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1993-03-25 第126回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年三月二十五日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 岡島 正之君 理事 福永 信彦君    理事 古屋 圭司君 理事 増田 敏男君    理事 小川  信君 理事 谷村 啓介君    理事 山口那津男君       井奥 貞雄君    石橋 一弥君       石原 伸晃君    岩屋  毅君       金子徳之介君    田邉 國男君       谷  洋一君    西田  司君       吹田  愰君    穂積 良行君       宮里 松正君    五十嵐広三君       加藤 万吉君    北川 昌典君       北沢 清功君    小林  守君       佐藤 敬治君    小谷 輝二君       斉藤  節君    吉井 英勝君       神田  厚君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     村田敬次郎君  出席政府委員         警察庁長官   城内 康光君         警察庁長官官房         長       垣見  隆君         警察庁刑事局暴         力団対策部長  廣瀬  權君         自治大臣官房長 吉田 弘正君         自治大臣官房総         務審議官    遠藤 安彦君         自治大臣官房審         議官      小川 徳洽君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         国土庁土地局地         価調査課長   藤田 博隆君         大蔵省主税局税         制題課長   渡邊 博史君         国税庁課税部資         産評価企画官  篠原 靖宏君         文部省初等中等         教育局教科書課         長       清水  潔君         通商産業省生活         産業局紙業印刷         業課長     増田 達夫君         建設省道路局道         路総務課道路資         金企画室長   後藤紳太郎君         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     石原 伸晃君   中谷  元君     岩屋  毅君   渡部 恒三君     金子徳之介君 同日  辞任         補欠選任   石原 伸晃君     井奥 貞雄君   岩屋  毅君     中谷  元君   金子徳之介君     渡部 恒三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第九号)  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第四三号  )      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増田敏男君。
  3. 増田敏男

    増田委員 自由民主党の増田敏男です。  初めに、時代の大きな転換の時期であり、なかんずく景気が低迷、不透明なときに、村田自治大臣には、地域住民の幸せを願って、地方自治の振興、地域活性化推進に日夜大変御努力をいただいております。心から敬意を表します。  それでは早速入らせていただきますが、昨年来のバブルの崩壊景気の循環による不況世界同時不況と相まって、まことに先行き不透明な状況が続いております。最近の経済情勢を反映して、法人関係税利子割税収が落ち込んでおるところであります。このような経済情勢の中で、地方税財源確保はまことに重要な課題であります。また、平成三年度における土地税制の抜本的な改正のときから、固定資産税についてはいろいろと議論が行われてきたところであります。  このようなことを踏まえまして、今回の地方税制改正はどのような基本的考え方に立って行われたのか、大臣所見伺いたいと思います。
  4. 村田敬次郎

    村田国務大臣 増田委員の御質問お答えを申し上げます。  地域づくり推進生活大国実現など、地方団体の果たす役割はますます重要なものになってきております。一方、地方財政につきましては、税収のはほとんど伸びが期待できない経済状況でございます。これは増田委員の御指摘になったとおり、今後の地方財政状況は厳しいものと見込まれております。平成五年度の地方税制改正は、このような事情に対応をしながら、地方税源確保を目指しながら行っているところでございます。  主な点を申し上げますと、まず固定資産税改正であります。固定資産税は、地方税制度確立の原点となったシャウプ勧告昭和二十三、四年のころでありますが、シャウプ勧告において市町村の基幹的な税目とされ、これまで市町村財政の中で重要な役割を果たしてきたところでございます。今回の改正は、一連の土地税制見直し背景に、この大きな役割を持つ固定資産税に対する納税者の一層の信頼確保するために、土地評価適正化などを図る一方、これに伴う税負担について適切な調整措置を講じているところでございます。  また、道路事業につきましては、地方から引き続き強い要望の出ておるところでございまして、地方道整備水準地方道に係る特定財源比率がなお十分でないということを考慮いたしまして、第十一次道路整備五カ年計画の実施が可能となるような地方道路目的財源について、必要な増収措置を講じることとしたものでございます。
  5. 増田敏男

    増田委員 次にお尋ねをしたいと思うのですが、景気は最近の総合経済対策等で若干上向いてきたとも言われておりますが、私はまだ減速していると考えております。平成五年度の地方財政計画では、単独事業で対前年度比十二%の増と、景気配慮したものとなっております。財源として地方税収確保はもちろん大変重要なことであります。ましてや十二%増、このようになっておるところであります。  そこで、平成五年度の税収はどのように見込んでいるのか、また、見込みどおり税収確保できるのか。平成四年の経験等からもこの際お伺いをしておきたい、お願いをいたしたいと思います。
  6. 滝実

    滝政府委員 平成五年度の税収見込み状況でございます。  これにつきましては、最近の課税実績あるいは政府経済見通し、それから何といっても国税との連関の部分がかなりあるものでございますから、国の税収見積もり、そういうものを基礎に個々税目ごとに見込んでいるわけでございます。この結果、今先生のおっしゃるように、平成五年度の地方税見込みにつきましては、法人関係税あるいは利子割、こういうところで大幅な減収が出てくるわけでございますけれども、その一方では、前年所得課税ということで、個人住民税あるいは固定資産税、こういうようなある程度税収伸びの期待できる税目がございます。そういうことで、全体としては三十四兆五千億余り、前年度に比べまして一・六%の増加を見込んでいるわけでございます。  もともと今回の平成五年度の税収見積もりについては、今お尋ねのございましたように平成四年度の実績がどうかということでございますので一言つけ加えさせていただきますと、平成四年度の中で今のところ私どもが数字的にある程度見通しを立てておりますのが、一月末現在までの累計で見ますとやはり相変わらず思わしくない、こういうような状況でございますので、そういう最近の実績を踏まえてもかなり厳しい状況である、こういうことでございます。しかし私どもとしては、この見込みにつきましては、現在の実績を踏まえて何とか一・六%の伸び程度確保できるのではなかろうか、こういうような見通しを持っているわけでございます。
  7. 増田敏男

    増田委員 次に、今回の最大の改正点は、固定資産税税負担調整措置であります。土地基本法趣旨等に基づき地価公示価格の七割程度評価をした場合、評価額平均で現在の三倍程度になる、こういうふうに言われております。私たち埼玉県は五倍を超すだろう、こう見ておりますが、平成六年度の評価がえは増税を目的とするものではなく、評価均衡化適正化目的とするものでありますから、税負担については十分な調整措置が必要であると考えます。また、評価がえの状況大都市部地方格差があると聞いておりますので、調整措置を講ずるには地方市町村状況にも当然配慮する必要があると思います。  昨年度自治省では、全国で五カ所、仙台、名古屋、大阪、広島、久留米で固定資産税について市町村長意見を聞く会を開催をし、全国市町村長意見を十分聞いてこの固定資産税調整措置検討されたと聞いておりますので、実際に住民に接している市町村意見は反映されていると考えますが、以上の点を踏まえ、今回の税負担調整措置についてどのように考えているのか、お尋ねをいたします。
  8. 滝実

    滝政府委員 ただいま御指摘がございましたように、今回の評価がえにつきましては、大都市部分とその他の地域との間で格差が生じるだろうということも当然想定されるわけでございます。したがって、そういうような全国的な市町村状況というものも片や勘案しながら調整措置を講じてまいらなければならぬ、こういうことでございます。特に、土地価格が増加しておりますいわば大都市地域だけを勘案した調整措置でございますと、その他の地域がそれによって相当減収になってしまう、こういうようなことも予想されるわけでございますから、当然、そういう意味でおっしゃるような配慮をさせていただきました。  また、そのためには、今も御指摘ございましたように、実際に固定資産評価をされる市町村長さんの生の意見を聞くということで、五カ所でもってその周辺のその地域に集まれるだけの市町村長皆さん方にお集まりいただいて意見をお聞きしてきた、こういうことでございます。  その結果が現在法案としてお示しをしているようなことになるわけでございますけれども、具体的な内容といたしましては、やはり総合的な観点からやるということしか方法がない、こういうことになるわけでございまして、住宅用地につきましては、固定資産税課税標準特例措置を今回拡充する、あるいは都市計画税につきましてもその特例措置を新たに導入する、こういうようなことを一つはやっておりますし、また、それだけでは不十分でございますから、その上に加えまして、特に上昇割合の高い宅地に係りましては暫定的に課税標準特例措置を新たに導入する、こういうようなことを行いながら結果としてはなだらかな負担調整措置を講じる、こういうことを最終的な目標として調整措置を講じたわけでございます。  また、土地だけでは不十分な点もございますので、これに加えまして家屋耐用年数の短縮を図るなど、土地家屋、そういうものを総合的にとらえ、また、固定資産税だけではなくて都市計画税をも含めた総合的な調整措置を講じた、こういうことでございます。
  9. 増田敏男

    増田委員 細かいことを言うといろいろあるのですけれども、何しろ調整措置は十分配慮してやっていっていただきたい。どうしてこう言うかというのは、私の試算では秋田、山形などは一・七倍ぐらいだろう、大分が一・八倍ぐらいだろう、青森が一・九倍ぐらいだろう、北海道に鹿児島は二・八倍ぐらいだろう、そして私たちが住む埼玉県は五・三倍ぐらいになるだろう、東京や群馬は五倍を超すだろう、千葉が、こう言うと変ですけれども本州では一番高くて、大体六倍は超すだろう、こんなような試算を私はしております。したがって、全国平均三倍、こういうことになっておりますので、引き続いて監視をしながら適正化に心がけてほしい、これは要請をしておきたいと思います。  そこで、次に入りますが、今回の評価がえは昭和三十九年以来の大変な作業となるわけであります。各自治体事務作業ももちろん大幅に増大すると聞いておりますが、それらの作業が円滑に処理される必要があるわけであります。そこで、作業が円滑に処理できるように自治省としてどのような指導対応をしていこうというお考えなのか。  また、評価がえにより評価額が一度に何倍にもなれば、納税者にとっては、その評価額だけでいたずらに誤解を与えることになっていくと思います。今回の評価がえの趣旨は、それに伴い税負担に十分な調整措置が講じられていることを納税者によく理解してもらう必要がある、このように強く感じますので、この辺はPR等を含めながらどのようにお考えになっておられるか。きのうの参考人意見にも出ておりましたが、以上二点、お答えを願います。
  10. 滝実

    滝政府委員 おっしゃるとおりこの今回の評価がえは、昭和三十九年に大規模評価がえをして以来のものだというふうに私ども認識をいたしております。そういう意味で、その三十九年あるいは四十八年、こういうような過去の大規模評価がえ作業、こういうものを今回は十分に検討して進める必要があるというふうに考えております。  したがって、具体的な作業といたしましては、鑑定評価を導入してまいるわけでございますけれども、これに関連しての技術的な援助、これがやはり何よりも大事なことでございます。それから、そういうためには組織づくりも必要でございますから、土地評価協議会、これを中央の部分都道府県ごと部分とこういうふうに分けているわけでございますけれども、こういう協議会の設置ということを軸にして事務的なバックアップ体制をとる、こういうことにいたしておりますし、また、これにつきましては当然それだけの財源措置が必要でございます。したがって私どもとしては、こういうようなバックアップ体制を伴うものにつきましては、市町村長皆さん方意見を踏まえながら十分な措置を講じ、かつ情報をお流ししていく、こういうことをやってまいりたいと考えております。  二点目にお話しのございましたPRの問題、これも、特に私どもとしては心しなければならない問題だろうと思います。従来から、この点につきましては、財政的な問題としては交付税措置等によって措置をしてまいっているわけでございますけれども、今回につきましては、特にその辺のところは十分な認識を持って財政的な措置は遺憾のないようにしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  11. 増田敏男

    増田委員 次に、今回の固定資産税改正はもちろん大きなものであります。私は、大改正だ、こういう認識をしておるところであります。固定資産税は、シャウプ勧告以来、市町村の基幹的な税目として市町村行財政運営地方自治の発展にとってその果たしてきた役割は大きなものがあります。  聞くところによりますと、昭和三十九年に評価方法改正があり、そのときも評価は大きく上昇したが、税負担はきちっと調整したというふうに聞き及んでおります。今後とも評価均衡化適正化を進め、固定資産税制信頼を高めていく必要があるわけであります。  そこで、今後の固定資産税あり方についてどうお考えなのか、この際お伺いをしたいと思います。
  12. 滝実

    滝政府委員 ただいまも御指摘がございましたように、固定資産税というのは、評価がえという大きな作業が過去の歴史からいっても避けられない問題を持っております。したがって、その評価に当たりましては、当然過去の実績を踏まえた検討をしなければなりませんし、また、その際には固定資産税あり方という問題について常に検討を加えていくということも必要かと存じます。  そういう意味で、ただいま御指摘のあったこれからのあり方、今後のあり方、こういう点について申し上げますれば、固定資産税というのは、やはり何といっても資産保有市町村行政との間にいわば受益関係がある、こういうことに着目して設定いたしました税金であること、それから二番目には、当然のことながら、保有の継続あるいは資産の使用、そういうものを前提として資産価値に応じてかけていく、こういうものでございます。  したがって、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、この税目そのものシャウプ勧告によって強く指摘されたあるいは創設されたと言っていい税金でございますけれども、それ以後、市町村の安定した財源、こういうような位置づけがなされてきたものでございます。したがって、シャウプ勧告以来、そういった市町村税収の中でも特に今や基幹的な税として定着している税でございますから、こういうような性格というものは評価がえのたびにその重要性、意義というものを改めて認識していく必要があるだろう、こういうふうに考えてきております。  したがって、そういうような観点から、今回は、この土地税制見直しということも片や背景としてあるわけでございますけれども、長期的に見て重要な税だ、こういうようなことの認識を踏まえた評価ということを私どもとしては心がける必要があるだろうというふうに考えております。
  13. 増田敏男

    増田委員 ぼつぼつ時間が気になってきてしまいましたので、まとめて質問したいと思います。  これは、新築住宅に係る固定資産税減額措置の拡充なんですが、私も賛成のことでありますので、引き続いて検討して、マイホームの夢の実現ができるように、広く国民が持ち家となるように、引き続いてこれは御努力、御検討を賜っていきたいな、これはお願いであります。  それから、自動車税の問題、これも触れたかったのですけれども、この点も引き続いて、時代の流れを見ながら、十分環境等にも配慮をしながら税制を組み立ててほしいな、こういうことでこれはお願いをしておきたいと思います。  そこで、質問を二つほどするわけですが、道路目的財源についてであります。道路目的財源平成五年度を初年度とする第十一次道路整備五カ年計画において、地方単独事業は第十次の計画に比べ一・八倍と大幅に伸ばしております。その財源として道路目的財源確保が当然必要となってくるわけであります。今回、地方道路目的税についてどのような改正を行ったのか。そして一・八倍という形になったから、そういう中で何か所見があったら、担当としてお聞かせをいただきたい。  次に、事業税についてであります。今回、個人事業主控除額引き上げを行ったわけであります。私は、もちろん賛成で、零細企業をかつて経験がありますから、個人事業主控除はもっと多くても結構だ、こう思っておるのですが、その辺の見解、所見がありましたら。  以上二点、お答えをいただきたいと思います。
  14. 滝実

    滝政府委員 まず、道路財源の問題でございます。  御指摘のように、今回の第十一次の五カ年計画におきましては、地方事業、特に地方単独事業伸びが大変著しい、そういうところに特に力を入れている、こういう計画でございます。したがいまして、私どもも、道路関係税でございますところの例えば軽油あるいは自動車取得税につきまして、これに合わせていろいろ御負担お願いをするというのが今回の中身でございますけれども、この計画性格上、そういったものを背景とした御負担お願いするということになろうかと思うわけでございます。そのためには、特に軽油引き上げにつきましては、それに対応したPRとかそういうような側面的な対応も当然税務当局としても必要になってまいりますので、今回の法案に関連した私どもとしても対応をさせていただく、こういうことは必要だろうというふうに考えております。  それから、事業税でございますけれども個人事業に係る事業主控除につきましては、過去八年間実は据え置かれてまいりました。現在までのところ、昭和六十年度に引き上げられまして今日に来ているわけでございますけれども、八年間も据え置かれた、こういうこともございまして、今回それに対応した引き上げお願いをいたしているわけでございます。この事業税の中でも特にこの個人事業主控除というのは、そういう意味では直接、納税義務者の変動にもつながる問題でございますけれども物価調整等々ということもございまして今回させていただいた、こういう状況でございます。
  15. 増田敏男

    増田委員 時間を気にして二つ省きましたが、時間がまだあるようですから、質問はいたしませんが、めったにこういう機会がありませんから、この際、お願いやらあるいはお互いに努力をしていこう、こういう観点で二、三分時間をかりたいと思います。  御案内のとおり、一年ちょっと前にソ連が崩壊をいたしました。十五の共和国に分かれ、そして共産圏は支柱を失って、私たちと一緒に一つ世界、こういう形で安全保障経済も歩むことになったわけであります。私は、今日大きな問題が二つ残った。一つは、これからの安全保障はどうするんだ、これが一点でありますが、直接私たちに今関係があるというのはもう一つの大きな問題、経済の問題であると考えております。  もちろんこの経済は、世界的な経済、そして世界の中で豊かさを求めていかなければ生きていけない我が国あり方、これらを考えたときに、地球は一つだという言葉とは裏腹にブロック化が大変進みつつある。一月元旦のEC統合であり、あるいは北米大陸の昨年来続いてきた経済圏の自立であり、いろいろな形が今日に引き続いているわけであります。  そういう中で、私たちは少なくも、今日まで歩んできたような上り道ばかり、言うなれば経済上昇過程ばかりは考えられないだろう。こう考えると、これからの行財政運営というのは、景気が大きく変動するであろうから、その中にあって、緻密であって、住民の理解がいただけて、しかも行政目的が達成ができる、こういう方向を模索をしていかなければならないだろう、このような考え方を私はしております。  そういうときに、古くから言われ、そして今、なおまた声が大きくなってまいりました地方分権制度等も出てきているところであります。私もちょっと考えてみまして、自治体といっても、二百人をちょっと出たぐらいの村から百万を超す大都市まで我が国にはあるわけであります。総数が三千三百だと一口に言われますけれども、全く内容が千差万別であります。したがって、自治省行政指導、こう一口に申しても、その指導内容個々いろいろと神経を使っていかれなければならない。しかし、ひとしく国民であり、ひとしく住民であります。こう考えたら、やはり行政は公平であり、そしてまた適宜適切な施策の展開を、こう期待するところであります。ぜひ今日までに引き続いた御努力お願いを申し上げたい、こういうふうに申し上げるところであります。  そこで、最後結びになってしまうのですけれども、終戦後、私たちの国の体制が変わりました。昭和二十三、四年のシャウプ勧告を初めとしてあらゆる制度が今の制度につくりかえられ、それが改正され改正され今日があるわけであります。しかし、改正だけではいき切らない制度も幾つか出てまいったところであります。大きく言えば農政などはその最たるものだと思いますけれども、そういうことを考えると、絶えず研さんに努めながら、情報を収集しながら、そして時代に合った行政展開を、こういうふうな考え方に至るところであります。  今度は時間がちょうど来るようですから、ここで言葉は結んでしまいますけれども、今私見を述べました。そして、私はいつも思うのですが、法律はわかりやすく簡単な方がいい、税金は安いほどいい、これが私の基本であります。そこで、ぜひその点に頭を、御注意を喚起せられて、これからの行政執行に取り組んでいただきたい。  きょうの結び言葉ですが、大変な大きな大改正と私はとらえておりますので、執行に当たっては十分配慮して歩んでいただきたいと思います。  以上で終わります。
  16. 村田敬次郎

    村田国務大臣 増田委員から、広範な世界的な問題も踏まえて最後の御意見の表明がありました。大事なことだと思いますので、その要点だけ、私の感じておることを一点申し上げたいと思います。  増田委員は、市長の御経験等もあり実に豊富な地方自治経験をお持ちですが、私は、この国会以後の政治改革の大きなポイントは地方分権だと思うのです。そして、その地方分権が、例としてお挙げになったロシアやアメリカやそういういろいろな国との世界情勢への対応で非常に大きく広がっていく面と、それから、もっともっと地方自治観点で見ていかなきゃならない面と二つあるのです。  既に、道州制というような広域行政について考える会も発足をしようとしております。したがって、都道府県を超える例えば都道府県連合のような組織体が考えられるのかどうか、それから、政令都市という大都市と普通の市町村との間でパイロット制度であるとか中核市制度であるとか、そういう市町村自治の新しい制度考えられるのかどうか、まさに地方分権、地方自治の大きな課題がこの国会以降の国の課題だと私は思っております。  行政面は、もちろん私どもも、自治大臣あるいは自治省のスタッフとして対応していくわけでございますが、これは広範な立法権をお持ちになる議会と一緒に考えなければならない問題でございます。ぜひそういった面で全般的な視野から、また地方分権の視野から今後御指導をいただきたいと思います。  以上でございます。
  17. 増田敏男

    増田委員 ありがとうございました。  終わります。
  18. 中馬弘毅

    中馬委員長 では、続きまして、小川信君。
  19. 小川信

    小川(信)委員 このたびの地方税法の改正の問題で幾つか御質問をしたいと思いますが、まず固定資産税関係について、基本的なことについてお尋ねを申し上げたいと思うのです。  このたびの固定資産税は大幅な評価がえが行われるということでございます。評価を基礎にしての税率を掛けての固定資産税ですので、この評価額というのは極めて原則的な役割というか、基本的な役割を持つものですけれども、この辺についてお尋ねをしたいのです。  平成二年の十月に、これは土地基本法等々の考え方なり、またその後平成三年の一月に出された総合土地政策推進要綱等も踏まえながら土地税制あり方についての答申がされておりますが、これは大きく分けて幾つかの課題がございます。  一つは、いわゆる新土地保有税としての地価税を導入する必要があるのではないかというのが書かれておりますし、それから、保有税を強化するという立場から固定資産税評価額見直しをすべきではないかというのがこの中にもあります。そのほか土地譲渡益に対する課税の強化とか、相続財産としての土地評価引き上げ、これは公示価格の八〇%という問題だろうと思います。さらには、市街化区域内の農地の宅地並み課税の実施という形で、昨年でしたか一昨年でしたか、生産緑地法の改正が大幅に行われてこれは実行されることになった、そういうふうなものの一環としての土地税制の強化という立場でこの問題が答申されておりますし、それは土地資産としての有利性を圧縮して利用価値をきちんと認めるような方向に行くべきではないかというのがこの一つ考え方だと思いますし、バブルの一つの大きな柱である土地というものの、資産としての土地に対する歯どめをかけようということだったと思います。  そういうようなものを基本にしながらこのたびの固定資産税評価がえが行われておるということであるのか。いわゆる地価の異常な高騰等に対する総合的な地価対策の一環としてこのたびこの発想なりこの法改正が行われておるのか。  それからもう一つは、一物一価の原則というのがある。何でも一つの物に対してはそれの価格というのは一つであるはずだということに立って、いわゆる地価の公示価格なり相続税の評価額なり固定資産税評価額なり、さらには取引実例価格といいますか実勢価格、こういうふうなものの評価均衡化適正化を図るためにこのたびの評価がえをするのか。  さらには固定資産税という税収を、安定的な税収確保しながら将来に向けて計画的に増徴ができるような措置を講ずるということを主眼に考えるのか。基本的なお考えについて大臣からお話をまず聞かせていただきたいと思います。
  20. 村田敬次郎

    村田国務大臣 小川委員から非常に基本的な問題点の提起がございました。私もそういうことはよく感じておるのでございまして、いわゆる一物四価ということを言われますね。これは国税としての例えば相続税についての税務署の評価、それからシャウプ勧告以来、あるいはもっと言えば日本では地租、家屋税以来、明治以来、土地というものは基礎的地方公共団体である市町村がその税金をいただくものだという基本的な考え方、それから国土庁でやっております土地公示価格、そういったものについての評価、さらに実勢価格、いわゆる普通一物四価ということが言われております。  そして、これは私どもはディスカッションでよく言うのですが、局地的な場合は別として、日本の土地ぐらい高いところは世界じゅうにないのじゃないか。例えばアメリカのマンハッタンをとってみても銀座よりははるかに安いし、そしてまた日本国内でも巨大都市と農村では大変土地評価に差がある。そういったような基本的なものがありまして、本来固定資産税市町村によっていただくものということになっておるわけでございますが、土地に対する課税としては新たに地価税というような概念まで出てきて国税の一環としようという動きもあったわけでございます。  いろいろ問題点の提示があったわけでございますが、私はこれについての小川委員の御指摘はことごとく非常に肯綮を射ておると思います。したがって、指摘されたようないろいろな要因があって固定資産税あるいは土地に対する課税の今後のあり方があるものだ、こういうふうに考えております。  平成六年度の評価がえにおきましては、公的土地評価の相互の均衡と適正化が図られるように努めるという、御指摘になりました土地基本法第十六条の趣旨などを踏まえまして、宅地について地価公示価格の七割程度を目標に評価、これは評価ですよ、評価均衡化適正化を図らなければならないというのがその趣旨でございますが、実際の課税はもっとはるかに低いところに置いているのは御承知のとおり。また、特に地価の高い東京等とあるいは農村等との地価はおのずから差があるということも御承知のとおりでございます。  このように、平成六年度の評価がえは、基本的に評価均衡化適正化を図ろうとするものでございますことから、それに伴う納税者税負担につきましては急激な変化は避ける、そういう意味で急激な変化の生じないように総合的かつ適切な調整措置を講じていかなければならないと考えておりまして、これはいろいろ土地についての行政を所管しております国土庁やあるいは都道府県や、都道府県の知事や、また実際の評価、課税を行う市町村ともよく状況を聞きながら、今後の進むべき方向を、御指摘になられたようないろいろな観点に従って適正な方向で土地行政を進めてまいりたい、そういうふうに思っております。
  21. 小川信

    小川(信)委員 それで、今大臣から公示価格の七〇%を一つの基準にして作業を進めるというお話でございましたが、この公示価格の七〇%というのが本当に適当なのか。どうもその根拠というのが私には十分理解ができない。端的に言えば、公示価格の七〇%ということにすれば、ある意味では高い水準で固定化、安定化させるような作用が働くのではないかという危惧がございます。そういうふうなこと等があります。  それからもう一つは、きょうの午後、国土庁が新しい公示価格を公表されるように聞いております。その数字、中身について私、定かではございませんけれども、公示価格の年次別の変動率というのは相当激しいものがあるのではないかというふうに推測されます。そういうふうな大きい激しい変動のある公示価格を基礎にして安定的に税収確保しなければならない固定資産税というものを考えた場合に、公示価格を基礎にしての七〇%というのがどうなのかということについての客観的な根拠、理由がまだ私には理解できないのですが、そのあたりをわかりやすく御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  22. 滝実

