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1993-06-02 第126回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年六月二日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 亀井 久興君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 笹川  堯君 理事 松浦  昭君    理事 上田 利正君 理事 大木 正吾君    理事 石田 祝稔君       赤城 徳彦君    今枝 敬雄君       植竹 繁雄君    衛藤 晟一君       岡島 正之君    小林 興起君       谷垣 禎一君    虎島 和夫君       深谷 隆司君    松岡 利勝君       森  英介君    阿部未喜男君       上田  哲君    田中 昭一君       田並 胤明君    武部  文君       吉岡 賢治君    鳥居 一雄君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  斉藤斗志二君        郵政大臣官房長 五十嵐三津雄君         郵政大臣官房人 加藤豊太郎君         事部長         郵政省郵務局長 上野 寿隆君         郵政省電気通信 白井  太君         局長         郵政省放送行政 木下 昌浩君         局長  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会 中村 好郎君         副会長)         逓信委員会調査 丸山 一敏君         室長     ————————————— 委員の異動 六月二日  辞任        補欠選任   小林 興起君    衛藤 晟一君   佐藤 守良君    岡島 正之君 同日  辞任        補欠選任   衛藤 晟一君    小林 興起君   岡島 正之君    佐藤 守良君     ————————————— 五月二十八日  身体障害者への移動電話貸与に関する請願  (石橋大吉紹介)(第二六四二号)  同(岩田順介紹介)(第二六四三号)  同(遠藤登紹介)(第二六四四号)  同(田口健二紹介)(第二六四五号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第二八六一号)  車いす常用者がすべて使用可能な電話ボックス  の整備に関する請願石橋大吉紹介)(第二  六四六号)  同(岩田順介紹介)(第二六四七号)  同(遠藤登紹介)(第二六四八号)  同(加藤繁秋紹介)(第二六四九号)  同(田口健二紹介)(第二六五〇号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第二八六二号) 六月一日  身体障害者への移動電話貸与に関する請願  (小里貞利紹介)(第三〇四九号)  同(奥田敬和紹介)(第三〇五〇号)  同(住博司紹介)(第三〇五一号)  同(田邉國男紹介)(第三〇五二号)  同(保利耕輔君紹介)(第三〇五三号)  同(前田武志紹介)(第三〇五四号)  同(宮里松正紹介)(第三〇五五号)  車いす常用者がすべて使用可能な電話ボックス  の整備に関する請願小里貞利紹介)(第三  〇五六号)  同(奥田敬和紹介)(第三〇五七号)  同(木村守男紹介)(第三〇五八号)  同(住博司紹介)(第三〇五九号)  同(田邊國男紹介)(第三〇六〇号)  同(保利耕輔君紹介)(第三〇六一号)  同(前田武志紹介)(第三〇六二号)  同(宮里松正紹介)(第三〇六二号) は本委員会に付託された。      ————◇————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号)      ————◇—————
  2. 亀井久興

    亀井委員長 これより会議を開きます。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。
  3. 松岡利勝

    松岡委員 それでは、電波法の一部を改正する法律案につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。  そこで、まず最初に、今回の電波法改正案に対する質問に先立ちまして、電波利用現状、さらにまた現在の郵政省における電波行政取り組みについてお尋ねをさせていただきたいと思います。  自動車電話携帯電話などに代表されます電波利用普及には、まことに目をみはるものがあるわけであります。特に最近では、町じゅうでビジネスマンや若者が気軽に無線機利用している光景を日常的に目の当たりにするようになっているわけでございますし、今や電波なくしては円滑な社会活動を維持していくことが困難な状況になりつつあると言っても過言ではないと思います。  そこで、郵政省として、このような電波利用現状をどのように把握し、御認識をされているか、お伺いをいたしたいと思います。
  4. 白井太

    白井政府委員 電波につきましては、この利用技術というのは大変新しく開発をされておりますし、また世の中の経済活動というのも大変活発になってきております。そうした事情を背景にいたしまして、ただいま先生おっしゃいましたように、電波利用というのが非常な勢いで伸びてきておるわけであります。現在というか昨年末の数字になりますが、免許をいたしました無線局の数というのは五年前の約二倍になっておりまして、数で申し上げまして八百二十一万局という無線局の数になってきております。  特に、今先生もおっしゃいましたけれども自動車電話でありますとか、携帯電話というような持ち運びをする電話でありますとか、あるいは、現在荷物の運送などを業にしておられる方がよく使っておられますけれどもMCA無線と言われるようなものでありますが、これは移動いたします通信手段でありますので、電波以外に実は手段がないわけでございます。そうした意味で、移動関係通信に用います電波利用というのは非常に大きく伸びておりまして、自動車携帯電話で申し上げますと年間で四十から五十万局ふえるとか、あるいはMCA無線の場合ですと年間で十万局伸びるというふうに、こちらの分野での伸びが特に著しい状況になっております。
  5. 松岡利勝

    松岡委員 ただいま御答弁をいただいたわけでありますが、そこで、その関係からいたしましても、周波数の確保の問題が重要な問題になると思うわけでありますが、この点についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  電波利用の飛躍的な普及拡大とともに、貴重な周波数資源がだんだん足らなくなってきている、そういう問題があるということをよく耳にするわけでございます。このままでは、産業、経済国民生活にとって不可欠の存在ともなっております電波利用の将来が大変心配をされるわけでございます。  そういった点について、郵政省として、こうした周波数の逼迫の問題を前にして、今後予想される電波利用の飛躍的な拡大、これは相当な規模で、また速さで拡大していくと思うわけでありますけれども、それに対応するために、周波数資源開発にどのように取り組んでおられるのか、また取り組もうとされておられるのか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  6. 白井太

    白井政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、電波というのはケーブルを一々引っ張らなくても通信ができるという意味で大変便利なものでございますけれども、しかし、そうかといって自由に幾らでも使えるというものではございませんで、無秩序に使ったり、あるいは余り多くの人が使うことになりますと、今度は混信が起きるとかいうような問題が出てくるわけであります。  そういうことから考えますと、電波利用については、秩序ある使い方をすると同時に、できるだけ周波数を有効に使うということをいたしませんと、電波利用が急にふえてくるというのにどうしても対応し切れないわけでございます。  そこで、周波数をできるだけ有効に利用するための技術開発についてでございますが、この点につきましては、昨年の通常国会電波法改正案を御審議いただきましたときにいろいろ御指摘があったところでありまして、私どもとしても、有限電波でありますけれども、これをできるだけ有効に使うための技術開発を急がないととても需要についていけないということで、私ども郵政省の中にあります通信総合研究所などが中心になりまして、現在いろいろな技術開発を行っております。  開発の主なものを一つ二つ紹介をさせていただきますと、一つは、何といいましても移動分野電波利用に対する需要が非常に大きいものですから、移動通信に使える電波開発をするということがどうしても急務になってまいります。そこで、現在はまだ移動通信には使っていないのだけれども技術開発することによって移動通信に使えるかもしれないというような周波数帯について、まず技術開発を急ぐということでありまして、専門家言葉をかりますと、いわゆるマイクロ波と言われているような周波数帯について、移動通信利用するための技術開発をいたしております。これが一つであります。  それからもう一つは、現在はまだほとんど使われていないと言ってもいいような周波数帯について利用技術開発するということでありまして、この電波利用というのは、これも何か専門的な言葉になって恐縮でございますが、高い周波数、あるいは電波波長が短い周波数についての技術が非常に難しいそうでありまして、そちらの方の高い周波数利用するための技術開発する。これはいわば未開拓の分野あるいは未利用周波数開発ということでありまして、特に今開発を急いでおりますのは、ミリ波と言われる周波数帯についての技術開発を急いでおります。ミリ波と申しますのは、波長が一ミリから十ミリというような、ミリ単位の非常に波長の短い周波数でありまして、この方の周波数はまだ利用するための技術というのは十分開発されておりません。そこで、これを利用することができれば、また非常に新しい電波利用分野というのが開拓されるということで、こちらの方の技術開発を急いでおります。  それで、予算的には、絶対額ではまだ不十分と言われる御指摘があるかもしれませんが、平成五年度の予算では、約十億の予算をこちらの方の周波数資源開発のための予算として確保いたしております。この十億という予算は、その前の平成四年度の予算に比べますと十四倍という、倍率からすると大変大きな額になっておりまして、この面では、関係方面の御理解も得ながら、ただいま申し上げたような予算措置も講じて開発を急いでおるという状況でございます。
  7. 松岡利勝

    松岡委員 お伺いいたしまして、なお一層よろしくお願いをいたしますとともに、積極的にしっかり取り組んでおられるという点につきまして、大変また心強い思いをするわけであります。  続きまして、電波利用料制度についてお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  この電波利用料制度は、昨年の国会で成立を見まして、この四月からいよいよ徴収事務等、本格的に制度スタートした、そのように承知をいたしておるところでございます。電波の世界で今までなかった、画期的とも言える制度でありますだけに、その円滑な導入が図られるかどうかといったところが大変注目をされるところでもあると思うわけであります。  郵政省とされまして、昨年来いろいろと準備作業をお進めになってきたと思うところでございますが、この四月からの電波利用料制度導入状況が今どのようになっておるか、その一点についてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 白井太

    白井政府委員 電波利用料制度につきましては、昨年の通常国会電波法改正をしていただきまして、本年の四月からその利用料制度を新しくスタートをさせていただいたばかりでございます。これを、ことしの四月一日以降でありますが、免許をした日にちが参りますと、免許を受けておられる方に対して、いわゆる納入告知書という、お金をお払いくださいという納入告知書というのをお送りいたしまして、その納入告知書を受け取った免許人の方がその告知書を持って金融機関などで電波利用料を払っていただくというような仕組みになっておりまして、私どもとしては、まだ始まって二カ月余りしかたってない状況ではありますが、スタートとしては順調にスタートをしたと考えてよいのではないかなというふうに思っております。  それで、この電波利用料につきましては、もう昨年の委員会でも御審議をいただいたわけですが、使い道としては、一つは、不法電波が非常に多くなっている状況にありますので、この不法電波を監視するというためのいろいろな設備等お金を使わせていただくというのが一つ。それからもう一つは、先ほども申し上げましたように八百万を超してもう既に八百五十万くらいになっております無線局、べらぼうな数の無線局になるわけですが、その無線局の管理をできるだけ効率よく行うというためのコンピューターを使ったシステムをきちっとつくり上げるということ。その二つに主にお金を使わせていただくということで予算を組ませていただいておるわけであります。それぞれ、この不法電波の監視でありますとかあるいは総合無線局監理システム等につきましては、本年度の予算に従いまして準備を進めております。  それから、この電波利用料を納めていただく、いわゆる徴収の面についてでありますが、何せ今までなかった制度を初めて本年の四月一日からスタートをさせていただくということで、免許を受けておられる方にまずよく御理解をしていただくということが大変必要なことであったわけでありまして、これについては、昨年からずっといろいろな機会に、この利用料を払っていただかなければならない方々に説明会で御説明をするとか、あるいはポスター等を張りますとか、あるいはその他の周知活動などを行いまして、できるだけ多くの方の御理解をいただいた上で円滑な電波利用料導入を図りたいということでやってきたところであります。したがいまして、今のところはまだ、四月にその免許を受けた日が来た方に納入告知書を発送して、それから一月以内に納めていただくというような仕組みなものですから、納めていただくということについては本当にまだ始まったばかりの段階ではございますが、もう既に少しずっお金も納められて入ってきておりまして、今のところは、まあまあ順調なスタートではないかなというふうに私どもとしては思っております。
  9. 松岡利勝

    松岡委員 この点につきましては、先ほど白井局長からも有限なものを最有効にというような御趣旨のお話もいただいたわけでありますが、全くそのとおりでございまして、どうかひとつ、有限なものを有効に、そして公平に、秩序ある形でその利用が図られていきますためにも、何とぞ、積極的なお取り組みといいますか、進められますようにお願いをいたしたいと思うわけであります。そして、今後とも郵政省において電波利用普及拡大に向けてしっかりした御努力をぜひともお願いをしておきたいと思う次第でございます。  次に進みたいと思います。  さて、今回の電波法改正案内容につきまして、幾つかお尋ねをいたしてまいります。今回電波利用について規制緩和が図られる、このように聞いておるわけでありまして、大変結構なことであると考えます。そこでまず、今回の電波法改正案一つの柱と言われております電波利用に係る規制緩和内容について、その内容をお伺いいたしたいと思います。
  10. 白井太

    白井政府委員 今回御提案を申し上げております電波法改正案というのは、昨年の電波法改正案の御審議のときにいろいろ先生方から出ました御意見等を受けまして提案をさせていただいておるものでありまして、ただいまの先生お話にありました規制緩和というのもその一つでございます。  そこで、今回の改正案の中で規制緩和として御提案を申し上げておりますのは二つありまして、一つはいわゆる外国性排除についての緩和ということであります。  これはもう少し具体的に申し上げますと、現在アマチュア無線でありますとか、あるいはタクシー無線などにつきましては、いわゆる相互主義と申しまして、外国にいる日本人に対して認めてくれる国に対しては我が国もその国の国民の人が我が国アマチュア無線などを利用するときに認めるということにいたしましょうということで、いわゆる相互主義と呼んでおりますが、そうした制度現行制度はとっておるわけであります。ただ、この点につきましては、大変多くの国々が既にそうした相互主義というのをやめまして、外国人であっても、ただいま申し上げましたようなアマチュア無線でありますとかタクシー無線などについては、それぞれ免許が受けられるという制度をとっておりまして、どちらかというと我が国制度が少し時代おくれというか、そういう感じもなきにしもあらずというような状況になっておりますので、この点については、我が国もひとつ相互主義というのをやめて、先ほど申し上げたような種類の無線局については外国の方でも免許が受けられるというふうにしたらどうかということで提案をさせていただいております。これが第一点であります。  それからもう一つは、いわゆる財政的基礎審査ということについての緩和であります。  これは、無線局免許をいたしますときにいろいろ審査をするわけですが、その審査の中身の一つといたしまして、無線局を実際に開設したり、あるいはこれを維持運営していくだけの財政的な基礎があるかどうかということを審査するということになっております。これは、せっかく免許をしたんだけれども、実際には、免許しただけで、別に無線局を開設するとか、あるいはこの無線局を使って通信を行うというようなことをやらないということになりますと、その電波というのは結局は死蔵されたと同じようなことになりまして、ただでさえ非常に有限で限りのある電波をそのような形で使わないままでほっておくというような結果になることは大変まずいという考え方から、ただいま申し上げたような財政的基礎審査免許のときにはするというような仕組みになっておるわけであります。  しかし、今日におきましては、いわゆる経済的基盤と申しましても、過去とは大分違ってきておりますし、また無線設備の価格というのも昔に比べると大変安くなっておるというようなこともありますので、今日において免許の際に財政的基礎を確認するという必要性は非常に薄くなってきているように思うわけでありまして、放送局のような場合はこれはちょっと別でございますけれども、それ以外の一般の無線局につきましては、財政的基礎審査というのは必要ないだろうということで、これをなくすということを緩和のもう一つの柱として御提案申し上げているわけでございます。
  11. 松岡利勝

    松岡委員 それで、今回のような規制緩和は、電波利用したいという国民利用者の負担の軽減、そういった観点からも大変よいことであると思います。電波の飛躍的な利用拡大がなお期待をされます二十一世紀を目前に控えて、今後ともこうした国民利用者の立場に立った規制緩和にできる限り努めていくことが重要であると思うものでありますが、電波利用に係る規制緩和について郵政省として今後どうお取り組みになるか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  12. 白井太

    白井政府委員 いわゆる規制緩和についてでありますが、電波利用というのは、先ほどのお答えとも関連をいたしますけれども、秩序を守って電波利用するということをやらないとどうしても混信などが起きてしまいまして、実際には電波が使えないというようなことになるものですから、秩序立った電波利用というような観点からある程度の規制というのはどうしても避けられないわけであります。  しかし、そういう規制というのは、もちろんこれは必要最小限度のものでなければならないということは当然のことでありまして、私どもとしては技術進歩とかいろいろな事情を考えながら、少しでもいわゆる規制を緩めるということができるものについては、そのときそのときに少しずつでも実はやらせていただいておるわけであります。このような規制は、法律に基づく規制ももちろんありますけれども、例えば郵政省令に基づく規制のようなものもあるわけでありまして、そのようなものも含めまして、そのときそのときにある程度緩和しても構わないぞと思われるものについてはどんどんやらせていただいてきております。  つい最近の例だけに限ってみましても、昨年末には郵政省令改正いたしまして規制緩和を一部やらせていただいていますし、また、年が明けてからも今度は郵政省の告示に基づいて、いわゆる規制といえば規制なのですけれども、そういうものをやっておったものについてはまた緩和をするというようなこともやらせていただいておりますので、条件さえ整えばその都度少しずつでも緩和を進めてきているというようなことであります。  今後とも、社会の情勢でありますとか技術進歩どもよく考えながら、できるだけ、いわゆる規制と言われるものについては必要最小限度のものにするというようなことに最大限の努力を払ってまいりたいというふうに思っております。
  13. 松岡利勝

    松岡委員 ただいまの白井局長の御答弁に大変私も、そのような方向でぜひお願いをしたい、このように賛同と同時にお願いをする次第でございます。  次に、これはもう大変な問題であると思っているところでございますけれども不法無線局対策関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  郵政大臣免許を受けないで勝手に無線局を使って、法にのっとって正しく使われているさまざまな無線局に深刻な電波妨害を与えるこの不法無線局の問題は、これはもう実にゆゆしき社会的問題である。したがいまして、どしどし取り締まりをやるなど断固とした態度で臨むべき問題であると考えます。  そこで、このような不法無線局現状及びその取り締まり状況、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  14. 白井太

    白井政府委員 いわゆる不法無線局のほとんどというのは、ただいま先生お話ございましたように、免許を受けないで電波を出しておるわけでありますけれども免許を受けないで電波を出すこの不法無線局の実態というのはほとんどが、免許を受けた場合に比べて大変強い電波通信をするとか、あるいは本来ならば使ってはいけない周波数自分たちだけの通信をするとかいうようなことをいたしております。そのために、実は正規に免許を受けて通信をしているところに妨害が及ぶというようなことでありまして、警察とか消防の無線にも影響が及んでおりますし、それから放送などにもしばしば妨害無線が入ったりするようなことがありまして、いわば社会的な問題にもなってきておるわけであります。  それで、そうした電波をどういうふうにして出しているかということでありますが、一つは、市販の無線機を買ってまいりまして、それを不法改造をして、先ほど申し上げましたような強い電波が出るような無線機につくり変えてしまいましてこれを利用いたしますとか、あるいは我が国では使えないような強い電波が出るような無線機を、外国から買ってくるのか、あるいは外国へ輸出するためにつくったのを日本で使うということであるのかいずれにしても、そのような、改造はしないんだけれども、もともと日本では使えないような無線機我が国で使うというような使い方不法電波を出しているということになっておるわけであります。  これらに対しては、実は当然電波法に違反するということできちっと違反の事実をつかまえて摘発をするということをしなければいかぬわけでありますけれども、このほとんどというのが、実は自動車などに積みまして移動しながら不法電波を出すというようなことをやっておりますので、これを捕捉するというのがなかなか難しいわけでありまして、平成四年度、昨年度の実績でいきますと、私ども電気通信監理局の方で確認できた不法無線局の数だけでも約三万局あるわけでありますけれども、実際にその三万局のうち、これを不法無線あるいは不法電波を出したものとしてつかまえて何らかの措置をとったというのは一割強の三千三百くらいの数でありまして、不法電波であるということがわかっておりましても、実際にはこれが非常にとらまえにくいというような状況にあります。  そこで、先ほどお話に出ておりますように電波利用料ということで納めていただいたお金利用いたしまして、こうした監視関係の設備をきちっと整えていこうということを、これから何年かかけてやっていこうというふうにしておるところでございます。
  15. 松岡利勝

    松岡委員 今局長の方からも御答弁ありましたように、この不法無線局の問題がなかなか容易に解決できない問題であるということは、これは理解をいたします。郵政省としても、限られた要員の中で苦労が多いとは思いますが、この四月から導入された電波利用料制度、こういったことを最大限活用しながら、また捜査機関に対しましても積極的な協力要請を行うなど、ぜひとも考えられる限りの方策を講じて、日常社会の公序良俗をしっかり守る上からも、今後とも不法無線局を厳しく取り締まっていただくことを強くお願いしておきたいと思うのであります。  そこで、以上のような不法無線局問題に対する現状と問題点を踏まえまして、このような不法無線局問題への新たな対応策について若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。  郵政省として、今回の不法無線局対策内容及びその効果について、時間もなくなってまいりましたので簡潔にひとつポイントをお尋ねしたいと思うのであります。
  16. 白井太

    白井政府委員 今回の改正案で御提案を申し上げておりますのは、不法無線局として使われる無線設備というのはかなり限定された設備でありますので、そのような特定の無線設備を販売する段階で、不法無線設備にならないようにいろいな告知を、販売業者の方がそれぞれ無線設備を買う方に対していろいろな、例えばこの設備を利用して電波を出すためには免許が要るのですよというような告知をしていただくというような対策を講ずるとか、あるいはその設備自体が技術基準に合っておったのを後でその中を改造いたしましたような場合には、技術基準に合ったという、いわゆる技術基準適合証明というのをとりなさいというようなことを今回のこの法律案では提案を申し上げているわけでありまして、こうしたことが今までの不法対策としては実は欠けておったということで、今回の御提案に至ったわけでございます。
  17. 松岡利勝

    松岡委員 最後にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、無線というすばらしい、便利、そしてまた利益をもたらすこのような仕組みが新たにまた一方でいろいろな問題を抱える、こういったことにつきましては、これはやはりきちっとした、そういったことがないようなことがやはり必要なわけでありまして、ぜひともそういった観点からなお一層のお取り組みお願いしたいと思うわけでございます。そういった上で、今回の対策が不法無線局の防止にぜひ大きな効果を発揮いたしますよう、制度の適切な運用について引き続き十分お取り組みお願いいたしたいと思います。また、郵政省とされましても、今後ともあらん限りの知恵を絞って不法無線局の撲滅に努めていただきたい、このようにお願いをいたす次第でございます。  そこで、最後に、このような不法無線局問題の取り組みにつきまして、大臣御出席でございますので、大臣の御決意を一言お伺いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  18. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今いろいろお話、御指摘ありましたように、今回の措置不法無線局の未然防止対策として大きな効果を上げることができるように、これからも一層努力をしていきたいと思っております。いろいろ取り締まりの強化とかあると思いますが、今御指摘の点も含めまして、一生懸命努力していきたいと思います。よろしくお願いします。
  19. 松岡利勝

    松岡委員 どうもありがとうございました。これで終わります。     —————————————
  20. 亀井久興

    亀井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会副会長中村好郎君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 亀井久興

    亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  22. 亀井久興

    亀井委員長 次に、上田哲君。
  23. 上田哲

    上田(哲)委員 前回の電波法審議の中で持ち越している問題がありますから、そこから入りたいと思います。  私は、電波料の徴収ということについて、先般かなり長い議論をいたしました。今回も当時の議事録も精査いたしましたけれども、どうしてもなお納得ができないのであります。これは、放送の公共性と法益の問題と監督権の問題、そうした問題が絡んで、いわば法体系としての放送法と電波法の矛盾が整理されていない。あえて言えば、放送法の上に電波法が君臨する形になるのではないか。これも私の疑義のポイントであります。  先般の議論を整理いたしますと、一つは、このような電波料の徴収というのは、免許人周波数利用を確保するために必要となる社会的コストである、こういう考え方が一つ。それから、放送はそうしたコストの支払いによってのみ言論の自由を得ることができるということが二つ。さらに第三は、この電波料を課す対象に対してはすべて、放送通信、それらのすべてについて均等な立場に立つ、こういうことになるようであります。  私はどうもこれは論理構成としておかしいと思うのでありまして、この点ほどのようにお考えでしょうか。
  24. 白井太

