設整備というのは、税制上とか財政上限られたものになると思います。しかし将来を考えてみますと、この情報通信基盤整備というのは国民生活にとっても大変重要なものでありますし、また、民間の事業者がどこまでできるのか、そして国としてもどういう形で支援できるか、幅広い各界の意見を聞きながら、少しでも情報通信基盤整備充実に協力していきたいということでこの法案を提出した次第であります。
  16. 森英介

    ○森(英)委員 ただいま大臣からも大変前向きのお話を伺いまして、心強く思った次第であります。  いずれにしても、大変、高度情報化社会という、こういう時代背景に基づきまして、情報通信ネットワーク整備拡充並びにその信頼性確保というのは我が国にとって本当に大きなテーマであるというふうに思いますので、今後とも、今までにも増して皆様方にこの分野についての御努力をいただくようにお願いいたします。今回の改正案については、その意義また必要性も大変よく理解できますし、なるべく早くこれが施行されますように念願をいたします。  以上をもって私の質問を終わります。
  17. 亀井久興

    亀井委員長 次に、小林興起君。
  18. 小林興起

    小林(興)委員 それでは次に、今度の逓信委員会にかけられております郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問をさせていただきたいと思います。  この法律趣旨を伺いますと、郵便切手、これは国民の皆さんにも非常に愛されている、また、切手でございますから当然使われている便利なものでもございますし、しかしその郵便切手の中を見ますと、非常にこの郵便切手というものは、いわば発行している国の文化とか歴史とか、そういうものが絵を通じてよくあらわれている、そういう感じがするわけでありまして、そういう意味では芸術品と言えなくもないと思うわけであります。こういうものを少し外国の方にも見ていただき、また買っていただいて、そして日本文化とか歴史を愛していただくというようなことは、国際的な交流の時代に非常にいいことではないかというようにも考えるわけでありますが、そうした中にあって、今まで我が国切手というのは、何か伺いますと通信販売という方式でもって海外に出ていたというのでございますが、現状はそうでしょうか。
  19. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 お答えいたします。  今先生がおっしゃいましたように、我が国郵便切手デザイン面あるいは印刷技術面でも世界のトップレベルにありまして、諸外国からも非常に高い評価を得ておるわけでございますけれども、現在海外需要家にとりましては、我が国切手を入手する方法といたしましては、東京中央郵便局窓口通信販売申し込みをしていただくということが唯一の手段となっております。
  20. 小林興起

    小林(興)委員 その程度といいますか、今言いました中央郵便局ですか、そこに窓口一つあるだけだというようなことで、現在相当売れているのでしょうか、日本切手は。
  21. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 実績をここ二、三年とってみますと、通信販売東京中央販売しております年間の額は約一億前後でございます。
  22. 小林興起

    小林(興)委員 そういたしますと、まずその通信販売そのものを何かもっと拡充強化、つまり今どこの国からも買えるようになっているかどうか、そこもよくわかりませんけれども、何かこの通信販売を改善をして我が国切手がもっと海外に出るというようなことは考えておられるのですか。
  23. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 現在行われております通信販売につきましては、正直言いまして、申し込み通信費は個人の負担でございますとか、申し込んでからの購入期間までがかなり手間を要するといったようなこともございますので、私ども海外にいろいろPR、周知をやってはおりますけれども、現在の通信販売そのものではなかなか需要の拡大が図りにくい、こんなふうに承知いたしております。
  24. 小林興起

    小林(興)委員 逆に言いますと、海外のそういう切手を我々日本人が、国民が買いたいというようなこともあろうかと思うのですけれども、そしてまた、よその国も売りたいと思っておられるかもしれませんけれども外国のいろいろな、まあ主要国先進国といいますか、そういう国々でも結構ですが、そういう国はどんなふうにして自分の国の切手外国の方に売る、ないしは求めさせるようなことをしているのでしょうか。
  25. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 諸外国におきまして、自分の国の切手等販売につきましては、私ども今回法律改正をお願いしておりますけれども、それと同じように、諸外国実態を調べてみますと、委託方式によりまして海外販売をしているという実態がございまして、現在調べました実績は、アメリカ、イギリス等四十三カ国がそういった海外における委託方式による販売を行っております。  なお、我が国においてどれくらいなされているかという点につきましては、三十四カ国くらいが日本において代理店方式でやっていると承知いたしております。
  26. 小林興起

    小林(興)委員 そういう諸外国の例もこれあり、我が国においても委託方式というような形で海外において切手販売してみようということになったのかと思います。そういたしますと、実際やっているわけですから諸外国にはいろいろと例があるのだと思うのですが、今回、三十四カ国が日本に来て売っていると言うのですけれども、三十四カ国までお互いさまだということでこれを一遍に売っていくつもりなんでしょうか。
  27. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 一挙にふやすということは、今回初めてやるということもございましてなかなか難しかろうということから、現在行われております東京中央郵便局通信販売実績のうちでかなり売り上げが伸びるのではないかと思われるところを今回対象にいたしたいと私ども思っております。  ちなみにその実績を申し上げますと、アメリカ、ドイツ、スイス、イギリス、この四カ国で通信販売額の約八割が売れているというふうな実態にございますので、今回はまずその上位四カ国を海外販売の対象国といたしたい、こんなふうに思っております。
  28. 小林興起

    小林(興)委員 今、米国、ドイツ、スイス、イギリスですか、四カ国の名前が挙がりましたが、最初のことでございますからとりあえず四カ国ということなのかもしれませんけれども、わかりませんが、もう少し、例えばアジアの国を入れるとか、何かそういう形で、できるだけ早くもっと多くの国に少し日本切手が出ていくような、そういうことをぜひ考えていただきたいと思います。  しかし、とりあえずは初めてだということで四カ国で始めるんだということであれば、これはいたし方ないと思うのですが、これが主要国だと言われました四カ国でやってみたときに、現在の通信販売実績がわかっているわけでありますし、また、先ほど局長通信販売方式ではどうしても限界があるのだということも言われたわけであります。それでは、この四カ国で今一気に委託方式によって海外販売を初めたときに、売り上げというのはどのくらい増大するのでしょうか。
  29. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先ほど通信販売実績が約一億前後ということを申し上げましたけれども平成三年度の実績は約九千万円でございまして、米国、ドイツ、スイス、イギリス、この四カ国がこれの八割を占めているわけですけれども委託方式を始めますと大半が委託方式に移行するのではないか、こんなふうに考えております。  そうしますと、委託方式に変わった場合に、それでは海外においてどれくらい需要が伸びるかということでございますけれども、私ども通信販売の業者の方々等からヒアリングで調査をやっております。こういったことをもとにいたしまして四カ国における海外販売の試算をやってみますと、今までの通信販売に対して約六割伸びるのではないか。これは未来永劫六割伸びていくということではございませんが、少なくとも開始した直後は六割くらい伸びていくのではないかというふうな調査結果でございますので、そういったことを考慮いたしまして平成五年度の販売額を見積もりますと約六千万円の海外における実績が出てくるのではないか、こんなふうに思っております。ただし、平成五年度は、もちろん今から法律を成立させていただいた後ということになりますので、約半年間の実績見込みということになります。
  30. 小林興起

    小林(興)委員 せっかくやるからには売り上げも伸ばしていただきたい。ということは、それだけ日本のすばらしい切手外国の方、特に切手を愛する方がいらっしゃるでしょうから、そういう方に大いに手に入れていただいて、そして日本に対して親近感を持っていただくとか、すばらしさを感じていただくとか、そんなことが起きていけばいいなと願っているわけでございます。  その委託、今言われましたアメリカは大変広い国でございますけれども、アメリカなどだったら各州ごとに売るとか、何か何カ所かに分けて売るというようなことを考えておられるのですか。
  31. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 今回初めてやる試みでもございますので、始めた直後の実態をつかむという意味もございまして、私ども、今回は各国一業者を指定して販売に努めてまいりたい、こんなふうに思っております。
  32. 小林興起

    小林(興)委員 そういたしますと、業者というのは相手は民間になるのでしょうか。
  33. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 私ども、どういった人に委託を任せるかということを考えておりますけれども、もちろん国が直接やるわけではございませんので、民間の既に海外販売をやっておられるような業者の方を中心として選定していくのがいいのではないか、こんなふうに思っております。
  34. 小林興起

    小林(興)委員 それでは、やりながら様子を見てまたということもあるのでしょうけれども、できるだけ一カ国一業者等に限定しないで、業者の数ももう少しふやして、一生懸命競争させながら熱意を持って日本切手を広げていただくように努力させていってもらいたいというふうに要望を申し上げておきたいと思います。  海外販売の全体の見込み額も出されたわけであります。恐縮ですが、では少し細かいことを開かせていただきたいと思うのです。こういう海外切手販売するときに、もちろん日本切手は何円と日本の金額が書いてあるのでしょうけれども、例えば六十二円の切手であればアメリカなどでそれを幾らで売るのでしょうか。
  35. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 海外において販売する価格でございますけれども、これは定価に相当する価格ということにいたしておりまして、定価相当額はもちろんそれぞれの国における為替レートで換算をしたものになるということでございます。
  36. 小林興起

    小林(興)委員 逆に、日本で今切手を買おうと思って郵便局などに行きますと、もちろんたくさん切手がありますが、記念切手のようなきれいなものについては最近出たものしか置いていないような気がするわけであります。昔発行された切手、そういうのはいい切手があるわけですが、昔の切手を買おうと思うときに、それは今日本郵便局で買えるのか、いわゆる切手屋さんで売っているのかわかりませんけれども、逆に向こうで売るときはことし発行したものを売っていくのかそれとも、在庫はどうなっているかわかりませんけれども、今までの日本の有名な切手というのがあるのでしょうし、しかし、文化ということであれば昔のいい切手をみんな並べて売るのでしょうか。
  37. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 基本的には、発売したものを購入していただいて、それを海外で売っていただくというふうに思っております。(小林(興)委員「これから」と呼ぶ)そうでございます。ただ、実績をずっと積み上げてまいりますと、当然古い切手も、古いといいますか、発売直後のものがすぐ売れるということではございませんで、一度売り出されたものが一定の期間は継続して売られるということになりまして、直後のものだけではない過去の切手も店頭で売られるというふうにはなってまいると思います。
  38. 小林興起

    小林(興)委員 向こうで売る金額についてはわかりました。今、日本のお金を換算して向こうで売るというだけのようでございますから、そんなに高い価格で売るわけではないのだろうと思うわけであります。  それで、業者の選定も難しいのでしょうけれども、選定された業者にはどのくらいの手数料というのが行くのでしょうか。
  39. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 販売の手数料でございますけれども販売にかかわる郵便切手等の海外への輸送費、それから周知宣伝費等の所要経費、こういったものを考えまして、買い受け額の二五%を支払うということにいたしております。
  40. 小林興起

    小林(興)委員 そうしますと、残りはいわゆる郵政省といいますか、日本国の収益になるのですか。
  41. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 そうでございます。
  42. 小林興起

    小林(興)委員 ちなみに、現在国内で売られています日本切手の総収入から見ますと、今度の予想される売り上げというのは何%ぐらいになるものなのですか。
  43. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 割合にいたしますと非常に小さいものになるわけでございますけれども、現在の日本における切手の総売上額が約五千億円でございまして、先ほど申し上げましたように、海外で売れる額がその中で年間約一億ということになりますので、率は非常に小さいものになってまいろうかと思います。
  44. 小林興起

    小林(興)委員 そういたしますと、損をするわけではないということでしょうけれども事業収入という意味では、金額一億、大きいようでもありますけれども日本全体の切手の総額から見ますと非常に小さいわけでありまして、考えてみますと、収入をうんと上げるということよりは、どちらかといいますと文化的な意味だとか、国際交流だとか、教育的意義だとか、きっとそういうことにあるのではないかと思われるわけであります。  そもそも切手文化というのは、結局それを張ります手紙の文化ということにも密接に関係があるのだろうと思うのですけれども海外での切手ということを離れて、日本でもすばらしい切手を出して、そしてまたそれを国内で流通するということになりますと、それは買うだけではなくて、それを張って手紙を出すということにつながっていくわけでありましょうから、そういう今後の国内における切手発行の政策あるいは手紙文化の問題等、切手ということに関しまして、文化的な面で非常に教養深い小泉大臣から、ひとつ切手論、文化論を少しお聞かせいただければと思います。
  45. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 文化論というほどのことじゃありませんけれども、私も子供のころは切手収集趣味があったのです。しかし、大人になって割合手に入りゃすくなると、だんだん収集熱も冷めるといいますか、むしろなかなか手に入らない、数が少なくてどうやって手に入れようかというときの方が熱があったと思うのですね。特に、国会議員になると割合容易に手に入るようになる。切手を集めているということを知っていると、自分が探さなくても、いい切手を持ってきてくれるようになる。そうなりますと、不思議なもので、集める楽しさが半減してしまうのですね。そういうことから、最近ではもう切手を集めるというほどのことはありませんが、子供のころ、スタンプの押されたきれいな切手を切り抜いて、洗面器とかお茶わんに入れて、のりがはがれるのを待った。手ではがすと汚れてしまうという子供のころのことを今振り返ってみると、こういう切手を趣味にしている方も今たくさんいるのではないか。  と同時に、親しい人に手紙を書くときは、やはり自分としてはできるだけきれいな切手を張ってあげたいという気持ちを持つものですね。特に外国人との交流の場合はできるだけ、日本的なものと言ってはなんですけれども日本独特のきれいな切手をたくさん張って、額の大きい切手一枚よりも、きれいな切手をたくさん張って外国の人にあげる。そういうことから考えますと、手紙文化切手というのは、同じ日本国民のみならず、外国との交流にも大きな役割を果たしているんじゃないか。  なおかつ、電話とかファクスとか、これは確かに便利ではありますけれども、やはり一番心を通ずるといいますか、自分の意思を伝えるというのは、電話だけでなくて、みずからの手で書いて相手に届ける、これはまた、受ける喜びは格別であります。  そういう面から、切手あるいは郵便の果たす役割というのは、これからどのような科学技術情報通信が発達する社会においても、触れ合いといいますか、人間交流の手段として大変重要なものである、役割が半減するどころか、減るどころか、将来といえども大変重要なものになっていくというふうに私は考えております。
  46. 小林興起

    小林(興)委員 大臣、ありがとうございました。  大臣を補佐しておられる上野郵務局長にこれに関連してお伺いしたいわけでありますが、すばらしい記念切手を張って、いい切手を張って外国の友人の方に、大臣としても我々もそうでありますけれども、そういう切手で出してあげたいなと我々思うわけでありますが、郵政省というのは、きれいな記念切手というのはいつでもどんどん出せるようになっているのですか、新しい切手というのはどういうときに出せるのですか。
  47. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 記念切手発行につきましては、発行の基本方針というのを一応私ども内部で定めておりまして、これを平成元年だったと思いますが、公表いたしております。その基準に基づきまして、広く、切手として発行する意匠それから内容、そういったものを求めるために、各省庁に照会をいたしまして、それで、暦年でございますけれども、発行計画というのを定めて、それに基づいて発行してまいっております。
  48. 小林興起

    小林(興)委員 何か各省庁と相談をして出されているようでありますが、私は、郵政大臣のポストも激務で大変だ、同じ国会議員として同情して申し上げるというわけではないわけでありますが、一大臣一回、留任することももちろんあるわけでありますが、例えば小泉大臣が郵政大臣であったときには自分はこんな記念切手を出してみたいというぐらいの権限を一回ぐらい与えて、各大臣、歴代やっていますと、そのときどんないい切手ができたかというような楽しみを、多少遊びの世界といいますか、ゆとりの世界の中に、そういう記念切手ぐらい出してあげてもいいなというふうなことも思っているわけであります。いずれにしても、今後ともすばらしい記念切手をひとつどんどん積極的に郵政省は出していただいて、そして日本のよさを切手を通じてあらわしていただきたいなと個人的にはお願いするところでございます。  若干まだ質問時間が残っているようでございますので、この今の法律とは少し離れるかもしれませんが、いずれにいたしましても、切手を国内で買おうと思えばみんな郵便局に行くわけでございます。我々が一番親しい機関として郵便局というものが御承知のとおり存在をしている。それが全国に今二万四千ぐらいあるのですか、そういう郵便局のネットワークというのは、日本の発展にとってまた地域社会の振興にとって、ここまで地域に密着させて、また数多くつくって、しかもすばらしい活動をしているというものはないわけでありますから、今後ともこの国民的な財産であります二万四千局の郵便局というものを国としても大事にしていきながら、そしてまた大いに働いてもらう、頑張ってもらうということが大事ではないかなと思っているわけであります。  国家的に郵便局がこのすばらしいネットワークを使って頑張っている、これは漠然と国民の皆さんはわかっていると思うのですけれども、何か地域社会に特別に頑張っているというような、最近ふるさと切手とかそんを言葉も出てきているようでありますが、地域振興という面で郵便局を見たときに、今どんなようなことが行われているのでしょうか。
  49. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 今先生の方から、郵便局のネットワークが国民の共有の財産として非常に地域に貢献しているのではないか、その辺の具体的なものがどうだという御質問でございますけれども、現在私ども郵便局のネットワークを活用いたしまして取り組んでいる内容といたしましては、ふるさと小包の扱いといったようなものがございます。これは、御承知だと思いますけれども、一村一品運動というふうな中で地域の地場産業の掘り起こしが盛んになされておりますが、その特産品といったようなものを郵便局ネットワークを通じて全国にお届けするというお手伝いをやっているものでございまして、ふるさと小包が最近各地域において非常に喜ばれているというような実態がございます。  それから、地域のPRあるいは観光の振興というふうな観点になろうかと思いますけれども、代表的な風物などを題材といたしましたふるさと切手あるいはふるさと絵はがきの発行、こういった点についても地域で協力をいたしております。  それから、ふるさと小包の情報版というふうな形になろうかと思いますけれども、ふるさと情報提供サービスといったようなものも取り組んでおります。  そのほか地域の中で、過疎地域あたりにおきましては、役場あたりに行くのが非常に時間がかかるというふうなこともあるわけでございますけれども、住民票の写しをファクシミリによって請求できる、そういった扱いというものも取り組んでいるところでございます。  それから、これはことしの一月から始めたパイロット実験でございますけれども、地域の情報を全国に発信するお手伝いをしようということから、活き活き情報交流サービスといったようなものも開始をいたしております。  そういった地域振興に郵便局のネットワークが貢献をしているというふうに思っておりますけれども、今後も私ども、国土の均衡のある発展のためにということから、地域のニーズを的確に把握いたしまして、そのニーズに合ったサービスの開発あるいは実施に努めてまいりたい、こんなふうに思います。
  50. 小林興起

    小林(興)委員 今上野局長から決意もお伺いをしたわけでございますが、もう時間もなくなったようでございます。  最後に、今局長の言われたとおり、すばらしい郵便局ネットワークを使って、郵政省としても本当に国民に信頼され愛される、そういう郵便事業を展開していってもらいたいと思いますし、町に生きている我々として、本当に町づくりの中心、核に郵便局というものがあり、そしてこれが国営事業で行われているということは本当にすばらしいことだというふうに思っているわけであります。  こう言ってはなんですけれども、市町村もよく頑張っていると思いますけれども、そういうところの役所に時々、もっと働けというような住民の声が聞こえることがありますが、郵便局の職員の皆さんは本当によく働いているということもあるわけでありまして、今後とも今までの国民から寄せられている信頼を裏切らないように、さらに一層新しいネットワークを活用していかなければいけないこれからの時代において、また個々の郵便局にもおのれの責任を自覚していただいて、これからの日本の発展のために、また地域社会の発展のために頑張っていただきたいと思います。  時間が参りましたので、以上、御要望、お願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  51. 亀井久興

    亀井委員長 次に、大木正吾君。
  52. 大木正吾

    ○大木委員 私は、基盤法関係について御質問いたします。  実は初めて基盤法ができましたときに逓信委員会に所属しておりましたものですから、少し重複といいますか、前の論議のときと重なるかもしれませんが、基盤法自身の中身といいますか骨組みといいましょうか、そういったものを簡単にひとつ教えていただけますか。
  53. 白井太

    白井政府委員 電気通信基盤充実臨時措置法と申しますのは平成三年六月一日から施行をさせていただいた法律でございます。この法律は、一口に申し上げますと、電気通信による情報の流通の円滑化のための基盤の充実を図るということを目的につくられた法律でございます。そして、具体的にそのような目的を達成するために、この法律ができた当初は二つ事業支援するという内容のものになっておりましたが、その二つ事業一つ施設整備事業というものでありまして、もう一つは人材研修事業というものでございました。  施設整備事業と申しますのは、言ってみれば高度通信施設整備を行うというものでありまして、次の世代の通信施設整備を図るというようなものでありまして、具体的には、同期ディジタル伝送装置を整備いたしますとか、あるいは光ファイバーケーブルを整備するというような、高度通信施設整備を行うという事業施設整備事業と呼んでおりました。  人材研修事業は、情報通信というのがますます全国各地でいろいろな形で利用されるようになってまいりまして、人手が不足する、通信関係の知識を持った人が非常に足らなくなってきているというような現実を踏まえまして、それぞれの地域でそのような仕事に携わる方が研修できるような施設をつくろう、そういう事業支援するというのがこの法律目的であったわけでございます。  繰り返しになりますが、このような二つ事業を行うことについて、国として、税制上あるいはお金の融資などにつきまして、幾つかの支援措置を講ずるということを法律内容としておったわけでございます。
  54. 大木正吾

    ○大木委員 局長に伺いますけれども、結局、物的な基盤整備の方は、NTT自身は仕事として相当程度やっているわけでしょう。同時に、人的、人材研修事業ですか、これは現在幾つぐらいできているのですか。恐らくこれはNTTとかKDDの関係でなしに、自治体とかそういったところの、要するに、通信があっちこっちにつながっていきますが、その出先でもって、自治体等で仕事する方々の研修じゃないかと思うのですが、まさかNTTの人を研修しているわけではないでしょう。その辺のことをちょっとはっきりしてください。
  55. 白井太

    白井政府委員 当時この法案を御審議いただいておりましたときにいろいろ御説明をさせていただきましたが、現実の問題として、狭い意味での通信だけではなくて、例えばCATVみたいなものにつきましては、地方の市町村などの公共団体あるいは農業協同組合などがいろいろ施設の設置を進めるということをしてきておるわけでありますけれども、そういうことについての知識を持った人が非常に少ないというような現実がありまして、ただいま申し上げたような人材研修事業というのを基盤充実法の中に入れたわけでございます。  したがいまして、NTTとかあるいはNHKの専門家の方というのは、実は研修を受けていただく方としては全然念頭にございませんで、どちらかというと、研修事業として研修を行う場合の講師というか先生にしかるべき方を御協力を得て送っていただくというようなことを考えておりました。また現にそうしていると思いますし、既に現在二つ施設を認定いたしておりまして、一つの方は間もなく実際の研修の仕事が始められようかというようなところに来ていると承知をいたしております。
  56. 大木正吾

    ○大木委員 主として施設整備人材育成関係のお仕事のようですが、今回、信頼性向上問題について特につけ加えるという理由については、何か特段の問題があったのですか。
  57. 白井太

    白井政府委員 先ほど申し上げましたように、現行の電気通信基盤充実臨時措置法二つ事業を柱にしてでき上がっている法律でございますけれども、その目的は、冒頭お答え申し上げましたように、電気通信による情報の流通の円滑化のための基盤の充実を図るということを目的にした法律でありますので、今回御提案を申し上げております信頼性向上施設整備事業というのも当然電気通信の情報の流通の円滑化のための基盤の充実目的とする内容のものであるということで、今まで二つ事業を柱にしておりましたものを今回一つ加えさせていただいて、三万柱でこの法律の中身にさせていただくというような御提案を申し上げておるわけでございます。  ところで、信頼性向上施設整備事業と申しますのは、現在あります二つ事業とは若干中身が異なっておりまして、電気通信信頼性、特に自然災害でありますとかあるいは人為的な工事のミスなどによりまして、電気通信の回線などに障害が起きるということが万が一ありますと被害が大変大きなものになることが懸念されますので、そうした災害の未然の防止とか、あるいは万が一災害とか事故等が起きた場合に速やかに復旧をさせて、悪影響を最小限にとどめる、あるいは悪影響を一切出さないようにするというようなことのための施設整備をすることが、ぜひこれからのことを考えると必要だというようなことで、ただいま御提案申し上げておりますような事業を今回この法律の中にもう一つの柱として加えさせていただきたいというのが御提案内容でございます。
  58. 大木正吾

    ○大木委員 私は、世田谷の電話局火災のときに家が近いものですから真っ先に飛び込んだのです。あのときも大きな銀行等が一部回線がだめになりまして大変なことがあったのですけれども、要するに、今こういった近代的な設備がどんどん進んでいきますと、昔はささいな問題で済んだのかもしれませんが、やはり大変大きな問題が起きるのですね。  ただ問題は、今の信頼性問題を新しく追加ということはわかるのですけれどもNTT等はこういったことについては、今までは国の補助はなかったかもしれませんが、自前では相当費用を出してやっておったわけでしょう。その辺の関係についてはどうですか。
  59. 白井太

    白井政府委員 ただいま大木先生お話ございましたように、電気通信事業者と申しましても事実上はNTTの比重が圧倒的に大きいわけでございますが、例えば洞道と言われますような、通信線を格納いたしますトンネルのようなものの整備ももちろんずっと着々と進めてきていただいておりますし、回線切りかえ装置というような、別ルートにすぐ回線をつなぎかえるというような装置の整備につきましても、NTTとしてやってきていただいております。  そこで、私どもとしては、これからも当然NTTとしてはこのようなことをもっと今以上にピッチを上げて整備を図っていただく必要があるわけでございますけれども、こうしたいわば通信という極めて公共性の高い仕事について、しかもそれが結果的には国民にできるだけ不利益を及ぼさないようにするということのための施設整備でありまして、しかも直接利益を上げるということにはつながりにくいものでありますので、私ども考え方としては、NTTももちろんそうでありますし、ほかの通信事業者の方が行う場合でもそうでありますけれども、そういうようなものをどんどん積極的に進めていただくということが必要だ。そういう事業を進めていくということについて、いささかなりとも国としてもできるだけの応援をする。応援をすることによって、なお一層事業者の方がそういう施設整備に力を入れる気持ちになっていただくということを期待するというような意味合いもあるわけでございます。
  60. 大木正吾

    ○大木委員 対象事業の中身のこともちょっと聞きたいのです。  これはちょっと写真をいただいたものを持っておりますが、例えば洞道等の場合、電話局の交換機械が中にありまして、その下に、地下にずっと二階ぐらいに入って洞道がシールド工法でもってできておりまして、その中は実に複雑で大変なわけですよね。世田谷のときにも、大明という大手の請負業者がやった工事だったのですが、警察と大分やり合いになったことがあるのです。立ち会ってあげたのですが、結果的にはやはりこういったものは、通信がだんだん回線をたくさん使用しまして高度になればなるほど、こういったものの安全は必要ですから。  そこで伺いたいのですが、対象業者、同時に対象物件といいますか対象の事案、今お話が若干ありましたけれども、それについてもう一遍お話をしていただけますか。
  61. 白井太

    白井政府委員 私どもとしてどうしてもこの際整備を進めたいと思っておりますのは、一つは、ただいまお話がございました洞道でございます。それから回線切りかえ装置というのも、実は私よりも大木先生の方が大変お詳しいわけでありますけれども、極めて重要なものであるようでありまして、こうした施設についてはぜひ進めたいと思っております。それから、停電のときの非常用の発電装置というものについても整備必要性は大変高いように聞いております。  ちょっと余談になりますが、二、三年前だったかと思いますけれども、アメリカのニューヨークで大きな電話会社の電話が七、八時間にわたって通じないというようなことがございました。これは、その電話会社のやはり発電の装置に故障があったということが原因だったと聞いておりますけれども、私どもが非常用の発電装置として整備を期待しておりますのは、一般の電源が何かの事故等で停電になって切断をいたしましたときに、直ちに非常用の電源が稼働いたしまして通信疎通確保するということを期待しているわけですが、そういうような整備もやりたい。  それから、統合通信網の監理システムというような言われ方をしておりますのは、非常に多くの通信施設を一カ所で遠隔地から統合的に監視をしておりまして、万が一どこかに事故が起きたというときに、直ちにそれを発見して、例えば別の迂回ルートをすぐに選択をさせるとかというような、常時通信線が全体として円滑に動いておるかどうかというのを四六時中監視をするというような施設についても、こうした整備が図られることが必要ではないかということを思って、四つの例を挙げさせていただいておるわけでございます。
  62. 大木正吾

    ○大木委員 予備電源とか今のお話の遠隔装置等をやることはよくわかりますが、結局、これについてのいわば支援措置といったものは、主として税制絡みの関係でいくわけですね。税制絡みの問題につきましては、国税の中の問題と地方税とありますが、国の方も大変税制が苦しいわけですから大変だと思うし、同時に地方自治体も大変ですけれども、しかし、こういった情報化時代において、結局、情報通信が先行投資していくことによりまして国の経済も発展するし、同時に地方経済も発展するわけですから、そういった両々相まつ関係もしっかり把握をされまして、具体的に伺いたいのですけれども、この税制関係の問題について、国税、地方税絡めてどの程度の支援措置がとられる形になりますか。
  63. 白井太

    白井政府委員 この税制上の支援措置というのは、今日におきましては、政策支援一つの手段としては大変重要になってきておりますが、私どもとしては、できるだけの支援措置内容にしたいということで努力をいたしておりますが、必ずしも十分なものとはなっていないという御批判も受けることになるのではないかと思いますが、一応今回の法律案で御提案を申し上げております信頼性向上施設整備事業についての税制上の優遇措置内容としては、国税、地方税それぞれ考えさせていただいておりますが、国税としては、法人税につきまして、いわゆる特別償却などを税制の優遇措置として具体的に考えております。それから、地方税につきましては固定資産税でありますが、これにつきましても、課税標準を少し少なくするということでこの支援措置考えております。  もう少し具体的に申し上げますと、まず洞道でありますが、これはシールド式の洞道と申しまして、先生御案内のように、トンネルを掘るというようなきちっとしたいわば洞道についてでありますが、平成五年度、平成六年度に取得するものについて、特別償却として初年度二〇%の特別償却率を適用したいということを考えております。それから、回線切りかえ装置についても税制上の優遇措置をとることを考えておりまして、これは回線切りかえ装置の中でも非常に機能の高いいわゆる電子式の回線切りかえ装置についてでありますが、これについても初年度二〇%の特別償却ということを考えております。したがいまして、金額的に見ますと、平成五年度の減税効果というのは全体で十五億円くらいではないかと見ております。  それから、地方税であります固定資産税についてでありますが、課税標準が向こう五年間にわたりまして三分の二に軽減をされる予定でありまして、五年度分だけについての減税効果を見てみますと、全体で一億円くらいの減税効果ということになるのではないかと見ております。
  64. 大木正吾

    ○大木委員 ちょっと局長関係があるので伺いたいのですが、電線の地中化問題に対する減税額はどうなりますか。
  65. 白井太

    白井政府委員 電線類の地中化につきましても、法人税についての特別償却、あるいは固定資産税についての課税標準を下げるというような措置をとらせていただいておりまして、減税額で申し上げますと、平成五年度、今年度の予定額で、特別償却による減税効果で約四億円、それから固定資産税の減税効果として四千万円くらいになろうかと見込んでおります。
  66. 大木正吾

    ○大木委員 まだ細かいことはたくさん聞きたいことがあるのですが、話を若干急ぎまして、こういった措置、大変関係の対象事業者はありがたい問題だと思うのです。ただ、先ほどの森さんの質問にもありましたけれども、例えば電気ガス等との比較によりますと、やはり始めていただいたことはありがたいことなんでございますが、むしろ電気ガスの場合には、もうそういったものは恒久的に全部決まってしまっているのですね。ですから、こういった問題につきまして郵政省としまして、いわば国の方でも新社会資本とかいろいろなことを言っているわけでありますから、こういったものをもっと恒久的にするというお気持ちはないのですか。
  67. 白井太

