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1993-04-16 第126回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月十六日(金曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君    理事 福永 信彦君 理事 古屋 圭司君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 山口那津男君       井奥 貞雄君    石橋 一弥君       中谷  元君    西田  司君       吹田  愰君    穂積 良行君       渡部 恒三君    五十嵐広三君       加藤 万吉君    北川 昌典君       北沢 清功君    小林  守君       佐藤 敬治君    小谷 輝二君       斉藤  節君    吉井 英勝君       神田  厚君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 林  義郎君         自 治 大 臣 村田敬次郎君  出席政府委員         大蔵大臣官房総         務審議官    日高 壮平君         大蔵大臣官房審         議官      薄井 信明君         大蔵省主計局次         長       竹島 一彦君         大蔵省理財局長 藤井  威君         国税庁調査査察         部長      野村 興児君         自治大臣官房長 吉田 弘正君         自治大臣官房審         議官      松本 英昭君         自治省行政局長 紀内 隆宏君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         経済企画庁調整         局財政金融課長 筑紫 勝麿君         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二九号)      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、大蔵大臣に対する質疑中心に議事を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 きょうは、地方交付税法審議大蔵大臣においでをいただきまして、ありがとうございます。  地方財政の収支の基調は国の経済財政政策基調と同一の基調に基づくものでありますから、結果的に国の公経済というものを国と地方とで支えるという観点から見まするならば、国の財政の行方あるいはこれからの経済見通し、こういうものが極めて重要な影響を持つことは申し上げるまでもないと思うのであります。したがって、今日の経済動向を一体どう見るのか、これは、平成四年度における経済見通し誤りから参りました交付税減額措置にも見られますように、極めて重要であります。  先般、閣議で新しい総合的な経済政策が発表されまして、率直に言って、交付税審議をするという過程では私は実は戸惑いを覚えておるのであります。それは、平成五年度の予算案そのものは、今日の景気低迷の中から分析をし判断をして、結果的にこの平成五年度予算をもって日本経済は三・三%の成長率を持ちながら展開をされていく、こう思っておりましたし、また、それを基調にして平成五年度予算提案をされたものだ。しかし、旬日を経ずして今日新たな総合的な経済対策を発表されたということになりますと、一体平成五年度の予算審議というのは何だったのかという疑問を持たざるを得ないのであります。  そこで、大蔵大臣にお聞きをいたしますが、自治大臣からは今日の経済動向に対する閣議での視点というものが当委員会において発表になりました。この際、大蔵大臣、今日の日本経済動向を一体どう見られているのか、さらに、今度の総合経済政策というものは、その動向から見てどういう視点から新たにこれだけの総合経済政策を展開しなければならなくなったのか、まず所見をお聞きをいたしたいと思います。
  4. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 加藤議員の御質問にお答え申し上げます。  私は、ことしに入りましてから、最初は大変に景気が悪い、いろいろなことを言われておりましたけれども、三月ぐらいからいろいろな指標が出てまいりましていいところも少しは出てきたということでありますけれども、これらを判断しまして、すぐに景気上昇過程に入ってきたというふうなところではないと思っておるところであります。まだまだいろいろな点で考えていかなければならない、また予断を許さないような状況があります。  いろいろな指標がと申しましたけれども、例えば一月、二月の自動車の販売でありますとか、あるいは百貨店の売り上げが三月に少し変わってくるであろうとか、あるいはマネーサプライが動いてくるということであるとか、また、企業家なり一般投資家の方々の経済に対する見通しとして言われておりますのが株式の市況でありますが、株式相場が二万円になってきた、相当のところまで回復してきた、昨年の八月には一万四千円ぐらいだというような話もありましたけれども、これが相当回復をしてきた、こういうふうなこともございます。しかしながら、まだ鉱工業生産もしっかりしたものではありませんし、全体の足取りとしての金融マネーサプライにつきましても、本格的な伸びを来しているとも言えないところでございますし、そういったところで私はまだまだ底入れしたとかなんとかというような話じゃない、これからまだ低迷しながらと、こういうふうな感じを持っておるところでございます。  そういった意味で、本年の三月三十一日に成立をさせていただきました平成五年度予算におきましては、ことしの一月来御審議をいただいておりましたけれども、その過程におきまして、平成五年度の予算ではそういった景気配慮したところの予算、こうした形で私たち景気回復をと、こういうことでありましたけれども、やはり考えてみますと、まだまだいろいろな点でやっていかなければならないこともあるな、上期の方においては少し公共事業の前倒しなどをすればうまくいくかもしれないが、下期になるとどうなるかというようなこともございまして、私はそういったことを考えまして新しい政策を打ち出していくことが必要であろう、こういうふうに考えまして先般発表しましたような計画をつくったところでございます。  この問題につきましては、私はまだいろいろな形で国会の方の御審議を賜らなければならない点もあると思いますけれども、昨年八月に行いました総合経済対策、それから平成五年度予算、それとまた今回の景気施策によりまして、三・三%の成長に向かって力強い足取りができるものになってきたな、こういうふうな認識を持っておるところでございます。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 経済企画庁においでいただいておりますが、どうなんですか。平成五年度の予算、今大蔵大臣答弁にもありましたように、平成五年度予算をもってしては今日の景気低迷と言われる、あるいは景気足取りが極めて重い、それに対応できないので、今回の十三兆二千億円の経済対策を展開することによって三・三%の経済成長率を求めていきたいし、また、それに力強い自信を持った、こういうことであります。  ということになりますと、平成五年度予算では当初経済企画庁が提起をしてまいりました三・三%の経済成長率、これは先ほど申し上げましたように、そのまま国の財政収入あるいは地方財政収入に連動するわけですから、そういう三・三%の経済成長というものは求められなかったという軌道修正の上に立って今度の総合経済対策が行われ、閣議決定をされたのか。さらに加えて、もしこの経済政策が展開されることによって当初の経済見通し三・三%というGNPの達成は可能になり、なおプラス日本経済成長率はより加速化されていく、不況から脱出することが可能である、そういう指標はどのくらいのパーセンテージに見ていらっしゃるのですか。
  6. 筑紫勝麿

    筑紫説明員 お答え申し上げます。  五年度の当初予算で三・三%が達成可能であると見ておったのかどうかという最初の御質問でございますけれども、私ども五年度につきまして三・三%という実質成長率見通しをお示ししたわけでございますが、この中におきましては昨年八月の総合経済対策、それから景気配慮した五年度の当初予算というものを織り込みまして、これで三・三%は達成可能であろうというふうにお示し申し上げたわけでございます。  経済現状でございますけれども、先ほど大蔵大臣の方から御答弁がございましたように、現在一部に回復の兆しを示すようないろいろな動きがあらわれてきておりますけれども、ただ、従来型の循環的な要因のほかにバブル経済の崩壊の影響といったようなこともございまして、依然として低迷を続けておりまして、予断を許さない状況にあるということでございます。これに対しまして政府としては、昨年三月の緊急経済対策、八月の総合経済対策、さらに先ほど申し上げました景気配慮した五年度予算というさまざまな手を打ってまいったわけでございますけれども、なお、今申し上げましたような予断を許さない状況にあるということで、今般、景気足取りを一層確実なものにするというために総合的な経済対策を講ずることとしたということでございます。  それでは、その見通し軌道修正というようなことがあるのかというお尋ねでございますけれども、ただいま申し上げましたように今回の対策によってこの景気回復への足取りがより一層確実なものになるということで、見通しでお示しした我が国経済の本来あるべき姿、すなわち、インフレなき持続可能な成長経路というものにこの対策によって円滑に移行していくことができる、このように考えておるところでございます。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治大臣、今度の総合経済対策が発表される前、恐らく交付税審議に当たって皆さん勉強されたことは、平成五年度予算が出まして、民間のそれぞれの調査機関は大体よくて二・七%の成長率、悪いところでは二・二、三%の成長率、加えて円高という問題が生まれてきたわけですね。ですから、だれがどう見ても、三・三%からくる財政収入あるいは税収入、この見通しは暗いというふうに見たと思うのです。私も実はそう見ておりました。したがって、今も大蔵大臣からも経済企画庁からも話がありましたように、足取りがこれによってなお堅調化していく、よくなっていくということは、三・三%の見通しをできる限り達成できる条件としてこの新たな経済対策が出たということになるわけですね。  そうなりますと、我々今交付税審議して、一体、税収入からくる交付税が三二%、今年度の出口ベースのものは確保できるのかどうかということに対して再び疑問が出てくるのですね。私は、そういう意味ではワンセットで審議せざるを得なくなった、審議をする側にとってみては大変しづらいといいましょうか、あるいはそうなるであろうという前提、しかも補正予算が出ない前での審議をせざるを得ない、そういう立場から質問なり検討せざるを得ない、こう思わざるを得ないのです。  そこで大臣、仮に平成五年度の予算案だとしたならば出口ベースで決められている交付税が確保できたのかどうか。今度の総合経済対策があって初めて三・三%、それに基づく法人税ないしは所得税からくる交付税の額が出てくる。こういうように見ることが極めて困難ではなかったかと思うのですが、自治大臣、どうお考えでしょうか。
  8. 村田敬次郎

    村田国務大臣 ただいま加藤先生から御質問がございました、まさに先般御議決をいただいた平成五年度の予算におきましては、四千億円の貸しが大蔵省に対してなされたわけでございます。したがって、今御指摘になられましたように、所得税法人税減額補正が行われる場合生ずる地方交付税総額影響につきましては、平成五年度の地方財政の円滑な運営に支障を来さないようにするという立場に立って、また、現在御審議をいただいております地方財政計画及び地方交付税法審議に実質的に影響を生じないように、大蔵省、きょうは林大蔵大臣出席をいただいておりますが、大蔵大臣としっかり協議をいたしまして、国の当初予算に計上している地方交付税総額に変更を生じないようにしたいと考えております。  このために必要となる地方交付税補てん方法につきましては、大蔵大臣と具体的な検討を行いまして、今後予定をされる補正予算提出に合わせて御提案してまいりたい、このように考えておるわけでございまして、その際あわせて御審議をいただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私の質問した要点と少しずれていますが、後で今の大臣答弁に対してやりとりをしてみたいと思います。  私の言いたかったことは、当初予算でもし交付税出口ベースで十五兆何がしと見たとしたならば、それは結果的にその額は入らなかったのではないか、ここで経済対策を新たに追加したがゆえに、今も御答弁がありましたようにその三・三%の成長率、それからくるそれぞれの税収入は確保できる見通しがついた、あるいは見通しがあるという答弁だったので、したがって当初予算で見る限りは、もしここで総合経済対策が出なければ平成五年度については交付税減額せざるを得なかったのではないか、これに対する大臣答弁をお聞きしたがったわけです。  経済企画庁、いま一つお聞きをしますが、今度この経済対策が出まして、私は、さまざまな点で当面の景気足取りというものをきちっととらえているような気がするのです。先ほど大蔵大臣からも、今の景気状況は必ずしも順調なあるいは底をついて上昇機運にあるというのではない、むしろ極めて足取りが重いということをおっしゃいました。今度の閣議決定をされた内容を見ましても、例えば個人消費伸びない、あるいは民間投資がそれほど順調に伸びてないなどの項目を挙げまして、したがって今この段階で緊急な経済対策が必要だ、こう述べていらっしゃるのですね。  そこで、これは自治大臣が当委員会で、切れ目のない経済対策を行うためにも今度の緊急的な総合的な経済対策が必要だという御答弁をされたことを覚えているんですが、私はどうも切れ目のない経済対策ではない、むしろ日本の今の低迷している景気に対して基本的にどういうふうな経済回復の道を求めるかという中で出た総合経済対策ではなかろうか、こう思うのですが、これは経済企画庁、立案された立場からこの辺の認識というものはどういうふうにお持ちなのでしょうか。切れ目のないことというのは、経済は底をついて上昇気流にあるけれども、しかしそこに多少切れ目が起きるから、そこを穴埋めして、経済政策として十三兆二千億をはめ込んだということと、そうではない、どうも景気足取りが、ここに書いてありますように消費伸びない、民間投資伸びない、結果的にそれを補い、同時にそれらを刺激をし発展させるために今度の総合経済対策ができたのかということとは、極めて重要な認識の違いですから。  僕は、平成三年度の予算委員会質問したときに、当時経済見通しについて、どうも経済企画庁見通し誤りでなかったか、当時野田経企庁長官だと思いますけれども、そのときに、公定歩合を思いっきりこの際下げてそして景気刺激策をとるべきではないかという提案を一遍したことがあるのです。これは結果的には、私どもの主張の方がどうも結果論ではありますけれども正しくて、当時公定歩合を漸減的に下げていったことが今の景気低迷を生み出したというような経過などを踏まえて見ますと、今度のこの政策も、そういう認識の違いがもしあるとするならば、今の景気低迷に対する後手の政策をまたとらざるを得ない、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  10. 筑紫勝麿