    滝政府委員 二点ほどあったかと思います。  一つは、公示価格の七〇%をめどに固定資産評価を目指す、こういうことの根拠は何かということでございます。  これにつきましては、私どもは従来からいろいろ検討を進めてまいりましたし、過去においても当地方行政委員会におきましてこの点についてそれなりのお話を申し上げてきた経緯があるわけでございますけれども基本的に私どもが今考えておりますのは、この七〇%の根拠といたしましては、やはり前から申し上げておりますように、何といっても一物四価と言われるような中で一つのよるべきものは何かといえば、それは現在の段階では地価公示価格が最もふさわしいだろう、こういう前提に立ちまして、それの一定割合、こういうことを固定資産税の場合にもその評価の基準にさせていただく、こういうことから出発しているわけでございます。  そこで、固定資産税についてその七割を取り上げた根拠でございますけれども、これは一つには、地価公示価格丸々目いっぱい、一〇〇%というわけにはどうしてもいかない。やはり固定資産税性格と地価公示制度趣旨にはそれなりの違いがあるのだろう、こういうことで一〇〇%というわけにはまいらないというのが一つの前提でございます。  それからもう一つは、しばしばこれも申し上げてきた点でございますけれども、端的に申し上げるならば、昭和五十年代、地価が比較的安定していた時代において地価公示価格固定資産税評価との割合をずっと探ってまいりますと、平均的に申しますと七割に近い数字で過去に固定資産評価がなされていた時代がある。したがって、地価公示価格一つのお手本にするならば、それがやはり最大限、地価公示価格に接近できる数字じゃなかろうか、こういうことで七割というものを設定いたしまして、それなりの議論もしていただいた、こういうことでございます。  それで、問題は、二番目にもございましたように、現在のような高い水準の地価の中で、しかも地価が変動している中で公示価格をお手本にすると安定財源たる固定資産税に問題が生じるのではないだろうか、こういう御意見でございます。  私どもは、この地価公示価格そのものが高い地価を決して是認する制度ではなくて、そのときそのときのいわば資産価格というものを反映する一つの数字だ、こういうふうな認識をいたしておるわけでございますので、高い土地価格を是認するということには必ずしもならないだろう、こういうふうに考えておりますし、また、今回地価公示価格をお手本にさせていただく前提といたしましては、地価公示価格の算出のプロセスにおいてもそれなりのやはり労力が払われなければならぬ、こういうことが一つあると思います。  現実に、これにつきましては、既に御案内のとおり、平成二年に出されました不動産の鑑定評価基準におきましても、投機的な事例は徹底的に評価の対象から排除する、あるいは場合によっては収益還元法を積極的に活用してできるだけ正常な取引価格というものを使んだ、こういうようなことが打ち出されておりますし、しかも、地価公示価格作業のポイントになります地点数につきましても、国土庁が最近は相当努力をされて地点数を従来の数字からかなり大幅にふやしつつある。こういうようなことをとらえてまいりますと、私どもとしては、地価公示価格におけるそういうような配慮が片やあるということを前提にすれば、この公示価格というものは今の段階と申しますか、これからの問題としては一つのお手本に足るものだ、こういうふうな認識をいたしているわけでございます。
  23. 小川信

    小川(信)委員 一つは、過去の傾向から七〇%を適正なものとして見つけ出してきたということ、それは過去の数字から見れば納得できると私は思うのです。非常に安定していた五十年代と現時点と比べて七〇%だ。  でも、最近の五カ年間ぐらいをとってみましても、今から先も三カ年間はそうだと思いますが、公示価格は二けたぐらいで変動しているわけですね、大きくいって大都市周辺とか大都市部は下がってきておりますし、それから地方の都市は五%前後ぐらいでまだまだ上がっていっているわけなんですね。というのは、バブルの影響のなかったところは若干ずつ上昇しておる、そしてバブルの大きい影響を受けたところは二けたの数字ぐらいで下落、変動しておるというようなことですけれども、これを三年に一遍の評価がえでノーマルなものとしてやれるかどうかというのは私は極めて乱暴なやり方ではなかろうかと思うのですね。そうすると、一年ごとにやらなきゃならぬということになったら、これはもう大変な作業で、現実できない。  そういうふうなことを考えると、先ほどおっしゃった収益還元方式による修正を思い切って導入して、それのウエートを高めていくということも必要ではなかろうかというふうに思いますが、その辺いかがでございましょうか。
  24. 滝実

    滝政府委員 先ほども若干申し上げたかと存じますけれども、問題はやはり不動産鑑定の基準になります不動産鑑定評価基準の運営の問題も中には含まれているというふうに思うわけでございます。その中でこの評価基準が打ち出しておりますのが、できるだけ収益還元法を積極的に活用すべきだ、こういうことを打ち出しておるわけでございますから、私どもとしてはそういうものに大きな期待を寄せてみたい、こう思っております。  ただ、これは参考人質疑にもございましたように、理論的にはそういうものがあるわけでございますけれども、現実問題になるとなかなか、何を使うのかというところで実務的な壁がどうしてもできる、こういうふうな制約もあるものですから、私どもとしては固定資産評価協議会を通じてこういった点についてもなお意見交換をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  25. 小川信

    小川(信)委員 次に進みますけれども、どうも今のような激しく土地価格が変動するときの適正な固定資産評価の仕方としては、さらに研究をする必要があるのではないか。これは今もお話がありましたように、昨日の参考人の御意見の中にも十分出ておったと私は思います。  ところで、お目にとまったかと思いますが、実は三月二十二日の日本経済新聞の夕刊に、日本経済新聞の企画制作による広告ということで、「固定資産税負担増は必至 九四年度の評価替えで大幅引き上げ」、こういう見出しで記事が出ておったのを御存じかと思います。  これは、まさに土地等の資産を持っている人々の不安を大きくさせるような中身ではなかろうかと私は思います。それはなぜかといいますと、この広告記事は、そういうふうに固定資産税が上がっていくから将来は家賃とか商品原価にこのコストを算入するというようなことが書かれておるわけです。それは物価上昇の要因ということになるわけですけれども、日本経済新聞の企画制作によるこの記事を読む限りは、まさにそのようになるから資産を持っている人たち資産運用を考えなさい、その相談に応じますという広告です。  この辺についてはその日本経済新聞の企画が正しいのかどうか、そのあたりはどのように御認識しておられるか。
  26. 滝実

    滝政府委員 問題が二つあるかと思います。  一つは、端的にこの新聞の広告の取り上げ方のトーンになっております、固定資産税が二倍にも三倍にもなるよ、したがって今のうちに資産運用を考えた方がいいんじゃないでしょうか。こういうふうな内容部分でございます。これについては私は、少なくとも現在の法案でお示ししているような調整措置を見ていただければ御理解いただけますように、二倍、三倍という固定資産税が出てくるわけではないわけでございますので、その意味においては若干宣伝が過ぎるのじゃないだろうかな、こういう感じを一つ持ちます。  それから二番目の問題として、これは先生も御披露された中にございましたように、結局この広告そのものは資産の運用を今のうちから考えた方がいいですよという趣旨であったわけでございますけれども、もう少し正確に申し上げるならば、要するにバブルのときに東京周辺、特に大都市周辺のオフィスが不足して、いわば貸し手市場と申しますか、貸し手が相当発言権を持って、借りる方はいわば高い家賃でもって相当きゅうきゅう走り回った、こういう事態があるわけでございますが、バブルがはじけた現在は、むしろ逆に、貸し手がなかなか借り手が見つからなくて苦労している、だから、今の段階では借り手が主導権を持っているのだから、今借り手市場であるときに事務所を早く手当てした方がいいですよ、こういう意味での宣伝の文句でございますから、そういう意味でテナント募集のための一つの広告でございますので、若干そういう意味での宣伝が相当部分含まれているのではないか、こういう感想を持つわけでございます。
  27. 小川信

    小川(信)委員 確かに広告です。しかし、ああいうふうな記事が出されるということは、この法律を審議する我々としても、またこれが可決成立して六年から施行される過程の中で十分頭の中に入れておかなければならない問題ではなかったか、私はこのように思います。  ところで、先ほどからも出ておりますけれども固定資産税の収入というのは、いわゆる地方税収入の中の三五%を占めておるということですか、相当のウエートを持っておる、その上に、事業関係税とか所得にかかわる税とは違って安定的な税収入源だ、いわゆる景気変動に強いということだと思いますから、そういう意味では地方自治体にとっては非常に大事な税源であります。  それから、政府税調の答申の中でも、「地方自治の充実・発展に資するため、市町村の安定した財源として位置付けられた基幹税目であり、税源の普遍性や税収の安定性に富む税として、今後とも市町村財政の中で重要な役割を果たしていくべきである。」という前提に立って、「固定資産税収入の伸びは、少なくとも市町村の財政需要の伸び程度確保する必要がある」というふうにしておりますけれども自治省はいわゆる市町村の財政需要の伸びを、何%といいますか、年率どのぐらい伸びを見ておられるのか、その辺をまずちょっと聞かせていただきたい。
  28. 滝実

    滝政府委員 ただいま御指摘の、固定資産税というのは市町村の基幹的な税目でございますから、それに対応して少なくとも市町村の財政需要の伸び程度確保する必要があるという、今回の税制改正に先立ちましての政府税制調査会の答申の中にそういう指摘があるわけでございます。  私どもは、この指摘は、今回の評価がえによって評価が非常に伸びる、しかし税額を抑えるために調整措置を講じるというのが今回の作業の主たるポイントでございますけれども、その際に、調整し過ぎて固定資産税がもう干からびちゃうということのないように、こういうことの指摘ではないだろうか、こういうふうに受けとめさせていただいているわけでございます。  固定資産税は、先生も御指摘のとおり、市町村税の中では約三分の一程度をずっと維持してきた基幹的な税でございますから、これが今回調整措置を講じるということでもって全く活性化がなくなってしまうということになりますと、これはまた調整のし過ぎという問題がありますので、そこのところは要するに心して調整措置を講じなさいよ、こういうことではないだろうか、こういうふうに思っているわけでございます。  したがって、今御指摘のように今後の市町村の財政需要がどの程度伸びるかというのは、これは私どももなかなか定量的にとらえることは難しい問題でございますし、それを想定するということもいかがだろうか、こう思うわけでございますけれども、そういう市町村の財政の伸び程度のことはまあ何とか考えた方がよろしいんじゃないでしょうか、こういう趣旨でございますので、そういう意味で私ども調整措置を講じる際に余り干からびないように、こういうようなことで私ども作業させていただいた、こういうふうに考えているわけでございます。
  29. 小川信

    小川(信)委員 今私がお尋ねをしました、年率何%ぐらいの伸びを想定をする。法律の中にはございませんが、いわゆる負担調整の期間を十二年設定する、答申はおおむね十年以上の相当の期間となっていますが。そうすると、端的に言って、今から先固定資産評価が変動しないということを前提にしていくと、十二年で調整がなくなるということでしょう。十二年先には現時点の評価額掛ける百分の一・四で固定資産税額が出てくる、いわゆるノーマルな形に。  そうすると、逆に、その間の伸び率をどのぐらいと見て負担調整額のあの数式が出てこなければならないのが理屈じゃないかと思うのです。例えば、五・五%。現行額より三倍の評価額が、ストリップですか裸のままであればあるのだということであれば、十二年先には理屈からいえば固定資産税税収は三倍になります、そして財政需要の伸びはこのぐらいになります、そうすると、現在三五%の負担割合が三〇%ぐらいに下がりますという想定の計算がされてああいうふうな細かい数字が出てきたんじゃなかろうかと私も思いますが、その辺いかがでしょうか。
  30. 滝実

    滝政府委員 先生の御指摘は、理屈としてそういうようなことを考えていく必要がある点もあろうと思います。  私どもが十二年を今回評価がえの調整措置基本に置いておりますのは、いわば財政需要のある程度伸びを想定してそこから逆算してきたというわけではないわけでございます。もう少し具体的に申しますと、過去十年間ぐらいの市町村財政伸びはどのぐらいかと申しますと、平均しますと大体五・五%というのが過去十年間の市町村財政規模のアップ率でございます。したがって、そういうものを想定にして今回の調整措置を決めたかというと、そうではない。  そういうことではなくて、過去にいろいろな負担調整措置をやってまいりました。三十九年の評価がえのときも、端的に言うと昭和四十年からやったわけでございますし、そういうような過去の調整措置をずっと三年ずつやってまいりましたものですから、そういったときの税負担伸び、そういうものを一つには勘案する、それからもう一つは、三年ごとに行われるという評価がえのサイクルというか、一ユニットがありますから、そういうものを一つには考慮するということ等を勘案して十二年という年数を置いたわけでございます。十二年という年数を置けば、過去何回となく三年ごとに評価がえをやってきたわけでございますけれども、過去の評価がえにおける固定資産税伸び率と比較して過重にはならないだろう、こういうようなことを念頭に置いて今回の数字設定をさせていただいたということでございます。  もちろんその際には、先生御指摘政府税調の、少なくともこの固定資産税が干からびた税にならないようにというような御指摘、そういうものは念頭に置かせていただいておるわけでございます。
  31. 小川信

    小川(信)委員 負担調整の問題になるわけですけれども、私は、政府税調が言っておられるように、財政需要の伸び率を考えながら負担調整を考えるべきだ。そうすると、いわゆる経済変動がないという前提ですね。ですから、三年に一遍評価がえしてもほとんど動かないという前提でしょうけれども、五・五%の伸び率ということになりますと、十五年で需要全体が大体倍になるわけですね。片一方は十二年で三倍にするんだ。大体平均したら三倍ということならですね。そうすると、財政需要は十五年で倍になるのに、固定資産税収入は十二年で三倍になる、この数字の開き、これは私のめっその数字ですから少し違うかもわかりませんが、その辺の乖離が出てくると思いますが、その辺は具体的にどういう形でこのたびの負担調整の中なりで考えておられるのでしょうか。
  32. 滝実

    滝政府委員 先生は、財政の規模伸びが過去十年間平均すると年率五・五%ですから、それでいくと十五年で倍になる、それからこちらの方はいわば単純にモデル設定をすれば十二年で三倍になるじゃないか、そうすると、政府税調が指摘した財政需要の伸び程度ということを言っているけれども、それ以上に固定資産税の方が伸びてしまうという、こういう御指摘かと存じます。  これはいろいろ技術的な問題があるのでございますが、端的に申し上げれば、この制度は十二年を前提にした調整措置でございますから、当然その十二倍、十二年間かかるということを前提にしているわけでございますけれども、先々のことを今の段階で一挙に決めるわけにはまいりませんから、そこでやはりこれは三年ずつを調整措置として今後とも考えていったらいいんじゃないだろうかというのがその前提でございます。したがって、それは今後の経済変動もございますし、土地の下がりぐあい等もございますから、仮に今後三年ずつの調整措置をするとすれば、そのときの問題ではなかろうかと思います。  それから、もう一つ技術的なことで恐れ入りますけれどもつけ加えさせていただきますと、実は今の調整措置では十二年たっても三倍にはなりにくいわけでございます。というのは、今回、例の小規模住宅については四分の一を例えば六分の一にするとか、そういうような暫定的な措置じゃない大前提のいわば調整措置を今回イの一番に入れておりますので、それを計算いたしますと、技術的な点で恐縮でございますけれども、必ずしもそういう数字にはならないんじゃないか、こういうふうに思います。
  33. 小川信

    小川(信)委員 私は税制度の、税法の専門家ではないのですけれども、十二年を十五年にしても理論的に調整期間は矛盾しないんじゃないか。そうすれば負担調整率が少しずつ変わってきますですね。そうすると、この委員会できょう審議して、ここを修正してもいいかと、どこをどういうふうに修正すればどうなるかということがあっても私はしかるべきじゃないかという意見です。ですけれども、具体的に負担調整率を、一・八倍以下のものをどのようにせよとか、これを一・九にしてこれはというようなことについては私もちょっとわかりませんけれども、この上昇率とそれから負担調整率をこの委員会でいらっても、基本的には政策的にも制度的にも矛盾が生ずるものではない、こういうふうに認識いたしますが、その辺はいかがでしょうか。
  34. 滝実

    滝政府委員 十二年の問題を十五年に延長した場合の考え方いかん、こういう御指摘でございますけれども、私どももそういうようなことも作業過程においては計算したこともあるようでございます。ただ、これも長ければ長いほどいいというものでも必ずしもないわけでございまして、仮に十五年を前提にした調整措置を講じますと、実は固定資産税が落ち込む市町村の数がふえて、これは収拾がつかなくなるおそれがある、そこまではちょっと極端かもしれませんけれども、少なくとも減収になる市町村の数が相当ふえちゃう、こういうような制約があります。  先ほどのお話にもございましたように、要するに、大都市地域土地の価格が伸びていますけれども、そうでない地域を全体としてとらえて調整措置を講じるということになりますと、どうもそこら辺のところをぎりぎりの線をねらうと十二年が限界かなと、こういうような結果になるわけでございます。
  35. 小川信

    小川(信)委員 この問題で議論しても限界がないと思いますけれども、私は、先ほどおっしゃったように五・五%から六%の財政需要の伸びが大体十五年ぐらいで倍になる、それならば片一方も十五年に合わせた形で設定してもいいじゃないかというようなことを考えると同時に、これがこのたびの評価がえとそれから税負担とのそれから税収確保との関係の中でそう大きな矛盾が生じないんじゃないか、と同時に、納税者にとっては若干でも税負担が軽減されるということを考えて御提案したわけでございます。  きょう一日審議して、きょうの夕方には採決しなければならぬのですから、こういうのはちょうど一年前のこの委員会で議論をし提案をしなければならない課題かと思いますけれども、今後これらの問題についても十分御検討いただく必要がある課題ではなかろうかと思います。  次にお尋ねをしたいのは、昨日も、土地評価額というのは基本的には収益還元方式でやるべきだというのが参考人の方々のお考えだったのですけれども、そういうような中で最も収益還元の考え方になじむものは農地とか山林ではないかと思うのです。土地が収益の基本、基礎になっているという農地とか山林の評価方法について私は収益還元というもののウエートを非常に大きく考えていかなければならない、こういうふうに思いますが、これの評価方法はどのようになっているのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  36. 滝実

    滝政府委員 先生の御指摘のとおり、農地についてはやはり一般の宅地とは違った観点からの配慮があってしかるべき、こういう御意見でございますけれども、実際にはそういうような考え方をベースにした課税方式というものを農地については導入させていただいているというのが実態だろうと思います。ただ、評価につきましては、この農地、山林につきましても基本的には宅地と同様でございまして、取引価格をベースにいたしましたそれとの比較対照でもって価格を設定して評価額を決めていくというのが実態でございます。
  37. 小川信

    小川(信)委員 例えば農地でいきますと、昔の言葉で言う小作料ですね、地代、貸借の中で生じる地代があるわけですけれども、例えば公定歩合を〇・〇地代で割るというような形で出てくるのが私は農地の評価額と思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。一番端的に言って、地代をもとにして農地の、例えば十アール当たりでお米をつくる、それを小作人の人が借りる、借りるときに地主に払う地代を基礎にして評価額というものが出てくるんじゃないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  38. 滝実

    滝政府委員 これは、先生は専ら農地とか山林については特に御専門でいらっしゃいますので、私もあるいは的外れなことを申し上げるかと存じますけれども、この収益還元というものを徹底させれば当然そういうような考え方が出てこようかと思います。ただ、農地の場合でも実際の取引というものが何がしかあるものですから、そういうふうなことをベースにいたしますと、やはり評価そのものは取引価格というものを基本にするということにしているわけでございまして、その中で、例えば農地を農地として使うために売買が行われるという場合にはどうしても農地の制約性から、取引価格が実際には高くなるとかそういうようなこともあるものですから、それは技術的な点で修正方式をかませるとかこういうことはやらせていただいておりますけれども基本はやはり取引ということにしているわけでございます。
  39. 小川信

    小川(信)委員 例えば農地については、田でいえば日照状況とか乾田か湿田かとか耕運機が入りやすいか入りにくいかとか、そういうふうないろいろな要素が評点数のときに上がってくるわけでしょうけれども、確かにそれは土地としての機能でしょうけれども、そこでどういう基幹的な作目が年回転率一〇〇%ぐらいで耕作をされる、そこから得られる収益がどのぐらいか、それを基礎にしてやる。得られる収益がなければいわゆる小作の人、土地を借りてそこで農業をやろうという人はおらないわけですから、そうすると、そこは使用価値はゼロということになるんですね。  まさに現在、耕作放棄農地が約二十五万ヘクタールぐらいあるわけですね。それから、管理放棄の山林が相当たくさん出てきておりますけれども、こういうふうなところに対してどのように評価するかというのが私は市町村では大変だろうと思いますが、いわゆる無価値の農地なんですね。無価値の土地というものはないはずですから、そうすると、今までの評価の理屈とは違った理論を組み立てないと、いわゆる資産としての最低の評価額をどう見るかということになってくると、そこが通常に管理されているところは収益還元だ、耕作放棄や管理放棄をされた農地とか山林の評価はどうするのかということですが、そのあたりをちょっと聞かせていただきたいと思うのです。
  40. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 ただいま大変難しい問題を御指摘いただいておるわけでございますが、従来から、農地とか山林の評価というものは関係方面といろいろ協議をしながら勉強させてきていただいているところでございます。現在の地方税法におきましては、農地であれ山林であれ時価で評価をする、こういう原則がございまして、それに基づきまして、先ほど来局長から御答弁申し上げておりますように、固定資産評価基準におきまして標準田または標準畑を設定をいたしまして売買実例価格から算定をする、こういうことでやっておるわけでございます。  しかしながら、ただいま御指摘ありましたようないろいろな農地、山林についての利用の実態、それから標準的な田、畑の収穫量、そういうようなものをいろいろ検討した上で現在やっておるわけでございますが、先ほど御指摘がありましたような点について今農林水産省それから林野庁、そういうようなところとも数年来いろいろ検討させていただいているところでございます。しかしながら、今の時点ではまだその点についてのこれだという具体的な基準というのが、今の制度にかわる基準が得られていないというような状態でございます。  今回宅地につきまして、鑑定評価制度というそういう意味では、今までの評価の枠の中でありながら、不正常要素をどうやって外すかということについての一つのやり方を設定をいたしておるわけでございますし、この辺のことも十分検討しながら、総合的に今後関係省庁とも詰めながら勉強させていただきたいというふうに考えております。
  41. 小川信

    小川(信)委員 農地の問題についてもう一つお尋ねしたいと思うのです。  三大都市圏の特定市の市街化農地は生産緑地法もできまして明確になったわけですけれども、一般の市街化区域内の農地、これは評価は宅地並みに評価をし、そして課税は農地並みに課税をするというようになっておるわけですけれども、農地並みに課税をする農地に対してなぜ宅地並みの評価をしなければならぬのか。その辺をはっきりさせていただければと思います。
  42. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 現在の固定資産評価基準におきまして、土地の価格につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、売買実例価格から求められますところの正常売買価格に基づいて評価をする、価格を決めていく、こういうことにいたしておるわけでございますが、その場合に、地目によってその価格形成の要因が違ってくる、こういうことがございます。したがいまして、それぞれの地目ごとに評価方法が決められているところでございます。  今御指摘の市街化区域農地につきましては、都市計画法上、市街化区域内に所在し、おおむね十年以内に優先的に、計画的に宅地化されるべきものだ、こういうふうにされておりますので、届け出をするだけで宅地に転用できる、こういうのが実際でございますから、現実の取引につきましては周辺の宅地と同様の取引の仕方がなされている、要するに、農地としての制約がなくていつでも宅地にできるということから、そういうふうなことになっているのが実態でございます。そういうことですから、売買価格についてもそういうことを前提としたもので行われているわけでございます。  そういう実態を前提といたしますと、市街化区域内の農地につきましては、周辺の宅地の価格に比準すべきものと考えるのが本来であろうかと思います。そういう意味で、具体的には類似宅地の価格から造成費に相当する額を控除いたしましてそれで評価をする、こういうことになっているわけでございます。
  43. 小川信

    小川(信)委員 そうでしょうけれども、現に農地として利用している限りにおいては、その時点においては農地としての課税をするのですから、何も無理して宅地並みに評価する必要はないのじゃないか、現場の税務担当者の仕事もその方が楽なわけですから、私はそのことをする必要はないのじゃなかろうか。転用されたらその時点で、おっしゃるように当然そうだということは私はわかると思いますが、これらは一つの課題だと思います。  時間が余りなくなったので、端的にお尋ねをして端的に御答弁いただきたいと思うのですが、小規模住宅用地を二百平米、六十・六坪というのが一つのあれになっていますけれども、六十・六坪、二百平米で小規模住宅用地をここまではこうしましょうというのですが、それ以上は、ということでしょうけれども、六十・六坪でゆとりのある、豊かさが享受できるような個人住宅と考えられるかどうか  また、地方の公社とか市町村がつくる分譲住宅とか分譲地は、大体七十坪から八十坪、百坪程度地方では通常なんです。大都会ならこれで済むかもわかりませんけれども固定資産税のこの法律は全日本に適用されるわけですけれども、この二百平米の根拠というのは何でございましょうか。
  44. 滝実

    滝政府委員 おっしゃるとおり、基本的には大都市地域と申しますか地価の高い地域というものを想定して、その中で標準的な面積からいうと二百平米ぐらいが小規模と言えるものかなということにあったと思います。おっしゃるように、地方へ行けば二百三十平米とか二百六十平米とか、いわば公的に供給する宅地等においても、そういうような東京から見ると大変広い面積で分譲している例というのはそれなりに散見されるわけでございますけれども基本的には要するに大都市というものを念頭に置いて、その地価の負担税制面でも配慮をしてできるだけ負担を軽減したい、こういうことだと思います。  先生がおっしゃるように、二百平米を超えた住宅地については全く小規模特例措置を適用しないかというとそうじゃございませんで、二百六十平米の土地の所有者であっても二百平米までは小規模特例措置を講じて、二百平米を超えた六十平米についてはいわば一般宅地としての特例措置を講ずる、こういうことでございますから、その辺のところは、地方地方なりに広い、ゆとりのある面積を持っているところが先ほど申しましたようにあるわけでございますけれども、やはり全体の地価との関係ということで考えていく問題だろうというふうに思っております。
  45. 小川信

    小川(信)委員 私はこのたびの税改正を見ましても、どうも大都市を中心にした発想ですべてがやられておるような感じがしてならないのです。例えば建物に対する評価特例措置等々、土地の価格がほとんど伸びない地方の農山村を抱えておるような市町村は私は減収になるのじゃないかというように思いますし、それから負担調整措置をずっと講じていっても、土地の価格がそれなりに上昇していく大都市とかその周辺地域と、中山間地域を抱えているような地方の町村とでは相当の乖離が出てくるのじゃないかと思うのですけれども、これは将来交付税等々で十分な措置を講じていただく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。  時間が余りないので次に参りますけれども一つは、これは極めて政治的なことなので大臣のお考えを聞きたいのですが、新聞等のいわゆる広報事業に対しての非課税措置の廃止の経過措置の適用期間が延長されましたね、マスコミ等の圧力が非常に強いからかもわかりませんが。この適用期間を延長された理由は何か。そして延長しなければならない客観的な理由があるのか。大臣、その辺を端的に、素直なところをお答えいただきたいと思います。
  46. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今小川委員から御指摘のありました新聞業、放送業、出版業等マスコミ七事業の非課税措置につきましては、税負担の公平を確保するという見地から昭和六十年度の税制改正におきまして廃止されたところでございますが、この廃止に当たっては、これらの事業が三十年余の長期間にわたって非課税とされてきた経過にかんがみまして、その税負担の激変緩和を図るという意味で経過措置が設けられた、そして延長が逐次されてきたというのが実態でございます。  このような状況の中で、昨年度の改正におきまして経過措置存続の是非が非常に議論になったわけでございますが、このことについて結論を出すためには税負担の公平性確保観点からさらに検討が必要であるということになりまして、再度一年間だけに限りこの経過措置を延長したわけでございます。  このために、今回の税制改正に当たっては種々の検討を進めましたが、マスコミの公共性、公益性に配慮すべきだという意見も種々ございまして、この経過措置を一年間に限って再度延長するということになったわけであります。
  47. 小川信

