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1993-05-25 第126回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年五月二十五日(火曜日)     午後五時二十一分開議 出席委員    委員長 藤井 裕久君    理事 井奥 貞雄君 理事 石原 伸晃君    理事 田中 秀征君 理事 前田  正君    理事 柳本 卓治君 理事 仙谷 由人君    理事 渡辺 嘉藏君       浅野 勝人君    江口 一雄君       衛藤征士郎君    遠藤 武彦君       大島 理森君    河村 建夫君       小林 興起君    左藤  恵君       戸塚 進也君    中村正三郎君       福田 康夫君    光武  顕君       村井  仁君    簗瀬  進君       山下 元利君    伊藤  茂君       上田 卓三君    小野 信一君       佐藤 恒晴君    沢田  広君       戸田 菊雄君    中村 正男君       早川  勝君    細谷 治通君       河上 覃雄君    正森 成二君       中井  洽君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 林  義郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  村上誠一郎君         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局次 涌井 洋治君         長         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省理財局長 藤井  威君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         大蔵省国際金融 中平 幸典君         局長         国税庁課税部長 松川 隆志君  委員外出席者         警察庁刑事局捜 林  則清君         査第二課長         経済企画庁調整 筑紫 勝麿君         局財政金融課長         厚生省保険局国 石本 宏昭君         民健康保険課長         通商産業省産業 高橋 晴樹君         通商産業省産業         政策局企業行動 杉山 秀二君         課長         建設省住宅局民 石井 正弘君         間住宅課長         大蔵委員会調査 中川 浩扶君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   池田 元久君     藤田 高敏君   中井  洽君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     池田 元久君   中野 寛成君     中井  洽君 五月十一日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     田邊 國男君   岩村卯一郎君     吹田  愰君   江口 一雄君     渡部 恒三君   衛藤征士郎君     平泉  渉君   遠藤 武彦君     佐藤 孝行君   大島 理森君     塩川正十郎君   河村 建夫君     羽田  孜君   池田 元久君     細川 律夫君   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 孝行君     遠藤 武彦君   塩川正十郎君     大島 理森君   田邊 國男君     浅野 勝人君   羽田  孜君     河村 建夫君   平泉  渉君     衛藤征士郎君   吹田  愰君     岩村卯一郎君   渡部 恒三君     江口 一雄君   細川 律夫君     池田 元久君   塚本 三郎君     中井  洽君 同月十二日  辞任         補欠選任   河上 覃雄君     神崎 武法君 同日  辞任         補欠選任   神崎 武法君     河上 覃雄君 同月十八日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 同月二十五日  辞任         補欠選任   大島 理森君     簗瀬  進君 同日  辞任         補欠選任   簗瀬  進君     大島 理森君     ――――――――――――― 五月二十四日  租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第七二号) 四月二十七日  共済年金改善に関する請願衛藤征士郎君紹  介)(第一七八一号)  同外一件(亀井善之紹介)(第一七八二号)  同(北川石松紹介)(第一七八三号)  同(中尾栄一紹介)(第一七八四号)  同(前田正紹介)(第一七八五号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一八一二号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一八三一号)  同外一件(太田誠一紹介)(第一八三二号)  同(粕谷茂紹介)(第一八三三号)  同外三件(原田義昭紹介)(第一八三四号)  同(藤井裕久紹介)(第一八三五号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一八五六号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一八七〇号)  同(木村義雄紹介)(第一八七一号)  同(近岡理一郎紹介)(第一八七二号)  同外二件(三原朝彦紹介)(第一八七三号)  同(新井将敬紹介)(第一九二二号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一九二三号)  同(鈴木恒夫紹介)(第一九二四号)  同(福永信彦紹介)(第一九二五号)  同(藤井裕久紹介)(第一九二六号)  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(大  出俊君紹介)(第一七八六号)  同(関山信之紹介)(第一七八七号)  同(伏木和雄紹介)(第一七八八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一八三六号)  同(関山信之紹介)(第一八五七号)  向(岩田順介紹介)(第一八八九号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一八九〇号)  同(三浦久紹介)(第一八九一号)  同(小谷輝二君紹介)(第一九二七号)  同(正森成二君紹介)(第一九二八号)  同(森本晃司紹介)(第一九二九号)  同(渡部一郎紹介)(第一九三〇号)  大型減税早期実施に関する請願伊藤英成君  紹介)(第一八七四号)  同(森本晃司紹介)(第一九三一号) 五月十一日  共済年金改善に関する請願衛藤征士郎君紹  介)(第一九六三号)  同外一件(佐藤謙一郎紹介)(第一九六四  号)  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願外五  件(小川信紹介)(第一九六五号)  同(鈴木久紹介)(第一九六六号)  同(外口玉子紹介)(第一九六七号)  同外二件(鉢呂吉雄紹介)(第一九六八号)  同(春田重昭紹介)(第一九六九号)  同(不破哲三紹介)(第一九七〇号)  同(薮仲義彦紹介)(第一九七一号)  同(大野由利子紹介)(第一九九一号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一九九二号)  同(松原脩雄紹介)(第一九九三号)  同外三件(沖田正人紹介)(第二〇五一号)  同(金子満広紹介)(第二〇五二号)  同(斉藤一雄紹介)(第二〇五三号)  同(田邊誠紹介)(第二〇五四号)  同(浅井美幸紹介)(第二一〇九号)  同(清水勇紹介)(第二一一〇号)  大型減税早期実施に関する請願(山下八洲夫  君紹介)(第一九七二号)  中小自営業者婦人自家労賃に関する請願(阿  部昭吾紹介)(第二〇一八号)  同(小沢和秋紹介)(第二〇一九号)  同(金子満広紹介)(第二〇二〇号)  同(木島日出夫紹介)(第二〇二一号)  同(児玉健次紹介)(第二〇二二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二〇二三号)  同(菅野悦子紹介)(第二〇二四号)  同(辻第一君紹介)(第二〇二五号)  同(寺前巖紹介)(第二〇二六号)  同(東中光雄紹介)(第二〇二七号)  同(不破哲三紹介)(第二〇二八号)  同(藤田スミ紹介)(第二〇二九号)  同(古堅実吉紹介)(第二〇三〇号)  同(正森成二君紹介)(第二〇三一号)  同(三浦久紹介)(第二〇三二号)  同(山原健二郎紹介)(第二〇三三号)  同(吉井英勝紹介)(第二〇三四号)  消費税食料品完全非課税に関する請願(小沢  和秋君紹介)(第二〇三五号)  同(金子満広紹介)(第二〇三六号)  同(木島日出夫紹介)(第二〇三七号)  同(児玉健次紹介)(第二〇三八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二〇三九号)  同(菅野悦子紹介)(第二〇四〇号)  同(辻第一君紹介)(第二〇四一号)  同(寺前巖紹介)(第二〇四二号)  同(東中光雄紹介)(第二〇四三号)  同(不破哲三紹介)(第二〇四四号)  同(藤田スミ紹介)(第二〇四五号)  同(古堅実吉紹介)(第二〇四六号)  同(正森成二君紹介)(第二〇四七号)  同(三浦久紹介)(第二〇四八号)  同(山原健二郎紹介)(第二〇四九号)  同(吉井英勝紹介)(第二〇五〇号) 同日十八日  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(山  中邦紀紹介)(第二一二四号)  同(神崎武法紹介)(第二一四九号)  同(小岩井清紹介)(第二一五〇号)  同外一件(鉢呂吉雄紹介)(第二一五一号)  同(和田静夫紹介)(第二一五二号)  同(五島正規紹介)(第二一八一号)  同(関山信之紹介)(第二二八五号)  中小自営業者婦人自家労賃に関する請願(菅  直人君紹介)(第二一二五号)  同(木島日出夫紹介)(第二一五三号)  同(藤田スミ紹介)(第二一五四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二一八二号)  共済年金改善に関する請願藤尾正行紹介  )(第二一四八号)  同(鈴木俊一紹介)(第二二八四号) 同月二十五日  所得税などの大幅減税に関する請願河上覃雄  君紹介)(第二三〇五号)  同(東祥三紹介)(第二三八七号)  同(井上義久紹介)(第二三八八号)  同(石田祝稔紹介)(第二三八九号)  同(遠藤和良紹介)(第二三九〇号)  同(近江巳記夫紹介)(第二三九一号)  同(鍛冶清紹介)(第二三九二号)  同(北側一雄紹介)(第二三九三号)  同(倉田栄喜紹介)(第二三九四号)  同(中村巖紹介)(第二三九五号)  同(西中清紹介)(第二三九六号)  同(日笠勝之紹介)(第二三九七号)  同(平田米男紹介)(第二三九八号)  同(藤原房雄紹介)(第二三九九号)  同(宮地正介紹介)(第二四〇〇号)  共済年金改善に関する請願石原慎太郎君紹  介)(第二三〇六号)  同外四件(谷川和穗紹介)(第二三〇七号)  同(小沢一郎紹介)(第二三七九号)  同外二件(坂本剛二君紹介)(第二三八〇号)  中小自営業者婦人自家労賃に関する請願(木  島日出夫紹介)(第二三〇八号)  同(三浦久紹介)(第二三〇九号)  同(吉井英勝紹介)(第二三一〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二三八五号)  同(東中光雄紹介)(第二三八六号)  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(長  谷百合子紹介)(第二三三三号)  同(鍛冶清紹介)(第二三八一号)  同(長谷百合子紹介)(第二三八二号)  同(山中邦紀紹介)(第二三八三号)  同(山原健二郎紹介)(第二三八四号)  消費税食料品完全非課税に関する請願(正森  成二君紹介)(第二三三四号)  中小業者婦人自家労賃に関する請願鍛冶清  君紹介)(第二三七八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十八日  大幅な所得税減税政策減税に関する陳情書外  二十三件  (第一九六  号)  共済年金改善に関する陳情書  (第一九七号)  自動車関係諸税抜本的見直しと軽減に関する  陳情書外一件  (第一九八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第七二号)      ――――◇―――――
  2. 藤井裕久

    藤井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出租税特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。林大蔵大臣。     —————————————  租税特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、住宅取得促進税制を拡充するとともに、民間設備投資促進に資するための措置及び特定扶養親族に係る扶養控除特例措置を講ずることとし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、住宅取得等をより一層促進することにより内需の拡大を図るため、住宅取得促進税制について、控除期間のうち、住宅居住の用に供した年及びその翌年については、住宅借入金等の年末残高千万円までの部分に係る控除率を一%から一・五%に引き上げた上、その適用期限を一年延長することといたしております。  第二に、民間設備投資促進のための一年間限りの措置として、中小企業者等機械特別償却制度を抜本的に拡充し、機械装置及び事務処理能率化等に資する器具備品について特別償却税額控除選択適用を認める中小企業機械投資促進税制とするとともに、事業の省力化または合理化に著しく資する機械等について特別償却税額控除選択適用等を認める高度省力化投資促進税制を新たに設けることといたしております。  第三に、教育等の諸出費のかさむ中堅層税負担軽減に配慮するため、特定扶養親族に係る扶養控除について五万円の加算を行う特例制度を設けることといたしております。  以上の改正につきましては、住宅取得促進税制にあっては平成五年四月一日以後に家屋を自己の居住の用に供する場合について、設備投資促進のための措置にあっては平成五年七月一日以後に取得等をするものについて、特定扶養親族に係る扶養控除特例にあっては平成五年分以後の所得税について、それぞれ適用することといたしております。  これらの改正は、四月十三日に策定された総合的な経済対策に盛り込まれた事項のうち、税制上の措置を実施するためのものであります。  以上が、租税特別措置法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 藤井裕久

    藤井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 藤井裕久

    藤井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  6. 沢田広

    沢田委員 大蔵大臣、御苦労さまであります。お疲れでしょうが、この法案も非常に重要でありますので、しかしまた、所用があれば中座することは、呼び出すまではどうぞ休養されても結構であります。  最初に、警察の方を呼んでおりますが、にせ札が非常に横行しまして社会に大変な不安なり動揺を与えました。その後、テレビ映りまであったわけでありますが、逮捕の方向にさっぱり進んでいない。また、世界に誇る印刷技術を持っている札が、かくも簡単ににせ札ができるということについて、大蔵省としてもまた反省しなければいけないのではないかという気もします。  それから警察の方は、これは見通しとして、このまま黙ってあの程度で終わるということではないだろうと思うのですね。あるいはもっと違った形で使用されているかもしれない。ちょうど我々が大阪の造幣局の方に行ったときでありました。  どうかそういう意味において、警察の方では、今のような状況からどういうふうに発展して、どういう状況に今あるのか、それから大蔵省からは、この技術にどういう対応を図ろうとしているのか、まずそれをお答えいただきたいと思います。
  7. 林則清