    白井政府委員 昨年、電波利用料制度の創設のための電波法改正案のときに、上田先生の方からただいまお話がありましたような点について、いろいろな角度からのお話、御質問あるいは御指摘があったことは私も承知したしております。また、現にこの委員会の場でお聞きいたしてもおりました。  それで、一口に申し上げますと、先生のお立場というのは、要するに、放送というものの公共性、あるいはなかんずく公共放送機関としての日本放送協会の公共性というものについて、大変高い立場からのいろいろな御意見が示されたというふうにお聞きをしておったわけでございます。  他方、電波利用料というのは、実はこの電波利用されている方に、極端に言いますと例外なくすべての、電波利用されている方にいわば共益費のような形で利用料を納めていただくということで仕組みをつくったわけでありまして、昨年の国会でも当時の担当局長の方から再三にわたりお答えを申し上げておるところでありますけれども、当然のことながら、放送の公共性とかあるいは日本放送協会の公共性というものについて、いささかもこれを左右するような制度ではないということで御説明をさせていただいておったわけでありますが、私どももそういう立場はもちろん変わっているわけではありませんで、利用料というものの必要性から、免許を受けておられる方にそれぞれすべて何がしかの負担をお願いするというような仕組みから今日の制度ができ上がっているということで御理解お願いしたいわけでございます。
  25. 上田哲

    上田(哲)委員 抽象的な言い方ならどんな言い方もできるのですが、今私が挙げた三点は、もう少し絞ってみますと、三点目の放送通信、いかなるものについても同じように見るのだというところは除外することにしましょう。それが電波法の立場であるというのであればそれはそこにおくとして、少なくとも一点目と二点目を突き詰めていきますと、そうすると今の言葉社会的共益費というような言葉がありましたね。すると、NHKの受信料には社会的共益費というようなものは入っておらぬ、だから改めて出さなければならぬ、こういう理屈になってきますね。
  26. 白井太

    白井政府委員 NHKが集めておられるいわゆる受信料につきましても、理論的にはいろいろな理論といいますか、あるいは議論があり得るところだと思いますけれども、確かに日本放送協会の経営が聴視者から集められた受信料の上に成り立っておるということは、それはもちろんそのとおりでございまして、そうしたNHKの財政の中から今度の電波利用料を納めていただくということもまたそのとおりでございます。  したがいまして、私どもとしては、電波利用料をお払いいただくということが、受信料の性格でありますとかNHKの公共性というものに影響を及ぼすということはないと思いますし、ただ単に私どもとしては、NHKとして電波利用していただいているというお立場で共益費的な電波利用料を納めていただくということに実は過ぎないといいますか、そういうような考え方で制度ができ上がっているというふうに考えるわけであります。  この点につきましては、NHKが利用なさる電波につきましても、やはりほかの電波利用と同じような決まりを守っていただくというようなこともしていただくということといわば同じような考え方ではないかというふうにも思うわけでありまして、再三先生がおっしゃっておりますような、放送の公共性あるいは報道の公共性というものに対して悪い影響を及ぼす制度ではないのかというような御指摘については、決してそういう意図を持った制度ではないということをぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  27. 上田哲

    上田(哲)委員 全然議論がかみ合っていないのですよ。つまり、NHKはこの程度取っても心配なかろうなどということを言っているのじゃないのです。この議論は、およそ受信料制度あるいは受信料とは何かという意義づけにかかわってくるのですよ。だから、この程度だったら大してNHKの財政には影響がないだろうとか、あるいは郵政省がNHKから金を取るから言論弾圧になるのではないかというような議論は、ずっと向こうへ持っていけばあるかもしれないが、今言っているのはそこではない。受信料制度、受信料の性格論というものをしっかりしておかなければいかぬだろう。その基本を侵すことにならないかということを言っているわけなんです。  ですから、私がさっき言った質問にもう一遍戻れば、あなたがおっしゃるのは、言うならば電波を使う共益費みたいなものだ。共益費があるんだとすれば認めましょう、有限的な電波なんですから。私が言っているのは、NHKの受信料は国会で決まっているわけです。法律で決まっているわけです。国民も納得しているわけです。では、NHKの受信料の中には共益費というのは含まれていなかったということになるのか。NHKの公共性と認定をされ、その公共性の上に立って決められている受信料とその料額の決定、そうしたものは、何といいましょうか、既に見込まれた上で、専ら広告にもよらず、権力にも負けず、放送そのもののために努力しなさい、純一無雑に放送のためにやりなさい、その中に当然言論の自由もあるということになるわけです。  ところが、よく調べてみると、どうもこれは共益費のようなものも払わなければならないし、言われてみればほかのものがあるなどなど。つまり、抽象的に言えば、公共放送、言論の自由というものだけに集中するのではない、雑費もこの中には含まれているんだということになると、私は、受信料制度なら受信料の性格決定に問題が及んでくるのだろうと言うのですよ。だから、そこは理論的にしっかりしておいてもらわないと、場合によったらまたこんな費用をNHKからも取れるんじゃないか。  繰り返しますが、NHKからなるべく物を取るなということを言っているのではないのです。受信料制度というものに、受信料の性格決定に問題を及ぼす見解が、大変ずさんに、ぽいっと共益費を払ってもらおうじゃないかということになってきている。したがって、このことを払うことによってのみ表現の自由も確保されるんだという答弁になってきているわけですよ。これが必須課題となって、共益費を払っていない、もし払わないと言ったらNHKは公共放送でなくなるということになってしまう、こういう論理になるから、そこを言っているわけです。
  28. 白井太

    白井政府委員 長く日本放送協会のお仕事に携わってこられた上田先生に決して御議論を吹っかけるつもりがあるわけではございませんが、先生のお言葉をそのままおかりしますと、NHKが本来の業務として放送の仕事を行う場合にもいろいろな経費がかかるわけでありまして、そうした放送のために必要な経費の一つだということで事業計画の中に予算としてこうした電波利用料も組み込んでいただくようにお願いするということでありまして、いわばそうした放送の仕事ということをしていく上で必要なお金一つだというふうに御理解お願いしたいわけでございます。
  29. 上田哲

    上田(哲)委員 押し問答したくないので、思いつきでこういう例はふさわしいとは思わないけれども、例えば、NHKが、近所の公園をつくるとか町の美化のためにいろいろみんなで町内の行事や施設に金を出す、NHKもそういう社会的共益費を払いなさいと言われたら、受信料から出していいんだろうか。そういう町内の共益費というものと電波の共益費というものを一緒にするつもりはないですよ。だから例としていいとは言っていないが、つまりそういうふうになっていく、受信料論の純理の破壊になりはしないか。私は、NHKの料金というものが余計なものは入っていなくて、なるべく実質的に安くと言ったら語弊があるかもしれないが、放送だけに集中していける、そういうものでなければならない。ところがここに、言葉は悪いけれども町内会費やお祭りの費用のような金まで入っているんだということになって、その金を受信者にぜひ取りたいということになるだろうか。  こういう、ちょっと例がいろいろ波及していくかもしれませんけれども、わかりやすく言いたいために自分でも余りふさわしいと思わない例も出しているのだが、やはりここはそういう、聖域視をするわけではないが、理論的に整理をしておかなければならぬのじゃないか、こう言っているわけですが、おわかりになりませんか。
  30. 白井太

    白井政府委員 率直に申し上げて、上田先生お話の趣旨を私十分理解していないのだと思いますけれども、私どもの考えでは、電波利用料をNHKとしてお払いしていただくということは、NHKのお仕事に伴って、あるいは密接に関連して出てくる問題でありまして、NHKの本来のお仕事と全く別のことのためにお金を使っているということではないだろうと考えたいわけであります。  そして、ここまで言うのは少し言い過ぎかもしれないのですが、やはり電波を使って放送ということをやっておられるわけでありますので、こうした電波利用料という形で納めていただいたお金がめぐりめぐって結局はNHKの放送に対してもいい影響を及ほすといいますか、NHKの放送が、あえて言えば、妨害だとか混信ができるだけないような形で国民の皆さんに聞いていただけるということにも、ぐるぐる回っていきますとお役に立つはずだというような考え方でお願いをしているものでございますので、どうぞよろしく御理解お願いしたいと思います。
  31. 上田哲

    上田(哲)委員 すべての水は太平洋に出るかもしれないけれども、それはまた雨になって降ってくるだろうという話になっちゃったら、これは議論が遠過ぎるのだが、この間の議論を受けて郵政省から出された統一見解がここにあるのですよ。長いから全部読まないとしても、これは矛盾しているのです。  三点にわたって書いてあるのだが、第二点で言われているように、NHKの受信料の「使途は協会の業務の遂行に必要な範囲内に限定されている。」と書いてあるのですよ。だから、その限定の範囲を超えるのか超えないのかというのはやはり精緻な議論が必要だろうということをあなた方も認めているし、これは放送法の精神なんですね。それが、あらゆるところに出してよろしいということになってしまっていいのかということを、電波料だからということの中で言ってしまっていいのかなということがある。  それからもう一つは、三番目に書いてあるのだが、NHK側といろいろ話をしてきたのだが、結局「財政上の独立性を脅かすものではない」程度だからいいだろうというようなことが書いてある。つまり、筋道はどうも十分突き詰められないのだけれども、この程度の金なら痛いほどではないだろうというようなことは、統一見解としてはレベルが低いですよ。やはりこういう議論ではないだろうと思う。  ついでに、今あなたが言われた、流れた川はやがて水蒸気になって上へ上がって雨になって降ってくるから、水は回るので、その意味ではきっといいことになるだろうという程度の話ではちょっと無理なんだが、先般NHK側に答弁を求めたところが、さんざん、初めは二十億だったのが十五億になって三億になったんだからよかろうみたいな答弁をしているわけだ。というふうに具体的には言っていないけれども、結局その経過が現実にあるわけだから、そういう話では困るので、質的には必要ならたくさん出さなければならないし、不必要なら一円たりとも出してはならぬというのが議論のポイントですから、そこでNHK側がつけたのは、せっかく出すんだから還元してくれと言っている。あなたは、ぐるぐる回っていいことになると言った。どこへどう還元したのですか。
  32. 白井太

    白井政府委員 電波利用料の目的と申しますのは、一つはやはり、不法電波がいろいろ横行しておりまして正規の通信とか放送妨害を及ぼしている、これを何とかなくしていこう、そのための監視施設の整備をするというようなことも電波利用料の使い道として考えているわけでありまして、この点につきましては決して、ぐるぐると回ってというよりもむしろ、少なくとも制度仕組みとしては電波利用料の本来の目的でありますので、やはりNHKの放送、テレビジョン放送あるいはラジオ放送についてもいろいろな妨害が及ぶということもあったりもしているわけでありまして、そういうような妨害電波をなくそうということのために使うお金であるという、これはまあ仕組みの話としてでございますけれども、そういうことのためのお金として利用料をお払いいただくのだということで、還元と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、結局はきちんとした放送が流せるように、あるいはきちっとした放送国民が聞くことができるようにするための一環としてとられている制度でありますので、まああえて言えばこの利用料の還元と申しますか、利用料の効果としてそういうことを考えているということでありまして、決してNHKの業務とは無関係のことだということでもないということで御理解お願いしたいわけでございます。
  33. 上田哲

    上田(哲)委員 結局、答弁電波法の側から、電波料を取る側の議論を一生懸命言っているわけだから、これ以上進展しそうもないんですね。私が言っているのは、しょせんそれはNHKというその存立についてのさまざまな議論が展開されている難しい時期にも当たっている中での受信料制度、そして受信料の性格、あるいは料額の意味、こういう問題の基本に触れることだろうということを指摘しているわけだし、それが今回こういう問題が出てくると放送法と電波法関係にも及ぶであろうということを言っているので、これはもっと議論を続けることにしましょう。  そこで、NHK側に出席をいただいておるのは、前回の答弁は私はどうも大変あいまいだと思っている。どうも私一人で頑張っていても、NHK側がもうこれぐらいなら払いますと言われたんじゃ、これは話にならないわけだが、これは私のNHKへの愛情だということになると大変孤立的愛情感を持たざるを得ないんだけれども、この統一見解で、さっき指摘したように、本来は受信料は協会の業務の遂行に必要な範囲に限定されると郵政省も言っておるわけです。そして、いろいろNHK側とも話をしてきたがといって、まあ二十億から始まって、これは表に出てきている話ではないが、とにかく三億のところになったから、これぐらいならよかろうというのではないだろう。もっと本質的な意味でしっかりした御答弁をいただくことが一つと、それから、前回の御答弁でも還元をしてくれという発言がありましたから、じゃ還元というのは具体的にどういうことを望んでおるのかという二点について御答弁をいただきたい。
  34. 中村好郎

    ○中村参考人 お答えいたします。  先ほどから郵政省からもるる御説明がありますけれども、また私、昨年の五月にこの場で先生にもお答えしておりますけれども、基本的にこの電波料についてのNHKの基本的な考え方というのは現時点でも変わっていないわけでございます。それで、やはりこの増大する無線局という、非常に逼迫しておりまして、私どものテレビ、ラジオあるいはその取材用の無線というようなものに至るまで、時々不法的な電波妨害を受けているということは事実でございます。そういう件数がやはり徐々にふえてきているということもあり、この電波料をそういうものを監視するということにお使いになるということが明確に御説明があったわけでございますので、その基本的な考え方を私ども理解をして応分の負担をするということに実は決めたわけでございます。  それで、額の大小という問題もございましたけれども、私どもは受信料の中からこの電波利用料を編み出してお支払いをしていくわけでございますので、やはりこの電波料の使われ方が視聴者に理解をいただけるということが大前提でございます。したがって、この負担についてはいろいろ要望も出し、郵政省とも慎重に議論もさしていただきましたけれども、その結果、三億弱という電波料を今年度も計上してお支払いをすることにしておりますけれども、先ほども申し上げましたように、安定な良質な電波確保という観点から今後も受信者に対してこの電波利用料についての御理解を得るべく努力をしていきたいというように思っておるところでございます。  それから、いずれにいたしましてもNHKは放送法に基づいて放送しているわけでございまして、このNHKの自主性あるいは言論報道機関としての不偏不党の原則につきましては、今後もその方向で放送を続けてまいりたいというように思っております。
  35. 上田哲

    上田(哲)委員 何を言っているのかよくわからないんですね。私は何とかしてNHKがあんまり金を取られないようにしてやろうと思って頑張っているんだけれども、NHKの方が結構だと言うんだから、これはもう何とも議論のしようがありませんな。私は、せめて受信料とは何かという基本のところをもう少しく、安易な経営論や郵政迎合論でないところで展開してもらうことを主張し、この問題を持ち越したいと思いますが、答えてないのは、還元論はどうするのかというのは……。
  36. 中村好郎

    ○中村参考人 還元の問題につきましては、この利用料が、先ほども申し上げておりますけれども、NHKに監視等を十分強化していただくというようなことも含めて、良質な電波確保という観点からこの還元ということがNHKにもたらされるというように理解をしております。
  37. 上田哲

    上田(哲)委員 やっぱりやがて川は水蒸気になって雨になるという程度の理屈ですから議論にはなりませんが、今後の課題として私は受信料制度そのものの本質的議論を今後も展開することにして、とりあえずきょうは先へ行きます。  NHKが来ているので、ついでにと言ってはなんですけれども、最近NHKの将来構想について、NHK側がその見解を発表し、民放からも見解が発表され、また電波監理審議会答申等々さまざまな論議が交わされております。絞って一つだけ伺いたいのだが、音声放送メディアについては、現行三波を再編成し、一波削減の方向で検討するということが大変話題になっています。NHK、これはどういうことですか。
  38. 中村好郎

    ○中村参考人 お答えいたします。  実は昨年一年かけましてNHKは今後の公共放送のあり方につきまして広く外部の意見を伺い、また有識者懇談会等の提言も得まして将来構想を取りまとめてことしの二月に発表させていただきました。これはあくまで将来の構想でございまして、まだ具体的な計画があるわけでございませんが、いずれにしてもその中でNHKの保有メディアについて言及をしております。  それで、今先生から御指摘の音声放送につきましては、「今後の音声メディアの進展、技術開発の動向など音声放送をとりまく社会環境の変化、視聴者動向等を十分に見極め、現行三波を再編成し、一波削減する方向で検討する。」というようにここで述べております。  それで、先ほど申し上げましたように、まだ具体的にどうするのかということは議論が進んでいるわけではございませんし、この将来構想につきましては、これから広く国民の方々の御意見を伺っていこうということで今いろいろな方から意見を集約している段階でございますが、ともかく、いたずらに事業を拡大することなく、国民の意向や今後のメディア環境を見据えながら検討していきたいというのが現時点での基本的考えでございまして、直ちにメディアを削減するという具体計画を持っているわけではございません。
  39. 上田哲

    上田(哲)委員 郵政大臣が、NHKのテレビ一チャンネル削減は将来に向けての検討課題というような発言をされていますね。これはどういう意味ですか。
  40. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 いたずらに業務の拡大を図ることじゃなくて、民放と相協調して発展していくという視点からも考えまして、質の向上等を考えまして再編を考えてもいいのじゃないかそういう趣旨であります。
  41. 上田哲

    上田(哲)委員 郵政省。民放連が一波削減を打ち出していますね、これはどういう内容ですか。
  42. 白井太

    白井政府委員 大変申しわけございませんが、放送行政の担当の者が来ておりませんので、私無責任なことを申し上げるのもいかがかと思いますので、また何らかの別の機会にその辺についてはお答えをさせていただきたいと思います。
  43. 上田哲

    上田(哲)委員 郵政大臣、そういう声がいっぱいあるわけです。いたずらに拡大ではなくて質をと言われる。検討しようと言われる。そこで絞って伺うのだが、それは、このままいくとただ巨大になるだけで質が落ちる心配もあるじゃないかという御認識が、あるいは、財政的な負担その他の問題があるという御認識なのか、その辺の理由づけといいますか考え方と、それから、検討すると言われる時期や手順ですね、この辺をお聞かせいただきたい。
  44. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 時期とか手順というのはまだ定かではございませんが、いろいろな放送に対する国民の要望というのはどういう点にあるのか、またNHKの財政状況も見なければいかぬ、同時に民間との均衡も考えなければいかぬ、そういう観点から、ただあれもやりたいこれもやりたい、拡大したいというのはいかがなものか、ここら辺で一歩踏みとどまって、公共放送、NHKと民間、総合的な立場から今後の再編等を考えてもいいのじゃないか、そういう趣旨で御理解いただきたいと思います。
  45. 上田哲

    上田(哲)委員 そうすると、今のニュアンスは、そう近くはないがそう遠くはないところで検討課題だというふうに受け取れるのですが。
  46. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 近い将来できればよし、検討の結果がどうなるかということだと思うのであります。
  47. 上田哲

    上田(哲)委員 NHKに伺うが、NHKが言っているのはテレビではないですね。それで今のお話は、民放はテレビを言っているわけですね。その辺はどうなんですか。
  48. 中村好郎

    ○中村参考人 将来構想の中で私どもが述べておりますのは、公共放送のメディアは将来にわたって固定的なものではないだろう、メディアの進展状況などを考慮してNHKは放送メディアやサービスのあり方を常に検証していかなくちゃならぬだろう、そしてテレビ放送については、衛星放送が地上放送とほぼ同程度まで普及することとなった段階で、現在の地上、衛星放送の役割とサービスのあり方を再検討して、それぞれの波の編成内容も含めて抜本的な再編成を検討しましょう、これがNHKの将来構想の今日時点でのNHKの見解でございます。
  49. 上田哲

    上田(哲)委員 もう一問、郵政大臣の先ほどのお話では、財政的にも削減の必要があるのではないか、こういうことがありましたが、いかがですか。
  50. 中村好郎

    ○中村参考人 お答えします。  NHKの事業運営はもうほとんどが受信料に頼っておるわけでございますから、NHKの放送サービスというものがいずれにしても受信者に納得を得るサービス内容でなければならないわけでございます。先ほど申し上げましたように、いたずらに事業を拡大することなくというのは、やはり受信料が適正に使われ、その受信料で受信者が十分な放送を通じてのサービスを多とするということが基本であろうかと思います。  なお、今後、衛星の問題を初めハイビジョン等の問題も多々問題として抱えております。こういうようなこれからの問題に対してどういうぐあいにこの受信料というものを維持できていくのか、財政を維持できていくのかというのは、先生の御指摘のとおり大変大きな課題だろうというように思っております。(上田(哲)委員「難しいということですか」と呼ぶ)どういうぐあいにハイビジョンを発展させていくかということについては、いずれにしても財政措置等をどういうぐあいに考えていくのか、これからの大きな課題だろうというように思っております。
  51. 上田哲

    上田(哲)委員 短い時間で余り大事なことは詰めないことにします。一点だけ、郵政大臣、NHKが言っているのはラジオなんです。それで大臣の言われるのはテレビの方なんですね。この辺のところの話はどうなるのか。
  52. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 音声の方もNHK第一、第二、FMと、テレビの方も一チャン、三チャン、衛星一、二とある。両方検討する必要があるのじゃないかと私は思っております。
  53. 上田哲

    上田(哲)委員 重大問題ですから、きょうはこの辺にしておきましょう。  本法案について議論をいたします。  不法無線局というのは定義はどういうものですか。
  54. 白井太

    白井政府委員 これは法律上の定義ではございませんが、言葉使い方として一般的に私どもは、不法無線局というのは、免許を受けていないような無線局不法無線局というような呼び方をしております。ほかに違法無線局というような言葉を使うことがございますが、違法無線局という場合には、免許の条件に違反して電波を出しているような無線局を違法無線局などという呼び方をしているということでございます。
  55. 上田哲

    上田(哲)委員 やはり法律ですから、その定義というのははっきりしていなければいけないと思うのですが、明確な定義はないのですか。
  56. 白井太

    白井政府委員 二、三年前に新しく法律改正をさせていただきまして、いわゆる不法開設局というような用語を法律上は載せさせていただいております。
  57. 上田哲

    上田(哲)委員 その不法開設局と不法無線局というのは同じですか。
  58. 白井太

    白井政府委員 同様のものと御理解いただいていいと思います。
  59. 上田哲

    上田(哲)委員 はい、わかりました。  それでは、その不法無線局ですけれども、これは不法開設局についていえば、開設と運用の両面で問題となるわけですね。それでいいですか。
  60. 白井太

    白井政府委員 そのとおりでございます。
  61. 上田哲

    上田(哲)委員 私は、放送に特に絞ってお伺いしたいと思うのですが、その不法開設局が、あるいは不法無線局がどういう障害を与えている、実態をかいつまんで説明してください。
  62. 白井太

    白井政府委員 NHKの放送についてもそうでありますが、NHKの放送放送中に、その電波の中に無線での妨害が入ったり、場合によると放送をいわば横取りするような形で別のアナウンスをする。一番ひどいのになりますと、受信料をもっと下げろというような放送が入ったというような事例もあるやに聞いております。
  63. 上田哲

    上田(哲)委員 じゃ、もうちょっと具体的に聞きたいのですけれども、ダンプですか。
  64. 白井太

    白井政府委員  発信源は必ずしもつかまえられておりませんが、一般に不法無線局の場合は、私どもとして承知いたしておりますのは、トラックなどの動きます車に搭載をいたしまして不法電波を発するのが件数としては大変多いというふうに承知をいたしております。しかし、必ずしもその不法電波というのは移動している自動車にも限りませんで、言葉として適切であるかどうか、いわゆるマニアのような人が自分で無線機改造したりつくったりして、それで不法電波を発しているというようなケースもあるようでございます。
  65. 上田哲

    上田(哲)委員 先ほどの話だと、三万ぐらいあってそのうち三千ぐらいを取り締まっておる。単位が違うのじゃないですか。今百万ぐらいという数字があるのじゃないですか。
  66. 白井太

    白井政府委員 百万という数字はいろいろなことから実は推計をした数字で、恐らく百万ぐらいあるのではないかと思われるということでございます。  それから三万という数字は、実はいろいろ日常の業務の中で地方の電気通信監理局電波の監視をしているわけでありますけれども、その監視をしている中で、明らかに不法無線だということでキャッチできたのが約三万だということであります。そして、三万のうちその発信者が特定できて、場合によると送検をするとかいうような、摘発をするとかいうようなことをしたというのが全部で三千三百ぐらいだということでございます。
  67. 上田哲