    小川(信)委員 大臣から一年に限ってというお話をいただきましたので、十分記憶にとどめておきたいと思います。  次に、軽油引取税でありますけれども道路財源として期待をされておる税ですが、一キロリットル当たり七千八百円だと一リットルで七円八十銭、現行の三二%の増で平年度三千四十八億円の増収になるということです。  私は、道路というものは国の共通の財産をつくるわけですから、本来一般財源でこれを充当する、高速道とか基幹国道等とかだけではなくて市町村道も本来基本的には一般財源の中でやるべきだと思うのです。それを、軽油という特定の油種の引取税をこれほど大幅に引き上げてやらなければならない理由がどこにあるのか。  特に、これを利用する車種というのはバスというような公共的な交通機関が利用しておりますし、トラックというようないわゆる事業用の車両が圧倒的に多いのではないかと私は思うのです。そういうことを考えると、特にトラック事業とか公共交通としてのバス事業等々がこういうものの大幅な引き上げで経営が圧迫されるのではないか。  こういう話を聞いたことがあるのです。トラック業界が今十トン車で物を運んでおるけれども、こういうふうに軽油の値段が、税金が上がったら、これは二十五トンの車を使ってでもやらぬとコストが合わぬようになる。二十五トン車が田舎の道を走ったら、あっという間に道はこっぱみじんに破れてしまう。そうすれば、またそれを直すために金が要る。軽油引取税を徴収することによって道路が破れて余分の金がかかるようになるわけですけれども、これはどうも地方税としてこれをやらなければならぬ理由はないんじゃないか。確かに市町村長さん方が道路が必要だということをおっしゃる。それなら、必要なら税金を取ってそれでやるよというふうな建設省といいますか国の発想には問題があるんじゃないかと私は思うわけです。  せめて軽油引取税を徴収するのなら、もっと幅の広い、いわゆる交通環境を整備するというような意味でこの問題を考えるべきではないか。例えばモノレールとか地下鉄とか、道路が傷まないような方法でやれるような交通機関の整備にこれを充当するとか、こういうふうなことを考えてもいいんじゃないか、そこまで財源を広げていってもいいんじゃないか。単なる道路整備ということに限定しなくてもいいんじゃないかというふうに考えますが、このことについてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  48. 村田敬次郎

    村田国務大臣 御指摘のように、実は、軽油引取税の特例税率を一リットル七円八十銭引き上げました。これは御指摘のように、第十一次道路整備五カ年計画におきまして、前計画に比較して四三%増という総額七十六兆円にも上る投資規模が見込まれる、そのためには特定財源の充実強化がどうしても必要だということで、根本は日米構造協議の四百三十兆円からこれが由来するわけでございますが、事実、道路の整備は、小川委員も御指摘になるように日本はおくれております。そして国道に比べて府県道や市町村道がおくれておることは御指摘のとおりでありまして、従来同じ自動車の燃料油でありますガソリンと軽油の価格差が大きくありまして、これがガソリン車からNOxの排出量が多いディーゼル車への移行を加速しているということも見られるわけでございまして、いろいろな議論がございましたが、私も伺っておりますが、その価格差を縮小することが望ましいということを勘案して行ったわけでございます。  御指摘になりましたように、バスとかトラックとかそういうものに価格が及ぶのではないかということでございまして、こういった点も具体的にバス、トラック代にどのくらい影響するのであろうかというようなことも計算をしたわけでございます。ヨーロッパのガソリンに対するいろいろな税制、アメリカの税制、いろいろ勘案いたしまして、やはり軽油引取税が日本の場合は現在比較的安い。だから御指摘の点もよくわかるのでございますが、現在の経済情勢を勘案いたしますと、平成五年十二月一日からこの改正をやったらどうかということで、関係省とも十分協議をいたしましてさような決定にいたしたわけでございます。  何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  49. 小川信

    小川(信)委員 終わります。
  50. 中馬弘毅

    中馬委員長 北川昌典君。
  51. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 おはようございます。私は、地方財政の大変厳しい状況にかんがみまして、地方税収確保の面を中心にお伺いいたしたいと思います。  その前に、ちょうど確定申告の時期を迎えていた時期でございますが、金丸元議員、そしてその元秘書が多額の脱税行為によりまして逮捕され、今取り調べを受けておるところでございますが、その額も七十億とか八十億とか、庶民にはちょっと及びもないような金でございます。  これは市町村でいきますと一万人規模の町村の一年間の予算に匹敵する額だと私は思うわけでございますが、そういうこともございますし、さらに重要なことは、この動いた金が、裏金が、公共事業によって得た三%ということでございますが、そういう金である。まさにこれは国民の血税であるわけですが、その血税で私腹を肥やすことは許されてはならないことでございますし、そういった点も含めながら、今国民皆さん方は納税意欲を減退させている、もう税金なんか納めたくないよという気持ちになっておられるのも事実でございますが、こういった状況に対しまして、この事件に対して大臣はどのようにお考えなのか、御所見をいただきたいと思います。
  52. 村田敬次郎

    村田国務大臣 北川委員から現在の問題について非常に真剣な御質問をいただきました。法律に従いまして租税を納めるということは憲法三十条に定められた国民の義務でありまして、税法が守られていない状況があるといたしますれば、まことに遺憾な状況であると私も考えます。  近年、国民の間に税制についての関心が深まっていることもございまして、税負担の公平確保は極めて重要な課題であると認識をしております。政治に携わる者一人一人が真剣に国民信頼にこたえるよう心がけるべき問題だと考えております。税制及び政治改革を含めて今後の極めて重要なポイントであると思います。
  53. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 金額の大小はございましても、地方自治体の首長さんとか議会関係者の方々のこれに類似した事件も昨年もかなり見受けられました。私の隣の町でも電算機の購入をめぐりまして収賄ということで市長がやめる、交代をするという事件も起きております。  何か税金がそういった形で動いておるということになりますと、本当に国民皆さん方も政治に対して不信を大きく募らせることは当然のことでございまして、そういった面で自治体のそれぞれの首長さんなり政治に関係する人たちも襟を正さなければならない問題でもあると思いますけれども、この点について自治省としてはこれまで自治体に対していろいろな指導助言をされたのか、お伺いをいたしたいと思います。
  54. 村田敬次郎

    村田国務大臣 北川委員の重ねての御質問でございます。  自治省は四十七の都道府県それから全国三千余の市町村についてのいろいろな行政の相談相手であります。そして、戦前は中央集権でございましたが、戦後は地方自治地方分権ということで、本当に今大統領制のような選挙方式で選ばれておる知事、市長村長の相談相手になっておるところでございます。  したがって、北川委員の御指摘になられましたような心をしっかりと、私もそれと同様の考え方で今後府県行政市町村行政、また地方分権に臨まなければならないと考えておりまして、このことは知事や市町村長とお会いしたときにももちろん話題に出、そういった気持ちで対応をしておりますし、今後、政治改革あるいは経済不況の克服、そういった現在の最大の問題点について心して対応をしてまいりたいと思うわけでございます。
  55. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 自治体につきましても、単独事業が大幅に伸ばされておりますし、そういったことで景気対策がされつつあるわけですけれども、そういった景気対策、また自治体の社会資本を整備するという意味で使われる金、その裏金が自治体の中で動いていくということは、これはゆゆしき問題でもございます。したがって、これは要望といたしまして、何らかの形を使って総点検をすることも大事ではないだろうか、そのことがまた一つの戒めにもなることだ、このように思いますので、その点ひとつ御検討お願い申し上げておきたいと思います。  次に、今バブルがはじけ、そして円高、こういう中で不況が非常に深刻化いたしております。経済産業活動も後退をする、そういう中で、国も財政的には大変窮屈でございますけれども、それ以上に自治体は、法人関係税収の落ち込みあるいは利子割課税の落ち込み、こういったことから厳しさをより一段と受けておるのが現状であると思います。  平成四年度におきましても、最初に見込んだ税収が大幅な落ち込みということで、その手当てのために基金を取り崩したりあるいは起債をする、こういうことをしながら四苦八苦で平成四年度の締めをしたと思うのでございますが、さらに平成五年度は一段とこれが厳しくなるのではないだろうか。基金があるとかあるいは起債がまだ受けられる、限度額にいっていない、そういう自治体については幾らかの余裕も、余裕といいますか幅もあると思いますが、もう基金もいわゆる貯金も使い果たした、起債ももう制限いっぱい、自治省からも締められる、こういう自治体平成五年度にはたくさん出てくるのではないかと私は危惧するわけでございます。  そういった中で、新年度の予算編成に当たっても、聞いてみますと、入り口だけは何とか繕った、過大見積もりもせざるを得ないだろうし、交付税もある程度見込んでと、こういうような組み方をされておるようですけれども、来年度の決算になりますと、これは大変な事態があちこちで、とりわけ弱小市町村においては出てくるのではないかと危惧するわけであります。  さらにまた、先ほど答弁がございましたけれども市町村税についてはある程度安定をしている、こういうお話もございましたが、それは昨年、平成四年度までの話であって、もう賃上げの相場も出ましたけれども、四%を下回る非常にわずかな賃上げでございます。そういった面からいきますと、市町村税も平成六年度にはかなり落ち込んでくる。こういうような先がなかなか見えてこないという財政状況にあると思うのですけれども、今日の地方財政の動向をどう把握されているのか、そして平成五年度の税収見込みはどうなのか、そして対策はどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  56. 滝実

    滝政府委員 平成四年度の実績見通しますと、途中経過でございますけれども、ことしの一月末現在での都道府県の税収状況から判断いたしますと、平成四年度の税収トータルは恐らく平成三年度の決算を下回る、こういうような見通しだろうというふうに思っております。そういう意味では、おっしゃるように平成五年度の税収見通し、これは厳しいものがございますし、それから、その後まだ厳しいんじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、そういうこともあるいは一部で出てくるということは想像し得る点もあるのではなかろうかというふうに考えております。  御指摘のように法人関係税あるいは利子割、こういうところでの落ち込みは、特に平成四年度、平成五年度でこれはもう避けられない実態だろうと思います。反面では御指摘にもございましたように、住民税あるいは固定資産税、そういうような景気に対して安定的、あるいは住民税のようにそこそこ所得も伸びて賃金も多少は伸びておる、あるいは雇用者の数が伸びておる、こういうような税目につきましてはそれなりに伸びているという点もあるわけでございます。  したがって私どもは、平成五年度の税収見通しは、都道府県分では非常に伸びが悪い、むしろ落ち込むわけでございますけれども、反面市町村では、安定財源が多いものですから、市町村税はまあそこそこの伸び平成五年度、今の状況からいくとそれなりに期待はできるだろう、こういうふうに考えております。問題は、今回の税制改正でも見通しております平成五年度の都道府県の要するに税収見通しが非常に悪い、こういうようなことからおっしゃるような財源のやりくりに苦慮をしている、こういうのが各都道府県の予算の実態ではないだろうか、こういうふうに思っております。
  57. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 都道府県の場合、大変景気に左右されますから厳しい中にあります。ただ、今おっしゃったように、市町村の場合にはある程度安定をしておる、こういうお話でございましたけれども、これは認識の間違いではないだろうかと思うのです。  とりわけ地方市町村の中には税収一〇%以下という市町村がある、三千三百の中に五百六十ぐらいですかそういう自治体があるわけで、それだけ市町村は法人税とかそういうものに余り関係ないところで、もともとがないからそれで苦労しながらやっておる。だから安定しておるというふうに感じるでしょうけれども、しかし実際は非常にぎりぎりの線で財政運営をせざるを得ない。しかも、今高齢化が進んで、高齢化率が上がってまいりますと当然そこは担税能力が落ちてくる、こういった面もありまして、自治体の財政、市町村の財政、決して安定はしておらないと思うのです。大都市の場合は違うにいたしましても、そこら辺はぜひ御認識をいただきたいと思います。  そこで、そういう自治体の財政が非常な厳しさをずっと強いられていく中で、自治体財源確保といった面も含めて二、三お尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、法人事業税の外形課税の導入についてでございます。企業があるところに自治体がそれぞれの道路とか下水道とか環境、そういった面での行政サービスをしておるわけでございます。そうなりますと、企業の場合、所得割、所得だけで税金を納めるのではなくて、いわゆる資本金とか売上金、家屋の床面積、従業員数、こういった基準によるところの外形課税を導入してもいいときではないだろうかと思うのですけれども、この点についてはいかがなものでしょうか。
  58. 滝実

    滝政府委員 特に景気が落ち込むような時期になってまいりますと、法人事業税課税標準に何らかの外形基準を導入すべきだというような気持ちが強くなるわけでございますし、また事業税については、そういうような方向での検討をすべき、こういう観点から長年の間いろいろな提案もなされてきたわけでございます。特に、企業のいろいろな関係税あるいは税制全般を通ずる中で、課税ベースの広い間接税ということも最近においては実現したわけでございます。  そういうような中でもいろいろ言われてきたわけでございますけれども、私どももたびたびのいろいろな御指摘をいただきながら、研究会を組織して研究をしてまいりました。そういう中で、当然みんなの気持ちは、何らかの格好で外形基準を導入したい、こういうことには異論がないわけでございますけれども、さて具体的に検討してまいりますと、一つ課税標準のとり方を変化させるわけでございますから、当然のことながら、どうしても業種間で税負担の変動が起こってくるという問題がございます。  それからもう一つは、基本的な問題は、何を外形基準としてとるのかということでございます。それと今の業種の問題が密接に結びつくという問題が出てまいります。例えば、土地の面積でとるのか、あるいは従業員数でとるのか、あるいは償却資産も含めた資産価値でとるのか、いろいろなことによって、各基準となるとり方によってその業種が影響を受けるというのは当然あるわけでございますから、そういう意味での負担の激変と申しますか、そういうようなことがどうしてもネックになってくる。  それからもう一つは、やはり基本的には制度をどうしても簡素化しなければならぬということになりますと今の問題が出てくるわけでございまして、業種ごとに基準を設定すると制度が複雑になってしまう。しかし、余り今までのような急激な変化を求めないとすれば業種ごとに基準を設定しなければいかぬ。実務面で非常に複雑な、こういう税制は避けなければならぬということでございます。  それからもう一つは、これは納税者の事務負担の問題でございます。具体的に言えば、企業がどの程度までそういう複雑な事務負担にたえられるか、こういうようなことがございまして、私どもとしても実務的な点も含めてなお検討を進めていきたい、こういうふうに考えているわけでございますけれども、残念ながら今の段階ではまだ結論が出るような状況ではない、こういうことでございます。
  59. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 これはシャウプ勧告以来ずっと地方税法の中にもうたわれておりますが、死文化しておりまして、またオイルショック後でしたか、全国知事会が自治省に、国に求めたこともあったわけですけれども、なぜかそれが実現しなかったという歴史もございます。そういった面で、今、局長は御検討いただく、検討中ということでございますけれどもシャウプ勧告が出まして何年になりますか。それとまた、知事会が要求して、まあ待て、こういうことでそれを迎えられて何年になりますか。もう十年。  大体、検討する価値のあるものなのか、それとも今おっしゃったように非常に複雑で、納税者との関係もあるし、ちょっとこれは難しい、どちらなのでございましょうか。それとも、いろいろな問題点を除去しながら、簡素化しながらならできる問題だというふうなことなのでしょうか。今まで御検討いただいている点、どうなのでしょうか。
  60. 滝実

    滝政府委員 大変厳しいお尋ねでございまして、基本的に言えば、御指摘にもございましたように、一時は法文の格好でこの外形標準というものの一つ地方税法で規定されていた時代もあるわけでございますが、それはその時代経済情勢に合わないということで見送られてきたわけでございます。  この問題は、厳しいというか、導入する状況にはなかなか至らないいろいろな条件があると思います。ただ、事業税の理念として、こういうふうな外形課税という問題は、これはやはり捨てることができないというぐらいのものではないだろうか。そういう意味で、その状況が有利に働くならば導入をやりたいというのが基本的なスタンスではないだろうかと思っています。
  61. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 なかなか難しい言葉ですから理解できませんけれども、ひとつ検討お願い申し上げておきたいと思います。  次に、事業所税の課税団体の拡充についてであります。  これは昭和五十年に大都市の環境整備という立場から、その財源として、目的税として創設されたと思うのですけれども、その当時は指定都市に限られておりました。現在、三十万都市まで広げられたということになっておるわけですけれども、既に地方都市に行きましても、三十万以下の都市でも本当に市街化し、都市化して、環境の整備等は必要なのです。そういった意味で、三十万人以下の都市までこれを広げる、そういうお考えはないのか、お尋ねいたします。
  62. 滝実

    滝政府委員 これは先生が一番お詳しいかと存じますけれども、確かに現在の基準から申しますと人口三十万以上となっておりますので、人口三十万にちょっと足らないという都市が全国にはかなりございます。そういう意味では、わずかに足りないところについては、やはり都市環境の整備、こういうような事業所税の目的からすれば何とか枠を広げるべきではないだろうかというのが基本的な問題としてあるわけでございます。  しかし、片や、昭和六十三年でございますか政府税制調査会の中間答申にも触れられているのでございますけれども、ちょうどタイミングとしては全国地域振興と申しますか、これから地方地域おこしをやるのだ、こういうような時期に遭遇していたわけでございますけれども、そういうような地域振興の時代背景をもとにいたしまして、この事業所税はやはり完全に無条件で賛成というのはいささか問題があるのではなかろうか、こういうような意見も強く出てきた経緯があるわけでございます。  要するに、事業所税を設定いたしますと、そこにはどうも企業が起きにくい。要するに、三十万以下の都市は事業所税がないものですから、それだけ税金の項目がないわけでございますけれども、三十万になると、事業所税がかかるようになるとそれがやはり企業負担にかかってくる。それならばかからない隣の町へ行こうか。企業の進出につきましてそういうような選択の余地があるものですから、無条件で枠を広げることについてはいささかどうだろうか、こういうような意見が出されて以来、多少は慎重に考慮する、こういう結論を得て現在に至っているわけでございます。  しかしまあ、ここのところは時代背景というのは常にあるわけでございますから、それなりの各都市の意向、そういうものも受けて常に検討していくべき問題だと思いますけれども、今のところはそういうようないわば小休止の状態になっていると言えるかと存じます。
  63. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 企業立地に支障があるということはわかりますけれども、三十万で切っているからそういうことになるわけで、それを全部に広げていけばそういった問題は起きてこないわけでございますから、そういった点、特例措置もございましょうから、これについても検討お願い申し上げておきたいと思います。  次に、先ほども出ましたが、マスコミ等七事業特例措置見直しについてでございます。  これはもう御案内のように、昭和六十年度に非課税措置の廃止に伴いまして、税負担の激変を緩和する、こういうことから二分の一軽減で三年間行われてきましたが、最初は二年、一年、一年、一年という形で次々に延長をされてきて、今回もまた延長。先ほどの御説明では、税負担の公平性を確保するために引き続き検討をしていく、こういうお話でございましたけれども、これは昨年もそんな同じことのようであったわけですね。これは毎年毎年で九年も延びてきておるわけですけれども、この税負担の公平性というのは、これを見直すことによって公平性がなくなるのか、どうなんでしょうか。さっきは大臣が御答弁でございましたので、ひとつ。
  64. 滝実

    滝政府委員 この問題につきましては、先ほど大臣から御答弁を申し上げたところでございまして、大臣も特に力を入れて一年に限りというところを強調されておりますので、その点で御了解をいただきたいというふうに思っております。
  65. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 なかなか一年に限りというのが了解しにくい面があるのです。話は違いますけれども、昨年交付税の減額措置のときもことし限りということでございましたが、何かことしも繰り返されているのであります。しかし、そうはいったものの、今大臣も局長もおっしゃったわけですから、ひとつ一年でということをはっきりと御確約をお願いしておきたいと思います。あえて申し上げますならば、公共性とか公益性という関係もございましょうけれども、電気とか鉄道、こういったところには事業税が課税されておりますし、ただ公共性というだけで減額する理由にはならないのではないか、私はこのように考えます。  次の問題といたしまして、社会保険診療報酬の課税の特例措置見直しについてお伺いいたしておきたいと思います。  これについてはもう申し上げるまでもないところでございますが、経済の著しい変化や広く一般の事業に対して事業税が課税されておるということがあるわけでございまして、これも当然のことながら見直しすべき問題であるということで、政府税制調査会からも繰り返し答申が出されておるわけでありまして、そういった面で、この措置見直しがされない理由が何かあるのか、お尋ねしたいと思います。
  66. 滝実

    滝政府委員 この点につきましてもたびたび御指摘をいただいておりまして、大変心苦しい点でございます。もともと事業税におきましては、社会保険制度の普及あるいは充実を図る、こういうような観点から、昭和二十七年度にこの社会保険診療報酬については課税をしない、こういうことで現在に至っているわけでございます。  しかし、その間、所得税あるいは法人税におきましては、概算経費率というものを設定いたしまして、その概算経費による課税ということに改められてきているわけでございます。したがって、私どもとしては、税制調査会の線に沿いまして、何とかこの事業税におきましてもこの問題を見直す、こういうことで努力をしてまいったところでございます。  しかし、一方では、社会保険診療の公益性あるいは公共性というようなことから一般の営利事業とは同じ扱いにすることができない、こういう意見もかなり根強くあるものでございますから、結局、今回の税制改正では引き続き検討ということで見送らせていただいたわけでございます。  しかし、私どもとしては、たびたび当委員会におきましても御指摘を受けている点でもございますし、また、政府税制調査会等の答申におきましても数次にわたって指摘されている点でもございますから、これらの今までの趣旨を踏まえて見直しについて格段の努力をしてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  67. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 これはもう既に所得税等につきましても見直しがされておるわけです。国の方ではされておるわけでございますから、公共性というのは国でも自治体でもその差はないと思うのです。国が見直しておるのですから、当然地方見直しがあってしかるべきではないかと思いますので、そこも含めて、一年ということは別にしまして、今後見直すということを強く要望しておきたいと思います。  次に、定額課税の見直しについてでございます。  法人均等割は昭和五十九年度から据え置きになっております。軽自動車税昭和六十年度から、特別とん税は昭和三十九年、自動車税、これも軽ですけれども五十九年などなど、多くの税目において定額課税が長年据え置かれておるわけです。私は決して増税をしろというわけではございませんけれども、とん税に至ってはもう三十年近くですか、据え置きとなっている。こうした据え置きの理由が、根拠というものがあるのか。もうこれ以上は上げるべき性格のものではないとか、こういった内容のものなんでしょうか。お尋ねしたいと思います。
  68. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 定額課税の税につきましては、率の税と違いまして、据え置くと物価の変動とかそういうことに対して適切でない水準になるということが考えられるわけでございますので、一般的には一定の期間を置いて見直しをするということが本来であろうかと思います。  しかしながら、ただいま御指摘いただきましたような地方税に現在あります定額課税の問題、これは例えば法人均等割につきまして御指摘がございましたが、この法人均等割につきましては、現在の課税の仕組み、それぞれの市町村単位とか都道府県単位で事務所の数で課税をするとかいう仕掛けになっておりますので、現時点では結構な水準になっているのではないかというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。  それからまた、低い方の税といたしましては、例えば入湯税というような税がございますが、この税につきましてはまだ現在の税率に全国の課税団体の平均税率が届いていない。こういうような個々税目ごとに今申し上げましたようなそれぞれの検討はさせていただいておりまして、来年度の改正に向けては現時点では必要ではないのではないか、こういう判断をそれぞれさせていただいたものでございます。
  69. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 必ずしも消費者物価に合わせて上げよとかあるいはこれまでのそれぞれの指数に見合った引き上げをという、スライドということではないわけですけれども、現実的に適正でないという部分もあるのではないかと思うのでございます。軽油引取税、先ほど話がありましたけれども引き上げになりましたが、こういった面でもう三十年間も据え置いておきますと、物価指数からいけば余り価値のないものということもあり得るわけでして、そういったものを含めた適正な見直しというものが必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。これは、地方財政、非常に厳しゅうございますので、課税権はございませんから、税収をふやすためには今何かをしないとなかなか伸びてこないという実態でございますので、そういった点も含めてお願い申し上げたいと思います。  特にまた、固定資産税特例措置として、電力、鉄道等の固定資産、償却資産を含めて、これもそう電力会社が経営が厳しいというふうには思いません。当然納入すべき時期に来ておるのじゃないかと思うのですけれども、この見直しについてはいかがでございましょう。
  70. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 電力、鉄道とかそういうようなものにつきましては、公共料金の安定というような観点から、一定の事業資産に対しまして御指摘のように特例措置を講じてきたところでございます。  これらの特例措置につきましては、やはりそれぞれ毎年度見直しをするということが必要であろうということで、私どもといたしましてもその特例措置が今の時点で必要なのかどうかという観点から逐次見直しをしておるところでございますが、発電所に係る課税標準特例措置の廃止とかそういうことで幾つかの整理合理化を過去にもやってまいったところでございます。最近でも、平成四年度におきましては、変電所または送電施設に係る特例の縮減を実施させていただきましたし、また今回の改正におきましても、一部の縮減を行わせていただくということで、努力をいたしてまいったわけでございます。  今後とも電力の事業に関するものにつきましても、現時点における意味をよく考えながら、適正に対処をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  71. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、非課税等特別措置の整理合理化についてお伺いしたいと思います。  これも、毎年毎年政府税制調査会の方で、整理合理化をすべし、こういう答申が出てまいっております。確かに新年度でも四件の廃止、それから縮減合理化三十四件ということで、取り組みはいただいておるわけでございますけれども昭和五十八年から平成四年度までの十年間の状況を見てみますと、新設が九十二、拡充が八十五、単純延長が二百六十九ということで、四百五十二件が新設、拡充、単純延長で残っているわけです。一方、廃止、縮減は、廃止が五十五件、縮減が二百五十三件、計三百八件で、廃止、縮減が三百八件に対して、新設、拡充、単純延長が四百五十二件、こういう状況でございまして、政府税調の方からの答申が余り進んでいないのではないか、このように思いますけれども、そこはどうなんでしょうか。
  72. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 ただいま先生の方から具体的に数値を挙げての御指摘でございますが、私どもといたしましては、先ほど先生から既にお話しいただきましたので重ねては申し上げませんけれども、それぞれの年度において廃止、縮減に努めてまいりまして、一面では時代の変化とともに新設というものも出てくる、こういうことでございます。したがいまして、その結果が今申し上げましたようなことになっているわけでございます。  ただ、先生の御指摘の中で一点だけちょっと、新設、拡充、延長ということで、一年でございましたらそれで結構なんですが、ある時期をあれしますと、その中の延長というのはずっとダブルカウントになってまいりますので、申しわけございませんが、その点だけは少し違った数字になるのではないかというふうに理解をいたしております。
  73. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 新設しなければならない部分も当然ございます。同時に今あるものについて、先ほども出ましたけれども、各項目について、このものについては政策的に効果がどうなるのか、こういった点検を十分されて、その中でセレクションをしていくということも必要だと思います。さらに、新設、拡充につきましても、政策的効果がどうなっておるのかといった点で検討され、これはやはり皆さんに公表する、こういうことが大事ではなかろうか。そういう中で廃止、新設という形がうまくかみ合っていくということになるのではないかと思うのですが、そのあたり、今までのこの問題についての取り組みはございますか。
  74. 滝実

