○武部(文)
委員 そこで、一昨日
郵政省が発表された来年度のいわゆる新規採用その他の対策について申し上げてみたいと思います。
何かこれを見ますと、「来年度新規採用三千人削減」という
見出しになっておりますが、退職者は平年度大体一万人、こういうことが続いておるようでありますが、三千人を特に「郵便
事業を軸に大幅削減」という
記事が載っておるのであります。
今までの十年間の郵便物数あるいは小包の増加の傾向を調べてみますと、十年間に郵便物は五〇%伸びております。百六十二億通が二百四十四億通にふえた。小包に至っては一億三千万個が実に四億二千万個、これは三二〇%、三倍に伸びておるのです。そういう中で定員はこの十年間にどのくらい伸びたか。たったの二千百九人という数字が出ておりますが、一・五%ですね。小包が三二〇%、郵便物は五〇%、それだけ伸びておるのに定員はたったの一・五%、二千百九人、こういう数字が明らかになっておるわけであります。
現場の
郵便局の諸君が配達しておる姿を皆さんごらんになると思いますが、小包は容量が大きくなりました。重くなりました。一回に持って出られない。したがって二度往復するとか、そういうことを現実にやっておるわけです。そして一日の勤務時間に、途中で打ち切って、残ったものを持って帰らなければならぬ、こういうような事態が起きて、
郵政省が
国民に公約した翌日配達制度というものは現実にもう崩れつつある。これが現実だと私は思っています。これは調べていただければわかることです。みんな
努力をしてやっておるけれ
ども、これだけ物数がふえた、小包がどんどんふえた、こういう
状況だし、交通も渋滞するというようなことから特に都市における郵便配達はそういう事態になってきた、遅配が著しくなってきたということは事実のようです。そういう中で、退職が補充されないということは、これはさらにそういうものに拍車をかけることになる。私はそのことを大変心配しておる一人であります。
したがって、この郵便特別会計で何を
考えるかといえば、効率化と営業の増収、こういうことに目が向くのは当然だと思います。しかしそれにも限界がある。特にこの郵便
事業というのは人手に頼らなければならぬという、機械化がなかなか難しいという
状況ですから。それでもなお何かをしなければならぬ。そこでいろいろなことをお
考えになったのだが、私はこの新規採用三千人が「郵便
事業を軸に大幅削減」ということはやめていただきたい。いろいろお
考えがあるだろうけれ
どももっとほかのことを
考えてみる必要があるのではないか。今の現場の第一線を見たときには
郵政省の
考え方は少し本筋から外れておりはしないか、このように思うのです。いろいろお
考えがあるだろうと思うのですけれ
ども、ぜひ郵便の、特に郵便の集配の補充というのは、退職者の後補充は絶対にやってもらわなければ困る。そうでなければ、この物の伸びと定員の伸びと比べてみたときには、乖離しておって全然話にならぬのですよ。そういう点を特に要望しておきたい。この点が第一点であります。
それから第二点に、営業のことが載っておる。確かに営業も大事ですから、それによってふるさと小包等は一億三千万個が四億に伸びた、これは営業の成果だと私は思っておりますし、全国の
郵便局がそれぞれ工夫を凝らして
努力した結果だと思っております。しかし、そう新しくこっちから物を売って歩くわけじゃないのですから、そういう仕事と違ってこれは受け手の方ですから、なかなかそう簡単に物を売るような営業
活動はできない。
こういう点を
考えると、そのために何か郵政局の人事だあるいは財務だ、そういうところの人を半年間、一人が一カ月だか出かけていって、いろいろと営業
活動についての指導をするというようなことがこの報道に載っておりますが、これも私は
考え物だなという気を持っています。なぜならば、郵政局から現場の第一線の
郵便局に行かれて、土地カンもなければいわゆる人間的なつながりもない人が一カ月間そこへ行って果たして何ができるだろうか。その気持ちもわからぬでもないけれ
ども、そのことが果たして効果を上げるだろうか。こういう点に大変疑問を持つのです。それは、現場の諸君は何もやってないわけじゃない、いろいろ
局長を先頭に
努力をしておりますよ。そこへ郵政局から人が来られて一カ月おって、土地もわからぬようなところへ来て何ができるだろうかな、それよりも何かもっとほかのことを
考える必要があるじゃないかなということを実はこれを見たときに
考えました。
ですから、まだ日にちもあることですけれ