    上田(哲)委員 私は取り締まりという言葉自体に余りなじまない方なんですが、そういう立場でいいますと、三万と百万には随分その実態把握についてもギャップがあり過ぎるわけだし、実際それをどういうふうに取り締まるかということになるとお手上げじゃないのか。  例えば、あなた方がやっておられるのは、お巡りさんがやる検問に一緒に立ち会わせてもらって、できるだけ道具立てを使ってやる。それは、遠隔方位測定装置、こういうのがあるようですな。これは大変精緻な機械のようだけれども一つ三億円もするわけで、例えば東京なら東京でこれを有効に使うには幾つぐらいあったらいいだろうかと試算してもらったところが、どうしても十ぐらいは要るのかな、大体間違いないでしょう。それだけでも三十億要るわけで、とてもじゃないがこういう費用とか、それから人員、やれないのだな。  だから、これはどうも私は、一罰百戒というようなこと以外には、こういうものを取り締まる——取り締まれ、取り締まれと言っているわけじゃないんですよ、実態として難しいんじゃないのか。その辺は途方に暮れているというのが本当じゃないかと思うのだけれども、法案を出して断固やると言っているのとどうも実態とはぞくわないことになるのじゃないかなと思っているのだが、どうですか。
  68. 白井太

    白井政府委員 不法電波に対する対策というのは実はいろいろあるわけでありまして、電波利用料を原資といたしまして監視施設を整備するというのは、実は現に行われている、不法電波を発信源をキャッチをいたしまして、この電波を発した人に対して法律上の措置をきちっととるというようなことによって、電波不法利用というのをなくそうというようなアプローチであります。  それから、今回電波法改正案お願いしておりますのは、今度は、そうした不法電波を発する可能性のある無線設備を販売するときに、販売の段階で、できるだけこの不法電波を発しないように必要な告知を小売業者の方にやっていただくというようなことを今回の法案でお願いしておるわけでありまして、電波の実際の監視と今回の法案でお願いしていることとはまた別のことでありますが、結局、その不法電波をなくそうということのためにはいろいろな手だてを講じてやっていくということより仕方がないと思うわけでありまして、何か一つ手段ですべて不法電波をなくしてしまうというようなことは、実際問題として難しいと思うわけであります。  したがいまして、ますます電波利用というのが盛んになってくるだろうというこれからのことを考えますと、この不法電波をなくすということのためにいろいろな手だてを講じていくというようなことが必要ではなかろうかと思っているわけでありまして、今回の御提案申し上げている内容も、それだけですべてなくすことができるというような手だてでは決してないわけでございますけれども、今までなかった、販売の段階でただいま申し上げたような告知というようなことを小売業者の方に御協力をいただいてさせていただくことで一つ不法対策を講じようということでございます。
  69. 上田哲

    上田(哲)委員 白井局長の顔を見ていると余り議論が突き詰められないんだけれどもね、困った困ったという顔をしているので。これはできないのですよ。だから、私は反対しているわけじゃないんだ。だけれども、一生懸命やっても、これは大変だな、太平洋に小舟でこぎ出すようなものじゃないかという実態、例えばこれで予算も、それから人員も、とてもじゃないけれども大変だなということを言っているわけです。  これから何とかするんだという話なら、NHK、これによってどういう放送障害に困っていますか。どんなことがあるかを簡単に言ってください。
  70. 中村好郎

    ○中村参考人 具体的に今ここで場所とか被害の状況を申し上げるデータを持っておりませんけれども、先ほども郵政省の方から御説明がありましたけれども、微弱なテレビの放送局の近くで強力な電波を出されて映像、音声が乱れるということは何件かございます。  それから、先ほども触れましたけれども、取材時の取材無線の中に、また他局からの同じ周波数妨害が入ってくるというケースは、これは比較的多うございますけれども、直接放送電波ではございませんのでその場限りで終わっているというケースもかなりございます。(上田(哲)委員妨害ですか、障害ですか」と呼ぶ)本来ですとNHKが使っている電波と同じ周波数で、ほかから来るはずがないものが、同じような周波数妨害を受けるということでございます。
  71. 上田哲

    上田(哲)委員 そこで、局長がしきりに言われた告知義務とか、本当にもとから押さえるという立場であれば、製造、販売、使用の三面を押さえなければいかぬですな。それは製造あるいは販売の自由というようなものとの関係が出てくるから、それはまた何でも上から押さえればいいということにはならない議論は別にありますけれども、それが今回は販売規制のところで、指定無線設備という概念で告知義務を設けた。告知義務というのは接点でしょうな。接点だろうけど、告知しますか。とにかく今並べてじゃんじゃん軍艦マーチ鳴らしてそれいけそれいけとやっているところで、これ買った人はこれをやらないと大変ですよなんて言って売ったら、売り上げ減るでしょう。そういうことを、業者を疑っているわけじゃないけれども、こういうことで済むんだろうかなという点は、どう思いますか。
  72. 白井太

    白井政府委員 この点はまさに上田先生おっしゃいましたように、本当からいいますと、製造の段階とかあるいは販売の段階で疑わしいものはすべて網にかけてしまうというようなことをすれば、これは確かに効果としては大きな効果が期待できるかと思うわけですけれども、やはり今日の御時世で、疑わしいものをすべて網にかけてしまうというわけにもなかなかいかないということもあるわけでありまして、まさに先生がおっしゃいますような、実際に運用をしている段階で不法電波をきちっと把握するというのは、先ほど来申し上げている、いわゆる監視というようなことで表現しているものであります。  製造の段階については、勧告公表制度というのがこの法律の中にも一つあることはあるわけであります。ただこれは、現実に販売されている機器によって実際に不法電波が横行しているというようなことがかなり現実化しているときに初めて勧告公表制度を発動するということで、販売とか製造に対する規制としては非常に限定した形になっております。  そこで今回告知制度という形でお願いするというのは、一番不法電波として利用されやすいパーソナル無線などにつきまして、そのような無線設備を販売するときに例外なくすべて、買う方に小売業者の方が、このような設備を利用するときには免許手続が必要ですよというようなことを話していただくということであります。  それじゃ、ただ話すだけで不法電波がなくなるのかとか、本当にきちっと話してくれるというような担保があるのかという問題は確かにあるわけでありますけれども、しかし、そうしたことを法律上義務づけるといいますか、必ずやっていただくという仕組みをとることによりまして、改めて免許が必要だとか、免許を得ないで電波を出すということになるとこれはもう不法電波ということで取り締まりの対象になるとかいうようなことを、いわばその時点で一歩立ちどまって思い起こしていただくというような心理的な効果というのは、決してばかにできないのではないかということを期待しておるわけでありまして、どうしても小売業者の方の御協力のもとでないとできない制度でありますので、余り過大なことを小売業者の方にお願いをするというわけにもいかないというようなことで、いろいろ関係のところともお話をした結果、ただいま御提案申し上げておるような内容のものが、できる最大限のものではないか、また、御協力いただける最大限のものではないかということで法律案に盛り込ませていただいたわけでございます。
  73. 上田哲

    上田(哲)委員 そうだと思いますね。この辺が盛り込める最大限だろうというところは私は了解しますよ。しかし効果のほどは保証しがたいという不安もあるだろうから、そこはひとつ行き過ぎのないように、しかも効果が上がるようにせっかく御努力をいただくというところが、今の段階の、法制定の段階での理解だと思います。その意味では私は賛成をします。  最後に、ほんのわずかな時間ですけれども、ほかの機会がありませんのであわせてお伺いしたいのですが、私、先回のこの場の議論で、第三種郵便物について質疑をいたしました。第三種の精神を大事に議論をしたわけで、これは今の電波の生きを期するということと同じ哲学だと思っているのですが、郵便、とりわけまた第三種郵便という。ものの制度の精神は、まさにサービス、公共サービスであって、恩恵の供与ではない。これは当然のことだと思うのですね。その点は何遍も議論をしたのでありますけれども、この場の議論と実際にそれが運用されるときの乖離は甚だしい。これはやはりもう一遍もとへ戻らないと国会の議論が意味がないことになってしまうというふうに思うのであります。  具体的には、ここへ持ってきたのは、こういう紙が当局から配られるんですよ、これは全く取り締まりの指令書なんですね。こういう形で、これはサービスである。例えば弱者、身体障害者、心身障害者、あるいは政治活動なり、そうした運動、活動に対しては、三種の規定によって大いに活発化を期したい、こういう趣旨であるはずなのに、まけてやっておるぞ、まけてやっているについてはこちらの言うことを聞かなければすぐ云々だ、こういう雰囲気が非常に広がっているということを憂慮するものです。  その点について、基本的にこの前の答弁を確認することになるに尽きるのですが、末端に向かってそういうことが波及してしまっていることへの反省も含めて、しっかと御見解を伺っておきたい。
  74. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 お答えいたします。  昨年の郵便法の改正につきましては、審議の際に先生の方からるるそういう御指摘があったわけでございますけれども、第三種郵便物の認可をした定期刊行物がその条件を具備しているかどうか、これの監査を適正に行うことができるような監査体制の整備充実、これを図ることが趣旨でございまして、言論の自由を抑圧するとか、あるいは資料の提出等に当たりまして強要にわたるようなことがあってはならないというふうに考えておりまして、現場においての実態が国会における議論と離れた実態があるというふうな御指摘でございますけれども、もしそういうことがあるとすれば、それは本意ではございません。私どもも、運用に当たりまして、制度の趣旨を十分踏まえまして、その趣旨が誤解されることのないように、これまでも郵政局、郵便局を指導してまいりましたけれども、今後におきましても、そういった趣旨を十分徹底してまいりたい、こんなふうに思う次第でございます。
  75. 上田哲

    上田(哲)委員 御答弁はそれでいいのですよ。ですから、それをひとつぜひ具体的に指導してもらいたいと思うのですが、具体的な点を二、三点だけ指摘しておきますと、この紙の中には、例えば「印刷・製本代金の領収書、納品書(代金が明記してあるもの)又は領収書(部数が明記してあるもの)」などを、いっぱいあるのですけれども、提出しなさい、こういうことになるのですね。これは指示しているのですか。
  76. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 お答えいたします。  私ども、監査のための必要な書類の例示といたしまして、今先生指摘になりましたような点を発行者の方に発表しているということでございます。
  77. 上田哲

    上田(哲)委員 もっと問題なのは、入金台帳、購読者台帳の写しも出せ、部数も出せ、こうなっているのですよ。例えば、ほかの例を言ってはなんだけれども、政治家が一生懸命政治活動をやっておる、この名簿を全部出しなさいなんということは問題ですね、大臣。こういうことが具体的に全部出ているのですよ。こういうことまでやって、これがなければ認めないよということになるわけですから、これは問題だと思いますね。大臣、いかがですか。
  78. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今言ったような点、確かに問題点もあると思います。どのような趣旨でそういうのが認められたのか、そして実際の運用が違っているのかということで、細々とやっているのだと思いますが、趣旨を生かすように、また言論の自由が阻害されないように、適切な指導、運営が必要だと思っております。
  79. 上田哲

    上田(哲)委員 それでいいので、事務当局、何かあるといけないから……。
  80. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 お答えいたします。  有料発行性を証明する資料といたしまして、今先生がおっしゃったような会員名簿というようなものを例示として挙げておりますが、これでなければならないというような指導ではございませんで、ワン・オブ・ゼムとして挙げであるということを御理解いただきたいと思います。
  81. 上田哲

    上田(哲)委員 それはそこでそう言っていても、川上ではほんの一粒の水でも下に行けば大河になるんですよ。だから、上から下へ流すときには、これはほんの例示でありまして、これでなければならぬ、これは気をつけなければいけないですよ。悪用されてはならない例示はめったに使ってはならない。ワン・オブ・ゼムだと言われたから、そうであれば、もっとソフトなワン・オブ・ゼムを出すのでないと、下では、これを出さなければだめだということになるんです。なっているんですよ。しかもそれが苛斂誅求、非常に厳しくやってくる。ちょっとずれても、もうこれはだめだという話になる。前回もここでは、出す気があれば、郵便局へ持っていかなくても、あるいはどんな形式であっても、それをすぐ取り消しなどということには絶対しないんだと何遍もここで言っていたわけですから、こういう例示そのものを再検討もし、ぜひひとつ三種の精神で、十分にお金がなかったり、公共のために活動する人々に対して、サービスをする、基本的にそういう立場だ、これは恩恵の供与ではなくて国民へのサービスであるということを、今の事例を含めて、最後に確認をしてください。
  82. 上野寿隆

    ○上野(寿)政府委員 お答えいたします。  今後の指導でございますけれども、今までやったつもりでございますが、そういった点が十分でないということを踏まえまして、今後も必要に応じましていろいろな指導あるいは通達等を発出し、あるいは会議も開催をして、この趣旨が徹底丁るように取り組んでまいりたい、こんなふうに思います。
  83. 上田哲

    上田(哲)委員 結構です。下をいじめないように。悪いのは指導監督なんだから、そこをひとつしっかり肝に銘じて、国民生活のために、あるいは国民諸活動のために役立つような郵政として御努力をいただくようにお願いをいたします。終わります。
  84. 亀井久興

    亀井委員長 次に、田中昭一君。
  85. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 電波法の一部を改正する法案ですから、できるだけその範疇の中で質問をさせていただきたいと思います。  まず第一は、提起をされている法案の改正点について、おおむね理解をするという立場でございますけれども、なお改正内容について十分に理解をするということで、数点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、改正内容の第五条第二項の関係でありますけれども、「アマチュア無線局並びに陸上を移動するものに開設し、又は携帯して使用するために開設する無線局及びこれらの無線局又は携帯して使用するための受信設備と通信を行うために陸上に開設する移動しない無線局について、外国人等であることを免許付与の欠格事由としないこととすること。」ということです。  これは、アマチュア無線局その他の無線局について、相互主義によって従来まで外国人などを免許申請の欠格事由としていたことを今回緩和するという提案だと思いますけれども、三点について考え方をお聞きいたしたいと思います。  その第一は、今日までなぜこの規制を行ってきたのか。これは長い間規制を行ってきたわけでありまして、それはなぜなのか、その理由をまず第一にお聞きをしたいと思います。それから二つ目に、今回緩和をするわけですけれども相互主義についての国際的な今日の傾向について少しお尋ねをしたいと思います。それから三つ目でありますが、第一点の質問と関連をするわけでありますが、今回規制緩和を行うこととした理由、これをもう少し明らかにしていただきたいと思います。第五条第二項の問題について、三つについて少しお聞かせをいただきたいと思います。
  86. 白井太

    白井政府委員 田中先生の御質問にお答えする前に、先ほどの上田先生の御質問に対するお答えの中で、ちょっと間違っておりました点がありましたので、この際、一言だけ御発言をお許しいただきた。いと思います。  不法開設という言葉について、実は、不法開設という言葉自体は今回の法律案で初めて使わせていただいている言葉でありまして、考え方は前にもあったわけでありますが、言葉としては、不法開設という言葉を使ったのは今回の改正案が最初でありましたので、改めておわびして訂正をさせていただきます。  田中先生の御質問でございますが、今回の改正案の五条二項に関係する部分で三つのお尋ねがございました。  なぜ今まで相互主義をとっていたのかというのが第一点のお尋ねでございますが、このことにつきましては、電波というのが非常に限られたものであるということから、この利用につきましては自国民を優先して使ってもらうというような考え方がありまして、そうした考え方のもとで、一部の無線局、つまりアマチュア無線局だとかあるいは陸上移動関係無線局については、相手国で我が国国民に対しても認めてくれるようであれば我が国でも認めることにしましょうというような緩和措置をとったということでありまして、もともとは、電波というのはそんなに無限にあるわけではないので、自国民に使ってもらうということを最優先にしようという考え方がもとにあったというふうに理解をいたしております。  それから二つ目のお尋ねは、国際的な傾向はどうなっているのかということであります。一つ二つかいつまんで申し上げますと、アマチュア局についてでありますが、相互主義によらずに外国人に対しても認める、つまり今回の改正案と同じような取り扱いをしている国でありますが、アイルランド、イギリス、オーストラリア、オランダ、シンガポール、スペイン、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、アメリカ、ベルギー、ルクセンブルク、こんな国が今回の改正案と同じような取り扱いをしているということでございます。  それから、その他の陸上移動関係無線局についてでありますが、ちょっと厳密に比較をしておりませんが、恐らくこのアマチュア無線局と同様の状況になっているようでございます。  それから三点目の、今回緩和する理由はどういうことかというお尋ねでございました。先ほどの御答弁の中でも申し上げましたけれども、いわゆる規制というものについては、もちろんできるだけ、条件さえ整えば少しでも緩和をしようというのが私どもの立場でありますが、あえて申し上げますと、アマチュア無線とかあるいは陸上無線につきましては、日常の、例えば荷物の配送でありますとか、あるいは物品の販売などに使っているケースが非常に多いわけでありまして、そういうようなものについて外国人の方から、自分たちもそういうものについて免許を得て使えるようにしてほしいという御要望が幾つかありまして、そういう御要望におこたえする必要があるというようなことが今回御提案を申し上げた契機になったということでございます。
  87. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 相互主義の立場で、規制が厳しくて全くできないというそういう国はまだあるのですか。
  88. 白井太

    白井政府委員 もちろんそういう国もないわけではございません。相互主義により外国人に対してもアマチュア局の無線免許を付与することとしている国としては、インドネシア、スイス、マレーシア、フランスなどが相互主義をまだ今日でもとっておると承知いたしております。
  89. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  では、次の改正点ですが、第六条及び第七条第一項について、四つほどお尋ねをしたいと思います。  放送をする無線局以外の無線局に対して、無線設備の工事費及び無線局の運用費の支弁方法を添付書類から記載不要とし、また、財政的基礎に関する審査を行わないというのが提案の趣旨だと理解をいたしますが、第一は、それぞれこの簡素化を行う理由をもう少しはっきりお聞きをしたいと思います。それから第二点ですが、今日までなぜこれを必要としてきたのか、ここのところをもう少しはっきりさせていただきたいと思います。それから三つ目は、放送局については今回の改正事項から除外をしているわけですが、これはどういう理由なのか。それから四つ目は、トータルとして、関連しまして、無線局免許申請などの審査に対する基本的な考え方、これをお聞かせいただきたいと思います。  第六条及び第七条第一項に関連をいたしまして、四つ、簡単にお聞かせをいただきたいと思います。
  90. 白井太

    白井政府委員 今日まで財政的基礎審査内容にしている理由でありますが、これは、免許をしたにもかかわらず、いつまでたっても無線局が開設されないとか、あるいはその無線局を使って電波を発信するというようなことをしないでいるというようなことになりますと、その部分の電波が結局死蔵されるといいますか、使われないままほっておかれる。ほっておかれると、その電波を使いたい人がいたときにも、ほかの人にもう既に免許をしちゃっているからということで、新たに使いたい人が出てきてもその電波利用することができないということになるおそれがあるということから、そのようなことを審査内容にしておったわけであります。なぜ必要かということも、結局はただいま申し上げた理由からだということになるわけであります。  それから、三つ目のお尋ね放送局についてでありますが、実は放送局につきましては、放送用の周波数というのが極めて限られておりまして、ある周波数についてこれをテレビジョン放送ならテレビジョン放送用の周波数として認めることにしたというような決定がなされますと、その電波利用して放送局を開設したいという希望者というのは今日でも大変多くあるわけでございます。しかも放送というのは、これはあえて申しますと、その地域の不特定多数の方、すべての方々に放送を流すということをしていただくための電波でありまして、この電波について事実上、免許を受けながら放送をしないままでいるというようなことになりますと、何のために放送周波数を割り当てたのかということにもなるものですから、放送局のような非常に影響の大きいものにつきましては、なお今後においても財政的基礎審査をするということが必要であろうということで、今回の改正案では残すということにさせていただいたわけであります。  そこで、全体として免許申請についての審査の考え方はどうかというようなお尋ねでございましたが、これは免許あるいは電波法に基づく規制のあり方に関する問題に結局は帰着するわけでありますが、電波というのが非常に限られている。限られているのをできるだけ多くの方に使っていただくということのためには、その使い方について、決められた使い方を守っていただく、あるいは秩序のある使い方をしていただくということがどうしても必要でありまして、そうした秩序ある使い方に必要な内容審査を行うということが、一口に言って内容あるいは考え方になるのではないかと思っております。     〔委員長退席、川崎(二)委員長代理着席〕
  91. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  では三つ目に、これも改正点でございますが、三十八条の二の七項について改正点が出されております。これも簡単に四点についてお尋ねをいたしたいと思います。  技術基準適合証明を受けた無線設備の変更の工事をしたとき、その表示を除去する、これは当たり前のことであると思うのですけれども、今改めてこれを明文化する理由というのは一体何なのかということをまず第一にお聞きをしたいと思います。それから二つ目に、郵政省令で定める方法で除去する、こうなっておるのですが、郵政省令で定める方法とは一体どういうことなのか。それから三つ目、ここで言う変更の工事というのは一体どういうことなのか、具体的な内容。それから四つ目に、表示の除去義務に違反した場合にはどういう罰則になるのか。この四つを簡単にお聞きをしたいと思います。
  92. 白井太

    白井政府委員 まず、除去しなければならないということは当然だと思われるけれども、なぜ今日明文化するかという御指摘でございますが、確かに技術基準適合証明に合っていないようなものについては、技術基準適合証明を受けた機器でありますという表示を残しておくのはどだいおかしいわけでありまして、それが、ただおかしいだけではなくて、いわば改造をしたことをカムフラージュするような手だてに使われてしまうとか、あるいは機器を購入される方が、まさに本当は技術基準には合ってない機器であるにもかかわらずそういう表示が残されているために、いかにも正規の無線機器だとだまされて買ってしまうというようなことが現実にあるものでありますので、こうしたものを、いわば当然のことではありますけれども、この除去を改めて義務づけるというようなことを今度の法律案でさせていただいたわけであります。  その義務づけをするからには、当然その義務に違反して、つまり変更の工事をした、あるいは改造をしたにもかかわらず表示をそのまま残しておくということは、そのこと事態が法律違反ということになりますので、罰則が科せられるということになるわけであります。  それから、省令によって除去の方法を定めるということになっておるが、どういうような内容の省令をつくるのかというような趣旨のお尋ねだったと思いますが、これは、例えば削るとか、表示が張ったものであれば、それをきちっとはがすとかいうような、極めて技術的な内容のものを省令で定めたいというふうに思っております。  それからもう一つは、違反をした場合の罰則でありますが、今回の改正案で、百十二条で五十万円以下の罰金ということで提案をさせていただいております。  変更の工事についてのお尋ねもございました。変更の工事というのは、実は技術基準適合証明を受けるときに、この無線機器はどういう設計でつくられた無線機器であるかということを出していただいて証明を受けるわけでありますが、その設計の内容と違ったような改造を行ったときに変更の工事に当たるということであります。実際に中身が全く変わらないような単なる修理というものは入りませんが、設計書と違ったような内容のものになる場合は変更の工事に当たるということで、適合証明を除去していただくということが必要になるわけでございます。
  93. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 最後ですが、百二条につきまして幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず第一ですが、不法無線局で特定の範囲の周波数電波を使用するものが著しく多数存在すると認められるという、この状況というのは一体どういう状況を想定をしているのか、これをひとつお聞きをしたいと思います。  それから二つ目は、「特定不法開設局が著しく多数であると認められる場合において、その特定の範囲の周波数電波を使用する無線設備が広く販売されているため、特定不法開設局の数を減少させることが容易でないと認めるとき」というのはどういうような事態を想定をしておるのか。これを二つ目、お聞かせいただきたいと思います。  それから三つ目は、「特定周波数無線設備を特定不法開設局に使用されることを防止すべき無線設備として指定する」と言っているのですが、この指定する内容とは一体何かをお聞きをしたいと思います。  それから四つ目は、指定無線設備免許情報告知制度導入する理由を聞きたいと思います。  それから五つ目は、違法無線機器それから指定無線設備について、製造及び販売段階において規制をしたり法的措置をもっと講じるべきじゃないかという考え方を持つのですが、これができないのか。この点についてお考え方を少しお聞かせをいただきたいと思います。
  94. 白井太