    白井政府委員 先ほど実は固定資産税関係につきまして、同じような公益事業電気通信事業との比較を若干申し上げさせていただいたわけでありますが、基本的に申し上げますと、今先生がおっしゃいましたように、電気通信以外の公益事業の場合は、端的に申し上げまして恒久的な措置といっていいような内容に確かになっております。つまり、固定資産税について特例措置を設けるということのためには、地方税法の中にそのような規定を入れておくことが必要なわけでありますけれども、一般の公益事業の場合は、地方税法の本則といいますか、本文の中に実は先ほど申し上げましたような特例措置を講ずる旨の規定が入っておるようでございます。  ところが、電気通信事業の場合は、本則ではなくて法律の附則の方に書かれているものですから、実は極めて特例的な扱いだという位置づけになっておりまして、毎年予算編成のときに税制改正内容についても政府の内部でいろいろと議論をするわけでありますけれども地方税法の本則の中に入っておりますと、そのような議論を一々しなくても自動的にといいますか当然そういう特例措置というのが講じられることになるわけでありますけれども電気通信事業の場合はそうではなくて、その都度というか、毎年毎年ただいま申し上げたようなことをいろいろ関係の向きと折衝をして減税措置を、特例措置をとっていただくということをやっておるわけでございます。  しかし、これは本当から申し上げますと、電気通信の公共性というのはほかの公益事業、つまり電力事業でありますとかガス事業鉄道事業にもまさるとも劣らない公共性を持っておるということを私どもは大変強く感じておるところでありまして、気持ちとしてはぜひほかの公益事業と同じような扱いにすべきだという気持ちを持っておりますけれども、どうも昭和六十年にNTTが株式会社としてスタートいたしましたときに、先ほども申し上げたような形で少し遠慮した形でスタートしたものですから、今日なかなかほかの公益事業並みの扱いをしてもらうということができないような状態で今日まで来ておりますが、あきらめないで毎年毎年努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  68. 大木正吾

    ○大木委員 大臣にお伺いしたいと思います。  今の問題なんですけれども、国の方では去年の秋口から盛んに新社会資本計画なんというのがありまして、通産省と郵政省が何か縄張り争いをしているような話もありますし、同時に予算をめぐりまして、財源をめぐって財政法四条ですか、建設公債問題でもって六十年の寿命でなければ金を出さぬなんという話もありまして大変ややこしいのですが、ただ、私自身はずっと見ておりまして、やはり高度情報化社会ということを目指す場合には、まだこの名前も郵政省を中心にまとめたらいいと思うのですが、やはりNTTの言い方も違うし、郵政省も違うし、国も違いますし、そういったのがこっちも困るのだけれども、いずれにしましても情報化によって——フィリピンの政権はラジオでもってひっくり返った政権ですが、同時にやはりテレビの画像なんというのがどんどん動いていきますと、いわば中東戦争のときに大分日本で戦争をしている気分も見物ができたということもあったわけですね。同時にやはり産業、経済、政治、文化、もう全部に影響して、しかも高度情報化社会というものが先行投資型でもっていくわけでしょう。そういった認識でもってアメリカ等でもゴア副大統領が盛んに一生懸命棒を振っておるわけですね。  そうしますと、今の話が一つなんですが、要するに、郵政省考えていただくこういった事業者に対する税金の、いえば支援措置、こういったことなどはもっとやはり恒久的な問題としまして、当然国が面倒を見る、そういったものがあっていいと私は思うのですが、大臣の所見をちょっと伺いたいのです。
  69. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 いろいろ新社会資本とかあるいは新世代通信網とか言葉は違っておりますが、公共事業として大変重要なものであるという認識からそういう問題が出てきたんじゃないか。特に今までの公共事業、決まったものじゃなくて、公共というからには情報通信基盤というものも、公共というものを考えますと、既存のいわゆる公共事業に比べてまさるとも劣らない公共的なものであるという認識から、予算上の配分にしても、今までの枠にとらわれていたらこういう情報基盤の整備は立ちおくれてしまうではないか、そういう危機感から何とか整備を進めていきたいということからこういう問題が持ち上がってきたのだと思います。  景気対策とかというものもあると思いますが、それ以上に、将来を展望しますとこの情報通信基盤整備というのは国民生活に大変密接なつながりを持って重要なものですから、その支援策をやはり税制上においても財政上においてもとっていく必要がある、そういうふうに私は考えております。
  70. 大木正吾

    ○大木委員 他の電気ガス鉄道と同じように恒久的な措置がとられるのは当然だと私は考えておりますので、大臣のこの辺の努力を今後ともにお願いいたしておきます。  ちょっと角度を変えた立場からお伺いします。で、郵政省が出しました「日本電信電話株式会社に対する附則二条に基づく措置状況」、こういうものが出ておりまして、私も斜めにちょっと、余り詳しく読んでおりませんが、拝見してみたのですが、平成四年末にかけまして、ことしは五年になりますが、やはり幾つかの前進といいますか、前向きに動いてきている問題があります。  一つはやはり、移動体通信の問題等が分離されて、今度は地方の段階に若干整備が入っていますが、同時にやはり非常に目立つ問題としましては、要員の合理化問題ですね。これが局長、大分動いてきておりまして、平成八年までに三万入減らすという話が大分大きなニュースになったこともございましたけれども、私はこの質問をするに当たりまして実は当局に問い合わせをしてみたら、やはり移動体の関係どもあったのでしょうが、あるいは新しい建築会社の関係かもしれませんが、現在の要員が平成五年の三月三十一日で二十一万四千五百人ですね。ですから相当大規模に、会社の分離問題も影響しているかもしれませんけれども、二十万人体制というものは案外早くに、あと一年か一年半ぐらいの間に来る、こういう感じですね。  そうしますと、二十万でまだ人が多いじゃないかという問題やら、あるいは経理状態が余り芳しくないとか、そういった問題がポイントとしてあるかもしれませんが、一つの大きな問題点としまして、こういった問題について、本当は郵政省がこれを出していただくのでしたらそういった評価といいますかこれに対する若干の批評を加えてほしかった、こういう感じがするのですね。動きだけは出ていますけれども、そういった部分について局長とうですか。今の二つのことだけ指摘しました。それ以外にもございますけれども、どういうふうに感じますか。
  71. 白井太

    白井政府委員 率直に申し上げまして、なかなか評価というようなことは大変難しい問題でございますが、先生も大変御案内のことではございますけれども、事実関係だけ若干振り返らせていただきますと、実はNTTの財務の状況が、昨年の秋に発表されました中間決算のころからどうも余り調子がよくないというような傾向がはっきりしてまいりまして、既にそのころから、これはNTTだけの問題ではない、現下の経済情勢がなせるわざであるというような面もあるわけですけれども、そういうような財務状況の悪化ということを背景にいたしまして——いろいろな企業がかなり大幅な合理化策を発表されたということは新聞報道などで私ども承知しているわけでありますけれども、例えば大きな電気通信関係のメーカーの方がいわゆるレイオフというようなことをやるというようなことが発表されたり、あるいは一万人、二万人に近い人員の削減をするというようなことを発表される企業が出てくるとか、あるいはいわゆる公益事業のようなところで見ますと日本航空などが、中間決算の段階で経常赤字で五百億円ぐらいの赤字になるのではないかということでかなり大幅な合理化計画を発表したとかそういうようなことが随分重なっておりまして——財務が悪化したということで、一方においてはこの料金をどうかしなければいかぬのじゃないかというようなお話がある反面、やはり企業体としての努力をするということも必要ではないかというようなお考えのもとにだと思いますが、NTTとしてもさらにその合理化を一歩も二歩も進める必要があるということで、今先生お話しになりましたような二十万人体制にするというようないわば合理化の大きな目標というようなものを、ことしの二月になりましてNTTの方で発表されたということだと思っております。  それで、私どもとしては評価ということではございませんが、確かにこの財務が悪化をしてまいるということになりますと、一般的な場合にはどこの企業でもまずはどういう合理化をするかというのがどうしても話になることは当然でありますので、そういうようなことで、NTTとしては思い切った合理化をしようというふうにされるということはある意味では非常に結構なことでもありますし、そういう面でもう少し具体的な詰めを大いにしていただくということが必要ではないかなというふうには思っております。
  72. 大木正吾

    ○大木委員 別に郵政省に褒めていただくということも、こういった附則二条の問題に絡みましてやることはないのですけれども、やはり事実としてこういった問題について認識をしておいてほしかったものですから申し上げたのです。  例えば、二十一万四千五百人、これは本年三月三十一日付の人数ですね。それから、確かにおっしゃるとおり、バブルの影響を受けた、バブルに食い込んだ会社ほどひどいのですが、NTTはバブルは別に関係ないと思うのですが、とにかく不景気の影響を受けたことは間違いありませんね。そういった中で、経常決算が、中間発表ですか、結局経常利益二千四百八十八億円、同時に当期利益が一千六百二十五億円ですか、どっちも大分下がっていますね。これは間違いないことなんですが。  結局、この原因ということを考えた場合に、これは大臣にも少し聞いていただきたい問題があるのですが、実はNCCとNTTとの関係なんですけれども、ちょうど新大阪あたりから荷物を、鉄道貨物がなんかでもって新幹線で引っ張りまして汐留に来て、いわば大きな荷物のあれが解体される。要するに、積んだ荷物を汐留まで持ってくる仕事はNCCの仕事ですね、半分以上が、通信に絡んで申し上げますれば。しかし、汐留に来た荷物を都内に配送する仕事は、これは全部NTTの仕事でしょう。NTTは、それに対して、今人員の九〇%を大都市中心の市内関係にぶつけておる。そして、その反動としまして、千葉県の場合など例をとりますと、銚子から千葉、相当な距離あります。乗りましても一時間余りかかりますね。中間駅は無人駅になっていますから、同時に、館山から木更津に来る途中が結果的にはどんどん配転されますね。ここ六年間に配置転換人員が十二万七千人ですね。これは現場で働く人になりますと、やはり自分の女房と子供と一緒にかわるわけですから大変なことなんですね。そういったものが四、五年間に二十万、全部の中で半分程度の人が動いている、こういうことですよ。  大臣、参議院の記録をちょっと拝見しましたら、何か大手町の現場を見た話が出ていましたけれども、行った場合、もし行かれたら、郵政局と、あそこにNTTの関東の局がありますから、あの中に一遍入って見てもらいたいと私思うのですね。昼休みが一番いいと思います。昼休みに入っていきますと、NTTの方は大体電灯を半分全部消しちゃいますよ。郵政局は全部こうこうとしていますよ。同時に、現場に行っても同じですよ。例えば五階のビルに上がっていくときに、エレベーターのボタンを押すときに、閉という閉めるボタンが全部抜いちゃってあって、ありません。あれを押すと何か電力を幾らか食うそうですね。物すごい合理化をやっておるのですよ。それと、NCCがクリームスキミング、いいところを持っていきますから。わずか五年間に五一%の仕事をとるわけですから。  そういったものが重なっていますから、いわば児島社長は首を覚悟で今恐らく動いておると思うのですが、そういった厳しい条件ということについても小泉大臣にも御認識をいただきまして、私はそれに対して結論を求めませんけれども、一生懸命にやっているんだということは、ぜひこれは郵政省も、同時に大臣もお認めいただいた方がいいんじゃないか、こういう感じがしますので、ちょっと私勝手にしゃべりましたけれども、そういった現状について申し上げさせていただきました。所見があったら伺います。
  73. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今NTTの合理化の努力、承りましたけれども、確かに民営化以降、毎年毎年要員の削減等合理化に取り組んできた、経費の削減等、そして料金がこう値下がりしてきたというこの努力というのは私は評価されてしかるべきものだと思います。今後、その合理化努力がどこまでいくか、またそれがどのような経費の削減をもたらすか、これは大変重要な問題でありますので、お互い競争の中での合理化努力等を見守りつつ、これからの事業に対してどういう対応が必要か、特に、経費面から料金の値上げとか値下げとか、非常に企業の存立にとって死活の問題がかかっておりますので、この努力を見守ってしかるべき対応をしていきたい、そう思っております。
  74. 大木正吾

    ○大木委員 それでは最後に、時間が余りありませんけれども、さっきちょっと触れましたけれども高度情報化社会、これに対しまする今の国内の議論の状況、こういったものを少し収れんする必要がある、こういう感じもいたしますので申し上げておきたいのですが、これはさっき大臣局長もおっしゃったのですが、NTTの場合には高度情報化社会という一般的を言葉を使っておりまして、最近何か新しい計画の中では、日本語の平易な言葉を頭文字をとりまして、VIアンドPですか、何かそういうものをつくっているようですけれども、それとは別にしまして、やはり困りますのは、結局、新社会資本、自民党の方でも、今大蔵部会長を中心にして数部会が集まりまして、何かこれは財政問題に絡むのでしょうか、ただ、やはり共通の認識にしておきたいことは、さっきのことの繰り返しになりますけれども、やはりあらゆる産業の先端を行くんだという問題ですね。同時に、その基盤整備はおくれてはならぬという問題ですね。同時に、人間の生活から始まって文化、そして国防あるいは政治まで全部、外交まで影響するという問題ですね。  こういった問題を通暁しながら、小泉大臣なんか頭がいいのですから、用語の統一なんかやはり郵政大臣が中心的な立場でもってやるべき仕事なんですから、そういった用語の発想なんかについても大臣の頭のクールなところで考えてほしい、こういう感じもいたします。  国内の景気対策でもって走り回る官庁なんという話もありましたけれども、私はやはり、景気対策の一環であることは間違いないけれども、根本的な問題は、もっと技術問題として、情報化社会というものについての問題として、現時点ではやはり国民全体が共通認識をして、おくれてはならぬという気持ちを持って、そして一緒になって走っていく、こういった認識がどうしても要ると思いますね。ですから、そういったことの一環としてこの法律考えていますし、同時にこういったことについて、ぜひ大臣にもお願いしておきたいと考えています。  同時に、私がもう一つ申し上げておきたいことは、技術力の問題ですね。  NTTには、物すごい大きな立派な世界でも有数な研究施設が横須賀を中心にしましてございます。そして、きのうちょっと頭で計算してみたのですが、NTTに二十一万四千五百人いると同時に、実は工事会社がNTTの周辺にありまして、これが大体労働組合をつくっている部分が約三万人、未組織七万人。恐らく、局長、新電電の方でも、市外の光ファイバーなんかの場合、工事要員を持っていますね、これは頭数に今入れていないのですが。やはりさっきもお話がありましたが、自治体とかいろいろな公益法人なんかの方々を養成することはいいのですけれども、本当にプロといいますか、専門の工事の人をつくるには、たしか光ファイバーの資格を取るには三年かかるんじゃないですか、現場でもって訓練を受けながらやりまして。そういったこともありますから、この工事要員というものは相当貴重な人間ですよ。  だから私は、よく話題にもありますが、きょうは一般論で申し上げておきます、余り嫌なこと言いたくありませんから、それは何かといいますと、第三セクター等をつくって、そしてデスクワークの人は何人かできました、現場でもって洞導等の中に入って工事をするとか、あるいは交換機なんかの接続をするとか、そういった仕事をするには、相当の訓練期間が要りますね。そういったものでは、労働力、技術力としまして一晩でできるものじゃありませんから、そういったことをやはり大事にすることは、研究施設の問題とあわせましてこの仕事をやり抜くには大事な問題だ、こう考えておることが第二点ですね。  第三点としまして、今度は資金の問題ですね。  これは、大臣、財投問題、貯金問題で嫌な気持ちを私はしましたから余り言いたくないのですが、今自民党さんがやっている部会長同士のこの問題についての研究機関、これはNTTとかそういったものも関係しますけれども、むしろあれじゃないですか、結局、学校の関係とか官庁の関係、病院の関係、そういったものに対する大蔵省との折衝における、要するに建設国債の関係資金の予算の取りぐあいですね、そういったものを中心としながら八月の予算期に向けてやっているのだろうと思うのです、ちょっと電話で話をしてみましたけれどもね。  ですから問題は、この資金をどこから持ってくるかという問題。露骨に言いますと、結局、受益者負担ということも一つは言えますし、二つ目には建設国債。自民党政調会長が三十年国債という話を新聞に何か発表していましたね。六十年を三十年に変えるという話がありました。それから同時に、財投から金を借りるかどうかという問題。こういった問題をめぐっても議論がありますし、同時に、余り利害錯綜したような形でやってほしくない、もっと純粋に、国民のために、国のためにといいますか、国益のためになる仕事をするためにみんなが金を出し合って、それが内部でぎくしゃくしない形でもって運営してもらいたい、こういう気持ちがあります。  三つの問題を申し上げたのです。要するに、この問題に対する大きな流れをぜひ大臣につくってもらいたいことが一つ二つ目に、技術、研究力、そういったものについて、研究機関の問題等について大事にしてもらいたいことが一つ。第三に、資金の問題について、余りお互いに何か権利意識とかいったものを持ち合いながらやることはやめてもらいたい。この三つのことについて、局長大臣の両方からお答えをいただきたいと思います。
  75. 白井太

    白井政府委員 まず、将来の社会基盤と申しますか、社会インフラストラクチャーとして情報通信の基盤の整備をすることは、私の個人的な見解でも、我が国の将来にとっても大変重要なことだという気持ちを持っております。それで、そういうものの整備をどうやって進めていくかということは、大木先生がただいまおっしゃいましたように、そのときそのときの何か都合で物事を考えるということではなくて、長い期間かかる仕事になりますので、国の大きな方針としてしっかりした政策を持って、そういう政策のもとに着実に計画を進めて整備を図っていくということが必要であると思っております。  それから技術については、これはもう本当に大木先生がおっしゃったとおりでございまして、ある意味では、我が国がこうして今日のように発展してきている、あるいは情報通信分野で非常に高い技術力を誇れるというのは日本にとって本当にいいことでありまして、こうした我が国技術というものについても、今まで以上にこの技術力の保持あるいは技術力を高めることについて、国全体としても努力していくことが必要だと思っております。特に、専門の先生方の御意見を伺ってみますと、この情報通信分野技術というのは、今でもまだ未開の分野だと言ってもいいくらい開発の余地がある分野だということを学者の先生方などもおっしゃっておりますので、こういうものについても本当に大事にして育てていくということをしていかなきゃならぬと思います。  三つ目に資金のお話がございましたが、実はこれが大きな問題でございまして、将来を考え情報通信の基盤を整備することについては、これはかなりの長期間を要するということもありますし、また、膨大な資金が必要になってまいるわけであります。そして、これがただ単に利用料金ということで簡単に回収できれば言うことはないわけでありますけれども、すぐ需要に結びつくこともなかなか難しいかもしれないと思うわけでありまして、現在のところ、私ども考えでは、こうした情報通信の基盤整備につきましても、ほかの社会基盤を整備するために公的資金を投ずるのと同じように、私ども情報通信分野にももっともっと公的な資金を投入すべきだというような考えを非常に強く持っております。  いずれにしても、このような問題につきましては、郵政省としても審議会の方に諮問を申し上げて、これから一年くらいの間に詰めた勉強をしていこうというようなことにいたしておりますので、それやこれやを含めて、郵政省としてもしっかりした考えを持ってこれからの政策を進めていく必要があろうかというふうに考えております。
  76. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これからの情報通信基盤整備、どういう名称にするか、それはともかくとして、重要な社会資本としては変わりはない、この整備に本格的に取り組む時代になっているのじゃないか、そういうふうに私は考えております。  しかも、技術の面から考えましても、今、国も大事ですけれども、民間企業もそれぞれ大変な投資をして、いい技術の開発に全力を挙げている。また、技術者にしても人材育成についても、日本がこれほど発展したのは、各民間企業が大変な人材育成に取り組んでいる、これも大きく評価されてしかるべきものだと私は思います。  今後、財政的支援につきましても、民間企業がどこまで自分の力で整備できるのか、そういう点も見きわめながら、官民がそれぞれ役割分担とか考えながら、連携しつつ、お互いにこれから情報社会を担う大変重要な社会資本であるという共通認識を持って、相協力して整備を進めていきたい、そういうふうに考えております。
  77. 大木正吾

    ○大木委員 終わります。
  78. 亀井久興

    亀井委員長 武部文君。
  79. 武部文

    ○武部(文)委員 私は、郵便切手類の販売に関する法律について、非常に短い時間ですから、質問はまとめてやりますので、まとめてお答えいただきたいと思います。  先ほど大臣の発言の中に切手収集のことがございました。私もその一人でありまして、ほとんどの人が何がしかの収集をやった経験を持っておるのだろうと思います。今でもそのことを思い出すわけですが、そういうものを通じて、切手は小さな外交官だというような言葉もございますけれども郵政省の持つ仕事の中でこれも一つの大変立派な仕事だと思っておるわけです。  それで、この図案のことについていろいろ注文があります。いや、ちょっとかた過ぎるとか、よくわからぬとかいろいろなことを言う人がおりますが、それはそれなりに郵政省では基準もあるわけですし、いろいろ専門の方がおやりになっておるわけですから、そういうようなことを十分心してひとつ立派なものをつくっていただく、一々注文をつける必要はないというふうに私は思っておりますので、ひとつ自信を持ってこれから外国に立派な切手をどんどん送り出すということを続けていただきたいものだ、このように思うのです。  そこで、今回、通信販売から委託方式をとるに際して三十数カ国の中で四つを選ばれた。それは販売の額が多いからということのようでありますが、そうすると五番目は、非常に差があって、四番まで一応やっておいてあとは実績を見ながら、こういうことになるのかなと思っておりますけれども、アメリカ、イギリス、スイス、ドイツ、こういうふうになったのですが、五番目はどこであるのか、それとも非常に低いのか、その点とうなんですか。
  80. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先生がおっしゃいましたように、私ども現在、切手海外に売ります場合は東京中央郵便局通信販売という形でやっておりまして、それの実績を見ますと、アメリカ、ドイツ、スイス、英国、この四カ国が通信販売の額の全体の八割を占めております。  四番目と五番目ということでございますが、五番目は香港でございまして、具体的な数字を申し上げますと、実は英国と香港の差は余りございません。英国が平成三年度で四・一%の販売実績でございますが、香港は三・五%というふうなことでございまして、そういう意味ではどこで区切るかという点についての余り明確な基準というものはございませんが、私ども一応大きい方から八割くらいというところで今回とらえたのが四カ国になったわけでございます。
  81. 武部文

    ○武部(文)委員 そうすると、今のは国を対象のようですけれども、五番目は香港だということになれば、香港とか台湾とか、そういう地域も対象にしてこれからもおやりになるのですか。
  82. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 今先生からおっしゃいましたように、実施地域といたしましては国に準ずる地域、香港といったようなところも対象に一応考えております。
  83. 武部文

    ○武部(文)委員 手数料二五%、後でもちょっと話が出ますが、二五%にした根拠、それから二五%は、これから変更する場合はどういう法律で変更するのか、それはどうですか。
  84. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 手数料を二五%といたしました考え方でございますけれども郵便切手等の海外販売者が、販売業務を遂行するのに必要といたします経費を賄い得るものというのが基本的な考え方でございます。  もう少し具体的に申し上げますと、販売に係る人件費その他、海外販売に係る切手の輸送料、それから業務連絡費、周知宣伝費等、そういったものが賄えるだけの適正な率、これを私ども二五%というふうに算出したものでございます。なお、諸外国の実情も私ども把握をいたしましたが、大体外国郵政庁におきましても一五%から四〇%といったような実態になっているようでございます。  それから、この手数料を変更する手続でございますけれども、今後必要に応じまして、国内の販売者に支払う委託手数料と同様に、海外販売実態の動向を調査いたしまして、実態に合致した適正な手数料としてまいりたい、こんなふうに思っております。
  85. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。わかりましたが、手数料二五%、国内の手数料は一〇%ですね。そうすると、余り初めから疑ってはいけませんけれども、近くで買って持ち込んでくる、いわゆる還流という言葉も使われますし、横流しという言葉も使われますが、そういうことも起こり得る可能性は私はないとは言えないと思うのです。二五と一〇というのは大きいのですから、これは。それで、これは重いものでもなければ大したものではないということになれば、そういうことは考えられないか、そういうことに対してあなた方は何かお考えがあるか、これはどうですか。
  86. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 還流のケースでございますけれども、私ども考え得るものといたしましては、海外販売者が海外事業所から日本の国内に還流させて横流しをするといったようなことが想定をされます。  そこで、それの防止策ということになるわけでございますけれども、まず一般的に申し上げますと、還流のための手間ですとかあるいは経費、そういったものを考えますと、先ほど二五%と申し上げましたけれども、現在のそういった手数料の水準では今のようなことをやるには余り得にはならないのではないかというふうに思っております。しかし想定されるわけでございますので、私どもといたしましては、それを具体的に防止する方法といたしまして、まず一番最初に対応したいと思いますのは、業者を選定するに当たりまして、海外郵政庁の海外販売代理店として信頼のある活動をしている者、そういった人たちを郵政省の業務を委託するにふさわしい者だというふうに思っておるわけでございますけれども、まずそういう意味で信用を有する者をこの対象として選びたいというふうに思います。  それから次に、契約におきまして、海外販売者から海外事業所における販売額等の資料の提出を求め、これによりまして適正な販売業務がなされておるかどうかというようなことも確認をしてまいりたいと思います。  それから、万一御指摘のような不適正な行為を行ったというふうなことがわかりました場合には、当該海外販売者との契約を当然これは解除してまいりたい、こんなふうなことを予防措置として考えております。
  87. 武部文

    ○武部(文)委員 そんなことがないにこしたことはありませんが、五番目の香港は、近いし、起こり得る可能性はないとは言えないと思うのですよ。そういう点については十分お考えいただきたい、こう思います。切手の問題は、これで結構です。私は賛成ですから、これ以上のことは申し上げるつもりはございません。  実は、一昨日、新聞に報道されました郵便事業現状とそれから今後の対策について、大変たくさんの記事が出ておりますので、これに関連をして質問をさせていただきます。  郵便料金の値上げは、十二年間一種、二種ともやっておりません。平成四年度決算が間もなく明らかになると思いますが、これの見通し、それから五年度の状況、簡単でいいですから、大体の傾向をどのように郵政省は見ておるのか、これをひとつ最初にお聞きしたいと思います。
  88. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 まず平成四年度でございますけれども先生お話しになりましたように、決算の取りまとめ中でございまして、そういう意味では確定的なことを申し上げられる段階ではございませんけれども、非常に厳しい状況でございます。  その内訳といたしまして、損益ということでございますので、一つの要素として収益、それからもう一つの要素といたしまして費用、これがあるわけでございますけれども、まず収益につきましては、最近の景気低迷の影響を受けまして、この郵便事業収益の大宗を占めます郵便業務収入の伸びが停滞をいたしております。私ども営業活動に懸命に努めてまいったところでございますけれども、速報値で申し上げますと、前年度に比べまして一・三%の増加にとどまっております。金額は一兆七千四百九十一億円でございます。一方、費用でございますけれども、私ども、そういった厳しい収入状況を見込んでおりましたので経費の節減に努めてきたところでございます。そういった点については現在取りまとめ中でございます。  平成五年度でございますけれども、五年度の見通しにつきましては、まだスタートした直後でございますが、そういう意味でまず予算から申し上げます。  当初予算につきましては、収益は二兆五百二十二億円、一方、費用でございますが二兆一千五百四十二億円ということでございますので、単年度一千二十億円の赤字というものを計上いたしております。  これについて、やはり収益の大宗を占めます郵便業務収入でございますけれども、先ほど平成四年度の速報値を申し上げましたが、一・三%どまりということですけれども平成五年度に入りまして四月、五月がもう過ぎたわけでございますけれども、その辺を見てみますと、やはり五年度におきましても景気の低迷によりまして依然として厳しい状況が続いているというような状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、営業施策の推進によりまして増収を図る、また経費の節減、こういった点についてもさらに一層努めてまいりたい、こんなふうに思っております。
  89. 武部文

    ○武部(文)委員 今の説明で四年度と五年度の傾向はわかりましたが、そういたしますと、平成五年度中に累積欠損金が政令で定める五%を超えるということは確実に起きるなということを私は感じますが、郵政省としてどう考えていますか。
  90. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先ほど平成四年度については決算の取りまとめ中ということを申し上げたわけでございますけれども、そういう意味で現在あります数字は予算でございまして、平成四年度の予算におきます赤字でございますけれども、これは四百三十億円でございます。それから平成五年度につきましては、単年度で一千二十億円の赤字ということを前提にいたしまして、そういう意味平成五年度末が累積でどうなるかということでございますが、累積欠損金を、これはあくまでも予算ベースでございますけれども、九百三十九億円ということを計上いたしております。  そこで、この平成五年度に収益の五%を上回るかどうかということでございますけれども、収益が予算上二兆五百二十二億円でございますので、その五%は一千二十六億円に相当するわけでございます。そうしますと、先ほど予算上で累積欠損金が九百三十九億円ということを申し上げたわけでございますけれども、予算の面から見ますと、これは政令で定めております五%は超えてはいないという状況でございます。ところが、平成四年度の損益の状況がどうかという点につきましては、これは四百三十億円、先ほどの予算に比べましてこの郵便の業務収入が対前年度比で一・三%増にとどまったというふうな厳しい情勢でございます。一方、もちろん経費節減に努めておりますので、費用の方が入りませんと損益をはっきりここで申し上げるという段階ではないわけでございますけれども、どうも赤字といたしましては予算上の四百三十億円を超えるというような見通してございます。  ただ、現在私どもは増収対策あるいは効率化に積極的に取り組んで経費の節減を図っているところでございまして、平成五年度中に累積欠損金が五%を超えるかどうかという点につきましては、あくまでも平成四年度の決算、それから今後の推移を見守るということになろうかと思います。
  91. 武部文

    ○武部(文)委員 非常に慎重な答弁をしておられますが、もう現実には間もなくあらわれてくるわけです。しかし、今の状況から見て効率化とか増収とかおっしゃるけれども、現実に郵便事業というものにそんな新しい奇策があるわけじゃないし、妙手があるわけじゃない。そういうことを考えますと、郵便事業は料金改定後十二年間非常に頑張ったけれども一つの限界に来たなということだけは言えると思うのです。  私は小包料金のときにも申し上げましたけれども、料金というのは安いにこしたことはない。日本の郵便事業の料金というのは世界の各国から見れば優等生です。これはもう具体的にきょうは申し上げません、かつて申し上げましたので。そういう面から見ると、安いにこしたことはないけれども、特別会計である郵便事業がこういう段階に来ておる。こういう状況ならば国民の皆さんも料金問題に郵政省は何がしかの手をつけても納得してくれるのではないだろうか、そういう気持ちがするわけです。ここまでよくも頑張ったな、後でまたいろいろ申し上げますが、そういう気がいたします。少なくとも郵便法二十七条の四と二十七条の五に基づいて、そういう規定があるわけですから、こういう段階に来ておる。  この現実を大臣としてはどういうふうに受けとめられておるか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  92. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 御指摘のとおり、確かに収支状況は厳しいものがあると思います。こういう状況のもとでできるだけ値上げを避けるような努力を合しているところでありまして、収入をどうやって確保するか、同時に経費の削減にどのように取り組むかこれに省を挙げて努力中であります。そして、平成四年度の決算は七月に出ますから、この決算を見ながら、なおかつこの五年度はどういうふうに推移していくか見きわめて検討していきたい、そういうふうに考えております。
  93. 武部文