    滝政府委員 ただいま先生からの御質問に対しまして審議官からも御答弁申し上げたわけでございますけれども、やはり何と申しましても、私ども税制改正作業に取り組む際には、こういったものが作業の中ではいわば一つの大きなウエートを占めているということでございます。その中で、一遍できたものがいたずらにそのまま継続するということのないように心がけなければならぬというのは、先生御指摘のとおりだろうと思います。  したがって私どもは、例えば一挙に廃止までいかないものであっても、当然それは廃止がしやすいような格好での見直しはしていくとか、そういうような努力も片や試みながらこの問題に取り組んでいるというのが現状でございます。したがって、この問題は、放置しておけば全体の公平な税制あるいはバランスのある税制という観点からどうしてもちぐはぐが出てまいりますから、私どもとしては、税制改正基本的な問題として、従来もこれは作業の中心であったわけでございますけれども、これからもこういった点については十分心してまいる必要があるかというふうに考えております。
  75. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 何遍も繰り返しますけれども、先ほども先生の方からお話が出ましたが、地方自治体は三千三百ありますが、それも千差万別、格差というものが非常にあるわけでございます。税収が本当に五%以下のところも数多くございます。そういう中で、本当にそれぞれ自治体役割を果たしておるわけですが、ただ、残念ながらそこに財政が伴わないで非常に苦労しておる自治体が多いわけです。特に私たちのような田舎にある市町村は、そういった意味で非常に御苦労をいただいているわけです。何としても、トータル的に自治体を見るのではなくて個々的に見ていただいて、本当に自治体を守っていただくということをお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、国保税についてでございますが、今度課税限度額が四十六万から五十万に引き上げが提案をされておるわけですけれども、今までは大体毎年二万、二万で引き上げがきたわけですね。今回一挙に倍の四万円の引き上げというのには何か理由があるのでしょうか。その根拠があれば教えていただきたいと思います。
  76. 滝実

    滝政府委員 形式的なことから申し上げますと、国民健康保険料の限度額におきましては既に五十万円になっている、こういうような実態を踏まえて今回の限度額の引き上げを提案させていただいているわけでございます。  その中身といたしましては、この問題は国保事業の支出あるいは収入、そういった観点から考えてまいりますと、国保の加入者に全体としてどういうような御負担を願うか、こういう事柄がその中身としてあるわけでございますけれども、この限度額を引き上げるに当たりましては、いわば抵所得あるいは中所得、そういう方々の負担考えますとこの限度額も上げざるを得ないかな、こういうようなことがその引き上げ背景事情にあるわけでございます。
  77. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 限度額を引き上げても実際それに該当する人がおらない自治体もあるわけですよ。ということは、裏を返せばそれだけ保険事業者の運営が小規模で大変厳しいということなんです。特に、今高齢化が進みまして、若者が流出していくということでは、そこに働く人が少なくなるわけですから保険加入者も少なくなる。したがって、納める保険税、保険料も額は上がらない。資産割ぐらいのもので、均等割はありましょうけれども、四割、六割の減額もございますから、本当にこのままではなかなか成り立たないという状況にあるのではないかと思います。  一方、医療費というのは、高齢化が進みますから当然お年寄りが病院にかかる率も高くなるわけでして、そういった点から国保事業で小さな市町村単位では行き詰まりが来るような状況で、法人負担をどんどんふやしていくことしかないわけですけれども、それももう限度が来ておるというのが国保事業の実態ではないだろうかと思うのですけれども、これは厚生省にお尋ねするのが当然なんですが、自治省としてこの保険事業に対してどのようなお考え、御意見をお持ちなのか、運営状況を見てお尋ねしておきたいと思うのです。
  78. 滝実

    滝政府委員 先生は具体的な実際の保険事業をごらんになっておいでになりますから、余り私の方から多くを申し上げる必要はないわけでございますけれども基本的には国民健康保険制度全般の中でどう持っていくかということに尽きるわけでございます。  この点につきましては、現在も医療保険審議会等におきまして議論をされているわけでございますから、私どもはそういった議論の推移を見守りたいと思っておりますけれども自治省として基本的にこの問題に対していささかでも貢献しようということで、実は、昨年の平成四年度から国保財政の安定化支援事業という格好で、国保事業そのものではありませんけれども、国保事業の安定化のためのいわばバックアップ事業を導入させていただいたところでございます。  やはり基本は、この問題は国保事業そのものをどうするかということになろうかと思うのでございますけれども、税の立場から申しますと、そうは申しましても、そういう基本的な問題の解決に至るまでに毎年毎年の何がしかの御負担はしていただく必要があるわけでございますから、そういうようなバックアップ事業ども加味しながら、私どもは税の立場としては、全体の負担が適正になるような格好での改正お願いをしていかざるを得ないと考えているわけでございます。
  79. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 今度の固定資産税評価がえによって国保税への影響はどのようになるのでしょうか。お伺いしておきたいと思います。
  80. 滝実

    滝政府委員 国保税の御負担をしていただく場合の基準、課税標準につきましては、大きく分けて三つくらいの方式があるわけでございますけれども、そのうちの一つの方式の中には、おっしゃるように、資産割額と申しまして固定資産税に関連した固定資産税額を御負担をいただく場合の一つの基準にしている方式があるわけでございまして、これがいわば国民健康保険税の課税方式の中では非常に多いわけでございます。したがって、この国民健康保険税の中の資産割額を使用している団体におきましては、加入者の皆さん方は今度の固定資産評価がえによりましてどうなんだろうかというような御疑念も当然お持ちになるだろうと思います。  私どもは、この問題については、二つの点でそういう大きな不安はないだろうというふうに思っております。その一つは、資産割額というのはその市町村の全体の固定資産税の額の中での話でございますから、その中で評価額が仮に上がったといたしましても、その中の今までの配分はそんなに変わるわけではない。したがって、資産税割により個々の人たちの国保税が大きく変化することはまずあり得ないだろうというのが一つであります。  それからもう一つは、今回の固定資産税引き上げでございますけれども、これは先ほど来申し上げておりますように、調整措置を十分にやっているわけでございますから、そういう意味でも個々の人たち資産税割に大きく影響することはまずないというふうに私どもは思っておりまして、この点の御疑念は一応ごもっともではございますけれども、余り額として変動する問題ではないように私ども考えております。
  81. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 大きく影響するということではないのですけれども資産割としての課税の中で、課税していない市町村は別でございますけれども、それを国保税として取っておるところについては、おっしゃるようにそう影響がないとは私は思わないのです。そういった面でやはりこの保険税のあり方というものについても、応能割と応益割が五〇%が基準なんですけれども、今、逆に応能割がぐんとふえておる、そういった保険税のあり方そのものにも一遍検討を加えていただく時期ではないだろうかと思います。  それともう一つは、申しましたように、小さな町村は本当は負担にたえ切れない、一般会計からの繰り出しもしなければならないような状態、しかしそこにはもとの金がないということで、昨年、今年度交付税措置もいただきまして大分助かったと思うのですけれども、交付税措置として毎年これをずっと繰り返すわけにはこれまたいかない問題ではないだろうか。  そうなりますならば、国保事業というものを円滑に運営していくためには、今の町村単位でなくて、ある程度広域的な組織運営というものがされていかないと、これは国民健康保険税でございますから、市町村保険税ではございませんので、そういった面ではある程度広域的な形での運営というものを国保事業はしていくべきではないか、こう思うのですけれども、これは自治省の立場で、大臣自治省の御出身でございますから、その点の御見解があれば教えていただきたい。
  82. 村田敬次郎

    村田国務大臣 一連の北川委員の御質問を聞いておりまして、乏しきを憂えず等しからざるを憂うという原則がすべての問題に適用しておると思うのです。この国保税について考えてみましても、非常にこの負担が過大になってくるという現状を踏まえて、高齢化社会の中でどういうふうに対応をしていくかというのは、国の問題であると同時に、またいろいろ個々の問題でもあろうかと思います。  また、先ほど来の御質問、押しなべて行政も政治も公平でなければいかぬということを考えるわけですが、自治省でやっておりますいろいろな政策は、例えば地方交付税、富裕団体から一定の財源を吸収して過疎団体あるいは貧困団体に割り当てるという原則、そしてそれは今では一般財源であるという考え方で、市町村固有の財源だから、それについて大都会といえども文句を言うことは許さないという民主主義の原則というのが適用されております。私は、これからの行政、政治というものは公平原則というのが常に貫かれていなければならない、したがって、普通交付税、特別交付税を通じてできるだけ貧富の格差をなくする、過密過疎をなくする、そういう原則が適用されているのだと思います。  その意味で私は、地方自治地方分権というのは、国土政策上からいえば一極集中を抑える、排除して多極分散型の公平な政治をやっていくんだという原理があると思うのでございまして、これらを通ずる原理原則は、北川委員考えておられることも私の考えておることも非常に共通しておるところがあると思いながら、感銘をして聞き入った次第でございます。  御質問のいろいろの趣旨を踏まえて自治行政対応したいと思いますっ
  83. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 終わります。ありがとうございました。
  84. 中馬弘毅

    中馬委員長 御苦労さまでした。  小林守君。
  85. 小林守

    ○小林(守)委員 社会党の小林守でございます。午前中から引き続きまして社会党では三人目の質問になるわけでありまして、重複する質問があろうかと思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。  また、自治大臣におかれましては、昼食の時間にもなっておりますので、どうぞごゆっくりとっていただきたいと思います。最後部分でぜひ大臣所見をいただきたいというようなところもございますが、決して消化の悪くなるような質問は用意しておりませんので、どうぞごゆっくりで結構でございます。  それではまず最初に、固定資産税及び都市計画税税負担調整措置につきましてお伺いをしたいと思います。  昨年の十二月に出されました税制調査会いわゆる政府税調の答申によりますると、地価公示価格の七割程度を目標とする平成六年度の固定資産税評価がえは「基本的に評価均衡化適正化を図ろうとするもの」であり、「それに伴う納税者税負担については、急激な変化が生じないよう総合的かつ適切な調整措置を講ずる」とともに、その際、「固定資産税収入の伸びは、少なくとも市町村の財政需要の伸び程度確保する必要がある」と記されておるところでございます。  そこで、市町村財政の中で税源の普遍性や税収の安定性に富んだ基幹税目として重要な役割を果たしている固定資産税土地評価均衡化適正化税負担の調整のあり方について、何点かお伺いをいたします。  まず第一点は、今回の法改正に伴う現実の自治体における課税事務は、ことしの秋から来春にかけまして、住民に対して、国民に対して表面化することになろうかと思います。その際、非常に細かい改正にわたるわけでありますから、国民負担過重化というような意味での不安、そういうものが沸き立ってくるのではないか、そのように心配されるところでございます。お話をよく聞いていけば理解のできるところかと思いますけれども、ただ公示価格の七割になるんだということだけが先行いたしますると、これは大変な不安をかき立てることになるだろう、そのように思っております。  そこで、今回の改正趣旨負担調整措置の結果について、国民の十分な理解と協力が必要だろうと考えております。そのための広報活動について、どのような体制のもとに、しかも全国的な規模展開していかなければならないことだろうというふうに思いますが、広報活動に係る予算措置も含めましてどのように取り組まれているのか、まずお聞きしたいと思います。
  86. 滝実

    滝政府委員 御指摘のように、今回の固定資産税評価がえは近来にない大きな作業を予定をさせていただいているわけでございます。したがいまして、御指摘のように今回の評価がえによってそれは直ちに税収の増というか固定資産税の増加に結びつくものではない、そういう趣旨ではございませんので、要するに、あくまでも均衡化適正化を図るための制度改正であると申しますか法案改正である、こういうことでございますから、その辺のところはひとつ十分に取り組む必要があるというふうに私ども認識をいたしておりますし、また通常の評価がえでございますと、従来は評価がえをする年度にこの調整措置も含めた一連の法律改正お願いいたしていたわけでございますけれども、今回は時間的な余裕をいただくために一年早めてこの改正お願いしようとするわけでございます。  その趣旨も、やはり基本的にはあらかじめ負担調整措置も含めて納税者皆さん方によく納得してもらわないと作業がスムーズに進まないだろう、こういう配慮を私どもも持っておりますし、昨年の当委員会におきましてもそのような指摘があったわけでございますので、私どももこの広報活動にはひとつ格段の力を入れて進めていく必要があるだろう、特に、よく説明を申し上げませんとなかなか理解が得られない点もあるいはあるかもしれませんので、そういった観点で取り組んでまいりたいと思います。  それから、それに伴う財源措置につきましては、御指摘のとおり、私どももその点につきましては十分な配慮をとる必要があるというふうに考えておりますので、おっしゃるような方向で考えさせていただきたいと思っております。
  87. 小林守

    ○小林(守)委員 十分な財政的な措置考えているということでありますけれども、どういう手法でその予算措置はされているのか、お示ししていただきたいと思います。
  88. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 予算措置そのものはそれぞれの各市町村お願いをいたしますが、私どもの方の措置といたしましては、従来から徴税費は普通交付税に算入をいたしております。これについて、実際に今後必要な経費というものを、広報活動を十分できる経費も含めて算定をお願いをするというようなことで進めさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
  89. 小林守

    ○小林(守)委員 それではもう一点、市町村におきましては大変な評価がえの事務が一年間にわたって想定をされているところでありまして、実態と申しますると、早くこの法律を成立させて見通しを立てたいというのが現実の自治体の姿だろうというふうに思いますけれども、今後、自治体における課税事務はどのようなスケジュールで進められていくのか、我々も知っておく必要があろうかというふうに思いますし、また円滑な執行のためにも、国民的にこういう見通しの中で、いつごろにはこういう形でこういう事務が完了してこう広報されるとか、その辺の円滑な執行のためのスケジュールの見通しをお示ししていただきたいと思います。
  90. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 平成六年度の評価がえにつきましては、平成四年七月一日を価格調査の基準日として既に動き出しておるわけでございます。  今後でございますが、最近の大都市を中心といたしました地価の下落傾向にかんがみまして、平成五年一月一日、ことしの一月一日でございますが、この地価動向を反映して修正をするということにいたしております。したがいまして、今後の仕事といたしましては、まずこの一月一日の地価動向を反映した価格に修正をするという作業が出てまいります。基準地価格の調整、路線価付設、各筆の評点数の算出というような仕事を進めていくことになるわけでございます。  また、課税事務の方でございますが、固定資産評価の決定につきましては、毎年二月末までに行うこととされておりまして、その後、固定資産課税台帳の縦覧、納税通知書の送付というようなことが行われるわけでございます。  特に今回の評価がえにつきましては、先ほど来お話がございましたように、評価上昇割合の高い宅地に係る暫定的な特例措置を講ずるなど、かなりきめ細かな措置を講じておりまして、従来の負担調整措置よりも若干複雑なものになっているということが一つ、そういうことがございますので、法案が成立しますと、電算プログラムの修正、それのテストランというようなことも直ちに出てまいるわけでございます。それで、これに相当な事務量が予想される、それから先ほど来申し上げておりますように、五年一月一日時点の地価動向を反映するという、かつてやっていないこともまた追加をしている、こういうものが重なりまして、通常三年に一度の一般的な評価がえと比べますと、スケジュール的には相当厳しい状態にあるというふうに考えておるところでございます。
  91. 小林守

    ○小林(守)委員 そういうことで、通常にないようなハードなスケジュールのもとにこの評価がえの事務が進められているというところでありますし、自治体の実態を見ながら、人的な体制も含めて自治省の方でも十分配慮していただきたい、そのように考えているところであります。  それで次に、今回の法改正に伴いまして、今後の「固定資産税収入の伸びは、少なくとも市町村の財政需要の伸び程度確保する必要がある」というように税調答申にあるわけですけれども、これについてちょっとお聞きしますが、ということになりますると、市町村の財政需要の伸びは今後どのように設定されているのかということ、要は市町村の財政需要の伸び確保する程度固定資産税の収入も伸びるべきなんだという考え方になろうかと思いますが、負担調整の結果、財政需要の伸びとどのように整合化が図られているのか、お示しをいただきたいと思います。  それでもう一つは、関連いたしますけれども、一部自治体におきましては、公示価格に対する評価額が、七割まではいかないにしても、かなり近い地方団体も現実にあるわけですね。そういう団体になりますると、負担調整の結果、特に立ち上がりのこの二、三年間の間では改正前の収入を下回るような自治体が出てくるのではないか、そういうところもあろうかと思うのですけれども、それらについては自治省ではどう把握されているのか、またそういう自治体に対してはどのような財源措置が想定されているのか、お聞きをしたいと思います。
  92. 滝実

    滝政府委員 第一点にございました財政需要の伸びと、この評価がえに伴う収入の見通しお尋ねでございます。  御指摘にもございましたように、政府税制調査会の答申におきましては、固定資産税につきましては少なくとも市町村の財政需要に見合った伸び確保すべきである、こういうようなコメントがつけられているわけでございます。それで、そういうようなコメントからいたしますと、ただいま御指摘にございましたように、今回の調整措置というのはそういったことから逆算しているのか、端的にはこういうふうなお尋ねかと思いますけれども基本的にはその答申そのものは一つの注意書きでございまして、調整措置によって余り調整し過ぎて、本来固定資産税としてあるべき弾力性と申しますか、柔軟性が失われてはいけない、こういうようなことではないだろうかというふうに私どもは思っております。  したがいまして、私どもが今度のこの調整措置を講ずるに当たりまして数字を置きましたのは、むしろ今までの、過去における評価がえに伴う調整措置、そういったものを一つ検討材料にして、 それと今度の評価額のおおよそのアップ額、そういうものを見合いにして、従来の調整措置の中でやっていけるかどうか、こういうようなことから考えてみたわけでございますので、当然その中には、要するに固定資産税が干からびた税制にならないようにという政府税制調査会の注意書きにつきましては十分念頭には入れておりますけれども基本的にはそれから逆算した調整措置ではない、こういうふうに思っております。そういうものを一応総合的に勘案した、こういうことになろうかと思います。  それから、二番目に御指摘のございました、今回の調整措置によって減収となる団体の問題でございます。  やはり今回の固定資産税土地の価格のアップというのは、大都市地域を中心にして激しい高騰をいたしているわけでございます。それと、地方のそれ以外の地域のそれに準ずるアップ、あるいはほとんど上昇していない地域、そういうことも含めて調整措置を講じる必要がございますので、何と申しましても、今回の調整措置によってむしろマイナスになる、税収が減になるという団体も多少出てくるのは、これは恐らく避けられないだろうというふうに私どもも想定をいたしております。しかし、この団体は、私どもの想定によりますと、それほどの大きな数にはならないだろう、地域的にも非常に限定されておりますし、それほど大きな数にはならないだろう、こういうような見通しを持っております。  しかしその反面では、減収となる団体があるのは恐らく間違いないだろうと思いますから、その団体については、御心配のようにこれはやはりそれだけの財政措置を講じていく必要があると思っておりますので、これにつきましては当然それに値した地方交付税措置等を通じる調整措置というものは十分にしていく必要があるだろうと思っております。
  93. 小林守

    ○小林(守)委員 それほど大きくはならないけれども何団体かはそういう下回るような団体も出てくるというような見通しが示されましたけれども、実際に何団体ぐらいとか、どの辺の地方とか地域とか、大体過疎化、高齢化の進んでいる地方団体においてはそういう危険性があるのだろう、危険性と言っていいかどうかわかりませんが、そういう可能性が高いのだろうと思いますけれども、例えばサンプル調査的なことをやろうとしているのか、やったことがあるのか。例えば、大都市部における負担が非常に重くなるという問題と、それから今度は税収が下がってしまうというような両方の問題がこの間の地域格差の拡大の中で生じているのだろうというように思うのですが、要は両方ともクリアするような負担調整措置が望ましいということになりますから、それらについてサンプル的な調査を既にやられているのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  94. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 ただいま御指摘いただきましたそれぞれの団体ごとの件につきましては、実は先ほど来御答弁申し上げておりますように、本年の一月一日現在の地価動向を反映するということでございまして、先ほどの御質問の中でも、他の先生の御質問の中にもございましたが、ことしの一月一日の地価公示価格、これがまだ出ていない、こういう段階でございます。したがいまして、各市町村におきましては、この一月一日の地価公示価格をベースにしながら、一月一日現在の地価動向を全部の基準地、標準地に及ぼしていく、こういう作業をこれからやるという段階でございますので、そういうことで現時点ではそういう調査はできておりません。
  95. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは、要は実際に改正前の収入を下回るような自治体に対してはきちっとした財源の保障をぜひ配慮していただきたい、そういうふうにお願いをいたしておきます。  それから、続きまして、地価公示制度については今後とも一層の充実・適正化を図ることが必要だろうと思いますし、また、地価の動向が激変している状況を今後とも適正、公正に反映していく必要があろうかと思いますが、平成五年の一月一日時点における修正的な措置を今回特別に導入されたわけなんですが、来年度、再来年度も含めまして、地価動向が非常に激しいわけでありますから、そのような調整措置考えられているのかどうか、それらについてもお聞きをしておきたいと思います。
  96. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 平成六年度の評価がえでは、先ほど来御説明を申し上げましたように昨年の七月一日を基準日として作業を進めてきておりますが、ことしの一月一日の動向を反映する、こういうことでこれから作業をいたします。この作業は、もとの作業だけでほぼことしの秋ぐらいまで丸々かかるかと私どもは理解をいたしております。したがいまして、この五年一月一日時点の地価動向を反映するというのは、現実の作業の上では全くぎりぎりの限界です。これ以上のことはちょっと難しいというふうに御理解をいただきたい。それも、今回の場合それが可能になりましたのは、昨年七月一日現在で一たん全部の基準地、標準地について鑑定評価等をかけたというそういう実績があるものですからことしの一月一日に反映できる、こういうことになっておりますので、御理解を賜わりたいと存じます。  また、将来の問題といたしましては、当然のことではございますが、六年度評価がえの次の時期といいますと九年度になりますので、その九年度の評価がえで、その時点では九年度ですから二年前の七月一日を基準日といたしまして、その時点の価格を評価していく、こういうことになろうかと存じます。
  97. 小林守

    ○小林(守)委員 それではちょっと質問を進めていきたいと思いますが、次に、個人住民税にかかわりまして新たにふるさと寄附金控除制度を導入するというようなことが出されております。我々ふるさと出身議員という立場からしますると、大変結構な発想だというふうに大いに評価をしたいと思っているところでありますし、また特に、個性豊かな魅力ある地域づくりや各地域のふるさと振興、その各種施策の推進に当たって、住民の寄附の活用というのは有効な一方策だろうと思っているところでございます。  そこで、この新規措置の導入の趣旨と効用について、そして実際にどの程度平成五年度におきましては、平成六年度からの措置なんですけれども、しかし実際、住民税ですからことしの一月一日以降寄附があったものについて対象になるわけですが、そういう観点に立って、実際どの程度の寄附金が想定をされているのか、お聞きをしたいと思います。  何か税制改正による増減額の見込みの表で見ますると、「寄附金控除の適用対象の拡大」という中で四億円ぐらいの、これは減収ですか、減税になるということになっているのですが、実際は、寄附があるからそれが控除になって減税になるという形になりますね。逆算した場合一実際にどの程度の寄附金額が想定をされているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  98. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  今回の地方税法の改正案の中で、御指摘のように都道府県、市町村あるいは特別区に対します寄附金を個人住民税の寄附金控除の対象として追加するということにいたしておるわけであります。  これは今先生からお話がありましたように、現在全国各地の地方公共団体においてふるさとづくりといいますか、ふるさと振興といいますか、そういった各種の施策が非常に活発に積極的に推進されているわけでありまして、私どももこういう傾向は非常に望ましいものであるというように受けとめているわけでありますが、なお進んで住民が参加をしてこういう施策を推進することが可能となる一つの施策として、都市住民を含む住民の寄附を奨励して、そしてその活用を図っていくということが大変意義深いのではないかという趣旨からこの寄附金控除の制度を設けようとしているものであります。今申し上げましたように、通称ふるさと寄附金控除制度という言い方をしておりますけれども、導入されることによりまして、住民の参加意識というか、地域づくりに対する住民の参加意識というものが一層推進されることになるんじゃないかというように私どもはその意義を考えているわけであります。  御指摘の寄附金の総額でございます。これは実際、制度ができて運用されないと具体的にはわからないわけでありますが、現在の所得税の寄附金控除の金額あるいは対象者というものをベースにして非常に大胆な仮定を置いてやってみますと、これは所得税の場合でも、年間の推定寄附金の総額が二百億円台から四百億円台まで、ばらばらの状態にあります。しかし、それを何年間か一くくりして平均的に見ますと、大体三百五十億くらいが所得税における寄附金総額の総計のようでありまして、これは御案内のとおり所得税でございますから、国、地方公共団体、それから特定の公益法人もこの対象に含まれているわけでございまして、その中から地方公共団体分だけを取り出すということは、そういう統計がないものですから大変難しいのですけれども、先ほど言いましたような大変大胆な推計をいたしますと、私ども、大体五十億くらいになるのじゃないかなという感じを持っております。  もちろんこういう制度ができて、住民がこういう制度ができたんだから自分のふるさとに寄附しようとか、自分の属している地方公共団体に寄附しようとか、そういう機運がもっと盛り上がってくればもっとふえると思いますけれども、今の状況から推定すると、寄附金の額が大体五十億円くらい、それをベースにして現在の県の住民税あるいは市町村住民税の平均税率というものを勘案して計算をすると、資料にありますように、減収額が四億円くらいになるというように見込んでいるわけであります。いずれにしても、かなり大胆な推計でございますので、御了承いただきたいと思います。
  99. 小林守

    ○小林(守)委員 五十億円程度を想定されたということでございますが、確かにこの趣旨がどんどんPRされるような状況の中では相当変わっていくだろう、そのようにも想定されます。ただ問題は、積極的にPRをしてふるさとづくりの機運を盛り上げていくというようなことは結構なんですが、実際に地域社会の中で、例えば小中学校の校舎の建築とか改築とかそういうようなときに、PTAの実行委員会をつくって同窓会を通しまして寄附金をOBの同窓会の皆さんに呼びかけるとか、あくまで任意という形なんですが、相当組織的に行われているのが実態なんですね。  これを今回の制度PRがどんどんされていきますると、税収的に、寄附金の総額的にどうかというようなことはありますが、例えば県人会を全県的に、全国的に組織しまして、そこを通して徹底したPRをしていくということになれば、相当力を発揮してくるというようなことも考えられるのですよ。そういうことも意欲的な自治体考えるかもしれません。ただ、地方財政はやはり公費でやるのが当然でしょうから、余りにもその寄附金で税金の二重取り的な要素になってきては困るわけですよ。そういう点でおのずから一定の節度というか、適法の範囲というのは運用上示されていかなければならないのだろう、そのように思います。  極端な言い方をしますると、形は実行委員会、振り込み先は市町村だったとかというような形がとられた場合、これは確かに寄附金控除の対象になりますという形なんですが、今度はどんどん寄附金控除を受けられる自治体ですね、例えば東京に住んでいるとすれば、東京都というのはこれは大変な被害を受けると言ってはおかしいのですけれども、被害、加害という問題じゃないとは思うのですが、額もたかが知れていますけれども、しかし、運用の仕方によっては公序良俗に反するようなことが出てくるのではないか。私が自治体の長だったらきっと考えますね。そんなことで危惧をした面もあるものですから、その辺について、やはり組織的な勧誘行為等について適法な範囲、良識の範囲、これらについてちょっとお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、福永委員長代理着席〕
  100. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 御指摘、まことにごもっともでございまして、私どももそういうようなことにならないように十分注意していかなければならないというように思います。ただ、先ほども趣旨のところで申し上げましたけれども、やはりこのふるさと寄附金控除制度というのは先ほど申し上げたような趣旨ですから、適切に健全に活用されることが望ましいというように思っています。  ただ、委員市町村長であれば非常に活用したいとおっしゃられましたように、個々市町村長さんとか知事さん方でも活用したいと思うこともあろうかと思います。ただ、地方財政法にも強制的、割り当て的な寄附の禁止の規定というものもございます。そういったものも私ども十分頭に置いて地方公共団体を指導してまいりたいというようには思います。御指摘の点は十分に頭に入れながら、しかもこの制度が適切に行われるように指導、運営を図ってまいりたいというように思っております。
  101. 小林守