    白井政府委員 最初の部分をちょっとまとめてお答えをさせていただきたいと思います。  いわゆる不法電波あるいは不法無線と言っておるものでありますが、一般的には不法市民ラジオと言われるもの、あるいは不法パーソナル無線と言われるものが実は大半を占めておりますが、それらの機器が発します電波というのは特定の周波数帯に固まっておるわけでございます。実際に大量生産をされている無線機器の一部を簡単に改造をして不法電波を出すということをやっておるようでありまして、そのために不法電波が発せられる周波数帯というのがかなり限定をされておりまして、その結果、ただいま申し上げましたように、いわゆる市民ラジオの周波数帯であります二十七メガヘルツ帯を利用したいわゆる不法市民ラジオとか、あるいは九百メガヘルツ帯を利用いたしました不法パーソナル無線というのが実は不法無線の大半を占めておるわけであります。  そうした特定の周波数帯に偏って不法電波が出されるという点に着目をいたしまして、そうした周波数帯電波を出すような無線機器を特定無線設備ということで指定をいたしまして、そういうような無線機器を販売する場合に限りまして、無線機器全部を対象にするわけではなくて、そうした危険性が極めて高い無線機器に限定をして、小売業者の方に御協力をいただいていろいろ告知義務などをしていただくということでありまして、そうした前提として、この特定の周波数帯がどこであるかを考え、また、その周波数帯利用して電波を発する無線機器がどの種の無線機器であるかというようなことを考えて、最終的には、先ほど申し上げたように小売業者の方の御協力で告知をしていただくというような制度仕組みをとっているわけであります。  そこでその告知の内容でありますが、これは一口に申し上げまして、販売をしようということで、お客さんが見えたときには、まず、この無線機を使って電波を出すときには免許が要りますよというようなことを念のために言っていただく。これは、実はパーソナル無線というのは簡単に免許が取れるような仕組みになっておりまして、そのために逆に、実は免許を取らないでそのままパーソナル無線を使っているというようなケースが大変多いものですから、そんなに煩瑣な手続ではございませんので、免許手続が要りますよということをまず買おうというお客さんに言っていただく。それから、いさお客さんが買うということになったときには、実は免許手続はこういうふうにしてとればいいとか、あるいは免許の申請はどこに出せばいいとかいうようなことをお客さんにお話をして購入をしていただくというような仕組みをとっておるわけであります。  それから、製造、販売の段階でもっときちっとした対策をとるべきではないかというようなお話もございました。実際には製造の段階で既に不法電波利用されるというような機器の製造というのがなされるということも皆無ではないと思います。そういうようなケースもあると思います。また販売の段階ということになりますと、実は不法電波を発することがかなりはっきりしておるようなものが販売を実際にはされておるということも確かにあると思うわけでありますが、そのようなことについてきちっとした対策をとろうということになりますと、どうしても不法電波を出す可能性の極めて少ないようなものもすべて十把一からげにして全体に網をかぶせるといいますか、不法電波利用されるおそれのある機器については製造も販売もすべて規制をかけてしまうというような仕組みでもとらないと、きちっとした根本的な製造、販売段階での方策にはどうもなり得ないということになるわけでありまして、この点がなかなか、そこまでやるということについてはどういうものかというような御意見も実はまた他方にはあるわけでありまして、率直に申し上げて、多少手ぬるいような感じもしないわけではありませんけれども、小売業者の方に御協力をいただいて、先ほど来申し上げておりますような告知をしていただくというようなことが、今日の状況の中ではできる最大限のことかなということで考えております。  もちろん、この点についてはこれですべて百点だということではありませんので、今後の事態の推移というのも見ながらまだ必要な対策を講じさせていただくということをしなきゃならぬかもしれないとは思っておりますが、今日の段階では、いろいろな方の御協力も得なければならぬということを考えますと、この辺ができる範囲での最大限のものかなというようなことで御提案をさせていただいておるわけでございます。
  95. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 それでは、以上法案の改正点について理解をいたします。  直接法案に関連がございませんが、電波に関連する問題として幾つか質問、御意見を申し上げたいと思います。  先般、電波利用料金を取るという問題、いわゆる電波利用料創設に当たっていろいろ議論をいたしましたが、この際、附帯決議におきましても、不法無線局の急増の実態などから監視体制の強化、違法無線機器の法的規制を含め有効な対策を早急に検討するということを決めたわけです。  電波利用料の使途については、大きく分けまして、電波監視体制の強化、それからもう一つは、かなり急増する無線局免許関連業務など総合的な電波監理システムをもっと充実する、大きく分けると、この二つが大きな目的であったと思います。  そういう意味で、まず第一の電波監視体制について、現在の電波監視体制の組織の現状であるとか従事員数、施設の状況、それから、今後、電波監視体制を強化していこう、それから監視施設も拡充をしていこう、こういう計画がかなり段階的にあると思うのですが、この点について少しお聞かせいただきたいと思います。  あわせまして、先ほども議論があったようですけれども、最近における特徴的な電波法違反の実態であるとか、それから不法無線局の実態であるとか、無線通信における盗聴問題の現状などトータル的に、今後のこの監視体制の強化、施設の拡充とあわせまして、一方では電波法違反の実態、これに対応することが可能なのかどうなのか、こういう関連を含めまして、時間もございませんが、トータル的に少しお聞かせいただきたいと思います。
  96. 白井太

    白井政府委員 現在のいわゆる電波監視のための体制でありますが、現在、全国に十カ所の地方電気通信監理局及び沖縄郵政管理事務所がありまして、そちらの方で幾つかの担当課を設けまして、電波の監視の仕事をしてもらっております。職員数は全国で三百名がこの電波監視の仕事を受け持っておりまして、施設としては固定監視施設が十四カ所に設置をされております。それからさらに、電波監視車と申しまして電波監視を行う自動車でありますが、これについては四十台が監視の仕事に使われる自動車として使われております。  ただ、そのような状況だとどうしても監視のできる地域というのが非常に限定されてくるわけでありまして、特に固定監視、つまり動かない監視施設によって監視できる範囲というのは極めて限られてくるわけでありまして、それ以外のところの電波監視というのは結局、電波監視車というような自動車の出動によって監視業務を行わなければならないということになるわけでありますが、これでは必ずしも十分な効果が期待できないというのが率直な状況でございます。  そこで、本年度から実施をさせていただきました電波利用料制度というものを利用いたしまして、電波監視施設の拡充をするという計画を私どもとしては持っておりますが、まず本年度は遠隔方位測定設備というようなものを四地域に整備をさせていただいて、常時不法電波を監視するというような施設を本年度は四地域に整備するということを考えておりますが、今後何年かかけてさらにこうした施設の整備を図るということをやっていきたいと思っております。  それから、ただいま申し上げました遠隔方位測定設備はど精緻な設備ではございませんが、ある程度不法電波が発射されているということを確認できるための遠隔受信設備というようなものをほかの十数都市に整備するということも考えております。その他、固定の施設としては、短波を監視する設備でありますとか空港を監視する設備についても整備を図っていきたいと思っておりますし、さらに、電波監視をする車、電波監視車につきましては、かなり機能の高度化した監視車を六台ほど本年度は整備をしたいということで予算措置を講じております。  それから、最近の不法無線の実態でありますが、一つは、パーソナル無線なんかにつきましては、いわゆるパーソナル無線の本来の機械を改造いたしまして、出してはいけない周波数電波を出しますとか、あるいは出してはいけない強さの電波を出すとかいうようなことで、ほかの電波に悪い影響を及ぼすというような不法電波を発するというような実態が一つございます。  それからもう一つは、不法市民ラジオと言われるようなものでありまして、日本で使う市民ラジオというのは子供さんがいわばおもちゃのように使うトランシーバーのようなものでありますが、外国で使うような非常に強い電波の出せる市民ラジオを我が国に持ち込みまして、これを使ってほかの電波に悪い影響を及ぼすというようなものが違反の大半でございます。  その実際の使い方は、これもまたほとんどがトラックとか自動車などに積み込みまして、自動車を走らせながら不法電波を発しているというのがほとんどだと聞いております。特に同じ会社のトラックのグループでそうした不法電波を発するような機械を自動車の中に設備をいたしまして、同じ会社の運転手さん同士でいろいろな通信、例えばどこどこで交通の取り締まりをしているとかいうような通信をし合うというようなことをやっておるようであります。  特にこういうような使い方というのは、もともとのパーソナル無線等は、実は一つ電波をみんなが共同で利用するというような仕組み使い方でありますけれども、それでは自分が自由に勝手に使えないというようなことから、ただいま申し上げたような不法電波を発するということで非常に強い電波を発して、ほかの人が正規の使い方をしようとしてもそこの電波が使えないようにして、事実上そのグループだけがそこの周波数帯を独占して不法電波を出し合って利用するというような使い方が非常に多いようであります。  これらのものにきましては、結局は、先ほど来申し上げておりますような不法電波の発信源というのをきちっとつかまえて、それに対して法律に基づいた適切な措置をとるということしか実は対策はないのでありますけれども、この点につきましては、どうしても私ども、警察関係の方々の御協力も得ないときちっとした摘発とか取り締まりということもできないものですから、関係の向きの御協力も得ながら、そうしたものについてできるだけきちっとした把握ができるように努めておるところでありますが、電波利用料もいただくことになったことでもありますので、今後ますますそうしたものについてはできるだけきちっとした対策を講じまして、正規の電波利用をなさっている方に迷惑ができるだけ及ばないようなことをしていかなければならないというふうに考えております。
  97. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 お聞きをしたかったのは、電波法違反というのはいろいろ、不法無線局などを含めましてたくさん続出をするだろう、ふえていくだろう、同時に監視体制もいろいろ強化をされる、監視施設もいろいろ拡充される、これもそのとおりだろうと思うのですけれども、追いつくのか、間に合うのかという問題。それから、私のところにいろいろ来ているのは、監視体制といいますか監視業務に携わる要員などについては極めて不十分で、とてもじゃないが続発するこういう問題に対応することは困難だ、こういういろいろ意見、要請が来ています。  時間がありませんから申し上げませんけれども、例えば電波監理システムにつきましてもコンピューターを導入していろいろ合理化をやっていくだろうと思いますけれども、これも業務に忙殺をされまして、職員の労働条件などの問題については極めて問題がある、こういう強い指摘などがございます。したがって、電波利用料徴収して監視体制なり監理システムなどを強化していく、拡充していくということは当然でありますけれども、それに従事する職員の増であるとか養成であるとか、そういうものなどについても今後十分な配慮が必要ではないか、こういうことを申し上げておきたいと思います。  時間がございませんので、次、少し質問させていただきたいと思います。  地域振興のための電波利用の問題について少し申し上げたいのですが、情報化社会の恩恵が一部の企業や大都市だけでなくてすべての地域や多くの人々にあまねく公平に行き渡る、これが極めて必要だ、こういうふうに思いますし、技術の飛躍的な発展によって、地域発展、活性化の手段としての情報通信の果たす役割は私は極めて大きいと思います。  その中で、電線を引いたり電柱を立てたりする必要がない電波による施設であるとか電波利用システムの実用化というのは、地域経済の活性化であるとか住民の生活向上のためには極めて期待が大きい、こういうふうに言われているわけですが、この立場から、私の選挙区でもそうでありますけれども、各地方の電気通信監理局などでも地域振興のための電波利用に関する調査会などが開催をされて、それぞれプロジェクトとして電波利用システムの構築や導入などについて検討がされてきていると思います。私のところでもコミュニティー情報案内システムのあり方としていろいろ議論がされておるように聞いておりますし、いろいろ地方的にも、例えば山間部におけるリゾート地域の情報化のあり方であるとか、あるいは地域農業、農村のための情報化通信システムの問題であるとか、いろいろプロジェクトの中で検討されて、電波を地域の振興、地域経済社会の活性化に使おう、こういうことがかなりもくろまれてきた、こう思うのですが、この成果は、今問題になっております中央一極集中問題やすべての点での地域格差、情報格差、これを克服するという意味でも私は極めて大きいと思います。  そういう意味では、電波利用をこういうところにもっともっと充実させていく、こういう取り組みが今後極めて必要ではないかな、こう思っておるのですが、この点につきまして、地域振興のための電波利用の実態とか各電監局で行われておる電波利用プロジェクトの実態などについて、郵政省としてどういう把握をし、今後指導されようとしておるのかこの点を少しお聞きしたいと思います。
  98. 白井太

    白井政府委員 冒頭田中先生おっしゃいましたように、電波というのは比較的初期投資が少なくて済むとか、簡便な利用ができるとか、あるいは比較的広い範囲に同じような情報が同時に出せるとか、いろいろな利点があるわけでありまして、私どもとしては、地域の振興のためにこうした電波を大いに使っていただきたいという考え方のもとに、地方の電気通信監理局にも担当の課を設けまして、どちらかというと電波のPRなどをさせていただいて、どんどん御利用くださいというようなことをさせていただいております。  それで、そうしたこともあってだと思いますけれども、既に、例えば観光地の案内情報システムでありますとか、中にはスキー指導用の無線システムでありますとか、コミュニティー放送と言われる比較的狭い範囲のFM放送でありますとかいうような利用があちこちの地域でなされておるよってあります。さらに、ことしの一月には、現在何物の配送業の方などが使っておられるMCAのシステムの規模の小さいものについて、ぜひ利用していただいたらということで周波数の割り当てたとか免許方針を既に決めたところであります。  このようなMCAを使いますと、これも先生ちょっとお触れになっておりましたけれども、レジャー用のシステムということで、例えばスキー場などを頭に置きますと、ゴンドラの監視所とか、パトロールをする人のおられる場所でありますとか、スキーのセンターでありますとかホテルなどを、こうしたMCAの一つシステムの中に入ってもらっておきまして、いろいろな連絡を相互に取り合うとかいうようなことも可能でありますし、あるいは農協などでこのようなシステムを使いますと、農産物の加工工場でありますとか農場、あるいはそこで働いておられる方とのいろいろな連絡を一つシステムの中に組み込むということも可能になるわけであります。  それで、個々のものについて御紹介する時間はないと思いますが、私どもの手元にあります資料を見ますと、一つ電気通信監理局の中で、そのような形で電波利用した地域振興の具体的なプロジェクトが三つから四つは大体あるようでありまして、そのようなものをお互いに紹介し合うことによって、いわばアイデアの交換をすることによって地域の振興に電波を大いに利用していただくというような道ももっと広がってくるのではないかということを期待いたしております。
  99. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 これは非常に重要なことだと思いますので、さらなる御努力お願いしたいと思います。  ちょっと時間の配分が悪くて最後はたばたですが、民活法に基づく電波関連事業などについて最後に少しお聞きをしたいと思います。  御承知のように、昭和六十一年に、郵政省を含めて五つの省の共同所管によるいわゆる民活法が制定をされたと思います。この民活法による施設整備事業というのは公共投資とともに社会資本整備の重要な役割を担っている、こういうふうに思うわけです。また、民活法の運用についても、時間がありませんから省略いたしますけれども、いろいろ問題点も指摘をされているわけですけれども、民活法に基づく施設整備事業における電波関連事業の実態は一体どういうふうに進んでおるのかということを簡単にお聞きしたいと思います。  それから、特に、今後電波利用拡大する中で、急増する自動車電話であるとかポケベルであるとかMCAなど移動体通信にとって、高度技術開発あるいは周波数資源開発の実用化と並んで非常に重要なのはやはりアンテナの整備だということで、民活法実施の際に、民活法によって無線鉄塔、アンテナの整備というものが強調されたと思うのですが、この点の整備状況は一体どういうふうに進んでおるのか。この二つについてお聞かせをいただきたいと思います。
  100. 白井太

    白井政府委員 いわゆる民活法につきましては、実は民活法に基づく施設として認定された施設の整備につきましては、いわゆる無利子融資が利用できるということで、その面で非常に魅力あるものとなっているようでございます。  このような民活を利用した施設としてはいろんな種類の施設がありますが、一つは、どうも片仮名で恐縮でありますが、テレコムリサーチパークというような呼び方の施設でありまして、これはどちらかというと研究などを行うという施設でありまして、大変大きいのは関西にあります国際電気通信基礎技術研究所などであります。そのほかにも二つばかりもう既にございます。それから、テレコムプラザというようなものもありますが、これは電気通信関係の展示場のような施設でありまして、そうした施設をつくることによりまして、子供さんたちがそちらの方に来ていろいろな、身近にこの電気通信の施設を見ていただいたり、興味を持っていただくということをねらいにしてそうした施設をつくるわけでありますが、これについては既に全国で七カ所ぐらいでき上がっております。  そのほかにも幾つかありますが、その中で大変重要なのが、もう先生おっしゃいましたアンテナでありまして、これは私どもマルチメディアタワーと言っておりますが、一つのタワーで幾つかの通信に使えるアンテナをつけるという、東京タワーのような施設であります。今日において電気通信がいろいろなものに利用され始めますと、実はアンテナを立てるということが大変重要というか難しくなってきておりまして、例えば新宿にあります東京都庁などもいろいろアンテナがついておるようでありますが、なおまた東京都庁にこういう種類のアンテナをつけてほしいという要望はほかにも随分たくさんあるんだそうでございますけれども、もういっぱいでとてもつける余地はないということだそうであります。  そこで、現在はそのようなタワーというのは、民活法に基づいて設置されたタワーというのは二つございます。一つは東京の田無にありますタワーでありまして、これはMCA無線とか防災行政無線、あるいは電気通信事業、放送事業等々にあのタワーが使われておりまして、そのようなアンテナがべたべたとあのタワーにくっついておるということでございます。それからもう一つのタワーは福岡にありますタワーで、博覧会のときにできたタワーだったと思いますが、こちらのタワーも、テレビジョンあるいはFMなどの放送用のアンテナ、あるいはMCA、消防無線などのアンテナが福岡のタワーにはつけられておるということのようでございます。
  101. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 終わります。ありがとうございました。
  102. 川崎二郎

    ○川崎(二)委員長代理 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後零時四十三分開議
  103. 亀井久興

    亀井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鳥居一雄君。
  104. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 引き続き、電波法の一部改正につきまして御質問をしてまいりたいと思います。  今回の電波法の一部改正規制緩和ということを本法の上でこれを実現させようという意味においては、我々として一定の評価をいたしておりますし、この法律改正規制緩和への第一歩であるという形で今後の取り組みを、ぜひ見直し作業というのを開始をしていただきたい、こんなふうに実は思うわけです。  さて、政府は、一極集中排除ということから、特に一万一千件に上る許認可事項、これを整理合理化していかなければならないという方針を既にお持ちであり、第一段階として一万一千件を一万件以下にしていこうということでありますが、郵政省関連で一万一千件のうち何件というふうにしていらっしゃるのか、そして、この許認可を整理合理化していく上でどういう作業をこれまで検討されてきたのか、電波法関連では何件と数えていらっしゃるのか。そして、電波法以下といいますか、施行規則あるいはさまざまな規則、通達がありますけれども、これはもう数えることができないような莫大な数に上っているのだろうと思いますが、これをどういうふうに考えていらっしゃるのか、この辺の検討の経過につきまして、ぜひ伺いたいと思います。
  105. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐政府委員 最初、私の方から郵政省全体的なことについてお答えをさせていただきたいと思います。  今先生から御指摘のありましたとおり、政府全体としての許認可の総数、総務庁調べで一万九百四十二件となっております。そのうち郵政省関係というのは、約三%で三百十三件ということでございます。政府の方針という意味で、ことしの五月に総務庁から許認可等の整理実施要領というのが示されておりまして、政府として統一的に実施するという方向で各省に協力要請があったところでございます。  私どもはこういう政府の方針に沿いまして、今先生からお話のありましたとおり、許認可等の件数の一割以上を整理して、一万件を切るということを目標に整理するということで政府方針を掲げておりますが、郵政省といたしましても、この政府の目標の実現を目指しまして許認可等の見直し作業を今進めているところでございます。
  106. 白井太

    白井政府委員 電波法関係について申し上げさせていただきますが、私どもの方でどういう作業、あるいは検討のための作業をしておるのかというお尋ねが冒頭にございました。実は今回の電波法改正案の中でも、規制緩和として二つの点について法律改正提案させていただいておりますが、実はこの法律案にまとまる前の段階で、担当の専門の者に何回も法律全体を見てもらいまして、この際、もう緩和することができるものはすべて挙げようということで、いろいろな角度から実は検討をしてもらったわけですが、法律上の緩和措置としては今回の二件、現在できるものとしてはこの二件だということで法律案の中に盛り込ませていただきました。  なお、その検討の結果として、実は法律ではありませんが、郵政省令として緩和をした方がいいではないかというようなものも当然出てまいりましたので、これらについては既に昨年の年末の段階で緩和措置をとらせていただいております。  ところで、件数でありましたが、電波法関係に関する件数は、放送固有のものを除きまして現在九十五件ございます。この九十五件のうち法律に直接基づいているものというのが四十四件でありますので、法律自体で定めているものは半分以下だということになるわけでありまして、あとは各種の規則、つまりほとんどは省令でございますが、省令でありますとか、中には郵政省の告示というようなものもこの九十五件の中には入っております。  それで、多少言いわけがましいことをお許しいただきますと、例えばある者、主任無線従事者につきまして選任をしたときは届け出をするということになっておりますが、届け出をするのが一件、それから主任無線従事者を解任したらまた届けていただく、これも一件ということにしておりますので、そういうものを全部計算をいたしまして九十五件ということになっております。  それから今度は、中には規制緩和した結果出てきたものも実はこの許認可の中にはカウントされているというようなものもございます。今回の法律案の中にも出てまいります技術基準適合証明などもこの許認可の件数として一件にカウントされておるわけですが、私どもの気持ちといたしましては、技術基準適合証明の制度というのは、実は免許制度をできるだけ簡単な手続で免許が得られるようにするというような考え方のもとにつくられたものでありまして。どうもこれらも何か許認可件数が一件ふえたみたいにカウントするのは趣旨が少し違うのじゃないかというような気持ちもないわけではありませんが、そのようなものもすべて洗いざらい拾い上げて九十五件だということでございます。
  107. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、具体的に、九十五件を一割判滅ということでどういう検討をされているんですか。
  108. 白井太

    白井政府委員 率直に申し上げて、もちろん検討はいたしておりますが、一割というのは大変な数字だと思っております。と申しますのは、先ほどのお答えの中で、冒頭も申し上げさせていただきましたが、今回の法律案をまとめる前の段階で、実は法律について詳しい者にプロジェクトチームをつくってもらいまして、いろいろと検討をさせていただきました。その結果今回の法律案にまとまったということでありますし、それから、省令改正についても幾つかの緩和措置をとらせていただきましたし、年が明けてから告示についても緩和措置をとらせていただきました。  そのようなものを、つい先日と言ってもいいかと思いますけれども、先日行ったばかりでありまして、今から考えますと、それをこのままとっておけば何か義務が果たせるような感じにもならないわけではございませんで、そんな不遜な言い方を申し上げるのはどうかと思いますけれども、私どもとしては、できるだけ、そういう緩和できるところというのは、できる段階に少しずつでもその都度やっていくということでやらさせていただいているつもりでありまして、この上なお一割というようなことになりますと非常に難しいというか、電波利用秩序をきちっと維持していく、必要最小限の秩序を維持していくという、この前提のもとでなお緩和措置をとるというのは大変難しいことだというのが率直な私どもの気持ちでございます。
  109. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 一割削減の方向でぜひ検討の成果を見守りたいと思います。これはもう断じて取り組まなければならない今日的な課題であるということなんだと思います。具体的に、昨年の国会あるいは一昨年の国会で、規制緩和、ともかくできる規制緩和は、洗い直しをし、ぜひゃるべきだという点で具体的な指摘をしてまいりました。これをどういうふうな改善の仕方をしたのかぜひ伺いたいと思うんです。  昨日は電波の日、昨年の六月現在七百七十七万件という無線局の数、電波法ができた昭和二十五年当時は、官が使う電波と船舶のごく特殊な電波、まあ千件から二千件という無線局の数だったと思うんですが、今日八百五十万件に及ぶという、電波法制定当時予測もしなかった今日を迎えているわけでありまして、やはりこの規制、一方には一定の秩序を保たなければならない、しかしまた一方においては、利用者あっての電波であるという観点からいっても、規制が壁になって非常に利用しにくい、あるいは道をふさいでしまっている、こういう現状についてさまざまな観点で取り上げましたし、また、これからも取り上げていかなければならない問題だと思っているのですが、きょうは具体的にぜひ問題提起したいと思うのです。  その前に、例えば業務日誌。業務日誌はもう海上の船舶局にあるから、陸上のMCAあるいは簡易無線に——簡易無線は別ですが、業務日誌をつけるように、これは法律ではなくて規則でこれを明定しているわけですけれども、同時にまた、時計を置かなければいけない。時計のない時代あるいは時計が非常に少なくて時刻を正確にというのが難しかった当時を踏んでいる話なのかな。今日なおそれを引きずっているといいますか、時計がなければいけない、一日一回合わせろ、あるいは毎日の業務日誌、通数、これを記録して、十二月三十一日で締めて翌年一月末までに提出をする。提出を受けた郵政省としては、地方の電波監理局がこれを受けるわけですけれども、ほとんど見ない代物ではないのか。  こういう無用の長物、現に明定されていて義務になっている、これは見直すべきではないのかという指摘を実は前回いたしました。昨年の十二月、ことしの四月の規制緩和内容につきましてぜひ御説明いただきたいと思います。
  110. 白井太