    ○武部(文)委員 そこで、一昨日郵政省が発表された来年度のいわゆる新規採用その他の対策について申し上げてみたいと思います。  何かこれを見ますと、「来年度新規採用三千人削減」という見出しになっておりますが、退職者は平年度大体一万人、こういうことが続いておるようでありますが、三千人を特に「郵便事業を軸に大幅削減」という記事が載っておるのであります。  今までの十年間の郵便物数あるいは小包の増加の傾向を調べてみますと、十年間に郵便物は五〇%伸びております。百六十二億通が二百四十四億通にふえた。小包に至っては一億三千万個が実に四億二千万個、これは三二〇%、三倍に伸びておるのです。そういう中で定員はこの十年間にどのくらい伸びたか。たったの二千百九人という数字が出ておりますが、一・五%ですね。小包が三二〇%、郵便物は五〇%、それだけ伸びておるのに定員はたったの一・五%、二千百九人、こういう数字が明らかになっておるわけであります。  現場の郵便局の諸君が配達しておる姿を皆さんごらんになると思いますが、小包は容量が大きくなりました。重くなりました。一回に持って出られない。したがって二度往復するとか、そういうことを現実にやっておるわけです。そして一日の勤務時間に、途中で打ち切って、残ったものを持って帰らなければならぬ、こういうような事態が起きて、郵政省国民に公約した翌日配達制度というものは現実にもう崩れつつある。これが現実だと私は思っています。これは調べていただければわかることです。みんな努力をしてやっておるけれども、これだけ物数がふえた、小包がどんどんふえた、こういう状況だし、交通も渋滞するというようなことから特に都市における郵便配達はそういう事態になってきた、遅配が著しくなってきたということは事実のようです。そういう中で、退職が補充されないということは、これはさらにそういうものに拍車をかけることになる。私はそのことを大変心配しておる一人であります。  したがって、この郵便特別会計で何を考えるかといえば、効率化と営業の増収、こういうことに目が向くのは当然だと思います。しかしそれにも限界がある。特にこの郵便事業というのは人手に頼らなければならぬという、機械化がなかなか難しいという状況ですから。それでもなお何かをしなければならぬ。そこでいろいろなことをお考えになったのだが、私はこの新規採用三千人が「郵便事業を軸に大幅削減」ということはやめていただきたい。いろいろお考えがあるだろうけれどももっとほかのことを考えてみる必要があるのではないか。今の現場の第一線を見たときには郵政省考え方は少し本筋から外れておりはしないか、このように思うのです。いろいろお考えがあるだろうと思うのですけれども、ぜひ郵便の、特に郵便の集配の補充というのは、退職者の後補充は絶対にやってもらわなければ困る。そうでなければ、この物の伸びと定員の伸びと比べてみたときには、乖離しておって全然話にならぬのですよ。そういう点を特に要望しておきたい。この点が第一点であります。  それから第二点に、営業のことが載っておる。確かに営業も大事ですから、それによってふるさと小包等は一億三千万個が四億に伸びた、これは営業の成果だと私は思っておりますし、全国の郵便局がそれぞれ工夫を凝らして努力した結果だと思っております。しかし、そう新しくこっちから物を売って歩くわけじゃないのですから、そういう仕事と違ってこれは受け手の方ですから、なかなかそう簡単に物を売るような営業活動はできない。  こういう点を考えると、そのために何か郵政局の人事だあるいは財務だ、そういうところの人を半年間、一人が一カ月だか出かけていって、いろいろと営業活動についての指導をするというようなことがこの報道に載っておりますが、これも私は考え物だなという気を持っています。なぜならば、郵政局から現場の第一線の郵便局に行かれて、土地カンもなければいわゆる人間的なつながりもない人が一カ月間そこへ行って果たして何ができるだろうか。その気持ちもわからぬでもないけれども、そのことが果たして効果を上げるだろうか。こういう点に大変疑問を持つのです。それは、現場の諸君は何もやってないわけじゃない、いろいろ局長を先頭に努力をしておりますよ。そこへ郵政局から人が来られて一カ月おって、土地もわからぬようなところへ来て何ができるだろうかな、それよりも何かもっとほかのことを考える必要があるじゃないかなということを実はこれを見たときに考えました。  ですから、まだ日にちもあることですけれども、ひとつよく検討を加えて、現場の意見も聞いてもらって、そしていかにして現在の郵便特別会計の赤字の中で少しでも増収ができるかということを双方で検討していただきたいものだな、このように思うのでございます。頭から郵政局の人に、おまえあそこへ行って、どこどこの局に行ってやれ、一カ月間単身赴任でやってこいと。その気持ちは買いますけれども、それだけの成果が上がるかどうかについて私は疑問を持ちますので、ひとつ検討をしていただきたいなということを提言をしておきたいと思います。  なお、この収支の状況を見まして、一番ふえておるのはやはり集配運送費です。これが二倍。それから賃金が四倍にふえていますね。この二つが一千億を超える赤字になった要素です。これが一番大きな比重を占めておる。これはなかなか簡単に削減できない内容なんですよ。この集配運送費というのは、これは賃金も相当上がっていますが、この二倍というものをどんと半分にするとかというようなことはなかなか困難なことです。賃金だってとてもじゃないが、ほかのところと取り合いっこですから、賃金の高いところへみんな流れていくわけですから、低い賃金のところに、郵便局に来てくれる人はいないのですよ。いろいろ努力されて、団地ママとか、あるいは運送に全部請け負いさせるとか、そんなことをやっておられますけれども、この賃金を他に比べて低くするなんということは、とてもじゃないが今の段階ではできない、そのように思います。  こういうことを考えると、この一千二十億というものは、努力努力を重ねても今の段階ではここまで来たんだというふうな理解をする必要がある。何ものんべんだらりとやっておって赤字がどんどんふえたものじゃないのですから。それは郵務局でも十分御承知だと思いますけれども、その皆さんの気持ちは痛いほどわかるけれども、どうぞひとつこの問題については、私は今三千人の問題、それから千六百人ばかりの管理部門の方の現地への派遣、このことは再考される必要があるのじゃないだろうかな、このことを考えておりますので。別に答弁要りません。いずれまた何かの機会にいろいろ論議をしたいと思います。もう時間がございませんので、論議は、答弁は結構ですから。私はそのように思いますので、御検討をいただきたい。  大臣からも、いずれ決算のでき次第考えるということでございましたが、こういう郵政省の、特に郵便事業の長年にわたる経過、さらには外国の料金の値上げの状況我が国の料金との比較、そういうものを十分検討していただいて、郵便特別会計が健全な経営ができるように郵政局の格段の御努力を期待してやまないところでございます。  時間が参りましたので、私は最後に一つだけお伺いいたします。  この間ちょっと新聞を見ておりましたところが、現金書留を廃止せよというような意見があるということを聞きました、新聞に載っておるのです。これはどうしたことかと思いました。  現金書留というのをそれからちょっと調べてみましたら、明治四年に郵便事業が始まって、その年にこの現金書留が始まっておりますね。東京−横浜間で初めてやっておる。あのときから現金というものを封筒に入れて送ったという、これは私は知りませんでした。そうしたら明治十六年から全国の郵便局で取り扱うようになった。実は私の町の近郊で戦前に、現金書留を持って逓送の人が殺人に遭ったのですよ。そういうことがございまして、いまだによく覚えておりますが、調べてみたら、始まって半年後に横浜−東京間で二人殺されておりますね。そういうことがあったりして六連発のピストルを持たせたとか、いろいろなことがあるのですよ。現実にピストルを持って逓送人は現金書留を輸送しておった、こういう事実がありますね。  しかしこれは、現在私の承知しているところでは年間八千万から九千万通現金書留というのが利用されておる。これは特に山間僻地や離島、そういうところのお年寄りには大変喜ばれておるのですよ、現金がそのまま着くと。今だんだんふえて五十万円ですか、たしか限度五十万だというふうに聞きましたが、そこまで現金書留というのは金額もふえてきておりますね。それで、郵便局というもの、郵政省というものが信用されなければこういうものは制度は発達しないのですよ。日本だけじゃない、イギリスもやっておるのです、この現金書留制度は。  ですから、この制度を今廃止するなんということは私はおかしいと思うのですが、そんなことを考えているのですか。ちょっと新聞に載っておったから、最後にお尋ねしたいのです。
  94. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 今先生がるる現金書留制度の創設以来の沿革等について御指摘いただいたわけでございますけれども、最近の利用状況を申し上げますと、平成四年度の現金書留の利用通数は約七千万通でございまして、一般の書留郵便物の約半数を占めております。そういう意味では、その現金書留の社会的な意義というのは依然大きいというふうに考えております。したがいまして、このような現金書留につきましては、依然大きなお客様のニーズがあるということでございますので、現在それを廃止するというふうなことは考えておりません。
  95. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。  時間が来ましたので、終わります。
  96. 亀井久興

  97. 田並胤明

    ○田並委員 それでは私も、郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案、これに絞って質問をいたします。  一つ法案関係なんですが、もう何人かの皆さんから質問がありましたので、重複を避けて幾つかの点について質問をしたいと思います。  第一点は、四十年の歴史を持つ従来の通販方式に加えて、新たに今度は委託方式による海外販売を開始をする、それの理由と郵政省としてのメリット。それから、従来の通販は将来的にはどうするのか。廃止をするのか、それともこのままずっと続けていくのか。要するに、先ほどのお話ですと、当面はアメリカ、ドイツ、スイス、フランスですか、この四カ国で、各国一カ所ということで始めて、将来的にはまたさらにそれを拡大をするというような計画もあるようですから、それらとの兼ね合いでどのようにお考えなのか、第一点お聞きをしたい。  それから二つ目は、まとめて聞きますが、今申し上げましたように、当面、郵便切手類等を海外販売をする国は四カ国、このようになっているようです。現在、逆に言えば三十四の国が日本切手類を販売をしている、先ほどの答弁はそうでございましたが、我が国も年次計画でそのような方向に拡大をするのかどうか、これを二つ目として聞きます。  それから三つ目は、海外販売者にはどういう方法で切手類を売り渡すのか。というのは、信用の問題もあるでしょうから、買い取り方式なのか、それとも後払いなのか、これについてひとつお聞かせを願いたいと思います。特に海外販売者につきましては、これは信用が大変重要でありますから、トラブルの起きないように十分配慮していると思いますが、その辺の取り扱いをどうするのか、聞かせていただきたいと思います。
  98. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 まず、今回、海外におきます切手の委託販売を、四十年の通信販売実績があるにもかかわらず新たに開始するという背景、あるいは郵政省としてのメリットという御質問でございますけれども、現在の通信販売東京中央郵便局一局で行っておりまして、一方、海外需要家の方々にとりましては郵送料がかかるとか、それから、申し込んでから入手するまでの時間がかかるというふうな、そういう意味では御不便をおかけしておるというようなことから、ぜひ郵送料を負担せずに購入したい、あるいは自国の中で販売店で手軽に購入したいというふうな要望が出ております。  私どもといたしましては、そういった通信販売の、言ってみますと制約といいましょうか、そういったものをできるだけ改善したいというふうに思いまして、今回、海外における委託販売を開始したいということでございます。  そこで、通信販売と今回の委託販売の性格的な違いでございますけれども通信販売によりますと、どうしても限定的でしかも受動的な販売にとどまらざるを得ないというふうに思います。ところが、海外における委託販売ということをやりますと、委託者みずからが積極的に販売を拡張しようという営業活動を展開してもらうということを期待しておりますので、そういう意味では、積極的な営業活動の結果、収入の増加も今までの通信販売に比べてかなり大幅に図られるのではないかというふうに思います。これにつきましては、実は海外販売実績を持たれておる業者の方々あたりから聞き取りの調査をやっておりますけれども、今までの通信販売に比べまして六割ぐらいはふえていくのではないか、そういった予想が出されておりますので、そういったことが私どもにとりましては大きなメリットになるのではないかというふうに思っております。  それでは、今度は海外販売をやったときに、従来の通信販売との関係をどうするのだということでございますけれども、あくまでもまだ四カ国からスタートいたしますので、そのほかのところは一挙に海外委託方式がとれないというふうなこともありますので、通信販売はやはりそのまま残していく必要があるのではないかというふうに思っております。また、諸外国の例を見ましても、この通信販売海外委託販売というのは並行的になされておるというふうなこともございますので、私どもも、通信販売それから委託販売両方を今後とも推進していきたい、こんなふうに思っております。  それから、並行してやるわけでございますけれども、手数料の支払い方法につきましては、買い取り額に対して二五%という形で払ってまいりたい、こんなふうに思っております。
  99. 田並胤明

    ○田並委員 はい、わかりました。  いずれにしても、買い取りで切手をお渡しして手数料を払うという方式ですから心配ないと思いますが、ぜひひとつ、先ほどの質問にもありましたように、順調にいけば、なるべく海外日本切手を集めたいという方の需要にこたえられるように、ひとつ海外販売所の拡大の方向で一層の努力をしていただきたい、このように考えます。  以上で法案関係は終わらしていただきまして、次に、郵便事業における機械化、情報化について何点か聞かしていただきます。  これまで、郵政省としては、料金値上げにも後ほど関連するのですが、物増は、平均的に大変な努力で物数が年々伸びてくる、それに対して定員の方は余り伸びない、しかし、運送費であるとかあるいは賃金であるとかあるいは効率化であるとかこういう面でかなりのカバーをして営業努力をされてきたわけでありますが、今日までの郵便事業における機械化、情報化の実施状況と今後の方針について、まず第一点、聞かしてください。
  100. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 まず、郵便事業における情報機械化の現状でございますけれども先生御承知のように郵便事業は人力依存度の非常に高い事業でございまして、人件費の高騰あるいは労働力の確保の困難性、そういった要員事情の厳しい状況にございまして、私どもにとりましては機械化、省力化ということが最も重要な課題だというふうに認識をいたしております。したがいまして、昭和四十三年の郵便番号制導入以来、郵便番号自動読取区分機の配備を中心といたしまして、機械化を積極的に推進してまいりました。  その機械の配備状況でございますけれども一つは、主な局内作業の郵便処理機械の配備でございます。それからもう一つは、郵便窓口事務の機械化のための機械の配備というふうなジャンルになると思いますけれども、局内作業の機械の配備につきましては、ポストからの郵便物を取りそろえ押印いたします郵便物自動選別取りそろえ押印機、こういったものを配備してまいりました。それから、郵便番号を読み取りまして区分をする郵便番号自動読取区分機、それから、配達局におきましてあて名を読み取って区分を行います郵便物あて名自動読取区分機、こういったところを中心にして機械化を推進してまいっております。  それから、もう一点の窓口関係の機械化につきましては、郵便窓口端末機でございますとか郵便切手はがき発売機、こういった、これは単能機でございますけれども、そういったものを配備してまいっております。  それで、この機械化にさらにいわゆる情報化といいましょうか、そういったものを私ども、あわせて推進をしていこうというふうに思っておりまして、情報化についても、現状を申し上げますと、現在、小包追跡システム、それから書留情報システム、大口引き受け情報システム、国際分野で国際エクスプレスメール追跡システム、こういったものを推進をしてまいっております。  そこで、そういった機械化あるいは情報化の今後でございますけれども、まず機械化につきましては、これらの機械の配備の拡大、それから性能の向上に、当然でございますけれども努める以外に、従来、機械化が困難視されておりました配達郵便局における局内作業の一層の機械化、こういったものに向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。  それから、情報化につきましても、郵便業務の管理システムの構築を初めといたしまして、配達総合情報システムの開発でございますとかあるいは不在持ち戻り郵便物の保管システムの開発といったような各種の情報システム、これの展開をやってまいりたい、こういったふうに考えております。
  101. 田並胤明

    ○田並委員 これまでの機械化、情報化に対する積極的な取り組みと、それから今後の方針はわかったのですが、ついこの間、それぞれの新聞に新しい郵便番号制度、新郵便番号制度というのでしょうか、これを導入するという方向での郵便処理システムの情報機械化に関する調査研究会、郵務局長の私的諮問機関としての調査研究会の報告が二十一日にまとまったというような記事が出ておりまして、これを見ると、今度新しく一九九六年から町名まで記号化をして最大人文字にする、こういうような記事が出ておりました。  具体的な内容については新聞で知るのみでございますが、お聞きをしたいのは、この郵便処理システムの情報機械化に関する調査研究会、これを設置した目的と報告内容の概要、これをお知らせ願いたい。
  102. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 まず、郵便処理システムの情報機械化に関する調査研究会を設置をした目的でございますが、私ども、別の調査研究会において検討をしていただいたデータによりますと、今後、二十一世紀初頭には郵便物数が三百億通になるという予想になっております。一方、中長期的に見ますと、若年労働者層の減少、それから労働時間の短縮といったようなことから、労働力を確保することが非常に困難だということでございます。こういった状況のもとで、郵便事業が今後とも引き続いて安定をした郵便サービスを継続的に提供していくためには、現在主として早期の手作業で行われておる配達局におきます局内作業の機械化を避けることができないということから、先ほどの調査研究会を開催し、検討をしていただいたところでございます。この調査研究会は昨年五月から約一年間、専門家、有識者から成る調査研究会として開催をし、それがこのほど報告書として提出をされたということでございます。  そこで、次に報告書の内容でございますけれども、配達区分から道順組み立てまでの機械化を可能といたしますためには、住所の細部までのコード化が必要だという提言になっております。そこで、コード化の内容でございますが、具体的には、利用者の方々に住所の部分をコード化して書いていただきます部分と、それから、それを機械処理を可能にするためのシステムということになっております。その一つの基本的な方向性について調査検討をしていただいたものを援言していただいたということでございます。  そこで、この具体的な提言の内容に少し触れますけれども二つのコードというものが提言されておりますけれども一つは、従来の郵便番号に三けたのコードを追加するという部分でございます。この三けたの部分がローマ字、数字の組み合わせによるという部分でございます。もう一つの機械コードという点につきましては、非常に一般化しておりをすけれども、バーコードによって機械処理することが処理の方法としては最適ではないかそういう提言になっております。なお、こういった機械コードあるいは利用者コードを付して機械化をやりますと、この導入による経済効果といたしましても、従来の手作業だけでやるコストに比べまして約二七%ぐらいは軽減できるというふうな試算結果の報告になっております。  したがいまして、私どもといたしましては、こういった報告を参考にいたしまして、まだこの報告はあくまでも報告書の段階でございますので、今後、残された種々の検討項目もございますので、そういったものを積極的に検討してまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
  103. 田並胤明

    ○田並委員 そこで、新しい郵便番号制の問題で若干意見やら質問をしたいのですが、今度の新郵便番号制でいきますと、従来三けたから万けた、それが今度は万けたから八けたですか、そこまで書くわけですね。そのほかに、例えば私なら私のうちが四の八の十七、最後の番号は決まっているわけです。そこまで書きますと住所は一切書かなくていい。田並なら田並胤明、これだけ書けば届いてしまう。  確かにこれは非常に合理的でよろしいのですが、例えば信書の場合、私などはよく手紙を書くときに、あて先を書く場合、郵便番号がありますから何々県までは入れませんが、何々市あるいは何々町から始まりますが、その場所を思い浮かべながら書くという一つの楽しみがあるのですね、それが手紙文化というのか何かわからぬけれども。要するに、例えば広告印刷物だとか広告郵便物、あるいは業務用の郵便物、特定の決まったお客さんに郵便を出す場合、会社関係とか業務用の郵便物などの場合は全部数字であとは名前だけ、これの方が非常にいいかもしれないけれども、個人から個人に出す信書などの場合は非常に寂しい感じがするのですね。  機械化されてしまって、何か非常に心の問題として少しひっかかるような気がするのですが、これはもちろん郵政省としては、これからだんだん物がふえる、それに対応する要員の人件費なども相当効率化をしなければいけない、節約もしなければいけない等々のこともあって、郵便料金を値上げしないで、しかも多くの郵便物をさばくためにはどうしても御協力をいただかなければならない。この趣旨はわかりますが、例えば年をとればとるほどやはり何々県から書いて、その友達の顔を思い浮かべながら手紙を書いたりあて先を書く、こういうのもあるわけですから、ぜひこの三年間に、具体的に実際に国民の皆さんが協力をしてくれなければこれはちっとも進まないわけですので、その辺の配慮もしていただきたいと思います。  例えば、これを書かなければ——まして今度はアルファベットも入れるわけですね。失礼だけれども、アルファベットのわからない人がいるかもしれないし、そんなことは強制をするのではなくて、ぜひ御協力を願うということで、ペナルティーなどを科さないように、なるべく多くの人に御協力を願うという基本方針で対応すべきだ、このように考えますので、やるときにはぜひその辺も十分配慮をしてやっていく必要があるだろう、このように思いますので、考えを聞かせてください。
  104. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先ほど報告書の概要を申し上げましたけれども、報告書によりまして、利用者コードを記載していただく、その協力を要請する部分については十分考えた普及方策を考える必要があるのではないかという提言になっておりまして、その普及の一つの方策として、利用者の方々の負担を軽減するために住所の記載省略ということが提言の内容に盛り込まれております。  ところが、今先生からるる手紙文化というふうな点について配慮をする必要があるのではないかという御指摘をいただいたわけでございますけれども、提言の中におきましても、その省略方法について三つの案を例示をしていただいておりまして、それが強制にわならないように配慮をすべきだというふうに指摘をしていただいております。  そこで、三案を申し上げますと、町名以下を省略して市町村を残す場合、それから何丁目何番何号といったものあるいは番地の住所表示だけを省略するといったような場合、それから一番極端な場合がすべての住所の記載を省略するといったような場合、こういう三つが例示として提言の中に盛り込まれております。私どもといたしましても、提言の中にも配慮すべきという意見が盛り込まれておりますけれども、その辺については十分配慮しながら推進をしていく必要があるのではないかというふうに思います。  それから、このコード化の中身で、先ほどローマ字と数字の組み合わせで、ローマ字についても考える必要があるのではないかという御指摘でございますけれども、報告書の提言そのものの中にも、やはり老人の方々だとかローマ字に対するアレルギーといいましょうか、そういった要素もあるのではないか、したがって、そういった部分についても十分配慮をした普及方策を考えていく必要があるのではないかという提言になっておりまして、私ども、そういったことを今後とも検討の中で十分詰めてまいりたいと思っております。
  105. 田並胤明

    ○田並委員 そういう意味では、この新しい郵便番号制というのは郵政省にとっても重要ですし、また、郵政省にとって大事だということは、先ほども言いましたように、物増に対してなるべく低廉な料金で利用者の皆さんに郵便を利用していただくという目的もあるわけですから、それがひいては利用者のためにもなるのだということになるのでしょうけれども、先ほど申し上げましたように、郵政省にとってもプラスになるし利用者にとってもプラスになるという意味で、手紙の文化という面からの配慮も、今局長お話しになりましたように実際に施行する段階では相当配慮したものにしてほしい、このことを要望として申し上げておきたいと思います。  続いて、郵便関係職員の労働時間短縮の問題について幾つかお伺いをさせてもらいます。  本年の三月二十一日から郵便関係職員の完全週休二日制の実施に伴いまして新夜勤という制度が導入をされました。新しい勤務体制が導入をされたわけですが、いろいろ最初の段階では少しぎくしゃくした面があったようですが、現在、郵便局段階で何かそういう問題は生じていないのかどうか、スムーズに実施をされているのかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
  106. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 郵便関係の職員に対します完全週休二日制につきましては、ことしの三月二十一日から新しい勤務システムのもとに実施をしてまいったわけでございますけれども、おかげさまでこれは円滑に実施に踏み切ることができたというふうに思っております。新しいこの勤務システムの導入によりまして、職員の方から非常に強い要望のございました非番日の暦日付与、要するに非番日が今までは必ずしも丸々一日休めなかったというふうな実態がございましたが、そういう意味では、職員からそれを暦日一日非番日がとれるようにしてほしいという要望があったわけでございますけれども、今回の措置によりましてこれが実現できだというのが一つございます。  それから、夜間の業務量、これをなだらかにするといいますか平準化、これをやりまして、深夜帯の勤務回数も減少をいたしております。今までは四週間に平均七回ぐらいあったわけでございますけれども、これが五回以内というふうな回数になっております。そういう意味では、夜間の労働は非常に厳しいわけでございますけれども、それが少なくなったというようなことも、これは職員にとっては評価をされる内容でございます。  ただし、一部の職員の方からは、従来の十六勤という、非常に拘束時間の長い勤務でございますけれども、この十六勤に比べて夜間労働が厳しくなったというふうな声があったことは確かに事実でございますけれども、徐々にそういった声もなくなってきておりまして、総体としては特別に問題はないというふうに聞いております。
  107. 田並胤明

    ○田並委員 ぜひこれは、とにかく夜皆さん寝ているところで仕事をするわけですから、そういう意味でもストレスの問題やらいろいろあると思うんですね。ですから、十分その辺も配慮してもらうと同時に、今局長から話がありましたように、新夜勤というのは、深夜帯における勤務と勤務の間、時間があくときがあるんですね。この辺の時間帯の、いわゆる深夜帯に設けられている勤務と勤務の間の時間には次の勤務に備えての休養という意味もあるので、この休養をとるための施設というのは十分かどうか。別に現場の方からこうやってくれ、ああやってくれという意見じゃなくて、一般的に特段施設確保状況については問題ないのかどうか、それをお聞かせを願いたいと思います。
  108. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先ほど説明をさしていただきましたように、従来非常に拘束時間の長い十六勤という勤務形態で作業をやってまいったわけでございますれども、今回はその十六勤を改定をいたしまして、私ども新しい新夜勤と言っておりますれども、ニュー夜勤、こうなりますと勤務と勤務の間が従来に比べまして一時間ばかり圧縮をされるという形態になっております。そこで、勤務と勤務の間におきましてどういった形で職員が休養をとるかという点について、非常に職員あるいは労働組合の方からも強い関心といいましょうか、要望が出されたわけでございます。  そこの部分が、私どもといたしましても、一番今回の完全週休二日制を導入できるかどうかということのキーポイントというふうに考えたところでございまして、できるだけ、私どもといたしましても職員のそういう要望にこたえていきたいということから、職員が休養をとれるような、あるいは横臥できるような施設につきましては十分配慮をする必要があるというふうに考えたところでございます。そこで、新しいシステムの実施以前に十六勤者用といたしまして用意をいたしておりました宿直室がありますれども、そういったものをさらに改善をいたしまして職員の休養の施設に供するということを考えまして、現在そういった体制をとっております。  具体的に申し上げますと、従来の十六勤を実施しておりました郵便局は三百二十一局ございました。それが今度の新しいいわゆるニュー夜勤という形で実施をする郵便局が三百十六局になっております。そういう意味では、この十六勤を実施をしてまいりました職員の宿直室といったようなものがすべて有効に新しい新夜勤に適応できるといったような実態にございまして、これももう少し具体的に申し上げますと、例えば地域区分局の例でございますけれども、川崎中央郵便局あたりになりますと、十六勤では二十七人の勤務者がおりましたけれども、新しい新夜勤の勤務者は十九名というふうな形で人数は減っておるというふうなことから、ベッド数なんかも十分従来のベッド数が活用できるといったようなことでございます。それから、一般局におきましても、勤務者がやはり新夜勤になりまして人数が少なくなっておりますので、ベッド数あるいは面積等についても十分対応できるというふうな実態でございます。そういったふうに、勤務と勤務の時間帯で職員にとっても十分休養がとれる体制は私どもとしても今後とも配慮をしてまいりたいというふうに思いますが、とりあえずはそういった形で確保されているということでございます。
  109. 田並胤明

    ○田並委員 局長の説明でよくわかりました。先ほども言いましたように、新夜勤で、普通の人は寝ている時間に仕事をやっておるわけでございますから、ぜひこのような環境整備であるとか労働条件の確保については特段の御配慮を要望しておきます。  これはもう質問じゃなくて、時間がないですから私の方からお願いだけ申し上げますが、郵便事業の方の週休二日制が実施をされたことに伴いまして郵政三事業の時短の足並みがそろったと思うのです。ついこの間の、二、三日前の労働委員会でも年間千八百労働時間、これの推進が盛られた法案が通りました。郵政省もらち外ではございませんで、ぜひ郵政職員の年間千八百時間に向けて全力を挙げて努力をしていただきたい。聞くところによりますと、もう既に本省なり郵政局の中に千八百時間展望業務改革推進委員会だとかあるいは労使間においても千八百時間の展望労使委員会、これを設置をして積極的な意見交換を行い、また実施のための検討を開始をする、こういう話を聞いておりますので、ぜひほかの模範になるような格好で、郵政省もこの千八百時間に向けて早急な取り組みを求めておきたいと思います。  以上で私の時間終わりましたので、終わります。
  110. 亀井久興

    亀井委員長 石田祝稔君。
  111. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 まず、法案質問さしていただきます前に、若干お礼がたがた、またお願いをさしていただきたいと思います。  実は私の選挙区の高知県で今回簡保事業団の御好意によりまして、簡保事業団が持っております診療船、これを島の方に回していただける、こういうことで地元でも非常に喜んでおります。委員長、お許しをいただいてちょっと大臣記事をお見せしたいのですが、よろしいですか。
  112. 亀井久興

