運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1993-04-20 第126回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二十日(火曜日)     午前十時二分開議 出席委員    委員長 藤井 裕久君    理事 井奥 貞雄君 理事 石原 伸晃君    理事 田中 秀征君 理事 前田  正君    理事 柳本 卓治君 理事 仙谷 由人君    理事 渡辺 嘉藏君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    岩村卯一郎君       江口 一雄君    衛藤征士郎君       大島 理森君    小坂 憲次君       小林 興起君    左藤  恵君       佐田玄一郎君    佐藤 敬夫君       福田 康夫君    光武  顕君       村井  仁君    山下 元利君       伊藤  茂君    上田 卓三君       小野 信一君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    渋谷  修君       戸田 菊雄君    富塚 三夫君       中沢 健次君    中村 正男君       松本  龍君    大野由利子君       河上 覃雄君    正森 成二君       中井  洽君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 林  義郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  村上誠一郎君         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局次 涌井 洋治君         長         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         大蔵省国際金融 中平 幸典君         局長         国税庁課税部長 松川 隆志君         農林水産大臣官 今藤 洋海君         房審議官  委員外出席者         経済企画庁調整 筑紫 勝麿君         局財政金融課長         経済企画庁物価 白川 一郎君         局物価政策課長         大蔵委員会調査 中川 浩扶君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     伊吹 文明君   岩村卯一郎君     谷川 和穗君   江口 一雄君     今井  勇君   衛藤征士郎君     小沢 一郎君   遠藤 武彦君     尾身 幸次君   大島 理森君     桜井  新君   河村 建夫君     渡部 恒三君   小林 興起君     近藤 鉄雄君   福田 康夫君     深谷 隆司君   光武  顕君     佐藤 守良君   池田 元久君     伊東 秀子君   佐藤 恒晴君     佐藤 徳雄君   沢田  広君     土肥 隆一君   中井  洽君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   伊吹 文明君     浅野 勝人君   今井  勇君     江口 一雄君   小沢 一郎君     衛藤征士郎君   尾身 幸次君     遠藤 武彦君   近藤 鉄雄君     小林 興起君   佐藤 守良君     光武  顕君   桜井  新君     大島 理森君   谷川 和穗君     岩村卯一郎君   深谷 隆司君     福田 康夫君   渡部 恒三君     河村 建夫君   伊東 秀子君     池田 元久君   佐藤 徳雄君     佐藤 恒晴君   土肥 隆一君     沢田  広君   大内 啓伍君     中井  洽君 四月六日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     田邊 國男君   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   田邊 國男君     浅野 勝人君   塚本 三郎君     中井  洽君 同月七日  辞任         補欠選任   渡辺 秀央君     渡辺美智雄君 同月十三日  辞任         補欠選任   池田 元久君     後藤  茂君 同日  辞任         補欠選任   後藤  茂君     池田 元久君 同月二十日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     小坂 憲次君   戸塚 進也君     佐田玄一郎君   中村正三郎君     佐藤 敬夫君   池田 元久君     渋谷  修君   早川  勝君     富塚 三夫君   細谷 治通君     松本  龍君   井上 義久君     大野由利子君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     遠藤 武彦君   佐田玄一郎君     戸塚 進也君   佐藤 敬夫君     中村正三郎君   渋谷  修君     池田 元久君   富塚 三夫君     早川  勝君   松本  龍君     細谷 治通君     ――――――――――――― 四月二十日  皇太子徳仁親王の婚姻を記念するための五万円  の貨幣の発行に関する法律案内閣提出第七〇  号) 三月三十日  共済年金改善に関する請願衛藤晟一君紹  介)(第一〇二九号)  同外一件(唐沢俊二郎紹介)(第一〇三〇  号)  同外三件(二階堂進紹介)(第一〇三一号)  同(鳩山邦夫紹介)(第一〇三二号)  同(畑英次郎紹介)(第一〇六七号)  同(浜野剛紹介)(第一〇六八号)  同(大石千八紹介)(第一一〇〇号)  同外十五件(村山富市紹介)(第一一〇一  号)  同(岩屋毅紹介)(第一一一六号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一一一七号)  同(柿澤弘治紹介)(第一一一八号)  同(亀井静香紹介)(第一一一九号)  同(河村建夫紹介)(第一一二〇号)  同外二件(木村守男紹介)(第一一二一号)  同(宮下創平紹介)(第一一二二号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一一三一号)  同(亀井善之紹介)(第一一三二号)  同(仲村正治紹介)(第一一三三号)  同(村山富市紹介)(第一一三四号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一一五九号)  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(岩  田順介紹介)(第一〇三三号)  同(松本龍紹介)(第一〇三四号)  同(細谷治通紹介)(第一〇六九号)  同(岩田順介紹介)(第一一〇二号)  同(長谷百合子紹介)(第一一二三号)  同(井上義久紹介)(第一一六〇号)  同(小沢和秋紹介)(第一一六一号)  同外五件(鍛冶清紹介)(第一一六二号)  同(北側一雄紹介)(第一一六三号)  同(関山信之紹介)(第一一六四号)  同外一件(中西績介紹介)(第一一六五号)  同(不破哲三紹介)(第一一六六号)  同(三浦久紹介)(第一一六七号)  同(渡部行雄紹介)(第一一六八号)  景気回復国民本位税制確立に関する請願  (小沢和秋紹介)(第一一六九号) 四月六日  共済年金改善に関する請願甘利明紹介)  (第一二一八号)  同(宇野宗佑紹介)(第一二一九号)  同(内海英男紹介)(第一二二〇号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一二二一号)  同外一件(小坂憲次紹介)(第一二二二号)  同(武村正義紹介)(第一二二三号)  同(額賀福志郎紹介)(第一二二四号)  同(山下元利紹介)(第一二二五号)  同(岩屋毅紹介)(第一二西五号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一二四六号)  同(村山富市紹介)(第一二四七号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一二九五号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一二九六号)  同(衛藤晟一紹介)(第一二九七号)  同(遠藤武彦紹介)(第一二九八号)  同(大野功統紹介)(第一二九九号)  同(亀井善之紹介)(第一三〇〇号)  同外二十件(田原隆紹介)(第一三〇一号  )  同(畑英次郎紹介)(第一三〇二号)  同(浜田幸一紹介)(第一三〇三号)  大型減税早期実施に関する請願河上覃雄君  紹介)(第一二四八号)  同(伊藤英成紹介)(第一二七三号)  同(山下洲夫君紹介)(第一二七四号)  同(森本晃司紹介)(第一三五九号)  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(土  井たか子紹介)(第一二七一号)  同(渡部行雄紹介)(第一二七二号)  景気回復国民本位税制確立に関する請願  (金子満広紹介)(第一三五六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一三五七号)  同(不破哲三紹介)(第一三五八号) 同月十三日  共済年金改善に関する請願衛藤征士郎君紹  介)(第一三八七号)  同(二階堂進紹介)(第一三八八号)  同(松永光紹介)(第一三八九号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一四八七号)  同(山口俊一紹介)(第一四八八号)  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(外  口玉子紹介)(第一四八九号)  同(目黒吉之助紹介)(第一四九〇号) 同月十六日  共済年金改善に関する請願衛藤征士郎君紹  介)(第一五八三号)  同(甘利明紹介)(第一六四八号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一六四九号)  同外一件(羽田孜紹介)(第一六五〇号)  同(森田一紹介)(第一六五一号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一七一一号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一七六〇号)  消費税廃止飲食料品即時非課税課税最低限  引き上げに関する請願正森成二君紹介)(第  一五八四号)  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(大  出俊君紹介)(第一七六一号)  同(松本龍紹介)(第一七六二号) は本委員会に付託された。 四月七日  共済年金改善に関する請願(第三六二号)  は、「武藤嘉文紹介」を「亀井静香紹介」  に訂正された。     ――――――――――――― 四月十三日  所得税減税等政策減税に関する陳情書外一件  (第一二五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  協同組織金融機関優先出資に関する法律案  (内閣提出第六六号)      ――――◇―――――
  2. 藤井裕久

    藤井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出協同組織金融機関優先出資に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。林大蔵大臣。     —————————————  協同組織金融機関優先出資に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 ただいま議題となりました協同組織金融機関優先出資に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  近年、金融自由化が進展する中で、金融機関自己資本充実は喫緊の課題となっており、協同組織金融機関においても、経営健全性確保するため、自己資本充実が急務となっております。  本法律案は、このような協同組織金融機関をめぐる状況の変化にかんがみ、その自己資本充実に資するため、普通出資を補完するものとして優先出資発行できる制度を設けるとともに、優先出資者権利保護について定めることにより、協同組織金融機関経営健全性確保を図ろうとするものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  本法律案では、協同組合原則優先出資者権利保護の調和を図るため、優先出資者には普通出資者総会における議決権を与えないこととする一方、剰余金の配当については普通出資者に対する優先権を与えることとし、また、優先出資証券発行優先出資者総会制度等についても所要の規定を設けることとしております。  なお、優先出資発行できる協同組織金融機関は、農林中央金庫、商工組合中央金庫並びに全国を地区とする信用協同組合連合会信用金庫連合会及び労働金庫連合会としております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 藤井裕久

