○中田(恒)政府
委員 最初に、最近におきます薬物事犯の傾向、特に多様化の内容等についてお尋ねでございます。
最近におきます薬物事犯の検挙
状況の推移を見てまいりますと、我が国での従来からの主要な薬物事犯であります覚せい剤とシンナー事犯の検挙人員でございますが、これは依然として高水準で推移しているということに加えまして、世界的に問題となっておりますコカインでございますが、このコカイン事犯も我が国におきまして昨今検挙人員が急増しております。コカインは我が国におきます警戒を要する新しい問題となってきておるということでございます。さらに、大麻、ヘロイン、向精神薬事犯の検挙人員も、いずれも増加しておりまして、特に大麻事犯におきます昨年の検挙人員は過去最高を記録しております。
このようなことで、薬物乱用の広がりが顕著でございますが、もう少し詳しく申し上げますと、例えば検挙者の中に占める少年の割合でございますが、シンナーはこれまでどおり、吸引する末端の使用者という立場でいきますと、ほぼ全員が少年でありますほか、覚せい剤については、五年前の
昭和六十三年におきます割合が六・二%でありましたが、年々わずかずつではありますがふえておりまして、
平成四年、昨年は六・六%とふえております。また、大麻事犯については、五年前八・九%に対して昨年は一三・八%と増加しておる。また、性別で見ますと、覚せい剤事犯に占める女性の割合は、
昭和六十三年当時二八・四%でありましたものが昨年は一八・九%と増加しておる。また、
地域的に見ますと、他の薬物事犯と同様にコカイン事犯などが
全国に拡散しておるという傾向がございます。
それからまた、
委員御
指摘の外国人の問題でございますが、薬物を海外から密輸入する、あるいはこれを所持して入国などいたしまして検挙された来日外国人の数は、
平成四年はその前年に比べまして八三・五%増加しておるという
状況にございます。
このようなことから、全般的に多様化が進んでおるというふうに考えておるところでございまして、私どもこのような
状況を踏まえまして、外国捜査機関等との
情報交換を強化いたしまして、海外からの供給源の遮断を図る、そして外国の組織を含めました薬物密売組織等に対する取り締まりを徹底する、さらには税関等との連携によりまして水際
対策を強化するということを行いますとともに、青少年の乱用防止のために、家庭なり
地域なり学校と一体となった啓発活動にも力を注いでまいりたいと考えておるところでございます。
あわせて、文部省等との連携はどうだというお尋ねでございます。
国におきまして、薬物問題に対する総合的なあるいは効果的な
対策を
推進するために、
関係行政機関で構成されております薬物乱用
対策推進本部というのがございます。ここにおきまして、
平成四年度におきましても、学校教育全体を通じてシンナー等の薬物の害悪等心身の健康に関する指導の一層の充実を図ることなどが決定されておりまして、
関係機関がこれに沿った諸
対策を
実施しているところであります。
御
指摘の文部省との連携につきましては、この
推進本部におきまして、
情報なり意見の交換を行っておりますほか、さらに、両省庁の指導のもとに、都道府県レベルでございますが、
全国に、小中高の学校ごとに約三千近い学校・
警察連絡協議会というものが設置されております。この場を利用いたしまして、乱用少年の早期発見、早期補導等が適切に行われるよう、学校と
警察が緊密な連絡を保っておるところでございます。
このほか、学校側の要請に応じて、
警察の
承知しております乱用の実態に関する資料でありますとか、あるいは
警察が作成した広報資料を生徒指導用に提供しておりますほか、学校での生徒に対する講習会等がございますれば、
警察職員を派遣する等の協力も行っておるところでございます。
今後とも、文部省を初め教育
関係者との連携を一層緊密にいたしまして、青少年の薬物乱用の防止に努めてまいる所存でございます。