○薄井
政府委員 お答え申し上げます。
議員御
指摘のように、使途不明金につきましては真実の所得者に課税するということがまず第一に目指すべき事柄だと思います。できるだけ使途を解明して、その
支出先に適正に課税するというのが望ましい原則だと思います。
ただ、どうしても使途の解明できないようなケースについてどうするかという問題でございますが、私
どもの所得課税あるいは
法人税、
所得税という世界におきましては、
支出した法人につきまして経費として損金算入を否認するということで課税するというのが
現状である、この点については御
指摘のとおりでございます。なお、その際に、仮装隠ぺいと申しますか、悪質な行為がある場合には重加算税で対応しているというのが
現状でございます。
こうした現在の
措置につきましての改善の余地はないかという御
質問でございますが、
法人税制の枠内の
措置としてかなり私
どもこれまでも議論を積み重ねてきたわけですが、これ以上の
措置をとることについては問題が多い、難しい問題があると
考えているわけでございます。
御
指摘のフランスの例は私
どもも承知しておりますが、一方でアメリカなりイギリスなりドイツにおいては、同じような事情があろうかと思いますが、税法といいますか、所得に課税をするという所得課税の世界の中でどれだけこれに対応するかということについては、むしろ
日本と同じような発想をしているのが実態でございまして、
先生が今御示唆されましたように、例えば制裁課税という形で構成できないかというフランス流の
考え方につきましては、税法がそこまで踏み込んでいくことがいいのかどうかということについては私
ども消極的に
考えておる次第でございまして、御
指摘ありましたように、経営者のモラルの問題といいますか、その辺は全体の法体系の中でどう指導していくかという問題であって、税法でこれを
措置することが本当にいいのだろうかということにつきましては疑問を持っているということでございます。
それから代替課税も、フランスの現在の制度についてそういう理解もあるというようなことも私
ども聞いておりますが、かなり大胆な発想だと思います。そういうことが税当局として代替課税みたいなものをどんどんお認めいただけるということになると、税金というのは非常に強制力のあるものですから、これまた問題もあるわけでございまして、この点についても受領者側をきちっと探していくということが正道かなと思っております。
いずれにしましても、問題の所在は使途不明金がおかしな
状況にあるのではないかということだと思います。これを社会全体としてあるいは法体系全体の中でどう対処していくかということについては、私
どもも異なる意見を持つわけではございませんが、税法という世界で、その限度の中で
措置することについては、現在のところが限度ではないかと思っておるような次第でございます。