    林説明員 お尋ねの偽造事件警察の方では和D−53号事件と申しておりますが、これにつきましては、去る四月十一日からこれまでに大阪京都、滋賀、奈良の各府県下において銀行あるいはJRの駅などから合計五百六枚の偽造券が発見されておるものでありまして、まさに御指摘のように大きな社会不安、生活混乱を与えたものでありますだけに、警察といたしましては、事件発生直後から大阪府警を初め事件発生を見ている関係府県警におきまして直ちに特別捜査本部を設置し、大量の捜査員を動員して一刻も早い犯人検挙のために多岐にわたる捜査を展開しますとともに、関係省庁団体等に対しまして警戒監視等防犯対策の強化を要請し、また自販機業界等に対しましては機器の改善等に資するための協力を行うなどの諸対策を講じたところであります。  以後、関係府県警連携協力のもとに本件偽造紙幣に使われた紙及びインキの製造元あるいは販売ルートその他捜査上必要な事項につきまして鋭意捜査を行いますとともに、事件当日銀行防犯ビデオに映った不審人物に係るビデオを公開いたしまして、広く関連情報を求め、本件との関連性追跡捜査するなど多方面にわたって捜査を進めているところであります。  また、事件発生を見ていない府県警察にありましても、いささかでも本件に関連する情報につきましては積極的にこれを収集することに努めますとともに、新たな発生に対する警戒を強化するなど、犯人検挙に向けて全国警察が全力を挙げて取り組んでおる状況でございます。  残念ながらいまだ検挙に至っておりませんが、このような全国警察挙げての捜査を進めれば必ずや犯人に到達できるものと確信をいたしておる次第でございます。
  8. 沢田広

    沢田委員 なお、これも世界に誇る警察なんでありますから、ビデオの撮り方自身も改める方がいいのじゃないかという気がするのですね。昔よく注意好きのお巡りさんがいて、人をおどかしながら車の運行を注意しろなんてやって、このごろは影を潜めてきましたが、ああいう人をだましながらやっていこうという方法はもともと大体考えがよくないですね。だから、今度もマスクはした、帽子はかぶった、ビデオには映ったが、さっぱり人はわからない。そういうこと自身に問題があるし、またビデオの映り方が不鮮明である。これは予算のことなんでしょうけれども、これもひとつ考え直していく必要があるのではないか。  同時に、今度証券が出ましたね。これは警察の方だけですか。証券の方は通産のようでありますからこれは一応別にしましても、印刷そのものは、これはやはり刑事警察の方でやるわけでありますから、ひとつ奮励努力せよということでもありますけれども、あわせてこの証券の方の、いわゆる商品券の方の偽造事件についてもその経過をお述べいただいて、その程度のお答えじゃしようがありませんけれども、早急な犯人逮捕を切望してやまない次第でありますから、あわせて商品券の分についても御回答をしてください。大蔵は残っていてもらいますから、後でまとめて答えてもらいます。
  9. 林則清

    林説明員 御指摘のような偽造商品券、それから株券でございますが、こういったものの偽造株券事件の方につきましては、平成四年の三月からこれまでに、福助、平和といったような銘柄の株が、五社に係る偽造株券が、東京大阪京都を初め六都道府県合計二百八十枚発見をされておるところでございます。  この一連の偽造株券事件につきましては、関係都道府県警察におきまして鋭意捜査を進めているところでございますが、このうち大阪府警察においては、去る五月十七日、福助及び平和に係る偽造株券に関しまして、偽造有価証券行使等関係被疑者三名を逮捕いたしましたところでございまして、さらに事案の全容の解明に向けて、他の関係府県警察連携をとりつつ鋭意捜査中でございます。  それから、偽造商品券事件につきましては、これまでに東京大阪神奈川において偽造された西武百貨店の商品券が出回っていたところでございますが、去る五月二十一日、二十二日、神奈川警察におきまして、偽造グループ三名を同偽造商品券に係る有価証券偽造、同行使等逮捕いたしますとともに、現在、一人被疑者が逃亡しておりますので、これに対する追跡捜査とあわせて、事案全体の解明に当たっておるところでございます。
  10. 沢田広

    沢田委員 これは、大蔵権威あるいは警察権威にかけて早急な解決を切望して、次の問題に入りたいと思います。  一つは、建設省、おいでいただいておりますが、二百四十平米まで認めるというこの建設家屋状況というものは、平家でいえば二百四十平米で、三階建てにすれば八十平米になりますが、どういう意図で二百四十という数字を今度考えたのか。これから日本家屋イメージといいますか、国民住宅環境というものは、どういう条件を満たそう、どういう意図に基づいたものなのか。そこにも、居間であるとか空間であるとか、あるいは二世帯、三世帯の同居であるとか、あるいは今後の増築問題であるとか、いろいろな問題があるわけでありますが、建設省がこの二百四十を発想した原点を一応お聞きをしていきたいと思います。
  11. 石井正弘

    石井説明員 お答え申し上げます。  居住水準向上を図っていくということが住宅政策におきます極めて重要な課題であるというふうに私ども認識いたしておりまして、このため第六期の住宅建設五カ年計画及び公共投資基本計画を踏まえまして、昭和六十三年現在八十九平米程度でございます我が国の住宅の一戸当たりの平均床面積、これを平成七年度におきましては約九十五平米に引き上げる、また、おおむね西暦二〇〇〇年を目途に百平米にする、こういう基本的な目標を設定いたしまして、私ども建設省一丸となりましてこの課題に向けて取り組んでいるところでございます。  今回、住宅取得促進税制対象となります住宅床面積上限を二百二十から二百四十平米に引き上げることとしましたのは、このような居住水準向上を図る観点に立ちまして、住宅金融公庫融資制度が昨年八月の総合経済対策におきまして二百二十平米から二百四十平米に引き上げがされているわけでございます。こういった公庫の融資対象となります住宅床面積上限を参考にいたしますとともに、平成五年度の税制改正において創設されました特定居住用財産の買いかえ特例対象となる住宅床面積上限、これは買いかえ資産でございますが、これも二百四十平米になっておりますということを踏まえまして、今回二百四十平米に引き上げるという措置を講ずることとしたわけでございます。  建設省といたしましては、今後とも居住水準向上を図るために各般の住宅政策上の施策をやっていきたい、かように思っておるところてございます。
  12. 沢田広

    沢田委員 それじゃ住宅金融公庫の金の都合で二百四十になったと言っているみたいなものなのでありまして、建設省は、日本国民が、今の家族人数その他いろいろあるでしょうが、三人で一世帯という立場をとるかどうかは別問題として、あるいは親子で住むという問題も考えて、どういうイメージで、これからの住宅環境はどうするという考え、発想を持って臨んでいるのか。金で二百二十が二百四十になったのだという、それではまた次にどうなるかわからないので、これからの住宅環境というものは、こういうものと、こういうものと、こういうものはこの一つ住宅の中で間に合わせていくのだとか、そういうイメージがあってしかるべきで、全然夢も希望もないじゃないですか。政府が出している豊かななんというものも関係ないということになってしまう。  だから、二百四十が三百になろうが、国民がひとしく同じ条件を確保しながら住める住宅とはそもそもどの程度のものをいうのか、そのくらいの発想がなければしょうがないじゃないですか。建設省、ちょっとその点、明確にお答えください。
  13. 石井正弘

    石井説明員 建設省の方で一定の目標としております誘導居住水準というのがございまして、現在第六期の住宅建設五カ年計画でございますが、この中で定められております誘導居住水準のうち、郊外及び地方におきます一戸建て住宅居住を想定いたしました一般型の誘導居住水準というのがございます。  この中におきましては、高齢夫婦を含みます六人世帯の場合、住居居住面積を百六十四平米というふうに設定をいたしているところでございます。仮に食事室とか台所、便所、洗面所、浴室等高齢夫婦専用のものを設けて例えば二世帯住宅とするというふうに計算いたしましても、百六十平米にプラスアルファになりますが、二百四十平米という面積は、そういう意味では結構十分な広さになっているというふうに考えるところでございます。  なお、二百四十の根拠でございますが、根拠になるかどうかわかりませんが、地方ブロック単位の着工新設住宅、持ち家でございますが、これを北陸地方で見ますと、平成三年度データで百六十二平米でございます。これの五割増してございますが、一・五を掛けますと二百四十平米というふうになっておりまして、こういったことも背景にして、先ほど申し上げましたが、住宅金融公庫上限を昨年の総合経済対策で二百二十から二百四十に引き上げたという経緯がございますので、参考までに述べさせていただきました。
  14. 沢田広

    沢田委員 それはまあ私があえて申し上げたから追加して言ったのだと思うのですが、それで私は、昔、七、八年前でありますが、二DKの存在価値はどうなんだろうかということで質問したことがある。  あなたの大先輩になってしまうでしょうけれども、当時、県営住宅であるとかあるいは住宅公団の二DKというものはそもそも何だ。今の子供は、例えば長男が男で長女が女、長女といえば女になりますが、一人一人になって、それにお父さん、お母さんで二DKでどこへどう寝るんだ、田舎からおじいさん、おばあさんが来たらどこへ寝かすのか、こういう質問をしたことがあるのですよ。とうとう答えはなかったですね。  二DKでどこへ寝かすんだ。お父さん、お母さんは押し入れで寝るのか。子供はどうしても自分の勉強部屋も含めて一部屋欲しい。そうすると、お父さん、お母さんはしょうがないから押し入れで寝て、おじいさん、おばあさんをキッチンの部屋へ寝かせる。こういうことになりかねないので、二DKそのものはもう今後改めなさい。  だから一間増築をするとか、一間増築は若干進んでいますが、雇用促進事業団とか、そういうところでは若干やっているようでありますが、全体的に見るとちっとも進んでない。これはもう人間の精神的な負担を非常に重くするわけですよ、いろいろな厳しさを。いわゆる壁見て生活しているわけですから、狭ければ狭いだけに圧迫感を感ずる、神経はいらいらする。そういうことで、この空間というものが人間性の上にいかに大切かということの意味も含めて、私は二DKの増築を含めてぜひ考えてもらいたいと思っているわけです。  もう一つだけ追加して言いますと、今つくられている家で、建築基準法であるとか、あるいはその他違法で改築ができないでいる家もある。それから、出そうとするのには道路が障害になってだめなものもある。  そこで私は、景気の問題も含めて、一問だけ増築をその法にかかわらず認めていく。そういうことを、これは大臣も聞いておいてもらえれば幸いですが、今なかなかつくろうとしてもつくれない。四メートル道路がないからだめだとか、いや、そこは狭いからだめだとか、そういうことで一間の増築ができないで苦しんでいる人、多くのいわゆる既存住宅の中にあるわけですね。そういうところに一部屋だけ増築をするということを認めていく。これはきょう、今返事を求めようとは思いません。しかし、そういう国民の要望に備えて対応していくということが必要だ。  基準法も、あえて申し上げますが、建築許可をもらって三年たてば図面なんかすっからかんになくなってしまっている。しかも、三年たてばでかい高層マンションも、パイルも全部図面もなくなって、地盤沈下して大変だといったって、そのときは図面一つもない。今そういう管理をしているわけですね。どんなでかいマンションをつくっても、パイルを百メートル入れても五十メートル入れても、後三年たったら図面は全部なくなってしまう。  だから、あえて申し上げると、田舎の方では長男、次男、三男が十五人もできてしまうことがある。三年たつと図面がなくなる。だから、また次に長男の名前で分家をするということで農地転用をする。またその次に三年たったら、また次の次男が分家するということで農地転用する。そして売ってしまう。今までどれだけそれが行われたか知らないでしょう。  言うなら、人を縛りながら一方では抜け穴的に扱われているものが今の建築基準法の内容なんだ。だから、そういう国民をばかにした法律で縛って、そしてつくらせないよりも、有効に求める者には与えていくという、その意味においてはもっと法には裏表があっていいと僕は思うんだ。片一方では、三年たったら何のことないんだから。そういう管理のやり方をやっていたのでは、厚生は後で申し上げますけれども、建設省なくたっていいんだよ、そんなものは。そのときだけがちゃがちや言うけれども、後はもう知らんぷりなんだから。そういう管理の仕方は改めてもらいたいと思うのですがね。  そういう意味において、二つの問題について、まだ続いてありますが、とにかくその点お答えいただきたいと思います。
  15. 石井正弘

    石井説明員 今の御質問の建築基準法のかかわった問題でございますが、私そちらの方の所管をたまたましておりませんので、この場ではちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。持ち帰りまして、中で検討するようにしたいと思います。
  16. 沢田広

    沢田委員 ただ、そういう実態があると、農林省はいませんけれども、大蔵大臣、そういうことが一時バブルのときには物すごく多くて、いつの間に彼の子供は十五人になったんだ。村の人は知っているのですよ、そこの居住者は、いつの間にかそれは転用して売ってしまって、三年我慢していればまたうちができる、そういうことが物すごく行われたことは事実なんですよ。  それから、二DKについては、建設省、これも二DKというものが非常に人間性を痛める、傷つける、そういうことをひとつ十分考えて対応していただきたいと思います。前の人より歯切れが悪いけれども、これはあなた、しようがありませんな。  それで、二百四十というものは何とはなしにできたということではありますけれども、この二百四十、じゃ、さらに大きいものはどうなのかということになりますが、次はひとつ国税の方に聞きます。  二百四十というのは、六人ということですから、大体二世帯住宅、おじいさん、おばあさん、あるいはどっちか、子供夫婦、それに子供二人、こういうものを想定しているんだろうと思うのですね。それで各部屋を持って、キッチンを持って、ふろ場を持ってあるいはトイレを持って、果たして二百四十で何畳ぐらいの一人当たりの居住分を与えることができると想定しているわけですか。六人で二百四十と考えた場合に、まあ玄関なんかなしというのならなしでも構いませんが、どういう間取りを考えているのですか。これは建設の方に聞いて、国税の方はちょっと待っていてください。
  17. 石井正弘