    白井政府委員 昨年の通常国会電波法改正案の御審議のときにもいろいろな御指摘を受けました。そうした御指摘も踏まえまして、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ規制緩和するということでいろいろな検討をしてまいりまして、法律に基づくものとしてはただいま御提案申し上げているような内容になりましたし、それから、法律ではありませんが省令の部分について、簡素化できるものはできるだけ早く簡素化をしようということでやらせていただいた一つが、昨年の十二月二十四日に行いました幾つかの電波法に基づく規則の一部改正であります。  そのときの改正内容は、いろいろな改正事項がございますが、その中の大きな柱の一つとして、ただいま先生がおっしゃいました無線の業務日誌関係についての緩和事項があるわけでありまして、十二月二十四日に行いました無線業務日誌関係緩和事項等、簡単に申し上げますと、幾種類かの無線局につきましては無線業務日誌の記載事項を限定をするというようなことを行いました。また、記載事項の一部を不要にする、例えば、一日の延べ通信時間でありますとか、通信回数などについては記載をする必要はないというような改正をするとかいうようなこともさせていただきました。  あるいは、これも先生お話の中に出ておりましたけれども放送局以外の無線局については、無線業務日誌の抄録の提出を廃止するというようなことも行いましたし、あるいは放送局につきましても、抄録の記載事項を簡略化するというようなことをさせていただいております。  このような無線の業務日誌のほかにも幾つかの簡素化をさせていただいておりますが、さらにことしに入りまして、四月になってからでありますが、やはり時計などについても、時計とか無線業務日誌についても告示部分の緩和措置を講じておりまして、主な点を一つ二つ申し上げますと、固定局、基地局等で、電気通信業務用とかあるいは公共業務用のものを除きまして、時計とか無線業務日誌の備えつけを省略することができるようにいたしました。また、陸上移動局とか携帯局のうち、日誌とか時計の備えつけを省略することができるものの範囲を広げるというようなことも行いました。それから、利用が大変多くなっております簡易無線局につきましても時計の備えつけを省略することができるようにいたしました。さらに、船舶局につきまして、無線業務日誌の備えつけを省略できることができるものの範囲を広げたりするということを行ってまいりました。  このように、法律とは別に、あるいは法律改正を待たずに簡素化できるものについては、私どもとしてはできるだけ急いでやることの方が国民の皆様のためであろうというようなことで、できるだけ早くというようなつもりで、昨年からことしにかけて簡素化措置を講じておるところでございます。
  111. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これでようやく業務日誌というのがなくなるわけですね。時計も必要に応じて備えられる、義務として設置しなければいけないというものではない、そういう性格ではなくなった。  この辺も、やはり発想の原点が規制だと思うのですね。従事者に限らず、従事者以外の人でも腕に時計をはめておりますし、今、時計、時刻というのはそう不自由なく身近にあるもので、これが昭和二十五年以来ずっとしきたりを踏んできた一つの名残がこの典型的なものだと私は思うのです。  この見直し作業というのは非常に大がかりだと思うのです。今新しく国際VHFが開放され、マリンVHFということで、プレジャーボートに対しまして非常に貴重な通信手段が提供できるような形になりましたけれども、またまた規制の壁が大きくて、極めて普及ができない。四十二万そうという巨大な数のプレジャーボートがあります。そして何らかの形で無線設備を持っているというのが一%に満たない。これは船舶安全の上からいきますと、もちろん運輸省にかかわりのあることでありますけれども、事が通信手段であり、電波、こういう立場からいくと、郵政省の非常に大きな責任のもとにこの普及率というのがある、私はこう思うのです。普及促進のために郵政省としては真剣に取り組まなければならないのではないのか、この辺について、どう考えていますか。
  112. 白井太

    白井政府委員 先ほどの先生お話で、多少言いわけがましいことを申し上げるのをお許しいただきたいと思います。  今までいわゆる規制というような形で、例えば業務日誌をつけるとか時計の備えつけをしていただくとかいうようなことをさせていただいておったことは事実でありますし、また、今日においても幾つかのものについてはまだそのようなものが残されているものもあるわけでありますが、率直に申し上げて、それはそれなりの理由があったりもしたわけでありまして、特に海上などの船で使います無線機の場合というのは、何よりもやはり航行の安全といいますか、あるいは遭難に遭いましたときに緊急の通信を発するとか、あるいはその通信を聞いてもらうとかいうようなことのために、これは先生の方がむしろ御専門でありますけれども、特定の時間については電波を発しないで、ひたすらほかの船からの緊急通信が発せられていないかということに耳を傾けるという時間がきちっと指定されておるとかいうようなこともあったりもいたしまして、やはり時計をきちっと備えつけて、秩序を持って、聞かなければならない時間帯は自分の電波の発信をやめて、遭難通信がないかどうかを聞くというようなこともしなければならぬという考え方からそうした制度がつくられておったわけでありまして、そのこと自体が、当然意味はなかったわけではなくて、それなりの意味があって制度が設けられておったわけであります。  しかし、今日のいろいろな設備についての技術面、機能でありますとか利用のされ方でありますとか、いろいろなことを考えて、そのような規制を残しておくまでの必要はないだろうというようなものについては、できるだけそうしたものを緩和して、利用される方の利便を図るということをしていかなければならぬことは、これは先生のおっしゃるとおりでございまして、私どももそういう気持ちで仕事をやらせていただいておるつもりであります。  それから、プレジャーボートと言われるような非常に小型の、いわゆる遊びといいますか、レジャー用の小型の船舶、釣り舟でありますとかヨットでありますとかそういうようなものが入るようでありますが、こういうものについても、時々いわゆる遭難事故のようなものが起きるということがありまして、そうしたときに無線設備がきちっと働けばこんなことがなかったではないだろうかとか、あるいは、もっと救助活動がきちっとできたのではないかというようなお話も確かに出るわけであります。こうしたものについては、私どもとしても、できるだけそうした無線設備を、プレジャーボートのような小型の舟でありましても設備をしていただぎたいという気持ちで対応はしておるつもりでございます。  ただ、そうした設備を設置すればいろいろな通信ができるのに、あるいは緊急のときの通信が可能になるのに、なおその設備をするという舟が非常に少ないのはどうしてかというようなことになりますと、まあ、いろいろな事情があろうかと思いますけれども、その設備の値段が高いというようなことも一つの理由にあろうかと思いますし、それから、大変残念なことでありますけれども免許を得るための手続が煩瑣であるとかいうようなことも理由に挙げられる方もおられるようであります。  私どもとしては、できるだけこうした簡便な、無線設備というものの備えつけがしやすいように、いろいろな角度からできるだけのことはする必要があると思っております。免許を得るための手続などにつきましても、できるだけそうした免許がとりやすいような方策というのを、今までも少しずつはやってきたつもりでありますけれども、これからもそういう方策を講じていく必要は確かに御指摘のとおりあると思っておりまして、そういう方向でこれからも対応してまいりたいというふうに考えております。
  113. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、時計のぜひ必要な船舶局、義務船舶局であるとか、これを廃止すべきだなどという議論じゃないんですよ。もう全く無用の長物であろうというとこ右まで規制で時計が義務になっているということを対象にして今回規制緩和しているわけでしょう。だから、規制緩和という点は、やはり一定の秩序を保つために大義名分があり、一方においては、ただ、それが厚い壁になっていたのでは利用上不便で、ともかく規制は、排除できるものは排除するんだ、そういうところの接点をやはり追求していくべき性質のものじゃないですか。  昨年指摘しましたけれども、GMDSS関連機器が導入されることになって、型式検定、型式認定が行われ、そして完全移行の平成十一年を目指して、今GM関連機器がどんどんありますね。これは、認定と検定で同じような検査を両方がやって、銘板が二枚ついて、しかも同一の無線機器に対して二つの名称があるじゃないかという象徴的な指摘をいたしました。これも、その背景には、例えば第一種レーダーでいいますと、型式認定に添付書類が三百六十七枚、型式検定の方でも同じような数の添付書類が必要である。これは両者で話し合いをして、ぜひ、一方で検査したものは一方がその検査のデータをもとにして検定に当たる、こういう合理化がなされていいじゃないかという端的な例として実は取り上げて指摘をしたわけです。  この銘板の問題、名称の問題、検査の重複の問題、これは一体どういうふうに郵政、運輸との間の話し合いが進んでいるのですか。
  114. 白井太

    白井政府委員 昨年の御審議の段階でも大変鋭い御指摘をいただいたわけでありまして、そのときにもお答えしたこととその後のお話とがいろいろダブるかと思いますけれども、確かにその御指摘ごもっともな点が多いということで、その後、運輸省と私ども両省の間で、担当の者の定期的な会合も持たせていただいたりしております。それから、機器のメーカーの方なんかの御意見もいろいろ伺ったりしておるようであります。  それで、現在の状況が大体どういうことになっておるかということでありますが、まず、GMDSS関係の機器については、両省でできるだけ検査データの活用をお互いに図るということをやっておりまして、つまり、運輸省の方の関係で検査をしたデータが利用できるものは郵政省の方でそのままそのデータを利用させていただくというようなことをさせていただいておりまして、さらに、その検査項目自体についても、整理合理化をできる項目がないかということを、現在この担当の者同士で検討させていただいておるという段階であると聞いております。  それから、船舶の航行に欠かせないレーダーについてでありますが、これについては相互に承認するということで、運輸省の方の型式承認に合格したものはもう郵政省の型式検定は要らないというような取り扱いをするということで、これはもう事実上一つの処理で済ますというような形で処理をさせていただいております。  それから、船舶安全法四条というのに基づいて船舶に設置される無線電信及び無線電話につきましては、郵政省電波法に基づいて行った検査に合格した場合には運輸省の方は検査を行わずにその書類を確認するということにとどめておるということでありまして、この点も実質的には一元化されているというふうに申し上げて差し支えないのではないかと思います。  ところで、そうしたそれらの検査等に合格したという検定の銘板といいますか、そうしたことを記した板を機器につけるということが義務づけられておるようでありますが、これについても、一応、このような形のものに、一枚の銘板にするということでだんだんと内容が詰まってきておるようでありまして、これがまとまりますれば、二枚の銘板を張るということも必要なくなるのではないかということになります。したがいまして、昨年の宿題を受けていろいろやらせていただいておりますので、この点についても少しずつ改善が図られておるということは申し上げて差し支えないように思います。
  115. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いわゆる小型船舶ですね、この四十二万そうという小型船舶の、何らかの無線設備、これを備えているものが一%、これはどうするんですか。普及をどのように図っていこうというお考えですか。全くかかわりなしでいきますか。申請があれば免許をするという意味では免許行政というのは大いに生きているわけですがね。しかし、免許行政のあり方を見直すことも、この普及率を高めていこうという意味からいきますと、これは極めて大事なポイントなんだと思うんですよ。  あるデータは、沿岸二十海里以内の海難事故というのが九十数%、こういうデータも出ておりまして、その意味では、今回のマリンVHF、百五十メガ帯、この周波数帯のFMの電話無線電話というのは、もう極めて有効な通信手段になっているわけですね。したがいまして、この普及ができるのかできないのかということがもう極めて、プレジャーといえども人命の重さにおいては変わりがないわけですから、電波行政を預かる立場でこの百五十メガ帯のマリンVHFの普及を全力挙げて取り組んでいくんだ、こういうものがやはり要請されると思うのですけれども郵政省、どうなんですか。
  116. 白井太

    白井政府委員 いわゆるマリンVHFと言われるようなレジャー用の小型船舶で使っていただきますような周波数の割り当てにつきましては、これは先生御案内のように昭和六十三年に起きました第一富士丸と「なだしお」の海難事故が契機になって、特定の周波数をそうした小型船舶用に割り当てようというようなことになったようでありまして、平成四年の七月にこの制度導入されたということのようであります。  確かに現在は、このようないわゆるマリンVHFを使った無線設備を備えている船舶の数というのは大変少ないようでありまして、一%とかあるいは一・四%とか、そのような数字を聞いたことがございますが、まだまだ非常に少ない状況でありまして、ヨットで事故が起きるとかいうようなこともしばしばあるわけでありますので、やはりこうした無線通信設備をぜひ備えてほしいというのが私どもの気持ちでございます。  ところで問題は、なぜそんなに設備している船の数が少ないのかということ、結局はどういう対策をこれから講じていくかということになってくると思うわけですけれども、いろいろな理由があるようでありますが、私ども分野でいいますと、やはり免許の手続が煩瑣だとか免許が取りにくいとかいうようなことがあることは非常にまずいものですから、できるだけそうしたものについて緩和をするということはできないかということでやらしていただいております。  率直に申し上げて、すべての手続が要らないというところまではなかなか踏み切れないというのが率直なところでありますが、免許の手続についても、できるだけ簡易な手続をとれるようにするというようなことも考えておりますし、それから、これはまだこれからの問題として若干残っている問題でありますが、設備を操作するときの資格を取っていただかなければならぬということになっておりますが、その資格を取るためにかなりの日数の講習を受けなければならないということになっておりまして、この辺も操作資格を得るためにちょっと難しい事情になっておるのかもしれないと思いますので、これについてももう少し、期間をうんと短縮するというようなことをさらにして、操作資格が取りやすいような方途を講じたいということを考えております。  それから、これは私どもの担当領域ということではないかと思いますけれども、私どもとしても、メーカーにもいろいろ協力をお願いするというような形で、ぜひ値段をできるだけ安いものにしてほしいということで、メーカ−への依頼というようなこともいたしておりますが、現在ではやっと無線機の価格が七万円くらいまでに下がってきたというようなことで、一時期の値段に比べると二分の一から三分の一の値段だということのようでありますけれども、こういうものについても、できるだけ値段を低廉化するというようなこともしていく必要がやはりあろうかと思います。  こうした船舶の安全航行ということから、小型の船舶といえども、まさに先生がおっしゃいますように、乗っておる人の人命にかかわることでもありますので、せっかくの電波でありますので、こういうものを大いに利用していただきたいというような、いわば周知といいますか、そうしたものについても私どもとしてもいろいろ努めてまいりたいというふうに考えております。
  117. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、特にマリンVHFが昨年、免許を受けたいと思って申請すればできるという形で開放されたわけですよね。海岸局も仁尾を第一号としてこれまでにずっと準備が進んでいる地域もあり、また大洗でも、漁業局とあわせてこのマリンVHFの開局が進んでいる、もう開局ということだと思うのです。一方においては、例えば千葉県の館山みたいに閉居になったところがある。  これは今スタートしたばかりのマリンVHFですから、まあ海岸局に所属をする形で、船舶局という非常に限定、規定をされた形の、まあ言ってみればこのマリンVHF、五ワット以下で、ポータブルで、自動的にスキャンができる、操作面も非常に簡単、アメリカあたりでは通信販売で手に入る、しかしがんじがらめの規制の中にあって従事者資格、三級海上特殊無線技士のライセンスがなければ使えない、そういう中で今スタートして、立ち上がって、これからだと思うのです。  大体様子を見てみると、海岸局に所属させるということはやむを得ないのかな。海岸局自体が成り立たないという側面が一方にある。大体端末が、一千という端末が出てこないと採算に合わない。しかしこの海岸局、マリンVHFの海岸局がその意味で将来に向けて非常にバラ色の役割を果たす。一方にポートラジオがありますね、港長が受けるという形のポートラジオ。このポートラジオとマリンVHFの海岸局と、この一波一つの局で受ける、こういう形の道も検討されていいのではないのか。  大洗は、マリーナがちょっと離れて、十キロぐらい離れたところにあって、漁業無線局で今回マリンVHFの免許を受ける。漁業無線局として既に運営されているところに新しくマリンVHFの海岸局としてスタートをする。そして、このマリーナの大きさからいってそれほどの端末はないのですけれども、あわせてやるとうまくいきそうだ、こんなことも実は現場においてはあるわけですよ。  だから、さまざまな規制の中で規制緩和のための見直し、これは一方において非常に重要な問題だと思うのです。私は、マリンVHFのスタートの段階に、規制はもっと緩めるべきだというふうに考えておりましたし、まあ携帯局、こういう扱いでスタートができればいいなというふうに考えていたわけですけれども、結局船舶局。真ん中をとって携帯船舶局という形になれば、もうちょっと船舶局から規制が緩められた形の局の位置づけができるのじゃないのか。それは、行政監察の指摘しているとおり、非常に安くなったとはいえ一年に一カ月あるいは二カ月ぐらいシーズンのときに使うもので、これにうんとお金をかけるというのは経済性からいってもなかなか難しいという場合に、マリーナがあるいは十台とか二十台とかで免許を受けまして、そして港を出るときにそれをレンタルで借りて、それで海上でこれが使える。資格が必要であれば三級海上を持っていてやる、こういう形でいいと思うのですね。  だから、携帯船舶局ということで従来の考え方の船舶局とは違うんだ、特定船舶局に限っではそういう扱いができるんだ、こういう道が開けないものですか。電波法制上だめだといって道を閉ざしてしまう、これが行政監察に対する郵政省の回答だったと思うのです。これは検討の余地大ありだと思うのですが、どうですか。
  118. 白井太

    白井政府委員 決して道を閉ざすというようなつもりは全くございません。ただ、船舶に備える無線設備というものにつきましては一般の無線設備とはちょっと違った意味合いが確かにあるようでありまして、まさにただいまお話にいろいろ出ております船の上での、航行の安全だとか、あるいは緊急事態に対処するための唯一の連絡手段という役割を持っているものでありますので、一般の陸上で使いますような無線設備とは違った意味合いがあるということから幾つかの、あえて言えば規制というようなものが船舶局にはあるのだと考えております。  それで、プレジャーボートのようなものは非常に大きな船舶の無線設備とは全く違うということは確かに先生の御指摘のとおりでありますが、船の上で、陸から離れた、本当にいわば孤立した状態の中でこの無線機を唯一の連絡用の手段として持つというようなことでありますので、これは国際的な取り決めにおきましても、そうした万が一の遭難通信などに使うというような設備としていろいろな制約がある。その制約を受けるものとしてこの船舶局を位置づけており、プレジャーボートについてもその船舶局の一つの形のものとしての位置づけをしておるということであります。  ところがこれについてはもう少し、値段も高いので、もっと簡単に使えるようにするために、幾つかの船で持ち運びを自由にして共用できるようなものとしての扱いはできないのかという行政監察結果に基づく勧告が確かにあったわけでありまして、これについてもいろいろと検討をさせていただいておりますが、まだ、先ほど来申し上げている、船舶に積む無線設備であるということから出てきますいろいろな条件というものを完全に解消してしまうということについてなお不安があるということで、これからもいろいろな角度から検討はしてまいりたいと思いますので、いつまでも検討もしないというようなつもりではございませんけれども、まさにこれも先ほど先生がおっしゃいましたように、できるだけ簡単に使えるという要請と、それから無線機がきちっと決められた役割を秩序立って果たすということと、その両方の要請をどこで接点を求めるかという話ではなかろうかというふうに思います。  先生のような御指摘については、そうした御指摘があるということも一方には十分頭に入れまして、それから、いざ緊急通信を行うとか、あるいは緊急通信が入るとかいうようなときに、そういうものをきちっと受けてもらえるということができるような方法というのを、両方満足するような方法というのを考えていって、できるだけ多くのプレジャーボートにこうした設備が設置されるようにしていくということを考えていくという、なかなか接点の見つけ方が難しい問題ではあろうかと思いますけれども、今後ともいろいろな角度からの検討を続けてまいりたいというふうに思っております。
  119. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 何だかよくわからないのですけれども、プレジャーボートは、いわゆる小型船舶は、つけなきゃいけないからつけるんじゃないんですよ。みずからいざというときのために、あるいはよそのプレジャーボートの遭難に遭遇したときに役に立とう、人命は極めてとうといものだというところから、義務で設置しなきゃいけないものではないけれども持ちたいということなんでしょう。だから、それに電波法が障害になってなかなか持てないような運びをつくっているとすれば、やはりそれを、障害を取り除ける方向で検討を進めようというのが当たり前なことだと思うのですね。どうですか。  で、レーダーもいい例なんですよ。電波法上レーダーとありまして、何で四種類に分かれているのかなと思って一生懸命規則までたどっていって調べてみました。四種類あるのです。第三種レーダー、第四種レーダーは義務じゃないのです。特にプレジャーボートなんかが持とうとする第四種レーダーというのは設置義務が全くないのです。しかし、この従事者資格が極めて障害になっておりまして、五十万トンのタンカーのレーダー操作もこの四種のレーダー操作も資格に変わりがないのです。もっともっと簡便な資格の取得の道を開いて、レーダーが希望によって取りつけができる、そして資格が簡単に取れる、こういう道をぜひとも開くべきだと私は思うのです。  それで、四種レーダーにつきまして、一つの方法としては今三級海上の資格の制度があるわけですから、この五ワット以下の出力の三級海上の資格でプレジャーボートその他を動かしているわけですよね。ですから、この資格を持てば第四種のレーダーは操作ができる、こういうのが自然の落としどころだと私は思うのです。プレジャーボートを買うと、中途の売買のときにはレーダーを取り外しせずにそのままついて売買され、買った舟艇のレーダーにつきましては潜りで操作をしなければならない。こんなのありますよ、こういう事例が。  だから、五十万トンのタンカーのレーダー操作とプレジャーボートのレーダー操作と同じ位置づけで、非常に権威を持たせて重く免許制度を維持していく、これも従来の考え方でよかったのだろうと思うのですけれども、今四十二万艇というプレジャーボートが、数が多くなっているこの時代に、これはもう全くかつての旧弊を引きずった制度である、こう私は思うのです。  レーダーの第四種について改善の道を検討されるお考えありませんか。
  120. 白井太

