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1993-02-17 第126回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年二月十七日(水曜日)     午前十時四分開議 出席委員    委員長 藤井 裕久君    理事 井奥 貞雄君 理事 石原 伸晃君    理事 田中 秀征君 理事 前田  正君    理事 柳本 卓治君 理事 渡辺 嘉藏君    理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    岩村卯一郎君       江口 一雄君    衛藤征士郎君       大島 理森君    河村 建夫君       小林 興起君    左藤  恵君       戸塚 進也君    中村正三郎君       福田 康夫君    光武  顕君       村井  仁君    山下 元利君       網岡  雄君    伊藤  茂君       池田 元久君    上田 卓三君       小野 信一君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    中沢 健次君       中村 正男君    早川  勝君       細谷 治通君    井上 義久君       河上 覃雄君    正森 成二君       中井  洽君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 林  義郎君  出席政府委員         内閣法制局第三 野田 哲也君         部長         大蔵政務次官  村上誠一郎君         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局次 竹島 一彦君         長         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省理財局長 藤井  威君         大蔵省証券局長 小川  是君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         大蔵省国際金融 中平 幸典君         局長         国税庁課税部長 松川 隆志君         社会保険庁運営         部長      佐藤 隆三君         兼内閣審議官         農林水産大臣官 今藤 洋海君         房審議官         自治大臣官房審 松本 英昭君         議官  委員外出席者         参  考  人 福井 俊彦君         (日本銀行理事)         大蔵委員会調査 中川 浩扶君         室長     ————————————— 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   上田 卓三君     網岡  雄君 同日  辞任         補欠選任   網岡  雄君     上田 卓三君     ————————————— 二月十六日  国の補助金等整理及び合理化等に関する法律  案(内閣提出第一号)  平成年度における一般会計承継債務等償還  の特例等に関する法律案内閣提出第二号) 同月十五日  共済年金の改善に関する請願(相沢英之君紹  介)(第一七号) 同(浅野勝人紹介)(第一八号) 同(伊吹文明紹介)(第一九号) 同外六件(今井勇紹介)(第二〇号) 同(今枝敬雄紹介)(第二一号) 同(浦野烋興君紹介)(第二二号) 同(久野統一郎紹介)(第二三号) 同(古賀誠紹介)(第二四号) 同(竹下登紹介)(第二五号) 同外五件(中西啓介紹介)(第二六号) 同(野呂昭彦紹介)(第二七号) 同(東力君紹介)(第二八号) 同(三原朝彦紹介)(第二九号) 同(簗瀬進紹介)(第三〇号) 同外一件(綿貫民輔紹介)(第三一号) 同(奥野誠亮紹介)(第四五号) 同(狩野勝紹介)(第四六号) 同外一件(川崎二郎紹介)(第四七号) 同(左藤恵紹介)(第四八号) 同(田邊國男紹介)(第四九号) 同(谷垣禎一紹介)(第五〇号) 同(中尾栄一紹介)(第五一号) 同(松田岩夫紹介)(第五二号) 同(森英介紹介)(第五三号) 同外一件(山本有二紹介)(第五四号) 同(麻生太郎紹介)(第一〇二号) 同(池田行彦紹介)(第一〇三号) 同(石井一紹介)(第一〇四号) 同外一件(石橋一弥紹介)(第一〇五号) 同(岩村卯一郎紹介)(第一〇六号) 同(植竹繁雄紹介)(第一〇七号) 同外一件(臼井日出男紹介)(第一〇八号) 同(大塚雄司紹介)(第一〇九号) 同外二件(北川正恭紹介)(第一一〇号) 同(小林興起紹介)(第一一一号) 同(塩川正十郎紹介)(第一一二号) 同(杉浦正健紹介)(第一一三号) 同外六件(西田司紹介)(第一一四号) 同外四件(野田実紹介)(第一一五号) 同(野中広務紹介)(第一一六号) 同(萩山教嚴君紹介)(第一一七号) 同(原田憲紹介)(第一一八号) 同(増田敏男紹介)(第一一九号) 同(宮里松正紹介)(第一二〇号) 同(与謝野馨紹介)(第一二一号) 電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(岡 崎宏美紹介)(第三二号) 同(藤田高敏紹介)(第八八号) 同(岩田順介紹介)(第一二二号) 同(楢崎弥之助紹介)(第一二三号) 同(細谷治通紹介)(第一二四号) 不況を打開し、国民本位の税制の確立に関する 請願堀昌雄紹介)(第三三号) 消費税廃止飲食料品即時非課税課税最低限 引き上げに関する請願伊藤忠治紹介)(第一 〇一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国の補助金等整理及び合理化等に関する法律  案(内閣提出第一号)  平成年度における一般会計承継債務等償還  の特例等に関する法律案内閣提出第二号)      ————◇—————
  2. 藤井裕久

    藤井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案及び平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案の両案を議題といたします。  趣旨説明を求めます。林大蔵大臣。     —————————————  国の補助金等整理及び合理化等に関する法律   案  平成年度における一般会計承継債務等償還   の特例等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 ただいま議題となりました国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案及び平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、累次の臨時行政調査会及び臨時行政改革推進審議会答申等趣旨を踏まえ、財政資金効率的使用並びに国及び地方財政関係安定化を図るため、これまで累次のいわゆる補助金一括法において暫定措置が講じられていた国の補助金等について、国と地方機能分担費用負担あり方等を勘案しつつ、一体的総合的な検討を行い、補助率等恒久化等所要法的措置を講ずるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、公共事業等に係る補助率等については、平成年度の国の補助金等臨時特例等に関する法律に基づき、平成年度までの暫定措置が講じられておりましたが、これを、体系化簡素化等の観点から、直轄事業にあっては三分の二、補助事業にあっては二分の一を基本として恒久化し、平成年度から適用して、暫定措置を解消することとしております。また、これとあわせて、直轄事業負担金のうち、維持管理費に係る地方負担割合を引き下げる等の措置を講じることとしております。これらの措置は、河川法等三十本の法律にわたっており、これらの法律について所要改正を行っております。  第二に、義務教育費国庫負担金に係る経費のうち共済費追加費用等については、平成年度において、同年度から六年度までの三年間で段階的に一般財源化することとされておりましたが、これを平成年度において全額一般財源化することとし、義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の二法律について所要改正を行っております。  第三に、一般会計から特別会計への事務費繰り入れを規定している地震再保険特別会計法及び自動車損害賠償保障法の二法律について、引き続き当分の間の措置として繰り入れ特例を延長することとしております。  次に、平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成年度予算の編成に当たっては、税収が前年度当初税収を下回るという異例に厳しい税収動向財政事情のもとで、景気や生活大国づくりへの配慮など社会経済情勢推移に即応した財源の重点的・効率的配分を行う一方、特例公債を再び発行するような事態は厳にこれを回避するため、既存の制度、施策や歳出の徹底した見直しを行ったところであります。  本法律案は、こうした努力に加え、一般会計において承継した債務等償還延期及び政府管掌健康保険事業に係る一般会計からの繰り入れ特例について所要法的措置を講ずるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、一般会計において承継した債務等償還特例についてであります。  交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち一般会計に帰属したもの並びに日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団の債務のうち一般会計において承継したもののうち、平成年度において償還すべき金額については、それぞれその資金運用部に対する償還延期することができることとし、当該延期に係る金額については、五年以内の据置期間を含め、十年以内に償還しなければならないこととしております。  第二は、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れ特例であります。  平成年度における一般会計から厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れについては、健康保険法に定める額から千三百億円を控除して繰り入れるものとするとともに、後日、政府管掌健康保険事業の適正な運営が確保されるために、各年度当該勘定の収支の状況等を勘案して、繰り入れ調整分及びその運用収入相当額合算額に達するまでの金額一般会計から繰り入れるものとしております。  以上が、国の補助金等整理及び合理化等に関する法律案及び平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 藤井裕久

    藤井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 藤井裕久

    藤井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤井裕久

    藤井委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  7. 藤井裕久

    藤井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中沢健次君。
  8. 中沢健次

    中沢委員 おはようございます。きょうは予算委員会証人喚問がございまして、国民の注目は専らそちらの方に寄せられているのではないかと思います。しかし、大事な法案でございますから、私自身は一時間の時間を割り当てされておりますけれども、大蔵大臣に主としてお尋ねを申し上げたいと思います。  私自身は今まで地方行政委員会におりまして、余り長い間ではございませんが、地方行政あるいは地方財政、そういう立場から、例えば昨年の場合は羽田大蔵大臣の時代でございましたけれども、地方行政委員会にもおいでをいただきまして、特に大蔵大臣として地方財政をどう理解をされているか、とりわけ特例減額問題についてもいろいろ議論をした経緯がございます。したがって、大蔵委員会では初質問になりますので、これからまたいろいろとお世話になると思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思うのです。それにしても大蔵大臣、連日の予算委員会、大変御苦労さまでございます。  早速内容に入っていきたいと思いますけれども、まず最初に、俗な言葉で言えば国の財政地方財政もそれぞれ大変な借金を抱えている。しかし、お互い公経済という立場でいろいろな意味で痛みを分かち合う、あるいは時によっては非常に厳しい中で国が協力をする、地方協力をする、つまりは公経済バランスという一つ筋立てで今まで国・地方財政運営をやってきたと思うのです。  具体的にお尋ねをしたいのは、現状におきまして国と地方財政貸し借り、余り国民の皆さんには正確には承知をされておりませんが、国と地方財政貸し借り現状においてどうなっているか、それが平成年度以降どういう償還計画といいましょうか借金返し計画になっているかおよその内容で結構だと思いますが、まずそのことをお尋ね申し上げたいと思います。
  9. 竹島一彦

    竹島政府委員 国と地方貸借関係でございますが、地方交付税法の附則に整理されているところでございますけれども、平成年度以降の国のいわゆる法定加算は四兆一千二百九十五億円でございます。これにつきましては今後それぞれの年度におきまして、地方財政対策におきまして適切に対処してまいるということでございます。  四兆一千二百九十五億円の将来年度でございますが、六年度から十三年度までの間に法定加算されるということで、地方交付税法改正案提案されているところでございます。
  10. 中沢健次

    中沢委員 今、次長の方から法の四条第一項、第四項の加算額についてお答えをいただきましたけれども、逆に、国が地方財政から借りている、それも含めて、後でちょっと議論をしたいと思いますので実態についてお示しをいただきたいと思います。
  11. 竹島一彦

    竹島政府委員 お尋ねは、交付税特別会計資金運用部から借り入れている借入金のことかと存じますが、その残高は二兆一千二百八十一億円でございます。  これにつきましては、御案内のとおり昭和五十九年度地方財政対策改革の際に地方負担分として交付税特会に残された借入金、それから、六十一年度補正予算平成年度補正予算におきまして所得税等の減収がありまして、それに伴う交付税の減ということがございました。それに対応するために借り入れたものでございまして、先ほど申し上げましたように。交付税特会運用部からの借入金残高は二兆一千二百八十一億円でございます。
  12. 中沢健次

    中沢委員 そこで、この問題について議論をすれば結構時間がかかると思いますが、私なりに極めて結論的に申し上げたいと思います。  今お話がありましたように、国が地方財政からさまざまな形で借りて、その残高が四兆一千億。地方が五十九年度末、これはもう大変な金額になりまして、あの当時の政治決断で国と地方お互いにその残高を折半する、これが一つありました。ごく最近は、昨年度、正確に言えば本年度補正予算の中で一兆六千億地方財政へ穴があきました。  つまりそれは、国の交付税配分の基礎となります税額が非常に落ち込んだ、交付税がその分極端に減る、そうはいっても配分決定をした後でありますから、それは具体的にはいろいろな方法を考えて措置をしなければならぬ、これが約一兆六千億あったわけであります。そういう内容も含めて、地方の国に対する残高がまだ約二兆一千億ある。単純に差し引きをすると、国と地方貸借関係は結果的に国の方がまだ二兆円ほど地方に借りている分が多い、こういうことになってくると思うのですね。  ただ、実はこの数字にあらわれていない幾つかの事実があるわけです。これも結論的に申し上げたいと思いますが、確かに五十九年度大変な残高があって、地方は六兆円国からお金を借りています。それから相当努力をいたしまして、簡単に言えば借金返し、予定より早めて一生懸命地方財政健全化という大義名分のもとに借金を返してきました。ですから、結果的にバランスからいうと地方の方が借金が少ないという、地方努力の成果だと私は思うのですね。  これについて大蔵大臣として、長い政治経歴をお持ちでありますから、もちろん自分の選挙区の実態はよく御承知だと思います。そして今のような推移についてはよく御承知だと思いますけれども、これについての基本的な認識といいましょうか、一言で結構だと思いますが、お示しをいただきたいと思います。
  13. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 長い戦後の地方自治の歴史を見まして、私は、地方財源というのをどうしていくかというのは日本民主主義をどう唱えていくかということの一つの問題だと思います。  ずっと長いこと地方財政というのは赤字に悩んできた、国から借りてきた、こういうふうな話でありました。地方の方でいろいろな御努力をされましたし、財政についてもいろいろな話をされてきた。こういうこともありまして、やっと回復をしてきた。  それと同時に、国の財政の方が赤字国債におんぶしなければならないほどの状況になってきた。それを今やっと解消して、新しい財政再建の方向へ向かっていかなければならない。私は、今こういうふうな状況にあるのじゃないかな、財政問題としてはそういうふうに考えているところであります。  もちろん、両方とも公経済でありますから、私は、全体としてどういうふうにやっていくのか、地方と国と相対立するというふうな話じゃなくて、言うならば車の両輪としてやっていかなければならないようなものだろうな、こういうふうな感じを持っていることを申し上げておきたいと思います。
  14. 中沢健次

    中沢委員 それで、議論をもう少し具体的に焦点を絞っていきたいと思うのであります。  特例減額を中心にして、少しく議論をさせていただきたいと思いますが、今度の予算を見ますと、特例減額金額で四千億円、平成年度四千五百億、平成年度八千五百億、五年度が四千億、三年間連続してトータルで一兆七千億という内容になっておるわけです。  実は昨年の四月、私も地方行政委員会で、当時羽田大蔵大臣にもお越しをいただいて、これは大蔵大臣を他の委員会にお呼びをする、出席を求めるというのは余り例がない。しかし、地方行政委員会地方財政問題、国の財政とも密接不可分関係にある。ですから、伝統的に年に一回は大蔵大臣も来ていただいて、地方行政委員会で、時間は二時間三十分でありますが、議論をしているわけであります。  昨年の四月のことを今思い出しているのでありますが、羽田大蔵大臣といろいろ議論をしました。実は、大臣の手元にあるかどうかは別にいたしまして、毎年こういう大蔵省の非常に権威のある資料配付をされています。表題は、今年度の場合は「平成年度予算及び財政投融資計画説明」、これは毎年度もちろん出ているわけですね。  その中で、特に昨年度の場合は、八千五百億の特例減額をやる一つ根拠として、非常に乱暴なことを言いますと、結論的なことを言いますと、いろいろ書いてありましたが、国に比べて地方財政余裕がある、地方財政は余剰がある、だから八千五百億減額をするんだ。それをめぐって随分去年は地方行政委員会議論しました。大臣にも非常に一汗も二汗もかいていただいた。そこでなかなか決着がっかなくて、また後ほど、当時の田波主計局次長にも来ていただいて、最終的に大蔵大臣見解示していただいて、そこで、私どもは野党でありますが、この法案についてはいろいろ注文をつけながらも賛成に回る、こういう政治決断をしたわけです。  特に昨年の場合は、もっと言いますと、今までは参議院大蔵大臣出席をされるということは例がなかったというふうに聞いておりました。しかし、参議院でもやはり同じような議論が、どうしてもやらなきゃならぬ、ですから異例だというふうに言われておりますが、参議院地方行政委員会にも大蔵大臣出席をされて、同じような議論があったわけです。  ことしのこの予算財政投融資計画説明を見ますと、去年の議論が非常にいろいろな意味で、私から言えば好影響を与えまして、大蔵省の考え方もいろいろあるけれども、国の財政も厳しいし、地方財政も厳しい。したがって、私が冒頭言いましたように、公経済バランス論という、そういう一つ筋立て理論立てにやはり変わっている、文章もそのようになっているわけであります。  そこで、大臣にずばりお尋ねをしたいのは、去年からの例について、恐らく余り詳しく大臣の耳には入っていないと思いますけれども、ことしはもう間違いなく、大蔵省から出された権威のある資料の中で、四千億の特例減額をやるけれども、その根拠としては、去年のように地方財政余裕があるからということではなしに、お互い協力し合う、国と地方公経済という立場からいえば、公経済バランス論に立ったというふうに私は正確に理解をしたいと思うのです。それが一つ。  それから、これから先、特例減額について私は絶対認めるわけにはいかないという立場でありますけれども、少なくとも全体の国の財政地方財政をいろいろ位置づけをして、いろいろ協力関係をやる場合は、やはりどちらの財政余裕があるとかないとかということじゃなしに、将来にわたって少なくとも公経済バランス論という一つバランス感覚に立った大蔵大臣としての見識があっていいのではないか。この二つ、あわせてお示しをいただきたいと思います。
  15. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 中沢議員お話を聞かせていただきまして、地方行政委員会羽田大蔵大臣が来ていろいろお話しされたという話もありました。私は、羽田君というのは割とバランス感覚に富んだ男だと思っておるのです。  そうしたことですが、先ほどもちょっと申し上げましたように、地方財政と国の財政というのは、やはり公経済の中での大きなバランス、車の両輪のごとくバランスをとっていかなければならない、非常に長い目で見れば、先ほど申しましたような状況があるだろうと思います。  しかしながら、地方財政だってそんな豊かでどうだという話でも決してないところだろうと私は思っていますし、いろいろな点でやっていかなければならない財政の難しい点、やりくりもやっていかなければならないような状況だ、こう思います。  国の方は、これはまさにいろいろなことでお願いをしなくちゃならないような状況になってくるようなところでございますから、そういった点をバランスをとりながらやっていくということが私は大変必要なことではないかな、こう思っておるところでございます。そうした意味で、地方財政につきましても十分な配慮をしながらこれから対処してまいりたい、こういうふうに考えていることを申し上げておきたいと思います。
  16. 中沢健次

    中沢委員 それで、大臣の方から、いずれにしても車の両輪のように国の財政地方財政協力するところは協力をして、公経済バランス論でという趣旨お答えがございました。  それはしっかりひとつ受けとめまして、もう一つ、関連をしてお尋ねをしたいと思いますが、先ほど言いましたように、特例減額というのは三年連続しているわけですね。普通、特例というのは単年度か、せいぜい何年か置いてまた改めて特例、これが世間の常識といいましょうか、少なくともそういう常識財政運営の中で生かされるべきだ、私はこう思うのです。  そこで、大臣大臣出身山口一区、あるいは山口県、私は北海道の炭鉱夕張でございます。地方行政委員会でも随分自治大臣と、あるいは大蔵大臣ともその問題で議論もしたのでありますが、地方財政がやはり構造的な問題も含めて非常に厳しい、三千三百も自治体がありまして、本当に貧乏しているところ、交付税配分を受けなくてもやっていけるところ、その内容はさまざまだと思うのです。  端的な話、私の出身夕張、もう三年前に炭鉱一つもなくなりました。最盛期二十四ありまして、人口は十二万おりました。大臣選挙区の宇部市、昭和三十年の後半にあの地帯がほとんど閉山になる。しかし、炭鉱地帯選挙区の一つでもありますから、私なりに共通するものを感ずるわけなんですけれども、実は最近の各自治体の財政力指数がどうなっているか、改めて自治省に調べてもらいました。  私の夕張はもう全国的にも非常に極端な例だと思いますが、財政力指数は、全国の市町村の平均が現状では〇・四一、夕張は残念ながら〇・一七。府県でいうと〇・五一、北海道が〇・三八。つまり北海道は全国平均から見てもレベルが低い。炭鉱夕張はもう極端に財政力が弱い。  それに比べて、失礼かもしれませんが、山口がどうなっているか少し調べさせてもらいました。山口は県全体でいうと○・四二、都市部でいうと、全部まだ調べておりませんが、例えば下関は〇・六八、宇部市は〇・八三なんですよ。  つまり同じ産炭地という歴史の中で、閉山が早くて、地域振興策、これは通産省がいろいろやっています。自治省ももちろん全面的に制度を入れてやっていますが、振興策がうまくいったところは全国レベルよりも自治体の財政がそんなにレベルが上がってきて、住民のサービスだとか生活環境はかなり充実をしていると私は思うのですよ。  しかし一方、私の出身夕張のように、これは極端な例といっても北海道の産炭地はやや似ているのでありますけれども、非常に劣悪な状態に置かれている、実はこれが地方財政実態、私は象徴的にそのことを強調したいのです。  もう一つ平成年度地方財政は、国から、資金運用部資金から、交付税特会から一兆六千億借りたわけですよ。借りなければ地方交付税が予定どおり配分できないのですから。  そういうことなどを考え合わせますと、私も少し古い人間になってきましたけれども、日本の言葉で仏の顔も三度という言葉がありますね。幾ら優しい、慈悲深い仏さんでも同じことを三回も頼まれたらやはり嫌になる、そういう意味だと思うのですよ。そういうことから考えますと、特例減額三年連続ということは余りにもむごいのではないか、率直にそのように思うのです。  この辺の議論は、この委員会でやるということよりも、やはり地方行政委員会で、交付税地方財政計画の中で、しっかり大蔵大臣にも出席していただいて、そこで本格的に議論をすべきだと思いますが、せっかくですから、私の今言った三年連続の特例減額については余りにも過酷なやり方ではないか、これについてきょうのところ大蔵大臣としてはどういう見解を持っているか、ひとつしっかりお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 中沢議員から地元の夕張お話がありました。実は私も夕張、一遍お伺いしたことがあります。  私事にわたるかもしれませんけれども、実は、自民党の総裁公選に二階堂さんが出るというときに、少数のなんではありましたが、全国遊説して歩こう、やはり非常に困ったところを見て歩く、大変だということで北海道に行ってきましょう。実はちょうどもう炭鉱がなくなるころでありましたから、そこを見るのが一番いいだろうと私が進言しまして、行って地元の市長さんやらなんかといろいろお話をしました。  炭鉱時代になかなか立派なものができていた。しかし、後どうするのかな、これから炭鉱がなくなったら一体どんなことで食っていくのかなという話をお互いに心配しておったのでありまして、私もその記憶を鮮やかに持っています。その後新しいものができたとかなんとかというのはなかなかない。私は大変だと思う。そういったところが財政力指数がこういうふうな形で悪くなってきているというのは、これは何かしなくちゃいけないな、こう思っています。  私の地元の話を引いていただきましたけれども、これも単に今すぐにどうだこうだとできたわけじゃないのです。先ほどお話がありました宇部などは、やはり経営者の方で、いずれは石炭は積み入れがなくなるから、そのことを考えていてやらなくちゃいかぬということで、もう大正の初めくらいから考えてやった、こういうことなんですね。そうした意味で、長い目で見ていくことが必要だろうと私は思うのです。地方財政だってやはり長い目で見ていかなくちゃならない、こう思います。  だからといって、すぐということではありませんけれども、国の財政もやはりじわっと、こう直していかなくちゃならないんじゃないかと思いまして、確かにお話のように、三年もやって、仏の顔も三度まで、こうおっしゃいますけれども、やはりそこは直していかなくちゃいけない。公経済全体をどうバランスをとっていくかというのが先ほど申しましたようなことでございますので、私はぜひひとつ今回もやっていただきたいな、こう思っているところです。  こんなことで、地方財政が豊かだどうだという話じゃないと私は思いますよ。思いますが、やはり全体をどう直していくかということのバランスの上で考えていかなければならない問題だろうということでお願いをしているところでございます。
  18. 中沢健次

    中沢委員 今大臣から、自分の政治家としての体験で、北海道の炭鉱地帯にもお見えになった。私はまだそのころは国会に出ておりませんでしたけれども、よく承知をしております。  ただ、いずれにしても特例減額問題は、くどいようですけれども、やはり地方行政委員会で、大臣も出ていただいて今のような立場でひとつ十分議論をしていただきたい、そのことを念のために申し上げておきたいと思うのです。  さて、今回提案されております法律の具体的な内容についてこれから幾つかお尋ねをしたいと思いますが、補助金の一括法案、これは昭和五十九年、六十一年、いろいろありまして、六十年から補助金カットが事実上実施に移される。それで、いろいろな経緯をくぐりまして、今度の法律で一括補助率を確定をする、こういうことになったと思うのです。  そこで、まず第一にお尋ねをしておきたいのは、昭和六十年以降、法律でいえば四回、一括法、いわゆる暫定、暫定ということで繰り返しをしてまいりました。したがって、この間の経緯について、非常に要約的にで結構でありますけれども、具体的にどういう暫定が繰り返されて、それが地方財政にどういう影響を与えて、その影響をどういう具体的な措置で手当てをしてきたのか、この経緯についてお聞きいたします。
  19. 竹島一彦

    竹島政府委員 公共事業等にかかわる補助率につきましては、昭和六十年度以降四回、補助金の一括法という形をもちまして見直しが行われてきたわけでございます。  具体的には、昭和六十年度におきまして、二分の一を超える高率の補助率につきまして一〇%程度引き下げる、翌六十一年度におきましては、補助事業についてだけでございますが一〇%程度さらに引き下げる、直轄事業は据え置いてございます。それから翌六十二年度におきまして、直轄事業については一〇%程度、補助事業についそは五%程度さらに引き下げるという引き下げの過程を経まして、平成年度におきましては、六十一年度の水準まで戻すという引き上げ措置を講じでございます。  以上が補助率の暫定措置の経緯でございますが、これらの見直しに伴います地方公共団体の財政への影響額につきましては、それぞれの年度におきまして、投資的経費については臨時財政特例債という地方債の発行によりまして手当てをいたしまして、その地方債の元利償還に要する経費につきましては、全額を交付税の基準財政需要額に算入するという形で担保し、その財源の一定割合につきましては、これを地方交付税特例措置ということで国の一般会計から交付税特別会計繰り入れるという手当てを講じてきております。  なお、経常経費につきましては、地方交付税などによりまして手当てをするということでございまして、それぞれ補助率の見直しに係る影響については地方財政措置を講じてきておるということでございます。
  20. 中沢健次

    中沢委員 今お答えをいただきました。数字的なことはともかく、この間ずっと積算をしてみますと、これは大蔵省資料ですが、もちろん自治省とよくすり合わせをしたと思うのでありますが、今ありましたように、投資的な経費、トータルをすると五兆六千億、経常的な経費二兆四千億、合わせまして約八兆円、この間地方財政に影響を与える。しかし、これは起債、最終的には交付税措置ということでやってきた。つまりは地方財政の自己完結型だと思うのですね。これについての議論はまた後ほどやりたいと思いますが、そのことだけを一応指摘をしておきます。  さて、その次に、実は前回の暫定措置で言いますと、一年を残して、今回一年前倒しで、覚書の一年を前倒しをして固定化、一括、こういうことになったわけですよ。それについての是非を言えばいろいろありますけれども、一年を残して今回法律を出して、将来公共事業の補助率を固定化をする、この理由といいましょうか、根拠、背景、どういうことがあったのでしょうか。
  21. 竹島一彦

    竹島政府委員 現在の暫定措置平成年度に行われまして、三年間ということになっておりますので、御指摘のとおりあと一年、五年度まではあるわけでございますが、その平成年度の見直しの際に、関係省庁間でやはりこの補助率については体系化、簡素化の観点から検討を加えて、暫定期間内であっても結論を得るように努力し、結論が得られたものは逐次実施をすべきである、こういうことが申し合わされておるわけでございまして、平成三年七月に関係省庁間の連絡会議を設置いたしまして鋭意検討を進めてまいりました。  その結果、平成年度におきましては、たまたま道路整備五カ年計画が改定される年度に当たるということもございまして、これはある意味では不安定な暫定措置というものを解消して、国と地方財政関係安定化をなるべく早く図った方がいいということでございまして、これは国・地方同じような意向でございましたので、話し合いがつきまして、今回こういうことで恒久化を図らしていただきたいという次第でございます。
  22. 中沢健次

    中沢委員 今聞きましたら、前にも地方行政委員会でも議論をしましたけれども、いずれにしても、一年間を残したけれども、これはやはり早くやった方がいい、関係省庁あるいは地方ともそういう機運が一致をして、事実上基本的な問題についての合意があったのだ、新道路計画の五カ年計画もスタートをすることでもあるし、こういうことだと思うのです。その辺の内容については、きょうは時間がありませんからこれ以上は申し上げません。  その次にお尋ねをしたいのは、それでは、今回一括法案をやることによって具体的に地方財政にどういう影響を与えるか、あるいはその影響額をどういう具体的な措置でてこ入れあるいは財政運営を含めてやろうとしているかこの辺も改めて聞いておきたいと思います。
  23. 竹島一彦