    石井説明員 先ほど、誘導居住水準の高齢夫婦を含む六人世帯で百六十四平米が目標と申し上げましたが、この場合は、居住室専用が百二平米、畳にしますと六十二・五畳と相なっております。したがって、これの比例配分で計算すれば、ちょっとこれは計算しておりませんけれども、二百四十平米に対応するものが出てくるのではないかと思っております。
  18. 沢田広

    沢田委員 きょうは建設委員会じゃありませんのでそれ以上細かいことは言いませんが、やはりこれからの豊かな生活を日本国民に与えようとする場合に、今の成長率の高い、身長も高くなったし、子供たちも大きくなりますね。そういう条件の中でどういう居住空間を与えるべきかということを考えて、ひとつお答えできるようにしてもらいたいと思います。  そこで、国税庁の方、先へ行きますが、親子が両方住んでいる場合に、相続税の場合、おやじさんかだれか死んで相続する場合には、契約はなくとも居住権、いわゆる賃貸契約ありと認めるのですか、それとも親子で契約がなければ、いわゆる居住権というものは二分の一の相続の分は認めるのか認めないのか。私の今までの例を見ますと、子供さんでも親子で契約をして、ただし食べる場所だけは別にしてくれというのが税務の方の言い分だったのですが、果たしてどういう条件がつくのかつかないのか、その点お答えいただきたいと思います。
  19. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えいたします。  親子の間で賃貸借契約が結ばれている、それで借地権が生じている場合には、その家屋の価額から借地権の価額、これは一般的には大体家屋の三〇%相当額でございますが、これを控除して、その金額によって相続税の評価をするということになっております。  ただし、親子間で賃貸借契約が結ばれていない場合、例えば賃料を取っていないとか契約を結んでいない場合、これは使用貸借ということになりますので、この場合には評価減は行わないということでございます。
  20. 沢田広

    沢田委員 もし契約をして賃貸料を取っていれば、食事は一緒にしてもそれは控除されるとみなしていいですか。
  21. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えします。  今議員御指摘の基準というのは、我々承知してないところでございまして、むしろ賃貸借契約を締結しているかどうか、そしてその結果借家権が発生しているかどうかというところを重点に判定しているところでございます。
  22. 沢田広

    沢田委員 では、念を押しますけれども、六人でかまどが一つ、あるいはふろが一つ、キッチンも一つで、一つのテーブルを囲んで親子で食べていても、借りている部分の賃貸契約が存在すれば、それは二分の一ですか、三〇%と言いましたが、普通賃貸契約すれば半分なんですが、それは言うなら相続の分から控除される。  それで、さっきは土地と言われましたが、私は今家を借りている、こう言っていますから、だから借家の場合を言っているわけですから、借家の場合は大体五〇%が控除対象になるはずなんですね。ですから、そういう意味においては、食事が一緒であっても別であってもいいのかどうか、その点お答えください。
  23. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えいたします。  議員御指摘の点は、恐らく借家権が例えば明確に区分できるのかということだと思います。例えば、六畳一間を借りているのかどうか、あるいは共通部分はどういうふうに、借家権の対象なのかどうかということでございます。  恐らく賃貸借契約を結ぶ際に、明確にこの部屋の部分、対象になる部屋の部分を特定して結んでいるはずでございます。特定していない場合には、これはやはり契約の対象が不明確であるということになると思います。  したがいまして、そういうふうに部屋の特定をしておれば、共通部分、例えば食堂を共用しておっても、そこはいわば親の持ち分の部分である、いわゆる賃貸借契約の対象になっていない部分であるという判定になるのではないかというふうに思います。  それから、差し引きの金額でございますけれども、これは家屋の価額から借家権の価額、これは一般的に家屋の価額の三〇%というふうに評価しておりまして、これを減額するということになっております。
  24. 沢田広

    沢田委員 また後で間違いが起きるといけませんからもう一回言いますが、二階の家で、親が下で生活をしている、それで息子夫婦、子供が二階で生活をしている。その場合に、いわゆる炊事場といいますか、そういうものを備えなくとも、もう一回念を押すのですが、下で一緒に食事をしていても、それは同居とは言わないで別の世帯とみなすということになるわけですか。
  25. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えします。  いかなる場合に賃貸借が発生し借家権が発生しているかというのは、おっしゃるようにいろいろなケースによって判定が違ってくる可能性があるわけでございますが、要は、賃貸借の対象となる、例えば部屋がはっきりしているということが重要ではないか。例えば、食堂が一つしかないからその部屋を貸していることを認めないということにはならないのだというふうに考えております。
  26. 沢田広

    沢田委員 しつこいようですが、例えば道路のないところに一軒家があって、その奥へ家をつくろうとする場合に、建築基準法の方では、そこの家の分室をつくるという場合には炊事場を、別になるときには炊事場をつくらなければだめなんですよ。そうでなくて、建築基準法上でいくと、そこの分室をつくっても炊事場がなければ、それはいわゆる自分の一軒の家の分室をつくったんだからというので許可になるんですよね。  そういう意味において、今までの相続の場合に、二階にかまどが別になっていなければ、それは大体生活の根拠がなくなってしまうんだから、それは貸している家とはみなさないというのが税務署さんの考え方だったんです、私の経験からいくと。  だから、今あなたのは新しい解釈をしてくれたわけなんで、それはそれで結構なんだが、ちゃんと言ったことが守られる保証があるかどうかと思って、念のために、それはそういうかまどがなくとも、炊事場がなくともそれは貸した家だ、こういうことになるのかどうか。家という以上は炊事場がなければ家と言わないんですね。また、一般的には土台がなければ家と言わないんですよね。ですから、そういう立場で、あなたの言葉は信用していいのかどうか、確認のためにお答えいただきたいと思います。
  27. 松川隆志

    ○松川政府委員 個々のケースにおいて判定するということでございますけれども、原則として借家契約、いわゆる賃貸借契約の対象である部屋が特定しているということでございますと、共用部分があるからだめだということにはならないんではないかというふうに思います。  ただ、親子間の場合には、いわゆる賃貸借を偽装するケース、実際には使用貸借である、賃料を取っていないけれども、しかし偽装して賃貸借というふうにして相続税の減額をねらうという節税策というか、課税回避も起こり得るものですから、現場においては実際に賃貸借契約が存在するのかどうかということは十分念査するということになっております。
  28. 沢田広

    沢田委員 その点はまた後で、機会を改めますが、その辺でこの問題は終わります。  次に、社会保険と健康保険の問題なんですが、お部屋の中にお年寄りが二人いて、国民健康保険に入っている。そのときに、法律でいつでも、世帯主に対して課税をする、国民健康保険税をかける、こうなっているんですね。  それで、従来の経緯では、世帯主ということの定義それ自身が実は問題があるわけなんですが、言うなら、人頭割、資産割、所得割で保険税がかかってくる。そのときに子供たちの四人の分はどうなるのかというのが一つあるわけです。  それからもう一つは、その世帯主というのは、余計収入を持っている者が世帯主なのか、あるいは長幼序列で、おじいさん、おばあさんがいればその人が世帯主なのか。この世帯主は果たして認定はだれがしていくのか。法律はどんどん変わっていると思いますけれども、今どういうふうになっているか、これが二点目。  それから三点目は、その人が社会保険に入っていても人頭割にはその中に含まれるのかどうか。あるいは、資産割は、親が、自分のお父さん、お母さんでしょうから別としまして、人頭割と所得割は含まれるのか含まれないのか。  法律で見ますと、いわゆる被保険者は含まれないと書いてありますが、実際に我々はその含まれた経過を踏んでいるんですよ。ですから、それは条例上の問題だから地方自治体がつくったものなんだということなのか、法律どおりそれは除かなければならないということなのか、その点、厚生省来ていると思いますが、こういう部屋ができてくるとそういう問題が起きてきますので、この際お答えをいただきたいと思います。
  29. 石本宏昭

    ○石本説明員 委員指摘の点につきまして申し上げます。  国民健康保険法及び同法施行令並びに地方税法によりまして、国民健康保険の保険料の人頭割及び所得割は当該世帯のうちの国保加入者の人数及び所得のみに着目して算定されることとなっております。今後とも、これら法令の規定に基づいて厳正な指導を行ってまいりたい所存でございます。  なお、世帯主の認定につきましては、自治省等関係省庁と打ち合わせた上で住民基本台帳によります世帯主というものを使っております。
  30. 沢田広

    沢田委員 もう一回念を押しますが、住民台帳の世帯主を使っていると、農家の方などの場合はお父さんなりお母さんが常識的に世帯主になるわけですね。  そこで、子供さんが勤めに行っている場合に、世帯主のいわば同居人ということになりますか。同居人という形になった場合には、その世帯の一員とみなすというのが通常ですね。そうすると、人頭割などについては、少なくともそれは社会保険以外に国民健康保険で人頭割の中に含まれるという懸念といいますか、そういう実例もあるわけですが、含まれる。  それと同時に、所得割も、お父さんの所得は農業所得だ、ほとんどない、片っ方は給与だから四百万なら四百万、五百万なら五百万とはっきり出てくる。そうなると、主たる収入はその人が持っていると解されますね。そうすると、その世帯主は、建前はこっちだけれども実質上の世帯主はこれだと判定されても文句が言えないのかどうか、この二点。もしきょう明確に答えがなければ、これは全国的なものですから、これも検討して一応解決してもらいたいと思っているわけです。  同居をするということはそういうことがあるから、皆嫌がって、アパートに入っても別になるのですよ。社会保険で取られて、国民健康保険で取られて、たまったものじゃないという不平がたくさん出るわけなんです。そういうことで、結局、それじゃ別になってアパートに入っていよう、その方が面倒くさくない、さっきの相続の問題もそうなんでありますが、以上の点についてもう一回厚生省からお答えください。
  31. 石本宏昭

    ○石本説明員 昭和四十二年の十月におきまして、関係五省共同通知というのがございまして、この中で、世帯主とは、「「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当とみとめられる者」と解する」ということでございますが、私ども、国民健康保険につきましては、被用者保険の加入者以外のすべての地域住民を対象とするいわば国民皆保険を支える制度でございまして、そういう意味で、大人から子供まで広く住民を対象とする、適用する観点から、やはり世帯というものに着目して保険料を賦課せざるを得ない。  その際に、先ほど申し上げましたとおり、社会保険に適用されている者は法律上当然に除く、人頭割も所得割も除く、これは制度の立て方でございまして、そういう意味で、人頭割、所得割の計算対象となる者はあくまで国民健康保険の加入者ということに相なりますし、また、その世帯主に対して賦課していく現在の賦課方式につきましては、地域住民を対象とした国保という性格上、私どもとしてはいわば最善のもの、やむを得ないものというふうな理解をしておるところでございまして、よろしくお願いしたいと思います。
  32. 沢田広

    沢田委員 もう一回確認しますと、収入のいかんにかかわらず、一つ社会保険に入っている場合は国民健康保険の方で資産割も所得割も人頭割も取れない、これが法律である。これはいいですね。  そこで、世帯主に対する保険料の賦課、この世帯主が、例えば立場が変わって、社会保険に入っている人が世帯主になった場合、例えばおばあさんが八十幾つかになっていて、お嫁さんが働きになるか、そこの勤めに行っている人が結果的に客観的な実際の世帯主になる、その場合に対しても二重に徴収はしない、こう理解していいですか。首を縦に振っているからそのとおりだ、こういうふうに確認しておきます。  今後条例で決められた場合は、厚生省としてはどういうふうに対応しますか。それぞれの市町村では国民健康保険運営協議会の委員というのがおりまして、そこでまたいろいろ決めるわけですね。そこで条例もつくられてくる。条例で、市が議会で決めた場合、この法律に反するものは当然無効となる、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  33. 石本宏昭

    ○石本説明員 委員指摘の点は、国民健康保険の制度の根幹、出発点でございまして、大変に重要な点でございます。これにつきましては、国民健康保険法にも規定しておりますし、地方税法にも規定しておりますが、あわせて、私どもとしましては、条例準則を市町村に流しておりまして、これに基づいて関係の市町村、皆さん同じような規定を講じておるというふうに承知しておりますし、条例が違った場合につきましては、法律の趣旨を踏まえて十分に指導してまいりたいと考えております。
  34. 沢田広

    沢田委員 次に行きます。  この法案の中に、特に百万円以上の物について、同一種類の複数台の合計となっているのですが、これは零細企業については極めて難しいことなんですね。これは政令で決めるかどうかと思うのでありますが、ファクシミリならファクシミリを、二十万以下は消耗品ですからこれは問題ないのですが、二十五万円ぐらいのものを四台、五台買わなければ百万円にならないのですね。中小零細企業が五台も買う場合があるかということです。あるいはほかの物も同じなんですが、そういうふうにこれは極めて厳しい条件なんです。  それは一千名もいるようなものとか、あるいは支店を十カ所も持っているような会社なら可能なんでありますが、こういう同一種類の物だけを含めて百万だという規定づけというのは、これは通産省が決めたのですが、なぜこの項目だけを決めたのですか。テレビは入らないのですか、あるいはビデオは入らないのですか。なぜこの十種類だけになったのか、それを通産省からお聞きし、また大蔵省からお聞きをしたいと思うのです。
  35. 杉山秀二