    亀井委員長 どうぞ。
  113. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 簡保の審議のときにわかっておればもっと言ったのですれども、残念ながら記事が遅かったものですから。  ここは私も選挙のときに回りまして、たくさんお年寄りの方もいらっしゃいますが、船着き場等も小さくてなかなか、診療のバスというんでしょうか、ああいうものも入れないようなところで、今回初めて回していただけるということで非常に喜んでおりますのでできればまた今後もそういうふうな御好意をいただければありがたいな、お礼がたがたまず最初にお願いを申し上げておきたいと思います。こういう船があるということを私も勉強不足で全然知りませんでしたけれども、簡保事業団も非常にいいことをやっておるな、こういうことを改めて感じました。まずそういうことを述べさせていただきまして、質問に移らせていただきます。  まず、郵便切手販売改正案についてお伺いをしたいのです。  いろいろと午前中にも御質問あったと思いますので、できるだけ重複を避けたいと思うのですが、定価相当価格の算定方法というのは具体的にどういう形でやられるのかなというふうに思います。日本円で定価がついておりますし、今回みたいに急激な円高のときには、買う方からすれば、例えばアメリカの場合、今まで五十セントで買えておったものが六十セントになるとかこういうふうになると思うのですが、この定価相当価格の算定方法をどういうふうにするのか、これは具体的にどうなっておるのですか。
  114. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 切手の定価相当額でございますけれども販売者ごとに郵政大臣の承認を受けました算定方法によって算定するというものでございます。  そこで、この定価相当額の算定方法でございますけれども、管理費等の諸経費、こういった要素を全く加味することなく、外国為替相場の要素だけを考慮して郵政大臣が承認するということにいたしております。具体的に申し上げますと、まず、郵便切手等の海外販売者になろうとする者の申し込みに当たりまして、定価相当価格の算定方法を郵政大臣に申請していただきます。そして、郵政大臣が定価相当価格の算定をする方法として是認できるという場合にその方法を承認するということにいたしております。  例えて申し上げますと次のような方法が考えられるわけでございます。為替相場の前週の終わり値といったようなものを用いて換算する方法、それから、前の月の平均値、そういったものに基づいて換算するというふうなことでございます。それを先ほど言いましたように郵政大臣に申請していただきまして、それを郵政大臣が承認するということでございます。
  115. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これはよくわかりますが、例えば今回みたいに急激な円高になりますと、やはり海外事業者の方も非常に困るのじゃないかと思います。また円安になったら向こうももうけるということはもちろんあるかもしれませんけれども、これは具体的に、本当に数字だけでやったら、もう毎回毎回値段が変わりますよ。そうすると、例えば日本切手で六十二と書かれておるものが今週は五十セントだった、その次は五十五セントだった、こういう形になるわけですよね。  そこのところ、例えばある一定の枠の中で調整をするとかターゲットゾーンじゃないのですけれども、上限下限というのをある程度決めるというようなことも考えられないかな。これはきのう質問通告のときには特に申し上げませんでしたけれども、こういう形でもう円高が急激に進んでいくと、同じ額面の金額の切手を買うのに何でこんなに上がったり下がったりするのだろう、やはりこういうふうなことにもなるのじゃないかという気がするのですね。こういうあたりは何かお考えになっておりますか。
  116. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 私どもが業者の方を選定する場合に、まず実績のある業者の方から選んでまいりたいということを現在考えております。その実績のある業者の方々はもう既に、日本も含めまして諸外国でこういった切手販売実績がございまして、そこで用いられている方式が恐らく郵政大臣の申請に当たりましては出てまいるというふうに思います。したがいまして、そういう意味では、その方法が業者によって区々になるといいますか、違った方式になろうかと思いますけれども、しかし業者としては、日本でやる方法と例えばアメリカだとかイギリスだとか、そのほかの国でやる方法が統一された方法としてとられるということでございまして、その場合に、為替レートが変わることをどのような形で緩和するかという点につきましてはなかなかいい如意がないのではないかというふうに思います。  しかし、一定の期間をとってみますと、これは先生も先ほど申されましたように、上がる局面もあればあるいは下がる局面もあるということで、今まで実績のある業者の方にとっては、トータルとしてはバランスをしていくといいましょうか、収れんをするということになるのではないかというふうに思っております。
  117. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それと、私、今御答弁を聞いておって思ったのですが、例えばアメリカの方がドルで買う場合、ドル高のときに買っておいてドルが安くなったときに、こういうレートですよ、こういうレートで買ってきたからこの値段で売りますよと。これは例えばアメリカで販売する場合、切手を買うアメリカの人はわからないわけですね。結局、六十二円切手だと、六十二という数字はずっと同じだけれども、レートだけでやられると、そのときどきで買うわけですから、安いとき買っておいて高いときに売る、これは日本でこの値段で買ってきたのだと言われれば、それは買う人は、いつの発行時点で、いつのレートでこういう計算ですよというのはわからないでしょう。これはあるのじゃないですか。私は、今局長の御答弁聞いておりまして、そういうふうな問題も出てくるのではないか。  そうすると、それはある意味でいえば日本切手に対する信用ということにもかかわってくるのではないか、そういうことがあるのではないか。これは危惧ですね、本当にそういうことはないかもしれませんけれども、新しくそういうことを始めるに当たって、そういうこともお考えになられてこういう算定方法というのを考えておられたのかどうか、その点だけちょっとお伺いします。
  118. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 あくまでも切手を売り出します場合の換算レートというものが適正かどうかということを、私どもといたしましては申請に際してチェックしてまいりたいというふうに思っております。したがいまして、それを、一度買われたものがどういった形になるかということは多少乖離が出てくる局面があるわけでございますけれども、あくまでも私どもとしては、切手を業者の方から買っていただくときのレートということでございますので、その後乖離が出るというふうな点につきましては、同一業者については心配する必要はないのではなかろうかというふうに思っております。
  119. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私、御答弁ちょっと理解できないのですが、普通、商品そのものに値段がついておる商品というのはないのですね。正札というのをつけて値段をつけて売りますから、この商品がいつ幾らで買ったというのはわからないのですよ。切手というのは御存じのようにそのものに値段がついているわけですね、もう最初から入った形で書かれている。ですから、レートによって高いとき、安いときがあって、安いときに買って高いときに売りますよ、こういう形になりはしないかな。これは買う方の立場に立ってですよ。同一業者の中での問題ではなくて、あくまで海外販売業者から直接買われる切手の趣味の方、そういう方に、日本切手は何かいつも値段が変わるな、こういう変な不信感が出はしないのかな、私はそういう心配をしているのです。  この点は、ちょっと御答弁を聞いていて、そういう問題も明確にしておかないと、せっかくいい考えで、海外でも日本切手を知っていただこう、買っていただこう、こういう試みが、逆に値段の面から不信になりはしないか、こう思いますけれども、この点はどうでしょう。
  120. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先ほど舌足らずな説明を申し上げましたけれども、同一の切手につきましては、あくまでも発売をしたときに売り出す価格を一定の換算レートで買っていただくわけですので、それについての二重の価格は出てまいらないというふうに思います。何回も、一回買ってまた次に買うというふうな、そういう形にはならないで、あくまでも売り出したときの価格を為替レートで換算をしていただくということでございますので、ここは一つの価格に固定されるというふうに思います。  なお、この為替レートで換算をするというのは、確かに業者にとりまして、あるいは買う方にとりましても、同じ六十二円の切手でありながら、Aという切手についての価格とBという切手の価格がそのときのレートによって違いますから、そういう意味では同じ価格がついておっても上下するということはございますが、これは切手海外販売についての諸外国がやっておるやり方を私どもとしても導入をしてやっていこうというふうに思っておりますので、実態としては、これは定着をしたやり方だというふうに思っておるわけでございます。
  121. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これはこれ以上申し上げませんけれども、杞憂であれば幸いですけれども、そういう問題が起こりはしないか。一年間にたくさん切手を出されておりますので、もう毎月毎月値段が違うと、同じ六十二という日本の値段の入ったのが何でこんなに違うのか、また、全く同じ同一切手でも、販売の時期によって、いやこれは高く買ったんだ、安く買ったんだということで値段をつけられる心配があるのじゃないか。そのあたりを私は若干気になったものですから、御質問を申し上げました。そういうことも織り込み済みである、そういうこともまるっきり心配ないのだ、そういうことであれば、私はそれはそれで結構だと思います。  それから、この問題は、本当は大蔵省にもおいでいただかなければならないかと思いますが、消費税の取り扱いですね。六十二円切手というのがあります。いろいろな切手がありますけれども、一番代表的なので六十二円切手。これは、私の承知しているのは、六十円が郵便を運んでいただく役務に対する値段と、二円が消費税の分だ。ですから、平成元年の消費税が導入されたときに六十二円になった、はがきは四十一円になった、そういうふうに思います。  通常我々も海外へ行って、例えばお土産を買います。そのときに、向こうは、フランスなんかは付加価値税がついているわけですから、これだけ税金を払いましたよと全部計算書をもらって、しかし私はフランス人ではない、ですから、最後に出国するときにその計算書とパスポートとか書類をそろえて税金を返してもらう、こういう形になっていると思うのですよ。  ですから、日本の消費税も、これは国内法ですから外国の者に適用されない。こういう、海外最初から売るというふうに想定をされているものに対して六十二円で売っていいのかな、二円分の消費税はするとどこへ行ってしまうのだろう、こういうことも思ったわけですね。これは、具体的にそこのあたりは全然問題なくて、郵政省のポケットに入るものでもない、明確に、的確に処理をされるのだ、こういうことですか。
  122. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 確かに、切手に六十二円とかあるいは四十一円という、消費税が導入されたときに額面が変更になったわけでございますけれども、原則を申し上げますと、郵便切手につきましては消費税法上は非課税ということが基本でございます。  では、なぜ六十二円とかあるいは四十一円なんだということでございますが、郵便料金そのものは、郵便の役務の提供の対価ということで利用者から郵政省に支払われる料金でございますので、これには消費税が当然含まれるということになっております。一方、郵便切手につきましては、額面相当額分の郵便の役務の提供を受けられる機能を持つ郵便料金の納付手段、非常に複雑な表現をいたしましたけれども、あくまでも切手は税金が入っているものではなくて、切手そのものではなくて切手を利用されたときに、役務の提供の対価として使われたときに消費税が納付される、そういう考え方でございますので、例えば六十二円の切手をお買いになりましても、それが即使われない場合は消費税を納入したという形にはならないわけでございます。  この基本的な考え方は、海外の場合と国内の場合は全く区別がございませんので、切手そのものは、これはあくまでも非課税ということでございまして、端数がついておる切手でございましても、これはそのままを、先ほど言いましたように定価相当額としてお買いいただくということになるわけでございます。
  123. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それはちょっと違うと思いますね。いわゆる消費税導入のときに、役務にも、サービスというものにも消費税はかけるのだ、そういうときに、いわゆる役務の対価としての六十円と、その役務の対価にも消費税がかかる、そういうことで、使用するときに一枚で済むように六十二にしているだけなんですよ。その六十二円にさらに税金をかけたら、消費税に消費税をかけることになるので、六十二ということにしておいて、それで売るときには消費税をかけない。これは消費税が最初から入っているからなんです。  ですから、それに三%をかけたら消費税に消費税をかけることになりますから、これはひょっとしたら大臣の方がお詳しいかもしれませんけれども、そういうことですから、これは最初から海外で売るということであれば、日本の国内法である消費税の体系から外れる話ですから、私は、本来これは六十二ということじゃなくて六十で売るべきではないのか。  これはまたいろいろな問題があります。それがUターンして日本に入ってきて使われたら困るじゃないかという話ももちろん出ますけれども、それはまた別の問題でありますので、海外販売するという前提に立つ改正案でしたら、そこの消費税のところの取り扱い、どういう形にするのか、これは明確にしておく必要があると私は思います。  ですから、現在も実は六十二円で売っているということは、二円分最初郵政省がもらっているということなんですね。それを切手が張られるまで二円分は預かっていて、そして張られたときに六十円は郵政省がもらう、そして二円分は大蔵省へ入る。ですから、使われるまでのタイムラグというのは、いわゆる郵政省の中でとどまっているわけですね。それが海外へ売るのですから、永久に使われないという前提でこれは売られると思うのです。そうすると、その消費税というのが、本来消費税法が適用されない海外の人が日本の消費税を負担した形になっている。そして、なおかつそれは日本の中で郵政の収入になって大蔵にも行かない、こういうふうな仕組みになっておるのじゃないですか。
  124. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 消費税の問題でございますけれども、あくまでも消費税法上は切手販売については非課税ということになっておりまして、これは切手の額面には直接は関係ないということでございます。あくまでも便宜といたしまして、確かに郵便の役務の対価として切手を張っていただくわけですから、そのときに、六十円の役務に対して三%の消費税分を込みで払う場合は六十二円になるということが想定されますので、その便宜のためにあらかじめ六十二円の切手を発行してあるということでございまして、あくまでも切手そのものを買っていただくのは非課税ということでございます。  繰り返しになりますけれども、この非課税の扱いは、国内、海外全く違わないということでございます。
  125. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 この問題はちょっと理解が違うようですから、きょう大蔵省に来ていただこうと思ったのですが、明確な御答弁がいただけるということだったので来ていただかなかったのですが、ちょっとそこのところを整理されていた方がいいのじゃないでしょうか。  ですから、さっき私が言いましたように、なぜ切手にかからないかというと、それは最初から消費税が入っているからなんですよ。消費税の入っているのにまた消費税をかけたら、これは税金に税金をかけるという非常に変な話になるので、また、本来だったら張るときに役務の対価として六十円切手を張って、それプラス二円の消費税分を張ってもいいわけです。六十円足す二円の切手でいいわけです。それを手間を省くために話し合いで六十二円切手ということで販売をして、そしてそれが使われたときに役務の対価としての消費税が発生をするので、それは使われたときに大蔵省の方に入れてくださいよ、消費税として二円分いただきますよ、こういうくくりなんですよね。ですから、六十二円がもともと最初からの役務の対価の値段じゃないんですよ。役務の対価は六十円、それの消費税が二円。ですから、最初から消費税が入っているから、売るときにそれに消費税をかけたら、消費税に消費税をかけるというばかな話になってしまいますから、それはやらないという話だけであって、ですから、これはあくまで国内での税体系の枠の中にいる人の話であると私は思うのです。  ですから、最初から海外だとかというふうに国内を想定しでないような販売の場合には、この税体系から外れた売り方になるんじゃないですか、こういうふうに私は申し上げております。
  126. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 同じような回答になるわけでございますけれども、消費税法の六条に「国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。」という規定になっておりまして、その別表の中で「次に掲げる役務の提供」というものがございまして、国、地方団体等が「法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供で、その手数料、特許料、申立料その他の料金の徴収が法令に基づくもの」という規定がございまして、それに郵便切手は該当するということでございますので、切手そのものの販売はあくまでも非課税で、それを、切手を張って郵便として出されたものをサービスとして役務を受けるという段階でこれが消費税の対象になる、あくまでも郵便サービスがこの消費税の対象になるということでございますので、切手そのものの販売というのは、原則的には、原則的にといいますか、これはもう非課税、そういうことでございます。
  127. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ちょっと時間もなくなりますので、これはぜひ一回詰めて、明確な形で払いただきたいと思います。ちょっと答弁ではどうも納得できません。  これは六十二円ではなくて、六十足す二という書き方が正式な書き方だと思います、六十二円と書いているのは。六十足す二と書くのが私は正しい書き方だと思います。これをやっておったら時間がなくなりますので、これはぜひまた明確にお知らせいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。ちょっと今の答弁では納得が——大臣が何かおっしゃりたいようです。
  128. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 なかなか技術的にはややこしいことだと思うのですが、私も記憶ですけれども、たしか六十円の三%で一円八十銭、四十円の三%で一円二十銭。六十円のものは六十二円にする、一円八十銭。四十円のは一円二十銭にしないで一円にする、四十一円だ、そういうので、内税的な考えてこの切手をやったと思うのです。ですから、その点、今よく調べさせて、納得いくように後ほど担当者から説明させますので、この場では疑問点としてちょっと残しておいていただければと思います。
  129. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 では、そういうことにしたいと思います。  最後に、切手に関して提案ですれども通信に関する現状報告というのをいただきまして、たくさんきれいな切手を出されております。この中で、せっかく海外に売るわけですから、日本紹介にもなるようにいい意味で利用したらいいと私は思うのですね。歌舞伎の切手もあります。また、国民体育大会とか国際文通週間とかいう、こういう浮世絵のような絵もございますし、例えば文化切手、関孝和とか、こういう方も出されております。ですから、せっかく売るのですから、こういうものに付随して、例えば切手を集める方、私も小さいとき集めておったことがあるのですが、大体一枚二枚じゃなくてシートで集めるのですね。今何枚シートかわかります。大体二十枚シートになっていると思うのです。ですから、そのシートに一枚ぐらい簡単にその切手紹介をして、あわせて日本文化紹介というのですか、その切手に付随したようなことを紹介すれば、またこれは日本理解にも非常に有効じゃないか、こういうふうに思いますが、この点、大臣から、ぜひ日本の固有の文化紹介するいい機会だ、そういうふうにとらえてやったらどうかと私は思いますけれども、この点いかがですか。
  130. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 切手の説明とか、こういう切手を使った背景とか、外国の方にも知ってもらいたい、これは日本紹介にもつながりますから、どういう形がいいか、シートがいいのかわかりませんが、そのような方法を考えてみたいと思っております。
  131. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 では、続きまして郵便事業一般についてお伺いをしたいと思います。  六月に入りまして、各紙に「郵便料金値上げ検討」ということを書かれておりました。そして、その次ぐらいの大きさの活字で「来春採用は三千人削減」、こういうふうな、まあ削減というのが正しいのかどうか、これは新規採用を例年より三千人減らすという意味で、今いる人を三千人首を切るということじゃないのですが、これを見ると、書き方によっては、書き方というか、とらえ方によっては、三千人の方をやめさせるのじゃないか、こういうふうに早とちりされる方もいると私思うのですが、この件で以前にも何人かの委員から御質問あったと思いますが、郵便事業の損益の問題でお伺いをしたいのです。  ちょっと数字を確認させていただきますと、四年度予算で収益が一兆九千四百五十四億円で費用が一兆九千八百八十四億円、単年度欠損が四百三十億、累積で八十一億のまだお金がある。それで、五年度の予定で二兆五百二十二億円の収益で費用が二兆一千五百四十二億円、それで単年度で一千二十億円の赤字が出る。差し引き、累積で九百三十九億円の赤字だ。累積赤字が収益に対して四・五八%になる、こういうふうな数字だと思いますが、この数字で間違いありませんか。
  132. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 間違いございません。
  133. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 累積赤字が収入予定額の五%を超えると値上げができる、政令で可能だ、一定の条件は省令ですか、料金を定めることができると郵便法二十七条の四、二十七条の五で特例引き上げができる、こういうことになっていると思うのですが、五年度の予算概算要求のときの収益と費用は幾らだったでしょうか。
  134. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 五年度の概算要求のときに出しました単年度の損益は一千五百四十一億円で、累積の損益は一千四百六十億円という数字で出しております。
  135. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 この数字ですと、収益が二兆五百億円の予定で累積が一千四百六十億円の、そういう概算要求を去年の八月の段階にしておるのですね。それがどういうわけか予算成立額になりますと、収益が二十二億円ふえて費用が四百九十九億円減額ということで、見事四・五八%で五%の中におさまるような数字になっておりますが、これはうがった見方をすれば、五%におさめるような、何か操作と言ったらおかしいですけれども、概算要求から何でこんなに五百億も違ったのだろう。これは費用を下げるために努力しましたということでもあると思いますけれども、こんなに概算要求から実際の予算まで費用が五百億も削られるような、それだけの努力をされたと思うのですけれども、これは見積もりが甘かったのですか、それとも、それからさらに馬力をかけてやったということですか。
  136. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 概算要求で出します数字と政府予算として成立するときの数字の大きさでございますけれども、要求はあくまでも要求でございまして、査定を受けてそれが圧縮をされるということからその数字が、費用も変わってくるわけでございます。これはそういう意味では、平成五年度だけが圧縮をされたということではございませんで、今まで何年かずっとそういう形をとってまいっておりますので、数字が、最近財政規模が大きくなることに伴って要求の規模もやはり大きくなりますので、査定を受ける絶対額としてもかなり大きいものになろうかと思いますが、傾向としては、あくまでも要求がかなり上回ったものであるということは御理解いただきたいと思います。
  137. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それはいろいろあると思いますけれども、通常、予算の査定というのは、私も与党ではありませんので詳しくはわかりませんが、いろいろな事業、こういうことをやりますということを、事業をカットされて予算が圧縮されるというのを聞くのですけれども、費用の方、ほとんどが、ある意味では人件費が大宗を占めているのじゃないかと思うのですが、そういうところで費用が五百億も削られるという話は余り、ああそう、わかりましたという感じにはならないのです。  そうすると、五年度で明確に累積赤字は、欠損は収入予定額の五%におさまるのでしょうか。省令での値上げということは必要ない状況なのでしょうか。これは先の話ですから、細かい最後の数字まで出してということにはならないかもしれませんけれども、そこのところは見通しはいかがですか。
  138. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 平成三年度に百七十二億円の赤字が出た、これは決算上で確定をいたしております。  それから平成四年度は、これは今まで当委員会で何度もお答えをいたしましたけれども、まだ決算の途中でございますので、単年度の損益がどうなるかということは出てまいりませんので、あくまでも予算上で四百三十億円の赤字ということになっております。  それに引き続きまして五年度でございますが、これも当然予算の数字で、一千二十億円というものでございますけれども、これも、あくまでも予算という域を脱しないということでございまして、そこまでの数字で累積欠損金を出しますと九百三十九億円ということでございます。  したがいまして、これがこの五年度の中でどうなるかといいますのは、平成四年度の四百三十億円という単年度の赤字がどうなるかということと、平成五年度の中でどういうふうにこれが推移していくかという、両方の要素を見ませんと申し上げるわけにはまいらないということでございます。  私どもといたしましては、五%を超えるかどうかという点については、これは七月ごろに出ると思いますけれども平成四年度の決算と、それからそれまでに実績が出てまいります平成五年度の予算の執行ぐあい、これをあくまでも見きわめた上でどうなるかということは申し上げることになろうかと思います。
  139. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 済みません。委員長の御配慮をいただきまして、若干時間をちょうだいいたしておりましたが、午前の質問の最後ということで、郵便事業一般について、今後の郵便事業について大臣はどういうふうにお考えになっているのか、お考えをお聞かせいただいて、午前の質問を終わりたいと思います。
  140. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 郵便事業の重要性は、もう私言うまでもなく先生方もよく御存じだと思うのですが、どんなに情報社会あるいは科学技術が発達したとしても、どうしても人手のかかる事業でありますし、そしてなおかつ、通信手段として重きをなしていくと思います。そういう意味において、経費の削減を図る、合理化努力、大事であると思います。また、収入増をどうやって図るか、これも大事だと思いますが、人と人との交流、制度そのものの信頼性向上する意味において不断の努力が必要でありますので、そういう面、国民から引き続き信頼されるような制度の改善に向けまして鋭意努力をしていきたい、そう思っております。
  141. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 郵便事業一般のことでお聞きすることが若干残りましたので、これは申しわけないのですけれども、午後の頭でやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  では、質問を終わります。
  142. 亀井久興

    亀井委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  143. 亀井久興

    亀井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石田祝稔君。
  144. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 午前に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。  郵便事業の中で、時間制職員制度についてお伺いをしたいと思うのです。  先ほども申し上げましたように、六月に入っての各紙によりますと、郵便料金値上げということとともに採用予定者の削減ということも出ております。そういうことで、片や採用を抑制するということ、そして片や時間制職員制度を設けて人をふやしていこうという、片一方で減らして片一方でふやす、若干矛盾するんじゃないかなという気もするのですが、この時間制職員制度はどういう形態をお考えになっているのか、具体的に、そういう方々の身分というのは公務員になるのかどうか、どういうふうに今お考えになっていらっしゃいますか。
  145. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 時間制職員の趣旨、それから内容についてお尋ねであるわけですけれども、私ども、今後の労働市場の見通しとしまして、若年労働者の減少だとか、労働人口の高齢化だとか、女性の社会進出だとか挙げられているわけですけれども、今後、言われておりますところの労働力の不足の対策といたしまして女性だとか高齢者の活用がポイントでありまして、こういうふうな勤務形態、高齢者だとか女性というふうな働く側のニーズに合わせた形態をつくることが必要ではないかというふうに考えておるわけであります。一方、私ども雇う側につきましてのニーズでございますけれども郵便局におきましては、一日の仕事の波動としまして、早朝と夕方に業務量のピークがあるわけでありますけれども、こういうふうな特殊性に合わせた安定的な労働力の確保と効率的な配置が必要だというふうに考えておるわけでございます。そこでこの時間制職員、仮称でございますけれども、これはこうした働く側のニーズと私ども雇う側のニーズの両方に合致する新しい勤務形態を企図しておるわけでございます。  中身でございますけれども、私ども主として女性と高齢者を念頭に置いておるわけでありますけれども、一日に四時間という短時間の勤務形態で、その他の処遇、例えば定期昇給だとかボーナスだとか退職金があるわけですけれども、こういうふうな処遇だとか服務につきましては、常勤職員に準じた扱いとする制度を創設しようということで考えておるわけであります。つまり、国家公務員の中で現在は常勤職員と非常勤職員があるわけでありますけれども、その中間的なものをつくっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  146. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 このことは人事院とか総務庁ですか、そういうところとも御相談になっていると思うのですが、これはできるかどうか、私も可能かなという気もするのですが、これはできれば民間企業に対しても非常に大きなインパクトを与えると私は思います。  実は今労働委員会の方でもパートタイム労働者の方の処遇の問題の法律をやっております。これは野党案と政府案両方出ているのですけれども、その中で、やはりそのパートタイムの労働者の方々の処遇に関して、時間が短いだけなんだ、時間が短いだけの均等扱いをしなさいというのが私たちの主張なんですけれども、ある意味ではまるっきり違った法案が政府から出てきているのですね。ですから、こういう形で準常勤という考え方にのっとって、時間の短いだけだという職員の形態が可能になれば、これは公務員の方で道を開いていただければ、民間企業でも、いわゆる常勤ではないけれどもパートでもない、要するに今言われているような形のパートではない、ただ勤務時間が短いだけだ、そのほかの条件はまるっきり均等だ、こういう形にも道を開けるのではないかと思います。  ですから、そういう意味で、この職員制度はできれば非常に大きな出来事じゃないかな、こういうふうに私は思いますけれども、これは具体的に可能ですか。いろいろ詰めていると思うのですけれども、その点だけ、現時点のお答えで結構ですから、お願いします。
  147. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 実現性についてお尋ねであるわけでありますけれども、私ども、この時間制職員制度につきまして前年度から取り組んでおるわけでありますが、本年度の予算におきまして調査研究費、六百万円ほどですけれども、これがつきましたので、この中で現在、採用方法だとか処遇だとか勤務時間等の細目について調査研究をやっているところでございまして、間もなく中間的な取りまとめができると思っておるわけであります。  また、今お話のありましたところの人事院等との折衝でございますけれども、今の調査研究と並行いたしまして、人事院それから総務庁等関係省庁との間で、時間制職員を国家公務員制度の中でどのように位置づけるか、それから、任用だとか処遇だとか服務等の制度のあり方につきまして、いろいろ具体的な検討を鋭意行っているところであります。  いずれにしましても、私ども平成六年度からぜひこれをスタートさせたいということで取り組んでいるわけでありますので、引き続き鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。
  148. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これは平成六年度から導入を目指すということでありましたら、この八月三十一日に概算要求、締め切りになるわけですから、もう早々に結論を出していただかなくてはならぬと思いますが、いただいた資料によりますと、制度のイメージで明確にパートと別のところにこの時間制職員が書かれておりますから、今までと違った形の勤務形態、いわゆる身分の保障がされてなおかつその上で時間が短いという、いわゆる時間だけが違うんだ、こういう形の職員制度が可能な状況をつくりたい、こういうことだろうと思いますので、これはぜひ頑張ってやっていただきたいというふうに私は思います。  切手の方はこれくらいにさせていただきまして、電気通信基盤の方の質問に移らせていただきたいと思います。  いろいろと委員の御質問等も聞いておりましたが、私はわからないのは、なぜこの時期にこの改正案が出たのか、いわゆる信頼性確保するというこの法案、これは今なぜこの時期に出たのか。例えば、私も覚えておりますけれども、世田谷区の三軒茶屋で火事がありまして、一時期銀行のキャッシュカードが使えなくなったり、大分立ち直りまで時間がかかったように思っておりますけれども、あれは随分前のことのように記憶しております。それが随分前にあって今なぜこの時期に、ですから実は遅いのではないかという気もするのですが、なぜ今のこの時期に出てきたのか。これはどうなっていますか。
  149. 白井太

    白井政府委員 率直に申し上げさせていただきますが、ここ一、二年の間に特別の何か事件などが起きて、それを契機にして今回の法律案提案になったというようなことではございません。ただ、午前中の御質疑の中でもお答えをさせていただきましたが、電気通信依存する経済活動等の範囲がだんだん広くなってまいりますと、やはりこの電気通信の中断というのが非常に大きな悪影響を及ぼす危険性が出てきたということで、また現実にもそういう障害が発生するというようなことがぼつぼつあちこちで起きてくるようになってきたものですから、余りいつまでもこれはほっておくわけにいかないというようなことで実は今回の御提案を思い切ってさせていただいたというようなことでございます。こうした設備整備というのはどうしても、一年や二年という短い期間整備が済むというようなものでもありませんので、ある意味では一日も早く取りかかるのが必要ではないかというような気持ちも持っておるわけでございます。
  150. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続きまして、この信頼性確保するということに非常にお金がかかるし、なかなか利益を生む部門ではない、そういうことで債務保証とかいろいろな形で応援をしていこうということであろうと思うのですけれども、これはこの法案、本法自体が臨時の時限立法で、平成三年六月一日から十年の時限立法だ、こういうことですね。今平成五年ですから、今回改正して、信頼回復のいろいろな事業をやれるお手伝いをするという形にした。本体が十年の時限立法ですから、あと八年しかないのですね。この八年のうちで全部やる予定なんでしょうか。それとも、八年たったら、もういいや、あとは自分たちでやりなさい、こういうことなんでしょうか。なぜこの時限立法の上に乗せてやろうとされているのか、そこのところはどうですか。
  151. 白井太

    白井政府委員 先生御指摘のように、電気通信基盤充実臨時措置法は、附則の二条に書いてありますように、「法律の施行の日から十年以内に廃止する」ということになっておりますので、まさに先生おっしゃいましたとおり、あと八年後の平成十三年五月三十一日までに廃止の手続をとらなければならないということになっております。  それで、今回御提案を申し上げております信頼性向上施設整備事業のようなものについて単独の法律をつくるのかどうかということも、内々いろいろ検討させていただきました。しかし、結果としては、現在ありますこの基盤法というものがまさに、この電気通信による情報の流通の円滑化のための基盤の充実だということにおいては、大きな目的で現在ある法律に合致するものですから、この法律の中に一つ事業として加えようということにさせていただいたわけであります。  したがいまして、信頼性向上施設整備事業のようなものが八年で済むと考えているわけでは正直に申し上げてございません。  ただ、こういう法律の中に乗せさせていただきましたので、平成十三年ごろまでの間に、これからやってまいりますいろいろな事業の成果というのも十分検討いたしまして、その段階でさらにまた力を入れてこうした仕事をやっていくということになると、それなりにまた新たな立法措置をとる、あるいはその他の予算措置をとるとかというようなこともやらなければいけないと思っておりますので、この八年限りでこれをすべてやってしまうというようなことではないということを御理解いただきたいと思います。
  152. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 その件でもう少しお伺いしますと、この電気通信基盤充実事業というのは、今回追加したもの以外に、当初からの人材研修事業高度通信施設整備事業があるわけですね。そして今回、信頼性向上施設整備事業を加えられた。今局長から御答弁いただいたように、この信頼性向上はとても八年ではできると考えていない。そうすると、八年たったとき、これはもうとても終わっておりません、情報通信の重要性がさらに増してきておりますからこの法律は延長していただきたい、こういうふうになったら、結局、人材研修とか高度通信設備事業も全部引っ張っていくわけですね、法案が一緒ですし中身に入っているわけですから。  ですから、当初のつくったときの目的は、こういう目的で十年です、それの後に十年で終わらないようなものを追加して、そして法案全体の時限立法を十年からさらに引っ張っていく、こういう形になりませんか。ですから、そうすると、もともと十年でやめましょうということでつくっている法案が、後からつけ加えられたものによって法案自体の性格が変わって、時限立法の本当の意味がなくなる。ある意味でいえば、もうサンセット法案で、用が終わったら法律をなくすのが本当だと思うのですけれども、そういう形で次々に新しい事業を入れていって、その法案の中身を変えて長く延びるのじゃないかな。  ですから、私は、もともとこの十年の時限立法に入れだということも何かちょっと理解できない部分がございますし、今御答弁を聞いていまして、十年で、あと八年でできない、そうなったら一緒に人材研修事業を引っ張って時限立法を長く延ばしていくのかな、こういうお考えになっているのかなという気もするのですけれども、そういうことはないわけですか。
  153. 白井太

    白井政府委員 そこまで詰めて具体的な取り扱いを決めているということではないわけであります。もともとの基盤充実臨時措置法をつくりますときも、確かに法律の規定では「十年以内に廃止する」という条文の書き方になっておりますが、私どもの気持ちといたしましては、このような支援措置というのは十年限りでもう後は要らないというような意味合いまでは考えていないわけでございまして、このような形での支援の仕方あるいは国の関与の仕方というものについて、一応は十年で一区切りとして、そのやり方についてもう一度振り返ってみて、こういうやり方でいいのか、ここまでやればもうこれで終わったと見ていいのか、あるいは、中身をさらに充実させてこれからも続けてやっていくのか、そういうやり方についても一応振り返ってみようという気持ちで臨時措置法というような形にさせていただいております。  したがいまして、確かに先生がおっしゃったようなお話というのもお話としてはあり得るかと思いますけれども、私どもの気持ちといたしましては、このもとの法律で、十年たった時点、つまり平成十三年の時点におきましては、ただいま申し上げたような形で振り返ってみて、もし、なお新たにもっと力を入れた支援ということが必要であれば、また別の措置を講ずるというようなこともやっていきたいというふうに考えているものでありますので、八年、十年ということには法律上はなっておりますが、そこで全部がおしまいというようなことにはしたくないというような気持ちでやっておるということでございます。
  154. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 お気持ちはよくわかりますし、おっしゃっていることもわかるのですけれども、それは法律のづくりとして、この電気通信基盤充実法律があるから、じゃ、それに追加して一緒にやっちゃえ、そういうやり方はよくないのじゃないかと自分としては思います。そういう考えがあれば、新たに法案をつくってやるべきではないかと思いますし、もともと違う性格、人材研修とこういうものとはちょっと違うと私は思うのですけれども、そういうものにどんどん追加していって法案が当初の成立のときと違ってしまっている、そういうような気が私は正直いたします。  ですから、この問題は、例えば債務保証の問題でも、また今回も通信・放送機構の業務の特例をつけ加える。ですから、私はこの逓信委員会に所属してから幾つかの法案を勉強させていただきましたけれども、何か通信・放送機構の業務の特例にどんどん突っ込んでいって、そこから債務保証をするのだ、そこからいろいろやらせるのだと何でもかんでも突っ込んで、あるものを業務の追加という形で何でもやっていこうというのが多過ぎるのじゃないか。  ですから、今回もこういう形で時限立法に、八年後に期限が切れるという法案の中になぜこれをわざわざ入れなくてはならないのか。あと八年でできるということで入れていますよというのだったら、これは一つの理屈ですね。ですけれども、どうもそうじゃない。ですから、そういう法律のつくり方、やり方からもうちょっと考えてやっていただく必要があるのじゃないかというふうな気が私は正直いたします。これはどうですか、今お答えを何回もいただいているので申しわけないのですけれども、そこをどういう考え方でしているのか、もう一度お答えいただければと思います。
  155. 白井太

    白井政府委員 通信・放送機構、いわば政策の受け皿としてこういう施策を展開するというやり方につきましては、との法律の立て方の問題も含めまして、当委員会で再三、そうしたやり方がいいのかどうかということの御指摘を受けてきていたわけでございます。私自身が記憶しておる限りでも、こういう御議論というのは三年ぐらいございました。  それで、そのときそのときお答えはさせていただいておりますが、結論的に申し上げますと、こういう政策支援の受け皿になり得るような組織というのが郵政省の場合は一般会計についてはただいまの通信・放送機構しかないということから、逆にやむを得ずこういうようなやり方をとらざるを得なかったという面もございました。それで、一昨年だったかと思いますけれども、かっては通信・放送衛星機構と言っておりましたこの機構の名称とかその機構についての法律というのを変えさせていただきまして、通信・放送機構という比較的取り扱い業務の範囲を広げることも許されるような名称などに変えさせていただいたりもしたわけでございます。  そして、現在の、例えば債務保証の基金の問題についてもそうなんですが、政策支援の受け皿そのものがこの機構しかないということから、実はさらに新たな支援措置を単独の法律でつくろうということになりますと、またそういう受け皿をどこに求めるのかとか、あるいはそうした基金をまた一つ新しいものをつくるのかとか、いろいろな問題があったりもしまして、結局既存の制度というのをできるだけ活用するというようなことも考えたりもしたものですから、このような形にもなったわけでございます。
  156. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それで、続いてお聞きをしますが、この中で信頼性を著しく高めるものについては援助していく、こういう考え方になっておりますけれども、著しく高めるというのはどういう意味ですか。具体的にどういうイメージを持たれているのでしょうか。
  157. 白井太

    白井政府委員 信頼性向上施設の定義に関する条文についてのお尋ねでございますが、法律の条文の書き方としてこのような書き方になっておりますが、少し平たく申し上げますと、先ほど来の御議論でいろいろ出ておるところでございますが、電気通信疎通確保するということのために非常に役立つような施設整備するというようなつもりで書かせていただいております。
  158. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続きましてお聞きしますが、信頼性向上施設整備を行う電気通信事業者なんですが、具体的にはどういう事業者をお考えになっていらっしゃいますか。
  159. 白井太

    白井政府委員 現在、電気通信事業者ということで電気通信施設などを整備する事業者の方の数は約八十ほどの事業者の方が全国におられるわけでありますが、今これらの方々は、電気通信事業法という法律に基づいて電気通信のサービスを国民の皆さんに提供されるわけでございます。それで、ここで対象になる事業者の方というのは、このような電気通信事業法で規定している事業者の方すべてが対象になり得るということでございます。
  160. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続きまして、法案の中の第二条第三項の一号、二号で具体的に考えられている施設はありますでしょうか。この税制優遇措置の方で国税と地方税はもう具体的にこれこれ、こういうふうに決まっているようでありますけれども、こちらの本法の方では具体的にどういうものか、お決めになっていらっしゃいますか。
  161. 白井太