    竹島政府委員 今回のこの恒久化ということによりまして、言ってみれば基本ルールがそういうふうになるわけでございますので、それぞれ国・地方財政の基本ルールに従って財政措置が講じられるというのが建前といいますか、原則だというふうに考えておりますけれども、現実は従来からの経緯もございますので、即基本ルールというわけにもまいりませんので、今回のこの見直し、恒久化に伴いまして、現実には地方債の手当てという問題が出てまいりますけれども、これの影響額が六千九百億円、これは五十九年度のときと比べての地方への影響額ということになりますが、六千九百億円というものが計算されるわけでございます。  これに対しまして、事業の継続性、財政運営の継続性ということを考えまして、暫定措置といたしまして以下のような措置を講じさせていただきたいと考えておるわけでございます。  公共事業等臨時特例債という地方債を暫定的に出しまして、五十九年度との間の地方負担というものを従来と同様に手当てをいたします。その公共事業等臨時特例債の元利償還に要する経費は全額地方団体の基準財政需要に算入いたします。それから、その公共事業等臨時特例債の利払いに要する費用の十分の九に相当する額につきましては、後年度におきまして、地方交付税特例措置ということで国の一般会計から交付税特別会計繰り入れる、こういうことにさせていただいております。
  24. 中沢健次

    中沢委員 今いろいろお答えをいただいたことを前提に、少し幾つかの問題を指摘をしておきたいと思います。  私は、今までの経緯の中で、約八兆円について言えば、起債を認めて償還財源交付税措置をした、言葉で言えば自己完結型だ、こう申しました。つまり、それは地方財政の枠の中で起債を認めて交付税措置をする、だから自己完結型だ、私はこういうふうに断定したわけですよ。今度の場合も、手法としては全く同じなわけですね。六千九百億の影響が出る。これは特例債を発行して、元金の償還については一〇〇%交付税で見る、利払いについては九割国が地方に責任を持って出す、これも結論から言うと、自己完結型だと思うのですよ。  なぜそういうことを言うかというと、もともと国の補助金、五十九年度ベースに本来戻すべきだ、昔の姿に戻せ、しかしなかなか財政的な事情があってそうはいきません、それでずっと暫定が続いて、今回は、これから先は公共事業も三分の二と二分の一で固定をしますよと。そうすると、従来の手法を全く同じく今度の場合も採用するということ自体に無理がある。  もっと言うと、今までは、これから先の議論は、恐らく大蔵と自治とを含めて私の方と相当意見の違いは、平行線のままあるいは終わるのかもしれませんが、少なくとも国が補助金をレベルダウンをするわけですよ、簡単に言えば。だから、地方に対する影響分が出るのですから、影響額が。しかも、これをこれからずっと固定をするわけですから、今までの暫定の場合は一歩下がってやむを得ないにしても、これから将来にわたって公共事業はこういく。そうすると、将来にわたって地方の影響が出る、地方の負担が伴う。それを全部地方交付税という、交付税そのものは議論すればいろいろあると思いますが、これは三千三百の自治体、都道府県を含めての共通する固有財源、一般財源だ、この認識は大蔵省も変わっていないと思う。  そういう一般財源、固有財源を国の補助金を事実上ダウンをすることによって影響を与えた。本来は、それに伴って国がまた別な手当てをやるべきだと私は思う、自己完結型ではなしに、文字どおり公経済バランス論に立つ以上は。国がそこのところはやはり責任を持つべきではないか、交付税の性格からいってもそうではないか、このように考えるのでありますが、その辺はどうでしょう。これは大蔵大臣にもちょっと見解を聞いておきたいと思います。
  25. 竹島一彦

    竹島政府委員 国と地方財政が全く分離、独立しているということでございますとおっしゃっておられるようなことかと存じますが、現実は、国と地方財政というのは、公経済バランス論で言われますところに象徴されておりますようにかなり連結されておるわけでございまして、確かに地方地方税、それから地方交付税という一般財源を持っておりますが、さらに国との関係では、補助金とか負担金という形で国と地方財政というのは連結されているわけでございます。  したがって、今回も公共事業の負担、直轄事業の負担率、それから補助率ということで見直しておりますけれども、これは当然国と地方関係に影響を与えるということでございまして、こういったそれぞれの変動要因を全部加味いたしまして、それで総合的に国と地方財政関係はどうあるべきか、まさに公経済バランスという観点からどうあるべきか、それの結果、調整なり修正をすべきところが出てまいりました場合には交付税年度間調整という手段等があるわけでございまして、地方財政収支という世界で全体を見て対策を講じさせていただいているということでございますので、特例減額という年度間調整も、そういったもろもろのものの総合的な検討の結果の答えであるというふうに認識しております。  したがいまして、今回の補助率の見直しに伴って、それに着目して国が地方に対してどうすべきだという議論ではなくて、それを含めて、全体として国と地方をどういうふうに財政関係平成年度については処理をするかという考え方でやっているわけでございます。
  26. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今のお話を聞かしていただきまして私思いますのに、今回、今の置かれている国の状況財政事情は大変厳しい状況でありますから、今新しい制度をどうだこうだというのはなかなか正直言って難しい話だろう、こう思っております。  ただ、こうした形で補助率等の転換をしますときには、やはりいろいろな影響が出てくるところについては起債を認めていく、そしてそれについては基準財政需要の中に盛り込んでいくという格好をとっていくことであるし、しかも、その利払いにつきましては十分の九ぐらいは国が負担をする、こういうふうな形で今やっていく、こういうことであります。  基本的な考え方としましては、私は、地方財政措置をいろいろとやりながら、また毎年ごとの地方財政計画が策定されるときにいろいろな形での協力体制というものをつくっていくということが必要なことじゃないかな、こういうふうに考えております。
  27. 中沢健次

    中沢委員 正直言いまして、時間があれば随分議論をすべき課題だと思うのですよ。ただ私は、だから交付税率を上げろだとかというような極めて空理空論を言うつもりはありません。  しかし、例えば特例減額、こういう六千九百億の具体的な影響を与えておきながら、しかもトータルして、今次長大蔵省立場で解説的に答弁がありましたけれども、私自身は、それはやはり納得できませんね。  くどいようですけれども、今までは暫定、暫定でそれなりにお互いに話をして、まあこの線で行こうかという妥協をしたと私は思うのですよ。今度の場合は絶対妥協しないという意味じゃなくて、今度はとにかくこれからずっと固定化するわけですから、この影響額というのはもうずっと固定的に地方にかぶさっていくわけですから、その場合の手法として従来どおりでいいんだというようなことが果たしていいのか。片方で、三年間も連続して特例減額をやろうとしている。これはやはり納得できないですよ。そのことだけを一つ申し上げておきたいと思います。  これ以上議論をいたしましても恐らくなかなかかみ合わないと思いますね。この法案大蔵委員会が責任を持って議論をするのでありますが、恐らく明日地方行政委員会からも関係者が来ましていろいろまた質問すると思います。ひとつ誠心誠意改めて答弁に立っていただきたいと思うのです。  さて、最後の問題になると思いますが、今度のこの補助金一括法案、今言った議論は一応横に置いてもいろいろ問題があるけれども、もう一つやはり我々としては見過ごすわけにはいかない大きな問題がある。これは、非常に難しいことは百も承知であえて聞きます。  補助率を事実上ダウンをして地方に影響を与えて、地方の責任で財政的に自己完結型でやらせる。さて問題は、行政的に一体どういう配慮をしているのか。もちろん、これはすべて大蔵省の責任だというふうには私は思いません。大蔵省も幾つかの許認可の権限を持つ、あるいは地方に対する分権ということについてもそれなりの影響力を持つ。すべての権限を持っているというふうに私は思っていませんが、今度の一括法案のもう一つの側面として、メダルで言えば表裏、車で言えば両輪のように、少なくとも今自治と分権というのは時代の流れですよ。党派を超えて、あるいはいろいろな財界も含めて、具体的には行革審も地方制度調査会もそうです。  これからは自治と分権の時代だ。具体的には中央で持っている権限を地方に移譲する、こういう時代だ。そのことを大蔵大臣として納得するのであれば、今度の一括法案の中で、自治と分権といういわゆる思想的なあるいは具体的な手法がほとんど目につかないのですね。  例えば、各省庁がいろいろ持っている権限について、こういう部分は今度の一括法案の関連の中で地方に権限として移します、こういうことは一つもないのですよ。そこのところは一体大臣として、政治家としてどういうふうに考えているか、あるいは今回の法案で仮に間に合わなければこれから大急ぎで、大蔵大臣は各省庁と予算折衝をしながらそれなりの裁きをされるわけでありますから、権限をたくさん持っている建設、運輸、農水、厚生、たくさんあります。そういうところに、やはり政治家として大蔵大臣として、例えば今私が言っているようなことはこれから恐らく同僚議員が同じようなスタンスで言うと思いますが、非常に大事な問題ですよ。  基本的に今の自治と分権という時代、権限移譲が非常に大事だという認識をお持ちなのか、今回この法案に抱き合わせではなかなかできないけれども、近々に大蔵大臣としてそういう決意で具体的に各省庁と当たっていく、こういう決意があるのかないのか、そこのところをひとつしっかり聞いておきたいと思います。
  28. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今回の法律補助金等の問題につきまして出したわけでございまして、御指摘のように、その前にはその権限の問題があるわけでございます。ただ、権限ということになりますと、いろいろな許認可権限というのは私の方で持っているわけじゃない。御指摘のように、各省で持っている話であります。  また、先ほど来お話がありましたように、地方分権は時代の流れだということも私も十分考えておりますし、日本がこれだけ豊かになってきたならば、やはりそれぞれの地元の問題は地元でできるだけ解決できるというような話でやるのがあるべき民主政治のあり方でもあろう、私はこう思うのです。全部を国がやっているという話ではないと私は思っていますし、そうしたことも考えていかなければならない。これは、政治家として私はそういうふうに思っておりますが、今すぐにこれをそれではどうするかということになりましても、私は、一遍になかなかそうすぐにいく話ではありませんし、権限をどうするか、それからまた地方制度をどうするかという問題もあるだろうと思うのです。  最初にお話がありました夕張市の話なのか、北海道の何とか支庁の話なのか、北海道の話なのか、また、ほかのところへ行きましたら道州制というような話もあるわけでございますから、その辺をどうしていくかというようなことも、私は正直言っていろいろあるだろう、こう思います。そういったことを総合的な観点から考えていかなければならないものじゃないかな、こう思っておるところであります。  もう一つ付言して申しますならば、私は、かつてのように日本が非常に惨めな貧しい時代の情勢と、相当豊かになってきたときのいろいろな枠組みというのは、やはりその時代に応じて変わっていってしかるべきだろう、そういうふうに思っておりますし、いろいろな方々とも御相談をして進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  29. 中沢健次

    中沢委員 総論的には大臣の前向きな姿勢が示さている、こういうことで善意に理解をしておきたいと思うのです。しかし、いずれにしても非常に大事な問題でありますから、権限をたくさん持っている大臣とも定例閣議でも会うし、次官クラスのいろいろな会議もあるし、そういうところで大蔵大臣としての今おっしゃったような指導性をぜひ発揮をしていただくように、そのことは特に期待をしておきたいと思うのです。  さて、自治省の方にも出席を求めておりますので、残された時間、自治省にお尋ねをしたいと思うのです。今大蔵大臣といろいろ、一括法案あるいはそれをめぐって権限移譲問題、少し議論をいたしました。十分聞いていたと思うのでありますが、二つほど簡単にお尋ねをしたいと思うのです。  確かに権限移譲については具体的なものがない。しかし、そうはいいながら、自治省も、文字どおり地方を守るという、地方の声を代表する省庁でありますから、従来から地方六団体、いろいろなところからの意見を聞きながら、今回の措置に当たって、改善合理化について具体的な内容についていろいろ実現をしたということを漏れ承っていますけれども、この際ですから、少しく具体的な内容について明らかにしてもらいたいということ、これが一つ。  それからもう一つは、率直に言って、権限が中央に集中をしている、結果的に陳情行政になっている、その弊害はもう今さら言うまでもない。であれば、例えばもっと補助金の全体の中で、事務の簡素化だとか、あるいは同じような補助金については統合していく努力だとか、つまり自治省としてやるべき、そういう意味での項目がまだたくさんあるのではないかと思うのです。ですから、改善合理化の努力の中身とこれからの問題も含めて、自治省側の基本的な態度とやや具体的な見解を含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  30. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、自治省といたしましては、かねてから補助金につきまして、いろいろと自主性の拡大の方向について御要望を申し上げてきたわけでございます。  そういうことに関連いたしまして、今回、この恒久化の措置とあわせまして、地方団体の自主性を高めるという観点から、まず補助対象事業の重点化を進めるということといたしまして、例えば児童公園とか土地改良総合整備事業のうち小規模なもの、こういうものにつきましては、もう補助制度を廃止して、地方の自主性にゆだねることにしていただくというようなことにいたしております。  それから次には、いわゆる採択基準を引き上げまして、あるいはまた採択基準を新たに設定をいたしまして、それ以下のものは地方の自主的な判断にゆだねる分野を拡大する、そういうことを図ったところでございますが、例えば河川あるいは道路の局部改良などについてそういう措置をいたしているわけでございます。  それから、御指摘の第三の統合・簡素化のことでございますが、例えば流域下水道の一種と二種、あるいは小規模河川一級の一種と二種というようなものを統合して、手続上の簡素化を図っていただく、そういうようにいたしているところでございます。  今後とも、補助金の整理合理化等については引き続き努力を重ねていくところでございます。
  31. 中沢健次

    中沢委員 もうあと幾らも時間が残っておりませんので、今松本審議官の方からお答えをいただきました。  当面の努力、将来の決意、それなりのことがあったと思うのでありますが、私は、自治省というそういう一つの役割分担からいって、今までやっていないとは言いませんが、これからはもっともっと積極的に、自治、分権という観点で、財政問題と同時にこの種の行政問題、権限移譲問題、もう一歩でも二歩でも積極的に踏み込んでいく。もっと言えば、権限を持っている省庁と、今までも何回もいろいろ協議をしながらやってきたけれどもなかなか手がつかない。ついこの間の行革審、そういう先生方は大変批判をしていますよ。建設的な意見もあります。  ですから、この際改めてもう一度聞いておきたいのでありますが、今まで以上の決意を持って、自治省としては、権限移譲問題、自治と分権問題に本当に責任を持って、決断も含めて各省庁としっかりやる、その辺をもう一度、決意を含めてひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  32. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 大変ありがたい励ましのお言葉をちょうだいしたものと考えておりますが、今回補助金の恒久化、補助負担率の恒久化に伴いまして、私どももいろいろ考えるところはあったわけでございます。  ただ、今回恒久化いたしました補助金が公共事業等というものの性格で、例えば経常経費で行いましたときの措置権の団体事務化のようなものにはなかなか合わない、そういうことで定量的に、先ほども申し上げましたような点で地方の裁量の余地というものを広げていくということをいたしてきたわけでございます。  これとは別途、御指摘のようにこれから、地方の活性化あるいは多極分散型国土の形成等の要請を踏まえまして、権限の移譲と地方の権限を強化することは、大変私どもも必要だと考えておりまして、不断の努力を積み重ねていく決意でございます。
  33. 中沢健次

    中沢委員 そこで、最後になると思いますけれども、実は先ほど来申し上げておりますように、北海道の出身なものですから、今度の一括法案の中で、公共事業の率が三分の二、二分の一、確定をする。しかし、従来から北海道は非常に開発がおくれているというそういう国家的な立場で、この種の補助率についてはそれなりのかさ上げがされてきたわけですね。今度の場合もそういう内容になっているというふうに聞いておりますけれども、詳細なことはともかく、いずれにしても、北海道、あるいは角度を変えて沖縄もそうだと思いますが、その種の高率補助の内容になっているのかいないのか。一言で結構であります。お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  34. 竹島一彦

    竹島政府委員 お尋ねの地域特例でございますけれども、基本的には現行のかさ上げ幅というものをそのまま維持するということで恒久化を図っているところでございます。
  35. 中沢健次

    中沢委員 それでは、私の質問時間が終わりましたので、これで終わります。  ありがとうございました。
  36. 藤井裕久

    藤井委員長 池田元久君。
  37. 池田元久

    池田(元)委員 これから政府委員そして林大蔵大臣と順次質問をさせていただくことになりますが、常套句ではございませんが、林大蔵大臣、大変重要な時期に大臣になられました。御健闘を期待する次第でございます。  まず、今同僚議員もお尋ねしましたが、補助金の問題について質問に入りたいと思います。  この国庫補助金という制度は、財政制度審議会の言い方を借りれば、一定の行政水準の維持、特定の施策の奨励等のための政策手段として大変重要な機能を持つというふうにされています。しかし、よく言われますように現在の自治体というのは、国庫補助金そして国の許認可権、国の法令等による自治体の定数、組織の規制などによりまして国の統制下に置かれていると言って過言ではないと思います。  市町村の幹部に行ったある調査によりますと、現在の自治体を最も縛りつけているものは何かという問いに対しましては、最も多かった答えとして、国庫補助金による国の統制、支配、細部への干渉であったということです。現在、補助金制度が国の許認可権以上に問題とされているのは大変注目すべきことではないかと思います。この補助金制度について、以下法案に絡めて若干質問をしたいと思います。  まず、九三年度予算での補助金の総件数、予算への計上額についてお尋ねしたいと思います。
  38. 竹島一彦

    竹島政府委員 平成年度予算におきます補助金等の件数は二千二百九十二件でございまして、その金額は十七兆三千二百九億円でございます。ただし、取り扱いが変わりましたNTT分を除きますと、補助金の総額は十六兆七千百十二億円でございます。
  39. 池田元久

    池田(元)委員 この額で見ればわかるとおり、国の一般会計予算額の二三%を超えている、大変な額でございます。この補助金につきましては、地方自治との関係でいろいろ論議がございます。  今度の法案につきましては、公共事業の補助率につきまして二本立てにするということになったわけですが、これによる地方財政への影響はどのようなものがあるのか、先ほどの質問と若干ダブりますが、お答え願いたいと思います。
  40. 竹島一彦

    竹島政府委員 昭和五十九年度の水準と比較して申し上げますと、普通会計及び公営企業会計合計いたしまして、現年度事業分といたしましては約六千九百億円でございます。  内訳は、普通会計分が約五千二百億円、公営企業会計分が約一千七百億円でございます。
  41. 池田元久

    池田(元)委員 法案の二点目とも言えます義務教育費の国庫負担金共済費追加費用等でございますが、これを一般財源化する。それを九三年度は繰り上げて実施するということになっているのですが、この補助金の一般財源化というのは、一般論としては好ましいと言えると思うのですが、今後補助金の一般財源化をどのように進めていくのかお尋ねしたいと思います。
  42. 竹島一彦

    竹島政府委員 従来から行革審、財政審等々の御指摘もございまして、また地方の方からの御意見といたしましても、地方に同化、定着をした事業については、これは補助金という形ではなくて地方の一般財源で賄うように、権限も含めまして見直しをすべきである、こういうことでございまして、過去から鋭意努力をしてやってきております。  今回もお願い申し上げております、義務教育の共済費追加費用を含めまして約一千百億円の一般財源化を図るべく予算をお願いしているところでございます。
  43. 池田元久

    池田(元)委員 私の質問の趣旨をちょっと御理解していただけなかったと思うのですが、今後どのような方針で臨むか、お尋ねしたいと思います。
  44. 竹島一彦

    竹島政府委員 失礼いたしました。  そういうことでございまして、今後とも従来と同じように地方に同化、定着しているというものにつきましては、鋭意努力をして一般財源化を推進していきたいというふうに考えております。
  45. 池田元久

    池田(元)委員 法案についてですから法案の中身の、これは補助金ではございませんけれども、国の会計のやりくりとしまして、地震再保険等の事務費一般会計からの繰り入れ停止を当分の間延長する。これはやはり「当分の間」という言葉がある以上、お尋ねしないわけにはいきませんので、「当分の間」とはどのくらいを想定しているか、お尋ねしたいと思います。
  46. 竹島一彦

    竹島政府委員 「当分の間」の具体的な期限については、現時点で申し上げることができないわけでございます。  この事務費につきましては、基本設計は保険料を財源とせずに一般会計の繰り上れということになっておりますが、現実は積立金の運用益というもので賄えるということでございまして、そういう現状は変わっておりませんし、今後とも大丈夫であろうというふうに判断されるものでございますから、かつて臨調第一次答申でも、これはやはり停止してしかるべきではないか、保険料財源への切りかえを考えるべきであるというような御意見もいただいているところでございますので、「当分の間」についてはまさに「当分の間」ということでお願いを申し上げたいと存じます。
  47. 池田元久

    池田(元)委員 補助金の問題に戻りたいと思うのですが、補助金についてはいろいろ弊害が言われております。自治体が中央によって事実上支配され、自治の芽が育たないというようなことも言われておりますし、自治体の側から見ますと補助金待ち、補助事業優先ということも言われているのではないかと思います。また同時に、負担意識をどうしても持たないようになる、要求だけの地方自治になる弊害があるのではないかというようなことも問題点として上がっております。  さらに、自治体の職員は補助金関連業務に相当忙殺されているのが実態ではないかと思います。さらには、国と国の出先、そして都道府県の三重のチェックがある、組織、人員のむだ遣いがかなりひどいのではないか、このような弊害が数多く挙げられているわけです。この辺の補助金のあり方について御答弁をお願いしたいと思います。
  48. 竹島一彦

    竹島政府委員 御指摘のとおり、補助金についてはいろいろ問題点もございます。そういうことでございますが、いろいろな施策を遂行する場合にやはり必要であるということもございまして、そのデメリットをなるべく減らしながら、メリットを生かす方向で扱ってきているわけでございます。  御指摘のように、地方行政の自主性でありますとか、それから既得権化、自主性を損なうおそれがあるとか既得権化しゃすいとか、そのための事務が大変であるとかということにつきましては、なるべく簡素化を図るなり効率化ということを図ってきているわけでございます。  より基本的には、先ほど申し上げましたような地方に同化、定着化しているような事務事業については、補助金ではなくて一般財源化するということで対処してきておりまして、今後ともそういう基本姿勢で補助金については削減努力を続けていきたいと思っております。
  49. 池田元久

    池田(元)委員 私、補助金に絡んで、ちょっとこれはどうかなという話を聞いたのですが、公共下水道の補助に絡んで、ある都市で上水道以外の水対策を担当するセクションの名称を水攻部という名前をとっていたところ、これは公共下水道を促進する姿勢が見られないというので名前を変えるように強要された、信じられないような話なんですが、そのようなことも聞きました。  これは干渉というよりも権力の乱用ではないか地方自治の侵害ではないかと思うわけです。そういった意味で、補助金といっても統制といいますか中央の力がかなり強い。その裏づけとして補助金というものが使われているということがかなり大きな側面としてあるのではないかという印象を持ちます。  財政制度審議会は控え目な言い方をしているのですけれども、補助金はややもすれば地方財政の自主性を損なったり財政資金の効率的な使用を阻む等の問題がある、このようなことを言っているわけです。ですから、単にメニュー化とかいろいろなことをおっしゃいますけれども、これは今や抜本改革のときではないかというような感じがいたします。  その前に、補助金の整理合理化ということを毎年大蔵省は出しておりますが、これまで毎年度千件以上の補助金の整理合理化ということになってきましたが、どうも二年前から、九二年度あたりから三けたに減ってきている。この辺はどんな理由があるのかお尋ねしたいと思います。
  50. 竹島一彦

    竹島政府委員 補助金の整理合理化につきましてはもう随分前から取り組んできておりまして、そういう意味でここに来まして御指摘のとおり件数が三けた台に落ちておるということは事実でございますが、やはり努力を重ねてきている、そういう経緯があるということ、それから、御承知のように補助金と申しましても約八割は法律の補助であるし、それから実態的には社会保障、公共事業、文教、この三分野で八割を占めるという実態にもございますものですから、件数面では確かに御指摘のとおりこのところ減っております。  ただ、金額面では平成年度につきましては三千五百十一億円の整理合理化額ということを挙げておりまして、これは過去を振り振ってみましてもかなり大きな金額でございます。
  51. 池田元久

    池田(元)委員 かなり大きな金額とおっしゃるのですが、過去をちょっとさかのぼってみると、相当大幅に整理をしたときもございます。  いずれにしましても補助金制度の本来の目的といいますか一定の行政水準の維持、特定の施策の奨励等のための政策手段、このような機能が働いてといいますか、ナショナルミニマムもほぼ達成されたのではないか、補助金制度はかなり大きな役割は果たしたのではないか、そのような感じもいたします。  問題は、補助金制度にはこういった各種の弊害があるのですが、それより大きな問題があるのではないか。それは先ほども出ておりましたが、自治と分権といいますか分権型社会に改めるということにかかわりがあるのですが、当面の大きな課題であります政治行政制度の改革の面から補助金というものを取り上げてみる必要があるのではないかという感じがいたします。  多くの識者が指摘しておりますように、補助金を中心とする金と膨大な許認可権を持つ中央集権的な権力構造が今の政治腐敗の温床になっているということ、これはもう多くの人が言っております用地方分権ということがいろいろなところで叫ばれております。新興政治集団も押しなべて分権ということを言っております。しかし、なかなかこれが進まない。補助金と許認可権を手放そうとしない官僚機構と、これにうまく乗って予算や認可を地方や企業に配分することによってみずからの地位を保全する、安定を図るという、これは全部の政治家とは言いませんが、志の低い政治家の利害が一致しているからにほかならないのではないかというような感じもいたします。  補助金制度の抜本見直しは、政治と行政の改革の大きな課題ではないかと思うのですが、この辺につきまして、長年政治家をやっていらっしゃるといいますか、議員として活動されております大臣から御所見を賜りたいと思います。
  52. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 池田議員の御質問にお答え申し上げますが、政治というものは常に腐敗というものを警戒しながらやっていかなければならない。常に新しい方向を目指し、常に自己反省を繰り返しながら私はやっていくことが大切なことだと思っております。  補助金制度につきましても、今池田委員からお話がありましたとおり、私は、ある程度まで金のないときにそれを使っていくのに効率的に使う一つの方法ではあったのだろうと思いますが、それが安逸に流れたり、またいろいろな形で制度が停滞をしたりするようなことがあったならば、やはりそれは直していくことが必要であろう。官僚機構もありますし、またそれにつながるところの地方機構もあります。また、補助金をもらうところの業界団体などもあるでしょう。そういった点におきまして、常に厳しい監視とそして見直しをしていくという心構えを持ってやっていくということは必要なことだろう、私はこう思っています。  こうした点で今いろいろなことが言われております。先ほどもお話がありましたし、地方分権をどうするかというようなお話もありました。私もその一つだろうと思います。常に正しきもの、公正なるものを求めてやっていくということが政治家にとって与えられたところの一番大きな問題であろうというふうに考えておることを申し上げておきたいと思います。
  53. 池田元久

    池田(元)委員 どうしても私たちは現存する機構、補助金とか中央省庁の許認可権、これを前提にしていろいろな活動をしがちなことは争えない事実ではないかと思います。特に、戦後四十七、八年たちまして、すべてが制度疲労ということを言われておりますけれども、この補助金と許認可ということも大変大きなテーマではないかと思います。いろいろ選挙制度の改革とか政治資金制度の改革とか言われておりますが、その一つとしてやはり中央省庁の握る補助金と許認可というものを徹底的に点検をして大きく改める必要があるのではないか。  余談になりますけれども、選挙制度で自民党の方で出そうとしておりますが、単純小選挙区制を仮にやっても、中央集権型の今の政治構造が続く限り定数一の選挙区で当選した者は大変大きな権力を握る。中央の予算や何かの事実上の配分権を握ってしまうのではないか、これはむしろ腐敗の構造の拡散ではないか、このようなことも言われております。  ですから、補助金制度と同時に許認可権の問題もございますが、この辺の改革というのをしなければならないと思います。その心構えの問題としてではなくて、中央集権の権力構造を改めるということにつきまして、林大蔵大臣に再度の御答弁をお願いしたいと思います。
  54. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 御趣旨はよくわかるのです。私は、そこをどうやっていくか、先ほど申しましたように、常に不断の改革というものを心にしておかなければならないと申しましたのは、政治改革をやろうというのも、やはりそういった長いことの間我が党における金属疲労というような話がありました。金属疲労があったというのはやはり不断の改革をやらなかったというところに私はあるんだろう、こう思うのです。  その問題に行き着きますと、小選挙区制になったならばどうだこうだという話がありますが、私は、そのときにお互いに考えていかなければならないのは、権力というのは一体何だろうかこういうことだと思うのです。権力というのは、やはりいろいろな金その他のもののまさに権力的な、市場メカニズムによらないところの配分ですから、それをやるのが一つの政治だろう、こう思うのですね。  では、その政治であるところのものを一体どう考えていくんだ。そこはいろいろなことをやっていかなければならぬ。私は、対話を通じて、また討議を通じて、ここをどういうふうに直していくことができるかというのは議会民主政治の基本だろうと思う。  そのためにどういうことをやっていったらいいか。そのためには、やはり二つの考え方に分かれるような形で、それがはっきりするような形で小選挙区制というのをやっていくのが一つの方法ではないかということで我が党は出しているのです。いろいろな御意見がありますから、私はここは大いに議論をして国会でやってもらったらいいんじゃないかなと思っています。そういったことを申し上げておきたいと思います。
  55. 池田元久