    ○杉山説明員 ただいま委員から御質問のございました中小企業機械投資促進税制でございますが、今回この税制を創設いたしました趣旨は、中小企業の構造改善あるいは活性化を図りまして、あわせて景気対策の一環として中小企業の設備投資を刺激するということから、中小企業の行います創意あふれる自主的な設備投資を広範に支援するために創設したものでございます。  このような中小企業の構造改善あるいは活性化という観点からいたしますと、その導入いたします機械装置につきまして支援措置を講ずるというのが基本でございますが、器具備品につきましても、事務処理能力の拡大、向上を図って中小企業の構造改善を支援するということから、特に必要な器具備品について今回支援措置を講ずることとしたものでございます。その際、中小企業の実態、ニーズ等を十分調査をいたしまして、社会の高度化、情報化に対応するということから、先生御指摘の電子計算機等十設備に限ったわけでございます。  御質問の百万円の価格要件でございますが、このような国の税制的な支援を行う場合には、やはり一定以上の価格の器具備品の投資について国の支援措置を講ずるということが適切であると考えております。ほかにございます例えば中小企業基盤等強化税制におきましても、百万円というような価格要件がついておるわけでございます。  ただ、今回指定されました十設備につきましては、情報関連機器が中心でございまして、これにつきましては、高価なものを一台設置する場合のほかに、安価なものを複数台導入いたしましてシステムとして組み上げる場合も近時多くなっております。こういった場合に両方を区別するのはいかがなものかということで、同一機種についてはそれを複数台一体として導入する場合についても支援をするのが適切であると考えたわけでございます。
  36. 沢田広

    沢田委員 だから、それは今買える能力のある企業で、零細な企業は百人とか五百人ぐらいの働く場所だけであって、事務所が一つなら、そんなものたくさん買うことはできないんですね、実際には。当然、複数になることはあり得る。四十万ぐらいになるもの、五十万ぐらいになるものというのはあり得るんだ。だからそういうところにも配慮する必要がある。  それで、なぜビデオとか、これだって図面を解説したり、図面をつくったり、あるいは大型のものなら大型のもので、それを大映しをして設計の参考にしたり、あるいは仕事の参考にしたりというのはたくさんあるわけですから、これを選んだ根拠にはならないと思うんですね、今の説明では。  ですから、もっと今の中小企業の人たち、あるいは零細な企業の人たちが本当に言うならば合理化をしていく、それにプラスになるようなものを考えてやるということも必要なんじゃないか。あるいは作業服も必要かもしれませんし、電気用品だけに限定するのでなくて、そういうものも考えてやるということの配慮があってしかるべきではないか。これは政令で決めるんだろうと思うんですね、結果的には。そうでしょう。首を縦に振っていますから、速記録上そのとおりだそうですから、大蔵省とも十分協議をして、政令のときには中小企業に本当に役立つように、こういう品物を、十分意見を聞いて、含めてやってもらいたい、こういうふうに思います。これは、政令は大蔵省から出すんでしょう。
  37. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 沢田先生、お言葉ではございますが、私どもの考えを聞いていただけますれば、こういうことでございます。  今回は景気対策への措置を講ずるということでございまして、景気対策として答えの出るものをどうやって選ぶかということが課題でございました。そういう観点から考えてまいりますと、景気に対して相応の効果を持つ、つまりある程度まとまった投資として、投資を呼び起こすという効果を持つ措置を選ぶべきだということに相なります。従来から、そういう考え方からいたしますと、比較的大きなものに着目した措置ということにどうしてもなってしまうわけでございますが、今回はそこを思い切りまして、中小企業に配意し、しかも特に器具備品という次元まで手を広げたというつもりであったわけでございます。  先生の方からごらんになりますと、相当高価なものばかりではないか、中小企業者ではとても手が届かぬではないかというお気持ちかと思いますけれども、今の投資の実態から見まして、そこそこ中小企業者からも手が届き、しかもなぜこのような機種を選んだかということにつきましても、いろいろな議論をいたしまして、今通産省から御説明のあったとおりでございますが、今の時代が何を要求しているか、そのニーズを大数的に分析しまして、こういったものが政策的な代表選手として選ばれて恥ずかしくないと思われるものを選んだつもりでございます。措置としましては政省令次元の措置でございますけれども、中身としましてはそういう練りに練った措置として今回は受けとめていただきたいと存じます。
  38. 沢田広

    沢田委員 ここで細かいものを議論してもしょうがないですから、政省令になるということを前提として、いろいろ希望のある分野について、これが絶対だということではなしに、十分検討の対象として対応してほしい、こういうことを言っておきます。  例えば、ファクシミリ五台買わなければ百万円以上にならない、こういうことで五台も買わなくても済むように配慮していかなくちゃならぬだろうと思いますし、それから、冷房にしても暖房にしてもそうなんですが、取りつけ料、器具備品その他の細かいものを含むのか含まないのか、これもまたいろいろな解釈が生まれてくるわけですから、その辺を対応に過ちなきことを期待して、時間の関係がありますから、次の問題に参ります。  扶養控除についてひとつ先に確認しておきますが、今度十六歳になった人から、年間ですね、これは暦年の中で十六歳から、その暦年の中に生年月日を迎えた者はその年の控除対象に入る、同時にまた、二十二歳というのがその暦年の中に誕生日を迎えた人はそれをもって打ち切られる、こういうふうに解釈していいですか。
  39. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 従来から、こういった年齢要件を伴いますものにつきましては、措置のルールをきちっとしておきませんとややこしくなるものでございますから、多くそうでございますけれども、一定の時点を切りまして、その時点においてどうであるかということで判定いたしますが、この制度の場合、年齢十六歳とか二十二歳とか申しますものは、その年の十二月の末の時点でそうあるかどうかということで峻別しております。
  40. 沢田広

    沢田委員 その言っているのも同じことです。だから、十二月三十日に子供が生まれれば、また五十万円控除があるということで払い戻しになる、こういうこと、同じですね。扶養家族が一人生まれるわけですから、三十五万なら三十五万にして、それで控除する、そういう意味ですね。それは同意見のようです。  続いて、これは専従というよりも専業の奥さんだけやっている方と共稼ぎをやっている人との関係、これは大臣にちょっと聞いてもらいたいのですが、専従主婦というのは、三十五万の三十五万、七十万がなるわけですね。勤めている人は、結果的にはそこで二百万なり三百万収入があれば、これは全然上がってこないわけですね。だけれども、家事だとか子供の世話だとか、そういうものは専従主婦と変わらないのです。だから、せめて半分ぐらいはやはりそうしなければならぬ社会環境が、今日また婦人にもその地位を与えているわけですから、働かない人の方が優遇されて、働いて共稼ぎで苦労している人の方が税金が重くなるというのも、これもどうかな。  だから、せめて家事に携わる分として十五万なり、これは偉い人ばかり大蔵省にいるから、みんな奥さんを働かせていないでうちに置いておくからこういう発想が出てきたのじゃないかなと邪推するわけじゃないけれども、そう思う。共稼ぎで働いている者の苦労というのは、だんなさんも大変苦労するんですよね。だから、十五万なり二十万ぐらいの専従控除は加算されても、今きょう回答を求めようとは思いません、これも。しかし、やはり働いている者は大変な苦労をしているんだということを理解してもらって、専従の奥さんが七十万の控除があって、片っ方はないんだということには一考を要すべきではないのかということを、これは大臣、もし気があったらお答えいただきたいし、気がなかったらしょうがないですが、若干考慮する今後検討課題じゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  41. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 今の事実関係と申しますか、この制度が導入されましたときの論議というものだけ、ちょっと思い起こしていただきますための御説明で恐縮でございますが、なぜ今のような配偶者特別控除が生まれたかということなんでございます。  そもそも事業所得者の家庭の場合には、奥様が例えば青色の専従者給与を受けておりますような場合には、その奥さんへの所得分与を通じまして負担の緩和を図ることができるという事実がございます。一般のサラリーマンの家庭の場合には、その奥さんは、一日じゅううちにいるといたしましても、やはりその御主人の所得の稼得に相応の貢献をしておるはずである、その間のバランスは旧来のままでよかったのかということが議論の出発点としてございました。  そこへもう一つパートの問題というものが加わりまして、ちょっと稼ぎに行く、しかし大部分の時間はうちで過ごしておるというような人たちに対しましても、手を差し伸べるべきだという強い論議がございました。こういうことから、今のような制度が案出されたわけでございますけれども、もともと沢田先生の御指摘は、その共稼ぎの場合が気の毒じゃないかというお話のように伺いました。  確かにそれは共稼ぎの場合につきましても十分なことが手当てされなければ、つまりバランスをとった手当てがされていなければおかしいということにはもちろんなるんだろうと思いますけれども、共稼ぎの場合というのは、この論議に関します限り、既にその御主人も配偶者もそれぞれ独立の所得者でございまして、独立の所得者であります意味は、それぞれに控除を受けておる、基礎控除のほかに給与所得控除というものを受けておる。その控除が十分に行き渡っているといいますか、当時一般の家庭の主婦の立場から見まして、そういう共稼ぎ世帯に対して家庭の主婦はいかがであろうかということが議論の出発点であったということだけ御報告申し上げておきたいと思います。
  42. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今沢田議員からお話がありました夫婦の問題というのは、私は、なかなか難しい。共稼ぎの方をなにしようということになると、パート減税という形でいろいろとやってきました。長い間かかっていろいろとやってきたわけでありますが、それだと、今度は専業主婦の方をどうするかという問題がまた出てくる。だんだんこういうふうな形になってくるわけでありますが、一体どこでどういうふうにしてやったらいいのかというのは、私は考えていかなければならない問題だろうと思うのです。  本来、個人個人が税金を払うという形にするのか、先ほど来お話がありましたが、世帯として税金を払うのかという基本問題まであるのだろう、私はこう思います。私も党の税制調査会におりましていろいろと長いこと議論してきましたけれども、ここはやはり今の制度で、世帯で税金を払うという方が望ましいだろう。一人一人で払うよりは、やはり世帯で払うのが日本の風俗、習慣に合うのじゃないかなという感じを持っておるわけです。そうしますと、今のようなことをどういう形で調整していくのかというのが基本的な問題ではないだろうかと私は思っておるところであります。  最後になりましたけれども、ちょっと沢田先生に、きょうは時間、いろいろな点で御配慮いただきましたことをお礼申し上げますし、また、予算委員会が大変おくれてまいったのですが、それにもかかわらず、皆さん方夜遅くまで熱心に御審議をいただきますことを改めてお礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
  43. 沢田広

    沢田委員 では、本題に、本題にというか、大臣が若干遅くなるということを前提として今までやったわけです。これらの今度提案されたものも、野党の皆さん方に大変お骨折りをいただいて、私も野党なのですが、お骨折りをいただいて一応できたことですから、一つの前進だと見ることは可能だと思います。  しかし、根本的な減税の問題がさておかれているわけでありまして、ここらは大臣もどういうふうに受けとめていますか。経団連も減税と言うし、一般の庶民も減税と言うし、税制会長あたりも減税と言う。しかし、これは財源がなければできないことですが、税制そのもの、全部を見直して減税をしていくということがやはり当面の急務、世論の一つだと思うのですね。大臣はその点、どういうふうに受けとめておられますか。
  44. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 実はきょう、予算委員会をやっておりましたら、予算委員長から私のところにも、三党からの共同提案だ、こういうことで減税のお話をいただきました。三党からのお話でございますから、三党と自民党の協議でいろいろとやっておられます。私どもは、その行方を見守っていきたい、こう思っておりますし、一般の方からも、連合であるとか経済界の団体であるとか、いろいろなところからそういった御要望が出ております。  なぜそういうことになるかといえば、日本の景気を持続的な上昇過程に持っていかなければならない、こういう気持ちでやっておられるのだろうと私は思うのです。むやみやたらに、自分の給料の中から税金を払いたくない、こういう話ではない。やはり全体としての景気をどうやってよくしていくか、こういうことだろうと思いますが、そういった景気をよくするためには所得税減税ということになりますと、私はどうしても首をかしげざるを得ない。  たびたび申し上げて恐縮でございますけれども、所得税減税の効果と公共事業の効果を対比するならば、やはり公共事業のいろいろな仕事をして、それによって景気を刺激していく方がより効果があるであろう。それから、委員指摘のとおり、大きな赤字国債でやるような所得税減税はやはりやるべきでないではないか。また、税の体系全体としても、こういうふうな形で所得税減税、特に一時的な減税というような話になりますと、税全体の体系を乱すものになる。やるならば、やはり基本的な問題に立ち返っていろいろと議論をしてやらなければならないのじゃないかなという問題がある。いろいろな問題を抱えているということを改めて申し上げておきたいと思っております。
  45. 沢田広