    筑紫説明員 お答え申し上げます。  加藤先生指摘のように、今回の新総合経済対策の前文のところで景気に対する現状認識を示しておりまして、まず先ほどお答え申し上げましたように、経済全体として「依然として低迷を続けており、未だ予断を許さない状況にある。」その後に個別の重要項目につきまして「個人消費は低い伸びとなっており、設備投資製造業中心に減少している。」というような厳しい認識が示されているところでございます。  今回の経済対策におきましては、このような状況に対処するため、公共投資関係施行促進総額の追加、そのほかに設備投資関係財投融資の増加や設備投資関係減税、さらには中小企業に対する融資等々、それから消費関係では、政策減税でございますけれども減税措置をとっておるというようなことがございます。  こういった措置によりまして、今後の我が国のいわゆる景気回復経路というものにつきまして私どもの描きます姿としましては、まず公共投資がもう既に回復動きが見られております住宅投資と相まって景気を支えていく、こうした中で個人消費設備投資も徐々に回復に向かっていく、そして年度後半には我が国経済内需中心インフレなき持続可能な成長経路に円滑に移行していく、こういうふうな経済成長経路というものを描いておるわけでございます。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 予算委員会ではございませんから、これ以上経済見通しを議論するのもいかがかと思いますけれども大蔵大臣、私は今度のこの総合対策を見まして、円高というものに対する配慮というのが欠けているのじゃないかと思うのですね。  これは、今の平成五年度の予算案の中における円高からくる不況というものに対してどう対応するかという施策も少し欠けているような気がするのですが、今度の場合、今も説明がありましたように、公共投資中心にしてやるわけですね。インフレにならなければいいと思うのですが、ただ、それによって円高がより刺激をされてくる可能性というのは非常に強いのではないか。そのことが結果的に輸出産業に対してリアクションを起こしまして、国全体の経済の中では、どうも輸出産業の落ち込みと国内内需拡大基調、いわゆる財政支出による拡大基調とが相殺をされて、結果的に経済成長、求めている三・三%という方向性がきわめて難しくなる可能性も内容的に秘めているのではなかろうか、こんな感じが実はするのです。  これは経済ですから、動いて生きている動向ですから、観測以上の範囲は出ませんけれども円高基調というものに対する配慮というものがこれからの経済政策としては極めて重要だと私はかように思います。電機産業コンピューター産業あるいは自動車産業は、御案内のような経済低迷ですから、これに拍車をかけるような状況が、今度の十三兆それから昨年の十兆七千億などの景気刺激策によって、円がより高くなることによって輸出低迷をするということが起きてはならないと私は思うのです。これは、これからの施策の面で大蔵省相当配慮し、目配りをしなければならない経済動向ではなかろうか、こう思いますが、この点に対する大蔵大臣の見解だけお聞きしておきたいと思います。
  12. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 御指摘のとおり、円高日本経済に及ぼすところの影響というのは相当大きなものがある、決して軽視してはならないものだということは私は御指摘のとおりだろうと思います。  私も円がどうなるか常に注視をしながらやっておるところでございますが、為替相場というものはその国のファンダメンタルズ、いろいろな経済基本的条件を反映して動くものだろう、こう思っているところでありまして、特にこの一カ月ぐらい急速な円高になってまいったことも事実でありまして、それにつきましては私も諸外国の方ともいろいろと連携をとりながら適時適切に対応をしてまいってきたつもりでありますし、またこれからもやっていかなければならない問題だろうと思っているところです。  一般論として申し上げますならば、為替相場の変動は経済にいろいろな影響を及ぼすことは事実である。もう私からくどくど御説明をするまでもありませんけれども円高になれば、先生から御指摘がありましたような自動車であるとか電子工業であるとか、そういったもののいわば機械製品等につきましては輸出に依存をしているところが多い、その輸出の成約が難しくなる、あるいは輸出によって得られるところの利益が減少する、これが私は円高のもたらすところのマイナスの面だろうと思います。しかし同時に、円高でありますから、今度は輸入の方になってまいりますと、輸入の方といたしましては安く買えてくる。そういった場合におきまして、そのメリットを国民経済の中によく及ぼしていくことが必要である。外国から買う物が安くなれば、いろいろな形を通じまして国内一般消費者生活その他に対しましていい影響をもたらすことがあるんだろうということも考えていかなければならないことであろう、こう思っておるところであります。  と同時に、円高になるからそれでだめだ、あるいは円高になるから輸出の方が大変だ、輸入の方がいいんだという形での問題でなくて、やはり為替相場というものがいろいろ動いていくことに対しまして日本経済を全体として拡大していく、内需中心型の経済に持っていくということが私は非常に大切なことだろうと思うのです。それこそがやはり日本経済を安定させていくために大切でありまして、輸出伸びが難しいということに対しましては、それにかわるような、またそれを超えるような国内需要策内需拡大策というものをやっていくということが私たちに与えられたところの役割であろう、こう思っておるところであります。そのためには新しい経済政策を用いまして内需拡大を図っていくということが大切なことではないだろうかな、これが私たちのとっておるところの基本的な考えであることを私は申し上げておきたいと思います。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 円高への配慮と同時に、いま一つは、これだけの財政支出が行われるわけでありますから、ちょうど昭和六十二年度だと思いますが、大型補正、同時に公定歩合が当時二・五%だと思いますけれども国内バブル経済引き金になったことも御記憶にしっかりととどめておいていただきたい、こう思います。特に自治大臣、私は当時地方行政委員会に所属をしておったものですから、当時の財源不足は国の経済刺激策に引きずられて大変なものでございまして、特会からの借り入れが御案内のように十兆円を超すというふうな状況まで生み出したわけです。したがって、今度の総合経済対策、あるいは昨年度の補正予算などを含めまして、再びそういう状況が起きないことを十分配慮をする、その必要性があると思います。  それから、大蔵大臣には、もしそういうバブル経済を引き起こす、特に去年も一兆円の土地先行取得がありました。これは一つの例ですけれども、今度の場合でも一兆二千億、土地先行取得支出があるわけです。これがせっかく土地が鎮静化しつつあるのに再び引き金になって、バブル経済の二の舞が起きる、土地騰貴が起きる可能性というものも決してないわけではございませんので、この辺は十分機敏な配慮というものをぜひ望んでおきたい、こう思うのです。  そこで、自治大臣にお聞きしますが、今度のこの総合経済対策の中で幾つかの減税措置があるわけですね。先ほど御答弁がありました。例えば教育減税住宅減税投資減税、聞くところによると大体各項目とも五百億。そしてこれに伴って財政収入減額になるわけですから、交付税の三二%、合計で大体五百億をちょっと超えるでしょうか、これは減額になっていくわけですね。これはどうします。今交付税予算審議しています。そして交付税額は十五兆六千億ですか、数字は後で正確に述べます。これは事実上、今の総合経済対策が出ますと減額になるわけですね。措置は一体どうされますか。
  14. 村田敬次郎

    村田国務大臣 先ほど来大蔵大臣が申し上げましたように、今回宮澤総理が訪来される、それに先立って四月十三日に緊急経済対策閣僚会議があり、そしてまた緊急閣議が招集をされて、十三兆二千億円という総合経済対策決定になったわけでございます。  したがって、緊急総合対策が講じられます関係で、前の予算との関係、つまり現在の平成五年度の予算措置との関係で所得税法人税減税補正に伴う地方交付税の減少が出てまいります。これは御承知のように、法人税所得税、酒税、たばこ税、消費税等の一定率を交付税率、繰入率にするわけでございますから、その試算が今申されたように大体五百億ということになろうかと思います。これは実質上、現在の予算に大変影響を及ぼすわけでございまして、国の当初予算に計上している地方交付税総額に変更を生じないようにしなければならぬ。  このために必要となる地方交付税補てん方法につきましては、大蔵省と具体的な検討を行いまして、今後予定をされる補正予算提出に合わせて御提案をしてまいりたい。これは恐らく補正される予算は五月以降になろうかと思っておりますが、この補正措置の中でしっかりと大蔵省と御相談をいたしまして必ず補てん措置を講じる、補正予算提出に合わせて御提案をしてまいりたい、このように考えておるところでございまして、昨日、この地方行政委員会でも、皆様方から激励の意味大蔵大臣に対してしっかりと自治大臣の主張を言うようにという御質問がございました。同じ御趣旨だと思っておるわけでございまして、この点は大蔵大臣がおいでになりますが、必ず補正予算によってしっかりと措置をしてまいる、こういう要求をし、必ずかち取るつもりでございます。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 しっかりとという言葉はどういう内容か、いま少し具体的にお示しをいただきたいと思うのですが、例えば五百億の減額はまさか、よもや特会から借り入れをして補てんをする、補てんという方法はいろいろありますからね、あるいは四千五百二億の国への貸し分があるわけですが、国から見れば借金ですが、これを前倒しにして今年度に補正予算化するという方法もあるでしょうし、さまざまな方法があると思いますが、しっかりとという中身は、一体具体的には何を指していらっしゃるのですか。
  16. 村田敬次郎

    村田国務大臣 これはお答え申し上げましたように、必ず返ってくるということでございますから、補正予算の中に計上してもらう、そういうことでございます。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは大蔵大臣に聞くまでもないことかと思いますが、大蔵大臣も同じように答弁としては理解してよろしゅうございますでしょうか。
  18. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 お答え申し上げます。  加藤議員からお話がありましたように、所得税その他のものにつきまして改正をいたしますなれば当然に減額が立つわけでありまして、それならば地方交付税総額が問題になってくるわけでありますから、地方交付税総額に変更を来さないような所要の補てん措置というのは当然に考えていかなければならない。その内容はどういうふうな形であるかは、またさらに、まだ時間がありますから、自治省御当局ともよく御相談申し上げまして、誤りのないようにいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いずれにしましても、新しい経済政策に伴う交付税減額という問題についてはきちっと手当てはします、それは特会の借り入れとかいわゆる地方負担にならないことを前提にして確保できるというように理解をしていきたい、かように思います。  そこで、法人税、これは今度の経済対策でどういう形になるかということはまだ予算が出ておりませんから、何とも言えないことでございますので、平成五年度の予算をベースにしてこれから少しくお話をさせていただきますが、実は、国の法人税収入平成四年度の当初予算に対しまして一二%の減額法人税として計上されました。十五兆九千五百億。それから地方財政計画では、これは都道府県民税ですか、法人事業税と法人税割を含めまして、平成四年度の当初の財政計画に対して九二・五%、すなわちマイナス七・五%。国の法人税収入、国の同一基調でいくとするならば、国が一二%減額予算を計上されたわけですから、これは法人税割が少しく加算されるので、多少その差はあるとは思いますけれども、一二%と七・五%では大体倍近い歳入見込みの違いを持っているわけであります。それから、都道府県が法人事業税と法人税割を加えて平成五年度はどのくらいの歳入見通しと見てよろしいのだろうか、こう見ましたら、平成四年度に比較をして一七・五%落ちるだろう、こういう見通しをされておるわけであります。国の法人税収入地方財政計画とそれから都道府県が実態の、自分のところから積み上げたものとの差が少しくあり過ぎる。地方財政計画の方では七・五%の落ち込みです、しかし地方の方から見ると一七・五%の落ち込みです、こう見ているわけです。  このことは、地方財政の、特に都道府県の場合に歳入が少なくて地方財政計面の方が高いわけでありますから、実際の財政運用の面では極めて困難な状況を生み出すわけですね。恐らく私は、途中で減収補てん債を面倒を見なければならないような状況が生まれてくるのではないか、こんな感じがするのですが、これはまず自治省の財政局長からお聞きをいたしましょうか。どうしてこの差、あるいはその差をどう見るか、御答弁をいただきたい、こう思います。
  20. 滝実