    白井政府委員 実は税制上の取り扱いにつきましては、政府としては毎年予算編成の時期に、予算編成とあわせまして翌年度、つまりその予算編成の対象になっております年度の税制上の取り扱いについて決めるということをいたしております。これは予算と密接不可分のものであるからそういうやり方をとっているわけでございます。したがいまして、税制上の扱いについては予算の政府案が決まる段階で実は決めなければならぬということがありまして、これも先ほど来申し上げておりますように、いわゆる洞道と回線切りかえ装置というものについては、それぞれ国税、地方税の特例措置の対象にするということが、実は昨年の年末の段階で決まっているものですから、はっきり実は申し上げられるわけでございます。  それ以外に私どもとしては、統合監理システムでありますとかあるいは非常用の電源装置なども、こうした条文に規定する設備だということでぜひ支援対象の設備に入れていきたいと思っておりますが、実はこれは法律が通りました後で関係のところと折衝をして細部を詰めるという作業がまだ残っておりますので、この点についてはまだはっきりとすべて決まったというものでないことはお許しをいただきたいと思いますが、法律を国会の方で通していただきました後、できるだけ早く細かな詰めを関係のところとやってまいりたいと思っております。
  162. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 国税、地方税の方では洞道と回線切りかえ装置がふさわしい、こういう判断を下されているようでありますから、政府が一体だったらこの二つになりますね。  では、最後に大臣にお伺いをしたいのですが、新社会資本整備の問題等も含めて、次世代の通信基盤の整備についていろいろここのところ論議になってきておりますが、これは大臣としてどのようにこの次世代通信基盤の整備を進めていくお考えなのか。これは端的にお聞きしますと、例えば国でやるのか、それともNTTでやるのがいいのか、いろいろな問題があると思いますが、アメリカの通信のハイウエー構想等も含めて、大臣はどのように今お考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
  163. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これからの高度情報社会を展望しますと、情報通信基盤整備は大変重要である。しかも、アメリカでもクリントン政権ができて次世代通信網の整備にかなり力を入れてきている。日本としても国内において、公共事業というのはどういうものを指すのかということで、今までの既成の枠組みの公共事業とは違って、この情報通信基盤というのも公共事業じゃないかという議論が起こってきました。  そういう中で、民間の事業がどこまで整備できるのか、それで国としてどういう点を支援しなければいけないのかそういう点も含めましてこれから幅広く意見を聞きまして、官民の役割、あるいは民間事業者がどういう程度までやれるかということを見定めるという点も大事だと思いますが、お互い連携しながらこの情報通信基盤整備に取り組んでいきたいというふうに思っております。  ですから、今、世界的にこの情報通信網が重視されておりますが、日本も世界の動向におくれをとらないようにしっかりした対応をしていきたい、そう思っております。
  164. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 両方協力してというふうなお考えだと思いますが、これは光ファイバーにしてもファイバー・ツー・ザ・ホームということで、末端と末端が結ばれない限り意味がないものになると思いますし、ですから中途半端はできないのではないかという気がいたしますし、いろいろな意味で一〇〇%まで仕上げないと本当に価値は半減するのじゃないか、そういう気もいたします。ですから、これはある意味でいえば協力し合ってやっていかないと、若干おくれました、そういうことでは済まないと思うのです。ですから、ぜひこれは協力していただいて、一番いい形で進めていただければいいと私は思います。  ちょっと時間が早いのですけれども質問を終わります。ありがとうございました。
  165. 亀井久興

    亀井委員長 次に、阿部未喜男君。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  166. 亀井久興

    亀井委員長 速記を起こして。
  167. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、きょうはゆっくりいきましょう。  二つ法案があるようですけれども、本日私は郵便切手の売りさばきの法律関係の方でひとつ質問をさせてもらいたいと思います。  その切手ですが、あれはなぜ四角なのでしょうか。
  168. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 阿部先生の基本的な御質問でございますけれども切手がなぜ四角かという点につきましては、切手を張る手紙、はがきが四角なので、そこに張るには一番便利なのでそういう形態になったのかなというふうに私個人としては思うわけでございます。例えば、諸外国切手などを見ますと、必ずしも四角ではなくて、丸でございますとか三角がありますので、必ずしも四角でなければならないという必然性はないものかと思います。
  169. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 日本切手はミシン目が入っておって裏にのりがついておるのですね。外国切手は必ずしもそうじゃないのです。なめられるものだから四角にしておけということで、なめられないように四角にしたのだそうですが。  午前中の質問にあったかと思いますが、大臣、今新聞等で郵便料金の改定の問題がかなり具体的な日程に上っておるようですが、どういうお考えですか。
  170. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 収支状況を見ますとかなり厳しい状況でありますけれども、できるだけ値上げを回避したいという努力はしていかなければならぬ。収入増を図るのも一つの方法でしょうし、同時に合理化して経費の削減を図ることも大事だ。そういう努力をして、この七月には平成四年度の決算が出ますので、その収支等をよく見まして、五年度の推移を見ながら検討していきたい、そういうふうに考えております。
  171. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、非常に慎重な御答弁でございますけれども、マスコミ等によりますと、かなり具体的に、あるいは今年中に値上げをするのではないかというようなことも伝えられておりますが、実際問題として単年度の赤字がどのくらいになるのか、累積赤字がどのくらいになるのかその結果どうしなければならないというふうにお考えになっておるのか、これは数字がありますから、事務当局でも結構ですから、ひとつお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  172. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 お答えいたします。  平成三年度に単年度で百七十三億円の赤字になっております。これはもう決算上、確定をいたしております。それから平成四年度になりまして、これは現在決算中でございますので、これは単年度で、もちろん累積もあわせましてまだ出ておりませんが、予算上の数字で申し上げますと、赤字で四百三十億円ということになっております。平成五年度、これはもちろん予算そのものということでございますが、当初予算で申し上げますと、単年度で一千二十億円という赤字を計上して現在スタートして二月たったという段階でございます。  そこで、この平成四年度の決算でございますけれども、先ほど言いましたように、七月ごろにこの決算を取りまとめるということで現在取りまとめ中でございますけれども、この四百三十億円の予算上の数字は、実は収入の面から見ましてかなり赤字が上回るのではないかというふうな状況でございます。  収入の面で申し上げますと、実は対前年度比で一・三%増にとどまったという状況でございます。予算上は五・一%を上回るという計算をした予算になっておりますので、そういう意味では三%を上回る割合で収入が予算に対しては下回った数字が出てきそうだなというような状況でございます。  一方、費用の面でございますけれども、費用の面につきましては、最近の景気動向が非常に低迷しておる中で収入が落ち込むということがかなり明確に出ておりましたので、私どもそれをそのまま見逃すわけにはいかないということから、費用の節約、節減を努力してまいっておりますので、その辺が決算を締めた場合にどれぐらいになるかということを、私ども関心を、最大限の注目を払って今作業をやっておるという段階でございます。  しかしながら、いずれにいたしましても四年度の収支は、先ほど言いましたように予算とはかなり違った、赤字が上回る数字が出るのではないか、こんなふうに思っております。  なお、そういった状況になりますとこの五年度の推移と絡めて今後がどうなるかという点でございますけれども、決算それから五年度の今後の推移を十分見守りながら、私どもとしてはこの財政基盤について検討してまいりたい、こんなふうに思っております。
  173. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ここは利用者、国民を代表して議論をしておる場ですから、マスコミ等で、どんどんもう値上げをするのだ、年内だと言われておるのに、委員会の方では、まさに慎重を期して、奥歯に物が挟まったように、検討していかなければならぬ。これは、努力もしてきておるでしょうし、いろいろなことは理解ができますけれども、十年以上もう郵便料金の改定をやっていないわけですから、当然やはりはっきりと利用者の皆さんに、これだけはやってもらわなければ困るということを早目に打ち出して理解を求むるべきではないか。うじうじしておって、結局公共料金ですから、赤字が累積すれば料金の改定も大幅にならざるを得ないのですよ。それならば早目に、実情を皆さんの前に明らかにして、とりわけ逓信委員会の中ではそれを明らかにしながら、この程度のことをこうしなければならない状況ですという状況ぐらいはおっしゃってもいいのじゃないですか。まだ値上げする直前まで検討されますか。
  174. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 阿部先生から、新聞などにかなり出ておるのに、なぜこの逓信委員会そのものでもう少し突っ込んだ説明ができないのだという御指摘でございますけれども、実は私ども新聞報道でも同じようなことを申し上げておりましたところ、見出しがかなり躍ったというのが実態でございます。あくまでも今申し上げられるのは、平成四年度の決算が出る七月の状況がどうなるかということでございまして、逓信委員会のこの場と、それから報道関係の場を別に区別して申し上げておるつもりは毛頭ないことを御理解いただきたいと思います。
  175. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵務局長、それ以上は言いませんが、僕らの耳に入ってくるのは、五%か、五%で足るのかどうか、あるいは一〇%かとか、いろいろな話が耳に入ってくるのですね。それはあなたのお考えかどうか知りませんけれども、そういうことが巷間うわさをされておるのに、せめてこの逓信委員会では大体の見通しぐらいはお話しになる方がいいのではないかと思いますけれども、特段逓信委員会などに協力してもらう必要はない、勝手にやるんだとおっしゃるならそれはもうそれ以上聞きませんけれども、どうも私は、慎重を期して、とりわけ値上げの問題だからということで隠しておく必要はないのではないか。実情をさらけ出して、こうしてもらいたいのだということを、これは公共料金ですからはっきりおっしゃった方がいいのではないか。無理をして大きな赤字が累積して大幅な値上げをせんならぬようなことになったのでは、かえって角を矯めて牛を殺すことになりかねないので、これは御忠告を申し上げておきます。  ただ、その場合に一つ僕は注文があるのです。  たしか消費税の関係があって非常に勘定しにくくなりましたね、六十二円とか四十一円とか。五十円の硬貨を出してはがきを一枚買うと九円、一円が四枚と五円が来るわけですよ。これは消費税の問題も含めて、この前のときも議論があったのですが、はがきと封書を突っ込んで勘定してみて、片っ方は三%を上回っても例えば八十円とかいうように切りをよくする。そのかわりはがきの方は消費税を取らずに、一緒に消費税を納める、そういう方法が講じられないかということを議論したことがあるのです。二円、三円という端数はなるたけつかないような改定を考えてもらいたいと思うのですが、技術的にはかなり困難があるかもわかりませんけれども、例えば申し上げたように手紙とはがきを突っ込んでの勘定だってできぬことはないはずだという気がします。二円、三円という端数だけは何とか我慢してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  176. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 またおしかりを受けるかもわかりませんが、あくまでもこれは料金改定を前提に云々ということではございませんけれども、もし次期見直しをやるという場合には、今の先生の御指摘を十分受けとめまして、計算上も機械の処理上も、できるだけ利用される方々に便利なような方向で取り組んでまいりたい、こんなふうに考えております。
  177. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に大臣郵便切手ですけれども郵便切手というものは、本来どういう目的で発行され、売りさばかれておるのでしょうか。
  178. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先生の御指摘は、郵便切手の定義を聞かれたのではないかと思うわけでございますけれども、実は法令には郵便切手をこうだと言ってはっきり定義したものはないわけでございまして、ただ郵便切手がこういうものだということを理解するためにといいましょうか、私どもが一番頼りとしておりますのは、郵便法の第三十三条一項の規定がございますけれども、ここでは郵便に関する料金納付の用に供するために郵政大臣が発行する証書の一部というふうに理解をされる表現になっております。
  179. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 切手類売りさばき関係の法令によりますと、郵便切手類とは郵便切手その他郵便に関する料金を表する証票である、こういうふうに規定をされておるようですね。そうすると、これは本来的には、ちょっと難しい言葉で言えば料金をあらわす証票だから、この証票によって郵便の役務の提供を受けるあかしである、役務の提供を受けるために発行され売りさばかれたのが切手である、こう思うのですが、どうですか。
  180. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 基本的な考え方としてはそうだと思います。
  181. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 特に今回の外国における売りさばきですが、外国では日本郵政省が郵便の役務を提供したくてもできないのです。役務の提供をすることを前提として売りさばいておるのが切手であるとするならば、役務の提供を前提としなくて売りさばくのは、もはや切手ではない、単なる商品でしかないというふうに考えられる。もちろん私は皆さんが大変苦労して郵便事業の収入を少しでもふやしたいというその御苦労のほどはわかるけれども郵便切手という性格からいうならば、郵便に対する役務の提供をしないことは、目的になって売られておるものが果たして切手なのだろうか、ここに言う切手がどうかという疑問を持つのですが。
  182. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 確かに先生御指摘のとおり、海外販売いたします郵便切手はそのほとんどが収集目的から購入されるものだというふうに私どもも思っております。そういう意味では私ども、その収集の目的需要にこたえるための制度として、今回、海外での販売を委託していきたいということで法律をお願いしておるわけでございますけれども、ただし、郵便切手につきましても、日本国内であれば、郵政省の提供する郵便の役務の対価としての機能を有する切手になるわけでございます。その意味では、たまたま海外で買われるということでございますけれども海外で買われるか日本国内で買われるかという違いは本質的にはつけがたいものではないかというふうに私どもとしては思うわけでございます。  それから、これはもう先生御承知のことをあえて申し上げるような形になりますけれども切手実態といたしまして、その意匠等を通じまして発行国の風物あるいは文化等を国の内外に周知をする側面を持っておりまして、そういった側面からコレクションの対象になっておるということでございます。このコレクションの対象という側面をやはり郵便切手から外すわけにはまいらないのではないかというふうに思うわけでございます。
  183. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは私は若干異論があるのですけれども、もしそういうことだとするならば、外国で売ったものでも日本にいて使えば役務を提供するんだから切手ですよというならば、特段この法律改正を必要としない、現行の法律のままだってできるじゃないか、そういうことになりませんか。
  184. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 郵便切手販売につきましては、先生も御承知だと思いますが、郵便法の三十二条一項におきまして、郵便切手は「郵政省及び別に法律の定める販売者において、これを販売する。」というふうに規定をされておりますので、郵政省海外販売をみずから行わない場合には郵便法以外の法律にその根拠を求める必要があるということでございますが、その法律の根拠を現在の郵便切手類販売所等に関する法律に求めるわけにはいかないか、現在あるではないかということではないかと思いますが、実は、国内の販売の方法と国外の場合で制度に若干違いがございます。  基本的なものは、委託でございますので、そこは全く先生おっしゃるように同じなんですけれども郵便切手等を海外販売者に売る場合の選定基準でございますとか選定の方法、それから委託期間あるいは販売品目等につきまして、国内とは違った新しい規定を設けようと思っておりますので、その意味で、基本的に売りさばき所法で対応できるような内容ではございますけれども、それだけでは難しいということから、今回改正をお願いしているところでございます。
  185. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あくまで切手ですよ、日本に持ってくれば役務の提供ができるんだから切手ですよとおっしゃれば、今の売りさばき所の法律外国で売って悪いというのはどこにもないのですよ。ただ、役務の提供ということから考えればおかしくなってくる。しかしおっしゃるように、それは日本に持ってくれば役務の提供をするんだから同じじゃありませんかというならば、どこで売ろうと、今の法令上、外国で売ってはならぬというのはどこにもないのです。それをわざわざ今度は国内と外国に分けなければならぬという発想でこの新しい改正案が出ておるのであって、そういう意味で、あくまでもこれは切手ですと言い張れば、それじゃ今の売りさばき所の法律でいけぬことはないじゃないかという理屈になる。  まあ手続の関係いろいろあるでしょうから、けしからぬというわけじゃないけれども、どうも私は率直に言って釈然としないのですよ。一生懸命おやりになることは結構だが、郵便切手というものの性格から考えて、そういうふうにどんどん広げていっていいんだろうかという疑問が残るということだけは申し上げておきます。  その次に入りますけれども、例えば、この改正法案の中に援用する条文の中で十条の規定が抜けていますね。死亡した場合の委託の継続というのがありませんね。そうするとこれは、委託をした人がぼっと死んだらどうなるのです。
  186. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 国内の場合におきましては、確かに、切手販売者が死亡した場合につきましては十条で、郵政大臣が、死亡の日から六十日以内に限り、相続人から申し出があった場合にはその相続人の一人に当該販売業を委託する道を開いております。  今回、海外の場合にはこれを準用していないということでございますけれども、国内の場合に、逆に相続人に委託をする道を開いた理由でございますけれども、郵便利用のための切手を購入されるお客様方に不便をかけないために、六十日の間は相続人に業務を継続してもらうということでございます。言ってみますと、販売業務の継続性を担保するための規定だということでございまして、それでは、今回の海外販売の場合はどうかということでございますが、先ほども申し上げましたけれども、購入のほとんどが収集目的からなされるものというふうに、これは実態的に思うわけでございまして、そういう意味では、利用を前提として切手の購入をするのとは若干異なりまして、販売業務の継続性を国内ほど強く担保する必要はないのではないかということが一つ、それからもう一つ海外切手販売者に対しましては積極的な営業活動を展開してもらいたいということを期待しておるものでございまして、販売者が死亡した場合に、その相続人が必ずしも海外における販売の業務の委託者としてふさわしいかどうかということになるわけでございまして、この相続人以上にもっと適当な方がおられればその方に海外販売の業務をやっていただくことを進める方が好ましいのではないかというようなことから、十条の準用をしなかったものでございます。
  187. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは結局、国内で外国切手を売る人を委託する、その販売業者が外国でもって売りさばき所をつくって、あるいはまた売りさばき人を頼んで売りさばきをするわけでしょう。直接外国に委託する場合もあるでしょう。  要するに、僕はあとは聞きません、委託ということについてまた聞きますが、委託をされた人が死んだ、そうすると、その後だれがやるかわからない、後を探しておる。積極的に売りさばきをしたいと言いながら、例えば日本の人に委託をして、その人を通じて外国に売りさばき所を設けて売りさばきをしておる、その日本の元請が死んだら、後を探すまでほうっておくということになるのですか。
  188. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 委託販売者がどういう方になるかということでございますけれども日本の場合はどちらかといいますと個人の委託者、こういう方が多いと思いますけれども、私ども海外でやる場合につきましては、既にもう海外での郵便切手販売実績のある者を委託をする対象として選びたいというふうに思っておりますが、その場合は必ずしも個人ではない場合が想定されるわけでございまして、そういう意味では、法人の場合には必ずしも具体的な個人の死亡云々ということとは直接かかわりない形で業務が推進されようかというふうにも思います。
  189. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いずれにしても、それでは、日本の場合はそうであっても、外国の人に直接委託をした場合は、向こうも必ず法人であるという保証はどこにもないから、とりわけ外国の個々の売りさばき所は個人の場合が多いと私は思うのですよ。向こうも全部法人が売ってくれると思っておるならこれは間違いで、日本の委託者を通じて外国に行くか、直接行くかは別にして、最後の外国の売りさばきは個人が行う場合がかなり多いだろう。その人が死んだら、おまえ、売ることはならぬぞ、そういうふうになりますか。やはり暫定的に、手持ちがあるわけでしょう。買いに来る人もおるのですよ。しかし、法制上で言うならば、もし個人で外国切手を売りさばいておる人が死んだならば、この切手の売りさばきはとまるということになりませんか。
  190. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 海外の末端の売りさばきの売りさばき所の取り扱いがどうなるかという点でございますけれども、先ほどもちょっと言いましたように、信用あるいは資力等々からいたしまして、向こうでもできるだけ法人にやってもらう方向で作業を進めてまいりたいというふうに私どもは思っておりますし、たまたま個人になる可能性が絶対ないかと言われますと、まだそこまで具体的に作業を進めておりませんが、もし中断をしそうになった場合でございましても、できるだけ海外のお客様方に御不便のかからないような早急な補充ができる、後の業務をやってもらえるような体制を督促してまいりたいというふうに思います。
  191. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それから次に、手数料ですが、大体二五%ぐらいを予定しておる、こういうふうに言われておるようですが、二五%の手数料が高いか安いか、私はそれは申しません。しかし、今、国内で切手や印紙を売りさばいておる、いわゆる売りさばき所と我々が呼んでおるところの手数料の収入から比べてみると、これは国内でやっておる方々は非常に気の毒だという気がします。  時間がありませんから数字を申し上げますが、郵政省の調べによると、大体国内の売りさばき所の一カ月平均の買い受け額ということになりますが、これは売りさばいた額になるわけですね、補充するわけですから、買い受け額は、平成五年度で百三十八万円であるとなっているけれども、これは印紙が全部入っていますから、売れるところは一つの売りさばき所で印紙が一カ月百万も二百万も売れるのですよ。それを込みにして勘定するから、一カ月百三十八万円も切手が売れるんだというような錯覚を覚えますれども、実際の日本の売りさばき所で本当に郵便の事業に役に立っておる売りさばき所というのは、そんなに売れるものではありません。  だから、私は何年か前に、切手を置いておく、保管をしておいて管理をする、それだけだって大変な仕事だから、基礎料金というようなものをつくりなさい。これが今千三百円になっているはずだ。それで、このとき五百円だったと記憶しておりますけれども切手を置いておくだけで、売れなくても五百円、その上に売れたものについて歩合をつけていこう、こういうふうに変わった経緯があるのですけれども、今日の情勢から考えますと、それは大変な負担なんですよ。やはり切手を置いておけば留守にするわけにはいかないとか、いろいろな負担があります。  だから、金額として、割合からいうならばそれはどうかわかりませんが、金額として売りさばき所の皆さんが受ける額はわずかなものにしかならないのです。ここにあるようなこんな膨大な数字に絶対なりませんよ。恐らく、月に百三十万も売るところがあるなら、切手を売るところ、お目にかかりたい。これは、こういう場合は印紙がほとんどだ。大体平均したら幾らでしょうか、千円の単位のところが多いのではないですか、一カ月の切手の売り上げというのは。そういうところは印紙はほとんど出ないのです。印紙はほとんどない、切手だけなんですよ。その切手は千円以内しか売り上げがないところが多いと思うのです。  だから、切手の歩合を売りさばき所の手数料をふやせというといろいろ問題があるかもわかりませんが、基礎料金だけはやはりもう少し引き上げてやるべきだ。それは、今日、人のお店に切手箱を置かせて、これを番をしておって売れという、それだけだって大変なことなんですよ、売れる、売れぬは別にして。それだけだって大変なことなんだから、この際、もう少し基礎料金については考え直してみる必要があるのではないかという気がしますが、これはどうでしょうか。
  192. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 このたびの海外のこの販売者に対する手数料に比べて国内の販売者に対する手数料が余りにも低いのではないかという御指摘だと思いますけれども海外の場合と国内の場合、あえて申し上げますと、切手の郵送料でございますとか、先ほど少し申し上げましたけれども、今後の海外における需要を積極的に喚起していただくという営業活動、こういったものをやっていただくというふうな周知宣伝費でございますとか、国内と海外との連絡の費用でございますとか、切手海外に郵送する費用でございますとか、国内の場合とは違った要素がその中に含まれておるという部分がございます。  それから、国内の方々の手数料でございますけれども、確かにいろいろ御要望等がございますので、私ども、適切な手数料にするように、人件費等の動向を考慮いたしまして、おおむね三年を機に改定をしながら適切な手数料を算出をしてまいったところでございまして、最近では、昨年、平成四年一月でございますけれども、二〇%という比較的大幅な値上げをやったというふうなことがございます。  今後につきましても、印紙あるいは切手類の販売実態を踏まえまして適切な手数料になるよう改定をしてまいりたい、こんなふうに思います。
  193. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと趣旨が理解されてないようですが、手数料を少々引き上げたって田舎の小さい切手売りさばき所は大したことにはならないのです、それは。だから私が言うのは、そこに切手を置いて売りさばいてもらうということを頼んでおる、いわゆる委託をしておる以上は、それに対して一カ月千三百円では安いんじゃないか。だから今の外国の手数料は高い安いと僕は言っておるのではない。国内の手数料も高い安いというんじゃない。しかし基礎的な料金だけはもう少し大幅に引き上げて協力をしてもらう方がいいのではないか。  郵政省から見れば、それは切手が売れただけに対して歩合を出せば安上がりかもわからぬ。しかしこっちでもうかるのだから、二五%もあなた、もともと印刷代だけあれば足るんだから、大もうけをするんでしょうから、本当に郵政事業に協力をしておる、一カ月わずか一千円足らずしか売り上げないようなところは手数料を二〇%上げようと三〇%上げようとそれは問題にならないのですよ。それを委託しておる、義務を負わせておる、そのことに対する基礎料金を改定すべきではないか。せめて一カ月五千円ぐらいはやらなきゃ気の毒ですよ。そのかわり手数料は引き上げぬでいいですよ。
  194. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 説明が間違っておりまして、先ほどの二〇%といいますのは販売の買い受け額の部分と基本料両方含まれておりまして、基本料も当然その中に入っているわけでございます。
  195. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ようわかってないね。基本料金は千三百円なんですよ。入っている入ってないは別にして、基本料は千三百円なんですよ。だから基本料は百万売るところも千円しか売れぬところも一緒なんですよ。その基本料をもっと引き上げたらどうですかと僕は言っているんですよ。そうでしょう。そこの人に委託したということは、その人が切手の保管箱を持って、人が行ったら売らなきゃならぬという義務を課しておるんですよ。売れたものに対する手数料を引き上げろというんじゃない。それだけの義務を負わしておる以上、それに対してもう少し基礎料金を引き上げてやるべきだと。
  196. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 金額が千三百円というお話でございますけれども、これが高いか安いかというところはいろいろ議論はございましょうけれども、基本料を昭和六十四年に対しまして、当時基本料九百円でございましたけれども千三百円まで引き上げたという意味では、そこの部分も大幅に改定をしたという経緯でございます。
  197. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 一円を二倍にしたって二円にしかならないんですよ。わかりますか、一円を二倍にしたって二円にしかならない。五百円が二倍になったから大幅だといったって、千円にしかならないんですよ。今日の社会常識からいって、委託をして保管箱を持ってもらって、いつでも売れる体制をとっておきなさいよということにしては安過ぎる。片方に二五%も出せるものならば、こっちは、手数料を上げるとは言わない、せめて基礎料金はもう少し大幅に引き上げてあげるべきではないか。これは検討してください。もう時間がないから。  大臣、最後にひとつ郵政省全体の姿勢について言いたかった。  実はふれあい郵便というのがあるのです。これは、寝たきり老人なんかがたくさんおって、だれも連絡する人がいない、そこで考え出したのが、自治体と約束をして、自治体がはがきを出すわけですね。はがきを持って寝たきり老人のところに行く。当然これは行がにゃならぬわけですから。そのときに、いろいろもう手紙も書けぬし用事も多いけれども足が動かないというようなお年寄りに、何か用事はないかと聞くわけです。聞いて帰ってお年寄りの要望を自治体に伝えてやる。これは余分な仕事になるわけです。はがきを持っていくまでは当たり前の仕事です。これをふれあい郵便と呼んでおるのですが、自治体との間にいろいろ話し合いをして、そしてそういうのができてきた。今三百ぐらいも、大分ふえたと思うのです。  このときに、どうしても郵政省はこれを認めようとしないんですよ。なぜかといったら、これは本来業務と違うんじゃないかとかなんとか。確かにそれは本来業務は郵便物を持っていくのが本来業務でしょう。しかし、本来業務をしたついでに若干のサービスをするというのが郵便事業にあっていいのではないかということをるる説明をして、二年ぐらいかかりましたかね、やっと今一応認知をされたという形になっておるのですが、非常に喜ばれております。  田舎の方のだれも訪ねてこないところに、しかも自治体から郵便を出させて、それを届ける、そのときに用事があれば聞いてきて自治体に知らせてやるという、このふれあい郵便というのは非常に喜ばれて、ちなみに申し上げておきますが、そういう制度がいろいろあるために、貯金は郵便局に協力すべきだろうとか、保険は郵便局に入ろうというようなことを申し合わせてくれておるところもあるぐらい、他の事業にもいい影響を与えておる。  したがって、なぜそれを郵政省が認めなかったかということを、端的に言いますと、労働組合が考え出したのです。全逓が考え出したんですよ。全逓が考え出したことを郵政省がやるのはどうもぐあいが悪いというので、これは僕は率直に役人の発想だと思うのですけれども、なかなか認知をしなかった。今やっと日の目を見たようですから、これを推進をしてもらいたいということを、大臣からひとつ答弁を聞いて終わりにしたいと思います。
  198. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先生今までの経緯等を詳細にお述べになったわけでございますけれども、郵便配達時におきまして高齢者の方々への励ましあるいはいたわりの声がけ運動という点につきましては、郵政省として確かに、認知をしたというお言葉でございましたけれども平成三年九月に基本的な実施方法を全国に通達をいたしまして、現在は五百五十五の市町村、郵便局の数にいたしますと八百七十その郵便局で実施中でございます。対象者といたしましては、七十歳以上のひとり暮らしのお年寄りあるいは夫婦世帯のみの世帯というようなところでございます。また対象地域といたしましては、原則として過疎地域活性化特別措置法の過疎地域というようなところを対象地域にいたしております。  今後でございますけれども、国の長寿社会対策というふうな政策を推進する立場からもこの拡大に取り組んでいきたいというふうに思います。
  199. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 整備をして進めていきたいと思います。
  200. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 はい、わかりました。じゃ終わります。
  201. 亀井久興

    亀井委員長 次に、吉岡賢治君。
  202. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 常日ごろ情報通信に関しまして、郵政省におかれましては、いろいろな施策を検討しながら、そしてまた未来へ向けて大きく飛躍しようとする情報通信に対しまして非常に見識を持ちながら御奮闘いただいていることに心から敬意を表したいと思います。そこで、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず第一でございますが、今回、信頼性向上施設整備で促進措置を盛り込むということを提出していただいているわけでございますが、私高く評価をしたいと思っております。そこで、信頼性向上施設整備事業に対する支援措置としての無利子融資、こういうこともうたわれておりますが、その対象が第三セクターということに限定されているというように思っています。その理由はなぜでしょうか。また、無利子融資の対象となる第三セクターというのはどれくらいあるのかということについて、まずお聞きしておきたいと思います。
  203. 白井太

    白井政府委員 ただいま吉岡先生おっしゃいましたいわゆる無利子融資と申しますのは、俗に社会資本整備法というような呼び名で言われております法律に基づいて行われている社会資本整備のための国の支援施策一つでございます。それで、実は無利子融資が受けられる対象として、この法律は、支援を受けられる施設ということで第三セクターを規定しております。  第三セクターというのは、先生も御案内のことでありますけれども地方公共団体などが出資などをしてでき上がっている会社でありまして、地方公共団体だけではありませんけれども、少なくとも地方公共団体が出資者として加わっているというようなものを第三セクターという呼び方をしております。そうしたところが社会資本としていろいろな施設整備するときに、その資金の一部について無利子融資を行うという制度になっております。  なぜ第三セクターに限ることにしたのかということでありますが、これは私も正確なことを申し上げられるかどうか自信がございませんが、社会資本という以上、純粋に全くの民間企業ということではなくて、国でありますとかあるいは地方公共団体というようなところが、本当に国民なり住民のために後々の世代まで社会資本として残るようなものを整備していくのだというような考え方があったのではないかと推測をいたしております。いずれにしても、無利子融資が受けられるのはそのような意味での第三セクターに限るようになっているということは御指摘のとおりでございます。
  204. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 信頼性向上施設整備事業に対する支援措置として税制優遇措置についてがあると思うのです。電気通信事業者関係でございますが、優遇措置というのは当面二年間、言うなれば平成七年三月三十一日まで、このように限定されておるわけです。これらを考えてみますと、信頼性向上施設というのは今後も建設され得る、そういうことを考えていきますと継続すべき性格ではないか、せっかくここで思い切って基盤法に加えてもらったのに二年間ではというように思いますので、その辺、郵政省の方針があるとするならお聞きしておきたいと思います。
  205. 白井太