    沢田委員 今、医療、年金それから国債、この三つが今後日本の財政を考えていく場合に相当な重荷になっていくことは明らかなのですね。医療費も二十四、五兆円になってきている。年金も二十三、四兆円になっている。国債償還も、近く二百兆になるでしょうから、これも二十何兆円になっていく。こういう状況は必至なのです。選挙をやるものだから次の、来年なり再来年の展望を隠していくということは政治家として恥ずべきだと思うのですね。我々もそうだと思うのです。これは何も政府だけに言わせて我々は逃げて通るというわけにはいかない。そういう時代が来ることはみんなわかっている。  だから、その中でどういう財源を求めて、日本の政治の正常な発展というものを、国民生活をどうやったら守ることができるのかということに対して、私は、こういう討論をやっていったらいいのじゃないかと思うのです。これはやはり本音で議論していくことが必要だと思うのです。そういう形において、これからどうやったって年金も大変なんだ、それから、これだけまた予算を組めば、それだけ今度は借金を返していかなければならない、医療費もどんどんふえていく。こういうことに対してどう思うのか、これをやはり率直にお互いが議論していくという姿勢を持たなければいけない。これも反対、これも反対と言っているだけでは済まない。  では、どこを減らすか。行政改革も必要でしょう。また、どういう財源をそこへ持ってくるかということがこれからの議論になっていく必要があると思いますので、そういう点について、まず基本的な問題ですから大臣からお答えをいただきたいと思います。
  46. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 沢田委員指摘のとおり、まさにこれからの財政を組むに当たりまして大きな問題は、今御指摘のようなことだろうと思います。百八十四兆円にも上る累積した国債を抱えている。これをどうするかというのは大変なことでございますし、これからこの公債残高がさらにふえることをどう抑えていくかというのは一つの問題でありますし、財政体質の改善を図っていくということは非常に大切なことであります。財政改革の基本方針というのを私たちの方で出してやっておりますけれども、なかなかそのとおりにいかないということについて歯ぎしりをしながらやっているというのが実情だと私は思っているところであります。  それから、第二の問題の年金でございますけれども、年金につきましては、五年ごとの財政再計算という問題がございます。特に年金につきましては、平成七年度でしたか、年金財政の一元化という問題がありますし、そういったものを含めまして、これからどういう形で年金を組んでいくのかということを考えていかなければならない時期に来ているのだろう、私はこう思っているところでございます。  また、医療保険につきましても、たしかことしの推定が二十三兆円だと、もしも数字が間違っておりましたならば訂正させていただきますけれども、二十三兆円ぐらいになる。私が厚生大臣をやっておりましたときには十一兆か十二兆だったのですね。八年ぐらいで倍になってしまったわけです。  どこが多くなってきているかというと、やはり老人医療費が非常にふえてきていることも事実である。そうすると、高齢化社会について、いわゆる年金の負担をどうするかという問題と同時に、医療の負担というのは大変なものだろう、私はこう思うのです。これをどうやっていくかということをやはり考えておかなければならない。安易に税金で負担をするということにするのか。それはなかなかできないから、では保険料で負担をするのか。保険料で負担をするならば、ふえるところの保険料を老人にというわけになかなかいかないだろう、こんなようなこともあるだろうと思います。  いずれにいたしましても、そういった問題は私たちも本当に真剣に取り組んでいかなければならない問題だろうと思いますし、私は、与野党で活発な議論をしていただいて、フランクに話をしていかなければいかぬのじゃないかな、こう思っていることを改めて申し上げておきたいと思います。
  47. 沢田広

    沢田委員 時間が非常に迫ってきたのですが、一つ抜けたものがありましたからちょっと追加します。  これも今度配慮していただく従業員の旅行の四泊五日なんでありますが、これは運輸関係みたいな三交代、運転関係をやっている者などを考えていきますと、細切りにならざるを得ないと思うのですね。もちろん一つの団体を組んで全部みんな行ってしまうわけにはいかないわけでありますから、当然細切りになるので、こういう制度についてはへ後になってこれはおまえだめよといってやられると、経理上大変困るわけですね。  ですから、四泊五日とふやしたのなら、二泊三日、二泊、二泊であっても、それを何組かに分けて、一人というのはだめらしいですけれども、何組かに分けて行使することは支障ない、この点だけ確認しておきたいのですが、いかがですか。
  48. 松川隆志

    ○松川政府委員 従業員レクリエーション旅行に関する非課税要件でございます。これは、通達で参加する従業員の数が全従業員数の五〇%以上であることという要件がございます。ただ、これは実施するに当たりまして、工場単位あるいは支店単位で実施するなど、単位ごとに判定するということになっております。  それで、御質問のように、交代勤務制の職場で勤務の都合によりまして班単位で分かれて実施されるというものでありましても、それがいわゆる私的なグループ旅行ということではなくて、あくまでも職場のレクリエーション旅行であるということであれば、非課税要件を満たすものというふうに考えております。
  49. 沢田広

    沢田委員 ここでくどくどはまた言いませんが、とにかく上司の命令によって何班かに分かれてするということは可能である、そう解していいですね。じゃ、そのとおり解します。  それで大臣、また戻りますが、今度の補正をして景気の今の状況をどう把握するかというのが一つあるのですよね。この予算なりを考えたときの時点と現時点とには相当ずれが来ていると思うのですね。それで、今度のこの補正と今の状況というものに狂いはないのか、若干これはオーバーになり過ぎないか、一つ疑問です。  それから、土地の取得を必要とするものについて、私はあえてどの程度の予算が土地の取得を必要とするものがあるかということを実はレクチャーのときにお聞きをしたわけです。そうなると、成田じゃないけれども、それは相当時間がかかりますね。三年、四年どころじゃないですね。今の景気に間に合わないだろうと思う。そういうものはどの程度の割合で持っているんですか、こういうふうに聞きました。  ですから、今度の補正と景気がどういう効果をあらわすのかというのを、時間の関係がありますけれども、通産、経済企画庁、これは労働はまた別なんですか、大蔵、それぞれひとつお答えいただきたい。
  50. 筑紫勝麿

    ○筑紫説明員 お答え申し上げます。  今年度の経済見通しいかんという御質問でございますが、まず現状認識につきまして、最初に先生から御質問がございましたとおり、四月の十三日の対策を決めた時点と現在とでは確かに景気の回復の兆しというものが徐々に明らかになってきておるというような違いはあろうかと思います。  ただ、基本的には我が国経済はなお調整過程にございまして、低迷している。ただ、先ほど申しましたような、一部に回復の兆しを示す動きがあらわれてきているという状況であろうかと思います。この点につきましては、五月の月例経済報告でもお示ししておるとおりでございます。  政府といたしましては、御承知のとおり、昨年三月の緊急経済対策、それから八月の総合経済対策に続きまして、景気に配慮した五年度予算を編成して既にこれらを実行に移しておるところでございますが、景気の足取りを確実なものとするために、今般これに加えまして、総規模十三兆円を上回る総合的な経済対策を講ずることとしたところでございます。現在、予算委員会で御審議をいただいているところでございます。  こうしたことによりまして、今後の経済の全般的な流れでございますが、公共投資が既に回復の動きが続いております住宅投資と相まって景気を支える、こうした中で個人消費や設備投資も回復に向かい、我が国経済は内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路というものに円滑に移行していくものというふうに確信をしております。  以上でございます。
  51. 高橋晴樹

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  通産省も、基本的には経済企画庁と同じような景気の現状の把握でございますが、御案内のように、在庫調整が進展いたしましたり住宅着工が増加する、また株価が二万円を上回るなど、一部に景気の回復の兆しを示す動きが徐々にあらわれてきているわけでございます。  ただ、三月の自動車販売が非常に伸びだと言われましたけれども、逆に四月の自動車販売が決算対策の反動ということから一〇%近く減少いたしましたり、また鉱工業生産の予測指数を見ましても四月、五月はマイナスになるというようなことを予想しているわけでございます。したがいまして、一部にはそのような動きがございますが、回復に向けた動きが長続きするのかどうかということは慎重に見ていかないといけないのではないかと思います。  また、全体を見ますと、GNPの四分の三を占めております個人消費また設備投資の低迷が依然として続いてございます。また、今般の急激な円高というものがございまして、これが輸出企業の円手取りの減少または輸出数量の減少を招く懸念がございますので、そういう意味では底をはっているような状況ではないかというふうに思っているところでございます。  こういうような状況で四月十三日に新総合経済対策を決定したところでございまして、これらに関連いたします予算、税等の御審議をいただいておるところでございまして、私ども通産省といたしましても、早期成立を目指してお願いをいたしたいということでございます。  以上でございます。
  52. 日高壮平

    ○日高政府委員 ただいま経済企画庁から御答弁がございましたように、基本的な経済情勢、現状分析あるいは今後の見通しについて、私どもも大体同じような考え方でおるわけでございます。  今回の対策は、昨年の十兆七千億円に及ぶ経済対策あるいは景気に配慮した当初予算、これは二十二年ぶりに年度内成立をさせていただきまして現実に動き出しているわけでございますが、これに加えて、今回の対策が切れ目なく執行されることによりまして年度前半の我が国の景気を支える、同時に年間を通じまして経済の活性化に役立っていくだろうというふうに思っているわけでございます。したがいまして、今回の対策によって景気が過熱するような状況にはないであろう、むしろ我が国のインフレなき持続的な成長に向けて必要なものであるというふうに考えているわけでございます。
  53. 沢田広

    沢田委員 時間の関係で本当に簡潔になりますが、これは日本経済新聞の月曜日に出る指標で見て言っているわけですが、どこの分野をどの程度の水準に引き上げたいというのか、具体的にひとつ。「エコノミスト」にもそれぞれ指標が載っておりますね。特に、これは、労働省にも来てもらっておりますが、もし言うならば、有効求人倍率が〇・八八ということですから、完全失業者の数はそう変わらないのですね。ほとんど変わっていないのです。だから、職業の選択の場所がそれぞれの個人にうまく当てはまっていっていないということだと思うのです。  今言われましたが、GNPにしても四百七十一兆円だし、あるいはまた住宅も十二万戸ベースですね、百四十万ベースにいっているのですね。だから、去年のバブルの状況と比較して悪いということだけで議論はできないと思うのですが、その他を入れれば、マンションの契約率も、あるいは日銀券のマネーサプライも、あるいは完全失業者がややふえてますが、十万ぐらいふえてますが、企業倒産の数も横ばいたし、そういって、今度これによってどこをどういうふうに引き上げていきたいと願っているのか。  個人消費の問題としては、これは信用の問題が大きく、これは百貨店その他はもちろん悪いことはわかります。それから中小企業が金詰まりで厳しいこともこれはわかります、これは指標に出ていませんがわかります。しかし、どこをどういうふうにこれをしていきたいのか、具体的にひとつ言ってもらいたいと思うのですね。
  54. 筑紫勝麿

    ○筑紫政府委員 お答え申し上げます。  どのような形に経済を持っていこうとしているのかという御質問の趣旨であるというふうに理解をいたしましたが、その点につきましては、今回の対策の前文でも触れておるところでございますが、我が国経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路へ円滑に移行させるということが基本でございます。この点につきましては、平成五年度の経済見通しと経済運営の基本方針におきましても同じような考え方をとっておるわけでございます。  さて、それでは経済の現状を見まして、今後それをどのようにして実現していくのかということになるわけでございますが、これにつきましては、先ほども申し上げたことの若干の繰り返しもございますが、まず、五年度の前半におきましては公共投資、これは大変現在好調に増加を続けております。それと、先生御指摘ございました住宅投資がもう既に回復の動きが続いておりますが、この二つが五年度前半において景気を支える。こうした中で個人消費や設備投資が回復に向かいまして、五年度後半からは成長の主役が公共投資等から国内の民間需要に交代していくというようなことを私どもとしては見込んでおるところでございます。  もう少しこれを具体的に申し上げますと、これまでの政府の諸施策やその波及効果というものが民間部門の活力をも引き出しつつ、国内民間需要の伸びを高めまして、このような過程を通じて、先ほども申し上げましたような経済の内需中心のインフレなき持続可能な成長経路への円滑な移行というものが実現されるというふうに考えておるところでございます。
  55. 沢田広

    沢田委員 大体これで質問、時間的に無理がありますから、あと言いませんが、このままでいくと、やはりインフレ的な傾向を帯びてくるのじゃないのかという懸念なきにしもあらずでありまして、特にバブルのときに、一番悪いのは我慢をするということが失われていたと思うのですよ、バブルによって。ですから、今言った有効求人倍率なども職業の選択の自由というものの結果としてあらわれているのだと思うのです。  私は、その他これからも申し上げたいことがあったわけでありますけれども、やはりこういう時期に当たれば当たるほど真剣に対応していかなければならぬ。  だから、減税の問題も、今は四百七十兆ぐらいで、所得金額二百二十兆、五〇%ですね。それで、その五〇%が大体課税所得金額になるわけですね。その中で一五%、大体十四兆か十五兆円が税金になるわけです。ですから、年末に最低一割は、一兆四千億になりますが、今まで納めた税金の一割くらいは年末に返しても、これだけ若干オーバー的な予算を組んでいますから、今度はその分で調節がとれるのではないかと私は見通しを持ちます。ですから、その程度は思い切って、消費のというか内需ということを考えれば、やっても元が取れる、こういうふうに判断するのですね。今の状況で、今まで納めた税金の一〇%を皆さんに払い戻しをしても、これからの仕事の段階でその程度は取り戻すことができる。これはきょう返事は求められないと思いますが、その辺の減税は最低限度可能じゃないかというふうに思いますから、ぜひひとつ大臣も、ただだめだ、だめだじゃなくて、次の税制改革のときでなければだめだというのではなくて、考えていただきたい。  それから、釜石の倒産ですか、これは言うならば全くめちゃくちゃな経営だったということだと思うのですね。これは氷山の一角と見て考えるべきだと思うのです。やはり断固たる処置が必要だというふうに思います。だから、経営陣も含めて、こういう者がのうのうと歩かれたのでは世の中真っ暗でありますから、ぜひそういう点は大蔵省も毅然たる態度で対応していただくことを要望して、五十四分ですから九分くらい、大蔵大臣がおくれてきた分くらい取り返したつもりでありますが、一応以上で終わります。
  56. 藤井裕久