    池田(元)委員 選挙制度と政治改革の問題については別の場で議論したいと思います。  次に、現在大変重要な問題でありますこの不況と金融システムの問題について取り上げたいと思います。  今回の不況はバブル経済の破綻だと言っていいと思うのですが、不況克服策を議論する前に、バブルの生まれた原因、背景を考える必要があるんではないか。それによってこそこの不況克服の、そしてまたこの不況を克服する際のいろいろな政策運営に対する指針が出てくるんではないかという感じがいたします。  バブル経済が、バブルの生まれた原因、背景、論者によって多少意見は違うかもしれませんが、端的に言いますと、一九八七年の二月から八九年の五月まで二年三カ月の長い期間にわたって超低金利の金融政策がとられた、それが過剰流動性を生み出してバブルを決定的なものにした、こういうことがもはや定説ではないかと思うのですが、このような低金利政策は、八七年のG7のドル防衛のためのマクロの政策協調によって日本に求められたということもまた事実だと思うのです。  当時の大蔵、日銀は、土地も株も異常に騰貴しているというさなかにあったのですが、金融引き締めのタイミングをなかなかつかめなかった。私もそのとき近くにいたのですが、一九七二年の田中内閣のときの過剰流動性問題というのがございます。あれは狂乱物価の下地をつくっているのではないかということがございましたが、こういうことも教訓にならなかったのではないかと思います。  大蔵大臣に就任されてまだ間もないのですけれども、バブル経済を生んだ原因、背景についてどのような認識をお持ちかお尋ねしたいと思います。
  56. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 バブル経済というのは確かに言われておりますし、まさに泡というような話でありますから、いろいろな形であったと思います。  私は、大体御指摘のような、八七年〜八九年の低金利時代というものが出てきた、それが過剰流動性をもたらしたというのは、事実としてはそうだろうと思いますが、そのときに、やはり円高にする、プラザ合意をどうするか、こういうふうな話からやってきたわけですね。やはり国際的な情勢からやっていかなければならないな、こういうふうな話も一つあって金融を動かしてきた。  単に私は金融だけじゃない、金融の問題ではないと思うのですね。やはりあのときでも土地が非常に上がってきた、また、いろいろな形で株の値段も上がってきたということは、いわゆる右肩上がりというか、物を買ったら必ず上がるぞ、投資としても買えば必ず上がっていくよというような風潮があった。土地神話というものがありましたよ。それがあったものですから、随分とその神話に基づいていろいろなことが行われてきた、これが私はバブルをもたらしたものだろうと思うのです。株につきましても、必ず上がるんだというような話があったんだろう、これがバブルの問題になってきたんだろう、こう私は思っています。  通常ではそれは考えられないような話である。物の値段というものは、やはり需要と供給、それにマッチして決まるべきものが、未来永劫にずっと上がっていくなどというようなことがまかり通るというような状況になったのがやはりバブルを生んだのではないかな、こう思っておるところであります。  特に私はもう一つ申し上げたいのは、このバブルによってどういうことが、みんな上がったらいいじゃないかという議論はありますよ。ありますが、そうではなくて、バブルになったならばそういったような風潮が出てくる、そうすると無限に世の中がよくなる、それは本当に金を回してきさえすればいいんだという形になりますと、国民経済として、勤勉に働こうということでなくて、そういったバブルに乗ってやった方が得しゃないかという風潮が出てきたことが非常におかしなことじゃないかなと正直言って私は思います。私は、そこはやはり直していかなければならない。  今はバブルが崩壊いたしました。それでだあっと減ってきてしまった。この辺になりますとまたこれは別な話でありますけれども、私は、バブルというものはそういったような形で出てきたものだろう、こういうふうに思っておるところです。
  57. 池田元久

    池田(元)委員 若干話がずれたようですけれども、私は、やはり政策運営の問題としてこれを大変重要視しているわけです。戦後のこういった大事なときの財政金融政策、なかなかうまくいっていないんじゃないかと思うのです。特に、やはり外国からの関係、対外調整で財政金融をやる場合になかなかうまくいかない。それは、一九七二年しかり、それから一九八七年しかりではないか。  ですから、これは非常にこの辺のところを参考といいますか教訓にしてこれからやっていかなければならないと思います。一国経済ではありませんので、ますます多国というか国際的なシステムに組み込まれております日本経済ですから、この辺のところに十分意を用いてやらないとなかなか難しいのではないかというような感じがいたします。政策に誤りなきを期してほしいと思います。  さて、不況対策として財政、金融両面の対策が言われていますが、不況感が一向になくなっておりません。これは、バブル経済崩壊に伴う我が国の金融システムに対する不安が根底にあるのではないかというふうに考えざるを得ません。  その一つとして金融機関の不良債権の累積があると思うのですが、最も新しい状況はどうなのかお聞きしたいと思います。
  58. 寺村信行

    ○寺村政府委員 当局が昨年九月末の時点におきましてヒアリングを通じまして把握しました都銀、長信銀、信託銀行の三業態におきます六カ月以上の延滞債権の元本残高は、九月末現在の概況でございますが、十二兆三千億円程度、そのうち担保、保証でカバーされていない貸出金が四兆円程度でございます。
  59. 池田元久

    池田(元)委員 今のは既に発表されたものでございますが、最近、金融機関の不良債権がふえ続けているのではないかということが言われております。その辺の状況について把握していらっしゃればお尋ねしたいと思います。
  60. 寺村信行

    ○寺村政府委員 実は、金融機関の不良債権の問題につきましては、本年三月期から各金融機関が自主的にディスクロージャーを行うことになっております。実は九月期は当局がまとめて全体の計数を公表したわけでございますけれども、この三月期は個別の、先ほど申し上げました都銀、長信銀、信託の業態につきまして公表することになっております。  現在のところ、当局はその具体的な計数をまだ把握をいたしておりませんが、昨年の九月に概況を聞いた限りでは、六カ月以上の延滞債権ということでございますので、まだ三月に向けてその額は大きくなる、増加を続けるという認識を持っております。ただ、増勢は多少鈍化傾向にあるのではないか、そういうようなことをヒアリングの段階で把握をいたしております。
  61. 池田元久

    池田(元)委員 増勢は鈍化するかもしれないが増加傾向にあるということは私も聞いております。  この不良債権なんですが、これまではバブル崩壊型の不動産やノンバンク向けの不良債権というのがふえてきた。しかし、最近になって小口多発の不況型の不良債権がかなり発生してきた。これはやはり注目しなければならないことではないかと思います。一向に不良債権は減らないというのが実態ではないかという感じがいたします。  さて、そういった不良債権に絡んで、不良債権の買い取り会社、共国債権買取機構の概要とねらいについて端的にお尋ねしたいと思います。
  62. 寺村信行

    ○寺村政府委員 これは、ただいまお話し申し上げましたけれども、バブルの崩壊に伴いまして金融機関が多額の不動産関連の不良資産を保有することになった、その処理のためにはできるだけ早期に担保不動産を処分することによりまして、不良債権を処理し、損失を確定させることが必要でございますが、不動産市場が低迷しているという状況で、そうした担保不動産の処分による不良債権の処理が困難な状況になっております。  そうした状況のもとで、金融機関が共同出資をいたしまして共国債権買取機構を設立をいたしまして、不動産市場で処分をした場合と同様の客観、公正な価格でこの不良債権を買い取ることによりまして、金融機関の不良債権を処理し、損失を確定させるというねらいでこの買取機構が発足したものでございます。  当局といたしましては、この買い取り会社が所期のねらいどおりの機能を発揮いたしまして、金融システムの安定に資することを期待をいたしているところでございます。
  63. 池田元久

    池田(元)委員 発足したばかりですから、これからどのような活動をするのか、まだ見なければならないところが多いんではないかと思うのですが、金融機関が不良債権を買い取り会社に譲渡する、そして損失を確定させる、つまりいわゆる損切りをするわけですね。その場合の生ずる損失について税法上の扱いはどうなるのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  64. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えいたします。  技術的な説明になりますが、法人がその有する資産を譲渡した場合に損失が生じたという場合には、その損失は、法人税法第二十二条第三項第三号、いわゆる損失の損金算入の規定によりまして損金の額に算入されます。また、その譲渡の際に生じたいわゆる譲渡損でございますが、その譲渡した日を含む事業年度の損金の額に算入することになります。  したがいまして、金融機関がその有する不良債権を譲渡した場合に生ずる譲渡損についても同様でございます。この場合、その譲渡損は、実現した損失でございまして、いわゆる法人税法の損金の額に算入されることになりますので、その結果、仮に当該事業年度において欠損金が生じたといたしましても、税務上の問題はございません。
  65. 池田元久

    池田(元)委員 この課税上の措置については優遇ではないかという議論がございます。国税当局は、今答弁があったように、これまでどおりの通達なりそれを適用したものだ、このように言っておりますけれども、点検すれば問題があるのではないかという感じがいたします。その点については細部には立ち入りませんが、とにかくこれによって大変膨大な額の税収が減少するであろうということは、これは否定できないと思うのです。  そういった点もありまして、この問題についてはやはりもう一度、果たしてこれまでの販売代金の確定前の税法上のそういった取り扱いを適用していいのかどうか、その辺を再検討しなければならないのではないかという感じがいたしますが、いかがでしょうか。
  66. 松川隆志

    ○松川政府委員 法人税法の解釈につきましては、先生御指摘のように法人税の基本通達というのがございます。この基本通達の中に、その販売代金の確定してない取引について、その見積価格によって決算を組むことを認めているわけでございます。例としては、石油とか鉄鋼とか紙等の業界においてそういう取引が行われているわけでございます。  それで、今回のケースにつきましても、まず価格が、最終的に回収価格が確定してないではないかということでございます。この点につきまして、やはり今までの通達の基本的な趣旨、考え方に立ちまして本件を考えますと、見積価格が第三者の機関によりまして適正に査定されるというシステムをとっていること等を考えまして、そうしたいわゆる販売代金の未確定な債権の取り扱いと同様の取り扱いをするということにしたわけでございます。
  67. 池田元久

    池田(元)委員 次に、金融システムの不安の解消のたかにはいろいろなことを行う必要がある。その一つとして、今出ておりました共国債権買収機構といった買い取り会社も設立されたのではないかと思います。  いろいろ出ております中の一つに、ノンバンクへの救済問題が今大詰めになっているのではないかと思うのですが、日住金ですか、これを中心とする救済問題の概要についてお尋ねしたいと思います。
  68. 寺村信行

    ○寺村政府委員 お尋ねのございました住専、ノンバンク等のいわゆる個別問題につきましては、かねてからその関係者が、関係者といいますか、関係金融機関でございますが、金融システムの安定性確保の重要性を認識した上でできるだけ早くその問題の解決、対処案を構築するよう当局としては関係金融機関に要請をしてきたところでございます。関係者の間におきましてはこれを踏まえましてさまざまの検討を進め、問題の解決のために真剣な努力を積み重ねておられる状況だと認識をしております。  個別の問題につきましては申し上げることを差し控えさせていただきたいわけでございますが、昨年の八月に当面の金融行政の運営方針を公表して以来、それぞれの銀行系のノンバンク等につきましてはかなりの整理が進んでおります。住宅金融専門会社等につきましては具体的な対処案がまだできていないわけでございますが、関係金融機関で現在真剣な努力を続けておられる状況でございます。
  69. 池田元久

    池田(元)委員 個別の問題というよりも、これも銀行経営にかかわる大変重要な問題でございますから、注目していきたいと思います。  巷間いろいろ伝えられているのですが、株式担保金融、日銀がやればできるそうですが、また四十年不況のときに行われた株式の買い上げ機関、そういった構想があるのですが、その辺についてこれから取り組む考えがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  70. 日高壮平

    ○日高政府委員 種々いろいろな形で御提言があることは承知いたしておりますが、私どもとしてそういう考えは全くございません。
  71. 池田元久

    池田(元)委員 信用不安の回避ということが何といっても大事ではないかと思うのですが、そのためにはやはり情報の開示というのが必要ではないか。根拠のないうわさに惑わされないように適切なディスクロージャーをやっていく必要があると思います。  また同時に、銀行等の金融機関は、これまでよく言われておるのですが、護送船団行政とかいろいろ言われておりますが、限界的な企業も生き残れるというようなことでしたが、これからは金融機関でも当然のことながら自己責任の原則を貫く必要もあるということで、いわゆる何でもかんでも日銀が最後に出てきて最後の貸し手となるから安心できるというようなことで、少し甘えの構図があるのではないかということも考えられます。  その辺の全体的な取り組みといいますか考え方についてお尋ねしたいと思います。
  72. 寺村信行

    ○寺村政府委員 まずディスクロージャーの問題でございますが、先ほど御答弁を申し上げましたように、本年三月から個別の金融機関が不良債権のディスクロージャーを実施されることになっております。  金融機関の資産の健全性に関しますディスクロージャーは、個々の金融機関が自主的かつ自己責任に基づいて行うべきものでございまして、金融機関がディスクロージャーを充実し、経営内容の透明性を向上させることによりまして信頼性を強化することが金融システムの安定性確保のために不可欠であるという認識を持っております。この意味で、適正なディスクロージャーが行われること、そのことが金融機関経営者の果たす責務であるというふうに私どもは考えているところでございます。  それから、個別の金融機関の問題でございますが、これはただいまお話のございましたように、基本的に自己責任原則により処理されるべきものでございまして、先ほど御説明申し上げました買い取り会社の問題にしてもあるいは個別のノンバンク、住専の問題につきましても、基本的には金融機関の自己責任原則で処理されべきものだという認識を私どもは持っているわけでございます。  それから、今後の金融機関のあり方につきましては、昨年八月の金融行政の当面の運営方針にも述べたところでございますが、金融システムの安定性の確保を図る一方におきまして金融システムの効率化の推進を図っていかなければいけない、それがいわゆる利用者のためにもなるし、あるいは国際化への対応にもなるということで、制度改革あるいは金利の、金融の自由化等の措置も一方におきまして今着実に進めております。  これらはいずれも競争促進的な要素がございまして、金融機関はその意味では経営上も、バブルの調整局面のほかに、こうしたシステムの効率化のための経営努力をこれからもしていかなければいけないのではないかと考えているところでございます。
  73. 池田元久

    池田(元)委員 大筋で言えばそういうことだと思うのですが、ただ、金融制度の改革の現在の状況については若干見方が違うことは、また別の機会に申し上げたいと思います。  信用不安の回避についていろいろお尋ねしてまいりましたが、最後にこの部分につきまして大臣の御答弁をお尋ねしたいと思います。これは今の日本経済にとって大変重要なことですので、その辺についての御認識を伺いたいと思います。
  74. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 個々の問題につきましては、先ほど来政府委員から申し上げましたようなことに尽きると思います。日本がこれだけの経済大国になってきた、また経済としても非常に発展をしてきましたその中において、金融界の果たすべき役割というのは大変大きなものだろうと思います。  私は、この金融界の果たすべき役割というのはやはり自己責任原則だろう、こう思うのです。そこを抜きにしてやっていくわけにはまいらない。いたずらな護送船団とかなんとかということでなくて、やはり競争体制を日本の国内においてもとっていって、預金者に対しサービスをし、また国民に対してもいろいろなサービスをしていく。要するに金融というものは血液循環みたいなものでありますから、それがうまくいくということが必要である。  単に国内の問題だけではありません、国際的にも今や日本の金融というのは非常に大きな力を持ってきているわけでありますから、そうした点を考えながらこれから体制を進めていかなければならない。一方においては自由化という方向が大きな方向としてあるだろうと私は思います。と同時に国際化の方向も考えていくということが一つの大切なことだろうと思います。  先ほどバブルの話で申し上げましたが、バブルのときにゃはり金融という問題がいろいろあったことは事実であります。それを今必要な調整をし、悪いところは直していくというのは、今やっているところの一つの問題だろうと思っておりますから、そういった形で健全な体制に持っていくことが私たちに与えられたところの役目であろう、こういうふうに考えております。
  75. 池田元久

    池田(元)委員 金融機関は自己責任の原則を貫けというその部分につきましては、これは金融機関に対するマニフェストといいますか宣言的なものとして私は受けとめておきたいと思います。  さて、きょうは日銀の福井理事にお忙しい中来ていただきまして、ありがとうございます。  先ほどバブルのところでもお尋ねすればよかったのですが、このバブルを生んだ原因、背景についてどのように認識されていらっしゃるか、日銀の見解を端的にお伺いしたいと思います。
  76. 福井俊彦

    福井参考人 お答えを申し上げます。  八〇年代後半、いわゆるプラザ合意以降の我が国の経済政策、これは金融政策だけではなくて広く財政政策等も含めた全体としてのマクロの経済政策でございますが、申すまでもなく、物価の安定を確保しながらその当時我が国経済にとって一番大きな命題でございました内需主導型の望ましい姿に転換させていく、そしてその過程をうまく運ぶことによって対外不均衡の是正を進めていく、そういう大きなターゲットをねらいとして運営されてきておりました。日本銀行の金融政策も全く同様の観点に立って、特に物価の安定確保に重点を置きながら我が国経済の構造転換を図っていくという観点をしっかり踏まえながら運営してきたというところでございます。  実際に行いましたところは、委員御指摘のとおり、かなり長い期間にわたって金融緩和あるいは低金利という状況を出現させながら全体の経済の運びを進めてきたというところでございます。  今から振り返ってみますと、物価の安定確保であるとか、あるいは非常に強い円高プレッシャーに対して当時の実体経済が脱出していく抜け道をスムーズにつくっていくとか、あるいは非常に膨大な対外黒字の調整に糸口をつけていくとか、いろいろな面でそうした政策が功を奏した面もあったわけでございますが、同時に資産価額の大幅な変動を招いた。それに伴って、振り返ってみますれば、実体経済についても大きな振れ、スイングというものをもたらした。  そういう点で、当時の政策全般については、今から振り返ってみて、功罪相乱れている。あえて言えば反省材料も決して少なくない。そうした反省材料をしっかり踏まえながら、今後の望ましい経済運営のためによりよき政策運営をしていかなければいけない。金融政策の責任を担っております私どもの立場からも、その点はいたく認識しているというところでございます。
  77. 池田元久

    池田(元)委員 まだ五年から三年前の話ですから、なかなか客観的に評価というのはみずからはできないのではないか、そのような感じもいたしますが、とにかくアクセルとブレーキは適時踏んでいただきたい、このように申し上げたいと思います。  全然別の問題なんですが、日銀の最近の資料流出問題についてちょっとお尋ねしたいのです。  日銀が民間の金融機関の経営状況の把握のために考査を行っているのですが、その考査資料の一部が複数の民間金融機関に流出したことが最近明るみに出たわけなんですが、この問題の概要についてお尋ねしたいと思います。
  78. 福井俊彦

    福井参考人 お答えを申し上げます。  日本銀行の考査に関する資料のコピーと称されるものが外部に流出している、そういうマスコミ報道に関連したお尋ねではないかというふうに思います。その点に関しまして、世間を大変お騒がせいたしましたことについて私ども大変遺憾に感じております。深くおわびを申し上げる次第でございます。  考査は、信用制度の保持育成という日本銀行の使命遂行のため行っているものでございまして、考査に関する資料の管理につきましては、当然のことながら従来から極めて厳格に行ってきているつもりでございます。したがいまして、こうした資料の一部が外部に流出するというふうなことは、当然のことながらこれはあってはならないことだというふうに厳に考えているところでございます。  今回の一連の報道を受けまして、日本銀行におきましては、内部の検査部署がその報道の翌日から直ちに調査を開始しております。既にかなりの数に上ります職員から詳しく事情を聴取している段階でございます。  ただ、これまでのところは事実関係を十分に把握するところまでには至っておりませんで、現時点で具体的に何か申し上げられるという段階にないことはお許しいただきたいと思います。申し上げられますことは、引き続き徹底した調査を進める、そういうふうに厳しく内部的に指示を続けているところでございます。御理解賜りたいと思います。
  79. 池田元久

    池田(元)委員 現在調査中であるという答弁なんですが、大変残念です。これはやはり国民に対する日銀の信頼性という問題もあるのですから、これは調査の内容、まだこれから、余り確定しないところは別ですけれども、現段階でわかった範囲内で当然国会の場で報告されるのではないかというふうに期待したのですが、大変残念です。  いかがでしょうか、もうちょっとその内容に踏み込んだ答弁をいただきたいと思うのですが。
  80. 福井俊彦

    福井参考人 お答え申し上げます。  何分報道されました資料のコピー自体私どもが手元に持っているわけではございませんし、当該考査は今から二年半近く以前の考査に関連したことでございますので、多少古いことでもございまして、調査が必ずしも容易でないといった事情もございます。  決して言いわけを申し上げるわけではございませんが、しかしそうした中でも現在、当該考査局の職員ということだけではなくて、より広い範囲内で当時のいろいろな関係者からの事情聴取という形で精力的に調査を進めている段階でございます。現在は申し上げられることは以上でございます。
  81. 池田元久

    池田(元)委員 中央銀行の信頼性の問題でございます。そして、銀行指導にも当然影響する。内容が金融制度改革に絡むものです。私もいろいろなうわさは聞いております。そういった各業態間の争いに巻き込まれたというような話もございますが、この辺を含めて徹底的に事実を明らかにしていただきたいと思います。  同じように情報流出問題、一言お尋ねしたいのですが、横浜銀行のある支店の顧客名簿が、預金残高借入金、大口定期の満期日、そういったものを記入した一覧表が流出したわけです。この流出は、脅迫状が当該銀行に届いたことによって最近明るみに出たわけなんですが、この概要についてお尋ねしたいと思います。
  82. 寺村信行

    ○寺村政府委員 お尋ねの件につきましては、横浜銀行から本件につきましては現在捜査当局が捜査中であるとの報告を受けております。刑事事件でございますので、行政当局としての具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、金融機関は預金者、貸出先等の顧客情報につきましては、顧客のプライバシー保護あるいは信用秩序の維持という観点から慎重な配慮が必要であることは当然でございまして、仮に本件のようなことが事実であるとするならば極めて遺憾なことだと考えているところでございます。
  83. 池田元久

    池田(元)委員 こういった個人情報の保護について大蔵省はどのような対応策をとっているか、お尋ねしたいと思います。
  84. 寺村信行

    ○寺村政府委員 基本的には、金融機関がそれぞれの自己責任においていわゆるプライバシーの保護というか情報の管理をすべき問題だという認識をしております。これまでも金融機関は自主的にいろいろな対応策を講じてきているところでございます。  当局としても、そういった方向が必要であるということで、そのような対応策をみずから講ずることを要請してきたところでございますが、今後、本件につきましても今後の事実関係の究明を踏まえまして、仮に具体的な問題の存在が明らかになりましたら、その是正措置を講じ、再発防止に万全を期すよう指導してまいりたいと考えているところでございます。
  85. 池田元久

    池田(元)委員 その辺については今後さらにいろいろ議論していきたいと思います。個人データの厳正管理というのは大変重要ですから、この辺についての大蔵省の対応策、この辺注目していきたいと思います。  最後になって大変恐縮なんですが、大蔵大臣は最近訪米されました。ベンツェン財務長官と会談されて、いろいろ日米両国の当面する課題について話されたと思うのですが、日本の景気対策について何かベンツェンさんの方からお話があったようでありますが、その辺を大筋お話ししていただければ幸いです。
  86. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 ベンツェン財務長官も就任されたばかりでありましたし、私も大蔵大臣になったばかりでありますから、私も前にちょっと会ったことがあるような気持ちがあるのです。お互い大臣になったから会いましょうということでいろいろと日程を調整しておりましたのですが、やっと会うような段取りになった。  そういった意味で、突っ込んでああしましょうとか、こうしましょうという話じゃなくて、フランクなトーク、話し合いをいたしましょうということで話をしてきたところであります。お互い政治家でありますから、お互いの話をコミュニケにして出したりなんかするというようなかた苦しいことはやめましょう、お互いにフランクな話をしましょう、こんな形で話をしてきたところでございます。  世界経済の問題、またアメリカ経済の問題、日本経済の問題、日本経済の問題につきましては、私からいろいろと御説明いたしまして、当委員会で申し上げておりますような私たちの考え方もはっきりと申し上げておきました。時間もわずかでございましたから、特段に日本に対して何をしてくれ、これをしてくれといったような話はなかったということでございまして、何か新聞でいろいろなことを言われていますが、なぜそういうことになっているんだろうなと私も心外に思っているようなことでございます。
  87. 池田元久

    池田(元)委員 そこまでお話しされるんでしたら、それに付随して聞きますが、さらなる財政出動のリクエストがあったというふうに聞いておるのですが、いかがでしょうか。
  88. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 私は、さらなる財政出動、今日本で言われていますような、いろいろなことを言われていますが、そんな話は一切なかった、こういうふうに御理解いただければいいと思います。
  89. 池田元久

    池田(元)委員 終わります。
  90. 藤井裕久

    藤井委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  91. 藤井裕久

    藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治通君。
  92. 細谷治通

    細谷委員 昨日、日本社会党第三次山花内閣、影の内閣が成立いたしまして、私、予算担当委員長ということで御指名をいただきました。微力ではございますけれども、国民の期待にこたえられる予算づくりができますよう頑張ってまいりたいと思っております。  改革と前進ということをキャッチフレーズに予算づくりに邁進してまいりたいと思いますけれども、何せスタッフがおりませんので、大臣初め大蔵当局の御指導と御協力を切にお願いをする次第でございます。なお、第一次、第二次の田邊内閣のときには財政委員長をさせていただきまして、その節も大変御協力を賜りまして、心から感謝を申し上げる次第でありまして、引き続きよろしくお願いをいたします。  さて、本日は平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案について、本題を中心にして二、三の項目について御質問をいたしたいと思います。  まず本題から入らせていただきたいというふうに思います。  承継債務の繰り延べ、実は私どものシャドーキャビネットでも、本年度予算異例特例措置としてやむを得ないであろうということでこの繰り延べ措置を是認をいたしたわけでございますので、基本的にはやむを得ないという立場で考えております。しかし、大変多くの問題をはらんでいるわけでございますので、我々としてもある意味では苦汁の選択であったと言わざるを得ないというふうに思います。そういう立場で、こうした繰り延べ措置というものが今後際限なく行われていくということでは困るわけでございますので、やはりこれをどうやって正常な形に戻していくか、歯どめをかけていくかということが今問われているのじゃないかというふうに私は思うわけでございます。そういう観点から数点お伺いをいたしたいと思います。  まず、地方交付税の特会、そして国鉄の承継債務、国鉄清算事業団の承継債務、これがあるわけでございますけれども、おのおのの承継債務債務残高は、一体現在時点ではどうなっているのか、それから資金運用部からの借り入れでございますけれども、この利払いは本年度で、一体どのくらいと見積もられているのか、どんな利率で利払いをするのか、まずその点について事実関係お尋ねいたしたいと思います。
  93. 竹島一彦

    竹島政府委員 お答え申し上げます。  交付税特会分につきましては、四年度末の残高は五兆四千四百二十二億円でございまして、五年度の利払い額は三千八百六十四億円でございます。なお、金利につきましては、交付税特会は七・一%ということでございます。  次に、国鉄分でございますが、四年度残高は四兆八千八百六十三億円でございまして、五年度の利払い額は三千三百三十九億円、利率は、これは過去のそれぞれの年度によって違いますが、六・〇五%から八・〇%まで散らばっております。  国鉄清算事業団分でございますが、四年度残高八千百六十七億円、五年度利払い額六百五十三億円、利率は七・五%から八・五%という幅を持っております。  以上でございます。
  94. 細谷治通

    細谷委員 債務残高はトータルで十一兆一千四百五十二億ということになるようでございます。大変な巨額な残高と言わなければならないと思います。  ところで、このおのおのの債務償還計画というのはあるのかどうか。当然この特例法の中に償還計画をつくるように義務づけられておるのであろうと思いますけれども、償還計画はどうなっているか、簡単に御説明願いたいと思います。
  95. 竹島一彦

    竹島政府委員 お答え申し上げます。  交付税特会分につきましては、平成十五年度まで償還がかかるようになっております。それから国鉄分でございますが、これは平成二十三年度まで償還がかかる、図鉄清算事業団分につきましては同じく平成二十三年度まで償還がかかるということで年次計画が決められております。
  96. 細谷治通

