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中村(
正男)
委員 この総合
景気対策、大変広範な範囲になっております。私は、あとの時間、とにもかくにも所得税減税の問題に絞ってひとつ意見を申し上げていきたいと思うのです。
けさ、今頑張れと御支援いただきました
中井さんを初め、公明党の日笠政策
審議会会長代理、それから我が社会党、三党の実務者が寄りまして、連合の幹部を交えで所得税減税実現のために頑張ろう、こういう会合を持ってきたのですが、これは
大蔵省も自民党もぜひひとつ心していただきたい。連合は組織の命運をかけてこの実現に向けて
国民運動を展開していく、我々三党も三党結束をして宮澤内閣と対決をしていく、こういう決意を固めたことをまず
報告をしておきます。
その中でもとりわけ話題になったのは、
大蔵省の
姿勢が極めてかたい、これに尽きる。今財界も言論界も本当に減税をやれと強く叫んでおるにもかかわらず、
大蔵省が極めて頑迷固陋な態度をとり続けている、ここにすべての
原因がある。これから
大蔵省の前へ座り込みに皆行こうじゃないかというふうな意見も出ておったことであります。
時間がたちますから、そこで、今大臣が答弁された中で私は三点、
一つは果たして
景気刺激になるのか、それから赤字国債を
発行してまでもどうか、それから税制体系上どうか、こういう問題ですが、軽い方からいきますと、税制体系の問題は、逆に今回の
政策減税、千五百億円の減税になったのですが、これ自体私は税制体系をゆがめたと思うのですよ。だから、それは我々としては、半歩の半歩ぐらいの前進ですから、まあまあきょうは言いませんが、そういう矛盾があったということですね。
それと、赤字国債の問題なんですが、私は、公共投資のための建設国債は善であって所得税減税のための赤字国債は悪だ、このことはどうしても理解ができません。我々の主張は、のべつ幕なしに赤字国債を
発行してということではないのです。今回の所得税減税に限って五年の短期の国債を
発行せよ、そして
発行するときにこの償還計画を、いわゆる財政計画を明確に出しで
国民に約束をするということでこのことを決断をしたということであります。
ちょっと新聞記事を
紹介をしたいと思うのですが、これは三月三十日の朝日の夕刊の「窓」というコラムですが、「どっちもどっち」、目くそ鼻くそを笑うということわざがあるのですが、そういう見出しで、ちょっと読んでみます。
赤字国債を目のかたきにしながら、他方で同じ国の借金である建設国債を乱発する
大蔵省の辞書には、この言葉は見当たらないようだ。これは目くそ鼻くそを笑うということですね。公共事業費などに充てる建設国債を財政法は認める一方、経常費向けの赤字国債は特別立法しなければ、
発行できない。
しかし、経済の世界では
元利払いの負担が等しく後代にのしかかる借金だ。償還期限や
発行条件に変わりはない。
「建設国債は橋や道路になって後世に残るからいいが、赤字国債は公務員給与や減税に消えてしまうので不健全」という
大蔵省の
説明に一理はある。
だが、公共事業費には、土地代や建設業者の人件費も含まれる。金丸被告の蓄財事件のように、ゼネコンの裏献金に公共事業費の一部が化ければ、とても健全な借金とはいえまい。
逆に、赤字国債を不健全と決めつけるのも行き過ぎだろう。それで減税すれば、納税者自身の
判断で、外食や教育費であれ自動車や家具の購入費の一部であれ、有効な使い道を選ぶはずだ。預金しても、
銀行融資を通じて民間需要を刺激する。
減税の使い道まで
大蔵省が心配するのは、
国民へのおせっかいというものだ。
いったん赤字国債を出したら歯止めが失われる、ともいいきれない。赤字国債
発行が続いた昭和五十年代は、官民に財政危機意識が高まり、歳出が抑制された実績がある。
むしろ、財政を借金漬けにした主犯は建設国債の方だ。来年度末で百八十二兆円にものぼる国債
発行残高のうち、建設国債は三分の二を占める。
赤字国債悪玉論を逆手にとって、今や建設国債の対象を拡大すれば、借金が許されるという風潮が政府・自民党に高まっている。困ったものだ。
所得税減税をしたくないばかりの公共事業の大盤振る舞い。これで財政節度を説けるのですか、
大蔵省さん。こんなコラムです。ちょっと時間をいただきましたが、これはまさに今の世論を率直に表現していると私は思うのです。
それからもう
一つ、
景気刺激にならないのではないか、こういう
指摘が大臣からありましたが、私は出身が電機産業でありますから、今のこの家電不況は身にしみでおります。減税をやれば必ずそれは消費に結びつくという
一つの
調査結果がございますので、
紹介をしておきます。
これは、九二年九月、BBRという
調査機関の、二人以上の世帯で二万三百十四回収をした家電製品の需要予測です。
カラーテレビ、これは御案内のように普及率は九九・六%であります。しかし、最近六カ月の購入率を見てみますと七・七%ある。その内訳が問題なんですね。新規はわずか一・〇%、買いかえは三八・六%、買い増しは五九・二%に上っております。
エアコン、これも普及率は七四・二%ですが、最近六カ月の購入率は六・六%、新規はまだ一九・四%もあります。買いかえは二〇・二%、買い増しは五八・五%。消費者は今我慢しておるわけですから、所得がふえれば絶対それは購入をする、こういうことを裏づけておると私は思います。
この
景気刺激の問題と、とりわけ赤字国債に対して、我々は、今言った条件を付して
発行をしてでもぜひひとつ所得税減税は年内に実施をするように、強く要望をしたいと思います。
時間が来ましたから他の質問は一切できませんが、以上の点についてもう一度大臣に、赤字国債の問題、
大蔵省だけがガードがかたい、世論はそれに対して極めて批判的であるということをも含めて御答弁をお願いしたいと思います。