  57. 河上覃雄

    河上委員 予算委員会に引き続きまして大変御苦労さまでございますが、私は三十分でございますので、大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。  初めに、今もお話がありました所得税減税について、この際、大臣に御見解を伺いたいと思います。  与党の責任者であります梶山幹事長が、五年度予算の年度内成立を前提といたしまして、所得税減税については前向きに検討する、こう公約をいたしました。公党間の約束事でございますので、その発言は極めて重たいわけでございます。しかし、四月十三日の総合経済対策等に所得税減税は盛り込まれておりません。補正予算にも計上しなかったわけでございます。  私は、与党・政府は一体である、その意味から責任も重い、このように考えておりますが、いま一度所得減税に対します大臣の現段階における御見解を改めてお尋ねをしておきたい、このように思います。
  58. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 河上議員からの御質問にお答え申し上げますが、御指摘のように、平成五年度の予算の衆議院通過に当たりまして四党間でお話し合いがありました。先ほどお話がありましたように、梶山幹事長から前向きに所得税減税について検討するというお話を口頭でしているということは、私も知っております。  その後、五月十七日にまた三党と我が党の方との話し合いがございましたが、そのときには梶山幹事長から、その後状態が随分変わってきた、それまでの減税をやる必要があるのかなとうかなというようなニュアンスの話もございましたし、またそのときに、社会党、公明党、民社党の方からはなお所得税減税をというような話がありまして、その話がまだ物別れになっておる。私は、与野党間の認識は大ざっぱに申しましてそういったことでありまして、なお依然として国会が続いておりますから、この国会最後までいろいろと話をしていこうというのが私は今の与野党間のお話し合いじゃないかな、こう思っております。  この与野党間のお話は公党間の話でありますから、私もそれは十分に注意深く見守っていくべきものであろう、こう思っておるところでありますし、行政の立場としては、特に国会での御議論は十分に配慮していかなければならない。予算というのは何といっても国会でお決めになるのが建前でございますし、法律と同じように国会でお決めになる、その国会での交渉をされるのは公党の話でありますから、それは我々としても十分に尊重してやらなければならないものだろうと思っているところでございます。  ただ、私は今思いますのに、所得税減税についてどうか、こういうふうにお話があれば、私としては、景気対策としての効果には疑問があるほか、巨額の財源を必要とするようなものについては、一体果たしてやるべきものかどうか。特に、赤字国債を財源としてやるということについては、せっかく赤字国債というものをなくするというような形でやってきたその段階におきまして、また赤字国債に戻るというような話は、やはりやるべきでないだろう。これは、恐らく与野党を問わず皆さん思っておられるところだろう、こう思うわけであります。  さらには、税制全体についてどう考えるかという点が考えなくてはならない点だろう、こう私は思っておりまして、克服すべき点が多々あるだろう、こういうふうに思っておるところでございます。  お帰りになりましたけれども、沢田さんからさっきお話がありまして、じゃ、これだけ相当に景気がよくなる、少し景気対策で十三兆二千億も出してやったならば景気がよくなり過ぎるんじゃないか、またバブルになるんじゃないか、バブルになったならばそこで税収が上がってと、こういうふうに言わんばかりのようなお話がありましたが、私は、それまでのことはなかなかない。むしろ私は、景気はなだらかな形で上っていくということが必要であると思いますし、我慢ということがさっきもお話がありました。  経済というものを運営していくときに、一獲千金を夢見てやるというようなことを考える経済、バブル経済みたいな形のものを余り目指すべきでないだろう、こう私は思っておるところでありまして、堅実に額に汗して働いている人が本当にいい目ができる、やはりそういったような社会体制というものを私たちはつくっていくことが必要じゃないかな。営々として努力をしていくような社会というものをやっていくことが必要であろうな、こう思っておるところでありまして、所得税減税につきましても、先ほど申しましたような観点からいたしまして、私はなかなか問題があるところだなということを改めて申し上げておきたいと思います。
  59. 河上覃雄

    河上委員 極めて青臭いことを申し上げて恐縮なんですが、約束を守るというのはすべての基本だと私は思いますし、ある意味では政治以前の問題であろう。約束事をほごにして平然としていられるような神経は疑わざるを得ないわけでありまして、それでもだまされた方がばかだと言えば言えなくもないわけですが、果たしてだました方が勝ちなのか、だまされた方が負けなのか、こんな議論では、信義などを重んずる必要は全くなくなってしまうのではないか。  その意味では、非常にそら恐ろしい気持ちもするわけでございまして、公党間の約束、前向きに検討をする、この一言は重いと申し上げましたが、私は、この前向き検討、しっかりと何らかの形で実現すべきであろうと思いますし、「前向き」というのは、「進むべき方向に向かうこと。」と書いてございましたし、「物事への対し方が、積極的・発展的であること。」これが広辞苑の前向きの意味でございまして、どうも政治の場では前向きも全く広辞苑の意味とは違ってしまうのかな、こんな思いすら今抱いているわけでございます。  どこから見ても前向きではなくて、どこから見ても全く後ろ向きの発言にしかとらえられないわけでございますが、大臣も、五月十七日の与野党幹事長・書記長会談で所得税減税に、ただいまお話がありましたような否定的な見解を示された梶山幹事長の発言を踏まえて、翌十八日閣議後の記者会見で、与野党間の協議が終わり、所得税減税をしないことで合意したわけではない、今後の推移を見守る、このように発言をなさっておりますし、ただいまも見守りたい、国会は終わったわけではないので、こういうお話をいただきました。  ある意味では、いろいろな背景があるとは思いますが、大蔵大臣の御発言、言外に含みを残されているのかな、こういうことも私は想像するわけでございますが、今後の景気の動向いかんによって与野党の合意、所得税減税についての合意の余地はあるのかないのか、どうお考えなのか、いま一度大臣の見解を求めたいと思います。
  60. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 合意の話ができるかどうかというのは、実は先ほども申しておりますように、国会でのお話でもございますから、私が国会でどういうふうな話ができますでございましょうなどということを申し上げるのはちょっとおこがましい話でございまして、先ほど先生、何か男女の仲のことに触れられたようなお話をされたのでありますが、だました方が悪いのかだまされた方がどうだとかなんとかというようなお話がございましたけれども、国会の中というのは、やはりお互いが非常に親密な関係にあるわけでございますから、その親密な関係の中でどういうふうにしてやっていくかというのを考えていかなくちゃならないので、私が余りそんな親密な関係の中に出ていくのはどうかなというので、この際は答弁を控えさせていただきたい、こう思っております。
  61. 河上覃雄

    河上委員 大臣、所得税減税に幾つか後ろ向きからの御発言、分析がございました。所得税減税税制全体についての方向性の上から考える、こういう御発言がございました。今お伺いいたしまして、大蔵省としては所得税減税には徹底抗戦の構え、どうもそのように聞こえます。この問題ではポル・ポト派のようにも思うわけでございますが。  私は、今の発言の中で、所得税減税税制の抜本改革の中で今後検討すべきものだ、こうとらえるのならば、この点について総理もいろいろな意味で同じ、抜本的改革の上から検討する、こういう意向を表明なさっております。  この税制の抜本改革の実施という抜本改革の、では中身というのは一体何なんだろうか。何をどうするお考えなのか。この抜本改革の中身というものについて、大臣の見解をお尋ねしておきたいと思っております。
  62. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 抜本改革というのは、まさに抜本的な改革だ、こういうふうに思っておりますが、現時点で申し上げますと、抜本改革のことをいろいろな方が言っておられますけれども、言っておられる方によりましてそれぞれ意味が違うと私は思います。  ただ私は、解釈いたしますのに、所得税減税の問題というのは、税制全体の検討の中で財源との関係も含めまして位置づけられるべきものではないだろうかな、こう思っておるところでございます。  それから、税制全体の検討の中でと、こういうことを申し上げましたけれども、私は財政を預かる者といたしまして、もう一つ言うなれば、租税及び社会保障負担、こういうふうなことがあります。そういった要するに公的資金と私的な資金、四公六民、こういうようなことを昔言ったということがありますけれども、やはりそういったような全体の中でどういうふうなことを考えていくかということも私たちの頭の中に置いて考えていかなければならない問題だろうと思っております。  社会保障負担の問題というのは、医療の問題であるとか年金の問題であるとか、そういったようなものというのは、やはり私たちがこれから高齢化社会に対してどうしても考えていかなくちゃならないような問題でありましょうから、そういったものも頭に置きながらいろいろなことを考えていくことが必要じゃないだろうかな、こう思っておるところでございます。
  63. 河上覃雄

    河上委員 抜本改革、いろいろ見解があるとおっしゃいました。総理も昨年、六十二年、六十三年の抜本税制改革のときの所得税の見直し、これでは不十分である、所得税の税率の刻み等を、五段階をさらに小さくする、こういう予算委員会でのお話もありました。こういうお話があるわけでございますが、その意味から、では抜本改革の理念というのは一体何なのか、何のために改革をしなければならないと認識なさっているのか、この点についても大臣の御見解を賜りたいと思っております。
  64. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 所得税の税率の刻みを、昔は十五段階ありましたものを、先般の抜本税制改革のときに五段階までにしたわけでございます。そうした意味でこの前には相当大きな改革をやりましたけれども、総理が言っておられますのは、特にサラリーマンの上の方のところにつきましてやり残した問題がある、こう言っておられますが、確かにそこも一つの問題であろうということでありますし、恐らく総理が考えておられますのは、この段階での刻みの問題をどうしたらいいのか、それから、毎年やはり給与所得というのは上がっていくわけでありますから、上がってきてもう何年かたっていくとそこがネックになってくるのではないかなということを頭に置いていろいろなことを言っておられるのだろう、こう思っておるところであります。  ただ、私は思いますのに、日本所得税世界の中で課税最低限が一番高い、最低限は非常に高いわけでございますし、それから、中所得者層の税負担というのは低いところであります。ただし、高額所得者につきましては最高税率は非常に高いところにある、累進税率が非常に高く急カーブになっておるところでございまして、依然として累進性を持っているところであります。  こうしたことにおきまして、日本の所得階層の中で、どういったところの方に税負担をどういうふうな形で設けていくか、また中堅層が、先ほど申しましたように給与所得者である、それがあるところまで行きますと非常に税負担がふえる、こういうふうな点についても考えていかなければならない問題があるだろうと私は思います。  ただ、これは具体的に今、ここをこう直したらどうだとか、あそこをこうしたらどうだとかということについて、具体的な点につきまして私が考え方を持っておるわけではありませんので、いろいろな問題があるということを私は申し上げ、またそういった問題をやはり解決するために抜本的なことをやっていかなければならないだろうということを申し上げたところでございます。
  65. 河上覃雄

    河上委員 もう一点、この抜本改革は増収が目的の抜本改革になるのか、それとも所得税を中心とした減税が目的となる抜本改革なのか、これから具体論というものが出てくるわけでございますが、この点についてどうお考えになりますでしょうか。
  66. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 抜本改革につきましてのお尋ねでございますけれども、近年、既に政府は抜本改革を進めてきたわけでございまして、例えば六十一年の十月に税制抜本的見直しに関する政府税制調査会の答申がございましたし、六十三年の六月にも税制改革についての答申がございました。これらに盛り込まれました基本的考え方に沿いまして進められてきた一連の改革、その基本的考え方自体を今変革すべきであるという認識を持っておるわけではございません。  もちろん、しかし税制は、そのときどきに応じた個々の改正内容の妥当性に加えまして、一つのシステムでございますので、体系として整合的であるか、あるいはよく申します所得、消費、資産、そういった課税の均衡といった観点から適正であるか、経済社会情勢が変わりますにつれまして、その上に乗っかっておる体系としてそれでいいのかという吟味は常に必要とされておるというふうに認識しておるといいますことが一つ。  それから、この言葉で思いますことは、どこか一部をつかまえまして部分的な手直しをしていただく、つまり部分解を求めていただきました場合に、それが全体解、全体としての適合性という点からしまして至当なものであるかどうかということが甚だ問題でありまして、部分的には非常に適正なバランスがとれても全体から見るとかえって全体をゆがめてしまうという問題もある、そういう着眼のもとに、全体として進めていかなければならない問題だという認識を強く持っておるわけでございます。  したがいまして、だからといって、今どこがどうという、個別具体的な税目ごとにそのことにつきましての問題を提起しておるということではございません。
  67. 河上覃雄

    河上委員 大臣、もう一点だけ所得税減税について御見解をお伺いしたいわけですが、政府税調会長の加藤さんが、「二兆円程度所得税減税なら乗り切れる感じがしないわけではない」、こういう発言をつい先日なさいました。これに対してどんな御感想をお持ちでしょうか。
  68. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 この前税制調査会がありまして、それは今回お願いをしております租税特別措置法の一部を改正する法律案内容について総会に御報告をした後でございまして、総会のときにはもちろんこの法案の内容につきましては御了承いただきましたけれども、総会でございまして、いろいろな御意見が出た、そういったことを踏まえて加藤さんがお話になったものだろう、こう思っています。特に総会でどうこうしようとかなんとかという話ではなかった、こういうことでございます。  加藤さんの御発言は、五兆円減税なら消費税率の上げが必要だ、二兆減税ならば消費税でなくてもいいのだ、こういうふうな話が新聞に出ておりましたのですが、事務当局に加藤先生の御意向を確かめさせましたら、何兆円というのはいろいろな意見があることを証明したための、いわば言葉のあやないし比喩でありまして、具体的な改正案を頭に置いて五兆円ならば消費税をどうかという話ではなかったようであります。したがって、数字には何の根拠もない。  いずれにしても、適切な代替財源を確保することなしに減税を実施することは困難である、これは当然の話といえば当然の話ですが、事務当局に確かめさせましたら、それはそういうふうな返事が返ってきたということでございます。私も加藤さん、考えられますならば、常識的な話をされたのかなと。恐らくいろいろな議論がここであったのだろうと思います。  実を言いますと、税制調査会の始まる前に、私のところにも調査会の委員の方で何人か来られまして、この話をするよとかいう話がありました。私も、はいはいと聞いておりましたけれども、いろいろそんな話が出たのかなということでございます。何もしないというわけにもいかぬのだろうな、税制調査会は、こういうふうなこともあったようでございます。
  69. 河上覃雄