    白井政府委員 プレジャーボートなどに設備されますマリンVHFの操作をするについても、ただいまお話ありましたように、三級の無線通信技士の資格を取っていただかなきゃならぬということになっております。  それで、その資格を取るために養成講座というような講習をきちっと受けていただいてというような手続を踏んで資格を取っていただくわけでありますけれども、これが余り日にちが長いとそうした資格が取りにくいということになりますので、先ほどもお答え申し上げたところでありますけれども、できるだけ短い時間にひとつコンパクトに講習時間をまとめるようにすることはできないかということで検討いたしておりまして、結論的には一日でそうしたものがすべて講習が受けられるというように、講習内容というのをもっときちっと詰めようじゃないかというようなことを今やらしていただいております。  それで、あわせてただいまのお話のレーダーの関係なんですけれども、一日の講習の中にレーダーについての御要望も確かに多いようでありますので、これらについても簡単な操作方法などについての講習というのはその中に入れ込むことができるのではないかというようなことを言っておりまして、それらも含めて一日でそういうのが受けられるというようなことにしようというような方向で、現在検討を進めさせていただいていますので、最終的な答えをちょっと申し上げるというところまで参っておりませんが、そういう方向で検討させていただいておるということだけお答えさせていただきたいと思います。
  121. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 三級海上特殊無線技士、これの資格を取得するに当たっての講習のあり方、これについて、陸上、海上それぞれあるんだろうと思うのですが、無線工学というのは必要ないんじゃないかというふうに前回申し上げたと思うのです。これは確かに見直す対象だと思うんですね。要するに、ふぐあいが生じてそれに対応しなければならないというのは最近もう全くない状況ですから、むしろ、電波伝搬というのとそれから運用面に力が入るような講習というのがあるべき姿だということだと思うんですね。これは現場の実際に教鞭をとられている方の御意見あるいは関係の皆さんの御意見は、大体そういうところなんだろうと思っております。  ですから、電波伝搬とレーダーとあわせてそして三級海上特殊無線技士の資格を持つ場合には、レーダーの操作が四種に限ってできる、こういうふうになれば極めて合理的な、今日的な規制緩和が成り立つ、こういうふうに思うのです。  現物、実は持ってくるわけにいかないのでカタログを持ってまいりました。非常に四種レーダーというのは今日では液晶のものまで出てくるという格好で、つまみも数が非常に限定されてきておりますし、テンキーですよね。それでマイクロコンピューター内蔵型ですから、操作は極めて明瞭な画面があり、基本的なレーダーの特性をその講習において身につけるというのが講習の目的なんだろうと思うんですね。  だから、ともかく四種レーダーを見たことない、さわったことないという人が私のところに説明に来たのですけれども、これは一種レーダーの方が操作は簡単だ、四種レーダーというのは、取り扱いはむしろレーダー特殊無線技士のライセンスは四種の操作に意味があって、今日、非常に荘重な、重いライセンスになっているんだという趣旨の御説明だったんですけれども、全く現場とは違うと思うんですね。  ですから、ぜひ、三級海上の資格の中で操作範囲を変更する場合、政令で定めているので力が及ばない、こういうことであるならば政令を改正する、あるいは法律改正を伴うということであれば法律改正をしてでも現場の要望に、時代の要望にこたえる、こういう方向でぜひ規制緩和に取り組んでいただきたいと思う。いかがですか。
  122. 白井太

    白井政府委員 レーダーの操作をすることができるようにするためには、先生が最後のところでおっしゃいましたように、政令の改正が必要でございますので、結論が得られましたならば当然、政令改正の手続をとらなければいけないと思っております。  その養成講習の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、養成講習のための時間を縮めて一日におさまるようにしたいということを検討しているということを申し上げたわけですが、一日でおさまるようにするためには当然、講習内容というのも考え直さないといけないものですから、実際の実用とは直接の関係のないような内容のものは廃止いたしまして、機器の基本的な取り扱いでありますとか故障の場合の対応措置だとか、あるいは混信の防止対策とかそういうようないわば実用あるいは運用の面に主眼を置いた講習内容に改めることによって一日の中におさめるようにできないかというのが検討の内容でありまして、これからレーダーにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、確かにレーダーも操作できるようにしてほしいという要望がいろいろあるようでございますので、そういう要望も念頭に置きまして、一日の中でそういうような講習も行うということをあわせてやるということはできないか、そういう方向で検討させていただきたいと思います。
  123. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 このマリンVHFの普及率が極めて低い。四十二万そうに対して一%。何らかの形で、例えば自動車電話を持ち込んだとか、そういう形でいろいろなメディアがあるわけですけれども、マリンVHFを初め、ともかく通話の手段があるのが一%というのが現状ですから、これはぜひ郵政省が力を入れてこの普及に身を乗り出す、ぜひお願いしたいと思います。  また、今のレーダー、第四種、これを具体的に申し上げましたが、総じて、電波の秩序維持という大事な側面がありますけれども規制は見直して緩和の方向を目指す、こう郵政省の方針を持つべきだと私は思っておりますけれども、最後に大臣の所信を伺いたいと思います。
  124. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 大変詳しくて、具体的に御指摘をいただきまして大変勉強になりました。  総論として、規制緩和、大事だと思うのですが、その中で電波行政というのも秩序を維持していかなければならない。しかし、時代の変化につれまして無意味規制もあるのも今御指摘のとおりだと思うのであります。そういう手続面等も、簡素化も含めまして規制緩和により一層努めてまいりたい。  なおかつ、今四十二万艇の中でマリンVHFのあれが一%そこそこということで、これは義務ではないにしても、いろいろな事故防止とか安全とかという面も含めまして、これが普及するのはいいことでありますけれども、何かそういういい普及策はないか検討させていただきたい、そう思っております。
  125. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 やはり時代の流れを思いますと、漁船だ、プレジャーボートだなどという時代ではありませんし、陸だ海だというその境目さえもなくなっている今日だと思います。昭和二十五年電波法ができた、その当時に予測もしなかったような、今日八百五十万局という時代を迎えているわけですから、そういう新しい時代にふさわしい電波行政を追求していただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  126. 亀井久興

    亀井委員長 次に、吉岡賢治君。
  127. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 電波法の一部を改正する法律案について、率直に質問をさせていただきたいと思います。  まず一つは、電波利用に係る規制緩和措置についてでありますけれどもアマチュア無線、その他無線につき外国人相互主義によらず免許を得ることができるというふうに改正案が出ています。相互主義で現在許可国はどこであり、許可数はどのくらいなのか。その上で、外国性の排除の緩和といいますか、そういうことでどのくらい許可申請が出るのかということを予測しておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  128. 白井太

    白井政府委員 アマチュア無線等につきましては現在いわゆる相互主義という原則のもとに無線局の取り扱いをいたしておりますが、その相互主義を前提にいたしまして現在アマチュア局を認めることとしている国はどのような国があるかとい保つことをまず申し上げたいと思いますが、アマチュアにつきましては、米国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、フランス、韓国の六カ国につきまして、相互主義に基づいて、ただいま申し上げました国の国籍を有する方にも日本での免許を認めるという取り扱いをいたしております。それから、その他の陸上移動関係無線局につきましては、アメリカ、スイス、オランダ、ルクセンブルク、デンマーク、ベルギー、ドイツ、トルコ、タイ、シンガポール、マレーシア、イラン、ニュージーランド、スウェーデン、以上十四カ国に対して、アマチュア局と同じように、これらの国々の方々に対しても日本での免許が得られる道を開いております。  それで、今日時点での免許の数でありますが、アマチュア局の場合は、外国人の方に対して現在約九百局の無線局免許を付与しております。それから、陸上関係無線局につきましては、これは外資系の企業になるわけでありますが、約六百局の免許を付与しているというような状況になっております。
  129. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 無線局免許にかかわる財政的基礎審査の簡素化ということもうたわれているわけであります。工事費、運用費などの添付書類の提出を義務づけていたものを今回改正をするということでございますけれども、この添付書類というのは電波の死蔵防止ということもあるんだというようにお聞きをしているわけであります。電波の死蔵というのは大変なことでありますから、今現在あるのかどうか、この点についてお聞きをしておきたいと思います。
  130. 白井太

    白井政府委員 財政的基礎についての確認を今度の免許審査内容から外すということで今回の御提案を申し上げておりますが、理由のもとになっている電波の死蔵といいますか免許を受けながら無線局を開設していないとかいうような事例は実際にあるのかというお尋ねでございますが、現在のところは、私どもとしてはそのような死蔵の事実は確認しておりません。ということから、死蔵というのはほとんどないというふうにも申し上げていいのではないかと思います。そのようなことから、実は今回のような御提案をさせていただいたということでございます。
  131. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 死蔵と言うといろいろ語弊がありますから、未利用というような周波数帯なり、そういうものはあるのか、お聞きしたい。  それと、これらの添付書類の簡素化については、放送関係は除かれておりますね。これの理由を明確にしていただければと思います。
  132. 白井太

    白井政府委員 冒頭のお話にございました死蔵という言葉は確かに表現としても余り適切ではないし、事実の説明をする言葉としてももう少し別の言葉を考えた方がきちっとした御説明になるかと思いますが、いずれにしても、免許を受けながら無線局を開設しないというようなものは、今のところ私どもとしては把握をしていないということであります。  それから、利用可能な周波数について、現在実際に利用されていないような周波数はないかというお尋ねもあったように今お聞きしておりましたが、これも実はむしろ逆でありまして、電波が足りない、足りないというお話ばかりを実は伺うというのが正直なところでありまして、少なくとも利用できる、あるいは利用技術がもう既に開発済みの周波数につきましては、まあ遊んでいる周波数帯はもう今は全くないというふうに申し上げて差し支えないと思います。  それから、免許の際の審査内容として、その財政的基礎審査の対象から外すことにしたいと思っておりますが、放送局を除外する理由は何かというお尋ねもございました。放送局につきましても、実際は計画的に地域地域に放送用の周波数の割り当てというのを行ってきておりまして、この割り当てに基づいて逐次放送局がサービスを開始するということをしておりますが、今日におきましてもある地域について、ラジオといってもまあ現在はFMでありますが、FMでありますとかテレビジョンの放送用の周波数の割り当てを行いますと、その電波利用して放送事業を営みたいというようなお申し出をされる方が大変現実の問題として数が多いわけであります。そういうような事情のもとで、放送局免許をした、放送局として使う電波について無線局免許をしたということにしても、その方が実際にその無線局としての放送局をつくらずに、ただ無線局免許をもらっただけでずっとそのままにほっておくというようなことが万が一ありますと、これは何のためにその放送用の周波数を割り当てたかということにもなりかねないものですから、できるだけ放送用の周波数として免許が与えられた場合には、やはりその電波を用いて放送のサービスをできるだけ早く地域の住民の方に提供していただきたいというような考え方がございまして、放送については一般の無線局とはやっぱり別の扱いにせざるを得ないであろうということで今回のような御提案になったわけでございます。
  133. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 次に進みたいと思います。  不法開設局の防止対策についてであります。  不法無線局は、いわゆる不法市民ラジオ、これで約十万から二十万、不法パーソナル無線で七十万から八十万、トータルをしますと百万局以上というふうに推定されると郵政省は発表されております。そこで、まずその市民ラジオの二十六・九メガヘルツと二十七・二メガヘルツの間のことについてお聞きをしたいと思います。  御案内のとおり、市民ラジオは免許不要ですね。そういう状況の中で、技術基準には市民ラジオは電力は〇・五ワットというふうになっています。ところが、郵政省の方の説明によりますと、不法市民ラジオというのは五ワットから千ワットというふうに書かれているわけであります。十倍から何倍になるんでしょうかね、千倍以上のワット数が出ている、こういうことになっているわけであります。このワット数が非常に大きいというのは、製造メーカーによるものなのか、それとも改造によるものなのか、また製造メーカーが輸出用としてつくったものなのか、この辺がすっきりしないわけであります。したがいまして、その点について見解があればお尋ねをしておきたいと思います。
  134. 白井太

    白井政府委員 ただいま吉岡先生お話しになりましたように、いわゆる不法電波というのは、不法市民ラジオと不法パーソナル無線でそのほとんどを占めておるわけであります。不法市民ラジオというのは実はいわば大型のトランシーバーと言ってもいいようなものでありまして、我が国においては、子供さんがどちらかというと遊びなどに使ういわゆるトランシーバーでありますので、手に簡単に持てるような大きさのものでありまして、出力も非常に小さいものでありますので、これがほかの電波に影響を与えるということは全くないわけでありますけれども外国においてはもう少し大きい出力の市民ラジオというのが認められておるようでありまして、そうした設備を外国から輸入するということも考えられるわけです。あるいは外国へ輸出するためにつくったものを日本人が買って、それを実際に使って電波を出すというようなことも考えられるわけでありますけれども、この辺のところについては、ただいま先生お話ございましたけれども、私どもとしても必ずしもどういう形なのか、正確な実態はつかみ切れておりません。  ただ、現実の問題として、特にわざわざ機器を改造したということではないのでありますけれども、もともとそういう出力のものとしてつくられた無線設備不法市民ラジオとして使われているというのがかなりあるということでございます。したがって、これらのものが日本では使えないという出力であることを承知して、それを輸出に回すのならともかくも、日本でわざと売るというようなことをやるというようなことがもしあるとすれば、つくった製造段階で悪かったのか、あるいはそれを承知で販売した販売のところが悪かったのか、いろいろな見方があろうかと思うわけでありますけれども、この辺についての実態は必ずしも正確に私どもとしてはつかんでいないというのが率直なお答えになるわけでございます。
  135. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 非常にわかりにくい、あいまいな答弁で困っておるんですが、つかんでないとおっしゃるけれども、いわば不法無線局、数にしたらどのくらいですか。おたくの方で結構捕捉してあるんですね。例えば平成四年であれば三千三百二十九という捕捉があるわけです。だから、その中がどうなのかということを分析すれば出てくるはずでありますから、その点、今後のことはやはり重要だと思いますので、今、いや、いやわかりません、輸出用なのか、あるいはメーカーがつくったのか、改造なのかということでは、行政としてちょっとわかりませんでは困ります。後のことにしておきたいと思いますけれども、やはり輸出用が使われておったのは幾らだ、そして改造して使われてきたのは幾らだ、これは現実に不法無線局措置状況というので数が出ておるわけですから、それを分析すれば出てくるんじゃないかというように思っておりますので、その辺は今後の問題としてきちんとしておいていただきたい、こういうように要望しておきたいと思います。  次に進みたいと思いますけれども、実は私は今障害を一番与えているのは不法市民ラジオではないかというように思っているわけであります。なぜかといえば、電力が、いわゆる基準でまいりますと〇・五ワットが、五ワットから千ワット、こういうふうに非常に大きいのです。その障害状況が大きいというのは、影響を与えているのは漁業無線だ、あるいは海上保安庁の関係だ、テレビだ電話だというふうに郵政省もつかんでいられるわけであります。しかも車載型の不法局が多いということもつかんでおられる。  具体的にこのことがどういう影響を与えているのかということについて考えてみますと、NTTの例ではドアホンですね、ピンポーンと鳴るやつですね、あれに夜間でも何時でも入ってくるんですね。それからビジネスホン、これは特に交差点中心が多いんです。どうも運転手の皆さん方は交差点に来ますと、とまっておる間に交信しようという習性があるみたいですね。それからもう一つ重大なことはケーブル、これが実はアンテナになってしまうということによって誘導で入ってくる、こういうケースもあるわけであります。私はほかのことはわかりませんが、現実に私もそこで仕事をしておったことがありますので、こういうことに遭遇したことがあるということで申し上げておきたいと思います。  そして、これが出力が大きいばかりに、二十七メガヘルツ周辺の周波数だけでなく高調波による影響を他周波帯にも与えている。出力が大きいとそうなるのです。ですから、全国あまねくあるところに対しての影響ですから本当に難しい一面があって、それぞれの機器の中で防御ができないのですよ。  そこで私は申し上げたいと思うのですけれども、今申し上げますような社会的な影響というのが非常に大きい、それが不法市民ラジオではないかこのように思っているところでございます。そこで、〇・五ワットというのを大きくしなければならぬというのは、ある意味では非常に社会性が出てきておる。〇・五ワットであれば一キロ周辺だということを想定して基準がつくられている。ところが今の社会活動というのはそうは許さない、いわゆる車載をしていくということによって広半径の行動を行うようになってきておる。  そういうようなことを考えますと、免許も要らないということでございますけれども技術基準が〇・五の一キロメートルということの範囲の中にずっととどまっていていいのかどうか、いわゆる利用実情とそぐわなくなっているのではないかという気があるのですが、この点についてどのようにお考えになっているのか、聞いてみたいと思います。
  136. 白井太

    白井政府委員 いわゆる不法市民ラジオというのは、少なくとも日本では使えないような出力の大きい大型のトランシーバーでありまして、これは輸入されたかあるいは輸出用の機器が使われているということだということは申し上げたとおりでございます。  それで、このような不法市民ラジオがあることから、このようなものをできるだけなくすことをする必要があるということで実はパーソナル無線というようなものを新しくいわば制度化したということがあるようであります。したがいまして不法市民ラジオの方は実際はだんだんと少なくなってきている。  ところが、不法市民ラジオをなくそうということのためにつくった同じような簡便な通信手段であるパーソナル無線が、逆に機器を改造して不法電波を出すということで利用されることが非常に多くなってまいりまして、今日では、数としては不法パーソナル無線の方が非常に多くなってきているというようなことのようであります。実はそういう意味では、パーソナル無線のような簡単なそうした無線通信の方法というのを出したのが、その面だけから見ますとちょっと裏目に出ているような感じでありますけれども、まあ当時は、確かに市民ラジオに代表されるものに対する需要が非常に多いというようなことが頭にあってパーソナル無線というのを制度化したという事実があるように聞いております。
  137. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 実はちょっと外国のCBの技術基準を見てみますと、例えばアメリカでいうと四ワットであるとか、フランスでも四ワットとかというふうになっておるのですよ。日本は〇・五ですから、差し支えないのであればそこら辺まで考えたらどうか、不法不法だと言うことのみならず。そういうことで、四ワットなり五ワットなりということが妨害電波にならないということであれば、私、専門家でないからわかりませんが、そういうふうにしないと、後で申し上げようと思っていましたけれども、これらの本にパワーアップの改造例がいっぱい出ておるわけです。部品まで出ておるわけです。そういうことになってきますと、〇・五だったらどうにもならぬからということで、同じ改造するなら大きくしようかということになってくるわけですね。  その辺の考え方というのが、〇・五ワットというのをお決めになったのはいつごろなのかわからないけれども、少しく実情と合っていないような気がするのですが、その点について見解があればお聞かせいただいてみたいと思います。
  138. 白井太

    白井政府委員 要するに、需要に合うような電波の割り当てになっていないのではないか、あるいは電波の割り当てそのものを、そんなに需要があるのならもう少しそこのところを広げるようにしたらどうかというような御趣旨のお話のようにお伺いをするわけでありますが、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども周波数についてはもうすき間のないようにずっと使っておりまして、市民ラジオで申し上げますと、その前も後ろもすべて漁業無線用の周波数として既に割り当てがなされているというような状態になっておりまして、この点について、これをさらに周波数帯を広げるということは、どこかを縮めなければいけないということにもなるものですから、なかなか簡単にできないということであります。  それで、先ほどのお話にもちょっと関連いたしますが、パーソナル無線というのを市民ラジオにかわるものというのか、あるいは市民ラジオに対する需要が全部賄い切れないということもあったりしてパーソナル無線制度ができたわけですが、そのパーソナル無線についても非常に需要が大きいということで、今日、少し別のできるだけ簡単な通信手段であって、似たような簡単な通信手段であって別の周波数帯でそのような利用が少し可能にならないかどうかをいろいろ現在検討しておるというような段階でございます。
  139. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今、パーソナル無線を強調されておりますから私はあえて申し上げますけれども、パーソナル無線の方で皆さんが説明書によりまして御指摘いただいておるマルチ・チャンネル。アクセスやテレターミナルシステム自動車電話、これらについては、確かに不法電波は入ってきているけれども、チャンネル切りかえができますから、それを活用しながら防御をするという装置をそれぞれ持っておるのです。ところが、市民ラジオは防御することができない、こういう違いがあることも見詰めておいていただきたいと思うのです。  それぞれの、例えば今申し上げました自動車電話だったら、チャンネルがありますから、通話中に妨害が入ったら他チャンネルに移っていくということで通話に差し支えないように防御する方法というのはやはりあるのですね。ですから、私はあえて市民ラジオというふうに申し上げたのは、市民ラジオの方はそういう防御をすることが全然できないのですよ。やはりそこのところを見詰めておかないとちょっとまずいのじゃないかというように思うわけでございますが、その点についての見解があれば。
  140. 白井太

    白井政府委員 確かに、MCA無線などを例にとってみますと、パーソナル無線で使われる周波数帯に近いところにMCA無線周波数が割り当てられているわけですが、まさにMCA無線というのは、あいた周波数を選んで通信をするという仕組みができ上がっておりますので、この周波数帯不法パーソナル無線が占領しておりますと、その周波数なりチャンネルを避けて別のチャンネルで通信をするというような仕組みができ上がっておるという意味では、確かに先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ問題は、そういう格好で不法パーソナル無線がMCAの領域まで侵入をいたしまして使われるということになりますと、それだけ今度はMCA無線利用できないということになるわけでありまして、そういう面での障害が出てくるということで、この不法無線対策を講じなければいかぬということはやはり同じように言えるのではないかというふうに考えております。
  141. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 おっしゃることもよくわかりますが、私は、あえて申し上げさせていただきたいのは、周波数割り当ての関係をきちんとされておりますから、そういう意味では不用なもの、いわゆる未利用の波というのはないのだというふうにおっしゃるけれども、これはやはり考えていかなければならぬのじゃないかこう思うところです。  例えばの話、不法市民ラジオを取り締まるということでやりますけれども、ここにいろいろなパワーの大きいのが出てくるという問題が出るというのは先ほども言ったとおりです。とするなら、ここの周波数帯を使う部分については、メーカーからは改造不能のもの、例えばNTTのコードレスボンなんかはねじが特殊でして、改造不能に近いような製品をつくっておる。そういうものをこの周波数に割り当てて、そして社会的に遠くの方に行かなきゃならぬ、パワーアップをしなければならぬという問題の部分は、どこかに、自由にお使いください、しかも、周辺については防御ができるようなことが可能なところに置きかえるというようなことが政策としてあっていいのではないか、このように私は思っているわけです。  持っていくところがないじゃないか、こうおっしゃると思います。しかし、それは少し研究をする必要があると思うのです。郵政省として割り当てられたところの周波数帯が、例えば建設省においても防衛庁においても警察庁においても、ぴちっと全部使っているか。そうじゃないと思うのですね。いわば緊急用のときに切りかえるような周波数帯が残っているではないか。もしそうなら、それは共用するという方向の中であけることができるのではないかという議論を私はかってしたことがありますけれども、そういう視点というものに持っていくとするならば、私はまたこれから検討の余地があるのではないかというように思うところでございます。  いずれにいたしましても限られた電波資源でございます。それを最大限利用していくというためには、そういう工夫も必要ですし、今利用されていない、いわゆる波長の短いTヘルツですが、その領域の利用開発も必要だというように思います。今全国津々浦々で起こっているのは間違いないわけですから、ケーブルがあり、ドアホンがあり、そういうことを考えていくと。したがって、その点に視点を当てた研究なりそういうものができないだろうかというのが私が考えていることなんでございますが、その点について御意見があれば伺っておきたいと思います。
  142. 白井太