    細谷委員 きちっと償還計画を持って、これがいたずらに膨れることがないように、常に注意をしていかなければならないということだと思います。  なぜこういうことを聞くかと申しますと、もう一つ気になるのは、後ほど同僚議員からの御質問があろうかと思いますけれども、政管健保に係る一般会計からの繰り入れの一部停止では、これは償還計画が実は示されておりませんで、各年度の収支状況等を勘案して償還をしていくんだということになっておりまして、定められていないわけでございます。  どうしてこういうふうに、まあ片手落ちと言っては悪いのでありますけれども、どうしてこういうことになるのか。片一方では、一般会計の承継債務についてはきちっと償還計画があるのに、この政管健保からの借り入れについては償還計画がない、財政状況を見てと、しり抜けになっているわけでありますけれども、この辺はどういう違いがあるのか、御説明をいただければと思います。
  97. 竹島一彦

    竹島政府委員 今御審議いただいております三本の、すなわち交付税特会と国鉄と国鉄清算事業団、これの承継債務は、既に過去におきまして、承継した時点で、それぞれ先ほど申し上げましたような償還期限で年次計画が定められておったものでございますから、そのうち現下の厳しい税収動向にかんがみまして、四年度補正予算それから今回の五年度予算において、五年度の場合には五年度の元本分だけやむを得ず先送りをさせていただきたい、こういうものでございます。根っこに償還計画がございますので、先ほど申し上げましたような償還計画の改定ということで扱いをしております。  一方、政管健保につきましては、これは政管健保の財政状況を判断いたしまして、昨年度から中期的な考え方で、五年スパンでもって安定を期していくということでやっておりますけれども、そういう中で、幸い政管健保については一兆数千億円になる積立金というものを持っておって、単年度でも五年度には千三百七十億円ぐらいの剰余が発生する見込みである、そのうち千三百億円をお借りしたい、こういうことでございます。  その返済につきましては、これは事柄の性格上、政管健保の財政が非常に大きな問題に直面するといった場合には金利を含めて繰り戻しをするということを法律に書かせていただいておりますけれども、それがいつ起きるのかということにつきまして具体的な計画を定めることができませんので、定性的な期限の規定ぶりにさせていただいているところでございます。
  98. 細谷治通

    細谷委員 財源余裕がある、余裕がないという議論をすれば、資金運用部は余り過ぎるほどの余裕があるわけでありまして、余り理屈にならないと思うのですね。片一方でこういうふうに償還計画がきちっとある、片一方は償還計画がない、どんぶり勘定みたいになっている。これは、私は大変片手落ちな財政計画だというふうに思うわけであります。これは後ほど同僚議員がもっと詳しく質問いたしますので、このぐらいでやめておきますけれども、この問題を指摘しておきたいと思います。  さて、次にこれらの承継債務の繰り延べというのは、政府の説明その他によれば、要するにパブリックセクション間の、公的な部門、会計間のやりくりであるので、資金を吸い上げるということはない、したがって、経済に対してはニュートラルであるというような説明がなされるわけであります。  しかしながら、これが借金であり、国民負担であるということはもう明らかだというふうに思います。そういう意味では、隠れ借金の性格を持っておる意味で、赤字国債の発行と本質的には何ら変わるものではないというふうに考えるわけであります。こうした不健全な財政運営というものは到底許されるものではないと思うわけでありまして、政府として今後どうしていくつもりなのか、仮に来年度税収増が期待できないということであるならば、また債務の繰り延べも考えられる、そうせざるを得ない事態もあり得るんだというふうにお考えになっているのかどうか、その辺について存念をお伺いしておきたいと思います。
  99. 竹島一彦

    竹島政府委員 来年度以降につきましては、このような引き続く厳しい財政事情でございますので、やはり歳出面を含めまして厳しい予算編成に取り組んでいかざるを得ないと考えておりますが、具体的にどういう手段でどうするかというのは今後の問題でございます。  今回お願い申し上げています承継債務の繰り延べ措置というものにつきましても、これは現在の厳しい税収動向にかんがみまして、赤字公債、特例公債の発行を回避するという面から、やむを得ずぎりぎりの措置としてお願いを申し上げているわけでございまして、なるべくこういうことは繰り返されないことを念頭に置きながら努力してまいりたいと思いますけれども、六年度以降のことにつきましては、具体的にどういうふうにするかについて申し上げる段階にございません。
  100. 細谷治通

    細谷委員 いずれにいたしましても、特例措置でありますし、本来あってはならないことだと私は思います。  大臣、どうでございましょうか、来年度に向かってというのはおかしゅうございますが、ちょ一つと決意を聞かしていただきたい。
  101. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 細谷委員御指摘のとおり、この制度というのは、正直申しまして余り褒められた話ではないと思います。今政府委員から御答弁申し上げましたように、この異例税収動向財政状況のもとでとったやむを得ざる措置でありますし、単年度でやめることができればいいんですけれども、なかなか私はそう簡単な話でない。  いろいろな問題を抱えておりますし、来年度以降の予算編成の過程におきましても、その辺がどうなるのかという見通しが、来年度のことを今から申し上げるわけにもいかないし、ましてや何%のことでやれますなどと言うことができるような状況でないと私は思いますので、いろいろな点で、先ほど申しましたように、決していいことではないからできるだけ解消するような方向では考えてみたいと思いますけれども、今どうこうすると言うことができるような、お約束のできる段階ではないと御理解いただきたいと思います。
  102. 細谷治通

    細谷委員 私どもは、先ほど言いましたように、異例特例措置として本年度は認めるということを決意したわけでございまして、我々としては、来年度はこういうことがないように最大の努力をした予算を組んでみたいというふうに思っております。決意のほどを申し上げたいと思います。  続きまして、隠れ借金といいましょうか、そういう問題について少し御質問したいと思います。  平成年度予算について、ある識者によりますと、本年度予算は臨界点予算だ。既存の硬直的な財政構造の中でやりくりが限界点に達した予算だという表現だというふうに思います。表面上はバランスがとれているわけでありますけれども、その実、やりくりも限界点に達しているということだと思います。  そして、よく見てみますと、地方財政と財投と、これが一般会計を中心にしていわば三位一体化しているということでございます。その間のやりくりというものがますます深層化しているといいましょうか、そういう状況でねじれ、混合現象が生じている、そういうふうに表現をいたしております。その中でこういう表現も使っておりまして、財投の一般財政化、それから地方財政特別会計化というふうな表現でこの三位一体化というものを表現いたしております。私も非常に的確な表現ではないかというふうに考えております。  そういうことを考えますと、これからの財政というものは、限界点に、臨界点に達しているわけでありますから、枠組み自身の再検討、すなわち財政のリストラといいましょうか、そういうものがどうしても不可避なところに来ているということだと思います。  その一例がこの隠れ借金という形に出てきていると思うのです。九三年度末、今年度末の隠れ借金の総額は三十七兆円を超えるというふうに言われております。これはまあ、予算比でいきましても五二%ぐらいに当たります。九三年度末の債務残高百八十二兆と言われておりますけれども、これも債務として足してみますと二百二十兆、仮にGNPと対比してみますと四五%という形になります。大変巨額に達しているわけであります。  大蔵省は、隠れ負債というものは国庫内での資金の融通にしかすぎず、民間からの資金を吸収するものではない、したがって、赤字国債とは違うんだということを説明なさるようであります。  しかし、負債はあくまで負債でありまして、現在または将来の国民の負担であることには私は変わりはないと思うのです。いつかはこれが国民負担として顕在化してくる、そういう意味においては赤字国債と本質においては変わらない、見えざる赤字国債と言ってもいいんじゃないかというふうに思います。そして同時に、これはちゃんと利子がついてくるわけでありまして、これも赤字国債と変わらないわけであります。強いて言えば、どこが違うかと言えば、この償還方法、償還の期限というものが異なるということは言えるんじゃないかと思います。  それから、民間から資金を吸収するわけではないという言い方をしますけれども、もし仮にこの負債がなかったとするならば、その分、例えば一般会計を通じて、または財投を通じて、地方財政を通じて、民間へ資金が流れることができたんではないかというふうに考えますときに、結果としては資金を吸い上げたということと同じことになるんじゃないかというふうに思うわけであります。そういう意味において、どう抗弁してみても、この赤字国債的な性格というものはぬぐい去ることはできないというふうに私は思っております。  そこで、この隠れ負債の累増傾向をどうやって防いで財政の硬直化に歯どめをかけていくかということだと思います。国債政策について二足の歯どめの目標を今持っておられますけれども、隠れ負債についてもやはり同じように、一定の削減計画ないし目標ないしは抑制目標というものを持って、健全な財政運営を、計画的な財政運営をした方がいいんじゃないかというふうに私は考えておりますけれども、こういう考え方についてどういうふうにお考えになりますか。
  103. 竹島一彦

    竹島政府委員 委員御指摘のとおり、こういった措置というものがいわば当たり前になるというような状態というのは、厳に回避すべきであるというふうに考えております。  ただ、公債につきまして、公債依存度を五%くらいに下げたいといった目標があるのと同じように、将来返済すべき措置につきまして、そういった形の目標を設定するということにつきましては、やはりそれぞれごとの経費の性格が違いますので、一律にそれを束ねて何%とか、何に対して何%というような目標を定めるわけにはまいらないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、これからはこういったものがどんどんふえるといったことがないように、それぞれの制度なり、今承継債務なら承継債務の、その根っこになっている制度なり事業なりがおかしくならないようにという歯どめを十分考えながら、かつ、こういったものが将来膨らまないように対処していかなければならないというふうに思っております。
  104. 細谷治通

    細谷委員 こうした隠れ負債が年々ふえていく、何とかしてこれに対して歯どめをかけるということであるならば、例えば五年なら五年でこういうふうに減らしていくんだという計画を持つのも現実的な財政運営の手法としてはあり得るんじゃないかというふうには私は考えるわけであります。ぜひ、そうしたことを念頭に置いて御検討をいただきたいというふうに思います。  次に、もうちょっと詳しく具体的になりますけれども、財投の問題についてお伺いしたいと思います。  先ほど財投の一般財政化ということを申し上げました。最近の予算編成の特徴でありますけれども、大変一般会計の歳入状況が厳しいということで、しかしながら、片方では公共事業の拡大要請も強いということもあって、一般会計の需要代替としてこの財投が活用されているという面ば否定できないというふうに思います。公共事業等財政機関の事業費の拡大に見られますように、そしてまた国鉄清算事業団への財投融資、これらもそういう性格を持っているのじゃないかというふうに思います。それから、地方債の財投による引き受けというものもこういう性格を持っているのじゃないかというふうに私は思います。  言うまでもなく、財投というものはやがて返済しなければならない有償資金であります。一般会計の需要代替ややりくりのための活用であってはならないというふうに思うわけであります。財投というのは、借りるサイドにも、もともと借り得、返せなくなったら国が面倒を見てくれる、肩がわりしてくれるといった安易な態度がどうしても出がちであります。どうしてもルーズになりがちであります。  経験的に申し上げますならば、旧国鉄に対する二度にわたる財投債務一般会計で棚上げをいたしました。これなどは私は典型的なこのケースではないかというふうに思います。節度を欠く財投運用の拡大というものは、結果的に一般会計の隠れ負債をつくっている、この累増を招く形になっているのじゃないかというふうに私は思うわけであります。  そういうことを念頭に置きながら、今後の財投運用の拡大についてどういうふうにお考えになっているのか、もっと運用基準を厳しくするというようなことで対処すべきだと思いますけれども、これについての御見解を賜りたいと思います。
  105. 藤井威

    藤井(威)政府委員 御指摘のとおり、財政投融資は、国の制度とか信用を通じて集められましたいわば公的な資金、それもお返ししなければならない資金であるいわば有償資金を財源としております。これに基づきまして、金融的な手法によっていろいろな種類の政策を実現していこうという、そういう手法であるわけでございまして、そういう財政投融資の本質につきまして、我々も襟を正して、財政投融資の本来の姿からそれていかないような努力をしたいというふうに思っております。  具体的には、今の有償資金であるということですから、有償資金によっても実現できる政策分野というのはかなりございます。有償資金と無償資金を、いわば租税を組み合わせて政策目的を達成できる分野、例えば有料道路事業であるとかというようなものがございます。あるいはODAの世界でもそういう事業というのはかなりございます。  それから有償資金だけでもいろいろな政策手段が実現できる分野もございます。典型的な分野としては、中小企業金融の分野などはそれに当たるのであろうというふうに思います。こういう本来の金融的手法で実現できるような政策、そういうものをこの有償資金を適宜活用して、国全体としての政策、財政全体としての政策、目標を実現していこう、その基本は忘れないようにしたいというふうに考えております。
  106. 細谷治通

    細谷委員 例えば清算事業団に対する財投の投入なんか見てみますと、これは土地が担保になっているということかもわかりません、国の機関だということかもわかりませんけれども、しかし、利子を生むようなそういう事業では到底ない、まさに清算事業であるわけでありまして、これに際限もなく財投をつぎ込んでいく、そしてその財投の残高がどんどんふえるということは、私は決して財投の本来の目的に沿っているものではないというふうに考えるわけであります。  だから、一般会計をつぎ込めと言っているわけではないのですけれども、私は、そういう意味においては大変問題があるんじゃないか、財投が原資が多いからといって、余裕があるからといって、放漫な運用というものは必ずや将来に禍根を残すであろうということを大変心配するわけなんです。ですから、財投が二けたで伸びだとか、そう言って手放しで喜ぶような状況ではないということだけ私は警告をしておきたいというふうに思います。  次に、法人税の関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  債権償却特別勘定の運用基準の緩和ということでございます。多少専門的になって恐縮でございます。私自身まだなまはんかで勉強不足の点がございますけれども、素人なりに大変多くの疑問を持っておりますので、お尋ねをさせていただきたいと思います。  昨年八月の総合経済対策の発表に先立って出されました金融行政の当面の運営方針は、もちろん金融システムの安定確保のために金融機関が抱える不良債権処理対策として示されたわけであります。税務上の取り扱いが運用上の変更措置として行われたことは御承知のとおりであります。すなわち、通常の貸倒償却引当金勘定を上回る税制上の特別措置というものが認められたということであります。  法人税法基本通達九−六−四の「認定による債権償却特別勘定の設定」についてでございますけれども、この基本通達の変更ではなくて、運用上の基準の緩和として、実は大幅に拡大適用されるようになりました。税務上の優遇措置が行われたわけであります。  すなわち、従来、償却証明上、債務者の過去、おおむね二年以上ということでございますけれども、二年以上における債務超過の推移及び今後の事業好転の見通しのそうした基準、これを変更いたしまして、おおむね一年以上に短縮いたしました。そして、むしろその債務超過に至った事情とか将来に向けて事業が好転するかどうかに重点を置いて同基本通達の適用の有無を判定するということにされたようでございます。  そして同時に、貸し金等の相当部分、おおむね五〇%以上ということであったようでありますけれども、金額について回収の見通しかないと認められるに至った場合に同基本通達を適用することになっておりますのを、四〇%を一応の目安にすることとしたことであります。その他残余の改正措置が行われたわけでありますけれども、これが大きな柱だというふうに思います。  まず第一にお伺いしたいのは、この運用変更について、私は大変重大な税務上の、課税上の問題があるというふうに判断いたしております。この基本通達、昭和二十九年以来四十年間にわたって一貫して適用されてきた本基本通達の運用をなぜこの時点で変更しなければならなかったのか、特段の理由というのは何があったのか、どうなのか、まずそういうことでございます。  不良債権の迅速かつ的確な処理ということでありましょうけれども、本来、金融機関が自己責任原則によって、必要であるならば有税で償却処理するのが私は当然だというふうに思うわけであります。こうした税制上の優遇措置が今回行われたわけでありますけれども、これは、いろいろ言ってみても、大蔵省の銀行保護姿勢の典型例だと言われても私は仕方がないんじゃないかというふうに思うわけであります。  一体銀行の自己責任原則というのはどこへ行ってしまったんだろう。バブル崩壊で苦しんでいるのは金融機関だけではなくて、もういろいろの階層の方々、いろいろの業種の方々、同様に苦しんでいるわけであります。何ゆえにこの金融機関だけがこうした税務上の優遇措置を与えられなければならないのか、それについてまずお考えをお聞きしたいと思います。
  107. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えいたします。  まず、債権償却特別勘定の制度でございますが、御指摘のように、昭和二十九年に導入されまして、その後、経済情勢の変化に応じまして、不良債権の実態に適合するように数次にわたって改正されております。御指摘の基本通達九−六−四でございますが、この規定は、昭和五十五年に改正されまして、そのまま今日に至っていたわけでございます。  それで、今回のこの基本通達の九−六−四の運用の改正でありますけれども、この動機といたしましては、今日における経済情勢の変化に対応して、不良債権の実態に応じた償却ができるようにしたものであるということであります。  その償却でございますが、これは金融機関だけではございませんで、一般事業法人についても同様にこの規定で償却ができるということでございます。
  108. 細谷治通

    細谷委員 それでは、具体的にお尋ねいたしますけれども、従来、本基本通達の要件適用というのは非常に厳格だったというふうに言われております。それを大幅に緩和したということだと思いますけれども、九二年の九月期の中間決算及びそれ以降の認定申請の件数、額、こういうものがわかりましたらお教えをいただきたいというふうに思います。
  109. 松川隆志

    ○松川政府委員 今お尋ねの債権償却特別勘定の計数でございますが、この計数については、国税庁についてはこういう統計を持っておりません。  ただ、国税庁で行っておりますサンプル調査でございますが、これによりますと、平成二年二月から平成三年一月までの間に事業年度が終了した法人のうち六万六千件について見ますと、この債権償却特別勘定を適用した件数は三千三百件でございまして、その期末残高は一兆四千八百億であります。また、平成三年二月から平成四年一月までの間に事業年度が終了した法人のうち六万四千件について見ますと、適用した件数は三千二百件でございまして、その期末残高は一兆七千五百億円となっております。
  110. 細谷治通

    細谷委員 六万六千とか六万四千のサンプル数ということでありまして、単純には考えられませんけれども、日本の全法人数が幾らあるんでしょうか、二百四、五十万あるんでしょうか、そういうことになりますと、六万六千、六万四千の適用例ですら相当多くの申請件数そして申請額というのが見られるわけでありまして、これがいわば課税上の優遇措置となってはね返ってくるというふうに思うわけであります。大変膨大であると考えております。  これが九二年の九月十八日のこの運用通達以降どうなっておるのか。不良債権が大変ふえておりますし、と同時にこの運用緩和を図ったということでありますから、私は多分この適用例というのがかなりふえているんじゃないかというふうに想像いたしておりますけれども、この調査はできているんでしょうか、お尋ねいたします。
  111. 松川隆志

    ○松川政府委員 ただいま申し上げました国税庁のサンプル調査でございますが、これは例年八月ごろ実施しておりまして、そのデータがまとまるのは、ことしの場合、今年十二月か来年の一月ごろになると思います。
  112. 細谷治通

    細谷委員 こうやって運用通達を改正されて大幅な緩和を図るということであるならば、当然実績については国税庁としても関心を持っておられるはずでありますし、これはぜひ御調査なさって、国会に、当大蔵委員会でも結構でありますけれども、御報告をいただかなければならないというふうに思うわけであります。  ところで、都銀等主な銀行二十一行ということで出ておりますけれども、九二年九月期における債権償却特別勘定への繰入額は四千億だったと言われておる。これが二十一行で四千億ということでありますので、金融機関全体では膨大なものになるのじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、この辺について、もし数字を持っておられるならば、調査はこれからということでございますのでわからないと思いますけれども、いかがでございますか。数字を持っておられますか。
  113. 寺村信行

    ○寺村政府委員 ただいま四年九月期におきます三業態の債権償却特別勘定約四千億というお話でございましたが、正確に申し上げますと三千八百八十七億円でございます。これに地銀、第二地銀を合計いたしまして、全国銀行ベースでございます、いわゆる協同組織金融機関を除きました全国銀行ベースでの数字で申し上げますと、四千六百十五億円でございます。
  114. 細谷治通

    細谷委員 これは有税、無税の扱いはどういうふうになるのでしょうか。
  115. 寺村信行

    ○寺村政府委員 これは有税、無税両方合わせた額でございます。
  116. 細谷治通

    細谷委員 おのおのどうなりますか。
  117. 寺村信行

    ○寺村政府委員 それはちょっと把握はできない状況でございます。
  118. 細谷治通

    細谷委員 金融機関全体では四千六百十五億ということのようでございます。これは金融機関と一般事業法人とでは適用申請件数は一体どうなっているのか、それはわかりますでしょうか。
  119. 松川隆志

    ○松川政府委員 ただいま申し上げましたサンプル調査でございますが、これは金融機関と事業法人合わせた全体の法人の債権償却引当金の勘定の設定の額でございまして、したがいまして、ちょっと全体の数字はまずわからないのと、それから、このうち金融機関が幾らかということについても、国税庁のサンプル調査では全体で出しておりますので把握しておりません。
  120. 細谷治通

    細谷委員 それでは、九二年九月期以降のサンプル調査をやられるのか、全量把握をされるのか、その節には金融機関そのほか一般事業法人との間でどうなっておるかということをぜひ区別して把握をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  私の推定でございますけれども、認定申請要件の基準緩和によりまして税収減が一体どのくらいあるのか、九二年九月期で回収見込みのない不良債権というのが四兆円、これは大蔵省の発表された数字でございます。これがすべて無税償却の対象というふうになりますと、一兆円以上の法人税の軽減になるというふうに考えるわけであります。仮に四兆円を、評価損が五〇%といたします、そして、それに法人税の実効税率の五〇%を掛けると大体こんな感じになるのじゃないかというふうに思います。大変膨大な金額になるわけであります。  これは従前の基準でやる場合には大変適用が厳格でございまして、それが今回の緩和で大幅な税制上の優遇措置が図られるはうになったわけでありまして、不良債権処理の金融システムの安定のためとはいえ、大変大きな、国民感情といいましょうか、割り切れないものがあるのじゃないかというふうに思います。一般事業法人に対して適用可能と言っても、実際は金融機関救済が主眼であるだろうと私は考えておりますけれども、どうしてこうした金融機関偏重の税制上の、課税上の優遇措置がとられるのか、私は大変疑問であります。  そこで、もう少し突っ込んでお伺いしますけれども、これは法律によらないといいましょうか、いわば基本通達の運用解釈の変更でなされるわけです。基本通達そのものの改正でもない。運用解釈の変更でまさに何千億というような税負担の軽減が行われるということが、果たして租税法定主義という観点からいっても許されるものであるかどうかということに私は大変疑問を持つのであります。  この法人税法基本通達の九—六—四の法的根拠というのは法人税法二十二条三項三号であります。すなわち、損金算入についてということで、こう書いてございます。「当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの」という規定があるわけであります。これでは何のことかさっぱりわからない。素人が読んでもさっぱりわからないわけであります。まさに非常に包括的なラフな規定になっておりまして、これに基づく法人税法の基本通達、しかもそれの運用変更で何千億という課税上の違いが出てくる。私は、これは非常に問題がある、むしろ租税法定主義、憲法八十四条に定めた租税法定主義にも違反しているのじゃないかというふうに思うわけであります。  先ほど言いましたように、法人税法二十二条三項三号、こうした包括的な規定の中から、ここに根拠規定を設けているということでありますけれども、私は大変問題があるというふうに思います。これに対する御見解を賜りたいと思います。
  121. 松川隆志

    ○松川政府委員 御指摘のように、法人税法第二十二条第三項第三号の規定によりまして、貸し倒れ損失は損金に算入されるということになっているわけでございます。ただ、この債権償却特別勘定というのは、いわば部分的な貸し倒れに該当するわけでございまして、これを事実認定をしなければいけないわけでございます。  その場合に、国税の職場というのは何万人もの職員がこの認定をしなければいけないという立場にあるわけでございまして、この国税部内の取り扱いの統一を図ることによりまして課税の公平を図っていきたい、そういう目的でこの解釈通達に当たるものができているわけでございます。いわゆる法人税基本通達でございます。  それで、この通達でございますが、租税法定主義との関係で申しますと、いわば上級行政庁が法令の解釈につきまして下級行政庁に対して行う命令でございまして、納税者を拘束するものではないということは判例等でも確立しているところでございますし、通達により貸し倒れに関する事実認定の基準を定めている現行の取り扱いについて、不良債権の実態に応じてその認定をする基準を変更するということは、特に租税法定主義の観点から問題があるというふうには考えておりません。
  122. 細谷治通

    細谷委員 基本通達九−六−四、これの運用基準を緩和する、それによって何百億、何千億という課税上の違いが出てくるということは、これは私は租税法定主義の観点から許されないというふうに思うわけであります。  そこで、最後にお聞きしておきたいのは、じゃ、そういう基本通達の変更ないしは運用通達の変更がなされたときに、立法府に対する報告なり立法府に対する審議の参考といいましょうか、それはどういうふうになっているのか、それについてお尋ねしたいと思います。
  123. 松川隆志

    ○松川政府委員 国税庁の通達でございますが、今申し上げましたように、税法の適正な執行のために法律の解釈あるいは取り扱い基準を明らかにしたものでございまして、各税務署の第一線における取り扱いの統一を図ることを目的にしているわけでございます。  このように通達は、あくまでも行政庁内部の上級から下級官庁に対する命令、示達の一つの形式でございまして、ただいまのような国会における御意見、御批判があれば十分に留意してまいりたいというふうに思っておりますけれども、国会に対して報告することを義務づけるということにつきましては、これは国税庁だけの問題ではございません。行政と立法の分離という問題からも慎重な検討が必要ではないかと思います。  ただ、国税庁といたしましては、今後とも実際に出した通達につきまして御要請に応じて説明してまいりたいというふうに考えております。
  124. 細谷治通

    細谷委員 こうした課税上の大幅な変更というものが一片の通達で行われる、しかも立法府に対する何の報告もなく行われているということは、私は大変問題だというふうに思うのです。取り扱い上の統一のために、そのための運用通達によって何千億という課税上の違いが出てくるということは、私は許されないことだというふうに思っております。そのことを指摘をしておきたいと思います。  さて、さらに話を進めまして、共国債権買取機構についてお尋ねいたしたいと思います。  去る一月三十日に不良債権処理のために設立されました共国債権買取機構、担保不動産の流動化、貸出金回収といった当初の意図がだんだんスライスしてまいりまして、これは不動産譲渡にかかわる課税上の制約から断念せざるを得なかったというふうに言われておりますけれども、最終的には不動産についておる債権、不良債権の償却処理を図るという目的で債権買い取り会社ができ、それに変質していった、こういうことでございます。  そしてこの機構は、債権買い取り資金として、世上批判の多い公的資金に頼らずに債権を持ち込む金融機関自身が融資をするということで自己責任原則を貫徹したというふうに自賛をしているところでございます。その一方で、不良債権の償却には極めて大きな課税上の優遇措置が与えられることになりました。私はこれは税制上、課税上多くの不公平を残すもの、そうした批判は免れ得ないのではないかと考えております。  金融機関にしてみれば、公的資金導入に対する世論の強い拒絶反応に配慮するポーズをとる傍ら、その引きかえに国民に不透明な形で課税上の有利な大きなメリットを獲得したというふうに言えるのではないかと思います。この共国債権買取機構については多くの問題を抱えておりますけれども、本日はその課税上の問題に絞って質問をいたしたいというふうに思います。  実は、大蔵省の先輩でもあります一橋大学の野口教授が十二月十五日号の「エコノミスト」に書かれておりますけれども、私はこの野口教授の指摘について多くの点で同感だというふうに考えるわけであります。そして、最後にこの論文の中で書いておりますけれども、立法府としてこうした課税上の優遇措置の問題については徹底解明するようにという指摘もなされているところであります。  そこで、まず具体的なことからお聞きしますけれども、金融機関が抱える不良債権の処理に当たっては、大蔵省は当初、先ほど言いました認定による債権償却特別勘定方式の運用拡大で対処可能とし、課税上のさらなる優遇措置の追加には反対であったということのようでございます。それが一体どうして買い取り会社という言ってみればトンネル会社が殊さらに必要になったのか。  この辺について推測しまずに、このスキームがないと、先ほど言いました法人税法基本通達九−六−四、要するに、認定方式どおりにいたしますと認定権というものが国税当局になります。これでは、適用は幾ら緩和されたとはいえ、まだまだ不良債権処理にとっては不十分だ。しかも、個々の審査については国税当局が行うわけでありますから、時間がかかる、こういうことだと思います。このスキームを適用すれば、買い取り会社の価格判定委員会での価格判定だけでよい、不良債権回収の可能性の認定は、言ってみれば不要になる。もちろん事後的に税務当局がチェックをするということになるわけでありますけれども、そういうことだと思います。  すなわち、基本通達九−六−四の運用・認定権というものを事実上税務当局から買い取り会社の自主運用に任せた、委任したと言ってもいいのではないかというふうに私は思うわけであります。先ほどこれは金融機関だけではなくて一般事業会社も適用できるのだということを言われましたけれども、この制度はどうも一般事業会社には適用できない、まさに金融機関にのみ適用できる、そうした仕組み、スキームではないかというふうに思うわけであります。  公的資金の導入もできない、課税上の優遇措置もできないというのでは共国債権買取機構をつくるメリットがない、だから、課税上の優遇措置は最低限といいましょうか、せめてそうした優遇措置だけはとろう、措置しようということではなかったのかというふうに私は考えます。そういう意味で、一般事業会社とこの制度がどういうふうに公平性が担保されているのかということについてまず第一点お尋ねをしたいと思います。
  125. 松川隆志