    藤井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 藤井裕久

    藤井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。
  6. 中村正男

    中村正男委員 おはようございます。  この法案につきましては、昨年の金融制度改革のときに附帯決議として我が党もぜひこれを導入すべきだ、こういう主張をし、それが採択をされました。そういう立場でございますので、基本的にはこの法案は賛成でございます。ただ、若干いろいろな問題点がございますので、それをただしてまいりたいと思います。  まず、この法案にも関連するわけですけれども、最近とみに金融システムの不安というものが取りざたされております。とりわけ多数の不良債権を抱えるそれぞれの金融機関に対して具体的な対応が迫られておるわけですが、一つは、住宅金融専門会社八社の九二年十二月末の金融機関別借入金額の全容が明らかになりました。  それによりますと、総額十四兆三千九百五億円のうち四三%に相当する六兆二千五百九十四億円を農林系金融機関融資をしている。四十七都道府県の信連では三兆七千八百六十四億円。この返済が極めて困難になっておりまして、この専門会社各社から各金融機関に金利の減免の支援を要請している。今こういう状況だと思うのですが、大蔵省としてこれにどう対応しようとしておるのか、それからまた、各協同組織金融機関はこれにどうかかわっているのか、それを一点お伺いをしたいと思います。  それに関連いたしまして、これも最近の大蔵省調査で明らかになったわけでございますが、都銀、長信銀、信託の三業態不良資産内容でございます。九二年九月現在でこの三業態の六カ月以上の延滞債権、これが総貸出残高三百九十六兆円のうち実に十二、三兆円に上る、そのうち担保、保証でもってカバーされていない残高が四兆円、こう言われております。  さらに、いま一つ株式等資産評価損、これも三業態で八九年三月末の時点ではこれが含み益として五十五兆四千億円あったものが、九二年九月末では十四兆六千億円にまでこの株の評価が下がっている。大変資産内容が悪化をしておるわけですが、こういった三業態株式含み益評価損、これは協同組織金融機関でもそれぞれそういう実態にあると思いますが、具体的に御報告をお願いしたい。  以上、まず冒頭にお聞きをいたします。
  7. 寺村信行

    寺村政府委員 まず住専会社経営問題についででございます。  かねてから住専会社に関係する金融機関が、金融システム安定性確保重要性認識した上で、できるだけ早く具体的な処理のスキームを構築するように当局としても要請をしてまいりまして、そうした要請関係金融機関対応いたしまして、かなり真剣な努力を積み重ねてまいりまして、日本住宅金融につきましては、去る二月の末に母体行間での再建計画案合意を形成されました。それにつきまして、現在その他の金融機関につきましてその了解を得るよう努力が続けられているところでございます。かなり合意形成が進んでいるのでございますが、最終的な決着というところにはまだなっていない、こんな状況でございます。  ただいま御質問がございましたように、いわゆる系統金融機関につきましてはかなり融資量がございます。この問題は、基本的には関係者合意の上で決着を見る性格のものでございますので、系統金融機関も含め、母体行その他の金融機関の中で現在真剣な解決策の模索が行われているというふうに考えているところでございます。  それから、協同組織金融機関不良債権額有価証券含み損益のお尋ねでございます。  金融機関不良債権ディスクロージャーというのは、現在我が国においては行われていない状況でございます。たまたま昨年の三月それから九月の時点におきまして、金融システムに対する不安感がいろいろ取りざたされておりましたことを踏まえまして、個別の金融機関ではございませんで、当局がこの三業態につきまして総括してヒアリングを行いまして、その総括した合計の数字をいわゆる金融システムの不安に対する措置として公表いたしておりますが、個別の金融機関ディスクロージャーは今我が国において行われていないという状況でございます。  しかし、不良債権ディスクロージャーというのが、金融機関透明性を高めまして、金融機関に対する国民の信頼を確保していく上に必要ではないか、あるいは積極的な不良資産開示不良資産早期処理とか未然防止につながる、そういう自己規制手段として有効ではないかという考え方から金融制度調査会で御議論をいただいておりまして、昨年の十二月にその中間報告が出まして、部長銀信託につきましては、昨年三月と九月に当局が公表したのと同じベースで、個別の金融機関が今度はこの三月からディスクローズする、こういうことになったわけでございます。  何しろ不良債権ディスクロージャーというのは世界でも米国以外では行われていない、信用秩序に対する影響の問題も慎重な配慮をしなければいけないということから、この中間報告におきましても、段階的、漸進的に行う必要があるということで、協同組織金融機関につきましては将来的な検討課題であるというような位置づけがなされておりまして、この三月期に協同組織金融機関につきましては不良債権ディスクロージャーは行われないということになっております。  ただ、協同組織金融機関につきましては、株式会社組織金融機関と異なりまして、組合員に対する金融の便益を提供することを本来的な目的としている、そういうような性格から区分が出ているということでございますが、組合員総会等におきましては組合員には適切な開示が行われている。ただ、一般に対しては開示が行われていない、そういうことでございますので、具体的に不良債権の額につきましで当局ヒアリングをし、公表するということは今行っていないところでございます。  それから、有価証券評価損益の問題でございます。  これも、株式会社形態金融機関でございますと、証券取引法上のいわゆる有価証券報告書とか、そういったディスクロージャー要請をされておりまして、それに基づきまして有価証券評価損益も現在開示が行われているということでございますが、協同組織金融機関につきましては現在そのような開示が行われていないということになるわけでございます。  ただ、実際の運営は、低価法によりまして評価をいたしまして、協同組織金融機関も必要に応じ償却が行われているところでございますが、具体的な開示が現段階では行われていない、こういう状況でございます。
  8. 中村正男

    中村正男委員 協同組織金融機関については、組合員総会では開示をしている、こういうことでございますが、金融自由化の問題どこういった問題は並列した形でやはり進めなくてはいけないのじゃないか、これが私の基本的に主張したいところでございます。  この問題はこの程度にしておきますが、要は、金融システムの安定のためには、いわゆる含み益に依存するという従来の考え方ではなしに、健全な融資活動、それに必要な自己資本確保する、これがまず第一にやられなければならない点だと思います。  それから二つ目は、今のこの不良債権に対するディスクロージャーを推進していくということも極めて大事なことではないかと思いますし、三点目は、これらの問題と関連して、判断を誤った金融機関経営責任を明確にしていく、これから金融自由化が定着していく中で、この三つがどうしてもそれぞれの金融機関が守らなければならない最低の原則だと思うのですが、そういうことについてもう一度お考えをお聞きしておきたいと思います。
  9. 寺村信行

    寺村政府委員 ただいま委員から御指摘をいただきました三点は、私ども当局も全く同じ考えでございまして、今後の行政の基本的な姿勢としてそのような姿勢をとるべきではないかと考えているところでございます。  含み益依存体質経営からの脱却ということでございますが、まさに過去のバブル期にこのような経営が行われたという問題がございまして、それはまさにそういったことの反省の上に立って経営が今後行われるべきではないかと考えております。特に株式含み益、先ほど委員から、九月末で十四兆六千億ということでございますが、この含み益も基本的には、長い目で見てこれからの不良資産償却原資として充てるべきではないかという考えでございまして、この含みの安易な益出しの抑制を引き続き金融機関に対しては要請をしていかなければいけないと考えております。  それから、不良債権ディスクロージャーの問題でございます。  御指摘のとおりでございまして、金融制度調査会中間報告では、ディスクロージャーに当たっては信用秩序への影響を十分配慮して段階的、漸進的に行われるべきであるということではございますが、将来の方向としては、できるだけそのディスクロージャー充実していくことが必要であるという基本的な考え方が述べられでおりまして、行政当局としてもそのような方向に沿った対応が必要ではないかと考えております。  それから、過去のバブルのときに判断を誤った経営の問題というのは、十分にその反省をし、その責任を問われるべきではないかという御指摘でございます。  まさにそのとおりでございまして、現在そのようなバブル期過剰融資の結果として、大量の不良資産金融機関に累積をしているということになりますが、基本的にはこれは金融機関自己責任原則により対応していくべきものである。そのためには今後とも金融機関経営改善のため、経営合理化のための努力が必要ではないか、このように考えておるところでございます。
  10. 中村正男

    中村正男委員 ぜひ当局の的確な対応を要望しておきます。  次に、これもそれとの関連、また法案との関連もございますが、BIS規制の問題であります。  我々は、このBIS規制というのは基本的には銀行経営健全化のためには必要な施策である、こういう認識をしておるわけですけれども、ちまたでは、このBIS規制そのものが現在の金融機関の貸し渋りを生じさせている一つ原因ではないか、そういう見方がございます。銀行側として、このBIS規制によって、それを隠れみのにそういった行為が行われるということは、これはあってはならないことだと思うのですが、これについて一体どういう認識をしておるのか、簡潔にひとつお願いをしたいと思います。
  11. 寺村信行

    寺村政府委員 現在、金融機関貸し出し伸びは非常に低い状態が継続しておりますので、この原因としてBIS規制による金融機関の貸し渋りがあるのではないかという御指摘がしばしば行われているところでございます。  ただ、その金融機関貸し出し伸びが低い状態で推移しているという背景には、私ども認識といたしましては、景気の先行きに対する不透明感によりまして、企業資金需要がまず低迷しているという実態がある。それから、企業が当面の資金需要対応するために、借り入れによらずに過去のバブル期に積み上げました手元流動性預金等を取り崩して対応している面がある。それから、社債とかCPとかという新たな企業資金調達手段が多様化しでいるということで、必ずしも銀行に対する借り入れ需要に直結していないところがある。そのような認識から貸し出し需要かなり低くなっているのではないかと考えているわけでございます。  ただ、過去のバブル期のときに金融機関過剰融資をいたしましてリスク管理がおろそかになっていて、それが現在の不良資産の増大を招いた。したがって、金融機関融資に当たって、リスク管理を原点に戻してしっかりしなければいけないというような動きがございます。そのこととの兼ね合いで金融機関の貸し渋りが起きているというようなことも一方ではございますが、それと同時に、今BIS規制がある、こういうようなことが言われているわけでございます。  そこで、私どもといたしましても、少なくともBIS規制による貸し渋りがあってはならない、そのためにはできるだけ自己資本充実を図る必要がある。昨年以来、株式市場での自己資本調達が困難な状況でございますので、いわゆる永久劣後債とか永久劣後ローンとかという株式市場を経由しない自己資本調達手段充実策を検討してまいりまして、実施に移してまいりました。その結果、この九月には、いわゆる劣後債等によります自己資本の調達が相当額、本年度調達できたのではないかと考えております。  したがいまして、結果としては、BISは九月末で八・七%でございますが、恐らくある程度それを三月末は上回るということになろうかと思っております。そういたしますと、BIS規制は八%でございますので、かなり余裕をもって達成できるというふうに見ておりまして、最近の状況では、BIS規制による貸し渋りという要因はほぼなくなってきているのではないかと考えでいるところでございます。
  12. 中村正男