    白井政府委員 昨年の電波法改正案の御審議をいただいておりましたときに、吉岡先生がまさに今おっしゃったような点についての御指摘をなさっておられた席に、私はこちらの方におりましたのでよく記憶をいたしております。それで、実は今回こういう御審議をいただくに際しましても、吉岡先生からそういう御指摘があったということで、特に公共業務用の無線の中にそうした余地はないのかというようなこともいろいろ内部で検討したりも見てもらったりもしたつもりでございます。率直に申し上げて、今のところは、そうした形で別の用途に振り向けるというような余裕がないというのが残念ながら現在の結論でございます。  しかし、いずれにしても電波というのはこれだけ需要が高まっておりますので、むだで、あるいは利用されないままでほっておかれているというような周波数がもしあるとすると、そういうことはもう大変むだなことでありますので、私どもとしては有効利用ということから、これからもきちっと目配りをしていきたいと思っております。  それとあわせて、これも今先生からお話が出たことでありますけれども移動通信用の周波数といいますか、これが足りないというのが一番の問題でございますので、これについてやはり大きく問題を解決するということのためには、先生まさにおっしゃっておりましたような、現在は固定通信に使っている高い周波数帯、いわゆる私どもマイクロ波などと呼んでおります高い周波数帯について、移動通信利用するための技術開発するということを急がなければならないと思います。  と申しますのは、例えば一・五ギガヘルツなどは、現在はもう既に移動通信に使われる技術開発されたわけでありますが、これとてほんの何年か前は、とてもこんな高い周波数では現在の技術では移動通信に使うのは無理だと言われておったそうでありまして、やはり技術開発は限りがございませんので、開発を急げば三ギガヘルツ以上のマイクロ波についても移動通信に使うということも決して不可能ではないと思っておりますので、この辺の研究開発も急ぐことによりまして問題解決の一助にするということを考えていかなければならないと思っております。
  143. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひひとつ検討をいただきたい、このように要望しておきたいと思います。  さてそこで、次に入りますが、今回小売業者の方にいろいろな義務を課して、立入検査も可能にするというようなことになっているわけでございます。私はそのことについて否定はいたしませんけれども、これをずっと見てみますと、やはり基本的に私たちが不法無線局をなくしていくということの中に欠落しているのは、いわゆる製造メーカーあるいは販売の部分、このことに法的整備を図ろうとすることが一向に見えないわけでございます。私、先ほども一つの例として申し上げたところでございますが、例えばメーカーがつくっておるのかいないのか。メーカ1がつくっておるとすれば、技術基準に適合だということで出してくる、それを改造した部分と、外国用のだというふうにつくって、それが国内で出回っている部分というふうにあるなら、やはりきちんとしなければならぬと思うのです。  僕はここで、こんな本があります。「ラジオライフ」それから「アクションバンド」、この中で、実は改造がこのようにできますよ、こういう部品がありますよ、こういうことがちゃんと宣伝されておるのですね。ということは、それにどこのメーカーとは書いてありますが言いませんけれども、パワーアップの部品なり製品ができていますよと、片一方は二千九百円でできるということですし、片一方は出力十ワット以上のタイプだったら六万九千円でちゃんと完成品がありますよと出ているわけです。  そうなりますと、いかに小売店段階でどうのこうの、そして免許証は要りますよ、そこをたたいてみても、現実にはこういう問題が出てくるわけでしょう。だから通産省との問題があると思いますよ。ありますけれども、今申し上げますように、実態というのが、本当に不法無線局でいろいろな社会的影響も来しているという現実の中で理解してもらうような方向をぜひとつていただきたい。それは、今申し上げますように、この完成品の製品があるということは、メーカーというのは、製造だけでなしに改造部品メーカーもメーカーなんですよ。製造元なんですよ。そういうことを野放ししていいのかどうかということが大きな問題だと思います。  だから、扱う者のモラルを求めていらっしゃる。そしてまた、不法に使っている人たちはいけませんよということでの注意喚起をいろいろされようとする。そして摘発もする。しかしながら、こういう実態というのがあり、なおかつそういうものが市場に出回っているという現実は、パワーアップということは要するに技術基準をオーバーする部品が出回っておる、あるいは製品が出回っておる、そこのところをやはりきちんと煮詰めていかないと、電波行政としておかしいのではないかというように思っております。その点について見解を伺いたいと思います。
  144. 白井太

    白井政府委員 ただいま先生がお示しになりましたような種類の雑誌というのが幾つかあるようでありまして、確かにその中の広告などを見ますと、少し大げざな言い方になるかもしれませんが、私どもも憤りを感じるような広告も随分ございます。中には、まさに私ども不法パーソナル無線と言っておりますような、大変な、千何百チャンネルの無線機ですよということを堂々と広告に書いているというようなものもたくさん見られるわけでありまして、大変残念なことだと思っております。  ただ、これは理屈の話だということになるわけでありますけれども、そういうような無線機がつくられたということが、それが直ちに違法なのかという話にすぐ理屈の話だけだとなっていくわけでありまして、この点について、本当に、そのような不法利用される可能性が非常に高いような種類の無線設備について、その製造を禁止するとかあるいは販売をすべて禁止するというような措置がとれると大変いいのでありますけれども、しかし、そういう無線機がつくられたということだけでは、電波法上理論的に詰めていったときに、必ずしもそれが直ちに違法行為とか違法無線機ということにはならないというところがいわば泣きどころみたいな形であるわけでありまして、どうしてもそこのところが制度的に吹き抜けないということがあるごとは事実であります。  また、確かに、電波法上の違法行為だというようなことになりますと、最終的には刑罰が科せられるというようなことになっていくものですから、刑罰法規というようなことになりますと、確かに法律に書く文言というのは厳格な書き方でなければならないということにもなってくるものですから、私どもの考えているようなわけにはなかなかいかないという点があるということも事実でありまして、こうしたものについては、これからの社会の動向とかあるいは実際の不法の実態というのを十分に見ながら、そのときそのときの情勢に合わせて、法律をいろいろ改正するなりなんなり、いろいろな対策を講ずるときに知恵を出して、いろいろな方の御協力を得ながらその対策を講じていくということをせざるを得ない。  そういう意味でいきますと、今日御提案申し上げているのが、一応いろいろな方の、関係者の御同意も得られて、こうしたものなら何とかやっていけようということで御提案を申し上げているということでありますので、これで百点だという自信はもちろんございませんが、まずはこうしたことでやらせてみていただきたいというのが率直な気持ちでございます。
  145. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 しつこいようですが、その点については、使われて初めて不法無線局で、置いておくだけだったらどうにもならない。しかし、そういうふうに言いながら、現実にはたくさんの不法無線局が出てきておる。私は、なぜ製造過程の中に、あるいは流通過程の中にこの問題を持ち込むことができないのかということについては非常に疑問に思っておるのです。それは省庁間の問題があるかもわかりません。したがいまして、ここは郵政省の決断の問題だ、やはり真剣にやっていかなければならぬ問題だということで、通産なら通産に対する基本的な姿勢をきちんと示していくということが必要だと思うわけであります。大臣、その点についてどうですか。
  146. 白井太

    白井政府委員 不法電波対策というのは、これですべて終わってしまうということは残念ながらないと思いますので、やはりこれからも不法電波対策についてはいろいろな対策というのをきちっと講じていく必要があろうかと思いますので、ただいまの先生お話も十分念頭に置いてはまいりますけれども制度的に思い切った、割り切った制度をつくるということについては、いろいろな問題があるということについては御理解お願いしたいわけでございます。
  147. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 技術基準適合証明のシールの効用について聞いておきます。  今回改造すればはがすとかいうようなこと等になっておって、それなりにそれで効果が出るというようにお考えになっていると思います。  じゃ、聞きますが、輸出用というのは証明表示があるんですか、ないんですか、輸出用で製造するもの。
  148. 白井太

    白井政府委員 輸出用ということでの表示は特にございません。  それから、現在御議論いただいております技術基準適合証明というのは、ある無線設備をつくりますときに、設計書どおりにつくられておるということをあらかじめ証明することによって免許手続を簡単にするとかいうようなことをさせていただいているわけでありますが、そうした技術基準適合証明の役割でありますので、必ずしもそれが輸出用とか国内用とかいうようなことと関係するということにはなっていないわけでございます。
  149. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 輸出用は張らなくていいというふうに私も思っていますが、そうですね。——そうでしょう。そこを、じゃ、張らないのであれば、改造してはぐるわけでしょう、そこではもう判別できないわけですね。シールを本当に効果あらしめようと思えば、輸出用にも輸出用というのを張ったらどうですか。改造してめくったら、輸出用のやっを直接使っているのかどっちだかわからへんのです。そのくらいのことはできるんじゃないでしょうか。そのことによって、日本で使う技術基準適合のもの、輸出用のものを使っているもの、そしてはがしたのは改造という三分割ができるんじゃないですか。そういうことを考えたらどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  150. 白井太

    白井政府委員 技術基準適合証明と申しますのは、先ほども申し上げておりますように、小規模な無線局につきまして免許手続等できるだけ簡単なものにするというねらいのもとに、その設備というのが設計書どおりにつくられているということを証明するというか、そのことを証明するにすぎないという性格を持つものでございます。  そこで、輸出用のものについて証明をするとか、あるいは日本では使えない機器であるというようなことがわかるような何らかの表示をするというようなことも、その方法としてはもちろん考えられないわけではないと思いますけれども、ただ、これも理屈の上だけの話になりますけれども無線機についても、無線機をつくった段階でその無線機について、これはどのような無線設備であるか、あるいはどのような無線局のための無線設備であるということが決まるということではないわけでありまして、制度上は、どのような無線設備であろうと、ある特定の無線局としてこれを使いたいというときには郵政省に対して免許の申請をするという道が開かれてはおるわけでございます。  ただ、そのようなものが実際に免許されるのかということになりますと、これは実際問題としては免許されるということはほとんどないと言っていいわけでありますが、理屈だけから申し上げますと、そのような無線機につきましても、この無線機を用いでこのような電波を出したいということで免許の申請をすることはできるということは、理屈の上ではそういうことになるわけでありまして、ただ単に無線機があるということだけでこれを違法と決めつけるということができないということから現在のような制度にならざるを得なかったということでございます。
  151. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 そうは言われましても、郵政省も発表してあるわけですね。不法CBや不法コードレス電話のように、外国基準に合わせたものが国内で流通しているものが多いと書いてあるわけです。現実には把握してあるわけです。それなら、これは外国用に向けたやつですよというのと改造したやつですよという区分は、改造したやつは一たん技術基準をくぐっておるんですよ。そして一方では、輸出用というのを国内で結局たくさん使っているということを郵政省もつかんで発表してあるのです。そういうことであれば、今申し上げるようなことできちんと速やかにわかるようにしてもらえないかというのが私の考え方でございます。  なぜこんなことをしつこく言うかといいますと、今回お出しになったことで不法無線関係がなくなっていくのかというと、私はそうは思えないのですよ。メーカーの部分でのきちんとした方向が出ないこと、それからもう一つは、周波数帯を変えることができない現状の中でどうするのかということになりますと、ますます不法無線局というのはできていきます。そういうふうに需要とともに進んでいくと思うのです。そういう状況であるだけに、抜本的な方向をとらないと、このままではどうにもならないときが来るのじゃないか。限られた電波、しかも公共のものである、それを大事に使っていくという立場からいえば、メーカーも協力してもらう、そして一定の移転についても、いわゆる周波数の変更等についても真剣に考えていただきながら、国民社会的な需要にこたえていくような方向をとらなければならないと思いますので、私は今回のことについて、何もけしからぬだとかそんなことを言うことはありません、これでも御苦労されたんだと思っています、しかし、本当の意味で基本的な部分、抜本的な部分にメスは入っていないなというように思いますので、あえてそういうことを言わせていただいた次第でございます。  最後になりますが、そういう意味で、電波利用料制度導入されました。平成五年で約八十億、こういう特定財源ということになっております。不法開設局対策、あるいは周波数資源開発、あるいは周波数の有効利用促進計画などということをお考えになっていると思いますけれども、その点についてどのような方針でお臨みになるのか、最後にひとつ大臣の方でお答えいただければありがたいのですが。
  152. 白井太

    白井政府委員 事実関係だけ私の方で御答弁をさせていただきたいと思います。  電波利用料をいただくことにしたということで、今年度予算では約七十五億円を電波利用料による収入として考えまして、同じ額について、電波の監視施設の整備とか総合無線局ファイルの整備などの予算を組ませていただいております。それらについてもこれから計画的に進めていくということを考えておりますので、今年度だけですべて終わるということではありませんが、せっかくの利用料制度でございますので、それらを有効に活用いたしまして、先ほど来先生からもいろいろな御指摘をいただいておりますが、できるだけ良好な電波利用環境の整備ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
  153. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 不法無線対策等、十分進めていただきますように心からお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
  154. 亀井久興

    亀井委員長 次に、菅野悦子君。
  155. 菅野悦子

    ○菅野委員 法案についてまずいろいろとお尋ねをしたいと思うのですが、違法無線が百万というふうな数になっているという状況、それからその内容も随分とひどくなっておりまして、例えば大阪の近鉄南海線、それから東京の東急線などの鉄道用無線妨害されるとか、大阪空港では飛行機の離発着をコントロールする管制システムの画面が突然消えてしまった、あるいはまた市の消防無線妨害される、また心電図がぷっつりとというふうな報道を見ますと、本当にこれは大変だと思うわけですが、そういう中で、何としてもこういう違法無線、この妨害をなくしたいということでの法改正だというふうに認識しております。  まずお尋ねしたいのは、この法律の施行によって、違法無線不法無線というのはどれぐらいなくなるというふうにお考えになっていらっしゃるのか。例えば数字的に何%ぐらいというふうな予想ができるものかどうか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
  156. 白井太

    白井政府委員 率直に申し上げまして、数字的にどの程度の効果を上げることが期待できるかということについてお答えするだけの用意がまだございませんが、今回の違法対策が講じられることですべての不法無線局がなくなるというようなことは、なかなか期待はできないと思っております。ただ、こうした不法無線対策というのは、いろいろな手だてを講じていくということによって、ちょっと言葉は不適切かもしれませんが、できるだけ外堀を埋めていくというような考えでやらせていただくより仕方がないのではないかという気持ちを率直に言って持っておるわけでありまして、そうした意味では、今回御提案を申し上げております内容も決して無意味ではない、無意味ではないところか、かなりの効果を期待していいのではないかということを私どもは考えておるところでございます。
  157. 菅野悦子

    ○菅野委員 私も、その辺ちょっと、どの程度改善できるのかなと思いまして、関係者のお話を聞きに行ったんですね。そうしたら、先ほど来実効性という問題がいろいろ言われておりますけれども、その方の話でも、〇・〇〇数%ぐらいではないか、その程度の効果しかないのじゃないかというふうなことで、法改正による実効性という点で非常に疑問視をしているというのが現状なんですね。  先ほど来局長もマニアという言葉を使われましたけれども、買う側というのは相当知識を持っていらっしゃる、今も雑誌が示されておりましたけれども。ですからそういう点で、買いに行く側の目的意識的なそういう購入姿勢ということから考えて、販売段階で告知という程度で果たしてどの程度の不法無線を、この妨害をやめさせる、その点での実効性があるのかなというのを率直に疑問に思うわけなんです。  昨年、電波利用料導入いたしました。そのときに、受益者負担という考え方がはっきりこのとき入りました。それは、監視体制を強化するということによって妨害電波も減らせます、あなたにも受益が起こるんですというふうな説明のもとに電波利用料というものが入れられたというふうに思うのです。ところが率直なところ、利用料を取ることにはなったけれども、こういう不法無線がなくなるという、その辺が全く自信がないという状況がある。そこで、多分いろいろな手だて、何とかならないかなということで知恵をお絞りになったのではなかろうか、御苦労なさっているのかなというふうに思うのですけれども、その辺での発想からの今回の法改正なのかなと思っておりますけれども、その点いかがでしょうか。
  158. 白井太

    白井政府委員 現在の電波法制度のもとにおきましても、いわゆる不法電波のための規定といいますか、不法電波を取り締まるための規定は幾つかあるわけでございます。  ただ、そうした規定だけではやはり制度としてもまだ不十分だ、どこが最も制度として欠けている点なのかということでありますが、これはやはり無線機器を買われる方が、法律を守らないといけないといいますか、あるいはこういう使い方をすると違法な使い方になるということを、まずはわかっていただくということが第一歩でありますし、それを承知で違法無線を、あるいは不法無線無線機利用したというような場合には、これは今度は、制度というよりも実際の電波監視という仕事の中でそうした不法無線のもとをきちっと把握するというようなことをして、制度的な措置を講ずる、場合によると罰則を科すというような仕組みをしくということになるわけであります。それで、今回御提案申し上げている、無線機が個々の利用者の方に渡るところあるいはその段階での手当てというのが実は一番欠けておったということでございます。  ところで、販売店で個々の利用者の方に売るときにどういう手だてを講ずるか、どういう手当てを講ずれば不法対策として効果が上がるだろうかということ、これはいろいろあるかと思うわけであります。これが関係のところとのお話の調整になかなか時間をとったところでありまして、調整の結果が今日のようないわゆる告知というような制度に落ちついたということでありますけれども、もちろん考え方からすれば別に告知だけではなくてほかの方法もいろいろあり得ると思いますけれども、やはり小売業者の方といいますか、機器を販売する方々の御協力を得ながらやっていくということでございますので、余り過大な負担をおかけするというわけにもいかないということで、今日御提案申し上げているような内容になったわけでございます。
  159. 菅野悦子

    ○菅野委員 不法無線局の開設をもっと本格的に防止するということをやろうと思えば、先ほどやりとりがありましたけれども、製造、販売の禁止、ここのところでやはりはっきり歯どめをかけるというのが、これは一番いい方法だろうと思うんです。しかし、それはできない。それで今度、販売するときに買った人の名前を掌握しようというふうなことをお考えになったようだけれども、これも法制局の方から憲法違反になりますよということでだめになった。しかし、利用料を入れましたし、受益者負担という名目上、何もなしということにはできなくて、いろいろ御苦労をいただいた上で、結局考え出したのがこの法案ということになったのかな、これが本当のところかなというふうに私などは理解しているわけなんですけれども。  ところで、電波利用料の問題なんですが、これがこの四月から納入されておりますね。この納入状況についてまずお伺いしたいと思うんです。これ、四月から請求実務が始まっておりまして、四月に免許を取得した人には四月に請求する、五月に取得した人には五月に請求して納入されるというシステムで、大体一カ月以内に納入するということになっているようですけれども、そこでお尋ねしたいのは、四月分の納入状況なんですけれども、どういうことになっているかその辺をお伺いしたいと思います。
  160. 白井太

    白井政府委員 本年の四月一日から実施をされました電波利用料制度でございますが、これをお納めいただくのは、その方が免許をお受けになった日から一カ月以内に納めていただくということになっておりますので、厳密に言いますと、四月一日にスタートしてから実は毎日毎日、納めていただくために納入告知書をお送りする人が出てくるということになっております。  それで、いわゆる債権額と申しますか、納めていただくということで、四月中に債権が決まっているものというのが一億九千五百万円でございます。したがいまして、これは、納入告知書を発送するというのが、一日に発送したのもあれば、うんと四月の月末になって発送する、場合によると四月の三十日に債権が発生したという方については納入告知書をお送りするのは五月になってからというようなものもすべて含めまして、一億九千五百万円ということになっております。  それで、四月末日までに実際にお金として納付された利用料はどのくらいかといいますと、四月末日現在で三千九百万円というような数字になっております。
  161. 菅野悦子

    ○菅野委員 金額でお答えいただいたわけですけれども、私が先日お伺いした件数でいいますと二十万件ぐらいというふうなことで、いろいろと現場の方の話では、割とアマチュアなどは比較的よく入っている。ただ、パーソナル無線の方が四割程度、これがぐっと低いというふうな話なども聞いているんですけれども、そういう中で、請求を出した、納入告知書を出したんだけれども、あて先不明で返ってくるというケースもあろうかと思いますけれども、これはどの程度なんでしょうか。
  162. 白井太

    白井政府委員 住所にお送りしたのですけれども、あて先がというか住所が変わっておって、納入告知書が戻ってくるというのがどのくらいあるかということでありますが、正確な数字を実は持っておりませんが、率直に申し上げて一割くらいが住所が変わってわからないということで戻ってきているようだというふうに聞いております。
  163. 菅野悦子

    ○菅野委員 二十万件の一割といいますと、やはり二万件前後ということになりますね。その中でもパーソナル無線の方が若干多い、二、三割返ってくるというふうな話のようであります。ですから、数的にもそこそこの数になるなというふうな認識をしております。  そうしたら、もう一つ、この利用料の請求実務が始まって以来、いろいろと問い合わせとか苦情の電話が相当かかっているようなんですけれども、その件数などについてはいかがでしょうか。
  164. 白井太

    白井政府委員 確かにいろいろなお電話があるようでありまして、もちろん内容についてのお尋ねというような、問い合わせというようなものもありますし、それから、もちろん中には苦情といっていいような電話をちょうだいすることもあるようであります。これが全国で、全体で合わせてみますと、二カ月経過したわけでありますけれども、この二月間にそれぞれ一万件ずつくらいのお電話をいただいたということになるということのようでございます。
  165. 菅野悦子

    ○菅野委員 おっしゃいましたように、苦情というか問い合わせというか、そういうものが随分あって、使ってないのに、持ってないのになぜ請求が来るんだというふうなのが特にパーソナルなどには多いということで、それは免許があるからなんですよということになりますと、ああそうかということになっているようですけれども、そういうことになりますと、不法無線の主役であるパーソナル無線など、結局これにそういう場合が多いというわけなんですけれども、廃止届が出るということになるのかなと思うんです。ところが、請求書が来た、納付書が来たから、その人は廃止届を出した。しかし機械は残るわけですよね。  この電話の件数も、確かに四月、五月、それぞれ一万件くらいとおっしゃっておられましたけれども、多いときには、関東局、一日一千件ぐらいの電話があったという日もあると聞いておりまして、そしてそれを、それぞれいっぱいだからといってほかの課が電話を応対していたのでは仕事にならないから、担当課以外はもうとるなと言ってとらせなかったというふうな話も聞いておりますから、本当はもっとかなりそういう問い合わせがあったのかな。  そうしたら、これは結局、そういう形で免許を持ってなかったら、廃止届を出したら次から請求書はもう行きませんよということになって、廃止届が大量に出る。しかし機械は残る。こうなると、ある場合には、それが車に載ったまま所有者が変わるという場合もあるでしょうし、結局その機械自身が使用者不明のまま潜ってしまう、不法無線という形になってそれが大量にふえるということになるのじゃないかなというのを率直に危惧するんですけれども、何かそういう点で対策を持っていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思うんです。
  166. 白井太

    白井政府委員 パーソナル無線について、住所が変わったりする割合が非常に高いというのは、実はパーソナル無線については免許の有効期間が十年という、ほかの無線局にはない非常に長い有効期間が制度的に決められているものですから、中には、もう使わなくなった、あるいはもう機械がなくなってしまったというような方もいらっしゃるということが苦情の電話などになってあらわれてきているということではないかと思います。  正直に申し上げまして、私どもからいたしますと、そういうお申し出をいただいたりなさっている方というのは非常に実は良心的な方でありまして、現在の不法パーソナル無線のほとんどは、実は免許の手続を全然とらずに、中を改造して不法電波を発するということで使われておるというのがほとんどでありますので、免許の手続をとってそうしたパーソナル無線を使っておられる方というのは、これはもちろん電波利用料を納めていただく対象になっているわけですが、そういう方は非常に良心的な方だというふうに考えておりまして、不法電波の対策を講じる対象というのはむしろこういう方々ではなくて、もともとパーソナル無線の機械を買いながら全然免許の手続をとっていないというものが相当な数に上っておるというところが実は問題だと思っております。  したがいまして、ただいま先生がおっしゃいましたようなケースについて特別の対策を講じるということは、率直に申し上げて考えていないわけでございます。
  167. 菅野悦子

    ○菅野委員 といいますのは、不法無線百万台とか言われている中で、やはり七、八十万というふうな台数ということとか、それからいろいろと、結局届けたけれどもあて名がないとかわからないということで返ってきている件数とかいうふうなのが多いわけですから、そういう点ではこの部分というのはきちっと一定の配慮を置いた対応を考えていただかなければ、そうでなくても相当なふえ方をしているわけですから、その辺もぜひちょっと注意して、注目をして対応していただきたいということを重ねてお願いしておきたいというふうに私は思うんです。  それから、このように問い合わせがたくさんあるというふうな状況の中でちょっと考えることなんですが、この利用料徴収に当たって、利用料制度をつくったということに当たって関係者に徹底してしかるべき措置もとってやるということを国会の中でもやりとりし、御答弁もあってこれはスタートした制度なんですけれども、こういう今の実態を見ていると、関係者、国民合意というのが、また周知そのものも不十分だったのかな、だからこういうことにもなっているのかなというふうにも思うんです。  そこで今そこそこ幾つかの問題が出てきているのではなかろうかというふうに思うんです。一つは、今言いました不法無線がふえるという可能性、このことについてどうか、これは今御回答いただきましたけれども。  それから二つ目は、利用料制度ができましたから、利用料払っているんだから不法無線の対策についてをきちんとしてくれという要求——いわゆる受益者負担。ここです、払っているんだと、現場にもそういう話がありましたが、今不法無線が入っている、すぐ来てちゃんとしてくれというふうな要求が出始めているということを聞くわけです。ですからそういうふうな状況の中で、結局不法無線なくすからということで受益者負担、利用料が入ったということがあるわけですから、そこそこきちっとした対応も現場ではどんどん要求されてくるという現状があるわけですが、こういうことについてどういうふうに対応なさるおつもりかそのお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
  168. 白井太