    ○小林(守)委員 そういうことでぜひお願いしたいと思いますし、指導指針的なものが示されることになろうかと思いますが、特に使い道ですね。ふるさとという名称がかかっているわけでしょうから、そういう趣旨に使われるというものを何らかの形で保障していくような、自治体にとってはどこに使われたかわからないなんということがないように、やはり趣旨をしっかりと貫徹できるような仕組みも含めてお願いしたいというように思っております。  それでは、次に移りたいと思いますが、非課税等の特別措置の整理合理化の一連の問題でございます。  個人事業税における社会保険診療報酬の非課税措置については、不公平税制のシンボルだとも言われているところでありますし、これらについては財団法人の全国法人会連合会、さらには政府税調の累次の答申においても触れられておりますし、また全国自治体においてもこの見直し指摘されているわけであります。にもかかわらず、今次改正でも見送りになったわけであります。  まず第一点として、その背景と理由、そして今後どう見通しを立てているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  102. 滝実

    滝政府委員 社会保険診療報酬の今回見送らさせていただきました背景でございます。  これにつきましては、御指摘いただきましたように、国における所得税あるいは法人税においては、既に概算経費率による課税に制度改正がなされているわけでございます。したがって、私どももこの事業税につきましては、そういうようなことも勘案しながらできるだけ税制調査会の答申に沿うべく努力をしてまいったわけでございますけれども、社会保険診療の公益性あるいは公共性、こういうようなことから、民間といいながら営利事業と全く同じような取り扱いはできない、こういうような意見が強く出されておりまして、結論を得るに至らなかったわけでございます。  したがいまして、私どもは、今回の平成五年度の税制改正におきましては、引き続き検討ということにさせていただいているわけでございますけれども、たびたび申し上げておりますように、事業税におけるこの非課税措置につきましては、税制調査会あるいは当委員会におきましてもたびたび指摘されているところでありまして、大変心苦しいところでございます。したがって、今後とも私どもとしては、この見直しにつきまして格段の努力をするつもりでございます。
  103. 小林守

    ○小林(守)委員 もう一つ、同じようなことで、ちょっと別の問題なのですが、やはり新聞業等のマスコミ関係七業種に係る事業税の非課税措置の廃止に伴う経過措置という形で、ことしも一年間また延長されるということになったわけでありますが、これは昭和六十年度の税制改正によって非課税措置が廃止になった。しかし、激変緩和ということで当初三年間経過措置をとろうという形が始まりなのですね。ところが、ずっと今日まで十年近く、まだ十年にはなりませんけれども、続いているわけなのです。趣旨としてはわからないわけではない、一般的には私は理解できる面もあるのですけれども、この理由、どういう延長の理由が考えられているのか。  関連しまして、何か非常に額的には大したものじゃないものをやっているのですよね。これは実際にどのぐらいの税額になっているのか。三百五十万円または事業所得の二分の一のどちらか多い方ということなんですね。これは企業界で見た場合にどのぐらいの額なのか。随分みみっちい話なのではないかなというふうに思えてならないのですが、どのぐらいの税額になっているのか、それとその理由をお聞きしたいと思います。
  104. 滝実

    滝政府委員 この問題につきましては、御指摘のとおり昭和六十年にこの見直しがございまして、それ以来いわば激変緩和と申しますか、経過措置が更新されて今日に至っているわけでございます。  今回も従来の方針に従いましていろいろ検討もされ、また意見も交換をしてまいりましたけれども、結論的に申しますと、マスコミの公共性あるいは公益性に配慮すべきだ、こういうような代表的な意見がございまして、この経過措置を一年に限って再度延長をさせていただく、こういうことにさせていただいているわけでございます。したがって、この問題については、大臣からも御答弁申し上げておりますように、ひとつ私どもとしても格段の努力をいたしまして、見直しにつきまして取り組んでまいりたい、かように考えております。  それから、この現在の経過措置に伴う減収見込み額でございますけれども、マスコミ関係は、分類いたしますと七つの事業に分かれます。新聞業あるいは新聞送達業、出版業、放送事業以外にもいろいろな事業があるわけでございます。したがって、企業の数としてはそれなりに数があるわけでございます。金額としましては、トータルとしてしかつかんでおりませんけれども、約四百億ぐらいになるものというふうに推定をいたしております。
  105. 小林守

    ○小林(守)委員 逆に言えば、マスコミの公共性とか公益性ということを評価していくならばこんなものでいいのかというふうな言い方もあるでしょうし、また、そういうことで縛ることについても問題があるだろうということもありますし、この辺についてはやはりすっきりしていった方がいいのではないかというふうに思います。  次に、実は質問税制とはちょっと離れてしまうのですけれども平成三年に制定し施行されましたリサイクル法、再生資源利用促進法では、紙のリサイクルの一層の拡大のために紙製造事業者、オフィス、会社、消費者、国、地方公共団体等がそれぞれ応分の社会的責任を分担して、相互の幅広い協力体制の下でリサイクルを促進することを基本とするという法律ができたわけです。この七業種の中に紙を主たる原料として使用している業種があるはずでありますけれども、新聞業などはまさにそれに該当するかと思いますが、この七業種の中で紙を原料として営業活動しているという業について、ほかにどういう業があるのか、大体想定はできますけれども、教えていただきたいと思います。
  106. 滝実

    滝政府委員 これは先生もおっしゃっておられますけれども、大体想定されますように、新聞業あるいは出版業、そういったところがこの紙関係になる事業ではないかと思います。
  107. 小林守

    ○小林(守)委員 教科書供給業というのはどうなんですか。
  108. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 御指摘のとおり入ってございます。
  109. 小林守

    ○小林(守)委員 新聞業、出版業、教科書供給業、これらについては相当の量を使っているのではないかな、そんなふうに私は思っているところです。特にリサイクル法では、紙の製造事業者について、我が国全体の古紙利用率の目標として平成六年度までに五五%というような目標を設定して鋭意努力をしているところでありますが、要は、紙製造事業者だけではなくて、業界も含めて、それを利用する消費者、需要者の再生紙等の古紙利用に対する理解が極めて大事であるし、また需要が安定的に拡大していくことが紙のリサイクルにとっては決定的な要素だろうというふうに思うわけであります。  特に今日、円高という問題で、バージンパルプが安くなってくると思います。それからもう一つは、やはり全体的な不況の中で紙を使う業界も相当影響を受けているということで、実は古紙の利用量が低迷してきているというような問題があるわけでありまして、そういう点では古紙の再生利用がなかなか五五%まで行かないのではないか、通産省なども相当頭を痛めているところだろうというふうに思うのです。  特にこれらの三つの業界、新聞業、出版業、教科書供給業について、現在の古紙の利用状況、文部省の方にも来ていただいておりますので、それぞれ通産、文部から、現状についてどう把握されているのか、それからどのように指導をしているのか、その辺をお知らせいただきたいと思います。
  110. 増田達夫

    増田説明員 ただいま御指摘いただきました三つの業種で、まず新聞用紙につきましては、現在国内で生産されているものすべてが再生紙であり、また出版につきましても、詳しい資料はございませんけれども、特に週刊誌等につきましてはほぼすべて再生紙を使っているというふうに伺っております。また、一般の書籍についても再生紙を使用したものが出回りつつあるという状況でございます。さらに、教科書、副読本につきましては、文部省の御指導も得ましても、既に一部の図書の表紙、口絵には再生紙を使用している例が出てきているという状況でございます。  先生御指摘のように、リサイクル法につきましては、事業者、オフィス、会社、家庭などの消費者、国、地方公共団体それぞれが応分の社会的責任を分担して、何としても頑張って五五%目標を達成しようというものでございます。日本は五二・三%の利用率を現在達成しておりまして、世界的に見ますと最高水準でございまして、こういう点ではまさに古紙利用先進国というふうに言って差し支えないと思います。  ここに来るまでの培われましたいろいろな知恵を生かしまして、国民各層が取り組んで、五五%目標の達成は何としても頑張らなければいけないし、また、そうあらねばならないというふうに確信し、努力をいたしております。
  111. 小林守

    ○小林(守)委員 数字的には確かに五二%ということで、先進国の中でも非常に高い、トップクラスなんだというようなお話で、私もその辺については理解しているつもりなんですが、しかし、使う量からいって全然違うわけですね。なおかつ、ほかの発展途上国などの森林を伐採して環境を荒らして持ってきているという実態があるわけでありまして、それだけ一番資源収奪というか資源を食っている国でありますから、当然リサイクルで徹底して上げていくのが責務だというふうに思うのですね。  そういうことで取り組まれていると思うのですけれども、ただ、新聞業界につきましては、古紙の利用率が今日四〇%ぐらいだというふうに言われているのですが、これはもっと上げられるのではないか、そういう課題があろうと思います。ところで、業界としては、何かより軽量化、より薄型にしたいということで、余り古紙利用率を上げたくない、むしろバージンをもう少し多く入れて、品質の向上と言ってはおかしいのですが、軽くなって薄くなるというようなことで輸送コストを低減したいというような話も聞いているのですが、それについて通産省ではどうとらえているのか、また、どう指導しようとしているのかお伺いしたいと思います。  それから、文部省については教科書の一部という話ですが、これはまだまだ話にならないと思います。実は、既に政府は、地方団体も含めて、省エネルギー・省資源対策推進会議を持って各省庁が再生紙の使用等についてみずから取り組むとともに、政府関係機関を指導することを申し合わせているというふうになっているわけです。そういうことで、文部省としては、教科書なり副読本なりいろいろな資料に再生紙が使われるということになると、教育的にも国民的にも大きな課題になってくるし、PR効果はすごいものがあるだろうと思うのですね。そういうことで、教科書業界に対して文部省が強力に再生紙を利用しろ、利用してほしいという形での行政指導が必要なのではないか、そんなふうに思うのですが、文部省の方の取り組みについてもお聞きしたいというふうに思います。私は、随分おくれているのではないか、そのように思えてなりません。  特に、財団法人の古紙再生促進センター事業といたしまして、これは通産省の補助をもらってやっているわけなんですが、グリーンマーク事業を導入してやっているわけなんですが、古紙を利用した製品にグリーンマークを表示してもらい、まあベルマークみたいなものですね、このマークを一定点数集めた学校に対しては苗木等を配付するんだというようなことで取り組まれているのですが、当然御存じだろうとは思いますが、やはり教科書に再生紙が利用されることによって大きく変わっていくというふうに私は思えるのですが、ぜひ通産省と文部省の方に御回答願います。
  112. 増田達夫

    増田説明員 ただいま御指摘がございました新聞用紙でございますけれども、先生御指摘のとおり、従来は大体平米当たり四十六グラムが平均でございましたけれども、新聞配達の労力の軽減あるいは省資源の観点から、最近では四十三グラムの紙がふえつつございます。この用紙につきましては、表面にでん粉を塗布したりするという技術開発が進んだ結果できたものでございまして、軽量化しましても、強度、印刷適性を維持することができるということが可能となっております。特に古紙の利用につきましては、私どももいろいろと調べてみましたけれども、結果的には従来と比べて古紙の利用率を落としていない、そこまで技術が進んできているということでございます。  私どもとしましては、紙の製造業者に対しましてさらに技術開発を進めまして、先ほどございました古紙利用先進国ということも十分認識しまして、新聞用紙を含みます紙における古紙利用率を一層向上するように要請してまいりたいと思います。
  113. 清水潔

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  教科書にどのような紙を用いるかということにつきましては、基本的には各発行者にゆだねられているところでありますが、現状におきましては、児童生徒がかなりの長期間にわたりまして、しかも日々使用するという性格を勘案しまして、例えば引っ張りの強さとか印刷の仕上がりとか、そういう点を勘案した特殊な用紙が用いられているというのが現状でございます。  先生御指摘の再生紙の利用に関しまして、文部省としては、社団法人の教科書協会の方に研究を依頼して検討を行っているところでございますが、現時点におきましては幾つか課題がございます。例えば、紙質の問題が一つございますし、もう一つは良質の古紙を安定的に確保できるか、安定供給の問題、それからコストの問題というような課題がございます。  なお、こういう現状でありますけれども、この四月から一部におきまして表紙とか口絵とかそういう中で再生紙が用いられるようになりつつあるというのが現状でございます。文部省といたしましては、再生紙利用という御指摘の意義にもかんがみまして、関係業界と連携を図りながら研究、検討を進めてまいりたい、かように存じております。     〔福永委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 小林守

    ○小林(守)委員 私は文教委員でもございますので、続きはそちらでまたやっていきたいと思うのです。  それでは、続きまして、時間も残り少なくなりましたので、大臣も含めてお聞きしたいと思いますが、いずれにしても、二十一世紀を展望いたしまして、日本の税制について相当中長期的なことも考えていかないとよくないわけでありまして、特に国際政治の、経済の枠組みが大きく変わっている状況の中でこれからどう変わっていくのかという点については見通しを立てることはなかなか難しいわけなんですけれども、ただ、日本において間違いなく言えることは、何といっても人口の高齢化、世界に例のない速さで高齢化していくということです。それから、もう一つ経済の国際化、この二つだろうと思うのです。これらについては両方とも地方団体、国も含めまして財政需要が非常に高まってくる、行政需要が高まってくるというふうに言える問題でありまして、そういう点でも、税制あり方については相当中長期的なビジョンが必要だと言われているところだと思います。  そういうことを踏まえまして、百二十三国会におきまして、地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議が昨年の三月十日、本委員会で採択されたわけであります。その名称は、国際化・高齢化社会等に対応する行政需要の増大、引き続き厳しい地方財政状況等にかんがみてというようなことで附帯決議がされて、例えば地方税源の拡充、さらには国と地方の税源配分の見直し、総合課税への移行、これは納税者番号制度検討も含むという形になろうかと思いますが、さらには利子・株式譲渡益課税の見直し住民負担配慮した課税自主権の強化、こういうことが決議の中で触れられているわけであります。  ところが、今回の法改正では、政府税調答申にもあるにもかかわらず、すべて見送りにされてきているのではないかと言えると思うのですね。そういうことで大変遺憾な気持ちで、また本日においても何か附帯決議をつけましょうということなんですけれども、どれだけの効果があるのかいなと大変危惧をしているところであります。  それからさらに、非課税等の特別措置の整理合理化の問題、これも進んでいない現状でありますし、また事業税税収地域格差が拡大して、それに対応して地方への配分を強化するために事業税の分割基準の見直し、それから地方団体の要望も強い外形標準課税の導入、これらについてもずっと検討されてきているところなんですが、これらについても決議では毎回載っているわけなんですけれども、しかし、実現がどうも見えてこない、見通しが見えないというようなところであります。  そういうことで、ちょっと時間の関係ではしょりますけれども、同じような内容の決議は昨年の三月二十七日参議院の地方行政委員会でも決議をされているわけであります。これはいやしくも国民の意思を代弁する、代表する立法府の決議だということを忘れては困るわけであります。これはセレモニーではないんだということです。もう一回よく考える必要があるんだということです。きょうも決議がありますけれども、セレモニーじゃないんだということを肝に銘じていただきたい、そのように思います。  ところが、政府対応については、我々から見るならば、いろいろな事情があろうかと思いますが、遅々として進んでいない。決議の意義が軽視されているのではないか、ないがしろにされているのではないかと断じざるを得ない実態であります。政治改革、国会改革の一つとして、私は従来から、行政府主導の官僚統治について、国会はみずからの機能を強化して、最近はやりの言葉で言いますると、霞が関解体という言葉まであるようでありますけれども、解体的な改革を迫る必要があるのではないか、そんなふうに、強い言葉ではありますが、危惧をしているところであります。  そういうことについて、自治省出身ということもございますし、また、これは前の大臣のときの決議だったと言われては困るのでありますが、大臣の決意と所見を伺って、終わりにしたいと思います。
  115. 村田敬次郎

    村田国務大臣 全般的な締めの御質問でございますので、私からお答えをしたいと思います。  地方自治の確立という観点からは、地方団体の財政を運営するために必要な財源は自主財源である地方税でできる限り賄うということが基本でありまして、また今後、生活大国実現地方公共団体の役割の増大に対処して地方税源の充実を図ることは重要な課題であると考えております。  御指摘のように、当委員会の附帯決議で地方税源充実のための課題をいただいており、また税制調査会の審議も煩わしているところでございますが、国・地方間の税源配分につながる問題や納税者税負担に大きな影響を及ぼす問題なども少なからずあり、地方制度調査会、税制調査会等の審議をお願いし、検討を進めてまいりたいと考えておるわけであります。  課税自主権の強化のためには、まず地方税源の充実が基本となっていると考えますと、自主性の確立についても現行制度の適切な運営に努めるとともに、さらに地方の自主性の拡大の可能性について地方団体意見を十分踏まえ、税制調査会の審議を煩わしつつ検討を進めてまいりたいと思います。  また、利子・株式等譲渡益課税に対する課税のあり方につきましては、基本的に総合課税を目指すべきでありますが、現在の所得把握体制のもとでの実質的な公平性の実現経済活動等に対する中立性、納税者税務当局の事務負担等を念頭に置いた制度の簡素性といった点を勘案し、「現行の課税方法基本的な仕組みについては、当面これを維持することが適当であると考える。」という税制調査会の答申をいただいたところでございます。  また、納税者番号制度につきましても、税制調査会で種々の角度から具体的に検討を行いましたが、まだ検討すべき課題が残されていること、同制度に対する国民の理解がまだ十分ではなく、今後深められていくという可能性、必要性があると考えるものから引き続き検討を行っていくということが適当であるということでございます。  現在、こういった考え方でおるわけでございますが、もとより国会の決議がいかに重要であるかということはよく存じておりますし、委員が御指摘になりましたような、地方自治が国際的にもいろいろな対応をしていかなきゃならない、また高齢化社会に対して日本の社会が対応していかなきゃならない、過疎過密について対応していかなきゃならないという非常にアップ・ツー・デートな問題点を御指摘になられたわけでありまして、私はこういった地方自治地方分権の観点をしっかりと踏まえまして、小林委員が御指摘になられたように、私自身の責任において事務当局をしっかりと督励し、事務を進めていくことをお答えしたいと思います。
  116. 小林守

    ○小林(守)委員 終わります。
  117. 中馬弘毅

  118. 山口那津男

    ○山口(那)委員 公明党の山口那津男でございます。  私の方から質問させていただきますが、同僚委員から各種質問が既になされておりますので、なるべく重複を避けてやりたいとは思いますが、何分重複する部分については御容赦いただきたいと思います。  さて、まず初めに、地方税収の動向についてお伺いいたします。  平成四年度の結果はまだ出ておらないと思いますけれども、この四年度の地方税収見込みがどうなるかについて概要を御説明いただきたいと思います。
  119. 滝実

    滝政府委員 四年度の地方税収入の動向でございますけれども、私どもが把握しております数字は、一月末の都道府県の収入状況、これからいたしますと、大体予想されるところでございますけれども法人関係税あるいは住民税の利子割が落ちる、こういうようなことでございまして、現在の段階では前年度の平成三年度の決算額を確保するというのは難しい状況ではないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。この辺のところは、今後二月、三月がどうなるのかということもあるのでございますけれども、一月末の累計から推計いたしますと、そんなような状況でございます。
  120. 山口那津男

    ○山口(那)委員 その中で個々自治体においてかなり格差というか幅が出るだろうと思うのですが、地方公共団体によっては財政運営に支障が出てくるというような場所があるのかどうか、これについてお伺いいたします。
  121. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 ただいま税務局長からお話しのとおり、平成四年度の地方税収につきましては、法人関係税それから住民税の利子割を中心にしましてかなり減収といいますか、落ち込みが激しゅうございます。そういう関係から、市町村税収というより、むしろ都道府県の税収の方に大きく影響が出てきているのではないかというふうに考えているところでございます。  特に、都道府県の中でも法人関係税のウエートの高いいわば大都市地域と申しますか、そういう地域の府県におきましてこの影響が大きいということが言われるのじゃないかと思うわけでございますけれども、今年度の状況につきましては、数回にわたりまして都道府県の財政当局からのヒアリングも行いまして、今年度の財政が支障なく決算を打てるかどうかということについて、今慎重に検討をいたしております。  特に、この減収の激しい地域におきましては、地方税減収補てん債を措置いたしまして、そして決算に支障のないようにということでやっておりまして、都道府県におきまして現段階においてどうしても決算が打てそうもないというようなところはないようでございますけれども、十分注意をしながら今後の推移を見てまいりたいと思っております。
  122. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そのような動向を踏まえまして、平成五年度の地方税収見通しがどのようなものになるか、お答えいただきたいと思います。
  123. 滝実

    滝政府委員 平成五年度の地方税収入の見込みでございますけれども、都道府県あるいは市町村合わせまして、トータルとしては一・六%の増にとどまっておりまして、三十四兆五千億余り、こういうことになるわけでございます。  中身は、都道府県はやはり非常に厳しい状況でございますので、都道府県税は昨年よりも落ちる、こういうことでございます。また反面、住民税あるいは固定資産税、そういうような安定財源の比重が高い市町村税はほどほどの伸びは何とか期待できる、こういうような状況を私どもとしては見ております。
  124. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、平成五年度の地方財政計画におきます税収確保について、今後の税収の動向をにらみながら不安がないのかどうか、この点についての見通しをお述べいただきたいと思います。
  125. 滝実

    滝政府委員 まず、現在見積もっております都道府県税の問題でございますけれども、これは数字で申しますと四.二%の落ち込み、こういうような前提に立った見込みを既にとっております。したがって、私どもとしては、現在の収入見込み程度は何とか確保できるのではないだろうか、こういうような期待をいたしておるわけでございます。
  126. 山口那津男

    ○山口(那)委員 地方税におきまして、特に法人関係諸税については景気の変動を強く受ける、こういう傾向がございますけれども、一方で地方財政需要というのはまあ固定的といいますか、安定的でなければならないという要請もあろうかと思います。  そこで、赤字の法人についての課税のあり方について現状どのように考えておられるか、これについて御意見をいただきたいと思います。
  127. 滝実

    滝政府委員 赤字法人への課税問題というのは、これは御指摘のように、前々から問題点が指摘されております。現在、法人の約半数近くが赤字申告を行っている、こういうような状況でございますから、地方税においてもこれでいいのだろうか、こういうようなことで指摘をされておりますし、そういうようなことを受けて、例えば事業税については何とか外形標準を導入すべきだ、こういうような議論が出てきているわけでございます。私どもも、そういう意味で応益負担あり方という問題からこの問題は幅広く検討すべき問題だろう、こういうふうに認識をいたしております。
  128. 山口那津男

    ○山口(那)委員 再三指摘されてきましたし、今も言及されたところでありますが、とりわけ事業税における外形標準課税の導入については、かなり昔から指摘もされましたし検討もされてきたと思うわけですね。その幅広い検討の結果、導入についてどうお考えになっておられるか、これを詳しく御説明いただきたいと思います。
  129. 滝実

    滝政府委員 この問題につきましては、実務的な観点も含めていろいろ研究をしてまいったわけでございます。基本的には外形基準を導入するのが望ましいということについては、これはもう異論がないわけでございますけれども、問題はこの外形基準というものを何に求めるのか、こういうことで税制が非常に複雑になってしまうという問題がございます。要するに、従業員の数でいくのか、あるいは資産総額でいくのかとか、そういうような、何をつかまえてくるかという、つかまえ方はいろいろあるわけでございますけれども、それによって今度は従来の事業税との間で大きな変動が出てくる、これは業種ごとに変動が出てくるという問題がございます。  したがって、そういう意味では、業種間での税負担の変動を来さないように外形基準を導入しようと思うと大変複雑な税制になっていく、複雑になるのみではなくて、経済は生きたものでございますから、それにそぐわないような業種についてはどうするのか、そういういろいろな実務的な問題が出てきておるわけでございまして、結論的にはまだ統一的なものが出てきていない、こういう状況でございます。
  130. 山口那津男

    ○山口(那)委員 一般的な外形標準課税についてはコンセンサスができながら、そういう技術的な観点でさまざまな問題点があるという御指摘だろうと思いますが、しかし、これについても長い議論があるわけで、いまだに結論が出ないということは非常に残念で仕方がないと思います。  現在導入の障害になっているもの、これは政治的な観点もあろうかとは思いますが、この障害になっている部分が何かということを的確に御指摘いただきたいと思います。
  131. 滝実

    滝政府委員 これはやはり基本的には業種間での変動に格差がどうしても出る、こういうことでございまして、したがって、一方の業種がそれで満足すれば、恐らく他の業種は、要するに公平感という観点から異論が出るということが最大の障害かと思っております。
  132. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そういった技術的な障害があるとすれば、一般論としてはいいと言いながらも、結局はできないという結論になるのじゃありませんか。それともやはり、いずれ何らかの形で解決をしていくべきだ、こういう御判断をお持ちなのでしょうか。
  133. 滝実

    滝政府委員 外形課税の導入というのは、これは事業税にとっては、いわば創設以来の一つの理念でございます。したがって、これにつきましては、いろいろな障害があってなかなか踏み切れないという問題でございますけれども、やはりそのときの経済状況、社会状況によっては何とか道が開ける、こういうこともあり得るわけでございますから、私どもとしてはこういった問題については引き続き取り組む、こういうような姿勢は堅持する必要があるかと存じております。
  134. 山口那津男

    ○山口(那)委員 御指摘のような障害があるとすれば、それは全国的なレベルでは意思の統一というのはなかなか難しいかと思いますが、個々自治体にとってはそういう障害が克服できる、こう判断された場合に、各自治体ごとに条例のレベルでこの外形標準課税というものを導入する余地はあるのでしょうか。
  135. 滝実

    滝政府委員 基本的には現在の地方税制の中で、法定外の普通税とかそういうような格好でそういうようなものを編み出すということは可能かと存じます。
  136. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ぜひ突破口を開いていただきたい、このように思います。  さて、次に、道路目的財源についてお伺いいたします。  これは第十一次道路計画の主管官庁であります建設省も含めてお答えいただきたいと思うのですが、この財源について、大きくガソリンと軽油負担が求められるわけでありますが、ガソリン関係については、揮発油税と地方道路税の増減税、プラスマイナスで実質の増税はないということになっております。片や軽油についてのみ増税がなされている、こういう結果になっておるわけですが、このような違いを生じさせたのはどういう理由によるのでしょうか。
  137. 後藤紳太郎

    ○後藤説明員 今回の自動車燃料関係税制改正におきましては、まずガソリンと軽油税負担格差、これは現在ガソリン税の税率が軽油引取税の二・二倍になっております。これを一・七倍まで縮小する、これによって自動車利用者の負担の公平を図る、それとともに、国民生活に与える影響、これも当然配慮いたさなければなりませんので、ガソリンにかかる税の税率は据え置き、軽油引取税の税率のみ七・八円/リッター引き上げたところでございます。  なお、その際に、これは当然ながら、国費、地方費双方の財源確保する必要がございますので、ガソリンにかかる税の国・地方の配分割合を変更、三円/リッターでございますけれども、そういったことにして対応させていただいております。
  138. 山口那津男

    ○山口(那)委員 その場合に、結果として国の道路財源確保については実質の増税を伴わないで確保ができた、片や地方道の整備という需要がかなりふえている、それを地方税のみにしわ寄せさせて増税という結果で解決をしようとしている、これはある意味で不公平になるのではないか、こういう御指摘もあるやに聞いておりますけれども、この点についてのお考えはいかがでしょうか。
  139. 後藤紳太郎