    河上委員 もう大分時間がなくなってまいりましたが、それでは一点だけ租特について確認をしておきたいと思います。  住宅取得促進税制の拡充の件に関しまして、この改正案は、住宅取得、住宅の増改築、今度はマンションのリフォーム等を促進する、内需拡大に寄与するもの、こうなっているわけでございますが、今回の改正案によります効果についてはどの程度と見込んでいらっしゃるのか、この点確認をしておきたいと思います。
  70. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 今回、住宅取得促進税制の拡充が行われることになりますれば、民間投資の中でも需要喚起のすそ野の広い住宅という分野におきまして、他方の住宅金融公庫融資枠の拡大等の措置と相まちまして相当の内需拡大に資するものと私どもは期待しております。  ただ、これを定量的にあらわせというお尋ねであるといたしますと、これはなかなか難しい問題だと思います。総合経済対策の事業規模を十三兆何がしと算定いたしてお示しもいたしましたけれども、あの場合でも、税制上の措置につきましては、減税による減収額は計算いたしましたけれども、減収額以上のものを特段、計算をしてお示しすることはできませんでしたし、お示しもいたしませんでした。  ただ、せっかくのお尋ねでございますので、お許しをいただきまして付言させていただきますと、建設省の試算といたしまして、仮に減税分が当該借り入れをされます方の利子負担をそれだけ減ずるというふうに想定いたしまして、その利子の減少によって誘発されます住宅着工の増加規模、これに平均的な建設費を乗ずるなどの方法によりまして計算いたしました場合、そういった場合の一つの想定でございますけれども、おおむね六千億円程度住宅投資誘発効果があるのではないかという試算もございます。
  71. 河上覃雄

    河上委員 もう一点。民間設備投資促進のための措置が図られることになっておりますが、この措置によりまして促進される民間設備投資の経済への波及効果、これもどの程度お見込みなのか。  そして、あわせてもう一点。設備投資減税は一年限りの措置、このようにされておるわけでございますが、将来の事業計画を踏まえまして設備投資を行うとするならば、一年間の措置は短いような気もいたします。一年間と設定されました根拠は何なのか。この二点について御質問をいたしまして、終わりたいと思います。
  72. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 今回、設備投資減税の拡充といたしまして、一つは、中小企業者の機械特別償却制度というものを大幅に拡充いたしましたこと、いま一つが、事業の省力化合理化に著しく資する機械につきまして新しい投資促進税制を設けさせていただく、この二点がございますわけですけれども、今回の措置対象となります設備の投資規模、通産省によりますと、直接その対象となります設備のほかに、それに付随しまして購入されると見込まれます設備も加えましたところで、おおよそ二兆五千億円程度と見込まれるという試算がございます。さらに、その波及効果がこれにつけ加わりますと、相当の規模になるということが考えられます。  ただ、ここで申し上げます数字は、その当該設備を新しく付加することによってどれくらいの効果が生ずるかという計算をしたかったわけでございますけれども、計算の手法として限界がございまして、対象となります機械そのものが全体としてどれくらい新規に投資されるかという計算でございますので、この特別措置によりましてどの分だけがプラスされたかという、そのプラス効果を切り離して御説明できているものではないということをおわび申し上げておかなければいかぬと思います。  それから、もう一つのお尋ねでございますけれども、一年間の時限措置としたのはなぜかというお尋ねでございますが、私どもの今回目指しましたものはあくまでも景気対策としての措置でございまして、期限を区切ることによって対象設備の取得促進の実を上げ、景気対策としての効果を実現するためにこのような方法が望ましい、適当であると考えた次第でございます。
  73. 河上覃雄

    河上委員 終わります。
  74. 藤井裕久

  75. 正森成二

    ○正森委員 きょうは租税特別措置法についての審議でございますが、極めて珍しいことかもしれませんが、今回の三ないし四点の政府提案については、額は小なりといえども中小企業や庶民に役立つ点が多いので、私どもは現在のところ、賛成することにしております。  それで、賛成する法案について、多少の瑕疵についてぎりぎり質問することもいかがかと思いますので、せっかく主税局長が気合いを入れて来ておられるのですが、またの機会にさせていただいて、大臣、また恐れ入りますが、きょうは国税庁に対して、主税局の今度の提案はよかったのですが、国税庁の税務行政が甚だよろしくないという点がありますので、その点について質問をさせていただきたいと思います。  国税庁、来ていますか。課税部長が来ていますね。それでは、短い時間ですが、伺わせていただきます。  二年前の一月三十一日に東京地裁の民事二部で、荒川におられる、印刷業を営む春日さんという方に対して荒川税務署長が行った処分について、これを全面的に取り消すという判決を下しました。その後、ことしの二月九日に東京高裁の第十四民事部は、荒川税務署長の控訴を棄却するという判決を下して、いずれも税務署側が敗訴になったわけであります。  この事件は、お聞きの方にごく簡単に御説明申し上げますと、税務署が税務調査を行うということをやったのですが、そこにこの方の加盟しておられる民主商工会の事務局員が一名ないし二名立ち会っておるということで、そのうちの一名は帳面の記帳を手伝った者だったのですが、この立ち会いを排除せよ、立会者がいる限りは帳面を見ないという態度をとりまして、それだけならいいのですが、その後、帳面を机の上に置いて、見てください、こう言っているのに、立会人がいるから見てやらない。  しかも、そういうように立会人がいるということは、所得税法百五十条に、帳面というのは常に記帳して、そして保存しなければならないという規定があるのですが、見せてもらえない、あるいは見ないわけですが、それは帳面がないのと同じだということで、この人は青色の承認を受けていたんですが、青色の承認を取り消す。青色の承認を取り消しますと、もちろん通常認められる人件費とかそういうものは全部否認されますから、したがって、更正、決定で税額を追徴するという処分をやったのですね。  それに対して裁判所は、いろいろいきさつはあっただろうが、帳面を前に出して見てくれと言っているのだから、もう少し努力すればちゃんとその存在を確認して見ることができたはずである、こういうことを言いまして、青色処分、これを取り消したのは違法であるということになりまして、青色を取り消したわけですから、人件費を認めないとか、いろいろそれに伴って当然起こってくる処分もまた違法であるということで、八年分の税務署側の更正、決定が一括して取り消されたという事件であります。  私はごく簡略に説明したのですが、大体そういうことに間違いありませんか。また、国税庁側と言ったら失礼ですが、荒川税務署長が敗訴したことは間違いないですか。
  76. 松川隆志

    ○松川政府委員 先生御指摘東京高裁平成五年二月九日の判決でございます。  本件は、税務調査において調査担当者が納税者本人に面接し帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず、原告が調査理由の開示、第三者の立ち会いを要求して、帳簿書類を提示しなかったとしてなされた青色申告承認の取り消し処分及び所得税の更正処分の適否が争われた事件でございます。  そして、この件について、判決は、ポイントといたしまして我々が承知しているところでは、青色申告者が正当な理由がないのに帳簿書類の提示を拒否し、税務署長においてその確認ができないときは青色申告承認の取り消し事由となる。ただ、本件の事実関係のもとにおきましては、二十分という短時間で調査を切り上げたことについては、それまでの調査の経緯からして無理からぬところもあるが、調査を継続しておれば帳簿書類の備えつけ等の確認ができたのではないかという疑いを否定できないとして、処分を取り消したものでございます。
  77. 正森成二

    ○正森委員 被害を僅少に見せようと思って随分省略した答弁をしましたが、青色処分の取り消しを判決が取り消しただけでなしに、八年分の更正、決定も全部取り消されたんでしょう。
  78. 松川隆志

    ○松川政府委員 御指摘のとおりであります。
  79. 正森成二

    ○正森委員 それで、珍しいことに、誇り高き日本の国税庁が、不服だといって上告もしなかったんでしょう。つまり、その高裁判決を認めたんでしょう。
  80. 松川隆志

    ○松川政府委員 帳簿書類の確認ができなかったという点につきましての国側の主張、いわゆる事実関係の主張でございますが、これが判決において認められなかったということでございます。  この事実関係の認否の当否につきましては、いわゆる上告理由に当たらないために上告を断念したわけでございます。
  81. 正森成二

    ○正森委員 これまたえらい負け惜しみで、昔のガダルカナルから敗退したのを転進だと言うたのと同じように、被害僅少に見せていますが、ともかく上告をしないで、判決に服さざるを得なかったんでしょう。  民事にしろ刑事にしろ、私は弁護士だからよく知っていますが、事実認定を争うということは上告理由にならないなんて言いますが、刑事の場合だったら事実認定で事実上最高裁に行きますし、民事だって事実認定に絡んで法律判断が行われるわけですから、かなわぬまでも上告するのは当然のことなんですね、普通はですよ。私は、何も済んでしまったことを上告せよとけしかけるんじゃなしに、上告しないで、敗訴が確定して本当によかったなと思っているんですが、上告しようと思ってもできないぐらい明々白々な事件だったから、上告しないで服したんでしょう。  私、ここに判決を持ってきましたから、一審、二審全部持ってきていますからね。だから、あなたがいろいろなことをおっしゃっても、全部わかっているんですが、この判決は、単に事実関係についてだけ認定したんじゃないんですよ。法律的な明白な判断をしているんですよ。  なかなかお認めにならないから、判決の一部を読んでみますと、この判決は、あなた方は帳簿書類の不提示ということで、あるいは納税者が調査に協力しなかったということで青色を取り消しておるけれども、そんなことは青色取り消し事由として明文では決まっておらないということを言って、法規上明文をもっては規定されていないこと、また青色申告承認取消処分が納税者に対して一定の不利益を課する処分であること等からすれ、ば、右のような取消事由の認定に当たっては、一定の慎重さが要求されるこういうように一定の法律判断をしているのです。その上で、事実認定とも関連して、納税義務者の帳簿書類の提示拒否の事実の有無は、一定の時点においてのみ判断されるべきものではなく、税務当局の行う調査の全過程を通じて、税務当局側が帳簿の備付け状況等を確認するために社会通念上当然に要求される程度の努力を行ったにもかかわらず、その確認を行うことが客観的にみてできなかったと考えられる場合に、右のような取消事由の存在が肯定されるものと考えるのが相当である。という一般論を言って、この一般論に当てはまらないということで敗訴したんですよ。  ですから、単に個々の、このときの税務署員、大分乱暴だったとみえて、机をどんどんとたたいてどなったとか、そういうこともあるようですが、そんなことだけを言っているんじゃなしに、こういう原則的な法律解釈の基準を言って、その上で本件事実はどうかということを判断して、そして青色承認の取り消しを逆に取り消す。したがって、また更正、決定を八年分全部さかのぼって取り消すというようなことをやったんですよ。  それに対して、あなた方が上告しようと思えばできたのに上告しなかったということは、参りましたということで、以後こういうような不当なやり方はやらないということを決めたからじゃないんですか。それとも、片々区々たる二十分間では不十分であったというのが、それは事実だからとか、そういうことですか。  これはある意味では、昭和四十九年に、あなた方にとっては勝訴と言われるような判決が下されまして、それから以後、相当裁判所で税務署寄りの判決が続いてきたわけですが、それを事実上流れを変える判例なんですよ。それに対して上告しなかったんでしょう。私は、判例の項目を全部持ってまいりましたけれども、一番初めの判決は松山地裁の昭和四十九年四月二十五日の判決ですね。それ以来、和歌山地裁の判決もあれば東京地裁の判決もあればいろいろあるということで、税務署側が認められてきた流れを変える判決がこの判決でしょう。  それに対してあなた方は上告しなかったんだから、こういう立会人が平穏におるというだけで調査をしない。そして、青色を取り消して更正、決定をするとか推計課税をするとか、そういうことについて重大な反省をしたということじゃないんですか。それともしてないんですか。してないんなら、そう言いなさい。きょうは、もう時間が残りわずかだと言ってきたから、今度六月二日にもう一遍一般質問をやれるそうだから、そのときにたっぷり聞かせてもらうから、言いたいことがあったら言いなさい。
  82. 松川隆志

    ○松川政府委員 東京高裁の判決でございますが、調査を継続していれば帳簿書類の備えつけ等の確認が可能な状況であったのではないかという疑いを否定できないという事情のもとで、処分を取り消したということでございます。  青色申告者が、調査に関係のない第三者の立ち会いを求め、帳簿書類の提示を拒否した場合、青色申告承認の取り消し事由に当たるという従来の判例が変更されたとは理解しておりません。したがいまして、当局の考えといたしましても、特に変更する必要はないと考えております。  なお、税務調査の場に、調査に関係のない第三者が同席することにつきましては、税務職員に課された守秘義務に反するおそれがあるという問題もございまして、お断りしてきたところでございます。  また、こうした第三者の立ち会いを納税者が求め、調査担当者が納税者に対しましてその第三者の退席をお願いしても協力が得られない場合には、納税者から帳簿書類の調査を求められても、直ちに調査するというわけにはいかないということを御理解いただきたいと思います。
  83. 正森成二