    白井政府委員 率直に申し上げて、この電波利用料制度ができたために逆に不法無線局がふえるというようなことに結果としてならないかという御心配のようなお話のようにお聞きいたしました。私どもとしてはそういうことまで考えておるわけではありませんが、ただこれは今スタートしたばかりでありますので、この制度がどういうような形で利用者といいますか国民の皆様方の中に定着していくのかというのは、もちろん今後の推移もきちっと注意して見ていかなければならぬと思いますので、もし万が一句か不都合なことが出てくるというようなことになれば、これはそのときそのときできちっとした対応をしていくということをしなければいけないというふうに思います。  それから、不法無線局についてきちっとした対策をとってもらわないと何のために利用料を納めたかわからないじゃないかというようなお話、これもごもっともだと思います。したがいまして、不法電波対策というのは、これは利用料制度を創設した以上、今までの何倍も不法無線対策というのに積極的に取り組んでいかなければならないということは、先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、これが本当に即効があるか、すぐ効果があらわれるかというようなことになりますと、余り甘いことを申し上げるのはこれはかえって不正直だということになりかねないと思いますので、一日もおろそかにすることはできませんが、そうかといって一日や二日で効果があらわれるということでもないということも頭に入れまして、毎日毎日、長い期間かかってもとにかく懸命の努力をしていくということではないかと思います。  それから、PRの関係についてもお話がございました。私どもとしては、昨年からことしにかけましていろいろな手だてを講じまして、国民の皆様あるいは免許を受けた皆様方の御理解を得るように、PRということについては最大限の努力をしてきたつもりでございます。ただ、そうはいいましても、新しくスタートさせる制度、それもお金をいただくというための制度でありますので、これはPRというか周知というのはどれほどやってもやり過ぎた、あるいはやり過ぎだとということはないと思いますので、これからも本来のこのような制度の趣旨というものについて広く国民の皆様方の御理解が得られるような努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  169. 菅野悦子

    ○菅野委員 そこで、局長おっしゃいました不法無線の監視体制、これを強化してということでございましたので、そこのことをちょっとお伺いしたいと思うんです。  利用料制度、これを始めるときにもそういう不法無線の監視体制、設備の強化を図るということがあったわけです。先ほどの答弁の中でもそういう遠隔方位測定措置、設備ですか、こういうものをとったりとかつくったりとか、それから監視車についても六台ふやしましたよというふうなお話もあったわけです。もちろん機械は、そういう設備は必要ですけれども、あわせて肝心なのは、それを動かす人、これも非常に大事だと思うんです。  それで、地方電気通信監理局とそれから監視要員の人の推移ですけれども、この辺を十年前との比較とか傾向について御説明いただきたいと思うのです。簡単で結構です。
  170. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 地方電気通信監理局の定員については、十年前の五十八年度につきましては千七百八十六人でありましたけれども、昨年度、平成四年度には千六百十五人ということで、この間に三次にわたる五カ年の定員削減計画もありましたので減少しております。  ただ、お話電波監視要員についてでございますが、地方電気通信監理局におきますところの電波監視要員につきましては、十年前の五十八年度が三百二十七人でありましたけれども、その後、監視業務の機械化だとか業務の見直し等によりまして、平成四年度には二百七十四人に減少しておりますが、平成五年度、今年度は電波利用料導入によりまして二百八十三人、九名増員してございます。
  171. 菅野悦子

    ○菅野委員 私もこの話を聞いて実はびっくりしたんですけれども、結局、利用料徴収実務というのはことしから始まったわけですね。そしてこれは八百万件対象にして七十五億円のお金を集める、そういう仕事がことしから新たに出ておるわけです。丸々新しい仕事です。ところが、それをやっている人が結局千六百十五人、十年前から比べたら百七十人減ったままですから、これだけの仕事がふえているにもかかわらず人は減っているという状況がある。その一方で、この監視体制の方ですけれども、監視要員の方も結局十年前から比べたら五十人減っていて、いや、ことしは九人ふやしましたということですけれども、ずっと減員になってきているという傾向は、これは変わってないわけですね。  ですから、これは私、ちょっと大変な問題じゃないかと思うんですね。今、窓口どうなっているかと先ほどから聞いたんですけれども、結局、納入告知のあて先がわからぬということでどんどん返ってくる、電話はどんどん鳴りっ放し、こういう状況があるわけですから、これだけの実務をふやしてそしてやるということを、やはりそのために利用料徴収したということではなかったのかなと私は思うんですね。  ですから、ずっと局長の話を聞いていても、これ、ずっと今から毎日毎日繰り返されていくわけですから、そういう点ではちょっとこの体制ではいかがなものか。これでもし、ますます利用者に何か迷惑をかけるということになったら、一体これどないなってるんだということで、郵政省国民の信用をなくしてしまうのと違うかなということを私は率直に思うわけですね。ですから、その辺で、この点どうなのか。  ですから、実務的な体制も、それから具体的な違法無線を監視する体制も、今ぐっと悪くなっている、人員の面では。このことについて、私は本当にこれは大変な事態だと思いますが、この辺はどんなふうにお考えか、大臣の意見もぜひ聞いておきたいと思います。
  172. 白井太

    白井政府委員 体制の問題については、人員面でもぜひその体制の強化を図りたいというのが私どもの率直な気持ちでございます。特に、動きながらの不法無線といいますか、実際には車などに積んだ機械を用いまして不法電波を発するというようなことをやっておるということになりますと、それを捕捉するためには、どうしてもこれを把握する方の私どもの方の側も、実際に車を走らせて違法源をつかまえるというようなことをしなきゃならぬということにもなるわけでありまして、どうしても人手がかかるということは事実でございます。  ただ、他面、公務員はできるだけ余り数をふやさないようにしなければならぬという国民的な広い要請もございますので、私どもとしては、できるだけ人手がかからなくて効率のいい監視体制あるいは監視のための設備をつくるというようなこともあわせて考えていかなきゃならぬわけでありまして、そういうものも考えてまいりますが、人的な面でもできるだけの努力をしていくということをやってまいりたいというふうに考えております。
  173. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 完全な不法無線の防止対策とか、監視体制の問題でも、十分とは言えないと御指摘のとおりの面もあると思います。しかし、これからの電波利用の秩序等を考えまして、一歩でも二歩でも前進させたいという点をぜひとも御理解いただきまして、今御指摘の点も踏まえまして、より一層この不法無線とかあるいは監視体制の強化充実に努めてまいりたい、そう思っております。
  174. 菅野悦子

    ○菅野委員 利用料を入れたときの基本的な立場、結局たくさんの無線がふえているから、だからそれをきちっと掌握するために、実務的にもちゃんと体制を組まぬといかぬということ、あるいは、違法無線がふえているからそれをきちっと取り締まるためにも利用料が要るということで入れたことなんですから、ところが、やっていることは全くそのとおりになっていないという状況については、私は大変だと思います。ですから、抜本的なこの対策をぜひお願いをして、終わりたいと思います。
  175. 亀井久興

    亀井委員長 中井洽君。
  176. 中井洽

    ○中井委員 私どもはこの法案に賛成でありますし、既に午前中からかなり各党同僚議員から微に入り細にうがった質疑がなされておりますので、余りお尋ねすることもないかと思うのですが、幾つかの点で質問をしてまいりたいと思います。  最初に、電波利用税というのですか、七十五億という予算が組まれているのですが、これは八百万ぐらいあります無線局、一〇〇%徴収という形で計算してあるのですか、それとも九〇%ぐらいの徴収という形で計算した金額ですか。
  177. 白井太

    白井政府委員 電波利用料というのは原則としてすべて免許を受けておられる方からお払いいただくということになっておりますので、理論的には一〇〇%いただくということが筋でありますし、また、そうしなければ公平の原則が崩れるということになるわけでございます。  ただ、この制度自体は今年度始まったばかりでございまして、住所のわからない方というのもあり得るわけでございます。もちろん、住所のわからない方も再免許までには何とか住所を把握するとか、あるいは、再免許の際にいろいろ事情お話しして納めていただくということで、結果としては私どもとしては一〇〇%ということにしたいと思いますが、平成五年度の予算の積算の段階では、率直に申し上げて、ただいま申し上げましたように始まったばかりでもあるということで、俗っぽい言葉で申し上げますと、ちょっと率は忘れましたが、ある程度の歩どまりというのも考えまして積算をさせていただいております。
  178. 中井洽

    ○中井委員 どのくらいの率が、また後で計算根拠を教えてください。  それから同時に、七十五億のお金の使い道が幾つか載せられているわけでありますが、利用料徴収経費で九億五千万ほど計上がなされていると私は承知しておりますが、間違いありませんか。
  179. 白井太

    白井政府委員 そのような数字であるようでございます。
  180. 中井洽

    ○中井委員 七十五億集めるのに徴取手数料が九億五千万というのはちょっと異常に高いのじゃないか。八百万でありますけれども、金額の主なところはNHKさんとかあるいはNTTさんとか、大口であろうかと思うのですね。もう少し工夫の仕方がないのですか。一一・二%も手数料がかかる。皆さんの郵便局の切手やらはがきを売ったってこんなに手数料くれませんし、たばこだって七%もないのですよ。これ、ちょっと経費がかり過ぎじゃないですか。
  181. 白井太

    白井政府委員 当時、予算編成の段階で私どもともいろいろな議論をしたことがございますが、一番経費としてかかりますのは、やはり納入告知書をつくってそれを発送するというような経費か実は大変多くかかるようでございます。もちろん、納入に伴っていろいろな経費もかかるわけでありますけれども、こうした経費については毎年できるだけこれを節減すると申しますか節約をして、実際に利用料としてお払いしていただいたお金が本来の監視等の仕事に振り向けられるように注意をしていかなければならないというふうに考えております。
  182. 中井洽

    ○中井委員 私も自動車電話を持っておるのですが、これは私のところに直接来るのですか。NTTさんの自動車電話です、NTT、経費でお払いするのですか。どっちですか。
  183. 白井太

    白井政府委員 自動車電話のようなものについては、電気通信事業を行っておられるところに参ります。
  184. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、自動車電話の台数やら考えますと、そんなに多い数じゃない。それに九億数千万も徴収費用がかかるというのはちょっと僕はどうかなという感じがいたします。十分御検討いただきまして本来の目的に使えるように御努力を賜りたい、このように要請をしておきます。  それからもう一つは、これだけのお金を集めて、郵政省、もともとは不法電波取り締まりだけが目的でこの利用料というのを始めたわけではありません。いろいろと御苦労の中で、こういう目的ならということで当委員会も賛成のもとに成立をして運用されているわけであります。しかし、実際にこれから監視体制やら摘発やらいろいろなことにお金をつぎ込んで不法無線の摘発をやっていっても、実際にそれがどんな効果があるのか。なかなか私も無線というのはわかりません。わかりにくい。  例えばここに混信のデータ等をいただいています。これを見ますと、航空だとか放送だとか警察、消防とありますが、混信の申告件数でも平成四年で二千件、大変少ないなと思う。こういうことをなくすためだけに数十億円のお金を何年もかけて使わなければならないのかな。私ども電波利用料に賛成しましたけれども、どうもちょっと違うんじゃないかな、こんな感じを抱くのでありますが、いかがですか。
  185. 白井太

    白井政府委員 混信等があったということでいわば苦情のお申し出があったのがそういう件数だということでございますが、実際にそうした混信というか妨害などが起こっている件数ははるかに多いわけでありまして、地方電気通信監理局で把握しているものだけでも年間三万件ぐらいの件数があるようでございます。それからまた、現実に私どももラジオなどを聞いておりますと、ラジオの中にそうした違法無線電波が入ってくることが時々ありまして、そうしたものもカウントすることになりますと件数ははるかに大きなものになるかと思います。  ただ、問題は、私どものラジオに入ってくるだけだと余り大きな被害はないとも言えなくはないと思いますけれども、しかし重要無線にいろいろな妨害が入ってくるということになりますと、これは大げさに言いますと人命にも影響するというようなことにもなりかねないということが懸念されるわけでありまして、例えば航空機の航行などについても無線利用というのは切っても切り離せないわけでありますけれども、こうしたものに対する妨害というようなことになりますと大変重大な問題にもなりかねないということでございますので、どうしてもこの辺についての対策はきちっとできるだけの対策を講じる必要があるのではないかというのが私どもの率直な気持ちでございます。
  186. 中井洽

    ○中井委員 電波利用料は三年で見直し、こういうことになっております。七十五億から八十億ぐらい。そのうち監視強化に、あるいは不法局の取り締まり強化にどれぐらいのお金が回るかわかりませんけれども年間二十億、三十億回ったとしても三年たてば七、八十億の大きなお金になってまいります。それだけかけて本当に不法無線局がどれぐらい取り締まれるのか、どれぐらい混信がなくなってくるのだろうか。そういう目標みたいなものがおありでやっていらっしゃるのですか。
  187. 白井太

    白井政府委員 正直に申し上げて、数字的な目標というのがあるわけではございません。  ただ、半面、私どもとしては、こうした施設の整備をしていくというようなこと、あるいは制度面でも今回お願いしているような手当てをするというようなことによって期待できる効果というのは決して少なくはないというふうに思いたいわけでございまして、今日においてもかなりの不法電波というのを把握しておりますので、こうした設備の整備が図られますと当然この数字はうんと上がってくるということは期待していいと思うわけでありまして、数字の上でどの程度のということは申し上げにくいわけでありますが、最大限そうした効果が発揮できるように運用をしていかなければならないと思っております。
  188. 中井洽

    ○中井委員 お話がありましたように、電波利用料だけではなしに、今回の法律改正で、片一方では免許を取りやすくしようということであろうかと思います。そして、できる限り、届け出までとはいきませんけれども、そういう発想で不法を減らしていこう、そして片一方ではお金をかけて取り締まろう、このことはよく承知をいたします。  先ほどから、同僚議員から日報の話なども出ておりました。私も過去二回ほど実は日報を書いたことがありますが、あんなものむだだということを申し上げたこともありますが、例えばどういう簡素化になっているかというのがなかなか利用者には見えてこない。届け出書類、申請書というのはどれだけ簡便になったのと言って、ファクスで送ってもらったのですが、余り簡便になっているように思わないな、こういう感じを抱いております。もし積極的に許可を取りやすくするというなら、もっといろいろなやり方があると思うのです。例えば、私は三重県ですが、三重県に住んでいる者が免許を取ろうと思ったら、やはり名古屋に行かなければいけないのでしょう。違うのですか。どうなんですか。
  189. 白井太

    白井政府委員 これもちょっと手元に数字等を持ち合わせておりませんので抽象的なお話になるのをお許しいただきたいと思いますが、現実に、免許の手続につきましては、特に簡単な無線局につきましては例えば申請の代行というのをかなり認めておりまして、すべての無線局について地方電気通信監理局まで御本人が出向かなければいけないということをしないで済むような方法を実際にはかなり多くとっておりますので、大きな設備等を伴うものですと別でございますけれども、そういう面でもできるだけの配慮はさせていただいているつもりでございます。
  190. 中井洽

    ○中井委員 申請して免許がおりてくる日にち的にはどうですか。少し短くなったり、すぐおりてくるというような形にしてあるのですか。
  191. 白井太

    白井政府委員 この点につきましても、本日御審議をいただくということでちょっと数字を調べたのでありますけれども、率直に申し上げて、一年前と比べて今日で、申請してから免許を受けられるまでの日数が目立って減っているということはございませんでした。ただ、処理の件数は非常にふえてきておりまして、ある意味からすると、件数の割合にしては日数はふえていないというのは処理がかなり迅速に行われているということではないかと思います。  ただ、この点につきましては、これも電波利用料で私ども整備をさせていただきたいと思っております総合無線局ファイルというコンピューターシステムができ上がりますと、これは明らかに日数が大幅に短縮できるというふうに思っております。ただ、このファイルができ上がりますまでにまだ二、三年、三年計画でやっているものですから、その間ひとつ御辛抱をお願いしたいと思うわけでございます。
  192. 中井洽

    ○中井委員 今度の法律改正で小売店さんにというあれがありますが、店で届け、許可が要りますよと言っても、届け出の書類が難しい。名古屋まで、あるいは電波監理局まで行かなければならない。日数がかかる。だれも、ちょっと持たせたら、すっと無許可でやってしまうということであろうかと思うのです。私どもは、どこまで許可をきちっとやらなければならないか、先ほどから接点というお話がありましたけれども、大変難しいことだと思うのです。もっともっと利用が進むのですから、もっともっと簡易に個人が免許を取れる、そんな代理人を使わなくてもやれる。機械を買ったらあしたから使いたいのが人情です。機械を買って一カ月もかかって免許をといったって、だれもそんなこと思いません。  そういった意味で、郵政省はいろいろと簡素化をおやりになっていることを承知していますが、郵政省という省は、お仕事柄、本当にまじめ過ぎて細かいのですね。どうしてもきちきちっと細かくおやりになる。そのことが逆に不法局をふやしておる遠因でもある、こういう意見もあるということをお考えいただいて、簡素化を大いにやっていただきたい、このように要望いたしておきます。  同時に、そういう簡素化を進め、それから不法取り締まりをやっても、僕はなかなか減るのは難しいかなという感じがしています。それにもかかわらずこの電波利用料をこういう不法取り締まりのことだけに多額に使っていく、重点的に使っていくというのはどうだろう。せっかく出していただくお金ですから、もう少しこの電波利用料使い方というのは考えるべきじゃないかというふうに思います。まだ二年ありますから私どもも研究をしていきたいと思いますけれども郵政省におかれましても、料金を取る場合のいろんな制約ありましょうが、発想的に変えていくということを、勉強していただくことをお願いしたい、このように思います。こんな格好で料金が取れるというのなら、それはもう交通違反とか道路政策なんかもみんな罰金で取れということになっちゃう、僕はそういう思いがあります。したがって、せっかくこれ、取る利用料ですから、本当にみんなが喜んで出せる、そういう使用の方法、これを考えるべきだ、このように思いますが、御意見を承ります。
  193. 白井太

    白井政府委員 私ども、今回の法律案国会の方でお通しいただけましたならば、まずはこの不法対策として今回の法律に基づいてとる措置としては、特に不法パーソナル無線と言われているものあるいは不法市民ラジオというものに焦点を当てまして対策を講じていきたいと思います。  ところで、そのパーソナル無線というのの免許という手続は極めて簡単でございまして、販売店で無線設備を購入された方がその無線機についている免許の申込書のようなものに必要事項を記入いたしまして、それを地方の電気通信監理局の方へ送りますと監理局の方で無線機の識別番号みたいなのをくれて、それで使用が可能となるというようなことのようでありまして、免許の手続としては大変簡単な手続をとらしていただいております。  これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども不法市民ラジオというのが横行して非常に困っていたものですから、そうしたものをなくそうということで、簡便な手続で同じような機能を持った無線機利用できるようにしようということでパーソナル無線制度ができたということでございますので、これは告知といいますかそういうことが必要ですよということを言っていただくというのは、これは使わないでやると違法ですよということを改めて認識してもらうということでももちろん役に立ちますが、そういうことを言っていただくだけで免許の手続をきちっととっていただく方も決して少なくはないのではないかと思って期待をしておるわけでございます。  それから電波利用料の使い道でございますが、この不法無線対策については、これはやはりこのままほっておくとかなり問題がありますので、やはりこの不法電波についてはそれを把握できるような施設、仕組みというのはどうしてもつくっておかないといけないと思っておりますが、そのほかに総合無線局ファイルというような、多くの無線局を迅速に管理したり、あるいはいろんな諸手続を迅速に処理するというようなためのシステムをつくろうということでもありますので、その点では少なくとも今日時点では電波利用料の使い道としては大変適切なものではないかと思っております。まあしかし、これとてずっと何十年もこのままでというようなことではもちろんないわけでございまして、常に世の中の動きというものを十分注視してまいりたいというふうに思っております。
  194. 中井洽

    ○中井委員 直接法案には関係ありませんが、電波ということで二つだけお尋ねをしたいと思います。  一つは、モトローラ社が中心となりまして衛星携帯電話網、イリジウム計画、こういうのがありまして、六十数個の人工衛星を打ち上げて、地球上どこからでも携帯電話電話がかけられるようにしよう、こういう大変夢のある計画であります。日本の幾つかの企業も出資をする、こういうように私どもは聞かしていただいておりますが、そういうふうになりますと、日本国内ではNTTとKDDと分かれた行政機構になっております。電波というのは国境を越えますから、こういうように電波が国境を越える、そういう時期に本当に今の国内だけを考えた郵政行政というのはどうなんだろうか、こういうのにどういうふうに対応していくんだろうか。  あるいは、二、三年前に私、委員会で質問しましたけれども、韓国へ行っても台湾へ行っても上海へ行っても日本の衛星放送を見られる。同時に、アジアの国々がいろんな放送衛星を打ち上げて放送を始めれば日本でも受信できる。場合によったらアメリカの衛星放送も、アンテナさえきちっとやれば日本でも受信可能になっているんじゃないか、こんなふうに思います。  そういう国境を越える電波、これらに対してどういう発想で郵政省として行政を総合的に、また合理的にやっていこうとしているのか。直接この二つのことにお触れにならなくてもいいですが、基本的な考えをお聞かせいただきます。
  195. 白井太

    白井政府委員 いわゆるイリジウム構想と言われておりますものについての中身の説明の方はこの際は省略をさせていただきますが、イリジウム計画というものについては確かに一つの問題として、ただいま先生がおっしゃいましたような国内と国際との切り分けの問題に影響してこないのかというお話があるわけでございます。と申しますのは、イリジウム計画で示されているような移動通信利用が可能になりますと、日本の成田で電話をしてそれをそのまま持って、例えばロンドンに行ってその電話機を使って日本に向けて、今ロンドンに着いだというような通話をしてくるということが可能になるということでありまして、まさに国内と国際という問題をどのように考えるかということにそのまま影響をしてまいります。  それから、衛星を利用して外国との通信をするとか、あるいは、その通信用の衛星を使いまして放送番組が流されるというようなことも確かにあるわけでありまして、このような国内と国際の問題について今後我が国としてどのように考えていくのかというのは、これからの電気通信政策として考えなければならない大きなテーマのうちの一つであるというふうに私どもも考えておりまして、省の中でもいろいろな角度からの議論をし、またこれからの取り扱いについてこれからもできるだけ急いで検討を詰めていこうというような段階にございます。
  196. 中井洽

    ○中井委員 私は郵政省の行政を見ていますと、CATVでもテレビでも非常に細かくきっちりとおやりになる。しかし、扱っている対象は、片一方は国民だけれども、片一方は国境を越えた電波だというものであり、したがって、従来の発想のような法的な枠では、あるいは行政枠では到底とらまえていけない時代がもう目の前に来ている。こういうのにどういうふうに対応して日本技術先進国として積極的にそういう分野を進めていくか、またそれによって国民に幅広い、また夢の多いサービスを提供していくかということは一番大事なことだと考えております。どうぞ従来の枠にとらわれずに研究、勉強、また発表あるいは世界の技術をどんどん受け入れる、そういう心意気で行政に変化をつけていただきたい、このことを要望して質問を終わります。
  197. 亀井久興

    亀井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  198. 亀井久興

    亀井委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  199. 亀井久興

    亀井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  200. 亀井久興

    亀井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、佐田玄一郎君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。上田利正君。
  201. 上田利正

    上田(利)委員 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項に留意して、その実施に努めるべきである。  一 高度情報社会の進展に伴う電波利用の重要性にかんがみ、その秩序ある発展を図るため、利用者・国民の意見を踏まえた電波利用の将来を展望し、健全で活力ある電波利用の基盤整備に努めること。  一 電波監視体制の充実・強化をより一層推進するとともに、関係機関との連携の強化を図り、不法無線局の根絶に努めること。  一 指定無線設備免許情報告知制度及び技術基準適合証明の表示の除去義務についてその周知徹底に努め、もって不法開設局の防止に万全を期すること。  一 電波利用料の確実な収納に努めるとともに、電波利用料制度の実施状況等を明らかにし、その定着を図ること。  一 周波数の有効利用を一層促進するとともに、新たな周波数資源開発を行う等電波利用技術の研究開発をさらに推進すること。  一 無線局数の増大に適確に対処するため、電波行政規制緩和を図るとともに、行政事務の簡素・合理化を一層推進すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。(拍手)
  202. 亀井久興

    亀井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 亀井久興

    亀井委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、小泉郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉郵政大臣
  204. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 ただいま電波法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  205. 亀井久興

    亀井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 亀井久興

    亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  207. 亀井久興

    亀井委員長 次回は、明三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会