    ○後藤説明員 繰り返しとなりますが、やはり国・地方道路整備事業に見合った財源確保する、これが今回の制度改正考え方基本考えてございます。  今回の税制改正によりまして、国・地方ともに必要な道路財源確保することが可能になります。また、特に地方費につきましては、国費を上回る税収の増加を確保しているところでございますので、どうか御理解をお願いいたします。
  140. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、地方税のみが増税になったということでありますが、その結果として減収になる、このような自治体が出てくる可能性はないでしょうか。
  141. 滝実

    滝政府委員 基本的にはそういうような団体がないように、こういうことで軽油引取税の引き上げということをお願いをいたしておるわけでございますけれども、若干の減収になる団体というのはやはり生じざるを得ないというのが恐らく実態だろうという感じがいたしますけれども、数にすればそれはそんなに多くはないというふうに思っております。
  142. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そのような見込みに基づいて何らかの措置をとられるおつもりはありますか。
  143. 滝実

    滝政府委員 特別な仕掛けを考えるわけではございませんけれども、そういうような若干でも減収が生じる団体につきましては、当然地方交付税上の算定を通じまして適切な配慮をいたしたいというふうに考えております。
  144. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それでは次に、固定資産税評価がえに伴うさまざまな制度改正についてお伺いしたいと思います。  まず初めに、国民から見れば、公的土地評価が従来一物三価とか四価とか言われておったわけでありますが、それが一元化するとすれば簡明直截でわかりやすいということは当然であろうと思います。平成六年度の固定資産税評価がえでは地価公示価格の七割程度を目安とする、こういうことになりますが、これの理論的、実態的根拠というのはどういうことなのか、御説明いただきたいと思います。
  145. 滝実

    滝政府委員 今回の評価の中で基本は、地価公示価格の七割程度を目標とする、こういうことでございます。これにつきましては、従来から一物四価と言われておりましたようにいろいろな評価がなされてきたわけでございますけれども土地税制の合理化を図る、こういう観点から一つのよりどころとして地価公示価格というものを中心にして物を考える、こういうことでございます。  そういうような観点からいたしますと、過去において地価公示価格に一番接近した数値、これは昭和五十年代中ごろの地価が比較的安定していた時期には公示価格対比で平均で七割近くという実績があるということですので、そういうことを中心にしてこの七割というものを設定いたしたわけでございます。
  146. 山口那津男

    ○山口(那)委員 主として理論的な理由として、公示価格の方は売買実例をもとに算定されるだろうと思いますが、それに対し固定資産税評価額の方は収益還元理論に基づいてなされる、その格差が三割程度である、こういうふうにお考えになっていると理解してよろしいですか。
  147. 滝実

    滝政府委員 いろいろな考え方があるだろうと思うのでございますけれども、収益還元価格とか売買価格とかということもさることながら、総合的に見て公示価格と固定資産評価とでは性格に違いがある、こういうことにならざるを得ないと私ども基本的に思います。  これも細かい議論をしてまいりますと、公示価格の評価におきましても、不動産の鑑定評価基準によりますと、できるだけ収益還元法を活用すべきだ、こういうようなことで平成二年に既に調査会の答申が出ているわけでございますので、地価公示価格の方も当然そういうものは十分活用する、こういうことでございます。  したがって、私どもが今回地価公示価格というものを基準に据えますのは、やはり公示価格の方でもそれなりにいろいろ配慮がある、あるいは鑑定の仕方についていろいろな工夫がある、こういうことを前提といたしておるわけでございますので、総合的に見てというふうに私ども考えております。
  148. 山口那津男

    ○山口(那)委員 もう一つの実態的な根拠として、昭和五十年代の比較的地価が安定していた時期に公示地価との開きが平均的に七割程度であったことがあるわけであります。しかし、実際に全国を見てみますと、かなりの地域格差があったことは否めないわけです。  例えば、昭和五十四年の固定資産税評価額昭和五十二年の公示価格との差を比較してみますと、浦和市ではこれが九割程度、九一・一%という数字であります。片や最低の那覇市は三一・七%、相当な開きです。次に、昭和五十七年の固定資産税評価額昭和五十五年の公示地価との対比でいきますと、浦和市は九七・九%、ほとんど同様であります。それに対して沖縄の那覇市は三六・九%ということですが、その後いわゆるバブルの時代には大幅な乖離ができてきたわけです。ですから、安定期であったといっても相当な格差があるということです。  この格差がどこから出てきたのか、そしてまた七割と一律に言い切っていいのかどうか、この点について御意見伺いたいと思います。
  149. 滝実

    滝政府委員 地価安定期においてもばらつきがあったということは従来から言われていることでございますし、またそれが地価高騰時期には激しくなったということも言われているわけであります。したがって、土地税制というか土地制度の整理に当たりましては、少なくとも税の中での評価につきましてはそういうばらつきをできるだけ均衡させる、こういうことでございますので、今度の七割という目安を持ち込んで均衡の一つのよりどころにする、そういうようなことを背景として私ども考えてきているわけでございます。  したがって、七割というものをとる根拠は、そういう安定期においても九割から三割台まであるわけでございますけれども平均値が七割台に接近している。したがって、極めて公示価格に近いところも、あるいは公示価格から離れているところも、何とかそこには接近できるだろう、あるいはそういう可能性があるだろう、こういうことを込めて七割と私どもは設定をいたしているわけでございます。
  150. 山口那津男

    ○山口(那)委員 従来、公示価格は売買実例と対比するというそれなりのわかりやすい比べ方というのがあるわけでありますけれども固定資産税評価額の方は本当に厳しい格差がありまして、これについて、何をもって、どういう根拠で評価したのかというのがわかりにくかったわけです。その意味で、今回七割にしたというのは、それはそれで一つの目安になる、国民にとってはわかりやすいということは確かに言えるのだろうと思います。  そして、この七割程度にするのは通達で規定されているわけでありますが、当分の間という限定をつけております。なぜ恒久的にではなくて当分の間七割にするのか。この考え方を御説明いただきたいと思います。
  151. 滝実

    滝政府委員 御指摘のとおり、通達におきましては「当分の間」という表現を使っているわけでございます。これは将来にわたる問題でございますから、そういうことを見通しますとどういうような変化があるやもしれない、こういうことでございますけれども、少なくとも特段の事情がない限り、この七割というものは維持したいというのが私ども基本的な考え方でございます。
  152. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、評価方法でありますが、地価公示ポイントといいますか、その数は全国で二万程度ということです。それに対して標準宅地の方は四十万程度ということで、数が著しく違っているわけです。そこで、公示価格の七割とする、こういう一般的な基準を置いたにもかかわらずポイントが少ないということで、これを補う意味鑑定評価価格というのを数多くのポイントでやっていこう、こういう御趣旨だろうと思うのです。これは具体的にどういう方法でこれらの膨大な作業をおやりになるのか、この点の御説明をいただきたいと思います。
  153. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 御指摘のように、地価公示地点と私ども固定資産税評価をいたします基準地、標準地の数は大変差がございます。これを補いますために、昨年の七月一日を価格調査基準日といたしまして、基準地を含む全標準宅地について、不動産鑑定士等にお願いをいたしまして鑑定評価をさせていただいているところでございます。  これを具体的に実施する上で、私どもとしては、都道府県、市町村、それから不動産鑑定士等の関係者によります土地評価協議会、こういうものを全国ベースそれから都道府県ベースでつくらせていただきまして、それぞれ情報交換をし、不動産鑑定士同士もお互いに情報交換をするというようなことを通じて適正な鑑定ができるように、また不動産鑑定士の少ないところについても、そういうことで県等が中に入って協会等と話をして、具体的に作業を割り振るというようなことまでも含めてやらせていただいているところでございます。
  154. 山口那津男

    ○山口(那)委員 これが今回の評価がえに伴う新たな作業として導入されたのだとすると、かなりのコストがかかるだろうと思うのですね。このコスト、費用の負担についてどのような措置をとられるのかお答えいただきたいと思います。
  155. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 鑑定評価に係ります経費につきましては、当然のことながら、鑑定評価を行う市町村におきまして予算措置を行うことになるわけでございますが、その経費につきましては、既に普通交付税において所要の財源措置を講じさせていただいているところでございます。
  156. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今回の評価がえについては、公示価格の七割ですから、要するに公示価格を前提とするといいますか、これに依存する、こういう決め方ですね。そうだとすれば、本来は公示ポイント数を固定資産税評価ポイントと同じぐらいにふやして、それを国の費用で、つまり国土庁が評価コストを負担する、こういうやり方の方が簡明でいいのではないか、こういうふうにも思うわけでありますけれども、これについて国土庁はどうお考えになりますか。
  157. 藤田博隆

    ○藤田説明員 先生御指摘の地価公示の制度でございますけれども、地価公示法に定められておりますとおり、一般の土地取引価格の指標という役割がございます。それから、公共事業用地の取得価格の基準という役割、それから国土利用計画法の施行令に基づきまして、国土利用計画に基づきまして土地取引の規制を行う場合の価格審査の基準というさまざまな役割を持っておるわけでございますが、それに加えまして、土地基本法それから総合土地政策推進要綱を踏まえまして、ただいま御指摘のような固定資産税評価それから相続税評価の基準としても用いられるようになったという経緯があるわけでございます。  私どもは、地価公示地点につきましては、今申し上げましたようなさまざまな役割があるわけでございますが、その指標としての役割を拡充するという観点から、平成五年の公示、本年の地価公示でございますが、昨年、平成四年の一万七千百十五地点から二万五百五十五地点に増設をしたところでございます。また、平成六年の公示、来年の公示につきましては、平成五年度予算におきまして二万六千地点へと大幅な増設を図るという予定にしておるところでございます。
  158. 山口那津男

    ○山口(那)委員 公示価格が多様な機能を持っている、だからこそ国民に開かれた、利用しやすい指標として制度を設定していくべきである、そういう考え方に立つべきだろうと思います。その点で、ポイント数を徐々にふやしているという努力は見られるわけでありますが、早い話、予算が足りないのでこれしかポイントを設けられない、こういうことなのかもしれませんけれども、しかし、やはり一般的な要請からすれば、ポイントをどんどんふやしていくべきだろうと思うのですね。  その場合に、これは土地取引の指標、だからこそ売買実例を根拠とする、こういうことだとすると、必ずしも売買取引が活発でない地域全国的にあるわけでありまして、そういうところで公示地価ポイントをどんどんふやすということはそう簡単ではない、また意味もない、こういうお考えもあるのかなと思うのですが、このポイント数をふやすことについて予算の制約がないとすれば、限界がありますか。
  159. 藤田博隆

    ○藤田説明員 私ども、現在、先ほど御説明申し上げましたように、固定資産税評価の基準という役割を踏まえまして増設を図っておるところでございます。  それで、基準として役立つというためにどのくらいポイントがあったらいいだろうかというふうなことでございますが、やや技術的な点にわたるかもしれませんけれども、先ほど来御指摘のように、私ども評価地点として、地価公示地点を基準といたしまして四十万地点を固定資産税評価評価地点として選んだ上で実施をされておるわけでございまして、私どもの方といたしましては、そういった意味合いにおきまして、二万六千地点来年度実施する予定でございますけれども、そのような形で着実にふやしていけば、十分基準としての役割というのは果たせるものだというふうに考えておるところでございます。
  160. 山口那津男

    ○山口(那)委員 将来予算の制約が解消されるとすれば、四十万ポイントまで公示地価ポイントをふやす、こういうふうにあるべきだとお考えですか。
  161. 藤田博隆

    ○藤田説明員 私ども、今の仕組みでございますけれども、公的評価均衡化適正化という考え方のもとに実施をいたしております。したがいまして、評価等につきましては、公的評価、公的土地評価制度でございますけれども、現在のところ地価公示それから相続税評価固定資産税評価があるわけでございますけれども、これらにつきましては、やはりそれぞれ制度目的に応じた評価がなされているという側面があるわけでございます。そういった意味合いにおきまして、私どもといたしましては、あくまで基準としての役割を果たしてまいりたいというふうに考えておりまして、その点につきまして御理解を賜りたいというふうに思っております。
  162. 山口那津男

    ○山口(那)委員 国土庁の立場としては、今直ちに展望を語れない部分もあるかもしれませんけれども、仮に国土庁の方の地価公示ポイントをふやすことに限界があるとした場合に、公示地価の七割と決めている以上、固定資産税評価部分では、その前提たるべき公示価格がないというふうに考えざるを得ないところがあるわけですね。それを補う意味鑑定評価価格を設定する。そうすると、この鑑定評価価格というのはある意味で公示価格の代替機能を持つ、こういうことで理解してよろしいわけですか。
  163. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 私ども、地価公示ポイントが足りないということから鑑定評価お願いをいたしておるわけでございますが、それには幾つかのまた別の要素もございます。と申しますのは、地価公示の場合は一月一日でございますが、私ども従来からやっております評価がえは七月一日、三年ごとの七月一日が評価基準日になっております。これは、全国すべての土地を合わせますと一億六千万筆の土地がございますが、固定資産税におきましてはそれをすべて評価がえをしなければいけない、こういう事務量の関係から、実は一年半前ということを従来から設定をしてきておるわけでございます。  その意味で、純粋形式論を申しますと、一月一日と七月一日でございますから、地価公示価格というのは存在しないということになります。しかしながらそれではおかしいので、もともと地価公示の七割というのは何をそもそも意図してできたものかということから考えますと、私どもといたしましては、基本において、地価公示価格を出すときに使われる不動産鑑定評価基準を使って、同じ基準、物差しを使って、そういうときに鑑定評価をする鑑定士の方にお願いをする。そうすると、それはいわばその時点における地価公示に準ずるものになるのではないか、こういうふうな認識のもとに作業をさせていただいている、このように御理解いただければと存じます。
  164. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今、評価の時点が違うという御指摘がありましたけれども、これは多分に技術的な問題でありまして、今回の評価がえにおきましても、平成五年の一月一日現在の動向もしんしゃくしてやられるわけですから、この点はもう十分克服できるわけですね。  大事なところは、その公示地価で使われる基礎資料といいますか、評価の資料、基準、こういうものが固定資産税評価にも十分利用できる、共通性がある、こういうことを御指摘されたわけですね。だとすれば、この公示価格の評価及び固定資産税評価については実務的に共通する部分がかなり多いわけでありますから、この評価のコストを考える上では、もっと合理化する、共通部分があるのですから一元化を図る、こういうことも十分検討されてしかるべきだろうと思うのです。  この評価コストの一元化という面ではどのようにお考えになるでしょうか。
  165. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 公的土地評価につきまして、先ほども御答弁がありましたが、それぞれ制度目的とか性格等に違いがございますし、その評価の実施主体も違っておりますので、現状においてこの公的土地評価に要するコストを直ちに一元化することは困難であるというふうに考えております。  しかしながら、今委員指摘のように、その間にお互いのいろいろな情報、基礎資料を相互に使い合う、こういうことは大いにやるべきことであるというふうに思っておりますし、実際問題といたしまして、平成六年度の評価がえにおきましても、今回出されるであろう地価公示価格というものは直接どんどん活用させていただくわけでございますので、そういう意味では、コストがむだになっているということではないのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  166. 山口那津男

    ○山口(那)委員 一方で、この評価情報の公開ということも行われつつあると聞いておりますが、平成三年度から路線価の公開というものが行われたと思います。これのこれまでの実績についてどのように御説明されますでしょうか。
  167. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 固定資産税の宅地の基準地等に係る路線価の公開につきましては、評価均衡化適正化に資するために、平成三年度の評価がえにおきまして、全国で約四万地点の公開を実施させていただいたところでございます。
  168. 山口那津男

    ○山口(那)委員 その結果、どんどん資料を見に来た人が多いとか取り寄せの要求があったとか、あるいはそれにクレームをつける人がいたとか、あるいは公開のあり方をもっとポイントをふやしてくれとか、そういう社会の反応はどうだったですか。
  169. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 公開の方法につきましては、役場に公開台帳を備えつけて一般の閲覧に供するというようなところがほとんどでございます。中には広報紙等で各戸に配布したというような市町村も聞いてはおりますけれども、特に特別のことというのはそういうような形でしかやっていなかったと存じます。  そういうことから、正確な閲覧者数については私ども把握できておりませんし、その結果、何か特にいろいろな話があったという情報は私ども得ておらないところでございます。
  170. 山口那津男

    ○山口(那)委員 しかし、せっかく制度をつくって国民の反応、住民の反応、実態をとらえていないというのは、何のためにこういう制度を設けたのか、効果は疑問ですね。ですから、その点について、もっと実態調査を踏まえて今後どう制度を改善していくかということを御検討いただきたいと思うのです。  そこで、平成三年以降の結果を踏まえて、平成六年度以降はこれをどうすべきだと考えておられますか。
  171. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 平成六年度以降につきましては、路線価方式の地区については何とか全部公開するという方向に持っていけないだろうかというのが今考えているところでございます。路線価方式でないその他の評価方式のところについては、直接その土地の価格になるという面もございますものですから、現在のところ、どのような公開の仕方が可能なのか、これをもう少し勉強しなければいけないだろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、公開地点を拡大するということは必要だと考えておりまして、平成六年度の評価がえ時には、先ほど来申し上げております基準地、標準地、四十万地点ばかりございますが、何とか全標準地の路線価の公開を可能な方向に持っていきたい、こういうことで現在市町村指導させていただいているというところでございます。
  172. 山口那津男

    ○山口(那)委員 昨日の参考人の御意見の中には、路線価はともかくとして、隣の土地評価がどうなっているかということがあらゆる国民にわかるようにすべきではないか、こういう御指摘もあったわけであります。なかなか難しい点もあるのかもしれませんが、その公開の見通しについてどのようにお考えになりますか。
  173. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 隣の土地のということでございますが、これは個人の財産状況をそのまま示す形になりますので、第三者に公開することはやはり守秘義務に触れるというふうに理解をいたしております。  したがいまして、先ほども申し上げましたように、路線価方式のところはそういう方針を決められますが、路線価方式でないところについては、その土地の価格になることから、公開方式をちょっと工夫しなければならない。要するに、そこの土地自身を第三者に出すということは基本的にまずいのではないか、こういうふうに理解をいたしております。
  174. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この評価情報の公開ということは、やはり評価適正化に資する制度であるというふうに方向としては考えられるわけですね。そうすると、隣の土地評価がどうなっているかというのは、自分のところから類推すればある程度わかることでもあるわけですが、隣の隣あるいはさらに離れていくと、そことの違いがどうかということは気になるところだろうと思うのです。ですから、路線価になじむような地域は、ことごとく路線価方式をどんどん拡大するということによって情報公開に努めるべきであると私は思うわけでありますが、何かそれについての限界のようなものはありますか。
  175. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 先ほど来、基準地、標準地約四十万地点、こういうことを申し上げておりましたが、今回こういう形できちっとした評価全国統一基準で行いますと、今後、基準地、標準地が時とともに、より適切な基準地、標準地とはどこかとか、いろいろな問題をこれから私ども検討していかなければいけないことになると思います。  現在、四十万地点と申します基準地、標準地を設定しておりますのは、いわゆる固定資産税評価の上で状況類似地区ということで一くくりにした単位が約四十万地点ある、こういうことになりますから、その区切り方が、より適切な区切り方をする方がいいということに今度気づかれる市町村も出てくると思います。そういう今回の評価がえによってまた新たな評価の水準のアップということが考えられますので、そういうようなことをいろいろ含めて今後の宅地の評価というものもやっていかなければならないだろうと考えているところでございます。  いずれにしても、今回の評価というのは従来の評価とかなり違いますので、これに基づいて種々の改善点というものが出てくる。また、それをやっていくことによってかなり広く路線価の付設が可能になるかもしれません。そういうような状況をよく見ていかなければならないと考えております。
  176. 山口那津男

    ○山口(那)委員 国税庁、いらっしゃっていますか。  念のためにお伺いしますが、相続税の評価に当たって、公示価格を目安にして評価をされるだろうと思うのですが、その場合に、やはりその公示価格の評価情報ということを利用するという意味で、固定資産税評価の実務と共通する面もあろうかと思いますが、この点について、国税庁としては評価情報あるいはそのコストの一元化というようなものについてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  177. 篠原靖宏

    ○篠原説明員 相続税におきます土地評価に当たりましては、従来から地価公示価格を基準として評価するという考えに立ってやっております。そして、私どもとしましては、関係省庁間で連絡を密にいたしまして、公的土地評価相互の間の均衡化それから適正化を図るようにということでやってまいっておりますが、今後ともなお一層そういった面の努力を続けてまいりたいと思っております。
  178. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そうしますと、公的土地評価というのは、結局は公示価格を中心に展開をされるということですね。  そこで大臣、ちょっとお伺いしたいのですが、そういう要請があるとともに、また、各種評価情報の公開というものもなされている。そうしますと、この土地評価に係る情報というものが国民に共有されていく必要があるだろう。そしてなおかつ、透明で合理的でわかりやすいものになっていく必要があるだろう。こういうことを考えますと、将来この評価に関するコストをなるべく減らして、かつ、国民にわかりやすい、そういう制度に向けて、評価の統一といいますか一元化といいますか、そういうことに向けての法的整備、法令の整備というものも必要になるのではないかというふうに思うのですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  179. 村田敬次郎

    村田国務大臣 山口委員、大変御研究をしていただきまして、ただいま国土庁あるいは自治省さらに大蔵省等からも御答弁がありました。中には本当に模範答弁だと思うようなものもあって、感心をしたのでございますが、日本の土地制度というのは非常に特異なものだと私は思うのです。事実、世界でも特殊な、例えば香港の土地であるとかシンガポールの土地であるとか、そういう特定のものを除いては、恐らく世界でも一番土地価格が高いのじゃないか。  よく言われますのは、日本の二十五倍アメリカは国土を持っておるわけでございますが、今の土地評価からいうと、恐らく日本の土地評価額でアメリカの土地の約四倍が買えるのじゃないかというような説もあるわけでございまして、そういった意味で、大変狭い国土で多くの生産を上げて、しかも人口が全体としては過密であるという前提のもとで、土地制度問題について山口委員の御指摘は非常に納得のいくものだと私は思います。  一物四価というのは、いわゆる国税庁等の相続税の評価であるとか、それから自治省固定資産税評価であるとか、国土庁の公示価格であるとか、それからさらに実勢価格というのを言えば四つあるわけでございますが、本来ならばこの四つのものは、山口委員が御指摘になるように、一つの基準に従って一物一価であることが望ましい。私は、これはよく前提はわかるのでございますが、その場合に、固定資産税は公示価格の大体七割程度を基準としながら、しかも実際の課税標準はもっとずっと低く置いております。しかも、いわゆる東京のような大都市とそれから農山村のようなところの土地評価は、それぞれ都道府県、市町村等によって非常に異なっておるわけでございまして、これらのいろいろな変化、地方自治上のいろいろな対応をどうやって統一していくかというのは非常に難しいですね。  したがって、最大公約数と申しますか、最小公倍数と申しますか、そういうことに従って、自治省には自治省の今までのいろいろな制度そしてまた行政上の検討があり、国税庁にはその検討があり、また国土庁にもその検討があるということであろうと思いますが、理想は山口委員のおっしゃるとおりだと思いますので、でき得れば一物一価に近づいて、そしてまた経済上、国民生活上どういうのが一番理想であるかということを念頭に置きながら努力をしてまいりたい、このように全体としては感じました。
  180. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今回の評価がえに伴って評価そのものは一気に引き上がるわけでありますが、税負担がそれに比例的に対応したのではたまったものじゃないということで、さまざまな調整措置がとられたわけであります。その結果、評価は確かに全国レベルで三倍程度に上がる、こう言われておりますが、税負担の面ではどのような変化になる、当面評価がえ以降の三年間どのようになるか、これをお答えいただきたいと思います。
  181. 滝実

    滝政府委員 今後三年間の税負担の変化、こういうことのお尋ねかと存じますけれども、この辺のところは極めて大まかな推計をしている段階でございます。したがって、もう少し評価作業が進みませんと数字を申し上げてはいかぬのかもしれませんけれども、いろいろな前提を置いて評価を推計いたしますと、基本的には要するに増収が出ないようにということでやるのでございますけれども土地家屋含めて、まあ大ざっぱに言って四、五%くらいは出るのかな、四、五%の中にはもちろん自然増収という部分もあるものですから、それはなかなか把握しがたいところがございます。そういうことも含めると四、五%かな、そうすると大体初年度で三千億くらいの増収が見込めるのかな、こういうような感じでございます。  今申しましたように、例えば自然増収というのはもう少し経済情勢を見ないと何とも言えませんから、この辺のところは非常にまだ流動的でございますけれども評価そのものの全体を含めるとどうも三千億くらいかな。ちなみに平成五年度で見込んでおります固定資産の前年対比で申しますと、四千七百億円の増加を見ておるわけですね。そういう意味から申しますと、三千億というのはまあまあ数字そのものとしてはそれほど大きな数字ではないだろう、こういうような見方をしております。  その辺のところは、今申しましたように、これからの作業の問題というものをもう少し見据えませんと、ちょっと数字がひとり歩きするとよろしくないのでございますけれども、たってのお尋ねでございますから、そういうような感じを持っております。
  182. 山口那津男

    ○山口(那)委員 従来の税負担については、土地価格の変動に対して評価額を操作するということで負担を調整してきたという一面もあったろうと思うのですね。今回は評価を公示価格の七割程度というふうに固定化しましたので、負担の調整というのは課税標準の方をきめ細かに変えることによって、操作することによって調整をしている、こういうふうに理解できるのじゃないかと思うわけですが、こうした手法で本当に今後もいいのかどうか、この点についてどうお考えになるでしょうか。  ついでにちょっとつけ加えますと、本来であればやはり評価額に税率を掛けるというのが簡明な税制あり方だろうと思うのですが、この課税標準をいじくり回すということによって特例だとか暫定的な特例だとかというふうに屋上屋を重ねるようなことをしなければ負担の調整がし切れない、こういうことでいいのかどうか、税制あり方として望ましいのかどうかということをお伺いするわけです。
  183. 滝実

    滝政府委員 土地に対する税というのは、今御指摘になられましたような制約というのはどうしても免れない問題だと思います。したがいまして、過去においても昭和三十九年の評価がえもそうでございましたし、それからその後十年の昭和四十八年から四十九年にかけての地価の高騰のときもそうでございました。  そういうようなことで、この土地というのはそういう意味での変動があるものですから、それに当然負担調整措置を講じていきませんとなかなか税として維持できない。しかし、この税は市町村にとっては基幹的な税でございますから、何とかそれを維持しなければならぬ、こういうような基本的な問題もあるわけですから、そこのところも問題だと思います。  したがいまして、今仰せになりましたように課税標準負担調整をするということは、やはりいろいろな面で見てやむを得ない点があるんじゃなかろうかという感じがいたします。これをそうではない、例えばかつてイギリスのレート制度がやったように評価がえをほっておいてみたらどうなのか、こういう例もあるのでございますけれども、結局そういうことをいたしますとどうも評価にアンバランスができるということで、税としての公平感を損なうというような経験を私どもは見ておるわけでございます。したがって、現在の状況からすれば課税標準調整措置というのはやはり主流にならざるを得ないんじゃないか、こういう感じがいたします。
  184. 山口那津男