    ○滝政府委員 二点お話があったと思います。  一つは、国の法人税の見積もりと地方税における法人関係税の見積もりの差でございます。これにつきましては、ただいま御指摘のように、法人関係税、地財計画におきましては七・五%の落ち込みを見ております。これの主たる理由と申しますか、端的な違いは、地方税における法人関係税の期間の差が一つございます。年度でとらえる場合の期間の差、それが一つございます。要するに、法人の決算の期間の差が出てくるというのが一つございます。それからもう一つは、金額的にはそう大きな金額ではないと思いますけれども、法人の利子割の利子の取り扱いの問題が地方税では法人税そのものとはちょっと違う点がございますので、利子割の分が落ちている分だけ、特に住民税の法人税割の段階ではそれが数字としてはむしろマイナスじゃなくてプラスの方にいわば前年度対比では働く、こういうようなこともございますので、そういった関係からこの差が出てきているというふうに私ども認識をいたしております。  それから、もう一点ございました。実際の都道府県の税収の見積もりと地財計画で見ております伸び率の差の問題を御指摘になっておられますけれども、これについては実際問題としては、個々の都道府県の状況を現在の段階でつまびらかにするわけにもまいりませんからよくわからない点があるのでございますけれども一つ考えられますのは、平成四年度の年度途中で、先生もお触れになりましたようにかなりの団体で税収の減収を来している、こういうことを受けまして、平成五年度の当初予算の計上に当たってはかなり慎重な数字を計上いたしているのではないだろうか、こういうふうに私どもは推定をいたしております。  それが先生の御指摘では、都道府県の実態は前年対比で一七・五%の減、それに対して地方税における法人関係の計画は七・五%の落ち込み、こういうことで、一〇%も差があるのはそれにいたしましても大きいんじゃないか、こういうような御指摘だろうと思うのでございますけれども、この辺のところはそういう慎重姿勢が都道府県の場合には結果的に出ている、こう言わざるを得ないわけでございますけれども、この辺のところは先ほど申しましたように、その実態となると必ずしもよくわからない点がございます。その違いがなぜこう大きく出るのかは、これはちょっと、もう少し実際の都道府県の計上状況を把握してみませんとよくわからない、こういうことだろうと思います。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実体経済とそれから財政計画上の差がそれほどあるということ、私はやはり国と同一基調経済見通し、そしてその基調の上に立って歳入を見込んだ、そこが一番問題ではないかなと実は思っているのですよ。というのは、都道府県にとってみれば、実態のそれぞれの企業の状況というものをよく承知をして、そしてこのくらいの財政収入だろう、こう見込んでいるのですが、地方財政計画は国の財政基調中心にして見ていきますから、結果的には地方財政計画は今度は先ほどの話の経過を踏まえてもわかりますように、それの発射台が高くなったんだ。  結果的に、もしこのまま総合経済対策が出なければ、これは地方は大変なことになったんじゃないでしょうかね。結局、歳入が落ち込んで財源対策債を出すか、あるいは交付税も結果的には落ち込んで、それに対する特会の借り入れをしなければならなくなったのではないかなどなど、私は、大変な歳入歳出の地方と国との間の差が、乖離が極めてあったのではなかろうか、そんな心配を実はしているわけですね。  そういう意味で、地方財政計画の中の都道府県分に限って今議論をしていますけれども地方の歳入見通しというものをいま少しく、全体の判断といいましょうか、歳入見積もりの額を下げるべきではなかったか、私はこう思うのですが、この辺はどうでしょうか。
  22. 滝実

    ○滝政府委員 先生は今年度の財政計画の中身を実態と比較対照させながら御指摘になっていらっしゃいますので、この辺の間の事情は十分踏まえての御意見というふうに私どもは受けとめさせていただきます。しかし、地方税収の見積もりをする段階におきましては、もちろんのことながら国の経済見通し、それから国税における取り扱い、こういうものと均衡をとりながら地財計画においても計上する、こういうことでございますので、結果的には都道府県の実態あるいは市町村の実態とは多少のずれというものが出てくる点はやむを得ないと思います。  税収見積もりにおきましては、何と申しましても経済見通し、こういうものに準拠した推計ということがやはり優先するんだろう、こういうことでございますので、結果的にはプラスマイナスというのは、これは避けられない点でございますけれども、税収見積もりとしてはやむを得ない点があるんだろう、こういうふうに感じております。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そういう面からも新しい総合経済対策というものが期待もされ、あるいは完全な執行をしなければならない、こう思いますね。  自治大臣、昨年度の補正予算の繰越分、今年度の当初予算地方単独事業分、それから今度の補正で出るであろう単独事業分二兆三千億とも言われていますが、これらを総合しますと、平成五年度における地方団体が、公共も含めますけれども、その事業総額は四十二、三兆円になるだろう、こう推定されているのですね。単独事業がこれだけふえますと、当然のことですが、起債率が高くなります。起債依存度が高くなりますし、同時に公債費率がより高くなるわけです。  大臣は、私は自治省育ちで計算機を使ってこうやっている、こうおっしゃいますけれども、かつて、そういう状況を生み出したがゆえに、先ほどお話ししました特会からの借り入れが物すごくふえてしまって、地方財政が極めて硬直化したという時代があるのですね。どうでしょう、平成五年度の予算執行、今度出るであろう補正も含めまして、公債依存度、起債への依存度それから公債費率、これらを適正なところで、地方団体の財政計画に硬直化を生まないという限界できちっと抑えていくといいましょうか、あるいは指導するといいましょうか、その中で、私は、無条件地方単独事業などというものを受け入れるべきではないという見解も一方で持っているのですが、この辺についての大臣の見解をひとつお聞きしておきたいと思います。
  24. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 計数的な問題もございますので、私からまず申し上げたいと思います。  御指摘のように、昨年度からの総合経済対策におきまして、地方単独事業を大幅に伸ばす、あるいは公共事業に伴います地方負担の増額というものがございました。またさらに、平成五年度になりまして、景気状況考えまして当初の地方財政計画ベースでも地方単独事業を大幅に伸ばすということをやったわけでございまして、当初の地方財政計画ベースでは地方債への依存度は八・一%ということでございました。  これに、今回の総合的な経済対策によります公共事業の増加に伴います地方負担、これは詳細はまだはっきりいたしませんけれども、恐らく一兆円を超えるのじゃないかと思います。それから地方単独事業の増額分、これが当該年度の分で二兆円ということが考えられます。こういうものを考えますと、平成五年度の地方財政計画におきます地方債依存度はやはり一〇%を超えるのじゃないかと考えます。ですから、この状況でいきますと、地方の借入金の現在高が、当初の段階では八十一兆円を超えると見込んでおりましたけれども、これをやや上回ってくるということになりますから、それに伴う公債費の負担もふえてくるということになろうかと思います。  そういう意味からいきますと、こういうことを長い間やっていくということになりますと、地方財政にとりましても大変憂慮すべき事態になろうと思いますけれども、当面この景気対策のために地方債を積極的に活用して事業を執行するということが必要でございますので、こういう点を勘案いたしまして、今後の地方債の現在高というものをよく見きわめながら、財政運営に支障のないようにやっていかなければならないと思っております。  現に最近におきましても、交付税の特別会計の借入金が随分ございましたけれども、こういうものを繰り上げ償還いたしましたし、また、財源対策債とか臨時財政特例債というような臨時的に発行いたしました地方債を繰り上げ償還するような措置財政計画上ここ数年やってきておりまして、こういうことで公債費の負担の累増することをかねがね予防しているところでございまして、これからもそういう点をよく注意しながら財政運営をしてまいらなければいけないというふうに考えているところでございます。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政局長は例の財源不足額が出たときの昭和六十年から六十一年ごろにかけての状況は御存じでありますから、起債依存度が高くなる、同時にまた公債費率が非常に高くなるということは、結果的に地方財政が大変硬直化しているわけですね。今まで財源対策債の積立資金もやっておりましたから、今のところはそういうことをのみ込む余地というものはあると私は思うのです。しかし、これは相当長く続く償還計画になりますから、そういうことを見てまいりますと、今引き受けている地方単独事業を無条件でといいましょうか、あるいは国の景気対策だということで受け入れてまいりますと、六十一年、六十二年ごろの苦難というものをもう一遍地方団体はせざるを得ないという状況などを考慮して、将来的な計画も含めてこの際十分な対応をしていただきたい、かように思います。これは大臣にもぜひお願いしておきたいと思います。  大臣は自治省出身ですからいいですけれども、あのころばそういう人が余りおりませんで、一年ごとに大臣がかわるものですから、そのときの責任はどうするのだという追及ができなかった時代も実はあったのです。特に自治行政に明るい大臣でございますから、ぜひ配慮して、受け入れるものは、きのうの答弁でも、総理から言われましたからというだけでは済まない、やはり反骨の気持ちを持ちながら地方財政の健全化の方向をぜひつくっていただきたい、かように思います。  そこで、次の話題に移りますが、交付税減額問題です、四千億。去年は八千五百億。地方交付税は固有の財源であるということは皆さんそれぞれ御案内のとおりでありまして、おとといですか、うちの谷村議員の質問の中に、厚生省は一般財源化は国の財源だからという文書を出したなどというばかげたことを、通達を出したと言う人もありますけれども、いわゆる固有の財源であります。  私は、平成四年度もそうですし、それから平成五年度も、先行き交付税に対する見通しがきちっとしたものを持てないという段階では、もはや国との財政調整という中で交付税減額は行うべきではない。今年度もそうですが、これは時間がなくて恐らく言及できないと思いますから言っておきますけれども、補助金でもそうですね。補助金の恒久一元化の問題も、六千九百億、後でどう始末をつけるかお聞きしたいと思いますけれども、これなども、もし交付税の中で一定の額を見、起債で補助金の一元化、恒久化に伴う財源の問題を見ていくということになれば、四千億円を国に貸すことなしに、それを自主財源として交付税でのみ込むということも不可能ではなかった、私はそう思うのです。  したがって、今回の場合、それから昨年度の場合、もはや国との財政調整で交付税減額という措置はおやめになるべきだ、特に経済からくる財政収入が不透明の段階では、これはもう行うべきではない、こう思いますが、大臣いかがでしょうか。
  26. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 今行われておりますいわゆる交付税の年度間調整、五十九年度の地方財政対策の改革以来そういうことでやらせていただいているわけですが、やはり基本にある思想は、国の財政地方財政公経済の車の両輪であるというところにございまして、法定の税率のままの交付税額が各年度において適正な交付税総額であるかどうかということについては、まさに景気情勢によって異動がございまして一概には言えないという性格がございますから、このような年度間調整という仕組みが五十九年度の改革をもって始まっているというふうに考えております。その必要性は今後ともあるのであろう。いずれにしても、各年度の地方財政をめぐる状況を踏まえまして、所定の交付税率に基づく交付税総額でいいのかどうか判断して今後ともやっていかざるを得ない、こういうふうに考えておりますので、今回の特例減額も同じような考え方で自治省と御相談の上させていただいているわけでございます。  一方、補助率に関する措置に関しましては、従来の暫定的な公共事業の補助率というのが、まさに別な意味で国と地方財政関係の安定性上問題があるので、できるだけ早く恒久化を図りたいという作業が行われてまいりまして、結論が出ました。したがって、本来でありますと、恒久化された場合の地方措置というのは、まさに基本ルールに基づきまして通常の地方債等で対応されるというのが私どもは基本であると思っておりますけれども、ただ、事柄の継続性から申しまして、四年度との継続性を保つ意味で、五年度につきましては公共事業等臨時特例債という措置を講じさせていただく、その暫定措置として位置づけておりますので、最初に申し上げました年度間調整の結果である特例減額とは別な話であるというふうに考えております。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 補助金問題については、後ほどまた議論をさせていただきたいと思います。  そこで、大蔵省は今、地方財政に対する認識、今ちょっと御答弁がありましたが、どう見ていらっしゃるのでしょうか。例えば、平成三年度まではいわゆる地方財政余剰論から出発して、今年度の予算書の附属資料では公経済のバランスというふうに変えたわけですね。今、地方財政というもの、特に平成五年度、どういうような認識をお持ちなんでしょうか。例えば、四千億の財源は余剰財源として見ていらっしゃるのか。あるいは特例加算額がございます。これは、平成九年度に先送りをしたわけですけれども、そういうものを含めて余裕とは言いませんが、余剰的な、いわゆる国に財政をお貸ししてもまだ地方にはそれを受け入れる余地がある、こう見ていらっしゃるのか。これが第一点です。  それから第二点に、この三年間ずっと余剰財源だということで来たわけですね。したがって、交付税法上六条の三の二項にこの状況の中で該当すると見ていらっしゃったのかどうか、その辺をお答えいただきたい、かように思います。
  28. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 二点お尋ねをいただきました。  最初地方財政現状をどう見ておるのか、特に財源余剰だという考え方に立って特例減額というものを行っておるのかということでございますが、従来、表現上の問題といたしまして財源余剰という言葉を例えば予算説明等に書かせていただいたことがございますが、そういう場合であっても、基本的な考え方は、あくまでも国の財政地方財政のいわゆる公経済の車の両輪、公経済のバランス論という基本的な考え方は従来と同じでございまして、地方には要するにお金が余っておる、だから減額してもいいのだ、こういうことで措置を決めてきているということではございません。  五年度の場合は、特に地方財政をめぐる状況も変わってきておるわけでございまして、一言で申し上げますとあくまでも公経済バランス論という考え方に立ちまして、国の厳しい財政事情についての御理解を得ながら、かつ交付税につきましてはいろいろな対策を講じた上で、総額こういう金額であれば五年度の地方財政については何とか円滑にいくだろう、こういう御理解をいただきました上で四千億円の特例措置を講じておるということでございますので、その点、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。  それから、地方交付税法の六条の三に係ることでございますが、私ども平成五年度につきましては、そういった六条の三の二でございましたでしょうか、ちょっと条文、あれでございますが、いわゆる制度的な改正問題が生ずるかどうか、そういう事態ではないというふうに考えております。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)委員 国と地方との財政調整は、今言ったように交付税の中で財政調整が行われているだけではございませんで、法定加算あるいは特例加算を含めまして財政調整が行われている、こう私は思うのです。ちなみに、平成五年度の財政調整額は全体として一兆一千二百四十一億ある、こう私は実は見ておるわけです。それは、特例加算額が四千三百十七億、それから法定加算が二千九百二十四億、それに四千億を足しますから、それだけの財政調整が実は行われている、こう理解をしているわけであります。  そこで大蔵省、せんだって大蔵委員会で承継債務、これは資料もいただきましたが、今国と地方との関係だけでどのくらい法定加算額を含めまして地方に、借金という言葉は余りよろしくないですが、本来払わなければならない額がおありだ、どういうように理解されていますか。
  30. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 お答え申し上げます。  地方交付税に係る国と地方の貸借、具体的には地方交付税法の附則で整理されておりますけれども平成六年度以降の国の法定加算額といたしましては四兆一千二百九十五億円でございます。なお、この法定加算額以外のいわゆる覚書ベースの話でございますけれども、きちんと整理されたものといたしましては、今申し上げました四兆一千二百九十五億円ということでございます。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)委員 法定加算額はそのとおりだと思います。  ところが、覚書に基づきまして例の六十年度以降の補助率カットの問題、これはもとのお金で三兆六千三百十八億ですね。これのうち法定加算になったのがたしか九千七百五十億だと思いましたけれども額なのですね。この三兆六千億円余の覚書に基づく特例加算額というのは年度ごとに加算されていかなくちゃならぬわけですね。先ほども御紹介いたしましたように、平成五年度では四千三百十七億、これは平成九年度からお返しします、こういうふうになったわけです。合計でどのくらいあるだろうかという試算をしてみました。三兆六千億円のカット分に対して国が将来特例加算をしていかなければならない額、これは五兆四千億に上るのですね。したがって、先ほど、今国との関係では法定加算上四兆一千二百九十五億円あります、こう言われましたが、そのほかに五兆四千億、すなわち合計で九兆五千二百九十五億円国は地方に返さなければならない、ないしは加算をしなければならない額がある。大変なお金ですね。  そこで最初に、頭の方で聞きますが、四兆一千二百九十五億円、これは平成十三年度までにこうこうこういう計画で加算をしていきますという計画表といいましょうか、いわゆる加算額の数字をいただきました。これは実行できますでしょうか。これは財政局長に聞きましょうか、できるでしょうか。
  32. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 御指摘のとおり、今回御提案しております地方交付税法案の中で、平成六年度から十三年度までに加算される地方交付税の額は四兆一千二百九十五億でございます。  この中には、交付税本体から減額いたしました昨年度の八千五百億円の減額分、それからことしの四千億分、こういうものも含まれているわけでございますが、こういう本体から減額された分、これはことしの場合も三百七十億円は加算されているわけでございますが、それ以外の要素で、両省で約束されて法律で書かれたものにつきましては、さらに法律を改正いたしまして、次年度以降に送るということはやっているわけでございます。しかし、全体の金額を減額するとかというようなことは行っていないわけでございまして、私どもは、この金額をきちんと最終的には国から加算してもらうということを前提にいたしまして、法案の御審議をお願いしているわけでございます。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 法定加算をされまして、平成三年度からそれぞれ法定加算をしますというものが平成六年度に延び、そして平成五年度ないしは四年度分は平成九年度に加算する、こういうことになりましたね。平成九年度になりますと、その法定加算の額、これは五千八百億か九百億になりますね。それから、それにその年度に発生するであろう特例加算額が今度は入ってまいりますね。そうしますと、九千億近くになるのですね。今度先送りされた分がありますから、これらを含めて平成九年度には九千億円近いお金を地方に分配、加算をしていかなければならない、交付税に加えていかなければならない、こういうことになるわけでして、こんなことが現実問題として今の国の財政状況の中でできましょうか。  私は、この加算計画表を見まして、平成六年度も加算額が極めて大きくなる、平成九年度はどのぐらいになるか、おおむねの計算ですが、今言ったような数字になる。こんなことが今の国の財政事情の中で可能な条件として、こういう表で加算される計画がありますから委員会としてそういう方向でお認めいただきたいといいましょうか、あるいはそういう計画でありますということを無条件で承認するというわけにはいかないですね。私は、単なる数字合わせとして加算額が計上されているというようにしか思えないのですが、この辺はどうでしょうか。
  34. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 この点につきましては、両省の間で毎年度、両大臣の間で覚書を結んで履行するということを決めていただいているわけでございますから、この数字そのものについて、これが実行できないということは私どもは全く考えていないわけでございます。  なお、先ほどは加算の方だけを申し上げましたけれども、実は交付税の特別会計の借り入れを、昨年、年度途中、国税が大幅な減収がございましたものですから特別会計の借り入れをやりましたものですから、現在約二兆一千億余りの借り入れがございます。この返還も平成十三年度までにあわせてやっていかなければならない、こういう問題も片方であるわけでございますから、国からの加算というものを、ある意味では担保にしながらこの返還をやっていかなければならぬということも私どもは頭に入れながら、いろいろと両省との間で折衝させていただいている、こういうことでございます。
  35. 加藤万吉