    中村正男委員 それでは、法案の具体的な中身について若干御質問いたします。  一つは、会員制度を基本としておりますこの協同組織金融機関、これが今回優先出資制度という外部からの資本導入が図られようとしておるわけですが、大臣の具体的な提案理由説明で明らかになっておりますが、改めて、なぜ必要なのか、そういったところを具体的にお聞きしたいと思います。  それから、そういう意味合いにおいて、この制度協同組合原則に反しないのかということもただしておきたいと思います。  それから三点目は、優先出資発行というのは、結局はコスト的には高くなるわけですが、そのことがそれぞれの金融機関経営の負担となってはね返ってくるのではないか、こういう懸念があるのですが、まず三点についてお尋ねをいたします。
  13. 寺村信行

    寺村政府委員 まず、優先出資制度を導入する趣旨いかんという第一のお尋ねでございます。  金融自由化の進展に伴いましで、協同組織金融機関を含めまして金融機関は、やはり経営環境は厳しい状況になるものと考えております。この金融自由化というのは、やはり競争促進的な措置でございますので、金利変動リスクを含めましていろいろなリスクにこれから金融機関はさらされていくということが見込まれております。したがいまして、その経営健全性確保するためには、やはり自己資本充実が喫緊の課題である。これは協同組織金融機関以外の金融機関につきましでも同じように言えることでございますが、協同組織金融機関につきましても自己資本充実の必要性がやはり重要な課題となってきていると考えるところでございます。  ところで、協同組織金融機関というのは、これまで会員からの増資や内部留保の積み増しによりまして自己資本充実を図ってきたわけでございます。株式会社形態銀行と異なりまして、その場合に幾つかの困難性を伴うわけでございます。  と申しますのは、第一に、出資者が会員に限定されている、しかも一出資者の出資に上限があるということでございます。それから、その会員が中小企業者、農林漁業者あるいは個人等で、出資負担能力が相対的に小さいという問題がございます。  それから、優先出資者の対象となりますこの系統中央機関、これは傘下の会員からの資金の資金運用機関的な役割を有しておりまして、単位組織からの余裕金を受け入れることを拒否することができない。ですから、おのずから資金規模をみずからコントロールできない。そうしますと、会員からの余裕金の預け金が非常に増大した場合に、それに対応して自己資本比率をみずから適正に計画的に達成するというのは困難な状況になるということで、やはり自己資本充実の多様化を今後図っていく必要があるのではないかということでございます。そのために、広く員外から出資を受け入れる制度が必要ではないか、このように考えて今回御提案を申し上げた次第でございます。  それから第二は、この優先出資制度協同組合原則に反するのではないかというお尋ねでございます。  我が国の法制上、一般に協同組合原則考えられますのは、次の四点でございます。  一つは、小規模な事業者または消費者の相互扶助を目的とすること。第二番目は、任意に加入し、または脱退することができること。三番目は、組合員が平等の議決権を有すること。四番目は、組合員に対しまして利益分配を行う場合にその限度が定められていること。これは営利を目的とする法人ではないための上限ということになるわけでございます。今回この優先出資制度を導入することがこの協同組合原則に反するかどうかということでございます。  まず相互扶助の観点から申し上げますと、金融自由化のもとでこの相互扶助の目的をよりよく果たしていくために、厳しい競争に耐え得るように自己資本充実を図る必要があるということで、むしうこの相互扶助の原則に反するのではなくて相互扶助の充実を図るものではないかと考えるわけでございます。  それから、優先出資を導入いたしましても加入、脱退の自由は当然維持されることになります。  それから三番目には、平等の議決権の問題でございますが、優先出資者には普通出資者総会におきます議決権は与えないということになりますので、組合員の平等の議決権には影響を与えない。  それから、第四の原則でございます配当の上限でございますが、優先出資者につきましても普通出資者と同様に配当の上限を設けるということで、この協同組合の四原則には抵触をしないと考えているところでございます。  それから第三のお尋ねでございますが、優先出資発行をすると資本調達コストが高くなって、かえって経営の負担増になるのではないかということでございます。  実際に優先出資者の資本調達コストがどの程度になるかということは、この優先出資の配当率、これは額面によって決められますが、問題は、発行価額が幾らになるかによって調達コストが大きく変わってまいります。したがって、そういった具体的な発行条件は証券市場の状況を見ながら決められることになるわけでございますので、その資本調達コストがどのぐらいになるだろうかということは、そのときどきの証券市場の状況でまた変わってまいりますので、今具体的には言えないわけでございます。  ただ一般的なお話といたしまして、資本調達はいずれにしても、普通出資にしても優先出資にしても一定の調達コストがかかるわけでございますが、実際に優先出資による資本調達コストが普通出資による調達コストを必ずしも上回るかどうか、その辺も市場の状況その他を見ながら対応していくので、一概にコスト高になって経営負担増になるとは言えないのではないかと考えているところでございます。
  14. 中村正男

    中村正男委員 BIS規制との関係で、商工中金だとか農林中金、これはその必要性は当然のことながらあると思うのですが、海外へ展開していない全信組連また労金連にまでこの制度を導入する理由は何かというのが第一点です。  それから二点目は、いうところのBIS規制にかわる自己資本規制というものがこういった機関には適用されておるわけですが、四%指導という表現が使われておりますが、これは一体どういう意味を持つのか、BIS規制との関係などについても御説明をいただきたいと思います。  それから三点目は、この法案が成立した後の問題なんですが、対応についてはそれぞれの機関の判断でもって実施されていくと思うのです。そのためには最低限の導入に当たっての条件というのが必要だと思いますが、それはどういったものがあるのか、その三点、お聞きをしたいと思います。
  15. 寺村信行

    寺村政府委員 まず第一のBIS規制との問題でございます。確かに全信組連、労金連は海外に営業拠点を持っておりませんからBIS規制は適用されていないということでございます。しかし、全信組連あるいは労金連といえども金融自由化の進展に伴いましでこれからいろいろなリスクにさらされていくということでございまして、経営健全性確保のためにはやはり自己資本充実が重要な課題になるということでございます。  この全信組連あるいは労金連もこれまでも会員からの増資や内部留保に努めてまいりましたけれども、先ほど申し上げましたけれども、もともと出資者が会員に限定されておりますし、それから連合組織におきましては会員数の増加を期待することができない。それから会員たる信用組合、労働金庫は、中小企業者、労働組合等を対象としておりまして、出資負担能力が相対的に小さいという問題がございます。  そういうこともございますので、今後金融自由化の進展に対応して自己資本充実していくための手段としてこのような手段を導入することによりまして、対応ができる道を開くことは必要ではないかと考えているところでございます。  それから、国内の指導基準が四%でございますが、この趣旨いかんということでございます。  もともと金融機関自己資本というのは支払い能力に対する最後の信用のよりどころとして位置づけられるものでございますので、海外で展開しようと国内で事業を展開しようと、いずれにしても一定額の自己資本は必要であるということで、それなりの指導基準を設ける必要があるということでございます。それで、国内基準につきましては、BIS規制の対象とちょっと対象範囲が違いますが、少なくとも国内の金融機関につきましては、やはり総資産に対しまして最低四%の自己資本を保有することを一つの指導基準としているところでございます。  それから、法案が成立いたしまして各機関が優先出資発行する場合、どういう条件を満たさなければいけないかというお尋ねでございます。  優先出資発行する場合には、当然この法律の規定によりまして主務大臣の認可が必要となってまいります。その条件といたしまして、この法律にもございますけれども発行口数等の発行条件が普通出資の二分の一以下であるとかあるいは配当の上限が必要な条件を満たしているとか、いろいろな法律上の規定に合致しているかどうかということと、基本的にはこの法律の目的が金融機関経営健全性確保するための措置でございますから、そのような発行がそういった目的に反しないかどうかというようなことをチェックする必要があろうかと考えております。  それからさらに、優先出資は広く不特定多数の投資者の間を転々流通することが予定されておりますので、投資者保護の観点から、この優先出資法の附則で証券取引法を改正いたしまして、優先出資証券証券取引法上の有価証券とすることにいたしております。  したがいまして、証券取引法上のディスクロージャー制度が適用されることになるわけで、冒頭の御質問でいわゆる評価損益については今ディスクローズされてないということでございますが、この法案優先出資証券発行することになりますと、同じようなディスクロージャーがこれによって行われる、またそれが義務づけられるということになるわけでございます。
  16. 中村正男

    中村正男委員 最後に、普通出資者権利保護という問題についてお聞きをしたいと思うのですが、配当の受領順位が普通出資者の場合は結局劣後することになるわけですが、収益性の低い金融機関ではその配当は優先出資者に独占されるおそれがあるのではないか。これは、受領順位が劣後するだけだということだと思うのですが、その結果としてそういうことにならないかという懸念が一つ。  それとの関連で、こういった商法の規定による営利性の資本導入、出資がされるわけですが、もともと協同組織としての非営利性がゆがめられることにならないかということ。さらには、従来内々で進められてきた経営の方針なり運営面といったことに強い介入が出てくる可能性が心配されると思うのですが、それらについてお尋ねしたいと思います。
  17. 寺村信行