    ○松川政府委員 今回の買取機構のスキームでございますけれども、この点につきましては、関係の民間金融機関が中心になって検討されたわけでございまして、これが税務上どのようになるのかということにつきまして、銀行局を通じていろいろと問い合わせがあったわけでございます。  我が方といたしましては、ただいま申しましたように、法人税法及び基本通達の世界でありますから、金融機関だけ特殊に特別扱いをするということはできないわけでございまして、事業法人も含めて、いわゆる一般の法人として取り扱うわけでございます。そういう観点から、現行の法令、通達の考え方から問題があるかないかということで検討いたしまして、今回のスキームにつきましては、税法上及び基本通達の考え方からいって問題がないというふうに判断したわけでございます。  なお、一般事業法人につきましても、同様のスキームを考えて持ち込まれた場合には、同様の判断をするということになると思います。
  126. 細谷治通

    細谷委員 先ほど言いましたけれども、基本通達九−六−四の運用・認定権を事実上、税務当局から買い取り会社の自主運用に任せたも同然だということを申し上げましたけれども、この辺についてはどういう御見解ですか。
  127. 松川隆志

    ○松川政府委員 債権償却特別勘定の場合には、債権を保有したままで部分的な貸し倒れをある意味で認定するということであるわけです。したがいまして、その認定に当たっては、債権を持っているわけですから、これについてはいわゆる一定の基準において慎重に検討するということになると思うわけであります。ところが、今回のスキームにつきましては、債権自体を買取機構に売却するわけでございます。そういう意味で、いわば実現損の形をとるわけでございますので、性格上異なるわけでございます。  ただ、ポイントといたしましては、買い取り価格がいわゆる見積価格でございます。この価格が適正かどうかということが非常に重要なわけでございまして、そうでなければ利益の移転とか所得の移転とか、そういう課税上の問題が起こりますので、この点につきましては、まずは不動産鑑定士の鑑定及びいわゆる評価に関しての第三者による委員会によってそれを判断する。さらに、国税当局も独自にその価格については適正かどうか判断するということで、この判断権は留保しておりますので、ただいま御指摘のようなことはないのではないかというふうに考えております。
  128. 細谷治通

    細谷委員 事後的に国税当局がこれに関与することはあっても、当面その価格が適正であるかどうかという判断は、これは買い取り会社側にあるわけでありますから、私は運用・認定権を買い取り会社に任せたも同然だというふうに判断をするところでございます。  そのほか、この買い取り会社の課税上の扱いについては多くの問題があります。もう時間がなくなってまいりましたので、事柄だけ指摘をしておきますけれども、金融機関が抱える不良債権を一般の棚卸資産というふうに解釈をして、そして通達を変える必要もない、変更する必要もないんだ、従来の通達で読めるんだというふうにされております。しかし、これは、棚卸資産の定義というものは法人税法の施行令第十条のどこを読んでも出てこないわけでありまして、私はまさに拡大解釈であるというふうに指摘せざるを得ないというふうに思います。  いずれにいたしましても、もしどうしてもこういうことをやるとするならば、百歩譲って、きちっと通達を変更するなりして、そしてきちっとした形で、明確な形で、わかりやすい形でやる必要があるんじゃないかということを私は指摘しておきたいというふうに思います。  それから、これは金融機関それ自体の不良債権の処理の問題でありますけれども、系列のノンバンクの救済に対するスキームというのを用意されております。これも大変多くの問題を抱えでいるというふうに私は思います。例えば、ノンバンクがつぶれてもいないのに、合理的な再建支援計画があれば、再建計画があれば、これを例えば子会社等の解散、経営権の譲渡等というふうにみなして、そして法人税法の基本通達を適用するというようなことが、無理な適用がなされているということでございまして、私は大変問題があるんじゃないかというふうに判断しております。  本日は、時間がありませんで、これでやめておきますけれども、いずれにいたしましてもこの基本通達の適用、運用に当たっては厳正を期していただきたいということを御要望申し上げておく次第でございます。  さて、証券局長がお見えになっておりますので、お伺いをしたいと思います。  野村証券による不動産の不動産債券販売に対する賠償問題でございます。野村証券が八九年、九〇年にかけて発売をいたしました、約一万数千人に販売をいたしました新型の外国債、いわゆる不動産投資ボンド。これは、償還時に元本の大幅な値上がりが期待できるとして、ビル事業が順調ならば購入時の二ないし五倍の価格で償還できる。また、最低の償還価格まで保証されている、安全で高利回りの商品であると言って販売をされました。  ところが、実際にはこの債券は、ビル事業の失敗で収入が滞った際の償還順位の低い劣後債的な特殊な商品だったということであります。それを投資家はもちろん社内には全く知らせず販売をされました。もちろん利息部分についても劣後債券の劣後保証の債券だったそうでございます。そして、実際には不動産市況の悪化から収益が激減をいたしまして、野村証券は二百三十億円の賠償金を支払う羽目になったということでございます。  野村証券が、本ボンドが劣後債券でハイリターンだが、極めてリスクの高い商品であることを営業マンには知らせなかったとすれば、私はプロの証券会社として大変なことだというふうに思うわけであります用意図的に偽って販売をしたというふうに言われても仕方がないんじゃないかというふうに思うわけであります。野村証券が、まさにこの商品の主要な性格である、条件であります商品の劣後性をなぜ知らせなかったのか、私は不思議でしょうがないと言わざるを得ないと思います。常識では信じられないのでございます。  私推測するに、実はリスクの高い商品の損失補てんではなかったんじゃ、ないかというふうに勘ぐっておるところであります。後から証取法違反を免れるために証券事故として処理しようとした、後から劣後債券であるということを持ち出してきたのではないかというふうに疑ったわけであります。  ところが、いただきましたけれども、野村と相手米国不動産会社との契約書を見ますと、紛れもなく劣後債券だということが明記されているということであります。一体どうしてこんなことになったのか。単なる連絡ミスというふうには考えられないわけでありますけれども、この辺について、大蔵省としてどういうふうに認識されているのか。そして、社内処分その他協会の処分等はどうなったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  129. 小川是

    ○小川(是)政府委員 ただいま御質問のありました野村証券のアメリカの不動産を証券化した商品の販売及びその後の問題につきまして、昨年の秋私ども、野村証券からこの問題について相談を受けたわけでございます。アメリカの不動産の関連につきまして、ビルが将来値上がりするんではないか、あるいは賃貸料収入によって商品化した後の利子率も高くなるんではないかといったような期待を込めた証券化商品でございます。  この不動産を証券化する過程におきましては、当然のことながら米国における不動産関連の法令あるいは証券関係の法令、さらには会社法であるとか、あるいは税法であるとかいった米国等の法令を組み合わせまして、最も有利な商品をつくろうとしたわけでございます。ただいま御指摘にありましたように、そうした一連の取り決めの中をよく子細に見ますと、最も有利な証券化するプロセスにおいて、売却されました商品について劣後性がうたわれているわけでございますけれども、よほど専門的に見ないと十分にわからないところがあるわけでございます。  私どもは、こうした商品の設計あるいはこれを販売するプロセスにつきまして調査をいたしまして、その結果、野村証券が当時のアメリカの不動産市況の好況、あるいは我が国における証券市況という中で、証券の劣後性についての重要性というものの認識が十分ではなかったのではないかというのが一つの大きな問題であったというふうに思うわけでございます。したがいまして、その上でこの証券が一般の投資家に営業を通じて販売されたわけでございますから、そうした商品の重要なポイントについての説明が行われていなかったということであります。  こうした問題につきましては、当時の情勢が背景にあったといたしましても、証券に商品化するプロセス、あるいはその販売プロセスとしてまことに不適切なものであるというふうに考えまして、調査の結果に基づきまして、野村証券に対して厳重な注意を行ったわけでございます。  営業面で申し上げますと、今申し上げたようないわば欠陥、あるいは投資家への販売、その後の状況に応じた対策につきましては、野村証券側から、事実の把握、それから投資家に対して、事故に基づく、当初のいわば証券購入についての弁済といった措置をとるという話がございましたので、これを投資家保護の観点から了承することにいたしました。  また社内的な処分につきましては、社長以下の関係役員につきまして減給あるいは降格等の処分を社内で自発的にとったところでございます。  なお、証券業協会におきましては、その事情につきまして野村証券から現在聴取し、今後の対応についてどのようにしていくかということを照会中であるというふうに聞いております。
  130. 細谷治通

    細谷委員 手元に米国不動産業者と不動産保有者と野村証券との契約書があります。読みませんけれども、ここには明らかに劣後債券であるということが書いてあるわけですね。ところがまた一方で、この不動産ボンドの野村の社内の研究資料、このどこを読んでもこれは書いてないんですね。野村ともあろうものが、プロですよ、素人ならいざ知らず、こういうミスをやるというのは信じられないわけだ。  そこで、私は当時を思い起こして見ますと、やはり証券不祥事が騒がれたときなので、ひょっとすると損失補てん、証取法違反の責任を問われる、とがめられるのは嫌だということで、劣後性というものを後から理屈としてつけたんじゃないかというふうに疑ったわけでありますけれども、どうもそうじゃない。大蔵省の調査でもそうではないということでありますので、そういうことで私も信用したいと思いますけれども、いずれにしても、だとしても大変な問題だと思うんですね。野村は二百三十億の損害賠償をしている。これは社内責任も大変だというふうに思います。  こうした商品の基本的な部分について、全く欠落した形でこれが投資家に売られる。ましてこれが、社内では全く第一線のセールスマンに対しても知らされない。これはひょっとすると、むしろ証取法とかそういうことじゃなくて、もっと大きな犯罪のにおいすら私は指摘せざるを得ないわけでありまして、この辺についてどういうふうに今後行政当局としてなさっていくか、十分監視をしていただきたいと思います。そういう意味において、日本で販売されております不動産ボンドというものが、劣後債券であるというのがあるのかどうか、それについてはどういうふうに把握されておりますか。
  131. 小川是

    ○小川(是)政府委員 ただいまお話ございましたように、本件の発行時期は一九八九年あるいは九〇年ということでございまして、いわゆる損失補てんの時期の問題よりさかのぼる、むしろ我が国の証券市場が大変活況を呈した時期でございました。  そうであるがゆえに、先ほど申し上げましたように、やや商品性の有利性のところに非常に力を置いて物をつくり、そしてこれを売っていったという、証券会社としての十分な注意に欠けるところがあったということは事実であると存じます。したがいまして、こうしたことのないように、とりわけ海外のこうした不動産を商品化する場合について、他の証券会社を含めまして十分今後注意をしていくようにということを話したところでございます。  先ほどお話がありました、もっと大きな問題ではないかという点につきましては、むしろ有利な商品化をするプロセスにおいて、よほどきちっとした対応を今後はしていくべしということでございまして、ほかに劣後性を伴ったこうした商品がないかというところにつきましては、重立った証券会社に私ども照会をいたしました。二、三劣後性を伴ったものがあるようでございますが、それらの商品につきましては、実は一般の投資家向けではなくて、特定の機関投資家、いわばプロを相手に売られているわけでございまして、こうしたプロとの間の取引でありますと、今委員がごらんになりましたような契約書等も投資家サイドでも十分チェックをしながら行われるというわけでございます。  今後恐らく証券界でこうした証券化商品を扱いますときには、中心となりますのはそうしたプロである機関投資家が有利な投資物件を求めていく、そういった方向が大きな方向ではないかというふうに思っているわけでございます。
  132. 細谷治通

    細谷委員 いずれにいたしましても、考えられないばかげた販売のあり方だというふうに思います。一層の適切な指導をお願いをしておきたいと思います。  最後に、前回、大蔵大臣の所信表明に対する総括質疑を行いました。そのときに、公定歩合の引き下げの問題と、金融機関に対して一層の利下げを行うように金融当局として一層指導を強化すべきだという話をいたしましたが、それに関連いたしまして御質問させていただきたいと思います。  九一年七月以降、今回の金利引き下げの一局面で、第一次の公定歩合引き下げ時から、利ざや、すなわち金融機関の新規の貸出約定平均金利と、資金調達コストであるCD三カ月の平均利率の差は着実に拡大をしてきております。すなわち、銀行に利ざやを稼がせているという実態は数字で明らかになっているわけであります。これがまさに銀行の業務純益の増大に貢献し、この利益でバブルに狂奔した不良債権の処理を行っているという実態が出てきたわけであります。きょうは時間がございませんから、余り詳しくは言いませんけれども、そういう実態は明らかに数字で示されているわけであります。  ところが大蔵省は、二月八日に、公定歩合の引き下げに伴う貸出金利の低下を促す異例の通達を発して、金融機関の貸し渋りを戒めました。  巷間、今回の通達は、金融機関救済利下げという批判に対する大蔵省の責任逃れ、言いわけではという厳しい指摘がなされているわけでありますけれども、いずれにいたしましても実効あらしめなければならないということだと思います。この通達の実効性担保のために、大蔵省としてどういうふうな決意でおられるのかそれを伺って最後の質問にいたしたいと思います。
  133. 寺村信行

    ○寺村政府委員 公定歩合の引き下げに伴いまして貸出金利がどうなっているかというお話がございましたが、ピーク時との対比で申し上げますと、公定歩合は、ピーク六%に対しまして現在二・五%でございますから、三・五%低下をいたしております。これに対しまして、短期プライムレートは八・二五%から四%と、四・二五%、それから長期プライムレートは八・九%から五・二%と、三・七〇%低下をいたしております。これはいわゆるプライムレートでございますが、実効の貸出約定平均金利はどういうことかといいますと、これは昨年の十二月までしか計数がないわけでございます。昨年十二月までピークから公定歩合は二・七五%低下いたしましたが、新規貸出約定金利は三・一二三%、ですから、公定歩合を上回る低下を示しております。  それから、先ほど利ざやについてのお話がございましたが、四月中間決算で申し上げますと、貸出金利回りもそれから預金、債券利回りも金利の低下にあわせて低下をしておりまして、預貸し金利ざやそのものは低下をいたしております。  一方、有価証券運用をやっておりますから、これは例えば長期の国債なんかを保有しておりますから、その利回りはすぐ下がらないということでございまして、最近の情勢でございますが、金利低下局面では、有価証券利回りがすぐに金利の低下に感応しないために業務純益がサイクリカルには少し向上する、そういう状況でございます。  基本的には、御指摘のとおり、八日に公表いたしまして、こうした公定歩合の引き下げに合わせまして、中小企業金融につきましても金利の引き下げを初めとする中小企業金融の円滑化を要請してまいっております。  この背景でございますが、この通達を出しました日に同時に大蔵大臣から所見を発表いたしました。従来貸し渋りについていろいろな問題が言われております。これは一つは、バブルのときに金融機関が非常にリスクの高い貸し出しを行った、それが今不良資産となって金融システムの大きな問題になっている。  こういったリスク管理を適正化することは必要でございますが、その過程で極端にリスクを恐れて過剰に消極的になっているということは、金融機関は経済活動に必要な資金を円滑に供給していく役割を担っているので好ましくないということで、そこは経済活動に必要な資金供給を行うような努力は続けるべきである、それは本店、営業店を通じてそういった体制を整えてほしい。  さらに具体的には、その不良債権の償却で非常にそちらに精力を割かれているというのが金融機関の現状でございますが、やはり新規貸し出しに応ずる部門を体制を整えてくれ、それから、融資開拓であるとか融資相談にもやはり力を入れる、そういう融資の体制整備をして、きめ細かい対応をしていくようにというようなことも実は所見の中で大蔵大臣から述べているということでございまして、そういった体制の整備を金融機関に一方で要請をした、こういうことでございます。
  134. 細谷治通

    細谷委員 いずれにいたしましても、異例の通達まで発せられて金融機関に対する貸し渋りを何とか是正していこうという御決意のようでございますけれども、ぜひ実効あらしめることができますように御努力をお願いいたしたいと思います。  私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
  135. 藤井裕久

    藤井委員長 河上覃雄君。
  136. 河上覃雄

    ○河上委員 大蔵委員会では初めての質問になりますが、私の質問は、今回の法案についての範囲内に限定させていただきまして質問をいたしたいと思います。  初めに、承継債務の件からでございますが、一般会計の承継債務、これはなかなか難しい表現でございまして、国民の皆さん方には余りよくわからない。私は、極めて素朴かつ基本的な表現になりますが、そもそも地方公共団体や国鉄が借りた債務をなぜ一般会計が承継しなければならないのか、この点をまずお伺いしておきたい。
  137. 竹島一彦

    竹島政府委員 お答え申し上げます。  まず、交付税特会から承継したものにつきましては、昭和五十九年度地方財政対策改革というものが行われた際に、それまで既に借りておりました交付税特会借入金について国と地方償還責任を明確化しましょうということが決められまして、約半分ずつ国と地方償還責任を分担しましょうということになりまして、昭和五十九年度地方交付税法等の一部を改正する法律というものが成立を見たということでございます。それを受けまして約半分のものを一般会計がいわば肩がわりをして資金運用部に返済をするということになっておるわけでございます。  それから、二番目の国鉄からの承継債務につきましては、これは旧国鉄の債務負担を軽減するため、国鉄の民営化が行われました昭和六十二年四月、その直前の六十二年三月末におきまして、これも法律をもちまして国鉄の長期債務の一部、五兆五百九十九億円でございますが、これを一般会計が肩がわりをしたということでございます。  それから、三番目の国鉄清算事業団からの承継債務でございますが、これは清算事業団になりましてからいろいろ土地の処分等で負債を減らしていくという努力が始まったわけでございますけれども、地価の高騰、そこで自由に旧国鉄の用地が売れないというような事態になりましたことを受けまして、これも法律をもちまして清算事業団の債務の一部、これは九千三百七十二億円でございますが、これを一般会計が引き取る。あわせて、このときには清算事業団が持っておりました帝都高速度交通営団に対する出資持ち分を評価をいたしまして、同額なんでございますけれども、これを一般会計に振りかえて帰属させている。  こういったそれぞれの経緯を踏まえまして今の承継債務というのがあるわけでございます。
  138. 河上覃雄

    ○河上委員 それぞれの経緯を説明していただいたわけですが、私の質問が悪いのか、そうしたことを踏まえて、なぜ一般会計が承継しなければならないのか、私はそういう視点で質問をさせていただいたわけでございまして、まだこのほかにこうした側面、国有林野事業特会あるいは貿易保険特会等、極めて厳しい状況にあるのではないかと思われますが、まあ財投の財政化という問題、財投の本分を私は守るべきではないのか、こんな考え方を持っておりますが、この議論はまた別の機会にすることにいたします。  平成年度の補正においても今回と同様の措置によって償還額の延期が行われております。税収の動向や財政事情によりまして毎年償還のめどが立たないわけでありますけれども、平成五年に延期した五千七十六億円は、五年据え置き、十年以内に償還しなければならないことになっているわけです。  そこで、現在までの債務の総額は幾らなのか、そしていつまでに償還するのがその返済計画というものはお持ちなのかどうかこの点についてお尋ねしたいと思います。
  139. 竹島一彦

    竹島政府委員 平成年度末の要返済残高ということでございますが、これにつきましては、交付税特会分が五兆四千四百二十二億円でございます。  それで、この償還スケジュールでございますが、これにつきましては平成年度から平成十五年度までということで、各年度償還所要額が決められております。国鉄分につきましては、四年度末で四兆八千八百六十三億円でございまして、この償還スケジュールは平成年度から二十三年度まででございます。国鉄清算事業団分は四年度末で八千百六十七億円でございまして、これは六年度から同じように二十三年度までということでございます。
  140. 河上覃雄

    ○河上委員 まあ結局債務償還は先送りとなるわけでございまして、税収が上がったときに払うというのでは、結果的には国民が何らかの形で負担をしなければならない。特例公債を再び発行するような事態は回避したい、このように今回の法案の前文にも書いてあるわけでありますが、債務償還延期は実質的に赤字公債発行と何ら変わりはないのではないのかと、こう思うわけでございます。これに対します見解をお願いしたい。
  141. 竹島一彦

    竹島政府委員 赤字公債、いわゆる特例公債でございますが、特例公債の場合には、歳入と歳出で経常部門におきましてギャップが生じた場合に特例公債でその穴埋めをするという意味におきまして、いわば歯どめがないわけでございますけれども、この一般会計の承継債務償還特例というものにつきましては、今回も申し上げておりますとおり、五年度に出てくる元金償還額ということで金額の歯どめがあるというところが、一つ大きく違うのではないかというふうに思っております。  それから、政管健保への繰り入れ特例もお願い申し上げておりますが、これも政管健保で平成年度に発生すると見込まれる剰余金の範囲内ということで、金額的な歯どめがあるということでございます。  あとは、特例公債の場合は市中発行ということになるわけでございますけれども、この償還特例につきましては、国の一般会計という会計と特別会計の間のやりとりであるということでございまして、特に金額面の歯どめがあるという意味特例公債とは違いがあるというふうに考えております。
  142. 河上覃雄

    ○河上委員 それでは議論を先に進めまして、また後ほどその点に戻りたいと思いますが、政管健保に係る国庫補助の繰り入れ特例推移は、昭和六十年度に九百三十九億円、六十一年度に一千三百億円、六十二年度に一千三百五十億円、六十三年度には六百五十億円、平成年度に四百億円、合わせまして四千六百三十九億円。そして、今回五年度において一千三百億と、まあ六回目になるわけでございますが、総計いたしますと五千九百三十九億円。  これまで五回にわたりまして総額四千六百三十九億円繰り延べられているわけでございますが、この繰り延べた総額は、現在まで利子を含めて一度も返済をされてない、こう聞いておるわけです。それは事実でしょうか。
  143. 竹島一彦

    竹島政府委員 そのとおりでございます。
  144. 河上覃雄

    ○河上委員 平成年度が一千三百億と今申し上げたとおりでございます。これを予定しているわけでございますが、約六千億円の額。交付税及び譲与税配付金特会、国鉄並びに清算事業団の債務は、先ほど申し上げましたが十年以内の償還、こううたわれておりますが、この政管健保の勘定、先ほどお話をいただきましたが、よくわからない。私もいろいろと読んでみました。「政府は、後日、政府の管掌する健康保険事業の適正な運営が確保されるために、各年度における厚生保険特別会計健康勘定の収入支出の状況等を勘案して、予算の定めるところにより、千三百億円及び」「繰入れの特例措置がとられなかったとした場合に当該勘定において生じていたと見込まれる運用収入に相当する額を合算した額に達するまでの金額一般会計から当該勘定繰り入れるものとする。」これが多分償還の期限に該当するものであると思うのですが、本当によく読んでもわかりません。  私は、うがった見方なのかもしれませんが、こういう表現、いろいろ何度も読みましたが、極端に言えば、永遠にこれは返さないというふうにも読めますし、まあ返さないと言えないのであれこれ理由をつけられてこうした表現、説明になっているのかこんな感想を持っているわけですが、一体どうなのか。明確な返済計画があるのかどうか、この点についてもう一遍お答えいただきたいと思います。
  145. 竹島一彦

    竹島政府委員 政管健保の千三百億円の返済につきましては、明確、具体的な返済計画、何年度に幾らずつというものは持っておりません。  これにつきましては、今委員がおっしゃられましたようなことでございますが、政管健保の財政運営に支障が生じるような事態が発生した場合には当然速やかに利子相当分を含めて繰り戻しをする、それから国の一般会計の事情が許せばできるだけ早く繰り戻しをする、こういう定性的な考え方を持っておりますが、具体的な返済計画というものをお示しすることはできないということでございます。
  146. 河上覃雄

    ○河上委員 持ってないわけですね。ないわけでございます。  あわせてちょっとお伺いします。  それでは、政管健保は昭和五十六年から十一年間連続して黒字財政にある。では、一体これまで幾ら累積しているのか。そして、これまでの減額特例措置は黒字財政を背景として今のような措置があると私は理解するのですが、この点についてちょっとお答えください。
  147. 竹島一彦

    竹島政府委員 政管健保から国が特例減額という形で借りておりますものは、昭和六十年度から平成年度までの分が累計で四千六百三十九億円、それに今回お願い申し上げております千三百億円を加えますと、全体で五千九百三十九億円ということになります。  一方、政管健保の事業運営安定資金、積立金でございますが、これは約一兆六千億円ございます。
  148. 河上覃雄

    ○河上委員 一兆六千億あるわけですね。大変な額でございまして、そして返済計画はない、こうおっしゃった。  一般的に申し上げても、借金は返済する額や期日を決めるのは当たり前のお話でありまして、どんな商取引であろうと何であろうと、きちっとそれは計画を立てるわけでございまして、額や期日をあいまいにしているということ自体、なかなか私も理解できないわけでありますが、国家に係る財政であればあるほど、財政の節度を守る、反対に紊乱を招かないようにするのは当然だと思うわけでございまして、これでは財政健全化を標榜する政府としては反対に不健全な財政を進めてしまうことになるのではないか。だから、隠れ借金と言われるようなこの手法は、財政健全化にとって果たして適正なものであるとお考えになるのかどうか、この点についてお答えいただきたい。
  149. 竹島一彦

    竹島政府委員 具体的な償還計画というものがあった方が財政の節度ある運営上もベターであるというお考えもわからないわけではないわけでございますが、毎年度予算編成をいたします場合、特に今回のように厳しい税収状況のもとでそれを行う場合には、特例公債の発行を回避するという基本方針のもとでやる場合には、財政資金の効率的な使用ということが非常に大事なわけでございまして、それがたまたま制度でこういうふうに決まっておるからこれこれの金額予算でつけるという考え方もあろうかと思います。  それが基本だとは思いますが、そこをやはり、今そのお金を入れなくてもその事業が実質的に行政サービスの低下ということにはならないというような場合には、万やむを得ずぎりぎりの措置でございますが、今回のようなことで特例的な減額をお願いする。  将来におきましても、やはりその都度その都度その事業が、今回の場合は政管健保の事業運営が安定的にできるかできないかということが一番大事でございますので、それは毎年度チェックをしながら、それが困難な場合には当然この繰り戻しの問題も具体的に検討する、こういうことであろうかと思います。将来ともこれは繰り戻すつもりがないということでは毛頭ございません。
  150. 河上覃雄

    ○河上委員 もう一つあわせて聞いておきます。  では、政管健保の将来の見通し、どんなふうにお考えになっていますか、今後の見通しについて。
  151. 竹島一彦

    竹島政府委員 政管健保につきましては、かつては三Kの赤字一つということで問題がございましたが、このところ、もろもろの適正化措置、広い意味の医療費の適正化措置等々によりまして事業の財政基盤が安定しておるということでございます。  そういった状況を踏まえまして、昨年度、従来の単年度的な運営から五年ぐらいの中期的な運営ということに切りかえまして、そのときに国庫の補助率の引き下げ、それから保険料率の引き下げということで、新しい中期的な展望で運営していこうということでございます。  それで、現実には先ほど申し上げましたように約一兆六千億円の積立金を持っておりますので、これは当分の間私どもは健全な運営が政管健保については大丈夫であろうというふうに見ております。さらにずっと先のことについてはちょっとお答え申し上げかねますが、当面の将来につきましては大丈夫であろう、こういうふうに思っておるわけでございます。
  152. 河上覃雄

    ○河上委員 いろいろお伺いしました。  いずれにいたしましても、一兆六千億円という巨大な黒字財政にあるわけでございますが、今後も堅調に推移をする、こういうことだと思います。こういう状況を踏まえまして、そして今指摘をさせていただきましたが、政管健保においては一遍も償還をされていない、これらの事実等もさらに勘案をしまして、一般財政の軽減だけにつながるようなあり方だけではなくて、これだけ黒字があるわけでございますし、被保険者の保険料に何らかの形で還元できるようなことを、お考えを持っていらっしゃらないのか、この点を質問したいわけでございます。  聞くところによりますと、今回一千三百億の減額特例措置の見返りといたしまして厚生省も幾つかの、額にして九十億、そうした措置を得た、こういう話も聞いておりますが、こういう手法も果たしていかがなものか。本来、保険会計の姿として、黒字が出れば還元するのが当然のことじゃないのか、こう私は思うわけでございます。その点から、被保険者に対して保険料の引き下げ等も踏まえながら、そうした方向での検討、お考えはないのかあるのか、この点お伺いします。
  153. 竹島一彦