    加藤(万)委員 平成四年度交付税減額に伴って特会からお借りしたり、その前に幾らか残っていますから、その金があるということは僕も承知をしています。しかし、それと、いずれ償還しなければなりませんから、片方で特例加算額あるいは法定加算額を含めて四兆一千億あるから、それでいわゆる地方財政に対してはそれほど影響が出てこないということをおっしゃりたかったのだろうと思いますが、しかし、今私が言いましたように、九兆何千億円という金をやがて国が地方へ見なければならないということを考えてまいりますと、この表にあらわれている四兆一千億の額すら加算が大変困難だということを考えますと、この特例加算を含めそれから法定加算額を含め、国と地方で、特に大蔵省と自治省でどう始末をつけるのか、これからもうそろそろ考えるときじゃないですか。  確かに二兆一千億円の特会の借り入れがありますから、そのときには法定加算額との相殺でどうするかということもありますよ。ありますけれども、同時に、そのほか年度ごとに発生するであろう特例加算額を含めてまいりますと、九兆何千億という金を国が地方に加算をしていかなければならないという実態から見れば、この表自身が、皆さんにもお手元にグラフを資料として事務局を通しまして出しましたけれども、一体、地方と国との財政調整が、ここまでやってきたけれども、結果的に国の財政が極めて困難で、国は全部で百八十何兆円という国債関係の償還もしなければならぬなどなど国の財政状況考えてまいりますれば、地方と国との関係の精算措置をどうするかということをもうそろそろ考え始めていいのじゃないでしょうか。どう思います。単に今言った地方が特会から借りているものと国が本来加算すべきものとの相殺関係だけで始末ができるという問題じゃないのじゃないですか。
  36. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 確かに今法定加算なり、これから出てきます交付税の加算額は、金額的には大きなものではございますけれども、これらはしかし、両省の間で必ずこれは履行するということで約束したわけでございますから、自治省の立場からはこれを精算をするとかというようなことは全く考えていないわけでございまして、この金額はきちんと将来交付税に加算をしていただく、こういうことでこれからもやってまいらなければいかぬと思っております。
  37. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治大臣、先ほどお話ししました六十年度から始まりました、特会から借り入れを行いまして当時の財源総額を見ました、あのとき私ども議論をやりとりしまして、六条の三の二項を変えるべきじゃないかと、三二%の税率をもっと上げて、いわゆる財源総額をカバーすべきだ、こういう議論をやりとりした。結果的には、附則条項で特会から借り入れをします、やがてこの特会から借り入れたものは国で面倒を見ますというのが当時の答弁だったのですよ。結果的には、これは二分の一ずつ国と地方で負担しましょうということで、地方は比較的バブル経済の時代に余裕がありましたから、これは返しましたよね。国は五兆何千億まだ承継債務で残っているわけですけれども。同じことをこの特例加算あるいは法定加算で生まれる可能性というのを私は過去の経験からどうも思われるのです。  今財政局長が言ったように、法定で決まっています、したがって、国はちゃんと返してもらいます、これはいいですよ。自治省の官僚の皆さん、大蔵省との話し合いではそれで済むでしょうけれども、しかし、政治家としては、九年度にその返済が今日から見て不可能に近いようないわゆる国の加算額があった場合にどうすべきかということを大蔵省側と協議をして、例えば補助金の関係をこれからは国の方は少なくしなさいよ、そのかわりに一般会計で私どもはのみ込んでいきましょう、これは皆さんも議論されましたけれども、のみ込んでいきましょうと、同時に、それでは地方財政が、交付税はそんなに全部のみ切れるわけじゃないのですから、そういうものを含めて加算分は、この際、地方に配分してほしい。国の財政支出から見れば、補助金はなくなって、それを今度は地方へ振り向けただけになりますから、これは極めて大ざっぱな議論で申しわけないのですけれども、そういうことを含めてこの特例加算額ないしは法定加算額の精算を、特に今の段階では平成九年度が一番ピークになるわけですから、その段階に向かって協議を始めていくということが必要じゃないでしょうか。どうでしょう。これは政治家の話ですから、大臣の方にひとつ。大蔵大臣でも、どちらでもいいですから答弁を願いたいと思います。
  38. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 御指摘のとおりに法定加算の六年度以降の返済額というのはなっておるわけでございまして、国にとって決してそれが容易に達成できるような財政負担ではないというのは、残念ながら率直に申し上げざるを得ないわけでございますが、かといって、その法定加算になっているものを各年度において国としまして約束を無視したようなことをするつもりは毛頭ございません。今までもそうでございましたし、今後とも、厳しい中でも毎年度自治省とよく相談の上、その法定加算なり加算されるべきものの扱いにつきまして毎年毎年地方財政対策の中身を決めていく際に検討していかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。  今御質問の中で、一般財源化等々の関係でこの法定加算の処理を考えてはどうかという御示唆もいただいたと思いますけれども、私ども、補助金の一般財源化というのは臨調とか行革審等々で言われておりますものでございまして、それは地方に同化定着化した事業、事務につきましては、財源も含めて地方にすべておやりいただくというのが筋である、こういう流れで取り組んできておりまして、これはこれで今後ともやらせていただくわけでございますけれども、一方、法定加算の方は、全体の地方財政対策を組んだ結果今年度にこういったものが残っているということでございまして、流れが本来違いますし、そもそもの原因も違うわけでございまして、現実問題、両方で全く関係がないかどうかというのは、お金のことでございますので色がついているわけではございませんけれども、物の考え方としては、二つはそれぞれ別であるというふうに今後ともしていかざるを得ないというふうに考えております。
  39. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それを承知の上で、政治家同士の話でこれはしたいなと実は思っているのです。確かに法定加算なりあるいは特例加算というものと補助金の方の問題とは別だということはわかります。ただ、国の財政がこれほど厳しいというときに、何を一体削減をして国の財政を健全化の方向に持っていくかということを地方財政の側面から考えてまいりますと、一般財源化、一般財源化ということで交付税でのみ込むというのにも一つの限界が出てきますよ、後ほど私は言いますけれども。そうしますと、今の特例加算なり法定加算というものがあるという段階で、それを地方に加算をする、交付税に加算をするという中で、さて一方における国の財政支出の面の補助金をどう削減化していくかということもセットで考えられるべき性格のものじゃないか。私はそれぞれ類型が違いますということは承知の上で話をしているのですが、そういうことも考えてまいりませんと、私は、国の健全な財政という方向が出てこないのではないかと、こう思うのですよ。これは言っている趣旨は自治大臣大蔵大臣もおわかりいただけたと思うので、ぜひそういう上に立って、これは国の財政の健全化という方向の一つですよ、一つの方法論です。方法論ということも頭に入れておいていただきたいなと、こう思うのです。  そこで、今補助金の問題が出ましたから、補助金の問題で時間がありませんから一つだけ御質問をさせていただきたいと思うのです。  今度公共事業関係の起債で、六千九百億円はそれで手当てをするということになりました。大蔵委員会で補助金問題が論議されているときに、本来の姿に戻すのが原則ですが、本来の姿に戻したいのですが、しかし当面公共事業債によって云々と、こうなっていますね。本来の姿というのは一体どういうことを指しているのですか。これは当局からで結構ですから、答弁いただきたいと思います。
  40. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 公共事業地方負担を措置をする場合には、一部は地方債を活用しながら一般財源と組み合わせながら公共事業地方負担を措置をしていくというのが従来のやり方でございます。すべて地方債で実施をするということは、これは非常に異例な、財源の非常に乏しいときにやることでございまして、一般的には地方債と一般財源、当該年度の一般財源とを組み合わせてやっていく、これが公共事業を実施する場合の地方負担の措置のやり方だと思っております。これが本来の姿ということだと思います。
  41. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いつごろおやりになる予定ですか。それから、たしか答弁の中で、二、三年はこの状態を見てというような話を僕は聞いたような気がするのですが、何年ごろを目途にして本来の姿に戻そうとされるのですか。
  42. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 そこで、今年度公共事業の補助率を恒久化するに当たりましてその影響額をどう措置するかという問題、これはいろいろと議論があったわけでございます。基本的には、本来の姿であれば交付税地方債というものの組み合わせでこの分も措置をすべきであろう、こういうことになるわけでございますけれども一つは、これは技術的な問題もございますけれども、個々の地方団体の影響額をきちんと措置するためには交付税はなかなかうまくかみ合わない面がございます。それから、去年までが臨時財政特例債という形で特別な地方債を充てていた、こういうようなこともございまして、平成五年度におきましては、従来の財源措置と余り大きな変え方をすると財政運営に支障が生じるのではないだろうか、こういう問題もございまして、公共事業等臨時特例債というもので全額充てまして、この元利償還金を交付税措置をする、こういうふうにした方がいいのではないかということで考えたわけです。  しかし、これは恒久化するわけでございますから、この措置をいつまでも続けるわけにいかない、しかし、激変緩和でございますから急にやめるというわけにもいかない。この辺の兼ね合いを何年間でやるかということは、これから地方団体の財政運営をよく見ながら実施をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度六千九百億円。国の補助金全体が十六兆何がしか、ちょっと数字を後で申し上げます、そのうちで地方団体に関係ある補助金は十二兆を超えるわけですね。六千九百億円は七・五%に大体なるわけです。補助金の地方団体が受け取る額の七・五%が補助金のいわゆる一元化、恒久化によって影響を受けるという額なんですが、大きいですね、七・五%。それを今財政局長が言うように、当面まだ地方団体の積み上げとかあるいは実施とかさまざまなことがあるから、何年とはちょっと難しいけれども、本来の姿というのはこういうものですよというこういう姿が出ました。その間の弾力的な運営というのはあるでしょう。しかし、七・五%の影響力を持つ額であるだけに、私は、その際には、本来あるべき姿に返るときには、一体交付税はそれでいいのか、三二%でいいのかどうかという議論もしないといけないと思うのです。  かつて、例の生活保護費が十分の八が十分の七になったときに、たばこ税千二百億足しましたね。たしかあのときは加藤六月さんが政調会長で、一晩のうちにたばこを一本土げて地方に千二百億円配分して、その千二百億円で例の生活保護費のカット分を財源で埋めるという措置をとったのですね。今度大蔵大臣、六千九百億円というと、相当大きな金ですよ。しかも七・五%地方税に影響が出てくるということになりますと、これはそのときに財源という問題を本格的に考えないと私はいけないと思うのですね。単に三二%の交付税の中にのみ込み、一方では地方債でそれを措置しますというだけではこれは済まないですね。私はその見直しの時期には財源問題も含めてこの際議論をすべきだ、結論を出すべきだ、こう思いますが、これは大蔵大臣、ひとつ御意見を最後に聞かせていただきましょうか。
  44. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 私どもは、今回の補助率の恒久化というのはまさに恒久化でございまして、これをもって国と地方の補助率に関しては安定的な関係ができたということでございますので、それに伴います地方財政負担は、先ほど財政局長の御答弁にございましたように、本来は基本の上に基づきまして一般財源と地方債でやるべきものである、それまでのつなぎ措置として今の措置を講じておるということでございまして、そのつなぎ措置が終わった段階でまた新たに恒久的な財源措置を論ずるというようなものではないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、毎年度の地方財政につきましては、いろいろなことを全部織り込みまして地方財政対策、円滑に地方財政が回るようにやっておりますので、今回のこの恒久化をいたした措置の何年後かの、いわば暫定措置が切れた段階での財源問題を改めて恒久的な問題として取り上げるというのは考えておらないわけでございます。
  45. 村田敬次郎