    寺村政府委員 まず、収益性の低い機関でこれを発行した場合という御質問でございます。  もともと優先出資の導入というのは、相互扶助の目的をより実現できるように、つまり相互扶助の充実を図るためという趣旨でございます。優先出資発行というのは基本的に定款で定めることになっておりますから、普通出資者優先出資発行するかどうかということにつきまして、確かに配当が優先するということである種のデメリットはあるわけでございますが、発行することによって自己資本充実するという機関のメリットが出てくる、そのメリット、デメリットを比較考量した上でどちらかの選択をされるということになるわけでございます。  したがって、収益性の低い機関でそのような判断をされるかどうかという問題も一つあろうかと思いますが、それでも発行することによっていろいろなリスク対応を図っていくことが必要だというふうに普通出資者がお考えになれば、それはそれで一つの御判断ではないのかという感じがしているところでございます。  それから次に、基本的に普通出資者権利が侵害されるのではないかということでございますが、優先出資者は、普通出資者総会におきます議決権が行使できないということになっております。一方で、いわゆる普通出資者と同様に何かあった場合の損失のてん補をする義務を負っている、そういうような性格でございます。ただ、優先出資者権利が全く保護されないというのは問題でございますので、それなりの優先出資保護のための制度を設けているわけでございます。  しかし、優先出資を導入した後も普通出資者はみずからの意思で優先出資を消却することができるという規定にもなっておりますので、普通出資者優先出資者の関係におきましては、普通出資者は常に主体的、能動的に対応できる立場にある、こういうような法制上の位置づけをしているところでございます。  それから、外部からの介入のおそれがあるのではないかということでございますが、ただいま申し上げましたように、優先出資者普通出資者総会においては何ら議決権を行使し得ないということでございまして、その意味で協同組織金融機関の運営が外部から介入を受けることにはならないということになるのだと思います。  優先出資者総会制度を設けておりますけれども、この制度は、配当可能な剰余金があるにもかかわらず、優先出資者にあらかじめ約束した配当をしないという場合とか、つまり専ら優先出資者権利保護するために一定の厳しい要件のもとでしか開催できない。しかし、その中で権利保護を図るということにしておりますから、この優先出資者総会の存在がそもそも外部からの介入をもたらすということにはならない。  ただし、そのような優先出資者総会の存在そのものが、やはり必要な剰余金を出して配当していかなければいけないということで、協同組織金融機関経営に対する緊張感を与えることにはなる。そういうことで健全性確保に資するのではないかと考えているところでございます。
  18. 中村正男

    中村正男委員 最後に言われた優先出資制度が導入されることによって、それぞれの金融機関経営に新たな緊張感を持って臨むということは大変重要なところだと思います。しかし、逆にそれがまた、今御答弁いただきましたけれども、従来の出資者の、会員の利益を損なうというおそれも、未知数ながら私はあると思うのです。その点のことだけ申し上げて、法案に対する質問は終わります。  あと残された時間、新総合経済対策について質問をしたいと思います。  この十三日の閣議で新総合経済対策が決定をいたしました。総額にして事業規模十三兆二千億円、かつてない規模、こういう打ち出してあります。確かに単純に九二年度のGNPと比較いたしましても、二・八%に相当するわけですから、九二年度の実質成長率が最終的にどうなるかわかりませんが、これだけでもこれをはるかに上回る規模であることは額面からはうかがえるのです。  しかし、中身をいろいろ見でみますと、相当上げ底部分もございますし、真水が少ない、泥水が多い、国際的にもいろいろな批判といいますか、そういう見方がされているというふうに思いますが、私は次の三つを問題点として指摘したいと思うのです。  第一点は、消費の低迷が続いておりますが、そういった中で我々社会党、公明党、民社党三党共同で、それを打開するための大型の所得税減税を要求いたしました。しかし、それが今回の対策の中には入っていない。極めで遺憾でございます。特に、生活者、消費者の側に立った総合経済対策になっていない。これが第一点の指摘であります。  それから二点目は、今回のこの対策で民間企業だとか消費者が先行きの景気回復を確信できる、そういう環境が整ったのかどうか。私はそこまでには至らないのではないか。端的に言うならば、追加的な景気対策が必要になるのではないのか。これが二つ目指摘であります。  特に、第三の問題は、ここへ来ての円高の急進であります。これは予想の枠を超えた形で進行しておりまして、百十円、けさニューヨークの市場では百十一円、こういうことであります。宮澤さんにせっかくアメリカへ行ってもらったことが事円高に関しては逆目になって、クリントンさんに日本の貿易黒字対策としてもっと、もっとといいますか、円高をアメリカとしては容認する、こういう立場を鮮明にされた、これが一つだと思うのですね。  それから、ECの諸国もアメリカと同調する形で日本の円高を容認する、これが一気に加速した原因だと思うのですが、今月の末にはG7が予定されております。林大蔵大臣も出席されると思うのですが、円高是正としてこのG7で日本としてどう発言をしていかれるのか、これはもう直近の問題として日本じゅうが注目をしておる点だと思うのです。  とりわけ、これだけ円高が進んでまいりますと、私は今回の景気対策というものが十分に効果を発揮し得ない、大きく景気の足をさらに引っ張ることになるという心配があるわけですが、その三点について大臣の見解をお聞きをしたいと思います。
  19. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 中村委員から三点につきまして御質問がございました。  総合経済対策は、先ほどお話がございましたように、十三兆二千億、こういうことでかつてない大規模なものでありました。これは、平成五年度の予算案の御審議をいただきました過程でもいろいろと御議論がありましたし、予算は予算としてやりましたけれども、もう一つ足取りが思うようにない。  そういったこともございまして、当初予定されておりました三・三%の経済成長を確実なものにするためには、やはりこの程度のものをやっておいた方がいいだろう、こういう形でやったわけでございます。したがいまして、いろいろなお話がございましたが、我々の方といたしましては、あれによりまして相当なものができるものだろう、こう確信をしておるところでございます。  まず第一点の所得税減税でございますけれども、御指摘のように社会、公明、民社の党からの御要望があることは私の方も承っておりますが、この場におきましても、また予算委員会におきましても、しばしば私の方としてお話を申し上げましたのは、いわゆる所得税減税というのは景気刺激効果としていかがなものであろうか、それから巨額の財源を必要とするようなときに赤字国債を出すというような話であるならば一体どんなものであるか、さらにはこれが税制体系としてどういったようなものであるか、税制体系の中でここだけやるのが一体どういうことであるか、こういったような諸問題がございますから、そういったことをしばしば御指摘をしておるところでございます。  特に、もう先生御承知のとおり、四月八日におきます各党協議会におきましてお話し合いがありました。今回引き続き検討するというようなお話もあったところでございますし、私どもは先ほど申しましたような基本的な考え方を持っておるところでございましで、今回の対策の中ではそれを入れていないということでございます。この辺についての御理解を賜ればありがたいものだと思っでおるところでございます。  それから第二番目の問題、いろいろと水増しがあるんじゃないか、どうだ、こういうふうな御指摘でございますが、私どもの方といたしましては、いわゆる真水論とかいろいろなことを言っておりますが、どうもこれは何か誤解があるんじゃないかなと思います。  政府の金として出したものだけが真水であって、そのほかのことは全部、先生のお言葉をかりると泥水であるというふうなお話でありますけれども、私は泥水だとは思っていないわけでございまして、例えば財政投融資で、御承知のとおり、民間のお金を政府の方でお預かりしている、郵便貯金等でお預かりしている、その金を使いましでいろいろな形でやる、こういったことは、もう当然に仕事自体としては大きな仕事になるわけでございます。  また、地方公共団体が発行しますところの地方債、それによって地方単独事業というのをやるわけでございますが、これなんかもどうも真水でないという話でありますが、私は、これこそ全く真水もいいところ、政府の金よりも、まさに地方自治体でやっておるわけでありますから、いいんじゃないかな、こう思っております。  そういった意味で、私は今のところ、そういったことをいろいろ考えまして、これは相当大きな規模であるし、経済に対する影響というのは相当なものが出てくる、こう確信を持っておるところでありましで、胸を張って御推薦をできるものでございます。  それから、もう一つの円高対策でございますが、まあ宮澤さんが行かれまして、会談の中では出てなかったようでありますが、後で記者会見のときに円高をと、こういうふうな話がクリントン大統領から出た話でございます。  どうも言っていることははっきりしない。これからの円高をどうだという話じゃなくて、今までの円高についてと、こういうふうな文脈にとれるように私は思うわけでございますけれども、私たちも基本的な問題としてよりは、これから円高にするといろいろな影響が出てくる、日本の経済に対して、せっかく不況対策をやって内需拡大の方向へ持っていこうということに対して水を差すということは、先生御指摘のような話であります。  もう一つ申しますと、貿易収支は、いわゆるJカーブ効果というものによりまして、アメリカが期待しているような日本の貿易収支の黒字を縮小するという方向に行かない、むしろ日本の黒字を増加させるような方向に行くというようなことすら考えられるわけでありまして、決しで私はいいことではないと思っているのです。  言うまでもありませんけれども、為替というものはその国のファンダメンタルズ、基本的ないろいろな諸条件を反映して動くことが必要でありますし、また、そういったものでありますから、本来なだらかな形でもってこれが推移をしていくということが望ましいことである。今回のように非常に短期的に大きな変動を来すということは全く不安定な話でありまして、こうした不安定な動きをするということは、国際経済の中におきまして大変好ましくないことである。  これは私が今ここで申し上げるまでもなく、G7各国でも皆さん方の大体のコンセンサスは今までできているだろうと思っておりますし、これから我が国といたしましては、この為替の相場に対しましても適時適切に対処しで、為替相場の安定を図ってまいらなければならない。こうしたことで、市場に対してはそういうふうな形で考えていくことになると思いますし、またG7におきましても、たび重なるG7の会合におきまして、先ほど申しましたようなことは、私もこれからも主張をしてまいる。  何が大切かといえば、我々としては、もちろん日本におけるところの景気対策も必要でありますが、G7でありますから、世界経済が全体として安定しで発展をしていくということが望ましいことである。私は、そういった観点からいたしましても、我が国の円相場というものが安定的に動いていく、それぞれの国のファンダメンタルズを反映した形で動いていくということが必要なことではないかと考えておるところでございます。
  20. 中村正男