    ○正森委員 調査に関係のない者の退去を求めるとかなんとか言いましたが、全部調査に関係があり、帳簿作成に関与した者についてこの判決は出されているのですよ。  ですから、今の松川課税部長の答弁というのは前提からして全く違うことを言っているし、そしてそれを前提として言っている言葉は、この判決があったにもかかわらず、しかもそれに対して上告しなかったにもかかわらず、それを非常に小さな事実関係についてはやむを得ないというようにして、法律判断については、全くあたかも何事もなかったかのように従来のやり方を踏襲しようというような、ある意味ではけしからぬ態度を表明したというようにとられてもやむを得ないものだと思います。  時間がほぼ参りましたというのが今来ましたから、この次にもう少し細かく判決や事実を引用しながら申し上げたいと思いますので、そのときにまたゆっくりと答弁してください。  どうもありがとうございました。
  84. 藤井裕久

    藤井委員長 中井洽君。
  85. 中井洽

    中井委員 私ども民社党もこの租特の法案については賛成でございます。しかし、残念なことには補正予算案そのものには反対ということに決定をいたしました。  その理由は幾つかありますが、一番は所得税減税が盛り込まれていないということであります。私も与野党の実務者会談担当者として出てまいりましたが、私どもを含めて国民の強い要望であります所得税減税が見送られたということは返す返すも残念であり、また私どもはこれからも要求をし続けていきたいと考えています。  大蔵大臣に端的にお尋ねをいたします。  いろいろな議論の中でずっと聞かせていただいておりましたら、要は財源の問題だ、こういう財政状況下、赤字国債を発行するのだけは何としてもやりたくない、これが所得税減税を財政当局が強く反対をされ、見送られておる最大の理由だ、このように理解しておりますが、間違いありませんか。
  86. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今お話がありましたように、私どもの所得税減税についての考え方は、所得税減税というのを言われているような形でやりましたならば、公共事業なんかでやるよりはやはり経済に及ぼすところの効果が薄いのではないか、それから巨額の赤字財源をもってやらなければならないということであれば大変な問題である、また租税体系として、所得税体系としてそういったものを今やるのは一体どういうものであろうか、こういうふうなのが私どもの基本的な考えでありまして、これはたびたびこの場におきましても申し上げておるところでございます。
  87. 中井洽

    中井委員 もう一つ大臣にお尋ねいたします。  何年ぶりかに年度内で予算案が成立をいたしました。しかし、予算審議の間にも経済の動向、景気の落ち込み、その認識についていろいろな論議が行われました。この間総理大臣、大蔵大臣は、とにかくこの予算が一番の案だ、あとはもうとにかくこれを通してからだ、こういうことで、ある意味では野党にも協力を求められたわけであります。  しかし、予算案そのものは、まあまあ八月ぐらいから政府あるいは自民党内でいろいろな議論が行われて十二月に集約されて、そして三月末に成立をしたわけであります。この間、経済は生き物でありますから大きく動いているわけであります。予算が通ってすぐまた補正予算を組む、こういう異例なことをやらずに、もっともっと柔軟に予算を審議している最中に景気の動向を見て思い切って修正をしていく、こういう姿があって当然だ、そのことが逆に言えば景気の動向にうまくかみ合った景気対策の予算というものができるのだと私どもは考えています。  そういう意味で、予算委員会でも本会議でも私どもの仲間が総理大臣以下の責任をなんということまで実は言葉に出してただしたわけであります。こういう形で予算を済ました後、かなり大がかりな景気対策、同時に補正予算を組む、こういうことについて大蔵大臣としてどんなお気持ちでいらっしゃるのか。同時に、国会の審議を通じてもっともっと柔軟に修正というものをやっていけば何でもないじゃないか、こういう私どもの考えに対してどのようにお考えになるか、お聞かせください。
  88. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 平成五年度の当初予算をお願いいたしまして、三月三十一日に成立をさせていただきました。予算案編成は、非常に厳しい財政事情、税収動向なんかも非常に難しい、こういうことでありまして、その中で既存の制度や歳出の徹底した見直しを行う、しかも内需中心の持続的成長を図っていかなければならない、こういった形で、政府といたしましては昨年の暮れに予算案を作成いたしまして、一月に国会にお願いをしたところでございます。  そうした当時の状況から考えますと、今から考えますとまだ景気の先行きは真っ暗であった。確かに昨年の八月に総合経済対策を出しましていろいろやりましたけれども、補正予算の審議のおくれもありましてまだまだ明るい兆しが見えてないというような状況でございました。何としても早く、こういうことでお願いをいたしておりましたし、三月ぐらいになりまして少しよくなってきたなという感じが実はしておったわけでございまして、その段階で予算案の御審議をお願いしている、こういうことでございます。  そういった形で、国会の御審議でもこれだけでは足りないじゃないか、もう少し景気刺激的なことをやらなくてはならないではないかというような御議論も多々あったところでございまして、景気回復はどうなるんだ、こういうふうなことについておしかりを受け、鞭撻を受けたというのが状況だった、私はこう思っておるところでございます。  そういったことの中で、とにかく早くまず当面の予算をつくりましてそれの実行をしていくことが必要であろう。予算案が三月三十一日に成立いたしまして、その後直ちに公共事業の前倒しをやっていく、こういうふうな話でありましたし、七九%だったと思いますけれどもやる、こういうふうな話までやったわけであります。  そうした上でこれからどうするかということを考えますと、そのときに、申し上げますならば、あるいは一月ごろに考えたよりは少しは景気はよくなってきたかもしれないけれども、やはり足りない、まだまだだなという感じを持っておったところでございます。  普通ならば一つの国会で一つの予算、こういうことでございまして、おくれて景気対策をやる、そのためには臨時国会でも、こういうことも頭の中にはあったわけでございますが、昨年の例を見ましても、八月に経済対策を出す、十月に国会にかけようというのがだんだんおくれてきた。おくれればおくれるだけ景気回復というのができなくなる、こういうことでございまして、そういったことからすれば、できるだけ景気というものを考えていただける状況にある、各党とも皆そういったことで考えていただけるということを前提にいたしまして、私どもあえて、まさに異例の時期であるということを承知の上で、経済政策を立て、また新しい予算案を国会に提出をしたところでございます。  私は、こうしたことが日本経済のためにいい影響を与えてくるのではないかな、こう思っておるところでございまして、重ねて本補正予算の円滑な御審議と速やかな成立を心からお願いをするところでございます。
  89. 中井洽

    中井委員 九二年度が終わりまして、もう五月の終わりになってまいりました。いろいろなデータを見てみますと、九二年度の税収の落ち込みは想像よりもかなり厳しいものがあると考えています。昨年の暮れ、四兆数千億の税収の減額修正をいたしました。さらに大きく落ち込むと私どもは考えておりますが、大蔵当局はどのように判断されていますか。
  90. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 九二年度、平成四年度の税収につきましては、三月末現在で進捗割合はまだ七割程度でございます。確たることを申し上げる段階ではありませんが、さらに四月分、五月分の税収動向を十分に注視していかなければならない、私はそう考えています。  ただ、具体的に先生も御心配のようでございますし、実際に税収に当たっていますところの担当の主税局長の方から少し詳細に御説明をさせたいと思います。
  91. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 平成四年度の補正後予算の税収の伸率は九六・三%でございますが、三月末税収で見ていただきますと、年度初からの累計で前年比九四・九%の伸びにとどまっております。  四年度全体の年度を通しました税収動向につきましては、進捗割合がまだ七割強程度という段階でございますから確たることを申し上げられる段階にはございませんけれども、三月分税収の動きというものが最近数カ月に比べまして低調でございまして、特に確定申告に係る申告所得税収が予想外に低調でございましたことから、仮にこの低調が続きますと、補正予算の見積もりで想定いたしました税収動向の達成が容易ではないという事態も懸念されないではない状況かと思われます。  いずれにいたしましても、大臣から今お話がございましたように、四月分、五月分の税収動向を注意深く見てまいる必要があると存じております。
  92. 中井洽

    中井委員 いろいろな民間のデータ等を見ますと、私どもは一兆円以上税収欠陥が出ると考えております。出ましたら、いろいろな数字の合わせが行われるのでしょうが、決算調整資金制度を十一年ぶりに使わなければならない、これはもう間違いのないことであろうかと思います。九三年度の税収も、これだけ景気対策をやっても、消費者の消費意欲等を考えましてもなかなか難しいものがあると私は考えております。  そうしますと、九二年、九三年と、これは足りない分、決算調整資金から繰り入れましても国債整理基金へ返していかなければなりません。そういう情勢下で私は赤字国債発行というものに追い込まれるのじゃないかと心配をいたしております。こういう厳しい財政状況でも、決算調整資金を使って返すという理由があっても赤字国債ということはもう到低考えないのだ、これが今の財政当局のお考えだ、このように理解してよろしゅうございますか。
  93. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 先ほどの御答弁で、私が補正後予算伸率のことを補正後予算進捗率と申したそうでございまして、訂正させていただきます。  ただいまのお尋ねでございますけれども、平成四年度、さらに平成五年度にかけまして、一体その税収、トータルの姿がどの程度とうなるのか、具体的な見当はまだつきません。仮に、中井先生が今御指摘ございましたような難しい問題が現実のものとなりました場合には、その全容を見きわめました上で対応を考えなければならないというふうに思いますが、私どものただいまの気持ちは、赤字公債の発行というものは余りにも問題が大きい、この発行は何とか回避できないか、回避すべきであると考えております。
  94. 中井洽

    中井委員 法案の中で、設備投資減税ということで幾つかの対応が盛られております。大変結構だと私どもは思いますが、一つは、この高度省力化投資促進税制、百十五種類、設備を指定されるようでありますが、前回のいろいろな税制、中小企業の投資促進税制なんかでも、私ども選挙区におりまして、中小企業の方が具体的な設備がわからない、随分問い合わせが多うございました。  これは百十五種類、思い切ってやられることは結構なことでありますが、利用される中小企業の方にできる限り早く、しかも広範囲にPRをしていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。  それからもう一つは、この償却で初年度三〇%償却をする、これはこれで結構でありますけれども、日本の設備、機械というものは非常に回転といいますか進歩が早い。したがって、その中小企業がせっかく大企業からの注文をこなし、あるいは他の中小企業と競り合ってでもやっていこうということで設備を大変な金額で入れましても、もう三年もたったら古くなってしまう。また新しく入れなければならない。  しかし、今の償却の制度では償却の残が随分残っておる。それを新しく機械を入れて古い機械をどこかへ売ろうと思っても、日本ではそういう市場がなかなかない。くずにしかならない。結局、ここのところで中小企業は随分泣いているわけであります。稼いでも稼いでも新しい機械を投資し続けて走り続けなければ太刀打ちできない。それを頑張ってやっているところがまた日本の中小企業のすごさだ、このようにも思います。  そういう意味で、この特別の償却制度ということではなしに、中小企業の設備、機械の償却ということ全体についてもう少し考えるべきじゃないか、こんなことを思いますが、二点、いかがでしょうか。
  95. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 御指摘がございました高度省力化投資促進税制の百十三種類の設備の全容をなるべく早くわかりやすく国民に示すべきではないかという御指摘でございますが、これはさように心得て努力させていただきたいと存じます。  今作業中でございまして、百十五という設備の数も実は公示の書き方等によりましてなお移動があり得るかと存じますが、そのあたりもお許しいただきたいのでございますが、こうして早急に税法の御審議をいただき、七月一日から予定しておりますこの実施に向けまして、全体の運びが順調にまいりますれば、これを告示の形でまとめまして、なるべく早く公布いたしまして周知に努めさせていただきたいと存じます。  それからもう一つの御指摘は、中小企業の設備の償却の実態でござい吉すけれども、耐用年数そのものは、その機械そのものの物理的な寿命とその経済的な陳腐化を加味して、客観的にどの機械は何年というふうに定めさせていただかざるを得ない状況にございますけれども、そういう中で、例えば既に今回の法案の中でもお目通しをいただいておりますように、本当にニーズの高い、必要な機械につきまして、いろいろな特別償却の制度等も中小企業につきましては特に手厚く配慮されておりまして、そういった全体のバランスの中で、中井先生が今御指摘になられました大事な問題がうまく消化されていくことを祈りたいという気持ちでございます。
  96. 中井洽

    中井委員 最後に、もう時間がありませんので申し上げて終わりたいと思いますが、この予算に反対した私どもの気持ちの中には、所得税を減税しないであのロシアに四百億円も補助金をやるという項目がある、このことはどうも感情的にも素直に受け入れられない、こういったことがあります。  林大蔵大臣、閣僚として七カ国、難しい会議をまとめられて、サミット成功に向けて御努力されたことは評価されますが、ひとつ御記憶にとどめていただきまして、ロシア支援につきましては、十分国民感情というものをお考えになっておやりになることを要望いたしまして、質問を終わります。
  97. 藤井裕久

    藤井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日水曜日午後六時理事会、午後六時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十分散会      ————◇—————