    村田国務大臣 加藤委員から過去の経緯を踏まえた非常に詳細な御質疑がありまして、余りに場面が緊迫をしておりますので、最後に一言だけ、私、例え話をさせていただきたいと思います。  私は、昭和三十二年のころ自治庁長官の秘書官をしておりました。当時の大臣は青木正さんであります。そして、青木正さんが警職法を担当せられることになって、愛知揆一法務大臣が自治庁長官を兼務されました。私は引き続いてその秘書官をやったのでありますが、当時大蔵大臣は佐藤榮作先生であります。財政局長が奥野先生、そして次官が読売の今会長をやっておられます小林與三次さんでございます。この交付税の繰入率の問題等非常に緊迫した場面があって、大蔵省出身の愛知揆一さんは大変に苦しまれたのです。  そしてその後、交付税の繰入率の三二%というのは、加藤委員の言われたように大分長年続いておりまして、それに消費税やたばこ税の一定率が繰り入れられるということになったのでありますが、補助金の恒久化あるいは交付税等を含めて、この国家財政地方財政の歴史は非常に長いと思います。  そして、先ほど加藤委員の言われた御意見は貴重な御意見として、今後大蔵省と自治省とで必ず全体を整理して、地方財政の確立そして国家財政も恒久的に立つという方策を必ず講じていかなきゃならないと思います。したがって、ただいまの御意見は貴重な御意見として承りますが、今後大蔵省とよく相談をして、補助金の適正化、そしてできるだけこれを整理すること、地方自治、地方分権の確立という問題を含めて、私ども大蔵省と持続的に勉強を続けていきたいと思います。
  46. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、きょうは少し、予算委員会の方の殻がまだ抜け切れないものですから予算委員会の延長線上のような議論をさせていただきましたが、地方財政が迎えている今日の状況経済の問題から財政収入との関係などを見ましても大変影響があるわけです。この際、国の経済運営、財政運営に目配り、気配りあるいは計画的な配慮というものを十分されていきませんと、地方財政は再びかつての状況のようなことに陥ることも付言をいたしまして、きょうの私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  47. 中馬弘毅

  48. 山口那津男

    ○山口(那)委員 公明党の山口那津男でございます。  大蔵大臣、せっかくおいでですが、ちょっと最初から細かいお話で恐縮でございますけれども、先日の地方行政委員会で暴力団対策法の一部改正について議論が行われました。  その議論の中で、暴力団というのはやはり最終的には組織を壊滅に追い込まなければならない、その意味では経済的な面で特に課税を強化をして、経済的な面でも追い詰めていく必要がある、警察当局としては、自分たちのつかんだ情報を国税当局と密接に連携をとりながら課税通報等を強化して、それが実際の課税に結びつくように効果的に実施をしたい、現にその課税通報はやってきている、こういう基本的なスタンスであります。これに対して、国税側が警察庁のつかんだ情報をどういう法的根拠で受け取れるのか、こういうお尋ねをしましたところ、それは関係行政機関の協力規定というものが税法にある。確かに、例えば所得税法で言えば二百三十五条の二項にそのような規定がございます。法人税法にも百五十六条の二に同様の規定がございます。そういうお答えだったわけですね。  しかし、暴力団に対して課税面でもっと強力に取り組もう、総合的に取り組もうということであれば、今度は国税当局のつかんだ情報を、これも暴力団対策に役立つものは警察庁側に伝達をするといいますか、流すということもあってしかるべき、両方相まって初めて総合的な対策になり得るだろうと思うのですね。そして、暴力団対策法の中には、税法と同様に官公署に協力を要請できるという規定がございます、二十五条の四項。ところが、実際の御答弁の中では、国税庁としては警察庁にそういう情報を流すということはやっておらない、警察庁の側も実際にその必要性感じていない、こういう非常にのんきな、とぼけた答弁があった、私はおかしいと思ったわけであります。  しかしまた一方で、警察行政、税務行政を続けるに当たって、いずれも権力的な契機がございますので、納税者との協力あるいは市民との協力において得た情報をいたずらに無原則でお互いに流し合うということをするならば、これは信頼関係が崩れるということにもなりましょうし、市民の協力を得られないということにもなります。  そこで、この現行法の協力規定というものを相互に活用して情報の流通ということをやっていいものかどうか、まずこの現行法の解釈、運用についての基本的な御見解を、国税から警察に流していいか、こういう面でまずお答えを伺いたいと思います。
  49. 野村興児

    ○野村(興)政府委員 お答えいたします。  ただいま、国税庁サイドから情報提供を警察庁サイドにできないか、こういうお尋ねであるわけであります。  今お話にございましたように、暴力団対策といたしまして、その資金源を封圧するという観点から、警察庁からは貴重な課税情報をいただいているのは先生指摘のとおりでございます。  ただ、私どもといたしましては、御承知のとおり、税務職員には所得税法等によりまして、国家公務員一般につきまして課せられておりますところの守秘義務以上の厳しいものが課せられておるわけでございます。税務調査によりまして知り得た事実等を第三者に通報することは、守秘義務に触れることになるわけでございます。  それ以上にまた重要なことは、その守秘義務に基づきまして長年にわたって培われてきました納税者と当局との信頼関係が崩れてしまうわけです。これは本当に戦後の税務行政の長い間にわたって培われてきた一つの信頼関係でございます。そういったことがあることもぜひ御承知おきいただきたいわけでございます。  そういうような観点から、私どもが税務調査によって知り得た事実、こういったものを関係当局に通報することについては、先般来ここで御答弁しておりますように、おのずと消極的にならざるを得ない、こういう立場でありますことを御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  50. 山口那津男

    ○山口(那)委員 前回の御答弁の中では、犯罪捜査のために認められたものではない、質問検査の権限に基づいて情報を得るということが犯罪捜査の目的でなされたものと解されてはならない、こういうことも消極的になる一つの根拠として挙げておられたわけでありますが、これは今でもそういう御理解ですか。
  51. 野村興児

    ○野村(興)政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、犯罪捜査について私どもが持っております質問あるいは検査の権限、こういったものを認められたものでない、そういうふうに解してはならないという規定は所得税法あるいは法人税法にございます。ございますが、今御指摘ございましたその議論につきましては、例えば、暴対法の中止命令のための情報提供、これは直ちに関係があるものではないと思っています。  したがいまして、今申しました守秘義務の観点あるいは長年培われてきたそういった納税者との信頼関係、こういったことを踏まえて考えてみますときに、そういった情報提供を行うことはやはりそれらの問題に重大に関係が出てくるということでございます。
  52. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今、犯罪捜査のために認められたものではないという挙げてあった根拠を撤回される、こういう御答弁でありましたから、その点では私の考えと一致しますので一歩前進だなと思うのでありますが、ただ、守秘義務が税務職員に対して加重されている、これのみをもって提供ができないという根拠は、これはちょっとおかしいんじゃないかと私は思います。  警察職員にも国家公務員法上の守秘義務があることは当然であります。責任のみが税務職員について加重されている、こういう違いだけでありますね。それだけでありながら、警察職員が得た課税といういわば国民の財産権に対する重要な情報、これを自由にといいますか、どんどん流していることを現行法で認めておきながら、今度は暴力団対策において市民が暴力団に安易なお金の提供をしないとか、あるいは暴力団がいわばかたぎになるように真っ当な指導を受けるとか、そのために必要な税務当局の得た情報を流す、どっちの情報が国民にとって重要なことですか。これはやはり警察が、課税のために、課税のもとになるような、そういう財産権の侵害といいますか、合法的な侵害でありますけれども、そういう情報を流すことの方が私はよほど大事だろう、重要だろうと思うのですね。  そっちが自由に行われているのに、税務当局の情報がその守秘義務の加重要件のみをもってできないとおっしゃるのは、これは法的に全く納得できないと思いますが、いかがですか。
  53. 野村興児