    中村正男委員 この総合景気対策、大変広範な範囲になっております。私は、あとの時間、とにもかくにも所得税減税の問題に絞ってひとつ意見を申し上げていきたいと思うのです。  けさ、今頑張れと御支援いただきました中井さんを初め、公明党の日笠政策審議会会長代理、それから我が社会党、三党の実務者が寄りまして、連合の幹部を交えで所得税減税実現のために頑張ろう、こういう会合を持ってきたのですが、これは大蔵省も自民党もぜひひとつ心していただきたい。連合は組織の命運をかけてこの実現に向けて国民運動を展開していく、我々三党も三党結束をして宮澤内閣と対決をしていく、こういう決意を固めたことをまず報告をしておきます。  その中でもとりわけ話題になったのは、大蔵省姿勢が極めてかたい、これに尽きる。今財界も言論界も本当に減税をやれと強く叫んでおるにもかかわらず、大蔵省が極めて頑迷固陋な態度をとり続けている、ここにすべての原因がある。これから大蔵省の前へ座り込みに皆行こうじゃないかというふうな意見も出ておったことであります。  時間がたちますから、そこで、今大臣が答弁された中で私は三点、一つは果たして景気刺激になるのか、それから赤字国債を発行してまでもどうか、それから税制体系上どうか、こういう問題ですが、軽い方からいきますと、税制体系の問題は、逆に今回の政策減税、千五百億円の減税になったのですが、これ自体私は税制体系をゆがめたと思うのですよ。だから、それは我々としては、半歩の半歩ぐらいの前進ですから、まあまあきょうは言いませんが、そういう矛盾があったということですね。  それと、赤字国債の問題なんですが、私は、公共投資のための建設国債は善であって所得税減税のための赤字国債は悪だ、このことはどうしても理解ができません。我々の主張は、のべつ幕なしに赤字国債を発行してということではないのです。今回の所得税減税に限って五年の短期の国債を発行せよ、そして発行するときにこの償還計画を、いわゆる財政計画を明確に出しで国民に約束をするということでこのことを決断をしたということであります。  ちょっと新聞記事を紹介をしたいと思うのですが、これは三月三十日の朝日の夕刊の「窓」というコラムですが、「どっちもどっち」、目くそ鼻くそを笑うということわざがあるのですが、そういう見出しで、ちょっと読んでみます。  赤字国債を目のかたきにしながら、他方で同じ国の借金である建設国債を乱発する大蔵省の辞書には、この言葉は見当たらないようだ。これは目くそ鼻くそを笑うということですね。公共事業費などに充てる建設国債を財政法は認める一方、経常費向けの赤字国債は特別立法しなければ、発行できない。  しかし、経済の世界では元利払いの負担が等しく後代にのしかかる借金だ。償還期限や発行条件に変わりはない。  「建設国債は橋や道路になって後世に残るからいいが、赤字国債は公務員給与や減税に消えてしまうので不健全」という大蔵省説明に一理はある。  だが、公共事業費には、土地代や建設業者の人件費も含まれる。金丸被告の蓄財事件のように、ゼネコンの裏献金に公共事業費の一部が化ければ、とても健全な借金とはいえまい。  逆に、赤字国債を不健全と決めつけるのも行き過ぎだろう。それで減税すれば、納税者自身の判断で、外食や教育費であれ自動車や家具の購入費の一部であれ、有効な使い道を選ぶはずだ。預金しても、銀行融資を通じて民間需要を刺激する。  減税の使い道まで大蔵省が心配するのは、国民へのおせっかいというものだ。  いったん赤字国債を出したら歯止めが失われる、ともいいきれない。赤字国債発行が続いた昭和五十年代は、官民に財政危機意識が高まり、歳出が抑制された実績がある。  むしろ、財政を借金漬けにした主犯は建設国債の方だ。来年度末で百八十二兆円にものぼる国債発行残高のうち、建設国債は三分の二を占める。  赤字国債悪玉論を逆手にとって、今や建設国債の対象を拡大すれば、借金が許されるという風潮が政府・自民党に高まっている。困ったものだ。  所得税減税をしたくないばかりの公共事業の大盤振る舞い。これで財政節度を説けるのですか、大蔵省さん。こんなコラムです。ちょっと時間をいただきましたが、これはまさに今の世論を率直に表現していると私は思うのです。  それからもう一つ景気刺激にならないのではないか、こういう指摘が大臣からありましたが、私は出身が電機産業でありますから、今のこの家電不況は身にしみでおります。減税をやれば必ずそれは消費に結びつくという一つ調査結果がございますので、紹介をしておきます。  これは、九二年九月、BBRという調査機関の、二人以上の世帯で二万三百十四回収をした家電製品の需要予測です。  カラーテレビ、これは御案内のように普及率は九九・六%であります。しかし、最近六カ月の購入率を見てみますと七・七%ある。その内訳が問題なんですね。新規はわずか一・〇%、買いかえは三八・六%、買い増しは五九・二%に上っております。  エアコン、これも普及率は七四・二%ですが、最近六カ月の購入率は六・六%、新規はまだ一九・四%もあります。買いかえは二〇・二%、買い増しは五八・五%。消費者は今我慢しておるわけですから、所得がふえれば絶対それは購入をする、こういうことを裏づけておると私は思います。  この景気刺激の問題と、とりわけ赤字国債に対して、我々は、今言った条件を付して発行をしてでもぜひひとつ所得税減税は年内に実施をするように、強く要望をしたいと思います。  時間が来ましたから他の質問は一切できませんが、以上の点についてもう一度大臣に、赤字国債の問題、大蔵省だけがガードがかたい、世論はそれに対して極めて批判的であるということをも含めて御答弁をお願いしたいと思います。
  21. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 いろいろと中村議員からお話を聞かせていただきました。耐久消費財等の売り上げというようなものもありますし、私も経済の活動の中でどうしていったらいいかというのは本当に考えていかなければならないものだろうと思いますが、時間の関係もございますし、御質問も絞られて赤字国債で、こういうふうなお話でございますから、申し上げておきます。  やはり財政の規律というか財政の節度というものは持っていかなければならない話でありますし、財政法四条ではっきりと歳入をもって歳出に充てるのが原則である、こう書いております。ただし、そのただし書きとして公共事業であるとか出資金、貸し付けについては国会の議決を経で行うことができるというのが建前になっていることでありまして、この建前というのは、公共事業というものを限って書いてありますのは、まさに建設事業である。  お互いの家庭におきましても、私たちの世代が次の世代に一体どうするか。確かに、家を建てて子供の時代までもたせるというような話であるならば、借金をして私たちの時代にも住む、しかし子供の時代にも住みますよ、おまえもその部分ぐらいはやってもいいじゃないか、もしも家を買わなければ借家住まいをしなくてはいけない、借家住まいのかわりに自分の家でやるのですから、おまえも少しは負担しろよというような話は私はできるのだろうと思うのです。  ただし、今、我々の現在のところでうまいものを食ってどうだということを全部借金でやって、この借金は子供たち、おまえたちが大きくなったときに皆負担しろよと言ったのでは、なかなか理解を得られないのじゃないかな、こう私は思うのです。  現在の世代におけるところの負担の問題はある、景気の問題は確かにあります。現在の私たちのところにおきましては、それはいいことをした方がよろしい。しかしながら、その負担が後代に残らないようなことをやっていく。後代に残すときにおいても、家ならば残してもいいだろう。しかしながら、ごちそうを食べたツケだけを残すというのは余りにも今の時代のエゴではないだろうか。やはり将来のことも考えてやっていかなければならない。これが私は、現代に生きるところのお互いの責任ではないか、また政治家としての責任ではないだろうか、こう思っでいるところでありましで、全部の声だとおっしゃいますけれども、私はいろいろな方のお話を聞くと、いや、そうでないよ、やはり林さん、その方が世の中正しいよと言う方も随分おられるわけでございまして、私はあえて反論を申し上げておきたいと思っております。
  22. 中村正男

    中村正男委員 これで終わりますが、我々は後代にとまでは言っておりません。短期の限定した国債を発行せよ、その償還計画を明確に出してやれ。これは引き続いて与野党の協議機関が続けられますので、大蔵省のガードはかたいわけですが、我々としては、ぜひひとつ実現のために与党と徹底的な論議をしていきたいと思います。  経済企画庁、せっかく来ていただきながら申しわけございませんでした。ただ、円高差益の還元だけ、これはどうしても急いでいただきたい。その要望を申し上げて終わります。  ありがとうございました。
  23. 藤井裕久

  24. 河上覃雄

    河上委員 短い時間でありますので、端的に質問をいたしたいと思います。  今回新たに導入いたします優先出資制度の背景になる認識について、まずお尋ねをしたいわけでございます。  そもそも協同組織金融機関は、中小企業あるいは農林漁業者並びに個人などの一般の金融機関から融資の受けにくい立場にある者、この方々が構成員となって相互扶助を目的として設立されたものであります。したがって、出資資格者の限定や出資者当たりの出資の制限などによって自己資本充実に限界があることは既に指摘をされているわけでございます。またさらに、金融自由化、国際化が進展する中でその必要性は高まっていることも、これは広く公知されているところでございます。  そこで、本法律案は、協同組織金融機関経営健全性確保するため、優先出資制度を導入して自己資本充実を図る、このようにされているわけでございますが、自己資本充実を図るということは、逆に申し上げれば、自己資本充実が図られていない、このように言えるわけでございます。さきに述べました協同組織金融機関性格、あるいはまた金融自由化、国際化などの視点を踏まえるならば、これまでにも何らかの対応があってしかるべきであったのではないのか、このように私は考えます。  そこで、何点か御質問をいたしますが、まず、なぜこの時期に導入となったのか、この点についてお尋ねしておきたいと思います。
  25. 寺村信行