ども、ひとつよく検討を加えて、現場の意見も聞いてもらって、そしていかにして現在の郵便特別会計の赤字の中で少しでも増収ができるかということを双方で検討していただきたいものだな、このように思うのでございます。頭から郵政局の人に、おまえあそこへ行って、どこどこの局に行ってやれ、一カ月間単身赴任でやってこいと。その気持ちは買いますけれ
ども、それだけの成果が上がるかどうかについて私は疑問を持ちますので、ひとつ検討をしていただきたいなということを提言をしておきたいと思います。
なお、この収支の
状況を見まして、一番ふえておるのはやはり集配運送費です。これが二倍。それから賃金が四倍にふえていますね。この
二つが一千億を超える赤字になった要素です。これが一番大きな比重を占めておる。これはなかなか簡単に削減できない
内容なんですよ。この集配運送費というのは、これは賃金も相当上がっていますが、この二倍というものをどんと半分にするとかというようなことはなかなか困難なことです。賃金だってとてもじゃないが、ほかのところと取り合いっこですから、賃金の高いところへみんな流れていくわけですから、低い賃金のところに、
郵便局に来てくれる人はいないのですよ。いろいろ
努力されて、団地ママとか、あるいは運送に全部請け負いさせるとか、そんなことをやっておられますけれ
ども、この賃金を他に比べて低くするなんということは、とてもじゃないが今の段階ではできない、そのように思います。
こういうことを
考えると、この一千二十億というものは、
努力に
努力を重ねても今の段階ではここまで来たんだというふうな理解をする必要がある。何ものんべんだらりとやっておって赤字がどんどんふえたものじゃないのですから。それは郵務局でも十分御承知だと思いますけれ
ども、その皆さんの気持ちは痛いほどわかるけれ
ども、どうぞひとつこの問題については、私は今三千人の問題、それから千六百人ばかりの管理
部門の方の現地への派遣、このことは再考される必要があるのじゃないだろうかな、このことを
考えておりますので。別に答弁要りません。いずれまた何かの機会にいろいろ論議をしたいと思います。もう時間がございませんので、論議は、答弁は結構ですから。私はそのように思いますので、御検討をいただきたい。
大臣からも、いずれ決算のでき次第
考えるということでございましたが、こういう
郵政省の、特に郵便
事業の長年にわたる経過、さらには
外国の料金の値上げの
状況と
我が国の料金との比較、そういうものを十分検討していただいて、郵便特別会計が健全な経営ができるように郵政局の格段の御
努力を期待してやまないところでございます。
時間が参りましたので、私は最後に
一つだけお伺いいたします。
この間ちょっと
新聞を見ておりましたところが、現金書留を廃止せよというような意見があるということを聞きました、
新聞に載っておるのです。これはどうしたことかと思いました。
現金書留というのをそれからちょっと調べてみましたら、明治四年に郵便
事業が始まって、その年にこの現金書留が始まっておりますね。東京−横浜間で初めてやっておる。あのときから現金というものを封筒に入れて送ったという、これは私は知りませんでした。そうしたら明治十六年から全国の
郵便局で取り扱うようになった。実は私の町の近郊で戦前に、現金書留を持って逓送の人が殺人に遭ったのですよ。そういうことがございまして、いまだによく覚えておりますが、調べてみたら、始まって半年後に横浜−東京間で二人殺されておりますね。そういうことがあったりして六連発のピストルを持たせたとか、いろいろなことがあるのですよ。現実にピストルを持って逓送人は現金書留を輸送しておった、こういう事実がありますね。
しかしこれは、現在私の承知しているところでは年間八千万から九千万通現金書留というのが利用されておる。これは特に山間僻地や離島、そういうところのお年寄りには大変喜ばれておるのですよ、現金がそのまま着くと。今だんだんふえて五十万円ですか、たしか限度五十万だというふうに聞きましたが、そこまで現金書留というのは金額もふえてきておりますね。それで、
郵便局というもの、
郵政省というものが信用されなければこういうものは制度は発達しないのですよ。
日本だけじゃない、イギリスもやっておるのです、この現金書留制度は。
ですから、この制度を今廃止するなんということは私はおかしいと思うのですが、そんなことを
考えているのですか。ちょっと
新聞に載っておったから、最後にお尋ねしたいのです。