    ○野村(興)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘がございましたように、暴対法のみならず、各省庁いろいろな行政分野がございます。実は各行政分野におきまして同じような御要請がございますけれども、私どもは先ほど来申しておりますように、税務職員に課せられた守秘義務といったこと、そしてその守秘義務というのはなぜ課せられているか、こういった一つの根源にさかのぼって考えますれば、やはりそういったものに個々に対応はなかなか難しいんじゃないかということを言いたいわけでございます。  具体的に税務職員が職務上知り得た納税者の秘密、こういったものを他に漏らすとなりますと、やはり納税者と国税当局との信頼関係というのは損なわれてしまうんだ、納税者が、私どもが調査に行きまして安んじて取引の内容であるとかあるいは自己のいろいろな関係、財産関係、こういったものを開示しなくなる、これは世界各国共通した税務行政というものに課せられた一つの課題であるわけでございます。  そういったことから、今の申告納税制度を基本といたします税務行政の運営というものを考えてみた場合に、やはりこれはいろいろ考えていかざるを得ない問題ではないか、このように思うわけでございます。
  54. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そういう課税の実務の面での実際の影響ということは、私はもちろんよく理解できることだろうと思います。しかし、法的根拠という意味では、さっき私が指摘したとおり、全く説明のつかないことだろうと私は思っております。  しかしまた、翻って考えてみると、これを一般論として論じているところに私は問題があるんじゃないかと思うのですね。つまり、納税者から得た情報を何でもかんでも他の官庁に必要に応じて自在に流すということは、これはよろしくないことだろうと思います。しかし、翻って見ますと、一般的な話ではなくて暴力団であるからこそ、これは特別な措置が必要であろう、特別な理解、運用が必要であろうとも思うわけですね。しかし、それは現行法では単なる官庁の協力規定、それから守秘義務の違い等しか制度としてないわけでありますから、これだけで対応していくというのは無理があるだろうと私は思います。  そこで、立法論として、この例外として、国家が否認している暴力団の存在というものを課税面でも追い詰めていこう、こういうコンセンサスはあろうかと思いますので、この情報面での協力ということをもう少し法的に整備をする必要があるのではないかと思うわけです。この点については先日自治大臣の御見解は伺いました。  そこで、大臣、政治家の立場でこの立法論についてどう対応されるか、御答弁いただきたいと思います。
  55. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 山口議員のお話、よくわかりますし、暴力団に対して我々は断固たる姿勢をとらなければならない、私も政治家としてそういうふうに思っておるところでございますが、これを一体立法措置でやるということになってくると、法律論としては非常に難しい問題があるということは率直に私は思うのです。  国家公務員法で一般的な国家公務員の守秘義務があります。既に御説明したと思いますが、税務職員につきましては、税務に関してのそれに加重されたところの秘密を守る義務がある。これを安易に漏らしますと、やはり税というものを国民にいただいている、こういうことでございますから、それのものを勝手にどこへ持っていくということになりましても、やはり大変な問題があると私は思うのであります。したがって、そこをもう一つ、こうやっていくということになると、法律論として果たしてどれだけできるのか。少なくとも税法の立場において暴力団の方を特別扱いにするというのは、先生も法律をやっておられますからよくおわかりでしょうけれども、税の立場として、そこだけを特別扱いにするという税はなかなか私は法律論として仕組めないんじゃないかなと正直言って思います。  それでは一体どういうふうにしたらいいのかな、具体的な話でやっていくのかな、しかし具体的な話でそれをさらにいろいろな具体化をするということになりましても、私は、一つには法律の制約があるものですから、なかなか難しいんじゃないかなと正直思っています。しかし、お話はお話でございますから、私も受けとめてみたいとは思いますが、率直なところ申しまして、今のところ私はなかなかいい知恵が出ないなというのが正直な感じでございます。はっきりと申し上げておきたいと思います。
  56. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この点については、なかなか現行制度では説明のし切れない問題点があるだろうということはおわかりいただけただろうと思うのですね。ですから、この点、余り今の議論を突き詰めていくと、今度は警察のやっていることがおかしい、こういう議論にもなりかねませんので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  時間も限りがありますので、次の問題を御質問いたしますが、いわゆる使途不明金というものが世上問題になっております。この点について昨日いろいろとお伺いしたわけでありますが、これは現行税法上はいわば何の特別な扱いもされていない、損金あるいは必要経費として立証がなされなければ当然に課税をする、所得がなければ課税はできない、こういう当たり前のことを当たり前にやっているだけの話であります。  ただ、使途不明と安易に言われているものの使途をできるだけ解明する、こういう実務上の努力をなされていることはこれは十分承知しておるわけでありますが、しかし、現状のままですと、この使途不明金については全く抑制の枠組みといいますか仕組みというものが現行法制上ないということになってしまうわけであります。商法あるいは刑法上一応の規定はありますけれども、例えば会社の制度の枠内ですと、監査制度ですとか、特別背任ですとか、あるいは株主がさまざまな権利を通じて役員の責任を追及する、こういう制度は、形はありますけれども実際には機能しておりません。したがいまして、近年この使途不明金はふえる傾向にありますし、とりわけ建設業においては相当大きな数字になっておるわけです。  ですから、私は、この点について税法の分野でも何らかの措置考えてしかるべきではないかと思うわけであります。ただ、税法の場合は所得概念が基本になっておりますから、この概念の枠内で課税をするということはちょっと無理があろうかと思うのですね。しかし、使途不明金、実際に一定の規模がありながら、黒字であれば課税という結果に結びつくけれども、赤字であると全く課税という結果が結びついてこないという、常識的にはこれでいいのだろうかという疑問を抱かざるを得ません。  そこで、例えば外国の立法例の中に、例えばフランスなどのように少し高い率で課税をするというような制度を持っているような国もあるようであります。この根拠ははっきりいたしませんが、例えば、使途不明金の性質として支払い先が明らかではないものですから、支払い先の所得といいますか課税に反映されてこないという実態になってしまうわけですね。ですから、本来受取人側に課税すべきでありますが、使途不明金を出した側にその受取人側にかわって課税をするといいますか、一種の代替課税、これは適切な言葉かどうかわかりませんけれども、代替課税というような考え方が成り立ち得ないのかどうか。あるいは使途不明金を出すことそのものがいいことではないということで、これは一種の制裁を加えるという意味で課税する、制裁課税といいますか、その両方の組み合わせという考え方も成り立つだろうとは思うのです。  いずれにしても、どんなに努力しても使途が解明できないこの使途不明金の規模に応じて何らかの課税措置をとった方が、税法の面での抑制効果は期待できるのではないかと私は思うのですね。この点についてどのようにお考えでしょうか。
  57. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  議員御指摘のように、使途不明金につきましては真実の所得者に課税するということがまず第一に目指すべき事柄だと思います。できるだけ使途を解明して、その支出先に適正に課税するというのが望ましい原則だと思います。  ただ、どうしても使途の解明できないようなケースについてどうするかという問題でございますが、私どもの所得課税あるいは法人税所得税という世界におきましては、支出した法人につきまして経費として損金算入を否認するということで課税するというのが現状である、この点については御指摘のとおりでございます。なお、その際に、仮装隠ぺいと申しますか、悪質な行為がある場合には重加算税で対応しているというのが現状でございます。  こうした現在の措置につきましての改善の余地はないかという御質問でございますが、法人税制の枠内の措置としてかなり私どもこれまでも議論を積み重ねてきたわけですが、これ以上の措置をとることについては問題が多い、難しい問題があると考えているわけでございます。  御指摘のフランスの例は私どもも承知しておりますが、一方でアメリカなりイギリスなりドイツにおいては、同じような事情があろうかと思いますが、税法といいますか、所得に課税をするという所得課税の世界の中でどれだけこれに対応するかということについては、むしろ日本と同じような発想をしているのが実態でございまして、先生が今御示唆されましたように、例えば制裁課税という形で構成できないかというフランス流の考え方につきましては、税法がそこまで踏み込んでいくことがいいのかどうかということについては私ども消極的に考えておる次第でございまして、御指摘ありましたように、経営者のモラルの問題といいますか、その辺は全体の法体系の中でどう指導していくかという問題であって、税法でこれを措置することが本当にいいのだろうかということにつきましては疑問を持っているということでございます。  それから代替課税も、フランスの現在の制度についてそういう理解もあるというようなことも私ども聞いておりますが、かなり大胆な発想だと思います。そういうことが税当局として代替課税みたいなものをどんどんお認めいただけるということになると、税金というのは非常に強制力のあるものですから、これまた問題もあるわけでございまして、この点についても受領者側をきちっと探していくということが正道かなと思っております。  いずれにしましても、問題の所在は使途不明金がおかしな状況にあるのではないかということだと思います。これを社会全体としてあるいは法体系全体の中でどう対処していくかということについては、私どもも異なる意見を持つわけではございませんが、税法という世界で、その限度の中で措置することについては、現在のところが限度ではないかと思っておるような次第でございます。
  58. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私は、ドイツやアメリカの例を詳細に調べたわけではありませんけれども、この使途不明というのは会計上は多少の金額はどうしても出てこざるを得ない面もあろうかと思います。それをすべて制裁を加えろなどと言っているわけではないわけです。それから、会計処理能力も企業体に応じてさまざまだろうと思うのです。零細なところにまで使途不明金を一切認めず制裁すべきだなどということを言っているわけでもございません。ですから、一定の規模の会社、そして期待される会計能力がある会社であるにもかかわらずこういうことをやる、それは著しい会計能力の不備といいますか、無能力というか、そういう考え方もあるでしょうけれども、むしろわざと、あえて出している、故意にこれを出している、こういう認識の方が妥当だろうと私は思うわけです。ですから、そこに制裁の根拠が出てくるだろうと思っております。  さらに言えば、この使い道を実際に調べてみると、金丸事件でもやみ献金を出した建設業は使途不明金として処理をしていた、こういう発言が公然となされておりますし、かなりの額に上っていることも事実ですね。そのほかにも例えば政治資金規正法違反あるいは贈収賄はおろか、その他違法な目的にこういうお金が使われているというのが相当な実態だろうと私は思いますし、私自身も仕事の経験上こういうことを何度も見聞きしてまいりました。ですから、使途を解明できないということは、その使い道そのものが違法性の推定を受ける、合法性が立証できない限りはこれは違法な行為である、こう強い推定をしても差し支えないくらいだと私は思っておるわけです。ですから、そこにも制裁の根拠はある。  それを商法、刑法等の枠組みの中でやっていくか、税法という枠組みの中でやっていくかということでありますが、いずれも現行の制度は全く機能しない。ですから、両方からのアプローチが必要であろう。それも税制がもっと踏み込んだことを考える余地はあろう、従来の所得概念を踏み出すということが検討されてしかるべきだろうと思うのです。もちろん、代替課税とか制裁課税とかという言い方は必ずしも厳密なものではありません。そこはもっと研究の余地はあろうかと思いますが、ぜひとも私は、大臣の御決意を伺いまして、この点踏み込んだ御検討をお願いしたいと思うのです。
  59. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 使途不明金の話は今事務当局から内容を御説明したとおりでありますが、実はきのうロシアの会談がありまして、昼飯のときにフランスの外務大臣の隣におりまして、日本では金丸さん事件というのがあって大変なことだというふうな話をしたのです。だけど、フランスも同じような問題があるのですね。イタリアがある。それから、よその国も皆それぞれあると言うのです。どういうことになっているんだという話をしましたら、まさに今先生が御指摘になったちょうど逆の話をジュッペというフランスの外務大臣が私に話をしていまして、フランスでは特別の会社をつくりまして、その会社に金の支払いをします、そうすると、そこで何か操作ができますからその金が全部政治家に行くというようなことだったので、これは幾ら何でもおかしい。この前、選挙をやりましてかわったでしょう。社会党とシラク、ジスカールの方とかわってしまったものですから、これはやらなければいかぬのだ、相当大きなスキャンダルの話がまた出てくるんだ、こういうふうな話をしていまして、やはり税の問題というか会社の制度とかというのを免れてやるような話というのは、フランス人の頭でもこれはおかしいよという話です。しかし、おかしいんだけれども、法律的につかまえるのはなかなか難しいんだというようなことを飯を食いながら話をしていまして、やはり同じことを考えているんだなということを正直言って私は思ったのです。  今先生の御指摘もありますし、これは私は税の立場からすれば、さっき主税局の方から御説明したとおりだと思うのですよ。しかし、その点を離れていろいろ考えていくべき問題じゃないかなという認識を私も持っています。そこで、さっき先生がおっしゃったような御提言でやって果たしてやれるのかな、どうなのかな、もう少し別の観点も考えていかなければならない話じゃないかな、政治改革の一つの問題だろうな、私はこういうふうな認識を持っていることをお答え申し上げておきたいと思います。
  60. 山口那津男