    竹島政府委員 政管健保の保険料率でございますが、これは、昨年度平成年度におきましてその他の健康保険制度とのバランスにも配慮いたしまして保険料率の引き下げというのが行われまして、現在八・二%ということでございます。組合健保、共済組合と比べましても、組合健保の場合には八・二五四%、各種共済組合の場合は八・四九二%ということでございますので、それを下回る保険料率に昨年からなっておるわけでございます。そういう意味で、政管健保の保険料率についても十分に配慮はされているというふうに考えております。  なお、保険料率ではございませんけれども、今回の予算におきましても、要介護者の日常生活支援のための介護機器のレンタル事業でありますとかパート労働者への成人病予防健診の実施といった、いわゆる被保険者への還元措置は手厚くしてあるわけでございます。
  154. 河上覃雄

    ○河上委員 将来さらに黒字が積み上がってもお考えは変わりございませんか、それはそのときお考えになりますか、この点だけ。
  155. 竹島一彦

    竹島政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在政管健保は五年間ぐらいの中期的なスパンで運営されているところでございまして、それ以降の、現在の中期運営以降のことにつきましては、いろいろそのときの状況を踏まえまして、保険料率の問題も給付の問題も含めまして検討がなされるものというふうに考えております。
  156. 河上覃雄

    ○河上委員 それでは次に移ります。補助金の関係の質問に移りたいと思います。  今回の補助率恒久化措置の発端は昭和六十年度地方向け高率補助率の削減に始まったものである、こう理解しているわけでございます。この間、国の一方的な財政負担軽減のために地方に負担を押しつけてきたことは事実であろう。理由もない地方富裕論等も流れておりますが、地方財政に多くの負担がかけられた、その結果今日地方財政にも悪化の兆しというものが見え始めているのではないのか、私はこう理解しております用地方自治体の一般財源に占める地方債の償還費割合は年々上昇の一途をこれからたどるのではないのか、平成年度には公債費負担率は史上最高の一四・三%を超えるのではないのか、こういう懸念もあるわけでございます。  そうした視点に立ちまして、昨年、総合経済対策による地方単独事業の追加は一兆八千億円に達し、また平成年度の地財計画による単独事業も一二%増と、国の一般会計の公共事業費の伸び率四・八%を大きく上回っている、こうしたことを踏まえながら地方への押しつけもあるのではないのか。こうした中で今日公共事業の補助率の恒久化措置というものが予定より一年早く行われたわけであります。  地方財政において最も重要なことは地方財政の自主性あるいは自律性、これの確保だと私は思います。今日の恒久化措置によりましてこの自主性の確保は本当に図られているのか、その視点からすれば疑問がないわけではありません。  まずこの点から伺いたいわけでございますが、この恒久化措置を政府が決定する間に国と地方の役割分担についてどんな議論を行って、またどのような認識に至ったのか、あわせてお答え願いたいと思います。
  157. 竹島一彦

    竹島政府委員 国と地方財政、まさに経済の面で申し上げますと公経済を担う車の両輪であるということでございます。したがいまして、それぞれの機能と責任を分かち合いながら、また相互に協力もしていくということが必要でございまして、基本的にはそういうスタンスで国と地方の問題というものを議論してきているわけでございます。  今回お願い申し上げております公共事業等の補助率の問題につきまして、これを検討の結果恒久化させていただきたいということになったわけでございますが、これはまさに国と地方財政関係安定化をできるだけ早く果たしたい、こういうことでございまして、一年間の時間はまだあったわけでございますけれども、国と地方の協議が調いましたものですから、このような形でお願い申し上げているわけでございます。  そういうことでございまして、むしろ従来の暫定措置のままという状態に比べますと、地方財政の自律性とか国と地方財政関係安定化という視点から考えますと、一歩進んでいる、前進している措置であるというふうに考えております。
  158. 河上覃雄

    ○河上委員 大蔵省にお伺いしますが、補助負担率については平成五年まで暫定措置として引き下げが行われてきているわけでありますが、今回の恒久化では昭和五十九年度水準に復元をすることを基本に見直されているわけではない。従来、地方団体も五十九年度水準への復元を強く要望していたわけでございまして、公共事業等補助率等に関する関係省庁連絡会には地方団体の代表も入っていないように聞いています。  今回の措置につきまして、地方団体の意見を十分お聞きになられたのか、中央主導型、一方的な措置ではなかったのか、この点御見解を伺いたいと思います。
  159. 竹島一彦

    竹島政府委員 国の一方的な措置ではございませんで、これは地方の御意見も、具体的には自治省との協議でございますけれども、十分にいたしまして、国、地方、双方合意の上でこういう法律をお願い申し上げているところでございます。  経緯を申し上げますと、平成年度の、現在の暫定措置をお願い申し上げるときに、既に関係省庁間で、これは当然自治省も入っております、検討を加えて、なるべく簡素化、体系化の観点から話し合いをして、できるものから逐次実施すべきである、こういうことがございまして、それを受けまして関係省庁間の連絡会が平成三年七月から行われて、平成年度予算編成において結論を得た、こういうことでございまして、一方的な措置ではございません。
  160. 河上覃雄

    ○河上委員 では自治省にお伺いします。  昨年の二月、地方行政委員会で、当時塩川大臣が、国庫補助負担率につきまして昭和五十九年度ベースに復元することが当然ではないのか、この質問に対しまして、当然我々としても早く復活を図るべきだ、努力をしておるところである、このように答弁をいたしております。このように当然復活を図るべきと大臣が明言されているわけでありますけれども、自治省は方針を変更いたしたのでしょうか、また御努力の跡はどんなところに示されているのか、お答えいただきたい。
  161. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  国庫補助負担率につきましては、自治省といたしまして、当該事務事業のそれぞれにつきまして、国としての利害の程度や責任の度合いに応じて決定されるべきものと考えてまいったわけでございますが、国と地方の負担の割合は、これは社会経済の情勢によってやはり随時見直しが行われてしかるべきものだという基本的な考え方で臨んだわけでございます。  今回の公共事業等に係ります補助率等の見直しは、地方団体の自主性を高めるという点にも留意しながら、国と地方機能分担あるいは費用負担あり方等の基本に立ち返りまして、行革審答申等を踏まえ、体系化簡素化等の観点から検討を総合的に行った結果として、直轄事業にあっては三分の二、補助事業にあっては二分の一を基本として恒久化することといたしたものでございます。  したがいまして、この中に、国の責任が比較的大きいと考えられます直轄事業につきましては、多くの事業分野について復元の方向で現行の暫定ベースよりも国の負担率が引き上げられているものもございます。例えば、直轄河川の改修の一般分だとか、一般国道の直轄改修の都市計画道路の四車線以上のものとか、こういうものにつきましてはそういうものでございます。  そういうことで、ただいま御指摘のように昨年の地方行政委員会におきます塩川大臣の答弁がございましたが、確かに全体的には復元ということにはなっておりませんけれども、全体を総合的に見直した結果、体系化、簡素化してこういう結果になったものだということで御理解を賜りたいわけでございます。
  162. 河上覃雄

    ○河上委員 よく聞かないとなかなか意味をとらえにくいわけでございますが、わかりました。  それで、もう一つあわせまして自治省にお伺いしたいと思いますが、これまで、地方分権の推進という観点から、国と地方の事務配分の見直しや地方への権限移譲ということが地方制度調査会から再三これは指摘されているところでございます。また、補助率の見直しによる地方の自主性強化という点についても、自治省の、これは通達でしょうか、「公共事業等に係る国庫補助負担率の恒久化について」、ここでは「地方の自主性を高める点に留意をし、」さらに昨年の地方行政委員会財政局長の答弁の中にも「地方の自主性を強化するという立場から、国庫補助負担金のあり方というものをよく見直して、そして検討していくという観点が必要である。」ここまで言い切られているわけでございます。  そこで、今回補助率を恒久化することによって地方団体への権限の移譲についてどんなことを図ろうとなされているのか、この点についてお伺いします。
  163. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  確かに御指摘のように、私どもも、この公共事業等に係ります補助率等の見直しにつきましては、地方団体の自主性を高めるという点にも留意しながら行うべきだという観点を持っております。  この補助負担率の恒久化と地方の自主性の強化との関連ということを申し上げますと、多少これは間接的になるのでございますが、この公共事業等の補助負担率の恒久化というのは、やはり社会資本の整備に係ります事業量の確保ということを前提としておるのでございまして、その事業量の確保ということでいわゆる地方の選択の幅が広がるということが一つ言えるのではないか。  それから、昨年の、ただいま御指摘の局長からの答弁もありましたが、国庫補助負担制度の合理化、あり方を見直すということにつきましては、今回の負担率の恒久化とあわせまして、例えばその補助対象事業の重点化を図る、これは例えば公園事業のうち児童公園だとか土地改良総合整備事業のうち小規模なものはもう地方の自主性に任せていただくというようなこともやっておりますし、それから採択基準を引き上げるとか、今まで採択基準を設けておりませんでしたものに新たに設定をして地方の裁量の幅を広げるといいますか、そういう措置も講じてまいってきているわけでございます。  公共事業等の補助負担率の恒久化に伴いまして、権限の具体的な移譲ということにつきましては、これは公共事業というものの性格から定性的にこれを論ずるというのはなかなか難しいことでございますので、ただいま申し上げましたような量的な面で地方の自主性を強化していくということで対応してまいったつもりでございます。
  164. 河上覃雄

    ○河上委員 補助負担率の恒久化に伴います国庫補助負担制度の改善合理化措置の視点から、まず、補助負担率の恒久化による影響額、昭和五十九年度、そして昨年の平成年度の両年を基準としてどのぐらいあるのか、大蔵省には国費への影響額、そして自治省には地方財政への影響額、これをお示しいただきたい。
  165. 竹島一彦

    竹島政府委員 国費への影響額でございますが、五十九年度水準との比較で申し上げますと、約六千八百二十億円でございます。それから、平成年度の水準との比較では、国費は増加しておりまして、約十億円の国費の増加ということになっております。
  166. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 ただいまの大蔵省の御答弁にございましたように、五十九年度との比較におきましては約六千九百億円の地方費の増、それから、平成年度との比較におきましては約十億円の地方費の減、こういうことになっております。
  167. 河上覃雄

    ○河上委員 昭和六十年以降平成四年までの八年間、補助率等の暫定引き下げで地方団体は国の財政協力をしてきたわけでありまして、また今回の見直しによりまして、地方財政の負担増は、今の答弁にありましたとおり、昭和五十九年度の比較では六千九百億円程度、四年度におきましては十億円の減となっているわけでございますが、今回の補助負担率の恒久化は、このように地方団体への財政運営にある意味では大きな支障を与えかねないのではないのか。今後、これに見合って地方負担になった分をどのように軽減をしていくのか、大事な点ではないかと思いますが、この改善策を聞いておきたいと思います。
  168. 竹島一彦

    竹島政府委員 かつて補助率、負担率が引き下げられたという時代は、これは国がその分国費を減らしたということではございませんで、厳しい財政事情の中で、ふやさないけれども事業費をふやすという意味で補助率、負担率の引き下げが行われたということでございまして、その分国がへこんだということではないわけでございます。  それはそれといたしまして、今回の措置によります地方への影響額は、先ほど申し上げましたように約六千九百億でございますが、これにつきましては、本来、ルールが基本的に恒久化ということになるわけでございますから、それぞれがそれぞれの負担をするというのが基本なんでございますけれども、そうは申しましても、平成年度との連続性という問題もありますし、現に各地方公共団体が公共事業等をおやりになる場合の財源手当てが十分行われているかどうかというのは重要なポイントでございますので、暫定措置といたしまして、この影響額につきましては公共事業等臨時特例債という形で手当てをするということでございます。その元利償還費は全部各年度の基準財政需要額に算入いたします、かつ、マクロ的に、その利子支払い額に必要な財源は国の一般会計の方から用意をいたします、こういうことにさせていただいているわけでございます。
  169. 河上覃雄

    ○河上委員 もう少し具体的にお伺いしたいと思います。  直轄事業負担金、そのうちの維持管理費に係る負担金でございますが、直轄事業負担金につきましては、従来地方団体からの強い要望も寄せられているところでありまして、「特に、直轄事業が国家的施策として全国的視野のもとに実施されているものであり、地方公共団体に対して個別的に財政負担を課することは極めて不合理である。」これは全国知事会平成年度予算要望の中にある文言でございますが、こうした指摘もございます。  そこで、まず直轄事業負担金のうち維持管理費に係る地方の負担額についての最近三年間の推移をお伺いしたいと思います。これは自治省、お願いいたします。
  170. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 ちょっと手元に資料を持っておりませんので、後ほどお示しさせていただきたいと思います。
  171. 河上覃雄

    ○河上委員 じゃ、後ほどお答えいただきたいと思いますが、自治省さんに関連ですから、ちょっと待ちましょうか。
  172. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 失礼いたしました。  地方財政計画ベースでお話をさせていただきたいと思いますが、平成年度で九千八百四十億円、それから平成年度で一兆六十七億町、平成年度で九千八百三十億円ということになっております。
  173. 河上覃雄

    ○河上委員 直轄事業負担金は、事業計画の一方的な変更、負担金に占める事務費比率が著しく高いことなどを考えますと、運用面においても多くの問題が見受けられるわけでございます。  直轄事業に係る地方公共団体の負担金のうち、私は少なくとも維持管理費に対するものについては速やかに廃止をした方がいいのではないのか、こう思うわけです。維持管理費、かなり高い。この部分だけでも、維持管理費の分だけでも速やかに廃止をするお考えはないのか、あるのか、この点お願いします。
  174. 竹島一彦

    竹島政府委員 直轄事業につきましては、確かに国がやっているということでございますから、委員のような御意見もあろうかと思いますが、ただ現実は、地元にとりましても大変大きなメリットがあるということでございます。そういう意味から、その費用の一部につきまして相応の負担を関係地方公共団体に求めるということは、基本的にはこれは正しいことではないかというふうに考えております。  ただ、今回は、かねてからの御議論もあり、公共事業の補助負担率の恒久化とあわせまして、この直轄事業負担金維持管理費に係るものにつきまして、従来の十分の五を十分の五・五ということで国の負担率をふやしているところでございます。
  175. 河上覃雄

    ○河上委員 厳しい御答弁でございますが、では、超過負担の問題について何点か御質問したいと思います。  一つは、超過負担の実態の側面でありますが、今回の法案の提出理由一つとして、国及び地方財政関係安定化を挙げております。そのためには国と地方の間の財政秩序を守ることが大切なことである、こう思います。そのために、まず速やかに、今申し上げました超過負担の実態というものを把握して、それを完全に解消していくことが必要なのではないのかこう思うわけでございます。  そこで、地方の超過負担というものは一体どれぐらいあるのかこれも三年間の実態についてお伺いをしたいと思います。
  176. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 先生御指摘の超過負担というものの概念が非常に区々でございまして、具体的にここまでが超過負担だというのが大変判断しづらいところでございます。そういうことで、私どもの方でここまでが超過負担と考え、ここまでが幾らだということは把握いたしておりませんので、御了解をいただきたいと思います。
  177. 河上覃雄

    ○河上委員 自治省さんのお答えをいただきましたが、今の問題、大蔵いかがでしょうか。お答えいただけますか。
  178. 竹島一彦

    竹島政府委員 基本的には自治省の答弁どおりでございますが、私どもは、超過負担の定義につきましては、国が義務的に支出する負担金等について、国の補助単価が経済情勢の推移に照らし実情に即応しなくなったことから生ずる国の支出金の不足類、こういうものだろうというふうに認識しております。  それで、具体的には、毎年度これはそれぞれの補助事業なら補助事業を持っておる事業官庁と自治省と大蔵省、三省でそれぞれ協議をいたしまして、どういった事業についていわゆる超過負担問題があるのではないかこれは実態に調査しよう、その結果を受けて、必要があれば適正化を図ろう、こういうことで努力をしてきているわけでございますが、全体についての金額承知しておりません。
  179. 河上覃雄

    ○河上委員 三省でいろいろ現地調査を行ったりしたこれまでの経緯、それがよりよく反映された、後でまた触れたいと思いますが、そういう事実もございまして、私は評価するところでございますが、この超過負担につきましても、定義があいまい、そして自治省さんも判断しづらい。  しかし、現実的に地方六団体はさまざまな形でこれを言っているわけでありまして、定義も明確にし、そして何らかの対応を必要とされるのじゃないのか。今後さまざまな客観的な財政事情あるいは地方への時代を迎えるに当たっても、こうした問題はまた大きくクローズアップしてくると思いますし、この対応方、御検討する意思はお持ちでしょうか、お持ちでありませんかこれをお答えください。
  180. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 自治省といたしましては、毎年度地方六団体等からの意見を聞いておりまして、そういう意見の中から、関係省庁とも相談をしながら調査をし、できるだけ改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
  181. 河上覃雄

    ○河上委員 自治省さんにもう一遍御答弁願いたいわけですが、小出しに一つ一つ吟味してその方向へ持っていく、こう理解してもいいですか。順次少しずつ進めていく、こういう方向だという理解でよろしいですか。
  182. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  地方団体が超過負担と言っているものの中にはいろいろな御意見がございます。したがいまして、そういうものをよく吟味いたしまして、関係省庁等とも相談をしながら一つ一つ今後検討の課題にめせていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  183. 河上覃雄

    ○河上委員 この問題、本当に抜本的に根本的にお願いをしたいと思うのです。一遍ぜひとも御検討していただきたい、そして今後速やかに解消に向けて努力をいただきたい、このことを申し上げさせていただきます。  もう一点は、公営住宅建設補助金です。  大蔵、自治、建設の三省で平成年度実態調査をなさいまして、公営住宅建設補助金については補助基準額一〇・二%の単価差が認められた。こういう調査をなさいまして、私は大変結構なことではないかと思います。それで、平成年度ではどれだけ解消するのか、まずこの点についてお答えいただきたい。
  184. 竹島一彦

    竹島政府委員 御指摘のとおり、実態調査を行いまして、その結果、約一〇%の乖離がある、補助単価と実勢工事費との単価の乖離でございますが、約一〇%程度あるということになりましたものですから、それを受けまして、平成年度予算編成におきまして、これから三年間でこの乖離を解消しようということで、具体的に五年度におきましては約三%の単価の引き上げを予算措置したところでございます。
  185. 河上覃雄

    ○河上委員 今お答えの中にもございました。単価差についての改善を三年間でということでございますが、どうでしょうか、三年間なんて言わずに一年間で解消する、あるいはもう一年早める。これも今のさまざまな実情を考えれば無理からぬ話ではないのか私はこう思うのですが、どうですか、三年間じゃなくて、もっと早まりませんか。
  186. 竹島一彦

    竹島政府委員 御案内のような大変厳しい財政事情でございまして、その中で景気対策を図らなければならぬ、公共事業の事業量も伸ばさなければならぬということでございまして、いろいろと工夫、苦労しているわけでございます。  したがいまして、公営住宅の建設についても例外ではございませんで、大変強い御要望もありますし、その事業量の確保ということが大事であるということでございまして、言ってみると、これはトレードオフの関係になりますので、補助単価をふやしますと事業量はふやせられないということになりますので、その辺のぎりぎりのバランスを見まして、現状では三年間で解消させていただくというのが精いっぱいであるということでございます。
  187. 河上覃雄

    ○河上委員 これまで恒久化について専ら質問をさせていただきました。  次に、一般財源化の問題に移りたいと思います。  まず、地方の一般財源化はこれまで行われてきたわけでございますが、平成年度はかなりの一般財源化をいたしました。その背景とねらいについて大蔵省にお伺いいたします。
  188. 竹島一彦

    竹島政府委員 補助金の見直しの一つとしまして、事業なり事務が地方公共団体に同化、定着化した、要するに、もう国が補助金ということでなくても、地方みずからがおやりになるのがよろしいというふうに熟してきたといいますか、そうなったものにつきましては、これはいわゆる一般財源化をすべきであるというのがかねてからの、行革審等々でも言われていることでございまして、私どももそれはそういう方向であるべきであるという考え方を持って、毎年度年度予算編成の中で具体的に御相談をいたしまして一般財源化を進めてきているわけでございます。  平成年度につきましても、約千百億円という金額になりますが、この一般財源化を実施するということにしてございます。それから、公共事業の世界では、先ほどもお話にありましたかと存じますが、補助対象事業の見直しの中で児童公園とか農業農村整備事業の中の一部の事業につきましては、これも一般財源化するというようなことも行われております。  それから、採択基準の引き上げという形で、国と地方の分担を、より地方の自主性が発揮される方向で採択基準の引き上げということも行われておるわけでございます。
  189. 河上覃雄

    ○河上委員 少し細部についてお伺いいたします。  義務教育費の国庫負担金を一般財源化することの背景とねらいをお伺いします。
  190. 竹島一彦

    竹島政府委員 義務教育費国庫負担金の中の共済追加費用でございますが、これにつきましては、義務教育費の国庫負担金は基本的には義務教育の教職員の人件費ということになっているわけですが、その中も子細に見ますと、人件費の項目としていろいろなものがあるわけでございます。  この共済追加費用につきましては、自治省、文部省と協議の結果、これは地方に持っていただくというのになじむのではないかということになりまして、平成年度、昨年度予算編成のときに、向こう三年間で段階的に一般財源化させていただきたいということで、昨年の国会で法律もお認めいただきまして、実施されているというものでございます。  今回は、そういう意味では残り二年間あるわけでございますけれども、平成年度予算編成の中で文部省関係予算、特に義務教育費国庫負担金もそうでございますが、厳しい中で編成をしなければならぬという事情がございまして、あと二年間で一般財源化するわけですが、これをまとめて二年分を一度にこの五年度に前倒しして一般財源化させていただくことによりまして、約六百四十九億円でございますが、そういったお金が出てきたわけでございまして、これを文教予算のほかの面での充実に向けさせていただいた、こういった経緯でございます。
  191. 河上覃雄

    ○河上委員 今の国庫負担金を一般財源化することによりまして、どの程度国の歳出削減になったのですか、額は。
  192. 竹島一彦

    竹島政府委員 義務教育費の一般財源化の一年前倒しによりまして、六百四十九億円の国費の削減効果が出ております。
  193. 河上覃雄

    ○河上委員 一般財源化の方向を今後どうお考えでしょうか。今後も一般財源化を続けていくのか、展望についてお伺いします。
  194. 竹島一彦

    竹島政府委員 一般財源化については、今後とも関係省庁と相談を進めて推進していきたいというふうに考えております。
  195. 河上覃雄

    ○河上委員 補助率の恒久化による地方の負担増及び一般財源化による地方負担増ということがこれまでいろいろとやりとりの中で出てきたわけでございます。このままでは、地方への負担の転嫁で地方財政のますますの悪化は免れないような気持ちを私は持つものでございますが、交付税措置ということでありました。  一面では、地方の裁量権の拡大につながる面は確かにありますけれども、交付税そのものがふえない限り、地方財政の悪化は目に見えているわけでございまして、やはり交付税、国税三税の三二%、消費税二四、たばこ二五といろいろございますが、この交付税の引き上げ措置がだんだん不可欠になってくるのではないか、こう思います。  そこで、この引き上げ措置がどうなのか、大蔵、そして自治、それぞれ御見解を伺いたいと思います。
  196. 竹島一彦

    竹島政府委員 地方交付税法におきまして規定がされているわけでございますけれども、毎年、地方財政対策を講じます場合には、そのベースといたしまして地方財政の収支見通しというものをつくるわけでございます。それで、地方財政として財源が十分か不足しているかということを判断して、それを踏まえて地方財政対策を講ずるわけでございます。  そういった検討といいますか、そういう中で不足が一〇%以上三年間続くというような事態になった場合には、過不足でございます、不足だけではございませんが、そういうぶれが言ってみれば恒常化してきたなということが判断された場合には、交付税率も含めまして国と地方財政関係を見直す、そういうことに現行の法制度はなっているわけでございます。  ただ、現実問題、私どもは、そういった基本的な見直しというのが現実的な課題になってくるというような予想はしておりません。
  197. 松本英昭

    ○松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、今回の補助負担率の恒久化あるいは一般財源化等につきまして、それを受けます地方財政負担というものにつきましてはいろいろ御心配をいただいているわけでございますが、私ども、基本的に、この恒久化というものは、国と地方との財源の安定的な関係を築き上げること、あるいは今までの変則的な事態というものを速やかに解消するということでございまして、それを地方の方で受けとめなければならないというふうに考えておるわけでございます。  恒久化に伴います地方財政への影響額につきましては、これはただいま大蔵省の方から御答弁がありましたように、地方財政計画地方交付税制度の一環として地方財政を保障する機能を有しておりますことから、毎年度地方財政計画の策定を通じまして、他の歳出の圧迫をしないように適切な財源措置を講じられるようにしてまいりたいと考えております。  交付税率の引き上げにつきましては、制度的な面で、ただいま大蔵省の方の説明がありましたとおりの制度に相なっておるわけでございます。
  198. 河上覃雄

    ○河上委員 これで終わります。
  199. 藤井裕久

    藤井委員長 網岡雄君。
  200. 網岡雄

    網岡委員 お許しをいただきまして、政管健保の千三百億繰り延べについての質問をさせていただきたいと思います。  今、我が国の国民生活にとりまして、豊かさとゆとりと健康は、国民生活の上で三つの大きな要素であるというふうに私は思うのでございますが、その中で、質問をいたします医療保険、特に、中小企業という零細な企業基盤のもとに働いている被保険者の健康を守っていくという建前になっている医療保険、政管健保の役割というものは非常に大きなものがあると思うわけでございます。  したがって、国民の約三〇%を占めるという重要な位置を持っております政管健保が、今回政府の措置によりまして、国庫補助の特例措置が行われるということになっておるわけでございますが、この問題について、以下、若干御質問を申し上げたいというふうに思うわけでございます。  まず最初に、基本的なことをお尋ね申し上げますけれども、政府は昭和六十年から平成元年にわたる五年間、そして今回の措置で二回目になるわけですが、政管健保の国庫補助につきまして、今回は千三百億円の繰り入れ特例を行うということにしていると仄聞をいたしますけれども、政管健保は平成四年三月に、実は昨年でございますけれども、つい最近ですが、中期的財政運営という手法を導入いたしまして、保険料率と国庫補助率を引き下げるという改正を行ったのでございます。私どもといたしましては、これは一定の評価をいたしているところでございます。  それで、かつて国鉄と米と並んで三K赤字と言われた政管健保が被保険者と事業主の長年にわたる努力の結果ようやく安定してまいりまして、これからというときに政管健保について大幅な国庫補助の繰り入れ特例を行うというのはどういうわけかということについてまずお尋ねを申し上げたいと思います。  そして、今般の繰り入れ特例措置趣旨について、国の財政を預かる大蔵省、そして政管健保の運営の責任に当たる立場にある厚生省、それぞれの大臣から考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  201. 竹島一彦

    竹島政府委員 政管健保につきましては、その財政が安定基調で推移しておりまして、現在一兆六千億円程度の事業運営安定資金を保有できる状況になっているわけでございます。同時に、この政管健保につきましては、組合健保とか共済組合とは違いまして、相当多額の国庫補助も行われているということでございます。  そこで、今回千三百億円の特例措置をお願い申し上げております趣旨は、厚生省、社会保障予算の編成を検討する過程で、やはりゴールドプランであるとかエイズ対策であるとか、もろもろの財政需要がございまして、そういったことにも配慮していく必要があるということから、政管健保の基本的な枠組みを変える、保険料率を変えるとか、そういった基本的なことに影響を与えない範囲で、具体的には平成年度に約千三百七十億円発生すると見込まれております剰余金の一部をお借りするということをさせていただきたいということでございまして、ひとえに厳しい財政事情の中でなるべく内容の濃い社会保障予算を組むという趣旨からこのような特別措置をお願い申し上げておる次第でございます。
  202. 佐藤隆三

    佐藤(隆)政府委員 今回の措置でございますが、これは国の財政が非常に厳しい状況のもとでゴールドプランあるいはエイズ対策など必要な厚生省予算の確保を図るため、やむを得ない措置といたしまして、政管健保の平成年度に見込まれます剰余の範囲内で特例的に会計間の調整を行うものでございまして、そのようなことで御理解いただきたいと存じております。
  203. 網岡雄