    寺村政府委員 金融制度改革法が昨年国会で成立をいたしまして、この四月一日から実施をされることになったわけでございますが、金融制度改革をめぐる論議は、昭和六十年以降六年間にわたりまして、金融制度調査会あるいは証券取引審議会で種々論議をされてきたところでございます。  実は、その過程で、制度改革に当たりまして、協同組織金融機関につきましても自己資本充実の何らかの方途を講ずるべきではないかという御議論がございまして、報告書にもそのような記載がございます。それから、昨年の金融制度改革法の国会での御審議におきましても同じような御指摘がございます。  そういったことを踏まえまして、昨年十月、大蔵省で研究会を開催いたしまして、本来の協同組織金融機関原則に抵触しない範囲でどのような方途が講ぜられるかということを検討してまいりまして、今回この法案を御提案をさせていただいた、こういう経緯でございます。
  26. 河上覃雄

    河上委員 協同組織金融機関五団体の現在の財務状況自己資本比率あるいは利益について、平成二年、三年で結構でございます。この点について報告をお願いいたします。
  27. 寺村信行

    寺村政府委員 やや長くなりますが、御報告をさせていただきます。  まず、農林中央金庫でございますが、平成二年度の資金量は二十七兆四千億円でございます。当期利益が四百六十億円でございます。自己資本比率は、単体では二・四九%でございますが、合算をいたしますと九・二五%ということになります。そして、平成三年度でございますが、資金量が急増いたしまして、三十四兆四千億円になりました。当期利益は四百五億円でございますが、自己資本比率は低下をいたしまして、単体では二・二一、系統合算では八・六五%ということになっております。  それから、商工中金につきましては、資金量約十三兆二千億円でございます。当期利益は二百七十三億円、自己資本比率は四・一七%、これが平成二年度の計数でございます。平成三年度は、資金量十三兆九千億円、当期利益二百七十七億円、自己資本比率四・七五%でございます。  次に、全国信用金庫連合会について申し上げますと、平成二年度は、資金量八兆九千六百億円でございます。自己資本比率は、単体で九・一四%、系統合算で七・五五%でございます。平成三年度は、資金量が急増いたしまして、十兆四千億円でございます。当期利益が百三十九億円、自己資本比率が、これも低下をいたしまして、単体で八・三二%、系統合算で七・四六%でございます。  全国信用協同組合連合会につきましては、平成二年度の資金量二兆一千四百億円、当期利益十五億円、自己資本比率二・二五%でございます。平成三年度は、資金量二兆七千億円、当期利益十四億円、自己資本比率二・一八%でございます。  労働金庫連合会につきましては、平成二年度、資金量一兆七千億円、当期利益十二億円、自己資本比率一・五二%でございます。平成三年度、資金量一兆九千億円、当期利益七億円、自己資本比率一・三八%となっております。
  28. 河上覃雄

    河上委員 協同組織金融機関の中には住専に融資しているところもあります。しかも、多額の負債を抱えているところもあるようでありますけれども、こうした側面も今回の新制度導入の背景におありになるのでしょうか。どうでしょうか。
  29. 寺村信行

    寺村政府委員 先ほどの御答弁でちょっと読み間違いいたしまして、恐縮でございますが、訂正をさせていただきます。  商工組合中央金庫の平成二年度の資金量、十三兆一千六百億円でございます。それから、全国信用金庫連合会の平成二年度の当期利益は百七十三億円でございます。  住専との問題でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、優先出資制度は、金融自由化が進展する中で、協同組織金融機関経営健全性確保するために自己資本充実を図るということで、かなり長い間の議論の上で今回の法案の提出ということになったわけでございまして、具体的に住専対策、そういった特定の目的のために導入しようとするものではなく、金融自由化の全体の流れの中で金融機関経営がいろいろなリスクにさらされる、そのためにはそういった自己資本充実を図り、経営健全性確保していくことが必要である、あくまでもこういうような観点から本来の目的は行われようとしているわけでございます。  しかしながら、御指摘のように、現在の不動産市況とか株価の低迷によりまして、協同組織金融機関は厳しい経営環境に置かれておりまして、経営改善のためのいろいろな努力が行われております。そういった中で、新たな調達手段によりまして自己資本充実を図ることができるということは、系統金融機関全体の体力強化にもつながるわけでございますので、全体といたしまして金融システムの安定にも資するのではないかと考えているところでございます。
  30. 河上覃雄

    河上委員 広く出資を求めることによって協同組織金融機関性格が多少なりとも変化していくのではないのか、このように考えます。その変化に対して、大蔵としてはどのような認識をお持ちなのか、この点もあわせて質問しておきたいと思います。
  31. 寺村信行

    寺村政府委員 委員の御質問の御趣旨は、会員外から出資を受けるということになりますと、やはり協同組織金融機関の非営利法人としての性格が変化しでいくのではないかという御趣旨だと考えるわけでございます。  協同組織金融機関というのは、相互扶助によりまして会員の経済的地位の向上や事業の発展を目指す組織でありますので、その意味で非営利法人とされているところでございます。剰余金からの優先的配当を期待する優先出資を会員外から受け入れることによりまして、こうした協同組織の非営利法人としての性格に変質をもたらすのではないかという疑念が一方に出てくるわけでございますが、優先出資に対する配当は、普通出資に対する配当と同様に協同組織金融機関が事業活動を継続していくために必要な財務基盤を充実させるための必要な経費と考えられるのではないか。  それから、優先出資者普通出資者総会議決権を有しないことから、協同組織金融機関の運営に自己の営利意思を反映することができない。それから、優先出資普通出資を補完するものでありますので、優先出資発行口数を普通出資の口数の二分の一以内に制限していること。  それから、協同組織金融機関の運営が配当原資確保に傾斜しないように、普通出資にかかる配当と同様に優先出資にかかる配当についても上限を定めていること等によりまして、優先出資の受け入れによりまして協同組織金融機関の非営利法人としての性格に変化が生ずるということはないと考えているところでございます。
  32. 河上覃雄

    河上委員 およそ七兆円規模の不良債権を抱えております住専の再建を大蔵省の主導でお進めになっていることが報道されておりまして、日本住宅金融の再建案は母体銀行の金利をゼロとする、そして再建案を他の住専各社に適用する方針のようでございます。いわゆる母体行は金利ゼロに、そして一般行は二・五%に引き下げる、農林系金融機関は四・五%への金利引き下げを行うこととなった、このようにも報道はあるわけでございますが、この間の経緯と、なぜそのような措置をとらざるを得なかったのか、そして今後の見通しを含めて、わかりやすく御説明をしていただきたいと思います。
  33. 寺村信行

    寺村政府委員 昨年の八月十八日に大蔵省金融行政の当面の運営方針を公表いたしました。その中で、バブル経済の崩壊に伴いまして金融機関不良資産が増大をしている、そのことが金融システムに対する不安感を醸成し、実体経済にも悪い影響を与えるのではないかという懸念がありますので、そのような金融システムに対する不安感を払拭するためにも、不良資産処理方針を早期に確定し、これを計画的、段階的に処理をしていく必要があるということを申しました。  その一つとして、具体的な措置でいろいろな措置を講じたわけでございますが、その中で個別問題の処理ということで、住専に限らず、いわゆるノンバンク、住宅金融専門会社につきましては、その処理がおくれることが国民金融システムに対する不安感を醸成することになりますので、関係金融機関にはその処理のためのさらなる努力要請してきたわけでございます。このノンバンク、住専の問題というのは、当該債務者に対しまして関係する金融機関が極めて多数存在する、そして、そのような債務者がたくさん存在することによりまして金融機関の利害関係が極めて錯綜している、したがって、その損失の処理についての金融機関合意形成がなかなかできない、そういう難しい問題がございまして処理がおくれているという状況でございますが、基本的にはこれは金融機関自己責任原則によりまして損失分担の合意形成をして着実に処理していくことが必要ではないか、そのための努力をお願いするということで関係金融機関要請をしてまいりました。  その間、銀行系ノンバンクあるいは独立系ノンバンクにつきましては、昨年の夏以降徐々に損失処理のための合意形成が進んでまいったわけでございますが、住宅金融専門会社につきましては、銀行系ノンバンクに比べましてややその合意形成がおくれておりました。  と申しますのは、住専の場合、母体行が極めて多数もしくは複数行ある、しかも金額がそれぞれ極めで大きくて、母体、非母体間の利害関係が極めて錯綜した関係にあるというようなことで損失分担の合意形成がおくれていた。このことが金融システムに対する国民不安感をなかなか払拭できないということで、当局といたしましても、関係金融機関に対しましてその合意形成のためのさらなる努力を再三要請をしてまいりました。  その結果でございますが、去る二月の二十六日、住宅金融につきましては、日本住宅金融の策定いたしました再建計画案につきましで母体金融機関合意が成立をいたしました。その内容は先ほど委員が御指摘のような内容でございますが、現在母体行以外の金融機関につきましてその協力を要請しております。かなり合意形成が進んでおりますが、先ほども申し上げましたが、最終的な決着にはまだ至っていないということでございます。  当局といたしましては、このような関係機関の努力評価しておりますが、まだ残された問題もたくさんございますので、引き続き関係金融機関努力要請してまいりたいと考えているところでございます。
  34. 河上覃雄