    ○山口(那)委員 大蔵省のある審議会の答申で、この問題は商法、刑法の世界で解決さるべきである、こういう答申が昭和五十八年ごろでしたか、あるというふうに聞いておりますが、そこでは税の分野での解決を放棄した、こういう理解をすべきではないと私は思うわけですね。今大蔵大臣から大いに研究の余地があるという趣旨の御答弁があったと私なりに理解しておりますので、ぜひとも突っ込んだ御検討をしていただきたい、このようにお願いをいたします。  さて、時間も限りがありますので、二間だけお伺いいたします。  一つは、このたび政府の決めた総合的な経済対策の中にいわゆる所得税減税というものが盛り込まれませんでした。しかし、これについては与野党の幹事長・書記長会談の中で、この所得税減税も含めて前向きに検討するという合意がなされた経緯もあります。また、現下の経済動向を見る場合に、やはり消費回復というのが非常におくれている、力が弱い、こういう実態もあるように思いますし、現にそういう認識政府側も持ってはおるようであります。  そこで、今後の状況次第でこの所得税減税ということが年度内に検討される余地があるとお考えかどうか、大蔵大臣の率直な御見解を伺いたいと思います。
  61. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 予算案が衆議院を通過するときに社会党、公明党、民社党と自民党との間で協議が行われまして、協議機関をつくって不況対策に対して実施可能な方策を検討する、特にその中で、我が党の幹事長から、所得減税については前向きに検討するということを口頭で申し上げました。それからさらに、この前その話がございまして、与野党間でいろいろな合意がございまして、各党間で所得税減税については、予備費三千五百億円の枠にこだわらず広く財源の確保を図りながら、今会期中引き続き前向きに協議を続けるという回答をいたしたことも事実でございます。最初は自民党の方からは、所得減税を行わない、こういうような話をしましたが、最終的にはそういうことになって、さらに引き続き前向きに協議を続ける、こういうことになっておりますので、政府立場といたしましては、その協議のあり方を見守りたい、こう思っているところであります。  もう一つ申し上げますと、いろいろとありますけれども、与野党の首脳会談がございまして、首脳会談でも話が出ましたけれども宮澤総理からは、所得減税の問題というのは、これからの時代、特に高齢化社会になってきますから、そういったところの問題を考え、また所得税の中におけるところのいろいろな不平等の問題等もありますから、その辺の問題を考えて検討していかなければならないのではないかという答弁をしておったところで、私も出ておりましたから、そのことを申し上げておきたいと思っております。  いずれにいたしましても、与野党間で先ほど申しましたような御協議がありましたので、その問題につきまして私たちとして、また特に私としてこの解釈はどうであるとかいうようなことは差し控えたいと思いますけれども、私は今まで予算委員会その他のところで申し上げましたように、特に大きな赤字国債を出してまでやるということについては非常に問題がある、また、単純な所得税減税という形になりましたならば、景気に対する影響公共事業的なものに対するよりははるかに経済に対する効果は少ないのではないか、そういうふうなことも申し上げておりますし、それから、全体の税体系の中で一体どういうふうに考えているのか、基本的な問題をやはり考えるべきではないかというのが私ども基本的に持っておるところであります。  いずれにいたしましても、各党間でお話してございますから、そのお話を十分に見守って、私としても考え方を申し上げたい、こう思っているところでございます。
  62. 山口那津男

    ○山口(那)委員 では最後に伺いますが、昨年の大蔵大臣質疑を私は聞いておりまして大変びっくりしたことがございます。それは、交付税の性格につきまして、自治大臣大蔵大臣の見解が全く違うということでありました。当時の塩川自治大臣は、この性格につきまして固有の財源であるという言葉を使いながら、国が地方にかわって徴収している税である、こういう言い方をされました。それに対して大蔵大臣はそれを否定するような御発言をなさったように記憶しているわけです。そして、地方財政認識につきましては、これは公債依存度等を見ると地方には余裕があるように見える、こういう御見解も発しておられました。そして特例減額というものもなされていったわけでありますね。  そうした流れを見ると、まことに大蔵省にとって都合のいい、国の財政運営に携わる者にとって都合のいい解釈をしているのではないかという印象すらあったわけです。これはやはり、固有の財源というからには、もっと地方配慮した考え方が基本になければならないと私は思ったわけでありますけれども、さて、改めて林大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
  63. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 いろいろ御議論もあったようでございますけれども、この点につきましては昭和四十四年に福田大蔵大臣から国会答弁で申し上げておりますように、歴代の大蔵大臣も皆そう言っているのですが、地方交付税につきましては、特定の国税の収入の一定割合が国から地方に交付されることが決まっていることから、これは地方の権利のある金である、そういった意味において固有の財源と言っても差し支えないというのが伝統的な解釈でございます。  そういったことから踏まえましていろいろな点で財政の運営というものをやっていかなければならない。国全体の財政の運営はもちろん、地方財政もございますが、国としての財政の運営もある。やはり財政というものはパブリックファイナンスでありますし、国民からお金をいただいてやるところでありますから、全体としては本当に日本全体がうまくいくことが必要であろう。地方がもちろんうまくいくことも必要でありますが、全体としてうまくいくことが必要である。そういった意味におきましては車の両輪のごとしというのが私の基本的な考えでございます。
  64. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この問題は何度も繰り返されて、歴史も非常に長い議論でありますので、改めてまた突っ込んだ議論をさせていただきたいと思います。  以上、これで終わります。
  65. 中馬弘毅

    中馬委員長 吉井英勝君。
  66. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、特例減額の問題や公経済のバランス論などについて質問したいところなんですが、何しろ持ち時間が十五分なものですから、この枠の中ではとてもじゃないが、これだけで一時間や二時間要りますから、今さきの議員からもお話がありましたが、今ちょうど金丸元副総裁の不正蓄財、脱税と大手ゼネコンの巨額の裏献金問題などに対して国民の怒りが非常に高まっているときでありますし、また政治の世界にかかわってきた暴力団の問題などについても問題が大きいときだけに、税の観点からその点について伺いたいと思います。  せんだって、東急建設の社長が記者会見で、山梨選挙で資金応援を求められ数百万円を提供した、その金は経理上使途不明金として処理したと表明し、前田建設の社長も同じく、ゴルフ場の造成工事に関連して謝礼をした、領収書をもらえなかったので使途不明金として処理したという発言がありました。  これは調査されたものが、実施調査率が所管法人に対して大体毎年一四%から一六%ぐらいとかですから、把握法人として見れば一一、二%というところですが、その中でも九一年度の使途不明金が五百五十八億円、建設業が三百八十二億円、大体六八%から七〇%を出るぐらいが建設業界のようであります。もちろんこれは一部を調べてのデータにすぎないわけですが、問題は、この間全体として使途不明金が毎年解明が進んで減少するんじゃなくて、ふえているわけですね。  国税庁の立場は当然真実の所得者を明らかにして課税するという立場でありますが、なぜ使途不明金がどんどんふえていっておるのか、この点についてその理由をまず伺っておきたいと思います。
  67. 野村興児

    ○野村(興)政府委員 お答えいたします。  ただいまのお尋ねは使途不明金がなぜふえるかという話でございますが、これはまさにその事業主体の話であろうかと思います。  今先生指摘のように、計数面で見ますといろいろな動きがあるわけでございます。ただ、私ども立場からいいますと、別に使途不明金なる定義が税法上あるわけでは決してございませんし、これが法人税の基本通達でたまたま、法人が交際費とか機密費、接待費、そういった名義のものでもって支出した金銭でその使途が明らかでないもの、これは損金の額に算入すべきではない、こういうふうに規定している、それがよりどころであるわけでございます。あくまでも所得課税の原則は真実の所得者に課税をするというのが建前でございまして、私どももその趣旨に則しましてその解明に努めておるところでございます。
  68. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 そういうことだけでとどまる話じゃないと思うのですよ。使途不明金扱いになっているものについて解明が必要だと思うのですよ。前田建設の社長の場合は、自民党の複数の国会議員に対して多いときで数千万円の裏献金があったと彼は言っておるわけですが、一社だけでこれだけですから建設業全体になると数百億円以上に上るのじゃないかと見られるわけです。国の予算それから地方交付税の執行の中で公共事業を通じて税金が政治家へ裏献金となり、不正蓄財の原資となっていくわけでありますから、国民の立場からは使途不明金扱いでこれはとても納得できる話じゃないと思うのですよ。  実は私、二年前にもこの問題を取り上げました。橋本大蔵大臣のときでありましたが、三菱商事のルノアールの絵画取引をめぐる使途不明金を取り上げて三菱の十五億について解明せよと求めて、こちらの方は取引の関係者である三菱商事、東京富士美術館、投資顧問会社、経営コンサルタント会社、画商、陶磁器会社などを調べられて、せんだって国税庁は二社三人を脱税容疑で東京地検特捜部に告発したということですね。つまり、政治家絡みでない方はしっかりやっているわけでしょう。それで、何かもらった側に政治家がいるらしいということになってくると解明が進まないということになれば、これは私は法のもとの平等に反すると思うのですね。  やはりこの点では、大蔵省なり大蔵大臣の方のこの使途不明金のまず徹底解明ですね。そして使途不明金の中身とか、だれにどういうふうに行ったのか、つまり真実の所得者を明らかにして使途不明金扱いにされているものをうんと減らしてしまう、これがまず作業の出発点になると思うのです。この点については文字どおり法のもとの平等という精神で、相手は画商だったから一生懸命やった、片方は政治家だから遠慮する、こういうことではとてもうまくないと思うのですよ。この点でやはり大臣の方としても、国税庁を督促して解明等について毅然として当たるのだというところを示していただきたいと私は思うのですが、どうですか。
  69. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 御指摘のルノアールの事件とかというのがありましたけれども、ルノアールの事件で民間だからやったということでなくて、やはりあくまでもそれは所得税法違反ということで所得隠ぺいのなにがあるという形での捜査をした、こういうことだろうと私は思うのです。ですから、国税庁としては別にそういった民間だから厳しくやる、政治家だからどうだという話ではない。ただ、なかなか調べられなかったというところがあるのかもしれません。  逆に今先生の論理でいいますと、政治家の方はなかなか調べられなかったんじゃないかなということが私はあると思いますし、その点はやはり十分考えて、そういう注意をしておかなければならない問題だろうと思います。法のもとの平等でありますから、まさに法のもとの平等で適正な法律が執行されるということは当然やらなくちゃならない話でありますし、法のもとの平等というのがどこまでのことをどうしてやるのか、単にどうだという断片的な話じゃなくて、法をどうやっていくかということの問題ではないかな、私はこう思っているところであります。
  70. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 画商であればやるが、政治家だからといって遠慮はしない、そういうことで使途不明金扱いされているものについては、まず徹底した中身の解明ですね、それなしには私は税に対する国民の信頼が損なわれていくと思います。法人税法百五十三条、それから所得税法の二百三十四条ですね、所得税の場合でいうとそちらになりますが、質問検査権を行使して、そして企業の側にはもともと一円たりとも使途不明金というのはないと思うのです。  問題は裏献金であったり賄賂であったり、不正な工作費など使途を明らかにしたくない金であって、企業の中であいまいにしてこれは使途不明金です、社内でそういうのが通用するようなことはおよそ考えられないことだと思います。皆きちっとしていると思うのですよ。対外的に明らかにできるかできないかの話であって、そこには企業倫理からしても、株主への背任行為になるという問題からしても、やはり本来使途を明らかにできる使い道でなければいけないし、また明らかにしなければいけないと思うのです。それをあいまいにして受け手側のいわば脱税を助けるということになれば、それはそれで一つの犯罪的性格を持ってくるわけでありますから、私はこういう点では、文字どおり調査している率が一四%から一六%ですか、もっとこの実施調査の率を高めたり、あるいは使途不明金と言われているものについてその中身を、もっと質問検査権等を行使して解明しようとなれば、体制が必要だとなればその体制をとってでもこれをきちっとやって、真の所得者がわかるようにやっていくということが今非常に大事だと思うのです。  この点でもう一つ、私の知り合いの人で青色申告の人ですね。小さい業者です。こういうところなんかは税務署の統括官の方が余りあいまいにしないですよ。これは使途不明金ですなんというようなことを言ったって、あなた、そんなことじゃ青色申告取り消しになりますよと、きちっとやるのです。ところが、どうも大きいところになると使途不明金のままであいまいじゃないか。これも庶民感覚からして税に対する不信を招いていくもとになると思うのです。  私はそういう点で、特にせんだっての問題で三菱商事は、最初は自己否認をして使途不明金扱いで、九一年六月には約八億の課税に応じておきながら、画商に幾らだとかわかってくると、使途ははっきりしたんだ、真実の所得者ははっきりしてきたんだからということで、逆に今度は八億円の還付請求を国税庁に出してきたということも伝えられておりますが、本当に厚かましいといいますか、こういうこともありますから、だからそういう点はやはり体制を強化して、徴税に当たっては国民から不信を受けないように、特に使途不明金問題についてはきちっと解明する、そういう努力をやってもらいたいと思います。  そのこととあわせて、先ほども少しありましたが、例えば資本金一億円以上とか売上高で五十億円を超えるぐらいの法人になれば使途不明金といっても確かにいろいろ難しいものもありますから、全部が全部と私もそういう暴論を言っているわけじゃないのですが、少なくとも、例えば一千万円を超えたものについては一〇〇%なり適正課税をしていくということですね。こういうことはやはり今これだけの問題になっているときですから、法人税法の改正など規制を強化するということを具体的に研究し追求していくべきときだと思うのですが、この点についても大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  71. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 私、思いますのに、法人税法というのは、法人から利益が上がってくる、その利益に対して税金を取る、こういうのが基本でありますから、やはり企業の方として使途不明と言われれば、そこはその分だけは全部利益とみなして税金をかけられるのも結構ですよというのがありますし、それからまた、それを隠匿したならばさらに重加算税をかけますよ、こういうふうな話になっておるわけでありますから、税を取るというだけの話でございましたら、それで取ったのですから、もうそこで完結だと思うのですね。  もしもそれからさらに調べていくということになるならば、そういった形で言っているけれども、そこにほかの所得隠しとか利益隠しというものがあるのじゃないかなという議論になってくるのだろう、私はこう思うのですね。そこを一体どうするかというのが一つの問題であって、それは明らかに別のもののためにやる、こういうふうな話じゃないかと私は思うのです。  それからもう一つは、会社ですから、本来は商法であるとか企業会計原則であるとか、そういった形の中でやっていかなければならない。会社の重役さんがおかしなことをやっていたらそれは商法の背任罪になりますと、こんなような話でございますから、やはりそこで追及をしていかなければならない、法律的にはこういうことじゃないかなと思うのです。  ただ、先生お話しのように、今金丸さんの事件がありましたものですから、国民的には何かおかしいぞ、何か税務署もおかしなことをやっているのではないかな、こういう御指摘がありますけれども、税務署というのはやはり税を取るという立場においてやっているのが中心のところでありまして、そのほかにいろいろな、個人のことまで全部しっかり出すということになってしまったら、果たしてどんなものかな、その辺のことも私は正直言って考えておかなくちゃいかぬ話ではないかな。どこまでどうしてやっていくかというのは、やはり冷静に考えていくことが必要である。  本当を言いますと、私は、政治家がもう少し清廉であれというような形のことがモラルの問題として言われなくちゃならない話じゃないかな。そうしたときに、モラルの話であると、それじゃ政治家のやつをどうしますか。ちょっとさっき公明党のある先生にも御答弁しましたけれども、やはりどこの国も皆同じようなことがあるようでありますから、その辺も含めてお互い政治家が考えていかなくちゃならないような問題だろうと思います。  御指摘の点は私もよくわかりますから、考えさせていただきたいと思います。
  72. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 ですから、まず一つは使途不明金の解明ですね。これを体制をもっと強化するなりして、少なくとも使途不明金を明らかにするとともに、その内容の解明をやらないと、これは広い一般国民、納税者の理解がとても得られないところに来ている。その点の体制の強化。もう一つは、どういうふうに法律上これを組み立てて使途不明金についてやっていくかという問題はもちろんあるわけです。それについては一つは、あいまいにしておきますと受け手側の脱税を助けるという性格にもなってくるわけですから、こういう点は解明をしながら、なお解明しても相手が自己否認でどうぞ税金取ってくださいということでやろうとしているものについて、これはこれとして規制を強化するということをぜひ研究、検討してもらいたいと思います。私たちはこれをやるべきだと思っております。  最後に、警察白書の方では暴力団の年間所得、推定で一兆三千億円というのが出ているのです。警察庁から国税庁への課税通報というのは九一年度で約百五億円、二百七十件ありますが、とりあえずこの課税通報分についてどういう処理をされているかとか、こういう部分についても不明なままではうまくないですから、国税庁がもし警察庁からの課税通報分についてつかんでおられないようならば、これを今後どのように改善するかというその辺の決意だけ伺って、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  73. 野村興児