    網岡委員 後でまた詳しく質問したいと思うのでございますが、平成年度財政収支が非常に厳しい状態にあるということは一応わかるわけでございます。  しかし、今後、我が国は本格的な高齢化社会にもう既に向かっているわけでございますが、これからさらに一層高齢化が進んでいく、こういうことになりますと、福祉に関する予算あるいは社会保障に関する予算というものは、これから将来にわたってかなり大きな財源を必要とすることになるわけでございます。そういう意味からいきますと、政管健保というものは、やはり保険金、そして年度年度で出てくる剰余金を大事に積み立てていって、そういうものの財源の全体の運用の中で、被保険者のいわゆる権利といいますか、健康を守っていく、こういう運営のシステムになっているわけでございます。  そういうことからいきますと、国の収入が非常に厳しい状況にあるからといって、政管健保の貯金箱に金があるからといってそれをお借りする、こういう安易な運営は、しかも、後で質問を申し上げますけれども、返済期間も明記せずにお貸しくださいという形で借りていく、こういうやり方は、私は、国民全体の三〇%を占める政管健保の被保険者の立場からいきますと極めて問題の大きなことだと思いますし、少なくとも国がこういうつけ焼き刃的な財政運営ということは厳に慎んでいかなければならないと思うのでございますが、今後の財政運営につきまして、基本的な考え方を大蔵省としてお答えいただきたいと思います。
  204. 竹島一彦

    竹島政府委員 今後とも、政管健保の財政運営につきましては、委員御指摘のとおり、昨年、制度改正を受けまして、中期的な展望を持ってやっていくということでございます。そういったことで進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  今回の千三百億円の特例措置は、先ほども御答弁申し上げましたとおり、他の社会保障予算との兼ね合いでやはりここで千三百億円を浮かさせていただいて、ほかの分野でよい社会保障予算をつくるという趣旨からお借りするものでございまして、最初に申し上げました中期的な財政運営の健全性を担保するという趣旨からは離れているものではない、これは必要な事態が生じた場合には利子を含めて繰り戻しをするということでお願い申し上げているものでございます。
  205. 網岡雄

    網岡委員 それでは、問題の核心について触れていきたいと思うのであります。  まずそれでは、借りた金は返さなければならぬということはどこの国でも同じですが、社会の鉄則でございます。この政管健保のいわゆる繰り入れ特例措置というのは今回で二回目になるのでございまして、一つは、昭和六十年度から平成元年までの五年間に実は四千六百三十九億円というものが、繰り入れ特例措置が既に講じられているわけでございます。つまり、国は借金をしておるわけでございます。  そういう状況でございますが、今日に至るもこの繰り入れ特例措置はびた一銭返されていない、こういう状況にあるわけでございますが、これらについて、一体貸した立場にある厚生省、これは政管健保を円満に、円滑に運営していかなければならない立場にありますが、厚生省はこれについて、この借り入れ、四千六百三十九億円の貸した金は返済されているのかどうか、そしてもし返済されていないとするならば、大蔵省に対して厚生省は今日まで一体どういう努力をしてきたのか、それについてもお答えをいただきたい。
  206. 佐藤隆三

    佐藤(隆)政府委員 ただいま御指摘の昭和六十年度から平成年度までの間に行われました繰り入れ特例措置分の繰り戻しにつきましては、国の財政が非常に厳しい状況にあること、また政管健保の財政が安定的に推移しておりますことなどから、いまだ実現には至っていないところでございます。厚生省といたしましては、これをできる限り速やかに繰り戻されるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  207. 網岡雄

    網岡委員 それでは、方向を変えてひとつ御質問申し上げますが、昭和五十七年から平成元年まで厚生年金保険も国庫負担の繰り延べが行われておるわけでございます。同様の措置が行われております。  聞くところによりますと、厚生年金では一部返済をされたと聞いているのでございますが、年金と健康保険との性格の違いはありますけれども、しかし、国が借金をしたということでは同じでございますし、年金であろうと政管健保であろうと、そのお金というものは非常に大事な、しかも保険の財政運営に当たっては非常に大切ないわば資金でございます。  そういうものを要請によって貸しておるわけでございますが、片一方の年金は一部返され、たしか半分だと聞いておりますけれども返済をされたにもかかわらず、政管健保はいまだに借金としてそのまま残されている、こういう状況になっているのでございますが、今回分についても将来きちっと返済されるというような状況になるかどうか、私ども議員の立場から見ましても非常に私は不安を感ずる次第でございます。  いまだに返っていないわけでございますが、一体どういう場合に大蔵省としては、利子を含めて、これは利子がちゃんとっくように決まっておるのですね、そのことを一遍大蔵省はちゃんと答えてください。そして、利子をつけて返済をするということになっているのですが、その返済は一体いつの時期にやるのか、その時期をこの際明確にしていただきたい。
  208. 竹島一彦

    竹島政府委員 お答え申し上げます。  厚生年金につきましては、昭和五十七年度から六十年度にかけまして一兆三千六百億円程度の借り入れをいたしましたが、これは昭和六十三年度補正予算におきまして繰り戻し済みでございます。その後昭和六十一年度から平成年度まで三千億円程度ずつ特例措置が講じられておりまして、合計で一兆三千五百億円程度でございますが、これにつきましては、いわば返済見合い財源ということで厚生保険特別会計の方に一兆五千億円を一般会計から入れてある、こういう措置でございます。  こういうことで、年金につきましては、御指摘のとおり繰り戻し済みないしは繰り戻し見合い財源をも繰り入れ済みということでございますが、現在お願い申し上げています政管健保につきましては、先ほども申し上げましたような中期的な財政運営をやっていくという上で、千三百億円をお借りしても支障がないという見通しが立てられるものでございますから特別措置を講じているわけでございまして、その返済につきましては、ほかの承継債務とは違いまして、具体的に何年度から何年度まで幾らずつという償還計画は持っておりませんが、これはあくまでも政管健保の中期的な事業運営の安定性が確保されるように、また、それが確保されないようなおそれが出てきた場合には当然繰り戻しという問題を具体的に検討して、政管健保の基本に影響を与えないように配慮していきたい。加えて、一般会計財政事情がそれを許せば、その政管健保の財政運営とは別に、できるだけ早く繰り戻しをさせていただきたい、こういうことでございます。
  209. 網岡雄

    網岡委員 国の今の財政は百八十二兆円の借金、そして至るところに借金をしている。返済だけでも、利子の返済で年間十五兆円近く返していくということでございますから、私は、この財政状況というものは非常に長い時間、どのくらいかということを私は計算はできません。これはもう十年やそこらではないと思っています。相当な期間です。場合によったら一世紀にわたるかもしれぬというくらいの気がするのですが、それくらい気が遠くなるほどの借金を抱えている状況ですから、今御答弁がありましたように、財政状況がよくなるというような話は当分の間望めないのですよ。  しかし、あなた方がお借りになった千三百億円という金は、大臣、政管健保の被保険者の共通財産ですよ。これは先ほど言いましたように、中期安定資金運用という形の中で、一つば保険料率を安定する、もう一つは被保険者に対する福利厚生の施設をどんどんつくっていく。これはやはり国の厚生事業の施策というものをどんどんふやしていくという役割にもなるわけでありまして、国の事業もやっていくわけですよ。  そういうときに、今言ったように借りた金をいつ返すかわからぬ。国鉄の清算事業団あるいはほかのところは、今度の法案にも、この委員会にもかかっているようでございますが、暫定的に今年度だけは返済しない、こういうことになっているのですがちゃんと返済計画が立っておる。少なくとも借りた金が、しかもこれは政管健保という重要な、国民の健康を維持していくために必要な施策としての保険ですよ。そういう金を借りていく場合に、資金運用の安定の期間は大体五年間を見込んで、一つは保険料率を決める、あるいはその他の事業をやっていくということをちゃんと運用でやっていかれるように去年決めたばかりですよ。  だとするならば、私は、その被保険者の共通財産であるこの貯金から借りた金というものはやはり一定の期限を決めて返すべきだ。少なくとも、私は申し上げたいのですが、中期の財政運営をする期間が五年と定めたわけですから、私は五年以内に返せと言いたいわけです。しかし、それが無理であるというならば、少なくとも中期安定期間が二回分、つまり十年後には返済ができるというような償還計画というものを大蔵省が持たなければ、国がやっている健康保険というものは維持できないですよ。被保険者に対してもこれは大変失礼なやり方なんですよ。  こういう意味からいって、一体大蔵省はこの償還は、時期については今非常に不透明なことをおっしゃいましたが、今局長の御答弁によると、詰めて申し上げると、厳しく言うならば、赤字に転落をしなければ返済をすることはない、大体とんとんでやっているような状況ならば、前の四千六百億近くの金と今回の千三百億と合わせて六千億近くのお金は返さぬ、こういうことなんですか。どういうことなんですか。答えてください。
  210. 竹島一彦

    竹島政府委員 今回の千三百億円をいつ返すかということについては具体的に申し上げられないということは繰り返しの答弁になってしまいますけれども、今委員御指摘のようにいつまでには返さないつもりかということにつきましては、またそういった判断を持って今お願いしているわけでもないということでございます。  いずれにしましても、政管健保につきましては中期的な財政運営ということで行われているわけでございまして、少なくとも今の見通しでまいりますと、今回の千三百億円をお借りいたしましても、その中期的な財政運営の健全性が損なわれるということは心配しなくてもいいという見通しを持っておりますので、かつ先ほど申し上げましたとおり、これは必要な場合には利子を含めてお返しをするということでございます。  そういうことでございますので、いわば政管健保の財政運営の基盤をこれによってどうこうするということにはならない、そういうことでございまして、まことに申しわけございませんが、定性的な償還期限ということで御理解をいただきたいというふうに思います。
  211. 網岡雄

    網岡委員 重ねて申し上げますけれども、これはどうしても承知できません。  なぜならば、政管健保だけがこんな返済期間も決められずに借りっ放し、そして、返済の時期も明確に言えないということなら、いつ返されるか保証できないではないですか。国会としては承認できませんよ、こんなことは。どこの世界に、借りて、いつ返しますということが言えぬような借金の仕方というのがありますか。大蔵大臣、ありますか。
  212. 竹島一彦

    竹島政府委員 繰り返しになりますが、やはり政府が管掌している、まさに政府が責任を持って行っている健康保険事業でございますので、これはきちんとした財政運営をしていかなければならない、当然でございます。  そういう意味で、この千三百億円につきまして、具体的にいつからいつまで、幾らずつという償還計画はお示しできませんけれども、またそれが、本当にそういうものをつくることがうまく現実にフィットするのかどうかという問題もあろうかと思います。  そこは再三申し上げましたとおり、中期的な財政運営の安定性はきちんと確保されるように、またその心配が出てきた場合にはきちんと繰り戻しをするということを法律で鮮明にさしていただいているわけでございますので、ここはぜひその事情を御理解いただきたいというふうに思います。
  213. 網岡雄

    網岡委員 まだ本当はここはもう少しやりたいのですが、時間がもう、四十分という時間で、あと八分くらいしかない状況ですのでやめますが、これは本当に大蔵省、考えてもらわないと、ほかの貸したところはこれ全部償還期間決まっているのですよ。決まってないのはこれだけなのです。やはり我が国の健康保険財政を預かる厚生省としても、これは大変問題なところです。  私は厚生委員で、きょう差しかえで来ているのですが、厚生委員としてもこれは黙視することはできません。したがって、今後この問題については、やはり大蔵省として抜本的に償還の問題について検討していただきたいということを、これは申し上げておきます。  次に、大蔵大臣お尋ねをいたします。  現下の財政状況を勘案しますと、今回の措置は、私ども本当のことを言いますと不満です。こういうようなことを何遍もやってもらっては困るという気持ちがいっぱいです。いやしくも福祉国家を標榜する日本としましては福祉や社会保障の財源をしっかり確保していくということは、いわばこれは国是ですよ。だといたしますならば、このようなびほう的なやり方で財源をあさっていくというようなやり方は今後絶対にやらないということを大蔵省として、最高責任者である大蔵大臣がどういうお考えを持っておみえになるか、お答えいただきたいと思います。
  214. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 網岡委員の御質問にお答え申し上げますが、先ほど政府委員からも答弁いたしまして、私は大変難しい我々の方の状況がある、厳しい状況でありまして、こうしたことをやっているわけでありまして、本当ならば御要望のようなことでこたえなくちゃならないのが筋だろうと私は思うのです。  しかし、今それができないような状況にあるということをお察しいただきたい、こう思っているところでございますし、また、これからいろいろな点で、医療保険または年金、そういった社会福祉の問題、もう一つ申し上げますならば、そのほかのいろいろな福祉の問題もあるだろう、こう思います。障害者の問題であるとか、そういったような問題につきましても総体的なものを厚生省と一体になって考えていかなければならない問題だろう、こういうふうに私は思っておるところであります。  いずれにいたしましても、すぐになかなかできるわけじゃありません。当面、私はあえて、余り褒められた話じゃないけれども、こうしたことをやらざるを得ない状況にあります。いずれはそういった形を、全体的な構想を改めてつくり直す時期が必ず近い将来には来るものだろう、こういうふうに私は思っているところでございます。
  215. 網岡雄

    網岡委員 それでは、これは今度国としては比較的前向きに取り組まれたということで私ども評価をしたいというふうに思うのでございますが、保健福祉事業が新規としてかなりふえたのでございます。それは一つは在宅介護の支援事業の創設、それからパート労働者の健診の実施という、考えてみれば福祉国家にとっては当然のこととも思えるようなことですが、しかしそういうことが前進をした。  特に今回、職場の健康づくりの推進というところで、健康管理指導センターというものが新たに創設をされることになったという点は、私は一定の評価をしたいというふうに思います。予算の規模もかなりこれは使われておりまして、でき上がる施設というのは、お聞きをいたしておりまして、説明をしていただきたいと思っておりますが、かなりの施設をつくられるというようなことを聞いております。  その中で、お尋ねをしたいのですが、今度の新しい目玉といたしまして、健康管理指導センターというものが新たに神戸と名古屋に建設をされるということを漏れ聞いております。この健康管理指導センターの機能の問題について若干御質問を申し上げたいし、私も自分の意見を少し申し上げたい、参考にしてぜひひとつ実のあるものにしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  この健康管理指導センターというのは従来の健康センターというものとは違いまして、厚生省が今度計画しておられると聞いておるところによりますと、これはがんとか脳血管疾患とか心臓病といったような成人病が最近非常にウエートを高く持ってきているところでございますが、こういう成人病、慢性疾患に対して、予防、治療、リハビリテーションなどを含めた成人病に対する総合的な対策を確立する、こういう目的を持って、一つは、具体的にはこのセンターで、ある一定の健診を行った後、運動や食生活についての生活習慣の改善あるいは適切な事後指導を行う、そして健診の結果、健康な人である場合にはさらに積極的な健康づくりをしていく、こういうような趣旨でセンターがつくられると言われておるわけでございます。  お尋ねをいたしますが、こういう目的でつくられると言われているわけですが、大体どういう規模のもので、そしてこのセンターの機能というのは一体どういう機能を持っているのかというような点について御答弁をいただきたいというふうに思います。
  216. 佐藤隆三

    佐藤(隆)政府委員 ただいま御指摘の保健福祉施設事業でございますが、今般の繰り入れ特例措置に際しまして、被保険者への配慮といたしまして、平成年度予算全体でございますが、保健福祉施設事業といたしまして、千百九十四億円から千四百二十一億円、額にいたしますと二百二十七億円、率では約二〇%の増と、大幅な拡充を図ったところでございます。その中で、ただいま委員御指摘の健康管理指導センターといったものの設置も予定しているわけでございます。  その具体的な内容でございますが、この健康管理指導センターは、政管健保の被保険者の方々などに対しまして、適切な運動、食生活改善指導、休養などのサービスを提供いたしまして、成人病の予防、健康の保持増進を図ることを目的として設置するものでございます。  この施設の内容でございますが、まず健康運動指導士というような専門家を配置いたしまして、健康運動や生活指導などの実践、さらには研修の実施などの機能を持つこととしております。  具体的な施設といたしましては、トレーニングジム、プール、浴室などの運動実践設備のほかに、生活指導室、栄養指導室、研修、講習のための設備、こういったものを備えることといたしておりまして、施設の規模といたしましては、約六千平米程度の施設を考えているわけでございます。  それでこの施設、今後大都市に計画的に設置してまいりたいと考えておりますが、初めての取り組みといたしまして、名古屋市とそれから神戸市の二カ所に設置することといたしまして、本年度から土地取得等に着手いたしまして、できれば平成年度当初にオープンをすることを目指してまいりたい、このように考えているところでございます。
  217. 網岡雄

    網岡委員 施設としてはかなり大規模なものでございますし、非常にこれは有意義な施設だというふうに思いますし、またそうしてもらいたいと思います。  一つ御要望申し上げたいんですが、最近は職場の中の機器が非常に高度化していきますために、かなりの神経を労働者は使うわけです。したがって、肉体的な疲労というよりも、心と体の心身の疲労というものが非常に保強くなってまいりまして、したがって非常なストレスがたまる、こういう傾向がございます。  私の私見でございますけれども、鳥羽にタラサ志摩というところがございまして、そこでタラソテラピーという療養施設がございます。私もちょっとその施設を、大臣も行かれたかもわかりませんが、非常に有能な施設でございまして、プールに入って音楽を聞きながら目をつぶつって三十分おりましたら、本当にストレスが全く解消いたしました。こういうような施設を、私は健康管理指導センターの中にぜひ取り入れていただきたい。  従来の健康管理指導センターというのは、大体ワンパターンなんですよ。あるのを見れば、どこを見ても同じようなものがあるということなんですが、せっかく厚生省として、社会保険庁として、いわゆる働く人たちに対しての健康増進、そして成人病の予防または療養ということを兼ね備えてやっていく施設とするならば、こういう新しい心理的療法というものも取り入れるような、そういうストレス解消の施設というものを、それだけの金をかけるならば、私は多分工夫とあれによってできる可能性を持っていると思いますし、志摩にあるこの施設は非常に料金が高いので、労働者はとても行けるような値段ではございませんが、ひとつ働く人たちがかなり身軽に行って、そして心身ともにストレスを解消する、こういうような施設になったといたしましたならば、これは国民の健康増進にとりまして極めて有意義な施設になるというふうに思うわけでございます。  どうぞ、そういう意味で名古屋と神戸につくられる施設につきましては、その辺のところを十分調査をなさって、これから施設のメニューを考えられるということでございますが、その辺も含めて御考慮をいただいて、非常に有意義な施設になるようにぜひ御努力をいただきたいということを質問をさせていただきますので、その辺についてお考えを述べてください。
  218. 佐藤隆三

    佐藤(隆)政府委員 ただいま御指摘のとおり、健康増進を図るためには運動の実践ということもございますが、心身両面からのリラックスということで、ストレスコントロールといったようなことも大変重要であると考えております。  今御指摘のようなことで、既にそういう施設もございます。そういう面も十分参考にさせていただきまして、ただいま委員御指摘の点につきましては十分検討の上対処してまいりたいと考えております。
  219. 網岡雄

    網岡委員 終わります。
  220. 藤井裕久

  221. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 承継債務の問題を中心にお尋ねをしたいと思います。  それに入る前に、若干大臣の感想というか所見を伺っておきたいと思うのですが、来年度予算編成をするに当たって、一体課題は何だったんだろうかということを考えますと、疑問に思わざるを得ないということであります。  言うまでもなく、状況としては、バブル経済の崩壊後の景気対策をどうするかということがまず問われていたわけでありますし、また冷戦後の国際貢献にどう立ち向かっていくのか、あるいは高齢化社会に向かっての対応をどうするか、そういったようなことが、今度の予算編成を通して将来を見通すということが求められていたんだろうと私は思うわけであります。  しかしながら、そういう点を考えながら今度の予算案を見てまいりますと、何か赤字国債を発行しないということがすばらしいことであるかのように財政対策が行われている。もちろん、私は赤字国債を出してもよろしいから云々という立場ではございませんが、そこのところに力点が置かれて、先ほど来議論があるような一般会計及び特別会計等々、いわゆる隠れ借金などと言われるような問題を三十数兆円にわたって発生をさせるような状況を現出しているんではないか。  景気問題についてはここで時間もありません、またそれが本題じゃありませんが、循環的な問題あるいはまた構造的な問題等々ありますけれども、いずれにしましても、財テクに踊った企業が責任を持ってみずからの体質を強化し、景気の立て直しというのは語弊がありますけれども、日本の経済に寄与していくという建前が望ましいのではないか。企業が今日の厳しい状況に立ち向かって、これを乗り切ろうとすればするほど合理化をやらざるを得ない。例えばそれは雇用調整であるとかというような問題に派生じてくるということになれば、さらにまた景気問題というのは重大な段階に入ってくるのではないかと思うわけであります。  いずれにしても、そういう状況のもとで、金融政策なり財政の出動という形で国の予算に問題の処理を持ち込まれてしまっているというのが現実だろうと思います。  そういう状況でありますけれども、大臣は、この三十数兆円に及ぶ隠れ借金というか、そういう問題について現在どのような大臣としての所感を持っておられるかまずお尋ねをしたいと思います。
  222. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 前段の方は今佐藤委員御指摘でございますから私からくどくど申しませんが、いわゆる隠れ借金、こういうふうなお話でありますけれども、隠れ借金というとどういう定義になるのかというのも必ずしもはっきりしてないだろうと私は思っております。  大蔵省は今までも国会の方に、「今後処理を要する措置」ということで整理して資料をお出ししておりますし、御指摘の三十七兆円云々というのはこの資料の合計額を指しているものだ、こういうふうに考えているところでございます。その「今後処理を要する措置」というものの中にはいろいろな性質のものが含まれておりまして、これを一括してどうだ、一つのものだということで整理議論をすることには問題があるだろうと思います。  ただ、これらの措置につきましては、それぞれの制度また施策をめぐる状況や考え方、今までいろいろなやってきたことがありますから、そういうことを踏まえながら、従来からいろいろとやってきたこともありますし、またこれからいろいろとやっていかなければならない問題もある、また国の財政事情もありますから、そういったものを含めまして、個別項目ごとにやはり対処していく必要があるのではないかな、こういうふうに基本的には考えているところでございます。
  223. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 ところで、一月末に公表されました「財政の中期展望」ですか、見通しによりますと、これはもう言うまでもなく、九三年度には国債依存率が一一%を超すということであります。九五年に公債依存率を五%にするという再建計画を持っているわけだけれども、いわゆる五%にするためには、もう九四年段階から二兆二千五百億円の公債発行の削減をやらなければいかぬ、こういう状況になるわけであります。仮に九三年度の制度あるいは施策というものをそのまま継続をしていくということになりますと、九四年には歳入歳出のギャップが五兆三千億になる、こういう試算ですね。  ところで、この試算の前提として、名目成長を五%にしたいというところで実ははじかれているということになってまいりますと、二年前のときには四・七五%の経済成長、それから、三年前になりますか、四・八%ということに名目成長を置いてその上で税収をはじいている。今回は五%に置いているわけです。  政府の来年度計画については名目四・九%、こういうことになっているわけでありますけれども、今後の展望の中で、過去の状況において四%台で試算してきた税収が、なぜ今日の景気、経済動向のもとで五%に目標を置いて展望を試算されているのか。そういう試算をするに当たって経済成長の要因というものを、どのような部分に眼目を置いて、経済がかくかくしかじか回復、転換していくであろう、したがって五%だ、こういうことになっているのかその辺のところをひとつ概略御説明をいただきたいと思います。
  224. 竹島一彦

    竹島政府委員 御指摘のとおり、今回の中期展望では名目成長率五%という前提で計算をさせていただいております。なぜ五%かということでございますが、これは、昨年六月に策定されました「生活大国五か年計画」におきまして五%というものが計画期間中見込まれているからでございます。  それで、この「生活大国五か年計画」における名目成長率五%の根拠ということになりますと、これは経済企画庁のお話になりますけれども、八〇年代後半のように高い伸びではないが、内需を中心とした安定的な経済成長であって、こうしたもとで労働時間の短縮であるとか居住環境の改善、生活開運を中心とする社会資本の整備といった課題が達成されることによって、名目成長率は年平均五%程度ということが適当であろうというふうに定められているものでございます。
  225. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 一月に発表したものは、去年の五月の生活大国づくりで五%だ、だから五%なんだというのは、新年度予算審議を前にした段階に発表する「財政の中期展望」としてはちょっと問題があるんではないでしょうか、この約半年間にかなりの景気、経済の変転があるわけでありますから。  しかも、そういう中で雇用調整が進んできている、あるいは消費の落ち込みがある。経済成長の指標の六割も占めようという最終需要の部分なりそういうものを刺激する部分で今低迷が心配されている。こういうときに、生活大国で五%の案をつくったから、それで一月の中期見通しは五%なんですというんでは、私は説明としてはちょっといただけないですね。どうなんでしょう。
  226. 竹島一彦

    竹島政府委員 現在お示し申し上げております「財政の中期展望」、これはいろいろな制約があるわけでございまして、中期的な推計をいたしているわけでございます。毎年毎年、平成年度だけのことではございませんで、まさに中期的な展望でございますので、その場合の基礎となるデータをどこに求めるか。  これは大蔵省独自でその独自の見通しをつくるということもあるのかもしれませんが、私どもとしましては、政府全体の計画でございます「生活大国五か年計画」に掲げているGNPの平均成長率というものを使わざるを得ない。過去もそういうことで、そういった成長率をベースにいたしまして中期展望の計数をお示ししている。それ以外にもいろいろ機械的に前提を置かざるを得ないこともございます。「財政の中期展望」という性格から、その使う計数についてやはり制約がある、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  227. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 過去のそれぞれの内閣が出されてきたさまざまな五カ年計画がございますけれども、その五カ年計画における成長率の見込みなりあるいは実績というものを見ますと、私はこの五%というのは極めて問題があるというふうに言わざるを得ないと思います。したがって、そういうことで見てまいりますと、何か税収確保を表向き格好づける展望じゃないのかこういうことだけ申し上げておきたいと思います。  ところで、国債整理特別会計に対する定率繰り入れ、これはもう約八年ぐらいですか、やっておらないわけであります。これを仮に実施するとすれば恐らく十五兆五千億ぐらいになるのではないか、こういうふうに私は思いますけれども、実は本法では定率繰り入れをやらなければいけない、しかし特例法ではそれはやらないと決めている。  本法ではやると決めているけれども、特例法ではやらないと決めている。それでは本法の趣旨は一体どこにいってしまうのだろうか。国債整理特別会計には、現時点における十五兆五千億余のお金はどうなっていくのだろうか。将来とも入れないということなのか、将来これは何とか繰り入れする方向でいくというふうにお考えになっているのか。  まず、国債、特にNTT株の活用事業の問題も建設国債を発行して充当せざるを得ないというような状況になってきているわけです。しかも、この国債整理会計はいずれ国債の償還という問題を伴う。これはいわゆる税金をもらって一般会計を編成しているというような会計とは違うわけです。したがって、特殊な会計だというふうに私は思っているわけです。何か事業をやって余ったから積み立てておく金だというわけでもないわけです。  そういう特別な会計について、本法では繰り入れるが特例法では繰り入れない。やる、やらないという間に十五兆五千億発生した。ではこの問題はどうなんだろうか、こういうことについてどうするお考えなのかお尋ねをしたい。
  228. 竹島一彦

    竹島政府委員 御指摘のとおり、国債整理基金への定率繰り入れにつきましては昭和五十七年度から平成年度までの間これを停止してまいりまして、その累計額は約十五兆六千億円というものでございます。  これは過去におきまして特例公債を発行せざるを得ない状況下で、一方で特例公債を発行しながら、同時に他方では将来の減債基金である国債整理基金への定率繰り入れをやる、赤字公債を出してそういうものを積むというのはいかがかという状況がございまして、加えてNTTの株式の売却益というものがございましたために、国債整理基金の資金としては、予定どおりの国債償還に対応できたということもございまして停止が行われてきたということでございます。  そういうことで、実績としましては十五兆六千億円程度のものが定率繰り入れとしては停止されておりますが、これはそのまま将来繰り入れなければならないというものではなくて、減債基金たる国債整理基金がきちんと国債が償還できるだけのファンドを持っているかどうかということが肝心でございまして、それが担保されている限り過去の十五兆六千億円程度のものをそのまま繰り入れなければならぬという性格のものではないということでございます。
  229. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 償還が担保されている限りというお話でございますが、そうすると、本法は担保するために定率繰り入れとかそういうことを決めているのではないのですか。これは本法は国債整理基金に積み立てればいいということでやっているのですか。償還を担保するためにさまざまな財源措置を講ずるということで本法があるのだろうと私は思うのです。だから今の答弁ではちょっと私は理解できない。  つまり、本法の精神そのものを否定する。財源がないからとりあえずやめますよ、あるいは延期しますよというならわかるのです、一般会計が、財源が厳しいから。しかし、担保できている状態ならそれはやらなくてもいいんだということになれば、本法の精神それ自体、一・六%ですか、千分の一・六ですか、やる必要ない、こういうことになってしまうのではないですか。大臣これはいかがでしょう。いや本法の問題ですよ、担保されている限りはいいんだというなら本法は要らないのだから。
  230. 竹島一彦