    河上委員 住専は大蔵省がリードしで設立された会社であると理解しでおりまして、この会社がバブル景気の中で無理な借り入れを行ったこと、また農中が一兆円を超える融資をしたこと、いろいろと問題がなくはないわけでございまして、農中の中核となっている農協の本来の使命、これは何なのかと改めて思うところもあるわけでございます。  協同組織金融機関の本来の役割であります相互扶助的な金融考えれば、融資資金の拡大につながる優先出資を受けることがいいのか、全く疑問がないわけではありません。この際、協同組織金融機関の非営利性という本来の目的を踏まえて、今後の役割と限界についで見詰め直しておく必要があるのではないのか。このように考えております。  そこで、この役割と限界について大蔵省並びに農水省はどのようにお考えなのか、これについでお尋ねをいたします。
  35. 寺村信行

    寺村政府委員 先ほど来申し上げてまいりましたけれども、この協同組織金融機関本来の役割であります相互扶助の目的を追求していくということは当然のことでございますが、金融自由化の過程、これから進展する金融自由化のもとでこの相互扶助の目的をよりよく果たしていくためには、やはり経営基盤の強化が必要ではないか、そしてこの経営基盤の強化を図ることによりまして金融自由化の中でさまざまな会員のニーズに対応していく、そういった経営の強化を図ることが必要ではないか、このような考え方で今回の優先出資法案を御提案をしたわけでございます。むしろ相互扶助組織が金融自由化の過程の中でよりその目的に十分積極的に対応をしていくためにも必要ではないかという考え方でございます。  しかしながら、委員指摘のとおり、本来協同組織金融機関の業務範囲につきましては、やはり会員に対する金融サービスの提供が妨げられることがあってはならない、そのための法令上の規制もございますので、協同組織本来のあり方を逸脱するような業務拡大は好ましくありませんし、また、そのようなことはそのような法令上の規制から抑制をされていくというように考えているところでございます。
  36. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 今回の優先出資の導入につきましては、ただいま大蔵省の方からも御答弁ありましたように、農林中央金庫の相互扶助組織としての役割が今後とも十分に発揮されますよう、その経営基盤を強化することを主たる目的とするものでございまして、この優先出資の導入によって業務の拡大を図ろうということではないわけでございます。  御案内のとおり農林中央金庫は、相互扶助を目的といたしまして所属の農林水産業各団体への金融上の便宜を供与する中核的な系統の全国機関ということではございますが、あわせまして系統金融の全国機関でございますので、所属団体から集まってまいりました余裕資金を外部経済との接点に立って運用いたしまして、その運用益を所属団体に還元するといったこと、また、金融機関でございますので公共性を有しておるわけでございまして、国民経済の発展を図るべき責務、そういったことから、農林水産業の発展、公共目的の達成等を図るための貸し出し等の業務を営んでおるわけでございますが、これらの業務につきましては、その役割は所属団体への金融上の便宜供与を妨げない限度で行うよう法令上の規制がなされているわけでございます。また、実際にもこうした業務運営がなされておると認識もしでおる次第でございます。  農林水産省といたしましても、以上のような農林中央金庫の役割等にかんがみまして、今後とも農林中央金庫に対し、所属団体の発達や農林水産業の発展に寄与することを基本として適切な業務運営を図っていくよう指導してまいりたいと思っております。
  37. 河上覃雄

    河上委員 半分ぐらいまだ質問が残ってしまったわけでございますが、もうほとんど時間でございますし、今申し上げた部分につきまして十分な配慮を企てでいただくことを強く要望いたしまして、私の質問は終わります。
  38. 藤井裕久

  39. 正森成二

    ○正森委員 協同組織金融機関優先出資に関する法律案について、若干の質問をさせていただきます。  金融制度調査会金融制度第一委員会中間報告などを拝見しますと、協同組織金融機関というのは協同組織性を堅持することが重要であるということを強調しているようであります。また、協同組織金融機関の各根拠法を見ますと、商工中金だけは省令で規定されているようでありますが、会員、組合員の利用分量または出資額に応じて配当を行うという原則を規定していると承知しております。  ところが本法案では、この各根拠法の規定にかかわらず、普通出資者すなわち会員、組合員の配当は、「優先出資者への優先的配当を行った後でなければ、行ってはならない。」と定めております。これは中間報告で強調されている協同組織金融機関原則、協同組織性に反するという点があるのではありませんか。どういうぐあいにお考えですか。
  40. 寺村信行

    寺村政府委員 この優先出資を導入する趣旨でございますが、ただいま御指摘のとおり、協同組織金融機関は会員の相互扶助を目的とする組織ではございます。しかし、金融自由化が進展していく過程のもとでこの相互扶助の目的をよりよく果たしていくためには、厳しい競争に耐え得るような自己資本充実が必要であり、このために優先出資普通出資を補完するものとして導入しようという考えでございます。  そもそも協同組合原則に反するかどうかという点でいろいろな検討を行いましで、四つの原則がございます。相互扶助の目的、それから任意加入、脱退の自由、平等の議決権、それから利益分配に対する上限の設定、これが協同組合原則でございます。それに抵触をしないような措置を講じたということでございます。
  41. 正森成二

    ○正森委員 局長の言われた面があるのは事実ですが、他方、例えば法案の十九条の五項あるいは十九条の八項などを見ますと、配当がうまくいかなくなった場合には、協同組織の会員、組合員以外からの外部的プレッシャーがかかる仕組みになっております。  優先出資を導入すると、優先出資者かなりの部分を機関投資家等が占めることとなる可能性があります。そうすると、銀行や生命保険などの関係者からの外部圧力によって、会員、組合員の相互扶助という協同組織金融機関の基本理念をゆがめて、剰余金確保第一主義に追い込むことになる可能性がありませんか。
  42. 寺村信行

    寺村政府委員 優先出資者総会制度の存在が、いわゆる協同組織金融機関剰余金確保第一主義に追い込むということになるのではないかというお尋ねでございます。  この法案優先出資者総会制度を設けておりますのは、配当可能な剰余金があるにもかかわらず、あらかじめ優先出資者に約束をした優先配当を下回る配当をするというような場合に限り優先出資者総会を開くということでございまして、一般の業務運営につきまして優先出資者議決権を有するということではございませんで、いわゆる機関投資家等が自己の営利意思を協同組織金融機関の運営に反映させるということはできないということでございますし、同時に、配当原資確保協同組織金融機関の運営が傾斜することのないように、この配当に一定の上限を課している、制約を課しておりますので、御懸念のような剰余金確保第一主義に追い込まれるということはないものと考えているところでございます。
  43. 正森成二

    ○正森委員 そう言われますが、例えば第十九条の八項では、「連続する二以上の事業年度の確定した決算において第一項の剰余金の配当の限度額が優先的配当の合計額を下回ることとなった場合には、決算確定後遅滞なく、」「優先出資者総会を招集し、その業務及び財産の状況報告しなければならない。」こうなっております。  だから、今局長が言われたように、剰余金があり、もうかっているのに優先出資者に配当しないというだけじゃなしに、そもそも剰余金が十分ではないというような場合に、なぜそうなったのかということを出資者総会を招集して報告しなければならぬということになっているはずであります。  そうしますと、どうしてももうけ中心主義に走って、しかもそれは、組合員以外の者が出資したところを満足させるために剰余金確保に走るという協同組合本来の目的から外れてくる場合、利益第一主義になる場合があり得るのじゃないですか。
  44. 寺村信行

    寺村政府委員 優先出資者は協同組織の運営には参加できませんけれども、運営が適切でないために十分な剰余金が出ず、その結果、優先出資者が十分な配当を受けられないという事態が続くのも適正ではない。そのような観点から二事業年度以上連続していわゆる約束した配当を下回る場合には、優先出資者総会を招集し、業務、財産状況報告する、こういうことになっているわけでございます。  趣旨はただいま申し上げていることでございまして、一般の業務運営についで直接の営利意思を反映することはできないのでございますが、あらかじめ約束したものを下回るような安易な経営を続けた場合に、それは優先出資者権利保護という観点からこのような制度を設けでおりまして、これはむしろ協同組織金融機関経営に対する緊張感を与えて、経営の適正合理化を通じまして健全性確保に資することになるのではないか、このように考えております。
  45. 正森成二

    ○正森委員 いろいろ意見はありますが、次の論点に移ります。  現在のところは、優先出資というようなことをできるのは中央の機関だけてあります。しかしながら、二月一日付の日経などを見ますと、大蔵省は、「将来的には県信連など下部機関にも発行の道を開くことを検討している。」と報道されております。そうなりますと、単位組織にまで広がってくる可能性があるのですが、そういうことをお考えですか。
  46. 寺村信行

    寺村政府委員 今回御提案をいたしております優先出資制度は、全国レベルの協同組織金融機関五団体に限っで導入するということにいたしております。  その趣旨でございますが、系統中央機関というのは単位組織の業務を補完する役割を担っておりまして、会員のニーズにこたえるべく金融サービスの多様化を図っていくなど、金融自由化により積極的に対応していくことが期待をされております。  それから、系統中央機関というのは、単位組織の余裕資金を集中し、それを効率的に運用していくという資金運用機関的な役割を果たしておりますので、単位組織以上の信用力の維持向上が求められている。  それから、単位組織の場合は、会員数を増加させることによります増資が可能でございますが、系統中央機関というのはもともとその会員から組成されているということでございますので、会員数の増加が期待できない。  それから、二番目に申し上げましたのとちょっと似ているのでございますが、資金運用機関的な役割を有しておりますから、単位組織から上がってまいります余裕金の受け入れを拒否することができない。先ほど御質問に御答弁しましたが、ある年度によっては極端に資金量がふえるというようなことがございます。みずからその資金規模をコントロールできない、したがって、自己資本比率の計画的な達成というのが困難だというようなことがございます。  それからもう一つは、系統中央機関は支援融資等によります単位組織の信用力の維持という役割を担っておりますので、系統中央機関の自己資本充実を図ることによりまして、単位組織を含めた系統全体の体力強化にも資することができる。  こういう観点、考え方から全国レベルの協同組織金融機関五団体に限って優先出資制度の対象としたものでございましで、現段階でそれ以上の対象を考えていることではございません。
  47. 正森成二