    ○野村(興)政府委員 課税通報につきまして具体的な件数のお話がございまして、突然のお尋ねでございますので、件数は今手持ちはございませんけれども一般的には暴力団の所得に対する課税、これはその課税の端緒が非常につかみにくいとか、あるいは他の納税者に比べまして調査協力というのは期待できないわけでございます。こういったような中で私ども国税当局だけで所得を正確に把握することは非常に難しい。このときに、今暴対法の関係で警察御当局から的確な課税通報という形でいろいろな情報をいただいているわけでございます。私どもは暴力団等に対しましても適正な課税を行う、こういった確固たる姿勢を持っておるところでございますので、今後ともそういった課税通報をもとに、警察当局とも緊密な連絡をとりながら適正公平な課税に努めていきたいと思います。
  74. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 終わります。
  75. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、神田厚君。
  76. 神田厚

    ○神田委員 平成五年度の地方交付税総額の特例措置につきましてまずお尋ねをいたします。  自治省がまとめた平成三年度の都道府県普通会計決算の概要によりますと、実単年度収支はその前の年に引き続き七十一億円の赤字を計上、また市町村ベースで見ても五百三十九億円の赤字であることが明らかになっております。当然のことながら、四年度決算においてもさらに厳しい状況が予測をされているわけであります。  しかし政府は、このような厳しい状況下にかかわらず、地方固有の一般財源である地方交付税交付金を、平成三年度五千億円、平成四年度八千五百億円特例減額したのに続き、今年度においても四千億円特例減額する方針を示しております。このように特例減額を続けるならば、国から地方への返済は実質的に棚上げされ、地方交付税減額され続ける結果になりまして、地方公共団体に大きな影響を生ずることは明白であります。そういう意味から自治省並びに大蔵省の御見解をお伺いいたします。
  77. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 担当は自治大臣でございますが、私の方から先に前座を務めさせていただきます。  今回の地方交付税減額措置、今お話のありましたように例年のことでございますが、私は、基本的には国と地方公経済の車の両輪でありまして、両者が協力しながらバランスのとれた運営を行っていくことが必要であるという認識のもとに、現下の非常に厳しい国の予算編成状況のもとで、地方財政の円滑な運営に支障が生じることのないように所要の地方交付税総額を確保した上で、関係者の御理解をいただいて地方交付税の特例措置を行おうというものでございます。今後の問題につきましても、いろいろな点ございますけれども、各年度の問題につきまして適切に対処してまいる所存でございます。
  78. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今神田委員から御質問のありました点、地方交付税地方一般財源でございますので、大蔵大臣からも申されましたように、これをきちっと返してもらうということで適切に対処してまいりたいと思います。
  79. 神田厚

    ○神田委員 地方分権についてお伺いします。  我が党は地方分権推進基本法案大綱、こういうものを持っておりますけれども、現在地方分権の早急な推進が必要である、こんなふうに考えております。しかし、地方分権を実効あるものとして、なおかつ国民の賛意を得られるためには、当面国と地方公共団体の枠組みは変えず、国と地方に通ずる権限、財源等を抜本的に再配分するというような考え方を私どもは持っておりますけれども、自治省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  80. 村田敬次郎

    村田国務大臣 地方分権の推進のためには、国と地方の役割分担を明確にして、住民生活に身近な行政は思い切って総合行政主体である都道府県や市町村、つまり地方公共団体にゆだねることが必要でありまして、その場合、同時に国、地方間の事務配分に見合った適切な財源配分を行うことが必要であると考えております。これまでもそういう方向で努力をしてきたところでございます。  民社党から御発表になりました地方分権推進基本法制定を初め、各方面からいろいろな提言があることは承知をしておりまして、地方分権を積極的に推進していくための一つの重要な方策だと考え、極めて示唆に富んだものと思っております。事務の配分及び財源の配分につきまして、地方分権の見地から今後これを進めていきたいと思っております。
  81. 神田厚

    ○神田委員 次に、道路整備財源の拡充問題でございます。  現在、高度化しております自動車社会に対応するために道路網の整備が重要な課題となりますが、そのために道路整備財源の拡充が必要であると考えております。しかし、このことは、自動車諸税を増税しろという考えに直結するものではありません。地方議会より道路整備財源の拡充を求める意見書、自動車諸税の負担緩和を求める意見書がそれぞれ数多く自治省、大蔵省、建設省などに届いているようでありますが、これは、現行の道路整備費用は道路整備目的税によりその大半を賄うという考えが破綻しつつあることを意味すると思われます。また、道路により利益をこうむるのは、自動車所有者だけではなくて国民全体であることも忘れてはならないと思っております。  今後、道路整備費用には一般財源の投入を大幅に拡充するとともに、自動車保有者一人当たり年間総平均約十四万円にも上っている自動車諸税の負担緩和を図るべきだというふうに考えておりますが、政府の御見解をお願いいたします。
  82. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 神田委員の御質問は二つあったと思いますが、道路整備は大変大切なことであるから一般財源の投入をもう少し大幅にすべきではないかということでございますが、御承知のとおり、道路整備の財源といたしましては揮発油税等の特定財源があります。それと一般財源がありますけれども、なかなか財政事情も厳しいし、一般財源の投入というのはおのずから限度があるということでございまして、今御指摘のありましたような自動車関係諸税に大きく依存していることは事実であります。いずれにいたしましても、予算編成過程におきまして考えていかなければならない話でございますが、厳しい財政事情を考慮しつつ適切に配慮してまいりたいと思っております。  第二の問題は、自動車保有者一人当たりに十四万円にも上るところの負担をしておるじゃないかというお話でございます。これは大蔵省どう考えるんだ、こういうことでございますが、自動車に係る税負担水準につきましては、自動車関係の大宗が道路整備財源とされておりまして、その受益者負担的な性格も踏まえて、道路整備に係る財政事情及び動向を勘案しながらやっているところでありまして、石油及び自動車に係る税負担のあり方など非常に広い見地から検討して決定されておったところでありまして、現在のあり方としては正しいものではないかな、こう思っているところでございます。
  83. 神田厚

    ○神田委員 大分考え方が違うようであります。  自動車は現在九種類の税金が課せられておりますが、六種類の税が長期間にわたりまして暫定税率となっております。地方道路税、揮発油税は昭和四十九年、軽油引取税は昭和五十一年、重量税は昭和五十一年、自動車取得税は昭和四十九年、消費税は平成元年よりそれぞれ暫定税率ですけれども、暫定ということはあくまで一時的ということであるわけでありまして、そういう意味では、大蔵省として暫定税率を将来本則に戻すというお考えはありますか、どうでしょうか。
  84. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 暫定というのはまさに暫定でございまして、戻すというのが当たり前の話であろうと思います。  なぜ暫定になっているのかと申しますと、先ほど来御説明申し上げてますように、道路整備を行うための特定財源、こういうことである。道路の方につきましては、道路整備の五カ年計画というのもやっておりまして、今回も七十三兆円でしたか、に上るところの五カ年計画を策定をしたところでございまして、その財源をどうして確保するかという観点でやっておるところでございまして、この暫定というのは今お話がございましたような形で、租税特別措置法などにおきまして暫定税率をまさに組んでいるところであります。租税特別措置法と、あるいは自治大臣の方からお答えがあるかもしれませんけれども地方税法の附則によりましてこういったことをやっているということで御理解を賜りたいと思います。
  85. 神田厚

    ○神田委員 政治改革、今一生懸命やっていますけれども、私は、大蔵省の税の体系のつくり方も、同時にやはりそろそろ変更というか、大胆な発想の転換というのが必要だというふうに思っております。特にこの道路関係につきましては、自動車関係につきまして、先日の地方行政委員会で可決をされました地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議で、「自動車に種々の税が課税されている現状にかんがみ、その在り方について幅広く検討すること。」というこういう一項がございます。政府はこれを最大限に尊重しまして自動車諸税のあり方について早急に検討を行うべきであると考えますが、お考えをお聞かせください。
  86. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 神田委員指摘のように、今我々は政治改革をやらなければならない、こういうことであります。政治改革と行政改革と、もう一つ言いますと地方との関係というような問題、私は本当に大きな問題だと思いますし、行政改革の中には、財政のいろいろな問題の改革も当然にやらなければならない問題だろうと思います。  お話がございました地方税法の一部を改正する法律の附帯決議によりまして、自治大臣からもその附帯決議に対しましては、「御趣旨を尊重し、善処してまいりたい」という話があったことは承知しておりますし、大蔵省としましては、その御趣旨を体しまして善処してまいる所存でございます。
  87. 村田敬次郎

    村田国務大臣 ただいま大蔵大臣もお答えになりましたが、私も、御指摘の点につきましては、よく趣旨を踏まえて今後努力をしてまいるつもりでございます。
  88. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  89. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて大蔵大臣に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会