    白井政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、今回の法律案で御提案を申し上げております支援措置一つとしての税制支援につきましては、とりあえず当面二年間ということで政府として支援措置を決めているということであります。  それで、税制の問題というものにつきましては、毎年年末、普通は年末になるわけでございますが、政府として政府の予算案を決めますときに、それと密接不可分のものとして翌年度の税制の取り扱いにつきまして政府の中で実はいろいろな議論をするわけでございます。そして、そのような議論の中で、いろいろなものにつきまして税制上の特例措置というのを詰めてまいるわけでありますが、そのときに詰めてまいります内容というのが、未来永劫このような措置をとるという結果が出ることはまずございませんで、このような措置については、ではとりあえず二年間ということでやってみようとか、物によっては三年間ということで、このような特例措置を講じてみようということでやってきております。したがいまして、ほとんど毎年のように、いろいろな施設につきましてさらに二年延長するとか、さらに三年延長するということを関係のところと話し合いをして決めてきております。  したがいまして、今回御提案申し上げている内容についての税制優遇措置がとりあえずは二年ということにはなっておりますが、私どもは、二年ですべて終わってしまうということは全く考えておりませんで、むしろ内容の方をさらに充実したいというくらいの気持ちで今後も取り組んでまいりたいと思っております。
  206. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 昭和六十年、情報通信関係が、いわゆる電電公社の民営化、NTTに変わっていくことと同時に自由化されました。その当時、極端に言いますと、情報通信産業に対する支援措置というのがなかったのではないかと思っています。そういう状況の中で、いわゆる格差是正法であるとか基盤法であるとかということを提起され、充実させていこう、そういう御努力を高く評価したいと思いますし、それだけに、充実した運用を図っていただくように特にお願いをしておきたい、このように思うところでございます。  続いてお尋ねしたいと思いますが、小泉郵政大臣電気通信審議会に諮問された「二十一世紀に向けた新たな情報通信基盤整備の在り方について」、こういうことで出されたわけでございます。それを読んでおりますと、平成二年諮問第四十号に対する答申を受けて、平成三年度以降情報通信のインフラの整備に公共投資予算を計上する、こういう対策を講じてきたというような記述があるわけであります。ちょっときちっとしていきたいと思いますので、どんな対策を講じてこられたのか、そして、それがどれくらいの額であったのかということを聞かせていただきたいなと思います。
  207. 松野春樹

    ○松野政府委員 先生今御指摘の平成二年諮問第四十号に対する電気通信審議会の答申を平成三年五月にいただきました。これが一つきっかけになったわけでありますが、ちょうどタイミングがいまして、平成三年度予算編成に当たりまして生活関連重点化枠が新設されました。その中で、電気通信格差是正事業といたしまして十億三百万円の公共投資予算が認められました。以降その拡充に努めてまいったところでございます。ちなみに、平成五年度の予算でありますが、三十億四千二百万円が認められてきております。  その具体的な内容でありますけれども、大半が平成三年度からの継続事業でありますが、例えますと、移動通信用鉄塔施設整備でありますとか、民放テレビ放送の難視聴解消、それから沖縄県の先島地区の民放テレビの放送難視聴解消、これは平成五年度で計画が終わります。それから民放の中波ラジオのラジオ放送の受信障害解消等であります。なお、平成五年度から新規に都市受信障害解消事業もこの対象として入っております。これらの内容事業に取り組んでおるという状況でございます。
  208. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 同じく諮問されました「二十一世紀に向けた新たな情報通信基盤整備の在り方について」の中で、「情報通信インフラ整備については、長期の期間や膨大な資金が必要である」、このように述べてあります。  仄聞すれば、郵政省が試算した予定額というのは三十三兆円、完成は二〇一五年とかというふうに新聞等で見るわけであります。この点について、どのような二十一世紀に向けた新しいメディアの開発であるとか、あるいはどのような情報通信の前進であるのかということを、二十一世紀にと言われてもちょっとぴんときませんので、少しイメージがわくようなことをお伝えいただきながら、三十三兆円をどのように使っていこうとされているのか、お聞きしておきたいと思います。
  209. 松野春樹

    ○松野政府委員 これは学識経験者等でもよく言われていることでありますが、恐らくこれから出てまいります情報通信といたしまして、動画像通信が中心になるだろうということが言われております。それを担うには、有線系の場合にはやはり光ファイバーが適しているということも言われております。また、国際的に見ますと、広帯域のISDNにつきまして基本的な国際標準が固められまして、今具体的なアプリケーションにつきまして各国が競いまして標準の具体化を検討しておる最中であります。国際戦略的な位置づけをしている国が大変多いという感じを持っております。  そこで御指摘の点でございますが、私どもは、内部の調査研究会でありますが、平成二年十月から平成四年三月までかかりまして、広帯域ISDNに関する調査研究会というのを開催いたしました。その中でいただきました内容が、広帯域のISDNの利用イメージでありますとか、需要予測でありますとか、それから必要な投資額、社会経済面の波及効果等であります。なお、この背景としまして、平成二年であったと思いますが、NTTにおきまして、俗にVIPと言われております新高度情報通信サービスの構想を、三十二兆円程度の構想であったかと思いますが、御発表されておりまして、それらも含めましてこの研究会で調査したわけであります。  そこで、結論といたしまして、研究会の結果でありますが、一九九五年から整備を開始したとしまして、二〇一五年までの二十年間に必要となる広帯域ISDNの整備のための投資額が合計約三十三兆円ということです。この内訳は、いわゆる加入者系、一番お金のかかるのがここの部分でありますが、これが約二十三兆円、それから中継系が約十兆円という積算になっているようであります。なお、この設備投資の試算に当たりましては、二〇一五年時点での普及率を約七〇%というふうに想定して計算してございます。  したがって、これはまだ確定的なものではございませんが、現在私どもが持っておるおおよそのビジョンとしての数字でありまして、今電気通信審議会でいろいろ御検討が始まったばかりでありますが、この辺のところも果たして実際どうであろうかということについて、幅広く御議論を賜りたいというふうに考えております。
  210. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今さらっとお話をいただいたのでございますけれども、イメージの問題で、例えばアメリカにインターネットというのがありますね。いわゆるコンピューターのネットワークをさらにネットワーク化して非常に大きいシステムを構築をしているというようなこともあるわけでございますが、これらのことも十分可能な中身だ、このように理解してよろしいですか。
  211. 松野春樹

    ○松野政府委員 米国におきましては、特にクリントン新政権になりまして、いわば政策の転換と言っても過言ではないぐらい情報通信関係につきまして大変ウエートを置いた政策展開を図ろうとされておると認識しております。  その中で、今先生が御指摘の点も含めまして、例えば高速情報ハイウェー構想でありますとか、あるいは全米研究教育ネットワーク、NRENと言っておるようでありますが、通信ネットワークの高速性あるいは大容量性に着目して、スーパーコンピューター等を駆使したネットワークの展開も一つの大変大きなポイントにしておるわけです。また、これは多分に日本の計画の逆輸入的な面もあるいはあるのかもしれませんが、二〇一五年までにファイバー・ツー・ザ・ホームを引きたいということも言っておるようであります。  ネットワークの整備というのは、もちろんそれ自身が大変重要な課題でありますし、産業にとりましても国民生活にとりましても重要でありますが、同時に、このアメリカの考え等を見てまいりますと、これに関連する技術開発といいますか、この技術開発の面でどうも国際的な何か戦略的な位置づけを考えながらこういう政策に取り組んでおられるなということをひしひしと感じております。日本もひとつそれに負けないように、通信基盤の整備につきまして円滑に進めてまいりたいという考えでございます。
  212. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 アメリカのインターネットというのは、今お話がございましたように、いわば軍事面におけるネットワーク、教育面におけるネットワーク、それぞれが発達をしていった。そして、それを今度はネットワーク同士をつないでいくということで大きいネットワークにどんどん広がっていったという経過があるわけでございます。  私が申し上げたいのは、実はここに一月二十一日の日経新聞がございますれども、この中にいわば郵政省関係の方ので、この通信インフラの整備というのは国家プロジェクトとして二十一世紀に向かって取り組んでいく必要があるという記述があるわけであります。これは、ある意味でこういう気概を持っていかなきゃならないのは当然だというように思っているわけです。そのことを考えた場合に、国家プロジェクトということになると一体どういうことになるのかなということが私にはすっきりしませんので、今インターネットを例に出しましたけれども需要に基づいて広がっていってということからスタートしているわけであります。したがいまして、言うなれば、国家プロジェクトというと日本全国にばちっと光ファイバーを張りめぐらす、これは大体三兆円でいける、しかしそれに附属する装置が七兆円ぐらい要るんだ、あるいはソフトウエアだとか、さらにそれに対する研究を重ねていくということに随分お金がかかるんだということが通説になっています。  そういう状況考えてみたときに、国家的なプロジェクトというふうに私たちが考えていく、あるいは郵政省がお考えになるということですれども、ハード優先ということになりますと大変なお金が一挙に要る、こういうことにもなってまいります。使う方の発想ということを優先するという方向で物事を進めていくということが、これからこの種二十一世紀の未知の部分もあるネットワークを、いわゆる通信基盤をつくっていこうとする場合でございますけれども、そういういわば利用する者の、使う者の発想というものを優先すべきではないかというふうに私はふと思ったりしますので、その点について見解があればお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕
  213. 松野春樹

    ○松野政府委員 このインフラ等を整備いたします場合に、需要予測の観点、ニーズがどうであるかという観点は当然大事な要素でございますけれども、ただ、今日取り組もうとしております新世代通信網でございますが、この領域になりますと、実はなかなか簡単にはニーズは見えてこないのかもしれない。今までの通信や放送の延長線の問題もありますが、新しい利用の仕方、例えば遠隔診療でありますとか、その他もろもろの新しい利用の仕方もあるかもしれない。やはりある程度先行的な整備というものを考えながらこれを検討する必要があるのではないかというふうな感じもしておるわけであります。  それからなお、国家プロジェクトの問題につきましては、この座談会の中で見出しとして取り上げられているようでありますが、まさに整備主体とか、それから財源をどうするか、これは大変大きな問題でありますし、いろいろ大きな議論がある問題だろうと思いますが、これにつきましては、電気通信審議会に御諮問申し上げて、この三月から整備のあり方につきましてちょうど検討が始まったばかりであります。その中で、いろいろな多方面の幅広い御意見を聞きながら御議論がされるものであろうというふうに感じております。私、今ここで断定的に申し上げる内容はまだ持っておりません。
  214. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 私があえてそう申し上げておりますのは、平成三年末におけるところの日本電話機数は五千六百万台と言われております。NTTはISDN網をつくり上げていこうということでやってきて、平成四年十二月、この時点で十六万四千なんですよ。これはある意味では非常に少ないのではないか、こういうことになるわけであります。したがって、需要という問題を我々は十分視野に入れておかないとというような気持ちを持っておるだけに、そういうふうに申し上げたところでございます。  続けて発言をさせていただきたいと思います。  同じくこの諮問の中に「官民の適切な役割分担」という記述があるのです。「官民の適切な役割分担」というのはどういう意味なのかわかりませんので、諮問された郵政省の方で、今審議会の方にかかっておるのだということでございますが、諮問の意思がそういうふうになっておることを考えまして、ぜひひとつお聞かせいただいておきたい、こう思います。
  215. 松野春樹

    ○松野政府委員 この情報通信基盤整備という課題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、電気通信格差是正事業の推進を公共投資で行ってきております。それから、税制特例措置や財政投融資措置等の支援措置も講じてまいってきておるところであります。  そこで、この新しい情報通信基盤整備に当たりましては、これも再三御答弁の中で申し上げておりますが、多額の資金と長期の期間を要し、しかも需要の不確定さという面もしばらく続くといったぐいのものでありますので、私どもとしましても、民間企業におきまして、いつ、どこまで整備できるのかということを十分見定めながら、国、あるいは国だけでなくて地方自治体も今日的には視野に入れる必要があろうかと思いますが、それと民間企業が適切に役割を分担する、あるいは連携する。ねらいはやはり、着実にどうやったら一番円滑に整備できるのかというふうなことを図っていくのが大事ではないかということで、諮問の背景説明の中でこの言葉に触れておるというふうに認識いたしております。
  216. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 私の読み方というか理解が悪いのかもわかりませんが、「官民の適切な役割分担」ということを言われますと、情報通信関係については、極端に言いますと、昭和六十年の四月にNTTの民営化と電気通信事業の自由化ということが行われた、そのときに官民問題というのは決着済みだ、このように私は思っていたのであります。  それがここに出てきておりますのであえて聞かせていただいておりますけれども、例えば郵政省が、今回の新社会資本という立場でも、パイロット事業的に関西の学研都市に二十億の資金を投じ、民間の十億と合わせ三十億ぐらいで事業をやろうとしておられる、いわゆる光ファイバーを使ってやろうとしておられる事業、そういうものを指して、いわば民間事業者の先鋭的なといいますかパイロット的な事業ということでやろうとしておられるということなのか、あるいは、いわば情報通信事業者に取りかわってやろうというようなことをお考えになっているのか。国家プロジェクトと言われるだけに大変な部分を含んでおると思いますので、あえてお聞きしておきたいと思います。
  217. 松野春樹

    ○松野政府委員 官民の役割分担という考え方、先ほどちょっと触れたとおりですが、今回の例えはパイロット事業でありますけれども、これは、私どもも短期的な課題と長期的な課題は十分区別して認識して取り組んでおるつもりでありまして、これはむしろ光ファイバーを使って流れる情報が、先ほど画像通信の領域がこれから発展すると申し上げましたが、してみると、郵政省といたしましても、通信型それから放送型があわせて有線で流れるということも十分予想されるわけでございます。  したがって、これは私どももひとつ乗り出して、公的な資金も、補助金という形でありますが、今まだ補正予算で御審議中でございますが、いただいて、そこでパイロットモデル事業をやろう、そこに民間事業者の方々も、これは放送事業者関係の方も含めまして、ひとつ一緒になって協力していただいて、新しい情報通信とは一体どんなものが各家庭に流れるのかというふうなこともやはり取り組んでみたい。そこから制度的な問題、コスト的な問題、あるいは技術的な問題についていろいろなデータをちょうだいしたいというふうな取り組みでございます。  したがいまして、何か国営事業として通信事業分野に新しく乗り出すというふうな考えでございませんで、あくまでもできるだけ早い段階で、大変コストもかかり期間もかかる新しい通信網の整備ではありますが、ぜひひとつ国の方も力を入れて、一緒になって早く整備してまいりたい、できるだけ早く整備する方途を見出したいというふうなことでいろいろ検討しておるところでございます。
  218. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 私もかつて質問の際に、日本のいわゆるISDN化、ディジタル化がどんどんおくれをとり出しているということを指摘したことがございます。とりわけ全国の中で、過疎地等を含めてなかなかペイしないということがある中で、いわゆる事業者の方はなかなかやりにくい、そういうことに対する支援というのは考えていただけぬだろうかなどということも申し上げてきたことがあるわけでございます。  そういう状況考えながら見詰めておりまして、国益を考えなければならぬだとか、あるいは国家プロジェクトだと言われたり、また情報通信基盤整備の公団化などと新聞に載りますと、一体どうなるのか不安に思っております。私どもは、あくまでも電気通信事業者の財政的支援等を中心にした考え方であって、しかもパイロット的なことはやっていただくということでとどめておくべきではないのかという意見を持っておりますので、申し上げておきたいと思います。  その次に、「二十一世紀に向けた」という中で、同じものでございますが、「技術革新に対応した制度の確保」というようにまた記述されているわけでございます。これはマルチメディアについて整備されていくということになるのでしょうか、法整備のことなんでしょうか。具体的にちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  219. 松野春樹

    ○松野政府委員 技術動向との関連でありますけれども、やはり情報通信インフラ整備技術動向に沿ったものであることが必要であるということは申すまでもないことかと存じます。  現在の技術動向でありますが、これは先生の方があるいは私よりもはるかにお詳しい部分であろうと思いますが、飛躍的に大容量化、高速化が進みつつある、それから移動通信化も進みつつある、それからディジタル化も進みつつあるというふうなことでございます。  それから、それとの絡みもございますが、インフラというものが、通信基盤というものが各メディアごとに各個ばらばらではなくて、これから共用化されてくる。光ファイバーの例あるいは通信衛星、CSの例も一つの例として挙げられるわけです。あるいは統合化されてくるというふうな現象が進んでまいるのではないか。今度は端末の方でも、統合端末のマルチメディア化してくるというふうなことが言われておるわけでありまして、このソフトの統一あるいは共用、それからこの種の端末の統一あるいは共用というふうなものが進んでまいるということは、インフラ整備に当たって十分念頭に置かなくてはいけないというふうな意味を込めまして「技術革新に対応した制度の確保」ということも言ってございます。  ただ、もう少し触れさせていただきますと、先ほどのインフラを共用するということから、今私ども通信・放送、いろいろな制度を持っておりますが、通信型それから放送型の何か融合現象みたいなものもこれからあるいは進むのかもしれないので、そこを十分念頭に置いてフォローしていきたいというふうな趣旨も入ってございます。
  220. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今おっしゃるように、CATVや、あるいは通信が、放送がということで混在していくというような方向になるのは明らかであるだけに、いろいろな制度をつくっていくということになろうかと思います。  一つお願いしておきたいのは、規制ではなくて、高度化の際の公的なサポートをする、そういう法制度で考えていただきたいという気持ちがあるわけであります。その点についてどうなのか、お聞きしておきたいと思います。
  221. 松野春樹

    ○松野政府委員 規制緩和等の議論をする際に、逆に規制をすることによって物事が円滑に進む、あるいは利用者にとっても利用しやすいというふうな面もあるわけではありますけれども、一般的に申し上げまして、先生御指摘のように規制のための規制というふうなことは毛頭考えないようにしていきたいと存じます。
  222. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 大臣にお尋ねしたいと思いますが、NTTの次世代通信網構想というのが出されました。新聞発表で四十五兆円だというふうに言われています。これについて、細部にわたって質問することはしませんので、大臣の御見解があれば、どのように受けとめておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  223. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 次世代通信網の整備NTTが大変力を入れている、また意欲的に取り組んでいるというふうに私は理解しておりますが、これは膨大な投資を必要とする。なおかつ、今までの松野通信政策局長の答弁にあるように、これからアメリカ政権も先ファイバー通信網には大変力を入れている。世界の動向を見きわめながら、日本もこの情報社会におくれをとってはいかぬということで、情報基盤整備にどういうふうにかかわり合って取り組んでいくかという場合、NTT等民間事業にしてみれば、自分たちでできるんだというような意見もあります。国がやらなくてもこれは自分たちの領分だという意見もあります。しかし同時に、これは民間ではでき得ない部分もあるのではないかという点も考えなければいかぬということで、ことしの三月ですか、そういう総合的な点も含めて二十一世紀における情報通信基盤整備のあり方について検討していただくように諮問をした。  この結果を見ながら幅広くやっていきますが、基本的には、今民間の投資意欲とか、あるいは研究に向けての人材育成とか、すぐれたものがありますから、こういう点も見きわめながら、民間の意欲がさらに高まるような環境整備に国が取り組んでいきたい。その面で国としてできるような支援があれば積極的に取り組んでいく。いわゆる官と民の役割とはどういうものか、また民間が旺盛な活力を発揮するために国がどういうふうに取り組んでいくか、そういう点も強く念頭に置きながら、官民相連携しながら、来るべき二十一世紀に向けて世界の動向におくれをとらないような高度情報社会の建設に取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。
  224. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 おっしゃるとおり意味はわかるのです。私は、この種問題というのは、例えばNTTが今宮であれば別の方法をとれると思うのですが、先ほど申し上げましたように昭和六十年に民営化されてきた、そして今日まで八年間、こういう状況考えてみますと、NTTにしても受益者の合意を得ながらみずからの手で行っていくという姿勢に立つのは当然だ、このように私は思っておりまして、そういう意味で、このNTTの次世代通信網構想について一定の評価をすべきではないか、このように感じているのですが、一言お伺いしたいと思います。
  225. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 国としてまさにNTT独自の意欲をそぐようなことはしてはいかぬ、むしろそういう民間の旺盛な活力を導き出すような環境を整えるのが国の役割だと私は考えております。
  226. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 次に進みたいと思います。  総合景気対策の中で、第一種電気通信事業者設備投資について「経営体質の強化を図りつつ」というように民間設備投資の項に記入されておりまして、そのことが私は気になりましてちょっとここでお尋ねするのですが、この点についてどのような理解をされておられるのか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  227. 白井太

    白井政府委員 去る四月十三日に経済対策閣僚会議におきまして「総合的な経済対策の推進について」という方策が決められたわけでございます。その中に、ただいまもいろいろお話が出ておりましたことにも関連すると思われますが、設備投資のことについての項目も入っておりまして、そこの記述では、「NTT、KDDをはじめとする第一種電気通信事業者設備投資については、その経営体質の強化を図りつつ、ネットワークのデジタル化投資の繰上げ、光ファイバー網関連投資の追加等、」云々というような記述になっております。
  228. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 その後に、平成五年に二千五百億程度促進するよう要請するということで設備投資を促しているわけであります。そこで、先ほどもお話をしておりましたパイロットモデル事業等を含めて出てきたというようには思うのでありますが、やはりこの二千五百億という資金を捻出していくということになると大変でございます。  したがいまして、ここでお聞きしておきたいのは、KDDやNTTという表現が使われているわけでございますが、経営の体質強化を図るということについては料金問題等についても考えざるを得ないということであるのかどうか、その辺のことについてお聞かせいただきたいと思います。
  229. 白井太

    白井政府委員 この経済対策の中で、設備投資を二千五百億円程度を促進するという内容についてでありますが、この設備投資の内容というのは、何か新しい設備投資をするというものではございませんで、実は計画的に毎年進めております設備投資計画を、俗っぽい言葉で言わせていただきますと前倒しをするというようなことで、下期にやる予定だったものを上期に繰り上げますとか、あるいは、来年度にやる予定だった計画のものを本年度に繰り上げて実施をするというような意味合いで、このような金額の積み上げをして、その程度の金額の設備投資をぜひ本年度実施するようにお願いをしたいということを郵政省から、ここにもありますようなNTT、KDDを初めとする第一種電気通信事業者の方にお願いをしたわけでございます。  したがいまして、ここでお話しになっておりますのは直接料金とか収入とかいうことについて触れているわけではございません。
  230. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 直接触れてないという、最後微妙なお言葉でございますけれども、御案内のとおり、NTTは経常利益がどんどん下がってきまして、来年、再来年あたりには赤字になるのではないかと言われているわけでございます。ちなみに申し上げておきますと、平成四年では一千六百二十五億の利益、平成五年予測というのは一千億を切る、こういうふうにこの間の決算書で見させていただいているわけで、非常に危ないところに来ているわけでありますから、さらなる設備投資ということになれば、料金問題等を含めて考えざるを得ないというように私は思っているわけでございます。  一説に、そういうことをして料金を上げるようなことをすれば、景気対策として逆行するではないかという意見もあろうかと思います。しかし、そうは私は思っていないわけであります。そのことによって設備投資が行われるということになれば、NTTのいわば下請さんもある、あるいはいろいろな通信機器メーカ−もある、コンピューターメーカーもある、そういうところの活況が出てくるということ等を考えれば、大きいプラスになっていくというように思っているわけでございまして、ぜひ、体質強化というのが合理化であったり、これも別に否定はいたしませんけれども、人減らしであったりという単純なことに陥ることなく経営努力をせよということも言われると思いますが、今申し上げたような、非常に困っている実情についても配慮するというようなことも郵政省として考えていただかないと、許認可権を持っておられる郵政省でございますから、大変なことに陥っていく可能性もあるということを含めて理解をしておいていただきたいと思いますので、一言お伺いしておきたいと思います。
  231. 白井太

    白井政府委員 これはもう先生の方がむしろよく御存じのことでございますけれどもNTTにつきまして、設備投資というのに必要な資金がどういう形でやりくりされているかということを見てみますと、いわば資金計画の中で設備投資計画というのがつくられるわけでありますが、施設設置負担金でありますとか減価償却費あるいは固定資産除却費等を主な財源といたしまして、それに若干の借入金などを加えて実は設備投資計画を立てるというようなことになっておりますので、設備投資のために必要なお金が直ちにそのまま損益計算書の中に出てくるとかというような形にはなっていないわけでございます。  ところで、NTTの財務についてのお話が今ございましたが、私どもとしても、電気通信事業という極めて公共性の高い公益事業を営んでいるNTTの財務が非常に極端に悪化をするということがあってはならないということはもちろん考えておりまして、昨年あたりからだんだんと財務の状況が悪化してきているということも事実でございますので、この点についてどのように対処していくかということについては、十分注意を払ってまいりたいと思っております。
  232. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 昭和六十年三月に、電気通信審議会答申で、いわゆる「高度情報社会にふさわしい電気通信料金の在り方」というのが出ております。適正報酬の算定方式については、積み上げ方式とレートベース方式のうち後者が適切、このように言っているわけであります。今日まで八年たっているわけでございますが、このレートベース方式ということを採用されてきたのではないかというように思うのですが、この点について明らかにしておいていただきたいと思います。  それと、料金の体系についてでありますけれども、国会の中では、いわば民営化後五年くらいで見直さなければならぬだろうという、当時の奥田敬和大臣や当時の真藤総裁等も答弁をいたしております。八年まで持ってきたというのはそれなりに経営努力もあったというように私は見ているわけでございます。いろいろな言い方はされておりますけれども、料金問題等について、ここでやはり企業インセンティブが働くような方向での料金体系の見直しというようなことも考えていい時期に来ていると思うのですが、一言お聞きをしておきたいと思います。
  233. 白井太

    白井政府委員 電話料金などのいわゆる料金の問題については、改定をしたいという御意向をNTTの方で持っておられるということは承知をいたしておりますが、私どもの立場では、まだもちろん認可申請が出てくるというような具体的なことになっておるわけじゃございません、もちろん公衆電話は実はまた別でございますが、一般の電話料金などについて改定案の認可申請があったというようなことでもございませんので、どういう取り扱いをするのかとか、どういう考え方で臨むかというようなことについては、ここで申し上げるのはぜひお許しをいただきたいと思いますが、NTTが株式会社になりました昭和六十年ころのいろいろなお話も若干お述べになりましたので、一言二言コメントをさせていただきますと、基本的にはこの電気通信審議会の考え方というのは、NTTの料金を考えるときには、NTTの財務として適正報酬というものも考慮に入れて料金水準というのを考えた方がいいのではないかということ、あるいは個々の電気通信サービスの料金については、それぞれのサービスごとにできるだけコストというのを参考にしながら料金を決めていくということが必要ではないかというような考え方が述べられていたのではないかというふうに理解をいたしております。
  234. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひ市内料金の問題等も含めて、いわゆる電気通信役務の原価に照らした公正な料金を設定すべきというふうにされている部分を重視していただきたいというように申し上げておきたいと思います。  それと同時に、先ほども申し上げておりましたけれども、国、言うなれば郵政省という役割は、大臣も言われたのですが、民間が仕事をしやすいようにする、そして煩雑な規制というものを可能な限り緩和する、そういうことではなかろうかと思いますので、先ほど申し上げました料金規制の問題についても同様にお考えいただきたい、企業インセンティブが働くような方向でというように私は申し上げておきたいと思います。  それと同時に、ずっと質問をさせていただいたのですが、今我々が一番重視しなければならぬというのは、情報インフラの関係でございますが、情報時代という中で、ある意味で国の競争優位の重要な決定要素だというくらいの気持ちを持ちながら私どももこの問題を見詰めていきたい、このように思っておりますので、皆さん方のさらなる検討を心からお願いを申し上げておきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  235. 佐田玄一郎

    ○佐田委員長代理 田中昭一君。
  236. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 大変お疲れだと思いますが、きょういろいろスケジュールがございまして、皆さんの質問をお聞きいたしておりませんので、ダブる点も多々あろうと思いますけれども、割り当てられた時間、御質問を申し上げたいと思います。  まず、今回の電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法案につきまして、おおむね理解ができる立場でありますけれども、五点につきまして考え方をもう少し具体的にお聞きをいたしたい、こう思います。  その第一は、今回基盤法の中に信頼性向上施設整備事業を追加する理由について、「電気通信サービス障害が生じた場合の影響が著しく増大しているという状況にかんがみ」となっているわけですが、この点もう少し具体的にお聞きをしたいと思います。また、なぜ基盤法の追加によって行うのかということもあわせてお考え方をまずお聞きをしたいというのが第一であります。  それから第二でありますが、信頼性向上施設整備を行う対象業者、これは一体どういう業者になるのか、範囲などについてもう少しお聞きをしたい、こういうふうに思います。  それから三つ目でありますが、想定される具体的支援対象施設とは何かという問題でありますが、別途の説明では、回線切りかえ装置、それから電気通信網の統合監理設備、非常用発電設備等々ということになっているわけですが、これは制限列挙なのか例示的なものなのか、具体的にこういう問題についてはどこでどういう形で決められていくのかという点について、もう少しお聞きをしたいと思います。  それから四つ目でありますが、新たに信頼性向上施設に関して策定する基本的指針というのは、一体どういう具体的な内容になるのか、ここのところをもう少しお聞かせをいただきたいと思います。  それから五点目としては、実施計画がつくられるようになっているわけですが、実施計画の認定に当たっての考え方を少しお聞かせをいただきたいと思います。  法案については、以上五点につきまして、もう少し理解を深めたいと思いますからお答えをいただきたいと思います。
  237. 白井太

    白井政府委員 まず第一点のお尋ねでございますが、信頼性向上施設を追加する理由と基盤法の事業として追加した理由は何かというお尋ねでございます。  電気通信というのがいろいろな社会活動の中で利用される度合いが急激に進んでまいっておることは御案内のとおりでございます。例えば銀行などの金融機関を例にとってみましても、電気通信の利用というのがなくてはもう金融サービスそのものがむしろ成り立たないというくらいの状態になっておることは御案内のとおりでありまして、何かの事故がありましてオンラインシステムがストップしてしまいますと、本当にお金を払い出したい方が払い出せないとか、あるいは決済をしようというにも決済ができないとかいうことで、もう昔のそろばんを使った仕事にはとても戻れないような状態になっているということを銀行の方などからもお聞きするわけでありまして、これは一つの例でありますけれども、そのように電気通信に頼った社会ということになってきていると思うわけであります。  しかし、そのような電気通信というのも、絶対に中断したり故障したりすることはないのかというと、残念ながらそういうことではございませんで、特に災害でありますとか、あるいは人為的なミスでこの機械を壊してしまうというようなことがありますと大変でございますので、そういうものについては、できるだけそのような危険性から電気通信施設を遠ざけるということが必要でありますので、このようなことにできるだけ早く取りかかっていただく必要がある。しかし、そのような施設整備というのは大変お金もかかりますし、また利益にもすぐ結びつくというようなことでもないということでもありますので、ここは国としてもぜひそういう施設整備を進んで図っていただきたい、図っていただく場合には何がしかの国としての支援措置も講じさせていただきますというようなことをしたいというのが今回の法律案内容でございます。  この基盤法の追加ということで、そういうやり方でなぜ行ったのかというお尋ねもございましたが、この点につきましては、平成三年にできました電気通信基盤充実臨時措置法という法律が、もともと電気通信による情報の流通の円滑化のための基盤の充実を図るということがねらいででき上がった法律でございます。その法律の二本の柱のうちの一本の柱としては、施設整備事業として、極めて高度化した電気通信施設整備するということについて国としての支援措置を講ずるということが一本の柱になっておりました。今回この信頼性向上施設整備事業として追加するものは、そのような高度化した施設をつくるということとは若干違いますが、しかし情報の流通の円滑化のための基盤を図るという点では全く共通の目的を持っておりますし、それから、国の支援の仕組みというのも大変よく似た同じような支援をするということでございますので、新たな単独の法律を改めてつくり直すということではなく、今ある法律の中に一つの柱を加えるという形でやらせていただいたらということで今回のような御提案をさせていただきました。  それから二番目のお尋ねは、この整備を行う事業者というのはどのような人なのかというお尋ねでございますが、これは結論的に申し上げますと、電気通信事業法が適用される事業者の方すべてということになりますので、電気通信サービスを商売しておられる方で電気通信設備を設置する方はすべて対象になり得るので、現在は八十くらいの事業者の方がこの対象になるということになります。  それから、支援対象施設についてのお尋ねがございました。  この点についても、四つの施設について私ども御説明をさせていただいておりますが、これは一体例示なのか、またどういう施設を具体的にこの法律の対象施設と認定するのか、だれが決めるのかというような趣旨のお尋ねでございましたが、これは私どもとしては例示ということで、あくまで決められるのは法律案の中身に書いてありますとおりのことでありまして、法律案の中身に合うような施設であれば何もこの四つの施設に必ずしも限るというものではございません。ただ、実際に支援をする内容が、税制上の支援でありますとか、低利融資をいたしますとか、あるいは債務保証をするとかというような支援措置内容になっておりますので、郵政省だけで、私どもだけで決めるということもできない性質のものでもありますので、関係の省庁とも話し合いをしながら対象施設をきちっと決めていくということでございますが、先ほど挙げられました四つの施設については有力な候補でありますし、そのうちの二つは特に税制上の措置については本年度特例措置を講ずるということで既に政府として意思を決定しております。  それから四番目に、この基本方針についてどういうことを決めるのかというお尋ねでございました。  これは一口に申し上げますと、この信頼性向上施設について国が支援措置を講ずることにしたという趣旨事業者の方によくわかるように基本方針をつくるということで御理解をいただきたいと思うわけであります。そういたしますと、そのような基本方針をごらんいただけば、それでは事業者としてこういうような施設自分も設置するように努めよう、あるいは設置するということになれば国の支援が受けられるということがはっきりするわけでありまして、事業者の方によくこのねらいをわかっていただけるようなものにしたいと思っております。  それから、具体的な認定はどのような考え方で行うのかというお尋ねでございましたが、これも、ただいま申し上げました基本方針に基づいて事業者の方がこの信頼性向上施設整備を行おうという事業計画を立てられましたときには、その計画がただいま申し上げましたような法律趣旨に合っているかどうかを郵政省の方で見させていただいて、認定をするということになるわけでございます。
  238. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  それでは二番目。今回の提案は、いわゆる信頼性向上という問題に着目をした提案でございますが、これとの関連で少しお聞きをしたいと思います。それは、中央安全センターの設立、それから電気通信システムの安全・信頼性に関する研究会の中間報告、この二つについて、現状を少しお聞きをしたいと思います。  電気通信の安全それから信頼性確保することの重要性から、非常災害時の通信のふくそう、それから途絶などを最小限にする、そしてまた公共機関の優先利用を確保する、通信の安定的確保を図る、そのために電気通信事業者によって中央安全センターを設立をするということがNTT法附則第二条に基づき講ずるべき措置の政府措置の中で決められておるわけですが、これは一体どういう状況になっておるのか。この設立の状況と機能などについて、今日的な状況を少しお聞きをしたいと思います。  それからもう一つは、電気通信局長の研究会ですかね、これは性格としては。ネットワークの高度化などに対応して安全、信頼性確保などを検討をしてきたと言われる電気通信システムの安全・信頼性に関する研究会の中間報告が取りまとめられている、こういうふうにお聞きをいたしておるわけですが、その内容について簡単に概要をお聞きをしたいと思います。  今申し上げました二つ信頼性確保に関する一定の取り組みについて、今回の法案との関連性もあると思いますからお聞きをいたしたいと思います。簡単に結構です。
  239. 白井太