    ○正森委員 そういうお答えがございましたが、念のために申し上げておきますが、協同組織金融機関の下部組織、特に会員、組合員と直結している単位組織への優先出資制度導入については、全国連合組織とは比較にならない大きな規模で協同組織金融機関原則と基本理念に打撃を与えることになる、こういう声が単位組織では非常に強くて、絶対反対だという声もあります。  したがって、今の銀行局長の御答弁である程度姿勢はわかりましたが、当該機関やその会員、組合員の反対を押し切っで、単位組織などへの優先出資制度の拡大を行うようなことは、当面厳に慎むべきであるというように思いますが、いかがですか。念のためもう一度御答弁願います。
  48. 寺村信行

    寺村政府委員 ただいま制度的には単位組織を対象にすることは考えていないと御答弁を申し上げたとおりでございます。  それから、会員の意思に反してということでございますが、もともとこれは対象になりましても定款記載事項でございますので、会員の普通出資者の意思が反映されなければ、そもそも制度の対象として可能であっても発行できないという仕組みになっているわけでございます。
  49. 正森成二

    ○正森委員 時間の関係でもう一問だけ聞かせでいただきます。  協同組織金融機関自己資本充実というのが必要だということは、そういう点もございますが、昨年秋のICA、国際協同組合同盟大会の基調報告によりますと、まず第一に、会員、組合員の任意出資、第二に、従業員、労働組合、年金基金、公共投資家及び協同組合に密接な関連を持つ組織による外部からの投資導入などの方法が提起されているようであります。報告の五十五ページにそういうことが書いてあります。  また、昨年九月の社団法人信用金庫協会の「信用金庫の自己資本について」と題するものでは、自己資本充実の第一に出資債券、第二に劣後ローンを挙げて、第三番目にやっと優先出資が出てくる。しかも、これは導入しがたい点があるという意見もついていたのではないですか。なぜ順番を、変えると言うたらおかしいのですが、優先出資ということを優先させたのですか。
  50. 寺村信行

    寺村政府委員 行政当局対応といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、金融制度調査会の御審議あるいは国会での御論議等を踏まえまして今回の対応措置をとったわけでございます。  いろいろな御意見が一方ではございます。ただ、この法案の基本原則を申し上げますと、やはり普通出資が本来の原則であり、優先出資はそれを補完するものとして位置づけられております。したがいましで、あくまでも、まさに会員の意思によって選択を認められているということでございます。今後の金融自由化対応いたしまして、金融機関として事業を継続していく過程で、自己資本充実のための一つの選択肢、多様な選択肢の中の一つ、多様化をすることが必要でございますが、あくまでもそれを選択するかどうかは会員の判断による、こういうことになっているわけでございます。
  51. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  52. 藤井裕久

    藤井委員長 中井洽君。
  53. 中井洽

    中井委員 法案についで、関連することを二、三お尋ねをいたします。  今、同僚の正森議員の質疑に対しまして、現在、下部のそれぞれの機関に対しては発行の道を開くことは考えていない、こういうお答えでありました。  しかし、自己資本充実あるいは信用の確保、こういったことを考えますと、商工中金を除いて、それぞれ立派にやっていらっしゃるところもあるし、大変難しい環境であることも事実であります。下部機関に将来的にも優先出資の道を開かずに、中央の、系統中央だけこういう形でやっていくということは、労金とか農林中金、農協系統は中央に一層系列化をして全国統一的な金融機関に将来持っていく、そちらの方向考える、こういう理解をするのかなという思いがありますが、いかがですか。
  54. 寺村信行

    寺村政府委員 相互扶助を目的とした非営利法人であるというのが共同組織金融機関の位置づけでございます。したがいまして、その共同組合原則と、それから一方におきまして、金融自由化が進展してまいりまして、証券化、国際化あるいは自由化ということで、さまざまな金融商品・サービスが提供され、そしてまた、会員からもそういったものに対するニーズが増大しているというところの対応をどのように調和させていくかという問題ではないかと思っております。  現段階におきましては、そういったぎりぎりの調和点が、系統中央機関にこの制度を導入することによって調整が図られるのではないか、このような考え方でございます。
  55. 中井洽

    中井委員 商工中金あるいは信用金庫、信組、これらは個々にやっていく能力も体力もある。労働金庫あるいは農協、法律を改正し、業務の枠を拡大し、いろいろな対策を法的にも講じてきたところでありますが、今回、優先出資法というので系列中央だけを信用強化しで、あるいは自己資本充実させることで、本当に系列のそれぞれの単位の機関が安定をするのかどうか。そこらは十分議論をしていかなければならないと思いますが、この点の認識はいかがですか。
  56. 寺村信行

    寺村政府委員 確かに御指摘のような問題はあろうかと存じます。ただ、例えば農中について申し上げますと、先ほどちょっと御答弁を申し上げましたけれども、単体では低いのですが、むしろ下部機関の方が自己資本が厚いというような状況でございまして、系統を合算しますと高くなるのでございます。  そういった個別の問題もございますので、今後の自由化の進展、あるいは各金融機関経営状況によってはいろいろな問題がまた出てくると思いますが、現段階におきましてはただいま御提案しているような考え方対応していくのが適当ではないかと考えております。
  57. 中井洽

    中井委員 これまた先ほどから議論が出ましたが、住専の再建の中で、日本住宅金融の再建がほぼまとまりつつあると私どもは聞かせていただいております。  その中で、農協系が四・五%の利子を受け取る、こういう形であります。現行の低金利の中で、四・五といえば実はかなり高い金利であります。日本住宅金融がこれでまとまれば、残りの住専もほぼこういう系列でまとまっていくのだろう、また大蔵省も御努力いただくのだろう、このように考えておりますが、農協系が四・五、優遇をされておるということについで、大蔵省そのものはどのように御判断をなさいますか。
  58. 寺村信行

    寺村政府委員 住専に限らないのでございますが、今回のバブル崩壊後のいろいろな調整過程に、おきまして、ノンバンク、住専の個別問題の処理に当たりましてはいろいろな対応がございます。  例えば母体金融機関が全部損失を処理する場合、それから、母体機関が処理できないまでも、かなりのロスをしょって、他行に対しまして金利減免を依頼する。その場合の金利も、ゼロもございますし、先ほどございました公定歩合、あるいは短期プライムレート並み、あるいは長期プライムレート並みというようないろいろな支援のスキームがございます。これは、当該ノンバンクあるいは母体金融機関とその金融機関との親密度合い、あるいはかかわり方の問題、あるいは金融機関の負担能力の問題等をいろいろ加味されまして、それぞれ関係者の中で合意されたものでございまして、一律にこれというのは必ずしもなくて、いろいろな対応がございます。  住専問題も、そういった中で関係者の方々がいろいろな要素を加味しながら合意をされつつある、こういうふうに理解をしているところでございます。
  59. 中井洽

    中井委員 お答えがなかなか難しいところであろうかと思いますが、私どもも、農協という協同機関の地域における重要性にかんがみたら、こういう解決も仕方がないかという感じを持っております。しかし同時に、大事だからといっていつまでも甘えるというか、金融機関としてこの自由化の激しい中で体質改善がおくれておるようではどうだろう、こういう感じも抱くものであります。  過日、四月の初めに大蔵省の財政金融研究所が、資産価格変動のメカニズムとその経済効果に関する研究会の発表をお届けをいただきました。その中で繰り返し述べられていることは、要するに自己責任原則リスク管理の徹底、このことであります。原因はいろいろあったと思いますが、今回の金融不祥事あるいは金融不安、そういう中で、この分野の自己責任、そしてリスク管理徹底、これらの問題というのは非常に大きかった、同時に、これから大蔵省が、各金融機関を育でるのではなしに、こういう方面で監督を強化する、それが一つの役割だ、こんなふうに私は考えております。  そういう意味で、この協同機関あるいは各地区の例えは農協、労金、こういったところに対する検査の体制というのが本当に水準高くやられでいるかどうか、このことを大変心配をして、二回ほど委員会でも質問したことがあります。大蔵省直接の監督責任ではありませんが、これらの問題で本当に検査あるいは監督のレベルアップというものを大蔵省がもっともっとお考えになるべきだ、そして、そういう中でそれぞれの協同機関が金融機関としてあるいは協同金融機関としての責任を大いに自覚をしてやっていただきたい、このことを日々感じでおります。  そういった意味で、大蔵省が他の省庁の管轄、監督あるいは地方自治体の監督のところまで、どこまで口出せるかわかりませんけれども、もう少し意を使って監督監視のレベルアップを図ってほしい、私はこのことを感じますが、いかがですか。
  60. 寺村信行

    寺村政府委員 ただいま委員指摘のとおり、協同組織金融機関の検査の体制は大蔵省だけではなくて、それぞれ主務省あるいは都道府県等によりまして分担した検査が行われております。  今回のバブルの崩壊後の調整過程におきまして、金融機関経営健全性確保していくためにこの検査体制の強化が従来以上に必要であるという認識は持っております。具体的な実施権者がどうということではなくで、それぞれの主務大臣あるいは都道府県とも私ども緊密な連携をとりつつ、お互いに情報交換をしながら検査体制の強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  61. 中井洽

    中井委員 終わります。
  62. 藤井裕久

    藤井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  63. 藤井裕久

    藤井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  協同組織金融機関優先出資に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  64. 藤井裕久

    藤井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 藤井裕久

    藤井委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  66. 藤井裕久

    藤井委員長 次回は、明二十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四分散会      ————◇—————