    竹島政府委員 御指摘のとおり、現在の国債は六十年償還ということになっておりますので、六十分の一すなわち前年度末公債残高の一・六%を繰り入れるべしというのが基本でございます。それは委員のおっしゃるとおりでございます。そういうことで国債整理基金に十分な資金を用意しておくべきであるというのが基本的なことでございます。  その考え方は私どもはそのとおりだということでございますが、現実に国債整理基金の資金量、現在の場合はたまたま定率繰り入れの停止期間中にNTT株式の売却益というものが償還財源として入ってきたというようなこともございまして、六十年で償還するという償還財源の面で、現在持っておる国債整理基金の資金量、これは十分に対応できる姿になっておりますので、過去の十五兆六千億円の定率繰り入れをそのままそっくり将来入れなければならないということになるというものではない、そういうことでございます。本法は本法で委員のおっしゃるとおりでございます。
  231. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 いずれまたその財源問題が出てくるときにやることにしまして、資金運用部資金にもなるいわゆる公的資金、郵貯とか簡保とか年金、こういうもので昨年の八月の総合経済対策で株式市場に公的資金の活用ということが出てきたわけであります。今回も二兆八千億を今申し上げました三つの財源から、原資からいわゆる株式運用をやるということで、昨年の経済対策のときには臨時的な特例措置というふうに私は理解をしておったのでありますけれども、今回も二兆八千億円を予定するということになってくるわけであります。  郵貯とか簡保、年金というのはいずれも国民の財産でありまして、国そのものの財産ではないわけです。そういうふうに考えてまいりますと、景気対策として公的資金を株式等に投入をしていく、活用していくということについては今後もおやりになっていく考えなのかどうか。  しかも、昨年の八月の経済対策よりも枠を拡大していくということになれば、現在の一万六千円ないしは七千円そこそこの平均株価の中でそれよりも当然にして値上がりする、つまり運用益がついて返ってくる、こういうような見通しがなければ私はできないだろうと思うのですが、今後もこういうことはおやりになる考えなのかどうか。これは大臣の政策判断の問題ですから事務当局ではなくて大臣お答えをいただきたいと思います。
  232. 藤井威

    藤井(威)政府委員 委員御指摘のとおり、平成年度におきまして財政投融資計画の中の資金運用事業計画というものの中で新指定単への運用二兆八千億円というものを予定いたしております。  これはまさに委員御指摘のとおり、先般の総合経済対策の延長線上の措置としまして証券市場の活性化に資するという観点からこういう措置をとったわけでございますが、そのときも申し上げましたように、株式の組み入れ比率の制限を設けないという指定単、従来は株式の組み入れ比率を設けた指定単をやってきたわけですけれども、その比率を設けない、さらに言えば金利の五年一括払いというような特殊なスキームを採用して、そういうことによって証券市場の活性化に資するという意味でこれは非常に臨時的な措置だというふうに当時も認識しておりました。  ただ、平成年度財政投融資計画を編成しておる段階におきまして、現在の株式市場の状況から見ますと、やはりこの措置、証券市場の活性化という立場からの措置を継続すべきであるという判断をいたしまして、二兆八千億円の運用を予定したわけでございます。  我々といたしましては、五年度もこれを継続いたしましたが、やはり基本的にはこれは非常に臨時、異例措置であるというふうに認識しておるわけでございまして、今のところ平成年度以降するずるとこの措置を継続するということは考えてはおりません。
  233. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 それから、先ほど隠れ借金の内訳として資料が政府の方から出されているわけですが、旧国鉄あるいは事業団、こういうところの債務をどのようにして解消していくのかということについては、いわゆる所有土地の売却あるいはまたJR株の問題等々が出てくるわけでありますけれども、当面土地の問題については売却のための入札制度のいわゆる規制緩和といいますかあるいはまた開銀の資金を活用して土地開発というか売却というか、そういうところで開銀の資金の活用といったような問題も考えられているように伺うわけであります。  政府からいただいた資料によれば、旧国鉄及び事業団の分は相当な債務になるわけでありますが、これを処理するために土地などを売却していく、そしてどのように償還をしていくのか、こういうことについて、今回提案するに当たって事業団のいわゆる年度計画みたいなものを、土地の売却はこういうふうにやっていって何年ごろまでにどうしたいという年度計画というものを明示させた上で提案されているのかどうか、そこのところをちょっとお尋ねしたい。
  234. 竹島一彦

    竹島政府委員 国鉄清算事業団が抱えております二十六兆円に上る巨額な債務の問題、大変頭の痛い問題でございますが、国民負担をなるべく軽減するということで、御指摘の土地処分について努力をしているわけでございます。  ただ、現下の不動産をめぐる環境は大変厳しいものがございまして、苦労いたしておりますけれども、何としても精いっぱい努力をして、平成年度の場合でありますと約一兆四千億円の土地売却収入というものを目標に掲げているわけでございますが、時間も大分少なくなってまいりましたけれども、その達成に向けて努力申し上げたいと考えております。  ただ、土地売却の年次計画ということになりますと、これはなるべく早くということは申し上げられますけれども、あらかじめ年次別に売却計画というのは事柄の性格上なかなか難しいと存じます。  それから、具体的に土地売却の促進のために地方公共団体にも大変御協力をお願いいたしておりまして、地方公共団体が先行取得する場合には交付税措置を講ずる、それから上限価格つき入札の対象範囲の拡大を図るといったことで努力をしているところでございます。
  235. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 私は、土地を年次計画で売るなんということは、計画を立てるというのは難しいというのはよくわかるのですよ。それはわかるのです。わかるけれども、この債務が、元本がそのままでいる限りは今度は金利の方がふえてくるわけでしょう。だとすれば、その金利を最小限に抑えながらどうしていくかということが、これは難しいというだけじゃ済まないのじゃないかと私は思うのですよ。そこのところを私は言いたいのです。  土地が年次計画で売れて元本が償還できるなら、こんな楽な話はないわけです。そうはいかないけれども、売れない、売れないと言っているうちに金利がかさんでいく。この状態を解消していくためにいわゆる事業団なりはどういう計画を持っているのかということを提示させた上でこういう特例法の提案、こういうふうになるのが当たり前なのではないかと私は思いますので、これは意見を申し上げておきます。  そこで、幾つかの点で申し上げましたけれども、先ほど来もありますように、こうした資金運用部の資金の運用の仕方については、貸付先の経営状況なりあるいはまた今後のさまざまな資金需要というような問題を考えてまいりますと、何といいますか、財投の原資も四二%くらいが回収金に依存せざるを得ないというような状況もあるというふうに、政府の資料を見ればそういうふうになっているわけですね。  だから私は、非常に厳しい状況にあるのだと思いますけれども、財投を活用する、あるいは資金運用部資金がこういうようなさまざまな課題を抱えているということについて、運用審議会の方は、今まで多くの委員が指摘をしてきたこの現状を踏まえてどのような見解を答申として大臣の方に出しておられるのか、そこのところを簡潔にちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  236. 藤井威

    藤井(威)政府委員 まさに委員御指摘のとおり、財政投融資は国の制度、信用ということに基づきまして集まってまいりました有償の資金を財源とした金融的手法による政策手段でございます。あくまでもこれは金融的手法による政策手段ですから、基本はおっしゃるとおり安全確実、償還が少しでも疑問になるような運用の仕方というのは避けなければいけない、これは我々も当然のこととして心に銘じておるところでございます。  実際の財投資金の運用に関しましてはそういうことで努めておりますが、具体的には、毎年の財政投融資計画、当初の計画から、途中におきますいわゆる弾力条項による増加、あるいは補正追加に伴う追加を国会に御提案する、そういうときどきに必ず資金運用審議会に、こういうふうに運用したいということを個別に御説明いたしまして、個別に御了承いただいてやっておるところでございます。
  237. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 そういう手続論は私はわかっているのですよ。手続論を聞いているのじゃなくて、現下の資金運用部資金の運用状況、あるいは先ほど来から指摘されているような問題が現にあるという状況の中で、資金運用部資金の運営の仕方はかくあるべきではないかといったような、答申の中にはそういう具体的な指摘、意見というのはないのか、こういうことを実は聞いているわけで、私は手続論を聞いているわけではありません。まあ、いいです。  それから、今回の承継債務特例法ですけれども、内容的には地方交付税関係あるいは国鉄経営改善の関係、それから事業団の債務軽減の関係、そして厚生保険に対する繰り入れ控除一千三百億円の問題ということになるわけでありますけれども、昭和六十年から始まって、先ほども指摘がありましたように約六千億近い金が繰り入れされずに控除された状況にあるわけです。なぜこれが償還特例なのか、今回の法律に出てくるのか。  昨年までの法律では、財政運営に必要な財源の確保を図るための特例法律なんですね。これの中には、例えば特例公債の発行であるとか整理基金の繰り入れの問題であるとか、あるいは今申し上げました厚生保険の繰り入れの問題であるとか、こういうようなものが主に入ってきて、財源を捻出するために特例を設けなければいけません、こういう法律になっているのでありますが、今回の内容財源確保であるのだけれども、しかし承継債務特例問題と一千三百億円を財源対策のために控除するという問題が一緒に入っている法律になっているわけですね。  私はやはり、財源確保のための法律と承継債務をどうしていくのかという法律は別建てにすべきではないのか、そう思うのですが、これは法制局の方にちょっと、もちろん大蔵の方と打ち合わせでつくられた法律でございましょうが、こういう、つまり我々新しく国会に来た者がこれを見ると、こんなものは今までの法律にない、何なんだろうかということになると、一千三百億円は実は去年と同じ財源確保という特例法の中ではなくて、今度の新しい法律に入ってくる。私は、そのときどきに応じて法律は出てくるけれども、やはり従来やってきたものと新しくやるものとは区分した法律にすべきではないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
  238. 野田哲也

    野田政府委員 お答え申し上げます。  平成年度における一般会計承継債務等償還特例等に関する法律案につきましては、償還特例繰り入れ特例という二つの特例措置が設けられているわけでございますけれども、これらはいずれも平成年度財政状況に対処するための措置でございまして、立法の動機、趣旨を同じくすること、また、五年度限りの臨時の特例を定めるものであって、基底の性格を同じくしている。そしてまた、一般会計資金運用部特別会計、あるいは一般会計厚生保険特別会計健康勘定という国の会計間の繰り入れに関する措置であるという点におきまして、措置内容、手法に共通性があること、こういったことから、これらを一括して一つ法律案としたわけでございまして、そういう点で特に問題はないものと我々考えております。
  239. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 今までの法律でありますと、後日、特会の収支状況等を勘案して、いわゆる控除額に達するまで繰り入れる云々と、こういう文章になっておりまして、その後に、「その他の適切な措置を講じなければならない。」こういう法文になっているわけですが、私は今度の法律案文を見まして、従来のこの繰り入れをやらなかった場合の運用収入に相当する額の合算額に達するまで云々という法文に今度はなっているわけです。  先ほどもこの点については指摘があったところでありますが、六千億近いお金がそうなっているという状況のもとで、今回特別のその他の措置を講ずることの法文が変えられて、運用収入に相当する額、こういうふうになってきているわけです。  これは伺うところによれば、実は今までの法律というのは運用収入を保証しますよという法文だったんだけれども、そういう表現じゃなかったので今回は変えだというような説明も事務当局からちょっと受けたわけでありますが、それじゃ、現在時点で約六千億円という、今回千三百億追加ですが、それを除きまして幾らぐらいの運用収入を払うべき額として予想されておるのか、ちょっとお尋ねをしたい。
  240. 竹島一彦

    竹島政府委員 昭和六十年度から平成年度までのこの政管健保の繰り入れ特例措置の合計額五千九百三十九億円、これにつきまして仮に、一定の前提を置いて金利等については計算しなければいかぬわけですが、運用収入相当額を試算いたしますと、平成年度末におきましては千七百四十八億円でございまして、元本と合わせて元利合計は七千六百八十七億円ということでございます。
  241. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 そういう計算ということになれば、約一千七百億円ということになれば、これは法律でありませんから何も差し支えないわけでありますが、「今後処理を要する措置」というもの、政府の資料等に出てくる処理を要する金額にはこの運用収入と見込まれる一千七百億円も当然プラスをされるのではないか、こういうふうに私は解釈をしてこの問題を理解をしていきたいと思います。  ところで、これは厚生省の方でもそういう理解をしておったのかどうかわかりませんけれども、厚生省の方にちょっとお尋ねをしたいと思います。  それは、この一千三百億円の控除問題について、昨日の本会議で、私は大臣の答弁を一から全部記憶にはありませんけれども、エイズ対策等いろいろなことをやっているから一千三百億円のその控除はやむを得ないんだといったような趣旨の答弁をしたように伺いました。そのほかいろいろ幾つか行政の事業内容を述べたようであります。  私は、この問題は、加入者側が掛金等を払って、あるいは政府からも財源が出されておりますけれども、そうしてでき上がっている会計であって、政府の一般会計と同じように理解すべきものではない。したがって、幾ら厚生省所管の財源の中から、予算配分の中から繰り入れをするといっても、エイズ対策なんかいろいろやっているからしょうがないんだという発想では問題があるんじゃないか、私はこう思いますので、厚生省の見解を伺っておきたい。
  242. 佐藤隆三

    佐藤(隆)政府委員 今回の措置は、国の財政が非常に厳しい状況のもとで必要な厚生省予算の確保を図るために、平成年度のやむを得ない措置といたしまして特例的に今会計間の繰り入れの調整を行うものでございます。  また、この特例措置額千三百億円でございますが、政管健保の来年度に見込まれます剰余の額、千三百七十億円でございますが、その範囲内でございまして、政管健保の中期的財政運営に支障は生じないものと考えております。そういうことでございますので、御理解をいただきたいと考えております。
  243. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 いずれにしてもこういう会計間の処理というもの、例えば先ほど来ありましたように、いっその返済をするのかが明らかにならないようなそういう会計間の取り扱いを定めた、つまりはっきりしないことを定めているような法律ではいけないのではないか、私はこう思います。  話はちょっと変わりますけれども、実は住宅金融専門会社、住専の問題について若干お尋ねをしたいと思います。  不動産担保買い取り会社については農林系の機関の参加も見られるようでありますが、住専八社の借入残は十二月末で十四兆三千億円というふうに言われているわけです。このうち四三%が農林系の融資である。さらにそのうち、信連関係については約三兆七千八百億円ということになっているようであります。協同を除く七社の支援問題がいろいろ出されてきているわけでありますが、日本住宅金融と同一のような再建策をとるということになりますと、信連の中にはかなり問題になるところが出てくるのではないかこういうふうに私は思います。  この日本住宅金融の昨年の九月末の借入残高が二兆四千四百億円、経常赤字が二百十億円計上だというふうにも聞いているわけであります。ここに対する農林系の融資が約八千九百億円ということになっておりまして、これらについての支援策として、農林系については融資額の金利を年間四・五%に一律に扱うというようなことも実は報道されているわけであります。今日までの信連の融資利率を見ますと、平均六%ということになっておりまして、これの収入が約五百十五億円、こういうことになるわけでありますが、信連の総資金の利ざやを見てまいりますと、平成元年が〇・八一、平成二年が〇・四、平成三年が〇・二九、こういう利ざやなんですね。  こういう状況を見てまいりますと、この六%程度であった融資利率を四・五%にということになりますと、経営に対して大変な影響が及ぶのではないか、こんなふうに思うのであります。このことによって、信連個々でなくて結構でございますから、総資金利ざやが信連ごとによって最低どのくらい、最高はどのくらいのところになるのか、その予想をちょっとお示しいただきたいと思うのです。
  244. 寺村信行

    ○寺村政府委員 信連の運用利ざやの問題でございますけれども、金融の自由化あるいは株式市場の低迷等により、信連の経営を取り巻く環境は大変厳しいものになっております。現在こういった厳しい環境のもとにありまして、各信連とも懸命な経営努力を行っているところでございまして、大蔵省としては、農水省とも連絡をとりつつ、信連の経営状況を見守っているところでございますが、具体的に個々の信連についての問題につきましては、申し上げることを差し控えさせていただきたいと思っております。
  245. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 私がお尋ねしているのは、個々の信連について言ってくれ、答弁してくれと、こう言っているのではなくて、仮に年四・五%一律適用ということになれば、総資金運用利ざやは、高いところでどのぐらいになり、低いところでどのぐらいになるというふうに想定しておりますか、こういうふうに言っておるのでありまして、どこの信連が幾らになるかそれを言ってください、こう言っているのではないのですよ。
  246. 寺村信行

    ○寺村政府委員 個々の信連の経営内容につきましてはこれは実は公表されていないものでございますので、あるいは全体の数字もちょっと大蔵省としては発言を差し控えさせていただきたいと思います。
  247. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 それでは、私は、一番手っ取り早い話が年報でこれは見るほかはないわけですね。年報で見ますと、融資利率は六%ぐらい、総資金の利ざやが、先ほど申し上げたように、例えば平成年度の場合だと〇・二九だ、こういうふうに年報に出ているわけですね。これは集計としてこういうふうになるわけでしょう。  だから、個々のケースを私は言ってくれと言わないけれども、こういう集計表がある以上は基礎データがあるわけなんで、四十七、信連は四十七にならないですかね、どこか一緒のところがありますかね。そういうことですから、私は把握できているはずだと思うのですね。だけれども、言いたくないと言うのならこれは結構でございますけれども。  それでは、一律四・五%でやれば今後信連の経営は成り立つというふうにお考えになっておやりになるのかどうかですね。ここで一つ答えてください。  それから、預貯金の一〇%以上貸し出ししている信連もありますし、いわゆる融資先一社といいますか融資先一件といいますか、一社当たり自己資本の三五%を超えて融資をしている信連は幾つあるのか。ここのところも農水、大蔵それぞれの立場から、前段は、四・五%でやったら信連の経営は一体どうなると見込んでいるのかそれから、三五%を超えているところは幾つあるのか。
  248. 寺村信行

    ○寺村政府委員 住宅金融専門会社の問題につきましては、これは、現在関係者の間で問題解決のための真剣な努力が積み重ねられておりますが、またいわゆる負担の分担についての合意が形成されたという段階には至っていない状況でございます。いろいろな報道が行われておりますが、関係者間でまだ合意形成ができていない。  私ども大蔵省といたしましては、この具体的なスキームにつきまして住専会社と関係金融機関との協議を通じて決めていただくべきものでございまして、それについて当局として具体的なコメントを言うべき立場にないわけでございますが、金融システムの安定性の確保のために関係金融機関がこの問題の処理につきまして真剣な努力を重ねて具体的なその対応策をつくっていただくように、この状況を今大変注意深く見守っているという状況でございます。
  249. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 今御指摘ございましたような新聞報道については承知しておるわけでございますが、この会社の経営再建、立て直しの問題、これにつきましては、基本的には当事者間で十分話し合って行われるものということで考えておるわけでございます。  信連の経営状況につきましては、金融自由化の影響、有価証券市場の低迷等によりまして大変厳しくなっておることは事実でございます。したがいまして、この住専問題の対応につきましては、この信連の厳しい経営状況も踏まえまして当事者間でぎりぎりの話し合いが行われるものと考えておるわけでございまして、農林水産省といたしましても、今後ともそうした当事者間の話し合いの事態の推移を注意深く見守ってまいりたいと思っております。  また、信連の貸し出しにつきましての自己資本との関係でございます。  自己資本の三五%を上回って貸し付けておるという事実があることは承知しておるわけでございますが、この自己資本の三五%という原則につきましては、金融機関貸し付けにつきましてはその対象としていないということでございます。  住宅金融専門会社貸し付けにつきましても、住宅金融を補完するという建前、また社会的な役割、公共性、信用力等から見ましても、銀行と同様な金融機関貸し付けという位置づけでやっておりまして、この三五%の制限ということを設けてはいないということを御理解いただきたいと思います。
  250. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 大蔵省が、私らはもう当事者間でやってもらうんだと言うけれども、この日本住金の再建問題については大蔵省も関与しているわけでしょう。大蔵省は全然関与していないのですか、これ。関与していないと言うのであればいいですよ、当事者任せにしてあるのですと言うならいいですけれども。再建策については、金利をどうするとかどこまで再建に関与するかというようなことは、これは大蔵省も関与しているのでしょうが。関与していないのならいいです、先ほどの答弁で。当事者任せで結構でございます。  では、私はこの新聞記事も持っておりますが、これは、新聞記事は全くでたらめと、「大蔵省、再建策を正式提示」などという見出しで具体的に四・五%の問題も含めて書いたということについては、これは大蔵省の関与していないところである、こういうふうに理解をしていいのですね。ここを念を押したいと思う。  それから、私は、四・五%という金利を提示する以上は、信連の経営状況というのを把握していなければ提示できないと思うのですよ。信連の経営状況を把握することにおいて初めて金利をどのぐらいにするかということが提示できるんだろうと思うのです。そんなでたらめな再建策の指導は私はないだろうと思うのです。そういう意味でもう一度簡潔に答弁をいただきたい。  それから、三五%以上については金融機関だから関係ないと言いますが、私は、三五%以上を超えているところは幾つあるのですかと、こう聞いているのですよ。金融機関だからいいとか悪いとか聞いているのではなくて、幾つあるんですかと、こう聞いているのです。そこのところをお答えをいただきたいと思うのですね。  なぜかというと、員外貨し出しについては、これは住宅金融専門会社だけではありませんけれども、六十三年から平成三年までの間に倍額ですよね。五兆円から十兆円ですよ、この員外貸し付けが伸びたのは。これは住宅金融専門会社だけではないということになるでしょう、員外貸し付けというのは。  だけれども、六十三年から平成三年を比べた場合に倍額の十兆円。こういう状況のもとで、ノンバンクと言っても差し支えないような住宅金融会社に対して、三五%を超えてもよろしいですよという、五十五年ですか、の指導がそのまま生かされていくという大蔵省の行政指導というのは一体どういうことなんだろうか。そして今日の経営の危機を招いているわけでしょう。四・五%になったら多くの信連が赤字転落は間違いないですね、これ。そういう意味で私は聞いているわけでありますので、簡潔にお答えいただきたいと思う。
  251. 寺村信行

    ○寺村政府委員 昨年の八月に公表いたしました金融行政の当面の運営方針におきましても、住専、ノンバンクの個別問題の処理は極めて利害関係が錯綜しているということでございますが、関係者の真剣な努力、これが金融システムの安定性を確保するために重要な問題でありますので、関係者に対して努力を要請したところでございます。  この問題は、住専の問題は、極めて多数の金融機関がある一つの会社に関与している、しかも、そのような会社が多数存在しておるために金融機関相互の利害関係が極めて錯綜しておりますから、解決のための合意形成がなかなかできないというのが一番難しい問題でございます。ただ、この問題がいつまでも処理をされないままでおりますと、やはり金融システムに対する国民の不安感が出てくるということなので、真剣な努力をお願いしております。  ただ、基本的には、この問題はやはり当事者間で決めていただくべき問題でございます。当局といたしましては、その過程におきまして関係者から状況を伺い、また御相談にも応じているわけではございますが、先ほど申し上げましたように、基本的にはこの会社みずからが関係金融機関と協議をしてその結論が得られるものでございまして、具体的に当局がどうこうということを言うべき立場にはないということでございます。
  252. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 自己資本の三五%を上回って貸し付けているという信連の数につきましては、コメントといいますか、差し控えさせていただきたいと思います。
  253. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 行政当局から状況を言えないというのは、つまり情報を言えないというのは、新聞ではどんどん出ているわけですけれども、じゃ、これは一体どういうふうに審議すればいいんですか。  大蔵省はこうやって再建策について指導した、明示したと、それも四・五%だよと。四・五%一律にやったら信連は大変になる。それを具体的にどこがどのようにかぶっていくかという問題は、それぞれの信連と住専の間でやるだろうと、そこまではいいですよ。しかし、案を提示したことは間違いない。三五%以上のやつが幾つあるかということも言えないというのは一体どういうことなんでしょうか。  もちろん私が手間暇をかけて、私も農協の組合員でありますけれども、これは各信連ごとに、資本金幾らあるのでしょうかと聞けばわかることだから、それは手間暇かければ集計できますよ。しかし、そんな単純なことも言えないで行政指導をやっているということなんでしょうか。  これはもう時間がありませんから、これ以上言ってもしょうがないのでしょうけれども、とにかく信連が、農林系の金融機関が住専の再建に当たって極めて重大な負担を強いられる、しかもそれは農民のささやかな貯金の部分もある、こういうことでありますから、私はまた機会を改めてこの問題は伺っていきたいと思います。  時間がありませんので、最後にお尋ねをいたします。  これは国税の方にお尋ねをいたしますけれども、前回の委員会におきましても、私は仮の話としてお尋ねをしました。政治献金を受けた場合に、これが本当に政治資金として使ったかどうかが不明な場合には雑所得として課税されますね、一般論としてどうですかと言ったら、そのとおりですという答弁をいただきました。  では、人の名前を出しますといろいろ語弊がありますから、私が特定の人から五百万円の政治献金を受けたということが後日ばれた。ところが、私は政治資金団体の報告書にもそれを記載していなかった。それを追及されて、実は二人にお上げしました、二百万と三百万ずつお上げしました。ところが、じゃ、だれにお上げしたのですか、それは言えません。もらったかと思われる人を捜査当局も国税当局もいろいろ調べたけれども、結局二百万と三百万もらった人は判明できなかった、こういう場合には雑所得として課税されますか、どうですか。  それで、しかも修正申告が出ていない、政治資金団体の修正の届けも出ていない、こういうことになった場合には課税されますか、されませんか。
  254. 松川隆志

    ○松川政府委員 ただいまの議員御指摘のケースでございますが、一般論として申し上げますと、政治家個人が受けた政治資金につきましては、所得税の課税上、雑所得の収入として取り扱うことになっております。したがいまして、その政治資金収入から政治活動のために消費した金額を控除した残高が課税の対象になるわけでございます。  それで、この収入が実際に政治活動のために消費されたかどうかにつきましては、その政治家の私的消費等の状況も踏まえて、個々のケースにおいて実態に即して判断するということになるわけでございます。
  255. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 その個々のケース、実態に応じてというのがどうも臭いようでありますが、それじゃ金丸さんのお話ですけれども、五億円についてはもらったと認めている。政治資金団体に入れて、それから六十余に配ったと、こう言っています。しかし、政治資金団体の修正届け出はないですね。ないです。あったという話は聞いていません。六十人について捜査当局も捜査したけれども、これはわからずじまいで立件不能、こういうことでチョンになりましたね。  つまり、もらったのは間違いない、くれたのも間違いないけれども、届け出していない。それはいろいろな人に配った。配ったけれども、特定な人ははっきりしなかった。これは国会で明らかになっていますね。六十人は特定できませんでしたということが答弁で明らかになっているのです。  ですから、使途がわからないのです。使途がわからないというのは、使ったか使わないかわからないからそれは不明金であって、この前私がお尋ねしたとおり、これは課税される、こういうふうになると思いますが、それは間違いありませんね。
  256. 松川隆志

    ○松川政府委員 個別にわたる事柄につきましては具体的な答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、必要経費の認定につきましては、領収書等の書類の有無のみで必要経費になるかどうか判断するのではなくて、そうした書類がない場合であっても、その支出の事実の有無及び必要経費として支出されたものであるかどうかというような種々の事情を総合的に判断して処理することとしているわけであります。
  257. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 もう時間がないのですけれども、国会のやりとりの中で、六十名は特定できなかったと言っているんですよ。つまり、使途先が不明なんですよ。不明のままに立件できなかったと言っているんですよ。これはもう国会の答弁ではっきりしているのです。これほど明確なことはないじゃないですか。もらいました。間違いなくもらったと、くれましたと、はっきりしている。  政治資金の団体で届け出していない、修正報告もしていない、だからどう使ったかわからない。六十人に配りましたというけれども、六十人は特定できませんでしたと捜査当局が言っているのです。それは使途先が不明ということでしょう。これが何でそれぞれのケースによってということなんですか。これは明確でしょう。これがさまざまな解釈ができるのだとすれば、これは大変なことですよね。これほど単純明快なことはないでしょう。もう一度お答えください。  一般論は結構ですから、これは私が国会で明らかになった事実経過を通してお尋ねをしているんです。
  258. 松川隆志

    ○松川政府委員 一般論として申し上げますと、個人的な消費、あるいは個人的に預金として留保されているというようなケースにおきましては、これは非常に明らかなわけでございます。こういうケースにおいては、当然留保された分について課税するということになると思います。  それから、そういう明らかなケースでない場合には、やはり税務調査においていろいろとその消費の事実等につきまして十分調査する、こういうことになると思います。
  259. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 終わります。終わりますが、最後に申し上げますが、私は仮定として五百万円もらった場合にはどうかということでお尋ねしましたが、今の答弁だと、五百万を二百万と三百万に分けて二人に配った、しかし、それは口を割らなかった、もらった方も言わなかった、これについては課税されない、こういうことですね。わかりました。  終わります。
  260. 藤井裕久

    藤井委員長 次回は、明十八日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会