    白井政府委員 最初に、私の発言の訂正をさせていただきたいと思います。  先ほど対象事業者約八十社と申し上げましたが、これは電気通信事業法に言ういわゆる第一種の電気通信事業者でありまして、基本的に施設自分で設置をして電気通信サービスを提供するという事業者の方でありますが、この方は当然対象事業者になるわけでありますが、そのほかに、税制の支援を除きますと、そのほかのいわゆる第二種の事業者の方も理論的にはこの法律の対象になり得るということでございました。ただ、国税、地方税の税制支援の方は第一種電気通信事業者に限るということで整理がなされておりますので、おわびして訂正をさせていただきます。  次に、中央安全センターのことについてのお尋ねでありますが、先生お話のように、平成二年三月に決めましたいわゆるNTT法附則二条に基づく政府措置の中に「中央安全センタの設立について、具体策を検討する。」というような記述がございます。  そこで郵政省としては、これもただいま先生からお話がありましたようないわゆる研究会というようなものを私どもの局の中につくりまして、部外の大学の先生方、その他事業者関係の方なんかも参画をしていただきましていろいろ勉強をしてまいりました。その結果、つい先日、報告書を出していただいたわけであります。その報告書の中身を一言で申し上げますと、ネットワークの相互接続の進展に伴う安全、信頼性確保方策でありますとか、通信システムのソフトウエア障害対策、あるいは個人情報の保護の問題等々について、今後の対策のあり方などについて幾つかの研究成果をまとめていただいたということでございます。これは、昭和六十年を境にいたしまして非常に多くの電気通信事業者電気通信サービスを提供することになったということで、いろいろ異なった電気通信システムがネットワークとして結ばれるようになったということからこうした提言になったものと理解をいたしております。  そしてさらに、この中央安全センターの関係につきましては、ただいま申し上げましたような研究会の中でのいろいろな議論も踏まえまして、この報告の出る前でありますが、昨年の五月に、事業者間の連携のあり方でありますとか、あるいはソフトウエアの障害対策について中間報告が出たものですから、それらを参考にいたしまして、昨年の九月に社団法人であります電気通信事業者協会、これは電気通信事業者の方々のお集まりの協会でありますが、その中に安全・信頼性協議会というのがつくられました。私どもの理解では、これがいわば政府措置の中の中央安全センターの役割を果たしてくれる機関だというふうに理解をしておりまして、ここの協議会の中でこれからの電気通信網安全性信頼性確保のためのいろいろな方策、なかんずく事業者間のネットワークを相互に接続をするというような難しい問題についての安全確保というようなことについで、いろいろな御議論とか具体策が練られることを期待しておるところでございます。
  240. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  以下、少し私見も交えてきょうは郵政省の御見解をお聞きをする、こういう立場で幾つかお尋ねをしたいと思います。  その第一ですけれども、アメリカにおける通信政策の変化の問題。特にインフラ整備構築について、前に一度一般質問で、角度は違ったのですが大臣質問したことがございます。簡単な答弁をいただいておるのですが、きょうは違った角度で少し郵政省の御見解をお聞きをしたい、こう思っております。  御承知のとおりでありまして、アメリカではクリントン政権が誕生いたしまして、アメリカの通信政策が大きく変わるのじゃないかということがいろいろ報道としてございます。上院議員時代から情報通信分野について大変詳しい、学術研究用ネットワークのための法案ども上院議員時代に成立をさせているのがゴア副大統領ですが、ゴア副大統領は、情報通信インフラ構築を、国が支援する社会基盤だ、そして国際競争力の源だ、源泉だ、こう主張をいたしておりまして、市場原理を重視して整備をするという従来の考え方が変わっているんじゃないか、こういう報道がございます。また、クリントン大統領も選挙の際の公約として、二〇一五年までに全米の家庭、企業、それから教育機関などを結ぶ高速ネットワークを整備する、こういうことを公約として主張をしてきた。     〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕  こういうことの背景ですけれども、アメリカ産業界の技術開発が大変おくれておる、それはなぜかという要因が、いわゆる情報通信インフラ整備が非常におくれたためだ、こういうふうに認識をするという立場から、国が支援をして、市場原理などをある程度乗り越えても情報通信インフラ基盤整備を行おう、こういう方針だろう、こういうふうに簡単に申し上げますと理解をしているわけですが、その理由は、いわゆるAT&Tの分割後における七つの主要電話局が十分なインフラ整備を行わなかった、こういうところに理由があるだろう、こういうふうに思っているわけですが、米国におけるこの問題は、国際政策の面でも一定の影響があるという視点がございます。  これは前回、一般質問の際に大臣から御意見もいただいたわけですが、きょうはアメリカにおけるインフラ整備にかかわる政策転換とも言える変更、考え方について、郵政省としてはどういう分析をされておるのかという点について、少し郵政省のお考え方をお聞きしたい、こう思います。
  241. 松野春樹

    ○松野政府委員 一言で申し上げますと、クリントン新政権になりまして広く情報通信の基盤整備に関して積極的な取り組みを示す方向に転換したなというふうに感じておるわけであります。  先生あるいは御存じのことであるかと思いますが、数点ピックアップして申し上げますと、高速大容量の全米研究教育ネットワーク、いわゆるNRENと称しておりますが、これの構築に五カ年計画で、当初段階で総額約三十億ドルの政府拠出を行う計画を現在実行に移しているという点が一つ挙げられます。  それから、ことしの二月に新政権が発表した米国の経済成長のための技術政策という中で、情報通信インフラ・タスクフォースという場を設けまして、高速大容量のいわゆる情報スーパーハイウエーの構築の重要性を説いているという点があります。  それから三つ目には、先生もちょっとお触れになりましたが、昨年の六月でありましたか、クリントン・ゴア公約集の中で、二〇一五年までにファイバー・ツー・ザ・ホームの構想を進めるというふうな公約も、まだ法律は成立してはいないようでありますが、進めておるというふうな話もあるわけであります。  これについてどういうふうに見るかということでありますが、一つには、やはり日本も同じ事情ではありますが、高度情報化の進展に伴いまして情報通信基盤というものの整備が、経済社会あるいは国民生活にとってますます役割が増してくるということに改めて思いをいたしたということも一つあるのであろうということもあります。  それからもう一つといたしましては、特に高度情報通信基盤整備という問題と、例えば標準化でありますとか、これも大変国際競争が激しいわけですが、あるいは例えば高速交換機でありますとか、あるいはマルチメディア端末の開発でありますとか、こういう関連技術開発が密接不可分であるということを念頭に置かれて、この分野で改めて国際的なリーダーシップをとるというふうな意気込みがうかがえるというふうな点もあるわけであります。  郵政省といたしましても、まずはアメリカが実際にこの政策をどういうふうに展開するのか詳しく知ることが大事であるということに思いをいたしまして、ことしの四月でありますが、日米首脳会談の場でこの点について若干触れられました。それから、政務次官がやはり訪米をされておりますが、その際、日米両国の政策当局それから学会あるいは産業界の方々によるこの種の情報インフラ基盤の取り組み等の諸課題についての政策対話の場を設けようではないかということで、詳細はまだこれからでありますが、基本的な合意を見ておる。ひとついろいろな手だてを講じまして、実際にアメリカがどういうふうな政策を情報通信問題に関してやろうとしているのか、ここは十分やはり見定めていきたいというふうに思っております。
  242. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 電電公社NTT、AT&Tの分割、それからイギリスのBTの民営化など、大体同じような時期にスタートしていると思うのですね。アメリカのそういうAT&丁分割後の分割した各地方電話会社などがどういう経営をしてきて、それが今日の政府の情報インフラ整備を含めましてもっと積極的な通信政策を強化しなければいけない、こういう流れと、我が国においても、電電公社が民営化、結局、通信の自由化をして、そして今日に至っておる、NTTとNCCの競争。今後は、今から申し上げますけれども、光ファイバーの整備などかなりインフラ整備などをやるという立場に立った場合に、このアメリカの通信政策の変更と言われるような問題と、我が国における今後のインフラ整備についての考え方というものをどういうふうに整理をして理解していくかという問題は今後の大きな政策課題だろう、私はこう思っているわけで、そういう立場からいま少しクリントンの通信政策についてお聞きをしたわけです。  関連いたしまして、新社会資本としての情報通信基盤について今回、我が国における総合経済対策の中でいろいろ議論がございました。いわゆる公共投資などの拡大、新社会資本として、郵政省関係でも、光ファイバー次世代通信網パイロットモデル事業とか通信総合研究所の施設整備郵政省におけるLANの構築などが最終的に決定をされたと、こういうふうに理解をいたしております。  この議論の中で、今後における次世代通信網、いわゆる光ファイバー網など情報通信基盤整備についていろいろな議論が今日、展開されておる。新聞にもいろいろな記事が載せられているわけですが、この考え方などについて政府内部でも意見の食い違いが出ているやに見ているわけです。例えば郵政省のこういう問題に対する考え方と、通産省の考え方というのは基本的にやはりずれがあるのじゃないかな、意見がかなり違うのじゃないかな、こういうふうに思われる節がございます。  したがって、社会資本としての情報通信基盤整備のあり方について、今日、断定的な結論はなかなか難しいのじゃないかと私は思っていますけれども郵政省として、我が国における今後における光網などを中心とする情報通信基盤整備のあり方について、基本的にどういうお考え方をお持ちなのか、これも基本的な考え方だけで結構ですが、少しお聞かせをいただきたい、こう思います。
  243. 松野春樹

    ○松野政府委員 総合経済対策、いわば景気対策を検討する中で、今先生からもお触れになりましたように、新社会資本というものをめぐるさまざまな議論が出てまいりました。新社会資本の定義そのものにつきましてはまだ若干議論が継続している面もあるようではありますけれども、この物の考え方といいますか、もし新しい方向づけ、公共投資のあり方ということについての踏み込みということでありますと、私ども、当然これは強い関心を持って見ておったわけでございます。  政府内部の不一致等についてお触れになりましたけれども、これはむしろ議論の中でのさまざまな、いろいろな考え方が報道等でいろいろ伝えられたということで、今不一致でそれをもとに何か大きくぎくしゃくしているというふうなことはございません。もちろんまだこれからいろいろ話し合いをしなければいかぬ場面はあると思います。  そこで、情報通信基盤整備でありますが、いずれにしても、生活大国の実現でありますとか国土の均衡ある発展を図る上でこれは大変重要な課題であるというふうに基本的に認識いたしておりまして、しかも、これからの技術革新でありますとか高度情報化の進展に伴いまして、インフラ面でもできるだけ早い段階で高度化を図っていく必要があるということであります。なかなか簡単に結論が出ない問題でもありますので、ことし三月、電気通信審議会に「二十一世紀に向けた新たな情報通信基盤整備の在り方について」ということで具体的に諮問いたしまして、できるだけ総合的かつ具体的なガイドラインをお示しいただきたいということで幅広い御意見をちょうだいしてまいる所存でございます。  いずれにいたしましても、二十一世紀に向けまして情報通信基盤整備問題、なかなか大きな問題でありますが、円滑に進むように、適切に対処していかなくてはいけないというふうに思っております。
  244. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 ある雑誌に、NTTとかNCCとか民間に任せていたら光ファイバーなどによる次世代通信網の構築はいつになるかわからない、したがって国と地方自治体が公共事業として建設をする、情報インフラ整備公団を設立する、公団方式ですね、財政投融資を財源に建設をするという通信政策局の考え方を実は拝見したわけです。これは官の論理でやるわけであります。公共性が優先するわけですから、需要のないところにも投資をする、効率が悪いという問題があるという指摘が一方ではある。それから一方では、通信自由化の趣旨からも民間活力を最大限生かすことが基本ではないか、こういう意見がある。いろいろございます。これは今局長が言われたように、今後議論をしていくべき問題だと思うのです。  私は先ほどアメリカの問題を申し上げたのですが、AT&Tが分割して以降のアメリカにおける電話局の対応と、我が国におけるNTTなりNCCの対応というのは随分違うのではないかな、こういうふうに思っているわけですね。そこで、NTTの次世代通信整備構想についてどういうお考え方をお持ちなのか、若干お聞きをしたいわけです。  NTTが光ファイバーを中心とする次世代通信整備を二〇一五年度までの二十二年間で四十五兆円の設備投資で構築するということを既に発表しているわけです。その内訳を見てみますと、加入者光回線が十兆円、交換機のディジタル化、広域化が十兆円、新サービスのソフト開発が八兆円、研究開発が五兆円、これに既存サービスなどの維持更改で十二兆円で、四十五兆円の設備投資でこれが構築できるんだ、こういうことになっておるわけです。それで、私たちが知り得ている情報によりますと、NTTの近年の設備投資はおおむね年間一兆八千億前後、年間あと二千億円が調達できて上積みできればNTT自体として自力で家庭までの光化は実現可能だ、こういうふうに発表されていると思っています。  それで、私は先ほどアメリカの例を申し上げたのですが、事業実績であるとか技術的な実績としても、NTTの長期計画、御承知のとおりVIアンドPによって現在基幹の光ファイバー網の建設が既に終わっておる、交換機のディジタル化や大口ユーザーへの光化を今進めている、こういう状況にあると思います。既に北海道から鹿児島まで日本列島の縦貫ルートは完成をしておりまして、その後地方都市部にもだんだん広がっておりまして、今延長で七万キロ、加入者線も一万キロまで延びておるというのが実情だと思っています。電話局交換機の光化も平成七年までには完了するという実績で既に進められておる、こういうふうに聞いておるわけです。  ここで私は、さっき申し上げましたけれども、拙速的に意見を申し上げるつもりは全くありません、私も勉強不足ですから。しかし、今後この問題はかなり重要な問題だ、こういう認識もございます。今のNTTの発表した内容やらその他の意見なども聞いてみますと、情報通信インフラの建設は、従来どおりNTTに任せておいた方がいいのではないかという意見が政府の中にもある。それから、経済原則、通信自由化という立場で民間活力主導でやるべきである、こういう意見も非常に強いと思うのです。  そこで、そういうNTTの発表に郵政省としては絶対反対だということは今のところ聞いていませんけれども、しかし今日いろいろな情報の中で、今後の情報通信インフラ整備をめぐって官と民との主導権争いがあるのではないかという雰囲気の情報が非常に多いわけですね。よくわからない点もございますが、今申し上げましたNTTが発表した構想なり今日までのNTT実績を踏まえて、このNTTの構想というものについて郵政省としては今どういう見方をされておるのか、お考え方をお持ちなのか、この点をきょうはお聞きをしておきたいと思います。
  245. 白井太

    白井政府委員 NTTが次世代の通信整備構想として、発表をしたと申し上げていいのか、あるいは、そうしたものについて若干外部の方に御説明をしたと申し上げていいのかちょっと正確な申し上げ方がわかりませんが、確かに四十五兆円という一つの構想といいますか考え方を示されたということは承知しております。  ただ、率直に申し上げまして、これはきちっとした長期計画とか長期構想という形でまとめられたものという性質のものではございませんで、私どもも実は、積み上げた計算の基礎等についても十分承知をいたしておるわけではございません。それからまた、そうした考え方で平成五年度のNTT事業計画はつくられたというようなことでもありません。したがいまして、率直に申し上げますと、この金額などをとりましても、このような金額が果たして数字として妥当なのかどうかということについてはかなり突っ込んだ検証が必要ではないかと思っております。  ただ、少なくとも、こうした次の世代のファイバー・ツー・ザ・ホームという、各家庭まで光ファイバーを敷くという構想については、べらぼうな額のお金が必要だということはどなたも今までは言ってこられた構想、考え方であったように思うわけでありまして、こうしたものについては、いろいろなアイデアとか、大きな前提を置いて例えば三十三兆円という数字が出たりしたこともあったわけでありますけれども、先ほど来田中先生お話をいろいろお聞きしておりましたら、我が国としてもこうしたことをきちっとしていかなければならぬ時代に来ていると思いますので、この際は、本当に具体的な計画あるいは具体的な構想ということできちっと詰めた議論をして、その構想をどうやって実現をしていくのかということを、むしろ本当に実際のものとして詰めの作業がまずは急がれるのではないかというふうに思っております。
  246. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 今後の課題ですから、時間もありませんから、きょうはこれぐらいでやめておきます。  そこで郵政省は、私は実を言いますともう少し基本的な考え方を、スタンスをお聞きをしたいわけですが、きょうはこれでやめておきますが、三月十一日に電気通信審議会に対して、「二十一世紀に向けた新たな情報通信基盤整備の在り方について」という諮問を実はなされておるわけです。私は、この諮問をするに当たって郵政省としてどういう基本的な考え方を持って諮問を行ったのかということを、今どういうスタンスに立っておられるかということとの関連でお聞かせをいただきたいなと実は思っているわけです。  で、「諮問の背景」というのがございまして、その第一項でいろいろ諮問の内容を書いているわけですが、このなお書きといいますかまた書きといいますか、ここで、先ほど申し上げました米国のクリントン政権の政策を例に挙げておられるわけですね。私は、ここになぜアメリカのクリントン政策が出てくるのかというのがよくわからないわけですね。かなり意図的な面があるような気がして私はならないわけです。それから「諮問の背景」の第三項では、市場原理の原則を否定しているかのごとき文章が実はあるわけで、この点についても若干、郵政省がこの諮問をするに当たって意図的なものがあるんではないかなという気がするわけです。そうでなければいいんですけれども、私の読み方が悪ければそう言われてもいいんですが、そういうふうに聞き取れるわけです。  で、この情報通信基盤整備については、九一年五月にも審議会から、情報通信基盤整備は経済原則にのっとり、民間活力によって進めるのが通例だが、緊急かつ重要なものや民間が手をつけられないものについては公共投資による先行的、計画的な整備が必要である、こういう答申が既にされておるわけです。それから九二年の六月には、官民が適正に役割を分担する等々の結論が既に出されているわけで、これが基本的なスタンスとしてきちんと踏まえられるならば、今回のこの諮問というのは、これ以上何を諮問し、結論をいただこうと郵政省が思っているかという点についてよくわからない点がございます。  きょうは討論しようと思いませんけれども、この点について最後に簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  247. 松野春樹

    ○松野政府委員 基本的な考え方でございますけれども、やはり昨今の技術革新や高度情報化の進展に伴いまして先進諸外国におくれをとらないよう、また、全国的に均衡のとれた形で情報通信インフラの抜本的な向上を図ってまいりたい、これが、再三申し上げておりますが、一つの基本の考え方であります。  ところで、先ほど先生もお触れになりましたけれども電話網を考えました場合に、百年かかりまして、NTT、前身の公社時代を含めまして完成いたしました。これはもう一〇〇%と言っても過言ではないと思いますが、民間事業者の御努力で完成したわけであります。  さて、これからの光ファイバーネットというものをどうやってやるかという際に、もちろんそれとのかかわりというものを無視してはできるわけではありませんが、ただ、一体民間事業者におきましていつ、どこまで、どの程度の進行状況でこれらの整備をしていけるのであろうかということが大変な関心事であります。したがって、今度の電気通信審議会に諮問しましたタイトルに「整備の在り方」がございますが、その中でひとつ十分その点をお聞きして、先ほど先生から四十五兆円構想の御質問ございましたが、十分お考え事業者の方からもお聞きした上で、今後どういうふうにこれに対処していくべきかというふうなことにつきまして、ひとつ幅広い御意見を伺いながら御答申をいただきたいということでお願い申し上げてある点であります。  なかなか多岐にわたる議論が出てまいると思います。単に光ファイバー網の整備だけではなくて、通信インフラと申しますとほかに衛星問題もございます。これらのインフラの競合問題ということもありますので、その辺も含めまして幅広い御議論をいただいて、いい結論を得たいと思います。従来からもいろいろな研究会、いろいろな審議会でいろいろな御提言、御答申もいただいておりますが、ビジョン的な意味での分析は相当程度出されております。しかし具体的にどうやって整備するかという点につきまして、私どもの政策におきましてもはっきりしてない面があるということも念頭にありまして今回の諮問に至った次第でございます。
  248. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 今後このインフラ整備の問題はいろいろと議論が展開されてくるだろうと思いますし、私たちもこういう問題に関心を持ちながらいろいろ御意見などもお聞きをいたしたい、こう思います。きょうはある程度郵政省としてのお考え方をお聞きをいたしましたので、改めましてまたいろいろと教えていただきたいと思います。  終わります。
  249. 亀井久興

    亀井委員長 次に、菅野悦子君。
  250. 菅野悦子

    ○菅野委員 まず基盤充実法からお伺いしたいと思うのです。まずこの法案による支援措置で新たに税の減免が行われるということになっておりますけれども、この電気通信事業者全体でどの程度の減税が行われるというふうに見込まれるか。この点を国税、地方税それぞれについて、また今年度の見込み及び来年度、こういう形でぜひお伺いしておきたいと思います。
  251. 白井太

    白井政府委員 今回の法律を通していただきましたならば、信頼性向上施設整備事業について税制上等の支援措置を講じさしていただくわけですが、とりあえずは、この税制の支援措置の対象としては洞道と回線切りかえ装置というのを考えておりまして、今予定されております投資規模から考えて減税効果は、国税の分野の法人税につきまして、初年度の特別償却の節税効果というのを約十五億円、それから、地方税であります固定資産税の減税効果というのを約一億円と見込んでおりまして、来年度もほぼ同額ではないかと見ております。
  252. 菅野悦子

    ○菅野委員 既に我が国電気通信事業者というのは税制上での処遇というのは諸外国に比べてみてどうなのかな、そこそこ優遇されているのではないかというふうに私思っているのです。例えば設備の耐用年数の比較ということで、例えば光ファイバー、この光ファイバーケーブルとディジタル交換機について法定耐用年数が何年になっているか。そして比べていただく相手としては、例えばアメリカ、ドイツ、イギリスなどと比べてどうか。もしおわかりになれば御答弁いただきたいと思うのです。
  253. 白井太

    白井政府委員 日本におきます光ファイバーの法定耐用年数は十年ということになっております。また、ディジタル交換機の場合は六年という取り扱いがなされております。  なお、外国のことについてお尋ねがございました。実は昨日先生からもそうした御質問の通告をいただきましたので、担当のところで外国電話したり、それから、知っていると思われるところに尋ねたりしたようでございますけれども外国の税制のことなものですから、申しわけございませんが、ちょっと教えてもらうということまでできておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
  254. 菅野悦子

    ○菅野委員 アメリカの商務省に提出されましたETIレポート、これに出ているんですね。ディジタル交換機の法定耐用年数、つまり減価償却の償却期間ですけれども、今御答弁のありました日本の場合は六年、これに対してアメリカは十七・五年、ドイツは十年、イギリスも十年、こうなっております。光ファイバーの方ですけれども日本が十年ということに対して、アメリカは二十七・二年、ドイツは二十年、イギリスも二十三・七年ということで、こういう比較で見てみますと耐用年数が日本の場合は非常に短いわけなんです。特に我が国が壊れやすい通信機を使っているということでもないでしょうし、また、NTT初め我が国電気通信事業者が特別乱暴な器具の扱いをやっているということではないと思うんですけれども、この辺なぜこう差があるのかなと思うんですが、その辺何か御認識持っていらっしゃいましたらお尋ねしたいんです。
  255. 白井太

    白井政府委員 いわゆる耐用年数の問題というのは、実は税制上の扱いの問題なものですから、私ども郵政省の立場で余りコメントするというのも不適切かと思います。耐用年数の前提になりますのは、もちろんそれぞれの機器が本当にどのくらいもつのかというようなことをもとにして決められておると思いますが、ただ、その効果といたしましては、耐用年数を短くしておきますと、できるだけ古いものを新しいものに取りかえるというインセンティブが働きやすいということは一般的には言えるかと思いますけれども、それ以上のことは、税制上の問題だということでお答えをするのはお許しいただきたいと思います。
  256. 菅野悦子

    ○菅野委員 そうなんですね。やはり税制上でそれだけ優遇されているということがこういう形ではっきりしているわけでありまして、これを同じように見てみますと、我が国が設定している通信機器の法定耐用年数というのは、実はアメリカとかイギリスだけでなくて、シンガポールや台湾などNIES諸国よりもまだ短いという状況なんです。この点を見ても、今も御答弁ありましたけれども、格段の税制優遇措置が既にとられているなというふうに私は思うわけであります。これに加えてさらに税の減免を行うということが適切かどうかということを私たち率直に考えますと、やはりこれは適切ではないというふうに思わざるを得ないわけです。  今時に減税ということでいいますと、今国会でも随分議論になっておりましたけれども国民が切実に求めているのは所得税減税というふうな角度でありまして、例えば、そんな切実な声に対して、減税するなら消費税の税率アップだというふうなことを言ってはばからない閣僚の方も今おられるようですけれども、そういう状況でいながら一方ではさらにこういう税の減免ということにつきましては、我が党としては賛成できかねるということを率直に申し述べておきたいと思うわけであります。  それから郵便の方の関係ですけれども、郵便料金の値上げについて、とりわけ一月実施などということも報道されておりまして、先ほど来若干やりとりもあったように思いますが、時間がございませんので細部にわたって聞くことはできませんけれども、この郵便料金値上げ問題に対する郵政省の基本的な姿勢、特に国会との関係についてお聞きをしておきたいと思うわけです。  郵便料金は郵便法で定められておりまして、その改定には、郵便法の改正、つまり国会での審議、本来これが必要になります。しかし、前回値上げのときに特例引き上げという制度が持ち込まれました。ですから今二通りあるわけですね。郵便法改正案ということで料金値上げを国会に出して正々堂々と値上げについて審議をするという方法と、それから、国会の審議を経ずに省令で、つまり特例引き上げにするという方法もできることになってしまっているわけであります。そのどちらを選択するかということなんですけれども法律の立て方から見ても、郵便法改正による値上げ、やはりこれが本筋ではないか特例値上げで、省令でぱっと上げてしまうというふうな、あくまで緊急避難的な手法というのはいかがなものかというふうに私は思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  257. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 郵便法に規定されております事項は、いずれも確かに郵便に関する基本的な事項でございまして、料金も法定されております。しかしながら、一方、一定の条件のもとで料金を省令で改正することができるというふうにもされております。  それで、これは郵便事業が健全な経営を維持していくために、各種サービスの改善、それから効率化、営業努力に努めていくのは当然でございますけれども、大幅な累積欠損金が生ずる前に、一定額の累積欠損金が生じた段階で機動的に料金が改定できるようにされたものでございまして、これが先生御指摘のいわゆる特例による改定、これは郵便法二十七条の四の規定でございます。  これにつきましてどういった考え郵政省は対応するのかということでございますけれども、本年の七月の決算の模様、それから平成五年度の推移、こういったものがまだ現在の段階でははっきり出ておりませんので、いずれの方向によるかも含めまして、その辺は検討していく事項になろうかと思います。
  258. 菅野悦子

    ○菅野委員 郵便事業に関する法改正の問題ですけれども、これは毎年のようにあるわけでありまして、今審議されている切手外国販売するというふうなものも国会で審議をして決めているということで、前回の値上げ以来の郵便制度に関する法改正、どんなものが行われたかということで一覧表を出していただきました。そこには、速達郵便物の還付の際の速達の取り扱いの実施、こういう問題から、料金受取人払い制度の改善とか、それから料金後納に係る担保を免除する者の拡大とか、あるいは代金引きかえ制度の改善とか、どちらかというと相当細部のものまでこういうきちっとした論議のもとで、ここで論議をし法改正をしているということがあるわけでありまして、事業の根幹であり国民生活に大きな影響を与える料金の値上げというふうな問題が、国会の審議をしなくてこういう特例的な省令で引き上げということは、私はとても筋が通りませんよということをぜひ言っておきたいというふうに思うんです。  それで、決算をしてからとか、ことしの状況を見てからというふうに言っていらっしゃいますけれども、これはずっと毎年毎年の推移でそこそこ見通しというのはわかっているはずですから、全然見通しなしに急にそんな大きな赤字がぼんと出てしまったなどということになりますと、これは経営者としての能力どうなのかなというふうなことにもなるわけでありまして、ですから、私はこの点ではぜひ大臣の見解も伺っておきたいと思うのですけれども、この郵便料金の値上げ、これが既に話題になっております。郵政省内でも検討されている段階に来ているわけですが、やはりこうした基本問題はぜひはっきりさせていただきたいというふうに思います。ですから、そういう形では本当に国民の生活に直結した大きな影響を与える問題の取り扱いになるわけですから、やはりきちっと本来の、この国会で正々堂々と審議の上にどうするかという決着を見るべきだというふうに思うのですけれども大臣はいかがでしょうか。
  259. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 収支の状況等、いろいろ厳しい状況ではございますが、国民もいろいろ関心を持っておられますし、また国民生活にも大変影響のある料金の問題ですから、それはきっちりと収支状況を見、そしてこれからの動向を踏まえて、法律改正になるのか、あるいは政令改正になるのか、どちらにしても、国民の皆さん、そして国会、委員会の皆さん納得できるような形で対処したいというように考えております。
  260. 菅野悦子

    ○菅野委員 それでは、続きまして、三月二十一日から実施されております郵便時短についてお伺いをしたいというふうに思うんです。  まず率直にお聞きしたいんですけれども、この三月二十一日から新しい勤務、ニュー夜勤と言われている勤務形態なんですけれども、これがやられております。この現場の評判といいますか、もう三月二十一日からですからそこそこ時間もたっているようなんですけれども、どういうふうな状況にあるか、皆さんの声をつかんでいらっしゃるか、ぜひその辺をお伺いしたいと思うんです。
  261. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 先生今御指摘になりましたように、郵便関係職員に対します完全週休二日制を三月の二十一日から実施をしたところでございます。これに伴いまして、郵便システムの改善、見直し、こういったこともやりまして、現在円滑に実施に移ったというふうに思っておりますが、この段階で新しい勤務システムを導入いたしております。  その結果、職員の方から今まで非常に強い要望のございました非番日の暦日付与、今まで十六勤でやっておりました段階では非常に勤務が複雑でございまして、必ずしも非番日が丸々暦日付与できなかったという状況がございましたが、今回のシステムの改善によりましてこれが実現できたというようなことは、非常に高く評価をされております。  それから、深夜の夜間帯におきます勤務回数でございますけれども、夜間の業務量の平準化を実施をいたしましたことに伴いまして、四週間につきまして今まで平均七回でございましたけれども、それが五回以内というふうに深夜帯の勤務回数も減少したというふうな状況も実現されております。そういった点については非常に高い評価になっております。  一万しかし、一部の職員からは、従来の十六勤に比較いたしまして夜間労働が厳しくなったのではないかというふうな声もあったと思いますけれども、労働条件全体の先ほど言いましたような点を考慮いたしますと、全体では、労使間で合意を見た内容でもございますし、現在では特段問題はないというふうに聞いております。
  262. 菅野悦子