    ○山口(那)委員 評価額を変えようが課税標準を変えようが、結果的には税負担の面ではほどほどの伸び率になっている。つまり増収を目的としないわけですから、基本的には財政需要を満たすための安定的な財源であれば足りる、こういう考え方だろうと思うのです。  ちなみに、先ほどの御答弁の中に、市町村の財政需要の伸び平均で過去十年間五・五%程度である、こういうお話がありました。それから、過去十年間の固定資産税全国的な伸び率は、いただいた資料によれば十年間の平均で七・五%程度。それから都市計画税の方は五・六%程度であります。ちなみに、東京都の伸び率を見た場合に、固定資産税の方が過去十年間で八・三五%、都市計画税の方は五・五%程度だ。おのずから一定の率におさまっておる。今回の改正によって三年間、大胆にいえば四、五%の伸びかな、こういうお話でしたね。  ですから、五%から七%程度伸びにおさまっているというのがこの法の運用の実態であるというか、こういう運用がむしろ定着をしていると思われるわけであります。そうしましたら、評価額を動かすとか課税標準を動かすとかいうことではなくて、もっと端的にこういう安定的な税収確保する制度考えられないものでしょうか。
  185. 滝実

    滝政府委員 これはまさしく大難問だというふうに考えられるわけでございます。結局、評価額そのものを使ってまいるようなことをやりますと、要するに、現状の全国市町村の中で税収に大変ばらつきが出るというか大変動が出る、こういうようなことがあるわけでございます。  それでは、先生のおっしゃるように何で評価額評価額評価し、かつ調整措置を講じるのだということでございますけれども、やはり評価額というものはきちんと把握していくということが、先ほども申し上げましたように、要するにこの税が国民経済の中で、地方財政の中でどういうふうな意味を持っているかということの常に尺度になるためには、やはり評価額というのは評価額できちんと押さえなければならぬ、こういうことでございますから、本来やはり本則に戻って評価額そのものでもって評価できれば一番よろしいんでしょうけれども、結局はそれは滑らかな負担の増減というものをどう考えるかということだろうと思いますので、現在のような状況の中ではそれ以上飛躍した制度というのは仕組みにくいんじゃないだろうか、こういう感じがいたします。
  186. 山口那津男

    ○山口(那)委員 最後大臣にお伺いしたいのですが、今回の評価がえにおきましては、伸び率は税負担の面では極端な増徴にはならないであろうというふうに予測されるわけでありますけれども、今後この制度を定着させていったときに、今後の評価がえにおいて、公示価格あるいは土地取引の大幅な変動によって税負担にかなりの影響が出るというおそれもあるわけでありますが、その見通しの上で、住民税の減税をセットで考えるような場面が出てくるかどうか、この点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
  187. 村田敬次郎

    村田国務大臣 次回評価がえにつきましては、土地及び家屋に対する固定資産税並びに都市計画税をあわせて思い切った負担調整措置を講じているところでございます。市町村の財政需要の伸びに応じた一定の増収は見込めるといたしましても、減税財源に充てるような評価がえに伴う増収というものは期待できないものと考えております。  お話を承っておりまして、実はきょうも土地関係関係閣僚会議があったのです。そして御指摘の中で挙げられました例えば東京都の昭和五十年代から現在に至る土地の増高、あるいは大阪周辺、名古屋周辺、それから一般の土地評価の変化というようなことがございまして、やはりその間の物価の上がりよりも土地の値上がりの方が大きいという数値が示されておるわけですね。したがって、その数値は官房長官なり国土庁なりで発表することでありますから、私の口からここで申し上げるのは避けますけれども、どうしてもばらつきがあるんですね。  税については、有名な言葉に「新税は悪税なり」という言葉がありますが、それくらい安定したものの上で税制というものは打ち立てていかなければいかぬ。したがって、山口委員が御指摘になったような一つの基準ではっさりと切るということができれば一番いいのですが、私はかつてまだ若いころに県の税務課長をやったことがあります。そのときに同じ疑問を抱きました。そしてそのころの私と今の私とは同じ私なんでございますが、いまだに同じ疑問を持っております。したがって、山口委員の御指摘になったような点はいわば税制についての一つの理想を考えておられると思いますので、これからひとつ同憂の士としていろいろと御指導を賜りたいと思います。
  188. 山口那津男

    ○山口(那)委員 終わります。
  189. 中馬弘毅

    中馬委員長 吉井英勝君。
  190. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は固定資産税の問題について伺いたいと思うのですが、評価がえそのものは来年度行うわけですね。ところが、昨年の十月下旬から十一月上旬にかけて全国五カ所で固定資産税問題を中心に市町村長意見を聞く会というのが持たれ、自治大臣市町村長あての手紙の中でも評価がえの理解を求める、こういうことがありました。また、従来、負担調整措置の導入というのは評価がえを行うときなんですね。今回は一年前倒しということで、評価がえは来年なんだけれども、今年度の地方税法の改正案にこれを入れていこう、こういうわけですよね。  ですから、これ自身が随分従来にない異例なことだと思うのですが、せんだって、二月二日付の日経報道によりますと、自治省地価公示価格の七割に引き上げない自治体には交付税の減額措置をとる意向だというふうに伝えておりました。国民向けにはずっと評価負担は別だという使い分けが行われておりますし、地方自治体に対しては今度は交付税を減額しますよ、そういう形でむちうっていくといいますか、そういうやり方がうかがわれるかと思うのですが、二月二日付の新聞報道のように交付税の減額措置をとっていくということで臨まれるわけですか。
  191. 滝実

    滝政府委員 今の御指摘の日本経済新聞は私も読ませていただきました。タイトルが大変ショッキングというか、非常に強硬措置をとるかのごときタイトルでございますので、私ども、日経新聞の書いたと思われる記者さんに抗議を申し入れたことがあるのでございますけれども、要するに、御承知のとおり基準財政収入額を算定する際には、当然理論値とでも申しますか、一つの理論的な数値でもって算入するわけでございますから、したがって、評価が固まってそれに伴う調整措置ができてまいりますと、それに伴った収入額というのが当然理論的に変わってくるわけでございます。  したがって、その変わった格好でもって基準収入額が算定されるということは、これは交付税の性格上むしろ当然の話なわけでございまして、殊さらに私どもはそういう意味で、言うことを聞かないのは減額するぞ、こういう趣旨で臨んでいるわけじゃございませんで、要するに、交付税でどういう格好で基準財政収入額が算定されるかの問題なのでございまして、それを殊さらに減額するよと言って宣伝して歩いているというわけではございません。そういう意味で私は、日経の記事は多少何となく私ども趣旨というか、考えていることと違うのじゃなかろうか、こういう感じがしております。
  192. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 計算上の話だけでいけば、おっしゃる話もあるわけです。しかし実際は、そこからいわゆる今おっしゃっておられる負担調整の問題もあり、税収としてはまた別な形をとってくるわけですから、そういうものを皆無視して、それでとにかく七割評価でどんどんやっていけ、これはしりたたきという印象自身がまず、今回の問題の出発からして極めて異常だと思いますね。  それで、固定資産税土地評価額引き上げを地価公示の七割にするとしたのは、これは一九九一年、一昨年十一月十四日の中央固定資産評価審議会だと思うのですが、これはこのとおりですか。
  193. 滝実

    滝政府委員 この七割基準の問題につきましては、政府税調の問題もございますし、それから今の中央固定資産評価審議会の問題もございます。いろいろな意見を聞いてそういうふうに決定させていただいたわけでございまして、仰せの固定資産税評価審議会の問題はそうでございます。
  194. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 地価公示価格の七割評価にした場合、全国の都道府県の県庁所在地の中で現行評価額に対して最大引き上げ幅となるところで見ていくと、大体何倍ぐらいですか。
  195. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 全国の都道府県庁所在地の数字については、現在、一月一日現在の地価を反映するということで作業いたしておりますので、現時点では正確につかめないところでございます。
  196. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 実は、固定資産税を地価公示の七割に引き上げると評価額はどれぐらいになるかというのを、大阪で基準地点その他を中心にして随分細かく調べて計算をしたりやっておりますが、それでいくと、大阪の中央区の場合、かなり多くのところで十倍、十・一倍とかあるいは十丁六倍、十二・五倍とか、各区もちろん随分違いがあるし、同じ区の中でももちろん少ないところは四・七倍とか五・三倍とかありますけれども、しかし、三大都市圏、大阪などでもこれは本当に十倍を超えるところはざらに出てくるのですよ。  果たして、それで今年度の課税標準に対して、ですから、来年度については、五倍を超えるから一・二倍に抑えておくというやり方でいくわけですね、負担の方は。そうすると、さらにその割合を比例関数的にいくか指数関数的にいくかということで、これは将来の問題としてはうんと変わってくるのですが、指数関数的にいけば三年もすればもう一・七倍を超えてくるし、四年後には大方二倍近くなるのですね。  ですから、幾ら負担調整だと言っても、実際には、都市部のビル等で大きく事業をやっている企業は別として、一般のしもた屋のような商売をやっている人とか、そこに住んでいる人にとっては大変なことになってくるのじゃないか。これは十倍も超えできますと、単に負担調整などというところでおさまる話じゃないと思うのですよね。この負担の大変さについて大臣の方はちょっとどういうふうに思いますか。
  197. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 先に今のお話の前提になっておりますいろいろな数字についての点だけちょっと申し上げさせていただきたいと存じますが、実は今回の作業をやっております過程で非常にいろいろな数字が世の中に出てまいっております。公になっている数字といたしましては昨年の一月一日の地価公示価格、実は私どもも昨年後半この作業を続けていく中で一番実はあれしましたのは、昨年の一月一日の地価公示価格が世の中を歩いておりまして、それを基準に議論がなされるものですから、しかもその後地価がかなり下がってきているという状況の中で、そういうふうな点があったということをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  それで、私どもが今回の措置検討するときに一応私どもなりの前提の数字として仮につかんでおりましたものは、先ほど来御説明をさせていただいておりました平成四年の七月一日における価格というものを鑑定評価で大体概数をつかませていただいていた。そこらを念頭に置きながら、しかも今度の一月一日の地価の動向を反映してさらにやっていく、こういうことになりますが、一般的に申し上げますと、今回地価の下落がかなりきつく出てきているところほど先般のバブルのときに急激に上がったところというふうに一般的には言えるかと存じます。そういうようなことがちょっと前提にございますので、今先生御指摘のような倍率というものにつきましては、現実に今回出てくるケースはかなり少なくなってくるものと理解をいたしておるところでございます。
  198. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 かなり少なくなると見られておる、そういうところもあるわけですよ。それが仮に半分になったとしても五倍、六倍。そうすると、一・二という係数でいくわけですね。ですから、これは本当に庶民生活にとっては大変な問題を持っているのだということをまず冒頭に申し上げておきたいと思うのです。  次に、七割という具体的数字については、これは評価がえの基本方針の中で、固定資産税性格と地価公示制度趣旨の差、昭和五十年代の地価安定期における地価公示価格に対する固定資産税評価の割合という大体この二つの理由を主に挙げているわけですが、この趣旨の差という理由は、実は従来固定資産税評価額地価公示価格との開きを指摘されたときには、開きは生じて当然なのだ、このことをずっと自治省みずから展開してこられたのですよ、これまでは。私はそう思うのですが、これは違いましたかね。
  199. 滝実

    滝政府委員 それは先生もたびたびこの場所で御指摘になっておりますけれども、私どももそういうような主張をしてまいりました。今回この公示価格をよりどころにしようという中には、公示価格そのものの評価方法において相当な努力がなされてきている、こういうことを私どもは期待をいたしているわけでございます。これは先生既に御案内のとおり、不動産の鑑定評価基準も大分勉強されてきておりますし、また地価公示のポイント数もふえてきておる、こういうことでございますので、そういう意味で、従来の地価公示価格評価とは、多少というか、大分違いが出てきているんだろう、こういうようなことを私どもとしては見ているわけでございます。
  200. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私も奥田自治大臣時代にこの議論をやりまして、自治大臣自身、私に対してもそういう趣旨の答弁もありましたけれども、ちょうど一九九〇年の参議院の予算委員会での大臣答弁なんかでも割とはっきり言っておられますね。  「固定資産税というのは保有を前提にした、長期にわたって資産保有しながら、そして市町村自治体サービスに適正な対価をお支払いいただくという性格のものですから、土地政策の税制には私はなじまないということをはっきり言っておる」、「東京、大阪のようにもう土地のいわゆる投機性のある期待価格を込めたような、そういった価格に追随していくような形の評価がえは行わないということであります。したがって、国土庁がやっておるような路線公示の形の価格と一元化するというような気持ちは持っておりません」と、大臣はそういうことをすぱっとその当時は言っておられたし、八九年三月の、自治省の方も入っている「地方税における資産課税に関する調査研究報告書」ですね、これは自治省自身が参加されて、この中で、「地価公示法による公示価格は、実勢価格を踏まえ、一般の土地取引価格に対して指標を与えるためのものであり、」「固定資産税評価は、土地の売買実例価格から求める正常売買価格に基づいて適正な時価を評定する方法によるもので、買急ぎによる割高、将来における期待価格などによる不正常要素を取り除いて評価を行うこととされている」、このために公示価格と相続税路線価とは一致しないし、「固定資産税評価額には、将来における期待価格などは取り除かれているので、それぞれ価格差が生じることはやむを得ない」、これは当然のことなんだということをずっと、これは自治省も入って言ってこられたわけですよ。  ですから、そういう立場で進めてきたから、地方自治体にしても、実際首長が資産評価をする場合というのは、この不正常要因を除いて、これが適正なものですということでやってきたわけですね。今度は、従来の十倍になるか何倍になるかまだわからないというお話ですが、今までは適正評価だと言ってきたことは間違っていたんだということに今のお話だったらなってしまうのですね。これは一体どういうふうに国民に説明をされるのですか。
  201. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 私たまたま、今先生が御指摘になられたかつての主張をやっていたときの担当固定資産税課長でございますので、あえて出てまいりまして、申しわけございません。  先生今御指摘のように、その当時私どもそのように申し上げておったわけでございますし、そう考えておりました。しかしながら、先ほど来局長からも御答弁申し上げましたように、地価公示価格のもとになります基準の方の改正が行われておりまして、そちらの方で投機的なものを除く、それから収益還元方式というものに近づけるということに明確に地価公示価格の方が変更されたわけでございます。したがいまして、そうなればその当時私どもが申し上げていたそういう差の部分がかなりなくなっていく、こういう違いがあることをひとつ御認識いただければありがたいと存じます。
  202. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 いや、それは前のあれは正しくて、今度は変わって当たり前というその話は全然通らないと思うのです。それで、その説明では、とてもじゃないけれども国民の皆さんには納得が得られる説明じゃないですね。あなたのお説だったら、逆に公示価格を固定資産税評価額にしたっていいわけですよ。不正常要因をどんどん除いて固定資産の方は評価してきたわけだから、じゃ公示価格もそれにすればいいわけですよ。  しかし、公示価格というのは、これは公共用地の取得等に当たって、できるだけ周辺近傍の実勢価格に近いもので評価して示さないと買えないわけですから、全然性格が違うのだから、それはあなたが今おっしゃったように、不正常要因を除くといったら、文字どおりそれは公示価格の方を固定資産評価額の方に、これまでの評価額に合わせればいいわけですから、それは全然説明にならないと思いますね。  それで、結局なぜ七割かという点では、昭和五十年代の安定期が七割だった、これが主な理由なんじゃないですか。
  203. 滝実

    滝政府委員 端的に申しますと、そういうことでございます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、公示価格の方の評価も大分変わってきた、こういうふうに私ども認識をいたしております。先ほども申し上げましたように、不動産の鑑定評価基準に二つの点を指摘されているわけですね。  一つは、投機的な要素は徹底的に排除することというのが第一点でございます。それから二点目は、要するに収益還元法を積極的に活用する、こういうのを二つ目に入れているわけです。これは平成二年の調査会で答申がなされたものでございますけれども、現在の地価公示価格の鑑定に当たってこの考え方をとっているわけでございますから、あるいはとろうとしているわけでございますから、私どもが従来考えていた公示価格とは性格が変わってきている、こういうふうにも考えられるわけでございます。  かつて私ども地価公示価格にはついていけないと申しましたのは、国土庁がその当時強調されておりましたのは、土地の取引価格、あくまでも取引の参考資料にするんだ、あるいは参考基準になるんだ、こういうような建前を強調されていたものでございますから、私どもとしては継続的な所有を原則とする固定資産評価としてはなじみにくい、こういうことも申し上げてきたわけでございますけれども、公示価格の方がそういう意味で徹底的に投機的な要素は排除するんだ、あるいは収益還元法を活用して、そういうような投機的な要素があるかどうかもそこでもってスクリーンするんだ、こういうようなことを打ち出されたわけでございますから、私どもの今まで考えてきた評価方法と理論的には相一致するところが多くなってきている、こういうふうに私ども考えているわけでございます。
  204. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今のお話に入る前に、さっきの、五十年代は要するに安定期で七割だったですね。じゃ、昭和六十年代に入って三大都市圏で乖離が大きくなったのは、これはなぜなんですか。
  205. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 固定資産税評価につきましては、売買実例価格から不正常要素を取り除く、こういうことで正常価格を取り出そう、こういう手法でやっておりまして、現在もそれは変わりはございません。  しかしながら、現実の問題といたしまして、土地の価格が急激に上がっていく場合に、その中の不正常要素、いわば買い急ぎですとかそれから投機的な要素ですとか、そういうようなものをかなり大きいと見る見方と、それからそれほど大きくないと見る見方がありますが、一般的にはかなり大きいんだというふうに見る見方が強くなってくるのも現実でございます。したがいまして、土地の値段が急激に上がりつつあるときには、不正常要素を差し引くときに、その差し引くべき不正常要素が相当大きいという見方がされて、地価公示との乖離がかなり強くなってくる傾向にあったということは、一つ言えるかと思います。現にその点は、結果においてではございますが、地価の上昇率の激しいところほど結果的に地価公示価格評価額との差が大きくなったということに結果的にはあらわれているのかなというところがございます。  しかしながら反面、それでは、今申し上げておりますのは改正される前の不動産鑑定評価基準の時代でございますから、そういう部分についてもどのように我々としては区別していいのかというような問題を実は抱えておりましたので、先ほど来のようなお話があったのかと思います。
  206. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 結局、五十年代と六十年代に入ってからの乖離が大きくなったというのは、今おっしゃったようにバブルなんですよ。バブルがはじけたといっても元へはまだ戻ってないわけです。  それでなぜこうなるかというのは、もともとの性格の違いなんですよ、根本問題は。固定資産評価の方は今もおっしゃったように不正常要因を取り除いてのものであるし、そして土地取引に伴うものですから、公示価格の方は近傍の売買実例を中心として定めているものですから、もともと性格は違うものですね。これは乖離があって当然なわけですよ。今までは乖離があって当然だとおっしゃってこられたわけだから、当然でそれはいいわけですよ。  問題は、しかしそれにしても、本当に固定資産評価と同じようにされるのだったら、逆に公示価格の方は固定資産評価になるわけで、そうじゃなくて、やはりかなり高いところへとまっているわけですよ。この点で私はもう一つ、既に以前も議論したのですが、それじゃ一体不正常要因をどのように見積もるのかといったときに、それはなかなか困難でございますというのがずっと答弁ですね。  だから、結局それも公示価格について加味するということで、今度は少々公式に加味するという言葉が入ったにしても、やはり基本は公共用地の買い取りのための近傍売買価格をもとにしたそういう価格というものと、それから固定資産評価とは性格そのものは違うんですから、だから根本問題はその違いにあるんだということで、これはその違うものを一つのものに合わせて、その七割だということで決めていくこと自体、根本的な無理があるということを私は言わざるを得ないと思うのです。  それで、もう一つ伺っておきたいのですが、九一年の十一月十四日に中央固定資産評価審議会で七割と決めたわけですが、本当はずっと早く七割にしようということを決めていたんじゃないですか。
  207. 滝実

    滝政府委員 御趣旨がよくわからないところがあるのでございますけれども、七割の問題は、昨年のちょうど今ごろの地方税法案について御審議いただいたときも、七割というのは一つ検討している数字だということも申し上げてまいりましたから、七割そのものについては当然前々からそういうものを中心にして検討してきたことは事実でございますけれども基本的にはいっ決まったかと申しますれば、それは固定資産評価審議会の問題であるし、また政府税調において七割という線が出た、そういうような時点をとらえて正式に決めたということになるんではなかろうかと思います。
  208. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 九一年十一月十四日のこの中央固定資産評価審議会で七割を決める、その一年ほど前に、九〇年十一月九日の朝日、これは前日の十一月八日に、「土地税制見直しの具体案を審議している自民党税制調査会の八日の審議で、自治省が、固定資産税評価を「地価公示価格の七割」に引き上げるなど現行土地保有税の見直し案を打ち出した。」ということを伝えておりますし、日経新聞の夕刊の方では、「自治省は八日午前、自民党の地方行政部会と地方行政調査会の合同会議に現行土地保有税の見直し案を提示、了承を得た。」ということで、一年早い時期に七割をもう打ち出していたのです。  そして、私がちょうど一昨年の三月七日の地方行政質問したときも指摘したことですが、九一年二月八日付の自治日報の方では、事務次官の講演の中で、平成六年には七割の目標で評価をするんだという講演をやっておりますし、また、九一年一月二十一、二十二日の自治省講堂で開かれた全国都道府県総務部長会議では、湯浅税務局長の方から、自治省では従来から七割程度を目標にしているんだという発言があったりとか、ですから、もう一年早く前にまず自民党の方で七割を決められて、自治省もその七割の線でずっと進んできておって、いわばそれを追認する形で十一月十四日に中央固定資産評価審議会で七割を決めた。その前に資産評価システム研究センターの方で報告をまとめておりますが、この七割という結論に合わせてその七割の根拠づけをやってきたというふうに読み取るのが一番この間の自然な流れなんじゃないですか。
  209. 滝実

    滝政府委員 そういうような点はこれはあり得ることだと思います。と申しますのは、平成三年のちょうどこの固定資産評価がえに伴う地方税法の法案の審議の際にも、この公示価格の一定比率で、こういうようなことは申し上げてきたわけでございますけれども、既にその段階から私どもは内部的には七割というものは気持ちとしては持ってきているわけでございます。したがって、七割がどの段階で決まったかというのはなかなか言いにくい問題があるのでございますけれども、少なくともそのずっと前からそういうようなものは一つの参考数字として持ってきたことは事実だと思います。  それはなぜかと申しますれば、当然のことながら贈与税の基準が七割ということでもって既に先行しているわけでございますから、そういうものは有力な参考資料になるということでもってやってきたわけでございますし、今また先生の仰せの研究会の報告書も、ある意味では昨年の地方行政委員会でも七割ということを申し上げましたけれども、それはいろいろな角度から検討しなければならないから決められないということも既にこの委員会で申し上げているとおり、その一つ検討検討資料がその研究会のレポートだということもそれはそのとおりであろうと思います。
  210. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 この七割評価、その問題にやはり随分根本的な矛盾がずっと内在しておって、そして、そういうことがありますから、実は昨年十一月に閣議の中でも、平成六年度に固定資産税評価がえをするのは地価の一元化を図るためだが、公示価格が国民経済界に信頼があるのか、公示制度に整合性がないという問題などを自治大臣の方から指摘があって、それで内閣内政審議室の方で検討するということになっているわけでしょう。  一元化を進める上での公示地価の調査地点がうんと少ない問題とか、そういう今なお、七割評価だといって自治体に指示しておきながら、実は内部的に物すごい問題を持っている。これは大臣、今の時点であなたの口からは、では方針を変えますわと簡単に言える話じゃないかもしれないけれども、しかし、これだけ問題を抱えているものを、一年早く負担調整措置だという税法の改正を先に出しながら作業をどんどん進めていくというよりも、まず私は根本に立ち返っての検討をこれはやり直すべきだと思うのですが、これはすれ違いになるかもしれないけれども、一応あなたのお考えを伺っておいて質問を終わりたいと思うのです。
  211. 村田敬次郎

    村田国務大臣 吉井委員の先ほどからの大変いろいろな実績を挙げられての御質問、よく承っておりました。  東京の土地の実勢価格、それから挙げられた大阪の土地の実勢価格あるいは一般の土地の実勢価格、それぞれ非常に違うわけでございます。そして、これまた住宅地と商業地では違いますし、そういう数値も私、常日ごろ見せていただいておりますが、要は、固定資産税は来年評価がえを行うものでありますから、それについての根本的な方針は決めておく必要がある。したがって、課税標準をどういうふうにとるのか、そしてまた各市町村などで課税をその際にどういう取り扱いにするのかというのは平成六年になってからでは間に合わないわけでございます。  そして税制は、あるべき姿というものを考えながら、ある姿をよく研究をしてやっていくものでございますから、吉井委員の御指摘になった問題点はよくわかりますが、私は、固定資産税を実際徴収していく市町村の実務上の観点から、現在自治省が行っておる指導方針は正しいと思っております。
  212. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 終わります。
  213. 中馬弘毅

    中馬委員長 神田厚君。
  214. 神田厚

    ○神田委員 まず最初に、固定資産税関係についてお伺いをいたします。  今、大都市を中心に地価の下落が進んでおりますが、平成六年度の評価がえにおいて平成五年一月一日時点の地価公示価格の動向も反映させる、こういうふうに聞いておりますが、具体的にはどのようにするのでありますか。
  215. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 お答え申し上げます。  平成六年度の評価がえでは、従来の評価がえと同様に、賦課期日の前々年の七月一日、今回であれば昨年でございますが、平成四年七月一日を価格調査の基準日として、標準宅地について不動産鑑定士等による鑑定評価を求め、その価格の七割程度を目標に評価均衡化適正化を図ることといたしておるところでございます。  しかしながら、大都市を中心に最近地価の下落傾向があるということが言われておりますし、平成五年一月一日時点におきます地価動向を勘案して地価変動に伴う修正をするということといたしておるところでございます。  したがいまして、平成四年七月一日を基準にしながら、平成五年一月一日の地価動向を勘案した修正を行った後の価格の七割、こういう程度を目標にする、こういうことに具体的にはなってまいるわけでございます。
  216. 神田厚

    ○神田委員 大都市中心では固定資産税の高負担に非常にたえかねるというようなことが、例えば年金生活者などから要望されております。その点に当たりまして、こういう人たちに特に何か軽減措置のようなものをとられる必要があると考えますが、どのように考えていますか。
  217. 滝実

    滝政府委員 御指摘のように、固定資産税は持続的な維持、使用、これを目的として、それに対して資産価値に着目して課税するものでございますから、当然固定資産税負担にたえかねる、こういうようなことは避けなければならない、こういうことでございます。したがって、このような観点から今回の調整措置を講じておるわけでございます。  したがって、そういう意味では、今、例えば大都市中心部の年金生活者の方々がどうも不安じゃないか、こういう御指摘でございますけれども、私どもも、やはりそういう観点からこの調整措置を講じたつもりでございますので、まだ作業をきちんとやってみないと最終的な具体的な数字までは把握できないわけでございますけれども、私どもが今暫定的にいろいろなモデルを使ってそういうような不安をできるだけ解消しようということでモデル計算をしている限りにおいては、そういうような極端な御心配をいただくようなことは避けられるんじゃないだろうか、こういう感じを持っているところでございます。
  218. 神田厚

    ○神田委員 また、一都市町村から、平成六年度の固定資産税評価がえによりまして国民健康保険の納税者負担が急増するのではないか、こういうふうに考えられておりますが、この点はいかがでありますか。
  219. 滝実

    滝政府委員 御指摘のように、国民健康保険税の課税標準の三つある方式の中の一つには、資産割というものをとっている方法がございまして、大多数の市町村国民健康保険税を課税する場合にはこういうような方式をとる例が多いのでございますけれども、その中で、確かに今回の評価額のアップに伴ってこの資産割の方はどうなるんだろうか、こういう疑問がおありになるかと存じます。  しかしながら、これはその当該市町村の中における資産割が総額の中でどれだけ占めているか、こういうことで全体がアップいたしますわけでございますから、仮にその中で個人の分がアップしても、これは恐らく比例的に上がるんだろうと思いますから、その辺の数字の変動は心配要らないんじゃなかろうかな、こういう感じを持っております。
  220. 神田厚