    ○菅野委員 私の聞いたところとは全然逆の御評価になっているなということを率直に指摘せざるを得ないわけであります。  私は、実は先月の二十一日に大阪中央郵便局の夜間労働者の状況、まさにニュー夜勤の実態を夜中に見てまいりました。そこでは、管理者を含めて大変評判が悪いです、はっきり言って。そして、そのとき応対いただいた方も、夜間の作業は本当に以前よりきつくなったということを認めておられまして、見直しということにやはり期待をされている、そういう声もよく聞いているというふうなことをおっしゃっていたわけであります。  ここに、郵産労がニュー夜勤後にアンケートを職場の組合の枠を越えて労働者に実施しているわけなんですけれども、「健康状況について」というのは、「疲れがひどい」「身体がだるい」、これが合わせて三百四十何人。これはそれぞれ全部で一〇〇%というとり方ではないのですけれども、本当に物すごく高い率、やはり六〇%、六六%という人たちがそういうふうなことを訴えている。「将来の健康」については、「不安だ」というのが二百三十四で八五・一%、「なんともいえない」というのは三九人、「自信がある」とかいうのはもうゼロであります。  そしてまた、中断時間ですけれども、今までだったら十六勤、十六時間ずっとやっていて、中に三時間の特例休息がありましたね。今はそうではなくて、四時間、十時間、八時間、六時間という形で、その間に二時間の勤務中断がある。これが全然勤務時間に入らなくなったということで、十六時間が十四時間になった、時短だ、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、その二時間の勤務中断、これは結局、勤務が夜十一時に終わりました、次の勤務は夜中の一時からです、二時間あいていますというこれですけれども、今までは三時間が特例休息であって休んでいたわけなんですが、この二時間、結局勤務中断ですから、寝ていても起こしてくれないということがありまして、それでも「寝室で寝る」という方は百十五人、ところが「休憩室で寝る」というのが八十九人、「起きている」というのが六十三人という形で、実際私が行ったときにも女性が寝ていましたけれども、二時間ではよく寝れて一時間、こう言っていました。ですから、今までの三時間とは全然やはり体のしんどさが違うということであります。  そして、家庭生活が変わったというのが圧倒的です。その人たちが何を言っているか。結局もう、新夜勤が終わった後は寝不足で体がだるくて、結局後は寝てしまっている。翌日何もできない。勤務明けの日は体を休めることだけで終わってしまう。そういうふうな状況で、疲れがとりにくくて、週休二日になったけれども有効に使えない、新夜勤の次の日が休みの日でも疲れてどこにも行く気がしない、一日じゅう家でごろごろ寝ている、こういうふうな声が圧倒的であります。そして、新夜勤で帰った日など一日で疲れがとれずに家族との会話が少なくなったというふうな形が、みんな結局こういう声が圧倒的に集中されているというのが状況なんです。  本来、時短というのは、国際的にも批判の強かった日本の働き過ぎ、これを是正して、ゆとりと豊かさを目指して進めているというふうに私は理解しているんですけれども、しかし郵政時短の場合どうもそうではない。導入するときからスムーズにはいかずに職場から大変な反発があった。労働組合の本部段階では合意できても下部が納得しないという事態も起きて、なかなかごたごたした中でようやく三月二十一日から実施に踏み切ったということで、結局六カ月後に見直しをするからという形のスタートだったというわけであります。  実際に、時短によって仕事、特に深夜の労働がきつくなって夜間労働時間は逆に長くなっている。簡単に言えば、四週八休体制、いわゆる週休二日に名目上するために、今まであった仮眠時間をとってしまった。これまでは特例休息時間として労働時間の中にカウントしていたものを削って、結局見かけだけ労働時間を短縮するということで、まあ悪く言えば詐欺みたいな手法ではないかと言わざるを得ないわけであります。  その上で、中郵へ私は行っていろいろ聞きましたけれども、仮眠時間なしのニュー夜勤が実施され、その実施された職場から百十九人定員削減がやられているわけであります。率で一割以上の削減。先ほどからちょっといろいろお話がありましたが、この間仕事量はどんどんふえているんですよね。仕事がふえている、ところが人数はふえていない。そしてこういうふうなにせ時短を導入してその職場からさらに人を減らす、これが状況であります。  ですから私は、ぜひこういうふうな全国で交代制の勤務についてニュー夜勤の対象になっている職場、ここで、ではどれぐらいの定員が削減されたのかという全体像を、できたら数がわかったら調べていただきたいというふうにお願いしていたんですけれども、これは依然としてわかりませんでしょうか。
  263. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 今回の完全週休二日制実施に伴います全国での定員の減員の数字でございますけれども、全国では定員自体は八百八十九人の減員になっております。ただし、非番日の後補充要員というのはこれは増員になっておりまして、これは確かに定員での増員にはなっておりません。しかしながら非常勤職員による増員ということで、事業財政がこれは非常に大きく影響するために非常勤職員を増員するという形をとったわけでございますけれども、八時間の労働時間に換算をいたしますと、約三千人の増配置ということになりますので、先ほどの定員の減員八百八十九人、約九百人とこの非常勤によります増員というものを相殺いたしますと、トータルといたしましては二千百人の増員になっている、こういった実態でございます。
  264. 菅野悦子

    ○菅野委員 本当に現場へ行ってみればどうなっているかということをやはりぜひ念頭に置いて、そして、新しい勤務シフトを導入するのに際してはどの程度の影響が起きているのかということを、実態をつかみながら対策をぜひ立てていただきたいというふうに思うんです。  閉庁で週休二日ができるところはいいですけれども、郵便のように閉庁できないところ、そういうところで人もふやさずに休みをふやす、若干非常勤で対応していますというふうな話がありますが、現場はなかなか、具体的にその一つ一つの職場を見てみますと、本当に実態は大変だというのが私の実感であります。本来、こういうふうなことをやっておりましたら、算術的には不可能なんですよ。  例えば、仕事の時間が限られていて、ニュー夜勤のように見かけだけの時短ができない、外へ出て仕事をする集配などの職場には、人を回すために一定の増員なども考えているということのようでありますけれども、交代制で二十四時間勤務している職場から人を削っているという実態があるわけであります。仮眠時間を削って深夜の労働時間を長くした上に人員も削減する、これは一体だれのための時短かということを言いたいわけであります。最初に言いましたように、現場での評判はいいはずがないです。私は、ぜひその点でも知っていただきたいと思うんです。  実は先日、参議院の労働委員会の審議の中で、この郵政の職場の問題が話題になったようであります。時短は帳じり合わせではいかぬので、実際にゆとりができないということではだめだ、郵政についてはよく調べた上で、必要があれば郵政大臣にも物を言いたいというふうなことのようでございますけれども、労働大臣に何か言われる前に是正するというふうにぜひしていただきたいというふうに私は思うわけです。  いろいろ言いたいことはあるわけですけれども、時間がないので一点に絞りますが、この勤務シフトは実施後半年で見直すということになっているそうですけれども、特に職場の実情、これを正確にまず把握していただきたい。そして、夜間の労働を少しでも軽減するようにぜひ考えていただきたいというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
  265. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 現在、いわゆるニュー夜勤、新夜勤の実施局におきます業務運行状況、それから職員の勤務状況等につきまして、その実態を把握をしている段階でございます。その結果を踏まえまして、必要な場合におきましては、先生が今お話しになりましたように、見直しを実施してまいりたいというふうに思っております。
  266. 菅野悦子

    ○菅野委員 最後に、大事な問題ですので、大臣にも夜間労働についてお考えをぜひ聞いておきたいと思うんですけれども、どうしても夜働かなければならない公共性の高い部分でも、いかにして夜間の労働を減らすか、減らせるかということが今問題になっております。  例えば、人の命を預かるという最も公共性の高い病院の看護婦さんの場合、ここでも夜勤を減らすということが大きな課題になっておりまして、これはもう国民的にも大きな運動になってきているという実態でございます。そういう点では郵政省は公共性にあぐらをかくと言ったら語弊があるかもわかりませんけれども、公共性を名目にして、夜間の労働強化に余り大した反省もなしにどんどん進めていらっしゃるのではないかということを率直に感じざるを得ないわけであります。  特に、ニュー夜勤を含む勤務については、女性もついているんです。勤務表を見てみますと、夜勤が週に三回あります。月に十二回あるわけなんですね。週休二日ですから、一週間のうち昼間働くのが二日、夜働くのが三日ということであります。看護婦さんの場合、皆さんもう耳なれていらっしゃる二・八、複数勤務で万八日ということで、これの人事院の裁定というのは三十年前ですよね。ところが、看護婦さんの三十年前の二・八、これは随分今改善されてきているようですけれども、それに比べて郵政省の職場では、実はその一・五倍の夜勤があるというのが今の実態であります。これはもう労働者本人も本当に大変です。家庭はもっと大変だと思うんです。  こんな夜勤では、女性が子供を産み育てるということは絶対不可能だ。今出生率の低下の問題が大問題になっておりますけれども、これはもう本当に不可能です。交代制勤務を含む郵政B職、これに女性が採用されるようになってまだ日がたっていないので、現在は若い人しかこの勤務にはついていないというのが今の状況ですけれども、私もこの前新夜勤を見てまいりましたときにも、若い女性の方でした、その仮眠室をちょっとのぞかせていただいたんですけれども、やはり眠れないと言っていました。そういう状況です。ですからやはり、今は若い人だ、しかしこのままでは、結婚とか出産ということでは絶対勤められません。結局、結婚、出産、そういう事態になったら事実上退職ということを強要するということにもなりかねないというのが今の職場実態だというふうに思うわけです。  ですから、ぜひ大臣も郵便における夜間労働について考え直していただきたい。政府自身が国民にゆとりと豊かさ、生活大国というのを提唱しているときに、夜間労働とそれが与える職員への影響、さらに家族への影響、これをぜひ考える時期に来ているのではないかというふうに私は思うんですけれども、その辺、大臣のお考えはどうかということをぜひお聞きしておきたいと思います。
  267. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、本来人間というのは夜休むものだと思うのです。  郵政省だろうが労働省だろうが、あるいは病院だろうが、早起きは三文の徳という言葉がありますけれども、早寝しないと早起きできない。人間の健康を考えても、何千年の昔から夜は休むもの、それを働くというのは、どこかで必ず何らかのマイナスが起こってくる。そういう点も十分配慮しまして、夜勤体制というのは、いろいろな職場があると思いますけれども、配慮しなければならない問題だと私は考えております。
  268. 菅野悦子

    ○菅野委員 終わります。
  269. 亀井久興

    亀井委員長 中井洽君。
  270. 中井洽

    ○中井委員 二つ法案に関連して幾つかの問題をお尋ねをいたします。  NTTは、既に公衆電話料金の変更申請を出されております。そして、先ほどから質疑がありましたように、郵便につきましても、御努力はいただいておりますが、大変厳しい経理内容、決算状況が出てくるのじゃないか、五%以上の赤字が出て、省令で値上げに踏み切るのじゃないか、こういう観測記事が出されているわけであります。これはこれで、それぞれの時期にまた私どもも機会があれば議論をしたいと思いますが、一つ、こういう発想というのはあるのかないのか前々から考えていることですので郵政側のお考えをお聞きしたいと思います。  今回、NTTが公衆電話だけじゃなしに全体的な料金体系の変更ということで、いろいろと私どももお考えを聞いております。これは基本的に言えば、長距離を下げて、市内といいますか、短距離を採算が得られる料金にしていくということであろうかと思います。しかし、私は技術は素人ですけれどもNTTなんかの通信は、施設さえ一度やってしまえば、遠距離にかけようと近距離にかけようと経費的にはそう違いはないのじゃないか。そういう意味では、遠距離を下げて近距離を上げて両者の価格というものを縮めていくということは、当然のことじゃないかなという気はいたします。  逆に郵便は、遠距離になればなるほど輸送、人手がかかる、こういう問題であろうかと思うのですね。それを、縦長の日本で明くる日に届くんだ、あるいは二日後には必ず届くんだという世界一の体制を維持していくというのはどうなんだろう。逆に郵便の方が遠距離は少し値を上げるとか、そして近距離はこれくらいの値段にする、そういう発想を取り入れるということはあってしかるべきじゃないか、こう思うのですが、そういう発想の論議というのは大昔にあったのでしょうか、今もあるのでしょうか、あるいは郵政省考えになったことがおありなんだろうかそんなことを含めてお尋ねします。
  271. 白井太

    白井政府委員 電話料金の問題については、法律の建前は、要するにかかる経費を賄うということを前提にいたしまして料金を決めていくということが法律の建前からする基本的な考え方になっておると思います。  したがいまして、電話についてのいろいろな料金を考えますときには、やはりそれぞれのサービスについてのコストというものをまず考慮に入れることが必要だというのは先生のおっしゃるとおりだと思います。それからさらに、極めて公共性の高い事業であるということもありますので、社会的、政策的な配慮というのも当然加えられるということがあり得るわけでありまして、その辺をあわせ考えて、具体的に料金を決めていくということになるわけでございます。  確かに、NTTの方としては、長距離の料金を下げて、それから市内の料金を上げたいというようなおっしゃり方で料金改定の考え方というのをお話しになったということも聞いておりますけれども、私どもとしては、電話料金というのが極めて公共性の高い料金であるということも頭に入れまして、もちろんコストというのもよく見て料金のあり方というのは常に考えていかなければならぬというふうに思っております。  具体的なお話ということになりますと、確かにNTTの財務の状況が余り芳しくないというようなことは事実でございますが、その辺につきましては、全体としての決算というのは過日一応NTTの方から発表になったわけですが、いわゆる事業別の収支と言われているものについて、これがどのようになっているかというのは平成四年度から初めて実施をしたわけでございますけれども、そちらの方の結果というのが今月じゅうには大体わかるのではないかと思いますので、まずはそういうようなものについても出た結果をよく吟味してみる必要があるのではないかなというふうに思っております。
  272. 中井洽

    ○中井委員 ちょっと意味が違うと思うのですね。僕は、料金改定の、それはやるのかやらぬのかわかりませんけれども、発想的に、NTTというのは距離によってそう値段を変えるべきじゃない、いけるものじゃないか、逆に郵便の方が距離によって値段を変える必要があるのじゃないか、経費的にいえば。そういう発想というのはないんですか、こうお尋ねしているのであります。
  273. 白井太

    白井政府委員 ここ何年かの間の電気通信技術の発達というのは大変目覚ましいものがあります。そうした技術の開発の成果として長距離のコストがだんだん下がってきているということは間違いない事実であると思います。
  274. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 NTTの料金と郵便の料金が引き合いに出されましたので、郵便の料金の考え方について申し上げさせていただきたいと思います。  郵便につきましては、信書と小包では考え方が違っております。もう先生改めて申し上げる必要もないと思いますけれども、郵便につきましては、現在均一料金で、北海道から沖縄まで含めまして、手紙、はがき、均一料金でございます。これをとっております背景には、できるだけ安い料金で公平なサービスを提供するという考えがございます。といいますのは、全国にポストを設置いたしまして、それでポスト投函という非常に簡便なシステムを維持しておるわけでございますけれども、こういったものをやろうといたしますと、やはり料金は均一料金制というものが前提になるわけでございます。そういったことから、信書につきましては世界各国とも均一料金制、こういったものになっておりますが、小包につきましては、非常にまちまちなものを運ぶ、コストが非常に千差万別、地域によって非常に大きいというようなことから、これは地域別の料金になっております。
  275. 中井洽

    ○中井委員 私は、料金改定のときに、今までと同じ形でまた一律に上げるということじゃなしに、いろいろな方法を考えたらいいじゃないかと申し上げているので、信書だって重さによって値段が違うのです。NTTと一緒で、距離によって変えるということも一つあるじゃないか。北海道まで行くのに一日で届いてしまう、その間にかかる経費というのは大変なことであります。市内で出して市内へ配達してもらうのと経費が全然違う、それを一緒の値段でいつまで維持できるのだろう、人手を使うものがそんなに一律の料金でいくんだったら、逆にNTTだって全国一律でいけるじゃないか、そこらをもう少し柔軟な発想をしたらどうですかと聞いておるだけですから、もうちょっとちゃんと答えてください。  それではほかのことを聞きます。  料金改定はともかくとして、来年の採用を三千人減らすんだ、こういう発表がなされました。これは間違いないんだと思いますが、これは来年だけ三千名減らすのですか、それともずっとこれは採用計画を減らしていって、できる限り合理化をして、そしてできる限り値上げ幅を縮小しよう、あるいは値上げをしなくて済むようにしよう、こういう発想なんですか。どっちですか。
  276. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 職員採用につきましては、平成六年度三千人減らすということでございまして、そこから先は現在考えておりません。
  277. 中井洽

    ○中井委員 その年だけ三千人減らすというのは何のためですか。
  278. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 郵便物数の動向でございますとか、今後の経済状態に伴います収入の見通し、そういったものが現在のところ、余り長期にわたりまして私どもまだはっきりつかんでおりませんので、とりあえずはやはり平成六年度を対象にして実施するということにいたしたところでございます。
  279. 中井洽

    ○中井委員 お役所の合理化と民間の合理化は違うとは僕は到底思わないんですね。だから、合理化をおやりになって、本当に減らしておやりになるというなら、毎年減らされたらいい。そのかわり、逆に言えば、前にも委員会で申し上げたと思いますが、赤字の地域において、あるいは過疎の地域においては二日に一遍の配達で御勘弁いただくとか、あるいは逆に、一日で配達するものはまあまあ普通の値段、三日かかってもいいというはがきや手紙については安い値段にするとか、いろいろなやり方があるんじゃないでしょうか。そういう発想を検討されておりますか。どうですか。
  280. 上野寿隆

    上野(寿)政府委員 このたび平成六年度の採用計画の発表と、それからさらに、あわせまして今後の効率化の実施というふうなことも発表いたしておりまして、私ども、採用については平成六年ということを申し上げましたけれども、基本的には今先生がおっしゃいましたように、中長期的な展望に立った効率化がやはり必要であるというふうに思っておりまして、機械の導入、あるいは各種効率化といったような点につきましても、そういう意味で、中長期的な事業の展望の中にそれを位置づけて実施していきたいというふうに基本的に考えております。
  281. 中井洽

    ○中井委員 効率というのは、大事な仕事ですから、どこまで民間委託等ができるかどうかわかりませんが、私は、各地に置かれている、さっきお話に出たポストですね、ポストの郵便物を集めて局へ持っていく、これなど幾らでも民間委託できると思っています。だから、本当に十一年間値上げせずに頑張ってこられたことは心から敬意を表しますが、しかし、まだまだ努力の仕方によっては簡素化あるいは合理化の方法がある。そういう意味で、私どもも知恵を出しますが、郵政省側も、できる限り値上げを遅くするんだという意味で、あるいはまた安い料金でサービスをしていくんだという意味で頑張っていただきますように、重ねて要請をいたしておきます。  それからもう一つ切手関係で、先ほど同僚の石田議員から消費税の質疑がございました。私自身は消費税が通過しましたときに落選しておりましたので、消費税の問題、時々議論がわからないところがあるのですが、結局こういうことですか。六十二円の切手の六十二円という値段には、切手の価格としての六十二円だ、これには消費税がつかない、そして、この六十二円の価格の切手を張って郵便サービスを受けるときに消費税をそのうちから二円払うのだ、したがって、海外で六十二円で売るのはその切手の価値そのままだから構わない、こういうことなんでしょうね。そうですか。——うなずいているからいいですよ。それじゃそういうことで。  そうしますと、一つお尋ねをしたいのは、郵政省の毎年の総収入の中で切手の売り上げというのが入ってくる。トータルの売り上げの中で消費税をお払いになっている。しかし現実には、たくさんの方が切手を買われる、はがきを買われるけれども、実は郵便サービスというものを受けてない。机の中へ置いてある。この分を消費税で払うというのは逆におかしくなっちゃうんじゃないですか。そこのところの経理はどうなっていますか。
  282. 新井忠之

    ○新井政府委員 お答えいたします。  まず、郵便事業における消費税額の算定方法について、ちょっと御説明申し上げたいと思うのですけれども、郵便事業における消費税は、先生御案内のように、郵政事業にかかわる消費税の納税義務者とされております郵政事業特別会計、ここで算定されまして、その中に含まれているものでございます。  それで、郵政事業全体の消費税の算定でございますけれども、これは多少複雑になりますので、郵便事業にかかわる分を簡便に御説明いたしたいと思います。  まず、平成三年度の郵便事業における課税売り上げ、これは郵便料金などでございまして、この郵便料金の中には、切手で納められたもの、料金別納や後納のもの、こういうものがございます。合わせて総額で一兆七千四百四十二億円となっております。これには消費税額が既に含まれておりますので、これに百三分の三を乗じまして、五百八億円がこの売り上げにかかわる消費税額、こういうことになっておるわけでございます。一方、郵便事業にかかわる課税仕入れ、いろいろなものを購入いたしますけれども、その課税仕入れは合わせて五千三百九十五億円ということでございますけれども、これに含まれます仕入れ控除税額、これは同じように計算いたしますと百五十七億円、こういうことになっております。したがいまして、郵政事業特別会計が直接税務署に納める郵便事業にかかわる消費税額というのは、差し引き三百五十一億円、このようになっておるわけでございます。  先生お尋ねの、それでは実際に切手が利用されていない人たちの分まで郵政省が払い過ぎているのではないか、こういうことだと思いますけれども、消費税の趣旨から申しますと、確かに、課税売り上げは差し出された郵便物数から把握すべきものだ、このように考えております。しかしながら、先生御案内のように、郵便物数、大変膨大な量でございますし、また、一通ごとの課税売上額がこれまた少額ということで、差し出されました全郵便物数を把握して正確な課税売上額を捕捉するということは大変困難でございます。したがいまして、先生御指摘のように、切手はがき類の販売額をもって課税売り上げといたしますことは、切手、はがきが郵便として利用されない段階で消費税を納付するという場合も当然生ずるわけでございますけれども、事務の単純かっ簡便さと申しますか、あるいは売上額の把握の正確さ、こういった点からいって、今のシステムが最もベターではないか、こういうふうに思っておるところでございます。
  283. 中井洽

    ○中井委員 私は、おかしいでしょうと聞いたんだから、おかしいですと答えてくれたらいいだけのことを、長々と答えんといてください、時間がなくてかなわんのです。  あなたらは、簡便だから勝手にやってますと言うけれども、さっきの理屈からいうと、本当は消費税を全額お払いになるのはおかしいんですよ。それだけ申し上げておきます。  それからもう一つ、ついでにお尋ねします。  NTTのテレホンカードがあります。これ、どうなっておるんですか。これも同じ発想になっているんでしょう。これの場合には、買われて、そして度数計算があって、そして四年たったら、その残りのものはみんな利益金、こういう格好ですから、そうすると、テレホンカードの場合には、四年後の、使われていない部分の売り上げを計上したときに消費税を払う、こういうことですか。そういうことですね。違うんですか。
  284. 新井忠之

    ○新井政府委員 お答えいたします。  テレホンカードによります電話料金の徴収につきましては、先生御指摘のように、利用のたびごとに消費税を徴収するというふうに私ども承知いたしております。
  285. 中井洽

    ○中井委員 それは答えじゃないな。今のお答えだったら、利用のたびというのは、要するにテレホンカードを買うて払ったお金が、消費税をそのままNTTがお払いになるということですか。違うでしょう。テレホンカードを買って、売り上げには出てくるけれども、実際には公衆電話で使われた分だけがテレホンカードの中から料金として払われて、その分の消費税を払う。そしてテレホンカードのものが、四年後にはその使われてない部分が計上されて、今年は八百億ぐらいあるのですか、その分が売り上げに出てくるから、その時点で消費税として、その八百億円の消費税が払われる、こういうことなんでしょう。違うんですか。
  286. 白井太

    白井政府委員 テレホンカードの大半、九十数%は公衆電話に使われるわけですが、公衆電話の料金というのは、それぞれの距離ごとに実は消費税を加味しまして決められておりますので、実は消費税制度が実施される前に比べますと、その分、秒数がちょっと短くなっているということになっておりますので、実際に電話をかけられたときに消費税が払われるというような住みになっております。
  287. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、残されたお金の決算、このときの売り上げは消費税を払うんですか、払わないんですか。払っているんでしょう。
  288. 白井太

    白井政府委員 申しわけありません。その点については勉強しておりませんが、今までの仕組みからすると、恐らく消費税を払うということにはなっていないと思いますが、もし間違っておりましたら、また後ほど御報告に……(中井委員「払ってないということですか、残りの金額には」と呼ぶ)つまり、消費税を払うのは、電話を使いましたときに、家庭で使ったら、加入電話の請求書の中に消費税分というのがきちっと項目を立てられまして料金に加算されておりますし、公衆電話の場合は、その分、話す時間が短くなっているということでございます。
  289. 中井洽

    ○中井委員 いずれにしても、切手とテレホンカードとで消費税のやり方が違うということは事実であろうかと思う。  別にどうということはありませんが、本当に先ほど楽しい質問の中で、私もこのことをふと聞いてみようと思ったものですから。だけれども切手なんかかなりありますよ、埋蔵されているというのか、机の中へしまい込まれたままのが。そこのところも、それなら一定限度でどういう処理の仕方をするか。計算上便利だからという格好でやっちゃう。テレホンカードの方はちゃんとやっているというのは、同じ郵政省の中として、消費税として少しおかしいんじゃないかと思います。私ども一遍研究しますが、郵政省側も一度そういう会計処理でいいのかどうか、大蔵当局との話し合いも含めて詰めていただきますよう要請をいたしておきます。  そういうことで、ほかのことに行ってしまいましたので、あと一つ二つ、お尋ねをいたします。  この基盤整備の一部を改正する法律案でありますが、その中で支援対象施設、四つが挙げられております。二番目の電気通信網統合監理設備、これはどのくらいの期間でどのぐらいのお金をかけて日本じゅうの県単位の監視施設をつくり上げていこうとするのですか。
  290. 白井太

    白井政府委員 電気通信網統合監理設備でございますが、これはNTT関係の数字ということで御理解をいただきたいと思います。目標としては百五十の設備を設置したいという目標を立てておりますが、現状は、まだ五十の設備しか設置されてきておりません。したがいまして、あと残り百の設備をこれから何カ年かで整備をしていきたいというのが目標となっております。
  291. 中井洽

    ○中井委員 これは私もちょっと勉強させていただいて、中途半端なんですが、これをつくって本当に何か信頼向上とか安全向上とか、あるいはNTTの合理化になるとか、そういうものに寄与するものなんでしょうか。別につくらなくてもいいような感じがあるのですが、そんなことはないですか。
  292. 白井太

    白井政府委員 まあこれは例えとして適切かどうか、お許しをいただきたいと思いますが、例えば大きい設備でありますとか大きな施設というところには必ずと言っていいほど監視施設のセンターみたいなのが設置をされておりまして、そして施設の全体の安全だとかいうようなことを監視をいたしておりますが、いわば意味合いとしてはそのような意味合いを持った設備だと理解をいたしております。したがいまして、この受け持ちの地域における電気通信施設全体について、故障が起きていないかとか、あるいは事故が起きてないかというのを常時監視しておりまして、もしそのような事故が起きたときにはすぐに適切な措置をとって、事実上の支障が生じないようにするということを目的にしている施設だと理解をいたしております。
  293. 中井洽

    ○中井委員 県単位で、大きな県は幾つか、こう、わかるんですが、県単位で監視、あるいは故障のないようにチェックをする、これはこれで結構ですが、本当にそのセンターだけでチェックができて、小さな月々にはそういう監視施設やらそんなのはないというのなら、これは合理化にもなるし、つながると思うんですけれども、小さい周あるいは施設にはそれぞれ監視があって、さらに屋上屋で県に一つつくっていくというのでは何の意味もないじゃないかな、こういう素朴な疑問を抱きます。こういう補助をすることによって、逆に余計にNTT、KDD等に過剰な投資を強いていくということにならないように十分配慮をしていただきたいと思います。  もう一つは、洞道の問題があります。  これはこれでそのとおりであろうかと思いますが、今景気対策の中で、電力会社等、ケーブルの地中化というのをかなり進めております。聞きますと、これはNTT単独だ、こういうことのようであります。せっかくおやりになるんですから、どうして一緒の共同溝あるいは地中化というものをもっとお進めにならないのか。どうして郵政省NTTだけでこういうことでお進めになるのか。理由をお聞かせください。
  294. 白井太

    白井政府委員 電線類の地中化の方法としては幾つかございますが、一番規模の大きいものが、ただいま先生もおっしゃいました共同溝と言われるものでありまして、この共同溝の中には少なくとも五つの線とか管が格納されるようになっております。私ども電話でありますとか、水道、電力ガス、下水道、そういうものは必ず入るようになっておりまして、中にはそのほかに暖房のパイプなども入ることがあるというふうにお聞きをしております。  これは実は設置をするのは道路管理者でありまして、当然国道の部分でありますと建設省がある程度お金を負担して設置をするということになっておるものですから、例えば一キロメートル当たりの費用ということで考えてみますと、全体では一キロで四十億円ぐらいかかるようでありますが、電気通信事業者、つまりNTTが負担するのは一キロについて四億円で実は済むわけでございます。ところが洞道というものにつきましては、実はこれはトンネル式のかなりしっかりした洞道でありますけれども、この場合は一キロで十五億円がかかるということであります。それで、共同溝等につきましても、関係のところで、省庁で毎年集まりまして、いろいろとできるだけ計画的に進めていこうということでやってきておりまして、今のところは実は最大限の規模でやれるところはやっているというところであります。  問題は、共同溝というのは、先ほど申し上げました少なくとも五つの関係者の方がここに管なり線を引こうということで話がまとまったときにそこの部分に共同溝を掘るということになるわけでございまして、洞道というのは、実はもうNTTしかここにはトンネルを掘る必要がないというところだけを考えております。したがいまして、大きな電話局のすぐ近くの部分でありますとか、要するに電話線が、かなりの電話線がそこに集中をするというような、いわば電話局の近間のところでこのような洞道というようなトンネルを掘りまして電話線を格納するということをしておるわけでございます。
  295. 中井洽

    ○中井委員 人材研修等をお聞きしたかったのでありますが、時間がなくなったので終わりますが、この人材研修等も、私どももこの国会で質疑をして法案として成立をさせたわけでありますが、なかなか所期の目的どおり有効に使われていない面があるということを漏れ聞いております。こういう形で基盤整備をしていくことは私ども大賛成でありますが、仏つくって魂入れずということのないように、有効利用がされますように御努力をいただきますことを要請して、終わります。ありがとうございました。
  296. 亀井久興

    亀井委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  297. 亀井久興

    亀井委員長 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案については討論の申し出がありませんので、これより両案について直ちに採決に入ります。  まず、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  298. 亀井久興

    亀井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  299. 亀井久興

    亀井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、坂井隆憲君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。坂井隆憲君。
  300. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 ただいま議題となりました電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 電気通信があらゆる社会経済活動の中枢機能を担っている実情にかんがみ、ネットワークの高度化に対応した安全・信頼性向上を図るため、関係機関の十分な連携が行われるよう努めるとともに、高度情報社会に向けた情報通信基盤の将来像についても積極的に対応すること。  一 電気通信事業者に対する各種支援措置の一層の拡充に努めるとともに、そのために必要な資金の確保等に努めること。  一 各施設整備事業に関する実施計画の認定等に当たっては、電気通信事業者の健全な運営と活力を損なうこととならないよう十分に配意すること。  一 情報通信基盤整備に当たっては、地域の実情等を踏まえ、地域間格差のない均衡のとれた地域の情報化を推進し、活力ある地域社会の構築を図ること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  301. 亀井久興

    亀井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  302. 亀井久興

    亀井委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  303. 亀井久興

    亀井委員長 次に、郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  304. 亀井久興

    亀井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  305. 亀井久興

    亀井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、坂井隆憲君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大木正吾君。
  306. 大木正吾

    ○大木委員 ただいま議題となりました郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。     郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 郵便事業は、今後とも、全国あまねく公平にサービスを提供する国営事業として、国民生活向上及び社会経済の発展に一層貢献するよう努めるとともに、必要な要員、施設確保し、国民に信頼される安定した業務運行の維持を図ること。  一 郵便切手が多くの人々によって使用、鑑賞、収集され、我が国の自然、文化、産業等を広く内外に伝える役割を有していることにかんがみ、今後とも、魅力ある郵便切手の発行に努めるとともに、郵便切手等の委託による海外販売の実施地域の拡大等を図ること。  一 手紙のもつ文化的意義及び教育的側面に着目し、今後とも文通活動の促進等手紙文化の普及、振興に努めること。  一 健全な郵便事業の運営を維持するため、積極的な営業活動による増収を図るとともに、情報機械化等の効率化を推進するなど、中・長期的な視野に立って郵便事業財政基盤を確立すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。以上。
  307. 亀井久興

    亀井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  308. 亀井久興

    亀井委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。(拍手)  この際、小泉郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉郵政大臣
  309. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ただいま電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案及び郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)     —————————————
  310. 亀井久興

    亀井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  311. 亀井久興

    亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  312. 亀井久興

    亀井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会