    ○神田委員 自動車関係諸税につきまして質問をいたします。  日本における自動車の免許保有者は六千四百万人、自動車保有台数が六千四百万台、このように自動車と国民生活は、社会経済とも密接につながっておりまして、自動車はもはやぜいたく品ではなく生活必需品である、こういうふうに考えておるところであります。  しかし政府は、税金が取りやすいという形から自動車に九種類もの税金をかけておりまして、六種類の税金が長期間にわたって暫定税率となっております。この結果、自動車保有者の税金の年間平均負担額は約十四万円にも上っておりまして、自動車保有者の税負担はその限界を超えている、こういうふうに考えておりますが、政府の見解を、自治省、大蔵省、ちょっと聞きたいと思っています。
  221. 村田敬次郎

    村田国務大臣 まず自治省から、神田委員お答え申し上げます。  自動車関係諸税は、消費税及び付加価値税を含めて自動車の取得、保有、走行、燃料の消費の各段階に着目をいたしまして税を課するということによって全体として公平な税負担を求めることとしたものでございまして、これらを含めて所有期間を通じた年平均の自動車関係諸税の負担額を比較してみますると、我が国税負担はアメリカよりも相当程度高いものとなっておりますけれども、イギリス、ドイツ、フランスとほぼ同程度負担となっておりまして、国際的に見て我が国の自動車関係諸税の税負担が著しく高くなっておるとは申せません。したがって、現行の税負担が過重なものとは考えていない。確かに、神田委員のおっしゃるように、自動車は必需品でございまして、もうぜいたく品では断じてございませんけれども、そういった国際比較から見れば、大体常識的な線をいっているのではないか、このような認識をいたしております。
  222. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 ただいま自治大臣からも御答弁がございましたように、我が国におきます自動車関係諸税といいますのは、自動車の取得、保有あるいは燃料の消費といいました各段階に着目いたしまして、それぞれ各種の税を課すことによりまして全体として適正な負担実現されるものというふうに考えておるところでございます。  なお、現行の負担水準につきましては、西欧諸国のその状況と比較いたしましてそれほど高いというふうには考えておりません。
  223. 神田厚

    ○神田委員 これは私ども考え方が非常にかけ離れているわけでありますが、ヨーロッパと比較してといいましても、ヨーロッパは高率な付加価値税を導入しておりますから、日本と単純に比べるというわけにはいかないのではないかというふうに思っておりますので、再度自治、大蔵省で見解をちょっと示していただきたい。
  224. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 お答え申し上げます。  今委員から御指摘がございましたように、日本におきまして消費税が課税になっている、それで西欧諸国におきましては付加価値税がかかっているという現状にあることは御指摘のとおりでございます。しかし、自動車に対しましてどのような税負担を求めるかということは、先ほど申し上げましたように各段階の税の負担全体として考えるべきでございまして、消費税あるいは欧米におきます付加価値税がかかっている、それらも含めまして、全体としてどのような負担の水準を考えていくかというふうに考えておるところでございますので、消費税あるいは付加価値税というものを抜いた上で、その残りの税額だけで比較するということは適当ではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  225. 滝実

    滝政府委員 自治省もということでございますけれども、私どももやはり国際比較する場合には、比較そのものがなかなか難しいのでございますけれども、付加価値税というものを抜きにして比較するのはいかがだろうかな、こういう感じがします。  おっしゃるとおり、欧米における付加価値税は日本と比べて非常に高いものですから、ほかの物品にも高い付加価値税がかかっている。ところが、日本のいわば消費税は低いのだから、それと比べると、どうも一般の物品と比べてギャップがあるんじゃないか、こういう御指摘だろうと思うのでございますけれども、やはり国際比較する場合にはそういうものを入れないと、技術的な問題でございますので、これはやむを得ない点があろうかと存じます。
  226. 神田厚

    ○神田委員 これはここでいろいろやっていても、なかなからちが明きませんから、また別の場で御質問をいたします。  次に、軽油引取税について一問御質問をします。  この適用期限を平成五年十一月三十日まで延長するとともに、平成五年十二月一日から平成十年三月三十一日まで一リットル当たりの税率を二十四・三円から三十二・一円に引き上げる、こういうことでありますが、この理由としては、軽油引取税は地方道路税、揮発油税等に比較して暫定税率が低いということを挙げています。暫定税額はあくまでも暫定でありますから、これをそういうふうに引き上げるということの理由にはならない、こういうふうに思っております。  石油に課税されている税金の多さ、国民負担軽減の視点からも、軽油引取税の暫定税率引き上げは大変問題だというふうに考えておりますが、どうぞ御答弁をお願いします。
  227. 村田敬次郎

    村田国務大臣 神田委員お尋ねお答えいたします。  今回、軽油引取税の暫定税率を引き上げましたことは、第十一次道路整備五カ年計画におきまして前期計画に比較して四三%増と非常に大幅な増を見込み、七十六兆円にも上る投資規模を見たわけでございます。したがって、特定財源の充実強化を図る必要があるということで、従来、同じ自動車の燃料油であるガソリンと軽油の価格に大きな差がございました。これはもう神田委員よく御承知のとおりでございますが、これがガソリン車からNOxの排出量の多いディーゼル車への移行を加速しておるということもわかっておるわけでございまして、その価格差を縮小することが望まれるということを勘案して行うこととしたわけでございます。  また、この引き上げ国民経済に与える影響について言及されたと思いますが、十分その点も検討いたしまして、現行軽油に課せられる税金軽油引取税のほか石油税及び消費税及び関税でございますが、その税負担割合は諸外国と比較して必ずしも高いものではない。それから、経済企画庁の試算によりますと、今回の引き上げが消費者物価に与える影響は〇・〇二%程度、こういうふうに見ております。それから、国内卸売物価に与える影響は約〇・〇三%程度と見ておりまして、物価に与える影響というものを十分試算をしました上でこういった措置をとったわけでございますが、最低限度とされるぎりぎりの改正を行うこととしたものでございまして、しかも、実施時期も、御指摘がありましたように平成五年十二月一日ということとして、現下の経済状況にも配慮したという点で、ひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  228. 神田厚

    ○神田委員 見解を異にしているわけでありますが、やはりこういう税金が上がったということも一つありまして、トラックなどもガソリン車にかえようかという動きが大分出てきておるようであります。その点は、環境問題などの関係からも必ずしも好ましい話じゃないわけでありまして、その辺を我々は多少憂慮しているわけであります。  次に、自動車取得税について御質問します。  自動車の取得時には消費税と自動車取得税の二種類の税金が課税されます。同一目的の税を二種類課税することに対しいろいろ国民の不信感もあるわけでありますが、本来なら消費税と自動車取得税は一元化して消費税に統一すべきだと考えておりますけれども政府としてのお考えを自治、大蔵両省にお聞きいたします。
  229. 滝実

    滝政府委員 自動車取得税でございますけれども、これはもともと自動車の所有権の移転という事実に着目いたしましてその担税力がある、こういう判断のもとに地方道路目的財源として課税をする、こういうことで自動車取得税が創設されてきたわけでございます。  そういう意味では、自動車取得税目的財源でございますし、また受益者負担あるいは原因者負担的な性格を持っている、こういうような性格を持つものでございますので、消費税が広く薄く負担を求める、こういうような普通税という性格を持っていることからいたしますと、少なくとも理論上は二重課税ではない、こういうことに私どもは理解をいたしているわけでございます。  今回、自動車取得税につきましていつまで暫定でいくんだ、こういうような御指摘かと存じますけれども、現在の市町村道の整備水準、こういうようなことを考えますと、やはり自動車取得税についてなお存続をお願いせざるを得ないというのが、これは税、財政の立場からの考え方でございます。
  230. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 消費税は、自動車に限りませず、財貨、サービス、消費全般に対しまして広く薄く負担を求めるという税金でございます。それに対しまして自動車取得税の方は、自動車の取得ということに対しまして、その取得の事実そのものに担税力を見出して課されるものでございまして、自動車が道路を使用するということを課税の起因とする流通税という性格を持っているというふうに考えております。また、今税務局長からの御答弁もありましたように、使途においても差異がございます。  このように、消費税と自動車取得税の両税は課税の趣旨を異にしているということでございますので、自動車の取得に対しましてこれらの税が課されるということは、制度上問題があるというふうには考えておりません。
  231. 神田厚

    ○神田委員 我々は、自動車諸税の改善をしようということで、民社党の中で自動車問題対策特別委員会をつくっていつもやっておりますが、その中で一番問題になりますのは、自動車取得税はもういいじゃないかという考え方がありますので、その辺のところをまたいろいろこれからも要請をしていきたいと思っております。  それでは、暫定税率五%がそのまま延長されますが、本当にこれが必要であると政府が判断すれば本則に戻して考えるべきではないか、こういうふうに考えているところもあるわけですが、その辺のところはどういうふうに思っておりますか。
  232. 滝実

    滝政府委員 先生の御指摘は、この自動車取得税の暫定税率が長い間暫定税率で来ているわけでございますので、これは昭和四十九年から暫定税率ですから、課税するなら本則に戻すべきだ、こういう御指摘かと思います。  しかし、この辺につきましては、政府税制調査会の指摘におきましても、当面現行の暫定税率を維持すべきだ、こういうような基本的な考え方でございますから、これがいつまで続くのかというふうな御批判はあるわけでございますけれども、やはりこれは暫定税率ということで私ども考えていくべき問題だろうというふうに思っております。
  233. 神田厚

    ○神田委員 当面というのはどのぐらいか、なかなか難しい日本語ですけれども、その辺は非常に問題だと思っております。  それでは、所得税関係最後に、最低でも現状を考慮して自動車取得税の免税点を百万円まで引き上げるべきだというふうに考え意見もたくさんありますが、その辺はどうですか。
  234. 滝実

    滝政府委員 現在の免税点は、平成二年度の税制改正の際にそれまでの三十万円の免税点から五十万円に引き上げさせていただいたわけでございます。  その際の基本的な考え方は、中古車のほとんどはこれによって課税点以下になるだろう、こういうような見込みのもとに事実上行ったというのがその実態だろうと思います。そういう意味では、平成三年度の数字でございますけれども現在の状況を見ますと、中古車の九〇%ぐらいはこの免税点以下、こういう状況でございますから、当初設定の趣旨はそれなりに維持されている、こういうふうに思っております。  御指摘の百万円に上げたらどうかということになりますけれども、百万円にいたしますとこれは新車のそれこそ相当部分が入ってしまう、こういうことでございまして、数字的にはもう少し細かいことを申し上げないといけないと思いますけれども、新車の相当部分が入るというようなことでございますので、現在の自動車取得税を暫定税率でお願いする趣旨からすると、これはなかなか難しいんじゃなかろうか、こういうふうに率直に申し上げさせていただきたいと存じます。
  235. 神田厚

    ○神田委員 固定資産税に戻りまして、固定資産税の基準地及び標準地の路線価の公開、これが納税者に対しまして固定資産税に対する理解を促進する役割を果たしておりますけれども平成三年度、四年度においては具体的にどのように行われたのか、また今後五年度、六年度についてはどのように行っていくつもりなのか、お聞きします。
  236. 小川徳洽

    小川(徳)政府委員 固定資産税の宅地の基準地等にかかる路線価の公開につきましては、御指摘がございましたように評価への信頼確保するとともに、評価均衡化適正化に資する、こういうことで平成三年度の評価がえにおきまして全国で約四万地点につきまして実施をいたしたところでございます。  今後の基準地等に係る路線価等の公開につきましては、平成六年度の評価がえ以降、速やかに路線価方式の地区についてはすべてこれを公開するという方向で進めているところでございます。また、具体的に平成六年度におきましては、基準地を含む全標準地に係る路線価について公開できるように市町村指導しているというところでございます。  なお、平成五年度についてもお話がございましたが、平成五年度はいわゆる評価がえにおける据え置き年度に当たっておりますので、これにつきましてはそれぞれの市町村の自主的な判断に任せて特段の指導をしていないというところでございます。
  237. 神田厚

    ○神田委員 これは質問通告していないのですけれども大臣にお伺いします。  地方税法の改正法案の提出の仕方ですね。これは一遍に八十項目も直すようなところで、我々は積極的に賛成したいところもあるし、自動車関係諸税の問題などでは見解を異にしますからそういう点は反対だ。いつごろからこういうふうな形になったのか。政府法案のつくり方が、賛成できる部分と反対である部分と一緒になって出してきたというのは、これは七年か八年ぐらい前から急にそういうことをやり始めた。これは地方税法もそういう意味で、そうなってきました。これはやはり地方税法の審議をするに当たりまして非常に問題の多いところだと思うのですが、その辺についてひとつ大臣から御答弁をいただきたいと思うのであります。
  238. 村田敬次郎

    村田国務大臣 先ほどから神田委員から多方面の御指摘、御検討をいただきまして、ありがとうございます。  地方税改正の際に一本で出しておるものですから、その内容について党のお考えになっておるのと行き違いがあったりいろいろな点があろうかと思いますが、今回はそういった事務を進める上の手続上こういうふうにさせていただきました。ぜひ御了解をいただきまして御可決をいただきたいと思います。
  239. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  240. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて本案に対する質疑はすべて終局いたしました。
  241. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
  242. 古屋圭司

    ○古屋委員 私は、自由民主党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案賛成の意を表するものであります。  明年度の地方税制改正につきましては最近における社会経済情勢対応し、住民負担の軽減合理化等を図っていく必要があると考えます。政府提出の本法律案によりますと、まず、平成六年度の固定資産税評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税負担調整措置を講じることとしています。土地税制平成三年度に総合的見直しが行われ、固定資産税についても土地評価均衡化適正化を進めていくこととされましたが、平成六年度の評価がえで地価公示価格の七割程度を目標に評価均衡化適正化を図ることとされていますので、それに伴う税負担につきまして総合的かつ適切な調整措置を講じることといたしております。また、個人住民税所得割の非課税限度額の引き上げ個人事業税の事業主控除額の引き上げ軽油引取税の税率の引き上げ等を行うこととし、あわせて地方道路譲与税の都道府県に対する譲与割合を引き下げるほか、国有資産等所在市町村交付金等について所要の改正を行うこととしております。  これらの改正は、最近における社会経済情勢住民負担の現状、地方財政状況等から見て、いずれも適切妥当なものと考える次第であります。  以上をもちまして私の賛成の討論といたします。
  243. 中馬弘毅

    中馬委員長 谷村啓介君。
  244. 谷村啓介

    ○谷村委員 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、政府案に賛成の立場で討論を行います。  以下、本改正案に対する私たち考え方につきまして簡単に申し上げます。  今回の改正の最大の焦点は、固定資産税の九四年度の評価がえにおける宅地の評価の変更とそれに伴う負担調整のあり方であります。土地基本法趣旨に基づく公的評価の一元化問題、各団体間における固定資産税評価の不均衡の是正から、評価適正化については異論はないものの、現在地価公示の二割から三割程度である固定資産税の宅地評価を七割程度とするのですから、この間の地価の値上がりとあわせて大幅な負担増となることが危惧され、私たちは慎重な審議を要求してまいりました。結論的には、参考人として自治体の首長、学識者それぞれの見地からの御意見をいただくことができ、また、評価がえに伴う急激な税負担増を避けるため、住宅用地の特例の大幅な拡充、負担調整措置の延長、居住用家屋の経年減価の見直し都市計画税における住宅用地の特例の創設などかなり大胆な激変緩和措置が広範に講じられており、とりわけ小規模住宅用地の特例の拡充は評価できることなどから、全体として土地政策及び公正の観点からやむを得ないという判断に至りました。  しかしながら、年金生活者等への配慮、総合的土地政策との関連、所得課税資産課税のあり方、変動が激しく、また売買に左右されやすい地価公示価格を基準とすることの是非、地価公示制度そのものの適正化固定資産税性格とそのあり方などについて、さらに一層の検討を進めていくことが求められております。またもちろん、今後の地価動向の状況によって、問題が発生次第、直ちに是正を講じていかなければならないのは当然であると考えます。  政府案の第二の問題は、地方道路財源の拡充のため軽油引取税の税率の引き上げなどの措置がとられている点についてであります。これらの措置については、地方道路整備の一層の促進、環境対策の面としてのNOx規制などから、やむを得ないものであると考えます。しかし、増税が景気国民生活に与える影響、国と地方負担割合のあり方道路整備財源あり方、加えて総合的環境対策との関連など特定財源あり方に対する今後の検討の必要性を指摘しておかなければなりません。  その他、以前から不公平税制の象徴とされてきました社会保険診療報酬に係る特別措置の存続、マスコミ関係七業種の非課税措置廃止に係る経過措置の再延長がなされておりますが、非課税等特別措置については早急に積極的な整理合理化を行うことを期待するものです。また、事業税の分割基準の見直しや、地方団体からかねてより要望の強い外形標準課税の実施、中低所得者の税負担感に配慮した住民税のあり方などについても今後検討していくべきであると考えます。  以上、政府案の問題点と今後の課題を述べましたが、日本社会党・護憲民主連合は、地方団体意見も尊重しつつ、住民負担の軽減と不公正の是正、そして地方税源の拡充安定化の点で積極的かつ抜本的な改善が行われることを期待し、附帯決議を採択することをもって政府案に対し賛成するものであります。  以上であります。
  245. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、吉井英勝君。
  246. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、日本共産党を代表し、地方税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の理由の第一は、地価公示価格の七割に固定資産税評価額引き上げる、九四年度の評価がえの土俵づくりを一年も前からやろうとしていることであります。  七割への引き上げによって、大都市圏では市の平均でも四倍から六倍、個人にとっては十倍から二十倍という想像を絶する評価額引き上げが行われることになります。こうした大幅な引き上げに対する住民の反発を少しでも和らげようと、長期の負担調整や特例の拡大、都市計画税にも住宅用地等の特例を導入するなど、従来とは比べものにならないさまざまな負担調整の仕組みを取り入れようとしています。しかし、どのような負担調整がとられようと、最終的には引き上げられた評価額に見合う税負担が求められることは避けられないのであります。  第二は、加入者の負担能力を無視した国保税の引き上げを強要するものだからであります。  政府は、限度額の引き上げは低所得者層の負担の軽減のためと説明しますが、一方で国保税の賦課割合の比重を応能割から応益割にシフトする国の強い指導が行われており、その結果、所得なし階層の税負担伸びは顕著なものがあります。応益割をふやすことによって抵所得者層への負担増を図りながら、その抵所得者層の負担軽減を理由に限度額を引き上げようなどということは到底容認できるものではありません。現実にも、時の厚生大臣がその負担について「なかなか限界に近い状況にきている」と答弁したときからしても、一世帯当たりの国保加入者の所得の伸びは一・二五倍、国保税調定額の伸びは一・三八倍と、所得の伸びを上回る税の引き上げが行われています。四万円もの限度額の引き上げは、この所得を無視した国保税引き上げの流れを一層促進するものであります。  第三は、国の道路財源を、地方道路財源である軽油取引税の増税で賄っていることであります。  九三年度から始まる第十一次道路整備五カ年計画財源確保のために、政府は、ガソリン税全体としては現行税率を据え置きながら、一方では揮発油税の税率を引き上げ、他方で地方道路税を同じ幅で引き下げて国の取り分を多くするとともに、地方道路財源として軽油引取税を別途引き上げるという極めて巧妙な手段をとりました。これは、増税はガソリンによるよりも比較的利用者が少ない軽油で、国税よりは地方税でというように、国民の反発をなるべく招かない方法で国の増収を図ったものであります。  そもそも七十六兆円という巨額な規模の第十一次計画は、四全総計画や対米公約である四百三十兆円の公共投資基本計画推進するためのもので、国民生活に密着した計画につくりかえれば、計画額全体を大幅に引き下げることができ、増税による財源確保などは不要になるのであります。そうした見直しもせず、安易に地方負担を押しつけるこそくな財源確保のやり方は認められるものではありません。  第四は、既に破綻が明らかになったリゾート開発等、民間大企業の支援措置を依然として温存していることであります。  民間活力の導入を目的として進められてきたリゾート開発は、バブル経済崩壊住民運動の高まりに直面して完全に破綻しました。それは、民間中心でなく地方自治体が中心になって多様なリゾート整備を国土庁の研究会が打ち出さざるを得なくなっていることにもあらわれています。ところが、法案は、この間の推移を全く考慮せず、単純に特例の延長をするだけでなく、適用条件の拡大さえしているのであります。このほかにも、KDDや関西学研都市建設に関連して民間大企業への優遇税制の温存が図られているのであります。  最後に、改正項目は八十数項目に及び、その中には、身体障害者対策や公害防止対策に着目した課税標準の特例など賛成できる部分もありますが、反対理由で述べたように譲れない内容があり、法案に対する態度としては反対であることを申し述べ、討論を終わります。
  247. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  248. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより採決に入ります。  地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  249. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  250. 中馬弘毅

    中馬委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、古屋圭司君外三名から、四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。小川信君。
  251. 小川信

    小川(信)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の四会派を代表し、地方税法等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、平成六年度の固定資産税評価替えに当たって、固定資産税に係る評価等の適正化推進しつつ、税負担が急増することのないように善処するとともに、環境保全問題・国際化・長寿社会化等に対応する行政需要の増大、引き続き厳しい地方財政状況等にかんがみ、左の諸点についてその実現に努めるべきである。  一 固定資産税評価替えに当たっては、特に小規模住宅地所有者、年金生活者、中小企業者、賃貸住宅居住者等の急激な負担増とならないよう十分配慮するとともに、今後の地価動向に留意しつつ、必要に応じ、固定資産税に係る評価において適切な措置を講じること。なお、評価替えの趣旨及び税負担の軽減措置について、あらかじめ広く国民の理解を得ること。  二 固定資産税は、土地保有税の根幹であり、自主財源としての市町村税の基幹税目であることを踏まえ、納税者税負担にも配慮しつつ安定的税収確保に努めること。なお、地価公示制度についてもその適正化推進に努めること。また、固定資産税評価替えに伴い予想される地方団体の課税事務の増加にかんがみ、その円滑な執行のために、必要な措置を講じること。  三 地方道路財源の拡充に今後も努めること。なお、軽油取引税については、道路目的財源としての性格に配意しつつ、社会経済情勢等の推移に対応しその在り方について広く検討するとともに、事業者の負担配慮を払うこと。  四 地方税地方団体の重要な自主財源であることにかんがみ、国と地方の機能分担に応じた税源配分の見直し検討するとともに、地方団体がその役割の増大に的確に対処し、地域の実情に則した行政運営が行えるよう、地方税源の拡充に引き続き格段の努力を行うこと。また、住民負担配慮しつつ課税自主権の強化に努めること。  五 税制の簡素化・税負担の公正化を図るため、非課税等特別措置については引き続き整理・合理化等の見直し推進すること。特に事業税の社会保険診療報酬に対する非課税措置については、所得課税との均衡を図るとともに、いわゆるマスコミ等七業種に係る非課税措置の廃止に伴う経過措置についてはその撤廃を検討すること。また、利子課税・株式譲渡益課税については、課税の公正の観点から、総合課税への移行を展望し、適切な見直し推進すること。  六 事業税の分割基準の見直しを行うとともに、法人事業税における外形標準課税の導入を積極的に検討すること。また、個人住民税については、住民負担の適正・合理化を図るため、地方財政状況を踏まえつつ、国民生活水準の動向、中低所得者の税負担感に十分配慮すること。  七 自動車に種々の税が課税されている現状にかんがみ、その在り方について幅広く検討すること。  右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願い申し上げます。
  252. 中馬弘毅

    中馬委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  253. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、村田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村田自治大臣
  254. 村田敬次郎

    村田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  255. 中馬弘毅

    中馬委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  257. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、内閣提出暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。村田国務大臣。     ―――――――――――――暴力団員による不当な行為の防止等に関する法  律の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  258. 村田敬次郎

    村田国務大臣 ただいま議題となりました暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。  この法律案は、最近において暴力団員が組織から離脱する傾向が見られることなどの暴力団をめぐる情勢にかんがみ、暴力団員の暴力団からの離脱を阻害する不当な行為を防止し、暴力団員の社会復帰を図るため、暴力団からの離脱を阻害する不当な行為を規制し、暴力団への加入の強要等の行為に関する規制を強化するとともに、暴力団員の暴力団からの離脱と社会復帰を促進するために公安委員会が行う措置についての規定を整備するほか、最近の暴力団の資金獲得活動の実態にかんがみ暴力的要求行為に係る規定の整備を行うこと等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  まず第一に、暴力団員の暴力団からの離脱を阻害する不当な行為の規制についてであります。  これは、指詰めや入れ墨が暴力団から離脱した者の社会復帰の障害となり、暴力団員の暴力団からの離脱を阻害している実情にかんがみ、指定暴力団員が他の指定暴力団員に対して指詰めや入れ墨を強要すること等を禁止するものであります。  その一は、指定暴力団員が、他の指定暴力団員に対して指詰めを強要すること等を禁止することとするものであります。  その二は、指定暴力団員が、その配下の指定暴力団員に対して指詰めの強要等の禁止行為をすることを命令しまたはこれを助長すること等を禁止することとするものであります。  その三は、指定暴力団員が、少年に対して入れ墨を受けることを強要すること等を禁止することとするものであります。  その四は、指定暴力団員が、他の指定暴力団員に対して少年に対する入れ墨の強要等の禁止行為をすることを要求すること等を禁止することとするものであります。  その五は、公安委員会が、これらの禁止行為の違反者に対して、当該行為の中止を命じ、または再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  第二に、暴力団への加入の強要等の行為に関する規制を強化することであります。  その一は、指定暴力団員は、人を威迫して、親族その他その者と密接な関係を有する者を指定暴力団等に加入させまたは密接な関係を有する者の指定暴力団等からの脱退を妨害するために行う一定の行為をしてはならないこととするものであります。  その二は、指定暴力団員がその配下の指定暴力団員に対して加入の強要、脱退の妨害等の行為をすることを命令しまたは助長すること等を禁止することとするものであります。  その三は、公安委員会が、これらの禁止行為の違反者に対して、当該行為の中止を命じ、または再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  第三に、暴力団員の暴力団からの離脱と社会復帰を促進するための規定の整備についてであります。  これは、暴力団からの離脱を希望する暴力団員の暴力団からの離脱と暴力団から離脱した者の社会復帰を確保するため、公安委員会が、暴力団からの離脱を希望する者に対して暴力団からの離脱と社会経済活動への参加のために必要な措置を講ずるとともに、暴力団から離脱した者に対する援護に関する思想を普及するための啓発活動を行うこととするものであります。  第四に、暴力的要求行為に係る規定を整備することであります。  これは、最近、暴力団が競売その他倒産整理に絡む事案や証券取引をめぐる事案等に介入する動きが目立っているなどの実情にかんがみ、この種の事案における不当な行為を暴力的要求行為の行為類型に追加する等の措置をとるものであります。  その一は、競売の対象となるような土地または建物について明け渡し料名目で不当に金品等を要求する行為、株式会社やその関係者に対して不当に株式の買い取り等を要求する行為等を新たに暴力的要求行為として規制することとするものであります。  その二は、何人も、指定暴力団員が行う暴力的要求行為の現場に立ち会って助ける行為を行ってはならないこととし、その違反者に対しては、公安委員会が、中止を命ずることができることとするものであります。  その他、以上の改正に伴い、仮の命令、罰則、別表等について所要の規定の整備を行うことしております。  なお、この法律の施行日は、別表の改正規定を除き、公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  259. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十分散会      ――――◇―――――